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没SS投下スレ

68 ◆27ZYfcW1SM:2012/12/15(土) 14:33:06 ID:Bhq4zU2I
 ZUNは城の地下でビールの入ったジョッキーを傾けていた。
 地下のこもった空気でも酒の旨みは変わることはない。
 ZUNの椅子の周りに広がる数々のディスプレイにはそれぞれのキャラクターに割り振られた変数の値を表示している。
 開始当時は人数が多くて管理しきれなかったが、残り5人なら一人でも楽に見渡すことができる。
 体力、精神力、状態異常、所持品、記憶のフラグ、そして存在のフラグ。
 体力がなくなれば死に、友人が死ねば精神力が減る。
 腕が斬られれば状態異常のフラグが立ち、武器を拾えば所持品にその所持品のIDが追加される。
 情報を得れば記憶フラグが立ち、存在のフラグがNULL(ゼロ)になればこの世界から消滅する。
 この世界の彼女らはキャラクターと言う名前の構造体をビジュアル化したに過ぎない。
 そして、この世界も自分がプログラミングしたものだ。
 彼女たちというオブジェクトがこの城の中に入ると言うことはプログラム上ありえない。
 取るはずのない変数だ。

 故に難題。

 しかしZUNはこれが覆されるという予感を感じていた。
 有名なところでは風神録の魔理沙の貫通装備だろう。
 通称バグマリと呼ばれるバグで魔理沙の攻撃力がゲームバランスを崩壊させるレベルで強化されるバグだ。
 一流と名乗っても良いZUNでもプログラムを作る上でのバグを完全に止めることはできないのだ。
 そして、プログラマーとしての感か、それとも経験か、このプログラムにはどこか穴がある。
 そう告げているのだ。
 それがどのような答えなのか……
 ZUNは嬉しそうにジョッキーを更に傾けた。

 しばらく時間が過ぎた。
 ZUNが口直しにチェイサーを飲んでいた時だった。
 突如カタカタと酒瓶が揺れ始めたのだ。
 ZUNは手元のマウスを素早く動かして、外の様子を探った。
 ディスプレイに表示される外の状況。
 ZUNは独り言を呟いた。
 「なるほど……それは対処してなかったな……」
 ディスプレイには空にむかって伸びる白い白煙が映し出されていた。

            〆

「この作戦は……」
 魔理沙は紫の遺書を見ながら言った。

 紫が最後に残したメモは、生き残っている者たちの持っている能力を考察し、それをどう首輪解除につなげるかを記したものだった。

 最初に成功率が書かれており、どの方法が現実味を帯びているかひと目で分かるようになっていた。
 100%でも失敗するし、0%でも成功すると言っていた割には、やはり確率はスキマ妖怪でも変えることができないらしい。

 そして、同時に危険度も書かれている。
 成功率が高ければリスクも大きくなるようだ。
 成功率が高いほど危険度も高くなっている。

 そのメモの中で選ばれた案が2つ。
 どっちもロケットを使うという点が同じだが、成功率が雲泥の差であった。
 一方はロケット燃料を爆薬で引火させ、城を吹き飛ばすという作戦であった。
 成功率は低めなものの、リスクがとても低く、死者はまず出ない案であった。

 魔理沙を唸らせたのはもう一方の方だった。
 成功率はかなり高い。
 しかし、危険度が高かった。
 この作戦を行えば……ほぼ確実に一人死ぬ。


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