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仮投下スレ

737 ◆TDCMnlpzcc:2012/08/16(木) 21:15:17 ID:PBKG5uew



 霊力を流すと、宝塔はすぐに反応した。
 魔理沙が、散弾銃の引き金に指を掛け、引く。
 お空の肩の向こう、早苗がふわりと跳ね、屋根で射線を確保するのが、片目に映る。
 今までの早苗にはできなかった芸当だ。吸血鬼ゆえの力強い動き、警戒しつつ、霊夢は身をかがめた。

ドン!!
 
 威嚇射撃も兼ねた魔理沙の一撃がお空の背に隠れた霊夢をかすめる。
 光を纏って、お空の胸を二回連続で突き、三発目で地面に突き倒す。
 周囲に現れた陰陽玉に、次々と光がともる。

ダッ!!

 射線が開けて、早苗の拳銃が火を噴く。
 だが、開けた空間で、空を飛べる霊夢には当たらない。
 剣を手に斬りかかってくるフランドールをしゃがんでやり過ごし、すり抜けざまに蹴りを入れて、屋根に駆けあがる。

ダッ!
ドン!

 銃声が同時に二つ、響き、霊夢の左肩に衝撃が走る。散弾の一片が突き刺さったのだ。
 だが、それを無視して、屋根の上、目と鼻の先の早苗の足を蹴り、ラリアットで地面に叩き落とす。
 そして、そのまま、自身も重力に身を任せて、落下する。
 落ちた先には、魔理沙がいた。

 自分の周りには、七つの陰陽玉。そのうち六つは、神々しく輝いている。
 魔理沙は、このスペルカードを良く知っている。
 七つの攻撃を奉納して、行う、博麗霊夢、博麗の巫女の神髄。
 慌てて迎撃しようと、魔理沙は無理をして片手で散弾銃を持ち上げ、構える。
 だが、女子の身で、それは流石に無理があった。
 一瞬遅れた、その隙をついて、足で魔理沙の利き手を払い、銃を蹴りあげた。

 思ったよりも軽い音がして、霊夢は背後で早苗が、地面に着地したのを理解した。
 周りの四人との距離は、さほどない。魔理沙に至っては、目と鼻の先にいる。
 攻撃さえできれば、外しはしない。
 霊夢の周りには、輝く七つの陰陽玉。息を突きながら、姿勢を整える。

 疲れた体に、アドレナリンが溢れ、胸が熱くなり、耳も、眼もほとんど機能していない。
 連戦の疲れが、だいぶ響いていた。
 そんな中、武器を失くした魔理沙を前に、乾いた舌で、宣言する。

「夢想天生」

 スペルカードルールなど、もう意味はないのに、宣言したのは戯れか。
 命名者を前にした、多少の礼儀もあったのかもしれない。
 手を差し上げ、眼を閉じようとする霊夢の前で、魔理沙が手を前に伸ばし、悲しげに、眼を閉じた。


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