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仮投下スレ

739 ◆TDCMnlpzcc:2012/08/16(木) 21:18:27 ID:PBKG5uew

「終わったの?」
「終わりましたね」

 力ない、死体となった霊夢の向こうで、早苗とフランが、放心して腰を落とすのが、見えた。

「死んだ?」

 お空が、冷たく、誰ともなしにつぶやいた。
 その顔には、複雑な表情が浮かんでいる。

「ああ」

 首に指を当て、いつもの鼓動が無くなっているのを確認して、本当に、霊夢が死んだことを実感した。
 思わず、息が止まった。
 正しいことを、したはずなのに。いや、正しいことをしたからこそ、苦しいのかもしれない。
 理性では自分の判断は正しいと分かっていて、感情は悲しさを訴える、その相反した想いが、頭を締め付ける。

 後悔は、後ですればいい。
 今は、生き残った者達の未来を、何とかしなければならない。

「霊夢」

 その体を、ゆっくりと地面に横たえ、名前を呼ぶ。

 もちろん、返事はない。
 その傍らに落ちた、自分の帽子を拾い上げ、被る。
 一日ぶりの再会。硝煙と、血で汚れた帽子のつばを払い、魔理沙は頭になじませた。


「■■■、■■■■■■■■■■■■■?」

「■■■■■、■■■■■■!!」

 最後にかわした、会話。

「お前は、幻想郷の皆が嫌いだったのか?」

「そんなわけ、ないじゃない!!」


 霊夢と交わした、短い会話。霊夢が今までの幻想郷を嫌っていたわけではなく、
 厭々、幻想郷の皆と暮らしていたわけではなかったことを知って、魔理沙は少し安心していた。
 たぶん、あの会話が、霊夢の本心。
 本当は皆と、昔のように楽しく、生きていきたかったはずなのだ。
 何かが、その霊夢を変えてしまった。変わらなくてはいけないように追い込んでしまった。
 その答えは、たぶん、主催者が握っている。


 白い霧の中、魔理沙のにじんだ視界の奥で、半壊した寺小屋が、ぶすぶすと黒い煙を上げていた。
 その不完全燃焼の様子は、まるで、この戦いのむなしい結果を見せつけているようで、魔理沙は思わず、目を背け、空を仰ぎ見た。
 霧に阻まれた空は白く、何も見えない。

 ポケットに入っている紙が、足を圧迫して、存在をアピールする。
 紫が今後の計画を記した紙、それが、切り札となる。
 物語の最後を、【めでたしめでたし】で終えられるか、それは魔理沙の手にかかっていた。
 責任の重さに、思わずすべてを放り出して、逃げたくなる。
 だが、そんなことはしない。わたしがやらないで、だれが最後まで抗うのか。


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