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【オリスタ】ザ・マグネットは離れない【SS】

1名無しのスタンド使い:2019/05/20(月) 19:27:08 ID:N60kCRL60
M県S市杜王町。特産品は牛タンのみそ漬け。町の花はフクジュソウ。
この町の別荘地帯で、太陽と共に彼女は目覚めた。

「ンッン〜〜実にスガスガしい気分ね。
歌でも一つ歌いたいような気分!」

彼女は朝食の皿の上に、グチャッとした肉塊を盛りつけた。
少し胡椒で味付けした後、ほんのり香る血の臭いを堪能した。

「これが、吉良吉影の脳……」

彼女は、美味そうにその肉塊を頬張った。

※注意
・定期的な更新?そんなものあるわけないじゃあないですか。
 ファンタジーやメルヘンじゃあないんだから
・ジョジョらしさなど、このSSに求めるだけ無駄ァ!
・このSSに構成力を求めろと小学校で教えているのか?

この上記が依然問題なし、という方だけお読みください

2名無しのスタンド使い:2019/05/20(月) 19:28:25 ID:N60kCRL60
雲間から顔を出す太陽が、ジョルジョ・ルーナの銀髪を
輝かせる。

「ここが、杜王町か……」

そう、この平凡なベッドタウンを見渡した。イタリアの
ヴェネツィアから遥々日本にやってきたのだ。

「ルナ、気を付けて行ってくるのよ」

「はーい、母さん」

天使のような微笑みを湛え、彼は走り出した。
言葉で困らないように3か月も前から勉強し、日本の文化やマナーを
学んできた。

(友達できるかな)

などという希望を持って。

「ああ!?テメエふざけてんのかッ!」

飛び込んできたのは、酷く乱暴なチンピラの声だった。
見てみると、一人の少年が、複数人のチンピラに囲まれていた。

ジョルジョは、少し嫌な顔をするだけで、関ろうとは思わなかった。
そういった、無駄な正義感を持つ奴がどうなるか知っているからだ。

「ええ?何ですってェ〜?全然聞こえねえなァ」

その少年は耳に手を当て、おどけて見せた。

「このクソガキがッ!」

チンピラの一人が、その煽りに乗り拳を振り下ろす。
その時、一瞬だけ、彼の肩に雛鳥が乗っているように
GIOGIOには見えた。

「う、おおお」

突如、腕を振り上げたチンピラが、目を押さえて苦しみだした。

「お、おい、どうしたんだよ」

「テメー、何しやがった!」

チンピラの眼は、どんどん肥大化して……いや違うッ!
大きくなっているんじゃあない、出てきているッ!
ビリヤードで突かれたボールみたいに、何かに押し出されているッ!

「う、うわあああああああああああああああ!!!」

眼が、眼球が、ポロリと転がる。代わりだとでもいうのか、
ビー玉大の鉄球が彼の眼窩にすっぽりと嵌った。

「いい義眼だろ、大事にしろよ」

(僕以外にもいた……この『能力』を持つ人間!)

第一話 浄城・希が来た

3名無しのスタンド使い:2019/05/22(水) 21:41:33 ID:NQBzn8CE0
浄城・希は、走っていた。いつもは遅れてくる彼だが、
今日こそはと心を入れ替え学校へと歩を進めているところで
絡まれたのだ。

「待ちやがれ……テメェ」

呼び止められた。聞き覚えのある声で。この粗暴な声は……

「ああ?さっきのチンピラか。何だっていうんだよ」

「人の眼を潰しておいてよォ、逃げられると思ってんのかァ!?
 『Undead reaver』ーーーッ!」   

突如、 彼のすぐ近くから骸骨が現れた。ボロボロの黒い
布を申し訳程度にまとった、人とは思えないモノ。
それが、人ひとりほどある棺桶を背負っている。

「何ィ!?」

「テメ―もスタンド使いなら、見えてるんだろ?」

『シャア!』

それは、腕を振るい希の横っ面を殴りぬけた。

「ぶげええええ!?」

きりもみ回転しながら6mほど吹っ飛ばされた。ジンジンと熱を持った
痛みが脳に突き刺さる。

「出せよ。テメ―の、チンケなスタンドをよォーッ!」

「……」

希の肩に、現れた。両翼がU字磁石となっている雛鳥が、
ちょこんと乗っかっている。

『チュミミ〜ン』

「は?」

チンピラは、一瞬戸惑った顔を見せるが、一転。
下品な笑い声をあげた。

「ぷふぅ、ヒャッハッハッハッハッハ!!マジにチンケじゃあねえか。
 ええェ〜?」

「俺は、さっきまでお前のことはどうでもいいと思っていたが……
 スタンド使いなら話が別だ。ぶっ飛ばさせてもらうぜ」

4名無しのスタンド使い:2019/05/23(木) 22:51:49 ID:68QhRHu60
「ぶっ飛ばす?そのちっこいのでかァ?」

「言ってろ。『ザ・マグネット』」

『チュミミ〜ン』と希に応えるように鳴き、その磁石の羽をパタつかせる。

「ん?」

片目で見ずらいが、足元にメスが落ちている。テレビドラマなんかでよく見る
人を治療するときに使う刃物である。

(何故、こんなところにメスが……)

そのメスが、物凄い勢いで、足に突き刺さったッ!

「う、ぐおおおお!い、痛えッ!」

メスは足に刺さったことなど気にもせず、どんどんどんどんめり込みつづける。

「メスってのはよ。ブラックジャックでも描かれてるが、すげーよく切れるんだぜ。
包丁なんかよりすっぱりとよォーッ!!」

「あ、『Undead reaver』!!」

Undead reaverは喰い込むメスを足から引き剥がし、希に向かって
投げつけた。……が!

不自然な軌道を描きながら、希を避け、チンピラの真後ろの駐車している
車に突き刺さった。

「なっ、何だあの軌道!不自然だッ!」

「俺、˝ぶっ飛ばす˝って言ったが訂正するよ。˝暗殺˝っていう方が近かった。
 テメ―のスタンドが近寄れない間合いから、始末させてもらう」

彼は、ポケットに手を突っ込むと何かを一握り取り出した。
釘だ。釘を手に持っている。それが、浮いたッ!
希もそれに引きずられるように体が浮いているッ!

2m上昇……3m上昇ッ!体は浮きながら移動している。

(あの野郎、まさか鉄を操ることができるのか。俺の眼を抉りぬいたのも、
 体内の鉄分をくっつけ、球状にして眼の奥に集め押し出させたッ!)

(メスもここら一帯の地面の中のほんのちょっぴりの鉄を掻き集めて
 作ったのか。サバな真似しやがるぜッ!)

「俺は最近このチカラを手に入れたが、奴は違う!これほどまでに
 手慣れてるってことは、かなり前からスタンドは発言していたと予想が付くぜ!」

「ということは、他のスタンド使いの知り合いがいても全くおかしくない。
 スタンド使いは引かれ合うっていうしよォー。だからッ!」

Undead reaverは、背中に付いている棺桶を開けた。

「テメ―は絶対逃がさねー!取り出せッ!『Undead reaver』ーーッ!!」



「もう既に……出来上がっているんだぜ。チンピラ」

彼は、自分の耳に聞こえてくる声に対し呟いた。

「テメ―はやはり、誰かに最近スタンド使いにされたな。そして、
 スタンドが何たるかを教わった。俺はそいつを聞き出さなければいけない。
 家族のために……復讐のために!」

動けなくしてから、ゆっくりと聞き出すのが彼のいつもの尋問スタイルである。
圧倒的安全圏から敵を嬲る。情け容赦など、復讐を誓った五年前から
とっくに燃えるゴミで出してしまった。

「足は潰した。もうまともに歩けない。目も奪った(偶然だが)。死角が大きくなった。
 抵抗する力も削ぎつつある。ビジョンからして近距離パワー型だ。
 もうとっくに射程外ッ!負ける要素はないッ!」

飛んでいるとき、ふと、マンションの窓に目をやった。
窓には部屋の中と自分が映って見える。

顔に違和感があった。朝、顔を洗う時に見た顔と若干違っていた。

「顔に……手形?いつ?」

痛みが走った。何かに掴まれたような感触と共に、恐ろしい力で、
引っ張り上げられたッ!

「捕らえたぜーーーッ!!」

「な、何ィィーーーッ!?」

希は、棺桶の中から、チンピラのスタンドによって引き上げられのだ。

5名無しのスタンド使い:2019/05/25(土) 08:40:25 ID:ZM96fUzE0
Undead reaverは、引きずり込んだ希の首を圧し折らんばかりに締め上げる。
あまりの力の強さに、血反吐を吐き、成す術なく持ち上げられていく。

「ゴボッ……放しやがれ……畜生!」

「放せと言われて誰が放すかよ。このバカがッ!あとはテメーの目を
 抉り飛ばせば良いんだよなァ」

乾いたアスファルトの地面に水滴が零れ落ちた。希の涙である。

「やめてくれよぉ、そんなことしたら痛いじゃんかよぉ。
 お前の目なら直せる奴がいるからさぁ」

「じゃあテメーが怪我しても全く問題はねーわけだなッ!?」

「ひ、ぃいいいい」

「喰らわせろッ!『Undead reaver』ーーッ!」

チンピラの命令を理解したUndead reaverは、
白い拳を握りしめ、希の顔に、目にッ!確実に抉り取るような
鋭い一撃を叩き込もうとしていたッ!

「そ、そんなことしたら……」 

血が流れた。拳によって抉られたからではない。
それよりも先に、希の顔の皮膚を突き破って剃刀が出てきたからだ。

「俺がプッツンしちまうだろうがァーッ!!」

「何ィ―ッ!?」

剃刀は鈍い光を放ち、引き寄せられるようにチンピラの顔に向かっていく。

「テメーの後ろには引き寄せる鉄分は腐るほどあるんだ。顔面が
 スライスチーズになりたくなきゃあよォ、ガードするんだな!」

「は、弾き落とせ!『Undead reaver』ッ!」

言われるよりも素早く精神でつながっているスタンドは行動を起こしたが、
それでも遅かったのだ。

片手は首を絞めたまま、もう片手も殴る寸前だったのでほんの
ほんの数枚しか弾くことは敵わなかった。

残った十数枚は、回転がかかったまま顔面を抉りぬくッ!

「うおおおおおあああああああッ!!!」

あまりの激痛に顔を伏せてしまう。スタンドが出せない。集中しなくては……

しかし、同じく顔面を酷く損傷した希はどこ吹く風、といったところである。

「この手形、もう役に立たねえだろ。こんだけボロボロになりゃあよォ。
 これでもうお前は俺を『取り出せ』ない」

「ぐ、うううう」

チンピラの頭を、右足で踏みつける。希のもとより強い脚力と、
地面のちょっとした突起が傷口に入り、痛みが倍増する。

「お前には悪いと思ってるんだ。ホントだぜ。俺の身勝手な復讐心のために
 お前は地面に這いつくばっているわけだからな」

「しかし、吐いてもらうぜ。お前をスタンド使いにした男を。
 俺の家族を殺した野郎をよォッ!」

「うううげえええ」

 足に力をさらに込められる。チンピラは、激痛と同時に恐怖も覚えていた。
スタンドという超能力を手に入れた時、制約を言い渡された。

我々の要求は拒まないということ。そしてもう一つは、我々の存在を他人に
漏らさないこと。そのどちらかが破られれば、始末される。

見せしめとして、自らの母親が目の前で、あの骸骨の手で
串刺しにされ殺された。

「俺は……絶対に……」

「話さなくてもいいぜ。そんなの関係ねーからな。アリスに
 調査書を作ってもらえばいい。まぁ喋ってくれた方がありがたいがな。
 アイツまであまり巻き込みたくないし」

「え?」

カチッという音が、耳の底で聞こえた。自らの身体が光り輝いていくのがわかる。
熱い……どんどん膨張していく自分の身体が、抉られた比ではないほどに

「なな、何だ?」

希も異常なことに気が付いたのか、すぐに足を離す。

「た、助け……」






「キラークイーン、第一の爆弾。点火ッ!」

6名無しのスタンド使い:2019/05/25(土) 08:56:31 ID:ZM96fUzE0
派手な爆発音とともに、チンピラは熱と光を放射しながら雲散霧消に……

「『テイク・ミー・ハイヤー』ーッ!」

『ウオオオオオオオオ!!』

消え去る前に、やたら角ばった人型の連撃が体中に叩き込まれる。
消えそうになるが、綺麗に治ったチンピラの身体が地面に落ちた。

「おせえぞ、小鳥遊」

「当たり前だろ。ホームルームの途中で呼び出しやがって」

小鳥遊と呼ばれた少年のすぐ横で、ザ・マグネットが『チュミミ〜ン』
と鳴いた。

このスタンドは、引きずり込まれる前、車の影に身を隠し
敵の動向を確認していたほか、遠くに飛ばし仲間を呼びに行っていたのだ。

明智探偵のサポートをする小林少年のように、密かに活躍していたのだ。
ちょこちょこと歩き、希が差し出した手の上に乗る。

それから多々バランスを崩しながら肩まで登っていく。

「よし、後はこいつを有栖のところまで引っ張って行きゃあいい訳だな」

「おいおい、俺達みたいな毎朝寝坊してくるような奴ならいざ知らず、
 有栖まで巻き込むのかよ」

「そんなことは分かって……」

その言葉を聞き、少し考える希。そうだ、俺は何か忘れている。
何だ?……ハッ!

「しまったァーーーッ!小鳥遊、そいつ適当に手足つなげて転がしてろ!
 俺学校に行ってくるから」

「は?」

「いいから頼んだぞ!」

そう言って学校に走っていく希であった。

第一話 浄城・希が来た……END

7名無しのスタンド使い:2019/05/25(土) 09:49:44 ID:ZM96fUzE0
民家の陰から、彼らを覗く人物が一人。赤い猫を擬人化したような
スタンドがそばに佇んでいる。

「くっ、始末し損ねた。不味いぞ……この吉良吉影の正体がバレてしまう。
 すぐにでもあいつらを爆殺しなくては」

(落ち着きなさい、吉良吉影。今爆殺しても仲間が探りに来るでしょう。
確かに我々の周りをうろつく子ネズミは駆除しなくっちゃあいけないけどね)

(彼らが話していた、調査書を作れるスタンド。それがあなたにとって
一番厄介なはずよ)

「……分かっている」

頭に響く声に諫められる男。彼の名前は吉良吉影。かつてこの杜王町で
連続殺人を起こしていた犯人である。

「奴らを尾行し、そのスタンド使いを始末する。その後、
 私の平穏を乱す輩を一人ずつ爆殺していく。私の……」

「『キラークイーン』でな」

「そこのお前」

「!!」

突如、民家をはさんだ向こう側から、声が響いた。
小鳥遊の声である。

「何してるんだ?そんなところでよォ。日向ぼっこか?んなわけねーよなァ」

足音が近づいてくる。此方の方へ、コツ、コツと。

(何だってッ!?)

「動くなよ。少しでも怪しい動きを見せたら『攻撃』する」

小鳥遊が裏に回り込み、見たのは……

「ひいいい、な、何ですかぁ〜。お、お金は持ってませんよ」

手鏡を持ち、尻餅をついた美少女だった。

「お前、何故こんなところにいる?」

「お、お化粧を整えてたんです。ほら……人に見られてやるのも恥ずかしいし、
 コンビニで整えようにも何も買わずに出るってなんか気まずいじゃあないですか。
 今お財布ないし……」

「財布がないのに化粧してどっかに行こうとしてたのか?」

「さ、散歩ですよ。この辺りはいい散歩スポットなんです。でも散歩だからって
 スッピンでお外なんて歩けないから」

彼女の言い分を吟味した後、納得したような表情を見せる小鳥遊。
やがてにっこりと笑い、怖がらせたことを謝り、彼女に背を向けた。

(危なかった。こいつに勝つことはそう難しいことではないが……
 奴らに悟られてしまう)

次の瞬間、角ばった人型、テイク・ミー・ハイヤーの拳が繰り出された。

(何だとッ!?)

しかし、その拳は顔に直撃する前に寸でのところで止まった。
小鳥遊は何事もなかったかのようにそのまま立ち去る。

(小鳥遊……とか言ったか。これほどまでに勘の鋭い奴がいるとは。
 私も、これまで以上に慎重にならなくては)

8名無しのスタンド使い:2019/05/25(土) 11:23:42 ID:ZM96fUzE0
【初登場オリジナルスタンド】

浄城・希(じょうしろ・のぞむ)
■ No.6263
【案師】 ID:.MTmNPqs0
【スタンド名】
ザ・マグネット
【本体】
復讐心に燃える高校生。
昔、家族を殺されたのをきっかけに覚醒し、5年もその殺した相手を追いかけている。
【タイプ】
鳥型/遠隔操作型
【特徴】
両腕がU字磁石になっている雛鳥のような姿。空は飛べず、自身の戦闘力も皆無に等しい。
【能力】
物と物を引っ付けたり離したり出来る能力。
能力効果時間は45秒きっかりである。

主に鉄や石といった鉱物(鉄分を含めた物でも可能)に使える。
しかし人間をくっつける事は出来ない。

破壊力-E  スピード-E  射程距離-A

持続力-C  精密動作性-C  成長性-A

【能力射程】
 A



小鳥遊・勇(たかなし・いさむ)
■ No.3348
【案師】 ID:L9F0r/E0
【スタンド名】
テイク・ミー・ハイヤー
【本体】
男子高生。かなり音痴で、カラオケに行きたがらない。
【タイプ】
近距離型
【特徴】
カクカクした感じの質感の人型。
【能力】
殴ったものをポリゴン化する能力。
ポリゴン化したものは、極小の四角形模様が刻まれ、
本体の意志で自由自在に消したり組み替えたりできる。
また、ポリゴン化したものは、あらゆる材質の概念から解放され、
十把一絡げに『ポリゴン』として扱われる。
つまり、地面から欠損した腕を治すなんてことも可能(ただし時間は結構掛かる)。

破壊力-C  スピード-B  射程距離-E

持続力-C   精密動作性-D  成長性-A

チンピラ

■ No.2510
【案師】 ID:n0YSUkU0

Undead reaver
(死に底ないの強奪者)
【本体】
町のチンピラ、悪ぶってるが根はいいやつ。スタンドの力を使いコソ泥を繰り返してる。
【タイプ】
近距離型
【特徴】
背中に本体と同じ位の大きさの棺桶を背負った、ボロボロの服を着た骸骨のようなスタンド
【能力】
触れたものに手形をつけ、その物体を棺桶から引っ張り出す能力
持ってくるものには制限があり、第一に本体よりも質量が軽く、
本体よりも体積が小さいものに限られる。
手形はスタンドの範囲外に出ても消えないが、
本体がいまだ行ったことのない地域に入る、もしくは1時間たつと自然と消滅する。

破壊力-B スピード-A 射程距離-D

持続力-C 精密動作性-A 成長性-B

【能力射程】
手形の範囲はA

9名無しのスタンド使い:2019/05/26(日) 09:42:40 ID:Pto2OqD.0
第二話 粉雪
すでに杜王町は寝静まり、月と星が夜空でフォークダンスを踊る時間。
その杜王町で、声が聞こえた。血にまみれた声。つまり、悲鳴である。

グサッ、グサッと半分肉と化したものに、刃を突きつける色白の美女がいた。

「フフフ、ウフフフ。いいわぁ、中々派手に死んでくれたじゃあないの。
 明日の朝刊はこれで決まりね」

「君は、不満を抱いている」

「!」

その女性は、さっと身をひるがえし、銀色に光る刃をかざした。

「誰?いいえ、誰でもいいわね。どうせここで死ぬのだから」

「君は、自分を認めないこの社会に愛想が尽きている」

「……だから、どうだっていうのよ!」

その声のする方の闇に、殺人鬼は刃を突き立てた。
しかし、それは、白い手によって止められた。それは、骨であった。

「え……」

「君にも見えたか。君が手に入れた力、『神』のために使ってみる気はないだろうか」

10名無しのスタンド使い:2019/05/26(日) 13:13:07 ID:Pto2OqD.0
「イタリアから来ました、ジョルジョ・ルーナです。よろしくお願いします」

深々と頭を下げる。その様子を見て、男子はプププと笑いを押し殺し、
女子は母性をくすぐられているのだろうか。ウサギでも愛でるかのような
表情を浮かべている。

黒板に、ミミズののたうったような字でじょるじょ・るーなと書かれている。

「ジョルジョの席は……棟方の隣でいいな。棟方、後で
 この学校を案内してやれ」

「ええ〜、マジすかぁ」

ジョルジョが真っ先に気になったのは、棟方の大量につけている
ヘアピンである。

まるでこれから刑務所破りでもするようなヘアピンが、髪の毛に
所狭しと挟んである。

「よ、よろしく」

「ああ、よろしく」

そう一言言っただけであった。

11名無しのスタンド使い:2019/05/26(日) 13:16:15 ID:Pto2OqD.0
ジョルジョ達は昼休みに突入していた。しかし、ジョルジョは
何処へも行くことはできない。棟方がいないからだ。

学校の案内を頼まれて                                                       いた棟方がいなくなってしまった今、彼を案内してくれる人はいない。

「大丈夫ですか?」

「え、は、はい」

思わず恐縮してしまった。別に今話しかけてきた女子が怖い顔をしていたわけでも
ジョルジョが女性嫌いという訳ではない。

着ていた服が問題なのだ。一見質素に着こなしてはいるが
うっかりカレーの染みでもこぼしてしまえば、請求される
クリーニング代は数十万になるだろう。

「ふふ、そんなに畏まらなくてもよろしいのですよ」

「は、はい」

「私の名前は、神代・有栖。気軽にアリスと呼んでください」

「わ、分かりました」

「それにしても……全く。何処へお行きになったのでしょう。
 まだ右も左も分からない転校生を放って」

アリスはムスッとした表情から一転。笑顔を見せた。

「私でよければ、この学校の校舎内をご案内させていただきますわ」

「え、あ、有難うございます……?」

「まずは、……図書室なんていかがでしょう」

12名無しのスタンド使い:2019/05/26(日) 14:52:24 ID:Pto2OqD.0
ぶどうが丘高校の図書室。日が差し込み、暖かな時間が流れている。
かなりの人がいるが、誰一人音を出さない。

全員死んだように動かず、本を熱読している。

(さすが日本人。みんなマナーがしっかりしているなぁ)

「私のお気に入りの場所ですわ。良い人間を作るには、良書が必要ですもの」

「そうですよね」

 読書の邪魔をしないように、できるだけ小声で喋ると、
ジョルジョは足音を忍ばせ本を取りに行った。

(……?)

不思議なことに、『汗』をかいていた。本を読んでいる
全員が『汗』をかいている。大して暑い訳でもないというのに。

いや、それだけならまだいい。『濡れて』いる。
どの本を見ても『濡れて』いるのだ。
彼らが読んでいる本や、棚に置かれている本全て。

さながら、冷凍庫から出した冷凍食品を10分間放置した後のような。

(何かおかしいぞ……奇妙だ)

読書を邪魔しては悪いとは思っている。しかし、この奇妙な状況は
自分の思い過ごしだと思いたい。そう考え、読書中の
生徒の肩に手を伸ばした。

「触らないでッ!」

始めは、生徒にそういわれたのかと思ったが、違った。
声を荒げたのはアリスだった。

「ど、どうしたんですか?」

「……この人たち、死んでいる」

「!!」

13N60kCRL60:2019/05/26(日) 16:58:08 ID:Pto2OqD.0
「な、なな何で……」

 この死体、外傷が全く見当たらない。毒殺されたにしては、
全員が本を読む姿勢で死んでいることは奇妙だ。

「『アリス・クーパー』。出来た?」

『短イ時間ダッタカラ、余リ出来栄エハヨロシクナイケレドネ』

アリスの後ろから、小人が現れた。ただの小人ではない。羽が生えている。
それが、紙を掲げている。

『死因ト名前、年齢グライシカ分カラナカッタケド』

「いいえ、それで十分よ」

ジョルジョは驚愕していた。まだ、前の奇怪な高校生と会って
1日経っていないにもかかわらず。

(ふ、二人目!)

「ジョルジョくん、大丈夫ですか?」

「ひゃい」

自分でも間抜けな声が抜け出てしまった。まだ人が死んだということを
引きずっているのかもしれない。

「今すぐに先生方に報告してください。私は警察に通報いたしますので」

何故この人は、ここまで冷静なのだろう。人が死んでいるのだ。
それも一人や二人じゃあない。

十人単位で死んでいるというのに。
最も、それを訊く余裕などジョルジョにはなかった。

「わわ、分かりまし……!?」

足を、突然掴まれた。それは白く美しい、しかし人間の物ではないような
異様さを併せ持った手。

その手は、机の下から伸びている。恐らく本体もまだ下にいるッ!

「スタンドッ!?」

(スタンド?)

そう考える間もなく、机の下に引きずり込まれた。

14N60kCRL60:2019/05/29(水) 17:32:39 ID:UAl8fQQI0
 『調査書』を作るスタンド使い。その居場所はおおよそ見当はついている。
小鳥遊とかいう男、そして希……だったか?あのイカレ頭は。
 
 自らの顔から剃刀を作り出し、敵に浴びせかけるなど真面な頭の人間では
思いつかないだろう。

それはともかく、奴ら、

『優等生』などとぬかしていた。学生であることは明白。

そして、『あまり巻き込みたくない』とも。

これは完全に推測でしかないが、力が弱い『女性』ではないだろうか
もしくは戦闘に向かないスタンドなのかもしれない。

スタンドは精神により変化する。『調査書』を作るということから
活発な新聞部の女か、はたまた本好きの大人しい女子か。

『新聞部の部室』か『図書室』か……だ。その場にいるやつは皆殺しで構わない。

お前の『スノーデビル』でな

15N60kCRL60:2019/05/30(木) 23:21:20 ID:r07pnN7E0
「あらぁ?こっちの子じゃあなかったわね。『調査書』を作るスタンド使いの子」

そう言いながら、机の下からはいずり出てきた人間。金髪で色白の女性。
どこか妖艶な雰囲気と狂気を纏った姿に、一瞬見とれてしまった。

『逃ゲテ!』

自分のスタンドに喝を入れられ、慌てて図書室の外に逃げようとする。
しかし。

「逃がさないわよ!『スノーデビル』ッ!」

彼女の傍に、白い人型が発現する。足が雪の結晶のようになっているので、
亜人型と言った方がいいかもしれない。

頭には髪の毛のように幾本ものチューブが取り付けられている。
そのチューブから、ふうわりふわりと粉雪が放出される。

その粉雪は、全てアリスへと向かっていくッ!
それはまるで、意思を持つ魚の群れのようにッ!

それらは足にくっつき、腕にくっつき、体にくっつき、顔にくっつく。
通常では考えられないスピードで、熱を抜き取っていくッ!

「何これ……痛ッ!?」

「早くも『凍傷』になり始めているようね。いいわぁ。ぶどうヶ丘高校の
 図書室で真夏に凍死した生徒たち。絶対ネットニュースで関心度一位ッ!」

「そして新聞の死亡者リストに貴女の名前が載ることになるのよ。
 楽しみだわぁ。名前知らないけどねッ!」

「ぶふっ!」

鳩尾にスタンドの拳が叩き込まれ、体が本棚に衝突する。

「貴女、スタンド使えるのよね。どうしたの?来なさいよ」

「野蛮じゃない」

「あ?」

「聞こえなかったのですか?私のスタンドは、貴女のスタンドと違って
 野蛮じゃあないと申しているのです」

スノーデビルの拳が、頬を捉えた。ただの人間の平手ならまだいい。
破壊力Bクラスのスタンドの攻撃をもろに食らい、歯が一本欠けた。

「私のスタンドが何ですって?」

「ゴホッ、……何度でも申し上げますわ。『野蛮』だとねッ!」

16N60kCRL60:2019/05/30(木) 23:22:12 ID:r07pnN7E0
血を吐きながら答える彼女の目には、絶望など一欠けらたりとも
映ってはいなかった。彼女が見ていたのは、希望だけだッ!

「もういい死ねッ!『スノーデビル』ッ!撒き散らせ!
 『粉雪』をッ!!」

『フシュウウウウウ』

チューブから、『粉雪』が撒き散らされる。

「フフフ、これで真夏の氷人形一丁上がりってわけね……?」

「どういたしましたの?氷漬けにするのではなくって?」

『粉雪』はアリスの方へ向かってはいかなかった。
先程、殺人鬼が引きずり込んだ机の下へ、向かっているのだ。

「何故?」

「貴女の『粉雪』、熱に反応し向かっていく習性がおありのようですわね。
 ですので、彼を『温め』させていただきました。
私の『調査書』を布団のように被せてね。私の『調査書』は、雑誌のように薄っぺらい物から
広辞苑並みに厚いものまでありますので、充分温められたようですわね」

「さらに、どれだけ雪が積もろうと地肌に直接あたるわけではないので
 彼の身体が完全に冷え切るのはだいぶ先になるのではないでしょうか」

「し、しかしッ!凍死させることができなくても、お前を殺す方法はいくらでもあるッ!」

アリスは、芋虫のようなスローな動きでさっき殴られた際に吹っ飛んだ
自分の歯を拾い上げ、雪女に投げつけた。

「はっ、何よそれ。悪足掻きにもなってないわね。『スノーデビル』」

スノーデビルがあっさりと受け止めた歯……歯?

「折り…紙…?」

「私のことを『本体』であると勘違いしているようですがそれも間違いだと思います。
 私は『調査書』で作られたスタンドパワーで動く『紙人形』に過ぎないのですから」

「そんな馬鹿な……入れ替わるすきなど無かったはずなのに」

「貴女が馬鹿正直に机の下から這い出た時に既に入れ替わっていました。
 私の本体は……」

『モウトック二、コノ部屋カラ逃ゲ出シテオリマス事ヨ』

今まで人間のような声だったのが、
いきなり機械音声のような冷たい声となる。スタンド特有の声である。

『ソシテ、何故私ガ正直ニ話シテイルト思イマス?』

「まさか、すでに増援を呼び終わってこちらに向かってきているからッ!?」

『紙人形』は、そうだと言わんばかりに微笑んだ。自らの言葉を言い終わるや否や
その雪女は図書室から駆け出し、アリスの耳には階段を駆け下りる
音が届いた。

「ふう……」

彼女は深いため息をつき、握っていた手を開いた。中には、
本物の欠けた歯が入っていた。

『ワタシ、ソウ捨テタモノジャア無カッタデショ』

「ええ、一世一代の演技ありがとう」

『調査書』をしまい、机の下を覗いた。彼を救出するために。

「……いない?」

17N60kCRL60:2019/06/02(日) 17:39:31 ID:.pv3p.jc0
彼女の周りを取り巻く冷気とは真逆に、粉川・雪奈(こなかわ・ゆきな)のはらわたは、煮えくり返っていた。

(あのクソガキ一匹殺せないなんて……ッ!)

屈辱であった。今まで彼女に殺せなかった人間はこの力をくれた
あの『スタンド使い』のみ。そいつだって楽に殺せるのだ。
しかし、多対一、それも熟練が相手では勝ち目がないことは理解していた。

(今は一旦退いて、アイツが一人になったところを殺せばいい)

廊下を駆け抜ける。途中出会った教師や生徒は全員
シャーベットになって転がっている。

高校生という人種は嫌いだ。人間の薄汚さをちょいと学び、
悪戯にそれを振り回す。

子供は無邪気だが、こいつらからは邪気しか感じられない。

(殺したっていいでしょ。こんなに一杯いるんだから)

『URAッ!』

「ゴボォッ!?」

背中に強烈な打撃を食らい、仰け反りながら吹っ飛んだ。
地面に伏せながら後ろを振り返る。

「……!?」

自分がおかしくなったのかと思った。機械の足だけが歩いてきたのだ。

その後ろには二本の腕がロボットのような金属の身体を引きずり
その身体の上に頭が乗ってっかっている。

丁度、ソリを引くような風体だ。

機械の手が、胴体を放り投げる。足はあたふたしながらそれをうまくキャッチし
次に投げられた頭も受け止める。

両手も飛び上がり肩と融合する。完全な人型となったッ!

「な……」

その人型の顔には見覚えがあった。銀髪で、ひ弱そうな顔。
しかし、その顔には今、燃え滾るような憤怒が浮かんでいた。

18N60kCRL60:2019/06/02(日) 20:12:16 ID:.pv3p.jc0
「何故お前が死んでいなかったのか疑問だった。
 でもまさか、『機械化』していたとはね」

「……」

彼の身体が一瞬だけ『ブレた』。そしてッ!

『URAッ!』

『フシュアアア!!』

スノーデビルの拳とその『拳』が衝突する。パワー、スピードともに
彼女のスタンドと互角。どちらも拮抗して引く様子がない。

徐々に体全体が見えてきた。それは本体同様機械的な見た目をしていた。
流線型のヘルメットをかぶり、目元が窪み二つの赤い視線がちらつく。

「何かと思ったらその程度。ちょいと驚いたが、
 もう『スノーデビル』の敵じゃあないわッ!
ばら撒けッ!『粉雪』をォォッ!」

チューブから発生した『粉雪』はジョルジョに襲い掛かる。

「無駄ですよ。機械に『粉雪』なんて。いくら食らっても暑くも寒くもな……い?」

突如、動きが止まった。いくら動こうとしても身体が言うことを聞かない。

「雪というものは、ただ冷たいだけじゃあない。鎌倉は暖かいし、
 積もれば家も押しつぶす。そして、機械の関節に入り込むこともね」

「つ、『詰まって』いるッ!僕のスタンドの『関節』に……!」

「人間なんかよりずっと優しく、強いんだよッ!『雪』っつーのはなァッ!」

『フシュアアアアアッ!!!』

「ぐはッ!」

雪崩のような連撃を食らい、ジョルジョは教室の扉をぶち破って
椅子や机を巻き込みながら吹っ飛んだ。体中の関節から液体が流れ落ちる。

(能力射程はそこまで長くないな。せいぜい5〜6mといったところか)

「だが射程に入るとまた関節を固められる。なら!」





「入るわよォ〜、銀髪く〜ん」

既に吹っ飛んだ扉を開ける真似をして教室内に入る。

『URAURAURAURAURAURAッ!』

「学習しろこのタコ!」

再び関節を固め、殴り飛ばす。

『URAURAURAURAURAURAッ!』

「なッ!?」

同じスタンドが何体もいたのだ。先ほどジョルジョが出した
スタンドと同じものが無数に!

「ス、スタンドは一人一体のはずなのに!『スノーデビル』ッ!」

『フシュアアアアアアアッ!!!』

関節を詰まらせながら対応していくが、いくらなんでも数が多すぎる。

「ぐ、ぐぅ……」

「僕のスタンドは……」

「!?」

いつの間にか、背後にジョルジョが周っていた。口から血を垂らし、
怒りの形相で見つめる彼が。

「殴ったものを機械に変えることができる。そして人型に
 『変形(トランス・フォーム)』できる。
 まぁ、スタンドを量産化可能というところでしょうか」

「な、何だそのいかれた能力はッ!?」

「それはともかく、あなた…『覚悟して来てる人』…………ですよね。
人を「殺害」しようとするって事は、逆に「殺」されるかもしれないという危険を、
常に『覚悟して来ている人』ってわけですよね…」

「ス、『スノーデビ…』」

『URAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURA
 URAッ!!』

「ホゲェェ〜ッ!」

きりもみ回転しながら空中をとび、黒板に粉川の身体が叩きつけられる。

「僕は貴女を殺さないが、『罪』は償ってもらう。友達を殺した『罪』を……」

19N60kCRL60:2019/06/06(木) 23:02:25 ID:kdn6aiUM0
粉川・雪奈は、古くから杜王町の地主を務め、戦後小作人に
 土地を奪われてから没落した貴族である。
その後バブルで立て直そうとするも、弾けてしまい廃退の一途をたどっていた。

そんな家に生まれた彼女は、前時代的で能のない両親から
蔑まれて生きてきた。

「何故お前はこんなこともできないんだ!!」

「100点を取れないなんて、何であなたはこんなに頭が悪いのかしら」

花の女子高生になったが、その高校は蛾の巣であった。
無理やり髪を染めさせられ、殴られ蹴られ、誰かに訴えてみても
『認められない』。

あの日は、杜王町では珍しい雪の日だった。家出したときは、
一刻も早くあの家を飛び出したくて、
碌なものも着ずに美しい銀世界に踊りだした。

あまりの寒さに、近くの『のぞむのいえ』と書かれた鎌倉に逃げ込んだ。
『暖か』かった。体温のある人間なんかより、ずっとずっと暖かかった。

そこで、何時間も泣いた。泣き続けた。

(もうあんな惨めな境遇はたくさんなのよッ!)

「獄中で、誰にも認められず朽ちていく人生なんて……まっぴらッ!
 ごめんなんだよォォォォーーーーーッ!!!」

『フシュアアアアアッ!!!』

「投げろォーーーッ!私をォーーーッ!」

「さ、させるk

「『スノーデビル』ッ!」

あたり一面に『粉雪』を撒き散らす。もはやスノーデビルが
見えなくなってしまうほどに。

そして、雪奈を持ち上げ、窓の外にその超人的なパワーで、
ぶん投げるッ!

「……逃げたか。だが、その苦労も無駄なんだ。無駄無駄……」

20N60kCRL60:2019/06/11(火) 22:50:50 ID:8RtyR0v.0
ゆったりとした歩きで校門へと向かっていく。
彼女の目には、たった一つの決意が映っていた。

(絶対に逃げきって見せる!)

「ん?」

何かが校門に群がって外に出るのを阻んでいる。あれは……

「あの小さい機械の小人は……あいつのスタンドか」

既に逃げ道をふさいでいた。

「だが、いいだろう。見つかることはない」






ジョルジョは走っていた。敵は逃げるために校門へと向かっているに違いない。
そう考えたからだ。しかし、その逃走経路は既に塞いであるのだ。

「……いない。どこかに隠れているのか」

「ねえ、ジョルジョくん」

「ん?」

一人の女子生徒が話しかけてきた。

「何だろうね、この鉄の蜘蛛みたいなもの。帰れないよ」

「うん、そうだね」

(ちょっと悪いことしちゃったかもな)

彼女の背後から、白い腕が伸び始めた。スノーデビルの物である。

(喰らえッ!)

『URAURAURAURAURAURAッ!!』

「ボゲエエエエエエエエエエ!?」

女子生徒の顔の皮がどんどん剥がれていく。

「死んだ女子生徒の顔の皮を、凍らせて張り付けていたのか」

「ぐぎいいい」

 奇妙なうめき声をあげ、奇妙な動きをしながら立ち上がった。
その隣には半分機械化した場所が破壊されスクラップと化した
スノーデビルが発現している。

「な、何故……?」

「貴女に初め引き込まれたとき、すでに貴女の首元を発信機に変えていました。
 だから絶対に……」

ジョルジョは懐からスマホを取り出した。それには、赤い点が示されている。
それが雪奈ということだろう。

「逃げられない。だからあなたの努力は全て無駄ってことです。無駄無駄」

「こ…こ…この野郎!『スノーデビル』ゥーーーーッ!!」

スノーデビルが『粉雪』を撒き散らす。誰にも近づかれぬように。

「だから、無駄なんですよ。いい加減諦めてください」

「ふざけてんじゃあないわよ!こんなところで、私は終わらない……
 終わりたくないッ!」

往生際も悪く、後ずさりし、逃走を図ろうとする。
運悪く、近くを通る女性がいた。

「こ、こっち来るんじゃあねーッ!こいつをぶっ殺すわよッ!」

「きゃあー!」

『粉雪』が女性の身体にどんどんこびりつき、体温を奪ってゆく。
既に顔色は青く変色している。

「ううううう」

「これから私はお前を攻撃するが、お前は動くなよ少年ッ!」

スノーデビルがとどめの一撃を叩き込もうと拳を伸ばしたその時。
『粉雪』が止まった。

「どうしたの?『スノーデビル』。『粉雪』を……」

スノーデビルのチューブが機械化している。チューブどころではない。
顔全体が機械化している。

「首に触られてから機械化が進行していることに気が付かなかったようだな」

「こ…これから私はどうなるの?」

「……刑務所で絞首刑になるでしょうね」

「ふざけるな!絶対に死にたくな……」

スノーデビルが白い腕でで飛び掛かる。

「『ホワット・アイブ・ダーン』ッ!」

『URAッ!』

21N60kCRL60:2019/06/11(火) 22:52:48 ID:8RtyR0v.0
『URAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURA
 URAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURA
 
 URAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURA
 URAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURA
 
 URAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURA
 URAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURA

 URAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURA
 URAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURA

 オォラァッ!!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ

 URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!

 URAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURA
 URAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURA

 URAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURA
 URAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURAURA

22N60kCRL60:2019/06/14(金) 22:43:14 ID:u3NItceU0
URAッ!!』

「ヤッダバァーーーー!!!」

殴り飛ばされた雪奈は骨が粉々になりタコが海を泳ぐような格好で
飛んでいき、燃えている焼却炉に叩き込まれた。

「ア…アツイ…」

「雪は融けるものだろ。安心して、機械化して熱に強くなってるから。
 警察が来るまでお仕置き」




(彼女は、始末しようと思ったが、『今』はしなくていいか。後から始末してもらうとしよう。
 それより……)

彼女はジョルジョへ目を向けた。

(彼は中々に危険だ。今ここで始末するか)

「大丈夫ですかー?」

「あ、アリスちゃん」

(仲間が来てしまったか。多対一は我が『スタンド』でも難しいかもしれない)





「全くこのバカ!人を置いてどこへ行っていましたの」

「いろいろあったんだ」

アリスは棟方という少年を引き連れてやって来た。
本来ジョルジョを案内するはずだった役目である。

「貴方なら今回の敵も楽に倒せましたのに」

「……分かったよ、悪かったよ」

「私じゃあないでしょう。謝るべきなのは」

棟方はジョルジョへと向き直り、頭を下げた。

「悪かったな」

「いえいえ……」

それは疲労からか、地面に倒れ込んでしまった。
……パトカーのサイレンが聞こえる。


第二話 粉雪……END

23N60kCRL60:2019/06/15(土) 14:54:49 ID:VUVLVFDo0
【初登場オリジナルスタンド】

ジョルジョ・ルーナ
■ No.626
【案師】 ID:NwdWCqai0
【スタンド名】
ホワット・アイヴ・ダーン
【本体】
機械いじりが好きな青年
【タイプ】
近距離パワー型
【特徴】
機械的な人型のヴィジョン。流線型のヘルメット。全体的に不気味。
目元はくぼんで穴になっており、中から二つの赤い光がちらついている。
【能力】
殴ったものを機械化する。
機械化したものは外見が硬く角ばり、硬度も高まる。
生物を機械化することも可能で、そうした場合はパワーやスピードが数倍まで跳ね上がる。
また、機械化させたものは任意で『変形(トランス・フォーム)』することが可能。
『トランス・フォーム』して人型になったものは、自我がないものなら自由自在に操作でき、
自我があってもある程度指令を送ったりはできる。
機械化したものはスタンドに干渉できる。



破壊力-B スピード-B 射程距離-E

持続力-D 精密動作性-B 成長性-A

【能力射程】
 C

ジョルジョのラッシュ、『URAッ!』は
DIOの『URYYYY』と承太郎の『オラァ!』が合わさったモノ。
なぜ彼はそんなラッシュをするのか?それは勘のいい読者ならわかるだろう。

神代・有栖(かじろ・ありす)
■ No.686
【案師】 ID:9jk3ggW/O
【スタンド名】
アリス・クーパー
【本体】
大富豪の娘 読書が趣味
【タイプ】
遠隔操作型
【特徴】
羽が生えた小人型スタンド。自我があり本体と会話可能
【能力】
生物、無生物問わず触れたものに取り憑き、「調査書」を作成する。
取り憑いた時間が長いほど詳細な情報を得られる。作成した調査書はスタンドが保存し、
好きなときに読むことが出来る

破壊力-なし スピード-D 射程距離-A

持続力-A 精密動作性-B 成長性-C

ちょっと戦い方が思いつかず、戦闘が早めに切り上げられた挙句
無理がある戦い方になってしまった不遇な女性。
成長すればハッタリが現実になるかも……


粉川・雪奈(こながわ・ゆきな)
■ No.7646
【案師】 ID:F75QT/Mva
【スタンド名】
スノーデビル
【本体】
自分の存在を世間にアピールしたいがために今まで老若男女問わず理由が無くても大量に殺してきた女の大量殺人犯。
肌は白く、整った顔立ちでスタイルも良い。金髪。
【タイプ】
近距離型
【特徴】
頭に髪の毛のように無数のホースがはえている女の人型スタンド
【能力】
頭部の無数のホースから吸熱をする粉雪を無造作に撒き散らす。
熱を持つものに優先的に向かって行く。
一つ一つの雪の力は弱いが大量こびりついたなら一瞬で人間を凍傷にさせる程度の力を持つが射程距離は5m程で射程距離を出た雪は溶けてしまう。


破壊力-B スピード-B  射程距離-D 

持続力-C 精密動作性-E 成長性-E

24N60kCRL60:2019/06/22(土) 18:39:48 ID:w3k1MIXw0
第三話 水面の戦争

粉川戦の15分前……
棟方は学校を秘密裏に抜け出し、公園に来ていた。
子供が砂場で小さなお城を作っているのが見えた。

(羨ましいな、暇そうで)

その子供の物だろうか、近くに小さな駆逐艦が落ちている。
堀でも作って浮かべる気だろうか。

「お水持ってこよーっと」

そう言ってバケツを持って水飲み場まで走って行ってしまった。

「……?」

棟方は、そこで少々違和感を覚えた。あの駆逐艦が消えていた。
あの子供あ持って行ったのだろうか。そう考えれば、何の問題もないか。
そう考えた。しかしッ!

「ッ!」

とっさに回避行動をとったが、棟方の頬が焼け焦げ、歯が露出する形になった。
棟方めがけて『何か』が攻撃してきたのだ。

「『スタンド』というわけか。この駆逐艦は」

その目の前には先程の駆逐艦が空中に浮かんでいた。

「……『ダウン・アンダー』」

彼の周りの地面が波打った。

25N60kCRL60:2019/07/14(日) 17:02:35 ID:bg1VOob.0
沙等垣・要(さらがき・かなめ)には、一つ不可解な点があった。
彼女のスタンド、『バトルシップ・シュペー』は空間に『潜る』ことができた。

空間に『潜って』いる間には誰にも感知されることなく、気づかれない場所から
頭を吹っ飛ばす手筈だった。

しかし、避けられてしまった。

「いッ!?」

腕が焦げた。スタンドの目で見てみると、下から、
幾つものミサイルが飛んできているッ!

「畜生、『バトルシップ・シュペー』ッ!」

バトルシップ・シュペーは砲台を棟方に向け、『攻撃』を放った。




耳が片方消し飛んだ。どうやらあの駆逐艦についている砲台は
本物らしい。

『ソメソメソメソメソメ……』

怒号と共にミサイルが飛ぶ。器用に避けていくが、幾つかの
ミサイルが直撃する。

レーザーが棟方の頭を追いかける。しかし、朦朧とした攻撃は
中々当たらない。

「喰らえ、『ダウン・アンダー』」

ミサイルが命中した……はずであった。
空間に溶けるように消えてしまった。

「面倒くせえ能力だな。幸い、消えているときは攻撃できねーみてーだが」

「ひ、ひえええ」

棟方の耳が弾け飛んだのを見て怯えたのか、子供が公園から一目散に
逃げていく。

「近くにはあのガキ以外いないようだが……」

いや、おかしい。あの駆逐艦はどこへ行った?

26N60kCRL60:2019/08/08(木) 17:32:53 ID:REiRskx60
〜商店街にて〜

まさか逃げることにはなるとは思わなかった。
しかし……

(小賢しいネズミのスタンドの一体は分かった。今はいち早く
 情報を伝えなくては……)

コポコポコポ……

「!?」

それは、潜水艦であった。相手を駆逐せんと地の底から這いあがってきた。
D.Uである。

「畜生、追ってきやがったッ!バトルシップ……」

とぅるるるるるるん

B.Sの近くの不良のスマホが鳴った。

「あ?ンだよ、全く誰……」

不良がスマホを取り出そうとポケットに手を伸ばした。すると、
不良の腕が消し飛んだ。

「ぐぉあーーッ!?」

『ソメソメソメソメェ!!』

一切の情け容赦なく、その不良にミサイルをぶち込んでいく。

(何がしたいんだこいつ?)

完全にスマホが破壊されると、次は近くを飛んでいた雀を撃ち落とした。
次はアナウンス放送をしていたスピーカー、
次は近くで停車していた車を吹き飛ばしていく。

雀……スピーカー……

「まさかこいつが私の動きを先回りできていたのは……」

---音を感知していたから……か?


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