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【日常α】残暑蹴散らす異能都市【第十八話】- 1 :名も無き異能都市住民:2012/08/25(土) 13:44:51 ID:a8Y6fB0.0
- ≪ルールとか≫
・基本age進行で
・コテもコテ無しもどんどん来い
・レスの最初に自分のいる場所を明記してくれるとやりやすいです
・イベントを起こしたい場合は空いているイベントスレをお使い下さい
・多人数へのレスは可能な限り纏めて行うようにしましょう
・無意味な連投・一行投稿はできるだけ控えるよう心がけてください
・戦闘可能ですが、長引く場合や大規模戦闘に発展した場合はイベントスレへ移動してください
・戦闘が起きた場合、戦闘に参加したくない人を無理に巻き込むことはやめましょう
・次スレは>>950を踏んだ人にお願いします
前スレ
【日常α】異能都市、夏を迎える【17回目】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12841/1337956351/
- 2 :名も無き異能都市住民:2012/08/28(火) 00:39:02 ID:haugAEa.0
- //いっちおつ!
前>>1000
「キッ──」
青年が吹き飛ぶ。
一方怪物は蹴りの余韻で身体を回転させ、地面に脚を付けた。
「──シャァッ!!」
無論、それだけでは止まらない。
背を向けたまま地を蹴って、宙で身体を反転させる。
吹き飛ぶ青年に追い付く勢いで飛びついていく。
数m前で着地して、飛び跳ねるようにして再接近。
鋭い飛び込みから青年に向けて跳び蹴りを放つ。
- 3 :ルファス:2012/08/28(火) 06:03:18 ID:RRIFCANoO
- >>2
「よーし落ち着け兄弟、人類皆友達って言うだろ、此処は穏便に話し合いで決着をだな……」
三下の小悪党のような台詞を吐きながら、冷静に脳内で状況を整理、この現状を打破する方法を模索していく。
だが、吹き飛ばされ体勢がこれでもかと崩れた今、出来る事は極僅かだった。
だから、化け物が跳んだのは―――非常に、好都合。
「ありがとよ、避けられる不安が無いなら何発でもブチ込める!」
飛び込みからの蹴りを回避する手段も防御する手段も無い、或いは可能性に期待が出来ない手段ばかり。
一番堅実にして確実なのは、握った拳銃による射撃で迎撃する事だった。
だから、回避動作をとれない跳躍からの攻撃は、この上無い好機。
(……“過剰性能”起動と同時に“知覚加速”の倍率を引き上げて……!)
起動するのは青年の異能。
武器の力を限界以上に引き出し強化する力。
その力の加護を受けた拳銃を、崩れた体勢の中、精確に化け物に向けて……トリガーを引く、引く、引く。
《中:初絡みなのに寝落ちしてしまうなんて……本当に申し訳ありません……》
- 4 :名も無き異能都市住民:2012/08/28(火) 16:51:51 ID:wrs4TlIw0
- >>3
怪物の脚が深緑の光を帯びて、その光が刃を形成する。
その刃が青年を突き刺し裂かんと伸びる。
それを阻むのが青年の弾丸。
避けることは出来ない。故に全弾を身体で受けて、尚進む。
避けることは出来ない。故に勢い止まらず、血を散らしつつも突き進む。
- 5 :ルファス:2012/08/28(火) 21:15:09 ID:RRIFCANoO
- >>4
「おい勘弁してくれよ、俺は化け物に近寄られて嬉しく思うような、特異な性癖なんて持ってないんだ」
「早々と諦めて地に伏してくれると嬉しいんだがね」
緑光の刃をマトモに受けたら致命傷は間違いないだろう、だが、残念ながら防具は無く、頼みの綱の迎撃もあまり効果を表さない。
いや、確実にダメージは与えているのだが、止められなければ、止めを刺せなければ意味が無い。
なのに、弾倉に込められた銃弾はもう無かった。
それを理解した青年は、自虐するような笑みを浮かべ―――不安定な体で無理矢理に大地を蹴りつけ、飛びかかる化け物に接近する。
刃を避けれないのは理解した、ならば、当たるのは一番痛くない場所、刃の根本だ。
そこならば、力が満足に込められない場所ならば、命を奪われる確率は低くなるだろうから。
《中/ただいま戻りました、絡みの続きをお願い出来ますか?》
- 6 :名も無き異能都市住民:2012/08/28(火) 21:38:10 ID:haugAEa.0
- >>5
結果的には、すら違う形になるのだろうか。
既に跳び蹴りの型は完成仕切っていた為に、その行動に対応する事は難しかった。
故に、そのままの体勢で突き進み、先程まで青年が背を付けていた壁を大きく切り裂く事となった。
脚を大きく振り上げ、壁から外す。
ゆっくりと振り向いて青年を探し、見つけるとじっと、ながめたままで。
やはり、怪物だ。
フォルムは人間。挙動は素早く、パワーも人間の域を脱した物であるが、基本的な動きは人の物。
しかし、何故だろうか。怪人では無く、これは怪物だと思わせる。何故か。
//はいはい只今!
//つづけていきましょうな!
- 7 :ルファス:2012/08/28(火) 22:16:02 ID:RRIFCANoO
- >>6
交錯し、互いの距離が離れたのを加速する思考が認識すると同時に、今を逃すか、と新たな弾丸を装填する。
が、妙に落ち着いた気配を感じたのか、青年は化け物に向き直り、動かない姿を確認すると、両手を広げ呆れたように笑って。
「……先手を譲ってくれるなら、遠慮無く頂くぞ?」
次の瞬間には、出し惜しみをする様子を一瞬たりとも見せる事無く、広げられていた手が、拳銃が雷光の如き速度で化け物に向けられ――再度、弾丸が吐き出される。
- 8 :名も無き異能都市住民:2012/08/28(火) 22:52:40 ID:haugAEa.0
- >>7
「グ、グゥ……」
怪物は頭を押さえた。
人間で言えば額のあたりを。人間でいう右腕で。
深緑の光は残光を放ち消える。
その姿は僅か幻想的に思えるだろうか。
青年をバイザーらしき物体の奥の、同じく深緑の瞳が眺める。
青年が銃を構えるのを眺め、怪物はそれを受け止める。
腕を広げただ立ち尽くし、全ての弾をその身に受けた。
弾丸を受け、深緑の身体が、更に朱に染まる……。
- 9 :ルファス:2012/08/28(火) 23:07:11 ID:RRIFCANoO
- >>8
「解せないな、いきなり現れて民間人を襲い出すから、漫画や小説の怪物みたいな奴かと思っていたら、急に大人しくなって……」
銃撃が、不意に止まる。
ああも堂々と弾丸を受け止められては、どんなに鈍感でも違和感を覚えざるを得なかった。
「さて、気紛れに一つ聞かせて貰おうか、お前は、俺の言葉を理解出来ているのか?」
「出来ているなら……そうだな、その場で拍手してみてくれ、少なくともそれなら“偶々”そんな動作をしたんじゃないかと疑わずに済む」
「出来ていないならそれはそれで結構、化け物として、此処で死んでもらう事にするだけだ」
銃口を突き詰めたまま、そんな事を口にするのは―――青年自身が、一種の改造人間とも呼ぶべき存在だったから。
青年の場合は合意の元で異能を植え付けるだけ、実験失敗という結果を迎える可能性を除いて考えれば、無事に生き延びられたなら、まだマトモな実験だった。
だが、実験の中には外皮を装甲と取り替えたり、精神を破壊して戦闘機械に仕立て上げたりするものも存在していた。
だから、青年は疑った。
彼だか彼女だか知らないが、目の前の化け物は、もしかしたら人だったのではないかと。
馬鹿げた考えだと思いながらも、結果を知るまでは、これ以上撃つ気になれなかった。
- 10 :名も無き異能都市住民:2012/08/28(火) 23:24:48 ID:haugAEa.0
- >>9
弾丸をその身体に受け、仰け反る。
痛みに耐えるかの様に叫ぶ声が響く。
数歩後退して踏みとどまり、ゆっくりと体勢を立て直していた。
そして、青年の問いかけには頷きの様な動作で答えた。
血塗れの怪物が、青年の言葉で拍手に応じる様はなんともシュールだと言えただろう。
少なくとも、言葉は理解出来ているようだった。
なら何故、初めは人を襲うような真似をしたのだろうか……?
- 11 :ルファス:2012/08/28(火) 23:32:20 ID:RRIFCANoO
- >>10
「……やっぱり通じるのか、わざとらしく腕を広げて弾丸に当たってくれて助かったな」
矢張りそうなのか、と青年はため息を吐く。
思えば、わざわざ弾丸に身を晒し、自ら傷を負ったのは、この異形の人物なりの意志表示だったのかもしれない。
「簡単に聞こう、首を縦に振るか横に振るかで答えられる位に簡単なら、お前でも問題は無いだろう」
「質問は二つ、民間人を殺めたのはお前の意志かどうか、仮にお前の意志で無かったのなら、お前が今後、今のような殺戮を行う可能性があるのかどうか、だ」
- 12 :名も無き異能都市住民:2012/08/28(火) 23:39:07 ID:haugAEa.0
- >>10
「……、──」
口から漏れる音は声ではない。
波長はランダムに揺らいでいる。
怪物は怪物なりに喋る努力をしていると言うことか。言うなれば、喋る知識はあることになるか。
一つ目の問いかけには横に振った。
そして、一度動きを止めて一拍置いて、次は縦に振る。
- 13 :ルファス:2012/08/28(火) 23:49:08 ID:RRIFCANoO
- >>12
「殺戮は自分の意志じゃない、けれどまたやるかもしれない、か、運命の神様は物事を面倒な方向に進むのが好きみたいだな」
可能性が有るなら殺せばいい。
可能性が無いなら生かせばいい。
それだけでどうにかなる簡単な事件だったら、悪の怪物は倒しました、で終われる話なら、幸せだっただろう。
「……少し、追加で質問だ」
「お前は、元は普通の人間だったのか?」
「それと―――お前は、生きたいか?」
- 14 :名も無き異能都市住民:2012/08/28(火) 23:57:50 ID:haugAEa.0
- >>13
次の質問が投げ掛けられる。
一つ目には直ぐ、縦に振って答えた。
が、二つめ。
握った右手を胸に充て、少し考える素振りを見せる。
何かあるようだ……やはり、神は親切では無いらしい。
そして、小さく頷いた。
- 15 :ルファス:2012/08/29(水) 00:04:37 ID:RRIFCANoO
- >>14
「解った、なら、殺し合いはこれで終わりにしようか、事情が少しでも解った今、お前に銃を向ける気にはならないよ」
向けられていた銃を下ろし、腰のホルスターに収納する。
これ以上敵対するつもりは、青年には無いようだ。
「さて……聞きたい事は山程あるが、その前に治療だな、事情を知らなかったとは言え、随分と撃ちまくったが……傷は大丈夫か?」
「専門には劣るけど、応急手当てくらいなら、普通の人間よりは大分マシに出来るつもりだ」
- 16 :名も無き異能都市住民:2012/08/29(水) 00:22:14 ID:haugAEa.0
- >>15
怪物も胸に手を当てたまま、何処か安堵した様子を見せる。
こうしてみれば、怪物は人間と全く変わらない動きをする。
青年には、最早怪物には見えないのだろうか。
問いかけには横。
交戦中は幾ら銃弾を受けても、リアクションは大きくても怯むのみ。それなりに頑丈に作られて居るのだろう。
ともなれば、大丈夫ではない。の意味合いではなく解らない。ということだろうか。
- 17 :ルファス:2012/08/29(水) 00:32:00 ID:RRIFCANoO
- >>16
「今更撃ち殺す事に躊躇いを覚える程、お人好しでも初心でもないけどな」
「こうしてちゃんと会話……は出来てないな、意志疎通が出来てると、殺さなくて良かったと思えるよ」
青年はこれでも過去に軍に所属していた人間で、色々な立場の、外観の、思考の、本当に様々な人間を見てきていた。
だからだろうか、外見がどうであれ、最早それは青年にとって、コミュニケーションを妨げる要因にはならないらしい。
「じゃあ、念の為に見せてくれ、折角縁が出来たのに、俺の作った傷が原因で死なれたら笑い話にすらならないからな」
「……ああ、それと、俺はルファス、ルファス=エルシャードだ、記憶の片隅にでもその名前を放り込んでやってくれ」
- 18 :名も無き異能都市住民:2012/08/29(水) 00:44:04 ID:haugAEa.0
- >>17
大きく二度、頷いた。
一つは青年の言葉に賛同するもの。
もう一つは治療の提案に対する理解の意だろう。
少しだけ近寄ると、少し戸惑った様子の後に両手を大きく広げて全体を見やすい様にした。
数え切れない程の銃弾をまるで浴びるように受けたのだ。そのダメージは全身に及んでいる。
- 19 :ルファス:2012/08/29(水) 21:46:53 ID:RRIFCANoO
- >>18
「同意を得られたのなら何よりだ、他人と意見が合わないのは当たり前、特に気にはしないが……こうして意見が合うのは、まあ悪くない」
「っと、無駄話をしている場合じゃなかったな……」
青年は傷口の様子を確認する、銃弾が貫通してくれていれば摘出せずに済むが、内部で止まっていては……等と考えながら。
- 20 :ルファスの人:2012/08/29(水) 21:47:46 ID:RRIFCANoO
- ルファスの人です、返事を投下させて頂きましたー。
- 21 :名も無き異能都市住民:2012/08/29(水) 21:57:11 ID:RRIFCANoO
- >>20はなしでお願いします。
- 22 :名も無き異能都市住民:2012/08/29(水) 22:43:29 ID:haugAEa.0
- >>19
幾つかの弾丸が体内に残っている状態だった。
それ程に怪人の皮膚は強固だと言うことだろう。
表面の質感は無機質な物に近く、その内側は人間の物と大差ないと知るだろう。
言わば、人間が殻を被った様な物だった。
- 23 :ルファス:2012/08/29(水) 23:02:50 ID:RRIFCANoO
- >>22
(……装甲を素肌に直接張り付けた、って感じだな、撃ったり殴ったりして解ってた事だけど)
(しかし、貫通出来なかったか……手当てに一手間増えてしまうな)
「……痛いのが我慢出来るなら、此処でさっさと弾を抜いて止血してしまうけど、どうする?」
「幸いな事に穴から中身が、肉が僅かに見えてるから、ちゃんとした場所で治せば、麻酔で楽に済むと思うけど……まあ、やるか否かはお前に任せるよ」
怪我の手当てをするとは言ったが、痛みを伴う荒療治を本人の同意なしで行うのは流石に躊躇われた。
「……それと、そうだ、お前、指先はちゃんと動かせるか?」
- 24 :名も無き異能都市住民:2012/08/29(水) 23:51:03 ID:haugAEa.0
- >>23
怪人は傷口に手を充てて、その後に頷いた。
……指先も動かせるようだ。親指と人差し指で何かを摘むようなジェスチャーをする。
恐らく、独りになっていた場合はそうやって弾丸を摘出するつもりだったのだろう。
- 25 :ルファス:2012/08/30(木) 00:31:17 ID:RRIFCANoO
- >>24
「そうか、指先は普通の人間と同じように動かせるんだな、なら、これを持って行けよ」
そう言って青年が差し出すのは、まだ真新しい手帳と万年筆。
「つまり、筆談なら出来る、と判断しても良いんだろ?」
「俺が持っていてもあまり使わないしな、お前の方がきっと需要があるだろうし」
「あとは、弾を抜くから、少しじっとしていて貰えたら嬉しい、手早く済ませるから、な?」
抵抗されなければ、青年は細身のナイフを使い、手慣れた手付きでさっさと弾を抜き取ってしまうだろう。
- 26 :名も無き異能都市住民:2012/08/30(木) 00:45:38 ID:haugAEa.0
- >>25
手帳と万年筆。
それらを受け取り、じっと眺める。
手帳の表紙をめくり右手に万年筆を持つとすらすらと書き進めていく。
『ありがとう』
青年の言葉に了解の意を込めて頭を下げた。
ナイフが肉を掠めれば、僅か鳴き声の様な音を出す。
人間で言えば恐怖堪えるタイミングの声。
- 27 :ルファス:2012/08/30(木) 01:02:31 ID:RRIFCANoO
- >>26
「安物だから礼を言われるまでもないんだけれど、どういたしまして」
「……うん、筆談でもイエスとノーの二択でしか会話出来ないよりは遙かにマシ、か」
少しの間恐怖を堪えれば、直ぐにその時間は終わりを迎える。
気が付いた時には、手早く弾丸を抜き取っていた青年は、止血の為に包帯を取り出していて。
「悪いが、携帯している量が少しばかり足りないんだ、だから少し雑な巻き方になる、許してくれ」
- 28 :名も無き異能都市住民:2012/08/30(木) 01:24:04 ID:haugAEa.0
- >>27
あっと言う間に摘出を終えた青年と、その手を、眺める。
程なくして手帳のページを進ませ万年筆を走らせると出来上がった文字を青年へ。
『巧いな。助かった』
もう一つページを捲り、また筆を動かす。
『遥かにマシだ。こうやって、感謝を伝えることができる』
『問題ない。手当てをしてくれるだけでも有り難い』
よく見れば、丁寧に整った字をしている。
万年筆を持つ手も美しく、元はそれなりの学を持つ人間だったと知れるだろう。
- 29 :ルファス:2012/08/30(木) 20:57:16 ID:RRIFCANoO
- >>28
「傷口から銃弾を取り出す機会は沢山有ったからな、専門的な治療は出来ないが、簡単な手当てなら慣れているんだ」
「まぁ、そんな場所に身を置いていた事自体、あんまり自慢出来る事じゃないし、撃ったのは他ならぬ俺だから感謝されるのも妙な気分なんだが……」
そう言って青年は苦笑いする。
単なる化け物だと思い発砲した自分に、彼か彼女か解らないが、とにかく、目の前の人物に感謝される筋合いは無かった。
「ああ、そうだ、折角だし名前を教えてくれよ、別に偽名でも構わない」
「化け物と呼ぶには相応しくないのは解ったし、アンタやお前と呼び続ける訳にもいかないからな」
- 30 :名も無き異能都市住民:2012/08/30(木) 21:35:47 ID:haugAEa.0
- >>29
『暴走を止めてくれただけでも有り難い』
文体故に言葉は簡潔だが怪人はかなりの感謝をしていた。
青年の機転で問い掛けもしなければ、どちらかが倒れていてもおかしくない状況だった。
たった一人と言えど、自分の事を理解さてくれる人間が居る安心感は相当の物だろう。
『文月 七瀬。一応高校生だ』
一応、の文字通り肩を竦める。
これから先にどうなるか。全くの見当が付かないのは七瀬自身もであった。
- 31 :名も無き異能都市住民:2012/08/30(木) 22:44:27 ID:RRIFCANoO
- >>30
「暴走……それがさっき聞いた、不本意ながら人を殺めてしまう理由か」
「出来れば力になってやりたいんだがな、出来る事がさっぱり見つけられないのが我ながら情けないよ」
薬を服用してどうにかならないのか聞こうと思ったが、やめておいた。
その暴走が精神安定剤などで抑えられるのなら、とっくにやっているだろう。
「文月七瀬か、外見では高校生だなんて思わなかったよ」
「しかし、ただの高校生が、どうしてそんな格好を?」
あの容姿では、男女どちらかすら外見では解らない。
- 32 :名も無き異能都市住民:2012/08/30(木) 23:25:41 ID:haugAEa.0
- >>31
頭を抱えてから、ペンを走らせる。
『信じられないだろうが、私は死んだ』
目を疑うような文を提示する。
信じられなくても無理はないだろう。七瀬も初めは信じられなかった。
『何故か、私はそこに立っていて、周りの動くもの全てが、私と同じ様な怪物に見えた』
『恐らく幻覚だろう。
弾の痛みで目が覚めたが』
首を動かし、視線は傷口を眺めているようだ。
- 33 :ルファス:2012/08/30(木) 23:39:40 ID:RRIFCANoO
- >>32
「その話だと、一度死ぬ前までは外見もちゃんとした人間だった、と判断して良いんだよな?」
「まあ、どっちみち嘘を吐く理由が見あたらないし、信じるさ、世の中奇妙な事だらけなのは今に始まった事じゃないしな」
「不愉快な思いをさせたら悪いが言うが、一度死んだ時に脳に傷害が出来て、周りのものが変に見えた、と言うなら納得もいく……けどなぁ」
気が付いたら街中にいて、周りの全てが化け物に見えた。
疑うつもりは無いが、気が付くまでの間に何があったのか、気にせずにはいられなかった。
「また街で暴れているのを見かけたら、何度でも止めてやるさ、荒療治にはなるがな」
「出来れば二度とそんな事が無いのが理想なんだが……」
- 34 :名も無き異能都市住民:2012/08/30(木) 23:59:20 ID:haugAEa.0
- >>33
『助かる。
ルファスに会えて良かった』
実直に思いを反映させた文を書く。
文だから。と言うのもあるが、七瀬自体がそういう人間だというのもあるみたいだった。
『そろそろ離れようか。
余りに近づき過ぎたままだとルファスまで面倒事を背負う羽目になる』
- 35 :ルファス:2012/08/31(金) 00:17:54 ID:RRIFCANoO
- >>34
「気にするな、困った時はお互い様、助け合いの精神ってヤツだよ」
「尤も、今回の件で俺がやった事なんて発砲と雑談くらいなんだがな」
特に気にする必要はない、と青年は小さく笑う。
外観は化け物でも、中身は人間だと対話を経て理解した青年の態度は、友人に対するような気楽なもの。
本当に、青年は何も気にしていないのだろう。
「面倒事を恐れるなら、最初からこんな真似はせず射殺して終わりにしているよ、今更何を言うんだか」
「でも、長々と此処に居ても仕方がないのも事実なんだよな」
なら、今は素直に立ち去るか。
そう呟いて、背を向けて数歩歩いて……思い出したように振り向くと、懐から小さな紙を取り出し、それを七瀬に渡そうとするだろう。
紙に書かれているのは“何でも屋”という文字と、住所と連絡先のみ。
「何か不都合や相談事が出来たなら来いよ、何時でも歓迎してやる」
- 36 :名も無き異能都市住民:2012/08/31(金) 00:52:33 ID:haugAEa.0
- >>35
渡された紙には何でも屋。の文字。
それの詳細と青年の顔を眺め、小さく頷いた。
『そういうことか。
進展が有ればよらせてもらう』
何でも屋。
彼もまたこの都市に暮らす人間だ。
やはり、普遍的な人間だと決めつけるのは今更か。
『助かった。
なんだか、これしか伝えていない気がするが。これは本心だ。
もし、ルファスが止めてくれてなかった、今生きているかも解らない』
真っ直ぐ青年と向き合い、丁寧に頭を下げた。
そして、僅かしゃがむような姿勢を一瞬見せると飛び上がる。
人知を超えた跳躍力は正に怪人。ビルの屋上まで上り詰めて夜の空を飛び交っていった……。
- 37 :ルファス:2012/08/31(金) 01:00:44 ID:RRIFCANoO
- >>36
「ああ、是非そうしてくれ」
「俺としても、関わった事がどうなったか知れないのはあまり良い気分ではないからな」
「一応こっちでも調べてみるから、用事が無くても時々足を運んでくれれば幸いだ」
此方でも調べてみようとは思うが、手掛かりはそう簡単には掴めないだろう。
だが、無駄足になるかもしれなくても、此処で見限るつもりなんて無かった。
「……助かった、か、感謝されるのも偶には悪くないな」
跳躍する姿を見送って、青年もその場から立ち去る。
日常の喧騒から、異常の闘争を経た空間には、今はただ蒸し暑い夜が残るだけ。
- 38 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/01(土) 21:56:31 ID:haugAEa.0
- 噴水のある公園。
中央に大きな噴水のある公園。
立地も都市の中央付近に存在し、広さも人通りもかなりの物だ。
そんな公園の一角で、今日はかなり奇妙な光景が広げられていた。
「むー……」
熱心に一点を見つめる少女の手にはプラスチック製のパター。
勿論、視線の先にはゴールとなるカップがある。
少女は公園のど真ん中に玩具のパターセットを広げて遊んでいた。
それだけでも異質と言えるのに、少女の奇抜な服装がその度合いを上げていた。
純白と真紅の入り混じった、フリルのふんだんに使われたドレス。
ロリータファッション系のそれとして見てもかなり派手な部類の物と言えるだろう。
正に穴が開くほど眺めていたのだが、遂にパターを振りボールを打つ。
打ち出されたボールは僅か右に逸れた軌道を描きカップへと迫る。
カップ、即ちゴールへ肉薄し、入るかと思われたが寸前で嫌われボールは力無くシートの上を転がり、止まるまで時間はそうかからなかった。
「ふぅー……」
「なぁーーーーーーんにも面白くないわこんな物!!
何よ! プラスチックの棒でボールを叩いてカップにいれて何がおもしろいのよ!!」
急な怒号が公園に響く。
パターを投げ出しシートの元へ。適当にグルグルに巻いた後にボールと揃ってバッグの中へいれられてしまった。
まだ理不尽な怒り収まらないのかバッグを漁る手つきは乱暴そのもの。
取り出したのはタグの付いたガラスの小瓶。
タグを確認しないままキャップを外し、中の赤い液体をそのまま一息に飲み干した。
- 39 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/01(土) 21:59:31 ID:ry7wfIlo0
- >>38
「きゅーん・・・・」
【一匹の羊?じみた犬くらいの大きさの生物が
見ていた。】
- 40 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/01(土) 22:08:20 ID:haugAEa.0
- >>39
「ふーっ……よし!」
一気に飲み干しやっと機嫌が直ったらしく笑顔を浮かべる。
「やっぱりドリンクはイチゴ味に限……ふぇっ!?」
ご機嫌な笑顔を一転させて、驚愕の様子を見せる。
しかし、彼女は自称ドリンクを飲んだだけで驚くような出来事は外からでは一見解らないだろう。
となれば、今彼女が飲んだ物によって、中からの変化が起こって居るのだろうか。
彼女の持った小瓶のタグには『DRINK ME』と書かれている……。
- 41 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/01(土) 22:27:01 ID:ry7wfIlo0
- >>40
「くぅん?」
【羊みたいな動物は不思議そうに首をかしげ、やはりアリスを見てい
る。】
普通の動物なら本当に不思議そうに思えるだけだろう。
普通ならば
- 42 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/01(土) 22:34:18 ID:haugAEa.0
- >>41
「おわっ、ちょっ……何!?」
さらに激しくなる少女の同様。
背中を見ようとしたり、腕の異変を確かめたりして、行動も安定しない。
しかし、次の瞬間紅白のドレスごと少女が縮み始めた!
縦横の比率そのままにしゅるしゅると縮んでいく。
手が小さくなる事により保持できなくなった小瓶は地面に落ちて砕けてしまう。
最終的にはハフバルとほぼ同サイズにまで縮んでしまった。
やっと原因が理解できたらしくハァ。と大きなため息を付いて首を振る。
顔を上げたとこでハフバルと目が合い……睨む。
「なによぉ」
不機嫌。めっちゃ不機嫌。
- 43 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/01(土) 22:57:35 ID:ry7wfIlo0
- >>42
(なんで自分をにらむんだ・・)
「わんっ」
【なにか知らないがやけに哀れんだ視線でアリスを見る。
構図的に考えて見下しているようにも見える・・・がハフバル
にはもちろんそんな気はない。】
- 44 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/01(土) 23:06:54 ID:haugAEa.0
- >>43
「何よ。
……アンタ、思ったより面白い顔してるわね」
むっ。とした顔のまま眺め、ハフバルが通常の生物とは違うと言うことに気付いたらしい。
が、その表現はどうだろうか。
「はぁ……。まぁいいわ。さっさと戻りましょ」
本当にどうでもいいのだろう。
ハフバルから視線を外しクルッと振り返るとベンチに向かって歩いていった。
その上に置かれたバッグの中には戻る方法があるのだろう。手を伸ばしバッグを掴もうとするが……届かない。
そのままぴょんぴょん飛び跳ねてみたりしているようだが……やはりダメ。
「取れないわ……」
落胆の表情を浮かべがっくりと肩を落としてしまった。
- 45 :羊の人 ◆U9t0l68smw:2012/09/01(土) 23:09:50 ID:ry7wfIlo0
- >>44
(おもしろい顔したくてしてるわけじゃないですよっと)
「きゅーん」
【そう鳴くとハフバルはバッグが置かれたベンチにとぼとぼ
歩いていく。】
「わんっ」
手伝うよっとでもいっているのだろうか。
- 46 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/01(土) 23:18:39 ID:haugAEa.0
- >>45
「なによ。手伝ってくれるの?
珍しい顔してる割にはやさしいのね」
少女の基準では珍しい顔の生物は優しくないらしい。
ハフバルを興味深げに眺めた後、徐に手を伸ばし顔の一部を乱暴に掴んだ!
- 47 :羊の人 ◆U9t0l68smw:2012/09/01(土) 23:27:39 ID:ry7wfIlo0
- >>46
「わふっ」
【険しい顔をしつつハフバルはその短い手足でバッグを漁った。】
(やめてくれないかなぁ、掴んだり撫ぜるの。)
- 48 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/01(土) 23:34:25 ID:haugAEa.0
- >>47
ハフバルの姿勢を見てからパッと手を離し、さらに距離をとる。
「それよ! それでいいわ、そのままで居なさい!」
指差し命令し、ハフバル視界の外へ消えていく。
少し離れたらしき少女の声が聞こえてくる。
少女のメリージェーンと地面が打ち合う音が聞こえ、その音は段々と大きくなる。
「踏ん張るのよ!」
その言葉の瞬間、ハフバルの背に重みが襲い掛かる!
- 49 :羊の人 ◆U9t0l68smw:2012/09/01(土) 23:41:09 ID:ry7wfIlo0
- >>48
(地雷踏んだ・・・今日は仏滅だ!)
【はたしてそれを思うのは動物としていかがなことか。
そんな事を考えつつ、ハフバルはバッグを漁りながら
こらえた。案外器用である。】
(こいつに飼われたら一生の終わりだぞ、前の飼い主と
同じ勝負だ、ていうか、この女けっこう重い)
- 50 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/01(土) 23:46:28 ID:haugAEa.0
- >>49
「とぉっ! ……ぁたっ!」
ハフバルを踏み台にベンチへと見事上がり込んだ……が、
着地の脚がもつれベンチの床に倒れ込んでしまったらしい。ハフバルの視線から足が見える……。
- 51 :羊の人 ◆U9t0l68smw:2012/09/01(土) 23:50:28 ID:ry7wfIlo0
- >>50
(フ○ンドリー○ークのアトラクションじゃないんだぞ
これ)
【そして内心、「ざまぁ」っと思いつつバッグを漁っている。】
(わんっ)
【しかし彼は気づいていない。尻尾で無意識に「ざまぁ」と
書いていることを。】
- 52 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/02(日) 00:06:01 ID:haugAEa.0
- >>51
「っ……もぉ、今日は散々だわ!」
起き上がって服を払う表情は呆れきっている。
フリルの折り重なったスカートと叩き塵を落としている。
バッグを漁り、戻るための物を探し始める。
ハフバルの背丈では中は見えそうにない……が、少女の手によって中の物がどんどんと外に投げ出されてくる。
プラスチック製のパターやボールはさっきも見ただろう。
それ以外にもフランケンシュタインの縫いぐるみや、腹部に重傷を負い綿の飛び出た吸血鬼の縫いぐるみ。
大きな角を持った元気なカブトムシや縁に『EAT ME』と書かれた丸いお皿に乗ったケーキも出てきた。
少女は一通りの物を掻き出して疲れたのだろう。
ベンチに座り一息ついていた。ざまぁの文字に気付く余裕は無さそうだ。
- 53 :羊の人 ◆U9t0l68smw:2012/09/02(日) 00:09:08 ID:ry7wfIlo0
- >>52
(そもそもなんでそんな怪しそうなドリンクを飲むんだろうか。)
【ハフバルはさっきの事を思い出しつつ、尻尾を振ってを
地面の文字を消した。今さっき気づいたらしい。】
「きゅーん」
(整理しないのか・・・・これ)
【ハフバルはバッグを漁っている。そろそろ足が疲れてきた。】
- 54 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/02(日) 00:21:06 ID:haugAEa.0
- >>53
バッグを掴んでベンチから飛び降りる。あ、パンツ見えた。
今度は着地に成功すると飛び散った物の数々の元へバッグを引き摺って歩く。
コレじゃないわね。と言って縫いぐるみを片付ける。
アンタはもう良いわよ。といい加減気味にパターセットを押し込む。
カブトムシを捕まえてからハフバルを眺め、ニヤリと笑み浮かべた。
最後に残ったのはケーキ。
「これよ、コレ」
何故か投げ出されても落ちたり、形を崩したりしないケーキ。
カブトムシをひとまず頭上の王冠の上に置き、ケーキ皿を掴む。
スプーンやフォークは持ち合わせていないので豪快にかぶりついた。
結構鋭角なイチゴのショートケーキは一口で半壊。
上の方に飾り付けられていたイチゴを食べてご機嫌の少女はハフバルに半壊したケーキを向けて、
「アンタも食べる?」
- 55 :羊の人 ◆U9t0l68smw:2012/09/02(日) 00:24:36 ID:ry7wfIlo0
- >>54
【パンツは見えたが所詮は動物だ、興味はなかった。】
(なんか企んでそうだな・・・・)
「くぅーん」
【ハフバルは首を横に振った。何か危険な物を察知した
のだろうか、少し厳しい表情をする。】
- 56 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/02(日) 00:37:42 ID:haugAEa.0
- >>55
「要らないの? 美味しいのに」
再び自身の方に向けると綺麗に食べきってしまう。
皿をバッグに直した所で少女の瞳がギラギラと輝き始めた!
「来た、来たわー!」
またぴょんぴょん跳ねる。
小さくなった時の逆回しの様に少女のサイズが戻っていく。
- 57 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/02(日) 00:42:31 ID:ry7wfIlo0
- >>56
(危ない危ない。)
【ハフバルは大きくなるアリスを不思議そうに見ていた。】
(どういう原理なんだ?細胞の大きさでもコントロール
してるのか?ていうか大きくなるケーキってそもそも
需要あるのか?)
【ハフバルの背中の切れ込みが開き、プラカードが出てきた。】
[どういう原理?】
- 58 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/02(日) 00:52:25 ID:haugAEa.0
- >>57
「ん……なになに?」
ハフバルの背から出てきたプラカードを眺める。
書かれている文字に対し、腕を組んで少々考える素振りを見せた後にパッと腕を放す。
「解らないわ!」
きっぱり。
「って言うかアンタそんな事できるのね。
珍しい顔といい本当に珍しいわね……ちょっと見せなさい!」
正面から飛びかかり背中に襲いかかろうとする。
元のサイズに戻ってしまっため、体格差はかなりの物だ!
- 59 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/02(日) 01:01:57 ID:ry7wfIlo0
- >>58
(なんてこった、地雷だ、仏滅にもほどがある)
【すぐさまプラカードをしまい、背中の切れ込みを閉め、元通り
にした。】
「わわーん!」
(重すぎる・・・!)
【ハフバルはアリスに上に乗っかられた。手足短い上に
動きは鈍い、乗っかられるのは至極当然であった。】
- 60 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/02(日) 01:13:26 ID:haugAEa.0
- >>59
「こらっ! 見せなさいよ!」
背中に乗っかり、毛をかき回しプラカードの出所を探ろうとしている。
少女が手加減等する筈が無く始め掴んだ時よりも強く引っ張っている。
- 61 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/02(日) 01:25:12 ID:ry7wfIlo0
- >>60
(ぐえー)
【ハフバルは嫌な顔をしながら丸まった。というより
切れ込みはハフバルの意志でなければ開かないのだが。】
(くっそー、催涙スプレーでも出してやろうか。)
「わんっわん」
【嫌がっているような声を出しながらハフバルは抵抗する。】
傍から見ればじゃれあいか虐待の2択だろう。
- 62 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/02(日) 01:38:45 ID:haugAEa.0
- >>61
「このっ、見せなさいよ!」
半ば自棄になっている様で段々と力が強くなっていく。
速いところ対処した方が良さそうだ……。
- 63 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/02(日) 01:44:02 ID:ry7wfIlo0
- >>62
「わんっ!」
【ハフバルは背中の切れ込みを開いた!、その途端、
切れ込みから催涙スプレーを噴出した!】
(前の飼い主のほうが良かったと思うなんて・・・・末恐ろしい
・・・。)
- 64 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/02(日) 01:58:12 ID:haugAEa.0
- >>63
「ぅあっ……!」
ハフバルが観念したと思い、ガッと切れ目を覗き込む。
その結果、吹き出された催眠ガスを真正面から浴びてしまった。
目を覆いながらハフバルから撤退し、その結果仰向けに倒れ込んでしまった。
- 65 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/02(日) 02:00:56 ID:ry7wfIlo0
- >>64
「わんっ」
(計画通り!)
【まるでどこぞの新世界の神のようなどす黒い表情を
一瞬浮かべながらハフバルはアリスの顔を覗き込んだ。】
- 66 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/02(日) 02:15:46 ID:haugAEa.0
- >>65
こぢんまりとしたポーズで転がっている様はやはり少女であると知らせる。
当の本人はと言うと催眠ガスを真正面から浴びた為か、既に夢の中であった……。
- 67 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/02(日) 02:19:18 ID:ry7wfIlo0
- >>66
【ハフバルはその寝ている顔を見て】
(さて、やりますか。)
【一瞬、黒い表情を浮かべた後、ハフバルは背中の切れ込みに
尻尾を入れ、サインペンを取り出した。】
もう、この段階で何をするかはお分かりだろう。
- 68 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/02(日) 02:29:36 ID:haugAEa.0
- >>67
「ぅ、ん……?」
眠り初めてからまだ間もなかった為か、眠りが浅いようだ。
ペンでいい具合に手を加えたタイミングで目を覚ます事だろう。
- 69 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/02(日) 02:31:37 ID:ry7wfIlo0
- >>68
(うーむ。。。)
【ハフバルはサインペンを背中の切れ込みに閉まった。】
(もう少しまつか・・・・。)
【ハフバルはじっと顔を見て様子をうかがっている・・・。】
- 70 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/02(日) 02:43:44 ID:haugAEa.0
- >>69
「ぅー……催眠ガスなんて卑怯よぉ」
目を擦りハフバルを眺めている。
眠気が強いのか結構丸くなっている。
「……なによ」
ハフバルが動かないので不思議に思った様子。
むくれた表情のまま目を合わせている……。
- 71 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/02(日) 02:48:38 ID:ry7wfIlo0
- >>70
「わんっ」
【一声、元気に鳴いた後ハフバルの背中のプラカードが出てきた。】
[正当防衛]
煽りと受けとるか事実と受けとるか。ハフバルは何を
思っているだろうか。
- 72 :アリス・ザ・ナイトメア:2012/09/02(日) 03:01:36 ID:haugAEa.0
- >>71
「む~っ!」
立ち上がると再び塵を払う。
もう立ち向かう気力は無いようで、踵を返しバッグを乱暴につかむ。
「次こそ覚えておきなさい!」
何故か捨て台詞を吐いてから地面を強く蹴る。
少女の足元に真紅で描かれた魔法陣が現れ、強い光が発生すると同時に消えてしまった。
- 73 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/02(日) 03:09:55 ID:ry7wfIlo0
- >>72
「くぅーん」
(覚えておけってもなぁ。)
いずれは忘れてしまうだろう。いや、忘れないか。
【ハフバルはそう考えながら公園を去った。】
- 74 :高向谷 司朗:2012/09/06(木) 15:07:05 ID:vkur4Cww0
- 【異能の山、麓に比較的近いが山道からは少し離れた森林地帯】
司朗は修行の為、異能の山を訪れていた。
目の前には蔓を振り回し、溶解液を滴らせる巨大な極彩色の花。
ステレオタイプないかにも食人植物、という外見のモンスターだった。
「でえやっ!」
司朗が向かってきた蔓に、角を生やした手刀を振り下ろし切断。
傍らの木を同じく角を生やした足で蹴りつけて花の根元に飛び込む。
「弱点は……そこだあっ!!!」
そして花の裏側、その基点である、膨らんだ花床を蹴り上げた。
途端に花は力を失い、しおれてしまう。
「本戦は出れなかったけど、これでエキシビジョンへのコンディションは万全だな!」
「張り切るのはいいが、エキシビジョンはタッグマッチだろう?
組む相手は居るのか?」
司朗が腰にぶら下げている竜の紋章のプレートが言葉を喋る。
「ほ?それはお前が……」
「私は出ないぞ、あのようなイベントなどに」
「えっ」
司朗の顔が固まった。
「そもそもそれ以前に、私とお前では実力に差がありすぎる。
もう少し実力の近いものと組んだ方がいいのではないか?」
「う……むむ……」
司朗は唸った。
そこに追い討ちをかけるようにティルヴァが叫ぶ。
「お前は私のサポートで収まって満足する程度の男か!?」
「……ってお前!自分が出たくないから俺を焚き付けてないか!?」
「そうだ」
「威張るな!」
- 75 :名も無き異能都市住民:2012/09/06(木) 20:56:34 ID:do5XJmGE0
- 【街中】
『いよいよ“今年最強”が決まる』
大きな文字で、目を引くのは闘祭のポスター。
「刮目せよ」「期待して待て」等、煽り文句にしては誇張された文字が踊るが、
内容は決勝戦の開催を知らせるもので。
“今年最強”に違和感を覚えるのは当然だ。
最強の座は次の開催の間のものでしか無い。勿論、このような称号に興味が無い者も多いだろう。
パブリックビューイングの会場やネット中継をする等、様々な方法で決勝戦を盛り上げようとしていた。
決勝戦終了後は、表彰式。決勝戦が終わってからすぐに始まるのだろう。
と、ポスターを貼り終えた直後、携帯電話の着信が鳴る。
「さっ、こっちは貼り終えた! 次ァこっちだー!?
もしもし? えっ、決着? 表彰式!? マジかよ!!」
男は乱雑に通話を終了し、貼り終えたばかりのポスターを剥がした。
背負っていたリュックサックに丸めて突っ込んだ。
雑に扱いすぎたのか、丸められたポスターは折り目が入り、大きく折れていた。
『エキシビジョン開催! 今年はタッグだ!』
闘祭決勝戦の隣に貼られたのは、タッグエキシビジョンの案内だ。
決勝戦、表彰式が終わり順位が確定し次第、順次繰り広げられるというものだ。
基本的なスタンスは『闘りたい奴はペア組んで闘れ』といった大雑把なものだ。
詳細は以下のように書きだされていた
・基本的に2vs2
・ペアは事前に決めても良いし、その場で決めても良い。
・チーム名をつけるか付けないかは任意
「ちょっとした質問があるだろうから、おいらはここで待機だなぁ。
希望者にはチラシを渡して……、あとは事務局にぶん投げか。」
と、男は携帯電話を手に取り、電話をし始めた。
内容はポスター二枚が貼れたかどうかの確認、質問の受付等どれくらい時間掛かるだろうという、半ば雑談めいたものだった。
電話をしながらも、渡すチラシの内容を確認している男。
そこから多く出るであろう質問を予測しているのだろう。
-----------以下中の人向け-----------
テンプレ
【ペア選手】
【チーム名】任意
【対戦希望ペア】
【一言】
///注意事項(異論・質問・文句等は「あ」の人までどうぞ)///
・自キャラ同士でペア結成可能。ほかの人とのペア決定はどのスレでも結成可能。
・タッグ戦は原則「申請承認制」とする。(AペアがBペアに対戦希望を出す。Bペアが了承することで対戦を決定)
一つのペアに対し複数の対戦希望が出た際は一番早く対戦希望を出したペアを対戦相手とする。
・対戦カードが決まり次第、始める。基本的に戦闘フィールドは『闘技場』で固定
・名前欄には使用キャラ名に加え、ペア選手を記入
--------記入例--------
801アイリス【アスカリオテ】 [sage] 投稿日:2012/07/31(火) 19:12:41 ID:do5XJmGE0
【ペア選手】アスカリオテ
【チーム名】チームヴぁんぱいあ
【対戦希望ペア】特攻野郎Aチーム
【一言】お手柔らかに
- 76 :高向谷 司朗:2012/09/06(木) 21:14:40 ID:vkur4Cww0
- >>75
「っとお、いいタイミングでポスターだ」
司朗は肩に草の束を担ぎながら、街に帰ってきた。
実はそれらは珍しい薬草の類であり、漢方屋に高く売れるのである。
無論、司朗が知っていたわけではなく、ティルヴァの入れ知恵である。
「その前にタッグの相手探さないとナ……。
はあーっ……、どっかに丁度いい強さの能力者居ないかなあ」
司朗は極大のため息をついた。
「さてっと、漢方屋は向こうだったかな。
歪みとか無いといいけど」
呟きながら、司朗は人ごみの中に消えていった。
- 77 :ロザリア・ロートシルト:2012/09/06(木) 23:46:04 ID:SSMHlh/20
- 無数の種族が暮らす異能都市には当然
住宅地や居住区も星の数ほどあり、それぞれ独自の文化や規律の元、
生活が営まれている。
特に、比較的排他的な種族の暮らす地区には、
条例違反の人払い結界などは張られていることもあり、
部外者が立ち入るには難儀することもある。
「――!――!――。」
『――。――。――……。』
この日ロザリアが協力のための要請に訪れていたのは、鳥人族が暮らす浮遊島地区。
先述の人払いの結界などは貼られていないが
縄張り意識が強い彼らとの交渉は難儀しているようでロザリアにも苛立ちが見える。
- 78 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/07(金) 22:33:53 ID:ry7wfIlo0
- 奇妙な羊っぽい何かがとぼとぼと町の道を歩いていた。顔は
普段より、穏やかに、目を細めている。恐らく
何かいいことがあったのであろう。
特にこの羊は何も考えてはいない、しいていうならゴミ回収
であろう。羊は、ゴミ箱を見つけ、その近くで休んでいた。
- 79 :ジボル:2012/09/07(金) 23:38:28 ID:DDv/VP1I0
- 【暫く体験し得なかった『勉強』は少年を夢中にさせ、急速に成長させるに至った】
【しかしその一方で――少年の生来に持つ獣欲は収まらず…次第に増幅していくようだった】
【そして少年は今日も小百合邸から抜け出していた】
【公園】
うおー。こんなもんでいいかなーー?
【ボロボロの麻布のズボンを履き、両手は手枷、両足は足枷と鎖で繋がれた少年】
【何も着衣のない上半身には代わりに、薄く強靭な筋肉を纏っているが、それでも幼い印象を与える】
【手枷は金属の輪が直接繋がったような物で離れないが、足枷は細く長い鎖のお陰で、案外好き勝手に歩いている】
【少年はぶらぶらと退屈そうに歩いて、両手で長い木の棒を拾い上げた】
【手応えを確かめるようにぶん、ぶんっと軽くスイングして、うんうんと頷いた】
【人類の叡智とも言える――物を作る才能と、物を使う才能】
【いわゆる『人』と呼ばれる生命は、武器を使うことであらゆる生物を淘汰してきた!】
【『獣』として生き、武器がなくとも充分なほどの力を持つ生物が『人』として木の棒を持つ】
【そう!!! 少年は今!!!】
おー? たいよーがきもちいいな! あったかいなー?
ともだち連れてきてあげたぞ! ほら、お前の横にさしてやる!
【『アニミズム』(無生物に意思・生命が宿るという考え)に目覚めていた!!!!】
【立入禁止の芝に生える大木へ話しかけ、横に木の棒を突き立ててにっこり】
- 80 :ロザリア・ロートシルト:2012/09/11(火) 00:23:10 ID:SSMHlh/20
- 異能都市の郊外には、広大な平原や湿地帯、
森林といった様々な自然が広がっており、魔術的な触媒を採集する事もできる。
「ふう、ドクダミはだいぶ取れたわねえ。
蛇苺やヒヨスもしばらくは大丈夫そうだし……。」
今日のロザリアはいつもの暑苦しいドレスではなく、
フィールドワーク用の動きやすい服を身につけ、薬の材料や魔術の触媒となる植物、
その他食用の木の実などを探しに、小さな森に訪れていた。
この辺りは魔獣などもおらず、都市から手軽に訪れる事ができるため
ハイキングや薬草摘みに訪れた人を時折見かける事ができる。
- 81 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/09/11(火) 21:49:48 ID:7gFzKdaU0
- 「んん――……っ、ひっさびさにのんびりかなぁ。
悔しかったけど、来年はもっと頑張らないと!」
AGカフェのテーブルに突っ伏して、赤毛の少女が休憩タイム。
表彰式でも着ていたウェイトレス服に、ポニーテールが良く目立つ。
むくり、と起きてふるふると首を振って少女はおもむろに椅子から立った。
「エキシビジョン、誰と組もっかなあ……。
とりあえず、在庫の確認もしないと!」
鼻歌を歌いつつ、在庫の確認をしているアテナ。
店の中は時間も有ってそこそこ空いている状態だった。
- 82 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/11(火) 22:00:43 ID:ry7wfIlo0
- >>81
「きゅーん」
(今日は殺処分のねーちゃんはいないようだ。)
【少し入り口を慎重に見回した後、犬くらいの大きさの
羊・・・いや顔は猫という奇妙な生物が入ってきた。】
- 83 :レラ=バニッシュ:2012/09/11(火) 22:02:42 ID:haugAEa.0
- >>81
「アテナ……は、居るようだな」
カフェの戸が開かれる。
落ち着いた趣の口調とは裏腹に、姿を見せたのは背の小さな少女。
目的の人間を見つけるとその向かいに腰掛け、表情を深く眺めつつ口を開いた。
「……一先ずはご苦労。と言った所か」
闘祭表彰式の様子はテレビの中継を眺めていた。
少女にはただ前にも似たような事があったな。程度の認識しかなく、故に眺めていたのみ。
そう言えば、表彰式の時も今と同じにウェイトレス衣装だったと思い返す。
差し詰め此処の宣伝も兼ねてだろう。そう見当をつけると小さく息を吐いた。
- 84 :レラ=バニッシュ:2012/09/11(火) 22:05:34 ID:haugAEa.0
- >>82
「……」
「……なんだコレは」
見たままの率直な感想。
蒼のショートカットTシャツロリ巨乳ホットパンツ少女が訝しげな視線を向けている。
と言うより最早睨んでいると言った方が近い。と言うか睨んでいる。
- 85 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/09/11(火) 22:06:01 ID:7gFzKdaU0
- >>82
「うわーっなんか
,-'"ヽ
/ i、 / ̄ ̄ ヽ, _/\/\/\/|_
{ ノ "' ゝ / ', \ /
/ "' ゝノ {0} /¨`ヽ{0} < ニャーン!! >
/ ヽ._.ノ ', / \
i `ー'′ '.  ̄|/\/\/\/ ̄
/ }.
i' /、 ,i..
い _/ `-、.,, 、_ i
/' / _/ \`i " /゙ ./
(,,/ , ' _,,-'" i ヾi__,,,...--t'" ,|
,/ / \ ヽ、 i |
(、,,/ 〉、 、,} | .i
`` ` ! 、、\
!、_n_,〉>
.,,......、
_、 _ ヽ `'i ,‐.., ___,,,,,,,、
'|ニ- / !│ ,! ゙'" l l ゙ ゙l,
././ .! ヽ ! ,i--'"゛ ゙'''"'''/ ,,r'''”
l .! ! l \ _,,,,,,,) | ,, `゙‐'゜
! | / | ヽ` /..,,,,,_. `''-、 ,┘゙,k
ヽゝ-__-‐'ノ | .'(__./ .,、 `'、. | '{,,___,,,,,,,,、.〟
─‐'''´ ヽ,、 _./ `'-、,,ノ . 'v,_  ̄` : ,,,l
. ̄´ .゙~゚'冖''''"'゙”″
って感じ!」
入ってきた生物を見て、率直な感想を返すアテナ。
危険性は感じられない為、意識を向けてはいるものの排除する様子は無い。
>>83
「あ、いらっしゃーい、レラ!」
ぱたぱたと奥から出てきたアテナは、笑顔でレラを迎えた。
椅子を薦めつつも、レラに褒められて嬉しそうな表情であった。
「ふっふっふー、でも来年は優勝なんだよ!
まあ、これで屋台のお客さんは完璧だと思うんだけどね! ここにも沢山来てるし!」
自慢気に無い胸を張って喜ぶ少女。
宣伝以外の理由も有ったが、今のところ喜んでいる最大の要素は集客のようだった。
- 86 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/11(火) 22:29:23 ID:ry7wfIlo0
- >>84
(なぜそうにらむし)
なぜこうも嫌われるのだろうか。殺処分はもうごめんだ。
「わんっ」
【猫の顔なのに犬のなぎ声で鳴いた。挨拶なのだろうか。】
>>85
「わん・・・・」
【あまり大きくはない返事だ。否定だろうか。】
(ひよこと猫とかそんなキメラあってたまるか。)
いくらかわいくてもミスマッチにも程があると
ハフバルは思った。
- 87 :レラ=バニッシュ:2012/09/11(火) 22:45:24 ID:haugAEa.0
- >>85
「なら、概ね満足と言った所か?」
ここの宣伝に加え、これから始める予定の屋台の集客。
「随分と考えた物だな」
顔を明らめ、アテナを眺めて大きく頷いた。
少しの間、アテナの顔を眺めていた後に僅かに顔を曇らせる。
アテナは此処の従業員。一人でに屋台を始める構想もあるらしい。
だが、それ以上に少女は一人の戦士であったと記憶している。
それも、ただの戦士では無く強い精神を備えた。兎に角、負けず嫌いの色が良く出ていたと思う。
闘祭が始まる前には賞金の使い道に付いて会話をした。無論、あれは本気だったのだろう……むしろ、本気でないアテナの想像が付かない。
「……それとも、不満か?」
>>86
「……寄るなよ」
足を組んだままの姿勢で首だけを向けて静かに。
- 88 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/09/11(火) 22:51:23 ID:7gFzKdaU0
- >>86
「……犬、猫、羊……?
いぬ、ねこ、ひつじ……、ドッグ、キャット、ひ、ひ……ヒツージ。
えーっと、山本さんで!」
んー、と首を傾げながら、少女は暫く考えて、気が付けば適当なあだ名をつけていた。
というかどこから出てきた、山本。
断じてお前って山本っぽいよな(笑)とかそういうノリではない事は確かである。
「山本さん、撫でても、いい?」
手を伸ばしながら、アテナは首を傾げて山本さん(ハフバル)に撫でても良いか問いかける。
悪意は無い、悪意は無いがアレだ。この年代の少女にネーミングセンスなど期待してはいけなかった。
>>87
レラの満足か、という問いには曖昧な笑みを浮かべるだけ。
だが、最後の不満かと再度、形を変えて問いかけられて、アテナはようやく口を開いた。
静かに涙を流して、アテナは言葉を並べていく。
「――やっぱりね、すっごく悔しいんだ。
皆褒めてくれるし、皆いい子って言ってくれるけど、私は納得できてない。
だから、来年勝ちに行くんだ、絶対に……ね」
本音はやっぱり悔しい。
周りが〝子供にしては〟やったと褒めるせいで、笑顔を浮かべざるを得なかっただけで。
仮面をかぶらなくても良い相手の前ならば、本音を口にだすことができた。
「……勝ちたかった、なぁ」
染み染みと噛み締めるように、アテナは一言、呟いたのだった。
- 89 :羊の人 ◆U9t0l68smw:2012/09/11(火) 23:02:33 ID:ry7wfIlo0
- >>88
(なんという・・・・・・)
ひどいネーミングセンスだ。点をつけるとか、そういう次元
ではない。なんというか、斜め下に独創的だ。というか
山本という名前に行き着いた思考回路自体すごい。
【ハフバルの背中の切れ込みが開き、プラカードが出てきた。】
[なにがどうなってそれになった。お触りオーケー]
>>87
(ああ、動物苦手なのね。)
それでもマシだと思うのは殺処分のおねーさんのおかげだろう。
誰とは言わないが。ちなみに彼にとっては半分トラウマになって
いた。
【ハフバルは、頷きつつ背中からプラカードを出した。】
[不干渉のほうがお互いのためだよね]
やけに物分りがいい。
- 90 :レラ=バニッシュ:2012/09/11(火) 23:24:57 ID:haugAEa.0
- >>88
アテナの表情の変化の一つ一つを読み取っていく。
妙な明るみを帯びた笑みが真実では無い事を悟る。
そして、真実と向き合ったレラは、フッ。と笑みを浮かべ。
「だろうな。とてもじゃないが満足とは言えまい。
だが、今の結果を受け入れて伸びることが大切だ……まぁ、言わずとも解るな」
予想通り。レラの浮かべた笑みのウラだった。
「それで、だ」
取り出した一枚のチラシ。
『闘祭エキシビジョンマッチ』と書かれたそれは使いの次いでに駅前で調達させた物だ。
「これでアテナの力を測ってみたらどうだ?
大会本戦で見た奴だけが都市の力全てでは無いだろう?」
>>89
既に視線を外していたが、視界の端で何かが動く。
思わず返した視線の先にはプラカード。そこに書かれた文字を読み、小さく頷いた。
「べ、別に苦手ではないぞ!
貴様の様な下等生物如きにこの天才の僕が後れをとる訳……」
「ちょっと待て。なんだそのプラカードは」
- 91 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/09/11(火) 23:29:26 ID:7gFzKdaU0
- >>89
「いやぁ、そんなえへへへ……」
褒められていないのになぜか照れるアテナ。
頭に手を伸ばし、なでなでぐりぐりである。
手つきは優しく、乱暴ではなかっただろう。
>>90
「とーっぜん、レラよりおつむは良くないけど、これでも武人だもん!」
拳をごうん、と重い音を響かせてぶつけあって、アテナはにかり、と快活な笑みを浮かべる。
無理のない、何処か振り切ったようなそんな輝きの在る笑顔だった。
そして、レラの取り出したチラシを見て、きょとん、と目を丸くする。
「あ……、うん、実は私も出ようと思ってたんだけどさ。
誰誘おっかって悩んでたんだけど――レラと出るよ!いいでしょ!ねッ?」
ペアが必須、その要件を知っていて誰を誘うか迷っていたが。
今、誘う相手は決まった。満面の笑みで、袖をきゅうきゅうと引っ張ってレラを誘うことにしたようだ。
- 92 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/11(火) 23:39:46 ID:ry7wfIlo0
- >>90
(天才・・・・・)
下等生物といわれるがこう見えてもハフバルはある意味、人より
頭の回転の速さと器用さに関しては人を超えていると言って良い―ほとんどが前の飼い主に対
する嫌がらせによって成長したのだが。
【ハフバルは背中の切れ込みをそのままに、プラカードを入れ替えた。】
[天才・・・うちの飼い主もそんな事言ってたな]
性格さえ悪くなければ、最高の飼い主なのだが・・・
>>91
「きゅーん♪」
【目を細め、高いが、小さい鳴き声を上げながらハフバルは
身をゆだねた。幸せそうだ。】
(ああ、こんな環境はあんま無かった。・・・)
ハフバルは過去の事を思い出しながら思った。
- 93 :レラ=バニッシュ:2012/09/11(火) 23:49:36 ID:haugAEa.0
- >>91
「当然だ。天才の僕と比べられても困る」
何故そこで胸を張る。
アテナの急な勢いの変化には困った様な表情を見せた。
しかし、あー。とかうーとか曖昧な返事を返しながら詰め寄られる状況を楽しむ余裕はあったようで。
暫くの間そうしていたが、袖を掴むアテナの手を無理やり剥がすとその手を持って向き合う。
「断る」
>>92
「貴様の飼い主が幾ら天才と自称しようと、とてもじゃないが僕には及ばないな」
Tシャツで出来た谷間の上。くっきりと浮かび上がっている鎖骨の間を拳で二度叩く。
腰に手を当てて得意気なポーズを取る自称天才。
「貴様の飼い主等、底が知れている!」
顔も凄く得意気。清々しいまでの顔である。
- 94 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/09/11(火) 23:51:37 ID:7gFzKdaU0
- >>92
「うへへ、グロカワ……」
幸せそうにほくほくした顔で、暫くハフバルを撫でて、手を離した。
基本的にいい子のアテナは、普通に愛でて終わりのようだ。
格闘技術と火力と森の中で暮らしている以外は、本当に普通の小学生だった。
>>93
「うえー……、なんで?」
断られて、しゅんとした顔をしながらも、レラの目を見据えて問いかけた。
何か事情があるのかな、と心配している表情も混ざっていることだろう。
- 95 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/12(水) 00:03:11 ID:ry7wfIlo0
- >>93
(だめだ、天才とか言っているけどナルシストすぎてなっちゃ
いない・・・・)
「もうちょっとらしくはなれないのか」と心の中でツッコんだ。
【ハフバルは背中の切れ込みからプラカードを出した。ちなみに
彼女を見る目は少々、冷たい。】
[もう少しらしくしろよ天才(・]
完全に舐められていた。スラングが使えるキメラなんて
見たことないだろう。ちなみに天才の後に何か書かれたように
消えている。精神衛生上よくないと踏んだのだろう。
>>94
(・・・・うへへ―!!!)
「うへへ」という単語を聞くとつい反応するのであった。
危機管理的な意味で。
【ハフバルはアテナを見て、「わんっ」と明るく鳴いた。
どうやらうれしかったらしい。】
- 96 :レラ=バニッシュ:2012/09/12(水) 00:16:40 ID:haugAEa.0
- >>94
「僕には勝利の栄光も名声も必要無い。
……とでも言う予定だったのだがな」
手を離すと椅子の背に寄りかかる。
相変わらず足を組み、随分とリラックスした格好で。
「……アテナ、今回はキミの強さを客観的に見てみたい。
同列の位置から見るだけでは、影は同じだからな」
すまない。と後に続けて。
>>95
「ふむ……矢張りな。
貴様がたったのその程度ならば飼い主とやらもその程度だ」
ハァ。と溜め息を吐きつつハフバルに鋭い視線を送る。
なんかハフバルとなめられてるっぽかった。
- 97 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/09/12(水) 00:23:01 ID:7gFzKdaU0
- >>95
「わんー!」
鳴き声に鳴き声で復唱してみるアテナがそこに居た。
>>96
「……ん、分かった!
ばっちし誰か仲間見つけてばっしばっしでがっしがっしなんだからねっ!」
後腐れがないのがアテナのいいところだ。
にぱり、と笑みを浮かべて、レラの頭をくしゃりと撫でると、奥に行って着替えに行った。
行くまえに、一緒にお家でお茶しよー、と一言言い残して。
- 98 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/12(水) 00:29:34 ID:ry7wfIlo0
- >>96
(その程度ならどれだけうれしい事やら。)
どうやら彼女とはなんか話しが合わないらしい。だが―
(参ったな、恐らく自分の相談など乗ってくれるわけは
ないだろう。だが、聞いてみる価値はあるかもしれない)
【ハフバルは背中からプラカードを開いた。顔はいままでとは
違い、やけに真剣さを帯びているような気がする】
[天才と見込んで、質問がある。無限再生する不死をを殺せる方法
は知らないか?]
あの飼い主はいくら戦車砲を頭にクリーンヒットさせようが
死なないのだ。だが、彼女ならひらめくかもしれない。
>>97
(すごく天然だ・・・・・)
こんな飼い主だったら今頃のんびりマッタリしているんだろう
なぁ・・・・
【ハフバルは着替えに行くアテナを見ながら、そう思っていた。】
- 99 :レラ=バニッシュ:2012/09/12(水) 00:41:44 ID:haugAEa.0
- >>97
「フッ、理解したよ」
決してばっしばっしでがっしがっしの意味が理解できたわけでは無い。
言葉のニュアンスと雰囲気からなんとなく。少女アテナの意気込みと前向きな心を感じ取った。
「後で寄らせて貰うよ」
アテナの去り際の言葉には笑顔でそう返し。
>>98
「物の頼み方が違うんじゃないのか?」
ニイッと口角を上げて厭らしい笑みを浮かべる様からは性格の悪さが滲み出ていた。
「僕は暇じゃないんだ。無駄話を……まして犬とする気にはならん」
席を立つとハフバルにそう吐き捨て店を後にした。
- 100 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/12(水) 00:49:40 ID:ry7wfIlo0
- >>99
(天才というのはこうなのかねぇ。)
さっき言っていた事とどうみても違うような気がしたが
気のせいだろう。そう思いたい。まぁ、元々自力で解決しなければ
問題という事だろうか。
(まぁ、自分の事は自分でしろっていうやつか。)
【ハフバルは一通り思案すると、店を出た。】
- 101 :高向谷 司朗:2012/09/13(木) 21:15:06 ID:vkur4Cww0
- 「あ゙ーもう喉ガラガラだ」
住宅街を歩く一団。
その中に、帽子の男が混じっていた。
「高向谷、今日やたら張り切ってたもんなー」
「いや凄かったな、あの熱唱ぶり」
繁華街のほうから歩いてきたようで、
どう見ても今までカラオケしてた、という会話である。
「お前だって張り切ってたじゃねえかー」
「違いねー、今日の優勝は、原田だな」
男の一人が親指を別の男に向けて言った。
「そういや高向谷この辺じゃないか?近くていいなあおい」
周囲を見渡して、一人が行った。
「そーだな、次はマサヒロん家の近くでやるか。
それじゃーな」
「んじゃ、またな」
「次は呑みにいこうぜ」
司朗は友人達と別れる。
友人達は駅方面に歩いていった。
「っつってもまだ少し歩くけどな……。
あー、喉ひりひりする、なんか飲むかぁ」
そう言って、自販機前に行く。
「炭酸ばっかり、か……しょうがない、ミネラルウォーターにするか」
- 102 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/13(木) 21:37:59 ID:ry7wfIlo0
- >>101
「わんっ」
【子犬くらいの小ささの羊みたいな生き物が自動販売機の前の下であたりで、
何かをしている。】
- 103 :高向谷 司朗:2012/09/13(木) 21:59:49 ID:vkur4Cww0
- >>102
「……あー、メンテナンス中か」
司朗は頭を掻いて呟いた。
「別のところにするか……」
そのまま司朗は歩き去ろうとする。
「しかし最近はケダモノが自販機のメンテナンスするんだねえ……。
……人外排斥がどーのって世間じゃ騒いでる言うのに、なかなかいい企業じゃないか」
振り向くと、自販機のメーカーを確認する。
「魔イドーか……今度から贔屓にしよ」
そう言いながら、やっぱり歩き去ろうとした。
- 104 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/13(木) 22:27:52 ID:ry7wfIlo0
- >>103
「くぅーん・・」
傍から見れば確かにメンテナンスしているようにも見えるだろう。
だが、実際は、自動販売機の下にある、ゴミと多少の期待を
込めて落とした硬貨を探しているだけである。
【自動販売機の下にある隙間をアームを使って何かをしている
ようだ。】
- 105 :高向谷 司朗:2012/09/13(木) 22:43:11 ID:vkur4Cww0
- >>104
とは言え、司朗は正に傍から見ただけなので、
そんな事に気付けるわけも無く。
既に司朗の目は少し離れた自販機に向いており、
所望していたミネラルウォーターを購入。
「仕事頑張ってねー」
自販機前からそう叫んで、
ミネラルウォーターを飲みながら立ち去ったのだった。
- 106 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/09/13(木) 23:09:33 ID:ry7wfIlo0
- >>105
【急にビクっとして、司朗の方を見た。】
「わわーん!」
【とりあいず怪しまれないように別れの挨拶をし。】
「わん!」
【ここにはコインが無いことを判断し、アームを手元に戻して
別の自販機を目指して立ち去った。】
- 107 :黒沢小百合:2012/09/14(金) 00:11:56 ID:SSMHlh/20
- 【異能都市・中華街エリア】
朱色の柱に金の龍の意匠が印象的な高級中華飯店や、
紫や緑のネオンが煌く怪しげな宿屋、移動屋台で麺をすする人々。
日が落ち、さらに喧騒が増したように思える中華街の一角に
都市の上流階級向けのカジノが存在する。
敷地内には人工の川が流れ、噴水やライトが組み合わされ
白く綺麗な建物の壁面に芸術的な影絵を作っている。
「赤の4番に。そうですね1万2000異能$程かけてみましょうか。」
小百合はオフの日に、湯治場や自宅などで体を休めるか
こうして社交場に出て、派手に豪遊するかのどちらかであるのだが、
今回は後者であるようで、既にかなりの金額をつぎ込んでいる。
場所柄にちなんでか黒と赤のチャイナドレスに身を包んでおり、
時折、男性に声を掛けられているが、例外なく冷笑かきつい罵りの言葉を返しているようだ。
- 108 :高向谷 司朗:2012/09/15(土) 23:02:02 ID:Dnkg9kSs0
- 【記念運動公園】
司朗は、散歩がてらティルヴァと話していた。
勿論ティルヴァは、エンブレムを介して話している。
「クーガンの子供?」
「ああ、気が向いたらでいい、探してくれないか」
クーガン、ティルヴァの数百年前の弟子の一人であり、
ティルヴァを裏切って、ティルヴァの肉体を奪い竜魔術の一門を滅ぼした張本人。
司朗に重症を負わせ、都市立西病院で遂に異能者達に仕留められた男。
「この街に一人居るかもしれないということが先日解った。
私達のことを認知しているかどうかは知らないが、
認知していた場合、逆恨みされている可能性がある」
「まあお前でかいからこそこそは出来ないもんな。
……でもさ、お前ほどなら人に化けるぐらいのことは出来るんじゃないか?」
司朗が聞いた。
「……できない事は、無いが」
ティルヴァはなぜか歯切れが悪い。
「あ、わかった。
ドラゴンとして、矮小な人間になど化けられるか!とかいうプライドがあるんだろ。
ったく、友達だから別に怒んないけどさ、そういう性格直した方がいいよ?」
「……悪いが、そういうことにしておいてくれ」
「なんだよ、引っかかる言い方しやがってさ」
司朗は笑いながら言った。
- 109 :名も無き異能都市住民:2012/09/15(土) 23:32:08 ID:SSMHlh/20
- >>108
「たっ、たすけてくれえ!」
ふいに、司郎へ投げかけられる悲鳴。
声のほうへと顔を向ければ、ビジネスマン風の男が
数人のグループに追いかけられているのが見える。
そのグループはと言うと、
一様に緑色の衣服やアクセサリーを体のどこかに身につけている事から、
この周辺を根城にするストリートギャングの一員だろう。
どうやら、例の男は運悪く彼らに目を付けられてしまったようだ。
- 110 :高向谷 司朗:2012/09/15(土) 23:54:27 ID:Dnkg9kSs0
- >>109
ギャング達を見て、司朗は自分の服装に目を落とした。
司朗の今日の服装は、青いジーンズに白い長袖の上に黒字の柄Tシャツ。
そしていつもの黒い帽子。
緑のものは身につけていなかった。
「……だまし討ちは無理か」
「ずいぶんと卑怯な事を考えるんだなお前は」
ティルヴァに返答せずに、
ビジネスマン風の男とグループの間に入ろうとした。
「ちょっと待って待って!
今日は夜間団体マラソンなんて聞いてないよ!
何があったのさ」
グループと男に向かって問いかけた。
- 111 :名も無き異能都市住民:2012/09/16(日) 00:10:24 ID:SSMHlh/20
- >>110
「見ろよ、アレ。元気な野朗がいるぜ。」
「ハハッ、ちげえねえ。」
司郎が間に入ると、男を追いかけてきたグループは
『獲物が増えた』とでも言うようにニヤリと笑い、ゆっくりと近寄ってくる。
例の男は、息も絶え絶えで四郎の足元に縋りつくように、
その場にへたり込んでしまった。既に何度か殴られたのか、
顔面は赤くはれ上がっている。
「へへ……ちょっとそのオジサンがね、
俺達のシマの通行料はらわねーっつーんでちょいとね。」
「あーっと、実はここも俺達の『シマ』なんだよねぇーっ!!
通行料は共通貨幣5000になってるんだけど、ご協力お願いシマース!」
男達は5人、体格はそれぞれ違っている物の、
全員がこれ見よがしに大型のナイフや路地裏でよく見かける横流し品の銃、
ハンマーといった武器をぶら下げている。
しかし、身の運び方は素人のソレであり、戦闘や武術の経験があるようには見えない。
- 112 :高向谷 司朗:2012/09/16(日) 00:23:46 ID:Dnkg9kSs0
- >>111
「元気がとりえ」
司朗はわざとらしく胸を張った。
「5000とか高すぎるわ!
二桁ばかりマケろ!」
そう言って、ポケットから50硬貨を取り出した。
同時に、司朗の腕に銀色の角が二本出現する。
「受け取れえっ!」
そして、一番先頭の男に硬貨を投げつけた。
銀色の角は司朗の身体能力を強化し、
弾丸ほどでは無いにしろかなりのスピードで硬貨は飛んだ。
- 113 :名も無き異能都市住民:2012/09/16(日) 00:30:48 ID:SSMHlh/20
- >>112
「グワッ!?」
――ビスッ!!
硬貨は喉と鼻近辺にヒットし、
男は呻き声を上げながらひるんで倒れた。
「なッ!?」
「こいつッ!ふざけやがってッ!!」
残りの男が激昂したように叫び、各々の獲物を構える。
先ほどからひゅんひゅんと軍用ナイフを弄んでいた男が、
いの一番につっこんできたものの、他の男達は武器を構えたばかりで
フォローなどは期待できそうにない。やはり、この男達は素人のようだ。
「……ラァーッ!!!」
大上段にナイフを振りかぶり、司朗に振り下ろそうとする。
- 114 :高向谷 司朗:2012/09/16(日) 00:42:58 ID:Dnkg9kSs0
- >>113
「ちょまっ、マジになるな!」
司朗はナイフを、右腕の角で防ぐ。
ナイフは角に食い込んだが、それが逆に、ナイフの動きを止めた。
「肋骨折れても恨むなよ、
アッパアァーッ!」
左腕にも角を出現させ、みぞおちに拳を振り上げ、
アッパーカットを食らわせようとした。
- 115 :名も無き異能都市住民:2012/09/16(日) 00:51:23 ID:SSMHlh/20
- >>114
「ォぉごげッッ……!」
無防備なみぞおちに叩き込まれる拳。
ナイフ男は吐瀉物を吐き散らしながら宙に浮き、
背中から地面にたたきつけられた。
「こいっ……こいつッ、異能者!
クソッ、銃だ!銃使え!!」
最初に硬貨を喰らい倒れた男が、まだ地面に座り込んだまま指差し叫ぶ。
「チクショォ、異能ヤローがなんだぁッ!」
――パンッ!パンッ!!
はじける様な発砲音。未熟な腕前とはいえ、5mと離れていない距離だ。
この距離では十分な威力と、命中率があるだろう。
「ひいいいぃいっ!!」
戦闘に怯え、サラリーマン風の男はその場で頭を抱えるように蹲る。
- 116 :高向谷 司朗:2012/09/16(日) 01:07:10 ID:Dnkg9kSs0
- >>115
「うわっ、ゲロかかった!」
司朗は腕にかかった吐瀉物を振り払う。
直後、司朗に迫る弾丸。
「この野郎、銃なんかに負けるか!」
両腕の角が引っ込み、今度は両脚に、合計12本の角が出現する。
司朗は地面を蹴り飛び上がる――訳にはいかない。
サラリーマン風の男が、司朗の下に倒れているからだ。
「おっさん、怪我したらごめん!」
男の襟首をつかみ、引きずるように司朗は走った。
銃弾は司朗に当たることなく飛び過ぎ去る。
「ええっと、クエレブレの防護魔法は……え、詠唱忘れた!」
「強き風」
ティルヴァが呟いた。
「そうだ、サンキュ!」
司朗は叫んだ。
Starke Wind wird Schuppe und leuchtet!
「強き風よ、鱗となりその輝きを示せ!」
司朗が唱えると小さな空気の層が無数に重なり、銃弾を弾く盾となった。
「槍は……槍はなんだっけ!?」
「勉強しろ馬鹿者」
しかし、反撃の呪文が思い出せず、司朗は唸った。
- 117 :名も無き異能都市住民:2012/09/16(日) 01:26:44 ID:SSMHlh/20
- >>116
「うわああぁあっ!!!」
男は急に体が引っ張られる感覚に三度悲鳴を挙げる。
拳銃程度の弾丸では空気の盾を突破することなどできず、
そもそも、あの男達の腕では距離をとってしまえば命中も難しいだろう。
「クソッ、ローレンスたちを呼べッ!
あいつならいつもこの辺いんだろッ!!」
「そ、そうだ、あいつなら……。」
男達のうちの1人が携帯電話を取り出し、
何処かへ連絡を取ろうとしている。仲間を呼ばれれば厄介だろう。
- 118 :高向谷 司朗:2012/09/16(日) 01:39:17 ID:Dnkg9kSs0
- >>117
「えーっと、そうだ……走れ銀の……」
「対抗するな、逃げろ!」
ティルヴァは司朗の詠唱を遮って言った。
「だって50……」
「お前が調子に乗るからだ、馬鹿者!」
男達の足元には先程投げた50硬貨が落ちている。
司朗はせめてそれを回収したいのだろう。
「お金は大切に……!」
「ええい黙って逃げろ!」
ティルヴァが叫ぶと、エンブレムが輝いて司朗の口が閉じる。
ティルヴァの魔法だ。
「んーっ!むーっ!」
「黙って走れ!」
司朗は嫌々、空気の盾を背中に、
サラリーマン風の男を抱えて、足に生えた角の力で、
ストリートギャング達から逃げ出した。
- 119 :名も無き異能都市住民:2012/09/16(日) 01:50:30 ID:SSMHlh/20
- >>118
「こいつっ!待てェッ!!」
「野朗!クソ!!」
男達は、司朗に向けて例の銃を乱射するが
もはや風の盾にすら命中せず、空しく夜闇に弾丸が吸い込まれていく。
もう、男達は追ってくる様子はなかった。
サラリーマン風の男は、気絶してしまったようでもう物も言わない。
- 120 :高向谷 司朗:2012/09/16(日) 01:59:46 ID:Dnkg9kSs0
- >>119
「ぶはっ」
司朗は公園を遠く離れた場所で倒れた。
口をつぐまされ、全力疾走で鼻呼吸しか出来なかったせいである。
「殺す気か、ティルヴァ……」
司朗は息も絶え絶えに言った。
「自業自得だ」
ティルヴァはそっけなく返す。
「……、で、このおっさんどうすればいい……?」
「警察でいいだろう。
病院に連れて行くほどの傷は受けていないようだ」
「面倒くさいなあ……」
司朗は再び立ち上がり、サラリーマンを背負って立ち上がった。
そして、そのまま交番を探してその場を立ち去ったのだった。
- 121 :名も無き異能都市住民:2012/09/16(日) 02:07:46 ID:SSMHlh/20
- >>120
幸い交番はすぐにみつかり、サラリーマンの意識も戻ったため、
司朗は少々事情を話すだけで日常へと開放された。
ちなみに後日、サラリーマンからお菓子の詰め合わせが届いたのだった。
- 122 :ジボル:2012/09/21(金) 23:55:42 ID:/sUwMB8E0
- 【都市郊外】
【一人の少年が決然とした面立ちで、乾いた硬い地面を踏みしめていた】
【ズボンは履いているが、それ以外に着衣と言えるものは一切着用しておらず】
【強いて言えば、一見して重たそうな手枷・足枷が鈍い光を返しているくらいだろうか】
【露出した肌は日焼けで浅黒く、しなやかな筋肉が緩やかな曲線を作り上げている】
……おっと。
【いざ一歩を踏みださんとした時、手に持っていた物が落ちた。絵本だ】
【風に煽られてぱらぱらとめくれるページ。ぱたり、と一つのページを開いた時に風は止んだ】
【それは――如何にも中東系のノスタルジックな絵で書かれた、地球を支える象の絵】
よし。
【両手で本を拾い上げ、ぱたぱたと犬のように足を上げホコリを払う】
【そしてもう一度、決然とした表情で……】
きょうのごはんは象にする!
【――少年は至って本気。果てない地平線の果てへと歩き出すのであった】
- 123 :川平&栖狩ビィ:2012/09/23(日) 15:13:21 ID:lvAfSw0M0
- ──AGカフェ
「美味しい?」
昼下がりのAGカフェ。
テーブルの一つに、向かい合って座る二つの姿があった。
水色の衣服に身を包んだ大人びた女性は、向かい合って座る少女に声をかける。
「ぁむ……むぐぅ」
黄色のスカーフを巻いた、黒髪の少女はフォークの先のパンケーキを貪ることに夢中の様子。
陽の強くなく、かつ弱すぎもしないこの時間。少女にとってはおやつ時でしかなかった。
縁の高い大皿に溢れんばかりと注がれた黄金の蜂蜜。
その中に沈んだパンケーキをすくい上げ、口に運ぶのに忙しい。
「そう、良かった」
少女のそんな様子を眺め、柔らかい笑みを浮かべる女性。
少し遅れて声をかけられた事に気づいた少女が、女性のそんな笑みを見て緩く微笑んだ。
- 124 :高向谷 司朗:2012/09/24(月) 23:22:48 ID:Dnkg9kSs0
- 【とある廃ビルの裏の路地】
「銀行強盗なんざ、お天道様は見逃してもこの帽子はお見通しでい!」
男たちが倒れる中、司朗は非常階段の上で恰好つけて叫んだ。
そして、携帯を取り出して110をプッシュする。
【二十分後、AGカフェ】
「あー、まいったまいった。
まさか銀行強盗の現場に遭遇するなんてな。
近道なんてするんじゃなかった」
司朗はため息をついて席に着いた。
つい先ほどまで、強盗犯の能力者相手に乱闘していたところである。
「司朗、その帽子、やたらと思い入れがあるようだが、
何かあるのか」
司朗が腰に付けた板状の魔道具の竜の刻印が動き、喋る。
「インディ・ジョーンズにもらった」
「……言いたくないならばいいのだが」
ちなみに司朗の帽子は気分によるが、基本は黒である。
- 125 :石崎 賢一:2012/09/24(月) 23:36:36 ID:GFududEw0
- >>124
(本当に最近物騒だな・・・・)
ヘッドホンをした、学生が、カフェに入ってきた。
彼は携帯を見て「月曜日」という現実を確認すると
ひどく落ち込んだ。
- 126 :高向谷 司朗:2012/09/24(月) 23:45:43 ID:Dnkg9kSs0
- >>125
「ふーふふっふーん、ふーふふーん。
ふーふふっふーん、ふーふふーふーふ」
レイダースマーチの鼻歌を歌いながら、男がコーヒーを淹れていた。
男の服は気にならない程度に砂埃で汚れており、
腕や首筋に擦り傷があった。
席取りだろうか、鞄と帽子が、カウンター席の一つに置いてある。
- 127 :柊宇都 綾&ラインハルト=アドヴァルド:2012/09/24(月) 23:52:48 ID:lvAfSw0M0
- ───同じく、AGカフェ。
テーブルに座り、厨房を眺める金髪の青年。
その表情は何処か重く、終いには溜め息まで出て来る。
そんな彼の視線の先には包丁を持つ少女が。
長い髪を後ろ手に纏め、静かな瞳で何かを切っている様だ。
少しして何かを焼く音が聞こえ、それが途絶えると表情の変化が薄い少女も、何処か満足げな顔をする。
「で、これを俺に食えと」
出てきた物を眺め再び溜め息を吐く。
ある程度想定済みだったようで、特に衝撃らしい物は無い。
少女は如何にも。と言った感じで頷くが、青年があまりにも渋るので懐から何かを取り出して料理に加えた。
「……旗を差しても変わらんぞ」
フランス。
- 128 :石崎 賢一:2012/09/24(月) 23:57:35 ID:GFududEw0
- >>126
(擦り傷・・・・ヤのつく自由業の人か・・・?)
あらぬ勘違いをした石崎はできるだけ目をふせつつ、
カウンター席の司朗と離れている席に座った。
その後、彼はトートバッグからノートパソコンを
取り出した。
- 129 :高向谷 司朗:2012/09/25(火) 00:07:00 ID:Dnkg9kSs0
- >>127
「……」
通りすがりのコーヒーを持った男が、ドイツ国旗を刺して行った。
男はそのまま鞄や帽子が置かれたカウンター席に戻った。
>>128
「ティルヴァー、傷直す魔法とか無いの?」
「自分で学んで身につけるんだな」
何所からか、男のものと違う低い声がした。
男はその声と会話していた。
「しょうがないなあ……。
竜の角ォ!」
司朗の腕から、二本の角状の物体が生えた。
「んぎぎぎぎ……」
司朗の額に汗が滲む。
しかし何も起こらない。
「……竜の角って再生能力があるんじゃ無いのお?」
司朗は口を尖らせる。
- 130 :柊宇都 綾&ラインハルト=アドヴァルド:2012/09/25(火) 00:20:33 ID:lvAfSw0M0
- >>129
「二つ刺してもダメだ……ん?」
呆れた視線を向けつつ綾を眺める。
が、綾は司朗をじっと眺めていた。
それに気付いた青年も視線の向く先を同じにし、
「お前か!」
と、指差し大声で。
- 131 :石崎 賢一:2012/09/25(火) 00:22:02 ID:GFududEw0
- >>127
(旗を刺して変わるものなのか・・・)
【やり取りを見て、疑問に思った。】
フランス国旗というところがまたなんというか。
渋るならイギリス国旗でも刺せばいいと思った。
メシマズ的な意味で
>>129
(勝手に国旗刺していいのか。)
身勝手なツッコミである。
【角が生えてくる司朗を見て、目をまるくした。】
(最近のヤ○ザ角をはやすのか、どういう流行だよ。)
【そんな事を思いつつ、彼はノートパソコンをいじる・・】
(あっそか。ここwifiないんだっけ?めんどくさい、無線
lanでも使うか。)
【彼は他人の無線lanを使うためにハッキングをし始める。】
黒いウィンドウにただの数字と英語の羅列が表示
されているのは一見、その筋でなければハッキングとは
思えまい。
- 132 :高向谷 司朗:2012/09/25(火) 00:39:06 ID:Dnkg9kSs0
- >>130
「そうか、そんなに某学会の旗が欲しいか……。
ってなんであるんだこんなもん」
左から赤、黄、青の旗をキッチンにあったケースから取り出して言った。
「で、それ何?」
ラインハルトの手元のモノを指して言った。
>>131
司朗が諦めると角は引っ込んだ。
「あー、犯罪の香りがする……」
「どんなセンサーだ」
司朗はコーヒーを啜りながら呟いた。
- 133 :柊宇都 綾&ラインハルト=アドヴァルド:2012/09/25(火) 00:53:57 ID:lvAfSw0M0
- >>131
相も変わらず会話を続ける。
「……三つも要らんぞ」
その言葉にビクリとして手を引っ込める少女。
その拍子に手からカナダ国旗が落ちた。
>>132
「要らない要らない」
二人して首を振る。二人して。
「これ、なぁ……?」
手元の料理は自棄に黒ずんでいる。
正しい調理課程で出来る色ではない事は明確であった。
料理と司朗。そして綾を眺めて再び皿に移る。
備えて出されたスプーンで物体をつつくとボロボロと崩れた。
「にんじん」
「嘘だろ!? って言うか料理ですらねぇぞ!」
膠着状態を見かねたのか答えを口にする綾。
- 134 :石崎 賢一:2012/09/25(火) 00:56:11 ID:GFududEw0
- >>132
(気にしないっと。)
素人には分からないのだ、保険もいくつか用意はしてある。
【彼はそう思ってネットに繋ぐ。】
(v○pでも見るか・・・。)
【どうやら掲示板を見ているらしい。】
>>133
(なんてひどい、そこは普通イギリス国旗を刺すべきだ。)
彼もしつこい物だ。
【料理を遠くで見て、そう思った。】
- 135 :高向谷 司朗:2012/09/25(火) 01:05:20 ID:Dnkg9kSs0
- >>133
「にんじんのさ、バター炒めって旨いよなあれ」
「そうだな、食べた事は無いが」
司朗は既に明後日を向いてティルヴァと会話していた。
「今度作ろうか?
俺、料理が特技とかそう言うわけじゃないんだ」
「あまり期待できないな」
所謂一つの他人の振りである。
>>134
「本当この豆は犯罪的な香りだよなあ」
「お前の言葉選びのセンスは解らん」
違いの解る男の味の話らしい。
- 136 :柊宇都 綾&ラインハルト=アドヴァルド:2012/09/25(火) 01:19:37 ID:lvAfSw0M0
- >>134
「はいはい、カナディアンカナディアン」
落ちた国旗を目にし、溜め息と共にそう口にする青年。
どうやらカナダ国旗はには余り大きくはないが意味はあったらしい。
>>135
「なんだろう……俺の扱いってなんだろう……」
落ち込む。酷く落ち込む。
それを見た少女はよしよし。と青年の頭に手を伸ばす。
「不毛だ……」
が、青年は新たな嘆きを生み出すのみであった。
「で、だ」
暫くして立ち直ったのか再び顔を上げる。
スプーンで黒ずんだ物体を突っつきつつ、視線は料理人の方。
「お前は食べられるのか?」
この問いには間を持たずNoと返ってくる。
最早疲労が見える青年は何度目か解らない溜め息を吐き席を立った。
「よし、帰ろう」
物体はゴミ箱の中へ。
少女が青年に刺すような視線を向けていたがこれを食べるよか苦ではないだろう。
スプーンと皿は流しに起き、少々値段を思考した挙げ句200円を置いて店を後にする青年。
半ば置いて行かれたとも言える少女は青年の後を追う。
「にんじんのバター炒め……」
その最中ボソリと呟いて……。
- 137 :石崎 賢一:2012/09/25(火) 01:32:46 ID:GFududEw0
- >>136
(・・・・あいつフラグたったな。)
もちろん死亡フラグ、またはそれに準ずるものだ。
>>135
(さて、そろそろ帰りますか。)
【彼は考えるとノートパソコンをトートバッグにしまった
後、ヘッドホンをかけて、外に出て行った。】
//おつかれさまでーす・・・
- 138 :高向谷 司朗:2012/09/25(火) 01:39:28 ID:Dnkg9kSs0
- >>136
「そしてまた新たな犠牲者(野菜)が……」
「食べ物は大切にしろ」
「お兄さんたちとの約束だ」
司朗は彼らの武運を祈って手を振った。
>>137
「あ、静かになっちゃった」
「あの客は最初から何も騒いでも居なかったが。
あの客を見習え」
ティルヴァは司朗をたしなめた。
その後、司朗とティルヴァは一時間ぐらい飲み食いしてから帰ったのだった。
- 139 :オーレリア=グラムハイト:2012/10/03(水) 22:33:45 ID:lvAfSw0M0
- ───AGカフェ
「んー……できたぁ!」
テーブル上に置かれた小さな釜が僅かな光が溢れると、少女の瞳も輝く。
釜に手を伸ばし、中の物を取り出すと教科書らしきものと照らし合わせる。
「うわぁ、つめたーい」
それは小さな雪だるまの人形。
小さな帽子に炭や人参らしき物でしっかりと顔も作られている。
「ねぇナツメ。これ、なんだろうね?」
それを両手で優しく持ちつつ、少女は足元の銀の狼へ向ける。
- 140 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/03(水) 22:54:17 ID:vljhfSlg0
- >>139
「きょうはなにかをたべていいひなのかなの〜」
【そう言って微笑み、少女がAGカフェの中に入ってきた】
「んー?
まだふゆじゃないのにゆきだるまさんなの」
【たまたま目についたオーレリアの持っている雪だるまを見て首を傾げる】
- 141 :オーレリア=グラムハイト:2012/10/03(水) 23:03:53 ID:lvAfSw0M0
- >>140
「なににつかうものなんだろう……?」
教科書を見直し、次のページを開こうと手をかけた途端、声をかけられた。
「こんにちは!」
目の前に現れた少女に対し、元気に声を返す。
オリアの持つ雪だるまは本物の様に柔らかく、周囲に冷気を振りまいている。
- 142 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/03(水) 23:09:36 ID:vljhfSlg0
- >>141
「あう、こんにちはなの〜」
【包帯を体に巻いた少女は挨拶を受け、微笑みながら挨拶を返した】
「これってほんとのゆきだるまさんなの?
なんだかほんとうにそうみたいなんだけどなの…」
【非常に興味深そうに答える。その視線はじっと雪だるまへ向けられている】
「まだゆきがふるときじゃないのにあるなんてなの…」
- 143 :オーレリア=グラムハイト:2012/10/03(水) 23:25:06 ID:lvAfSw0M0
- >>142
「ううん、これはれんきんじゅつでつくったものなんだよ」
テーブルの上に置かれた簡易的な錬金釜。
混ぜ棒を手に取り、釜を叩くと金属特有の小気味よい音がする。
「でも、ほんものみたいにつめたいね」
雪だるまを自らの鼻先に軽く当てる。
「ひゃっ」と小さく声を上げる様子を見るに、やはり冷たいようだ。
- 144 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/03(水) 23:30:43 ID:vljhfSlg0
- >>143
「れんきんじゅつ?
どこかできいたようなの…
それでつくれちゃうんだなの…」
【かなり驚いているようだ】
「あうー、ほんとなの!
なんかまるでほんとうにふゆがきたみたいなのー!」
【軽く雪だるまを指で触りながら微笑んだ。ディスは割と冷たいのは平気のようである】
- 145 :オーレリア=グラムハイト:2012/10/03(水) 23:38:25 ID:lvAfSw0M0
- >>144
「わたしね、れんきんじゅつのがっこうにいってるんだよ」
そういって教科書を向ける。
表紙には『中等錬金術穵』と大きな文字で書かれた字が目に入る。
他にはフラスコや葉っぱ。よく見れば今少女達の目の前にある雪だるまのイラストも書いてあった。
『中等錬金術穵』。と、言うことはオリアは立派な中学生である。
「とってもすごいせんせいにおしえてもらってらんだよ」
口元に手を当てて笑顔を咲かせる。
「うーん、でもこれなににつかうんだろう……?」
雪だるまを眺めながら、逆の手は顎に添えて首をひねる。
- 146 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/03(水) 23:41:51 ID:vljhfSlg0
- >>145
//文字化けしておる…
「れんきんじゅつのがっこう?
あうー、そういうのがあるんだなの…」
【錬金術の本をじっと見つめる】
「うーん…ぜんぜんよめないの…
こういうほんなんだなの」
【だがどうやら漢字が一部読めないようである】
「すごいせんせいって、だれなの?」
【不思議そうな顔をして言う】
「あうー、それはねなの、つくってたのしむんだよなの〜」
【そう言って微笑んだ】
「もっとゆきがいっぱいあればつくりかたおしえてあげられるんだけどなの〜」
- 147 :オーレリア=グラムハイト:2012/10/03(水) 23:54:55 ID:lvAfSw0M0
- >>146
//『中等錬金』の後は1が入ってます……すいません。
// 文字化けするならここかな……?
「まだかんじがよめないのかな?」
表紙を見返しながらそう見当付ける。
「えっとねー。こういうひとなんだけど」
教科書をパラパラとめくっていき、最後の方。
普通なら著名な人物写真が乗る辺りのスペースにディスの見知った顔があった。上弦だ。
「やさしくておもしろいひとなんだよ」
少女はさぞ楽しそうに語る。
「えーっと、そうじゃなくて……」
錬金術で作られたこれは、何かしらの効力を持つらしい。
「あ、そうだ! ちょっときょうかしょをよんでみるね」
- 148 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/04(木) 00:01:02 ID:vljhfSlg0
- >>147
「あうー、いちとかにとかはよめるんだけどなの…」
【どうやらまだ小学1年程度の知識しかないようだ】
「あう、だれかなの〜」
【そう言って顔写真を確認する】
「あ、これって『じょーげん』なの!!
せんせーになってるんだなの〜!」
【上弦の顔を見て実に嬉しそうな顔になった】
「あうー?
どんなほんなのかなの」
【既にかなり興味津々である。】
- 149 :オーレリア=グラムハイト:2012/10/04(木) 00:12:35 ID:lvAfSw0M0
- >>148
「えっ!? せんせいをしってるの?」
ディスが上弦の名を呼ぶと少女は酷く驚いた様子を見せる。
確かに、この周辺に住んではいるが、先生の知り合いに出会うとは思っても居なかった様である。
「ちょっとまっててね……ふむふむ」
中等錬金術1の中ほど、雪だるまの写真の載ったページを開く。
調合に必要な材料や品質特性が書かれたページの裏に、使用法が書いてある。
「『てきになげつけるとこおるばくだんです』……だって!」
効力を読み上げるオリア。聞いた限りではとても穏やかではない。
読み終えて、意味を知り、初めは満足げな表情でいたオリアも次第に気付き、驚きの余り声を上げた。
「こ、これ、ばくだんだったんだ……」
- 150 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/04(木) 00:22:07 ID:vljhfSlg0
- >>149
「うん!おはなしよくしてたんだよなの〜!
「くりすますぱーてぃ」にいったことあって、きれーなふくもらったりしたの〜」
【なんだか楽しそうだ】
「あうー、…こおるばくだん?
んー?ん、」
【しばらく考えてから】
「あうー、もしかしてあぶないなの?」
【少し緊張した顔で言う】
- 151 :オーレリア=グラムハイト:2012/10/04(木) 00:29:14 ID:lvAfSw0M0
- >>150
「せんせいとなかよしなんだねー……うぅ、うらやましい」
少しだけ頬を膨らませて羨望の眼差し。
「つ、つづきよんでみるね。
『つよいしょうげきをあたえなければばくはつはしません』……」
それを読み終わるなり、雪だるまをそっとテーブルの上に置いた。
「うーん、とうしようかなぁ……」
首を傾げて難しい顔をしている。
- 152 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/04(木) 00:31:10 ID:vljhfSlg0
- >>151
「あうー、そうなのかなのー…
けっこうふつーかとおもってたんだけどなの」
【ふしぎそうに言う】
「このまちにくるまえからしってたからなの…」
【首を傾げているようだ】
「あう?つよいしょーげき?
おとしたらだめってことかなの」
【じっと雪だるまを見て言う】
「それじゃあそっとしておいたらだいじょうぶなのかなの?」
- 153 :オーレリア=グラムハイト:2012/10/04(木) 00:42:21 ID:lvAfSw0M0
- >>152
「そんなにむかしから?
じゃあ、せんせいとすごくなかよしなんだね!」
口元に手を当てて楽しげに笑う。
さっきまでは羨んでいたものの、今は嬉しそうだ。
「たぶん……」
ちょっとした好奇心からか、雪だるまをつついている。
「かわいいからおへやにかざりたいけど、ちょっときけんだよね……」
- 154 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/04(木) 00:44:47 ID:vljhfSlg0
- >>153
「あうー、たぶんなの!
『あうてりーと』ともなかよしなのー」
【そう言って微笑んだ。友達の話となると楽しいようである】
「うーん、あぶなくないところでどっかんさせるしかないんじゃないかなの?
かわいいからもったいないけどなの…」
【名残惜しそうな顔でその雪だるまを見つめる】
- 155 :オーレリア=グラムハイト:2012/10/04(木) 01:09:09 ID:lvAfSw0M0
- >>154
「あうてりーと……あ、せんせいの」
一瞬首をひねり、直ぐに思い出したらしく。
上弦の娘にもなれば、それなりの知名度は既に持っているのだろう。
「すごいひとといっぱいおともだちだね!」
錬金術に知識がある人間には、この二人はかなりの有名人である。
「……そ、そうしようかなぁ」
うなだれた様子で溜め息を吐く。
簡易錬金釜を畳んでポーチにしまってしまう。
そっと包むように雪だるまを持って立ち上がる。
「じゃあ、いってくるね。ばいばーい」
余り乗り気では無い様子を見せたまま、カフェを後にする。
少女の足元で丸まっていた銀の狼は出て行くのを察して素早く動いていった。
- 156 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/04(木) 01:10:59 ID:vljhfSlg0
- >>155
「あうー、そんなにすごいひとなんだねなの〜!
たのしいひとたちなんだよなの」
【楽しそうに答えた】
「あうあう、そうしたほうがいいかもなの!
じゃーまたねなの〜!」
【そう言って微笑みながら手を振り見送っていった】
「あ、そういえば、おなかがすいたなの…」
【そして、まだご飯を食べていなかったことに気づいてメニューを開くのであった】
- 157 :名も無き異能都市住民:2012/10/06(土) 21:51:10 ID:lvAfSw0M0
- 普段ならば静寂が支配するはずの路地裏が、今日は少し騒がしい。
何故ならば、一人の少女がちょっと訳アリでヤの人達に追われているから。
「HEY! come on!」
しかし、少女自身は気負う様子も無く、むしろどこか楽しげで。
挑発するようなセリフも吐いて、路地裏を駆け抜け逃げていく。
追っての一人が遂に拳銃を取り出す。
それを目にした少女は跳躍しつつ半回転し、進行方向に背を向ける。
同時に背負っていたザックの横に付いたポケットから何かを取り出すと折れ曲がった何かを連結させた。
それは棒。所謂多節昆という奴。
器用にも拳銃の弾を弾いて落とすと、再び走って逃げだした。
- 158 :飼い主:2012/10/06(土) 22:11:19 ID:GFududEw0
- >>157
(今日も売人やらはいないかな・・・と。)
【赤いマントを着た男が、路地裏を散策していた。石を渡す
者―新たなる犠牲者を探すために。】
(しかし、今日は騒がしいな・・・。)
いつもは静かなのだが、と彼は思った。
- 159 :名も無き異能都市住民:2012/10/06(土) 22:18:59 ID:lvAfSw0M0
- >>158
男の前を駆け抜けていく少女。
すぐ後で数人の屈強そうな男が怒号を上げながら少女を追いかけていく。
そのうちの一人が少女を追うのを止めて、其方へとターゲットを変える。
あまり見られたくは無い光景だろう。故に口封じをしに来たと見える。
例えば声を掛けるなど、一切の配慮も見えないままに拳銃を取り出し、引き金を引いた。
- 160 :飼い主:2012/10/06(土) 22:45:16 ID:GFududEw0
- >>159
「ん?何をする気だい?」
【赤いマントの男は顔色も変えずに言った。】
「君たちはロリコンかな?」
- 161 :名も無き異能都市住民:2012/10/06(土) 22:52:58 ID:lvAfSw0M0
- >>160
会話をする程優しい人種では無い。と言う事である。
既に引き金の引かれた拳銃からは殺意の塊が男を狙って飛んでいた。
一方少女は相も変わらずただ只管に逃げ続けている。
突然現れた男に対して助けを求める。と言うのも考えたが、其方が動く様子も無いので諦めた様子。
寧ろ一人が其方に釘付けになって居る事で、ソイツを置き去りにして逃げ続ける事にしたようだ。
- 162 :飼い主:2012/10/06(土) 23:05:21 ID:GFududEw0
- >>161
「やれやれ、血が濃い肉塊だ。」
【放たれた銃弾は彼の体を抉り、血飛沫が散った。が彼は
何事もないように言った。】
「銃ごときで殺せると思うのかい?」
- 163 :名も無き異能都市住民:2012/10/06(土) 23:18:38 ID:lvAfSw0M0
- >>162
男は舌打ちをすると、真っ先に背を向けて逃げ出した。
彼は能力を持たない側の人間なのだろう。故に、武器はこれしかない。
となれば、対抗手段も無い訳で、逃げるほかは無かったのである。
少女は走り去ってしまい、既に裏路地は静寂を取り戻していた。
- 164 :飼い主:2012/10/06(土) 23:27:47 ID:GFududEw0
- >>163
「逃げた・・・か。」
【彼はつまらないと言った表情だ。】
この距離ならサーチアイで探せるだろう。だがそれをする
必要はない。
(もしかしたらまた殺しにくるかもね。)
- 165 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/07(日) 20:03:56 ID:vljhfSlg0
- 「あうー、おむすびおいしいなの」
【公園のベンチの上でディスは爆弾のようにでっかい握り飯をむしゃむしゃと食べていた】
「これどうやってつくるのかなの…
がんばったら『でぃす』でもできるかなの?」
【どうやら近くのコンビニにあった「ドラゴン専用」おむすびのようだ】
【普通の人間ならば食べきるのも苦しい大きさのこのおむすびもディスにとっては楽勝のようである…】
- 166 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/07(日) 20:07:13 ID:vljhfSlg0
- //ここはageておかねば
- 167 :石崎 賢一 ◆U9t0l68smw:2012/10/07(日) 20:40:13 ID:GFududEw0
- >>165
(明日も休みだ・・。)
その事を思うと、彼の顔はついニヤけてしまう。月曜日
がいなくなっただけでこんなに気分が晴れやかだなんて―
(ま、火曜日が月曜日になるだけだけどね。)
【ヘッドホンをかけた学生服の青年が、公園の近くにいた。】
- 168 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/07(日) 20:47:32 ID:vljhfSlg0
- >>167
「もぐもぐもぐ…
あうー、もいっこほしいかなの…」
【握り飯を半分以上食べ終えたところでディスはちらりと石崎の顔を見る】
「あうー?こんばんわなの〜。
だれかなの?」
【注意深くディスはその姿を見つめる…】
- 169 :石崎 賢一 ◆U9t0l68smw:2012/10/07(日) 20:53:16 ID:GFududEw0
- >>168
(はぁ・・・・)
【しかし、火曜日という現実が彼に襲い掛かる。四日しか高校
に行かなければいいとはいえ、それでも登校だ。彼には割りと
苦痛である。】
「ん?なんか声がしたような。」
【彼はヘッドホンをはずした。】
ディスに見えたのは黒髪の、ヘッドホンを首に掛けた高校生
らしき人物であった。
- 170 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/07(日) 20:59:34 ID:vljhfSlg0
- >>169
「ん、こんばんわなの」
【全身に包帯を巻いた少女は指についた米粒を舐めながら微笑んだ】
「あしたからがっこだったかなの?」
【思い出したように質問をしてきた。ちなみに口元にまだ米粒がついている】
- 171 :石崎 賢一 ◆U9t0l68smw:2012/10/07(日) 21:03:56 ID:GFududEw0
- >>170
(この夜で全身包帯か・・・・。)
この光景は並のロリコンですら少しの恐怖を抱くであろう・・・
と彼は思った。
「いや、明後日から学校だ。学生は学校に行くのが本業だが
拘束時間が約半日だからな・・・」
【彼は何か悟った風に言った。】
- 172 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/07(日) 21:20:59 ID:vljhfSlg0
- >>171
「ふぅん、よかったのー。
あしたもおやすみなんだねなの」
【微笑みながら返す】
「だからしゅくだいでなかったのかなのー。
あしたもおやすみでゆっくりできるからなの〜」
【そう言ってもう一つ爆弾のように大きな握り飯をコンビニの袋から取り出した】
- 173 :石崎 賢一 ◆U9t0l68smw:2012/10/07(日) 21:23:38 ID:GFududEw0
- >>172
「えっ」
(宿題?そんな物がこの世にあるわけがない。いや、あるわけ
ないじゃないか、そんな忌々しい物―)
【彼は一瞬、顔を引きつらせ動揺をした。俗物である。】
「随分大きな握り飯だな・・・・」
(需要あるのかこれ・・・)
【握り飯を見ながら、彼は驚いて言った。】
- 174 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/07(日) 21:32:31 ID:vljhfSlg0
- >>173
「むー?どうしたの?
もぐもぐ」
【ディスは何ら問題なく食べ始めた】
「あうー、おむすびのつくりかたしらないかなの?
おいしいから『でぃす』もつくってみたいなの」
【そう言ってドンドンと食べていく】
- 175 :石崎 賢一 ◆U9t0l68smw:2012/10/07(日) 21:43:51 ID:GFududEw0
- >>174
「いや、なんでもないよ。」
【すぐさま平然を装う。こういう事の演技は割りとうまい彼であった
。】
「炊いたお米を塩掛けて握ればできるよ。」
というかそうとしか言いようがない。具とかも普通に入れれば
できる。
- 176 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/07(日) 22:04:27 ID:vljhfSlg0
- >>175
「そっかなの。」
【ディスもその演技を信用してなのか気にもとめていないようだ。】
「あうー、かんたんなんだねなの。
ちょっとあとでためしてみよっかなの…」
【のんきに考えながらドンドンと握り飯が消えて行く】
【小さな子供に似合わぬほどの涼をドンドン平らげていくのであった】
- 177 :石崎 賢一 ◆U9t0l68smw:2012/10/07(日) 22:12:34 ID:GFududEw0
- >>176
(なんていう大食漢・・・・いや漢は少し違うか。)
フードファイターとか出れば相当いいところまでいくんじゃないかな
と彼はおもっていた。
「しかしよくそんな量食べられるな・・・」
【彼はまじまじ見ながら言う。】
- 178 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/07(日) 22:16:00 ID:vljhfSlg0
- >>177
「むぐむぐ…ん?
そうかなの…」
【大きな握り飯をあっという間に平らげ、ディスは首を傾げた】
「みんなとおんなじだとなんだかおなかがすいてなの…
2こたべたけど、できたらもっとたべたいくらいなの」
【どうやらディス自身も困っているようだ】
「これだけだとうんどうしたらおなかがすぐにすいちゃうなのー…」
【はあ、と溜息をついた】
- 179 :石崎 賢一 ◆U9t0l68smw:2012/10/07(日) 22:42:03 ID:GFududEw0
- >>178
(間違いなく大食いで優勝できるな)
「そんな事言われても今お金が無いんだよね・・・」
ちなみに使い道は同人誌である。どんな内容かは
察してもらいたい。
「よく噛んで食べれば少しは持つんじゃない?あとは餅を
食べるとか。」
- 180 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/07(日) 22:46:56 ID:vljhfSlg0
- >>179
「あう、そっかなの…
おかねもないといっぱいたべられないよねなの…」
【ひどく困った顔で言った】
「なるほどなの、たしかにおもちだったらいっぱいになりそうなの!
よくかんでたべてるつもりなんだけどなのー」
【軽く頭を下げる】
- 181 :石崎 賢一 ◆U9t0l68smw:2012/10/07(日) 22:53:57 ID:GFududEw0
- >>180
「ああ、そうなんだ。」
食かぁー、ジャンクフード中心・・・・ていうわけじゃないが
それでも割りと変化に乏しい食生活である。
「ただ喉に詰まらすと危ないんだけどね。」
餅を食べると9が五桁のダメージが出て死ぬ某ローグライクゲーム
もあるのだ、窒息死は恐ろしいものだ。
- 182 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/07(日) 23:00:36 ID:vljhfSlg0
- >>181
「でもおなかいっぱいたべられておかねももらえるところがあっていいとおもうなの!」
【そう言って微笑んだ。つまり…大食いチャレンジだろう】
「あうー、つまるのはたいへんなの…
だったらいっぱいたべるのはあぶないかなの…」
【そう言って深く考える】
「いろんなおみせさがしてみよっかなの」
- 183 :石崎 賢一 ◆U9t0l68smw:2012/10/07(日) 23:06:42 ID:GFududEw0
- >>182
(たぶん何も考えずにチャレンジしまくった結果
禁止されるパターンなのかこれ。)
「でもこんな夜中にはやってないんじゃないかな?
朝くらいじゃないと。」
【そう言った後、彼は付け足すように言った。】
「あと、そう何度も優勝はしないほうがいいね。最初は2,3位
になっておいて、でたまに一位になるとか。」
割りとずるいが禁止になる理由が分かりそうにないだろう。
なので最初に彼は注意しておくことにした。
- 184 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/07(日) 23:17:15 ID:vljhfSlg0
- >>183
「むー…やっぱりよるはないよねなの…
かふぇだったらあいてるのになのー」
【残念そうに答える】
「あうー?ゆーしょーしないようになの?
ふつーにたべてるだけなんだけどなの…
もっとゆっくりたべるってことかなの?」
【困った顔をして返す】
- 185 :石崎 賢一:2012/10/07(日) 23:33:20 ID:GFududEw0
- >>184
「うん、優勝しすぎると出場禁止になるかもしれないし。」
【彼は少し、苦笑して】
「まぁ、大人の事情かな?」
- 186 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/07(日) 23:38:18 ID:vljhfSlg0
- >>185
「うーん、へんなのー」
【納得行かなそうな顔である】
「じゃあ、ゆっくりたべたらいいのかなの?」
【そう言って首を傾げた】
- 187 :石崎 賢一 ◆U9t0l68smw:2012/10/07(日) 23:55:57 ID:GFududEw0
- >>186
「納得が行かない、いや、行かないからこその『大人の事情』かな。」
【彼は苦笑して言った。】
「まぁ、ゆっくりというよりは、他の人がどのくらい食べているか
を見て、ペースをあわせるのさ。二位の人と同じくらいのスピード
で食べたりとか。」
- 188 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/08(月) 00:06:06 ID:vljhfSlg0
- >>187
「おとなのじじょー…
あうー、そういうものなのかなの?」
【なんか不満気である】
「なるほどなの!
つまりほかのひととおんなじくらいたべればだいじょぶってことなんだねなの!」
【納得したのか、嬉しそうな顔をする】
「ありがとなの!よくわかんないけど、これでいっぱいたべられそなの!」
- 189 :石崎 賢一 ◆U9t0l68smw:2012/10/08(月) 00:09:16 ID:GFududEw0
- >>188
「うん、まぁでもね、健康的には腹八分目のほうがいいのさ。」
彼的に趣味に没頭するには腹八分目のほうが彼は集中できる。
【そう言った後、彼は携帯を取り出した。】
(さて、明日なんか予定的なものあるかな・・・・。)
- 190 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/08(月) 00:11:15 ID:vljhfSlg0
- >>189
「そうなんだなの…
はらはち…ってどんなふうなのかなの?」
【どうも聞きなれない言葉なのか、不思議そうな顔で答える】
「あうー…ちょっとねむいかもなの…
ん?なにをみてるの?」
【軽く欠伸をしてからじっと携帯を見る】
- 191 :石崎 賢一 ◆U9t0l68smw:2012/10/08(月) 00:25:33 ID:GFududEw0
- >>190
「んー、まぁお腹がいっぱいと言われればいっぱいって
いう具合さ。でも満腹っていうわけでもない。」
「ん?予定表さ。明日、何をするのか考えるのさ、大抵は
ゲームで終わるけど。」
【彼は笑いながら言った。】
- 192 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/08(月) 00:30:37 ID:vljhfSlg0
- >>191
「ふーむ、なかなかむずかしいなの…」
【感心しているが、どこか不思議そうな顔である】
「あしたなにするかなの…
『でぃす』はあんまりかんがえてないかもなの。
とりあえず、なにたべよっかなとかばっかりなの…」
【そう言ってまたあくびをした】
- 193 :石崎 賢一 ◆U9t0l68smw:2012/10/08(月) 00:40:46 ID:GFududEw0
- >>192
「んまぁ、学生はそういうの考えないとね、うん。」
そんな事を言ってもゲームやらなんやらで終わって
最後に宿題は答え写しという残念な結末だが
「何を食べるかだけか・・・・ある意味幸せだな」
- 194 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/08(月) 00:44:46 ID:vljhfSlg0
- >>193
「あうー、やっぱりべんきょーがひつようだよねなの」
【どうやらよくわかったらしい。ディスは何処か難しそうな顔をしている】
「うーん、ほかのこともかんがえてみたほうがいいかなの」
【そう言ってディスは立ち上がる】
「ふぁー…あしたからいろいろかんがえるの…
きょうはねむいから…もうかえるねなの」
【大きく欠伸をしてからディスは軽く手を振り】
「じゃあまたねなのー。
またあえたらいいねなの…」
【ポケットから鍵を取り出してから、その場を去っていった】
//おつかれです
- 195 :石崎 賢一 ◆U9t0l68smw:2012/10/08(月) 00:51:43 ID:GFududEw0
- >>194
「ああ、んじゃまた。」
【彼は小さく振りながらディスを見送った。】
「さて、愛しの家にでも戻りますか。」
【彼はそう思うと、携帯をしまい、ヘッドフォンをかけた後、
公園を立ち去った。】
//おつかれさまでーす
- 196 :高向谷 司朗:2012/10/09(火) 22:10:06 ID:Dnkg9kSs0
- 「……あれ?歪みに巻き込まれた?
でも同じ公園だ……」
司朗は周囲をキョロキョロ見渡した。
「"中の人"という存在が"スレ"と呼ばれる空間を間違えたらしいな。
まあ、只の歪みとそう変わるものではない、気にするな」
司朗の腰にぶら下げられている、
竜の紋章が描かれたプレートが喋った。
「ちょっと意味わかんないです。
……まあいいや、とりあえず続き続き……」
- 197 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/09(火) 22:28:18 ID:vljhfSlg0
- >>196
【公園の近くから一人歩いてくる影がある】
「やはり…余裕が有るのはいいこと…」
【少しずつお金を財布に入れた…用に見える】
「ひとまず…姉のためにいくつか使うとして…
後は貯金ですね…」
【なにかブツブツ言っている・・・】
- 198 :高向谷 司朗:2012/10/09(火) 22:39:10 ID:Dnkg9kSs0
- 「あー、頭痛くなってきたわ……」
司朗は帳を閉じてうなだれた。
そして、再び顔を上げた。
「あ、防人だ」
そして、公園の砲に歩いてくる鶫を発見した。
「あーあいつ姉妹いるのんかー」
間の抜けた声で呟いた。
どうせこっちに向かってくるのだからと、
もう少し近づくまで声は掛けない。
- 199 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/09(火) 22:48:25 ID:vljhfSlg0
- >>198
「欲があるわけではありませんが…
さすがにこれだけのお金は…ん?」
【色々思考を巡らせた後、顔を上げて司朗の姿を発見する】
「む、もしかして聞こえてましたかね…
どうもこんばんは〜」
【少し恥ずかしそうな顔をしながらも手を振って近づいてくる】
- 200 :高向谷 司朗:2012/10/09(火) 22:54:25 ID:Dnkg9kSs0
- >>199
「うーい」
声を掛けられて手を上げた。
「や、やめろっ!
早く財布を仕舞え!そいつは俺にはまぶしすぎて何も見えない!」
司朗は目を押さえながら言った。
しがない大学生には、大会優勝者の財布はまぶしいのである。
「ったく、俺が能力者じゃなかったら失禁してるところだぜ……」
失礼である、女性の前で。
- 201 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/09(火) 22:56:39 ID:vljhfSlg0
- >>200
「えっと、すいませんでした!」
【慌てて財布をポケットに突っ込んだ】
「失禁だなんて大袈裟な…
いえ、なんか見せびらかしてる風になってすいません」
【軽く頭を下げる】
「しかし・・・ここで読書でもしているんですか?」
【ふと、目に入った本をじっと見つめて答える】
- 202 :高向谷 司朗:2012/10/09(火) 23:06:08 ID:Dnkg9kSs0
- >>201
「これ?ティルヴァの数百年前の弟子の子孫が書いた魔術の研究手帳」
司朗は本を見せながら言った。
「でも九割は意味わかんないのよね。
このページとかさ」
そう言って、大きく魔法陣が描かれた魔導書を開いて見せた。
「何のための陣なのか全然……」
「おい司朗」
「へ?」
突然、ティルヴァが喋った。
「急いで本を閉じろ」
「なんだよやぶから棒に……」
司朗は本を閉じようとした――次の瞬間。
「わきゃっ!!!」
魔法陣が安っぽい音を立てて爆発し、
パーティ用のクラッカーのように紙ふぶきとリボンが周囲に飛び散った。
- 203 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/09(火) 23:11:15 ID:vljhfSlg0
- >>202
「んん?
たしかによく読めませんね…英語でもスペイン語でもないです…」
【その手帳を覗きこんで鶫はふしぎそうに首を傾げた】
「え?閉じるんですか?
もうちょっとみてみt」
【言い終わる前に突然】
「わぁっ?!」
【ちょうど紙吹雪やらが鶫の顔に命中した】
「び、びっくりしました…
なんでしょうこれは?誕生日を祝うもの…ですかね?」
【不思議そうな顔で辺りに飛び散ったアイテムを見回す】
- 204 :高向谷 司朗:2012/10/09(火) 23:20:09 ID:Dnkg9kSs0
- >>203
「暴発だ、本来は相手の魔術を分解し、
魔力として吸収する術だ」
「えらく具体的な暴発だな……」
司朗はリボンをつまんで見せた。
ティルヴァによると、本来の効果とはまったく違うらしい。
「で、これ俺に使えるの?」
「無理だな、精密な魔力変換が必要になる上、
使用前に相手の系統と魔力の性質をよく知らなければならない。
たとえ相手が同じ流派の使い手だとしてもまず不可能だ、実戦には不向きだな。
只の実験の一環として記録したらしい」
ティルヴァは術を詳しく解説する。
「……と、言う事だそうだ。
それがなんでリボンなんだろうね」
- 205 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/09(火) 23:24:15 ID:vljhfSlg0
- >>204
「むー…
普通とは違うんですか?」
【不思議そうな顔で言う】
「ふーむ、魔力関係はよくわかりませんが…
要するによく調べないと使えないってことですか」
【少し納得したように答える】
「なんででしょうね…
やっぱり誕生日を祝うためにそういう設定にしたんじゃないでしょうかね?」
【少しのんきな答えを返す。】
- 206 :高向谷 司朗:2012/10/09(火) 23:31:08 ID:Dnkg9kSs0
- >>205
「まあ、この本は安易に開かない方がいいな」
「お前がもう少し魔力を制御できれば問題ないのだが」
どうやら司朗の未熟さが引き起こしたようである。
「あ、でさ、そういやさっき姉貴がどうとか言ってたけど何?
防人のお姉さん借金でもしてんの?」
思い出したように言った。
「だめだよそういうのは情けかけちゃあ」
- 207 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/10/09(火) 23:39:30 ID:vljhfSlg0
- >>206
「そうですね。
こういうのだから良かったとはいえ、かなり危険なのもあるかも知れません」
【少し考えてから言う】
「えっと、やっぱり聞いてましたか?
いやー、恥ずかしい限りです…」
【恥ずかしそうに頭を掻いた後、口を開く】
「詳しくは言えないんですが、私の姉はずっと病院で眠り続けているんです。
ですから…少しくらい体を維持させる場所が必要なんじゃないかなと思って…」
【そう言って軽く笑った】
「本当に…時間が止まったみたいに眠るままなんですけどね…」
- 208 :高向谷 司朗:2012/10/09(火) 23:48:40 ID:Dnkg9kSs0
- >>207
「昏睡状態?
……そりゃ大変だ、すまん」
人事とは思えない。
そこまで重症でもないが、仮にも自分も一度生死の境をさまよったのだから。
目覚めた後、家族に会ったときに流された涙は今でも忘れられない。
「言えないなら聞かないけど……。
呪術魔術関係でそういうことになってるなら、いくらでも相談には乗るぞ?
……俺は未熟だからその役目はティルヴァになるだろうけど」
「私にとって鶫もまた恩人だ。
従って司朗と同じ意見を出そう」
恩とは、ティルヴァが身体を取り戻した戦いのことだろう。
//念のため…ずっと名前欄がディスになっとりますが
- 209 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/09(火) 23:54:47 ID:vljhfSlg0
- >>208
//うーん?直したはず何だけどなぁ
「いいえ、いいんです。
隠し事ではありませんし」
【効かれないから答えない、それだけなのだろう。鶫は無理に明るそうに見せている】
「魔術関係ですか…
もしかしたらそうなのかも知れませんね。
私にはわかんないんですけど…」
【そう言って顔を下に向ける】
「…でもありがとうございますお二人とも…
少し希望が持てたかも知れません…お姉ちゃんのためにもっと強くなりたいって願ったので…」
【先程よりはいい顔になっている】
- 210 :高向谷 司朗:2012/10/10(水) 00:03:43 ID:Dnkg9kSs0
- >>209
「そうかあ……姉ちゃんのためにね……」
鶫の話を聞いて、司朗は俯いた。
「……俺は……どうして強くなりたいんだろ……」
司朗は心の内に、自身の強さに根拠のようなものが無いのでは無いかと考えた。
しかし、すぐに顔を挙げ、自分の帽子のつばをつまんだ。
「いや、そんな事で悩んでたらこの帽子に笑われるな」
「……いったいその帽子にどのような思い入れがあるのやら」
ティルヴァが呟いた。
「だからフーテンの寅さんに貰ったっつってんだろ!」
(前と言っていることが違うな)
- 211 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/10(水) 00:09:21 ID:vljhfSlg0
- >>210
「ええ、まあ色々理由はあるんですが。
まあおおまかな理由はそれなんです」
【少し恥ずかしそうに答える】
「別にいいじゃないですか。理由なんてどうでも」
【明るい顔で鶫は答える】
「何となくでも志すのは立派なことだと思いますよ。」
【軽く頷いて答える】
「そういえばそうですね。
大事な一品なんですか?」
【じっと帽子を見つめて言う】
- 212 :高向谷 司朗:2012/10/10(水) 00:16:52 ID:Dnkg9kSs0
- >>211
司朗の帽子は、日によって変わっている事もあり、
帽子そのものよりも、被る事が重要なのだと思われる。
「まあ、俺の正義観の象徴って言うかな、な?
いや、思ってるほど深い意味はないんだよ、それじゃ!」
司朗はつまんだつばをそのままぐいっと下げて、
どういうわけか照れくさいらしく、顔を隠して後ろを向いた。
「んじゃ!それじゃ!またな!」
「まったく、何がそこまで……」
慌しくそのまま走って行ってしまった。
- 213 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/10(水) 00:21:07 ID:vljhfSlg0
- >>212
「そうですか。…まあそれなら気にしませんよ」
【納得した顔で答え】
「あ、はいさようならー!」
【大きく手を振り見送った】
「…見せたら驚きそうですね…」
【そんなことを呟きながら鶫も去っていった】
- 214 :高向谷 司朗:2012/10/18(木) 22:33:38 ID:Dnkg9kSs0
- 「いやあ、最近は平和ですわな」
司朗はとある交番でお茶を啜っていた。
「何とか言う帝国も見なくなったし、
何とか言う人外排斥集団も息を潜めてるし、
研究所もカノッサも事件見ないし」
司朗は机に顎を付いた。
同時に目の前に投げ出される新聞。
投げたのはこの交番の駐在、原田だ。
「……あらやだ、こんなに事件が。
いやあ、俺がニュース見てないだけだったとは」
司朗はため息をついた。
それを見て原田は笑う。
「ったくもー、もう帰るかんね。
十分暇も潰れたし。お邪魔しましたー」
司朗はお茶を一気飲みして、交番を出た。
「おおっ、さぶっ……。
もうこんな季節か……」
- 215 :名も無き異能都市住民:2012/10/18(木) 22:51:01 ID:SSMHlh/20
- >>214
司朗が交番を出て10分ほど経った頃。
ゆがみにいつの間にか巻き込まれたか、それとも曲がる場所を間違えたのか。
スラムやクニナシ地区といった危険区域に挟まれた場所で、
治安が悪いわけではないが皆気味悪がってあまり通らない区域にでてしまった。
とはいえ、余り通らないというだけで街灯もついているし、2、3分に一度は自動車も通る。
本来なら、めんどくさいなあ。でも済むところなのだが……。
気づくだろうか。工場区域から垂れ流されたドブ川の汚泥のにおいに紛れて、
どこからか『生き物』が焼ける匂いが漂ってきているのを……。
- 216 :高向谷 司朗:2012/10/18(木) 23:04:25 ID:Dnkg9kSs0
- 「すっべーてをー♪のっみーこむー♪
くらっやみーの、そーこにー♪」
司朗は歌いながら歩いていた。
スキップを交えながら、ノリノリで歩く。
「……何所ここ?」
歪みに巻き込まれて三十秒。
司朗はようやく自分の置かれている状況に気付いたらしかった。
「あっちゃー……。
こりゃ帰るの遅くなりそうだわ……」
「司朗、匂うぞ」
「ん?」
腰のエンブレム、ティルヴァが呟いた。
「ドブの匂いしかしな……お?」
ティルヴァに言われて初めて気付く、どこかから漂ってくる香り。
「バーベキューかな……なんつって。
……もうちょっと帰るの遅くするか」
「……向こうだ」
司朗はティルヴァの指示で、匂いを辿って歩き始めた。
- 217 :名も無き異能都市住民:2012/10/18(木) 23:22:26 ID:SSMHlh/20
- >>216
案の定というべきか。匂いの元はスラムに続いていた。
途中、浮浪者がドラム缶を囲み何かを炙っている所に出くわしたが、
燻製肉と思われるそれとは全く違う。
――薄く大気に溶け込んでいるものの、
呼吸器にべっとりと張り付いてくるような不快なにおい。
そのまま2ブロック程歩くと、その匂いはますます強くなり、
背の高い枯れた雑草が伸び放題にされた林のような場所に出た。
恐らく、元々は公園化何かだったのだろう。
その雑草に遮られ、よく見えないがにおいは確実にこの奥からだ。
- 218 :高向谷 司朗:2012/10/18(木) 23:32:05 ID:Dnkg9kSs0
- >>217
「……随分歩くんだなあ」
ティルヴァの指示で歩き続け、
司朗は自分の鼻でも容易に匂いの元を嗅ぎ取れる程の場所まで歩いてきた。
林の中の、適当な太目の樹に隠れる。
「さあてと、鬼が出るか蛇が出るか」
右手に角を出現させ、樹から先っちょを覗かせる。
意識を集中させて、気流を精密に感じ取る。
果たして、ここで何が行われているのか。
- 219 :名も無き異能都市住民:2012/10/18(木) 23:46:06 ID:SSMHlh/20
- >>218
周囲はは滅多に人も来ず、もし来たところで
草木に囲まれており炎は見えないし手入れをされていない万年樹の枝葉によって
煙も、空に立ち昇る前に散って分かりにくくなってしまうこの場所は、
悪事を行なうには最適の場所といってもよい。
――パチッ、パチッ。
炎が爆ぜる音と、むせ返るような『肉が焼ける匂い』。
「……なかなか燃えねぇなあ。
あんまり空けるのもヤバイんだろ、大丈夫かい聖女さんよ。」
「仕方がありません。我々の目的は『人外どもの廃滅』。
鰊は頭から腐るように、今の上層部の堕落が明らかな以上、
我々が正義を行なうしかない。」
それを囲むようにして、数人の人物が言葉を交わしている。
炎のせいで気流に乱れが生じ、読みとりにくく現状では正確な人数を
うかがい知ることはできない。
- 220 :高向谷 司朗:2012/10/19(金) 00:00:47 ID:Dnkg9kSs0
- >>219
「……まあ、どう考えても"あの集団"だよなあ」
司朗はその場に座り込んで、気流の探知を続ける。
「……っとまてよ?
早とちりはよろしくない。
まずアレが犯罪だって確固たる証拠を見つけなきゃあ」
司朗は感覚を更に研ぎ澄ます。
「俺は警察じゃあないんだから、現行犯で無いとこっちが悪者だぞ、っと」
相手は人外排斥の集団と思われる。
果たして、そんな解りやすいものが見つかるのだろうか。
「ミノタウロスの頭なんかが転がってても現行とは言えんよなあ……。
専門の分析でもしないとただの牛と見分けつかないだろうし」
変な事を気にしながら、司朗は探索を続けるのだった。
- 221 :名も無き異能都市住民:2012/10/19(金) 00:08:58 ID:SSMHlh/20
- >>220
「おい、休憩はそろそろ止めて穴掘るぞ。
ティーザ、ライル、来い。」
「心得た。」
「ああ。」
火のそばから離れる者が3人。
聞こえてきた声の感じから、先ほど話していた男女、
そしてこの3人の5人は最低でもこの場にいる。
――――ザッ、ザッ、ザッ。
そして……マズイことに、
司朗が隠れる木陰の方向に、3人が近づいてくるではないか。
逃げるか?それともこの場に留まるか?
- 222 :高向谷 司朗:2012/10/19(金) 00:21:06 ID:Dnkg9kSs0
- >>221
「っべ……こっち来たよ……。
……どうする?」
司朗は逃げようとしたが、音を立てずに逃げられる自信は無い。
司朗は思い切って、角を体内に引っ込める。
そして帽子を地面に叩きつけ、泥を上着に塗りつけた。
「おうっとっとっと。
寒くなってきたなあ、ちょっと入れてくれよ」
わざとらしく躓きながら、ガサガサと音を立てて立ち上がった。
火に向かって、見つかるように歩いていく。
先ほど燻製を作っていた浮浪者を思い出し、その姿を装ったのだ。
果たして司朗は何を見るのか。
- 223 :名も無き異能都市住民:2012/10/19(金) 00:28:29 ID:SSMHlh/20
- >>222
飛び出した瞬間、司朗の頭上に煌いたのは
焚き火の炎を受けてぎらりと輝く白刃であった。
炎の中には、未だに原形を残す裸の遺体が4つ。
そのうち二つは人間のようだが、残りの一つは悪魔のような羽を
背中に生やしており、もう一つは獣人のようだった。
「――!」
繰り出された刃は音に反応した咄嗟のもので狙いはやや甘い。
残りのものは、顔を隠そうとローブや仮面を被る。
- 224 :高向谷 司朗:2012/10/19(金) 00:42:53 ID:Dnkg9kSs0
- >>223
司朗の頭上に振り下ろされる刃。
「ぎゃっ!!」
刃は脳天を直撃し、帽子に食い込んだ。
司朗はその場に倒れ伏す。
「……死ぬかと思ったわ!変装意味ねーし!」
が、司朗は立ち上がった。
真っ二つになった帽子の中から、板状の魔道具が落ちてくる。
ついでにバラバラと上着の中から板っ切れが落ちる。
泥を塗りつけたとき、上着や帽子の下に入れたのだ。
「くっそ!俺のお気にの帽子を――汚してまでやったのに――許さん!」
頭から落ちてきた魔道具をキャッチし、司朗は呪文を唱える。
Starke Wind wird Schuppe und leuchtet!
「強き風よ、鱗となりその輝きを示せ!」
司朗の手元に風が集束し、透明な壁となる。
それが回転しながら、焚き火の近くの集団の元に迫った。
元々は攻撃用の技ではない為威力は無いが、
当たればこかすぐらいの事は出来るかもしれない。
- 225 :名も無き異能都市住民:2012/10/19(金) 00:59:13 ID:SSMHlh/20
- >>224
手ごたえで仕留められなかったと見た敵の一人は、
体勢を立て直すようにバックステップ、その他近寄ってきていた二人もすぐさま
戦闘態勢に入り、陣形を組む。
『天空のあるじはその御手をかざしたもうた。
信徒よ、恐れる無かれ。貴方達はその手に抱かれているも同じである。』
火の近くにいた敵の一人が聖句のようなものを唱えると
薄く黄金に輝く光の壁が現れ、司朗の風を防ぐ。
攻撃用の技ではない術では、防御を破ることはできなかった。
――ヒュンヒュンッ
体勢を立て直した、近くの集団の一人が威嚇するように剣を回すように動かす。
次の瞬間――司朗の目の前に剣が突き出された。
- 226 :高向谷 司朗:2012/10/19(金) 01:08:01 ID:Dnkg9kSs0
- >>225
「だらっしゃあ!」
剣を振り払うように、腕を横に薙いだ。
その腕には白銀の角が出現しており、角が剣を阻む。
「竜醒突破槍!」
右腕から、十八本の角が出現する。
角は捻れる様に一本の長い円錐状にまとまり、突撃槍と化す。
竜醒突破槍が生成、伸びる勢いがそのまま、
剣を突き出した一人に向かって行った。
- 227 :名も無き異能都市住民:2012/10/19(金) 01:16:51 ID:SSMHlh/20
- >>226
――ガギッ!!
精製された槍は吸い込まれるように胸部へ。
しかし、直撃はせず直前で障壁のようなものに阻まれてしまった。
「グッ……!」
しかし、敵はよろめく。
追撃のチャンス――とはいかない。
「イエあああああッ!!」
敵は一人ではないのだ。
気合も十分に、例の剣を突き出した者の背後に控えていた一人が、
メイスを片手に、司朗へと突っ込む。
メイスは甲冑を着込んだ相手をその甲冑ごとたたきつぶすことを目的とした武器であり、
一見、甲冑に損傷が無いように見えても内部に衝撃が響き致命傷となることもある。
- 228 :高向谷 司朗:2012/10/19(金) 01:28:32 ID:Dnkg9kSs0
- >>227
「俺に死角は存在しねーぜ!」
司朗は身体を傾けてメイスを避けながら、振り返った。
角を出現させている限り、司朗の角は風を読む。
右腕の槍を引っ込め、手首、肘、肩の、基本形六本に押さえ、そのままメイスの男に向かって行った。
司朗は焚き火の中に燃える影を横目に見る。
「借りるぞ、お前らにやられたこいつらの力を!」
司朗の左肩口を、メイスが掠めていく。
肩の骨が砕けたような衝撃が襲うが、止まってはいられない。
司朗は呪文を唱える。
Fee Berges Stahles, Hoerten Sie Singstimme!?
「鋼の山に住む精霊よ、歌声は届いているか!」
Tanzen und sprengen Funke Schmiedes!
「踊って弾けろ、鍛鉄の火花よ!」
右腕の角に、渦巻く焚き火の炎が吸い込まれていく。
灼熱の火花が、司朗の右腕に飛び散った。
「爆熱ショックパアアアンンチ!!!」
その右腕の灼熱のパンチを、角によって強化された筋力と共に、メイスの男に叩き込もうとした。
- 229 :名も無き異能都市住民:2012/10/19(金) 01:47:16 ID:SSMHlh/20
- >>228
「『旅人の章42節。旅人は天空のあるじに問うた。
なぜ、あなたは麦畑だけを照らさず、熱病の如く私の体を焼くのですか?』」
例の聖句。
しかし、なにが起こるでもなく司朗の拳がメイスの男に叩き込まれる。
すると――。
――ガンッ
また、例の障壁だ。敵はやはりよろめいただけで、
この障壁をどうにかしない限り、敵に有効打を与えられない。
そして、次の瞬間に異変は起こった。
「『天空のあるじは答えた。なぜ、あなたは他のものどもも、
あなたと同じく、公正に照らされるべきでであると考えないのか?』」
――ヒュボッ
空間から突然、半透明の炎をまとった拳が飛び出した。
相手の攻撃をコピーする類の能力に似ている。
そして同時に、体勢を立て直した剣の男と、
後ろで控えていたもう一人の男が連携しつつ司朗へと迫る。
四方から絶え間なく続く攻撃。いつまで捌けるか……。
- 230 :高向谷 司朗:2012/10/19(金) 02:00:37 ID:Dnkg9kSs0
- >>229
「爆熱ショックパンチも利かない!?」
そんなテンプレのような台詞を叫んで、司朗は両脚に角を生やした。
強化された脚力で上方に逃げ、司朗は木の枝に捕まる。
「多勢に無勢か……!
したくは無いが、戦略的撤退……!」
右腕に再び槍を出現させ、敵に背を向ける。
そして左手に持った魔道具を敵に翳す。
Uralt Gebell werden Sturm!
「太古の咆哮よ、嵐となれ!」
途端に魔道具から暴風が吹き荒れ、司朗はそれを推進力に。
暴風は砂ぼこりを巻き上げて、少しでも逃げ道を確保する。
そして司朗は槍で空を裂きながら飛んでいった。
- 231 :黒沢小百合:2012/10/20(土) 23:30:59 ID:SSMHlh/20
-
白刃が白熱灯の光で煌き、あわれな男の肩から胸がぱっくりと裂かれる。
そこからどくどくと流れ出す血潮は、砂に染み込み、血溜まりを作る。
その血溜まりに、背後から頭を叩き割られた別の剣士の肉体が力なく投げ出され――。
「フン、まるでトカゲの喧嘩を見ているようだ。
単調で、あまり興をそそる出し物とは思えませんねぇ……。」
都市の暗部のひとつ。地下暗黒街に存在する違法闘技場の今日の出し物は、
互いに足を鎖に繋がれ、距離がある程度より開かない仕組みがなされた
数人の剣士の殺し合い。
円形闘技場を見下ろすVIPルームからそれを観賞する小百合は、
その趣向に面白さを見出せなかったらしく、モニターから目を離して
バーカウンターへと着く。
- 232 :高向谷 司朗:2012/10/21(日) 22:24:21 ID:Dnkg9kSs0
- 竜の角――。
高向谷司朗の持つ異能力。
全身から最高四十本の"角"を出現させる事が出来、
角が出現している付近の身体能力が上昇。
そして、角そのものは触覚となり、気流を精密に読み取る事が出来る。
また、角の形はある程度変形させる事が出来る。
「たまには自分の"能力"の修行もしないとな」
とあるビルの上に立つ司朗。
司朗は右手首に、二本の角を出現させる。
気流を読み取る能力の鍛錬だ。
気流を読み取る能力は、風属性の魔法を使う上で、大きなアドバンテージとなるだろう。
「……地味だな……いやいいんだけど」
ひっそりと眉をひそめた。
- 233 :名も無き異能都市住民:2012/10/21(日) 22:31:37 ID:GFududEw0
- >>232
「ふーむ、風向き良好・・・と。」
屋上のさらに上の場所から人の声が聞こえた。
声の口調は若い、しかしどこか年季を感じさせる。
- 234 :高向谷 司朗:2012/10/21(日) 22:40:09 ID:Dnkg9kSs0
- >>233
「人が空飛んでる程度で驚いては成らぬ異能都市……とくらっ」
司朗は即興で作った歌を歌いながら、
結局それ以上はその声に反応しなかった。
集中したいのだろうか。
「あっ、50m先で酔っ払いがゲロってる。
きたねえなあ」
何を探知してるのか。
- 235 :名も無き異能都市住民:2012/10/21(日) 23:10:52 ID:GFududEw0
- >>234
「ああ、人がいるのか。まぁいいや。」
しかし、その声は冷たさと底知れない暗さがあった。
突然、上から不気味な雰囲気をまとったうす暗い光が
出てきた。
光を見ていると気分が悪くなりそうだ。
- 236 :高向谷 司朗:2012/10/21(日) 23:23:53 ID:Dnkg9kSs0
- >>235
「〜♪」
そもそも司朗は、光など見えていない。
今司朗の感覚は、全て触覚に投じられているためだ。
「腹減ったな……飯屋探すか」
そう呟いて、今度は煙を探知し始めた。
「うーん、見つけにくいもんだなあ」
司朗が探知出来るのは"動き"のみ。
音は辛うじて探知出来るものの、匂いや色、味などは探知出来ない。
声の主の存在に気付いているのか居ないのか、暢気なものだった。
- 237 :名も無き異能都市住民:2012/10/21(日) 23:39:01 ID:GFududEw0
- >>236
突然、黒い光を放つ石がビルの外に飛んで
行く。おそらく、上空から投げられたのだろう。気づく
はずはないが。
黒い石からは憎悪や怒りなど、負の感情、そして膨大な魔力がこんこんと
湧いている。
魔術などに精通した者ならばこのまま投げられれば
不味いものだとわかるだろう。
- 238 :高向谷 司朗:2012/10/21(日) 23:53:33 ID:Dnkg9kSs0
- >>237
魔術をかじった程度の司朗にそれが解る筈も無く。
「っつーか能力の使いっぱなしって疲れるなあ」
司朗は角を引っ込め、その場に座り込んだ。
「あー、もうこのまま寝てしまいたい感じ……。
……いやあぶねえって」
司朗の現在地は、ビルの屋上の縁であった。
- 239 :名も無き異能都市住民:2012/10/22(月) 00:04:28 ID:GFududEw0
- >>238
石は、突然熱線に貫かれ、割れた。
石が割れた事による凄まじいつむじ風が起きる
黒い気を帯びたつむじ風が、ビルの縁にある
落下防止の障害物を吹き飛ばす。
障害物を吹き飛ばすほどの、まるで台風と同じ強さのような
黒い暴風が司朗の元にも吹きつけた。
- 240 :高向谷 司朗:2012/10/22(月) 00:18:05 ID:Dnkg9kSs0
- 「うわああっ!?」
風を受け、司朗は吹き飛ばされていく。
そして、ビルの谷間に見えなくなっていく。
「まったく、あのぐらい気づけ」
「だって人が飛んでるとかふつーのことじゃねーかこの街では!」
ビルの谷間から、青い竜ティルヴァが舞い上がった。
背中に乗るのは司朗。
「アイツ一発ぶっぱなしてやら……追い待て、どっち向かってんだよおい!」
「厄介ごとは避けるべきだ」
「戻れー!一発ー!」
ティルヴァに強引に、司朗は何処かへ連れ去れて行ってしまった。
- 241 :名も無き異能都市住民:2012/10/22(月) 00:27:50 ID:GFududEw0
- >>240
やがて黒い風は収まった。
砕かれた石のかけらは黒い輝きを放ちながら、風に乗ってどこ
かへと運ばれた。
あたりの地上に、小さな、黒い輝きが点々としていた。
- 242 :黒沢小百合:2012/10/23(火) 22:48:43 ID:SSMHlh/20
- 異能都市のダウンタウンの一角に
ひっそりと存在する蔦だらけの小汚い建物。
注意しなければ見落として、そのまま通り過ぎてしまいそうだが
半分消えたネオンサインの文字を読めば、ここが映画館であるとわかる。
「…………ふう、2本立ては結構疲れてしまいますね。
しかし、やはり大きな劇場で見るのはいいものです。」
シアターの扉が開き、数人の観客と共に出てくる小百合。
今回の演目は古いカルト映画の二本立て。小百合は、こうした小さな劇場で
のんびりと映画を見るのが好きなのであった。
- 243 :柊宇都 綾&貴美:2012/10/24(水) 22:10:23 ID:gSogigCY0
- 撿撿公園。
『綾、そろそろキュウケイにしましょうヨ』
そう公園の中央で剣を振るう人物に声を掛けた。
綾と呼ばれた人間は、振るっていた巨大な剣を降ろし、声を掛けた人物に視線を向けた。
綾が休憩の提案を受けたのを確認してから、缶のコーヒーを投げ渡した。
それを受け取り、プルタブを引きつつ先に待つ少女、貴美の元へ歩く綾。
貴美は先程からベンチにて綾の素振りを眺めているだけであった。
綾が貴美の隣に座ってから一息ついたタイミングで、少女は綾に切り出した。
『綾、カンガえてくれましたカ?』
カタコトでそう尋ねる少女。
綾の返答はなく、僅か目を逸らすのみ。
アー。と大きく項垂れると首を振り。
『ナンでワカんないんですかネェ?
イキのアったフタリだからこそできる Combination Assault!!
セントウのツメ! イチバンのモりアがリ!! most Amazing!!』
熱く語られた少女の言葉をため息一つでかえし、コーヒーの缶にほんの少しだけ口をつける。
開けたプルタブから流れ出てきた液体はとても熱く、猫舌の綾には少し辛いものがあった。
- 244 :羊の人 ◆U9t0l68smw:2012/10/24(水) 22:39:07 ID:GFududEw0
- >>243
(ふぅ、今日も大量と)
一匹の子羊?らしき生物が、突然、茂みから出てきた。
どうやら汚いところの行っていたらしく、所々黒く
ススや、廃棄物らしき液体で多少汚れている。
- 245 :柊宇都 綾&貴美:2012/10/24(水) 23:03:26 ID:gSogigCY0
- >>244
『綾! ムシしないでクダさいヨ!』
自分への関心の薄さに気付いた貴美が声を荒げ顔を寄せた。
無機質そうな綾の瞳が一旦貴美を捉え……また戻る。
余りの無関心さに貴美は宙へ嘆き、手は空を仰いだ後に目を覆った。
『やはリ、綾はズイブンcoolですネ……。
ダンシはhotなホウがモテますヨ?』
何やらベンチで会話を続ける人間がいる。
貴美はハブバルに気付いて無くて、綾は一度視線を向けたが興味が無いらしく結局留める事は無かった。
- 246 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/10/24(水) 23:17:28 ID:GFududEw0
- >>245
(よくまぁ公園で騒げるなあんなに。)
一匹の子羊らしき生物は、歩きつつベンチで騒ぐ柊宇都
を冷めた目で見ていた。
(しかしまぁ随分とカタコトだな。何人なんだろうか。)
- 247 :柊宇都 綾&貴美:2012/10/24(水) 23:28:56 ID:gSogigCY0
- >>246
やはり綾の反応は薄く、無に等しい。
今回も僅かに貴美を眺めただけで、軽くあしらってしまう。
そして大した休憩もしないまま立ち上がると地面に突き刺さったままになっていた剣を抜き取り、再び素振りを始めた。
『もゥ……』
少女は不貞腐れた様で、頬を膨らませて綾を眺めていた。
綾の振る剣は巨大と言う言葉が正に当てはまるもの。
身の丈を超えているだけでなく2m以上もあり、太さもそれに相応しい物。
機巧が剥き出しにされたそれはその重量も容易く想像できるだろう。
しかし、綾はそれを軽々と振るっていた。それも二本を。
- 248 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/10/24(水) 23:40:10 ID:GFududEw0
- >>247
(ずいぶんでかい剣、しかも二刀流か・・・だな・・。)
とはいえ、異能者だらけのこの都市だ、こんな馬鹿力を
もつ人がいてもおかしくはない。とハフバルは考える。
(にしても随分と反応が薄いな。)
多少、無視されている少女を見て同情しつつ、
その剣を振っている姿を見ている。
- 249 :柊宇都 綾&貴美:2012/10/24(水) 23:50:40 ID:gSogigCY0
- >>246
左の手を水平に、内側へ振るい右腕の脇の下へ通す。
そして、その返しで大きく外側へと再び水平の薙ぎを振るう。
身体の軸も前に寄せ、腕に釣られ左へ向く。
その最中、チラリとハフバルを右眼が捉えた。
「……」
右眼のみしか視線を感じなかったのは綾の顔の左半分が自身の持つ闇色の髪で覆われて居たからだろう。
しかし、感じるのは視線のみ。思念や目を向けた意図等は伝わって来なかった。
- 250 :ハフバル ◆U9t0l68smw:2012/10/25(木) 00:02:44 ID:GFududEw0
- >>249
(しかしまぁ公園で素振りね。)
そういうことなら箱庭とやらで振っていればいいものの―
ハフバルは素振りをしている柊宇都を見た後、
そのままスタスタと去っていった。
//ちょっとアレですが、ちょっと眠気が
きたので落ちます。おつかれさまでした
- 251 :柊宇都 綾&貴美:2012/10/25(木) 00:13:16 ID:gSogigCY0
- >>250
それから更に暫く。
素振りを終えたようで、両手に握った剣を離した。
それらは形を変え組み合わさり、双頭の機械馬となり綾の側へ寄る。
終を聞いて駆けつけたのがもう一人、貴美だった。
サムいサムいと訴えつつ、暖まっているであろう綾の手を取り、揃って帰っていった……。
去り際に、チラリとハフバルの居た位置を見て。
「犬じゃ、無かったな……」
割りと気になってたらしい。
- 252 :ルファス:2012/10/28(日) 22:30:16 ID:RRIFCANoO
- 【裏路地】
複雑に細道が絡み合い重なり合って出来ている裏路地、その中でも、一段と人気が少なく、道が難解な場所。
つまりは、犯罪を行うのに最適な危険な場所、其処から銃声が鳴り響いた。
「……恨みは無い、どちらかと言えば、見逃してやりたい気持ちなんだがな、俺がお前を見逃しても、代わりの奴が来るだけだ」
「だから、もう全て諦めて――――此処で死んでくれ」
銃声が鳴り響いた場所に居るのは、コートを羽織り、片手に拳銃を持った銀髪の青年。
そして、脚から血を流す、十代半ば程の、金髪の少女――――少女の身なりはそれなりに良く、ある程度家が裕福であるだろう事を感じさせた。
このままでは、少女が殺されるのは時間の問題だろう。
- 253 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/28(日) 22:33:42 ID:/3xl4ACY0
- >>252
「…今の音は?」
【路地の外を歩いていた鶫は、その音を聞いて慌てて走っていく】
「なんだか凄く嫌な予感がします…
確かあちらに…」
【勢いよく走りだして、やがてその音のした方向へとやってきた】
「ちょっと…大丈夫ですか?
あなた何をしてるんです!!」
【その青年の後ろから、鶫は勢いよく走りこんでいく!】
- 254 :ルファス:2012/10/28(日) 22:55:21 ID:RRIFCANoO
- >>253
青年は振り向きもせずに、銃を構えた腕だけを防人に―――防人の少し下に向けると、そのままトリガーを引く。
次の瞬間には、防人の足下の地面に弾丸が当たり、コンクリートの破片を散らすだろう。
「……何をしているか、と言われても仕事としか言えないな、守秘義務があるんでこれ以上は語れない」
「雇われの鉄砲玉の俺には、面を見られる事は大した問題じゃない、だから、干渉しないなら見逃してやる」
「だが、俺の仕事を潰すと言うなら容赦はしない、模擬戦のように正面から馬鹿みたいに相手はせず、ただ、『殺す』為だけに動く―――警告だ、次は無い」
青年の声は、模擬戦の時と違い、淡々とした冷たいもの。
突き刺さるような冷気―――否、殺気が、青年の言葉が嘘ではない事を示しているだろう。
- 255 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/28(日) 22:59:23 ID:/3xl4ACY0
- >>254
「…あなたは…
其れがあなたの仕事ってことですか…」
【地面の弾丸の跡を見て、ごくりと息を呑んだ】
「……どうしてもというわけですか…
でも私は」
【立ち止まった足を再び踏み込む】
「目の前で死にそうになってる人を見逃せないもので…!!」
【鶫は足に力を込める…】
「お仕事のじゃまになってしまって申し訳ありません!!」
【ルファスの横をかなりのスピードで走っていった。よく見ると彼女の制服にも力が流れているようだ】
- 256 :ルファス:2012/10/28(日) 23:06:09 ID:RRIFCANoO
- >>255
「だからお前は、真っ直ぐ過ぎるとこの前も言ったんだよ、まさか、もう忘れた訳じゃ無いだろう?」
青年は諦めたように銃を構える、だが、それは防人にではなく、脚を負傷した少女の額に向けて、だ。
「一歩も動くな、異能を使うな、俺の言うことが聞けないならその瞬間に、どん、だ」
「別に、お前を撃つのは俺の仕事じゃない、相手をしてやる義理はない――だから、今こうして撃たずに口を利いてやるのが最大の譲歩だ、理解しろよ?」
- 257 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/28(日) 23:10:02 ID:/3xl4ACY0
- >>256
「くっ…後少しのところで…!」
【鶫はじっと、その構えられた銃を見て、そして少女を交互に見た】
「……今ここで動けば撃つと言っていますが…
どちらにしろあの子には何の未来もないんじゃないですか…?」
【とは言え、じっとして動かない鶫。銃口とルファスを交互に見て言う】
「…動いてはいけないんでは…
どうしようもありませんけどね…言葉では弾は防げません…」
【じっと銃口を眺める…苦しそうな表情だ】
- 258 :ルファス:2012/10/28(日) 23:19:41 ID:RRIFCANoO
- >>257
「ああ、そうだな、俺みたいなのが刺客として雇われてるんだ、俺が今此処で見逃しても何も変わらない、別の奴が派遣されて、お前が巻き込まれて、一緒に追われるだけだ」
「だから、止まれと言っているんだよ、一度模擬戦をしただけの間柄だが、無駄死にさせるのは本意じゃない」
「……まあ、俺も今回の仕事には乗り気じゃないんだけどな、信頼が第一、出来ない、なんて言ったら俺が飢え死ぬだけ」
「だから――――」
言葉を紡ぐ青年の視線は、脚を怪我し逃げれない少女から外れ、防人に向けられる。
自力では逃げられない少女より、少女を連れ去る危険性がある防人を警戒するのは無難な判断なのだろう。
だが、防人は視界の端に捉える筈だ、声こそ出さないが少女の唇が動いて、何かを伝えようとしている事と。
それと、少女が自分の傷口から流れた血を使って、地面に魔法陣を描いている事に。
- 259 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/28(日) 23:25:35 ID:/3xl4ACY0
- >>258
「…?」
【時折チラリと少女を見ながらも鶫は話を続ける】
「雇われですか…
確かに職業が殺し屋だというのであれば、そこには正義も悪もないかも知れませんけど…」
【何かあるのだろうか…そう言いつつもこちらに注意を向けようと大きく手を振る】
「信頼されないのはよくありませんが…
どうなんです?不測の事態が起こればいいわけもつくんじゃないですか?
私は、そういう組織に何らかのマークでも入ってるんですかね?
不安といえばそのあたりですけど…」
【汗を垂らしながら答える。さすがに鶫も必死である】
(よくわからないけど…陣が完成したらうまくいくんでしょうか?
ならば…ここは…)
【話術はあまり上手い方ではないが、知り合いであればある程度はいけるかもしれない。そう思って言葉を搾り出し続ける】
- 260 :ルファス:2012/10/28(日) 23:45:24 ID:RRIFCANoO
- >>259
「何でも屋が正解だが、こんな仕事ばっかりだから間違っちゃいないな、全く、嫌な世の中だ」
「……それと、変に動くなよ、本当に撃たなきゃいけなくなるだろうが」
呆れたような表情を浮かべる青年は、少女の密かに起こした行動に気が付いていない。
わざと大袈裟に動いたのは、最低限の意識を逸らす働きはしたと言えるだろう。
「逆に聞くけどな『想定外の用心棒がいたから殺害に失敗しました☆』なんて報告を出来ると思うか?」
「不測の事故だろうが、想定の範囲だろうが、失敗したら意味が無いんだよ」
少女が陣を描き終えるまで、時間はもう少しだけ必要そうだ。
だが、そう長くはないのは素人でも理解出来るだろう、大雑把に見ても、陣はもう半分以上描けている。
- 261 :ルファス:2012/10/28(日) 23:46:06 ID:RRIFCANoO
- >>259
「何でも屋が正解だが、こんな仕事ばっかりだから間違っちゃいないな、全く、嫌な世の中だ」
「……それと、変に動くなよ、本当に撃たなきゃいけなくなるだろうが」
呆れたような表情を浮かべる青年は、少女の密かに起こした行動に気が付いていない。
わざと大袈裟に動いたのは、最低限の意識を逸らす働きはしたと言えるだろう。
「逆に聞くけどな『想定外の用心棒がいたから殺害に失敗しました☆』なんて報告を出来ると思うか?」
「不測の事故だろうが、想定の範囲だろうが、失敗したら意味が無いんだよ」
少女が陣を描き終えるまで、時間はもう少しだけ必要そうだ。
だが、そう長くはないのは素人でも理解出来るだろう、大雑把に見ても、陣はもう半分以上描けている。
- 262 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/28(日) 23:51:16 ID:/3xl4ACY0
- >>261
「世知辛い世の中ですね…
さすがにそうしなければいけないのは心苦しいんじゃないですか?
…後すいません。動きが大きくなってしまうのはクセのようなもので…
気にしないでください」
【じっとルファスを見て答える。】
「予想外の事態など起こり得るものです…
信頼なんてものはどうとでもなりますよ。其れこそ挽回の機械でも用意してもらえるかも知れませんし…
そうですね…私の知り合いに複製人間を作れる人がいるんですが…それでも…」
【これ以上彼女を見ていたら感づかれるかもしれない。そう思うと視線は自然とルファスへと向く】
「良ければ話しも付けられるかも知れませんが…」
(もう少し…もう少しだけこの会話を続けられれば…)
- 263 :ルファス:2012/10/29(月) 00:14:26 ID:RRIFCANoO
- >>262
「そうだな、複製出来れば流石に誤魔化す事は出来るだろう、そこの娘の服を着せて、頭をぱんで本物そっくりの死体が完成する訳だ」
「……で、その後にどうするかだな、まさか、暫く人目を避けられる場所を手配して、高い金を払って戸籍を偽造して、その子を働けるようになるまで養ってやれ、と言う気か?」
「俺も乗り気じゃないのは言った通りさ、本当に話が付けられて、その後もどうにか出来るなら是非頼みたいもんだ」
「……でも、そんな手段は簡単には無い、そうじゃないのか?」
少女の陣は、完成間近。
あと少し、あと少しで、この状況を打開する手段が得られるのだろう。
- 264 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/29(月) 00:19:40 ID:/3xl4ACY0
- >>263
「ええ…複製とはいえ人死になるのはこちらとしても心外ではありますが…
もしかしたらなんとかなるかも知れません…」
【鶫の言うことは半分本当である。ただ手に入れられるかはまたちがう話ではあるが…】
「むむ…難しいのは底だけではないんですか…
たしかに私としては頑張りたいところですが…
できる限り…なんて言葉では信用置けないでしょうね。」
【鶫は困っていた。どうにか話を伸ばしているものの、いつまでも聞くとは思えない】
「さすがに待っててくださいとも言って貰えそうには無さそうですが…
賞金をもらったといっても結局私はいち学生…ですし」
【冷や汗を垂らしながら言葉を絞り出す…陣の完成を待っているようだ】
- 265 :ルファス:2012/10/29(月) 00:31:51 ID:RRIFCANoO
- >>264
「真っ直ぐな奴だけど、馬鹿じゃないんだ、語らなくても解ってるとは思うけど『もしかしたら』なんて言葉は聞けないな」
当然だが、青年は譲歩しない。
それが生きる糧だから、当たり前と言えば当たり前なのだが。
その一方で、少女は―――遂に陣を完成させていた。
そして、しきりにウィンク、否、両目をぱちくりとわざとらしく何度も何度も繰り返し、目を閉じて欲しいと、暗に頼む。
「だから、悪いがもう終わりだ、どんなに時間が経っても、意見が重なる事は無い」
そう言って、青年は少女に向き直って―――その瞬間、光が世界を覆う。
防人は、目を閉じていても、少女の魔法陣が強烈な光を放った事を理解出来るだろう。
- 266 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/29(月) 00:37:20 ID:/3xl4ACY0
- >>265
「…さすがにダメですか…
ならば…!」
【鶫が身構えようとした所…】
(…目を閉じろ?そう言うんですか?)
【少女の動きを見て納得したようで】
「残念です…こちらとしても…!」
【いわれたままに目を閉じた】
(…!眩しい…!!この光は一体!!)
【目を閉じただけでも眩しいと感じた鶫は腕でも顔を覆い、その光を防いだ】
- 267 :ルファス:2012/10/29(月) 00:56:51 ID:RRIFCANoO
- >>266
「く、護身術の一つや二つなら、全く怖くは無かったが……これは、流石に……!」
『……す、すいません、脚がこんな状態では立てなくて、お願いです、手を貸して下さい……』
『まだ死ぬには、未練が有りすぎるんです、お願いしますっ!』
同時に聞こえる二つの声。
時間稼ぎが上手くいった為、陣は万全の状態、放たれた魔術は最大限の効果を発揮できたようだ。
青年の異能は、目潰しには何の意味も無さない、そもそも見えなければ冷静に判断も何も無いのだから。
- 268 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/29(月) 01:01:17 ID:/3xl4ACY0
- >>267
「…この声は…
えっと、わかりました…!」
【腕で顔を覆いながらも鶫は走りだした】
「ひとまずここを離れましょう…!」
【底にいるであろう少女に手を差し伸べ答えた】
(いつまでも効果があるとは思えませんが…
ひとまず私が立てにでもなれば…!)
- 269 :ルファス/少女:2012/10/29(月) 01:15:18 ID:RRIFCANoO
- >>268
「……逃げるなら、死体は適当なのを見繕ってやる、精々人目の無い場所にでも引きこもっているんだなっ……」
視力が回復しないのか目を手で押さえたまま、青年は呟くように、そう告げた。
「……死体の手配代は後々請求してやるから、覚悟しとけよな」
だがその声は―――撃たずに済んだ事を、安堵しているような声だった。
『……あ、ありがとうございます、御陰様で、なんとか……』
『……取り敢えず、此処を、離れましょう?』
- 270 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/29(月) 01:17:40 ID:/3xl4ACY0
- >>269
「やれやれ…
言い訳ついてよかったですね」
【そう言ってルファスを見つめた】
「まあ…ひとまず今日は良かったですけどね…」
【軽くため息をつきながら言った】
「…分かりました。
立てなそうですから…その」
【そう言って背中を向ける】
「乗ってください。ひとまず病院あたりにでも行きましょう」
【微笑みながら返した】
- 271 :少女:2012/10/29(月) 01:26:44 ID:RRIFCANoO
- >>270
『……いえ、駄目です、私は今さっき“死んだ”んですから』
『病院に行って銃創の手当てなんかを受けたら、家族を呼ばれます、そうなったら、巻き込む人が増えてしまいます』
『……お願いがあるんですけれど、今だけ、使い走りになって貰えませんか?』
『包帯や消毒液があれば、自分で、最低限の手当は、出来ますから……』
少女の意見は、きっと間違ってはいない。
だが、少女を殺す為に雇われたのが青年一人だけだったのかどうか―――もし複数なら、少女を置いていくのは危険になる。
防人の判断に、全てが委ねられる状態だ。
- 272 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/29(月) 01:29:31 ID:/3xl4ACY0
- >>271
「…そうですか…
だとしたら別れることになる…ということですか…」
【何処か寂しそうな顔で答える】
「…いいですよ。
なにか必要な物があるなら…
ですが、基本的に付かず離れずにしましょう。」
【じっと少女を見つめて言う】
「…消毒液とかなら、すぐにでも見つけられますよ。
ひとまずここを離れましょう」
【そう言って少女をおんぶさせようとする】
- 273 :少女:2012/10/29(月) 01:37:28 ID:RRIFCANoO
- >>272
『生きてれば、きっと機会はありますよ、今は折角仮初めの『死』を貰ったんですから、生きないと』
『……おぶられる程ではないですから、では、肩を貸して下さい、それでどうにかなります』
『……仮の住まいが必要ですねー、雨風を凌げて人が来ない廃屋が有れば良いんですが……無いだろうなぁ』
- 274 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/29(月) 01:42:57 ID:/3xl4ACY0
- >>273
「わかりました。よいしょっと…!」
【軽く肩に手を回して少女を持ち上げた】
「そうですね…生きていればいいことありますよ。
幸いこういうところですからね。お節介はいっぱいいますよ」
【微笑みながら返す】
「住まいですか…
何はなくともそこが必要ですね…」
【しばらく考えた後、口を開く】
「その……学生寮でも良ければ、私のところに行ってもいいですよ?
潤沢な資金があるお陰でアルバイトでもやっていけそうですし」
【どうもお節介焼きのようである…】
「それに、私の知っているお店の店長は、訳ありな人でも雇ってくれるかも知れませんよ?」
【軽く笑いながら答えた】
- 275 :少女:2012/10/29(月) 01:59:04 ID:RRIFCANoO
- >>274
「さっきみたいな殺し屋もいますけど、ね……良い人もいますよ、今、助けられましたし」
「学生寮は、無理ですよ……何かの拍子でバレたら、貴方が大惨事になりますから」
「……お金は、幸い有りますし、暫くは浮浪者紛いの生き方で、目を誤魔化します……」
中/ごめんなさい、そろそろ眠気が限界をっ……。
- 276 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/29(月) 02:08:05 ID:/3xl4ACY0
- >>275
「えへへ、そのいわれかたはなんか嬉しいですね…」
【恥ずかしそうに頭を掻いて答える】
「ん…やっぱりそうですよね…
私ならともかく同じ寮の友達も心配ですし」
【納得したように答えた】
「…まあ、私の紹介するお店の店長ならひょっとしたら…
住み込みをさせてもらえるかも知れませんよ?
何となくですけど…ね」
【笑いながら歩いて行く。ひとまず近くの店に立ち寄って消毒液や包帯を購入するようである】
//了解。続きをするならまたやりましょう。
- 277 :少女:2012/10/29(月) 20:50:22 ID:RRIFCANoO
- >>276
「ですから、それじゃあ店長さんが巻き込まれるじゃないですかー……それに、バイトをしたりする訳でもないのに住み込むのは気が引けますよ」
「それでは私は、目立たないように店の側にいますね、流石に店の側で殺される事はないでしょうし……」
そう言うや否や、少女は地面にぺたりと座り込む。
脚の怪我は浅くはないのだろう、撃たれているのだから当たり前と言えば当たり前だが。
- 278 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/29(月) 21:02:52 ID:/3xl4ACY0
- >>277
「うーん…お節介焼きですからねぇ。
あの店長はどう思うかですが…」
【そう言った後、少女の姿を見て】
「あ、すいません!
おしゃべりし過ぎましたね…
すぐにとりに行ってきますから、ちょっと待っててくださいね!」
【怪我の状態を見て慌てて店の中へ駆け込んでいった】
【物の数分で戻ってくるだろう】
- 279 :レラ&河平:2012/10/29(月) 22:05:28 ID:gSogigCY0
- 街中。
人混みの中の一つに長身の女性と、子どもらしき少女の組があった。
少女は珍しく地べたに足を付け、自らの足で歩いていく。
『すいません、態々呼び出してしまって。
家の中では、少し、話せない内容ですから……』
「フン……。それで、用事とは何だ」
少女は鼻を鳴らしつつ、女性を見上げた。
『まぁ、簡単なお話なんですけど……』
会話を切り出す前に、一度周囲の景色を見渡してからにしようと思った。
ただ、会話のリズムを作る為でしかない。しかし、その視線にはとても珍しい物が目に入った。
>>227>>228
つい先日、武器を交えた相手の姿。
話の後でまだ見掛けたら軽く声でも掛けようかな。
そう思いつつ、少し視線をそらし、その相手の置かれた状況が目に入った。
防人の話している相手は知らない。だが、
『あの脚……。
レラ、ごめんなさい!』
突如、側で女性を見上げる少女を抱え上げると、人混みの中を駆け出した。
少女を抱える瞬間に、疑問から驚愕へと、表情が転換するのが見えた。
しかし、それを説明する暇無く、駆ける。
『防人さん!』
二人の元にたどり着けば、そう強く、叫ぶ様な声で。
息も上がり、正面で少女を抱えたまま、少女ごと肩を揺らして大きく息をする。
- 280 :少女:2012/10/29(月) 22:16:55 ID:RRIFCANoO
- >>278
(……親切な方が偶々通りかかって助かりました、一人では逃げ切れなかったですし、手当も出来なかったです)
(礼を言う事しか出来ないのが、申し訳ないですね……不甲斐ないです)
治療に必要な道具を買いに行ってくれた防人の姿を見送って、少女は内心で感謝の念と、無力感を覚える。
付け焼き刃でも無いよりはマシと考えていた魔術は、他人の援護がなければ役に立たなかった。
「……これでは、いけませんね」
>>279
「……追っ手!?」
突然、自分達に駆ける女性の姿を見た少女は、女性に拳……正確には、指に付けられた指輪、魔術の媒介を向けようとする。
だが、防人さん、と、先ほどの男らしき人物の名を呼ぶのを聞いて、その動作を取りやめるのだった。
「……では、ないみたいですね」
「あの、お邪魔でしたら私は立ち去りますので、どうぞごゆっくり雑談に興じて下さいね?」
- 281 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/29(月) 22:27:45 ID:/3xl4ACY0
- おまたせしましたー。
思ったよりは早く来ることが出来ましたけど…おや?
【ビニール袋を抱えながら鶫は店の中から現れた】
>>279
「あなたは先日戦った人ですね…
何かの縁…でしょうかねぇー」
【少し微笑みながら河平にむけて手を降った】
「あぁ、その…その子が怪我をしているんで治してあげないと…ですから」
【そう言って消毒液と包帯が入ったビニール袋を見せた】
>>280
「おまたせしました。
遅れてないでしょうか…?」
【そう言って包帯と消毒液を取り出した】
「さて…足をこちらに向けてくださいね。
まずは消毒…その後にガーゼを貼って包帯を巻くんですね」
【そう言って綿に消毒液を浸して傷の周りに塗っていく】
「かなりしみるかも知れませんけど…
あ、弾丸は貫通してるんでしょうか?それも心配ですが…」
- 282 :レラ&河平:2012/10/29(月) 22:36:23 ID:gSogigCY0
- >>280
『安心してください。
深い事情は知らないので、難しいことかも知れませんが……』
少女に向き直ると微笑みを添えつつ、少女の否定した仮定をさらに薄める言葉を掛けた。
少女の気遣いだろう言葉には首を振り、必要ないですよ。と先に断り。
『そもそも、その脚ではそれも難しいでしょう?』
と、少女の損傷を指摘し。
女性の防人との会話を聞けば、二人はそれなりの知り合いだという事。
そして、女性の会話の目的は少女である事が解るだろう。
>>281
『河平。ですよ』
微笑みを変えしつつ、再び名乗る。
今日も水色をメインに据えた衣服だった。
微笑みを消し、真面目な表情を少女に向け。
『防人さん、その子は?
酷い、怪我……いえ、交戦の後のようですが……』
少女の脚の物を見抜き、それが怪我でないとも悟る。
先日名乗った例えの役職。警備軍隊と言う立場が活かされた目だろう。
女性の胸に抱かれた腕の中の子どもは不快感を露わにした表所をしている。
その表情は何かに限定して向けられた訳では無いが、誰にでも無い訳でも無かった。
詰まるところ、周囲の全てを機嫌の悪そうな瞳で睨み付けていた。それは防人も少女も、また然り。
- 283 :少女:2012/10/29(月) 22:44:58 ID:RRIFCANoO
- >>281
「しっかりと弾は貫通してくれてます、威力が高くて良かったと思うべきなのか、少し悩む所ですねー……」
「痛いのは、まあ我慢できますけど、手はちゃんと動くので自分で手当てさせて貰えたら嬉しいなー、と思います」
流石に傷に染みるのか、涙こそ流さないが声に少しの震えが混じる。
今の今まで緊張していたその状態が、手当てを出来る状態に変わり、気が緩んだのもあるのだろうか。
>>282
「解りました、貴女を此処で疑うような事はしません、しても、苦しいだけですからね」
「でも……やっぱり立ち去らせて貰いますよ、包帯を使ってテーピングすれば、何とか動くようにはなる筈ですから」
微笑みに答えるように、少女も微笑むが―――返す言葉は、断りの言葉。
「私の事情に付き合わせて、貴女のお連れの方に不快感を与えてしまうのも申し訳ないですから、ね」
「あまり、この場所に居るのを好ましく思っていないみたいじゃないですか、だから、悪いですよ」
- 284 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/29(月) 22:55:30 ID:/3xl4ACY0
- >>282
「はい…よろしくお願いします。
河平さん」
【軽く頭を下げて返答を返す】
「えっと…話せば長くなるんですが…
簡単に言えば始末屋さんに襲われたようです…。
しばらく隠れないといけないので、病院にも行けず応急処置ぐらいしか…」
【そう言って処置を施し続けている】
>>283
「ふむ、それならおそらく大丈夫でしょう。
弾丸の毒で体を蝕まれることもないでしょう」
【そう言ってある程度処置を行なってから】
「ふぅ、次はこれで傷口を塞いでと…」
【そう言って薬の付いたガーゼをテープで傷口に貼り付ける】
「後は包帯を巻けばいいんですが…
この怪我では歩いたら余計にひどくなりますね…
しばらく安静にしないと治りづらいですよ」
【包帯を取り出して答えた】
- 285 :レラ&河平:2012/10/29(月) 23:04:40 ID:gSogigCY0
- >>283
身成に、言葉使い。どちらも整っていて、ここに来るような人では、無い。
それが何故、普通、考えられないような場所に居るのか。それも、怪我をした脚で。
『貴女は、これから……何処へ行くつもりですか?』
何が原因か。そのヒントとなる要因すらも解らない。
が、解らない故に不安感を煽り、少女を一先ず留める為に、そういった疑問を投げ掛ける。
そんな中、向けられた言葉。
腕の中の小さな子どもを指摘され、僅か笑みを零す。
『あぁ、これは……』
「さっさと降ろせ……馬鹿が」
『こういうものです』
愚痴を垂れる子どもを抱いた腕を離し、解放する。
地面に足を付けると少々よろめいてから、子どもは不満足だと主張はしないものの鼻を鳴らした。
この不快感は少女が原因では無さそうだ。単に、この子どもが捻くれただけらしい。
>>284
『成程……』
脳内で探っていた少女に起こった出来事。
想定外で、答えとして浮かび上がらなかった者を示されて、思わずして小さく頷いた。
しかし、それならば。
『尚更、一人にさせる訳には行きませんよね……』
しかし、少女の望みはそうらしく。
自由になった手を頭を充てて、悩むな素振りを見せる。
- 286 :少女:2012/10/29(月) 23:18:09 ID:RRIFCANoO
- >>284
「だーかーらー、自分で手当てしますから、大丈夫ですよ?」
「女の子の柔肌に触れたいから手当てをしたい、とか、そんな腹積もりなら諦めますが」
からかうように、そんな言葉を少女は紡ぐ。
そんな理由でやっていない事は、百も承知なのだろう。
>>285
「考えるまでもなく、何処にも行けませんねー……知り合いはいますが頼る訳にもいきませんし、自分でどうにかするしかないみたいです」
「幸い小旅行に出れるくらいのお金はありますし、普段行かないような美容院で髪を染めて、髪型を変えて……それから居場所探し、かなぁ」
人生のリスタートです、と、少し楽しそうに少女は言う。
嘯いている訳でも、強がっている訳でもなく、純粋に、前向きに。
「……ごめんなさいね、私の不手際が原因で、手間を掛けさせてしまっているみたいです」
何となく事情は理解したが、少女は謝罪の言葉を口にする。
腕に抱かれていた彼女と会話をする口実が欲しかった、と言うのが本音だが、謝罪が中身のない空白なものという訳では、断じてない。
- 287 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/29(月) 23:20:28 ID:/3xl4ACY0
- >>285
「ええ、たしかに実際に見てしまったら私も放っておけないんですけどね…」
【軽くため息を付いて答える】
「…学生寮に匿うなんて言うのは危険すぎますから…
私はちょっと難しいです…」
【かなりの悩み顔である。】
>>286
「そ、そうですか?
…い、いやいやいや!そんな趣味は私にはありません!!」
【かなり慌てて首を横に振った】
「まぁ…ひとまずあんまり無茶はせず、でおねがいしますね。」
【よくよく見ても鶫はかなり手慣れた動きで包帯を巻き付けている】
「もう少しなんで、我慢してくださいね。」
【じっと見ながら答える】
- 288 :レラ&河平:2012/10/29(月) 23:41:13 ID:gSogigCY0
- >>286
少女が笑顔なのが胸に刺さる。
表情とは違い、口から発せられた先行きは暗く、それは本人も自覚済みの風。
しかし、そう言って離れようとするのは、他人に迷惑を掛けたくない。その思いも強いのだろう。
『そんな呑気に言えるほどの事じゃ無いと思うんですけどね……』
少女の事だ、それが十分に熟せる教養はあるのだろう。
しかし、河平の瞳に鮮明に残る、先程まで立つことも苦で合った筈の傷。
『ですが、もし見つかった場合を考えてください。
貴女は、間違いなく逃げる事が出来ない。
事実一度深手を追っている上に、相手は今までよりも数も質も増強して追ってくる』
警備軍隊。例えるならそう言った職につく女性の言葉は、相応に厳しいもので。
「貴様とは関係ない。
僕はコイツの僕の扱いが未だ解らない様でな」
成程捻くれている。
そう言うと、女性の足を容赦無く踏みつける。
当然、女性からは相応の悲鳴が上がり、少女は軽く睨まれる。
しかし、それを意にも介さず、ただ毅然とした態度で構えていた。
「この天才の僕の扱いが!」
成程捻くれている。
>>287
『匿う場所……確かに、難しいですね』
少女を匿う事自体はそう難しくは無いかもしれない。
しかし、少女の意思を元にそういうケースを想定した場合……少女の納得が行かない事が容易く理解できた。
だが、だからと言って保護しない訳にも行かず。
額に当てた手を強くして、悩みの唸りを大きくして……その結果。
『待ってください』
防人にそう断り、向かい合うのは足元の子ども。
- 289 :少女:2012/10/30(火) 00:06:25 ID:RRIFCANoO
- >>287
「ええ、そんなつもりが無い事は解ってますよ、安心して下さいね」
くすくすと笑う少女の姿を見れば、防人はきっと、からかわれていた事に気付くだろう。
だが、それは逆に言えば、人をからかえる程度には心に余裕がある証拠―――それを見せる為に、わざわざそんな事を言ったのだろう。
単純に、からかって反応が見たかったのもあるのだろうが。
>>288
「悲観的になって得られる事は無いですから、開き直ってしまった方が得なんですよ」
「『もうお先真っ暗だよ、希望が無いよ』と嘆いても、現状は打開出来ませんからね、だったら、現実を見た上で、自分に出来る事をやる―――効率的ですし、感情的にも悪くないと思うんですよね」
後ろ向きな考えでは得られるものも得られない、それが少女の考え方のようだ。
そこそこの身なりから察すると、決して悪くはない家で生まれ育った、どちらかと言えば“お嬢様”な人間なのだろうが、それにしてはバイタリティに満ち溢れている。
「そうですね、見つかったら間違いなく詰みでしょう、殺されるだけじゃなく、最悪な場合は慰み者にされてしまうかもしれません」
「だからこそ、ですよ、そんな事に他人を巻き込めません、生きる為には、暮らす為には、世間に顔を出さない訳にはいかない」
「“バレる可能性が有るから”人に頼るわけにはいかないんです」
バレなければ、誰かの家を間借りして家賃を払えば済むだけの話、難しい事ではない。
バレるから、誰かに頼る事は許されない、独力で解決する事が必要になる。
それが、少女の考え方だ。
「天才、ですか、今まで私の側にそんな事を言う人間は居なかったから少し斬新です」
「でも、天才にも種類は有りますよね……宜しければ、どんな分野でその才覚を発揮しているのか、教えて貰えませんか?」
- 290 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/30(火) 00:13:16 ID:/3xl4ACY0
- >>288
「紹介…をしようと思っても肝心のその人に
迷惑をかけるかもしれないといいますし…」
【かなり困っているようだ】
「ん?どうかしたんですか?」
【じっと子供を見ながら言う】
>>289
「ふう…ありがとうございます。」
【軽く頷いて答える。一安心といった感じだ】
「ひとまず…これで大丈夫ですよ。
激しくうごいたりしない限りは大丈夫なはずです」
【そう言って包帯を巻き終えて微笑んだ】
「治療セットは…一式持っておいたほうがいいですか?」
【そう言って袋の中身を見せる。様々な治療用アイテムが入っているようだ】
- 291 :レラ&河平:2012/10/30(火) 00:37:26 ID:gSogigCY0
- >>289
『それは……そうですが』
現実的に、それは難しいと思う。
だからこそこうやって悩んでいるのであるし、少女も対応を絞り出す程度でしかない。
一度足元の子どもに視線を落とし、再び少女へと戻る。
『では、その解決策として、世間から逃れてしまう。と言うのは如何でしょう』
突拍子も無い言葉に聞こえるかも知れないが、これは決して奇策ではない。
また、世間一般の明るみから逃れる事でもないのは、女性の表情からも察せるだろう。
『幸い、私達はこの都市の人間ではない。
……どうです? 私達の住む国の人間になってみるのは』
此処、異能都市から海を越えた先に、機械化の進んだ国がある。
機械都市とも呼ばれるそれは、彼女達の故郷でもある。
チラリと少女を見た後に、フン。と鼻を鳴らして向き直った。
「いいだろう。この僕が直々に教えてやる」
そう言った途端、小さく跳ぶ。
少女よりも幾分か小さかった背丈が跳躍した頂点で、彼女の靴が火を吹いた。
側に立つ女性と目線を同じにする辺りまで浮かびあがり、腕を組む。
そこまで行けば、彼女の靴の全貌がよく見えるだろう。
漆黒の鋼鉄で構成された鈍重そうな靴。
靴と言うか、ブーツの方が近いかとしれない。
寸は子どもの脛まで程度。その癖フォルムは重々しく正に機械化と言った感じ。
>>290
「その目は止めろ」
防人視線に真っ先に反応した子どもは不快感を露わにした。
浮かび上がった子どもの肩を叩き、意識を此方に向かせると河平は語りかける。
『あの家、使わせてくれないでしょうかね』
「家……? まさかとは思うが……」
『ええ』
また不快感を押し出す子どもの言葉を遮り頷く女性。
余程『家』が大切らしく必死になって河平に噛み付いていく。
「お前はあの家を孤児院か何かにするつもりか?
そもそもあの家は僕とゼオラの……」
『レラ、宜しくお願いします』
再び遮って、言葉を捩じ込む。
子どもが目をそらした先に、少女が映り込んだのだろう。
不快そうに鼻を鳴らしつつも、それ以上の事は口にしなかった。
『一応、話は決まりましたが……まぁ、あとは彼女次第、ですかね』
少女の住む家の確保はできたのだろう。
河平の監視下に置かれるともあれば、防人としても一般普通の家庭に任せるよりかは気も置けるだろうか。
- 292 :少女:2012/10/30(火) 00:54:24 ID:RRIFCANoO
- >>290
「ありがとうございます、これで、ひとまずはどうにかなりそうです」
「それと、治療用具は渡して貰えたら嬉しい――――あ、それのお代、幾らでしたか?」
礼を言って、代金を払っていない事に気付いて少し慌てて……騒がしい少女だった。
>>291
「……靴から、よくそんな小さな物に、それだけの機能を収められましたね」
これが彼女が天才たる由縁なら、納得せざるを得ない、そう、思った。
「えっと、この若さからひっそりと隠居生活を……という訳ではないみたいですね」
「故郷に思い入れが無いと言えば大嘘になりますが、此処に居座っているよりは、確実に安全なんでしょう」
「それに関しては異論は無いです、無いんですけれど……」
ちらり、と、非常に申し訳なさそうな視線が、靴から火を吹き滞空する少女へと向けられて、その後、女性へと視線が戻る。
「正直に言ってしまえば、貴女と私は初対面、情も縁も何もあったものじゃないです」
「そちらの彼女が言う通り、その家とやらに私を入れる必要なんて、無いはずなんです、本当に……良いんですか?」
//うぼぁー、すいませんが、そろそろ眠気が限界にっ……。
- 293 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/30(火) 01:02:13 ID:/3xl4ACY0
- >>291
「む、浮き上がるとは驚きましたね」
【視線がちょうど自分と同じくらいになったところで目を合わせた】
「家…?ふーむ、どうやら住まいがあるらしいですね…
そのお知り合いさんは、引き取るのはオーケーなんでしょうか?」
【そう言ってじっと二人を見た】
「……まあ、確かに普通の人の家よりは安心できそうですが…
あの子次第ですからね…」
【そう言って視線は例の少女に向けられる】
>>292
「ええ、大丈夫ですよ。
まぁしばらくは走らずに住むようにゆっくりとしてくださいね」
【そう言って治療器具などを含めた袋をポンと渡した】
「え?いえいいんですよお代なんて…
私はボランティアでやったんですから…それに、恥ずかしながら
今の私には潤沢な資金がありますから、この程度屁でもないです!」
【そう言って胸を張って答えた。闘祭を見ていたのであれば彼女が優勝者であることはわかるだろう】
//いいですよー。またやりましょうか
- 294 :レラ&河平:2012/10/30(火) 01:22:29 ID:gSogigCY0
- >>292
「ク、ククク……。
だろう? そうだろう?
この僕が天才であるという事……貴様には解るようだな」
喜びを直に示した様な笑顔。
普段からこの少女はこの調子で、
それが中々皆に伝わらないという事。
そして、その原因はこの態度だと思われる事。
この言葉だけでもその三つを知る事ができるだろう。
『今度こそ、安心してください。
小旅行と言った形で帰ってくる事は可能ですし、もし、私達と行動を共にするのであれば、貴女を、守れますから』
今度こそ。とは会い始めの事を指しているのだろう。
その時には無かった、真の安息を、約束できると。
『問題ありませんよ。
それに、この子が言ってる事はまた別の小さな問題なんで』
と、浮遊する少女を引っ掴み包めて抱き竦めてしまう。
不満そうな顔は相変わらずだが、決まった以上、前程そう不満そうでは無かった。少女の件に関しては。
それとは別に、抱き竦められた事が単純に気に入らないのだろう。
初対面の少女にも、プライドの高さが有り有りと伝わる程の少女だ。
先程見せた靴の底は酷く厚かったように見える。恐らく、それは身長を誤魔化す為だと簡単に解るだろう。
即ち、少女は子ども扱いされる事を嫌う傾向があるのかもしれない。それならば、必要以上の不快感も納得が行くか。
//了解ですよ。
//今日はここまでで。ですね。
>>293
『ええ、無駄に二つも』
「その内一つは貴様に食い潰されたがな」
捕まって、再び腕の中のレラが皮肉感の凄まじい口調で。
一方の河平は凛としたものすら感じる澄まし顔である。
『どっちも使ってないから大丈夫ですよね。ね、レラ?』
「後で覚えておけよ……」
ムスッとした態度を貫くレラ。
住居の持ち主とはこの少女らしかった。
『ええ、私の監視下……こういう言い方もおかしい気もしますがね。
兎に角、そういう場所に置いて置けば、防人さんも寄り易くなるでしょう?』
大人の女性らしく、静かかつ柔らかな笑みを浮かべ。
『こちらも話は纏まりそうですから。防人さんも、安心してください』
そういう彼女もまた、少女の安息が提供できて、内心綻んでいる様だった。
- 295 :少女:2012/10/30(火) 21:47:16 ID:RRIFCANoO
- >>293
「なら、言い方を変えましょう、私の為にも受け取って下さい」
「命を救われたあげく、手当てさせて、恩を返そうとしないなんて、自分が認められなくなってしまいますから」
少女に引く気は微塵もないようだ、紙幣を差し出すと、それを防人が取るまで動こうともしないだろう。
>>294
「といっても素人ですから、構造がどうのこうの細部がどうのこうのといった細かい感想は抱けないんですけれどね」
「人一人を軽々飛ばすだけの推力を生み出せる物体をブーツに仕込めるのは、明らかに非凡だと解りますが……それだけなのに無知を痛感せざるを得ないです」
生真面目な所があるのか、向上心によるものなのか、少女は眼前に存在する物体が“凄いもの”だと理解出来ても、それ以上に踏み込めない自分を情けなく思っているようだ。
そして、素人にも解る“凄いもの”を作れる人物が評価されない理由もなんとなく理解はしたが―――それを口にしたら速攻で嫌われて、これからの生活がギスギスしたものになる気がしたので止めておいた。
「……なんだか、夢みたいな話ですね、暗殺されかけたと思ったら、助けられて、海外に高飛びだなんて」
「ううん、今は、感謝するべきでしょう―――本当に、ありがとうございます、やっと、気が楽になりました」
なんだかんだ言って、やはり不安はあったのだろう。
それが今になって、漸く消えたようで、少女は、穏やかな笑みを浮かべていた。
「……別の問題、ですか」
「私が関わって良い話なら、後でで構わないので教えて下さいね?」
「住まいの一部を借りるのに、他人面して知らんぷり、では後々に何か迷惑を掛けるかもしれませんし」
- 296 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/30(火) 22:09:59 ID:/3xl4ACY0
- >>294
「ふーむ、こうして観ると意外に可愛らしいものですね」
【じっとレラを眺めながら答える】
「そんなにお家があるとは・・・
別荘みたいなものですかね?」
【そう言って首を傾げた】
>>295
「……なるほど、あなたの信念の証でもあるわけですね…」
【そう言って大きく頷くと】
「わかりました。
あなたの恩返しとして、受け取らせて頂きます」
【そう言うと謹んだ表情でその紙幣を手にとった】
「あなたのためにも、ですね。」
【そう言って紙幣を見つめた】
- 297 :レラ&河平:2012/10/30(火) 22:20:02 ID:gSogigCY0
- >>295
「ふむ、貴様は理解があるな。やはり」
掴まれ、再び河平の腕の中。
その為に火は消えて、脚をパタパタと振って特殊な靴のアピール。
満足そうに頷いた後、少女を眺めていた。
『ふふっ、良いんじゃないですか?
それに、高跳び。とは言いましても生活の拠点は今の所此方にありますし』
これはただ単にレラの好みの話だったりする。
国家の仕事に追われるのが面倒で現在逃げて居たりする最中。
『それは良かった。
また後で話しますけど、貴女が余所者だからと言って遠慮する必要はありませんからね』
ニコリと笑いかけて、更に口を開く。
『……そんなものの集まりですし』
確かに、腕の中の少女と、それを抱く女性はそれなりに歳が離れているように見える……が、親子には見えない。
むしろ、仲の良い友達に見えるだろう。が、儚げにも見えた表情の原因とは。
「……嫌でも話すからな」
承諾はした物の、未だ納得しきれない箇所もあるのだろう。
少女の住む家に関する事で、何かレラにとって大切な要因があるらしい事は明らか。
>>296
「ほぁ?
い、一体何を言っているんだ……理解のできん戯れ言は止めろ」
唐突な言葉に拍子の抜けた返事を返し。
その後でそれが恥ずかしかったのか目を逸らしつつ逃げる様に。
『と、言うより此処にある家自体が別荘のような物ですね。
飽くまでも私達の本荘地は機械都市ですし』
そう語ってから、あ。と訂正の言葉を。
『どちらも普通の一軒家ですよ?』
と、微笑みを添えつつ。
緊張感もある程度不要になった為か、普段の会話のノリだ。
- 298 :少女:2012/10/30(火) 22:31:51 ID:RRIFCANoO
- >>296
「……ふふ、解って貰えたら嬉しいです」
「無駄に高いプライドは不要ですけど、人として、最低限必要な誇りってあると思うんですよ」
「だから、受け取って貰えて助かりました」
>>297
「“凄いなー”と言っているだけで、理解が有ると言われるのも、なんだかこうむず痒いものがありますね……」
ぱっと見て思った事を口にしただけで、認められるのに値するような事なんて何もしていない、なのに理解が有ると言われるのは、少し躊躇われた。
だがまあ、何はともあれ、最悪な印象のまま新生活を送る事にならなくて良かった、今はそう前向きに考えるべきだろう。
そう、少女は考える。
「それならそれで、外国に行くよりはまだ、慣れた生活に近い日常を送れますし、何より贅沢を言える身分ではありませんからね、構いません」
「では、これから宜しくお願いしますね、えっと……」
言葉を紡ごうとして、狼狽して、困ったような視線を女性に向けると。
「……あと、今更ですが……お名前を伺っても良いですか?」
そう、申し訳なさそうに口にするのだった。
「はい、是非お願いしますね、私自身に深く関わる事でもありますし」
- 299 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/30(火) 22:39:28 ID:/3xl4ACY0
- >>297
「んん?割と本気なんですけどね」
【ふしぎそうに答える鶫】
「ははぁ、かなり大きな場所なんでしょうね…
その機械都市という所は…」
【こちらも安心したようで、話し方が実におだやかだ】
「一軒家が2つ有るとは…さすがに凄いですよー」
【その喋り方は何処か楽しそうである】
>>298
「はい…納得できるような気がします。
曲げられないことっていうのはよくありますよね」
【同意するように頷いた】
「無理をし過ぎない範囲で、貫き通せたらいいですね」
【どうやら彼女にも思うところがあったようである】
- 300 :レラ&河平:2012/10/30(火) 23:00:58 ID:gSogigCY0
- >>298
「ここの奴らは妙な連中が多い。
この天才である僕を否定する輩の多さたるや……」
否定されているのはレラの技術や頭脳では無く、性格面で有る事は確実。
しかし、間違いなくレラはそれを改めようとはしないだろう。
『これから、困ったことがあったら言ってください。家族になる訳ですし。
レラもこう見えてやさしい子でなんですよ……ね?』
そう言うと、片腕で少女を保持してもう片方で柔らかい頬を揉んだ。
少女はただ不愉快だと言わんばかりの反応を返す。
少女の戸惑いから来る詰まった言葉に、女性は首をひねった後、答えが出れば微笑んで。
『河平とお呼びください。
此方はレラ。一応、私の上官ですね』
「それが理解出来ているならその態度、改めて欲しいものだな」
頬に向かっていた手が子どもの小さな手に向かい。
それを掴むと無理やり手をふりふりと振らせる。
女性の言葉がその通りなら、レラの言葉も正しいが、どうもそうは見えなかった。
>>299
「貴様、一体僕を何だと思っているんだ?
雨ざらしの犬か? それとも縫いぐるみか?」
防人の視線を不快そうに受け取る。
小さく揺れて、むず痒そうにしているのはそう言った扱いを受けるのに慣れていないからだろう。
『そうですね……。
機械関係だけで見ればこちらの技術の方が上でしょうか。
尤も、それ以外では全くだったりするので、見ていて目を見張る物も多いです』
周囲を見渡しつつ、そう口にする。
今、空を飛んでいた貨物船は機械都市の物の方が早いらしいが、この都市程の品揃えは無いらしい。
『まぁ、家の持ち主が稼ぎが多い割には倹約家ですし』
正確には、出不精故に金銭の使い道がない。だが。
『では、そろそろ行きましょうか。
防人さんもいらして下さいな。折角ですから』
立ち話を続けるのも余り良くないだろう。
話に半ば強引に区切りをつけ、歩きだしてゆく。
- 301 :少女:2012/10/30(火) 23:29:10 ID:RRIFCANoO
- >>299
「それがどんな物は、人それぞれですけどね、だから人は争ってしまう……」
「……と言ってみましたが、実際の争いは利権関係ばっかりで、そんな清いものではないんですよね、色々と残念です」
これみよがしに溜め息を吐いてみる少女は、その利権関係の争いに関わった事があるのだろう。
その言葉には、その表情には、妙なリアリティがあった。
>>300
(……十中八九、理由は性格の問題でしょうね、でも、常識人っぽい相方さんがそれを指摘しないという事は、既にして聞き入れられなかった、と考えるべきでしょう)
「そんな物は役に立たない、とか言われたんですか?」
「だったら酷い話ですね、技術が有って困る事なんか滅多にありません、それを否定するなんて、どんな思考をしてるんだか……」
だから、少女は敢えて『素晴らしい技術なのに否定するなんて酷い』と憤ってみせる。
否定されているのが『技術』なのか『人格』なのか、本人に遠回しに気付かせる為に。
「……はい、宜しくお願いしますね、私も“家族”に加わる為に、出来る限りの事はしますから」
「それに、優しい人なのは既に知ってます、普通なら、厄介事をわざわざ抱えようとはしないのに、私を受け入れる事を認めてくれたんですからね」
その時点で、お人好しなのは確実だ、そう少女は思う。
自分が同じ状況なら、受け入れようと思えるかは怪しい。
「河平さんと、レラさんですね、これから宜しくお願いします」
- 302 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/30(火) 23:37:27 ID:/3xl4ACY0
- >>300
「いえいえ、気にしないでくださいよ。
たしかに其れ以上に思ったことはありますけど」
【そう言ってから少女に目を向けた】
「湖の街も場所によっていろんな物が見れますからね…
好奇心は付きませんよ」
【微笑みながら答える。】
「ふーむ、あの船がそういうものなんですね…
大きそうな輸送機ですね…ふむ」
【空を見上げその船を見つめる。
何処か感慨深気な顔である】
「倹約は大切ですね…
いくらお金を持っていても慎ましやかにしているのが一番いいんですよ」
【笑いながら答えた】
「…あ、いいんですか?
そうですねぇ。ちょっと見に行きましょうか…」
【歩き出したのを見て鶫も慌てて後をついていく】
>>301
「ふーむ、随分と哲学的な話になりますね…
確かに綺麗事を貫き通せたら、一番いいんですけどね…
私の力は多分そのためにある…と思うんです」
【軽く頷きながら答えた】
「いろんなことがあったんですね…
詮索はしませんけど…大丈夫ですよね」
【心配そうな表情である…】
「そういえば…お名前をまだ聞いていなかったでしょうか?」
【そう言って首を傾げた】
- 303 :レラ&河平:2012/10/30(火) 23:56:45 ID:gSogigCY0
- >>301
「クク……。この天才の僕の力を否定する。
なんてものは端から興味など無い。
ただ、凡人は凡人らしく、天才である僕に従っておけばいいと言うのに……どうも無駄に口を挟みたがる」
大凡、少女の外見からは想定出来ないだろうスケールの愚痴であった。
少女らしく愛らしい外見から、「世界は自分中心に回っているに決まっている」等と言った発言が飛び出る。
『ええ、宜しくお願いします。
……しかし、その礼儀正しさ、アミルも見習ってくれると嬉しいのですが』
「勘違いするなよ。僕は貴様に手を貸すつもりは一切無い。覚えておけ」
方やため息。もう片方は牙を向くと言う異例の展開。
少女を抱えたまま女性は歩き出した。
『さ、そろそろ帰りますよ。ついてきてください』
>>302
「……」
防人のそれ以上と言う言葉は酷く想定外だったのだろう。
頭を抱えて俯き黙ってしまう。
「矢張り、これだから馬鹿は嫌いなんだ……」
とだけ呟いて。
『全く、その通りです。
移り住んでもうそれなりになりますが、倦怠感からは程遠く感じられますね』
思い返しているのか少しだけ目を瞑り。
『ただの一例ですけどね。
そういえば、この都市とも貿易はしていたはずです』
ふむ。と頷きながら。
機械都市は帝国様式の統治体制だが、一方異能都市は全くの不明。しかし、貿易は行われているのだという。
『そう遠くありません。
これから彼女の事もありますし、知っておいて下さい』
街中を抜け、住宅街方面へ。
- 304 :少女:2012/10/31(水) 00:31:15 ID:RRIFCANoO
- >>302
「色々と見てきたんですよ、普通じゃ解りたくないような嫌な世界もあるんです」
「綺麗事を貫くなら、頑張って下さいね……多分それは、憎悪と怒りをぶつけられる茨の道ですから」
何を見て、何を知ったのか。
少女の意見にしては珍しく、決して前向きとは呼べない意見だった。
>>303
(……否定されているのは力じゃない、という事を気付かせたかったんですけど、無理でしたか)
(これは、少しずつ意識改革する必要がありそうですねー、折角の能力が、こんな形で埋もれるのは流石に可哀想です)
「でも、言う事に黙って従うだけの面白味も何もない人形だらけでは、張り合いも何も無いんじゃないですか?」
「見方を変えれば、それはそれで良い事に変わるかもしれませんよ……凡人の中の凡人の私の考え方ですけどね」
取り敢えず、この場でも少女はプラス思考を薦める考え方を曲げようとはしない。
大半の出来事は、見方次第では良くも悪くもなる、なら、良く見た方が何かと得だろう。
「はい、二人とも宜しくお願いしますね」
「それと、自己紹介を忘れてましたので、今此処で名乗らせて貰いますね」
「リィス=シュイク……今さっきまでは、そこそこ繁盛している店の一人娘でした、一応、護身の為に簡単な魔術は習っていますが……その手の人と張り合うにはまだまだ力不足なのは否めないみたいです、解ってましたけど」
- 305 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/31(水) 00:34:01 ID:/3xl4ACY0
- >>303
「…?…なにか変なことをいいましたかね…」
【困った顔でレラを見つめる】
「新しいものがどんどんきたりしますからね。
わたしもまだ良くわかってないんです。」
「へぇー、異能都市とはそんな繋がりがあったんですね。
また新しいことがわかりましたよ」
【嬉しそうに答えた】
「ええ、覚えておいたほうがいいでしょうね」
>>304
「…嫌な世界ですか…
多分わたしも向き合わないといけないものなんでしょうね」
【少し下を向いてから答えた】
「ええ、優勝した時に多くの人の前で言いましたからね…
貫き通すということを」
【じっと見つめて答えた】
「ええ、よろしくお願いします。リィスさん…」
- 306 :レラ&河平:2012/10/31(水) 10:14:05 ID:2yQualVc0
- >>304
「その必要がない。
凡人共はこの天才である僕の指示に従っていればいい」
天才至上主義。だとでも言うのだろうか。
余程自分に自信が有るらしく、自らを頂点とした独裁を築き上げようとしている風だ。
少女の名乗りには未だ乾いた反応を示すのみ。
一応、といった感じで頷きはする物の、返答の言葉に詰まらせていた。
先程から歩みを進め、住宅街に入り込み、とある家の前。
庭付きの一軒家。少女には馴染みが薄いかも知れないが、少々大きく感じるだけの、普通な一軒家だった。
『ここが、私達の家です』
中にはまだ誰かが居るのだろう、屋内には明かりが見て取れる。
女性は伸ばした手を左側へ向ける。
指された先にはまだ新築と見られる家。
『一応、これもです』
>>305
「理解できんならそれ以上喋るな」
レラは天然と言った気質のある種族が嫌いらしい。
理由は単に話が通じないから。だとか。
『常に進歩を続けるのは良い在り方ですよ』
科学然り、人然り。
そう続けて、女性もまた楽しいのだろう、一層の微笑みを見せた。
『ここになります。私達の家は』
二件の建物を示し、振り返る。
『軽く上がって行ってください。折角ですから』
レラを地面に下ろしつつ、初めに示した家へ向かっていく。
一方少女は比較的新しい方の家へと歩いていった。
- 307 :リィス:2012/10/31(水) 21:33:09 ID:RRIFCANoO
- >>305
「悪い所を見ようとせず、目を逸らしながら正義を貫けるんなら貫いてみろ、って感じです」
「まあ、助けられた私が偉そうに語る言葉じゃないんですけどね?」
小さく笑って、少女はそう言った。
脳天気に見える位、前向きな少女だが―――それはきっと、暗い世界を知っているから。
>>306
(説得は、今は無理そうですねー……)
実力が有るが故に、それを持たない他人を支配しようとする事に疑問を覚えないのだろう。
だとしたら、説得するにはまず、彼女の価値観を揺らがせるような出来事が起こる事が必要なのだろう。
「……と言う事は、凡人の中の凡人な私は、言うまでもなく指示には絶対服従、と言う訳ですか」
「間借りするんですから、仮に私が凡人じゃなくても、指示は聞くつもりですけどね?」
「……家が二件、ですか」
「わざわざ二件隣り合わせで用意しているという事は……一つはレラさんの研究施設とか、ですかね?」
まさか、隣にあるのは別荘だ、なんて訳はないだろう。
吃驚するほどの大家族な可能性もあるが―――この考えの方がまだ無難だと思えた。
- 308 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/31(水) 21:41:12 ID:/3xl4ACY0
- >>306
「機嫌を悪くさせてしまったようで…
はぁ…」
【軽く落ち込んでいる用に見える…】
「そうですねぇ。
進歩…進歩…なかなか難しそうです」
【手のひらを握りながら呟いた】
「ここがそのお家ですか…
しかも隣にもお家が…二世帯というんでしょうかね」
【交互に家を見ながら答える。軽く驚いてるのだろうか】
「あ、はい…おじゃましますねー」
【誘われるまま鶫は玄関の方へと足を運んでいく】
>>307
「綺麗なままでは正しいことはできない…
矛盾しているようで其れが正道なんでしょう」
【腕を組んで頷いた】
「いえいえ、気にしないでください。
これからも何とかなりますよ」
【微笑み返しながら答えた】
- 309 :レラ&河平:2012/10/31(水) 22:09:55 ID:gSogigCY0
- >>307
「解っているなら態々聞くな」
ふむぅ。と至極面倒そうに息を吐く。
本心からそう思っている風だ。好意的な解釈をすれば裏も表もない。と言う事か。
『いえ、一つが私達の家で、もう一つはレラの家です』
そう言った後、頭に手を当て首を振り、少し悩む表情を見せた。
『それでは語弊がありますね。正しく言えば二つともレラの家です。
私達はその内の一つを借りているだけ。ですね。
本来ならそこにはレラのお友達がくる予定だったんですけど……』
最後までは言わず、言葉を濁し自然と消えていく風だった。
口元に手を当てて、難しい顔をしている。
そうこうしているうちに、レラは河平のそばを離れ、新しい方の家へと消えてしまった。
少女をもう片方の家へと案内し、その扉を潜って行く。
>>308
『それも、人も都市も同じですね。
以前の模擬戦でも、見直すものが多かったです』
目の前の相手に敗北した事を思い返し。少し恥ずかしげにはにかみ。
帰宅の瞬間、奥の部屋から少女が迎えてきた。
黄色い服に見を包んだ黒髪の少女。小学生くらいの年齢だった。
河平だけでなく、多くの人間が押し寄せてきた事により、足を竦ませて戸惑っている様子を見せていた。
- 310 :リィス:2012/10/31(水) 22:28:36 ID:RRIFCANoO
- >>309
「確かに余計な質問でしたね、すいません、それと……改めて、宜しくお願いしますね?」
やっぱりそうですよね、と小さく笑った後、少女はレラに一礼―――感謝の意志を込めて、ゆっくりと頭を下げた。
「……訳有りですか、何処まで踏み込んで良いか解りかねますから、敢えて今は何も言いません」
「関わっても良いと、踏み込んでも良いと思われたら、きっとあちらから話してくれると思いますし……見通しが甘い、ですかね?」
自分なりの意見を述べた後、少し不安そうな視線を河平の方に送る。
レラの性格は少女にとって未知なものだ、どの位まで関わったら怒るのか、どんな事をすれば喜ぶのかが解らない、故に、不安を感じるのだろう。
>>308
「……貴方がそれを言ってどーするんですか、綺麗なままに正義を実行するのが『綺麗事を語る』貴方の役目なんでしょう?」
違うのか―――そう問うような少女の視線は、防人が見た中で一番鋭く、威圧的な視線だったかもしれない。
- 311 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/31(水) 22:33:00 ID:/3xl4ACY0
- >>309
「そうですね…
もしかしたら次に勝負する時は私が負けるかも知れません」
【軽く手を握りながら微笑み返す。玄関あたりに入ったところで】
「あ…どなたかいらっしゃるみたいですね…」
【奥の部屋に見えた少女の姿を見て驚き】
「すいません。ちょっとおじゃましてますー」
【きっちりとした姿勢で頭を下げた】
>>310
「むっ…」
【その鋭い視線を見て、今までとちがう雰囲気を感じた鶫。思わずたじろいでしまったが】
「…それはそうでしたね…なんとも、とんだ失態です。
私のやるべきことは、そういうことではありませんでした」
【頷いて答え、再び微笑み返した】
「改めて、私はそれを目指します」
【溜め息をつきながら、顔を上げて答えた】
- 312 :河平&栖狩ビィ:2012/10/31(水) 23:19:22 ID:gSogigCY0
- >>310
「レラは気難しい人ですからね。
怒りっぽくて、自分勝手で。
だけど、彼女は純粋な子ですから。きっと、応えてくれるんじゃないですかね」
河平にも、解らないそうだ。
そう言いたげな顔。そんな苦笑。
「まぁ、難しいでしょうね」
と、言いつつ笑みを強めた。
>>311
「怠れませんよ。
勝負とは常に一瞬と言いますし、ね」
手を取り、軽く握る。
『河平、誰?』
「あぁ、ビィ。この人達は私の友達……の、ような人です」
女性の元へ寄ってきた少女。
優しく頭を撫でつつ足を進めていく。
- 313 :リィス:2012/10/31(水) 23:41:24 ID:RRIFCANoO
- >>311
「それでこそ、ですよ」
「綺麗事を貫くと決めた気高い意志を、大衆の意志や、一般的な意見なんてものにかき消されないで下さいね」
「私は、貴方が道を踏み外さない限りは、応援しますから」
小さく笑って、少女は満足そうな表情を浮かべる。
苦悩する事は沢山有るだろう茨の道、それを進むと決めたと語られた。
なのにそれを簡単に覆されるのは、気に入らなかったのだろう。
>>312
「でしたら、まずは私からですね、彼女の声にひたすら応え続けて、信頼を勝ち取れるように頑張らないと……」
「……それと……申し訳ないですが、寝床は、ありますか?」
「ぶっちゃけてしまいますが、血が流れすぎたからか、もうフラフラで……立っているのも、そろそろ辛いかな、と……」
今までは雑談で誤魔化していたのだが、そろそろ限界が訪れたようだ。
見れば、顔色も良いとは言えず、足に巻いた包帯も血が滲んでいる。
休息が必要なのは、間違いないだろう。
- 314 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/10/31(水) 23:56:34 ID:/3xl4ACY0
- >>312
「まさしくそのとおり。
こっちも必死の勝負でしたからねー。」
【嬉しそうに笑って答えた。鶫も手を握り返した】
「えっと…【さきもりつぐみ】といいます。
いろいろありまして、まあ友人…だと思います。
よろしくお願いしますね。ビィ…さん?」
【少女に向けて軽く笑いながら返す】
>>313
「なるほど…
なかなか軽くない使命みたいですねぇ。
でも、まぁ」
【玄関に上がってから答える】
「応援する人もいるのならば喜んで背負いましょう」
【さっきよりも凛々しい顔で答えた】
「ふう、ひとまず元気になって安心しました」
- 315 :河平&栖狩ビィ:2012/11/01(木) 00:15:57 ID:gSogigCY0
- >>313
「ええ、レラは強い子ですけど……支えられる人が側には必要です」
少女にそう告げ、微笑んだ。
そして、「お願いしますね」と付け加えた。
「あぁ、まだ時間があると思っていたのですが……。
あなたの家はあちらの方で、今レラが準備をしている筈です」
少女を家から連れ出し、隣の家を指さす。
一階のメインスペースの明かりが付いているのが解るだろう。
>>314
「いえ、しかし、いい勝負でした。
私も見直すところがたくさん見つかりました」
少女の頭を撫でたまま、防人に向き直る。
少女も視線を同じくして、目を向ける。
『つぐみ、よろしく』
黄色いスカーフがよく映える少女。
その背からは、薄い四枚の翅が伸びていた。
- 316 :リィス:2012/11/01(木) 00:30:37 ID:RRIFCANoO
- >>314
「……これが元気に見えるなら、大した人ですよ……」
どうみても体力を消耗しているのに、その台詞を言われるとは思っていなかった。
>>315
「私なんかで支えられるかは解りませんが……精一杯、頑張らせて貰いますね」
「……あちら側ですか、解りました……準備が整ってないのに、押し入る訳にもいきませんからね」
「では、あの、大変見苦しいのは自覚していますが、腰を床に降ろしても、良いですか……?」
隣の家屋に視線をやって、明かりがついた部屋を見つける。
だが、疲労の為か、それが何を意味するのか、指摘されるまで気付かないだろう。
//ごめんなさい、明日は早出なのでこのあたりで落ちさせて下さい、申し訳ありません。
- 317 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/01(木) 00:36:17 ID:/3xl4ACY0
- >>315
「ふーむ、それは嬉しい限りです。
私も、ますます技を磨けたような気がしますよ」
【嬉しそうに褒め返す鶫であった】
「はい、どうぞよろしくー…おや?」
【少女に向き直って、背中に生えている翅を見つめて】
「ふーむ…河平さんも能力を使う時に似たようなハネが生えていた気がしますね…」
【興味深そうに答えた後】
「成る程、妹だからですね」
【納得したような素振りで答えた】
>>316
「…非常に申し訳ありません」
【すぐさま頭を下げて謝った】
「……自分には色々と足りないみたいです」
【凄く申し訳なさそうにしているようであった…】
//おk、おやすみなさい
- 318 :河平&栖狩ビィ:2012/11/01(木) 01:06:54 ID:gSogigCY0
- >>316
「ええ……お願いします」
少女に手を伸ばし、優しく頭を撫でる。
ビィと呼ばれた少女も近づいてきて、心配そうな視線を向けていた。
「恐らく、もう大丈夫だとは思うんですけどね」
準備と言っても、大掛かりな事はできない。
精々少女の為にベッドを整えたりする。その程度だろうか。
「それでは、行きますか?
ビィ。少しだけ手伝ってください」
少女に背を向け、乗れと言う。
「さ、ここに。これくらい運べますよ」
>>317
「目線は同じでしょうからね。
お互い、力を磨いていけるように頑張りましょう」
志は正義の元に。
河平もそういう人間だからこそ、微笑んで。
『ビィ、はち』
「妹ではないですよ……まぁ、そんな物ですけどね」
パタパタと羽ばたいて見せる薄い翅は剥き出しになっていた。
それも、河平の物とは違い模様も無く、一般的な蜂のそれ。
「リィスさんが少しキツそうです。
隣の家まで送るので、一緒に来てくださいますか?」
- 319 :名も無き異能都市住民:2012/11/03(土) 22:12:29 ID:RRIFCANoO
- >>317
「……あ」
「いえ、大丈夫ですよ、私も、嫌味な言い方をしてしまってごめんなさい」
それに対して、少女も慌てて頭を下げる、苦痛もあってついそんな態度をとってしまったが、それを後悔しているのだろう。
>>318
頭を撫でられるのが恥ずかしかったのか、少女は顔を背けるが―――安心したのか、少し穏やかな表情を浮かべていた。
「……ビィちゃん、でしたっけ、情けない姿を見せてしまって恥ずかしい限りです」
「でも、大丈夫です、少し疲れてしまっただけですから、安心して下さいね?」
そう言って、少女は微笑んでみせる、弱みを見せる事を拒むように。
「……普段なら自分の足で歩くと言いますけど、今は、素直に、背中を借りますね」
「河平さん……ありがとうございます」
- 320 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/03(土) 22:44:57 ID:/3xl4ACY0
- >>318
「ええ、がんばりますよ」
【大きく頷いて答えた】
「へぇー。これは蜂のハネになるんですね…
…こちらは本物のハネのように見えますね」
【興味深そうに答える鶫】
「あぁ、はい…
手伝いますよ」
【そう言って河平の後に続く】
>>319
「こちらこそ…ご気分も理解しないでいってしまって。
申し訳ないです」
【こちらも何度も頭を下げて返す】
「ひとまず、休まないといけませんね…
そうすればほんとに元気になれると、そう思います。」
- 321 :レラ&河平&栖狩ビィ:2012/11/03(土) 23:09:35 ID:gSogigCY0
- >>319
『人、大丈夫』
『ビィ、安心』
少女の言う事を素直に受け取り、小さく頷く。
そして背中の翅を広げ、背中にある翅の付け根から摘まれる様な姿勢で浮遊すふと家から出て行ってしまった。
「頼ってください。貴女は家族になるんです。
妹が一人だけ増えた位、軽い負担に過ぎませんよ」
河平。年齢:非公開。ただし成人済み。
一家の唯一の成人として自分勝手な上司の代わりに実質的な大黒柱を受け持つのであった。
少女を背負い、家を後にする。
お隣の為に、数歩程度で目的地へ辿り着く。
玄関で先に待機していたビィが戸を開け、新築の中へ招き入れた。
「早かったな」
リビングの中央。
テレビに面して置かれた大きなソファに座っていた小さな少女が喋る。
幾分か衰弱した様にも感じられた背中の少女を眺めたが、特に思う所は無かったのだろう、左手を小さく上げて細い指で背後のベッドを指すだけだった。
「レラ、また無精な配置ですね」
河平もこれには少々驚いたのだろう、苦い顔をしてレラを見る。
だが、咎めるのは後。と言うふうに足を進めベッドに少女を降ろした。
>>320
『人、人間?』
首を傾げ、防人の周囲を飛んで周り観察する風。
一通り眺め終えたのか、元の位置に戻って来て白目の狭い黒黒とした視線を向け。
『ビィ、はちさん』
とだけ。
「まぁ、取り敢えずはこんな所ですね。
後は、足の包帯を変えるぐらい……でしょうか」
腕を組み、僅かに視線を上に向けた。
悩むような表情は、救急箱の在り処を思案する物だった。
恐らくはこの家にない。なら一度取りに帰らなければ。とか。
- 322 :名も無き異能都市住民:2012/11/03(土) 23:36:42 ID:RRIFCANoO
- >>320
「ですから、気にしないで良いですって、お互いに非があった、それで良いじゃないですか」
これでお終い、と少女は話を切り上げる。
疲れているから会話を長引かせたくない気持ちも少なからず有るのだろう。
>>321
「いい子ですね、あの子」
「……それでは、少しお世話になりますね、お姉さん」
少女は、自分の体重を河平の背中に預ける、それには遠慮こそあれど躊躇いは無く、初対面だったが、既に彼女達を信頼している事が伺えた。
「すいません、血を流し過ぎてしまったのか、身体が不自由で……我が儘を言って連れてきて貰ったんです」
レラに向けて顔を向けて、苦笑い。
そのまま特に何もなければ、ベッドに座り込み、安堵の溜め息を吐くだろう。
- 323 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/03(土) 23:44:37 ID:/3xl4ACY0
- >>321
「どうもおじゃましますー」
【軽く頭を下げておとなりの家に入る鶫】
「気にしなくていいですよ。
一応私はお客ですから」
【そう言って軽く手を振る】
「救急箱ですか…
確かに袋だけじゃ心配ですね…
何か用意できるでしょうか…」
【心配そうにあたりを見回す鶫】
>>322
「ですね…ひとまずこのへんにして…」
【そう言って軽く咳を一つした】
「とりあえず新しい家族…
みたいな感じですかね?」
【そう言ってあたりを見回して微笑んだ】
- 324 :レラ&河平&栖狩ビィ:2012/11/04(日) 00:07:43 ID:gSogigCY0
- >>322
「やさしい子、ですよ。
……大きく育ってくれると、良いのですが」
柔らかな微笑みの後ろには、不安げな顔。
少々過保護気味だとは、自覚する程で。
そうこうしていたら、話中の少女も扉を閉めてリビングへやってきた。
パタパタと飛んでいき、真っ直ぐにレラの隣へ座った。
レラもビィに対しては理不尽な物言いをする風も無く、何も言わずにいる。
「先ずは休め。
……ただし、貴様に言って置かなければならない事はあるからな」
この家は確か、レラとその親友の住まいだとか言っていた。
しかし、その親友の姿が見えないと言う事は、今は独りなのだろう。
何れ来る暮らしのための、前準備に伝える事があるのだろうか。
それとも、前述した通りに今レラは独りだ。
となれば、少女の横たわる無駄に広いベッドも彼女のものに違いない。その事だろうか?
>>323
お客さん。という言葉を聞くと立ち上がり、キッチンへ飛んで行く。
テーブルの上を越え、対面空間と天井の間を潜りシンクの向こう側に降り立ち冷蔵庫を開く。
中の様子に驚きを隠せないのか、ゆったりとしていた口調は少し早まり。
『レラ、空』
「当たり前だ」
レラは住まいこそこっちだが、生活の拠点はもう片方の家なのだろう。
リビングのスペースを圧迫するベッドといい、怠惰の様子が見て取れた。
「あっちの家にある筈です。
……私が取り替えておきますよ」
少女に休息が与えられ、一先ずは安心したのだろう。
比較的長い背丈がだらりと垂れて、肩を落とす。その表情には安堵が見て取れた。
- 325 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/04(日) 00:46:52 ID:/3xl4ACY0
- >>324
「ああ、いいですよ。
あんまり長居するつもりはありません」
【微笑みながら手を振って返した】
「ひとまず新しい家に迎えたのを見届けられただけで、充分過ぎるもてなしですよ」
【あたりの様子を見て嬉しそうに言った】
「ああ、そうですか…良かったです。
ひとまず…看病を行う人に困らないようで、安心しました」
【良い人ばかりだ。そう言って家の中にいる人々を見た】
- 326 :リィス:2012/11/05(月) 21:58:03 ID:RRIFCANoO
- >>323
「ですね、後は受け入れて貰えるように私が努力をするだけです」
「いろいろと、ありがとうございますね」
>>324
「成長に関しては、祈るしか出来ませんからね……あ、あと、栄養のある食事を食べさせてあげたりする事くらいは出来ますか」
「……まあ、今からそれを憂いても仕方ない、そう私は思いますよ?」
後ろ向きに考えても改善が出来ないなら意味はない、だったらポジティブに―――少女のいつもの考え方だ。
「今は、その言葉に甘えさせて貰いますね、レラさん」
「間借りするんですから、注意の一言二言はあるものだと思っていましたし、さっきも言われましたしね、何なりと言いつけて下さいな」
- 327 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/05(月) 22:28:57 ID:/3xl4ACY0
- >>326
「はい、是非ともご健勝であってください」
【そう言って小さく頷いた。多分それが心よりの言葉なのだろう】
「あはは・・・お人好しなものですからね。
いっぱいめんどうみてしまいましたね・・・」
【苦笑いをしながら答えた】
- 328 :レラ&河平&栖狩ビィ:2012/11/05(月) 22:39:27 ID:gSogigCY0
- >>325
『ビィ、なっとく』
小さく頷き、それから静かになる。
代わりに河平が防人に向かい。
「すいませんね……大したおもてなしも出来ずに。
今度、時間が許せばお茶でもしましょう」
と、言って微笑んだ。
「任せてください。
なんたって、彼女は家族になるんですから」
控えめに胸を叩いて、任せろ。と。
>>326
「それくらいは」
横一列に座る、レラとビィ。
特に何をするわけでもないが、レラが棘を刺さないと言う事はそれなりに配慮はしているのだろう。
そんな二人を眺めつつ、そう返す。
戯れる訳ではないが、仲の良いであろう二人に向けられたのは慈愛の瞳。
「そうですね……。私達が、確りと正しい方向に導いて上げれば。
……特に、ビィには色々と知って欲しいことがありますから、ね」
そう、いつも以上に柔らかく静かな口調でつぶやく様に。
その後、ハッとしてリィスに向き直り。
「あ、貴女のご飯もあっちで作るんで、大丈夫ですよ」
と、微笑みつつ。
「今はさっさと休め。
具合を訴えられて僕のせいにされても困るからな」
そういうと、ソファにコロリと倒れてしまう。
元より背もたれに頭頂部がちょこりと見えるだけだったのが完全に消えて、ソファがぽふりと音を立てる。
膝に掛けていた薄手の毛布を被る。どうやら今日はそこで眠るらしい。
- 329 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/05(月) 23:38:59 ID:/3xl4ACY0
- >>328
「まあ急ぐものではありませんし…
お茶くらいならいいですよ。」
【そう言って近くの椅子の前に立つ】
「おかげでわたしも安心して帰れます。
まあ、もう少しだけゆっくりしますけどね」
【嬉しそうに答える】
- 330 :名も無き異能都市住民:2012/11/08(木) 22:40:57 ID:RRIFCANoO
- >>327
「言われなくても、ですよ、好き好んで病を得る程バカじゃありません」
「貴方も、危険な事に首を突っ込み過ぎないように気を付けて下さいね、その首が吹き飛んでしまったら大惨事です」
>>328
「私“達”ですか……?」
来訪してから一日も満たないが、早速正しい方向に彼女達を歩ませる大任の一端を任せられてしまった気がする。
「了解、です、色々とありがとうございますね」
「それと……調子が戻ったら、私にも家事の手伝い、させて下さいね?」
今は動く気力が微塵も無いが、それが戻ったら……こんな自分が『家族』として認められるなら、積極的にその一員として動いてみたい。
そう、思ったのだ。
「……お心遣いありがとうございますね、今はその言葉に従って、素直に眠ります」
「おやすみなさい……ううん、気が高ぶった後だからか、目が冴えてしまって困りますね……」
- 331 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/08(木) 23:00:00 ID:/3xl4ACY0
- >>330
「ふむ、そうですね。元気になればきっと病も恐くなくなりますね」
【軽く頷きながら言う】
「はい、無茶をしすぎず自分の身の丈にあった戦いをしますよ」
【真面目な口調で答える】
- 332 :レラ&河平&栖狩ビィ:2012/11/08(木) 23:11:07 ID:gSogigCY0
- >>329
『レラ、お茶』
少女の問いかけに、ソファに転がったまま一点を指さすレラ。
それは部屋の隅。縦長の段ボールに詰められたペットボトルのお茶。
少女はそれを眺めたあと、大きく頷くと段ボールに向かって飛び、ペットボトルを取り出した。
そして、防人にそれを渡す。
「……さて、リィスさんと防人さんが会うことになった経緯、簡単でもいいです。聞かせてもらってもいいですか?」
この先、知っておいた方が良いかもしれませんから。と、付け加える。
>>330
「あぁ、そんなに気負う必要はありませんよ」
リィスの表情を見てか、微笑み。
「……ビィの、お友達で居てあげて欲しいんです。
特殊な生まれをしたあの子は、友達と言う物も、あまり知らないままで」
身近な同年代そうな人物も、ソファで眠る少女のみでは正直、心許ない。
あどけない雰囲気や仕草の見える少女は、特徴的な言葉と相まって、随分と世間知らずに見えた。
「でも……私一人でも、難しいです。
だから、ここの皆にお願いしてるんですよ」
口に手を当てて、無念だと言いたげな顔をする。
河平にとって、ビィという少女は大切なのだろう。とても、とても。
「いえ、その必要は……。
いや……そう言なら、手伝って貰いましょうかね」
これから、家族になる者だ。
隔壁は早いうちに、取り除いておきたい。
家事をさせることで、家に住む他の者との接点も、少しは増えるだろう。そう思い。
「眠れなくても、身体を倒しておけ。
それだけても、それなりには楽になれる」
静かな声が伝わる。
少女はソファに転がったまま、リィスの言葉に耳を傾けているのだろう。
- 333 :リィス:2012/11/08(木) 23:38:05 ID:RRIFCANoO
- >>331
「病は気から、と言いますしね、病気で余命僅かな人間が、人生をエンジョイしているうちに病気が何故か良くなって暫く生きれた、という話も聞いた事があります」
「まあ、病気に掛からないのが一番に決まってるんですが」
「でも身の丈にあった戦いでは、いざというときに人を助けるのは難しい、大変ですよねー」
>>332
「彼女の友達に、ですか……特殊な事情がありそうなのはなんとなく解りましたし、そうですね―――だが断る」
「同じ場所にいれば自然と距離は縮まりますし、あの子が良い子なのは解ってますから、避けたりもしません、だから“貴女に言われたから”ではなくて“私の意志で”彼女とは関係を作っていきますよ」
友達になる事自体が嫌なのではなく、友達になる事を頼まれるのが嫌だったのだろう。
折角なのだから、自分の意志で彼女との関わり方は決めたい、、他人に言われたから関わった、なんて寂しいものにしたくはない、と。
「はい、喜んで」
「と言っても、暫くは控えめに外出しなければならないですから、買い出しとかは難しいかもしれませんけど……」
「取り敢えず寝転がっていれば、普通の睡眠の三割位の回復は見込めるんでしたっけ……?」
「まあ、屁理屈はどうでもいいですね……では、遠慮なく力を抜かせて貰います」
言うや否や、全身から力を抜き、くったりとベッドに身を委ねる。
疲労感が、今は心地よかった。
- 334 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/08(木) 23:43:05 ID:/3xl4ACY0
- >>332
「ああ、どうもありがとうございます」
【軽く頭を下げてペットボトルからお茶を飲む】
「…んん、コップはないですか?」
【ここで口を離して不思議そうな顔で答える】
「わかりました…と言ってもそんなに長くはないんですけどね」
【そう言ってまた一口飲んでから口を開いた】
「路地裏であの子は始末屋さんに襲われていたんです。
まあ、その人も知り合いだったのでどうにか説得できればと思ったんですが…
そのうちに…」
【鶫は説明し始める】
「彼女が何かの術式を組み上げようとしているのに気づいて…
その間の時間を稼ぐためにいろいろ喋って、どうにか事を終えたんですが…」
【しばらく話は続き】
「…応急処置をしている時に河平さんとレラさん達に出会って…
……それで話した結果……ここまで来たんです」
【そこで一息ついた】
>>333
「そんな話があるんですか!?
ほんとに人の気力っていうのは未知の力ですね…」
【感心したように返す】
「そういう時は誰かの力を借りれば…
おそらく大丈夫ですよ!」
【軽く頷いて微笑み返した】
「少し話しすぎましたかね…
そろそろお休みですね…」
【じっとリィスを見てこたえた】
- 335 :レラ&河平&栖狩ビィ:2012/11/09(金) 00:19:51 ID:gSogigCY0
- >>333
「……えぇ、ではそれで」
ゆっくりと少女の言葉を受け取った後、一層の笑みを返す。
「足の怪我も、私が大丈夫と判断するまでは安静ですからね。
それまでは……まぁ、何か考えておきますよ」
少女の脚を注視しつつ、そう口にする。
今までの印象通り、河平という人格は真面目そうで。
それは、暫くの間少女に退屈とも言える期間が訪れる事を意図させるだろう。
「あぁ、それでいい。
……僕はもう寝るぞ。貴様に構い過ぎるのも、面倒だからな」
首まで掛かった毛布をさらに押し上げ、全体が隠れてしまう。
しかし、少女にとってはこっちのほうが気分が良いのだろう。直ぐに寝息が聞こえ始めた。
>>334
「そんな物はない」
眠る間際、短い返答が帰ってきた。
その後直ぐにレラは布団を被り、外見相応な安らぎの表情を見せて眠ってしまったら。
「いえ……それだけでも、十分ですよ」
腕を組み、小さく唸り。
始末屋。その言葉は消して聞こえのいいものではないのだ。
- 336 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/09(金) 00:39:49 ID:/3xl4ACY0
- >>335
「ふーむ、それは残念です…
ああ…おやすみなさい」
【軽くレラに向けて手を降った】
「役に立てていただければ幸いです…
その人はうまく話を合わせるつもりのようですけど…
いつまたこの子が狙われるかわかりませんから、気をつけてください」
【そう言って頷いた】
- 337 :リィス:2012/11/09(金) 21:44:48 ID:RRIFCANoO
- >>335
「……良かった」
内心、ひねくれた言い方をした所為で機嫌を害さなかったか不安で仕方なかった少女は一安心、そっと安堵の息を吐いた。
「ええと、ほら、治癒魔術とかも少しは使えますし、私的には休息はあまり長く要らないかなー、とか思うんですが」
嫌な予感しかしなかった。
目の前の女性は非常に優しい人間だし、素直に信用してよいと思える。
だが、それ以上に生真面目な、責任感の強い性格なのは、初対面の怪我人を放り出せずにわざわざこうして拾ってきた時点で明らかだった。
「ん……おやすみなさい、良い夢を」
>>334
「そこまで極端でなくても、余命数ヶ月と言われた人間に、それを伝えずに、治るよ、頑張れるよ、と応援していたら数年生きた例は多々ありますしね」
「気力があっても死ぬときは死にますが、無いよりは確実に良い結果をもたらすみたいですよ」
「……ん、そうですね、正直、色々あって疲れました」
- 338 :てんさい:2012/11/09(金) 22:11:18 ID:gSogigCY0
- >>336
「えぇ、その辺は抜かり無く。
尽力し、絶対に守り抜いてみせましょう」
拳を胸に当て、忠誠を違うかの様なアクション。
軍人然とした組織に所属する故か手際よく、その鋭さはピシリと音が聞こえそうな程まであった。
「さて、リィスさんも休むようですし、邪魔にならないように、私達も帰りましょう……」
>>337
「ふふ、これに件しては、私が間違ってましたね」
安堵する少女を眺め、また楽しげに笑う。
「確かに、お願いする事ではありませんでした。
人との絆は自然に形成されるのが一番ですよね。
考えが至らなかったようでお恥ずかしいです」
と、俯き頬を掻く。
「ダメです」
少女の予感通り生真面目、それ故に頑固者だ。
緩やかに促そうとする提案もたった四文字の元に却下する。その表情は生真面目さ極まりない物で。
- 339 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/09(金) 22:14:40 ID:/3xl4ACY0
- >>337
「そうですねー。
多分貴方も…」
【じっと見つめて答える】
「さすがに無理をし過ぎましたからね…
ゆっくり休んでください」
【軽く手を振って答えた】
>>338
「頼りになりますねぇー。
嬉しいですよ」
【微笑み返して答える】
「そうですね。
私はお客ですし、長く居すぎても問題ですよね」
【そう言って席をたつ】
- 340 :リィス:2012/11/09(金) 22:31:47 ID:RRIFCANoO
- >>338
「……仲良くするなら自分の意志で、と思っただけなので、あまり大した事は言っていないんですけどね」
「兎に角、あの子とはちゃんと自分なりに付き合ってみます―――貴女とも、レラさんとも」
これからは家族なんですからね、と、少女は小さく笑う。
「ですよねー……今暫くはニート気分で過ごすしかない、ですか」
動いたら傷に障るから、仕方ないと言えば仕方ないが……折角やりたい事があるのに動けないのを歯痒く感じているようで。
>>339
「無理をする事が許されなさそうなので、安心して下さい」
「それでは……良い夢を、それと最後に、心から、ありがとうともう一度言わせて貰いますね」
- 341 :河平&栖狩ビィ:2012/11/09(金) 22:49:40 ID:gSogigCY0
- >>339
「えぇ、すいません。
やはり、お時間がある時にでも」
ニコリと微笑んで、それから頭を下げる。
>>340
「そうですね、よろしくお願いします」
なんたって、家族ですから。と付け加えてまた笑みを強くする。
家族。という言葉には何かこだわりじみた物があるのか、静かな面持ちは崩れない物の、かなりの上機嫌だった。
「魔法で済ます。と言うのも一概に良いとは言えません。
それに……先ずは、私達に慣れてもらわないと、難しいでしょうし」
窓から見える隣の家には、明かりが付いていて、そこから動く人影も見える。
まだ何人か、少女には家族が居るのだと云う事が認識できるだろう。
……実は、そのまだ見ぬ家族が問題で。故に、河平の言葉は何処かあどけないような。
「あ、ニートならそこで転がってるのに話を聞けばいいですよ」
急に、ぶすりと不貞腐れた表情を見せてソファを指さす。
背もたれに隠れた位置で寝息を立てているであろう彼女は、河平の上官だとは言っていたが……。
- 342 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/09(金) 22:55:58 ID:/3xl4ACY0
- >>340
「はい…
無理なら治ってから好きなだけ出来ますよ。
ですから今はね…」
【まるで自身にも言い聞かせるように呟いた】
「どういたしまして…
じゃあまた会えると、いいですね」
【そう言って振り向く】
>>341
「もっと詳しいことが聞きたい時は…
まあ、連絡してください。一応電話番号とかを書いておきますから」
【そう言って扉の前当たりに行くと】
「では、またあいましょうね!」
【元気に手を振ってから玄関の方へと歩き去って行った】
- 343 :リィス:2012/11/09(金) 23:14:18 ID:RRIFCANoO
- >>341
少女も、何か思う事が有るのだろう。
家族という言葉が気に入ったのか、さっきから微笑みが絶えなかった。
「……成る程、確かにそれはその通りですね、まだ最低限の挨拶すら済んでいないんですから」
納得したのか、それ以上の言葉は語らない、浮かれて足下を固める事を忘れていた自分への反省の念もあるのだろう。
「あ、あはは、でも発明しているものが有るなら、それからお金は入ってくるんでしょう?」
「稼いでいるなら、ニートとは言えませんよ、うん」
>>342
その背中に、少女はひらひらと手を振って、視界から消えるまで、壁に阻まれるまでは見送っていた。
- 344 :河平&栖狩ビィ:2012/11/09(金) 23:35:12 ID:gSogigCY0
- >>342
「ええ、ありがとうございます。
今日は、お疲れ様でした」
防人に向かい微笑みを向け、防人を見送る。
置かれたメモを拾い上げ、じっと眺めてからポケットに入れた。
>>343
「また明日、起きてからにしましょう。
皆いい子達です、賑やかですよ……少し、賑やか過ぎますかね」
その為に、まずはゆっくり休んでほしい。
そう付け加え、リィスに倒れるよう促した。
「……有益な物を産まないから、ニートと呼ぶんです」
大きな溜め息を吐き、それからもう一度ソファに視線を向ける。
眠るレラの元に足を向かわせ、頬を摘んで遊んでいた。
それも名残惜しくも、程々に切り上げ再び少女に向かう。
「それでは、私も帰りましょう。
また明日は起こしに来ます。それ迄、ゆっくり休んでいてください」
ふっ、と微笑み掛け、少女を眺める。
「何かあれば……そうですね、それを起こして下さい」
ソファに視線を向ける。
- 345 :名も無き異能都市住民:2012/11/09(金) 23:52:30 ID:RRIFCANoO
- >>344
言われるがまま、身体を横に倒し、眼を閉じる。
話が長引いた事もあって、丁度良い感じに眠気が襲ってきた。
「……あ、あのブーツとかはまだ有益じゃないですか?」
「ローラー付きの靴ですら売れるんですから、きっと、だいじょーぶです」
「……では、おやすみなさい」
//ごめんなさい、眠気が限界に……。
//丁度良い加減ですし、ここで切って良いですかー?
- 346 :河平:2012/11/10(土) 00:12:07 ID:gSogigCY0
- >>345
「量産する気は、無さそうなんですよね」
飽くまでも自らの欲求を満たす為でしかないようだ。
それは、それで、科学者の鑑と言ったところではあるのだろうが。
「えぇ、お休みなさい」
少女が寝付くまで、じっと待ち。
それから、ビィの声が聞こえなくなった事に気付き、周囲を眺める。
「……あら」
スカーフを首に巻いた少女は、レラに重なるようにして寝息を立てていた。
穏やかであると言える光景に思わず笑みを零す。
仕方が無いのでビィは抱える事にして、レラの毛布を正すと家を後にした。
- 347 :ロザリア・ロートシルト:2012/11/10(土) 23:20:14 ID:McrgrouA0
- 【AGカフェ】
「…………。」
今日のロザリアは、なにやら落ち着かない様子で、
店に姿を見せて以来、時計に目をやったり、頬杖をついたり、ため息をついたりと
そわそわしている。
まるで、何かを焦がれているようにも
あるいはこれから来る何かに備えて覚悟しているようにも見え、
その様子から彼女を知る人々は、『なにかがある』と勘繰る者もいるようであった。
- 349 :名も無き異能都市住民:2012/11/15(木) 23:07:41 ID:McrgrouA0
- てすてす
- 350 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/11/17(土) 22:21:27 ID:7gFzKdaU0
- 「ふっふー、ありがとうございましたー!」
お客さんを見送る声が、異能都市中央公園に響く。
そこにあったのは、こじんまりとした屋台である。
どうやら移動喫茶の様なものであり、軽食と飲み物を販売しているようだ。
軽く座って食べられるように折りたたみ式のテーブルと椅子も備え付けられており、カントリー調のデザインは落ち着きを感じさせる。
「んー、そろそろ寒くなってきたしなぁ……。
バッテリー付けて暖房くっつけてもいいんだろうけど、重いし……」
休憩中の少女、萌葱アテナは自分用の紅茶を入れながら、異能都市の寒空を静かに見上げるのだった。
- 351 :レラ=バニッシュ:2012/11/17(土) 23:00:04 ID:gSogigCY0
- >>350
空に一迅の光が走る。
少女、レラは自作のジェットブーツで空を掛けていた。
目的地は中央公園。ひいては、アテナの屋台。
「久し振りだな」
尤も、屋台というよりは少女そのものに用があったのだが。
鋭い瞳が僅かな笑を見せつつ、遠慮無しに屋台の席へ。
レラの服装は……というか、大きなコート一枚のみに見える。
背丈や体格にそぐわぬ大きなコートなので不恰好で、季節外れのてるてる坊主にも見える。
少女らしい、と言えば聞こえがいいが外見への無頓着さがよく現れている姿だった。
- 352 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/11/17(土) 23:02:29 ID:7gFzKdaU0
- >>351
「お、レラだ」
一迅の光を見て、その光の主の姿を予測する。
僅かに笑みを浮かべ、ぱたた、と走ってレラの方へと近づいていき、椅子を引く。
「いらっしゃーい、レラ!」
ちょうど紅茶を入れていた為、紅茶を振る舞いつつ、クッキーを皿に盛り出す。
クッキーは手作りのチョコチップクッキーであり、さっくりとした軽い食感が持ち味だ。
「うわはは、レラぶかぶかだねー。
今度袖とか詰めるー?」
レラの格好のぶかぶかさを見逃しはしないようで、こてんと首を傾げて問いかけた。
- 353 :レラ=バニッシュ:2012/11/17(土) 23:14:06 ID:gSogigCY0
- >>352
「そうだな……楽だと思ったのだが案外邪魔になるものだな」
椅子に座る際も長過ぎる裾が邪魔になり、少し手間取った。
結局、裾を折って座る様はロングスカートの様な出で立ちに。
出された紅茶に目を落とした後、屋台の内側から目を凝らす。雰囲気か何かを探っているのだろうか。
- 354 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/11/17(土) 23:16:34 ID:7gFzKdaU0
- >>353
「今度手袋作ったげる、寒くなるしねー」
ほらほら、紅茶飲んであったまってー、と紅茶を勧めるも、レラの様子に目を細める。
小声で顔を寄せて、アテナは問いかけた。
「どしたの?……追われてるとか、そんな感じ?」
- 355 :レラ=バニッシュ:2012/11/17(土) 23:34:04 ID:gSogigCY0
- >>354
「手袋か……防寒具としては有用なのだろうが、少々邪魔になる」
カップに軽く手を当てて、掌を温めつつ。
手が冷える事よりも、手先の自由が奪われる事を嫌う様だ。態々持運びそうもない。
それなりに温まった手を耳に回し。
「それよりも、この季節になると耳が敵わんな。空を飛ぶのが億劫になる」
気温の寒さに加えて、高速で移動すれば風も強くなる。
レラの耳や鼻は赤く染まり、温かい紅茶を欲していたのか豪快に一口で半分程口にする。
アテナの言葉に鼻を鳴らすことで否定した。
こう言う態度の時は、余り和やかな話をしない……と言うのはよく解っていることだろう。
屋台の雰囲気からアテナへと興味が写ったのか、視線もそこに向き。
「それはお前だろうが」
と。
- 356 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/11/17(土) 23:47:59 ID:7gFzKdaU0
- >>355
「んー、じゃあ耳あて付きの防止かなあ。
好きな色とか有る?」
相手がほしいものを作るほうが良い、そう思ってアテナは帽子を作ることにした。
好きな色を聞けば、きっと素敵な帽子が完成するだろう。
そして、レラが屋台の構造や自分の状況になんとなく思い至っている事が分かり、苦笑。
「いや、ここんところ良く命狙われててさ。
……この前屋台も大破したところだから、装甲板厚くして、燃料タンクの防護も固めたばっかなんだよね。
まったく、普通の小学生だっていうのにー!」
プンスカと、あえて軽い様子で居ようとするも、その表情には不安がある。
なんとなく、自分を狙っている者の正体も、考えられなくは、無いのだ。
- 357 :レラ=バニッシュ:2012/11/18(日) 00:04:14 ID:gSogigCY0
- >>356
「色、か……あー……」
色や造形。
こう言った方向性の好みは、レラは物凄く薄いと云う事は解るだろう。
先述した通り、彼女の衣服を見る通り、お洒落と言った物のには無頓着である。
アテナがもとめるのだから。と何か案を出そうとはするのだろうが……適当に決めるのも癪らしい。
「特に……指定は無いな」
結局、無理だったらしい。
「それだ」
クッキーを一つ口に含み、その手でそのままアテナを指差す。
「狙われたこの屋台……無論、僕の耳にも入っている。
相手はアテナとは関係の薄い人間だ、興味本位等では到底あるまい。で、無ければ誰かの差金」
その指は依然突き刺すかの如く鋭く。
「心当たりがある筈だ……誰だ」
- 358 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/11/18(日) 00:08:15 ID:7gFzKdaU0
- >>357
「んー、じゃあレラに似合うの、ばっちし作っちゃうよ!」
レラがおしゃれに付いて一家言持っているとは到底思えなかったのはアテナもそうだ。
その為、特段気を悪くすることもなく、かえってやる気を出すのだった。
レラが、此方に指を指し、言葉を投げかけるのを受け、気まずそうな表情を浮かべる。
「多分、千夜の黒沢さんじゃないかな、って。
初めて有った頃から、ちょくちょくちょっかいかけてくる人だから。
闘祭で、一回戦で戦った人だけど、分かるかな?」
- 359 :レラ=バニッシュ:2012/11/18(日) 00:27:54 ID:gSogigCY0
- >>358
「頼む」
アテナへの返答は少々適当に聞こえるだろう。
それは気のせいでは無いと言う事と、その理由に気付くのは簡単だろう。
防寒具の話元々レラがしたかった話では無い。
今日の用事は、
「黒沢、小百合……ほぅ」
大方、予想済みではあったのだろう。
闘祭の場面でも因縁めいた物が見えたが、メディアを探ればそれ以前に何があったかを知るのはそう難しくない。
「昔は、それなりに可愛げがあったのだがな……」
ククッ。と喉を鳴らし余り明るくない笑みを見せる。
- 360 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/11/18(日) 00:31:04 ID:7gFzKdaU0
- >>359
「いやあ、結構嫌味言われたり、嫌われてるなーとは思ってたんだけどね。
ちょくちょく、不穏な事も言われてたから、まあ予想していたっちゃしていたんだけど」
苦笑を零し、心配しないでいいよ、とばかりにレラの頭をくしゃりと撫でる。
そして、レラの発言に首を傾げ、問いかける。
「もしかして、レラ黒沢さん、知ってるの?」
- 361 :レラ=バニッシュ:2012/11/18(日) 00:37:07 ID:gSogigCY0
- >>360
笑みを崩しつつ、アテナの手を振り払う。
「そんな深いものでも無いがな。
昔に、少々面識があった程度だ」
頷き、肯定をしつつもそれが大した物ではないとする。
レラの言う可愛げがあった。とは単に無害であって、今はそうでない。
アテナに質の悪い悪戯を繰り返すのならば、レラの気に触る訳で。
- 362 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/11/18(日) 00:41:44 ID:7gFzKdaU0
- >>361
「……そっか。
えっと、あんまりひどいことはしないでね?
非合法な手段はまだしも、命を奪ったりするのは、私やだから」
紅茶を注ぎ足しながら、レラに一応注意をしておくアテナ。
レラがやる時はやる人間で、容赦がないのは良く知っているからだ。
- 363 :レラ=バニッシュ:2012/11/18(日) 00:54:45 ID:gSogigCY0
- >>362
「……解っている。
ああ言う人間でも都市のシステムの一端を担っている様だからな」
自らを患わせる様な気は無い。そういった雰囲気だ。
もし、小百合がそういった人間でなければアテナの静止を振り切っても実行に移しそうではあるが。
- 364 :萌葱 アテナ ◆NSEW/xeQlk:2012/11/18(日) 00:57:41 ID:7gFzKdaU0
- >>363
「ん、わかってくれればいいの。
……もうお客さん来る時間じゃないし、家戻ってお茶飲も?」
そう言うと、アテナはいそいそと店を片付け始める。
片付けが終われば、アテナはレラを屋台に乗せて、全速力で森の中の家に帰って行く事だろう。
- 365 :レラ=バニッシュ:2012/11/18(日) 01:06:17 ID:gSogigCY0
- >>364
「ん……悪かったな。
まだ仕事中の内からこんな話を切り出して」
それだけ、この話しがしたかったという事だろうか。
そう言えば、着た時に客と入れ違いになったか。等と思い返し。
「そうだな。たまにはそう言うのもいいだろう」
珍しく、外見相応の笑みを見せると、大きめに頷いた。
- 366 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/22(木) 23:45:57 ID:/3xl4ACY0
- 「さすがに…今回もやばかったですね…」
【病院の中庭で一人の少女が呟いた】
「痕も残らないくらい直せるのはさすがにありがたいです…
しかし、あのような相手だったとは…闇祓騎士団」
【ため息を付いてベンチに座り込む】
- 367 :高向谷 司朗:2012/11/25(日) 21:13:10 ID:PaevOiwU0
- 【駅前】
「じんぐっべーじんぐっべー、じんぐっおーざウェー(0w0)‐イ」
司朗は歌っていた。
駅前には、既にクリスマスムードが漂っているからだ。
まだ一月もあるのに、商売人の手の速さは恐れ入る。
「……サンタさんって単位くれないかな?」
そんな阿呆な事を呟きながら、周囲を見渡した。
眼に入るのは、男女二人の複数の組。
「なかなか眼が痛いわ」
唇をかみ締める。
司朗は彼女が欲しいということは否定しているし、それは本心だったが、
やはり目の当たりにすると男としての本能は反応してしまうようで。
ちなみに以前の呟きは、紛れも無い悪魔のささやきである。
――異次元、ガルテラ城。
「……え?私ですか?」
お前じゃねえから。
- 368 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/29(木) 22:46:13 ID:/3xl4ACY0
- >>367
「くぅー、すごく寒いです…
もう冬ですねこれは…」
【駅の中から一人の少女が現れた】
「あー…しかし、
今年も目覚めないのは寂しいです」
【ふと空を寂しそうに見上げながら呟いた】
【何処か悲しげに見えるその顔…そんな中】
「って…あの声は誰なんですか」
【聞こえてきた声に軽く驚き、そちらの方を見た】
「…ふーむ、なんだか寂しそうにしてますね」
【その声が司朗に聞こえるか否かは耳の良さ次第である】
- 369 :高向谷 司朗:2012/11/29(木) 22:56:08 ID:PaevOiwU0
- >>368
「さーいでんなー、ほーでんなー」
きよしこの夜のメロディーで、
恐らく特定の地域の人間にしか解らないであろう歌を歌う。
「彼女は居なくても友達なら一杯居るかんね!
な、ティルヴァ!
……。
…………。
……おい、無視すんなよ」
魔道具からの返事、無し。
「畜生、俺はこの世界で一人ぼっちなのか……!?」
司朗は鶫に気付かず、妙に芝居がかった叫び声を上げた。
なんかスポットライトとか幻視しそうなぐらい。
(馬鹿馬鹿しい……)
- 370 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/29(木) 22:58:08 ID:/3xl4ACY0
- >>369
「…もしかして聞こえたんでしょうか」
【ちょっと不安に思った鶫は、ゆっくり近づいていく】
「どうしたんですか?
なんかひどく落ち込んでるみたいですけど」
【そう言って何事もなかったかのように手を上げて近づいていった】
- 371 :高向谷 司朗:2012/11/29(木) 23:06:09 ID:PaevOiwU0
- >>370
近づいてきた鶫に気付いて、司朗は顔を上げた。
「防人……ティルヴァが冷たいんだ……。
アベックが憎いんだ……」
司朗はシクシク言いながら唸った。
やっぱりわざとらしい。
(いつもの悪ふざけだからな、気にするな)
鶫の頭の中に、ティルヴァの声が響いた。
司朗はシクシク言っている割に涙も流していない。
- 372 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/29(木) 23:16:33 ID:/3xl4ACY0
- >>371
(えーと、分かりました。
何となく私にもわかります)
【ティルヴァに頭の中で返してから】
「そうなんですかー…
別にそこのエンブレムの人がいるからいいではないですか」
【励ますかのような言葉で返した】
「頑張れば出来ますよ、きっと、多分、恐らく」
- 373 :高向谷 司朗:2012/11/29(木) 23:25:07 ID:PaevOiwU0
- >>372
「クソッ、防人も冷たいぜ……。
世間の風が眼に染みる……」
司朗は立ち上がった。
「あー、寒い寒い……。
ちくそー、あったかいAGカフェでも行くかな」
震えながら司朗は歩き出した。
「あ、防人も来る?
こんなとこに居ても寒いじゃろて」
思い出したかの用に言う辺りが妙に憎たらしい。
- 374 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/29(木) 23:31:28 ID:/3xl4ACY0
- >>373
「まぁ、いつかは暖かくなりますよ」
【軽く笑いながら司朗に気休めの言葉をかける】
「え、ああ…わたしも寒いと思ってましたから。
行ってみますよ」
【同意するようにうなずき、後をついていく】
「思えばもう年の瀬なんですねえ。
なんというか速いような気がしますよ」
- 375 :高向谷 司朗:2012/11/29(木) 23:43:42 ID:PaevOiwU0
- >>374
「年の瀬かあ、どんどん年食っていくなあ……。
ああ、若いままで居たい……。
具体的には18歳ぐらい」
司朗は自分の頬を擦る。
「うう、肌がガサガサだ。
冬は嫌いじゃないけどこれが嫌い……。
年齢ごとにどんどんガサガサになりやすくなっていく」
かといって過剰なスキンケアは、
将来肌をもっとボロボロにしてしまう可能性がある。
「防人はキレイの秘訣とか無いのか?」
概ね男性側から振る話題では無い気がする。
- 376 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/29(木) 23:52:14 ID:/3xl4ACY0
- >>375
「そうですね…
年を取るのは人間だからしょうがないですけど…
こういう時は長命な種族に憧れますね」
【鶫も同意してため息を付いた。何となく同じ考えだったからだろう】
「そういう時はクリームを塗ればいいんですよ。
カサつき防止するものがあったりしますよ」
【歩いてる途中のドラッグストアを横目に答えた】
「え?綺麗の秘訣ですか?
それは…」
【突然尋ねられた質問に暫く考える】
「そう面と向かって言われると…
どうやってなんでしょうね。
一応食事はバランス良くと考えてますけど、そんなに気をつけてるかって言うと…
何が良かったのか、難しいですね…」
【考え事しながら下を向いて歩く。難しそうなかおである】
- 377 :高向谷 司朗:2012/11/30(金) 00:02:10 ID:PaevOiwU0
- >>376
「長生きしたいって言うよりも、
衰えるのがいやだって感じだなあ、俺は」
司朗はため息をついた。
「そういうのは結構肌に合う合わないとかあるからなあ。
結構新しいのに手を出しにくいんだわ……」
とは言え、過去に色々手を出した事があるようだ。
「そうか、食事のバランスかあ。
気は使ってるつもりだったけど、朝食とか抜かすことあるしなあ」
そうこう言う内に、AGカフェにたどり着く。
「よっしゃ、とにかく身体によくて旨いもん食おう!」
適当に言ったわけではなく、旨いもん=体が望む物であり、身体にいいもの。
漢方的な考え方であり、意外と歴史ある思想なのである。
勿論だからと言って馬鹿食いは良くないが。
「野菜野菜ー。
あー、ポトフください!」
メニューを見て、店員に注文する。
あったかくて旨い物、野菜たっぷり肉もそこそこ。
司朗の気分にぴったりの食事が運ばれて来た。
- 378 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/30(金) 00:25:56 ID:/3xl4ACY0
- >>377
「それは…確かにそうですね。
せめて老いないのがちょうどいいんですが」
【鶫も釣られてため息を付いた】
「お医者さんに行けばいろいろ処方してもらえそうですけどね…
…あ、さすがに3食は規則正しく取らないといけませんよ」
【そう言っているうちにAGカフェにたどり着いた】
「そうですね、取り敢えず暖かいものが食べたいです。
失礼しまーす」
【鶫の方もひとまず温まりたいと思っていた。
そういうこともあって席に座った後】
「私は、このビーフシチューをお願いしますー」
【そう言ってメニューを注文した】
- 379 :高向谷 司朗:2012/11/30(金) 00:35:07 ID:PaevOiwU0
- >>378
「いやー、医者に相談とか流石に、
整形に片足突っ込んじゃってるようなもんじゃない?」
多少極端だが、そこまで必死になるのもどうかという意味だろう。
「うめー!ポトフうめー!」
司朗は舌鼓を打つ。
「ライス!ライス中ください!
あとおしんこ!あ、コーヒーもお願い、ただし食後で!」
中々ゴージャスな食事であった。
「いやー、こんなに食ったら運動して筋肉にしないとな。
またトレーニングでもしなきゃ」
- 380 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/30(金) 00:40:07 ID:/3xl4ACY0
- >>379
「さすがにお医者さん通いはやりすぎですが…
自分の体質を理解しておくのは大切でしょうね」
【そう言って微笑みかけた】
「こっちのビーフシチューもなかなか美味しいですよ。
あ、こちらもライスを」
【鶫はビーフシチューを美味しそうに食べながらライスを注文した】
【…しばらくして】
「ふー、たしかに結構食べましたね。
ひとまず運動してボディを保たなければいけませんね」
【ライスとシチューを平らげた鶫は、改めて自分が食べた量を見て呟いた】
- 381 :高向谷 司朗:2012/11/30(金) 00:50:52 ID:PaevOiwU0
- >>380
「こんだけあったかいと外出んの嫌だわー」
熱い物を食べたせいか、やや鼻の出が良くなってしまい、
司朗は鼻をこする。
「デザート……はいいか。
これ以上食うのはあれだし」
ブラックコーヒーを啜る。
カロリーを気にしているのではなく、これは普段から主にブラックだ。
食後のコーヒーは消化を良くする。
これ豆、ただし食後すぐ飲むのは良くない。
「そういやまた騎士団が出たんだっけ?
えーっと……」
司朗は雑誌が乱雑に置かれている棚から、一冊取り出した。
見つけたのは月間邪気の友(情報媒体スレ>>229)。
「ああ、ロザリア・ロートシルトさん。
なんかこの人も最近良く聞く名前だなあ」
- 382 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/30(金) 00:57:13 ID:/3xl4ACY0
- >>381
「こう寒いともうひきこもりたくなりますよね…
そうも行きませんけど…」
【窓の外を眺めながら憂鬱そうにつぶやく】
「さすがにあれ以上食べるのは限界ですね。
わたしも遠慮しときます」
【鶫は特に考えず、外を見ていた。】
【そこで】
「あ、騎士団の戦いですか?
どうやらそう、みたいですね」
【そう言ってじっと取り出された雑誌に目を通す】
「あ、あの時の闘いの話をしてますね…
実はわたしもこの時の闘いに参加してたんですよ」
- 383 :高向谷 司朗:2012/11/30(金) 01:06:28 ID:PaevOiwU0
- >>382
「あ、そうなん?
やべーな、団体戦とかちょっと不謹慎だけどモエルーワ」
記事をペラペラ捲りながら呟いた。
「もしかして黄昏の護民団のメンバーだったりすんの?
……あ、これ一般公募の異能者も参加してたのか」
顔を上げ、聞いてからすぐに雑誌に眼を通す。
――異次元、ガルテラ城
「護民団に協力する契約した私は参加してませんけどね」
――再び、AGカフェ
「まあ俺は人間だから関係――あ、ティルヴァ、お前はドラゴンの神さんだったな」
司朗は唐突に魔道具を取り出した。
「このような輩、ものの数では無いわ」
「お前一片里の人間に裏切られて首ちょんぱされただろうが」
- 384 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/30(金) 01:10:13 ID:/3xl4ACY0
- >>383
「まあ、相手もこちらも団体で大変でしたよ。
わたしも結構痛手を負いまして…」
【恥ずかしそうにお腹を擦った】
「あーいえ、一般公募だったので参加しようと思いました。
しかし…相手もなかなかの強敵でしたよ。
さすがに闇討ちだけで戦ってるわけではないようです」
【顎に手を当て、真剣なかおで答えた】
「んんー、よくわかりませんが、そこのあなたも大変だったんですね。
然し、私はこのまま彼らが暴れれば他の種族が黙っていないかもしれないと
恐ろしく思うんですよ…」
【軽く頭を抱えつつ返した】
- 385 :高向谷 司朗:2012/11/30(金) 01:20:22 ID:PaevOiwU0
- >>384
「まあ、たとえ騎士団がこのまま順調に倒されて行ったとしても、
些細なきっかけで人外たちが疑心暗鬼で戦争やべえとかにはなりそうだな。
俺が人間だからって他人事にはなりそうに無いなあ」
意外と政治っぽいことを理解できる司朗の頭脳。
そして、それをうまく言葉に出来ない低脳さ。
「前出現した怪人軍団とかが復活して、
それが全面戦争になって潰しあってくれりゃいいんだけどな。
怪人軍団見ないし、周囲への被害とかもあるけど」
司朗も唸る。
- 386 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/30(金) 01:27:33 ID:/3xl4ACY0
- >>385
「だからこそ、他人事ではいられないんです。
人もこのような状況を傍観する立場ではありませんよ」
【その目は何処か真剣である。本気の眼だ】
「さすがにあのような輩が再び解き放たれるのは想像したくありませんね。
おとなしいならそのままであって欲しいです」
【溜め息をつきながら答えた】
- 387 :高向谷 司朗:2012/11/30(金) 01:30:50 ID:PaevOiwU0
- >>386
「ただ、足りないんだよなあ。
決定打。
あのバリアが破れない」
一応アレからシュミレートしてみた物の、
いまいち実戦向きの術は得られていない。
「こんどこのロザリアって人に話でも聞いてみようかなあ。
何か戦う上での手がかりがあるかもしれない」
もちろん、そんな伝は無いが。
- 388 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/30(金) 01:33:52 ID:/3xl4ACY0
- >>387
「ふーむ、また力を送り込めばできたりするかも知れませんね。
と言っても…それだとかなりきついですよね」
【手のひらを広げてみせる】
「それはいい案だと思いますが…
吸血鬼さんは基本プライドが高いらしいですから、
素直に聞き入れてくれるかはわかりませんよ。」
【そう言って再び月を見た】
- 389 :高向谷 司朗:2012/11/30(金) 01:43:29 ID:PaevOiwU0
- >>388
「奥義、竜震裂ならあるいは……だけど、
俺のは未完成だしなあ」
「竜震裂は殺しの奥義ではない。
破壊のための奥義だ、極めれば可能だろうが、あれほどの物を破れるほど極めるには、
あと50年はかかるのではないか?」
現在、司朗の竜震裂は自力で撃とうとすると、
体力満タンの状態でようやく一発撃てる程度である。
確かに威力は凄まじく、極めた者の竜震裂は風属性の範疇を越えた、
途方も無い破壊の力を秘めてはいるらしいのだが。
「うーん、"左手"もあんまり有効じゃないらしいし、
吸血鬼と話した事なんて無いしなあ。
……あれ?昔クラスメイトに居たっけ」
首を傾げるが、まあ異能都市では良くある事だろう。
- 390 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/11/30(金) 01:58:09 ID:/3xl4ACY0
- >>389
「あれでも未完成ですか…
完全ならどれほどになっているか、恐ろしい話ですね」
【かるく微笑みながら言う】
「まぁ、仲良く出来ればいいですがね。
吸血鬼の人は…確かクラスにいますよ?
その人となら仲良く慣れると思いますが…この人はどうなんでしょうね」
【雑誌に乗っているロザリアを見つめながら答えた】
「…あ、もうこんな時間ですね…
さすがに話しすぎました…
私はもう帰ります」
【カフェの時計を見て慌てて鶫は立ち上がった】
「お金は置いときますね。
それじゃあ、また!」
【大きく手を振りながら、鶫は立ち去っていった】
- 391 :高向谷 司朗:2012/11/30(金) 02:03:39 ID:PaevOiwU0
- >>390
「いやあ、あの時は防人の力を借りて、
ようやく撃てた奴だからな。
あの時ぐらいの奴が目標かな」
今の司朗が単独で、あのときのように戦いの決め技、最後の一撃に使おうとしても、
そよ風を起こせるぐらいの力しか残っていないだろう。
「真祖とかだったりすると気難しそうだけどなあ。
偏見かな」
司朗は首をかしげた。
「おう、じゃあな。
……こんな時間か。
俺もすぐに帰るかな」
司朗は雑誌を読み終えると立ち上がり、
支払いをしてカフェを出て行くのだった。
- 392 :名も無き異能都市住民:2012/12/01(土) 22:23:50 ID:gSogigCY0
- 公園に、戦闘機らしき物が留まっていた。
その上には、白いシルエットの人間が転がっている……。
本を閉じると、空を見上げた。
空に掛かる星は美しい輝きを見せていた。
「僕は、ああいった者には手が届かない……」
厚いカバーの掛かった本に目を落とす。
何でもない、普通の童話。
表紙に描かれている、剣を掲げ先導する人間に、微笑みを向ける。
本を傍らに置き、手を投げ出し寝転がると、再び視線は空へ向く……。
- 393 :欠け耳のボロッブ:2012/12/03(月) 21:04:05 ID:McrgrouA0
- 【異能都市近郊】
「……ほうほう、こうなっとるんですなあ。
ややや、試食ですかな?これはどうも。」
今日ボロッブが訪れたのは、異能都市近郊の岩塩採掘所であった。
岩塩と言うのは地殻変動などで海水が閉じ込められ、結晶化したものであって
地面を掘って採取する。
この採掘所で働くのは殆どがドワーフで、
金属掘削の技術を活かし、岩塩を採取しているのだという。
ボロッブは貰った精製したての塩をなめつつ、坑道の中を見て回るのだった。
- 394 :高向谷 司朗:2012/12/07(金) 22:16:38 ID:PaevOiwU0
- 【千夜ビル周辺の繁華街】
「寒いなあ」
今日も今日とてぶらぶらする司朗。
右手には缶コーヒー。
「ふーん……うー……」
服屋のショーウィンドーを見つめる司朗だったが、視線の先はマネキンの頭。
帽子である。
「ブランド物は高いなあ」
- 395 :欠け耳のボロッブ:2012/12/07(金) 22:48:09 ID:McrgrouA0
- >>394
「ややや、帽子をお探しかね?」
――がらごろ。
そんな司郎に投げかけられる声。
道側に目をやれば、ロバ2頭だてのなにやら雑貨を満載した荷車に
赤褐色の肌をした小鬼がのり、ニヤニヤと黄色い歯を見せつけている。
「今なら冬物がお安くなってますよ。
おひとつどうですかな?」
- 396 :高向谷 司朗:2012/12/07(金) 23:11:28 ID:PaevOiwU0
- >>395
「いや、お探しって程じゃーねーけど。
っていうか今俺コーヒー代しか持ち合わせて無いし」
帽子探しは司朗の日課であり、ぶらぶらする時の口実である。
勿論現金を持ち合わせているときは、良いものがあれば衝動買いはするが。
「精が出るな、ゴブリンのおっちゃん」
コーヒーを飲み干して、空き缶を投げる。
それは司朗の背後でゴミ箱にシュートイン。
「っしゃあ!」
振り返ってガッツポーズ。
振り返らなきゃかっこよかったのに。
- 397 :欠け耳のボロッブ:2012/12/07(金) 23:24:24 ID:McrgrouA0
- >>396
「ははあ、しかし今や『こうどなじょうほうか時代』でやしょう。
うちらも、『ねっと』で通信販売をやっとりましてね。」
なにやら言いなれていない感じがしたが、
どうやらこのゴブリンの売る商品はネットでも買えるらしい。
『ねっと』とやらから注文してくれれば発送しますし、
今見ていくだけでもみてっちゃどうですかい。」
あ、これが『ゆうあーるえる』ね。などといいつつ、チラシを差し出す。
今は持ち合わせがないかもしれないが、あとでネットで注文できるのなら
見て言っても損はあるまい。
- 398 :高向谷 司朗:2012/12/07(金) 23:39:12 ID:PaevOiwU0
- >>397
「……キャンディ付きのチラシとか無いの?」
司朗はボロップを見上げた。
あつかましい。
「いや、こういうので見ても味気無いじゃん。
ショーウィンドウで見たい気分とかあるじゃん。
隠れた雑貨屋の隅で見つけたいとかあるじゃん」
司朗はあまりその気は無いらしい。
本当にぶらぶらしているだけなのだ。
「それで、だから、なんていうか、
その、厚かましいンですが……キャンディ、付きとかの、さ?」
なにが"だから"なのか。
- 399 :欠け耳のボロッブ:2012/12/08(土) 00:00:19 ID:McrgrouA0
- >>398
「これは手厳しい、しかし隠れた雑貨を探す
宝探しのような感覚は保証しますぞ。」
最近では高齢者向けの移動スーパーなどが浸透してきているが、
小鬼の店もそれに似て、荷台にたくさんの棚やショーケースが無理やり載せられている。
「しかし、そうさなあ……。
こういうのはどうですかね。」
――こぽぽぽぽぽ。
どこからとも無くポットを取り出すと、
粉末を紙コップに入れて湯を注ぎ、さじでかき混ぜて差し出す。
生姜湯のような臭いで、色もそれに近い。
「エルフ魔法食品のサプリメントの新作でさあ。
なんでも飲むと一定時間、体温が下がらなくなるんだそうで。」
- 400 :高向谷 司朗:2012/12/08(土) 00:12:11 ID:PaevOiwU0
- >>399
「キャンディ無いのかよー」
司朗は頬を膨らませながら紙コップを受け取った。
ぐいっと一発。
「……よくわかんない」
体温が上がる物ではなく低下を防ぐんだから、
一旦体温を上げなければ効果が感じられなくて当然といえば当然だ。
「これでひとっ走りしてくればいいの?」
なんだか凄く危険そうである。
- 401 :欠け耳のボロッブ:2012/12/08(土) 00:25:16 ID:McrgrouA0
- >>400
「キャンデーなあ。うーん、お客さんからの
評判が悪いんで処分しようかなと思ってるようなのしか……。
『爆発的刺激の史上最強キャンデー』っつーふれこみのやつなんですが……。
何を思ったか、舐めると口の中で爆発するんでさ。」
そんなことを漏らしながら、司郎が飲み干すのを見るボロッブ。
「あー、ええとだいたい体温が35〜36度あたりで安定するそうでさ。
元々は氷結環境下で作業する人ら向けに開発された薬用品らしいですがね。
冬のスポーツ用に、甘みをつけて飲みやすくしたとか。」
モット欲しいなら、といくつか試供品の袋を差し出す。
その袋には有名スポーツ選手の絵が描かれ、『私も使っています』などと
吹き出しがでている。
- 402 :高向谷 司朗:2012/12/08(土) 00:37:22 ID:PaevOiwU0
- >>401
「爆発"的"じゃねーよ、それただの爆発だよ。
っていうか兵器だよそれ」
流石に顎をふっ飛ばしたくは無いのでお断りする。
「水中作業とかには便利そうだなあ。
やっぱり水泳選手とかかな、こういうの使ってんの」
利用法を考えたりしているが、
司朗は防寒着で寒さは十分対策しているのであまりぴんと来ない。
あまりこれについても興味は湧かないようである。
というかやっぱ持ち合わせの問題だ。
「あ、そういやダークネスサンダーとか無い?」
ダークネスサンダー、最近人気の何の変哲も無いチョコレート菓子である。
一個約30前後で、大抵のコンビニで売っている。
- 403 :欠け耳のボロッブ:2012/12/08(土) 00:43:32 ID:McrgrouA0
- >>402
「サラマンダーのお客さんとかからは需要があったんですが、
それにしてもニッチすぎて……水気にふれると爆発するんで、
学校のプールやら公園の噴水やらに投げ込むイタズラもあったらしいですぞ。
えーと、ダークネスサンダーはたしか……。」
手近にあった棚を引っ掻き回し、ビニール袋を取り出すと
盆の上でそれをひっくり返す。
「ええと、これでやすかね。」
出てきたのはダークネスサンダーではなく、ブラックライトニングだとか
ホワイトファイヤーだとか所謂、類似品であった。値段は本物より安いのだが……。
- 404 :高向谷 司朗:2012/12/08(土) 00:50:59 ID:PaevOiwU0
- >>403
「あー、わずかでもあるんだ、需要。
恐るべし」
司朗は頷きながら話を聞いていた。
しかし。
「……そのキャンディ五〜六個くれない?」
"イタズラ"の話を聞いて、司朗は逆に購入の意思を強めた。
もちろんその用途は言わないが。
「あー、それでいいや。
一種類ずつ頂戴」
パチモンを指差して言った。
- 405 :欠け耳のボロッブ:2012/12/08(土) 00:58:37 ID:McrgrouA0
- >>404
「へぇ、どうぞ。」
ボロッブも処分に困っていたようで
ひょいひょいと例のキャンデーを差し出し。
「ええと、全部で120共通貨幣になりやす。
もしくは銅貨6枚。異能$だと――。」
この店はさまざまな通貨が使えるらしく
司郎が所持していた通貨もその中に入っていた。
量の割りに、値段もかなり手ごろだ。
- 406 :高向谷 司朗:2012/12/08(土) 01:07:51 ID:PaevOiwU0
- >>405
「ありがとう」
ほいほいと金を渡し、商品を受け取る。
危険物らしきキャンディは、刺激を与えないように大切に。
「よしよし。
そんじゃ俺はこれで」
商品袋の中身を確認し頷くと、何かやりたい事でもあるのか、
司朗はパチモンを齧りながら足早に去っていった。
――数日後。
異能都市のとある公園で、爆発が起きたという。
「いい威力だ、目くらましぐらいの武器になるぞ、これ」
「この菓子、中々いけるではないか」
「マジで!?」
- 407 :黒沢小百合:2012/12/08(土) 22:41:52 ID:McrgrouA0
-
「ふぅむ、ここまで生存域が拡大していたのか……。
やはり駐留部隊の増派は必至ですね……。」
都市中心部にぽっかりと空いた振興開発地区通称『クニナシ地区』。
千夜をはじめとした諸企業が開発を行なっているが、歪みの多発や治安の悪さによって
どこの企業も大幅に予定が遅れているのが現状であり。
そして、そんな中新たな問題が発生した。
なんでも、開発作業にあたる作業員がモンスターの群れを発見し犠牲者が出たという。
ちょうど視察に訪れていた小百合が素早く現場に到着したことで大きな被害こそ無かったものの
そこにいたのは『ミュータント』と呼ばれる新生物。
「しかし、こんな都市部まで入り込んでいるなんて。
工場区の一部から下水道に相当数ガ繁殖しているとは聞いていましたが
下水道を伝ってこんなところまで来たのでしょうかねえ……。」
小百合は、青い体液濡れで息絶えたグリズリーと蜥蜴を掛け合わせたような
生物の頭を踏みつけ、めんどくさそうにため息をつく。
周囲にはそれ以外にも、巨大な筋肉の筋のようにも見える巨大なミミズのようなものや
爪が異様に発達した猿のようなもの、右肩から先が肉腫のようなものに飲み込まれた、
不快なまでに人間の面影を持つ異形など数々のミュータントが横たわっている。
- 408 :高向谷 司朗:2012/12/08(土) 23:31:16 ID:PaevOiwU0
- >>407
突如、小百合から20mほど離れたマンホールが飛び上がり、
同時に頭足類に似た細長いミュータントが飛び出した。
「ブレイクキックウウウゥゥゥ……!!!」
ミュータントが地面に叩きつけられる瞬間に、帽子を被った男が飛び出した。
高向谷司朗、その人だ。
司朗は全身に銀色の角を持っており、常人ではありえない跳躍力を発揮している。
そのまま空中で回転すると、右足を振り上げる。
踵にも、二本の鋭い角が生えている。
「ドロオオオォォォップ!!!」
角を突き刺すように、ミュータントに踵を叩きつける。
ミュータントは苦しむように悶えていたが、やがて息絶えた。
「……はあっ……はあっ……。
……がっはっ……!」
司朗はヨロヨロと付近の電柱にもたれかかると、
その根元に向かって血を吐いた。
「毒が……もう……」
そのまま司朗は倒れ伏す。
意識はまだあるらしい。
- 409 :黒沢小百合:2012/12/08(土) 23:46:44 ID:McrgrouA0
- >>408
「…………!! い、いやッ……!!
攻撃やめ!停止せよッ!!」
吹き飛んだマンホールに反応し、とっさに攻撃態勢を整える。
いや、現に既に具現化されていた兵士達によって数発の銃撃が加えられたが、
様子が違うことにすぐに気づいた小百合は攻撃を停止する。
「……異能者、所属はどこか?
貴様の名前はなんだ、答えなさい。」
小百合は、倒れた四郎にすぐに近寄ろうとはしなかった。
人間の言語を喋っているようだったが、クニナシ地区は治安が悪く
犯罪者の巣窟とも呼ばれる場所。
暴れられて本体に攻撃を喰らう可能性も否定できないからだ。
- 410 :高向谷 司朗:2012/12/08(土) 23:57:06 ID:PaevOiwU0
- >>409
やがて、全身の角が引っ込む。
「……高向谷司朗、××大学……。
っていうか……式神使いの黒沢さんじゃないっすか……」
数日前にAGカフェで勉強していたあの男だ。
というか、司朗の頭の中では小百合は式神使いなのか。
「……いきなりマンホールに引きずり込まれて……げっほ……」
恐らく下水道の中を逃げ回り、こんなところまで来てしまったのだろう。
- 411 :黒沢小百合:2012/12/09(日) 00:09:40 ID:McrgrouA0
- >>410
全身の角が引っ込んで司郎が完全に人間の容姿となっても
小百合は動く様子を見せず、大学と氏名を聞いてからようやく指を
袖口に滑り込ませて、そこから『紙片』を引きずり出した。
「衛生兵、手当てをしてやれ。
私はこいつに聞く事がある。死なれては困りますからね。」
すると、何処からとも無く現れた赤十字の腕章を巻いた兵士が
司郎の腕を押さえ、なにやら薬物を注射する。同時に、傷口などに
手当たり次第に粉末を塗りこむだろう。
応急処置程度だが、回復力のある都市の住人なら治癒してしまうこともある。
「……他にこいつらを見ましたか?仲間だとか……。
ああ、巣を見かけた、などであれば更によいのですが。」
小百合は、倒れた司郎に薬が打ち込まれるのを見るが早いが
早速質問を始めた。
- 412 :高向谷 司朗:2012/12/09(日) 00:20:22 ID:PaevOiwU0
- >>411
「私が答えよう」
司朗の腰部分から声がした。
板状の魔道具から話すティルヴァだ。
「他に二体確認したが、全て倒しながら来た。
毒を持って居たのはそこで死んでいる奴ではなく、二体目に遭遇した奴だ。
このマンホールに降りて東にまっすぐに進めば、死体が見つかるだろう。
ただ、途中に枝分かれした道がいくつかあった、もしかするとその先にも居るかもしれないな」
東には、司朗の通う大学がある。
司朗がこの状況に陥った大体の流れは読めるだろう。
「単純な毒だ、恐らく今の薬で完治するだろう。
すまない、感謝する」
傷はそれほど多くは無くあってもかすり傷程度で、一つだけ毒々しい紫色の傷がある。
油断して毒にやられたのは見え見えだ。
- 413 :黒沢小百合:2012/12/09(日) 00:40:48 ID:McrgrouA0
- >>412
「ジョーンズ、8人連れて地下へ行きサンプルを取れ。」
小百合は、ティルヴァの言葉に従って人員を地下にやると
司郎へと、ミネラルウォーターを渡す。
「ふむ、毒性は特別なものではないのか。しかしやはり下水道を伝って……。
もしくは下水道内に既に大規模な巣があるのかもしれませんね。
では、どこで襲われたのですか?詳しい場所を教えていただきたい。」
クニナシ地区は都市部の中にぽっかりと現れた場所。
周囲には繁華街もあり、もしそういった場所にミュータントが現れれば
大きな被害が出る。
襲われた場所周辺を探索し、巣や移動経路を探す必要もあるだろう。
- 414 :高向谷 司朗:2012/12/09(日) 00:55:37 ID:PaevOiwU0
- >>413
さすが肉体強化型の異能というべきか、既に司朗の呼吸のリズムは正常に戻ってた。
司朗は水を受け取ると、一気に半分ほど飲む。
「……ども、すいません。
えっと、大学の近くの○○カラオケ前のマンホールで襲われて、
落ちた後そのまままっすぐこっちに走ってきて……えーっと……」
「逃走中、約200メートル進んだあたりで毒を持った二体目が現れ――」
ティルヴァは事細かに下水内での状況を語っていく。
「よくそんな事覚えてるな……」
「お前は必死だったからな、仕方あるまい。
――確信は持てないが、ここから東に進み、
二つ目の枝分かれした通路から怪しい気配を感じた、
三体目はそこから出てきた奴だ、最も確率が高いのはそこだな」
- 415 :黒沢小百合:2012/12/09(日) 01:07:51 ID:McrgrouA0
- >>414
「その位置ですと、かなり大学に近いですね。
これはマズイ。教育機関が襲われる事は避けねば……。
とかく、情報を感謝します。近々、そこに調査隊を送ることになるでしょう。」
とはいえ、異能都市の下水道は広大。
迷宮のように入り組み、水道局すら詳細を把握できていないらしく、
下水道で繁殖しているとなると厄介な問題になるだろう。
「ああ、そうだ……有用な情報を提供してもらいましたし、、
これを渡しておきましょう。市役所だとか大きな公民館に持っていけば、
いくらかの懸賞金と引き換えてもらえるはずです。」
小百合は一枚の封筒を司郎へと差し出し。
- 416 :高向谷 司朗:2012/12/09(日) 01:16:01 ID:PaevOiwU0
- >>415
「あっ、そういうことになるのか。
まっじーな、流石に知り合い襲われるのは……」
今気付いたように、司朗は額を押さえる。
司朗の通う大学は、超テクノロジーや魔術の類は教えていない、
いたって普通の学科しかない大学である。
勿論異能都市の大学なので異能者も居なくは無いが、数は少ないほうだ。
現に入学時点では司朗も異能者では無かったのだ。
「え?いや、そんな悪いですよ!」
口ではそんな事を言いつつ、封筒を受け取る。
解りやすい性格というよりも、
流石にがっつくのはみっともないと思ったからだろう。
- 417 :黒沢小百合:2012/12/09(日) 01:44:04 ID:McrgrouA0
- >>416
「私からも大学近辺の自警団などに情報を伝達しておきますが、
もしもの時は貴方が大学の防衛要員となるはずです。日ごろから鍛錬を怠らぬよう。」
小百合にとっては、これ以上の問題はもう勘弁してくれというのが正直な心情であった。
現状、都市の中で最大の規模を誇る千夜治安維持部門ですら、人員が足りていない。
市街地へのミュータント侵入などという新たな事態に対応する人員の余裕などないのだ。
「遠慮はしなくてよろしい。
この都市では、この程度は珍しくないのですから。
冒険者ギルドや傭兵などはこれで生活している物もいるのですから。」
- 418 :高向谷 司朗:2012/12/09(日) 01:54:09 ID:PaevOiwU0
- >>417
「はあ、すいません、どうも」
報酬と自警団の話、両方に対する挨拶である。
「今日の奴はまだ複数でもなんとかなるレベルだったけど、
もっとバヤイのが居るのかなあ。
まあ、そんな奴らまとめて串刺しにしてやるぜ!」
「どの口が……」
「あ?」
司朗はティルヴァを一睨みするが、ティルヴァはため息をつくだけである。
「んじゃ、遠慮なく頂きますよ。
それじゃー黒沢さん、お世話ンなりましたー」
司朗は帽子を脱いで一つお辞儀をしていくと、歩いていったのだった。
……西に。
――二分後。
「……大学こっちだった!
早く言えよ、ティルヴァ!」
ティルヴァに忠告を受けたのか、戻ってくると、
東に走っていったのだった。
- 419 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/12(水) 21:18:36 ID:/3xl4ACY0
- 【比較的人が少ない通り。】
「これは…参りましたね…」
【何人かの人間が倒れ込んでいる中、立っているのは学生らしい】
「…力試しなんて趣味じゃないです…
なのにまだそういう人がいるんですかね」
【軽くため息をつきながら答えた】
「或いは…いろいろ犯罪者を踏ん捕まえてたせいかもしれませんね」
- 420 :ルファス:2012/12/12(水) 21:26:35 ID:RRIFCANoO
- >>419
「―――何処までも甘いんだな、中途半端に痛めつけるだけじゃ、この手の連中は懲りないぞ?」
偶々―――本当に偶々の遭遇なのだろう、紙袋を手にした銀髪の青年が、防人に声を掛ける。
青年の位置からでは、倒れた人間の観察は出来ないが、どうせ殺す事はしていないだろう、と決めてかかっているようだ。
- 421 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/12(水) 21:33:34 ID:/3xl4ACY0
- >>420
「ん?…どちら様ですか?」
【青年の方へ顔を向ける】
「大丈夫だと思いますが…
ひとまず後は、縛っておけばなんとかなるかと」
【どうやら気絶させた程度で済ませているようだ。倒れた人を見下ろしながら答える】
- 422 :ルファス:2012/12/12(水) 21:42:09 ID:RRIFCANoO
- >>421
「ははは、この前人の営業妨害しといてどちら様ですか、か、喧嘩を売っていると判断して良いんだな?」
かちゃり―――青年の腰の辺りから金属音が鳴った、気がする。
「だから甘い、っての、俺が其奴等なら、次は倍の人数で喧嘩を売りに行く―――時間と回数を重ねる度に段々とエスカレートしていくだけだ」
「こんな虫以下の連中にだって、プライドの欠片くらいはあるだろう、やられっぱなしにはならないだろうし、そのうち手段を選ばなくなってくるぞ」
- 423 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/12(水) 21:45:08 ID:/3xl4ACY0
- >>422
「いえ…そんなつもりではなかったんですがね…
あの時は飛んだ無礼をしました。その事については謝りますが…」
【慌てて両手を振って返す】
「つまり、相手は潰すべきということでしょうかね?
命を取るか、或いは腕を取るかという…」
【少し警戒しながらもその目線をルファスに向ける】
「まさか、それだけを言うためだけに話しかけたわけじゃないですよね…」
- 424 :ルファス:2012/12/12(水) 21:56:09 ID:RRIFCANoO
- >>423
「まあ、良いさ、俺としても中断する理由が出来たのは幸いだったしな」
「だが、その無礼の代価に一つだけ教えろ、結局『彼奴』は無事に逃げられたのか、お前は最後まで見届けたか?」
まるで―――あの日の少女の事を、青年は良く知っているような口振りで、少女の安否を気に掛ける。
撃つのを躊躇っていたように見えたのは、幻でもなんでもないらしい。
「ああ、違うな、本題は確かに違うが―――偶には良心的な忠告をしてやろうと思ったんだ」
「事が大きくなる前に元を断つ、火事になる前に火を消すのと同じ、理屈は解るだろう?」
- 425 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/12(水) 22:01:10 ID:/3xl4ACY0
- >>424
「そうですか…『あの人』は、
無事ですよ。最後まで見届けましたから」
【詳しくは言わないが、真剣な眼差しで答える】
「事が大きくなる前にですか…
だとしたら、その元というのは何処にあるかですがね…
まさかこの人達が火の元とは思えませんが」
【あたりを見て答えた】
- 426 :ルファス:2012/12/12(水) 22:07:29 ID:RRIFCANoO
- >>425
「なら良い、怪我さえ癒えれば彼奴なら、自分でどうにでも出来るだろうしな」
それだけ聞ければ十分だ、と、青年は、この件に関しての会話を止める。
「……やれやれ、もっと手っ取り早く知る方法が有るだろう?」
わざとらしく首を左右に振った後、青年は防人の近くに倒れる男に近寄って、紙袋から飲料水を取り出すと、当たり前のように男の顔にそれをぶち撒ける。
無理矢理叩き起こして聞く気満々である。
- 427 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/12(水) 22:09:49 ID:/3xl4ACY0
- >>426
「ええ、今は安心できる場所にいます。
何処とはいいませんけどね」
【そう言って、下の方へとかおを向けた】
「手っ取り早く、ですか…」
【じっと見つめながらその様子を見守る】
【ゲホゲホとむせながら目を覚ます男】
「聞けばいいんですね。
確かに」
【そう言って両手を握って軽く腕を鳴らした】
- 428 :ルファス:2012/12/12(水) 22:21:49 ID:RRIFCANoO
- >>427
「……聞かねえよ、聞いたって何もする事がないしな」
「それと、こっちの連中からの情報収集は任せておいてくれ、恫喝するのは得意分野なんだ」
そう言った瞬間には、青年の手には自動拳銃が握られていて、その先端は、銃口は、目覚めたばかりの男の額に向けられている。
「おはよう、寝起きに突然で悪いが質問があるんだ、何、街中のインタビューだと思って気楽に答えてくれ」
「問1……俺に洗いざらい全部話すか、額から派手に脳漿をブチ撒けて死ぬか―――君はどちらを選ぶか教えてくれないか?」
- 429 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/12(水) 22:25:57 ID:/3xl4ACY0
- >>428
「ええ、それが正解です。
情報収集?…そうですね。それがいいかも知れません」
【鶫はじっとその様子を腕を組みながら言う】
男「え、あ…これは一体」
【一瞬男は何なのかさっぱりわからなかったようだが】
【自分の頭につきつけられた照準を見て一瞬で理解する】
男「…全部か、な、何を…話せば…いいんだ?」
【がくがく震えながら言葉を続ける】
- 430 :ルファス:2012/12/12(水) 22:36:58 ID:RRIFCANoO
- >>429
「ん、じゃあ、後は任せてくれ」
ひらひらと手を振って、青年は男に向き直る。
心なしか、少し楽しそうに見えるのは気のせいだろうか。
「そうだな、全部と言っても曖昧過ぎる……取り敢えず、この男を襲撃した理由を聞かせて貰おうか、他人の指示なら、誰に指示されたのかもしっかりと」
「ああ、嫌なら回答を拒否してくれても構わない、お前の顔面が地面に叩きつけた熟れたトマトみたいになるだけだからな、俺は一向に気にしない―――だから安心して語ってくれよ?」
「あ、そうだ、あと、携帯端末を貸せ、仲間に連絡を取られたら迷惑だからな」
- 431 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/12(水) 22:51:12 ID:/3xl4ACY0
- >>430
「ええ、後ろからきかせて頂きます」
【そう言ってじっと男を見つめる鶫】
男「えっと…襲撃したのはそこの女…だ」
【じっとルファスを見ながら応じた。驚くほどあっさりと言葉をつなげていく】
男「金を渡されたんだ…コートを被ってて誰かわかんなかったが…
理由は言わなかったが、存分に痛めつけろと言われて…
それで、あんなスタイルだろ?そりゃあ手を付けたくなるからよ…」
【鶫の視線を足から胸の方へと向ける】
男「そんなうまい話有るのかと思ったが…
あんなに強いなんて知らなかったんだ…」
- 432 :ルファス:2012/12/12(水) 23:01:19 ID:RRIFCANoO
- >>431
「ああ、聞いてろ、必要な分は聞き出してやる」
「……成る程な、お前がどうしようもない糞野郎なのは理解したが―――素直に語った事だけは、認めてやるよ、不本意だがな」
「本来なら鉛玉をご馳走してやる所だが、ちゃんと答えたお前に俺からの『ご褒美』だ、今はまだ見逃してやる」
「……だから、次の問いにも答えろよ、それと、携帯端末を出せと言った筈なんだが?」
- 433 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/12(水) 23:03:58 ID:/3xl4ACY0
- >>432
「誰かに金をもらってですか…
金で釣れるのであれば大した人間ではないようですね」
【明らかに嫌悪の表情でその男を見つめる鶫】
男「わ、わかった…これ…だな」
【男は慌てて携帯端末を取り出しルファスに差し出す】
男「み、見逃してくれるのか…?」
【まだ怯えているようである】
- 434 :ルファス:2012/12/12(水) 23:14:10 ID:RRIFCANoO
- >>433
「人を殴るだけで報酬が貰えるなら俺も嬉々として殴り込みに行くけどな」
どうやら、この青年も大した人間ではないようです。
「そうだな、後二週間もすればクリスマスだ、良い子には『自由』とか『生きる権利』をプレゼントしてやるのも悪くないかもしれないな」
「ただ、悪い子には残念ながら何もプレゼントは出来ない――――其処までは理解できたかな?少年?」
差し出された携帯端末を弄び、メールや着信から、最近連絡を取っている人物を探す。
元から真犯人なんて期待していない、目当てはコイツの彼女や親友、だ。
- 435 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/12(水) 23:24:54 ID:/3xl4ACY0
- >>434
「…勘弁して下さいね。ほんとに…」
【頭を下にむけて呟いた】
男「…そ、そんな…」
【男の顔はすぐさま青ざめる】
「ん?何をしてらっしゃるんです?」
【横から鶫が近づき、顔を突っ込んでくる】
- 436 :ルファス:2012/12/13(木) 21:19:29 ID:RRIFCANoO
- >>435
「冗談だ、そんな胡散臭い上にちゃっちい依頼なんて一々受けてられねえよ、猫探しや浮気調査の方が万倍マシだ」
額に突きつけていた銃口を下ろすと、青年は男に携帯端末を放り投げる。
もう、用はなくなったと言わんばかりに。
「……ん、ああ、個人情報を拝見させて貰ってるんだよ、今はアンタの前だ、コイツは逃がしてやるが、何かやらかしたら即座に殺す為にな」
「って訳だ、俺一人ならこうはしなかった、この女の温情と甘さに感謝しながら、消え失せろ」
「良い子にしてれば銃弾のクリスマスプレゼントは次の機会まで見送ってやる」
- 437 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/13(木) 21:52:48 ID:/3xl4ACY0
- >>436
「保険料のほうがかさむかも知れませんね」
【軽くため息を付いた】
男「あ、は、はい…すいませんでした…
も、もう二度とやらない…!」
【そう言って勢い良くかけ出していった】
- 438 :ルファス:2012/12/13(木) 22:43:14 ID:RRIFCANoO
- >>437
「そういう事、さ」
「しかし、何も情報は無かったか、まあ、未来有る少年を正しい道に導けたんだ、良しとしておくか」
恫喝と拳銃により、誰の血も流さず平和的な解決に成功した。
過程に問題はあったかもしれないが、結果だけみれば中々だろう。
本来の目的が達成されていない事を除けば。
- 439 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/13(木) 22:46:43 ID:/3xl4ACY0
- >>438
「ええまあ、分かってますよ」
【そう言って大きく頷いた】
「まあ、あそこまでやられてまた来るようだったら容赦しませんよ。
二度と鏡を見れなくなるくらい顔をボコボコにしてやります」
【じっと逃げていく背中を目で追いながら呟いた】
「まあ、今回は血が流れずに済んだのでよしとします。
…しかし、結局誰の差金だったのかわかりませんね」
- 440 :ルファス:2012/12/13(木) 23:01:35 ID:RRIFCANoO
- >>439
「ああ、遠慮なく叩きのめしてやればいい、躊躇う理由なんてとっくに無いだろう」
「しかし、犯人は解らないまま……まあ、プロを雇うんじゃなくてチンピラを突っ込ませるだけなのから見ると、大した相手じゃないのかもしれないな」
「実力を図るにしても、アレじゃあ何の意味も無いだろうし……」
やれやれ、と、青年は溜め息を吐く。
「……どこもかしこも、厄介事ばっかりだ」
- 441 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/13(木) 23:09:22 ID:/3xl4ACY0
- >>440
「分かってますよ。
色々聞いてああいう人間には容赦する必要はないと思えます」
【腕を再び鳴らして答えた】
「ああいう相手ばかりぶつけてくるなら…
安心するんですがね。
これに気づいてもっと強い人をぶつけてくるとか…無ければいいですがね」
【軽くため息をつきながら言う】
- 442 :ルファス:2012/12/14(金) 00:06:47 ID:RRIFCANoO
- >>441
「初っ端から殺しに掛かるんじゃなくて、雑魚で警戒させてから本命投入か?」
「また、随分と正々堂々とした黒幕のようで……或いはただの馬鹿か、だけどな」
「……っと、もうこれで良いか、俺が此処にいてもやる事はもうないしな」
//中の人が頭痛でダウンしておりました
//申し訳ないですが、この辺りで切り上げても大丈夫でしょうか?
- 443 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/14(金) 00:11:43 ID:/3xl4ACY0
- >>442
「力をはかってるのかどうか…
まぁ舐めてかかってるならさっさと出てきて欲しいですね」
【頭を下げながら応える】
「ええ、そうですね。
ひとまず残りは通報しておきます。
後は任せて下さい」
【そう言って微笑み返した】
//いいですよ〜。
- 444 :神無 鏡華:2012/12/14(金) 23:23:27 ID:dL8H4NjE0
- 「っせい、らあっ、ふっ!」
微かな風切り音と共に掛け声を出しながら、鎌を振るう少女が一人。
前に踏み込みながら鎌を降り下ろせば前のめりになり、そこから体勢を戻そうとすれば今度は後ろに重心がいき。
「う、わぁっ!?」
挙げ句の果てにはそのまま尻餅をついてしまう。
「やっぱりてんでダメだね……いくらなんでもこれは……」
荒くなった息を整えながら、神無 鏡華は地面に寝転がり天を仰いだ。
- 445 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/14(金) 23:32:35 ID:/3xl4ACY0
- >>444
【箱庭内…】
「おや…今日は先客がいるようですね」
【スタイルの良い学生が転送されてきた。その少女は意外そうな顔で先客の顔を見る】
「久しぶり…でしたっけ?
今はトレーニング中でしたか?」
【そう言って軽く手を振る。色々持ってきているのか風呂敷を抱え込んでいた】
- 446 :神無 鏡華:2012/12/14(金) 23:45:27 ID:dL8H4NjE0
- >>445
「……ん?ああキミか。久しぶり、だね」
体を起こし、鎌をそばに置いて立ち上がる。
「トレーニングね、まあそんな感じさ」
鎌の方にチラリと視線を向ける。
「といっても、トレーニングになってるかどうかすら怪しい状況なんだけどね」
「近接戦に少しでも慣れようと思ったんだけど、振るのだけで精一杯さ」
やれやれと自嘲するように笑う。
「そういう君もそれだけの荷物を持ってるってことは、同じ目的かい?」
- 447 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/14(金) 23:50:44 ID:/3xl4ACY0
- >>446
「近接戦・・・
その鎌は使い勝手が悪いですか?」
【じっと鎌を見つめながら応える】
「ええ、色々道具を試してみたんですけどね。
どうも、殴り合いのほうが私には似合ってるみたいなんです」
【両手に装備した手袋を見せながら言う】
「またいろいろ試してみようかとも思うんですがね」
【中から色々とおもちゃを取り出して言う】
- 448 :神無 鏡華:2012/12/15(土) 00:02:43 ID:dL8H4NjE0
- >>447
「いや、単にボクの身体能力が原因だよ。運動は得意じゃないんだ」
魔法による遠距離攻撃を主体とする鏡華にとって、死神のトレードマークともいえるはずの鎌は相手を牽制するためのブラフでしかない。
要するに、対策を打っていない状況で近接戦に持ち込まれたら終わりなのだ。
「相手に自分から近づいてどうるんだよ全く、なんでそんなリスクを負わなきゃなんないのさ……」
ブツブツとそんなことを口にするが、単なる愚痴でしかないことは言うまでもない。
「君の能力も便利だね……ただのおもちゃを武器にするなんてキミ以外見たことないよ」
- 449 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/15(土) 00:08:18 ID:/3xl4ACY0
- >>448
「ふむ…こういうのは体力つけてからじゃないと
難しいかも知れませんね」
【納得したように頷く鶫】
「近接戦はたしかにリスクを伴いますからね。
その分決定打も大きいんですが」
【ぐっと拳を握って応える】
「いえ、普段は強化するのに時間がかかるので扱うのは難しいんですよ。
能力を高める方法はあるんですが、これがまたリスクが大きいです」
【少し残念そうな顔をしながらため息を付いた】
「しかし、扱い方を覚えるなら実際に戦うほうがいいかも知れませんよ」
- 450 :神無 鏡華:2012/12/15(土) 00:23:28 ID:dL8H4NjE0
- >>449
「他のやつらはこれを軽々と扱うからね、身体の構造がおかしいよ、本当に」
本来死神は鎌を主体として戦うのがほとんどなので、どちらかといえばおかしいのは鏡華の方なのだが……
まあ、今は関係のない話だろう。
「まあ、どんな力にも利点と欠点があるからね」
「それこそいつでも一瞬でおもちゃの鉄砲が実物に、なんてこっちがたまったもんじゃないよ」
もしそうなれば、鶫の周りの周りにあるもの全てを鶫固有の武器と認識しなければならない。
相手が次にどんな行動をしてくるか予想もつかないというのは、中々に面倒だ。
「……お手柔らかに頼むよ?」
鶫の言葉の意味を察し、鎌を持ち上げる。
一つ深呼吸をすれば、もう鏡華の表情は戦闘前のそれだった。
- 451 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/15(土) 00:28:13 ID:/3xl4ACY0
- >>450
「まぁ死神ですからね。
常識では考えられないのでしょう」
【そう言って頭を軽くかく】
「確かに実物に出来ますがね…
ま、使い所を考えないときついですよ」
【そう言いながら密かに取り出したのは水鉄砲だった】
「ええ、なるべく容赦なく行きますよ?」
【そう言って鶫の顔も先ほどの穏やかな顔とは一転して真剣な眼差しになる】
【水鉄砲に向けて勢いよくエネルギーを貯めこみ始めたのである】
- 452 :神無 鏡華:2012/12/15(土) 00:38:30 ID:dL8H4NjE0
- >>451
「ボクとキミとでお手柔らかに、の意味が少し違うみたいだね?」
表情の変わった鶫は、本気のそれだ。
だがこちらも手加減してもらっているようでは意味がない。
野球ボール程度の火球を形成し、鶫に向け打ち出すと、
「はぁっ!」
その後ろを追従する形で駆け出し、時間差で鶫へと鎌を降り下ろすだろう。
しかし降るスピードもなければ体勢も前のめりで安定していない。対処するのは楽だろう。
- 453 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/15(土) 00:43:59 ID:/3xl4ACY0
- >>452
「ええ、だいぶ違います…ねっと!!」
【鶫は目の前に飛んできた火球を】
「はっ…!」
【体をくねらせ、ギリギリで交わす。】
「こちらも…!」
【同時に振り下ろされる鎌】
「そう簡単に当たりは…しません!」
【地面を勢いよく蹴ってその鎌の追撃もかわすと】
「これで!」
【水鉄砲を構えて鏡華に向けて撃ちだした】
バシュウウウウウウウウウ
【まるでレーザービームのごとく水が凄まじい勢いで向かっていく】
- 454 :神無 鏡華:2012/12/15(土) 00:56:59 ID:dL8H4NjE0
- >>453
「簡単に当たるとも思ってないさ!」
振り向き様に左手を上に振り上げる。
瞬間、空間を切り裂くように黒い裂け目が出現する。
鏡華と水の間にできた切れ目は水を飲み込み、そして閉じる。
「飲み込まれるよ、その程度じゃ」
黒い裂け目が閉じたならば、その後ろに立つ鏡華の姿視界にを捉えるだろう。
- 455 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/15(土) 01:00:23 ID:/3xl4ACY0
- >>454
「むっ…よくわからない魔術を使いますね」
【黒い裂け目に水鉄砲の水が飲み込まれるのを見て、困ったように頭を抱える】
「その攻撃は、わたしも飲み込まれるんでしょうかね」
【鶫は今度はもう片方の手に鉄砲をもち】
「どうなのか、わかりませんね!」
【間髪入れずに強化した弾丸を発射した】
- 456 :神無 鏡華:2012/12/15(土) 01:18:40 ID:dL8H4NjE0
- >>455
「人は試したことないなあ、まあ多分飲まれるんじゃないかな?」
軽く首をか傾げる。
「よくわからないのは、お互い様さ……!」
左手を振ると、先程と同じ黒い穴が。
弾丸も同じように吸い込まれる……が。
突如、なにもなにはずの場所に弾丸が現れ、地面を穿つだろう。
「ああ、言ってなかったけど、穴にのまれたらこの場所のどっかに転移するよ」
「方向はアトランダム、距離は一応穴があった場所から10m以内。時間は少しラグがあるけどね」
面白いだろう?と言う鏡華の口調はかなり楽しそうだ。
「待ってばっかりも何だし、こっちから行くよ」
右下に構え、鶫へと駆け出す。
そして数m手前でくるりと一回転し、遠心力をつけながら切り上げを繰り出す。
振るというよりは振られているという方が正しい感じではあるが、いずれにせよ威力は先程よりも大きいだろう。
- 457 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/15(土) 01:24:58 ID:/3xl4ACY0
- >>456
「やっぱり人もはいりますか。
危険っぽいですね…」
【鉄砲を地面に向けた途端に】
「わっ…意外にあぶないんですね、その技は」
【何もない場所に飛んだ弾丸を見て軽く驚く鶫】
「向かってくるんですか。
ありがたいところですよ」
【拳をぐっと握りしめて鏡華を待ち受ける】
「それくらいなら…まだ!」
【遠心力の付いた攻撃を見ながら、右側にステップを踏んで交わす】
ビリッ
【わずかに制服が破れ】
「くっ…やっぱり大きいと不便ですね…」
【少し悔しげに呟きながら】
「だが今なら、どうです!」
【そのまま拳を勢いよく振って鏡華の体に向けて拳を振り上げる】
- 458 :神無 鏡華:2012/12/15(土) 01:36:12 ID:dL8H4NjE0
- >>457
「……大きいと不便、ね。ふーん……」
鏡華の動きが鎌を振った直後の状態でピタリと止まる。
当然そこに鶫の攻撃が入り、モロにくらった鏡華の華奢な体は大きくふっ飛ぶ。
地に倒れ伏した鏡華は、
「……大きいと不便か、うふふ、あはは、そうか不便か……」
不気味な笑い声を出して、ゆっくりと立ち上がる。
「……だったら邪魔なその二つのデカイのもぎすててあげるよ感謝しろ」
ボソッとそんなことを呟く。
俯いたまま動かないようではあるが……?
- 459 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/15(土) 01:40:14 ID:/3xl4ACY0
- >>458
「むっ…たしかに効いたみたいですが…
お?」
【不気味に笑うのを見て少したじろぐ鶫】
「もしかして怒らせてしまったんでしょうか…
ひとまず、追撃をしますか…」
【そう言って鶫は両手に力を貯めつつ】
「はっ!」
【勢いよく地面を蹴りながら一直線に向かっていく。
接近した時に合わせ】
「せいやっ!」
【腕、と見せかけて右足を軸にした回転蹴りを放つ】
- 460 :神無 鏡華:2012/12/15(土) 01:56:04 ID:dL8H4NjE0
- >>459
鏡華の右手首につけられた腕輪が、ドス黒い霧を放つ。
霧は右手にまとわりついて色濃くなっていき……
鏡華は右手を鶫の攻撃を防ぐように合わせる。
鏡華の身体能力では当然防げるわけがない、はずなのだが。
右手の黒い何かに脚が当たった瞬間、勢いがほとんど消え去るだろう。
右手にまとわりついていた黒い霧は、いつのまにか黒い布のようなものになっていた。
「手加減はなしさ……殺す」
鏡華はその布……もといローブを羽織り、辺り一帯に無数の鎌鼬を生成、連続で鶫へと放った。
- 461 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/15(土) 16:22:00 ID:/3xl4ACY0
- >>460
「なっ…押し通せると思ったのに…」
【鶫は勢いが消え去った足を見てひどく驚くが】
「なにか来る…?くっ…回避っ…!」
【集まってきた黒い霧を見て、嫌な予感を感じたのか慌てて下がろうとする鶫】
【だが、ほんの僅かに遅く】
ザッ!ドシュッ!ザクッ!ブシュ!
【無数のかまいたちが鶫の胸を切り裂いていく】
「あ゛っ!あ゛ぁっ…!うぐっ…えあ!」
【更に腹や腕や足も連続で切り裂かれ、血しぶきを上げながら体をくねらせる。】
ザシュッ!! バシイッ!! ドシュッ!!
「くふっ…!あっ…!」
【倒れる暇すら与えられずに無数の刃に刻まれる鶫。攻撃する暇はないだろうか】
- 462 :神無 鏡華:2012/12/15(土) 20:55:07 ID:dL8H4NjE0
- 「この衣は衝撃を通さない、キミの戦い方と相性ピッタリだね?」
フードの下から歪んだ笑みを覗かせて、一歩後ろに距離を
とる。
「こんなあっさり食らっちゃうなんて、やっぱり邪魔なのかなあそれ?」
攻撃を食らう鶫を楽しそうに眺めながら、更に追撃を加えようとする。
「キミは近接戦が好きなんだろう?だったら……」
一瞬鶫への攻撃が止む、が、それは追撃の予兆に過ぎない。
すぐに、鏡華を取り巻く風が強くなっていくのが感じとれるだろう。
「厄介なことになる前に、まずはその足切っちゃおうか」
パァン!と何かが破裂するような音と共に、先程よりも威力を増した鎌鼬が鶫の左足へと飛ぶ。
そのまま食らえば切り傷どころか、膝から下が一閃されるだろう。
- 463 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/15(土) 21:42:51 ID:/3xl4ACY0
- >>462
【声が聞こえているかわからないが】
「ぐっ…うぅっ…!がはっ!」
【苦痛に歪んだ顔で鶫は無数の刃を体に刻む】
「…くっ…」
【攻撃がやんだ時、鶫は一瞬体をふらつかせる。
だが強い風が真木起こっていくのを感じ】
「い、やっ…!」
【足に力を貯めて、破裂する音がした途端に】
ダァン!!
【横に向けて勢いよく飛んだ。間一髪でかまいたちを交わすことができたものの】
ドォン
「あッうっ…」
【壁に体を預け、どうにか膝を降りかけながら立つことができた。】
【だが闘士が消えたわけでもなく。再び力を、握りしめた鉄砲へと込め】
ドゴッォン!
【強烈な威力の弾丸を数発、鏡華に向けて発射する】
- 464 :神無 鏡華:2012/12/15(土) 22:01:49 ID:dL8H4NjE0
- >>463
「避けられたか……まあいいや」
ならばもう一度同じことをするまでだと再び風を起こし始めるが、
「っと……!」
鶫の放った弾丸が、ローブを貫いて鏡華の脇腹を掠めとり、集中が乱れたのか、風が霧散する。
どうやらローブにも防げる攻撃と防げない攻撃とがあるようだ。
「イッタイなあ、やめてよもう」
苛立たしそうに言って、再び風を起こし始める。
まだ飛ばす気配は無さそうだが、何も考えがないというわけでもないだろう。
- 465 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/15(土) 22:12:29 ID:/3xl4ACY0
- >>464
「はぁ…はぁ…うっ…く」
【痛々しいダメージを全身に負いながらもなお立ち上がる鶫。】
【先程よりもさらに全身を覆うエネルギーは高まっているようだ】
「まだ、てはある…」
【鶫はブーメランを取り出し、力を貯める】
「でやぁっ…!!」
【あっという間に力の溜まったブーメランは一直線に投げられ、飛んでいく】
【切れ味が高まっているかもしれない】
- 466 :神無 鏡華:2012/12/15(土) 22:29:24 ID:dL8H4NjE0
- >>465
「さっきより早い……?」
追い込まれることで自分の力が高まるタイプなのだろうか。
「なるほど、確かに大きいリスクだ」
あわよくばギリギリまで痛め付けようと考えていたが、そういうわけにもいかないようだ。
すぐに鎌鼬をブーメランへ放ち、互いの勢いを相殺させると、身を屈め、右手を地面に触れさせる。
すると、鏡華の前の地面が盛り上がり……
「爆ぜろ」
爆発音と共に、ショットガンのように砕けた石つぶてが鶫を襲うだろう。
- 467 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/15(土) 22:42:02 ID:/3xl4ACY0
- >>466
「うまくいかない…です…」
【かまいたちに攻撃が阻まれたのを見て、軽く体を揺らす】
「やはりすぐに攻撃…」
【傷だらけの体で鶫は鏡華の方へ向かおうとするが】
ドゴッガッ
「あぐっ! がはっ!」
【突如飛んできた石つぶてが胸や腹に深く打ち込まれる】
「くっ…」
【胸を持ち上げるように両手で肩を抑える。ダメージはさすがに我慢の範疇を超えているようだ】
- 468 :神無 鏡華:2012/12/15(土) 22:58:37 ID:dL8H4NjE0
- >>467
「そろそろ終わりかな?」
あれだけ食らえば普通の人間はもう戦うことすらできないだろう。
そう予測したのか、はたまた単に気分なのか、鏡華は鎌の柄を右手に持って、歩き出す。
痛いのはやはり痛いのか、脇腹を左手で抑え、右手で鎌を引きずりながら、ゆっくりと近づく。
「けっこう苦しんでるようだけど、まだ続けるかい?それとも、終わらせてしまおうか?」
鶫の前に立ち、鎌を頭の上に持ち上げながら、問う。
- 469 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/15(土) 23:09:20 ID:/3xl4ACY0
- >>468
「…まだ、です…」
【鶫はそう言うと両手に一気に力を貯め始めた】
「立っているうちは…
私は…諦めないです!!」
【眩しいほどに力が全身をめぐる鶫。先程より確かに力が高まっているようだ】
「これでぇ!」
【近づいてきた鏡華に向けて、金色に輝く右手を勢いよく振り上げた】
【今の力は岩をも砕く威力になっている。まともに食らえば危険だろう】
- 470 :神無 鏡華:2012/12/15(土) 23:28:39 ID:dL8H4NjE0
- >>469
「……折れないね、キミは」
呆れながら、しかしどこか感心した様子で、鏡華は笑った。
「その強さがあれば、また変わっていたんだろうね」
同時に、そんなことをポツリと呟いて。
即座に自分の前に構えた鎌と、鶫の拳とがぶつかりあう。
当然体ごと後ろに吹っ飛ばされるが、そんなのは予想済みだ。
鏡華は自分の背後にランダムテレポートの穴を作り出すと、そのまま中に入る。
どこに飛ばされるかは鏡華にも予想がつかないが、それでもいい。
別の空間へ飛ばされるまでの数瞬で、鏡華は右手の指輪からあるものを呼び出す。
「成功してくれよ……!」
数瞬後、鏡華が表れたのは地上から7mほど離れた場所。
おそらく鶫にも見えるだろう、大きな筒のようなものを抱えた鏡華の姿が。
そこから放たれたのは、いや、飛び出したのは、紅く輝く龍。
天をかけ上がるかのように上空へと飛び上がると、
「降り注げ、『ドラゴン・メテオ』」
無数の炎を纏う岩石となって、地面へと降り注いだ。
- 471 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/15(土) 23:44:32 ID:/3xl4ACY0
- >>470
「そうです…!」
【鎌を吹き飛ばす。その直後に姿を消したのをみて】
「…テレポート…何処に…」
【然し、上空に聞こえた声】
「うえから…何かしかけるつもりですか…!」
【空から降り注ぐのは炎をまとった岩石】
「これくらい、どうにかします…!」
【鶫は自分に向けて落下する岩石を光をまとった腕を振り上げ】
ドゴォン
【岩石を粉々に砕いていく。とは言え防戦一方である。上空にい続けるのであればどうしようもないかもしれない】
- 472 :神無 鏡華:2012/12/15(土) 23:54:35 ID:dL8H4NjE0
- >>471
「うわっ……」
なんとか受け身をとって着地すると、鎌を下段に構えながら駆け出す。
落ちる場所がある程度わかっているのか、鏡華は落ちてくる岩石を軽々とかわす。
「どうせだしキミの得意なフィールドで決着をつけようじゃないか」
左下から右手で繰り出す切り上げ。
だがやはり威力は大してないようだ。対処には困らないだろう。
- 473 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/16(日) 00:04:12 ID:/3xl4ACY0
- >>472
「望むところですよ…!」
【鶫は両手両足に自身の持つエネルギーを集中させていく】
「このっ!」
【右手で切り上げる攻撃を、足を振り上げて】
ドゴォッ!
【地面に向けて蹴り下ろして交わす】
「今度こそ決める…!」
【そう言って前方へ走りだし。】
「だぁっ!」
【拳をひねりながら鏡華へ渾身の一撃を撃ちこみに言った】
- 474 :神無 鏡華:2012/12/16(日) 00:29:28 ID:dL8H4NjE0
- >>473
「……なんて、ね」
拳が鏡華に当たった瞬間、鏡華の姿が霧散する。
正確には、鏡華が造り出した自分自身の幻影が、だ。
鏡華の最も得意とするのは相手を惑わす幻覚魔法。
メテオの熱で一気に上昇した地上の温度を利用すれば、自分の幻覚魔法と合わせて幻影を作り出すなど雑作もない。
「心の強さは認めるけど、少し素直過ぎるよ、キミは」
鶫から離れた場所で、本当の鏡華が呆れながら言う。
そして、十分すぎるほどの準備時間でつくりだした無数の鎌鼬を、止めだといわんばかりに放つだろう。
- 475 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/16(日) 00:45:29 ID:/3xl4ACY0
- >>474
「えっ…」
【手応えなく消失する姿。
その一瞬に驚いている…その間に】
バシュウウウウウウ
【無数のかまいたちが迫る。鶫はそれに気づくより速く】
ズババババババババ
「くあ゛あ゛っ!!・・・がアッ!!・・・ア゛ア゛ぅッ!!」
【鶫の胴体に赤い線が覆い隠すほどに無数に刻まれ、鶫の体を、前方を赤く染め上げていく】
バシュバシュバシュバシュ
「くふっ・・・!も、う・・・やめてぇ・・・ぐっ!! うぐッ・・・!! かはぁっ!!」
【血を吹き出しながら鶫はびくびくと体を痙攣させながら仰け反り、後方へと足を走らせ】
ダンッ…
【近くにあった瓦礫に支えられ、軽く膝を折る】
【鶫の胴体はズタズタに裂かれており、その抜群だったスタイルも目を背けたくなるほどの惨事となっていた】
- 476 :神無 鏡華:2012/12/16(日) 00:57:55 ID:dL8H4NjE0
- >>475
「……っと、危ない」
鶫のボロボロの状態に入ってはいけないスイッチが入りかけ、慌てて箱庭から出る。
もう少し見ていたかったというのはとりあえず心の奥に仕舞いこみ、鶫の退出を待つ。
どうせあの傷だし、すぐに箱庭の機能がはたらいて出てくるだろう。
- 477 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2012/12/16(日) 01:02:31 ID:/3xl4ACY0
- >>476
「…ごふっ…げふっ…」
【まるで磔にされたように鶫の体は瓦礫の出っ張りに引っかかって崩れ落ちた】
【無残な姿をしばらく晒していたが、やがてアナウンスが流れる】
{生命の停止を確認…通常空間へ転送します}
【しばらくしてデータ化し、その体は消えていった】
【外にでた鶫は少し空を見上げる】
「もしかして…あの無様なやられ方も記録されるんでしょうかね」
【不安げな顔でつぶやいた】
- 478 :高向谷 司朗:2012/12/17(月) 22:23:18 ID:Z3legn6.0
- 異能都市のとある寺院のような建物の門。
人通りの多い道に面した低い石階段に、高向谷司朗は座っていた。
司朗はスポーツドリンク悪エリアス片手にため息をついていた。
この寒い中汗を流し、薄手の白いTシャツに灰色のひも付き長ズボン。
左手には二の腕に長い青い布を巻いている。
そしてトレードマークの帽子は被っていなかった。
「ふうっ……」
司朗の背後からは、勇ましい掛け声が聞こえてくる。
ここはとある流派の道場であった。
寺院の中では、似た格好の門下生達が拳を交わしているのだ。
いや、拳と言うのは多少語弊がある。
ここの門下生、師範共に約八割が鳥人族であり、
そのためにこの流派は、必然的に脚技が主体の拳法を使うからだ。
「ティルヴァがまさかこんなところに伝があるとは思わなかったな」
「知り合いというのは少し違う。
私の里の者の友人の子孫、つまるところは"ほぼ他人"だ」
司朗は先日、ティルヴァの紹介で、修行の為にこの道場の門を叩いた。
鳥人族は、頭しか鳥の要素がない例外も存在するが大抵が空を飛ぶ。
そのため風を読む術に長け、司朗はそれを能力として持っている。
そしてティルヴァはドラゴン、知識としては知っているが、体の違いから人間の体術は教えにくい。
格闘と能力の両方を高めるには、ここの流派は司朗にとって非常に都合が良かった。
- 479 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/17(月) 22:36:22 ID:g85adJMs0
- >>478
【その寺院の近くに一人の少女がやってくる】
「なんだろなの…
ここはへんなところなの」
【寺院の近くに首を傾げながら歩いてくる少女の姿が見える】
「あうー?
だれかいるの。だれかなの〜」
【全身に包帯を巻いた少女である】
- 480 :高向谷 司朗:2012/12/17(月) 22:48:30 ID:Z3legn6.0
- >>479
「お穣ちゃん、ここになんぞ用かえ」
作ったようなしわがれた声が聞こえてきた。
「用心したほうがええ。
ここは昔から夜になると恐ろしいモノノケが出るでの。
まだ太陽が見えてるうちに帰ったほう身のためじゃぞ」
現在は夕刻。
既に太陽は沈み始めている。
そして、寺院からは勇ましい掛け声が常に聞こえてきて居た。
「なぜそんなモノノケが出るようになったかというとの、昔の、
この寺にはそれは美しい巫女さんがおったんじゃ。
言い寄ってくる男は沢山居たんじゃが、神職に付くお方じゃろ?
その男達をちぎっては投げちぎっては投げ――」
巫女は寺にはいねえ。
というか、どう見ても声の主は司朗であった。
- 481 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/17(月) 22:54:32 ID:g85adJMs0
- >>480
「んー?
『しろー』ここのことなにかしってるの?」
【ディスは即効で見ぬいてしまった。】
「こえがへんだけどどうしたの?
においですぐにわかったけどなの…」
【心配層に近づいてくる…
どうにも冗談が通じなそうだ】
- 482 :高向谷 司朗:2012/12/17(月) 23:00:41 ID:Z3legn6.0
- >>481
「ああーっ!滑った!畜生!」
――ごわああぁぁん
司朗は門を殴りつけた。
鉄製。痛い。
「忘れてね、今の話。
ジョークだからね、司朗のジョーク」
門を殴ったほうの手を振りながら言った。
- 483 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/17(月) 23:05:16 ID:g85adJMs0
- >>482
「あ、ふつーのこえになったの」
【ディスは一瞬驚いたが、また心配そうに近づいてくる】
「じょーく…じょーだんなんだなの。
そうなのー、ちょっとたのしみだったけどなの」
【若干残念そうな顔をしている】
「あ、ところでなにをしてたなの?」
- 484 :高向谷 司朗:2012/12/17(月) 23:17:15 ID:Z3legn6.0
- >>482
「あー、えっと、
腕を見込まれた巫女さんが虎の穴で修行してレスラーになって、
最後は虎のマスクを川に投げ捨てて死ぬとかそんなんでいいよ」
司朗は頭を掻いて言った。
「何って、ここに最近入門したんだよ。
鍛錬鍛錬」
司朗は型っぽいポーズを取ったが、
そんな物はまだ教えてもらっておらず、出鱈目だ。
- 485 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/17(月) 23:21:03 ID:g85adJMs0
- >>484
「あうー、ふしぎなはなしなの…
でもなんだかたのしそうなの」
【普通にその話を聞き入っている。どうやら割とまじめに聞いていたようだ】
「たんれん?
とっくんなんだなの〜。
ここはいいところなのかなの?」
【寺をじっと見上げて答える。興味深そうである】
- 486 :高向谷 司朗:2012/12/17(月) 23:28:38 ID:Z3legn6.0
- >>485
「ティルヴァセレクションだからな。
俺の能力と相性がいいのはさすがだな」
空中に向かって回し蹴り。
……しそこねて、門に親指打った。
「……。
まあ、いいとこだよ、適度にしごいてくれるし。
練習中は帽子被れないけど」
当たり前だ。
- 487 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/17(月) 23:31:33 ID:g85adJMs0
- >>486
「そうなんだなのー。
ここが『しろー』といいばしょなんだなの」
【どうやら感心しているようである】
「あうー?だいじょぶなの?
…かぜがよくふいてくる…なのかなの」
- 488 :高向谷 司朗:2012/12/17(月) 23:39:03 ID:Z3legn6.0
- >>487
「何?風?
やー、かく言う俺は能力使わないとよくわかんないからね。
あのハーピィやガルーダ共は、
それを生まれつきやっちゃうんだから凄いな本当」
頷いて、司朗は頭に角を生やした。
「父さん、強い妙気です!
……違うか。で、何?風が吹く?」
司朗は風を感じ取ろうとした。
- 489 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/17(月) 23:43:00 ID:g85adJMs0
- >>488
「あうー。ふつうなのかなの?
それってなの」
【ふしぎそうに答える。】
「そうなの…
なんだか…きれいなかぜ、かなの?」
【少しずつ冷気が近づいてくる。
空は曇っており、今にも降り出しそうな空模様である】
【ただ、湿ってはいない。雪がふるかもしれない】
- 490 :高向谷 司朗:2012/12/17(月) 23:49:07 ID:Z3legn6.0
- >>489
「あー、確かにこりゃ雪振るなー。
寒い寒い」
下は長ズボンだが、上は薄手の半そで。
「……子供は風の子って、二十歳はダメかな」
ちょっとブルッと来た。
- 491 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/17(月) 23:51:17 ID:g85adJMs0
- >>490
「うん、そうそう。
そんなかんじのかぜなの…
それにくうきがきれーだからあめじゃないの。」
【頷いて微笑んだ】
「うーん、さむいってどんなかんじのなんだろなの…
ちょっとだけかんじたことあるけど…
やっぱりあんなかんじじゃないなの」
【Tシャツに半ズボンといういかにも軽装な格好で、ディスはふしぎそうに空を見上げる】
- 492 :高向谷 司朗:2012/12/18(火) 00:02:35 ID:Z3legn6.0
- >>491
「クソッ、真の風の子が目の前に居るのは悔しいぜ」
腕組みするように自分の二の腕を擦りながら言った。
「っつーか痛みだけじゃなくて寒さもかよ。
ずるいぞ畜生」
口をへの字に曲げた。
- 493 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/18(火) 00:09:00 ID:g85adJMs0
- >>492
「かぜのこ…なのかなの?
だれのこなのかはわからないなの…」
【少し下を向いて言う。悩んでいる顔のようだ】
「あんまりいいことじゃないようなきがするなの…
あついのはにがてだしなの…」
【ため息を付いて答えた】
- 494 :高向谷 司朗:2012/12/18(火) 00:22:22 ID:Z3legn6.0
- >>493
「いや、そーいう意味違う。違うから。
妙に深く受け取らないで、お願い」
身体をかがめて手を振った。
「子供が風の子なら大人は風だ、ありきたりだけど。
俺は風になる……!」
司朗は両腕を広げた。
「……寒いに決まってるよなあ」
すぐにやめて首を傾げた。
「休憩終わりだ、新入り!」
直後、門の向こうから掛け声とは別の、はっきりした言葉が聞こえた。
門から見える本堂らしき場所の入り口に、両腕が羽毛を持つ翼の、鳥人の男が立っていた。
司朗は振り返る。
「あ、はい!
……んじゃあそういうことでまたな」
男は返事を返し、ディスに向けて手を上げた。
そして司朗はその男に走って行く。
「よし、次は油の噴出す柱を昇って貰う」
「……ちょっとまて、それマジに言ってんの?ねえマジ?
二部始まったからコミックス読み直しただけだよな?」
そんな事をいいながら、司朗と男は本堂に入っていった。
- 495 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/18(火) 00:29:26 ID:g85adJMs0
- >>494
「うん、わかったの。
かぞくもいっぱいいるからねなの」
【嬉しそうに頷いて答えた】
「かぜに…?
あうー。はやすぎないかなの‥ん?」
【翼の生えた男をじっと見つめる。しばらくして司朗のかおを見て】
「あうー、いそがしそうなんだねなの。
わかったの!とっくんがんばってねなの〜!」
【そう言って微笑み、大きく手を振って見送っていった】
「…うーん…でもなんだか、ちがうにおいも…するなの…」
【何かを気にするように辺りを見回しながらディスも去っていった】
- 496 :欠け耳のボロッブ:2012/12/21(金) 22:48:13 ID:McrgrouA0
- 異能都市南西部、市街地の中にある小さな公園で
個人経営の移動式遊園地が興行を行なっていた。
小さいながらも観覧車やメリーゴーランドを備え、
お抱えのピエロや占い師、噂を聞きつけた露天商などが店を出していて、
冬休みと言うシーズンもあり、この時間でも中々賑わっている。
「サラマン石はいらんかねー、持ってるだけで暖かいよー。
光るヘッドバンドや、マーマン、エルフの細工品もいいのあるよー。」
そんな露店の一角に、ボロッブの姿があった。
冬用のもこもこした帽子や、いつもの工芸品などを雑多に並べ
観光客や親子連れ、学校帰りの学生などに商品を勧めている。
- 497 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/21(金) 23:03:59 ID:g85adJMs0
- 【包帯を巻いた少女がその露天の中を歩いていた】
「あうー、なにかいいものがないかなの…
どこかにないかなの」
【とても迷っている様子…
そんな中】
「ここはどうかなの…
すいませーんなの」
【ちょうどボロッブの露天に顔を出し、呼びかけてきた】
- 498 :欠け耳のボロッブ:2012/12/21(金) 23:18:30 ID:McrgrouA0
- >>497
「あいよー。」
きゃあきゃあと笑いながらアクセサリーを物色する
女子高生2人組の対応をちょうど終えたボロッブが、ディスのほうへとよってくる。
「何か、ほしいものがあるかね?」
- 499 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/21(金) 23:22:50 ID:g85adJMs0
- >>498
「あうー…
なにかぷれぜんとになるのはないかなの…」
【そう言って少し恥ずかしそうにする】
「うーん…でも、きゅーけつきのひと…
よろこぶぷれぜんとってなにかなの…」
- 500 :欠け耳のボロッブ:2012/12/21(金) 23:39:42 ID:McrgrouA0
- >>499
「ほう、プレゼントかい。
それなら、こういうアクセサリなんかでいいんじゃなかろうか。」
ディスの前には、手作りと思われる民族工芸品や
宝石があしらわれたネックレス、腕輪などが並べられている。
クリスマスシーズンらしく、サンタや十字架などをあしらったデザインの物が多い。
「吸血鬼、かあ……そうなると少し厄介になるなあ。
十字架はマズイだろうし、そもそもクリスマスじたいをよろこばん可能性も……。」
- 501 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/21(金) 23:48:40 ID:g85adJMs0
- >>500
「こんなにいっぱいあるんだなの…
いいなのー」
【ディスは目の前に置かれた様々な品物に目移りしている】
「あう…
にがてなのかなの…
ぷれぜんとしたらきげんわるくならないかなの…」
【ボロッブの話を聞いて急に不安になったようである】
- 502 :欠け耳のボロッブ:2012/12/22(土) 00:04:06 ID:McrgrouA0
- >>501
「クリスマスは『聖なる夜』だからなぁ。
吸血鬼が『聖なるもの』をいわう分けにはいかんだろうさ。
だが、まあ最近はそういうのも薄れつつあるようだがねえ。」
ボロッブは、がさごそと後ろの棚をあさり
商品を補充したりしながら、ディスが選ぶ商品を見ている。
「まあ、あまりクリスマス色の強くない物をおくればええんでなかろうか。
たとえば、これとか……これとか……。」
ボロッブが取り出したのは、天然石のネックレスやアロマキャンドル、
魔術がかけられた水晶玉などだが、いかんせんクリスマス色が薄すぎて
この時機に買うものとしては面白みがない。
- 503 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/22(土) 00:11:17 ID:g85adJMs0
- >>502
「うーん…いっしょにおいわいできたらっておもったんだけどなの…
まえの『じょーげん』のおうちのはたのしかったからなの…」
【残念そうなかおで答える。どうも楽しいものだと思っていたようである】
「あうー、これはきれーなの。
よろこぶ、かなのー」
【アロマキャンドルやネックレスを見ながら答えた。
どうも悩み続けてるようだ。自分のプレゼントで不機嫌にならないかなどと】
- 504 :欠け耳のボロッブ:2012/12/22(土) 00:15:34 ID:McrgrouA0
- >>503
「プレゼントと言うのは、悩めば悩むほどよいものさね。
というか、案外悩んでる時が楽しかったりするんだな、これが。」
よいしょ、と箱をどこからか持ってくると
ボロッブはあたりを見回して。
「それじゃちょっくら、あっしは店をあけるでな。
すぐにかわりの店員が来るから、後はそいつにまかせるでよぉ。」
というと、ボロッブは何処かへと歩み去っていく。
// うぐー、ごめんよ。おやすみー。
- 505 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/22(土) 00:22:46 ID:g85adJMs0
- >>504
「そうだねなの。
なんだか、たのしいなの。」
【そう言って微笑みながら、置かれた商品を見回す】
「あ、わかったのー。
ゆっくりしてるからなの〜」
【そう言って大きく手を振り、ボロッブを見送っていった】
「どれも…
いいものなの…『ろざりあ』よろこんでくれるかなの…」
【特にアロマキャンドルに目を向け、軽く微笑んだ】
- 506 :シロード・スィヴエア:2012/12/24(月) 22:39:09 ID:1sJsd2CgO
-
往来する人々の表情は良くも悪くも様々だ。
だが、通りに面した洋菓子店。
軒先に構えた台の向かい側にいる赤服の男女共々は違う。
『クリスマスケーキ、お安くなってますよー』
明るい声色が良く通る寒空の下。
三段ほど重なる、赤と緑のそれっぽい包みを安く売り出している。
彼らは、皆一様に、笑顔だ。
「……はい、はいっ。どうも、ありがとうございましたー」
そんな赤服の中に、白髪頭のサングラスの男。
帽子を被り、髭まで付けている彼、シロードは心底楽しそうに接客をしている。
- 507 :レラ=バニッシュ:2012/12/25(火) 21:58:56 ID:gSogigCY0
- 【公園】
『あ、サンタさんがいるー』
『ほんとだ、かわいー』
「そうだ、僕はサンタだぞー。
だからほら、受け取れ、ほら」
白いファーで縁どられたの赤い服に身を包んだ少女。
それはサンタクロースのそれに他ならぬ物であった。
姿がそうなら行いもそう。
傍らに置いた白い袋から丁寧にラッピング包装された小さな袋を取り出し、寄って来たこどもに手渡した。
ただ、その光景は少しだけ可笑しなものであった。
少々の人だかりに埋もれたサンタクロースの少女は、全く笑みを灯してなかった。
それどころかプレゼントの受け渡しは作業的。
早く終われとか、やりたくないとかいうオーラ全開であった。
- 508 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/25(火) 22:09:43 ID:g85adJMs0
- >>507
「あうー?さんたさんなの〜!
ぷれぜんとほしいなのー」
【ディスは嬉しそうにその公園のサンタへと駆け寄っていく】
「…?
あう?なんだかしってる…においなきがするの」
【不思議そうな顔でそのサンタの顔を覗き込もうとする…】
- 509 :レラ=バニッシュ:2012/12/25(火) 22:23:30 ID:gSogigCY0
- >>508
「まだ終わらないのか……っと」
仕事に悪態を付くが、それでプレゼントや人だかりが消える訳でもなく。
沈んだ顔を無理矢理に明るくし、袋からプレゼントを掴み引き出し振り返る。
新たに来た少女にそれを渡そうとして……気付いた。
「……」
ディスじゃないか。
そう声を掛けようとして、自身の正体が気付かれていない事に気付く。
出掛けた言葉を飲み込んで、見知らぬ人として接する言葉を変わりに。
「サンタさんからのプレゼントだ」
カモフラージュの為に慣れない口調をしたためか、僅かに頬が赤くなる。
- 510 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/25(火) 22:31:58 ID:g85adJMs0
- >>509
「あうー、ぷれぜんとありがとうなの!
にかいももらっちゃったなの〜」
【嬉しそうにプレゼントの箱を手にとった】
「…かおあかいなの、
さむいのかなの?」
【心配そうに見つめている】
- 511 :レラ=バニッシュ:2012/12/25(火) 22:41:28 ID:gSogigCY0
- >>510
「フ……良かったな」
微笑むディスに思わず言葉を出し、更に何時も通り手を伸ばし撫でようとする。
が、頭に向かう途中で気付き、ハッとして手を下げた。
「そ、そうだ……寒いな」
サンタ衣装の為か、服装はミニスカート。
大胆に露出させた太腿を、冬の寒風が撫でるたびに身体を震わせる。
……が、よく考えれば普段のホットパンツと比べ露出はそんなに変わらなかったりする。
隠れる為にかサンタ帽子を深めに被り、深い蒼色の髪を隠そうとする。
- 512 :リィス:2012/12/25(火) 22:43:37 ID:RRIFCANoO
- >>509>>510
何故か公園に人が集まっている、それは偶々、公園の近くを散歩していた少女の気を引くには十分すぎる光景だった。
何が起きているのか、好奇心から脚を進め、少し経って、サンタの格好をした人間が子供達にプレゼントを配っている事を理解した。
微笑ましい素敵な光景だな―――そう思って、少女はサンタの顔に目をやって、暫くの間硬直する。
何も語らずとも、その視線は何よりも雄弁に、何でこんな事をこの人はやってるんだろう、と、物語っていた。
- 513 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/25(火) 22:53:07 ID:g85adJMs0
- >>511
「やっぱりさんたさんにはいろんなひといるんだなのー。
ん?どしたの?」
【手を下げた辺りで不思議そうな顔で返す】
「あうー、そうなんだなの…
『でぃす』にはよくわからないから…
どうなってるのかわからないなの…」
【ちょっと残念そうに言う】
>>512
「あうー?
もうひとりきたの」
【ふと振り返ってリィスを見つける】
「こんばんわなの〜!」
- 514 :レラ=バニッシュ:2012/12/25(火) 23:02:46 ID:gSogigCY0
- >>512
また、誰か来たな。
近寄ってくる気配か足音かを感じ取るレラサンタ。
その気配が途中で途切れたのも感じ取り、少しだけ、不思議に思った。
その少し不思議が興味に成り代わり、目の前の少年にプレゼントを渡す瞬間、チラリと視線を向けた。
……。
『あ、サンタさんプレゼントおとしたー』
『おとしたー』
>>513
「な、何でもないぞ」
不穏な行動を悟られた焦りか、否定する声は荒くなる。
更に、首を下に向け、顔を隠してしまう。
「僕も余りこう言うのは……」
その焦りからか、会話に応じてしまう。
しかも、特徴的な一人称そのままに。
寒空に靡くスカートを抑え、ディスにちらりと視線を向けた。
- 515 :リィス:2012/12/25(火) 23:11:24 ID:RRIFCANoO
- >>513
「あ、ええと、こんばんはー」
「それと、メリークリスマス、です、サンタさんからプレゼントは貰えましたか?」
不意に話しかけられた声、最初は慌てて、動揺を隠せないまま返事をし、だが、次には自然な笑顔でディスと会話を始めるのだった。
>>514
「……えっと、その、手元が狂ってしまったみたいですよ?寒い中プレゼントを配るのは大変そうですね?」
しどろもどろ。
フォローをしようとするが、何だか方向性を間違えて『今日はいい天気ですね』レベルの会話になりつつある。
だが、流石にそれだけでは終われない。
子供達の中を掻き分けて、足下に落ちたプレゼントを拾い上げ、サンタに手渡して。
(……いったい、こんな場所で何をやってるんです……?)
手渡しつつ、小声で囁くようにして、サンタの格好をしたレラに話しかけるのだった。
- 516 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/25(火) 23:27:45 ID:g85adJMs0
- >>514
「あうー?
ぼくっ…きいたことあるこえなの〜」
【改めてじっくりとその顔を見ようと近づいてきている】
>>515
「めりーくりすますなの〜!
ぷれぜんとはもらったなの!」
【そう言って先ほどもらった箱を見せびらかす】
「こんかいもいいひだったなの〜!」
- 517 :レラ=バニッシュ:2012/12/25(火) 23:35:13 ID:gSogigCY0
- >>515
咳払い一つしてリィスに向き直ると、表向きの言葉を一つ。
「そうだな……。
でも、働くのはいつも冬だ」
だから何だ。と切り捨てられそうな、此方もぎこちない返答に。
耳打ちに対して此方も潜めた声で、
「これも仕事なんだ……」
仕事、とは言っているが傍に川平など見知った顔は居らず少女一人。
恥ずかしさらか頬は染まり俯き、言葉は僅か投げやり。
「悪かったな、悪かった」
いつもとは逆。プレゼントを受け取る側に回ってしまうと、本来受け取る筈だった少年に気持ち程度の謝罪を告げる。
幾らレラがいい加減だとは言っても、流石に落とした物は使わずに背後のベンチに投げ置いた。
そして新しい物を袋から取り出し、少年に気持ちの篭ってない表情と共に手渡した。
いい加減な仕事である。
>>516
「な、無い、無いぞ!?」
近寄られれば、両袖の白いカフスを揺らし腕を突き出し拒絶する。
首を大きく振ってそこでも否定を示す……が。
余りにも大きく振るものだから帽子が頭から落ちてしまった。
短めの深い蒼色の、見覚えのある髪がディスの元に晒されるだろう。
「……」
無言で帽子を拾い上げ、被りなおす。
- 518 :リィス:2012/12/25(火) 23:47:00 ID:RRIFCANoO
- >>516
「貰えた理由の一番は今年一年良い子にしていたから、でしょうね」
「来年も良い子にしていれば、きっと、また貰えますよ」
>>517
「夏場にクリスマスを迎えたかったら、遙か遠くの地に行くしかないですもんね」
「この地域で働く限りは、ずっとずっと冬に労働しなくてはならない……そう聞くとサンタ家業も楽ではなさそうですね」
年間での休日は相当凄いんでしょうけど、と、少女は微笑みながらいって。
それと同時に、小さな声での会話も続けるのだった。
(……何だか、少し意外でした、川平さんの方が子供と遊んであげるのは好きそうなイメージだったんです)
(あ、それと、何か手伝える事はありますか?)
- 519 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/25(火) 23:50:22 ID:g85adJMs0
- >>517
「あう?
そんなにあわてなくていいのになのー」
【そう言って微笑む、と同時に帽子が落ちていく】
「あ、おとしちゃったなの…
ん?」
【帽子を目で追い、その後サンタの素顔を確認する】
「あうー!『れら』なの!
そうだったなの!」
【ひどく驚いた顔をしてレラの顔を見つめた】
>>518
「いいこにしてたからなのー…
うれしいの!じゃあもっといいこになるなの!」
【大きく頷いて返した】
「いいこ…ひとのためにしたらかなのー」
- 520 :レラ=バニッシュ:2012/12/26(水) 00:05:31 ID:gSogigCY0
- >>518
「案外、そうでなかったりするぞ」
会話が周囲に聞こえていることも踏まえてか、サンタキャラを意識した発言だ。
「プレゼントの準備から市場傾向を観察して贈るのは何が適切かを把握する必要があるからな」
その割りには子どもに伝わりにくそうであるが……。
「僕とてやりたくはない……」
リィスからも姿を隠そうとする辺り、川平達にも告げてないのだろう。
スカートの裾を引っ張り抑え、恥ずかしさを隠せずに。
手伝える事……と言われてあたりを見渡し、人に埋もれた現状に辟易する。
「こいつ等を並べてくれると有難いんだがな……」
だが、子ども達の興味は本物(と思い込んでいる)サンタさんに釘付けである。
会話を試みようとして話し掛ける少女や、興味を引こうと衣服を引っ張る少年まで居る。
>>519
「あ、あぁ……そうだぞ、ディス」
ついにバレた。
見知った人間だと羞恥の感情は何倍にも跳ね上がる。
自分がこういう格好をする人間ではないと認識している為に、出来るだけバレたくなかったのだ。
隠そうとしていた物がバレてしまうと、それも尚更。
- 521 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/26(水) 01:05:15 ID:g85adJMs0
- >>520
「そうだったんだなの!
『れら』がさんたさんだったの〜!」
【何かを理解したかのように言葉を返す】
「だからそらをとべたのかなの…
きのうのさんたさんなの!」
【どうやらサンタが正体であると勘違いしてるようだ】
- 522 :レラ=バニッシュ:2012/12/26(水) 01:25:46 ID:gSogigCY0
- >>521
「あ……?」
想定と違う言葉を向けられて気の抜けた声を出す。
「ち、ちが……それは違うぞ。
僕は普段からこんな格好はしない……」
サンタコスの羞恥に負けて、先程のキャラ設定とは何だったのかと言わんばかりの否定をする。
- 523 :リィス:2012/12/26(水) 22:12:40 ID:RRIFCANoO
- >>519
「そうですね、普通は、人の為になる事をすれば『良い子』になれると思いますよ」
「でも、時々、敢えて厳しくしないといけない場面もあるから難しいんですよね……」
「まあ、余計な事は考えないに限ります、困っている弱い人を助ければ、自然ともっともっと良い子になれますよ」
>>520
「成る程……子供達の好きそうなもの、といっても、年代や性別で大きく違うでしょうしね」
「下調べや準備に時間が必要なのは、確かに頷ける話です、私もまだまだ精進が足りませんね……」
サンタ的な会話に話を合わせながら、レラの本音を聞いて、確かにこれでは満足に配る事も出来ない、と理解する。
だから、少女はその場で、ぱんぱんと手を二回叩いて。
「はい、良い子の皆さんにサンタさんからのお願いがあるらしいので、よーく聞いて下さいねー!」
「今のままだと、配るのに時間がかかってサンタさんが今夜中に仕事を終わらせられなくなってしまいます、なので、配りやすいよう、一列に並んであげて下さい」
「並ばない悪い子は……ああ、そうでした、悪い子にはプレゼントをあげる必要はないんでしたね」
……子供の相手をするのに慣れていると言うか、何というか。
- 524 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/26(水) 22:15:27 ID:g85adJMs0
- >>522
「あうー。
くりすますのおしごとのかっこなんだよねなの」
【わかってるの、とでも言うかのように微笑んで返す】
「いちにちでだからたいへんだよねなの…」
>>523
「あうー・・・ひとのためになることはやさしくすることだけじゃないんだねなの」
【軽く思い悩む表情を浮かべるディス】
「そっかなの!いろんなひとをたすけたらいいんだなの!
なら、もっとがんばるなの!」
【嬉しそうに大きく頷いて答えた】
- 525 :レラ=バニッシュ:2012/12/26(水) 22:41:19 ID:gSogigCY0
- >>523
ハァ。と溜息を付けば、
「ん、あぁ、そうだぞ」
と何とも身のない返事をする。
つまらなそうな表情から見れば、サンタトークに早くも飽きてしまったらしく。
と、言うより初めから面白いとは露ほども思ってなかったらしく。
「おお、おお」
リィスが子ども達を纏め上げる様子を眺め、思わずそんな声が漏れる。
幸いな事に悪い子は居なかったようで、受け取りがまだの子は並び、そうでない子は帰るなり園内で遊ぶなり。
統制のお陰でプレゼントを渡すペースが早まっている。既に長い事やっていたのか、もう少しで子ども達の列は切れそうだ。
>>524
「あー……そうだな。そうだ」
コイツ解ってないんじゃないか? いや、絶対に解ってないな。
心の中でそう呟きつつ、困った末に手はサンタ帽子のボンボンを弄る。
訂正しようか悩んだが、それで「サンタが居ない」と思われて面倒なことになっても困るので適当に相槌を打つ事にしたようだった。
いや、サンタは居ないのだが。
しかし、これ以上嘘を塗り重ねるのも後々面倒になるので、話題を切り替える事にした。
その為にディスに渡したプレゼントの箱を突き。
「ディス、そいつの中身は知ってるか?」
と、話題を無理矢理塗り替えた。
中はお菓子の詰め合わせ。誰かからのテロ染みたプレゼントとして考えれば無難過ぎる物である。
他には子どもの手にも握りやすく書きやすく設計された、四色のボールペン+ノック式シャープペンシルの合体したペンが入っている。
そのペンにはレラの所属する国の章と名前のプリント付き。実はコッチのプレゼントがメインだったりするらしかった。
しかし、サンタの目の前でプレゼントを開けろサンタに命令されるのは何とも夢のない話しである。
- 526 :リィス:2012/12/26(水) 22:55:19 ID:RRIFCANoO
- >>524
「そうですよ、悪い事を手伝うのは論外、それ以外では……そうですね、例えば、学校の宿題とかを手伝うのもあんまり宜しくありません」
「人の事を思うなら、尚更、その人にとって一番良い選択をしなければいけないんです」
「宿題とかの小さな話ならまだ良いですけど、大きな事になると……貴女も、その人も、一生消えない傷を抱える事になりますから、ね」
少女の表情に落ちる陰は、きっと、少女の抱える『傷』の証なのだろう。
この少女も、ごく普通な人生を送ってきたとは言い難く、それなりの苦痛を刻み込みながら、生きてきたのだ。
>>525
「速攻で飽きるならサンタ風に話す必要は最初から……いえ、子供達の夢を崩さないようにしてたんですよね?」
ちゃんと気を遣ってたんだなー、優しいなー、と、何だか煽られている気がするのは気のせいだろう。
リィスとしても、同居人の(見られたくなかっただろう)意外な一面を見れた今は、あまり煽らない方が良い事くらいは理解している。
「うわぁ、結構な人数が居たんですね……今まで、ずっと一人で配ってたんですか?」
- 527 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/26(水) 23:02:46 ID:g85adJMs0
- >>525
「そっかなのー。」
【嬉しそうに微笑みながら答えた】
「はこのなかみ?
うーん…みてないからわからないけどなの…
ちょっとふってみようかなの」
【そう言ってカラカラと箱を振ってみる】
「あ、だめだったの…
なかみがへんになったらたいへんなの」
【慌てて途中で取りやめて答える】
>>526
「しゅくだいをてつだう…
うー…『でぃす』にはとてもむずかしいの」
【頭を抱えながらその返答に答える】
「おおきなこと…
ともだちをまもれなかったときとかかなの…
おおきなことをするんだったら、それくらいのことになるのかなの…」
【ディスも同時に軽くうつむいて答える】
- 528 :レラ=バニッシュ:2012/12/26(水) 23:27:53 ID:gSogigCY0
- >>526
「もうそれでいい」
余程の見られたくなかったのだろう、会話はほぼ全てが投げやり。
表情に朱が差しているのは、単に寒いからだけでは無さそうだ。
『作業』中も、出来るだけリィスを視界に入れないように首を向けたり、俯いたり。
声が掛かれば仕方なく。と向き直って。
「それ以外に何がある?」
と。
返す言葉に含まれた棘は、何時もより鋭く感じられるだろう。
>>527
「そうだそうだ」
投げ槍オブ投げ槍。
早くこの話題が過ぎ去ってしまえと思う、切実に。
「是非、箱の情報を開示していただきたい」
キリッ。
某赤い彗星の再来めいた台詞を吐き、プレゼントを突く指を強める。
サンタコスと仕事とリィス。この全てから逃げるにはディスで遊ぶしかない。そう考えたらしく。
- 529 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/27(木) 00:35:28 ID:g85adJMs0
- >>528
「ふむ…あけてみたほうが…
でもいきなりあけるのはもったいないかなの…」
【かなり悩みながら箱を見つめる…】
- 530 :リィス:2012/12/28(金) 21:40:06 ID:RRIFCANoO
- >>527
「……うーん、私のミス、ですね」
「ごめんなさい、悪気はなかったんです、嫌な事を思い出させるつもりは無かったんですけど……迂闊でした」
やってしまったか、と、後悔の念を抱く。
悪意は無かったが、ここがどんな街かを考慮するべきだった。
過去にトラウマを抱えた人間は、少なくないと知っていた筈なのに。
>>528
「では、そう思わせて貰いますねー♪」
弾むような明るい声に、レラは選択を誤ったと思うかもしれない。
この少女は『それでいい』と言われたのを良い事に、状況を自分にとって都合良く認識しようとしている。
つまり、レラは無愛想だけれど、何だかんだ言いながら色んな人に優しいんだなー、とか、そんな具合に。
「いえいえ、素直に頑張ったんだな、と思っただけですよ、他意は無いですから、ねっ」
- 531 :レラ=バニッシュ:2012/12/28(金) 22:32:14 ID:gSogigCY0
- >>529
「中はきっと甘い菓子だな」
きっと、などでは無い。
中を知っているが故に、少女の好みと知るが故に、
戯けるような口調をしてみせ、ディスの反応を誘う。
>>530
「ああ、あぁ」
それ以上に、どうでも良かった。
リィスがどう思おうと、それは個人の想像に過ぎないと言い切るつもりらしい。
リィスに向けた顔は何時もと同じ、ムッとした顔。
「その言い方」
指をビシリと立て、そう静かに、宣言するように。
「僕を子どもと思うなよ」
妙に拘る辺り子どもらしいと言えるが、それをしてきしたらどうなるか……容易に想像できるだろう。
- 532 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/28(金) 22:44:54 ID:g85adJMs0
- >>530
「あうー…
いいの。その…たいせつなひとまもりたいってきもち
かわらないからなの…」
【軽く頷きながら答えるディス】
「だから、がんばってみせるからなの」
>>531
「あうー?あまいおかしなの?
うーん…たしかにそういうにおいがするかもしれないの」
【軽くはこの中から漂う匂いを嗅いでみる】
「うー…おうちまでがまんしようかなの…」
【と言いつつもその目は今すぐにでも食べたそうな顔つきである】
- 533 :リィス:2012/12/28(金) 22:48:16 ID:RRIFCANoO
- >>531
(……むぅ、私がどう思おうと、どう思われようと構わない、って感じですね)
(同じ場所で暮らしている訳ですし、少しは仲良くなれたかと思いましたけど……まだまだ、って事ですか)
「まさか、流石の私も、子供に、これだけの活動が務まるなんて思ってないですよ……貴女を子供扱いしてない証拠じゃないですか」
「さっきも言いましたけど、余計な事は全部抜き、素直な感情ですから、ね?」
少女は困ったように苦笑い、本当に、そんなつもりは無かったのだろう。
>>532
「……強いんですね、嫌な事があっても、目を背けないなんて」
「頑張って下さい、私にはそんな事は出来なかったから、貴女の行く道の先がどうなっているかは解らない……けれど、きっと、その道は光に照らされる道だと、信じてますから」
- 534 :レラ=バニッシュ:2012/12/28(金) 23:06:12 ID:gSogigCY0
- >>532
「そうだ、良い子へのプレゼントは甘い菓子に決まってる」
そもそも、プレゼントしたのはコイツなのだが。
それなのに曖昧な口調でディスを煽りつつ、頭をわしわしと撫でる。
>>533
「……なら良いが」
フン。と鼻を鳴らし眼を細めた。
山は急勾配だと知っては居たが、その角度や登山条件は想像以上だった。
と、いった感じか。リィスの思った以上にレラという人間は尖っているらしい。
「ところで」
と、珍しくレラから切り出した。
普段生活中はこう言った事は余り無く、口にするのは「飯」か「風呂」か「寝る」だけで、それすらない事も多々あった。
言葉と同時に向けられた視線は足先から頭の先まで順に眺めていく感じ。
「貴様、幾つだ」
- 535 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/28(金) 23:14:24 ID:g85adJMs0
- >>533
「そんな…つよいかなの…
でもうれしいかもしれないの…」
【軽く笑いながら頷く】
「どんなことがあったかはきかないけど…
たぶんやりなおすくらいはできるの、だからがんばってなのー」
【リィスに対してもディスは優しく返した】
>>534
「あうー…ありがとなの」
【にっこり微笑んで返した。頭をワシャワシャされてちょっと嬉しそうだ】
「ゆっくりたべてみるからなの!」
- 536 :リィス:2012/12/28(金) 23:56:41 ID:RRIFCANoO
- >>534
「とりあえず、私に関しては『貴女を子供扱いする』事は無いですよ、まだまだ浅い関係ですけど、貴女がどんな人物か、最低限は見ていたつもりですから」
「流石に、内心まで解るとか、そんな言葉は口が裂けても言えませんけどね、まだまだ貴女の中身に踏み込めていないのは理解してますし」
「年齢、の話ですよね」
「でしたら、十八……いえ、十九の筈ですよ、小柄だからか、一回り下に見られてばかりなんですけどね」
……案外、レラを子供扱いしない理由は、自分が小さく見られるのが嫌だから、なんて、単純な理由なのかもしれない。
>>535
「……ありがとうございますね、でも、やり直したらいけない事もあるんです」
「後悔したからといって、道を逆に歩く事が出来ないように……」
「だから、せめて貴女は……いえ、余計なお世話ですね」
//文を消してしまって遅れました……申し訳ないです。
- 537 :レラ=バニッシュ:2012/12/29(土) 00:12:25 ID:gSogigCY0
- >>535
「フッ。どういたしまして、だ」
ディスに対しては割かし心を開いている為か、素直な発言をする。
が、何処か上手く乗らなかったらしく恥ずかし気な様子を見せる。
>>536
「解っているなら別にいいと言っている」
フッと息を吐き視線を外す。
「19……19か、そうか」
年齢を聞き、詰まった様で繰り返す。
その様子を見る限りレラもまた、相応には見えて無かった人の様で。
「そうか……」
それが何か困る事なのか、言葉を詰まらせてしまった。
- 538 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/29(土) 00:18:58 ID:g85adJMs0
- >>536
「あうー…
そう、なのかなの…」
【ディスはしばらく考えたが、過去を知らないので何かいうことは出来ない】
「えっと…
だいじょぶなの。『でぃす』はずっとこのままでいるからなの!」
【グッとガッツポーズをして返した】
>>537
「あと、ぷれぜんとありがとなの」
【微笑みながら箱を見せた】
「だいじにたべるからねなの!」
- 539 :リィス:2012/12/29(土) 00:35:41 ID:RRIFCANoO
- >>537
「……ええと、何か問題が有りましたか?未成年なのがマズかった、とか?」
恐る恐る、といった感じで、何か問題があったかを聞く。
年齢で問題になる理由は、大半が未成年である事だろう。
>>538
「……ディスですか、それが貴女の名前、なんですよね?」
「聞いてしまったからには、私も名乗らないと、私はリィスっていいます、よろしくお願いしますね?」
「ええ、頑張って下さい、私は応援しますし、私も頑張りますから」
……心配させてしまったみたいなのが、少し心にくる。
情けないな、と、自分の心の中で溜め息を吐いて。
- 540 :レラ=バニッシュ:2012/12/29(土) 00:44:30 ID:gSogigCY0
- >>538
「あぁ、それがいい」
箱を見、それからディスを見。
少女らしくニッと笑う。
「さて、そろそろ終わりだな」
レラを終点とした子どもの列はあと少し。
ディスでも数えられる程の長さにまで縮んでいた。
>>539
「いや、別にそうでは無い」
未成年で在る事が不味いなら、レラもただでは済まないだろう。
ただ、思い描いていた想定と僅かに差があっただけの事。
その差は僅かであったが、結果には大きく響く事。
口にしようと思っていた事が、口にしたくない事になってしまっただけの事。
「……なんでもない」
そう言う少女は、何処か不貞腐れている様に見えた。
リィスのお陰か作業が捗り、プレゼントを待つ子どもの列の消化は早まり。
「よし、これで……最後だ」
ついに終わりを迎えた。
レラの元に渡されたプレゼントの残りは少なく、けれどもレラは焦る様子を見せなかった。
最後の子どもが去り際に『サンタさんありがとう』と言って手を振るので仕方無しに。といった様子で応じていた。
- 541 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/29(土) 00:57:43 ID:g85adJMs0
- >>539
「うん!『でぃす』がなまえなの!
よろしくねなのー『りぃす』なの!」
【先程からあまりなかった元気を取り戻して微笑んだ】
「いっしょ、じゃなくてもがんばろうねなのー!」
【どこか悲しそうな顔をしながらも答える】
>>540
「あうー…さっきまでいっぱいいたのになのー…
みんなたのしそうなかおだったなの…」
【去っていく子どもたちを見ながら呟いた】
「やっぱりくりすますはいいなーなの…」
- 542 :リィス:2012/12/29(土) 01:01:06 ID:RRIFCANoO
- >>540
「まあ、問題が無いなら良いんですけど……?」
なら、どうして目の前の少女は拗ねているのだろうか、自分は問題にはならないが気分を害するような事をしたのだろうか。
考えてみるが、答えは全く思い浮かばず、頭の上に『?』マークが浮かび上がるばかりだった。
>>541
「そうですね、今は、前を向かないと……うん、兎に角ガムシャラに頑張ってみましょうか」
「と言うわけで、お互いに次に逢ったとき、胸を張って『頑張った』と言えるようにしましょうね?」
//すいません、この辺りで一旦落ちますね。
//五時には起きないと、仕事に遅れてしまうのです。
- 543 :レラ=バニッシュ:2012/12/29(土) 01:13:00 ID:gSogigCY0
- >>541
「そ、そうだな……」
ディスの呟きには本来露ほども同意する気は無いのだが、
レラの中のほんの僅かな良心がぎこちないながらも頷かせた。
「ディス、お前は今、嬉しいか?」
>>542
「ああ。
貴様に問題は……無いな」
至極納得行かないと云う顔をしているが。
「寒い。帰るぞ」
依然として吹く寒空に靡く赤いスカート。しかもかなり短い。
それ以外にも全体的に機能性より見た目を重視した造りらしく、そこもレラの好みには合わなそうだ。
始め、レラの体格とほぼ同等なだけあった大袋も今では軽々と運べる程に縮こまり。
それの口を持って肩に担ぐと何となくサンタさんっぽい雰囲気が出た。
//了解です。おやすみなさいませ!
- 544 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/29(土) 01:18:57 ID:g85adJMs0
- >>542
「そうだねなの。どうしたらいいかわからないけど
まずは、がんばってみるからなの!」
【軽く笑いながら答える】
「…はれるくらいになったらいいんだけどなのー。」
【何故か自分のまっ平らな胸部をぺたぺた触っている】
>>543
「あうー…ともだちもいて、ごはんもたべられて
いっしょにすんでるひとがいて・・・」
【そう言って空を見上げる】
「しあわせっていわれると、しあわせだとおもうなの…」
【どこかぼーっとしているように見える】
- 545 :リィス:2012/12/30(日) 19:49:46 ID:RRIFCANoO
- >>543
(……何が気に障ったんだろう)
疑問には思うが、口にすれば更に厄介な事になるのは目に見えている。
だから、心の中で首を傾げるだけに今は留めておいて。
「わかりました……といっても、私は特に荷物は無いですし、何時でも帰れるんですけどね」
「とりあえず、今は、帰ってゆっくりと暖まりましょう……?」
小さく微笑んだ少女は、レラが歩き始めれば、後を追って歩き出すだろう。
まだ馴染めない所も多いが、多少居心地が良く思えてきた場所へと。
>>544
「おっと、胸の話はそこまでにしましょう、まだ可能性があるだけ貴女はマシなんですから」
「……今ばかりは、小柄で貧相に育った自分が憎くて仕方ないですよ、もう……」
- 546 :レラ=バニッシュ:2012/12/30(日) 21:27:26 ID:gSogigCY0
- >>544
「ディス、じゃあな、それを忘れるなよ」
袋を担いだ後、ディスに向き直り静かな顔で。
「それを他人に伝えなくていい、解って貰えなくていい。
お前が日々感じた小さな事でもいい、その幸せを忘れるな」
少女は少女なりに、多くの物を見たのだろう。
その為に、時折厳しい発言をするが、こういった物言いをする事もあるらしく。
>>545
「そうだな……帰って温まるに限る」
長袖と、ミニスカート。
普段はTシャツとホットパンツなので何時もより露出は少ないのだが本人は寒そうだ。
身長に比べて長めの脚は細いのだが、細すぎる。見ている方が痛々しくなる程の成長具合だ……。
「お前ら、何を話してるんだ?」
二人の会話内容が気になったのか、首を傾げている。
そうする少女は何故か子どもの割に恵まれた胸をしている。
- 547 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/30(日) 21:31:58 ID:R36zRj920
- >>545
「えっと…わかったの…
なんだかごめんなさいなの…」
【大きく頷いて返した】
>>546
「あうー…わかったの」
【そう言って大きく頷いた】
「…うん、『でぃす』がしあわせとおもったことが…
そうなんだよねなの。
なんとなく、わかるの」
- 548 :リィス:2012/12/30(日) 21:55:49 ID:RRIFCANoO
- >>546
「そうですね、暖かいココアでも作りたい所ですけど……今、家に有りましたっけ」
無かったら帰りに少し寄って買ってしまおうか、そんな事を考えられるのは、今の生活がそれなりに満ち足りているからなのだろう。
そうでなければ、こんな余裕はなくて――――もっと、目の前しか見れなかった筈だから。
「……いえ、持たざる者の悩みは持つものには解るまい、という話ですよ」
少女を一瞥し、残念そうな溜め息を吐きながら、少女はそう言った。
>>547
「ああ、いえいえ、貴女は悪くないですから、大丈夫ですよ?」
「取り敢えず、貴女は貴女の努力を、私は私の努力を重ねて、皆に褒めて貰えるように頑張りましょう?」
そういって、にっこりと微笑む少女は、とても十九歳を迎えた人間には見えない程に幼く―――それと同時に、年齢相応のしっかりとした意志のようなものも伺わせた。
- 549 :レラ=バニッシュ:2012/12/30(日) 22:47:09 ID:gSogigCY0
- >>547
「そうか」
こちらも大きく頷く。
「ならそれで良い」
話題の転換に。と一つため息を吐き。
「それじゃ、僕等は帰るぞ。仕事も終えたからな」
袋を担ぎ、萎んだそれを軽く叩いた。
>>548
「……あるんじゃないか?」
無くても、隣家へ取りに行けばいいだろう。
何て軽い考えを持っている故に、曖昧な返事が帰ってくる。
「……解らんな」
と、一つ呟くと帰路に向いて行った。
- 550 :ディス ◆My6NsjkSfM:2012/12/30(日) 22:58:24 ID:R36zRj920
- >>548
「あうあう、あんまりきにしないの〜
だいじょぶだよね…なの」
【心配そうにしながらもうれしそうに答えた】
「どりょく、もちろんするなの!
ずっとみんなといっしょにがんばっていくなの!」
【そう言って微笑みかけるディス。
とても嬉しそうな顔である】
>>549
「しあわせだから、うれしいなの…
あうー、わかったの!またねなの!」
【嬉しそうに手を振って見送った】
「…そろそろ『でぃす』も
かえるなの…
いろいろおはなししてくれてありがとねなの」
【そう言ってリィスとレラを見て微笑み】
「じゃあまたねなの〜!」
【大きく手を振るとディスは歩き去っていった】
//長らくお疲れ様でしたー
- 551 :リィス:2012/12/31(月) 22:39:55 ID:RRIFCANoO
- >>549
「あるなら、今はわざわざ寄らなくても大丈夫ですよね、多分ですけど」
無かったら少し残念だが、困る程ではないし、今は別に気にしなくていいか、そう考え、寄り道は止めにする。
「うん、解らなくて良いんです、それが幸せなんですよ?」
>>550
「次に何時逢うか解りませんが、努力の結果を見せ合う日を、楽しみにしていますね?」
//中の人の都合で遅くなりまくりました、申し訳ありません……。
- 552 :レラ=バニッシュ:2012/12/31(月) 23:40:41 ID:gSogigCY0
- >>552
「気を付けろよ、じゃあな」
去っていく少女を目で追いつつそう声を掛けた。
>>551
「あぁ、今から買い物に行くだろ? その序に買ってもいいぞ」
思い出した様に振り返る。
その時に小さく跳ぶ。すれば赤い靴が火を吹き少女を空中に固定する。
空に浮かべば脚を組み抜群の安定感を見せまるでそこに椅子があるかのように振る舞う。
「……?」
リィスが悟った風なことを言うのでまた不思議がる。
しかし、知るなと言うので深追いするのもやめたようだ。
- 553 :リィス:2013/01/01(火) 16:27:00 ID:RRIFCANoO
- >>552
「いえ、大丈夫ですよ、それより、今は早めに帰宅しましょう?」
「その格好で外に長居したら、身体が強くても風邪を引いてしまいますよ」
それに、やたらと人目を引く格好なのもある。
今は、早くレラを帰宅させるべきだと思ったのだろう。
//正月なのに労働する羽目になっておりました……返事が遅れに遅れてごめんなさい。
- 554 :レラ=バニッシュ:2013/01/01(火) 19:40:00 ID:gSogigCY0
- >>553
「?
ケーキ、要らないのか?」
さも平然とした顔で尋ねるあたり、必要だと思っていたらしく。
レラ自身のケーキへの興味が薄いのは知った事だろう。とすればリィスの分、ということか。
「風邪、か……。
暫く前から頭痛と微熱が治まらんからひいた所で変わり無いと言えばそうなのだがな」
サンタ帽を深く被り体を震わせる辺り、そうは言っても寒いらしい。
格好については他人の目に晒される事を気にする質では無い。と言うのは周知の事実で。
//私は大丈夫ですよ。
//こちらこそ返事が遅れてしまってすいません……。
- 555 :リィス:2013/01/01(火) 20:20:01 ID:RRIFCANoO
- >>554
「……ああ、そう言われると、少し欲しくなってきますね、今の今まですっかり忘れていたのに……」
「でも、ちょっと足を伸ばせばそれはすぐに買えますし、後回しで良いですよ、皆さんがどんなケーキが好きかも確かめてないですしね?」
どうせ買うなら皆の分も一緒に……そう考えたのだろう、どうせ、一人で食べても寂しさを覚えるばかりだろうから。
「なら尚更駄目ですよ、風邪をこじらせて死ぬ……とまでは今の医療技術を考えると言えませんがね」
「でも、身体に不調を抱えたまま寝たきりで新年を迎える訳にもいかないでしょう?」
//いえいえ、こちらも遅いので気にしないで下さいなー。
- 556 :レラ=バニッシュ:2013/01/01(火) 20:51:03 ID:gSogigCY0
- >>555
「……アイツ等のは良い。勝手に買って当然の様に貴様の取り分もあるだろう」
流石に待っては無いだろうが。と続け、かぶりを振る。
それはリィスの言った言葉を否定する動作のようで。
「それとは別だ。お前が欲しければ欲しいだけ……買ってやるが?」
「新年だ。と言われても何が変わるわけでも無いだろうが」
何時もと同じように日が跨ぐだけで目に見える変化がある訳では無い。と口にする様はレラの興味なここにもないことを知らせる。
「この頭痛や熱は風邪じゃないがな。
……まぁ、ここから悪化されるのは困るが」
今も僅かに痛む証だろうか顔を顰め頭を抑える。
//じゃあ、もう少しだけ頑張りましょう!
- 557 :リィス:2013/01/01(火) 21:06:08 ID:RRIFCANoO
- >>556
「……折角の好意を断るのは逆に失礼ですしね、では、お願いして良いですか?」
たまには遠慮しないでこうするのも悪くないのかな、と、そんな考えを頭に浮かべて、少女は小さく微笑んだ。
「そうですね、新年になっても変わるのはテレビの番組や店の営業時間が一時的に変化するだけ、毎日は相変わらず寒いだけでしょうし、日常に変化は無いでしょう」
「ただ、一年に区切りを付けるには一番分かり易いタイミングなのは確かです、だから、その時くらいは……と思ったんですよ」
「……頭痛薬が必要なら、ダッシュで買いに行きますけど……必要な物を用意していない貴女じゃないですよね」
- 558 :レラ=バニッシュ:2013/01/01(火) 21:25:45 ID:gSogigCY0
- >>557
「フフッ、構わないぞ」
珍しく、笑みを浮かべる。
普段から浮かべる維持の悪い物でもなく、単なる笑顔。
それは少女の外見通りな、純真無垢で明るい笑みだった。
余程気分を良くしたのだろうか、先を急ぐと言わんばかりに飛ぶ身体を前に倒し進んでいく。
「一般的にはそうするだろう。だが、僕にはその必要が無い」
その後何が続く様な口振りであったが、それを閉じ込めた。
リィスなら言わずとも理解できて居るだろう。と考えたのであるが。
「その必要は無い。
頭痛薬なんかでは治まらないだろうしな」
- 559 :リィス:2013/01/01(火) 21:48:53 ID:RRIFCANoO
- >>558
「では、お言葉に甘えて……」
先よりも僅かに明るい声。
スイーツがどうこうなんて知識は持っていないし、それを馬鹿みたいに騒ぎ立てる人は好きになれない。
だが、ケーキが嫌いか、と聞かれたら、答えは否だ、美味しい物は美味しい、当たり前のようにそう思う。
だから、レラの速度に合わせるように、少女の足も自然と早足に変わっていて。
「ああ、日頃から寝正月気分でごろごろしているから……」
「というのは流石に冗談ですよ、貴女が年が変わらないと気合を入れ直す事が出来ないような人間じゃないのは、短い間ですけど、見ていて解りましたから」
「……そもそも、風邪薬で直るなら、あの人が薬を飲ませない筈が無いですよねー」
あの人が誰かは言わずも知れた事、自分を気遣ってレラの家に泊める事を提案してくれた彼女だ。
そんな彼女が、身内の病気を放置する筈はないだろう。
- 560 :レラ=バニッシュ:2013/01/01(火) 22:18:55 ID:gSogigCY0
- >>559
「あぁ、いいぞ。
欲しい限り、食べたい物を買ってやる」
明るく柔らかな笑顔を向ける少女は背まで伸びたサンタ服の白い襟をはためかせながら進んでいく。
元より公園は市街の中心地。ケーキ屋まではそう遠く無かった。
「……まぁ、そうだな。
薬やら良く解らん物まで食べさせられたり……色々だったな」
軽く想像するだけで川平の手を焼くさまが脳裏に浮かぶだろう。
どうも彼女はレラに対し過保護ともいえるくらいだ。
原因の解らない頭痛と熱に色々手を加えられたらしく、声のトーンも表情も、若干苦悶の色を浮かべていた。
店の前まで来ると、思い出したかの様に。
「……余りにも遅いと不味い、か?」
始め見たときのレラの反応から察するに、川平達には何も言ってないのだろう。
普段外出するような人間でもない為に、遅いと妙な不信感を抱かれかね無い……と、危惧するのであった。
「まぁいい、行くぞ」
店の前で地面に降りると、振り返りリィスを待っていた。
……やはり、周囲の視線はレラに注がれていた。
が、今回はレラのみではなくリィスもその対象らしい。
他人から見ればサンタコスのちっこい少女とその姉との、微笑ましい光景に見えるのだろう。
- 561 :リィス:2013/01/01(火) 22:50:52 ID:RRIFCANoO
- >>560
「なら遠慮はしません……と言いたいですけど、体重計に脅えるのは嫌なので止めておきますね……!」
それを追いかける少女は、体格が貧相なのに腹が出たら洒落にならない……とぼやきながら後を走る。
「……健康に良い食材を片っ端から試されたりしたんだろうな、と、何だか見た事も無い筈の光景が一瞬で想像出来ましたよ」
「私も口添えしますけど、どうなるか……私も夜中に歩くのに不安がある人物ですからね、纏めて正座の不安が拭えません」
「……あはは、やっぱり人目を集めますよね、その格好」
「まあ、でも、だからと言って立ち止まっていては話が進まない訳で……!」
では、行きましょう、と、周りの目を一切気にせず、少女はレラと一緒にケーキ屋に足を運ぶだろう。
//ごめんなさい、中の人の疲れと眠気が限界にっ……!
- 562 :レラ=バニッシュ:2013/01/01(火) 23:16:23 ID:gSogigCY0
- >>561
「フフッ、それを加味して貴様が満足行く程度で構わん」
これまた興味無さそうであるがレラもまた年頃の少女である。
であれば気持ちも解るのだろう。大きく頷いてまた一つ微笑んだ。
まぁ、その割りに何かを我慢している様子や気をつけている事は一切無さそうだが。
「大方正解だ。
産まれの方では重宝される。と煮詰めた虫まで食べさせられかけた」
思い出したのか苦い顔をして語る。
実際に食べたわけでは無さそうだが、喉を抑えていた。
「正しく言うなら食以外も、だがな」
「そうか……?
やはり少し可笑しいんじゃないかこれ」
スカートの裾を太腿に手を当てるように抑えて背中側に目を向ける。
周囲の目にはレラが愛らしい妹に見えるのだろう。普段とは全くの正反対と言えるが。
店内に入れば、明るい照明と店員の声に歓迎される。
稼ぎ時と言う事もあってか時間こそ遅いが品揃えは十分。これなら心置きなく選ぶ事ができそうだ。
//了解です!
//無理せず続けて行きましょうね!
- 563 :リィス:2013/01/02(水) 21:04:45 ID:RRIFCANoO
- >>562
「では、じっくり厳選して、美味しそうなのを何個か選ぶ事にしますね」
幾つかあれば、愉快な同居人達に見つかっても分けてあげられる。
そんな事を考えながら、少女はどのケーキを買うかについて悩み始めるだろう。
「……ああ、昆虫は厳しいですよね、見た目がちょっとえげつないです」
「味は思ったより悪くないですし、栄養も結構有るらしいんですけどねー」
この少女、一応虫を使った料理は食べた事があるらしい。
本当に、ただのそこそこ良いお家の『お嬢様』だったら、昆虫食なんかとは無縁でもおかしくなさそうな話なのだが。
「……食以外もですか、随分と徹底していますねー」
「試せる事は全部試して、どうにかしたい、って気持ちは理解出来ますから、それ以上は何も言えませんが」
「……イベント帰りだと思われるでしょうし、問題無いんじゃないですか?」
「目立つ格好ではありますけど、変な格好ではないと思いますよ?」
- 564 :レラ=バニッシュ:2013/01/03(木) 00:09:49 ID:ElqezMcU0
- >>563
「それが良いだろう」
尤もな意見だ。と相槌を打つ。
そう言うレラもショーケースのケーキを眺め、厳選に励んでいた。
「どうだかな……良薬口に苦し。だ」
口振りから察すれば、出された昆虫は味も躊躇させる物だったらしい。
結果的に食べなかったらしいのでこの場合は臭いの事を言っているのだろう。
「普段の不摂生がどうだ。とか言われたな。
僕はあの生活が一番いいと思ってるんだが……理解はされんな」
規則正しい生活には健やかな身体が宿る。と言うしそれを実践させようとしたのだろう。
しかし、やはりというか、之も拒んだらしかったが……。
「……貴様も、僕に忠告するつもりならやめておけよ」
「イベント帰り……? あぁ……」
リィスの言葉を理解して渋い顔を一度見せるが、直ぐに元の表情を取り戻し。
「まぁ、間違いでは無い……か」
- 565 :リィス:2013/01/03(木) 21:21:27 ID:RRIFCANoO
- >>564
「……少し小さめのケーキにして、三種類くらい買うのも有りですかねー……悩み所です」
ショーケースと睨めっこしながら、割と真剣に思考を巡らせる。
折角買うのなら出来るだけ美味しい思いをしたい、出来るだけ楽しんで食べたい、そんな考えがあるのだろう。
「薬にするつもりだった、という事は、味を良くする物よりも、薬効が有りそうな物が優先されてたりするかもしれませんね……」
だったら、味や臭いが悪くなるのも納得が出来る。
そもそも、あのお母さん気質な女性がマズい物を人に食べさせたがる事は理由がなければないだろう。
「本人が納得してるなら、私は何も言いませんよ?」
「文句を言うのは、実害を被ってからでも遅くはないですからね」
迷惑だと感じたら言う、という事なのだろう。
“文句は言わない”とは言わなかったのについてレラがどう感じるかは解らないが、少女としては、ある意味での、同居人としての意志の証明だった。
当然、自分は間借りしている身分だし、何もかも対等だとは思わないが、告げなければならない事まで黙り込むつもりはない、と。
「この時期ならクリスマスパーティやちょっとした仮装はおかしくない、そうでしょう?」
- 566 :レラ=バニッシュ:2013/01/03(木) 22:28:48 ID:ElqezMcU0
- >>565
「一応言うが、値段の心配は要らないからな」
レラ自身は既に決めてしまったら様で、店員に幾つかのケーキを詰めて貰っている所だった。
一応、と付けるぐらいにはリィスの物分りの良さは理解していて、それでも付け加えたのは心優しさもまた、覚えているからの事だった。
「そうだろうな……で無ければ、あんな物は出らん」
恐らく、苦々しい顔で語る程の物だったのだろう。
不機嫌そうな物では無いが、その表情はやはり暗いものだった。
次いで、出てきたリィスの言葉に溜め息をつく。
「フン……言うだけなら自由だ」
つまり、「文句を言ったとしても僕は聞かないからな」という事。
「天才の僕は凡人の貴様達とはリズムが合わんのだ」
「それもそうだな……。
さっきまでのとパーティと余り相違ない、か」
今度は深く長い吐息。
仕事の疲れを表しているのだろう……。
- 567 :リィス:2013/01/04(金) 00:00:55 ID:RRIFCANoO
- >>566
「……大丈夫です、解っていますよ?」
レラが自分の事を気遣ってくれたのが、自分が遠慮しないようにわざわざ告げてくれたのが解ったから、少女は微笑んでみせる。
その少し後、小さなケーキを数種類店員に頼み、箱に入れて貰うだろう。
「でなかったら、ただの嫌がらせですよねー……」
あの人に限ってそれはないだろうが、と付け加えて。
もっとも、自分より遙かに関係が深いだろう二人なら、わざわざ語るまでもないのだろうが。
「はい、そう思ったら、私はその時に遠慮なく言わせて貰いますよ?」
皮肉か悪態か、ただの意地かは解らないが、レラの言葉も気にした様子はなく、にこりと笑むばかり。
「そういう事、です」
「そう考えてみれば、特に気にする必要はないように思えますよ?」
- 568 :レラ=バニッシュ:2013/01/04(金) 00:33:33 ID:ElqezMcU0
- >>567
「ならいい」
そう短く返すと店員に支払の準備を進めさせた。
サンタ服の左袖を捲ると手首に巻かれた携帯電話にも似た小型端末が露出した。
それを右掌に翳すように動かすと、泡のような、光のような物が現れ、最終的に掌にレラの財布らしき物が出てきた。
後は至って普通の手順で会計を済ませるのだがレジに背丈が足りず飛んだり、
やたら高圧的な態度で接するサンタ幼女に困惑する店員が見れたりと異様な物であった。
箱の一つをリィスに突き出しながら、
「そうだな……」
と、答え、
「まぁ、素直真面目アイツに限ってそれは無いがな」
と続けた。
レラにして見れば川平もまた凡人の一人に過ぎないのだろうが、やはり他より信頼の度合いは高い様子。
「フン……」
やっておけ。とでも言いたげな挑発ともとれそうな態度が帰ってくるだけだった。
やはり何を言っても聞かなそうだ……。
「そうだな……時期に限定する楽しみと言う物は解らんでも無い。
尤も、仕事でなければこんな服装をするのは満更御免だがな」
足早に……と言っても浮遊しているのだが……ケーキ店を後にする。
店内と外の明暗、暖房と寒空の気温差にぶるりと大きく身を振るう。
- 569 :リィス:2013/01/04(金) 02:41:14 ID:RRIFCANoO
- >>568
会計までの一連の流れを見て、困惑する店員には悪いと思いながらも苦笑してしまう。
そして、その後、会計を済ませたレラから箱を受け取って、もう一度笑顔を見せて。
「クリスマスプレゼントだと思って、受け取らせて貰いますね、ありがとうございます」
「まあ、彼女がそんな嫌がらせをするような事はまず無いですよね」
それに関しては、全く否定する事は出来ない。
まだ短い期間しか見ていないが、彼女がそんな事をするなんて微塵も思えなかったからだ。
「ええ、その時には」
相変わらずな対応なのは互いに同じ、決着は何時までもつかないだろう。
「何時でも出来るのでは、ありがたみが無いですからねー」
「私としては、たまにはこんなのも悪くは無い、そう思うんですけど……」
そう言いながら、少女はレラの後を追うだろう。
少し遅れながら、走って。
- 570 :レラ=バニッシュ:2013/01/04(金) 14:01:29 ID:ElqezMcU0
- >>569
「フン、そんな他人行儀な」
リィスの言葉を否定するように頭を振った。
そして浮かべた笑みには同じくらいの明るみが込められていて。
「無いな」
そう言い切るレラの表情には迷いが無く。
それ程に川平に対する信頼がある。と言う事だろう。
「そうだ。それにしか無い趣きは嫌いじゃない」
小さく区切ってから、再び口を開く。
「まぁ、祭り等でも余り騒がしいのは受け付けないがな」
そう言うなりじっと、リィスを眺めて。
爪先から天辺まで、端々をじっくりと。
「まぁ、貴様がやる分には見てやらん事もない。
ただ、そこに巻き込まれるのは御免だな……」
またそれについても苦い記憶がある。と表情が語っていた。
- 571 :リィス:2013/01/05(土) 03:43:23 ID:RRIFCANoO
- >>570
(家族、とはまだ言えないかもしれないけれど、他人ではない、という事ですよね?)
(……どうしよう、何だか一人で感動してきちゃいましたよ、何とか落ち着かないと……!)
「……では、今は、ありがとう、の一言で済ませておきますね?」
喜びを隠せないのか、さっきよりも尚更嬉しそうにして、少女は返事をする。
言葉自体は少しそっけないが、意志は十分に伝わるだろう。
「あはは、やっぱりそうですよね」
それを疑う事は、ない。
二人の絆は見させて貰ったし、彼女達の間に裏切りがあるなんて思えなかったから。
「馬鹿騒ぎし過ぎるのは、私もちょっと微妙ですねー」
「祭りだから羽目を外して大騒ぎしたい気持ちは分かりますから、あまり強くは言いませんけど」
「言ってくれれば、私は喜んでサンタの格好をしましたけど……折角ですし、たまには悪くないですから」
少女は、何故か少し残念そうだった。
- 572 :レラ=バニッシュ:2013/01/05(土) 18:03:24 ID:ddfAgXGk0
- >>571
「それだけでいい」
余りに喜んだ顔をしていた為か不思議そうな顔をして眺め。
それでも、悪い表情では無かったので彼女の中で「まぁいいか」という結論になったらしく小さく頷いた。
「なら頼めば……いや、今回ばかりはダメか……」
浮遊したまま俯いて、少し考えた後に首を振った。
リィスに向き直るとサンタ服の裾を摘みながら口を開き、
「次は頼む。こう言うのはやりたい奴にやらせるのが一番だからな」
と、呆れも含んだ口調で言った。
振り返り、少女に背を向けると次は静かな口調で。
「それじゃ無いが、今日は助かった……お前には感謝してる」
段々と声が小さく。
最後の方は似合わない程に小さいものになる。
言い終えると恥ずかしさからか速度を早め、反動からか声を響かせ。
「さ、ココアも必要なんだったな。
早いところ帰るぞ……寒さで顔も赤くて仕方が無い」
と捲し立て少女の先を進むのであった。
//キリも良いのでこの辺りでシメると言うのはどうでしょう?
- 573 :リィス:2013/01/05(土) 23:38:30 ID:RRIFCANoO
- >>572
「はい、了解ですっ」
語尾に音符マークが付きそうなくらいの明るい声で、少女は返事をする。
本当に上機嫌なのは、声だけでなく表情からも伺えるだろう。
「言って貰えたなら、その時には喜んでやりますよ」
「毎回毎回では嫌になるでしょうが、たまにはそういうのも悪くないでしょうからねっ」
「……感謝の言葉が聞けたなら、それだけで私は十分です、逆にお釣りが来るくらいですよ」
「では、早く買い物を済ませてしまって帰りましょう、心配させてしまいますからね?」
微笑みながら、少女も後を追いかけて、レラの隣に並ぼうとするだろう。
//了解です、長々と付き合わせてしまって申し訳ありませんでした……。
- 574 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/01/08(火) 21:55:37 ID:Gg1YIwx.0
- 【千夜病院前】
「…やれやれ。
ほんとにお腹をやられやすいですね…」
【軽くお腹をさすりながら学生服を来た少女が病院玄関から歩いてきた】
「お姉ちゃんともまたあってこられたし…
改めて頑張らないと」
【体をかるく反らせて病院を見上げて呟いた】
- 575 :黒沢小百合:2013/01/09(水) 23:27:55 ID:IRZRROfE0
- 路地裏に銃声が響く。
とはいえ、都市では珍しい事象ではなく
ドラム缶に火を熾して暖を取る乞食はそこを動こうとしないし、
盆に得体の知れない魔術の媒体を乗せた行商の老婆は薄ら笑いを浮かべたまま、
ローブの人物と商談を続けるなど地域の対応としては小慣れたものだ。
そこから約3ブロック程はなれた路地。
くすんだ壁に無数に穿たれた弾痕。地に倒れ伏した数人の男女――。
いずれも、黒い目立ちにくい衣服やボディアーマーを身につけた彼らの骸から
流れ出る赤黒い血液にいまだ熱を持つ薬莢にふれてじゅうと軽く音を立てる。
その中に、一人。
まるで新品のように糊の効いた黒のスーツに身を包んだ女が立ち、
至極不愉快と言った風に、足元に転がる死体を見下ろしていた。
- 576 :ルファス:2013/01/09(水) 23:41:23 ID:RRIFCANoO
- >>575
死体を見下す小百合に近寄る足音が、銃声も消え、静寂を取り戻した路地裏に響く。
その足音は、小百合から少し離れた位置に止まり、代わりに響くのは、はぁ、と深く溜め息を吐く音だ。
「……随分と手早い仕事だよ、全く、手を出す暇すら無かったじゃないか」
言葉と同時に、月を隠していた雲が風に流れ、路地裏にも光が差し込む。
其処に立っていたのは、黒いコートを身に纏う銀髪の青年、その片手には、月明かりに照らされ、鈍い光を放つ大型の自動拳銃が握られていた。
- 577 :黒沢小百合:2013/01/09(水) 23:59:11 ID:IRZRROfE0
- >>576
「……この界隈で騒ぎを無視するでなく自分から飛び込んでくるものがいるとは。
賞金稼ぎか、冒険者の類か。それともただのおせっかいか。」
その何れも大嫌いだ、と言いたげな女の物言い。
銀髪の青年へと向けられた切れ長の瞳は、その物言い以上に不愉快という色が濃い。
――女の名は黒沢小百合。
彼女の名を、都市の治安組織の構成員、そして悪人の間で知らぬ者はいない。
若くして超巨大複合企業『千夜』の軍事面を一手に引き受け、都市の治安維持に携わる一方
その強権的な執行手段と、マフィアとの癒着、軍事組織への武器の横流しといった黒い噂が絶えぬ
人物である。
「……貴様がそのどれでも構わんが、既にケリはついた。」
多少なりこういった修羅場を潜っていれば、彼女の足元に転がる死体の異様さが分かるだろう。
戦闘によってついたというには、あまりにも奇妙な傷口。火傷。どちらかといえば『拷問』で
つく類の跡だ。
- 578 :ルファス:2013/01/10(木) 00:14:07 ID:RRIFCANoO
- >>577
「ああ、賞金稼ぎで大体合ってるが、一応名目は“何でも屋”って事になってるんだ」
「今回は依頼でね、其処の連中を始末しに来たんだけど……既にその必要は無くなってるみたいじゃないか」
不愉快そうな視線を気にする様子もなく、最低限、敵意が無い事を示す為に銃を仕舞い込む。
尤も―――拳銃なんて抜き放とうと思えば何時でも一瞬で引き抜き、射撃は出来る。
それだけの技量が無い人間でも、袖に小型の拳銃を仕込む事だって出来る、わざわざ仕舞うのは、実際には無意味な行動だ。
だが、それでも行うのは、形式上だけでも敵意は無い事を示す為。
効果が有るかは解らないが、そのままにするより悪くなる事は無いだろう。
「とは言え、前金で少額だが貰っている以上、手間だが、報告を欠かす訳にはいかないんだ」
「既に終わったのは見れば解るし、俺の獲物を……なんて言う気も無いが、死体を眺める位は許して貰いたいんだがね」
……そう言ったが、最初の段階でほぼ目標がこの死体達で間違いないのは確認出来ている。
そして、青年もこういった世界に足を踏み込んでいる人間であり、戦場に身を置いていた人間だ、死体の異質さは一瞬で理解出来るだろう。
- 579 :黒沢小百合:2013/01/10(木) 00:29:52 ID:IRZRROfE0
- >>578
「『何でも屋』……ハッ、おまえらクソ漁りどもは
名称を『何でも屋』だの『便利屋』だの偽るのが好きなようだなぁ……。」
憎まれ口を叩く小百合。
都市における大手の治安維持組織のいくつかと賞金稼ぎの関係は、
現実において、現場を荒らすなどの理由から探偵が警察に嫌われることに似ている。
さらに都市は治安維持が公共サービスでは間に合わず、民間企業や個人、有志による
私兵、自警団で賄われている状況。小百合は商売として治安維持をやっている人間であり
ルファスを『商売敵』として見ているようで。
「まァ……、いいさ。死体は既に私には必要ないものだ。既に『殺処分』は執行した。
譲る分には構わんが、後々の処理程度はやっていただけるのだろうねェ。」
――バゴッ
ヒールが死体の顔面に食い込み、ごろんと力なく首が転がる。
顔面は酷いもので重度の火傷、裂傷で原形をとどめておらず歯も殆どが欠損している事から
治療跡などから本人を割り出すことも難しいだろう。
持ち物に身分証明ができるものがあればいいが、この類の人間が持っているとは思えない。
DNA鑑定、もしくは交霊術師やシャーマンによる交感が必要かもしれない。
- 580 :ルファス:2013/01/10(木) 00:49:22 ID:RRIFCANoO
- >>579
「“殺人屋”とか“クソ漁り屋”とか堂々と名乗っても客は入ってくれないんだよ、仕方ないだろう?」
「それに、俺は客の需要に応えてるだけさ、何でも屋、って名前なら、客も店に足を踏み込みやすい、その中身が変わらないと知ってても……な?」
憎まれ口には、僅かな皮肉を交えた答えを返す。
人間の汚い面や卑怯な面は、治安維持をやっている彼女ならきっと解っているだろうし、言いたい事は伝わるだろう、と。
『商売敵』だからこそ視点が似てしまう事がある、だからこそ、知ってしまう事もあるのだ。
「……ちゃっかりしてるなぁ、まあ、それくらいは許容範囲内さ、こっちで処分は請け負う事にしよう、信頼出来る処理屋を知っている」
「理由無く撃ち合う趣味は無いんでね、話し合いとちょっとの出費で決着するならまだ安いもんだ」
―――ただ、死体の鑑定にもまた金が必要になりそうだ。
そんな事を考えて、青年は溜め息を吐く。
客に請求出来ない事は無いが、大切なお客様を満足させる為にはそれはしないで済ませたい。
だが、そうすると利益は確実に大幅に減るだろう、背に腹は代えられないが、青年にとって、中々に美味しくない話だった。
- 581 :黒沢小百合:2013/01/13(日) 01:27:37 ID:IRZRROfE0
- >>580
「……その結果、チンピラ崩れの三流殺し屋、
実力不足の素人、所かまわず暴れるだけの社会不適格者を増産するというわけか?」
都市に存在するギルドの中にはライセンスや資格の発行を行なっているところもあるが、
冒険者や賞金稼ぎといった職業は基本的には資格等必要なく、最悪本人がそう自称して
行動するだけでなれてしまう職業である。
それ故、ルファスのような確かな技術、人脈、ノウハウを知るプロから
小百合が言うような銃を持ったチンピラと変わりない者までピンキリ。
そうした質の低い賞金稼ぎ・冒険者の起した事件の処理に当たるのは
やはり警察や大手の信頼ある治安維持組織であり、小百合はそうした面からも
賞金稼ぎを嫌っているのだが、もう一つ理由がある。
「……都市の治安は我々、千夜に任せておけばよい。
貴様ら如きの×××野朗などいらん。貴様もどうせ金に困れば私の首をとりに来るのだろうに。」
小百合はその立場上、多方面から恨みを買っており
事実、暗殺依頼等は絶えず、賞金をかけている組織もあると聞く。
現に、今血まみれで転がっているのは『賞金稼ぎ』の一派。
暗殺専門の悪名高い連中だが、一応はルファスの同業者といえよう。
- 582 :黒沢小百合:2013/01/13(日) 01:30:33 ID:IRZRROfE0
- >>581追記
こうした連中からたびたび命を狙われることから、
小百合は賞金稼ぎ連中を蛇蝎の如く嫌悪しているのだ。
- 583 :ルファス:2013/01/13(日) 21:33:01 ID:RRIFCANoO
- >>581
「迷惑を被っているのは此方も同じなんだがな、仕事と暴れる事の区別が出来ない馬鹿共の御陰で、依頼人から信用を勝ち取るのも一苦労なんだ」
「まあ、そんな連中でも、不本意ながら同業者は同業者……本当に申し訳ない、と、此処は素直に謝罪させて貰うよ」
元々、自分たちのような人間の仕事は人を殺す事を前提にした仕事であり、忌み嫌われる事は必然でもある仕事だ。
だからこそ、そんな人間達の世界において“信頼”は何よりも重要なもの。
それを得ようとしないばかりか、全体の得たそれを失わせるような蛮行を平然と行う人間は、青年にとっても目の敵にしか成り得ない。
青年と小百合の足下に転がる連中を始末するなんて依頼を青年が受けたのは、その賞金稼ぎ達のやり方を放置出来ないと判断したからなのだから。
「その千夜や警察の治安維持が完璧なら、俺達に満足な仕事なんざ回ってくる筈がない、用心棒の仕事も、仇討ちの仕事もだ」
「依頼が無くなる、とは言えないがな、少なくとも、今さっきお前が言ったような連中はやっていけなくなるだろう」
「……だから、止められないな、需要があるうちは、まだ」
「……しかし、アンタの首に賞金か……いや、どう考えても狙うリスクとリターンが割に合わねえよ」
- 584 :黒沢小百合:2013/01/13(日) 23:43:12 ID:IRZRROfE0
- >>583
ルファスの言葉に小百合は反論が思いつかなかった。
賞金稼ぎ、冒険者、便利屋、チェイサー、何でも屋。
そうした人種の増加原因は即ち、需要があるからに他ならない。
都市は巨大であり、行政サービスの行き届いていない区画は珍しくなく、
無政府状態、あるいは軍閥や一種族による占拠状態にある区画すら存在するという。
当然、行政サービスの一つである警察機能もご多分に漏れず、それが小百合たちのような
治安維持を生業として生きる人々を生み出しているのだから。
「…………ふん。」
小百合は、不機嫌そうに鼻を鳴らしてそっぽを向く。
その瞬間に事は起こった。
ぎらり、と暗闇に一瞬何か光が見え――。
それから、一呼吸する間すらなく。
小百合の背後。視界も、光もシャットアウトされた完全な死角から影が飛び出す。
踏み込みの際の風の動きで、埃が地面を離れ薄ぼんやりとした光を放つ街灯を浴び輝くも、
痕跡はただそれだけ。音などはまったく生じず、殺気も、生気すらなかった。
ヤツらの仲間の一人――。
恐らく、暗殺能力に長けたものが、息を殺してチャンスをうかがっていたのだ。
その手には刃渡り30cmはあろうかという多目的ナイフ。
「……賞金稼ぎ連中にやられるほど、私は――!」
小百合の反応は遅れた。このままではやられる……。
- 585 :ルファス:2013/01/14(月) 00:25:15 ID:RRIFCANoO
- >>584
青年は小百合の反応を見て、意外だな、と思うのと同時に、彼女に対する認識を改める。
そっぽを向かれてこそしまったが、理不尽な言い掛かりをつけるような真似はせず、青年が言った言葉の中の事実を否定しはしなかった。
先まで憎まれ口や、世間一般の彼女に対する評価―――つまりは、制裁が、執行が、強権的だという話――を聞いているだけでは、もっと、露骨に強い態度で言い返されると思っていたのだ。
もしかしたら、彼女は非常に真面目な人物で、それ故に解決に手段を選ばないだけの人間で、噂ほどの悪い人間ではないのかもしれない。
そう考えた辺りで―――闇夜に認識出来た違和感、息を殺して潜んでいたナニカを認識し、戦慄し、後悔する。
「―――敵意は無いから、信じろッ!!」
言葉と同時に意識の中で異能の引き金を引き、青年は世界をその力で歪める。
青年の異能の形の一つである“知覚加速”は、自分自身の脳を、思考を限界以上に稼働、加速させるものだ。
その異能で自分の思考が加速する分、世界は相対的に遅くなり、青年はこんな状況でも、ゆっくりと物事を観察し、冷静に考える事が出来るようになる。
それに、本人の鍛え上げた射撃技術を逢わせる事で生み出されるのは、刹那の時間での精密射撃。
銃を抜いた瞬間を認識させない程に迅速な抜き撃ちが生み出した、正確無比な一発の銃弾が、暗殺者の額を穿たんとするだろう。
- 586 :黒沢小百合:2013/01/14(月) 01:32:51 ID:IRZRROfE0
- >>585
暗殺者の顔――。
極度に痩せこけ、眼窩が落ち窪み
深い影のようになったその瞳に、驚きの色が交じり、
まるで片足で踏ん張るように、半ば宙に身を躍らせた体勢から地面を蹴る。
しかし、やはり無音。
暗殺者は重力を感じさせない、まるで『風に舞う綿埃』のような動きで
背後へと飛びずさり、『ルファスを見据えながら』銃弾をナイフで弾いて見せた。
『『拳銃』か……?』
「ぐッ……貴様ッ……!」
小百合はその隙に体勢を立て直して奇しくも暗殺者と同じように後ろへと飛びずさったが、
暗殺者とは違い、身体能力の低さを露呈したそれは半ば滑稽な児戯のようにも見え。
『この私の近接戦闘術に対して、拳銃……。
この距離ならば、トリガーを引く動きの間に一足で間合いへと入ることの出来る俺に対してか?』
――ひゅひゅん、と。
刺客は、威嚇するように手中でナイフを回す。
- 587 :ルファス:2013/01/14(月) 01:48:45 ID:RRIFCANoO
- >>586
「ああ、拳銃だ、指先に少し力を加えたで人を殺せる便利な武器だよ」
風に舞う布のように、流れるように空を駆けつつも銃弾を凌いでみせた男は、並、ではないのだろう。
というか、そうでなければさっきまでその存在に気付けず、話を続けていた自分達に、荒事に関わる職業に携わる資格が無くなってしまう。
「……少し下がってて貰えると助かる、流石に隙を晒して見逃してくれる相手じゃなそうなんでね」
青年は、小百合に声を掛けながら、暗殺者の男に対抗するようにして、拳銃を弄ぶように手中でくるりと回した後、銃口を男に向ける。
その最中に懐に飛び込まれても、それだけなら、幾らでも動く事は出来ると判断したからだ。
わざわざ人に問いの言葉を残しておいたのだから、そんな事はしないとと思いながら
「拳銃は怖くない、一発分の隙があれば勝てる―――本当にそう思うなら、御託を並べるより前に、今すぐに、掛かってきても構わないんだぜ?」
- 588 :黒沢小百合:2013/01/14(月) 02:13:00 ID:IRZRROfE0
- >>587
「ぐ……。」
小百合は唇を噛んだが、素直にルファスの言葉に従った。
彼女の能力は分かりやすく言えば『召喚師』、『〜使い』タイプの能力。
先ほどの身のこなしでも分かるように、接近戦は不得手。
さらに発動には、本だとか紙片に触れる必要があり
小百合は通常それを袖口に仕込んでいるのだが、この距離で相手のナイフよりはやく
それを取り出す自信がないのだ。
『勝てる、勝てるが……恐らく、今の俺の勝率を計算するとだ……。
この場でお前を殺す、もしくはその女を殺す、どちらかだけなら9割方……というところかな。
両方となると……そうさな、6割5分か。『確実な数字』ではない。』
暗殺者はふうむ、と芝居がかった動きでアゴに手をやり考えるような
仕草をして見せたが、意図的に隠されていたであろう先ほどと違い既に
肌をさすような程の殺気はいささかも衰えはせず。
『俺は『暗殺者』であってだ、『便利屋』でも『人殺し屋』でも『クソさらい』でもないのだよ。
ついでに言うと『戦士』でもないしこの場で貴様らと正面切って戦う程の『義理』もない。というわけだ。』
ふわり、と男の体が浮き背後の闇の中へと消えると。
……気配が、なくなった。敵はどこかでこちらの様子をうかがっているのか?
それとも、撤退したのだろうか?
- 589 :ルファス:2013/01/14(月) 21:41:34 ID:RRIFCANoO
- >>588
青年は小百合の力について、詳しく知らない、唯一解るのは、死体の付近の壁に刻み込まれていた弾痕が、彼女が生み出したのだろうという事。
それと、先の身のこなしを見る限りは、彼女が接近戦を得手にはしていないだろう、という事くらいだ。
結果から見れば、下がらせたのは失敗では無かった―――そう、思いたかったのだが。
「大層な自信だな、今さっき不意打ちに失敗した人間が吐く台詞だとは思えない、その自信は何処から湧いてくるんだか……」
刺すような殺気を放つ暗殺者に対して、青年から殺気のような気配は感じない。
理由は簡単、青年にとって“殺す”行いは、特別な事ではないから。
当たり前のように、日常の一部として行われてきた事だからに他ならない。
「……まあ、相手の土俵で戦う義理は無いよな、当たり前と言えば当たり前か」
闇の中に消えた男の姿を追いはしない、自分の姿や気配を隠蔽する能力には自信があるようだし、実際にさっきも直前まで気付けなかったのだ。
だから、今やるべき事は。
腕を横一閃、薙ぐように振るいながら、無造作に引き金を引く。
適当に放たれたように見える弾丸は裏路地の廃屋らしき建物の窓硝子を叩き割り、辺り一面に破片をまき散らさせる。
足に突き刺さりこそしないだろうが、それを踏みつける時の足音は消せないだろうし、相手の動きを制限出来る筈だ。
(……一人相手なら九割、二人纏めてでも六割勝てる、なんて言ってた奴が、わざわざ好機を逃すとは思えない)
(だから、姿を消して闇討ちしてくると考えるべきなんだろう、問題はそれから先)
(奴の狙いは俺が先か、彼女が先か、どんな手段で狙ってくるか、だな)
硝子片を踏まずに命を刈る手段は沢山有る、例えば、上から飛びかかって―――なんてのも十分に考えられる。
「……守勢に入らなきゃいけないってのは、宜しくないな……」
- 590 :黒沢小百合:2013/01/14(月) 22:06:14 ID:IRZRROfE0
- >>589
派手な音をたてて硝子がわれ、
路地裏に放置されていた朽ちた木箱が弾け木片が飛ぶ。
静寂を取り戻した路地裏に動く気配は皆無。
息を潜めているのか。どこかの物陰に潜んでいるのか。
緊張状態のまま、時間が経過した――。
が、敵は一行に仕掛けてくる気配がない。
「……撤退した、のか……?」
小百合が、周囲に注意を向けながら口を開く。
「いや……分からんが敵が仕掛けてこない以上、
こちらからアクションを起すしか、ないですね。」
ゆっくり、と路地の出口を目指して小百合は歩み始める。
現在の狭く暗い場所より、多少なり開けた通りのほうが戦いやすかろう、という判断だ。
- 591 :ルファス:2013/01/14(月) 22:30:21 ID:RRIFCANoO
- >>590
これだけ散らかせば、動作を鈍らせ、その初動を察知するのは容易い筈。
そう思って行動を起こしたが、結果的には今の所、青年の行動は、弾の無駄遣いに終わっている。
「……私見だが、あの男の撤退はまずあり得ないと思うぞ」
「明日、お前が治安維持のパトロールをする際、また一人で裏路地にほいほい入り込む程の馬鹿だったら、また話は変わるだろうけど……」
そんな事を彼女がしないのは、相手だって百も承知だろう、明日からはこんなチャンスは来ない。
幾ら不意打ちが出来ても、護衛が何人も付いていたら、暗殺は難しい、普通に考えれば、今よりも遙かにリスクは高くなる。
だったら、今仕掛けなければ何時仕掛けるのだ……それが、青年の考えだった。
「……でも、此処に居ても無意味なのは同意させて貰う」
「あっちは隙を見て狙うだけ、こっちは常に神経を張り巡らせての厳戒態勢―――根負けするのが目に見えてる」
入り口をゆっくりと目指す小百合を追い、距離が詰められれば、青年はそのまま後ろを向くだろう。
初対面の相手に背中を預けるのは不用心だが、今に限って言えば利害は全く同じ、裏切りを心配する必要は無いだろう。
- 592 :黒沢小百合:2013/01/14(月) 22:49:28 ID:IRZRROfE0
- >>591
結局のところ問題なく、通りまで出てこれたし、
その後、ある程度安全なところに移動することもできた。
――敵は撤退していたのだ。
あの男は『暗殺者』であり、『戦士』ではない。
つまりあの男の『暗殺』はルファスによって初撃を阻止された時点で失敗していたのだ。
そして、あの男はルファスと言う『リスク』を避けた。
あの初撃は、男の計算ではルファスがいようと問題なく小百合を狩れるはずだった。
しかしその計算にここしかない、という針の穴を通す精度で横槍をいれる事ができるプロ。
暗殺者はそのような凄腕がおり、なおかつ自分自身の存在に気づかれている『今』よりも
警戒が厳重になるとはいえ、職務上前線や危険な路地裏へと足を踏み込まざるを得ない
小百合には必ず『次』のチャンスがあると考えたのだ。
「……不本意ながら、助けられましたね。」
本当に不本意であり、屈辱的である。
ぽつり、と漏らした小百合の顔にはそういった色がありありとにじみ出ていた。
- 593 :ルファス:2013/01/14(月) 23:14:51 ID:RRIFCANoO
- >>592
「……無事に辿り着けたのは良いけど、結果から見たら、簡単に乗せられてしまった形だな、負けたと思っておくべき、か」
わざわざ口に出して『九割狩れる』と豪語したのは安い挑発か、自分の能力への自信だと思っていた。
だが、実際は、自分達に不要な警戒を強いる為、自分が追跡される事を避ける為だったのだろう。
それを見抜けなかったのだから、今回は此方の負けだと思うべきだ。
「……いや、助けたのが俺なら、隙を作ってしまったのも俺だろう」
「一応、生き残りが居ないか気にしていたが、あの男が潜んでいた事を見抜けず、不要な危険を生んだのは俺だ」
だから、これは俺の失敗だ―――そう、青年は、溜め息混じりに語る。
- 594 :黒沢小百合:2013/01/14(月) 23:33:13 ID:IRZRROfE0
- >>593
小百合は、あえてそれ以上この件に関して語ることをやめた。
ルファスがあの男が潜んでいたことを見抜けなかったのは事実。
しかし、それは小百合も同じでありルファスがいなければあの場で命を断たれていた
ことは明白であり、私が悪いのだ、と言えるほど小百合は素直な性格はしていなかった。
それに他人――しかも自分が見下している賞金稼ぎに命を救われたというのが
なんとも不愉快であった。
「……一応、名前を伺っておきましょう。」
- 595 :ルファス:2013/01/14(月) 23:46:23 ID:RRIFCANoO
- >>594
彼女が話題を変えたのは、あの話題から何も得る物が無いと判断したのだろう。
互いに自分の非を反省する分には良いが、それ以上に無駄に気分を盛り下げる必要は無い―――そう考え、青年もそれについては、口を噤む。
「名前か、別に隠す理由は無いし構わないさ、ルファス=エルシャードだ」
「名前を語った代わりというのも何だけれど、名前を聞かせて貰っても構わないか?」
名前を知っているかどうか、と言われたら、知っている、と答える。
だが、本人に名前を教えられるのと、他人から噂で知るのでは意味がまるで違う。
どんな人物か知っていても、名刺を交換するように、その行為そのものに意味があるのだ。
- 596 :黒沢小百合:2013/01/15(火) 00:13:58 ID:IRZRROfE0
- >>595
「……黒沢小百合。」
小百合は、それ以上は答えなかった。
ルファスが自分のことを知っている事は既に分かっている。
会話の中でそれは伺えたし、新聞やメディアへの露出も多い小百合を、
プロの同業者が知らないはずは無いからだ。
(ああ、イラつくイラつく無駄な行為だ、無駄な行為だ、何故こんなことをさせる?
この男、この××男、歯痒い、捻り潰してやりたい、この――)
小百合の表情は内面を反映して、醜悪に歪む。
内面をあえて抑えないあたり、その辺りのものに当り散らす一歩手前といったところか。
「あえて言っておくが、な。この事で私を強請ろうだとか、
ゴシップ誌にネタを売り込んで小金を得よう、などとは考えるなよ。
その時はお前の首が飛ぶ。」
最後に、吐き散らすように今まで以上に強い口調でルファスに釘を刺すと、
肩で風を切るように、早足でどこかへと歩き去ってしまった。
- 597 :ルファス:2013/01/15(火) 00:26:02 ID:RRIFCANoO
- >>596
「小金目当てにアンタの情報を売るのは割に合わない、それに、俺は可能な限り良い方向に人間関係は作りたいんだよ」
「そう思ってても勝手に悪い方向に傾くのが当たり前なんだから、さ……」
暗殺者が消えた以上は、歩き去るのを止める理由は無かったが、青年としてはやはり釈然としないものが残る。
「……やれやれ、知ってても敢えて名前を交換する、ってのはあまり好まれなかったのか、虫の居所が悪かったのか……解らないな」
//これで締め、で大丈夫ですかね?
- 598 :黒沢小百合:2013/01/15(火) 00:35:07 ID:IRZRROfE0
- >>597
// 大丈夫ですよー。
- 599 :欠け耳のボロッブ:2013/01/23(水) 23:12:21 ID:IRZRROfE0
- 【異能都市南西部 森林地帯】
異能都市は『歪み』の影響上、
同じ都市内であっても非常に天候、気候の違いが出やすい。
それは都市圏を離れても同様で、豪雪により未だ閉ざされた山もあれば
一年中乾燥し、その環境に適応した植物のみがぽつぽつと存在する荒野もある。
「ぶぇええくしょいッ!!うへえ、なんともはや。
骨まで凍りつくような寒さとはまさにこのことですなぁ。」
大きなくしゃみの拍子に、手に持った松明の炎がゆらめき、
白雪がぬらりとオレンジ色の光を反射する。
今回ボロッブが訪れたのは、未だ雪深い森林地帯だ。
山菜や薬草取りの場合、一人で山に入るのだが今回は10人程度の大所帯。
理由は、近頃この周辺にどこぞから逃げ出したと思われるキマイラが出没するためだ。
魔法で造られた生物は、別の言い方をすると全身が魔術触媒の塊である。
ボロッブはキマイラを倒した後、死体=触媒が痛まないうちにそれを鑑定するために
冒険者ギルドから依頼を受け、同行している。
- 600 :高向谷 司朗:2013/01/25(金) 22:53:23 ID:N22/iHaM0
- 【千夜ビル付近、繁華街】
「俺って大学生じゃん」
「……なんだ突然」
高向谷司朗は帽子のつばをさすりながら呟いた。
某チャップスを舐めながら街角に立っている。危ない。
「でもなんか暇そうに見えるじゃん?」
「かもしれないな」
何が言いたいんだ、という意味をこめて、魔道具ティルヴァは言った。
「この時期だろ、普通は大学生は忙しいじゃん」
「まあ、そうだな」
期末の試験やら課題やらで大変な時期のはずである。
「……いや、なんかあいつはいつも暇そうだと思われてそうじゃん」
「……誰に対しての気遣いだ……」
- 601 :レラ=バニッシュ:2013/01/28(月) 23:07:39 ID:2o/zhyYM0
- 「……よし」
公園に幾つかの装置を配置し、少女は溜息を吐いた。
中央にに置かれた一際大きな装置の傍に、幾つかの装置が繋がれていた。
その大きな装置から、投影光のような物が飛び出し少女を覆っていく。
暫く続いていた投影が終わると、近くにあるベンチへ腰掛けた。
予め買っておいてあったホットの缶をポケットから取り出しプルタブを引き開けると、先に一口。
今度は缶を傍に置くと、左手首に取り付けられた端末を操作していた。
- 602 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/01/28(月) 23:11:16 ID:OhByE3hs0
- >>601
「…なにかひかってるの」
【不思議そうな顔で一人の少女が近寄ってきた】
「あうー?なんだろなの
このへんなひかってるのなの」
【ディスは特に警戒せずに周辺の装置を触っている
興味津々である。】
「あ、『れら』がこれをつくったなの?」
- 603 :レラ=バニッシュ:2013/01/28(月) 23:31:11 ID:2o/zhyYM0
- >>602
「あぁ、ディスか……」
現れた少女に視線を向け、軽い挨拶をしてみせた。
が、少し前の記憶が蘇ったのか、恥ずかしそうに視線を背けてしまう。
「触れても構わんが……壊すなよ」
機械に触れはじめたディスを見るとそう声を掛けた。
この発言は勿論、ディスの怪力を危惧しての事である。
- 604 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/01/28(月) 23:35:42 ID:OhByE3hs0
- >>603
「うん、ちょっとおさんぽしてたなのー…
どうしたの?」
【恥ずかしそうに視線をそむけるのを見て首を傾げる】
「あうーだいじょぶなの、
かげんはしてるからなの」
【微笑みながらディスはぺたぺたと機械に触る】
「これってなにをするものなの?」
【興味深そうな顔で答えた】
- 605 :レラ=バニッシュ:2013/01/28(月) 23:54:40 ID:2o/zhyYM0
- >>604
「別に……気にするな」
ディスにとっては、何時も通りの素っ気ない返事に聞こえるだろう。
が、レラにしてみてはこれ程本心からの言葉も無いだろう。
「そうだな……。
僕をデータとして取り込んだ。と言えば解るか?」
ディスに説明をするのは難しそうだ。と頭を抑え、少々噛み砕いてから口にした。つもり。
- 606 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/01/29(火) 00:01:58 ID:OhByE3hs0
- >>605
「うーん、そっかなの」
【まだどこか疑問が残っていそうな顔である】
「…でーた?
とりこんだってことは…
このなかに」
【かるく驚きながら機械をじっと見る】
「このなかに『れら』がはいってるってことなのかなの?
じゃあどうしてめのまえにいるんだろなの…」
【相変わらず不思議そうな顔である。とはいえある程度は分かったようだ】
- 607 :レラ=バニッシュ:2013/01/29(火) 00:17:17 ID:2o/zhyYM0
- >>606
「あぁ……そう言う事じゃない。だが……」
頭を抱えたまま、首を振る。
「取り込んだのはデータだけだ……まぁ、機械の中に僕が居るともいえなくは無いが……」
軽い説明を挟んでからディスの間違いに気付き指摘する
「ただ、そいつはただの読み取り装置だぞ。
データが入ってるのはこの中だ」
と、端末を見せる。
- 608 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/01/29(火) 00:20:17 ID:OhByE3hs0
- >>607
「あうー、つまり…
でーたはひととはちがうってことかなの…」
【少し不思議そうな顔で答える】
「あう、ここにでーたがはいってるなの?
…」
【端末をじっと見つめているが】
「むずかしすぎるなの…」
【端末内の情報に思わず頭を抱えている。ディスはこういうのは苦手そうだ】
- 609 :レラ=バニッシュ:2013/01/29(火) 00:34:44 ID:2o/zhyYM0
- >>608
「箱庭があるだろ。あれと似たようなものだ」
流石にこれを解らないと言われたらお手上げだが……まぁ、大丈夫だろう。と考えて。
- 610 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/01/29(火) 00:42:31 ID:OhByE3hs0
- >>609
「…あうー、そういうものなんだなの…
あそこはだいじょぶだもの…」
【どうやらある程度わかったようである】
「でも、なんでこういうそうちつくるなの?
なにかおこったのかなの」
【改めて、ディスはよくわからないというふうに答える】
- 611 :レラ=バニッシュ:2013/01/29(火) 00:57:28 ID:2o/zhyYM0
- >>610
ディスの質問に「ふむ」と独り言を呟き頷いた。
確かに、箱庭と似た物ならば態々それを作る必要はない。
「あぁ、少し前から体調が優れなくてな……。
データだけ採取してそれから原因でも探れないものかとな」
以前から訴えていた頭痛と熱。
何方も大した物ではないのだが、断続的に襲われると堪ったものではない。らしく。
- 612 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/01/29(火) 01:08:29 ID:OhByE3hs0
- >>611
「あうー…ぐあいわるいのはたいへんなの…
それもいいけど…おいしゃさんにみてもらってもいいんじゃないかなの?」
【心配そうな顔でレラをじっと見つめる】
- 613 :レラ=バニッシュ:2013/01/29(火) 01:33:57 ID:2o/zhyYM0
- >>612
「既に済ませた」
その後に続く溜息は、大した成果が無かった事を表していた。
ベンチから立ち上がると、連なった機械達に近寄り、側面に取り付いたボタンを操作し始めた。
すると、それらは形を変え四つが合体し、なんと飛んで行ってしまった。
「……よし」
満足げな笑みである。
- 614 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/01/29(火) 01:41:47 ID:OhByE3hs0
- >>613
「む…みてもらったんだなの…
じゃあよくわからなかったなの…」
【ディスは残念そうに答えた。能力者が集うこの街においてわからないというのは不安である】
「…あう?
…あんなにうごけるなの?
ふしぎなきかいなの…」
【あっけにとられた顔で答える】
- 615 :レラ=バニッシュ:2013/01/29(火) 01:54:03 ID:2o/zhyYM0
- >>614
「医療技術が幾ら高くても、相手が見えなければな。
結局、ああ言う物は後手に回るしか無いんだ」
それと似たようなものだ。と続け何処か寂しそうに溜息を吐いた。
「フッ……態々取り付けたからな」
データを取り込む機械には一切必要の無さそうな機能に見える。
詰まる所、付けたかっただけに違い無い。
「さぁ、後はコイツを送るだけだな。
僕の用事は終わった。ディスも遅れないうちに帰れよ」
端末を叩き一応心配の言葉を掛けてから、そこからは無配慮に背を向けると空に飛び出して行った……。
//お疲れ様でした!
- 616 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/01/29(火) 01:58:29 ID:OhByE3hs0
- >>615
「むー…
しんぱいなの…よくなってほしいなの」
【ディスは不安げに答える】
「へー、なんだかすごくいいものなの!
…がんばってねなの〜」
【機械に手を降っている…そして】
「あうー、『れら』もきをつけてねなの〜!」
【微笑みながら手を振りみ送っていった】
//おつかれでしたー
- 617 :黒沢小百合:2013/02/02(土) 23:17:11 ID:IRZRROfE0
- 【AGカフェ】
「むう……。」
小百合は店に入るなり薄白く雪の付着した髪を払い、
暖かい空気に一息つくと、すぐに厨房に入った。
昼を抜かしたせいか軽いめまいを覚え、何か腹に入れておかねばと考えた小百合は
冷蔵庫や、ダンボールから食料を探す。ポークビーンズやツナ缶、サンドイッチ用のパンなどを
適当に引っつかんでカウンターへ。
調理するのももどかしかったようだ。
- 618 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/02/02(土) 23:40:23 ID:OhByE3hs0
- >>617
【AGカフェ…同じくかるく雪をかぶった人間が店の扉を開ける】
「ふぅー…
さすがに特訓は疲れますねぇ
あ、カレーライスをお願いします」
【どうやら夕食の予定なのか。すぐさまカウンターに座りこんで注文をすぐにしていく】
「あ、あなたは先日あった…人ですよね?」
【かるく首を傾げながら厨房から出てきた女性に目を向ける】
- 619 :黒沢小百合:2013/02/02(土) 23:48:22 ID:IRZRROfE0
- >>618
「誰ですか、あなたは。
知りもしない人物と話を交わす趣味はないのですが。」
小百合は不愉快さを隠すこともせず、
ありありと顔に貼り付けて、鶫をにらみつけた。
実際、幾度か小百合と鶫はあった事があるのだがそれは通行人レベルの遭遇。
小百合にとって、『憶えておくべき存在』とはとられなかったらしく
綺麗さっぱりと忘れ去られているようだ。
- 620 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/02/02(土) 23:52:14 ID:OhByE3hs0
- >>619
「あ、いえ…先日の戦闘で会ったと思うのですが…」
【あれ?とでも言いたげな顔である。思わぬ返答にかるく驚いていたようだ】
「もしかして、全然認知されてなかったってことでしょうか…」
【一応闘祭優勝ということで顔を知られてると思っていたらしい。
少ししょんぼりしている】
- 621 :黒沢小百合:2013/02/03(日) 00:04:23 ID:IRZRROfE0
- >>620
「先日の戦闘……?」
小百合の所属する千夜都市警備部門は戦闘が職業といっても
過言ではない部署であり、小百合も多いときは大小含め一週間に10回以上の
戦闘をこなすこともある。
「生憎、いちいち戦闘を憶えておくほど
のんびりとした生き方はしていないのでね。
で、私に何か用でも?」
先日の戦闘、といわれてもどの戦闘か思い当たる物はないようだ。
- 622 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/02/03(日) 00:08:20 ID:OhByE3hs0
- >>621
「む…やはり憶えていないということですか…
用…うーむ」
【鶫は残念そうに答える】
「尊敬する人とお会いできたので…
お話が出来れば、と思ったんですけど…」
【そう言って見つめる目は媚びているようなふうでは無さそうだ
…悪評を知ってか知らずかは分からないが】
- 623 :黒沢小百合:2013/02/03(日) 00:17:05 ID:IRZRROfE0
- >>622
「……この私は別段、あなたと話したくないのですがね。
あなた個人の意思を私に押し付けるのはやめていただきたい。」
ふん、と鼻をならす小百合のクセ。
彼女が不機嫌な時に出るサインだ。
(……しかしこの子供はどこかで……。
向こうの口ぶりでは、会った事があるようだが、さて……。)
- 624 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/02/03(日) 00:21:40 ID:OhByE3hs0
- >>623
「ふーむ…
見たところ不機嫌だったみたいで…
申し訳ありません…」
【少し下を向いてもそもそカレーを食べる】
「むむぅ…闘祭優勝の経験をアピールするか…
や、それだと…私がまるで嫌味になるかも…」
【考え事が勝手に口から漏れだすようにしゃべっている】
【闘祭というワードで思い当たることがあるだろうか・・・?】
- 625 :黒沢小百合:2013/02/03(日) 00:38:46 ID:IRZRROfE0
- >>624
「…………。」
小百合の違和感は鶫の口から漏れだした『闘祭』という単語で繋がった。
この小娘は、たしか運良く優勝した一人ではなかったか。
(この、何の才能も無さげな小娘がか?この私を上回ると?
この黒沢小百合よりも上であると?)
小百合は今まで開催された闘祭での成績は芳しくない。
社内外の小百合を嫌う者達にその事を揶揄する者もいる程だ。
「クソが……。」
(この小娘が、運だけで、この私を?
許してはならない。制裁を与えるべきだ。潰してしまえ。
そうだ、潰してしまえ。潰してしまえ。潰してしまえ。)
背を向けている小百合の表情は鶫からは窺い知れない。
しかし、額に皺を寄せゆっくりと吐き出される憎しみの溶けた呼気は、
場の空気を淀ませた。
- 626 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/02/03(日) 00:41:17 ID:OhByE3hs0
- >>625
「…?なんか寒気が…」
【カレーを食べるスプーンが止まる。
恐る恐る鶫は小百合に目を向ける】
「え、あの…
(よくわかりませんがこれは…女の勘が嫌な予感を告げてます…!)」
【血の気が引いた表情で小百合をかるく見据えた】
- 627 :黒沢小百合:2013/02/03(日) 00:57:03 ID:IRZRROfE0
- >>626
意外なことに小百合はその後、何も仕掛けてこなかった。
普通に食事をし、普通にくつろぎ、普通に代金を支払う。
しかし、小百合が帰路に着き
ちょうどつぐみのテーブルの横をすれ違う際。
――小百合は薄笑いを浮かべ、鶫を一瞥し。
そのまま、何処かへと夜闇の中に消えていった。
- 628 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/02/03(日) 00:59:22 ID:OhByE3hs0
- >>627
「…どうもお疲れ様でした」
【かるく手を振って小百合は見送っていった】
「うーん…
さっきのは気のせいだったんでしょうか?
…自分が自意識過剰すぎただけなんですかねえ」
【ほっと一息ついた鶫は、また食事を続けるのであった】
//お疲れ様ですー
- 629 :高向谷 司朗:2013/02/15(金) 22:13:30 ID:hbFQZ4nY0
- 「ドラゴニック……ブラストオオオオォォォォ!!!」
【――20分後】
「ご隠居、まってくださいー!
……はっ夢か!」
突然飛び起きた司朗の目の前に広がっていたのは、
大きな破壊のあとが残された荒野。
ここは異能都市の郊外で、
ときどき異能者が箱庭外でしかできない戦闘訓練などに使用している場所だった。
司朗はここで、ティルヴァの魔術の奥義、竜震裂(ドラゴニックブラスト)の練習をしていたのだった。
かなりの練習を積まないと気絶してしまうほどの気力消費を伴う術。
司朗もまた、今まで気絶していたらしかった。
「……やっぱりドラゴニックブラストを使うには、俺の精神力の上限値が足りないか……。
上限を底上げするか、精神力の消費量を減らす方法を考えないとなあ」
司朗はその場に胡坐で座り込んだ。
- 630 :ルファス:2013/02/15(金) 22:22:51 ID:RRIFCANoO
- >>629
「爆撃された後みたいになってるけど、一体何をやらかしたらこうなったんだ?」
飛び起きたなら、大型のバイクと、その側で呆れ顔をしている青年が嫌でも視界に入るだろう。
青年は飛び起きたのを確認すると、ゆっくりとそちらに向けて足を進める。
その様子からは害意や悪意、殺気や敵意の類は感じられないだろう―――実際、そんなつもりはないのだから。
「以前コンビニで逢ったよな、まだ覚えているか?」
- 631 :高向谷 司朗:2013/02/15(金) 22:33:33 ID:hbFQZ4nY0
- >>630
「誰お前?」
「いや、冗談だって。
なんかお約束ネタ的な感じで言わなきゃダメって感じがして……。
覚えてる覚えてる、地図の奴だろ」
頭を掻きながら歩いてくるその手には財布の中から取り出した一枚のカード。
よく言えば持ち歩いている、悪く言えば入れっぱなしであったであろうルファスの名刺。
「何をやらかしたかって?
必殺奥義の練習だよ」
そう言って、司朗は腰にぶら下げていた板状の魔道具を取り外して構えた。
Die Narr Wolke, die stillen Himmel einwickelt.
「穏やかな青空を覆い尽くす愚かな雲よ」
Gebruell blauen Herrschers reisse du.
「蒼を司る者の轟く咆哮をもって引き裂かれよ」
「ドラゴニック……ブラストオオオオォォォォ!!!」
――ふわっ
大仰な動作と呪文から生まれたのは、髪を辛うじて揺らす程度のそよ風。
目の前の破壊とは悪い意味で比べ物にならないほどのそれは、木の葉をふるわせて通り抜けていく。
「まあ、一回本気で撃ったあとだとこんなもんだな。
消耗やばいからな」
- 632 :ルファス:2013/02/15(金) 22:48:34 ID:RRIFCANoO
- >>631
「ああ、覚えてるなら良いさ、覚えてなかったら……まあ、特に何かするって訳じゃないが」
「仕事の邪魔をされたりしたら話はまた変わるが、今はやる事が無いしな」
そうされたら、額に鉛玉を提供する所だった―――そう冗談混じりに言った青年の手には、何時の間にか拳銃が握られている。
文字通り一瞬、稲光を確認した時には既に雷が落ちているように、腕を動かした瞬間には銃を手にし、構えている。
もっとも、今回は悪意は無い為、すぐにまた仕舞い込むのだが。
「今のそよ風を全力で撃つとああなるのか……消耗の多さも納得だ」
「しかし、規格外な魔術は怖いな、俺は苦手だよ、見て避けるも何もあったもんじゃない」
- 633 :高向谷 司朗:2013/02/15(金) 22:59:45 ID:hbFQZ4nY0
- >>632
(俺もアレだけど冗談で拳銃出したりやっぱりこいつも性格やべーな)
顎を突き出して若干呆れ顔。
引いている、というより急に拳銃を出されたせいか司朗はちょっとビビッていた。
「言っとくけど目の前で麻薬取引なんかされたら、
俺は見てみぬふりとか出来る性格じゃないからな?
お前は取引そのものじゃなくて手伝いするだけだろーけどさ」
ため息をついた。
「見て避ける以前に呪文とか魔力集中とか前フリがあるから、
対策は取ろうと思えばいくらでも取れるけどな」
- 634 :ルファス:2013/02/15(金) 23:10:12 ID:RRIFCANoO
- >>633
「……いや、脅かして悪かったな、お前が“どっち側”の人間か少し試したかったんだ」
「それと、あの手の仕事は最近減ってきてるから安心してくれ」
街の自警団が有能な証拠だ―――そんな風に付け加えるのは、一応安心させようとしているのだろうか。
「撃たれる前に撃つのが有効なのは、魔術も銃も変わらない、って事か」
「時間次第だが、確かにそれならどうにでもなるな……相手が一人なら」
- 635 :高向谷 司朗:2013/02/15(金) 23:18:52 ID:hbFQZ4nY0
- >>634
「どっち側とか言われても、
俺は異能は持ってるけど一応普通の大学生だと思ってるんですけど」
確かに見た目は普通の今時の――
若干精神年齢が幼そうだが――大学生である。
「最後の一撃ぐらいにしか使えないけど、
最後の一撃っつったら結構戦って消耗した後だから気力足りなくて使えないし、
最後の一撃に使って倒せずに俺が気絶したら死ぬし、結局この術、
今の俺には使いこなせないな」
- 636 :ルファス:2013/02/15(金) 23:32:09 ID:RRIFCANoO
- >>635
「この街で暮らしてて、外見をそのまま信じる馬鹿が居たら見てみたいな」
「可憐な少女だと思ったら戦車を正面から叩き潰す化け物だった―――なんてのも珍しくない話だろ?」
見た目で判断できたらどれだけ楽か、と、嘲笑する。
化け物かと思ったら、割と普通な人間だった、なんて事例だって実体験しているのだから、適当を言っている訳ではない。
「一人で撃つ必要は無いだろ、誰かに魔力を供給して貰ったり、予め魔力を貯めておいたり、手は有るんじゃないのか?」
- 637 :高向谷 司朗:2013/02/15(金) 23:43:38 ID:hbFQZ4nY0
- >>636
「俺のほうがこの街に長く住んでるのに、
そんな事言われるなんて心外だー」
若干理不尽な理由でぶー垂れる司朗は確かに、
(ちょっと精神的に幼い)大学生のそれであった。
「っつーかこの街では可憐な少女でないと、
戦車叩き潰せるレベルの能力者になれないんじゃないの?
って位の少女率だけどな」
そう言って笑った。
つまるところ、どっちかに極端でもない、
中間に位置する俺は見た目どおり程度のレベルの異能者だということだ、
という主張であった。
「頼りすぎると自立出来ないじゃん。
あとそういう道具って高いし、毎回誰かが近くに居るとも限らないし」
そう呟く司朗の持っている魔道具は、
それを通して強力なドラゴンと会話が出来る代物であるが。
とは言えそのドラゴン自身も司朗の自立を優先させており、
よほどの事がないと手は貸してくれないのである。
- 638 :ルファス:2013/02/16(土) 00:10:04 ID:RRIFCANoO
- >>637
「心外だろうが知らないさ、事実は事実だ、そうだろ?」
「……嫌な世界だなぁ、能力と筋力は無関係だから、それもおかしくはないんだろうけどさ」
「女子供に戦車を破壊させるような環境が当たり前のようにあるってのが、な……」
「自立出来るかどうかと道具の有無は無関係だろ、実戦で殺されるなら、どんな手を使ってでも生きるべきだ―――と、俺は思うんだがね」
//文を消してしまって時間が……申し訳ありませぬ……。
- 639 :高向谷 司朗:2013/02/16(土) 00:23:06 ID:hbFQZ4nY0
- >>638
「……っつーか、人を勝手に分類してんじゃねー!
俺は俺だ!高向谷司朗だ!」
熱血セリフの悪い使い方の見本みたいなもんである。
「無関係?なんで?
どんな手でも使って生き残るんでも選択肢は増やした方が良いじゃん。
使える手は増えて悪くは無いと思うけどなあ」
司朗は首を傾げていた。
- 640 :ルファス:2013/02/16(土) 00:49:43 ID:RRIFCANoO
- >>639
「だからどうした」
あっさり切り捨て、容赦は微塵も無かった。
「修行自体は否定しないが、それでも、予備の策は必要だと言ってるんだよ」
「修行した上で、あらゆる手を尽くすのが一番だろ?」
- 641 :高向谷 司朗:2013/02/16(土) 01:04:22 ID:hbFQZ4nY0
- >>640
「ぶー」
また顎を突き出した。
「そんぐらい解ってるんだが……。
俺が一人で撃つ為に修行してるのに、
自立は関係ないって言って切り捨てたのはお前だろ」
司朗の首の角度が激しくなっていく。
「自立するのは関係大有り障子にメアリーさんだぜ。
さっきも言ったとおり、全ての策が常に使えるとは限らない以上、
常に使える策を作ることは自立の一環だと思うぞ!」
- 642 :名も無き異能都市住民:2013/02/16(土) 01:29:44 ID:RRIFCANoO
- >>641
//ごめんなさい、何故か携帯が不定期に電源が落ちてまともに返事が出来ない
//雑談して帰った事にして貰っていいですか?
- 643 :高向谷 司朗:2013/02/16(土) 01:30:37 ID:hbFQZ4nY0
- >>642
//いいっすよー
- 644 :黒沢小百合:2013/02/16(土) 22:15:41 ID:IRZRROfE0
- 【AGカフェ】
AGカフェに訪れた小百合の手に、
茶色い封筒が握られていた。
「ふふ、今日は軽く食事をとるだけにしておきましょうか。
これを汚してしまうと大変ですから。」
珍しく上機嫌な様子の彼女はコーンスープと煎茶、ピクルスと、
AGカフェの厨房から適当に見繕ったモノで軽い食事を済ませるとその封を解く。
中から姿を現すのは、古びた革表紙のメモ帳が2つ。
それは帰り道、古書露店で見つけた冒険家の手記。
宝のありかが記されているなどと店主が薦めてきた、正直眉唾物の品ではあるが
内容は中々面白く、知的好奇心が刺激される代物だ。
- 645 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/02/16(土) 22:39:51 ID:OhByE3hs0
- >>644
(治療は終わりましたが、しばらくは体を動かしすぎないようにおねがいしますね)
【鶫は主治医にそう言われてようやく退院することが出来た。両手にはまだ包帯がまかれている】
「……ふーむ…本当に…
強い相手が多いものです…」
【凹んでいるように思われた鶫もようやく退院できたということで一先ず機嫌は悪くないようである】
「…お腹が空きましたね…
とりあえずなにか簡単なものを…?」
【カウンター席に座って軽く手をあげようとしたところ】
「……」
【少し苦手意識をもった小百合に顔が一瞬行ってしまった。】
(……どうしましょう…また睨まれたら…)
【鶫は軽く腕を震わせながらカウンター席に乗る】
- 646 :リーナ:2013/02/20(水) 22:53:13 ID:hbFQZ4nY0
- 公園の屋根付きベンチに、奇妙な集団が居た。
黒子風の格好の三人組と、デニム生地の服装に身を包んだ少女。
彼らは、将棋をしていた。
「あーっ!また負けたぜ!!!」
「っていうかなんで玉将よりも香車の守りを優先させてるんスか」
「ルールわかってないんじゃないスか?
玉将前線で戦ってるっスよ」
どうやら少女はかなりめちゃくちゃな作戦で彼らに挑んでいるらしい。
「まずはトップが手本を見せて下々の物に手本を見せないとダメだろーが!」
「これそういうゲームじゃないっス」
その傍らで、足の短いコーギー風の雑種犬が頭を掻いていた。
- 647 :黒沢小百合:2013/02/20(水) 23:12:59 ID:IRZRROfE0
- >>646
「エルヴィン・ロンメル曰く『司令官たるもの前線で指揮を取れ』。
そういうゲームではないという指摘はごもっともですが、その少女の言は
まったくもって的を得ているともいえる。」
近くを歩きながら、近くで将棋や囲碁、チェスと様々なボードゲームを楽しむ
人々の盤面を見ていた女性が、苦笑いにも似た笑みを浮かべてリーナたちを見ていた。
「失礼。あまりにも自由な発想の戦法であったので、
先ほどから拝見していた物で。」
- 648 :リーナ:2013/02/20(水) 23:27:14 ID:hbFQZ4nY0
- >>647
ギャーギャーと賑やかに騒がしい集団は、小百合が投じた一石で更に騒がしさを増した。
「うーん、まあリアルじゃあ別に頭取られても必ずしもゲーム続行不可能って訳でもないッスからねー」
「言ってることはよくわかんねーけど、
多分俺の言いたいことはそんな感じだぜおねーさん!」
「でもこれはリアルじゃなくて将棋ッス」
「だからー!」
その横で、迷惑そうに犬が顔を伏せた。
「っつーかおねーさんどっかで見たこと無い?」
「あれ?知らねーんスか?」
突然リーナは小百合の眼前まで歩いてきて首をかしげた。
黒子達は小百合の事を知っているらしいが。
「っつーか、トップが手本を見せて下々の物に手本を見せないと、
って手本って二回言ってるじゃん」
「それは言ってやるなよ。普通に間違えただけだと思うぞ」
「誰が?」
「そりゃあ……ねえ?」
- 649 :黒沢小百合:2013/02/20(水) 23:39:17 ID:IRZRROfE0
- >>648
「その通り、マキアヴェッリの君主論の中でもそうした記述は多い。
ボローニャのベンテヴォッリ卿とカンネスキ家の例などをとっても頭の死亡=敗北とは
結びつかないのだから。」
小百合はぶつぶつとなにやら、薀蓄を披露している。
こうした自分の知識をひけらかす傾向も小百合にはよく見られる。
「……知らなくても問題ないでしょう?
あなたにとってはただの通行人に過ぎない。そうではありませんか?」
小百合は特にリーナに対して名乗る気は無い様だった。
知らないなら知らないでよい。小百合が自分から名乗るのは、
ある程度の地位に就くもの、名が知れ渡っている者のみなのだ。
- 650 :リーナ:2013/02/20(水) 23:56:50 ID:hbFQZ4nY0
- >>649
「おう!全ては気合だ!」
「リーナちゃんそれで負けてんじゃねーか」
結局リーナは解っておらず精神論で、
黒子達はそれに突っ込むのであった。
「蕎麦打ち合うもなんとかで、
せっかくなんかの因果で会えた人を通行人Aで片付けたら流石にあんたに失礼だ!」
「袖触れ合うだよ。無茶があるよ」
「見覚えがあるってのは多分他人なんかで済ませて良い問題じゃねーぜ!」
そう言って人を指差すリーナは失礼だ。
「リーナちゃんニュースとかみねーの?」
「うちにはテレビ無いぜ!」
- 651 :黒沢小百合:2013/02/21(木) 00:05:51 ID:IRZRROfE0
- >>650
(む、こいつ。よくいる『他人に過剰に興味を持つ』タイプの人間か。
こういう輩は人の領域にづかづかと土足ではいってくる……。)
この時点で、小百合は声を掛けた人物を
間違えたかな、と内心すこし毒を吐いた。
「兎角、自由な発想も結構ですが貴方は少し定石というものを憶えたほうが良い。
これでは、野球で折角ヒットを打ったのに三塁に走るようなもの。基礎があってこそ、
自由な発想が生きてくるのです。」
あえて小百合は名乗らずに、話を続ける。
テレビが無くても、例えば雑誌や新聞などで小百合の写真を見た事があるかもしれない。
- 652 :リーナ:2013/02/21(木) 00:21:08 ID:hbFQZ4nY0
- >>651
「うう……」
リーナは小百合に突き出した人差し指を少し下げた。
小百合の拒絶にうろたえているのだろうか。
「やめとけリーナちゃん。
嫌がってる人に無理にかかわり過ぎちゃあいけないッスよ」
そこで黒子が無理やり引き剥がし、犬の近くにリーナを座らせた。
リーナが小百合を見たことがある、と言ったのも、
新聞や雑誌などでちらりと見かけた程度であり。
だからこそのうろ覚えであった。
「俺……野球やったことない……」
「……あのね」
リーナのうろたえの理由はそちらであった。
「教えてくれ!辛うじてヒットの意味はわかるんだ!三塁ってなんだ!?
もし三塁に走ったらどうなっちゃうんだ!?」
「わーかった!今度おせーてやるから静かにするッス!」
- 653 :黒沢小百合:2013/02/21(木) 00:32:21 ID:IRZRROfE0
- >>652
リーナの妙な調子にどこか歯車がずれてしまう小百合。
目の前の少女はどうにも、小百合が身を置く世界の人間とは違うタイプの人種のようで。
(暗きを明らしむが啓蒙。フリードリヒ大王を気取るのも悪くないが、果てさて。)
そして、こうしたタイプに出会うと
小百合の『教えたがり』という性分が顔を出す。
人にものを教えることで、優越感を感じようというのだ。
(とはいえ、野球は知識としてしか……って、
そもそもは将棋でしたか。やれやれ、どうにも思考が引っ張られる……。)
といったところで、小百合は将棋の知識など持ち合わせていない。
今回も、人々が集まりボードゲームを楽しむ欧米などで見られる光景が
珍しく立ち寄っただけなのだ。
- 654 :リーナ&ガルテラ:2013/02/21(木) 00:44:59 ID:hbFQZ4nY0
- >>653
「話は聞かせてもらいました」
そこに突如現れたのは黒いロングコートにカンテラを持った男。
「やりましょうか、野球」
「ガルさん!?なんでそんなにノリノリなんスか!?」
ガルテラが持っていたのは野球のセット一式。
それをその辺に置いたあった大きなトランクから取り出しながら歩いてくる。
そして、トランクの中からぞろぞろ出てくる黒子13人。
その場にいた黒子三人とリーナ、ガルテラをあわせれば、丁度野球チーム二つ分、18名だった。
「それではゲーム開始!」
「おう!ルールは知らないけど勝ってやるぜ!」
小百合を差し置いて総勢十八名は勝手に野球が始めてしまった。
もはやまともな会話は不可能だろう。
//強引な締め方だけどサーセン、これで〆です><
- 655 :黒沢小百合:2013/02/21(木) 00:59:25 ID:IRZRROfE0
- >>654
「む、むう……。」
しかし思考しているうちにリーナを突如現れた
ガルテラにとられてしまった。
梯子を外された形になった小百合は、
ぽりぽりと頬を掻きながら家路に着くのであった。
- 656 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/26(火) 22:48:40 ID:.6prKP66O
- 「あ、いえ違うんですよ私はただ材料を採りに行こうと……」
夜分遅くの街角にて、なにやら一悶着あった様だ。
二人の人物、体格から察する両方とも成人した大人の男性だ。
青い制服に身を包んだ男性が手帳を開きながらもう一方の男性に詰め寄る…どうやら警官の様だ。
「そんなアホな見た目でよく言うよ。最近ここら辺治安がよくなくてね?君、悪の組織とかそんなのでしょ?」
警官に対するのは白い服に身を包んだ背の高い男性。
ミントグリーンが目立つオールバックに失敗したような髪型だ。警官に対して下手に出る様からして悪者では無いようだが……
「いや違うんですよ本当に、私は錬金術士で学園の先生やったりお店開いてるしがない男なんです信じてください。」
必死に弁明する姿は痛々しくもあるが、それも無理もない…
男性の格好は異能都市では普通な部類に入るだろう。
しかし、ただ一部だけが彼を怪しい人物と決めるのに相応しかった。
それは目元の仮面である。金色で縁取られ、ゴチャゴチャと装飾が施してあるド派手な仮面。
それが夜の街で激しく自己主張を行い、警官がやってきてしまったわけなのだ。
「とか言って、その仮面取ったら目からビーム出るんでしょ?」
「出ませんよ!」
こんな調子で延々と話し込んでいるのだった。
- 657 :欠け耳のボロッブ:2013/02/26(火) 22:50:23 ID:IRZRROfE0
- 【異能都市郊外 森林エリア】
「よーしええか、全員マスクとゴーグル、
イヤーマフもしたなー。ではしゅっぱぁーつ!!!」
異能都市の郊外に広がる森。
その中でも、まったく手入れのされていない深い場所を
10人ほどの集団が工業用マスク・ゴーグル・イヤーマフ、もしくは
顔全体を覆うマスクという奇妙ないでたちで進んでいる。
この一団のお目当てはとある薬草なのだが、
その薬草は『ダイオウオニゴロシジャキガンスギ』なる、殆ど催涙ガスレベルの
凶悪な花粉を真冬以外のほぼ一年中撒き散らす杉の一種と共生するという性質を持っており、
収穫には完全防備が必要なのだ。
ちなみにその花粉のせいで野生生物や妖魔すら容易に近づけないため、
そういった存在に襲われる心配が無いのが唯一の救いである。
- 658 :名も無き異能都市住民:2013/02/26(火) 23:12:23 ID:7JRwKHfQ0
- ざっ。と風が吹いた。
それは幹をなで枝を揺らし葉を鳴かせ、落葉を扇いだ。
強さで言えばそれ程無い。少し強めの夜風だと思えるだろう。
だが、その風の前後で起こった一つの変化。
夜の闇に紛れるようにして、黒いドレスの女が視界に写る。
もしかしたら、風の吹く前からそこに居たのかもしれない、風が濃い紫色の髪を靡かせ目立たせただけなのかもしれない。
>>656
ゆっくりと歩みを始めると二人の元へ歩んでいく。
普段通りのシンプルなドレスに見を包んだ女が寄って来る。
唐突なこの光景。上弦にはピンチだろう。
上弦が警官に尋ねられている原因は目元のマスク。
黒いドレスの女も、夜の闇に霞む僅かな光でさえも拒絶する為に普段から目隠しを付けている。
しかも上弦とは違い存在も悪の組織に近いし、目からビームも出る。マズイ。
- 659 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/26(火) 23:29:27 ID:.6prKP66O
- >>658
「だから私は悪の組織じゃ……」
警官との問答、その最中夜風が吹き渡り仮面の男性が何かに気付いたようにドレスの女性に視線が移り、直後
「……っ!?」
仮面で顔半分が隠れているものの、驚愕を顔に浮かべているのがわかる。それほど男性は驚いた。
(いかんいかんいかん……!)
ドレスの女性とは面識がある、まさに警官が警戒している存在に当てはまってしまう人物だ。
このままでは二人とも警察のご厄介になってしまうのは目に見えて明らか。
仮面の男性は警官と女性を交互に見る。
- 660 :名も無き異能都市住民:2013/02/26(火) 23:42:21 ID:7JRwKHfQ0
- >>659
上弦の危惧する状況より、深刻な出来事が起こりつつあった。
女が近づいてくる度に、不穏な気配とも取れる力が流れてくるのを感じるだろう。
その力のせいで、煽られて宙を舞った落ち葉はそのまま崩れ去り、葉は落ち枝はもがれ幹は割れる。
たったいま落ち葉に成り代わったまだ色のあった葉が、急速に色を焦がしていく。
女の放つ『破壊の魔力』が生命を殺しつつあるのだ。それは全てに等しく降り注がれる。
放っておけば警官は気付くだろうし、もし魔力に抵抗の無い種族なら死にかねない。
存在しない女の足音の代わりに、命の危機が迫ってくる。
- 661 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/26(火) 23:53:37 ID:.6prKP66O
- >>660
「お…おおおお……」
警官と女性を交互に何度も何度も見て…焦ったように声をもらす。
警官はその様子をふざけているのかと咎めるが……
どんどんと辺りが死に包まれていく、男性自身錬金術の経験を生かして魔力に抵抗する事が出来るかもしれない。
しかし警官はどうだろう、異能都市の警官ならばそれぐらいは出来るだろうか?
出来ないだろうか?どっちかわからないままここに残すべきではなかった。
男性は突然の事で巧い作が見いだせない……結局
「おまわりさん!あそこに怪しい人物がぁ!!」
「な、なんだってぇ!?こらぁ待ちなさい!!」
女性とは反対側に指差し叫ぶ。まんまと警官は引っ掛かり走っていってしまう。
それを確認してから女性に向き直り、両手を広げ左右に振り回す
「こらこらこらぁ!今すぐそのオーラを止めるんだぁ!!」
- 662 :名も無き異能都市住民:2013/02/27(水) 00:18:04 ID:7JRwKHfQ0
- >>661
警官は彼方へ走って行き危険を免れる。
残された方の男が向き合うと、やっと歩みを止めた。
けれども、止めたのは歩みだけ。
彼女を起点にした破壊は鳥を落とし星を焼いた。
やはり、声を荒げて突きつけられた要求には応じず。
歩みを止めた姿勢は直立のまま、指先一つ動かさないでいた。それは顔も同じ。
『オーラ それは ?』
耳から入った言葉では無ければ、目から入った無音系でも無く唐突に頭に響いてくるだろう。
イメージとして伝えられたそれだったが、拙くぶつ切りの様子から持ち主は間違いなく彼女で。
- 663 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/27(水) 00:31:54 ID:.6prKP66O
- >>662
「こいつ…脳内に直接…!?」
次々と死に包まれる周囲を冷や汗を一筋流しながら眺める。
彼女自身どう考えているのかわからないが、今この場所は見る人が見ればラスボス戦のそれである。
こんな大々的に辺りが崩れていくのに気付けなかったのか、自分で自分に尋ね。
どうしたものか、女性は目の前で立ち止まり反応が全く見て取れない。
代わりに返ってきたのは脳内に直接の質問だけである。
「う、うんあれだよ…そう!魔力だ!魔力の漏出を止められるか!?このままじゃラスボス戦みたいだぞ!?」
- 664 :名も無き異能都市住民:2013/02/27(水) 00:58:02 ID:7JRwKHfQ0
- >>663
上弦に流れ込んだ思念はやはり彼女のものだったのだろう。
意図を理解したようで空気が澄むと同時に破壊は治まって行った。
ただ、強烈な破壊を一瞬で押し込んだ反動が来てしまったらしく。
鳥は瞬く間に再生し火を携え空を割り、樹は季節外れの満開を見せ。
挙句の果てには落葉までもが生命を取り戻し茂る中。
ぽん。ぽんぽん。
女の足元から次第に広がるファンシーな色。
既に存在すら無くなった、此処で息絶えた種までも再生を始めた。
その結果彼女を中心に花畑が広がり始めた。
- 665 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/27(水) 01:08:04 ID:.6prKP66O
- >>664
「お!?おおおぉ!?」
さっきから驚いてばかりだ、職務質問から始まり破壊と死が訪れ最後はファンシーな世界
「なるほど…ハッピーエンドって訳か…うむ」
まさに生命の神秘、マナなどに携わっている男性にはこの光景はとても素晴らしく、嬉しいものだ。
それに、女性を中心に花が咲き誇る光景はとても美しい。
男性はほんわか顔でいたが、急に表情を取り戻し
「はっ!?そうだ!久しぶりだねゼオラ、しかしなんでまたあんな事を」
職務質問されていた仮面姿の男に言われたくはないが
- 666 :名も無き異能都市住民:2013/02/27(水) 01:17:48 ID:7JRwKHfQ0
- >>665
広がっていく花畑は留まることを知らず、さらなる広がりを見せる。
上弦の足元まで及んだかと思えば色とりどりの花が足を覆う。
その中心に居るのが色味に掛けた女であるのが少し、シュールではあった。
あんな事を。と言われても答えは来ず。
それは破壊も再生も、やはり無意識の内だったからなのだろう。
- 667 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/27(水) 01:25:58 ID:.6prKP66O
- >>666
「うーむ……今まで以上に無口になってるな…」
どちらにせよ言えばわかってくれたのだ、悪意は無いと言う事だけはわかった
しかし無意識だとするならば今後被害を広げない方法が何か必要だと言う事も考える。
「これ、どこまで広がるんだ?まぁ…冬に咲き誇る花ってのも幻想的でいいな……ゼオラもそう思うだろ?」
いざとなれば魔力の漏出を防ぐ布をでゼオラを包んでやろうと結論し、男性は何気なく話しかける
- 668 :名も無き異能都市住民:2013/02/27(水) 01:32:40 ID:7JRwKHfQ0
- >>667
上弦に流れ込んでくるイメージ。
『ふつう』
それは雰囲気ぶち壊しな一言だけだった。
彼女からは季節の概念すら抜け落ち、冬に咲く花の有り難みを知らないのだろう。
草原に囲まれた屋敷でも、季節の変化が起こらないからなのかもしれない。
再生が行き過ぎたのかアスファルトに日ヒビが入ったかと思った瞬間には地面から大木が現れ道を塞いでしまった。
- 669 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/27(水) 01:40:12 ID:.6prKP66O
- >>668
「あれれ〜?今私格好いい雰囲気をこれでもかと出してたんだけどなぁ〜?」
嫌とかではなく普通、まさかの一言で驚きを隠せない男性。
さっきまでは……仮面があってよくわからないがキリッとした表情だった、だが今はいつもの表情に戻ってしまっていた。
「まぁ、ゼオラらしいっちゃらしい……ん?」
会話をしようとしている内に大木が生えて道が塞がってしまったではないか、これには男性も苦笑い。
「ゼオラ、道塞がっちゃったよ?私材料集めに行く途中だったんだけど……どうしようか?」
しかし、女性に任せるととんでもない事をしそうなので事前に止めておく。
- 670 :名も無き異能都市住民:2013/02/27(水) 02:10:29 ID:7JRwKHfQ0
- >>669
どうしようか。と言われても何を返すわけでも無く。
樹に顔を向け静止。じっと眺めるかの如く動かずにいたのだが、止められた。
再び上弦へと顔を向けるとまた動かなくなった。
因みに、止めなければ樹は爆発した。危なかった。
樹は見たことも無い果物(甘い)を実らせ夜風に揺れている。
再生は再生で止めなければ不味い気がする……。
- 671 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/27(水) 02:21:26 ID:.6prKP66O
- >>670
「う、うむ…取り敢えず錬金術士としてこの謎の果実は回収させてもらうよ……ふふふ」
困惑も仕方がない状況だが、見たことの無い素材は男性にとっては嬉しいものだ。自然と笑みが零れてしまう。
しかしまずは現状をどうにかしなければ…このままだと都市が植物園になってしまう。
「ゼオラ…ちょっと魔力出してみようか?植物達には悪いがこのままではまずい……ほんのちょっとな?今の状態を中和するだ」
そう言いながら、現状を打破する為に色々考える。
自らの能力『元素還元』を発動させ木を撫でてみたり
- 672 :名も無き異能都市住民:2013/02/27(水) 11:47:20 ID:7JRwKHfQ0
- >>671
紫色の果物は丸っこい外見をしていて柔らかく、皮を向けば果汁を滴らせる。
この辺りでは見ない果物であるが、もししたら栽培もできるのだろうか。
樹は魔力を与えられて再生力を増しただけの普通の樹の様だ。
他の物も全く同じらしく、上弦の能力で扱うのは容易いだろう。
提案を受けて素直に従ったらしく、再生力は徐々に勢いを落とし最後には足を止めた。
女の足元の花一輪が唐突に浮かび上がり、彼女の手に収まった。
- 673 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/27(水) 18:25:14 ID:.6prKP66O
- >>672
「うむ……どうやらこの現象でのみ手に入る果実では無いらしいな。」
周りの植物も自然界の物と大差はない、地面は破壊されてしまったが有害な物ではないはず。そう結論し、男性は女性に向き直る。
ちょうど中和も成功したみたいだ
「よかったよかった、道を塞いだ木もどかす事が出来そうだよ。」
一先ず安心といった様に、女性の手におさまる花を見ながら一方的な会話を再開する
- 674 :名も無き異能都市住民:2013/02/27(水) 20:20:54 ID:7JRwKHfQ0
- >>673
手に収まったのは桃色の花。
拳を握ると桃色の光が溢れ出し、抜け出した光が集まると頭上でまとまり弾になった。
それは女の周りを走るように巡り、最終的には広げた腕の中にすっぽりとおさまった。
「やっほー! ユリウスだよぉ?」
光が徐々に縮小すると、姿を見せた桃色髪の少女。
明るい笑顔を見せながら、上弦に向けて伸ばした両手を大きく振った。
- 675 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/27(水) 20:33:23 ID:.6prKP66O
- >>674
「次は一体なんだ?」
再び女性の周りで起きる不思議現象、次は何が起きるのか…一体何がしたいのか
楽しみと疑問が混じり合ったような表情でその様子を眺めていて
不意に見知った、尚且つ現状を打破してくれそうな顔を見る
「おやおや久しぶりじゃないかユリウス、相変わらず二人は仲良しだね?」
笑顔で手を振り返しながら二人に近寄っていく
- 676 :名も無き異能都市住民:2013/02/27(水) 21:17:57 ID:xo6JrvaE0
- >>675
「そーだよっ、ふたりはなかよし! ねーおねぇちゃん?」
顔を見合わせ、微笑む少女。
人差し指を女の頬に差し指先を埋めさせる。
ふと、少女が周囲の様相に気付く。
「お花畑! おねーちゃんが作ったんだよね?」
花を眺め一層の笑顔を浮かべると、上弦に視線を向け笑みを意地悪げな物に変化させ。
「いっくよー! うけとめてね!」
ビシッと腕を伸ばし指先もピント張りその先で上弦を指す。
唐突な宣言の後、女の手を蹴って跳び立った!
「とうっ!」
- 677 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/27(水) 21:51:05 ID:.6prKP66O
- >>676
「ははははは!私としても二人の事を見ていると胸が暖かくなってしまうよ」
相変わらずドレスの女性は無反応だ、しかしユリウスが来てからは一気に空気が柔らかいものに変わった気がする。
など考えていると不意にユリウスが何かを宣言し始めたではないか男性は反射的に構え
「んっ!?なんだなんだ!待て待て待て!!」
急に飛び上がるユリウス、直前に受け止めろとの指示
男性は飛び上がるユリウスを見ながらどうにかこうにか受け止める体制をとる
- 678 :名も無き異能都市住民:2013/02/27(水) 22:15:59 ID:7JRwKHfQ0
- >>677
「てやぁっ!」
上弦の元まで辿り着くとガッチリ抱き着く。
腕の中に収まると顔を見上げ、目が合えばにっこりと笑い掛けるだろう。
「いぇーい、だいせいこうっ!」
- 679 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/27(水) 22:34:29 ID:.6prKP66O
- >>678
「おっととと!よいしょっ!」
掛け声と共にユリウスをキャッチし、目が合うとこちらも釣られて笑ってしまう
仮面で隠れていても優しい眼差しである事が伝わってくる
「ふふっ何がしたいんだい、ユリウス」
突拍子も無い行動に思わず笑ってしまう、ユリウスを持ち上げたまま男性は優しい声で笑う
- 680 :名も無き異能都市住民:2013/02/27(水) 22:52:18 ID:7JRwKHfQ0
- >>679
「んー? なぁにこれ、へんなの。おねーちゃんのまね?」
けらけらと笑いながらマスクに手を伸ばす。
指先で淵沿いに動かし、中心の瞳を指さしてまた笑う。
「ユリウスはもっとあそんでほしいな」
- 681 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/27(水) 23:10:57 ID:.6prKP66O
- >>680
「ははは、真似じゃないよ!格好いいだろ?」
マスクをいじられても特に咎めず、笑って答える
ゼオラとユリウスを交互に見て
「なんだなんだ、遊んでほしいのか?ユリウスはいつも元気だな」
ユリウスの頭を撫でながらニコニコ顔で、男性自身も楽しんでいるのがわかる
- 682 :名も無き異能都市住民:2013/02/27(水) 23:42:44 ID:7JRwKHfQ0
- >>681
「へんだよー」
少女らしく悪意ない感想を告げる。
純粋に可笑しいと思っているのだろう少女は笑っていた。
『 なに』
女と目があった途端、また頭に流れ込んでくる。
会話とは違う一方的な伝達手段が送られた直後、少女が思い出したように跳ねた。
「ねぇ、きいて?
おねーちゃんさいきんげんきになってきたんだよ!」
なによりの至上と言いたげな表情で顔を近付けながら。
- 683 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/27(水) 23:53:25 ID:.6prKP66O
- >>682
「そうかぁ?こんなに格好いいんだけどなぁ」
特に悪い気はしていない、ユリウスらしいなと考えてそう答える
「ん?いや……」
ゼオラに答えようとしたが、ユリウスが顔を近付けて来て騒ぎ始めるじゃないか
騒いでいる原因は男性にとっても良い話だ
「お、そうなのか?それはよかったじゃないか!な、ゼオラ」
- 684 :名も無き異能都市住民:2013/02/28(木) 00:14:01 ID:7JRwKHfQ0
- >>683
「うそだぁー」
あはは。と笑いながらマスクに手をかけ、阻止しなければ外すだろう。
「うん! ね、おねーちゃん?」
一度女と顔を合わせると微笑んで。
再び向き直るとまた口を開く。
「こころでおはなしできるようになったしね?」
普段からユリウスとゼオラは意思疎通がなされているようだったが、それが今日初めて上弦にも届いてきた筈だ。
- 685 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/28(木) 00:41:21 ID:.6prKP66O
- >>684
「ははは、何を言うんだ…格好いいだろぉ?ほらぁ」
ユリウスの頬をモチモチしながら、上手い具合に仮面を外させないよう防ぐ
確かに前は脳内に直接なんて事はして来なかった
だが、やはり口数の少ないのは変わらないような気がした
「しかしこれで私もゼオラとコミュニケーションがとれるんだな」
ユリウスの頬をモチモチしたまま、ゼオラに向き直りそう言う
- 686 :名も無き異能都市住民:2013/02/28(木) 01:11:23 ID:7JRwKHfQ0
- >>685
「ふわぁ、やめてよぉー」
くすぐったいのか指から逃げようと顔を逸らす。
少女の髪が揺れるたびに花の香りか心地よい匂いが広がっていく。
『少しは』
再び響いたイメージはまた呟きのようなもの。
- 687 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/28(木) 01:30:46 ID:.6prKP66O
- >>686
「格好いいと言えぇ〜……ん?ユリウスはいい香りがするな」
花の香りを広げて逃げるユリウスの頬を指が追い掛け回す
男性は鼻腔をくすぐる柔らかい香りに少女の存在を強く感じ
「少しとは言え私は嬉しいけどね?これからもっとお話できたらいいね?」
素材採集に来たら職務質問を受けて災難だとは思ったが、結果的にはよかったんじゃないかと考え
- 688 :名も無き異能都市住民:2013/02/28(木) 01:44:38 ID:7JRwKHfQ0
- >>687
「かっこよくないよぉー」
迫る指に対し挑発にも取れるだろう言葉を返す。
案の定追われると「きゃー」と楽しげな悲鳴を出しながら手で顔を覆った。
『話す事が あれば』
やはり、彼女もドライな性格をしているるしく反応は薄く。
腰の前で両肘に逆の手を添えるポーズをとっていた。
- 689 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/28(木) 01:53:06 ID:.6prKP66O
- >>688
「このこの、ユリウスめ!」
楽しげな悲鳴で男性も楽しくなっていく
しかし、楽しい時間はすぐに過ぎていってしまうもので
「私はゼオラとだったらいつでも話せるさ…ただ私が一方的に話してもね、ゼオラから色々話してくれたら私は嬉しいよ」
ゼオラに近寄っていき、ユリウスをその隣に降ろし
ゼオラを見て仮面姿は笑う
- 690 :名も無き異能都市住民:2013/02/28(木) 02:00:41 ID:7JRwKHfQ0
- >>689
ユリウスの手を引く訳でもなく、虚空に伸ばした右腕を手繰るように引くと、一瞬の内に腕の中に少女を収めた。
「わっ。びっくりしたぁ」
突然の場所移動と腕に包まれる感覚に目を見開き口元に手を当てる少女。
けれども直ぐに嬉し気な表情を取り戻すと姉に寄り添う。
『何か あれば』
相変わらず淡白な返事で。
- 691 :上弦・F・クラーリオ ◆6xc12amlNk:2013/02/28(木) 02:24:11 ID:.6prKP66O
- >>690
「ああ、いつだって待っているよ」
寄り添い合う姉妹を仮面で隠れた瞳で優しく見つめ
男性は何気なしに頷く
「さて、私はアウテリートのわがままの為に材料集めに行かないといけないのでね……ユリウス、お姉ちゃんと仲良くするんだぞ?」
最後にそう言いながらユリウスの頬をつつき
その後ゼオラを見つめ
「またね、次にあったときにはもっとお話できるといいな?じゃあねゼオラ」
仮面で瞳は見えないが、ユリウスと同じく優しい声色でゼオラに挨拶をし、背を向けて歩き出した。
降りだした雪と夜風に白いコートとミントの髪が揺れる。
道を塞いだ大木を七色の光に包まれた手で触れるとそれは綺麗な光の粒子と共に消える
後ろ手で手を振ると、男性は闇に仮面の輝きを残したまま、その場を後にするのだった。
- 692 :名も無き異能都市住民:2013/02/28(木) 02:43:19 ID:7JRwKHfQ0
- >>691
「わかってるよ、ね、おねーちゃん?
それより、つぎはユリウスともーっとおはなししてほしいな!」
去っていく男に向かって、そう言葉をかける少女。
背を見つめながら伸ばした腕を目一杯に振る表情はやはり明るく。
『また 』
対照的に、姉は言葉の一つも発さずに。
伝えられたイメージも端的で静かなものだった。
「いーにおいがするね」
夜風に煽られた花が、その香りを届けてくる。
少女はそれが嬉しいらしく、そう姉に問い掛けた。
「あっ、ゆきがふりだしたよ?」
子ども心には映えて見えるものの様で、掌に集め眺めていた。
はぁー。と息を吐くと白い色を纏って吐き出され、外気が寒くなってきたのだと少女に伝えた。
「さむいねぇー。そろそろかえろっか」
夜風が夜道を撫で、蘇った草花を撫でる。
巨大樹は光に還り小鳥は巣に帰る頃だろう。
葉や枝に雪が降り重なり、白い化粧を施した樹を、夜風が揺らした。
その一瞬の寒気に紛れるようにして、二人の姿は消えていた。
- 693 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/03/01(金) 21:42:55 ID:OhByE3hs0
- 「…うー…
つかれたの…」
【病室で点滴を受けて目覚めるディス】
「…やっぱりあのこうげきは、たいへんなの…
ずっとねてたのかなの…」
【あちこちを見回しながらため息を付いた】
「…おなかすいたの…」
- 694 :高向谷 司朗:2013/03/03(日) 21:44:44 ID:hbFQZ4nY0
- 【AGカフェ】
「なあ、この研究手帳に書かれてる竜震裂の呪文って、俺が使ってる奴とは違うよな?なんで?」
司朗はティルヴァの治めていた民族の子孫である、魔術研究者の手帳を読んでいた。
その中に、自分が習得に苦労している魔術の呪文を発見した。
しかし、その魔術は同じ物だったが、呪文が違う。
「その本は開くなと言っただろう……まあいい、司朗に教えている私の魔術の系統は正しいものでは無いと言うのは話したな」
傍らに立てかけられている板は、そのティルヴァ本人、というか竜。
正確には、ティルヴァの意識で遠隔操作されている魔道具ある。
「クーガンが系統をめちゃめちゃにしたせいで失われたんだっけ?」
「そうだ。しかし完全に失われたわけではない。
司朗に私が系統を再現した術を教えているように、真に近づく方法はある」
「あ、そういうことか。俺が使ってる呪文は再現した奴で、その元祖みたいな呪文がこれか。
じゃあもうこれは使えないの?こっちのが短いしカッコいいのにな」
ティルヴァはため息をついた。
「今は無理だな……もっと精進する事だ」
- 695 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/03/03(日) 21:49:06 ID:OhByE3hs0
- >>694
【カランカランと、AGカフェのドアのベルが鳴る】
「…これも1つの準備ですね」
【そこに現れた少女は色々詰まっていそうなリュックを抱えて入ってきた】
「すいません。何か力が付きそうなものを…」
【奥の方に居る店員に声をかけ、注文をかけると】
「ふぅ、緊張してきます…」
【近くの席に座ってどこかそわそわしている】
- 696 :高向谷 司朗:2013/03/03(日) 21:58:09 ID:hbFQZ4nY0
- >>695
「防人じゃあないか。
どうした大荷物で、旅行?」
司朗はコーヒーを片手に歩いてくる。
「行きたいなあ旅行……。
金なんぞ無いけどな」
ため息をついた。
「ああ、あれか。
今流行の異能強化合宿セミナーにでも参加するのか?」
司朗はよくわからんチラシを見せてきた。
そんなものが存在するのか。
- 697 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/03/03(日) 22:01:21 ID:OhByE3hs0
- >>696
「あら、司朗さん。
どうもこんにちは!」
【大きく手を振って司朗を見る鶫】
「旅行といえばある意味旅行ですね…
その強化合宿というのも気にはなりますが」
【そういうと言ってん真剣な眼差しになって言う】
「異能の山に一路向かってみようかと思いまして」
【そう言ってメニューを開けてひと通りスタミナが付きそうなメニューを注文した】
- 698 :高向谷 司朗:2013/03/03(日) 22:07:00 ID:hbFQZ4nY0
- >>697
「異能の山?何でまた……
って言っても俺も良く日帰りで行くけど」
箱庭と同じような感覚で修行に行くのである。
「泊りがけでは行かないなあ。
あ、それ旅具じゃなくて全部武器か?」
防人はオモチャを強化して武器として使うので、
戦いに赴くときはいつも大荷物というイメージでもあるらしい。
- 699 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/03/03(日) 22:11:39 ID:OhByE3hs0
- >>698
「ええ、武器は多めですが
念の為に食料も持参してます」
【そう言ってリュックを見せる。普段よりもたっぷり入りそうな代物だ】
「一日で終わるかわかりませんし…
その試練というものが…」
【じっとリュックを見て深刻そうな顔で答える】
「あ、どうも」
【…鶫のテーブルにステーキが運ばれてきた。】
- 700 :高向谷 司朗:2013/03/03(日) 22:17:46 ID:hbFQZ4nY0
- >>699
「試練?……あー、試練かあ。
試練の領域の都市伝説ねえ……」
そこでようやく鶫の目的を理解したらしく、
司朗は頭を掻いた。
「俺も行ったことあるけどな。
……あれは……なんて言って良いか上手く言えないが」
なんだか歯切れが悪い。
「……まあ、考え直せ」
- 701 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/03/03(日) 22:25:23 ID:OhByE3hs0
- >>700
「都市伝説ではありますが、
この街のこと、必ず何かあると思います」
【そう言ってグッと拳を握る】
「その歯切れの悪さは…
引き止める理由は一体何です?」
【少し不安げなかおで返す】
- 702 :高向谷 司朗:2013/03/03(日) 22:38:53 ID:hbFQZ4nY0
- >>701
「はっきり言って、領域は実在する。
っつーか日帰りでいける」
当時着の身着のままで山に突っ込んで、試練を受けて帰ってきた司朗であった。
「……ありゃー胸糞悪いからな。
正義がどーの、だとか重箱の隅つつくような質問してきてさ。
まあ、試練は人によって違うらしいから、
鶫の試練でそういう質問してくるかどうかは知らないけど」
司朗はそういう試練を受けたらしい。
「ただ力を求める為だけに行くなら、普通に修行してた方がマシってもんだ」
- 703 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/03/03(日) 22:46:52 ID:OhByE3hs0
- >>702
「ん、成る程…
日帰りなのは安心しましたが」
【ステーキをモグモグ食べながら返す】
「要するに…
いろいろ理屈っぽい試練ってことですか?
聞く限りでは違った意味で辛いようですね」
【話を聞いて少し胸元に手を当てる鶫】
「たしかに普通の修行ならそうですが・・・
自分は…」
【うつむきながら返す】
「覚悟が足りないきがするんです…
正義を志したりするのに、まだ未熟な気が…
だからこそ単なる修行ではつかめないものを見てみたくは有るんです」
- 704 :高向谷 司朗:2013/03/03(日) 22:58:32 ID:hbFQZ4nY0
- >>703
「どーしても行きたいなら、
そりゃあ防人の自由だから止められはしないけどさ」
司朗は人差し指を立てた。
「試練でたった一つ明確な事がある。
試練には勝つか負けるかが存在し、勝ったら進化を。
そんで……負けた奴の噂は俺は聞いた事は無い」
意味深に司朗は言った。
「少なくとも、そっちの方の覚悟だけは付けてから行け、
ってのが俺からのアドバイス……ってか」
- 705 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/03/03(日) 23:03:43 ID:OhByE3hs0
- >>704
「…そうですね、
私も安易には決めません」
【司朗の意味深なセリフを聞いて尚一層顔を引き締める】
「…負けたらどうなるか…
死ぬのか力を失うのか…
聴いたことがないと会っては…保証はできませんね」
【ぐっと拳を握りしめながら言う鶫】
「重要なのは心の持ちようでしょうね…
単に力だけじゃない…そんな気がします」
- 706 :高向谷 司朗:2013/03/03(日) 23:31:14 ID:hbFQZ4nY0
- >>705
「そーだ。
ちょっと待ってろよ」
司朗は突然立ち上がり、店を出る。
十分後、戻ってくると司朗は、鶫に何かを差し出した。
――いや、突きつけた。
それはハンドガン。
「バンッ」
声とともに引き金を引くと、火が出た。
司朗が本物の銃を持ってる訳が無い、ただのライターだ。
「俺タバコとか吸わないけど、親父がお下がりくれてさ。
鶫の能力で規模の小さい火炎放射にぐらいなるんじゃないか?」
そう言って、司朗はそれを差し出した。
「もし行くならお守り代わりに持ってけ、役に立つとは限らないけど」
なんだかんだ言って、司朗は応援しているらしかった。
「やっぱ行くの止めるとかなら返せよ」
- 707 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/03/03(日) 23:43:14 ID:OhByE3hs0
- >>706
「なんです?…!
て、鉄砲!?」
【思わず鶫は身をすくめようとするが】
「…あ、あぁ…
ライターだったんですか…たしかにそういうパーティーアイテムがありますね」
【ふう、と胸を撫で下ろす鶫、同時にじっと注意深く見つめる】
「ありがとうございます…
背中を押してもらえる、そんな気がしますよ」
【嬉しそうに微笑みながらそのライターを手にとった】
「…コレは多分試練へのチケットですね
最初からなかったつもりですが…
退けないという覚悟が堅くなりました」
- 708 :高向谷 司朗:2013/03/03(日) 23:50:10 ID:hbFQZ4nY0
- >>707
無駄にリアルな造形に、鉄製で重みもある。
しかしそれ以上に、普通のライターよりも大きい為燃料も多く入るという利点もあるだろう。
「まあぶっちゃけると、
防人の能力でライターが強化できるかってのを知りたいってのもあるけど……」
ニヤニヤしながら言った。
「で、実際そういうこと出来るの?
解らなければレッツトライ!」
ここは室内である。
- 709 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/03/03(日) 23:54:08 ID:OhByE3hs0
- >>708
「でもこれは…タダのライターとは違う気がしますね」
【手に持った時の感触から鶫は少し驚いた】
「多分可能だと思いますが…
そうですね…じゃあ試しに」
【手を当てて力を送り込もうとした所で】
「ってここでやるのは危ないですよ」
- 710 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/03/03(日) 23:55:05 ID:OhByE3hs0
- と、思わず手をかるく振って突っ込んでみせた
//抜けてました すいません
- 711 :高向谷 司朗:2013/03/04(月) 00:04:41 ID:hbFQZ4nY0
- >>709
「高級品とかはもっとリアルでかっちょいいぜ」
その分値が張るが。
「くっ、残念。
まあ出来ると思ったら出来るんだろうな。
こういうのって気合だから」
司朗は悔しがるのだった。
「試練がんばれよ。
能力が進化したらまた戦(や)ろうぜ」
そういって司朗はコーヒーを一気飲みし、店を出るのだった。
- 712 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/03/04(月) 00:20:51 ID:OhByE3hs0
- >>711
「ふーむ、もっとリアルですか…
それも見てみたいですね」
【どこか興味深そうに答える】
「そうですね、多分…
できるでしょうね」
【嬉しそうに微笑みながら答えた】
「ええ、わかりました。
もし機会があったら ですけど」
【そう言って手を振りながら見送っていった】
「一先ず食事は済ませておきます」
【そう言ってどんどんステーキを食べ始めた】
- 713 :黒沢小百合:2013/03/06(水) 22:16:42 ID:IRZRROfE0
- 小百合はダウンタウンにあるとあるミニシアターを贔屓にしている。
人もまばらで、今にも潰れてしまいそうなシアターだが、
だからこそ、人目を気にせずにゆっくりと映画を楽しむ事ができるし、
定期的に催される『名作の夕べ』なる、過去の名作をリバイバル放映する催しも、
小百合は気に入っていた。
「ふうー。素晴らしかった。
やはり、時代を超えて語り継がれる傑作と言うのは
他とは違うものをもっている。」
大きく息を吐いて、伸びをしながらシアターから、待合室へと出てくる小百合。
今日放映されたのはエイゼンシュテインの『戦艦ポチョムキン』。モンタージュ手法が
取り入れられた、映画史に残る名作である。
「ホットドッグ、そしてコーラのSサイズを……。」
そして上映中に小腹がすいた小百合は、人がいないのを幸いに、
売店で食べ物を買い、ホールの片隅のソファに腰掛けてそれを食べ始めたのであった。
- 714 :高向谷 司朗:2013/03/10(日) 22:42:32 ID:hbFQZ4nY0
- 【千夜ビル展望台】
「いやー、やっぱりここはいい眺めだな」
真昼、司朗は千夜ビルの展望台に来ていた。
千夜ビルの中でも観光用に一般公開されている数少ない場所である。
「空が青けりゃ例え残飯でも美味い!」
安物ではあるがちゃんとした弁当にひどい言い草だ。
「最近は事件と言った事件もないし、あったかくなってきたし……」
そう言ってベンチに寝転ぶ。
「……畜生!腑抜けてしまいそうだ!
誰か俺に熱い戦いを!!!」
一人で騒いでいた。
ちなみに今はこの展望台、ほとんど人は居ないので、
その魂の叫びを聞く物は彼の相方ぐらいのものだろう。
- 715 :黒沢小百合:2013/03/10(日) 22:59:24 ID:IRZRROfE0
- >>714
寝転んだ拍子、腕を組み、
不機嫌そうに顔に皺を刻んだ小百合の姿が目に入る。
「熱い戦いですか、それはなるほど結構。
しかしながら、今日は設備点検のため立ち入りを禁じていたはずなのですがねぇ。」
都市一等地に居を構える千夜ビルは、中心区画のランドマーク的存在。
そして、何百何千もの従業員がビル内でそれぞれの仕事に従事している。
……はずであるのに、昼食時に一人たりとも
展望台に人がいないのはそういうわけだったのだ。
(まったく、守衛は何をしているのか……。)
都市警備部門主任の肩書きを与えられている小百合は、
千夜ビルの警備もその手に引き受けている。たとえ展望台とはいえ、
小百合が『封鎖』した場所にこれほど簡単に入り込まれるなど、彼女にとっては
我慢ならない事なのだろう。
それゆえ、主任たる彼女が直々に出張ってきたと言うところか。
- 716 :高向谷 司朗:2013/03/10(日) 23:10:08 ID:hbFQZ4nY0
- >>715
「はっ、寒気が。
いや、殺気……?」
苦悩のポーズのまま硬直する司朗。
振り向くと、そこには般若。
「わ、悪気はなかったんスよ!」
悪気があってこんなところに入り込んだならば、一人で騒ぐ筈など無し。
さすがにそれぐらいは小百合は理解できるだろうが……。
「素直に退散します!
……から、出口空けて下さい」
仁王立ちの小百合に弁当を抱えて言った。
- 717 :黒沢小百合:2013/03/10(日) 23:29:40 ID:IRZRROfE0
- >>716
「熱い戦いを望むのではなかったのですか。
いいですよ、何ならこのわたしが相手してさしあげても。」
対する小百合は冷ややかな物で、怒気を放っていた。
悪気の有り無しなど問題ではなく、自分の管轄で泥を塗られた事が
小百合には重要なのだ。
「それとも、うちのトレーニングルームに放りこんでみるのも面白いか……。」
- 718 :高向谷 司朗:2013/03/10(日) 23:41:58 ID:hbFQZ4nY0
- >>717
「熱くねーし!
勘違いで警備の人とバトルとかそんな戦い一片たりとも熱血要素無いし!
勝っても負けても得られるもの一切無いし!」
勘違いしたのは主に司朗の方ではあるが。
「流石にこの場で争いとか不毛すぎるでしょうが!
一切面白くないよ!」
そう言いつつも逃げ場を探して後ずさり。
いっそのこと飛ぶか?
司朗の能力でも無事に着地できるかは危うい高度。
- 719 :黒沢小百合:2013/03/10(日) 23:57:16 ID:IRZRROfE0
- >>718
「……まぁ、いいでしょう。今回の事は不問。
エレベーターは既に電源が止められていますから、
社員用のフロアまで非常階段で降り、そこから別のエレベーターで降りるように。」
司朗をこれ以上虐めても楽しくないと判断したのか、
小百合は目を閉じ、大きく息を吐いた。
「守衛の『配置変換』が必要なこともわかりましたしね……。」
『配置変換』がどういった意味を含むか恐ろしいところだが、
現状、小百合に攻撃されるとかの脅威はなくなったようだ。
- 720 :高向谷 司朗:2013/03/11(月) 00:08:58 ID:hbFQZ4nY0
- >>719
「感謝します、
第二第三の俺が出ないことを祈りますっ」
そう言って階段に向かう。
とぼとぼと。
「ちょっとぐらい助けてくれてもいいじゃねーかよ、
ティルヴァさんよお」
「……死にそうなときは助けてやる」
司朗はため息をついた。
「昼飯どこで食べようかなあ……」
- 721 :黒沢小百合:2013/03/11(月) 00:21:35 ID:IRZRROfE0
- >>720
「さて、私も戻りますか……。」
司朗が階段へと消える姿を確りと確認し、
小百合はエレベーターの前へ。止まっているとはいえ主任の小百合が
少し連絡すれば、すぐに動くだろう。
なにしろ、動いているエレベータがある階層まで
『30階分』近くあるのだ。非常階段をいちいち下りていられない。
(ええと……携帯電話は……。)
ポケットに手を滑り込ませて、携帯電話を探す。
(――――あ、え……、な、無い……?なんで……。)
携帯電話はデスクの上に置いて来たのだったとこのタイミングで思い出す。
結局小百合は連絡を取る事ができず、司朗の後から非常階段を地道に降りたのだった……。
- 722 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/15(月) 22:23:37 ID:7JRwKHfQ0
- ――――マーケット
「戦争よ! 戦争!」
人混みの中央で大声を張り上げながら闊歩する真っ赤な少女。
その後には同じく赤一色に纏め挙げられた従者の少年と、大きな荷馬車。
一団だと言う事もあってか、マーケットの中央は道が開かれ、凱旋式の様な勢いを持っていた。
「なんでもよ! 使えそうなものはな・ん・で・も、持って来なさい!」
振り上げた木製のバットはやはり赤く、さらにはフラミンゴのイラスト付きの物。
ぶん。と勢いよく振り下ろすと従者が一斉に駆け出し場の騒ぎはさらに広まって行った。
- 723 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/04/15(月) 22:37:36 ID:OhByE3hs0
- >>722
「うーん?なにかおおきなこえがきこえたの…」
【ディスはまるで不用心に声のする方へと向かっていた】
「あうー…あのまっかなひとたちがだれなの?
なんだかむずかしいことをいってるみたいなの…」
【ジーッとその赤い一団をやや高い位置から見守っている】
「なにしてるの〜?」
- 724 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/15(月) 22:57:09 ID:7JRwKHfQ0
- 「火薬はどんどん積むのよ!
骨野郎は火葬してしまうの!」
赤い燕尾服に身を包んだ少年が少女に火薬箱を差し出す。
するとバットで荷馬車の後方を示し、詰む様に促した。
「うーん……今は必要ないわ。返してきなさい」
また別の、赤い少年が持ってきた箱の蓋を摘み、中を確認する。
しかめっ面で首を振ると、バットで少年の背中の先を示した。
「あまーいお菓子? ちょっと食べてみるわ。
……うん。持って帰りましょう♪ きっとおいしいお茶になるわ」
次の箱も同じように中を確認し、一つまみして口に運ぶ。
頬笑みを浮かべると荷馬車へと進ませた。
>>723
少し遠くの高い位置から見下ろすディスには気が付かない様だ。
もっとも、一団のトップらしき少女は周りなんて気にしていないが。
その居力なら一団の構成がよく見えるだろう。
荷馬車の前に真っ赤なドレスの少女がいて、その前に箱を抱えた真っ赤な燕尾服の少年の列。
箱の中身を検査して、買って帰るかどうかをチェックしているようだ。
- 725 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/04/15(月) 23:05:27 ID:OhByE3hs0
- >>724
「あうー、あそこにいたらあぶなくないかなの」
【ディスは何となく心配になり、アリスへ向けて歩き出す】
「ありすー。そこでなにしてるの?
なんだかすごくあぶなそうだったよなの!」
【一団を軽くすり抜けながらアリスの元へ歩いて行く】
- 726 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/15(月) 23:11:24 ID:7JRwKHfQ0
- >>725
聞こえた声に振り向く。
見えた姿に一瞬目を見開くが、直ぐに細まった。
「あら……久し振りね」
バットを逆さにし、足の間に突き立てて杖にする。
「危ないって……一体何がかしら?」
- 727 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/04/15(月) 23:19:21 ID:OhByE3hs0
- >>726
「あうー、ひさしぶりなの」
【にっこり微笑みながら手を振りかざす】
「あう、なんだかすごいたたかってるかんじのこえがしたからなの…
てきとたたかってるのかとおもってなの…」
【そう言ってあたりを見回す。見渡す限り真っ赤である】
- 728 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/15(月) 23:27:46 ID:7JRwKHfQ0
- >>727
「今は準備よ。
戦争を仕掛ける為のね」
言葉に添えられた笑みは酷く明るく。
戦争が待ち遠しいと言わんばかりの物だ。
ディスとの会話の合間にも、詰み込みのチェックは続けている。
箱の中身に笑みを浮かべると、荷馬車に進む様に促していた。
- 729 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/04/15(月) 23:33:17 ID:OhByE3hs0
- >>728
「せんそー?
なんだろなの」
【嬉しそうな顔をしてるのを見てディスもどこか気になっているらしい】
「それはとてもたのしいことなのかなの?」
【どうも肝心なことがわかってないらしい。あどけない少女は疑問におもうのであった】
- 730 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/15(月) 23:51:55 ID:7JRwKHfQ0
- >>729
「そうねぇ……面白い事よ?」
ディスが知らない事を良い事に、笑顔で語る。
「まずは相手を追い詰めるの。
ポイントはゆっくりと追いかけて行くことと。後は出来るだけ恐がらせる事ね。
そして、相手が逃げられなくなって段々距離が詰まってイヤって顔がバッチリ見えたら―――
ゆっくりとバットを振り上げ、
―――ズガン!!」
そして大声と共に思いっきり振り下ろす。
先端の削れてしまったバットを従者に押し付ける。
「わかった?」
新しいバットを受け取り、再び杖にして。
- 731 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/04/15(月) 23:57:02 ID:OhByE3hs0
- >>730
「ん?なるほどなるほどなの…
おいかけて、こわがらせて…」
【そう言って勢い良くバットが振り下ろされたのを見て軽く驚いた】
「あうー、おにごっこなのかなの…
でもこれは、あぶなそうなの…あんぜんなやりかたってあるのかなの?」
【怪我をしそうというのに少し抵抗を感じたディスは心配そうに尋ね返す】
//すいません。今日は眠いので明日にまわしてもらってよろしいでしょうか?
- 732 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/16(火) 00:01:41 ID:7JRwKHfQ0
- >>731
「安全なやり方? バカを言わないで頂戴?」
バットを刃に見立てて、切っ先をディスの首元に向ける。
「相手を恐がらせて、派手に叩き潰す。
……そうよ。安全じゃないのが勝ちなのよ」
来るべく戦争において、少女にはそのビジョンが浮かんでいるのだろう。
ふつふつとわいてきた笑い声も、最後には大きなものになった。
//了解です。また明日です。
- 733 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/04/16(火) 16:10:43 ID:OhByE3hs0
- >>732
「んうー…それはとてもあそびじゃないかもしれないの…」
【包帯まみれの腕を大きく振りながら心配そうに言う】
「でも、そういうことしたらたいへんなんじゃないかなの?
このまちこわいひといっぱいいるの…」
【どうやらとっても心配であるようだ…】
- 734 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/17(水) 21:58:30 ID:DZx18W5I0
- >>733
「それはそうね」
案外、簡単に肯定してしまう。
けれど悪びれる様子無く、淡々としていて。
「だって遊びじゃないもの。
本気の本気の大真面目、殺し合いなのよ?」
遊びじゃない。とは口にしつつも、少女の口調は遊びを投げ掛けるそれ。
「大丈夫よ。
戦争をするのはここじゃないわ」
コツン。と、杖にしたバットで地面を突いた。
- 735 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/04/17(水) 22:02:00 ID:OhByE3hs0
- >>734
「うーん…やっぱりあそびじゃないなの…
そんなにおおきなたたかいになるのかってしんぱいなの…」
【ほっと一息ついて少女は顔を上げる】
「ここじゃない?…どこかほかのところなの?
べつのところなの?」
【じっと心配そうな顔でアリスを見つめる】
- 736 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/17(水) 22:34:07 ID:DZx18W5I0
- >>735
「アナタに心配されるほどもなくってよ?」
ビッ、と伸ばした指先はディスの鼻先を差す。
「この『赤の女王』の本気を持ってすれば朝飯前……一欠片のケーキ程度よ!」
そして逆の手は口元に充てられ自慢げに笑う。余程自信があるらしい。
「別の所よ。アナタの知らないとぉーいところ」
鼻先をツン。と突いて。
- 737 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/04/17(水) 22:39:06 ID:OhByE3hs0
- >>736
「あうっ、とってもつよいんだねなのー。
ちょっとみてみたいかもなの」
【なんだか嬉しそうにアリスを見て微笑む。本人は戦うつもりではないと思うが…】
「あうっとおいところなんだなの…
すごいたたかいなのかなの」
【鼻先をツンと突かれて僅かに顔を後ろに押された】
- 738 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/17(水) 23:20:17 ID:DZx18W5I0
- >>737
「女王様って忙しいの、アナタと違って」
ディスと話す間にも、次々と並んでいく従者の列。
先程荷馬車に箱を詰んだ少年も、新たな箱を抱え最後尾に並んでいた。
「遠くは無いわ、目を閉じれば一瞬よ?」
それにはフッと笑みを交え、思わせぶりな態度を見せる。
- 739 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/04/17(水) 23:26:33 ID:OhByE3hs0
- >>738
「んー…ほんとにいそがしそうなの…
『でぃす』はまだまだひまなのー」
【何故か照れくさそうに返した】
「いっしゅん…んー
とおいのかちかいのかなの…」
【ディスは不思議そうな顔をして考える…頭がこんがらがっているようだ】
- 740 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/17(水) 23:40:25 ID:DZx18W5I0
- >>739
「そんなの見りゃわかるわ……」
ふぅ。と溜め息を吐き答える。
ディスの余りの自由さに手を余している様だ。
照れる少女をじーっと眺めながら、ふんっ。と息を吐いてから質問を投げた。
「アナタ、お友達に「ちょっとこどもっぽいね?」なぁんて言われる事無いかしら?」
一部だけ、少年めいた口調と声を真似ながら。
勿論、ディスもアリスも子どもである。
王冠があるからアリスのが高く見える。靴底も結構厚く、カモフラージュには余念がないようだった。
「ひ・み・つ・よ。
まぁ、もしかしたら来て貰う事になるかもしれないわね」
クススッ。
何かを隠した口ぶりの少女は楽しげに笑うのだった。
- 741 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/04/17(水) 23:45:05 ID:OhByE3hs0
- >>740
「むー、へーわなのはいいなのー」
【どことなくのんきな雰囲気である…】
「こどもっぽい?あうー…いわれたことはないけど…
おべんきょうよくできないんじゃないかなっていわれたことは…」
【どうやら勉強が良くできないようである。その代わりディスは体育でトップクラスの成績だったりする】
「あうう、ひみつっていわれるとちょっときになるなの…」
【空を見上げながら不思議そうな顔で呟いた】
- 742 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/18(木) 00:02:46 ID:DZx18W5I0
- >>741
「ああ、一緒、同じよおなじ。
能天気よりノーテンキって感じよ」
ディスの言葉を纏め挙げ、その上で印象を述べた。
「見てくれから雰囲気までがバカっぽいのよ。
もう少し品位を持った方が良いんじゃない?」
そう口にした少女はクルリと回ってポーズを決めた。
真っ赤なフリルスカートのドレスから伸びる純白のタイツは栄え、頭上の王冠を筆頭に細部のデザインは豪華に造られており、如何にも女王と言った感じだ。
……尤も、アリスのお転婆や破天荒な性格や仕草は品位からは遠いのだが。
- 743 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/04/18(木) 00:05:51 ID:OhByE3hs0
- >>742
「んー…
のーてんき、っていいことなのかなの」
【しばらく顔を上げて考える】
「あう…ふくはほかにもあるけどなの…
これがなんだかいちばんおちつくなの」
【そう言って自分の簡素な格好と包帯ぐるぐる巻の体を見つめた】
- 744 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/18(木) 00:13:58 ID:DZx18W5I0
- >>743
「そうねぇ……」
同じく考える様に黙りこんでしまった。
自分から話題を広げたもののちょっと困った場面だ。
「落ち着くって事はアナタ自身根付いちゃったのよその服に。
ま、アナタにはそういうのの方がお似合いかもね?」
手を伸ばしディスの簡素な衣服の袖を摘む。
逆に、こういう服を着た事が無いのだろう気になっている様だ。
- 745 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/04/18(木) 00:19:14 ID:OhByE3hs0
- >>744
「…でももしかしたらそのうちわかるかなの…。」
【わずかに頭から煙が出た…ように見える。ちょっと知恵熱状態だろうか】
「うーん…よくわからないけどなつかしいにおいがずっとのこってるの。
だからたぶんこれがいちばんなんだと…あ、あんまりひっぱんないでねなの」
【軽い口調でディスは返す。何か思い入れのある品なのかもしれない】
- 746 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/18(木) 00:27:50 ID:DZx18W5I0
- >>745
「大きくなれば、解るんじゃない……?」
濁した。凄く濁した。
解らない振りをした。
「へぇ、この服大事なものなの?」
笑みを浮かべながら尋ねる。
「見たところ別に特別じゃないわよねぇ?」
- 747 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/04/18(木) 00:34:03 ID:OhByE3hs0
- >>746
「んー、おっきくなりたいのー」
【ディスは濁されたのに気づかずに大きく腕を広げて頷いた】
「わかんないけど…
でもずーっときてたのだからなの、
きがついたらこれきてた…からなの」
【そう言って改めて匂いを嗅ぐ。】
「おぼえてないにおいのはずなんだけどなの…」
【ため息を付いて答えた】
- 748 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/18(木) 00:53:24 ID:DZx18W5I0
- >>747
「そ、そうね……」
余りにも自由奔放能天気。
流石のアリスも押され気味だった。
「成程、昔の自分を知るヒントになるのね?」
そう結論付けると、一層の笑みを見せた。
……と、赤いドレスの袖を引く真っ赤の燕尾服の少年。
「なによ」と耳を傾けるとそっと耳打ちで何かを伝えた。
「あら、終わったのね」
見れば荷馬車の扉は閉められ、従者の列も片付けられていた。
アリスはディスに背を向けると荷馬車の頂点に上り詰めた。
「御機嫌よう」
そして、そう挨拶し顔の横まで掲げた掌を握り開きを繰り返し、荷馬車を進ませていった。
- 749 :ディス ◆My6NsjkSfM:2013/04/18(木) 00:55:56 ID:OhByE3hs0
- >>748
「んー。いつかもーっとおっきくなのー」
【微笑みながら返すディス】
「多分…そーなんじゃないかなの」
【自身は無さそうだ。それでもシャツがお気に入りの理由というのには間違いない】
「…あ、もういっちゃうなの?
えっと」
【しばらくじっとアリスを見つめてから】
「がんばってねなの〜!
おーえんするからなの〜!」
【大きく手を振って見送っていった】
//長々ありがとうございました
- 750 :アリス・ザ・ナイトメア:2013/04/18(木) 00:56:36 ID:DZx18W5I0
- >>749
//お疲れ様でした!
//楽しかったですよ!
- 751 :黒沢小百合:2013/04/29(月) 21:49:21 ID:IRZRROfE0
- 【異能都市 旧ダウンタウン】
異能都市は開発や区画整理、道路の開通などで
非常に目まぐるしく、人とモノの流れが変化する。
今まで栄えていた場所がそういったきっかけで、
急に発展の主流から外れるなどよくある事で、今回小百合が訪れている
旧ダウンタウン地区も、以前はそれなりに栄えた商業区であった。
「よし、各チーム所定のルートで巡回、
被疑者を発見次第拘束しろ。ついでだ、違法な露店は退去勧告を行い、
なにかぐだぐだと言うようなら強制的に撤去を執行せよ。」
しかし、現在は寂れて空き店舗や廃ビル、建築途中で放棄され
資材が打ち捨てられたままの空き地などが目立つ、著しく治安の悪い区画と貸した場所。
指名手配中の凶悪犯がこのところ、幾度か目撃されているために捜索をしているらしい。
- 752 :レラ=バニッシュ:2013/05/16(木) 00:50:09 ID:y4AxPNL60
- >>751
支持を出し終えた小百合の上空に、仄かな蒼い光が灯る。
光の出処は数メートルほど上の宙に浮かんでいた少女。
蒼い髪の小さな身体……見覚えのある姿だが、記憶には残っているだろうか。
少なくとも、少女にはそうであったようで、ふわりと近付いてきた。
彼女お得意の機械によるもの……では無いようだ。
普段から身に着けているゴテゴテとしたブーツの代わりには暖かくなった外気に相応しくなってきたサンダルが収まっていた。
「クク……ご苦労な事だな」
遠くを眺め、再び小百合に視線を返し。
掌を小百合の顔に翳しながら、ふ。と笑んだ。
- 753 :黒沢小百合:2013/05/16(木) 23:09:14 ID:IRZRROfE0
- >>752
小百合は、どうやら一組の集団になにやら罵声を浴びせているようだった。
赤褐色のややごわついた体毛に覆われた、犬の頭を持つ亜人……。
アレはどうやら、『コボルト』と呼ばれる種族だろう。
「おまえの店の倉庫からだな……。これは。
衣服と刃物、ポルノ雑誌の切抜きが幾つか。そして……だ。
例の賞金首の被害者のものと見られる『指』がみつかった。」
『シ、シラナイ……ワカラナイ。ボク、シラナイ……。』
どうやら、あのコボルトが経営している宿の倉庫から
逃走中の犯人の遺留品が見つかったらしく、小百合はコボルトが
匿っていたのではないか、と疑っているようで。
「フン……どうだかなぁ……。
しかしだ、知らんと言うのなら『取調べ』をするしかあるまい。
そうだな、そこの娘だ。あとお前……来い。」
小百合は強引にコボルトたちを連行しようとしているようだが……。
- 754 :レラ/Type:P:2013/05/16(木) 23:30:52 ID:y4AxPNL60
- >>753
「……ふむ」
別に見るに見かねた訳ではないが、ふわりふわりと高度を落としながら、小百合とコボルト達の傍へ降りた。
と、いっても、地面に脚を付けている訳では無く、小百合と目線が合う程度まで高度を落とし、浮遊しているのだが。
「久々に見かけたと思ったら、面白い事をしているなぁ?」
特に用が在る訳でも無く、ただ見かけたから降りただけの事。
職務中の小百合にとっては邪魔以外の何物でもないだろうが……。
- 755 :黒沢小百合:2013/05/16(木) 23:48:38 ID:IRZRROfE0
- >>754
ふわふわと舞い降りるレラに、コボルトたちは怯えた様子で身を寄せ合い
またある者は連行される身内にかけよろうとしたり、しており、
小百合は対照的に、至極面倒と言った風に顔を歪めて腕を組んだ。
「……この私はみての通り忙しいのですが、何の用でしょう?」
その口調、表情の示すところは一つ。
『帰れ』という警告そのものだ。
と、――そこで連行されていたコボルトの一人が、
小百合の部下の制止を振り切って、小百合に走りより口を開いた。
害意は無く、自らの無実を訴えようとしているようだった。
『ソウコ、鍵ナクシタ。モウ、何年モ、ツカッテナイ。本当。
ダカラ、ボクタチ――……ぐ、ぐううう!!』
しかし、小百合はコボルトを一瞥するや、ふんと嘲るように鼻を鳴らして。
「犬風情が……この私がいつ、お前達の発言を求めたのか?
貴様の話は留置場で聞く。」
すぐにコボルトは取り押さえられ、車へと引き摺られていく……。
- 756 :レラ/Type:P:2013/05/17(金) 00:08:15 ID:y4AxPNL60
- >>755
優しげな言葉による警告も、全く届く素振りは無い。
尤も、学徒時代の姿を覚えているならば、それも想像内に収まるだろう。
レラの視線は亜人へと向けられていた。
彼らを見る機会が無かったらしく、弁解の言葉を並べるコボルトを興味深気に見ていた。
その際に、ふむ。や、ほぅ。と言った呟きを漏らす。そう言う意味でも、小百合の言葉は届いていらしく。
「別に犬コロに同情する気は無いが、」
そう前置きめいた言葉を発しながら、連行されていくコボルトから視線を戻す。
しかし、言葉とは裏腹に目は厳しく。雰囲気からは警告、とまではいかないものの、
「少々強引じゃないか?」
諭す様なそれが見えて。
- 757 :黒沢小百合:2013/05/17(金) 21:07:33 ID:IRZRROfE0
- >>756
「少々強引なほうが良いのですよ、この街では。
丁寧な捜査などしていては、たちまちこの街は犯罪者で溢れてしまうでしょう。
私は、無駄な手法を省いているだけにすぎないのです。」
小百合はレラの言葉に対して、悪びれる様子も無く
寧ろ開き直るように歪な笑みを浮かべて見せて。
「それともまさか、不公平などというのですか。
今まで散々、力で我を通してきたあなたが。」
たしかに、この都市には犯罪が満ち満ちている。
貧富の差も激しく、様々な種族の対立もそこかしこにある。
しかしながら、小百合のそれは詭弁でしかないどころか、
火の無い場所に火種を投げ込む行為ですらある。
- 758 :レラ/Type:P:2013/05/17(金) 23:51:55 ID:y4AxPNL60
- >>757
その言葉も少女の意地の悪そうな笑みを引き出す為でしかなく。
「無駄だと否定した結果が、」
宙で、まるで椅子に掛けるように背を伸ばし脚を組みあげ。
余裕がある。と言わんばかりにリラックスした姿勢をとって。
「今の貴様だという理解が出来ているのか」
フン。と鼻を鳴らし。
- 759 :黒沢小百合:2013/05/18(土) 22:34:11 ID:IRZRROfE0
- >>758
「今の私の一体何が悪いというのか?
正直に言って、理解に苦しむ発言ですが……。」
対照的に小百合は、相手をしていられないと
いう風にため息をついて。
「貴女は全てを分かったかのように話すが、
実際、何も分かっていないように見える。」
基本的に、レラと小百合は水と油。
両者とも我が強く傲慢である故に、反発しあうのだ。
- 760 :レラ/Type:P:2013/05/18(土) 23:37:10 ID:y4AxPNL60
- >>759
「チッ……」
何を言っても聞き入られはしないだろう。
解っていた事ではあるが、想像以上に不快だ。と態度に現れてしまう。
「貴様程『効率的な仕事』をする手法は覚えて無いな。
……『下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる』。とでも行ったところか?」
掲げた右手に微かな発光の後、ビームガンが握られるとそれを車へと向けた。
コボルトを強引に連行しようと言うのなら、容赦なくタイヤを溶かす筈だ。
- 761 :黒沢小百合:2013/05/18(土) 23:55:24 ID:IRZRROfE0
- >>760
レラのビームガンの放った熱線によって
ゴムのタイヤは瞬時を炎上、車体はがぐんと歪に傾いて。
しかし小百合は、それに対して驚く様子を見せることも無く
ただ分かっていたとでも言いたげに、口の端を軽く吊り上げて見せた。
「……ついに本性を現したな。」
小百合の口調には仕事を邪魔された苛立ちだとか、怒りは無く、
むしろレラが妨害してきた事を、楽しんでいるような節すらあり……。
「治安維持行為執行妨害……危険技術行使……。
治安権限者に対する危害を目的とした行動……貴様を、合法的に始末する
理由は幾らでもあるなぁ……?」
そう、小百合は待っていたのだ。
あくまでも合法的に、自分が絶対正義であるという後ろ盾を持って。
自分に仇名す存在を叩き伏せる機会を。
- 762 :レラ/Type:P:2013/05/19(日) 00:19:38 ID:y4AxPNL60
- >>761
「……だったら何だ」
悪びれもせずただ面倒だと言いたげに、ため息混じりにそう口にする。
事の重要さを理解できないようにも見えるが、興味が無いくも見える。
今までがそうだったように、今回も踏み倒すつもりなのだろう。
- 763 :黒沢小百合:2013/05/19(日) 00:33:59 ID:IRZRROfE0
- >>762
「しかし、だ。『容疑者』は武器を持ち現状、連行が困難な状態である。
この私は『暴れる容疑者』を仕方なく『鎮圧』、するわけだ。」
小百合の長い髪が、静電気を帯びたように逆立つ。
彼女お得意の『具現化』の予兆。しかし、彼女の能力行使には
紙片が必要だったはず。それを取り出した様子は一切なかったのに、
既に彼女の周りには輪郭を帯びた人影が形成されつつあり……。
「このように、ねぇ……!!」
――ズダダダダダダッ
そのまま一秒と間をおかず、ライフルを構えた兵士が具現化。
間髪いれず、殆ど奇襲のようなタイミングでレラに一斉射撃をおこなった。
恐らく、レラが現れた時から妨害されることを見越して密かに紙片を握りこんでいたのだ。
横列を組んだ歩兵の一斉射撃。
無数の弾丸はあたりの木箱を破壊し、建物の壁を穿ち、窓ガラスを粉砕していく。
生半可な防御では、この嵐をやりすごす事はできない。
- 764 :レラ/Type:P:2013/05/19(日) 00:56:49 ID:y4AxPNL60
- >>763
「貴様も刃向った事を忘れるなよ……!!」
淡い青色の光が一瞬少女を覆い。
次の瞬間には少女の周囲には武装が現れていた。
武装とは言っても、巨大な鉄斧一つに、ナイフのストックされたベルトが巻かれた簡素な物。
それだけでは銃弾の嵐に対応できるものとはとても出ないが思えない――――が、
向かって撃たれた銃弾に対して伸ばした手。
力がこめられているのか微細な振動を見せ。
「ハッ―――――!!」
更に強く、力を込めた瞬間、
少女に触れる分だけの銃弾が寸でのところで停止する。
その間に、背後の鉄斧が正面へ回り込み防御を施す。
- 765 :黒沢小百合:2013/05/19(日) 01:18:25 ID:IRZRROfE0
- >>764
「ククッ……生かさず殺さず……。」
銃弾の釣瓶撃ちは間断なく、防御から攻撃に転ずる隙を見出すことは難しい。
そうしてレラが防御の一手を打つ間に、小百合は無線を取り出すと、あえて聞こえるようにして
何処かへと通信を始めて。
「近隣をパトロール中の治安維持組織構成員へ。
こちらコード16730-9178。犯罪者と交戦中。増援請う。
繰り返す。こちらコード――。」
小百合は、ほとんど自己満足のようなこの戦いに
『治安維持』の名目を持って他者を巻き込もうとしている。
気位が高いがきほんてきには人がいいレラならば、無関係の人員に手を出せないだろう、
という判断だ。
とかく、こうなればこのまま交戦か撤退かを決めなければならない。
この近辺は治安の悪い地区ゆえに、巡回警備に回る組織も多く、すぐに
誰かがやってくるだろう。
- 766 :レラ/Type:P:2013/05/19(日) 02:04:07 ID:y4AxPNL60
- >>765
「チッ……!
やはり面倒な奴だな貴様は!」
小百合の一切を厭わない手に顔を歪める。
今現在も既に、周囲に被害の出始めた状況を危惧している状況。
このまま居座れば、状況は更に悪化するだろう。
だが、このまま逃れる訳にも行かず。
ベルトに巻いた全16のナイフを全展開。
少女を取り囲むようにして浮遊するナイフの群れが、合図によって一瞬にして消える。
「行くぞ……!!」
身体を屈め、自らの額を抑える。
声は重々しく、底から出る様な苦しさを孕んだ物。
戦斧が一回転したあと、周囲を薙ぐように動く。
これで少女の動きだす空間を作り出し―――――飛んだ。
今までに見せたフワリとした軌道ではなく……そもそも、軌道すら見えない。
線での移動とい概念を弾いた点と点。テレポーテーションだ。
一瞬で小百合の前に現れて、その少女は額目掛けて手を伸ばす。
行動を中断させなければ、直接脳を揺さぶられる様な、強烈な痛みが襲うだろう。
- 767 :黒沢小百合:2013/05/19(日) 23:09:52 ID:IRZRROfE0
- >>766
小百合自身は全く戦闘能力を持たず、距離を詰められると
一気に苦しくなる故に、ワープ能力や気配遮断、不可視化といった
距離を詰めやすい能力を持つ者を苦手としている。
そして、小百合自身もそれを自覚している。
自覚している以上、戦術によって対策を打つこともできる。
小百合の周囲には常にワープや、高速移動等で突っ込んでくる
相手を迎撃するための長槍を持った兵士たちが控え、槍衾を作っているのだ。
不用意にワープ等で飛び込めば、『出口』に剣山の如き重厚さの、無数の槍の穂先が
待ち構えているだろう。
- 768 :レラ/Type:P:2013/05/19(日) 23:33:34 ID:/oGIgMas0
- >>767
「見せてやろう……!!」
間近までの接近は不可能と判断し、移動距離を槍の射程限界の手前までに変更。
現れると同時に振り上げていた腕を振り払う。
手の先に光が迸ると同時、周囲一帯に謎の力が働きだした。
テレポーテーションに続くサイコパワーの行使、サイコキネシス。
始めに銃弾を受けとめたのも同じ物だが、今回はそれ以上の力。
始めは軽い浮遊感程度だが、少しずつ感じる力が強くなり、対策を取れなければ終いには空中に上げられてしまうだろう。
そうなれば、ナイフが現れて飛びかかり小百合を包囲してしまう。
- 769 :黒沢小百合:2013/05/20(月) 00:22:58 ID:IRZRROfE0
- >>768
一瞬にして移動したレラ。
普通ならば、視界から消えたレラを探す間、
多少なりの隙を見せもしようが無数の兵士たちと視覚を共有できる小百合は、
殆ど隙を見せずにレラを見つけ出し、攻撃の体勢を整えていた。
「小細工を弄しても、この私に勝つことは出来ないですよ。
戦術的成功を幾ら積み重ねたところで、戦略的優位を覆す事はできないのだから。
もっとも、今のワープが戦術的成功といえるかどうかは――。」
挑発するように、長い口上を述べる小百合だが
自分の体になんらかの力が働いていることに気づき。
(……からだが……これは、軽くなっている?いや、浮き始めているのか。
ヤツめ、なにかやっているな。対象に直接作用するタイプの術か。
これは、早めに潰してしまわねば、な……。)
「擲弾兵ッ、擲弾歩兵隊前へッ!!
あの小娘を叩き潰すのだッ!」
小百合は手っ取り早い解決策――自身が攻撃を受ける前に、レラを叩き潰す策を選んだ。
先ほどのように一斉射を叩き込みつつ、『擲弾兵』を前面に押し出す。
擲弾兵とは、手榴弾を遠くまで投擲するために屈強な人員を集めた
中世歩兵のエリート部隊である。弾丸が先ほど停められていたのを考慮して、
今度は爆薬による爆風での攻撃を試みるつもりなのだろう。
- 770 :レラ/Type:P:2013/05/20(月) 00:53:48 ID:/oGIgMas0
- >>769
サイコキネシスに力と意識の全てを向けているのだろう。
隊列変化にも反応する素振りを見せず只管力を込めるだけの少女は正に的だった。
浮遊感が更に増し、手足には謎の力が纏わり付き絡め取られる感覚が襲い始める。
次第に自由が利かなくなってきている。もう少したてば、完全に自由を奪われたのだろう。
しかし、それを阻む様に放たれた爆風飲まれて行く少女は吹き飛ばされたのだろう、奇妙な感覚は消し去られた。
――――のだが、ただ吹き飛ばされてきただけでは無いらしく。
強烈な爆風によって巻き起こる煙が、小百合の方へも向かって来ているのだ。
これもきっと少女の手。爆風のベクトルを変化させたに違いない。
- 771 :黒沢小百合:2013/05/20(月) 01:14:19 ID:IRZRROfE0
- >>770
足が完全に地を離れ、四肢に重量を感じ始めた時だった。
ふ、とかかっていた力が消える感覚。小百合は、かつんとヒールを鳴らして着地し、
そのまま、軽く鼻を鳴らしてにやりと笑った。
「――私の攻撃を利用したつもりか。残念だったなあ……?」
爆風は……一瞬にして、もとより存在しなかったように掻き消えて。
そう、爆風も小百合の具現化した手榴弾によって引き起こされたもの。
小百合の力の一端によって作られたものなのだから、出すのも消すのも彼女の
意志一つ、というわけだ。
そして、レラにとって更にマズイことに……。
数人組みの足音が近づいてくる。聞こえるだろうか、『戦闘音がするぞ』だとか、
『こっちに回ったほうが早い』だとかの会話音が。
この付近を巡回していた、治安組織の人員がすぐそこまでやってきている!
- 772 :レラ/Type:P:2013/05/20(月) 01:38:56 ID:/oGIgMas0
- >>771
爆風が晴れれば、壁付近まで吹き飛ばされて地面に寝転がる姿が確認できるだろう。
左手を使い上半身を起こすが、それ以上は出来ない様に見える。
起こした身体で小百合を睨み付けているのは解るが……。
(力を、使い果たした……)
最早こうなれば外見以上に非力な少女でしか無い。
聞こえてくる音に対し舌打ちを一つして、目を伏せた。
- 773 :黒沢小百合:2013/05/21(火) 22:53:26 ID:IRZRROfE0
- >>772
「くくっ、無様ですねぇ……助けに入って、逆にやられるなんて。
正義のヒロインでも気取っていたのですかぁ……?」
小百合はこれ以上なく楽しい、と言う風な甘ったるい声を発すると、
数人の近衛を連れて、まるで死が迫っているぞ、と脅すようにあえてヒールで、
こつん、こつんと、大きく音を立てながら地面に倒れたレラへと近づく。
「ま、マズは四肢を砕いてしまいましょうか。
お楽しみの時間の前にねえ。」
ひゅん、ひゅん、と指で拳銃を弄ぶように回転させてから、
にやついた笑みとともに、それをレラへと向ける。
衛兵達は長槍をレラへと突きつけ、いつでもトドメをさせる状態だ。
- 774 :レラ/Type:P:2013/05/21(火) 23:35:30 ID:EyuRJCI.0
- >>773
カラン、カラン。と、少女の周囲にナイフが帰ってくる。
上空に待機させ、手頃なタイミングで落とすつもりだった物達。
力を使い果たし操る事が出来なくなり、落ちてきたのだ。
「チッ……。粋が
最も近く。唯一手の届きそうな物へと、手を
「クズ、が・……!!」
、掴む。その一連のプロセスの内に空白が生じた事を認識する。
意識の内で、一つの事象をすっ飛ばし。結果だけが手に残っていた。
脳内のシステムがフリーズを起こし、その瞬間だけが『サブコンピュータ』での処理に切り替わったと言う事。
それが解らないほど、馬鹿では無い。それが続けばどうなるかも。
脳髄のオーバーロード。力を使い果たし、このままではスクラップ同然だろう。
それを示すかの如く。少女の瞳は警告灯の如き紅が灯り煌めきだす。
「 を、止めろ……!」
また、意識が空白に埋もれるのを確認する。
このまま続けば、『僕』はシステムの使用権を明け渡さなければいけなく。
- 775 :黒沢小百合:2013/05/22(水) 22:33:19 ID:IRZRROfE0
- >>774
「最早抵抗する事もできないその姿、『クズ』に相応しいですよ?
……さて、まずは……。」
小百合は、レラの様子を見て一人笑みを浮かべ
手始めとばかりに、レラの右膝関節へと向けて愛銃のFN57から、
弾丸を叩き込んだ。
殺しはしない、一つ一つ羽をむしるように、
少しづついたぶった上で殺すつもりなのだ。
- 776 :レラ/Type:P:2013/05/23(木) 00:07:29 ID:EyuRJCI.0
- >>775
向けられた銃口を、
放たれた銃弾を、避けられない。
弾丸を受けた衝撃で身体が僅かに跳ね上がる。
首が下がる。膝から下る鮮血を眺めているのか……そうでない。
紅く煌めく光も消えていた。きっと、目を閉じたのだろう。
―――あぁ、痛い。
- 777 :黒沢小百合:2013/05/23(木) 22:48:14 ID:IRZRROfE0
- >>776
(フン……。気を失ったか。
なんとまあ、あっけないものです。つまらない……。)
2発、3発、と弾丸を叩き込んでやったが
うめき声を上げるでも、泣き叫ぶでもないレラ。
相手の苦しむ様を見て楽しむ小百合にとってこれほど
つまらない相手もないだろう。
喜色に歪んだ顔はすぐに、クリスマスプレゼントを取り上げられてしまった
子供のように、仏頂面へと変わり。
「つまらないですねぇ、まあ、いいです。もう。
あなたは『つまらない』。もう死ぬといい。」
はあ、と大げさにため息をついて。
小百合は踵を返した。同時に、衛兵達の槍が首、心臓、腹と
急所へと向けて突き入れられる。
- 778 :レラ/Type:P:2013/05/25(土) 22:39:49 ID:EupTa8Cc0
- >>777
一度目に放った弾丸はレラの右膝を打ち抜き、駆動できない状況へと追い込んだだろう。
だが、続く二、三発目の弾丸は届く事が無く、再び謎の力に阻まれた。
「――――危なかった」
弾丸は寸でのところで止められていた。
なんと、気絶した筈の少女が、サイコパワーによる超能力を使用し再び動きだしたのだ。
ふわりと浮かびあがる様は、宛ら操られたマリオネットにも似ていて。
身体を浮かばせた少女は、宙で静止する弾丸を掴み、放り捨てた。
ぱん。という小さな音とともに破裂し僅かな発光を施す弾丸。
それを見届ける事も無く、俯いたままの少女は口を開いた。
「貴女には、感謝致しましょう。
始めから殺すつもりで撃っていれば、きっと、今はこうなって居ないのだから」
向けられた槍に対しては、「ふん」と小さく呟けば。
彼女を中心に発生した謎の力に押し返され、付き通す事は出来なくなる。
- 779 :黒沢小百合:2013/05/26(日) 00:00:40 ID:IRZRROfE0
- >>778
「…………はあ。」
至極不愉快、面倒だ、と言う風にため息をつき
まず、首を巡らせるようにしてゆっくりと振り向く小百合。
その顔はメディア向けの演出されたものとは違って、
嫌悪の情念が顕在したかのようにひどく醜悪に歪みきっていた。
「ここにきてゴキブリみてえな無駄なあがきか?なんだ?お前は。
つまらないくせによオォォォ……さっさと――。」
『お楽しみの時間』が不発に終わったことへの不快感と、
レラへの嫌悪感、冷め切ったテンション――それら混合理由によって
戦闘時の狂奔から転じ、ひどく不機嫌になった小百合は。
「あの世へ行きやがれッッ!!!」
――ごう。
無数の空を裂く音が一つとなり、轟音と化す。
ほぼ、奇襲気味に、そして、最大風速、とでも言おうか。
自身が具現化できうる最大の速さで、レラに対して槍歩兵を大量に具現化。
例の謎の力の障壁にそれら穂先を一斉にたたき付けた。
- 780 :MIRAGE/夢幻のミラージュ:2013/05/28(火) 21:59:46 ID:3Z2n9vI20
- >>779
対して少女はさして変化無く小百合の変化を眼に留めた。
些細な変化と言うのも、眉をピクリと押し上げえ、「ほう」と呟いただけというもの。
「―――やはり、文明は最適化を施される意味がある」
槍が向けられようとも、それは一変もせず。
喉を掻き抉られるがやはり、反応を返さず。
腕を水平に上げ、握った拳を開くと中には小さな光。
それが灯った時には既に、無数の光に周囲は包まれていた。
その中に、赤い、煌めく瞳で笑みを見せる少女が居た。
飛沫の様な光。
宙に漂う無数の蛍にもにたそれが、次の瞬間には、ぼん。と弾けた。
夜空に散らされた光の粉のどれか一つが小さな音を立てたのだろう。
しかし、それらは連鎖に次ぐ連鎖を経て、次第にサイズ増していく。
最後には少女とも、小百合もろともを光の中に飲み込もうとしていた。
- 781 :名も無き異能都市住民:2013/05/28(火) 23:23:21 ID:IRZRROfE0
- >>780
無数の槍の穂先はたしかにレラを貫いたはずだった。
(――浅い、いや……。)
(捉えていない、か。)
さすがに小百合も、歴戦の異能者である。
すぐに捉えていないと――この攻撃では『効果がない』と理解した。
(この辺が潮時、か……。
得体の知れん相手に、無理攻めしたところで利はあるまい。)
そして小百合がとった行動は、
以外にも『一時撤退』というものだった。
光の前に、例の近衛兵らが壁のように立ちふさがり後方へと引く
小百合の姿を覆い隠す……。
- 782 :MIRAGE/夢幻のミラージュ:2013/05/28(火) 23:36:01 ID:3Z2n9vI20
- >>781
逃げという選択肢を取った小百合の姿を目に入れると、ミラージュはゆっくりと瞳を閉じた。
追撃の手は無い。ミラージュもまた、無駄な戦いを拒んでいたのだ。
瞼の裏からでも通して見える瞳の煌めきは黄色を経由して緑へと落ち着いた。
「再編を施す……必要が、ある……。
先ずはこの身体の、身体の、修復が」
その言葉を残して。
がたり。
直後、崩れるようにして地面に落ちていく少女の姿が合った。
- 783 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/01(土) 23:38:02 ID:Ocpg9kUQ0
- 【箱庭内のとあるフィールド】
「ふっ…と」
【なんども身体を動かしている鶫。どうやら特訓のようなものらしい】
「負けるほど強くなれるとは思いますが…
私は勝たないつもりではないですからね…」
【ほぼ毎日といってもいいほどここに足を運んでいるのである】
(あとはここに誰か来たら…)
【軽くため息をつきながら対戦相手を待っていた】
- 784 :黒沢小百合:2013/06/02(日) 22:07:01 ID:IRZRROfE0
- >>783
――『黒沢小百合』さんがログインしました。
合成音声のアナウンスとともに立ち上る光の柱。
その中からゆっくりと歩み出てくるのは、以前からどうにも
ソリのあわないあの黒髪の女だった。
彼女も、体を動かすためにこの場所を訪れたのか相手を探すように
ぐるり、と視線をめぐらせて。
「………………。」
鶫に視線をとめると顔を歪め、侮るようにふんと鼻を鳴らした。
- 785 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/02(日) 22:11:30 ID:Ocpg9kUQ0
- >>784
「おっと、対戦相手が来ましたね」
【誰かがログインしたアナウンスを受けて振り返る】
「む…どうもこんにちは。
…まぁやりますか?」
【鶫はちょっと苦手意識を持っているのか、少し顔を引き締めてからぐっと両手を握る】
「恨みっこなしでおねがいしますね」
- 786 :黒沢小百合:2013/06/02(日) 23:02:38 ID:IRZRROfE0
- >>785
「…・・・ふん、あなたが相手ですか。」
- 787 :黒沢小百合:2013/06/02(日) 23:12:44 ID:IRZRROfE0
- // 途中送信
模擬戦相手募集の文字を見てきて見れば、相手は見知った顔。
しかも、どうにもそりの合わない鶫なる少女ではないか――。
「……ふん、あなたが相手ですか。
ま、少々不足な気もしますが、まあ、いいです。」
(ちょうど良い、一度叩き潰しておかねばならんと思っていた餓鬼だ。
わざわざ探す手間が省けた、というもの。)
至極傲慢不遜な態度で、鶫を挑発する小百合。
彼女は、時折こうしてイデアの箱庭に現れては模擬戦に参加する。
それは、自己研鑽半分、相手を血祭りに上げて楽しむのが半分といったような理由だが
今回はどうも、後者の色が強いように感じられる。
- 788 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/02(日) 23:18:53 ID:Ocpg9kUQ0
- >>787
「大丈夫です。少なくとも、退屈はさせないつもりですから。」
【小百合のその趣向を知ってか知らずかじっと様子を見る鶫】
「私はどんな人にも全力でやりますよ。
たとえ相手が誰であったとしても…」
【そう言って両手に力を貯めこみ始め、】
「…お手柔らかに!」
【勢い良く地面を蹴り、小百合の方へと駆け出していく】
【早速格闘戦に持ち込もうとしているのだろうか】
- 789 :黒沢小百合:2013/06/02(日) 23:39:54 ID:IRZRROfE0
- >>778
「――迎撃を。」
軽く払うように動かされた右手。
同時に彼女と、鶫の間をさえぎるは槍衾。
戦闘開始前にひそかに握りこんだ紙片によって、
突っ込んでくる鶫を迎撃するための兵を具現化したのだ。
公的な立場におり、名前が売れている以上、
小百合の能力の強み、そして弱点も市井には広く流布している。
小百合と戦うものは、近距離戦に弱い小百合の弱点を突くべく
しゃにむに突進してくることが多いという傾向を逆に付いた、一手だが果たして。
- 790 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/02(日) 23:45:27 ID:Ocpg9kUQ0
- >>789
「うわっと…!この召喚が能力なんですね」
【眼の前に現れた槍衾を見て走っていた足は止まる】
「どうしましょうね…とりあえず…」
【少し距離をとった鶫は持っていたリュックからカラフルな玉を取り出すと】
「これを食らってもらいますよ」
【力をたまに貯めこんで】
「でやっ!」
【勢い良く敵の陣営へと投げ込んでいった】
【その玉はかんしゃく玉。力を貯めこまれたことで爆発力が弱い爆弾程度になっているだろう】
- 791 :黒沢小百合:2013/06/03(月) 00:03:41 ID:IRZRROfE0
- >>790
投げ込まれたかんしゃく玉だが、
それらは林のように立ち並ぶ長槍に遮られ小百合に届く事はなく、
隊列のどこかで爆発、列に多少の乱れを作った程度にとどまった。
「その程度の攻めでこの私の軍勢を崩すことは出来んぞ。
両翼の部隊を展開させろ。追い込み、疲れさせ、叩いて潰すのだ。」
距離をとる、といっても小百合の部隊も動いているのだ。
かんしゃく玉による攻撃の隙に追いついた歩兵らの無数の槍が
鶫に対して突き出され、その命を狙う。
しかしながらこの対応に手一杯になってはまわりを敵に囲まれてしまうだろう。
- 792 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/03(月) 00:09:05 ID:Ocpg9kUQ0
- >>791
「くっ…!さすがに多勢に無勢ですか…!」
【鶫はあたりを見て突き出されて来る槍を】
「まだまだ!でやっ!」
【強化された手袋の力でいくつもへし折っていく。だがその中で】
「これは使えるかどうかを!」
【そう言って歩兵の中の一体が持っていた槍を掴んで勢い良く横へ振る】
「試させてもらいます!」
【奪い取った槍に力を貯めこんで横に勢い良く薙ぐ。実体なのであれば効果はありそうだが…】
- 793 :黒沢小百合:2013/06/03(月) 00:26:21 ID:IRZRROfE0
- >>792
しかしながら人間がいくら強くとも、
いくら身体能力が高くとも、一人で処理できる数には限りがある。
まさに、鶫の言葉どおり多勢に無勢
「愚か者めが、この私に正面からぶつかって勝てると思っているのか。
この私の軍団に。この私の兵団に。たった一人で。」
一度に突き出される槍はあまりにも多く、しかもいくらへし折ったところで
その数が減る様子すらなく、むしろ増えていっているようにも感じられる。
到底、一人で捌ききれる数ではない。
そして、槍の横なぎは結論から言えば悪手。
もともと、この兵士たちは小百合の具現化したものであり
その装備も彼女の管理下にある。敵に奪われた武器を消してしまう事等たやすく。
絶え間なく加えられる攻撃の中で、力をためる隙を晒し、攻撃は無効化され、さらに隙が生まれ……。
- 794 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/03(月) 00:35:47 ID:Ocpg9kUQ0
- >>793
「消えた…!ダメッ…!」
【鶫は手に持っていた槍がなくなってしまい、仕方なく自身の衣服や腕に力を集中しながら捌いていくことにした】
「これは、さすがに…まずい…!」
【相手は常に死兵とかして居るに等しく、だんだんと押され始める】
「くっ…うぁっ!」
【隙間を抜けた槍は次々と鶫の体を傷つける。だが鶫はなかなか倒れず、両手を振るう】
「面倒…!」
【勢い良く地面をたたき、辺りに強烈な衝撃を走らせる。衝撃の威力はなかなかのものである上に吹き飛ぶ石は散弾のごとく周囲へと飛んでいく】
- 795 :黒沢小百合:2013/06/03(月) 23:52:59 ID:IRZRROfE0
- >>794
鶫の豪腕は岩を砕きもしよう。
破砕された石片は散弾銃の如き威力もあろう。
しかし、しかしながら――。
「届かないなぁ、その程度では。
そんな、苦し紛れの一撃が届くような生ぬるい布陣などしていないぞ、
この私の軍勢はなぁ……。」
そう、届かないのだ。散弾銃では。
いくら敵を倒したとしても、大本の小百合を妥当しない限り
敵はそれこそいくらでも沸いて出てくる。
「さて、そろそろ決まった頃合か。
……一揉みに押しつぶしてしまえ。」
鶫が手をこまねいているうちに、包囲陣が完成。
これによって鶫は前後左右から攻撃を受けることとなる。
これでは、進むも、引くも出来ず、虐殺されるのみ。
- 796 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/04(火) 00:06:06 ID:Ocpg9kUQ0
- >>795
「さすがに一対多では…
これには弱いですね…」
【鶫は自分の持つ弱点をはっきりと理解する。自分が人である以上はこのままでは数の暴力にはまず勝てない。ということである。】
「逃げられ…くっ」
【うめつくされる攻撃をすべて避けることなど不可能だ】
ザクッバシュッ
「あう・・・うっく!ううぅ!あう!ううううぅ・・・」
【次々と突き出される槍が鶫の身体を次々と打ち据えていく】
「はっ…ああっ…あっ…ぁ…かぁ…はぅっ…ぁ…」
(やっぱり頼るしか無い…のかな?)
【容赦無い攻撃を受けながらも鶫は両手に更なる力を貯めていく】
- 797 :黒沢小百合:2013/06/04(火) 00:39:17 ID:IRZRROfE0
- >>796
数が多ければ強い。
圧倒的なまでにシンプルにして、明快な戦いの基本原理。
無数の槍は鶫の強化された衣服の上からでも衝撃によるダメージを与え
むき出しの肌を切り刻んでいく。
「さあ、どうするつもりか。
まさか、この程度で終わりなどということはないですよねぇ?」
小百合はここで、袖口から紙片を抜き取り手に握りこんでおく。
その紙片に書かれているのはウェールズの長弓射手についての記述であり、
現在、唯一の逃げ道である上へと逃げられたときの追撃用としてのものだ。
(つまらない、このまま死ぬ確立50%、上へ逃げたところで
一斉射撃による蜂の巣が50%といったところか。)
- 798 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/04(火) 00:46:10 ID:Ocpg9kUQ0
- >>797
「あぐっ、あっ、ああっ、くっ、あっ…!」
【身体に槍が通らないとはいえ、その衝撃は容赦なく鶫を打ち据える。だがそれはダメージの蓄積によって強くなる鶫にとっては好機なのだろうか】
「そのつもりです…私はまだ…!」
【そう言って両手を目の前に向ける】
「次の手はなくはないんですよ…!」
【そう言った途端に両手から激しいビームのようなものが発せられる】
【光の奔流そのものとなってさゆりへと迫っていく。いかなる隙間にも染みこむ光が形となって迫る】
- 799 :黒沢小百合:2013/06/04(火) 23:27:43 ID:IRZRROfE0
- >>798
光の本流といえど、その過程で障害物――。
この場合は無数の兵士になるが、それらにぶつかれば
熱等のエネルギーを奪われて、威力を減じるだろう。
そして小百合はそれを惑いなく実行できる冷酷さがある。
兵士側も、小百合の思い通りに動くのだから戸惑いなどなく……。
光の本流へと次から次へと、飛び込むように立ちふさがり
文字通り身を挺して、小百合を防御する壁となる。問題はどこまで
この光のエネルギーを減じることが出来るかだが……。
- 800 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/04(火) 23:37:58 ID:Ocpg9kUQ0
- >>799
「これは現実の…ヒトじゃない…
だからためらいなく壁になれる…!なら!」
【鶫はモウ片方の手も合わせて光を強めていく】
「隙間を砕いて…!」
【目の前の壁が失われれば光は強くなるだろうが、果たして小百合に届くだろうか】
- 801 :黒沢小百合:2013/06/05(水) 00:10:43 ID:IRZRROfE0
- >>800
両手による光の放射は、
熱戦のようになって、軍団を焼いていく。
が、いくら焼いたところでこの兵団は尽きぬ兵団なのだ。
代わりはいくらでもいる、それも一瞬にして戦地に投入できる。
「貴様のなまっちょろい『力押し』で……。
この私を倒せると思ってもらっては、困るッ!」
一方向に意識を向けすぎている、つぐみはあまりにも無防備。
光を浴びていない兵団の容赦ない攻撃に晒されるだろう。実際問題として、
手のひらを小百合が居るであろう方角に向けることすらできるかあやしいところだ。
- 802 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/05(水) 00:26:08 ID:Ocpg9kUQ0
- >>801
「がっ…!はぐぁ!」
【兵団の攻撃は鶫の身体を容赦なく傷つけていく】
(やっぱり…狙うしか無いのか…多分彼女もそれを狙ってるだろうけど…)
【鶫はしばらく考えた後】
(でも抜け道は、そこしか…!)
【そう思った鶫は掌を地面に向ける】
ボゴォォォ!
【鶫の身体は地面に向けた光を推進力にして空へと飛び上がっていった】
「…まさか罠にかかったなんてことは…」
【小百合の居場所を上から見つけ出して、そこへ攻撃を仕掛けようとしているようだ】
- 803 :黒沢小百合:2013/06/05(水) 00:56:46 ID:IRZRROfE0
- >>802
「まだ敵を殺せないのか。
もっと攻撃を密に。徹底的に――。」
小百合はいまだ力尽きない鶫に業を煮やしたように
檄を飛ばすが、宙へと舞い上がった鶫を見て破顔した。
「よし、弓兵隊全隊ッ……やつが上がったぞ。
文字通り、叩き落してやれィッ!!」
まってましたとばかりに、歩兵隊の外延で待ち構えていた弓兵部隊の一斉射撃だ。
周囲が黒く染まって見えるほど、密度の濃い矢の猛襲……。
鶫はどうでるか。
- 804 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/05(水) 01:04:16 ID:Ocpg9kUQ0
- >>803
「聞こえた…そこだァっ!」
【鶫は支持を出している小百合の姿を確かに捉える】
「まとめて焼き払う!」
【矢の飛んできた方向もろとも小百合に向けて光を飛ばしていく】
「これでどうなのっ…!くっ」
【すべての矢を交わせるわけではないため、鶫の身体に幾つか矢が刺さってしまう】
「これで倒せないとちょっと…まずい」
【鶫はどうなったのかわからないまま、両手を小百合に向けて光を飛ばしていた。落下は避けられないが…】
- 805 :黒沢小百合:2013/06/05(水) 23:26:15 ID:IRZRROfE0
- >>804
兵士の列に遮られてしまう地上と違い、
空中からであれば、小百合を直接狙うことが出来る。
これで勝負を決めるつもりであった小百合は、
例の弓兵以上の備えをしていなかった。鶫の並外れたタフネスが
小百合の計算を上回ったのだ。
「――っ。」
光が、小百合を焼く。
しかしながら、全方位から打ち込まれる矢は止まらない。
- 806 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/06(木) 19:39:01 ID:Ocpg9kUQ0
- >>805
「まだっ…!最後の一押しを!」
【鶫は止めとばかりに自分の力の本流を一気に発射した】
バシュバシュバシュ
「あっ…かっ…あぁァっ!」
【鶫の身体に次々と刺さった矢は鶫の体制を崩させて地面へと落とさせていく】
「ぐっ…勝てたら…いいんですが…」
【落下の衝撃はギリギリで衣服に重点的に回したおかげで大ダメージには至らないが】
【相手を倒せたかどうかという気がかりを覚えながら起き上がる】
- 807 :黒沢小百合:2013/06/06(木) 22:28:23 ID:IRZRROfE0
- >>806
至近であれば、鶫の一撃は小百合にとって致命的足りえただろう。
しかしながら、現在の鶫の攻撃では小百合を焼ききるにいたらなかった。
包囲の外側にいる小百合を焼くには、いささか遠すぎたのだ。
小百合は焼かれながらも、袖口に手を滑り込ませ、
紙が痛んで文字が消えてしまう前に、能力を発現させ――。
お得意の防御壁――『万里の長城』を具現化し、光を遮ったのだ。
- 808 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/06(木) 22:32:13 ID:Ocpg9kUQ0
- >>807
「…出せるのはヒトだけじゃないわけですか…
たしかになかなか…」
【目の前に具現化された先人の遺産を前に溜息をつく鶫】
「とはいえ…最期まで諦めはしま…せん!」
【両手をぐっと握って破壊力を高めたパンチを万里の長城へ向けて打ち込み始める。】
【ダメージが力となる鶫の威力でも足りないか否か…】
- 809 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/06(木) 23:03:58 ID:Ocpg9kUQ0
- 「…出せるのはヒトだけじゃないわけですか…
たしかになかなか…」
【目の前に具現化された先人の遺産を前に溜息をつく鶫】
「とはいえ…最期まで諦めはしま…せん!」
【両手をぐっと握って破壊力を高めたパンチを万里の長城へ向けて突き出そうとする。】
【とは言え距離は足りない。敵に囲まれた状態では目の前の敵を倒す以外に出来ないかもしれない】
//>>808は無しにします
- 810 :黒沢小百合:2013/06/06(木) 23:29:30 ID:IRZRROfE0
- >>809
例の光線ですら小百合に届かなかったのだから、
拳が届くなど、あるわけがなく。
そもそも、壁自体が軍勢の外側にあるのだから突き出したところで
届くはずすらないのだ。突き出した拳は空を切るか、手近な敵にあたるか。
その二つに一つしかない。
- 811 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/06(木) 23:35:35 ID:Ocpg9kUQ0
- >>810
「だめか…なら…もう…一度…!」
【鶫は再び力を両手に貯めようとするが…】
「……遅い、これじゃあ…」
【両手へのため時間はすっかり遅い。無茶な使い方をしたせいだろうか】
「まぁこれでも…あれにくっつくくらいは…!」
【そう言って地面に手のひらを向けつつ飛ぼうとしている。】
「邪魔ですよっ…この!」
【だが周囲の兵士が邪魔をしてくる。両手を大きく振り回してどうにか避けようとするが、なかなか敵の数が減らずに進めない。】
- 812 :黒沢小百合:2013/06/07(金) 00:34:08 ID:IRZRROfE0
- >>811
城壁と兵士。
さながら攻城戦の様相を呈してきたこの戦い。
例のビームを地面に対して放ち、推進力を得て空中を進もうとする鶫。
しかし、周囲の兵士が邪魔になるということは、
それほど高い高度を維持できないということであって、
多少なり軽減はされているだろうが、やはり依然として槍による攻撃を受けつづけるだろう。
さらには――例の弓兵隊は城壁上に展開し、地上部隊のひがいもかまわず
矢の乱射を続けている。既につぐみも相当数の攻撃を受け、体力も消費しているだろう。
正面からの突撃は無理攻めというほかない。
- 813 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/07(金) 00:38:17 ID:Ocpg9kUQ0
- >>812
「ダメッ…くっ、あ!」
【鶫は両手を顔に向けてどうにか矢による攻撃を防ごうとする。然しそれでも肌が露出する足の部分への矢の攻撃は防ぎきれない】
「くふっ・・・ああぁ・・・はぁ・・・ かはぁっ…」
【突き出される槍もまた鶫の身体になんども深くめり込んでいき、そのダメージはかなりの物だ】
「でも…ぐっ、あっちのダメージもうえ…がはっ…!はずっ…!」
【最後にタフネスに頼ろうとしているのだろうか。いや、或いは自分へのダメージを蓄積させてから逆転をしようとしてるのかもしれない】
【全身にコメられるエネルギーは更に上がっているのだ】
- 814 :黒沢小百合:2013/06/09(日) 00:35:07 ID:IRZRROfE0
- >>813
――ボヒュッ!!
無数の矢が風を切り裂く鋭い音に混じり、幾分の鈍い音が響く。
それは丸太の如き鉄串が、空気を押しのけて飛翔する音。
城門には防衛用の兵器が設置されていたのだ。
バリスタと呼ばれるこの大型弩砲から発射される鉄の矢は
通常の矢とは比べ物にならぬほど大きく、太く、威力も桁違い。
それが、弓矢の豪雨の中に混じり飛んでくる。
視認も難しいであろうこの状況で、果たして回避が出来るものだろうか。
- 815 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/09(日) 00:46:49 ID:Ocpg9kUQ0
- >>814
「押されてる……
さすがに限界かな…」
【鶫も内心では守りに入られた時点で難しいとは思っている。だがどうせなら最後までやってみたいと思っているのだ】
「これはさすがに…」
【腕で矢の攻撃だけは弾いているが、その中】
ドッ
「あっ、かはっ…!」
【発射された弩砲の矢が鶫の鳩尾に深く食い込んだ】
「あぐうっ…!うっ…!がァッ!」
【桁外れの衝撃に片腕を抑えて痛みに座り込む】
「うぅっ…!」
【無数の矢を身体に受け続けるという追い打ちもあって完全に追い込まれた形になった】
- 816 :黒沢小百合:2013/06/09(日) 21:48:07 ID:IRZRROfE0
- >>815
古来より攻城戦は、防御側の兵力の3倍以上の兵力を必要とすると言われる。
鶫はそれを一人で行おうとしている。
つまり、一軍がこなす仕事を一人で片付けようとしている、ということ。
その負担たるや、能力者でもごく一部のものしか背負いきれるものではない。
「あなたの敗因は何も考えずに突貫するだけの猪武者であったということ。
ワンマンアーミーなど存在し得ないのですよ。」
小百合の声が、響いて。
つぐみの首めがけて剣が振り下ろされる。
槍がつきおろされる。矢が、鉄串が。降り注ぐ……。
- 817 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/09(日) 22:09:28 ID:Ocpg9kUQ0
- >>816
「確かに…そう…でしょうね。
一人でなんでもできるわけがない…」
【両手を重ねてどうにか首への一撃だけは防ぐが】
「うあっ…あっ…はぁっ…!あっ…!あぁっ!」
【容赦なく振り下ろされる槍や矢の攻撃は容赦なく降り注ぎ、次々と鶫の身体を突き刺し続けた】
「あぐっ…あっ…」
【仰向けになった全身を蹂躙されていく。しぶといのはこの場合は不幸なのかもしれない】
- 818 :黒沢小百合:2013/06/09(日) 23:37:25 ID:IRZRROfE0
- >>817
その状態はもはや途切れることなく続く。
既に回りは敵に包囲されているのだから、もはや暴力が続くだけ。
――なぶり殺し。
その言葉がふさわしい状況であった。
- 819 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/09(日) 23:55:06 ID:Ocpg9kUQ0
- >>818
「ううっ…ぐぅっ…!」
【鶫は攻撃のタイミングを見失ってしまった】
【やがて繰り返し傷めつけられた結果、衣服が次第に千切れ始め、】
ザシュッ! ドシュッ! ザクッ! ズシュッ!
「はぁっ!?…やあ”あ”っ!がアッ!ア”ア”ぅッ!」
【肌へと直に刃が突き刺さり始める。赤い花のごとく激しく吹き出し始める次第に鶫の悲鳴が絞りだすような声になり始める】
「ぐふっ…!はぁっ…!ひぐッ!」
【次第に周囲の兵士も返り血を浴び始めるだろうか。鶫の胸や腹もだんだんとずたずたにめった刺しにされはじめる】
「ああっ…あっ…アッ…」
【片手を空に上げ、光を発そうとする鶫。然し惨殺される運命は変わらない。次第に力は失われていった】
- 820 :黒沢小百合:2013/06/10(月) 00:13:51 ID:IRZRROfE0
- >>819
「終わりですね。」
小百合は、ある程度ころあいを見て兵を消し去った。
まだ、つぐみに止めを刺してはいない。では、なぜ?
――その答えに鶫がたどり着く前に、
小百合はログアウトの処理を始めた。
「……あぁ、もういいです。これ以上得るものは有りません。
戦術もなく、力もなく、考えもなく。所詮あなたの戦いは児戯でしかない。」
小百合は別段、顔色を変えることもなく、
無表情に血まみれの鶫を見下ろして言葉を吐く。
同時に、ログアウト処理が完了し彼女の体が光に包まれ――。
「壊れたおもちゃで遊び続ける義理もないですから。この辺で。」
消える間際、小百合は最後にひとつ鼻を鳴らしつぶやいた。
- 821 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/06/10(月) 00:27:58 ID:Ocpg9kUQ0
- >>820
【鶫の身体は制服をズタズタに裂かれ、胸も腹も滅茶苦茶に刃によって蹂躙されつくされていた】
【血の池にもがきながら全身を震えながら動かす】
「はぁっ…はぁっ…がふっ!ううっ…」
【たしかに圧倒的だった。そう言おうと声を上げようとするが、もはやしゃべることもままならない】
「あぐぅっかはっ…あぐっ…」
【死に品した程度であったために鶫はなかなか退散できなかった。転送されたのは苦しみ抜いて事切れた十分後程度だったらしい。】
【外…】
「さすがに、相手が悪いですね。
未熟さをもっと鍛えないと」
【空を見上げながら鶫はつぶやいた】
- 822 :黒沢小百合:2013/06/24(月) 23:02:34 ID:IRZRROfE0
- 【住宅街 大穴前】
「この穴、まだ塞がれていなかったのか。
いったいどうなっている……?」
小百合は例の大穴の前に立ち尽くすと、呆れたように腰に手を当てため息をついた。
それもそのはず、小百合も以前この穴を訪れたことがありこんな穴など、
とっくにふさがれているだろうと思い込んでいたからだ。
「すぐに工事関係者に連絡を取れ。
建築部門?そんなものは放っておけ。我々主導でこの大穴はふさぐ。
こんな問題をいつまでたっても対処しない部署に任せておけるか。」
小百合は相当お冠のようで、しばらく千夜やその他関連企業への
罵詈雑言を部下にまくし立てると、能力を使って大穴の簡単な測量を開始した。
視察とはいえやれるだけのことはやっておこう、ということらしい。
- 823 :名も無き異能都市住民:2013/06/24(月) 23:22:51 ID:X2MlVtd60
- >>822
「止めておきなよ」
空から覆い被さるように掛けられた声。
出所を探れば自然と、月の光で銀に輝く巨大な怪鳥が目に入る事だろう。
その背からひょこりと顔を出す人物――既に小百合の記憶には無いかもしれないが何度か面識のある――アルビノの人間だった。
純白の衣装の他に、特徴的な真紅の左手を、自己の証明のつもりか見せつける様にっていた。
「どうせ意味は無いよ。埋まりはしないさ」
- 824 :黒沢小百合:2013/06/24(月) 23:35:53 ID:IRZRROfE0
- >>823
「貴方ですか。どうやらこの穴について、
なにかお知りのようですが、それを教えていただきたい。」
小百合は空から現れた女に、
いかにも不機嫌であるという風な眉をひそめるような表情を向けて。
- 825 :名も無き異能都市住民:2013/06/24(月) 23:46:08 ID:X2MlVtd60
- >>824
「僕も深くは知らない。
与えられる情報でキミが必要とする物は全て伝えたよ」
小百合の放つ雰囲気にも怖じずに、高度を落とせと怪鳥に伝えた。
少しすれば、会話が障害なく行える程度の距離に落ち着くが、未だ足は着けていないことから、警戒心はあるのだろう。
「僕の言葉を聞いた上で更に埋めようと言うのは……余りオススメしないね」
- 826 :黒沢小百合:2013/06/24(月) 23:55:42 ID:IRZRROfE0
- >>825
「おやおや、これは傑作だ。
なぜ深く知りもしないのにそのような警告が出てくるのか。
まったく道理が通らないではないか。」
芝居がかった仕草で、くつくつとのどを鳴らすように笑う。
「いいですか。これはただの大穴です。
そして、邪魔な穴は埋める。単純明快な答えを覆すに、
あなたの話はいささか説得力を欠いているのではないか。」
道理を知らぬ子供に語り聞かせるように、
小百合は苦笑を浮かべていた。
「さて、私はそろそろ帰らせていただきますよ。
あまりこんなことに時間を掛けたくないのでね。
こう見えても私は忙しいのです。」
もともと、本格的なものではなく軽い事前計測のようなものだったらしく、
測量作業が終わってしまったようで。小百合は車に乗り込むと、そのまま
走り去っていく。
- 827 :名も無き異能都市住民:2013/06/25(火) 00:04:32 ID:X2MlVtd60
- >>826
「それくらい理解済みさ。
判断材料に入れもしない程キミの頭が固いとは思わなかったけどね」
挑発めいた口ぶりで小百合の背中に言葉を吐くと、去って行く車を眺め。
「……これ以上は管轄外さ」
都市に住めば、小百合がどういった人間かは解る。
この関わりすら危うい気もするが、此処で留めておく。ということらしく。
大穴に向き直ると、色取り取りの薔薇の包まれた花束を大穴へと放りいれた。
「……もうすこしだね、ゼオラ」
独り言を風に紛れさせると、怪鳥を羽ばたかせ、自身も風に乗って消えて行った。
- 829 :シャーロット@べヒモス:2013/07/08(月) 22:54:38 ID:IRZRROfE0
- 【異能都市港湾部 歓楽街地帯】
「むあ゛ー。」
今日12本めのジュースを片手に、歓楽街をうろつく
シャーロットの財布はもはやすっからかんであった。
「んー、なーんかないかなあ。
戦いとか戦いとか戦いとか……。」
基本的にストリートファイトで稼いでいる彼女の生活は安定とは程遠いのだが、
最近の暑さで清涼飲料水やらなんやらの暴飲を繰り返し、さらにはここのところ
良い稼ぎ場も見つからないこの状況は、楽観的なシャーロットもさすがに
まずいなあ。程度には危機感を覚えているようで。
本来ならば、暇なときは海で泳いだりして時間をつぶすのだが、
今回はどこかの酒場で用心棒の職にでもありつけないかなあ、などと考えているらしい。
- 830 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/18(木) 20:58:31 ID:MCNbF1po0
- 人が行き交う大通り
建物の壁に背を預け、ぽけえっとした顔で空中を眺める
時折思い出したように手首に着けた時計に目をやり、時間を確認
「……」
待ち人は未だ来ず、少年は一人待ち惚けていた
- 831 :双葉子 彗華:2013/07/18(木) 21:15:23 ID:C/Qjd6mM0
- >>830
すると突然、背後からひやりとした感覚。
リョウの待ち人である少女、彗華は僅かに息を上げた状態でやってきた。
「ごめんなさい、おくれました……」
灰色のパーカーに水色のフリルスカート。
肩を越す程度まで靡く緑色の髪を大きく揺らし、冷たい息を吐き出し深呼吸していた。
その際に、チラリと視線が向けられるのだが、それは瞳と交差せず、合わせようとしてもすぐに逃げられてしまうのだった。
- 832 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/18(木) 21:20:42 ID:MCNbF1po0
- >>831
「ん……大丈夫、そんな待ってねえから」
壁から背を離し、ぐっと一伸び
顔を見ようとして視線を逸らされ、ため息一つ
「まだ、目を合わせるのは苦手……?」
言って、苦笑を浮かべ
- 833 :双葉子 彗華:2013/07/18(木) 21:25:32 ID:C/Qjd6mM0
- >>832
「まだ、ちょっとだけ……」
言葉に合わせて苦笑を目に入れるだけで、頬が僅かに赤らむ。
ぷい。と反対側を向いて俯いてしまうのだった。
「えっと、ごめんなさい」
それでも、約束の時間からは遅れていた。
先に行っといて。と促したうえで遅刻。
少年の気遣いが耳に入って無いみたいで、ずっと謝っていた。
- 834 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/18(木) 21:31:44 ID:MCNbF1po0
- >>833
「だから大丈夫だって、俺もさっき来た所だし……」
謝り続ける少女を止めようと何か言おうとするも、どうも上手い言葉が出てこない。
ええっと、等と言葉に詰まりながら、結局良い言葉が見つからず
「その、あんまり謝られると俺も悪い気がしてくるから……それに、めっちゃ見られてる……」
ぽん、と軽く頭を撫でるように手を置き、頬を染めながら少女から視線を少し逸らした。
- 835 :双葉子 彗華:2013/07/18(木) 21:43:39 ID:C/Qjd6mM0
- >>834
「わっ……ご、ごめんなさい!」
頭に手を乗せられて意識の全てがそっちに行く。
結果的に言葉は届いたのだが、周囲を見渡してまた赤らむ。
出発前からこんなのでいいのだろうか。
「ちょっと、悩んでて……遅れちゃいました」
しゅん。と残念そうな顔をする。
悩んだ結果に、後悔が混ざっているのだろう。
- 836 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/18(木) 21:47:14 ID:MCNbF1po0
- >>835
「……とりあえず移動しような」
人に見られながら堂々としていられる程肝が座ってる訳でも無く、服の裾を引っ張りながら歩き始める
パタパタと少し早足で歩く彼の耳は、ほんのりと赤く染まっていた
「後悔…やっぱり、人混みに行くのは厳しいか?ヘルメットもしてねえけど……」
- 837 : ◆uotUYGHVwM:2013/07/18(木) 21:54:47 ID:MCNbF1po0
- //地の文の方の事言っちゃってるけど気にしないでくださいまし…
- 838 :双葉子 彗華:2013/07/18(木) 21:56:51 ID:C/Qjd6mM0
- >>836
「うわ、は、はい!」
引っ張られて靡く様についていく。
バランスを崩しよたよたとした足取りで流れる様に。
「えっ、と。そうじゃなくて。
浴衣を着ようか、なやんだんですけど」
結局着ては来なかったらしい。
ヘルメットは折角のお祭りなので意を決して外してみたが、心は既に折れそうだった。
「ちょっと、不格好で……」
余り着飾る事に慣れていないのか冒険するのは止めたのだった。
それでも、確かに、俗に着物は寸胴が似合うと言うし、彼女の体型では不格好になってしまうかもしれない。
- 839 : ◆uotUYGHVwM:2013/07/18(木) 22:01:04 ID:MCNbF1po0
- >>838
「浴衣……ああ、姉ちゃんも着ようとしてた事あったっけな……」
空を見上げて、思い出しながら口にする
最も、彼の姉も発育が良い方であったので、あまり似あってはいなかったようだが
振り返り、彗華の姿を見て、直ぐに前に向き直り
「……ちょっと見てみたかったけどな」と、ボソリと呟く
- 840 :双葉子 彗華:2013/07/18(木) 22:13:48 ID:C/Qjd6mM0
- >>839
「うぇ、あ、あの……」
呟きは偶然にも風に流れて聞こえ。
それが少女に驚きと同様を与え羞恥を煽る。
耳の先まで真っ赤になっている自覚が在るのか、両手で頬を抑えて俯いていた。
行く先は近所の神社。
小さくはないが別段大きくもない。そんな規模で、その区域の人々にとっては所縁のある場所だった。
規模の割に過疎ではなく、むしろ人でごった返すようだった。
種類様々な縁日の屋台が並び、ライトアップされた神社は今日に限り普段の静けさを無くしていた。
- 841 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/18(木) 22:20:26 ID:MCNbF1po0
- >>840
「あっ、そうだ」
パチンと指を鳴らし、振り返る
からかうように歯を見せて笑いながら、「家で見せて貰うってのは駄目?」と、首を傾げて聞いてみる
からかおうとする彼の頬も、少し朱色に染まっているのだが
「……本当に大丈夫か?」
振り向いた彼は、今度は少し心配そうな表情
- 842 :双葉子 彗華:2013/07/18(木) 22:38:05 ID:C/Qjd6mM0
- >>841
「あ、えっと……かんがえておきます」
浴衣を着ようと思ったのは夏祭りだと言うのもあるが、
もう一つ、リョウに見て欲しかったと言うのもある。
けれども恥ずかしくて断念したのだが……家の中くらいなら、いいかもしれない。
「大丈夫、です……いきましょう」
そもそも、誘ったのは自分だし、逃げる訳にはいかなかった。
意を決した言葉の瞬間、リョウの腕が冷気に包まれるだろう。
……けれどもやっぱり人混みは苦手なのでリョウの腕にしがみ付き。
- 843 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/18(木) 22:47:59 ID:MCNbF1po0
- >>842
「えっ、マジで?」
冗談のつもりで言ったのに、肩透かしを食らったような。
しかし見てみたいと思うのも事実で、自然と口元は笑みの形になってしまう。
「……あ、あの、歩きにくいんです、けど」
しがみ付くという事は色々と当たってる訳で、その感触に思わずぎこちない動きになってしまう。
このままではマズイと腕を払って彗華を払い除けて、そっと手を握り
「……離すなよ、はぐれても知らねえからな」真っ赤な顔を背けながら、そう言った。
- 844 :双葉子 彗華:2013/07/18(木) 22:57:01 ID:C/Qjd6mM0
- >>843
「ま、前向きに……」
からかいとは気付かずに真面目な返事を返す少女。
目は合わせずに漠然と顔に視線を向けて笑みを悟ると、こちらもはにかむ。
しかし、年下に翻弄される少女とは。
パーカーの上からでも圧倒的な存在感。流石である。
手を払われて驚きの声をあげるが、すぐに手を掴まれてその声も詰る。
「あっ……はい!」
少年の手をぐっと握り返すと、今まで以上に冷たい感覚。
- 845 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/18(木) 23:08:08 ID:MCNbF1po0
- >>644
夜とは言え、湿った暑さが纏わり付く夏の夜。
それで無くても氷を操る能力者のリョウにとって、彗華の冷たい手は心地良い物だった。
彼女の確かな体温を感じながら、此方もぎゅっと握り返す。
「むぐ……」
彗華と離れないように腕を絡めながら前に立つも、少々背の低いリョウにとって人混みを掻き分け進むのは少々困難。
前を歩く人の背中に顔を突っ込みそうになりながら、少しずつ人混みに流されて行く。
「何か食いたいもんあるか?かき氷とかあるみたいだけど」
- 846 :双葉子 彗華:2013/07/18(木) 23:20:06 ID:C/Qjd6mM0
- >>845
少年もだが少女も小柄。
過剰な人見知りもあってか人の波を掻きわけるのは尚更苦手な用でぎゅっと目をつぶってうつむいている。
少年の片手を両手でぐっと握り確りと着いて行く。
が、かき氷と聞いて、顔を上げ。
「あ、かき氷……お父さんが、やってるんです」
- 847 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/18(木) 23:31:43 ID:MCNbF1po0
- >>846
「……」
時折チラチラと心配そうに後ろを向いては、彗華の頭を軽く撫でる。
無理させてるとは分かりつつも、少女の勇気を出しての行動に水を差す訳にも行かず、少年の心境は少し複雑であった。
「……止めようか」
流石に娘とのデート中に親の前に出て行ける程図太い人間では無く、どうしようかなとキョロキョロと屋台の看板を見渡し
「あ、金魚すくいだ」
と、一つの屋台の前で足を止めて
- 848 :双葉子 彗華:2013/07/18(木) 23:41:00 ID:C/Qjd6mM0
- >>847
「そ、そうですね……」
雪女の母による氷の精製。
かき氷を出し物にするには適任だろう。
ちょっと顔を出してきたい気もしたが、リョウの意見もまっとうな物で口にはせずにいた。
頭をなでられると震えが弱まり瞳をあげてほのかな笑顔を向けた。
「わ……可愛いですね」
小さなビニールプールの中を泳ぐ金魚の群れ。
鮮やかなオレンジの身体は証明に照らされて輝かしく。
その中に黒い個体が紛れているのも、アクセントとして目に映えた。
- 849 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/18(木) 23:51:06 ID:MCNbF1po0
- >>848
単にからかわれたりするのが恥ずかしいだけでもあったが、それは口にしなかった。
もしかしたら、赤くなっている耳で照れている事はバレていたかもしれないが。
「……昔、姉さんとやったんだよな」
しゃがみ込み、ゆらゆら揺れる水面を眺める。
彼には昔を思い出す時、前を見ているのだけれど、その光景を瞳に写していない。
そんな顔をする癖があった。
「姉さん、ガサツだからすくいを乱暴に水に突っ込んで、直ぐに破いてたっけなあ」
語る彼の顔は、楽しそうだが何処と無く寂しそうな雰囲気。
- 850 :双葉子 彗華:2013/07/19(金) 00:02:06 ID:C/Qjd6mM0
- >>849
隣に並び、同じく座り込む。
「お姉さんと、仲が良かったんですね」
お祭りに来て、一緒に金魚すくい。
そんな事をするのは仲が良いからだと思って。
昔話をする少年の、頬のあたりをぽーっと眺めながら微笑んだ。
「……やってみますか?」
今、お姉さんは如何してるんだろうか。
ふと、気になったがなんだか聞くのは行けない気がした。
今出来るのは、少年の、きっといい思い出を、思い出させてあげるくらい。
- 851 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/19(金) 00:09:55 ID:MCNbF1po0
- >>850
「まあ、今となってはたった一人の家族だからな……」
座り込んだ彗華の方を見て、少し寂しそうに笑いかけて
でも、その目は直ぐに遠くを見るような瞳に変わって
「それで白熱し過ぎた姉さんと俺でビニールの水蒸発させたり金魚ごと凍らせたりしてさ……めっちゃ怒られてさ……ふふふ……」
死んだ笑い声を上げる目は、全く笑ってはいなかったり
「……いや、止めとく。屋台の金魚って、すぐ死んじゃうし」
きゅっと手を握り、立ち上がる。
「それより、腹減ったし何か食おうぜ。たこ焼き屋とか無いかな……」
- 852 :双葉子 彗華:2013/07/19(金) 00:30:10 ID:C/Qjd6mM0
- >>851
「……」
金魚すくいの後の、ちょっとした姉弟喧嘩。
のはずなのに、それを語るリョウ君は少し不思議でした。
もしかしたら、悪い事、言っちゃったんでしょうか……?
「あ、はい……」
手を引かれるがままについていく。
先の会話を引き摺っているのかトーンは低かった。
「あっちのほうには、いっぱい、あるみたいですよ」
祭りの管理の為か、大まかに見て幾つかのゾーンに分かれていた。
かき氷や綿あめ、軽食になるものは疎らに配置されていたが主食と分類される者は奥の方。
そこには幾つかのテーブルやベンチも設置されていて、食事スペースとして割かれていた。
- 853 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/19(金) 00:34:40 ID:MCNbF1po0
- >>852
「……はあ」
ため息を一つ。思い返せば思い返す程、あの姉には苦労させられてきたと実感。
しかし、そう言う所も何故か嫌いになれない自分は、恐らくシスコンなのだと少しダウナーに。
「彗華は何か食べたい物、無いか?」
また人混みを掻き分け、奥へ奥へと進んでいく。
時折人に押しのけられて、彗華とピッタリくっついてしまったり。
- 854 :双葉子 彗華:2013/07/19(金) 00:42:38 ID:C/Qjd6mM0
- >>853
「どうしたんですか?」
さっきの雰囲気から続く溜め息に首を傾げる。
お祭りに誘う事自体が、間違いだったのかな、と不安げに。
「わ、わたしは、わたわたた……」
人混みに押し潰されて少年の背中にピッタリとくっついてしまう。
歳のせいか身長に差はあまりなく、まんべんなく身体が押し付けられている。
「あぅ、だいじょうぶ、です……」
見えない位置で、顔を真っ赤にさせて小さく絞り出すかのように。
- 855 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/19(金) 00:53:52 ID:MCNbF1po0
- >>854
「……ちょっと姉さんの事を思い出して、気分が悪く」
ふふふふ、とまた目の笑っていない笑い声。
かくん、かくんと左右に首が振れたりと、中々嫌な事まで思い出してる様子。
「って、悪いな、俺の話ばかりで。折角彗華と二人なのに……」
二人なのに、と自分で言って、二人である事を実感し、今更そんな事で頬を染める。
思い返せば姉以外の女性とこうして二人きりで出かける事なんて、今まで無かったように思える。
「え、遠慮しなくていいんだ、ぞ……」
その上思い返した恥ずかしい記憶に頭が乗っ取られて気が付かなかったが、今のこの体勢は相当にマズイと今更思う。
とりあえず、早く密着状態から離れる為に、自然と歩幅が大きくなった。
- 856 :双葉子 彗華:2013/07/19(金) 01:03:14 ID:C/Qjd6mM0
- >>855
「だ、だいじょうぶですか?」
とんとん。と背中を叩き気を戻そうとする。
お姉さんという存在はリョウ君の中でとても大きな存在の様です。色んな意味で。
「あ、うん。いいんですよ。
もっと、リョウ君の事、知りたいとおもってましたから……」
既にこっちは真っ赤なのでそんなに変化は無いがたじろいでいた。
「うーん、えっとぉ……」
言われて悩むが、何か希望は出て来ない。
どうしようと首をひねり続け、手も引かれ続け。
- 857 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/19(金) 01:13:35 ID:MCNbF1po0
- >>856
「あ、ああ……」
肩を叩かれ、ハッと帰還。
ブンブンと頭を振って、浮かんでくる様々な思い出を振り払い
「……彗華の話も聞きたい、かな。あんまり聞いた事無かったよな……?」
何とか人混みから抜け出し、ふうと一息。
真っ赤な顔を見せるのは恥ずかしいようで、依然として顔は前に向けられているが。
ふと、自分も大概優柔不断だと感じる事はあるが、この少女もそうだなあと思う。
そんな所が似ていても仕方が無いのだが、何処と無く嬉しくてクスクスと笑ってしまう。
「じゃあ、好きな物は?」
- 858 :双葉子 彗華:2013/07/19(金) 01:21:28 ID:C/Qjd6mM0
- >>857
「私の話、ですか?」
何かあったかな。と首を傾げる。
普段は引き籠り……ぶっちゃけニートなので何も無い。
リョウも家の中でごろごろしている姿は良く見る筈だ。
家業である農業の手伝いをしている以外はごろごろしているのである。
「えっと……あはは……」
そんな様子を思い出したのか、誤魔化す様に笑い。
「好きな物、は……」
周囲をくる、くる。と見回してみる。
たこ焼きお好み焼き焼きそば。
体質上、焼かれている物は好きには慣れなかった。
祭りの場で冷を取れる者と言えば、
「かき氷、かなぁ……」
マズい。
- 859 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/19(金) 01:27:30 ID:MCNbF1po0
- >>858
「…今の話じゃなくて、昔の話とかさ……」
出掛ける際に見かけてはいたが、まさか本当にアレだけとは思わず。
少し呆れたように苦笑しながら、そんな事を聞いてみる。
「……」
ですよねー、と言わんばかりの柔らかな微笑み。
これは覚悟を決めるべきかと、目を手で覆い思案。
「……か、買いに行く……?」
気分はさながら義父の元へ娘さんを貰いに行くアレ。
- 860 :双葉子 彗華:2013/07/19(金) 01:35:27 ID:C/Qjd6mM0
- >>859
「昔……」
ふと、頭に過去の記憶が呼び起こされた。
彗華は幼いころから過剰な人見知りであったが、今ほどでは無かった。
まだ小学校に通っていた時の、『とある事件』。そこから全てが変わってしまった。
それはとても冷たく、とても暗い記憶だった。
「……なにも、思い浮かばないです。すいません」
背けた顔は悲しい顔をしていて。
けれどもそれを誤魔化す為に無理に笑って振りむいて。目が合ってしまってまた背けたり。
「い、いいですよ。
お家でも食べられますし」
リョウの肩を押し親の元から遠ざけていく。
向かい合う少年程ではないが、少女にもそれなりの勇気が必要なのだ。
- 861 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/19(金) 01:42:55 ID:MCNbF1po0
- >>860
「……」
まずい事を聞いたか。
まず頭に浮かんだのはその台詞。
自分が先程まで思い浮かべていたのは、忘れてしまいたい過去に違いは無いが、決して辛い記憶と言う訳では無い。
だが恐らく、少女が今思い浮かべたであろう記憶は、そうでは無いのだと思った。
それでも、無理に笑顔を作る少女に追求は勿論、謝罪の言葉も何だか違うように思えた。
「……そっか」
だから、彼はほんの少しだけ、少女を抱き寄せるように腕を引いて、ほんの少しだけ、手を強く握った。
「別に俺の事は気にしなくていいんだぞ……?」
口ではそう言う物の、ガチガチに緊張しているのは目に見えていた。
暖かく無い、彼女でも食べれる物と考えて屋台を見渡し、目に入ったのは
「あ、林檎飴…」
- 862 :双葉子 彗華:2013/07/19(金) 02:01:04 ID:C/Qjd6mM0
- >>861
「わっ」
身体が傾き寄せられる。
密着も間近という距離になって、また耳まで赤くしながら俯いた。
少女の冷たい筈の吐息は、何時もと違って僅かに熱い。気がした。
「わ、私の事も気にせず好きな物を食べれば……」
お互いがお互いを尊重し、話が進まない。
拮抗を解いたのは少年の言葉。視線の先を同じにして。
「りんごあめ……いいですね」
ちょっと主食と言うには違うが、これなら少女も食べられる。
- 863 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/19(金) 02:11:54 ID:MCNbF1po0
- >>862
「あ、隣に綿飴屋もあるぜ」
砂糖のふわっとした匂いが此方まで届いてきて、思わず頬が緩む。
この少年も食べたいと言っては居た物の、猫舌であるため熱い物は寧ろ苦手な部類。
「ああ、向こうにはチョコバナナもある。目移りしちゃうな」
視線を移し移し、ようやく歳相応の明るい笑顔を見せる。
食事になるかは少し疑問だが、まあ夏祭りなんてこんなものだろう。
「んー、後はカステラ焼きとかなら冷めても美味しいよな……」
少女の前で小さく唸りながら、そんな事を呟く。
考えながらも、とりあえずは林檎飴をと屋台に向かう。
林檎飴屋と言うよりはフルーツ飴屋だろう。
べっこう飴に包まれた様々な果物が、宝石のように輝いている。
「なあ、どれがいい?」
- 864 :双葉子 彗華:2013/07/19(金) 02:20:08 ID:C/Qjd6mM0
- >>863
「甘いもの……どれも素敵ですね」
なんといっても少女である。
左右に並べられた屋台の、至る所から迫る甘味の誘いに惑わされる。
移り気な視線で、あれもいい。これもいい。と見つめる少女は年よりも幼げに見えた。
引かれて着いた飴やさん。
色んな物があるんだなぁ。と人差し指を唇に添えて感心のご様子。
微かに香る、溶けた砂糖に頬を緩ませたのち、オーソドックスな林檎の飴を選んだ。
- 865 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/19(金) 20:56:15 ID:MCNbF1po0
- >>864
「んー、それじゃあ……」
少し悩み、横に並べてあった杏飴を購入。
嬉しそうに笑いながら、受け取ったそれをパーカーのポケットに仕舞い込む。
「色々買って、何処か座れる場所に行こうぜ」
そう言って、手をしっかりと握り直し、歩き出す。
綿飴、チョコバナナ、冷たいジュース。何がいいかな、と辺りをキョロキョロ。
- 866 :双葉子 彗華:2013/07/19(金) 22:09:49 ID:C/Qjd6mM0
- >>865
まるまる一つが飴にコーティングされた林檎。
流石にポケットには入らなかったので右手に持って。
けれど、林檎色に輝いた飴を眺めるのも中々綺麗。
「そうですね、はやく食べたいです♪」
目の前の甘味にご機嫌な様子。
にまりと笑みを浮かべ林檎飴をじっと眺め緩く振る。一体幾つだ。
- 867 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/19(金) 22:30:52 ID:MCNbF1po0
- >>866
店を渡り歩いて綿飴やらチョコバナナやら、定番所を幾つか購入。
甘い物を抱えて嬉しそうに笑っているのは此方も同じで、こいつらは幾つなのかと揃って問われそうな雰囲気。
「こんな所か?後は座れる場所……」
んー、と背伸びをし、辺りを見回す。
しかし見渡す限り人、人、人ばかりで、座れる場所は中々見つからず。
「無いな……、あ、あっちでも良いか……?」
指差す先は、神社を横に抜ける道。
そちらまで祭りの明かりは届いて居らず、ほんのり暗く、人気も無い。
- 868 :双葉子 彗華:2013/07/19(金) 22:53:34 ID:C/Qjd6mM0
- >>867
17。本来ならば高校生である。
一般はいい感じに大人の自覚も出来る頃合いだが、
引き籠り故の経験の無さやおっとりとした雰囲気がそういった意識に脚を近付ける事は無かったらしく。
「うーん、ないですね……」
祭りにはかなりの人間が押し寄せていた。
時間帯のせいもあるのか、休憩スペースには人が埋まり切っていた。
代わりに。と提示された薄暗い小道。
「わ、わたしは……あっちでもいいですよ」
妖怪の類の癖に暗いのは少し苦手。
言葉とは裏腹に少年の手を握る力が少し強まった。
- 869 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/19(金) 23:02:58 ID:MCNbF1po0
- >>868
顎に手を付け、んん、と思案。
ちらりと彗華の顔を見て、ハッと何かに気付いたようにワタワタと慌て始め
「あ、い、いや、別に、その、変な事しようとかそんな事思ってないからな!違うからな!」
顔を赤くしながら手をパタパタと振り回し、ハア、とため息と共に
「た、ただ、その、人の居ない所の方が、彗華、落ち着けるかなと、思って、さ……」
俯きながらそう言って、恥ずかしさからか此方も少し強く手を握り返し
「あ、こ、怖いなら、もう少し探す、けど……」
- 870 :双葉子 彗華:2013/07/19(金) 23:13:37 ID:C/Qjd6mM0
- >>869
少年の言葉で少女もハッとする。
多分言わなければ気付かなかった。
「ふぇ!? だ、ダメですよ!
そ、そういうのは……あの、その」
捲し立てて否定しようとして、その後直ぐ言葉に詰まる。
助け舟のように出てきた気遣いに少女も乗り掛る。
「あ、そう言う事、だったんですね……。
たしかに、あっちのほうが、人がいないからおちつきます」
人混みの中と、人の気配のしない神社裏。
居心地は後者の方が断然よいのだろうが……やはり少しだけこわいらしい。
「でも、大丈夫です。リョウ君が傍にいてくれるなら……たぶん、ですけど」
- 871 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/19(金) 23:42:57 ID:MCNbF1po0
- >>870
「……じゃあ、手、ちゃんと握ってて」
そう言って、手を握りながら前へと歩き出す。
少し暗いその道は人の熱気から遠ざかるからか、少し肌寒いくらいの気温。
しかし、そのひんやりとした空気は二人に取っては寧ろ居心地が良いくらいかもしれない。
「んー、此処でいっか」
道の縁、生垣のようになっている所に座り込み、おいでと言うようにポンポンと隣を叩く。
- 872 :双葉子 彗華:2013/07/19(金) 23:49:46 ID:C/Qjd6mM0
- >>871
「あ……うん」
少々暗い場所ではあるが、やはり居心地は良い。
隣に腰を下ろし、ぼーっと、先程までいた人混みを眺めた。
「綺麗、ですね……」
屋台の照明や祭りの灯。
その明りや人々の熱気が、ここからではよく見えた。
- 873 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/19(金) 23:57:39 ID:MCNbF1po0
- >>872
「だな……」
少し離れて見てみれば、暑苦しい程だった熱気や匂いや明かりも綺麗に見えてくる。
茂みや草木の向こうに見えるそれは、何処かぼんやりとしていて、別の世界にでも来てしまったかのような雰囲気すらある。
「あ、食べる?もう熱くないと思うけど……」
ガサガサと袋を鳴らし、中身を覗かせる。
袋の中には甘い香りを放つ、カステラ焼き。
- 874 :双葉子 彗華:2013/07/20(土) 00:37:08 ID:C/Qjd6mM0
- >>873
その景色を、ぼんやりと眺めていた。
珍しく、少女が見せたのは何処か切なそうな雰囲気で。
「……あ、食べます」
しかし、少年の提案によってそれもすぐに打ち消される。
鼻をくすぐる甘い香りに顔はが緩く歪む。
指先でつまみふっ。と息を吹きかけてから、口に運ぶ。
「うん、おいしいです」
口でも味わった甘い感覚に、思わずにこり。
カステラをもう一つつまみ上げると少年へと向け。
「リョウ君も、食べますか?」
- 875 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/20(土) 00:50:03 ID:MCNbF1po0
- >>874
「……」
その横顔を見て、つい口を開きそうになる。
だが、それをぐっと堪えて、視線を祭りの灯りへ。
聞いていいものか、未だにいまいち少女との距離感を掴めずに居る。
「ああ、食べる食べる」
摘み上げた物を受け取り、ぱくり。
そのふんわりとした甘さに思わず頬が緩み、ふふ、と笑い声が出てしまう。
「……こうやって静かにお祭りを見るのは初めて、かなあ」
- 876 :双葉子 彗華:2013/07/20(土) 01:05:41 ID:C/Qjd6mM0
- >>875
尤も、それは先程少女が昔話を拒んだからだろうか。
少女は内に抱え込む。人を恐れる。
先の昔話も、今の表情も、それが絡んでいるに違いない。
「私は……お祭りに来たのは、初めてです。
今まで人混みが苦手で来なかったんですけど……楽しい、ですね」
少年の笑みを感じ取り、反響するかのように優しい笑い声漏らす。
楽しいのは、リョウ君と一緒だから。
解っていたけど、口にするのは難しくて、黙っている事にした。
- 877 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/20(土) 01:15:06 ID:MCNbF1po0
- >>876
言いたくないのならば無理に聞きはしない。
何時か話してくれる日を待とうと思う。
生意気で無愛想な少年にも、それぐらいの心遣いはあった。
「……」
それはそれとして、気にはなっているけれど。
その言葉を聞いて、一層嬉しそうに笑う。
照れたように頬をかいたりなんかしながら、
「本当か?なら、良かった」と、弾んだ声で言う。
「今まで、騒がしい姉ちゃんとしかお祭りなんて来た事無かったから、
こんな風に静かなお祭りも楽しいんだって初めて知ったよ。彗華のお陰だな」
横にいる少女に向けて、そう笑いかける。
- 878 :双葉子 彗華:2013/07/20(土) 01:33:14 ID:C/Qjd6mM0
- >>877
少女としても、何時か話さなければいけないと、思っている。
ただ、あの『昔』を、どうしても告げる気にはならなかった。
それが家族を除き、今までで最も深い絆を作った相手でも。だからこそ。
相手の嬉しそうな声に、心が跳ねる。
「えへへ……そんなことないです。
私は……ずっとリョウ君にくっついてただけですし」
お礼を言われると、否定をしながらも、やっぱり嬉しい様子。
恥ずかしそうに笑い、祭りを眺めていた。
- 879 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/20(土) 01:41:30 ID:MCNbF1po0
- >>878
「黙ってくっ付いて来てくれたから、だよ。姉ちゃんは騒がしくくっ付いてくるから……。くっ付いて……」
頭の中で思い出し、そしてフリーズする。
姉にも色々と押し付けられていた事を思い出し、徐々に頬が染まり、彗華の顔を見ていられずに顔を背ける。
「あ、そ、そう言えば……」
固まり気味の頭を動かし、時計を確認。
針の先に目をやり、「もう直ぐだ、彗華、こっちに来て」と、立ち上がり、少女の腕を引っ張る。
- 880 :双葉子 彗華:2013/07/20(土) 01:48:22 ID:C/Qjd6mM0
- >>879
「そう、ですか。
じゃあ……どういたしまして」
返礼は一層の明るさを持って。
だが、今度は少年の様子が可笑しかった。
「……ど、どうしたんですか? だいじょうぶですか?」
身を案じるばかりに近寄って、傍から冷たい息が伝わってくる。
それくらいには、近寄ってる証拠。案の定くっついてる。
「ふぇっ?」
不意に少年から手を引かれ、肩を寄せ合う。
その瞬間に顔は真っ赤に染まりあがる。
- 881 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/20(土) 01:54:25 ID:MCNbF1po0
- >>880
「だ、大丈夫、大丈夫…だから……」
顔を背けたまま、肘でお腹の辺りを押し返す。
冷たい息は心地よいが、そのまま居るには少し気恥ずかし過ぎて、首筋まで赤くなってしまう。
「こっちこっち!」
転ばない程度の速さで手を引きながら石段を駆け上がる。
徐々に祭りの灯りと音が遠ざかり、しんとした空気が広がっていく。
「よし、間に合った……ええっと、あっちかな……」
着いたのは神社の境内の横。
他には人は居らず、祭りの喧騒を見下ろせるような場所。
其処で、少年は何かを探すようにキョロキョロと夜空を見渡していた。
- 882 :双葉子 彗華:2013/07/20(土) 02:09:01 ID:C/Qjd6mM0
- >>881
「そ、そうですか……?」
押し返されてよた、よたと後ずさり。
如何にも納得が言って無いらしく、首を傾げていた。
「わ、とっ、とっ」
格闘戦を得意とする通り、身体能力自体は高く。
腕を引かれて不思議な感じは拭えない物の、躓くことなく着いていく。
「どうしたんですか……?」
同じようにそらをみて、何かを探してみるが特に何も可笑しなものは無い。
月がまんまるで、とっても綺麗。
- 883 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/20(土) 02:15:06 ID:MCNbF1po0
- >>882
態々口で言うのも何だかいやらしい気がして、
(頼むから自分で気付いてくれ、お願いだから……!)と、強く思っていたそうな。
「んー……そろそろの筈なんだけど……」
空の向こうと時計を交互に見つめ、ふうと息を付いた時。
シュルシュルと何かが風を切る音と共に、夜空にうねる赤い線。
線は月の近くまで舞い上がり、突然ふっと消えて。
「あ、始まった」
バン、と破裂音。
静かな境内に反響する音と共に、夜空に咲いたのは真っ赤な花の火。
- 884 :双葉子 彗華:2013/07/20(土) 11:41:30 ID:C/Qjd6mM0
- >>883
「あっ」
夜空に登る紅い光。
それに気付いたのは少年とほぼ同時。
ふっと、光と音が消えてしまったかと思うと、次の瞬間には音とももに円形に広がっていく光。
光の花。夜空とのコントラストで彩られたそれは、想像以上に美しかった。
「わぁ……!」
少女の感動は、初めて見た花火の美しさにも負けぬほど輝いていた。
呼吸のように、自然と出た感嘆の声。
気付けば境内の柵まで走りよる軽快なステップを刻む。
ぽん、ぽんと弾む身体に翻るスカート。運が良ければ淡いライトグリーンが拜めるかもしれない。
柵にまで近づけば、寄り掛かりじっと眺める。その瞳は少女らしく、乙女なのだと。
- 885 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/20(土) 21:35:02 ID:MCNbF1po0
- >>884
バン、バンと連続する破裂音。
打ち上げれた花火は次々に夜空で弾け、光り、広がり、散っていく。
一瞬一瞬、花火の光で赤や黄色に染まる光景が眼下に広がる。
「此処、あんまり人が来ないみたいでさ。
もしかしたら花火の時も、って思ったんだけど、当たりだったな」
後ろから歩み寄り、柵に頬杖を付くように寄りかかる。
「どう?気に入ってくれた?」
聞きながら少女に向かい、にっと笑いかける。
- 886 :双葉子 彗華:2013/07/20(土) 23:18:44 ID:C/Qjd6mM0
- >>885
「はい!」
余りの興奮に声のトーンも跳ね上がる。
ぐるりと向き直って、満面の笑みで首を縦に振る。
珍しく活気に満ち溢れた少女の透きとおる程綺麗だった。
- 887 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/20(土) 23:37:27 ID:MCNbF1po0
- >>886
「そいつは良かった」
答えながら返す笑いも、明るい満面の笑顔。
柵から身体を離し、くるりと反転。
「そんでもって、っと……」
掌を夜空へ向ける。
ふ、と息を吐いて手に力を籠めると、白い靄と共に生み出されるのは透き通った氷の塊。
その塊を握り潰すと、天へと一筋の線が昇って行き
「……こういうのも、結構綺麗じゃねえか?」
はらり、はらりと何かが空から降ってくる。
白くて軽くて、そして冷たい。
降りゆく雪は花火に照らされ、花火の光を反射する。
雪の一粒一粒が光に染まり、自分たちの元で花が咲いたかのように輝いている。
「俺達にはこっちの方が合うだろうし、な」
- 888 :双葉子 彗華:2013/07/21(日) 00:04:27 ID:C/Qjd6mM0
- >>887
ぱらり、ぱらり、と振り落ちる氷の粒。
ただの白い氷なのに、幾つもの光を浴びて幾つもの光を返す。
氷が虹の欠片になったのは、花火のお陰だと、気付くのにそう時間はかからなかった。
「綺麗です……」
空で輝いた光が、自分達の足元にも花を咲かせる。
ただの一つではなく、足元を覆うくらいに幾つも。
夏に咲いた冷たい花は、とても、とても、綺麗だった。
「素敵、ですね」
花火と、足元の雪。
その全てを視界に納めた最後に、じーっと少年を眺め……口元に手を当て、小さく噴きだして笑った。
- 889 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/21(日) 00:14:06 ID:MCNbF1po0
- >>888
「だろー?結構考えたんだぞ?どうやったらもっと綺麗に見れるかなって」
えへんと胸を張って偉そうに。
彼に似つかわしくない仰々しい身振りは、少女が喜んでくれた嬉しさを表していた。
「って、え……何?な、何か顔に付いてた……?」
- 890 :双葉子 彗華:2013/07/21(日) 00:29:38 ID:C/Qjd6mM0
- >>889
「そうだったんですか……とっても綺麗ですよ」
少年を褒めるに一番効果的だろう言葉。
だが、そうとしか言い表せない程に美しさは本物だと感じていた。
満面の笑みを浮かべ少年を眺める少女だったが……ふと目が合ってしまい、ゆで上がるかの如く赤面。
「えっと、リョウ君って意外とロマンチストなんですね」
けれども、ファンタジックなこの情景を作り出すのは、少々疑問だと感じた様で。
- 891 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/21(日) 00:50:11 ID:MCNbF1po0
- >>890
「んー……そう、かな」
その疑問に、照れるでも笑うでもなく、不思議そうな表情を返す。
首を捻り、揺れ落ちる雪を一つ掌で受け止める。
「ロマンチストっつうか……俺にはコレしか出来ないから。
こんな能力でも、彗華を楽しませるにはって考えたら、コレかなって思ってさ」
- 892 :双葉子 彗華:2013/07/21(日) 01:02:35 ID:C/Qjd6mM0
- >>891
純粋な優しさだけが詰められた言葉にまた赤面。
火照った顔をどうにかしよう。と、両手で抑え。
「あ、あの……ありがとう、ございます」
顔を背け、花火を眺める。
その最中、一歩、少年と身を寄せる様に近付いて。
- 893 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/21(日) 01:42:17 ID:MCNbF1po0
- >>892
「どう致しまして……っていうのも、何か変か?」
掌の上の雪を握りしめ、ニッと笑う。
柵を掴み、ふう、と息を吐きながら視線を花火へ。
その姿は彗華に信頼を置いている様子で、警戒心の欠片もない。
「……本当、綺麗だ」
- 894 :双葉子 彗華:2013/07/21(日) 01:51:36 ID:C/Qjd6mM0
- >>893
幾つもの花が打ち上げられ、闇夜に霞む。
たった一瞬の美しさ。その儚さは氷も同じ。
「……私、やっぱり、来て良かったです。
お祭りって、楽しいものなんだなぁって思ったんですけど……」
笑う少年の横顔を見つめる。
言う言いまいか悩んだ末に、口を開く。
「楽しかったのって、リョウ君が一緒だったから、なんですね」
- 895 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/21(日) 02:09:58 ID:MCNbF1po0
- >>894
次第に雪は溶けるように消えて行く。
花火も占めに入りかけ、無数の破裂音と共に幾つもの大きな華が夜空に咲き乱れる。
その中でも、少女の言葉はすっと耳に届き、少年は静かに笑う。
少々照れ臭い気もするが、そんな事より、そう言われた嬉しさが勝る。
「俺も、楽しかったのは彗華が一緒だからだと思う」
屈託の無い、素直な笑顔。
やがて、閃光と音だけの、華の咲かない火薬が打ち上げられる。
それは花火大会の終わりを告げる物で、下の灯りの中の人達もざわざわと歩き始める。
「……そろそろ帰るか」
- 896 :双葉子 彗華:2013/07/21(日) 02:19:07 ID:C/Qjd6mM0
- >>895
次々と咲き誇る閃光の華。
次第に激しさを増していくそれは、フィナーレの到来を感じさせた。
そして、夜空一面を埋め尽くさんと広がる花火を最後にして、花火大会は終わった。
「私が、くっついてるだけで、リョウ君が私の手を引いてくれて、
飴も綺麗でしたし、かすてらも美味しかったです。花火も……とっても嬉しかった。
それでも、私と一緒が。なんて言ってくれるリョウ君が……とっても優しいんですね」
少年を見つめ、微笑んだ。
それは花火にも雪の華にも負けず明るい笑顔。
「それで、えっと……」
もう一つ、言いたい事もあったのだが、
「帰り、ましょうか」
ちょっと、言うには恥ずかしくて。
- 897 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/21(日) 02:35:16 ID:MCNbF1po0
- >>896
「……そうでもねえよ」
自分はしたいようにしているだけ。
居心地が良い場所に、良いように居るだけ。
それを優しさと呼ばれるのは、少し罪悪感を覚える。
だが、そんな物も少女の笑顔を見れば何処かへ吹き飛んでしまう。
「おう、帰ろうか」
笑いかけながら、そっと手を差し出す。
- 898 :双葉子 彗華:2013/07/21(日) 02:42:10 ID:C/Qjd6mM0
- >>897
「そうですか?」
言葉の終わりには警戒な笑い声が添えられる。
帰ろう。提案に乗って歩いてきた方向へと背を向ける……のだが。
くるろと振り返り、地面に残る氷の後。
それを繁々と眺め……何かを思ったのか唇に人差し指を乗せて考える。
次に、自らの腕をペタペタと触る……冷たい。少女はうんと頷いて少年の横に並んだ。
「リョウ君も氷の魔法が得意なんですよね?
……だったら、リョウ君と一緒に眠ったら涼しいんですか?」
こんなことを言いだした。
- 899 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/21(日) 02:49:38 ID:MCNbF1po0
- >>898
「は?」
きょとん。
この子は突然何を聞いているのかと、呆けた顔を見せる。
「姉ちゃんよりは体温は低いけど……涼しくは無いんじゃないかな」
何故そのような事を聞くのかと、ひたすらに不思議そうな顔。
- 900 :双葉子 彗華:2013/07/21(日) 03:00:11 ID:C/Qjd6mM0
- >>899
「そうなんですか……」
残念そう。
物凄く真面目に悲しんでるから、きっと本心なのだろう。
雪女の体質的に、この夏は夜でも厳しいらしく。
帰り路。
祭りの余韻というのは、なんだか寂しくもあった。
この想い出は、忘れないだろうけど念の為。
「手、繋いでもいいですか……?」
- 901 :リョウ ◆uotUYGHVwM:2013/07/21(日) 03:08:28 ID:MCNbF1po0
- >>900
「……氷の抱き枕でも作ろうか?」
細かい造形は苦手だが、大雑把な物なら容易に生み出せる。
それこそ、彼女が抱きつくくらいの氷なら今直ぐに創りだす事も難しくは無い。
そう言う事では無いであろう事に、この少年が気付く事は無いが。
「ん、ほら」
手を差し出し、しっかりと握る。
聞きたい事を全て聞けた訳では無い。
だが、それも良い物だと思った。
時間は有限だが、それでも充分に時間はあるだろう。
今日聞けなかった事は、また何時か聞けばいい。
今日言えなかった事は、また何時か言えばいい。
寂しくも嫌いではない祭りの余韻は、何だかそう思わせてくれた。
- 902 :名も無き異能都市住民:2013/08/04(日) 23:09:20 ID:IRZRROfE0
-
◆ダイダロス・テック&システムズ社から模擬戦闘依頼のおしらせ◆
当社製品の性能テストに参加いただける異能者、傭兵、冒険者様を
募集しています。内容・募集要項は以下の通りです
・内容 【自社製品自律思考回路強化のためのデータ収集試験戦闘】
我が社の主力製品であるTDシリーズの自律思考回路強化およびデータ収集のため
試験的に戦闘を行っていただける方を若干名募集いたします。戦闘は仮想空間上にて
おこなうため、負傷・死亡の可能性は全くありません。
・条件
性別年齢問わず戦闘能力に自信のある方。
・報酬
戦闘1回200000クレジット+内容によって追加。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
異能都市のさまざまなギルドやコミュニティにこうした、
依頼の情報が舞い込むのは、日常茶飯事である。あなたは、
この依頼を報酬目当てか、それとも戦闘を求めてか、あるいは別の目的か。
この依頼を引き受けたのだった。
【イデアの箱庭】
事前に通達された、特別なコードを入力してからイデアの箱庭にログインする。
「ようこそいらっしゃいました。内容はすでにメールで送信した通りです。
問題なければ、すぐにもテストを開始したいのですが、よろしいでしょうか?」
緑色のワイヤーフレームで構成された、殺風景な空間。
ここが、ダイダロステック&システムズ社が用意したテストスペースらしい。
ログインするなり研究者のモノと思われる声がそのがらんどうの空間に響き、
最後の確認をする。
- 903 :月夜:2013/08/04(日) 23:34:43 ID:dL8H4NjE0
- >>902
「構いませんよ、始めてください」
目を開いた月夜は周囲を確認、地形の把握を行うとそう告げる。
直後、ポーチから小さな球体の機械を三つ程取り出すと、それを上空へと投げ上げる。
『……起動完了。通信状態良好、各機体オールグリーン』
『いつでもいけますよ、マスター』
「了解、ちゃんと視ておいてよ」
頭の中に鳴り響く電子音に、月夜は少し満足げに答える。
この実験、正直報酬など月夜にとってはどうでもよかったりする。
彼女の目的は研究者と同じくTDシリーズのデータ収集。
上空にいる小型機械はそのためのものである。
誤魔化すために簡易的な武装もつけてはいるが、まあ使うことはないだろうと月夜は踏んでいた。
- 904 :名も無き異能都市住民:2013/08/05(月) 00:04:13 ID:IRZRROfE0
- >>903
「分かりました。それでは、試験を開始します。」
至極事務的な研究者の言葉。
それから、マイクがオフにされるまでの数秒の間に
カチャカチャとキーをたたく音が聞こえて。
――『TD-TEST』さんがログインしました。
箱庭のシステムアナウンスと共に、
月夜から10mほど離れた場所に瞬時に4体の人影が転送される。
ダイダロス・テック&システムズ社の主力製品「タクティカルドローン」。
そのもっとも普及した、基本モデルだ。
外見はアーマー部分の灰色と、可動部の黒のツートン。
所作はなめらかで完全に人間のそれに近く、見たことのない者であれば
パワードスーツを纏った人間と考えるのが自然であろう。
「目標を確認した。攻撃を開始する。」
電子音声がドローンから発せられると同時に、4体がそれぞれ、
月夜に対して専用デザインのアサルトライフルを構え――。
一斉にそれを放つ。
映画のヒーローのように腰だめでやみくもに連射するのではなく
内蔵の高性能センサーとAIによる精密な射撃は、やみくもに回避して回避しきれる
ものではない。
- 905 :月夜:2013/08/05(月) 00:20:37 ID:dL8H4NjE0
- >>904
「さて……実際に見るのは始めてだね」
『私の踏み台になる贄ですね、回路は私の方で解析していきます、適当にやっててください』
その言葉を皮切りに、月夜は身を屈めて走り出す。
始まるアサルトライフルによる掃射、しかしそれは全て紙一重のところで避けられる。
いや、避けられているのではない。軌道が全て月夜に当たる少し前で微妙にずらされている。
「直線で私は捉えられませんよ!」
いつの間にそこにあったのか、左手に握られた複数の光るナイフを1体の膝部分目掛けて投てきする。
さらに右手に握った長剣で、他の一体の左腕可動部を切り上げようとする。
- 906 :名も無き異能都市住民:2013/08/05(月) 00:35:21 ID:IRZRROfE0
- >>905
――シャキッ
投擲されたナイフは、一体の膝部分をとらえた。
しかし、相手は機械であり人間であればあるはずの「ひるみ」がなく、
問題なく射撃を続行する。
なおかつ、ライフル弾をかいくぐり接近する月夜に対し、
ドローン部隊は散開するように移動。一体に斬りかかる月夜を四方から包囲し
十字砲火を狙う。
そしてまた、標的となった一体ものんびりと
斬られるのを待つほど悠長には動かない。素早くかがむような動作で一瞬、
タメをつくり、月夜に向けて相打ち覚悟のタックルを繰り出してきたのだ。
- 907 :月夜:2013/08/05(月) 01:01:22 ID:dL8H4NjE0
- >>906
『囲まれましたか、一機の視界をリンク、確認してください。』
『軌道変更の演算アシストを使えば対処には困らないはずです』
上空にいた球体の内の一つが月夜達の真上に降りてくる。
月夜の脳の一部である『彼女』にとって、自らの視界、つまりカメラの映像を月夜と共有させることなど容易いことだ。
やりすぎると月夜自身が処理しきれなくなるため、複数リンクさせることは難しいが、一機程度ならそれほどの負担にはならない。
カメラの映像を自らの第二の視界として、月夜は相手の位置を把握、軌道変更を一通りシミュレートする。
「っと!」
タックルが月夜に当たる直前、月夜の体が「ズレる」。
まるで位置座標だけそのまま変わったかのように、体制はそのままに体だけが横に移動したのだ。
移動の勢いをそのまま回転の力に変え、タックルを仕掛けてきた一体の首を刈るように回し蹴りを放つ。
- 908 :名も無き異能都市住民:2013/08/05(月) 01:07:52 ID:IRZRROfE0
- >>907
月夜の不可解な移動には、
さしものAIも反応できず、一瞬射線からも解放されフリー状態となる月夜。
無防備な一体の首への回し蹴りはきれいに決まる。
しかしながら、相手は戦闘用のロボットである。
女性の蹴り程度で戦闘に使用が出る程度のヤワなつくりはしていない。
とはいえ月夜が身体能力の高いタイプの異能者であれば、問題なくしとめられるはずだ。
「なんらかの得意能力の発動を感知。
データをサーバに転送。戦闘を続行します。」
残り3体は器用に距離を保ちつつ、攻撃を続行。
気を抜いたり、不用意な攻めっ気をだしてしまうと、一瞬でハチの巣と化すだろう。
- 909 :月夜:2013/08/05(月) 02:07:13 ID:dL8H4NjE0
- >>908
「いっ……相手の装甲甘く見てたかも」
結果として、月夜の蹴りは相手を仕留めるには至らなかった。
しかも反動のせいで月夜自身の方がダメージが大きいようにさえ見える。
『変に調子づくからですよ、というか装甲の強度の予想データ送りましたよね?なにやってんですか無能、やーい無能』
頭の中に響く無感情な罵倒の声に若干涙目になりながらも剣を構え直し、掃射の軌道変更を行う。
ある程度の距離があるからこそできるこの芸当は、裏を返せば下手に接近することは最悪死に繋がることを意味する。
相手の性能や数を考えると、同じように突っ込むのは得策ではない。
ならば、一つ策を練り込むまで。
ポーチから取り出した円筒状のものを相手の中心目掛けてなげつける。
その正体はグレネード。投げ返すほどの時間も与えず爆発が起こると、爆炎の熱と煙が周囲を包み込む。
ややあって視界が開けると、月夜は元いた場所から消え去っているだろう。
- 910 :名も無き異能都市住民:2013/08/05(月) 20:30:04 ID:IRZRROfE0
- >>909
ポーチからグレネードを投擲した、その時。
――ダダダッ!!
蹴りを受けて倒れたドローンが寝た状態のまま状態だけを起こして、
月夜を狙い撃った。その直後に爆発が起こったため命中の真偽は不明だが
相当な至近距離からの銃撃であり、剣による防御は難しいだろう。
「対象をロスト。索敵行動に移ります。」
互いに距離を十分に開いた敵の中心へ投げ込まれたグレネードは
ダメージには結びつかなかったが本来の狙いであろう視界の奪取には成功した。
爆音と熱で、各種センサーを一時的に無効化できたのも大きいだろう。
ドローンたちは先ほどよりもやや密に――。
それでいて、グレネードでの一網打尽にならない距離感を保ちつつ
お互いにカバーしながら周囲を警戒する。
- 911 :月夜:2013/08/05(月) 22:05:45 ID:dL8H4NjE0
- >>910
煙が晴れ、視界が戻るその直前。『彼女』が仕掛けてきた方向は上空からだった。
アサルトライフルに似た二つの掃射音が鳴り響き、対極の位置にいる二体を襲う。
一切のブレのない精密射撃が、相手の頭部を撃ち貫こうとする……
が、もしそれに反応して上方を見上げたとしてもそこに月夜はいないだろう。
いるのは小さな機体には少し不釣り合いな銃身を引っ提げた二つの球体のみ。
要するにただの囮である。
そして本命の行動はその少し後に起こる。
残りの二体の内の一体、月夜に至近距離で銃撃した方に何かが転がり込む。
円筒の形を持つそれの効果は先程のものと全く同じもの。そして、投げ込まれた方向はそれが爆発したのと全く同じ所から。
月夜はまさにその場所にいた。
月夜が作り出せるのは何も剣だけではない。
グレネードが爆発した直後、光の盾を作り出し自身を守る防護壁としながらその中心部に潜り込んだのだ。
「……!」
グレネードを投げ込み、爆発の確認もしないまま月夜は最初の爆発で起きた地面の窪みから這い出し、最後の一体に接近する。
爆発の衝撃に耐えられなかったのか、盾は砕け粒子となって右手に纏われている。
月夜はそれを再び剣と為し、相手の首を刈らんと剣を横に凪ぐ。
- 912 :名も無き異能都市住民:2013/08/05(月) 22:18:12 ID:IRZRROfE0
- >>911
射撃がドローンの頭部をとらえるとほぼ同時に、
4機による激しい射撃が再開された。
しかしながら、さすがに銃弾に直撃されては
ダメージがあるようで一機はY字型に走るスリットのような
赤く光るカメラ部分から火花を出しており、明らかな射撃の精度低下がみられる。
たまらず回避動作をとる攻撃を受けた2機だが、例の火花を出したドローンは
逃げきれずに頭部を破壊されその場にばたりと倒れた。
そして煙の中から月夜が飛び出す。
本来、この機のカバーに入るべき機体には例のグレネードが投擲され、
それを蹴り飛ばそうとする動作をとっていたために、カバーが間に合わない!
完全に不意を突かれた形のドローン兵は反応こそしたもの、
回避動作も反撃も行えず首を絶たれるが……。
未だ、その機能は生きているのか月夜を最後に見た方向へ銃を乱射し始めた。
- 913 :月夜:2013/08/05(月) 22:34:48 ID:dL8H4NjE0
- >>912
球体の持つ弾数はそこまで多くないのか、撃ちきると同時に距離を取って離れていこうとする。
だが、それより早く銃弾の嵐に見舞われた二機はあっけなく撃墜され、地面に墜落する。
「――ッ!」
仕留めたと思った直後の乱射。
反射的に回避行動に移ろうとするが、爆風と至近距離での射撃で足にできた銃創によるダメージは予想以上に大きかったらしい。
横に跳ぼうとしたが上手くいかず、脇腹の位置に銃弾を受け赤い染みを作りながら倒れ混む。
すぐさま立ち上がろうとするが、若干のもたつきがある。
あまり芳しくない状況だ。
- 914 :名も無き異能都市住民:2013/08/05(月) 22:47:40 ID:IRZRROfE0
- >>913
月夜の放った球体からの攻撃を受け、
破壊されなかった一機、そして投擲されたグレネードを蹴り飛ばし
ダメージを回避した一機が冷静に射撃を繰り返しながら、月夜へと距離を詰める。
そしてさらに、先ほどまで出鱈目に銃を放っていた、
頭を吹き飛ばされた一機が、先ほどと打って変わって非常に精密な射撃を
くりだしてきたのだ。
これは、自信をダイダロス社のデータベースへと同期させることにより、
他の機体から送られたカメラアイの映像をデータとして取り込んだことによるもの。
連携と高度なAIがウリとうたう同社の看板に偽りはないのだ。
- 915 :月夜:2013/08/05(月) 23:12:49 ID:dL8H4NjE0
- >>914
「マズいな……」
普通に動いたのでは避けきれないと悟るや否や、能力で自分の体を操り距離を離しつつ銃弾を回避する。
痛みのせいでそれが精一杯なのか、他のことまで気が回せていないようで、攻撃に移るような様子はない。
完全にジリ貧。
『ネットワーク接続状態不良、ユニット後方支援不可』
『プラン変更、0.5秒後に3m後方で銃身をパージします。回収後ターゲットを撃ち抜いてください』
『ユニット連携の演習でやった内容です、やってください』
ここまでか、と思ったその時、無機質な機械音声が一方的に話しかける。
リンクしたカメラから流れ込む映像は、前方の三体の敵と月夜自身。
言葉通りに月夜は後方に跳び、指示通りにきっかりコンマ5秒後、最後一体の球体から銃身が離れ落ちる。
球体の視界を通じてその位置を把握すると、しっかりと右手にアサルトライフルを握り混み、それを前方に向ける。
そこからは一瞬だった。
打ち出された弾は三発。そのそれぞれが相手のアイカメラを捉え、貫こうとする。
- 916 :名も無き異能都市住民:2013/08/05(月) 23:23:05 ID:IRZRROfE0
- >>915
正確に放たれた3つの弾丸は、
それぞれのカメラアイを寸分の狂いなくとらえた。
いくらAIとはいえ、量産機程度のポテンシャルでは
銃弾を回避することは不可能なのだ。
――ビーッ。
そしてここで、ブザーが鳴る。
テスト終了の合図のブザーだ。
- 917 :月夜:2013/08/05(月) 23:30:18 ID:dL8H4NjE0
- >>916
「あー……」
その場に倒れ混む。
銃を握ったこと自体数年ぶりだというのに、そんな精密射撃を要求するなど無茶にもほどがある。
結果的に成功したからよかったものの、失敗した時のことを考えると目もあてられない。
「すいません、報酬は後日振り込んでください……」
倒れたまま端末を操作すると、月夜は箱庭からログアウトしていった。
//これで〆でいいですかね?
- 918 :名も無き異能都市住民:2013/08/05(月) 23:44:33 ID:IRZRROfE0
- >>917
「お疲れ様です。
先ほどの戦闘でいくつかの有用なデータの採取ができましたので
後日、報酬のほうをお送りさせていただきます。本日はありがとうございました。」
研究員のアナウンスが再び響き、月夜の体が仮想空間からログアウトする。
後日、月夜の指定した口座には先の基本報酬よりやや多めの額が振り込まれていた。
// 〆!おつかれさまでしたー。
- 919 :月夜:2013/08/08(木) 22:22:09 ID:dL8H4NjE0
- 『データのバックアップ完了、続いて通信テストを開始』
「ん、問題なかったらそのまま終わって」
『了解しました』
公園のベンチに座りながら、何やら怪しげなことをしている少女が一人。
金色の瞳は彼女の膝元のノートPCに向けられ、両手の指は休む暇なくキーボードを叩き続けている。
側にあるのは4つ程の黒い球体。大小様々なそれは、スーパーボールくらいの大きさのものもあればバスケットボール大のものもある。
『……全機問題なし、接続終了』
「おっけー」
パソコンの中から響く機械音声に答えると、コードを球体から引き抜いてポーチの中に仕舞う。
どうやら一段落ついたらしい。
PCを横に除けると、そのまま一人で自販機の方に向かっていく。
- 920 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/08(木) 22:26:32 ID:Cj56oKQw0
- >>919
「あつい…あついー」
【自販機の方にはやたら暑い暑いと連呼している学生がいた】
「暑さを更新しすぎじゃないですか全く何がどうなってるのか…」
【何かグチグチ言いながら自販機のボタンを押す。ジュースを取り出して振り向いたところで】
「あ、待ってましたか?すいません、もう終わりますので」
【そういって自販機の横に立ってじっと月夜を見つめる】
- 921 :月夜:2013/08/08(木) 22:38:04 ID:dL8H4NjE0
- >>920
「いえいえ、気にしないでください」
ニコニコと笑みを浮かべて返答する。
「あー……なに買いましょう……」
迷いながらも月夜は炭酸飲料のボタンを押す。
取り出し口に落ちてきたペットボトルを手に取りキャップを捻ると、プシュッと心地いい音が響く。
「……何か?」
一気に3分の1程度喉に流し込むと、視線に気づいたのか鶫の方に目を向ける。
- 922 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/08(木) 22:46:22 ID:Cj56oKQw0
- >>921
「んー…いえ、何でもないんですけど…」
【ジッと月夜の顔を見つめる】
「どこかで見たことあるかなって…」
【もしかしたら期のせいかもしれないが、ひとまず尋ねてみる】
- 923 :月夜:2013/08/08(木) 22:52:10 ID:dL8H4NjE0
- >>922
「んー……」
たしかに言われてみれば見覚えがあるような、ないような。
『データベース参照、該当者一名。記憶に残ってる分だと恐らく二回会ってます』
『つーか早く戻ってきて下さい盗まれでもしたらどうすんですか無能、やーい無能』
思い出そうと記憶を呼び覚まそうとしていた時、そんな機械音声がベンチの方から聞こえてくる。
それがベンチの上に無造作に置かれているPCからのものだと言うことに鶫は気づくだろうか。
- 924 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/08(木) 22:55:27 ID:Cj56oKQw0
- >>923
「ん…今そこから何か声が…」
【ふと、鶫は声のした方へ歩いていく】
「もしかしてテレビ電話ですか?このパソコンから声が聞こえますねえ」
【じーっとPCを見つめながら言う】
- 925 :月夜:2013/08/08(木) 23:08:44 ID:dL8H4NjE0
- >>924
『どうも、私とははじめましてですね』
『わたくし月夜さんの戦闘面など諸々でのサポートを担当する凄腕敏腕秘書でございます』
『訳あって素性は明かせませんがよろしくお願いします』
月夜に向けた暴言とは打って変わって丁寧な言葉遣いで対応する。
「ま、まあそんなとこです。」
苦笑いの表情で近づいて来た月夜は、そのまま何も言わずノートPCを閉じる。
その顔に若干冷や汗が浮かんでいるのは気のせいだろうか。
『日常会話用プログラムを先にインストールしておいてよかったですね』
『つーか仮とはいえあの設定流石に無理があるでしょう、もう少しマシなのにできなかったんですか?』
と、そんな言葉が月夜の頭の中に直接鳴り響く。
誰が気づくだろう、その凄腕敏腕秘書とやらが月夜の頭の中に存在するAIだということに。
「えーと、鶫さん……でいいんですよね」
無理矢理話題を変えるように、口を開く。
「もしよければ、少しテストに付き合ってくれません?」
- 926 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/08(木) 23:19:37 ID:Cj56oKQw0
- >>925
「ああ、初めまして…」
【慌てて頭を下げる鶫】
「まぁ聞くつもりもありませんから、よろしくお願いしますね。秘書さん」
【便宜上として秘書さんに微笑みながら挨拶する】
「あら、もっとお話ししてもよかったんですけど…」
【AIだとは知らない鶫は少し残念そうにつぶやいた】
「はい、それが私の名前です…
テスト…?」
【不思議そうな顔をしながらも、テストと言う言葉に興味を持った鶫は】
「どんなテストですか?お手伝いできるなら…」
【特に疑うつもりはないようである。穏やかな表情で了承した】
- 927 :月夜:2013/08/08(木) 23:35:32 ID:dL8H4NjE0
- >>926
「これの動作を確認したいんですよ」
月夜はベンチの上に転がっている四つの球体を指差す。
大小様々なそれらの内、大きな方には球体の直径以上の銃身が装着されているものもある。
一目見てそれが戦闘用のものだとわかるだろう。
「この支援ユニットと私を相手にして戦ってもらいたいんです」
「もちろん報酬はお払いしますし、箱庭を使用するんで死ぬ危険性とかもありません」
「どうですか?」
- 928 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/08(木) 23:37:33 ID:Cj56oKQw0
- >>927
「これは…なるほど、武器の性能テストですか…」
【浮き上がった4つの球体を見て、納得したように言葉を返す】
【両手をがしっとつかんでにやりと笑って答える】
「いいですよ。ご期待に添えるかどうかはわかりませんが…
本気で行きますから」
【にやりと笑いながら許可を返した】
- 929 :月夜:2013/08/08(木) 23:51:09 ID:dL8H4NjE0
- >>928
「それじゃあ早速行きましょうか」
側にある箱庭への転送装置を二度三度操作し、先に箱庭に入る。
「よし……」
『これでプログラムにバグがあったりしたら笑えますね?』
「あんたが確認したんだから少なくとも構文ミスはないでしょ、あとは変な動きをしないことだけ祈るよ」
浮遊する四つの球体を眺めながら胸に手を当てる。
今箱庭が再現しているのは複雑に入り組んだ路地裏。
狭い通路と豊富な逃げ道、様々な障害物という、戦い辛い状況をとにかく詰め込んでいる。
- 930 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/08(木) 23:58:04 ID:Cj56oKQw0
- >>929
「はい、あとから行きますよ」
【そういって鶫も転送装置へ立った】
【箱庭/路地裏】
「ここは…ずいぶんとやりづらそうなところを選びますね…」
【あたりを見回しながら難しそうな表情をする】
「それじゃあ…まずはちょっと待ってくださいね」
【そういって両手をぐっとつかみ、エネルギーチャージし始める】
「その球体がどんな技を使うかをまずは…確認しないと!」
- 931 :月夜:2013/08/09(金) 00:11:18 ID:dL8H4NjE0
- >>930
「どうぞどうぞ、思う存分確認してください……それじゃ!」
告げるや否や、月夜は鶫に背を向けて全力で駆け出す。
路地裏の角を左に曲がると、そのまま見えなくなってしまった。
浮遊している三つの球体の内、外見から武装が確認できるのは二つ。
バスケットボールより少し大きいものと、ハンドボールくらいのものだ。
ハンドボール大の方は鶫と月夜が走り去っていった通路の間に立ちふさがるように浮遊し、もう一つはその上空に陣取る。
残り一つ、野球ボールくらいの大きさの球体は、更に上空へと飛んでいった。
大きさと距離を考えると、狙撃しても当たる可能性は低いだろう。
更にもう一つ、箱庭に入る前はあったはずのスーパーボール大の球体が消えている。
どこにいったのだろうか。
- 932 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/09(金) 00:19:33 ID:Cj56oKQw0
- >>931
「あっ…ちょっとまった!!」
【鶫は大急ぎで月夜の後を追いかけていく。】
「なぁにこっちも足が速いですから・・・!」
【鶫は靴にも力を込めて先ほどよりも速い動きで路地裏の角を進んでいこうとする】
「あっ…さっきの球体が…」
【あたりを見回し、立ちふさがる球体を確認する】
「むぅ…壊していくべきか…って罠ですよねぇそれは」
【警戒しながらじっと見つめる…】
「とはいえこのままでもダメですよね…試してみますか…!」
【そういって浮遊する球体へ、少し左右へ動きつつ勢いよく拳を振りおろしていった】
- 933 :月夜:2013/08/09(金) 00:31:30 ID:dL8H4NjE0
- >>932
球体はブースターを前、つまり鶫のいる方向に向けると一気に噴射。
ブースターによる熱を鶫に与えながら後退し、拳を避ける。
熱量こそ少なくはないが、元々攻撃用ではないことや、噴射時間が一瞬だったので、精々かなり熱く感じる程度のものだろう。
後退した球体は、下部に取り付けられたアサルトライフルの銃口を鶫の足元に向け、二発弾を放つ。
更にそれと同時に、上から円筒状のものが降ってくる。
その正体はスモークグレネード。同じく鶫の足元に落ちるそれは、なんの妨害もなければノータイムで炸裂、辺り一帯を煙で包み込むだろう。
- 934 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/09(金) 00:36:59 ID:Cj56oKQw0
- >>933
「うわっ…暑い暑い暑い!!」
【凄まじく放射されたブースターの熱を受けて鶫は急いで後方へと飛ぶ】
「むぅっ…よけないと…!」
【重工が自分に向けられているのを見て、すぐに脇道によけてかわしに行くが】
「これはあぶなっ…!」
【飛んできたグレネードを見て思わず勢いよく蹴りとばすが】
【飛んだ瞬間に煙が炸裂。あたりは黙々とした煙に包まれた】
「…煙ですか…ここは抜け出すべきですかね…!」
【慌てて鶫は前方へ向けて駆け出していく…】
- 935 :月夜:2013/08/09(金) 00:50:47 ID:dL8H4NjE0
- >>934
『タイプ3異常なし、タイプ4グレネード機構異常なし、全機カメラ異常なし』
『今の所順調ですね、あとはタイプ4の武装だけですか』
「タイプ4を地上へ、とにかく二機で時間稼ぎ」
『了解です』
路地裏を駆け回りながら、月夜はAIに指示を出す。
左に右に、とにかく鶫の戦闘位置から離れるように走り続ける。
「煙幕から抜け出した所でタイプ4で攻撃、とりあえずその後は任せる」
『りょうか……それ以上離れると接続状況が悪化します』
鶫が煙幕を抜け出した先には、先程スモークグレネードを放り込んだ機体が。
その下にはもう一機と同型のアサルトライフル。
球体はその先を鶫に向け……しかし、弾は放たれない。
その場でホバリングしたまま動かなくなってしまった。
- 936 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/09(金) 00:56:35 ID:Cj56oKQw0
- >>935
「やっぱり罠が仕掛けられていましたか…!」
【目の前に飛び込んできた球体をみて身構えるが…】
「攻撃してこない・・?これも罠ですかね…とりあえず」
【鶫は鉄砲を取り出して力を込めて】
「試してみますっ!」
【弾丸を発射すると同時に隙間を縫って先へと走っていく】
- 937 :白月 月夜:2013/08/09(金) 01:12:37 ID:dL8H4NjE0
- >>936
鶫の放った弾丸は球体のカメラ部分を捉える。
自らの視覚を失った球体は、鶫の位置を把握することがらできず、前進を許してしまう。
『接続領域復帰確認。接続テスト開始……オールグリーン』
『――タイプ4のカメラが破壊されてます、少し遅かったですね』
「課題が増えるなあもう……いいや、私も加わる」
『さっさとそうすればよかったんですよ、何チキンになってんですか無能、やーい無能』
鶫の後ろからハンドボール大の球体――AIがタイプ3と呼んでいたものが迫ってくる。
球体は銃口を鶫に向けると、後ろから射撃。
狙った先は右足。撃った弾は3発。当たれば痛いどころではすまされないだろう。
- 938 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/09(金) 01:17:56 ID:Cj56oKQw0
- >>937
「とりあえず先へ行けそうですね…っと!」
【後ろから迫ってくる旧態を見てすぐさま体制を取ろうとする】
「なんのっ!」
【その場で素早く飛んでかわそうとするが】
ばしゅっ
「くぅっ!!」
【撃たれた弾のうちの一発が鶫の足に命中してしまい、その場で動きが止まってしまう】
「この程度まだ!!」
【ひるみながらも鉄砲を弾丸を放った球へ向けて発射する】
- 939 :白月 月夜:2013/08/09(金) 01:29:33 ID:dL8H4NjE0
- >>938
銃口を向けられた途端、球体は攻撃の手を止め回避行動に移る。
放たれた弾は球体の外装に当たり、その場所を凹ませるだけに留まった。
無力化するにはもう何発か打ち込むか、先程のようにカメラ部分を破壊するしかないようだ。
相手の攻撃の回避を最優先に行動していた球体だが、ここで少し変化が生まれる。
機体下部のアサルトライフルをパージすると、鶫目掛けて機体自ら突撃したのだ。
大きさはハンドボール程度とはいえ、速度、重量共に中々のものである。
当たればそれなりのダメージは入るだろうし、また、避けたとしても再び戻って突撃を繰り返すだろう。
- 940 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/09(金) 01:49:09 ID:Cj56oKQw0
- >>939
「固い…ですね…
どうすれば…ん?」
【球では少し力が足りない、そう思っていると。突然その子機の変化が現れる】
「そうくるなら…」
【突撃の姿勢にしめたと感じた鶫は力をためた右手をぐっと握ると】
「これでどうだっ!!」
【勢いよく突撃してくる球体へパンチを打ち込んでいく。強化された腕は壁を余裕でぶち抜く威力を誇るが…】
- 941 :白月 月夜:2013/08/09(金) 21:09:02 ID:dL8H4NjE0
- >>940
鶫の強化された力は、しかしかえって仇となる。
拳は外装を打ち貫き、球体の中心部にまで達した。そこで球体に変化が現れる。
黒煙を吐き出し始めると、機体が爆発を始める。
残っているブースターの燃料全てを爆薬として、球体は最後の足掻きを見せるだろう。
- 942 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/09(金) 21:21:55 ID:Cj56oKQw0
- >>941
「ぶっ壊した…ん?!」
【鶫はあちこちが爆発を始めた球体を見て即座に】
「これって自爆…?まずいっ…!」
【慌てて右手を球体から引き抜いて後ろへと飛んでいく】
「爆発がどの程度なのかは和歌r時ませんけど…」
【両手を組んでできる限り後ろへと離れていくが…】
- 943 :白月 月夜:2013/08/09(金) 21:49:44 ID:dL8H4NjE0
- >>942
爆発の威力自体は外装の破片に当たりさえしなければ大したことはないだろう。
爆炎は鶫に当たるほどではない代わりに、黒煙を伴って通路を塞いでいく。
そして煙が完全に鶫の前方を覆った時、銃声と共に数発の銃弾が煙の中から鶫へ襲いかかる。
そしてそれを追うように現れる一つの人影。月夜だ。
「っふ!」
左手に球体がパージしたアサルトライフルを持ち、鶫の肩から脇腹を切り裂こうと剣を振るう。
- 944 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/09(金) 22:00:17 ID:Cj56oKQw0
- >>943
「くっ…」
【飛び散った破片をどうにかかわしてあたりを見る】
「こうまっ黒じゃあ何もわかりませんね…」
【そういってひとまず前方に顔を向けようとするが】
バシュゥン!
「うぅっ…!」
【数発の銃弾は鶫の体を何発かかすめながら飛んできた】
「なにをっ…!こんなことで!」
【目の前に現れた月夜の武器を確認すると】
「止まるつもりはないですっ…!」
【手袋を強化した右手で剣につかみかかって、左手を勢いよく月夜に向けて振り回した】
- 945 :白月 月夜:2013/08/09(金) 22:16:00 ID:dL8H4NjE0
- >>944
「止まってもらいますよ……!」
剣が掴まれたと認識すると、その勢いが殺される前に剣を粒子に戻す。
そのまま鶫に対し左を前にして半身になると、左手の銃を鶫に向ける。
トリガーが引かれるのより僅かに早く、拳が振り抜かれる。
左手は顔面に当たり、体勢を崩しながらも月夜はトリガーを引ききる。
しかし、銃弾は鶫の頬を掠めるように飛ぶだけだった。
「ったぁ……」
追い討ちを食らう前に月夜は距離を取り、両手の武器を構える。
- 946 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/09(金) 22:20:23 ID:Cj56oKQw0
- >>945
「ちょっと危なかったですね…っ!」
【ぎりぎりで頬をかすめた銃弾。ふう、と息を吐き出しながら鶫はじっと月夜を見る】
「距離を取られるのは困りますが…!」
【そういって鉄砲を構える鶫】
「こっちにはまだある!!」
【鉄砲の引き金を月夜に弾いて弾を発射したのち、走り出した。】
【ここで距離を詰めるつもりなのだろうか】
- 947 :白月 月夜:2013/08/09(金) 22:36:43 ID:dL8H4NjE0
- >>946
「っと!」
放たれた銃弾は月夜に当たる数センチ手前で僅かに軌道がずれ、当たらない。
風などの自然現象の影響にしてはあまりに不自然なズレ方だ。
「肉弾戦ですか……」
右手に纏った粒子を短刀の形にして逆手で構える。
左手の銃で鶫の足を狙い撃ちながら自身も接近。
一切の無駄のない動作で鶫の首筋を狙う。
- 948 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/09(金) 22:43:48 ID:Cj56oKQw0
- >>947
「何かで防いでいる…?わからないけど…
やるしかなさそうですね!!」
【ジッと月夜を見つめながら走っていく】
「狙ってるところは分からないですが…
右手のほうが…」
【と、そこで足を撃ち抜かれてしまう】
「ぐぅ…!だとしてもそこだけはっ…!」
【体をそらしながら、勢いよく拳をナイフに向けて振り下ろす。】
【鶫はなかなかしぶとそうだ】
- 949 :白月 月夜:2013/08/09(金) 22:52:55 ID:dL8H4NjE0
- >>948
弾の軌道を反らしたこの技は、ある程度の距離があって始めてできるもの。
肉弾戦のみならず近接戦では遠距離ほどの効果は発揮してくれないが、果たして。
鶫の拳はナイフを弾き飛ばし、一瞬月夜を無防備にさせた……かに見えた。
「残念、無駄ですよ!」
しかし、すぐにナイフは月夜の右手に再び現れる。
そのまま反らした上半身にナイフを降り下ろす。
武器の完全な無力化は難しそうだ。
- 950 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/09(金) 23:02:36 ID:Cj56oKQw0
- >>949
「さっきは顔面にあたったから…完全防御では…」
【そう思案しながら月夜の顔を改めてみるが】
「消すのも自由…と…!」
【完全に武器を消すことはできない。さすがに鶫も連続でよけるのは難しく】
ザクッ
「ああああっ…!うぐっ…!」
【鶫の右胸に突き刺さっていくナイフ】
「なら…武器を持ったまま…!」
【見ると鶫の右腕は先ほどよりも強い力をまとっていた】
「すぐには…外せない…これ…なら!」
【月夜の上半身に向けて、さらに威力の高まった拳を勢いよく突き出していく】
- 951 :白月 月夜:2013/08/09(金) 23:18:20 ID:dL8H4NjE0
- >>950
すぐに月夜は自分に能力を使用し、体全体を後ろに移動させようとするが、
『ストップ、そのまま素直に食らって無様にぶっ倒れてください』
「えっ」
鶫の右ストレートをモロに食らった月夜は、そのまま後ろに吹っ飛びながら倒れる。
ガードや回避が間に合わなかったならまだしも、その気配すら見せなかったというのは、どういう意味か。
その答えはすぐに出ることとなる。
月夜のが倒れたその数m先に、球体が一つ、浮いている。
それは、確かに鶫がカメラを破壊し、無力化したはずのもの。
しかしその球体は、カメラが壊れているにも関わらず、下部に取り付けられたアサルトライフルを鶫へと向け、フルオートで発射し始めた。
- 952 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/09(金) 23:21:41 ID:Cj56oKQw0
- >>951
「ぐぅ…まだ動くなんて…」
【鶫は追撃に行こうとしたところでアサルトライフルを撃たれ、どうにか足に込めた力でかわしていく】
「だとしても…もう一発程度…で…」
【鶫の鉄砲にもさらなる力が籠められている。さすがによけきるのが不可能と考えた鶫は】
「これであたれっ…!」
【凄まじい勢いとなった鉄砲の弾丸をその球体に向けて打ち込む。さすがに立ち止まって撃たなければならないため】
「くっ…!あうっ…あっ…!」
【どうにかライフルの攻撃を服に力をまとうことで防ぐ。痛みは流石にかなりのものであり、一瞬意識が飛びそうになるほどである】
- 953 :白月 月夜:2013/08/09(金) 23:39:18 ID:dL8H4NjE0
- >>952
『流石の耐久力ですね、攻撃は続行、マスターは寝ててください』
理不尽極まりない命令に頭を抱える。
しゃがめばいいものを無駄に攻撃を受けさせたり、平気で無能扱いされると本当に味方なのかわからなくなってくる。
弾丸は球体の壊れたカメラ部分に追撃するように当たり、今度こそ無力化に成功する。
だがその直後、今度は月夜が伏せたまま弾を撃つ。
心臓部では防がれると判断したのか、狙う位置は脳天。
当たれば確実に決着がつくが、回避もされやすい位置だ。
- 954 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/09(金) 23:47:59 ID:Cj56oKQw0
- >>953
【息はすっかり荒くなっているが、それでも目の前はしっかり見据えている】
「また何かっ…!」
【鶫はその発射された弾を見て、首を横に向けようとする】
「頭は…狙われやすいですからね…そうは…」
【ぎりぎりで弾は頬を掠め飛ぶ。さすがにもう策はない…そう願いながら】
「させないっ…!」
【再び弾を発射する鶫。だが頭が揺れていたために狙いはあまり正確ではない…】
- 955 :白月 月夜:2013/08/10(土) 00:01:32 ID:dL8H4NjE0
- >>954
「っ……」
伏せた状態のため、回避行動に移ることができない。
弾丸は右肩の位置に当たり、鶫のような耐久力を増強する術もない月夜の体からは鮮血が吹き出る。
「――降参します」
肩を抑えて立ち上がった月夜はあっさりと白旗を上げた。
「機体が壊れちゃもうデータの取りようがありませんから」
「……っていうのが建前で、この状態からの勝ち筋が見えないっていうのが本音です」
「私の方の力不足でした。付き合ってもらってありがとうございました」
- 956 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/10(土) 00:06:18 ID:Cj56oKQw0
- >>955
「ん・・・あ、ちょっとめまいが…」
【頭をくらくらさせて答える鶫。そもそも血液の量も減ってしまっているのだ。】
「あ、えっと…そうですか…その。
つい本気になって壊しちゃってすいません…」
【鶫は月夜に向けて慌てて手を振った】
「その…確かに戦いとしてはいいかもしれませんが…
目的はデータ取りでしたから…やりすぎたんでしょうか?」
【鶫はかなり罪悪感がありそうだ。しかしずいぶんと元気そうである。あれほどのダメージを受けていながら。】
- 957 :白月 月夜:2013/08/10(土) 00:16:58 ID:dL8H4NjE0
- >>956
「いえ、壊れる方が悪いんですから」
本気の相手と戦って尚戦いきれなければ武装として意味がない。
鶫に謝罪する必要はないというように、月夜は首を横に振る。
「データとしては十分過ぎるくらいです、課題も改良点もかなりみつかりました」
「とりあえず……箱庭から出ますか、肩が…… 」
左手で端末を操作すると、月夜は先に箱庭からログアウトする。
- 958 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/10(土) 00:54:21 ID:Cj56oKQw0
- >>957
「んん…まぁ強度に貢献できたのならばうれしいですが…」
【少し申し訳なさそうな顔をしながら答える】
「はい…私もあとから行きますね…」
【そういって鶫も端末を操作し、箱庭からログアウトしていった】
- 959 :白月 月夜:2013/08/10(土) 01:04:28 ID:dL8H4NjE0
- >>958
「それじゃあ、これが報酬になります」
箱庭から出たあと、月夜は鶫に報酬を手渡す。
そこに握られているのは大体諭吉20人くらいの金額。
「今度は性能テストとか関係なくやりましょう」
「次は負けませんよ?」
不適な笑みを浮かべながら鶫に告げると、元いたベンチに再び座り込む。
PCを立ち上げると、再び自分の世界に没頭していった。
//これで〆で
- 960 :防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2013/08/10(土) 01:08:25 ID:Cj56oKQw0
- >>959
【箱庭から出たあと、差し出された報酬を見て】
「はい…ありがとうございます!
…なかなかの量ですねえ」
【ホクホクな表情で答える鶫】
「ええ、わかりました。本気も本気で
次はやりましょう。おたがいに」
【そういってぐっとこぶしを握って答えると】
「あれは…話しても聞こえなそうですね…
そろそろ帰りますか…」
【しばらくPCにのめりこむ月夜を見ていたが、ため息をついた後その場から歩いて行った】
(…割と苦戦しましたね…あれでさらに本気となると…)
//お疲れ様でしたー。
- 961 :欠け耳のボロッブ:2013/08/17(土) 00:50:21 ID:IRZRROfE0
-
「ひゃあ、ひでえ嵐だで。
こりゃあ当分やまねぇぞ。」
とある喫茶店に、夏場特有のスコールにも似た、
土砂降りの雨から逃れ転がるように飛び込む者が一人。
ひどく小柄で、成人男性の腰あたり程度の背丈と、
ウサギにも似た長い耳、雨に打たれしとどに濡れた赤褐色の肌。
――ゴブリンだ。
「しゃあねぇやな。
とりあえず、一杯ひっかけていくとしようかね。」
ゴブリンは雨に濡れて変色したコートを脱いで肩にかけ、
適当な席に座ると、亜人のウェイターにラム漬け砂糖入りのブランデーを
注文してから、周りを見渡した。
- 962 :ナナ・アウレス:2013/08/17(土) 01:06:19 ID:oWtetb320
- >>961
夕立、と呼ぶにしては勢いの強い雨。
水煙で遠くの見えないような有様の中、先客のゴブリンに続いてもう一人、喫茶店に入る者が居た。
黒いコートを傘代わりにし、ライトグリーンの髪を振り乱して走ってきたその人物は、長身の女だ。
ずぶ濡れになったコートの水滴を玄関先で払い、多少の逡巡の末に、ドア横の外套掛けにコートをかけた。
「これも地球温暖化ってやつなのかなぁ……やれやれ」
まいったまいった、といった表情の女。それだけを見れば大雨に打たれた不運な女、というだけで終わるのだが、
サスペンダーに付けられたホルスター、そこに入った自動拳銃が、彼女の一般性を奪っている。
「温かい飲み物で暖まる……必要はないんだけど、入って何も注文しないのも悪いか。
店員さーん、熱いコーヒー下さーい!」
カウンター席まで来た女は、そこに座りながら、少し遠くにいるウェイターにそう注文する。
- 963 :欠け耳のボロッブ:2013/08/17(土) 01:14:30 ID:IRZRROfE0
- >>962
「やぁ、こりゃあいけねぇやな。
お嬢ちゃん、ちょいとおててをだしなよ。」
ナナがカウンター席に腰かけると
近くのテーブルに掛けていたゴブリンが声をかけてきた。
ナナからも、彼が入店する様子が見えていただろう。
彼の傍らには体格に不釣りあいな程大きく、パンパンに荷物が詰め込まれた
リュックサックが置かれており――。
「ほいほいっとな。」
そこから、一見染料のような
青い粉末入りの瓶を取り出しナナへと差し出した。
リュックの中で何か食べ物でも潰したのか、油がねっとりと
表面にこびりついているが……。
- 964 :ナナ・アウレス:2013/08/17(土) 01:24:58 ID:oWtetb320
- >>963
「およ?」
話しかけられ、そちらを向いたナナの目に飛び込んできた亜人の姿。
つい先日まで人間世界に住んでいた彼女にとって、彼はまさしく異形と呼ぶべき存在なのだが、
この都市の噂と、都市に到着してからの小一時間の間に何人もの亜人に遭遇したことによって、
そうした者に対する驚きは薄れていた。
しかしながら、これほど接近されるのは初めてで、彼女の表情は呆気にとられたものとなる。
「これを……くれるの? 私に?」
とりあえず、差し出された油まみれのそれを受け取る。
ゴブリン。小鬼、とも呼ばれている彼、もしくはその同族について、ナナの知識はゲームで見聞きした程度でしかない。
であるからして、彼の傍らに何故大きなリュックサックが有るのかも、皆目見当はついていなかった。
当然、今受け取った物品についても。
「これは何かな?」
ゴブリンに付いてのあれこれはともかくとして、自分が何を受け取ったかくらいは知っておかないといけない。
ナナの質問はそういうごく自然な流れで出た。
- 965 :欠け耳のボロッブ:2013/08/17(土) 01:35:39 ID:IRZRROfE0
- >>964
「おんや、こいつは失敬!
ええとこりゃあなあ、『水気取りパウダー』っつて、
体に振りかけるとアラ不思議、あっという間に水気が乾くんだな。
魔法の品――マジックアイテムってやつだで。」
油で汚れて分かりづらいが、よくよく見ると瓶に張られたラベル
洗濯物だとか雨に濡れた人物の図柄が書かれている。企業ロゴらしき
マークも印刷されているところを見ると、工業製品らしい。
この都市では、それだけ魔術だとか魔法の品が一般的に流通しているようだ。
「冒険者の友社のちゃあんとした製品だで。
そこらの魔術庵やら三流ギルドの危ない製品じゃあないから
安心、安全よう。」
小鬼は取り出す際にリュックからこぼれたよくわからない杖のようなものだとか、
中でなにやら黒い者が渦巻く水晶玉、ポテトチップスの袋などをリュックに戻しながら
黄色い葉を見せて笑った。
「自分がちょいと既に使ったでな。
お題はタダでええだで。」
なるほど、そういえばこの小鬼はナナと同じように雨に打たれていたが
今見たところ衣服も例のリュックも全く濡れていない。
- 966 :ナナ・アウレス:2013/08/17(土) 01:49:07 ID:oWtetb320
- >>965
「へえ、防水とかの類じゃなくて、濡れた後に使う物なんだ。
世の中には不可思議な物があるもんだねぇ……」
腕を組んでしみじみと頷く。実際、この都市に来てから、今までの常識をC4爆弾で吹き飛ばされるような物ばかりを見ている。
見た目は人間世界でも見かけるような大都市。なのに、そこには平然とこうしたカオスが横たわっているのだ。
となると、問題はセオリーもカオスと同居しているかどうか、だ。
「おのぼりさんのこちらとしては、珍しい物を見られて嬉しいわけだけど……」
もらった薬品のビンを、中身を開けずにカウンターに置く。
「人間の世界には「タダより高い物は無い」って言葉があるの、知ってるかな?
まあキミが良心だけでこれを私にくれたのなら、それはありがたいこと、で終わるんだけど、
元人間世界の住人としては、何かの目的があってこれをくれた、っていう方がしっくりくるかな。
不躾かもしれないけど、どうしてもこればっかりはね、確かめておきたくて」
顔は微笑んでいる。が、声色には少し身構えるようなものが混じっている。
果たしてこのやりとりにカオスは関わっているのか。ナナにとって、これは試金石だった。
- 967 :欠け耳のボロッブ:2013/08/17(土) 02:02:57 ID:IRZRROfE0
- >>966
「だっておめー、使っちまったモンは売り物になんねーだよ。
『より良い物をより安く』はウチの商会のモットーだからなあ。」
どうやら、このゴブリンの口ぶりからして彼は商人らしい。
たしかに言われてみれば、目の前の小鬼の服装はゲームなどで
見かける露店商人風に見えなくもないし、先ほどリュックからこぼれていた
商品にも値札のラベルが無造作に貼り付けてあったように思える。
「お嬢ちゃん、どうやら町に居ついてから日が浅ぇようだなあ。
どうだで、ここでちょいと生活用品でも。ソレみたいにロハとは
いかねーが、お安くしとくよ。」
- 968 :ナナ・アウレス:2013/08/17(土) 02:15:58 ID:oWtetb320
- >>967
「おっ、本当の姿を引きずり出せたかな。
いやー、行商人ならそう言ってくれれば良いのに。おいちゃん、変な心配しちゃったよ」
スネに傷のある身のナナとしては、目の前のゴブリンが金で会話する類の人(?)物であることが何よりの安心であった。
完全に信頼を置けるわけではもちろんないが、少なくとも信条のはっきりしない人物を相手取るよりはよほどマシだ。
「あっ、でも米ドル使えるのかな……?
まあ使えないなら使えないで良いんだけど、使えるならひとつ、可能ならふたつ、買いたい物があるんだよ」
それは、彼のように定まった場所で物を売らない商人ならば、扱っている可能性の高いもの。
「今欲しいのは「この街の情報」だね。
ひとつは、人目につかなそうな安ホテルか何かの宿泊施設。もうひとつは、この街に荒事の仕事があるかどうか」
彼の取り扱っている不思議アイテムにも興味はあるが、そういうのは拠点が出来てからでも遅くはない。
しかしながら、この都市のカオスぶりは身を隠すのにはもってこいとはいえ、自分の「得意分野」の仕事が無いのであれば、それも無意味に帰する。
生まれて……いや、物心ついて以来、自分にできるのはそれしかないのだから。
- 969 :欠け耳のボロッブ:2013/08/17(土) 02:34:01 ID:IRZRROfE0
- >>968
「いやはや、すまんなぁ。余計な心配をさせちまったかい。
あたしゃボロッブっつー、しがない商人でさ。ついでにほい。」
今度はコートのポケットに手を入れ、羊皮紙にほとんど殴り書きのように
『ボロッブ商会代表 ボロッブ』と書かれた名刺らしきものを差し出す。
名刺には同時に、商会の場所らしき地図と番地が記されているが、
文字がうにょうにょと独りでに動いているところを見ると、
この名刺にも魔術がかかっているのだろう。
「おう、金は金さね。なんとかならぁなぁ。
ま、あとで両替商にもってきゃええだけの話だからな。
ええと、情報かい。ンならお金はいらんよ。ウチは商人で、
情報やじゃあねぇんでね。そのかわりチト不正確でも勘弁だで。」
――ボロッブから得られた情報は次のようなものだった。
人目につかない安ホテルだとかは、ここから近い場所に貧民街があり、
そこにいくらでもあるということ。もう少しグレードがよいのがよければ、
冒険者ギルドなどに加盟した冒険者の宿だとか民宿も多いようだ。
そして、荒事について。
「この街ぁ、とかくキナ臭くて争いごとの耐えん町さね。
そこらの酒場の2,3でも当たってみな。すぐに用心棒として
雇い入れてくれるだろうし、警察やら治安組織じゃどうにもならねえ仕事も、
冒険者やら傭兵ギルドの掲示板にごまんとはってあらあな。
どうやらこの街は、深刻な治安上の問題を抱えているらしい。
たしかにこの酒場に置かれたテレビも先ほどから、殺人事件がどうだとか、
テロがどうこう、銃撃戦がどうのと言った事ばかりだ。
- 970 :ナナ・アウレス:2013/08/17(土) 02:50:52 ID:oWtetb320
- >>969
ナナは渡された名刺の文字が躍るのを「ほー」と感心しているような声を漏らしながら見ていたが、
名乗り返すのを忘れていたのに気付き、
「おっとごめんね。私はナナ・アウレス。気軽にナナって呼んで」
先ほどもらった薬品ビンの下に名刺を敷く。ナナの持ち物に不思議アイテム二つ目が追加された瞬間だった。
そしてそのまま、ゴブリン……ボロッブの話を、時折相づちを打って聞く。
「ふうん……なるほどね。全体としてあんま治安は良くないんだね、この街。
ま、多少そういう面があった方がこっちとしては助かるかな。二重の意味で。
みにくいアヒルは目立つけど、仲間が多いのならそうでもない」
とはいえ、目の前のボロッブを見るに、ただの治安が良くない街、では終わらないのだろう。
こうしたカオス特有の何某も多そうだが……。生憎とナナは、そういうのには尻込みをしないタイプであるどころか、
逆に興味を引かれるタイプだった。
「面白そうじゃない。……うん、だいたいわかったよ。ありがとう、店主さん。
多生の縁ってことで、店主さんの店は機会があったら利用させてもらいたいな。
見るからに拳銃弾なんかは取り扱ってなさそうだけどね」
からかうような笑みを、ナナはボロッブに向ける。
- 971 :欠け耳のボロッブ:2013/08/17(土) 03:00:29 ID:IRZRROfE0
- >>970
「あいよ、ナナさんやね。おぼえたおぼえた。
今後ともごひいきになぁ。」
再び黄色い葉を見せて笑う。
目の前のゴブリンは見た目は汚らしいが、気のいい性分のようだ。
「まぁ、お嬢ちゃんが何をやらかしたが知らんが、
この街じゃあ脛に一つ二つ、傷があるのは珍しくねえでな。
皆、なにかしらヤバイモンを抱えてるもんさ。というわけで、
今は持ってはねぇがよ、拳銃弾もあるっちゃあるでよ。
それも魔術仕込みのヤツだけんども。」
と、ボロッブは例のリュックサックを再び背負い、
会話しながらちびちびと飲んでいたブランデーを一気に飲み干し。
「雨が上がってみてえだからよ、あっしは店のほうにもどるでな。
お嬢ちゃんも、早いところ宿を見つけたほうがええぞ。じゃぁ、また。」
先ほどまで嵐のようだった雨はいつの間にか上がり、
雨上がりの街の泥臭い臭いが、店にかすかに漂う。
ボロッブは最後に帽子をとってあいさつし、ナナより先に店を出ていった。
- 972 :ナナ・アウレス:2013/08/17(土) 03:09:35 ID:oWtetb320
- >>971
「魔術仕込み。それはまた、心躍るワードだね。
店主さんのお店に寄らせてもらう理由が、ひとつできたよ」
魔術仕込みの拳銃弾。冒険心をくすぐられるその単語に、ナナは遠足前の童女のような気分になった。
親も家も失い、身一つで流れ流れてきたこの異能都市。ただの潜伏先にするには勿体ない場所のようだ。
「うん、また。セーフハウスが出来たら寄らせてもらうね」
挨拶しながら出て行くボロッブに小さく手を振ったナナは、彼を見送ると、カウンターの方に向き直った。
カウンターの上には、薬品ビンと相変わらず文字の躍っている名刺。
ビンの蓋を指先でトン、トンと叩いてから、ナナはいつの間にか置いてあったカップを手に取り、コーヒーの処理に入った。
- 973 :白月 月夜:2013/08/19(月) 23:37:07 ID:dL8H4NjE0
- 『マスター、私の本体をそろそろ直して欲しいんですが』
「ああ、稼働率に制限かけながらだましだましやってるだけだもんね
でもどうやって直すのさ」
とあるカフェ。
PCの中の、正確には脳の中のAIからそんな要求を持ちかけられ、コーヒーを飲みながら考える。
脳に埋め込まれた機械、それは本来月夜のサポートとして働いていたが、長らくそれは使ってこなかった。
というのも、その要求の通り損傷が激しく、正常に動くかやや不安があったためだ。
対ミラージュでの一件以来、稼働率を著しく抑えることでそれは問題ないと判断したのだが……
どうやらそれでも限界があるらしい。
『それくらい自分でやってくださいよ自分の体でしょうが無能』
「そんな無茶な……」
平然と主を無能呼ばわりしてくる彼女に苦笑いしながら、どうするかと再度思案する。
脳の中に埋め込まれた機械の修復など、月夜には不可能だ。
単に直すならまだしも、機械は脳に直接繋がっている。体積は3分の1を占めているため、摘出すら実質不可能だと姉は言っていた。
「どうするかな……」
椅子の背もたれに寄りかかりながらため息をつく。
- 974 :レラ=バニッシュ:2013/08/19(月) 23:50:18 ID:VQKni0yk0
- >>973
高空から響く空が割れるかの音。
地響きのような音でありながら、聞こえてくるのは空からだった。
その出所は、後にカフェの外に着地してきた少女、レラの履いていた機械のブーツから噴射されていた炎の音だった。
同じカフェに入ってくると、なんと真っ直ぐに月夜の元へとやって来た。
「探したぞ」
そして、この一言。
さらに、座った月夜と身長が大差なくむしろまだ低いという事実。
- 975 :白月 月夜:2013/08/20(火) 00:02:06 ID:dL8H4NjE0
- >>974
「何事……」
『音の波長に候補がひとつ見つかりました、これは――』
AIが言う前にレラが店内に入って来る。
そして呆然とする月夜への一言。
「あー、久しぶりですね?お元気みたいで何よりです」
半ば思考停止状態でも、そんな定型句はスラスラと出てくる。
言いたいのはそんなことではないというのに。
『同じく久しぶりですね、といってもこの状態でお目にかかるのは初めてですか』
『前の一件では色々とお世話になりました』
言葉通りの意味が半分、嫌味が半分といったところだろうか。
パソコンの中から響く合成音声は、女性のものに近い。
口調からそれがミラージュと相対した月夜のもう一人の人格だと分かるだろう。
『固まってる無能に代わって聞きます』
『探した、とは?』
- 976 :レラ=バニッシュ:2013/08/20(火) 00:16:39 ID:VQKni0yk0
- >>975
「フン……貴様も大事は無さそうだな」
ミラージュのやって来た事は、全く記憶に残らない。
意識がスイッチの様に一瞬切り替わり、次にONになった瞬間まで飛ばされるのだ。
直前と直後の状況から、戦闘になったのだろうと推測するのが容易だっただけ以前のケースはマシだった。
「腹話術でも始めたのかと思ったが」
故に、月夜の中に存在するもう一つの人格と言うのは記憶に無い。
世話になった。微かな遊び心が感じられる口調なあたりコイツも戦闘に参加したのだろうと辺りを付けた。
「何も、言葉通りだ。
貴様には奴がどうだったかを喋って貰わねばならんからな」
- 977 :白月 月夜:2013/08/20(火) 00:24:16 ID:dL8H4NjE0
- >>976
『腹話術ですか、音声をマスターの物に変えれば擬似的に再現できますが』
「やらんでよろしい」
音と音との繋がりがまだ自然ではないためすぐにバレるだろうが、
自分ではない何かが全く同じ声で喋るというのは個人的に勘弁してほしかった。
「奴、あのもう一人の人格のことですね」
『めんどくせー奴でしたよ、御大層な理想振りかざして何がしたいんですかね全く』
- 978 :レラ=バニッシュ:2013/08/20(火) 00:35:56 ID:VQKni0yk0
- >>977
「ふむ、面白いな……」
レラが興味を持ったのは腹話術についてではなく、AIそのもの。
一個人が有する者の割には無駄に高性能。そう評して会話の矛先を変えた。
「お前は何だ。
そのノートにインストールされたプログラムか?」
「それは同感だ。
僕も奴に手を焼かざるを得ないから、脚を使い態々ここまで来なければならん」
そこまで言うと、月夜の向かいの椅子に座り店員を呼び付けた。
メニューを眺めフルーツパフェとミルクを注文するとふたたび向き直る。
「奴が身体を乗っ取った時点で、僕が登録されているデータベースが別物と判断するらしく位置情報も掴めんからな」
此方も此方で中々厄介な目にあって居る様だ。
- 979 :白月 月夜:2013/08/20(火) 01:01:02 ID:dL8H4NjE0
- >>978
『気になりますか?お目が高い。私は遠距離からマスターのことをサポートする謎の秘書X』
『……というのが世を忍ぶ仮の姿です、真実の方は言います?』
「そこまで言ったらいうしかないでしょうに。まああなたなら大丈夫ですかね、PCの中のAIっていうのは半分正解です」
コーヒーをすすりながら一息ついて、右手で自分の後頭部を指差す。
外見からでは何も変わったところはないが……
「本体は《こっち》です」
『マスターの後頭部に脳と直接繋がった機械が埋め込まれてる、というより設置されてます』
月夜の言葉を繋ぐようにAIは説明を続ける。
『体積は脳の3分の1、本来の用途は戦闘用AI』
『戦闘時の思考パターンなどに加え日常での意思疏通などマスター自身の人格に取って代わる存在、となるはずでした』
「色々あってプログラムはほとんど未完成でこうやって共存してる状態ですけどね、それでも最低限の思考パターンとかは身に付いてます」
なんでもないことのように言う月夜。
「彼女についてなら私よりこっちのほうが知ってるはずです」
『……言うより見た方が早いでしょう、270秒時間をください』
そう言ってAIは黙ってしまう。
PCのモニターには、目まぐるしく様々な情報が表示されては消えていく。
何かやっているらしい。
- 980 :レラ=バニッシュ:2013/08/20(火) 01:24:34 ID:VQKni0yk0
- >>979
まるで興味が無いとでも言う以前に、秘書の件はスルー。
パフェより先に運ばれてきた牛乳に口を付けながら聞き流していた。
本題に入ると、向けられた後頭部に取り付けられた機械を眺める瞳が僅かに細められる。
「本体がお粗末なのはそのせいか」
元々、ミラージュの登場を許したのはあの謎生物との戦いでテレポーテーション能力を使わせられたから。
それに関しては僅かな恨みを持っていたというのもあるし、単にレラの口が悪いというのもある。
皮肉屋なAIとの板挟みに会う月夜本人にはこの状況は災難と言えるだろう。
軽口を返しつつ、二人のコンビネーションによって進められる説明に、ふと違和感を覚えたのかコップから口を離した。
今度の興味は、先程の言葉を事も無げに口にした月夜の方に向けられている。
「つまり、本来ならお前は始めから存在しなかったと言う事になる。間違いは無いな?」
移り変わりの激しいモニターを見ながら、何かやっているのだろうと推測する。
記憶領域に保存された物を映像化しようとしているのか、他の何かか。
「」
- 981 :白月 月夜:2013/08/20(火) 01:39:48 ID:dL8H4NjE0
- >>980
「その認識で合ってます」
特に表情に変化があるわけでもない。
月夜からしたら事実を述べている以上の意味はないのだろう。
『データの変換が完了しました。あまり画質や音質はよくないですがさほど問題はないと判断します』
その言葉と共にモニターに一つの映像が写る。
丁度そこにいるのはレラ……いや、
《思いの外―――利口なようだ》
レラの体を借りたミラージュ、が正解か。
映像は月夜の視点でミラージュとの戦闘や会話の一部始終を映し出す。
映像や音声の乱れは多少あるものの、AIの言葉通りそこまで問題はないだろう。
- 982 :レラ=バニッシュ:2013/08/20(火) 02:03:27 ID:VQKni0yk0
- >>981
「……その事実を初めて知った時、お前自身はどう思った?」
妙に淡白な返事。
自らの消滅と言う可能性を目の当たりにしても、そんな顔で居られたのだろうか。
「恐くは無かったか、死よりも恐ろしい状況が、恐くは無いのか」
月夜に問いかける少女の口調、表情は回答を急いていた。彼女自身が焦っていたのだ。
決して遠くない相違点に、レラ自身意図せずして、月夜と重ね合わせてしまっていた。
自分はそんな顔はできない。ミラージュに、身体を乗っ取られるのが―――――
――――その思考が機械音声によって強引に区切られる。
「……ん」
呼び戻されて、ゆっくりと首を振る。
思わず固く握ってしまった拳を振って解き、その手でコップを掴み中の牛乳を煽った。
用意されていたのは、予想通りな、あの時の映像。
音声までも再現可能だったのは驚いたが、好都合でもあった。
「ふむ……」
- 983 :白月 月夜:2013/08/20(火) 02:17:40 ID:dL8H4NjE0
- >>982
「どう思った、ですか」
レラの様子に違和感を感じながらも、その答えを探す。
思い出すのは、常に自分の側にいてくれたとある人物。
自分を抱き締め、泣きながら謝っている理由がその時の自分にはわからなかった。
ふと思い出したその情景に懐かしさともう一つの感情を覚えながら月夜は口を開く。
「怖いとかはありませんでした。『そういうものなんだ』ぐらいのものでしたね」
「……ただ、《私》に消えてほしくないって言った人が一人だけいたんですけど」
そこで一度言葉を区切る。
「《私》が消えてその人が悲しむのは、ちょっと嫌だなって思いました」
レラが映像に集中し始めたのを見て、自分もその内にコーヒーの残りを飲んでしまう。
そのまま映像に目を写すが、
「……見事なやられっぷりですよね、全く」
個人的には見ても嫌な感情しか沸いてこなかったので、目を逸らした。
- 984 :レラ=バニッシュ:2013/08/20(火) 02:30:51 ID:VQKni0yk0
- >>983
「そう、か……」
望む答えは出て来ない。よく考えれば当たり前だろう。
自分と月夜は別々の人間、もし同じ物を見ても感じる事は違うはず。
それなのに、似ていると言うだけで問い詰めて、同じ答えが出るわけがない。
軽く考えれば解る事。いや、考えずとも解る事だろう。
それなのに、そうできなかったのは、自分がそれほど焦っていると言う事を自覚しなければならない。と言うことであり。
最後に月夜が口にした言葉に「そう、か」とまた口にして俯くと黙ってしまった。
「こういった映像はありがたい。
今まで僕が捉えられたのはたった写真の一枚だけだからな」
フォローをするような言葉。
遅れて届いたパフェの先端を突きながらのそれは、集中している故か本心のようであった。
- 985 :白月 月夜:2013/08/20(火) 02:52:05 ID:dL8H4NjE0
- >>984
「……」
レラの様子から彼女が何を考えたのか、その大筋を読み取る。
自分の中のもう一つの人格。彼女はそれに抗おうと必死になっている。
当然だろう、自分が消えるということは、それだけ怖いことのはずなのだから。
理屈では分かる。ただ、同感することができない。
月夜は自分の存在というものに価値を見出だせない。使い捨ての存在という認識を生まれた時から植え付けられて来たからだ。
「あなたの望むであろう答えを私が言っても、それは虚構にしかなりません」
「……お力になれず、すみません」
そんな言葉しか、今は出てこない。
絞り出したように呟く月夜の表情には、苦悩が浮かんでいた。
『後でより高画質なものを送りましょうか?』
そんな中、月夜の心情を知ってか知らずか、その場の雰囲気を断ちきるようにAIがそんな話を持ちかける。
- 986 :レラ=バニッシュ:2013/08/20(火) 03:08:14 ID:VQKni0yk0
- >>985
自分に向けられている表情から、月夜に感情を悟られたのだと知る。
それを踏まえて発せられた、月夜の言葉を深く噛みしめてから、小さく一度だけ頷いた。
「お前の選択は正しい。
お前と僕は、違うからな」
「出来るのなら、頼みたい」
そうAIに答えると、生クリームを付けた桃を口に運ぶ。
甘さが響いたのか、外見相応に柔かな笑みを浮かべ、それを飲み込むと続けて。
「そうだ。代わりに、何か手伝えることは無いか?」
- 987 :白月 月夜:2013/08/20(火) 03:19:57 ID:dL8H4NjE0
- >>986
「そうですね、私とあなたは……違う」
俯きながら答えたその言葉には、何か別の意味が込められているようにも感じられる。
『了解しました』
簡素な返答と共にAIは再び処理に戻る。
「手伝えること、ですか?」
『ならば私の修理を頼みましょうか。先の一件も含めて損傷が激しく、直せる人物がいないか探していたところなので』
間髪いれずにAIがそんな事を要求する。
どうせできないだろうという挑発も含まれていそうたが、真実はわからない。
- 988 :レラ=バニッシュ:2013/08/20(火) 03:32:09 ID:VQKni0yk0
- >>987
「同じ人間な筈がない」
肯定のようで、此方の言葉にも、別の意味。
しかし、その言葉の先は、今の月夜なら解るだろう。
「そうだ。
有意義な働きには相応の報酬を払う必要がある」
スプーンをくるくると回しながら誰に向けてか説明する風な口調。
その返しとして向けられたAIの言葉に、また笑みを浮かべる。
が、その笑みは先の甘みに引き出された物とは違い、ニヤリとしたもの。
こちらも少女らしいと言えばそうなのだが、邪悪な物で在るのもまた確か。
「頼むのか? この僕に、機械の修理を?
いや、丁度いい。僕もお前を一度弄ってみたかった」
履いているごてごてとした機械のシルエットを隠さないブーツが示す通り、相当な機械マニア。
それが高じて嘗て学生時代だった時にはロボマニアと謳われる一生徒に押しかけた挙句弟子入りしたほど。
以前使っていたあのビームライフルも、この靴も、彼女の手作りだった。
- 989 :白月 月夜:2013/08/20(火) 03:41:04 ID:dL8H4NjE0
- >>988
「そうですね」
ふるふると首を振って、気分を変える。
それよりも今は。
「私の意思が全く反映されてないんだけどさ、私って本当にあなたの主人格でいいんだよね?」
『とりあえずその口を縫い付けておあてください無能』
もうどうにでもなれとでも言いたげに、月夜は背もたれに寄りかかり上を見あげた。
見えるのはカフェの天井だけだが。
『交渉成立ですね。修理自体は私が指示しますしさほど難しくはないはずです』
『あとできれば腕の確かな医者が一人欲しいのですが、医術の方には明るいですか?』
『あなた自身ができなければこちらで一人用意しますので構いませんが』
月夜本人を放ったまま、AIは淡々と話を進める。
- 990 :レラ=バニッシュ:2013/08/20(火) 03:52:26 ID:VQKni0yk0
- >>989
「お前も何か、欲しければ構わんぞ?」
スプーンで再びパフェをつつきながら月夜に向かい。
元より羽振りの良い性格であることに加え、気になっていた機械に触れるチャンスが出来てご機嫌な様子だ。
「聞き流す程度で聞いておいてやる。
この天才である僕に助言など必要ない」
真面目な顔して言い放つので、きっと本心なのだろう。
「医者……には当てが無いな。必要ならばお前達で用意しておけ」
医者。と言う事は脳に付随しているという機械にたどり着くまで切り取る必要があると言う事か。
「切り開くと言うのは気に食わんだろう?
システムと故障具合にもよるが、切除せずとも外部からの信号を送るだけで修理できる可能性はあるぞ?」
- 991 :白月 月夜:2013/08/20(火) 04:06:28 ID:dL8H4NjE0
- >>990
「遠慮しておきます……」
二人(?)の会話を聞いていると苦笑いしか出てこない。
レラの言葉をやんわりと断って、成り行きに任せる。
『損傷の主な原因が回路が焼き切れて完全に使い物にならなくなってるせいなので、そこを取り替えさえできればいいんですが、
その基盤が脳と接続してる方にあるため、後頭部の縫合を解く必要があるんです』
「へえ……そうなんだ」
月夜自身ですら知らなかったようだ。
自分の頭の中を知れという方が無茶ではあるのだが。
『詳細は先程の映像と一緒に送ります』
「今日は色々ありがとうございました、じゃあまた今度お願いします」
コーヒー代を机に置き、椅子から立ち上がり一度礼をすると、そのまま月夜は立ち去っていった。
/時間が時間なので無理矢理ですが〆でお願いします
//遅くまで絡みに付き合ってもらってありがとうございました&お疲れさまでした
- 992 :レラ=バニッシュ:2013/08/20(火) 04:17:20 ID:VQKni0yk0
- >>991
「成程。思った以上に損傷は進んでいる様だな」
それならば、外部からの信号のみで直す訳には行くまい。
むしろ、その損傷具合で動けるAIの方に興味が出てきた。と、笑みを強めた。
「あぁ、また今度な」
その礼を見送り、またパフェをつつく。
一人になって、思い起こされるのは先程の会話だった。
小さく復唱し、何処か遠くをおぼろげに眺め思考を働かせて行った。
「僕とお前は、違う……」
//ギリギリお返事できそうです。おつかれさまでした!
- 993 :桜花 恣乃:2013/08/20(火) 23:29:46 ID:dL8H4NjE0
- 《箱庭》
「――」
『……シノ、今日はまた随分と派手にやったね』
咎めるような声に、シノと呼ばれた少女……桜花 恣乃(おうか しの)は、首を傾げる。
ピエロを模した仮面に隠れてその表情は窺えないが、無邪気さの感じられるその行動は、
一体なぜ咎めるのかわからないと言っているように見える。
『わからないならそれでもいいよ』
どこか楽しげなその声に、恣乃は再び首を傾げて辺りを見る。
本来ならその視界には箱庭が作り出した街並みが映るはずなのだが……
「――」
瓦礫の山と化した箱庭の街に、恣乃は残念そうに肩を落とした。
壊すものがもうなくて残念、とでも言いたいのだろうか。
『今日はもう帰ろうか。一応満足できたでしょ?』
その問いかけにも、恣乃は首を傾げるばかり。
苦笑するもう一人の声の言葉に従い、転送装置を起動。恣乃は箱庭を出ていった。
- 994 :黒沢小百合:2013/08/22(木) 23:27:54 ID:IRZRROfE0
- 【異能都市東部・繁華街】
「まったく、この程度のミュータント如きに対応できないとは……。
担当者の名前は誰か。後でこの私がじきじきに、『個人的な面談』を
行う必要がありそうですねぇ……。」
黒こげになったミュータントの死体の欠片を踏み砕きながら、
熱風に乾いた下唇をぺろりと舐めて、嗜虐的に笑みを浮かべる女の姿があった。
――彼女の名は黒沢小百合。
千夜財閥の都市警備部門を一手に引き受ける、女性能力者だ。
今回、小百合が出張ったのは都市部に突如出現した数体のミュータント駆逐のため。
ミュータントは突然変異を繰り返すため、たとえ同一の種であっても能力や姿の個体差が
大きく今回出現したものは、今までに確認されたことのない体からねじくれた6本の足を
歪に生やした奇妙な象のような馬のような奇怪な生物であった。
当初は末端のパトロールチームが鎮圧にあたったが、
ミュータントの予想外の強力さにこれを果たせず、結果として近くに
たまたま巡察に訪れていた小百合がこれを撃破した形となったようだ。
「しかしながら、臭い……。回収班はまだ到着しないのか。
TV局のヘリなど、先ほどか既に上空で旋回しているというのに。
こちらの担当者も、『調整』を行わねばならないのでしょうかねぇ……。」
小百合は忌々しげに上空を旋回するTV局のヘリを一瞥しながら、
イラついたように、顔をしかめため息をついた。
- 995 :ドロシー:2013/08/22(木) 23:57:51 ID:Z76qnR.s0
- >>994
「あらあらあら」
繁華街の壁の落書きがゆっくりと動き出し音を出す
それは人間の声であり、聞き取れる内容だった。
「私の芸術品(アート)を壊して回ってるのはあなた?」
ネズミとコナラとキャンディーとまな板とその他色々を混ぜあわせた物体を焼かれてしまった
かと言って声の主は怒りを表すでもない、泣き喚くわけでもない
動く落書きは建物を伝い、形を変える
最初はDの字に紅い装飾のシンボルマーク
次にブーケ、次はトカゲ・・・目まぐるしく変化していく
- 996 :黒沢小百合:2013/08/23(金) 00:19:23 ID:IRZRROfE0
- >>995
――ズドドドドッ!!!
壁の落書きが声を発しながら動く――。
普通ならばあり得ないその現象への返答は、
一瞬にして、どこからともなく出現した最先端の装備で武装した。
兵士一個小隊規模の、有無を言わさぬ一斉射撃であった。
「犯罪者共に『質問』をするのは私の仕事であり、
貴様がこの場での発言するには私の許可が必要である。
勝手に囀ることは許さん。」
銃を構え、攻撃の態勢を維持する兵士たちの中心で
至極不機嫌、という風に言葉を紡ぐ小百合。
「……芸術品、といったな。
この面倒事を起こしたのはお前か。答えろ。」
ふん、と鼻を鳴らして。
新聞や雑誌等、何らかのメディアに目を通した頃があれば、
小百合の写真だとかをおそらく見る機会があったはずだ。
そして、その記事やニュースにちゃんと目を通しているならば、
彼女の合理的かつ冷酷な人柄を多少なり、理解することができるかもしれない。
- 997 :ドロシー:2013/08/23(金) 00:31:59 ID:Z76qnR.s0
- >>996
パン!という軽快な破裂音と白色の眩しい閃光と共に金色毛皮の全裸の女が現れる
「撃ってから質問するってのも」
金色の腕を怒れる肩に回し
「どうかと思うのよねぇ」
馴れ馴れしい態度で宥める
さっきまで落書きのあった場所は瓦礫と化し、その破片が色とりどりの鳥になって飛び去っていく
その光景を一緒に眺めた後でこう答えた
「面倒事?うーん少しやりすぎたかな?
ここら一帯の混沌は私がやったけど」
にやりと小馬鹿にする用に笑い
「それが何か?」
最近この次元に飛んできた彼女にはメディアの事など何も知らない
- 998 :黒沢小百合:2013/08/23(金) 00:48:53 ID:IRZRROfE0
- >>997
「それだけわかればよろしい。
その公衆便器のような口を閉じろ、犯罪者め。」
――ここら一帯の混沌は私がやった。
小百合にとっては、その言葉だけでもはや十分。
それ以外のドロシーの言葉は何の意味も持たなかったし、興味もなかった。
「私に与えられた権限を持って、
貴様を殺処分する。」
ドロシーの笑みに向けられたのは、やはり銃口。
まるでカメラのフラッシュのように、無数の閃光が生じたかと思えば
銃弾の雨、という表現が生ぬるいほどの圧倒的弾幕が彼女を襲う。
やはり、一瞬にして。先ほどと同じく、
どこからともなく兵士が湧きだし戦列に参加しており――。
もはや中隊規模にまで膨れ上がりつつある圧倒的砲火が、
広場に置かれていたベンチや、周辺に駐車されていた車を無残なハチの巣に変えていく。
- 999 :ドロシー:2013/08/23(金) 01:04:06 ID:Z76qnR.s0
- >>998
「Hei!随分大層な権限じゃねーか!」
煙幕の中からまだ声がする
「いきなり銃を発射してもいいんだから私が実験をしたところで特に咎めなくてもいいんじゃない?
なにせあなた達が治安を乱してるようにしか見えないんだもの」
無残な周辺地帯
とは打って変わって
彼女の周辺に散らばる撃たれた数と同数のポップコーン
それと摘んでは口に運ぶ
「ん?ポップコーンは嫌い?」
ロケットランチャーから射出された風船が空を舞う
- 1000 :黒沢小百合:2013/08/24(土) 22:27:07 ID:IRZRROfE0
- >>999
「貴様の実験とやらが事の発端であることをわかっていないようだ。
鶏が先か卵が先かの問答に持ち込みたいようだが、既にそういった
レベルの話ではない。」
銃弾をいくら防がれようとお構いなし、という風に
絶え間なく続く銃撃は激しさを増していく。
敵の数が増えているというのは言うまでもないが、
既存の兵士たちも有利な位置に展開し、攻撃の効率をあげているのだ。
「今重要なのは『犯罪者』であるお前を。
ここでどう処刑するか、という事だけである。」
(敵を建物を背に、半包囲せよ。
フォックストロットチーム、周囲封鎖にあたれ。何も通すな。)
小百合の指示によって、包囲網が完成しつつある。
このままでは戦うにせよ逃げるにせよ、厄介なことになりそうだ。
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