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臨時なのはクロススレ16

36魔導少女リリカルなのはVivid‐SEED:2014/07/08(火) 23:09:20 ID:YRpPTBV6O
己の機体に慣れ、連合のストライクに対する油断を捨て、全力で襲いかかった。そして最高のコーディネイターといえども、素養があったと言えども、当時のキラにそれを退ける実力も運も仲間も無かった。
そんな状況を、たかだか頭の回転が速くなった程度で切り抜けられる訳がないんだ。しかし事実キラは【SEED】で乗りきった。のみならず、ソレをキッカケに操縦技術を大きく向上させた。敵の気配を少し感じられるようになったのも、この頃からだと言っていた。
つまり、真実は。


キラは【SEED】を利用して無意識に、敵パイロットの実力をコピー・吸収し、また四面楚歌を常とする戦場という環境も吸収したのだ。
吸収していって、強くなった。


俺にも似たような経験が幾つもある。頭の中がクリアになって、何故か急に強くなったような感覚は確かにあった。
これは仮説だが、リンカーコアとリンクしているエヴィデンスの遺伝子情報体が、身体的・精神的要因により保有者の生命活動が著しく低下した際に、自己保存の為に活動を開始したのではないかとデュランダルさんは推測している。
そして、己の意思で発現・制御しているうちは、吸収能力は抑られているのではと。


俺達は、エヴィデンスに生かされていた。


だからこそなのか、俺達は無意識に、死者の魂とそのリンカーコアを取り込んでしまっていた。
そして、取り込んだ魂の中でも特に近しく、強い意思をもつ者は自意識を形成した。
だから、


俺の中には、
レイ・ザ・バレルが、
ステラ・ルーシェが、
マユ・アスカが。


キラの中には、
ラクス・クラインが、
フレイ・アルスターが、
ラウ・ル・クルーゼが、
トール・ケーニヒが、


間違いなく、明確に存在している。
魂があって、意識があって、揺蕩っていた。
彼らと話せるようになったのは、彼らを認識した日からだった。あの日、ヴィヴィオとアインハルトの練習試合があって、キラとクロノに真実を教えられたあの日。
そうして一時塞ぎ込み、八神家のみんなに心配をかけてしまったのは記憶に新しい。
だってわけがわからない。
なんでそんなことに。
理不尽すぎて、頭がどうにかなりそうだった。自分の身体のことも、消滅する世界のことも、内に在る魂なことも、なにもかもが。


どうしようもなかった。


確かに、また逢えて言葉を交わせるのは嬉しいかった。
ステラやレイやマユには、どうしても謝りたかった。
だけどそれ以上に。人殺しである自分から死別すら奪われ、彼女らが未だこの世に縛られている現状が、どうしようもなく悲しくて。
なにより、あらゆるものを奪われた俺達から、死を奪われるのは我慢ならなくて。
戦争だから仕方無い、生命はいつか死ぬ。そんな言葉で片付けられるほど命は軽くない。そんな命が、戦争で死んだ命が、ココに在る。


止めてくれと叫びたかった。到底許せるものではなかった。


何故、昔の学者はこんな巫山戯たモノにSEED──種子──と名付けたのか、今となってはわからない。
もしかしたら単に、一時期学会で発表され議論されたSEED──優れた種への進化の要素であることを運命付けられた因子──理論に当てはめたかっただけなのかもしれない。
だけど、こんなモノが花咲く未来なんて、こんなモノで進化する人類なんて、俺達は認めない。
絶対に。
だから俺達は……


こんな運命は壊してやろうと決めた。


強くなって、あらゆる素材を利用して、システムG.U.N.D.A.Mを用いて最大限の悪足掻きをしてやる。
復讐みたいなものだ。意地みたいなものだ。


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