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柩姫聖杯譚/Holy Embryo

1 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 13:54:06 rz4VtNgc0

【ルール】
・当企画はFateシリーズに描かれる儀式「聖杯戦争」の版権パロディリレー小説となります。
・グロテスクな表現を始めとした様々な描写が予想されますので、十分にご注意下さい。
・主従募集期間は四月下旬〜五月初めくらいまでを想定しています。
 >>1のリアル事情や主従の集まり具合などによって前後する可能性があります。大体一ヶ月くらいと思っておいて貰えればよいかと思います。
・通常の七クラスとエクストラクラスを募集します。ただし、ルーラーだけはもう枠が埋まっています。
・採用数は大体二十騎前後を予定しています。
・投下がない場合、>>1が一人寂しくコンペを楽しむスレになります。
・ズガンは許可しますが、オリキャラのみでお願いします。

【設定】
・仮想世界の『函館市』を舞台とした聖杯戦争です。
・電脳世界ではありませんが仮想世界です。
・NPCが存在します。NPCは自発的に聖杯戦争の進行を阻害するような行動を取ることは決してありませんが、聖杯戦争参加者が働きかけた場合は別です。

・マスターは最初記憶を失い、与えられたロールに従った日常生活を送っています。
・記憶を取り戻すと令呪を手に入れ、聖杯戦争の知識を与えられます。また、五稜郭タワーの上空へ伸びる数百メートルの『瓦礫の塔』が視認できるようになります。
・塔への干渉は一切不可能です。

・サーヴァントが消滅した場合、マスターは死亡しません。
・令呪三画を失っても、マスター及びサーヴァントに悪影響はありません。


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2 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 13:54:44 rz4VtNgc0


 ――北の港湾都市に聳える五稜郭タワーの頭上に、見えざる塔がそそり立っていることを知る者は居ない。


 それは遥か黄金に輝く螺旋階段とも異なり、名状し難き神話の汚濁とも異なり、しかしながら聖性とはかけ離れた威容を携えて雲霞のごとく天を貫いていた。
 余人の目ではその全貌はおろか、末端さえも視認することはできないだろう。
 だがしかし、視えないことが不幸だと決めてかかるのは早計と言わざるを得ない。
 この世の影法師たるそれを目にすれば、忽ち彼らの安寧は砂上楼閣よりも脆く崩れ去るのが関の山だ。

「普遍的無意識という言葉を知っているかな」

 雲一つない星空の下、五稜郭の一角で塔を見上げている男の手は穢れている。
 血を絵具代わりに使って筆にまぶし、肌へと這わせたような禍々しい色彩の刻印が三画。
 出で立ちが何ら変哲のない、むしろ無害そうな成人であることも相俟って、異様さはいっそう際立って見えた。
 時刻は既に深夜零時を回っている。観光地とはいえ北国の田舎だ。
 この時間まで彷徨いている人影は繁華街でもない限り、そうそうあるものではない。
 ましてや子連れの人間など、市内全域を隈なく探っても片手の指で数え切れる程度が精々のはずだ。

「ユングという心理学者が唱えた概説でね。
 人間の無意識の深層には、個人の経験を越えた先天的な構造領域が存在すると彼は唱えた。――まあ、僕も心理学は専門じゃない。決して詳しいわけではないんだが……興味深い話だと思ったよ。
 そしてこのことが僕にインスピレーションを与えてくれた。この論が、僕に戦争をしろと囁いたのさ」

 眼鏡が似合った、良くも悪くも平々凡々たる顔立ちの男であった。
 彼の傍らでその高説を聞かされているのは、薄緑色の長髪を這わせる十歳前後ほどの年齢に見える幼女。
 見てくれこそ普通の幼子であったが、彼女の姿をもし目にするものがあったなら、一様に首を傾げるか、瞠目して驚きを表現したことだろう。
 その頭からは、獣のたぐいを思わせる耳が生えていた。人の耳とは別に、だ。
 たとえそんな分かりやすい異形の特徴が無くとも、どこか現実から隔絶したような雰囲気を醸す少女だった。
 伝承上の獣が人の形を取って具現化したなら、きっとこういった容姿と佇まいになるのかもしれない。

「それからは、別に難しいことでもなかった。元より僕らは人の意識と密接に関われる位置にあった」

 そして、僕には君がいた。男はにこりと笑えば、少女の頭を優しく、慈しむような丁寧さで撫でる。
 少女はそうされると気持ちよさそうに目を細め、主から与えられる愛情を甘受していた。


「そして、賽は投げられた(Alea jacta est)……これからは選定段階ってところかな。余分な枝が生えていては、真に必要な枝がうまく成長できなくなってしまう。
 その点、この世界とあのシステムはうまくできている。最高のゲームを作るための土台が既にあるんだ。あとは電源を入れてしまえばいい。落ち着くべきところへ落ち着くまで、安楽椅子にでも座っていればお終いさ。
 だが――このゲームはどっちかというとアナログだ。TRPGってやつに近いんじゃないかな。そしてTRPGにはいつだってゲームマスターが必要になる。ゲームマスターがいなければゲームは無法地帯の様相を見せてくるし、せっかくのシナリオをぐしゃぐしゃにされてしまう可能性だってある。
 それは僕としては望むところではない。だから、僕がゲームマスターをやろう。君は、僕のプレイヤー・キャラクターとして舞台に出て欲しい」


3 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 13:55:32 rz4VtNgc0

「はい、宿主様」
「大変な役を押し付けてしまうね。僕のことを嫌いになってしまうかい?」
「滅相もありません」

 いい子だ。また、ゲームマスターの男は少女の頭を撫でた。
 
 ゲームマスターが一人。
 デウス・エクス・マキナが一騎。
 次に必要なのはプレイヤーだ。自らの足で世界を歩き、踏み締め、物語を紡ぎ上げる駒が必要だ。
 そしてその質がいいほどゲームは上等になるし、駒のクセは強い方がいい。
 どんな料理だって、きついスパイスが使われていれば味の如何に関わらず食べた者に強い印象を残すものである。
 本来なら書類なり何なりを山程並べて、それを一枚一枚手作業で捲りながら選り好みを行うのであろうが、幸いにもこの世界というシステムにはそういった一連のプロセスを全て代行してくれる機構が備わっていた。
 モラトリアム期間は長くとも三週間、短ければ二週間――まず一ヶ月はかからない。
 それくらいの時間ならば、首を長くせずとも待てる。これまでずっと、この男は待ち続けてきたのだから。

「聖杯戦争を始めよう、エンデ。僕の愛しい柩姫、エンデよ。僕らの願いを叶えるために」
「宿主様、お言葉ですが――」
「……そうだったね。いくら君が特別だとはいえ、真名を曝け出すような真似は避けた方がいいか」

 ごほんと咳払いを一つして、男は苦笑交じりに改めて少女―――『柩姫・エンデ』と呼ばれたそれの役割(ロール)を呼んだ。
 彼女は天秤を守り、取り持つ者。
 全ての英霊を司り導く、この聖杯戦争を首謀する者。

「改めて宜しく頼むよ、ルーラー」

 裁定者のサーヴァントに位置付けられた柩の姫君は頷き、恭しく一礼した。
 その姿を見下ろす男の眼差しは慈愛と郷愁にも似た、形容しがたい感情に包まれていた。
 全ての始まりを告げる鐘の音は、彼と、彼の愛した姫の耳にのみ響く。
 天空を貫く瓦礫の塔の奥底から鳴り響く祝福の音が彼らの鼓膜を叩くとき、世界は真に繋がりを見せるのだ。


4 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 13:56:31 rz4VtNgc0
◇◇◇


 聖杯を巡る戦乱の始まりを告げる鐘の音は、彼と彼女以外の耳には届かない。
 しかし、それを察知する手段は他の者達にも与えられていた。
 聖杯戦争の舞台へと上り、願いを求めた争奪ゲームに参加する権利を与えられた者は、目を手に入れるのだ。
 聳え立つ街の象徴を只管下品で無粋に飾り立てた蠢動する瓦礫の塔を視認するための目を、開眼させられる。
 塔を見上げる少女の眼差しは軽蔑と嫌悪に満ち溢れ、傍らに侍る死神のアサシンは淡々と赫怒を滲ませていた。
 無粋な宴だ。仕掛け人の欲望が透けて見える、粗雑で粗末な舞台――だがそれ故に完成されている。
 ルーラーのサーヴァントという存在がある限り、決してシステムの穴を突くような真似は不可能だろう。
 それをしたければ、かのルーラーを殺すのが最も手早いが、しかしそれはあまりにリスクの大きすぎる行いだ。

「どうする、マスター」
「決まってるわ。さっさと全員殺して、あの男から聖杯を奪う」

 桃色の房髪を夜風に靡かせ、追記のされない携帯画面を眺めて舌打ちを溢す。
 こうなれば不本意ではあるが、奴の掌で一旦は躍るより他にないのだと、その聡明な頭脳は判断した。
 神域の権能を否定され、踏み潰され、挙句の果てに目的そのものを挫かれた彼女の怒りはまさに沸騰というべき滾りようを見せていた。
 彼女の英霊も同じだ。苛立ち紛れに死の気配を滲ませ、願いへと止むことなき邁進を続ける。
 
「そして―――」

 十数文字の決意を呟いたマスターに顔を背け、アサシンは誰にも聞こえない舌打ちをくれてやった。
 哀れなものだと思う。しかしマスターとしては有用だ。故に、聖杯戦争を勝ち抜くことへ異論はない。
 
「ああ、殺そう」

 今度はアサシンが呟く番であった。冷たい殺意の裏側に激情を犇めかせ、夜空へその殺意を発露させる。
 カリカチュアの如く聳える瓦礫の塔へ心の内で唾を吐き、嘲笑う首謀者とその傀儡へ絶縁状を突き付けた。
 柩の姫。願い。再会。奴の考えなど、アサシンにしてみれば芥に等しい。
 彼が願うのはただ一つ。終焉だ。償いのための終わりを、必ずや今も続いているのであろうかの都市へ。
 思い出の渦巻く塔の天辺まで、全てを殺し抜いた末に、彼は自らの願いを叶えるのだと誓った。
 陰謀よりこぼれ落ちた共犯者たちは死の牙を研ぎ、ただ二人、奇跡の杯を切望しながら姫への殺意を昂らせる。


◇◇◇


 瓦礫の塔。
 その内側にて、眠る少年。
 それを冷めた眼差しで見つめる少女は、かつて矛盾した二律背反。
 ただ一つの破滅を、万象黙示録を渇望しながら、少女は今も外道の道をひた走る。
 憐れな殲琴をただ見ていた少年作家は、ただ一つ吐き捨てた。
 愚かだ、と。


◇◇◇


【主催:唐沢志郎@ワールドエンブリオ/ルーラー(エンデ)@ワールドエンブリオ】


◇◇◇


5 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 13:57:25 rz4VtNgc0
ルール説明、OPは以上です。続いて、早速候補作を投下させていただきます


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6 : 粟楠茜&ライダー ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 13:58:24 rz4VtNgc0


 私の育った家は普通だと信じてました。
 どこにでもあるような幸せな家だと。
 でも、まわりのみんなは知ってたのです。
 私の家の本当の姿を――――


◇◇◇

 
 時刻は午後六時を回っていた。
 冬が過ぎ去り春が来たとはいえ、日が殆ど沈みかけ、辺りは薄暗くなってくる時間帯だ。
 現に空には茜色の夕焼けがありありと輝いて、臥牛山の向こう側に夕陽が沈んでいこうとしている。
 子どもが外を出歩くのは、少々褒められない時間であった。特に季節の変わり目は不審者が多く出没する。
 それが単なる露出狂や子どもと話したいだけの倒錯趣味ならばまだしも、誘拐目的の人間ならば大変だ。
 事の運び次第ではあるが、最悪の場合命を奪われる可能性だって大きい――そして彼女は、人よりその危険が間違いなく何倍も高い身分の娘であった。
 
 息を切らして、取りに来たはずの忘れ物も持たずに夕焼け模様の街を走る少女は幼く可愛らしい容姿の持ち主だ。
 烏の濡羽を思わせる黒髪を走る度に揺らし、シミ一つない若い肌は瑞々しい質感を何もせずとも維持している。
 その趣味の人間であれば垂涎、そうでなくとも十人が見たなら十人が可愛らしいと答える外見だった。
 彼女は幸せな少女だった。学校は楽しいし家族は優しい。世界は幸せと優しさで満ちていて、自分は将来人に笑顔を与える仕事に就くのだと心の底から信じていた。
 今から数分前まで、粟楠茜の世界はまさしく薔薇色の世界だったと言っていい。
 世界に過度な期待を抱くのは誰もが等しく通る道だ。
 茜もきっと歳を重ね、敬虔を経る毎にそれを知り、少しずつ大人になっていったろう。
 しかし彼女にとってのそれは、あまりにも急激なスピードと遠慮のなさで、不意討ちのように訪れてしまった。
 
 事の始まりは小さな勇気だった。
 虐められているクラスメイトを見過ごすことが出来ず、虐めは止めようと勇気を出して立ち上がった。
 こんなことをしては次に自分が虐められるかもしれないという恐怖は杞憂に終わり、虐められていた子も交えて皆で笑い合えるようになり、茜は世界の優しさを実感した。
 いずれ画家となって、誰もが幸せになれるような絵を描き、絵売りの父に売ってもらおうと期待に胸を弾ませた。
 
 でも、違ったのだ。粟楠茜が見ていたのは世界の上っ面であって、本質がどんなものかまるで見えていなかった。
 誰も彼もが茜に嘘を吐いていた。クラスメイトも、両親も、誰も彼もが偽っていた。
 あの子の家は怖い人がいるから粗相がないようにしなければならない。
 茜ちゃんのお父さんを怒らせたら大変だからくれぐれも気をつけて付き合いなさい。
 そんな風に子へ言いつける親の言葉を盗み聞いてしまった茜は、もう忘れ物などどうでもよかった。
 頭の中がぐしゃぐしゃで、自分が何を考えているのかもよくわからなかった。
 気を抜けば転んでしまいそうだと思ったが、足は普通通りに動いてくれたのでそうはならなかった。
 夕暮れのアスファルトを踏み締め、蹴って、家路を急ぐ。
 
 ――――――聖杯戦争。

 その時だった。茜の脳内に、知らない言葉が流れ込んできたのは。


7 : 粟楠茜&ライダー ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 13:59:09 rz4VtNgc0
 マスター。令呪。願いを叶える。奇跡。英霊。サーヴァント。ライダー。スキル。ステータス。
 思わず茜は足を止めた。額に浮いた汗を拭った時、思わず「ひっ」と小さな悲鳴をあげる。
 傷一つなかった手の甲に浮かんでいるのは、いわゆるタトゥー、刺青というものに似た模様だった。
 夕焼け空よりなお赤いその色彩は、人の体に詰まっている血を思い出すような色合いをしていた。
 
「……なに、これ…………?」

 知らない言葉が頭の中に溢れてくる。
 手には知らない模様があって、こんなものを描いた覚えもないし意味など分かるわけがないはずなのに、頭の中には令呪という二文字のワードが現れる。
 令呪。小学生である茜が何の知識もなしに読めるかどうかは怪しい、難しい単語だ。
 それならばまだしも、サーヴァントなんて言葉は本当に聞いたことがないはずだった。
 でも茜はサーヴァントという言葉を知っていて、その意味もしっかりと理解している。

 サーヴァント。幽霊のようなもので物理攻撃が通用せず、神秘の具現である宝具を携えて英霊の座より――

「嫌……怖いよ……!!」

 淡々と浮かんでくる『意味』を頭を振って否定し、また走り出そうとして、茜は空を見上げた。
 そうしなければならないという強迫観念に駆られたような突然な挙動であったが、空にあるものを目にした茜の両眼はこれでもかとばかりに見開かれ、体から力が抜け、彼女はその場へへたり込んでしまう。
 函館の中でも屈指の観光名所、五稜郭タワー。その頂点から上空へ向けて、よくわからないものが伸びていた。
 塔、だろうか。しかしその色合いも質感も、清潔感を見る者へ与える白いタワーとはまったく別物だ。
 瓦礫を寄せ集めて押し固め塔にしたならこうなるのではないかという、圧倒的な不自然さ。

 茜は逃げるようにその場を走り去った。
 その胸中に浮かぶ当然の疑問に彼女が目を背けてしまったのは、決して責められることではないだろう。
 芽生えてしまったその疑問は、蘇ってしまったその記憶は、ごく普通の小学生として生きてきた粟楠茜にとってあまりにも大きく、認めがたいものだったから。


 ―――私の住んでいた街は、こんなところだったっけ?


◇◇◇


 暗い部屋で電気も点けずにシーツへ包まり、茜は眠れない夜を過ごしていた。
 より正確には、眠る気が起きないというのが正しいか。
 ベッドの上には電源の付けっぱなしの携帯電話が転がっていて、そこには粟楠会という単語が躍っている。
 茜は知った。インターネットを活用すれば、いくら幼い少女でも真実を突き止めることは難しくなかった。
 自分の家が裕福な理由。何をしているのか、どうして皆が自分を怖がっていたのか。
 全ての答えが電子の海には転がっていた。その事実は幼い少女にはあまりに重く、残酷なものだった。
 床には絵が散らばっている。楽しそうにクラスメイトと談笑する絵。大好きだった家族の絵が、無造作に散らばっている。そして頭の中には、まだあの知らない言葉が回っている。


8 : 粟楠茜&ライダー ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 13:59:57 rz4VtNgc0
 聖杯戦争。その単語が持つ意味は、インターネットにも国語辞典にも載っていなかった。
 普段あまり読まない百科事典まで引っ張り出してみたし、お母さんにもそれとなく聞いてみたが同じだった。
 聖杯戦争という言葉とその意味は、どうやら自分の頭の中にしか存在しないらしい。
 得体の知れない恐怖と不安感を覚えながら、茜はある言葉を口にする。
 それを言ってしまったが最後、自分の中で決定的な何かが終わってしまうことを本能的に確信しながら、それでも一度動き出した口を止めることはできなかった。
 ・・・・・
「いけぶくろ」

 いけぶくろ―――池袋。
 函館ではない。粟楠茜の住む街は、池袋。
 じゃあ何故自分は今この函館という街に住んでいるのか、どうしてそれが普通だと思っていたのか。
 その答えは……

「こんばんは」

 茜の隣に、誰かが座っていた。
 一体いつからそうしていたのだろう。茜は気付けなかった。体がびくんと跳ねるのを見て、その誰かはあははと困ったように笑ってみせた。
 恐る恐るシーツを取った先の視界は夜ではあったものの、月明かりのおかげで明瞭だった。
 
「君があたしのマスター……で、いいんだよね? あたしはブーディカ。クラスはライダー。よろしくね」
「え……え? え?」
「あれ……もしかして聖杯戦争のこととか、何にも聞いてない?」
「あ、いえ、それは知ってます…………たぶん」

 月明かりだけを頼りに見るその人、ブーディカは、すごく綺麗な女性であった。見ていると不思議な安心感を覚える優しげな顔立ちと口調が、こんな状況だというのに茜の心を落ち着かせてくれる。

「オッケー、じゃあまず整理しよう。君は聖杯戦争については知ってる。サーヴァントのことも。合ってる?」
「はい……合って、ます」
「なるほどね、大体わかったよ。要は頭ではわかってるけど、心が追い付いてないって感じなんだね」

 茜は小さく遠慮がちに頷いた。
 彼女の言う通りだ。茜は自分が置かれている状況や、これから起こることを知識としては知っている。
 ただ、言ってみればそれは単に教科書を与えられただけのようなものだ。
 知識としてわかってはいても理解はしていない、だから状況に順応できるわけがない……つまりはそういうこと。

「それじゃ、単刀直入に聞くよマスター。――君は、何か叶えたい願いごとはある?」
「おねがいごと……?」
「そ。何でもいいんだよ。美味しいものがうーんと食べたいとか、世界征服とか。これはちょっと極端な話だけど、大筋じゃ同じさ。そして聖杯戦争に勝てば、その願いごとが叶えられる」

 願いごとを叶えると聞いて頭の中に浮かんだのは、自分の家のことだ。
 粟楠会、暴力団組織。そして粟楠茜はそこのお嬢様。
 もしも粟楠という苗字が特別なものじゃなく、ありふれた普通の家だったなら……茜がずっと思っていた通りの家だったなら。そんなことを茜は思い浮かべる。
 それが本当に叶うなら素敵なことだと、茜は思った。思ってしまった。
 そのことを見抜いたように、ブーディカはただし、と続ける。


9 : 粟楠茜&ライダー ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 14:00:40 rz4VtNgc0
「ただし、願いごとを叶えられるのは一人だけなんだ。でも願いを叶える力なんて、当然皆が欲しがる。するとどうなるか、マスターはわかる?」
「……取り合いに、なる……?」
「正解。皆自分の願いごとを叶えたいもんだから、躍起になって戦うわけだね。その為にいるのがあたしたち、サーヴァント。あたしたちがマスターの代わりに戦って敵を蹴落とし合う代理戦争……なんて言ってわかるかな。
 とにかく、そういうわけなんだ。負けたサーヴァントは消える。願いを叶えられなくなったマスターは……死にはしないけど、どうなるのかはあたしにもわからない。そこはルーラーの裁量次第なのかも」

 途端に、話が物騒な方向へ転がり始めた。茜は思わず口を挟む。

「消えるって……死んじゃうってことですか?」
「厳密には違うけど、そう考えていいと思う。サーヴァント同士の戦いとは言ったけど、マスターを積極的に狙ってくる奴もいるから……本当の意味で死んじゃう人も出てくるだろうね」
「じゃ、じゃあ、いいです。お願いごと、もういいです」

 茜は慌てて、ブーディカへそう言った。
 確かに願いごとはある。両親や祖父と普通の家族として生きられれば、それはきっととても幸せなことだ。
 しかしその為に誰かを踏み台にして、あまつさえ殺すなんてことは茜にはとてもできない。
 粟楠茜は元々、何不自由なく育った優しい子どもなのだ。そうでなければ、虐められているクラスメイトを庇いに立ち上がるなんて勇気のある行動はできないだろう。
 それを聞くと、彼女のサーヴァントは満足げに笑う。

「それじゃ、あたしはどうすればいい? 君を元の世界に帰すために戦えばいいかな?」
「えっ。自分じゃ、帰れないんですか……?」
「そうみたいだね。ここが贋物の世界だってことはマスターもわかってると思うけど、ずいぶん意地の悪いことをするもんだよ」

 願うにしろ願わないにしろ、戦わなければいけないことは同じのようだった。
 こっちの方は茜も譲れない。元の世界、本当の家族が待つ場所になんとしても帰りたい。
 だから茜は顔を上げて、自分へ寄り添うブリタニアの女王に対して懇願した。
 マスターとしてではなく、粟楠茜という一個人としてお願いをした。

「……お願いします。私を、帰してください」

 ブーディカは茜の頭へ手を置くと、姉が妹にするような優しい手付きで小さな頭を撫でる。
 それから彼女に目線を合わせてにっと笑い、大船に乗ったような安心感をもたらす言葉を口にした。

「了解っ。お姉さんに任せときなさい」

 勝利を約束されなかった守護の女王は、優しく、それ以上に頼もしかった。
 その手は父のものとも母のものとも違った暖かさに満ちていて、忘れていたはずの眠気がやって来る。
 こっくりこっくりと船を漕ぎ始めた茜の視界には、彼女の笑顔が写っていた。
 自分の幼いマスターの頭を膝に載せ、体が冷えないようにちゃんとシーツをかけてやりながら、彼女のためにと呼び出されたブーディカ……ライダーのサーヴァントは一度頷く。

「さぁて――頑張んなきゃね」


10 : 粟楠茜&ライダー ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 14:01:09 rz4VtNgc0

【クラス】
ライダー

【真名】
ブーディカ@Fate/Grand Order

【ステータス】
筋力C 耐久B+ 敏捷C 魔力D 幸運D 宝具B+

【属性】
中立・善

【クラススキル】
対魔力:D
一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

騎乗:A
騎乗の才能。幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。

【保有スキル】
女神への誓い:B
アンドラスタ――彼女が信仰するブリタニアの女神に対して捧ぐ誓い。
彼女とその祖国にとっての敵対者であるローマ由来の存在に対して特攻を発揮できる。

戦闘続行:A
往生際が悪い。
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

【宝具】
『約束されざる守護の車輪(チャリオット・オブ・ブディカ)』
ランク:B+ 種別:対軍宝具
無数の車輪を呼び出し、自分とその味方の周囲を旋回させる防御宝具。
作中では味方全体の防御力を向上させる効果となっている。

『約束されざる勝利の剣(ソード・オブ・ブディ力)』
ランク:B 種別:対人宝具
自らと同じ「勝利」の名を冠する片手剣。
だが、かの星の聖剣とは異なり、勝利も約束されない。完全ならざる願いの剣。
今回の彼女はこの宝具も所持しているが、効果は発揮されていないようだ。

『正気ならざる勝利の王(ブディカ・オルタ)』
ランク:E 種別:対人宝具(自身)
本来持たない筈の第三宝具。この宝具が発動した彼女は変質し、狂化を獲得して憎悪のままに刃を振るう。
宝具発動中の彼女は筋力、敏捷に上方補正を受け、耐久に下降補正を受ける。
発動条件は、『マスターの死』。それをきっかけに発露した怒りは、勝利の女王を狂気の女王へ変質させる。

【weapon】
剣、盾

【人物背景】
一世紀ブリテンの女王、ブーディカ。若き戦闘女王。
悪辣な侵略の果てに自分と娘たちへ陵辱を働いたローマ帝国を滅ぼすべく諸王を率いて反乱するも、最後には皇帝ネロの軍に敗れ去り、落命した。
後年、その生き様はブリテンの勝利の女神として伝説になる。
生前は二児の母親ということもあってか、見た目に見合わない高い包容力を持つ面倒見の良い女性。
戦いも好むが、それ以上に優しい心と深い愛情を持っており、マスターの茜や味方に対してはまるで母か姉のように、慈愛をもって接する。しかし、このブーディカは英霊の座からではなく、人理救済のために戦い続ける人類最後の防衛線、カルデアより召喚されたイレギュラー的な存在でもある。
本来持たない第三宝具が追加されているのはそのため。とある異常空間にて変質した彼女、ローマへの憎悪に支配された暗黒の側面を、例外的にこのブーディカは秘めている。

【サーヴァントとしての願い】
茜を守る。


【マスター】
粟楠茜@デュラララ!!

【マスターとしての願い】
帰りたい

【人物背景】
粟楠会組長・粟楠道元の孫娘で、粟楠幹彌の娘。
彼女を敵に回すことは粟楠会を敵に回すことと同義。
舞台の街にも粟楠会は存在しており、変わらず彼女はその孫娘である。

【方針】
聖杯戦争をするつもりはない。


11 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 14:01:44 rz4VtNgc0
投下を終了致します。


12 : ◆f/uAIIN.2Y :2016/03/19(土) 15:50:08 i8cSL6Lg0
新しい聖杯戦争のスレ立て、お疲れ様です!
『函館市』という仮想世界に放り込まれてしまい、そして聖杯戦争に茜ちゃんは巻き込まれてしまいましたか……
でも、ブーディカさんのような頼りになるサーヴァントと出会えてよかったですね。
彼女の励ましはこちらも心が温まりそうでした!


では自分も候補作を投下します。


13 : 美遊・エーデルフェルト&バーサーカー(海パン刑事) ◆f/uAIIN.2Y :2016/03/19(土) 15:51:48 i8cSL6Lg0
 彼女は……初めての友達だった。
 彼女の為だったら何でもしてあげたいし、どんなことがあっても助けたいと思った。
 彼女は私のことを何度も支え、助けてくれた。同じように、私も彼女のことを助けたつもりだ。
 今までどんな困難だろうと乗り越えて、その度に絆を深めあった私の友達。離れ離れになっても、彼女は私の隣に来てくれた。
 だけど、私の隣にいるのは……………………



     ◆   わたしのサーヴァント



 美遊・エーデルフェルトは頭を抱えていた。
 突如として聖杯戦争に巻き込まれた…………勿論、それは対応するべき事態だ。
 『函館市』と呼ばれる謎の平行世界や、敵のサーヴァントやマスターを撃破することで獲得できるポイントを稼ぎ、そして聖杯を手に入れる。従来の聖杯戦争とは根本的なルールが異なっていた。
 ダリウス・エインズワースが宣言した第六次聖杯戦争が開幕してしまったのか? だが、それもいまいち納得できない。
 いつの間にか脳内にあらゆる情報……聖杯戦争のルールが流れ込んできた。『マスター』、『サーヴァント』、『聖杯』……魔術師にとって常識とも呼べる用語が解説されていて、まるで知識のない相手が使うことを前提とされているようだ。

『……美遊様』

 謎に満ちた世界で、美遊にとって唯一の心と支えるカレイドステッキ……サファイアが呼びかけてくる。
 彼女が呼びかけてくる理由を聞かない。聞いた所で、美遊にはどうすることもできなかった。

『よろしいのですか?』
「どうしようもないよ……」
『え? ですが……』
「どうしようもないんだから…………!」

 サファイアからの問いかけに対する答えは、悲痛な返答。まるで、身体が引き裂かれていく痛みを堪えているかのような声だ。
 どうしようもない。それはこの聖杯戦争に関する全てであり、またそれに巻き込まれてしまった美遊とサファイアにも言える。
 無論、諦めたくはない。イリヤはいつだって諦めずに進んだからこそ、クロと和解し、またエインズワースに囚われた美遊のことだって救ってくれた。


 脳裏にイリヤやクロの姿が浮かび上がって、彼女達と過ごしてきたかけがえのない日常を思い出す。
 そこにはルビーやサファイアもいて、いつだってみんなを見守っていた。それは今だって変わらない。
 平行世界に訪れてから、大変なことはたくさんあったけど…………大切な思い出であるのは確かだった。
 みんなの所に帰りたい気持ちはあるけど、その為に他の誰かを傷付けていい訳がない。イリヤとクロはそんなことを絶対に望まないから。
 それに彼女達だったらこんな状況に巻き込まれても、聖杯を良しとせずに運命と戦って、誰も犠牲にすることのないまま……戦いを止めるはず。
 だから美遊だって、彼女達や親愛なる兄のように…………この運命に抗おうと決意する。



 そのはずだったが。



「心配することはない! マスターの不安はわかるが、この私がいるからには百人……いや千人力だ! 大船に乗ったつもりでいるといい!」

 背後から聞こえてきた男の声に、美遊の身体は大きく震えあがった。


14 : 美遊・エーデルフェルト&バーサーカー(海パン刑事) ◆f/uAIIN.2Y :2016/03/19(土) 15:52:59 i8cSL6Lg0
「私は刑事……いや、バーサーカーのサーヴァントとしてマスターを守ると誓ったのだから!
 君のような幼い少女を苦しめ、あまつさえこんな戦いを強制させる聖杯戦争……許す訳にはいかないな」

 男は威風堂々と語りかけるが、美遊は目を合わせない。いや、会わせたくなどなかった。
 美遊は内心突っ込んでいた。私が苦しんでいる大半の理由はあなたなのだと。あなたが私の言うことを聞いてくれず、泣きたくなっていることを。
 だけど、さっきからいくら言っても聞いてくれそうにないので…………美遊はもう諦めた。

「マスターよ。困ったことがあったら何でも言うといい」
「……いいよ」
「遠慮することなどない。私はマスターに忠誠を誓ったのだから」
「……大丈夫だから、放っておいて」
「そうはいかない。マスターが襲われてしまったら大変だ。それではサーヴァントとして失格だ」
「……じゃあ、まずは服を着て?」
「私はこれが正装だ。これ以外の格好など考えられない」
「…………ッ!」

 男の返答に、美遊は背筋が凍りつくのを感じる。
 彼はバーサーカーのクラスで召喚されたサーヴァントであり、膨大な力を振るって暴れ回る狂戦士だ。
 美遊とサファイアで制御は不可能かと思われたが、彼は無意味に破壊行動を取るつもりはないらしい。理由は、刑事だから。
 しかし狂化していない訳でもなく、むしろその逆。彼なりの理性を持っていて、あろうことか常人のそれを遥かにかけ離れており…………召喚される以前より狂人と呼ばれる男だった。
 いや、狂人というカテゴリーでは収まらない。最早、彼は変態と呼ばれてもおかしくなかった。
 何故かというと…………


「私はバーサーカーである以前に、特殊刑事課三羽烏の一人…………海パン刑事なのだから!」


 海パン刑事と名乗った男は…………その名の通り、黒い海パンしか身に纏っていないのだから。


 厳密に言うと、赤と黒のストライプ模様のネクタイを首に巻いているけど……筋骨隆々とした肉体を全く隠していないので、余計に異常なだけ。
 加えて、肩と左足首には拳銃が下げられていて、革靴の上にはタイツだって履かれている。
 だが、何よりも特徴的なのは海パン。「きたの」と名前が書かれた海パンは、異様なまでに股間がモッコリとしていた。


 寒くないのか?
 恥ずかしくないのか?
 どうしてそんな格好でいられるのか?
 ありとあらゆる疑問が美遊の脳内で湧き上がるけど、答えなど見つけられる訳がない。
 この男がバーサーカーとして召還されてしまい、狂化の影響で意思疎通ができないからではない。何故なら、根本的な常識からして違うのだから、コミュニケーションなど取れる訳がなかった。


 そもそも、召還された途端に「股間のモッコリ伊達じゃない!」とか「海パン一つですべて解決!」とか、よくわからないことを……決めポーズと共に叫んだ男だ。
 そんな相手にまともな答えなんて、期待するのが間違いだ。


 バーサーカーの眼力は野獣のように鋭く、歴戦を潜り抜けた戦士であることが一目見ただけで窺い知ることができる。
 かつて戦ったサーヴァント達と同等か、あるいは彼ら/彼女らを凌駕するほどの気迫が感じられた。
 だからだろうか。彼と共にいると、妙に胸が苦しくなるのは…………それは絶対に違うと、美遊は思考を切り替える。
 今、するべきことはこの状況の打破。聖杯戦争の謎を解き明かし、そして止める方法を考えなければならない。

「…………ふむ。私のことを信用してもらえないようだ。
 残念だが、君の気持ちはよく理解できる。極限状態では人間の思考は上手く働かない。ましてや、君のような子がこんな所に連れて来られては……人間不信になってもおかしくないだろう」

 その原因はあなたなんですけど!
 美遊は心の中だけで大きくツッコミを入れる。
 口にした所で、まともに聞き入れて貰えないとわかっているからだ。


15 : 美遊・エーデルフェルト&バーサーカー(海パン刑事) ◆f/uAIIN.2Y :2016/03/19(土) 15:53:49 i8cSL6Lg0


 溜息を吐くのと同時に、どこからともなく音が聞こえてくる。ピピピピ、という腕時計のアラーム音だ。
 バーサーカーはそれを止めると、次の瞬間…………なんと、自分の海パンに手を入れた! 
 何をするのかと思う暇もなく、パンツの中から取り出したのは……一本のバナナ! 東南アジアやニューギニアを始めとした数多くの国で栽培され、多くの人に親しまれる黄色い果物……バナナだ!
 そしてバーサーカーは何の躊躇いもなく皮を剥いて、そして当たり前のように果肉を口に入れた。

「ええっ!?」
「エネルギー補給の時間だ。すまないが、私には必要なんだ」

 淡々と、事務的に報告しながらバナナを食べるバーサーカーの姿が、美遊には理解不能。
 一体あの海パンのどこに、バナナを収納できるスペースがあるのか? 仮にあったとしても、どうしてパンツの中にバナナを入れられて、またそれを平気で食べられるのか?
 わからない。理解できない。ありえない。考えられない。信じられない。アンビリーバボー。アンノウン。ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲。
 脳裏にクエスチョンマークが湧き上がる中、バーサーカーはバナナの皮をゴミ箱に目掛けて放り投げる。見事に入った。

「何も心配しなくていい。私は君に……すべてを見せると誓ったのだから!」

 そのコントロール力に感心する暇もなく、あろうことか彼は海パンの両サイドに手をかけて……一気に下ろした!


「ッ!?」
「ッ!?」

 美遊とサファイアは同時に驚いた。
 バーサーカーが海パンを脱いだことで、身に纏うものは何もなくなってしまう。首にはネクタイがあるけど、それによって隠れているのは胸の一部だけ。
 それ以外に隠れているものは、何もなかった。

「――――――――――――」

 美遊は何も言うことができず、プルプルと震えている。
 目の前に現れたのは、バーサーカーの股間からぶら下がる一本の肉棒。



 完熟したバナナとか、
 マツタケとか、
 ジャンボソーセージとか、
 マンモスとか、
 聳え立つ塔とか、



 ………………色々な例えが用いられそうな男根。
 やけに太い血管や筋が浮き上がっていて、股関節から大量の縮れ毛が生えており、球体と思われる黄金色(実際は違うけど)の何かが二つも入っていそうな皮袋だって……美遊の目に飛び込んできた。
 知識としては美遊も知っている。男の人が排泄する際に必要であり、一年で目にしない日は恐らく存在しないであろう大切な器官。だけど、TVや本では絶対に映すことができず、高確率でモザイクがかけられてしまう危険な存在だ。

「――――――――――――」

 美遊とて男の人と交流したことはある。あるけど……目の前の肉棒を見せられたことなどない。
 ましてや自分から見せようとする人なんて、会ったことがなかった。

「――――――――――――い、い、い、いっ、いっ、いっ、いっ、いっ…………いやあああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 だから美遊は絶叫するしかなかった。まるで暴漢や変質者に襲われてしまった淑女のように。
 実際、客観的に見ればその通りだが…………バーサーカーは美遊に暴行しようという気など欠片もない。ただ、励まそうとしているだけ。
 しかしそんな気持ちを察することなど、美遊には不可能だった。


16 : 美遊・エーデルフェルト&バーサーカー(海パン刑事) ◆f/uAIIN.2Y :2016/03/19(土) 15:54:49 i8cSL6Lg0

「な、な、な、な、な…………なんで、なんで、どうして!? どうして……その……パンツを脱ぐの!?」
「私は隠し事が嫌いな性分だ! 君に私のすべてを知って貰うために、私は裸で君と向き合わなければいけないんだっ!」
「い、い、い、意味がわからない!」

 バーサーカーは胸を張って宣言するが、美遊は後ずさる。
 そのまま逃げ出そうとするが、動揺する中でまともに動くことなどできず、尻餅をついてしまう。

「マスターよ……すまないが、私は君のことを何も知らない。だが、同時に君も私のことを知らないだろう!」
「当たり前だよっ!」
「だからこそだ! 私はサーヴァントとして、いや刑事として……君とゆっくり話し合いたい! ありのままの姿で!
 裸になって話し合うのは気持ちがいいぞ!? 何故なら、私も君も生まれた時は裸だったのだから!」

 どう考えても変態の理屈だ。
 それに突っ込む暇もなく、バーサーカーは両腕を大きく広げながら近寄ってくる。距離が縮む度に股間のアレがぶらぶらと揺れて、そしてより大きく見えてしまう。
 逃げるとか、立ち上がるとか、サファイアと共に戦うとか……腰を抜かした美遊にそんな余裕などなかった。

「待って、やめて! お願いだから……服を着てっ!」
「可哀想に…………そんなに怯えてしまっているとは。
 だが、何も心配いらない。私はどんなことがあろうとも、君の隣から離れないことを誓う!
 見るがいい! 何も隠していないありのままの私を!」
「見たくないよおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 美遊は全力で叫ぶが、バーサーカーには届かない。話が全く通じていない相手を前に、美遊はポロポロと涙を流した。
 このままでは何をされるかわからない。不安のまま、美遊は令呪が刻まれた手を翳そうとしたけど……

「お、お待ちください美遊様!」

 その手は、サファイアによって制止された。

「お気持ちはわかりますが、ここで令呪を使ってはいけません!」
「どうして!?」
「美遊様に与えられた令呪は三回限り……なので、無理に使っては後々に影響が出ます! たった三度しか使えない以上、本当の土壇場で使うべきです!」
「こ、ここで使わなくていつ使うの!?」
「今は私にお任せ下さい!」

 そうしてサファイアはバーサーカーの目前に飛んだ。
 猛獣すらも怯ませてしまいそうな圧倒的な存在感だが、サファイアは立ちはだかる。


17 : 美遊・エーデルフェルト&バーサーカー(海パン刑事) ◆f/uAIIN.2Y :2016/03/19(土) 15:55:25 i8cSL6Lg0
「バーサーカー様!」
「むっ、どうしたのだサファイア君?」
「あなたのお気持ちは有難いのですが、少し待って頂けないでしょうか?」
「何故だ? 私はマスターと話をしなければならない」
「今、美遊様はとても疲れています……こんな状況で知らない殿方とお話をしては、美遊様に余計な負担をかけてしまうかもしれません。
 ですので、美遊様のケアは私に任せていただけないでしょうか? 私達が話し合うのは、それからでも遅くありません」
「……ふーむ。確かに私よりも君の方がマスターとの付き合いが長い。その役目は適格だろう。
 私としたことが、こんな単純なことを忘れてしまうとは。いやはや、面目ない……すまなかった、マスターにサファイア君」

 そう言って、バーサーカーは深々と頭を下げる。
 謝ってはいるけど、サファイアの言っていることは絶対に伝わっていない。そもそも、どうして美遊が泣いたのかだって、わかっていないはずだ。その証拠に脱いだパンツを履こうとしていない。
 美遊は眩暈に襲われてしまい、身震いは激しくなる。


 だけど、サファイアが言うように令呪を使うわけにはいかない。
 こんなことで使って、強引に服を着せたとしても……どうなるのか? この場で願望が叶ったとしても、問題が解決するのか?
 忘れてはいけない。美遊がやらなければいけないことは、サファイア達と力を合わせてこの聖杯戦争を止めること。バーサーカーだって友好的な態度を見せていて、何も美遊に歯向かっている訳ではない。
 そんな彼に絶対命令を与える刻印は三つだけ。ここで使っては、危機的状況を潜り抜ける為の切り札を自分から減らしてしまう。
 何よりも、このキューブ内で令呪を失ったマスターとサーヴァントはどうなるのか? 少なくともその時点で敗北はしないらしいが、これも確実とは言えない。
 端末に書かれていないだけで、何かの制裁が与えられてしまう危険だって否定できなかった。


 だから今はバーサーカーの力も借りなければいけなかった。
 変態だけど、彼だって共に困難を乗り越えてくれる仲間だから。

「えっと、バーサーカー…………」
「どうかしたのか、マスター?」
「…………えっと、その…………格好を、どうにかしてくれないの…………?」
「おっと! 私としたことがネクタイが曲がっていたようだ! これは失敬!」
「…………もういい」

 前言撤回。
 こんなサーヴァントと一緒に戦う羽目になる運命を受け入れたくない。
 一刻も早く聖杯戦争を止めて、イリヤやお兄ちゃん達の所に帰りたかった。

「…………助けてよ。イリヤ、クロ、お兄ちゃん…………」

 やがて美遊は、誰にも聞こえないような掠れた声で助けを求める。
 普段の彼女からは想像できないほどに弱々しく、そして儚い姿だった。


18 : 美遊・エーデルフェルト&バーサーカー(海パン刑事) ◆f/uAIIN.2Y :2016/03/19(土) 15:56:48 i8cSL6Lg0
【クラス】
 バーサーカー

【真名】
 海パン刑事(汚野たけし)@こちら葛飾区亀有公園前派出所

【ステータス】
 筋力B+ 耐久A 敏捷B+ 魔力C 幸運EX 宝具B

【属性】
 混沌・善

【クラス別スキル】


狂化:-
 狂化スキルは機能していない。
 常人から見ればその思考は狂気で満ちていて、バーサーカーとしてのクラスが適応された。
 彼の精神汚染スキルは"隠し事をしない"という方面を発動されていて、洋服を着せようとしても聞き入れようとしない。
 その点に関しては、意思の疎通は不可能。

 そのためバーサーカークラスとしては維持に必要な魔力が少ない。


【保有スキル】

精神汚染:A++
 精神が錯乱している為、他の精神干渉系魔術を完全にシャットアウトする。
 ただし同ランクの精神汚染がない人物とは意思疎通が成立しない。
 彼の場合、意思疎通が不可能なポイントは格好のみに限定される。


対魔力:B
 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
 彼が全身に塗りたくった汚野家秘伝のオイルによって、大半の魔術をシャットアウトする。
 

【宝具】
『股間よりぶら下げし黄金色の衝撃(ゴールデン・クラッシュ)』
 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1
 海パン刑事が誇る最強宝具。
 高く跳び上がり、己の股間にぶら下がった男性器を相手の顔面へと押し付ける技。
 

【Weapon】
 鍛え抜かれた己の肉体
 バナナ
 携帯電話や蛇口を始めとする数多の便利道具
 拳銃(ただしこれは滅多に使わない)
 

【人物背景】
 特殊刑事課の一人であり、検挙率100%を誇るエリート刑事。
 隠し事が大嫌いで、どんな犯人が相手だろうと己の全てを曝け出して立ち向かってきた。
 性格は実直で、食事のスケジュールは必ず守る。また、保護した女性の前ではネクタイをきちんと締めるので、身嗜みにもうるさいかもしれない。

【サーヴァントとしての願い】
 刑事としてマスターを守り、そしてこの聖杯戦争を止める。


【基本戦術、方針、運用法】
 サーヴァントとしての魔力はほとんど消費せず、またバーサーカー自身の格闘能力も非常に高い。
 ただしバーサーカーは遠距離からの攻撃に対する対応はできない為、そこは美遊自身がカバーする必要がある。
 宝具以外で魔力消耗はほとんどないので、マスターの負担は限りなく少ないだろう。


19 : 美遊・エーデルフェルト&バーサーカー(海パン刑事) ◆f/uAIIN.2Y :2016/03/19(土) 15:57:06 i8cSL6Lg0
【マスター】
 美遊・エーデルフェルト(朔月美遊)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ 3rei!!

【マスターとしての願い】
 ない。
 早くイリヤ達の所に帰りたい。

【weapon】
 カレイドステッキ・サファイア

【能力・技能】
 カレイドステッキ・サファイアの力を借りることで魔法少女カレイドサファイアに変身することができる。
 また本人も成績優秀で、運動神経も抜群。あらゆる分野の知識に精通しており、子どもだからと決して侮れない。
 恐らく、魔力供給に関する知識も豊富だろう。

【人物背景】
 ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトの元を離れたマジカルサファイアと出会い、魔法少女カレイドサファイアと変身して戦うようになった謎の少女。
 その正体は、ある平行世界に存在する朔月家の末裔であり……『生まれながらに完成された聖杯』でもある。オリジナルに極めて誓い破格の存在で、彼女を巡って聖杯戦争が行われたほど。
 性格は極めて真面目で、自分の使命に対して忠実であり、遊び半分で戦っていた頃のイリヤスフィールに不信を抱くも、度重なる交流によって絶対なる絆が芽生えた。またクロエ・フォン・アインツベルンとも、固い信頼で結ばれている。
 時として、家庭科の授業で大掛かりなケーキを作ったり、イリヤに対して過剰な親愛の念を抱くなど……その真面目さが災いとなってしまう。
 イリヤの義兄である『平行世界の衛宮士郎』には好意を寄せている。
 今回の参戦時期は、少なくともドライ 3rei!!にてイリヤと再会した後。


【方針】
 この聖杯戦争の謎を解き明かし、止めてみせる。


20 : ◆f/uAIIN.2Y :2016/03/19(土) 15:57:36 i8cSL6Lg0
以上で投下終了です


21 : ◆f/uAIIN.2Y :2016/03/19(土) 16:08:14 i8cSL6Lg0
あ、すみません。
ちょっと本文で誤植及びルールとの矛盾を見つけましたので、拙作を破棄させて頂きたいです。
お目汚し、大変失礼致しました。


22 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 21:30:06 rz4VtNgc0
>>21
破棄了解です。またのご投下をお待ちしています


投下します。


23 : 紺野木綿季&セイバー ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 21:30:50 rz4VtNgc0

 本当に楽しい時間だったと、ベッドの上で記憶を遡りながらそう思う。
 窓からは斜陽が射し込んで無味乾燥とした白い病室を照らし出し、レースカーテン越しにでも初春の暖かさを余すところなく体へ伝えてくれる。
 体の具合は落ち着いているようだ。穏やかな午後というのも、重病人の彼女にとっては貴重な時間である。
 お昼御飯前には両親が仕事を休んでまでお見舞いに来てくれたし、この後は学校の友達も来ると言っていた。
 病人がこんなことを言うのはどうかと思うが、本当に自分は幸せ者だと彼女は心の底から思う。
 誰からにも愛され、皆が微笑んで励ましてくれる優しく穏やかな世界が、紺野木綿季の周囲には広がっている。
 もうずっと前から心の中にあった諦観めいた感情が消えて希望が発芽してくるのも、無理はないことだった。
 
 しかし木綿季は同時に知っていた。長い間病人として過ごす内に身につけた、否応なしに現実を直視する習慣が楽しい幻想への逃避を許さず、理解という形で彼女を元の世界へと引き戻したのだ。
 ここがどこで、どうして自分がこんなにも恵まれた環境で暮らせているのかは分からない。
 ただ自分が何をするためにここにいるのか、そして記憶を取り戻したことが何を意味するのかは知っていた。
 その知識は頭の片隅にずっと備えられていて、理解したと同時にそれは一気に溢れ出した。
 手にすればどんな願いでも叶えることができるという伝説の聖遺物を巡った代理戦争。使うのは兵器でなく英霊。
 自分もまた英霊を従えて聖杯争奪に参加せねばならないのだということは、片手の令呪が証明していた。
 
「セイバー、いる?」
「ああ」

 見舞い客が去り、無人になっていたはずの病室へ突如として現れたのは黒髪に凛々しい眉毛が特徴的な女性だ。
 可憐だとか美しいだとかそういう評価を置き去って、男らしい、威風堂々とした佇まいが見事な女だった。
 年は木綿季よりも一つか二つ上程度に見えるが、正確な年齢までは分からない。
 彼女は腰から一振りの刀を提げていた。常識離れした帯刀という特徴が、彼女が常人ならざる存在だと物語る。
 セイバーのサーヴァント。生憎と木綿季は彼女が語ってくれた真名に心当たりはなかったが、きっと高名な人物なのだろうということは話している内に分かった。
 カリスマというのだろうか。話していると心が昂ぶってくる、不思議な魅力が彼女にはあった。

「ボクはやっぱり、聖杯戦争を終わらせる目的で行動しようと思う」

 サーヴァントもまた何かしらの願いを抱いて現界し、聖杯を求めているのが普通だ。
 それは生前の無念であったり、叶えられなかった理想であったり、はたまた現世に染まった俗な願いだったりと様々であるが、基本的に願いを持たないサーヴァントというのは異常な存在とされる。
 木綿季の召喚したセイバーは、まさにそれだった。
 初めて木綿季の前へ現界した彼女は驚く彼女へ凛と語ったのだ。私に願いはない、穢れた奇跡なぞに興味はないと。

 セイバーは聖杯戦争に、ひいては聖杯そのものに嫌悪と激情を抱いているように木綿季は感じた。
 多くのマスターと英霊が血眼になって追い求める奇跡を薄汚く汚れていると断じ、断固認めないと豪語した。
 しかし彼女はこうも言った。自分は飽くまでサーヴァントであり、私を使役する主は貴様だと。
 木綿季がもし聖杯が欲しいと言ったなら、彼女は自分の剣として戦い、聖杯を勝ち取ると。
 聖杯は要らないとすぐに返すことはできなかった。木綿季とて人間だ。まだ二十年も生きていない少女なのだ。
 紺野木綿季の体は病魔に冒されている。後天性免疫不全症候群と言えば、今日び子供でも聞き覚えがあるだろう。
 不幸な事故でそれに羅患した木綿季はこれまでずっと入退院を繰り返し、過酷な日々を送ってきた。
 ――そんな少女が、幸福な日々を束の間とはいえ味わったのだ。
 このまま病気が癒えたならどれだけの幸せが待っているのかと、想像してしまったことを誰も責められはすまい。
 
「ボクだって長生きはしたいけどね。でも、やっぱり君の言う通りだと思うんだ、セイバー」
「………」
「聖杯の力でそれを叶えるのは間違ってる、と思う。誰かの願いを踏み台にしてまで、ボクは自分の願いを優先させたいとは思わないよ」


24 : 紺野木綿季&セイバー ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 21:31:33 rz4VtNgc0

 彼女を立ち止まらせたのは、元の世界で謳歌した、電脳世界で出会った友人たちとの幸せな時間の記憶であった。
 妖精の世界で出会い、剣を通じて知り合った親友。同じ身を冒された仲間たちと歩んだ冒険。
 聖杯に頼って、セイバーの言う穢れた奇跡で願いを叶えてしまうことは彼らへの裏切りのように思えた。
 彼らと生きた真実を汚さない為にも、自分がすべきことは聖杯を求めるのではなく、否定することだと分かった。
 だから木綿季は聖杯を挫く者となる。奇跡を壊して戦争を瓦解させるべく、あの剣を振るうと決めたのだ。

「その決断に敬意を表そう」

 セイバーは静かな微笑を浮かべ、瞑目した。

「――お前の言う通りだ。聖杯戦争は醜悪な願いの潰し合いに等しく、断じて聖戦などと呼べるものではない」

 我欲を剥き出して武力を誇示し、卑怯卑劣にさえ頼って自分以外は死ねと叫び合う趣向の何と醜いことか。
 そうまで堕ちては、それは最早人間ではない。本能のままにしか生きることのできない、只の豚と呼ぶべきだ。
 セイバーはそうした存在を嫌悪し、軽蔑する。だからこそ彼女は剣を執り、聖杯戦争へ異を唱えた。
 より正しくは戦争の裏に潜む仕掛け人と、戦争を調停するルーラーの主従へと、その切っ先を向けたのだ。
 
「私は聖杯戦争を破壊する。奇跡を騙る手品を粉砕し、必ずや豚どもの目を覚まさせよう。その為にも私に力を貸してくれ、マスター。共に奴らの牙城を――あの瓦礫の塔を崩す為に」
「もちろん。一緒に戦おう、セイバー。ボクも君を応援したい」

 病院の窓からも、天を貫くその建造物は目視することができた。
 街の象徴であるタワーから歪に連なった瓦礫の塔、非日常に足を踏み入れた証であるカリカチュアを。
 現状は誰にも干渉することのできないあの塔だが、それだけに聖杯戦争を運営する者にとって最も脅かされたくないものがあの中に眠っているのだと判断するのは難しくない。
 かの塔を崩すことが、聖杯戦争を破壊する上での最終目標だ。
 ルーラーの存在もある。言葉にするだけなら簡単だが、そこへ辿り着くまでの道は並大抵のものではないだろう。
 それでもセイバーは自らの勝利を毛ほども疑っていないし、絶望感など欠片ほども感じてはいなかった。
 彼女は生前、もっと途方もない巨悪の陰謀へと打ち克ったことがある。
 その記憶を思い返せば、世に不可能なことなど何もないのだと、そう信じることができる。

「よっと」

 ベッドから立ち上がった木綿季の体が、淡い光に包まれる。
 次の瞬間そこに立っていたのは、病院服をまとった華奢で弱々しい少女などではない。
 セイバーのように帯刀した、どこかファンタジックな装いと出で立ちの少女剣士へとその姿は変容していた。
 
「しかし、驚いたな。魔術師でもないお前に、そんな力が宿っていようとは」
「ボクもよく分からないんだけどね、なんでこうなってるのかは。元の世界じゃできなかったし……でも、この姿のボクはちゃんと戦えるよ。結構やれる自信もある」

 アルヴヘイム・オンライン。それが、この少女剣士が名を馳せていた舞台だ。 
 たかがゲームと言われればそれまでだが、されどゲームと言い返すこともできる。
 五感全てを駆使して戦わなければならないVRMMOの世界で最強の名を恣にした剣士、それが彼女。
 紺野木綿季という病気の少女ではなく、絶剣の名で知られた仮想世界最強の剣士。その名をユウキという。
 ゲーム内のキャラデータを現実へ出力して実体を持たせるなど、現代でも難しいだろう。
 だからこれはきっと、聖杯戦争という舞台が自分へ与えたハンデのようなものだと思うことにした。
 浮かぶ疑問は尽きねども、この姿でいる間は、ユウキとして戦うことができる。


25 : 紺野木綿季&セイバー ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 21:32:16 rz4VtNgc0

「行こう、セイバー。ボクらの手で、この戦いを終わらせるんだ」

◇◇◇

 セイバーへいかなる時も付き従っていた四人の従者の姿はここにはない。
 彼女はその身体と宝具以外に何の武器も力も持っておらず、生前に比べればそれだけで大幅な弱体化を受けていると言って良い程だ。
 だが、彼女はそれを不足とは思わない。不完全とも思わない。それしきのことで揺らぐ己ではないと信じている。
 勇敢なマスターに恵まれ、手には愛剣と宝具が有り、これ以上何を望むというのか。
 
「――覚悟しろ」

 瓦礫の塔で嘲笑っているのだろうルーラー、そして未だ見ぬ黒幕へセイバーは宣戦布告を叩き付ける。
 
「貴様の醜悪な目論見は、必ず私が打ち砕く―――この鬼龍院皐月が」

 後光すら射しそうなその勇姿は遠い時代の英雄譚に語られる英傑と比べても何ら遜色ない。
 事実彼女は彼らに劣らない英雄だ。世界を服の侵略から救い出す為に剣を振るった武勇によって、英霊の座へと導かれた生まれついての支配者。
 願いを求む豚を、豚を飼い慣らして笑う飼い主(オーナー)を、どちらも彼女は認めなどしない。


【クラス】
セイバー

【真名】
鬼龍院皐月@キルラキル

【ステータス】
筋力A 耐久B 敏捷B 魔力E 幸運A 宝具A

【属性】
秩序・善

【クラススキル】
対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

騎乗:B
騎乗の才能。
大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

【保有スキル】
カリスマ:A
大軍団を指揮する天性の才能。
Aランクはおおよそ人間として獲得しうる最高峰の人望といえる。

黄金律:A
身体の黄金比ではなく、人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。
一生金には困らない。

直感:B
戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を”感じ取る”能力。
視覚・聴覚に干渉する妨害を半減させる。

意志力:A+
人間、それも十代の少女としては間違いなく規格外に分類されるほどの強い意志力。精神力。
同ランクまでの精神干渉スキルをシャットアウトし、また、あらゆる場合においても恐慌状態に陥らない。


26 : 紺野木綿季&セイバー ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 21:32:48 rz4VtNgc0

【宝具】
『戦維殺しの正剣(縛斬)』
ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:1〜20 最大捕捉:1~50人
白い鞘と黒い刀身が特徴の日本刀で、生命を持った戦う繊維――生命戦維を切断できる。
彼女自身の膂力も相俟って、縛斬を一振りするだけでも周囲の人間が盛大に吹き飛ばされる。
この宝具は抜群の切れ味を誇る名剣だが、特に服や鎧をはじめとした「身に纏う」ものを切り裂く際にはランク以上の切れ味を発揮する。

『戦維殺しの絆獣(蛟竜・餓虎)』
ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:1〜20 最大捕捉:1~50人
基本性能は『戦維殺しの正剣』と同一だが、この宝具では双剣となっている。
『戦維殺しの正剣』が何らかの事態によって破壊された場合、砕かれた縛斬はそれぞれ『縛斬・蛟竜』『縛斬・餓虎』として再形成され、セイバーの手元へと自動的に舞い戻る。

『神衣純潔』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:―
纏一身が製作した神衣で、極制服と呼ばれる生命戦維を利用した装備を遥かに凌駕した最上級の衣服。
通常時は白地に青い装飾が入ったワンピース型のセーラー服。左上腕部に青い輪があり、その留め金を閉じることで注射を行い、セイバーの血を得ることで戦闘形態へと変形する。
発動と同時にセイバーの姿は露出度が多いものに変化し、幸運、宝具以外の全てのステータスが上乗せされる。
飛行形態、全身に刃を生じさせる形態変化などを使用可能。
純潔は自我と意思を有しているが、同じ神衣の鮮血のように喋ることはない。

【weapon】
縛斬

【人物背景】
世界のアパレル産業の70%を支配しているREVOCS社のお嬢様であり、本能字学園を武力と恐怖で支配していた女。
峻厳苛烈で威風堂々とした性格を持ち、男性顔負けの風格と強さを併せ持つ。
生命戦維への反逆を掲げ、母・鬼龍院羅暁の野望を打ち砕くべく人類を背負って立ち上がった英雄である。

【サーヴァントとしての願い】
聖杯の破壊、並びに聖杯戦争の完全終結。


【マスター】
紺野木綿季@ソードアート・オンライン

【マスターとしての願い】
なし

【weapon】


【能力・技能】
ALOアバター:ユウキ
VRMMO「アルヴヘイム・オンライン」内で彼女が使用していたアバター「ユウキ」に自由に変身できる。
変身中は病魔の進行がストップし、サーヴァントに対して手傷を与えられるようになる。
紺野木綿季は余命わずかな少女だが、ユウキはゲーム内最強と謳われるほどの剣士。優れた剣技と、彼女の代名詞である十三連撃「マザーズ・ロザリオ」を使用できる。

【人物背景】
出生時に輸血用血液製剤からHIVに感染し、十五年もの間闘病を続けてきた少女。
ナーヴギアを医療用に転用したメディキュボイドの被験者になり、それから三年間を仮想世界で過ごしてきた。

【方針】
叶えたい願いはない。
あるとすれば、セイバーと一緒に戦いたい。


27 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/19(土) 21:33:04 rz4VtNgc0
投下を終了致します


28 : ◆7PJBZrstcc :2016/03/19(土) 22:05:49 iZ2PSQps0
投下します


29 : ◆7PJBZrstcc :2016/03/19(土) 22:06:42 iZ2PSQps0


 聖杯戦争。
 それはどんな願いも叶える事が出来る聖杯を掛けた殺し合いである。
 参加者に選ばれた者はマスターとなり、聖杯から遣わされたサーヴァントと共に殺し合いに臨むことになる。
 サーヴァントとは英霊である。
 英雄として生き、人々に信仰された存在である。

 そう。
 サーヴァントとは、光り輝く道を歩いたであろう英雄なのだ。




「汚らわしいッ! 汚らわしいぞ聖杯ッ!!」

 1人の男が怒っている。
 彼の名はリンゴォ・ロードアゲイン。アメリカのガンマンであり、この聖杯戦争のマスターに選ばれた男だ。

 リンゴォが記憶を取り戻したのは朝の事だ。
 アメリカ生まれのフリーの殺し屋。
 そんな設定でこの函館に暮らしていたが、元々住んでいた国や時代とのギャップからかあっさり元の記憶を取り戻した。
 そして彼は聖杯戦争に関する知識を手に入れた。

 最初は少しだけ心が躍った。
 リンゴォには叶えてもらいたい願いなど無い。
 しかし、叶えたい願いを持つものとならとても良い果し合いが出来るのではないかと思った。
 願いの為に戦うものなら、漆黒の意志を持っているのではないかと考えたからだ。
 だが聖杯戦争も悪くないと思えるのはサーヴァントという存在がなければの話だ。
 サーヴァントが過去もしくは異世界の英雄でなければの話だ。

 英雄というからには素晴らしい存在なのだろう。
 光り輝く道を歩いていた尊敬すべき存在なのだろう。
 それほどの存在を何故ッ!
 何故こんな下らない戦いの駒にする!!
 何故こんなたまたま巻き込まれただけの人間の従者とするッ!!
 ――それも俺のような未熟者の従者とするッ!! 

 リンゴォは自身を未熟者だと思っている。
 そして自身が尊敬する存在を、従者とすることに耐えられない。
 自身のサーヴァントの価値を汚しているような気がしてならない。

 そんな心を胸に抱いていると、いきなり目の前が光り始めた。。
 そして光が収まると、そこには1人の男が立っていた。
 リンゴォはその男が自分のサーヴァントだと分かった。
 己が従えることになった存在だと理解した。
 だから、リンゴォは開口一番にこう言い放つ。


30 : ◆7PJBZrstcc :2016/03/19(土) 22:07:26 iZ2PSQps0
「俺のサーヴァントよ。俺は聖杯を破壊する」
「そうか」

 あと俺はアサシンだ、と付け加えつつリンゴォに返答するアサシン。
 そんなアサシンの様子を見てリンゴォは安心する。
 もしもサーヴァントに願いがあったら、自分を殺そうとするだろうと考えていたからだ。
 最悪は令呪を使うつもりだった。光り輝く道を歩いたであろう英雄と相反する事にになったとしても。
 そんな思いを知ってか知らずかアサシンは続ける。

「俺に願いは無い。あるとするならば、こんな下衆な殺し合いを生む聖杯を打ち砕くことだけだ」
「俺が主でいいのか? 俺は殺し合いに怒りなど覚えていないぞ」

 アサシンのまっすぐな言葉に思わず問いかけてしまうリンゴォ。
 それを聞いたアサシンはこう返した。

「お前は、例え正義感でなかったとしても聖杯戦争に乗らないと宣言した」
「それだけか?」
「それと卑劣さを感じなかった。お前の態度に、言葉にそんな物は一欠片もなかった」
「……」

 『男の世界』にそんなものは無い、あってはならない。
 それが分かるアサシンはやはり素晴らしい男だ。

「それとマスター、俺からも1ついいか」
「……何だ?」
「マスターの名前を聞かせてくれ」

 そう言えば自己紹介の1つもしていなかった。
 そう気づいたリンゴォは自己紹介を始めた。

「名はリンゴォ・ロードアゲイン。3年ほど前にスタンドと呼ばれる超能力を身に付けた」
「超能力?」
「能力名はマンダム。きっかり6秒だけ時を戻すことができる」
「何?」

 思わず怪訝な顔をするアサシン。
 リンゴォからすればそれも無理はないと理解する。
 だがアサシンも嘘は無いと理解したのかそれ以上は何も言わなかった。

「……俺は自己紹介をしたぞ」
「そうだな」

 そう言ってアサシンは自己紹介を始める。
 正直に言えばアサシンがどういう人間なのかリンゴォは気になっていた。
 アサシンから感じられる『漆黒の意志』は相当なものだ。
 どんな環境で育ち、どんな人生を送ればそうなるのかリンゴォは気になっていた。

「俺はアサシンのサーヴァント、ケンシロウ。1800年続く一子相伝の暗殺拳北斗神拳伝承者だ」
「北斗神拳?」
「それは外で説明するには少々長い話になる」

 そう言ってアサシンは歩き出した。
 それを見たリンゴォは呼び止めて一言。

「……よろしくお願い申し上げます」

 それは普段ならば果し合いを申し込む相手に使う言葉、決闘の申し込み。
 だが今だけは違う、今だけは共に戦う物に対する礼儀として使う。

「ああ」

 そしてアサシンは快くそれを受け取った。


31 : ◆7PJBZrstcc :2016/03/19(土) 22:08:40 iZ2PSQps0
【クラス】
アサシン

【真名】
ケンシロウ@北斗の拳

【パラメーター】
筋力B 耐久B 敏捷C 魔力D 幸運B 宝具EX

【属性】
秩序・善

【クラススキル】
気配遮断:A+
自身の気配を消す能力。
完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。

【保有スキル】
北斗神拳:EX
1800年に渡って受け継がれている一子相伝の暗殺拳。正式な伝承者であるケンシロウはEXランクとなる。
矢などの飛び道具や様々な武器に対する返し技や、ある程度の自然治癒なども備えている。
サーヴァントが秘孔を突かれた際、秘孔を解除する技術がなければ判定は対魔力によって決定する。

南斗聖拳:E
「陰」の北斗神拳に対応する「陽」の拳法。流派が非常に多い。
北斗神拳奥義水影心により一度見た相手の技をコピーすることができ、南斗聖拳伝承者の技をコピーしている。
があくまでコピーであり、一部の技を使えるというだけなのでEランク。

【宝具】
『北斗百烈拳』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
北斗神拳の奥義の1つ。
数多の拳を持って相手の肉体の数ある秘孔を狙い無数の突きを繰り出す。
そして秘孔を突かれた数秒後には、無数の断片と化す技。

『天破活殺』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1-20 最大補足:1
北斗神拳秘奥義「天破の構え」から放たれる、北斗神拳の奥義の一つ。
指先から闘気を鳥羽市、相手の肉体に直接触れず秘孔を突くことができる。
北斗神拳にある数少ない遠距離技。

『無想転生』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1
哀しみを背負う事で習得できる北斗神拳の究極奥義。
あらゆる敵の攻撃に対して無想にして適切な反撃を行い、また敵にとっては無想故に予測不能な攻撃を仕掛ける技。
歪んだ空間を作るなどをして、動きを制限すると本体の居場所を看破することもできる。

【weapon】
なし

【人物背景】
北斗神拳第64代継承者。
性格は基本的には心優しい。
弱者や子供に対しては愛を注ぎ、強敵(とも)には愛と哀しみ拳にこめ、情で見送る。
一方、救いのない外道に対しては非情な面を見せる。

【サーヴァントとしての願い】
殺し合いを生む聖杯を破壊する。

【備考】
外伝などの設定は採用せず、本編設定のみ採用しています。


32 : ◆7PJBZrstcc :2016/03/19(土) 22:09:09 iZ2PSQps0
【マスター】
リンゴォ・ロードアゲイン@ジョジョの奇妙な冒険

【マスターとしての願い】
『男の価値』を汚す聖杯を破壊する。

【weapon】
拳銃

【能力・技能】
スタンド『マンダム』
きっかり6秒だけ時を戻すことができる能力。
能力発動の際は時計の針を戻す。
また、一度能力を使うと6秒のインターバルが必要となる。

【人物背景】
公正な果し合いにより自身を生長させようとするガンマン。
受け身の『対応者』を嫌い、『漆黒の意志』を持つ者との果し合いを望む。

【方針】
聖杯を破壊する。
場合によっては誰かと共闘も考える。

【備考】
NPCとして与えられた役割はフリーの殺し屋です。
今のところ雇い主はいません。


33 : ◆7PJBZrstcc :2016/03/19(土) 22:10:21 iZ2PSQps0
投下終了します。
入れ忘れましたが、タイトルは「リンゴォ・ロードアゲイン&アサシン」です


34 : ◆lsF0vXE55A :2016/03/19(土) 22:25:03 mBBy63rY0
投下お疲れ様です。
皆さん雰囲気作りがお上手で、引き込まれてしまいますね。

それではこちらも投下させて頂きます。


35 : ムラクモ&アサシン ◆lsF0vXE55A :2016/03/19(土) 22:26:22 mBBy63rY0
 突然の自己紹介で申し訳ないが〝あたし〟は、この函館で女子高生をやっていたものだ。
 どうして過去形なのかは言うまでも無い。その経歴が偽物だったことを、つい数時間前に思いだしたからである。
 今のあたしはどうやら聖杯戦争というものに巻き込まれてしまったらしい。
 全く、運が悪いことだ。そりゃ、あたしは教室やゲーセンとかで友達と遊びながらも心の中で「なんか刺激的なことないかな」と思ってたさ。
 だからって、さすがにこれはないんじゃないの?
 しかも、

「あいつ……どこで戦ってんの……?」

 突然、敵の英霊が襲撃してきたもんだから、あたしは自分の英霊とはぐれてしまっていた。
 しかもそこら中をどれだけ走っても、その姿は見つからない始末。かつて通っていた学校のセーラー服も、すっかり汗でびっしょりだ。制汗スプレーが欲しい。

「もう……どこにいったのよ!?」

 苛立ちのあまり、あたしは虚空に向かって大声を上げた。
 そしてすぐにそれが愚かな行為だと気付き、両手で口を塞ぐ。敵に見つかったらどうしろというのだ。ああもう、あたしのバカ。

「ひっ!?」

 と、バカなりに反省していたところで、どこかから物音がした。
 いや、物音どころではない。爆発音だ。もしかすると、襲ってきた敵があたしの英霊に何かしでかしたのかも知れない。
 あたしの身が縮こまった。今まで必死に走っていたおかげで忘れることができていた〝戦争〟という単語を、爆発音のせいで思い出してしまったからに違いない。情けないことに、両眼から涙が滲み出て、すぐに両の頬を伝う。
 バカ。早く帰ってきてよ。あんな奴ら、倒してきてよ……! 英霊っていうからには、なんか凄いんでしょ? ねぇってば! ねぇ!

「早く、助けにきてよ……!」
「ああ」
「……え?」

 すると、そのときだった。
 あたしの英霊が帰ってきたのは。


36 : ムラクモ&アサシン ◆lsF0vXE55A :2016/03/19(土) 22:27:14 mBBy63rY0
「せ、せ……セイバーっ!」
「こ、こら!」
「バカ! いつまで戦ってたの!? 怪我は!?」
「ああ、きちんと撒いたよ。流石に二対一は分が悪かったからね……でも身体は、なんともない」

 怪我がないと知るや、あたしはこってこての〝騎士〟なセイバーに思いっきり抱きついた。銀色の硬い鎧があたしの頬を冷たくするけど、そんなのは関係ない。今は彼が無事で、あたしが無事なんだから、ただそれだけでいいのだ。
 そしてあたしはセイバーに感謝の言葉を口にするため、背の高い彼の顔を見上げる。すると夕暮れの風でなびく金髪をかき上げた彼は、その紫色の瞳をこちらに向けた。

「……あれ?」

 するとあたしは、その瞬間に強烈な違和感を覚え、

「セイバー……?」
「ん? どうしたんだい?」

 彼から身体を離した。

「ねぇセイバー、一つだけ訊かせて……」

 そして、問う。

「あなたの目って……〝青かった〟よね?」

 するとその瞬間、彼が放つ柔和な雰囲気が一気に消え去ったかと思うと、

「ああ、そっかぁ。薄暗くて間違えちゃってたよ」

 文字通り、セイバーの目の色が変わった。
 紫色から、青色に。

「これでよかったかな、マスターのお嬢さん」
「あ、あんた……だ、誰!?」

 反射的に何度も後ろへと下がりながら、あたしは尋ねた。けれど恐怖からか歯ががちがちとと音を立てていたから、上手く話せたかは分からない。それでもこのセイバーじゃない誰かは、ゆっくりとこちらに歩を進めると……あたしの問いに答えてくれた。
 尋常じゃない怪力で、あたしの首を締め上げながら……だけども。

「僕はエンヴィー。始まりのホムンクルス、エンヴィーだよ」

 ボキッ、という音が聞こえた気がした。


■ ■ ■


37 : ムラクモ&アサシン ◆lsF0vXE55A :2016/03/19(土) 22:28:00 mBBy63rY0
 午後六時。裏路地にて。
 この〝私〟ムラクモは、仕事を終えたらしいアサシンの帰りをじっと待っていた。
 辺りは私が戦闘中に使用した兵器、電光地雷の爆発によって、ところどころに穴が空いている有様だが、気にはしない。
 気がかりなのは、アサシンの帰りが妙に遅いことである。
 まさか、どこかで油を売っているのではあるまいな? 私は訝しんだ。
 ……が、その疑問は杞憂であったようだ。

「遅いぞ、アサシン。もう少し手早く出来んかったのか?」

 何せ目の前に、先程まで私と戦っていた英霊に瓜二つの青年が現れたのだから。

「つれないなぁ。楽しむ時間くらいくれたっていいでしょ?」

 その不真面目な態度を見た私は、思わず溜息をつく。暗殺者の英霊だと言うのに、奴は何故こうもへらへらとしているのか。不思議でたまらない。

「その貴様の楽しみのおかげで、こちらは生きた心地がしなかったのだぞ……」
「キッヒヒヒヒ……やっぱり弱っちいもんだ、人間ってのは。で、あの〝本物のセイバー〟の末路はどうなったのさ?」
「電光地雷にかかったところを斬り捨てようとしたが、金色の光となって消え去った。数刻前のことだ」
「ああ、じゃあ僕があの女の子をぶっ殺してやったときと一致するか……おめでとう、よく耐えきったねぇ、ムラクモのオッサン?」

 そしてこの私をオッサン呼ばわりしたアサシンの英霊エンヴィーは、一瞬でその姿を変えた。
 今度は長く伸ばされたみどりの黒髪に、露出の多い黒い服。出会い頭に尋ねたので知っているのだが、これこそが普段着ならぬ普段姿というべきものであるらしい。

「その趣味の悪い姿はなんとかならんのか」

 とはいえ、あまり良い見た目とは思えんのが実際の感想だ。

「しょうがないじゃん。やっぱこういう可愛い姿の方が気合い入るんだから」
「……勝手にしろ」

 まぁ、奴の感性にケチを付けるのも無駄だ。私は奴から視線を外し、英霊の襲撃に備えようと直立不動の姿勢を取った。

「そ。あ、じゃあチョコレートパフェ食べに行こうよ」

 が、邪魔をされる。
 まったく、何を考えているのだ。この状況で甘味だと? 貴様の頭は何で出来ているのだ?

「何を慢心している?」
「勝手にしろっていったのはそっちでしょ?」
「貴様はどうも気が緩みすぎて……いや、まぁいい。責任は果たそう」

 いや、だが確かに、勝手にしろと言ったのは他でもないこの私だ。
 いいだろう、付き合ってやる。万が一、英霊共が潜んでいるかもしれんしな。
 だがアサシンよ……貴様、きちんと銭は持っているのだろうな?


38 : ムラクモ&アサシン ◆lsF0vXE55A :2016/03/19(土) 22:29:12 mBBy63rY0
【クラス】
アサシン

【真名】
エンヴィー@鋼の錬金術師(アニメ一期)

【ステータス】
筋力A 耐久B 敏捷A 魔力E 幸運D 宝具B

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】
気配遮断:D
サーヴァントとしての気配を絶つ。隠密行動に適している。
ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断は解ける。

【保有スキル】
人間観察:B
人々を観察し、理解する技術。
ただ観察するだけでなく、名前も知らない人々の生活や好み、人生までを想定し、これを忘れない記憶力が重要とされる。

加虐体質:A
戦闘において、自己の攻撃性にプラス補正がかかるスキル。
プラススキルのように思われがちだが、これを持つ者は戦闘が長引けば長引くほど加虐性を増し、普段の冷静さを失ってしまう。
バーサーカー一歩手前の暴走スキルと言える。

精神異常:C
精神が歪んでいる。
自身が嫉妬している者に対して異常な執着と嗜虐性を持つ。
精神的なアーマー能力。

【宝具】
『嫉妬(エンヴィー)』
ランク:B 種別:対人宝具(自身)
自身の身体を、望む姿へと変化させる。それによって身体能力が減少することはない。
魔力は体内の賢者の石で賄っているため、非常に省エネである。

【weapon】
なし

【人物背景】
錬金術師〝光のホーエンハイム〟によって作られた「始まりのホムンクルス」。元はホーエンハイムの実子であり、水銀中毒により死去した過去を持つ。
そして人体錬成によって蘇った後は、妻ダンテの元を去ったホーエンハイムに〝捨てられた〟と思い込み、彼やその息子達であるエルリック兄弟を憎んでいる。
その中性的な雰囲気とは裏腹に強力無比な力を秘めており、怒り狂って暴走したときには地面を陥没させるほどの拳を繰り出していた。
チョコレートパフェが好物。

【サーヴァントとしての願い】
エルリック兄弟及び光のホーエンハイムの殺害。


39 : ムラクモ&アサシン ◆lsF0vXE55A :2016/03/19(土) 22:29:40 mBBy63rY0
【マスター】
ムラクモ@アカツキ電光戦記

【マスターとしての願い】
地球人口を調整する。

【weapon】
日本刀・最新式電光機関「六〇式電光被服」

【人物背景】
元・大日本帝国の陸軍武官。
秘密結社ゲゼルシャフトの創設者の一人にして支配者という肩書きを持ち、現人神として新世界を生み出すために暗躍している。
具体的には、地球人口が膨れあがった現状を憂うあまり、全世界に対し最終戦争を仕掛けることで人口を減らすという救済計画を目論んでいる。

【方針】
アサシンと共に行動。アサシンの行動が少しばかり気がかり。


40 : ◆lsF0vXE55A :2016/03/19(土) 22:29:59 mBBy63rY0
投下終了です。


41 : ◆lsF0vXE55A :2016/03/19(土) 23:31:29 mBBy63rY0
すみません。宝具欄をこの様に修正します。
記述すべきものを忘れておりました。申し訳ありません。


『嫉妬(エンヴィー)』
ランク:B 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:1
自身の身体を、望む姿へと変化させる。それによって身体能力が減少することはない。
魔力は体内の賢者の石で賄っているため、非常に省エネである。


42 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/20(日) 01:10:34 Xy3zmNN20
「私は願いなんてものは特に無いけど、アサシンは?」
「無い。まあこの様な欲に塗れた催しに我を呼びつけ、あまつさえ刺客などという役を割り振った輩に報いを受けさせてやろうとは考えているがな」




某月某日。函館公園近くの夜道を歩いていた下校途中の女子中学生がトラックに轢き逃げされた。
タイヤに巻き込まれ、原形すら留めぬ無惨な死体と成り果てた少女。
通常ならば此処で少女の物語は終わりである。
世の常の少女ならば。
少女は只人ではなかった。故に少女の新しい物語は此処から始まる。



◆蓬莱紅蛛抄(ほうらいこうしゅしょう)



 ――――何故私はこんな処に居るんだろうか――――
事故現場から離れ、今いる竹林に至るまで思考を占め続ける疑問。
そもそも此処は何処なのか?北海道函館市というのは解る。何時の間にか脳に刻まれていた知識がそれを教える。
が、そもそもその知識に実感が無い。書物や映像のみで知る異国の地に突如放り出された様な。そんな境遇に少女はいた。
――――聖杯戦争。令呪。サーヴァント。どんな願いも叶える。最後の一組。マスター――――
脳裏を駆け巡る言葉に少女は混乱し、右手の甲に目を向ける。
「うわぁ」思わず声が出る。
蜘蛛の意匠の刺青の様な代物が何時の間にか有った。
「土蜘蛛になら似合うのに。私には合わないよね。これ」
ブツブツと独り呟く。
「ならば何なら似合うのだ」
「鳳凰」
後ろから不意に聞こえた声に間髪入れずに答え、愕然と振り向く。
「――――え?」
振り返った先、3mと離れていない場所に其れは居た。
長い烏帽子を被り、平安貴族の衣装を纏った、黄金の蜘蛛が描かれた扇で目から下を覆った青年。
この時代の目で見れば異装としか言いようがない格好であるが、この青年が街中を歩いても、誰も格好など記憶に留めまい。
「なんて…綺麗……」
こちらを見つめる黒瞳は扇の下の顔が美しい――――それも少女が今まで見たことが無いほどに――――ことを確信させた。
「なんて…怖い……」
その澄んだ瞳は深く冷たく、まるで月無き冬の静夜の如く――――恐ろしい。
「鳳凰とは随分と大きく出たの」
笑い――――嘲笑では無く、純粋に面白がっている笑い――――を含んだ声に、思わず頭に血が上った。
「名乗りもしないで人のことを笑うなんて……」
誰何の声が尻切れトンボになったのは、青年が扇を下ろしたからだ。
月が地上に降りてきたかの如く輝いて見える美貌に、少女は言葉を失った。
「ふむ。名乗らずにいたのは礼を失する行為であった。我は藤原紅虫。かつて栄華を誇った藤原氏の出よ。それで娘、お主が我の主か」
「――――は?」
藤原?藤原氏の出?それに懐かしいこの格好は……
「千二百年ぶりか……」
思わず口をついて出た言葉に青年――――紅虫が怪訝な目を向ける。
「私は妹紅。藤原妹紅。藤原不比等を父に持つ藤原氏の出」
紅虫の目が呆気に取られたかの如く開かれた。


43 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/20(日) 01:12:24 Xy3zmNN20
【クラス】
アサシン

【真名】
藤原紅虫(ふじわらのあかむし)@退魔針シリーズ及び外伝 紅虫魔殺行

【マスター】
藤原妹紅

【ステータス】
筋力C+ 耐久C 敏捷C 魔力C 幸運D 宝具B

【属性】混沌・悪

【クラススキル】
気配遮断:C サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。ただし戦闘状態に入ると気配遮断は解ける。が、攻撃の種類によっては効果が現れるまで相手に気付かれない。
【保有スキル】
美貌:B
美しさ。アサシンの美貌は神秘に根差したそれでなく、持って生まれた天然の美貌である。それ故に精神力を保証するスキルでしか防御出来ない。
性別問わず、Cランク以下の精神耐性の持ち主は、顔を直視するだけで茫然としたり、怯んでしまったりする。常時発動している天然の精神攻撃とほぼ同義。
ランク以上の精神耐性の持ち主でも、確率如何では、その限りではない。人間に近い精神構造の持ち主なら等しく効果を発揮する。
後述の威圧と合わさることで効果に++が付く

威圧:B 生前,対峙した妖魔を悉く恐れさせてきた鬼気。同ランク以下の精神耐性ではその鬼気に竦んでしまう。臆病や怯懦といったスキルの主は高確率で狂乱する

単独行動:B マスター不在でも二日間ほど行動可能。予め食い溜めしておくことで期間を延ばせる

戦闘続行:A++ 往生際が悪い。瀕死の重傷でも戦闘続行を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。眉間から後頭部を貫かれても、体の右半分を食い尽くされても、全身を炭化するほど焼かれても生存する

再生A+ 身体の右半分を食い尽くされても5分も有れば元に戻る

魔性:B+ 『向こう側』の妖魔と融合して産まれ、千年の時を生きたアサシンは高ランクの妖魔である

対魔性:C 前世で破壊神とも言うべき異界の妖魔を封じ、生前に復活した異界の妖魔を再度封じ、世界中の妖魔を殺して回ったことにより得たスキル。
魔性のものと戦うときあらゆる判定がある程度有利になる。
本来ならば最高クラスのランクだが、アサシンは自身を魔性と定義しているため大幅にランクダウンしている

大摩流鍼灸術:ー(C) 森羅万象に存在する『脈』を探り、その『ツボ』を突く事により様々な効果を発揮する技術体系。退魔の技だが、一般的な鍼灸術としても使用可能。
極めれば自らを死人と化してあらゆる攻撃を無効化する事や、空間に穴を開けることも可能だが、アサシンは妖魔を斃す為にのみ習得した為に、使える技術は限られている。
但し習得した範囲内においてはアサシンは教えを乞うた宿敵にも匹敵する技量を持つ。
サーヴァントの霊核を物理防御を無視して貫くことが出来る角度を見極められる。
なお失敗した場合。相手が魔性のもので有れば千倍万倍の強さを得る。聖杯戦争に於いては対象のステータスを幸運を除き2ランクアップさせる。

このスキルはアサシンの宿敵への拘りも有って通常は封じられている。
アサシンがこの技を使うとき、それはアサシンが己の力では斃せぬ敵と判断した時。
実質的な敗北を認めた時である。


44 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/20(日) 01:13:53 Xy3zmNN20
【宝具】
魔人・藤原紅虫
ランク:B 種別:対人宝具 最大補足:自身
巨大な蜘蛛の身体に紅虫の上半身が生えているという異形の姿に変わる。
幸運以外の全ステータスが1ランクずつ上がりAランクの怪力スキルを得る、代わりに美貌スキルが消滅する。
姿を変えずとも体内には常時発生しており、体内に千を越える牛馬を食い溜めしておくことが可能。千年の間土中に封じられていた時このおかげで飢えずに済んだ。

妖蛛
ランク:B 種別:対軍宝具 最大補足:50人 レンジ:1〜30
アサシンの身体の中に無数に居る蜘蛛。魔力を消費することで幾らでも増やせる。様々な種類が居る。
アサシンの身体を喰ったり、アサシンに寄生したものの体内に入り中から食い荒らす
全身を無数の紅蜘蛛に変えて攻撃を回避し、相手を貪り喰う
人間の死体に蜘蛛入れて生きてるように動かせる。会話もできるし脈も有る
生きている人間の中に入れ、アサシンに不利な行動をしようとすると激痛に襲われる様にすることも可能
傀儡蜘蛛…雲の中から糸を垂らし、糸をくっつけた人間をアサシンの意のままに動かす。壁にぶつけたりとかできる
探り蜘蛛…糸を通し様々な情報をアサシンに伝える。平安貴族のアサシンが現代に順応できたのはこの蜘蛛のおかげ
涙蜘蛛…鉄をも溶かす酸を出す


【weapon】
糸:
口や指先から出す糸。アサシン曰く如何なる刃でも断てず、地獄の業火でも溶けない。
Aランク以上の宝具を用いた攻撃でなければ切断不能。
この糸を用いた斬撃を防具で防ぐにはBランク以上の宝具で無ければ防げない。
一度対象に巻きつければどれだけ離れても異次元に放逐されても対象の元にアサシンを導く。
粘着性にも優れ、土石流を二本の糸で止めることも出来る。
この糸を用いた最も恐るべき攻撃は巻きつけてからの締め潰しであり、耐久や防御を無視したダメージを与える。

針:
ステンレス製の針。大摩流鍼灸術を使う際に必須。


45 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/20(日) 01:14:39 Xy3zmNN20
【人物背景】
千年前、栄華を誇った藤原氏の一人として生まれるが、『向こう側』の存在と融合して産まれてきた為に、あらゆる史書から存在を抹殺され、『夜狩り省』により地中深く封じられた平安貴族。
時を経て、現代で『向こう側』の存在に憑かれた少女詩織の手により復活。己を封じた、鍼師・大摩童子と拳士・風早狂里の子孫に復讐する為に動き出す。
数度の戦いを経たのち、詩織の所為で暴走した、かつてムー大陸を滅ぼした妖魔、ザグナス・グドにより全身を焼かれる。
その後ザグナス・グドを斃す為に『向こう側』と『こちら側』の征服を目論む狂科学者、藤尾重慶の手により更なる強さを得て復活。ザグナを撃破する。
そして大摩との決着を望むも詩織から用済みとされ、怪光線で頭部を貫かれる。
それでも死ぬことがなかった紅虫は、生きていて完全に力を取り戻し、発狂して荒れ狂うザグナス・グドを、前世でムー大陸で共に対妖魔の任に当たっていた大摩・風早達と共に封じ、何処へかと去っていった。


その後世界各地を放浪しながら「魑魅魍魎と恐れられるのは我のみでよい」という考えの元、立ち寄った地の妖魔を皆殺しにして回る。
韓国の地で最後の一匹を滅ぼした時、日本から吹いてきた風に妖物の気配を感じ、再び日本の地を踏む。
そこで『ワライガオ』なる妖物に先祖代々憑かれてきた家系の少女、みどりと出逢う。
みどりから求婚され、これを受け容れて、ワライガオとの魔戦を開始する。
無限に進化するワライガオの前に紅虫は斃す手立てを失い、宿敵である大摩に大摩流鍼灸術の教えを乞う。
そしてみどりと共に大摩流鍼灸術を習得し、ワライガオとの決戦に臨むもみどりがツボを打ち間違え、ワライガオは究極の強さを得て、地球すら喰いつくそうとする。
紅虫も大摩も手の打ちようがない事態にたった一人。みどりだけが立ち向かい、ワライガオを滅ぼした。己の命と引き換えにして。
そして生涯で唯一人愛した少女を失った紅虫は大摩との再会を約し、月へと去っていったのだった。

性格は傲岸不遜で容赦が無い。一人称は『我』千年間埋められていたが現代の知識は豊富。知識だけは。
海外経験から英語とスペイン語を話せる。古来の礼儀作法やしきたりにはわりとうるさい。
あと主人公時の無敵オーラが異常。けど作中ではボスクラスに勝った試しが無い。

【サーヴァントとしての願い】
無い。自分の強さを妹紅に見せたいと思っている。


【マスター】
藤原妹紅@東方Project


【能力・技能】
死なない程度の能力。
蓬莱の薬を飲んで以来不老不死。魂を起点に肉体を再構成出来る。毒も薬も無効。病にならない。
しかし痛みは感じるし疲れるし腹は減る。
千年以上戦ってきた経歴を持つ為身体の扱いが上手い。妖術の類も複数使える。炎を操るのも自前の能力であり蓬莱の薬は関係無い。
本来は魂だけの状態で行動できるが、制限を受けてできなくなっている。
サーヴァントに魂喰いをされると死ぬ様に制限を受けている

【人物背景】
父に恥をかかせた蓬莱山輝夜に意趣返しをするべく輝夜が残した壺を奪い取ろうと、壺が運ばれる富士山頂に先回りするも、行き倒れてしまい。壺を運ぶ一行のリーダー、岩笠に救われる。
その後、魔が差して岩笠を殺害。蓬莱の薬を奪って口にし、不老不死となった為、各地を放浪する。
人間に追われたり妖怪を殺して回ったりしているうちに幻想郷に行き着き、蓬莱山輝夜と再会。輝夜と楽しく殺しあう日々を過ごしながら、住んでいる竹林で道案内兼護衛をやっている。

【方針】
願い:幻想郷に帰る。アサシンを幻想郷に連れて帰ろうか思案中。
方針:事態を異変の様なものと認識していて、一応解決しようとは思っている


46 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/20(日) 01:16:11 Xy3zmNN20
予告なしに投下してしまい。大変申し訳ありませんでした

以上で投下終了です


47 : ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 01:23:26 UtRMy3V60
投下させていただきます


48 : 蜘蛛の糸 ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 01:24:02 UtRMy3V60

 恋の悩みがあった。
 
 最初はなんてことのない悩みだった。
 きっかけは、運動場で怪我をした時、おぶって保健室まで運んでくれたことだったと思う。
 その時から人混みの中でも段々と彼を目で追うようになって、いつしかわたしは恋に落ちていた。

 彼が笑うと心がどきりとする。

 彼が楽しそうにしていると自分まで嬉しくなってくる。

 彼と話なんてしようものなら、顔が赤くなっていないかどうか不安で仕方がない。

 もっと一緒にいたい。
 もっと遊びたい。
 もっと話したい。
 もっと彼のことを知りたい。
 そして、あわよくば――そんな淡い願いは、しかし叶うことなく引き裂かれてしまった。

 その時のことは、正直よく覚えていない。
 あまりにも大きなショックだったから。
 それを伝えられた日は一日中茫然としていたような気さえする。
 覚えているのは、朝に突然先生が彼を連れて教室へ入ってきて、転校という言葉を口にしたこと。
 金槌で頭をがつんと殴られたような衝撃で、目眩がした。
 自分の気持ちはいつか、覚悟ができた時にでも伝えればいいとすっかり安心してしまっていた。
 こんな形でお別れになるとは思わなかった。
 運命を本気で呪いもしたし、神様なんてのは本当に人を馬鹿にしているとひどく腹が立った。
 
 ――それでも、気持ちを伝えることは出来そうになかった。
 心の準備なんて何も出来ちゃいなかった。
 まだ時間はあると高を括っていたから、あれだけ妄想していた告白の台詞もさっぱり思い出せなくなっていて。
 私がただぼうっとしている間にお別れ会が済んで、一日経った今日、彼のお別れ会が終わった。
 
 ……最後まで、一言も話せなかった。
 最後のドッジボール大会ではろくに動けないまま、何とも思っていない人にボールをぶつけられて外野へ出た。
 彼はめいっぱい楽しんでいて、私は事情を知っている友達からずっと慰められているだけだった。
 そのことがあまりにも惨めで、情けなくて、悲しくて。
 お別れ会が終わり、帰りの会が済むなり友達と話すのさえほっぽり出してトイレに駆け込んだ。


49 : 蜘蛛の糸 ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 01:24:34 UtRMy3V60
 
 そこで、自分でも引いてしまうくらい泣いた。
 声を殺しながら、トイレットペーパーで涙を拭って、少し落ち着いてからまた泣く。
 これを何度繰り返したか分からない。
 気付いた時にはトイレを出て、夕暮れの薄暗い校舎の中をとぼとぼと歩いていた。
 ――彼に好きだと言いたい。でも、うまい言葉なんて思いつかない。
 どうすればいいんだろうか。
 私は何をすればいいんだろう。
 この気持ちは――いったい、どこに向ければいいのだろう。

 上の空で歩いていると、誰かにぶつかった。
 担任の先生だった。
 若くて顔立ちもハンサムな方で、何より生徒へ気さくに接してくれる。 
 怒ると怖いけど、怒らせなければとても親身になってくれる人だ。
 そんな人が皆に嫌われるわけもなく、現に私も、この人には好印象を抱いていた。
 今までに担任になった先生の中では、間違いなく一番いい先生だと断言できるくらいには。

「こんな時間まで何してるんだ、友梨?」
「先生……私――!」

 きょとんとした様子の先生へ、私は全てを話した。
 話した、というよりは、吐き出した、という方が正しいかもしれない。
 明日には函館を去り、遠い東京に行ってしまう彼。好きな人。
 なんだかんだでずっと一緒に小学生をやれて、いつかはそういう関係に慣れると思っていた人。
 でも自分には彼が行ってしまうのを止めることはできない。
 最後に話すことも出来なかった。
 彼はきっと家に帰ってしまっただろう。
 想いは伝えられないまま、彼は行ってしまう。
 会えないけれど会いたい、どうかこの気持ちを彼に伝えたい。
 思いの丈を全部、全部、優しい先生にぶちまけた。
 先生にこんなことを言っても仕方ないとは分かっていても、溢れだしたものは最後まで止まらなかった。

「……そうか。友梨は、泰斗に「好きだ」って言いたいわけか」

 全てを聞いた先生は、そう言って私の目を見ていた。
 先生の赤い目を私もじっと見返して、こくりと頷く。
 すると先生はにこりと笑ってサムズアップをした。
 
「よし。じゃあ、伝えに行こう」
「えっ、でも」
「先生が車で泰斗の家まで乗せて行ってやる。なに、遠慮するな。生徒の青春を応援するのも先生の役目だ!」

 そう言って、先生は私の手を引く。
 彼の家までは、学校から歩いて一時間以上はかかる。
 子供の足で向かうのは、この時間からだとかなり厳しい。
 でも確かに車なら、十分かそこらも走れば辿り着けてしまう程度の距離だ。
 
「先生……私、泰斗くんに会いたい――好きって、言いたいよ……!」
「その気持ちがあれば十分だ。先生はそれを応援することしか出来ないから、ちゃんと自分で伝えるんだぞ」
「うん、うん……!!」

 引っ込んだはずの涙をまたぼろぼろ流しながら、先生に心からの感謝をした。
 私がぐずぐずしているせいでなくしてしまったチャンスを、先生がもう一度作ってくれた。
 こんな時間に突然訪ねていったら迷惑かもしれない。
 そうでなくても、きっとびっくりさせてしまうだろう。
 でも最後なんだから、このくらいのわがままは許されると思いたい。

 ――しっかり、伝えるんだ。
 私の口で、私の言葉で。
 遅くなってしまったけれど、取り返しがつかないくらい遅くなってしまったけれど……
 そうしたらきっと私は、笑顔で「またね」って言えると思うから!


50 : 蜘蛛の糸 ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 01:25:08 UtRMy3V60



「そうか、うまくいったか!」
「うん! 来年の夏にまた帰ってくるから、その時に遊ぼうって約束した!」

 結果は大勝利だった。
 彼はやっぱりびっくりした顔をしていて、私が告白すると口をあんぐり開けて目も大きく見開いて驚いてくれた。
 それからほっぺたを真っ赤にして、「俺も好きだよ」と返事を貰えた時、一瞬本気で時が止まった気さえした。
 勇気を出してよかったと思ったし、それ以上に先生には感謝してもしきれない。
 彼は明日、東京へ行ってしまう。
 しばらくは会えなくなるだろう。
 私は携帯電話を持っていないし、それこそ本当に、来年の夏まではお預けだ。

「はは……先生も嬉しいぞ。教え子の恋が実る瞬間ってのは、流石に経験したことなかったけどな」

 先生はなぜか自分まで照れ臭そうに鼻をこすると手を伸ばし、助手席の引き出しを手前へ引いた。
 その中に手を突っ込むと、ぶどう味だろうか――紫色の棒付き飴を取り出し、一本くれた。
 
「ささやかだけど先生なりのお祝い……いや、ご褒美だ。よく頑張ったな、友梨」

 自分もちゃっかり飴を咥えながらウインクする先生の顔は、本当に頼もしく見えた。
 先生がここまでしてくれなかったら、私はきっとこんな嬉しい気分にはなれなかったはずだ。
 苦い初恋の思い出をずっと引きずったまま、大人になっていく。
 あの時、あの廊下で先生に会えなかった私は、そういう人生を送っていただろう。
 でも、違う。先生のおかげで私は気持ちを伝えられて、最高の返事ももらえた。
 ――本当に、感謝してもしきれない。
 
 明日からは彼はいない。 
 けれど悲しくはない。
 むしろどうやって来年まで楽しく過ごすか、楽しみですらある。
 いろんなことにチャレンジして、いろんなところに行ってみたい。
 遠くから帰ってくる彼にたくさんの楽しい話が出来るように、いっぱい楽しいことをしよう。

 すっかり暗くなった町並みをガラス越しに見つめて、私は慌ただしい一日をそう締めくくるのだった。


51 : 蜘蛛の糸 ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 01:25:33 UtRMy3V60


 
「お疲れ、セイバー。珈琲は飲めるか?」
「ありがとう。いただくよ、マスター」

 セイバーと呼ばれた筋肉質な青年に、小学校教諭・八代学は柔和な笑みを浮かべて缶珈琲を差し出した。
 この時間まで哨戒をしてもらっていたことへの、ほんの労いだ。
 とはいっても百年以上前の時代を生きていた人間の口に現代の缶珈琲が合うかどうかは定かではなかったのだが。
 微糖と書かれた金色の缶は、彼の筋骨隆々とした巨体の前ではえらく小さなものに見えた。
 ごくごくと喉を鳴らして苦い液体を嚥下していくセイバー。
 彼は缶から口を離すと、一つ頷いてマスターである男に礼を述べた。

「苦いが、美味しいな。こんなものがたった百円とちょっぴりで買えるなんて、すごい世の中だ」
「そうだなあ。百年前に自動販売機はないか、流石に」

 車を走らせながら、八代も自分の分の缶珈琲へ口を付ける。
 微糖の苦味に少しだけ顔を顰めたところを見るに、甘いものの方が彼にとってはお好みらしい。

「この自動車という乗り物も、僕の時代にはなかったな。
 なかなかのパワーとスピードだ。僕の生まれた時代は馬車しか走っていなかったから、なかなか新鮮だよ」
「少し興味はあるが、僕は現代っ子だからなあ。セイバーの時代に行ったらカルチャーショックを受けそうだ」

 苦笑する。
 それにセイバーも少し笑ったが、彼の顔はすぐに真面目なものになった。
 見れば、その服には幾らか破けた痕があり、肌には傷も程度こそ小さいが幾つか見え隠れしている。
 そのことに気付いた八代は唇を噛み、何秒か沈黙した後に、彼の方から切り出した。

「その傷。今日はサーヴァントと戦ったようだな」
「ああ。敵はランサーだった。気持ちのいい男だったよ」
「倒せたか?」
「危ないところだったが、僕が勝った。マスターは逃がしたよ。悪いやつには見えなかったからね」
「……本当、悪いな。お前にばかり大変な役目を押し付けて。僕が魔術師だったら、援護もしてやれるんだが……」

 ばつが悪そうに眉を顰める八代に、セイバーは微笑んで首を振った。

「その気持ちだけで十分さ、マスター。
 あなたはあなたのやるべきことをしてほしい。僕は、僕のやるべきことをする」
「……分かった。じゃあ――明日からもよろしく頼むよ。
 僕は聖杯なんてものに興味はないが、この町で暮らす人達が巻き込まれるようなことは避けたいからな」
「同感だ。こんな戦いの為に失われる命なんて、少ないに越したことはない」


52 : 蜘蛛の糸 ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 01:26:14 UtRMy3V60

 八代学が召喚したセイバーのサーヴァントは、聖杯戦争を止めたがっていた。
 そして因果なことにこの八代という男も、聖杯へ託す願望のようなものは持ち合わせていなかった。
 他の願いを蹴落としてまで叶えたい願いはない。
 彼はセイバーにかつてそう言い、聖杯戦争を止めるという彼の目的に同意を示したのだ。
 八代は魔術師ではない。ただの人間で、身体能力も超人的なものは何一つ持っちゃいない。
 だから彼は、セイバーと一緒に戦うことは出来ない。
 彼に出来ることは日常を過ごし、教師として教鞭を執り、こうしてセイバーの戦果を聞くことだけだ。
 
「そういえば、マスター。いつもと着ている服が違うようだが、何かあったのかい?」
「……ああ。ちょっと葬儀に出席してきたんだ」

 八代は珈琲を飲み干すと、空になった缶をドリンクホルダーへ収める。
 彼が今日着ている服は、所謂喪服と呼ばれるものだった。
 帰りが普段より遅かったのもその為だ。
 学校を出てすぐに葬儀に出席し、線香をあげてきた。
 遺族は幼い娘を突然奪われて痛々しい涙を流していたし、故人の学友も皆声を押し殺して死を悼んでいた。
 死んだのは八代のクラスの女子生徒だった。
 皆の中心というほど目立つ子ではなかったが、それでも離別を悼んでくれる友人が大勢いるくらいには楽しい学校生活を送っていた娘であった。
 最近は少し消沈していたものの、最後に学校へ出席した五日前にはすっかり元気になって、授業も意欲的に受けていたのを覚えている。

「いい子だったんだけどな、友梨は」

 呟いて、八代は車のサイドミラーに目を向けた。
 蜘蛛が巣を作っていた。

 そこから地面に向けて、一本の糸が垂れていた。



【クラス】
 セイバー

【真名】
 ジョナサン・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険

【ステータス】
 筋力A 耐久B 敏捷C 魔力C 幸運B 宝具C

【属性】
 秩序・善


【クラス別スキル】
対魔力:D
一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

騎乗:D
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み程度に乗りこなせる。


53 : 蜘蛛の糸 ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 01:26:36 UtRMy3V60

【固有スキル】
波紋法:A
特殊な呼吸法によって擬似的に太陽エネルギーと同じものを生み出す秘術。仙道とも。
体内を走る血液の流れをコントロールして血液中に波紋を引き起こし、それを治癒に使ったり、通常の攻撃では倒すことのできない吸血鬼等の有効打としたり、生命感知や物質への伝導等、多岐に渡って使用する。
Aランクともなれば、それは一流の波紋戦士の証。

戦闘続行:A
往生際が悪い。
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

勇猛:A
威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。
また、格闘ダメージを向上させる効果もある。


【宝具】
『我が友よ、明日を照せ(LUCK&PLUCK)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~8 最大補足:1
 ジョナサン・ジョースターという英霊が、セイバーのクラスで召喚された由来とされる宝具。
 セイバーが生前交戦し、熾烈な激闘の果てに討ち倒した友人から贈られた一振り。刀身には「LUCK(幸運を)」の文字が刻まれており、その先頭に血文字の「P」が書き加えられ、「PLUCK(勇気を)」と読める。
 この宝具を握っている間、セイバーは幸運判定にプラス補正を受け、それに加えて精神抵抗判定に自動成功する。
 またセイバーの宿敵である吸血鬼との戦いにて吸血鬼が用いた氷の技を破った逸話から、氷属性の攻撃や物体に対して攻撃を行う場合、そのダメージ判定にプラス補正を獲得できる。

『星屑に繋ぐ物語(ファントム・ブラッド)』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
 セイバーが人生の最期、死の淵に立たされながらも最愛の女性と赤ん坊を逃がすために戦った逸話。
 彼が致命傷を負っていて、なおかつ誰かを守るために戦っていることを条件に自動発動する。
 宝具発動中セイバーは常時発動を無効化、阻害されないランクA+の戦闘続行スキルを発動し、セイバーと敵対している全ての存在の攻撃対象を自分へと強制的に変更させる。

【weapon】
 基本的には素手。ここぞという時にのみ、宝具の剣を使う。

【人物背景】
 第一部『ファントムブラッド』の主人公で、以降第六部まで続く因縁の始まりを担った英国紳士。
 ふとしたきっかけから青春時代を共にしたディオ・ブランドーの陰謀に気付き彼を告発しようとするが、ディオは石仮面を被ることで不死身の吸血鬼と化してしまう。
 その後波紋の達人であるウィル・A・ツェペリに師事し、波紋を体得。ディオを追って彼の配下たちと激戦を繰り広げ、それを乗り越えて遂にディオを打倒する。
 しかしディオは生き永らえており、首だけになって襲い掛かってきた彼から嫁のエリナとひとりの赤ん坊を逃がすために奮戦し、最期までディオを抱き止めたまま死亡、海の藻屑と消えた。

【サーヴァントとしての願い】
 願いはない。聖杯戦争を止め、マスターたちを一人でも多く元の世界へ返したい。



【マスター】
 八代学@僕だけがいない街

【マスターとしての願い】
 普段通りに暮らす。聖杯に興味はないのでセイバーに任せつつ、元の世界へ戻りたい。

【weapon】
 彼は普通の人間なので、決まった武器のようなものは持たない。

【能力・技能】
 彼は普通の人間なので、特別な力は持たない。
 強いて言うなら彼は要領がよく、頭もよく、人の心を掴むのがうまい。

【人物背景】
 小学校教師。
 明るく親身になって生徒と接する教育方針から、男女を問わず生徒からの人気が高い。
 特に女子児童からは、彼の顔の良さもあって非常に好かれている。
 生徒の相談をどれだけ荒唐無稽であろうとも笑い飛ばさず、生徒のためなら自分の不利益を恐れずに行動でき、確たる自分の主義にもとづいて行動できる好人物。

【方針】
 日常を過ごす。


54 : ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 01:27:59 UtRMy3V60
投下を終了します。
セイバーのステータスは一部、第二次二次キャラ聖杯戦争の「シオン・エルトナム・アトラシア&アーチャー」のステータスを参考にさせていただきました。
この場を借りてお礼申し上げます。


55 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/20(日) 06:14:07 Xy3zmNN20
>>45
重ねて無作法を致しますが妹紅のロールを書き忘れていました

【ロール】
市内の中学校に通う女子中学生。制服は青いセーラー服。編み上げブーツを履いている
着ていた制服は血や肉片でもはや着れたものではない。幻想郷で着ていた服は家の押入れの行李の中
家は北海道では名を知られた焼き鳥屋のチェーン店。現在は青森への進出の為に両親揃って出張中という設定
その為活動資金は中学生にしては豊富


56 : ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 20:57:31 UtRMy3V60
続けて投下します。別所に投下したものの流用です


57 : 灼熱の風 ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 20:58:06 UtRMy3V60


「――黒より昏く 闇より黒き漆黒に 我が真紅の混光を望み給う」


 蒼と黒の相反する二色彩が混合した、混沌の光が莫大な魔力を伴ってただ一点に収束していく。
 路傍に重なる粉塵は巻き上げられ、台風のそれよりなお激しい暴風が吹き荒れる様は、あたかも世界が悲鳴をあげているようでさえあった。
 汐華初流乃少年とて、この世に産声をあげてからこれまでの間に何度もハリウッド映画を見たことがある。
 魔法使いが箒で空を飛び、呪文で炎や雷を呼び出して、美しいオーロラを背景に戦い合う姿は否応なしに見る者の心を踊らせる。若き日の初流乃も例に漏れずそうだった。
 しかしこれは演出の賜物が作り出す銀幕の世界ではなく、れっきとした現実で起こっている現象だ。
 

「覚醒の刻来たれり、無謬の境界に堕ちし理――無形の歪みとなりて現出せよ!」


 この世のどんな技術を結集させ、どれだけ時間をかけて撮った映画でも、所詮それはスクリーンを隔てた虚構。
 本物の迫力と圧倒的なプレッシャーとは、到底作り物風情が辿り着ける域ではないのだと初流乃は理解した。
 禍々しく、同時に雄々しく、美しくすらある光がうねりをあげ、壮絶な音色と共に集ってゆく。
 初流乃は、この時ばかりは己の幸運に感謝した。
 この力を意のままに操る者の『背後』に自分がいることに――自分がこれを放たれる側でないことに、胸を撫で下ろさずにはいられなかった。
 汐華初流乃ほどの男をしてそう思わせるほどに、それは絶対的な力の結集であった。


「踊れ、踊れ、踊れ――! 我が力の奔流に望むは崩壊なり、並ぶ者なき崩壊なり!
 万象等しく灰燼に帰し、深淵より来たれ」


 悪逆を尽くした敵は、情けない声を上げて全速力で踵を返して走り出す。
 少しでも、ほんの少しでも、これから起こる破壊から離れるために足を動かす。
 全てが遅いと悟っていながら、ほんの僅かな望みに全てを懸けて、無駄と分かっている足掻きへ走る。
 きっと、この憐れな敵を従者と使役している主人も、水晶玉の向こうで絶望していることだろう。

 戦いを挑む相手を間違えたと、最早取り返しの付かない失敗に嘆きながら、刻一刻と訪れる炸裂の瞬間を眺めていることしか出来ない。
 暗殺者(アサシン)が――走りながら、振り向いた。
 その顔は瞬く間に、より色濃い絶望へと彩られる。

「……あんたのつまらない願いの為に踏み台にされた者達の痛みを、少しは思い知るんだな」

 初流乃の声に同情の色は一切ない。
 彼は目の前の光景に驚愕し、目を奪われながらも、悪を許さないその一点は貫徹していた。
 もしも彼がつまらない情や口先で丸め込まれるお人好しだったなら、ひょっとするとこれから起こる大破壊も未遂に終わり、暗殺者が奇跡の座に辿り着く未来もあったのかもしれない。
 けれど暗殺者の英霊は致命的な過ちを犯した。
 たとえ虚構の人間とはいえ、汐華初流乃の目前で、罪のない一個の家庭を踏み躙り、虐殺してしまった。
 そして暗殺者には、「殺す」覚悟はあったが――逆に「殺されるかもしれない」危険への覚悟はなかった。
 ただそれだけのこと。それだけのことで、彼の聖杯戦争は幕を閉じる。


「これが人類最大の威力の攻撃手段。これこそが、究極の攻撃魔法」


 渦を巻いた魔力の奔流が――ただ一直線に。
 天から降り注ぐ神なる裁きとして、灼熱の柱へと姿を変えた。
 空を見上げて、目を見開いた暗殺者の顔は、最期の一瞬まで絶望の底にあり。
 

「『この素晴らしき世界に爆焔を(イクスプロージョン)』――――!!!!」


 さりとて、彼に一切の懺悔さえ残す暇を与えず。
 最大の熱量と、最高の威力で炎の鉄槌は降り注ぎ。
 暗殺者の体を焼き尽くし、霊核までも焼滅させ、存在全てを灼熱にて否定し――
 悪なる魂を文字通り粉砕して、英霊の座へと送り返した。


58 : 灼熱の風 ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 20:58:28 UtRMy3V60



 汐華初流乃少年が、虚仮に彩られた日々を認知したのはひょんな偶然からだった。
 
 それまで初流乃は、至って普通の学生として暮らしを送っていた。
 毎朝起きて学校へ行き、授業を受けて、部活には入っていないので六時間目の終了と共に校門を出る。
 そんな日常を繰り返す。良く言えば平穏、悪く言えば惰性で流れる日々。
 飢えと乾きを胸に過ごす中、初流乃はある時――ふと、本物の記憶を取り戻した。

 きっかけが何であったかと問われれば、日々の全て、と返すしかない。
 初流乃が偽りの日々の中で常々抱いていた感情は、飢えであり、渇きだった。
 愛すべき平和である筈なのに、どこかに物足りないと感じている自分がいる。
 より正確に言えば、これでいいのかと、そんな問いかけを重ねてくる自分がいる。
 鬱屈ともまた違った感情を胸に抱いたまま過ぎる時間の中、遂に汐華初流乃は『夢』から――いや。

 『夢』から『覚める』のではなく。
 『夢』に、『目覚めた』。

 ギャング・スターになるという夢。
 スタンド使いとして、イタリアンギャング『パッショーネ』へ所属した記憶。
 ブローノ・ブチャラティを筆頭とした同僚たちとの劇的な出会いと、数多くの戦い。
 初流乃の夢は、その黄金の憧れは、聖杯などの小細工で見失ってしまうようなものでは決してなかったのだ。
 
 記憶を取り戻してから、初流乃が聖杯戦争へと接触するまでは迅速だった。
 聖杯戦争の実態を知識としてしか知らないままで、彼はとある場面へ遭遇した。
 仲睦まじく町外れの公園で遊ぶ三人家族が、黒尽くめの暗殺者によって見るも無惨な肉塊へと変えられる瞬間に。
 それがつい十数分前の出来事。初流乃が暗殺者に対して取った行動は、交戦であった。

 しかし、暗殺者は彼の想像を遥かに上回る怪物だった。
 機動力、身のこなし、更には摩訶不思議な力も含めて、完全に初流乃の上を行っていた。
 それでも十分間以上食いついていたのは、流石に『とある男』の血を引き継ぐ才人故か。
 あわやこれまでかと思われたところで――


 『彼女』が現れた。
 絵本に描かれる魔法使いにそっくりな格好をした、背丈の小さい華奢な少女。
 片目を眼帯で覆い、これまた絵に描いたようにファンタジックな杖を片手に。
 キャスターのサーヴァントを名乗る――聖杯戦争参加者・汐華初流乃の英霊(パートナー)が現界したのだ。


 後の展開は、御存知の通り。
 キャスターの発動した莫大な力は、公園の景色を一変させるのを代償に、悪なる殺し屋を一撃で焼き払った。
 聖杯戦争における初めての戦いに、こうして初流乃は劇的な勝利を収めたのであったが。


59 : 灼熱の風 ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 20:58:51 UtRMy3V60

 初流乃達は戦いが終わるや否や、人が集まってくる前に近くの路地裏へと退避を決めた。
 あの一撃は文字通り壮絶なものだったが、音といい見た目といい、あまりにも目立ちすぎる。
 人が周囲へ居ないことを確認してからでなければ、迂闊に使わせる訳にはいかない力。
 初流乃は肌寒い空気の立ち込める裏路地で、キャスターから今起こっていることについての説明を受けながら、彼女の能力についてそう纏めた。
 それから、説明された内容に対して思考を向ける。
 
「キャスター。僕は、聖杯戦争を……聖杯を『破壊』しようと思う」

 聖杯戦争。
 英霊の座より呼び出した英傑を手駒として使役し、この街を舞台に殺し合いを行い、最後まで生き残った者には願いを叶える権利が与えられるという悪趣味極まりない趣向。
 初流乃はそれに、素直に嫌悪感を覚えた。
 誰が仕組んだのかは知らないが、これに乗って願いを叶えるなど、考えただけで背筋に鳥肌が立つ。
 そのくらいには、聖杯戦争という儀式は彼にとって『邪悪』に写った。
 だから――取るべき行動は決まっている。
 たとえそれが、サーヴァントにとっては看過できないだろうものであろうとも。

「なるほど。それもまた一つなのではないでしょうか」
「……あなたは、聖杯にかける願いがないと?」
「そりゃ無いわけじゃないですよ。人並みに色々、叶えたい願いごとはあります。
 ただ……別にそこまでして叶えようとは思わないといいますか。やり過ぎといいますか」

 要は、キャスターは願いを叶える手段のあまりの物騒さに若干引いているようだった。
 歴戦の英傑とするにはやや庶民的な反応だったが、初流乃にとっては都合がいい。
 聖杯の破壊。それに伴う、聖杯戦争という儀式そのものの打ち止め。
 彼女とならば、その目的を滞りなく果たすことが出来そうだ。
 ……ただ。一つだけ、気になることがある。

「もう一つだけ。
 ……どうして、あなたまで動けなくなっているんです?」

 サーヴァントを撃破した後、キャスターは初流乃の前で俯せに倒れ臥してしまったのだ。
 どうやらろくに動くことも出来ないようだったので、彼が彼女を背負ってここまで運んできた。
 確かにあれだけの威力の攻撃――宝具を放ったのだから、反動はあって然るべきかもしれない。
 初流乃はキャスターの口から、そういう答えが返ってくるのだろうと思っていた。

「爆裂魔法は絶大な威力と引き換えに、消費魔力もまた絶大なので……」
「なるほど。あなたの宝具はその消費魔力量故に、発動後暫くは行動不能になってしまう……と。
 だったら、使い所は考えた方が良いでしょうね。通常時は他の技で――」
「あ、それは無理です」
「なに?」

 背負われたまま、どこかぐったりとしてキャスターは続ける。
 
「私、爆裂魔法以外の魔法は一切使えないので。あとちなみに、爆裂魔法の目安は一日一発です」
「……キャスタークラスとは、魔術の扱いに手慣れた英霊が当て嵌められるもの――と聞いた筈ですが……」
「失礼な。我が爆裂魔法は最強の魔法と名高い、とても尊く素晴らしいもので……云々かんぬん斯く斯く然々」

 爆裂魔法の素晴らしさについて延々と語る背中の少女を尻目に、初流乃は小さく溜息をついた。
 初対面にも等しい相手にこんなことを言うのは失礼だが、彼女はサーヴァントとしては明らかに『外れ』だ。
 超絶級の火力こそあるものの、それ以外は軒並み自分の方が優っているのではないだろうか。
 聖杯戦争をどうこうしようと思うなら、早い内に同盟相手を――同じ志を持つ仲間を確保して、戦力面を増強する必要があるに違いない。
 ……というか、これで前線に出ようと思えば間違いなく詰む。


60 : 灼熱の風 ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 20:59:37 UtRMy3V60

「そういえば、そちらの名前を聞いてませんでした。私ことキャスターの真名はめぐみんといいます。
 食費と雑費その他諸々込みでアークプリーストの力を拝領できる超絶優良物件ですよ、よかったですね」
「僕は――」

 汐華初流乃、と。
 そう名乗ろうとして、「いや」と否定する。
 この世界を生きる汐華初流乃は、夢に目覚めると共に消えた。
 そう、彼女へ名乗るべき名前は――

「ジョルノ・ジョバァーナ。ジョルノ、とお呼びください」

 やはり、これが一番しっくり来る。



【クラス】
キャスター

【真名】
めぐみん@この素晴らしい世界に祝福を!

【パラメーター】
筋力:D 耐久力:E 敏捷:E 魔力:A+ 幸運:A 宝具:A

【属性】
中立・善

【クラススキル】
陣地作成:-
できないし、できたとしてもやらない。

道具作成:-
できないし、できたとしてもやらない。

【保有スキル】
アークウィザード:A-
冒険者としての彼女の職業。
上級職であるため、余程の事情でもない限りは所属パーティーのアテには困らない。
彼女は一つの世界で最強と称された魔法の担い手であるためこのランクだが、後述するとある事情によってマイナス表記が足されている。

紅魔族:A
生まれながらに高い魔法使い適性を持つ一族の出身者。
ちなみに彼女の痛々しい言動とネーミングセンスは、この一族に共通して受け継がれるものらしい。


61 : 灼熱の風 ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 20:59:47 UtRMy3V60
【宝具】

『この素晴らしい世界に爆焔を(イクスプロージョン)』
ランク:A 種別:対軍 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人
キャスターが行使できる唯一の魔法にして、彼女がその生涯を通して愛し続けた究極の宝具。
めぐみんオリジナルの詠唱の後に、上空から猛烈な火力の大爆炎を降り注がせる。
その威力は凄まじく、地形すら容易く変えてしまい、接近されれば自分も仲間も巻き込んでしまうため使えないという弱点が存在するほどの規模と破壊力。
――但し。この宝具は猛烈な威力と引き換えにとんでもなく燃費の悪い代物で、マスターへの負担こそ少ないものの、一度使用すればキャスターは全ての魔力を使い尽くして当分まともに動けなくなり、使用限度は一日一回と扱いにくいなんてものではない。
一応令呪二画を消費することで掟破りの二発目を撃たせることも可能だが、その行為が持つリスクを鑑みれば現実的とは言い難いだろう(ちなみにキャスターは後のことなど考えずに大はしゃぎする)。
元々超威力の魔法であったが、「一つの世界の魔法体系にて最強と呼ばれている」ことから聖杯戦争では更に補正がかかり、元世界での威力より更に上の破壊を実現可能である。

【weapon】


【人物背景】
爆裂魔法をこよなく愛する、紅魔族のアークプリースト。
本来何をどう間違っても英霊になれるような人物ではないが、爆裂魔法しか使わない(正しくは使えない)という生き様がどこかで湾曲されて伝わった結果、英霊の座に召し上げられたらしい。

【運用方法・戦術】
めぐみんはキャスターだが、先も言ったように宝具『この素晴らしき世界に爆焔を』以外のあらゆる魔術を使わないしそれ以前に使えないので、燃費の悪さも相俟って役に立つ場面は相当限られる。というか、多分マスターのジョルノが戦った方が圧倒的に強い。
ステータスもご多分に漏れず低いため、なるべく表に出さない方が無難だろう。
ただし幸運値だけはそこそこ高いので、案外なるようになるかもしれない。


【マスター】
ジョルノ・ジョバァーナ@ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風

【マスターとしての願い】
聖杯戦争の破壊

【能力・技能】
スタンド能力『ゴールド・エクスペリエンス』
テントウムシをモチーフにした人型の近距離パワー型のスタンドで、殴るか触れるかした物質に生命を与え、地球上に存在する動物や植物に変える能力を持つ。
この能力で生まれた命は、ジョルノの意思で成長や死が自在であり、瞬時に生み出したり時間差で遅く生み出したりすることができ、命を失うと再び元の物体に戻る。また、持ち主のところへ戻っていく習性がある。
元々生命を持っているものに対してこの能力を使い、生命エネルギーを与え続けることで老化を加速させ一気にその命を終わらせるという芸当も可能。ただし、生命が物理的に生育しえない環境下では物体に生命エネルギーを与えても物体は生物へと変化しない。
この能力を応用し、人体の部品を生成して負傷した箇所に移植、外傷の治療を行うこともできるが、あくまで「治す」能力ではないため、治療には痛みが伴う他、瀕死の者は治療しても助からないことがある。

【人物背景】
ギャング・スターを目指す少年。かつて世界に大いなる野望を広げんと目論んだ、邪悪の化身の息子。
勇敢で正義感が強く、咄嗟の機転と行動力を持ち合わせる。常に冷静沈着で、仲間であっても丁寧に接し、物静かで感情的になることはほとんどない。しかし一度怒りを見せると徹底して容赦せず、報復を貫徹する。
参戦時期は少なくとも、ブチャラティ達と出会った以降ではあるようだ。

【方針】
聖杯戦争は『邪悪な儀式』なので叩き潰す。
それはそれとしてサーヴァントがひどすぎるので、志を同じくする同盟相手を確保したい


62 : ◆T2BRcwLa.A :2016/03/20(日) 21:00:00 UtRMy3V60
投下終了です


63 : ◆yYcNedCd82 :2016/03/20(日) 21:35:53 Z0AH94AU0
では自分も候補作を投稿させて頂きます


64 : ラスティ・ガン・アンド・ブロークン・ボー・リボーン ◆yYcNedCd82 :2016/03/20(日) 21:38:08 Z0AH94AU0
【これまでのあらすじ】
 雪に包まれた函館市で暮らす高校生の朝田詩乃は、普段と変わらぬ穏やかな生活を送っていた。
 しかしそんな日常の裏では、暗く奇妙な事件が続いていた。それこそが「聖杯戦争」だったのだ。
 戦いに巻き込まれ日常の真実に気づいた詩乃は、セイバーに襲われ殺されかけてしまう。
 だがそこへニンジャが高速垂直リフト射出され……

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「イヤーッ!」

 その決断的なカラテシャウトによって、深夜の校庭はサツバツたるイクサの場となった!

 色付きの風が一迅吹き抜けたかと思うと、一人の男が立ちはだかったのだ。
 義憤に駆られただけの愚かで無知な一般市民だろうか? それともただの自殺志願者か? そうではない!
 男は両腕にブレーサー、両足にはレガースを装着していた。男はメンポを装着していた。

 そして柿色の装束……ニンジャ!

「ドーモ、ボーツカイです」

 ニンジャは堂々とアイサツを決めた。

「棒使い……ランサーか!」
「いかにも」
「ランサーのニンジャなら、間違いない!」

 マスターの顔が勝利を確信して醜く歪む。

「貴様、服部半蔵だな!」
「は! ワシがハトリ・ハンゾーだと? 物を知らぬにも程があるわ、モータルめ!」
「ぬかせ! やれ、セイバー!」
「おうッ!」

 アイサツとは古事記にも記されたニンジャのイクサにおける伝統的作法である。
 それを無視するとは何たるシツレイか!
 西洋剣めいたブレードを両手に握ったセイバーがイアイを放つ! アブナイ!

「イヤーッ!」

 しかしセイバーのブレードは大きく弾かれた。
 ボーツカイの手には身の丈ほどもあるボーが握られている!
 ボーツカイは瞬時にこのボーでセイバーの剣を弾いたのだ! ワザマエ!

「ええい、たかが棒きれで俺の剣を防げると」
「イヤーッ!」
「グワーッ!」

 おお、見よ!
 ボーツカイが演舞めいて振り回す竿状武器は鎖で繋がれた三つの断片に折れ、変幻自在の動きを見せる!
 ワザマエ! これは実際希少な武器、三節棍!
 フレイルめいた打撃攻撃!

「イヤーッ!」

 ボーツカイは風車めいて右上方向から予測不能な強打!

「イヤーッ!」
「グワーッ!」

 左下方向から予測不能な強打!

「イヤーッ!」
「グワーッ!」

 頭上方向から予測不能な強打!

「イヤーッ!」
「グワーッ!」

 ナムサン! なんたる一方的打撃攻撃か!
 セイバーが防御に構える剣を超えて襲い来る三節棍の一撃は、ショテルめいた軌道を描く!
 ニンジャ古代史に詳しい方はご存知のことと思うが、エチオピアのネグサ・ニンジャが繰り出すカラテ軌道はあらゆる防御を貫いたと言う。
 ショテルはそれを模倣した武器だ。実際防御不可能!

.


65 : ラスティ・ガン・アンド・ブロークン・ボー・リボーン ◆yYcNedCd82 :2016/03/20(日) 21:39:05 Z0AH94AU0

「ええい、なめるなよ密偵風情が!」

 セイバーは焦りながら、ツーハンデッドソードの一撃で強引に打撃から脱出! 素早くバックステップで後退する!

「かくなる上は、我が宝具を開帳する! 良いな、マスター!」
「ああ、やれ! ぶっ殺せ!」

 マスターの許可を得たセイバーがツーハンデッドソードを振りかざした!
 大気が渦を巻く……魔力が渦を……光が……おお、おお……!
 これぞまさに貴き幻想! 神代より伝わりし英霊を英霊たらしめる必殺の武技! ゴウランガ!
 ボーツカイの額に汗がにじむ!

「きッ、貴様に慢心あり!」

 ボーツカイは片膝を突き、三節棍の末端を向けた……敵マスターに!

「なに?」 

 三節棍の末端カバーが開き、筒状の穴が敵マンスターを捉えている! 仕込み銃だ!

「イヤーッ!」

 BANG!

「ぎゃああっ!?」

 肩口に被弾!
 ウカツ! セイバーは少女が魔術師でない以上、あとは英霊と英霊の勝負で決まると思っていたのだ。
 しかしボーツカイは違う。彼はニンジャである。
 サツバツたるイクサの経験から敵の泣き所を見抜き、恐るべき宝具を前にして瞬時にこれを叩く。
 フーリンカザンだ!

「もらった! イヤーッ!」
「させん……グワーッ!」

 BANG! 射線へ飛び込んだセイバーの背部へ被弾!
 マスターが死ねば多くの場合サーヴァントも死ぬ! ブッダ!
 セイバーはマスターを庇わざるを得ない。そしてその硬直はイクサの中では致命的な隙であった!
 ボーツカイが三節棍を風車めいて回転させる!

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」
「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」
「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」

 無慈悲なる連続打撃が容赦なくセイバーの甲冑を打ち砕き、叩き潰す!
 おお、ナムアミダブツ!
 もはや二度と宝具の開帳を許す暇など与えぬ! 恐るべき連続打撃はセイバーの体に倒れることさえ許さない!

「死ね、セイバー=サン! 」

 ボーツカイは竿状武器を連結させると渾身のカラテを込めて振りかぶり、セイバーの頭部を打ち砕いた!
 爆発四散! サツバツ!

「あ、あああああッ!?」

 敵マスターは恐怖のあまり失禁!

「死ねッ!」
「アバーッ!?」

 さらなる頭部破壊! コワイ!

 ――そして静寂が戻った。
 神代の英霊が激突する壮絶なるイクサの後には、首の上を失った魔術師の死体。
 そして柿色のニンジャ。

 今宵最初でもなく最後でもない戦いの全ては、呆然と立ち尽くす少女――朝田詩乃の目前で繰り広げられたものであった。


66 : ラスティ・ガン・アンド・ブロークン・ボー・リボーン ◆yYcNedCd82 :2016/03/20(日) 21:39:43 Z0AH94AU0
◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 息をせききって自分が一人住まうマンションの部屋へ飛び込んだ朝田詩乃は、大きく息を吐いて、制服の胸元を緩めた。
 いつもの発作だ。呼吸が辛く、汗でべたついた下着が張り付いて気持ちが悪い。そのバストは平坦であった。
 シャワーを浴びて着替えたい。だがその前に確認すべき事がある。
 詩乃は半信半疑ながらいつもGGOにログインしている時同様、コンソールを開く動作を行った。
 システムは問題なく作動した。
 彼女の目の前には半透明のウィンドウが投影され、そこには「Shinon」としての彼女のデータが記録されていた。

「コンバートされてる……ってわけか」

 人差し指で画面をフリップして確かめる限り、ステータスも装備も申し分がない。
 彼女がショートカットで装備を呼び出せば、すぐにでも慣れ親しんだアバターの姿になるだろう。
 ここは、あのソードアート・オンライン事件めいたデスゲームの世界なのだろうか。

 詩乃は舌打ちをしてコンソールを閉じると、メガネを放り出し、ぼふっと音を立ててベッドへダイブした。枕に顔を押し付ける。
 聖杯戦争――英霊を呼び出し戦わせ、願望機を巡って殺しあう魔術師の儀式!
 笑ってしまいたくなった。まるでゲームだ。
 思わずくっくっと声を抑えながら、震える体を抱きしめて、制服がしわになる事も気にしないで胎児のごとく丸くなる!
 震える。震えが収まらない。気づくと歯の根がかちかちと音を立てて鳴っていた。

「……怖い」

 言葉にしてみると、それがよくわかった。
 自分は怖いのだ。
 それは理解不能の事態に巻き込まれてしまったという事に対してではない。

 殺されること――そして殺すこと!

 詩乃にとって、それはもはや決別したい過去の事であった。
 自分の心を打ち砕いた惨劇だ。
 ましてや、その引き金を引いたのは詩乃自身なのだから。
 幼いころに父が死んで、母は幼児のようになって、強盗事件に遭遇して。
 たしかに不幸だ。珍しくはあっても、時にはそういう事もあるだろう。
 しかし人質とされた少女が犯人から銃を奪い、逆に射殺したとなれば?
 銃弾は犯人ばかりではなく詩乃自身の心をも撃ち抜いていた。
 あれから何年経とうと……詩乃の心の傷は癒えない。
 その傷口を寄って集って広げようとする人々から逃げ出して、詩乃はハコダテへ来た。
 ――少なくともこの世界の「設定」ではそうなっている。
 現実の世界でも、逃げ出して転校した事には変わりないけれど。そして逃れられなかった。
 だから今、自分はここにいる。

『過去が今、私の人生を収穫に来た』

 何かの本で見た古いハイクだ。そのハイクが今、詩乃の脳裏に瞬いていた。
 いずれにせよ、もはや逃れることはできない。
 なら――……なら、立ち向かうしかない。

「ねえ、ランサー……ボーツカイ=サン」

 詩乃は虚空へと呼びかけた。
 今や見えざる糸めいたもので彼女と彼、あの柿色のニンジャが繋がっていることがよく分かる。
 彼は今、屋根の上にいる。

「勝てるの?」

.


67 : ラスティ・ガン・アンド・ブロークン・ボー・リボーン ◆yYcNedCd82 :2016/03/20(日) 21:40:21 Z0AH94AU0


◆◆◆◆◆◆◆◆◆

《勝てるの?》

 ニューロンに木霊する少女の声に、屋根上のボーツカイはすぐに答えなかった。
 それはかつて――生前の彼が、幾度と無く繰り返し繰り返し自問自答した謎であったからだ。
 かつてキョウトに君臨した秘密結社ザイバツシャドーギルドの上級者たるマスター位階まで昇り詰めたボーツカイ。
 彼の心を一度ならず打ち砕き、そして命をも奪い去ったのは、強敵との死闘であった。

 あの赤黒の殺戮者はどうなったのだろうか。
 戦友(そう呼んで差し支えあるまい)たるキャバリアーは勝利したのだろうか。
 自分では勝てない相手であった。勝てるとすれば彼以外にない。
 そしてザイバツはどうなったのか……。

 もはやヒガンに渡りオバケめいた存在となってしまった今のボーツカイには、無縁のことである。
 今やボーツカイは英霊であり、このハコダテにザイバツの影はない。
 仕えるべき主人は過去のトラウマをIRCゲームに没頭して逃避する無軌道女学生。
 ザイバツの戦闘者たる誇りは失われたも同然であった。

 いや、もとよりそんなものはあったのだろうか?

 あのセイバーとかいう英霊と戦えたのは、ひとえに相手がサンシタであったからに他ならない。
 宝具、すなわち敵のユニーク・ジツを前にして、咄嗟に敵マスターを攻撃できたのは僥倖であった。
 しかしそれは堂々たるイクサと言えたろうか。イサオシはあったのだろうか。
 ボーツカイがセイバー相手に戦いを有利に進められたもう一つの理由は、かつての戦友のイクサがある。
 セイバー以上の巨漢、セイバー以上の大剣を振り回したあのニンジャ……。
 かつての戦いの中で掴んだかに見えた、キンカク・テンプルの高みへと至る黄金の輝き。
 ボーツカイには、それが己の手からこぼれ落ちてしまったように思えてならなかった。

《私は……死にたくない。負けたくない》

 再びニューロンに響く声には、決断的なアトモスフィアがあった。
 取り戻さねばなるまい。この手にイサオシを。再び立ち上がるためのソンケイを。
 イクサの最中でのみ得られる葛藤と克己を手にせぬ限り、再び死ぬことはできぬ。

《強さは、結果ではなく――そこを目指す過程の中にこそ――……》

「……ゆくぞ、マスター。イサオシだ。我らに相応しい舞台がある。……そうとも!」

 ボーツカイは立ち上がった。
 荒涼たる寒風が吹きすさぶハコダテの夜景に、どこまでも聳え立つ瓦礫の塔が見て取れる。

「勝つ! ――ワシらが、勝つ!」

 かくて一組の主従が、聖杯戦争へと身を投じることとなる。
 その行末がどうなるかは誰にもわからない。

 ただドクロめいた月だけが、インガオホーと嗤っていた。


.


68 : ラスティ・ガン・アンド・ブロークン・ボー・リボーン ◆yYcNedCd82 :2016/03/20(日) 21:41:02 Z0AH94AU0
【クラス】
ランサー

【真名】
ボーツカイ@ニンジャスレイヤー

【ステータス】
筋力B 耐久C 敏捷A 魔力C 幸運D 宝具C

【属性】
混沌・中庸

【クラススキル】
対魔力:B
 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

【保有スキル】
ニンジャ:C
 かつて世界をカラテによって支配した半神的存在の魂を宿している。
 このランクの場合、憑依ソウルは名無しの下忍(レッサー)、平均的な強さ。
 スリケン生成、装束生成、戦闘時の身体能力瞬間的倍化などを発揮できる。

投擲(スリケン) :B
 スリケンを弾丸として放つ能力。一度に七発まで同時発射可能。

連携攻撃:B
 他者との支援・連携に長けている。
 友軍と共同で戦闘を行う際、相互の判定に有利な補正を得る。

心眼(真):A
 修行・鍛錬によって培った洞察力。
 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、
 その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。

【宝具】
『三節棍(スリー・セクション・ボー)』
ランク:C 種別:対人宝具
 鎖で接続され三分割できる身の丈ほどの竿状武器。
 両端に内蔵された三連発仕込み銃の他、多くのギミックが内蔵されている。

【weapon】
・スリケン
 ニンジャの血液と大気中の金属粒子より生成される投擲用武器。
 カラテある限り弾切れは無い。

【人物背景】
 ニンジャ秘密結社「ザイバツシャドーギルド」幹部、マスター位階ニンジャ。
「オン・ジ・エッジ・オブ・ザ・ホイール・オブ・ブルータル・フェイト」に登場。
 組織を脅かすニンジャスレイヤーの出現に際して、傭兵ニンジャ・キャバリアーと出撃した。
 しかし壮絶なイクサに翻弄され続けて自信を喪失、頭を抱えて蹲ってしまうほどに追い込まれてしまう。
 だが「敵を倒せるのは自分ではなくキャバリアー」と冷静な判断のもと再起、一転して支援を開始する。
 そしてニンジャスレイヤーを追い詰めるも、起死回生の一撃からキャバリアーを庇って爆発四散した。
 決して弱くはないが強くもない半端な実力者だが、常に打開策を見出す状況判断力は特筆に値する。
 また精神的に脆い面はあるも、それを克服して立ち上がるだけの意地を持ったツワモノでもあった。

【サーヴァントとしての願い】
イサオシとソンケイを取り戻すため、強敵との戦いを望む。

.


69 : ラスティ・ガン・アンド・ブロークン・ボー・リボーン ◆yYcNedCd82 :2016/03/20(日) 21:41:27 Z0AH94AU0

【マスター】
 朝田詩乃(シノン)@ソードアート・オンライン

【マスターとしての願い】
・トラウマを克服するため、強敵との戦いを望む。

【人物背景】
 2022年の日本に暮らす女子高生。
 幼少期に父が他界、母が幼児退行した上、強盗事件へ巻き込まれてしまう。
 この時、強盗から銃を奪ってとっさに発砲、相手を射殺してしまったことで銃器に対するPTSDを負う。
 さらにその過去からイジメや恐喝などの被害にあい、母を祖父母に託して一人東京へ転校してきた。
 そしてPTSDからの克服を目的に、銃器を中心としたVRMMO「ガンゲイル・オンライン」に没頭。
 トッププレイヤーの座へと上り詰め、ゲーム中だけは発作を起こさないようになったが、精神的にはまだ危うい。

【weapon】
・PGM ウルティマラティオ・ヘカート2
 12.7mmx99mm弾を使用する対物狙撃銃。

・グロック18C
 フルオートモデルの自動拳銃。連射速度は1200発/分。

【能力・技能】
・GGOアバター
 フルダイブ式VRMMOゲーム「ガンゲイル・オンライン」、最強クラスのトッププレイヤーとしての姿。
 能力は戦闘系魔術使いに準ずるが、アバターを切り替えるにはコンソール操作が必要。
 また「バトル・ロワイアル」戦について仮想ながら相応の経験を有する。

・PTSD
 幼少期に拳銃を用いて殺人を行ったことによる心的外傷後ストレス障害。
 銃器類への強い嫌悪と恐怖があり、対面した場合は発作を起こす。
 GGOアバターに切り替えている時は無効化される。

【方針】
・聖杯戦争の最終的な勝利者となることを目指す。
 聖杯戦争を「バトル・ロワイアル戦」と正確に認識しているシノンが行動方針を立て、
 ザイバツ・マスターたる戦闘者のボーツカイがそれを支援して作戦立案、行動に移す。
 戦闘では前衛をボーツカイ、後衛をシノンが担当するが、状況に応じて臨機応変に対応。
 単純な火力ではシノンの方が上回るため、如何に狙撃を当てるかがポイントとなってくる。
 同盟等も考慮するが、最終的な目標はよほどの事がない限り変更しない。

【ロール】
 昼間は函館市内の女子高生としてNPCに混ざって活動している。
 NPCからの評価は「とっつきにくい転校生」的なもので、友人はいない。

.


70 : ◆yYcNedCd82 :2016/03/20(日) 21:42:15 Z0AH94AU0
朝田詩乃(シノン)&ランサーでした。
以上です。ありがとうございました。


71 : ◆GG1sbCp.IM :2016/03/20(日) 23:43:12 wbDnnwXs0
投下します。


72 : 有栖川レナ&セイバー ◆GG1sbCp.IM :2016/03/20(日) 23:43:51 wbDnnwXs0
いつだって、願っていた。
穢れた自分が何かをなせることを。
それが、有栖川レナの抱く根源たる想いだった。
――この世界には秘密がある。
誰もが忘れてしまった真実、そして嘘。
どんな時だって、人は辛いことを忘れていく。そうでないと、生きていけないから。
真実は苦く、嘘は蕩けるように甘い。
かつて、世界を救った時も。最期の償いと称し、やり遂げたことを思い出す。
過去より、未来を。
真実を知って尚、人々が明日を生きていけるように。
世界に散らばった煌めきの欠片がそれをきっと成す。
託した人達もいる、心配はない。
自分はもうその世界にはいないけれど、満足だ。
贖罪を終え、後はゆっくりと朽ちていくだけである。
けれど。たった一つ心残りがあった。
名前も知らない誰か。好きだった少年。
彼から、何かの返事を待っていたってことを。
嗚呼、その返事が聞けないのは残念だ。
どうしてか知らないけれど、必ず後悔するとわかっているのに。
最期に見えた彼の泣き顔を温もりが、心に響く。
そうだ、自分は彼のことが、■■■のことが、好きだった。
こうして、死ぬ間際に気づくなんて、やはり自分はどうしようもない。
本当に、どうしようもない。













忘れても、何度だって思い出す。
この仮想の街に放り込まれようとも、絶対に消えぬ星(かがやき)を。









73 : 有栖川レナ&セイバー ◆GG1sbCp.IM :2016/03/20(日) 23:44:35 wbDnnwXs0
学校からの帰宅途中。空の青が橙色へ、港街の青が黒へと変わるであろう頃。
有栖川レナは唐突に足を止め、考えた。
この街には星(輝き)がない。
人を人足らしめる意志と呼ぶものが希薄だと感じてならないのだ。
最初は微細な違和感だったが、時間が経つにつれてそれが酷く煩わしくてたまらない。
携帯がけたたましく鳴るかのように、レナの耳には警鐘が響いている。
ふむ、と顎に指を当て、思案顔をするも、理由は全くわからなかった。
何故、この街には星(輝き)がないのか。
もしかすると、この違和感は自分の気のせいではないか。
幾つものファクターを照らしあわせても、解答は一向に出てこない。
すっきりとしない、イライラする。
踏みしめるアスファルトに力を込めながら、レナは更に考える。
何か、もっと。大切なモノが、あったはず。
ぎゅっと、《身に着けていたコート》を握り締めて。

――ああ、手がかりはこんな近くにあった。

そのコートが持つ意味を。記憶を喪って尚、大切だと知っていたそれを強く思った時。
レナが記憶を取り戻したのはすぐだった。
ただの女子学生。そんな役割をあてがわれていたが、どうも違和感しかない。
女子学生をしていることには疑問を抱かないが、自分はもっと何か大切なことを忘れている気がする。
数秒、数分。思考を研ぎ澄ませていたら、ふと過ぎった。

やはり、この世界は何かが違う、と。

瞬間、記憶の鍵が外れ、レナの頭へと喪われたはずの思い出が流れ込んでくる。
それは彼女が切に焦がれる星(輝き)だ。
しかし、流れこむ記憶には欠落ばかりでこれもまた、実感が無い。
むしろ、同時に知った聖杯戦争の事の方が詳しいぐらいだ。
思い出す。そうは言っても、自分には殆ど記憶が無い。
自分は一体何者なのだ。此処に来るまで、一体何をしていたのだろう。
結局、はっきりとわかったことは自分が有栖川レナという名前であり、このコートがすごく大切だということ。

『あなたがすきだ、■■』

そして、自分が■■■を好きだという気持ち。
名前も知らない、思い出も朧気な少年のことを強く思っていた恋心。
その人のことを思うだけで、心は仄かに高まっていく。
自然と浮かぶ柔らかい表情がその現れだ。
忘れてなどいない、消えてなどいない。
彼を好きだった思い出は今も、この胸に。
そして、いつしか。レナの瞳から涙が溢れていることに気づいた。
嗚咽混じりに呟いた声は■■の名前を呼んでいたことに、彼女は気づかなかった。
こんなにも強く思っているのに、自分はその少年の名前すら知らないのだ。
大切なことなのに、どうして自分は忘れているのだろう。
会いたい。切ない。愛している。
ぽっかりと空いた欠落を今日ほど憎んだことはない。


74 : 有栖川レナ&セイバー ◆GG1sbCp.IM :2016/03/20(日) 23:45:01 wbDnnwXs0
      
どうか、お願いします神様。

取り戻したい、取り戻させて下さい。
あの星(輝き)に満ちた思い出を。
それを可能にする――――聖杯を。

「私に、返してくれ……ッ! 思い出を!」

その為に、彼女は奇跡へと手を伸ばした。
その為に、願いの成就を謳う『瓦礫の塔』がよく見えるようになった。
その為に――! 忘れてしまった《あなた》を強く思うようになった。
心の陰りに苛まれようとも、絶対に止めてなるものか。
どんなに歪曲すれど、消えないモノも確かにある。
歩みを止めた彼女を照らす夕焼けは、見慣れた街を一瞬にして変えていく。
この果てが願いへの一本道だと知っている。
灯した願いはもう揺らいでいない。
持っていたはずの思い出を取り戻す。
その根幹には、かつて聞けなかった返事を聞きたい、と。

――もう一度、あなたに会いたい。

この日、この瞬間。少女は一つ、大切なことを思い出した。












そして、その時――少女は思い出と出会う。









75 : 有栖川レナ&セイバー ◆GG1sbCp.IM :2016/03/20(日) 23:45:38 wbDnnwXs0
かつて、世界の敵と呼ばれた化物がいた。
スラガ。
柩でやってきた人類の敵を脅かす存在。
人を化物へと変える不倶戴天の敵。
人々は恐れ、惑い、怒る。
奴こそが世界を滅ぼす元凶である、と。
その裏側に潜む真実に気づかぬまま、憎み続けた。
彼らは知らない。スラガと呼ばれる存在はかつては同じ人間であったことを。
彼らは知らない、スラガと呼ばれる存在はたった一人の少女を救う為に、悪役を担ったことを。
故に、その記録は歪み、捻じれ、大切だったモノは忘れ去られていく。
彼が本当に願ったことは埋没し、討伐すべき悪逆と認識されていく。
世界の誰もが、■■■を覚えていない。
無辜の怪物として、彼の本当の名前――■■■は思い出の底へと沈んでいった。
それでも。それでも、だ。
当人すら、その名前を忘れようとも。
ただ一つ、貫いた嘘は。願ったものは。
たった一人の少女を救うという星(輝き)は忘れなかった。
もはや、誰を救うかも覚えてないけれど。
きっと、その少女は自分にとって大切な人であり。

「■■を取り戻す為なら、悪役にだってなってやる」

歪められた英霊になってでも、救いたい最愛の少女だった。
もう何処にもいない■■■が叫んでいる。
救わないといけない、護らないといけない。
今度こそ、必ず。
総てを統べる運命に逆らうとしても。
君を助けに行こう。

――もう一度、君に会いたい。

この日、この瞬間。化物は一瞬だけ少年へと戻った。













そして、その時――化物は思い出と出会う。













想いは、思い出に呼応して。
二人は世界への第一歩を踏み出す。
それは、忘れられた奇跡。
思い出の始まりであり、終わりのプロローグ。
いつか、二人が真実を思い出すまで、その夢は続いていく。


76 : 有栖川レナ&セイバー ◆GG1sbCp.IM :2016/03/20(日) 23:46:48 wbDnnwXs0
【クラス】
セイバー

【真名】
スラガ/■■■@ワールドエンブリオ

【ステータス】
筋力A 耐久B 敏捷B 魔力C 幸運E 宝具A

【属性】
秩序・悪

【クラススキル】
対魔力:A
A以下の魔術は全てキャンセル。
事実上、現代の魔術師ではセイバーに傷をつけられない。

騎乗:C
騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、 野獣ランクの獣は乗りこなせない。

【保有スキル】
刃旗使い:B
刃旗核を体内に保持することで、肉体の治癒力、身体能力を格段に向上させる。
また、防御壁による攻撃の減衰も可能。
通常ならば時間制限があるが、スラガにはそのようなものはない。
それは、人間であることを。《■■■》であることを捨てた証。

戦闘続行:B
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

無辜の怪物:B
生前の行いから生まれたイメージによって、過去や在り方を捻じ曲げられた怪物の名。
能力・姿が変貌してしまう。
このスキルは外すことが出来ない。
世界の全てから忘却された彼は、もう《■■■》ではなかった。
その影響を受けたからか、記憶に欠落があり、大切な人の名前を思い出せていない。
それでも、過去が朧気になろうとも。
たった一つ、貫いた願いと嘘は忘れていない。


【宝具】

『消えない思い(カラタチ)』
ランク:B 種別:対人宝具
スラガが振るう大剣の刃旗。それが宝具にまで昇華されたもの。

『託された未来(スオウ)』
ランク:D 種別:対人宝具
スラガに従う獣の姿をした化物。刃旗使いを圧倒しうるスペックを持ち、単体で戦闘も可能。
背に乗って、移動手段としての利用なども用途に含まれる。

『遠き日の約束(ロスト・メモリー)』
ランク:E 種別:対人宝具
宝具、『その苦くて優しい嘘の世界(ワールドエンブリオ)』の媒介となる携帯電話。
それはまだ彼が《■■■》であった頃の名残であり、後悔。

『その苦くて優しい嘘の世界(ワールドエンブリオ)』
ランク:A 種別:対軍宝具
かつて世界を滅ぼしかけた柩の願い。または、呪いの根源。
そして、少女を救う為に選んだ思いの顕現。
魔力によりウイルスを生成し、遠き日の約束(ロスト・メモリー)』 を媒介とすることで、抵抗力のない人間(NPC)を化物にする宝具。
携帯電話にある波長を送り着信させ、その電話に出て音声を聞いた人間は感染してしまう。
化け物となった人間は通常、元の姿に戻ることは不可能であり、自我も崩壊する。

【人物背景】

たった一人の少女を救う為に、悪役を担った少年。
真実を隠し、世界を欺く怪物。

【サーヴァントとしての願い】
■■■■■を救う。

――――オレは、何を救いたかったんだっけ?


【マスター】
有栖川レナ@ワールドエンブリオ

【マスターとしての願い】
【サーヴァントとしての願い】
■■■の返事を聞きたい。

――――私は、誰の返事を聞きたかったのだろうか?

【能力・技能】
総てを出しきった彼女はただの一般人にすぎない。
けれど、身体は総てを覚えている。
経験も、記憶も、傷跡も。

【weapon】
特に無し。

【人物背景】
世界を救う為に、人柱を担った少女。
世界は救えても、好きだった少年は救えなかった。


77 : ◆GG1sbCp.IM :2016/03/20(日) 23:47:03 wbDnnwXs0
投下終了です。


78 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/21(月) 00:12:13 X3rSdmAk0
皆様投下お疲れ様です。感想はもう少し溜まってから纏めて書きますね。
私も投下させていただきます


79 : 月、空に写らず ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/21(月) 00:12:53 X3rSdmAk0

 暗い空には金粉を思わせる綺羅びやかな星々が所狭しと並び、流れ星が一筋空を斜めに横断していった。
 港湾都市の夜は静かだ。街の喧騒は鳴りを潜め、初春の今は声を響かせる生き物も野良猫の一匹二匹しかいない。
 海岸線の街並みには寄せては引いてを繰り返す波の音が耳触りよく響き、夜の深さを象徴するようでさえある。
 空は雲一つなく、天気が崩れそうな様子などどこにもない。美しい星空を遮る物も、真実皆無だ。
 にも関わらず、港湾都市函館の上空に広がる夜天には本来あるべきはずのものが欠けていた。光が、欠けていた。
 月がない。新月の晩でもないというのに、雲の一つも出てはいないというのに、空のどこにも月がない。
 明らかに異常な現象だった。更に驚くべきは、この状態が既に三日間は続いているということだろう。
 函館には、月が出ていない。まるで月女神の祝福を失ったかのように、輝く衛星はその姿を失っていた。

「…… …… ……」

 静かな夜を、生物は渡る。深夜の暗闇にも負けない黒く染まった体に美しい眼を光らせて、地に足も付かず、されど羽は持たず、奇妙奇怪の一言に尽きる徘徊に興じていた。
 もしも彼の姿を見た者があったなら、十中八九、幽霊を見たと宣うに違いない。
 生物の造形はまず自然界に存在するものとは思えず、配色もまた異形と言う他ないものであった。
 この世界に生まれ育ち、常識の範疇に収まった生態を見せる動植物しか知らない人間には、彼という生物の存在は新鮮を通り越して恐怖の対象に写る。
 動物ならぬ、怪物(モンスター)。その呼称は半分正しく、同時に半分間違っている。

 彼らが怪物呼ばわりするような生き物が普通に生息し、寵愛すら受けている。
 そんな世界が、無数に分岐し広がる平行世界の枝の一本に存在していた。
 ポケットモンスター、縮めてポケモン。人は怪物たちをそう呼び、排斥するのではなく、隣人として迎え入れた。
 彼らを育てて絆を育み、ライバルと切磋琢磨しながら頂点を目指して戦う者。
 傷つけ合うのではなく、彼らの可愛らしさと素晴らしさに着目し、『魅せる』ことへ比重を置いて育成する者。
 世界中に生息するポケモンたちをその目で見て、集め、彼らの生態を記録した図鑑の完成を目指す者。
 様々な者があった。彼らは皆ポケモンの生命と魅力を尊重し――中には道具として冷たく扱う者もあったが――概ね全ての人間が、ポケモンを愛していたと言っていい。

「…… …… ……」

 しかし、この生物は例外だった。
 人の安寧を脅かし、其処に居るだけで害になる夢魔(ナイトメア)と人々は彼のことを称し、恐れた。
 一度姿を現せば怯えて逃げられるか、勇ましく敵意をぶつけられるかのどちらかだ。
 怪物(モンスター)への愛が満ちた世界の中、まるで自分だけが違う世界観を生きているような気分であった。
 
「…… …… ……」

 生物が現れると、周囲の人間は皆恐ろしい夢見に苦しみ、時には衰弱さえもする。
 新月の夜にのみ現れる恐ろしい怪物として、人々は彼を遠ざけた。彼が現れないことを祈っていた。
 彼の悪気の有無など問題ではなかった。彼の存在そのものが、人々にとっては災害以外の何物でもなかったのだ。
 彼は幻のポケモンと区分される存在だったが、それでも同族が零の、突然現れた生命体というわけではない。
 その同族の中には、皆の思い描いた通りの、悪意を持って人を夢に落とす個体も存在したかもしれない。
 だが、彼は違った。彼が悪気を持って、誰かを悪夢に引きずり込もうとしたことは誓って只の一度もない。


80 : 月、空に写らず ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/21(月) 00:14:11 X3rSdmAk0
「…… …… ……」

 まるで呪いのようだと、生物は思う。彼らが自分へ施した夢魔の風評という呪いは、反英霊として呼び出されたこの時、より明確な効果を見せ始めていた。
 とくせい――特性。全てのポケモンが持つ、彼らが不思議な生き物と称される所以の一つであろうそれ。
 人々が恐れた悪夢の力は、彼のとくせいだった。曰く、ナイトメア。眠っている生物に悪夢を見せる力。
 その力が、この場所へ召喚されたことで明らかに上昇している。
 月の決して出ない夜といいこの力といい、彼は人々が恐れた通りの、或いはそれ以上の怪物に変貌していた。
 
「…… …… ……」

 悪意なき夢魔、ダークライは人間を恨んでなどいない。彼は何に対しても、悪意というものを抱いていない。
 だがサーヴァントとして召喚された彼は今、聖杯の恩恵を受けるために戦わんとしていた。
 聖杯に託すのはごくささやかで、しかしこれまでどれだけ願っても叶うことのなかった願望。
 夢などと呼ぶのも烏滸がましく、本気で聖杯を切望する者が聞いたなら噴飯するかもしれないようなそれだ。

 彼は只、穏やかな眠りが欲しい。誰に恐れられることもなく、ずっと一人で眠っていられる寝床が欲しい。
 ポケモンとして過ごした一生の中、ついぞ彼は一度も安寧と言うものを味わったことがなかった。
 常にダークライは恐怖の対象だった。こんな怪物に成り果てて、反英霊扱いで召喚されるくらいには、誰もが彼のことを恐れていた。彼の望む、穏やかな日々には程遠い生涯。それが、ダークライが自分の生きた時間に対して抱く感想である。それ以上でも、それ以下でもない。

 最早ここにいるダークライは、ポケットモンスターではなく、只の怪物(モンスター)と呼ぶべき存在だ。
 聖杯を手に入れるために誰も彼も悪夢の底に叩き込み、その夢を食って肥え太る、望まれた通りの怪物だ。
 そして他ならぬ彼も、それで納得している。それで望みが叶うなら、それ以上のことはないと満足さえしている。
 ――只一人、ダークライという名のアサシンを召喚した哀れなマスターを除いては。
 今、夜を往かんとしている彼に息を切らして駆け寄ってくる幼女を除いては、誰もが怪物の風評に納得したろう。
 彼女だけが、この夢を見せる反英霊のことを怪物ではないと思っていた。そう信じていた。

「……駄目よ、アサシン。行ったら、駄目」

 質のいいアメジストか何かを思わせる、美しい紫の瞳を持った少女だった。
 長い金髪はこの日本という風土の中では十分に奇異の対象となり、しかし侮蔑は買わないだろう可憐さがその華奢な体にこれでもかと詰め込まれている。
 
「だって、違うもの。あなたは、そうじゃない。怪物なんかじゃ、決してないのよ」

 幻想的なものをさえ思わせる美少女だったが、あくまでも彼女は只の人間だ。
 アサシンを追うことはできないし、腕づくで言うことを聞かせることだってできない。
 その片手に色濃く刻まれた三画の令呪を用いたならば話は別だが、奇妙なことにアサシンを召喚したこの少女は、自分のサーヴァントにそれを使うのを躊躇しているようであった。
 戦略の一環としての出し渋りではなく、もっと何か感情的なものが、彼女の躊躇からは感じられる。
 しかしアサシンには関係のない話だ。自分を止めないと言うのなら、好きなように戦うことができる。
 だから今日もアサシンは、哀願にも似た少女の静止を振り切って、聖杯戦争をするために夜の街へと消えていく。
 彼女はそんなアサシンの姿を、見送るしかない。そう思い知ってきたのに、懲りずに毎晩彼女は彼を止めに走る。


81 : 月、空に写らず ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/21(月) 00:15:37 X3rSdmAk0

「あっ―――、」

 そして、今日も伸ばした右手は届かなかった。
 闇夜に消えていった自分のサーヴァントを、悲しい夢魔を見送って、マスターの少女は一人その手を下ろす。
 足元はきめ細やかな砂に満たされた浜辺で、目の前では月を写さない黒い海が波音の旋律を奏でている。
 
「……ギー……」

 離れ離れになってしまった、とある男の名を小さく呼ぶ。
 その声に対しての返事など期待せずに、しかし毎晩、彼女は彼の名を呼んでいた。
 聖杯は欲しくない。帰れればそれで構わない。されど彼女の夢魔は誤解して、願いのために傷付こうとしている。
 キーアという少女はそのことが悲しくて、だから止めに走っているのだ。

 新月のナイトメアと恐れられたポケモン、ダークライ。彼は狭い世界を生き、井の中だけを知って死んだ。
 井の外に広がる大海には、恐れることなく自分を愛してくれる存在が少なからず溢れていることを知らぬまま、今日も悪夢の主は闇を舞う。



【クラス】
アサシン

【真名】
ダークライ@ポケットモンスター

【ステータス】
筋力D 耐久D 敏捷B 魔力A 幸運E 宝具C

【属性】
混沌・中庸

【クラススキル】
気配遮断:A
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
完全に気配を絶てば探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。
ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。

【保有スキル】
無辜の怪物:D
本人の意思や姿とは関係なく、風評によって真相をねじ曲げられたものの深度を指す。
アサシンはその特性故に好んで悪夢をばら撒き腹を肥やす夢魔として恐れられた。
しかしその実彼は一度も人間に悪意を持って悪夢を発生させたことはない。
人々の無知が産んだ風評が彼へ付加したスキル。

ナイトメア:A+
アサシンの周囲半径1km以内で睡眠を取っている全ての生物は、恐ろしい悪夢に魘される。
夢を見ている生物は徐々にその生命力を削り取られ、その状態がずっと続けば衰弱死さえしよう。
このスキルはアサシン自身にも制御不可能で、彼も悪気があって悪夢を撒いているわけではない。
元々アサシンが持っていた特性ではあるが、無辜の怪物スキルの影響で強化されている。

さいみんじゅつ:A
相手を深い眠りに誘う最高位の催眠術を使用することが可能。
マスターならばまず二発は耐えられず、サーヴァントでも三発、四発と受ければ確実に眠りに落ちる。
そして眠りについたサーヴァントは無防備になり、アサシンが発する悪夢に魘されることとなる。
この睡眠状態は夢の中で強い意志を示すこと、外的要因などで解除可能。また、Bランク以上の対魔力スキルを持つサーヴァントにはレジストされてしまう。

ゆめくい:A
眠っている相手の夢を喰らうことで、自らの体力を回復する。
夢を食われた相手はその場で眠りから覚めてしまうが、大きなダメージを受ける。


82 : 月、空に写らず ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/21(月) 00:15:57 X3rSdmAk0

しんげつのよる:EX
アサシンが現界している街には、月が出ない。
雲に隠されたりするのではなく、アサシンが存在している間、ずっと新月が続く。
新月の夜、月が出ない晩に悪夢を振り撒くポケモンと恐れられた逸話の具現。

【宝具】
『新月の子守唄(ダークホール)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1〜20 最大捕捉:1~30人
敵の足元に漆黒の穴を出現させ、相手をその向こうに広がる暗黒の世界に引きずり落とすという技。
肉体そのものを引きずり込むのではなく、あくまで精神のみを向こう側へと送るもののため、敵が見る漆黒の穴や暗黒の世界といったものは全て精神的幻影に過ぎない。
暗黒の世界に落ちた相手は睡眠状態に入り、そこで一際恐ろしく、心を摩耗させる悪夢を見る。
スキルのさいみんじゅつと異なるのは、あちらがあくまで「眠りに誘う」技なのに対して、こちらは「眠りに落とす」技ということ。対魔力スキルを持っていようと、どんな精神力があろうと、穴に落ちれば必ず夢を見ることになる。
ただ、夢の世界からの脱出条件はさいみんじゅつと一緒。もっとも、こちらの方が更に強い意志力を要求するが。


【人物背景】
人々を深い眠りに誘い、夢を見せる能力を持ったポケモン。新月の夜に活動するとされる。
本来は新月の夜という限定的な時間以外には現れないポケモンのはずだが、サーヴァントになったことで新月を維持できるスキルを獲得。常に眠っている対象へ悪夢を与え、本人の意思とは関係なく生命力を奪っていく。
技構成はスキル、宝具の他に一つ技を足して、
ダークホール/さいみんじゅつ/ゆめくい/あくのはどう  となっている。

【サーヴァントとしての願い】
静かな眠りが欲しい


【マスター】
キーア@赫炎のインガノック

【マスターとしての願い】
聖杯に願うつもりはない。

【人物背景】
ギーのすぐ近くに寄り添い、彼の生きる姿を見つめ続ける少女。
直感的に人の嘘を看破し、その瞳は《美しいもの》さえ見通す。

【方針】
アサシンを止めたい。


83 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/21(月) 00:16:10 X3rSdmAk0
投下を終了致します


84 : ◆yYcNedCd82 :2016/03/21(月) 01:52:41 ZEiEh4PM0
投下お疲れ様です
大変申し訳ありませんが>>69について一箇所訂正があります


【方針】
・聖杯戦争の最終的な勝利者となることを目指す。
 聖杯戦争を「バトル・ロワイアル戦」と正確に認識しているシノンが行動方針を立て、
 ザイバツ・マスターたる戦闘者のボーツカイがそれを支援して作戦立案、行動に移す。
 戦闘では前衛をボーツカイ、後衛をシノンが担当するが、状況に応じて臨機応変に対応。
 単純な火力ではシノンの方が上回るため、如何に狙撃を当てるかがポイントとなってくる。
 同盟等も考慮するが、最終的な目標はよほどの事がない限り変更しない。
 また必要とあればマスター相手の狙撃も厭わない。


末尾一文がコピペミスで抜けておりました。
失礼いたしました。


85 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/21(月) 18:05:02 z1cDPIdU0
投下します。


86 : 界塚伊奈帆&ライダー ◆lkOcs49yLc :2016/03/21(月) 18:06:17 z1cDPIdU0
―北欧神話の最高神、オーディンを知っているだろうか。
彼は知識欲の塊とも言っていい程の知りたがり屋で、
知識を手に入れたいがために片目を捨てたとされている。


―オーディンの下僕、ヴァルキリーを知っているだろうか。
オーディンの使者として優れた戦士をヴァルハラに
迎えたとされるワルキューレ。
そして、これはほんの一種の推測なのだが、
ヴァルキリーは大地を駆ける際に、
「デュラハン」と呼ばれる首無き妖精に姿を変えるとか。


◆  ◆  ◆  ◆



早朝5時半、自宅のベッドで無表情な顔のまま、
何時も通りに界塚伊奈帆は目を覚ました。
まずは洗面所に向かって顔を洗い、
そして厨房へと向かい、パンをトースターに押し込み、
フライパンに卵を落として目玉焼きにして、
トマトとキャベツのサラダを添えて食べる。






そして食器を片付け、制服に着替え、
未だベッドでいびきをかいている姉に声をかける。
無駄だと判断したら、すぐに姉の弁当を作る。
今日のおかずも姉の好きな出汁巻き卵だ。


87 : 界塚伊奈帆&ライダー ◆lkOcs49yLc :2016/03/21(月) 18:06:47 z1cDPIdU0
「なおく〜ん!どうして起こしてくれなかったの〜!」
姉が形相を変えてリビングに入ってきた。
これもまた「いつも」のことだ。
「何度も起こしたよ、ユキ姉。」
伊奈帆は表情を何一つ変えず、フライパンにある
卵を弄びながら淡々とそう答える。
姉はまるでアニメの1話目の主人公のように
慌ててトーストをかじり、サラダと目玉焼きを口に
放り込み、荷物を持ってドアの外へと駆け出していった。
伊奈帆もすぐにドアを開け、学校へと向かっていった。
そんな日常を、何度繰り返したことか。




学校からは基本バスで通う。
なので、最寄りの停留所から乗り込み、クラスメートの談笑に囲まれながら登校する・・・・





はずだった。


88 : 界塚伊奈帆&ライダー ◆lkOcs49yLc :2016/03/21(月) 18:07:16 z1cDPIdU0
伊奈帆は停留所に着くと、何時も通りスマートフォンを操作してスーパーマーケットのチラシを
眺めながら待っていた。
歩行者信号のオルゴールが鳴り止み、スマートフォンの時計を確認して目を道路へと向けたその時、
こちらへと向かってきたバスが、大きな光と音と硝煙の臭いを発して吹っ飛んだ。
伊奈帆はバスが後ろ側から爆発したことを視認した。
(此方側に飛んで来る)
そう考えた伊奈帆は、直ぐ様バスがいた位置と逆の方向に向かって走りだす。
背後で、やかましい音と激しい衝撃が走った。




表情を何一つ変えずに走り続ける伊奈帆には、どこか引っ掛かる物があった。
あのバスが弾け飛んだ様、何故かどこかで見たことあるような気がするのだ。


その時。


チューンという花火の様な音とともに左足に激しい痛みが走り、伊奈帆は転んだ。
すかさず横返り、首を起こしてみると、


「よくもまあ逃げられたもんだなオイ。」


この時世にはとても似合わないような格好をした1人の男性が、
煙を吹いているリボルバーを伊奈帆に照準を合わせていた。
「ま、坊っちゃんの運はここで尽きるんだけどな、NPC殺すなんて面倒な話だけど、
尻拭いはしなきゃいけねえよな〜しゃあねえよなあ・・・・んじゃ、あばよ。」
軽い口調で男はそう呟いていた、余裕しかない事の何よりの証であろう。
伊奈帆の仏頂面が、少し崩れを始めた。
「・・・・・・。」
見てみると、やはり左足は弾丸が詰まっていて使えない。
もう逃げる手段はないのか・・・・・。
伊奈帆が、男の持つ銃を見つめ、
彼の世間から逸脱したかのような格好に違和感を感じたその時、
不意にデジャブが走った。
横になっている自分に、銃を向けている少年の姿が、
伊奈帆の目に映った。
『界塚・・・伊奈帆・・・。』
自分の名を呟く声が聞こえてきた。
「・・・コウモリ」
そう呟いた瞬間、自分の中に見たことのないヴィジョンが
溢れかえってきた。
同時に、左手に強い熱が走り、手の甲から発している赤い光が謎の紋章を描いた。
丁度目の前から確認できる位置にあった五稜郭タワーの上空に、
謎の塔が見えてきた。


目の前の男性・・・・いや、サーヴァントは、この状況を見て口を歪めている
「オイオイオイオイ、この坊ちゃんがマスターって・・・こりゃまた随分と運命的な出会いなもんだねぇ全く」
相変わらず軽快な言動を口走るが、それでも目は明らかに動揺していた。
だがそれでも、銃を握る手はブレていなかった。


89 : 界塚伊奈帆&ライダー ◆lkOcs49yLc :2016/03/21(月) 18:07:50 z1cDPIdU0
「しゃあねえサーヴァントが来る前に蜂の巣にしてやっか・・・心配すんな、痛みは一瞬だからよ。」


男が引き金を引こうとした瞬間、伊奈帆の脳内に声が響く。



((危ないから伏せてろ!!))




その瞬間、左側にある道路からけたたましいエンジン音と共に突っ込んでくる黒きバイクらしき
物体があった。左手には、何やら長い得物を、横側にこちらに向けている。
バイクがそれはすぐ目の前に現れた瞬間、伊奈帆はすぐに首を仰向けにする。
一瞬目の前に、血飛沫と黒い何かが見えた。


バイクは激しいブレーキ音と共にUターンし、向きをバイザーが
塔を視認出来るように変えた。伊奈帆は直ぐ側にあったガードレールを
支え棒にして立ち上がり、黒いバイクに跨る、猫耳の様な装飾品の
ついたヘルメットを被ったライダースーツの女性を見つめた。
そして再び、脳内に声が響く。

((・・・間違いないな?お前が、私のマスターで))


「君の真名は?」


伊奈帆がまず聞いたのは、まずそれだった。
聖杯の知識を手に入れ、特に聞くことのない状態で
唯一知りたいことだった。
そして、黒いライダーは手にとった鎌の形をしゅるしゅると変え
手に吸収させると、念話でこう答える。


((私はセルティ・ストゥルルソン、ライダーのサーヴァントで現界した。))


それを聞き、伊奈帆もそれに応える。
「そうか、ありがとう、ライダー、教えてくれて。」
伊奈帆は何一つ仏頂面な表情を崩さずにそう答え、
「僕は界塚伊奈帆、よろしく。」
機械的な表情で自己紹介をする。


((ああ・・・それと・・・驚いていないの・・・か?))

バスは飛ぶわ足はやられるわでとんでもない目に合っているにも関わらず
仏頂面な表情を崩さない伊奈帆に驚いたライダーは、念話でそう聞くと、
「何を?」
伊奈帆は聞き返す。
((記憶を眠らされてこんな世界に来てしまって、挙句こんな目に合ってしまったということ))
ライダーは念話で応え返す。
「むしろ驚いているよ。」
淡々とした返答が返ってくる。

(・・・こんなのが、本当に驚いていると言えるだろうか・・・・)

随分と変わった人物だ、表情と考えていることが一致しない人物なら池袋には
そこそこいるが、池袋以外にもいたというのも珍しい、世界は広い。
ライダーはそう考え、溜息をつく。
(マスターには説明していないが)首はないので、心の中でだが。
そして、ライダーはもう一つ大事な質問をする。

((マスター、お前に願いはあるのか?そして誰かを殺す覚悟も))

伊奈帆はそれを聞くと、少しの間地面に首を向け、
そして再びライダーに顔を向けて、口を開ける。

「あるよ、一つだけ。」

伊奈帆の願い、それは。

地球と火星の和平。
この世全ての争いを終わらせることなど、恐らく不可能であろう。
だが、聖杯ならばそれが出来るはずだ。
アセイラム
たった1つの未来のために、今の全てを賭けて、伊奈帆は戦うことを決意する。


「殺す覚悟は、勿論出来ているよ。」

彼らもまた自分と同じように腹を括って参加している。
ならば自分もそれに応えるまでだ。



「そのためには、君の力が必要だ。よろしく頼むよ、ライダー。」

伊奈帆は空いている右腕をライダーに向けて伸ばした。


((・・・あ、ああ、よろしく頼む))

ライダーは念話でそう返すと、伊奈帆のいる方へ向かい、彼の手を握った。


90 : 界塚伊奈帆&ライダー ◆lkOcs49yLc :2016/03/21(月) 18:08:27 z1cDPIdU0
◆   ◆   ◆




ライダーのサーヴァント・・・私、セルティ・ストゥルルソンの願いは、失った首と記憶を取り戻すこと。
多分、私が聖杯の招きに応じた理由はそれだろう。
だが、首の事は諦めたはずだ、このまま池袋での生活を謳歌していたい、そう考えて。
自分が英霊になった頃に、その願いは叶ったかどうかは知らない。
だが、それでも自分はこれを探さなければならないと思っていた。
私が何者であるかを知るために。
しかし・・・

(悪いな・・・新羅、お前は許してはくれないだろうな・・・私のやろうとしていることを)

これは、かつて私に寄り添ってくれた彼を裏切ることになる。
首の在り処を私に隠してまで、自分に寄り添おうとした彼の事を。
それでも、新羅という枷が無くなって自由に首を探せるという開放感は持てた
私がいる、それがとても恨めしい。それでも・・・・



(私は、自分が何者であるかを知りたい。)






オーディンの如き知恵の神と、ヴァルキリー/デュラハンの如き首無し騎兵は、
叶えたい願いを賭けて、今ここに手を結んだ。


彼女の望みを叶えるために。

例えそれが彼の最も拒む望みであろうと。


91 : 界塚伊奈帆&ライダー ◆lkOcs49yLc :2016/03/21(月) 18:09:15 z1cDPIdU0
【クラス名】ライダー
【出典】デュラララ!!
【性別】女
【真名】セルティ・ストゥルルソン
【属性】混沌・善
【パラメータ】筋力D 耐久D 敏捷A 魔力C 幸運E 宝具B


【クラス別スキル】

騎乗:A+
乗り物を乗りこなす。
竜種以外の全ての乗り物を乗りこなす。


対魔力:D
魔力に対する耐性。
魔力よけのアミュレット程度のもの。


【固有スキル】

神性:D
神霊適正を表すスキル。
一説では彼女はバルキリーではないかと言われている。


仕切り直し:B
戦闘から離脱する能力。
また、不利になった戦闘を初期状態に戻す。


無辜の怪物:C
人々の信仰によって捻じ曲げられた姿。
このスキルは外せない。




【宝具】

「首無き影馬(コシュタ・バワー)」

ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:ー 最大捕捉:1

ライダーが操る愛馬。知性も高い。
首のない影の様な馬だが、バイクや馬車に形を変えることができる。
壁を走ることも出来る。


「首無き闇の騎乗者(ノーヘッド・シャドウライダー)」

ランク:C+ 種別:対人宝具 レンジ:ー 最大捕捉:1

ライダーが纏っている魔力の影。
耐久性の高いライダースーツや、
魔力の鎌などに変化させることが出来る。



【Weapon】

「PDA」
何の変哲も無いPDA。
ライダーが同棲相手から貰った物。
首を失った彼女はこれに文字を打つことで
初めて会話が出来る。
だが、サーヴァント化した事で念話が可能となったため、
最も多いであろうマスターとの会話には必要が無くなっている。


「ヘルメット」

黄色い猫耳ヘルメット。
首のないライダーの頭を隠すための物。



【人物背景】

アイルランドに住む妖精デュラハン。
だが岸谷森厳により首と記憶を奪われ、
それ以降彼の息子の岸谷新羅と共に
池袋で20年間以上生活していた。
今では池袋の立派な都市伝説となっており、
一方で運び屋なども行っている。
気さくかつお人好しな性格で、見かけによらず
非常識な人間が勢揃いな
池袋の住民の中でも数少ない常識人。
趣味はゲーム、ネットサーフィン、テレビ。



【聖杯にかける願い】

首を取り返したい(?)


【方針】
マスターを守る。


92 : 界塚伊奈帆&ライダー ◆lkOcs49yLc :2016/03/21(月) 18:10:06 z1cDPIdU0
【マスター名】界塚伊奈帆
【出典】ALDNOAH.ZERO
【性別】男


【能力・技能】


・カタフラクト操縦技術
人型機動兵器「カタフラクト」を操る技術。
彼の操縦技術はもはや一流と言っていい。


・豊富な知識
兵器や政治などに関する膨大な知識。
ヴァース帝国との戦争では、その冷静な性格と
作戦立案能力、前述のカタフラクト操縦技術と
併せることでオーバーテクノロジーの産物である
火星のカタフラクトを次々と撃ち落としていった。



・アルドノアの起動因子
火星人の残したオーバーテクノロジー「アルドノア」を起動する因子。
アセイラム王女の返り血が着いた際に受け継がれた。



【人物背景】

16歳の高校生で、学年トップの成績の持ち主。
亡くなった両親の代わりに姉を助け、家事を全て
1人で行っていた。良くも悪くもマイペースな
性格で、あらゆる状況に置かれようがその
冷静な思考を崩さない。また、
常時無表情なために思考が読みにくい。
火星を拠点とするヴァース帝国が地球への
侵攻を始めた際に、同級生とともに
学校に配備されていた訓練用カタフラクトで
火星のカタフラクトに応戦。
その後地球軍に入り、その的確な作戦立案能力
と膨大な知識によりヴァース帝国の貴族を次々と
撃ち落としていった。
しかし、ヴァース帝国78家門が1人、
ザーツバルム卿の揚陸城へ侵攻した際、
ザーツバルムのカタフラクトをカタフラクトと
引き換えに倒したはいいものを、
ザーツバルムに撃たれたアセイラムに寄り添おうとした
瞬間、スレイン・トロイヤードに撃たれ、昏睡状態に。
今回は、その直後からの登場。


【聖杯にかける願い】

地球と火星の和平。


【方針】

向かってくる敵は倒す。
ただし、無抵抗な陣営は狙わない。


93 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/21(月) 18:10:31 z1cDPIdU0
以上で投下を終了します。


94 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/21(月) 18:16:00 z1cDPIdU0
申し訳ございません、誤字を発見しました。
オーディンの如き知恵の神 ☓

オーディンの如く智に貪欲な少年 ○


95 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/21(月) 18:47:10 X3rSdmAk0
リンゴォ・ロードアゲイン&アサシン
ケンシロウはリンゴォのお眼鏡に適う、実に相性のいいサーヴァントですね。
殺し合うこと自体は嫌悪せず、聖杯戦争の趣向に怒りを燃やす辺りが彼らしいと思いました。
リンゴォは確かに戦闘を好みますが、卑劣なもの自体は持っていないのでケンシロウが嫌悪しないという理由付けも好きですね。
作品の投下ありがとうございました。

ムラクモ&アサシン
鋼の錬金術師は把握していないのですが、エンヴィーの殺し方はえげつないですね。
主従仲は比較的良いように見えるものの、どこかでボロが出そうなのが怖い。
こういったコミカルさと残酷さを両立させているキャラクターは個人的に好きです。
作品の投下ありがとうございました。

藤原妹紅&アサシン
藤原氏繋がりの主従とは面白い組み合わせです。
紅虫の異様さが短い描写の中でこれでもかと表現されており、感服しました。
同じ出自繋がりの二人が本編でどう絡んでいくのかが気になるところですね。
作品の投下ありがとうございました。

蜘蛛の糸
詳しく言及するのは無粋だと思うので控えますが、原作を知っているかいないかで読後感の変わるお話でした。
八代先生の頼れる場面と、ジョナサンとの掛け合いが主従仲の良さを物語っていますね。
にも関わらずどこか拭い去れない違和感が付き纏う、そんな候補作だったと思います。
作品の投下ありがとうございました。

灼熱の風
なんだか、左目をしばきたくなってくるキャスターですね。
ジョルノはマスターとして言うまでもなく最高クラスの有能さですが、それだけにめぐみんのアレさが際立つ。
爆裂魔法はしかし原作通りうまく使えば非常に強烈なので、ジョルノの采配に期待したいところです。
作品の投下ありがとうございました。

ラスティ・ガン・アンド・ブロークン・ボー・リボーン
ニンジャスレイヤーの文体が非常によく再現されていると思いました。
それはさておき、シノンはいいサーヴァントに恵まれましたね。
高らかに勝利を宣言した彼らの武運を祈りたいです。
作品の投下ありがとうございました。

有栖川レナ&セイバー
こちらもあまり多くを語るのは無粋な話だと思うのですが、物凄い発想だと驚かされました。
忘れてしまったレナが、思い出の存在と出会う。
まさに聖杯戦争という舞台ならではの遭遇で、ワクワクするものを禁じ得ません。
作品の投下ありがとうございました。

界塚伊奈帆&ライダー
ライダーのサーヴァントでセルティとは驚きでした。
自分の望みを叶えるために新羅の望む真逆を行く彼女は切ない。
ただサーヴァントとしては火力不足が辛そうです。
作品の投下ありがとうございました。


投下致します


96 : 森の雛 ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/21(月) 18:48:04 X3rSdmAk0

 雪の溶け始めた公園のブランコに座り、錆びついた金属音を奏でる主はランドセルを背負った少女だった。
 首に巻いたマフラーは日中ならばそろそろ暑苦しくなってくる頃だが、北国の夕暮れ時は未だかなり冷え込む。
 公園備え付けの時計が示す時刻は既に午後六時を過ぎていた。辺りは暗くなり、街灯さえ点々と灯り始めている。
 それでも少女がブランコを立つ気配はなかった。日が沈んで薄暗い周囲に恐怖を覚える様子もどうやらない。
 度胸があるというよりは、こういった時間まで外にいることへ根本的に慣れているようであった。
 彼女の年齢が精々小学校高学年程度であろうことを加味すれば、それは褒められたことではないだろう。
 この場にもし大人が通りかかったなら、もう帰りなさいと善意の声かけを行ってもおかしくはない。
 
 彼女は小学校の授業が終わり、学校を出てから既に二時間以上も公園でこうして時間を潰していた。
 誰と遊ぶでもなく一人で座って、何をするでもなく遠くの空を見たりして無為に時間を費やしている。
 家にはまだ帰りたくない。だから可能な限り遅く帰るのが、彼女の毎日の過ごし方だ。
 訳を知って付き合ってくれるような友人は生憎といないし、別に求めてもいない。
 一人で過ごすだけでも十分満たされているし、それに今は厳密に言うと一人ではなかった。
 これ以上を望むつもりもない。そう悟ったように、あるいは諦めたように、少女は今日もブランコを揺らす。

「寒い?」
『さむく、ない』
「そ。ならよかった」

 その声は彼女にしか聞こえない声だ。原理は彼女もよく知らないが、念話と言うらしいことは把握している。
 この不思議な友人の存在に雛月加代が気付いたのは、今からちょうど三日ほど前。場所はこの公園だ。
 一人で黙って時間を潰す中でやることなど自然に限られてくる。
 物思いに耽ってみたり、昔のことを思い出してみたり、未来のことを考えたり、頭を使うことばかりだ。
 そうしている内にふと、思い出した。自分が置かれている状況のことと、この世界のことを。
 遠くに見える瓦礫の塔を見据え、加代は溜息を漏らす。
 函館を訪れたことはないが、あれが普通でないのは一目瞭然だ。
 きっとあれは聖杯戦争とかいう催しを正常に動かすためのものなんだろうと、直感的にそう思った。

 いつの間にか手に浮き上がっていた気味の悪い模様――令呪のことについては少しだけ面倒だった。
 家の人間には別段改めて隠すまでもなかったが、問題は学校である。
 加代は何とも思わないにしろ、周りが過剰に反応して面倒事になるのは彼女としても避けたかった。今は怪我をしたということにしてガーゼを貼って誤魔化している。
 聖杯戦争なんてものに巻き込まれたところで、毎日は何も変わらない。何も動かない。
 作り物の世界でも日々は変わらず流れていて、元の街に戻ってもそれが変わることはきっとない。
 
「……帰ろ、バーサーカー」
『かよ……かえって、だい、じょうぶ?』
「帰らなきゃどうしようもないよ」

 狂戦士(バーサーカー)なんて単語からはまるで想像できない、この小さな少女の身を案ずるような声だった。
 雛月加代のサーヴァントは誇り高い英雄ではないし、むしろ調べた限りではその真逆を行く存在だ。
 それでも、加代は自分のサーヴァントがこのバーサーカーでよかったと、そう思っている。
 眩しく輝く英雄や騎士のような存在は自分にはきっと合わない。誰よりも彼女自身がそのことを知っていた。

 赤いランドセルを背負った女の子が、一人薄暗い道を歩いていく。
 その後ろから、姿の見えない彼女の友人が付いていく。
 雛月加代に帰る場所はない。帰る家はあるけれど、そこを帰る場所だと彼女は思っていなかった。
 慣れてしまえば陰鬱な気持ちにもならない。ただ過ぎ去るのを待つだけの時間が、きっと今日も始まる。
 小学生らしからぬ冷めた瞳と仏頂面で帰途に着き、少女はいつもと変わらない自分の家へと帰る。


97 : 森の雛 ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/21(月) 18:48:58 X3rSdmAk0
◇◇◇

 残酷な音が鳴っていた。
 女の怒号が狭い部屋にこれでもかと木霊し、それを聞いて愛人の男がへらへらと笑っている。
 ぱぁんと少女の白い頬を打つ動作は完全に躾の域を超えた、只の憂さ晴らしのそれに他ならない。
 打たれた箇所が赤く腫れ、髪の毛を掴んで床に引き倒されても少女は無抵抗のままだった。
 被虐待児は実の親からの理不尽な暴力に曝される内、暴力のやり過ごし方と言うものを学習していく。
 人によって機嫌を損ねない手段など様々だろうが、概ね共通しているのは抵抗しないことだろう。
 体格の違いがあり、更に今後も継続して付き合わなければならない相手に抵抗すれば後々更に事が拗れる。
 それに反抗的な態度を見せて相手の怒りを更に燃え上がらせるよりかは、黙って相手の気が済むまで暴力を受け、終わるのを待っていた方が利口だと子供たちは考える。
 女の口から出るとは思えない口汚い罵倒にも、痛々しい暴力にも、彼女はただ無反応で耐えていた。
 彼女を助けてくれる正義の味方は現れない。そしてその友人は、他ならぬ彼女の言い付けで助けに入れずにいた。

 万力のような咬力を秘めているであろう口元から、骨の軋む音が鳴る。
 雛月加代の姿の見えない友人は、この時間、この光景、この場所が大嫌いだった。
 助けることもできず、主が痛め付けられる場面を指を咥えて見ているのが堪らなく嫌だった。
 ならば見なければいい。しかしそれが無責任と言うものであることは、理性の狂った彼にも分かる。
 今日もギリシャ神話の魔獣は、神話の遥か以後の時代を生きる少女の地獄を見つめ続ける。
 発散されない怒りを沸々と内に滾らせて、神話に語られるような鬼の形相で、ただそれを凝視していた。

「かよ……」

 加代はバーサーカーへ、最初に出会った日にこう言った。
 私と二人でいる時か、敵が襲ってきた時以外は絶対に実体化しては駄目だと。
 特に家と学校、この二つについては厳命されていた。後者はともかく前者については、明らかに暗に助けはいらないとバーサーカーに釘を刺していた。
 人を殺しては駄目という倫理的なものも当然あるだろう。しかしそれ以上に、彼女はバーサーカーの身を案じているのだ。民間人を殺したことが発覚すれば、ルーラーがペナルティを与えにやってくる。
 只でさえ敵を作りやすいバーサーカーが袋叩きを受ければ、どんな事になるかは想像に難くない。
 だから加代はバーサーカーを律した。バーサーカーは、それを守るしかできない。
 自分のことを魔獣(ミノタウロス)ではなく、雷光(アステリオス)と呼んでくれたマスターが痛め付けられる光景を見ていることしか、できない。


98 : 森の雛 ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/21(月) 18:49:57 X3rSdmAk0
◇◇◇

 体中に痛々しい青痣を残して、打ち捨てられたように物置の中で横たわる少女がいた。
 彼女を夜遅くにこんな場所へと投げ込んだ憎らしい女の粗雑な足音が扉の向こうでは聞こえている。
 足音が遠退くのを待たずに、バーサーカーは実体化し、傷ついた自分の主へと屈み込む。
 肩で息をする少女は涙を流してはいなかったが、やはり諦めたような顔をしていた。
 彼女はバーサーカーが見ていることに気付くと薄っすらとだが笑って、その細い手を伸ばし、彼の頭を撫でる。

「…………優しいね、アステリオスは」

 彼女がバーサーカーを、広く普及したミノタウロスの異名で呼んだことは一度もなかった。
 召喚の翌日には彼のことを本か何かで調べて、魔獣としての彼の逸話をその目で読んだ上でもだ。
 アステリオスは狂っている。生まれついての魔獣、反英霊。倒されるべき天性の魔。
 理性の大半は奪われ言語能力は辿々しく、複雑な思考をすることは難しい――そんな有様でも。
 アステリオスは、この雛月加代という小さなマスターのことを守りたいと思った。
 彼女を地獄のような場所から救い出して、最後にはきっと幸せになってほしいと心から願った。
 
 少女と魔獣の聖杯戦争はどこまでも華々しさとは無縁で、ただ物寂しく、無味な毎日であった。 

 
【クラス】
バーサーカー

【真名】
アステリオス@Fate/Grand Order

【ステータス】
筋力A+ 耐久A+ 敏捷C 魔力D 幸運E 宝具A

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】
狂化:B
全パラメーターを1ランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。

【保有スキル】
怪力:A
一時的に筋力を増幅させる。魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性。
使用する事で筋力をワンランク向上させる。持続時間は“怪力”のランクによる。

天性の魔:A++
彼は生まれついての魔獣、反英霊である。
たとえ本質が邪悪ではなかったとしても、所業が悪である以上、その宿命は倒されることに違いない。


99 : 森の雛 ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/21(月) 18:50:59 X3rSdmAk0

【宝具】
『万古不易の迷宮(ケイオス・ラビュリントス)』
ランク:EX 種別:迷宮宝具
生前バーサーカーが封じ込められていた迷宮の具現化。
一旦具現化してからは、迷宮という概念への知名度によって道筋が形成される。
彼が消滅した場合は迷宮が崩壊する。

【weapon】
ハルバードのような二丁の斧

【人物背景】
アステリオス――雷光という名を与えられたこの怪物が、その名で呼ばれることはほとんどなかった。
広く世界に普及した彼の異名は、ミノス王の牛を意味するミノタウロスである。
アステリオスはバーサーカーであるため言語は辿々しいが、かろうじて意思疎通は可能なので、他のバーサーカーよりは遥かに御しやすいといえる。
アステリオスをアステリオスとして認識する限り、彼がマスターを裏切ることはない。
魔術師ではなく、年も身体も幼い雛月加代がマスターなこともあり、ステータスの一部が低下している。

【サーヴァントとしての願い】
加代を守る。


【マスター】
雛月加代@僕だけがいない街

【マスターとしての願い】
幸せになりたい?

【能力・技能】
なし。彼女はごく普通の、少しだけ人付き合いが苦手な子どもである。

【人物背景】
母親と愛人から虐待を受けており、クラスでも貧乏故に偏見を持たれている薄幸の少女。
家庭環境のせいか卑屈な性分となってしまっていて、滅多に言葉を発することはない。
本来ならば蜘蛛の糸を辿られ、冬の日に死ぬはずだった。

【方針】
バーサーカーには死んだり、傷付いてほしくない。


100 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/21(月) 18:51:26 X3rSdmAk0
投下を終了致します


101 : ◆87GyKNhZiA :2016/03/21(月) 19:53:49 uEYqu25c0
投下します


102 : 空、崩れゆく塔を背に ◆87GyKNhZiA :2016/03/21(月) 19:54:40 uEYqu25c0


 如何に時代を重ねようと。
 如何に世界を違えようと。
 社会から、ひいてはこの世から暗部というものを取り除くというのは極めて難しいと言わざるを得ないだろう。
 構成人数が少ないうちは単純でも良かった社会構造は、所属する人間が増えれば増えるほど乗算式にその複雑さを膨れ上がらせていく。そして単純な話であるが、人というのは善良な者もいれば悪辣な者もいる。そして、その悪辣な奴は人口総数と比例して当然のように多くなる。
 世の中には色んな奴がいる。子供じみたシンプルな理屈だが、結局はこれが全てなのだろう。

 都市の外れに位置する一角に放置された、古ぼけた廃ビル。
 産業発展の流れの中で淘汰され、しかし撤去するには手間がかかるという理由でもう何年も放置されたままという、それは現代にあってそれなりに見る光景の一つであった。
 見捨てられ、取り残された場所。誰からも忘れられた、社会から外れた場所。だからこそ、同じく外れた者たちにとっては都合のいい場所でもあった。
 アウトローを気取る不良崩れ、居場所を失くした浮浪者、学もない暴走族上がりのチンピラ、不法移民の外国人移住者。素性も知れぬような輩が大量に住みつき、あるいは使用し、内部は経年による荒廃以上に人の悪意によって異常な様相を得るまでに塗りつぶされている。
 掃き溜めのような場所であった。それ故に、集まる人間もまた、吐き捨てられた塵のような者ばかりであった。
 そして底辺を這いずる者の条件に、善悪というものは含まれない。

「ぅ……あ、ぁ……」

 薄暗い一室。日の差し込まぬ暗がりの部屋。
 その部屋は、例えて言うなら永く発掘されずにいた地下遺跡にも似ていた。数十年のスパンで外気が流れ込まず、停滞して鬱屈した気配が澱んでいる。
 その停滞と鬱屈は、まさしく死というものを象徴していた。
 まさにその部屋の隅で今死のうとしている、襤褸屑のような少年のように。

「……やだ、さむい、痛い、よぉ」


103 : 空、崩れゆく塔を背に ◆87GyKNhZiA :2016/03/21(月) 19:55:21 uEYqu25c0

 何度も重ね塗りされ意味の分からない落書きに塗れた壁に寄りかかり、最早白かった頃の面影など微塵も見られない汚泥に穢れた布きれを纏って、その少年は震えていた。
 顔は死人の肌のように青白く、およそ血流というものがまるで感じられない。健康だった頃などなかったように痩せ衰えた肉体は、肉というものが削げ落ちて骨に皮膚が張り付いているかのような有り様。
 社会の表側では見ることのなくなった、けれど確かに存在する、これは世の暗部のひとつ。暗がりに目を向ければ簡単に見つけられる浮浪児の姿だった。
 彼が、不法滞在者が生み落した忌み子であるのか、それとも育児放棄を受けた哀れな被害者であるのかは分からない。最早彼自身すら、親の顔を覚えてなどいなかった。
 居住権も、ましてや戸籍すらも持ち合わせない。財産はなく、知恵もなく、働き場所も生きる意味もない。ただ生きるというそんなことすら困難な子供。
 哀れではあったが、ありふれた光景ではあった。その種類を問わず、不幸というのは絶え間なく降り注いで止まらない。明日を生きる寄る辺もなく、無為に命を散らしていく者など、それこそ数えきれないほど存在していた。
 どれほど人が努力しようとも、全てを掬いきることはできない。
 縋る親はいない。保護を受けることもできない。無条件で与えられるはずだった社会の恩恵を受けることもできない少年は、ただ無意味に苦しみ、死に行くのみ。

 弱さを見せれば下に見られる、優しくすれば付け込まれる。気晴らしに殴られ蹴られ、綺麗なものなんていくら瓦礫をひっくり返しても見つかることはない。
 信じていれば救われる、頑張ればいつかは報われる―――そんな奇跡、今まで一度だってなかった。
 だから、少年はここで終わる。誰に名前を覚えられることもなく、残したものは何もなく、彼がそこにいたのだという証拠すら無くして。
 無為に。無意味に。無価値に。彼は死ぬ。

「……たすけて」

 縋る声はか細く、今にも消え入りそうで。
 それは、誰に届くこともないはずだった。
 けれど。

「―――大丈夫ですか」

 届かないはずの声を、それでも聞き届けた者があった。
 届かないはずの手を、それでも掴み取った者があった。

 それは、久しく聞くことのなかった。いや、生まれて初めて聞くような声。
 ついぞ彼が味わうことのなかった、慈愛の込められた、声。

 少年は、霞んだ視界に映ったそれを、幻だと思った。
 闇と汚れしか映さなかった瞳にあるのは、純白の衣服と金糸のような髪の色と。
 そして、そう。綺麗な少女の、心配しないでと言うかのような笑顔。


104 : 空、崩れゆく塔を背に ◆87GyKNhZiA :2016/03/21(月) 19:55:44 uEYqu25c0

「マスター、こちらに男の子が」
「ああ……これは、重度の肺炎だな。栄養不良と免疫力低下が原因か」

 カツン、と足音が聞こえて。少女の後ろから更に男がやってくる。
 灰色の外套を纏ったその男は、憂いに満ちて、表情のない顔を少年に向けて。

 そっと額に触れる右手。死人のように冷たい手は、死神のような印象を少年に与えて。
 けれど。

「大丈夫です、安心してください」

 けれど。
 少年の手を握り、そっと微笑む少女の姿は。

「あなたは、絶対に死なせません」

 ―――まるで、御伽噺の天使みたいだ、と。
 ―――見たことはないけれど。そう少年は思ったのだ。





   ▼  ▼  ▼





 少年が意識を取り戻したのは、それから半日ほど過ぎた後だった。
 あれほど少年を苦しめた胸の軋みは綺麗さっぱり消え失せて。引きずるしかなかった足の怪我も、日頃の生活から罅割れていた指の爪も、生え変わったように綺麗な形に戻っていて。

 けれども、あの時確かに見たはずの男と、天使のような少女は。
 もはやどこにも、彼の知る場所には存在しなかった。





   ▼  ▼  ▼


105 : 空、崩れゆく塔を背に ◆87GyKNhZiA :2016/03/21(月) 19:56:26 uEYqu25c0





 ―――目の前には、ただ一面に青空が広がっている。

 空が見える。
 眩い天上を見上げると、そこには、無限の蒼穹が広がっていた。
 無限の霧も、灰燼の雲も、何かもが消え去った空。
 上に見える空の色は透き通って、太陽は燦たる光を放っている。
 赤い、赫の炎のように。

 かつて願った空。少女の想いが果たされた、これはその終末譚。
 ―――ひとつの太陽をのぞかせる。
 ―――それは、かつてあった願いの果て。

「ああ……」

 思わず、感嘆の声が出た。
 あまりにも、それが綺麗だったから。生まれて初めて見た空。生まれて二度目に見る空。
 少女が願った空。
 決してありえないはずの。けれどもありふれた、美しいものが目に映ったから。
 ただ、思うのだ。

 終わったものがあった。納得したものがあった。
 諦めたわけではない。ただ、胸の内に去来する感情があるだけ。

 ―――ありがとう、と。
 ―――彼女だけでなく、僕も。そう言いたかった。


106 : 空、崩れゆく塔を背に ◆87GyKNhZiA :2016/03/21(月) 19:57:01 uEYqu25c0

「マスター。あなたは」

 声が聞こえる。
 それは、すぐ隣から。

 鈴を鳴らすような声だった。澱みはない、華美な豪奢さもない。
 野畑に咲き誇るような、それは名もない小さな花のような声。

 知らない声。けれど、それが誰なのかは不思議と理解できる。
 それは、聖杯の寄る辺に従い現れた、超常の被造物。
 ―――サーヴァントの、声。

「あなたは、どうして諦めなかったんですか。涙を流すあなたは、それでも尚と手を差し伸べて」

 奇妙な問いだった。内容がではない。彼女が質問するという、それ自体が。
 彼女の力を、男は言われずとも理解していた。やろうと思えば、考えや記憶を覗くことなど、彼女は簡単にできるだろうに。
 そして、それをしたのだからこそ、こんな質問ができるのだろうに。

 ああ、けれど。
 そうやって、想いを言葉として聞こうとする少女の姿は。
 もう失ってしまった、あの日の彼女を思い起こさせて。

「……僕は、誰も助けることができなかった」

 あの時とは違う、無数の瓦礫に包まれた塔を背に。
 語る少女を見下ろしながら、ただ言葉を並べる。憂う瞳の彼女へ。

「それでも、あの10年を彷徨い、力を得てなお願い、追い続けたのは」

 じっと、こちらを見つめる少女へと。
 紡ぎ、言葉を形にしていく。

「あの子を探していた。ずっと、あの子と言葉を交わしたかった」

 ―――それは、自らが抱いた、たったひとつの願い。
 何物にも替えられない、ギーという愚かな男が望んだ、唯一の救い。


107 : 空、崩れゆく塔を背に ◆87GyKNhZiA :2016/03/21(月) 19:57:52 uEYqu25c0

「僕は、あの子を……キーアを助けたかった」

 ようやく、そう自覚することができる。
 失われた記憶を、失われた想いを、自分はようやく取り戻せて。
 だからこそ、思うのだ。

 ―――キーア、僕は。
 ―――きみに会えてよかった。きみと話せてよかった。
 ―――……ありがとう、キーア

 脳裏に浮かぶ感佩の念は途切れることなく木霊する。その気持ちが、記憶が、言葉ではなく情報として、少女の元へと流れていく。

「……そう、ですか」

 願いを、想いを聞き届けて。
 少女はただ、薄っすらとした笑みを浮かべるのみだった。

「だからあなたは、ずっと泣いていたんですね。顔には浮かべずに、心の中で、ずっと」
「……ちょっと、情けないかな」
「いいえ」

 否定する。それは決して、情けなくも、まして悪いことでもないのだと。

 かつて、少女は決して泣かなかった。涙は嫌いだった。自分だけではなく見ている人まで悲しくさせる涙は、浮かべることなど認めることができなかった。
 だから笑っていた。どうにもならないなら、全てを自分の胸にしまいこんで。誰も傷つけることがないように、必死に笑顔の仮面を作り上げて。

 悲しい時は泣かなかった。けれど。

「嬉しい時は、泣いてもいいんですよ」

 かつて教えられた言葉を、今度は自分が。
 酷烈な道を歩んできた男へと、静かに、そっと贈ったのだった。

 それは、無限の悲鳴に包まれてきた男の。
 それは、無限の涙に溺れてきた男の。
 苦しみ喘いで辿ってきた、全ての足跡を肯定する。
 あるいは、そんな一言だったのかもしれない。

「……ああ」

 そこまで言って、男は自分の声が震えていることに気付いた。
 涙が、男の頬を伝って流れ落ちた。

「そう、だね……ありがとう、アンヘル」

 あとは、言葉にならなかった。
 流れる涙は止まらない。こうして拭っても、すぐに溢れて。
 少女を見つめる瞳は、彼に見つめられる瞳は、こんなにも溢れて、雫に満ちて。

 静かに、ギーは涙を流し続けた。
 10年にも渡る想いを乗せて。言葉にならない想いを、乗せて。

 それは彼がこの都市に訪れた最初の日に起きた出来事。
 勝利の塔を昇り切ったはずの彼に与えられた、その後の物語の始原にして終焉。
 取るに足らない、小さな御伽の話だった。


108 : 空、崩れゆく塔を背に ◆87GyKNhZiA :2016/03/21(月) 19:58:30 uEYqu25c0





   ▼  ▼  ▼





 ──それは、彼が既に黄金の螺旋階段を昇った後のこと。
 ──それは、異形なる尖塔の聳える都市でのこと。

 その日から、函館の街にひとつの噂が流れた。

 どんなに時代が進もうとも、どんなに世界が変わろうとも、決して消えないものがある。
 それはおとぎ話。人が苦しむその時に、ふらりと現れては不思議な力で人を癒していく男女の都市伝説。
 眩い光を手にし、天使の翼を広げる二人の噂を、人々は眉唾物として聞き流した。
 けれど救われた者はいるという。手を差し伸べられた彼らは、確かに見たのだと豪語した。
 その者らの話を、朧気ながらも纏めたならば。

 男のほうは、灰色の外套を身に纏い。
 女のほうは、エメラルドの瞳をした金髪の少女だったという。


【クラス】
アンヘル

【真名】
フィア@ウィザーズ・ブレイン

【ステータス】
筋力E 耐久E 敏捷E 魔力A+ 幸運A 宝具EX

【属性】
秩序・中庸

【クラススキル】
同調支配:EX
陣地作成の亜種スキル。
このスキルは宝具と重複する。

【保有スキル】
I-ブレイン:A++
脳に埋め込まれた生体量子コンピュータ。演算により物理法則をも捻じ曲げる力を持つ。
100万ピット量子CPUの数千倍〜数万倍近い演算速度を持ちナノ単位での思考が可能。彼女の場合は通常の魔法士とは隔絶した演算速度を持ち、極めて高ランクの高速思考・分割思考を内包する。
ただし通常の魔法士が標準的に保有する「戦闘予測能力」をほとんど持たないため、本来直感や心眼を内包するはずであるが彼女の場合は一切それらスキルを持ち合わせない。

献身:B
他者に寄り添い、救済を善しとする精神性。
自分ではなく他者のために行動する際、判定にボーナスを得る。

医術:D
近未来医学を用いた治療法。
治療行為の判定にボーナスを得る。

道具作成:D
細胞活性剤などといった、近未来医学に因る医療器具等を作成可能。


109 : 空、崩れゆく塔を背に ◆87GyKNhZiA :2016/03/21(月) 19:59:03 uEYqu25c0

【宝具】
『《天使》(マザーコア・コードアンヘル)』
ランク:EX 種別:対人・結界宝具 レンジ:1〜999 最大捕捉:20
自身を中心とした一定の半径内に情報的な支配領域を広げ、領域に触れた対象の全存在情報を取り込み、情報の側から支配する。物理でも魔術でもなく「情報」の側からの支配であるため、対魔力による軽減は不可能。
ただし支配領域は球形上かつ触れる者全てを無差別に取り込むため、遠隔の対象を選別して取り込むことには向かない。また、領域内の情報量があまりに多くなると自動的に発動がキャンセルされる。取り込み限界は常人ならば20人、サーヴァントならば2〜3人、空間や無生物であるなら無尽蔵。
この宝具によって支配した物体は、情報強度が低い(=思考速度が遅い)ものであるなら無制限に操作が可能となる。分子配列変換による食糧等の生成、気体操作による居住可能環境の構築、重力改変による飛行など、応用の幅は広い。
また、取り込んだ対象を「自分と同等の状態にまで同調させる」ことにより損傷や病の治療を可能とし、その思考と記憶を完全に把握することすら容易い。
最大の特徴として、この宝具によって取り込まれた全生物の状態は共有される。例えば領域内で誰かが傷を負えばその痛覚が全員に行きわたり、誰か一人でも死んだ場合は全員が死亡する。ただし共有されるのはあくまでパーソナル的な「状態」のみであり、例えば誰かの腕が切断されたとしても、共有されるのは痛覚のみで腕の損失自体は共有されない。

【weapon】
なし

【人物背景】
かつて殺されるためだけに生み出され、灰燼の《雲》により青空の失われた世界に触れ、それでも"生きたい"と願った少女。
ただ人間になりたいと願い、それさえも叶わず、生まれることなく死んでしまった39人の姉妹たちに"生きて"と託されて。
かつて失われた故人の姿を形作り、その果てに崩壊していく都市の中で。生まれて生きた天使の少女。

【サーヴァントとしての願い】
悲劇はあった。失われた命もあった。けれど。
かつて確かに辿った過去を、やり直すことを彼女は望まない。
故に彼女は願う。真摯に、ただひたすらに。
―――ひとりでも多くの人々が。
―――日々を幸せに暮らせますようにと。



【マスター】
ギー@赫炎のインガノック - what a beautiful people -

【マスターとしての願い】
助けを求める人に手を差し伸べる。

【weapon】
なし

【能力・技能】
《奇械》ポルシオン
ギーがその身に宿す奇械。終期型へと覚醒しており、その力は強大無比。
およそあらゆる幻想を打ち砕き、あらゆる物理的な力が意味を為さない。
物質でも幻想でもなく、生まれることのなかった《可能性》そのもの。故に人と世界と幻想を圧倒できる。
かつて願いを果たし、黒色の全てから解き放たれたはずの命の可能性。それでもこの都市において、彼はこうしてギーと共にある。

現象数式
認識によって世界を書き換える力。アステア理論とも呼ばれる。
ある種の数式を真に理解し脳裏に描くことで発動し、ギーの場合は肉体置換による修復再生と情報看破の二種類。

【人物背景】
異形都市インガノックにおいて、救いを求め、手を差し伸べる男。
全てが崩壊した世界の中で無限の涙に溺れながら、それでもひとつを諦めることのなかった"人間"。

【方針】
聖杯に願うことは何もない。
ただ、自分に救える命があるなら、この手を差し伸べるだけ。
例えそれが、偽物であろうとも。
例えそれが、明日には死に消える命であろうとも。


110 : 名無しさん :2016/03/21(月) 19:59:44 uEYqu25c0
投下を終了します。ちなみに該当キャラは原作1巻だけを読めば最低限把握できると思います


111 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/21(月) 21:47:03 q2jufIO60
投下します


112 : Wrestl Servant ◆T3rvSA.jcs :2016/03/21(月) 21:48:58 q2jufIO60
北海道函館市で行われた北海道女子プロレスの興行のメインは、Jr級とはいえ一年以上王座を維持してきたチャンピオンに、破竹の勢いで最近勝ち星を上げ続けている無所属の挑戦者が挑んだ一戦となった。

会場を埋め尽くす数千人を越える観客から浴びせられるブーイングの嵐と、ほんの少しの歓声に、少女は傲然と胸を張ることで応えた。
「ふふふ……また闇に呑まれた愚者が一人…」
足元に突っ伏して全身の関節の痛みに耐えるチャンピオン――――今では元だが――――には目もくれず、観客席を見回す。
――――闘争本能を制御出来なければ、猪と何ら変わらん。良いか。魔術とは感情を理性で制御し、昂る魂を魔力と融合させ、精錬、精製するものなのだ――――
(ああ…御主人様……御主人様の教えに間違いはありませんでした)
「闇の力を知りなさい」
愚者を信奉する蒙昧な輩共と、彼女と彼女の信奉する存在に伏す者達とが、一斉に叫ぶ。
ブーイングが数では圧倒的だが、その中に混じる歓声はしっかりと栗浜へ届いていた。
「ああ…御主人様……」
上を見上げ、ここにはいない誰かに向かって語りかける。
「この勝利とベルトを御主人様に捧げます……」
似た様な事を言うメイドがいるが、彼女は「会場の御主人様方」と観客に向かって言うのに対し、天井見上げながら「御主人様」と言う栗浜は明らかに観客を向いていない。
それが一層のブーイングを引き出すが、ファンからは『電波可愛い』と言われている辺り、好みと言うものは多種多様である。
天井のスポットライトを見つめ続ける。その光の中に『御主人様』の笑顔を見る。
「勝ちました!!御主人様!!!!」
天井に向かって受け取ったベルトを捧げ持って叫ぶ少女。その顔は歓喜に溢れ、瞳は陶酔に満ちていた。
スポットライトの熱と、闘争の熱とで、女性らしい柔らかさには欠けているものの、無駄な肉がない引き締まった身体がほんのりと朱に染まり、なんとも言えない色香を醸し出している。
上を向いていることで曝け出された白い喉。なだらかな肩とその下の、両手を上げていることで露わになっている腋。荒くなった呼吸の為に、自己主張するかの様に僅かな起伏が上下に動く。
熱情に潤んだ瞳と僅かに開いて熱い息を吐き出す朱唇――――これらを目にすれば幼女趣味の男でも妖しい感情を覚えずにはいられまい。
155cmというこの業界では小柄な体躯。顔つきも幼く肉付きも薄い為に、可愛らしいと言われることは有っても、決して言われることはなかった言葉。
妖艶――――この言葉が少女、栗浜亜魅を語る時に使われる様になったのは、約一月前のことからであった。


113 : Wrestl Servant ◆T3rvSA.jcs :2016/03/21(月) 21:49:53 q2jufIO60
新月の晴れた夜。星空が綺麗だったので栗浜は夜の散歩に出かけた。
『運命』が口癖の少女なら星と会話をするだろうし、魔女を自称する――――いつか制裁を加えてやると、栗浜が密かに思っている――――紛い物ならば、全く意味のない子供遊びそのものの儀式を始めるだろう。
栗浜にはどちらも行う気は無い。自分の『運命』ならとうに決まっているし、紛い物の様な愚行を行う気も無い。
「あの紛い物……どうしてあげましょうか」
いつの日か下す制裁に思いを巡らしながら、広い公園の遊歩道を歩く栗浜の前に、一人の女が立ちはだかった。
「何ですか…?アナタは」
女は答えない。無言で栗浜に向ける視線は、陰惨極まりなかった。
年の頃は69をを過ぎているだろうか、張りの無い肌。弛んだ四肢と腹と垂れ下がった乳。白髪の目立つ水気の無い髪の毛。
女は栗浜を見ていない。栗浜に有って自分には無いものを唯々睨みつけている。
「理不尽だとは思わないかい」
全身から殺気を放ちながら女が囁く。今にも包丁を取り出して飛びかかってきそうな気配。並の女性ならば恐怖に竦むだろうが。
(2m…少し下がらないと対応が難しい)
女との距離を正確に測り、襲いかかられた時の対処法を考えていた。
幸いなことに彼女の得意とするのは飛び技と関節技。素早く動き、対戦相手の隙をついて飛びつき、関節を極めるスタイル。
傷つけることなく制圧するには向いている。
「私から去っていく若さ!何故!凡百の雌豚共にあって!!私からは去っていく!!」
女は栗浜に話しかけてはいない。唯々女が理不尽だと思う現実に叫んでいる。
「何故だ!!!魔道を志す者共!!!の間だけで無く財界にも名を轟かせた私が!!!何故!!!私より遅く生まれただけの雌豚より下に扱われる!!!若いというだけで!!!其れ程までに!若さとは全てなのか!!!」
栗浜は女を相手にする具を犯さず、180度方向転換して走り出した。
「雌豚ァ!!塵の塊でしか無いお前が唯一私に用立てられるモノを差し出せェッッ!!!」
..無論、栗浜に女の言うことを聞いてやる理由は全く無い。にも関わらず栗浜の足が止まったのは、目の前に立つ男の為であった。
流石に驚いて硬直する。幾ら考え事をしながら歩いていたとはいえ、今が新月であることを差し置いても、男の現れ方は異常だった。
――――まるで闇から滲み出た様な――――
そんな悠長な事を考えた栗浜に、男がそれまで影も形も無かった剣を首筋目掛けて振るった。
――――その速度は到底人に見えるものではなく。しかし栗浜のの眼には鮮明に見えていた。
――――死ぬ――――ただそれだけを思ったその時。栗浜の胸に腕が巻きつけられ、躯が滑らかに交代し、死の軌跡は虚しく宙を薙いだ。
「誰だ!!!」
誰何の声は女のもの。男は10mも一息に飛びすさり、油断無く此方に剣を向けている。
「名乗らずに名を聞くとはなんたる無礼。まあ良い、夜道で女子を襲うなどと下卑た真似をする輩の名など。脳裏に刻む価値は愚か、聞くにも値せぬ」
栗浜の後ろから聴こえる声。若い男の声は、声だけでも男の容貌が美しいと確信させる美声であったが。まるで――――
「何者だ!!!」
剣を持った男が声を上げる。栗浜は悟った、この人も自分と同じ思いを抱いたのだと。
宇宙の深淵から響くかの様な、昏く、深い声。
――――およそ人に出せる声では無い。


114 : Wrestl Servant ◆T3rvSA.jcs :2016/03/21(月) 21:50:41 q2jufIO60
「死出の餞に名乗ろう。せいぜい冥府と座とやらで余の名を唱え続けるが良い。余の名はマスターテリオン……いやペルデュラボー。魔術の真理を求道する者なり。此度の催しにはキャスターのクラスで招かれた」
「マスター……テリオン…ペルデュラボー……」
己の身体を抱いたままの男の名乗りを呆然と繰り返す。
マスターテリオン!マスターテリオン!!マスターテリオン!!!
ペルデュラボー!ペルデュラボー!!ペルデュラボー!!!
待ち続けた名!思い続けた名!!恋い焦がれた名!!!
聖書の獣。我耐え忍ばん。その名を持つ魔術師の名は――――
「ぶっ……あはっあははっはははははははははは!!!」
感激に打ち震える栗浜の耳朶を、下品な笑声が震わした。
「アレイスター!アレイスター・クロウリー!!!魔術師!キャスターか!!!」
身をよじって笑う女に合わせるかの様に、竦んでいた男も気を取り直す。
「御主人様を笑うな!!!」
栗浜の怒声にも女は怯まない。
「強気だねえ雌豚。お前がマスターだとは思わなかったけど、サーヴァントがやってきて嬉しいのかい。雌豚と同じで何の役にも立たないけどね。私たちに殺される以外はね。やれっ!セイバー!!!」
「応っっ!!!」
セイバー。そう呼ばれた男が一気に距離を詰める。下がった時よりもはるかに早い。
――――魔術師風情が驚かせやがって!!!――――先刻の醜態を糊塗すべく、全身に殺意をみなぎらせて剣を振りかぶる。対魔力に優れたセイバークラスの中でも、この男の対魔力はAランク。魔術師ではいかに優れていようと勝てる道理など何処にも無い。
冬の静夜に相応しい、澄んだ音がした。
「対魔力に優れたセイバークラスには、確かにキャスタークラスでは正面から当たって勝つ術は無い」
振りおろされたセイバーの剣は、その手を離れて宙を舞っていた。
キャスターの手に握られた、いつの間にか顕れていた黄金の逆十字に弾き飛ばされたのだ。
「だがセイバーよ、凡そ英雄とはその道理を覆す者。道理を越え、常識を踏破し、神の摂理を打ち砕いてこそ英雄というのだ。」
キャスターの手から黄金の逆十字が消え、空になった手が拳を作る。
「貴公の様な下卑た輩には、永劫に解らぬだろうがな」
そしてセイバーの身体は、キャスターの一撃で四散した。

「な……ああ……ああああ…あ」
「さて娘よ、貴公が余を招いたのか?」
熱病にかかったかの様に震える女を差して問いかけるキャスター。
「……………」
返事が無い。婦女子には刺激が強すぎたかとキャスターか思った時、唐突に栗浜は叫び出した。
「お戯れを御主人様私を貴方様のクラウディアをこの忠実無比の使いまをお忘れですか!!!」
「………!?」
息もつかずに捲し立てられキャスターが僅かに身を引く。
「お待ちしておりました探し求めておりました御主人様こうしてお会いしたからにはもはや二度と離れません!!!」
電波最大で力強く断言した。
「………なんだか解らぬが解った。其れでアレをどうする?マスター」
「まだお戯れになるのですか!私のことは…亜魅…そう呼んで下さい」
先ほどまでの電波っぷりが嘘の様にしおらしい。頬を紅く染めて恥じらう姿は、年齢相応の少女である。
「………それで亜魅。あの者をどうする?」
「御主人様の仰せのままに」
「……………………」
生前。彼を弄んだ邪神と、彼の半身以外の全てから恐れられた少年は、思わず天を仰ぎ見た。


そして現在に至る。結局あの女はペルデュラボーが『処理』した。栗浜は魔術師としては論外なので、正当防衛という名の魂食いを行ったのだ。


115 : Wrestl Servant ◆T3rvSA.jcs :2016/03/21(月) 21:51:24 q2jufIO60
栗浜はロールにより現在の住居になっている安アパートに戻ってきた。
中堅団体の中堅ベルトとはいえ勝利の証には違い無い。
(御主人様の使い魔として、優れていることをまた証明できた)
2階への階段を登る栗浜。尻尾が有れば忙しなく振られているだろう喜色満面の笑みは、買い物袋を両手に下げて反対側の階段から登ってきた少女を見た途端、険悪なものに変わる。
「嬉しそうですね。盛り犬」
此方を認識するなり毒舌を吐く少女。
「無駄口を叩いている暇があるなら、働きなさい。愚犬」
むう。と睨み合う2人。栗浜の視線の先にいる少女はエセルドレーダ。人類以前に地球に栄えた『イスの大いなる種族』の記した魔導書が、人の姿をとったものであり、キャスターの宝具である。
嘗て栗浜のマスターが囚われていた無限螺旋の中で、唯一人傍にあり続け、マスターが解放された時には、何処へとも知れぬ宇宙へ共に堕ちていった少女。
永劫の中でも朽ちなかったその思いは、サーヴァントと宝具という関係になっても不変であった。
己こそがマスターの最も優れた忠実な下僕。互いにそう思っている2人は不倶戴天の敵として互いを認識していた。
ギリギリと2人の間に張り詰めた空気が漲っていく。
「どうした二人とも。そんな所に立っていると風邪を引くぞ」
一触即発の空気は部屋から出てきた、2人がマスターと呼ぶ少年の声で一気に拡散した。

夕食は牛鍋であった。エセルドレーダが片付けしている間、栗浜は今日の勝利とベルト獲得を報告し、頭を撫でて貰った栗浜はご満悦だったが、ペルデュラボーの一言で表情を引き締めた。
「亜魅は此度の催しには、どう臨む?余は全力を尽くせぬこの催しには気が乗らぬ。だが亜魅が戦いを望むならば応えよう。」
「御主人様は…聖杯には関心は無いのですか」
グイッと湯呑みになみなみと注がれた熱い番茶を一気飲みしてペルデュラボーは答えた。
「無い…無いが……招かれる者達に関心がある。曲がりなりにも英雄。余の宿敵の如き気概を持った者がいるやも知れぬ」
栗浜は背筋をまっすぐ伸ばし、ペルデュラボーの眼を正面から見て言った。
「私は御主人様にサーヴァントでは無く、確たる肉体を持った存在になって欲しいです。ですが…私の願いのために御主人様のお手を煩わせるなど、とても出来ません」
ペルデュラボーはどら焼きに手を伸ばした。
「しかし、魔術師は別です。この世に真の魔術師は御主人様只御一人。紛い物が跋扈するのは許せません」
「ならば余は余の欲するままに動こう。そして招かれた英雄達と存分に交わり、聖杯を亜魅にもたらそう」
「有難う御座います御主人様。使い魔として感謝に耐えません!!!」
思わず感涙を流す栗浜の右手の甲には『666』の獣の数字が刻まれていた


116 : Wrestl Servant ◆T3rvSA.jcs :2016/03/21(月) 21:57:47 q2jufIO60
【クラス】
キャスター

【真名】
ペルデュラボー(マスターテリオン)@デモンベインシリーズ

【マスター】
栗浜亜魅

【ステータス】
筋力B 耐久B 敏捷B 魔力A 幸運D 宝具EX

【属性】
混沌・中庸

【クラススキル】
陣地作成:C
引きこもりルームの作成可能。中にいればランク相応の気配遮断を得る。サーヴァントにはよほど鈍い奴でも無い限り看破されるが、人間ならまず問題無い。
道具作成:ー
無し

【保有スキル】
魔力放出:A++
武器乃至自身の肉体に魔力を帯させ、瞬間的に放出することで能力を向上させる。
威力絶大な代わりに燃費は悪い。

魔術:EX
魔術を使う技能。キャスターは最高位の魔術師であり、詠唱なしで儀礼呪法並みの魔術を発動出来る
広範囲に高重力を発生させることや高威力の破壊エネルギー弾を複数撃つ等。強力無比な魔術が使える。

神性:A++
時間と空間そのものであるヨグ=ソトースを父に、人類最強の魔術師であるネロを母に持つキャスターは、並みの神格では到底及ばない最高位の神性を有する

召喚:C (A) 隕石や異界の神格や時間と空間の外に存在する異形を使役する。
制限により肉眼で見える範囲内に拳大の石を落とすのがやっと

素性秘匿:A 真名を名乗っても素性がばれない。ただし彼を知るものには当然意味を為さない

奇人変人取扱技能::A++ 生前賽の目次第で外なる神すら凹ませる変態を従え、統御していたことから付いたスキル。電波や変態と意思疎通ができる。
同ランクまでの精神汚染スキルを無効化する


117 : Wrestl Servant ◆T3rvSA.jcs :2016/03/21(月) 21:58:35 q2jufIO60
【宝具】
ド・マリニーの時計
ランク:EX 種別:対界宝具 最大補足:函館市全域 レンジ:函館市全域
懐中時計の形をした宝具。時間操作が可能となる。加速・減速・過程省略・巻き戻しetc…能力は多岐に渡るが、制限の為に敵サーヴァントやマスターには使用不能。
舞台となる函館市に対しても害となる使用は不可能。
自身やマスターに対する回復には使えるが、制限により魔力消費が膨大な為に損害の度合いによっては発動と同時にキャスターが消滅する。
メインとなるであろう使い方は戦闘の後始末

ナコト写本(エセルドレーダ)
ランク:A++ 種別:対人宝具 最大補足:1人 レンジ:0
キャスターの半身である魔導書。最高位の魔導書であるナコト写本は人の姿と精神を持ち、自律して動ける。
Aランク相当の魔術を行使できるが、現界や戦闘に消費される魔力はキャスターが負担する。
後述の宝具を部分的に召喚することや、Aランクの魔獣に相当する黒い犬に姿を帰ることが可能


紅き最兇の鬼械神(リベル・レギス)
ランク:EX 種別:対界宝具 最大補足:宇宙そのもの レンジ:ー
ナコト写本が召喚する最兇の鬼械神。
平行世界から無限に魔力を組み上げる夢幻の心臓を持つ為に一度召喚すれば無尽蔵の魔力が保証される。
超高重力の塊を複数放つン・カイの闇。高威力の雷を放つABRAHADABRA。
負の無限熱量で対象を瘴滅させる絶対零度の右手刀ハイパーポリア・ゼロドライブ
更には主神クラスですら宇宙ごと封じるシャイニング・トラペゾヘドロン。
等といった強力無比な呪法兵装が使用できるが、制限の為為に召喚不能。何らかの手段で増やした上で令呪を六角使用すれば召喚可能。呪法兵装はシャイニング・トラペゾヘドロン以外は使用可能
但し部分的に召喚することは可能。この場合もABRAHADABRA以外の呪法兵装は使用不可。動力部分を召喚することも不可

【weapon】
黄金の十字架剣:
魔力で生成した劔。Bランク相当の宝具に匹敵する強度


118 : Wrestl Servant ◆T3rvSA.jcs :2016/03/21(月) 21:59:07 q2jufIO60
【人物背景】
旧神に封じられた神々の庭を解放する為、外なる神ナイアルラトホテップにより作り出された最強の魔術師。人の負の極峰。
人の正の極峰たる大十字九郎と無限螺旋の中で永劫に渡って戦い。九郎にシャイニング・トラペゾヘドロンを持つに至らせる。
そして正負のシャイニング・トラペゾヘドロンの撃ち合いによりナイアルラトホテップの計画を完遂させたかに見えたが、真のシャイニング・トラペゾヘドロンを完成させた九郎に敗れ、邪神からも解放され、何処とも知れぬ宇宙へエセルドレーダと共に墜ちて行った

巨大ロボットのデモンベインを軽いアッパーで上空高く打ち上げる規格外の魔術師である


※原作終了後な為に邪悪さや倦怠感は消え去り、人生を謳歌している様子


【方針】
現世を楽しむ。出来るだけ参加者を殺さず事の推移を愉しむ。この度の催しがつまらなければ聖杯を破壊し、主催者を殺す。面白そうな相手は積極的に戦っていく。そうでないならスルー。
但しマスターの方針に応じてキャスターのクラスや魔術師は殺害する
縛りプレイを強いられている為真面目にやる気は全くない。
時計のおかげで周辺被害を余り気にせずに済むのが強み。
聖杯に対する願いはないがマスターが望むので取りに行く。
基本的には昼は部屋でゲームして過ごす。夜はお散歩。エセルドレーダはマスターの警護担当。

【運用方針】
魔術(拳打)が強力なので、対魔力の高い相手には積極的にクラスと真名を名乗る。
近づいてくれば撲殺あるのみである。戦闘中のマスターからの魔力供給が期待できないので無理は禁物。
制限の多さとと燃費の悪さからバーサーカーに近い運用となる。


119 : Wrestl Servant ◆T3rvSA.jcs :2016/03/21(月) 21:59:37 q2jufIO60
【マスター】
栗浜亜魅@レッスルエンジェルス Survivor2

【能力・技能】
資質的には中堅どまりのJr級女子プロレスラー。
関節技と飛び技を得意とする。素早い動きを得意とし、かなり器用だが、フィジカルはそこまで強くないため正面切っての殴り合いは不利。
喧嘩慣れした空手初段の成人男性なら勝てる程度と思っていて下さい。


【ロール】
フリーの中堅レスラー。北海道に本拠地を置く中堅プロレス団体ににおもに参戦している。北海道の安アパートに部屋を借りている。

【令呪の形】
666

【人物背景】
黒魔術師の二つ名を持つ、アレイスターの使い魔の生まれ変わり。魔力を持ち、霊を呼べる。所属勢力は闇。使うのは闇の力。
(以上脳内設定)

アレイスターの使い魔の生まれ変わりを自称する不思議っ娘。社長(プレイヤー)をアレイスターの生まれ変わりと信じ、ご主人様と呼ぶ。ファンはご主人様と自分のシモベ。ファンクラブができると千年帝国の樹立が近づいたと喜ぶ。
魔力なんて当然無い。

このゲームのキャラ設定はギミック(プロレスラーとしてのキャラ設定)じゃなくガチなのがほぼ全てで、この娘もその一人。
実力的には低いがキャラのアレっぷりではトップクラスである
身長155cm スリーサイズ B78W55H80 岐阜県出身 7月26日産まれ CV:後藤沙緒里
好物はソフトクリーム
年齢は15~30まであるけど18歳で

ゲームシステム上中堅団体クラスでも一万人入る会場を三日間札止めに出来る動員能力を持ち、写真集・CM・映画出演、などの依頼も舞い込んでくる為、知名度は高め。
活動資金は豊富では無いが不自由もしない程度。何処かと契約すれば潤沢に入って来る。

【方針】
使い魔として御主人様に尽くす。聖杯に願うのは御主人様の受肉。
御主人様の手を煩わせたく無いので出来るだけ戦いは避けたい。
しかし魔術師やキャスターは紛い物として排除する。

【備考】
このゲームは日本横断ツアーを敢行し、全国の大会場を札止めにし、総動員数三十万以上なんてのを毎月出来るんで現実のプロレス団体準拠で考えないで下さい。
イベントから判断するに実力が最低ランクに属する選手でも成人男性複数相手にして殴り倒せます。


120 : Wrestl Servant ◆T3rvSA.jcs :2016/03/21(月) 22:00:04 q2jufIO60
投下を終了します


121 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/22(火) 09:48:20 P8X8uAKw0
投下します。


122 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/22(火) 09:49:46 P8X8uAKw0
1人の男性が、この夜の自然公園に招かれた。
自らの使い魔であるサーヴァントを実体化させて。
それを呼び寄せたのは、ある一つの手紙であった。
当然のごとく、送った者の名は書かれては
いなかったが。
しばらくすると、
「早速待ち合わせ通りに来てくれるとはね、私も嬉しい。」
薄暗い夜の中、赤い軍服を着た金髪の美青年の姿が
電灯に照らされて見えた。
そして、青年の目の前に、赤と黒が入り混じった色の
コートを着た男性が、光の粒子から姿を変えて現れた。
恐らく、彼がその青年のサーヴァントなのであろう。
「そこのサーヴァントも、武器を取るといい、
お互い正々堂々と戦おうではないか。」
そして、青年のサーヴァントらしき男も、
「来い、貴様が強者か弱者か、俺がこの目で確かめてやる。」
と言い、カッターナイフの様なパーツが着いた黒いプレートを
懐から取り出し、腰に当てた。
プレートの両端からは黄色い太線状の光が腰の周りに発生し、
ベルトとなった。そして、ポケットからはバナナの模様が
刻まれた南京錠を取り出し、喋った。
「変身。」
『Banana!』
男が声を発したことに連動し、鍵をかけてもいない錠前が
光と音を同時に出した。
「気をつけろ、セイバー、恐らく奴は宝具を出すつもりだ。」
「ああ、分かっている。」
向こうにいる男とセイバーが会話をしている中、赤い男は
錠前をクルクルと回してベルトの穴に嵌める。
鍵を閉めるかのように掛け金を閉じる。
『ロック・オン!』
再び音声が鳴り響くと、上空に丸いジッパーが出現し、
ひとりでに開いた。
内部の空間から出現したのは、巨大なバナナ。
すかさずベルトのカッターナイフを落とすと、
『Come On!』
バナナは男の頭部に被さり、
『Banana Arms!』
首から下は中世ヨーロッパ式の具足に変わり、
『Knight of Spear!』
ふざけた名乗り音とともにバナナは鎧に変わった。
頭部も既に西洋式の赤い兜に変わっていた。
そして鎧騎士は、剥きかけのバナナを模した
スピアーを構え、
「ウォォォォ!!」
目の前の剣士に、向かっていった。
さながら、抗うかのように。
槍の騎士は、立ち塞がる壁に刃を向けた。


123 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/22(火) 09:50:12 P8X8uAKw0



◆   ◆    ◆




函館にあるサンクキングダム大使館で、ミリアルド・ピースクラフトは外交官を務めていた。
だが、自室で、ミリアルドは全てを思い出した。
思い出したきっかけは、「サンクキングダムは既に滅んでいるのではないか」
「自分は仮面を被っていたはずだ」
という事を断片的に思い出した事であった。
それと同時に、窓から見える五稜郭タワーには謎の塔が出現し、右手の甲には
謎の紋章が、光となって描かれ、
「貴様が俺のマスターか。」
背後からは、聞いたこともない声が響いた。
振り返ると、そこに立っていたのは1人の男だった。
ゼクスの脳内には、既に聖杯戦争に関する知識がインプットされていた。
(なるほど、彼が私のサーヴァントか。)
「君、名前は?」
ゼクスが問いただすと、男は一瞬の間を置いて答えた。


「アヴェンジャーのクラスで現界した、駆紋戒斗だ。」


◆  ◆  ◆  ◆



サーヴァントとマスターが光に還ったのを確認すると、
アヴェンジャーは開いていた錠前を閉じた。
彼を纏っていた鎧もまた光に還り、アヴェンジャーは
本来の姿へと戻っていった。
アヴェンジャーは、さっき自分が倒したセイバーがいた
空間を見つめていた。
「どうだったかね、聖杯に招かれて初めての戦いは。」
背後にいるミリアルドがそれを聞くと、
「なるほど悪くはない、少なくとも奴は弱くはなかった。」
アヴェンジャーは背を向けたまま答える。
やはり騎士の如き誇り高き戦いを好むのか。
先程わざわざ手紙をよこして敵を呼び寄せ、
白兵戦で迎え撃ったのは、高貴なる家柄に生まれたゼクスが
騎士道を好む性質であったこともあるが、アヴェンジャーが
そのような戦いを好む気質であった事が大きい。
そんなことを考えながら、ミリアルドは再び口を開く。
「そう言えば、聞いていなかったな。」
「何をだ。」
アヴェンジャーが聞き返すと、ミリアルドは問いかける。
「君は、この戦いに何を望む?何を願う?」
すると、アヴェンジャーが目をこちらに向けた。
「俺に願いなどない、他人に願いを委ねるなど下らん!!」
そうアヴェンジャーは吐き捨てた。
「ならば、君は何故ここに来た?」
ミリアルドが聞き返すと、アヴェンジャーは答える。
「俺がここに来た理由は、他に招かれた英雄とやらが、
如何に強いのかを確かめるため・・・・それだけだ。」
ミリアルドはそう聞くと・・・
「そうか・・・分かった。」
と返した。
だが、ミリアルドには願いがあった。
それは、自らの故郷を焼いた地球の滅亡である。
わざわざOZであの若大将に従う手間が省けたと
言ってもいい。己の復讐を遂げるのには絶好の
機会だ。そのためにも、彼はアヴェンジャー
と手を結び、戦いに臨まなければならない。


アヴェンジャー・・・駆紋戒斗は、召喚される際、
彼の過去を見た。
確かに、それで自分が引き寄せられた理由は分かった。
だが、彼はこの男とは相容れないだろうと思っていた。
元の世界で彼は、復讐のために敵の背中を狙おうと
している。彼は決して強者とは言えないだろう。
誰であろうとマスターの命令など聞く気は更々ない。
しかし、彼の行く末には興味がある。
如何にして世界を滅ぼすか、
彼は強者と成り得るのか。


124 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/22(火) 09:51:33 P8X8uAKw0


二人の考えは、確かに真逆かもしれない。



ゼクス・マーキスは強者を憎んだ。
人類が宇宙に進出して数多くのコロニーが生まれた。
だが、人類をコロニーに送り出した地球の権威
は揺るがなかった。地球という強者は、
コロニーという弱者を生み出しては全てを搾取していき、
自らの故郷であるサンクキングダムは焼かれた。
だから彼は強者を憎んだ。
そして、争いの根源たる強者たる地球を消し去ろうと考えた。



駆紋戒斗は弱者を憎んだ。
父の工場を潰され、父は勝手にくたばっていった。
その時気づいた、「父は弱かったから死んだ」と。
父を殺した巨大企業も、結局は世界の理に従属する
弱者であった。
そんな嘘や欺瞞に塗れた弱者が蔓延る世界を彼は憎んだ。
そして、世界を壊せるだけの力を求めた。



だが、二人の思想は、まるでコインの裏表のようであった。
世界に、強者に搾取され続けた二人の男爵は、紅の鎧を纏い、
今ここに、世界を滅ぼさんと今ここに手袋を投げ付けた。


125 : ミリアルド・ピースクラフト&アヴェンジャー ◆lkOcs49yLc :2016/03/22(火) 09:53:41 P8X8uAKw0
【クラス名】アヴェンジャー
【出典】仮面ライダー鎧武
【性別】男
【真名】駆紋戒斗
【属性】混沌・中庸
【パラメータ】筋力C 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運D 宝具A(バナナアームズ装着時)


【固有スキル】


勇猛:C
威圧、混乱、幻惑などの精神攻撃を跳ね除ける。


軍略:D
多人数を動員した戦闘による戦術的直感能力。


カリスマ:C-
人々を惹きつける天性の才能。
平和な世においては孤立しがちであるが、
支配者といえる支配者がいなくなったその時、
彼の真価は発揮される。謂わば乱世の奸雄。


禁樹の支配者:A
ヘルヘイムの支配を乗り越えたオーバーロード。
異界への空間を開き、ヘルヘイムの植物や
「インベス」と呼ばれる怪物を召喚できる。
ただし、第二魔法にも相当するこの力は、
相当に魔力を消費する。



反骨の魂:A
「反骨の相」「戦闘続行」の複合スキル。
如何なるものにも従わず、如何なる状況に置かれようが
戦うことを諦めない。



【宝具】

「足掻き続ける真紅の男爵(アーマードライダー・バロン)」

ランク:C〜B 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:1

異界の植物「ヘルヘイム」の力を行使するシステム。
「戦極ドライバー」「ゲネシスドライバー」「ロックシード」で構成される。
ドライバーを腰に装着し、ロックシードを装填することで、
「アーマードライダー・バロン」の鎧を纏い、パラメータの増強が可能となる。



「弱者を消し去る真紅の魔王(ロード・バロン)」

ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:ー 最大捕捉:1

アヴェンジャーが身体に染み付いたヘルヘイムの力を、
果実を食することで己の物に変え、魔王として
世界への侵攻を開始した逸話の再現。
自らの姿をオーバーロードに変える。
「グロンバリャム」と呼ばれる剣を手に取って戦う他、
姿を赤黒い霧に変えることも出来る。
消費する魔力は高くなるが、戦闘力はもはや一級と言っていい。


【Weapon】

「バナナロックシード」
「マンゴーロックシード」
「リンゴロックシード」
「レモンエナジーロックシード」

アヴェンジャーがこれまでに手にした
ロックシード。
「足掻き続ける真紅の男爵」に組み込まれている。
使用するロックシードによってパラメータは変動する。


「ローズアタッカー」
「ダンデライナー」

アヴェンジャーが手にした移動用ロックシード「ロックビークル」
ローズアタッカーは陸上用のオートバイ、ダンデライナーは
空中飛行ユニットに変形する。
また、本来ローズアタッカーにはヘルヘイムの森に転送する機能が搭載されていたが、
この聖杯戦争に呼ばれた際にはオミットされている。


126 : ミリアルド・ピースクラフト&アヴェンジャー ◆lkOcs49yLc :2016/03/22(火) 09:55:10 P8X8uAKw0
【人物背景】

ただひたすら力のために足掻き続けた英雄であり、反英雄。

父の工場をユグドラシルコーポレーションに強制的に買収され、
挙句両親は自殺に追い込まれた。
両親は弱かった故に死んだ事を知った彼は、
力だけを追い求めていった。
街のダンサーチームを腕っ節で奪い取り「チームバロン」と
名付け、遂にはトップのチームへと上り詰める。
その後試作型の戦極ドライバーを手に取り、
アーマードライダー・バロンへと変身する。
その力を振るい、他のアーマードライダーと
力を競い合い、ユグドラシルが強者か弱者かを
確かめるために戦い、世界を滅ぼそうとする
フェムシンムにも刃を向けていった。
その果てに、彼はオーバーロードとしての
力を手に入れ、「嘘も欺瞞も存在しない世界」
を創りあげるために、世界への侵攻を
開始していくが、それを止めに来た
かつての戦友である葛葉紘汰との死闘の末に
倒れてしまった。
クールかつ傲岸不遜な性格で、極度の弱肉強食主義。
だが、彼は姑息な戦い方が何よりも嫌いで、そのような
人物は弱者と認識している。彼にとっての強者とは、
自分の信じる物のためだけに前に進み続ける物のことである。




【聖杯にかける願い】

他人の力になど願いは委ねない。

【方針】

他のサーヴァントに自分の力を示す。
マスターの言う事は聞かない。


127 : ミリアルド・ピースクラフト&アヴェンジャー ◆lkOcs49yLc :2016/03/22(火) 10:06:51 P8X8uAKw0
【マスター名】ゼクス・マーキス/ミリアルド・ピースクラフト
【出典】新機動戦記ガンダムW
【性別】男


【Weapon】

「ビーム銃」
未来で作られた護身用の銃。
殺傷能力はそれなりに高い。


【能力・技能】

・モビルスーツ操縦技術
人型機動兵器「モビルスーツ」を操る技術。
トールギス、ガンダムエピオンなどの暴れ馬を乗りこなし、
多くのコロニーの軍隊を壊滅させたガンダムと
互角に渡り合える程にはある。


・カリスマ
Cランク程度のカリスマ性の持ち主。
部下からは慕われている。


・軍略
指揮官としての優れた戦術眼。



【人物背景】

完全平和主義を唱えるスペースコロニー「サンクキングダム」の王子。
だが、それを良しとしない地球統一連合軍によって滅ぼされる。
これによって彼は地球への復讐を誓い、仮面を被り素性を隠し、
「ゼクス・マーキス」と名乗り連合に入り込む。
その後は連合に従属する「OZ」に配属され頭角を表し、
「ライトニング・バロン」という異名で呼ばれるほどに出世していく。
部下に対しては気さくな態度で接するが、根は冷酷な人物。

今回はテレビ本編8話目より前からの参戦。
与えられた役割(ロール)はサンクキングダムの大使館に勤める外交官。


【聖杯にかける願い】

地球の破滅。


【方針】
自分の立場を利用して敵を倒す。
ただし、アヴェンジャーの性格上背中は撃てない。
アヴェンジャーもゼクスも戦術に秀でているので
そこを利用していくつもりである。


128 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/22(火) 10:07:17 P8X8uAKw0
以上で投下を終了します。


129 : ◆srQ6oTQXS2 :2016/03/22(火) 13:47:14 R58Y/TuI0
投下します


130 : 緋衣南天&キャスター ◆srQ6oTQXS2 :2016/03/22(火) 13:48:10 R58Y/TuI0


 この世に生を受け、産声をあげたその時から、少女の世界は苦悶に満ちていた。

 庭に茂る雑草よりもなお根深く、宿り木のように若き肉体へと絡み付いて無くならない無数の病巣。
 本来見目麗しいはずの外見は崩壊し、体を動かすことはおろか、呼吸するだけで地獄の激痛が襲い来る。
 常人であれば百度は狂死しているだろう苦痛に、しかし少女は耐え続ける。
 血筋か、それとも境遇が齎したものか――度を越した自尊心を武器に、彼女は地獄を踏破せんとしていた。

「聖杯の叡智ぃ? 馬ッ鹿じゃないの。そんなもの、涎垂らした路傍の犬にでも食わせときなさいよ」

 少女は強い。人間として、間違いなく破格の強さをその内に宿している。
 それは、女ならではの強さであった。
 彼女は力に、奇跡に、過ぎたる幻想を抱かない。
 あくまでも使い勝手のいい道具として、自分に足りないただ一つを埋められればいいのだと心から信じている。
 
 たとえ根源への到達という大望を叶える力が自らの手中に収まったとしても、彼女は興味がないと吐き捨てることだろう。彼女に言わせればそんなものは、つくづく馬鹿馬鹿しい幻影でしかないのだから。

 愛は分かる。情も分かる。されどだからどうしたと、笑って踏み潰すのがこの少女だ。
 全身を隈なく病に冒され、狂的なほどの自尊心で寿命を繋ぎ止めている所は先代の外道達と変わらない。
 しかし彼女は女だ。男である先代と違い、一切の物理的な強さを彼女は求めていない。
 道具がどれだけ優れていようが、自身が至高なことに変わりはないのだから、それ以上を望む意味がないという結論で自己完結している。

「結局のところ、大袈裟な力なんて要らないのよ。そんなものがなくたって、何も困りゃしないんだから」

 夢を踏み躙られ、それでも無様に足掻く足下の敵の背を踏み付ける。
 怯えるその頭に銃口を向けると、逆さ十字の少女は凄絶な笑みを以って引き金を引いた。
 軽い音、飛び散る脳漿。魔術師の体ががくりと脱力して朽ちる。それを見送り、少女は唄うように呟くのだ。

「私に足りないものはただ一つ――そう、寿命(それ)だけなのよ」

 
   ◆  ◆


「お帰りなさいませ、我が主よ」

 寂れて誰も寄り付かない、埃と煤に塗れた廃マンションの中で、その男の出で立ちは一際浮いていた。
 清潔感に溢れた白基調の衣服に優雅さをすら感じさせる黒のきめ細やかな長髪。
 顔立ちは実際に言葉を交わさずとも温厚な人柄の持ち主と分かる、ごく整ったものだ。
 外での戦いから帰投したマスターへ慇懃に一礼する姿は、誰が見ても忠臣の動作と認識することだろう。


131 : 緋衣南天&キャスター ◆srQ6oTQXS2 :2016/03/22(火) 13:48:38 R58Y/TuI0

「完成度はどのくらい?」

 それに会釈するどころか鬱陶しげな態度を示して、少女は藪から棒に問いを投げた。
 何と感じの悪い人間だと通常ならば驚きさえする場面だが、男――キャスターのサーヴァントは静かに微笑む。
 此処は誰からも忘れ去られた一軒の廃マンションだ。
 いつか取り壊しが決まるその日まで再び陽の目を浴びることはなく、静かに朽ちていくのみであった建物。
 しかし現在、この場所はキャスターの秘術によって一個の巨大な『神殿』に高められていた。

「七割といったところでしょうか」
「遅いわ。もう聖杯戦争は始まってるんだから、もっとペースを上げなさいよ」
「申し訳ありません。では出来る限り急いで、続きに取り掛からせていただきます」

 傍若無人の一言に尽きる少女の物言いに対して文句も言わず、微笑すら浮かべて受け止めるキャスター。
 彼は優秀な男だ。緋衣南天という少女に使える道具との評を下させるだけの、優れた手際を持っている。
 このように時間さえ与えられれば、彼は霊地でも何でもない廃れた廃墟を立派な神殿に改造できるのだ。
 それだけではない。錬金術の一環として作り出す賢者の石。
 場面に応じて偵察にも攻撃にも転換できる人工霊体、エレメンタル。
 果てには複数体の同時思考さえ可能とする人造人間すら、彼はクラススキルの応用で精製してのける。

 この函館の地に一体何体のキャスターが召喚されているのかは知らないが、その中でもヴァン・ホーエンハイム・パラケルススという男は間違いなく上位に食い込む、有能な男だ。
 そして南天もまた、口先だけで行動の伴わない愚図とは一線を画している。
 そのことは彼女がこれまでに、既にサーヴァントさえ殺傷しているという事実からも容易に窺い知れるだろう。

 部屋の奥へと消えていくマスターを見送り、パラケルススは悩ましげな溜息を零す。
 それはどこか哀れみにも似た感情を秘めた、良くも悪くも彼らしいものだった。
 ヴァン・ホーエンハイム・パラケルススは善の英霊だ。
 人を教え導くことに喜びを感じ、魔術師にあるまじき清廉ささえも内包する。
 その彼の目に、緋衣南天という少女はひどく哀れで、悲しい存在に写っていた。尤もそんな胸の内を彼女に看破された日には、下手をすれば険悪では済まないだろうと察しているからこそ、口に出す無粋はしなかったが。
 
「病み、悶え、苦しみの中で外道へと至った娘――嗚呼。マスターよ、貴女は何と悲しいのでしょう」

 緋衣南天の体に巣食う病巣を全て癒やすことは、医術に長けた彼をしても不可能と言わざるを得なかった。
 パラケルススがこれまで診てきた患者の中には、当然奇病、難病を患った重篤患者も居た。
 彼らは皆ひどく苦しんでいたし、しばしば自分の境遇を地獄と形容してみせたが、現在自分を従えている彼女に比べれば皆風邪にも満たない軽症だ。
 彼女の体は一言、異常――それすら通り越した異様なものだった。
 直接問診をした訳ではない。
 彼女は常に迷彩のような術を使い、自分の外見を隠蔽しているため、本来の姿を見た訳でもない。
 だが、傍目からでも分かった。何をどうすれば人体がああなるのかと、疑問符すら浮かべたくなる有様が。

「されど、我らの目的は競合している。私は大いなる悲願を、貴女は切なる望みを。
 叶えるために、我々は聖杯を手にしなければなりません」

 痛ましそうに、パラケルススは目を伏せる。
 人を慈しむ彼にとって、それはひどく心の痛む選択であった。
 だが、忘れるなかれ。彼は善人であるが、決して正義ではない。
 
「―――たとえ、いかなる手段を使おうとも」

 ヴァン・ホーエンハイム・パラケルススは魔術師なのだ。
 結局のところ、一般的価値観から乖離した彼らの倫理観と何も変わらないものを、この男は持っている。
 もしも無辜の市民を殺さねばならない状況に陥ったなら、彼はきっと、今のような顔をしながら殺すだろう。
 痛ましそうな顔で謝罪を述べながら、必ず殺すだろう。

 この男は、そういう魔術師なのだ。


132 : 緋衣南天&キャスター ◆srQ6oTQXS2 :2016/03/22(火) 13:49:40 R58Y/TuI0
   ◆  ◆


 夢が弱体化している。
 南天は先程の戦いを思い返して、苛立ち混じりの唾を吐いた。
 
 邯鄲法という術理が存在する。
 魔術とも錬金術とも異なる、極東の地にて密やかに確立された異能体系だ。
 緋衣南天はその使い手である。
 それも、一部の突出した例外を除けば最強と言っていい程の夢を彼女は使うことが出来た。
 
 羨ましいという感情を微塵も持たないが故に、初代とも二代目とも全く別の形を取った悪夢。急段・顕象。
 名を、『雲笈七籤・墜落の逆さ磔』。
 希望を抱いた者を現実に墜落させ、更に希望に対する不安をもトリガーとして起動する落魂の陣。
 一度嵌まれば逃れることはほぼ困難な陣の中へと落とし込まれ、抱いた希望の大きさに比例した墜落の衝撃を物理的に与えられ、抜け出すことも出来ずに敵は肉塊となる。
 これを扱える以上、サーヴァントであろうと緋衣南天の敵ではない。
 戦闘の土俵で南天は文字通り無敵の強さを誇っていた。しかしその力が、この異界では発動すら覚束ないと来た。
 
「余計な真似を……」

 大方、この聖杯戦争を仕組んだ輩が施した枷のようなものだろうと南天は考える。
 マスターとして舞台に上がるのだから、それ相応の立場に矮化せよ――そういうことなのだろう。
 だが、それならそれでやりようはある。
 幸いにも、自分のコンディションが大なり小なり変動するという状況にはある程度慣れているのだ。
 サーヴァント相手であれ蜂の巣に出来る創形の銃に細やかな夢、キャスターの神殿が万全に整っていれば、それを差し引いても十分勝利を狙うことは可能だろう。

 後はどのように立ち回るかだが――暗躍は元より、この少女が最も得意とする所業だ。

「―――どいつもこいつも、ちゃあんと私の役に立って頂戴ね。あなた達は皆、そのために存在してるんだから」

 百年を超えて受け継いだ外道の血筋。
 腐った汚泥のような血液を体中に循環させながら、朔の担い手は密やかに嗤う。
 その笑顔はひどく可憐で、愛らしく、だからこそ、羽虫を誘い殺す靫葛のような深みを帯びていた。



【マスター】緋衣南天@相州戦神館學園 万仙陣
【マスターとしての願い】
 聖杯を獲得し、自分の身に巣食う業病を癒やす。

【weapon】
 創法の形によって創形した拳銃。
 装弾数が無限であり、連射能力は機関銃を遥か凌駕した域にある。弾丸の一発一発には強力な解法が乗せられ、貫通力と概念的な破壊力を持ち、敵が練る異能を片っ端から崩壊させる。それが優れた咒法の誘導を受けることで自在に空を飛翔しながら対象へと着弾する。

【能力・技能】

 邯鄲の夢の使用が可能。延命のために他にも数多の魔道に精通している。
 そして、緋衣征志郎から継いだ血と死病と朔に関わる舞台設定として、生まれた時から第四盧生の眷属である。その力は歴史から抹消された第四盧生の痕跡が浮かび上がるほど強力になる。
 本聖杯戦争では最弱とまではいかずとも弱体化しており、一対一の戦闘では無敵とまで称された急段『雲笈七籤・墜落の逆さ磔』は使用することが不可能。
 
 弱点として常人ならばあまりの苦痛に狂死するほどの死病を先天的に患っており、普段は病によって崩壊した外見を迷彩のように夢を使うことで偽装している。これは先祖である緋衣征志郎から受け継いだもので、死病をなくし健康体になるための生きる活力、精神力も彼と同じ域にある。


133 : 緋衣南天&キャスター ◆srQ6oTQXS2 :2016/03/22(火) 13:50:42 R58Y/TuI0

【人物背景】

 今代の逆さ十字にして、ただ生きたいと切に願い外道を働く少女。

 死病を癒すために暗躍し、世良信明へ恋人として取り入ることで自分の悲願を達成しようとした。
 その方法とは自身の盧生であり、かつて第二盧生・柊四四八に敗北して歴史から抹消された四人目の盧生候補者の復活である。
 柊四四八が盧生になるための試練を完全にクリアしていなかったその『穴』を突き、故に消滅を免れていた第四盧生を復活させ、四四八に勝利するという八層試練を再開させることを彼女は望んでいた。

 南天の体を冒している死病は第二盧生の資格を奪うために押し付けられたものであるため、死病を癒すには彼女の盧生を復活させる以外に方法はない。
 その方法として南天は初代逆十字、柊聖十郎の廃神化を目論見、現代に顕現していた夢なき彼を殺害。百年前にべんぼうの核であった世良信明を道具として入手する。
 そして第四盧生との接続を確かにするために鎌倉中の住民を邯鄲に接続、歴史を追体験させることで力を増し、現実で邯鄲の夢を使用するという領域にまで到達した。

 逆十字とは人を人と思わず、自分を至高と信じ疑わない自尊心の塊たる外道のことを指す。
 だが彼女は初代逆十字の柊聖十郎、二代目逆十字の緋衣征志郎とも違い、他人のことを羨ましいなどとは毛ほども思っていない。女である南天は先代と違い、物理的な強さを欲していない。どれだけ自分の道具が優れていようと、自身が至高なことに何の変わりもないだろうと彼らを嘲ってすらいる。
 彼女が聖杯戦争に足を運び、首尾よく聖杯を入手したならば、彼女はそれ以上のことを望むことはないだろう。彼女にとって先代が目指し、失敗してきた盧生の力など無用の長物であり、彼女にとって足りないものはただ一つ、自分の寿命だけなのだから。


【方針】

 聖杯を手に入れるために暗躍する。
 キャスターの神殿を拠点とし、手段は選ばず敵を殺す。



【クラス】キャスター
【真名】ヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス@Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ
【人物背景】

 パラケルススの名で広く知られる錬金術師。三原質と四元素の再発見を始めとして、数多の功績と書物を残した。
 生前は「遍く人々を、愛し子を救うために成すべきことを成す」として、魔術師でありながらその研究成果を世間に広め、医療の発展に貢献した。
 彼は人類史と魔術史の双方に名を残した希少な人間だが、それを疎んだ他の魔術師の手で謀殺されてしまう。
 
 生粋の魔術師であるが人を教え導くことに喜びを感じる人物で、どんな相手にも真摯に接する人格者。
 効果や効率を重んじすぎる魔術師の中では稀有な、魔術に風情や情感を覚える人柄の持ち主でもある。立ち振舞は理知的で気性は穏和、戦闘を好まず、人の情愛は何より尊いものであると説く。
 しかし彼は清廉ではあるが、結局は「正しい魔術師」の一人であり、根源への到達という願望を果たすためならば誰でも裏切り、どんな手段でも取る人物でもある。


134 : 緋衣南天&キャスター ◆srQ6oTQXS2 :2016/03/22(火) 13:50:56 R58Y/TuI0


【ステータス】
 筋力D 耐久E 敏捷C 魔力A 幸運B 宝具A+

【属性】
 混沌・善

【クラススキル】

陣地作成:A
 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。“工房”を上回る“神殿”を形成することが可能。

道具作成:EX
 強力な魔力集積結晶である“賢者の石”をはじめ、エレメンタルと呼ばれる五属性に対応した人工霊、複数体同期思考能力を有する人造人間、等々――EXのスキルを有する彼は多彩な道具を作成する。

【保有スキル】

高速詠唱:A
 呪文・魔術回路との接続をせずとも魔術を発動させられる。大魔術であろうとも一工程で起動させられる。

エレメンタル:A+
 キャスターの分身でもある宝石。平時は警戒のために動かし、戦闘時はこれらを使役して魔力供給と術の強化、支援などに利用することが可能。

賢者の石:A
 規格外の道具作成スキルから創り出される賢者の石。エリクシール。
 死んだ人間に使用することで動く死体(リビングデッド)にすることが可能。


【宝具】

『元素使いの魔剣(ソード・オブ・パラケルスス)』
ランク:A++ 種別:対軍宝具

 超々高密度の賢者の石で構成された魔術礼装。パラケルススの魔剣であり、アゾット剣の原典。
 宝具本来の効果は魔術の増幅・補助・強化だが、刀身の魔力によって瞬時に儀式魔術を行使し、五つの元素を触媒に用いることで一時的に神代の真エーテルを擬似構成、放出する。
 威力には自負があるものの、サーヴァント二騎以上をまとめて相手取った際に使用すべきと考えている。


【weapon】
 エレメンタルを始めとした宝石の数々。


【サーヴァントとしての願い】
 根源への到達。


135 : ◆srQ6oTQXS2 :2016/03/22(火) 13:51:21 R58Y/TuI0
投下終了です


136 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/22(火) 21:19:26 P8X8uAKw0
本日2回目の投下行きます。


137 : 高杉晋助&アーチャー ◆lkOcs49yLc :2016/03/22(火) 21:20:06 P8X8uAKw0
函館に、一つの武家屋敷が立っていた。
それは見ただけでも歴史の深さを感じさせるようだが、
これは機械による作業で建てられた、現代の建造物だ。
実際、中には消火スプレーや、監視カメラ、人感センサー
等のセキュリティ等、まるで漫画にでも出て来るような
設備が盛り沢山。
そんな屋敷の、月明かりが鮮明に見えるこのベランダで、
高杉晋助はキセルを口から離し、すぅっと煙を吐き、
「仕事は片付いたか。」
ベランダから見えるこの街景色に向かってそう言った。
すると、高杉の脳内に返事が返ってくる。
<<ああ、仕事にしては随分と楽だったが、今宵は中々に楽しめたぞ。
これも貴様の部下のおかげだ、奴らはよく使える>>


◆  ◆  ◆  ◆


高杉が与えられたロールは、「鬼兵隊」と呼ばれるテロリスト集団の長というものだった。
やはり自分は何処へ行っても世界を壊さなければ気が済まないらしい。
万能の願望機「聖杯」
その話をある天人から聞いた時は、高杉も流石に驚いた。
その時は少し胡散臭いという気もしたし、変な仮想世界でくたばっては
何もかも終わってしまう、願いなら自分で叶えてやる。
そう考えて放っといたその話だったが、彼は偶然にもこの世界に来てしまうことになった。
思い出すのにはそれなりの時間を有したが、それでも記憶が戻る前に予選が終了して、
こんな訳の分からない世界で永遠に踊らされ続けるよりは遥かにマシであった。
願いなら、とうに決まっている。

腐りきったこの世界をぶっ壊す。

この世界は恩師を、友を、居場所を奪っていった。
あの江戸では今も尚天導衆と幕府が好き放題にやっている。
だが、聖杯に手が届けば、面倒な手間をかけずとも
壊したいものを壊せる。
こんな世界に迷い込むのも、悪くはない。

そして喚び出したアーチャーと、鬼兵隊に所属するNPC達を率いて、数多くの
陣営を破壊していった。
アーチャーは戦闘力が高いだけでなく、戦術眼も本物であった。他者を屈服させ、
次々に破壊していった。しかし面白いサーヴァントだ。
また、天人から聞いた話では、サーヴァントはマスターに性質の似た、相性のいい
者が引き当てられるらしい。
こんな自分に似たサーヴァント等、どんなに酔狂な人物だろうと考えていたが、
やはりそうだった、アーチャーが生前に行ったことは自分が元の世界でやっていることに近かった。


◆   ◆   ◆   ◆


「アーチャー。」
高杉が虚空に向かって問う。
<<何だ>>
アーチャーの返事が念話で返ってくる。
アーチャーは図体が非常にデカい、魔力の問題もあるので戦わない時には基本霊体化している。
なので会話は基本は念話だ。
「てめえは、この馬鹿げた殺し合いに何を願う?」
高杉が聞いたのはそれだった。
しばらくして、アーチャーの返事が返ってくる。
<<ワシの願いは、この宇宙を破壊で征服することだ!
破壊こそ我が喜びよ!そして、この宇宙に平穏を齎す・・・
余自身の力でな!!>>


138 : 高杉晋助&アーチャー ◆lkOcs49yLc :2016/03/22(火) 21:20:36 P8X8uAKw0
アーチャーの真名、新破壊大帝ガルバトロン。
超ロボット生命体トランスフォーマーの、悪の軍団デストロンを
率いた戦士。彼の存在意義はその二つ名の通り「破壊」にあった。
だが、悪と見なされた彼にも彼なりの理想があった。
それは、「圧政による平和」であった。
正義だの平和だのを大声で唱えるサイバトロン共は生温いにも
程がある、だからこそデストロンとの争いは止まらない。
だが、自分が玉座に座れば。
自分がこのセイバートロンを統治すれば。
彼らはこのガルバトロンを恐れ、内輪揉めなどする気には無くなるだろう。



<<それで、貴様は何を望む?>>
アーチャーから返事が返ってくる。
それを聞くと高杉は、目の前で光る月を見つめながら答える。

「俺はただ壊すだけだ、この腐った世界を。」


破壊による理想の実現を遂げようと願う二人の外道もまた、聖杯に手を伸ばす。


139 : 高杉晋助&アーチャー ◆lkOcs49yLc :2016/03/22(火) 21:25:25 P8X8uAKw0
【クラス名】アーチャー
【出典】トランスフォーマー・ザ・ムービー
【性別】男
【真名】ガルバトロン
【属性】秩序・悪
【パラメータ】筋力B 耐久A 敏捷A 魔力D 幸運B 宝具B


【クラス別スキル】

単独行動:B
マスターとの魔力供給を断っても現界を保っていられる。
Bランクだと2日の現界が可能となる。


対魔力:D
魔力に対する耐性。
魔除けのアミュレット程度。


【固有スキル】

カリスマ:B
集団を率いる天性の才能。
国の運営には十分すぎるランク。


軍略:A
多人数を動員した戦闘による戦術的直感能力。


ディセプティコン:A
悪として位置づけられたトランスフォーマー達。
正規の英雄に対し、パラメータに補正が掛かる。


変形:C
トランスフォーマーの持つ変形能力。
移動砲台に変形可能。


魔力放出(スパーク):B
自らの魔力を「スパーク」の原動力に変換する。


【宝具】

「星を砕く破壊の鉄槌(ガルバトロン・レイジ)」

ランク:A 種別:対国宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:1000人

アーチャーの砲台形態の、最大出力による砲撃。
惑星を一瞬にして壊滅させることが出来る。
ただし、消費する魔力は非常に高くなる。

【Weapon】

「SFガン」
右腕に装着されている巨大なビーム砲。
威力は申し分なく、宇宙空間においては
推進装置としての役割も果たす。


【人物背景】

悪の軍団「デストロン」の破壊大帝、メガトロン。
その圧倒的なカリスマ性と戦闘力と狡猾な頭脳で荒くれ者集団のデストロンを纏め上げ、
セイバートロン星への侵攻を開始した。正義の戦士サイバトロンとの激闘の末にサイバトロン
の総司令官、コンボイを倒すも、自らも重傷を負う。その後、デストロンのニューリーダーの
座を狙っていた航空参謀スタースクリームにより、移動用のシャトルから宇宙空間に放り出されてしまう。
その後ユニクロンの力でガルバトロンとして復活。同じくスタースクリームに放り出されユニクロンに
再生されたデストロン戦士と共にスタースクリームを葬った後に、ユニクロンから強制的に命令される
形でマトリクスを狙い、遂に奪取に成功するもコンボイの意志を受け継いだホットロディマスに
奪い返され、ユニクロンが死ぬと共に宇宙空間に放り出されてしまう。
その後はマグマの温泉で休養していたが、ユニクロンの悪影響で精神に異常をきたしてしまった。
しかし、今回はユニクロンに再生されたばかりの姿で召喚されているため、破壊大帝メガトロンと
しての本来の人格を保っている。
傲岸不遜かつ冷徹な人物。歯向かう者には容赦はしないが、付き従う者、見込みのある者には寛容。
また、「破壊」が好きだと発言していたりと一見非道だが、一方で「圧政による平和な世界」を
望んでいたりと理想家としての一面を覗かせていたりする。


140 : 高杉晋助&アーチャー ◆lkOcs49yLc :2016/03/22(火) 21:33:48 P8X8uAKw0
マスター名】高杉晋助
【出典】銀魂
【性別】男


【Weapon】

「日本刀」
数多くの天人を斬ってきた愛刀。


「キセル」
何の変哲も無いキセル。


【能力・技能】

・剣術
吉田松陽から教わった剣の腕。
鉄も余裕で斬り裂ける。


・軍略
多人数を動員した戦闘による戦術的直感能力。


・カリスマ
C+程度のカリスマ性の持ち主。


・破壊工作
相手の戦力を削ぎ落とす。


・鬼兵隊
生前に引き連れた攘夷志士達。
しかし、今やっていることは正にテロリストそのもの。
この聖杯戦争の世界でも、鬼兵隊は健在である。



【人物背景】

裕福な家庭に生まれたが、同じ学び舎に通う桂小太郎、
そして坂田銀時を通して吉田松陽と出会った事で彼を慕い、
彼の開く松下村塾に通うようになる。
しかし、吉田松陽は幕府の陰謀により斬り殺され、その後
銀時や桂と共に攘夷志士となり、
「鬼兵隊」を率いて天人に刀を向ける。
しかし、結果的に敗北、仲間達は処刑される。
それからは「獣の呻きが止むまでこの世界を壊す」と
幕府や天導衆相手にクーデターを引き起こしていき、
その内に銀時や桂とも決別していった。
坂田銀時の友人なだけあってかなりのドS。
テロリスト化してから狂気度が増していき、
薄笑いを浮かべることが多くなっていった。
劇中では多くの事件に暗躍しており、
平賀源外、伊東鴨太郎、村田鉄矢、佐々木異三郎、
数多くの人物と手を結び、その度に裏切っていった。


【聖杯にかける願い】

高杉・・・・あの腐った世界をぶっ壊す。
ガルバトロン・・・元いたセイバートロン星に戻り、再び己の理想を実現するために破壊の渦へと突き進む。


【方針】

二人の高い軍略・カリスマ特性でうまく立ち回る。
他の陣営との同盟、鬼兵隊によるテロ行為等も
行うつもり。


141 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/22(火) 21:34:06 P8X8uAKw0
以上で投下を終了します。


142 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/24(木) 15:18:12 Eg4JPKJg0
投下します。感想はまた後日、まとめて書かせていただきます


143 : 萩原子荻&ライダー ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/24(木) 15:18:35 Eg4JPKJg0
 
 
 奇抜を通り越して奇天烈とさえ称されて然るべきであろう、緑の長兜を被った怜悧な瞳の男だった。
 近く見積もっても戦国末期は確実であろう時代を思わせる鎧装束が、現代化された白い部屋の中に座している。
 その様は見る者にシュルレアリスム絵画のような印象を与えるだろうが、しかし愉快な気持ちにはなるまい。
 まともな度胸を持つ者であれば軽口を叩く気にすらならない、天高く聳える巨峰を前にしたような威圧感を感じさせる男。断じて伊達や酔狂の果てに行き着いた扮装などではなく、真にこの彼はそれを纏うに相応しい武勇と才を有しているのだと、言葉無くして理解させる凄味を彼は放っていた。
 振る舞い、佇まいに隙らしいものはまるでない。
 武将としては華奢な体格の持ち主であるにも関わらず、その存在感は筋骨隆々の豪傑にまるで引けを取らない。
 二十一世紀の真っ只中、酒も飲めない年頃の少女達が通う学舎にそんな存在が座し、校舎とその敷地を己の領土と称していると聞いて、一体何人の人間がそれを信じられようか。

 聖杯戦争の原則として、民間人への情報秘匿は大前提だ。
 これを冒す者は監督役ないしは裁定者の英霊から手痛い懲罰を受けることになる。
 だが逆に言えば、民間人でなければどれだけその情報を知らしめようと、巻き込もうと大きな問題ではないのだ。
 現にこの学園内で青春の時間を過ごしている生徒達は皆、聖杯戦争について一定の知識を有している。
 元はNPCでしかなかった彼女らに知識を植え付けることで、学園の支配者たる武将のマスターは彼女達を聖杯争奪戦に於ける無数の駒として扱えるようになった。
 しかし驚くべきは、そんな突拍子もない話をすぐに信じ、聖杯獲得の為に行動しようと言う気になる生徒達の胆の座りぶりであろう。
 それもその筈だ。この学園は元より、安穏でありふれた青春を過ごす学舎とは完全に乖離した空間である。

「首尾は如何か、萩原よ」
「市内各所に生徒達を配備しています。適度な武装を施させてはいますが、見てくれは市内の中高校の制服を着用させているので、目立った行動をしない限りぼろが出る可能性は低いでしょうね。
 サーヴァントを発見次第、私の携帯端末に連絡を寄越す手筈になっています」
「良い」

 にこりと微笑んで慇懃に一礼する少女は、しかしこの冷血漢を前にして毛ほども怯えや恐怖を抱いていない。
 偉大な先人として最大限尊重はしているし、彼を脅かすつもりなど微塵もないが、彼が放つ常人ならば逃げ出してしまいそうなほどの威圧感に呑まれていないのだ。
 高校を卒業してもいない少女の胆力としては、眼を見張るものがある。
 そしてそのことは、人の才気に対し敏感な観察眼を持つ武将の男も言葉にこそしないが、認めていた。

「我が策は臨機応変、如何様にも転ぶ」

 戦国武将という存在が、騎兵のクラスで呼ばれたと聞けば意外に思う者は多いだろう。
 世間一般に彼らへ持たれるイメージは殆どが剣。中には銃を活用して天下布武を唱えた男も居るが、馬とはあくまで移動手段の一環でしかなく、宝具の域に押し上げられるようなそれを駆った武将などは極希少に違いない。
 この男はライダーのサーヴァントだが、駆ったのは馬ではない。
 文武両道を地で行くマスターの少女は彼の伝記を読んだことが有ったが、そんな逸話は聞いたことがなく、召喚してその宝具を知った時には面を喰らったものだった。
 
「だが我が宝具――究極の日輪を披露する機は選ばねばならぬ。その為にも先ずは兵を駆使し、時に切り捨て、貪欲に勝利を貪っていく必要がある」
「私の生徒達も戦闘へ動員すると」
「そういうことだ。戦への勝利には、捨て駒の存在が不可欠である」

 学徒動員。そんな言葉が萩原子荻の脳裏を過る。言うまでもなく、それは非道な策であった。


144 : 萩原子荻&ライダー ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/24(木) 15:19:24 Eg4JPKJg0
「それさえ理解出来ぬ腑抜けと言う事はあるまいな、策士よ」
「勿論です」

 彼の真名は、毛利元就。
 計略と策謀で栄華を勝ち取った男であり、詭計智将の名を恣にした怪物の如き冷血漢だ。
 輪のような形状をした刃は何処ぞの殺人集団が振るう奇抜な獲物を思わせる異様さであったが、彼の宝具はそれに非ず。彼の宝具は、驚くなかれ、水陸両用の巨大要塞である。
 対城宝具にして城塞。最高ランクの輝きを誇る、日輪の大破壊。
 子荻は未だその御披露目の瞬間を見た事はなかったが、その陽光を浴びて現界を保てる英霊は殆ど居ないと、元就ほどの男に言わしめる程の破壊力を秘めるらしい。
 当然それだけの威力と大きさを誇る宝具であるのだから、解放は即ち手の内を衆目に晒すことと同義だ。
 彼の言う通り、聖杯戦争が少なくとも中盤、可能なら終盤に差し掛かるまでは切るべきでないと考えるのが最も利口だろう。ではそれまでどうすれば良いのかと言えば、そこが知略に長けた二人の腕の見せ所だ。

 澄百合学園――表社会には華々しい、裏社会には仰々しい評判で伝わる女の園。
 お嬢様学校の皮を一枚剥がしてみれば壮絶な傭兵集団の養成学校と言う、凄まじい実情を持った学舎は、萩原子荻が元の世界で事実上掌握していた母校だった。
 この世界の澄百合学園もまた、子荻の知るそれと何ら変わらない。
 違いが有るとすれば、理事長を務めていた人間だ。
 檻神ノアという女ではなく、ただ金と力に物を言わせることしか出来ない無能がその席に就いていた。その男がどうなったのかは、毛利元就が現在その席へ座っていることから窺い知れよう。
 そしてその差異こそが、或いは萩原子荻を完全に聖杯戦争へ没頭させる結果になったのかもしれない。

 現在、澄百合学園敷地内は毛利元就の領土と化している。
 『護領の鬼将』。天下よりも己の家柄と領土の平穏を望んだ彼に相応しいスキルだ。
 澄百合学園は今、仮初の毛利領と化し、領地の内側で戦う詭計智将の能力値は底上げされる。
 この内に敵を引き摺り込んで数に任せて本領しつつ、軍略と剣技の合わせ技によって討ち取る――それが最も望ましい展開だ。その状況へ如何に持ち込むかが勝負を分けると言っても過言ではない。

「では、私は一旦これで。動きが有り次第、また参ります」

 うむ、と元就が頷くのを確認してから、策士は理事長室を後にした。
 残されたのは時代錯誤な異装に身を包んだ、冷たき瞳の男のみ。
 
「優秀な娘だが、未だ青いか」

 毛利元就の恐怖を知る者が聞いたならば、目を見開いて動揺するような台詞だった。
 子荻ほどの年齢で彼から優秀との評価が下される等、これまでに前例があったかどうかさえ怪しい。
 それほどまでに、萩原子荻は優秀な人物だ。戦国の世で智将と知れ渡る人物であろうとも、生半可な頭脳では彼女の策に囲われ、破滅を辿るより他にないだろう。
 同じ人種である元就にはそれがよく分かる。しかし同時に、彼女はやはりまだ幼い。
 真の将とは、目的のみを見据え、それ以外に一切の綻びを持たないことが絶対条件だ。
 現に元就は眼前で親を殺されようが表情を崩さないだろう。比較に出す事さえ忌まわしいが、かの魔王と呼ばれた男とてそうである筈だ。有能な部下が死ねば驚きはすれど、それが決定的な破滅に繋がるような事は有り得ない。
 その点、まだ子荻は青い。そのことは前任の理事長がふんぞり返って学園を統べている有様を前にした時の彼女の表情を思い出せば、簡単に理解できる。

「我が望むは毛利の福音、毛利の安寧。聖なる杯の内に満つる酒は、安芸の大地に注がれねばならない」

 只、それだけを。
 我欲すら切り捨て、一国の将として在り続ける男の価値観は最早滅私の領域にさえ到達していた。


145 : 萩原子荻&ライダー ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/24(木) 15:19:41 Eg4JPKJg0
「その為には、全てが我の駒よ」

 己の主も、この地に集う全ての英霊とその主も、全てが己の駒であるのだと。
 傲岸不遜に語る瞳に、人間的な温かみなど欠片ほども宿っては居なかった。



【クラス】
ライダー

【真名】
毛利元就@戦国BASARA(アニメ版)

【ステータス】
筋力C 耐久C 敏捷A 魔力B 幸運C 宝具A

【属性】
秩序・悪

【クラススキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗:B
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

【保有スキル】
軍略:A
一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。
自らの対軍宝具や対城宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具、対城宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。

護領の鬼将:C
ライダーは天下を取ることよりも、領土と毛利家の平和を守ることに殉じた男である。
あらかじめ地脈を確保しておくことにより、特定の範囲を"自らの領土"とする。
この領土内の戦闘において、高い戦闘力ボーナスを獲得できる。

詭計智将:A
ライダーは兵を捨て駒として扱う策を講ずる際、その作戦の成功率を向上させる事が出来る。
Aランクともなれば、最早策士の領分を超えて半分外道の領域に足を踏み入れている。

日輪の加護:B+
自らを日輪の申し子と名乗り、その加護と導きを信じ続けた。
輪刀を武器として繰り出す様々な武芸や障壁、地雷の真似事など、彼が繰り出せる技は多岐に渡るが、その全てが太陽のエネルギーを秘めている。

【宝具】
『富嶽・日輪』
ランク:A 種別:対城宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人
元は宿敵、長宗我部元親の保有していた要塞『富嶽』であった大要塞。
豊臣秀吉によって破壊された残骸を彼が回収し、改造を施した日輪の名を冠する宝具。
富嶽にあった巨砲などのパーツは全て排除され、大鳥居と後述の一撃の為に鏡が設置されている。その総数は百を優に超えており、これらを要塞上に展開し日光を反射、中央の社にある大鏡へ集める。
そして収束させた熱線を放つことで擬似的なソーラーレイとし、命中した対象を跡形もなく蒸発させる事が出来る。
威力は申し分なく、仮に規格外級の耐久力を持つサーヴァントであれども消滅寸前の致命傷は免れないだろうが、鏡の展開から照射までにタイムラグが有る他、日光を利用する以上夜間は使用出来ない。
また、言わずもがな非常に巨大で目立つので、乱用は自分の首を絞めることになるだろう。

【weapon】
輪刀

【人物背景】
緑一色の鎧兜に身を包んだ、鋭く冷たい氷のような瞳と人格を持つ毛利家当主。
勝利のためには手段を選ばない冷徹な策略家で、兵士を捨て駒と使い捨て、その犠牲を厭わない。

【サーヴァントとしての願い】
毛利の家と自らの領土へ永遠の繁栄と平穏を


【マスター】
萩原子荻@戯言シリーズ

【マスターとしての願い】
聖杯を手に入れ、元の世界に持ち帰る

【人物背景】
澄百合学園の高等部三年生で、理事長・檻神ノアの娘。
言われた事をするのに一番効率の良い手段を選ぶ生粋の策師で、わずか十代半ば程の齢で暴力の世界において最悪と称される一賊と、様々な勢力を手玉に取ってのけた。

【方針】
平常運転。利用するものは利用して、賢く勝ち上がる。


146 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/24(木) 15:19:54 Eg4JPKJg0
投下を終了致します


147 : ◆7PJBZrstcc :2016/03/24(木) 16:24:15 O4Ovekws0
投下します


148 : このロクでもない戦争から生還を! ◆7PJBZrstcc :2016/03/24(木) 16:25:13 O4Ovekws0


        1


 ――この世界に、冒険者と呼ばれる存在はいない。
 人を襲うモンスターも居ないし、俺みたいな未成年が大っぴらに酒を飲んだら警察に注意される。
 勿論、魔王なんて存在もゲームやアニメにしか存在しない。
 それが日本だ。
 それが俺が生まれ、16歳まで育った世界だ。
 さて、そんな世界に居る今の俺、佐藤和真は。

「どうしてこうなった……」

 自分の部屋で頭を抱えていた。
 正確に言うなら、今自分が巻き込まれている現状をどうすべきか悩み、頭を抱えていた。

 ――聖杯戦争、それが今俺が巻き込まれている殺し合いらしい。
 死んだ英雄をサーヴァントとして使役し、優勝者にはどんな願いでも叶える聖杯が手に入るとか。

「うさんくせー」

 それが、俺の聖杯戦争に対する印象だ。
 なんでも願いが叶う物を、なんでわざわざ賞品にするんだ?
 大体英霊って信用できるのか? 女神ですら宴会芸と回復魔法くらいしか取り柄がないような世の中だぞ。
 いやあれはあいつが特例なだけだと思いたい。少なくともエリス様は立派な女神だし。

「おい」

 そんな思考を遮るかのように俺のサーヴァント、ランサーが話しかけてきた。
 実の所、こいつの存在が俺に聖杯戦争を信用できなくさせる一因だったりする。
 2m近い身長をした学ランを着ている男。
 どう見ても一昔前のヤンキーだ。そして槍なんて持ってない。
 ……どこが英雄なんだよ。何だったら魔王軍の幹部やデストロイヤー倒すのに尽力した俺の方がよっぽど英雄だ。

『最弱職でヒキニートのカズマさんが英雄とか、ありえないんですけどー! プークスクス!』

 いないはずのアクアにバカにされた気がした。
 いや流石に英雄は言いすぎたかもしれないけど。
 俺に比べてランサーの風格が歴戦の戦士っぽい感じしてるけど。
 でも現代日本でモンスターとか居る世界の人間より歴戦の存在とかおかしいだろ、バトル漫画かよ。

「おい、聞いてるのか?」
「……聞いてるよランサー」
「じゃあ言わせてもらうが、お前いつまで家にいるつもりだ?」

 痛い、いやあんまり痛くない所を突くランサー。
 ――実のところ俺は、記憶を取り戻してからほとんど外に出ていない。出たのはコンビニに行くとき位。
 勿論出不精で引きこもっていたいからという個人的な事情ではない、断じて違う。


149 : このロクでもない戦争から生還を! ◆7PJBZrstcc :2016/03/24(木) 16:25:50 O4Ovekws0

 俺が記憶を取り戻したのは、ネトゲをやろうとした瞬間だった。
 俺が、他のプレイヤーに「久しぶりー」と挨拶したら、他の奴らから「何言ってんだよwww」「毎日いるじゃんお前」と返された。
 それがきっかけで世界の違和感に気づき記憶を取り戻した。
 その後、それとなく記憶を取り戻す前の自分をネトゲで調べていると、ここでも「母親泣かせのカズマさん」「運だけのカズマさん」「いつもいるカズマさん」と呼ばれていた。
 どうやら俺はここでも学校に行ってなかったらしい。
 という事はだ。

「俺はこの聖杯戦争の最中はなるだけ家から出ない方がいいと思うんだよ」
「……」

 俺がそう言うと、ランサーは「何言ってんだこいつ?」と言いたそうな顔をした。

「だってそうじゃん、俺が学校行ったらその時点で目立つわけじゃん。そしたら100パーマスターだと疑われるし」
「……だから、なるだけ引きこもって敵から逃げようってか?」
「そうそう、殺し合いなんて物騒なことごめんだし」
「……」

 何とか俺はランサーを説き伏せた。
 心なしか睨まれてるような気もするが、気のせいだろう。
 ……殴ったりしないよね?
 するとランサーがいきなり。

「……てめえの性根を叩きなおしてやろうと思ったが、その必要は無さそうだぜ」
「どういう事だよ?」
「敵が来た」

 その言葉と同時に、窓から矢が俺の部屋に飛んできた。


        2


 矢が撃ち込まれたと同時にランサーが俺を抱え、家の前に飛び出すとそこには弓を持った男と近所の高校の制服を着た女子が居た。
 アーチャーとそのマスターだろう。どちらも殺気立った目で俺達を見ている気がする。
 とりあえずここは自分の家の前だ。こんな所で戦闘なんてするわけにはいかない。

「ランサー、とりあえず場所を変えてくれ!」
「ああ」

 俺の指示に素直に従ってくれるランサー。
 もしこの場で戦い始めたら、今家にいる母親に確実に気づかれるだろう。
 そしたらこの状況がどういう物か説明しなくちゃいけなくなる、そしてそれをうまくごまかす方法なんて俺には思いつかない。
 だけど場所を変えてこいつらをどうにかした後、何食わぬ顔で帰れば知らない間にタチの悪い悪戯に会ったで済む。
 かなり苦しいがこれでごり押そう。
 これが普段のパーティーなら1から説明しなきゃいけないんだろうなぁ……。
 何か悲しくなってきた。


150 : このロクでもない戦争から生還を! ◆7PJBZrstcc :2016/03/24(木) 16:26:38 O4Ovekws0

「アーチャー、攻撃しなさい!」
「はっ!」

 そんな事を考えていたら、アーチャーが再び攻撃を仕掛けてきた。

「『ウインドブレス』!」

 その攻撃を俺が魔法で防ぐ。
 マスターの俺が防いだことに驚いたのか、攻撃が少しの間止まる。
 その隙を見て、実はポケットに入れて置いたスマホを出し、地図アプリを起動しランサーに渡す。

「ランサー、地図出したから人気の無さそうなところに向かえ!!」

 ランサーは地図を見ながら、俺の指示に従ってくれた。


 そして辿り着いたのは、人気のない倉庫街だった。
 道順はランサー任せで、函館に土地勘の無い俺はここが何処か正確な場所は分からない。

「何とか凌いでいたようだけど、流石にもう終わりかしら?」
「さあな」

 実際、結構な数をしのいできたので魔力はギリギリである。
 だがそれを悟られるわけにはいかないので、俺は必死にポーカーフェイスをする。

「それにしても驚いたわ、ただの一般人かと思ったけどまさか魔術師だったなんて」
「魔術師?」

 俺は魔法使い専業という訳じゃないんだが……。

「魔術師を知らない? なら生まれつきの異能者かしら」
「好きに考えてくれ」

 アーチャーのマスターが何を言ってるのかよく分からないので、適当に合わせる俺。
 するとランサーから念話がくる。

(マスター)
(何だ?)
(はっきり言って俺はアーチャーと相性が悪い)

 え?

(俺は2m位の近距離なら攻撃できるが、遠距離攻撃には乏しい)
(何か距離詰める方法無いのかよ!?)
(ある程度まで詰められるが、魔力がギリギリの今やると多分てめえはぶっ倒れる)
(駄目じゃねえか!)
(だから、このスマホって奴投げるぞ)
(やめて! 俺が何とか気を引くからやめて!)


151 : このロクでもない戦争から生還を! ◆7PJBZrstcc :2016/03/24(木) 16:27:18 O4Ovekws0

 それは重要なアイテムだから! と説得しやめさせる俺。
 とりあえず自分が射程に入れるようになったら、俺を魔力消費でぶっ倒してもいいからとランサーに伝える。
 だが気を引くと言ったはいいが一体どうやって……。
 すると相手マスターが。

「でも大した力は無いわね。こういう実戦だと攻撃に使いようがなさそうだし」
「……」

 実際直接攻撃には使えないので反論は出来ない。

「まあ一般人相手なら十分じゃない? 苦労知らずで生きていたんでしょ。
 でも私は違うわ! 魔術師の家に生まれ魔術師としての研鑚を積んできたのよ!
 どーせヘラヘラ生きてたであろうあんたとは違うのよ!!」
「今なんつった?」

 こいつは言ってはならない事を言った。
 俺の雰囲気が変わった事を感じたのか、相手マスターは俺に引きながらも返答してきた。

「……い、いやヘラヘラ生きてたんでしょって」
「ヘラヘラ生きてたってのはまあ否定しねえよ、実際1年ほど前までは引きこもりでネトゲばっかやってたしな! だけどお前その前なんつった!?」
「そ、その前? 苦労知らずとか私は研鑚を積んできたとか……」
「研鑚? 研鑚を積んできたってか!? ならその魔術師の研鑚とやらにはトラクターに轢かれそうになってショック死することも入ってんのか!?」
「はぁ!?」

 今気づいたが、どうやらこいつは俺の初級魔法を生まれつき持ってるものだと思っているらしい。
 確かに死んで異世界に転生なんてことが現実に起きるなんて思う奴はいないだろうし、こいつも思ってなかったみたいだ。
 それをどうこう言う気はない、だが。

「魔王軍の幹部で低レベルで戦うはめになることは!? 馬小屋で寝てまつ毛凍ることは!?」
「え? いやちょっ」
「4000万の借金背負ったことは!? 自分のせいじゃないのに国家反逆罪にされて死刑って言われた事あんのか!?」
「あ、ありません……」
「それなのに苦労知らずとか言ったのかてめええええええ!!」
「ご、ごめんなさい……」

 相手マスターが俺の剣幕を恐れたのか謝って来た。
 そこで俺は相手が隙だらけだと気づく。

「『スティール』ッ!」

 そこで俺は思わずスティールを炸裂させた。
 ところで俺は今までに2回、女の子にこれを使っている。
 1回目に使った時、盗んだのは真っ白なぱんつだった。
 2回目に使った時、盗んだのはやはりぱんつだった。
 そして3回目、盗んだのは。

「しまぱんか……」
「な、何で!?」


152 : このロクでもない戦争から生還を! ◆7PJBZrstcc :2016/03/24(木) 16:28:13 O4Ovekws0

 俺はまたしてもぱんつを盗んでいた。
 だがこれで、俺の目的は達成される。

「これとさっきこっそり撮ったお前の顔写真を添えて、お前が通っている高校の目立つところにおいてやる!!」
「何考えてんのコイツ!?」
「これでお前は聖杯戦争どころじゃなくなるな!」
「アーチャーコイツ殺して! ランサーなんて後でいいから!!」

 その言葉が聞こえた瞬間、俺はアーチャーのマスターが盾になるような位置に移動する。
 ランサーと戦いながらそんな指示を受けたアーチャーは、慌てて俺の方に注意を向けるも自分のマスターが盾になっていることに少しの間動揺する。
 その隙をランサーは見逃さず、アーチャーとの距離を詰める。
 そしてある程度近づいた瞬間。

「スタープラチナ・ザ・ワールド!」

 と叫んだと思ったらいつの間にかアーチャーのすぐそばにまで近づいていた。
 そして俺は魔力消費の影響でぶっ倒れていた。
 ……めぐみんもいつもこんな感じなんだろうか?
 そしてランサーは、人型の何かを出し。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」

 拳の連打を決めていた。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ、オラァ!」

 そして殴り終え、アーチャーはノーバウンドで壁まで飛ばされ、壁に激突したと同時に消滅した。


         3


 その後、魔力消費で倒れていた俺からぱんつを取り返したアーチャーのマスターは、「覚えてなさい!」と一言捨て台詞を吐いて去って行った。
 そして俺は今。

「……」

 自分のサーヴァントに睨まれていた。

「何で睨むんだよ」
「……てめえさっき気になる事を言ってただろ。借金がどうとか……」
「聖杯で何とかしたいと思わないのかって言いたいのか?」
「ああ」

 そりゃ何とかできるのなら何とかしたい。
 あの時のコロナタイトが領主の屋敷じゃなくどこか人のいない場所に変えられるって言うなら変えたい。

「でも俺は殺し合いなんて嫌だ。こんな物騒なことはごめんだ」
「……」
「それよりも頼みがあるんだ」
「何だ」
「分かってると思うけど動けないんだ、家まで運んでくれ」

 俺のちょっと情けない頼みにランサーは小さくこう呟いた。

「……やれやれだぜ」


153 : このロクでもない戦争から生還を! ◆7PJBZrstcc :2016/03/24(木) 16:29:59 O4Ovekws0
【クラス】
ランサー

【真名】
空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険

【パラメーター】
筋力D 耐久C 敏捷C 魔力D 幸運A 宝具A

【属性】
秩序・善

【クラススキル】
対魔力:C
Cランクでは、魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。
大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。

【保有スキル】
黄金の精神:A
「正義」の輝きの中にある精神。人間賛歌を謳う勇気と覚悟の心である。
勇猛、戦闘続行を兼ね備えた特殊スキル。

心眼(偽) :B
直感・第六感による危険回避。虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。
視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。

【宝具】
『星の白金(スタープラチナ・ザ・ワールド)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1-2 最大補足:1
傍に立つというところから、スタンドと呼ばれる人型の超能力の像。
桁外れのパワー、スピード、精密動作性、視力、動体視力を持つ。
基本的な攻撃は拳の連打だが、人差し指と中指を伸ばして敵を切り裂くという事も出来る。
そして、時を5秒だけだが止める事が出来る。
スタンドのスピードが光を超える事によりこの世の時間を止める事が出来る。

【weapon】
スタンド『星の白金』

【人物背景】
「ジョジョの奇妙な冒険」第3部「スターダストクルセイダース」の主人公。
学帽と長ランに付いた金属の鎖、二本のベルト、両耳に付けた丸ピアス、ひと房だけ垂れ下がった前髪がトレードマーク。

頭脳明晰で冷静沈着。寡黙だが熱い正義感を持ち、悪党に対しては怒りを感じる。
また、自身も認めるほどの執念深さを持つ。
だがその一方で、素行は結構悪く犯罪行為を堂々とやらかしていたことも。

【サーヴァントとしての願い】
マスターを守る。
殺し合いには乗らない。


154 : このロクでもない戦争から生還を! ◆7PJBZrstcc :2016/03/24(木) 16:30:44 O4Ovekws0
【マスター】
佐藤和真@この素晴らしい世界に祝福を!

【マスターとしての願い】
借金と国家反逆罪をなんとかしたい。

【weapon】
なし。(片手剣は元の世界においてきてしまった)

【能力・技能】
・冒険者
カズマが就いている職業。
基本職で最弱ではあるものの、全ての職業のスキルが覚えられる。

・スキル
カズマが他の冒険者から学んだスキル。
敵の気配を察知する「敵感知」
自身の気配を消す「潜伏」
暗闇でも目が効く「千里眼」
相手の持ち物をランダムで奪う「スティール」
相手に触れ発動すると魔力を奪う「ドレインタッチ」
それに罠発見と罠解除、後は弓と狙撃。
最後に、攻撃には使えない初級魔法がカズマの使えるスキルである。

・幸運
冒険者には必要ないが、非常に高い。
生涯でじゃんけん負けなしレベル。

・悪知恵
カズマの強さ。
彼はこれと幸運の高さを駆使して弱いスキルで戦っている。

【人物背景】
アクセルの街で活動する冒険者。
元々は現代日本で暮らしていた引きこもりだったが、トラクターに轢かれそうになったことでショック死しファンタジー世界に転生した。
頑張る時は頑張るが、頑張る必要がなくなるととことんだらけるタイプの男。

【方針】
聖杯は欲しいけど人殺しは……。
何とか人を殺さず聖杯だけ掠め取りたい。

【備考】
参戦時期は3巻の第一章終了後です。
与えられた役割は高校生ですが、NPC時代から引きこもっていました。


155 : ◆7PJBZrstcc :2016/03/24(木) 16:32:24 O4Ovekws0
投下終了です。
なお、ランサーのステータスの一部を第二次二次聖杯戦争の「シオン・エルトナム・アトラシア&アーチャー」のステータスを参考にさせていただきました


156 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/25(金) 19:05:20 DvN6lTl60
投下します。


157 : 須郷伸之&キャスター ◆lkOcs49yLc :2016/03/25(金) 19:07:50 DvN6lTl60
夜の函館の街の時間が、突然止まった。
と言うより、人々の動きが突然「どんより」と、遅くなった。
道を走っていた子供は転び、レストランの厨房のフライパンの
中身はゆっくりと宙に上がり、街は大混乱に陥った。
そして、その大混乱の中、街の入り口からは
蛇、蝙蝠、蛇の様な装飾に頭蓋骨の様な頭を
した怪人が、この様な「どんより」現象にも
影響されずに、ゆっくりと、まるで訓練された兵士のように、
全く同じ動作で無機質に歩いて来る。
それを見かけた人々は、当然ながらパニックになって逃げ出そうとする。
だが、体が思うように動かない彼らが、そう簡単に逃げおおせるワケがない。
人々は背を向けながら、一挙一動が全く同じ骸骨達に、纏めて首を絞められる。
すると人々は、悲鳴とともにその身を光に変え、怪人の腕に吸収される。
そして、そこに人といえる存在がいなくなった瞬間、
街に大爆発が起こった。
赤く燃える炎からは、無数の記号の如き物体が、タンポポの綿毛の様に宙へと舞い上がっていった。



◆  ◆  ◆  ◆


「・・・・まさか、こんな形で僕の欲しいものが手に入るとはね・・・・。」


高層ビルの社長室で、ワイングラスを手に須郷伸之は窓の外の景色を眺めていた。
この世界でのロールでは、須郷はある商談を成功させ、やがてレクトの社長の座にまで
上り詰め、今こうしてゆっくりとセレブな生活を満喫し、
更にレクトは彼が中間管理職に就いていた数カ月前よりも更に大きくなっている・・・
そんな設定になっていた。
だが、そんな絵に描いたような素晴らしい人生を今こうして謳歌しているはずの彼の
顔は、途轍もない苛立ちに満ちており、ワイングラスを握る手は震え、中身が波を
うっている。だがその時。
「仕事は片付いたよ、マスター。」
須郷の背後で、さながら機械のスピーカーの様な声が響いた。
それを聞くと須郷は、窓の向こうから見える夜の街の、
赤い光をボウボウと照らしている部分を見つめる。そして、
落ち着いたような、愛想の良い笑顔を見せ、後ろを振り返り、
そして、「ありがとう、ご苦労だよ、キャスター。」と、労いの言葉をかける。
須郷と面と向かって話しているのは、何と彼の机に置かれているパソコンだった。
画面には、卵を模した様な青白い顔の様な物が口をパクパクさせている。
彼が契約したキャスターは、所謂データで身体が構築されているサーヴァントであった。
須郷と出会った当初は何やら車のメーターの様なパーツを端末として現界していたが、
今ではネットワークに自由に介入できる様にと、レクトのサーバーを拠り所としている。
「この私に掛かれば、この程度の事、造作も無い。」
キャスターが、淡々とした口調でそう答える。
キャスターが行ったことは、所謂「魂喰い」だ。
キャスターは、自らが生み出した使い魔を大量に街に出し、人の身体を吸収する形で
魔力を手にする、そしてコアを残し、身体を自爆させた。
窓の向こうで光っているそれは、その爆発が原因だった。証拠を隠すために。
もっとも、爆発が電波と目撃情報で知れ渡っていることについては、黙っておこう。
「しかし、すごいなあ、あのアンドロイドを大量に創りだすなんて。君のような
天才をサーヴァントに持てて、僕は本当に幸せ者だよ。」
須郷は両手を上げて、キャスターを褒め称える。
そしてキャスターも、
「いや、私がこの様な事が出来るのは、君が資金とこの身体を与えてくれたからさ、
おかげで私の宝具の制作も順調だ、君には大変感謝しているよ、マスター。」
感謝しているよ、君には。」
須郷に向かい、感謝の言葉を述べる。
「それでは、私は宝具の作成に戻るよ。」


158 : 須郷伸之&キャスター ◆lkOcs49yLc :2016/03/25(金) 19:09:56 DvN6lTl60


◆  ◆  ◆  ◆



キャスターがそう言ったと同時に、パソコンからは顔が消え、デスクトップがキラキラと
映しだされていた。すると、須郷がまるで豹変したかのように先程までの苛立ちを取り戻し、
「全く、使い魔・・・ましてや機械の分際でよくあんな生意気な口を聞けるものだよ・・・!」
そう言うと、カーペットの床に向かってワイングラスを叩きつける。
パリンと言う音とともに、須郷が息を切らす音が続いていく。
聖杯を手にとった瞬間、奴をこの令呪で自害させてやる。そうも考えていたが、今の彼の苛立ちは、
少なくともキャスターの事ではない。須郷は、今の自分の役割に苛ついていた。
と言うのも、これは彼が現実世界で行おうとした計画が成功した時のシナリオにそっくりだったのだから。
ある意味、彼の願いは叶ったという事だろう、しかし、それが腹立たしかった。
彼が一々面倒な人体実験を繰り返してきてまで手にしようとした栄光が、いともこの様な形で手に入ってしまうとは。
まるで自分のやって来たこと全てを否定するようなこの役割が、彼にとっては腹立たしくてならなかった。
「まあ、メリットは十分にはあるんだけどね・・・本当に皮肉なもんだよ。」
だが、それによって手に入った余りある資産が、キャスターの力を最大限に引き出す糧になっているのもまた事実。
一時の感情には流されず、今はそれに甘んじていこう。
それに、彼にもどうしても叶えたい願いがあるのだから。
須郷は、自らの人生をあの憎き科学者の亡霊と、彼が選んだ1人の子供に滅茶苦茶にされた、と考えていた。
ALOの管理者権限も、レクトで培った業績も、プライドも、全てを奪われ、檻に投げ込まれた。
勿論、彼が願うのは、その少年への復讐、そしてこの偽りの栄光を本物にする、この2つで十分だ。
もっとも、欲深きこの男にとっては、まだまだ物足りないであろうが。

「しかし、まさか僕がこんな時にこんな素晴らしい場所に招かれるとはね・・・・全くの幸運だよ・・・。」

須郷の口が、弧を描く、そして、

「残念だったねぇ!茅場先輩!桐ヶ谷和人君!僕はまだ終わってはいないさ!!いや、これから始まるのだよ・・・
そう・・・これは逆転劇であり・・・君達への復讐劇さ・・・・ハハ・・・
精々余生を楽しみながら待っているんだねぇ!聖杯を持ち帰った、僕の姿を!」

彼らに向かって、宣戦布告というべき声を高らかに放つ。



◆  ◆  ◆  ◆


159 : 須郷伸之&キャスター ◆lkOcs49yLc :2016/03/25(金) 19:10:26 DvN6lTl60



レクトにある真新しい部屋は、早くも多くの配線と器具でグチャグチャになっていた。
中央では、2、3人程のアンドロイドが、何やらパーツらしきものを、
無数の配線で繋がれた丸い塔の様な装置に組み込んでいた。
そして、壁に設置されていた大きなモニターには、先程社長室にいたキャスターの姿
があった。
「君には感謝している・・・・か・・・ハハ・・・。」
だが、キャスターの口調は、先程のそれとは全く異なっていた。
「ああ、感謝しているよ、私の手駒となっていることにね。」
そう、これがキャスターの本性であった。
キャスターの真名、蛮野天十郎。
かつて108体の機械生命体ロイミュードを暴れださせ、
世界を滅亡の危機にさらしたとされる反英雄だ。
冷酷な利己主義者である須郷が引き当てただけあって、
彼もまた、生前は他人を利用しては切り捨ててきた、それは英霊になっても変わらなかった。
今、キャスターがアンドロイド・・・ロイミュードを操って作成しているのは、
彼の切り札「永遠なる静止の塔(シグマサーキュラー)」。
ランクはEX、対界宝具。発動した瞬間、戦局はこちらの思うがままとなるだろう、
そう、文字通り。だが、それの発動にはそれなりの大きな対価を要した。
神秘にギリギリ近づいているそれは、魔力による権限が出来なくなっている。
なので、こうして高い資金を投げ打って作成するしかなかった。
そういう点では、須郷という男をマスターに持てたのは幸運かもしれない。
ふと、部屋の奥にある水槽にあるドライバーに目をやる。
ゴルドドライブ。
ドライブシステムをコピー・・・いや、キャスターからすれば「改良」した、
キャスターのもう一つの宝具。これを使用すれば、白兵戦においても
まずやられることはないだろう。ロイミュードの身体を一体乗っ取るだけで
簡単に使える。だが、切り札も完成していないにも関わらず
この宝具の使用することは、身を周辺に晒し、自らを危険に晒すも
同然。それこそ酸素ボンベもつけず服を着たまま海底に飛び込むようなものだ。
準備が全く足りていない。当分はロイミュードの作成、宝具の完成と
発動に必要な魔力の収集、それだけだ。
レクトが所持するとある工場では、今も多くのロイミュードのコアとバイラルコアが
製造されていることであろう。情報の漏洩を防ぐため、作業員は全員リストラされ、
今では作業が自動的に、キャスターの支配の下行われている。
「全く役に立つマスターだよ、私のために何でも与えてくれる。」
彼は恐らく、キャスターの才能に溺れ何でもしてくれる、
キャスターはこれを当然の事だと考えていた、本当にそうなのかは別として。
キャスターにも、勿論願いはあった。

世界の支配。

生前、あと一歩という所で成し得なかった願いだ。
自らの才能を理解しない愚かな連中の首を絞めることで、自分の偉大さを知らしめる、見せつける。
そして、
「クリム・・・剛・・・ハート・・・仮面ライダー・・・私が統べる世界に、君達は不要だ・・・
舞い戻ってきたら、早速苦しい罰を与えてやるよ・・・ククク・・・・ハハハハハハハハハ!!」
この素晴らしき頭脳を消し去った愚か者達への、復讐だ。




◆  ◆  ◆  ◆




表向き、この二人はいいパートナーと言えるだろう。
だが、本来は全く違う。猫を被ることが得意な二人は、単にいい顔をしてつけこもうとしているだけだ。
寧ろ、心内で考えていることを含めればある意味最悪と言っていいかもしれない。
二人は、互いを利用するだけで、理解しようとはしない。
しかし、性質の似た主従は引き合う宿命にあるのか、この二人は何処までも似ていた。
どこまでも卑しく、賢しく、小さく、歪で、そして他人を駒としか見ていない。
これでも、彼らは優秀な科学者だ、余計質が悪い。
神は、ある意味、才能を与える人間を間違えたのかもしれない。
利己主義の塊である妖精の王と機械の王は今ここに、互いに汚れた手を結んだ。


あるヒーローは言った、「お前は人間じゃない」と。

あるゲームプレイヤーは思った、「こいつは許されない」と。


160 : 須郷伸之&キャスター ◆lkOcs49yLc :2016/03/25(金) 19:11:03 DvN6lTl60


【クラス名】キャスター
【出典】仮面ライダードライブ
【性別】男
【真名】蛮野天十郎
【属性】混沌・悪
【パラメータ】筋力- 耐久- 敏捷- 魔力E 幸運C 宝具A++


【クラス別スキル】

陣地作成:C
自らに有利な陣地を作り出す能力。
彼の場合、「ラボ」を作り出すことに特化している。


道具作成:B+
魔力を帯びた道具を作り出す能力。
彼の場合、人造人間「ロイミュード」を増産することに特化している。
それ以外は殆ど作れない。



【固有スキル】

自己保存:C-
自身はまるで戦闘力がない代わりに、マスターが無事な限りは殆どの危機から逃れることができる。
ただし、彼が「ゴルドドライブ」の肉体を手にした瞬間、このスキルはランクダウンする。


精神異常:B
精神を病んでいる。
感情のままに非道な行いを躊躇なくやってのける。
周囲の空気を読めないスーパーアーマー。


重加速:A
俗に「どんより」と呼ばれる現象。
周囲に結界を展開。結界内に
いる物体の速度を弱める事ができる。
ただし、同じスキルを持つサーヴァントには通用しない。


科学:A
科学者としての技術。
もはや天才の域。


自己改造:A
自身の肉体に別の肉体を付属・融合させる。
このスキルのランクが高くなればなるほど、正純の英雄からは遠ざかる。
また、彼の場合霊核をベルトやタブレット端末に移すことが出来る。


【宝具】

「永遠なる静止の塔(シグマサーキュラー)」

ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:300 最大捕捉:函館

キャスターの最高傑作。
全世界を静止させる「グローバルフリーズ」を発生させ、
更に全人類をナンバー化させた装置。
周囲に結界を展開し、NPC、マスター、サーヴァントを問わず身体に番号を埋め込み、
肉体を「データ化」することが可能。元の肉体を手に入れるにはキャスターの許可が必要。
ただし、対魔力スキルを持っている場合は徐々に身体が侵食される程度に留まる。
自律稼働が可能で、高速移動、レーザー放射が可能とされる。
ただし、第二魔法にも相当するこの宝具を稼働させるためには
膨大な魔力が必要となる。また、最大捕捉が函館になっているのは、
舞台が箱館であるため、全世界を捕捉することが出来ないため。



「偽・黄金の加速戦士(バンノドライバー)」

ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1

キャスターの本体である自動車のメーターパネルを模したバックル。
キャスターがドライブドライバーをコピーし、自分のものとした姿。
人間、ロイミュードの肉体に巻き付くことで意志を乗っ取り、
更に「ゴルドドライブ」に姿を変えることができる。
ゴルドドライブに姿を変えた際、パラメータが

筋力C 耐久B 敏捷B 魔力D 幸運C

に変化する他、他の武器をデータ化して
再構築し、自分の物とすることが出来る。


161 : 須郷伸之&キャスター ◆lkOcs49yLc :2016/03/25(金) 19:11:34 DvN6lTl60


【人物背景】

機械生命体「ロイミュード」を作り上げていた天才科学者。
自分の目的のためなら手段を選ばない冷酷非道な性格で、
自らが絶対に正しいと思ってはばからない傲慢な性格。
しかし、資金援助を打ち切った青年実業家の姿をコピーさせた
ロイミュードを腹いせに傷めつけた事から、友人であり
協力者であったクリム・スタインベルトから縁を切られ、
焦った事でロイミュードの進化のために悪の心を植え付け、
世界を静止させる「グローバルフリーズ」を起こすきっかけ
を作る。その後はタブレット端末に魂を移植し幹部ロイミュードに
身を寄せるが、紆余曲折あってクリムが身を寄せていた特状課に
付け込み、やがてドライブシステムをコピーしてゴルドドライブとなり、
シグマサーキュラーを起動させ「真のグローバルフリーズ」を起こし、
全人類をナンバリング、データ化することで自らの支配下に置こうとする。
しかし、自らは息子である詩島剛に倒され、更にシグマサーキュラーを
クリムが選んだ男と、かつて自分が傷めつけたロイミュードによって
破壊されたために、目論見は失敗する。



【聖杯にかける願い】

自らの復活、そして全世界の支配。


【方針】

マスターの財力を利用し、ロイミュードの量産、シグマサーキュラーの作成等を行っていく。
単独行動スキルがあったら恐らく彼を始末した可能性もある。
ネットワークをハッキングすることも考えている。


162 : 須郷伸之&キャスター ◆lkOcs49yLc :2016/03/25(金) 19:11:54 DvN6lTl60
【マスター名】須郷伸之
【出典】ソードアート・オンライン
【性別】男性

【能力・技能】


・財力
レクト社長としての途方も無い財力。


・エンジニア技術
エンジニアとしての優れた技術。
フルダイブ技術研究部門所属であったことから、恐らくそれらの分野の知識を使うことも出来る可能性がある。


・妖精王オベイロン
ALO(アルヴヘイム・オンライン)における彼のアバター。
ALOの管理者権限は剥奪されたが、それでもエクスカリバー、
グラム、デュランダル、カラドボルグ等の武器が使用できる。
ただし、彼の戦闘経験が少ないことがネック。


【人物背景】

総合電子機器メーカー「レクト」のフルダイブ技術研究部門の主任研究員。
周囲には穏やかな態度で接しているが、根は冷酷非道な利己主義者。
MMORPG「ALO(アルヴヘイム・オンライン)」の管理者権限を所持しており、
ゲームマスター「妖精王オベイロン」として振る舞い、それを
隠れ蓑に結城明日奈と無理矢理婚約することでレクトを手に入れ、
そしてSAOに閉じ込められた300人のプレイヤーの脳で人体実験を繰り返していた。
やがて結城明日奈を助けに来た桐ヶ谷和人をも追い詰めるが、
これでもかというほどに嫉妬していた茅場晶彦のサイバーゴーストにより
ALOの管理者アカウントを桐ヶ谷和人に奪われ、計画は失敗。
その後桐ヶ谷和人をナイフで殺そうとするもあっさり受け流され、
その後警察に連行され、現在事情聴取中。今回は、拘置所に入れられていた時期からの参戦。




【聖杯にかける願い】

再度成功をおさめ、桐ヶ谷和人に復讐をする。
だが、聖杯を手にした瞬間彼はそれ以上の事を
望む可能性が高い。


【方針】

ひとまずキャスターに金をやりながら様子見。


163 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/25(金) 19:12:23 DvN6lTl60
以上で投下を終了します。


164 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/26(土) 06:00:07 Q2TUtdM20
申し訳ございません、備考を付け忘れました。
【備考】
キャスターは、ロイミュードが勝手に暴れださないよう、キャスターの意志とコアを
完全に連結させています。


165 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/26(土) 22:25:14 hVxFmXP60
投下お疲れ様です。次の投下の際にまとめて感想を投下しようと思います。
私も投下します。


166 : 鏡写し ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/26(土) 22:25:43 hVxFmXP60

 煌めいた白刃が快音と共に空を切り裂き、外法の使い魔を文字通り頭の先から一刀両断する。
 元は何ら罪のない一般人であった筈の彼、ないしは彼女に同情はするが、だからこそ容赦しない。
 非道な実験の末に惨殺され、死して尚仇である外道に尊厳を弄ばれるなど真実地獄と呼んで差し支え無いだろう。
 振り上げられる異形の腕――日頃、戦場にて相対してきた怨念の塊共に比べ、その動きの何と緩慢なことか。
 たたらを踏んで回避し、返す刀で首を刎ねる。淀みなき動作は、それだけ彼が敵を斬る事に慣れている証だ。
 人を、ではない。彼が斬るのは飽くまでも敵のみ。辻斬り紛いの真似に浸るほど、彼は誇りなき刀ではない。

「何だ……何だ、貴様は……!」

 見苦しい動揺の色を丸出しにして、顔中に焦りの脂汗を浮かべ、自分の魔術が打ち破られていく様に恐怖する男。
 つい数分前まではあれほど余裕綽々の様を見せ、貴族の誇り等と戯言を抜かしてすらいたにも関わらず、化けの皮が一枚剥がれればこの有様だ。
 何時の時代も外道の末路とは決まって見苦しく、浅ましいもの。
 そんな定石を体現するが如く怯えを発露させた魔術師に対して、当然ながら同情の感情など微塵も浮かばない。
 
「貴様の全身から、魔力を感じる――貴様、人間ではないのか? 何なのだ、その力はッ!?」
「言っただろう」

 ごく淡白な口調で、その声色は平静をまるで崩さないものであったが、彼の攻めが滞る気配は皆無。
 最後の使い魔を袈裟懸けに切り裂いて、戛々と靴音を響かせ、足は地に蹲った魔術師の眼前へと向かっていく。
 彼にしてみれば規則的な靴音の音色は、死神が歩み寄ってくるような悍しいものに聞こえたことだろう。
 そして事実、その認識は何も間違っていない。この存在は、魔術師にとって紛うことなく死神となる存在だった。

「刀剣男士。神の末席だ」

 ひゅんと振るわれた打刀が、まるでバターか何かを切り裂くようにあっさりと、外道の首と胴とを泣き別れにした。
 恐怖の相を顔中に貼り付けて地を転がっている頭には見向きもせず、刀に付着した血を払って鞘へ収める。
 今しがたこの青年が斬首した魔術師は弁解の余地のない外道であったが、彼は自らの行いを善なる裁きだなどと捉えてはいないし、自分が正義の存在だと思い上がった考えを抱いてもいない。
 それどころか自分は悪であると自負しているし、そうでなくてはならないと思ってもいる。
 自らを現世に召喚(鍛刀)したかの審神者であったなら、お前は間違っていないと言ってくれるかもしれない。
 だが彼は、たとえそうであったとしても、その評は間違っているぞと是正する。
 ――己一人で完結する願いの為に人を斬り、屍を積み上げるような存在。それが悪でなくて何なのだ、と。
 
「終わったわ、山姥切」
「……無事か、アーチャー」
「ええ、おかげさまでね。マスターの指示が途絶えたら、あいつ途端に動きが悪くなったから……遠慮なくその隙を突いてどかーんとかましてやったわ」

 疲れを表すように伸びをしてみせる褐色の少女は、赤い外套に身を包んでいた。
 愛らしい顔立ちは高級なアンティークドールの類を思わせるが、こんな幼女が天下無双の英霊達と肩を並べる存在という事実の異様さが尚の事浮き彫りとなっている。
 サーヴァント。それは英霊の座に召し上げられた英雄、豪傑、偉人を指すが、その点で言えばこのアーチャーは実に異質なサーヴァントだ。
 アーチャーの宝具は、彼女自身が積み上げた逸話や担った武器に由来するものではない。
 とある英霊の性能や技能を、そのまま自らの体に引き継がせるという宝具――名を、クラスカード・アーチャー。
 彼女は正規の英霊ではなく、このクラスカードという特異な宝具を寄る辺に現界したイレギュラーであった。
 謂わば宝具こそが本体。彼女自身の肉体は、宝具にして本体であるクラスカードの器のようなものでしかない。


167 : 鏡写し ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/26(土) 22:26:07 hVxFmXP60
「……うっわ、こっちも随分派手にやったわね。ルーラーのヤツが変な誤解をしなきゃ良いんだけど」

 それでも山姥切国広という刀剣は、彼女を出来損ないの偽物と謗ったりはしない。
 そんなこと、思ってすらいない。彼女を偽物と否定することは、即ち自分自身を否定するのと同じであるからだ。
 
 山姥切という霊剣が有る。『国広』の二文字が付かない、正真正銘の霊剣だ。
 嘗て北条氏政が長尾顕長に贈り、戸隠山に潜む山姥を斬ったと伝えられる一振り。
 山姥切国広という刀は、その写しである。霊剣を模して造られたとされる、国広第一の傑作。
 人は時に彼を偽物と呼んだ。化け物を斬れない出来損ないの贋作と蔑み嗤った。
 そしてその忌まわしい記憶は、刀剣男士として鍛刀され、歴史を守る戦を繰り広げる中でも薄れる事はなかった。

「……一つ、失礼な事を聞いても良いか」
「何?」

 山姥切国広の願いは、即ちそれだ。
 自分が偽物ではなく、れっきとした傑作の刀であるという事実を証明したい。その為に彼はこの地で剣を振るう。
 聖杯の力を用いたならば自身を未だ苦しめる悪評を全て消し去り、真実を知らしめることも可能だろう。
 逆に言えば、万能の願望器などという大それた物に縋らなくては叶わない程、贋作の悪評は深く根付いている。
 山姥切は、その事が許せない。理屈では解っていても本心では決して納得出来ない。
 山姥を斬る必要などないのだ、自分には。何故なら俺は天に名高き霊剣と同じ名を持ってはいても、同じ刀でも、それを騙る鈍刀でもないのだから。
 俺は俺だ。それさえ認められれば、他に望むことなど何も無いというのに。

「お前は、自分が偽物だと思ったことはないのか」
「わお。結構ずけずけ来るのね、驚いたわ」
「……気に障ったなら謝る。答えたくなければ、それでも構わない……只、気になっただけだ。俺の願いは知っているだろう、お前も」
「別にいいわよ。昔のわたしならさておき、今のわたしはそんなに子供じゃないからね」

 やれやれと肩を竦める仕草は、どう高く見積もっても十歳と少しであろう齢の少女にしては大人びていた。
 無論彼女も英霊なのだから、実際に生きてきた年月と外見は必ずしも一致しない。寧ろ一致する方が稀だ。
 然しそれでも、山姥切の知る子供という生き物に比べてみると、やはり別物という評価を下すしかないだろう。
 彼女の目は戦いを経験した者の目だ。山姥切が居た本丸で言う所の短刀達も、ああいう目をしている。
 尤も、英霊たる彼女と比べるのは流石に酷というものだろうが。

「結論から言うと、無いわね。わたしはずっと、わたしはわたしという固有の存在だと信じてたから。わたしが欲していたのはあなたとは違う物」
「……それは、何だ」
「自分の居場所」

 アーチャーは何かを懐かしむような目で、遠くの空を見つめていた。
 
「存在をなかったことにされて、生まれた理由はなくなって、おまけに家族の中にもわたしはいない。それを知った瞬間、願ったのよ。ただ、生きていたい――ってね」
「叶ったのか」
「ええ。願いがないって言ったのは、そういうこと」


168 : 鏡写し ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/26(土) 22:26:42 hVxFmXP60
 アーチャーは召喚されて直ぐに言った。自分には願いがない、聖杯が使いたければ好きにしろ、と。
 サーヴァントは慈善事業ではない。彼らとて叶えたい願い、理想を胸に聖杯の獲得を望んでいるのだ。
 その前提に真っ向から反しているこのアーチャーは、そういう意味でもとことん英霊らしからぬ奇形だった。
 だがそれも詮無き事だろう。彼女はどこまでも幸福な人物だったのだ。二度目の生だの願望器の力だのと言ったものに頼る意味が見出せないくらいには、その生涯は暖かさに包まれていた。
 山姥切は思う。アーチャーと自分とでは、まるで逆だと。
 居場所を欲し、自分は確たるものだと信じていた彼女。
 居場所は有ったが、自分を確たるものだと開き直れず、呪いの如く染み付いた悪評へ抗い続けるしかない自分。
 つくづく皮肉な巡り合わせだと、山姥切国広はそう思わずにはいられなかった。
 
「……時間を取らせたな。敵は倒した。戻るぞ、アーチャー」
「はーい。そろそろ日も暮れて結構経つし、帰ったらご飯にしてくれると嬉しいわ」
「前にも言っただろう。料理の作り方なんて、俺は知らん」

 教えられれば出来るだろうが、習ったことがないのだから知っている筈もない。
 本丸で過ごす日々の中には内番で牛馬の世話をすることもままあったが、料理担当はいつも決まっていた。
 聖杯戦争に来てからというもの、取る食事は大体が完成品の惣菜ばかりだ。
 ……本来、末席とはいえ神である刀剣男士に食事の概念は必要ない。そこについては、サーヴァントも同じだ。
 しかしアーチャーは食べないと落ち着かないという理由で欠かさず食事を摂っている。山姥切が食事を必要としている理由もまた、アーチャーと同じであった。
 要は、落ち着かない。習慣化されているものを疎かにすると、やはり慣れるまでは違和感に悩ませる事になる。
 
 俺も、恵まれていたのかもしれないな。本丸で過ごした日々を思い返すも、彼は決して踵を返さない。
 只一つ抱いた願いを以って、只一つ刻まれた汚点を清算する。――その為だけに刀を振るうと決めたのだ。


【クラス】
アーチャー

【真名】
クロエ・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ

【ステータス】
筋力D 耐久C 敏捷C 魔力B 幸運E 宝具?

【属性】
中立・善

【クラススキル】
対魔力:D
一工程による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。


169 : 鏡写し ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/26(土) 22:26:58 hVxFmXP60

【保有スキル】
心眼(真):B
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”
逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

千里眼:C
視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。

魔術:C-
オーソドックスな魔術を習得。

【宝具】
『彼の荒野は我が心臓に(クラスカード・アーチャー)』
ランク:E〜B++ 種別:可変 レンジ:可変 最大捕捉:可変
クロエ・フォン・アインツベルンという英霊を存在させている常時発動型の宝具。
未来の時代から呼び出される筈だった赤き外套の英霊が持つ力を、アーチャーはその身に宿している。
スキルや性能が類似しているのはこの為で、上述のスキルに加えてランクC相当の投影魔術スキルもこの宝具によって使用可能。投影で数々の武装を生み出し、遠距離戦も白兵戦もこなすオールラウンダー。
宝具の性能自体は全体的に赤き外套の英霊が用いていた劣化品の更に劣化と言うべきものにまでランクダウンしているが、威力だけならAランク宝具に匹敵するだけの武装も彼女のレパートリーには存在する。

【weapon】
投影した宝具

【人物背景】
実の母親によって機能、知識、記憶を封印された「本来のイリヤスフィール・フォン・アインツベルン」とでも言うべき存在。当初は人格だけの生命体だったが、弓兵のクラスカードを核に受肉する。
以後イリヤとは対立するも、終いには和解。彼女の姉妹のような存在として日常を生きることになる。

【サーヴァントとしての願い】
なし


【マスター】
山姥切国広@刀剣乱舞

【マスターとしての願い】
自分が偽物であるという悪評を消したい

【weapon】
自分の現身でも有る打刀『山姥切国広』。これが破壊されれば、山姥切も消滅する。

【人物背景】
神の末席に身を連ね、歴史修正主義者の勢力を討つべく鍛刀された刀剣男士と呼ばれる存在。
霊剣山姥切を模して造られたとされており、自分がオリジナルでないことへ強いコンプレックスを抱いている。
実力は充分にあり、練度も高いが、様々な面で拗らせてしまっている人物。

【方針】
敵は倒す


170 : ◆Kg5jfkWIPU :2016/03/26(土) 22:27:11 hVxFmXP60
投下を終了致します


171 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/26(土) 22:29:55 7JTGRDU20
投下します


172 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/26(土) 22:31:30 7JTGRDU20
◆聖人と天使◆

「MJ。君はこの戦いにどう臨む」
50人は寛げる広い部屋、南側が全てコンピュータ制御の遮光スクリーンが施さた窓になっていて、常に快適な光が射し込む一室で、ソファに掛けた男が問いかけた。
「この戦いに集まるのは、偉業をなした人類や異世界の英雄。歴史上の至宝だろう」
問いに答えたのは、椅子に掛けた青年であった。背もたれに身を預け、頬杖をついた姿は、天才の手になる天使を描いた絵画の如く、気品に満ちて美しかった。
「それが?」
男が笑みを浮かべる。長く伸びた髪と顎鬚が誰かを思わせる顔であった。
「嘗てその歌声を以ってフランスの至宝と呼ばれた老婆に、パーティで歌うよう依頼したことがある。断られたがね」
青年が男に顔を向ける。その口元に浮かんだ笑みは人では無い存在をイメージさせた。
「それから?」
男が身を乗り出す。この後に続く言葉を待ち切れぬというように。
「犯した。フランスの財産を汚しに赴いただけだったからな」
事も無げに青年は言った。何の感慨もその言葉には篭っていない。『どうでも良い』という感情すら篭っていないその口調は、およそ人が人に向けるものではなかった。機械のように無感情だが、機械のように無機的では無い。
その声には機械には決してあり得ぬ、、人にしか持ち得ない響きがあった。
「MJ。君はやはり素晴らしいサーヴァントだよ」
自らと青年を祝福するかのように両手を広げて笑う男。
「私の事はクラス名でと呼ぶべきだろう?」
相変わらず無関心に答える青年。
「構わんさ、聞く者は我々だけだ」
「…そうだったな」
僅かな沈黙を置いて応じる青年。それきり両者は沈黙し、部屋に静寂が訪れたかに思えた。


173 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/26(土) 22:32:19 7JTGRDU20
「さっ…さと……ころ…せ」
それを覆したのは、MJと呼ばれた青年の足元に転がる、甲冑に身を包んだ壮年の男だった。
「いか…す…気など……無い…の…だろう……」
口から赤い血と、黒い油を吐いて呻く男を、MJは実験の過程を見る研究者の如き眼で眺めやった。
「大したものだなランサー。心臓と右の肺以外の内蔵を石に変え、血の半分を油にされてまだ話せるのか」
「サーヴァントというのは存外にタフな存在だね。魔力に乏しい我々としては、戦略を考えないと」
自分と契約していないサーヴァントを前に弱点を語る。既にこの両者の思考ではランサーは脱落者だった。
そのマスターも、また。
部屋の北側の壁にうら若い女性が逆さ磔にされていた。両手の甲と一纏めにされた左右の足首を杭で穿たれ、流れる血潮が床を赤く染めていた。
青春の只中にある十代半ばと思わしき顔は苦悶と恐怖に歪み、半開きになった口からだらしなく舌を垂らし、その下――――今は上――――の一糸纏わぬ裸体は、火傷裂傷打撲傷刺し傷といったものでくまなく覆われていた。鱗のように硬質化してひび割れているところや、酸を浴びせられた跡まであった。
「さっさと殺してやれ!!!!外道共!!!!」
ランサーが吼えた。真性の憎悪と殺意を込めて。
ランサーは猛り狂う。魔術師でもなんでも無い、巻き込まれただけの只の市井の少女の身で、ランサーとして現界した己の願いなどに付き合い、この殺し合いに参加した少女の為に。
一度殺し合いに乗った以上、殺される事は仕方ないと覚悟していた。だが、これは、こんな最後は。こんな終わりを迎えなければならない少女では断じてなかった。
だが、しかし。
「まだ彼女の元居た家族の名前を聞いていない」
頭上からの声に絶句するランサー。
愕然と上を見上げると己を見下ろす敵サーヴァントと目線が合った。
――――この眼…なんだ……この眼差しは……――――
人の最も深い処。魂を嘲笑うその眼差しは英霊などという存在では無い。
――――これは…なんというものが招かれたというのか――――
「どうすると…いうのだ……」
己の声が、まるで遥か遠くで虚ろに響く誰かの声のように聞こえる。


174 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/26(土) 22:32:53 7JTGRDU20
「お前は知るまい。麻貴神コンツェルンのトップに逆らった連中にどこまで破滅の手が及ぶのか」
“MJ”その名を知るものがここに居れば、少女とその類縁の運命を悟り、涙を流すか神に祈るだろう。
――――かつてMJは、工場誘致を拒んだフィンランドの自然愛好家メンバー、計三十七名に、当人のみならず、孫子に至るまで、およそ考え得るあらゆる圧迫、妨害、誹謗中傷の嵐を見舞う、凄まじい報復を行った。
ある者は、交通事故、海難死、墜落事故に遭遇し、ある者は癌や心臓疾患に倒れ。
ある者は、洪水や津波、落雷、地震等の自然災害に消えた 。
遺族には取引銀行の倒産、所持株の大暴落、ようやく探し当てた職場の倒産、政治宗教上の差別が容赦無く襲いかかり、子供を道連れに生命を断つ父や母が続出。
同様の運命は遺族にも襲いかかり、一家のみならず一族郎党死に絶えた家系実に三十。行方不明で足跡を辿れぬ者も入れると、三十五の一族を地球上から抹消された。
彼等のその後を調査した統計学者は、“どのような人生を振り分けられようとも、人間である以上このような運命を辿るはずが無い ”
と、涙まじりのレポートをまとめたという。――――
敵対した者の一族の幼子ですら許さず絶やし尽くすその心性は、まさしく悪魔と呼ぶに相応しい。と言われたMJの精神であった。
ランサーはそのような事を当然知らなかったが、MJの持つ無比の邪悪さは理解した。
「彼女達の過ちは一つ。巻き込まれたと知った時に死ななかった事だ。自殺しておけば、我々と出会うことは無かった。彼女たちの家族もNPCとはいえ無残なことだ、生きたまま解体されるとは」
そのマスターの無類の邪悪さも理解できた。
「オ…オ…オオオオオオ!!!!!!」
ランサーは最後の力――――とすら言えない力を振り絞る。
討たねばならなかった。斃さねばならなかった。この様な邪悪はあってはならぬ存在であった。
聖杯を掴ませる事はおろか、他の人間に接触させてはならない存在であった。
「己の願いの為にマスターに道を誤らせて忠臣面か」
嘲笑する敵サーヴァントの心臓へ、ランサーは己の拳を撃ち込んだ。


175 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/26(土) 22:33:36 7JTGRDU20
「驚いたよMJ。まさか反撃してくるとはね、やはりサーヴァントとは油断できない」
MJは無言。貫かれたはずの胸部には何の傷も無かった。
そしてランサーは、捻くれた毛むくじゃらのおのが右腕を見て絶叫していた。
「マスター。消耗はどの程度だ?」
「Cランクの対魔力の相手では、あまり消耗しないな」
実際には、常人なら昏倒する程の消耗をしているのだが、さしたる痛痒見せないのが、このマスターの人間離れした体力を物語っていた。
「何事にも実験というもんのは必要だ。自分を用いねばならぬのが難点だが」
そう言うと、MJはランサーに手を伸ばした。
「耐えられなくなったら言いたまえ。マスター」
そうしてランサーは変えられていった。
捻れた毛むくじゃらの幾つもの節を持った四肢を持つ獣に。
「ふむ、サーヴァントが人の顔の獣になる、か。ならば」
大してこたえた風もなく、男は右腕を振った。
なんたる無残。男は壁の少女の鼻をもぎ取っていた。
絶叫する少女を見もせずに
「マスターは人の顔でなくせば釣り合いが取れる」
そして今度は右目を抉った。
「まだ人の顔だな」
少女の哀願を無視して、歯を一本一本抜いていった。

この聖杯戦争に何人が参加し、何騎のサーヴァントが招かれたかは不明だが、今のところ最も無残な死を迎えるのは、この二人で有ることに異義を挟める者は居ないだろう。



「さて、君の願いを聞かせてくれ、MJ」
数時間技。逆さに磔られた頭部の無い人体が、奇怪なオブジェとして壁を彩る部屋で、男は自分のサーヴァントに質問した
「誰の手になるものかは知らぬが、この様なことを行わせるからには、何か目的が有るのだろう。その願いを聖杯で破壊する」
「皮肉が効いているな」
「其の者が自分のいた世界を愛しているなら聖杯で滅ぼす」
「面白い発想だ。では私は愛している者達を惨死させようか」
サーヴァントを祝福する様に笑う男。己のサーヴァントに心底満足した様だ。自分のサーヴァントに対する祝福に満ちたその顔は、人の子の罪を背負って磔刑にされた聖人の顔を思い起こさせた。
「さてMJ。我がアヴェンジャーよ。聖杯を得に行こうじゃんしか」
「ああ、マスター」
答えるMJ。アヴェンジャー。その顔は光りを自ら放つかの如く、その身体は完璧な黄金律で構成されて、美しく輝いていた。
この二人が並んで立っている様は、まさに神の子とそれに従う天使をおもわせる。
だがこの二人は聖でなければ善でも無い。
悪。人の姿をした悪そのもの。人のかたちをした地獄へと続く奈落であった。
この両者と同じ舞台に立ったものに救いあれ。
この両者を招いたものに呪いあれ。
仮初めの函館市は、今ここに二人の魔人の狩場と化した。


176 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/26(土) 22:34:06 7JTGRDU20
【クラス】
アヴェンジャー

【真名】
麻貴神十字(MJ)@魔人

【マスター】
シックス

【ステータス】
筋力:E 耐久:E 敏捷:E 幸運:B 魔力:E 宝具:EX


【属性】中庸・悪

【クラススキル】
無し

【保有スキル】
黄金律:EX
人体の黄金比では無く、人生でどれだけお金がついて回るか。
既存の経済機構の中で巨万の富を獲得することも、既存の経済機構を破壊して新しい経済機構を構築することも可能。無一文の状態からでも既存の経済機構を支配することも容易いアヴェンジャーにとって、金銭とはどうとでもなる代物である。
このランクは金運の有無では無く金銭に対する超越性を示している。

邪悪の性質:EX
生前、悪魔と呼ばれた精神性。極めて高ランクの信仰の加護、威圧と同じ効果を持ち、良心や情愛に働き掛ける精神攻撃を完全に無効化する。
また、高い加虐性を持ち、相手を精神的に追い詰める。この為戦闘時にはわざと相手の攻撃を許すことが多い。
Cランク以下の精神耐性スキルでは、向かい合っているだけで、恐怖や不安感に苛まれる。

神の叡智:A++
生前、アヴェンジャーは神の叡智を持つと言われた天才であった。
同ランクの専科百般スキルと同じ効果を発揮し、高速思考、分割思考、計略、破壊工作、話術他、頭脳に関わるスキル全てを併せ持つ。
現代もしく現代に近い技術水準ならば、未知のものでも短期間の学習で習得可能。

美貌:C
美しさ。アヴェンジャーの美貌は神秘に根差したそれでなく、持って生まれた天然の美貌である。それ故に精神力を保証するスキルでしか防御出来ない。
性別問わず、Dランク以下の精神耐性の持ち主は、顔を直視するだけで茫然としたり、怯んでしまったりする。常時発動している天然の精神攻撃とほぼ同義。
ランク以上の精神耐性の持ち主でも、確率如何では、その限りではない。人間に近い精神構造の持ち主なら等しく効果を発揮する
アヴェンジャーの精神を知るものでも「天使のような」と賞賛する美貌であった。

陣地作成:C
宝具を用いれば極めて強固な陣地の作成が可能

道具作成:EX
宝具を用いれば、構造さえ理解していれば宝具を作成することも可能。
ただし、強度や質感や形状は本来の持ち手でも真贋を判別できないものとなるが、真名解放した時の効果は再現できない。

カリスマ:D
人を率いる才能。統率力こそ上がるが、士気を大幅に下げる。本来は最高ランクだが生来の気質により低ランクに落ちている。一部の人間には狂的に崇拝された為、最低ランクでは無い。
宝具を用いればAランクにまで上がる


177 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/26(土) 22:34:41 7JTGRDU20
【宝具】
仮想幻実(ヴァーチャル・リアリティ)
ランク:EX 種別:対界宝具 最大補足;10人 レンジ:1〜40
嘗てアヴェンジャーがアメリカのコロラド州の地下に幽閉されていた際、宇宙人の死霊から授かった現実と仮想(夢)を操る能力が宝具化したもの。
自らを現実に存在する夢と変え如何なる攻撃も透過させる、攻撃を夢と変え現実より消滅させる事による防御。
対象の一部、或いは全体を夢と変え現実より消滅させる、もしくは現実に存在する夢と変え、異形の姿にする。
物質や兵器を幾らでも創り出し存在させ続ける事や、記録の捏造及び認識の操作で別人となる事も可能。
永劫に続く通路を作ることも、ドアを開けた先を宇宙空間にすることも可能。
凡そ死者の蘇生以外のあらゆる行為を可能とする万能の能力。
最高ランクの正体秘匿・気配遮断・攻撃透過・物質透過・記憶操作等を併せ持ち、アヴェンジャーの邪悪の性質スキルを無効化し、カリスマを最大限発揮させることが可能となる。
無敵とも言える能力だが、聖杯戦争による幾つかの制限がある。
生前は何のデメリットも無く使えていた能力だが、サーヴァント化に際して魔力の消費という形でデメリットが顕れている。その消費量は絶大で、戦闘が長引けばマスターの命に関わる。
サーヴァント相手には接触する必要があり。対魔力が高い程魔力消費は激しくなり、Aランクの対魔力の持ち主を完全消滅させた場合、マスターが死亡する程の魔力を消費する。
創り出した存在は同時に3つまでしか存在させられない。維持にも魔力を消費する。
更に最大捕捉可能な人数にも大幅な制限が掛かっている。

【weapon】
宝具によりいくらでも創り出せる。

【人物背景】
伝説に曰く。十字の名をつけられた由縁はMJの父親がクリスチャンに改宗するつもりであったからだという。名字に輝く『神』の字が、真の意味で『神』として息子に授けられるようにと
別の伝説に曰く。MJの父母は息子の真の姿を知り、それを封じるべく十字と名付けたと。
両親の思惑は最早知る由は無いが、十字の名は背徳の逆十字として、燦然たる悪の光を放った。

198X年12月25日。麻貴神コンツェルン総帥の跡取りとして産まれる。その前日は院内にいる全ての患者が正体不明の不安を訴え。震え、泣き、痙攣した。
そして午前零時。産まれた赤子は邪念の相を浮かべ、高々と哄笑した。MJの伝説の始まりであった。
生後半月の時MJに笑いかけられた母親は発狂、以降の人生を精神病院で過ごす。
この悲劇を始めとして、数多の凄絶無残な伝説を残してMJは成人し、父のあとを継ぐ。
その後三年間の間に世界は前代未聞の経済恐慌を二度迎え、麻貴神コンツェルンのみがその立場を不動のものとした。
世界は麻貴神コンツェルン、即ちMJにより支配される直前であったが、MJに世界を握らせることを忌避した四人の親族により、MJは地中深く幽閉され、仮想現実の中で、生涯を平凡な人間として過ごす夢を見て過ごす――――筈だった。
如何なる理由か、仮想現実のMJのアバターが、現実世界でアバターに極めて近い境遇・性格の人間と同調。現実世界にアバターが出現し、己が仮想の存在であると自覚。夢を見させられていた事を理解したMJが覚醒してしまう。
そして地下で、地球人により異星の地で無残な最後を迎えた宇宙人の死霊と出会い。これを死者であるが故に、バース(誕生)と悪意を持って名付ける。
バースとの間に『地球を死の星へと変える』契約を結び、現実と仮想を操る能力を得て、現世へと帰還する。

復活したMJは別人となって南米の小国家で独裁者となり、5年でその地に万人が夢想するであろう理想国家を建設した。そして更に別人となって宗教家となり、理想国家を半年で破壊した。
目的を問われた時の答えは「人を知る為」であった。

遂に日本へと戻ったMJは親族達に復讐を開始。叔父の一人を発狂させ、叔母の息子ともう一人の叔父の娘を愛し合うように仕向け、その後二人の関係を破壊して心中に追い込み、叔母を絶望させて自殺を選ばせた

最終的には悪性そのものの性質が変化し、人の心を僅かに持つようになったのだが。マスターの性質が故に、悪そのものとして現界した。


【方針】
招かれた英霊達を貶め凌辱し絶望させる。
聖杯を手に入れた場合、聖杯を使って主催者の願いを破壊する。
主催者が生まれ育った世界を愛しているなら聖杯を用いて破壊する。
愛していなければ主催者を殺害し、受肉したのちに聖杯の使い途を考える。敵対したマスターは親類縁者悉く破滅させ惨死させる


178 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/26(土) 22:35:15 7JTGRDU20
【マスター】
シックス@魔人探偵脳噛ネウロ

【能力・技能】
強化細胞と身体を金属に変える能力とで、人間を超越した身体能力を有する。
放つプレッシャーにより自分の周囲にいる人間を無力化
配下の五本指の能力を使い、地割れや水鉄砲を起こせる。
高いカリスマ性と話術を持ち人身掌握術に長ける。
瞬間記憶能力により、拷問して聞き出した相手の性格・記憶・能力・パターンを覚え、顔の皮を剥いで被ることで別人になれる。
弱点を的確につき、相手より優位に立つことの天才。

【ロール】
本社がが北海道函館市に存在する世界レベルの大企業のトップ。

【人物背景】
七千年前から武器製造を営む一族。優れた武器を作る為に、悪意に優れた者に跡を継がせ続けて行った結果、悪意の定向進化が起こり、遂にはDNAレベルで人類を超えた存在となる。
その凄まじい悪意を常に他者に向けなければいられず。苦悶の表情を見ながら死なせるのを好む。

【方針】
アヴェンジャーと悪性を競う。
聖杯を手に入れた場合、主催者の願いを聖杯を使って破壊する。
主催者は元居た世界に愛する者が居るなら聖杯を用いて惨死させる。
居なければ主催者を惨殺し、元居た世界に帰る。



【運用】
アヴェンジャーは宝具無しだと常人と変わらぬ戦闘能力なので、魔力を確保する方法を考える。
魔術師が居たら電池として確保する。出来ることなら複数欲しい。
捨て駒用のサーヴァントと盾代わりのサーヴァントを確保する。できることなら複数欲しい。


179 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/26(土) 22:35:46 7JTGRDU20
投下を終了します


180 : ◆yYcNedCd82 :2016/03/27(日) 19:20:05 PyCPCCNU0
お借りいたします


181 : 百鬼夜行の巻 ◆yYcNedCd82 :2016/03/27(日) 19:21:41 PyCPCCNU0

「じゃあ郁乃、お姉ちゃん出かけるからね。遅くなるけど大丈夫?」
「大丈夫もなにも、入院してた時とか一人だったし、今更でしょ」
「なにかあったら百樹くんを呼ぶんだよ?」
「…………ちょっと、なんで百樹の名前が出るわけ?」
「え、だって、えと……あ、そっか。百樹くん、お医者さんの勉強で大変だから、邪魔したくないのか」
「違うわよ! いいからさっさとデート行って彼氏とズコバコギシアンしてれば良いのよ、このバカ姉!」
「しないもんそんなこと! もうっ! じゃあお姉ちゃん、行ってくるからね!!」」
「はいはい、気をつけてね、と……」

 バタンとドアを閉じて慌ただしく出掛けた姉を見送り、小牧郁乃は車椅子の上で、そっとため息を吐いた。

「……ったく、NPCならNPCらしく、話しかけられた時だけ話せば良いのに」

『ここはハコダテの街です』だとか。機械じみた返答しかしないなら、まだ良かった。
 NPCなのにも関わらず、あのバカ姉は細々と自分に気を使い、何くれと面倒を見て、ドジをする。
 そしてあいも変わらず、あの男とは事あるごとにイチャイチャしてるのだから、参ってしまう。

「家でまでするなっていうか、声丸聞こえだっていうの。こっちの身にもなれ……バカ」

 無神経で朴念仁で、鈍感で、姉にベタ惚れ。姉も彼のことが大好き。
 いつか殺す。そう思わず罵ってしまうほど、姉と姉の恋人は、郁乃が知る通りの人物だった。
 そうでなければ、まだもう少しマシだったろうに。

 郁乃は車椅子を転がして、自分の部屋へと戻った。
 この世界が何なのかは良くわからないが、どうせならこの足くらい何とかしてくれれば良いのに。
 気が利かないというか、現実通りそのまま過ぎるというか、なんというか……。

 とにかく今夜は寝てしまおう。

 姉が恋人の情事で喘ぐ声を聞き、自慰に耽ったのは思いだすだけで憤死物の恥ずべき記憶だ。
 何もかも考えず、うちに秘めたもやもやは全部押し殺して寝てしまうのが一番だ。
 そう思い、制服に手をかけたところで――ふと郁乃は自室の窓に目を向けた。
 車椅子を転がして近づき、思い切りカーテンを開いて窓を開ける。
 ふわりと夜の冷たい風が吹き込んできたが、それを意に介さず、郁乃は半眼になってじろりと睨む。

「ちょっと、見ないでよね」
「よせよ。見えるわけがないだろ」

 窓を開けた向こう側、隣の家の窓辺に、一人の少年がいた。
 乱雑に伸ばした髪をやはり適当に括っただけで、どうにも身だしなみに気を使っている風がない。
 百樹――隣の家に住む幼馴染。同級生。電子チャット上での友人「バウム」。

 ・・・・・・・・・・・
 そういう事になっている男の子というものを、郁乃はどう扱って良いものか、まだわかりかねている。

.


182 : 百鬼夜行の巻 ◆yYcNedCd82 :2016/03/27(日) 19:22:22 PyCPCCNU0

「そ」
 
 だからついつい素っ気ない返事になってしまうのも、仕方のない事だと思うのだ。
 郁乃は窓辺によせた車椅子から身を乗り出すようにして、窓枠に頬杖をついた。

「で、どんな感じ?」
「死霊の気配がするな」

 また始まった。自分から聞いておいて何だが、こいつは何でもかんでも死霊とか死神のせいにする。
 まるで目に見えない何かが見えてるみたいだ――そう考えて、郁乃は思わず顔をしかめた。
 じゃあ、あの五稜郭から伸びる瓦礫の塔が見える私は何なんだろう。
 
「間違いないぜ。たぶん、誰かがスタートの合図を出しやがったんだ」
「……聖杯戦争」
「好き好んで“いくさ”をやろうって奴だ。ろくなもんじゃないぜ」

 百樹は汚らしいものを吐くようにそう言った。
 どこか虚無的な雰囲気を漂わせている少年が、こうも感情を表に出すのは珍しいな、と思った。

「……ね。あんた、強いの?」
「強いかというほどでもねえけど。ま、大概の奴と戦っても負けないくらいだ。強いんじゃないか?」
「……そ」

 そしてすぐにこれだ。郁乃は「ふん」と鼻を鳴らすことで不満を露わにした。
 百樹が一瞬だけ覗かせた素の感情はあっという間に消え失せ、飄然としたものが覆い隠してしまった。
               ・・・・・・・
「せいぜい頼りにしてるからね、アヴェンジャー!」

 捨て台詞を残してぴしゃりと窓を閉じてカーテンも閉め、郁乃は息を吐いた。
 制服を乱雑に脱ぎ捨て、もじもじと車いすの上で腰を振るようにしながら寝間着に着替える。
 シャツのボタンをとめる間際、郁乃は姉と比べてあまりにも薄っぺたな自分の胸元をそっと撫でた。
 そこには心臓(Heart)を象徴するような複雑な文様が、三画によって刻まれている。

 ――聖杯戦争。

 彼女は現実的で、冷淡で、皮肉屋で、物事を斜めに見る癖が染み付いていた。
 だからだろう。ある日唐突にあの瓦礫の塔が目に入ることに気がついて、取り乱した時。

『なに言ってるの、郁乃。お姉ちゃんだって、それじゃ驚かないよ?』

 ――あんなところに塔なんて無いでしょ?

 大好きな姉が本当に困ったようにそう言った瞬間、彼女は総てを理解した。
 自分が住んでいる場所は函館じゃないということ。自分が聖杯戦争のマスターとして選ばれたらしいこと。
 そして自分が憎からず思っていた友人が、サーヴァントだとかいう人外のものだということ。

「なにそれ。……バカみたい」

 なにもかもがでっちあげだ。そして生きるか、死ぬか。小さいころから漠然とあった不安が、いよいよ形になる。
 ようやくベッドの中に入って、目を閉じた。とにかく自分が嫌になるほど嫌だった。
 自分で何とかしたくても――誰かに頼らなければならないというのは、本当に、嫌なものだ。
 郁乃はぎゅうっと枕をきつくきつく抱きしめて、無理矢理に眠りの中へと落ちていく。
 そして彼女は夢を見る。
 奪われた何もかもを取り戻すため、四十八匹の魔物と切り結んだ少年の、曖昧模糊とした夢を――……。

.


183 : 百鬼夜行の巻 ◆yYcNedCd82 :2016/03/27(日) 19:22:47 PyCPCCNU0


                     * * *


「ちぇッ これだから女って奴は嫌いなんだ……」

 そう一声ぼやいて、百樹――否、聖杯戦争に呼び出された英霊「アヴェンジャー」はベッドに寝転がった。
 アヴェンジャーは、かつて女と二人で旅をしたことがあった。
 今となっては懐かしく、心がどこか暖まるような思い出だが、あの娘にも随分と手を焼かされたものだ。
 隣家に住まう幼馴染――という事になっている――彼女の方がまだ女らしいとはいえ、気の強さはどっこいだ。 
 縁というものだろうか。
 どうにも自分は、そうした娘と関わりがある運命らしい。

 膠原病によって発症した1型糖尿病――であったか。

 記憶にある郁乃の病状は、確かそうだったように思う。
 幼い頃から病弱で入院してばかり。姉に面倒を見られ、自分は歩くこともできず、車椅子生活。
 そして出来上がった皮肉屋な性格――アヴェンジャーにしてみれば、平手打ちの一つもしてやりたくなる。
 だが彼女は平和な世界で、家族に囲まれ、戦とは無縁に生きる、ただの年頃の娘だ。

 アヴェンジャーとは何もかも違う。

「しかし、俺…………俺が、お医者先生志望、ねえ……」

 自分に与えられた架空の身分を思い、アヴェンジャーは天井に向けて呟いた。
 彼が自分の素性を隠して生きてきた事が、英霊として呼びされた今、そういう風に作用しているらしい。
 医者を目指して学校に通っている少年、百樹。
 それが今のアヴェンジャーだ。
 そしてこの気に食わぬ事だらけの聖杯戦争の中で、唯一悪くないと思えた事でもあった。
 何しろ彼を拾い、育ててくれたのは、さる一人の医者であった。
 アヴェンジャーは心からこう思う。
 
 ――あの人は偉い医者だった。

 ――俺の体をちゃんと一人前のように、作りなおしてくれた。

 ――優しい、立派な人だった。

「……へへっ」

 もしも自分がこの平和な時代に生まれ育っていたなら、きっと医者を目指しただろう。
 あの素晴らしい人と同じ道を。そう思うと、得も言われぬくすぐったさがアヴェンジャーの心を擽った。
 郁乃のように病を背負いながらも懸命に生きんとする娘を救う。
 全身に傷を負い痛みに苦しむ人を救う。
 手足を喪い藻掻く人々に新たな手足を与える。
 父と同じように――それはどんなに素晴らしい事であろうか!
 だが同時に、こうも思う。
 
 ――それは決して、ありえないことだ。

 アヴェンジャーは知らず、左腕をきつく、きつく握りしめていた。
 それは人の腕ではなく、呪法によって作り上げられた人造の腕だ。
 いや、そればかりではない。
 両手、両足、両目、鼻、歯、舌、喉、肺、心臓――……。
 五十余年をかけて彼が怪物どもより奪い返した四十八の部位は、全てまた喪われている。
 何故か。
 その「四十八の部位を奪われた」姿こそが、アヴェンジャーの“全盛期”であるからだ。

「……ちくしょう! ……よくも、よくもやってくれやがったな……!」

 聖杯戦争――どこの誰が考え、企んだものかは知らないが、アヴェンジャーの心に炎が灯った。
 闇の中を這いずり回りながら、一筋の光を求めて旅していた頃に燃えていた、かつての昏い炎だ。
 戦なぞとは無縁の世に生きる、生来の病を背負った娘――もしかしたら自分もそうなり得たかもしれない彼女。
 それを有無をいわさず殺し合いの場に放り込み、生け贄とする?
 ようやっと取り戻した己の肉体四十八ヶ所を再び取り上げ、戦えと命ずる?

 もはや彼は自分の“主人”とされた娘の顔も、声も聞くことはできない。
 ただただ自身に備わった精神感応力で読み取り、感じ、把握するだけだ。
 生涯かけて取り戻した世界も、匂いも、味も、声も、彼の総ては再び奪われたのだ。

 アヴェンジャーは、風の音を聞いた。
 オウオウと唸るように部屋へ吹き込む風の音を。
 悪霊や怨霊が、傑作だと笑いこけているその声を。

 ――貴様らは餓鬼だ。

 ――地獄の最底辺に落ちた小鬼の如き小僧と小娘だ。

 ――どんなに求め欲したところで何物も手に入れられぬ亡者だ。

「バカヤロウッ!!」

 瞬間、アヴェンジャーは左腕を"払った"。
 風が甲高く渦を巻いた。悲鳴の如き叫び声をあげた。それは両断された魑魅魍魎の断末魔であった。
 空を切り裂き煌めくのは、アヴェンジャーの左腕から生えた刃。
 背筋に震えが起こるほどに剣呑な光を持つ刀――……。

 ・・・・  ・・・・・・・・
「俺を返せ! 俺たちを、返せッ!!」

 その名を「百鬼丸」と言う。

.


184 : 小牧郁乃&アヴェンジャー ◆yYcNedCd82 :2016/03/27(日) 19:25:10 PyCPCCNU0
【クラス】
アヴェンジャー

【真名】
百鬼丸@どろろ

【マスター】
小牧郁乃@ToHeart2

【ステータス】
筋力:C 耐久:A 敏捷:A 幸運:D 魔力:E 宝具:A

【属性】混沌・善

【クラススキル】
・復讐者:A
 応報を果たす者としての資格。その強力な意志。
 戦闘中の合計被ダメージに比例して攻撃威力が上昇する。
 この効果はアヴェンジャーが単独戦力として戦う限り発揮される。

・自己回復(魔力):B
 戦闘時に限り毎ターン、MPを最大値の1/10ずつ回復する。
 復讐を遂げるまでその身に宿る昏い炎。


【保有スキル】
・直感:A +
 第六感によって常に自身と周囲の状況、敵の思考を“感じ取る”能力。
 アヴェンジャーの保有するものは精神感応(テレパシー)に近い。
 生涯かけて鍛えたことで、強烈な思念攻撃で敵を気絶させる領域に達している。

・専科百般:B
 アヴェンジャーが自身の不具を隠すために習得した各種スキル。
 腹話術や、義体を操作する技術、目や耳が見えずとも心眼で察知する術など。
 肉体の異常、サーヴァントである事を看破する判定にペナルティを与える。
 実際に正体が明かされるまで、アヴェンジャーが何者か気づくのは困難である。

・妖殺:B
 魑魅魍魎との豊富な戦闘経験。
 人外の属性を持つ相手に対してダメージが向上する。
 また日本在住の妖怪変化に対して、正体看破の判定にボーナスを得る。


【宝具】
・蛭子命(ひるこのいのち)
 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人
 呪医の寿海によって造られたアヴェンジャーの肉体そのもの。
 この肉体は両手両足目鼻や内臓、神経といった全身四十八ヶ所が人工物である。
 それらの部位に対するダメージは、魔力消費によって自動で治癒され、無効化される。
 またアヴェンジャーがサーヴァントを一騎撃破する度、失われた生身の部位が再生する。
 目、鼻、耳などの感覚器が奪われている間、五感に対する攻撃を完全無効化する。

・百鬼丸(ひゃっきまる)
 ランク:A 種別:対魔宝具 レンジ:1〜3 最大捕捉:1人
 アヴェンジャーの左腕に埋め込まれている、彼の名の由来となった名刀――あるいは妖刀。
 妖怪に家族を殺された鍛冶師が命をかけて鍛え上げた、この世ならざるものを斬るための業物。
 さらにアヴェンジャーが生前四十八匹の魔神を滅ぼした事によって、概念武装として完成した。
 霊的存在であるサーヴァントに対し、如何なる防御をも無視してダメージを与える事ができる。
 さらに真名を解放することで、対象の保有する第五架空要素を完全消滅させる。


【weapon】
・無銘:刀
 アヴェンジャーの右腕に内蔵された刀。無銘の業物。
・大筒
 アヴェンジャーの右足に内蔵された大砲。
・焼水
 アヴェンジャーの左足に内蔵された強酸放射器。
・雷玉
 アヴェンジャーの鼻に内蔵された強力な爆薬。
・万能具
 アヴェンジャーの眼球に内蔵された各種小型工具。


【人物背景】
天下に目の眩んだ父により、四十八体の魔神に対する生け贄として生まれた少年。
魔神たちに体の四十八ヶ所を奪われて捨てられたが、寿海という呪医によって救われる。
長ずると義父に与えられた義体と魔剣「百鬼丸」を手に、自らの肉体を取り戻す旅に出た。
そして戦国乱世に翻弄され、迫害され、実の弟や父とも刃を交え、五十余年かけて総ての魔神を滅ぼした。
過酷な人生から虚無的で、ややもすると冷徹な風にも見られるが、内面はお人好しな性格をしているが、
同時に権力者や傲慢な者、弱者を軽んじる者に対しては憎悪にも似た感情を抱いている節がある。


【ロール】
医師を目指す高校生『百樹 丸雄』としての殻を与えられている。
普段は郁乃の隣人として彼女と共に学校へ通い、面倒を見、その身辺を守る。


【サーヴァントとしての願い】
・小牧郁乃とその家族を守る
・聖杯戦争の首謀者を討つ


.


185 : 小牧郁乃&アヴェンジャー ◆yYcNedCd82 :2016/03/27(日) 19:26:28 PyCPCCNU0

【マスター】
小牧郁乃@ToHeart2

【能力・技能】
・車椅子
 膠原病の1型糖尿病を発症し、日常生活で車椅子が手放せない。
 また日常的な常備薬の服用が必須。聖杯戦争中も定期的な通院が必要。

【ロール】
 函館市内の学校に通う女子高生。
 姉「小牧愛佳」と同居している。

【令呪】
 心臓@胸元

【人物背景】
生来病弱で入退院を繰り返している以外、極普通の少女。
そうした日々から皮肉屋で現実的な性格で、口も悪くなってしまった。
世話焼きの姉のことを心から大事に思っている反面、ついつい意地悪をしてしまう事もあり、
姉の恋人となった「河野貴明」に対しては、姉にふさわしく無いと厳しい目を向けている。

【方針】
自分の姉や姉の恋人がNPCという実感がないため、家族を守ること、身を守ることが第一。
聖杯戦争それ自体については消極的だが、その為には戦い抜かねばならない事を理解している。
状況が大きく動くまでは日常生活の維持と、専守防衛に努める。

【運用】
敵サーヴァントと遭遇した場合、アヴェンジャーは郁乃を守りながら両腕の刀で接近戦を挑む。
相手に隙があれば直感スキルから派生する思念攻撃、もしくは『蛭子命』である全身装備を躊躇なく用いる。
ただし郁乃が自力移動困難なため、彼女に危機が及ぶ場合は彼女を遠ざける事を優先する。
また郁乃の体調問題もあるため、日常生活および通院に関しては崩すことができない。

.


186 : ◆yYcNedCd82 :2016/03/27(日) 19:28:24 PyCPCCNU0
ありがとうございました


187 : ◆T9Gw6qZZpg :2016/03/28(月) 00:46:42 1/PlIMyo0
投下します。


188 : オルゴールの小箱 ◆T9Gw6qZZpg :2016/03/28(月) 00:47:36 1/PlIMyo0
 


 それは、あたしが変身するための魔法。
 可愛いあたしになるための、最後の一歩を踏み出す勇気。
 恥じらいの先にある煌めきが、あたしにとっての夢だったから。






189 : オルゴールの小箱 ◆T9Gw6qZZpg :2016/03/28(月) 00:48:03 1/PlIMyo0



 函館オルゴール堂。
 それは、北海道小樽市を本拠地とするオルゴール販売店が函館市内で企業活動を行うために設置した支店である。
 しかし独立した敷地を保有しているわけではなく、西武波止場付近の区画内に並び立つレンガ造りの建物、通称「金森赤レンガ倉庫群」で他の商店と敷地を共有する形で店を構えている。
 土産物として定番の洋菓子や服飾品といった品物に加え、大小様々のオルゴールもまた函館を訪れた観光客の注目の的となる場であると言って良いだろう。
 その種類は様々で、小型のガラスケースにオルゴール本体を収めたシンプルな物から、天使や楽器を模したガラス細工付きであったり、はたまたオルゴール本体を内側に入れた愛らしい動物のぬいぐるみであったり。勿論、オルゴールの音色で奏でられる往年の名曲を収録したCDアルバムも販売されている。
 また製品化されたオルゴールを購入するだけでなく、小物からケースまで自分で選んだオリジナルのオルゴールの製作が出来るということもまたオルゴール堂の特色の一つである。
 そして今回のロケ収録の予定の中には、そのオルゴール製作も含まれている。東京を発つ前にプロデューサーからそんな説明をされた記憶、付け加えれば少し前に北条加蓮と「どんなの作ればいいんだろうなあ」と喋り合った記憶が、神谷奈緒の頭には刻まれていた。

「ねえ奈緒、まだ悩んでるの? 気に入ったものをデコっていけばいいってプロデューサーも言ったたじゃん。ていうか、ロケ明日なのに気早くない?」
「ん、ああ……」

 思わず形作っていた顰め面を、加蓮はオルゴール製作についての悩みの延長だと受け取ったらしい。
 本当の理由を、加蓮には説明出来ない。仕方が無いので「別にいいだろ」とだけ返し、加蓮がソファに座るのを何とは無しに眺める。30センチ先に、いつも通りの白肌の横顔があった。
 二人で身を寄せるこの部屋は、彼女達の宿泊先である函館市内のホテルの一室。奈緒達以外にもこの部屋で一緒に宿泊する少女達がいるのだが、彼女達は今それぞれの理由で部屋の外にいるため、部屋の中にいるのは二人だけである。
 少女達が結成したとある音楽ユニットが、市内で開催予定の合同音楽祭にゲストとして招かれた。そのためにこうして東京からはるばる海を渡って北海道入りである。そのついでと言うべきか、先述のロケや開通した新幹線のレポートなど幾つかの仕事もプロデューサーが取ってきたのだという。
 何であれ、仕事とは言え有名な観光スポットを訪れられるのは嬉しいことである。叶うならば、こんな形ではない機会に恵まれたかったのだけれど。
 そんな嘆きは露知らずといった調子で、加蓮は膝の上で雑誌を広げる。資料として渡された旅行ガイドだ。その紙面を見る限り、函館市内に限ればあの日本で一番有名なファストフード店よりも店舗数が多いというご当地ハンバーガーショップが一番の関心毎のようだ。

「……やっぱりジャンクフードかよ。健康には気を遣えよな」
「好きなものは好きだからしょうがないの。好きなものを楽しむのも旅行の醍醐味でしょ? それが仕事にもなるんだから一石二鳥じゃん」
「言い得て妙、なのかな」
「そうそう。例えば公会堂、だっけ? そこで昔のロマンでキレーなドレス着る撮影が楽しみだな〜って思ってる誰かさんなんかは特にね」
「……それ、あたしのことかよ」
「うん……やっぱり、ノリ悪くない? いつもは『はあああ!?』って声上げそうなのに」
「悪かったな」

 意地の悪い口振りも、遠慮の無い態度も、ころころと笑う表情も。どこを取っても、いつも通りの北条加蓮だという印象しか持てなかった。
 奈緒も素直になればいいのに。そう言ってまた笑う姿も、また。
 そんな彼女だから、心の内をつい明かしてしまう。意味が無いと、理解していたはずなのに。

「……加蓮はさ」
「うん」
「可愛いあたしのこと、好きか?」

 声に出した瞬間、頬が熱くなっていくのを実感する。
 まるで訳の分からない質問だと自分自身でも思う。案の定、加蓮はきょとんと目を丸くしてこちらを見つめていた。
 今の加蓮に対してどう説明すればよいのか分からないまま口を開いてしまい、このザマだ。
 耳まで赤くなりそうだが、取り下げ方すらよく分からなくなってきた。


190 : オルゴールの小箱 ◆T9Gw6qZZpg :2016/03/28(月) 00:48:48 1/PlIMyo0

「なにそれ。幸子ちゃん?」
「違う。みんなが求めてるような可愛いあたし以外のあたしでも、みんなは許してくれるかなって」
「奈緒、可愛い以外の路線で行きたいの?」
「わかんね。って言うか、路線とかそういう意味じゃなくて……」

 一応、当たり障りのない話の流れにも変えられそうだった。そして当然、奈緒が本当に語り合いたい本質の部分には触れられない。
 突破口が見出せない予感がどんどん強まり、鬱々とした気分のまま向ける視線はどんどん下方へ向かって行く。
 ちら、と加蓮の方へ目を向ける。手元で広げていたはずの雑誌は、もう閉じられていた。

「……良く分からないけど。別に、なりたくない自分なんて無理に演じなくてもいいのに」
「でも、これからそうも言ってらんなくて……!」

 反射的に叫ぶ自分の声が、僅かに遅れて聞こえた。
 僅かに身を縮こませる加蓮の姿を見て、いよいよ情けなさが暴発しそうになる。

「……ごめん。今ちょっと頭ん中マジでぐちゃぐちゃしてる。自分でも何言ってんだって思えてきた」

 答えは出ない。気分がどんどん重くなる。挙句の果てに、親友を無意味に怯えさせる。
 今の自分は、傍目には理解不能のヒステリーを起こしているようにすら映ることだろう。
 自分は一体、何をしたいのだろうか。

「頼む。忘れてくれ」

 加蓮を頼っておいて、結局ただ一方的に困らせて、なんという身勝手な人間だろうか。
 そんな自分をフォローするための言い訳は、今の頭では作り出せない。ぼやけた司会は、あと少しの時間で滲んでしまいそうだった。

「ねえ奈緒。私達さ、はっきり言って、手のかかる子だったじゃん」

 それでも、語りかけてくる加蓮の声はやっぱりいつも通りのトーンで。

「自分で言うかよ」
「あたしは頑張るのしんどいってうじうじしてさ。奈緒だって、こんな服着るの恥ずかしーってわーわー喚いて」
「その理屈だとあたしだけ現在進行形で手のかかる子だろーが……」

 自慢ではないが、北条加蓮がアイドルとして輝けるようになるまでの過程には他人より詳しいつもりだ。プロデューサーを始めとした数名と並んで、神谷奈緒は同点一位の立場にあると思っている。
 一緒にデビューした一人として、屈折した心境を晒け出す姿を何度も見てきた。挫折だって、何度も共に経験してきた。
 そうしていくつもの壁を乗り越えたからこそ、今の加蓮がここにいる。
 足がもつれる悔しさを知り、だからこそ軽やかに足を踏み出せる心地良さを知った。一人の主人公として強く咲いた、立派なアイドル。なりたい自分を実現し、夢を叶えた少女。
 その姿を見る度、凄いやつだと思ってしまう。
 可愛い服を着ることに未だ恥ずかしさが抜けない、殻を破るのにいつも勇気を要する自分は、そんな加蓮をきっと羨望している。


191 : オルゴールの小箱 ◆T9Gw6qZZpg :2016/03/28(月) 00:49:37 1/PlIMyo0

「そんな私が、なんで変われたと思う?」

 もしも自分ではなく彼女の方が当事者だったら、今の自分に纏わりつく悩みにも明確な解答を示せるのだろうか。
 その思考はすぐに遮られた。下を向いたままのこの顔を、加蓮が身を乗り出して覗き込んで来たからだ。

「なんでだよ」
「プロデューサーが、皆がね。こんな私に根気良く付き合ってくれて、全部投げ出しそうになった時も、ちゃんと受け止めてくれて」

 綺麗な顔が、優しい笑みを象った。

「それに奈緒が、お手本になってくれたから」

 スマートフォンの液晶画面を、加蓮の細指が滑らかに動く。
 映し出されたのは、ゴシックドレスに身を包む神谷奈緒。スライドさせれば、次々と映るのはサンタ服の奈緒、花嫁衣装の奈緒、和装の奈緒、黒衣装の三人組の中の奈緒、そして五人揃った白ドレスの中の奈緒。
 奈緒がアイドルとして歩んだ軌跡が、小箱の中に詰め込まれていた。

「私が好きなのはね、ただ可愛いだけの奈緒じゃない。自分の気持ちを正直に表現する奈緒が好き。プロデューサーと、それに凛や皆だって、たぶん私と同じことを言うと思う」

 いつもと変わらない、でも奈緒を茶化さない加蓮がここにいる。

「……それで」
「奈緒もさ、変に難しく考えないで、正直になっていいんじゃない? 奈緒が悩んでるのって、たぶんそういう話でしょ?」

 その事実に改めて直面して、気分が軽くなっていくのが分かる。

「確かに私達、これから本当に嫌だなって思うことに直面するかもしれないけど。でも、本音を打ち明けることもしないのは勿体無いよ。奈緒らしくない。出来る出来ないは別にしても、まず自分の気持ちを素直に表現する奈緒でいてほしいし、そんな奈緒が一番素敵だって思うの」

 ただの言葉。奈緒を即座に全ての苦難から解き放つ満点の解決策などではなくて。
 しかし、今までの奈緒の積み重ねに裏打ちされた激励であることには変わりなくて。

「だって私」

 とどめとばかりに、加蓮は得意気に笑った。

「奈緒のそういうところ、割と憧れてるもん」


192 : オルゴールの小箱 ◆T9Gw6qZZpg :2016/03/28(月) 00:50:07 1/PlIMyo0

 ……ああ、もう駄目だ。
 全身が火照ってたまらない。恥ずかしげもなく贈られた言葉が、受け手の自分を悶えさせる。
 恥ずかしい。でも、嫌じゃない。
 きっと目に見えて顔を赤く染めているだろう自分の姿を見て、加蓮はどこか安堵したような表情を浮かべた。

「…………で、よく分からないで好き勝手喋っちゃったけど。結局奈緒が悩んでたのって明日のオルゴール作り……では、なかったっぽいよね? じゃあ」
「帰ったら!」

 身体の内側から発する熱量に任せたまま立ち上がり、両手で肩を掴んだ。唖然とした加蓮の顔を真っ直ぐ見つめる。
 加蓮を驚かせてしまうのは一体何度目だったろうか。この際、どうでもいい。

「帰ってから、加蓮にも、皆にも話す。笑われるかもしれないけど。それまで、待っててくれるか?」
「えっ、うん……わかった」

 多分、いや絶対に、変な奈緒だなあとか思われているのだろう。どうでもいい。
 今ここにいる加蓮に提示出来ることはもう無い。それどころか、十分に貰っている。一歩踏み出すきっかけをくれただけで十分だ。
 何を知ることも許されていない彼女に、これ以上甘えるわけにもいかない。

「奈緒?」
「ごめん。ちょっと出てくる。その……ジュース買ってくる」
「そこに置いてあるんだけど……ま、いっか。いってらっしゃい。あ、私もオレンジ飲みたいかも」
「わかったわかった。それとさ、ありがと」
「……どういたしまして」

 感謝の言葉は、驚くほどにするりと言えた。きっと、自分の中のあのスイッチが入ったからだ。あたしの中にいる、勇気に溢れたあたし。
 部屋から出て三歩歩いた先で、プロデューサーとすれ違った。何かあったのかと聞く彼には「ちょっと用事」とだけ言って、もう夜だから気を付けろよと言う彼の横をそのまま通り過ぎようとした。
 ようとして、やっぱり一度向き合った。

「プロデューサー。あたし、頑張るから」

 突然の宣言に、当然のように面食らった顔をするのが見えた。
 彼にもそのうちフォローを入れておこう。そのうち、ちゃんと帰ってから。



◇ ◆


193 : オルゴールの小箱 ◆T9Gw6qZZpg :2016/03/28(月) 00:50:29 1/PlIMyo0



 聖杯戦争。マスターとサーヴァント。殺し合い。
 理解の及ばない儀式の当事者にさせられたところで、何をすればいいのか分からない。
 ただ、死にたくないということだけは確かな意思として持っていた。
 同時に、戦争のルールに従うならば他の誰かを傷つけなければならないということも、知識として理解していた。

 求められているのは戦士としての自分。でも、そんな自分はなりたい自分と不一致だ。
 だから、何をどうすればいいのか分からない。そう吐露した奈緒に、彼は猶予を与えた。
 戦いである以上、理想通りに事を進められるとは限らない。時には、望ましくない行為をしなければならない局面が訪れるかもしれない。
 だからこそ、自分がこれからどう振る舞っていくのか落ち着いて考えて、決めるべきだ。
 決断を要す。
 これが、彼から出された「宿題」だった。

 そして今から、奈緒は答え合わせをする。
 彼の前で、正直な気持ちを打ち明ける。

 怖いと思う。
 悲しいと思う。
 死にたくないと思う。

 でも、それ以上に。



◇ ◆ ◇


194 : オルゴールの小箱 ◆T9Gw6qZZpg :2016/03/28(月) 00:50:54 1/PlIMyo0



 階段を一気に駆け下りて、自動ドアを潜り抜けて、外に出て。人目の無い木陰まで辿り着いて。
 ここでようやく、彼は霊体化を解きその姿を現した。
 生身の体を覆い隠しているのは、白銀色の帽子とジャケット。伊達や酔狂でこうして着飾っているわけではないのだと、彼自身が奈緒に語っていた。
 彼の名はシールダー。盾のサーヴァント。
 白銀の衣装の正体こそが、シールダーをシールダーたらしめる『盾』。纏うは、信念の銀装。
 ジャケットと帽子の間から僅かに見える両目を、奈緒は逸らさずに見つめ返す。萎みかける熱情を、負けるなと奮起させる。

「決まったようだな」
「ああ……あたし、最後まで勝ち残るのは嫌だ」

 告げるのは、マスターとして真っ先に感じ、しかしシールダーに現実の厳しさを説かれたために言い出せなかった本音。

「聖杯を本気で欲しいと思ってる人がいて、その人が襲ってきたら勝負しなきゃいけないってのは、分かってる。でも、誰かを傷付けるのはあたしの本当にしたい事じゃない。それは、あたしの望むアイドルじゃないんだ」
「お前一人が望まないとしても、それは叶わないかもしれないぞ」
「でも、そうだとしても……だからって最初から諦めたくない。あたしの正直な気持ちには、やっぱり嘘を吐きたくない」

 最初は言えずに胸の中にしまった思いを、今度こそ突き付ける。
 アイドルとは、奈緒にとって本当の気持ちを表出させるための魔法。今の自分がアイドルであると定義すれば、飛び出すための勇気が胸に宿る。
 神谷奈緒はアイドルである。そして、神谷奈緒はアイドルでありたい。
 そう考えた今なら、この気持ちを貫ける気がする。

「シールダー。あたしに何が出来るかはこれから考える。その答えを出して、それを実現するまで、あたしを守ってほしい。難しいのだとしても、誰も殺さないで生きて帰る方法を、一緒に探してほしいんだ」
「……一つ聞かせてほしい。その結論は、一人で出したのか?」
「違う。あたしの大事な人と話して出した」
「しかしここにいるお前の仲間は、再現されたただのコピーだ」

 シールダーの言うことは事実だ。
 函館で時間を共にしている者達は皆、本物ではなく擬似人格。加蓮も、プロデューサーも、他の皆も、本当は別の場所にいるのだ。
 もしかしたら笑われるかもしれない話だ。偽物の言葉に影響されるなんて、ちょろすぎると。
 それでも。

「でも、そのコピーの元はあたしと今まで一緒にいてくれた皆だろ。だったら偽物でも、本物の皆みたいなもんだ」

 いつも通りの加蓮が言った、いつもの加蓮なら言いそうなこと。それだけで奈緒には十分だ。
 聖杯戦争を知らないあの加蓮がくれた言葉は、聖杯戦争に巻き込まれる瞬間までの時間に裏打ちされたもの。あの言葉は、神谷奈緒の積み重ねた日々の総決算。
 心に響くこの鼓動は、決して偽りではないのだ。
 だから、聞いて。


195 : オルゴールの小箱 ◆T9Gw6qZZpg :2016/03/28(月) 00:51:33 1/PlIMyo0

「誰に何と言われても、これは…………あたしが、あたしの大好きな『皆』と出した答えだ!」

 感情のままに叫んだ声は、二人の間の空気を震わせた。
 それきり、静寂が訪れる。
 一言も交わさず、お互いがお互いを見つめ合って。

「……大事なモノを死守せんとする強い意思」

 やがて、シールダーは重々しい声を漏らした。
 それと同時に、帽子を取って素顔を見せる。初めて目にする彼の顔立ちは、奈緒にも分かるほどの深みを感じさせるものだった。

「実を言うと、何であれ最初からマスターに付き合うつもりでいた。子供を死なせるのは何より嫌いなんだ。しかし、お前の進む道である以上、お前自身の意志を固めるべきだと思ってな。すまなかったな。試すような真似をして」

 続けてシールダーの方が真相を打ち明ける。本音を打ち明けた奈緒に、シールダーもまた本音を明かす。
 謝意を示す彼に対して、怒る気にはなれなかった。自分なりの確かな答えを出せた今では、些細なことだ。

「しかし、その道なら俺も安心して力を貸せるな。お前を信じてみて良かった」
「……じゃあ」
「改めて言わせてもらう。盾のサーヴァントとして、そして錬金の戦士として、俺はマスター……奈緒を守ろう。仲間達との未来を取り戻すための、そのブラボーな信念を貫き通すための力になる。約束だ」

 シールダー。防人衛。キャプテンブラボー。
 彼の持つ名の通り、今から彼は傍にいてくれる、奈緒を守ってくれる戦士。そうであろうという誓いが、真摯に告げられる。
 それを聞き遂げて、ようやく緊張の糸が切れた気がした。

「……うー、良かったあ…………」

 力無く、その場にしゃがみ込む。
 ぽんぽんと、頭をそっと撫でられた。

「まあ怖がるのも無理は無いか。しかし、今はもう必要も無いぞ」
「いや、戦争がってのもあるけど。それに……その、今だから言うけど、正直あんたもパッと見ちょっと怖かったんだよ」
「そうか? ……確かに、たまにそんなことを言われることもあったが」

 しまった、つい余計な本音まで出してしまったかと一瞬不安に陥るが、シールダーは特に気にした様子も無い。
 ただ、自分の着用しているジャケットをまじまじと眺めて、むう、と小さな唸り声を上げていた。
 二人の関係に一つの節目を迎えられたからか、彼のどこかコミカルな面も垣間見えてきた気がする。尤も、彼にそのつもりは無いのだろうが。


196 : オルゴールの小箱 ◆T9Gw6qZZpg :2016/03/28(月) 00:52:43 1/PlIMyo0

「自分の身を守るための装備だから、その服を着る必要があるって分かっててもさ……」
「奈緒、一つ言っておこう。俺がこの宝具を常に纏っているのは、戦術として最良だからというだけではない。もっと大切な理由がある」
「……何だよ、それ?」
「決まっている」

 途端、シールダーの口調がかつてないほどの迫真性を帯びるのが手に取るように感じられる。奈緒を射抜く眼差しも、真剣以外の何物でもない。
 やはり彼はサーヴァント、歴史に刻まれるべき歴戦の勇士であるのだと思い知らされたようで、無意識の内に息を呑む。
 単なる一通りの戦術に留まらない、今の奈緒では及ばない思考回路の一端を聞くことになるのだ。
 そして見上げた先の彼は、大真面目な顔で啖呵を切った。

「――何故なら、この方がカッコイイから!!」

 奈緒の身体は、またも弛緩した。

「俺も同じだ。自分が一番着たい服を着るのが大事だと思っている。アイドルの奈緒なら、間違いなく共感出来るに違いない話だろう」
「これ、一緒の話なのか……?」

 自分達がこれから戦争に携わるのだと理解している。なのに、そのことを少し疑いたくなるようななんとも緩い時間が流れ始めていた。
 でも、まあ、こういう時間が少しくらいあってもいいのかもしれない。
 振り回されてこそ奈緒だよね、なんて評価を加蓮や凛に下されるくらいだ。ある意味では、これでいつもの自分のペースを取り戻せているのだと解釈しておくことにする。

 とりあえず、この人があたしのサーヴァントで良かったな。
 そう思った。


◇ ◆ ◇


197 : オルゴールの小箱 ◆T9Gw6qZZpg :2016/03/28(月) 00:53:41 1/PlIMyo0

◇ ◆ ◇




 怖いと思う。
 悲しいと思う。
 死にたくないと思う。

 でも、それ以上に――『君』が好きだから。

 あの輝く世界で魔法をかけてくれた『君』が好き。
 苦痛も幸福も分かち合ってくれた『君』が好き。
 信じて背中を押してくれた『君』が好き。

 ああ、『君』が好きだ。
 駆け出したくなるくらい、『君』が好きだ。

 『君』が好きで、どうしようもないんだ!


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198 : オルゴールの小箱 ◆T9Gw6qZZpg :2016/03/28(月) 00:54:07 1/PlIMyo0



【クラス】
シールダー

【真名】
キャプテンブラボー(防人衛)@武装錬金

【パラメーター】
筋力B 耐久D 敏捷C 魔力D 幸運B 宝具C

【属性】
秩序・善

【クラススキル】
・対魔力:A
魔術に対する抵抗力。Aランク以下の魔術を完全に無効化する。
事実上、現代の魔術師ではシールダーを傷付けることは出来ない。
シールダー自身の肉体ではなく、後述の宝具で展開した外装に機能する。

・騎乗:D
騎乗の才能。生前は普通自動車の運転免許を取得していた。

【保有スキル】
・ブラボー技:A
ブラボー技(アーツ)。それはシールダーを象徴する十三の格闘術+α。
防戦特化型の武装錬金に代わって、シールダーは自らの肉体による徒手空拳を攻撃手段とした。
同ランクの「心眼(真)」スキルも内包する。

・勇猛:B
威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化する。また、格闘ダメージを向上させる。

・防衛:A
生前のシールダーが戦場の第一線で最後に取った行動は、自らに代えての子供達の生命の守護であった。
「攻撃の態勢を完全に捨てて、防御に専念する」
「自身を度外視し、他人を最優先の護衛対象とする」
これら二条件の片方あるいは両方が達成された場合、シールダーの取った防御行動が更に大きな効果を発揮する。
この恩恵は二条件が両方とも達成された時に最大となる。


199 : オルゴールの小箱 ◆T9Gw6qZZpg :2016/03/28(月) 00:54:44 1/PlIMyo0

【宝具】
・『纏うは信念の銀装(シルバースキン)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1人
シリアルナンバー100の核鉄を展開=武装錬金化したもの。
元は六角形の微細な構造体の集合であり、特定の形状に結合させることで効果を発揮する。
チップ上に分解して射出することも出来るが、精密な操作までは出来ない。
この宝具の基本形態は防護服(バリアジャケット)。
耐久値Aと同等あるいはそれ以上に相当する防御力を誇り、もし破られても即座に修復される。他の者に纏わせることも可能。
第二の形態は拘束服(ストレイトジャケット)。別名シルバースキン・リバース。
相手に纏わせることで、相手の外部へのあらゆる攻撃及びそれに類する効果を遮断する。そのまま内圧を強めて対象を圧殺することも可能。
ただし相手の肉体のみを拘束するため、その相手が遠隔操作する物体の動きには干渉出来ない。
その他、網状や紐状の形に変化させることも出来る。
この宝具の効果は、シールダーの闘争心が高ぶれば昂ぶるほど強大となる。
なお、展開されたこの宝具が防御効果あるいは拘束効果を発揮する瞬間以外での魔力消費量は極めて少ない。
そのためシールダーが平時にこの宝具の防護服形態を着用していても、シールダーにもマスターにも大して負担がかからないも同然である。
本人曰く、伊達や酔狂のファッションではない。

・『纏うは意志の銀甲(シルバースキン・アナザータイプ)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1人
部下が遺したシリアルナンバー52の核鉄を展開=武装錬金化したもの。
宝具としての性能は『纏うは信念の銀装』と同様。ただし外観だけは異なる。
事実上、シールダーは同じ宝具を二つ保有していることになる。

【weapon】
・核鉄×2
ホムンクルスと並ぶ、錬金術研究の成果。
通常は片手に収まるほどの大きさをした六角形の金属塊である。
使用者の闘争本能に呼応し展開、使用者固有の武器「武装錬金」へと形を変える。
また、所有者の治癒能力を強化させることも出来る。
武装錬金の形態は使用者によって決まるため、どの核鉄を使っても展開されるのは必ずシルバースキンである。

【人物背景】
錬金戦団でもトップレベルの猛者である戦士。キャプテンブラボーという名前は自称。
「善でも悪でも、最後まで貫き通せた信念に偽りなどは何一つない」という信条を掲げている。
一度は部下である武藤カズキと敵対せざるを得ない状況に陥り、彼の殺害のための戦いに身を投じる。
しかし成長したカズキとその仲間達の姿に希望を見出し、今度こそ彼等を守ろうと決意した。

【サーヴァントとしての願い】
奈緒を守る。


200 : オルゴールの小箱 ◆T9Gw6qZZpg :2016/03/28(月) 00:56:02 1/PlIMyo0



【マスター】
神谷奈緒@アイドルマスターシンデレラガールズ

【マスターとしての願い】
大好きな皆のいる場所に帰る。

【weapon】
特に無し。

【能力・技能】
アイドルとして必要な一通りの技能。

【人物背景】
千葉県出身、17歳の太眉ツンデレアイドル。趣味はアニメ鑑賞。
アイドルの仕事を恥ずかしがっているように見えて、何だかんだで乗り気。
主な活動ユニットは「トライアドプリムズ」「Caskets」。

【方針】
聖杯はいらない。この世界からの脱出を目指す。自分達に協力してくれそうな人達を探す。
一応、アイドルの仕事もちゃんとこなす(ロケやライブのために函館市内に滞在中という設定)。


201 : 名無しさん :2016/03/28(月) 00:56:43 1/PlIMyo0
投下終了します。


202 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/28(月) 15:50:17 /hc3H35c0
投下します


203 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/28(月) 15:52:26 /hc3H35c0
覚醒(ウェイクアップ)宿縁(さだめ)の相手をブッタ斬れ!!



函館市内に有る総合病院の一室。ベッドに横たわる女性の元に、一組の男女が見舞いに訪れていた。
よく晴れた昼下がり、二人は病室に差す柔らかい陽光に照らされた、明るい部屋に似つかわしく無い、陰鬱な表情をしていた。
「姉さん…まだ、目が覚めないの……」
夫婦であろう男女のうち、女の方が憂げに男に話かけた。
「もう2年になるけど、まだ原因がわからないそうだ……」
こちらも憂げに呟く。
「姉さん………」
悲しげにベッドに横たわる女を見つめる女の顔は、ベッドの女の顔と鏡に写したかの様にそっくりだった。黒い瞳は悲しみに揺れ、今にも涙を零しそうだった。



やがて、男が女を促して帰り。十五分後、静謐に満ちた病室に響く声。
――――帰ったぞ。
空気を震わさぬ声、誰にも聞こえぬ声。しかし応える者はいた
「そう」
ベッドの女が応えた。
「周りに人の気配は」
――――無い。
返事を聞くと、女は緩慢な動きで身を起こした。意識を取り戻したのは半月前。二年間もの昏睡は、彼女の身体から体力を奪い尽くしていた。
短く息を吐いて閉じていた瞼を開ける。その瞳は色素の薄い灰色だった。
「ふ…ぅ…ぐ…んっ……」
短く息を吐きながら身体の筋を解してゆく。衰えた体力、固まった筋肉。今の女には自分の足で立つ、という行為すら困難だった。一日の大半を昏睡した振りでやり過ごさなければならないというのも有る。
「はぁ…はぁ」
じっとりと汗ばんできたところで止める。
――――具合はどうだ。マスター。
「まだ身体が戻らない。力を蓄えないとね」
――――ゆっくり回復させると良い。まさか病院内で事に及ぶものもおるまい。
「そうね。聖杯…戦争……だったかしら、そちらは貴方に任せるわ」
――――承知した。では夜には戻る。
それきり声は途絶え、女は一人になった。ベッドに横たわり、目を閉じる。


204 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/28(月) 15:53:04 /hc3H35c0
“函館では知らぬ者の無い名家の、原因不明の昏睡状態で入院している長女”
それが女に与えられたロール。女が己を取り戻したのは、昏睡の中で見た、ロール上の記憶が見せた夢が原因であった。
偽りの記憶が見せた夢。◼️◼️と笑い合う自分と同じ顔。それを微笑んで見つめる自分。
――――有り得ない。
◼️◼️と肌を重ねる自分と同じ顔、同じ身体。翌朝二人を笑顔で祝福する自分。
――――許せない。
魂の奥底から燃え上がる激情が、偽りの記憶を焼き尽くし、女は眠りから覚めた。
――――許せない。あんな夢を見せたモノを
――――許せない。あの夢と同じ人生を謳歌している妹が
血を分けた同じ顔の、同じ男を愛した妹に対する憎悪。嫉妬。
女は囚われていた偽りの記憶から解放された瞬間に、その生涯を過ごした魂の苦悩(カルタグラ)へと囚われた。
「目が覚めたか」
身も心も憎悪に灼かれて、意識など有って無きが如しという状態にいた女が気付いた時。ベッドの傍に人影が立っていた。
涼やかな麗貌と匂い立つ様な気品の男、艶やかな繭袖(けんちゅう)の布地に龍の刺繍をあしらった長衫を纏った姿は、美丈夫という呼び方が相応しい。
「……、…!……」
弱り切った身体。人気の無い部屋で、気付けば見知らぬ男がいるという状況に女は怯えた。
「落ち着きたまえ。既に知識は刻まれているはずだ」
「………!!……、………」
女を落ち着かせたのは、いつの間にか脳裏にあった知識であった。
ゼェゼぇと喘鳴を繰り返し、収まったところで、知識にある念話を試す。
――――聖杯戦争。貴方が、私のさぁゔぁんと?
「そうだ。アサシンとして現界した」
クラス名を名乗った時、アサシンはほんの少し唇を歪めた。
「マスター。貴女の事はなんと呼べば良い」
――――私の名は上月由良。けれどマスターと呼んで。貴方は?
己を取り戻したのか、陰火の如き暗い輝きを人見に宿した女に、アサシンと名乗った男は応えた。
「劉豪軍(リュウ・ホージュン)」
その眼はマスターのそれに負けず劣らず昏く輝いていた。


205 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/28(月) 15:55:08 /hc3H35c0
アサシンは霊体化して、病院の屋上に立って函館の街を俯瞰する。
生前の記憶にある上海と比べれば、そこまで環境汚染は進んでいない様だった。
少なくとも凝縮された毒素の雨が降る様には思えない。
アサシンにとって函館は未知の場所。マスターも病室から出られぬのでは、地理において不利は否めない。
ネットでも使えるならともかく、それも満足に出来ぬのでは、地理以外の情報を集めることもままなるまい。
孫子に曰く、敵を知り己を知れば百戦危うからず。
この点においてアサシンは劣っていることは否めない。
逆に利点といえば、マスターの境遇か。よもや病院の一室で昏睡状態の女がマスターとは思うまい。さらに病院という場所で、殺人に及ぼうとする者もいないだろう
マスターの戦闘能力が子供にも劣る状態では、この状況は歓迎すべきだった。
尤も見つかれば打つ手がまず無い為に、マスター見捨てることになるだろうが。
最善の手をいうならば、適当なサーヴァントを殺し、由良をを殺して、サーヴァントを失ったマスターと契約することだった。
――――甘いな。
鬼眼麗人(きがんれいじん)そう呼ばれ、恐れられていた頃の自分からは、明らかに考えられない。
彼は最初はマスターを殺すつもりだった。このマスターはどう考えても外れ、敵に見つかればその場で詰む。王将を動かせない将棋のようなものだ。
にも関わらず、共に聖杯戦争を勝ち抜こうとしているのは…。
――――端麗に似ているからか。
己を忌み、己の境遇を嘆き、遂には自らを破壊することを望んだ妻。
その妻とあのマスターはそっくりな眼をしていた。
――――端麗と同じ魂の牢獄(カルタグラ)に彼女もいる。
その程度で鈍る心では無かった筈だが、現にこうしてマスターと共に、この闘いに勝とうとしている。
自嘲に唇を歪めると、アサシンは辺りにサーヴァントの気配が無いことを確認すると、屋上から飛び降りた。


病室のベッドの上。上月由良は、見舞いに来た二人のことを反芻していた。
NPC。紛い物であることは理解している。其れが故に生かして有る。
NPC。紛い物であることは理解している。けれどもその顔その声その仕草。全てにおいて、自分に無いものを持ち、秋五様の愛すら得た自身の半身そのものだ。
――――和菜。
その名を胸中に呟くだけで、死者の様な身体が賦活する。心臓が力強く動きだし、血液が音を立てて全身の血管を流れてゆく。
――――秋五様。
その名を胸中に呟くだけで、暗く閉ざされた心に、光と熱が灯る。
――――必ず殺す。必ず貴方の元へゆく。この忌まわしい自分自身を消し去って、魂の苦悩(カルタグラ)からこの身を解き放って。
その為には聖杯がいる。秋五様の元に戻る為に、忌まわしい自分と決別する為に。
私の存在を消し去り、忌まわしい妹を消し去り、そして私は和菜として秋五様に愛される。
その為に人を殺すことなど厭わない。既にこの手は血塗れている。新たに血に染まったとて元より赤いのならば問題無い。


206 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/28(月) 15:56:37 /hc3H35c0
――――アサシンとはな
皮肉な笑みを浮かべるアサシン。
アサシンのクラスで現界したとはいえ、彼の剣技は剣の英霊、セイバーすら寄せ付けぬ。それは今日に至るまで二度経験した、セイバークラスの英霊との戦いが証明している。
剣技においてセイバーを凌駕する己がアサシンなのは、己の弟弟子が凶手――――刺客――――の任を務めていたからか。
剣に関する宝具を持たぬ為だと解っていても、そう考えてしまう。
――――濤羅(タオロー)。その名を胸中に呟くだけで、 胸の奥から湧き上がる憎悪。彼と彼が他に何もいらぬと思う程に愛した妻を、魂の苦悩(カルタグラ)へと投げ込んだ男。
灰と化した己が心が再び熱を帯びてくる。怨敵たる濤羅は居らず。生涯唯一の愛を奉じた端麗(ルイリー)もいない地に呼びつけられ、行われる殺し合いに参加させられたこの身を突き動かす昏い思い。
――――今度こそ殺す。端麗の目の前で、体も技も誇りも気概も撃ち砕いて。
聖杯にかける願い。あの夜の再戦。決着はこの手で、濤羅の命は此の手で断つ。
――――その為に、聖杯を得る。
その為には他の主従を殺すことなど構わない。既に上海を血に沈めた身。今更そこに僅かばかり屍を積むことが何になる。

そしてアサシンは函館の街に潜む。自身の技量とスキルを以てすれば、サーヴァントとしての気配は完全に断てる。こうして主従を捜し、その能力や動向、拠点を探る。
劉豪軍は真っ当に戦う気など無い。自分たち以外の主従を殺し合わせ、同盟を組んだ者達を決裂させる。己の存在は闇に伏せ、決して知られないようにする。
マスターの境遇と己の能力を併せれば、上手く行けば最後まで気づかれまい。
もとより持っていた怜悧な頭脳に加え、その生涯を終えることになった一戦。全てにおいて凌駕し、九分九厘勝ちが決まっていた怨敵に敗れた事が、豪軍の立ち回りをより巧妙に、狡猾にさせていた。
二度のセイバーとの闘いは、予め彼らの闘いを見て、その技量と何よりも宝具を見ることができたのが大きい。それが有ったからこそ、今の自分を試す相手に選んだのだ。
アサシンは気圏を拡げ、サーヴァントを捜しだした。




全てを持った妹を羨望し続け、たった一つの思いすら奪った妹になりたいと願った女。全てを持ちながら唯一つ欲しかったものに手が届かずに、絶望と憎悪に魂まで焼かれた男。
闘いに臨む二人が抱くのは共に、一人への愛と一人への殺意。
魂の苦悩(カルタグラ)からの脱却の為。2人は奇跡に手を伸ばす。


207 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/28(月) 15:58:28 /hc3H35c0
【クラス】
アサシン

【真名】
劉豪軍(リュウ・ホージュン)

【マスター】
上月由良

【ステータス】
通常時
筋力: D 耐久:D 敏捷: D 幸運: E 魔力: E宝具:B

宝具使用時
筋力: C 耐久:C 敏捷: A 幸運: E 魔力: B宝具:B

【属性】
混沌・中立

【クラススキル】
気配遮断:A
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。ただし攻撃状態に入ると気配遮断の効果は大幅に落ちる。が、スキルにより攻撃の意思を持った時には攻撃している為。実質効果低下は発生しない。



【保有スキル】
戴天流 :A+++
中国武術のうち内家武功に属する流派。
丹田で経息を巡らし、内功を用いて身体能力を向上させ、攻撃に先んじて放たれる敵手の意を読んで攻撃を先読みし、自らの攻撃は意と共に放たれる為に察知できない。
内剄を込めた剣は万象を断つ。
軽身功を用いれば人の域を超えた動きを可能とする。
修得の難易度が最高ランクのスキルで、Aでようやく「修得した」
といえるレベル。
Aランクの心眼(真)・宗和の心得、Bランクの矢避けの加護Cランクの圏境を発揮する。
同ランクまでの宗和の心得とBランクまでの直感を無効化する
使う程に内傷を負い、戦闘能力が落ちるが宝具によりこのリスクは無くなっている。
内剄を丹田で練り、全身に巡らせることで魔力を自前で生成し、単独行動スキルを得る。

独立行動:A+
宝具によりマスター無しで行動可能。

一途な愛:A+
ただ一人の女の為に全てを破壊したアサシンの持つスキル。
同ランクの信仰の加護と、精神面においてのみ同じ効果を得る。

計略:B
権謀術数。勢力内での分裂工作、離間工作、暗殺、組織同士の対立工作などに効果を発揮する。


208 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/28(月) 15:59:08 /hc3H35c0
【宝具】
究極功夫・内剄駆動型義体
ランク:B 種別:対人宝具 最大補足:自分自身 レンジ:ー
生前の躰であった史上初の内剄駆動型義体の試作品が宝具化したもの。
人体を完全に再現した義体であり、経穴まで存在する。
この為内功を駆使できるが、義体そのものの性能は、生身より多少丈夫というだけである。

人造器官の強度とパワーで駆使する内功は、内傷を負うことも肉体の限界に縛られることも無い究極の功夫。
幸運と宝具以外の全てのステータスを大幅に向上させる。
内傷の心配無く内剄を巡らせ続ける為に、スキル・戴天流により得られる単独行動スキルを最高ランクで発揮できる。
宝具使用時に軽身功を使うと複数の残影を生み出しながら機動することが可能。

轟雷功
ランク:C 種別:対軍宝具 最大補足:30人 レンジ:1〜20
特異な練気法で内剄を電磁パルスに変えて放出、電子機器を焼き切る技だが、宝具化したことにより対軍宝具へと昇華された。
範囲内の電子機器を破壊し、輻射熱で生物を絶命させる。

紫電掌
ランク:A 種別:対人宝具 最大補足:1人 レンジ:1
特異な練気法で内剄を電磁パルスに変え、掌打として相手の体内に直接撃ち込む技。
本来は人体には無害だが、宝具化したことで生身ならば致命の電撃と化している。
電磁パルスに耐えられる戦闘用サイボーグを倒す為に作られた技である為。同ランクまでの電撃に対する守りを無効化する。

【weapon】
レイピア

【人物背景】
PCゲーム鬼哭街のラスボス。主人公の親友だったが突如裏切って不意打ち食らわして海に沈める。
更に主人公の妹にして自分の妻たる端麗を輪姦させて、精神を五つに裂いた上で、輪姦した四人と五等分する。
一年後復讐鬼となって帰還した主人公と対峙するが、その時豪軍の精神は主人公すら越える羅刹と化していた。
満身創痍の主人公を嬲り殺していたら反撃食って相打ちに終わる。
ちなみに近未来の人間なので現代の知識は持っている。

【方針】
基本的に争いを加速させつつ闇に潜む。存在を明かすことはしない。
利用できるものは全て用い聖杯を取る。
マスターに対する害意は無いが、いざとなればマスターは見捨てる。


209 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/28(月) 16:00:21 /hc3H35c0
【マスター】
上月由良@カルタグラ ツキ狂イノ病

【能力・技能】
ほとんど動けない。人が嘘ついてるかどうかがわかる

【ロール】
地元の名家の生まれで二年間昏睡状態。目下入院中。

【人物背景】
逗子の名家の生まれ、生まれつき瞳が灰色で、人の言葉の真偽がわかる程度の読心術が使えた為に、外界から隔離されて育つ。
そんな中偶然出会った主人公と逢瀬を重ねるが、主人公は第二次大戦に出征。数年後失踪する。
そして戦後の上野で発生した連続猟奇殺人事件の裏側で、上月由良という存在の抹消と、妹である上月和菜との入れ替わりを画策する。
最後は撃たれて昏睡状態となる。

そして二年後病床で目を覚まし、再び秋五を求め、和菜を殺す為に動き出す。

参戦時期は本編TRUE END後 ファンディスク収録のサクラメントの直前。

【令呪の形】
二本の鎖が巻きついた炎

【方針】
聖杯を手に入れる。手段は問わない。
こんなロールを用意したモノは許さない


【運用】
マスターが動けないので見つかった時点で詰む。その為に立ち回りは慎重に行う。
病院に目をつけた奴は見つけ次第排除。
魔力消費なしでサーヴァントが行動できるのが強みか。
存在を悟られないことが基本なので同盟は考慮しない。


210 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/28(月) 16:01:01 /hc3H35c0
投下を終了します


211 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/29(火) 00:01:12 CPXy2nFI0
>>208
申し訳ありません【Weapon】欄を改訂します

【Weapon】
レイピア。内剄を込めることでA+ランクでまでの耐久とBランクまでの宝具を貫通できる


212 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/29(火) 17:45:30 RX4IMBLs0
申し訳ございません、拙作において計2箇所訂正があるので報告します。

・界塚伊奈帆&ライダー

アセイラム
たった1つの未来のために、今の全てを賭けて、伊奈帆は戦うことを決意する。

→自らが愛しているアセイラム姫のために、いつも一緒にいる仲間のために、
心の支えになってくれた家族のために。
たった1つの未来のために、今の全てを賭けて、伊奈帆は戦うことを決意する。


・須郷伸之&キャスター
蛇、蝙蝠、蛇

→蛇、蝙蝠、蜘蛛


213 : ◆T3rvSA.jcs :2016/03/30(水) 07:52:15 d6dynncQ0
申し遅れました

藤原紅虫と麻貴神十字のスキルの一部を新宿聖杯のアイギス&サーチャーを参考にさせていただきました


214 : ◆lkOcs49yLc :2016/03/31(木) 04:36:24 .EhrKUj60
須郷伸之&キャスター
更にもう一つ。
須郷の設定は、一部「Maxwell's equation」の候補作「須郷伸之&アサシン」
を参考にさせて頂きました。


215 : ◆NIKUcB1AGw :2016/04/02(土) 00:53:25 TZWTZr0k0
投下します


216 : 八坂真尋&アサシン ◆NIKUcB1AGw :2016/04/02(土) 00:54:40 TZWTZr0k0
夜の市街地。人気の無い路地を、一人の青年が必死に走っている。
大きく振られる青年の右手には、三つ叉の矛を思わせる刻印があった。
それは紛れもなく令呪であり、彼が聖杯戦争に参加させられたマスターであることを証明していた。
そしてその後方には、彼が走る羽目になっている原因があった。

「ひゃひゃひゃ! がんばるね〜」

下卑た笑いをこぼしながら青年を追いかけるのは、巨大な剣を手にしたセイバーのサーヴァント。
剣に加え重厚な鎧まで装備したその姿はとても素早そうには見えないが、それでもサーヴァントだ。
平凡な青年にいつまでも追いつけないほど鈍足ということはあり得ない。
要するに、セイバーは青年を追い詰める行為を楽しんでいるのだ。

「言っておくけど、助けはこねえぞ? 俺のマスターが人払いの結界張ってるからなあ!」

さらに青年を追い詰めようと、セイバーは残酷な事実を告げる。
だが青年は顔色一つ変えず、走り続ける。

「いいねえ、その根性! 追い詰め甲斐があるじゃねえの!」

笑みの色をさらに濃くしながら、セイバーは追いかけっこを続ける。
だがそれも、やがて終わりの時を迎える。
青年が袋小路に入り込んでしまったのだ。

「あらら、残念。これで終わりだねえ」

舌なめずりをしながら、セイバーは剣を構える。
対峙する青年は冷や汗を浮かべつつも、その目にはまだ希望の光を宿していた。

「ひゃひゃひゃ、まだ諦めてねえのか。ひょっとして、サーヴァントが助けに来てくれると思ってるのかな?
 だが、今から来たところで何もできねえよ! あるいは、ふがいないマスターを見捨てて逃げちまったかもなあ!」

もはや狂乱の域に感情を高ぶらせながら、セイバーは剣を振り下ろそうとする。
だがその瞬間、彼の精神は一気に冷静さを取り戻した。
突如として、自分のすぐ後ろに気配が発生したのを感じたのだ。

(一般人……? いや、結界の中に入ってこられるわけがねえ!
 このマスターのサーヴァントか!)

とっさに体をひねり、セイバーは攻撃を背後に向けようとする。
だが、間に合わない。

『卒業の時間(グッバイ・マイティーチャー)』

宣言と共に、そのサーヴァントは手にしたナイフをセイバーの心臓めがけて突き出す。
ナイフはあっけなく鎧を貫き、セイバーの肉体に突き刺さった。

「バカな……! この俺の鍛え抜いた肉体が……!」

一撃で致命傷を負わされ、セイバーの体は消滅を始める。
最後に彼の目に映ったのは、英霊の風格など全くない小柄な少年の姿だった。


217 : 八坂真尋&アサシン ◆NIKUcB1AGw :2016/04/02(土) 00:55:33 TZWTZr0k0


◆ ◆ ◆


「終わったよ、真尋くん」
「お疲れさん。けど、もうちょっと早く何とかできなかったのかよ。
 散々走る羽目になったじゃないか」

自らのサーヴァントからかけられた言葉に、真尋と呼ばれたマスターの青年は若干の非難をこめて帰す。

「まあ本当に危なかったら、もっと早く仕掛けるつもりだったけど。
 あのサーヴァントはかなり油断してたからね。
 確実に仕留められる瞬間まで待ってたんだ」
「慎重なこったな」
「そりゃ慎重になるさ。僕は弱い。真っ向から戦って勝てるサーヴァントなんて、ほとんどいないだろう。
 だから、『戦闘』になる前に殺す。僕は暗殺者(アサシン)だからね」

その口調はまるで、親しい友人と他愛もない雑談をかわしているかのようだった。
この人畜無害にしか見えない少年が屈強な戦士を葬り去ったと言っても、ほとんどの人間は信じられないだろう。

「まあ、お前のすごさはたった今見せてもらったからな。
 有言実行してくれることを祈るよ。
 そもそも、力を見せる機会ができるだけ少ないとなおいいけどな」
「まあ、そうだね」

真尋の言葉に、アサシンが微笑する。
彼らは、聖杯戦争で勝ち抜くことを目的としていない。
生きてこの地を脱出することが目的であり、自分たちから積極的に他の参加者と対立するつもりはないのだ。
先ほどのセイバーも、向こうから襲ってきたために応戦したに過ぎない。

「けど、真尋くんもけっこう根性座ってるよね。
 記憶を取り戻してすぐに、聖杯戦争に抗うことを決めるなんて」
「聖杯だかなんだか知らないが、人殺しを強要するようなやつの言いなりになるなんてごめんだからな」
「でも、すぐに決断を下せるのはすごいと思うよ」
「非日常的な事件には慣れてるんだ。さすがに英霊様ほどではないだろうけどな」
「どうだろうね」

アサシンは、再び笑う。

「まあ、続きは帰ってからにしようか。
 結界も消えたみたいだし、こんなところにあんまり長居すると補導されちゃうよ」
「ああ、そうだな」

すでに日付は変わり、夜も更けて。
いかがわしい雰囲気に包まれる街を、場違いな二人が歩く。



僕は殺し屋。ターゲットは聖杯。
始業のベルは、ここでも鳴る。


218 : 八坂真尋&アサシン ◆NIKUcB1AGw :2016/04/02(土) 00:56:24 TZWTZr0k0

【クラス】アサシン
【真名】潮田渚
【出典】暗殺教室
【属性】中立・善

【パラメーター】筋力:E 耐久:E 敏捷:D 魔力:E 幸運:C 宝具:B

【クラススキル】
気配遮断:A
自身の気配を消す能力。完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。

【保有スキル】
単独行動:C
マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。
Cランクならばマスターを失っても、1日は現界可能。

人間観察:E
人々を観察し、理解する技術。
アサシンは超生物の弱点を見つけるため日々観察に励んでいたことから、このスキルを所持している。

弱者の風格:A
おのれの力のなさを、敵対者に強く印象づけるスキル。
相手の警戒心を薄れさせ、隙を生み出しやすくする。


【宝具】
『始業のベルは今日も鳴る(アサシネーション・クラスルーム)』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:―
かつて共に超生物の暗殺に挑んだ、27人のクラスメイトを召喚できる。
召喚されたクラスメイトはE-ランクの「単独行動」とCランクの「気配遮断」を持ち、各自の能力に合わせた武器を所持している。
宝具自体に呼び出せる人数の制限はないが、魔力消費を考えれば同時に召喚できるのは2〜3人程度であろう。

『卒業の時間(グッバイ・マイティーチャー)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:0-1 最大捕捉:1人
超生物にとどめの一撃を与えた逸話が、ナイフとして具現化したもの。
このナイフによるサーヴァントの霊核への攻撃が成立した瞬間、一切の防御、スキルを無視しそのサーヴァントを消滅させる。
効果自体は強力だが発動には正確な攻撃が求められ、またリーチが短いため発動難易度は高い。


【weapon】
『超体育着』
日本政府からE組に支給された戦闘服。
最新技術が惜しみなく使われており、防御力と軽さを併せ持つ。
とはいえあくまで常識の範囲内であるため、サーヴァントとの戦闘では気休めにしかならない。

【人物背景】
日本政府から超生物暗殺を依頼された椚ヶ丘中学3年E組の生徒。
小柄な体格で顔つきも女性的であるため、女装しても違和感がないほど中性的な外見である。
身体能力は多少身軽な他はいたって平凡であり、暗殺ミッションでは目立つ存在ではなかった。
しかし他者に警戒心を与えない雰囲気と、いざというときの決断力は非常に暗殺者向きであることが明らかになっていく。
やがてクラスの中心的存在となった彼は、仲間たちと共にミッションを成功させるにいたった。

【サーヴァントとしての願い】
マスターの生還。


219 : 八坂真尋&アサシン ◆NIKUcB1AGw :2016/04/02(土) 00:57:13 TZWTZr0k0

【マスター】八坂真尋
【出典】這いよれ!ニャル子さん

【マスターとしての願い】
元の世界への生還。

【weapon】
『フォーク』
何の変哲も無い食器。
しかし真尋が持つと、なぜか最強の対邪神武装と化す。
サーヴァントに通じるかは未知数だが、仮に通じてもたいしたダメージは与えられないだろう。

【能力・技能】
『特異点』
時間操作の影響を受けない、特異体質。
時間停止中でも普通に動け、歴史が改変されても改変前の記憶を保持する。

【人物背景】
北海道札幌市(と思われる都市)に住む、平凡な高校生。
しかし邪神型宇宙人・ニャル子との出会いをきっかけに幾度となく地球の危機に巻き込まれ、その解決に貢献することとなる。
本来は落ち着いた性格なのだが、毎度ニャル子たちの悪ふざけやしょうもない事件に巻き込まれるため怒りをあらわにすることが多い。
身体能力は平凡だがバイトで未確認生物を狩っている母からの遺伝なのかフォーク投げの切れ味は異常に鋭く、
人間をはるかに超える力を持つ邪神たちでも反応できないレベルに達している。

【方針】
脱出手段を探す。


220 : ◆NIKUcB1AGw :2016/04/02(土) 00:57:44 TZWTZr0k0
投下終了です


221 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/02(土) 10:28:10 ZJJD6d720
真尋と渚とはまた普通に見えてその実厄介なのを

では投下します


222 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/02(土) 10:28:40 ZJJD6d720
男が気づいた理由は恐怖。
死にたく無い死にたく無いもっと金を得てもっと女を抱いてもっと美食に耽り美酒を飲みもっともっともっともっともっっともっともっともっともっっともっともっともっともっっともっともっともっともっっと
果て無き欲望、限度の無い欲望。しかしそれは満たされない。
死。
生者必滅の理がやがて男に死を齎し、後はただの――――無。
イヤダ!!イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ!!!
そして男は思い出す。死を免れる手段を。
そして男は思い出す。その手段がこの偽りの世界に無いことを。
そして脳が焼き切れんばかりの憤激のさなか。
声が――――聞こえた。

「ふぅん。おじさんがぁ、わたしのマスター?キャハハ、これはあたりかなぁ」


223 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/02(土) 10:29:24 ZJJD6d720
夜も更けた五稜郭に程近いオフィス街に、複数の影が乱舞していた。圧倒的に数が多いのは異形。犀や鮫や百足といった動物類と人体を融合させたような怪物達が100体以上。
異形以外の影は八つ。長柄の武器を持った男女と、ローブを羽織った女と、大剣を持った男が一人。
残りの四人は、人混みに紛れれば忽ち溶け込んで見分けがつかなくなる平凡な外見の無手の男女。
無手の男女は、この函館の地で行われている聖杯戦争に巻き込まれたマスター達。残りの四人はそのサーヴァント。
戦っているのは、セイバーが一人、キャスターが一人、ランサーが二人。
この四組は脱出方法を探していた者や、争いを止めるべく奔走していた者達が出逢い、同盟を組んだグループであり、目下のところ対黒幕の最有力勢力であった。
既に聖杯戦争に乗った主従を、七組撃破しているところからも、その戦力が窺える。
今宵は五稜郭周辺を探索して、黒幕の何らかの動きを誘おうとしていた所を、この異形の群れに襲われたのだ。
異形は強かった、人間基準では。制圧するのは警察では不可能だろうというほどに。
しかし対抗するのは、超常の存在であるサーヴァント。怪物退治をお手の物とする英雄達だ。
異形の群れが、御伽噺に語られる英雄譚のように、サーヴァント達に殲滅され、消滅するまで、さして時間はかからなかった。
「なんなんだ此奴等」
ハルバートを一振りした女のランサーが忌々しげに呟く。
「私の知識には無い。キャスターは」
誰にとも無く放たれた女の呟きを、槍を持った男のランサーが受けてローブの女に振る。
「わかりません。ですが、この異形達を生みだしたのは魔術によるものでは無いことは確かです」
「魔術で…ない。となると錬金術か?東洋の術か?それとも宝具?」
女ランサーの問いに、キャスターは首を振るだけだった。
原因不明の異形の大量発生。確実に聖杯戦争に関係するのは事実だろうが、原因も生みだした者も解らぬでは手の打ちようがない。
その場を重苦しい沈黙が支配した時。
「わたし、知ってるわぁ」
突如として聞こえた、場違いな明るく幼い声に、全員が声の方を見た。
視線の先に居たのは、身長が140cm程も無い、漆黒のゴシックドレスに身を包んだ少女。こちらに歩み寄る一歩ごとに、頭を飾る蝶を象ったヘッドドレスがゆらゆらと揺れている。
死人を思わせる程に白い肌は夜闇を思わせる漆黒の衣装とあわさって、絶妙なコントラストをつくりだし。衣装よりも黒いボブカットの下で、大きめな紅い瞳が楽しげな光を浮かべている。
触れれば折れそうな細い線で構成された身体は、肌の白さとあいまって繊細で儚げなイメージを与え、幼く可憐な顔立ちは無垢そのものだ。
だが、その場に居たサーヴァント達は、少女を見た刹那、一斉に臨戦体制に入ったのだ。その戦意の苛烈さは異形の群れを相手にしていた時とは比較にならない。
彼らには解るのだ。少女が放つ異質極まりない存在感が、少女の全身から立ち上る瘴気が、そして、少女の声から視線から感じる底知れぬ邪悪さが。
少女を見た瞬間から、サーヴァント達は底知れぬ奈落に墜ちゆくような感覚を覚え続けて居た。


224 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/02(土) 10:29:57 ZJJD6d720
「知っている。そういったな。それは此奴等が何処から来たのか…ということか。それとも」
詰問するセイバー。一同を少女から守るように前に出て、宝具でもある大剣を油断無く構える。
「この人達をけしかけたのは…わたしよ。英雄さん達」
どうでも良さげな口調で行われた宣戦布告。サーヴァント四騎を相手にする行為では無い。ならばこの少女は狂っているのか?
否。口元に浮かべた傲岸不遜な笑みを見よ。総身から滲み出る、未だ解放されておらぬのに周囲の空間を陽炎の如く歪ませるその暴虐な魔力を。
少女は――――魔少女は狂ってなどいない。此処でこの四組を皆殺しにする自信が行わせた宣戦布告であった。
「人…と言ったな。ならばこの化け物共は」
マスター達を守るべく下がっていた女ランサーが怒気も露わに叫ぶ。
「奴等ははエクリプス。自分の欲望に呑まれ…影に喰われた愚かな人間達。自分に正直になっただけ……とも言うんじゃないかしらぁ」
朗らかに楽しそうに笑う魔少女。闇の中、街灯に浮かぶ姿は、病的で、背徳的な美に満ちていた。マスター達はおろか、四騎のサーヴァントですら、昏い欲望を一瞬抱いてしまった程に。
「貴女は…何者なのです。どうやってあの異形達を作ったのです」
震えながら問うキャスター。魔術師である彼女は他の者より解るのだ、この魔少女の異質さが。
「わたしは始原(アルファ)にして終末(オメガ)たる影魔(えいま)の姫、オメガエクリプス。クラスはバーサーカーよ。失礼だわぁ。こぉんな美少女がバーサーカーだなんて」
頬を膨らませるバーサーカーの無垢な愛くるしさよ。その仕草は甘美な毒のよう、口にすれば死ぬとわかっていても、口にせずにはいられない。そして陶酔のうちに五臓六腑を腐らせて死に至るのだ。
「ちょぉっと力の有るエクリプスなら簡単にできることよ。一番強くて一番偉いわたしなら、できて当然よ」
四騎の英霊達ですら、思わず息を飲んだ程に、それは蠱惑的な仕草だった。
「グ…オオオオオオオオオ!!!!」
そんな己を恥じたのか、先の魔少女の言葉に怒りを覚えたのか、四騎のサーヴァントは、可憐で儚げな少女に一斉に襲いかかった。


225 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/02(土) 10:31:04 ZJJD6d720
――――函館市某所
そこはオフィス街のの地下に作られた広大な空間であった。
そこは悪徳の地だった。淫靡な香が炊かれ。薄暗い照明の中、仮面以外は何も身につけていない無数の男女が、酒食を貪り、男と女、男と男、女と女で交わり合う。
眩く照らされるステージの上では、招かれたもの達が壇上に挙げられた男女を責め苛み、嬲り殺す。
嘗て神の怒りに触れて地上より消えたソドムの再現がここにはあった。
だが欲望を貪る者達は気付かない。照明に照らされた影に蠢く蛇に。
そして蛇共は一斉に天井近くにまで鎌首をもたげ、人間など数人纏めて入りそうな大口を開けて、悦楽を貪っていた人間共を喰らいだす。
肉が裂ける音。骨が砕ける音。血を啜る音。それらを圧して轟く阿鼻叫喚。函館市の地下に現れたソドムの都は、あっさりと滅びを迎えた。
しかし、この背徳の都を滅ぼしたは、神でもその御使いでも無い。
「はぁあ…欲望に塗れて絶望に染まった魂はおぃしいわあぁ…もっと無いの?マスター?」
血の一滴、肉片一つ残さずに、その場にいた者達を喰らい尽くした黒い蛇共。その蛇の群れを全て己の影に収めて笑うのは、漆黒のゴシックドレスに身を包んだ、儚げな容姿の少女。
外見からは想像もできない存在感を放つその姿、その邪悪に歪んだ唇、凶悦の色を浮かべた紅い瞳、何よりもその全身から立ち上る、漆黒の瘴気。
昨夜三組の主従を殺したバーサーカーであった。
「待つことだなバーサーカー。早々、餌は集まらん」
魔少女に応えたのは高級なスーツに身を包んだ男。その眼はどんな姿をしていても、一目で男を他人と隔てる、内面からの欲望にギラついていた。
「余り餌を食い散らかしては、他のマスター共に気付かれる恐れもある」
「うふふ…また御馳走」
艶やかな邪笑を浮かべる魔少女。その目はまるでプレゼントを待ち焦がれる幼子のよう。昨晩戦った四騎のうち、女ランサーを喰らい、糧とした時の味が忘れられない様だった。
サーヴァントを喰らい、魔力充溢した状態で、魂食いをする必要は全くない。にも関わらず魂食いを行ったのは、ただ単にやりたかった。それだけの理由である。
百人以上の男女を、駄菓子の如く食い散らかして笑う姿は、まさに魔性と呼ぶに相応しい。
「英霊かぁ、お姉ちゃんみたいに、皆の為に戦うんだって人達…。犯して嬲って辱めて貶めて……。楽しみぃ」
クスクスと笑う魔少女。その目は恍惚と煙り、何処か遠くを見つめていた。
「そぉいえばマスターは、何かお願いしたいことはあるの?」
バーサーカーに問われて男は歪んだ笑みを浮かべる。
「いくらでも有る。金、地位、権力、女、美食。いくら貪っても足りない。飽き果てるまで欲望を満たす為に必要なモノ……不老不死だ」
男の答えにバーサーカーは愉快そうに笑う。
「不老不死が目的じゃなくて手段かぁ…本当にマスターって面白ぉい。わたしを呼べる訳よねぇ。本当に欲深いんだから」
ひとしきり笑った後おもむろに踵を返した。
「それじゃあ、用がある時か、ご飯用意できたら言ってね。それまで昨日捕まえたキャスターとそのマスターで遊んでるから」
手をひらひらと振って去ろうとするバーサーカーにオトコが最後の質問を放つ。
「勝てるのだろうな」
「当然よ。全員遊び潰してマスターに聖杯をあげるわぁ。そしてわたしはもう一度お姉ちゃんと……ふふふ」


226 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/02(土) 10:31:34 ZJJD6d720
バーサーカーが去って行った方向を見つめて、男は短く息を吐いた。
――――歴史上や伝説の英雄を使い魔として行う代理戦争?馬鹿馬鹿しい。あれのどこが英雄だ。
胸中に呟く。バーサーカーの可憐な外見から滲み出る瘴気。無垢な表情とは裏腹に、周囲を圧する存在感。しかも意図してのものでは無く、只ありのままに振舞っていて漏れ零れたものであれだ。
男の脳裏にバーサーカーから聞いた知識が思い起こされる。
エクリプス…抑えきれない欲望がきっかけで、人が押さえつけている人格。心理学的に言うところの“シャドウ”に呑まれ怪物と化した人間。通常のエクリプスは人間に擬態する能力はあるが知能は極めて低い。欲望をに非常に忠実。

欲望を越える精神力で以って、影による侵食を跳ね除け、影を支配したものは上級エクリプスとなり、人としての思考と通常のエクリプスには無い超常の力を行使する。
他人をエクリプスに変えたり使い魔を生みだしたりできる。

影魔王はそもそもの来歴が不明。他のエクリプスを遥かに超越した力を持ち。エクリプスを従える存在。

そしてエクリプスの本質は……欲望を満たすこと。

男が影魔王たる――――影魔姫と称しているが――――バーサーカーと接することができるのは胆力の故では無い。バーサーカーに匹敵する化け物を養子として“飼っている”からに他ならない。
――――今ばかりは、貴様に感謝するぞ。紅麗。
いつか殺害する予定の男に心中で感謝する。
あの恐るべき養子と向かい合ってきた経験を持って、男は魔少女を従える。
――――治癒の少女も、天堂地獄も、この地では手に入れられぬ。元の世界に何としても帰還しなければ。
だが彼の私兵集団である麗(うるは)も裏麗(うらうるは)もこの世界には存在しない。
だが問題は無い。バーサーカーの存在が補って余り有る。問題はその性状だった。気紛れに自分を殺すかも知れない。
――――これは無くせんな。
右手の甲にいつの間にか刻まれた令呪を見る。
それは、何かを掴むかのように指を広げた手の形をしていた。


227 : 名無しさん :2016/04/02(土) 10:32:02 ZJJD6d720
バーサーカーに倒された四組の主従の不幸は、この主従が拠点としている場所に、それと知らず近づいたことであった。
オフィス街に設置して有る監視カメラで接近を知り、自分達の拠点が気づかれては面倒と思案していたところ、バーサーカーが勝手に迎撃に向かったのだが、
まさか作り続けたエクリプス全てをバーサーカーが使い潰すとは思ってもいなかった。それも英霊達達の戦いを見たいという理由で。
バーサーカーから予め聞いていたエクリプスの習性。欲望に忠実で、欲望を満たすことのみに生きている。そしてバーサーカーの欲望は自分が愉しむこと。
この二つの知識と、セイバー及び男女のランサーを一蹴したバーサーカーの実力が無ければ怒り狂っていただろう。
しかし、どうでも良いことだ。バーサーカーの戦力は下級エクリプス100体どころでは無い。当人曰く「生きていた頃と比べると大分弱くなってる」とのことだが、それであの強さなら、生前の力を取り戻せば、紅麗をも凌駕するやも知れぬ。
男は自分の養子であり、最大の力であり、最も油断ならない男の顔を思い浮かべる。
――――バーサーカーの力があれば、奴を、紅麗を恐れずに済む。
聖杯を手に入れ、バーサーカーの力を我が物とし、天堂地獄を手に入れ、治癒の少女を得て不老不死となり、紅麗を殺す。そして何も恐れること無く欲望を貪る。
男の――――森光蘭の欲望は、再現なく膨れ上がっていた。
前提としての聖杯戦争の勝利。聖杯の獲得の為に、ロールとして得た大企業のトップとしての財力と権勢を用いて、函館市の至る所に監視カメラを設置し、人を放って情報を集めている。
函館で目立つ動きをした主従は、即座に把握できる体制を既に整えていた。

欲望の化身たる影魔姫と、欲望そのものと言うべき男。両者は我欲を満たす為に戦場に身を投じる。
その過程で他者を踏みにじろうと。他者の夢を砕こうと、それすらも彼らの欲望を満たす行為。
聖杯戦争は彼等にとって通過点であり、欲望を満たす場であった。


228 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/02(土) 10:35:56 ZJJD6d720
【クラス】
バーサーカー

【真名】
オメガエクリプス@聖天使ユミエルシリーズ

【ステータス】
筋力:B 耐久:C 敏捷:B 幸運:B 魔力:EX 宝具:EX

【属性】
混沌・狂

【クラススキル】
狂化:EX
言語能力と思考能力を有するが、バーサーカーの思考は「自分が愉しむ」ということに固定化されている為、意思疎通ができない。
パラメータ上昇の恩恵は受けないが同ランクの精神異常のスキルと同じ効果を得る。
このスキルはバーサーカーの在り方そのものを表している。

【保有スキル】
魔性:EX
影魔の王たるバーサーカーは最高位の霊格を持つ魔性である。

対神聖:B
敵対者がCランク以下の神性や聖性を持っていた場合、幸運と宝具を除くステータスが1ランクダウンする。

加虐体質:A+++
戦闘において、自己の攻撃性にプラス補正がかかるスキル。
これを持つ者は戦闘が長引けば長引くほど加虐性を増し、普段の冷静さを失ってしまう。
攻めれば攻めるほど強くなるが、反面、防御力が低下してしまう。
それだけに、バーサーカー一歩手前の暴走スキルと言える。
欲望に忠実な影魔である以上、宿命とも言えるスキル。

怪力:A+
魔物・魔獣のみが持つスキル
戦闘中に筋力をワンランクアップさせる。持続時間はスキルに比例する。

使い魔:C
人間を素に下級のエクリプスを作り出す。下級エクリプスはEランクの魔獣に該当し、霊格は極めて低い。知能が極めて低く、全ステータスがDランクであり、宝具は所持していない。またDランクの単独行動スキルを持つ。

対魔力:A
A以下の魔術は全てキャンセル。事実上魔術ではバーサーカーに傷をつけられない。
影魔の王たるバーサーカーの神秘は極めて高く。破格の域である。

拷問技術:A+++
卓越した拷問技術。
拷問全般のダメージにプラス補正がかかる。
凄惨を極める拷問が行なわれる度に、相手には精神ダメージが蓄積され、
それが一定量に達すると完堕ち判定が発生する。

魔力放出:A
武器ないし肉体に魔力を帯させ、瞬間的に放出することで能力を向上させる。
バーサーカーは膨大な魔力を体の周囲に帯びることで対物・対魔能力を向上させている。

威圧:B
高位の魔性としての格の高さは対峙した相手の戦闘意欲を削ぐ。
同ランク以下の耐性では、戦闘時に竦んでしまう。

仕切り直し:B
戦闘から離脱する能力。
煌翼天使の必殺技を受けて死に掛かるもなんとか離脱できた。
宝具の直撃を受けてもなお生存し、離脱できる可能性がある。

形態変化:ー
状況に応じて姿を変え、能力を変化させられる。
制限によりこのスキルは使用不能。


229 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/02(土) 10:36:52 ZJJD6d720
【宝具】
奪い操る影遊び(シャドウスティール)
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人

バーサーカーの肉体を融解させて対象の影に入り込み、自在に操る技。
対象の能力や、知ってさえいれば宝具の真名開放も可能。
Bランク以上の対魔力もしくはAランク以上の精神耐性の持ち主には効かない。


終焉を齎す暴食の顎(エンド・オブ・グラトニー)
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ1~30 最大補足:100人

バーサーカーの影から巨大な顎を持つBランクの魔獣に該当する肉蛇を多数召喚する。この時影の形や大きさは、肉蛇の数や大きさにより変化する。
肉蛇は極めて強靭で、Bランク以上の宝具かA以上の筋力を持ってしなければ傷をつけることさえ難しい。
この肉蛇に食われた者はバーサーカーの魔力として吸収される。制限により吸収効率はかなり悪くなっているがサーヴァントを一騎喰えば充足することは可能。

ライダーとして召喚されていれば、高層ビルを崩壊させるサイズの肉蛇を無尽蔵に召喚する対城宝具となるが、バーサーカーとして招かれた為、規模が落ちている。


魔姫の審判以って下される暗黒の槌(ダークネス・パニッシャー)
ランク:A+ 種別:対城宝具 レンジ20〜60 最大補足:500人

バーサーカーの持つ影の力をを破壊エネルギーに変えて解放する。
解放されたエネルギーは超重力の形を取り、範囲内のもの全てを押し潰し、消滅させる。
本来ならば何の消耗も無く街一つ消すこともできるが、制限によりかなりの魔力を消費し、威力は変わらないが範囲は狭まっている。


猛り狂う終焉の大鎌(デッド・エンド・オーヴァーロード)
ランクA+++ 種別:対人宝具 レンジ1〜3 最大補足:3人

バーサーカーの本質である、終末の力を凝集して生み出した大鎌による斬撃。
万象に待ち受ける終末という運命を具現化したと言える絶対斬撃は、全てを消滅させる無を生みだし、空間すら飲み込んで軌道上のもの全てを消滅させる。



【weapon】
大鎌
自分の影から取り出す、自身の身長よりも長大な鎌。

【人物背景】
二次元ドリームノベルズの変身ヒロインもの“聖天使ユミエル”シリーズのラスボス
性格は幼児の残虐さと気ままさに悪魔の狡猾さを併せ持った暴君。
種として欲望の追求に忠実な為、目先の快楽に気を取られて周りが見えなくなることも。
それが元で姉である煌翼天使に敗北を喫する。

【方針】
楽しめる相手(オモチャ)を探す。自分は最強だから負けないと思っている。
当面は捕まえたキャスター主従で遊ぶ

【聖杯への願い】
受肉。姉であるユミエルとの再会


230 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/02(土) 10:37:42 ZJJD6d720
【マスター】
森光蘭@烈火の炎

【能力・技能】
ロールにより齎される財力。
底無しの欲望とそれを満たす為にはわが身を顧みない根性。烈火達が紅麗を消耗させ切ることを、紅麗が裏武闘殺陣の開催を要求した時に予測する頭脳と高い嗜虐性を有する。

【ロール】
日本有数の大企業のトップ。函館に本拠地がある。森の拠点は五稜郭に近いオフィス街の地下に作った施設。

【人物背景】
少年週間サンデーに連載されていた“烈火の炎”のラスボス。
底無しの欲望を有し、それを満たす為に不老不死を求める。
そうして偶然発見した“治癒の少女”佐古下柳を拉致。烈火達の戦いの幕を開けるのだった。
結局柳は奪い返されるものの、裏武闘殺陣の開催を要求した紅麗の言葉から烈火達の潜在能力を悟り、紅麗暗殺計画を始動。決勝直後満身創痍の紅麗を襲撃するも取り逃がす。
その後究極の魔導具“天堂地獄”の在り処を知り、入手に赴く。烈火達との戦闘や、生きていた紅麗の逆襲を掻い潜り、天堂地獄に選ばれ、融合。人間を辞める。
その後は傷を癒し更なる力を得る為に、性欲と一体化した食欲を満たし続ける。
そして佐古下柳を再度拉致し、柳を取り込むことで不老不死を獲得しようとしたが、烈火に妨害され、柳の力により身体が崩壊。紅麗の追撃を受けて剥き出しになった本体を烈火に砕かれて死亡した。

【方針】
バーサーカーに餌をやりながら他の主従の情報を集める。
バーサーカーの戦力ならば魔力が尽きない限り負けることは無いと思っている。
令呪は絶対に一画残す。

【聖杯への願い】
不老不死の弱得とバーサーカーの受肉。


231 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/02(土) 10:39:02 ZJJD6d720
投下終了です
タイトルは 【終末の蘭 蝕む光】
でお願いします


232 : 名無しさん :2016/04/04(月) 07:04:35 Bz1XgGfk0

申し訳ありません。訂正が二つあります

オメガエクリプス
×【ステータス】
筋力:B 耐久:C 敏捷:B 幸運:B 魔力:EX 宝具:EX

⚪️【ステータス】
筋力:B 耐久:C 敏捷:B 幸運:B 魔力:EX 宝具:A+++

劉豪軍
×紫電掌
ランク:A 種別:対人宝具 最大補足:1人 レンジ:1

⚪️紫電掌
ランク:B 種別:対人宝具 最大補足:1人 レンジ:1


233 : 名無しさん :2016/04/05(火) 01:17:16 XBvYQBrQ0
>>232
スキルは合わせて6個までな
それをオーバーするならいくつかを複合スキル影魔王としてまとめるなりすればよいかと


234 : 名無しさん :2016/04/05(火) 04:12:33 d3UV6.820
>>233
それ意味なくね?
10個のスキル内包する複合スキル6個つければスキル60個は付けれるよ


235 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/05(火) 08:56:31 yA7EdcnM0
>>233
知らぬこととはいえすいませんでした。近日中に修正したいと思います。


236 : ◆ZjW0Ah9nuU :2016/04/05(火) 15:09:40 elDJEEcQ0
某所のリブートのリブートのようなものですが、投下します


237 : 暁&アーチャー ◆ZjW0Ah9nuU :2016/04/05(火) 15:11:09 elDJEEcQ0
自分が生まれた時のことって、覚えてる?

気付いたらそこにいて、司令官に挨拶して。

自分は艦娘という存在だってことが始めからわかっていて、いつの間にか深海棲艦と戦うことになっていて。

それに何の疑問も持たなかった。

ここに来る前は鎮守府での日々が当たり前で、深海棲艦からみんなの海を取り戻すために頑張っていたわ。

司令官や妹達、他の艦娘も子ども扱いしてくるところがあるけれど、今となってはみんなと鎮守府で過ごした日々は絶対に手放したくない、大切なものなんだと思う。

それがいつまでも続くと思っていたし、できるなら今すぐにでも戻りたいと思うわ。

だから、想像することもできなかった。

深海棲艦との戦いが終わったら、自分はどうなるんだろうって。







238 : 暁&アーチャー ◆ZjW0Ah9nuU :2016/04/05(火) 15:13:20 elDJEEcQ0



もはや光と呼べるものは少なく、活動を続けている者はいない夜の街で、数多の火花が散っていた。

「す、すごい…」

そのあまりにも規格外な光景に魅了されたかのように、それを見ていた小柄な少女から感嘆の言葉が漏れだした。
片や少女の上官に当たる人物の着る二種軍衣のような軍服を身に纏った男。片やアーチ状に曲がった曲剣を身体の一部のように操る異国の鎧を着用している男。
その二人が、少女を巡ってこの深夜の街で激突していたのだ。
その戦闘は日夜正体不明の敵――深海棲艦と戦い、その過程で武勲を立てていった一部の艦娘を彼女らの背後で見てきて目の肥えていた艦娘の少女――暁の目をしても、
これほどの極上の矛と盾がぶつかり合うような戦神同士の戦いがこの世にあったのかと言わんばかりの驚嘆と興奮を禁じえなかった。

暁がその二人の方へ改めて目を向けた今も、軍服の男が音を立てずに鎧の男へ接近し、空中を舞いながら身体を捻り回し蹴りを鎧の男へ打ち出した。
音が立たなかったの理由は単純で、その速度が音速を軽く超えていたからだ。男の軍服からは電気が流れ、もはや人の域とは思えぬ身体能力を発揮していた。
それを鎧の男は曲剣を自在に操りこれを防ぐ。そしてその脚と曲剣が打ち合った瞬間、轟音と共に衝撃波が発生し、直下のアスファルトにヒビが入り、突風が吹き荒れた。
暁はその10歳にも満たないような小さな身体が錨のマークのある帽子ごと吹き飛ばされそうになり、思わず傍にあった電柱につかまる。
着ていたセーラー服がはためき、必死に帽子を押さえつつ電柱の影から二人のとこの戦いを見届けようと、暁は再び対峙する二人の英霊を見た。

「まさかあと一歩のところで貴様が来るとはな…」
「自分が従者としてここにいるのならば、主君を守るという務めも果たさねばならん。退かぬというのであればお前を消す」
「アーチャー…」

暁にはあまりに突飛した状況に置かれていたせいか、自身を守ろうと戦う軍服の男ことアーチャーが自分のサーヴァントであるという感覚が未だに湧かなかった。
自分が住んでいるのは函館にある民家ではなく数多くの艦娘が寝泊りする鎮守府の宿舎である――そんな違和感が元で暁が記憶を取り戻したのはほんの数十分前にさかのぼる。
その時、聖杯戦争という本来なら聞いたこともない戦争のルールを、暁はなぜか知っていた。
元々暁は妹達――同型の艦娘や提督と共に鎮守府で生活を送り、
人類の海を脅かす深海棲艦の棲地へ出撃し、上司にあたる艦娘と遠征して資材を鎮守府に届ける毎日が続いていたはずだ。
一応、暁の従事していた戦争とは全く異なる戦争に巻き込まれたことだけは理解できた。

困惑に困惑を重ね、暁にできたことは他のマスターに悟られないように平然を装うことと、
夜景にライトアップされた函館に立つバランスの悪そうな塔――五稜郭タワーの遥か上空に伸びている、記憶を取り戻して突如見えるようになった瓦礫の塔を見上げることだけであった。
しかし、暁は自称一人前のレディとはいえ本性はやはり外見の通りであったのか、見通しが甘かった。
絶えず不思議そうに瓦礫の塔を見上げている様子をマスターに捕捉されていたのである。
そしてつい先ほど、一人でいたところをサーヴァントの襲撃に遭った。
相手方の言うように間一髪のところでアーチャーが召喚されたことで即脱落は免れることはできたが。

「…沈黙はまだ継戦意思があると見なすが?」

しばらくの間、暁もアーチャーも鎧のサーヴァントも声を発さず、緊迫した気配が夜の街の一角を支配していた。
痺れを切らしたのか、アーチャーは帯電し、何かを撃ち出そうとしているのかその拳を相手に向けながら問いかける。
しかし、鎧のサーヴァントは答えない。アーチャーと暁の様子を窺いつつ、いつでも動けるよう剣を構えながら別の何かに耳を傾けているようにも見える。


239 : 暁&アーチャー ◆ZjW0Ah9nuU :2016/04/05(火) 15:13:58 elDJEEcQ0

「電光弾!」

このままだんまりを決めると判断したのか、アーチャーはその拳から高圧な電力を孕んだ電気の弾を撃ち出した。
高熱で、耐熱合金製の装甲すらも容易く溶かしてしまう電光弾が、超速で鎧のサーヴァントに飛来する。
だが、それが当たることはなく、鎧のサーヴァントは寸でのところで霊体化し、その場から離れていった。この場から退くことを選択したらしい。
目標を失った電光弾は民家の塀に着弾し、その地点の周囲には焦げた跡と、塀が地面ごとドロドロに溶けて小規模なクレーターができていた。

「逃げた…?」
「一先ず事態を切り抜けたと考えていい。敵襲に遭っていたようだが、無事か?」
「もっちろん!あんなのへっちゃらだし!ってそんなことより、これってもしかしなくてもマズいんじゃないの!?」

もう脅威は去ったと判断し、暁は自分のサーヴァントとなった男の元へ駆け寄るが、安心も束の間、その表情には焦りと「やってしまった」といわんばかりの諦観が混ざっている。
何せ、アーチャーの放った攻撃が無関係な函館の民家に損害を出してしまったのだ。
それだけでない、先ほどの鎧のサーヴァントとアーチャーの戦闘の余波によって、折れて機能を失った信号や穴ぼこが開いて下水道と直通してしまったアスファルトなど、
見るも無惨な惨状が付近一帯に広がっている。
民家の持ち主始め近所の住民にしてはたまったものではないだろうし、自分のサーヴァントの仕業ですとはとても言えない。
そもそも先ほどの状況を嘘で塗り固めて説明できるほど暁は賢くない。

「確かに、じきに近くの住民が騒ぎを聞きつけてやってくるであろう。その前に場所を変えるぞ」

アーチャーも此処にいることは好ましくないことに同意した。
暁は大人の叱責から逃れようとする子供のように、自分達が下手人と疑われぬよういち早く逃げようと走り出そうとした――が。

「…ふぇ?」

その直後、暁はその小柄な体躯に妙な浮遊感を覚え、素っ頓狂な声を上げてしまう。
お腹にはほんの少しだけ圧迫感がある…その正体を見るために下腹部へ目線を映すと、アーチャーの腕があった。
アーチャーは自分を脇に抱えているのだ。

「な、な、な、何するのよ!降ろしなさい!降ーろーしーてー!」
「ここから離脱するために遠方へ跳ぶ。少しばかりの辛抱だ」
「飛ぶって、どうやって!?そんなことより暁を抱えるならこんな持ち方やめてよね!こんなの全然レディーらしくな――」

暁が言い終わる前に、アーチャーは所持している宝具『電光機関』を使用して自身の身体能力を極限にまで引き上げる。
その影響か、静電気によってただでさえ広がっていたアーチャーの髪がさらに横へ浮き上がった。
そして、膝を屈めた後に地面をしっかりと踏みしめた後に、函館上空へと跳躍した。

「ぴゃああああああああああっ!?!?!」

実際のところ、暁は跳ぶことを飛ぶと間違えており、本当にアーチャーが空高くへ行ってしまうとは思ってもみなかった。
それゆえに地面が離れていく光景と暁の身体にかかる風圧に、思ってもない悲鳴を上げた。
函館の美しい夜景を眺める暇もなく、暁は帽子を押さえながら泣き声を上げ続けるしかなかった。







240 : 暁&アーチャー ◆ZjW0Ah9nuU :2016/04/05(火) 15:14:31 elDJEEcQ0



「アーチャーのばかばかばかぁっ!すっごく怖かったんだから!死んじゃうかと思ったんだからぁっ!」
「…少しばかり配慮が足りなかったようだ。申し訳ないことをした」

無事に雑草の生い茂る空き地に降り立ったはいいものの、暁には相当堪えたらしく、その場にへたり込みながら涙目でアーチャーに抗議する。
どうやらこれは「へっちゃら」ではなかったようだ。

「男の人なんだからレディーの気を使うことくらいはちゃんと覚えなさいよ…」
「れでぃー?…淑女のことか。見たところ小童に見えんが、善処する」
「早速できてないし!暁はお子様じゃなくて一人前のレディーなの」

その後も暁がレディーが否かで、暁がぷんすかと腹を立てることもあったが、ようやく落ち着ける場所に腰を降ろせたこともあり、
暁とアーチャーは互いのことを話し合うことになった。

「暁よ。重ねて言うけど、一人前のレディーとして扱ってよね」
「お前も既にわかっているだろうが、職業は弓兵…アーチャーだ。真名は…そうだな、自分が英霊となった以上、伝承に従うならば『アカツキ』名乗るべきか」
「うん!よろしく――『アカツキ』ぃ!?」

アーチャーの真名は暁のサーヴァントとなった縁を感じさせるものであった。
その名は、暁と同じ『アカツキ』。彼を知る人物からは『アカツキ試製一號』もしくは『試製一號』と呼ばれていた。
大戦終結から半世紀後に北極海に浮上した潜水艦から当時の姿のままで現代に甦った戦時の人間。
「任務ニ失敗セシ時は全テノ電光機関を破壊セヨ」という命令を完遂するために命を賭して戦った護国の鬼。
暁は目の前にいるサーヴァントが自分と同じ名前であるという事実に驚きと戸惑いを隠せない。

「同じ名前…」
「『暁』の名が用いられることは旧帝国軍では珍しくない。かつて陸軍には暁部隊という船舶部隊もあったからな」
「…アーチャーも軍人なの?見るからにそれっぽいけど」
「うむ、旧帝国陸軍に所属していた」

暁はアカツキを見上げて、真新しさを感じていた。
というのも、暁始め艦娘は上官に当たる提督以外に男性の軍人を見ることは少なく、陸軍所属の軍人となると深海棲艦以上に未知の存在だったからだ。
服装はやはり提督のそれと似通った部分があるが、キリッとした目や硬い表情から、堅物で融通の利かなさそうな印象を受ける。
良く言えば実直で下心がないといった方がいいだろうか。
暁はよく提督に頭を撫でられていたが、この男の人はそんなことは絶対にしないだろうと直感的にわかった。


241 : 暁&アーチャー ◆ZjW0Ah9nuU :2016/04/05(火) 15:15:50 elDJEEcQ0

次いで、暁は自身が聖杯戦争に参加する前に何をしていたかを話した。
鎮守府での生活に艦娘のこと、そして深海棲艦。中には提督や先輩艦娘への愚痴や妹の自慢も含まれていた。

「成程…艦艇を人型に当てはめた存在に深海棲艦か。そのように言うお前も艦娘なのだな」
「当然よ。人で深海棲艦に対抗できるのは暁たち艦娘だけなのよ!」

えっへんと暁は得意げに胸を張る。
――といったところで、深海棲艦との戦いのことが暁の頭をよぎった。

「…ねえ、アーチャー。聖杯を使えば、深海棲艦との戦いも、終わらせられるかな?」
「自分の記憶にあるところにとれば、不可能ではないであろうな」

暁は、今までの過程で多くの艦娘が深海棲艦と戦い、傷ついて帰ってくるのを見てきた。
暁自身も、何度か大破して鎮守府に戻ったことがある。
ボロボロになった仲間の姿を見たり、大破して轟沈の危機に陥るのは、暁であってもいい気分ではなかった。
妹の電に至っては、敵である深海棲艦も助けたいと時折姉妹や提督にこぼすことがある。
電はとても優しい。一緒に出撃した時は、沈んでいく深海棲艦を見てとても悲しそうな顔をしていた。
聖杯の力でこの戦いを終わらせれば、誰も辛い思いをしなくて済むのではないか。そう考えたのだ。

「…だが、本当に聖杯の力で解決してしまってよいのか?」
「どういう意味なの?」
「自分の聞いた限りでは、艦娘は深海棲艦とやらに対抗するための存在だ。しかし、仮にその戦いが終結して深海棲艦がいなくなれば、お前達の存在意義がなくなるのではないか?」
「……」

暁は面食らい、何も言い出せなくなった。
深海棲艦との戦争のことだけしか見えておらず、その後のことは考えたこともなかった。
艦娘とは、深海棲艦を倒すためにある。だが、深海棲艦がいなくなれば艦娘も必然的に存在理由がなくなり――どうなるのだろうか?

「それは…」
「強制はせぬ。従者は主君に従うのが務め。聖杯を狙うというのなら自分もその役目を全うしよう。
だが、お前達艦娘から深海棲艦を駆逐するという任務を取れば、何が残るのかを今一度考えた方がいい」

アカツキがこのようなことを言うのには、理由があった。
大戦時、同盟国ドイツからの新兵器を輸送任務中に、アカツキは北極海で潜水艦と共に沈んだ。
アカツキだけは積荷にあった冬眠制御装置でなんとか生き延びたが、再び目覚め、浮上した潜水艦から出ると既に半世紀もの月日が経過していた。
覚醒した時には戦争は終結し、自身もまた死亡したことになっていた。
もはやこの世界に自身の居場所も、存在理由もない。旧帝国陸軍高級技官アカツキは世界にとって過去の遺物なのだ。
そんな彼に残されていたのは、「任務ニ失敗セシ時は全テノ電光機関を破壊セヨ」という任務のみ。
それを完遂することだけを胸に、かつてのアカツキは行動を開始した。

アカツキは、深海棲艦の完全消滅によって暁ら艦娘もまた、自身のように居場所や存在理由がなくなるのではないかと推測していた。
そうなるのであれば、たとえいかなる苦難があろうとも、聖杯に頼らずにその任務を全うした方がいい。
仮にアカツキがマスターとしてこの場にいたならば、電光機関の破壊など願わなかったであろう。
あの任務は現代に甦ったアカツキの全てであり、己の手で完遂することに価値があるのだから。

「…と、とにかく!今は生き延びることが優先よ。アーチャーの言ったことは…また後でよく考えてみるわね」
「…そうか」

そう言って暁は帰路につく。
暁の脳裏には、アカツキの言葉がこびりついていた。


242 : 暁&アーチャー ◆ZjW0Ah9nuU :2016/04/05(火) 15:17:07 elDJEEcQ0
【クラス】
アーチャー

【真名】
アカツキ@アカツキ電光戦記

【パラメータ】
筋力C+ 耐久D+ 敏捷D+ 魔力C 幸運D 宝具A

【属性】
中立・善

【クラス別スキル】
対魔力:D
一工程による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

単独行動:C
マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。
Cランクならば一日程度の現界が可能。

【保有スキル】
魔力放出(雷):A+
武器・自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させるスキル。
アーチャーの場合、放出された魔力が『電光機関』により電力に変換、電光被服の性能を上昇させる。

電光体質:A
アーチャーの持つ、並外れた『電光機関』への適合性。
魔力放出(雷)及び『電光機関』の使用による消耗を最小限に抑えることができる。
アーチャーは古代アガルタ文明の末裔であり、『電光機関』の酷使で消滅することはない。

空腹:C
『電光機関』の長時間使用により、アーチャーはサーヴァントにも関わらず空腹を訴える。
極度の空腹状態に陥った場合、アーチャーのパラメータが低下する。
逆に言えば『電光機関』による消耗は食事をとるだけで回復できることにも繋がる。

戦闘続行:B
決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の重傷を負ってなお戦闘可能。

高級技官:B
生前、アーチャーが陸軍の高級技官を務めていたことによる技術の知識。
機械や兵器などの構造・機能を瞬時に把握することができる能力。
また、技術系の敵のスキルや宝具の能力を看破できる。


243 : 暁&アーチャー ◆ZjW0Ah9nuU :2016/04/05(火) 15:17:53 elDJEEcQ0

【宝具】
『電光機関』
ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:―― 最大捕捉:1人
アーチャーが身に着けている電光被服(軍服)に装着されている特殊機関。
装備することで無尽蔵に電気を生み出すことができる。
チベットの秘境で発掘された古代文明アガルタの超科学技術を元に開発された。
強力な電力で敵の装甲を溶かし、発生する電磁波により電子兵器を一切無効化する。
他にも高圧な電気を弾にして飛ばしたり、敵に直接電気を送り込んで感電させるなど、様々な応用が可能。
電光被服を介して身体能力を強化し、筋力・耐久・敏捷のパラメータを上昇させることもできる。
電光機関の電気は生体エネルギー(ATP)を変換して得られるものであり、
使い続けた者は死んでしまうという欠点を持つ。
アーチャーはサーヴァントであるため、生体エネルギーの代わりに魔力を消耗する。
アーチャーは電光体質スキルにより消耗は少なく、魔力消費も微量なため、魔力低下を気にせず使い続けることができる。

『我が身は死して護国の鬼と成りぬ』
ランク:C 種別:対己宝具 レンジ:―― 最大捕捉:自分
かつて任務が解除されたにも関わらずその任務を遂行しようとしたエピソードに由来する宝具。
アーチャーの軍人然とした性格と、正義感・義務感に基づく行動原理自体が宝具となっている。
アーチャーに対する令呪は、一画あたり二画分の効力を持つ。
そのため、令呪による強化も通常の令呪の倍の影響を与える。

『神風』
ランク:A+ 種別:対戦車宝具 レンジ:1〜10 最大捕捉:1人
電光機関の出力を最大限まで解放し、極限まで強化された肉体とともに放つ、アーチャーの最終特別攻撃。
この宝具を発動している間のみ、上記の全パラメータにプラス補正が更に一つ付与される。
素早く、威力の高い連撃を放った後に敵を空中に打ち上げ、落下してきた対象を最大出力で生み出した衝撃波により吹き飛ばす。
破壊力は非常に高いが、あくまで『対戦車宝具』であるため、巨大な戦車を破壊することはできても『対城宝具』ほどの範囲・威力はない。

【weapon】
電光被服
アーチャーが装備している電光被服。
電光機関と組み合わせることにより超人的な身体能力を得ることができるようになる。
アーチャーのものは型落ちした旧型であり試作型だが、その分機能が単純かつ高出力で、使いやすい。

【人物背景】
帝国陸軍の高級技官。技術官僚ながら、体術にも長ける。
前大戦の終戦間際に同盟国からの新兵器輸送中に北極海にて死亡したとされていたが、
潜水艦に積まれていた冬眠制御装置により当時の姿のまま半世紀を生き延び、潜水艦の浮上により現代へ生還する。
アカツキは「任務ニ失敗セシ時ハ電光機関ヲ全テ破壊セヨ」という上官の命令を果たすために、各地を奔走する。
ただ一人生還してなお任務を遂行する様や「我が身は死して護国の鬼と成りぬ」というセリフに表されるように、軍人然としたストイックな性格の持ち主。
既に任務解除を言い渡されているが、独断で電光機関の破壊活動を行っている。
この事から、行動原理ははむしろ正義感、義務感に近いものとなっている。

【サーヴァントとしての願い】
サーヴァントとしての使命を全うする。
ただ、もしこの世界に電光機関が残っていたら…?


244 : 暁&アーチャー ◆ZjW0Ah9nuU :2016/04/05(火) 15:18:42 elDJEEcQ0
【マスター】
暁@艦隊これくしょん(ブラウザ版)

【マスターとしての願い】
深海棲艦との戦いを終わらせる

【weapon】
艤装

【能力・技能】
他の駆逐艦の艦娘と同等

【人物背景】
大日本帝国が開発した、特Ⅲ型駆逐艦のネームシップ。
――が、深海棲艦に対抗すべく少女の形に当てはめられて再臨させられたもの。
竣工当初は漣と同じ第十駆逐隊に配属されており、こちらとの付き合いの方が妹達より長い。
妹達と同じ第六駆逐隊に編入されたのは、第十駆逐隊解隊後の1939年11月であった。

【方針】
とりあえず生き延びる。
聖杯を狙うかどうかはどちらともいえないが、アーチャーの言っていたことが気になる。


245 : ◆ZjW0Ah9nuU :2016/04/05(火) 15:19:01 elDJEEcQ0
以上で投下を終了します


246 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/05(火) 21:21:40 /cQFh6pY0
申し訳ありません。拙作を見直したところ。>>228オメガエクリプス >>45藤原紅虫 >>176麻貴神十字のスキルが6以上ありましたので改訂します。


オメガエクリプス
【保有スキル】
対魔力:A
A以下の魔術は全てキャンセル。事実上魔術ではバーサーカーに傷をつけられない。
影魔の王たるバーサーカーの神秘は極めて高く。破格の域である。

影魔:EX
影魔王であるバーサーカーは最高位の霊格を持ち、影魔の持つ基本的な能力を全て持ち併せている。
極めて高ランクの怪力・魔力放出・拷問技術・対神聖・加虐体質を発揮する複合スキル。
使い魔の作成に関しては、元となる人間次第なのでCランク相当となる。

威圧:B
高位の魔性としての格の高さは対峙した相手の戦闘意欲を削ぐ。
同ランク以下の耐性では、戦闘時に竦んでしまう。

仕切り直し:C
戦闘から離脱する能力。
煌翼天使の必殺技を受けて死に掛かるもなんとか離脱できた。
致命の攻撃を受けてもなお生存し、離脱できる可能性がある。

形態変化:ー
状況に応じて姿を変え、能力を変化させられる。
制限によりこのスキルは使用不能。


247 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/05(火) 21:22:20 /cQFh6pY0
藤原紅虫
【保有スキル】
美貌:B
美しさ。アサシンの美貌は神秘に根差したそれでなく、持って生まれた天然の美貌である。それ故に精神力を保証するスキルでしか防御出来ない。
性別問わず、Cランク以下の精神耐性の持ち主は、顔を直視するだけで茫然としたり、怯んでしまったりする。常時発動している天然の精神攻撃とほぼ同義。
ランク以上の精神耐性の持ち主でも、確率如何では、その限りではない。人間に近い精神構造の持ち主なら等しく効果を発揮する。
後述の威圧と合わさることで効果に++が付く

威圧:B 生前,対峙した妖魔を悉く恐れさせてきた鬼気。同ランク以下の精神耐性ではその鬼気に竦んでしまう。臆病や怯懦といったスキルの主は高確率で狂乱する

単独行動:B マスター不在でも二日間ほど行動可能。予め食い溜めしておくことで期間を延ばせる

魔性:B+ 『向こう側』の妖魔と融合して産まれ、千年の時を生きたアサシンは高ランクの妖魔である

対魔性:C 前世で破壊神とも言うべき異界の妖魔を封じ、生前に復活した異界の妖魔を再度封じ、世界中の妖魔を殺して回ったことにより得たスキル。
魔性のものと戦うときあらゆる判定がある程度有利になる。
本来ならば最高クラスのランクだが、アサシンは自身を魔性と定義しているため大幅にランクダウンしている

大摩流鍼灸術:ー(C) 森羅万象に存在する『脈』を探り、その『ツボ』を突く事により様々な効果を発揮する技術体系。退魔の技だが、一般的な鍼灸術としても使用可能。
極めれば自らを死人と化してあらゆる攻撃を無効化する事や、空間に穴を開けることも可能だが、アサシンは妖魔を斃す為にのみ習得した為に、使える技術は限られている。
但し習得した範囲内においてはアサシンは教えを乞うた宿敵にも匹敵する技量を持つ。
サーヴァントの霊核を物理防御を無視して貫くことが出来る角度を見極められる。
なお失敗した場合。相手が魔性のもので有れば千倍万倍の強さを得る。聖杯戦争に於いては対象のステータスを幸運を除き2ランクアップさせる。

このスキルはアサシンの宿敵への拘りも有って通常は封じられている。
アサシンがこの技を使うとき、それはアサシンが己の力では斃せぬ敵と判断した時。
実質的な敗北を認めた時である。

【宝具】
魔人・藤原紅虫
ランク:B 種別:対人宝具 最大補足:自分自身
巨大な蜘蛛の身体に紅虫の上半身が生えているという異形の姿に変わる。
幸運と宝具以外の全ステータスが1ランクずつ上がりAランクの怪力スキルを得る、代わりに美貌スキルが消滅する。
姿を変えずとも体内には常時発生しており、体内に千を越える牛馬を食い溜めしておくことが可能。千年の間土中に封じられていた時このおかげで飢えずに済んだ。
またA++の戦闘続行スキルと、A+ランクの再生スキルも常時発動している。

妖蛛
ランク:B 種別:対軍宝具 最大補足:50人 レンジ:1〜30
アサシンの身体の中に無数に居る蜘蛛。魔力を消費することで幾らでも増やせる。様々な種類が居る。
アサシンの身体を喰ったり、アサシンに寄生したものの体内に入り中から食い荒らす
全身を無数の紅蜘蛛に変えて攻撃を回避し、相手を貪り喰う
人間の死体に蜘蛛入れて生きてるように動かせる。会話もできるし脈も有る
生きている人間の中に入れ、アサシンに不利な行動をしようとすると激痛に襲われる様にすることも可能
傀儡蜘蛛…雲の中から糸を垂らし、糸をくっつけた人間をアサシンの意のままに動かす。壁にぶつけたりとかできる
探り蜘蛛…糸を通し様々な情報をアサシンに伝える。平安貴族のアサシンが現代に順応できたのはこの蜘蛛のおかげ。
涙蜘蛛…鉄をも溶かす酸を出す
蜘蛛を用いた攻撃は、高い探知能力の持ち主でなければ効果が現れるまで気づかれない。


248 : ◆T3rvSA.jcs :2016/04/05(火) 21:23:17 /cQFh6pY0
麻貴神十字
【保有スキル】
黄金律:EX
人体の黄金比では無く、人生でどれだけお金がついて回るか。
既存の経済機構の中で巨万の富を獲得することも、既存の経済機構を破壊して新しい経済機構を構築することも可能。無一文の状態からでも既存の経済機構を支配することも容易いアヴェンジャーにとって、金銭とはどうとでもなる代物である。
このランクは金運の有無では無く金銭に対する超越性を示している。

邪悪の性質:EX
生前、悪魔と呼ばれた精神性。極めて高ランクの精神異常、威圧と同じ効果を持ち、良心や情愛に働き掛ける精神攻撃を完全に無効化する。
また、高い加虐性を持ち、相手を精神的に追い詰める。この為戦闘時にはわざと相手の攻撃を許すことが多い。
Cランク以下の精神耐性スキルでは、向かい合っているだけで、恐怖や不安感に苛まれる。

神の叡智:A++
生前、アヴェンジャーは神の叡智を持つと言われた天才であった。
同ランクの専科百般スキルと同じ効果を発揮し、高速思考、分割思考、計略、破壊工作、話術他、頭脳に関わるスキル全てを併せ持つ。
現代もしく現代に近い技術水準ならば、未知のものでも短期間の学習で習得可能。

美貌:C
美しさ。アヴェンジャーの美貌は神秘に根差したそれでなく、持って生まれた天然の美貌である。それ故に精神力を保証するスキルでしか防御出来ない。
性別問わず、Dランク以下の精神耐性の持ち主は、顔を直視するだけで茫然としたり、怯んでしまったりする。常時発動している天然の精神攻撃とほぼ同義。
ランク以上の精神耐性の持ち主でも、確率如何では、その限りではない。人間に近い精神構造の持ち主なら等しく効果を発揮する
アヴェンジャーの精神と所業を知るものでも「天使のような」と賞賛する美貌であった。

カリスマ:D
人を率いる才能。統率力こそ上がるが、士気を大幅に下げる。本来は最高ランクだが生来の気質により低ランクに落ちている。一部の人間には狂的に崇拝された為、最低ランクでは無い。
宝具を用いればAランクにまで上がる



【宝具】
仮想幻実(ヴァーチャル・リアリティ)
ランク:EX 種別:対界宝具 最大補足;10人 レンジ:1〜40
嘗てアヴェンジャーがアメリカのコロラド州の地下に幽閉されていた際、宇宙人の死霊から授かった現実と仮想(夢)を操る能力が宝具化したもの。
自らを現実に存在する夢と変え如何なる攻撃も透過させる、攻撃を夢と変え現実より消滅させる事による防御。
対象の一部、或いは全体を夢と変え現実より消滅させる、もしくは現実に存在する夢と変え、異形の姿にする。
物質や兵器を幾らでも創り出し存在させ続ける事や、記録の捏造及び認識の操作で別人となる事も可能。
永劫に続く通路を作ることも、ドアを開けた先を宇宙空間にすることも可能。
凡そ死者の蘇生以外のあらゆる行為を可能とする万能の能力。
最高ランクの正体秘匿・気配遮断・攻撃透過・物質透過・記憶操作等を併せ持ち、アヴェンジャーの邪悪の性質スキルを無効化し、カリスマを最大限発揮させることが可能となる。
無敵とも言える能力だが、聖杯戦争による幾つかの制限がある。
生前は何のデメリットも無く使えていた能力だが、サーヴァント化に際して魔力の消費という形でデメリットが顕れている。その消費量は絶大で、戦闘が長引けばマスターの命に関わる。
サーヴァント相手には接触する必要があり。対魔力が高い程魔力消費は激しくなり、Aランクの対魔力の持ち主を完全消滅させた場合、マスターが死亡する程の魔力を消費する。
創り出した存在は同時に3つまでしか存在させられない。維持にも魔力を消費する。
更に最大捕捉可能な人数にも大幅な制限が掛かっている。
構造さえ理解していれば宝具を作成することも可能。
ただし、強度や質感や形状は本来の持ち手でも真贋を判別できないものとなるが、真名解放した時の効果は再現できない。


249 : ◆7PJBZrstcc :2016/04/05(火) 22:31:15 igyfmIHE0
投下します。


250 : 六星竜一&アーチャー ◆7PJBZrstcc :2016/04/05(火) 22:32:03 igyfmIHE0

 記憶を取り戻したのはなにが理由だったのだろうか。
 記憶にない函館に住んでいる事? 持ったことのないスマホを持っていた事?
 ここ1年呼ばれた事のない本名で高校教師をしていた事?
 それらは確かに違和感ではあったものの、決定打ではない。
 やはり一番の理由は

「六星先生、ボーっとしてどうかしたんですか?」
「……いや、何でもないよ時田さん」

 殺したはずの恋人が、こうして元気に生きて居る事だろう。







 六星竜一は殺人鬼である。
 彼の母親、六星詩織が己の復讐のために育て上げた殺人マシーンである。

 27年前、詩織が暮らしていた六角村で彼女の両親が射殺され、彼女含む7人の養女が焼き殺されそうになった。
 原因は、六角村で栽培されていた大麻である。六角村では大麻を売って莫大な富を得ていたのだ。
 しかしある時、村の牧師だった詩織の両親が突然「大麻の栽培をやめよう」と言い出した。
 詩織の両親と6人の六角村の有力者は話し合ったものの決裂、大麻畑を燃やそうとした夫婦を六角村の有力者たちは射殺した。
 そして牧師夫婦が育てていた子供たちを、有力者たちは教会に閉じ込め焼き殺そうとした。
 しかし、村の有力者の一人が生きていた子供一人をこっそり助け、病院に連れて行った。
 この子供が詩織である。

 その後、竜一が生まれ極貧の暮らしの中殺人術や格闘術を詩織は教え込んだ。
 その仕上げとして、詩織は竜一に自分を殺させた。

 その後、母の復讐のために不動高校に赴任予定だった男を殺して成り代わり、復讐の対象である時田若葉に近づき恋人となった。
 そして、若葉が地元の婚約者と結婚することになりその結婚式に出るためという方で六角村に行った。

 その六角村で、彼は『七人目のミイラ』を名乗り27年前の復讐を果たしていく。
 母が殺すなと言った一人を除けば村の有力者は後1人というところで、一緒に結婚式に来たとある名探偵の孫に自身の正体を暴かれるものの最後の一人を殺害。
 そして最後の仕上げとして、大麻畑を燃やそうとするもののその前に母が殺すなと言った最後の一人の有力者に射殺される。
 こうして、六星竜一の生涯は閉じた。

「はずだったんだけどな……」

 しかし、六星竜一は聖杯戦争の参加者として生きながらえた。
 竜一としては困る話だ。
 殺人に抵抗はないが、別に叶えたい願いがある訳では無い。いや、叶えたい願いはあったが己の手で成し遂げてしまった。
 強いてあげるなら、生き返って大麻畑を燃やすくらいだ。だがこうして生きている以上聖杯を使うほどではない。
 ならば芸術的に殺せなかった兜礼二を殺しなおすことだろうか。これも別にデスゲームに勝ち残ってまでやりたい事ではない。


251 : 六星竜一&アーチャー ◆7PJBZrstcc :2016/04/05(火) 22:32:49 igyfmIHE0

 勝ち残る気はある、人を殺すことに抵抗はない、けれどもどこか身が入らない。
 それが六星竜一の聖杯戦争に対する思いだ。

「どうか、したのか?」

 そんな事を考えていた竜一に、彼のサーヴァントが話しかけた。

「なんでもねえよアーチャー。いや死銃《デス・ガン》だったか?」
「真名で、呼ぶな」

 悪い悪い、と言いながら竜一は思う。いつみても気味の悪い従者だ、そして気に入らないと。
 ボロボロのマントに髑髏みたいなフルフェイスのマスク。まるで幽霊だ。
 まあ、自分も死んだはずだしそもそもサーヴァントは死者なのだからある意味正しいのかもしれないが。
 だが、気に入らない理由は外見じゃない。

 このアーチャーは俺と違って殺人を楽しんでいる。
 自分の意志で殺人者になることを選び、殺人に魅入られている。

「理解できねえな」
「……」

 思わず口に思いが出てしまったが、アーチャーは気に留めなかった。
 竜一には理解できない。それは嫌悪感ではなく純粋な疑問だ。
 竜一にとって人を殺す事は虫を殺すことと変わらない。
 嫌悪感がある訳では無く、かと言って楽しいわけでもない。
 必要ならやるし、憎い相手なら芸術的にするがそれ以外をどう思うとかは無い。
 そこで竜一は気づいた。

 俺がアーチャーを気に入らないのは、殺人を楽しむほどの余裕のある人生を送ってきたことなのだと。

 竜一はアーチャーから生前の話を聞いていた。
 VRMMOという竜一の時代では想像もできないような存在の話が大半だったので聞き流していたが、それなりに辛い目にあったとは聞いていた。

 そんな風に遊んでいたくせにお前は辛かったとか言うのか。
 俺はお前のようにゲームとやら遊ぶほどの余裕は無かったぞ。
 復讐だけが、母と俺が受けた苦しみを何倍にして返すことだけが生きる糧だったんだぞ。

「……」

 そこまで考えて、竜一は自分の思考がとても女々しい物のような気がし、考えるのをやめて帰路についた。


252 : 六星竜一&アーチャー ◆7PJBZrstcc :2016/04/05(火) 22:33:33 igyfmIHE0




 一方、アーチャーの心にあるのは歓喜だった。

 ルーラーという、煩わしい枷はあるものの、マスターとサーヴァント相手なら、どう殺そうと俺の自由だ。
 そしてマスターにも、恵まれた。
 こっちを気に入らなさそうに、見る事もあるが、聖杯戦争や、殺人に対して、嫌悪感は無さそうだ。

 アーチャーはそれ以上求めない。気が合うに越したことは無いが邪魔さえしなければそれでいい。
 だが同時にこうも思う。

 キリト。黒の剣士、そしてアインクラッドの英雄。
 俺が、ここに居るのだから、お前もきっと、サーヴァントになったのだろう。
 もし、この聖杯戦争に、呼ばれているのなら、必ず殺す。
 《俺達の邪魔をした/朝田さんを奪った》、その罪に、対する罰を、必ず味わわせてやる。


 アーチャーは気付かない、自らの思考の異常に。
 アーチャーは気付けない、自らの思考の分裂に。

 そしてアーチャーには分からない、自らの主が自分を気に入らなさそうに見ている訳も。





【クラス】
アーチャー

【真名】
死銃@ソードアート・オンライン

【パラメーター】
筋力B 耐久B 敏捷C 魔力E 幸運C 宝具E

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】
対魔力:D
Dランクでは、一工程(シングルアクション)によるものを無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

単独行動:C
マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。
Cランクならば1日は現界可能。


253 : 六星竜一&アーチャー ◆7PJBZrstcc :2016/04/05(火) 22:34:06 igyfmIHE0

【保有スキル】
アバター:C
VRMMO「ガンゲイル・オンライン」のアバターである証。
これにより、アーチャーは同ランクの戦闘続行と心眼(偽)を所有している扱いとなる。

無辜の怪物 :D
生前のイメージによって、後に過去の在り方を捻じ曲げられなった怪物。
能力・姿が変貌してしまう。このスキルを外すことは出来ない。
アーチャーの場合は、都市伝説になったことによる真名の変化と能力強化。
そして、死銃を操っていた人間が二人いた事による人格統合。

【宝具】
『死銃(デス・ガン)』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
ゲーム内で撃たれた人物が本当に死ぬというGGO内の都市伝説が宝具と化したもの。
この宝具により、五四式・黒星で撃たれた相手が確実に死ぬ。
ただし撃つ対象が至近距離に居て、なおかつ撃つ前に十字を切らなければこの宝具は発動しない。

【weapon】
サイレンサー付き対人スナイパーライフルのL115A3。
ハンドガンの五四式・黒星。
刺剣
メタマテリアル光歪曲迷彩

【人物背景】
GGOで起きた「銃撃されたプレイヤーが現実でも死に至る」事件の犯人。
その正体はSAO時代の殺人ギルド<ラフィン・コフィン>のメンバーザザとジョニー・ブラック。そしてザザの弟の3人組。
現実での名前は新川昌一と金本敦、そして新川恭二。
この内、死銃をGGO内で操作していた新川昌一と新川恭二の人格が入り混じっているのがこの聖杯戦争の死銃である。

基本的な人格や戦闘経験は昌一が基準。ただし場合によってはその限りではない。

昌一と恭二の共通点は、殺人に対する抵抗の無さと黒の剣士キリトに対する憎しみ。
相違点は、実際に殺人を犯したことがあるのは昌一のみであること。
そしてもう一つ、恭二が持つ朝田詩乃に対する病的な好意。

【サーヴァントとしての願い】
殺人を楽しむ。
黒の剣士がいるのなら必ず殺す。


【マスター】
六星竜一@金田一少年の事件簿 異人館村殺人事件

【マスターとしての願い】
生き返って最後の仕上げをしたい

【weapon】
なし。

【能力・技能】
・殺人術
銃殺や絞殺、それにナイフでの刺殺などの様々な殺人術。

・格闘術
警官二人を圧倒できるほどの格闘術。

・演技力
1年近い間本性を隠し、冴えない教師を演じ続ける演技力。

【人物背景】
両親を殺され、更に自身も焼き殺されそうになった母親の復讐の為に殺人マシーンとして育てられた男。

性格は残忍で狡猾。人殺しをハエやゴキブリを殺すのと同じと言い、目的の為なら関係のない人間ですら容赦なく殺す。
その一方で、復讐のために近づき恋人となった少女を後に本当に愛してしまったり、その恋人を殺す際には涙を流すなどまるで心のない人間という訳ではない一面も見せる。

【方針】
元の世界に帰るために勝ち残る。


254 : ◆7PJBZrstcc :2016/04/05(火) 22:34:35 igyfmIHE0
投下終了です


255 : ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 06:31:54 sh74RedM0
投下します


256 : ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 06:33:11 sh74RedM0
ありとあらゆる願いを叶えることができると言われている奇跡の願望器「聖杯」。 
ここ函館市では、多くのマスターと英霊たちがその聖杯を巡って苛烈に争う争奪戦、すなわち「聖杯戦争」が始まろうとしていた

そんな聖杯戦争の幕開けと時を同じくして、ある一件の書き込みがネット上の某掲示板サイトに投稿されていた。
その内容は非常に下劣なものであり、道行く人々100人に聞けば100人が「嫌悪感を抱いた」と答えるであろう。
しかし、その汚い書き込みこそが聖杯戦争に挑まんとする、一人のマスターの宣戦布告だと気づいたものは果たして何人居ただろうか……




やったわ☆ 投稿者:変態糞娘

昨日の8月15日にわたくしが召喚したサーヴァントのおねーさま(18歳)とわたくし(18歳)の2人で、函館市の北にある川の土手の下で盛りあいましたわ。
「黄金あそびしましょう」とわたくしが言うとサーヴァントのおねーさまはすごく微妙そうな顔をするんで、令呪で言うことを聞かせましたわ。
今日は明日が休みなんでコンビニでいちごミルクとカントリーマアムを買ってから、そこでしこたまいちごミルクを飲んでからやりはじめましたわ。
2人で密林を舐めあいながらニーソだけになり持って来たいちぢく浣腸を2本ずつ入れあいました。
しばらくしたら、おしりの穴がひくひくして来て、黄金が出口を求めてお腹の中でぐるぐるしてきました。
サーヴァントのおねーさまにおしりの穴をなめさせながら、おねーさまのおしりの穴を舐めてたら、
先におねーさまがわたくしのお口に黄金をドバーっと出して来ました
それと同時にわたくしも黄金を出しましたわ。もう顔中、黄金まみれですわ、
2人で出した黄金を手で掬いながらお互いの体にぬりあったり、
黄金まみれの密林を舐めあっておしっこしゃわーしたりしました。はあ〜〜たまりませんわ。
しばらくやりまくってから又浣腸をしあうともう気が狂う程気持ちがいいんですの。
サーヴァントのおねーさまのおしりの穴にわたくしのペニパンを突うずるっ込んであげますと、おしりの穴が黄金とおしっこでずるずるして気持ちが良いですの。
サーヴァントのおねーさまの口に密林を咥えさせて腰もつかいましたわ。
黄金まみれのおねーさまの密林を掻きながら、思い切り潮を噴きましたわ。
それからは、もうめちゃくちゃに黄金密林を舐めあい、
黄金を塗りあい、二回も潮を噴きましたの。令呪を二画も使いましたが、もう一度やりたいんですの。

やっぱり大勢で黄金まみれになると最高ですわ。こんな、変態娘と黄金あそびしませんこと。

はあぁ〜〜早く聖杯戦争やりませんこと?

函館市で闘れるお人なら最高ですわ。わたくしは163*90*53,165*75*60、
黄金まみれで闘りたいやつ、至急、メールくれや。
ニーソのまま浣腸して、黄金だらけで闘ろうや。


257 : 変態糞娘&セイバー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 06:35:04 sh74RedM0


すべてが終わったあと、非常に満足げな様子で帰路についたそのマスターの側に、霊体化して控えていたセイバーはこう思っていた

「まぁ……悪くはなかったな」と



【クラス】
セイバー

【真名】
ダスティネス・フォード・ララティーナ@この素晴らしい世界に祝福を!

【パラメーター】
筋力C 耐久A+ 敏捷C 魔力D 幸運B 宝具C

【属性】
秩序・善

【クラススキル】
対魔力:C
Cランクでは、魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。
大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない

【保有スキル】
クルセイダー:A-
冒険者としての彼女の職業。
 上級職であるため、余程の事情でもない限りは所属パーティーのアテには困らない
 タンク役として優秀な最前職だが、 とある事情によってマイナス表記が足されている。

被虐体質:B
集団戦闘において、敵の標的になる確率が増すスキル。
 マイナススキルのように思われがちだが、強固な守りを持つサーヴァントが
 このスキルを持っていると優れた護衛役として機能する。

スカ:B
生前、最前職でありながら攻撃が全く当たらず、静止している相手にすら攻撃を外してしまった逸話から獲得したスキル
 攻撃の命中率が極端に低くなり、同ランク以上の幸運、及び回避系スキルをもつサーヴァントと対峙した場合、高確率で判定に失敗する。 このスキルは外せない

マゾヒスト:A
苦痛を快楽に置き換えて楽しむ性的嗜好。
 欲望に身を任せることで痛みによる恐慌や畏怖を無効化するが、
 戦闘中の状況判断に悪影響を及ぼす。
 このクラスであれば、ダメージを受けるごとに一部パラメーターが上昇していく

【宝具】
『この素晴らしい世界に盾役を!』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1
 セイバーの肉体そのもの
 スキルポイントを全て防御系のスキルに割り振り、魔王軍の幹部の一撃や爆裂魔法の直撃ですら耐えきった逸話が宝具となったもの
 物理耐性、魔法耐性、各種異常耐性などの各種耐性がアップし、
 物理・魔術等の手段を問わず、Aランク未満の攻撃を無効化する

【weapon】
『大剣』
セイバーの得物である無銘の大剣

【人物背景】
金髪碧眼で豊満な身体の防御専門の女騎士
 女神エリスに仕える聖騎士で、優れた体力、筋力、そして強靭な意思と防御力を持っているまさにメイン盾の鑑。
 弱者を守る騎士として他の者を守りたい気持ちが人一倍強い
 その実態は真性のドMであり、モンスターから攻撃されることに快感を覚え、一種のプレイとして楽しんでいる
 「くっ! 私の身体は自由にできても心までは自由にできると思うなよ! 貴様なんかに絶対負けないっ!」と頬を火照らせ嬉々として言うような人物

【サーヴァントとしての願い】
マスターを守る


【マスター】
変態糞娘@コピペ

【マスターとしての願い】
共に黄金あそびをするお友達がもっとたくさん欲しいですわ

【weapon】
黄金といちぢく浣腸

【能力・技能】
特になし

【人物背景】
 変態糞娘とは、変態糞親父の改変コピペである
 2012年10月4日になんJに「やったわ☆ 投稿者:変態糞娘」というスレ名で投稿された
 変態糞親父といえば文字通りのクソホモもとい岡山の文豪として有名だが、
 変態糞娘はそれとは対をなすクソレズとして創作された

【方針】
黄金あそびをしつつ聖杯を狙う

【備考】
・この時点で令呪を二画消費しています


258 : 変態糞娘&セイバー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 06:35:55 sh74RedM0
投下終了です


259 : 地獄の番犬(ガルムレイド) ◆T3rvSA.jcs :2016/04/06(水) 10:02:48 v3SnzRMI0
投下します


260 : 地獄の番犬(ガルムレイド) ◆T3rvSA.jcs :2016/04/06(水) 10:03:17 v3SnzRMI0
深夜の函館山。縦に不法駐車された5台の乗用車から、10mほど離れて一組の男女が立っていた。
赤銅色の肌と銀髪が特徴的な男は、精悍な美男子と言えなくも無かったが、
口元に浮かぶ、鮫の様な獰猛な笑みと、血に狂った人喰い虎でさえ尻尾を巻いて逃げ出しそうな狂猛な眼が、男の印象を魔獣のそれにしていた。
男のやや後方に立つのは、二十歳位の娘。筋肉の付き方や、立ち姿から、かなり鍛え込んであることが判る。
整った顔立ちだが、美人と呼ぶにはやや童顔であった。美少女、と呼ぶべきだろうか、大きめの瞳が不安げに揺れている。
「俺の実力を疑うと言うなら、見せてやろう。嘗てメジャーで屍山血河を築いたこの一投!」
男がそう言い、前傾姿勢を取り右手を高く掲げる。野球の投法でいうアンダースローの構えだ。
見よ。その右手から燃え上がる漆黒の炎を。手にした球が漆黒に染まっていく様を。
「見るが良い監督!!これが俺の!!!!」


猛 り 奔 る 黒 犬 獣(ブラックドッグ)


投げ放たれた球がイギリスの伝説に語られる魔獣、黒犬獣の姿を取って奔るのを女は見た。
猛り狂う魔獣は凶悪な牙を剥き出し、路駐された三台の車の最後尾に喰らい付き、
一気に5台の車両を粉砕しながら貫き、奔り抜けて行った。
「……………………」
呆然と眼前の光景を見守る女に。
「今ので二割…といったところだ」
傲然と男は言い放った。


261 : 地獄の番犬(ガルムレイド) ◆T3rvSA.jcs :2016/04/06(水) 10:03:44 v3SnzRMI0
◆遡ること八時間前◆


結城千種はプロレスラーである。
彼女は親友兼ライバルの武藤めぐみ共々未来の日本のプロレス界を背負って立つ逸材である。
そんな彼女はタッグ式バトルロイヤル、ホーリー・グレイル・ランブルの優勝目指し、召喚したサーヴァントと共に戦うのだ。

などということは無かった。

「はうぅぅぅぅぅ……」
結城千種はホテルの部屋で頭を抱えていた。
興行の為に函館入りし、武藤めぐみと組んで、大空みぎり&ジェナ・メガライトのタッグと戦い。バックドロッププリンセスと呼称される彼女の必殺技、バックドロップでメガライトを沈めたのが一昨日。
昨日はホテルで一日眠りこけ、激闘の疲れを癒していたのだった。
そして今日。ふと窓から外を見た時、見えてしまったのだ。五稜郭の上にそびえる瓦礫の塔が。
額然とする千種の脳裏によぎる聖杯戦争に関する知識。
「どうしよう…めぐみ」
混乱と恐怖から親友の名を呼んでも、その親友はNPC。本物の、千種の知る、武藤めぐみでは無い
「はうぅ…どうしたら……」
頭を抱えて俯いた時、そのサーヴァントは顕れた。
「娘。お前が俺の監督か」
俯いて頭を抱えていた千種の前に、いつの間にか立っていた男。
顔を上げた千種の眼に映ったのは、鍛え抜かれた赤銅色の肉体。全身から立ち上る獰猛な覇気は、目の前にいきなり熊が現れても、素手で立ち向かっていきそうだ。
「へ……?」
千種は何の反応も返さなかった。ひたすら硬直しているだけだった。
「……おい」
焦れた男が短く怒気を発した時。
「ひぃやああああああああああ!!!!」
頓狂な悲鳴を千種は上げ、男は自分が全裸だということに気が付いた。


262 : 地獄の番犬(ガルムレイド) ◆T3rvSA.jcs :2016/04/06(水) 10:04:14 v3SnzRMI0
十数分後。叫び声を聞きつけてやってきためぐみを何とか誤魔化し、男と改めて相対した時、男は黒いロングコートの様なものを身につけていた。
「済まんな。あの世に旅立った時、俺だけ服を着ていなかったのでな。それはそれとして、娘。お前が俺の監督か」
眼に炎を燃やし、サメの様な歯を剥き出しにして聞く男。心なしか銀髪が逆立っている様な気がする。
「え、え…と、そう、みたいですけど…あの、監督って?こういう時は、『聞こう、貴方が私のマスターか』みたいな感じな事を言うんじゃないんですか?」
怯えながら聞く千種に、男は怪訝な顔をした。
「リーガーである俺を招いたのなら監督だろうがッッ!」
「はぅぅ〜ごめんなさい〜」
思わず謝る千種。ふと気付く。
「あの、リーガーということは、野球選手だったんですか?」
「野球…?ふん。俺を成仏させたサムライに免じて、その呼び方を許そう」
恐ろしく尊大な態度だった。
「あ…ありがとうございます」
千種が思わず礼を言ってしまう程に。
「確かに、そう、俺は野球選手だった」
千種は愕然とした。歴史に名を残した強者や神話の英雄を相手に、事もあろうに野球選手が挑むのだ。勝ち目が有るなど到底思えなかった。
「アーサー王、ジークフリート、ヘラクレス、さぞかし殺(や)りがいがあるだろうな。世界中より集った猛者共ですら、一握りの本物を除いて、俺の前には立て無かったが、奴等はそんな腑抜けではあるまい」
今度は待つ必要が無さそうだ――――と獰猛な笑みを浮かべるリーガー。その自信はどこから来るのか千種は考え、一つの結論にたどり着いた。
「ひょっとして…聖杯戦争って……野球?だったら私、頑張ります!9番ライトだったけど、未経験ってわけでも無いですし!!野球は好きだし!!」」
僅かに見えた希望に縋る千種。しかし、
「殺し合いに決まっているだろうが」
即座に打ち砕かれる希望。へなへなと崩れ落ちる千種を横目にリーガーは猛る。
「安心しろ監督。立ち塞がる敵は全員屠って優勝トロフィーをくれてやる。最も他の連中が屑ばかりならトロフィーを叩き壊すが」
「な…なんでそんなに自信満々なんですかっ!?」
絶叫する千種。同業者には喧嘩で大の男を血祭りに上げるヤツや、過去に人殺したことがあると言われても納得できる性格の奴もいるが、彼女は喧嘩などしたことが無い、普通の感性の持ち主である。
いきなり殺し合いに巻き込まれ、しかも自分の相方は野球選手。これで冷静でいろというのは酷だろう。
「フ…監督。俺の名を聞けば納得できるぞ。俺の名はジョン・ウェイズ。アランズ・ロードと言った方が良いか?ベースボールが好きならば、聞いたことが有る筈だ」
「うぅ…誰ですか?そんな人知りません!」
「なにぃいいいいいい!!!!」


リーガーのサーヴァント、アランズ・ロードことジョン・ウェイズ。
彼が生きた球場(フィールド)で繰り広げられた戦い。
それが己の知る野球とはかけ離れたものであり、球場(フィールド)に生きるリーガー達が人知を超越した連中であることを結城千種が知り、ベースボール=修羅の国の競技。という認識を抱くのはもう八時間後のことである


263 : 地獄の番犬(ガルムレイド) ◆T3rvSA.jcs :2016/04/06(水) 10:04:55 v3SnzRMI0
【クラス】
リーガー

【真名】
アランズ・ロード(ジョン・ウェイズ)@サムライリーガーズ

【ステータス】
筋力:C+ 耐久:C 敏捷:B 幸運:C 魔力:E 宝具:A++

【属性】
混沌・中庸

【クラススキル】
メジャーリーガー:D
メジャーリーガーとしての能力。投擲スキルと飛来物を打ち返す技能と、集団で行動する際にプラス補正が加わる。
リーガーは投手としては史上最強の豪速球投手であったが、チームワークが存在しない上に打者としての活動も無いので低ランクに留まっている。
B+の投擲技能を得る。

【保有スキル】
威圧:B
投球フォームに入った時、その殺気は荒れ狂い。球場全域に暴風となって荒れ狂う。
Cランク以下の耐性ならば気絶。Bランクならば硬直する。
Aランク以上でも確率次第で竦む。

情報抹消:B
アランズ・ロードというリーガーは経歴が存在しない。リーガーの過去やスキルは知ることができない。
ジョン・ウェイズの名を知られれば過去やスキルが明らかになる。

荒ぶる魂(ソウル・エフェクト)A+
人間の脳に直接イメージを送り込むことで、存在しないものを存在していると誤認させる。言わば意思力によるヴァーチャル・リアリティ。
低ランクのものはただの幻だが高ランクになれば、対象の精神を砕く事が可能。
リーガーの荒ぶる魂は黒犬獣やケルベロスとして現れる。
威圧スキルと合わさることで威圧のランクを一つ上げ、抵抗に失敗した者に魔獣ケルベロスに食い殺される幻を見せて気絶させられる。
この幻を見た者はその後も魔獣の幻影に悩まされ続ける。

完全なる人類(ファイネスト・シングス):A
人類として最高と言われ、唯々力に任せて荒れ狂うだけで屍山血河を築き上げたジョン・ウェイズの肉体に、肉体的には恵まれないながらもそのポテンシャルを引き出し、世界をねじ伏せた比類無きサムライ、王漸源路郎の脳を移植して完成した肉体に基づくスキル。
高ランクの天性の肉体スキルと頑健スキル。身体運用に関してのみA+++の日本武道スキルを発揮する。


264 : 名無しさん :2016/04/06(水) 10:05:45 v3SnzRMI0
【宝具】
一球勝負(フルカウント・ショウダウン)
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:ー 最大補足:2人

2ストライク3ボールの状態にして崖っぷちの一球勝負を相手に挑むリーガーの決闘スタイルが宝具化したもの。
リーガー達の戦場であるドラゴンシティの球場が固有結界として展開される。
リーガーが敗れた場合は48時間実体化が不能となるが、リーガーが勝った場合は何も起こらない。但し、対象は必ずバッティングを行わなければならない。
行わなければ結界の展開と同時に現界する審判(パニッシャー)の英霊ユルゲンの鉄拳により、如何なるステータス・スキル・宝具を無視して座へと送還される。
なおこの勝負において不正を働いた場合。結界の展開と同時に現界する審判(パニッシャー)の英霊ユルゲンの鉄拳により、如何なるステータス・スキル・宝具を無視して座へと送還される。

発動条件として、対象がこの宝具の詳細を知っている状態で、対象とリーガーどちらかがショウダウンを宣告。申し込まれた側が受けることが必要となる。
勝負を断れば、クラスが48時間の間【臆病者(チキン)】へと変わり、勇猛・カリスマ・反骨の相・皇帝特権・星の開拓者・各クラスの固有スキルが使用不能となる。

この宝具の発動時は令呪によるバックアップは不正とみなされる。
既に行われている場合は宝具の発動は不可能。
常時発動型を除く宝具の効果や、p真名開放も不正とみなされ認められない。
リーガーが令呪のバックアップを受けている場合は使用不能。
バッターが素手でボールを触ることを禁ずるメジャーボールのルール上、素手で戦う相手には使用できない。

猛り奔る黒犬獣(ブラックドッグ)
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1〜40 最大補足:1人

リーガーの必殺球が宝具化したもの。体内の鉄分でボールを覆い、地を這う様なアンダースローで投球、体内電流で射出する電磁砲。黒犬獣のソウル・エフェクトが出現する。
触れるもの全てを破壊するその投法はCランク以下の宝具を破壊する。


最後の一投・一球入魂(フルブラスト・ショウダウン)
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:ー 最大補足:2人

2ストライク3ボールにした上で、ランナーを三塁に進めた状態で、ピッチャーが即引退を賭け、バッターを指名して行うメジャーボール究極の決闘方が宝具化したもの。
リーガー達の戦場であるドラゴンシティの球場が固有結界として展開される。
リーガーが敗れた場合座へと送還される。
この場合も対象は必ずバッティングを行わなければならない。行わなければ、結界の展開と同時に現界する審判(パニッシャー)の英霊ユルゲンの鉄拳により、如何なるステータス・スキル・宝具を無視して座へと送還される。
なおこの勝負において不正を働いた場合。結界の展開と同時に現界する審判(パニッシャー)の英霊ユルゲンの鉄拳により、如何なるステータス・スキル・宝具を無視して座へと送還される。
発動条件として、対象がこの宝具の詳細を知っている状態で、リーガーがフルブラストを宣告。相手が了承する必要がある。
この宝具はピッチャーであった者しか発動できない。
こちらは断ってもペナルティは発動しない。
この宝具を使用している時のみ、リーガーの真の宝具が発動できる。
この宝具の発動時は令呪によるバックアップは不正とみなされる。
既に行われている場合は宝具の発動は不可能。
宝具の効果や真名開放も不正とみなされ認められない。
リーガーが令呪によるバックアップを受けているときは使用不能。
バッターが素手でボールを触ることを禁ずるメジャーボールのルール上、素手で戦う相手には使用できない。

神裂き喰らう地獄の黒犬(ケルベロス・ザ・ブラックドッグ)
ランク:A++ 種別:対人宝具 レンジ:1〜40 最大補足:1人

リーガーが全力で投げる一投。体内の鉄分でボールを覆い、地を這うようなアンダースローで投球、体内電流で射出する電磁砲。三つ首のケルベロスのソウル・エフェクトが出現する。
大地を揺るがし、神すら屠る。対城宝具の粋に有る威力を持つ対人宝具。
Aランク以下の宝具で受けると破壊されてしまう。
最後の一投・一球入魂(フルブラスト・ショウダウン)発動時でなければ使用不能。

【weapon】
ボール:
魔力により作られるボール。普通の硬球だが、リーガーのプレーに耐えるだけあってCランクの宝具並みに頑丈。

グローブ:
ボールと共に作られる。リーガーのプレーに耐えるだけあってCランクの宝具並みに頑丈。

炎斬(ほむらきり):
日本刀の形状をした抜刀(バット)王漸源路郎の記憶から再現している。劣化している為Dランク並みの宝具と同等の強度


265 : 地獄の番犬(ガルムレイド) ◆T3rvSA.jcs :2016/04/06(水) 10:07:10 v3SnzRMI0
【人物背景】
月刊ヤングキングアワーズで連載されていた『サムライリーガーズ』のラスボス。
30年前にイギリス代表のチームとしてメジャーボールに参加。
たった半年間で対戦した数多のバッターを死亡・病院送りにし、遂には打者がバッターボックスから出て、ピッチャーを敬遠するという前代未聞の事態を生み出した、“イギリスの悪魔”ジョン・ウェイズ。
そのジョン・ウェイズが最強の兵士を造るアメリカ軍の計画に参加し、人類最高峰の肉体を活かせる脳(パーツ)の出現を待つため、事故死を装いコールドスリープにつく。
30年後、恵まれ無い身体の能力をフルに引き出し、世界をねじ伏せた比類無きサムライ、王漸源路郎の脳を移植され、完全なる人類(ファイネスト・シングス)としてメジャーボールにアランズ・ロードと名乗り帰還する。
この時、二つの人格が混じり合い、アランズ・ロードという人格が誕生するも、研究機関のトップにより消滅させられ、ジョン・ウェイズが完全に現世に甦る。

研究機関の意向に基づき、新チーム、ブラック・ゼウスを旗揚げ。各チームにヘッドハンティングをかけて優秀な選手を実験材料として集め、ブラック・ゼウス優勝の暁には、全チームへの強制トレード権を獲得することを運営委員会に認めさせる。
そして優勝を賭けた一戦で、源路郎の弟、全力を持って屠るに値すると認めた王漸一路太と、伝説の決闘方フルブラスト・ショウダウンで激突。
必殺のケルベロス・ザ・ブラックドッグを、地球と共に受け止めた一路太が返した打球により、魂を肉体の外に叩き出される。
そして源路郎に導かれ、彼岸へと旅立って行った。全裸で。

彼が最も強かった時期はアランズ・ロードの名で活動していた時期である為。リーガーは表向きはアランズ・ロードとして召喚されているが本当の真名はジョン・ウェイズである。

【方針】
一路太に匹敵する強者を探す。立ち塞がるものは全て屠る。

【聖杯にかける願い】
無い。聖杯を優勝トロフィーとしか思っていない。
強者と巡り会えなければ下らない勝利の証として叩き壊そうと思っている。


【備考】ユルゲン:
メジャーボールで主審を勤めていた人物。人外の域にあるメジャーリーガー達を裁くその姿は、選手達に負けぬ人気を誇った。
試合の進行を妨害する者には容赦が全く無く、鉄拳制裁(パニッシュメント)により強制退場させられる。
その人気と、選手達からの畏敬により座へと召し上げられたのちも、リーガー達の元に訪れ、厳正中立な審判を行っている。


【マスター】
結城千種@レッスルエンジェルス Survivor2

【能力・技能】
資質的には世界最高クラス。特技はバックドロップで“”バックドロッププリンセス”と呼ばれるほど。
根性がかなり有る。
元ネタが蝶野正洋なんで使う技も蝶野がベースになっている。

【ロール】
新日本女子プロレスの興行兼バカンスで北海道に来た。
一応あと何回か興行が有る


【人物背景】
身長161cm 3サイズB85W58H88 愛知県出身 2月28日産まれ CV川澄綾子

おっとりとしていて、自分に自信が無さげだが、根性が人一倍あり逆境にも強い。
常に笑顔を絶やさない嘘を言わない明るい娘。武藤めぐみと違って、「来島さんじゃ勝てない」とか言いそうにない。
趣味は野球だが下手の横好きで、万年ライトで9番
フィジカル面はかなり強い。
武藤めぐみと出会った切っ掛けは、新女のテストを受けに行った時、道に迷って通りすがりの武藤に泣きついたのが馴れ初め。

【令呪の形・位置】
三つ首のケルベロスを模したものが腹部に有る。

【聖杯にかける願い】
おうち帰る

【方針】
出来るだけ戦わない殺さない。周りも巻き込まない。

【参戦時期】
15〜30歳まであるけれど21歳で

【備考】
団体経営ゲーのサバイバーは設定自体がほとんど無く、シナリオは存在していませんので、旧シリーズの設定も参考にしています。

【運用】
物陰からこっそりビーンボール黒犬獣が一番有効だが、リーガーが絶対にやらないのが難点。
出来るだけメジャーボールの説明をして回ってショウダウン発動させるのが賢明か…と思いきやこれまたリーガーが相手を選ぶという……。


266 : 地獄の番犬(ガルムレイド) ◆T3rvSA.jcs :2016/04/06(水) 10:08:50 v3SnzRMI0
投下を終了します


267 : 地獄の番犬(ガルムレイド) ◆T3rvSA.jcs :2016/04/06(水) 10:19:35 v3SnzRMI0
>>260

訂正します
×路駐された三台の車の最後尾に喰らい付き、
一気に5台の車両を粉砕しながら貫き、奔り抜けて行った。

⚪️路駐された5台の車の最後尾に喰らい付き、
一気に5台の車両を粉砕しながら貫き、奔り抜けて行った。


268 : ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 18:11:08 a1RudNN.0
投下します


269 : 立花ユズヒコ&バーサーカー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 18:13:47 a1RudNN.0
立花ユズヒコ。
どこにでもいる平凡な中学生
でも今は違った。具体的には今日から。
自室で寛いでいた所、突如彼の手に刺青みたいなのが浮き出てきたのだ

……願望器、サーヴァント、聖杯戦争。まったく覚えがない知識が脳裏を駆け巡る


「とりあえず、サーヴァントを召喚するしかないのか?」


サーヴァントという相方を召喚? しなければ命が危ないことをユズヒコは理解した。さすが納豆奉行。

別にユズヒコに殺しあってまで叶えたい願いは無いので、聖杯戦争に参加する必要はないのだけれども……



ブッシャー!!



「問おう」

「貴方がふなっしーのマスターなっしぃぃぃー!!」


なんか巨大な梨がでてきたー!!


「そ、そうだけど……お前がサーヴァントって奴か?」

このゆるキャラの出来損ないみたいなのが、もしかしてサーヴァントって奴なのか?
よく目をこらしてみると、ステータスのようなものも見える

「そうなっしぃぃぃぃ!!
ふなっしーのクラスはバーサーカーなっしぃぃぃぃぃぃ!!」

バ、バーサーカー?狂戦士だと
なんかゲーム的にはとても強そうに感じるけど……
でも、バーサーカーってよりは、その、どっかのゆるキャラに見えるけど。
そもそも、どう見ても戦えるようには見えないんだけど

「バ、バーサーカー。お前って強いのか?」

「馬鹿にしないでほしいなっしぃぃぃぃぃぃ!!!」

恐る恐る訪ねたら、裏声で怒鳴られた。
どうやら怒らせてしまったようだ。


「ふなっしー相撲得意なっしぃぃ!他のサーヴァントなんて千切っては投げ千切っては投げ…」




「血飛沫ブシャーするなっしぃぃぃぃ!!」



皆殺しなっしー!虐殺なっしー!
 物騒な事を叫びながらぴょんぴょん跳び跳ねるバーサーカー。ユズヒコはその異様な迫力にドン引きする。


270 : 立花ユズヒコ&バーサーカー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 18:14:47 a1RudNN.0


「ご、ごめん。変なこと聞いて悪かったよ」
「わかればいいなっしー」

……うん、確かにテンションは狂戦士っぽいな。バーサーカーのサーヴァントなんてよく知らないけど。
まあ、なにはともわれ、サーヴァントを呼び出したんだ。大抵のことはこいつに任せればなんとかなるだろう。オレのことも守ってくれるだろうし。

……でも気になるな。

「なあ、バーサーカー」
「なになっしー?」
「バーサーカーの願い事って何だ?」

このメルヘンな梨?が殺しあってまで叶えたい願いは何なんだろう。
訪ねてきたユズヒコにバーサーカーは、よくぞ聞いてくれました!とばかりに己の野望を語った

「願い事なっしか!?ふなっしーは橋市の公認ゆるキャラになりたいって思ってるなっしぃぃぃぃぃ!!」

「」

ユズヒコは耳を疑った。
……やっぱりこいつゆるキャラなのかよ。しかも非公認って。


「マスターの願い事は何なっしー?」
「え、願いごと?オレの?」
「マスター以外に誰がいるなっしー」

願いごとと言われても思い付かない。そもそもマスターになったとはいえ、聖杯戦争に乗ったって訳ではない
しかし、興味津々な視線を向けてくるバーサーカーに、願いがないと答えるのは気が引けた。

「別に無いけど、強いて言えば家に帰りたいかな」
「へーそうなっしかー」

いや別にそこまで興味は無かったようだ。バーサーカーはユズヒコの部屋を勝手にあさりだした。ユズヒコは少しイラッとした。

「よーしわかったなっしーー!!マスターのためにふなっしーがんばるなっしいぃぃぃぃ!!」

かと思えば突然トリッキーな動きで暴れ始めた。いや、それは困るとユズヒコ。今は深夜で普通に近所迷惑だ。
止めようとするユズヒコの目の前に、バーサーカーは一冊の本を突きつけた。

「この本のアイドルとふなっしーはどっちが可愛いなっしー?」
「ぎゃあああああああああああ!!返せ!返せよ!」

我を忘れて叫ぶユズヒコ
それはユズヒコのお気に入りのアイドル。丸野丸美の水着写真集だった。
なぜそれを! 机に鍵をかけて隠していたのに!?


「ヒャハャーーー!!」
「バーサーカー!おい!」






「五月蝿いわね!!今何時だと思ってんのよ!!とっとと寝なさーーーい!!」





……その後、怒った母が部屋に乱入
バーサーカーと取っ組み合っているユズヒコをみて一悶着あったのだが、それはまた別のお話


271 : 立花ユズヒコ&バーサーカー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 18:19:00 a1RudNN.0
【クラス】
バーサーカー  
【真名】
フナディウス4世(ふなっしー)@ゆるキャラ
【パラメーター】
筋力C 耐久B 敏捷A 魔力E 幸運D 宝具A
【属性】
混沌・善
【クラススキル】
狂化:-
精神汚染スキルを持つため、狂化スキルは機能していない。 しかしそのキャラクター性ゆえに意思疏通には苦労する
【保有スキル】
打たれ強さ:A  
 例え非公認でもへこたれずに地道にアピールし続けるメンタルの持ち主
 Bランク以下の攻撃によるダメージ判定を半減させ、回復に必要な魔力消費を十分の1に押さえることができる

話術撹乱:D
 トリッキーな言論にて相手を混乱させる。Dランク以下の精神耐性の持ち主と対峙した場合、より有利に立てる

精神汚染:B
 独特なテンションが高い。同ランク以下の精神干渉をシャットダウンする

虚言癖:C
バーサーカーの言動の27.4%が嘘である

【宝具】
『梨汁ブシュー(ナシジルブッシュュュ)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人
梨汁と呼ばれる謎の液体を噴出し、触れた相手に何らかの状態異常を起こす。効果は完全にランダム。
例としては対象のテンションや言動をバーサーカーのそれと同程度にし、錯乱させることができる
宝具としては破格の魔力燃費の良さを誇り、連発も容易だが、Cランク以上の耐性をもつ相手には高確率で無効化されてしまう

『梨の妖精(ふなっしー)』
ランク:A  種別:対人宝具 レンジ:-  最大捕捉:1
バーサーカーの肉体そのものに作用する宝具
 NPC、マスター、サーヴァントを問わず、バーサーカーの存在がより大衆に認知され、知名度が上昇すればするほど、バーサーカーはそのキャラクター性である『梨の妖精』、すなわち幻想種としてのそれに変化していく
 この宝具の恩恵を極限まで受けた場合、バーサーカーは妖精として擬似的な不死性を獲得し、Aランクの宝具の攻撃を受けるか、マスターが殺害されない限り、砕かれたり切断されても死ぬことはない
 それと同時に、体を果物のように分断される、或いは擦られて削れる、枯れる、根付いて木になる、本当に梨汁ブシャーで汁を出す、など現実には不可能な梨の妖精としての個性を獲得する

『梨の妖精郷(ふなっしーだいしゅうごう)』
ランク:B  種別:対軍宝具 レンジ:10〜50 最大捕捉:60
 バーサーカーの兄弟を最大で274体、サーヴァントとして召喚する宝具。因みにふなっしーは4男
 召喚された兄弟たちのステータスはバーサーカーと同じであるが、宝具は所持していない
 単純に数で押すことを考えるなら強力な宝具かもしれないが、
 サーヴァントがサーヴァントを召喚するという性質上、上限の274体全員を召喚するとなると、莫大な魔力を消費する。
 しかし上記の宝具『梨の妖精』による知名度補修が高ければ高いほど、この宝具による魔力消費を押さえることができる
 現状、1〜3体くらいなら、ステータスの劣化もあるだろうが、マスターの魔力消費を最低限にしたままで召喚することもできる
 なお、一度召喚した兄弟たちが死亡した場合、再召喚することはできない


【weapon】
ふなっしーは己の肉体のみで生き残ってやるなっしーー!!

【人物背景】
ふなっしーは千葉県船橋市に舞い降りた梨の妖精なっしー!
ふなっしーは2000年に一度現れる奇跡の梨の妖精だけど、両親は普通の梨の木なっしー!
兄弟は全部で274本でふなっしーは四男なっしー!
ちょっと口が悪くて虚言癖があるけど案外素直なっしー!

……2000年に1度だけ現れる奇跡の「梨の妖精」。両親は普通の梨の木
ハードロック・ヘヴィメタルを好んでおり、初めて買ったCDはディープ・パープルの『マシン・ヘッド』、好きな歌手はオジー・オズボーン、車の中でよく聴く音楽はエアロスミス、ライバルにはロブ・ハルフォードの名を挙げている。好物は桃。

ただし、ふなっしー曰く「虚言癖があり、言っていることの27.4%が嘘」とのことなので、いずれも本当かどうかは不明である


272 : 立花ユズヒコ&バーサーカー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 18:20:36 a1RudNN.0

【サーヴァントとしての願い】
船橋市の公認になりたいなっしぃぃ!!

【基本戦術】
 ゆるキャラなため戦闘はあまり得意ではないが、その奇抜な言動とトリッキーでアクロバティックな動きで敵を翻弄する……かもしれない
……真面目に運用を考えるなら、まず宝具『梨の妖精』の恩恵を最大限にするために、積極的に他陣営やNPCにアピールすることが最優先
 しかし知名度の低い序盤ではぶっちゃけ強いとは言いづらく、自己主張すれば当然他のマスターに目をつけられるため命が危ないというジレンマ……
 所持する宝具も決して強力なわけではないので、結果的に誰かと同盟を組むことも視野にいれると良いかもしれない

【マスター】
立花ゆずひこ@あたしンち
【マスターとしての願い】
家に帰りたい
【能力・技能】
『納豆奉行』
納豆の食べ方にこだわりがある
【人物背景】
立花家の長男で中2。暗黒面に堕ちたりとかはしてない。
キノコヘアーの縁をギザギザにしたような髪型で、細目。驚いたときなどは開く。 結構モテる。
シャイで繊細なためか、基本的にあまり喋らないタチで、大人びている。姉のみかんより常識的で生活能力ならユズヒコの方が上。
【方針】
聖杯戦争には消極的。バーサーカー(ふなっしー)に守ってもらう
覚醒前は普段通りの立花家の生活を過ごしていたため、再現されたNPCの立花家の面々に情がある


273 : 立花ユズヒコ&バーサーカー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 18:23:12 a1RudNN.0
投下終了です
なお今回の候補作投下にあたり、第二次二次キャラ聖杯戦争に投下した『立花ユズヒコ&バーサーカー』を再投稿させて頂きました


274 : ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 21:36:25 a1RudNN.0
投下します


275 : 佐藤和真&ライダー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 21:40:50 a1RudNN.0
ーー冒険者と呼ばれる存在は、ここには居ない。
 人を襲うモンスターも居ないし、当然、魔王なんて存在もゲームやアニメにしか存在しない。
 それが現実、それが日本だ。
 それが俺が生まれ、16歳まで育った世界なのだ。
 さて、そんな世界に居る今の俺、佐藤和真は……

「悪いね。目撃者は始末しなきゃならないんだ」

殺されそうになっていた
人通りも無い、深夜の路地裏。
コンビニに買い出しにいった帰り、近道しようとしたのがマズかった。

辻斬りだか通り魔だかしらないが、こいつの足元には死体が転がってる
死人に口無し。つまり、そういうことだ

「動くなよ。動くと痛いぞ?」

冷たい瞳で俺を見るイケメン。どことなく魔剣の人を思い出すが、あの時とは違う。
俺を、本気で殺すつもりのだ
スローモーションで動く世界で剣の刃先をただ見つめる。
身体は思うように動かない。
冬将軍なんかとは比べ物にならないくらい、このイケメンは強いと思う。そして、俺はまたまた死ぬだろう。

こんな所で、こんなあっけなく。
あのロクでもない世界に転生した命を、無駄に散らすのか。
ただ、殺される。


「ーーーーふざけるな」


こんな訳のわからないヤツ相手に?
ふざけんな
三度も殺されてたまるか。
そんなこと認められる訳がない

「俺はーーー」

そんな簡単に、殺されてたまるかーー!!




それは、まるで魔法のようだった。




「……ーーえ?」


「なに……!?」


燃えるような痛みが右腕を襲う。頭に流れ込んでくる異常な知識。
目を眩ませるような光と体を震わせるような爆音。
それらを引き連れてそいつは現れた。
余りの出来事に思考が停止する。
現れたそれは俺が今までに見たこともない異様な姿をしていた。


276 : 佐藤和真&ライダー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 21:41:44 a1RudNN.0


がぎぃぃん、と低い音が響く。


そいつは現れると同時に手に持ったモノを振り下ろす。
まるで空を切り裂くように振るわれたそれは明らかに場違いなモノだった。
だが、それは今にも俺の首を跳ねようとしていた剣を弾き落として火花を散らす。
信じられない。


「ーーーーこれは驚いた、マスターだったとは!?」


目の前の現実があまりに非常識で呆然とした。剣を構え直すイケメンと、手にしたギターを一閃する異様な男。


空に火花が散った。


ギターと剣。
まともに考えて打ち合えるはずがない。
傍目から見ても明らかに何かがおかしい勝負。
それは何故か――


「くーーーー!」


剣を持つ方が路地裏から弾き出されるという結果に終わった。
それを横目で確認しながら、そいつは静かに、こちらへと振り返った。




一際強い風が吹いて、月を隠していた雲を流した。




悠然たる態度で目の前に立っている男。
ただその恐ろしさに体が震えた。
いったい自分は何を呼び出してしまったのか。
土蔵に差し込む月明かりが、白い顔をした男を照らしあげる。
それは、まるで、ギターを持った悪魔。
そいつは何の感情も感じさせない冷たい目で俺を見下ろした後、




「今宵は満月……貴様の想いが俺を地獄から呼び覚ましたんだ」




地獄の底から響いてくるようなデス声でそう言った。


277 : 佐藤和真&ライダー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 21:43:05 a1RudNN.0

「え……じ、地獄……?」


言われた言葉が理解できない。
男が何を思って、何を俺に言っているのか、それすらわからない。
今の自分に判る事と言えば―――目の前にいるこの男を自分が呼び出してしまったということ。
できることなら思考を放棄して現実逃避したい。


「…………」


男は何も言わずにただ俺を見下ろしている。

ーーーーその姿を、なんと言えばいいのか。


白塗りの顔に額に殺という文字のメイク。
金色の長い髪に、何か鎧のようなモノを着込んだ男がギターを持っている。
その姿は他のどんな物よりも現実離れしていた。
一際強い風が吹く。
男の背中にあった紫色のマントがばさりと翻る。




「オレは魔王、ヨハネ・クラウザーⅡ世である」




ーーーーーは?


278 : 佐藤和真&ライダー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 21:44:36 a1RudNN.0

我が目を疑った。


「なんだ、あいつーーー」

眼前では二人の化け物が戦っていた。
唯一の光源を雲に隠された闇の中で火花を散らす剣とギター。


繰り出される神速の斬撃。


それをいとも容易く弾くクラウザーⅡ世。
間をおかずに次々と繰り出される太刀筋も意に介さない。
迫る刃先を危なげなく叩き落す。
ギターなのに、なんで剣を弾けるのかーーいや、そんなことはどうでもいい。




「オレは地獄のテロリストーー昨日は母さん犯したぜ、明日は父さんほってやる」




なんで歌ってるのか




「殺せ殺せ殺せ親など殺せ」




ギターを右手で弾き鳴らし、激しく頭を上下にシェイクしながらその魔王は歌っていた。
深夜に鳴り響くデスメタル系音楽。
こんな時間にゲリラライブとはさぞかし近所迷惑なことだろう。


「ーーーー」


信じ、られない。
クラウザーⅡ世と名乗ったそいつは間違いなくあの男を圧倒していた。
色々な意味で。


ーーーーなんだこれ。


二人の争いは争いですらない一方的なものだった。
俺では視認することすらできなかった斬撃はさらに速度を増してクラウザーⅡ世へと繰り出される。
その一撃一撃が確実に致命傷を狙ったモノ。
一つでも捌き損ねたら命を落とすはずの一撃ーーなのに。
それを手にしたギターだけで確実に叩き落とすクラウザーⅡ世はいったいなんなのか。
あろうことか、そのまま弦を弾いて音をかき鳴らしているコイツは。




「サツガイせよサツガイせよ」




歌い続けている。




「くっーーー!!」




憎々しげに舌打ちをこぼし、セイバーは後退する。
此方が攻めているはずなのに後ろに戻るしかない。
わからないでもない。
それほどまでにギターを掻き鳴らして迫り来る男は異様だった。


279 : 佐藤和真&ライダー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 21:46:06 a1RudNN.0





「思い出を血に染めてやれーーー」




「がっ…………!」




セイバーの剣にギターが叩きつけられ、光が弾ける。
クラウザーⅡ世の振るうギターを受けた瞬間に剣は感電したかのように光を帯びる。
それは、きっとーーー
神秘だ。
こうして離れてみてもわかる。
生き血を浴びせ続けたかのような真っ赤なギターに宿った神秘。
あれがどのようなものかはわからないが。


ーーーーセイバーのもつ剣にも匹敵するものだからこそ、それで叩き落せる。


まるで、悪魔が宿っているようで。
それはただのギターを超えーー確かな神秘と化してここに存在している。


「貴様っ……!」


ままならずセイバーは大きく距離を取って後退する。
それも当然。
いくら剣で斬り込もうとも、その悪魔は怯みすらしない。
速度を上げ、変幻自在な攻めをしようともそのギターで叩き落とされる。
それならその攻めに価値などあるまい。


「ーーーー」


間合いが離れ、歌が終わった。
なにか今の攻防に思う所でもあったのかお互いに睨み合っていた。
……まぁ、そりゃあ思う所もあるだろう。
英霊として、繰り出した一撃一撃が、馬鹿みたいな存在に防がれているんだから。
端から見てた俺だって色々と思う。


「…………貴公……その奇妙な宝具といい、その戦闘スタイルといいーーいったい何者だ?」


たぶん犯罪者じゃないだろうか。
いや、その演奏が素人目に見ても妙にうまいのも気になる。
最近の魔王は音楽もできないといけないのだろうか。
そんな疑問が頭の中でグルグルと周っているうちに目の前のその男ーークラウザーⅡ世はニヤリと笑って、


「オレは魔王ーーー、貴様にオレがSATSUGAIできるかな」


そんなことを言った。


280 : 佐藤和真&ライダー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 21:47:36 a1RudNN.0


「ふふ……、ふっははははは!! 魔王ときたか」


それに対してセイバーは笑って剣を構える。


「……ついでにもう一つ訊こう。お互いにここらで分けって気はないか?」


「断る」


「そうか。こちらは元々長居する気は無かったんだがーーー」


ぐらり、と。
二人を取り巻く空気が変わった。
セイバーの剣を中心として魔力がそこに集まる。一撃必殺。宝具を、使うつもりだ

クラウザーⅡ世はそれを正面から見据えて。


「フン、貴様の剣などレイプしてくれるわ」


吹き上がる殺気を無視して言い切った。
レイプって……先ほどから目の前にいる男の発言の中に犯罪の臭いがバリバリだ。
鬼畜だなんだと言われてた俺も引くぞ


「ほう、よく言った魔王」


魔力が巨大な渦となって流れていくのが目に見えるようにわかる。
膨れ上がる殺気に呼吸さえ止められる。




「ーーーならば死ね、我が必殺の太刀でな」




思わず「逃げろ」と口に出した。
きっとクラウザーⅡ世は目の前にいるそいつがどれほど危険なのかわかっていない。
いくら神秘を纏ったギターでも弾けるものではない。


「ーーーそれならば、このオレが力ずくで止めてやるわ」


そう言って魔王が天を仰ぐ。
喉の奥から「ガァ〜」という恐ろしい声を絞り上げて目の前の獣に立ち向かう。




「その素っ首ーーもらい受けr」




言い切れなかった。
それはセイバーが地を蹴るより早く空を飛んだ。
だから、魔王が放ったそれは言い切る前にセイバーの顔に直撃した。
それはまるで世界中の邪気を集めたようなーーー巨大なタン。


281 : 佐藤和真&ライダー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 21:49:45 a1RudNN.0

「……うわっ汚ぇー」


それは俺から見てもあまりにひどい。
マトモに喰ったセイバーはなんかプルプルしてる。
確かに止まった。止まったけど……。


「ーーきさ、ま」


ありったけの呪詛を込めたような怨嗟の声。


「ハハハ、この冬のコーディネートは悪魔玉がベストであるぞ」


嘲笑う魔王。
その様はーーまさに悪魔。
痛感する、コイツに心配なんていらなかった。
コイツは自称する通りの正真正銘の悪魔。


「……殺す」


タンを拭ったセイバーは明らかにキレる寸前だった。
殺気は薄れたが敵意はより濃くなっている。
その証拠に忌々しげに舌打ちを繰り返しているし、こめかみはいまだにピクピクしている。
さすがの俺もクラウザーⅡ世は殺されても文句言えないと思った。

だが、セイバーは手を出さなかった。

「……ッ! マスターッ!」

爆発寸前だったセイバーが、急に慌て始めた。

「糞っーー貴公、私は戻る。だがこれは私の本意ではない、だからーー私の誇りを賭けて誓おう。次に会った時に貴公を殺す」


「フン、ーーー貴様にオレがSATSUGAIできるかな?」


「ぬかせ魔王」


そう言ってセイバーは高く跳躍、その場から立ち去った


思えばこの時が最後だったのだ。
あまりの出来事の連続に思考が停止していたのか、逃げるという選択肢が端からなかったのかはわからない。
だが、この瞬間に逃げなかったことによって全ては始まった。

このロクでもない聖杯戦争が始まろうとしていたんだーーーー



なお、撤退したセイバーはマスターがSATSUGAIされ脱落した


【無名のセイバー 脱落】
【無名のマスター 死亡】


282 : 佐藤和真&ライダー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 21:50:41 a1RudNN.0

【クラス】
ライダー
【真名】ヨハネ・クラウザーII世@デトロイトメタルシティ
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力D 耐久E 敏捷B
魔力A 幸運A 宝具A+
【クラススキル】
 対魔力:D
一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
魔力除けのスタチュー程度の対魔力。

 騎乗:A+
騎乗の才能。豚であるのならば幻獣、神獣のものまで乗りこなせる。ただし、竜種は該当しない。

【保有スキル】
無辜の怪物:A
 生前の行いから生まれたイメージによって、過去や在り方をねじ曲げられた。
 クラウザーさんは魔王である。根岸? うせろモヤシ野郎!!

カリスマ:A+
 大軍団を指揮、統率する才能。ここまでくるともはや魔力・呪いの類である。

呪歌:A
 のろいうた。呪歌(じゅか)とは似て非なる魔術系統の一種。
 旋律を付けて発することで万人の心に働きかける。
 信者や豚はほぼ自由に操ることが出来るが、英霊やオサレ系のような自我の強い存在には効果が薄く、クラウザーさんの感情を伝播させる程度になる。 

自己改造:D
 自分の肉体に、まったく別の肉体を付属、融合させるスキル。
 このランクが上がれば上がるほど、正純の英雄から遠ざかっていく。
 クラウザーさんは対象をRAPEすることで相手の行動を吸収し、
 宝具の礎とすることが出来る。

高速神言:A
「レイプレイプレイプレイプレイプレイプレイプレイプレイプレイプレイィィィッップ!!!」
(現在もギネス記録更新中)

【宝具】
『覇獣解放・魔王降臨(メタルモンスター)』
ランク:A 種別:対人(対自身)宝具 レンジ:‐ 最大補捉:1人
クラウザーさんが所有している覇獣の鎧。
 この宝具はクラウザーさんがサーヴァントとして現界する際に失ってしまった
 666の固有スキルの情報を蓄積しており、自己改造スキルで得た情報、経験を元に、
失われた固有スキルをCランク程度のスキルとして再現することが出来る。
 尚、余談だが失ってしまった固有スキルの中には
“地獄の人文字”“悪魔玉”“48のポリ殺し”等、
宝具の域に達しているものが数多く存在する。

『旋律狂騒(デスメタル)』
ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:1〜75 最大補捉:1000人
 一時代に並ぶ者の無い、デスメタル界の帝王に代々引き継がれてきた悪魔のギター。
 宝具自身が持つ狂気と怨念を魔力で仲介し、旋律に含ませることで
歌による洗脳、扇動能力を大幅に強化、さらにいかなる相手にも対魔力判定と精神力判定を同時に強要する。
 いかに強大な自我を持つサーヴァントであろうとも例外なく対象に仕立て上げる戦慄の魔楽器。

 『狂気伝播す魔界の祭典(サタニック・エンペラー)』
ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1〜99 最大補捉:1000人
 レンジ内のDMC信者が500人を超えた際、彼ら全員の思念を統一し狂気を練り上げることで作り出す疑似結界。
 演奏中にのみ発動する最終宝具。
 レンジ内の全対象の属性を“生け贄”へと変更し、呪歌が続く限り“生け贄”から魔力と精神力を略奪し続ける。
 『旋律狂騒』と併用するため、呪歌を止めることが出来なければ最後、後に残るのはDMC信者となった対象のみである。
 「音楽が世界を壊しよる」、「音楽は人を殺せる」とまで言わしめた究極の洗脳術。


283 : 佐藤和真&ライダー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 21:55:37 a1RudNN.0

【weapon】
「梨元さん」
 資本主義の豚。ダメージを負えば負うほど能力値が上昇する異能を所持している。
 自らがM男であることに誇りを持つその姿は、世界の豚の中でもトップクラスである事を証明している。

【人物背景】
正式名はヨハネ・クラウザーⅡ世(Johannes Krauser II)。
魔界出身の悪魔で、幼き頃に両親を殺害してレイプしたため刑務所に服役していたが、メタルをやるために脱獄してきた
圧倒的なカリスマの持ち主で、デスメタルの天才である。ギターテクニックも驚異的である。
その過激なファッションに違わぬ凶悪なパフォーマンスと、神をも恐れぬ人道無視の悪魔的犯罪行為からカルト的な人気を誇っており、ファンからはクラウザーさんこそ本物の悪魔と崇拝されている。

中の人など居ない

【サーヴァントとしての願い】
聖杯だとっ!! レイプしてくれるわっ!!





【マスター】
佐藤和真@この素晴らしい世界に祝福を!

【マスターとしての願い】
このロクでもない戦争から生き残る

【weapon】
片手剣

【能力・技能】
冒険者
カズマが就いている職業。
基本職で最弱ではあるものの、全ての職業のスキルが覚えられる。

スキル
カズマが他の冒険者から学んだスキル。
敵の気配を察知する「敵感知」
自身の気配を消す「潜伏」
暗闇でも目が効く「千里眼」
相手の持ち物をランダムで奪う「スティール」
相手に触れ発動すると魔力を奪う「ドレインタッチ」
後は、攻撃には使えない初級魔法がカズマの使えるスキルである。

幸運
冒険者には必要ないが、非常に高い。

悪知恵
カズマの強さ。
彼はこれと幸運の高さを駆使して弱いスキルで戦っている。

【人物背景】
アクセルの街で活動する冒険者。
元々は現代日本で暮らしていた引きこもりだったが、トラクターに轢かれそうになったことでショック死しファンタジー世界に転生した。
頑張る時は頑張るが、頑張る必要がなくなるととことんだらけるタイプの男。

【方針】
聖杯は魅力的だけど人殺しは……
とりあえずこの魔王を何とかする

【備考】
参戦時期は機動要塞デスロイヤー撃破後
与えられた役割は高校生ですが、NPC時代から引きこもっていました


284 : 佐藤和真&ライダー ◆ee05V29uN. :2016/04/06(水) 21:56:10 a1RudNN.0
投下終了です


285 : ◆45MxoM2216 :2016/04/07(木) 22:19:20 d0fKLpkE0
投下します


286 : ヨシュア・クリストファ&ライダー ◆45MxoM2216 :2016/04/07(木) 22:20:25 d0fKLpkE0
「姉さん……どこ……」
少年は、姉を探していた。


何故自分はこんな所にいるのか。
今までの生活は一体なんだったのか。
何がなんだか分からない。

聖杯戦争という催しの情報が頭の中に流れ込んでくる。
次いで、この街での生活じゃない本当の生活の記憶が湯水のように溢れて、頭がパンクしそうだ。

しかし、その記憶は本来の記憶とは言い難い。
彼―――ヨシュア・クリストファは夢を見ている。
姉を探しながらもその瞳は姉を見ていない。
夢の中にしか存在しない「優しい姉さん」を追い求めているだけだ。
だから―――

「問おう、お主が私のマスターか」
「姉さん?」
「む?」

だからヨシュアは、夢から目覚められない。

世の中広しと言えど、開口一番に姉と呼ばれたサーヴァントなど前代未聞だろう。
しかも、そのサーヴァント―――春日吹雪丸は男装していた。
ある程度親しい人物も完璧に騙しきれる程の男装を一瞬で見破られたことに驚く吹雪丸。
しかしそれ以上に、いきなりサーヴァントに対して姉などと宣う少年への不信感が勝った。

「違う……姉さんじゃない」
「マスター?ご乱心か?」

ついつい厳しい言葉を吐いてしまったが、それも仕方ないことだろう。
なんとも面妖なマスターと改めて話してみたところ、どうにも今回の聖杯戦争には妙な点が多いことに気付く。

「うぅむ、ではマスターはそもそも聖杯戦争のことすら元は知らなんだな?」
「うん、そうだよ」

そもそもヨシュアは罪人の楽園(トガビトのエデン)にいたはずだ。
それが何故か何の違和感もなく普通にこの函館で生活していて、記憶と共に聖杯戦争の情報が頭の中に入ってきた。
普通の聖杯戦争ではまず起こらないような状況である。

「さすれば、マスター以外の者共も何かに巻き込まれただけやも知れぬな。
覚悟の上で聖杯を狙う兵ならば是非もないが、そうでない者まで斬りたくはないが……それに関してはサーヴァントだけを狙えば良いな。
マスターよ、お主はどうしたい?」
吹雪丸はこう見えて戦国時代の一国一城の主だ。
流石に無辜の民にまで手を出すのは憚られるが、人殺し自体にそこまで忌避感はない。

「僕は……姉さんに会いたい。
聖杯がそれを叶えてくれるのなら、誰かと戦うことになっても構わない」
対するヨシュアも人殺しは厭わない。
罪人(トガビト)であるアイオーンと行動を共にしていたことから人間よりは悪魔と戦うことが多かったヨシュアだが、それは人間を殺さないこととイコールではない。
彼自身は覚えていないが、住んでいた孤児院の住人の時間を止めてしまったことさえある。

「うむ、その意気や良し!
男(おのこ)としては多少覇気に欠けるが、まぁ私のいも……あいや、弟に比すれば上々と言えよう」
普段は弟のことを妹として扱っている吹雪丸だが、女子(おなご)と比較されても嬉しくはないと思い訂正する。


287 : ヨシュア・クリストファ&ライダー ◆45MxoM2216 :2016/04/07(木) 22:21:02 d0fKLpkE0
「そう言えば、君の願いは何なんだい、ライダー?」
自分の姉ではないが、このサーヴァントも誰かの姉であるらしい。
そのことを知ったのが原因かは分からないが、ヨシュアは幾分砕けた様子で気さくに話しかける。

「ううむ……マスターに隠すようなことでもあるまいか。
私にはどうしても思い出したい夢があるのだ」

「思い出したい夢?」

「良い夢だったのか、悪い夢だったのかは分からない。
だが、あの日見た夢は決して忘れてはならぬことのように思えてならぬのだ。
故にマスターよ、私と共に戦ってほしい」

「ああ、勿論だよライダー。
僕も姉さんに会いたいしね」

物語が始まる。
悪魔の角を持ち夢から目覚められないままの人間と、性別を偽り続け夢を思い出したい人間の―――少年と少女の物語が。

【クラス】
ライダー

【真名】
春日吹雪丸@クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望

【属性】
中立・善

【ステータス】
筋力B 耐久C 敏捷C 魔力D 幸運C 宝具A

【クラススキル】
対魔力:C
二節以下の詠唱による魔術を無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。

騎乗:A
騎乗の才能。幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。

【固有スキル】
戦闘続行:B
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

矢避けの加護:B
飛び道具に対する防御。
狙撃手を視界に納めている限り、どのような投擲武装だろうと肉眼で捉え、対処できる。
ただし超遠距離からの直接攻撃は該当せず、広範囲の全体攻撃にも該当しない。

黄金律:C
人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。
金銭には困らぬ人生を約束されている。


【宝具】
春日単騎駆け(かすがたんきがけ)
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1〜50 最大捕捉:100人
吹雪丸の愛馬エンジに跨り敵を蹂躙する。
幼子を抱えながらも単騎で敵の城の奥深くまで侵攻した逸話により生まれた宝具。
しかし、魔力を全開にして真名開放した場合、半日はエンジを使用できなくなる。

第七沈々丸(だいななちんちんまる)
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1〜5 最大捕捉:1人
春日家に代々伝わる家宝の刀。
本来はこのランクに留まるような宝具ではないが、生前この刀にて大事を成し遂げたのは彼女ではないためCランクとなっている。
彼女自身もこの宝刀にてとあるカラクリ人形を破壊した逸話から機械仕掛けの物に対しては追加ダメージがある。


288 : ヨシュア・クリストファ&ライダー ◆45MxoM2216 :2016/04/07(木) 22:21:36 d0fKLpkE0

【weapon】
無銘の剣
名馬エンジ

【人物紹介】
クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望に登場する映画オリジナルキャラクター。
野原一家が戦国時代で出会った15歳の剣士。雲黒斎によって滅ぼされた春日城の忘れ形見である。
野原一家と出会うまでは相棒である愛馬『エンジ』と共に一人と一頭で雲黒斎の軍勢と戦い続けていた。
男の格好をしているが実は女性で、弟の雪乃が生まれながらに自分のことを女だと思い込んでいた為に仕方なく吹雪丸は世継ぎの男として育てられた。
なお、最終的に歴史が修正されたため吹雪丸は本編での出来事を覚えておらず「夢」を見ていたとしか認識していない。

【サーヴァントとしての願い】
あの日の「夢」を思い出したい。

【マスター】
ヨシュア・クリストファ@クロノクルセイド

【マスターとしての願い】
姉さんに会いたい

【能力、技能】
クロノの尖角(ホーン)による高い身体能力と触れた物体の時間を止めることができる『時間凍結』
代行者(アポスルズ)として元々持っていた治癒能力 ただし自分の治療は不可能

【人物背景】
クロノクルセイドの主人公、ロゼット・クリストファの弟。
元々は不思議な力を持っているだけの病弱な少年だったが、悪魔であるクロノの尖角(ホーン)を手に入れたことで自我が半ば崩壊。
住んでいた孤児院の時を止めて行方不明となる。
現在はフィオレという女性の献身的な支えによって辛うじて自我を保っているが、いつ精神が崩壊してもおかしくない。
そんな彼の心の支えは姉のロゼットだが、最早名前しか覚えておらず本人と会っても姉と気付かない。

【備考】
人が多い場所では「ノイズ」が酷くなるため情緒不安定となる

【方針】
聖杯を手に入れる
「巻き込まれただけ」のマスターは極力殺したくないが、サーヴァントはその限りではない
向こうから襲われた場合はマスターにも容赦しない


289 : ◆45MxoM2216 :2016/04/07(木) 22:22:00 d0fKLpkE0
投下終了です


290 : レベル上げ ◆T3rvSA.jcs :2016/04/08(金) 22:17:50 g0ak3FY60
投下します


291 : レベル上げ ◆T3rvSA.jcs :2016/04/08(金) 22:18:16 g0ak3FY60
「ホント…何なの?アレ?」

深夜。五稜郭に程近いビルの屋上で、霧乃タカオは独り呟く。
目に映るのは五稜郭の上に聳える瓦礫の塔。あからさまに異質なそれは、近づくことも出来ず。彼女の眼でいくら見ても外観以外の事はわからない。
溜息をついて空を見上げる。随分人間らしくなったと思いながら。
そうして、今までのことを思い出す。


292 : レベル上げ ◆T3rvSA.jcs :2016/04/08(金) 22:18:43 g0ak3FY60
函館市内の高校に通う女子高生、霧乃タカオ。それがいつの間にか、記憶に書き込まれていた偽りの記憶で有るということに気付いたのは、些細な切っ掛けだった。
――――艦体の反応が無い。
ふとそんな思いが脳裏を過ぎり、“艦体”というワードについて記憶を辿るうちに、全てを思い出したのだ。
自身が“霧の艦隊”に所属する重巡であることを、401と彼女の艦長である千早群像に敗北したことを。
全ての記憶を取り戻したタカオは無闇に行動せずに、現場把握に努めた。
結果は、何も判らないということだけが判った。
仮想現実であるということは判明したが、システムにハッキングすることが出来なかったのだ。知覚出来る時間単位がピコ秒単位に及び、人類のシステムでは作り出せない演算能力を持つ自分がだ。
しかもどうなっているのか、戦術ネットワークにアクセスできず、概念伝達も使用不能。
自分の身体そのものの艦体すらも認識出来なくなっていた。艦体さえ有れば、函館市ごと聖杯戦争を終わらせることなど容易いというのに。
クラインフィールドを始めとする、メンタルモデルの能力は損なわれてはいない。人間のインターネットにみ接続できるが、タカオの戦力は消失していると言って良い。
部屋のナノマテリアル製乙女グッズが有る為、僅かながら補充ができるのが幸いか。
「はぁ…」再び溜息。本当に人間に近くなっていると思う。
戦う事に否を唱えるつもりは無い、自分は兵器。戦いこそが存在意義。
メンタルモデルなるものを“霧”が獲得したのは、人と同じ境遇を体験し、人の思考法を知って“霧”自身が戦術を獲得する為。この状況は経験値を高める上では格好の機会。千早群像との再戦に益となるかは兎も角。
とは思うものの、いきなり仮想空間に取り込まれ、メンタルモデルだけという不自由極まりない状態である。

「不自由か……」

今のタカオは人で例えるなら首から下が使えないに等しい。正しくメンタルモデルを獲得するに至った理由を満たしている。
「こんな戦闘の経験積んでも意味有るのかなあ」

夜空に向かって呟いたその時。


293 : レベル上げ ◆T3rvSA.jcs :2016/04/08(金) 22:19:16 g0ak3FY60
“チ” “チ” “チ”“ チ” “チ” “チ”
人間を超越したメンタルモデルの知覚が、接近する人間の気配を伝えてきた。
素知らぬ振りをして瓦礫の塔を見つめ続ける。普通の人間には何も無い空を眺めているようにしか見えない筈だ。
ドアノブがゆっくりと回される。常人には到底聞こえない小さな音と共に。
ドアがゆっくりと開いていく。聴覚の優れた人間でも聴こえない小さな音と共に。
――――1人
タカオは既に屋上に来た者を“敵”と見做していた。やって来た者は、明らかにタカオの存在を認識し、気づかれないように動いていた。
ドアが開ききる直前、タカオは振り返り、ドア目掛けて突撃、鉄製のドアごと相手を蹴り飛ばす。
ボール紙の様にドアはひしゃげ、水平に飛んで後方の壁に激突した。蜘蛛の巣状にコンクリートの壁にヒビが入る。常人なら即死だろう。
まさかドアが蹴り飛ばされた時の3倍のスピードで戻ってくるとは。
咄嗟に両腕で叩き落とす。ドアの後ろに追随していた全身鎧姿の男が両手に一本ずつ握った単槍のうち、右の槍を繰り出すのが見えた。
見えた瞬間に右に飛んで回避。そのまま前に出て男とすれ違いざまに左足を軸にして回転、男の延髄に全力で拳を叩き込む。
コンクリ壁すら撃ち抜く拳打を急所に受けたにも関わらず、男は僅かによろめいただけでタカオに向きなおり、立て続けに左右の槍を繰り出してきた。
常人なら視界を切先が埋め尽くした様に見えるだろう程の連撃を、タカオはクラインフィールドを展開して防いだ
(ウソ!?もう限界?)
一撃一撃が対物ライフルに匹敵するとはいえ、五秒と持たずにフィールドが飽和する。明らかに性能が落ちている。
あっさり崩壊するフィールド。喉元に伸びる槍を鋼に変えた腕で受け止める。
鋼の激突する凄絶な響きと共に、タカオは後方に弾き飛ばされていた。勢いに逆らわず後方に飛び、更にもう一度跳躍して屋上から飛び降りる。

「セイバー!!」

落下しながら叫び、着地、そのまま人間にはありえない速度で走り出す。
疾走するタカオは三十台程の車が駐車できる広さの駐車場に駆け込んだ。

「逃がさん!」

僅かに遅れて駆け込んでくるランサー、そして。

「お前では我が兵法の足しにもならぬが」

タカオのサーヴァント。セイバーが現れた。
袴を履いただけの上半身裸の男。やや白髪の混じった伸び放題の髪は腰のあたりまで伸び、適当に伸ばした髭が口の回りを覆っている。
野人、という呼び方が似合う男だった。

「まあ良い、何事も斬る縁(えにし)と思ふ事こそ肝要ゆえ」

野人の右手にに一本の小刀が出現した。

「空を駆けるは愚策ゆえにな」


294 : レベル上げ ◆T3rvSA.jcs :2016/04/08(金) 22:20:26 g0ak3FY60
そうして二人は膠着した。
セイバーは小刀を持った右手をだらりと下げ、両脚を肩幅より僅かに広く開けて、全身の筋肉を弛緩させた完全な脱力の態。
対するランサーは槍を持った両手を大きく左右に広げ、獲物に襲いかからんとする猛虎の如き態。
照明の下、時折大通りを走る車の走行音以外は一切聞こえぬ、夜の駐車場で対峙する二つの影。
メンタルモデル。超兵器である“霧”の人型情報端末であるタカオには判らなかったが、もしここに生きた人間、否、動物でもいれば、骨の髄まで凍りつくような冷気を感じたことだろう。
対峙する二人は無言。流れる川さえ氷結しそうな殺気は、更に鋭さ苛烈さを増していき。
そして実に呆気なく決着した。
傍から見ている者には、タカオが僅かに動き、その事で集中を切らしたランサーがセイバー目掛けて踊りかかり、斬り伏せられた。
そうとしか見えなかったろうし、実際にそうであったが、事はもう少し複雑である。

人でない自分すら硬直する峻烈な殺気の中、タカオは考えた。――――敵のマスターを捜そう――――兵器であるタカオの取った行動は、至極単純に敵を倒すという事に集約されていた。

ランサーはタカオの動きを視界の端で捉え焦りを覚えた。アレだけの戦力を持つ女がマスターと遭遇すれば、結果は火を見るより明らかだった。すぐにマスターの処に戻らねばならぬ、その為には眼前のセイバーを速やかに排除する必要があった。
ここにランサーの心に焦りが生まれ、隙が生じた。

そしてセイバーはタカオが動くことを予測し、その時ランサーが何を思うかも予測していた。
結果は勝負を急いだランサーがセイバーの見せた隙に釣られ、踏み込んで右の槍を繰り出す。
その意図を予め察していセイバーが、ランサーが動くよりも本の僅か――――極小の時間だが――――速く地を蹴る。
セイバーの速度は本来ランサーのそれより遅い、しかし常に心身の動きで先を取り続けたセイバーは、物理的な速度でなく、時間的な速度で勝り。
ランサーは機先を制されただけでなく、セイバーの意図した通りに動いてしまい。
そうしてセイバーが攻撃を終えようとしていた時には、既に攻撃の動きに入っていた為、受けも躱しもできなかったランサーは脳天から臍まで斬り下げられたのだった。


295 : レベル上げ ◆T3rvSA.jcs :2016/04/08(金) 22:21:35 g0ak3FY60
「今の技はなんていうの?」

「柳生新陰流“合撃(がっし)”今の動きの元だがな」

「それにしても、終わる時は呆気ないものね」

「主(あるじ)よ、サーヴァントと戦った経験はどうだ」

「…え、そうね。やっぱり私は有効な攻撃はできないわね」

サーヴァントの消耗を抑える為にも、できるだけ自分が戦うのが良いのだが、どうやらそれでは勝てぬらしい。
かといってさっきの様に楽に勝てる相手ばかりならともかく、宝具を使用する程の相手となると、その消耗は必ず大きくなる。何しろセイバーの戦う目的が“優れた宝具や技を見て経験を蓄積すること”なのだから。
聖杯戦争に招かれた連中なら、必ずや良い経験になる。セイバーはそう考えている様だった。
これでは消耗は必至、自分は魔力供給が出来ないことを考えると、重大な問題である。
とはいえ、陸上への攻撃を禁ずる“霧”の規定に則れば、“魂喰い”は出来ない。つくづく困り果てた状況ではあった。攻撃を受けた場合の戦闘や、その際の流れ弾は許容されるのが救いではあったが。

「相手の技を見るのをやめろとは言えないのよねえ」

タカオにしても未知の技や宝具を見て経験値を高めることには異存は無し。それが有用かどうかは兎も角。しかし勝つ為に有効な奇襲という手段を、自分もサーヴァントもそうそう行えない。
こちらに対して敵意全開な一度戦って手の内を全て見た相手でも無い限りは。

「ホント、どうしよう」

再びため息を付くタカオ。取り敢えず他のマスターやサーヴァントの動きや思考を観察し、良い経験値稼ぎにしようと、そう結論した。

「これなら、後に活かせるわよね」


296 : レベル上げ ◆T3rvSA.jcs :2016/04/08(金) 22:22:00 g0ak3FY60
【クラス】
セイバー

【真名】
宮本武蔵@装甲悪鬼村正 魔界編

【ステータス】
通常時
筋力:C++ 耐久:D 敏捷:C 幸運:B 魔力: E 宝具:A+

装甲時
筋力:B+ + 耐久:C 敏捷:B 幸運:B 魔力:E 宝具:A+

【属性】
中立・中庸

【クラススキル】
対魔力:D
一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

騎乗:D
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み程度に乗りこなせる。
【保有スキル】
直感:B
戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を”感じ取る”能力。
視覚・聴覚に干渉する妨害を半減させる。

心眼(真):A
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、
その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。
逆転の可能性がゼロではないなら、
その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

戦闘続行:B
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

無窮の武練:A+
ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。
心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。

頑健:A
身体の頑丈さ。深手を負いながらも当世最強格の武者二名を立て続けに相手取り、神域の大技を連発して疲れを見せなかった。
通常よりも少ない魔力で、行動・治癒・宝具展開が可能。

勇猛:B
 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。
 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。


297 : レベル上げ ◆T3rvSA.jcs :2016/04/08(金) 22:22:47 g0ak3FY60
【宝具】
武州五輪
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:ー 最大補足:自分自身
宮本武蔵が駆る真打劔冑。
真の兵法とは戦闘経験の蓄積の果てに成るとして、超常と術理を編纂し、兵法として確立すべく鍛造された劔冑とされる。
武者の駆使する技、劔胄の持つ陰義(しのぎ)、竜騎兵の持つ兵器を悉く吸収・再現する“術理吸収”が陰義
ただし習得する為には、武蔵が見た上で原理を理解する必要が有る。
この劔胄を装甲すれば誰でも技量に応じた形としてだが、蓄積された術理を行使可能。
神代(かみよ)より蓄積を続け未だ未完成だが、完成すれば世界大戦にも通用するとされる。

古飛器式三番叟鶴舞(ことぶきしきさんばそうつるまい)
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ :1~20 最大補足:1人
刀が変化した鎌にを投擲する。『天上天下反転』の術理により前から来た攻撃が後ろから、上から来た攻撃が下から、といった具合に攻撃方向が反転する。
この効果は対象にも及び、前に振った剣が後ろに、右に振った剣は左に、といったた具合に成る。
武州五輪が吸収した術理。

高速徹甲弾
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大補足:1人
背面が一部展開し発射される。タングステン製の弾芯を軽合金の殻で包み、着弾の衝撃で柔らかい外殻が潰れて弾芯が突出することで高い貫通力を誇る。
武州五輪が吸収した術理。

天魔返(あまのまがえし)
ランク:A 種別:対城宝具 レンジ:1~99 最大補足:500人

神代の作と伝えられる天魔反戈(あまのまがえしのほこ)の術技。気象操作系と思われるが詳細は不明。
巨大な竜巻を三本発生させ対象目掛けて撃ち放し、撃滅する。
海上で使えば巨大な旋回する水の槍となる。
使う際には両腕が一回り大きくなる。

【weapon】
小刀:
セイバーの技量もあるが、劔胄の装甲を斬り裂ける程度には頑丈

【人物背景】
生身においては剣豪と名高く、武者としては当代最高と称された。勝ちを得る為ならば劔胄すら捨て去る人物。
真の兵法の完成の為に、数多の術理を武州五輪に吸収させ、誰でも使える様に編纂していた。

【方針】
優れた敵と戦い兵法の完成を目指す。

【聖杯にかける願い】
無い。

【備考】
劔胄:魂を宿す甲冑。着用者に運動能力の飛躍的な向上と、驚異的な回復力を与える。
劔胄の魂は、劔胄を造った鍛治職人か、人造人間かのどちらかである。
前者の劔胄を真打劔胄。後者の劔胄を数打劔胄と呼ぶ。
真打を纏う者を武者と呼ぶ。
真打の中には陰義と称される超常の力を使えるものもある。
劔胄は飛行能力を持ち、第二次大戦時の兵器が通用しない程度には強力。


298 : レベル上げ ◆T3rvSA.jcs :2016/04/08(金) 22:23:41 g0ak3FY60
【マスター】
タカオ@蒼き鋼のアルペジオ(原作漫画版)

【能力・技能】
人間を超越した運動能力。全身を構成するナノマテリアルの構成を変えることで、身体の質量を増したり、金属に変えることが可能。コアの知覚できる時間単位が極小な為に、同じ時間当たりの経験値は人にそれとは比べ物にならない。
人の域を越えた高速思考や分割思考を可能とする。
構造さえ把握していれば顕微鏡レベルでは看破出来ない人体の複製すら可能。

受けたエネルギーを任意の方向に差し替えるクラインフィールドは人類の兵器を寄せ付けない。しかし、強大なエネルギーを一気に流し込むか、放出量を上回るエネルギーを加えれば、飽和状態になって割れる。
制限によりBランク相当の筋力、Cランク相当の宝具で攻撃され続ければ5秒と持たずに割れる。

【ロール】
函館市内の高校に通う女子高生

【人物背景】
“霧”が人類の思考を理解し、戦術を獲得する為に作り出した人型情報端末。
千早群像と彼が乗る“霧”の潜水艦に敗北した後、人間という部品を求めて“霧”を出奔。函館で人に混じって生活し、人を理解しようとしていた

データ弄くって幾らでも増やせるので金銭面は豊富。

【令呪の形・位置】
“天”の字が右手の甲に有る

【聖杯にかける願い】
元の世界への帰還。

【方針】
経験値を高める。将として優れた相手となら同盟を考慮する。

【参戦時期】
群像に負けた後の函館にいた時期。400と402に発見されるまでの間。

【備考】
霧:突如として現れ人類を海から駆逐した存在。
何故か第二次対戦時の軍艦の姿をしている。
尚人類の船の定冠詞が女性系だった為。船=助成と認識している。


【運用】
主従共に経験の蓄積を目的とする為、どうしても先手を打って何もさせぬまま撃破。とはなりにくい。
戦闘を経れば経る程強くなるが魔力の消費がネック。
早期に同盟を組むか、魔力を補う方法を見つけるのが肝要。


299 : レベル上げ ◆T3rvSA.jcs :2016/04/08(金) 22:24:24 g0ak3FY60
投下を終了します


300 : ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 22:39:40 5FPW3uFk0
投下します


301 : 宮藤芳佳&ランサー ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 22:40:39 5FPW3uFk0
 戦いが好きなわけじゃなかった。
 お父さんの命を奪った戦争を、最初は強く憎んでいた。
 だから魔法が使えても、ウィッチとして戦おうなんてことは、決して考えることはなかった。

 それでも、私は知ってしまった。
 お父さんの足跡を追う中で、世界が直面している現実を、私は思い知らされてしまった。
 突然現れた侵略者・ネウロイ。
 その脅威に晒されて、涙を流す人達がいることを。
 その涙を拭うために、懸命に立ち向かう人達がいることを。
 お父さんもそのために、研究に向かっていたということを。

 だから私はウィッチになった。
 大切な仲間達と一緒に、大切なものを守るために、大空を舞って戦い続けた。
 魔法を失った今でも、その気持ちには偽りはない。
 武器を取ることができなくなっても、違う形で戦うことができる。
 医学の勉強に打ち込んで、立派なお医者さんになれば、人の命を繋ぐことができる。
 空にいてもいなくても、私は今でも戦っている。それだけは断言することができた。

 その力を、多くの人を守るために。

 私に力があるのならば、それを望む人々のために。

 だから私は迷わない。
 戦うことを恐れたりしない。

 たとえ翼をなくしても、大切な人を守るために――守りたいから、私は飛ぶ。


302 : 宮藤芳佳&ランサー ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 22:41:10 5FPW3uFk0


 齢16歳にして、宮藤芳佳は英雄であった。
 現行兵器での突破が敵わぬ、最凶最悪の侵略者・ネウロイ。
 その黒き魔獣を唯一倒せる、現代の魔術師・ウィッチの存在は、計り知れないほどに大きなものがあった。
 占領されたオラーシャ帝国、そしてガリア――それらを解放した戦闘航空団・ストライクウィッチーズ。
 その一翼を担った宮藤芳佳は、いずれ英霊の座へと至ることが、この時点で約束されていると、断言してもいいだろう。

「――気をしっかり持ってください! もう大丈夫ですからね!」

 その宮藤芳佳が、戦っていた。
 武器も翼も持たずにいたが、それでも彼女は戦っていた。
 自身の故郷と似て非なる国――それを魔術的に再現しただけの、縁もゆかりもない虚構の街。
 それでもその函館という街が、今は芳佳の戦場であった。
 大地震か何かに見舞われたように、無残に崩れかけた建造物。
 塵で澱んだ空気の中で、ひび割れ歪んだ床の上で、芳佳は懸命に歩みを進める。
 天災ならぬ人災に巻き込まれ、傷ついた人々に肩を貸し、廃墟からの脱出を促している。
 かつて軍人ではあったが、芳佳は元来医者の卵だ。故に彼女の戦いとは、敵を倒すためでなく、人を救うための戦いだった。

「すぐに救急車が来ます。傷は浅いですから、ここで安静にしていてください」

 連れ出した老人を安全圏へ導き、芳佳は再び踵を返す。
 感謝の言葉に肩越しに応じると、次の誰かを助けるために、崩れかけたビルへと飛び込む。
 これで突入は三度目だ。その度に彼女は人を助け、人を外へと連れ出してきた。
 大きな怪我をした者には、あり合わせのものを使って、出来る限りの処置を施した。
 徒労とも言える救助活動を、しかし足を止めることなく、彼女はひたすらに続けていた。

「何をしている」
「っ!?」

 その背中に、問う者がいる。
 背後から発せられた気配と声に、はっとして芳佳は後ろを振り向く。
 朽ちかけた薄暗いビルの廊下――その向こうに現れたのは、異様な風体をした男だ。
 上に羽織りものを合わせた作務衣に、腰には刀。あの坂本美緒が持っていたような、人を殺すための扶桑の刀。
 それほど一般的ではなかったらしい、自分の普段着のズボンのように、この函館には似つかわしくない姿だ。
 であれば、全く異なる土地・時代から、呼び寄せられた者であるということ。
 つまりは、自分の同類だ。
 自分の命を狙う敵の姿だ。

「サーヴァントとやらの気配があると聞いて、戻ってみたが……」
「貴方が、この騒ぎの元凶……!」

 芳佳が構える。赤い令呪が刻まれた、左手が強く握られる。
 異なる世界、異なる時間。異界の人間を呼び寄せて、開かれる殺戮の宴――聖杯戦争。
 英霊の魂を使い魔として使役し、願いを叶える聖杯を手にする、最後の一人を決めるための戦い。
 このビルはその使い魔・サーヴァントの戦いで、これほどの被害を被っていたのだ。
 そして目の前の剣士は、サーヴァントの存在を認知し、その上先ほどまで、この場にいたのだと証言している。
 であれば、事の発端はこいつだ。
 この男の身勝手な戦いが、多くの人々を災禍に巻き込み、命と安全を脅かしたのだ。


303 : 宮藤芳佳&ランサー ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 22:42:07 5FPW3uFk0
「解せんな。所詮彼奴らはエヌピーシーなる者。作り物の幻であると、知らぬわけではあるまい?」

 幻想によって生じた函館は、街も暮らす人々も虚像だ。
 それらしい姿と振る舞いを与えられた、命を持たない偽物でしかない。
 そんな作り物の命を、必死になって救うことに、何の意味があるのだと、剣士は芳佳に問いかける。

「理解できないのは私の方です。あの中には、私達と同じ人……まだ記憶の戻っていないだけの、本物の人間がいるかもしれない。
 それくらい、ほんの少し考えれば、簡単に想像できるはずです」

 それでも、引き下がらなかった。
 きっと睨みをきかせながら、芳佳は剣士に反論した。
 失われる命が無いなど詭弁だ。この街には、仮初の記憶を与えられ、日常を生きることを強要された、マスター候補者が大勢いる。
 それらが戦いに巻き込まれ、何も理解できないままに、命を落とす可能性を、一体誰に否定できる。

「それにこそ理解に苦しむな。聖杯を奪い合う敵であるなら、見殺しにしてしまえばいい」
「私は聖杯なんて要らない! こんな聖杯戦争なんて、乗ることも認めることもできません!
 人間同士が争い合って、命を奪い合うなんて……そんなの絶対に間違ってます!」

 反論する剣士に対して、返した。
 芳佳は聖杯を認めない。
 人の尊く儚い命を、無為にぶつけ合い消さんとする争いを、宮藤芳佳は認めはしない。
 侵略者ネウロイの魔の手から、人の命を守ることが、これまでの芳佳の戦いだった。
 戦いで命を落とした父が、娘に遺した言葉と使命――多くを守るための力こそが、彼女を動かす力だった。
 だからこそ、聖杯を認めない。そんなことは馬鹿げていると、真っ向から争いを否定する。
 故に芳佳は、武器を取らず、人の手を取って戦っていたのだ。
 喪われてしまう命が、消えかけている灯火が、彼女の助けを呼んでいたのだから。

「切って捨てるか。願望の器を。お前にも願いの一つくらいあろうに」
「ありません! 全然分かりませんっ!」

 断言した。
 そんな願いなどないと、芳佳は剣士に向かって言った。

「私に願いがあるとするなら、それは平和な世界を取り戻すこと……それを命を犠牲にして、叶えようなんて気持ちは、私には絶対理解できませんっ!」

 矛盾だ。
 宮藤芳佳の願いとは、ネウロイに虐げられた無辜の命を、平和を取り戻すことによって守り抜くこと。
 その前提は、無辜の命を、この場で切り捨て殺すことで、無為なものへと成り果てる。
 手段を選ばないなどという選択肢は、芳佳には最初から存在しない。
 たとえ綺麗事であろうと、絵空事であったとしても、そこだけは絶対に曲げられない。
 残酷な現実の壁を突破し、尊い未来を勝ち取ってこそ、魔法という奇跡は存在意義があるのだ。
 少なくとも宮藤芳佳個人は、そう固く信じ、誓っていた。

「よかろう。ならば問答は無用だ。もとよりそれが望みではない」

 ちゃき、と刃金の音が鳴る。
 剣士が抜き放つ切っ先が、澱みの中で光を放つ。
 あれは憎しみの光だ。人の血を啜る殺意の刃だ。
 同じ扶桑の刀でも、坂本が握っていたそれとは、受ける印象がまるで違う。


304 : 宮藤芳佳&ランサー ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 22:43:18 5FPW3uFk0
「っ……!」
「手駒を呼ばぬというのなら、それこそサーヴァントなど不要。無手で敵うほど易くはないぞ」

 剣士の言葉に、身が震えた。
 そうだ。この手には銃がない。そもそもこの背には翼すらない。
 大空の英雄・宮藤芳佳が、戦士として在れたのは過去の話だ。
 ロマーニャ解放の戦いの折、限界を超えた芳佳の体は、一切の魔術を喪失した。
 治癒の魔法も、空を飛ぶ魔法も、何一つ使えなくなった芳佳は、ストライカーユニットを脱いで、最前線から退いたのだ。
 それほど得意でない徒手空拳だけで、剣士を相手に戦えるほど、今の芳佳は強くはない。

「……分かっています。今の私には、身を守る武器も、空を舞うための翼もない」

 それでも、恐怖は一瞬で消えた。
 それだけが芳佳の全てではないと、彼女は知っていたからだ。

「だけど、私にはまだこの手があります。一人の力が足りないのなら、誰かと手と手を取り合って、大きな力に変えればいい」

 この身で出来ることは限られている。
 古今無双の英雄が集った、ストライクウィッチーズの一番の後輩。
 自身も英雄と讃えられながら、一番弱かった芳佳だからこそ、そのことは痛いほどよく知っている。
 そしてだからこそ手と手を繋ぎ、不可能を可能に変えていくのだ。
 一人では泣きそうな戦いの空でも、頼れる仲間と先輩達が、共に並び立ち支えてくれた。
 なけなしの勇気しかなかったとしても、それを無数に寄せ合えば、無敵になると教えてくれた。
 だからこそ、芳佳は俯かない。全ての力を喪失しても、繋ぐ手が残されていたのなら、前を向いて戦える。

「だから、私に力を貸してください――ランサーさんっ!」

 この手を握り返してくれる者が――今の芳佳にはついてくれている!

「Balwisyall Nescell gungnir tron――」

 それは歌だ。
 聖なる調べだ。
 神話の時代から受け継がれた、守護の祈りの込められた歌。
 戦場に響き渡る歌は、やがて激しいリズムへと変わる。
 それは戦いのための調べ。
 命を脅かす悪鬼羅刹を、叩き伏せるための旋律だ。

「――はッ!」

 瞬間、大気が激しく弾けた。
 瓦礫を一息に爆裂させ、澱んだ空気を吹き飛ばし、躍り出る一つの影があった。
 オレンジを基調とした装束は、天上の太陽のように眩く。
 四肢を固める鋼の武装は、強固な決意を示して輝く。
 槍騎士(ランサー)を名乗りながら、その影は無手。
 されど得物を持たぬことは、戦いを放棄することにあらず。
 一点突破の決意の右手。万の刃を砕く鉄拳。
 神話の力をその身に宿す、伝承の英雄なればこそ、それすらも顕現せしめることを。
 その気配が、その拳が、何よりその両の瞳こそが、そのことを力強く物語っていた。
 芳佳とさほど変わらない、十代後半のうら若き少女。
 されども少女の双眸には、百戦にて錬磨し続けてきた、伝説の英雄の輝きがあった。


305 : 宮藤芳佳&ランサー ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 22:44:05 5FPW3uFk0


 ずるずると、麺を啜る音。
 微かに跳ねた透明な雫は、昆布の出汁をたっぷりと含んだ、海産物ベースの塩スープだ。
 最初にきりりと塩味がきいて、続いて後味がまろやかに広がる。
 一口ごとに食欲をそそられ、食べ終わった後には幸福感で満たされる。そんな印象の味だった。

『――その他、軽傷が22名。現在この事故による死者は、確認されていないとのことです』

 カウンターの傍に置かれたテレビが、臨時ニュースを伝えている。
 函館の片隅に立つラーメン屋。
 狭い店内を埋め尽くす、湯気とスープの匂いの中で、芳佳は夕食を啜っていた。
 戦闘を終え、駆けつけた救急車を確認した彼女は、すぐさまその場を離脱して、野次馬の中へと姿を消した。
 名乗り出ようとは思わなかった。
 命の危機に晒された人が、一命を取り留めたというのなら、それだけで芳佳は満足だ。
 称賛を望むつもりはない。ただ努力が実を結び、助かった命があるという、その結果さえあればよかった。

「うーん、美味しいッ! やっぱ北海道で夜っていったらラーメンだよねぇ」

 そしてその隣で、恐らくは芳佳以上に、食事を堪能している者がいる。
 やや長めな襟足を、両外に跳ねさせた髪型の少女だ。
 外見年齢は芳佳と同じか、あるいは一つ上くらい。
 されどその快活な見た目が、真実の姿ではないことを、宮藤芳佳は知っている。
 自分の何倍もの戦闘経験を、その身に蓄積し続けてきた、歴戦の英雄であることを知っている。
 もっとも、見た目の年齢はまだしも、舌鼓を打つ陽気な笑顔は、素のリアクションのようにも見えたが。

「ありがとうございました、ランサーさん」

 感謝の言葉を、口にした。
 宮藤芳佳のサーヴァントへと。
 姿を現した敵マスターと対峙し、彼が召喚したサーヴァントを、撃退してくれたランサーへと。

「?」
「ほら、さっきのビルでのことです。私を助けてくれたこと」
「あー、なるほど。ん、いいよ、気にしないで。それが私の仕事だからさ」

 返ってきた声は、軽い。
 鬼気迫る戦場での表情とは、まるきり別人のようだった。
 身内で近い人間を挙げるなら、リベリオンのシャーリーだろうか。気さくで面倒見のいいお姉さん、というのが、彼女に抱いた印象だった。

「すみません……ランサーさんにも、願い事はあるはずなのに、こんな無茶に付き合わせてしまって」

 そしてだからこそ、その優しさが、痛く感じることもある。
 宮藤芳佳のスタンスは、まさしく無茶苦茶の一語に尽きた。
 聖杯の使いに過ぎないサーヴァントに、聖杯と戦えと命ずるなど、明らかに正気の沙汰ではない。
 ろくに聖杯戦争にも加わらず、むしろ戦いを止めようとする彼女は、言うなれば裁定者を含めた全員の敵だ。
 殺る気のない人間は格好の獲物であり、戦争を停滞させる害悪でもある。
 そんな命がいくつあっても足りない戦いに、自身も願いを持っているはずのサーヴァントを巻き込むのは、決して褒められた行動ではない。


306 : 宮藤芳佳&ランサー ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 22:44:34 5FPW3uFk0
「……てい」
「むが」

 その罪悪に返されたのは、しかし言葉ではなかった。

「駄目だよ、芳佳ちゃんがそんなんじゃ」

 箸に挟んだ白と赤のナルトを、芳佳の口に突っ込んだのは、からからと笑うランサーだった。
 そこに怒りの色はない。
 願いを叶えるという権利を、無理矢理に放棄させられた。にもかかわらず、この英霊は、それを咎めようとはしなかった。

「……さっきのことなんだけどね。胸に響いたよ、芳佳ちゃんの言葉」

 ふうっと一つ息をつき、語調を切り替え語り出す。
 その顔つきは、怒りや非難といった、鋭さを持ったものとは程遠い。
 むしろさながら慈母のような、穏やかで暖かな微笑だった。

「え?」
「平和な世界を取り戻すこと……私もそれを願ってた。英霊なんて呼ばれてるけど、ホントは英雄の要らない世界が、一番欲しかったものなんだ」

 ヒーローになりたいとは思わない。
 そんなものを必要とする、不幸な争いの絶えない世界は、その時点で不健全だと思う。
 それがランサーの持論だった。そんな世界を変えるために、自分が只人でいられるように、彼女は戦い続けていた。
 言ってしまえば、未だ英雄という存在を望み、英霊の座などというものを維持している世界は、ランサーにとっては敗北の証なのだ。
 それほどに人の世を想い、平和を望み続けてきた彼女が、芳佳の戦いを否定するはずもなかった。

「だからさ、むしろ私にも手伝わせてよ。芳佳ちゃんが伸ばしてくれるなら、私はその手を握り返すから」

 見返りなんて求めない。聖杯なんて欲してはいない。
 この力を必要とする命が、この街にあるというのなら、共に守るために戦うだけだと。
 それこそが願望よりも大事な、優しい英霊の望みだった。

「……ありがとうございます」

 その想いを、裏切らないようにしよう。
 共に戦ってくれるというのなら、その意志を無碍にすることなく、最後まで戦い続けよう。
 望むゴールにたどり着くことこそ、この英霊への恩返しだ。
 宮藤芳佳はそう思った。自らの進む道への決意を、より強く確かに固め直した。
 大丈夫。絶対に何とかなる。むしろ何とかしてみせる。
 私の力で出来ることを、一つ一つ叶えていきたい。
 握り返してくれた手は、こんなにも力強く、暖かく、芳佳を支えてくれているのだから。


307 : 宮藤芳佳&ランサー ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 22:45:18 5FPW3uFk0


(イグナイトモジュールは……使えるか)

 自身の分のラーメンを食べ終え、夜風に当たってくると言い、店の外へと出たランサー。
 そのまま店の裏手へ回り、ひょいと屋根へ跳び上がった彼女は、月明かりに照らされる自らの宝具を、じっと見つめて調べていた。
 神造兵装の破片より生まれし、『撃槍・正義装束(ガングニール・シンフォギア)』。
 奇跡の調べを奏でる鎧は、今は小さなペンダントへと、その威容を引っ込めている。

(そうなると、大体あの頃になるのかな)

 サーヴァントの肉体と宝具は、必ずしも死の間際の姿で、地上に現界するわけではない。
 歴史に記された戦いの、いずれかの時期の姿形が、状況に応じて選ばれるのだ。
 年齢と宝具の状況からして、ランサーの姿は17歳の頃――魔法少女事変(アルケミック・カルト)という戦いに、身を投じていた時のものになるだろう。

(正直、意外かも)

 そしてその事実を、ランサー自身は、微かな驚きと共に受け入れている。
 と言うのも、この姿は肉体的にも、あるいは技術的にも、全盛のものとは言いがたいからだ。
 彼女の人生を物語る上では、決して欠かすことのできない戦い。
 されども、無数の戦乱を乗り越えてきた、彼女の人生の中においては、特別目立った戦果を上げたとは、断言しにくい戦いだった。
 あれ以上に卓越した力を、この身が発揮したこともある。
 あれ以上に磨かれた技を、この身で披露したこともある。
 そうしたランサーの生涯において、17歳当時の肉体というのは、なんとも中途半端なチョイスではあった。

(……でも、ひょっとしたら)

 それでも、改めて考えてみれば、思い当たる可能性は、全くないというわけではない。
 サーヴァントとして召喚され、聖杯戦争に臨むのは、彼女にとっては初めてだ。
 それでも、それだけでは説明のつかない、妙な胸騒ぎのようなものを、彼女は微かに感じていた。

(ひょっとしたらこの姿を、私に求めた何かがあった……?)

 抑止力という言葉がある。
 世界が危機に陥った時、星か、あるいは人理のどちらかが、滅びを回避するために、働きかけるための力なのだそうだ。
 英霊の座にいた頃に、なんだかフワフワした桜色の女侍が、話してくれたことがある。
 もちろんイコールではないだろうが、そうした何らかの強制力が、彼女にこの姿を求めて、この地に現界させたのかもしれない。
 必要としたのは魔剣の欠片か、あるいは魔法少女事変の記憶か。


308 : 宮藤芳佳&ランサー ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 22:46:04 5FPW3uFk0
(……やめよ)

 それでも、それはただの仮説だ。何の根拠もない憶測に過ぎない。
 こんなことで無い知恵を、無理やりに動かす必要はないし、重要度の高い案件は別にある。
 後先のことを考えるよりも、今何よりも達成すべきは、目の前のマスターの目標だ。

(力をなくして、羽を折られても、あの子は諦めはしなかった)

 こことは似て非なる世界――それも遠い過去の歴史から、現代に飛ばされてきた少女、宮藤芳佳。
 かつて空を舞う戦士であったという彼女は、しかし魔法の翼を失い、今は只人へと貶められていた。
 それでも、彼女はそのことを、戦わないことの言い訳にはしなかった。
 たとえ力も翼もなくとも、認められない悪徳を、打倒するために戦うと決めた。
 正直、恐るべきと思う信念だった。宝具の力を封じられ、一度塞ぎ込んだことのあるランサーとは、雲泥の差と言えるほどの器だ。

(それでも、力がないって事実は、それだけじゃ覆ることはない)

 だがだからこそ、その心根に、危うさを感じることもある。
 力がなくても突き進む――その在り方は、どうにもできない困難にすらも、向こう見ずに突っ込んでしまうことも意味する。
 放っておけば、いずれ彼女は、絶望的な戦況に直面し、自滅してしまうことだろう。

(……させられないよね)

 これは責任重大だ。
 そんなマスターを割り当てられたら、守ってやるしかないじゃないか。
 あんなにも気持ちのいい少女を、むざむざ見殺しにしてしまったら、夢見が悪くなるではないか。
 にこりと笑みを浮かべながら、ランサーの少女は視線を上げる。
 遠く彼方に積み上げられた、高き瓦礫のバベルへと。
 恐らくはそこにあるのだろう、この戦いを引き起こした、奇跡と殺戮の盃へと。
 あれが宮藤芳佳の目指す場所だ。であればその道を切り拓くのは、他ならぬ己自身の仕事だ。
 それが英雄たれと求められ、そうあらずに済む世界を欲し、結局最期まで走り続けた、ランサーのサーヴァントの使命であった。

「守るよ、マスター。みんながしてくれたように、今度は私が」

 別に、彼女はたった一人で、結末へ辿り着けたわけではない。
 並び立つ仲間の存在が、背を支える先立の存在が、常にランサーを後押しし続けていた。
 一人の手では届かない場所にも、無数の手と手を繋ぐことで、がむしゃらに真っ直ぐに突き進んでいった。
 そういう意味では、芳佳と己は、似た者同士でもあったのだ。

「必ず」

 神話の槍をその身に宿し、神秘の調べを歌い上げた、撃槍の英雄――立花響。
 彼女は多くの戦いに身を投じ、多くの脅威を退けて、多くの命を守り続けてきた。
 それでも彼女の戦いとは、あくまでも彼女がそうしたいという、ほんのささやかで個人的な正義を、貫くためのものだった。
 だから、今度も響はそうする。
 宮藤芳佳を守りたい。自分の願いのためでなく、世界の大義のためでもなく、彼女の目指す道こそを、切り拓き進ませてやりたい。
 そのためなら、どんな地獄であろうと、戦い抜き守り抜いてやる。
 この両手と歌の全てで、彼女を守り切ってやる。
 それが響の誓いだった。握った拳に愛を込め、月の光を受けながら、立花響は宣言していた。


309 : 宮藤芳佳&ランサー ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 22:46:36 5FPW3uFk0
【クラス】ランサー
【真名】立花響
【出典】戦姫絶唱シンフォギアGX
【性別】女性
【属性】秩序・善

【パラメーター】
筋力:D 耐久:E 敏捷:E 魔力:E 幸運:B 宝具:A+

【クラススキル】
対魔力:-(C〜A)
 魔術に対する守り。 宝具発動時にのみ機能する。
 『撃槍・正義装束(ガングニール・シンフォギア)』 発動時にはCランクに変化し、第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
 『飢刃・闘争顕現(イグナイトモジュール)』発動時にはBランクに変化し、三節以下の詠唱による魔術を無効化する。
 『限界突破G-Beat(ジェネレイト・エクスドライブ)』 発動時にはAランクに変化し、事実上現代の魔術で傷をつけられることがなくなる。

【保有スキル】
絶唱:-(A)
 FG式回天特機装束・シンフォギアの決戦機能。
 肉体の保護を度外視し、聖遺物の能力を限界まで引き出す滅びの歌である。
 響は宝具発動時のみ、この歌を歌い上げることができる。
 響の絶唱にはエネルギー集束の特性が付与されており、自身の攻撃に他者の攻撃を束ねて、その威力を更に向上させることができる。

魔力放出:-(A)
 武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出することによって能力を向上させる。
 いわば魔力によるジェット噴射。
 響は宝具発動時のみ、このスキルを使用することができる。
 本来はアームドギアを形成するために使われるエネルギーであるため、その出力は極めて高い。
 応用すれば、インパクトハイクという限定空戦技能を発揮することもできるが、エネルギー能率は劣悪である。

勇猛:B
 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。
 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。

戦闘続行:B
 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。


310 : 宮藤芳佳&ランサー ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 22:47:16 5FPW3uFk0
【宝具】
『撃槍・正義装着(ガングニール・シンフォギア)』
ランク:B 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大捕捉:1人
筋力:B+ 耐久:C 敏捷:C 魔力:B 幸運:A
 北欧神話の主神・オーディンが操る槍『大神宣言(グングニル)』。
 これを科学技術によって、FG式回天特機装束・シンフォギアへと鍛え上げた宝具である。
 これを装着することによって、響のパラメーターは、上記のように向上される。
 彼女の心理を反映したこの宝具は、通常のシンフォギアが備えている携行武器・アームドギアを生成することができない。
 そのため、アームドギア生成エネルギーを、四肢の攻撃力向上に割り当てた格闘戦が、響のファイティングスタイルとなる。
 それでもこの宝具の元になったのは、「槍」の属性を持つ神器である。
 故に響の攻撃には、拳であろうと蹴りであろうと、「槍」の属性が付与される。

『飢刃・闘争顕現(イグナイトモジュール)』
ランク:B+ 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大捕捉:1人
筋力:A+ 耐久:B 敏捷:B 魔力:A 幸運:D
 通常シンフォギア装者の肉体は、強すぎる宝具のエネルギーから、リミッターによって保護されている。
 この耐久限界を超えた、「暴走」と呼ばれる現象を分析・解明し、
 その出力を能動的に運用するために用意されたのが、この決戦形態・イグナイトモジュールである。
 これを発動することにより、『撃槍・正義装束(ガングニール・シンフォギア)』のパラメーターは、上記のように変動する。
 ただし、その性質上装者にかかる負担が大きく、用意された999カウントを過ぎれば、シンフォギア自体が強制的に装着解除されてしまう。
 これは元々シンフォギアに用意された機能であり、魔力の多寡によってカウントが変化するものではない。
 本来の『大神宣言(グングニル)』に加え、北欧の魔剣・ダインスレイフの破片を組み込んだことで発現した宝具。

『限界突破G-Beat(ジェネレイト・エクスドライブ)』
ランク:A+ 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大捕捉:1人
 シンフォギアに搭載されたリミッターを一挙に解除し、極限まで出力を高めた姿。
 『撃槍・正義装束(ガングニール・シンフォギア)』の性能を、爆発的に高めることができる。
 アームドギアエネルギーは弾丸のように発射することが可能となり、光の翼によって飛行することもできる。
 ただし、神造兵装のエネルギーを極限解放させるためには、相応のエネルギーが必要となる。
 これはもはや人一人の魔力量によってどうこうできるものではなく、外部からの供給手段を確保しなければならない。


311 : 宮藤芳佳&ランサー ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 22:48:15 5FPW3uFk0
【weapon】
なし

【人物背景】
超常災害対策機動部タスクフォース「S.O.N.G.」にて活動していたシンフォギア装者。
人々の命を守るため、特異災害と呼ばれる脅威と戦い、撃退し続けてきた勇士である。

月が地球へと落下するという、空前絶後の大災害「ルナ・アタック」。
その阻止の立役者である彼女は、事情を知る人間からは、生きながらにして英雄として讃えられていた。
しかし彼女の行動原理は、常に「目の前で困っている人を放っておけない」という、個人的な正義感に基づいたものであったと、本人は語っている。
また、自身が英雄と称されるよりも、英雄が必要とされないような、平和な世界を願っていたと言われている。

今回は魔法少女事変(アルケミック・カルト)と呼ばれる戦いが起きた、高校2年生の頃の姿で現界している。
ただし、戦闘技術はともかく、肉体的な最盛期は、その1年前に『撃槍・正義装束(ガングニール・シンフォギア)』と直接融合していた頃である。
『撃槍・正義装束(ガングニール・シンフォギア)』の装着適性に関しても、
後年の方がより向上した状態になっているため、この姿での現界は、決して最善の状態とは言えない。
それでも敢えてこの時期の姿で、聖杯戦争に呼び寄せられたのには、外的要因が理由として存在しているのかもしれない。

【サーヴァントとしての願い】
なし。芳佳のために戦う。

【基本戦術、方針、運用法】
魔力放出および勇猛スキルによる、二重の攻撃力強化によって、数値以上の破壊力を発揮するパワーファイター。
腰部には推進装置も用意されているため、柔軟な機動力も有している。殴り合いにおいては、優秀なサーヴァントであると言えるだろう。
欠点は射程距離が極端に短いことと、ダメ押しの強化形態に、タイムリミットや発動条件が設けられていること。
マスターは魔力量においては優秀であるため、インパクトハイクを乱用しない限りは、問題なく運用できるだろう。


312 : 宮藤芳佳&ランサー ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 22:49:15 5FPW3uFk0
【マスター】宮藤芳佳
【出典】劇場版ストライクウィッチーズ
【性別】女性

【マスターとしての願い】
聖杯戦争を止めたい

【weapon】
なし

【能力・技能】
ウィッチ
 体内の魔力を行使し、魔法を操る魔女としての技能。
 ストライカーユニットを持たずとも、防御フィールドなどの簡単な魔法なら使用可能。
 豆柴の使い魔「九字兼定」と契約しており、魔力行使時には犬の耳と尻尾が生える。
 芳佳は高い適性を持っていたが、現在は先の戦闘の後遺症により、魔法を行使できなくなってしまっている。
 魔力が失われたわけではないため、サーヴァントへの魔力供給は可能。

治癒魔法
 芳佳の持つ得意魔法。怪我や病気を治すことができる。これも現在は使用できない。

体術
 軍の訓練で叩き込まれた運動技術。人並み以上には鍛えられているが、それほど得意ではない模様。

医術
 傷や病を治療する技術。
 実家が診療所であるため、一定の知識や技術がある。治癒魔法が使えずとも、応急処置くらいはこなせるだろう。

料理
 扶桑料理を作るのが得意。

【人物背景】
異次元から現れた謎の金属体・ネウロイ。
地球を侵攻するこれらを撃退するために結成された、第501統合戦闘航空団「ストライクウィッチーズ」の元メンバーである。
扶桑皇国(日本に相当する国家)出身で、16歳の元少尉。
父親の宮藤一郎は、ネウロイと戦うための魔導装備・ストライカーユニットの開発者であり、
彼女自身も将来を期待された才能あるウィッチだったが、
ロマーニャ公国(イタリアに相当する国家)での戦いでの無理が祟って、魔法が使用できなくなってしまった。
現在は軍を退役して、実家の診療所に戻っている。

明るく活発な性格で、困った人を放っておけない優しい人物。
父を強く尊敬しており、「その力を、多くの人を守るために」という彼の言葉は、現在の芳佳の行動原理となっている。
そのため人の命を救うためなら、たとえ魔法が使えずとも、迷わず窮地に飛び込む思い切りを見せる。
一方、勢いで軍に入隊した経緯を持つためか、未だ軍隊の規律というものには疎く、独断専行や軍規違反が多い。
おっちょこちょいな面も強く、現在の実力を培うまでには、相当な苦労をした模様。

全くの余談だが、巨乳好きでもある。

【方針】
聖杯戦争を止めたい。他に巻き込まれた人が、戦禍に飲まれるというのなら、その命を守るために戦いたい


313 : ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 22:50:11 5FPW3uFk0
投下は以上です
なお、ステータスシートおよび本文の一部を、
「Fate/Fanzine Circle-聖杯戦争封神陣-」にて投下させたいただいた候補作から流用させていただきました


314 : ◆aWSXUOcrjU :2016/04/08(金) 23:01:33 5FPW3uFk0
すみません、早速ですが一箇所間違えました
>>302で触れている国家名ですが、オラーシャ帝国はロマーニャ公国の間違いです


315 : ◆T9Gw6qZZpg :2016/04/09(土) 22:50:39 TR9WD/2I0
投下します。


316 : 死生〜すくい ◆T9Gw6qZZpg :2016/04/09(土) 22:51:42 TR9WD/2I0

 セイバーから見ても、遠見真矢という女性は善良な人間であった。
 勤め先の喫茶店では全ての客に愛想を振り、友人や後輩と出会っては談笑し、囲んだ食卓で家族団欒の時間を過ごす。
 そんなありふれた日常の中で彼女と接する者達にとって、彼女の温厚な人柄と和やかな語り口は癒しを感じるに十分だったに違いない。
 やや大層な表現を用いれば、遠見真矢は平和の側に属する人間であり、そうであることを信じたいと思えるほどだった。
 だから、セイバーは絶句せざるを得なかった。
 今しがたセイバーによってサーヴァントを撃破されたために最早抗う術を無くし降伏の意を訴えていた青年の身体が、乾いた音響の直後、力無く崩れ落ちた事実に対して。
 青年の左側頭部に穿たれているのは一つの小さな穴。右側頭部に接するアスファルトはじわじわと赤黒い色に染められていく。何の反応も挙動も示すことの無い青年の瞳からは、光が完全に喪われていた。

「嘘だよ」

 真矢の方を見る。地に伏す射殺体を冷徹な視線で見つめたまま、ようやく両手で握った拳銃を下ろした。
 細やかな彼女の指に、その無機質な鈍色のフォルムが随分と不釣り合いに映った。

「もうしない、許してくれって何度も頭を下げていたけど、全部嘘。その人、戦う意思を全く失くしてない目だった。それに、自分のサーヴァントを奪った私達のことを心底憎んでた」

 遠見真矢の生きている世界は、人類の生きるべき場所としては既に滅亡間際であるという。
 数十年前に地球に現れたケイ素生命体、フェストゥム。人類とは異なるその生命体によって人類の生存圏は浸食され、何十億もの生命が失われ、人類の築き上げた文化の殆どは無に帰した。
 彼女が生まれたのは、そんな世界に残された最後の平和の地、竜宮島。
 フェストゥムに、そして奴等の根絶を目指す同じ人類によって追い立てられたながらも、竜宮島の人間は一つの事実を突き止めた。
 フェストゥムは悪意によって人類を脅かしていたのではない。ならば、対話による人類とフェストゥムの共存の可能性は残されている。
 微かな希望を信じ、フェストゥムに平和を伝えようとした彼女達の行く先は、しかし絶望だった。
 フェストゥムは、人類から向けられた敵意と業火により憎悪という感情を学んでしまった。人類は、理想とする人類文明の再興のために真矢達すら危険分子として排除することを決定した。彼等によって真矢達の仲間の生命は次々と奪われ、対話の意思も踏み躙られた。
 だから、彼女は選んでしまった。
 守りたい者達のために、撃つべき者を撃つことを。フェストゥムだけではなく、同じ人類に対してであっても、引鉄を引くことを。

「たぶん、ううん。間違いなく、その人は他のサーヴァントと組んでもう一度聖杯を狙うつもりだったよ。そのために、私達のこともどんな手を使っても追いつめるつもりだった」

 聖杯に託す願いは、平和な世界の実現。誰もが分かり合える、誰かが誰かを撃つ必要の無い、楽園。
 罪を重ねて、その果ての答え。故に真矢は聖杯を求める。

「セイバーさん、覚えて……ないよね。その人、少し前に私の働いてる喫茶店に取材に来た雑誌の記者だよ。話し込んだわけじゃないけど、顔と名前は覚えられてたと思う。制服にネームプレート付けてたから。仕事帰りのタイミングを狙ったあたり、もしかしたら私の住処の探りも入れてたのかもしれない」

 今にして思えば、セイバーは心のどこかで彼女が手を汚す未来を信じられずにいたのかもしれない。彼女の意向を聞き届けていたにも関わらず、だ。
 仮初の、しかし確かな平穏が約束されていた日々の中で生きていた頃の彼女の姿が、あまりに幸せそうだったから。セイバーにすら、一度は忘れてしまった大切なことを追想させるほどに。
 だから、彼女が殺人者としての自分を形成可能である事実を、その精神を甘く見てしまっていた。日常を過ごしながら、彼女は既に臨戦態勢を取っていたというのに。

「このまま生かして帰したら、私達の不利な情報を他の人達に流されてた。そのくらいのことをしても全然不自然じゃないくらい、強い敵意と憎悪だった」

 確信的に死者の心境を説明する真矢は、それほどまでに人の心情の機微に聡いのだろうか。もしその通りなのだとしたら、恐ろしい子だと思う。
 セイバーの疑問に応じるように、伏し目がちだった真矢の目が真っ直ぐに向けられた。


317 : 死生〜すくい ◆T9Gw6qZZpg :2016/04/09(土) 22:52:40 TR9WD/2I0

「セイバーさん、人間のこういうところが嫌いなんだよね。自分の身を守るためなら惨いことも平気で出来るところ」

 見透かされた。
 その居心地の悪さを、どうにか表情に出さないよう努める。
 もしかしたらこの状況に至るよりもずっと前、セイバーと出会った瞬間から既に彼女はセイバーの心境を察していたのかもしれない。
 だからこそ、真矢の言う「人間」が果たして誰を指していたのか気がかりだった。自分達に襲い掛かり返り討ちに遭った青年は、聖杯を求める多数のマスター達の一人であり、ならば、遠見真矢もまた。

「いいよ。軽蔑しても。私は別に平気だから」

 セイバーは、真矢に対して自らの生い立ちを未だ詳しく語っていない。彼女がセイバーについて理解しているのは、付き従うと言う意思以外では保有する戦闘能力と、その力の根幹である人間を超えた異形の怪物としてのこの姿くらいか。
 だからだろうか。彼女はセイバーの保有する判断基準を深く考察するよりも前に、自らを蔑むべき対象と定義する。
 セイバーの抱える感情を容易く見抜いておきながら、彼女自身の価値については自己判断で決定する。

「何でも平気な自分になんてならなくていいって、一緒に島に帰ろうって一騎くん、私の…………仲間が言ってくれた。でも、私はもうその言葉に背いちゃった」

 一騎くん、という人間のことをセイバーは知らない。真矢と一騎という人間が互いに向ける感情のベクトルが果たしてどのような意味を持っているのか、正確には理解出来ない。それでも、互いを慈しみ合える関係であることは感じ取れた。
 どんな非道も平気でこなす人間である必要は無い、だから故郷の大地を一緒に踏みしめてほしい。一騎という人間の願いは、彼女にとって救いだっただろう。
 しかし、その裏を考えればどうだ。どんな非道も平気でこなす人間であろうとするならば故郷に帰る資格など無いという理屈は、果たして成り立つのか。
 一騎がこの場にいない今、真偽を彼本人に確かめることは出来ない。だから、真矢は真矢の中にいる彼に問うしかない。その答えは、改めて彼女に聞くまでも無い。

「こうでもしないと願いを叶えられない人間だって、私が一番分かってる。平和のためと言って、平和を捨てた人間」

 遠見真矢は救世主になり得るだけの力を持たない。闇を切り裂けず、光も齎せない。
 セイバーは真の意味で彼女の救世主にはなれない。他の何者もまた、彼女を救えない。
 そうであるにも関わらず、人間一人には過ぎた規模の夢を叶えようとするため、代償として真矢は自らの性質を変容させる。
 自らに残る人間らしさを、他者の尊厳諸共捨てようとしている。
 脆弱と強靭の二面性のうち、片方を意図的に消し去ろうとしている。
 ならば、自分と異なるモノを犠牲にするという理由で真矢は「人でなし」なのだろうか。セイバーが生きて死んだあの退廃の世界の住人と、等しいと言えるのだろうか。
 真実を見抜く能力に秀でていないセイバーにすら、痛いと叫びたがっているのが明白なのに。

「私を裏切らないことだけは約束して。それが出来たら、どう思われても平気」

 表情を変えぬまま、真矢は微かに震えた瞳へと人指し指を当てた。
 少しだけ強く押し付けて、数度ごしごしと擦って。

「ほらね」

 そうして離した指を見つめて、おかしそうに口元を綻ばせた。

「泣けないもん」


318 : 死生〜すくい ◆T9Gw6qZZpg :2016/04/09(土) 22:53:10 TR9WD/2I0

 その力無い笑みを見たセイバーの行動は早かった。
 青年の亡骸の心臓部分目掛けて、右手に握った剣の刃先を突き刺す。びくん、と一度だけ痙攣した青年の亡骸は、数瞬の内に煤けた色の灰へと変わり果ててぼろぼろと崩壊した。

「セイバーさん?」
「これは使徒再生と言って、オルフェノクの因子を植え付けて人間をオルフェノクとして生まれ変わらせる能力だけど……大抵は失敗して、こうやって肉体が灰になるだけで終わる」

 不思議そうな表情を真矢は浮かべた。人間の身体が崩れること自体への恐怖心は、見た限りでは無いようだった。

「でも、肉体が残らない方がこの状況では都合が良いだろう。灰に変えてしまえば多少は証拠の隠滅になる。少なくとも、マスターが撃ち殺して終わらせるよりは」

 人間をやめたことで、苦難ばかりを背負ってきた。オルフェノクとなってしまったことへの後悔を一度もしなかったと言えば、嘘になる。
 それでも、今この時だけは自分がオルフェノクである事実を有難く思う。遠見真矢ではなく自分が手を汚すことに、合理的な説明が出来るから。

「だから、もしもマスターを殺すべき時が来たら、君ではなく俺が手を下すべきだ」

 その言葉を聞き遂げた真矢の顔が、今度こそ、少しだけ穏やかになったような気がした。
 聖杯戦争の『剣士』として、その夢を諦めろとは言えなかった。代わりとして送った提案は、彼女の心にとって多少でも安らぎになってくれただろうか。

「セイバーさん、優しいね」

 救世主であることを諦めたセイバーに、願いは無かった。かつての理想を他者に託した今、もう聖杯に託すべきことは無い。
 だから、願うとしたらただ一つ。
 遠見真矢が、最後の地平線だけは越えないことを。誰かが自らを見失わないための、地平線のような人間であってくれることを祈るだけ。

「そう言ってくれる人がいるなら、皆に嫌われても、私達の島に帰れなくても……別に大丈夫だよ、うん」
「マスター。君が言ったことだけど、断るよ。君が何をしても、どう変わってしまったとしても、俺は軽蔑しない。人のために泣いてあげられる君という人間がここにいたことを、記憶に刻むよ」

 ぽかんとした顔の真矢は、また目元を擦った。
 相変わらず、濡れてなどいなかった。

「私、やっぱり泣いてないよ?」
「泣いてるよ」

 たとえ苦笑でも、笑い合えるなら今はそれでいい。
 いつか真矢がまた涙を流して、その後で笑えたらそれがいい。
 願わくば、彼女が還るべき場所へ辿り着き、傷を癒すための時間を取り戻せることを。


319 : 死生〜すくい ◆T9Gw6qZZpg :2016/04/09(土) 22:53:42 TR9WD/2I0



【クラス】
セイバー

【真名】
木場勇治@劇場版仮面ライダー555 パラダイス・ロスト

【パラメーター】
筋力D 耐久D 敏捷D 魔力C 幸運C 宝具B

【属性】
中立・中庸

【クラススキル】
・対魔力:C
魔術に対する守り。魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。
大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。

・騎乗:D
乗り物を乗りこなす能力。大抵の乗り物を人並みに乗りこなせる程度。
セイバーは『ライダー』に相応しい逸話を持たない。

【保有スキル】
・進化種:B
地球上から人類を駆逐し、新たな支配者としての地位を得た新種族オルフェノク。
その種族の一員であることを表す、人類種に対して有する優位性。
「人間」との戦闘の際、有利な判定を得られる。

・謀られし者:B
かつて種族間の和平の道を志していたセイバーは、悪意に欺かれ絆を踏み躙られた。
皮肉にも、その時の深い絶望によって彼は最強の力を得ることとなってしまった。
セイバー或いはその仲間を「陥れた、或いは陥れようとした者」との戦闘の際、有利な判定を得られる。

・戦闘続行:C
名称通り戦闘を続行する為の能力。往生際が悪い。
決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦いを止めない。

・救世主伝説:A
闇を切り裂き光を齎す『救世主』を語った、小さな星の話。
彼に敗れた帝王の視点からこの逸話を見た時の光景を表す、絶対に取り除くことの出来ないバッドスキル。
『救世主(セイヴァー)』のクラスで召喚されたサーヴァントと一対一の状況で対峙した時に限り、幸運値が自動的に1ランク下落する。
(スキルランクがA+の場合は幸運値が2ランク下落する。さらに敵の「対英雄」スキルの効果次第では、幸運値が最低以下のE-ランクに至る可能性もある)


320 : 死生〜すくい ◆T9Gw6qZZpg :2016/04/09(土) 22:54:27 TR9WD/2I0

【宝具】
・『疾走する本能(ホースオルフェノク)』
ランク:C 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大捕捉:1人
 解放時パラメーター⇒筋力B 耐久B 敏捷C++ 魔力C 幸運C 宝具B
一度死を迎えた人間が再生・覚醒することで至った新種族オルフェノク。
セイバーは(オルフェノクに殺されるのではなく)自然発生で発現したオルフェノク「オリジナル」であり、他の個体より高い能力を持つ。
肉体自体が変化するため、ノーモーションでの解放が可能。解放時はパラメーターが上記の値へ上昇する。
主武装は魔剣ホースソードと巨大な盾。
短時間に限り四本脚の速度強化形態「疾走態」への変化も可能であり、その時は敏捷値が通常の数倍へと上昇する。
また感情が昂ぶった時のみ「激情態」または「激情疾走態」へと変化し、ステータスが若干向上する。

・『Ω/地を統べる帝王(オーガ)』
ランク:B 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大捕捉:1人
 解放時パラメーター⇒筋力A++ 耐久A 敏捷C 魔力B 幸運C 宝具B
スマートブレイン社が開発した二つのライダーズギア「帝王のベルト」の一つ、「地のベルト」によって変身した戦士。
専用ツールのオーガギア一式、及びオーガギアによって変身した戦闘形態を含めて一つの宝具と扱う。
道具の装着による変身のため、解放には一連のアクションが必要となる。
超高出力のフォトンブラッド、装甲やローブの耐久性能等により、オルフェノクの世界における最高峰の戦闘能力を誇る。
解放時はパラメーターが上記の値へ上昇するほか、保有スキル4種のランクが1ランク上昇する。
主武装は大剣オーガストランザー。この剣によって放つ必殺の奥義「オーガストラッシュ」の発動時は、筋力値が通常の数倍へと上昇する。

【weapon】
形態に対応した各種武器。

【人物背景】
劇場版の世界観からの参戦。
オルフェノクによって人類の居場所が奪われた地球で生きた、一人のオルフェノク。
彼は残された人類とオルフェノクが共存する世界を夢見て、しかしその希望は人類によって汚された。
そして彼は決意する。オルフェノクとして全ての人類を滅ぼすと。そんな彼の戦いは、『救世主』に敗れて終わった。
今、確かに言えることは一つ。木場勇治は、優しい心の持ち主だった。

【サーヴァントとしての願い】
オルフェノクの世界を聖杯で変えようとは今更思わない。
もしも願うならば、マスターが人間であることを。


321 : 死生〜すくい ◆T9Gw6qZZpg :2016/04/09(土) 22:54:59 TR9WD/2I0



【マスター】
遠見真矢@蒼穹のファフナー EXODUS

【マスターとしての願い】
楽園のように、平和な世界を。

【weapon】
・ハンドガン×1
手元から失われたはずだったが、縁のアイテムということで今回持ち込まれるに至った。
遠見真矢が初めて自らの明確な意思で人を殺した時に用いた銃。

【能力・技能】
・天才症候群
遺伝子操作によって誕生した竜宮島の子供達が持つ、生来の特異な能力。
遠見真矢の場合は「異常な推測能力」である。
他者の表情や些細・無自覚の仕草等から、感情や思考を察することが出来る。

・射撃
ファフナーパイロットとしては狙撃型機体への高い適性を持つ。
そのためか、非搭乗時でも銃の扱いに長けている。

【人物背景】
本編第23話終了後からの参戦。
フェストゥムによって人類の居場所が奪われた地球で生きる、一人の人間。
彼女は残された人類とフェストゥムが共存する世界を夢見て、しかしその希望は人類によって汚された。
そして彼女は決意する。守りたい者達のためなら撃つことも躊躇わないと。そんな彼女の戦いは、未だ続いている。
今、確かに言えることは一つ。遠見真矢は――

【方針】
聖杯を手に入れる。そのために全てのサーヴァントを倒す。必要な場合はマスターも撃つ。
それで竜宮島に帰れなくなるのだとしても、構わない。


322 : 名無しさん :2016/04/09(土) 22:55:21 TR9WD/2I0
投下終了します。


323 : ◆ee05V29uN. :2016/04/10(日) 02:50:04 QDG6fpVA0
投下します


324 : 石本美希&アサシン ◆ee05V29uN. :2016/04/10(日) 02:53:20 QDG6fpVA0

「はぁーー」

石本美希はため息をついた
ここは函館市のとある住宅街のマンションの一室、この町での彼女の自宅だ
石本は悩んでいた。その悩みの原因は、居間の壁に手をついている同居人であった
それは何ら物も言わず、ただそこにじっとしている

話は昨日までに遡る





美大からの帰り道、すっかり日の暮れたなか帰路についていた石本はーー


「ああ……見てしまいましたね」


ーー殺人を、目撃してしまった


薄ら笑いを浮かべる男―ーアサシンの足元に転がっている死体と、血塗れのナイフが明確に危機を発していた
石本は知るよしもないが、アサシンは魂喰いという、通常の聖杯戦争では禁忌とされる手段によって魔力を補給していた

そういえば、ここ最近妙に行方不明やら物騒な事件が増えていた気がする。まさか自分が巻き込まれるなんて、そのときは思っても見なかった

「はは、死ねよ」

状況についていけず、呆然とする石本を虚ろに一瞥すると、哀れな通行人を始末しようとするアサシン

「えっ……あっ」

人生ではじめて明確な殺意を向けられた石本は、反射的に死を覚悟した

そのとき石本美希の脳裏に浮かんだ走馬灯は、福岡にいる両親、学生時代の友人たち、美大での青春

ではなく、石膏だった。

なぜか次々と浮かび上がってくるシュールすぎる記憶の数々
少々強引だが、しっかりとグループを引っ張っていこうと努力する聖ジョルジョ
やたらセレブで甘えん坊でちょっとマニアックな性格のメディチ
人当たりも良く、頼りがいのあるヘルメス
やんちゃだが愛に一途で、何事にも愚直なマルス

そんな四人の『石膏』たちのアイドルグループをマネージャーとして支えている、自分の姿

時に喧嘩し、時に和解し、苦労も多かったが、しかし確かに楽しかった記憶が、一気に溢れる

「ーー熱っ!!」

右手に焼けるような痛み。そこには確かに、令呪が刻まれていた
聖杯戦争。サーヴァント。願いを懸けた殺し合い。戦わなければ生き残れない。幾つものキーワードが頭に流れこんでくる
石本は、そのショックで本能的に『目を閉じた』



「がっ……あが」


何事かと、石本はゆっくりと瞼を開けた
そのとき目に飛び込んできたのは、あり得ない方向に首が曲がったアサシンの姿だった
彼は苦悶の呻きをもらし、力なく倒れ、そして消滅した

境地の石本を救ったのは、彼女のサーヴァントであった
それは高潔な英霊ではなく、かといって反英霊と称するには相応しくないものであった


「ーーー彫刻?」

石本の眼前には、一体の不気味な彫刻がいた
それに目はなかった。だが、そのとき確かに石本は視線を感じていた



ーーと、そういった経緯である

記憶を取り戻した時に、頭に流れ込んできた『聖杯戦争』の知識に当てはめるなら、この悪趣味な像は間違いなく自分のサーヴァントなのだろう
基本、サーヴァントは英雄的な人物が呼び出されるらしい。なのに、なぜ自分のは彫像?

石膏やら彫像やら、どうしてこうも自分の人生はそんなのが関わってくるのか
いや、そんなことより問題は聖杯戦争だ
叶えたい願いは人並みにあるが、人を殺してまでの気負いはない。だから、どうしたいと言えば、帰りたい。

何もかもが嫌になって一度は実家に帰ってしまったが、石膏ボーイズのマネージャーとしてやっていくと決意したばかりだったし、


「あー……、もうどげんしょうか」 


考えることが多すぎて、頭を抱えてしまう
石本の受難は、まだまだ続きそうだった


325 : 石本美希&アサシン ◆ee05V29uN. :2016/04/10(日) 02:57:19 QDG6fpVA0



アサシンは静かに、悩んでいる自身のマスターを視ていた
命を助けられた、そう思ったからこそ、石本は気づけなかった

アサシンの、人間に対するとてつもない悪意をーー

アサシンは理解していた。マスターが死ねば最終的に自分が消えることを。だから、殺さなかった
ただ、それだけだということを石本は知らない

【クラス】
アサシン
【真名】
SCP-173 - The Sculpture - The Original(彫刻 - オリジナル)@SCP_Foundation
【パラメーター】
筋力A 耐久C 敏捷A++ 魔力E 幸運D 宝具A
【属性】
中立・中庸
【クラススキル】
気配遮断:A
サーヴァントとしての気配を絶つ。
完全に気配を絶てば、探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。
ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。


【保有スキル】
精神汚染:A
アサシンに知性が存在したとしても、それは人とは根本的に異なったものである
他の精神干渉系魔術を完全にシャットアウトする。

単独行動:E
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。ランクEならば、マスターを失っても数時間は現界可能。

【宝具】
『SCP-173』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ1〜100 最大補足:200
 アサシンを視界に納めている人物がゼロになった瞬間にこの宝具は発動します
 アサシンは視線を外した対象に超高速で接近し、部の圧断や絞殺といった方法で対象を殺害します
 この宝具が発動する条件を満たしたアサシンは、敏捷に+補修がかかり、命中判定の成功率が大幅に倍増。相手の回避・防御・反撃行動に対しても優位な補正が与えられます
 
『K-クラスシナリオ-Revised Entry-』
ランク:A 種別:対[データ削除]宝具 レンジ[データ削除] 最大補足:[データ削除]
 アサシンと同スペックの個体を無限に複製する宝具です。複製された個体は単純な等比級数に従って増加し続けます
 増殖したすべての個体は集団意識をもち、隔離された状態でも互いの意思疏通が可能です

【weapon】
なし

【人物背景】
SCP-173は主にコンクリートと鉄筋で構成された不気味な彫刻で、クライロン社製のスプレーを吹き付けられた痕跡があります
SCP-173の起源は不明ですが、人類にたいして極めて敵対的です

【サーヴァントとしての願い】
[データ削除]


【マスター】
石本美希@石膏ボーイズ

【マスターとしての願い】
皆のところに帰りたい(石膏ボーイズを大成させるーー

【weapon】

【能力・技能】
足腰が強い

【人物背景】
偉人の石膏で構成されたアイドルグループ、石膏ボーイズのマネージャー。22歳
福岡県柳川市出身。練馬美術大学に通っていたが散々デッサンをやった為に石膏像が嫌いになり「美術以外の道に進みたい」と芸能プロに入社するが、よりにもよってボーイズの担当になってしまう。怒ると非常にこわい。

【方針】
とりあえず様子見

【備考】
与えられた役割は『美大の学生』です




※本文章はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0に準拠しております


326 : 石本美希&アサシン ◆ee05V29uN. :2016/04/10(日) 03:00:11 QDG6fpVA0
投下終了です


327 : ◆ee05V29uN. :2016/04/10(日) 04:56:00 xPvCjnTQ0
投下します


328 : 銀&アサシン ◆ee05V29uN. :2016/04/10(日) 04:57:10 xPvCjnTQ0

函館市の市街地の外、ある屋敷に海外から越してきたある一家が暮らしていた
母と父、そして障害を持つ一人娘の三人家族が慎ましい暮らしをしていたが、その状況は今少し変わっていた


人気のない屋敷の自室で、ひとりぼんやりと灯りもつけずにその少女は座り込んでいた。
その顔はひたすらに無表情だ。
彼女ーー銀が記憶を取り戻したのは些細な違和感からだった

銀にとってこの函館市での日常は、ある意味幸福なものであった
両親は事故死せず、空も消えず、契約者も居ない。記憶を思い出す前の自分は銀ではなくキルシーで、ドール(人形)ではなかった

■は、どこ? ■に会いたい

漠然と日常を過ごしていくうちに積み重なっていくとある思い。
ひたすらに会いたい、という欲求が切っ掛けとなり、キルシーは銀に戻った

黒はここにはいない。それは、嫌だ

感情を失った筈の銀が願うことはただひとつ。側にいた仲間との再開である
聖杯なんて欲しくはない。ただ、願いというならばあの人のとなりへ帰りたいだけだった

「……」

そして銀はマスターとなった訳だが、そうして召喚された筈のサーヴァントは、これまで一度も銀に話しかけては来なかった。
気配から近くにいるのはわかっているが、それでも向こうから何かしてくることはなかった

銀が彼、または彼女の声を聞いたのは一度だけ
マスターとして目覚めた直後だっただろうか、突如ものすごい叫び声をあげて部屋を飛び出していった時だけだった

その時はすぐに戻ってきたが、いったい何をしてきたのかはわからない

盲目である銀には、そのとき自身のサーヴァントがどんな状態だったのか知ることはできない。だが、その叫び声にはどうしようもない苦痛を感じた。何か、事情があるのだろう


無口で盲目のマスターに呼び出されて、このサーヴァントはどうおもっているのだろう?


時にそんな疑問が浮かんだが、聞いても答えが帰ってくるとも限らないし、その必要もない。だから声には出さなかった

ふと空腹を感じ、銀は立ち上がった

そういえば、ここしばらく家族……の役割をしていたNPCたちと会っていない
偽りとはいえ亡き母と父の声を聞けたことに感じた衝撃は大きく、感じるものもあった
それまでは食事も彼らが用意してくれていたのだが、ここ最近は自分で何とかしている


……いったい、どうしたのだろうか?





アサシンは、代わらず銀の側に控えていた
彼にとって、全盲のマスターは非常にありがたい存在だった。
見られたくない自身の顔を、絶対に見ることがないのだから
もしも見られてしまったら、どうしようもなく[データ削除]してしまうのだからーー


329 : 銀&アサシン ◆ee05V29uN. :2016/04/10(日) 04:58:15 xPvCjnTQ0

【クラス】
アサシン
【真名】
SCP-096-The"Shy Guy"("シャイガイ")@SCP_Foundation
【パラメーター】
筋力A++ 耐久B++ 敏捷A++ 魔力E 幸運E 宝具B
【属性】 
中立・中庸
【クラススキル】
気配遮断:C
サーヴァントとしての気配を絶つ。隠密行動に適している。
ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断は解ける

【保有スキル】
精神汚染:A
他の精神干渉系魔術を完全にシャットアウトする。

千里眼:A
視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。一度アサシンに捕捉されると逃げることは不可能です

異形:C
アサシンの顎は平均的な人間の4倍の大きさに開くことができます。  
顔の他の特徴として、人間に似た形をしており、目を除いて、色素がありません
アサシンは他者に自身の風貌、特に顔を見られるとどうしようもなく苦痛を感じます

【宝具】
『SCP-096』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ[データ削除] 最大補足:[データ削除]
 何者かがアサシンの顔を直接でも映像記録を通じてでも写真を通してさえでも見たら、
 いついかなる状態でもアサシンは瞬時に顔を見たものの位置を把握し、顔を見た対象に向かって走り始め、殺害します
 対象はいつどこにいようとも、この追跡から100%逃れられません
 アサシンは対象を殺害するまで筋力、耐久、敏捷のランクが永続的に上昇し続けます。この効果は対象との物理的な距離でその度合いが変化します
 また宝具発動中のアサシンは、その追跡をいついかなる手段でも防げなかったという逸話から、Bランク以下の攻撃を無効化することができます

【weapon】
なし

【人物背景】
SCP-096は人型の生物で身長がおよそ2.38mあります。筋肉量がとても少なく、事前分析で軽度の栄養失調を確認されています。
両腕が身体とひどく不釣り合いな長さをしており、それぞれ約1.5mの長さがあります。皮膚のほとんどに色素がなく、体毛は一切ありません

【サーヴァントとしての願い】
[データ削除]

【マスター】
銀@DARKER THAN BLACK シリーズ
【マスターとしての願い】
黒のもとに帰りたい
【weapon】
なし
【能力・技能】
観測霊
触媒(銀の場合は水)を介することによってそれぞれの霊媒を飛ばし、その場所の情報を正確に探知することが出来る

【人物背景】
本名はキルシーであり、『銀<イン>』は組織のコードネーム。 寡黙な17歳の少女。
『DARKER THAN BLACK』(以下DTB)の主要人物の1人であり、通称「ドール」と呼ばれる存在である。基本的にあまり動かないため気づきにくいが盲目である。
黒(ヘイ)のチームに所属し、対象の追跡や情報収集の役割を担う。
【方針】
聖杯戦争の概念は理解しているがとりあえずは様子見。聖杯よりももとの世界への脱出を望んでいる
【備考】
参戦時期は『黒の契約者』最終回後


330 : 銀&アサシン ◆ee05V29uN. :2016/04/10(日) 05:00:08 xPvCjnTQ0
投下終了です
本文章はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0に準拠しております


331 : 盗賊と奪い取る者 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/10(日) 16:04:49 D384kSTs0
投下します


332 : 盗賊と奪い取る者 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/10(日) 16:05:57 D384kSTs0
深更の小学校の校庭で六つの影が対峙していた。
方手持ちの剣を引っ提げた鎧姿の少年とコートを着た青年、セイバーとそのマスター。
本来は馬上で使う突撃槍を掲げたまま微動だにしない二十歳過ぎの女と制服姿の中学生位の少女。
残る1人は、王侯貴族の様な絢爛豪華な服を身に纏い、血の色に染まった目で二人を睨みつける壮年の男とバンダナを巻いたスーツ姿の青年、バーサーカーとそのマスター。
最初にこの場にいたのはセイバーとランサーの主従、剣と槍の英霊が数百合に及ぶ応酬と数度に渡る被弾の末に、宝具の使用を考え出し、
青年と少女が決着の着かない銃撃と使い魔の応酬に焦れてきたところへ、バーサーカーとそのマスターが現れたのだった。
「盗み見とは狡(こす)い真似をする」
「消耗を待っていたわけ?小賢しい真似をするのね」
二人のマスターの嘲りに、
「盗賊なんでね、真っ当な決闘とは縁が無い」
バーサーカーのマスターは平然と答えた。
それぞれのマスターが怒気を露わにするのを余所に、セイバーとランサーはバーサーカーに突撃した。
実際にこの選択は正しい。幾ら切り札を伏せていたとはいえ、激戦して消耗した状態で、狂化により基礎能力を向上させたバーサーカーに隙を見せるのは危険過ぎる。
理性の無い狂戦士に、咄嗟の判断能力が問われる多対一の状況を強いて、速やかに排除すべきだった。
「はあぁぁぁぁああ!!」
最初にバーサーカーに突撃したのは速度と間合で優るランサーだが、攻撃したのはセイバーの方が早かった。剣身を蛇腹状に変化させ、間合いを大きく伸ばしてバーサーカーに奇襲をしかけたのだ。
バーサーカーの喉を剣の切先が抉り、次いで心臓を突撃槍が貫いた。

バーサーカーのマスター目掛けてセイバーのマスターが指を向ける。これから使うのは既に知られた使い魔ではなく、“ガンド”。
指先から射出される呪いは、知らぬものには完全な不意打ち、回避する術は無い。
それを実にあっさりと、バーサーカーのマスターは回避する。
「貴様。魔術師か?」
セイバーのマスターの問いにバーサーカーのマスターは、

「魔術は知らないが、アンタと同じ様なことが出来る奴が仲間にいる」

死角からの銃撃を身体を僅かに動かして回避、そして一気にセイバーのマスターとの距離を詰めていった。


ランサーは即座に離脱しようとした。切先が心臓を貫く刹那、バーサーカーの手が切っ先を掴み、狙いを僅かに外したのだ。
だが、槍は抜けなかった。槍を掴んだバーサーカーの握力はランサーの力をはるかに超えていた。
ランサーが後ろに飛ぼうとした動きに合わせ、バーサーカーが身体を回転させる。凄まじい勢いがついた処でランサーの身体を蹴り飛ばした。
槍が手から離れ、音を超える速度で校舎の壁に激突するランサー。
「――――っっ」
セイバーの二撃目を前に出て躱すのと、ランサー目掛けて突撃するのが同時。
その槍の構え、踏み込み、繰り出す槍の軌跡。全てがランサーの先の突撃と同じなのは錯覚か。
爆発音にも似た音を立て、ランサーは自分の槍で校舎の壁に縫い付けられていた。
胸を貫かれ血反吐を吐くランサーの顔目掛けて拳が撃ち込まれる。
戦車砲すら凌ぐ拳打を受けて、頭が潰れぬのは流石超常の存在であるサーヴァントであったが、顔面が完全に陥没していた。
「オオオオオオオオオオ!!!!」
ランサーの無残な姿。先刻まで激戦し、敬意を抱いた好敵手の無惨な姿に激したのか、蛇腹剣を元の形状にしたセイバーが咆哮と共に馳せより、バーサーカーの太い首目掛けて剣を薙いだ。
その剣身が掴まれようとは、そして剣が手からもぎ取られようとは。
額然とするセイバーの首を、セイバーの剣を振るい、先刻のセイバー自身の放った斬撃と全く同じ動きでバーサーカーが斬り飛ばした。


333 : 盗賊と奪い取る者 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/10(日) 16:06:38 D384kSTs0
「終わったか」
セイバーの首を撥ねたバーサーカーに、マスター二人を気絶させたバンダナの青年が歩み寄る。
「食え」
バーサーカーは血色の目を、縫い止められたままのランサーに向け、顔を掴むと槍で縫い止められた身体を手元に引き寄せる。
刺さったままの槍の為に、傷口を抉られ拡げられて血泡を吹くランサー。
そんなランサーの状態には一切構わず。――――バーサーカーは白い首筋に牙を突き立てた。
溢れ出る鮮血。何かを嚥下しているかのように動くバーサーカーの喉。
このバーサーカーは吸血鬼であった。
どれほどの苦痛に苛まれているのか、胸を貫く槍の傷が開くのも構わず暴れるランサーに構わず、血を吸い続けるバーサーカー。
それはランサーが消滅するまで続いた。



(かなり消費するな。連戦や長期戦は避けるべきか)
リビングのソファに座って。青年――――バーサーカーのマスターは考える。
ここはセイバーのマスターの住むマンション。戦闘後、サーヴァントを失った二人を尋問し、二人の知っていることを洗いざらい吐かせた後で、一人暮らしのセイバーのマスターの家を拠点としたのだ。
何しろロールは指名手配された住所不定の外国人犯罪者。拠点となるべき場所など当然無い。
用済みになった二人はバーサーカーの糧にした。
己を戒める鎖の為に本来能力をを発揮できないが、バーサーカーを運用する為にはこの方が都合が良いかもしれなかった。
(もっともバーサーカーなんかじゃ無く、アサシンかアーチャーでも来てくれた方が良かったんだがな)
青年の性格や思考法からすると、どう考えてもバーサーカーは外れである。しかし来てしまった以上は仕方が無い。
済んでしまった事は仕方ないので思考を切り替える。
バーサーカーが得意とする相手は、その宝具の性質上セイバーとランサー、後はライダーもだろうか。
逆に苦手とするのはキャスターとアーチャー、バーサーカーも入るかも知れない。
気配を隠して忍び寄り、一撃に賭けるアサシンは、ほぼ気にする必要は無いだろう。バーサーカーの耐久力と戦闘続行能力は地力の無い一発屋がどうにかするのは至難だ。
バーサーカーというクラスは只でさえ魔力の消費が大きく、しかも戦闘時には宝具を必ずといっていい程使用するが、このバーサーカーの所有する宝具の性質は、サーヴァントという存在にとって脅威以外の何物で見ない。
これは簡単に理解できた。他でもない、今現在封じられている自分の能力が実際そうなのだから。否、条件の簡易さからいけば、バーサーカーの宝具は自分の能力をより戦闘向きにしたものと言える。
欠点を挙げるとすれば、蓄積が出来ないところと消耗の大きさか。それも戦闘能力の高さという利点の前には許容できる。
連戦を避けるのが当然の選択だが、これもバーサーカーの特性上インターバルは確実に取れる。何しろ昼間は動けないのだから。
これは同時に昼間に襲われると自力のみで対処しなければならないということ。本来の力を発揮できればサーヴァント相手にも引けを取ることはなく、逃走にしても容易だが、今の身ではそうはいかない。
複数の拠点を用意して、場所を特定されない様にする事。昼間はできるだけ目立たない様にすることが肝心だった。


334 : 盗賊と奪い取る者 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/10(日) 16:08:35 D384kSTs0
一通り勝つ為の思考を終えると、この戦いそのものについて考える。
殺人に対する禁忌は全く無いが、いきなり見知らぬ土地に連れて来られて殺しあえ、というのは些か気に障る。
かといって青年は主催者――――GM(ゲームマスター)に逆らうつもりは今のところは無い。

このゲームの舞台は一体なんなのか?もし仮に現実の何処かであった場合。
この場合、舞台の外に出られないのは、出られない様に行動を操作されている。という可能性が一番大きい。とするならばGMへの反逆はおそらく無意味である。
何故ならば、反逆を実行した瞬間に自殺する。という操作が施されている可能性が大きいからだ。そうでなくとも、ここが現実ならばGMは強大無比な力を持つ存在である。
まずこれだけの広さの場所を確保し、少なく見積もっても十万単位のNPCを配置して動かし、更にプレイヤーの行動を制限し、極めつけにサーヴァントなる存在と、宝具という超常の道具や能力を用意する。
求められる財力や権力は尋常ではなく、能力は青年の世界に存在する能力の系統の全てに渡り、何よりもそれらの能力全てが超絶の強大さであることが必須条件となる。
青年がもと居た世界で同じ様なことが行われていたが、運営している者達は、まさしく上記の条件を能力面に於いては満たしていた。

では、仮想現実なら?こちらは上記の問題は大分軽減され、そこまでの力を必要とはしないが、こちらで発生する問題は更に深刻となる。
どこで夢を見させられているかだ。GMの管理する場所で夢見る身だとするなら、
GMに反逆することが既に道化の所業である。

だが、反旗を翻す上で最大の問題になるのは最大の戦力であるサーヴァントだった。
過去や異世界の英雄の霊を召喚した存在。これが事実か中二病全開の設定かは兎も角、肝心なのはサーヴァントがGMの所持する道具で用意された存在であるということだ。
GMと戦う段になって、いきなりこちらを攻撃してくる可能性がある。むしろ無いと考える方がおかしい。命令権の優先順位はGMが最上位に置かれていると考えるべきだろう。
或いは、プレイヤーにサーヴァントと共に支給された令呪、これを大量に、しかも支給したものより質の良い令呪を有しているのかも知れない。
或いは、青年がもと居た世界で同じ様なことを行っていた者達の様に、プレイヤーには知ることもできない、GM専用の道具や能力を有しているかも知れない。
GMの手札が不明な以上、反旗を翻すならば自分を戒める鎖を外すのは至極当然のこととして。
まず、仲間――――GMの手札を知る為の捨て駒とサーヴァントに依らない強いプレイヤーを確保する必要があった。



ここまで考えて青年は思考を切った。
判断するには情報が足りない。少なくともGMの意図を知る必要がある。これだけのことをして、一体何を得ようというのか?まさか殺し合いが見たいだけ。などということはあるまい。
少なくとも与えられた知識の中に有る聖杯に類するものは存在する。出なければここまでの事は出来まい。
では聖杯を渡す意思が本当に有るのか?少なくともプレイヤーに対する生殺与奪を握っているのだ。いざ渡す段になって、賞品が惜しくなってその場でこちらを殺しにかかってきてもおかしくは無い。

この二点が判らない限りは青年は積極的に殺し合いに乗る氣は無い。無論戦いとなれば結果として殺すことを躊躇わないが。
あの二人は駒の性能を試す相手を探していたら、偶然見つかっただけだ。
――――最初の目的はGMの捜索だな。
青年は行動を決める。
――――願うとすれば最優先は帰還。鎖野郎の戒めを外すのは聖杯でなくとも出来る。まあ、聖杯が持って帰れる宝なら持って帰りたいが。


青年――――クロロ=ルシルフルはそう結論づけると、バーサーカーを眠りにつかせ、自分も眠ることにした。


黄金の竜の紋章が飾られた棺の中、バーサーカーは夢を見る。
トルコ軍に包囲された城塞から身投げした妻を。
恐るべき妖姫に弄ばれ、美しき魔人に攫われた妻と瓜二つの女を。
――――我が妻よ。
想いは言葉にならず、胸の内で響くのみ。


335 : 盗賊と奪い取る者 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/10(日) 16:09:14 D384kSTs0
【クラス】
バーサーカー

【真名】
カズィクル・ベイ@魔界都市シリーズ 夜叉姫伝

【ステータス】
筋力:A++ 耐久:B++ 敏捷:A+ 幸運:E 魔力:B 宝具:A++

【属性】
混沌・狂

【クラススキル】
狂化:B
全パラメーターを1ランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。

【保有スキル】
吸血鬼:A
吸血鬼としての基本的な能力を極めて高い水順で発揮出来る。
ランク相当の戦闘続行・怪力・再生・吸血による体力及び魔力回復の効果。吸血による吸血鬼作成も可能。下僕に対しては狂化の為下知が不可能。
強力な妖眼も持つが狂化の為使用不能。
流れ水や十字架に対しては非常に弱く、陽光を浴びると全身が焼け爛れる。実質戦闘不能状態に陥る。
首を撥ねるか心臓を杭で貫かない限り、全身の細胞を猛毒で冒して、完全に灰になるまで焼いて、灰を風に撒き散らしてもごく短時間で復活する。当然魔力を大量に消費する。


獰猛:A
威圧・魅了・混乱といった精神干渉を無効化する能力。
しかし、幻惑には掛かりやすくなる。
また、格闘ダメージを向上させる効果もあり、時間が経つ程に攻撃性にプラス補正がかかるが、冷静な思考を欠き、罠や陽動に掛かりやすくなる。


軍略:C
一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。
自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。
現在は狂化の為発揮出来ない。


カリスマ:E
軍団を指揮する天性の才能。統率力こそ上がるものの、兵の士気は極度に減少する。
バーサーカーは兵から心底憎まれ、兵達はバーサーカーの為に死ぬのを心底厭い、彼の死を望みながら、同じ心で勝利を祝した君主であった。
現在は狂化の為発揮出来ない。


気配遮断:B
サーヴァントとしての気配を絶つ。
完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。
他の事に気を取られていたとはいえ、魔人と称される二人の男の背後に気づかれずに立った。
現在は狂化の為発揮出来ない。


心眼(偽):B
直感・第六感による危険回避。



【宝具】人非の騎士の不敗の四肢(イヴィルナイト・ディスオーナー)
ランク:A++ 種別:対人宝具 レンジ :1 最大補足:1~1000人


かつて森深き東欧の森の果ての地に伝えられていたとされる古の魔道の技。人の心を捨てた騎士に不敗の四肢を与えたとされる。
習得の為の修練は筆舌に尽くし難く、業の完成の暁には、人の心を捨てた証として、九十九日荒野を旅し、出逢った者悉くを虐殺しなければならなかったという。

その効果は“対峙した敵の戦う術を奪い、使いこなす”。
剣であれば剣を、槍であれば槍を容易く奪い取り、持ち主と同じ技量を発揮して使ったという。
徒手空拳の技にしても、その腕に手で触れれば技量を完全に習得。氣功の類も手で触れてしまえば習得した。
如何なる武器、技術でさえも自家薬籠中のものとする。宝具であっても掴まれればバーサーカーに筋力で勝らぬ限り奪われる。
武器・武術系スキル・武具系宝具をランクはそのまま、自身のものとする。
A++相応の無窮の武練の効果を常時発揮する。
習得した武技を蓄積することは出来ず、奪う度に以前の技はキャンセルされる。

奪い取り使いこなすという性質上、判ってさえいれば奪った宝具の真名開放すら可能とするが、狂化の為行うことが出来ない。


龍公柩(ドルグレイヤ・コフィン)
ランク: A+ 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:2人


黄金の天空を舞う竜の紋章が飾られている柩。成人が二人入れる程度の大きさ。
表面に塗られた塗料により核の直撃にすら耐える。
1000/1ミクロンの糸でも侵入する隙間を見出せない。
バーサーカーは昼間はここに篭る。


【weapon】
無し。

【人物背景】
歴史上におけるヴラド三世その人。古の魔道の技により、武器を帯ずに戦場に赴いた。
トルコ軍に捕まり斬首された後、四千年生きた中国産吸血鬼である“美姫”に拾われ吸血鬼にされる。
そして何故か船底に500年幽閉される。
〈新宿〉にて秋せつらを倒す為に開放されるも美姫に反逆。美姫やせつらと数度の死闘を経て、せつらに倒される。
現世に解き放たれた後、ディスコ(古い…)を気に入ったりと、感性は割と若い様子。


【方針】
????????

【聖杯にかける願い】
妻の復活


336 : 盗賊と奪い取る者 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/10(日) 16:09:36 D384kSTs0
【マスター】
クロロ=ルシルフル

【能力・技能】
他者の念能力を盗み使用する念能力、盗賊の極意(スキルハンター)を使う。
念能力を使用すると死ぬが、身体能力や身体運用に関しては達人というレベルを超えている。頭の回転も良く、戦闘時の駆け引きも巧み。
精神的に極めて落ち着いていて動揺することがほとんど無い。
カリスマ性も高い。

【weapon】
無し

【ロール】
国債指名手配を受けた犯罪者。現在は函館市の中心部から離れたマンションに潜伏。

【人物背景】
盗賊集団、幻影旅団の団長。ヨークシンで行われる闇オークションの競売品を根こそぎ奪うものの、幻影旅団を仇と狙うクラピカによって、仲間を二人殺され、自身は念能力を封じられる。
その後、一対一で自分と戦うことを望むヒソカに徐念師の捜索を依頼する。
何故関わりの無い人間を殺せるのか?という質問に、関係無いからじゃ無いか?と返答している。
関係ある人間が死ぬと悲しんだり追悼したりする。
旅団の存続の為なら団員を平喘と切り捨てるが、切り捨てる対象には自分自身も含まれる。


【令呪の形・位置】
竜の頭部を模したものが胸部に有る。

【聖杯にかける願い】
第一に帰還、第二にクラピカに付けられた鎖の解除。

【方針】
・GMを捜し、聖杯戦争の目的と聖杯を渡す意思が有るかどうか探る。
・GMの手札を探る。
・扱いやすい同盟相手を探す。
・当面は自分からは戦わない。

【参戦時期】
グリード・アイランドに行った後。ヒソカに除念師の捜索を依頼した辺り。

【運用】
マスターからの供給は質量ともに潤沢で、バーサーカーというクラス上逆らう可能性も少ないが、魔力消費が激しい上に、戦闘時は宝具使用がデフォなのが悩みどころ。連戦や長期戦は不利どころか自滅の可能性が有る。
引き際と戦うタイミングを見極めるのが肝心だろう。


337 : 盗賊と奪い取る者 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/10(日) 16:13:06 D384kSTs0
投下を終了します

バーサーカーの一部スキルを魔界都市〈新宿〉ー聖杯血譚ーの“美姫”を参考にさせていただきました
謹んで御礼申し上げます


338 : ◆ee05V29uN. :2016/04/10(日) 18:47:49 GShQXte20
投下します


339 : 走り鳰&ライダー ◆ee05V29uN. :2016/04/10(日) 18:49:40 GShQXte20

「いやぁ〜。まさかこんなことってあるんですね〜。驚きっすわー」

走り鳰はマスターとして早々に記憶を取り戻した。
夕焼けのなか、学校の屋上から町を見下ろす
適度に満たされた環境、流血のない表の世界での日常
そうしてすごした日比は、鳰にとってまぁまぁ幸せな時間だったが、別段障害足り得なかった。
屑紙程度の感傷しか抱けないものに、どうして執着しろというのか

「どんな時でも冷静に、自我を強く持て、暗殺者の基本っスね」

そう言って鳰は皮肉げに顔を歪め、嘲笑う。
そんなものは重要ではない

「ウチは兎角さんに刺されて死んだはずなんすけど……何の因果か地獄から引っ張り出されたみたいっスね」

 そう、そうして死んだはずの自分が再び生き延びるチャンスを掴むことが出来た。ただ、それだけが重要だ。
 アレはアレで、自分にはお似合いの結末だ。それなりに満足していた。 たが、今自分は確かに生きている
ーーそれが、気にくわない
 自分の終わり方ぐらい自分で決める。誰かに強制された結末などこちらから願い下げだ

「……ま、せっかく拾った命、大事にしないと損っスけど。
 暗殺稼業で地獄行き直前の死に損ないのウチに何を求めてるかは知らないけど、精一杯楽しませてもらいますよん」

ひひっ、と小気味の良い笑い声を上げながら鳰は告げた
そう、宣誓だ。
どう歩もうとも変わらない、自分の畜生っぷりを魅せるという証明。

「聖杯戦争? そんなの全てウチが面白可笑しくいじってもらいま〜〜〜〜っす!
 ハッ、うははっ、こいつは愉快っスねぇ! 愉快愉快!」

 走り鳰は在るがままで在り続ける。彼女が動く理由など、それで十全。
 笑顔で他者を踏み潰せるだけの胆力も、弁論も、自分は備えている。

「ウチみたいな小物をわざわざ選ぶなんて聖杯さんもヤキが回ってますね〜。
 わざわざ殺しあってまで願いを叶えたいなんて酔狂な奴は、探せばゴロゴロいるだろうに。
 ーーこういうの、春紀さんみたいなバカ真面目な人なら涙を流して縋るんでしょうね」

人の命が地球よりも重いなんて嘘っぱちだ。ただ其処に置かれているに過ぎない。
さらっと生まれてさらっと死ぬだけだ
結局、人生に意味なんて無い。無意味なのだ
そんなものに対して、真面目に向きあうだけ損しかない。
鳰はおどけながらも、常にそう感じていた。

「くふふ、でもまあそれもまた運命なんすかねぇ。生憎と、そんなの信じちゃいないっスけど」

人の命の重さなんて、メロンパンの金額よりも軽いのかもしれない。
事実、鳰にとって他人とは、命とは、その程度の認識にすぎない

そんな面白くもないのに生きざるを得ない世界がーーおかしくておかしくてたまらない
 
 鳰は心の赴くままに楽しんでいる。自分を殺すであろう危機に溢れた人生に。自分を脅かすものが無数にある環境に
 だから、鳰は暗殺者に対して笑顔で向き合える。
 人生をより良く楽しめる可能性があるが故に。

「まっ、この戦争に呼んだ神様にはプチメロ一個分ぐらいは感謝してやってもいいっスけどねぇ〜。
 どうせならこんなとこに呼ばなけりゃなおよかったっス」

 無論、鳰にとって人を殺した経験など数え切れない。 その足元には屍がつもり積もって一山できるだろう
 殺人処女なんてとっくの昔に捨てた鳰は、何の躊躇いもなく人を殺せるし利用できるだろう。
 だから、在るのは漠然とした作業感だけ。
 人を殺してみたらどうなるだって? 何にも感じやしない。

「そんで、いつまでだんまり決め込んでるんスか? サーヴァントさん?」

「……ああ、アンタがどんなマスターかと思うてな。観察させてもろうたで」

 そんな鳰と対峙するサーヴァントもまた、人生に刺激を求めていた
 巨木のような腕、わけのわからない非生物的な風貌の戦士は、そのマスクの下からマスターに一瞥をくれる

「へ〜。そうッすか。やけに無口かと思ってたっすけど、そういったわけで……
 じゃあ、そんなウチは、アンタから見てどうなんでしょうかね?」

「まぁ外れやないって所や」

「これは手厳し〜っすね」

 なんら意味のないじゃれあい、事実『闘争自体を楽しみたい』ライダーからしても、人として壊れているこの少女は都合がよかった


「とりあえず、聖杯なんて大層なもんはいらん。欲しいッてんなら、アンタにやる
 何するにしても、そっちがいちびってアホやらんかぎり好きにしたらええ。いうとくが、こッちはこッちですきに殺らせてもらうで」


340 : 走り鳰&ライダー ◆ee05V29uN. :2016/04/10(日) 18:52:21 GShQXte20


「ひゃー、マジモンのバトルジャンキーじゃないですかー。くわばらくわばら」

「……アンタも似たようなもんやろ」

「ウチとはちょっと違うっすけど〜。んじゃ、そういう感じでーーウチも行動を取らせてもらいます」

それでもいい、鳰はそう思った
殺る気は十分、騒乱を想起させるこの戦争に身を委ねるのなら、上々だ
なにせこの世の中、楽しんだものの勝ちなのだから

「ライダーさん……大いに楽しみましょうか、この戦争。とは言っても、無理は禁物。
 ウチらの命はあくまで一つだけなんすからそこんところは頼むっスよ?」

「いわれなくてもわかッとる」

その言葉を終わりに、ライダーは霊体化し、そこには鳰一人が取り残された。
夕焼けの下、くつくつと笑い声を上げる彼女の姿は異様。
されど、戦争に向かう者としては合格なのだろう。

「さってと、じゃあ日常生活に戻らさせていただきますかねぇ〜」

そうして、走り鳰は今まで貼り付けていた善良な笑みを浮かべ、屋上を後にした。
そのとき、ちろりと出した舌は、いつもより風を冷たく感じた



【クラス】
ライダー
【真名】
岡八郎@GANTZ
【パラメーター】
筋力E 耐久E 敏捷C 魔力E 幸運C 宝具A
【属性】
秩序・中庸
【クラススキル】
騎乗:D
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせる

対魔力:D
一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

【保有スキル】
心眼:A
星人との過酷な闘争を七回もクリアし、生き延びたことにより培った第六感的な感覚
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。

破壊工作:D
戦闘を行う前、準備段階で相手の戦力をそぎ落とす才能。
ランクDならば、相手が進軍してくる前に一割近い兵力を戦闘不能に追いこむ事も可能。
ただし、このスキルが高ければ高いほど、英雄としての霊格は低下していく

仕切り直し:B
窮地から離脱する能力。 
不利な状況から脱出する方法を瞬時に思い付くことができる。
加えて逃走に専念する場合、相手の追跡判定にペナルティを与える

【宝具】
『100点武器』
ランク:A 種別:対星人宝具 レンジ- 最大補足:-
 ライダーが生前に獲得してきた、特殊な武装の数々を再現したもの
 人類以外の文明の技術によって作製されたという関係上、宝具にしては極端に神秘が薄く、使用には魔力は殆ど必要とされない
 また、一部宝具はライダー以外の人間にも使用可能である

『ハードスーツ』
 多様な武器が搭載された強化型ガンツスーツ
身の丈ほどの長さで大木のように太い腕が特徴。
 使用者の手の動きにリンクするジェット噴射装置が装備されており、これを使用することでパンチ力が加速・強化される
 さらに肘には鋭利で長大な刃、掌にはエネルギー発射口があり、このエネルギー発射口からは標的の部位を削り取るような光線が射出される。
 顔全面を覆い尽くすマスクが装着されており、このマスクの眼部は、レントゲンのように対象を透かして見る事が出来るため、相手の急所などの弱点探索を行う事が出来る。
 後頭部には巨大ロボットを操作する多量のドッキングコードが接続されている
 この宝具を装備したライダーのステータスは筋力A 耐久A 敏捷B 魔力B 
 相等まで強化される

 またこの宝具は各種耐性も優れており、Bランク相当の攻撃を余裕をもって耐えることができる。
 しかしAランク相当の宝具やスキルによる攻撃は防ぐことができず、直撃した場合最悪破壊されてしまう

『巨大ロボ』
 ハードスーツから接続されたケーブルによって操作できる巨大なロボット。ライダーのもつ宝具のなかでも最大兵器である
 不可視状態になることができるが、耐久力はさほど高くない
 頭部がコクピットになっており、ハードスーツを着たライダーが床に取り付けられた飛行ユニットに座り、自分の意志のみで動かす仕組みとなっている。
 ライダーには巨大ロボットの視点の高さから送られてくる映像がハードスーツのヘルメット内に映し出される為、あたかも自分自身が巨大化したような感覚で操作できる

『飛行ユニット』
 空中を自在に飛行できる機械。上記の宝具の操縦席にもなる

『Zガン』
 大型銃。円形の高圧エネルギーを標的直上より不可視状態で降下させて標的を圧潰する武器
着弾地点は円柱状に掘削された様な状態になる
 その汎用性と殺傷力の高さはライダーの宝具のなかでも随一である


341 : 走り鳰&ライダー ◆ee05V29uN. :2016/04/10(日) 18:54:38 GShQXte20

【weapon】
『ガンツスーツ』
宝具『ハードスーツ』のマイナーチェンジ版
頭部を除く全身を覆うスーツで、手の部分は手袋のように着脱できる。着用するとライダーの身体能力と防御能力が飛躍的に上昇する
 どの程度まで強化されるかはスーツの状況による。
 防御としては、Dランクまでの攻撃なら余裕をもって耐えきれるが、Cランクだと複数着弾で破損、Bランクからは即死である
 また通常攻撃でも一定以上の不可がかかれば破損し、各所にあるメーターを破壊された場合は残りの耐久力に関係なく機能を失う

『ガンツソード』
 片刃の曲刀で、全体として日本刀に近い形状をしている。刀身は伸縮自在であり、通常はグリップ部分(柄と鍔)のみの状態で、スイッチを押すと刀身が出現する

【人物背景】
大阪チーム最強の男。七回クリア経験者

【サーヴァントとしての願い】
聖杯戦争を楽しむ。今回はしくじらない



【マスター】
走り鳰@悪魔のリドル
【マスターとしての願い】
面白可笑しく生きたい。
【weapon】
拳銃。
ナイフ。
【能力・技能】
『催眠術』
 走り鳰の暗殺術。相対する人物に幻覚を見せ、自身を別人と錯覚させることで暗殺、洗脳を行う。
 毒物や催眠作用のある光、タトゥーを使うと効果は上昇する。

【人物背景】
ノリが軽く、人懐っこい態度の少女。
 だが、その態度の中でも時折不気味な笑顔を浮かべており、黒組に所属する少女達からは疎まれることもある。
 そして、他の少女達と同じく暗殺者。暗殺に関する名門一族の一人である。
 全身に催眠を誘発するタトゥーを彫っており、人前で服を脱がないし、普段着ている制服も長袖黒タイツと着込んでいる。
 サービスシーンである水着回でも肌を見せなかった。

【方針】
聖杯戦争を楽しむ。ただし、命は大切に


342 : 走り鳰&ライダー ◆ee05V29uN. :2016/04/10(日) 18:55:59 GShQXte20
投下終了です


343 : 名無しさん :2016/04/10(日) 19:06:49 Hqo6CRW60
ttp://www63.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/213.html
台詞や表現等がこちらのSSと類似していますけど、同じ作者さんなのでしょうか?


344 : 名無しさん :2016/04/10(日) 19:21:54 qLN7ZNq20
質問です、宝具の記述に極端に神秘が薄いとありますが
それならばなぜ神秘の高さの度合いを示す宝具ランクがAランクなのでしょうか?


345 : ◆ee05V29uN. :2016/04/10(日) 19:47:51 GShQXte20
>>343
いえ違います。しかし、この候補作を執筆するにあたって口調や言動などを一部、参考にさせていただきました
>>344
すみません。そちらのほうはこちらの宝具に対する知識不足からのミスです


346 : 名無しさん :2016/04/10(日) 22:24:56 eIGAiZ1Y0
盗作が疑しいどころか、もう盗作そのものなのでは……


347 : ◆ee05V29uN. :2016/04/11(月) 00:27:05 JiXlPdj60
投下します


348 : アクア&キャスター ◆ee05V29uN. :2016/04/11(月) 00:38:01 JiXlPdj60

函館市の市街地の一角には、一件のボロアパートがある
風呂なし、トイレ共有、家賃光熱費込みで三万六千円の格安物件
そのアパートの一室には、一ヶ月前から外国人の美少女が入居していた

特徴的な青髪に、人間場馴れした美貌により、入居した当初から一際目立っていた彼女は、なにかと「女神」を自称するこの変わり者であることを除けば、悪い人間ではなかった

 当初は物珍しさもあって、ご近所からの注目も多かったが、汗を流し必死に働く彼女の姿を見かけるうちにすっかり警戒心もとけ、今やすっかりこの異国の地に慣れ親しんでいた

 ご近所さんから生暖かい目で見守られながら逞しく暮らしているその少女の名は、アクア
 ちょっと遅い中二病を患った、ちょっと痛い子であった



「ちっがーーーーーーーーーーうっ!!!」



そして、その少女はマスターだった



「なんだお前 頭おかしーのか?」



突如奇声を上げたアクアにもっともな疑問を投げ掛けるのは、欲望が顔に張り付いているかのような、まだ高校生くらいの少年である
彼は先程召喚されたばかりのサーヴァント、キャスターであった

「なっ!? なによその口の聞き方は!! 私は女神なのよ!! 女神アクアっ!!」

「うるせぇな。俺は聖杯勝ち取って最強になれれば良いんだよ。女神なんとかなんてどうでもいいっての」

そのあんまりな言い草に唖然とする
ここまで露骨に蔑ろにされたのは初めてだった
異世界での生活で、散々カズマに駄目神扱いされてきたが、ここまで冷たい目で言われたのは初めてだ

聖杯戦争、サーヴァント、殺し合い、優勝すれば願いが叶う
頭のなかに流れ込んでくる知識にアクアは顔をしかめた
願いを叶える。と聞かされたら、まぁ確かに思い至る節はあった

(確かにカズマにアイテム扱いで下界に連れていかれてから、帰りたいな〜……とか思ってたけどっ!?
 まさかわざわざ日本につれてこられてこんなことするなんて聞いてない〜〜〜っ!!)

思わず頭を抱えるアクア。それを心底めんどくさそうに眺めるキャスター

「喚くなみっともない。泣き叫ぼうが状況は変わらねーんだよ」

 情の欠片もない言い草。その言葉に戦場に連れてこられたアクアに対する配慮は一欠片もない

(ていうか、サーヴァントって英霊のコピーなんでしょ!? なんでこんな性格の悪そうな粗悪な男が召喚されるのよ〜〜っ!!)

「もうなんなのよ!! 私は女神なのよ!!もっと敬いなさいよ!!」

「……」

喚くアクアを鬱陶しそうにいなすキャスター
当然ながら彼の心境はよくない

(うぜぇ……)

アクアが魔力タンクとして優秀じゃなきゃぶっ殺してやろうかとすら考えていた


349 : アクア&キャスター ◆ee05V29uN. :2016/04/11(月) 00:39:19 JiXlPdj60


キャスターにとって、この自称女神の素性なんてどうでもよかった
そもそもいい歳をしてここまで堂々と女神を名乗るくらいだから、ロクな育ちではないのだろう
だが供給されてくる魔力はかなりのものなのが気になると言えば気になるが……

「あーーーもう!! 今日はもう寝る。明日はシフト入ってるし……」

プライドを傷つけられて不貞腐れたのか、アクアは強引に話を切り上げ、床に就こうとした

「はは、女神なのにバイトって……ふはは」

「うっ、うっさいわね!!」

キャスターの嘲りのこもった嘲笑に途端に顔を赤くするアクア
アクアのロールは女神……ではなく『フリーター』である

アクアは記憶を取り戻すまで、道路工事の土木作業や、居酒屋のバイトなどで食いつないでいた 
そういった日比を過ごしていたアクア本人は、びっくりするほどそれが似合っていた
不本意ながら異世界に転生してからというもの、やたらそういった労働になれてしまっていたのもあるが、それにしても何週間も違和感ひとつなく働いていたくらいである

「ていうかよ、別にそんなに嫌ならバイトなんて辞めちまったらどうだ? 
 そろそろ聖杯戦争も本格的に始まろうってのに……」

「しょ、しょうがないじゃない!! ……食事代だってばかにならないし、ここの家賃や光熱費だって安くはないし……
 それに飲み屋のツケで10万くらい借金もあるし」

「うわぁ……」

この女、すでに借金までこさえてやがったのか
自分も結構なクズだが、この女も別の意味で駄目だな

「な、なによ。なにか言いたいことがあるのならはっきり言いなさいよ」

さすがのアクアも、キャスターの残念なものを見るような視線に気づいたらしい
ちっ、と内心舌打ちしながら、キャスターは会話を続けた

「そうだな。わかった。ならお前」

「だーかーらーっ!! 私は女神アクアって後期で神秘的な名前がーー」

「はいはい、じゃあ自称女神。どうせならバイト増やせ」

「ーーは?」

予想外の申し出に困惑するアクア
それを尻目に、キャスターは雑多に散らかった部屋のどこからか求人誌を引っ張り出してくる

「俺は戦うのに水が必要なんだよ。どうせ働くならーーそうだな、これなんてどうだ? 

 市民プールの監視員……あ、やっぱりこっちのライフセーバーのバイトなんて良さそうじゃないか。え〜〜と、電話番号は……」

「ちょ、アンタなに勝手に」
 
かってにマスターの労力を増やそうとするキャスターに慌てるアクア
それを鬱陶しそうに一瞥しながら、キャスターはアクアに訪ねた

「は? なにお前泳げないの? ダッセー」


350 : アクア&キャスター ◆ee05V29uN. :2016/04/11(月) 00:41:10 JiXlPdj60

「なっ、バカにしないでよね!! 私が司るのは水よ!! 泳ぎなんてちょちょいのちょいなんだから!!」

分かりやすすぎる挑発に、これでもかと食らいつくアクア。その軽さに思わずキャスターも唖然となる

「お、おー、頼もしいじゃねーか。さすが女神アクア様……憧れるぜ(笑)」

「そ、そこまで言われちゃ仕方ないわね。大船に乗ったつもりでこの私に任せなさい!!」

……なんて扱いやすい女だ

心情でそう吐露しながらも、とりあえずはそれを表には出さない
 キャスターはアクアの扱い方を掴み始めていた。女神を名乗るくらいだから元からプライドも高いのだろうと思っていたが、ようは、おだてればいいのだ

「じゃあ、ホラ、履歴書。書いとけよ」

「わかったわ!!」

アクアはいかにも『私に任せなさい!!』と言わんばかりの無邪気な表情で、キャスターの手から履歴書を引ったくるように受け取り、早速面接の準備を始めた


(コイツ、馬鹿だな。だがハズレではないか……くくっ、ははは)


その様子を、邪悪な笑顔を浮かべてながら見守るキャスター
 
ーー彼らのロクでもない聖杯戦争は、まだ始まったばかりだった


351 : アクア&キャスター ◆ee05V29uN. :2016/04/11(月) 00:42:23 JiXlPdj60
【クラス】
キャスター
【真名】
金崎同義@高校ロア
【パラメーター】
筋力D 耐久E 敏捷D 魔力A 幸運C 宝具C
【属性】
秩序・悪
【クラススキル】
陣地作成:B
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。キャスターは『水』を媒介とすることで自身の“工房”の形成が可能

道具作成:―
このスキルは所持していない

【保有スキル】
外道:B
自己の利益や欲望を優先する歪んだ性質
同ランクのカリスマを無効化する

同性愛:B
同性にのみ向けられる性の欲求
異性による魅了、及び精神干渉系スキルを完全にシャットダウンする

【宝具】
『金崎流降水術式能力』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ10〜60 最大補足:300
キャスターの視界内に存在する『水』を、ノータイムで支配下におき自由自在に操作することができる
『水』とはいっても大抵の『液体』なら、この宝具の対象とすることが可能
その単純さから宝具としては破格に燃費がよく、僅かな魔力でも運用は容易
しかし操作する水の面積が多ければ多いほど、消費する魔力は大きくなる

『男の意地』
ランク:B 種別:対 宝具 レンジ10 最大補足:100
理性を失くし魔王となったクラスメートを押さえ込むために自身を犠牲にした逸話から獲得した宝具
キャスターが著しく追い詰められた状況下においてのみ発動可能
キャスターの肉体そのものを水と融合させ、巨大な水竜に変身する
水竜となったキャスターはBランク以下の物理攻撃を無効化することができる
この宝具を発動した場合、キャスターは4ターン以内に消滅する

【weapon】
『愛剣ラストホームラン』 
級友を殺して奪った普通の剣

【人物背景】
殺極高校に在学する魔法使い。属性は水
『最強を決める』という名目で理事長により行われた殺し合いを経験した一人
本来ならサーヴァントになれるはずもない人物であるはずだったが、メルトダウンによる地球滅亡の可能性を回避した功労者のひとりでもあるため、英霊の座に登録された

【サーヴァントとしての願い】
聖杯を勝ち取り、最強になる

【戦略】
より自分の力を発揮できる所(水がふんだんにある場所)を拠点として確保して、そこに陣取る。利用できそうな相手なら同盟を視野に入れるのも良いが、使い道がなくなったら殺す



【マスター】
アクア@この素晴らしい世界に祝福を!

【マスターとしての願い】
天界に帰りたい

【weapon】


【能力・技能】
アークプリースト
回復魔法と支援魔法を使いこなし、前衛でも問題ない強さを誇る上級職。アクアの場合は死者ですら簡単に蘇生できる
プリーストとしての実力はかなり高く、特に対アンデッドや悪魔に対しては無類の強さを発揮する

水の女神なので、触れた液体を水に浄化する体質を持っており、本人の意思とは無関係で触れた液体は珈琲だろうが酒だろうが一瞬で水へと変えてしまう
地上に降りて力が弱まっているものの一応女神なだけあって能力は総じて高く、中でも魔力が一番高いのだが反対に知力は低い。
運に至っては最低レベルである。
初期の時点で宴会芸スキルとアークプリーストの全魔法、近接格闘スキルを取得している。
宴会芸スキルにいたっては、もう芸だけで食べていけるほどのレベル

ちなみにアクアは能力値が最初からカンストしている状態のためいくらレベルが上がっても能力値が変わることは無い。つまり知力もこれ以上上がることは無いという残念仕様

【人物背景】
「アクシズ教」のご神体にして、若くして死んだ日本人の死後の案内を務めていた、水を司る女神。
水色の美しい髪に、抜群のプロポーションを持ち、女神としてもその能力は優秀だった
しかし人間性に問題があり、黙っていれば完璧な美少女なのだが天真爛漫、お調子者で能天気、ものぐさで空気を読まない、威勢の良い啖呵を切る割には打たれ弱くて泣き虫で構ってちゃん、などといった女神らしさなど欠片も感じさせない性格の駄目神

ちなみに機会があればサーヴァントとして召喚されてもおかしくない人物

【方針】
聖杯は欲しいけど……
とりあえずバイトする

【備考】
参戦時期はカズマとともに異世界に転生してバイトしていたころ
与えられた役割は『外国人のフリーター』
現状、居酒屋や土木工事などのバイトを掛け持ちしています


352 : アクア&キャスター ◆ee05V29uN. :2016/04/11(月) 00:44:04 JiXlPdj60
投下終了です


353 : 名無しさん :2016/04/11(月) 01:29:10 wLOYiTOc0
名無しの立場で僭越ですが、>>1氏へ
>>343で指摘された件は創作活動の場としては非常に重大な件だと思われるため
早急にご意見をお願いいたします


354 : ◆ee05V29uN. :2016/04/11(月) 01:40:54 JiXlPdj60
恐縮ですが、投下させていただいた走り鳰&ライダーを破棄させていただきます。ご迷惑お掛けしました


355 : 盗賊と奪い取る者 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/11(月) 01:51:01 TT5KjfCM0
>>336

出展作品を書き忘れていました

【マスター】
クロロ=ルシルフル@HUNTER×HUNTER

何やってんでしょうかね私ゃ


356 : ◆ee05V29uN. :2016/04/11(月) 03:54:39 JiXlPdj60
投下します


357 : ぷりぷりプリズナー&アサシン ◆ee05V29uN. :2016/04/11(月) 03:56:22 JiXlPdj60

昼下がりの喫茶店。平日だがその店はそこそこ人で賑わっていた
その席の一角でひとりの少女が、ぼんやりと珈琲を飲んでいた
身に付けているセーラー服から彼女が学生であることがわかるが、端正な顔立ちをした人目を引く少女だ
その体は未成年とは思えないほど女として完成したグラマウス。つまり豊満であった
自然とその店にいた男性は、彼女に引き付けられていた 
そういった意味では、彼女と同じ席に向かい合わせに座っている人物は、あらゆる意味で衝撃的だった

身長220㎝はありそうな巨体に、パンチパーマに青髭のむさ苦しい顔面をしたマッチョマンが、静かにコーヒーを飲んでいた
ふたりは、聖杯戦争のマスターとそのサーヴァントであった
男の名はぷりぷりプリズナー。つい数刻前にマスターとして覚醒した男である
記憶を取り戻したことによる、男の日常と常識の差異の混乱を見かねた少女ーーアサシンが、互いの情報交換の意味も込めたお茶会を提案。なしくず的に付近の喫茶店までやって来た

「アサシンちゃん」
「なーに?」

あらかた話終わり、無言を貫いていたプリズナーからの問い掛けに、アサシンはおどけた。しかし、男の真剣な表情をみてあわてて真顔になる


「俺は聖杯を破壊する」


聖杯の破壊
他の主従が聞いたら激怒するか、聖杯の価値を理解しない馬鹿だと嘲笑うかされそうな、凡そマスターとして相応しくない目標だ

「えっ☆ 壊しちゃうの?」

さしものアサシンも予想しておらず、その真意を問いかける
そもそもサーヴァントは大半が自らの願望を叶えるために召喚に応じるものだ。そんな手合いに聖杯の破壊を持ちかけたら最後、下手をしたら役立たずとして切り捨てられるか、少なくとも不和を招きかねない行為と言える

「ああ、そうだ」

しかし彼は、真剣に考え抜いた上で、その結論に達し、そして正直にアサシンに話した
そうまでして、彼が聖杯を破壊を望むのはなぜなのか?


プリズナーの脳裏に浮かぶのは、まだ見ぬこの町の男子たちの姿だった

この町は、NPCとはいえ平穏な日常を過ごしている男子たちがいる
NPC、と説明されてはいる。しかし、彼にはここに住む人々が作り物であるとは、到底思えなかった

サーヴァントの力は強大だ。聖杯戦争が本格的に始まれば、この街は壊滅的被害を受けるだろう。きっと人も、大勢死ぬ
何でも願いが叶う。そんな甘い言葉に乗せられてしまい、他人を殺めようとする輩も、必ず出てくるだろう。
ゆえに、犠牲は避けられない


「俺は、こう見えてもヒーローなんだ

 これ以上、男子たちが血を流すことになるなんて、見過ごすわけにはいかない」

一笑に付されかねないことを真剣に、嘘偽りなく大真面目に伝える

「召喚された以上、アサシンちゃんにも何かしら叶えたい願いがあるんだろ? 
 悪いけど、俺はそれでもこの考えを曲げるつもりはない」


358 : ぷりぷりプリズナー&アサシン ◆ee05V29uN. :2016/04/11(月) 04:00:20 JiXlPdj60


そしてプリズナーは、確固たる意思のもと、きっぱりとそう宣言した
その目を見たアサシンは、プリズナーの決意の強さをはっきりと把握した

「わーお☆」

ーーこいつ、本気(マジ)だ

「虫が良い話なのはわかってる。だけどあえて言おう。ーーアサシンちゃん、協力してくれないか?」

もしここで自分が嫌だ、なんていっても、この男はひとりでもそれをなそうとするだろう
アサシンはそう感じた

「うん☆ 良いよ☆」

「無理なら……え?」

さすがに即答されるとは思っていなかったのだろう。彼は唖然としていた
その様子が面白くて、くすり、と笑みがこぼれる。
そもそもアサシンは完全な好奇心から召喚に応じていた
あの狂った高校を無事に卒業して、そこそこ楽しく生きて、死んでいった自分。それ自体には満足していた。
だからこその完全な興味本意、魔が差した。といったところか
だからこそ、こんな面白そうなマスターに召喚された自分は、ラッキーなのかも知らない

「でも良いの? こういっちゃなんだけど、私、弱いよ☆」

そう、アサシンは弱い
もともと弱いと言われる暗殺者のクラスだけあり、三騎士なんかと比べられたら自分なんて貧弱もいいところだ。
自分の『得意分野』が通じない相手とあたったりしたら、もう最悪。

「ああ、協力者は多ければ多いほど助かる。 でもアサシンちゃん……本当に良いのか?」

例えば、目の前の彼のような

どことなく巨漢で不器用なマスターを見て、アサシンはどんくさくも優しい恋人のことを思い出し、自然と笑顔になる
偶然にもそれを見かけた男性客たち全員が赤面してしまうほど、魅力的な笑顔であった



「うんうん、大丈夫☆ 背中は任せろ、男子☆」


359 : ぷりぷりプリズナー&アサシン ◆ee05V29uN. :2016/04/11(月) 04:01:16 JiXlPdj60


【クラス】
アサシン
【真名】
田島由脳@高校ロア
【パラメーター】
筋力E 耐久E 敏捷D 魔力B 幸運B 宝具B
【属性】
混沌・善
【クラススキル】
気配遮断:D
サーヴァントとしての気配を絶つ。隠密行動に適している。
ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断は解ける

【保有スキル】
魅了(性):B
異性を惹きつける見目の美しさ。
アサシンと対峙した男性は彼女に対し関心を寄せ、性的に引き付けられる
相手の心理状態や感情によっては抵抗できる

性癖看破:A
異性の望む性欲を瞬時に見破ることができるスキル。例外的にホモは自己申告以外では見抜けない


【宝具】
『色情悩殺(ピンクデッド)』
ランク:B 種別:対男性宝具 レンジ100 最大補足:1000
 アサシンを視界に収めた男性全員がこの宝具の対象となる
 この宝具を任意で発動した状態のアサシンの肉体に、男性が少しでも性的な魅力を感じた場合、その人物は100%死亡する
 具体的には止まらない鼻血による出血死や、極度の興奮によるショック死である

【weapon】
『無銘・短剣』
剣士として彼女が愛用していたドス

【人物背景】
殺極高校に在学する剣士。通称ビッチ
『最強を決める』という名目で理事長により行われた殺し合いを経験した一人
のちにグラビアアイドルとしてデビューし、大成した女性
本来ならサーヴァントになれるはずもない人物であるはずだったが、メルトダウンによる地球滅亡の可能性を回避した功労者のひとりでもあるため、英霊の座に登録された

【サーヴァントとしての願い】
もう一度、あの時のようにハメを外したい


【マスター】
ぷりぷりプリズナー@ワンパンマン

【マスターとしての願い】
好みの男子とデー……
ヒーローとして聖杯戦争を見逃すことはできない 

【weapon】
肉体

【能力・技能】
『エンジェル☆スタイル』
筋肉を膨張させてパワーアップするが、全裸になる

『エンジェル☆ラッシュ』
エンジェル☆スタイルからの猛烈なパンチの連打。初登場時の深海王との戦いで披露した
「殺意のこもっていない」連打である

『ダーク☆エンジェル☆ラッシュ』
新たなエンジェル☆ラッシュ。技の中身は変わらないが、威力はさらに跳ね上がっている。 
「一発一発に殺意のこもった」連打
素手での攻撃力としてはS級ヒーローの上位陣に引けをとらない

【人物背景】
驚異的なまでの筋肉と腕力が武器のS級ヒーロー。普段は刑務所に服役している
また純度の高いゲイであるという一面を持ち、ヒーローなのに普段刑務所から出られないのは、いつも抑えきれずに男を襲ってしまうかららしい
それでも一応正義感はあり、有事の際には刑務所から出て戦いに参加する。

【方針】
まだ見ぬ男子たちを救うために、聖杯を破壊する


360 : ぷりぷりプリズナー&アサシン ◆ee05V29uN. :2016/04/11(月) 04:02:28 JiXlPdj60
投下終了です


361 : 炎の帰宅難民 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/11(月) 22:06:39 TT5KjfCM0
投下します


362 : 炎の帰宅難民 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/11(月) 22:07:14 TT5KjfCM0
「はう~~~-ぅ」

函館港を出港してゆくフェリーを見送り溜息を吐く一人の少女がいた。

「うぅぅ…地球~~~~」

切なく哀しく哭く少女。
昨日もフェリーに乗ろうとした一昨日もフェリーに乗ろうとした。三日前も、四日前も、風邪が治って、記憶を取り戻してから、ずっと。
結局乗ることは出来なかった。一日に何度も試した。その度に意識が飛び、フェリーを見送っていた。
悲しかった。せっかく地球に戻れたのに、今度は水ぶっかけられて死なずに済みそうなのに、元の身体の方が良いとか贅沢言わないんで自由にさせて。
少女の願いは届かない。少女の叫びは届かない。

「主殿」

「地球-~~~地球-~~~~」

「主殿っ!」

「ひっ!?」

後ろからの声に振り向く少女。そこにいたのは彼女のサーヴァント。見た目は髪を後ろで束ね首に六銭を下げた鎧を脱いだ戦装束の青年、武士という職業らしいが、少女には縁のない言葉であった。

「だって〜〜。ランサーさ〜ん」

「戻りたいのは私とて同じ事、しかし今は戻ることは叶わないのですぞ」

「うぅ…地球〜〜〜」

ランサーは溜息をつく、このやり取りは昨日も一昨日もした。三日前も、四日前も、召喚されてから、ずっと。

「主殿、気持ちは分かるが毎日こんな処に通っていては、他の者たちに襲われるやも………どうやら遅かったか」

周囲を見回すランサー。辺りには人影どころか、人の気配すら無い。

「村正」

ランサーの呼びかけに応じ、虚空より姿を現す人の大きさ程の鋼の蜘蛛。

「ランサ〜さ〜〜ん」

不安げに見つめてくる少女、当人が言うには、「どうしてか判らないがパワーがあり得ない位に落ちている」そうだ。実際のところ主の実力は判らないが、不安なのだろう。
そう思ったランサーは、少女に向かって力強く頷くと、誓約の口上を述べる。

「不惜身命。担惜身命」

金属が弾ける音がし、ランサーの周囲に無数の金属片が浮かぶ。見るものが見れば一片一片が凄まじい力を有していることがわかるだろう。
そして金属片がランサーの身体に纏わり付き、秒を待たずして陣羽織を羽織って甲冑に身を包み、首に長いマフラーを巻いた、十文字槍を持った武者に姿がそこにあった。
その装甲の各所には六問戦が描かれていた。

「グオオオオオオオオ!!!」

直後、全身が鋼でできていると思しき鋼の巨漢がランサー目掛け襲いかかった。

「私は帰らなければならんのだ!私を待つ仲間の元へ!!」

十文字槍の切っ先が炎に包まれ、鋼の巨漢に繰り出された。


〜数時間後〜


「地球〜〜」

安アパートの窓から夜空を見上げて泣きじゃくる少女の姿があった。
襲ってきた鋼の巨漢は急所と呼べるものが無かったので、かなり手を焼いたが最後はランサーの槍の前に撃ち倒された。

「地球〜〜」

いつまでも泣き止まぬマスターに溜息を吐くランサー。
聖杯戦争とやらの間ずっとこうなのだろうか?考えると気が重くなってくるランサーだった。


363 : 炎の帰宅難民 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/11(月) 22:07:46 TT5KjfCM0
【クラス】
ランサー

【真名】
真田信繁@装甲悪鬼村正 魔界編


【ステータス】
通常時
筋力:D 耐久:D 敏捷:D+ 幸運:D 魔力:E 宝具:A

装甲時
筋力:B 耐久:B 敏捷:C+ 幸運:D 魔力:E 宝具:A

【属性】
秩序・善

【クラススキル】
対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

【保有スキル】
魔力放出(炎):B
武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出することによって能力を向上させる。
ランサーは陰義により自身の武器や身体に炎を纏わせられる。
その熱量は凄まじく、槍先に炎を帯びた一突きは金属を一瞬で蒸発させる程。

自陣防御:B
味方、ないし味方の陣営を守護する際に発揮される力。
防御限界値以上のダメージ削減を発揮するが、自分はその対象には含まれない。
また、ランクが高ければ高いほど守護範囲は広がっていく。

護城の鬼将:B+
あらかじめ地脈を確保しておくことにより、特定の範囲を"自らの城"とする。
この城内の戦闘において、城主であるランサーは、Bランクの気配探知と圏境スキルを獲得し、防御行動に大きなボーナスを得る。

軍略:B
一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。
自らの対軍宝具の行使や、
逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。

勇猛:A
威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。
また、格闘ダメージを向上させる効果もある。
 
火除けの加護:ー(B)
劔胄を装甲した時のみ発動。火属性の攻撃を無効化する。


364 : 炎の帰宅難民 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/11(月) 22:08:13 TT5KjfCM0
【宝具】
三世村正伝大千鳥
ランク: A 種別:対 人宝具 レンジ :ー 最大補足:自分自身

伝説の妖甲“三世村正”の影響を受けて作られた劔胄。但し似ているのは外観のみ。
その陰義は『火炎操作』文字通り炎を操る。その熱量は金属を蒸発させる程。
劔胄の武装は十文字槍。


躑躅繚乱
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ :1〜40 最大補足:6人

炎を巨大な躑躅→六文銭→六つの髑髏と変えて追尾式の炎弾として髑髏を放つ。


六冥銭大火輪舞
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ :1-20 最大補足:1人

炎を竜巻状にして放つ技。


迦楼羅紅�撫翼
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1〜20 最大補足:100人

無数の鳥の形の炎を放ち、周囲の酸素を燃焼させ逆気流を引き起こし、巨大かつ高温の青い火の鳥を作り出す。


熾盛光閃翼
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1〜50 最大補足:500人

迦楼羅紅�撫翼を昇華させた巨大な炎龍。


【weapon】
生身の時は無し。装甲時には十文字槍を持つ

【人物背景】
元の世界から現代に召喚された武者。元の時代にて共に戦うと誓った十勇士の元に戻るべく、帰還方法を知っているというGHQの勧誘に乗る。
その後同じく召喚された伊達政宗&柳生十兵衛と合流。
十兵衛が別行動を取ったのを契機に、三世村正とその仕手湊斗景明に興味を持っていた政宗の誘いに乗り行動を開始。
事前に察知されていた為拘束されるも、同じくGHQに協力していた武者たちの乱入により解放され、景明と戦闘になる。
十勇士との誓いを守る為に絶対に負けられぬという意思の元、初めて練り上げる程の巨大な炎を御し、景明と村正に迫るが……。
景明の放った陰義を受け敗北。自身の炎とともに空に散った。
実直かつ誠実な性格。

【方針】
マスターを護り、ともに願いを叶える。

【聖杯にかける願い】
受肉と仲間たちの元への帰還。


365 : 炎の帰宅難民 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/11(月) 22:10:05 TT5KjfCM0
【マスター】
ジャミラ@ウルトラ怪獣擬人化計画(ヤングチャンピオン連載)

【能力・技能】
怪獣だった時の身体能力は無いが外見不相応なパワーは有る。
100万度の炎は火力がだいぶ下がっていて、街路樹を燃え上がらせる位しか無い。

【weapon】
無し

【ロール】
市内の女子校に通う女子高生。
安アパートに独り住まい。
所持金少なめ。

【人物背景】
何故か怪獣墓場で女子高生化した怪獣達ジャミラも例に漏れずJK化。他の連中がJKライフを満喫している中、元がオッサンのジャミラは元の姿(オッサン)に戻して欲しかったと泣いていた。
水が精神的な事情で苦手、あと泥も。
地球に対する執念は半端ではなく、雨天決行の遠足の行き先が地球と知るや、トラウマ克服の為に土砂降りの雨の中外に飛び出して雨を浴びる程。
阻止て風邪を引いて遠足に行けなくなったのだった。

【令呪の形・位置】
“火”の字の令呪が右掌にある。

【聖杯にかける願い】
元の姿(オッサン)に戻って地球に帰る。今の姿でも良いから帰る

【方針】
ランサーに任せる。脱出方法を探す。

【参戦時期】
風邪引いて寝込んでいた時期から参戦
現在は治っている。

【運用】
魔力放出(炎)と勇猛で攻撃力は高い。
スキルにより防衛戦にも強い為負けにくい。
魔力放出が難しいことを除けばかなり優秀。


366 : 炎の帰宅難民 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/11(月) 22:10:39 TT5KjfCM0
投下を終了します


367 : 炎の帰宅難民 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/11(月) 22:12:51 TT5KjfCM0
備考欄を忘れていたので追記します

【備考】
劔胄:魂を宿す甲冑。着用者に運動能力の飛躍的な向上と、驚異的な回復力を与える。
劔胄の魂は、劔胄を造った鍛治職人か、人造人間かのどちらかである。
前者の劔胄を真打劔胄。後者の劔胄を数打劔胄と呼ぶ。
真打を纏う者を武者と呼ぶ。
真打の中には陰義と称される超常の力を使えるものもある。
劔胄は飛行能力を持ち、第二次大戦時の兵器が通用しない程度には強力。


368 : ◆ee05V29uN. :2016/04/12(火) 01:58:54 Odlmr8uE0
投下します


369 : 小鳥遊六花&キャスター ◆ee05V29uN. :2016/04/12(火) 02:01:11 Odlmr8uE0

「聖杯戦争……これも私を陥れるための罠なのか……管理局め……っ!!!」

 それがマスターとして覚醒してから、小鳥遊六花が始めに発した言葉だった
 聖杯戦争、サーヴァント、殺し合い
 頭に刷り込まれていく未知の知識に、六花の魂が熱く震える

「くっ……我が右手に封じていた闇の力の片鱗が、解放されたか……かっこいいなコレ」

 中二心を引き立てられるデザインの令呪に思わず素の口調にもどる

「我が眷属である闇戦士リィ=ーカよ」

 そうして思わずにやけていた顔も、第三者の言葉をきっかけに引き締まる


「何? 古の盟約に従い、召喚された我が同志よ」


 悠然と視線を向ける
 いつの間にか背後にいたその男は異様だった。
 身に纏っている漆黒のマント。両腕に巻き付けられた謎の包帯。
 腰まで伸ばされたストレートの長髪に、眼帯で隠された左目と右目のオッドアイ


「聖杯戦争が、本格的に始動を始めた。
この箱庭に導かれしマスター達も、もうすぐ記憶を取り戻し覚醒するだろう」

「闇の深淵に呑まれし者たちか……」

「否、運命に弄ばれし悲しき定めの流れ人たちよ」 

「案ずることはない、キャスター。 私はこの戦争を理解した」

「それは吉報。そなたが人であるゆえに到達できぬ限界よ」

「無限の彼方より人の身を超越せし邪気眼使いであるこの私に不可能はない」

 第三者が聞いたら頭のおかしい会話であるが、なぜか両者とも問題なく通じあっていた

「ーーキャスターよ。私に力を貸して」

「御意。我思うゆえに我、汝を主として認めよう」

 ここに一組の主従が誕生した


370 : 小鳥遊六花&キャスター ◆ee05V29uN. :2016/04/12(火) 02:02:28 Odlmr8uE0
【クラス】
キャスター
【真名】
焔可線@高校ロア(初代)
【パラメーター】
筋力E 耐久E 敏捷D 魔力A 幸運C 宝具A
【属性】
中立・善
【クラススキル】
陣地作成:E
 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。小規模な“結界”の形成が可能

道具作成:B
 魔力を帯びた道具を作成できる
 このキャスターの場合は、主に魔力を回復するための秘薬『マナオーブ』の作成に特化している

【保有スキル】
中二病:A
 奇抜な設定や芝居がかった言動で他者を欺くことで、真名発覚を防ぐ
 同ランクのスキルをもつ相手としか会話が成立しない
 キャスターは他者を寄せ付けぬため、最後まで魔王のロールを背負い続けた

【宝具】
『惑わしの呪(ダークミスティカ)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ1 最大補足:1
 キャスターが生まれながらに扱えた異能にして、唯一彼が魔術師として使用できる闇魔法
 キャスターと目を合わせた人物は、瞬時に洗脳状態となり、キャスターの支配下に収まる
 抵抗に失敗した場合、キャスターに従順になり、キャスターの命令に従う。この宝具による強制力は令呪と同等である
 対魔力A以上でレジスト可能
 また対象がすでに何らかのスキルや宝具による洗脳、支配を受けていた場合、それを上書きすることができる
 眼帯やカラーコンタクトなどの遮蔽物を通した場合でも発動するが、その場合は洗脳に数秒ほど時間がかかる
 この宝具は常時発動型で、キャスターの意思では発動を押さえることはできない

【weapon】
『マナオーブ』
 キャスターが調合した霊薬。摂取することで魔力をある程度回復することができる

『魔王の衣装』
 キャスターが生前から着ていたもの。
 漆黒のマントに包帯、カラーコンタクトや眼帯など、中二病感溢れる衣類。
 これ自体に魔術的な力はないが、カラーコンタクトと眼帯はキャスターの『惑わしの呪』を押さえ込むためのもの

【人物背景】
かつて少年は自分の楽しみのために力を使い、人を傷つけた。
そして少年は、自分を守るためにそれを封じ、自分を傷つけた
しかし最後に彼は、本当に望んでいたものを手に入れた

【サーヴァントとしての願い】
マスターに真の盟友を


【マスター】
小鳥遊六花@中二病でも恋がしたい!

【マスターとしての願い】
聖杯戦争、この私に相応しいーーか、

【weapon】
「シュバルツゼクスプロトタイプMk.Ⅱ」
攻守一体の折り畳み傘

【能力・技能】
「爆ぜろリアル! 弾けろシナプス! バニッシュメント・ディス・ワールド!」

【人物背景】
 聖なる心によって闇の力を御す、邪王真眼の使い手。
 幾星霜の時を経てダークフレイムマスターとの再会を果たし、共に管理局の妨害と戦いながら不可視境界線を探し求めている。
 その力の性質により、闇に侵されたモノはもとより、浄化された聖水も危険なものとして受け付けない

【備考】
聖杯戦争について、あまり真剣に考えていません


371 : 小鳥遊六花&キャスター ◆ee05V29uN. :2016/04/12(火) 02:04:10 Odlmr8uE0
投下終了です


372 : 炎の帰宅難民 ◆T3rvSA.jcs :2016/04/12(火) 05:33:47 yoOg8LGA0
>>365

誤りがあったので訂正します

×魔力放出が難しいことを除けばかなり優秀

⚪️魔力供給が難しいことを除けばかなり優秀


373 : 名無しさん :2016/04/19(火) 21:09:26 NSFxXzDU0
四月下旬となりましたが、募集期間の正式決定はまだでしょうか。
もし見ていたらご返答お願いします。


374 : ◆T2BRcwLa.A :2016/04/19(火) 21:50:52 M6KCHKXI0
企画主様の音沙汰がないようですので、
拙作『蜘蛛の糸』を取り下げさせていただきます。


375 : 名無しさん :2016/04/20(水) 18:31:03 CI3qUCqwO
age


376 : ◆T9Gw6qZZpg :2016/05/05(木) 19:20:08 Ef6hzRSI0
企画主様からの報告等が長らく無い状態ですが、念のため書き込みます。
諸事情により、拙作「死生〜すくい」を取り下げさせていただきます。


377 : ◆GG1sbCp.IM :2016/05/06(金) 07:04:55 9mtwNa820
企画主様の音沙汰がないみたいなので
拙作である有栖川レナ&セイバーを取り下げさせていただきます。


378 : ◆87GyKNhZiA :2016/05/29(日) 00:32:53 H77pVXbc0
拙作「空、崩れゆく塔を背に」を取り下げさせていただきます


379 : 管理人★ :2017/07/01(土) 22:00:23 ???0
本スレッドは作品投下が長期間途絶えているため、一時削除対象とさせていただきます。
尚、この措置は企画再開に伴う新スレッドの設立を妨げるものではありません。


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