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闘争バトルロワイアル【二章】

61アルピニスタ ◆ZbV3TMNKJw:2019/06/06(木) 22:35:56 ID:YngMiVUM0

「ぷはっ、ハァッ」

川から引き上げられたさやかは、空気を必死に取り込んだ。
吸うことで逆に肺が締め付けられるが吸わないわけにもいかない。

呼吸困難に苦しみながらのたうちまわり、数十秒してようやくおさまった。

落ち着きを取り戻したさやかは、チラと横目で見る。

「ハァー、ハァー、人間引っ張って泳ぐのは流石にキツイ...」

隊長。
彼がさやかを引っ張りながら川を泳いだお陰で、さやかは杏子たちから離れることができたのだ。

「隊長...あんたなんで」
「勝手に連れてきたのは悪いと思うが、あそこは逃げなきゃ赤毛の奴に殺されてただろ」
「いやそうじゃなくて、あの雅ってヤツと会いたかったんじゃないの?」

隊長は雅に会うなり偽りなく歓喜していた。
さやかは雅のことが苦手だったが、隊長が望むのならと口を出さずにいた。
その為、彼とはここでお別れになると思っていた。
その隊長が、雅と別れて助けに来てくれたのだから困惑するなと言う方が無理がある。

「し...仕方ねェだろ!情が移っちまったんだよ!」
「へ?」
「そりゃ俺達はまだ会って数時間だけどよ、一緒に命賭けたせいで生きてて欲しくなっちまったんだよ!お前が悪ィんだぞ!素直に協力するって言わねェから!」


隊長の叫びはシンプルだった。
裏もなにもありゃしない。
単に自分を心配してここまで連れてきてくれたのだ。

その事実に、さやかは嬉しく思わず頬を緩ませた。

「...隊長ってさ、ほんとお人よしだね」
「なんじゃバカにしてるのか?」
「ううん。感謝してる。心配してくれてありがとね」
「フフン、ようやく俺の有り難味に気がつけたか。さあ、では背負ってもらおうか!」
「はいはい」

さやかが隊長の入った鞄を背負うと、彼の顔が綻んだ。

「でも本当によかったの?隊長まであの雅ってヤツと敵対することになるけど」
「ん?雅様と敵対はしとらんぞ。あの方たちの戦いを止めるついでにお前と一緒に行っていいかお伺いを立てたら快く承諾してくれた。
雅様は寛大なお方じゃ。俺と明の仲を知っていても咎めることすらないからな」

さやかは、雅を部下思いな一面もあるのかなと認識を改めようとしたが、しかしテストと称して遊ばれた経緯を思い返せばやはり好印象には結びつかなかった。


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