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シンデレラガールズ・バトルロワイアル

797 慟哭の雨空 ◆5A9Zb3fLQo :2019/05/20(月) 23:34:47 ID:Chspcc220
 しとしと、という音と共に灰色の空から無数の水の粒が大地に存在するありとあらゆるものを打つ。
 昼頃に発生した雨雲は北上し、現在午後の時刻においてはMAPにおける○-5に該当するエリアの全域において雨を降らせている状況だ。
 その雨の中で、スコップが地を抉る音が聞こえる。
 体を降り注ぐ水滴が濡らすのも構わずに穴を掘る及川雫の前には焼け焦げ、炭化した人間だったものが1つ。
 あまりにも小さな体躯。名簿を確認済みである雫にとって、それが誰であったのかは容易に察することが出来た。
 無言で、ひたすらに穴を掘る。
 頬を伝う水が涙なのか雨なのか、判別することは出来ない。
 この地で理不尽な終わりを迎えた命を弔うためだけに、雫はひたすらに体を動かしていた。

◆◇◆

 ホテル跡の一室。市原仁奈の埋葬を終えた雫はずぶ濡れになった服を乾かし下着姿になっていた。
 その表情は暗い。それもそうだろう、事務所であどけない笑顔を浮かべていた少女が、あの様な無惨な姿になっていたのを目撃してしまったのだ。
 あんなに幼い彼女が殺されたこと。
 ここに連れてこられらたアイドル仲間の一人がそれをやったこと。
 その2つが彼女の心に暗い陰を落としていた。

 ぶるり、と肩を震わせる。
 当然、ホテル跡のライフラインは死んでいた。暖房を動かすことも出来ない今、雨に打たれ、下着一枚となった彼女の体温は急激に低下している。このままでは体調に影響が出るかもしれない。
 何かないかとクローゼットを漁れば薄汚れてはいるもののガウンがあった。
 それを羽織り、今後のことを考える。
 他の生きている事務所の仲間にはまだ出会えていない。もし、南に彼女らがいたならばこの雨だ。動くに動けない状況だろう。
 これで、少しでも殺し合いの勢いが衰えてくれればと雫は願わずにいられなかった。

 一方で彼女も移動が殆ど封じられてしまった状態である。雨具もない状況での強行軍が無謀であることなど彼女には分かりきっている。

「……何か、使えるものがないか探してみようかな」

 ホテル跡から外には移動できない。かといって時間を浪費する訳にもいかない。傘でも見つかれば雨の中でも行動は可能だ。
 故に、何か使えるものがないかホテル内を捜索するという方針を取った。
 デイパックや衣服が盗まれぬよう扉をしっかりと施錠したうえガウン姿で部屋を出る。万が一の護身用として銃を、そして暗所でも見落としが無いように懐中電灯も持ってきた。そうそう不測の事態には陥らないだろう。

 そうして一部屋一部屋回っていくが、調度品やアメニティ以外にめぼしいものは見つからない。
 そうして1つの部屋に入り、雫はヒ、と引きつった息を漏らす。
 その部屋には死体が1つ横たわっていた。


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