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リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル13

954 ◆gFOqjEuBs6:2011/04/09(土) 14:46:18 ID:D5cW9/Q.0
 
「…………?」

 流石にスカリエッティも不自然に感じたのだろう。
 眉根をぴくりとひそませて、えも言われぬ不快感に、焦慮の色を浮かばせる。
 そんなスカリエッティを見るや、アインハルトはまたも不敵に瞳をギラつかせ。
 スカリエッティの傍に着地したトーレを鋭く睨み付け、

「貴女の拳法、見切らせて頂きました――!」

 ぐっ、と拳を握り締め、そうのたまう。
 音速で動ける者と、常人の速度でしか動けぬ者。
 その二人がぶつかりあって、後者が勝てる訳などない。
 あの博士だってそう思ったからこそ、トーレを最後の切り札としたのだろう。
 実際、かつて一度だけ敗れたのも、同じく音速で動ける魔道師が相手であったからだ。
 何の加速力も持たないアインハルトに、勝利する道理などあり得ない。
 ――筈だった。

「貴様……言うに事欠いて“見切った”だと? その程度の速度で、私をナメているのか」

 トーレが、苛立ちの視線をぶつける。
 だれど、そんな苛立ちなどは意に介さず。
 意識を集中させて、構えを取る。
 再びトーレが音速を越えた時こそが、勝負だ。
 周囲の殺気全てに意識を尖らせて――トーレの姿が、掻き消えた。
 ――今だ!

「勝負ッ!」

 高らかに宣言し、拳を突き出す。
 最早何度目になるかも解らない両者の激突。
 音速を越えたトーレと、アインハルトの拳が接触した。
 めき、と……耳朶を打つのは、何かが壊れる際の破損音。
 アインハルトの表情に、僅かな余裕が浮かんだ。

「な……にぃッ!?」

 アインハルトの両手が、トーレの両の拳を握り締める。
 刹那、トーレの両腕に装着されていた手甲が粉々に砕けて、地へと落ちてゆく。
 エネルギー翼を展開する為に使用していた手甲が、今完全に破壊されたのだ。
 光の翼を失ったトーレに、これ以上の音速稼働は不可能――!

「ハァッ!」

 アインハルトの掌が、トーレの両手を叩き落した。
 未だ瞠目したままのトーレの顔面を、覇王の拳が強打する。
 初めての反撃。初めての、確かなダメージを伴った反撃。
 鮮血を吐き出したトーレが、数歩後じさる。




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