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俺ODIOロワ
1 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/16(月) 04:50:09 ID:253dsLSE0

         悪い夢……いや……
                       そうか…… 僕は……
         良い夢……だった……
                       いけにえに…… すぎなかったのか…… 
 それは人間が存在する限り                       
                     封印がなんだってんだよ!
 永遠に続く『感情』なのだ……
                     私を助けろよ!
 その感情の名を……                                       ……そう 
                     役に立たない男どもめ! 助けてください。
 『憎しみ』あるいは……                                      何千の仲間、
                     おねがい。助けて。抱きしめて。お兄ちゃん。
 『オディオ』というッ!!                                      何万の敵の中で
                     憎い、憎いよ、クソ野郎!
                                                     唯一人お前だけが
                     こんな世界滅びればいい!
                                                     唯一人お前だけが
           ほっほっほっほっ。
                                                     オレに夢を忘れさせた。 
           子を想う親の気持ちは いつ見てもいいものですね。
                                                                       ……げる。
           しかし心配はいりません。
                                           がはは!逃げろ逃げろ! 
           お前の息子はわが教祖さまのドレイとして
                                            早く逃げないとまっくろ焦げだががーーーっ!
           一生幸せに暮らすことでしょう。ほっほっほっ

2名無しさん:2012/04/16(月) 04:50:24 ID:253dsLSE0


一面の顔景色が広がっていた。
顔景色といわれても何のことだかわからない、と頭を捻ることがあるかもしれないが、
それは比喩でも何でも無く、文字通りそこにある世界には顔が溢れていた。
大地、踏みしめた地面は土でもコンクリートでも無く、苦悶の表情を浮かべた人間の顔であった、
顔顔顔顔、顔が延々と見えもしない地の果てまでも続いていく。
空、青い空も白い雲も無く幾ら記憶を漁っても無いであろう奇怪な光景、やはり顔が延々と続いていた。
見る世界に比べれば、まだ聞く世界は大人しいものだろう。
顔だけが言葉にもならない音を呻き、それに時折赤ん坊の嗤う声が混じる、
獣の咆哮、嘲笑、官能的な喘ぎ、怒鳴り声。
現実に侵食した悪夢、いやむしろ悪夢の世界に生身で飛び込んでしまったのだろうか、
そのような狂った世界が、彼らの目の前にあった。

さて、彼らに関して、詳しく説明することは出来ない。
まず性別に統一性は無い、年齢もまたそうである。
服装もまた、非文明人であるかのような毛皮を纏った者もいれば、
ナース服を身に着ける者もいる、鎧、スーツ、ローブ、中には服を着ない者すらいる。
顔立ち、皮膚色、身長、何一つとっても彼らに統一しているものはなく、
彼らが浮かべる表情ですら、動揺、憤怒、諦念、失意、悲哀、歓喜、恐怖と、
全員が同一ベクトルの感情を抱いているというわけではない。
少なくとも、外見から彼らが志を同じにした集団と判断するのは不可能であった。

では、彼らは何が目的でこの様な世界の中にいるのだろうか。
その答えはさして間を置かずに明かされることとなる。





『「今こそ、神の愛を知る時です」』

威圧するような野太い男の声
                   が同時に響き渡った。
幼女の鈴を鳴らすような声

3 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/16(月) 04:50:38 ID:253dsLSE0

闇の中の松明を目印にするように、彼らが声の方向を一斉に見たのは必然だったのだろう。
その二重の声ははっきりと彼らがここにいる目的を知っている響きだったのだから。

『「深い愛……偉大な愛……そして!」』

「慈悲深き鉄槌を愚かな人間にくだすもまた愛」

二重だった声は最後の言葉を発する頃には幼女のものだけとなっていた。
成程、と納得したものがいるかどうかはわからないが、
声の主、視線の先に居る者もまた、血で染められたかのような赤で纏った幼女であった。
声と主は、まるで聖書の一節を諳んじたかのような内容を除けば一致していた。


それは、これから放たれる言葉のためなのだろう。

顔の呻き声がある一つの目的を現す叫びへと変わった。

彼らの足を浸すほどの羊水が溢れだした。

幼女は微笑みを浮かべ、言ってしまった。

「今から、貴方達に殺し合いをしてもらいます」

4 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/16(月) 04:50:52 ID:253dsLSE0

言葉が終わると同時に、幼女に向けて駆け出す男が一人。
男の名はワット・ナーベ、
ルクレチア国武闘大会でベスト4入りの好成績を残した凄腕の剣士である。
息子を持つ身であり、普段ならばけして幼女に剣を向けぬ男であるが、
先程の幼女の言葉から、幼女を殺すことでこの異常事態から解放されると不幸にも確信してしまった。

ワット・ナーベは疾風の様に速く幼女へと接近し、首を刎ね落とさんとした。



「とうちゃ〜ん!」
ワット・ナーベに涙とともに駆け寄る彼の息子の姿がその行為の顛末を語っていた。
剣が幼女に届くこと無く、ワット・ナーベは死んだ。

「あなた達は神様と契約したの!だからあなた達の命は神様のもの!
 でも安心して!神様の愛はあなた達にも注がれているの!
 ルールを守る限り、あなた達はこんな下らない死に方はしないわ」

先程のワット・ナーベの死、これが幼女を殺そうとする人間にとっての枷となった。
この場に居る全員が黙って彼女の言葉を聞いていた、ただ一人を除いて。

父親の剣、子どもにとってはけして軽いとは言えない鉄を少年は持ち、幼女へと振るった。
目は憎悪で赤々と燃えていた、ただ父親の仇を殺すという決意だけがあった。

目が更に見開かれ、剣が落ちた。
ワット・ナーベの息子、彼もまた死を迎えた。

「わたし愛されているの、神に愛される子は決して殺されたりはしないわ!
 だから黙ってわたしの話を聞きなさい!」

5 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/16(月) 04:51:02 ID:253dsLSE0

彼女はそう言って、殺し合いのルールを紡ぎ始めた。


今から飛ばす世界で思う存分殺しあえ、と。

禁止エリアというものの説明。

6時間ごとに行われる放送。

支給される名簿に名前が浮かび上がるのは第一放送後であること。

元々ある武器は没収し、用意した道具も併せ再分配する。

神との契約は不完全なものであること。

最後の一人となった者が神と完全なる契約を結ぶこと。


彼女の声と共に、顔の叫びがはっきりと「殺せ!」に変わっていく、
顔の苦悶の表情が嘲笑のソレへと変わっていく、
集められた彼らとは違い、周囲の悪夢は高揚していた。


何者かの呻き声と共に、羊水に血の涙が一筋垂れた。
それを皮切りに、その場にいた彼らの姿が消えて行く。

殺し合いが始まった。

6 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/16(月) 04:51:13 ID:253dsLSE0


「……ララララララララ……」

誰もいなくなった空間で、ただ幼女の声だけが響きわたっていた。

「天使、天使、天使は歌うよ。」

いや、正確に言うならば男と幼女の二重の声だろう。




「歌った、天使歌った、ララララララララララ…………」




「ララララララララララララララ…………」

「ララララララララララ…………」

「ラララララララ…………」

「ララララ…………」

「ララ…………」



「ラ……」





そして、誰もいなくなった。

【GAME START】

【ワット・ナーベ@LIVE A LIVE 死亡】
【ワット・ナーベの息子@LIVE A LIVE 死亡】
【マナ@ドラッグオンドラグーン 死亡】

7 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/16(月) 04:51:23 ID:253dsLSE0
【参加者名簿】

7/7【真・女神転生Ⅰ】
○ザ・ヒーロー/○カオスヒーロー/○ロウヒーロー/○オザワ/○ゆりこ/○アスラ王/○ミカエル

6/6【ベルセルク】
○ガッツ/○グリフィス/○キャスカ/○ロシーヌ/○ワイアルド/○モズグス

5/5【ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
○主人公/○パパス/○主人公の息子/○主人公の娘/○ゲマ

5/5【メタルマックス2:リローデッド】
○ケン/○テッド・ブロイラー/○ガルシア/○ミシカ/○カリョストロ

5/5【覚悟のススメ】
○葉隠覚悟/○葉隠散/○血髑郎/○ライ/○恵魅

4/4【ドラッグオンドラグーン】
○カイム/○イウヴァルト/○アリオーシュ/○フリアエ

3/3【LIVE A LIVE】
○オルステッド/○ストレイボウ/○アリシア
35/35


5/5【書き手枠】
○/○/○/○/○/

もしも第一放送までに参加してくださる方がいるのならば。

8 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/16(月) 04:51:33 ID:253dsLSE0

【基本ルール】

・全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる
・ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない
・ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される
・プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる
・会場から逃げ出すことはできない

【スタート時の持ち物】

・プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収
・ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給される
「地図」「コンパス」「筆記用具」「水」「食料」「名簿」「時計」「松明」「ランダム支給品1〜3個」

・DODからの参加者は参戦時期が契約移行の場合、支給品枠を1枠使って契約したモンスターを支給。

「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。鞄などの類であればなんでも可
「地図」→ 大まかな地形の記された地図。禁止エリアを判別するための境界線と座標がひかれている
「コンパス」→ 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる
「松明」→ 着火器具+松明(3個)
「筆記用具」→ 普通の鉛筆と紙。枚数は常識的な範囲で
「水と食料」→ 通常の飲料と食料。量は通常の成人男性で二〜三日分
「名簿」→第一放送後に名前が浮かび上がる。
「時計」→ 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する
「ランダム支給品」 → 何かのアイテムが入っている。内容はランダム
「ランダム支給品」は作者が「エントリー作品中のアイテム」と「現実の日常品」の中から自由に選択 

以下、支給に注意が必要な物について。

・真紅のベヘリット:支給可能
・ベヘリット:支給可能
・DQ5のモンスター:COMPの中にぶち込むという形で支給可能(但し、あからさまに人間の外見の者、プチターク、ブオーン等のボスキャラクター、
                                       ゲーム中で仲間にならないものは支給不可)
・真・女神転生Ⅰの悪魔:支給可能(但し、中に入っている悪魔は真1登場悪魔限定、またDQ5と同様の問題について留意しておいて下さい)
・ベルセルクの使徒、ゴッドハンド、エルフ、その他諸々:COMPの中に収まりそうですが、支給は無しでお願いします
・COMP:中に入っている悪魔、モンスターは一体のみ、支給数に関して特に制限は設けません。
・戦車:支給可能
・犬:支給可能
・ブリキ大王:支給不可
・現実出展でネクロノミコンとか勘弁して下さい

9 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/16(月) 04:51:44 ID:253dsLSE0
【「首輪」と禁止エリアについて】

・参加者は全員、「神」と呼ばれる存在と契約を交わされている。
・ただし、初期段階では元々の契約者は身体機能を失ってはいないし、身体能力の強化もされていないし、
・主催側はいつでも自由に参加者の心臓を握り潰せる。
・参加者が禁止エリアに侵入した場合、30秒の猶予を与え、それでもなお禁止エリアにとどまった場合参加者は死ぬ。
・24時間誰も死ななかった場合、全参加者が死ぬ。
・定時放送は六時間ごとに行われ、禁止エリアは放送内で指定。
・また、4日目の0時に突入した時点で参加者が一人以上いる場合、その時点で生き残っている参加者は全員死亡。

【放送について】
・放送は6時間ごとに行われる。

・放送内容
「禁止エリアの場所と指定される時間」
 →出来るだけ離れた地点を3指定。放送から2時間で進入禁止に
「前回の放送から今回の放送までに死んだキャラ名」
 →死んだ順番に読み上げ
「残りの人数」
 →現在生き残っている人数。
「管理者(黒幕の場合も?)の気まぐれなお話」
 →内容は書き手の裁量で

【作中での時間表記】
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24


【能力制限について】
・進行に著しく影響が出る能力は制限対象となり威力の低減、もしくは使用不可となる。
・参加者の意思疎通に本来の言語は影響しないものとする。読み書きの場合も同様。
・ロシーヌ、ミカエルの飛行能力は高度に制限。
・モンスターと契約した者は契約したモンスターが死んだ際、一緒に死にます。

以下、参戦時期によって変わる参加者について
・グリフィス:フェムト時代からの参戦可能、ただしゴッドハンドの能力はよくわからないので適当に制限かけて下さい。
・フリアエ:ギョロアエの参戦は可能、ただし妹で空を埋め尽くすのは止めて下さい。
・オルステッド:目と口の召喚不可、ピュアオディオへの変身可能

10 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/16(月) 04:51:54 ID:253dsLSE0

【地図】
ttp://dl7.getuploader.com/g/wasigasodateta/183/up0134.jpg

A-2,3 B-2,3 市街地
C-3 逆十字学園@覚悟のススメ
B-5 デスクルス@メタルマックス2リローデッド
B-8 東京タワー@ドラッグオンドラグーン
D-4 断罪の塔@ベルセルク
D-6 魔王山@LIVE A LIVE
E-7 古代遺跡@DQ5
F-2 カテドラル


【SS用キャラのテンプレ】
【エリア(A-1など)/地名/○○日目・時間(深夜・早朝・昼間など)】

【キャラ名@作品名】
[状態]:体調、精神状態、怪我 など
[装備]:装備 手に持ったりとすぐに使える状態の物
[道具]:基本支給品、不明支給品、などリュックに詰まっている物など
[思考・状況]
基本行動方針:ロワ内での基本的指針 
1:
2:
現在の状況での行動・思考の優先順位

[備考]
参戦時期、その他、SS内でのアイテム放置、崩壊など


【書いてもいいぜ!って方へ】

・初心者から経験者の方まで、誰でも歓迎。
・微妙に他のロワとルールが違う部分がありますので、ざっとでいいので目を通しておいて下さい。
・予約の際はトリップ必須、ゲリラ投下の場合は名無しでも大丈夫です。
・予約期間は1週間、報告無しでそれ以上経過すると予約は解除されます。
・予約期間中に書ききれない場合は延長が可能です。
・延長は1週間
・自己リレー可能


まとめwiki:ttp://www34.atwiki.jp/odiobr/

11 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/16(月) 04:56:34 ID:253dsLSE0
こんな早朝に始めといてなんだよ、って感じですが
モズグス、オザワを予約します。

12名無しさん:2012/04/16(月) 20:55:34 ID:cKLQEUuw0
すごい ろわを はっけん してしまった ような きがする

13名無しさん:2012/04/16(月) 21:44:37 ID:cnrvHhLs0
ダーク♂世紀末すぎるwwwwww

14 ◆Cxilshz3Mg:2012/04/16(月) 23:02:22 ID:EEn/DhAsO
一つ質問ですが、MM2Rの主人公は男主人公で名前もケンで固定ですか?
戦車や犬支給の際は、搭載兵器や装備込みで枠は一つでしょうか?

とりあえずケン、アリシア予約します。

15 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/16(月) 23:04:29 ID:253dsLSE0
>>14
一応、漫画があるのでケンとしていますが、
別に名前性別職業変更は構いませんよー

あと、後者の質問に関してはそうです、と。

16名無しさん:2012/04/17(火) 20:04:42 ID:bmWTvYfQ0
質問というかグレーゾーンを知りたいといいますか、
MM2Rの書き手枠でドラムカン(ゲスト出演している3主人公)って有りなんでしょうか?
踏まえて書き手枠でもだしたらアカン枠の境界線あたりを教えてくださると助かります。

17 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/18(水) 00:35:19 ID:DzzDqPt20
>>16
前提条件として、その作品だけで把握出来るキャラにして下さい
ただし、DQ5,真1はリメイク作品がありますので、
リメイク作品に出たキャラは一応可能としておきます。

具体例
・真・女神転生にアリスは出ているが、その時点では普通のゾンビなので魔人 アリスは不可 六本木アリスは可能
・DSDQ5のデボラは可能
・メガCD真1の魔獣 パスカルは可能
・ゲストキャラクターであって、把握にはMM3のプレイを必要とするドラムカンは不可

MM2Rのラスボス、スナザメ、真1の警備システム等、
移動不可と思われるキャラは参戦不可とさせて下さい。

以下、各作品の危うそうなキャラに関して

・ルイ・サイファー:不可
・使徒:モブ使徒で無ければ参戦可能
・ゴッドハンド:不可
・賞金首:移動可能な賞金首は可能
・葉隠四郎:可能
・DODの赤さん:不可
・スカーフェイス:不可
・LALの中世編以外のキャラ:可能


無名キャラに関して、
キャラ立てに関してはゲーム中で行える行動に矛盾がなければどんなのでもどうぞ。

18 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/18(水) 01:19:33 ID:DzzDqPt20
某所でMM2Rのモンスターの支給に関する質問がありましたので、お答えします。

COMPにぶち込めば大丈夫です、ただ賞金首は勘弁して下さい。

19ゴッドボイス(物理) ◆fRBHCfnGJI:2012/04/18(水) 23:32:33 ID:DzzDqPt20
モズグス、オザワ投下します

20ゴッドボイス(物理) ◆fRBHCfnGJI:2012/04/18(水) 23:32:43 ID:DzzDqPt20

カテドラル7階にて。

少なくとも、外見からではその男が殺し合いに巻き込まれるような人間であるとは思えなかっただろう。
白髪に紺色のスーツ、歳相応の皺を重ねた顔はこの様な状況下にいるよりは、公園で孫と戯れている方が似合っている。

(忌々しいメシア教徒め…………私を虚仮にした罪、必ずや味あわせてやる…………)
だが、その心中にて渦巻く思いは如何なるものか。
年月は人を変えるというが、少なくとも30年の年月では男の抱く思いは変わることはなかった。

(…………覚えていろ、メシア教徒。
お前が私に殺人を命令するというのならば、良いだろう。
あの時と何も変わりはしない、新宿を手に入れたあの時のように……私は勝利してみせる。
そして……最後はお前だ、メシア教徒。その神とやらと共に……完膚なきまでに潰してくれる)

強欲であること、傲慢であること、少年の時から何一つとして変わりはしない。

男は男なりの思いを抱き、この殺し合いに挑むことを決めた。

男の名はオザワ、
新宿の支配者であった彼は、この世界で何を成すのだろうか……

21ゴッドボイス(物理) ◆fRBHCfnGJI:2012/04/18(水) 23:32:53 ID:DzzDqPt20



「神の……愛だと…………
言うことに欠いて……邪教徒の分際で…………神の愛だと抜かすか………………この……不心得者がああああ!!」

浮島の大聖堂カテドラル、その頂上にて、吠える男が一人。
吠える男、その顔面は尋常ではない。
まず、その男の顔には一切の丸みが無く、角張った顔面をしている。
そして、その顔に今にも皮膚を突き破らんばかりの勢いで血管を浮かべ、目は怒りで淀ませている。
怒りに打ち震える男、その名をモズグスと言う、
元いた世界では血の教典と呼ばれ恐れられた異端審問官であった。

さて、彼の怒りの原因はこの殺し合いに巻き込まれた故ではない、
彼はただ、先程の場にいた少女が神の愛を騙ったこと、其の事にのみ、激怒している。
そう、神の名を騙ること、それは彼にとって何よりの罪であると言っていい、
彼は神の教義に従い、地上での聖務を遂行することを許された者。
彼及び、彼の所属する法王庁、
それ以外の者が訳知り顔で神の代弁者を気取ることは決して彼にとって許されることではない。

突然の異常事態の際に湧き上がるであろう恐怖、彼の怒りと信仰はそれを塗りつぶした。
彼は決してこの殺し合いに乗ることはないだろう、
この異常事態を引き起こした邪教徒に従うことを、彼は決して許容しない。
然るべき報いを与えてやらねばならないのだ、あの邪教徒に。
貴様が殺せというのならば、よろしい、神罰の剣をその胸に突き立ててやろう、
彼の胸は決意に満ち溢れた、そして……血の教典モズグスのバトルロワイアルが始まったのである。








その後、モズグスの手にかかってオザワは死んだ。僧職系男子(笑)

【オザワ@真・女神転生Ⅰ 死亡】







詳細を語ろう。

22ゴッドボイス(物理) ◆fRBHCfnGJI:2012/04/18(水) 23:33:03 ID:DzzDqPt20



同じ建物にいた以上、二人の出会いは必然的とも言えるものだっただろう。
オザワは周囲を見渡す為に屋上へ、モズグスは降りるために下層へ、
それ故に、8階にて二人は出会った。

「裁かれるべきは、あの邪教徒のみです。
この様な状況下では邪心が入り込んでしまうかも知れませんが、信仰とはすべてを要求するもの。
神の御心のままに、この試練を乗り越えましょう」
「ええ、まったく、私もそう思いますよ」

切々と語るモズグスに、相打ちを打つオザワ。
出会った時からこの様な流れが続いている。


──使えそうな男だな、とオザワは心のなかで独りごちる。
話を聞く限りでは、モズグスは殺し合いに一切乗る気は無く、おめでたくも神を信じるお人好しであるそうだ。
支給品を確認したが、直接武器になる物が無かったオザワにとって、殺し合いに乗っていない相手というのはありがたい。
殺し合いに乗った相手に出くわしたのならば囮にでも使ってやればいい、
良い支給品を持っているのならば隙を見て殺して奪い取る、
2人でいるのならば、殺し合いに乗っていないお人好しに信用される可能性は高い、
そこで集団を作り、ある程度大きくなったのならば、食事に支給品として与えられた毒でも混ぜ込んでやれば良い。
精々、上手く使ってやれば良いのだ。

「ところで、貴方があの邪教徒に如何なる道具を与えられたのですか?」
モズグスの声がオザワの思考を中断させた。

「私ですか……いえ、大したものは…………」
当然、馬鹿正直に支給品を晒すような真似をオザワはしない、
とても武器になりそうにないハズレ支給品のみである、そう思わせておけばいいのだと、デイパックから一冊の本を取り出す。

「私の支給品はこれだけ、ただの本ですよ。この状況では何の役にも立ちません」



「…………ただの本と言うのですか?」

オザワの取り出した本、モズグスはそれを奪い取り、

23ゴッドボイス(物理) ◆fRBHCfnGJI:2012/04/18(水) 23:33:14 ID:DzzDqPt20
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./              /v‐'""`'''─-、``ヽ、:::::/::::::{ r':::/..:///  \ヾ, ヽ! i::レ' ┴┴┴┼i| |V!V ;:;:} }::::::::::::
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     ___,,,,、-‐''"´ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::/ /::::/::;ヽ/.:.:|     ヾ、ヾ;ヽTTTTTT川ノi | ||-<  ̄ ̄
    /     /  /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/;:;:;::::レ':::::/;i ::`i|..:..:ト、::    iヾ;、 ヾ;ヽ二こ彡イ /;j |\_:::`ヽ
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  /       ト /:::::::::::::::::::::::``‐、 `ヽ!;:;:;:;:;:;:;:;:;:__フ´| |  ヽ!_|_,,、-|‐‐''"´ // | \ /  /::::::::::::::::/|ニ彡'rj
___/  ヽ\-、|ヽ ト、 ヾ-、|!::::::::::::::::::``7;:;:;:;:;:;:;:;:;〈_/  |_,、-‐'"| | \   //_/   \/\_/ | --く
  ___,、-ヽ ` \\ヾ リ ヽ', ノ!::::://:/;:;:;:;:;:;:;:;:;、-‐''"´:::/;:;| ヾ,!| |!  ヽ`ー─'′  ____  __
 'フ'"´,ィ ̄,、==== 、 ヾ`´ヾ/レ'´/ ,,.. /;:;:;:;:;:;:;:;/;:;:;|   | ||    }.       /|ヽ     '´
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ヽ;:;:;:;::::::: ヽ=ァ---ァ'==彳//川 ||ヾ`iヾ⌒`彡::::::/  ___ノ ./ |  \ _|_    └一   (_ノ  )
ヽ::::゙i;\ r‐‐'"∠ /ノ,ィ'|/_ノ`i i|!|ヽ| \二ニ>ァ'" |  / |  /   ⊥ 、
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:::::::::::|:::ト、;;ヽ;:;:;:;|.;/ / '´  //゙r'Ti|ヽト、!、\ミ| | ___,、-|/   | /  !!!
'`::::::::|:::}‐゙!;;;',;:rへ、/      ::::: L・! l/ __,,、-‐‐|'"´ヽ   |   /___       _土∠
__;:::::::|::ハ;:`i;;;;|;:`┬─`   ..;-‐‐' /  /       |   ヽ   |   ̄// |  \      ノ日
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24ゴッドボイス(物理) ◆fRBHCfnGJI:2012/04/18(水) 23:33:27 ID:DzzDqPt20

たった、一発。
教典の角での一撃でオザワの命は果てた。

【オザワ@真・女神転生Ⅰ 死亡】


「神が我らに与えた地上の法!その言葉を!教典を!ただの本と抜かすか!!」
死体であること、それはオザワへの攻撃を止める理由にはならなかった。
何度も何度も何度も、教典の角でオザワを打ち付けるモズグス、既に先ほどまでの穏やかな物腰は完全に消え去っていた。

「…………ハァ、ハァ、ハァ、私としたことが……少々熱くなってしまったようです。
裁判も無しに私刑を行なってしまうとは、こういう時に私の弟子達がいればよかったのですが…………」

思いがけず呟いてしまった自分の言葉に自嘲し、ため息をつく。
誰が望むというのだ、この様な状況に愛弟子が巻き込まれてしまうことを。


「…………信仰とはすべて求めるもの、この様な状況だからこそ私が耐え忍ぶことが重要なのでしょう。
我が愛弟子よ、貴方達がいなくても私は大丈夫です。
だから、胸を張って聖務を続けなさい。
貴方達がこの場にいないことを…………私は祈っています」





【F−2/カテドラル7F/1日目/深夜】


【モズグス@ベルセルク】
【状態】健康
【装備】教典@ベルセルク
【道具】基本支給品×2、青酸カリ@現実、不明支給品2〜4
【思考】
基本:邪教徒(この殺し合いの主催者)の打破

25 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/18(水) 23:33:47 ID:DzzDqPt20
以上です、こんな感じでゆる〜くやれればいいと思っています

26 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/19(木) 10:59:23 ID:lUQ4cZZg0
ザ・ヒーロー、葉隠散予約します

27名無しさん:2012/04/19(木) 17:48:35 ID:pZODVju60
投下乙です。
集めたキャラもだけどノリもなかなかにカオスだwwww
序盤だから出来るノリなのか終始このノリなのか色々と楽しみだw

28 ◆Cxilshz3Mg:2012/04/20(金) 19:02:32 ID:5iimylMg0
ケン改めレナとアリシアを投下します。

29Project Metal ◆Cxilshz3Mg:2012/04/20(金) 19:02:56 ID:5iimylMg0

力が無ければ生き残れない、それは当然のことだ。

マリアに拾われ、一流のハンターとして生きていけるように育て上げられて来た。
どんな敵にも負けないほど強く、なんでも知っているマリアに何時も憧れていた。
そう、あの日までは。

グラップラー四天王のうちの一人、テッド・ブロイラーは自分が今まで信じてきた物、身につけてきたことを全て灰にした。
マリアたちが束になっても、あの男には手も足も出なかったのだ。
その後のイリットたちの治療により奇跡的に一命を取りとめ、自分ははっきりと自覚した。
そう、この世界は力が無ければ生き残れないのだと。
今まで信じてきたマリアも、強いと言われていたはずのハンターたちも、皆弱者だったのだ。
町に引きこもっていても、力が無ければ殺されてしまう。
最後に立つのは結局力のある者だということを、再認識した。
生き残るためには、今より力をつける必要がある。
戦車に乗り、賞金首を狩り、より力をつけることが生きることに繋がる。
最終的に信じられるのは自分の力だけ、他人など信用するに値しない。
勝手についてきた二人と一匹にもそのことだけは伝えていた。
そうして生き残るための力を日々磨き、彼女は生き残って来た。
いつしか、グラップラーの総本山であるバイアスシティに辿り着き、その創設者であるブラド博士を怨念まで跡形も無く破壊しつくした。
彼女がそういう行動に出たのは仇をとるとか、そういう概念ではない。
生き残るためにより強い力をつけるための過程でしかなかった。
お前より自分が強い、ただそれだけを知らしめるためだけに彼女は冒険していた。

そして、当ての無い旅の途中にこの殺し合いに招かれた。
彼女の愛した戦車も、武器も、道具も無くなっていた。
だが、それで屈する彼女ではない。たとえ身包みを剥がされようと、生き残っていく術は学んである。
もう、マリアの後ろについていただけの自分は居ないのだ。
こんな場所でもやることは変わらない、自分の力を示して生き残るだけだ。
彼女は落ち着いた表情でデイパックの中にあった道具を確認する。
配られた道具が武器に恵まれていたことに、彼女はツキの良さを確信する。
黄金に光輝く銃に中に白銀に輝く銃弾を込めて、左手にしっかりと携える。
この殺し合いを生き抜こうとデスクルスの電気椅子から立ち上がって歩き出したその時に、彼女の目の前に一人の女性が現れた。

30Project Metal ◆Cxilshz3Mg:2012/04/20(金) 19:03:31 ID:5iimylMg0

勝手に助けを求めてきて、勝手に喋りだした女性の話は不愉快極まりなかった。
一国の王女というヌルい環境で育てられ、王女というだけで周りから優遇され。
ある意味その立場を使って二人の男を翻弄し、挙句の果てに自分の意思だけ一方的に言うだけ伝えて自害と来ていた。
死んだはずの人間が蘇っていることを考えるより、彼女の話の方の内容に吐き気すら覚えていた。
生まれたときからあったものを利用し、自分の良い様に生きてきた。
力も無いくせに自分は偉そうにふんぞり返る、まるでエルニニョのメンドーザのようだった。
耐え切れなくなった彼女は、王女に向けて黄金の銃を向ける。
やめろという声が聞こえるが、彼女は止まらない。
一発の銃声が響き、飛び出した銃弾はキラキラと輝きながら彼女の左肩を貫く。
銃弾の勢いに踏ん張ることすら出来ず、王女は後ろに倒れこむ。
どうしてこんな弱い人間が生き残っているのだと、彼女は怒りに震えながら王女へと近づく。
やめろ、やめてくださいという声と、涙を浮かべて王女は懇願している。
そんな戯言など耳に入るわけも無く、王女を見下ろすように立ちはだかる。
後ろにゆっくりと這って逃げようとする王女の足に銃弾を打ち込む。
激痛に耐えられず、泣き叫びながらその場で悶えている。
その叫び声や表情が、彼女の怒りをより一層高めていく。
自分がどれだけ弱い人間なのか、ということを王女に示すために彼女は攻めの手をやめない。
貴重な銃弾を使うことを止め、今度は潜在能力を引き出しながら王女の右の腕を踏みつける。
パキリと小気味のいい音を立てながら、明後日の方向へと腕が向いている。
王女がさらに大きな声で泣き叫び、彼女の怒りが増していく。
声を出すための空気を吐き出させるために、次は腹部と踏みつける。
当然、王女の貧弱な腹筋ではそれを耐え切ることなど出来ない。
出そうにも出ない掠れ声と共に、黄色い吐瀉物を吐き出す。
ようやく泣き声が止まったところで、呼吸をさせないために胸の辺りを踏みつける。
再び骨が折れる音と共に、何かが裂ける音が聞こえる。
激痛に次ぐ激痛に王女は声すら出せず、ただ悶えることしか出来なかった。
だが、彼女の怒りは止まらない。
王女に馬乗りになるように被さり、その顔面を殴り抜き続けた。
何度も、何度も、何度も。
もはや声すら出せないほど衰弱しきっている王女をひたすらに殴り続けた。
何発目かに王女の全身から力が抜けているのを確認しても、彼女は殴るのをやめなかった。
力の無い者は死ぬ、ただそれだけのことを示すために彼女は動き続けた。

31Project Metal ◆Cxilshz3Mg:2012/04/20(金) 19:03:46 ID:5iimylMg0

しばらくした後、物言わぬ肉塊となった王女の遺体が身につけていたデイパックから道具を回収した。
その後原型を留めていない顔面を横から蹴りつけ、ゴキャリという嫌な音と共に王女だった者の首が宙を舞う。
飛んで行く全く興味を示さず、淡々と彼女は道具を確認する。
王女に支給されていたのは一台の車と、一本の刀と、何枚かの薬草だった。
薬草をデイパックに仕舞って刀を腰にさした後、舐め回すように車を観察した。
殺し合いを暗に示しているような赤のすらっとした軽量ボディ。
エンジンとCユニットは搭載されていても、肝心の兵器を搭載する場所が無かった。
手元に兵器はあっても、搭載する穴が無くては利用することなど出来ない。
しかし、ここは人はおらずとも彼女のよく知る牢獄の街デスクルスと瓜二つ。
まさかと思いながら車に乗りながらある場所を目指した。

「よウこそ、コこは神へノ貢献の間デす」
勘は当たっていた、かつて改造屋が居たところに人型の「何か」が居たのだ。
勿論改造屋だけではない、宿屋、人間用品屋、戦車用品屋、満タンサービス、修理屋。
それぞれに人型のぼんやりとした何かが立っていた。
「アナたが、神に貢献スれば、神は貴方ニ施しヲ与エルでしョウ」
貢献とは何か? 彼女は疑問を口に出した。
「神ト契約せし者ノ証をお持チ下さイ」
神とやらとの契約の証、それは彼女自身の首にも嵌められている首輪であることは容易に想像がついた。
急いで王女の肉塊に駆け寄り、首輪を引き剥がして人型の下へと駆け寄った。
「アリシア、の証と認識しまシた」
ふわりと首輪が舞い上がり、空へと溶けていく。
「ようこそ! シャシー改造屋へ!」
先ほどとは打って変った雰囲気の男とも女とも取れない声が響く。
彼女は人型の何かに、乗ってきた車に機銃の穴を付けろと申し付けた。
すると人型の何かは本職のシャシー改造屋よりも手馴れた手つきで作業を開始し、あっと言う間に機銃の穴をつけてしまった。
「ご利用、ありがとうございましたー!!」
その声と共に、人型の何かは定位置に戻った。

どうやら、首輪を渡すことで何かしらのサービスを受けることが出来るようだ。
生き残るためには力をつけることも必要。
相手を殺し、その首輪でこの場所を生き抜く力が手に入るのならば願ったり叶ったりだ。
手っ取り早く力を手に入れるため、彼女はクルマに乗ってデスクルスを後にした。

力を示し、絶対にこの場で生き残って見せる。
その強い意志と共に、ボンネットに機銃を積んだ車が牢獄の街を駆け出していく。

知る人ぞ知る、グラップラーを壊滅させた女ハンターレナは。
この殺し合いの地でその名を轟かせるのだろうか。

32Project Metal ◆Cxilshz3Mg:2012/04/20(金) 19:04:06 ID:5iimylMg0

【アリシア@LIVE A LIVE 死亡】

【B-5/デスクルス前/1日目/深夜】

【レナ@メタルマックス2:リローデッド】
【状態】健康
【装備】三菱GTO(前期型、改造済み、後述状態表に詳細)@現実+改造、黄金銃@真・女神転生
     銀の銃弾@真・女神転生、ムラマサ@LIVE A LIVE
【道具】基本支給品×2、やくそう*5@ドラゴンクエスト5
【思考】基本:自分の力で生き残る。
     1:戦車をより強力にするために、手っ取り早く首輪を集める。
【備考】女ハンター、サブジョブとしてレスラーをマスターしています。他のサブジョブは不明。

【三菱GTO@現実+改造】
【状態】装甲初期状態
【装備】穴1:ノラバルカン
     穴2〜5:未改造
     エンジン:ルドルフ
     Cユニット:ATストライク
【道具】なし
【備考】特殊弾は搭載できません。装備は全てMM2Rのものです。シャシー重量はスーパーカーと同等だと思っていただいて結構です。

※デスクルスに各施設にヒトの形をした神の使いが居ます。参加者の首輪を渡すことで設備利用が可能です。
 各サービスにどれだけの首輪が必要なのかは不明です。
 (宿屋、満タンサービス、修理屋、シャシー改造屋、人間装備・道具屋、戦車装備・道具屋)

33 ◆Cxilshz3Mg:2012/04/20(金) 19:05:08 ID:5iimylMg0
投下終了です。
デスクルスに勝手な設定を咥えちゃいましたが大丈夫でしょうか……?

34名無しさん:2012/04/20(金) 21:05:25 ID:Mh85Y0qE0
投下乙です。
外道っちゃあ外道なキャラ付けですが面白いキャラになりそうでいい感じですね。
換金、というかこういった形でのサービスはロワ的にいい促進剤でフラグが増えていいんじゃないかなぁと思ったり。
ただ一つ気になるのがこのロワだと首輪つける方針なのかな、っていうのが気になりました。
・主催側はいつでも自由に参加者の心臓を握り潰せる。
ってあったのでどっちかというと契約、呪い的な縛りなのかなぁ、って勝手に思い込んじゃってて。
◆fRBHCfnGJIさんがどういうつもりでああいう風にルール設定していたかわからないので
そこの部分だけすり合わせして貰えるとすっきりするかな、って読んでて思いました。

35 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/21(土) 00:07:40 ID:.iv498AQ0
申し訳ありません、契約に関して書かなかったのはこちらの不手際です。

「首輪」と禁止エリアについてというのは
他ロワにあたる首輪が契約にあたるという意味であり、
その契約の出展がDOD、

契約した人間は自分にとって最も大切な身体機能を一つ失い、
その場所に契約紋章が浮かぶ。そして契約相手の力を手に入れ、通常よりも遥かに強靭な肉体や、
武器に秘められた魔法の発動などといった超常の力を手に入れることができる。

であることを書くのを完全に失念していました。


ちなみに、デスクルスの設定に関しては全く問題ありませんので、
首輪に関するくだりだけ修正して頂けますでしょうか。

36 ◆Cxilshz3Mg:2012/04/21(土) 00:09:35 ID:sncuMJGI0
ご返答ありがとうございます。
首輪、ないし他ロワにおける即死ルールについても理解いたしました。
サクサクっと修正して投下しておきますね。

37Project Metal(>>31修正) ◆Cxilshz3Mg:2012/04/21(土) 00:24:29 ID:sncuMJGI0

しばらくした後、物言わぬ肉塊となった王女の遺体が身につけていたデイパックから道具を回収した。
その後原型を留めていない顔面を横から蹴りつけ、ゴキャリという嫌な音と共に王女だった者の首が宙を舞う。
飛んで行く全く興味を示さず、淡々と彼女は道具を確認する。
王女に支給されていたのは一台の車と、一本の刀と、何枚かの薬草だった。
薬草をデイパックに仕舞って刀を腰にさした後、舐め回すように車を観察した。
殺し合いを暗に示しているような赤のすらっとした軽量ボディ。
エンジンとCユニットは搭載されていても、肝心の兵器を搭載する場所が無かった。
手元に兵器はあっても、搭載する穴が無くては利用することなど出来ない。
しかし、ここは人はおらずとも彼女のよく知る牢獄の街デスクルスと瓜二つ。
まさかと思いながら車に乗りながらある場所を目指した。

「よウこそ、コこは神へノ貢献の間デす」
勘は当たっていた、かつて改造屋が居たところに人型の「何か」が居たのだ。
勿論改造屋だけではない、宿屋、人間用品屋、戦車用品屋、満タンサービス、修理屋。
それぞれに人型のぼんやりとした何かが立っていた。
「アナたが、神に貢献スれば、神は貴方ニ施しヲ与エルでしョウ」
貢献とは何か? 彼女は疑問を口に出した。
「人が生きテいたとイう証をお持チ下さイ」
人が生きていたという証、命の証明。
つまり、人間の心の臓を持って来いと言うことだろう。
急いで王女の肉塊に駆け寄り、胸の辺りを刀で掻っ捌いて心臓を取り出す。
「アリシア、の証と認識しまシた」
ふわりと心臓が舞い上がり、空へと溶けていく。
「ようこそ! シャシー改造屋へ!」
先ほどとは打って変った雰囲気の男とも女とも取れない声が響く。
彼女は人型の何かに、乗ってきた車に機銃の穴を付けろと申し付けた。
すると人型の何かは本職のシャシー改造屋よりも手馴れた手つきで作業を開始し、あっと言う間に機銃の穴をつけてしまった。
「ご利用、ありがとうございましたー!!」
その声と共に、人型の何かは定位置に戻った。

どうやら、参加者の心臓を渡すことで何かしらのサービスを受けることが出来るようだ。
生き残るためには力をつけることも必要。
相手を殺すついでに心臓を手に入れる事で、この場所を生き抜く力が手に入るのならば願ったり叶ったりだ。
手っ取り早く力を手に入れるため、彼女はクルマに乗ってデスクルスを後にした。

力を示し、絶対にこの場で生き残って見せる。
その強い意志と共に、ボンネットに機銃を積んだ車が牢獄の街を駆け出していく。

知る人ぞ知る、グラップラーを壊滅させた女ハンターレナは。
この殺し合いの地でその名を轟かせるのだろうか。

38Project Metal(>>31修正) ◆Cxilshz3Mg:2012/04/21(土) 00:24:47 ID:sncuMJGI0
【アリシア@LIVE A LIVE 死亡】

【B-5/デスクルス前/1日目/深夜】

【レナ@メタルマックス2:リローデッド】
【状態】健康
【装備】三菱GTO(前期型、改造済み、後述状態表に詳細)@現実+改造、黄金銃@真・女神転生
     銀の銃弾@真・女神転生、ムラマサ@LIVE A LIVE
【道具】基本支給品×2、やくそう*5@ドラゴンクエスト5
【思考】基本:自分の力で生き残る。
     1:戦車をより強力にするために、手っ取り早く心臓を集める。
【備考】女ハンター、サブジョブとしてレスラーをマスターしています。他のサブジョブは不明。

【三菱GTO@現実+改造】
【状態】装甲初期状態
【装備】穴1:ノラバルカン
     穴2〜5:未改造
     エンジン:ルドルフ
     Cユニット:ATストライク
【道具】なし
【備考】特殊弾は搭載できません。装備は全てMM2Rのものです。シャシー重量はスーパーカーと同等だと思っていただいて結構です。

※デスクルスに各施設にヒトの形をした神の使いが居ます。参加者の心臓を渡すことで設備利用が可能です。
 各サービスにどれだけの心臓が必要なのかは不明です。
 (宿屋、満タンサービス、修理屋、シャシー改造屋、人間装備・道具屋、戦車装備・道具屋)

39 ◆Cxilshz3Mg:2012/04/21(土) 00:29:48 ID:sncuMJGI0
>>38>>32の状態表修正ッス。申し訳ない。
というわけでさっくり首輪から参加者の心臓に置き換えておきました。
神が契約により心臓を握りつぶすことが出来るなら、コレが自然な形かなーと。

ついでに女の子、ロウヒーロー、書き手枠で記憶喪失の赤髪の男@MM2Rを予約します。

40 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/21(土) 00:42:20 ID:.iv498AQ0
>>39
修正ありがとうございます!
こちらから特にコレ以上の要求はありません、


以下、感想。

語られた経緯、洪水の様に行動の波で押しつぶすレナに圧倒されました。
デスクルスの施設も、こういうの大好きです!ええ!

稚拙な感想ですが、本当に面白かったとだけ言わせて下さい。

41世紀末救 世/星 主伝説 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/22(日) 19:17:45 ID:thqBgynQ0

星煌く宇宙の中に僕が映る

人の姿をした獣が映っている

嗚呼、なんということだろうか

その御美目に僕を捉えた彼の姿はこんなにも美しいというのに

周りが美しいからこそ、その星煌く宇宙のような御美目の中の僕はひどく醜い

二つの宇宙が僕の目の前に迫る

共に来ないか、と優しく僕に語りかける

僕は何も答えられなかった

彼は口元に咲き誇る二輪の美薔薇を僕の口元へと近づける

もしも、その燃える口づけを受け入れてしまえば僕はどうなるのだろうか






僕は────

42世紀末救 世/星 主伝説 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/22(日) 19:17:56 ID:thqBgynQ0



美という概念に人の姿を与え、白き聖衣を着せたならば、それはまさしく葉隠散のことだろう。
燃え盛る焔のような髪の毛は一本一本に至るまで天上の者が紡ぐ糸の如し、
その御美目、丹念に磨き上げられたエメラルドすらくすむ程の輝き、
口元には柔らかく淑やかな美薔薇が2輪、
その皮膚の白く柔らかいこと言葉には言い表せず、その爪の先に至るまでまさに美の結晶。

この様な悪趣味な殺し合いに呼ばれたといえど、散の美しさ微塵も衰えることなく、
D-7森林地帯、周囲の木々の中、見事な薔薇として彼は咲いていた。




「踏みしめる土の豊かなこと、周囲の緑たおやかに、そよ吹く風心地良く…………」
元いた世界には無かった溢れる緑、散は全身でそれを味わっていた。

「……だが、哀しいかな散の宿命。この美しい自然をドス黒き人間の血で汚さねばならない」
しばらく緑を堪能した後、物憂げな表情を浮かべ歩き始める散。

発せられるこの言葉、神の意思に従い殺し合いに乗る故か?
否!

「神を気取る者よ!この散!死合いに乗る気まるで無し!!」

響き渡るは燃える歌声!炎の叫び!

       ココロ
「この散に認識捧げし臣!臆病風に吹かれ殺して何が王だ!何を美しいといえる!」

散はその美しさによって気づいていた、
愛すべき臣下がこの世界に呼び寄せられていることを。
散は王である、王とは美しいものである、
美しく在る散に臣下と世界を共にしていることなど、感じられないはずがない。

                    コキョウ
「散の夢何一つ変わらず!瀕死の星に万物一体の境地成し遂げること!
ならばこそ、この場にいようとも続けよう!人類抹殺!
だが決して!それは醜き神に従うことにあらず!人類抹殺と共に成そう!愚神討伐!」






「…………駄目だよ」

43世紀末救 世/星 主伝説 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/22(日) 19:18:07 ID:thqBgynQ0

森の中にて御美声を張り上げる散、
ザ・ヒーローはその声に気づき剣を携え、駆ける。
見極めなければ、その思いが心の中に溢れだす。

「…………駄目だよ」

散のもとに辿り着き、一言呟いた。

「君が人間だったのならば、僕は君のあらゆる行動を肯定出来た。
でも、駄目だ。君は人間じゃない」
「人間なぞとっくに捨てた!ここに居るのは超越の者!現人鬼葉隠散!」
「…………僕は人類の未来を守る者、ザ・ヒーロー。もう、言葉は要らないだろう?僕は君を殺す」
「笑止!この私の前にただの人間など塵芥も同然」
言葉も終わらない内にザ・ヒーローの体が跳ねた、
一足の内に、持っていた剣にて散の御美体へと斬りつける、
だが、剣は空を斬った。
散の御美足は地を離れ、華麗に宙を舞う。
「零式超吸着掌打!」
剣を避けられたザ・ヒーロー、当たれば皮を剥ぐ御美手、零式超吸着掌打の接近を許す。
だがその掌は届かない、咄嗟の蹴りが散の御美手を退ける。
蹴りの反動を利用して数歩分の後退、と同時に散が地面へと舞い戻る。

互い互いが手を伸ばせば届く距離、そこには確かに死の間合いが存在していた。

44世紀末救 世/星 主伝説 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/22(日) 19:18:17 ID:thqBgynQ0



「……………………」
「……………………」

沈黙だけが其処に在った。
動けば死ぬ、動かねば死ぬ。

どこまで動くべきか、どこまで動かぬべきか、
ただ両者共に、それを推し量っていた。






どちらが先とも言えない瞬きが、勝負の再開を告げた。

45世紀末救 世/星 主伝説 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/22(日) 19:18:27 ID:thqBgynQ0

再開した死合いの終わりは直ぐだった。

葉隠散の上腹部骨部はぶち砕かれ、
気合で抑えているが、ザ・ヒーローの口からは内臓が溢れ出んとしている。


三つ、ザ・ヒーローの知らない事実がある。
まず一つ目、彼が散を斬りつけた剣の名前を天空の剣という。
さてこの剣、天空の勇者にしか振ることを許されていない、
もしも天空の勇者以外の者がこの剣を握ったならば、
その重さは屈強な男数人がかりでやっと持ち上げることが出来るものに変化する。
何故、ザ・ヒーローがこの剣を触れたのか、神すら屠るその筋力で無理矢理に振っていたにすぎない。

二つ目、
葉隠散の体には零式鉄球という鉄球が埋め込まれている。
その汎用性は広く、
メタルスキンとなり弾丸を弾くこと、
投擲武器となって敵を討つこと、
バラバラになった肢体を繋ぎ合わせることなど、非常に幅広い。

さて、散が今纏っている聖衣、それはまさしく、変形した零式鉄球である。

つまり、散が骨折しているだけで済んでいるのは、
ザ・ヒーローが斬りつけたのが、
その零式鉄球で作られた聖衣によって纏われた散の御美体だったからである。

そして最後、
散の使う格闘技の名は零式防衛術。
当てたならば、それで死に至らしめるのに十分なのである。

46世紀末救 世/星 主伝説 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/22(日) 19:18:38 ID:thqBgynQ0

散により受けた掌打、
それによってザ・ヒーローの内臓は大蛇のごとくのた打ち回り、口から今にも飛び出さんとしていた。

ただただ、気合だけで死亡を防ぐザ・ヒーローにゆっくりと散が近づいていった。

「…………よく私に当てた、見事であった」
賞賛する散に対し、
ザ・ヒーローが許されるのはふごふごと返事ともつかぬ言葉を呻くだけ。

「さて…………
愚神討伐!お前も散と共に来い!」

ザ・ヒーローの目が驚愕に染まった。

「散の臣は、元は私を討つために来た人類の勇将!
お前もまたそうだ!私を討とうとしたことなど関係ない!私のものになれ!」

ザ・ヒーローに、散の唇が迫る。

47世紀末救 世/星 主伝説 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/22(日) 19:18:55 ID:thqBgynQ0




ザ・ヒーローは幾多もの人の死と共にあった。

母は悪魔に殺された、
知人も友人も……運命によって選ばれたパートナーも核の炎によって焼きつくされた。
幼馴染は腐った動く肉塊にされた末に、天に召された。
核の炎によって崩壊した東京、そこでも必死に生きる人間、全ては水の底に沈んだ。
愛してくれた悪魔を撃ち殺した。
悪魔を身に宿した親友の心の臓を突いた。
神の手によって蘇った親友の首を刎ねた。

1人死ぬ度に、心に積み重なるものがあった。
血を浴びる度に、染め上がる意思があった。

肉を裂く度に、磨り減る心があった。
弾丸を放つ度に、消えていくものがあった。









嗚呼、憎い。■■が憎い。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
                                    憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
「散の臣は、元は私を討つために来た人類の勇将!  憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
お前もまたそうだ!私を討とうとしたことなど関係ない!私のものになれ!」   . 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
                                    憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い


嗚呼!彼の言葉は僕の脳を蕩けさせる、
きっと、彼は心の底からに臣下となるものを大切に思っているのだろう。
だからこそ……その言葉は甘く浸透する。

過去にあった何もかもを捨ててしまおう、彼に身を委ねてしまおう。

そうすれば僕は幸福になれる…………

幸福に……

幸福……






ハッピーエンドは失われた

48世紀末救 世/星 主伝説 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/22(日) 19:19:26 ID:thqBgynQ0



パチン

頬への衝撃の正体がザ・ヒーローのビンタであることに気づくのに、散は1秒の時を要した。
呆ける散を尻目に、ザ・ヒーローは手で無理矢理に内臓を押し込める。

「ありがとう、君のお陰で初心を思い出せたよ」
デイパックを開き、その中の世界樹のしずくを口の中に流しこむ。

「何人も何人も、君みたいな存在のために死んだ。
人間でありながら、その運命は人外の者によって定められた。
君はさっき人類抹殺と言ったね、僕はそれでもいいと思った。
君がもしも人間ならば、人間ならば人間を滅ぼしてもいいと思ったんだ」
「…………」

「君のお陰で覚悟は決まった、僕はこの殺し合いに乗る。
この場に居る悪魔全てを殺し、この場に居る人間全てが神と契約して人外になる機を潰し、
そして、僕が神と契約して、全ての悪魔を駆逐する……駆逐してみせる」
「おまえは……人類を守護するものではないのか?」

語りながら、ザ・ヒーローは再度デイパックの中に手を入れる。

「僕は、人類の未来を守る。
混沌の道だろうが、秩序の道だろうが、どちらでもない道だろうが、滅びへの道だろうが、どうだっていい。
人類が人類自身で未来を選ぶ権利……僕はそれを守る、
母も友も何一つとして守れない僕は……それぐらいしか守れないしね」

ザ・ヒーローがデイパックから取り出したのは1枚の翼であった。

「まだまだ、君には勝てそうにはない。
だから、また会おう。僕はかならず君を殺してみせる」

その名をキメラのつばさ、エリア間をランダムにワープするアイテムである。



【エリアD-7/森林地帯/1日目/深夜】

【葉隠散@覚悟のススメ】
[状態]:美しい、上腹部骨部骨折
[装備]:無し
[道具]:基本支給品1式、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:人類抹殺!愚神討伐!

[備考]
正しいから死んでません

【エリア???/???/1日目/深夜】

【ザ・ヒーロー@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:健康
[装備]:天空の剣
[道具]:基本支給品1式、キメラの翼4枚
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに勝ち残り、神と契約する

[備考]
キメラの翼によりランダム移動中です、着地地点はお任せします

49世紀末救 世/星 主伝説 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/22(日) 19:19:48 ID:thqBgynQ0
以上

50世紀末救 世/星 主伝説 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/22(日) 19:20:29 ID:thqBgynQ0
今週は書けそうにありませんので、
次のキャラは来週以降予約します

51名無しさん:2012/04/22(日) 20:04:03 ID:zG2ZYVO60
どこからどう見てもツッコミどころ満載なのに正しく思えちまう散様節すげえ
ったか地の文ノリノリだろw
でもあの魅力に惹き込まれちまうかと思ったヒーローが覚悟完了したのにはびっくり
悲壮なれどその行動方針には納得した

52名無しさん:2012/04/22(日) 22:51:57 ID:sJegKDok0
投下乙!
さすが神と殴りあうアホは対処法もアホだな……
無理やり天空の剣を振るうとかwwwww
状態表美しいとかwwwww

53名無しさん:2012/04/22(日) 22:52:16 ID:vTFrUp7I0
ロウにもカオスにもよらないザ・ヒーローをロウもカオスも受け入れて悪魔を憎むって解釈に持ってきたか。
こういう解釈もいいなぁ。
MMのレナといい、無銘キャラの設定付けが楽しいロワになりそうだ。

54 ◆Cxilshz3Mg:2012/04/25(水) 15:04:51 ID:rpqCIm0AO
そういえばハンドベルトコンピューターの支給上限数ってロワ全体で一台のみですか?

55 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/25(水) 17:43:07 ID:DfOknGFw0
>>54
特に制限はありません。

56 ◆Cxilshz3Mg:2012/04/27(金) 01:56:25 ID:/IxuHXBE0
>>55
回答ありがとうございます。
さて、投下します。

57Messiah ◆Cxilshz3Mg:2012/04/27(金) 01:58:01 ID:/IxuHXBE0
「それ」は、神と呼ばれていた。
遙か高い山の頂上に位置する町の神社に祀られていた。
人々は姿を忘れ、ただ神という存在を崇めていた。
そんな戦神の伝説が色濃く残る町にひとりの少女が現れた。
少女は犬を餌付けて仲間にし、ありとあらゆる錠前をこじ開ける道具を用いて神社へと立ち入った。
力を欲する少女の手により息を吹き込まれたそれは、神主が見守る中荒野へと駆け出して行った。
空を飛ぶ者を制する術を持つその戦車は、少女の手により新たな力を手に入れた。
二度高速な雷撃を放つ能力と、戦車を司る二つの頭脳との組み合わせによる強力な攻撃手段。
正に神の裁きと呼ぶに相応しいその攻撃で、同じく神と呼ばれていた鳥を打ち落とした。
少女の活躍と共に、いつしか「それ」は雷神と呼ばれていた。

もう、どれほど走っただろうか。
この殺し合いに呼ばれ、まさかいきなり死にそうな目にあうとは微塵も考えていなかった。
小さな足を働かせ、迫り来る攻撃を避け続け。
お世辞にも豊富とはいえない体力を振り絞りながら、必死で逃げている。
顔の横を掠めていくのは、兄の操る物とは全く違う雷。
それが母の手によって短く整えられた黒い髪を焦がしていく。
彼女が知る由も無いのだが、この雷は魔力によって生み出されたものではない。
故に、マホカンタで反射と言う手段も通用しない。かといって立ち止まれば鉄の塊の下敷きになってしまう。
イオナズンでも動きを止めることが叶わないと分かった以上、彼女には逃げるという選択肢しか残されていなかった。
これで、鉄の塊の動きが遅ければ逃げることも可能だったのかもしれないが。
雷を打つときは止まっているものの、無尽蔵に撃たれ続ける雷に対して安全な逃げ場など無く。
攻撃の手が止んでも、小さな体を追い詰めんとその外見からは想像できない速度で追い詰めてくる。
「あっ……!」
溜まりきった疲労に打ち勝てず、アスファルトに地を取られて盛大に転んでしまう。
顔と膝をすりむいたことを確認する間もなく雷は襲い掛かってくる。
「うあ、あっ!」
咄嗟の判断で横に転がるも、あらゆる方向に放たれる雷の一つに体を貫かれてしまう。
全身が焼けるように熱く燃え上がり、腕や足が言うことを利かない。
まごついている内に、鉄の塊が目前まで迫ってくる。
「助けて……お父さん、お母さん、お兄ちゃん、みんな!」
零れた大粒の涙が、頬を伝って地面に落ちる。
誰も助けてくれない、こんな場所にそんな人など居ないのだと。
彼女は、ゆっくりと目を瞑った。

58Messiah ◆Cxilshz3Mg:2012/04/27(金) 01:58:17 ID:/IxuHXBE0
彼は神と契約し、メシアとして生まれ変わった。
次に目覚めた時には、この場所にいた。
少女は「神との完全な契約のために、殺せ!」言った。
彼がその言葉を理解するのにはさほど時間はかからなかった。
自分はメシアだ、人類を救済するための存在なのだ。
しかし神は自分に十分な力を与えなかった、神は自分がメシアに相応しい人間かどうかをまだ見極めきっていないと判断したのだ。
言うなれば、この殺し合いは試練だ。
呼び集められた咎人を神の代理者として裁けるか、本当にメシアとして相応しい人間なのかを試しているのだ。
そう理解した彼のその後の行動は驚くほど早かった。
支給された物資の内の一つ、対空戦車に乗り込み操縦を開始した。
咎人に裁きを与えるために、彼は雷神を操る処刑人となった。
「はははは!! どれだけ逃げても無駄ですよ! 大人しく神の裁きを受けなさい!!!」
男は「雷神」の操縦席で高らかに笑い続ける。
彼の目に映っている一人の少女を裁かんと雷を放ち続ける。
車体の操縦は出来ても、兵器の狙いを定める事などズブの素人の彼には到底無理な話だ。
しかし、下手な鉄砲数打ちゃ当たるとは良く言ったものだ。
戦車に搭載されていた二つの頭脳が発射数を爆発的に増やし、三基のレーダーが狙いを定める目を持っていない彼の代わりに狙いを少しずつ修正する。
素人が操っても驚異となる、それが雷神たる所以の一つでもあった。
「ようやく、大人しくなりましたね」
操縦席の画面に泣き顔の少女が写る。
最後の最後で泣き落とさせようとするなど、なんと汚い咎人だと彼は思った。
しかしその咎人を自分の手で裁く事で、神に対する忠誠の証となる。
自分は選ばれしメシアだ、咎を戒め善を勧め人を救う者なのだ。
こんな所で立ち止まっている場合ではないと言い聞かせ、少女の姿を借りた咎人を裁かんと戦車を進めた。
「さあ、懺悔なさい!」

高速回転する螺旋の先端から、無数の雷が一人の少女に伸びる。
地に伏した少女の眼から溢れ出る涙が大地を潤す。
救世主を背負う者の神の裁きが少女の体を貫こうとしたその時。

朱く、紅く燃え上がる一筋の焔が巻き起こった。

59Messiah ◆Cxilshz3Mg:2012/04/27(金) 01:58:33 ID:/IxuHXBE0

雷神と少女の間に割って入るように現れた赤髪の男は、流れるように倒れていた少女の腕を掴んで掬い上げ、素早く麻痺を解くマヒノンを与えた。
「助かりてぇか?」
現状を飲み込めない少女がきょとんとした表情を浮かべているにも関わらず、男は少女の目をまっすぐ見つめて問いかける。
「助かりてぇんじゃねえのか?! アレに勝てないんだろ?!」
鬼気迫る男の表情にまた泣きそうになるが、すばやく顔を上下に振る。
すると男は少女の手にバイクのハンドルを握らせ、自分の道具を少女に持たせてからある装置の電源を入れた。
「死にたくなきゃ離すなよ!」
男の髪の毛のように燃え上がる赤いバイクが急発進する。
突然の加速に小さな体は持っていかれそうになるが、男の言葉のおかげかハンドルからは絶対に手を離さなかった。
「行ったか……おっと!」
赤いバイクが爆速で過ぎ去っていったのを確認してから、男は飛んでくる雷を華麗に避けた。
目の前にある鉄の悪を斬るために、手に握る刀を構えなおし戦車へと向かう。

赤髪の男は記憶を失っていた。
ここはどこなのか? 自分が何者なのか? 自分の名前はいったい何なのか?
ありとあらゆる情報を失っていた。
ただ、彼が覚えていたのは「とてつもない戦いを経験した」ということだけ。
記憶を求めて転移装置に飛び込んではその地を彷徨い、また次の地へと向かう。
戦いの方法や、戦車の動かし方、体で覚えていたことは思い出せても自分のことは一切思い出せなかった。
そうしているうちに、この場に呼ばれて殺し合いを命じられた。
自分が何者なのか、名前すらも思い出せない、そんな自分が生き残るために他人を殺したところでなんの利益もない。
別にこのまま自分が何者なのかわからないまま死ぬのもかまわないとすら思っていた。
ただ、折角だったら。
誰かを助けられるヒーローになるのもいいかもしれない、そう考えて支給されていたバイクを走らせていた。
そう考えてまもなく、黒髪の少女が倒れているのを見つけたのであった。

60Messiah ◆Cxilshz3Mg:2012/04/27(金) 01:59:01 ID:/IxuHXBE0

「オラオラ! どうした! んな攻撃じゃ健康優良不良青年は倒せねえぜ!」
体の奥底で憶えている感覚を頼りに、飄々と男は立ち回る。
レーダーの力があったとしても、所詮は素人の操る戦車。
その動きを読みきって回避することなど、歴戦の兵である彼には朝飯前の話だ。
もちろん、歴戦の兵だったのは彼が記憶を失う前の話なのだが。
「そらっ!」
男の持つ刀は車を斬る為に生まれた業物である。
そこに男の超常的な力が加われば、戦車の分厚い装甲と言えど人の攻撃を受け止めるのは難しい。
一撃が装甲を貫き、一基のレーダーを大破させる。
が、一基のレーダーを破壊しても決定打には至らない。
戦車からは相変わらず、鋭い雷が男の命を奪わんと縦横無尽に飛び交っている。
続けて攻撃するのは無理だと判断し、刀を振るうのを止めて迫っている雷を避ける。
「このまま行ってもジリ貧だぞ……」
あの雷が強力であるのは確か。
素人の射撃である以上、ピンポイントに狙ってくることはない。
しかし今は避け切れているが、全く予測できない方向へ撃ってくる可能性もある。
長期戦になればなるほど縦横無尽に飛んでくる雷の餌食になる確率が上がる。
早く決着をつけないと、勝ち目は薄くなる一方だ。
「……どうなるかわかんねえけど、やるしかねぇ!」
体が覚えている感覚を頼りに突き進む。
再び合間を縫うように雷を避け、戦車へと肉迫していく。
もう一度戦車を射程に捉えたとき、雷の攻め手が止まった。
この機を逃すわけにはいかないと、強く地面を蹴って空へと駆け出す。
そして、体が覚えている場所へと刀を深く突き刺す。
何かに傷が入る音が響き、戦車がわずかに黒煙を吹く。
刀を戦車に突き刺したまま、車体へとスライドさせていく。
大きな一文字を描き斬ろうとしたとき。
法衣の男が戦車からひょっこりと現れていた。

「がッ……!」
次の瞬間、赤髪の男は近くのビルに叩きつけられていた。
法衣の男から放たれた見えない衝撃波により吹き飛ばされていたのだ。
赤髪の男の体にはありとあらゆる戦いの記憶が刻み込まれている。
しかし、記憶を失う前の彼ですら見たことのない事象に対しては流石に反応できない。
それが「魔法」である。
もとより住んでいた世界に魔法など存在せず、それを攻撃手段に使うことなど考える事などありえないことだった。
「神による裁きを拒むとは……仕方がありません、私が直々に裁いてあげましょう」
戦車に突き刺さった刀を引き抜き、魔法を唱えながら男に近づく。
起き上がろうとする赤髪の男を阻むように、衝撃波が襲い掛かる。
未知の攻撃に手も足も出ない赤髪の男の目の前に、法衣の男は悠々と辿り着いた。
「さあ、懺悔なさい」
構えた妙な銃から一発の銃弾が放たれ、赤髪の男の腹部に大きな穴がポッカリと空く。
それだけではない、穴を中心に赤髪の男の体が石になっていくのである。
何が起こっているのか理解しようとする前に、赤髪の男の全身は石になった。
そして法衣の男の刀によって、粉々に砕かれてしまった。

「しかし、この戦車は扱いづらい……ですが、神が私に与えたもうた武器。
 ありがたく使わせていただかねばいけませんね」
赤髪の男を難なく殺した後、悠々と戦車に乗り込んで一人ごちる。
だが、彼の表情は愉悦に満ちていた。
これから、彼の手による「制裁」が始まるのだ。
罪を犯した人々を自らの手で裁き、神に認めてもらう。
そうして「救世主」となることを考えるだけで、じっとしているわけにはいかない。
一刻も早く、多くの罪人を裁くために彼は「雷神」と呼ばれた戦車を走らせた。

61Messiah ◆Cxilshz3Mg:2012/04/27(金) 01:59:18 ID:/IxuHXBE0
【記憶喪失の赤髪の男@MM2R 死亡】

【エリアB-2/市街地→どこかへ/1日目/深夜】
【ソラ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
【状態】顔と膝を負傷
【装備】サイファイ@MM2R
【道具】基本支給品、不明支給品(1〜3)
【思考】家族に会いたい
【備考】ドッグシステムによりどこに向かっているかはお任せします。

【サイファイ(リュウセイ)@メタルマックス2:リローデッド】
【状態】ドッグシステムによるステルスモード
【装備】穴1:機銃穴
     穴2:大砲穴
     穴3:SE穴
     穴4:チタンソード
     エンジン:トルネードV
     Cユニット1:サンバカーニバル
     Cユニット2:空冷雷神
【道具】ドッグシステム(放送ごとに一回使用可能、地図上の施設に向かい高速ステルス走行を行う、移動時間は最長二時間ほど)

【エリアB-2/市街地/1日目/深夜】
【ロウヒーロー@真・女神転生】
【状態】健康
【装備】ゲパルト@MM2R、ギガスマッシャー@真・女神転生、メデューサの弾@真・女神転生、斬車刀@MM2R
【道具】基本支給品
【思考】基本:神の雷で裁きを与える
【備考】メシアとして転生直後

【ゲパルト(ゲパルトヘクセS)@メタルマックス2:リローデッド】
【状態】装甲減少(中)、WCユニット
【装備】穴1:ドリルブラストⅡ
     穴2〜4:タキオンレーダー
     穴5:大砲穴
     エンジン:ルドルフ
     Cユニット1:電撃的アミーゴ
     Cユニット2:ダーティーハリー
【道具】なし

62 ◆Cxilshz3Mg:2012/04/27(金) 02:00:07 ID:/IxuHXBE0
投下終了です。
戦車は状態表食うのがネックですね……そろそろ出しすぎな気もするので自重するかも。
ドッグシステムはこんな感じに扱うのがベストかなあと思いました。

何かありましたらどうぞ。

63 ◆w3jhWtfiTI:2012/04/28(土) 02:14:11 ID:q15FQ7GQ0
これは、面白そうなロワを見つけた……!
オルステッド、ゆりこ 予約お願いします。

64 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/28(土) 21:56:08 ID:n8FFV.2U0
投下乙です!

ロウヒーローは厄介な支給品を手に入れてしまったなぁ、
そして男を見せて逝った記憶喪失の赤髪の男が本当に格好いい!
そして、これからのソラの運命やいかに!

胸踊らせるSS投下、ありがとうございました!



カオスヒーロー、イウヴァルトを予約します

65 ◆w3jhWtfiTI:2012/04/29(日) 23:04:06 ID:wMfHmiEk0
すみません、メガテン勢について質問なのですが、
ザ・ヒーローやカオスヒーローというのは役職名や通り名みたいなものであって、
ゲーム中に入力する名前として本名は別にあると捉えてもよろしいでしょうか。
またそれでいい場合、名前(フツオやショウなど)はどうしたらいいでしょうか。

66 ◆fRBHCfnGJI:2012/04/29(日) 23:13:42 ID:gdvQWQjI0
>>65
その認識で大丈夫です。
名前に関しては、先のSSに矛盾しない限り、
一番最初にそのキャラの名前に関する話を書いたSSに登場した名前をそのキャラクターの本名とします。
何か回りくどい言い方ですが、一応質問にお応えできたならば幸いです

67 ◆w3jhWtfiTI:2012/04/30(月) 02:42:51 ID:Oq/GXZA20
ご回答ありがとうございます。
ではザ・ヒーロー=フツオ、カオスヒーロー=ワルオとさせていただきますね
(あくまでゆりこ視点なので、並行世界の別人の可能性もありますが)

若干長くなってしまいましたが、オルステッド、ゆりこ投下します。

68Hurry Up To Exit  ◆w3jhWtfiTI:2012/04/30(月) 02:44:38 ID:Oq/GXZA20
冷たい石造りの部屋で、壁にかかった松明が弱々しく揺らめき、恐怖と不安を演出する。
部屋の中央には周囲の闇を凝縮したかのような、禍々しい気配を放つ黒々とした怪物が鎮座している。
その正面に、ふわりとした豪奢なドレスに身を包んだ女がひとり。
眼前の暗黒より発せられる圧倒的な気迫にあてられて、女は顔中に恐怖の色を浮かべながらあとじさった。

「助けて……オルステッド……」

か細い声は闇に飲まれ、わずかな希望も潰えるかと思われた――――まさにその時。

今まで固く閉ざされていた扉が、勢いよく開け放たれた。
あらわれた人影は部屋の様子を一瞥すると、すぐさま異形の魔物に斬りかかる。
振るわれるは勇者の剣。
一刃のもとに、魔物は倒れ伏した。

女は、今まさに名を呼んだ相手が助けに来てくれたのだと悟り、一目散に男の元へ走った。
男の方も、多少くたびれてはいるものの目立った外傷のない女の姿を見て、安堵の息を漏らす。
男は駆け寄ってきた女をしっかりと抱き留めて、女の淡い紫をした髪を優しく撫でながら
ようやく訪れた再会の時を喜んだ。


――しかし次の瞬間、男が再び女の方に視線を落とした時には。
  いつのまにか女は、一糸纏わぬあられもない姿となっていた。

薄闇の中で、女の陶器のように白い肌のみが周囲から浮かび上がっている。
見事に形作られた曲線美は、まるで神の手により特別に生み出されたとでもいうかのように、完璧であった。
されど女が衣の代わりに纏うものは、清らかな天使の風ではなく、
人間を堕落へと誘う、悪魔や魔女の妖気といったほうがふさわしかった。

頽廃的で下卑た、濃密な“女”の気配を漂わせながら、高貴なる姫は
平素の楚々とした振る舞いからは全く想像することのできない、妖艶な笑みを浮かべる。
テラスで見せたものとも異なる女の様子に対して男が戸惑いを示すも、
女は構わずにその美しい肢体を蛇のようにくねらせて、ねっとりと男へと絡みついていく。

蠱惑的な唇が、男の口に重なるかと思われるほどの距離にまで近づいたところで、

「あなたのこと、ずっと待っていたのよ……」

女は甘くとろけるような声で、男へと囁いた――――



69Hurry Up To Exit  ◆w3jhWtfiTI:2012/04/30(月) 02:46:07 ID:Oq/GXZA20
男がハッと目を覚ますと、自身の顔をまじまじと覗き込んでいた見知らぬ女と目が合った。
それに気付いた男は、まだ眠りの余韻を引きずっている体に無理やり指示をとばして跳躍し、
一気に女から距離をとって身構える。

男の名はオルステッド。
とある国の剣士であったが、今は国王殺害の罪によって国中の者から追われる立場にあった。
幻術に惑わされたこととはいえ、オルステッドが王の命を奪ってしまったことは事実である。
いつかしかるべき罰を受けることも覚悟していたし、事実一度は自ら出頭した経緯もある。

だがしかし、今しばらくは――自分のことを信じ待ってくれる者がいる、今だけは。
命がけで牢から出してくれた仲間のためにも、道半ばで斃れた仲間のためにも、
再び捕まるわけにはいかなかった。

今こうしている合間にも姫の身に危険が迫っているかと思うと、ただただ時間が惜しく、
邪魔立てするのならば斬ると、威嚇の意味を込めて剣を抜こうと腰元に手を伸ばす。
しかし掴んだのは空気だけであり、いつもあるはずの場所に柄はない。
――剣を奪われた!?
オルステッドは、目の前で悠々とたたずむ黒髪の女を睨み付けた。

「あら。いきなりずいぶんなご挨拶ね。
 言っておくけれど、私があなたの武器を盗ったわけじゃないわよ」

艶っぽい長髪を軽くかき上げながら、女は余裕の表情でオルステッドの視線をいなす。
女の装備は胸元がひどく強調されたドレスのみで、見たところ丸腰のようであった。

「それともあなたは……あの女の子が言うとおりに、殺し合いをするつもりなのかしら?」

女の子? 殺し合い?
女の口から漏れる身に覚えのない単語に、オルステッドは眉をひそめた。

70Hurry Up To Exit  ◆w3jhWtfiTI:2012/04/30(月) 02:46:56 ID:Oq/GXZA20
そもそも、と。ようやく夢の残滓が消え去り、落ち着きを取り戻し始めた頭でオルステッドは考える。
つい今しがたまで、自分は魔王山にいたはずであった。
立ちはだかるモンスター達を次々と斬り伏せていって奥地まで進み、
スライム状のものを身に纏う合成人間を相手に戦っていたところで……オルステッドの記憶は途切れる。
魔物のあまいささやきにより朦朧とした意識の中、足掻いて剣を振るっていたことだけは微かに覚えていた。

しかし、今のこの状況には全くつながらない。
女への警戒を解かぬままに辺りを軽く見回すと、魔王山の岩肌も辺りに立ち込めていた瘴気も消え失せており、
ルクレチアの城下町ともまた異なる、見たことのない街並みが夜闇の中に広がっていた。

「もしかして、なんで自分がここにいることになったかわかっていないの?」

男の狼狽ぶりを見て、女は信じられないといったように声を上げる。
オルステッドは改めて、自分の状態を確認する。
腰に差していた剣が鞘ごとなくなっているほかは、特段いつもと変わった様子はない。
それになぜか、モンスターから受けていたはずの傷が回復している。
今度はいくぶん敵意を引っ込めて、青い服の女に視線を投げる。

女はオルステッドの姿を見ても、怯えも憎しみも見せなかった。
女の顔つきや身なりから推測するに、自分とは違う人種であるように思える。
もしかしたらルクレチアの者ではないのかもしれない。
気絶していた自分に対して、特に何も危害を加えられていないことからすると、
少なくとも今すぐにどうこうしようとは思っていないとみて問題なかろうか。

何はともあれ、とりあえずは現状を把握しなければならない。
自分の知らないことを、相手は知っていると言う。
全幅の信頼を置くというわけにはいかないが、オルステッドは四肢の緊張を解いて、
先ほどの女の言葉にうなずいた。
女はオルステッドの行動を受けて、口元を緩める。

「――そう。ウフフフフ……怖がらなくても大丈夫よ……。
 私の名は、ゆりこ。……あなたのこと、ずっと待っていたような気もするわ」

そう言って女が浮かべた笑みは、夢の中で最後に見たものと全く同じ。
妖しく淫らな、娼婦のそれであった。



71Hurry Up To Exit  ◆w3jhWtfiTI:2012/04/30(月) 02:47:44 ID:Oq/GXZA20
この殺し合いの始まりを告げられた場所において。
ゆりこは自身と離れた位置にザ・ヒーローの姿があることを、しっかりと確認していた。
ずっと思い焦がれていた相手である。見落としや見間違いがあるはずはない。

フツオの強さだったら、なにがでてきても大丈夫…………と楽観することはできなかった。

あそこにいたたくさんの人間達が、それぞれどんな思想を持っているかなど知る由もない。
殺人を厭わない者。恐怖に駆られて他者に刃を向ける者。
もし一斉に襲い掛かられたりしたら、ザ・ヒーローでも無事には済まないかもしれない。

そして何より厄介なのは、幼女の言う「契約」の存在である。
あの場所で果敢にも幼女に立ち向かっていった剣士は、次の瞬間にはもの言わぬ死体となっていた。
自身は誰かと契約を結んだ覚えはない――そもそも悪魔同士の契約というものについてゆりこはよく知らない――が、
ザ・ヒーローが自分以外の悪魔となにがしかの取引や契約を交わしていた場合、
悪魔にとって契約とは絶対的なものである以上、ゆりこがその間に割って入るようなことは憚られる。

普段のゆりこなら、ザ・ヒーローに直接力を貸すようなことはほとんどないに等しかった。
そんなことをするまでもなく彼は強かったし、多少の困難も自分で乗り越えられないくらいなら
私のアダムにふさわしくないとも思っていた。
……それにザ・ヒーローには今、ゆりこではない、別のパートナーがいる。

本当は私があの人のパートナーになるはずだったのに、彼はあの女を選んだ。
私のものにならないなら、いっそいなくなってしまったほうが……

そこまで考えて、ゆりこはかぶりを振る。
彼のいない世界を想像しただけで、胸が張り裂けそうになった。
フツオはこんなところで、無意味に殺されていい人間じゃない。

それでももし、彼の命がここで終わるさだめだというのならば。
――やはり私のこの手で…………
少なくとも見ず知らずの赤の他人に、その役目を譲るつもりなど毛頭なかった。


そうとなれば、まず自分が為すべきことは参加者の駆逐だろう。
ザ・ヒーローに害をなすかもしれない者の命を、あらかじめ奪う。
この島の出口を見出すには、主催の言うとおりに急ぎ死体を積み上げるのが最も手っ取り早い。
加えてゆりこは、始まりの部屋で幼女が言っていたことを思い出す。
4日目の0時に突入した時点で参加者が一人以上いる場合、その時点で生き残っている参加者は全員死亡すると。

この殺し合いから抜け出すことができるのはたったひとり。
彼が生き残るか、私が生き残るか…………遅くともその時までには、覚悟を決めなければならない。

とにもかくにも、ぐずぐずしている暇はない。
ゆりこは確かな足取りで、有無を言わさず転送させられ着いた夜の街を歩き出した。

――そして程なくして、ゆりこは道の真ん中で気絶している金髪の青年を発見したのであった。

72Hurry Up To Exit  ◆w3jhWtfiTI:2012/04/30(月) 02:48:44 ID:Oq/GXZA20

始めのうちは、参加者を見つけたら手当り次第に殺すつもりだった。
相手が無防備を晒しているというのならなおさら、これ以上のチャンスはない。

しかし自分の置かれた状況と地図を見て、ゆりこは考え直す。
会場は思いのほか広い。住居や各施設に立て籠もられる可能性も鑑みると、
四日間という時間制限のある中、ひとりで殺してまわるというのは得策でないように思えた。

利用できるものならば、何でも利用すればいい。
かつてゴトウの一派に取り入り、あの女を始末させようとした時のように。

念のため男の近くに落ちていたデイパックを自分寄りの位置に移動させておき、ゆりこは様子を見ることにする。
デイパックの中身、特にランダム配布の支給品については今のうちに頂いてしまおうかとも思ったが、
あとで難癖をつけられたりすると面倒であるため、とりあえずはそのままにしておく。
いざとなれば力づくで奪えばいいし、それができないほど、ゆりこは無力な女ではない。

ただもし男がしばらく起き出しそうにないのなら、適当に中身を物色して自分にとって役立ちそうなものと
あらかじめ交換しておこうかと思ったとき、男の口からうめき声が漏れるのが聞こえてきた。
青年の端正な顔に、かすかに苦悶の表情が浮かんでいる。

――悪い夢でも見ているのかしら。

男の顔を覗き込みつつ、ゆりこは思いを巡らす。
夢。
運命の絆に導かれるように、ゆりことザ・ヒーローが出会った場所。
この殺し合いの中にあっても、眠りの中でならば彼に会うことができるのかしらとふと思い、
ゆりこはうっとりとした表情を浮かべる。

……そして同時に、そんな風に逢瀬を望むのは、今の自分のパートナーであるカオスヒーローでないことに
今更ながらに気付いて、ゆりこは後ろめたさを感じた。

――ごめんなさい、ワルオ。でもだめ……やっぱり、あの人のことは忘れられない。

だから。カオスヒロインであるりえとしてではなく。
初めてフツオに会ったときに名乗った、ゆりことして。
彼のために行動しようと、そうゆりこは心に決めた。



73Hurry Up To Exit  ◆w3jhWtfiTI:2012/04/30(月) 02:50:33 ID:Oq/GXZA20
自身の置かれた状況について尋ねるオルステッドに、女はこの殺し合いについてを語る。

曰く。
この島に集められた人間たちは、「神」と呼ばれる存在と契約を交わさせられていて、
それを完全なものとするために、殺し合いを強要されているのだということ。
主催側は、いつでも自由に参加者の心臓を握り潰せるということ。
禁止エリアや、6時間ごとに行われる放送の詳細について。
もともと持っていた武器や装備は主催者に没収されており、ランダムに再分配されたものが
基本の支給品と共にデイパックの中に入っていること。

そして――
参加者の大半が無理やり悪魔と合体させられて、精神を支配されてしまったのだと。

そう、ゆりこは血のように赤い唇を動かして、何も知らない青年に騙った。

74Hurry Up To Exit  ◆w3jhWtfiTI:2012/04/30(月) 02:51:19 ID:Oq/GXZA20

「私と、近くに倒れていたあなた、それから私の知り合いのフツオという男の子は
何とかそこから逃げ延びられたみたいだけれど、ここにきてはぐれてしまったの」

女はザ・ヒーローの容姿や特徴について、オルステッドに説明する。

「悪魔は、人間と全く区別がつかないような姿に化けることができるわ。
でも一度悪魔と完全に合体してしまったら、もう人間には戻れない」

悪魔と人間の合体。
その光景を想像するとおぞましく、オルステッドにとってすぐには信じたくない話であった。
しかし自分が先程まで戦っていたものも、人間と他の生物や無機物から合成された怪物であったことを思えば、
現実を受け入れざるを得ない。
魔物として不本意な生を晒させるくらいならば、いっそ引導を渡してやるのがせめてもの情けといえるかもしれない。

そしてこの偶然の一致に、もしかしたらとオルステッドは思う。
この一件にも、自身が倒さんと欲する真の魔王が絡んでいるのではないだろうか、と。

オルステッドの祖国ルクレチアでは、20年前に国一帯を脅かした魔王がよみがえって王女を攫い、
再び国中を恐怖の底へと押し込めていた。
自分と、かつての救国の英雄二人、そして親友の4人がかりで倒した魔物は、魔王ではなかった。
姫であり――そして自身の婚約者でもあるアリシアを、見付け出すことも叶わず。
その時の仲間も皆命を落とし、今や自分一人となってしまっていた。

合わせて、街中の人々から向けられた視線や言葉もともに思い出してしまい、胸がずきりとうずく。

ここがもし、ルクレチアから遠く離れた地であるというのならば、一刻も早く帰還し魔王を倒す。
ここにもし、魔王がいてアリシアが囚われているというのならば、刹那より早く姫を救い出す。

それこそが故国を救い――――自身に降りかかった悪夢から抜け出すための唯一の道であると、
オルステッドは固く信じて疑わなかった。

75Hurry Up To Exit  ◆w3jhWtfiTI:2012/04/30(月) 02:51:56 ID:Oq/GXZA20

一方、自分の話に全く異を唱えない青年の様子を見て、ゆりこはほくそ笑んでいた。

ゆりこが聞き出したところによると、どうやらこの青年は悪魔や魔物といった存在に対して
あまりいい感情を持っていないようだ。
カオス教徒でなければ――あるいはそうであったとしても――、まあその方が一般的だろうと思う。
そして男がそういったものを討伐することを生業にしていると聞き、
今しがた自分が語った話を思いついたのであった。

「この場においては、信じられるものなんてないと思ったほうがいいのかもしれないわね。
……あの人も騙されていたりしないか心配だわ」

男が他の参加者の言葉に惑わされないようにすると同時に、
ザ・ヒーローが誰かと行動を共にしていた場合に備えて予防線を張っておく。
悪魔を仲魔と呼び、ロウもカオスも受け入れることのできるフツオのことだ、その可能性は十分考えられる。
悪魔と一緒にいたからと、即襲いかかられてしまってはたまらない。

効果のほどを確認しようと青年の方を見やると、険しい顔をして何事かを考えている。
あと一押し。殺し文句となりそうな言葉を、ゆりこは頭の中から選び出す。
リターンを求めるのなら、まず自分から。駆け引きにおける基本中のきほん。
それでいて男が皆持つ独占欲や支配欲なんかをくすぐりそうなものを、トッピングに加えて。
自分の言うことを、信じてほしいというのならば――


「ウフフフフ。今は私とあなただけ……」

夜魔は瞳を軽く潤ませながら、なまめかしく青年に迫る。


「これからは誰よりも……あなたのことを、信じるわ」

目の前の女は、やはり夢の中の彼女にそっくりであった。

76Hurry Up To Exit  ◆w3jhWtfiTI:2012/04/30(月) 02:52:52 ID:Oq/GXZA20
【エリアF-2/市街地/1日目/深夜】

【ゆりこ@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:ザ・ヒーローを殺そうとするものの排除
1:利用できるものは利用し、参加者を減らす
2:ザ・ヒーローはこの手で……?

[備考]
参戦時期はカオスヒーローのパートナーとなったよりも後


【オルステッド@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:一刻も早く魔王を倒し、アリシアの救出する
1:魔王が関与しているのかを見極める。いるのならば打倒、いないのならば速やかな帰還を目指す
2:悪魔となった参加者に引導を渡す

[備考]
参戦時期は中世編フェミノフォビア戦中より。OPの間は気絶していました。
聞き逃していたルールについて、ゆりこから聞きました。
ただし一部に嘘があり、オルステッド、ゆりこ、ザ・ヒーロー以外の参加者の大半が悪魔と合体させられたと聞かされています。
そのほかにもゆりこの話には嘘や漏れがある可能性があります。

77 ◆w3jhWtfiTI:2012/04/30(月) 02:59:49 ID:Oq/GXZA20
以上で投下終了です。

うわ、すみません……一部カギカッコ2行目文頭のスペースを入れ忘れてしまいました。
あと元いた世界でのけがの回復については、殺し合い参加において主催側から配慮があったということでできれば
お願いしたいのですが、問題ならば削除しようかと思います。
ほか何か矛盾や問題点等ありましたらご指摘ください。

78 ◆w3jhWtfiTI:2012/04/30(月) 03:43:14 ID:Oq/GXZA20
たびたびすみません……現在地の修正を忘れていました。

【エリアA-3/市街地/1日目/深夜】

でお願いいたします。

79 ◆Cxilshz3Mg:2012/05/01(火) 01:03:13 ID:X7r5b5t.0
投下乙です!
うわー、この時間軸はアツいなあ……そしてゆりこの言いくるめ方が凄く生々しい……
無口なオルステッド、というのが「オディオではないオルステッド」という感じがしてて凄く良かったです。

あ、それと書き手枠でデボラ@DQ5、予約します。

80名無しさん:2012/05/02(水) 08:33:24 ID:RM.etawQ0
フツオ、ワルオとはこれまたえらくマニアックな名前が…。
しかしこのゆりこちゃん、サントラのSSの五島を誘惑している奴を連想しちまったよ。
兎も角投下乙であります。

ところで、文章で若干気になったことが。
>>75の「カオス教徒でなければ」って、ガイア教徒ではないかと?
重箱のすみをつつくような指摘で申し訳ないですが、一応報告を。

81 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/03(木) 00:37:40 ID:Ix0bF8UA0
投下乙です、
うむ、ゆりこいいですなぁ。
実に良いキャラです、こういうキャラ大好きです。
そしてオルステッド、アリシアの死に出会った彼は何を思うか、
魔王以前の彼はオディオ以外の結末に至ることがあるのでしょうか、これからの話も楽しみです。

82 ◆w3jhWtfiTI:2012/05/03(木) 19:42:06 ID:em0OJklI0
遅くなりましてすみません。指摘&感想ありがとうございます!
>>80おっしゃる通りガイア教徒の誤りです。失礼致しました。
それにサントラにSSなんてあったんですね!把握不足でした。
つきまして、勝手ながらwiki収録にあたりゴトウの下りほか少々修正させて頂きました。
このたびは推敲不足のまま投下してしまい、大変申し訳ありませんでした。

83 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/05(土) 04:58:06 ID:veYXP8.M0
ぎりぎり完成しました。
カオスヒーロー、イウヴァルト投下します。

84 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/05(土) 04:58:16 ID:veYXP8.M0

俺に……俺にちからがあれば……

俺に力さえあれば……お前らなんか……

もっと力がほしい

俺にちからがあればフリアエを守れるのに。

ちからが必要だ。
ドラゴンと手を結ぶような強大なちからが……

そうだ!
悪魔の力だ!
俺の体に
悪魔の力をやどすんだ

ちからがあれば、俺は、ちからがあれば、

あれば……









これは……

力を求める乾いた魂

きさまが名前を呼べば

こいつらは目を覚ますであろう

さあ!


こいつの名前を呼ぶのだ!

85 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/05(土) 04:58:29 ID:veYXP8.M0



見覚えがあるのに見覚えが無いという矛盾した光景がカオスヒーローの目の前に広がっていた。
目の前に塔がある、いやそれだけならばさほど問題とはいえない。
さて、彼の目の前にそびえ立つ身を赤く染めた塔、その名を東京タワーという、
その名の通り、それは東京にあるべきものであって、名も知れぬ緑溢れる大地にあるべきものではない。
カオスヒーローにとって見覚えがあるのに見覚えがないというのはそれ故である。
目の前にある東京タワーは何なのだろうか、その正体について支給されたちいさなメダルを手の中で転がしながらカオスヒーローは考えていた。
幾つもの考えが頭の中でシャボン玉の様に弾けては消えていく、
結局の所、今の段階では何の結論も出せやしない、それを結論としてカオスヒーローは塔の中へと入りもうとする。
待ち伏せの可能性もちらりと頭をよぎったが、外でも内でも大して変わりはしないだろう、とそう自棄じみた感情があったことも否めない。
一度、死んだ身なのだ。
もう一度死んだ所で、もう一度死んだ所で、もう一度死んだ所で…………

ぐるぐると頭の中を蠢く思考は、背後から掛けられた声によって中断された。
言葉を放ったのは鎧を纏った長身赤髪の男である、人間の顔のパーツをバラバラに置いた様な首飾りがやけに目を引いた。
その男、不安の色を塗りつけた鳶色の瞳でカオスヒーローへと視線を合わせると、再度彼は言葉を放った。

「お前は……この殺し合いに、乗るつもりなのか?」
「わからねぇ」
カオスヒーローはその質問について、
何一つ答えを用意出来ていないことを今更ながらに確認した。

文字通り、友人から殺された後にこの場に連れて来られた彼にとって、
この状況は、未だ覚めぬ意味を成さぬ夢の羅列の延長線上のような現実感を伴わぬものとしてあった。

ただ、何か自分の中では決まった答えがあるかのように感じる、
しかし、それをはっきりと言葉にすることは出来ない。
カオスヒーローは何かしら言葉を続けようとする男の言葉を遮って、弄んでいたちいさなメダルをもう片方の男へと見せつけた。

「このメダルを弾いて、表が出たら……俺はこの殺し合いに乗る」

男の返答を待つ暇も無く、メダルは弾かれた。

DNAの立体構造にも似た回転の末、メダルが表を指し示した。






「俺は……」

86 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/05(土) 04:58:39 ID:veYXP8.M0



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87 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/05(土) 04:58:50 ID:veYXP8.M0



メダルは再度、空を舞った。





表、空を舞った。

表、空を舞った。

唖然とする男を横目に、カオスヒーローはただメダルを弾き続ける。

「……今まで、俺は夢を見ていたんだ。
仲間達と一緒に戦って、欲しかったものを得て、最後はフツオ…………まぁ、仲間に殺されて…………
それでも、いい夢だったと思ってる」

表、空を舞う。

「俺は、ずっと力を求めていた。
今までの人生が、ずっと力ある誰かに支配されていたからさ」

表、空を舞う。

「夢の途中で、とてつもない力を手に入れたんだ。
それで昔、俺を力で支配していた奴を殺して、それから俺は……」

表、空を舞う。

「今度は力を求めるために、自分から強者の支配下に入った」

表、空を舞う。

「力に酔うために、混沌のでかい流れに身を任せて、力を求める理由すら忘れちまったんだと思う」

表、空を舞う。

「強い奴の力を利用するつもりが、なにか運命だとかそういう巨大なものの操り人形になっちまったんだろう」

表、空を舞う。

「俺は、もう夢を見られない。
また何かに従って、それでおこぼれみたいに力を得ることには耐えられない。
だから……アイツみたいに、せめて自分の意志で戦える力が欲しい」

表、空を舞う。

「自分でも下らない儀式だっていうのはわかっているんだが……
まずは、メダルの指し示す運命ぐらいは自分で支配したい」






裏。

迷彩柄のコートを羽織った眼鏡の少年、カオスヒーローは随分と久しぶりに笑ったことに気づいた。

88 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/05(土) 04:59:01 ID:veYXP8.M0



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89 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/05(土) 04:59:12 ID:veYXP8.M0

力──

嗚呼、力が欲しい。
何者をも例外なく撥ね付け、愛しのフリアエをこの腕に抱く力が欲しい。
フリアエ、俺なんだよ俺じゃなきゃ駄目なんだよ、フリアエ、僕じゃなきゃ、アイツじゃ……カイムじゃ駄目なんだよ。
力力力力力が欲しい、
目の前の少年が力について語っている。
俺の求める力とは随分と違う、
違うだろう?
力は、力なんだ。
例え持っているのが、あの男、カイムだろうと、
フリアエの兄、カイムだろうと、
フリアエの愛を受けるカイムだろうと、
カイム、カイム、カイム、カイム、
違う、俺じゃなきゃ駄目なんだ。
力が欲しい。
神の力をこの手に、
フリアエをこの手に、
俺じゃなきゃ駄目なんだ俺じゃなきゃ駄目なんだ俺じゃなきゃ駄目なんだ俺じゃなきゃ駄目なんだ俺じゃなきゃ駄目なんだ
力が必要なんだ、如何なる過程をたどっても良い、
カイムじゃなくて俺が、僕が、力を、
神の力、フリアエを救う力、フリアエの寵愛を受けるための力、
フリアエをこの腕に、フリアエの接吻を、フリアエ、その全てを僕にゆだねて、フリアエフリアエフリアエフリアエ。

90 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/05(土) 04:59:22 ID:veYXP8.M0



カオスヒーローの話を聞いていた男、イウヴァルト。
奇しくも彼は、この殺し合いに呼ばれる直前まで、この殺し合いの説明を行った幼女と共にいた。
諸の事情で、説明を行った幼女と先程まで共にいた司教が同人物であると確信を持つことは出来なかったが、
それはさておき、イウヴァルトは彼女の手によって自らの心中にある──

許婚である親友の妹フリアエ、
許婚でありながらも自分ではなく、その兄カイムに対してより深き愛を捧げるフリアエへの愛。
愛を受けながらも、それを知ることも省みることもないカイムへの嫉妬心。

心の奥深くへと隠したそれを暴かれ、突きつけられ、
真の心の思い、それを深く飲み込むこととなっていた。

もう少し時間軸がずれていたのならば、
表面上は落ち着いていたか、あるいは洗脳され、力を手に入れた状態でこの地に立っていただろう。

だが、今のイウヴァルトには何もない。
カイム達との関係を完全に取り繕う事も出来ず、力も無いのに思いだけは黴のように心を埋め尽くし、
不安定な天秤を激しく揺らしながら、ただ、中途半端に、この地に立っている。

カオスヒーローの話を聞き、
カオスヒーローへの言いようの無い感情を感じながら、立っている。
自らの心中の思いが広がっていくのを感じながら、立っている。

「で、お前はどうするんだ?」

カオスヒーローの問い、その答は悩む暇もなく繰り出された。




イウヴァルトは駆けた。

91 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/05(土) 04:59:32 ID:veYXP8.M0

一度にカオスヒーローとの距離を詰め、斬りかかるイウヴァルト。
突如放たれた覇王の剣による斬撃は、咄嗟に抜かれたムラサメによって致命傷には至らなかった。
火花散らす打ち合いが繰り返され、イウヴァルトがムラサメを弾く。
体勢を崩したカオスヒーロー、一歩踏み込んだイウヴァルトが心臓に向けて突き入れる。
「シバブーッ!」
カオスヒーローの詠唱にイウヴァルトの動きが止まる。
(体が痺れ……)

「うおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
シバブーの効力により、金縛りにあったイウヴァルト。
その隙を当然逃すことも無く、反撃に出るカオスヒーロー。
ムラサメを横に滑らせ、イウヴァルトの首を狙う。
薄皮一枚、プツリと切れた傷口からは一瞬の無重力を得た血の球体がプツリと現れ、
金縛りの解けたイウヴァルトがカオスヒーローを転ばせ、体勢を崩させる。
肉を斬らせてでも、今度は確実に仕留める。
覚悟したカオスヒーローの前に、剣は無かった。
こちらの動きを止める手段を持ったカオスヒーローを今仕留めることは出来ない、
そう判断したイウヴァルトは逃走を開始していたからである。
だが、未だカオスヒーローの視界にイウヴァルトが入っていたことは、彼にとっての不幸であった。

「 マ ハ ラ ギ オ ン 」

カオスヒーローの掌より放たれた業火が周囲を舐め尽くした。
轟々と燃える炎の中、カオスヒーローはイウヴァルトの影を確認する。

「 ア ギ ラ オ 」

先程よりは小規模の球の炎。
しかし、熱量は遅れをとっていないその炎を、イウヴァルトの影に向けて放つ。




「チッ……」
思わず漏れだした舌打ち、先の炎はイウヴァルトの命を絶つものではなかった。


炭化したコボルトの死体を見て、自嘲する。

「ハッ、アイツもフツオと同じ、悪魔使い……そういうことか」
返事を待つでも無く独り言ち、炎の中を進む。



「フツオ、今度お前と会う時は…………もう一度、お前と共に戦えるか?」

「ヨシオ、お前は…………やっぱり、神のために戦うつもりなのか?」


フツオの声は
聞こえない

ヨシオの声も
聞こえない

そのまま
前に進む……

【エリアB-8/東京タワー周辺/1日目/深夜】

【カオスヒーロー@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:魔力消費・中
[装備]:ムラサメ@LIVE A LIVE
[道具]:基本支給品1式、ちいさなメダル@DQ5、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:もう何かに従う気はない、当然この殺し合いにも。
[参戦時期]:本編死亡後
[備考]:周囲がある程度燃えました。

92 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/05(土) 04:59:50 ID:veYXP8.M0

悪魔召喚プログラムの起動、囮の召喚、無事に逃げ切ること、
全てが上手く行ったことに関して、イウヴァルトは胸を撫で下ろす。

だが、それと同時に彼は気づいていた。
先程までの戦闘は、ただ命を繋いだにすぎないと。

まだ足りないことに気づいている。
力が足りないことに気づいている。
フリアエを解き放つための力だけではない、
フリアエに愛されるための力だけではない、

神の力を得るための力が足りていないことに気づいている。


力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が
力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が
力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が
力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が
力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が
力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が
力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が
力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が力が




まだ足りない。




イウヴァルトの感情に呼応するかのように、首飾りがピクリと動いた。




【エリアB-7/森林地帯/1日目/深夜】

【イウヴァルト@ドラッグオンドラグーン】
[状態]:軽傷、疲労小
[装備]:覇王の剣@真・女神転生Ⅰ、ベヘリット、アームターミナル(中身は空です、周囲が炎に包まれるまで装備はしていませんでした)
[道具]:基本支給品1式
[思考・状況]
基本行動方針:神の力を得て、フリアエに愛される。
[参戦時期]:三章 邂逅 第四節 無念の思い

93 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/05(土) 05:02:10 ID:veYXP8.M0
投下終了

>>82
いえいえ、こんなロワにあのような作品を投下して下さって
むしろこちらの肩身が狭くなっているぐらいです、あやかりてぇあやかりてぇ。
まぁ、発案者が一番適当なのですから、気楽にやってくださいな

94 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/05(土) 05:08:55 ID:veYXP8.M0
題名を忘れていました、
「力を求める乾いた魂」でお願いします

95 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/05(土) 05:12:00 ID:veYXP8.M0
ついでに葉隠覚悟、キャスカを予約します

96名無しさん:2012/05/05(土) 07:33:52 ID:NHokOczQ0
乙です。
フツオ・ヨシオがああだっただけにワルオがなんとも眩しいことか。
参戦時期的に考えてもう悪魔人化したあと、共闘が難しいだろうって想像できるだけにせつねえ……

97名無しさん:2012/05/06(日) 01:48:28 ID:HdICcSVA0
投下乙です!
フツオの声もヨシオの声も聞こえない……来るなあ、この一文が

98 ◆w3jhWtfiTI:2012/05/06(日) 03:40:23 ID:IM6m0W6I0
投下乙です
「メダルの指し示す運命ぐらいは自分で支配したい」のセリフにしびれました!
そしてイウヴァルトにベヘリット……フリアエ逃げて超逃げて

ではお言葉に甘えて、パパス、書き手枠としてセエレ@ドラッグオンドラグーン の予約をお願いいたします

99 ◆Cxilshz3Mg:2012/05/06(日) 13:32:04 ID:2ULkeePQO
投下乙です!
ワルオくんがまともだ……ある意味誰にも従わないというのも力ですなあ。

ところで質問なのですが、生体マグネタイト関連ってどうなってましたっけ?
必要なしだったりとかしましたっけ?

100 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/06(日) 13:36:13 ID:O3UQf4Wo0
>>99
生体マグネタイトに関しては、
必要無しということで良いと思っています

101 ◆Cxilshz3Mg:2012/05/06(日) 22:56:52 ID:G8fhrCx.0
了解です。

102 ◆Cxilshz3Mg:2012/05/07(月) 19:43:42 ID:zXRtSCC.0
投下します

103決起 ◆Cxilshz3Mg:2012/05/07(月) 19:44:54 ID:zXRtSCC.0
豪華絢爛。
その言葉はきっと彼女の為に生まれてきたのだろう。
綺麗に纏められた黒髪、白を基調とした派手目の衣服、光り輝く肌。
この殺し合いに呼ばれても、彼女の輝きは失われておらず、信念を持った目は反逆の意志を持っている。
彼女は誰かに一方的に指図されたり、自分の考えと相反するものに対して徹底的に抗戦してきた。
魔物だろうと、悪の権化だろうと、大魔王であろうと屈する事なく立ち向かってきた。
それは人や世界を救うだとか、敵討ちだとかいう感情や使命感から来るものではない。
自分で決め、自分の意志に反せぬように行動してきただけである。
今再び彼女の意に反する者が現れ、彼女はそれを良しとしていない。
ならば、彼女が取る行動はたった一つであった。
「神だかなんだか知らないけれど、私に命令なんて百年早いわよ」
この殺し合い。いや、それを良しとしている「神」とやらへの反逆。
彼女、デボラはその意志を込めて力強く作った拳を天へ突き上げた。

意を決したところで、与えられた道具の確認を始めた。
殺し合いに向けての施しに近い形で支給された物を、神に抗い立ち向かう為に使うために。
食料や地図と言った「生きる」ために必要な力や知識を授ける物。
それに加えて「生き抜く」為の力を授ける物が袋から現れる。
一つ目は彼女が見慣れた美しく輝く爪だった。
爪と言っても鉄の爪のような籠手にかぎ爪をつけたものではなく、装飾用に用いられる爪を強化したものである。
これと両手を用い、手刀の原理で戦う彼女の我流の戦闘法である。
さすがに歴然の武器には劣るが、自分が使い慣れた武器を手にすることが出来た。
反逆へより近づける力となることは間違いない。
早速両手に装備し、手刀を作って軽く素振りする。
冒険の途中からは剣や槌を使っていたので長らく使っていなかったが、勘は鈍っていないようだった。
次に袋から取り出したのは、何本かの線でつながれた妙な形の物だった。
彼女が生まれてから今の今まで、こんな物体は見たことがなかった。
幼少期から結婚するまでは父の力もあり、欲しいものは勿論、興味の出た物は全て手に入れてきた。
結婚してから世界を駆け巡り、数々の冒険の日々を送るようになってからも、自分の知らない物や興味のある物は積極的に手に入れてきた。
あの世界と魔界で自分の知らない物など無いと思っていた。
しかし、今目の前には見たことすらない物資が存在している。
まだ、自分の知らないことがたくさんあるのだ。
それに恐怖することなく、彼女は付属の紙を手に取り、未知の物体を理解していく。
一通り目を通し終えた後、解説の通りに頭と左腕に装備する。
恐れることなく左腕のボタンをしっかりと押し込む。

104決起 ◆Cxilshz3Mg:2012/05/07(月) 19:45:13 ID:zXRtSCC.0
「Hello world」
その瞬間、目の前に広がったのは見たこともない文字列であった。
未知の技術を目の当たりにし、彼女の好奇心はより高まっていく。
解説書が正しければ、この装着を用いることで魔物を呼び出して従えたり、他の魔物を仲間にしたり、魔物を詳しく調べることが出来るらしい。
本当に魔物を呼び出すという事が出来るのだろうか?
半信半疑で彼女は魔物を召還する操作を進めていった。
「SUCCESS」
全ての操作を終えてその文字が見えたと同時に、ゆっくりと体を構成していく何かがいた。
やがてそれは色と姿を手に入れ、魔物として彼女の目の前に現れた。
「私を呼び出したのは……貴様か」
羊のような頭、筋骨隆々の成人男性のような真っ赤な体。
彼女がかつて夫と旅をしていた道中で、仲間となった魔物と瓜二つであった。
「まあいい、私はそれを持つものに従うだけだ。私の名はメッサーラ、今後ともよろしく」
メッサーラはデボラが身につけている装置を指差した後、軽く一礼をした。

己の扱える武器、ひとまずの仲間、そして揺るがない意志。
彼女が神に抗うための土台は整った。
ここから、一つずつ組み上げていけばいい。
自分の家族や、この場にいる同志達と共に打ち砕いて行けば良い。
団結の力が大魔王をも打ち破る事は、彼女がよく知っていることだ。
不可能な事など、有りはしないのだから。

105決起 ◆Cxilshz3Mg:2012/05/07(月) 19:47:31 ID:zXRtSCC.0
【デボラ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康
[装備]:ダイアモンドネイル@DQ5、アームターミナルB(仲間:メッサーラ)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本:神に抗う。家族と合流。
[備考]:クリア後

106 ◆Cxilshz3Mg:2012/05/07(月) 19:47:45 ID:zXRtSCC.0
さくっと短めに。投下終了です。

107 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/08(火) 00:54:35 ID:pcTxOYWE0
投下乙です!
いや、デボラ様は本当に安定しているわ、
支給品も当たりを引くし、これからにも期待したい所。

それと、
現在位置の方が書かれていませんので、記入をお願い出来ますでしょうか。

108 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/08(火) 00:55:03 ID:pcTxOYWE0
覚悟、キャスカ投下します

109 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/08(火) 00:55:16 ID:pcTxOYWE0

「一人称安定しないし生還したし、自殺でもしとくか」

ズキューン!!

【葉隠覚悟@覚悟のススメ 死亡】


【キャスカ@ベルセルク】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】基本支給品、不明支給品1〜3
【思考】基本:無し
【備考】蝕以降







これにて投下終了します。

110 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/08(火) 00:55:30 ID:pcTxOYWE0



この異常な状況下において悪夢を見ることなど別段おかしいことではない。
特にその女性、キャスカにとってはそうである。
先程まで幼女が殺し合いの開始を告げた場所は彼女の身に起きた悪夢、蝕の場を如実に再現していた。
記憶も人格も、何もかもを失い赤子の様に振る舞う彼女であったが、
やはり先の光景は心に訴えるものがあったのか、
逆十字学園教室内の隅にて、吹雪の中に体を置いたかのように体を縮こませ震えている。
何かが、足りないような気がする。
教室に掛けられた時計の長身が何歩か歩みを進めた後に、彼女はその様な事を心に思っていた。
言語の記憶を忘れた故に、決して明確に思考を行えたわけではない。
だが、だからこそ心が直接的に彼女に訴えていた。
この様な時に、共にいてくれる誰かがいた筈であると。
探そう、と心が囁く。
探そう、と体が頷く。
思いっきり伸びをする。
少しよろめきながら立ち上がる。
一歩、二歩、足を進ませる。

教室のドアは開いている。

行こう。



彼女にとっての不幸は、前方確認が不完全だったことである。

結果としてキャスカは少年、葉隠覚悟に衝突し、
褐色の肌を若干赤に染めながら、数刻よろめくこととなった。

111 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/08(火) 00:55:40 ID:pcTxOYWE0



怒りを胸に沈めてはならぬ

怒りは両足に込めて

己を支える礎とせよ


黒髪を短く刈り、口元に浮かぶは決意、そして両の瞳に強き意志を宿す少年、葉隠覚悟。
恐怖に身を震わせることもなく、狂気に目を濁らせることもなく、ただ前を見据えて、歩を進める。
目的はただひとつ、この殺し合いの場にあろうと何一つとして変わらない。
零式防衛術──受け継がれし技術を用いて牙を持たぬ人の剣となること。
そして、速やかにこの殺し合いの主催を討った後、人類抹殺を企む悪鬼、葉隠散──兄であった男を討つこと。

勇敢にも巨悪に立ち向かい為す術も無く殺された剣士、父の仇を討とうとしてあっさりと殺されてしまった少年。
このままでは、再びあの様な惨劇が起こってしまう。
固く握りしめた拳からはうっすらと血が滲んでいた。

歩を進める内に視界の内に収めた建造物、その外観は流石の覚悟をも驚愕させた。
逆十字学園、覚悟の通う学校である。


頭では理解している、体では理解している。
それでも、覚悟の心が揺らいだことを否定出来はしない。

此処に逆十字学園があるということ、その意味。
否が応にも想像せざるを得ないのである。


逆十字学園に向け、駆ける覚悟。
教室内に人の気配を発見する。
急ぎ駆ける。


結果として葉隠覚悟はキャスカを鍛え上げた体で受け止めることとなったのである。

112 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/08(火) 00:55:50 ID:pcTxOYWE0

「あー」

成熟した躰から不釣り合いに放たれる喃語は、覚悟に困惑の念を抱かせるには十分であった。

(認識が崩壊している……生来…………いや、下手人が近くに……?)

この様な状況下において確実な判断は下せない。
更に言えば、迂闊に彼女を放置すればむざむざと悪鬼に襲わせることとなる。
思考、揺れ動く狭間。
結局の所、覚悟はこの場を動けないでいた。

この様な時こそ彼の相棒である零がいれば良かったのだろうが、
心を繋いだ鎧は神とやらに没収されたらしく、覚悟の手元にはいない。

「うぅ?」
キャスカが童の様な目で覚悟を見上げ、呟いた。
覚悟はその言葉の意味を理解することは出来ない、
だが、その言葉の後、歩み出すキャスカを見て決意する。


その目には意志が宿っていた。
ならば、俺は彼女の歩に合わせよう。



覚悟は完了している。




【キャスカ@ベルセルク】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:???
[参戦時期]:モズグス戦以降

【葉隠覚悟@覚悟のススメ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:牙無き人の剣となってこの殺し合いの主催を討ち、葉隠散に挑む。
1:キャスカと共に行く
[参戦時期]:腑露舞撃破、零奪還直後
[備考]:支給品内に零が無いことは確認済みです。

113 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/08(火) 00:57:09 ID:pcTxOYWE0
投下終了します。
DQ5主人公、テッド・ブロイラーを予約します

114 ◆Cxilshz3Mg:2012/05/08(火) 01:04:40 ID:Sa73szyk0
投下乙です!
びびるwwwwwww 相変わらず型破りな話がめっちゃでてくるwww
これは対主催コンビとして期待できるかも……?

あ、デボラの現在位置ですが
【D-9/森林地帯/深夜】
でお願いします。

115 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/08(火) 01:05:13 ID:pcTxOYWE0
指摘しておきながら、現在位置を書き忘れていました。

【C-3/逆十字学園内/1日目/深夜】

加え、一部分に重大なミスがありましたのでwiki収録の際に修正させて頂きます

116 ◆Cxilshz3Mg:2012/05/08(火) 01:25:06 ID:Sa73szyk0
ガルシア、ミカエル、男の子予約します。

117名無しさん:2012/05/08(火) 07:22:04 ID:yTqulG460
乙ー
初っ端ネギまロワネタとかわかるやつのが少数派だろw

118 ◆w3jhWtfiTI:2012/05/12(土) 03:58:20 ID:vz0lJDuU0
お二方投下乙です!
まっとうな対主催候補が揃ってきましたね
そして相変わらずSSの形態が読めないw

セエレ、パパス投下します

119森林に変態の影が/Perverts in the Dungeon ◆w3jhWtfiTI:2012/05/12(土) 03:59:46 ID:vz0lJDuU0
「ごめんね……」

永遠の時間の中でセエレはマナに許しを乞う。
そして、全てを封じる力が時間を止めた。

……はずだった。


◆◆◆


「昔々あるところにひとりの勇敢な兵士がおりました」

少年のあどけない声がひとつ響き渡った。
声の主は、おかっぱに切り揃えられた金の髪が美しい少年であった。
しかし誰も彼に目を向ける者はいない。
観客のいない夜の森の中、少年はひとり、母から教えてもらった物語の一説を諳んじる。

それは“ちいさい勇者さま”の物語。
世界が血で染まった時に、時の雫にひたった体で、世界に新たないのちを作った兵士のお話。

その物語の兵士のように、自らの身体に封じられた“おおいなる時間”を解き放ち、世界を救った小さき者。
神を手にかけ、殉教者と成り果てた世界に抗った背教者――それがこの少年、セエレだった。

セエレの周りには今、鬱然とした草木が闇の中生い茂っていた。
夜目が効くたちではなかったが、それでもひとつわかることがある。
今は夜の黒に沈んでいても、日が昇ればそこには、生命の息吹に溢れた緑の世界が広がっていること。
芽吹いたばかりの若葉の匂いや柔らかい落ち葉の感触などから、確かにセエレはそのことを全身で受け止めていた。
しかしそれらは再び、血の赤に塗りつぶされようとしている。他ならぬ、妹の手によって。

「……僕ら……許されないのかな……」

セエレは紡いでいた物語を中断し、ぽつりとつぶやく。
――全ての元凶、マナ。
双子の妹。天使の教会の司教。神の使い。
破壊の宴の引き金。血に飢えた司教。母に愛されなかった妹。
セエレのゴーレムが、潰した命。

マナは最期の時と同じ言葉で、この殺し合いの始まりを告げた。
ダメだったのだ。
遠く離れたあの場所からでは、セエレの祈は届かなかったのだ。

「……マナに会って謝りたい」
微かに震えの残る声で、幼子は台詞を口にする。
「母さんが僕一人を愛していたことを、謝りたい」

小さな勇者の願いは、黒の森に呑まれていった。

120森林に変態の影が/Perverts in the Dungeon ◆w3jhWtfiTI:2012/05/12(土) 04:01:05 ID:vz0lJDuU0





少しして、ガサゴソ――と。
先程まで誰もいなかった森の方から、草木のこすれる音が聞こえてきた。
音はだんだんと近づいてきており、セエレの目に、松明の明かりが闇の中ぼうっと光っているのが映った。

「――誰?」

少年は少し緊張しながら、森の中にぽつんと存在する火に向かって話しかける。
すると木々の隙間から、人影がひとつ躍り出てきた。

「む……驚かせてしまったのならすまない。私はパパスという者だ」

不安がらせないようにと低い声に穏やかさを乗せて、現れた男は名を告げる。
しかし、男の異様な出で立ちに――――セエレは物音に気付いた時以上に、驚愕することとなった。

筋骨隆々とした逞しい体つきに、立派に蓄えられた口髭。無造作に後ろで一つに束ねられた髪。
そこまではいい。何ら問題ない。
だがその頭の上にあるのは白い小児用のブリーフで、黒マジックで書かれた「ワタナベ」の文字が間抜けに横に伸びている。
そして着ているものは、足の付け根の部分が深くカットされた、一目で女性用とわかる衣服――ハイレグアーマーと呼ばれている代物。
ラインを美しく際立たせるために、布地が極限まで細く削られているそれを窮屈そうに纏っている。
人体において最も男性性を象徴する部分が、その狭い面積に収まるかというと怪しいものがあり、
正面からでもアウアウな……真横からなど確実に修正が入りそうな光景を、純真無垢な幼い少年の前に展開している中年の男。


――どう見ても変態です。
本当に、本当にありがとうございました。

121森林に変態の影が/Perverts in the Dungeon ◆w3jhWtfiTI:2012/05/12(土) 04:02:08 ID:vz0lJDuU0


……ちなみにパパスの名誉のためにひとつ言うと、こうなってしまったのには理由がある。
パパスが頭に被ったそれ――「ワタナベのパンツ」が一因である。
勇者でもなんでもない、一般市民の児童のパンツには防御性能などほとんどないが、なんと“頭が悪くなる”という効果だけはしっかりとついている。
「体と頭に装備できる」とあった説明書の通りに被ってしまったがために、女性物を着用するということに対する抵抗感・羞恥心や、
それにより受ける社会的評価などについて、パパスは深く考えることができなくなってしまっていたのだ。
ただ、本当に装備のせいだけなのか。
パパスがかつて妻マーサと暮らしていたグランバニア城、その秘められた部屋には際どいデザインのエッチなしたぎが置いてある。
誰が着るために用意されていた物だったのかについては……真実を知るのは当人のみ、ここで触れることはしない。


「わっはっは! そんな顔をせずとも、とって食ったりはせんよ」

セエレは自身のちょうど目線の高さにあるものから目を逸らせずにいるまま、豪快に笑うパパスの声を聞いていた。
こんな格好でありながらも未だ男らしさにあふれている様は、さすがパパスである。



――そしてここまでのことだけならば、クセのある人物には慣れてしまったセエレに、優しさと頼もしさを併せ持つパパスのことだ、
多少のことには目をつぶり、お互いの話を聞き合ったり、支給品を広げ確認し合ったり、
殺伐としたこの島の中でもきっと、まるで親子のようにほほえましい光景が繰り広げられたことであっただろう。
しかしパパスがこれから投じる一石は、静けさを保っていた湖面を大きく揺さぶることになる。

122森林に変態の影が/Perverts in the Dungeon ◆w3jhWtfiTI:2012/05/12(土) 04:02:57 ID:vz0lJDuU0





「……ただ、こたびのことは感心できぬな、少女よ」

パパスは先ほどまでとは打って変わった険しい目つきで、セエレのことを見据えた。
セエレは始めわけがわからずきょとんとするも、すぐにその意味するところに思い至った。
セエレと、この殺し合いを開いた少女――マナとは双子同士。瞳の色こそ違えどその姿は瓜二つ。
パパスはセエレのことを、マナと勘違いしているのだ。

「違うよ、僕はマナじゃ――」
「言い訳するでない!!」

セエレが言い終わる前に、パパスが有無を言わさぬ口調で遮る。
知力の低下したパパスは、マナとセエレの声の違いに気付いていない。
パパスの恫喝にセエレの耳がびりびりと震えた。
夜の森が、ざざあと、葉を不吉にかき鳴らす。

「目の前で親を喪った幼子の……子に先立つこととなった父親の……その者たちの気持ちを、考えたことはあるのか!?」

パパスのまっすぐな“父”の瞳が、セエレを射抜く。
悪いことをした子供を叱り、道を正す。
パパスが示したものは、厳しさの中にも確かに子を想う優しさを持つ、慈愛に満ちたものでもあったのだが、
利己的な愛を受けて育った子供にはひどく歪んで伝わってしまう。

セエレは、マナが母親に叩かれるところを幾度と見てきた。何度も何度も、やむことなく。
マナがどれだけ痛いと叫んでも、どれだけやめてと涙を流しても、母はその手を止めることはなかった。
しかしセエレは怒られたことがない。セエレ“は”母に、愛されていたから。
セエレにとって親からの叱責というのは、傍らに絶えず存在しつつも自身に向かわれたことはない、既知で未知の恐怖であった。

セエレの唇がわなわなと震える。
パパスはセエレの“母”じゃない。無条件では愛してくれない。
パパスが松明を持つ手の反対側に握っていた物――サーベルのような柄から、長く柔軟性のある刀身が5本に分かれて伸びる剣――がぬらりと光る。
見たことのない武器であったが、セエレにはそれが鞭の如く唸りを上げて全身に襲い掛かる様が、ありありと浮かんでしまった。

123森林に変態の影が/Perverts in the Dungeon ◆w3jhWtfiTI:2012/05/12(土) 04:03:50 ID:vz0lJDuU0

――ひっ!
――いや……やあよ
――憎まないで、お母さん!
――許して、許して、許して、許して……
――ごめんなさい。もうしませんしませんしません

剣は“マナ”の小さな体を、容赦なく叩いていく。
打たれるたびに、あがる悲鳴がだんだんと細くなっていく。
マナの赤い瞳が、泣き腫らして白い部分も充血した目が、
すがるように、救いを求めるように、
こちらの方を、何もせずただ見ているだけの兄の方を向いて――


――たすけて…………?


セエレは弾けるようにして、その場から駆け出していった。
頭の中は恐怖で真っ白に塗りつぶされてしまい、何も考えられずにどんどん暗い森へと迷い込んでいく。

「!? おいおい……どこへ行こうというのだ?」

パパスは慌てて、そんなセエレのことを追いかけ始める。
常人が見たら訝しむ、その奇怪な恰好のままに。



――マナに会って謝りたい。
戦いの幕はすでに切って落とされた。幕はもうこの世にいない。
仮にそれが叶ったとしても、謝ったところで何が変わろうか?
永遠の子供には、分からない。

124森林に変態の影が/Perverts in the Dungeon ◆w3jhWtfiTI:2012/05/12(土) 04:04:55 ID:vz0lJDuU0
【エリアC-6/森林地帯/1日目/深夜】

【セエレ@ドラッグオンドラグーン】
[状態]:健康、恐怖心
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:マナに会って謝りたい
1:パパスから逃げる
[参戦時期] 第十二章「混沌」 第10節「セエレの安堵」(Dエンド)
[備考]ゴーレムとの契約が切れているのかどうかについては、次の方にお任せします。


【パパス@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康、知力・男らしさ減少
[装備]:ウルミン@ベルセルク、ハイレグアーマー@メタルマックス2:リローデッド、ワタナベのパンツ@LIVE A LIVE、松明
[道具]:基本支給品、元々着ていた服
[思考・状況]
基本行動方針:道を踏み外した子を叱咤し、正しい方へ導く
1:少女(セエレのことを勘違い)を追いかける

125 ◆w3jhWtfiTI:2012/05/12(土) 04:07:43 ID:vz0lJDuU0
以上投下終了です。お気楽に、との言葉を頂けたので少し悪ノリしました
問題等ありましたらご指摘願います

126名無しさん:2012/05/12(土) 15:46:40 ID:3JAmM4akO
投下乙です
へ、変態だ――!
しかしただの変態でなくめんどくさい方向にアホと来た……w
親という共通点もすごく生きていたと思います。

127 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/12(土) 19:38:10 ID:K2ac8mak0
いやぁ、どうしてこうなったといいますか、
どう見ても変態ですね、本当にありがとうございます。
エッチな下着に関する考察等、無駄な変態説得力を深めつつも、
その一方でセエレの心情描写、本当に素晴らしいものです。
投下乙です!

128 ◆Cxilshz3Mg:2012/05/14(月) 00:10:11 ID:Xa.GzBYc0
すんません、予約の延長お願いします

129 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/14(月) 02:52:17 ID:6O8LX.7A0
>>128

ゆ っ く り か い て い っ て ね!


DQ5主人公、テッド・ブロイラー投下します

130 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/14(月) 02:53:17 ID:6O8LX.7A0

失うくらいならば、最初から愛さず愛されずにいればいいと思っていた

燃える父のように
滅ぼされた故郷のように

親友と別れ、しがらみは消えたように思えた

僕を慕う仲間が出来た

距離を置こうとしても、道具だと割り切ろうとしても僕には出来なかった

三人の女性の内、一人を選んで結婚する機会が与えられた
冒険の思い出を共有した幼馴染でもなく、
長旅で乞食のような様相の僕でも好いてくれる深窓の令嬢でもなく、

僕はその婚約を取り仕切る大富豪の男を選んだ、
口では否定しつつも、彼はまんざらでも無さそうなのでやめた

最終的に、
何故か知らないけれどその場にいた、ガサツで凶暴で性質悪そうで嫁にしたら永遠に後悔しそうな女性を選んだ

愛せそうにないし、愛されそうにない女性を選んだ


愛とまでは言わないかもしれない、ただの情なのかもしれない

それでも……共に旅をする内に、僕は彼女を愛おしく思ってしまった



失う日が来るとわかっていたのに

131 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/14(月) 02:53:28 ID:6O8LX.7A0



死人よりも白い顔面、全身を覆う青いボディスーツの下の筋肉質な体、血よりも赤いたらこ唇に鮮やかな炎を思わせるモヒカン。
残念ながら彼の初期支給品には含まれていなかった様だが、
これに彼の使用する火炎放射器──ブロイラーボンベが加われば、
大破壊後世界の恐怖の象徴、バイアス・グラップラー軍団最強の人間であるテッド・ブロイラーという男が完成する。

さて、非道、外道、残虐、凶悪、獰悪、猛悪、冷酷、悪質、と修飾する言葉には困らない男テッド・ブロイラー、
この殺し合いの場に於いても、怯えの色を浮かべるどころか汗ひとつかかず、堂々と道路の真中を闊歩してみせる。
神と呼ばれる存在に関しては、彼も少々気にするところではあるが、
それでも、グラップラー軍団最強の人間である彼にとって、殺し合いというものは立ち塞がった殺人アメーバを蹴り飛ばす程度の容易いことに過ぎず、
愛用の武器が失われたことに関しての若干の苛立ちはあるが、慌てるようなことはない。

結局、この場に於いても彼がすることに何一つとして変わりはない。

力があれば生き残る、故に自分は生き残る。
前の世界での常識とこの世界でのルールに違うところはなく、テッド・ブロイラーもこの世界での殺人者側へと回る。

市街地の中央、支給された炎の爪を装備し、テッド・ブロイラーは彼なりの開幕の狼煙を上げた。

「炎に包まれて死ぬが良い!
このテッド・ブロイラー様が遺伝子の欠片まで焼き尽くしてやるがががーっ!」

炎の爪より放たれた炎が市街地を撫でていく。
彼本来の炎からすれば不満極まりない火力ではあるが、それでも火を付けるだけならば十分である。

海沿いの街にもう一つ、炎の海が育ちつつあった。

132 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/14(月) 02:53:38 ID:6O8LX.7A0

炎に誘われる虫のように、グランバニア王リュカは知らず知らずテッド・ブロイラーの元へと歩いていた。
何故むざむざと敵の前に身を晒すような真似をしたのか、無遊よろしく進んだ彼に特別な策も正義感もあったわけではない。
ただ、異常な胸の高鳴りとどうしようもない苛立ちを目の前の男に対して抱いていることだけはリュカ自信もわかっていた。
この感情──つい最近、味わったような気がするソレの正体を確かめる間もなく、
テッド・ブロイラーから放たれた、戦車の鋼鉄をも切り裂くモヒカンが目の前に迫っていた。

「モヒカンスラッガー!がががっ」
「バギクロスッ!」

放たれたモヒカンを咄嗟に真空の刃で落とそうとするが、努力空しくモヒカンは刃を貫いてリュカの脇腹を抉り取る。
僅かに狙いが逸れたのは、先程の呪文のお陰であろう。
安堵する間も無く、既に炎の爪から放たれていた二撃目がリュカへと着弾。
皮膚を焼きつくす炎を受けながら、リュカの心の内に沸々とある思いが沸き上がっていた。
そんなリュカの心の内など気に留めることもせず、ブーメランの様に在るべき頭へと収まったモヒカンが再び、リュカへと放たれた。

「……ルーラ」

リュカにトドメを刺すはずだったモヒカンは空を切る。
まるで、最初から何も無かったかのようにリュカの姿はそこには無かった。
瞬間移動呪文により作り出した一瞬の隙、テッド・ブロイラーが周囲を見渡すよりも早く、
ルーラで背後へと回り込んだリュカはテッド・ブロイラーへとバギクロスを放つ。
だが、テッド・ブロイラーの今まで殺してきた人間全てに対する評価のように、リュカもまた、テッド・ブロイラーという男を過小評価しすぎていた。
リュカを見失ったテッド・ブロイラーは、一瞬の動揺の後、瞬時に背後からの気配によってリュカを捉え、
放たれる真空の刃に対して避ける事も守ることもせず、切り裂かれながらリュカへと蹴りを放った。
まるでサッカーボールのように宙を舞うリュカ、しかしテッド・ブロイラーの攻撃は終わってはいなかった。

「モヒカンスラッガー!がががっ」

宙を舞うリュカに、あまりにも強力な攻撃に意識を朦朧とさせたリュカに、
モヒカンスラッガーを受けて、生を繋げる筈はなかった。



リュカには無かった。





「テトラカーンッ!」

リュカを追って来たのか、
激しく体を上下させながら浮遊する一つ目のヒトデが魔法を唱えた。

133 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/14(月) 02:53:49 ID:6O8LX.7A0

テトラカーンの効力によって生み出された魔法の障壁がモヒカンを跳ね返し、モヒカンは主へとその威力を見せつけることとなった。
額に浅く刺さったモヒカンを引き抜き、あるべき頭へと差し込むテッド・ブロイラーを尻目に、
意識を回復させたリュカは、最高位回復呪文であるベホマによって自信の治療を図り、その周囲を一つ目のヒトデが飛び回るという、
悪夢にも似た異様な光景が広がっていた。

(ベホマもルーラも……効力が大分弱まっているな……)

何もリュカとて敵の眼前で治癒を行いたいわけではない、
しかし、傷を癒さねば逃げるには辛く、先程の瞬間移動呪文を唱えようにも、何故か効力を発揮しなくなっていた。

そんなリュカに対して、一つ目のヒトデ──デカラビアが話しかける。
「さーせんwwwwwwww無視しないで下さいよwwwwwwwww指示下さいよwwwww指示wwwwwwwwwwww
僕ちゃんwwwwwwwほらwwwwwwwwなんかあんまり勝手に動くのってどうかな?って思ってるちゃーんwwwwwwwwはーいwwwwwwwwwばぶーwwwww
ほらwwwww一緒にwwwwwwwwwあのモヒカンぶっ殺そうずwwwwwwwwwwねぇwwwwwwwwwちょwwwww無視すんなしwwww」

COMP、リュカが支給品の中に見つけたソレに入っていた悪魔がデカラビアであった。
コミュニケーションを取る前にリュカはテッド・ブロイラーの方に駆けてしまっていたために指示を受けなかった彼は、
しばらくの待機の後、自主的な判断でリュカを追い、リュカを救った。

「ちょwwwwwwwモヒカンのモヒカン復活のお知らせwwwwwwwww助けてえーりんwwwwwwwwwwwえーりんwwwwwwwwwww
知るかwwwwwうぇwwwwwww救いなどどこにもないのだwwwwwwwwwwwwwwwww」

とうとう復活したテッド・ブロイラー、早速復活したモヒカンへと手を伸ばす彼を見てリュカはたった一言、デカラビアに告げる。


「死ぬまで戦って、時間を稼げ。僕は逃げる」
「マジ勘弁wwwwwwwwwwでも命令だから逆らえねぇwwwwwwwwwwwwデカラビアいっきまーすwwwwwwwwwwwwwwww」

迫るモヒカンを、先程と同じく障壁によって反射するデカラビア。
反射されたモヒカンを素手でキャッチするテッド・ブロイラー。
完全に回復しない体を引き摺り、その場を去るリュカ。


混沌がそこにはあった。

134 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/14(月) 02:54:15 ID:6O8LX.7A0



もういい

もういい、もういい、もういい、もういい、もういい

再び失うぐらいならば、今度は完全に縁を断ち切ってしまえばいい

きっと、一緒に戦ったならばあのうざったいヒトデにも情が湧いてしまうんだろう

殺し合いに乗る以外の方法でこの世界からの脱出をすれば、数え切れない程の喪失を味わうのだろう

真っ平御免だ!

幸福も!故郷も!家族も!仲間も!未来も!

何もかも何もかも何もかも捨ててやる!

僕は限界なんだ!

過去の精算、僕の人生はそれだけでいいんだ!

邪魔をするな!

僕にこれ以上与えるな!

僕は!僕は!






さっき、あの男に出会った時に自分が抱いた感情の正体に気づいてしまったんだ、

デボラを幽閉し、父さんを殺した馬と出会った時と同じ…………復讐できるという黒い歓喜

知らず知らずの内に、炎という共通点を見出してあの男とゲマを同一視していたんだ



復讐に喜びを感じてしまう自分が嫌だ

憎悪に身を委ねる快楽を味わうのはもう嫌だ

誰かのための復讐を、自分の欲望のために行なってしまうのは嫌だ

だから、僕に……もう何も与えるな

僕は復讐なんてしたくないんだ


父さんのために母さんを見つけて…………

後は何もかも天空の勇者に押し付けて…………

それでいいんだよ…………


だから……

父さんと過ごした日々を……
仲間と過ごした日々を……
デボラと過ごした日々を……

醜い自分で……

汚させないでくれよ……

お願いだから…………





【エリアA-1/港/1日目/深夜】

【リュカ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:ダメージ小、魔力消費大
[装備]:アームターミナルC(空)
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:情が湧く前に全員を殺し、元の世界に帰還する
[参戦時期]:石化直後

135 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/14(月) 02:55:35 ID:6O8LX.7A0

力があれば生き残る、それは当然のことだ。


焼き尽くされたデカラビアの死体を省みることもせず、テッド・ブロイラーは進み続ける。
瞬間移動、真空刃、反射、機械も無しに行われる彼の知識の及ばない能力、
それを知ってなお、彼は歩みを遅くすることはない。

心中にあるは、ただひとつ。



「雑魚ども!炎に包まれて死ぬが良い!
このテッド・ブロイラー様が遺伝子の欠片まで焼き尽くしてやるがががーっ!」



【エリアA-2/市街地西/1日目/深夜】

【テッド・ブロイラー@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:ダメージ小
[装備]:炎の爪、モヒカッター
[道具]:基本支給品、不明支給品1
[思考・状況]
基本行動方針:皆殺し
[参戦時期]:撃破前
[備考]:デカラビアは死亡しました、再召喚は不可能です。
     A-2の一部が火の海になりました

136 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/14(月) 02:57:30 ID:6O8LX.7A0
投下終了します

題名は「奪う者/奪われる者」で

137名無しさん:2012/05/15(火) 04:12:35 ID:OCvA.2vk0
まさかDQ5主人公がそう来るとは……
ルドマンやデカラビアなどでネタをはさみつつも、リュカの心情・解釈が悲壮感に溢れていて、
俺「ODIO」というテーマにすごくはまっていると思いました
以前の感想でもあがっていたように、設定が斬新、でも納得できる無名キャラが多く、
これからが大変楽しみです
投下乙でした!

138名無しさん:2012/05/15(火) 11:12:43 ID:0M55OMSYO
月報データ。オープニングと現行投下を含みます。
話数にオープニングやしたらば投下を含まない場合は話数から引いてください。
ロワ  話数(前期比) 生存者(前期比) 生存率(前期比)
俺ODIO 11話(+11)   35/38 (- 3)   92.1 (- 7.9)

139名無しさん:2012/05/15(火) 18:00:19 ID:fnoT7QkI0
ちょwwwヒトデwwwwwww
それにモヒカンをキャッチする、って普通に考えたら変な光景だよなwww
そしてそんな連中相手なのにリュカが悲しすぎるんだぜ…デボラ選んだのにもそんな理由が…
とにかく乙でした!

ところで月報ってよくわからんのだが
他と比べてどんな感じなの?

140 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/18(金) 00:10:59 ID:mWI.7seg0
>>139
真ん中ぐらいですねー

141名無しさん:2012/05/18(金) 01:11:52 ID:BYXDi1dY0
そーなんすかー
ぶっちゃけ知らない作品も多いがこの先どうなるんだろうって気になったり、所々笑わせてもらったりしてます
なんか上から目線で申し訳ないけど、これからも頑張って下さい。失礼しやした

142名無しさん:2012/05/18(金) 03:39:05 ID:NWWS4hB20
ここのフツオって仲魔なしで戦ってたんかな

143名無しさん:2012/05/18(金) 08:05:22 ID:.O/IDWao0
次以降の書き手の人の解釈次第じゃないかな?
悪魔が人の選択を奪うことを憎んでた感じだし人の選択を広げる仲魔には寛容だったかもしれん。
あるいはそんな見境はなくパスカル含めて全否定の縛りを課してたかもしれん。
まだどうとでも言い張れる段階だと思う。

144名無しさん:2012/05/20(日) 09:53:40 ID:SYjxAM3.0
ワルオのセリフに「フツオと同じ、悪魔使い」ってあったから
完全縛りというわけではないのかなと思ったけど、展開次第かなあ

145 ◆Cxilshz3Mg:2012/05/21(月) 18:39:55 ID:hPrn7hFs0
すいません。>>116の予約を破棄します。
長期間キャラクターを拘束して申し訳ございませんでした。

146 ◆TIENe3Twtg:2012/05/23(水) 08:30:46 ID:JEj2aM4U0
主人公の息子 ストレイボウ 予約お願いします。

147 ◆Cxilshz3Mg:2012/05/23(水) 17:23:41 ID:u8du7AKA0
ttp://www20.atpages.jp/~r0109/oreodio/

現在位置CGI借りてきました。
DQ2ndとかで使われてるのと同じ感じに使えます。
良かったら使ったって下さい。

148 ◆w3jhWtfiTI:2012/05/28(月) 00:48:58 ID:jfqYkxJQ0
地図お疲れ様です!すごくわかりやすいですね。
あと カイム 予約お願いいたします。

149 ◆Cxilshz3Mg:2012/05/29(火) 11:18:59 ID:Gm1YR7OsO
ミカエルと書き手枠で魔神竜之介@LALを 予約します

150 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/29(火) 12:19:33 ID:KlwneMYo0
地図ありがとうございます!

ロシーヌ、アリオーシュ予約します

151 ◆TIENe3Twtg:2012/05/30(水) 04:25:00 ID:47BYb2CE0
地図すごい。勘違いして覚えてた部分があったりしたのでわかりやすくて助かりました!

あと今日中に完成できるか少しギリギリっぽいので予約延長をおねがいします。

152 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/30(水) 22:15:43 ID:hvnhZATk0
了解ですー

ゆっくり書いていってね

153名無しさん:2012/05/30(水) 23:38:30 ID:Dkc4CyCM0
管理人様問題があれば削除してください。

鳥漏れ報告です。
tp://2chnull.info/r/news4viptasu/1326123942/201-300

154 ◆fRBHCfnGJI:2012/05/30(水) 23:56:24 ID:hvnhZATk0
>>153
報告ありがとうございます。
ですが、この酉は何回かうっかり晒していますので大丈夫です。

155 ◆Cxilshz3Mg:2012/06/02(土) 01:13:25 ID:sFLvMhxM0
投下しまーす

156明けない夜を行け ◆Cxilshz3Mg:2012/06/02(土) 01:19:52 ID:sFLvMhxM0
妖刀村正。
その刀、わずかな損壊も許さず。
その刃、形無き物すら断ち切り。
その力、世の全てを掴むという。

しかし、誰一人としてその刀を手にした者はいない。
魔神さながらの気迫を纏う男どこからともなく現れ、その刀に近寄る者を全て斬り捨てるからだ。
男が何者なのか、なぜ刀を手に入れようとする者を阻むのか、彼について知られていることは少ない。
ただ一つ分かっているのは、男の名が「竜之介」ということくらいだった。

157明けない夜を行け ◆Cxilshz3Mg:2012/06/02(土) 01:20:09 ID:sFLvMhxM0



大天使ミカエルは、一人で空を仰いでいる。
神の千年王国、カテドラル。
そこに唯一の神が住まい、絶対なる秩序と共に人々が住まう予定だった。
しかし、その王国は完成することなく、崩壊を迎えた。
ルイ・サイファーの手による、魔族の手によるものでもない。
内部に紛れ込んでいた反旗を翻す者の手によるものでもない。
集団決起を行った人間達の手によるものでもない。

たった一人の少年の手で、カテドラルは崩壊したのだ。

ルイ・サイファーの軍勢も、ヴィシュヌも、ラファエルも、ウリエルも、ガブリエルも、ロウヒーローも。
たった一人の少年に、葬られた。

神はその結果に怒りを示し、直接その手で人類を裁くことを決めたのだろう。
しかし、神は自分が直接裁く前に一つのチャンスを与えてくれた。
生き残ることが出来れば、神と契約が出来ると言われた。
この場にいる者全員を裁くことが出来れば、もう一度神に仕えることが出来るということだろう。
以前よりもより近いところで、神の力になれる。

そうすれば、再び千年王国を作り出すことも不可能ではない。

そんな短絡的な思考。
しかし、彼を突き動かすには十分な理由だった。
その足は、止まらない。

158明けない夜を行け ◆Cxilshz3Mg:2012/06/02(土) 01:20:24 ID:sFLvMhxM0



「何故、村正を求める?」
竜之介は村正を求める者に対し、常に問いかけていた。
しかし誰に問いかけても、答えはいつも似通っていた。
「もっと斬れる刀で沢山の人を殺したい」
「高値で売り飛ばして遊んで暮らしたい」
「村正の力を以て世界を支配したい」
全て、私利私欲に満ちた答えだった。
力を持つ者が上にのし上がるこの戦乱の世では仕方がない事なのか、と。
目先の欲に釣られた者達を斬り伏せながら、竜之介は常に考えていた。

そんなある日、村正の元に一人の忍が現れた。
またか、と思いながらも竜之介は忍にも同じように問いかけた。
「何故、村正を求める?」と。

159明けない夜を行け ◆Cxilshz3Mg:2012/06/02(土) 01:21:02 ID:sFLvMhxM0



ミカエルは早速見つけた一人の男に対し、問答無用で攻撃を開始した。
いや、攻撃というより一方的な弾圧と表現するのが正しいか。
かつてザ・ヒーローと対峙したときには自分の心に慢心があった。
ヴィシュヌのような数々の強者や、アスラ王の軍勢、果ては大天使達をも屠って来た少年。
しかし所詮は人間、この自分が負けるわけがないという油断があった。
あの惨敗は自分が招いた結果だった。
だから、今度は一切手加減しない。
どの罪人が相手でも、全力を以て裁くと決めた。
両の手から次々に放たれる裁きの炎は、一人の男に真っ直ぐに向かっていった。
一発目が着弾し、土煙を上げてもミカエルはその手を止めなかった。
「問う……なぜ、お前は戦う?」
突然耳に届いた声の方へ振り向くと、先ほどまで遠くにいたはずの男が立っていた。
その体には傷は愚か、汚れの一つすら付いていなかった。
「何のために戦うのか? 簡単な事だ、愚かな人類を救ってやるためだ」
男の間合いに既に入っていることを認識しながら、ミカエルは淡々と口を開く。
「救う……?」
「そうだ、神の手を拒んで滅びの道を進む人類を救ってやるのだ」
怪訝な表情を浮かべる男に対し、ミカエルは構うこと無く口を開き続ける。
「元より我々は神の命を受けて、人々が末永く暮らせる王国を建設している所だった。
 王国が完全し神が住まえば、人々は愚かな行動を繰り返さず、末永く生き長らえられるのだ。
 それに向けて我々は人間を導いてやっている途中だった。
 ところがどうだ、人は神の手を拒み自ら破滅の道を歩み始めたのだ!
 ならば、今度は一足先に破滅に導いてやろうというだけだ。
 我々の手によって!」
一息にそう言い切り、ミカエルは再び男に向けて炎を放とうと魔力を練り始めた。
だが、ミカエルは炎を放たなかった。
「……何が可笑しい」
男が、笑っていたからだ。

160明けない夜を行け ◆Cxilshz3Mg:2012/06/02(土) 01:21:16 ID:sFLvMhxM0
「神を名乗る者とそれに仕える者がそこまで阿呆だと聞いて、笑わん奴こそどうかしておるわ」
その一言に、今度はミカエルの表情が険しくなる。
今度は男が先ほどのミカエルのように喋り続けた。
「確かに拙者も人間とは愚かな生き物だと思っておった。
 権力や武力、とにかく力を追い求めて自分より力の無いものを踏みにじり、支配し、搾り取る生き物なのだと思っておった。
 力を求め、力に溺れる者ばかり。拙者はそんな奴らを何人も斬り伏せてきた」
そこで一息つき、男は空を見上げた。
「そんなある日、拙者は一人の忍に出会った。
 奴もまた、力を求める者だった。
 しかし、奴だけは他の者とは違っていた。
 力で人を支配する腐った世をぶち壊し、人一人が自分の足で自分の道を歩める国を作りたい。
 そのために、力を振るう奴らを倒す力が欲しいと言いおった。
 その真っ直ぐな目と、真っ直ぐな力に拙者は負けた。一片の悔いも残らぬほどにだ。
 奴なら国を変え、人が自分で歩いていける国を作れると思った。
 人間の可能性、人間の未来を切り開く力、人間がしっかりと生き続けて行ける力を拙者はしかと見た」
男は刀を構え、再び口を開いた。
「人間は一人でも歩いて行ける。その人間を力で支配しておいて"導いてやる"など、力に溺れすぎておる。
 そんな連中が人間に滅ぼされるのは、当然とも思えるがのう!」
「言わせておけば!!」
堪忍袋の緒が切れたミカエルが男へと殺意を剥き出しにして襲いかかった。
「ぬるい! 決意、実力、希望、全てが奴の太刀筋よりヌルい!」
男は悠々とミカエルの攻撃を交わし、一言を放つ。
怒り狂うミカエルが次の攻撃の一手に転じようとしたその時。
彼の右腕が、ズルリと滑るように地に落ちたのだ。
男はミカエルの攻撃を避けただけのはず、攻撃をした様子もなければ、音も響いていない。
理解できないままのミカエルをよそに、男は語り続ける。
「お主等のような力に溺れし者の刃、この竜之介には未来永劫届かぬわ」
ようやく正気に戻り残った片腕で攻撃しようとするミカエルを、竜之介は見つめ直し、特殊な構えに入った。
「冥土の土産に刻んで行け。拙者がこの目で見届け、この身に刻んだ。
 未来を切り開こうとする力を持った人間の刃を!」
その言葉と共に、竜之介はミカエルへと素早く飛びかかった。
「半月流、外式――――」
旋回しつつ攻撃をかわしながら、ミカエルへと肉薄していく。
「矢車草ッ!!」
竜之介が風と共にミカエルの隣を駆け抜けた後、ゆっくりと足を付き、胸に鮮血の花を咲かせながら倒れ込んだ。

161明けない夜を行け ◆Cxilshz3Mg:2012/06/02(土) 01:22:13 ID:sFLvMhxM0



肉体はとうの昔に失い、霊魂となりながら村正を守護し、あの日のおぼろの手によって天へと昇ったはず。
しかしどういうわけか再び生を受け、肉体と共にこの地に降り立っている。
命じられたのは殺し合いだ、最後の一人になるまで全ての人類を殺せということである。
もちろん、そんな口車に乗るはずも無かった。
あの日のおぼろの言葉を聞き、自分は未来を切り開く人間の力に賭けると決めたのだ。
それを阻もうとする神ならば、先ほどの男と同様に切り捨てるだけである。

自分の命は既に失われた命、ならばこの地に呼び出された「未来を切り開く者」の力になるために全てを使うだけ。
それを阻むものは斬り捨てて行く、この命が尽きるまで。
「おぼろよ、お主が夢見た未来。決して壊させはせぬ!」
かつて自分を打ち破った者が使っていた刀を握りしめ、竜之介は殺し合いの地を再び歩き始めた。

闇に包まれた明けないはずの未来を、切り開き照らす人間達を守るために。

【F-5/中央部川辺/深夜】

【ミカエル@真・女神転生Ⅰ 死亡】

【魔神竜之介@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:カネサダ@LIVE A LIVE
[道具]:基本支給品*2、不明支給品(1〜5、ミカエルの物を含む)
[思考・状況]
基本行動方針:未来を切り開く力のある人間を守り、力に溺れ他者を踏みにじる人間を斬る。
[参戦時期]:本編撃破後
[備考]:忍法矢車草を独自に習得

162 ◆Cxilshz3Mg:2012/06/02(土) 01:23:12 ID:sFLvMhxM0
投下終了です。
何かありましたらどうぞ。

163 ◆TIENe3Twtg:2012/06/02(土) 07:24:59 ID:C/7qjVDc0
投下乙です。
竜之介の予約が入ったときはどうなるかと思ったけど面白い転び方したなぁ。
主人公の息子・ストレイボウ 投下します。

164東の山に…… ◆TIENe3Twtg:2012/06/02(土) 07:25:54 ID:C/7qjVDc0

めのまえが まっくらになった!

ぱちくりと目を開け閉めする。
夢だったのだろうか、どこから夢だったのだろうか、まだ夢の中にいるのだろうか。
そんなことをぼんやりと思いながらまっすぐ前に進む。

ゴツン!
暗い中でも目の中に火花が散ったように錯覚する。
ぶつかった。いたい。夢じゃない。

別に戦闘不能に陥ったわけでも、命を落としたわけでもないし、闇の世界を支配する大魔王に昼の世界の光を奪われたわけでもない。
以前に男の子も体験したことがある灯りのないダンジョン、どうくつの中にいるのだ。

普通は入口の光がまだ届くところでたいまつに灯りを点けるのだが、今回は自分から乗り込んだわけではない。
暗闇に目の利かない中、いつのまにかに背負っていたデイバックに手を伸ばし、手探りで松明を探しだし手慣れた様子で灯りを点した。

┏どうぐ━━━┓
┃ .デイバッグ.┃
┃┏━つかう━━━━━━━┓ 
┃┃  地図            ┃
┗┃  コンパス    .     ┃
  ┃  水              ┃
  ┃  名状しがたい物      ┃ 
  ┃  筆記用具          ┃ 
  ┃  名簿         . ┏━━━━━━━━━━━━┓ 
  ┃  時計         ┃松明をつかいますか?.   .┃ 
  ┃→松明×3         ┃→  はい               ┃ 
  ┗━━━━━━━━━ ┃   いいえ           ┃ 
                 ┗━━━━━━━━━━━━┛
「うわっ!」

照らされた部屋の様子に気付くと大声を出して驚き尻もちを着いた。
目の前には見た事もない鳥の形をしたモンスターがいた!
……もっとも、本物ではなくてただの石像だったのだけど。
見渡してみるとこの部屋には他にも6つの石像が置かれている。
7つの石像は見た事のない服を着た人だったり、見たことも無いモンスターのものだったり統一感のないものだ。
暗がりで見るそれらの像は、その精緻さも相まって生きているように見えて、大人であっても不気味さを感じるのは必然だろう。

「ちょ、ちょっと驚いただけ!別に恐い訳じゃないよ!」
だってぼくはお兄ちゃんなんだから。そんな言い訳をだれが見ているわけでもないのに繰り返す。

小さな男の子にとってお兄ちゃんであるということはそれだけ大きな矜持だ。
ひょっとしたら実感の薄い王族であることや勇者であることよりも大事に思っているのかもしれない。

「ここにある像ってなんの像だろう?」
一通り騒いだ後に気になったのはそんなことだ。
まるで生きているみたいな石像。それはお父さんやお母さんのことを思い出させる。

「ストロスの杖があれば元に戻るのかなぁ?」

元々持っていたものは没収されて再分配する。
そんなことを言っていたから、きっと誰かが持っているのかもしれない。
「出口を探そう」

ダンジョンの中に入ったらまずする事、と言えば徹底的に隅々まで探し回る事だ。
いいアイテムや武器・防具が転がっていて冒険を楽にしてくれるかもしれないし、不思議なしかけがあるかもしれない。
だけど、それは帰り道をしっかり確認した上でやる事だ。
宝物を探すのは素敵で大事なことだけど、家に帰るのはもっと大事なことなんだから。
だから松明の炎を揺らす空気の流れに従って、奥の部屋への扉を開けた。

165東の山に…… ◆TIENe3Twtg:2012/06/02(土) 07:27:51 ID:C/7qjVDc0

唸り声とも呻き声ともなんとも形容しがたい声にならない声のようなモノが断続的に響いている。
部屋にあるのはたった一つの大きな像。それだけの実に殺風景な部屋だ。
マントと鎧兜を装備したその像は騎士のようにも見え、先の7つの像と比べては慣れ親しんだ姿を模ったものだ。
声を発する石像は不気味だけど、それ以上にはっきりと怪しい。

→しらべる

石像の台座が開いてヒミツの階段が見つかった!
像が声を出しているみたいに見えたのは外の空気がここにぶつかって像の中で響いていたのが原因なんだろう。
こういうヒミツの入り口は外に通じているか、お宝を隠すのに使うのが定番だ。
ラインハットのお城みたいで少しワクワクしてくる。
迷う事なく一本道を進む。
通る人が少ないのが原因なのだろう、人工的な少し長い道は直前に通った部屋と比べて荒れているように感じる。
「わぁ!」
辿り着いた出口は外に通じていて、星の散らばった空はこんな時でも素直に綺麗だ。
同時にここが山の頂上である事も理解する。
見渡す限り誰もいないのは残念だけど、高いところは好きだ。
真っ直ぐ進んだ先にはさっきのヒミツの入り口を隠していた像と同じデザインの、それよりも大きな像があって、
ぽっかりと空いた入口から見える部屋の中にはベッドも見えた。
寝る場所を確保出来た安心と、暗さに引きずられて襲ってきた眠気に耐えて最後にもう一つだけやる事をやってから眠ろう。


これはお父さんにだってできないボクだけの勇者の魔法だ。
これを見た、勇者を知る人はきっとここに集まってくる。
仲間が増えれば、みんなで助け合えればきっと、ワルい奴らもやっつけてみんなで家に帰れる。
勇者だなんて呼ばれるけどもボクに出来る事は本当に少ない。
まだ子供だからだ、なんて言い訳も思い浮かぶけど、きっと全てを一人で背負うことなんて大人にも出来ないんだ。
お父さんがそうだったように、ボクも色んな人や、人じゃないものと一緒に闘っていきたい。


「来たれ、希望の雷」

ライデイン!


暗い世界を一瞬、明るい光が照らし出した。

朝起きたらこの石像の上に登ろう、きっと見晴らしがよくてみんな見つかる筈だから。
そんなことを考えながら男の子はベッドに入り、夢の中に落ちて行った。

【D-6 /魔王山最深部/1日目/深夜】
【主人公の息子@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康・就寝
[道具]:基本支給品1式(松明をひとつ消費しました)、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:ワルモノを倒してみんなで帰る
1:ここに集められた人と合流して助け合う
2:少し石像が気になる。
[備考]
ライデインによって山に落ちた雷が幾つか離れたエリアでも観測できるかもしれません。

166東の山に…… ◆TIENe3Twtg:2012/06/02(土) 07:31:07 ID:C/7qjVDc0

「くそっ、ダメか!」
静かな森だ。生き物の気配が、音が、普通なら聞こえてくる筈の生きている息遣いがまるで見つからない。
何も聞こえないここではまるで生きているのが場違いであるようにすら感じられる。
そんな場所に存在する唯一の音源はこの場に送られてきた参加者の一人、ストレイボウという名の魔法使いの青年だ。
ウェーブのかかった長髪に、魔法使い特有のローブを着た姿は、その面構えと相まり彼の姿に理知的な印象を与える。

しかしその実、彼は感情的な激情家としての一面を持つ。
この場に放り込まれる直前までの彼はオルステッドの引き立て役だった過去に決別する事を彼の感情のままに求め、行動に移した。
見知らぬ子供の言い放つ神との契約は彼の感情にとって魅力的なものではなかったし、彼は人並み以上に正義感を持ち合わせていた。
彼も知る、みんなに好かれている全ワールド一の人気者(ライブ・ア・ライブ 公式冒険ガイドブックbyスタッフより)ワット・ナーベ親子の死も拍車をかけた。
神を名乗るものたちに従う義理はない。
彼が目指すのは反逆であり状況の打破だ。
そのためにも、と試みたアクロフォビアの召喚はまるで手ごたえがない。
健常者が何も考えずに歩く事ができるように、それは息をするように自然と出来ていた筈なのに、その感覚は霧散してしまっている。

「これが、神との不完全な契約、ということか」
魔法使いであるストレイボウにとって明らかに大きな損失だ。
一対一の戦闘に魔法使いは向いていない。前衛となる何かがあってこそ初めて活きる技能であると言ってもいい。
国で二番の実力を誇るストレイボウであってもそのことに変わりはなく、そのためにも情報と言うアドバンテージを増やす事は急務となる。

「■■■■」
詠唱し、念ずるは飛行魔法。
彼が戦闘行動において、平行して幾つもの魔法を使用できない以上、なんの役にもたたない飛行魔法。
だが現状の目的を果たすにはぴったりの魔法だった。
これを用いて薄暗い森の中から遮るものの無い上空へと至った。
状況を打破するためには情報を理解しなければならない。

遮るもののない世界は、それでも薄らぼんやりとした明りしか存在せず明瞭とした輪郭を教えてはくれなかったが、
それでも地図に書かれた地形はおおよそ正しいものである事を教えてくれた。
(もしもあそこが魔王山だったなら、力をまた得る事ができるのかもしれないが……)
憎しみはある、復讐心に陰りはなく、行動指針に揺らぎは無い。
ただ肝心要の力だけが、ごっそり抜け落ちてしまっているのを理解していた。
それが酷く歯がゆい。
そんなことを想いながらも、これ以上の収穫は望めないと現在地を脳内の地図と重ねて確認しながら落ちていく。
そんな中、たまたま向いていたのが魔王山の方向だったのが幸いした。
視界を鮮明な光が走る。
空から降ってきた小さな雷は、それまでおぼろげにしか見えなかった山の姿を鮮明に照らし出し、彼はあれが紛れも無く彼の知る魔王山であることを知った。

167東の山に…… ◆TIENe3Twtg:2012/06/02(土) 07:34:32 ID:C/7qjVDc0

「なんだ、アレは……」
知らない。彼はあんな理不尽を知らない。
神鳴りなどと称されることからもわかるように雷を落とす事は幾つもの世界で神の所業とされていた。
魔法を嗜む彼だからこそあのような現象を起こす、そんな理不尽はありえないと知っていた。
彼自身電撃を用いた魔法は心得ていたが、それは気象を操る雷撃ではなくあくまで電撃でしかない。
同時に雲ひとつない空に突如として落ちた雷が自然のものではないことを理解していた。

彼はあんな理不尽を知らない、だが別の理不尽を知っていた。知り過ぎる程に理解していた。

むかしッから そうだ!俺がどんなに どりょくしても!
いつも そのひとつ上を行っちまうッ!! 

あのような理不尽を起こせるものがいるとしたらそれは勇者か、あるいはその対となるものつまり……
「魔王……」
その脅威に暗い悦びを覚える。
元いた場所には魔王など何処にも居てはくれなかった。
オルステッドを超え、その引き立て役でしかなかった過去に決別するためにはオルステッド自身を陥れ、敗北を刻み、勝利するしかないと、そう考えていた。
だが、ここには魔王がいる!
もしも、魔王をオルステッドよりも早く見つけ出し、倒す事が出来たとしたら……

目的は微塵も揺らぎはしない。憎しみも復讐心も嫉妬心も敗北感も全て胸の内になんら変わる事ない形で燻ぶっている。
ただその手段だけを変えて、勇者の、オルステッドの引き立て役だった過去に決別するために!
彼は魔王山へと向かう決意を固めた。

【エリアC-5/森林地帯/1日目/深夜】
【ストレイボウ@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品1式、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:神に従わない、オルステッドの引き立て役だった過去に決別する
1:オルステッドよりも先に魔王山に向かい魔王を倒す
2:偽魔王と闘った部屋まで行けば、また力が戻るのではないかと期待
[備考]
参戦時期は魔王山にて岩盤を落としオルステッドたちと別れた以降からの参戦です。
ゲーム中、レベルアップで覚えさせる事が出来る魔法は全て使えますがオディオとしての力は制限されています。
地図がおおよそ正しいことを把握しました、また魔王山が自分の知る魔王山であると認識しました。

168 ◆TIENe3Twtg:2012/06/02(土) 07:35:43 ID:C/7qjVDc0
投下終了します。
問題等ありましたらご指摘願います。
ありがとうございました。

169名無しさん:2012/06/03(日) 10:27:43 ID:BDZoyX120
>明けない夜を行け
まさか魔神竜之介の名前をロワで見ることになるとは……と思っていたらさらにまさかのミカエル脱落
おまけに矢車草まで習得済み。思想も含め滅茶苦茶かっこよかったです!

>東の山に……
男の子がかわいい。確かにこどもは寝る時間だがなんと肝の据わった子w
お兄ちゃんであることを何より大事に思っている、というのは良いなあと思いました
対してストレイボウ、魔王がいなかったからこそ優位性を示すためにオルステッドを貶めた
そんな解釈もできるんですね。“勇者”の男の子と出会ってどうなるか楽しみです

投下乙でした!

170 ◆Cxilshz3Mg:2012/06/03(日) 13:59:17 ID:JwSzgo4MO
投下乙です!
ライデインを目印に使う、そういうのもあるのか!
それに対するストレイボウの思考も含め斬新だなあと思いました。
ここのストレイボウはどうなんのかな……?

ついでにミシカ、アスラ王予約します。

171 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/03(日) 14:10:57 ID:BDZoyX120
カイム投下します

172心閉ザセシ鉄棺 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/03(日) 14:12:00 ID:BDZoyX120
人も物も、この世に在ることとなったからには、全てのものに『物語』が付随する。
その生まれ、在り方、生き様、来歴。
起伏の大小、語り継がれるか否かなどの違いはあれど、必ずそこには謂れがある。

これは悲しい王子の物語。
これは恐ろしい王子の物語。
これは翻弄された王子の物語。
これは狂った王子の物語。
これは――


◆◆◆


『……カイムよ、聞こえておるか……?』

周囲の静寂を打ち破り、ひとつの“声”がカイムのもとに届いた。
“声”の主はレッドドラゴン――カイムの契約相手であった。

目にかかるほどに伸びた焦げ茶の髪を揺らしながら、カイムは首を巡らせる。
聞こえてくるのが声ではなく“声”であるということや、自分以外の生き物の気配が微塵も感じ取れないことから予想はついたが、
闇に目を凝らしても辺りにあるのは密集して茂る木立ばかりであり、竜の巨体が収まりそうな隙間自体、存在しなかった。
人の顔で埋め尽くされたあの空間にいた時から、レッドドラゴンの姿は見えていない。

『どうやらおぬしとは引き離されたようだな。
 ……加えて忌々しいことに、我は今身動きが取れぬ』

苦りきったドラゴンの“声”が、再びカイムの身の内にのみ反響する。
カイムが舌打ちを抑えながら、どこにいるんだと“声”で問うと、
返ってきたのはわからぬとたった一言、棘のある素っ気のない返事のみ。
誇り高い竜は、むざむざ捕らえられ助けを待つなどという、屈辱的な状態について言葉にするのを厭うたのか、
はたまた説明するだけの外界の認知すらできない状態にあるのか、この件に関してそれ以上口を開くことはなかった。

173心閉ザセシ鉄棺 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/03(日) 14:13:15 ID:BDZoyX120

『……まったく人間というものは何を考え出すのか、ついぞ理解できん』

ドラゴンはよほど腹に据えかねているようで、不快感をそのままに吐き捨てる。
直接あの空間で耳にしていたわけではなかったが、何のために自分たちがこのような場所に連れてこられたのかについては、
カイムのざわついた心中を通してレッドドラゴンにも伝わっていた。
――「今から、貴方達に殺し合いをしてもらいます」

『他の契約者の“声”も、気配も感じぬな。おぬしひとり、厄介事に巻き込まれたか……?』

先程から言う“声”というのは、モンスターと互いの心臓を交換し契約者となった者達が扱うことのできる
思念による通信のことである。
空気の振動の波である「音」とは異なり、距離も遮蔽物も関係なしに言葉を伝え合うことを可能とする。
こんな状況下なら、例えば神官長のヴェルドレ辺りなどはうるさいほどに“声”を飛ばしてきそうものだが、
この地に飛ばされて以来カイムのもとに届く“声”は、レッドドラゴンによるものだけであった。
“声”だけでなく、カイムの心とは裏腹に深閑とした森も、葉音一つ立てていない。


『――して、おぬしはこれからいったい、どうするつもりなのだ?』


試すようなドラゴンの問いかけが、周囲の静寂も相まって嫌に響く。
その問いに対しカイムは、デイパックから取り出してあった大剣――刀身部だけで身の丈ほどもあり、
常人では持ち上げることさえ難しそうなもの――を両手で構え、目の前の立木に向かって、真横に思い切り振り抜いた。

ミシミシという悲鳴にも似た音を立てて、樹木が倒れる。
苛立ちをそのままに薙いだ構えはおろそかで、武者震いの伝わった手元はわずかに狂い、
剣を支え損なったがために“斬る”というよりも“叩きつける”といった有様になってしまった。
鋭さではなく衝撃の重みによって無理やり二つに分かたれることとなった木の株は、ささくれ立った断面を晒している。
だが多少切れ味が鈍っているようなくらいの方が、カイムにとっては都合がよかった。

174心閉ザセシ鉄棺 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/03(日) 14:14:13 ID:BDZoyX120

手に持つ大剣。刃こぼれは散見されたが、名うての鍛冶屋が打ったものであろうことは、
さまざまな武器を見て扱ってきた経験から容易に想像がついた。
業物はそのあまりの切れ味に、空を切るかのごとく使用者になんの手応えも残さずに、両断してしまう。

――しかしそうであっては、人を「殺す」感覚を味わえない。

腕を切り落とし、足を吹き飛ばし、腹を引き破り、頭を刈り取り、目を抉り出す。
肉を断つずぶりとした感触。骨を砕くごきりという感触。
一思いに死ぬことができずに痛みに悶える帝国兵が、無様にのた打ち回り、醜くあげる断末魔の叫び。
それらが、それらこそが、カイムの空虚な心をも満たすことができるのだから。


戦いの予感に昂揚し生じた汗が、柄に巻かれた布地に滲み込んで芯の金属と交じり、微かに匂い立つ。
それに触発されたかのように、返り血のこびりついた軽鎧からも同質の匂いが立ちのぼり、鼻を衝く。
すっかり嗅ぎ慣れ半ば麻痺した、鉄の匂い。
その香りは日常的になりすぎて、まるでカイム自身が鉄の塊となって発していると思えるくらいになっていた。

……それはあながち、間違いではないのかもしれない。
6年前、齢18の時に父王と母が帝国軍に殺されて祖国が滅んで以来、カイムの心は鉄のように冷え切っていた。
その後たったひとりの肉親となってしまった妹のフリアエまでもが、世界を安定化させる役割を担う“女神”に選ばれてしまい、
カイムの親友であり妹の婚約者であったイウヴァルトも含めた三者の関係は、軋んだ。
それからのカイムは、復讐の鬼となった。
己を鉄の刃とし突き立てている間は、現実を忘れることができた。
憎悪の炎に身を焼いている間だけは、冷めた心身にも熱が通った。
カイムは、復讐という名の鉄剣となっていた。

175心閉ザセシ鉄棺 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/03(日) 14:15:12 ID:BDZoyX120

「両親の仇への義憤」「妹の運命への憐れみ」。
周囲も――カイム自身も、それが復讐の理由だと思っていたし、確かに最初の頃はそれだけのはずだった。
だが知らず知らずの内に、カイムは人を斬ること自体に快楽を覚えるようになる。
誰かのための復讐を、あくまで自分の欲望のために行なうようになり、
しかし形骸化した理由を掲げ続けて殺戮に悦びを見出す己の心を偽りながら、奪われた者は奪う側にまわった。

『相変わらず激しい男よ……おぬしにとっては厄介というばかりでなく、飢えた獣の前に吊るされた肉塊でもあったか』

ドラゴンがカイムの欺瞞を暴いても、復讐の念で頭を満たされた男は意に介さない。
棺を思わせるほどに巨大で身幅の広い剣を、デイパックに一緒に入っていた固定具で背にくくりつけて、
カイムは森の中を歩き出す。

憎き帝国の者を切り刻み、流させた血で己が刃を磨ぎ、脂は炎にくべ燃料とする。
その行為の果てにあるのは、バラバラとした錆の粉にまで分解され、焼き融けるような末路でしかないとしても。
内なる欲求に抗うことはできなかった。

『憎しみだけでは生き残れまいて……』

“声”による竜の忠告も、空気を震わせることなく、誰の耳にも入らずに消えた。


◆◆◆


これは、本人にとって最も大切なものを代償に差し出す契約において声を――他者とつながるための術を、失った男の物語。
これは、両親を帝国のブラックドラゴンに惨殺されながらも、仇敵と同種族の赤い竜と契約を交わしてでも
生き残り復讐を行なうことに執着し、力を手に入れた男の物語。

他者の目や口を介した――ましてや本人も真実から目を背けているような――物語が、
いかほどの真実を含んでいるかはいざ知らず。
されど物語は紡がれていく。

176心閉ザセシ鉄棺 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/03(日) 14:16:14 ID:BDZoyX120


そしてここに始まるのは、彼の物語だけでなく男の背負う「剣」に加えられゆく物語でもある。

その剣は、「ドラゴンを撃ち殺せるような剣を」との国王の布令により造られることとなった。
過度な装飾を省き、純粋な破壊力を追求されたその剣は、誰にも扱うことができずに小屋の奥で眠り続けていた。
――復讐に燃えた、一人の狂戦士の手に渡るその時まで。

それは剣というにはあまりにも大きすぎた。
大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。
それは正に鉄塊だった。



【エリアD-3/森林地帯/1日目/深夜】

【カイム@ドラッグオンドラグーン】
[状態]:健康
[装備]:ドラゴンころし@ベルセルク
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:生き残り復讐する
1:レッドドラゴンを探す
[備考]
会場内のどこかに、カイムと契約したレッドドラゴンが身動きの取れない状態でいます。
契約相手同士以外の“声”の伝達に制限がかかっています。

177 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/03(日) 14:19:35 ID:BDZoyX120
以上で終わりです。
“声”やレッドドラゴンの扱いなど、これで大丈夫でしょうか……?

178名無しさん:2012/06/03(日) 15:05:14 ID:Ux4HBjNY0
うわぁ、武器物語を思わせる物語の入りと締めの入れ方がスゴイ素敵。
お話全体の流れもカイムらしい狂いっぷりも好きなんですがルールの
・DODからの参加者は参戦時期が契約移行の場合、支給品枠を1枠使って契約したモンスターを支給。
のところの扱いが少し気になりました。
意思持ち支給品の中でもとびっきりの変わり種ですし、他の支給品と同じような扱いで支給する
っていうのも上手い事やらないと優遇されているみたいで違和感がありそうで個人的にはこういう支給方法も面白いとも思うのですが……

179 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/03(日) 16:19:52 ID:BDZoyX120
指摘、感想ありがとうございます。

そこのところはすごく迷いまして……
レッドドラゴンを支給するのにあたって一番困ったのが「サイズ」でした。
マップのほとんどが森林地帯ということもあり、そのまま支給してしまうと
カイムの行動範囲が制限されてしまったり、他に与える影響が少し大きすぎるのではと思いました。
レッドドラゴンだけ広い場所にいる状態で別行動可とすると、
あくまで支給品ですし、序盤から自由行動になってしまうのもなあと思い、
かといって上空をずっと旋回させるというわけにもいかず……
飛行能力やブレスなどの制限との兼ね合いもあり、
またカイム自身単体でも十分戦えるキャラなので、このような形としました。

できれば◆fRBHCfnGJI氏やほかの書き手・読み手の方々からも
意見もしくは修正案を頂けると助かるのですが……

180名無しさん:2012/06/03(日) 16:26:38 ID:Ux4HBjNY0
他の悪魔やモンスターとかみたくCOMPに詰めれると一番シンプルなんだけど、
レッドドラゴンだとそういうのってイメージと食い違いそうな気もするんですよね……
いや、見せ方次第、演出次第ってものなのかもしれないし、好みの問題の域を外れてないのかもしれないのですが。

181名無しさん:2012/06/03(日) 16:31:14 ID:Ux4HBjNY0
サイズの問題なら設定資料集のお遊び企画であった擬人化させればいいんじゃね?
とかも一瞬真剣に考えたけど流石に場違い感が酷過ぎて論外っぽいしなぁ……w

182 ◆fRBHCfnGJI:2012/06/03(日) 17:00:45 ID:w4wv/NjQ0
とりあえず、感想を一旦置きまして
レッドドラゴンについて

最初はアンヘル、ブラックドラゴンの支給そのものを制限するつもりだったのですが、
支給されない契約者がいるというのもなーという感じで、アンヘルの支給を可能としました。

元々、そういう考えですので
◆w3jhWtfiTI氏の支給方法に関しては通しでいいかなーと思っております。

183 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/03(日) 20:18:03 ID:BDZoyX120
>>182
ご回答ありがとうございます。
そう言っていただけるとこちらとしては本当に助かります。
なんかいろいろ勝手なことばかりして申し訳ありません……

184 ◆fRBHCfnGJI:2012/06/03(日) 21:13:57 ID:w4wv/NjQ0

>明けない夜を行け
魔神竜之介を予約した時は、なんというズガンフラグ……と思っていたのですが、
蓋を開けてみれば、刀を守っているという設定からここまで格好いいキャラ付けにするとは、
いや、本当に面白いキャラだと思います!投下お疲れ様です!

>東の山に……
「魔王など何処にも居てはくれなかった。」、このストレイボウの台詞が強く印象に残りました。
この一言で、オルステッドとの対比とストレイボウの感情が直に伝わってくる感じ、
本当に良かったです!投下お疲れ様です!


>心閉ザセシ鉄棺
いや、すごい。
なんというか完璧としか言い様がありません。
武器物語風の構成ももちろん、
世界を超えて繋がったドラゴンころしの、
あ、これすごいクロスオーバーしてる感、本当に面白かったです!投下お疲れ様です!

>>183
全書き手が全員好き勝手やっても何とかなるようなロワですので、
あまり深く考えず、気楽に書いてくださいな

185 ◆fRBHCfnGJI:2012/06/03(日) 22:01:02 ID:w4wv/NjQ0
書き手枠を利用してアリスを追加予約します




これで書き手枠が埋まったという形になりますが、
一枠が一話死亡、一枠が企画者予約、
また、正直書き手が自分一人で使うことを想定していなかった書き手枠ですので
書き手枠を2枠追加させて頂きます。

186 ◆fRBHCfnGJI:2012/06/05(火) 11:09:17 ID:1eqBrA8c0
申し訳ありませんが、間に合いそうにありませんので
延長を申請します

187 ◆TIENe3Twtg:2012/06/09(土) 10:04:31 ID:bmoG8DTs0
ぬあああ、すいません、ストレイボウのブルースコールの記述のところで落ライだって記述があったのを見逃してました。
>>167の部分のみ訂正して投下し直します。
展開も印象も変わる内容になりますがご容赦ください。

188修正 ◆TIENe3Twtg:2012/06/09(土) 10:06:52 ID:bmoG8DTs0

ありえない、と呟く。
船乗りは方角や現在の位置を知るために星を見ると言う。
どんなところから見ても共通した星の並びは、古来より伝わる偉大な知の一つだ。
魔法使いであるストレイボウも当然のようにそのことを知っていた。
だからこそ見知った星の並びが存在しない現状は、はっきりとした異常事態だ。

それでも彼は世界中を飛び回る冒険者というわけではない。
自らの知らぬ天体を見てもそういう土地も存在するのかもしれない、そんな可能性を否定しきることは出来なかった。

だが、ここにはたしかに魔王山がありルクレチアが存在しない。

同名の別の土地であるという可能性は自ら視認してしまった以上かき消えた。
これまでの認識では強力な集団の力があれば人間でも再現できないことはない事態だと考えていた。
あの凶悪なまでの顔景色は幻術の類とみれば不可能ではないし、人を攫うのは存外簡単だ、ということは他ならぬ王女アリシアが実証済みだ。

だが、土地一つ、天体一つ組み替えるような、そんな魔法は存在しない。
そんなものはおとぎばなしや神話の時代にしか存在しない事態だ。
人の業ではない、それこそ神や魔王と呼ばれる存在のそれとしか……
「やめだ、やめ」

それ以上はダメだと、逃避にも似た思考に走る理性に、声を出して待ったをかける。
機械仕掛けの神を肯定するようなその発想は逃げでしかない。
この悪趣味な催し物を用意したのがどんな存在なのか結論づけるにはまだ早いし、どちらにせよこれからする事に変わりは無い。
それがどんな存在であったとしても殺し合いに乗るつもりはないし、敵は参加者ではなく主催者だ。

唯一彼の見知った土地へ、魔王山へと足を向ける。
ルクレチアが存在せず魔王山だけが存在する。その意味を確かめるために。

恐れながら、彼は向かう。この行動も思考も全て、オルステッドの引き立て役にしか成れないのではないかと。
奮いながら、彼は向かう。他の誰でもなく、自分こそが状況を打破するのだと。

彼個人としては、この場において数少ない、幸運な人間であったとも言える。
善良な意志のもと、強力な何かに向かって挑戦しているとき、彼は友に対する暗い感情を抑えつけることが出来た。
憎しみも復讐心も嫉妬心も敗北感も全て胸の内に秘めて、いつもどおりに過ごす事が出来た。

今はまだ、彼の感情は見えない主催に向かっている。
今はまだ、全てに取り返しが着く段階だ。
今はまだ、夢を見る事ができる。
今はまだ、今はまだ……
【エリアC-5/森林地帯/1日目/深夜】
【ストレイボウ@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品1式、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:神に従わない、オルステッドの引き立て役だった過去に決別する
1:情報を求め魔王山へ向かう
2:偽魔王と闘った部屋まで行けば、また力が戻るのではないかと期待
[備考]
参戦時期は魔王山にて岩盤を落としオルステッドたちと別れた以降からの参戦です。
ゲーム中、レベルアップで覚えさせる事が出来る魔法は全て使えますがオディオとしての力は制限されています。
地図がおおよそ正しいことを把握しました、また魔王山が自分の知る魔王山であると認識しました。

189 ◆TIENe3Twtg:2012/06/09(土) 10:14:40 ID:bmoG8DTs0
以上です。
けっこう明らかな矛盾点だったので他の方がリレーされる前に修正できてよかった……
ご迷惑おかけしました。
あと幾つもの感想ありがとうございました。
こういった投下は初めてだったのですごい嬉しかったです。

190 ◆Cxilshz3Mg:2012/06/10(日) 17:30:30 ID:t9oRpgZAO
すんません、延長お願いします

191 ◆fRBHCfnGJI:2012/06/12(火) 10:13:32 ID:hckh.Pc20
どうしても間に合いそうにありませんので、>>150の予約を破棄します。
長期間キャラを拘束してしまい、申し訳有りませんでした。

192 ◆Cxilshz3Mg:2012/06/13(水) 02:46:47 ID:fWch68Sg0
投下しまーす

193 ◆Cxilshz3Mg:2012/06/13(水) 02:46:57 ID:fWch68Sg0
「失態だ」
アスラ王はこの殺し合いの場にたどり着いてから、即座にそう呟いた。
神の千年王国、カテドラル。
それを破壊ないし制圧し、混沌による支配の始まりの地とするために送られた軍団。
しかし軍団はその目的を果たすことなく壊滅し、統率していた者達も命を落とした。

たった一人の、少年の手によって。

そして、更なる失態へと続く。
よりによって討つべき「神」とやらにどこかわからぬ場所へ連れてこられ、殺し合えと命じられた。
今、自分の命は他者に握られている。
刃向かえばあの場所の力無き人間と同じ末路を辿るだけ。
かといって、殺し合うと言うことは「神」に従うという事。
討つべき相手の思い通りに動く事など、彼には考えられない。
もし偽りの忠誠を誓い、生き残った自分と「契約」する為に神が出て来たとしても、それを一人で討伐できるほどの力が有るわけでもない。

では、何かしらの形で生き残る道を選ぶか?
一度任務に失敗し、何かしらの手段で蘇った無能を再び使うほど、統率者は馬鹿ではない。
失ったはずの命を取り戻した所で自分の失態が消える訳ではないし、信頼を取り戻すことなど出来るわけもない。
どの面を下げようが、既に失態に失態を上塗りしている自分が生き残る道などない。

そう、自分は既に死んで然るべき命。
この場でどのように振る舞おうが、それは変わらない事実だ。

アスラ王は、かつて支配しようとした神の王国と瓜二つの建物の前で、ただ立ち尽くす事しか出来なかった。

194jabberwock ◆Cxilshz3Mg:2012/06/13(水) 02:47:37 ID:fWch68Sg0



「クズは嫌い」
あの時、彼女はその一言だけ残して自分の前から消えた。
全ては自分の無力さが招いたものだと分かっては居たものの、同じ年頃の少女に見下された現実には耐えられなかった。
あの日から鬼のように力を求め、雑魚を散らしながら賞金首を追い求めていた。
だが、間に合わない。
いつも後少しという所で、あの少女が先に賞金首をかっさらって行く。
「残念でした」とあざ笑うように、常に一歩先にはあの少女が居た。
先を越される度に、更なる力をつけることを彼女は誓った。
だが、ついに彼女は少女に追いつく事は出来なかった。
彼女が力をつけながら奔走している間に、少女が自分の敵を取ってしまったからだ。
完全な敗北、己の無力さが招いた結末だった。

彼女は誓った。
いつか、あの少女を上回る力を手に入れると。
そのためには、泥水や他人の血を啜ってでも生き残ると。

神だろうが何だろうが構わない。
人を殺さないと生き残れないというのなら、人を殺して生き残る。
それがまた自分の血となり肉となり、力となる。

それだけの、こと。

195jabberwock ◆Cxilshz3Mg:2012/06/13(水) 02:54:44 ID:fWch68Sg0



始まりは一陣の風。
忍のような脚捌きでアスラ王に接近し、その首を刈り取らんと呪われた楽器が振り抜かれる。
だがアスラ王はしっかりと襲撃者の姿を捉え、その太刀筋を逸らしながら腹部に一撃を叩き込む。
ぼんやり立ち尽くしていたというのに、とっさに接近を察知し、迎撃をこなすことが出来たのは流石高位の魔族といった所か。
重い一撃を食らいながらも襲撃者は体勢を崩すこと無く着地する。
「人間よ、なぜ戦う」
アスラ王は襲撃者に突然問い掛けた。
殺し合いのこの地で、なぜそんな事を聞こうと思ったのかはわからない。
襲撃者の足が止まり、じっと前を睨みつけた。
「ここはそういう場所、いやここじゃなかったとしてもそう。
 戦わなければ生き残れないし、弱者はただ朽ちるだけ。
 私は朽ちずに生き残りたい、新たな力を身につけたい、だからこの場で何をしてでも生き残る!」
アスラ王の問いは襲撃者の少女の心の何かを紐解いたようだった。
流れ出すように少女の口から言葉が溢れる。
「生きたい、あたしは生きたい。でも今のあたしじゃ弱くて生き残れない。
 弱くちゃ敵討ちも何もできない、生きることすら許されない。
 だから、だから生き残るために私は力が欲しい! その為なら私は悪魔にでもなる! 神だろうが何だろうが利用する!
 生きて、生き続けて私が世界の頂点に立つんだ!」
一息に言い切った少女の眼には涙が浮かび、肩で呼吸する程に息は上がっている。
その姿をまじまじと舐め回すように見つめた後、アスラ王は小さく呟いた。
「力が、欲しいか」
先ほどより、重く響く声でアスラ王は少女に問う。
「力が、他を圧倒する力が欲しいか!?」
声を荒げながら、アスラ王は問いかけ続ける。
「欲しい! どんな力でも良い。あたしは、あたしは力が欲しい!」
襲撃者はアスラ王に負けぬ勢いで、答えを返した。
その様子を見て、アスラ王は微笑みながら手招きした。
「欲しければくれてやる、ついてこい」

196jabberwock ◆Cxilshz3Mg:2012/06/13(水) 02:54:56 ID:fWch68Sg0



神の千年王国、カテドラル。
かつて支配しようとしたその建物の入り口に、アスラ王と少女は居る。
「私もかつて、貴様のような人間に出会った事がある」
アスラ王は少女を導きながら、一人語り始める。
「奴も全てを掌握する力を欲し、その力のために身を捧げた」
過去を振り返り、どこか遠くを見つめる目でただただ語り続けていた。
「だが奴も私も、私の軍隊すらも全員が敗れた。一人の少年が持っていた、人間の未来を求める力にな」
アスラ王の声色が少しだけ荒くなった。
怒りにふるえている、というより怯えていると言うのが近かった。
「私は課せられた任務を失敗した。どういう訳かこの場に蘇ったが、課せられた任務を失敗した私が今更どう足掻こうが私は生きる事など出来ぬ」
しばらく黙ってついていくと、何やら怪しげな施設にたどり着いた。
アスラ王が「予想通りだな」と小さく呟いた。
「……邪法の中の禁忌、人体合体を知っているか」
ふとそこで、アスラ王が話題を変換させる。
少女は首を素早く横に振った。
「人間に魔の力を宿す禁忌だ。大抵の人間は魔の力に抗えず、悪魔として生まれ変わってしまう」
ゆっくりと言葉を紡いでいたアスラ王は、そこで素早く少女へと向き直った。
「だが、強い意志があれば。人間として姿を保ちながら悪魔の力を使役することができる」
アスラ王は少女にずいっと近寄り、その瞳を見つめる。
「私と共に刃となり世界を変えようとした者が見せた力への姿勢。
 私をかつて打ち破った者の未来を求める眼差し。
 それだ、それこそが人間の持つ世界を破壊する力!
 人間にしか持ち得ない変革の力だ!」
大きく笑いながら語り、少女へと一本の指を指す。
「死に行く者を糧にして生きる、そうだろう?
 ならば我が命、そして力を貴様に託そう。
 私の力を、その身に宿してみせろ。
 もし、貴様の意志が弱く飲み込まれればそれだけのこと。
 我が力を扱う事が出来れば、人ならざる力として貴様の糧になるだろう。
 貴様の意志があれば、世界も、運命も、神をも打ち破れるだろう!
 もしその力、それすらもいらぬというなら、私を斬り伏せていけ!」
他を圧倒する覇気を纏いながら、アスラ王は再び少女に問いかける。
「もう一度問うぞ。我が力を、その身に宿す覚悟はあるか?」
一般人なら圧倒されて気絶してしまいそうな空気が重く圧し掛かる。
それでも、少女は臆する事無くアスラ王を睨み続けた。
唾を飲み込み、ゆっくりと口を開いた。
「その力、あたしの物にしてみせる」
アスラ王が、もう一度笑った。

197jabberwock ◆Cxilshz3Mg:2012/06/13(水) 02:55:20 ID:fWch68Sg0



邪教の館、悪魔を合体させて新たな悪魔を生み出す装置を扱う場。
装置自体は珍しい物ではないが、その扱いに関しては心得のある者にしかできない。
幸いこの場にはその心得のあるアストラル体のような者がいたため、様々な手間を省くことができた。
アストラル体の話によれば、あの少年のように悪魔を操れる装置がこの場に何台かはあるらしい。
持っていない自分達には関係ない話だが、あらたな悪魔を生み出すにはここ、カテドラルを訪れねばならないということだ。
ついでに少女に悪魔の存在、そして悪魔合体の概要を説明した後に、アストラル体へと本題を切り出した。
「私とあの娘で、人体合体を行ってくれ」
アストラル体は、少しノイズを発しながらも素早く応えた。
「承知しマシた、でハコチらへドウぞ」
アストラル体に導かれるまま、悪魔合体の装置へと導かれる。
「待て」
そそくさと装置へ入ろうとする少女を、アスラ王は呼び止める。
「最後に名を聞かせろ。この私を魅了するほどの力の追求者の名を」
自らの力を扱い、世を変えていく人物。
アスラ王はその名を問いかけた。
「ミシカ、ミシカよ」
そう言い捨てると、ミシカは駆け込むように装置に入り込んだ。
「その名、しかと刻んだぞ」
後を追うように、アスラ王も片側の装置へと入って行った。

満ちていく。
空気のように透き通っているようで、血のように濁ってもいる。
サラサラと流れる水のようで、ドロッとしたシロップのような感覚もある。
その「水」が全身を包み込んで行く。
体に入り込まれる感覚。
体が溶かされる感覚。
体を焼かれる感覚。
激痛と快楽と心地よい疲労。
その全てに抗い、その全てを受け入れる。
できないハズの呼吸を繰り返していくうちに、自分がボロボロと朽ちて行くのが見えた。
それでも自分を失わないよう、彼女はひたすら全てに抗い続けた。

二つの空の装置。
その中央に位置する魔法陣に、血と肉と骨が入り混じった柱が立ち上がる。
天すら突き抜けんとする勢いの柱は、やがて魔法陣へと飲み込まれていった。
そこに残っていたのは、ひとりの金髪の少女。

声が、重く響く。

「これが魔の力、知識、記憶。あたしの知らない、知りえなかった力」

たったひとりの空間で、流れるように語り続ける。

「あは、ははは。ハハハハハハハハ!!!
 分かる! 全身に染み渡り、押さえても押さえても溢れ出そうとする力が!
 これが、これが"生き残る"力!!」

笑う、笑う、笑い続ける。
まるで壊れた玩具のように。
確かな狂気を纏いながら、至って平然と笑い続ける。

「私は絶対に生き残ってみせる、この――――」

息を吸い込む。
ギロリとした目を輝かせながら、この世の全てを震わせる気を纏い。

「マハ・ヴィローシャナの力を持って!」

高々と叫んだ。

198jabberwock ◆Cxilshz3Mg:2012/06/13(水) 02:55:47 ID:fWch68Sg0
【F-1/カテドラル1F・邪教の館/深夜】

【アスラ王@真・女神転生Ⅰ 死亡】

【ミシカ@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:健康
[装備]:ストラディバリ@真・女神転生Ⅰ
[道具]:基本支給品*2、不明支給品(1〜5、アスラ王の物を含む)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る
第一行動方針:力を手に入れる
[参戦時期]:仲間になるタイミング以降(仲間にはなっていない)
[備考]:アスラ王と合体しました、知識と力を引き継いでいます。詳細は後述の書き手にお任せします。

199 ◆Cxilshz3Mg:2012/06/13(水) 02:58:17 ID:fWch68Sg0
投下終了です。

企画者さんのギリギリラインを探るレベルの作品になってしまいました。
だが、反省はしていない。

何かありましたら、どうぞ。

200名無しさん:2012/06/13(水) 06:54:49 ID:MbfIfKKc0
うっわ、その発想は無かったw
ロワの参加者同士が悪魔合体とか上手く持って言ったなぁ。
制限が首輪だったらそこらがネックになって実現しなそうだけど、
契約が制限なだけに合体しても制限が外れるってわけではなさそうなだけにここだから出来る上手さな気がする。

201名無しさん:2012/06/13(水) 07:13:34 ID:MbfIfKKc0
忘れてた、乙ー

202 ◆fRBHCfnGJI:2012/06/13(水) 10:59:05 ID:YOI2K9xI0
投下乙です!
いや、レナを踏まえた上で面白いキャラだと思いますミシカ。
そして、アスラおう
無理のない形で悪魔合体まで持っていけたなーと

さて悪魔合体の件なのですが、通しでいいと思っております。
こういうのが大好きなんです、本当に

203 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/14(木) 00:19:35 ID:yU5K9szA0
うわあ、ほんとその発想はなかった!読んでて興奮しました。
アスラ王に幹部らしい貫禄がある……そしてミシカはどんなふうに混ざったのか……
投下乙でした!

それと グリフィス 予約お願いします。

204名無しさん:2012/06/14(木) 21:50:15 ID:FWXeoFKw0
なにその発想すごい
それはそうと乙様

205 ◆TIENe3Twtg:2012/06/17(日) 18:07:32 ID:9ni4NW820
ロシーヌ 予約お願いします。

206 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/18(月) 23:30:55 ID:vTrWhOl20
すみませんが、ちょっと時間の目途がたたなくなってしまいましたため>>203の予約を破棄します。
キャラ拘束申し訳ありませんでした。

207 ◆Cxilshz3Mg:2012/06/21(木) 00:07:31 ID:vTY8tPi.0
デボラ、ガルシア予約します。

208 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/22(金) 01:29:27 ID:EVj6KBpw0
どうにか書き上がりそうなので、改めてグリフィス、それとライ予約します

209 ◆TIENe3Twtg:2012/06/22(金) 08:40:49 ID:TnClpc4I0
投下します

210子供達のためのおとぎ話 ◆TIENe3Twtg:2012/06/22(金) 08:41:45 ID:TnClpc4I0

お前には、空を飛ぶために両手をあきらめる覚悟があるか?
鳥はこの交換を承知したのだ。
                       ――― 「一千の問い」

211子供達のためのおとぎ話 ◆TIENe3Twtg:2012/06/22(金) 08:43:15 ID:TnClpc4I0

泣きつかれた後の様な渇きが身体を支配していた。
心はこんなにも晴れやかなのに。
都合のいい事にすぐ側には川がある。
手でもって一掬い、二掬いと水を掬い取り喉を潤す。
一口、一口が身体に染みわたり美味しく感じ取れる。

こんなにも満たされていると実感したのはいつ以来だろうか。
遠くで落ちた雷が辺りを照らしだす。
それは祝福の様に川面にその姿を映し出し、自らの変化をはっきりと再確認させてくれた。

人には無い長く尖った耳。人には無い大きく透き通った翅。
それは人に在らざる異形。それはおとぎ話の住人。その姿はまさしくエルフそのものであった。

意識すらせずに自然と翅を広げた。
初めての行為にはどんなものだろうとぎこちなさが生まれるものだが、その行為にその様な不純物は見受けられない。

産まれたばかりの仔馬がすぐさま立ち上がり、歩きだすように。
産まれたばかりのエルフは空を舞うのだ。

ああ、なんていい気持ち!

踊るように楽しげに空を飛ぶ。矢のように鋭く空を飛ぶ。上下左右、あらゆる向きに飛び廻る。
風を切る感覚が心地よい。移り変わる景色は綺麗で愉快だ。
木々を見降ろすその飛行は、本来出来る筈の山をも見下ろすそれと比べて著しく制限された低い高度のものだったが、
それでも初めてのフライトとしては十分すぎる程に刺激的だ。

鳥たちと、翅をもったエルフだけに許された行為。
こんなにも楽しいことなんてない。
羽ばたき一つするたびに、身体中で風を受け止めるごとに、深く深く沁みいってくる。

あの村で何か楽しいことあったの?
空を飛ぶより楽しいこと 何かあったの?
楽しい事はいつでも、村の外にあった。特に、今この瞬間はとびきりだ!


『わたし愛されているの、神に愛される子は決して殺されたりはしないわ!』

私もなの!私もそうなのよ!
そう叫び返したかった言葉が思い返される。
こらえきれない笑みが自然と浮かんでくる。
幼い信仰があった。それは幼いゆえになによりも大事に温めてきた純粋無垢な憧れだった。

人間がエルフを傷つけられるわけがないんだ!

憧れだった存在そのものになっても、その想いに変わりは無い。
だからこそ、この特別な遊び場においても積極的に殺して回る気持ちはなかった。
大人たちは勝手に殺し合って数を減らして行くだろうし、最後の一人になるのは自分以外にありえない。

義務に追われて殺すのは大人の、人間の仕事だ。
妖精は、子供たちの憧れはもっと自由に生きていく。
飛びたい時に好きにこの空を飛びまわるし、殺したい時に好きに殺すのだ!

いまはただ、新しい玩具を与えられたばかりの子供のように夢中になって宙を舞う。

212子供達のためのおとぎ話 ◆TIENe3Twtg:2012/06/22(金) 08:43:51 ID:TnClpc4I0
◇◇

昔々で始まったおとぎ話は、めでたしめでたしで締めくくられる。
そんなことを無意識に、無自覚に、当然の事と信じて。
白紙の未来を楽しく塗り替えながら、おとぎ話そのものとなった少女は自由に今を謳歌する。
今までを捧げた少女はひたすらに、これからへの期待を胸に抱いていた。
【E-5/川辺/深夜】
【ロシーヌ@ベルセルク】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品、不明支給品(1〜3)
[思考・状況]
基本行動方針: 楽しく自由に生きる
[参戦時期]: 捧げて、変わった直後からの参戦です。

213 ◆TIENe3Twtg:2012/06/22(金) 08:45:05 ID:TnClpc4I0
以上です。
問題等ありましたらご指摘願います。
ありがとうございました。

214名無しさん:2012/06/24(日) 01:48:46 ID:rWoSkrBwO
投下乙!
フリーダム野郎だ! これは死人がでますねえ……

215 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/24(日) 23:41:15 ID:g5x0m2Vg0
投下乙です!
楽しそうなのに所々の描写が切ない……ロシーヌは無邪気に残酷だから怖いなあ

グリフィス、ライ投下します

216星を知る者 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/24(日) 23:42:05 ID:g5x0m2Vg0

――グリフィス……!!

自身の薄汚く黒い部分をも信頼し預けた男が、息を切らして登りつめてきた。
声に、振り返る。
刈り込んだ黒い髪に汗を滴らせて、濁りのない黒い瞳に意地やら何やら、様々な感情を内含させて。
お前は今、膝を屈しているオレのことを見下ろしている。


……そう
何千の仲間
何万の敵の中で――





朗々と謳いあげる女の声。


――今までのあなたはグリフィスという夢
  そしてその夢が終わる時あなたは目を覚ます
  決して覚めない夢の中で
  決して明けない夜の中で

217星を知る者 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/24(日) 23:42:41 ID:g5x0m2Vg0


◆◆◆


……目は覚めたが、“グリフィス”の夢はまだ続いていた。


手を握っては開くことを繰り返し、感触を確かめる。
一年にわたる拷問において削がれた皮も、剥かれた爪も、切られた腱も、抜かれた舌も、
そんなことなど夢の中の出来事であったかのように、全て元通りになっていた。
しかし伝わる感覚は霞に包まれているようで、まるで現実感が伴わない。

ウエーブのかかった闇夜に映える白銀の長髪を、風がさらに波立たせる。
幾多の人間で構成されたでこぼことした地面ではなく、踏み固められた道の上。
そこに一人、グリフィスは自らの足で立っていた。

貴公子然とした風貌に、確かな気品と風格を纏っているものの、彼は生まれついての貴族というわけではない。
何の後ろ盾のない状態から、自ら結成した傭兵集団『鷹の団』を率い武勲を挙げることで、
ミッドランド国軍における最高位である“白の称号”を叙爵され得るまでにのし上がりはしたが、
元々は一介の平民出の青年にすぎない。

そんな彼の原風景は、日の光の差しこまない娼館と酒場の立ち並ぶ路地裏にある。
仲間たちと繰り広げた小さな戦あそび。勝ち取った小さな名誉、小さな戦利品(がらくた)。
暮れが訪れ友人たちが家族の元へと帰ろうとする中で、石畳の道から空を振り仰ぐと、
丘の上にそびえたつ“それ”が、建物の壁に切り取られて天空に浮かんで見える。

――国を手中にした者が住まう、白亜の王城。

見上げた“それ”は、夕日に照らし出されてキラキラと輝いていて。
次に手に入れるがらくたは、あんなのにしようと。
幼い瞳に焼き付けて、少年は家路へとついた。

218星を知る者 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/24(日) 23:43:12 ID:g5x0m2Vg0


◆◆


21世紀の初頭、全世界を襲った地殻変動により廃都と化した地を見下ろすガラン城。
満月に照らし出されるその城より飛び立ち、新東京番外地にて不倶戴天の怨敵の来たるを待っていたライは今、
一本の木の天辺に立ちマントを風にはためかせながら、周囲一帯を見つめていた。
島は中心部に向かって緩やかな丘陵をなし、すぐ右手の位置にはさらなる岩山がぼこりとひとつ飛び出ている。
見渡す大地は、ビル群の瓦礫ではなく緑あふれる木々をたたえていた。

「大地なくして自分もありえぬのに、その母なる大地を完膚なきまでに汚し尽くす! まことおぞましや人類!」

角刈りの髪に眼光鋭く、ライは言い放つ。
――神を持ち出して自らの醜悪なる所業を正当化し、清らに残る緑をも破壊せんとするおぞましきが人間、許すまじ!
精悍な顔に怒りを滲ませて、主より賜り身に埋めた鉄球の一つへと、服の上より手を伸ばした。

ライの主君――葉隠散。
自身の持つ物と同じ銀球の輝きは、御身にあっては真冬の宇宙(そら)の清浄の星々にも似て。
物言わぬ大地や虫の痛みさえ感じとる雄大なる慈悲、瀕死の星の無言の声さえ聞きとるお美心に対して、
ライは永遠の忠誠を誓っていた。


――これから為すは、あの醜き人間の命に従うことに非ず。

元より人類抹殺は散さまの悲願の成就のためになさねばならぬこと。
それに果し合いの刻限にこれ以上遅れるとあっては戦士の名折れ、決闘を申し込んだおぞましき人類の守護者、葉隠覚悟を
誅しに向かうためにも、このようなことに無駄な時をかけてかかずらう必要はなしと、
仇を待つ際には確かにあった満ちた月の影が雲ない空に見えぬことを疑問に思ういとまもなく、
ライは木より降り立って、山中の道を下り始める。


そしてしばらく歩みを進め――道を左に折れたところで、おぞましき二本足をひとつ発見した。

219星を知る者 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/24(日) 23:43:44 ID:g5x0m2Vg0


◆◆


「我が名はライ! 散さまのこれ以上ないほどに美しい夢を果たすため、その命もらいうける!」

出会うや否や、ダイヤも砕くライの拳がグリフィスに迫った。
それを上体を傾け身体を半回転させながら避けるグリフィス。男の巨体と重い一撃が、唸りを上げてすぐ横を通り過ぎる。
武器を携えていない中での接近戦は不利と見て、グリフィスは距離をとろうと後ろに跳ぶ。
が、そこに向かう振り返り様のライの第二撃。
なんとか宙空にて身をひねることで直撃は免れ、砂塵を舞い上げて再びグリフィスの足が地に着く。
今の拳、かすった程度であったはずが、左の歯を数本持っていかれた。

「人の身でありながらよくぞかわした。
 ならば散さまに賜りし、この21個の不退転を以ってお相手いたそう!」

男は叫ぶとともに、全身の筋肉を盛り上げる。その怒張に耐えきれず、服はビリビリとはち切れ四散する。
露わになったライの肉体、そこに埋まった鉄球が沈みこまんとする――――その瞬間!


閃光に次いで爆音!
D-6が揺れた!

220星を知る者 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/24(日) 23:44:12 ID:g5x0m2Vg0


◆◆


「…………」

晴天の中突如として起きた落雷により、両者に訪れていた膠着状態。
しかしそれは大した時を経ずに、グリフィスの一言によって破られる。


「――葉隠散。燃えるような赤髪の女性で、それと同じような鉄球が身に埋まっている」
「!?」

銀髪の男は、いつの間にか手にしていた望遠鏡を目から降ろして、ライの身体を指しながら
先の霹靂に勝るとも劣らない衝撃的なことを口にした。
目の前の男が主君の美御名、お美姿を知っているということ。それの意味するところに、ライの心が煮え立つ。

――散さまがこのようなおぞましき場所におわすと申すのか!

厳密には葉隠散は性別を超越せしお方であり、女と言い切ることはできぬ存在だが、
極上の絹の如きお美身、ふくよかなるお美胸は、知らぬ者が見たら女人と見まごうのも無理はない。

「ここに来る道すがらに会った。若干気分がすぐれないそうで……南へ下り、休めるところを探すと言っていた」

男はすっと手をライの後方――先ほどの戦闘により位置関係が逆転し、ライが来たのとは反対の方向にあたる――へとずらし、
淡々とした声で続ける。

「……この話を嘘だと思うなら、別にこのまま戦いを続けても構わない。
 路傍の石にかまけて道を見失ってもいいのなら、好きにすればいい」

坂の上より見下ろす男の表情は、露ほどにも動かない。
しばしの静寂。響くは、遠くに鳴る木々の葉のこすれる音。
そしてライは拳を握り――――胸の前に当てた。

「情報の提供、感謝つかまつる。さすれば散さまのご無事を確認いたすまで、この勝負預けておこう」

出立の前に拝顔した際の、生命維持装置の中にあったお美姿がライの脳裏をよぎる。
かような状態にて散さまがこの地にあらせられるというのならば、何をおいてもかけつけるが御側役たる者の務め。
失礼!とそう言い捨てて、ライは道を駆け下りていった。



【エリアE-6/北部路上/1日目/深夜】

【ライ@覚悟のススメ】
[状態]:健康、全裸形態
[装備]:なし
[道具]: 基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:散さまの夢の成就、および覚悟との決闘に早く向かうために人類抹殺!
1:葉隠散の無事を確かめる
[参戦時期]:新東京番外地で覚悟を待っていた時点

221星を知る者 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/24(日) 23:44:51 ID:g5x0m2Vg0


◆◆


全裸の巨漢が立ち去るとともに熱気が拡散し、冷えた夜気が戻ってくる中でグリフィスは息をつく。
牢獄に繋がれてまったく動くこともなく、光のない絶望の闇の中を過ごした一年。
剣を掴むことも、自ら立ちあがることも叶わずに、砂を噛むように過ごした日々。
おくびにも出しはしなかったが、急に五体満足になっても感覚の戻りきっていない現状では、
これ以上戦闘を続ける余裕は実のところなかった。

先の戦いにおいて、落雷により生じた隙に取り出し使用した望遠鏡――ていさつスコープをデイパックの中にしまう。
あの時グリフィスが覗いていたのは、景色ではなく対峙していた男に関する情報だ。
わずかな時間に垣間見えたのは、葉隠散なる人物の容姿と名前、およびその者に対するライという男の厚い忠誠心であった。
そこが男のアキレス健なのだろうと当りをつけ、揺さぶりをかけた。
道の途中で会ったというのは、完全なブラフである。

失ったカンも、直に取り戻すことはできるだろう。
そうすればこのような逃げの一手を打つ必要もなくなる。

先程の男。彼の主が本当にこの地にいるのか、それはわからない。
忠義を尽くすために身近な者を“捧げた”か――あるいは主君に“捧げられた”のか。
もしこの狂宴が“贄”も含めた会合であるのなら…………「あいつ」がいる可能性もあるのか、と。
身についた砂礫を足元の道へと落としながら、グリフィスは思考する。


遠い日、あの路地裏の石畳から始まった終わらない遊び。
自分の国を手に入れるために、己の血肉を引き換えとし、人をやめることも覚悟して、
鷹の翼の一羽としてついてきてくれた仲間も、渇望した黒の男も、自らに残されたものは全て捧げた。

しかし口中にひろがる“人間らしい”血の味と肉の痛みが、この夢が確かであると告げると同時に、
まだ夢の途上にすぎないのだと、そう思い知らせる。
今のグリフィスは、天に届く翼を持たない、地に堕ちた無力な鷹のままだ。
白い鷹の羽は飛び散り血に染まり、路地裏の道は一度途切れた。
道を繋ぎ、漆黒の翼を手に入れるには、屍を敷かねばならない。

グリフィスは鋭い鷹の目を細めて、空を自由に翔る風に誘われるように、天の方を向く。

天空の城をめざし、足元の屍を踏みしだいて、頂に更なる屍を積み上げ続けること。
その道を歩むことについて、後悔はしていない――――しないと、決めた。
詫びてしまえば、悔やんでしまえば、すべて終わってしまうから。

――何もかもを捧げる、“夢”という名の神の殉教者としての一生を……オレは選んだのだから。

222星を知る者 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/24(日) 23:45:38 ID:g5x0m2Vg0


見上げた空。朔に近い、ほとんど月の見えぬ夜。数千数万の星が、音もなく静かに瞬いている。
その星々を霞ませ呑み込んだ闇夜の雷の、鮮烈な白い光が、ギラギラと残像となって残っていた。

勇者のもたらした、希望の雷。

天空の白は、目に焼き付いていて。
星間の黒も、それを忘れきらせはしない。



【エリアD-6/南部路上/1日目/深夜】

【グリフィス@ベルセルク】
[状態]:左の歯数本欠損、身体感覚が戻りきっていない
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ていさつスコープ@MM2R(一日目朝まで使用不可)、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:夢のために屍を積み上げる
1:感覚を取り戻すまで直接的な戦闘は避けたいが、ある程度したら積極的に動く。
[参戦時期]:フェムトへの転生途中
[備考]
容姿・能力は人間時のグリフィスのものです。拷問痕はなくなっています。
この殺し合いは転生のためのもの、参加者はベヘリットに関連した者だろうと考えています。
ていさつスコープの効果により、ライを介して葉隠散の容姿と名前の情報を得ました(散が参加者であることは認識していません)。

223 ◆w3jhWtfiTI:2012/06/24(日) 23:48:34 ID:g5x0m2Vg0
投下終了です
何かありましたらお願いします

224名無しさん:2012/06/25(月) 01:18:34 ID:dWf7OXdw0
お二方投下乙です!

>子供達のためのおとぎ話

ロシーヌの内面描写がすごく、らしいと思いました。
鬱屈した状況からの解放感が書かれていて、それでいて
これからのどうにもならない厭なフラグが立ちそうな感じ溢れる素敵なSSだったと思います。
投下乙でした!


>星を知る者

良い!実に両キャラの動きが素晴らしかったです!
先程まで殺そうとした人間相手に礼を言える武人然としたライ
躊躇なく命を狙うライに対して、若干の膠着と少々の情報とブラフだけで冷静に対処し命を繋いだグリフィス、
そして、グリフィスの心理描写もまた良い!いや、ほんとうに面白いSSだったと思います。
投下乙でした!

225名無しさん:2012/06/26(火) 22:27:12 ID:NJncYdoU0
久々にあげ
投下乙ー。それにしても相変わらずマーダーと危険人物だらけだな
一体どこまで増えるんだかw

226 ◆Cxilshz3Mg:2012/06/27(水) 22:41:24 ID:sisOSedU0
投下乙です!
危ないなーと思いつつも知恵を絞って生き残るグリフィス、流石です。
しかしライの主君は神に抗う気なんだが……はてさて。

さて、投下します。

227"TALK" ◆Cxilshz3Mg:2012/06/27(水) 22:49:36 ID:sisOSedU0
「ヒャハハハハハハハ! 死ね、死ね、死ねやぁぁぁ!」
銃弾、銃弾、銃弾。
飛び交うそれらは木を貫き、他者を傷つけていく。
「逃げても無駄だァ! 俺に殺されるか、俺に従って死ぬか! 選ばせてやるぜ! ウッヒャヒャヒャヒャヒャ!」
機械仕掛けの男の手に握られた電磁砲から、次々に銃弾が放たれていく。
その地獄の雨を切り抜けようとする、二つの影。
「うわっ!」
その片方、青のフードを被った白い妖精が木に躓いて転んだ。
もちろん男はそれを見逃さず、しっかりと照準を合わせて引き金を引く。
無慈悲にも打ち出された銃弾が、真っ直ぐと白い妖精へと迫って行く。
が、瞬時に飛び出した影が銃弾を受け止める。
一瞬にして飛び散るカボチャの破片が、飛び出した妖精の絶命を告げる。
「こりゃあ傑作だ! わざわざ死にに来るなんざ手間が省けるぜ!」
男は下卑た笑いを浮かべながら、もう一度妖精へと電磁砲を向ける。
ゆっくり引き金へと指をかけ、力一杯に引き始める。
妖精は、黙ってその光景を見ることしかできなかった。
「メラゾーマ」
突如飛来してきた、一発の火球に身を包まれる男の姿を。
火球が飛んで来た方向を見ると、少し遠くに派手な女性と赤いヤギのような悪魔が立っていた。
女性は素早く妖精に近寄り、その小さな体を庇うように立ちふさがった。
「弱いものいじめなんて、ずいぶん余裕が無いじゃない」
「んだとぉ!? クソっ、テメエからぶっ殺してやるぜ!!」
女性の一言に怒り狂いながら、男は銃を向ける。
が、それは一手遅い行動だった。
「バイキルト」
強化呪文を受けた赤い悪魔が、身の限りの力で腕ごと殴りつけた。
人間なら骨が折れているであろう方向へとひしゃげた腕から、猛威を振るっていた電磁砲が放り出される。
男がもう片方の腕で悪魔を振り払うと、そこには炎を操る女が立っていた。
「いい加減にしなさいよね、しぶといのは嫌いなのよ」
言葉と同時に大魔王にすら傷をつける腕力で振り抜かれる手刀。
その軌道は機械仕掛けの男に大きな十文字を残した。
「クソ……が……」
男はまだ動こうとしたが、迫り来る悪魔の一撃を防ぐことができず、二度目の生涯を閉じた。

228"TALK" ◆Cxilshz3Mg:2012/06/27(水) 22:50:01 ID:sisOSedU0

「さて、大丈夫?」
狂った機械仕掛けの男ガルシアを倒し、メッサーラに撤退命令を出してからデボラは一息つき、怯えている妖精に話しかけた。
「ヒホ……ありがとう、だホ」
妖精はたじろぎながらもデボラに感謝の意を伝える。
「そう、なら良かったわ。ところであんた荷物を持ってないみたいだけど、"悪魔"なの?」
アームターミナルの説明書に載っていた"悪魔"の存在。
自分が良く知る魔物を始めとし、様々な魔物をひとまとめにしてこの地では"悪魔"と呼んでいるようだ。
悪魔達がこの殺し合いの場に多数放たれていることや、一部の悪魔は"交渉"することで仲間に引き込むことも可能だと書かれていた。
悪魔はこの殺し合いの参加者とは違い、荷物などを持たされていないらしい。
機械仕掛けの魔物が道具を持っていることから、さしずめ強力な武器の試し打ちの的にされてしまったというところか。
「そうだホ。気がついたら知らない場所にいて、妙な機械のオジサンにいきなり狙われたんだホ。ランタンも一緒に逃げてたけホ、やられちゃったホ……」
「気がついたら……?」
「そうだホ、本当に気がついたらここにいたんだホ」
今までの話、情報をまとめて頭の中で整理する。
妖精の話が本当なら、殺し合いとは別に用意された悪魔達は「何も知らない」のだ。
殺し合いに呼ばれた者だけでなく、何も知らない悪魔に襲われる可能性もある。
反逆を志す者達を一人でも多く集めたい自分としては、この上なく不利な状況だ。
呼ばれし者だけでなく凶暴な魔物とも戦いながら、反逆者が狩られてしまう前に合流し説得する必要がある。
分かっていたハズのハードルが高くなり、少しだけ歯軋りをする。
この状況になれば、もはや四の五のいっている場合ではない。
わずかでも戦力を確保し、抗う力を揃える必要がある。
「ねえ、話があるわ」
自分が命を救った状況に加え、持っている情報でデボラは目の前の妖精に"交渉"を仕掛けた。
しばらく、ありとあらゆる情報をふんだんにちりばめた長い説得が続いた。
「……つまり、ランタンが死んじゃったのも。その"神"ってのが悪いのかホ?」
 だったらオイラ、ランタンの仇が取りたいホ。だから、オイラを仲魔にしてくれホー!」
作戦は成功だった。
勿論即答し、妖精を仲間に引き込む。
「ヒーホー! オイラ、ジャックフロストだホ! よろしく!!」
ジャックフロストと名乗った妖精は、元気そうに飛び跳ねている。
嘗ての仲間を思い出し、少しだけ笑いが零れた。

229 ◆Cxilshz3Mg:2012/06/27(水) 22:51:53 ID:sisOSedU0
投下終了です。
「決起」にてちょっとやり忘れていたことを補完しつつな感じの話で。

何かありましたらどうぞ。

230 ◆Cxilshz3Mg:2012/06/27(水) 22:54:58 ID:sisOSedU0



魔物を仲間にする方法が違うことに若干戸惑いはあったものの、上手く仲間に引き込むことが出来た。
自分が指示しながら戦う戦闘というのも、初めてにしては上出来だった。
二つの不安材料を解消し、新たな自信へと繋げていく。

ふと、自分の夫のことを思い出す。
戦闘が起これば常に的確な指示を出し、魔物の心を読み心を通わせる。
彼が普段何気なくやっていたことが、これほどまで難しいことだったのかと思い直す。
自分がどこまで戦えるか? 流石にこの爪だけで生き残っていくのは難しい。
せめて強力な剣か何かがあればいいのだが、先ほど倒した機械の男の持ち物にそれらしきものはなかった。
自分がどこまで戦えるかというのも分からないし、的確な指示を送る立場というのがどこまで保てるかも怪しい。
やはり、夫との合流を最優先にした方が良いと考える。
夫なら自分も含め、集まった仲間たちに的確な判断と指令を下してくれるだろう。

そう考えながら、彼女は新たな仲間と共に歩みを進めていった。
反逆は始まったばかりだが、ことを急ぐ必要はある。
一人でも多くの、仲間を募るために。

彼女の行く先を暗示しているのか、進む方向に一本の雷柱が落ちる。
戦闘の証か、それとも仲間を集う狼煙か。

おのずと、足は雷柱へと向かっていた。

【ガルシア@メタルマックス2:リローデッド 死亡】

【デボラ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康
[装備]:ダイアモンドネイル@DQ5、アームターミナルB(仲間:メッサーラ、ジャックフロスト)
[道具]:基本支給品、レイルガン@真・女神転生、未確認支給品*2(ガルシアのもの、剣など武器は入っていない)
[思考・状況]
基本:神に抗うものを集め(家族優先)、神へ反逆する。
1:雷柱へと向かう。
2:"悪魔"は可能なら交渉し、より多くの仲間を集めておく。
[備考]:クリア後

231 ◆Cxilshz3Mg:2012/06/27(水) 22:55:20 ID:sisOSedU0
すんません、1レスごっそり抜けてました……
これにて投下終了になります。申し訳ない。

232名無しさん:2012/06/30(土) 09:39:55 ID:Rh2/wzMc0
投下乙です
>星を知る者
一々表現がかっこいいなぁ。
強烈な個性があるキャラってすこし間違っただけで誰これ?
ってなりかねないけどしっかり活かせるとホント魅力的で。

>”TALK”
バンバン冒険していける作者さんですごい羨ましい。
ただ冒険してるだけに少し不安なのが、悪魔や魔物が参加者とは別に会場内にいる形にするのは良し悪しかなと。
こういうのがいた方が映えるだろうと思われるキャラも何人かいるし、
登場話で空になったいくつかのCOMPが寂しかったのでそういう意味では幅が広がって良いと思うのですが、
意思持ちキャラが制限なく増える形を作ると作品把握、キャラ把握が大変そうだなとか。
ギミックとして面白そうだけど扱いきれるか、という意味で少し不安にも感じました。

233名無しさん:2012/06/30(土) 09:42:35 ID:Rh2/wzMc0
あ、あと”TALK”のほうなのですが時間帯と場所の表記がないようなので気が付きましたらそこの追加をお願いします。

234 ◆fRBHCfnGJI:2012/06/30(土) 14:57:52 ID:1LVT9vbI0
魔物悪魔の出現は通しで、構わないと思います。
ただし、

・魔物、悪魔の行動エリア制限
あまり多数自由に出られても困りますので、
魔物悪魔の出現位置を

・この話でのデボラの位置
・E-7
・C-4
・C-2
・市街地

のみとし、

野良は、アームターミナルでの契約を介さない限りは、
登場したエリアから出られないものとします。

出現位置に関しては適当に言いましたので、
相談ありましたら、応じます

235233:2012/06/30(土) 20:21:20 ID:Wi1Ft3xk0
了解です。
>アームターミナルでの契約を介さない限りは〜
とありますが、DQ的な魔物使いとして仲間にすることなどの他の要因は不可と考えていいでしょうか?
ある程度理由付けできれば自由裁量?

236 ◆Cxilshz3Mg:2012/07/01(日) 00:22:15 ID:uQS0bdYc0
ご指摘+ご返答ありがとうございます。
頂いたご返答を元に修正をしたいと思います。
一応、話中では位置をぼかす感じで書いておこうと思います。

237"TALK"(修正) ◆Cxilshz3Mg:2012/07/01(日) 01:20:11 ID:uQS0bdYc0
>>228
悪魔達がこの殺し合いの場に多数放たれていることや、一部の悪魔は"交渉"することで仲間に引き込むことも可能だと書かれていた。

悪魔達がこの殺し合いの場の一部に放たれていることや、一部の悪魔は"交渉"することで仲間に引き込むことも可能だと書かれていた。

位置を
【D-8/東部森林/深夜】
とさせていただきます。
お手数お掛けいたしました。

238名無しさん:2012/07/05(木) 21:04:12 ID:yqfe3s9w0
wikiのコメント欄ってああいう使い方でよかったでしょうか?
書き込む内容が考えやすかった二人分とりあえず書き込んでみた。

239名無しさん:2012/07/06(金) 22:22:15 ID:LOHKiefE0
遅れましたが投下乙です。
野良悪魔ですか!またしても面白そうなシステムが。エリア限定ならほどよい具合にかき回してくれそうですね。
そしてなぜか悪魔の方が参加者達よりよっぽど友好的な会話をしているような気がする……


あとwikiに関して、調べてみたところアットウィキではAA用のプラグインがあるようでしたので、誠に勝手ながら一部SSの編集をしてみました。
ただ文字色やフォントが本文部分と変わってしまったりしたので、不都合でしたら差し戻しのほうをお願いいたします。

それとwiki編集していてちょっとだけ気になったのですが、時系列順の『"TALK"』の収録位置について、
話の最後に雷の描写があったので『東の山に……』より後にした方がわかりやすいのではないかな、と思ったのですが如何でしょうか。

240名無しさん:2012/07/06(金) 22:49:58 ID:CJodI5Ak0
>なぜか悪魔の方が参加者達よりよっぽど友好的な会話をしている
言われてみればここまでまともに友好関係築けたの覚悟とキャスカあと合体したアスラ王・ミシカだけで他全員殺伐としてるw

時系列順は言われるまで気付かなかったですがたしかにそうですね。
決起とTALKはほぼ同時期ですしあまり離さない方がいいかな?

241 ◆Cxilshz3Mg:2012/07/07(土) 02:34:56 ID:eqR01Z/EO
まだ投下順と時系列順を同じにしてもいいかな? とは思います。
一時間枠内で起きた様々な事、な感じなので。
最終的には企画者の方の判断にお任せします。

242 ◆Cxilshz3Mg:2012/08/10(金) 22:31:29 ID:zaRusyi60
カリョストロ予約します

243 ◆Cxilshz3Mg:2012/08/14(火) 02:06:41 ID:HQ3w5/TI0
投下します

244状態表探すのダルいから頭に持ってこよう ◆Cxilshz3Mg:2012/08/14(火) 02:07:17 ID:HQ3w5/TI0
へんじがない ただのしかばねのようだ

【カリョストロ 死亡確認】

245状態表探すのダルいから頭に持ってこよう ◆Cxilshz3Mg:2012/08/14(火) 02:10:52 ID:HQ3w5/TI0
…………ん?

今、何か動いたような……。

【カリョストロ@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:死んだふりなう、血糊がべっとり、血の気の引いた肌の色
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、血糊、化粧セット、不明支給品(0〜1)
[思考・状況]
基本:生き残る
1:死んだふりで情勢が落ち着くのを待つ。

男は考えていた。
自分の置かれている状況と、自分が取るべき行動について。
最後の一人になるまで殺し合いをする。
自分を含め、この地に呼ばれた者の使命である。
反逆は死を意味する地でも、お手手繋いで仲良くして正義の力で悪を倒そうと考える輩も出てくるだろう。
その類に手を貸すつもりは全く無い。
しかし、グラップラー四天王の一人とはいえ手当たり次第に人を殺すのは悪手と考えられる。
それによる自身の疲労や危険性などを考慮していくと、生き残れる確率というのは非常に低くなる。
初めの場で見た姿の中には、レナやテッドブロイラーの姿もあった。
彼らを真っ正面から敵に回して戦っていられるほど、今の自分に余力があるとも思えない。
戦車の一台や二台でもあれば話は変わっていたのだが、残念ながら自分には支給されていなかった。
いざというときに戦える余力を残しつつ、無駄な戦闘を避けて生き残り続ける。
これを行うのは至難の業だ。
そう、一般の人間ならそれは至難の業だっただろう。

しかし、このカリョストロにしてみればそれはいとも容易い行為だ。
磨きあげられた我が力を持ってすれば、一切の消費無く一日やそこらを過ごすことが可能だ。
たっぷりと力を蓄えておき、残り人数が少なくなってきたあたりで疲弊した残りの人間を狩る。
合理的、かつ最も生き残る可能性が高い手段であることは間違いない。
そうと決まれば素早いものである。
まさにそのために支給されたと言っても過言ではない道具を用い、身の準備を整えていく。

普段より洗練された自分の技術に半ば酔いながらカリョストロは。



死んだふりをした。

246 ◆Cxilshz3Mg:2012/08/14(火) 02:12:00 ID:HQ3w5/TI0
【D-1/海岸/深夜】
>>245の状態表前に追記します。

投下終了です。

247名無しさん:2012/08/14(火) 07:02:35 ID:IEi0mMko0
投下乙です
こんなひっでえ行動方針初めて見たwww
なんという無駄に洗練された無駄に高度な無駄な行動……

248 ◆fRBHCfnGJI:2012/08/14(火) 10:14:59 ID:zFm2Vm420
投下乙です
これは酷いwwwwなんという空気キャラフラグww


wikiの編集を時系列順を投下順に合わせる形で行いました

ガッツ、恵魅を予約します

249名無しさん:2012/08/15(水) 01:28:33 ID:hO7sFEio0
乙です!またしても誤った死亡確認がw
確かに方針合理的だけど、その手段選ぶのはまさにカリョ
にしてもタイトルひでえwww

250 ◆fRBHCfnGJI:2012/08/21(火) 10:17:41 ID:hxyU6uRw0
すいません、今日中に投下しますので予約を延長させて下さい

251名無しさん:2012/08/21(火) 12:05:08 ID:rscid0SU0
じっくり書いていってね!

252名無しさん:2012/08/21(火) 13:05:09 ID:VrbfiuXQ0
俺ODIOおじさんのSSの秘密
\ソレハブイヨン!/
じーっくりじーっくり書いちゃってくださいな!

253その感情の名を── ◆fRBHCfnGJI:2012/08/21(火) 18:20:29 ID:hxyU6uRw0


点々と砂浜の上に広がっていく赤の斑を月の光だけが照らしていた。
その場所には何一つとして、何一つとして、彼を害する者はなかった、
夜の色に染められた海があり、熱を無くした砂浜があり、そして、それらを照らす月だけが存在していた。
それにも関わらず、彼の首筋からは砂浜の白に映える真紅を落とし続けている。

熱を失った海──定のテンポで刻まれる波の音、彼の呻きが波にかき消され、かき消され、かき消され、

そして、呻きが叫びに変わった時、波がかき消され、かき消され、かき消され、かき消され、かき消され。




再び、海に波の静寂が取り戻され、
砂浜にはただ、意識を失った彼の姿だけがあった。


月の光だけがそれを照らしている。


波の音、波の音、波の音。

彼に近づく足音を波の音がかき消した。
砂を踏みしめた足跡を月の光がだけ照らしている。

足音、かき消され。 足音、かき消され。 足音、かき消され。

彼の影と彼女の影が重なった時、足音が消えた。
黒い剣士と白い天使を月だけが朧げに照らしている。

黒い剣士──彼の名をガッツといい。
白い天使──彼女の名を恵魅といった。

254その感情の名を── ◆fRBHCfnGJI:2012/08/21(火) 18:20:41 ID:hxyU6uRw0

この殺し合いの環境にも関わらず、さもそうするのが最善であるかのように、
恵魅はガッツの体を揺すり起こそうとしていた。
彼女は眠る彼ならば楽に殺すことが出来るなどと考えもしなかった。
彼女は起こした彼に殺されてしまうことなど考えもしなかった。
ただ、意識を失いながらも苦痛の呻きを漏らすガッツを救いたいと考えていた。
それだけが彼女にあった、それ以外は彼女にはなかった。

一方で、ガッツには意識の空白だけがあり、その空白を埋めようとする悪夢以外は存在しなかった。
夢の中で彼は再生る、全てを失ったあの日の光景を。
踏みしめた仲間の臓物のグニュリとした感触を、浴びてしまった仲間の鉄分混じりの味を、
最早誰出会ったのかわからない程にぶち撒かれた仲間を、焼けるような傷の痛みを、
全てを失い殺された仲間の表情を、目の前で恋人が犯されたことを、

己の苦痛を、仲間の苦痛を、恋人の苦痛を、

再生する。
再生する。
再生する。



夢はクライマックスへと向かう。

化物へと成り果てた友を──敵を見据える。

認識は誤らない、人生を懸けて殺すと誓った男をその目に再び焼き付ける。















夢が終わる────終わった夢を終わらせるために

255その感情の名を── ◆fRBHCfnGJI:2012/08/21(火) 18:20:52 ID:hxyU6uRw0


覚醒。


刹那の空白。




鋼鉄が恵魅の頭を打ち抜いた。



「え……?」
顔面にめり込んだ鋼鉄の拳に、恵魅の口から戸惑いが漏れる。
状態を完全に認識する間も無いままに、二発目の拳が飛ぶ。



乾いた地面に血が染み込み、世にも珍しい真紅の華が咲いた。
月だけがそれを照らしている。




鋼鉄、出血。
鋼鉄、出血。
鋼鉄、出血。
鋼鉄、出血。
鋼鉄、出血。

鋼鉄、破壊。


「可哀想な人…………」
恵魅の呟きは、拳に飲み込まれた。

256その感情の名を── ◆fRBHCfnGJI:2012/08/21(火) 18:21:03 ID:hxyU6uRw0


鋼鉄、出血。
鋼鉄、出血。
鋼鉄、出血。

「私は……貴方を救ってあげたいだけなのに、貴方は…………」

鋼鉄、出血。
鋼鉄、出血。
鋼鉄、出血。

「献愛(ボランティア)してあげたいだけなのに…………貴方は…………」

鋼鉄、出血。
鋼鉄、出血。
鋼鉄、出血。

「人を救ってやろうなんざ、大層な考えの持ち主さんが…………」

鋼鉄、出血。
鋼鉄、出血。
鋼鉄、出血。

「何で、笑ってやがる」


烙印から流れでた血が砂の中に染み込んだ。

鋼鉄、恵魅の体が空を舞った。

海に沈み込む恵魅。








「貴方は…………こういうのが好きなのね!!」

257その感情の名を── ◆fRBHCfnGJI:2012/08/21(火) 18:21:13 ID:hxyU6uRw0

白衣が彼女の裸体にみつしりと張り付いて、恵魅の豊満なボディラインを浮かび上がらせていた。
崩壊した顔面を除けば、どのような男でも魅了するであろう官能的に完全な存在。
美しい女性は華に例えられることがある、ならば彼女は……人間とは思えない官能的な美しさを持った彼女は…………

「官能弛緩吐息(メロルリブレス)」

文字通りの桃色吐息が彼女の口から吐き出された。
それは彼女の蜜、相手の平衡感覚を奪い去る甘い罪。

海水に沈み込んだ恵魅を追撃しようとしたガッツの動きが酒に溺れたかのように曖昧となる。

「何があったかはわからないけど…………そんなに苦しんでいる貴方を見ていられないの、だから…………」

白衣を脱ぎ捨てた彼女は、まるで芸術家によって描かれるヴィーナスの様に美しくあった、
ただ、彼女の腹部にて存在を主張する鬼の面を除けば。

「献愛(ボランティア)させてッ!!!!」

叫ぶと同時に恵魅はガッツへと跳ぶ。
彼女は武器を持っていた、鞭の柔軟さ、斧の重さ、両方を併せ持った恵魅の持つ最悪の武器、

彼女の持つ両の乳がガッツを押し潰した。






舞い上がる砂の中心部に、乳に潰されたガッツの姿がある。
普段の彼ならば、何ということも無いのだろう。
向かい来る乳を避け、あるいは掴み、その超人的な筋力で投げ飛ばす、それを行えば良い、
だが、官能弛緩吐息(メロルリブレス)により奪われた感覚(もの)は大きく、
今の彼に出来ることは、ただ乳の向こうにある敵を見据えることだけだった。

258その感情の名を── ◆fRBHCfnGJI:2012/08/21(火) 18:21:24 ID:hxyU6uRw0

鞭のようにうなる乳がガッツの体を押しつぶすこと無く、嬲っていた。
恵魅の哄笑が高らかに響き渡る。
じわじわと己の豊満な肉体をガッツに味合わせるつもりなのだろう。


乳の猛攻の中、折れた骨の数、吐いた血の量、それを数える必要も無いほどに、ガッツは己の体に受けた傷を認識していた。
己の体を守る鎧は無く、反撃のための義手に備え付けられた武器も、そして幾多の敵を打ち破ったドラゴンころしも取り上げられ、
戦場で鍛えあげられた肉体と精神力だけで恵魅の攻撃を受け続けているこの状況では、まもなく死に至ることも認識していた。

そして、己の指が正常な感覚を取り戻していることも認識している。

恵魅が再度ガッツを潰そうと乳を戻した時、ガッツは己の勝利を確信した。



「両巨乳重爆(ダブルゼットカップボンバー)ッ!!!!」

ガッツの下に死天使の鎌が振り下ろされた。


乳の後にはクレーター以外、最早何も残っていなかった。
喜びが恵魅の豊満な胸の中に広がっていった。
そう、こうすれば良いのだ、
ただ、この様な状況に巻き込まれた可哀想な人達に、官能的な喜びの中、救いを与えれば、それで良い。














グシャ


彼女は背後から迫り来る死に気づくことはなく、心地良い優越感の中逝った。

【恵魅@覚悟のススメ 死亡】

259その感情の名を── ◆fRBHCfnGJI:2012/08/21(火) 18:21:34 ID:hxyU6uRw0




迫り来る死の中、ガッツは敢えてより深く砂の中へと潜り込むことによって、攻撃を避けた。
後は、ただ油断した恵魅を背後から打ち抜けば良い。
デイパックの中から取り出した魔神の金槌を装備し、完全に油断しきっていた恵魅を打ち抜いた。


「結局、何一つとしてすることは変わらねぇ…………」

恵魅のデイパックを回収したガッツはよろめく体を引き摺って歩き出す。

「神気取りの糞餓鬼を殺す…………集められた化け物どもを殺す…………」

気絶するほどの苦痛を与えた神との遭遇、それを意に介すことはしない。

「希った奴らから…………わざわざ…………呼んでくれたんだ、遠慮なく…………殺る………………」

ただ、進む。

ただ、進む。


彼の敵を殺すために、

そう────

「────を」

呟いた仇の名は、波の音にかき消され誰も聞くことはなかった。









【F-9/砂浜/1日目/深夜】

【ガッツ@ベルセルク】
【状態】全身重度の打撲、胸部骨折、腹部骨折、ガッツだから生きてる
【装備】魔神の金槌@DQ5
【道具】基本支給品×2、不明支給品1〜5
【思考】
基本:復讐

[参戦時期]
黒い剣士編以降、ロスト・チルドレンの章以前です。

260 ◆fRBHCfnGJI:2012/08/21(火) 18:22:21 ID:hxyU6uRw0
これにて投下を終了します。

ゲマを予約します

261ゲマ、自殺やめるってよ ◆fRBHCfnGJI:2012/08/28(火) 19:24:33 ID:0E7.n1TI0
すいません、遅れました
ゲマ投下します

262ゲマ、自殺やめるってよ ◆fRBHCfnGJI:2012/08/28(火) 19:24:45 ID:0E7.n1TI0



思い出す。

深く思い出す。












嘲笑う。

263ゲマ、自殺やめるってよ ◆fRBHCfnGJI:2012/08/28(火) 19:24:55 ID:0E7.n1TI0




古代遺跡、圧倒的な強さを誇りながらも、親子の情故に嬲られ、焼かれた父。
それを見た子。
嗚呼、なんと美しく無様な光景か。
私はその子を奴隷として生かしてやった。



デモンズタワー、かつて目の前で父を殺してやった少年は強く美しい青年となって、
父の仇の一人である私の部下を殺した。
一体、彼の胸には如何なる感情が広がったのだろう、
私は彼の下を訪れ、命は奪わず、妻共々石へと変えてやった。


ボブルの塔、とうとう彼は私に武器を向けるほどの強さを得た。
復讐に燃える目、鍛え上げた肉体。
殺さなかったのはミスだった、とリップ・サービスの一つも送りたくなる。


エビルマウンテン、彼も私も最後の決戦になるであろうことを理解している。
甲斐があった、初めての出会いから20と幾年、待ち続けた甲斐があった。


そう、それでこそゲームは面白く成る。

264ゲマ、自殺やめるってよ ◆fRBHCfnGJI:2012/08/28(火) 19:25:05 ID:0E7.n1TI0

私は彼をゲームの駒として扱った。
復讐者を育てるというゲームの主人公して大切に扱ってやった。

決して殺さず、しかし火種を与えることを忘れず。
幸福を積み上げたならば、それを崩す。
より深い絶望を与えられるように、より強い憎しみを得られるように、

そして、彼は来る。
私を殺しに向かい来る。


そして、その彼を私は全力の力で持って叩き潰す。
彼の人生全てを否定する。
結局復讐などは無理だったのだ、そう心に刻みつけ、絶望の中、死を与える。


如何なるものか、その恍惚と高揚感。
臨場感を凌駕してリアルに於いて反映実現される、有質量の全ての結果。
巷に蔓延る子供騙しなぞ及びも付かぬ、この世で最も高尚な育成ゲーム。





本来ならば、そうなるはずだった。

265ゲマ、自殺やめるってよ ◆fRBHCfnGJI:2012/08/28(火) 19:25:17 ID:0E7.n1TI0



煽り:完全覚醒ッ!リュカ仏血義理(ブッチギリ)夜露死苦(ヨロシク)!!

「ミルドラース、帝の器量にあらず!美しくなければ王とは言えぬ!」

妻を取り戻し、子供と共に戦い、母を見つけた彼の…………なんと吹っ切れたことか。

「グランバニア式火斗死来之魅ッ!!」

復讐ではなく、守るために戦うことを選んだ彼の…………なんと強きことか。


「G(ゴーレム)・会心!!」
「ぐっぐはあ……! あ 熱いぃ〜っ! なんですかこの光は〜っ!?こっ この私が こんな光に焼かれるなどと……そんな そんな ことが あっては……」
「外魔、最微塵(クオーク)と化す!」
「げぐぁ〜っ!!」
「G(ゴーレム)・さらば!」



私は…………駒と見くびった相手に完全なる敗北を喫した。

266ゲマ、自殺やめるってよ ◆fRBHCfnGJI:2012/08/28(火) 19:25:27 ID:0E7.n1TI0




「ほっほっほ…………ほほほほほほほほほほほほほっ!!」
古代遺跡、己を殺した相手との因縁を生んだ地で一人ゲマは己の醜態を思い出し、笑い続ける。

「つまり、そういうことなのでしょう!これは罰ッ!ミルドラース様が私にお与えなさった殺し合いという罰ッ!
次は遊ばずに仕留めろと…………そういうことなのでしょう!因縁を作ることはせずに、相手が誰であろうともすぐに殺せとッ!」




「拒否しますッ!断固断固断固断固断固断固拒否ですッ!!
ここからです!私の人生はまさにココから始まるのです!!!
そうでしょうリュカッ!!貴方は私を殺した!!
人間が…………か弱い虫けらの分際で私を真正面から討ち倒したッ!
ならば…………ならば私もまたッ!それを行おうではありませんかッ!!
この殺し合いを破壊し、裏に潜むであろうミルドラース様を…………ミルドラースを殺すッ!
リュカッ!私を殺したと言っても、貴方達の実力ではミルドラース様に一捻りにされてしまったのでしょう!?
わかりますよ!わかりますとも!私にはわかっておりますとも!!
だから私が代わりにミルドラースを殺しましょう!!
そしてその時こそ…………リュカッ!私が貴方を超えるのですッ!
最早それしかないッ!傷つけられた私のプライドを戻すにはそれしかないのですッ!」

「だから…………だから…………
せいぜい、貴方の杖は有意義に利用させて頂きますよ…………リュカ」





【エリアE-7/古代遺跡/1日目/深夜】

【ゲマ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康
[装備]:ドラゴンの杖
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:この殺し合いを破壊し、黒幕であろうミルドラースを撃破し、リュカを超える。
[参戦時期]:死亡後

267ゲマ、自殺やめるってよ ◆fRBHCfnGJI:2012/08/28(火) 19:25:38 ID:0E7.n1TI0
投下を終了します

268名無しさん:2012/09/14(金) 14:45:15 ID:HEqGLFsU0
俺ODIO 20話(+ 3) 33/39 (- 1) 84.6 (- 0.4)

269大爆発!これがワイアルドの魂だ! ◆fRBHCfnGJI:2012/09/25(火) 12:23:58 ID:H6wjiirQ0
ワイアルドゲリラ投下します。

270大爆発!これがワイアルドの魂だ! ◆fRBHCfnGJI:2012/09/25(火) 12:25:49 ID:H6wjiirQ0
ミルドラースが説明を終え、今にもバトロワが始まろうとしたときのことだった。
「うおおお!なめるなよ!」
ワイアルドがミルドラースに飛びかかった!
「な!?」
見せしめを出したというのに何を考えているのか。
ミルドラースの思考が一瞬遅れ、ワイアルドはミルドラースと密着していた。
「これならば首輪を爆破できまい!」
「し、しまった!」
ワイアルドは首だけを他の参加者に向けていう。
「俺はもう駄目だ!こいつを食い止めるから逃げろ!」
「ワイアルドーーーーーーー!!!」
黒髪の男が叫び、それにつられるようにして他の参加者も叫ぶ。
「馬鹿野郎!お前みたいな奴をほっとけるかよ!」
「ワイアルドさん!私達も戦います!」
「あんたとなら死ねる!」

「お前ら……エンジョイアンドエキサイティングだぜ」
ワイアルドは困ったように笑って言うと、あたふたしているミルドラースを睨みつけて言う。
「ベヘリット!俺の魂の叫びに応えてくれ!」

カッ!!!!!!!!!!!

なんと空から空間を破り天井を破り黒ずんだゴッドハンドが降って来た。
「うおおおおおおおおお!降……魔……の儀!」
瞬間、天を覆いつくす超弩級の階段が現れる。

  「しまった!贄の調節を間違えた!」


その島は消滅した。

〜 俺ODIO ロア 終 〜







という夢を見たワイアルドは、本能のままに犯したり殺したりすることを決意した。

【エリアB-6/森林地帯/1日目/深夜】

【ワイアルド@ベルセルク】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】基本支給品×1、不明支給品1〜3
【思考】
基本:エンジョイアンドエキサイティング

271大爆発!これがワイアルドの魂だ! ◆fRBHCfnGJI:2012/09/25(火) 12:27:29 ID:H6wjiirQ0
投下終了します、ごめんなさい。

272名無しさん:2012/09/25(火) 22:07:01 ID:VBhdfXa.0
ちょ、おまwwww
投下乙wwww

273 ◆TIENe3Twtg:2012/10/10(水) 21:08:56 ID:3FIRShkA0
カリョストロと書き手枠を利用してのアリス@真・女神転生 での予約をお願いします。

274名無しさん:2012/10/10(水) 23:09:50 ID:5k9lZzH60
予約きたあああああああああああああああ

275名無しさん:2012/10/11(木) 21:25:21 ID:jqFzXveo0
予約wktk

276 ◆TIENe3Twtg:2012/10/14(日) 11:40:47 ID:QotKg8DY0
アリス・カリョストロ投下します。

277名無しさん:2012/10/14(日) 11:41:54 ID:QotKg8DY0

とある海岸、この殺し合いで設けられたエリア分布ではD-1と呼称される場所にて。
無垢な少女の姿があった。
頼るべき大人に無条件に甘えるように、少女は横になった大人に対して感情を語る。
曰く、海なんて、砂浜なんて、物語の中でしか知らなかった。こんなにも広いものなんだ。
曰く、歩くたびに足を取られるその感触がうっとおしいけど新鮮で嬉しくなってくる。
曰く、少し歩き疲れてしまった
曰く、赤おじさんと黒おじさんはどうしているだろう?
曰く……
この場に集められてからの本当に短い時間だけで見つけた幾つもの快も不快もひっくるめて、思いつく限りの言葉を贈る。
返事を期待したその言葉に返ってくるものは身じろぎ一つないのだけれど。

それも当然、目前の大人は誰がどう見ても死んでいる。
薄暗闇の中でもはっきりわかるほどに血の気の引いた顔色も、身動き一つせず血の滴るその体躯も。
認識できる全ての状態がそれが“死体である”と示しているのだ。
ただのしかばねは返事を返すことは決してない。
幼さゆえに、それに気付いていないのか、
あるいは、幼さゆえに、気付き、狂ってしまったのか。
言葉は止まず一方的な話声は続いて行く。


おお、運命よ!なんと残酷たるか!
願わくば彼女に救いを賜れんことを!


と、語りたい事を全て語り終えたのか、少女の言葉が一度止み、これまでとは違った調子の言葉が投げかけられた。
「私お友達が欲しいの。ねぇ、私のお友達になって。ねっ!良いでしょ!」
どこか怯えを含んだ表情で、声音で、そんな言葉を。
ここで何一つ返事がなければ、拒まれたと感じてしまえば、か弱い少女はそれだけで崩れ折れてしまいかねないだろう。

もしもここに良識ある人がいれば少女に駆け寄り抱きしめたいと願うだろう。
少女に吹く冷たい風をほんの少しでもいい、遮ってやりたいと願うだろう。
言葉を、温もりを、救いを、なんでもいい、何かを与えてやりたいと願うだろう。
されどここにはそんな誰かはいない。
故に救いは無く、後には静かな沈黙だけが残る……
その筈だった。

「私はカリョストロ、みてのとおりのかっこいいお兄さんだ。コンゴトモヨロシク……」
死体以外の何者にも見えなかった男はそんな事を起き上がり言った。
その姿はまるでコミック・ブックのスーパーヒーロー。
マントをたなびかせるその姿は妙に似合っていたが、血がべったり貼り着いた衣装ではどこか滑稽でもあった。
そんな男の姿を見て少女は花が咲くように笑う。
「あたしアリス、アリスっていうの!コンゴトモヨロシクね、お兄さん」

278デッドマンズインワンダーランド ◆TIENe3Twtg:2012/10/14(日) 11:43:12 ID:QotKg8DY0



ほほう!私の死んだふりをみぬくとは!ではごほうびにわたしがキミをやっつけてやろう!


“死んだふり”で疲労を極限まで抑えて生き残る。
狂った計画に焦る心を鎮めるために、弱い心を隠す傲慢な言葉を胸に浮かべる。
いや、狂ってなどいないのだ。
どういうわけか完全に私が生きているという前提で語りかける少女だが、私なら瞬く間に殺してしまえる。
そうして始末を終えたなら少し離れた場所でまた死んだふりを再開してしまえばいい。
情報を聞き出す意味でも言葉が止むまでは付き合うが終わり次第に実行に移そう。
完璧な死んだふりを続けながらに他愛のない話を聞き流して行く。

と、言葉が止んだ。相手の息遣いさえも聞きとれる静かな状況だ、ここからが本題だと言う意図もしっかりと伝わってくる。
「私お友達が欲しいの。ねぇ、私のお友達になって。ねっ!良いでしょ!!」

なるほど、同盟のお誘いと言うわけか。
確かにたった一人が生き残る、そんな状況の中であえて誰かと組むという事のメリットは計り知れない。
裏切りを前提とした人間関係の構築難易度も合わさってほぼ全ての敵対者に対して優位に働くだろう。
私の場合はほとんど起こり得ないケースだが、格上が存在した場合、そういったものをも倒しきる有効な戦術の一つだとも言える。
だが、そのようなものよりも死んだふりを続行することの方が私にとってははるかに確実性のある作戦だ。
まったく、時間を無駄にした。
そんな苛立ちすら抱きながら起き上り少女の姿をその目に捉え、目を奪われた。



西洋人形のようなその容姿はそれだけならただありきたりな少女とも言えるかもしれない。
裕福な家で甘やかされて健やかに過ごした世間知らず。
普通であればそんな評価で終わることも出来たのかもしれない。
だがグラップラー四天王の一人にも数えられる彼は普通とは縁遠い。

苛酷な時代を生きる洗練された感性が目の前のこれをゾンビのようなものだと示す。
一流のアーチストとしての審美眼が否定する。目の前の存在はゾンビではありえない。
死体であるにも関わらず死を否定するようにごまかし蠢くのがゾンビだ。
それはチグハグに接ぎ合わされたパッチワーク。
すでに訪れた死を否定する醜い言い訳の塊こそがゾンビだ。

翻り少女はどうだろうか。
そこには人造ゾンビの不気味の谷を越えられぬ哀れな非人間性も、自然発生的なゾンビの知性の欠如も感じ取れない。
確かに死臭を振りまきつつも、それは取り繕われるべき汚臭ではなく生を際立たせる死に化粧。
未成熟な生と完結した死が同居した佇まいは、矛盾しつつも醜さではなく魅力としてその目に映る。
そこにあるのは一つのアートであった。
このようなゾンビを人が生み出すことも、自然が生むことも決してありえない。
つまり目の前の存在は生身の人間で、“死んだふり”の達人アーチスト!

ならば前提が変わってくる。
この少女を殺すのは手間がかかるだろう。
ひょっとしたらその戦闘音によって多くの参加者を引き付け“死んだふり”を再開することが不可能な状況に陥るかもしれない。
そして少女がただの観察力に優れた一般人ではなく一流のアーチストならば同盟のメリットも膨れ上がる。
私の“死んだふり”にあてつけるかのように動き回る“死んだふり”の技には若干の羨望と多大な苛立ちを感じたが。
メリットとデメリットが膨らみ主導権を握られつつあることを自覚しながらもこのような言葉を返すしかなかった。
「私はカリョストロ、みてのとおりのかっこいいお兄さんだ。コンゴトモヨロシク……」

279デッドマンズインワンダーランド ◆TIENe3Twtg:2012/10/14(日) 11:44:42 ID:QotKg8DY0


あるところにかわいいかわいい女の子がいました。
女の子は神様に愛されず、理不尽に命を失ってしまったけれども、悪魔には愛されました。
その綺麗な魂を惜しんだ悪魔は思いました。

「この綺麗なものが、それを壊した神様のところに行ってしまうなんて耐えられない」
そうして悪魔は女の子に尽くすことを決めました。

その悪魔はとても偉い地位の持ち主で、神様と戦う集団で幾つもの軍団を束ねる立場にありましたが、女の子のために抜け出しました。
形も重さもない魂はそれだけでは飛んでいってしまうので、その綺麗な魂に相応しいとってもかわいい女の子の体を作りました。
女の子がさみしくないように人が集まる街も作りました。
強い神様にまた奪われてしまわないように街自体にも細工を施しました。

そうして出来たのがロッポンギ。
悪魔が作った、少女のためのやさしい揺り籠。

280デッドマンズインワンダーランド ◆TIENe3Twtg:2012/10/14(日) 11:46:17 ID:QotKg8DY0


前提の話をしましょう。
少女はカリョストロの死んだふりを見抜いていたわけではありません。
彼女にとって死は隣人で友人です。
死体であることと友達になれることは矛盾しないし、少女はいつものように過ごしていただけなのです。

ここに来た少女はただ喜んでいました。
文明の残り香の中、建物に囲まれた狭い空しか知らなかった少女にとって、ここはとても新鮮な美しさが溢れていました。
赤おじさんも黒おじさんも大好きでロッポンギも、街の人たちも大好きでしたが、
ロッポンギの中でしか過ごせなかった少女にとってここは遊園地よりも心躍るアトラクションに満ちているのです。
少女は確かに幸せでした。
いつもの緩慢な幸せとは違う、とても刺激的でたまらない幸せで胸が一杯でした。


【エリアD-1/海岸/1日目/深夜】

【カリョストロ@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:健康、血糊がべっとり、血の気の引いた肌の色
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、血糊、化粧セット、不明支給品(0〜1)
[思考・状況]
基本:生き残る
1:アリスを警戒
2:死んだふり作戦への未練
3:アリスの死んだふりの技術に興味
[備考]:アリスの事を常に死んだふりをし続けるアーチストだと考えています。

【アリス@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品(1〜3)
基本:友達100人できるかな〜♪
[備考]:カリョストロの事を既に死んでいる人だと思っています。

281 ◆TIENe3Twtg:2012/10/14(日) 11:51:36 ID:QotKg8DY0
投下は以上です。
時間帯はカリョストロの事があるので黎明にしたほうがいいのか、
アリスについては登場話ですし深夜の方がいいのか……
どちらとも取れる形で書いたつもりでいます。
仮に深夜として状態表は作りましたが黎明に動かしても構いません。

指摘や矛盾etc……何かありましたら是非教えてください。
ありがとうございました。

282名無しさん:2012/10/15(月) 01:05:39 ID:qmsO.HJc0
投下乙!
ま、まさかの解釈! 完全に度肝を抜かれました。
死んだフリではなく本当に死んでいる者として扱っている……アリスだからこそできる「無邪気さ」ですなあ。
今後にどう響くのか、凄く気になります。

気にされている時間帯の件ですが、カリョ死んだフリ→アリス登場までがほぼノータイムだったという解釈も出来るので、
深夜のままでいいと思います。

283名無しさん:2012/10/15(月) 19:49:27 ID:Ke.PTWyE0
投下乙
まさかの、カリョストロの行動開始!
このコンビがどんな話を紡ぐのか、とても楽しみですな。
そして、アリスは何時でも、何処でも可愛い!

284 ◆TIENe3Twtg:2012/10/21(日) 07:42:44 ID:t8XfOsb20
乙ありがとうございます。
カリョの登場話でのカリョらしさがすごかったのや人気のあるキャラを扱ったので拒否反応でないかな、
キャラ把握ミスしてないかな、って不安だったので助かります。
この感じなら時間帯動かさずに深夜のままの方がよさそうですね、ありがとうございました。

285 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/29(月) 12:15:32 ID:GdLdQhCQ0
フリアエゲリラ投下します

286心壊 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/29(月) 12:15:54 ID:GdLdQhCQ0











わたし、こんな世界、もういやだ。

                                __
               セ カ イ ニ サ ヨ ナ ¬
                                   ノ









全てを夜の色に塗りつぶす闇を切り裂く一閃の雷光、
その光景は、如何なる状況であろうとも明けぬ夜が無い事と同様に、この状況もまた解決に向かうだろうという一種の隠喩を表したものと映ったのか。
あるいは、目が眩まんばかりの雷光も一瞬で消えてしまう様に、希望なぞは消されるために用意されるものと映ったのか。

少なくともフリアエの目には、何も映りはしなかった。
両の瞳に宿した蒼は一閃の雷光を映し、ただそれだけである。
後は無感動にフリアエの両の瞳は夜闇を映し出すだけ、感情はなく、ただ目の前の光景が突き抜けていく。

今のフリアエには目の前の光景を見ることが出来ない。
ただ、目に焼き付いた一つの光景に心を委ねるだけ。

過去の光景。
雷が放たれる闇夜よりも、殺し合いの開催を告げられた両の眼で見た悪夢よりも、
それ以前に彼女の心を捉えて離さない過去。

彼は私を見なかった。

287心壊 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/29(月) 12:16:09 ID:GdLdQhCQ0



あの日から。
忌まわしき女神になったあの日から。
自由を奪われ、苦痛に耐え続ける生を送ることとなったあの日から。

嗚呼、普通の人間以下の人生を送ることが女神だと言うのならば、神というものはなんと哀れな生物なのだろうか。
いや、感情を削ぎ落とされたことこそが、超越者たる神の証左と言えるのだろうか。

私にはわからない、興味もない。
ただ、この痛みが女神とは名ばかりの人間以下の生贄であることを教え続けてくれている。

ただ、痛みの中、子供染みた空想に浸ることもあった。
カイム、私の兄、愛おしい人、
彼が私のために与えられた世界という牢獄を破壊し、誰もいない教会で式を挙げてくれる。

当然、倫理も論理もそれを許しはしない。
世界は存続されるべきものであるし、近親相姦もまたあってはならない。

わかってはいた、わかってはいたが、それでもこの苦しみから逃れるためには、逃げ道が必要だった。

だが、もしかしたら、その逃げ道が現実の物となってはくれないだろうか、
その様な淡い思いもまた、存在した。

当然、それは想像の世界だけに許されるものであり、現実は躊躇なく無慈悲にその空想を破壊した。

288心壊 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/29(月) 12:16:19 ID:GdLdQhCQ0


あの日。
心の内を、秘めたる思いを、女神としてあってはならない思いを暴露されたあの日。

私は彼を見た。

どうしようもない絶望と、
それでも私の思いを受け入れてくれるのでは無いかという、百分の千分の万分の億分の兆分の一にも満たない僅かな可能性にかけて。

私は彼を見た。
彼は私から目を逸らした。


受け入れてもらえないのであれば、
愛しの兄にその様な目をさせてしまったのならば、
私に最早、生きる価値も意味もなく、
世界に意味もなく、
私はナイフを手に、


「私を……見ないで…………」

289心壊 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/29(月) 12:16:29 ID:GdLdQhCQ0



けれど、私は生きている。
意味もなく、価値もなく、ただ、殺すためだけに生かされている。

どうしろと言うのだ。
どうしようもないのだ。

生きることは苦痛。
死ぬことは許されず。

もう何もない。
もう何もない。
もう何もない。
もう何もない。





故に、それは私を惹きつける。

甘い幻想は私を惹きつける。

この世界ならば、私は許されてしまうのではないかと祈ってしまう。


覇王の卵。

シルクのヴェール。

光のドレス。



私は花嫁衣裳を身にまとい。
それに不釣合いな、ネックレスを掛ける。

後はただ、
兄を、兄さんを、カイムを探そう。

この世界にいないのならば、全てを殺して、兄さんに会いに行こう。


愛は受け入れてもらえなかった、
それでも、

那由多の果ての可能性にかけて。



【D-5/森林地帯/深夜】


【フリアエ@ドラッグオンドラグーン】
[状態]:健康
[装備]:光のドレス、シルクのヴェール、真紅のベヘリット
[道具]:基本支給品*1
[思考・状況]
基本行動方針:カイムを探す
[参戦時期]:自殺後

290心壊 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/29(月) 12:16:46 ID:GdLdQhCQ0
投下終了します

291食性 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/29(月) 16:45:54 ID:GdLdQhCQ0
アリオーシュゲリラ投下します

292食性 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/29(月) 16:46:05 ID:GdLdQhCQ0







食い散らかされた同胞の死体に、天の御遣いたるエンジェルも動揺を隠せなかった。
もちろん、ただ食われたというだけならば、彼女もまだ納得は出来る。
食い散らかされたエンジェルは、天使の中では最も弱い類であり、
認めがたいことではあるが、それよりも強大な悪魔は少なくはない。
だがしかし、死体の咬み傷は丁度自らが口を開き噛み付いたものとほぼ同じ大きさである。
基本的に人型の悪魔は、吸収という形で食事を行う。
もちろん、それ以外の形で食事を行う人型悪魔もいるだろうが、だが、その個体が存在する可能性は極めて低い。
そして何より、死体と成ったばかりのエンジェルには大量のマグネタイトが残っている。
悪魔の食事に必要な物は唯一つ、悪魔を構成する物質であるマグネタイトであり、
食事をしたのにも関わらず、それを大量に残していくなどということはありえない。

つまり、これは人間の仕わ




グチャ




【C-4/森林地帯/深夜】


【アリオーシュ@ドラッグオンドラグーン】
[状態]:満腹
[装備]:不明
[道具]:基本支給品*1、不明支給品0〜2、サラマンダーとウンディーネ
[思考・状況]
基本行動方針:食事
[参戦時期]:契約以降

293食性 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/29(月) 16:46:20 ID:GdLdQhCQ0
投下終了します

294名無しさん:2012/10/29(月) 17:12:26 ID:KRfqsGXE0
投下乙!
アリオーシュはブレナイなぁ・・・
フリアエは、今度こそ添い遂げられるといいね

295名無しさん:2012/10/30(火) 18:27:01 ID:qUWVwG.I0
投下乙です!
おお、フリアエが自殺してしまうかと思ったらこわい方向に

アリオーシュのほうも彼女自身の描写がないのが逆に恐ろしい…

296名無しさん:2012/10/30(火) 19:29:40 ID:LJWS2kL20
投下乙
両方どう転んでもハッピーエンドが見えねえw

297名無しさん:2012/10/30(火) 19:36:15 ID:LJWS2kL20
残り枠もだいぶ減ってきたしここまでに出てきた生き残りのスタンスをまとめてみた。(参考:wiki内現在位置CGIの状態欄)

1/5【真・女神転生Ⅰ】
○ザ・ヒーロー/マーダー○カオスヒーロー/対主催○ロウヒーロー/マーダー ○ゆりこ/危険人物○アリス/危険人物
2/6【ベルセルク】
○ガッツ/危険人物○グリフィス/マーダー○キャスカ/対主催○ロシーヌ/危険人物○ワイアルド/マーダー○モズグス/対主催
5/6【ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
○主人公/マーダー○パパス/対主催○主人公の息子/対主催○主人公の娘/対主催○ゲマ/対主催○デボラ/対主催
0/4【メタルマックス2:リローデッド】
○レナ/マーダー○テッド・ブロイラー/マーダー○ミシカ/マーダー○カリョストロ/マーダー
1/4【覚悟のススメ】
○葉隠覚悟/対主催○葉隠散/危険人物○血髑郎/不明(まだ書かれてない)○ライ/マーダー
1/5【ドラッグオンドラグーン】
○カイム/危険人物○イウヴァルト/マーダー○アリオーシュ/危険人物○フリアエ/危険人物○セエレ/対主催
3/3【LIVE A LIVE】
○オルステッド/対主催○ストレイボウ/対主催 ○魔神竜之介/対主催

対主催13/33マーダー11/33危険人物8/33 不明1/33+書き手枠2枠

なんだ、対主催の方がマーダーよりも多いんじゃないか!まだまだいける!

298 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/30(火) 22:01:03 ID:nW9WMPAg0
>>297
なお、オルステッドさんはゆりこさんのせいで実質的には危険人物〜マーダーです^q^

モズグス、ミシカ、予約します

299名無しさん:2012/10/30(火) 22:09:25 ID:LJWS2kL20
予約だ、やったー!
実質とか言い出したらキャスカの対主催も()だしゲマがまっとうな気がしないしさらにやばくなるじゃないですか、やだー

300天を仰いで ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 00:22:47 ID:ECSTxR9s0


「悔い改めよ!悪霊共!!私を惑わそうともそうはいかぬ!!」
『否!我々もまたこの殺し合いを望まぬ者!どうか我等に協力願いたい!!!』

モズグスの怒声と鞄の叫びが、カテドラルを揺らした。
そう、モズグスの怒声と鞄の叫びである。
鞄の叫びと聞いても、皆様にはしっくり来ないと思われる。
だが、しかし血の経典モズグスはこの殺し合いの中、大真面目な顔で鞄──正確に言うならば、
鞄の中に収められた、三千の英霊が宿る鎧強化外骨格『零』相手に怒声を飛ばしていた。

「神は死者が物言う事を許してはおりません!ましてや物に取り憑き神に仕えし者を誑かそうなどとは言語道断!!」
『我々の目的は同じく、この悪趣味な遊戯の打破!ならば協力しあえるはずだ!!』

さてモズグスに支給された『零』、彼の目的もまた殺し合いの打破であり、
それ故に、モズグスとは友好的な関係になれそうなものであるが、
ところがしかし、神に仕える僧侶というモズグスの立場が悪かった。
彼は彼の信仰故に、霊を受け入れるわけにはいかず、それ故に会話と言う名の叫び合いは平行線を辿り続ける。

「去れッ!悪霊!或るべき場所へと帰れ!!」
『最早帰る場所はここのみ!!』
「神の御下こそが!或るべき場所なのです!!」
『ええい!我等の話を聞けッ!』
「…………聞く耳持たぬ!」
『その耳は飾りかッ!?』
「神の前で飾り立てることなど出来ませんッ!」
『…………』

果てのない叫び合い、その末にとうとう『零』は沈黙へと至る。
「…………これこそ信仰の勝利ッ!」
だがしかし、これは決してモズグスの勝利というわけではなく。

『失礼仕る!!』

鞄が開き、中から現れるは触手!
否、コレは零細胞!『零』の内側にある生体細胞である!

その触手、いや零細胞がモズグスの頭を捉えた。

「なッ!?」
『我等の思い!言葉ではなく心で汲んで頂きたくッ!!』

零細胞はモズグスの脳へと三千の英霊の過去を送り込む。
悲惨!残虐!侵略戦争の歴史ッ!




「…………」

「……………………」




ブワッ!!
モズグス血涙ッ!

301天を仰いで ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 00:23:00 ID:ECSTxR9s0




『…………わかっていただけただろうか』
「ええ…………わかりました、わかりましたとも…………」

血涙までも流すモズグスの感受性に、三千の英霊も感動を覚える。
なんと素晴らしき、男だったのだろうか。
まるでコミックのヒーローのように、言葉を交わした末にお互いを分かり合う。
是非ともこの素晴らしい男と覚悟に遭わせてやりたい。

零がそう思ったその時であった。

「ですから………………そんな貴方にこそッ!
是が非でも死して尚の戦いの日々を止め!神の御下で安らかな日々を過ごして頂きたァイ!!」

『零』へとモズグスの教典が炸裂した。
するとどうなるのであろうか、神の偉大なる言葉、そしてモズグスの慈悲が合わさることにより、






        三 千 の 英 霊 大 成 仏 を 果 た す ッ !

302天を仰いで ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 00:23:11 ID:ECSTxR9s0



なお、この成仏がいまいち理解できないという読者の方のために
簡単な図を用意したので、是非とも利用していただきたい。




 モズグス       ヽ 丶  \
               \ ヽ  ヽ     ヽ
/  /    ヽ    \ ヽ   ヽ
 /   |  ヽ \     \  ヽ  ゝ           (英霊)
ノ 丿       \  教  \   ヾ
 ノ  |   |  丶  \     \         (英霊)
   /          \     \/|                (英霊)
 ノ   |   |      \  典    |         ↑
     /\        \      |         (  ↑
   /   \       /      |          )  (
  /      \      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄         (   )
/_        \                    ) (         頂礼
 ̄  | な  侵  | ̄         ノ⌒ ̄⌒γ⌒ ̄⌒ゝ           / /
   | い  略 英|         ノ   . 三     千 .  ゝ          / /
   | で  戦 霊|        丿              ゞ      _/ ∠
   | ね 争 に|       丿/|/|/|/|\|\|\|\|\ゝ     .\  /
   | ! の な|               │                V
――| と  事 っ|――――――――――┼―――――――――――――――――
   / い 忘 てヽ  巛巛巛巛巛巛巛巛 人巛巛巛巛巛巛巛巛巛巛神への思い
    う  れ .も
    気
    持              バ ト ル ロ ワ イ ア ル の 思 い 出
    ち





「…………生とは、常に神の試練の連続。であるからこそ、我々生者はそれを全力で受け止めなければなりません。
ですから、この事態もまた……生者たる我々が立ち向かうべきことなのです…………」
自分への決意、そして己が成仏させた三千の英霊への思いを呟くと、主の消えた鎧へと、モズグスは神への祈りの言葉を送った。

「どうぞ安らかにお眠りください……」

そして、三千の英霊へと個人的な祈りを捧げると、再びモズグスは歩き出す。
神の威光を知らしめる日が来るまで、戦いは未だ終わらないのだ。

『マハラギオン!』

戦いは終わった。

【モズグス@ベルセルク 死亡】

303天を仰いで ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 00:23:22 ID:ECSTxR9s0

大声を出していた阿呆が上にいたので、試し撃ちも兼ねて上へと向かった。

嗚呼、振るう力のなんと心地好いことか。
圧倒的な力によって、あっさりと目の前の男が消し炭と化した。


だが、これはあくまでも試し撃ちにすぎない。
敵対者は確実に存在している。

私の敵と成り得る"人間"は確実に存在している。

かの英雄の名を私は知っている。
かの女狩人の名を私は知っている。

此処に存在する保証はない、
此処に存在しない保証はない。

混沌の世界の中で生きていくには、

英雄に負ける私では、
狩人に負けるあたしでは、

未だ力は足りない。

もっと力をッ!
我々は未だ力に餓え!そして更に強くなれる!!



【ミシカ@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:健康
[装備]:ストラディバリ@真・女神転生Ⅰ
[道具]:基本支給品*3、青酸カリ@現実、強化外骨格『零』不明支給品(2〜9、アスラ王、モズグスの物を含む)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る
第一行動方針:力を手に入れる

[備考]:『零』に宿る三千の英霊が現在成仏しているため、『零』を装着することは出来ません。

304天を仰いで ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 00:23:33 ID:ECSTxR9s0





























『巨大な思念の螺旋……まるで世界中の邪悪が集まったかのような!!』

305天を仰いで ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 00:23:44 ID:ECSTxR9s0
投下終了します、ごめんなさい

306名無しさん:2012/10/31(水) 00:27:30 ID:UZ0V1LEA0
改めて見ると主人公陣のマーダー率とMM勢のヤル気がやばい

307名無しさん:2012/10/31(水) 00:32:55 ID:u3rpwngw0
投下乙!
悪魔を食事してる……こいつはデンジャーだぜ!
DOD勢が何時もどおりな最中、説教垂れてるモズグズ様が死んだwwwww
しかしミシカはバリバリやる気だなー、でもレナはもっとやる気だしなー

308名無しさん:2012/10/31(水) 00:38:50 ID:UZ0V1LEA0
書き込んだら投下来てた!
ちょwまた対主催減ったwww
英霊もいなくなったとなるとどうなるんだこれww

309名無しさん:2012/10/31(水) 01:24:00 ID:y7ASZRto0
投下乙でござりまする
モズグス様!なんて、あっけない……
ミシカは力への渇望が凄い勢いで高まっておりますな。カオス・ヒーローと逢ったら、どうなるのだろうか……
そして、零は覚悟への思いで、戻って来るかもしれないのが恐ろしい所よ
何にしても、素敵な話でありました。

310屁理屈 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 01:31:53 ID:ECSTxR9s0
血髑郎と書き手枠でバズズをゲリラ投下させていただきます。

311屁理屈 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 01:32:10 ID:ECSTxR9s0

市街地でバズズは支給品の防弾ベストを眺めながら思った。
身軽さが売りである私にふさわしい鎧だと。しかしこうなると鎧とおそろいの武器もほしいな。

なんだあるじゃないか。
























  ━┓“   ━┓“  ━┓“   ━┓“  ━┓“  ━┓“   ━┓“
  ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛
                   、,ノl,、{ , _
 _    _          }Vノ;:;:;:;:;:`'´{,       _    _
」   ̄ ̄ └,        、{;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:レ      」   ̄ ̄ └,
}  出 死  {       ミ,;:;:;:;:。...。:;:;:;ヒヾ      }  逃 み  {
}  る 人  {     )、-┌┐;:;:.゙,..,゙:;:;:nゝ  ,    }  げ ん  {
」  ぞ が  {   ノ、/;:;:;:;:l・ ,,l;:;:;:´;:;`:;:;l ̄l`';:'-ノ_,. 」  ろ な  {
}  ぉ     { }ヽソ;:;:;:;:;:;ノt-n';:;:;:;:;:;:;:;ノ,::,_l;:;:;:;:;:;;:;7 }_  ! !  `  {
}_  ! !    {/;:;:;:;;:;:,、;:;,:l LLLlヽ;、;:;:ノEEEl;:;:;:;:;:;:;:}_ /__   _「
/__   _「;:::: ;:;::::´、 `''-fココ ll::l;:;:ll .nnn l;:;:;:;;:;:;:;:;:{     ̄
     ̄` ヽ;:; : : ゙  `''''´ミ´r'ヽ;l;:;:ll ';';ニ' l,;:;:;:;:;:;:;:(
        ´`'''─-..._::::.:.:ヾヽ_ `ヽ'、l__l ll }:;:;:;:;:;:)
              `゙-'゙,-,_ツ、゙ヾf´ヽ,っll_{゙:;゙: ゙ソ
             ,、ノ'´;:;:;:;:;:;:;:`ヽl, ,、`ヾ\:ミ、゙
             };:;::;:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'lmn_'ヾ\
          ノ!ノl´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::;;:;:;:;;`^!''´ヽ 'ヾ\
          f´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;;ヽ、fヽ\
         、ノ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;--;;::;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;y ¨ヽヽ\、
        r';:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;-''´   ' ' '' `-、;:;:;:;:;:;::;:;;{  `´`'''´


【エリアB-3/市街地/1日目/深夜】

【ベン(バズズ)@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康
[装備]:防弾ベスト@現実、猟銃@現実
[道具]:基本支給品*1、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:殺戮

[備考]:原作ではバズズは仲間になりません、ですからもし仮にバズズが仲間になるとしてベンという名前で無い証拠はありません。
    ..また、装備品に関しても同じことが言えます。
    ..つまり、ベンという名前のバズズが防弾ベストと猟銃を装備して死人を出してもまったくおかしくはないということです。


【血髑郎@覚悟のススメ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品*1、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:不明
第一行動方針:死人が出るぞぉ!!

[備考]:バズズがあのような格好をしているのです、
     散様のことを慮ってついウッカリ死人が出ると叫んでしまってもまったくおかしいことはないと思われます。
     また、スクライドという漫画でもあまりの敵の美形っぷりに主人公が「美形だ!」と叫んだことがあります。
     つまり、死人が出るぞぉ!と叫んでもおかしくはありません。

312屁理屈 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 01:32:50 ID:ECSTxR9s0
投下終了させていただきます。

313名無しさん:2012/10/31(水) 06:45:33 ID:A1c.1ABU0
投下乙です
wikiのリンクにパロロワ事典をさしおいてベンファンクラブがあったのってそういうことかwwww

314名無しさん:2012/10/31(水) 08:50:52 ID:okMrlQl.0
やっぱこのロワ頭おかしいわwww

315 ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 13:15:11 ID:GPori7D6O
書き手枠予約します。

316 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 13:59:46 ID:ECSTxR9s0
予約キターーーー!!

317 ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 14:04:53 ID:ry2vmpN60
投下します

318道理、無理で通す ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 14:05:41 ID:ry2vmpN60





この世を支配するのは、金だ。





.

319道理、無理で通す ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 14:05:57 ID:ry2vmpN60
至極当然の話。
金があれば何だって買うことが出来る。
武器、防具、道具、戦車装備、時には戦車そのものだって。
金があれば命だって買うことが出来る。
魔物の命、機械の命、人間の命。
人間は、金でいくらでも動かせる。
多大な懸賞金を積めば、どんな悪党でも殺す人間が現れる。
運ある人間に舞い込むのは、金だ。
力ある人間をつき動かすのは、金だ。
知恵ある人間をつき動かすのは、金だ。
逆に金がなければ、野垂れ死ぬことしかできない。
力の差を見せつけられ、その差を埋めることも出来ず、金を持った強者に蹂躙されていく。
しかし、金だけがあっても仕方がない。
それを有効活用し、己の力として振る舞える者が生き残る。
老若男女関係ない、金の使い方がうまい力のある者が、あの世界では生き残るということだ。

320道理、無理で通す ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 14:06:39 ID:ry2vmpN60

その世の中、伝説の武装商人と呼ばれた男がいた。
人間でありながらその姿はさながら戦車のような腕っ節を持ち。
世の流れと自分の状況を正確に判断し、機械よりも正確な知恵を持って場を動き。
面倒ごとに巻き込まれず、荒野の中を駆け抜けることが出来る運を持ち。
ほかのどんな人間よりも、金の使い方が上手い。
金の力でハンターオフィスを制圧し、また彼の金で賞金首に賞金がかかる。
物流の根幹には彼が関わるともいわれており、一度は彼を制圧しようと試みたグラップラーが、その知略の前に手を出さないことを決めた。
彼の莫大な財産を狙えば、たちまち蜂の巣になって帰って来る。
ギラついた太陽の光を跳ね返しながら黄金に輝く、自慢の大きなガトリングガンを持ち、その両腕にもガトリングガンを仕込んだ男。

一代で「タケダ」という名を世に知らしめた、男の名はカンリュウと言う。

殺し合い。
この場においてどう行動するか彼は考える。
時の流れ、自分の力、人々は何を欲しているのか。
武器は没収されていたが、幸運にも支給品に愛用品によく似た機関銃が入っていた。
自分の背丈ほどの長機関銃と、腕に填めるタイプの携帯型機関銃が二つ。
慣れた手つきで両腕にハンドバルカンを仕込み、長機関銃を脇に抱えて座り込む。
揃えられる手札は手元にある、あとは身の振る舞いを考えるだけだ。

メガネをキラリと輝かせ、思考する。

この段階で一つだけ、結論を下せるとすれば。

この場を支配するのも、金だと言うことだ。

【タケダ・カンリュウ@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:健康
[装備]:O・ディオのガトリング@LIVE A LIVE、アームドガン@メタルマックス2:リローデッド、ガルシアガン@メタルマックス2:リローデッド
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:思考中

321道理、無理で通す ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 14:07:55 ID:ry2vmpN60
>>320 修正
【タケダ・カンリュウ@メタルマックス2:リローデッド】

【タケダ・カンリュウ(トレーダー)@メタルマックス2:リローデッド】

現在位置を
【F-3/道/1日目/深夜】

とさせていただきます。
投下終了です。

322 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 14:17:11 ID:ECSTxR9s0
投下乙です!
正直何て言ったらいいかわかりませんので、このAAを以て感想に替えさせていただきたいと思います。


                 /.:.:/ヽ.:.:.ヽv'´.:.;ヘ:.:.\
                  /.:.:.:.:////\:.:.:.:.://∧ヽへ
             //)/〉//////\////∧レヘ∧
              ,ィヘ/∧/)「^¨´ ̄ ̄ ̄ ̄`¨¨ミ:.:.:.:.:`、
           /レヘメ:.:.:.:.:.:i| __           ミ:.:.:.:.:.:.:.、
           ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:i「 ̄ ̄`ヽ   /⌒ヽ〉:.:.:.:.ト、:!
           .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|i|i ===ミ_   _ィ==ミy:.:i|i:.:.| i}
         .:.:.:_」⊥」:.:.:.:.|i|i 匸二二「⌒<匸二}:.:ii||i.:i! i}
        '.:.:.Yy=ミl::i:、:.:.| ii         `、  〈川|り
          i.:.:.:.|  〈トト、:| lj       'ー /   / レ’
          乂ヘ  (_> )i  < 、‐-  _____ ,′
          ⌒\         \ `¨¨¨ア ,′
              `丁i        `¨ニニ  ,′
          .    , 、             ,   . }
             / { ..> 、        .:'    .|
         .. / ...ヽ、   . > 、   j′   /
               ヽ、._、   `ー‐t´   ./|
          ..  ヽ                |
          ...  |ヽ      Y      / __ト、
        ヽ、    | ヽ・__ / ヽ__・/Y-'゙, .\

323名無しさん:2012/10/31(水) 14:17:41 ID:OO8RfO5g0
投下乙です。
カンリュウとかwwwww
俺ODIOはどこに向かってるのかマジでわからねえwwww

324 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 14:18:49 ID:ECSTxR9s0
>>323
完結に向かってます

325名無しさん:2012/10/31(水) 14:21:44 ID:OO8RfO5g0
これで登場話は全部埋まったことになるのか、感慨深いような、少し残念なような。
ここからどんなふうにつなげていくんだろうなぁ

326 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 14:25:30 ID:ECSTxR9s0
というわけで全キャラが出揃いました!感無量です!

327名無しさん:2012/10/31(水) 14:52:06 ID:0JwxPy2o0
投下乙!
そう出すとは、お見事!良きワザマエでありますな。
今後の展開にワクワクが止まりません!

328 ◆EDO/UWV/RY:2012/10/31(水) 17:52:22 ID:oHwr28.k0
ソラ、タケダ・カンリュウを予約します。

329名無しさん:2012/10/31(水) 17:55:52 ID:OO8RfO5g0
予約キター
なんなんだ、この勢いwww

330名無しさん:2012/10/31(水) 17:58:16 ID:OO8RfO5g0
どうでもいいけどwikiの地図のページのカンリュウはあのカンリュウの画像でいいんだろうかw
スターシステム的なガワだけ同じ的な解釈的なアレと解釈。

331名無しさん:2012/10/31(水) 20:04:05 ID:ECSTxR9s0
予約wktk!

332 ◆MUMEIngoJ6:2012/10/31(水) 20:16:43 ID:8qYoq2Rw0
血髑髏、ベン、予約します。

333 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 20:17:36 ID:ECSTxR9s0

なんだかんだ色々あって、当ロワは同じ俺ロワ・トキワ荘にあるPerfect World Battle Royalを応援しています!!
皆さんPerfect World Battle Royalもよろしくお願いします!

世界観そのものをクロスしたロワ界隈でも有数のなかなか興味深いタイプだと思われます。

Perfect World Battle Royal
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12648/1338221219/

334名無しさん:2012/10/31(水) 20:18:09 ID:ECSTxR9s0
予約wktktk!

335 ◆MUMEIngoJ6:2012/10/31(水) 20:41:10 ID:8qYoq2Rw0
書き終わったので投下します。

336 ◆MUMEIngoJ6:2012/10/31(水) 20:41:25 ID:8qYoq2Rw0
 ◇ ◇ ◇


 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12648/1334519409/31

 あるいは、

 ttp://www34.atwiki.jp/odiobr/pages/93.html

 で、血髑髏の状態表の備考欄を確認していただきたい。
 以下は、該当SSからの引用である。


>[備考]:バズズがあのような格好をしているのです、
      散様のことを慮ってついウッカリ死人が出ると叫んでしまってもまったくおかしいことはないと思われます。
      また、スクライドという漫画でもあまりの敵の美形っぷりに主人公が「美形だ!」と叫んだことがあります。
      つまり、死人が出るぞぉ!と叫んでもおかしくはありません。


 このように当企画の>>1が断定し、かつ該当SSがすんなり通っているのである。
 つまるところ、以降、あのような格好をしているベン(バズズ)の前では、血髑髏はどんなふうに叫んでもいいのである。
 すでに通っている以上はそうなるのがリレーの結果であり、リレーゆえの展開である。

 ディス・イズ・リレー企画!

 あ、ここまで言い訳で、↓からが本編です。

337 ◆MUMEIngoJ6:2012/10/31(水) 20:41:52 ID:8qYoq2Rw0


 ◇ ◇ ◇


 血髑髏は焦っていた。
 眼前にいるベンの放つオーラは凄まじい。
 戦術鬼というバケモノどもを知っている(というか血髑髏もそうである)が、しかしうっかり叫んでしまったほどだ。
 主君たる葉隠散様(このSSを書いているのは血髑髏ではないが、しかし筆者をして様とつけねばならぬ気がした)の強さは重々承知している。
 それでも、ベンの異様さゆえに『逃げろォ!』と叫ばざるを得ない。
 とはいえ、こうして叫んだところで限界がある。
 戦術鬼の声帯は人間のそれより遥かに優れているが、どこにいるのかも分からぬ散様に届くとは思えない。
 そう思い、血髑髏は先ほど確認した支給品を取り出すことにした。



                       /
                 ,. 、       /   /
               ,.〃´ヾ.、  /  /
             / |l     ',  / /
        ,、     ,r'´  ||--‐r、 ',      ベンが完全武装している! 散様ァ! お逃げください! 死人が出ますぞォ!
       l.l. ,..ィ'´    l',  '.j '.
       'r '´          ',.r '´ !|  \
       l!     ....:.:.:.:.:.:ヽ、   ,l    \
        ゝ、.,_ ---‐‐‐----ゝ、ノ
        | |
         .| |
          | |
        | |
           | |
         | |


      /''7   __/ ̄/__ . /''7''7 __/ ̄/    / ̄/ /'''7
  ,:'\' /____ /__  __  /, ー'ー' /___.    ̄./    ̄  / ./
 _,>  _ ../ _./  //  /        ノ / /i ̄!. ____.ノ ./ 
/___,./ ~゙  |___ノ.|___,/,      /_,./__./ ヽ、_>/______./  



 全身全霊を籠めた魂の叫びにメガホンに応え、その声は会場全体に響き渡った。 


 ちなみに血髑髏がベンの名前を知っていたのは、彼の支給品が写真つき名簿だったからである。
 初期位置がベンにもっとも近い血髑髏に支給した辺り、主催者もベンの名を呼んでほしかったのかもしれない。
 その辺りについてはのちのち主催の目的フラグになるかもしれないので、ここらで触れるのをやめることにしようと思う。



【エリアB-3/市街地/1日目/黎明】

【ベン(バズズ)@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康
[装備]:防弾ベスト@現実、猟銃@現実
[道具]:基本支給品*1、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:殺戮

[備考]:原作ではバズズは仲間になりません、ですからもし仮にバズズが仲間になるとしてベンという名前で無い証拠はありません。
    ..また、装備品に関しても同じことが言えます。
    ..つまり、ベンという名前のバズズが防弾ベストと猟銃を装備して死人を出してもまったくおかしくはないということです。


【血髑郎@覚悟のススメ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品*1、メガホン、写真つき名簿、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:不明
第一行動方針:死人が出るぞぉ!!

[備考]:バズズがあのような格好をしているのです、
     散様のことを慮ってついウッカリ死人が出ると叫んでしまってもまったくおかしいことはないと思われます。
     また、スクライドという漫画でもあまりの敵の美形っぷりに主人公が「美形だ!」と叫んだことがあります。
     つまり、死人が出るぞぉ!と叫んでもおかしくはありません。

338 ◆MUMEIngoJ6:2012/10/31(水) 20:42:56 ID:8qYoq2Rw0
投下完了です。
リレーって楽しいですね。


タイトルは省略したのに長すぎて入り切りませんでしたが、

前の話の流れを汲んだ結果なんだから、少なくとも前の話を書いたヤツは許して責任(省略されました)

です。

339 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 20:47:12 ID:ECSTxR9s0
作中で血髑髏となっておりますが、彼の名前は血髑郎ですので
wiki収録の際にその部分を修正させて頂きます。

以下感想

馬鹿じゃねぇのwwwwwwwwwwwwww
クソワロタわwwwwwwwwwwwww

340 ◆MUMEIngoJ6:2012/10/31(水) 20:48:28 ID:8qYoq2Rw0
修正ありがとうございます。
というかだいぶ長い間名前を勘違いしてたことになるので、非常に恥ずかしいです。

341名無しさん:2012/10/31(水) 20:56:08 ID:OO8RfO5g0
投下乙です。
なんと見事なリレー……!

342 ◆nkOrxPVn9c:2012/10/31(水) 20:57:58 ID:rJM0E1is0
血髑髏、ベン、予約します。

343名無しさん:2012/10/31(水) 20:58:19 ID:OO8RfO5g0
またかよwwww
wktk

344 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 21:01:37 ID:ECSTxR9s0
予約wwwwwwwwwwwwwww

345名無しさん:2012/10/31(水) 21:10:12 ID:okMrlQl.0
今日の俺ODIO
・突然のベン
・武田観柳……もといタケダ・カンリュウ
・死人が出るぞぉ!


なんだこのロワ

346名無しさん:2012/10/31(水) 21:12:19 ID:OO8RfO5g0
ベン・カンリュウの流れが見事すぎて書き手枠にダース伍長ねじ込み損ねたけど一切悔いがない、
妙な清々しさすら感じる奇妙な状態。

347名無しさん:2012/10/31(水) 21:14:35 ID:mk58E.hE0
さっきから、笑が止まらんwww
すげぇよ、このロワの凄みはどこまで行くのか!
投下乙!

348名無しさん:2012/10/31(水) 21:27:32 ID:OO8RfO5g0
いま気づいた、地図のところの画像ベン(バズズ)がまんまベンだwwww

349 ◆nkOrxPVn9c:2012/10/31(水) 21:35:47 ID:rJM0E1is0

初めましてこんばんは、自分◆nkOrxPVn9cと申す者でカオスロワの管理人をやっております
このロワは楽しませて頂いていますが、正直のところ参戦作品をほぼ把握できていないので読み手に徹していこうと思っていました
ですが、この組み合わせをみてどうしても書かなければいけない衝動に明け暮れて、本日投下を行うことにしました
未熟ですがよろしくお願いします あとカオスロワ及び外伝をよろしく

短いですが投下します

350魂の叫び  ◆nkOrxPVn9c:2012/10/31(水) 21:36:12 ID:rJM0E1is0


 ◇ ◇ ◇



唸る銃音、飛び散る血飛沫、貫かれる体。
崩れ落ちた自らの亡骸を見て、血髑郎は項垂れる。
ベンの猟銃から放たれた弾丸の雨が、血髑郎の命を奪ったのだ。
ベンと血髑郎にそこまで致命的な力の差はない。
ましてや、普段彼が操っている戦術鬼さえいれば決してこのように殺されることはないだろう。
しかしそんなものはこの場に存在しないし、第一武器持った相手にただ叫んでいるだけなら殺されて当たり前である。
拡声器なんて死亡フラグの代名詞といえるアイテムを使ったんだから当然の結末である。フラグ回収である。

(散様・・・・・・)

既に朽ちてしまった己の体、二度と主に忠誠を尽くすことができないことを血髑郎は悔やんでいた。
この声は最早主に届くことがない。 二度とあなたの期待に応じることはできない。
それでも、血髑郎は叫ばざるを得なかった。






        __,,,,,,
    ,.-'''"-─ `ー,--─'''''''''''i-、,,
 ,.-,/        /::::::::::::::::::::::!,,  \
(  ,'          i:::::::::::::::::::::;ノ ヽ-、,,/''ー'''"7
 `''|          |:::::::::::::::::::::}     ``ー''"
   !       '、:::::::::::::::::::i            ←血髑郎
   '、 `-=''''フ'ー''ヽ、::::::::::/ヽ、-─-、,,-'''ヽ 
    \_/     ヽ--く   _,,,..--┴-、 ヽ
                ``"      \>

                   、,ノl,、{ , _
 _    _          }Vノ;:;:;:;:;:`'´{,       _    _
」   ̄ ̄ └,        、{;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:レ      」   ̄ ̄ └,
}  出 死  {       ミ,;:;:;:;:。...。:;:;:;ヒヾ      }  逃 み  {
}  た 人  {     )、-┌┐;:;:.゙,..,゙:;:;:nゝ  ,    }  げ ん  {
」  ぞ が  {   ノ、/;:;:;:;:l・ ,,l;:;:;:´;:;`:;:;l ̄l`';:'-ノ_,. 」  ろ な  {
}  ぉ     { }ヽソ;:;:;:;:;:;ノt-n';:;:;:;:;:;:;:;ノ,::,_l;:;:;:;:;:;;:;7 }_  ! !  `  {
}_  ! !    {/;:;:;:;;:;:,、;:;,:l LLLlヽ;、;:;:ノEEEl;:;:;:;:;:;:;:}_ /__   _「
/__   _「;:::: ;:;::::´、 `''-fココ ll::l;:;:ll .nnn l;:;:;:;;:;:;:;:;:{     ̄
     ̄` ヽ;:; : : ゙  `''''´ミ´r'ヽ;l;:;:ll ';';ニ' l,;:;:;:;:;:;:;:(
        ´`'''─-..._::::.:.:ヾヽ_ `ヽ'、l__l ll }:;:;:;:;:;:)
              `゙-'゙,-,_ツ、゙ヾf´ヽ,っll_{゙:;゙: ゙ソ
             ,、ノ'´;:;:;:;:;:;:;:`ヽl, ,、`ヾ\:ミ、゙
             };:;::;:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'lmn_'ヾ\



【血髑郎@覚悟のススメ 死亡確認】


【エリアB-3/市街地/1日目/黎明】

【ベン(バズズ)@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康
[装備]:防弾ベスト@現実、猟銃@現実
[道具]:基本支給品*2、メガホン、写真つき名簿、不明支給品0〜1(血髑郎の不明支給品0〜1)
[思考・状況]
基本行動方針:殺戮

[備考]:原作ではバズズは仲間になりません、ですからもし仮にバズズが仲間になるとしてベンという名前で無い証拠はありません。
    ..また、装備品に関しても同じことが言えます。
    ..つまり、ベンという名前のバズズが防弾ベストと猟銃を装備して死人を出してもまったくおかしくはないということです。

351 ◆nkOrxPVn9c:2012/10/31(水) 21:37:08 ID:rJM0E1is0
久しぶりにリレーをしましたが人のリレーをつなぐのは楽しいですね
拙作ですのでまずかったら修正受け付けます 破棄しても構いません

それでは失礼しました

352名無しさん:2012/10/31(水) 21:38:20 ID:OO8RfO5g0
投下乙です。
実時間で一日たたないうちにフラグ回収wwww

353 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 21:40:37 ID:ECSTxR9s0
糞ワロタwwwwwwwwwww

354 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 21:40:49 ID:ECSTxR9s0
あ、投下乙です

355名無しさん:2012/10/31(水) 21:41:51 ID:mk58E.hE0
投下乙!
はえーよwwwそして、自分でアナウンスするのかよ!

356 ◆DcpHZ8xnZA:2012/10/31(水) 21:53:55 ID:kg.C4Cg.0
ゲリラ投下失礼します

357こんにちは赤ちゃん ◆DcpHZ8xnZA:2012/10/31(水) 21:54:46 ID:kg.C4Cg.0
    ξ


風に乗ってきてやってきた一本の体毛。
持ち主であった本人?も落とした事には気がついてないであろうその太い一本。
本来ならば誰にも見向きもされること無く消えて行くはずだった。
この場に来た時と同様、風に乗って何処かへ飛ばされていくはずだった。






――――――そのときふしぎな事が起こった

358名無しさん:2012/10/31(水) 21:54:47 ID:OO8RfO5g0
今度はなんだwwww

359名無しさん:2012/10/31(水) 21:56:31 ID:rJM0E1is0
なんなんだよ一体wwwwww

360こんにちは赤ちゃん ◆DcpHZ8xnZA:2012/10/31(水) 21:57:12 ID:kg.C4Cg.0
あ、ミス見つけたんで数分待ってください

361名無しさん:2012/10/31(水) 21:57:56 ID:OO8RfO5g0
ゆっくりみなおしていってね!

362名無しさん:2012/10/31(水) 21:57:58 ID:fkOzt2To0
生殺しwwwwwww

363こんにちは赤ちゃん ◆DcpHZ8xnZA:2012/10/31(水) 21:58:12 ID:kg.C4Cg.0

   ξ



      凸



          ゜。゜。
           ノ⌒ヽ
        ( ̄     ̄ヽ





                 r' ̄i
    , - 、           ゙‐- '
   {   }             r'⌒',
    `‐-‐'      r'⌒',     !、_丿
    ◯      ヽ-‐'  ___
        r'⌒',   ,,r-‐'     `''ヽ、  ○
         `‐-'  /           \
        , 、 ,,/ r‐、      _    '─--、,,
    ,,r-─(_)  ヽ、`── '  ノ    i⌒)   `,
   (           `'‐──‐'´      ̄  ,r‐
     ̄つ    '⌒'           ,r─‐‐''
     (´              ,r──'
      ̄ ゙̄'───--------‐'



                   、,ノl,、{ , _
                 }Vノ;:;:;:;:;:`'´{,
                、{;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:レ
                ミ,;:;:;:;:。...。:;:;:;ヒヾ
              )、-┌┐;:;:.゙,..,゙:;:;:nゝ  ,
           ノ、/;:;:;:;:l・ ,,l;:;:;:´;:;`:;:;l ̄l`';:'-ノ_,.
         }ヽソ;:;:;:;:;:;ノt-n';:;:;:;:;:;:;:;ノ,::,_l;:;:;:;:;:;;:;7
        /;:;:;:;;:;:,、;:;,:l LLLlヽ;、;:;:ノEEEl;:;:;:;:;:;:;:}_
       「;:::: ;:;::::´、 `''-fココ ll::l;:;:ll .nnn l;:;:;:;;:;:;:;:;:{
       ヽ;:; : : ゙  `''''´ミ´r'ヽ;l;:;:ll ';';ニ' l,;:;:;:;:;:;:;:(
        ´`'''─-..._::::.:.:ヾヽ_ `ヽ'、l__l ll }:;:;:;:;:;:)
              `゙-'゙,-,_ツ、゙ヾf´ヽ,っll_{゙:;゙: ゙ソ
             ,、ノ'´;:;:;:;:;:;:;:`ヽl, ,、`ヾ\:ミ、゙
             };:;::;:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'lmn_'ヾ\
          ノ!ノl´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::;;:;:;:;;`^!''´ヽ 'ヾ\
          f´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;;ヽ、fヽ\
         、ノ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;--;;::;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;y ¨ヽヽ\、
        r';:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;-''´   ' ' '' `-、;:;:;:;:;:;::;:;;{  `´`'''

364名無しさん:2012/10/31(水) 21:59:02 ID:OO8RfO5g0
?!

365こんにちは赤ちゃん ◆DcpHZ8xnZA:2012/10/31(水) 21:59:05 ID:kg.C4Cg.0
彼自身のもった不思議な力により、ベンの体毛がベン本体へと成長した。
本人?の毛から生まれてきたもの、それが本体と同じ嗜好を持っているのは至極当然のことである。
狩猟が趣味な住人がいたのだろう、民家に置いてあったショットガンを拾い。
熟練のハンターであるかのごとく慣れた手つきで防弾ベストを着こむ。
……そして、彼が本人?と同じ思考を持っているのは言うまでもない。
早速見つけた獲物の目の前でショットガンを構える。
哀れな犠牲者は目を見開き、あらんばかりの力を込めて叫んだ。





  ━┓“   ━┓“  ━┓“   ━┓“  ━┓“  ━┓“   ━┓“
  ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛
                   、,ノl,、{ , _
 _    _          }Vノ;:;:;:;:;:`'´{,       _    _
」   ̄ ̄ └,        、{;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:レ      」   ̄ ̄ └,
}  出 死  {       ミ,;:;:;:;:。...。:;:;:;ヒヾ      }  逃 み  {
}  る 人  {     )、-┌┐;:;:.゙,..,゙:;:;:nゝ  ,    }  げ ん  {
」  ぞ が  {   ノ、/;:;:;:;:l・ ,,l;:;:;:´;:;`:;:;l ̄l`';:'-ノ_,. 」  ろ な  {
}  ぉ     { }ヽソ;:;:;:;:;:;ノt-n';:;:;:;:;:;:;:;ノ,::,_l;:;:;:;:;:;;:;7 }_  ! !  `  {
}_  ! !    {/;:;:;:;;:;:,、;:;,:l LLLlヽ;、;:;:ノEEEl;:;:;:;:;:;:;:}_ /__   _「
/__   _「;:::: ;:;::::´、 `''-fココ ll::l;:;:ll .nnn l;:;:;:;;:;:;:;:;:{     ̄
     ̄` ヽ;:; : : ゙  `''''´ミ´r'ヽ;l;:;:ll ';';ニ' l,;:;:;:;:;:;:;:(
        ´`'''─-..._::::.:.:ヾヽ_ `ヽ'、l__l ll }:;:;:;:;:;:)
              `゙-'゙,-,_ツ、゙ヾf´ヽ,っll_{゙:;゙: ゙ソ
             ,、ノ'´;:;:;:;:;:;:;:`ヽl, ,、`ヾ\:ミ、゙
             };:;::;:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'lmn_'ヾ\
          ノ!ノl´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::;;:;:;:;;`^!''´ヽ 'ヾ\
          f´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;;ヽ、fヽ\
         、ノ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;--;;::;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;y ¨ヽヽ\、
        r';:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;-''´   ' ' '' `-、;:;:;:;:;:;::;:;;{  `´`'''´

366こんにちは赤ちゃん ◆DcpHZ8xnZA:2012/10/31(水) 21:59:32 ID:kg.C4Cg.0
【???/1日目/黎明】

【ベン2(バズズ)@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康
[装備]:防弾ベスト@現実、猟銃@現実
[道具]:基本支給品*2、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:殺戮

[備考]:原作ではベンの落とした毛が新たなベンにならないという描写はありません、ですからもし仮にベンが毛を落としたとして新たなベンが生まれ無い証拠はありません。
    また、装備品に関しても同じことが言えます。
    つまり、ベン2という名前のバズズが防弾ベストと猟銃を装備して死人を出してもまったくおかしくはないということです。
    ベン2の現在地、そして叫んだのが誰であるのかは後続にお任せします

367名無しさん:2012/10/31(水) 22:00:28 ID:OO8RfO5g0
投下乙です
腹筋やべえwwwww

368 ◆DcpHZ8xnZA:2012/10/31(水) 22:01:41 ID:kg.C4Cg.0
投下完了です。
指摘などがあれば遠慮なくどうぞ

369 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 22:03:25 ID:ECSTxR9s0
ベン2予約します

370名無しさん:2012/10/31(水) 22:03:40 ID:OO8RfO5g0
あっ、指摘なのですが、ベン2はあくまで自然発生的な存在であると想定されます。
大本であるベンと違い支給品は持っていないのではないかと想像します。

371名無しさん:2012/10/31(水) 22:04:14 ID:OO8RfO5g0
ベン2予約きたwwww

372名無しさん:2012/10/31(水) 22:04:19 ID:rJM0E1is0
どこの孫悟空だよwwwww腹筋いてえわwwwwwwwwwww

373名無しさん:2012/10/31(水) 22:04:40 ID:mk58E.hE0
乙!
面白いけどwww理由付けせんと、際限なく増えるんじゃないですかね。
支給品でも、なんでも増えた理由が必要かと思います。

374 ◆DcpHZ8xnZA:2012/10/31(水) 22:04:50 ID:kg.C4Cg.0
>>370
これは失礼しました。道具欄を

[道具]:なし

に修正します

375 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 22:04:54 ID:ECSTxR9s0
破棄要求は出しませんが(個人的に好きなので)、
流石にこの話単体で出されるとやばいので、理由付けの話を書きます。

376名無しさん:2012/10/31(水) 22:06:02 ID:rJM0E1is0
しかもさらに予約するのかよwwwwwwwwww糞がwwwwwww

377名無しさん:2012/10/31(水) 22:07:20 ID:rJM0E1is0
つまり今はこういう状況か

      ., -ー-, _i ̄Z,
    ._, 、し,ニ>ノ_!-, ,='=, .,-、 _
    / i',,,ノ .) l/ .l=ニニ,./ _/_/ /-、__
  /  / _, -'--'--'' ''''ー''Z,__ノ  /=`'V> (⌒⌒)
  `'ー''~ ̄      /~ ヽ, . - 、`~`''~'-ニ、,<./)/
 /~ ̄ ̄`>    .l r-、, -、  }       \)
./       ̄ ̄ ̄`l l  / _ノ          / ̄`>     _, --、        _
l            .l ~ //~ ̄~'i /~ ̄~'i/~ ̄    ̄~7  /    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄,/
.\           レ'~ ./   ././   /l,,,,,,,   ,,,,,,,ノ、._.{____    ./
  `ー-、,,,,,,,, -,      ,{   ノ/   ./''~ ̄    ̄7~   `ヽ   _/   /
        /      /_,~二'-'~   /ヽ、,    .,,ノ,ヽ-、   ./,_.l ̄    _ノ
 , -ー-、 ./     /~      ,/ ,,-'    .//~ ̄ ̄  ~`>/   r-''~
./   (_ノ     ,/_,,,,,,,,,、 ---ー'~''''~~~~~~~~~`''''ー-------'''''~   ./
.l        , -' ~/      * P R E T T Y C U R E +   _,,,/
..ヽ、_   _, -''~ ./    _,,,,、 -一一''''''''''''''''''''''ー--------一'''~
   ~ ̄   ./_,, -ー''''~
      ./-~
           、,ノl,、{ , _                 、,ノl,、{ , _
         }Vノ;:;:;:;:;:`'´{,               }Vノ   `'´{,
        、{;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:レ              .、{       レ
         ミ,;:;:;:;:。...。:;:;:;ヒヾ             ミ  。. 。  ヒヾ
      )、-┌┐;:;:.゙,..,゙:;:;:nゝ  ,          )、-┌┐ .,..,  nゝ  ,
    ノ、/;:;:;:;:l・ ,,l;:;:;:´;:;`:;:;l ̄l`';:'-ノ_,.     ノ、/  l・ ,,l ´ `  l ̄l`';:'-ノ_,.
  }ヽソ;:;:;:;:;:;ノt-n';:;:;:;:;:;:;:;ノ,::,_l;:;:;:;:;:;;:;7   }ヽソ   ノt-n'    ノ _l    7
 /;:;:;:;;:;:,、;:;,:l LLLlヽ;、;:;:ノEEEl;:;:;:;:;:;:;:}_ /   、 l LLLlヽ 、 ノEEEl    }_
「;:::: ;:;::::´、 `''-fココ ll::l;:;:ll .nnn l;:;:;:;;:;:;:;:;:{「    ´、 `''-fココ ll l  ll .nnn l     {
ヽ;:; : : ゙  `''''´ミ´r'ヽ;l;:;:ll ';';ニ' l,;:;:;:;:;:;:;:(ヽ   ゙  `''''´ミ´r'ヽl ll ';';ニ' l    (
  ´`'''─-..._::::.:.:ヾヽ_ `ヽ'、l__l ll }:;:;:;:;:;:)´`'''─-..._  ヾヽ_ `ヽ'、l__l ll }   )
        `゙-'゙,-,_ツ、゙ヾf´ヽ,っll_{゙:;゙: ゙ソ      `゙-'゙,-,_ツ、゙ヾf´ヽ,っll_{゙ ゙ ゙ソ
        ,、ノ'´;:;:;:;:;:;:;:`ヽl, ,、`ヾ\:ミ、゙     ,、ノ'´    `ヽl, ,、`ヾ\:ミ、゙
        };:;::;:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'lmn_'ヾ\      .}          'lmn_'ヾ\
    ノ!ノl´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::;;:;:;:;;`^!''´ヽ 'ヾ\ ノ!ノl´          `^!''´ヽ 'ヾ\
    f´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;;ヽ、fヽ\                 ヽ、fヽ\
   、ノ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;--;;::;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;y ¨ヽヽ\、    ;;--         y ¨ヽヽ\、
  r';:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;-''´   ' ' '' `-、;:;:;:;:;:;::;:;;{         -''´   ' ' '' `-、     {

378名無しさん:2012/10/31(水) 22:07:53 ID:8qYoq2Rw0
投下乙×2
リレーってすごい、僕は改めてそう思った

379名無しさん:2012/10/31(水) 22:09:24 ID:okMrlQl.0
ベン2wwwwくっそwwww

380 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 22:11:11 ID:ECSTxR9s0
ベン2の予約破棄します

381 ◆LjiZJZbziM:2012/10/31(水) 22:12:57 ID:u3rpwngw0
ベン2予約します

382 ◆MUMEIngoJ6:2012/10/31(水) 22:12:58 ID:8qYoq2Rw0
ベン2、予約します。

383 ◆MUMEIngoJ6:2012/10/31(水) 22:13:09 ID:8qYoq2Rw0
ファック! 被った!

384 ◆MUMEIngoJ6:2012/10/31(水) 22:13:25 ID:8qYoq2Rw0
ファックとか言ってますが期待してます。

385名無しさん:2012/10/31(水) 22:14:08 ID:OO8RfO5g0
予約合戦はシグルイである

386 ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 22:14:48 ID:u3rpwngw0
トリップミスったwwwwwwwwwww

387名無しさん:2012/10/31(水) 22:16:20 ID:rXutSAeM0
わろすwwwwww

388名無しさん:2012/10/31(水) 22:17:10 ID:OO8RfO5g0
トリップをかえ忘れたからこそ勝ち取った一秒差ですねwwww

389 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 22:17:45 ID:ECSTxR9s0
当俺ODIOロワの方針として、
なるべく議論と破棄は行いたくないと思っております。

ですので、基本的に死人が蘇ろうと主催がぶっ殺されようと、
後処理はSSで行われる方式を取って行きたいと思います。

ただ、ベン2はねーよwwwwwwwwwww

390名無しさん:2012/10/31(水) 22:18:53 ID:OO8RfO5g0
ですよねwwwww

391名無しさん:2012/10/31(水) 22:34:00 ID:OO8RfO5g0
wikiの項目に用語集が増えたwwww

392 ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 22:46:02 ID:u3rpwngw0
ベン2投下します

393 ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 22:46:24 ID:u3rpwngw0
>375 名前: ◆fRBHCfnGJI[] 投稿日:2012/10/31(水) 22:04:54 ID:ECSTxR9s0 [22/23]
>破棄要求は出しませんが(個人的に好きなので)、
>流石にこの話単体で出されるとやばいので、理由付けの話を書きます。

       _,,;' '" '' ゛''" ゛' ';;,,
      (rヽ,;''"""''゛゛゛'';, ノr)
      ,;'゛ i _  、_ iヽ゛';,    お前それベンの前でも同じ事言えんの?
      ,;'" ''| ヽ・〉 〈・ノ |゙゛ `';,
      ,;'' "|   ▼   |゙゛ `';,
      ,;''  ヽ_人_ /  ,;'_
     /シ、  ヽ⌒⌒ /   リ \
    |   "r,, `"'''゙´  ,,ミ゛   |
    |      リ、    ,リ    |
    |   i   ゛r、ノ,,r" i   _|
    |   `ー――----┴ ⌒´ )
    (ヽ  ______ ,, _´)
     (_⌒ ______ ,, ィ
      丁           |
       | ◆LjiZJZbziM  |


               , -――- 、
              /       ヽ
              | ノ  ー    |   それっておかしくねぇ?
              |(・) (・)   |   だって、ベンじゃん
              |  (      |
              ヽ O    人
               >ー-― ´   ̄ ̄\
  ⊂ニニ ̄ ̄ ̄ヽ  /              |
     くメ) _ノ  |  |  |    ◆   |   |
       (/  |  | /  |fRBHCfnGJI |   |
          |  |/  /|        |   |
          |  ト  / |        |   |
          ヽ__/ |        |   |



           ,、,, ,、,, ,, ,,
         _,,;' '" '' ゛''" ゛' ';;,,
        (rヽ,;''"""''゛゛゛'';, ノr)
        ,;'゛ i _ ) ( _ iヽ゛';,   ベンの何を知っている
        ,;'" ''| ヽ・〉 〈・ノ |゙゛ `';,   なめるな
        ,;'' "|   ▼   |゙゛ `';,
        ,;''  ト _人_ イ   `';、
       /';、  ヽ |  | /    ,;' \
     /  ゛r,  i⌒ ⌒i   ミ"   \
    /      ''r `"''''゙´  ,ミ"     ヽ
   /    ,イ   ''リ    リ"   ト、   ヽ
  /    / |    ゙ル,,トリ"     | ヽ    ヽ
  〈    <  |  ◆Cxilshz3Mg  |  >    〉

394相互リンクお礼に一作書きました ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 22:47:49 ID:u3rpwngw0





貴方は、メタモーフ細胞というモノをご存知か?
様々な生物の遺伝子を人間の遺伝子と融合させ、生物兵器として変身させる禁断の研究だ。
基本的に、メタモーフ細胞に耐えられる人間は居ない。
強い拒絶反応と激痛に耐えられず、数秒で命を落としてしまうものが殆どだ。
と、まあ、長くなってしまうので詳しい話は割愛させていただく。
(メタルマックス2:リローデッドでは把握できないのでメタルマックス3をプレイしよう)
今回のキモはメタモーフ細胞が何者か? ということではない。
メタモーフ細胞は、様々な生物の遺伝子と組み合わさるということだ。



そして、もう一つ。
ベンが撃ち殺したのは誰だ?
そう、記憶にも新しいからすぐ分かるだろう。
血髑郎。
彼は、戦術鬼だ。
とある世界の大戦中に、軍の戦力として開発された改造人間。
人間を捕食し、その骨髄液をエネルギー源としている。
そう、戦術鬼の動力源は"人間"だ。
その戦術鬼の血液が飛び散ったベンの体毛に、絡まった。



ベンの細胞、戦術鬼の細胞、そしてメタモーフ細胞。



もう、お分かりいただけただろうか?

395相互リンクお礼に一作書きました ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 22:48:07 ID:u3rpwngw0



戦術鬼総支配・血髑郎の血を浴びたベンという魔物の体毛は風に乗り。
死後、石化が融けて物言わぬ肉体となった記憶喪失の赤髪の男の元へと辿り着き。
メタモーフ細胞がベンの細胞を読み取り、戦術鬼の細胞が残された肉体から動力を取り戻し。
人のように、二足歩行をする、もう一人の"ベン"が生まれた。
メタモーフ細胞の持ち主が意識を持たない場合、メタモーフ細胞によって作り出された動物等の姿へと変貌する現象がある。
だから、融合時にベンそのものとして動いていた。
そして、人間の意志らしきモノは無かった。



あのブレードトゥースのように、獣の意志が暴れるだけ。



これが、ベン2と呼ばれる生命体の正体。
詳しく言えば、メタモーフ細胞、戦術鬼、そして異世界の魔物の存在。
全てが噛みあって、生まれた奇跡の生命体と言えるだろう。
市街地の一角にある民家が置いてあった、自衛用のショットガンと防弾ベストを纏い。
恐らくオリジナル以上の未知の力を持った獣が動く。
銃を使って武装しているのではなく、銃を「使ってやっている」のかもしれない。
この獣の力は、私にもわからない。

言える事は、ひとつ。

396相互リンクお礼に一作書きました ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 22:48:25 ID:u3rpwngw0



  ━┓“   ━┓“  ━┓“   ━┓“  ━┓“  ━┓“   ━┓“
  ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛
                   、,ノl,、{ , _
 _    _          }Vノ;:;:;:;:;:`'´{,       _    _
」   ̄ ̄ └,        、{;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:レ      」   ̄ ̄ └,
}  出 死  {       ミ,;:;:;:;:。...。:;:;:;ヒヾ      }  逃 み  {
}  る 人  {     )、-┌┐;:;:.゙,..,゙:;:;:nゝ  ,    }  げ ん  {
」  ぞ が  {   ノ、/;:;:;:;:l・ ,,l;:;:;:´;:;`:;:;l ̄l`';:'-ノ_,. 」  ろ な  {
}  ぉ     { }ヽソ;:;:;:;:;:;ノt-n';:;:;:;:;:;:;:;ノ,::,_l;:;:;:;:;:;;:;7 }_  ! !  `  {
}_  ! !    {/;:;:;:;;:;:,、;:;,:l LLLlヽ;、;:;:ノEEEl;:;:;:;:;:;:;:}_ /__   _「
/__   _「;:::: ;:;::::´、 `''-fココ ll::l;:;:ll .nnn l;:;:;:;;:;:;:;:;:{     ̄
     ̄` ヽ;:; : : ゙  `''''´ミ´r'ヽ;l;:;:ll ';';ニ' l,;:;:;:;:;:;:;:(
        ´`'''─-..._::::.:.:ヾヽ_ `ヽ'、l__l ll }:;:;:;:;:;:)
              `゙-'゙,-,_ツ、゙ヾf´ヽ,っll_{゙:;゙: ゙ソ
             ,、ノ'´;:;:;:;:;:;:;:`ヽl, ,、`ヾ\:ミ、゙
             };:;::;:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'lmn_'ヾ\
          ノ!ノl´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::;;:;:;:;;`^!''´ヽ 'ヾ\
          f´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;;ヽ、fヽ\
         、ノ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;--;;::;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;y ¨ヽヽ\、
        r';:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;-''´   ' ' '' `-、;:;:;:;:;:;::;:;;{  `´`'''´

【B-2・市街地/1日目/黎明】

【ベン2@俺ODIOロワ】
[状態]:健康
[装備]:防弾ベスト@現実、猟銃@現実
[道具]:基本支給品(記憶喪失の赤髪の男のもの)
[思考・状況]
基本行動方針:殺戮

[備考]:記憶喪失の赤髪の男が持つメタモーフ細胞がベンの体毛より細胞を模倣し、血髑郎の戦術鬼の細胞の力で生まれた新生物です。
     記憶喪失の赤髪の男の意志があるかどうか、ブレードトゥースとの競合性等については不明です。

397相互リンクお礼に一作書きました ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 22:48:35 ID:u3rpwngw0



ああ、前話で叫んだ声の正体?
あれは簡単な話だ、三行で済ませよう。
拡声器にリピート機能があった、それだけの話さ。
ただ、少し録音がバカになっていたようだ。
だから「死人が出"る"ぞぉ」が「死人が出"た"ぞぉ」に、変わってしまって流れてしまったのかもしれないな。

※エリアB-3にて「皆逃げろ! 死人が出るぞぉ!」か「皆逃げろ! 死人が出たぞぉ!」のどちらかの声が鳴り響き続けています。

398 ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 22:49:30 ID:u3rpwngw0
投下終了です。
珍しく主催が苦笑いしているので、あんまりトンデモな弾は投げないようにしましょうね皆さん

399名無しさん:2012/10/31(水) 22:53:32 ID:rJM0E1is0
なんだよこの理論wwwwwwww
戦術鬼が死ねばまた増えるのかwwwwwww

400名無しさん:2012/10/31(水) 22:55:23 ID:mk58E.hE0
乙!
ここでメタモーフが生きるとは、流石だ!
ハイブリッドベンの矛先は何処へ向く!

401 ◆Cxilshz3Mg:2012/10/31(水) 22:55:48 ID:u3rpwngw0
>>399
戦術鬼の再生能力のみでは成立しません。
メタモーフ細胞によるベンの細胞の模倣、及びそれを持つものが会場内にたった一人しかいない
ということから成り立つものです、ので。

恵魅の死体単体では成立しないわけですね。
そしてMM2Rではメタモーフ細胞そのものは登場しないので支給品としても出せません。
なのせ、ベンが増えるのはこれきりですね♪

402 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 22:56:23 ID:ECSTxR9s0
投下乙です!
まったく納得の理論です!
このSSから分かる通り、ベン2はこの三者が奇跡的に絡み合うことで誕生した新生物です!
よって、そんな簡単にベンは量産されないのです!

403名無しさん:2012/10/31(水) 22:58:20 ID:OO8RfO5g0
投下乙です。
なんという冷静で的確な判断力なんだ!!

404名無しさん:2012/10/31(水) 22:58:41 ID:okMrlQl.0
ふざけんなww

405名無しさん:2012/10/31(水) 23:04:36 ID:yX/fp6Qo0
お前ら馬鹿だろwwwww
何この短時間でリレー応酬してんだよw

406 ◆EDO/UWV/RY:2012/10/31(水) 23:09:04 ID:oHwr28.k0
投下します。

407飛べないハードルを負けない気持ちでくぐる ◆EDO/UWV/RY:2012/10/31(水) 23:10:23 ID:oHwr28.k0
戦場から離れるようにただただ南へ。
名も知らぬ赤髪の男に感謝の意を込めながら、ソラはただひたすらにハンドルを握っていた。
目を閉じれば、あのときの恐怖や絶望が蘇る。呪文も効かず逃げることしか許されない、理不尽すぎる戦争だった。
自分の力が及ばなかった理由は分からない。もしかすると、別の方向から攻めればよかったのかもしれない。
それこそ今更考えればマヒャドを唱えるという手もあったろう。しかし怖れを抱いた自分には出来なかった。
これからもああした手合いは現れるだろうというのに……それを分かっていながら、体中の震えが止まらなかったのだ。
だから、無関係な人に頼るしかなかった。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……っ」

自然と口から零れた謝罪の言葉は、誰をも救う勇者のように颯爽と現れたあの男に向けてのものだ。
恐らく彼は無事では済まないだろう、というのはあの場の空気で分かる。もしかすると最悪の事態が起こった可能性すらある。
戦えない自分に代わって犠牲になった彼の事を思う度に、目から涙が止まらない。超高速で移動している最中だというのに、目の前の風景が歪んでよく見えなくなる始末だ。
前をきちんと見なければ、何かにぶつかる可能性もある。だから涙を流さずにしっかりしなければならない。だが感情がコントロール出来ず、涙は流れ続けた。

「ふぇ……?」

だがそうしていると、不意にルーラの呪文を唱えたときにも似た感覚が身体を包み込んだ。
そして大層な何かが起動したような音声が耳に届くや否や、目の前が真っ白に染まっていく。
あまりの不意打ちに涙が止まり、彼女は辺りを見回したが、遂に何も見えなくなってしまった。

ソラは知るよしもない。これがドッグシステム起動の合図であったことを。



       ◇       ◇       ◇       ◇       ◇



一方その頃某所にて、ある男が地図と睨めっこをしていたのだが、



                       |
                   \  __  /
                   _ (m) _ ピコーン
                      |ミ|
                    /  `´  \



おかげで何か閃いたようだった。



       ◇       ◇       ◇       ◇       ◇

408飛べないハードルを負けない気持ちでくぐる ◆EDO/UWV/RY:2012/10/31(水) 23:11:25 ID:oHwr28.k0
戦場から離れるようにただただ南へ。
名も知らぬ赤髪の男に感謝の意を込めながら、ソラはただひたすらにハンドルを握っていた……はずなのだが。

「きゃああぁあぁぁああっ!」

いつの間にやら彼女は、木々生い茂る山中をバイクで駆け下りていた。

「いやあぁぁあぁぁぁぁっっ!!」

何故そんなことになったのか解説しよう。
実は彼女、ルーラを唱えたような感触と共にとある場所へ移動した。赤髪の男が託してくれたシステムが起動したからである。
果たして彼女は血も通わぬ戦闘機械から逃げおおせることが出来た。地図曰く〝D-4〟のエリアにあるという断罪の塔へとワープしたのだ。
ソラ自身は地図を見ていないため理解できていないだろうが、あの男の願いは叶ったと言える。

「だ、誰かっ! 誰か! 止め、止めてっ! これ止めてぇぇぇえええぇえぇえ!!」

だがその後がまずかった。何せソラは、バイクの仕組みを知らなかったのである。
断罪の塔に到着した? だから何? 到着してもブレーキがかけられなきゃ意味無いだろ。
彼女の世界ではバイクなんて存在しないのだ。遠くまで逃げられたとて、止まる術など知りようがない。

「もぉやだぁあぁぁぁああぁ!!」

猛スピードで迫ってくるようにも思える樹木を奇跡的に避けながら、ソラはあっという間に下山を完了する。
そして幾分整備された道路を横断する形であっという間に突っ切ると……そのまま浜辺に突撃し、波打ち際にまで突入。
果たしてバランスを崩したバイクから吹き飛ばされたソラは水中へと没し、ようやく停止することが出来たのだった。

「ぷはっ! げほっ、げほげほっ!」

突然呼吸が出来なくなったことに混乱しつつ、ソラはようやく停止できたことに喜びながら顔を上げる。
凄いペースで心臓が動いているために胸が痛い。それでもどうにか現状を確認せねばと本能的に察した彼女は、胸を押さえながら辺りを見回した。
さっき猛スピードで海に突っ込んだのは夢ではなかったらしい。さきほどのルーラを使ったときのような感触の正体は掴めないが、遠く離れた場所には移動できたのは確かだ。
まずは陸地に行かなくては……と思った途端、自分をここまで運んでくれた乗り物の存在を思い出す。水中に潜って見てみれば、バイクは無惨に横たわっている。
すると再び顔を上げた彼女は〝バイキルト〟を唱えた。単純に力を倍にしてくれるこの呪文で、機械仕掛けの大きな物体を運ぼうというのである。
とは言え元々の腕力などにそうそう自信があるわけではないソラにとっては、この呪文をもってしても作業は難航の一途を辿るばかりである。
水の中に沈んだバイクをどうにかこうにか「うんしょ、うんしょ」と引っ張るも、水の抵抗力もあってか上手く進まない。
すると、

「そこの少女! 何をしている!?」

水の届かぬ砂浜にいた謎の男から、声をかけられた。



       ◇       ◇       ◇       ◇       ◇

409飛べないハードルを負けない気持ちでくぐる ◆EDO/UWV/RY:2012/10/31(水) 23:12:09 ID:oHwr28.k0
タケダ・カンリュウと名乗ったその男に手伝ってもらい、どうにかこうにかバイクを回収したソラは、まずは一番に謝罪をした。
というのもどうやらこのタケダ・カンリュウ、地図と睨めっこしながら前も見ずに歩いていたところ、ソラのバイクに目の前を横断されたらしい。
後もう少しだけタイミングが違っていたら大事故が起こるところだった、とはタケダ・カンリュウの弁。故にソラは謝り倒したのである。
とはいえタケダ・カンリュウは大人の男。ソラの謝罪に素直に応じると「気にするな。実際に事故が起きていなかったのだからな」と優しい言葉をかけてくれた。

「っくしゅん!」
「大丈夫かね」
「だ、大丈夫です……それにしても、凄いですねそれ」
「分かってくれるか! これこそ私の支給品、回転式機関砲(ガトリングガン)だ!」

ソラが褒めたその支給品は、タケダ・カンリュウにとっても実にお気に入りの物であったらしい。
その度合いたるや、放っておけば頬ずりまで始めるのではないかという勢いだ。実際に頬ずりしているわけではないが、魔物の心がわかるソラには予感がしたのだ。
なんだかこのままガトリングガンのことに触れたままではまずいと思ったソラは、話題を逸らすためにも今度は自分の身の上話を始めた。
このゲームに参加させられた瞬間に殺されかけたこと。そして自分をかばって名前も知らない人間が闘ってくれたこと。そして自分が逃げ出したこと……全て包み隠さずにだ。
するとタケダ・カンリュウの両目は再び大人のそれとなり、びしょ濡れになった彼女の髪を一度撫でると、「それは大変だったな」と微笑む。
そして「過去のことを思ってはいかん。竹になって緩やかに流し、未来を思ってもっと熱くなるのだ」と言って立ち上がった。
この状況下でも冷静そのもののタケダ・カンリュウに勇気づけられたソラは、その言葉に「はい!」と返事を返すと「わたし……頑張ってみます!」と笑顔になった。
すると、

「では、君に手伝って欲しいことがある。とても大事なことだ」
「な、何ですか?」

立ち上がっていたタケダ・カンリュウは、開いた地図をソラへと渡した。見ればその地図は、西の海辺一体を大きな丸で囲んである。
どうやらタケダ・カンリュウ直筆であるらしく、その丸で囲まれた部分には細やかな文字が大量に書かれてある。
しかしその文字は、城にある本でも読んだことのない言語だ。グランバニア地方の古語かとも思ったがやっぱり違う。文字と言うよりも、細やかなアートにも見える。
地図に書き込まれたミステリアスな文字に、突然の手伝ってくれ宣言。二つの未知に対して、不安を抱くソラ。

「私は、今よりこの企画の主催者に反逆する! 自衛以外の人殺しなど興味が無い! 世の中はそういうものでは回っていない!」

だが彼女の心配は杞憂だったようだ。ソラが手にした地図を自分でも覗き見るタケダ・カンリュウの表情は、実に熱い。

「そこでだ、私は主催者の最も嫌がることは何かと考えた……そして出た答えは!」
「答えは……なんですか?」

しかし、そんなことが可能なのだろうか……ソラは不安に思った。
確かにそれが出来るならそれが一番良い。だが誰もが古代呪文であるルーラを覚えているわけでもない。
島であるからには船くらいはあっても良いかもしれないが、港があるわけでもなし……そうなると島から脱臭するには……あれ? ま、まさか!
己が到達した結論を疑うように、地図上で丸に囲まれた部分を注視するソラ。するとタケダ・カンリュウは嬉しそうに笑みを浮かべると、大げさにその部分を指差し、

410飛べないハードルを負けない気持ちでくぐる ◆EDO/UWV/RY:2012/10/31(水) 23:12:46 ID:oHwr28.k0





   \あの辺り一帯を潰して港を造り、船で参加者を送り出す!/


                 /.:.:/ヽ.:.:.ヽv'´.:.;ヘ:.:.\
                  /.:.:.:.:////\:.:.:.:.://∧ヽへ
             //)/〉//////\////∧レヘ∧
              ,ィヘ/∧/)「^¨´ ̄ ̄ ̄ ̄`¨¨ミ:.:.:.:.:`、
           /レヘメ:.:.:.:.:.:i| __           ミ:.:.:.:.:.:.:.、
           ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:i「 ̄ ̄`ヽ   /⌒ヽ〉:.:.:.:.ト、:!
           .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|i|i ===ミ_   _ィ==ミy:.:i|i:.:.| i}
         .:.:.:_」⊥」:.:.:.:.|i|i 匸二二「⌒<匸二}:.:ii||i.:i! i}
        '.:.:.Yy=ミl::i:、:.:.| ii         `、  〈川|り
          i.:.:.:.|  〈トト、:| lj       'ー /   / レ’
          乂ヘ  (_> )i  < 、‐-  _____ ,′
          ⌒\         \ `¨¨¨ア ,′
              `丁i        `¨ニニ  ,′
          .    , 、             ,   . }
             / { ..> 、        .:'    .|
         .. / ...ヽ、   . > 、   j′   /
               ヽ、._、   `ー‐t´   ./|
          ..  ヽ                |
          ...  |ヽ      Y      / __ト、
        ヽ、    | ヽ・__ / ヽ__・/Y-'゙, .\


              (服は着ています)

411名無しさん:2012/10/31(水) 23:14:11 ID:OO8RfO5g0
?!

412飛べないハードルを負けない気持ちでくぐる ◆EDO/UWV/RY:2012/10/31(水) 23:14:27 ID:oHwr28.k0
こんな奇妙奇天烈なことを、大まじめに言い出した。
無意識に発した「え?」という呟きを合図に、ソラの身体が固まる。この男が何を言ったのか、一瞬分からなかったためだ。
港を造り、船で参加者を送り出す? え? 何が? 何を? ちょっと何を言ってるかわからないですね。

「あの、今、なんて?」
「あの辺り一帯を潰して港を造り、船で参加者を送り出す!」
「どこに?」
「ニッポン中にぃ」

しかも、ニッポン……?
聞き慣れない言葉に対し、呆けたように口を開けてしまうソラ。

「ニッポン、って?」
「我が故郷だ。荒野ばかりだが、金ならいくらでもあるぞォー! さっさと(砂漠化現象を)ぶっ潰せぇー!」
「あの、わたし、その国を知らないんですけど」
「良いぞニッポンは! 牛鍋もつつける! ユートピアだ! 皆でエクソダスだ!」

タケダ・カンリュウは己の策が完璧だと思っているらしく、大きな声で笑っている。ときおり「ほーっ、ホー! たまんねぇなぁ!」と叫ぶおまけつきでだ。
どうもナルシストの気があるらしいタケダ・カンリュウに、正直ドン引きするソラ。温和な性格と思っていたのに、これははっきり言って怖い。他人の振りをしたいほどだ。
それに、港を一から造るなどという作戦なんて成功するわけがない。しかも自分はニッポンなんて国は知らないし。グランバニア、あくまでグランバニアに帰りたいのだ。
しかもこんな作戦、どう考えても主催者にバレバレである。何がどうなれば成功すると思えるのだろうか。

「あのー」
「何だね?」
「そんな大規模な作戦、短期間で成功させるには、かなりの人手がいりますよね?」
「金なら祖国にいくらでもある! そのことをちらつかせれば、人手なんてすぐに集まる!」

背を仰け反らせるかのように胸を張るタケダ・カンリュウ。
げんなりするソラ。

「それにわたしは、グランバニアに帰りたいんですけど……」
「いいや、現状ではニッポンに帰るのが一番まともな策だ! 諦めなさい!」
「いや、でもわたしは! グランバニアの王女です! 成さねばならないことがあるんです!」
「王女だったことなんて忘れちまいな。脱出出来なけりゃ牛鍋もつつけん」

背を仰け反らせるかのように胸を張るタケダ・カンリュウ。
げんなりするソラ。

「もしくは、俺が主催者に取って代わる!」
「どうするんですか。どうやってですか」
「金ならいくらでもある! 懐柔してトップに座り、殺し合いを止めるのだ!」

背を仰け反らせるかのように胸を張るタケダ・カンリュウ。
げんなりするソラ。

「大丈夫だ! それに君は何やら天狗が使うようなあやかしの術で、爆発を起こしたり氷を作ったりできるそうではないか!」
「そうですけど……ですから、それが通じなくて……」
「大丈夫だ! 金の力と妖術、この二つが合わされば必ずやこの殺し合いは止まる!」
「そんな、楽観的すぎます! もう少し現実を見て……」
「もっと熱くなれよ! どうしてそこで諦めちゃうんだそこで!」

背を仰け反らせるかのように胸を張るタケダ・カンリュウ。
げんなりするソラ。

「もう、いいです」

あまりにも話が通じない相手に、堪忍袋の緒が切れたソラ。
そして、我慢の限界に達した彼女は、タケダ・カンリュウのいう〝あやかしの術〟のための詠唱を始め……!

「頭を冷やしてください! マヒャド!」
「え?」

413飛べないハードルを負けない気持ちでくぐる ◆EDO/UWV/RY:2012/10/31(水) 23:15:14 ID:oHwr28.k0
結果、タケダ・カンリュウは奇妙な氷像となった。




             \      寒い      /

                 /.:.:/ヽ.:.:.ヽv'´.:.;ヘ:.:.\
                  /.:.:.:.:////\:.:.:.:.://∧ヽへ
             //)/〉//////\////∧レヘ∧
              ,ィヘ/∧/)「^¨´ ̄ ̄ ̄ ̄`¨¨ミ:.:.:.:.:`、
           /レヘメ:.:.:.:.:.:i| __           ミ:.:.:.:.:.:.:.、
           ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:i「 ̄ ̄`ヽ   /⌒ヽ〉:.:.:.:.ト、:!
           .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|i|i ===ミ_   _ィ==ミy:.:i|i:.:.| i}
         .:.:.:_」⊥」:.:.:.:.|i|i 匸二二「⌒<匸二}:.:ii||i.:i! i}
        '.:.:.Yy=ミl::i:、:.:.| ii         `、  〈川|り
          i.:.:.:.|  〈トト、:| lj       'ー /   / レ’
          乂ヘ  (_> )i  < 、‐-  _____ ,′
          ⌒\         \ `¨¨¨ア ,′
              `丁i        `¨ニニ  ,′
          .    , 、             ,   . }
             / { ..> 、        .:'    .|
         .. / ...ヽ、   . > 、   j′   /
               ヽ、._、   `ー‐t´   ./|
          ..  ヽ                |
          ...  |ヽ      Y      / __ト、
        ヽ、    | ヽ・__ / ヽ__・/Y-'゙, .\


           _人人人人人人人人人人人_
           > ガリガリくん武田観柳味 <
            ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄



そしてカチンコチンのタケダ・カンリュウに別れを告げ、びしょぬれのまま単独行動を開始するソラ。
バイキルトを頼りにバイクをつく彼女が最後に残した言葉は、



            /|\
             |

──‐  ./ ̄| ̄ヽ   │
      |  │  |   人
(____  ヽ_丿 ノ  /  \

┌┬┐      __
├┼┤        /   ―/―  __   \/
└┴┘       /     / ―  / / \  /
| \_´´  つ  \    /  ー  'ー'   / (__  
     
 ヽ   ┼┐
 _ ─┴┴    ヽ
  /   口     ´ ̄\
 ( ─┬┼─      /
/   ┴┼      /
――__│_   /                    」




だったそうである。

414飛べないハードルを負けない気持ちでくぐる ◆EDO/UWV/RY:2012/10/31(水) 23:16:37 ID:oHwr28.k0
【エリアE-3/1日目/黎明】

【ソラ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
【状態】顔と膝を負傷、びしょぬれ、バイキルト
【装備】サイファイ@MM2R
【道具】基本支給品、不明支給品(1〜3)
【思考】冷静にはなれたが、やっぱり家族に会いたい


【タケダ・カンリュウ(トレーダー)@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:氷像
[装備]:O・ディオのガトリング@LIVE A LIVE、アームドガン@メタルマックス2:リローデッド、ガルシアガン@メタルマックス2:リローデッド
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
第一行動方針:島の西側一帯を潰し、船で参加者を送り出す
基本行動方針:対主催
[備考]
タケダ・カンリュウの故郷はニッポンというところだそうです。


[備考] 
エリアE-3の一部が、マヒャドの余波を受けて氷付けになっています。

415 ◆EDO/UWV/RY:2012/10/31(水) 23:16:54 ID:oHwr28.k0
投下終了です。

416名無しさん:2012/10/31(水) 23:18:19 ID:OO8RfO5g0
投下乙です。
うん、疑いようなくカンリュウですね!
無名キャラだというのにこれ以外にないってほどに不思議と前から知っているキャラのように思えてくるから不思議です!

417名無しさん:2012/10/31(水) 23:19:13 ID:8qYoq2Rw0
投下乙
サンキューカンリューフォーエバーカンリュー

418名無しさん:2012/10/31(水) 23:19:37 ID:u3rpwngw0
           _人人人人人人人人人人人_
           > ガリガリくん武田観柳味 <
            ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

全部持ってかれたwwwwwwwwwwwwwww
くそwwwwwwwwww くっそwwwwwwwwwwwwwwwww

投下乙ですwwwwwwwwwwww くっそwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww くそったれwwwwwwwwwwwwwww

419 ◆fRBHCfnGJI:2012/10/31(水) 23:19:42 ID:ECSTxR9s0
投下乙です!
これ武田観柳やんwwwwwwwwwwwwwww

420名無しさん:2012/10/31(水) 23:19:52 ID:okMrlQl.0
[備考]タケダ・カンリュウの故郷はニッポンというところだそうです。

知らねえよwwふざけんなww

421名無しさん:2012/10/31(水) 23:21:20 ID:rJM0E1is0
くっそwwwwwwwくっそwwwwwww あ、投下乙です

422名無しさん:2012/10/31(水) 23:23:58 ID:3vyYLM020
投下乙!
もう凄い!凄い!との言葉しか出てこねぇwwwwww

423◇DcpHZ8xnZA= ◆xrS1C1q/DM:2012/10/31(水) 23:57:04 ID:kg.C4Cg.0
あ、これ書き手紹介のページにもロワのリンク貼ってくれるんですね?
じゃあ僕のページにサンデーロワの紹介お願いします

424 ◆hqLsjDR84w:2012/10/31(水) 23:59:23 ID:8qYoq2Rw0
じゃあ漫画ロワとロボロワのリンクもお願いします。

425 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/01(木) 00:00:40 ID:VOO0PwAs0
>>423-424
あっ、はい。

426相互リンクお礼に一作書きました(修正) ◆Cxilshz3Mg:2012/11/01(木) 15:07:36 ID:aeqnTEGU0
>>397 

ああ、前話で叫んだ声の正体?
あれは簡単な話だ、三行で済ませよう。
拡声器にリピート機能があった、それだけの話さ。
ただ、少し録音がバカになっていたようだ。
だから「死人が出"る"ぞぉ」が「死人が出"た"ぞぉ」に、変わってしまって流れてしまったのかもしれないな。



ああ、前話で叫んだ声の正体?
あれは簡単な話だ、三行で済ませよう。
魔王山があるだろう? 山があったら山彦になる、それが道理ってもんさ。
道中にはいろいろあるから声が変わってしまっても問題はない。
だから「死人が出"る"ぞぉ」が「死人が出"た"ぞぉ」に、変わってしまって流れてしまったのかもしれないな。

に、修正。

※エリアB-3にて「皆逃げろ! 死人が出るぞぉ!」か「皆逃げろ! 死人が出たぞぉ!」のどちらかの声が鳴り響き続けています。
を消去とさせていただきます。

427名無しさん:2012/11/01(木) 15:54:26 ID:gHcqtM960
           _人人人人人人人人人人人_
           > ガリガリくん武田観柳味 <
            ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄


↑笑いすぎて涙でてきたよこんちくしょう!
ヒット商品番付に嵐が吹くで……

428名無しさん:2012/11/01(木) 18:32:32 ID:.AAO/DFo0
今になってふと、昨日起きた奇跡のベンに底知れぬ奥深さを感じた
運命的なまでに存在していた赤髪の男に加えて、エリアB−2。
エリアB−2(ベン2)という立地的符号に気付いたのだ。
そしてオリジナルのいる場所はB−3、ベン3が生まれる可能性が示唆されている。
これは果たして偶然だったのだろうか……?

429名無しさん:2012/11/01(木) 18:39:27 ID:.AAO/DFo0
あ、あと>>409の誤字報告です。前後の文脈的に考えて
>島から脱臭するには〜 となってるところは
>島から脱出するには〜 だと思います。

430 ◆EDO/UWV/RY:2012/11/01(木) 23:15:50 ID:3hjsKC2Q0
>>429
そう言えば報告をすっかり忘れておりました。
すでにまとめWikiの方で修正しております。ありがとうございます。

431 ◆wKs3a28q6Q:2012/11/02(金) 15:17:28 ID:RM.gcj/A0
ゲリラ投下させて頂きます

432MONEY!MONEY! 〜君が世界を動かしてる〜  ◆wKs3a28q6Q:2012/11/02(金) 15:19:47 ID:RM.gcj/A0

だだっ広い空間に、いつの間にか立っていた。
その広さは、自前の豪邸のそれよりも果てしない。
何せ、見渡す限りの無なのだから。

一体いくら積めばこれほどまでの面積を誇る更地が手に入るのだろう。
そんなことを考えながら、その更地をなんとはなしに歩き始める。

すると、目の前に男が突然現れた。
まるで亡霊のように精気のない男の顔。
不自然なほど丹精というのもあって、不気味なオーラを発していた。

「何だ貴様ァ?」

しかし、物怖じするわけにはいかない。
商人とは、度胸の必要な職業である。
弱みを見せるようでは、足元を見られてしまう。
常に相手の上に立たねば、商人はやれないのだ。






          rv,'''"~"~"'''ー-、
       _,.r'" / /,r'"/: ;:;:;:;:`ヽ、
      ,.f" i :;l '"/ '"/,,..ニ、:;;:;:;:;:;\
      f" ゞ ` |r"'''"~^" : : : `!;:;:;:;:;:;:;ヽ
      !;;r'''"~ /       : : : ::`ミ:;;:;:;:;:;i,
      ll| ,.-'"       _,,..-  : ::ヾ:;:;:;:;:;}
    ,!;|        ,,r:''"    : :`i;:;:;:;:_!     「俺はマシンガンの精だ」
    i;;| ''''''==、  :'" /fフ~フ" : : : :Y;/,.`!
     !l, ィTフ''; |   ` '''''"   : : ::;|! :i i!
     ', ー ''" ,!        . . : ::::l! ノ,!二ニー;
      :i    i `ニヽ    . . : : ::::| _,.ル=''" |
      :!    ゞ '~"      ,. -',".-''"  :  |
       ヽ   ,r==-、   ,ィ'r         |
        ヽ   ` '''' "   ,! ,'         |
     i、,,,ィ^ヽ       ,! ,'       ,. - ^)
       ,.ィノレ"|`:、    ,.-1 ,'       ,. '",.
         |  `ー-‐'" ,! ,'     ,. -' -'"






「はぁ? 何がマシンガンの精だ、ふざけやがって」

懐から愛用の葉巻を取り出して咥える。
しかし、いくら探れど火が見つからない。
すると――――

「大体何だそのヒョロい体は。それじゃ精々サブマシンガンの――」

パララララララ。

まるでタイプライターでも打ったかのような音と共に、葉巻が弾き飛ばされた。
葉巻の先端からは煙が上がっているが、もはや興味はそちらにはない。

433MONEY!MONEY! 〜君が世界を動かしてる〜  ◆wKs3a28q6Q:2012/11/02(金) 15:21:21 ID:RM.gcj/A0

「俺は、どっちでもいいと思っていたんだ」

マシンガンの精が構えたサブマシンガン。
その先端から、煙が出ている。

「そこで俺はコインを投げたんだ。表が出たらマシンガンの精を辞め、この話を没にする」

その煙が意味するものは、マシンガンの精とやらが、サブマシンガンが用い、正確に葉巻を撃ったということだ。
思わず体が震えてしまう。
恐怖でではない。歓喜でだ。

「裏が出たら、マシンガンの精として俺ODIOのwikiに載ると――――」
「すっばっらっしィィ!」

若干声が裏返るほど大げさなリアクションで、マシンガンの精に歩み寄る。
それから品定めをするようにしてジロジロと相手の顔を見回した。

「素晴らしい」

改めて、賛美の言葉を送る。
相手の腕を素直に認めるということも、商人には大切な資質だ。
認めたうえで対策を練られる者が、成功を収めるのだ。

「どうだね、私に雇われないか? ん? その腕高く買うぞォ?」

相手が人間じゃなかろうと関係ない。
人殺しから落ちた士族まで、使えるものは何でも使う。
それがこの武田観柳の流儀である。

「それは出来ない」
「金か? 安心しろ、たんまりある!」
「そうではない」
「前金か、ちょっと待ってろ!」

ゴソゴソと荷物を漁る。
しかし金は見つからない。

「クソがァ! 私のか、金が! 持ち歩いている金が盗られているッ!」

主催への怒りの炎がますますもって燃え上がる。
自分の金が、奪い取られた。
絶対に許してはならない。
一度こういう暴挙を許すと、アイツはぬるいと思われて、狙われるようになってしまうのだ。

「やはり主催はぶち殺さねばならぬ! 力を貸せ! 重要なポストだってくれてやるわ!」
「興味がない」
「ええい、やはり現金がないのがいかんのかっ!」

先程、交渉が決裂したところまでは覚えている。
それから気付けばここにいたわけだが、何故交渉は決裂してしまったのだろうか。
何故氷漬けにされてしまったのだろうか。
決まっている。現金がなかったからだ。

信用のない初対面の相手が、現金も持っていないのに商談を持ちかけてきて、
果たしてオーケー出来るだろうか?
成果も上げていないというのに。

否!
絶対に不可能!
即ち今必要なのは、圧倒的現金ということだッ!

434MONEY!MONEY! 〜君が世界を動かしてる〜  ◆wKs3a28q6Q:2012/11/02(金) 15:22:42 ID:RM.gcj/A0

「落ち着け」
「ひでぶーーーー!?」

マシンガンの精によるフロントハイキックが炸裂。
顔面が凄いことになったけど、不思議とそこまで痛みはなかった。

「き、きき貴様! 父親にも十六文キックなどされたことがないというのに……!」
「落ち着け。そもそもここは夢の世界だ。俺は現実世界には行けない」
「なんだと?」

夢。
このリアルな思考能力も夢というのは些か納得いかないが、
それでも果てなき無の空間など、言われてみれば納得のいくことばかりだった。

「それと、現金がないのがいけないと言っていたが――」
「ああそうだ、人は金で買える! だがそのための現金がない!!」
「人が欲するものは、本当に金だけか?」

マシンガンの精の発言がトサカに来る。
コノヤロウ、いっちょ前に説教気取りか!

「当たり前だ!!」
「ならば何故、人は金を消費する。何よりも欲するものなら、手放さなければいいというのに」
「それは……」

ハっとなる。
大事なことを、忘れていた。

「欲するモノを、得るためだ――――」

麻薬しかり、安全しかり。
人は己の欲求を満たす最高の手段として、金を何より欲していたのだ。
金は決して、目的ではない。

「そうか、そういうことか……!」

ならば、まだ勝機はある。
確かに手元に現金はない。

だが、無いなら作ればいい。
商材が少なかったあの頃、それでも一代でタケダの名を知らしめたあの頃のように。
この荒れ果てたステージで、誰かが欲する物品を産み、それを元手に金を築きあげればいい。

「それこそ物々交換でもいい……!」

やりようなら、いくらでもある。
知能と武力を併せ持った自分だからこそ出来ること。
それで人出を集めて、港を作り、脱出する。

そしてありったけの武力を引き連れて、主催者に報復をかます。
こんなことをしてくれた復讐と、金の奪還のために。

435MONEY!MONEY! 〜君が世界を動かしてる〜  ◆wKs3a28q6Q:2012/11/02(金) 15:24:27 ID:RM.gcj/A0

「そうと決まれば、こんなところでグズグズしている場合ではない……!」

さっさと目覚めて、何をどう交換したり販売するか考えねば。
そう思っていると、相変わらず無機質な顔のマシンガンの精が、言った。

「帰るがいい、マシンガンに認められし者よ」
「ああ、そうさせてもらう」
「最後に、一つアドバイスだ」

アドバイス。
本来なら右から左へ流してもいいのだが、この島において自分はまだヒヨッコだ。
ヒヨッコの内は、多くの意見をしっかり聞き、理解して、そのうえで取捨選択すべきである。

「思考を放棄し立ち止まるな。戦い続けろ」
「……当たり前だ!」

獰猛な笑みで答えると、視界が光に包まれた。
そして気が付くと、道路と森と、氷漬けの大地が目に飛び込んできた。
どうやら戻ってきたらしい。

「寒い、な」

鼻水が出る。身震いがする。
どうやら1時間以上はこの状態で放置されていたらしい。
凍死だけはしないよう、妖かしの術の威力を調節してくれたようだ。

まあ、まだ体全体が氷漬けなんだけども。

(いや、思考を止めるな。諦めて溶けるの待ち、だなんて具の骨頂ッ!
 出来ることをするだけだっ!)

ちょっとだけなら、体が動く。
ならば。

「ホーーーッホォォォォォォォウ!!」

ほんの数ミリ指を動かして、持ちっぱなしになっていたマシンガンのトリガーを引く。
やたら滅多に飛び出した弾丸によって、腕を覆った氷がぶち壊された。
しかしこれでは、腕を動かせるだけだ。

436MONEY!MONEY! 〜君が世界を動かしてる〜  ◆wKs3a28q6Q:2012/11/02(金) 15:24:38 ID:RM.gcj/A0

「仕方あるまい。今は恥より大事なものがある!
 ここで泥を舐めてでも金を稼ぐために動けることが私の誇りだ!」

気合を入れる。
プライドを一旦棚の上にあげた。
この寒気なら、さほど難しくはあるまい。






        \  ホーッホー! たぁまんねーなァ!! /

                 /.:.:/ヽ.:.:.ヽv'´.:.;ヘ:.:.\
                  /.:.:.:.:////\:.:.:.:.://∧ヽへ
             //)/〉//////\////∧レヘ∧
              ,ィヘ/∧/)「^¨´ ̄ ̄ ̄ ̄`¨¨ミ:.:.:.:.:`、
           /レヘメ:.:.:.:.:.:i| __           ミ:.:.:.:.:.:.:.、
           ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:i「 ̄ ̄`ヽ   /⌒ヽ〉:.:.:.:.ト、:!
           .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|i|i ===ミ_   _ィ==ミy:.:i|i:.:.| i}
         .:.:.:_」⊥」:.:.:.:.|i|i 匸二二「⌒<匸二}:.:ii||i.:i! i}
        '.:.:.Yy=ミl::i:、:.:.| ii         `、  〈川|り
          i.:.:.:.|  〈トト、:| lj       'ー /   / レ’
          乂ヘ  (_> )i  < 、‐-  _____ ,′     ジョロロロロロロ
          ⌒\         \ `¨¨¨ア ,′
              `丁i        `¨ニニ  ,′
          .    , 、             ,   . }
             / { ..> 、        .:'    .|
         .. / ...ヽ、   . > 、   j′   /
               ヽ、._、   `ー‐t´   ./|
          ..  ヽ                |
          ...  |ヽ      Y      / __ト、
        ヽ、    | ヽ・__ / ヽ__・/Y-'゙, .\






勢い良く尿を振りまく。
ズボン越しに氷にかかる液体の体温で、下半身から下もなんとか凍りづけを回避できた。

「一旦コイツは脱いでおこう」

しかしながら、アンモニア臭のきついズボンを履き続けるのは苦痛である。
一旦どこかで洗おうと、ズボンは脱いだ。
今は動きが鈍ることの方が問題なのである。

「さて、やるとするかァ!」

一世一代、再びの金稼ぎを!!
果てなどない、保証などない、身を焦がすような商売を!

「金ならいくらでも作るッ!」

そう。
言われた通り、立ち止まる暇などないのだ。

「そして、ゆくゆくは主催の技術も乗っ取って、俺が日本政府に取って代わる!!」

437MONEY!MONEY! 〜君が世界を動かしてる〜  ◆wKs3a28q6Q:2012/11/02(金) 15:25:37 ID:RM.gcj/A0

ゴールなど見えない。
でも、それでいい。
歩みを止めねば、いつかは辿り着くのだから。

だから。
どこまででもいい。
精一杯でいいから――――――






                      /.:.:/ヽ.:.:.ヽv'´.:.;ヘ:.:.\
                       /.:.:.:.:////\:.:.:.:.://∧ヽへ
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                   ,ィヘ/∧/)「^¨´ ̄ ̄ ̄ ̄`¨¨ミ:.:.:.:.:`、
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                ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:i「 ̄ ̄`ヽ   /⌒ヽ〉:.:.:.:.ト、:!
                .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|i|i ===ミ_   _ィ==ミy:.:i|i:.:.| i}
              .:.:.:_」⊥」:.:.:.:.|i|i 匸二二「⌒<匸二}:.:ii||i.:i! i}
             '.:.:.Yy=ミl::i:、:.:.| ii         `、  〈川|り
               i.:.:.:.|  〈トト、:| lj       'ー /   / レ’
               乂ヘ  (_> )i  < 、‐-  _____ ,′
               ⌒\         \ `¨¨¨ア ,′
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                   | 、            ,
                  _| /> 、        .:'
                 |\ 〜〜 \ 、   j′
                 〈 ..\___,`ー‐t´_ヽ
                 .〉  .〉  U      ''ヽ
                  .〈  .〈       U   .|
      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| 〉          | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
      |  ガトリングガン  |〈  U          | 自慢の回転式機関砲  |
      \________| 〉          |__________/
                  〉  〈       U      |
                  \  〉 U        |
                    \|______,,,ノ
                     / ゚ =ー----'、... __   
゚              +  ===== !    ,.        ̄丶  
       __            ,. -'':.、  u     ゚     。 \
==三/ `ニ ー――-- 、..-''´    ゙ー‐ァ--―''" ̄`丶、 u  丶、ヽト、 ,.. --、
   ,r''´。 ゚  __     ・    。   _.. -''´         `丶、    `‐'"  ´‐'´'
。 /,   ,. - '´   ゙̄''ー-----―''"´      +     ゚      ヽ ー   _ノ-'´
  `゙ー-'´                      −−===三三三 ヽ、_/


   _人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
   >  ガ(ト)リ(ングガ)ガ(ンでハリキ)リくんリッチ 武田観柳味  <
    ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄






――――――走れ!!






【エリアE-3/1日目/早朝】


【タケダ・カンリュウ(トレーダー)@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:下半身とガトリングガンがむき出しの氷像(ガリガリ君リッチ 武田観柳味)
[装備]:O・ディオのガトリング@LIVE A LIVE、アームドガン@メタルマックス2:リローデッド、ガルシアガン@メタルマックス2:リローデッド
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
第一行動方針:島の西側一帯を潰し、船で参加者を送り出す
第二行動方針:そのためにも、物々交換や拾った物の売買で財を築く
基本行動方針:主催者を倒し金を奪い返す
[備考]
タケダ・カンリュウの故郷はニッポンというところだそうです。


[備考] 
エリアE-3の一部が、マヒャドの余波を受けて氷付けになっています。

438MONEY!MONEY! 〜君が世界を動かしてる〜  ◆wKs3a28q6Q:2012/11/02(金) 15:26:10 ID:RM.gcj/A0
投下終了です。
問題があったらおっしゃってください。

ちなみに下半身とか動く当たりがリッチなんです。

439 ◆TIENe3Twtg:2012/11/02(金) 15:28:53 ID:Wq4pk5o.0
投下乙です
カンリュウwwww
投下していいのかすごい迷ってたのですが、おかげでふんぎりがつきました、ゲリラ投下します

440速さがたりない ◆TIENe3Twtg:2012/11/02(金) 15:30:41 ID:Wq4pk5o.0

「みんな、逃げろ!!死人が出るぞぉ!!」
南からそんな声が聞こえた瞬間、既にオルステッドは駆け出していた。

ゆりこを信じない訳ではない、ここにいるほとんどの人間は既におぞましい合体を終え、手遅れの者ばかりだと理性は理解しても。
それでもオルステッドは勇者なのだ。
助けを求める声に応えずにはいられない。救いを与えずにはいられないのだ。

「ベンが完全武装している! 散様ァ! お逃げください! 死人が出ますぞォ!」
誰かを思う叫びだ。恐怖に震えるのでも邪悪に屈するでもなく、この声の主は闘っている。
邪悪な悪魔にも負けぬその尊い意思を、護りたいと心から願う。

見慣れぬ建築物たちの合間を走りただ間に合えと、一心に念じながら走る。
間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、
間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、
間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、間に合え、


そうして向かう先から聞こえたのは破裂音。
その暴力的な音の意味は直後、悲痛な叫びによって伝えられた。

「みんな、逃げろ!!死人が出たぞぉ!!」

歩みが、緩む。
強制的に理解させられた。
もう手遅れなのだと。
自身の最期、その淵の淵までをも誰かを思う事に費やした英雄は、今、この時に喪われてしまったのだと。


緩みつつも歩みは止まらない。
彼を助けられずともまだこれ以上の被害が出ないうちにその凶刃を止めねばならないのだ。
彼を助けられずとも、その凶刃が散様なる人に及ばぬうちに止める必要があるのだ。

そのことを彼は後悔する。
歩みを緩めなければ、走り続ければ。
あのような事態を食い止めることが出来たのかもしれないのに、と。

441名無しさん:2012/11/02(金) 15:32:00 ID:Wq4pk5o.0



辿り着いた先には3つの影があった。
一つは横たわり血を流し続ける、男の影。

もう一つは明らかに人では無い異常。
猿、に近いのだろうか?
見慣れぬ武器を携え、なにやら服を着込んだ巨躯。
この状況を産んだ元凶と思わしきモノからは侮れぬプレッシャーを感じる。

この異常はもう一つの影、動かず横たわる人影に近づいていき……
その背中に手を伸ばしたかと思うと、異常な変化が起こりだした。
人影の形が変わる、大きさが変わる、体毛が伸び、武器が現出し……

「にゃにゃにゃにゃにゃん!!」
奇声が上がったかと思うとそこには





  ━┓“   ━┓“  ━┓“   ━┓“  ━┓“  ━┓“   ━┓“
  ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛

           、,ノl,、{ , _                 、,ノl,、{ , _
         }Vノ;:;:;:;:;:`'´{,               }Vノ   `'´{,
        、{;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:レ              .、{       レ
         ミ,;:;:;:;:。...。:;:;:;ヒヾ             ミ  。. 。  ヒヾ
      )、-┌┐;:;:.゙,..,゙:;:;:nゝ  ,          )、-┌┐ .,..,  nゝ  ,
    ノ、/;:;:;:;:l・ ,,l;:;:;:´;:;`:;:;l ̄l`';:'-ノ_,.     ノ、/  l・ ,,l ´ `  l ̄l`';:'-ノ_,.
  }ヽソ;:;:;:;:;:;ノt-n';:;:;:;:;:;:;:;ノ,::,_l;:;:;:;:;:;;:;7   }ヽソ   ノt-n'    ノ _l    7
 /;:;:;:;;:;:,、;:;,:l LLLlヽ;、;:;:ノEEEl;:;:;:;:;:;:;:}_ /   、 l LLLlヽ 、 ノEEEl    }_
「;:::: ;:;::::´、 `''-fココ ll::l;:;:ll .nnn l;:;:;:;;:;:;:;:;:{「    ´、 `''-fココ ll l  ll .nnn l     {
ヽ;:; : : ゙  `''''´ミ´r'ヽ;l;:;:ll ';';ニ' l,;:;:;:;:;:;:;:(ヽ   ゙  `''''´ミ´r'ヽl ll ';';ニ' l    (
  ´`'''─-..._::::.:.:ヾヽ_ `ヽ'、l__l ll }:;:;:;:;:;:)´`'''─-..._  ヾヽ_ `ヽ'、l__l ll }   )
        `゙-'゙,-,_ツ、゙ヾf´ヽ,っll_{゙:;゙: ゙ソ      `゙-'゙,-,_ツ、゙ヾf´ヽ,っll_{゙ ゙ ゙ソ
        ,、ノ'´;:;:;:;:;:;:;:`ヽl, ,、`ヾ\:ミ、゙     ,、ノ'´    `ヽl, ,、`ヾ\:ミ、゙
        };:;::;:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'lmn_'ヾ\      .}          'lmn_'ヾ\
    ノ!ノl´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::;;:;:;:;;`^!''´ヽ 'ヾ\ ノ!ノl´          `^!''´ヽ 'ヾ\
    f´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;;ヽ、fヽ\                 ヽ、fヽ\
   、ノ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;--;;::;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;y ¨ヽヽ\、    ;;--         y ¨ヽヽ\、
  r';:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;-''´   ' ' '' `-、;:;:;:;:;:;::;:;;{         -''´   ' ' '' `-、     {  




           _    _          _    _
          」   ̄ ̄ └,         」   ̄ ̄ └,
          }.   逃    {          }  増 イ  {
          }.   げ   {          }  え カ  {
          」   ろ   {          」  た ン  {
          }   ぉ   {          }_.  ぞ    {
          }_   ! !   {          /_ ! !   _「
          /__   _「              ̄
               ̄` 

思わず叫んでいた。

442名無しさん:2012/11/02(金) 15:32:32 ID:Wq4pk5o.0

聞いてはいたが、これが悪魔と人の合体と、その末路。
二つになった脅威に立ち向かう。
彼は勇者なのだから。
哀れな犠牲者に、せめて死をもって安らぎを。

【エリアB-3/市街地/1日目/黎明】

【ベン(バズズ)@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康
[装備]:防弾ベスト@現実、猟銃@現実
[道具]:基本支給品*1
[思考・状況]
基本行動方針:殺戮

[備考]:原作ではバズズは仲間になりません、ですからもし仮にバズズが仲間になるとしてベンという名前で無い証拠はありません。
    ..また、装備品に関しても同じことが言えます。
    ..つまり、ベンという名前のバズズが防弾ベストと猟銃を装備して死人を出してもまったくおかしくはないということです。

【オルステッド@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:はがねのつるぎ@ドラゴンクエストⅤ
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:一刻も早く魔王を倒し、アリシアを救出する
1:魔王が関与しているのかを見極める。いるのならば打倒、いないのならば速やかな帰還を目指す
2:悪魔となった参加者に引導を渡す

[備考]
参戦時期は中世編フェミノフォビア戦より。OPの間は気絶していました。
聞き逃していたルールについて、ゆりこから聞きました。
ただし一部に嘘があり、オルステッド、ゆりこ、ザ・ヒーロー以外の参加者の大半が悪魔と合体させられたと聞かされています。
そのほかにもゆりこの話には嘘や漏れがある可能性があります。

443名無しさん:2012/11/02(金) 15:33:23 ID:Wq4pk5o.0



えっ?
なんでまたベン増えてるんだよって?
それは簡単さ。血髑郎を殺戮した後のベンは自分に支給されたものを確認し出した。
おそらく食べ物でも探していたんだろうね。
そうして出てきたのがカラクリ技師、カラクリ源内の生みだした傑作カラクリ。
プレイヤーのみんなにはカラクリ丸と言えばわかりやすいかな?
このカラクリはそのゼンマイを巻いたものを模す性質を持っていた。
これがそこら辺のただの猿なんかとはケタ違いのかしこさを持つベンに支給されていたのさ。
ボタンがあれば押す。ゼンマイがあれば巻く。当然のことだろう?

【ベン3@俺ODIOロワ】
[状態]:ベン
[装備]:防弾ベスト@現実、猟銃@現実
[思考・状況]
基本行動方針:殺戮

[備考]:原作ではカラクリ丸のゼンマイはおぼろ丸以外に巻きません、ですからもし仮にバズズが巻いたとしてバズズ化しない証拠はありません。
    ..また、装備品に関しても同じことが言えます。カラクリ丸は明らかにそれまで所持していなかったカネサダをゼンマイが巻かれるとともに突如装備していました。
    ..つまり、ベンという名前のカラクリ丸が防弾ベストと猟銃を装備してもまったくおかしくはないということです。

444名無しさん:2012/11/02(金) 15:34:13 ID:Wq4pk5o.0
投下は以上です。
問題やご指摘などありましたらどうかお願いします。
ごめんなさい。

445名無しさん:2012/11/02(金) 15:38:11 ID:RM.gcj/A0
ベwwwwwwンwwwwwwwwww3wwwwwwwwwwwwww
ここ数日の展開が色んな意味でやばすぎてお腹痛いwwwwwwww

446名無しさん:2012/11/02(金) 15:40:50 ID:WDZ4Dg06O
やめてください死んでしまいます。(腹筋が)
くそwwwww GJwwwww

447 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/02(金) 16:08:43 ID:mGs4AGSQ0
ベン3は俺ODIO出展ではなく、ベン3(カラクリ丸)という表記が正しいものと思われます。

俺ODIOの2連続投下を読んでいた僕の顔を以て、感想に返させていただきたいと思います。

^^

^^





^q^

448 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/02(金) 16:09:29 ID:mGs4AGSQ0
ベン3(カラクリ丸)@LIVEALIVEですね

449名無しさん:2012/11/02(金) 16:11:24 ID:Wq4pk5o.0
あ、なるほど。
了解です。wiki収録の際はそのようにお願いします。

450名無しさん:2012/11/02(金) 16:14:45 ID:Wq4pk5o.0
あっ、あんまりにあんまりだったらベン3の登場をなくして
他の描写と展開を増やしたバージョンもかけそうな感じなので言ってもらえればそちらを改めて書きます。

451 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/02(金) 16:15:57 ID:mGs4AGSQ0
いえ、ベン3登場話で大丈夫ですよ。
ちゃんと説得力もありますし、問題はないと判断します。

452名無しさん:2012/11/02(金) 16:16:30 ID:WDZ4Dg06O
いや、これで行きましょう!

453名無しさん:2012/11/02(金) 16:17:51 ID:Wq4pk5o.0
了解です。
まさかダース伍長書いてたときに没った案がこんな形で流用できるとは、世の中わからないものですね。
ありがとうございました。

454名無しさん:2012/11/02(金) 16:30:34 ID:kWsKKt0w0
投下乙にござりまする。
ベン3まで出たとは・・・頑張れ!オルステッド!
あ、後>>433で武田観柳となっているのを指摘しておきます。

455名無しさん:2012/11/02(金) 23:55:51 ID:CF5IK7bM0
お前らいい加減その二人以外もリレーしろよw してくれよwww

456名無しさん:2012/11/03(土) 00:00:22 ID:DkznT08YO
おい誰だカオスロワ外伝にベン三人まとめて支給品として出した奴w

457名無しさん:2012/11/03(土) 07:17:26 ID:5oy3jX060
真面目な話、拡声器なんていうわかりやすいフラグ使われるとベンが当分のSSに影響せざるを得ない面もあったりするのよねw
>全身全霊を籠めた魂の叫びにメガホンに応え、その声は会場全体に響き渡った。
とかなっちゃってるから遠くのエリアにいる参加者ですら一行二行なんかしら反応せざるを得ないという……w
やっべ、リレーしたいけど続き全然思いつかねえw

458名無しさん:2012/11/04(日) 23:45:54 ID:s5lQ9duU0
もう、今読み返しても一連の流れと理由づけがすごくて腹が捩れるwww改めて投下乙でした

ひとつ気になった点があるのですが、『相互リンクお礼に一作書きました』の話にて
山彦が道中で「死人が出"る"ぞぉ」が「死人が出"た"ぞぉ」に変わったとありましたが、
「死人が出"た"ぞぉ」だったのは『魂の叫び』で血髑朗が叫んだ方で、
前話の『こんにちは赤ちゃん』の方は「死人が出"る"ぞぉ」のままだったかと思います

459 ◆LjiZJZbziM:2012/11/05(月) 13:31:35 ID:8nEII7qk0
>>458
指摘ありがとうございます。
そんな感じに修正しておきます。

460 ◆Cxilshz3Mg:2012/11/05(月) 14:02:48 ID:cwuOJrNEO
こんちわ
現在、投票で決めた各パロロワ企画をラジオして回る「ロワラジオツアー3rd」というものを進行しています。
そこで来る11/17(土)の21:00から、ここを題材にラジオをさせて頂きたいのですが宜しいでしょうか?

ラジオのアドレスと実況スレッドのアドレスは当日にこのスレに貼らせて頂きます。

詳しくは
ttp://www11.atwiki.jp/row/pages/49.html
をご参照ください。

461名無しさん:2012/11/09(金) 23:51:14 ID:Gof2ZjhA0
ラジオかーたのしみだ

462 ◆TIENe3Twtg:2012/11/10(土) 13:10:58 ID:oU8jftEc0
ゆりこ予約します。
ラジオまでに投下したいなー。

463名無しさん:2012/11/10(土) 18:27:25 ID:DKwdPOKs0
予約キャッホイ!

464 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/10(土) 22:21:01 ID:DKwdPOKs0
レナ、ワイアルド、イウヴァルト予約します

465名無しさん:2012/11/11(日) 14:07:11 ID:jbhIIb2Y0
ワイアルドさんキター

466 ◆Cxilshz3Mg:2012/11/15(木) 02:02:16 ID:3rqbUIo20
月報集計者さんへ、何時もお疲れ様です。
今期月報データです。
集計までに投下来たら、数値ズラしてください。
俺ODIO 34話(+ 14)  34/42 (- 2)  81.0 (- 3.6)

なお、ベン2はWiki表記に従い含んでいません。
●記憶喪失の赤髪の男が蘇っただけなので……
一応含めるとすれば
俺ODIO 34話(+ 14)  35/43 (- 2)  81.4 (- 3.2)
になります。

467名無しさん:2012/11/17(土) 08:34:03 ID:JA9FpSmY0
そういや、ワイアルドも猿の化け物だな。
ベン4の予感…。

468名無しさん:2012/11/17(土) 12:34:37 ID:0vMDp6G60
ベヘリットもあるし、参加者の中から第5、第6のベンが…

469 ◆TIENe3Twtg:2012/11/17(土) 13:08:04 ID:Ct2xvD8g0
ベンをなんだと思って(ry
すいません、ちょい間に合うか怪しいので予約期間延長をお願いします。

470 ◆Cxilshz3Mg:2012/11/17(土) 21:02:23 ID:9OxM1HOA0
ロワラジオツアー3rd 開始の時間が近づいてきました。
実況スレッド:ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5008/1353153646/
ラジオアドレス:ttp://ustre.am/Oq2M
概要ページ:ttp://www11.atwiki.jp/row/pages/49.html
よろしくおねがいします

471 ◆EKhCqq9jsg:2012/11/17(土) 21:33:16 ID:X6Pm/AEI0
ゲマ予約します

472 ◆EKhCqq9jsg:2012/11/17(土) 21:35:49 ID:X6Pm/AEI0
やっぱ、ゲマとソラの両名を予約します

473 ◆qp1M9UH9gw:2012/11/17(土) 21:44:37 ID:5dFj7STc0
テッド・ブロイラー 予約します

474狩人 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/17(土) 22:17:28 ID:EcbGnDXQ0
投下します

475狩人 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/17(土) 22:17:40 ID:EcbGnDXQ0


楽しく刺激的<エンジョイアンドエキサイティング>に物事を行う、ワイアルドのモットーである。
故にワイアルドはこの異常な状況を深刻に考えることもせず、
これから行われるであろう祭典の趣向を凝らした特殊な前夜祭程度のものであると簡単に考えていた。
いや、彼とて前夜祭であるとしてもこの状況が異常であることは百も承知である、
だがしかし、それに何の問題が或るのだろうか。
犯せる女がいる、遊べる男がいる。
人間を捨て去り、望むままを行う者となった彼にとってはそれだけで十分なのだ。

故に彼は躊躇しない。

故に使徒は躊躇しない。

故に狂戦士は躊躇しない。


「いきなり……ごちそうじゃねぇか!」



彼の時代には存在しない疾走する鋼鉄。

それと遊ぶことを躊躇しない。



『ベンが完全武装している! 散様ァ! お逃げください! ────

叫びが合図であった。


叫びと同時に、三菱GTOに備えられた機銃がワイアルドへと目視不可能である速さの鋼鉄を放ち、


ワイアルドという人間が、人間の姿を捨て去り、おぞましい獣の状態へと成り、


主の安全を慮った叫びが、皮肉にも殺し合いへの皮切りとなった。




────死人が出ますぞォ!』

476狩人 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/17(土) 22:17:51 ID:EcbGnDXQ0



レナは躊躇しない。
レナは容赦しない。
レナは油断しない。

築いた屍共の愚かな失敗に学ぶまでもなく、全てが燃え尽きた日から彼女はそれを貫いている。
故に、彼女はかの邪智暴虐たるバイアス・グラップラー軍団を壊滅に追い込んでいる。
そしてこの状況でもそれは変わらない。

レナは躊躇しない。

森の中、三菱GTOを走らせている最中に男を発見する。
考えるよりも先に彼女は男を敵/的とみなし、ハンドルを切る。

レナは容赦しない。

ノラバルカンの射程距離に入った男へと電光石火の弾丸を放つ。
弱らせるような真似はしない、狙うは上半身全て。

銃口より弾丸が放たれた後の人間では目視出来るはずのない刹那、空気が凍りつくような異様な雰囲気を彼女は味わった。

放たれた銃弾の先に男はいなかった。

そこにいたのは獣──否、怪物であった。

人間の幾倍あろうかという、猿を思わせる巨体。
胸板のすぐ真上についた巨大な口。
両肩に1つずつ、口の上に1つ、計3つ、人の頭よりも巨大な目がついている。
それだけならばただの──遺伝子異常を起こした奇怪な獣程度で済んでいただろう。

だが、その巨体の頂点、頭部、その獣の脳髄が収められているべきであろう場所には、
先の男が生えていた──というのが最も適切な表現だろうか、
歪なバランスのケンタウロスであるかの様に男はそこで下劣な笑みを浮かべていた。

弾丸よりも疾き思考。

彼女は、レナは、ハンターは、あの怪物を討ち倒すことが出来るのか。




────勝てる。


恐るべき異形を相手に、彼女は己の勝利を確信していた。
油断などでは決して無い。

ただ単純に己の力量と相手の力量を比べただけなのだ。

レナは油断しない。

三十の賞金首を討ち倒し、
グラップラー軍団を壊滅させ、
人間の限界を超え続ける彼女は、

決して油断しない。

最強の人間と使徒の戦いが始まった。

477狩人 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/17(土) 22:18:01 ID:EcbGnDXQ0


果たして、それは戦いと言えるものだったのだろうか。
そこで繰り広げられていたものは故知らぬ他人が見たのならば、まるでくだらない茶番劇<バーレスク>

熱狂があり、怒りがあり、歓喜があり、殺意があり、
だが、そこに血の一滴も流れることはなかった。

近代の暴力によって容易く討ち倒せるはずの使徒の体に傷は無く、

中世の超暴力によって容易く破壊できるはずの三菱GTOに破損はなく、

ただただ、互いに互いを一撃で仕留められる攻撃を放ち続けながらも、
それは互いに当たることはなく──誤解しないように言っておきたいが、別に両者共に手を抜いているわけではない、
まるで情熱的な舞踏であった。

避けていた。
互いが互いの攻撃を異常な反射で避け続けていた。

片や異様な巨体。
片や小回り利かぬ鋼鉄でありながらも。

いや、まだ三菱GTOの方はわかる。
最高速253km/h、目にも留まらぬ程の速さはブレーキを踏みさえしなければ、確実な回避を約束するだろう。

だが、それに対してワイアルドの方は如何なものか。
どう考えてもその様な速さを発揮できるはずがないのだ。

レナは決して、戦闘行動中に無駄口を叩かない、舌打ちの1つも漏らさない。
だが、しかし、瞬殺できると思った相手にを未だ討ち倒せないことに彼女は────

「ほーっ、ホー! たまんねぇなぁ!」
ワイアルドはその様なレナを気にも留めない、彼女の顔色でも見れたのならば良かったのだろう。
だがしかし、戦闘中に車内を覗きこむ余裕などは流石に無い、
いや、もしも彼に覗きこむ余裕などというものがあったのならば、戦闘どころではないだろう。
戦闘後のエンジョイアンドエキサイティングタイムの方に思いを馳せねばならない。

故に、先程から少しも運動性能を落とす様子を見せない玩具に、
少々不満を抱きつつも、死なない程度のスリルを味あわせてくれるこの戦闘をただただ楽しんでいる。

478狩人 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/17(土) 22:18:11 ID:EcbGnDXQ0


「おもしれぇ!!本当に楽しいぜ!」
何故、ワイアルドはこうも未知の兵器を相手に余裕を保っていられるのだろうか。
理由は単純である、当たらないことを確信しているからである。

さて、彼の支給品は、3つ。
1つ目はほしふるうでわ、素早さを2倍にする装飾品である。
2つ目はドクンドクン細胞、全ての能力値を超上昇させる物体である。

以上の2つが彼の速さを銃弾見てから回避が余裕なほどのものに跳ねあげていた。
嗚呼、死に至る攻撃を放たれながらも、それを回避し続けるという興奮如何なものか。

「ヒャッハァ!」

彼の歓喜が全てを物語っている。
このまま飽きるまで、永遠にこの繰り返しが続けばいい、そんな感情すら湧き上がるワイアルドに対して放たれたのは、

弾丸ではなく、三菱GTOそのものであった。

当然、銃弾とは比べ物にならない程に巨体であれど、しかし、その速度は銃速に比べ、尋常でなく劣る。

故に、ワイアルドにとって回避するのは容易い。






だが、その中身はどうだ?


"だが、しかし、瞬殺できると思った相手にを未だ討ち倒せないことに彼女は────彼女は笑っていた"


笑う という行為は本来攻撃的なものであり 獣が牙をむく行為が原点である

479狩人 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/17(土) 22:18:21 ID:EcbGnDXQ0

疾走する三菱GTOの中からワイアルドの意表を突いて飛び出したレナは、
普段の三倍の速度で、ワイアルドに向かって駆け、
そしてグラップラー四天王最強のテッド・ブロイラーをも屠った手刀の連撃を叩き込む。

さて、何故銃撃をも避けるワイアルドを超える速さでレナは手刀をぶち込めたのだろうか、
何故その様なインフレが起こってしまったのだろうか。

SUMOUパワーである。
東洋の神秘SUMOU、そのマスターであるヨコヅナ。
レナのサブジョブ、レスラーはSUMOUレスラーとしてSUMOUマスターヨコヅナのオーラを纏い、己の能力を3倍にまで高めることが出来たのだ。

では、レナの速さが3倍になっただけで銃撃をも避けるワイアルドに追いつけるのだろうか。
大破壊最強クラスであるレナにとっては容易いことである。

即死必至の手刀が、ワイアルドを打ち抜いた。








飛び散った血液が
溢れだした臓物が

言葉よりも雄弁にワイアルドの死を物語っていた。


否、未だ彼は死に至ってはない。
だが、それも目前。

死が

逃れ得ぬ死が

再度、レナが手刀を構えた。





「俺はッ! 俺はッ! 死にたくなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいッ!!!!」

480狩人 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/17(土) 22:18:32 ID:EcbGnDXQ0



"さて、彼の支給品は、3つ。
1つ目はほしふるうでわ、素早さを2倍にする装飾品である。
2つ目はドクンドクン細胞、全ての能力値を超上昇させる物体である。"


そして3つ目────

レナが煙に巻かれた。

────ワイアルドは煙幕弾を使用した。
      ワイアルドは逃げだした。



逃げだした
逃げだした
逃げだした
逃げだした
逃げだした
逃げだした
己の命を護るために、
臓物を垂れ流し、全身から体液を漏らしながら、

最早、刺激も楽しさも無い。

無様に、ただ、彼は命が燃え尽きるまで逃げ出し、そして、彼は彼の救世主を発見した。









「ベヘリット…………」

彼の望む物が、目の前に存在する。
男の首に掛かっている。
構うものか
奪い取れ




さぁ!
ゴッドハンドを!

俺の命を救う御方を!呼び出せ!






何故だ!何も現れないッ!

481狩人 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/17(土) 22:18:43 ID:EcbGnDXQ0



捧げる者が

浮かばない




兄弟

友人

恋人

隣人

上司

部下

仲間

俺に何かいたか?

今の俺に何が或る?


俺は……俺は…………




刹那的な快楽と興奮



その果てに俺に何が残された?




俺は…………





     死にたく…………

482狩人 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/17(土) 22:18:54 ID:EcbGnDXQ0






それが最期

獲物の匂いを辿る

狩人の鼻からは逃れられない




パ ラ ラ ラ ラ ラ




「死にたく…………ねぇ………………」


ノラバルカンの音にてこの話は一時中断。


【ワイアルド@ベルセルク 死亡確認】

【エリアB-6/森林地帯/1日目/黎明】




【レナ@メタルマックス2:リローデッド】
【状態】健康
【装備】三菱GTO(前期型、改造済み、後述状態表に詳細)@現実+改造、黄金銃@真・女神転生
     銀の銃弾@真・女神転生、ムラマサ@LIVE A LIVE
【道具】基本支給品×2、やくそう*5@ドラゴンクエスト5
【思考】基本:自分の力で生き残る。
     1:戦車をより強力にするために、手っ取り早く心臓を集める。
【備考】女ハンター、サブジョブとしてレスラーをマスターしています。他のサブジョブは不明。

【三菱GTO@現実+改造】
【状態】装甲初期状態
【装備】穴1:ノラバルカン
     穴2〜5:未改造
     エンジン:ルドルフ
     Cユニット:ATストライク
【道具】なし
【備考】特殊弾は搭載できません。装備は全てMM2Rのものです。シャシー重量はスーパーカーと同等だと思っていただいて結構です。



【イウヴァルト@ドラッグオンドラグーン】
[状態]:軽傷、疲労小
[装備]:覇王の剣@真・女神転生Ⅰ、ベヘリット、アームターミナル(中身は空です、周囲が炎に包まれるまで装備はしていませんでした)
[道具]:基本支給品1式
[思考・状況]
基本行動方針:神の力を得て、フリアエに愛される。
[参戦時期]:三章 邂逅 第四節 無念の思い

483 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/17(土) 22:19:05 ID:EcbGnDXQ0
投下終了します

484名無しさん:2012/11/17(土) 23:23:18 ID:qw.mRlMk0
投下乙です
SUMOU……ワイアルドも屠るとは、流石だ

485名無しさん:2012/11/17(土) 23:36:14 ID:aIrmrkb60
でもほんと他の方のSSに惹かれて書いていたので……
カオスヒーローやミシカや男の子とか、他も皆ほんと好きでした!

486名無しさん:2012/11/17(土) 23:39:42 ID:aIrmrkb60
>>485 ラジオスレの誤爆しました。すみません

487 ◆IjAi4zEzDA:2012/11/18(日) 15:03:02 ID:lNy3wW4Q0
ソラ予約します

488 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/18(日) 15:05:23 ID:KOZp8ANU0
申し訳ないのですが、>>472で既に予約が入っています。

489 ◆IjAi4zEzDA:2012/11/18(日) 15:38:58 ID:lNy3wW4Q0
申し訳ない!

490名無しさん:2012/11/18(日) 20:33:16 ID:riGbMN4s0
ラジオ中は落ち着いて読めなかったのですが、改めまして投下乙でした!
ワイアルド……そうか、欲望のままに生きてきたから捧げられるほどの大切な人がいないんだよな。残当。
そしてレナさんが怖い。強力武器と能力があって油断も躊躇もないなんて全く負ける気がしないw

491 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/19(月) 15:25:09 ID:Z0qK0rNs0
他所のロワで死亡者名鑑に当たるところの死者物語というものを作ってみました。
修正点なりありましたら、どうぞ

492名無しさん:2012/11/19(月) 21:52:19 ID:66dqw32g0
投下&死者名鑑乙です!

まったくSUMOUパワーはタマんねぇなあ!
油断もカケラも何一つないレナさんマジパネぇっす。
これからまだ乱戦の空気が漂いますが……

そして死者名鑑。
OPのように淡々と、それでいてじっくりと描かれた末路達に感銘するばかりです。
本当に乙でした。

493名無しさん:2012/11/19(月) 22:19:48 ID:zkewgSE60
名鑑かっこいいなー。
ほぼ一話で落ちたようなキャラだけであんな風になるんなら終盤とかどんだけの物語になるんだろう、すごい楽しみ。

贄にするものが存在しないか。
ワイアルドが落ちること自体は想定内だったけどこんなふうに締めるとは思わなかったなー。
夢の中で贄の調整を誤った!とか暴発する勢いで贄にしてたのも今から見ると伏線っぽく見える……

494名無しさん:2012/11/21(水) 05:43:22 ID:.batNGB60
名鑑乙です!うわぁ……なんというか、すごいの一言。
SSとは少し違った切り口で語られる死者達の物語に、思わずはっとさせられました。
時にある皮肉めいた結論もまた、DODのウェポンストーリーらしい。

495 ◆TIENe3Twtg:2012/11/24(土) 16:21:51 ID:EDrJQSgY0
>>462の予約破棄します。どうにも上手いことキャラらしさが出せない……
長期間のキャラ拘束申し訳ありませんでした。

496名無しさん:2012/11/24(土) 17:47:51 ID:kKegEngw0
残念です…すごく見たかった……
もし完成したら是非

497名無しさん:2012/11/24(土) 17:59:41 ID:EDrJQSgY0
ありがとうございます、申し訳ない……
ゆりこになるかはわからないですが引き出し増やしてまた挑戦したいなぁ

498 ◆EKhCqq9jsg:2012/11/24(土) 19:33:24 ID:K36.fTog0
延長します

499 ◆qp1M9UH9gw:2012/11/24(土) 19:55:52 ID:UNesb6Z20
延長します

500名無しさん:2012/11/26(月) 18:18:27 ID:JJlJmZF20
ロウヒーロー、カイム、アリオーシュ、葉隠覚悟、キャスカを予約します。

501 ◆Cxilshz3Mg:2012/11/26(月) 18:18:42 ID:JJlJmZF20
トリップ忘れ

502 ◆Cxilshz3Mg:2012/11/26(月) 18:41:50 ID:JJlJmZF20
リュカ、追加します。

503名無しさん:2012/11/26(月) 19:30:36 ID:6wuCl/YQ0
うっほーい!

504名無しさん:2012/11/27(火) 01:32:31 ID:VMgr75a.0
大人数予約きたー!これは楽しみ。

505 ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 00:25:15 ID:attmctdk0
投下します。

506Himmlisch Atem ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 00:25:36 ID:attmctdk0
神はいる。
現に、自分を今試しているのだ。
腐りきった世を救う救世主としての素質があるかどうか。
自分にそれに相応しい技能があるかどうかを調べられている。
神から与え賜った鋼鉄の処刑車を駆使し、全てを裁くことが出来るか。
これは、試練なのだ。
どこか自分に言い聞かせるように、彼は二人の人影に狙いを定める。
裁きの雷が二つの螺旋から、無数に飛び出して行った。



突然の遭遇、それは最悪の遭遇。
どこかへ向かおうとするキャスカに惹かれるように、その歩みに合わせていた。
丁度その時、無数の雷が覚悟たちを襲ってきた。
幸い早めに反応することが出来たので、初撃を浴びることは避けられた。
しかし、避けれど避けれど雷は尽きることなく覚悟たちへ向かってくる。
覚悟一人ならともかく、キャスカを守りながら戦闘するには流石に部が悪い。
単騎ならば速攻も視野に入れていたのだが、その一瞬の間に無数の雷の一部が彼女を焼き払ってしまうだろう。
彼女を守りつつ、襲撃者を撃退する。
これを可能とする最善の手段を、覚悟は最短で弾き出す。
「ふんっ!」
絶えず襲い掛かる無数の雷に対し、キャスカの前に立ちふさがるように仁王立ちをし始めた。
一本、二本、三本、次々に襲い掛かる雷が覚悟の体へぶつかっていく。
その全てを受け止めながらも、覚悟は眉の一つも動かさない。
「ふん……ぬっ!!」
裁きの雷は絶えず打ち込まれる。
それらを全て受け止めながらも、覚悟は大の字を崩さない。
次第に体全体が光り輝き始め、全身が帯電し始める。
「おおおおおおおおっ!!」
そして、覚悟の光が一つの塊となった時。
一つの筋が、彼の体から飛び出した。

507Himmlisch Atem ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 00:25:49 ID:attmctdk0



神の雷に裁けぬものは無い。
分かってはいるというのに、何故こんなにも抵抗する者が多いのか。
神の雷に焼かれれば、裁きを受ければ。
神は全ての罪を許そうというのに。
自分が手を下すのはあくまで最終手段。
自分が裁いても、神は人の罪をお許しにならない。
神自身が与えたもうたこの雷で、裁かれる事によって人は許されるのだ。
愚かな人間の一人に、雷を打つ、雷を打つ。
裁くのは、全知全能の神なのだから。
自分はその力の一部を借りているだけ。
単なる神の代行人なのだから。
「さぁ、救われなさい!」
何度目かの引き金を引いたとき、彼の視界は白に染まった。



牙を持たぬキャスカを守りながら、キャスカの剣となる最善の方法。
覚悟が弾き出したのは「あえて雷を受ける」という事だ。
そして、この身に埋め込まれた零式鉄球へとその力を巡らせて行く。
無限に湧き出る雷の力を限界まで溜め込み、キャスカを守り続けていく。
そして、その雷が九つ其々にこの上なく溜まりきったとき。
体内にて零式鉄球を合体させ、全身の筋肉を鼓舞させながら勢いよくその弾丸を射出した。
無数の雷撃をかき消すように、零式鉄球が突き進んでいく。
そして、覚悟はその後を追うように即座に飛び跳ねていく。
巨大な穴をぽっかりと空けた戦車の元に辿り着き、息をつく間もなくその車体に触れ。
「超振動」
零式防衛術の内の一つの名を呟き、雷神と呼ばれた戦車を粉々に砕いていく。

がらがらと大きな粒になり、新緑の御神体が崩れる。
そして、次にさらさらと粉状に空を舞い始め。
かぶりと、肉がちぎれる音がした。

508Himmlisch Atem ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 00:26:18 ID:attmctdk0
















がぶり?














.

509Himmlisch Atem ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 00:26:55 ID:attmctdk0
キャスカは見た。
恐ろしい光景を。
キャスカは見た。
飛び交う雷達を。
キャスカは見た。
輝く一筋の光を。
キャスカは見た。
砕け行く鋼体を。
キャスカは見た。
吹き上がる血を。
キャスカは見た。

逃げろ、逃げろ、逃げろ。
あれは、見ていいものではない。
突然現れたアレは、恐ろしいものだから。
存在を察知される前に、逃げなくてはいけない。
逃げろ、逃げろ、逃げろ。
震える足を無理やり動かし、走る。
声にならない声が、腹の底から漏れる。
ただひたすらに、走る。

ふと、どこか覚えのあるような物が目に映る。
あまりにも大きすぎて、あまりにもぶ厚くて、あまりにも重くて、あまりにも大雑把すぎる鉄塊を。
そして、うっすらと思い出す。
何時も、傍であの鉄塊が守ってくれていたことを。
それを思い出してから、無意識の内にその鉄塊の方へ足が進む。
「あー」
そして助けを求めるような、一声は。
その鉄塊によって押し潰された。

510Himmlisch Atem ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 00:27:07 ID:attmctdk0



家族も何もかもを奪われ、その身をも"復讐"の刃に変えた一人の復讐者。
その身に宿した"復讐"を滲ませないように。
その身に宿した"復讐"を忘れないように。
その身に宿した"復讐"を消さないように。
この地でも、憎き人間を殺す。
"復讐"は建前だ、それは分かっている。
本当は人が殺したくて殺したくてたまらないだけである。
だが、"復讐"を誓わねば刃を振るう理由が無くなる。
刃を振るう理由が無くなれば、この快楽に溺れることも出来なくなる。
それは、困る。
だから"復讐"を忘れてはいけない。
だから"復讐"を成し遂げてはいけない。
だから"復讐"を刻み付けるように。
カイムは、鉄塊を振り下ろす。
己に、刻み込むように。

ぐしゃりと肉が潰れる音がする。
ぱきりと骨が砕ける音がする。
どろりと血と脳漿が飛び散る。

ああ、これだ。
この体を埋め尽くしていく快楽。
人が人でなくなっていく光景。
この手で命を奪っていく感触。
この感覚が忘れられないから。
"復讐"はやめられない。

だが、そんな気持ちのいい酔える時間も。
あるものを見て、一気に冷める。

511Himmlisch Atem ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 00:27:30 ID:attmctdk0



復讐なんて、したくない。
この心から湧き上がる、殺せるんだという気持ちを殺したい。
こんな黒い感情に支配されるなんて、真っ平ゴメンだ。
だから、終わらせる。
この身に宿した"復讐"を滲ませるために。
この身に宿した"復讐"を忘れるために。
この身に宿した"復讐"を消し去るために。
全ての感情の大本を断ち切るために、全てを殺す。
コレは復讐ではない、防衛だ。
いつか見た美しき日々達を"復讐"で汚さないために。
どんな建前を使ってでも、人を殺す。
しかし、防衛の為に人を殺すということは。
殺人の快楽に身を染めるということでもある。
"復讐"の快感、それに身を汚さないために人を殺す。
どこまで感情を押し殺せるか、分かったものではない。
何時しか殺人を"復讐"に置き換えてしまうかもしれない。
それは、困る。
だから"復讐"を忘れる。
だから"復讐"を消し去る。
だから"復讐"を吐き出す。
リュカは、足を進める。
己に、刻み込ませないように。

鉄塊を抱えながら上半身と下半身に引き裂かれた人間を見て思う。
何の情もわかない、何の気もわかない。
足で踏みつけてみても、なんら思うことは無い。
そうだ、それでいい。
無を保てば、"復讐"など思うことも無い。
人を殺しながらも、何も抱かない。
それでいい、それでいいのだ。
それで、救われるのだから。

永遠とも思えるその葛藤の時間。
それも、あるものを見て一気に現実へ引き戻される。

512Himmlisch Atem ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 00:27:57 ID:attmctdk0







はじめのばしょでみたはねのはえたいきものは、おいしかった。
でも、はらもちがすごくわるくてすぐにおなかがすいてしまった。
たべてもたべても、おなかがすいてしまう。
これじゃだめだとおもって、あるきだした。
かばんにはいってたひとつぶのじょうざいをのみこむ。
くろいかみのおにんぎょうさんですこしだけあそんでから、ごはんをさがしにいく。
いまはまだいいけど、すぐにおなかがすいてしまうから。
やっぱりにんげんをたべないと、いけないなあ。
おなかがやっぱりはやくすいてくる。
あしがふらついてきて、うまくあるけない。
こまったなあ、こまったなあ。
でも、ちょうどいいところににんげんがいた。
まよってるばあいじゃない、いっしゅんでくびもとにとびつく。

がぶり。

なんだかいつもよりちからのでるあごをつかって、のどぶえ(だっけ?)をかみきる。
くちのなかにちのあじがひろがって、ぐにぐにとしたおにくのだんりょくをあじわう。
うーん、やっぱりこれだね。
そのままとびついたいきおいをいかして、りょううででくびをひきちぎる。
どすんと、たおれこんだとき。
びくびくとうごく、おとこのこのからだがあった。
やった、これだ。
これをまっていたんだ。
もう、がまんできない

「ごちそう、いっぱい!」

ばり、むしゃ、ばり、がり、むしゃ、ごくん。

むしゃ、ばり、がり、ごきゅ、ぶち、むしゃ。

ぶちぶち、がりっ、ばり、ぱきっ、ごくん。



ああ。

おいしいなあ。

513Himmlisch Atem ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 00:28:28 ID:attmctdk0

【葉隠覚悟@覚悟のススメ 死亡】
【キャスカ@ベルセルク 死亡】
【ロウヒーロー@真・女神転生 死亡】
※覚悟の支給品は放置されています。

【ゲパルト(ゲパルトヘクセS)@メタルマックス2:リローデッド 崩壊】
※粒子レベルまで分解されたので復元は不能だと思われます

【C-2/中央部/1日目/黎明】
【リュカ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:ダメージ小、魔力消費大
[装備]:アームターミナルC(空)、斬車刀@MM2R
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2、ギガスマッシャー@真・女神転生、メデューサの弾@真・女神転生
[思考・状況]
基本行動方針:情が湧く前に全員を殺し、元の世界に帰還する
1:愕然
[参戦時期]:石化直後

【カイム@ドラッグオンドラグーン】
[状態]:健康
[装備]:ドラゴンころし@ベルセルク
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜4
[思考・状況]
基本行動方針:生き残り復讐する
1:レッドドラゴンを探す
[備考]
会場内のどこかに、カイムと契約したレッドドラゴンが身動きの取れない状態でいます。
契約相手同士以外の“声”の伝達に制限がかかっています。

【アリオーシュ@ドラッグオンドラグーン】
[状態]:ゲドーピングタブ適用中
[装備]:不明
[道具]:基本支給品*1、コーラたん@MM2R、サラマンダーとウンディーネ
[思考・状況]
基本行動方針:食事
[参戦時期]:契約以降



以上で投下終了です。
何かありましたら、どうぞ。

514名無しさん:2012/11/28(水) 01:10:44 ID:1hcMVsKY0
乙!
ああ、復讐者共を現実に戻させるアリオーシュは流石だなぁ
物語が加速していく気配を感じた

515名無しさん:2012/11/28(水) 02:12:55 ID:pWhd08VE0
6人を巻き込んだ大乱戦でしたが、予想をはるかに超えて一気に落ちたなぁ。
結局牙持たぬ人を守りきれず、今まで守ってくれたものに斬られ、救世主の最期が食人とはなんたる皮肉。
復讐を意識している二人に+一人、まだまだ大変そうだ。
投下乙でした。

ただ1点、申し上げにくいのですが……覚悟の参戦時期の「腑露舞撃破、零奪還直後」だと
ボルト戦で零式鉄球を使い果たした後で体内に埋まってないはずなので、その点だけ気になりました。

516名無しさん:2012/11/28(水) 02:55:41 ID:pWhd08VE0
すみません、死因読み違えているかも……
ロウヒーローがゲパルトに巻き込まれてで、食べられているのは覚悟でしょうか?

517 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/28(水) 11:30:41 ID:eAp3FK2k0
投下乙です。

>>515でも指摘された、零式鉄球の件だけ修正していただくと幸いです。

以下感想
か、覚悟って死ぬんd


序盤の熱闘から、がぶりに始まる連続した皮肉の様な悲劇の連続、
復讐に対して相対する思いを抱きながら、
アリオーシュという狂人に対して両者とも似た感情を引き起こされるという構成が何とも面白い。

そしてマーダー数がとうとう、対主催数を超える!
対主催に未来はあるのか?

改めて投下乙でした!

518 ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 15:21:13 ID:RChT9fI.0
指摘ありがとうございます、完全に記憶ミスでした。
覚悟の体内から発射される零式鉄球を零式鉄球装着砲による砲撃ということで修正することにします。
一部描写と、大玉前提で描写していた箇所の修正が数箇所あるので、これより修正稿の投下をはじめたいと思います。

519Himmlisch Atem(修正) ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 15:22:17 ID:RChT9fI.0
神はいる。
現に、自分を今試しているのだ。
腐りきった世を救う救世主としての素質があるかどうか。
自分にそれに相応しい技能があるかどうかを調べられている。
神から与え賜った鋼鉄の処刑車を駆使し、全てを裁くことが出来るか。
これは、試練なのだ。
どこか自分に言い聞かせるように、彼は二人の人影に狙いを定める。
裁きの雷が二つの螺旋から、無数に飛び出して行った。



突然の遭遇、それは最悪の遭遇。
どこかへ向かおうとするキャスカに惹かれるように、その歩みに合わせていた。
丁度その時、無数の雷が覚悟たちを襲ってきた。
幸い早めに反応することが出来たので、初撃を浴びることは避けられた。
しかし、避けれど避けれど雷は尽きることなく覚悟たちへ向かってくる。
覚悟一人ならともかく、キャスカを守りながら戦闘するには流石に部が悪い。
単騎ならば速攻も視野に入れていたのだが、その一瞬の間に無数の雷の一部が彼女を焼き払ってしまうだろう。
彼女を守りつつ、襲撃者を撃退する。
これを可能とする最善の手段を、覚悟は最短で弾き出す。
「ふんっ!」
絶えず襲い掛かる無数の雷に対し、キャスカの前に立ちふさがるように仁王立ちをする。
そして素早く支給されていた「零式鉄球装着砲」を構える。
両足を地に着け狙いを済ませる覚悟の身に、一本、二本、三本、次々に雷が覚悟の体へ襲い掛かる。
その全てを受け止めながらも、覚悟は眉の一つも動かさない。
「ふん……ぬっ!!」
裁きの雷は絶えず打ち込まれる。
それらを全て受け止めながらも、覚悟は大の字を崩さない。
受け止めた雷の力を殺さず、己の体を導体として装着砲へと吹き込んでいく。
「おおおおおおおおっ!!」
覚悟の全身から目を覆うほどの眩い光が放たれたとき。
数本の光の筋が、飛び出した。

520Himmlisch Atem(修正) ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 15:22:35 ID:RChT9fI.0



神の雷に裁けぬものは無い。
分かってはいるというのに、何故こんなにも抵抗する者が多いのか。
神の雷に焼かれれば、裁きを受ければ。
神は全ての罪を許そうというのに。
自分が手を下すのはあくまで最終手段。
自分が裁いても、神は人の罪をお許しにならない。
神自身が与えたもうたこの雷で、裁かれる事によって人は許されるのだ。
愚かな人間の一人に、雷を打つ、雷を打つ。
裁くのは、全知全能の神なのだから。
自分はその力の一部を借りているだけ。
単なる神の代行人なのだから。
しかし、目の前の人間は裁かれることを良しとしない。
それならば、神の雷をひたすらに打ち込むだけ。
神の雷を受けて、立ち続けていられる人間などいないのだから。
「さあ! 懺悔なさい!」
そう叫びながら、何度目かの引き金を引いたとき。
救いをもたらすかのような光が、彼の視界に飛び込んできた。

激痛。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
馬鹿な、なんだというのだ。
胸が、腕が、足が、全てが痛い。
痛くて痛くて全身が引き裂かれそうだ。
あの光を見てから、あの白く輝く光を見てから痛い。
神はお怒りだというのだろうか、自分が神の名を騙って"裁いて"いたことを。
では、なぜ神はこの戦車を与え給うたのか。
わからない、わからない、わからない……。

答えは、見つからない。



牙を持たぬキャスカを守りながら、キャスカの剣となる最善の方法。
覚悟が弾き出したのは「あえて雷を受ける」という事だ。
そして、支給された零式鉄球装着砲へと電力を巡らせて行く。
無限に湧き出る雷の力を限界まで溜め込みながら、キャスカを守り続けていく。
そしてその雷がこの体に最大限まで溜まりきったとき、引き金を素早く引き鉄球を数発射出した。
無数の雷撃をかき消すように、零式鉄球が突き進んでいく。
そして覚悟は装着砲をその場に投げ捨て、その後を追うように即座に飛び跳ねる。
小さな穴を数点空けた戦車の元に辿り着き、息をつく間もなくその車体に触れ。
「超振動」
零式防衛術の内の一つの名を呟き、雷神と呼ばれた戦車を粉々に砕いていく。

がらがらと大きな粒になり、新緑の御神体が崩れる。
そして、次にさらさらと粉状に空を舞い始め。
襲い掛かる危害を全て排除し終えたとき。

かぶりと、肉がちぎれる音がした。

521Himmlisch Atem(修正) ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 15:22:51 ID:RChT9fI.0
















がぶり?














.

522Himmlisch Atem(修正) ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 15:23:03 ID:RChT9fI.0
キャスカは見た。
恐ろしい光景を。
キャスカは見た。
飛び交う雷達を。
キャスカは見た。
輝く一筋の光を。
キャスカは見た。
砕け行く鋼体を。
キャスカは見た。
吹き上がる血を。
キャスカは見た。

逃げろ、逃げろ、逃げろ。
あれは、見ていいものではない。
突然現れたアレは、恐ろしいものだから。
存在を察知される前に、逃げなくてはいけない。
逃げろ、逃げろ、逃げろ。
震える足を無理やり動かし、走る。
声にならない声が、腹の底から漏れる。
ただひたすらに、走る。

ふと、どこか覚えのあるような物が目に映る。
あまりにも大きすぎて、あまりにもぶ厚くて、あまりにも重くて、あまりにも大雑把すぎる鉄塊を。
そして、うっすらと思い出す。
何時も、傍であの鉄塊が守ってくれていたことを。
それを思い出してから、無意識の内にその鉄塊の方へ足が進む。
「あー」
そして助けを求めるような、一声は。
その鉄塊によって押し潰された。

523Himmlisch Atem(修正) ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 15:23:13 ID:RChT9fI.0



家族も何もかもを奪われ、その身をも"復讐"の刃に変えた一人の復讐者。
その身に宿した"復讐"を滲ませないように。
その身に宿した"復讐"を忘れないように。
その身に宿した"復讐"を消さないように。
この地でも、憎き人間を殺す。
"復讐"は建前だ、それは分かっている。
本当は人が殺したくて殺したくてたまらないだけである。
だが、"復讐"を誓わねば刃を振るう理由が無くなる。
刃を振るう理由が無くなれば、この快楽に溺れることも出来なくなる。
それは、困る。
だから"復讐"を忘れてはいけない。
だから"復讐"を成し遂げてはいけない。
だから"復讐"を刻み付けるように。
カイムは、鉄塊を振り下ろす。
己に、刻み込むように。

ぐしゃりと肉が潰れる音がする。
ぱきりと骨が砕ける音がする。
どろりと血と脳漿が飛び散る。

ああ、これだ。
この体を埋め尽くしていく快楽。
人が人でなくなっていく光景。
この手で命を奪っていく感触。
この感覚が忘れられないから。
"復讐"はやめられない。

だが、そんな気持ちのいい酔える時間も。
あるものを見て、一気に冷める。

524Himmlisch Atem(修正) ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 15:23:25 ID:RChT9fI.0



復讐なんて、したくない。
この心から湧き上がる、殺せるんだという気持ちを殺したい。
こんな黒い感情に支配されるなんて、真っ平ゴメンだ。
だから、終わらせる。
この身に宿した"復讐"を滲ませるために。
この身に宿した"復讐"を忘れるために。
この身に宿した"復讐"を消し去るために。
全ての感情の大本を断ち切るために、全てを殺す。
コレは復讐ではない、防衛だ。
いつか見た美しき日々達を"復讐"で汚さないために。
どんな建前を使ってでも、人を殺す。
しかし、防衛の為に人を殺すということは。
殺人の快楽に身を染めるということでもある。
"復讐"の快感、それに身を汚さないために人を殺す。
どこまで感情を押し殺せるか、分かったものではない。
何時しか殺人を"復讐"に置き換えてしまうかもしれない。
それは、困る。
だから"復讐"を忘れる。
だから"復讐"を消し去る。
だから"復讐"を吐き出す。
リュカは、足を進める。
己に、刻み込ませないように。

これからどんな人間を殺そうと、何の情もわかない、何の気力もわかない。
足で踏みつけてみても、なんら思うことは無い。
そうだ、それでいい。
無を保てば、"復讐"など思うことも無い。
人を殺しながらも、何も抱かない。
それでいい、それでいいのだ。
それで、救われるのだから。

永遠とも思えるその葛藤の時間。
それも、あるものを見て一気に現実へ引き戻される。

525Himmlisch Atem(修正) ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 15:23:37 ID:RChT9fI.0








はじめのばしょでみたはねのはえたいきものは、おいしかった。
でも、はらもちがすごくわるくてすぐにおなかがすいてしまった。
たべてもたべても、おなかがすいてしまう。
これじゃだめだとおもって、あるきだした。
かばんにはいってたひとつぶのじょうざいをのみこむ。
くろいかみのおにんぎょうさんですこしだけあそんでから、ごはんをさがしにいく。
いまはまだいいけど、すぐにおなかがすいてしまうから。
やっぱりにんげんをたべないと、いけないなあ。
おなかがやっぱりはやくすいてくる。
あしがふらついてきて、うまくあるけない。
こまったなあ、こまったなあ。
でも、ちょうどいいところににんげんがいた。
まよってるばあいじゃない、いっしゅんでくびもとにとびつく。

がぶり。

なんだかいつもよりちからのでるあごをつかって、のどぶえ(だっけ?)をかみきる。
くちのなかにちのあじがひろがって、ぐにぐにとしたおにくのだんりょくをあじわう。
うーん、やっぱりこれだね。
そのままとびついたいきおいをいかして、りょううででくびをひきちぎる。
とびついたいきおいで、じめんにどすんとそのままたおれこんだとき。
びくびくとうごく、おとこのこのからだがあった。
ちょっととおくには、がれきをかぶったおとこのしたいもある。
てまえのおとこのこのむねに、いつもよりちからのでるてをつきさしてあるく。
そして、おくでがれきにうもれているおとこのこをひきずりだす。
めのまえには、ふたりのおとこのこ。
やった、これだ。
これをまっていたんだ。
もう、がまんできない。


「ごちそう、いっぱい!」

ばり、むしゃ、ばり、がり、むしゃ、ごくん。

むしゃ、ばり、がり、ごきゅ、ぶち、むしゃ。

ぶちぶち、がりっ、ばり、ぱきっ、ごくん。



ああ。

おいしいなあ。

526Himmlisch Atem(修正) ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 15:24:25 ID:RChT9fI.0

【葉隠覚悟@覚悟のススメ 死亡】
【キャスカ@ベルセルク 死亡】
【ロウヒーロー@真・女神転生 死亡】
※覚悟の支給品、零式鉄球装着砲@覚悟のススメ、斬車刀@MM2R、ギガスマッシャー@真・女神転生、メデューサの弾@真・女神転生
 以上の物資が付近に放置されています。

【ゲパルト(ゲパルトヘクセS)@メタルマックス2:リローデッド 崩壊】
※粒子レベルまで分解されたので復元は不能だと思われます

【C-2/中央部/1日目/黎明】
【リュカ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:ダメージ小、魔力消費大
[装備]:アームターミナルC(空)
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:情が湧く前に全員を殺し、元の世界に帰還する
1:愕然
[参戦時期]:石化直後

【カイム@ドラッグオンドラグーン】
[状態]:健康
[装備]:ドラゴンころし@ベルセルク
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜4
[思考・状況]
基本行動方針:生き残り復讐する
1:愕然
2:レッドドラゴンを探す
[備考]
会場内のどこかに、カイムと契約したレッドドラゴンが身動きの取れない状態でいます。
契約相手同士以外の“声”の伝達に制限がかかっています。

【アリオーシュ@ドラッグオンドラグーン】
[状態]:ゲドーピングタブ適用中
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、コーラたん@MM2R、サラマンダーとウンディーネ
[思考・状況]
基本行動方針:食事
[参戦時期]:契約以降



以上で修正原稿投下終了です。
ご迷惑をおかけいたしました。

527 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/28(水) 15:32:46 ID:eAp3FK2k0
通しで大丈夫だと思います。

528 ◆Cxilshz3Mg:2012/11/28(水) 15:34:46 ID:RChT9fI.0
了解です、ありがとうございます。

あ、零式鉄球装着砲は零式鉄球を装着したときのアレですね。
あの、ガトリングガンみたいなやつ。
名前がなかった(と思う)んで適当に付けました。

529 ◆w3jhWtfiTI:2012/11/29(木) 21:33:17 ID:Ff43hDyg0
修正お疲れ様です。この死は他の参加者に与える影響が大きそうですね……。

自己リレー多くなってしまいますが
ザ・ヒーロー、パパス、セエレ、ストレイボウ 予約します。

530名無しさん:2012/11/29(木) 21:36:06 ID:FGfIQevo0
予約KITA!!!!!!!!!!!

531名無しさん:2012/11/29(木) 21:41:27 ID:Okc4MXDE0
すっげえところ狙うなぁw
wktk

532名無しさん:2012/11/29(木) 22:21:54 ID:hsnQhK4g0
wktk!

533 ◆Cxilshz3Mg:2012/11/30(金) 00:59:12 ID:BWpLd6UU0
ミシカ、カリョストロ、アリス、カオスヒーロー予約します

534 ◆TIENe3Twtg:2012/11/30(金) 04:20:28 ID:rWVhk3IA0
やばい、書けるところがなくなるw
魔神竜之介とロシーヌ予約お願いします。

535名無しさん:2012/11/30(金) 12:11:43 ID:IyzzPdzc0
予約ラッシュキターーーーー!!

536 ◆fRBHCfnGJI:2012/11/30(金) 12:14:48 ID:IyzzPdzc0
オルステッド、ベン(バズズ)、ベン3を予約します

537 ◆EKhCqq9jsg:2012/11/30(金) 16:00:39 ID:GyPqBSIw0
ソラとゲマ投下します。

538龍?好 ◆EKhCqq9jsg:2012/11/30(金) 16:02:08 ID:GyPqBSIw0
 ソラがサイファイを疾らせて幾分時が経ったであろうか。
 もう本人も何分経ったか覚えていない。
 とにかく、それくらい長い時間の間、ソラは運転を続けていた。
 
 最初は何もわからなかったが、こう長い間乗っていれば操作の仕方は食事のマナーよりも簡単。
 今では自由に動かせるほど相棒となりつつあった。
 これは誰でもとは決して言えない。
 ソラだからこんなにも短時間で相棒にできるのである。
 幼い頃から努力に努力を重ねた結果、小さな体からは想像できない戦う術や知識を備えている。
 だから乗り物なんかに遅れを取るようなことはないのだ。
 
 そんな相棒と共に行動している。
 だがあのタケダカンリューと名乗っていた人物に会ってから長いこと経つものの一向に他の人に会えない。
 ならば方向転換でもするか。
 とソラは簡単にサイファイの疾らせる向きを変える、その方向に誰か居ることを信じて。
 
 ソラはとにかく誰かと会いたかった。
 何故か、ソラは隣に誰かが居たほうが強くなれるからだ。
 もちろん彼女自身が後衛的役割である魔法の心得のほうが、体術より優っていることも理由の一つ。
 しかしそれだけじゃない、ソラは生まれてこの方一人で戦う、いや一人でいた事すら無いのだ。
 いつも隣に家族や仲間がいた。暖かく柔らかくソラを見守っていてくれた。

 彼女にとって一番力を出せるのが信頼出来る誰かといるとき。
 しかし彼女は今それを得てはいない。
 故に彼女は今、追い詰められている。
 この殺し合いを打破するために必要であるものが得ていないのだから。
 
 そしてその孤独であることがソラの精神を衰弱させているとは今は誰も、ソラ自体も予期していない。

539龍?好 ◆EKhCqq9jsg:2012/11/30(金) 16:03:30 ID:GyPqBSIw0
 ☆ ☆ ☆
 
 古代遺跡から南に進み、地平線まで続く海が見えるそんな場所。
 そんな場所から何か細長い棒をぶうんと振った音が延々と聞こえてくる。
 
 振る振る振る振る降る振る。
 杖を振る。
 ドラゴンの杖をただ振る。
 
 杖はつくだけものか。
 いいや、古の時代からつく以外のものとして使われていた記述は幾つもある。
 それに木の棒が全て杖と呼べるのなら、クリケットのバットなども杖だ。
 だから振ることは何も間違ってはいない。
 
 杖を縦に振る、脳天から叩きつける練習か。
 いいや、杖では脳みそは飛びださない。
 杖を横に振る、脇腹からぶっ飛ばす練習。
 いいや、杖では力不足感は否めない。
 杖斜めに振る、肩からぶちのめす練習。
 いいや、杖では袈裟斬りはできない。
 
 杖は武器にならない?
 いいや、練習すれば武器になる。
 
 だから杖を振る。
 
 振る
 
 振る振る振る振る振る振
 
 振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る
 
 振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る
 
 振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る
 振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る
 振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る
 振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る
 振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る
 振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る
 振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る
 振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る
 振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る
 振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る
 振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る
 振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る
 振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る
 振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る
 振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る
 振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る
 振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る振る振る振る振る降る振る
 振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る振る
 
 
 
 
 振る
 
 
 
 
 振った数、3万回を遥かに超える。
 実に2時間、ただ一心に振り続けた。
 
「ほっほっほ…… 流石に疲れましたねえ……」

540龍?好 ◆EKhCqq9jsg:2012/11/30(金) 16:04:05 ID:GyPqBSIw0
 流石の大魔導師ゲマと言えど休憩無しで振り続けるのキツイか。
 海風に煽られながら、一人呟く。
 
 ゲマは武道家か。
 違う、その対に値する魔術師だ。
 ならば何故魔術を生かさない。
 いいや生かしたい、だけど生かさない。
 何故か。
 
 リュカ一味に負けた。
 負け理由は数あれど、一番は己の能力の過信であろう。
 ゲマは呪文に頼りに頼り、頼り続けた。
 それで大抵のことは済んでしまう。 
 だから他には拘らなかった。
 
 けれども今回は拘ることにした。
 呪文だけでは勝てぬのなら、手数を増やせばいい。
 魔力が切れたら、武力で討ち破ればいい。
 
 だから杖を振るのだ。
 どの構えが一番なのか。
 どの叩きつけ方が最優なのか。
 どの振りぬき方がベストなのか。
 
「ほっほっほ。 ですが休んでいる暇などありません」
 
 夜の闇に静かに波の音が流れる。
 その音を聞きながらゲマは静かに素振りを続ける。
 
 
 さらに時間が経つこと二時間。
 太陽がうっすらと顔を出した。
 
「これで…… 完成です」
 
 鞄のボトル水を全て飲み干し、清々しい顔を浮かべている。
 完成。
 そう完成したのだ。
 このドラゴンの杖を最も強く、そして己の武力を示すことが出来る型(フォーム)を。
 
 ゲマはもう一度己の型を取るため呼吸を整える。
 ドラゴンの杖を体の正面でゆったりと構える。
 まるで日本の神社に仕える神主がお祓い用をするようなそんな姿形。
 一種の神々しさそ匂わせるが、ゲマの全身はリラックスしている。
 そんな姿から、力強く、速く、ドラゴンの杖を振る。

541龍?好 ◆EKhCqq9jsg:2012/11/30(金) 16:04:46 ID:GyPqBSIw0
 迫力、攻撃力、そして振りぬいた後の隙の無さ。
 3つの部門の王は狙える圧倒的な力。
 そんな完璧な姿形をゲマは会得したのだ。
 執念か、運命か、それとも偶然か。
 ともあれ得たのだ、ゲマは呪文以外に頼る方法を。
 
「疲れましたねえ…… 本当に疲れました…… っと、おやぁ……?」
 
 朝日が差し込んだ海岸地域に、慌ただしい駆動音が響く。
 目覚ましには丁度いい。
 然れどもゲマは逆である、即ち今すぐ休みたい。
 音を無視して睡眠をとってもいいのかもしれない。
 
 でもその選択をとらなかった。
 なにせゲマの耳に響いたその出処の主が、実に興味深い。
 興味深い興味深い。
 興味深い、が、向こうはどうも芳しくなさそうだ。
 
 音はゲマへ向かって近づく。
 近づくに連れて相手の顔が見えてくる。
 
 相手は嫌悪感を浮かべている。
 実に正しい反応だ。
 
 そんな音の主を見つめながら、三冠の型で受け止めるゲマ。
 そのゲマの姿を見て、音の主━━ソラ━━はゲマの目の先数メートル前で静かに停車する。
 
☆ ☆ ☆ 
 
 ああ、何故この少女は災難に巻き込まれるのだろうか。
 今のゲマの姿を、志を知らぬものなら誰しもが思うこと。
 体調は優れない、恩人を見捨てる、変なのには絡まれる。
 幾分長い間サイファイを走らせていたにも関わらず誰にも遭遇できない。
 いや会えたものの怨敵と出会ってしまう。
 
 ソラの心は、大きくぶれる。
 純粋な心は消え、全てを放棄せざるを得ない、そんな圧力に屈する。
 
「ほっほっほ…… お嬢さん、久方ぶりですねえ……!」

542龍?好 ◆EKhCqq9jsg:2012/11/30(金) 16:05:02 ID:GyPqBSIw0
 怨敵が何かほざいている。
 彼女は心のなかで愚痴る
 うるさい黙れ。
 黙れ。
 頭に響く、
 と。
「お嬢さん、いや、リュカの娘のソラお嬢さん。
 たしかに今までの私はあなた方の多大なる敵!
 貴方にとっての祖父母を殺し、貴方を5年間もの間寂しい目に合わせたその化物に過ぎません!
 ですが今の私は当時のあなた方同じ駒!
 好き放題動かし、汚れたらゴミ箱へ捨てられる存在!
 そんな愚かな駒なのです!!!
 だから私はそんな駒として、貴方と一緒に行動することを望みます!
 あなたの力と私の力、呪文を軸にした戦い方は実に似ている!
 お互いがお互いの欠点を述べ合い、指摘し合えば!
 ほっほっほ!
 私たちに敵は無くなります!」
 
 ソラにとっては痛ましく、悩ましい言葉を目の先の怨敵は言い放ってきた。
 なに?
 なんだって?
 こいつはなんだって?
 
 一緒に行動する?
 父の仇敵を?
 諸悪の根源を?
 
 ふざけるな
 ふざけるな
 ふざけるな
 
 ソラの心には、否定の言葉しか浮かんで来なかった。
 
「黙れ……」

「ほっほっほ!
 だまりませんよ!
 私が黙ったところでこの殺し合いは終わりません!
『恐怖』から逃れることはできません!
 あなたのその傷、とても叶わぬ相手から逃げきてきたのでしょう?
 でももう大丈夫! 私が貴方を守って見せます!」
 
「黙れ……!」
 
 目先の化物、ゲマが世迷言を語りかけていく。
 いくら仇敵とはいえ、ソラは話を一切聞かずに一方的に吐き散らすような娘ではない。
 どんな話もきちんと聞いてくれるあの父の子である。
 だけども今のソラにはそれができない。
 
 原因は幾つかある。

543Dragon Hello ◆EKhCqq9jsg:2012/11/30(金) 16:05:47 ID:GyPqBSIw0
 いきなり襲われたこと。
 命を救われたことも。
 タケダ・カンリューなどと名乗った意味不明なことしか言わない男と合流したことも。
 その後誰とも合流できなかったことも。
 怨敵が戯言を言ってきことも。
 
 そんな彼女を惑わす多くの出来事が、まるで癌のように彼女の心を蝕んでいった。
 
「貴方も誰かを殺すことは嫌でしょう?
 なぜならリュカの娘なのですから!
 リュカは決してこの様な殺し合いは許さないでしょう!!
 だから今の私はリュカと同じ! そう同じなのです!!」
 
 ソラのイライラは止まらない。
 お前が、父上と一緒のはずがない。
 いくら善行に励もうが、いくら殺し合いを否定しようが、お前が父上と一緒のワケがない。
 だからこれ以上父上の名を出すな。
 
 
 黙れ
 
 黙れ
 
 黙れ
 
 黙れ
 
 黙れ
 
「黙れええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 
         そして
 
 ソラは     ついに      キレた
 
 
 恐れも罪悪感も嫌悪感も寂しさもそして怒りも。
 全ての負の感情が超越してしまった。
 彼女は彼女自身の内部から負の感情しか生み出せなくなっていた。
 
 そんなソラの目からは、血の涙が出ていた。
 
 
 
 
 そしてソラは 
 
 
 
 
 異形
 
 
 に
 
 なった。
 
☆ ☆ ☆

544Dragon Hello ◆EKhCqq9jsg:2012/11/30(金) 16:06:06 ID:GyPqBSIw0
 
「ほっほっほ……! ここまで拒絶されるのは少し悲しいですねえ……!
 ですがこの力は…… ひょっとしてミルドラース様も凌駕するかもしれませんねえ……!」
 
 リュカの娘、ソラが突如として雄叫びを上げる。
 その叫びに思わずゲマは竦んでしまった。
 だがそのことよりも、その後のことが彼の興味を全て奪ってゆく。
 
 ソラの全身が光りに包まれ、その光は上空へ高く舞い上がり
 そして分散し隆々とした物を造り出す。
 
 その姿、ドラゴン。
 元々の姿が純情可憐な女の子とは信じられぬ程の荒々しくそして質実剛健なドラゴン。
 ゲマの体に震えが走る。
 勃興する感情。
 恐怖。
 ミルドラース様の力を見た時よりも激しい恐怖。
 そんな恐怖。
 でも、なんとも気分のいいことだろう。
 やっぱりリュカは偉大だと、ゲマはさらに己の中にいるリュカを褒め称える。
 
「リュカ…… あなた方はミルドラース様に敗れたと思っていましたが!
 撤回いたしますよ! 娘がこれほどの力を持つことが出来るのなら! 貴方一人でもミルドラース様を倒すことが出来るでしょう!
 貴方はやはり素晴らしい! いったい娘に! どれほどの! 試練を! 与えたのですか!?」
 
 目の先の龍がゲマに向かい爪で切り払う。
 無論怒りに身を任せての一撃はそうは食らわない。
 
「しかし…… それでも私の考えは変わりません!
 そんな力を持っていても! 孤島に放り込ませる力を黒幕は持っている!
 恐らく! これは貴方ほどの力を持ってしても! 打ち破れまいでしょう!!
 だから私は! リュカッ! 貴方よりも速く! 真の黒幕を打ちのめしてみせましょう!
 それやってこそ……! 貴方を超えられるのですッ!」
 
「だからまずは! そこにいるあなたの娘を! 私の所有物とする!
 話を理解できないなら理解できないで結構!!
 私は娘を奴隷とさせて頂きますよ!」
 
 ゲマの決心。
 それはリュカを超えること。
 ミルドラースをも超えるリュカを超えること。
 
 だから、そのリュカから娘を奪う。
 奪って従わす。
 それが打破の一歩となり、リュカを超える道のある。
 
「ほっほっほ! かかってきなさい!
 私の夢のために! リュカをこえるために!」
 
 杖を構えたゲマの顔は、明るい。

545Dragon Hello ◆EKhCqq9jsg:2012/11/30(金) 16:06:52 ID:GyPqBSIw0
【エリアF-7/東側海岸/1日目/早朝】
 
【ゲマ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康 疲労感中  ドラゴラム
[装備]:ドラゴンの杖
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本行動方針:この殺し合いを破壊し、黒幕を撃破し、リュカを超える。
[参戦時期]:死亡後
1:リュカの娘を止め、奴隷にする。

 ※神主打法を会得しました。

【ソラ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
【状態】顔と膝を負傷、バイキルト、ドラゴラム中 情緒不安定
【装備】爪爪爪 
【道具】基本支給品、不明支給品(1〜3) サイファイ@MM2R
【思考】冷静にはなれたが、やっぱり家族に会いたい
1:ぶちのめす。

※移動中に誰かに目撃されたかもしれません。

546 ◆EKhCqq9jsg:2012/11/30(金) 16:07:50 ID:GyPqBSIw0
以上で投下終了です。
タイトルは中国語だと表記されないっぽいので『Dragon Hello』でお願いします。

547名無しさん:2012/11/30(金) 16:08:05 ID:jAOwrdak0
乙です!

548名無しさん:2012/11/30(金) 18:14:53 ID:6C1uL6eM0
投下乙!
か、神主打法とは素敵だ!
ゲマには是非とも頑張って欲しいな

549名無しさん:2012/11/30(金) 18:40:42 ID:kCMX.43c0
乙です。
神主打法www
ゲマは頼りになるなぁ!
安定して対主催を輩出するドラクエ勢だけど初の対主催チーム結成なるかな?
あとソラは泣いていい。

550名無しさん:2012/11/30(金) 20:07:19 ID:AM5srcBk0
投下乙です
ゲマの対主催っぷりがブレない……ブレないけど、逆効果過ぎるw
ソラはツラいなぁ

551 ◆EKhCqq9jsg:2012/11/30(金) 22:07:24 ID:gYYyaNEA0
すんません、ゲマの状態表にドラゴラムと書いておりますが、
ゲマがそのままです。
wiki収録後その他の誤字も含め修正したいと思います。

552 ◆VpaLJ9g/Lw:2012/11/30(金) 22:27:20 ID:gm/omuD20
ガッツ予約します。

553 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/01(土) 01:01:02 ID:Bjd0F4nM0
投下乙です!

い、いかん! ソラが完全竜化している!
ソラがブチ切れた! みんな逃げろォ! 死人が出るぞォ!!

しかし、血の涙を流すほどムカツクのも……分かるといえば分かる。
ゲマは対主催なんだけど、対主催じゃない感じが……

さて、私も投下します。
が、予約時は一本のプロットだったのですが、執筆中に「二つに分けた方がいい」と判断したため
まことに勝手ながら二話に分割して投下させていただきます。
一予約で二話分の予約になってしまったことを、お詫び申し上げます。

554鏡の中のあの日の私 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/01(土) 01:03:19 ID:Bjd0F4nM0
薄暗くどこか邪悪な雰囲気すら漂う一室。
その中央でノートパソコンが淡い光を放っている。
ノートパソコン自体には、彼女もメモリーセンター等で馴染みがある。
が、そこに表示されている文字は、彼女が触れてきた多くのコンピューターに一度も表示されたことのない文字列だった。

......Transport Program Set up.

......Ready.

......Please Show Key.

見たことのない文字列に一瞬困惑しながらも、頭にあるアスラ王の記憶を頼りにそれらを解読していく。
どうやらこのノートパソコンは転送装置を代用しているようだ。
その代償として、参加者の心臓を要求しているらしい。
アスラの記憶を頼りにここを探索した際に、立ち寄った店にいた霊体も心臓を求めるようなことを言っていた。
あの合体の施設以外は、利用の対価として人の心臓を求めているようだ。
人を殺すものに力を与え、殺し合いを促進させるようにしているのだろう。
普通の人間なら、この恩恵を大きく受けるだろう。
だが、自分は違う。
アスラ王、マハ・ヴィローシャナの力を手にし、戦闘を経たとはいえ疲労はそこまでもなく、物資も余裕がある。
特にあの施設達の力を借りる必要もない。
「…………気配は無い、な」
意識を集中させ、カテドラル内に生物が居るかどうか探っていく。
全階層察知できるわけではないが、付近に生き物の気配は感じられない。
つまり、この阿呆がカテドラルにいた最後の生命体ということになる。

足りない。
手が、足が、肉が、血が、力が疼く。
これだけ強力な力を持っているのに、こんなところでくすぶっている場合ではないのだ。
もっと闘争を、もっと血と汗を、もっと命の鼓動を、もっと、もっともっともっと。
欲しい。

力と快感を求め、彼女は天使だったものの心臓だったものを抜き出し、ノートパソコンへ翳した。
その瞬間、ノートパソコンから光が溢れだし、彼女の体を包み込んでいった。

555鏡の中のあの日の私 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/01(土) 01:03:35 ID:Bjd0F4nM0



東京タワーのようで東京タワーではない不思議な塔の中の一室。
ターミナルを模したかのような部屋に、何時しか辿り着いていた。
ああフツオと旅をしていた時には、何度も何度もお世話になった。
何度経験しても、パソコンからパソコンへ転移するというのは慣れなかったが。
そんなことすらも、もう懐かしい出来事だ。

ふと、思い出す。
先ほどの戦闘はそういえば久方ぶりの"一人"での戦闘だった。
フツオ達と旅をしていたときはもちろん、悪魔と合体し力を手に入れてからも"手下"がいた。
最後の最後にもゆりこが傍にいたし、結果として一人で戦うということはしばらく行っていなかった。
先ほどの戦いの感覚を、より細かく思い出していく。
前衛を突き抜けるフツオもいない。
後衛で銃を撃ちながらサポートするヨシオもいない。
ここにいるのは、魔法を駆使しながら冷静に戦うワルオただ一人。
自分のほかに誰もいない戦いというのは、こんなにも重い戦いだっただろうか。
「馬鹿馬鹿しい……」
思わず、自嘲気味に笑う。
支給されたタバコに覚えた魔法で火をつけ、すうっと煙を吸い込んでいく。
肺に広がる息苦しさが、今自分が生きているということを証明しているようで。
その心地よさが溜まらず、一室の隅で夢中になって吸い続けていた。
息を吸う、肺に煙が溜まる、口から煙を吐き出す。
なんてことはない、何時もどおりの事なのに。
これほどまでに、美味いと感じたタバコも無かった。
どれ、もう一本とタバコの箱を軽く叩いたとき。
部屋の中央に置かれていたノートパソコンが、光を放った。

笑いが止まらなかった。
現れた相手に向けて、そしていつかの自分に向けて。
彼はひたすらに笑い続けた。
突然の訪問者は、当然それを快く思わない。
「何がおかしい」
魔王のような少女の声に動じることなく、彼は笑い続ける。
なぜなら今目の前に現れた少女が、宿しているのはかつて自分を手駒として扱っていた存在だから。
「ザマぁねぇな、アスラ王よぉ」
なぜなら今目の前に現れた少女が、昔の自分と同じ眼をしているから。
「あれだけ驕り高ぶってたあんたが、人間に手を貸すなんてな」
なぜなら今目の前に現れた少女が、望んでいるのは"力"だから。
おかしくて、おかしくてしょうがない。
今、昔の自分を見てもこれほど笑えるのだろうか。
そう思うくらいには、腹の底から笑いが止まらない。

556鏡の中のあの日の私 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/01(土) 01:03:51 ID:Bjd0F4nM0

戦いの合図を告げる、一発の炎。
カオスヒーローは、それを難なく切り捨てる。
「はっ、求めた力ってのはその程度か。ベヒモスにでも食わせた方がマシだな」
勿論、これが乱入者の全力だとは思っていない。
軽い挨拶程度の攻撃で全てを判断するほど、彼の思考も甘くは無い。
ただ、分かることが一つある。
"ナメられている"ことは、はっきりと分かる。
伝説の魔楽器、ストラディバリを持った少女が地を駆ける。
力を追い求め、力に狂い、力に溺れる少女が地を駆ける。
いつか、自分に力を与えた存在を宿す少女が地を駆ける。
昔の自分と重なってしょうがない襲撃者に向け、タバコに火をつけてから刀を向ける。
「オレは、自分の足で歩く」
力に溺れることのない、未来を見据えた眼差しと共に。

【B-8/東京タワー・ターミナル/1日目/黎明】
【カオスヒーロー@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:魔力消費・中
[装備]:ムラサメ@LIVE A LIVE
[道具]:基本支給品1式、ちいさなメダル@DQ5、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:もう何かに従う気はない、当然この殺し合いにも。
第一行動方針:少女(ミシカ)の殺害
[参戦時期]:本編死亡後

【ミシカ@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:健康
[装備]:ストラディバリ@真・女神転生Ⅰ
[道具]:基本支給品*3、青酸カリ@現実、強化外骨格『零』不明支給品(2〜9、アスラ王、モズグスの物を含む)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る
第一行動方針:殺す
第二行動方針:力を手に入れる
[備考]:『零』に宿る三千の英霊が現在成仏しているため、『零』を装着することは出来ません。

557見えない境界線 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/01(土) 01:05:11 ID:Bjd0F4nM0
南に向かっていた私とアリスが目にしたのは、巨大な三角を象った奇妙な建造物。
アーティストの一端として、どこか芸術的な魅力を感じずには居られない。
支給された地図によるとカテドラルと呼ばれる施設のようだ。
地上の部分だけでも相当な高さと広さを誇るというのに、地下にも地上と匹敵するほどの階層がある。
くまなく探索しようとすれば、半日は下らないであろう広さである。
「ねえ、青おじさん! ここ、すごく広いよ!
 探検しても探検しても、絶対に飽きないね!」
アリスの可愛らしい声が私の耳に届く。
青おじさん、というのは私を指しているらしい。
しっかり「カリョストロ」と名乗ったにもかかわらずなぜその名付けなのか聞いてみる。
すると、彼女の育ての親とも呼べる二人の男がそれぞれ赤、黒のおじさんと呼ばれていたようだ。
それにちなんで、私の衣服から「青おじさん」と呼ぶことにした……らしい。
否定しようにも、なんだかバカらしくなってきたので否定するのはやめた。
「ねえ、青おじさん。ここ、探検してみようよ!」
ふとアリスを見ると、輝きを灯した瞳でこちらを見つめている。
この謎の施設を探索しようと、彼女は提案しているのだ。
こうしている間にも、彼女は体は今にも飛び出してしまいそうである。
同盟の誘いを受けた以上、彼女の願いを無碍にするわけにもいかない。
この場所をあらかじめ探索しておき、地の利を得るということもある。
ここまで複雑怪奇な建物である、地形を把握しておくに越したことはない。
生き残りへ有利に進むためにも、情報は多く所持しておきたい。
「ふむ、そうだな。ここは一手、探索と行くか」
「やったぁ!!」
私の一言を聞いて、アリスは飛び跳ねながら喜ぶ。
表面ではこうして喜んではいるが、内心は私に同盟を持ちかけるほどの策略家だ。
死んだふりが解かれれば、彼女はどんな牙を剥くのだろうか?
罠に填められる前に、本当の姿を見ておきたいが……。
「おじさん、早くしないと置いてっちゃうよ?」
「ん、ああ。すまん」
そこまで考えて、続きを考えるのはやめた。

予想していたとおり、探索は少し骨が折れるモノとなった。
複雑怪奇の構造に加え、トラップは散りばめられ、思い通りに歩くことすらままならなかった。
はじめははしゃいでいたアリスも、だんだんと口数が減り、露骨に疲労を見せた。
だが、疲労に見合った収穫もあった。
この施設には武防具の提供、回復施設など様々な設備が完備されていた。
薄暗い部屋にノートパソコンだけが設置された妙な部屋もあった。
ノートパソコンの画面から推察するに、転移の類を行うプログラムが起動していたようだ。
ただし、それらは無料で利用できるというわけではない。
それぞれの店に点在する霊体も、ノートパソコンに記されていた表記も全て「生きていた証」を求めてくる。
人間の生きていた証、つまり心臓を持ってこいと言うことなのだろう。
人を殺せば、生き残る力が手に入る。
殺戮を謳う者には希望を、殺戮に抗う者には絶望を。
単純かつ分かりやすい仕組みだ。
ここまで用意周到に殺し合いを仕組む存在については謎が深まるが、今はそれを考える時間ではない。
頭の中身を早々に切り替え、探索を続行することにした。
「えー? おじさーん、まだ歩くのぉ?」
「初めの内の元気は、見せ掛けか?
 黙ってジッとしていても、探検と言う物は終わらんのだよ」
「ぶーっ」
アリスと、そんなやり取りをしながら。
何故か乗せられているような気分になったが、何故だろうか。

558見えない境界線 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/01(土) 01:05:53 ID:Bjd0F4nM0

さらにしばらく歩くうちに一人の男の死体を見つけた。
頭部が何かで押しつぶされたような、しかしハンマーの類で殴ったにしては傷が浅すぎる凹み方をしている。
道中、見かけた黒焦げの死体と何か関係があるのだろうか……?
「ねえ、青おじさん」
ふと、アリスが問いかけて来る。
「この人は、何で動かないの?」
当たり前の質問。
十人の人間のうち、十五人が同じ回答をするくらいの質問。
思わず、二度正しいことを言いたくなるほどだ。
頭を一点、正確に潰されて生き延びていられる人間などいるわけも無いのに。
「それは、彼は死んだふりではなく、本当に死んでいるからだ」
「死んでる?」
予想外の質問だったが、動揺せずに回答をする。
「ふーん」
しばらく考え込むような素振りを見せてから、彼女は衝撃的な一言を放った。
「よくわかんない」
……は?
今、分からないと言ったのか?
人が死んでいるという、概念がわからないというのか?
「それよりアリス疲れちゃった、ちょっと寝るね」
私の思考をよそに、アリスはその場で眠りに入ってしまった。

初対面は見事な死んだふりだと思っていた。
だが、ここまで来ればその認識も改めざるを得ない。
彼女は死という認識を、一切無くしているのだ。
故に彼女は死臭を出していることに気がついていないのではないか?
死というものが何か分からない。
だから、何時もどおりに過ごすことが出来る。
見事な死臭を撒き散らしながら。

予想以上に厄介な存在を、私は抱え込んでしまったのかもしれない。
このかわいい寝顔で、静かに寝息を立てて眠る一人の少女は。
我々人類の想像もつかない人知を超えた存在、死を知らぬ「何か」なのかもしれない。

たった今抉り出した死体の心臓を手に、考える。
今、アリスは寝ている。
この心臓を引き換えれば、殺戮に役立つ武器を得ることも出来るだろう。
カテドラルの最上部近くともなれば、戦闘音が外に鳴り響くことも無い。
仮に絶対的な力で上回られたとすれば、口惜しいが転移装置でどこかに逃げ出せばいい。
先手を確実に取れる今がまさに、彼女を殺す絶好のチャンスと言える。

しかし、同盟を持ちかけて来たということは、しばらくは敵対するつもりは無いということだ。
現にあどけない少女の素行のまま、私と接している。
戦闘の際にどこまで戦えるのかは未知数だが、なんにせよ戦力にはなる。
最悪、戦闘相手の弾除けや交渉材料程度には使えるだろう。
手札として持っておいても、十分に価値を発揮するカードだ。

だが。
もし、来る日が来たら。
同盟が崩壊する、その時が来たら。
その時が、もし今より劣勢な状況であったら。
自分は、この瞬間にアリスを殺さなかったことを後悔するのだろう。

考える。
今、持っている手札全てを組み合わせながら。
何が最善で、何が最悪なのか。
全てのシチュエーションを組み立てていく。

やがて、放送が流れ始めた――――

559見えない境界線 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/01(土) 01:06:52 ID:Bjd0F4nM0

【F-2/カテドラル7F/1日目/早朝】
【カリョストロ@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:健康、血糊がべっとり、血の気の引いた肌の色
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、血糊、化粧セット、不明支給品(0〜1)、オザワの心臓
[思考・状況]
基本:生き残る
第一行動方針:アリスに対し、どうする――――?
第二行動方針:死んだふり作戦への未練
[備考]:アリスの事を常に死んだふりをし続けるアーチストだと考えています。
     が、新たな可能性に気づき始めています。

【アリス@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:睡眠
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品(1〜3)
基本:友達100人できるかな〜♪
第一行動方針:ZZZzzz....
[備考]:カリョストロの事を既に死んでいる人だと思っています。



以上で二作投下終了です。
改めまして1予約で2作品分の投下となってしまったこと、お詫び申し上げます。
何かありましたら、どうぞ。

560名無しさん:2012/12/01(土) 01:25:34 ID:UW7YaDh60
投下乙です!
そっか、心臓によるサービスってデスクルスだけじゃなくてもよかったんだなぁ。
同じだった、今はまったく違うところに進もうとする二人の邂逅はワクワクする。

あとアリスかわいい!
能力的にほぼ役立たずって言ってもいいキャラなだけに何時死んでもしかたないな、
って思ってた面もあったんですが思いのほか良い感じに繋がってていい。
カリョは登場話時点だと存在がギャグだっただけにこんなふうに理性的な行動し出すとは思わなかったなぁw

561名無しさん:2012/12/01(土) 01:37:27 ID:UW7YaDh60
あ、あと◆fRBHCfnGJIさんに確認したいのですが、
>「地図」→ 大まかな地形の記された地図。禁止エリアを判別するための境界線と座標がひかれている
で、今まで施設名はメタ的な表記で地図には記されていないのではないか、って思いこんでました。
今回の投下にあったように施設名などの情報は地図に書いてあるって解釈でも大丈夫でしょうか?
書いたもの勝ちってことでボカしてたのか、情報自体の価値を上げるためにあえてああいう表記にしていたのか。
細かいことで野暮ったいかもしれないですが気になってて。

562名無しさん:2012/12/01(土) 12:54:56 ID:qqTvOfyY0
予約も投下も来てる!ここ最近の勢いがすごいぜ

なんと渋いワルオ。一人であることに思いを馳せられるあたり、力を求めて突っ走ってた頃から成長したんだなって思えた
しかしミシカにとってはせっかくいい気になってたところにたまんないよなぁ

そしてアリスとカリョストロ。
ほほえましいやり取りにニヤニヤしてたら、何やら雲行きが怪しくなってきた……
放送後が心配だ

というか、マナ死んじゃって放送自体どうなるんだろw

563 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/01(土) 13:38:02 ID:XfLzr8yc0
>>561
基本的に明記されていない部分に関しては早い者勝ちですので、
書いてあるということになったのならば、そういうことになります。

564名無しさん:2012/12/01(土) 13:50:41 ID:8osYsjYc0
>>563
了解です。返レスありがとうございました。ビバ自由。

565 ◆VpaLJ9g/Lw:2012/12/01(土) 19:14:50 ID:XdYAOEmY0
投下乙!
カオスヒーローの何と格好いい事だろうか。

拙作ながら、私めも投下させて頂きます。

566夜明けの海岸 ◆VpaLJ9g/Lw:2012/12/01(土) 19:15:47 ID:XdYAOEmY0

薄暗闇の中、男は征く。
男の体はボロボロで、先程の戦いで骨は折れ。
体はギシギシと軋んでいる。
しかし男は確たる足を緩めはしない。
男を突き動かすは、復讐、憎悪、ドロリとした情念。
討たねばならぬ敵が居る。ならば肉体を突き動かし、其れを為すのみ。
その過程で、肉体が幾ら傷つこうが構わない。その都度治せばいいだけの事。
屠った怪物のディパックの中にて見つけた奇妙なる物体を飲み込みと、傷は軽くなった。
動くのに支障が無ければ、その上を望むすべも無い。
しかして、気力だけで立つのにも限界はある。
座して死を待つのみなど考えられず。
怪物を屠った後、西へと向かい場所を探した。
夜が終わるまでの、繰り返すべく闘争。
それに適した場所を。
烙印を刻み込まれた時からの日課。
押し寄せる奇跡の奔流。
其れを砕き、打ち据え、殺し、先に進まねばならない。
今の彼には愛用の武器はない。
しかし、魔神の愛用品。何をも砕く金槌がある。
この、凶悪なる金槌を振り回せさらには一時的な休息を取れる場所。
其れを探した。



そうして、小一時間程西の方へ歩き格好の場所を見つけた。
海岸に木々が固まって生えていた。
木々それぞれはヒョロヒョロと長く、枝が上方に密集している。
見たことも無い木だが気にすることは無い。
魔性も感じられないようだ。
その木の根元にて、じっと蹲り心胆を練る。
金槌は抱いたまま。そうでなければ落ち着かない。
幼少の頃からの彼の性質。
警戒する……死霊は来ない。
警戒する……亡者は訪れない。
警戒する…………


どれ程そうしていただろうか。
辺りに陽光が満ちてきている。
死霊共は顕れなかった。
「っ……」
食事を取っていると、首筋に刻まれし烙印にジワリとした痛みが訪れた。
気配は西の方から感じられる。
己の敵がそこに居る。それだけで十分であった。



男は黒き鎧を着込み、凶悪なる金槌を携え、西を目指す。


【F-8/中央海岸線/2日目/早朝】
【ガッツ@ベルセルク】
【状態】全身軽度の打撲、胸部骨折、腹部骨折。回復カプセルで治療済み、完治には至らず。
【装備】魔神の金槌@DQ5 漆黒の鎧@真・女神転生Ⅰ 
【道具】基本支給品×2、回復カプセル(残り2個)@メタルマックス2:リローデッド 、不明支給品0〜2
【思考】
基本:復讐
1:西(F-7)を目指し敵を討つ

567 ◆VpaLJ9g/Lw:2012/12/01(土) 19:16:34 ID:XdYAOEmY0
以上問題点等ありましたらどうぞ、ご指摘くださいませ。

568名無しさん:2012/12/01(土) 19:40:24 ID:8osYsjYc0
投下乙です。
いいなぁ、この泥臭さ。
動きがある話でも見せ場がある話でもないんだけどガッツらしい雰囲気の良い話だったと思います。

569名無しさん:2012/12/01(土) 21:47:22 ID:CaryJFv.0
投下乙です
うわあ、短い中にガッツらしさが詰まってて素敵だなぁ
傷つくことも厭わず、武器を片手に過ごす緊張の夜
西にいるのは竜化ソラにゲマか。また大変なことになりそうだ

570 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/02(日) 02:15:28 ID:7PUVnF420
投下乙です!
復讐に燃えるのではなく、復讐を"こなす"のがガッツって感じですなあ。
ただ、それをする。それだけだ、って感じで。
非常にぐっと来ます。

そして、葉隠散、デボラを予約します。

571 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/02(日) 02:24:05 ID:TdZ7sf8A0
ゆりこを追加で予約します

572 ◆TIENe3Twtg:2012/12/02(日) 14:15:05 ID:YJO7fAL.0
投下します

573楽園の素敵な妖精と通りすがりのお侍の話:2012/12/02(日) 14:15:51 ID:YJO7fAL.0

空とは一種の異界である。
手を伸ばせば届くような、少し見上げればその目に映るとても身近な場所。
しかしそこに翼なき生き物が辿り着く事は決してない。
明確な境界は存在しない。ただ空は空であるというだけで常人の立ち入りを禁ずる聖域。
陸に生きるものにとって無縁の場所。

それ故に空は死角となる。
人とは異なる次元に生きる鳥たちの羽ばたきは、そこにあるのだと意識せねば決して視界にすら入らない。
そんなところに存在する未確認飛行少女、気付けたのは彼が優れた武術家であったからだろう。

武術とは敵に当てること避けること受けること、極論すればそれだけを為せればいい。
そのために最も大事なのは対峙する相手はもちろん、その空間を測ること。
樹木ではなく森を見よ。点では無く場を見よ。
なにも無い空(から)の場を見、これから訪れる変化を見、欲する結果を掴むために思考/施行する。
未来視にも似た観察眼と情報処理能力。
空飛ぶ燕さえも落としうる彼が、異界の住民であろうと気付けない道理はない。

真っ直ぐ北へと向かっていた進路をわずかにずらし、ふらふらと飛ぶ相手の視界に割り込むように動く。
魔に属し、神にも届かんという剣技の主。
その男の名を竜之介という。

大仰に翅が鳴り、風を運ぶ。
鳥にしては大き過ぎ、人の理の外にあり、幻想と呼ぶには生々しい確かな質量を備えて。
地上に降り立つ珍妙な来客に対しても何一つ揺らぐことなく、彼の者は問う。

「問う……なぜ、お前は戦う?」
返るは毒にも薬にもならぬ、無価値な言葉。
「わたしは、ただ飛びたいだけ。誰かと戦いたいなんて思ってないよ。それでお兄ちゃん、お兄ちゃんは……」
もしもう少し先の未来から呼ばれていたのなら事態は変わっていたのだろう。
彼の剣客が血の匂いと殺戮経験を見逃すはずもない。
だけどそれはifでしかなく。

未来を切り開くこともなく、他者を踏みにじる意思も無い。
それだけを確認すると、彼は珍妙な来客に対する興味を失った。
話を続ける価値も見出せず、続く言葉を背に受けながら再度北に進路を向ける。
あの眩しい神鳴りに向かうか、あの魂の叫びに応えるか、未だ定まらずとも北に向かう方針だけは共通している。

少し慌てた口調で最後に浴びせられた言葉にだけは誇らしげに応え、去って行った。
「お兄ちゃんは、どこから来たの?」



574名無しさん:2012/12/02(日) 14:17:14 ID:YJO7fAL.0

それはいまさら過ぎる可能性の提示。
仲間はずれのピーカフに、行けるところなど何処にもなくて。
だから自分で居場所をつくりましょう。そんな願いのこもった力を得た。
だけど何処かに、もしかしたらあったのかもしれない。

ここではないどこか。
妖精たちのいるところ。
いらなくなった希望が今更になって浮かびあがる。

妖精なんて珍しくも無いというように、当たり前のように私をみた人。
ひらひらとした見慣れない服を着た不思議な異邦人。
日々の生活に疲れ諦めて、何か台風のような大きなものが通り過ぎるのを、ひたすらに待つ大人たち。
そんな疲れ切った目ではなく、確かな何かに向かおうとしてるような、素敵な大人。
想像すらしたことがないその姿は、おとぎ話のように輝いて見えて。

彼は言った。

「極東、日の本の、太陽の昇る国」

東の果て、太陽の昇るところ。
そこにならあるんじゃないだろうか?
憧れた場所。ここではないどこか。妖精たちの帰る所。

それは彼女にはもう必要ない場所。
彼女のいるところこそが楽園だ。此処こそがかつて求めたどこか。
おとぎ話を求めた少女は既に何処にもおらず、おとぎ話そのものとなっている。
だけど、見てみたいと思ってしまったから。

東へ向かう。
辿り着けるかはわからない、本当にそこにあるのかもわからない。
途中で飽きて辞めてしまうかもしれないだろう。

ただ、今この瞬間だけは、そこに行きたいと思うのだ。


ほんのわずかな接触、交わした言葉も数少ない、小さな一期一会の話。

【E-5/森林地帯/黎明】

【魔神竜之介@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:カネサダ@LIVE A LIVE
[道具]:基本支給品*2、不明支給品(1〜5、ミカエルの物を含む)
[思考・状況]
基本行動方針:未来を切り開く力のある人間を守り、力に溺れ他者を踏みにじる人間を斬る。
1:北へ
[参戦時期]:本編撃破後
[備考]:忍法矢車草を独自に習得

【ロシーヌ@ベルセルク】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品、不明支給品(1〜3)
[思考・状況]
基本行動方針: 楽しく自由に生きる
1:東へ
[参戦時期]: 捧げて、変わった直後からの参戦です。

575名無しさん:2012/12/02(日) 14:18:55 ID:YJO7fAL.0
投下を終わります。
問題点などありましたらどうかご指摘お願いします。

576名無しさん:2012/12/02(日) 14:24:26 ID:iCGWoN5U0
乙です。

577 ◆qp1M9UH9gw:2012/12/02(日) 19:49:02 ID:tFwOnbzc0
投下乙です
二人のやり取りが渋いぜぇ……

こちらも投下します

578超融合 ◆qp1M9UH9gw:2012/12/02(日) 19:51:37 ID:tFwOnbzc0
【1】

 連立するビルは、現代社会の象徴。
 コンクリートの床は、人間が踏んできた進化の証。
 人類という種族が持つ技術の集大成が、そこには映し出されている。 

 テッドブロイラーは、それらには何の関心も抱きはしなかった。
 「大破壊」が起こる前は、国の首都はどこもこんな感じだった事を知っていたし、
 何よりも、テッドは「大破壊」後の荒れ果てた世界の方を気に入っていたからだ。
 "力"こそが全てであり、"力"さえあれば例え無知でも支配者になれる――そういう歪んだ世界を、テッドは誰よりも好んでいた。

 整えられた樹木達は、この街がいかに暴力と無縁であったかをテッドに教えている。
 まったく可笑しい話である――何の力も持たない癖して、こんな小綺麗な街で暮らしている奴がいるのだ。
 装備した炎の爪を樹木達の列に向け、爪先から火炎を放つ。
 焔は瞬く間に木々を食い尽くしていき、辺りは徐々に赤色に侵食されていく。
 圧倒的な火力によって平和ボケした空間が蹂躙されていく様を眺めるのは、実に愉快だった。
 これだ――この暴力こそが、世界で最も優れた"力"なのだ。
 下らない話し合いよりも、馬鹿馬鹿しい友情ごっこよりも、もっとずっと世界に必要なもの。
 面倒な諍いも起こらず、何より一撃で相手を屈服させられる最強の権力。
 そして、テッドは宣言してもいい程度には"それ"を有している。
 だとすれば、こんな"ボケた"世界を食らい尽くす資格だってある筈だ。
 
 何度も言うが、"力"こそが世界の真理なのだ。
 それを否定する者は弱者に過ぎず、そんな奴らのなど"力"を持つ者の餌になるのがお似合いだ。
 殺し合いというルールで動くこの世界が、それを証明する何よりの証拠。
 弱者は食われ、強者のみが生を謳歌する――そうやって、殺し合いも、世界も、回っていく。


        O        O        O        


 テッド・ブロイラーの最後の支給品は、「COMP」と呼ばれるハンドヘルドコンピュータであった。
 説明書きによれば、これを使うと「悪魔」と呼ばれる異形の存在を使役できるらしい。
 (テッドの「COMP」で召還できる「悪魔」は、説明書きによれば二体存在しているようだ)
 普通の人間がそれを手にしたのならば、当たりだと喜ぶだろうが、テッドはそれほど良い反応はしなかった。
 彼としては、こんなコンピュータよりも、自前の火炎放射器か、
 頻繁に使っていた「まんたんドリンク」の方が価値があるものだと思っているからである。
 
 そういえば最初に出会ったあのガキもモンスターを使役していたな、と思い出しながらも、
 テッドは平和ボケした街をメラの炎で焦がしていく。
 そうしている内に、あるものが彼の目に止まった。
 「邪教の館」と書かれた、それといって特徴のない看板が立てられた施設である。
 そういえば、COMPの説明書きには「邪教の館」なる場所で仲魔の合体ができるなどと書かれていたか。
 物のついでだ――遊んでみるのもいいかもしれない。

579超融合 ◆qp1M9UH9gw:2012/12/02(日) 19:53:33 ID:tFwOnbzc0
【2】


「――――ん……?」

 ガラス張りの空間の中で、彼は目覚める。
 透明の壁越しに移るのは、配線コードと機械の群れ。
 どれもこれも、彼には見慣れないものばかりであった。

「……俺は……」

 大分長い間意識を失っていたせいで、己が何者であるのかすらも、すぐには認識できずにいた。
 どうにか思い出そうと、混乱する脳から自分の情報を抜き出そうとする。
 少し経った後に、彼は自身の名前を確認するように呟いた。 

「俺は……アドラー……」

 そう名乗った瞬間、次々と自分の記憶が鮮明になっていく。
 自分が何者であったのかを、そして、自分がつい最近まで何をしていたのかを。
 アドラーは、懸賞金のかかった犯罪者の撃退を職にしていた――所謂賞金稼ぎであった。
 手にした武器と、磨き上げられた戦闘技術で、葬ってきたお尋ね者は数知れず。
 今日も意気揚々と、賞金首の命を頂戴する為に街を出ようとしていたのだ。
 それが、どうした事だろうか――外に出た筈なのに、アドラーは何故か室内にいる。
 それも、何やら宗教的な要素を感じさせる装飾がなされた不気味な部屋にだ。
 反抗を防止する為だろうか――装備していた武器まで没収されている。
 
「どういうことだこれは……何がどうなっている……」

 全く以って意味が分からない。
 一体全体、どういう経緯があってこんな場所に軟禁されているのだ。
 ふと魔法陣の方へ視線を送ると、陣の向こう側に大柄な男が立っているのが見えた。
 青いタイツらしきものを着たモヒカン頭のその男は、何故かにやつきながらこちらの様子を眺めている。
 実験動物でも見ているかのようなその瞳が、アドラーには堪らなく不快であった。

「なんだ貴様は――――」

 そう言おうとした、次の瞬間。
 突如として、カプセルの内部に液体が入り込んできたではないか。
 中の者など考慮せずに体積を増やすそれは、瞬く間にカプセルを満たしていった。

580超融合 ◆qp1M9UH9gw:2012/12/02(日) 19:54:27 ID:tFwOnbzc0
(な、なんだ!?一体何が起こっている!?)

 あまりに理解不能な状況を前にして、思わずアドラーは心中で叫ぶ。
 透き通っているとも、濁っているとも形容できるその液体は、彼から空気を奪っていく。
 水ではない、しかしスライムのようなドロドロとした感覚もないそれは、彼の全身を舐めまわす。
 そして、数秒した後に、アドラーの体に変化が訪れる。
 なんという事だろうか――彼の肉体が、徐々に服ごと溶解していくではないか!
 
 全身が解けたら自分が死ぬ事くらい、アドラーにだって理解できる。
 彼は必死の抵抗として、拳でガラスを叩き割ろうと試みる。
 しかし、透明な壁がそう簡単に砕ける訳もなく、ガラスが僅かに振動するだけに終わる。
 もし何かしらの武器を持っていれば話は変わっていたかもしれないが、生憎それは没収されているのだ。
 彼にはもう、全ての精神が誤作動を起こしているような感覚を味わいながら、消えるしか道はない。

(Scheisse(クソッ)……!この俺が……偉大なる遺産を……受け継ぐ……筈の俺が……こんな……形で…………)

 必死の抵抗も虚しく、アドラーの肉体は液体に変じていく。
 どれだけ足掻こうが、最早彼の運命は決まってしまったも同然なのだ。
 彼は、隣のカプセルに居た悪魔もろとも、新たな悪魔の誕生の為の生贄となる。

 二体の"悪魔"を液体が消化し終えてから数秒後、魔法陣からまばゆい光が迸った。
 そしてその直後、棒状のエネルギーの塊が魔法陣を覆い隠す――融合が完了し、悪魔が生まれ出た合図である。

 ――こうして新たな悪魔が、この世に生を与えられたのだった。

581超融合 ◆qp1M9UH9gw:2012/12/02(日) 19:55:27 ID:tFwOnbzc0


【3】

 どうやら、合体は成功したみたいだ。
 中のカプセルで人間がやたら暴れていたが、装置に影響はなかったようである。
 一体どんな悪魔が新たに誕生したのだろうかと、中央の魔法陣に立った影に目を向ける。
 そこにいたのは――――。










           ━┓“   ━┓“  ━┓“   ━┓“  ━┓“  ━┓“   ━┓“
           ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛
                             、,ノl,、{ , _
                           }Vノ;:;:;:;:;:`'´{,    
                          、{;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:レ    
                         ミ,;:;:;:;:。...。:;:;:;ヒヾ     
                         )、┌┐;:;:.゙,..,゙:;:;:nゝ 
       /´〉     _               ///[二]  -┴―- 、
    , 、  } {     〈 ヽ      _, xz≦三三三≦┐く/ ̄ ̄`ハ
   .} |〈  ヽ     〉. 冫   /ニLfニ三三三O/./ /        !
  r.〈. \ヽ  ` ー- /  {     / ニニ0三三三/ //―- ミ     l
  }  \  ̄ヽ      }\  f ニニ三三三/≦≠      \  ,'
  〈ヽ__         /   \! ニニ0三三三 ∠__       ヽ/
  ヽ_>―-ミ     ./    } \三三三ニ≧彡   `ヽ、    /
        弋 、  /   /    `≧≦三ニニ     }≧/
         ヽ<    /      \ ヾ\     /ニ/
             ` <三≧            i}   /ニニ/
                >三三≧         ./ ニニ/
               f三三三三三≧x_x≦ニニニ/
             /三三三ニfY⌒Y |三三≧‐</
            /三三三三ニ{人__人}三三ニ   {
           /三三三三三三三三ニ 丁   ―-く
        ./三三三ニニイ三三三三ニ .{       ハ
       ./三三三三ニ//三三三ニ  |       }
      く三三三三ニ.//三三三ニ=≦彡       l
     ノ三三三三三ニ//三三三三ニ=‐  {       ',
    Ⅵテ三三三三ニ/ {三三三三ニ  彳}        ',
   ハヽソ三三三7 ̄  ハ三三三ニ  ニ三 |         ',
   〒三三三三/   ./三三三ニ ニニ三|          ヽ
   'ーt三ニ彡′ /三三三ニ ニ三三 {           {
     `´     /三三三三三三三三  }         \



「――――!」

 "それ"の姿を目にした途端、テッドは電撃に撃たれたような感覚に襲われた。
 これまで様々な敵を目にしてきたが、この「悪魔」はその中でもかなり強力な部類に入るだろう。
 何しろ、これから放たれる威圧感は尋常なものではない。
 テッドでさえも、一瞬ではあるものの、それの威圧感に飲まれてしまいそうになったのだ。
 出会って間も無いが、断言できる――今まで配下に置いてきた誰よりも、こいつは使える。
 気まぐれで行った悪魔合体が、まさかこんな形で利益を齎してくれようとは。
 テッドの傷だらけの顔が、喜びによって歪んでいく。
 強力な手下も、戦いに勝利する為の自信も手に入れている。
 あとは自慢の火炎放射器が手に入れば、テッドは本当の意味で"準備完了"となるのだ。

582超融合 ◆qp1M9UH9gw:2012/12/02(日) 19:58:41 ID:tFwOnbzc0

 焼け爛れていく参加者共の姿を幻視して、歪んでいた顔がさらに歓喜の色を帯びる。
 彼らを火炎地獄に叩きこみ、己が最も"力"を手にしていると証明してやろう。

「邪魔するヤツもッ!命乞いするヤツもッ!突っ立てるヤツもッ!
 このテッドブロイラーさまがッ!骨の髄まで焼き尽くしてくれるわッ!ががががー!」」


【テッド・ブロイラー@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:炎の爪@DQ5、モヒカッター@MMR2
[道具]:基本支給品、COMP(ハヌマーン) @真・女神転生
[思考・状況]
基本方針:皆殺し
[参戦時期]:撃破前
※「圧倒的な威圧感を放つ猿」のAAがなかったので"仕方なく"ベンのAAを代用だけであって、
 ハヌマーンの実際の見た目はベンではないと思いますが、もしかしたら本当にベンそっくりな可能性もあります。
※悪魔合体に使用されたのはあくまで「アドラー」という名前の「ソルジャー@メタルマックス2:リローデッド」であって、
 「アカツキ電光戦記」に登場する「アドラー」とは何の関係もありません、多分。
※「なんでCOMPに人間が登録されてるんだよ」という疑問が飛んできそうですが、
 メガテン本編でも教徒達を交渉で仲魔にできるので、COMPの中に人間が入っていても何もおかしくはありませんね。

583 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/02(日) 19:59:15 ID:TdZ7sf8A0
あの……人間支給禁止

584 ◆qp1M9UH9gw:2012/12/02(日) 20:00:01 ID:tFwOnbzc0
投下終了です。
予約期間を間違えていたせいで予約超過した状態での投下となってしまいました。
申し訳ありません。

585 ◆qp1M9UH9gw:2012/12/02(日) 20:42:31 ID:tFwOnbzc0
すみません、重大なミスが複数個見つかったので後日修正したものを改めて投下します。
迷惑をかけてしまって本当にごめんなさい

586 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/02(日) 20:50:41 ID:TdZ7sf8A0
とりあえず、◆qp1M9UH9gw氏の修正投下後に
全感想とwiki編集を行います

587名無しさん:2012/12/02(日) 20:58:33 ID:YJO7fAL.0
了解です、ルール的な面で素通しするってなったらちょっと怒る話でしたが
ネタ自体は笑った楽しい話だったので破棄じゃなくて修正って形になってホッとしています。
書いてて納得できるかどうかもありますしあまり褒められた事じゃないかもしれないですが修正版も楽しみにしてます。

588名無しさん:2012/12/02(日) 21:00:34 ID:YJO7fAL.0
脱字というかニュアンス伝わらない感じの文章になっちゃったので訂正

書いてて納得できるかどうかもありますし
プレッシャーをかけるようなこう言うことを書くべきじゃないのかもしれないですが修正版も楽しみにしてます。

589名無しさん:2012/12/02(日) 22:37:57 ID:FKTtWM720
わぁ、ほんと予約が途切れないwこれは頑張らねば

>楽園の素敵な妖精と通りすがりのお侍の話
妖精と侍のしばしの邂逅。綺麗な話だなぁ。
死角が存在しないとはさすがの竜之介。
確かにロシーヌの元いた村の大人にはいないタイプだ。


>超融合
かっこいいテッド様きたと思ってたらその後の展開がwwwとうとう来ちゃったよw

複数個とありますのでもうご承知かもしれませんが、
問題点は「人間支給」と「COMP:中に入っている悪魔、モンスターは一体のみ」の点ですかね。
市街地は野良悪魔いるので多少なんとかなりそうですが……

あと細かいことになりますが、カテドラルやデスクルスの施設の主が
「人型のぼんやりとした何か」「アストラル体」「零体」といった表現をされているので、
邪教の館の主もそれに類した描写の方が良いのではないかと思いました。
修正楽しみにしております。

590名無しさん:2012/12/02(日) 22:47:32 ID:FKTtWM720
×零体→○霊体 失礼しました

591名無しさん:2012/12/03(月) 00:25:44 ID:FPPQkItY0
館の主出てないじゃん……なに的外れなこと言ってるんだろ。
>>589後半は無視して下さい。大変失礼しました。

592 ◆qp1M9UH9gw:2012/12/04(火) 19:45:14 ID:XkM2jZFE0
修正稿の投下を開始します

593超融合(修正) ◆qp1M9UH9gw:2012/12/04(火) 19:45:57 ID:XkM2jZFE0
【1】

 連立するビルは、現代社会の象徴。
 コンクリートの床は、人間が踏んできた進化の証。
 人類という種族が持つ技術の集大成が、そこには映し出されている。 

 テッドブロイラーは、それらには何の関心も抱きはしなかった。
 「大破壊」が起こる前は、国の首都はどこもこんな感じだった事を知っていたし、
 何よりも、テッドは「大破壊」後の荒れ果てた世界の方を気に入っていたからだ。
 "力"こそが全てであり、"力"さえあれば例え無知でも支配者になれる――そういう歪んだ世界を、テッドは誰よりも好んでいた。

 整えられた樹木達は、この街がいかに暴力と無縁であったかをテッドに教えている。
 まったく可笑しい話である――何の力も持たない癖して、こんな小綺麗な街で暮らしている奴がいるのだ。
 装備した炎の爪を樹木達の列に向け、爪先から火炎を放つ。
 焔は瞬く間に木々を食い尽くしていき、辺りは徐々に赤色に侵食されていく。
 圧倒的な火力によって平和ボケした空間が蹂躙されていく様を眺めるのは、実に愉快だった。
 これだ――この暴力こそが、世界で最も優れた"力"なのだ。
 下らない話し合いよりも、馬鹿馬鹿しい友情ごっこよりも、もっとずっと世界に必要なもの。
 面倒な諍いも起こらず、何より一撃で相手を屈服させられる最強の権力。
 そして、テッドは宣言してもいい程度には"それ"を有している。
 だとすれば、こんな"ボケた"世界を食らい尽くす資格だってある筈だ。
 
 何度も言うが、"力"こそが世界の真理なのだ。
 それを否定する者は弱者に過ぎず、そんな奴らのなど"力"を持つ者の餌になるのがお似合いである。
 殺し合いというルールで動くこの世界が、それを証明する一番の証拠だ。


        O        O        O        


 テッド・ブロイラーの最後の支給品は、「COMP」と呼ばれるハンドヘルドコンピュータであった。
 説明書きによれば、これを使うと「悪魔」と呼ばれる異形の存在を使役できるらしい。
 普通の人間がそれを手にしたのならば、当たりだと喜ぶだろうが、テッドはそれほど良い反応はしなかった。
 彼としては、こんなコンピュータよりも、自前の火炎放射器か、
 頻繁に使っていた「まんたんドリンク」の方が価値があるものだと思っているからである。
 それに、このCOMPとやらに入っている悪魔は、「屍鬼」という能無しの化物というではないか。
 そんな肉の壁にすらならない死に損ないなど、一体誰が好き好んで戦場に出すというのだ。

 そういえば最初に出会ったあのガキもモンスターを使役していたな、
 などと思い出しながらも、テッドは平和ボケした街をメラの炎で焦がしていく。
 そうしている内に、あるものが彼の目に止まった。
 「邪教の館」と書かれた、それといって特徴のない看板が立てられた施設である。
 そういえば、COMPの説明書きには「邪教の館」なる場所で仲魔の合体ができるなどと書かれていたか。
 物のついでだ――遊んでみるのもいいかもしれない。

594超融合(修正) ◆qp1M9UH9gw:2012/12/04(火) 19:47:11 ID:XkM2jZFE0
【2】


 その悪魔の名前は、ゾンビアーミーという。
 「屍鬼」の称号を有するそれは、本来ならば人間に捨て駒の様に扱われる悪魔の一体に過ぎない。
 ――しかし、テッドに支給されたゾンビアーミーは、例外だった。

「……俺は……」

 ゆっくりと、まるで老人が喋るように、それは言葉を発した。
 紡がれた言葉は、誰がどう聞いても、人間の一人称だと判断できるだろう。
 そして少し経った後に、彼は自身の名前を確認するように呟いた。 

「俺は……アドラー……」

 そのゾンビアーミーは、己を「アドラー」と名乗った
 どういう訳かこの悪魔、自分の名前を持っているのだ。
 それが自称なのか、はたまた他者によって命名されたものかを知る由はない。

 この悪魔――アドラーは、本来ならば別の者によって召還される筈だった。
 救世主などと謳われていた女の処刑を邪魔する、三人の少年達の行く手を阻む刺客として、
 他のゾンビアーミー達と共に戦場に旅立つ予定だったのである。
 それが、どうした事だろうか――外に出た筈なのに、アドラーは何故か室内にいる。
 それも、何やら宗教的な要素を感じさせる装飾がなされた不気味な部屋にだ。

「どういうことだこれは……何がどうなっている……」

 全く以って意味が分からない。
 一体全体、どういう経緯があってこんな場所に軟禁されているのだ。
 ふと魔法陣の方へ視線を送ると、陣の向こう側に大柄な男が立っているのが見えた。
 青いタイツらしきものを着たモヒカン頭のその男は、何故かにやつきながらこちらの様子を眺めている。
 実験動物でも見ているかのようなその瞳が、アドラーには堪らなく不快であった。

「なんだ貴様は――――」

 そう言おうとした、次の瞬間。
 突如として、カプセルの内部に液体が入り込んできたではないか。
 中の者など考慮せずに体積を増やすそれは、瞬く間にカプセルを満たしていった。

595超融合(修正) ◆qp1M9UH9gw:2012/12/04(火) 19:48:09 ID:XkM2jZFE0
(な、なんだ!?一体何が起こっている!?)

 あまりに理解不能な状況を前にして、思わずアドラーは心中で叫ぶ。
 透き通っているとも、濁っているとも形容できるその液体は、彼から空気を奪っていく。
 水ではない、しかしスライムのようなドロドロとした感覚もないそれは、彼の全身を舐めまわす。
 そして、数秒した後に、アドラーの体に変化が訪れる。
 なんという事だろうか――彼の肉体が、徐々に服ごと溶解していくではないか!

 彼は必死の抵抗として、拳でガラスを叩き割ろうと試みる。
 しかし、透明な壁がそう簡単に砕ける訳もなく、ガラスが僅かに振動するだけに終わる。
 彼にもっと力があれば話は別だっただろうが、彼は所詮、非力なゾンビアーミーなのだ。
 全ての精神が誤作動を起こしているような感覚を味わいながら消えるしか、彼には道がなかった。

(Scheisse(クソッ)……!この俺が……が……こんな……形で…………)

 必死の抵抗も虚しく、アドラーの肉体は液体に変じていく。
 どれだけ足掻こうが、最早彼の運命は決まってしまったも同然なのだ。

 アドラーは知らないが、この施設は「邪教の館」と呼ばれる、悪魔合体を行う場所なのだ。
 カプせルの中にいたのは、彼が悪魔合体の"材料"にされようとしていたからである。
 隣のカプセルに居た悪魔もろとも、彼は新たな悪魔の誕生の為の生贄となるのだ。
 尤も、今まさに消滅しようとしているアドラーにとっては、そんな事関係のない話なのだが。

 二体の"悪魔"を液体が消化し終えてから数秒後、魔法陣からまばゆい光が迸った。
 そしてその直後、棒状のエネルギーの塊が魔法陣を覆い隠す――融合が完了し、悪魔が生まれでた合図である。

 ――こうして新たな悪魔が、この世に生を与えられたのだった。

596超融合(修正) ◆qp1M9UH9gw:2012/12/04(火) 19:51:00 ID:XkM2jZFE0
【3】


 そこら辺にいた野良の悪魔を、"力"に物を言わせて半ば無理やり仲魔に加える。
 相手も少しばかり抵抗する素振りを見せたが、テッド自身の"力"に押されたのか、渋々COMPに登録される道を選んでくれた。
 ("暴力"の有効性が、また一つ証明された訳である。)
 そして、手に入れた二体の悪魔を引き連れ、邪教の館で合体を行う。
 老人の姿を象ったホログラムが説明したお陰で、案外すんなりと準備は整った。

        O        O        O        

 合体が終わった直後、合体事故が起こったと老人のホログラムが言った。
 「合体事故」とは、合体の際に偶然にも事故が発生し、
 本来の組み合わせとは全く異なった悪魔が誕生する現象こ事を指すらしい。
 一体どんな悪魔が新たに誕生したのだろうかと、中央の魔法陣に立った影に目を向ける。
 そこにいたのは――――。







           ━┓“   ━┓“  ━┓“   ━┓“  ━┓“  ━┓“   ━┓“
           ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛
                             、,ノl,、{ , _
                           }Vノ;:;:;:;:;:`'´{,    
                          、{;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:レ    
                         ミ,;:;:;:;:。...。:;:;:;ヒヾ     
                         )、┌┐;:;:.゙,..,゙:;:;:nゝ 
       /´〉     _               ///[二]  -┴―- 、
    , 、  } {     〈 ヽ      _, xz≦三三三≦┐く/ ̄ ̄`ハ
   .} |〈  ヽ     〉. 冫   /ニLfニ三三三O/./ /        !
  r.〈. \ヽ  ` ー- /  {     / ニニ0三三三/ //―- ミ     l
  }  \  ̄ヽ      }\  f ニニ三三三/≦≠      \  ,'
  〈ヽ__         /   \! ニニ0三三三 ∠__       ヽ/
  ヽ_>―-ミ     ./    } \三三三ニ≧彡   `ヽ、    /
        弋 、  /   /    `≧≦三ニニ     }≧/
         ヽ<    /      \ ヾ\     /ニ/
             ` <三≧            i}   /ニニ/
                >三三≧         ./ ニニ/
               f三三三三三≧x_x≦ニニニ/
             /三三三ニfY⌒Y |三三≧‐</
            /三三三三ニ{人__人}三三ニ   {
           /三三三三三三三三ニ 丁   ―-く
        ./三三三ニニイ三三三三ニ .{       ハ
       ./三三三三ニ//三三三ニ  |       }
      く三三三三ニ.//三三三ニ=≦彡       l
     ノ三三三三三ニ//三三三三ニ=‐  {       ',
    Ⅵテ三三三三ニ/ {三三三三ニ  彳}        ',
   ハヽソ三三三7 ̄  ハ三三三ニ  ニ三 |         ',
   〒三三三三/   ./三三三ニ ニニ三|          ヽ
   'ーt三ニ彡′ /三三三ニ ニ三三 {           {
     `´     /三三三三三三三三  }         \

597超融合(修正) ◆qp1M9UH9gw:2012/12/04(火) 19:51:26 ID:XkM2jZFE0
「――――!」

 "それ"の姿を目にした途端、テッドは電撃に撃たれたような感覚に襲われた。
 これまで様々な敵を目にしてきたが、この「悪魔」はその中でもかなり強力な部類に入るだろう。
 何しろ、これから放たれる威圧感は尋常なものではない。
 テッドでさえも、一瞬ではあるものの、それの威圧感に飲まれてしまいそうになったのだ。
 出会って間も無いが、断言できる――今まで配下に置いてきた誰よりも、こいつは使える。
 気まぐれで行った悪魔合体が、まさかこんな形で利益を齎してくれようとは。
 テッドの傷だらけの顔が、喜びによって歪んでいく。
 強力な手下も、合体事故を起こせるような強運も手に入れている。
 あとは自慢の火炎放射器が手に入れば、テッドは本当の意味で"準備完了"となるのだ。

 焼け爛れていく参加者共の姿を幻視して、歪んでいた顔がさらに歓喜の色を帯びる。
 彼らを火炎地獄に叩きこみ、己が最も"力"を手にしていると証明してやろう。



「邪魔するヤツもッ!命乞いするヤツもッ!突っ立てるヤツもッ!
 このテッドブロイラーさまがッ!骨の髄まで焼き尽くしてくれるわッ!ががががー!」」



【テッド・ブロイラー@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:炎の爪@DQ5、モヒカッター@MMR2
[道具]:基本支給品、COMP(ハヌマーン) @真・女神転生
[思考・状況]
基本方針:皆殺し
   1:火炎放射器を取り戻したい。
[参戦時期]:撃破前

【ハヌマーン@真・女神転生】
[状態]:健康
[思考・状況]
基本方針:殺戮
※似てるけどベンじゃないと思います。
※悪魔合体に使用されたのはあくまで「アドラー」という名前の「ゾンビアーミー」であって、
 「アカツキ電光戦記」に登場する「アドラー」とは何の関係もありません、多分。

598 ◆qp1M9UH9gw:2012/12/04(火) 19:52:37 ID:XkM2jZFE0
投下終了です。
迷惑かけてすみませんでした、ベンに免じて許して下さい

599 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/04(火) 22:42:38 ID:AxvmcY2c0
皆さん投下乙です!

>楽園の素敵な妖精と通りすがりのお侍の話
素敵な国に行きたいロシーヌ……
確かに、日が昇る国ではあるが、ここにそれがあるかというと……
今後が気になりますなあ。

>超融合
アwwwwwwwwwドwwwwwwwwwwラーwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
くそwwwwwwwwwwwww
合体事故を引き起こすテッド様はさすがすなあ。
市街地にも霊体施設がありそうで、重要な場所になりそう……?

さて、私も投下します。

600Love is Real? ◆Cxilshz3Mg:2012/12/04(火) 22:45:32 ID:AxvmcY2c0
血髑郎の声が聞こえる。
命を絞りながら出される悲痛な叫びが、この散の胸を貫く。
「血髑郎よ、お前もまた立派な戦士であった」
声の聞こえる方角へ、散の取った行動は敬礼。
彼もまた、この悪行に巻き込まれ、望まぬ死を遂げた戦士の一人だ。
魂の言葉を受け取り、散は天高く拳を突き上げる。
「ここに、散は改めて誓おう!」
決意の拳、君臨すべき王として葉隠散は揺るがない。
「まずは愚神討伐! あの神を名乗る醜く傲慢な存在を滅ぼす!
 それから人類抹殺! 散った血髑郎の分までこの散が成し遂げて見せよう!」
「人類抹殺? お断りよ」
声高く誓う散の耳へ、決意を遮るように一人の声が届く。

振り返ると、悪魔を連れた一人の女が立っていた。
目はしっかりと散を見据え、視線を逸らすことは無い。
「ほう、女。この散の前に立ちはだかるのか。
 ならば今すぐこの散の前で散るが良い!」
散が飛び出す。
勢いを乗せた拳が、現れた女へと向かう。
女の側にいた白い悪魔が怯えて陰に引っ込む。
対して、女は全く動じることなく散の方を睨み続ける。
ぴたり、と女の眼前で拳を止め、散はニヤリと笑う。
「ふむ、人間にしては良い目をしている。
 どうだ、この散と行かぬか!」
先ほどの男と同じく、死を恐れぬ眼差し。
人間で有りながら誇り高き心を持つ者を、散は見下すことはない。
突き出された拳は、差し伸べる手へと変わる。
散の提案と言葉を受け、女はゆっくりとその手を――――

601Love is Real? ◆Cxilshz3Mg:2012/12/04(火) 22:45:45 ID:AxvmcY2c0

「悪いけど、それもお断りよ」

弾くように退けた。
先ほどに続き、散はまたもや人間に拒絶される。
だが、そう来なくては面白くはない。
ここで拒絶する人間だからこそ、軍門に下らせる価値がある。
手を避けられた事を意にも介さず、散はじっと女を見据えて対話をする。
「女! 醜き人間に附いても悪しき未来が待ち受けるのみだ!
 この散と共に行けば、地球も世界も輝く未来がある!
 世界中で唯一の正しき存在はこの散のみ!
 悪しき人間を滅ぼし、母なる大地を正しき姿へ導くために、私と来い!」
この世界で唯一の正義はこの葉隠散のみだ。
悪しき人間たちが正しいなど、有ってはならない。
正しき未来、正しき姿へと進む為には、人類がこの世に生存していてはいけないのだ。
だから、このような真っ直ぐな目を持つ物を人間にしておくのは惜しい。
このような誇り高き者こそが、散と共に素晴らしき未来を作り上げるべき存在なのだ。
はね退けられた手を、もう一度女へと差し伸べる。
「お・こ・と・わ・り」
同一人物からの、三度目の拒絶。
「何度も言わせないでくれる? あなたが散様だろうが何様だろうが知らないけど、この私に無駄な労力使わせるなんて、許されてないんだから」
呆れ返るように笑いながら、女は散を嘲る。
自分の言葉に散が眉をしかめたのを見てから、女は言葉を続ける。
「それに、人間は醜いだとか正しい存在は私だけだとか、思い上がりも甚だしいわよね。
 笑い袋じゃなくても笑っちゃうわ」
「ほう! この散より正しき存在がいるとでも言うか!」
互いに挑戦的な態度を崩さず、相手の上に立とうと口論を続ける。
電流がばちばちと走っているかのような感覚に、女の後ろに隠れていた悪魔が思わずもう一歩退いてしまう。
一触即発、まさにそんな状況である。
「当たり前よ。この私、そして私の夫はアンタなんかよりずっと正しいって言い切れるわ」
「夫、愛する人か……」
言葉の勢いを弱め、少しの間黙り込む。
ようやく諦めたか? と女が散の顔を覗き直した時、散は不適な笑みを浮かべ直す。
「愛し、愛される存在。この散とて同じ!
 そなたらに愛があるというのならばそれでよい!
 ならば散がそれを上回る愛で、お前を夫と共に私の物にして見せよう!
 愚神討伐、その道中で必ずお前とお前の夫を私の物にしてみせる!
 この散、お前と共に歩ませてもらうぞ!」
人類抹殺を変えるつもりはない。
しかし、このように志の高い者こそこの散の配下にふさわしい。
その者の心を埋め尽くす何かが有るというのならば、それを含めて我が物にするまで。
屑である人間の中の数少ない、見所のある人間を散は見逃さない。
だが、女も「お前を征服する」と言われているのに対し、強気の姿勢を崩さない。
「フッ、勝手にしなさい。
 あなたなんかに滅ぼされるほどほど、こちとらヤワじゃないってこと証明してあげるわ。
 逆にあなたをこのデボラ様の配下にしてあげてもいいわよ?」
「笑止! その大口、最後まで叩けるか見物だな!」
散がデボラの後をつけ始める。
あの腐りきった世界には居ない、燃えるように輝く目を持つ人間。
人間にしておくには、あまりにも惜しすぎる人間。
その全てを散の物にするために、散はデボラと共に行く。
だが、デボラも黙って支配されるつもりは無い。
寧ろ自分と夫の愛を見せつけて、この人ならざる人を黙らせる。
愚神討伐はともかく、人類抹殺など黙って見ているわけには行かない。
だから、同行を許可する。
リュカに会い、全てを証明するまでは。

証明されるのは、人間の愛か、散の愛か。

602Love is Real? ◆Cxilshz3Mg:2012/12/04(火) 22:46:16 ID:AxvmcY2c0

【D-7・8/境界線上/深夜】
【デボラ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康
[装備]:ダイアモンドネイル@DQ5、アームターミナルB(仲間:メッサーラ、ジャックフロスト)
[道具]:基本支給品、レイルガン@真・女神転生、未確認支給品*2(ガルシアのもの、剣など武器は入っていない)
[思考・状況]
基本:神に抗うものを集め(家族優先)、神へ反逆する。
1:雷柱へと向かう。
2:散に、人間の愛を証明する。
3:"悪魔"は可能なら交渉し、より多くの仲間を集めておく。
[備考]:クリア後

【葉隠散@覚悟のススメ】
[状態]:美しい、上腹部骨部骨折
[装備]:無し
[道具]:基本支給品1式、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人類抹殺!愚神討伐!
1:デボラに同行、その愛を見届け、散の愛で埋め尽くす。



以上で投下終了です。

603名無しさん:2012/12/04(火) 23:45:20 ID:xu5287mY0
投下乙!
>>ハヌマーン
……うん、便利な悪魔だよな!テッド様が益々凶悪になりましたね。

>>散様
人の愛と散様の愛!果たしてどちらが上回るのか、見物で御座います。

604 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/05(水) 01:16:19 ID:ojCDLv1w0
グリフィス、主人公の息子予約します

605 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/05(水) 01:19:32 ID:yNAfFDaI0
皆々様投下お疲れ様でした!

>Dragon Hello
積み重ねたストレスを爆発させるソラと理性的に説得を行うゲマ
主人公一族の宿敵という所以故に相容れないと見せかけて、
これゲマがクソ煽り野郎なのが悪いよねwwww
本来主人公側であるべき人物が龍と化し、
本来敵の側であるべき人物が少年漫画の主人公よろしく未来に目を輝かせている。
各キャラの描写もさることながら、対比の構成も楽しませていただきました。

>鏡の中のあの日の私
ミシカを笑うカオスヒーローがただただ格好いい。
タイトルからも分かる通り、カオスヒーローにとっては過去の自分との戦いになっているんですね。
だからこそ、自分の過去の愚かさを笑い、そして未来を見てそれに立ち向かえるカオスヒーローがひたすらに格好いい。
次の話がどうなるかはわかりませんが、現段階では完全にカオスヒーローが精神的に優位ですわ、これ。


>見えない境界線
アリスが可愛い、アリスが超可愛い。
アリスが可愛く、歳相応の様相がしっかりと描写されているからこそ、
最後のカリョストロがアリスに対して抱いた思いが強調されて、本当にアリス可愛い。



>夜明けの海岸
1レスに濃縮されたガッツが素晴らしい。
台詞が無いからこその行動から浮かび上がるベルセルクが伝わってきて、
本当に楽しませていただきました。




>楽園の素敵な妖精と通りすがりのお侍の話
いや、話としてはただすれ違って二言三言交わすだけの話なのですが、
ものすごく引き込まれるものを感じるんですよね。
いや、先程の感想と同じになるのですが、交わされる少ない言葉にそのキャラらしさが濃縮されている。
ifを提示しつつ、現状を踏まえた上でそのキャラらしい行動を取らせるっていうのが、いや本当に面白かったです。



>超融合
アドラーはベンじゃないし、ハヌマーンもベンじゃないから(正論)
テッド様がアライメント的な意味でのカオス勢の一人なんだよなぁ、
ただ、力を求めるものではなく力を持つ者として描写してくれているからこそ、
他のカオス勢との対比で、
この作品だけの完結ではなく全体を踏まえてのリレー作品として楽しませてくれるんですよね、本当にありがとうございました。






>Love is Real?

他のロワもそうかもしれないのですが、
方向性を同じくしながら、それでも異なるキャラクターの衝突というのがこのロワでは実に多い。
同じく対主催であり、愛という感情を持つものながら方向性の違い故に、
大殺戮者に成りうるもの散と、それに抗うデボラ。
衝突は必然なのですが、とにかくお互いの強さについても触れられていて本当に面白かったです。

606名無しさん:2012/12/05(水) 01:19:43 ID:yNAfFDaI0
そして予約キタアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

607 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/05(水) 02:37:21 ID:hgEkE7M.O
すみません、最新投下の時間帯ですが深夜ではなく黎明です。
ウィキ更新後報告で申し訳ない。

608 ◆w3jhWtfiTI:2012/12/06(木) 20:32:38 ID:IkB2z5uE0
散さまのペースを乱すとは……デボラすごいw
我の強い(褒め言葉)二人だけど、果たしてどちらの愛が勝つのでしょうか。
投下乙でした。

申し訳ありませんが、予約分の延長をお願いします。

609名無しさん:2012/12/06(木) 21:27:34 ID:FWFvVndM0
>超融合
テッド様はやっぱりいいなーw
こういうイカレタキャラと見た目はともかくアライメントN-Lなハヌマーンって相性最悪じゃね、っとか思いつつ。
これ以降のリレーで他のキャラたちとどう化学反応を起こすか楽しみだw

>Love is Real?
ゲマの回想にあったリュカがまんまアレだっただけに想像もできんかった二人だけどこう来たかw
これは相性いい、のかなぁ……?

610 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/07(金) 16:58:31 ID:j59iH9Fg0
延長させて頂きます

611 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/07(金) 17:03:55 ID:HPH2RyaI0
完成はしているのですが、他の人の投下次第で変わる可能性がある展開となってしまいました。
というわけで早いですが延長させていただきます。

612川崎宗則 ◆MuNe4ceu/Q:2012/12/08(土) 01:29:01 ID:oElFR9u20
ベン2予約します!

613川崎宗則 ◆MuNe4ceu/Q:2012/12/08(土) 01:30:51 ID:oElFR9u20
予約した直後で申し訳ありませんが、バトルロワイアルに参加させられることになってしまいました。
ですので一度予約を破棄させていただきます。再び機会がありましたら、書き手として何か書かせていただきます。
今回はご迷惑をおかけ致しました。ですが……バトルロワイアルに参加させられたんですし、仕方ないですよね(マジキチスマイル

すみません、調子に乗りました。それでは次がありましたら、是非とも宜しくお願い致します

614 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/08(土) 15:17:05 ID:hjMUFNaE0
予約されてるメンツをもう一度よく見てみると「あっ、大丈夫だな」と思ったので投下します。
お騒がせしました

615 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/08(土) 15:18:50 ID:hjMUFNaE0



ふわふわのベッドとあったかいシーツ。

それらが合わさるとき、人はこの上ない快眠を手にすることが出来る。

そして、今も一人。

極上の眠りに落ちる、一人の王子が。

すやすや、すやすやと眠っている。

ゆっくり、ゆっくりと誘われて行く。

"夢"の世界へ……


.

616夢の続きの既視感 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/08(土) 15:20:25 ID:hjMUFNaE0
足を一歩、地面へと踏み出す。
踏みしめる足に力がうまく入らず、右によろけてしまう。
その体を支えようと、両手を地面に突き出す。
地を支える腕に力がうまく入らず、体ごと倒れ込んでしまう。
体の感覚を叩き込みながら、全身を使って立ち上がる。
そうしてまた、次の一歩を踏み出しては体勢を崩す。
そうしてまた、両手を突き出しては体ごと倒れ込む。
そうしてまた、全身の筋肉を使いながら起きあがる。

数え切れないほどの生傷を生み出しながら、グリフィスは確実に前へ進んで行く。
踏み込み、倒れ込み、起き上がり。
一連の動作を通じて、体の感覚を叩き込んでいく。
人の肉体とは、血液とは、筋肉とは、骨とは、神経とは、どう扱う物だったか。
まだ、自分が人間の体を持っていた頃の記憶を頼りに、ひとつずつ思い出していく。
ひとつずつ、ひとつずつ、我武者羅に思い出していく。

気がつけば勇者の放った雷の方へと、その体は動いていた。

少しずつ感覚を取り戻していく体を使いながら、前へ進む。
勇者の放った雷の方、そこに聳え立つ山の中へ入り込む。
体を岩肌にあちこちぶつけ、生傷を擦り傷へと変貌させ、それでも前に進んでいく。

道中、奇妙な七体の像が置かれた広間に当たる。
中央の巨大な鳥の像の周りに、恐竜、髑髏、蛙、そして男三人の像が置かれている。
これらが何を意味するのか、さっぱり見当もつかない。
だが、グリフィスはしっかりと感じ取っていた。
この部屋に入ったとき、其々の像の"目"が光ったことを。

何とも言えぬおぞましさから、逃げるように先の部屋へと進む。
奥の部屋にあったのはたった一体の像。
強靭そうな鎧兜とマントを身に纏った、男のような像。
一見すると何の変哲もない像だが、グリフィスには何か特別な像のように見えた。
そう、まるで"あいつ"のような――――

617夢の続きの既視感 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/08(土) 15:20:57 ID:hjMUFNaE0

「ん……?」

未だに安定からは遠い体で、屈むような姿勢でその像を見つめていた。
今のグリフィスだからこそ、まるで小さな少年のような視点を持つことが出来た。
どう見ても怪しい何かが、像の傍にあることに気がついた。
そして、その怪しい何かには像とは対照的に埃がついていない。
自分より先に、何者かがこのスイッチに触れていると考えられる。
辺りから血の臭いはしない、ということは罠の類ではなさそうだと考えていい。

恐れることなく、その何かを押し込む。

像の台座から一本の道が現れる。
埃を被っているところに対し、誰かが通ったのか埃が綺麗になっているところがある。
つまり、誰かが先にこの道を通っているという事。
では、この先に何があるのか。
恐らく、歩んできた道から考えても山頂が近いのは分かる。
ならば、その山頂には何があるのか。
ひょっとすれば罠かもしれない、その罠に引っかかって戻ってこないというのも十分考えられる。
万が一、罠がないとすれば先に登っている筈の"誰か"は何をしているのか?
何もないなら何もないで、下山途中に自分と遭遇するはずだ。
なんにせよ人がいる事、そして頂上に何かあるのは確実だ。
上手く動かない体にムチを打ちながら、グリフィスは山頂を目指して動く。

618夢の続きの既視感 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/08(土) 15:21:11 ID:hjMUFNaE0



辿り着いた先で見た。
昇り始める太陽と、辺りを一望出来る景色を。
先ほどより一回り大きい"あいつ"のような像を。
そして、その中ですやすやと寝息を立てる。
一人の、黒髪の少年の姿を。

雷の発生した場所は山頂。
そして自分が歩いてきた道中では、誰にも出くわすことはなかった。
ならば、この少年が雷を打った張本人だろう。
……あまりにも、信じがたい出来事だが。

グリフィスは考える。
この僅かな情報を手に、これから自分がどう動くべきなのか。
この動かない体と、手にした情報と、この状況でどう動くべきなのか。

まず、少年の命をここで奪い去ってしまうのは、あまりにも愚策。
自分は夢の為に屍を積み上げるのが目的だが、そのために手当たり次第に殺戮するのは良策とはいえない。
ましてや赤ん坊のようにはいずりながら移動するのがやっとの今の自分では、力を取り戻すまで生き残れないだろう。

本当はこの少年について知りたいところだが、偵察スコープはまだ使うことが出来ない。
ならば、この少年について考える。
何故、雷を打ったのか? 何故、人目につくような行動に出たのか?
仮に、この姿からは考えられないほどの邪悪を抱えた殺戮者であるとすれば。
そこまで考えてから、その可能性をまずは振り払う。
そもそも、この少年はあの隠し通路を通ってきている。
わざわざ山頂方面へ向かうより、下山して獲物を探すほうがよっぽど効率がいい。
殺し合いには乗っているものの、眠たかったので寝れる場所を探して山頂まで来ましたと考えるには少し無理がある。
となると、この少年が殺し合いに乗っているという線は薄くなる。
連鎖するように答えが見つかっていくもので、とするとあの雷は仲間を集う狼煙のような物だったのだろう。
誰が集まるかわからないというこの状況なのに、悠長に眠りに着く事ができるのは余裕の表れか。
とはいえあの雷を自在に操る力は、確実にある。
そして殺戮に乗っている線は薄く、それどころか仲間を募っている可能性が高い。
つまり、この少年も力を欲しているのだ。
ならば、この機会を利用しない手はない。
殺し合いを打破するという建前を持って少年の傘下に入り、体の感覚を取り戻すまで共に過ごす。
いつかのあの時と似ているようで少し違う方法を取るのが、恐らく最善の一手。
一時的な隠れ蓑としては十分な環境だろう。
この少年が戦闘面でどこまで役に立つのかは未知数だが、あの雷を操るほどの力があるのならば、強力な仲間であることには違いない。
何時手のひらを返し反旗を掲げるのか、それは処分の方法と共に追々考えて行けばいい。

「……う、ううん」

その時、ベッドの上で眠る少年が目を擦りながら起き上がってきた。
傷つき倒れそうな青年を演じるために、近くの適当な場所に倒れこむ。
道中で作ってきた傷が、上手く作用してくれそうだ。
一瞬で頭の中に言葉が次々に浮かんでくる。
彼をを味方につける、貧弱な"平民"の言葉が。
準備は揃った、あとは演じるだけだ。

オレが目指す、"夢"の世界へ辿り着くために。

ここは、まだ"夢"の途中。

倒れるわけにはいかないから、なんだって利用してみせる。

619夢の続きの既視感 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/08(土) 15:22:26 ID:hjMUFNaE0

【D-6 /魔王山最深部/1日目/早朝】
【主人公の息子@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品1式(松明をひとつ消費しました)、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:ワルモノを倒してみんなで帰る
1:ここに集められた人と合流して助け合う
2:少し石像が気になる。
[備考]
ライデインによって山に落ちた雷が幾つか離れたエリアでも観測できるかもしれません。

【グリフィス@ベルセルク】
[状態]:左の歯数本欠損、身体感覚が戻りきっていない
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ていさつスコープ@MM2R(一日目朝まで使用不可)、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:夢のために屍を積み上げる
1:少年と交渉
2:感覚を取り戻すまで直接的な戦闘は避けたいが、ある程度したら積極的に動く。
[参戦時期]:フェムトへの転生途中
[備考]
容姿・能力は人間時のグリフィスのものです。拷問痕はなくなっています。
この殺し合いは転生のためのもの、参加者はベヘリットに関連した者だろうと考えています。
ていさつスコープの効果により、ライを介して葉隠散の容姿と名前の情報を得ました(散が参加者であることは認識していません)。

----

投下終了です。
予約メンツを見る限り魔王山には誰も来ないだろうと思い、この時間まで進めました。

620 ◆EDO/UWV/RY:2012/12/08(土) 23:31:21 ID:oElFR9u20
ベン2、タケダ・カンリュウを予約します。

621 ◆EDO/UWV/RY:2012/12/09(日) 04:07:38 ID:NCVDl7oE0
投下します。

622イッツァソ○○アタック! ◆EDO/UWV/RY:2012/12/09(日) 04:08:36 ID:NCVDl7oE0
ベン2。その猿は、あらゆる要因が合成したことによって誕生した最強の猿。
普通ならば分裂の壺に入ったりとかいうちゃんとした手続き(?)を踏むべきなのに、それを敢えて無視した至高の猿。
そんなベン2だからこそ、普通の猿には出来ないことが実現可能なのである。

それは人を殺すこと? 違う。
それは銃を扱うこと? 違う。
違うんだ。それは両方、その気になれば出来る。少なくともベンなら出来る。
じゃあ何? 一体、何が出来るの?


答え:自動車で爆走


そういうわけで現在ベン2は、そこら辺の駐車場に止まっていた黒いR32スカイラインGT-Rのイモビライザーを破壊。
かつてオリジナルのベンがその眼でしっかりと目にしていた〝軽トラを動かすおっちゃん〟の動きをトレースし、海岸沿いを爆走していた。


       ◆       ◆       ◆


そんな中、生身ではあるが……疾走している人間がもう一人いた。
彼の名はタケダ・カンリュウ。彼は西へ西へと足を進め、港を作る予定の海岸沿いを見に行っていたのだ。
下見、というやつである。何せ港なんて言う途方もなく大きい物を作らねばならないのだ。入念なチェックは必須だ。
だがそうやって海岸沿いを北へ北へと(半裸で)走っていると、ふと彼はそのお耳で気付いた。
何やら、激しいエンジン音が聞こえていることに。

「なんだァ?」

流行の最先端を征くべき商人であるタケダ・カンリュウだからこそ気付けたのかもしれない。
最初はそう言える程度のものだった。だがその音はだんだんとこちらへと近づいていく。
何やらえらいことになってきた、と直感で判断するタケダ・カンリュウ。
半分氷付けみたいになった状態で、彼は音のする方へと疾走することにした。
すると……どうなったと思う?


答え:目の前に、R32スカイラインGT-Rで暴走するベン2の姿が!!(AA募集中)


しかも、明らかにタケダ・カンリュウをひき殺そうとしている。
やばいことになってしまった。ああ、どうするんだタケダ・カンリュウよ。ここで死んでしまうと情けないぞ!
走れ!(二番煎じ)


       ◆       ◆       ◆

623イッツァソ○○アタック! ◆EDO/UWV/RY:2012/12/09(日) 04:09:58 ID:NCVDl7oE0
というわけで、この一人と一匹の酷い邂逅が海岸で起きたわけですけども。
実はですね。これを遠く離れた場所から見ていた大勢の方々がいるわけです。
一体誰でしょうか。ヒントワードは「三千」と「天界」です。


答え:成仏して天界にいる三千の英霊。


そう、彼らはモズグズのボディランゲージにより成仏した後、天界からロワの進行を眺めていたのだ!
怖気の走る殺し合いゲームの行く先を見つめ、何かあったらいつでも手を貸せるように……そう考えたからである。

そしてそのときは遂に訪れた!
罪なき日本男児が、醜悪な猿に襲われている! これを助けずして、いつ何を助けるのか!
こうなればもはやこの身、修羅道へと向かうのみ! さぁ、征け三千の英霊!
え? どうやって現世に戻るんだって? そんなこと、決まっている!


レッツ、天国で割腹!


       ◆       ◆       ◆


さて、ベン2のスカイラインに追いかけられていたタケダ・カンリュウ。
彼は今、命からがら逃げつつも反撃の機会を窺っていた。
とはいえ正直あの猿、ドライビングテクニックがやばい。正直じり貧だ。
今は必死に疾走することでどうにか回避しているが、このままではひき殺されるのも時間の問題である。
港を作るという夢は潰えてしまうのか? いいや、それだけは困る。

「ホーッホォー!」

奇声を上げ、ガトリングガンの引き金を引く。しかし弾は車体には当たるものの、ベン2への決定打とはならなかった。
これもベン2が放つオーラがなせる技だというのだろうか。まぁタケダ・カンリュウ的には知ったこっちゃないのだが。
とにかく、スカイラインの車体自体が頑丈であることも手伝い、相変わらずベン2は無傷。
タケダ・カンリュウをひき殺そうとするその意思にも、一切の変化は無い。
さすがにタケダ・カンリュウも、今回ばかりは死を覚悟した。



                ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:i「 ̄ ̄`ヽ   /⌒ヽ〉:.:.:.:.ト、:!
                .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|i|i ===ミ_   _ィ==ミy:.:i|i:.:.| i}
              .:.:.:_」⊥」:.:.:.:.|i|i 匸二二「⌒<匸二}:.:ii||i.:i! i}  このままではまずい!
             '.:.:.Yy=ミl::i:、:.:.| ii         `、  〈川|り
               i.:.:.:.|  〈トト、:| lj       'ー /   / レ’



だが、そのときだった!

624イッツァソ○○アタック! ◆EDO/UWV/RY:2012/12/09(日) 04:11:25 ID:NCVDl7oE0
「(迷える日本男児よ!)」

声が、聞こえた。
「ああん?」と、返事を返してみる。すると再び、いかつい声がタケダ・カンリュウの鼓膜を震わせた。
誰もいないのにも関わらずだ。

否、そこには誰もいないのわけではない。
ただ、常人には見えないだけなのだ!

「確かに俺は日本男児だが、どこのどいつだ! 俺に話しかけているのは!」
「(……きこえますか… きこえますか… 日本男児よ… 三千の英霊です… 今… あなたの…心に…直接… 呼びかけています…)」
「三千の英霊ィ!? 何それ怖い!」
「(あの悪魔の猿を… 野放しにするわけには…いきません… 倒すのです…ベン2を…倒すのです…我々の魂を使うのです……)」
「いや、それが出来たらとっくの昔にそうしてるっていうか……いや、ちょっと待て。口調が変わってないか!?」
「(敵を倒す意思ありと見た!)」
「口調が戻った!」
「(常ならぬ相手に通常兵器の効果が無意味であれば、我々を使うと良い!)」
「いや、何を言っているか分からん! ニッポン語でおk!」

同じニッポン男児らしい三千の英霊がそういうと、彼らはタケダ・カンリュウが混乱しているということを一切無視して、遂にその姿を現した。
その一つ一つは、まるで鬼火のよう。丸いボール状のお化けにも見えるそれは、荒野と化したニッポン地方ではそうそう聞くことのなくなった怪談のアレそのものだ。
しかしタケダ・カンリュウ的には、そんなやつらに「我々を使え」と言われたところでどうしようもない。
何せ使うと行っても、自分はただの武装商人。別に寺生まれのT(タケダ)さんだというわけでもないのだ。
一体こんな潰れたボール状のものをどうしろというんだ……と、彼は逃げ惑いながらため息をついた。

「ん? 待てよ?」

そのときだ。タケダ・カンリュウが全てを察したのは。

「ボール……球……弾……お前らを使う……つまり弾を使う……弾を使う物……ガトリングガン……? そ、そうか!」

察したと同時に、もう一度ガトリングガンを構えるタケダ・カンリュウ。
すると彼は怖れを忘れる勢いで「集え! 三千の英霊よー!」と叫んだ。
ベン2はタケダ・カンリュウを可哀想な目で見つめているようだが、そんなことは今のタケダ・カンリュウには関係はなかった。
するとどうしたことだろうか! タケダ・カンリュウ自慢のガトリングガンに、三千の英霊が吸い込まれて行くではないか!

「(さぁ日本男児よ! 心に浮かんだ言葉を叫び、引き金を引けェェェェ!)」
「おう!」

625イッツァソ○○アタック! ◆EDO/UWV/RY:2012/12/09(日) 04:12:01 ID:NCVDl7oE0
そして全てを吸い込みきったガトリングガンを、ベン2の運転するスカイラインへと向けたタケダ・カンリュウは、




                      /.:.:/ヽ.:.:.ヽv'´.:.;ヘ:.:.\
                       /.:.:.:.:////\:.:.:.:.://∧ヽへ
                  //)/〉//////\////∧レヘ∧
                   ,ィヘ/∧/)「^¨´ ̄ ̄ ̄ ̄`¨¨ミ:.:.:.:.:`、
                /レヘメ:.:.:.:.:.:i| __           ミ:.:.:.:.:.:.:.、
                ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:i「 ̄ ̄`ヽ   /⌒ヽ〉:.:.:.:.ト、:!
                .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|i|i ===ミ_   _ィ==ミy:.:i|i:.:.| i}
              .:.:.:_」⊥」:.:.:.:.|i|i 匸二二「⌒<匸二}:.:ii||i.:i! i}
             '.:.:.Yy=ミl::i:、:.:.| ii         `、  〈川|り
               i.:.:.:.|  〈トト、:| lj       'ー /   / レ’ <お前に相応しいソイルは決まった!
               乂ヘ  (_> )i  < 、‐-  _____ ,′
               ⌒\         \ `¨¨¨ア ,′
                   `丁i        `¨ニニ  ,′
                   | 、            ,
                  _| /> 、        .:'
                 |\ 〜〜 \ 、   j′
                 〈 ..\___,`ー‐t´_ヽ
                 .〉  .〉  U      ''ヽ
                  .〈  .〈       U   .|
      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| 〉          | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
      |  ガトリングガン  |〈  U          | 自慢の回転式機関砲  |
      \________| 〉          |__________/
                  〉  〈       U      |
                  \  〉 U        |
                    \|______,,,ノ
                     / ゚ =ー----'、... __   
゚              +  ===== !    ,.        ̄丶  
       __            ,. -'':.、  u     ゚     。 \
==三/ `ニ ー――-- 、..-''´    ゙ー‐ァ--―''" ̄`丶、 u  丶、ヽト、 ,.. --、
   ,r''´。 ゚  __     ・    。   _.. -''´         `丶、    `‐'"  ´‐'´'
。 /,   ,. - '´   ゙̄''ー-----―''"´      +     ゚      ヽ ー   _ノ-'´
  `゙ー-'´                      −−===三三三 ヽ、_/




三千の英霊を弾丸とし、魂を込めてガトリングガンの引き金を引いた!

626イッツァソ○○アタック! ◆EDO/UWV/RY:2012/12/09(日) 04:12:50 ID:NCVDl7oE0
「ホーッホォー! ホーッホォー! ホーッホォー!」

すると、歯が立たなかったスカイラインの装甲にひびが入り始めた! 明らかにダメージを与えている!
中にいるベン2も異常に気付いたらしく、怒りの声を上げながら華麗なドリフトによる回避を試みる!
しかし弾丸と化した三千の英霊は、スカイラインに食らいつくばかりだ! 物理法則を無視し、ミサイルのようにベン2を襲う!

そして遂に、スカイラインに死が訪れた!

三千の英霊を何人使い潰したか数えるのも億劫になった頃、スカイラインの車体から煙が吹き出る。
そこにだめ押しの英霊を放ち続ければ、遂にエンジンルームが発火。ごうごうと燃えさかる炎は、まるで牛鍋をつついているときのそれだ。
しかしまだまだこれでは安心できない。商人とは常に〝考えすぎ〟なくらいが丁度良い。まだこれで終わるわけにはいかない。慎重さは武器なのだ!
というわけで、タケダ・カンリュウの猛攻は終わらない。発火した車体に対し、英霊をひたすらぶつける。撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ!

「とどめだァァァァァァァ!」

すると次の瞬間、スカイラインは爆発した。
図にすると、こんな感じだ。



         ("  ./   i {;;;;;;;i|    .|i;;;;;;) ,ノ    ii
     ,,       (    l, `'-i|    |i;;-'     ,,-'"   _,,-"
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     `''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i|      .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'
       "--;;;;;;;;;;;;;;;;;""''--;;i|      .|i二;;;;;::---;;;;;;;::--''"~
               ̄ ̄"..i|       .|i
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                .i|           |i
               .i|      ,,-、 、  |i
               i|      ノ::::i:::トiヽ、_.|i
           _,,  i|/"ヽ/:iヽ!::::::::ノ:::::Λ::::ヽ|i__n、ト、
     ,,/^ヽ,-''":::i/::::::::/:::::|i/;;;;;;/::::;;;;ノ⌒ヽノ::::::::::::ヽ,_Λ
     ;;;;;;:::::;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;;:::/;;;;;;:::::::::;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::;;:;;;;:::ヽ

627イッツァソ○○アタック! ◆EDO/UWV/RY:2012/12/09(日) 04:14:29 ID:NCVDl7oE0
「やった! あの悪魔の猿を倒した! それもこれも三千の英霊のおかげだ!」

喜びに打ち震え、敦盛を踊り始めるタケダ・カンリュウ。いにしえの舞にも力が入るばかりだ。
恐らくこの爆発ならば、ベン2も生きてはいまい。それもこれも三千の英霊のおかげだ。
三千の英霊 is GOD, GOD is 三千の英霊。そんな想いを込めて、タケダ・カンリュウは感謝の意を込めて叫んだ。
ありがとう三千の英霊、ただただありがとう……と。

「んん?」

しかし、だ。

「んんんん?」

三千の英霊は、答えなかった。
いや、違う。三千の英霊は答えないのではない……答えられないのだ。

「さ、三千の英霊!」

三千の英霊を呼び出すため、ガトリングガンの引き金を引く。
しかしガトリングガンはカラカラと空しく回るだけ。三千の英霊は一人も姿を現さなかった。
そう、何故なら……ベン2を倒すため、三千の英霊は全て撃ち尽くされてしまったから。
弾丸と化した彼ら一発一発は、ベン2を苦しめる度に成仏していったのである!
彼らは再び、天界へと姿を消してしまったのだ!

「三千の英霊ー!」

別れを惜しむように叫ぶタケダ・カンリュウ。彼の目には涙が浮かんでいたのだった。
まぁでも、なんだったらまた割腹してもらえば良いだろ。


       ◆       ◆       ◆


そして天界にて。

「ええい、もう一度だ!」

案の定、三千の英霊は割腹を試みていた。
だが別に、無駄に出番が欲しいわけじゃない。
その答えはただ一つである。


答え:あれだけやったのに、ベン2が死んでいなかったから。


       ◆       ◆       ◆

628イッツァソ○○アタック! ◆EDO/UWV/RY:2012/12/09(日) 04:15:33 ID:NCVDl7oE0
ベン2は死んでいなかった。前述の通り、死んでいなかった。
今ベン2は、タケダ・カンリュウの猛追を振り切るために、その両脚で必死に逃げているのである。
一体どうして生きているのだろうか?


答え:スカイラインが爆発する刹那、どうにか脱出したから。


とはいえ、無傷かというとそうではない。
スカイラインが爆発したとなれば、当然近くにいたベン2には炎と熱風が襲いかかる。
その影響で彼の毛は全て焼失。ベン2のモチーフといっても過言ではないお茶目な剛毛は、全て消え失せてしまったのだ。
おそらく休んでいる間に生え替わっているとは思うが、ボス猿としては正直こう、なかなか面白いものがある。
だがそんな屈辱からくる苛立ちを押さえ込み、ベン2は戦略的撤退をしているわけなので……笑わないであげてもらいたい。

まぁ、そういうわけでベン2は生きていた。
三千の英霊とタケダ・カンリュウに好き放題されても、やはりベン2が無敵の猿であることは変わらないのである。
頑張れベン2! お前はやれば出来る子だ! その気になれば、いつだって死人が出るぞぉ!

あ、ちなみに今のベン2の姿は、こんな感じです。




                 ,・ ̄ ̄ ̄\
               `,/       ヽ,          ベ
                 |:} __ 、._ `}f'〉___       ン
                ,ヘ}´`'`` `´` |ノ    ヽ      2
          .    ,ゝ|、   、,    l|      }
             / {/ :ヽ -=- ./       |
         .. / ...ヽ、  \二/       /
               ヽ、._、  _,/    /|
          ..  ヽ                |
          ...  |ヽ      Y      / __ト、
        ヽ、    | ヽ・__ / ヽ__・/Y-'゙, .\




頑張れベン2! 走れ!

629イッツァソ○○アタック! ◆EDO/UWV/RY:2012/12/09(日) 04:17:23 ID:NCVDl7oE0
【エリアD-2/1日目/早朝】

【タケダ・カンリュウ(トレーダー)@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:下半身とガトリングガンがむき出しの氷像(ガリガリ君リッチ 武田観柳味)
[装備]:O・ディオのガトリング@LIVE A LIVE、アームドガン@メタルマックス2:リローデッド、ガルシアガン@メタルマックス2:リローデッド
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
第一行動方針:島の西側一帯を潰し、船で参加者を送り出す
第二行動方針:そのためにも、物々交換や拾った物の売買で財を築く
基本行動方針:主催者を倒し金を奪い返す
[備考]
タケダ・カンリュウの故郷はニッポンというところだそうです。
ベン2を倒したと思っています。


【エリア不明/1日目/早朝】

【ベン2@俺ODIOロワ】
[状態]:健康
[装備]:防弾ベスト@現実、猟銃@現実
[道具]:基本支給品(記憶喪失の赤髪の男のもの)
[思考・状況]
基本行動方針:殺戮

[備考]:記憶喪失の赤髪の男が持つメタモーフ細胞がベンの体毛より細胞を模倣し、血髑郎の戦術鬼の細胞の力で生まれた新生物です。
     記憶喪失の赤髪の男の意志があるかどうか、ブレードトゥースとの競合性等については不明です。
     爆発の影響によって全身の毛が焼失しました。ただ、しばらくすると生えて元通りになると思います。


※朝っぱらからエリアD-2でスカイラインが爆発しています。

630 ◆EDO/UWV/RY:2012/12/09(日) 04:17:37 ID:NCVDl7oE0
投下終了です。

631救いの手 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/10(月) 00:06:20 ID:AZT10dWg0
投下します

632救いの手 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/10(月) 00:06:32 ID:AZT10dWg0


外見から発せられる強者の威風そのままに、ベンは強い。
その爪は鎧を斬り裂き、その厚き毛皮は炎をも耐え、動けば風の様に疾い。
装備した防弾チョッキは銃弾を防ぎ、猟銃は瞬きの間もなく相手の生命を狩り取る。
それに加え、彼はあらゆる者を凍てつかせる術を持っている。
獣の暴力と人間の技術力、そして魔族の魔力が一つとなったベンは、
この殺戮の場に於いて、恐れられるべき者の一つであろう。

──デストレイル

相手がオルステッドでさえなければ。

【ベン(バズズ)@ドラゴンクエストV 天空の花嫁 死亡確認】

──Vシャイン

相手がオルステッドでさえなければ。

【ベン3(カラクリ丸)@LIVE A LIVE 死亡確認】




むかしッから そうだ!
俺がどんなに どりょくしても!
てめぇは いつも そのひとつ 上を行っちまうッ!!
あの決勝大会の時もなあッ!





オルステッドは強い。

633救いの手 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/10(月) 00:06:44 ID:AZT10dWg0

強いから、誰もが彼を羨んだ。
強いから、誰もが彼を誇りに思った。
強いから、誰かが彼を憎んだ。
強いから。誰かが彼を貶めた。
強いから、誰もが彼を恐れた。

かつての勇者が死んだ今となっては彼がルクレチアで一番強い。
真の魔王──彼を貶めた黒幕よりも彼の方が強い。

では、この強さは何の役に立った?

オルステッドの主観から言えば、哀れな被害者であるベンを魔獣になった苦しみからは救うことが出来た。
――だが、彼らが魔獣になる事を防ぐことは出来なかった。

――ベンに襲われる男を救うことは出来なかった。

――何の抵抗もできずに、この殺し合いへと巻き込まれた。

――元の世界では姫をみすみす攫われ、勇者を喪い、親友を喪い、
   姫の救出には失敗し、自らの手で王を殺し、投獄され、僧侶を喪い、ただの罪人へと成り果てた。


オルステッドは、ただただ強いだけ。

634救いの手 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/10(月) 00:06:56 ID:AZT10dWg0


どんな敵でも討ち倒せる程の力で救える者は無く、
むしろその力こそが、彼の視点では解る由も無いが悲劇の引き金となり、

だからこそ守るべきゆりこを置き去りにしてまで、彼は駆けたのではないのか?
得ることも与えることも出来なかった眼の前にある救いのために。

元の世界にいた時の様に、希望を求めざるを得なかったのではないか?

その答えを知る者は本人以外には誰もいない、
唯一つ言えることは――彼もまた、天秤を揺らし続ける者。

左の皿に乗るは勇者オルステッドとしての彼
右の皿に乗るは不確定の未来に存在する魔王オディオとしての彼

全てに裏切られたからこそ、彼は魔王オディオと化した。
だが、この世界において彼を絶望の底の底に叩き落とした姫は既に死んでいる。
そして、ストレイボウ以外に元世界の彼を知る者がいないこの世界で、未だ彼は勇者として振る舞える余地を残している。

天秤は揺れている。

彼はこの世界の情報を一切得ていない。
そして彼に情報を与えしは、彼を傀儡にせんとする原始の妻。
結果として、彼が魔王と呼ばれる存在になる可能性は十二分に存在している。


太陽が昇る。

天秤は揺れ続けている。



【エリアB-3/市街地/1日目/早朝】

【オルステッド@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:はがねのつるぎ@ドラゴンクエストⅤ
[道具]:基本支給品*2、不明支給品1〜2、防弾ベスト@現実*2、猟銃@現実*2
[思考・状況]
基本行動方針:一刻も早く魔王を倒し、アリシアを救出する
1:魔王が関与しているのかを見極める。いるのならば打倒、いないのならば速やかな帰還を目指す
2:悪魔となった参加者に引導を渡す

[備考]
参戦時期は中世編フェミノフォビア戦より。OPの間は気絶していました。
聞き逃していたルールについて、ゆりこから聞きました。
ただし一部に嘘があり、オルステッド、ゆりこ、ザ・ヒーロー以外の参加者の大半が悪魔と合体させられたと聞かされています。
そのほかにもゆりこの話には嘘や漏れがある可能性があります。

635救いの手 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/10(月) 00:07:07 ID:AZT10dWg0




横たわる男と怪物の死体、そして立ち尽くすオルステッド。
駈け出したオルステッドを追い、この場所へと辿り着いたゆりこは大体を悟る。
つまり、彼は間に合わなかった――――と。
もしかしたら、余分な情報を得ているのかもしれないのでオルステッドに改めて確認する必要があるが、
だが、これは好機だ。と、ゆりこは考える。

彼は私の説明にも関わらず、声の方に駆けるほどのお人好し。
では、そんな彼が目の前でむざむざと救えなかった者を見てしまったら?
正直なところ、この様な結果になってくれたのだから……あの声の男に感謝せざるを得ない。

正気な者もいる、だけど目の前で死んだ。
だから今度こそは死なせてなるものか、あるいは僕にはもう戦う自信が無い。

どちらにしても心に隙は生まれる、後は私がその心の隙間を埋めてあげるだけ。
大丈夫……私が貴方を救ってあげるわ。


さて――まずは彼になんて声を掛けようか。

【ゆりこ@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:ザ・ヒーローを殺そうとするものの排除
0:さて、何て声を掛けようか
1:利用できるものは利用し、参加者を減らす
2:ザ・ヒーローはこの手で……?

[備考]
参戦時期はカオスヒーローのパートナーとなったよりも後

636救いの手 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/10(月) 00:08:02 ID:AZT10dWg0
投下終了します。
とりあえず、感想とwiki更新は後ほど

あと、カオスヒーローとミシカを予約します

637名無しさん:2012/12/10(月) 04:10:56 ID:jBdpqiWQ0
投下乙です。
感想は投下時にと思ってたのですがまだまだ完成できなさそうなので先に。流れ止めてて申し訳ないです。

>夢の続きの既視感
なんだかんだガッツのことが意識に上るグリフィス。男の子とは交渉路線、
今のところ雷目指してるのも対主催寄りが多いから魔王山もしばらくは平穏、でしょうか?
ご推察通り自分の予約分は魔王山着かない予定なので大丈夫ですー。お気遣いありがとうございました。

>イッツァソ○○アタック!
ベン2にまで憐れまれるカンリュウってwwwでも脱出をきちんと考えてたりしてある意味一番まともな対主催なんですよね。
三千の英霊はベン2やカンリュウを気にするんだったら覚悟の時にこそ助けに入るべき(まだ鎧の中にいたのかもしれないけど)

>救いの手
ベンといっても5じゃザコ扱いのバズズではさらに仕方ないね、うん。
役に立たない強さ、ですか。原作だと本当に裏目ばかりですからね。
しかし天秤となるとまた……先が気になります。

638heat beat ◆fRBHCfnGJI:2012/12/10(月) 14:05:56 ID:AZT10dWg0


打ち合ったストラディバリとムラサメが火花を散らす。
魔人が操りし比類なき最強の武器ストラディバリと互角に打ち合えるのは、
ムラサメの強さの故だけでは無くカオスヒーローの技量も当然あるだろう。
だが、剣を振るう強さと武器の質、共に分が悪いと判断したカオスヒーローは背後へと跳び、アギを放つ。
だが、アギ程度の火力ではミシカにとっては先程の火花と何も変わらない。
防ぐこともなく、そのままカオスヒーローの元へと突っ込む。
「それが、アンタの力?笑わせないでよッ!」
哄笑と共に、ストラディバリがカオスヒーローの心臓を襲うが、
それを予想していたかのようにカオスヒーローはムラサメにてストラディバリを弾いてみせた。
「なぁに!さっき舐められた仕返しだッ!」
しかし、ミシカの攻撃は未だ終わらない。
『メギドラオンッ!』
超近距離からの最上位攻撃魔法。
これを防ぐ術は普通の人間には存在しない、
だが、混沌の英雄たるカオスヒーローには存在している。
「マカラカーンッ!」
カオスヒーローの呪文によりて纏われた魔法反射障壁が、
メギドラオンを威力そのままにミシカへと跳ね返す。

――耐えられるか?
ミシカの内なる声がミシカに問いかける。

――耐えてみせるッ!
己の心に決意を誓う。

自分の力に耐えられずして、どうするというのだ。
これは儀式だ、反射された自分の力に耐え切り過去の自分を乗り越えろと、
そういう儀式なのだ。

刹那の思考の末、ミシカは歯を食いしばる。

639heat beat ◆fRBHCfnGJI:2012/12/10(月) 14:06:06 ID:AZT10dWg0


メギドラオンをまともにくらったミシカに対し、カオスヒーローは未だ剣を構えている。
通常ならば、耐えられるはずはない。
だが、アスラ王と合体を果たした目の前の敵ならば容易くと言わずとも耐え切ってみせるだろう。
そして、メギドラオンに合わせての追撃も出来ない。
食虫植物は淫靡な香りにて虫を誘う。
有利な状況であるからこそ、今の相手には近づいてはいけないのだ。

メギドラオンが終わり、ミシカが再び光の中から現れる。
体の至る所が焼け、左腕に至っては炭化し、それでも彼女は笑っていた。

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!耐えたッ!私は耐え切ってみせたぞッ!」
狂ったように彼女は笑っている、まるで幼子のように無防備な姿をミシカは晒している。
それでも、カオスヒーローは構えたまま動かない。

ミシカのディアラマがミシカの傷を癒していく。
それでも、カオスヒーローは構えたまま動かない。

「マカラカーンがあるから、だから慌てる必要はない…………と、そう考えているの?」
ミシカの問いかけにも、ただカオスヒーローは黙したまま。
いや、よく見れば再びデイパックより取り出したちいさなメダルをムラサメと共に握っている。

ミシカがデイパックから取り出すは、死者より奪いし支給品。
その名を魔封じの杖、相手の魔法を禁じる術を放つという名前通りの魔封じの杖。

『マホトーン』
カオスヒーローの魔法は封じられた。
後はただ放つだけ、最強威力のメギドラオンを。

「コイントスは好きか?」
場違いなカオスヒーローの声が、東京タワーに響き渡った。

640heat beat ◆fRBHCfnGJI:2012/12/10(月) 14:06:17 ID:AZT10dWg0









術式は終わった。
メギドラオンがミシカの手より放たれる。

「このメダルを弾いて、表面か裏面のどちらが出るか賭けるだけの単純なゲームだ」

ちいさなメダルがカオスヒーローの手より放たれる。

「俺は――」
メギドラオンの光が――

放たれたちいさなメダルに反射されて、ミシカの視力を一時的に奪う。
「俺の出したい方に賭ける」

メギドラオンの中、カオスヒーローはとうとう駆けた。

641heat beat ◆fRBHCfnGJI:2012/12/10(月) 14:06:31 ID:AZT10dWg0

全身が焼けている。
やはりアスラ王の力は強大だなと独りごちる。

それでも負けてはいられない。
昔の俺に、俺の力を証明してやらなければ。

駆ける。
駆ける。
駆ける。





「俺はきっと、俺の出したい方を出したはずだ」
メギドラオンの中消滅していくちいさなメダルを背景に、カオスヒーローはミシカを咄嗟に殴りつけた。
悪魔と合体したと言えども、それでも人間であるということは悪魔人間となったカオスヒーローが一番に知っている。
何処を殴れば気絶させることが出来るであろうか、それも知っている。
そして悪魔人間すら殴ることが出来る力があることを知っている。

「お前の力よりも、俺の拳の方が強いのさ……」

メダルは裏面で消滅した。
それがカオスヒーローが出したい面だったのかどうかはわからない。


さて、正直なところを言えばカオスヒーローの勝ちの目は少なかった。
アスラ王の強大な力に、魔人が操りし武器、ストラディバリ。
それでもカオスヒーローが勝利したのは、ミシカが過去の彼によく似ていたからだ。
挑発の後、見せびらかすかのように新しい力を放つのではないか、
そうやって相手の魔法を窺ってみれば、案の定メギドラオンを繰り出してきた。

故に、彼はメダルを弾くだけの最小限の力にて勝利してみせた。

642heat beat ◆fRBHCfnGJI:2012/12/10(月) 14:06:47 ID:AZT10dWg0



カオスヒーローは考える。
何故、気絶させるだけに留めたのだろうか、と。
やはり――昔の己に似ていたからであろうか、だから生かしておいたのだろうか、そう考える。

俺は甘い。
池袋に於いても、結局フツオを助けてしまった。
カテドラルに於いても、ヨシオとは口論するだけで手を出す事はなかった。

そして今、昔の俺に似ている名前も知らない少女の命を奪わなかった。

「ハハッ」
横たわる少女を見て、笑いが溢れる。

俺の甘さは逆説的に強さの証明になっている。
甘かろうが、それで生き残ることが出来ているからこそ強いのだ。

目の前の少女は俺に似ていた。
だから殺さなかった。
最も、彼女が再び起きた時どうするかはわからないが。


ただ、これだけは言える。

俺は、この場において殺さない強さを持っている。

【B-8/東京タワー・ターミナル/1日目/早朝】

【カオスヒーロー@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:魔力消費・大、全身に大火傷
[装備]:ムラサメ@LIVE A LIVE
[道具]:基本支給品1式、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:もう何かに従う気はない、当然この殺し合いにも。
第一行動方針:少女(ミシカ)の始末をどうつけるか?
[参戦時期]:本編死亡後
[備考]:ちいさなメダルはミシカのメギドラオンによって消滅しました。


【ミシカ@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:気絶、全身大火傷(左腕の炭化はディアラマによってそこそこに治療されました)
[装備]:ストラディバリ@真・女神転生Ⅰ
[道具]:基本支給品*3、青酸カリ@現実、強化外骨格『零』不明支給品(2〜9、アスラ王、モズグスの物を含む)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る
第一行動方針:殺す
第二行動方針:力を手に入れる
[備考]:『零』に宿る三千の英霊が現在成仏しているため、『零』を装着することは出来ません。

643heat beat ◆fRBHCfnGJI:2012/12/10(月) 14:06:58 ID:AZT10dWg0
投下終了します

644名無しさん:2012/12/10(月) 19:49:57 ID:fjZG0rwQ0
投下乙です

>夢の続きの既視感
グリフィスが想像の何割か増しでボロボロだったw
その弱弱しさを表す挙動一つ一つの表現が捧げる直前のグリフィスを想起させて上手い。

>イッツァソ○○アタック!
>かつてオリジナルのベンがその眼でしっかりと目にしていた〝軽トラを動かすおっちゃん〟の動きをトレース
?!
あ、ああ。この場合のオリジナルって赤髪の方か。
バズズの方だと軽トラとか見たことあるわけないもんね、うん。
人を選びそうなネタな面もある気もするけど
軽やかに無茶を重ねるカオスっぷりには憧れを感じずにはいられない
ビジュアルはどうにもネタにしか見えないけどやってることは両方真剣なんだよなぁw

俺ODIOはどこに向かってるんだろう

>救いの手
ゆりこと共にあるオルステッドを天秤を揺らすものって表現されるとやっぱりヒーローと重ねてしまうなぁ。
善意と悪意、方向性は全く違うけど
自身にとって都合のいいように”救い”を解釈するって意味だと同じ二人なだけに終わってみれば上手いタイトルだ。

>heat beat
なんだこの主人公。かっこいいバトル回。
力の差ではなく心の差で勝ったってのが上手いこと出る展開。
ミシカの中のアスラ王がこれを見れたとしたら何を思うんだろうなぁ。

645名無しさん:2012/12/10(月) 23:22:01 ID:AZT10dWg0
>夢の続きの既視感
体の不調をしっかりと描写しつつ、
それでも夢のために進んでいく様子がグリフィス超かっこいいってなります
投下乙です。



>イッツァソ○○アタック!
>目の前に、R32スカイラインGT-Rで暴走するベン2の姿が!!(AA募集中)
                           、,ノl,、{ , _
                         }Vノ;:;:;:;:;:`'´{,
                        、{;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:レ
                        ミ,;:;:;:;:。...。:;:;:;ヒヾ
                      )、-┌┐;:;:.゙,..,゙:;:;:nゝ  ,.゙‐-- 、 ,,.. -- 二''ー-、____
                   ノ、/;:;:;:;:l・ ,,l;:;:;:´;:;`:;:;l ̄l`';:'-ノ_,. / /     ヾ;:, \ 、?‐ヵ‐-`';
                 }ヽソ;:;:;:;:;:;ノt-n';:;:;:;:;:;:;:;ノ,::,_l;:;:;:;:;:;;:;7./l,rー-:   ヽ;:, ヽ, `'Y ,l',-' ,!
             _゙/;:;:;:;;:;:,、;:;,:l LLLlヽ;、;:;:ノEEEl;:;:;:;:;:;:;:}_ ---' --‐‐''"^:,~    ""?i
         ,. -‐ ''"~                      :         '''' ;    __  . |
     ,ィ"           _                 ,,, !             ;   .,'" `!  .,!
      ,:タT''ー‐-- 、,,..r''''"~~;~~ : ~`!     ,.r''"~~`ヽ、  .!            ,'  .,'/j:;〉i,| 〈
    |`  ~`''''ー-' 'ー'---'--"--'  ,..  ,.' ,,.-‐ァ、:::..'!  '!         ,.'   {:|;:i:)ミi|レ'
    `tミl~~`''tー、 ?  r--;      ,, ,, / /、ヾ'.ハ';::l !  i  _ .. -‐ '' "    .|ヾj:レノ
    イ、!,!、..,,_j`''キーr-- ニニ...、  ,;' ,;,' ;l! |;;:! ,r; ,rァ !:!:!  `      _ ,,.,.. -‐'''"
    ィ、_ ー  、_  〉 ゞ-=.....,,,,ノ  " " |  |r 'i , ヾ:','::!   _,,.. -‐''' " ~
      `''ー、_、_~゛             |::::::ヽ'_'‐"ソ:/ー'''' ~
          ~゛` '''''' ー--- --?''' ゞ-:;;;:;:::=-''"
どうぞ

646名無しさん:2012/12/10(月) 23:24:07 ID:AZT10dWg0
なお、よりSSの描写を忠実に再現した場合こうなります。


__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐― ̄ ̄―‐―― ___ ̄ ̄―――  ___―― ̄ ̄___ ̄―==
―― ̄ ̄___ ̄―===━___ ̄―  ――――..゙/.:.:/ヽ.:.:.ヽv'´.:.;ヘ:.:.\ . ___ ̄―===━
__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐―   ――――.     /.:.:.:.:////\:.:.:.:.://∧ヽべ ̄___ ̄―
                                //)/〉//////\////∧レヘ∧
                           、,ノl,、{ , _.゙,ィヘ/∧/)「^¨´ ̄ ̄ ̄ ̄`¨¨ミ:.:.:.:.:`、
                         }Vノ;:;:;:;:;:`'´ /レヘメ:.:.:.:.:.:i| __           ミ:.:.:.:.:.:.:.、
                        、{;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;゙,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:i「 ̄ ̄`ヽ   /⌒ヽ〉:.:.:.:.ト、:!
                        ミ,;:;:;:;:。...。:;:;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|i|i ===ミ_   _ィ==ミy:.:i|i:.:.| i}
                      )、-┌┐;:;:.゙,..,゙:;:;:.:.:_」⊥」:.:.:.:.|i|i 匸二二「⌒<匸二}:.:ii||i.:i! i}
                   ノ、/;:;:;:;:l・ ,,l;:;:;:´;:;`゙'.:.:.Yy=ミl::i:、:.:.| ii         `、  〈川|り゙`';
                 }ヽソ;:;:;:;:;:;ノt-n';:;:;:;:;:;:;゙i.:.:.:.|  〈トト、:| lj       'ー /   / レ’.' ,!
             _゙/;:;:;:;;:;:,、;:;,:l LLLlヽ;、;:;:.乂ヘ  (_> )i  < 、‐-  _____ ,′..."?i
         ,. -‐ ''"~                   ⌒\         \ `¨¨¨ア ,′ . __  . |
     ,ィ"           _.               `丁i        `¨ニニ  ,′ ,'" `!  .,!
      ,:タT''ー‐-- 、,,..r''''"~~;~~ : ~`!     ,.r''"~~`ヽ、. | 、            ,   ,'/j:;〉i,| 〈
    |`  ~`''''ー-' 'ー'---'--"--'  ,..  ,.' ,,.-‐ァ、:::._| /> 、        .:''   {:|;:i:)ミi|レ'
    `tミl~~`''tー、 ?  r--;      ,, ,, / /、ヾ'.ハ';゙|\ 〜〜 \ 、   j′..  |ヾj:レノ
    イ、!,!、..,,_j`''キーr-- ニニ...、  ,;' ,;,' ;l! |;;:! ,r; ,〈 ..\___,`ー‐t´_ヽ.,.. -‐'''"
    ィ、_ ー  、_  〉 ゞ-=.....,,,,ノ  " " |  |r 'i , ヾ: 〉  .〉  U      ''ヽ
      `''ー、_、_~゛             |::::::ヽ'_'‐"..゙〈  .〈       U   .|
          ~゛` '''''' ー---   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| 〉          | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
                          |  ガトリングガン  |〈  U          | 自慢の回転式機関砲  |
__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐―..゙\________| 〉          |__________/
―― ̄ ̄___ ̄―===━___ ̄―  ――..゙〉  〈       U      |...... ̄___ ̄―===━
__―_____ ̄ ̄ ̄ ̄‐―   ――――..   \  〉 U        | ―― ̄___ ̄―
                                  \|______,,,ノ
                                         / ゚ =ー----'、... __
                    ゚              +  ===== !    ,.        ̄丶
                     __            ,. -'':.、  u     ゚     。 \
                    ==三/ `ニ ー――-- 、..-''´    ゙ー‐ァ--―''" ̄`丶、 u  丶、ヽト、 ,.. --、
                 ,r''´。 ゚  __     ・    。   _.. -''´         `丶、    `‐'"  ´‐'´'
                    。 /,   ,. - '´   ゙̄''ー-----―''"´      +     ゚      ヽ ー   _ノ-'´
                `゙ー-'´                      −−===三三三 ヽ、_/

647名無しさん:2012/12/10(月) 23:31:42 ID:nB1PetdU0
クッソwwwwwクッソwwwwwww

648名無しさん:2012/12/10(月) 23:39:24 ID:Jnd9pZ6M0
投下乙に御座いまする
シリアスな話も、カオスな話も、どれもが面白い!
カオスヒーローの格好よさは、無類だ。


ただ、AAは反則だわwwwww

649 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/10(月) 23:41:08 ID:56DmAVhU0
このロワやっぱ最高だわwwwwwwwwwwwwwwwwwww

650 ◆w3jhWtfiTI:2012/12/13(木) 21:24:07 ID:oJIHpI4Y0
大変申し訳ありません、期限に間に合わせることができなかったため>>529の予約を破棄します。
完成後もし予約が入っていなければ投下したいと思いますが、すでにかなり停滞させてしまってもいるので書かれたい方はどうぞお気兼ねなくご予約下さい。

651 ◆w3jhWtfiTI:2012/12/14(金) 23:38:57 ID:7LuYToKM0
ようやく書き上げることができました。
予約も入っていないようですので、ザ・ヒーロー、ストレイボウ、パパス、セエレ 投下したいと思います。

652・・・の祈 上空 ◆w3jhWtfiTI:2012/12/14(金) 23:40:38 ID:7LuYToKM0

一瞬のことだった。


魔王山へと逸る足を向けていたところに、小さな子供が必死の形相でこちらの方へと駆けてくるのが目に入った。
ただちょうどその瞬間、魔王山とは反対の北西の方角からとても人間によるものとは思えないほどの大声が響いてきて、
思わずそちらを振り返る。

そして再び前を向いた時には、

「――ごめんね」

その子供の腹から、剣が一本生えていた。





ストレイボウは何が起きたのかを理解すると、すぐさま攻撃呪文の詠唱に入った。
キメラの翼によってD-7からC-5へと移動していたザ・ヒーローは、セエレの体を押して
腹部に突き刺した天空の剣を抜き、一気にストレイボウへと距離を詰める。
そして剣を持つ腕を勢いよく後方へと振り抜いて、そのまま肩を軸に前へと一回転させる。
重量のあるハンマーを思い切り打ち下ろすかのような、一撃。
引き抜いた際に、剣先の錨のような返しが抉り取った内臓片を遠心力で弾き落としながら、
ストレイボウの脳天目掛けて振り下ろす。

「ッ! シルバーウインド!」

見て推察できる剣の重さからは不釣り合いに思えなくもない、大振りな攻撃をかわして
ストレイボウは氷の刃を放つも、なんなく回避されてしまう。
再びストレイボウへと接近しようと跳躍するザ・ヒーロー。
が、その二人の間に新体操のリボンのような、けれども硬質な破壊力を持った5本のうねる刃が割って入り、
ザ・ヒーローは着地点で地を蹴り直し後方へと飛び退く。
それは“雷鳴”の名を持つ武具、ウルミン。セエレのことを追ってきたパパスの手によるものだった。

「その子供の手当を頼む! 俺は回復魔法は使えないッ!」

ストレイボウは襲撃者から目を離さないままに、助けに入った影に向かって声を張り上げる。
その人物が本当に信用できるのかはわからないし、そもそもどんな事情があるのかさえストレイボウには知る由もない。
例えば、剣で貫かれた子供が実は殺し合いに乗っていたのだということだってあるかもしれない。
ただそうであったとしても、恐怖の表情を浮かべ逃げていた幼い子供に問答無用で剣を突き立てるという行為を
簡単に受け入れられる心は、彼の正義の中にはなかった。

「早く!!」
「く! ……かたじけないっ!」

男が子供を抱えてこの場から離脱する気配を察して、ストレイボウは再度呪文を練り始める。
その者が回復術の使い手か、またはその手段を持っていることを願いつつ。
構築する魔法は詠唱にあまり時間を必要としないもので、初級に近いものだ。
魔法使いであるストレイボウにとって接近戦は避けたいものであり、
先ほどの援護のおかげで開いた襲撃者との距離を維持しておきたかった。
それに可能性の話でいうのならば、この少年は幻術のようなものにかかっているだけだということだってありうるのだ
――――自分がかつて、ある者に対してそう仕向けた時のように。

間断なく呪文を唱えて動きを牽制し、急所は外すように注意しながら威力の抑えた魔法を、ストレイボウは放ち続ける。
……だが次第に、その顔からは余裕が消えていくこととなった。

653・・・の祈 上空 ◆w3jhWtfiTI:2012/12/14(金) 23:41:31 ID:7LuYToKM0
加減しているとはいえ、無数に放つ魔法は一向にかする気配さえない。
今では少年との間隔を保つためには、詠唱の最中も動きづらいローブで森を走り回らなければならないハメになっている。
もとより魔法使いにとって不利な一対一の戦闘と承知ではあったが、未だ有効打ひとつ与えられないことに
疲労だけが蓄積していった。

相手は、魔法や投擲武器といった遠距離攻撃は仕掛けてこない。
剣一本を手に、こちらを狙ってくる。

魔法を放つ。避けられる。
ジリ貧へと近づきつつある状況が、ストレイボウの心に焦りを生み出していく。
魔法を放つ。避けられる。
脳を侵食していくような疲労感が、ストレイボウの心から冷静さを奪っていく。
魔法を放つ。避けられる。
剣を持った相手に――オルステッドと同じ“剣士”に、追いつめられているという事実が、
ストレイボウの心にほの暗いものを落としていく。

「シルバーファング!!」

当初の意図を無視して放った高位魔法も、周囲の木々を凍りつかせるだけで、当たらない。
“剣士”が樹の影からあらわれ、魔法を放つため振り向いていたストレイボウの前に立ちはだかった。
大したダメージを受けていなく見える涼しげなその表情に、強烈な既視感が沸き起こる。
友への憎しみによって手に入れた、オディオの力。
つい先日まで自身を満たし当たり前のように行使できていたはずの力が汲み出せないことに、牙を鳴らしたくなる。
欠けを認識した今、無駄とは知りつつもその力へと手を伸ばそうと――


「……駄目だよ」


少年の口から発せられた心を見透かされたかのような一言に、ストレイボウの顔が驚愕に染まった。
ただ同時にその声によって、ぴしゃりと冷水を浴びせられたごとく暗い感情が薄らいで、現実へと引き戻された。

「君のその力は、駄目だ」

再度ザ・ヒーローが魔法使いに言葉を投げる。
実際のところ、ザ・ヒーローはストレイボウの心を読んだというわけではない。
全てを終えて辿り着いたカテドラルの頂上。そこで太上老君に導かれて見た宇宙の存在。
素粒子の振動や銀河のうねりまではっきりと感じ取れたあの時とは違い、茫漠とでしかなかったが
それでもその感覚を呼び戻すことで、ストレイボウの中に存在していた巨大な力の残滓を彼は認識することができた。
ザ・ヒーローは、なまりのように重い天空の剣を手に駆けていたことで幾分上がっていた息を抑えるため立ち止まり、
現人鬼である散に対峙した時と同じように、見極める。

「どうやら今は、うまく使えていないみたいだけど。
 でもその力を振るい、その力に溺れ続けたら、きっと君は人間でいられなくなる。それはそういう類のものだ。
 だから――」

呼吸を整え終えたザ・ヒーローが、三たびストレイボウへと接近する。
実際の質量と感覚的な重さが一致せず扱いづらくはあるが、
先ほど攻めを抑え守りに専念していた間にだいぶ手になじませた天空の剣をもって。
しかしその刃はまたしてもストレイボウを斬るには至らなかった。

突如出現したゴーレムが、ザ・ヒーローの前に立ち塞がったがために。

654・・・の祈 上空 ◆w3jhWtfiTI:2012/12/14(金) 23:42:24 ID:7LuYToKM0


◆◆


ずっと謝ろうと思ってた。
幸せをひとり占めしていたことを。助けてあげられなかったことを。見捨ててしまったことを。

まだまだ僕はこどもだからって、そんな言い訳を続けていたら、もう大人になることができなくなった。

だけどこのからだのこと自体は気に入っていた。
母さんが教えてくれた、物語の中の勇者さまにそっくりだったから。
それでも結局、また逃げ出して。ほんとうの意味ではやっぱり勇者になれなかった。


ぽうっと、あたたかい光に包みこまれる。
まっくらだった世界が、明るくなる。
その光とはまた別に、血を失って冷えていくからだに触れている熱を感じる。
どうやら、誰かに抱きかかえられているみたい。
やさしくて、こわかった――こわかったけれど、それでも確かにやさしかった、母さんと同じぬくもり。
おなかの中にいたときから知っている、なつかしいその温度に、さっきまで満ちていた恐怖や痛みがとけていく。

「気がついたかっ!?」

まぶたをゆっくりと開く。黒いひとみが心配そうにのぞきこんでいるのが見える。
そして一緒に、頭にあるにはそぐわない白い布が目に入って、思わず口もとがゆるんだ。
自分のものじゃなくなってしまったみたいに感覚のない腕をそっと伸ばして、それをはずす。

「もう……おとななんでしょ……?」

動かしづらくなった口で、いたずらっぽく言ってみた。
いい子じゃなくても、大きな手は優しく添えられたままで、あったかかった。

そのことにほっとするけれど、ふわふわした意識はまただんだんと沈みこんでいこうとしている。
たぶんもうすぐ、からだのどこも動かせなくなってしまうんだろう。
だから、まっくろな影におおわれてしまわないうちに、伝えたいと思う。

「……マナ……一番最初の……顔がいっぱいだったところで……みんなの前で話してた…………僕の……妹なんだ……」

声がうまく出せなくて、途切れ途切れのちいさなものになってしまうけれど、
耳をこっちに近づけてくれていることを感じて、安心してつづける。
まだ、謝らなくちゃと思ってるし、そんな簡単に、許されることじゃないんだろうけど。
でも、今ならわかる。
マナにとって一番必要なものは、よくわからない神さまの愛だとか、ごめんなんて言葉だとか、
そんなものじゃきっとなくて――

「おねがい……マナのことを…………だきしめて……あげて……
 このあたたかさを…………マナにも……分けてほしいんだ…………」

うなずいてもらえたのが、かすんできた景色の中でもわかって、安堵する。
最後に、首をすこしうごかして、上を向く。
夜明けはまだこないけれど、星がのこっている空に祈って、重くなったまぶたを閉じた。


【セエレ@ドラッグオンドラグーン 死亡】

655・・・の祈 上空 ◆w3jhWtfiTI:2012/12/14(金) 23:43:21 ID:7LuYToKM0


◆◆


ストレイボウへと向かう予定だったザ・ヒーローの刃が、ゴーレムの固い右腕を肩から切り落とす。
崩れ落下していくゴーレムを構成していた煉瓦が、土煙を巻き起こす。
その晴れた先、ゴーレムの傍らには、セエレに支給されていたアームターミナルを身に着けたパパスの姿があった。

「聞かせてほしい。なぜおぬしは、こんなことを……?」

先程までセエレを抱きかかえていたパパスの手は今、怒りに打ち震えている。
しかしその感情にじっと耐えながら、静かに、厳かに、目の前の少年に尋ねた。
ザ・ヒーローはその問いに剣を降ろし、パパスの装着している機械へと視線を向けながら、ぽつぽつと語り始めた。

「昔……僕はそのCOMPを使って、悪魔を仲魔にして共に戦っていたりしてたんだ。
 それを手に入れてからは、息つく暇もなかった。
 たった一人の肉親だった母は悪魔に食い殺されて、
 僕がいた東京は神の手の者によってI.C.B.Mが落とされて、そのあとも海の底に沈められて、
 大切な人たちや、友はみんな――」

そこで一旦言葉が途切れるも、ほどなくして再開される。

「前々から少しずつ増えていた悪魔がどんどん街に溢れてくるのに従って、僕の日常は崩れていった。
 人々の祈りは神や悪魔によってたやすく摘み取られて、人類の未来はそれらの手に渡りかけた。
 ……仲魔になってくれた悪魔はみんな、力になってくれたよ。
 でも今となってはもう、彼らも含めた悪魔のことが憎くて憎くて堪らない」

数時間前の邂逅の際に見た、人の形をした醜い獣の姿を思い出して、ザ・ヒーローは薄く笑った。
しかしそれも瞬時に消え、人間の潜在能力が引き出された筋力をもってして、再び天空の剣を持ち上げる。

「だったら尚更、神が開いたっていうこんな殺し合いに従うことなんかは――」

ザ・ヒーローは魔法使いの声には頷かずに、言葉を続けるため口を開く。
血にまみれて磨耗していった心、されど同時に磨き上げられることとなった意志は固く、乱れない。

「こんな僕だけれど、守りたいものがある。
 この殺し合いの最後の一人は、神の力を得るんだったよね。
 だから――僕は殺す。君たちが、君たちであるうちに」

すくった皿に残ったものをこぼれ落とさぬように。彼自身の天秤は、もう揺れることはない。

656・・・の祈 上空 ◆w3jhWtfiTI:2012/12/14(金) 23:44:41 ID:7LuYToKM0


◆◆


パパスには、先程看取った子供とちょうど同じくらいの年頃の子があった。

魔界に連れ去られた妻を救うための過酷な旅にも、幼いながらに懸命についてくることができて。
襲いかかるモンスターに果敢に立ち向かっていったり、子供たちだけでお化け退治を行なったり、
日に日に逞しく育っていく一人息子の姿に幸せを噛みしめながら、日々を過ごしていた。

とはいえまだまだ6つばかりの子供。
甘えたくとも母は近くになく、旅の中にあっては父も十分には構ってやれず。
元気に振る舞ってはいても心の奥では淋しい思いをしているのだろう、
そろそろ村に腰を落ち着けて、これからは思う存分遊んでやろうと、そう考えていた矢先のことだったのだ。

人質とされてしまった息子の眼の前で、パパスがゲマの炎に骨一つ残さず焼かれたのは。

そうであったがために、この殺し合いの始めの無残な親子の死にはなおのこと心を痛めた。
アイテムによる思考力の低下があったとはいえ、原因となった者――勘違いではあったが――の話に
耳を傾けることもなく、思わず激昂してしまうほどに。

ただ先立つこととなってしまったが、我が息子――リュカならば、きっと立派に成長してくれるだろうと信じていた。
いつの日か自分の遺志を継ぎ、伝説の勇者を見つけだし、妻――リュカにとっては母――を、救い出してくれると。

しかし、そうではあっても。いや、そうであるからこそ。
息子の行く末について、空の上から祈り続けずにはいられなかった。
信じて託しはしたが、自分の願いが息子を縛ることになるのならば。
幼き日より見せていた強さと優しさ故に、重荷となっても捨て去ることができずに、苦しむことになるのならそれは――





「だから――僕は殺す。君たちが、君たちであるうちに」

血なまぐさい内容とは裏腹なひどく透き通った優しい声が、森に響いた。
忘れもしない、特徴的な意匠の剣を構えた少年の目は、微塵も揺らぐことなくまっすぐ前を見据えている。
パパスは複雑な思いでその視線を受け止めて、ゆっくりと言葉を発した。

「……ならば私は全力で止めねばなるまい。これ以上、お前が修羅の道を歩むというのならば」

親を亡くしたという少年の、その瞳の奥に宿る黒々とした憎悪を見つめながら、静かにそう宣言した。

657・・・の祈 上空 ◆w3jhWtfiTI:2012/12/14(金) 23:45:39 ID:7LuYToKM0


【エリアC-5/森林地帯/1日目/黎明】

【ザ・ヒーロー@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:疲労(小)
[装備]:天空の剣@DQ5
[道具]:基本支給品1式、キメラの翼4枚@DQ5
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに勝ち残り、神と契約する
1:目の前の二人(ストレイボウ、パパス)を殺す
[参戦時期]:ニュートラルルートエンディング後
[備考]
大きな力について、意識すればいくらか感知することが可能です。
ストレイボウのオディオの力を認識しました。

【ストレイボウ@LIVE A LIVE】
[状態]:疲労(中)
[道具]:基本支給品1式、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:神に従わない、オルステッドの引き立て役だった過去に決別する
1:少年(ザ・ヒーロー)に対処
2:情報を求め魔王山へ向かう
3:偽魔王と闘った部屋まで行けば、また力が戻るのではないかと期待
[参戦時期]:魔王山にて岩盤を落としオルステッドたちと別れた以降
[備考]
ゲーム中、レベルアップで覚えさせる事が出来る魔法は全て使えますがオディオとしての力は制限されています。
地図がおおよそ正しいことを把握しました、また魔王山が自分の知る魔王山であると認識しました。

【パパス@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康、男らしさ減少
[装備]:ウルミン@ベルセルク、ハイレグアーマー@MM2R、アームターミナルE(仲間:ゴーレム@DQ5(右腕欠損))
[道具]:基本支給品*2(松明1つ消費)、不明支給品0〜2、ワタナベのパンツ@LIVE A LIVE、元々着ていた服
[思考・状況]
基本行動方針:道を踏み外した子を正しい方へ導く
1:少年(ザ・ヒーロー)を止める
2:マナのもとに行き、抱きしめる
[参戦時期]:死亡後、エビルマウンテンで吹っ切れたリュカに会うよりも前

658 ◆w3jhWtfiTI:2012/12/14(金) 23:49:12 ID:7LuYToKM0
以上投下終了です。
いろいろと迷ったところもあったのですが、深く考えず好き勝手やらせてもらいました。
わりと無茶やったかなと思うところもあるので、気になることなどありましたら遠慮なくおっしゃってください。
ただ「パパスの恰好突っ込まないのかよ」という点についてはどうかお願いですので見逃して下さい……

659・・・の祈 上空(修正) ◆w3jhWtfiTI:2012/12/15(土) 16:23:38 ID:9dr.vZgg0
申し訳ありません、前話のストレイボウの思考と矛盾するため、
>>655のストレイボウのセリフを
「だったら尚更、神が開いたっていうこんな殺し合いに従うことなんかは――」
  ↓
「そんな風に人を大事に思えるんだったら尚更、こんな殺し合いに従うことなんかは――」

併せてザ・ヒーローのセリフを
「こんな僕だけれど、守りたいものがある。
  ↓
「そうだからこそ、守りたいものがあるんだ。

に訂正致します。この度は大変失礼致しました。


ほか今までの拙作について、大きく意味合いの変わらない範囲でwikiにて少々修正させて頂きましたことを報告します。

660名無しさん:2012/12/15(土) 23:22:05 ID:l6OfuhNw0
投下乙であります。
シリアスだ!実にシリアスだ!
あれです、格好なんて物は突っ込む者が居なければ関係ないのです。
ストレイボウ&パパスVSザ・ヒーロー、どちらが勝敗を決するのか実に見物だ。

661名無しさん:2012/12/15(土) 23:55:21 ID:jpIR54wU0
>イッツァソ○○アタック!
FF:Uwwwwwwwww
スービエwwwwwwwwwwwww
感想のAAといいどこから突っ込めばwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

>救いの手
あーんベン様が死んだ
オルスはオディオになっちゃうのかな……それとも……?

>heat beat
い、IKEMEN……
殺さない強さ、確かにこの殺し合いではそれは強みであることは確かなんだよなあ。

>・・・の祈 上空
セエレーーーーー!!
おとなになるってかなしいことなの……
ようやくまとも(?)になったパパス、ザ・ヒーローを前にどう動くか……

662 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/17(月) 23:05:10 ID:a5sQ49d60
ザ・ヒーロー、ストレイボウ、パパス、セエレ予約します

663名無しさん:2012/12/17(月) 23:18:26 ID:JWyrlecY0
あれ、セエレも?
すっげえいいパス出してくれて期待できるパートだし期待。

664 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/17(月) 23:19:20 ID:a5sQ49d60
あ、すいませんコピペミスです。
ザ・ヒーロー、ストレイボウ、パパスを予約します

665 ◆w3jhWtfiTI:2012/12/18(火) 22:45:22 ID:dgdbmD6Y0
fRBHCfnGJI氏へ。
誠に申し訳ありませんが、『・・・の祈 上空』について再度修正をおこなうことをご許可頂けませんでしょうか。
ニュアンスが変わってしまうところもあり、つなげて頂けることとなった今大変身勝手なことを言っていることは承知ですが、
日を置いて読み返すとどうにも違和感が強くなってしまった点があり、どうかお許し頂きたいのです。

666 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/18(火) 22:48:19 ID:F9VzPKlw0
いいですよー

667 ◆w3jhWtfiTI:2012/12/18(火) 23:03:12 ID:dgdbmD6Y0
大変身勝手なお願いを聞いて頂き誠にありがとうございます。wikiにて修正を行いました。
大きく変わるザ・ヒーローのパートについては、こちらにも修正版を投下したいと思います。

668・・・の祈 上空(修正)  ◆w3jhWtfiTI:2012/12/18(火) 23:04:33 ID:dgdbmD6Y0


◆◆


ストレイボウへと向かう予定だったザ・ヒーローの刃が、ゴーレムの固い右腕を肩から切り落とす。
崩れ落下していくその腕を構成していた煉瓦が、土煙を巻き起こす。
その晴れた先、ゴーレムの傍らにはセエレに支給されていたアームターミナルを身に着けたパパスの姿があった。

「聞かせてほしい。なぜおぬしは、こんなことを……?」

先程までセエレを抱きかかえていたパパスの手は今、怒りに打ち震えている。
しかしその感情にじっと耐えながら、静かに、厳かに、目の前の少年に尋ねた。
ザ・ヒーローはその問いかけに剣を降ろして、パパスの装着している機械へと視線を向けながら、訥々と語り始めた。

「昔……僕はそのCOMPを使って、悪魔を仲魔にして共に戦っていたりしてたんだ。
 それを手に入れてからは、息つく暇もなかった。
 たった一人の肉親だった母は悪魔に食い殺されて、
 僕がいた東京は神の手の者によってI.C.B.Mが落とされて、そのあとも海の底に沈められて、
 大切な人たちや、友はみんな――」

穏やかで、どこか平板ささえ感じさせる声。
それがいったん途切れるも、ほどなくして再開される。

「前々から少しずつ増えていた悪魔がどんどん街に溢れてくるのに従って、僕の日常は崩れていった。
 人々の祈りは神や悪魔によってたやすく摘み取られて、人類の未来はそれらの手に渡りかけた。
 ……仲魔になってくれた悪魔はみんな、力になってくれたよ。
 でも今となってはもう、彼らも含めた悪魔のことが憎くて憎くて堪らない」

数時間前の邂逅の際に見た、人の形をした醜い獣の姿をザ・ヒーローは思い出して、薄く笑った。
しかしそれも瞬時に消え、人間の潜在能力が引き出された筋力をもってして、再び天空の剣を持ち上げる。

「そんな風に人を大事に思えるんだったら尚更、こんな殺し合いに従うことなんかは――」

魔法使いの声には頷かずに、ザ・ヒーローは言葉を続けるため口を開く。
血にまみれて磨耗していった心、されど同時に磨き上げられることとなった意志は固く、揺らがない。

「そうだからこそ、守りたいものがあるんだ。
 ……この殺し合いの最後の一人は、神の力を得るんだったよね。
 だから――僕は殺す。君たちが、君たちであるうちにも」

すくった皿に残ったものをこぼれ落とさぬように。
人のどんな選択も受け入れ、世界の天秤は振れるとしても。
彼自身の天秤は、もう揺れることはない。

669 ◆w3jhWtfiTI:2012/12/18(火) 23:06:35 ID:dgdbmD6Y0
以上です。
説明不足だった点、意味合いがずれてしまったように思う点などについて加筆修正をおこないました。
以後はこのようなことのないよう注意したいと思います。誠に申し訳ありませんでした。

670 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/24(月) 16:49:47 ID:Gxmn26qk0
すいません、延長させていただきます

671 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/28(金) 00:39:05 ID:liSyQ5Dw0
レナ、イウヴァルト予約します

672 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/28(金) 22:34:48 ID:liSyQ5Dw0
投下します。
が、もう一本書きあがったのでまずは予約していないライから投下します。

673やってしまいましたなあ ◆Cxilshz3Mg:2012/12/28(金) 22:36:41 ID:liSyQ5Dw0
「むう……」
全裸の男、ライは海辺にて悩む。
銀髪の男の情報を受け、散様を探しに南へ一直線に超速で駆けていた。
だが目当ての散様はおろか、おぞましき人間にすら出会うことなく、最南端の海岸へとたどり着いてしまった。
こうしている間にも、散様はこの場で醜い人間達に囲まれている。
ただでさえ汚い空気が、人間達の吐く息によって汚れていくというのに。
傷ついた散様の体が、この大気によって蝕まれる前になんとかしなくてはならないというのに。
一発、腰を据えて地面を殴りつける。
まるで特撮の爆発のように、砂が舞い上がる。
それを背にするように、ライは振り返る。

あの男が、嘘をついていた。
確かに考えられる可能性だ。
だが、あの男は散様の特徴を言うだけではなく、自分が散様の部下であるということを見抜いていたようだった。
初めの場所で全員の顔を記憶していたとしても、自分と散様に関連があるということは察することは出来ないだろう。
あるいは、そういう道具があったか。
それを使う余裕があったとすれば、あの雷鳴の時だ。
「不覚……!」
道具の力とはいえ、愚かな人間に騙され、踊らされた。
やはり人間など信用するべき存在ではなかったのだ。
散様を思う余り、正しいことが見抜けなかった自分に苛立ちが止まらない。
だが、過去の過ちを悔やんでいる場合ではない。
あのような醜い人間がいると分かれば、より早く散様にお会いしなければいけない。
あり得ないとは分かっている、分かっている。
だが奇妙な道具や、未知の存在が多数いるこのおぞましき空間で。
万が一のことも十分に考えられる。
何より、散様は覚悟との戦いで弱っているのだ。
悪しき考えの人間につけ込まれないとは言い切れない。
人間の悪の手に散様が犯されてしまう前に。
このライが、散様のお側に駆けつけなくてはならない。
「今、参ります」
その一言とともに、ライは駆け出す。
仕えるべき主君を、悪しき魔の手から救い出すために。

【F-4/海岸/早朝】
【ライ@覚悟のススメ】
[状態]:健康、全裸形態
[装備]:なし
[道具]: 基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:散さまの夢の成就、および覚悟との決闘に早く向かうために人類抹殺!
1:葉隠散の無事をより早く確かめる
2:銀髪の男は再び会えば即刻抹殺!
[参戦時期]:新東京番外地で覚悟を待っていた時点

674 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/28(金) 22:37:14 ID:liSyQ5Dw0
投下狩猟です。
では、次にレナ、イウヴァルト投下します。

675Himmlisch Seele ◆Cxilshz3Mg:2012/12/28(金) 22:38:24 ID:liSyQ5Dw0
強者が弱者を食う、それは当然の話だ。
力の無い者と言うのは、それだけで罪なのだから。
何を為すにしろ、その身に力が無ければ何も始まらない。
ただ、ただ、蹂躙されていくだけ。
それは、この世の当然の理。

決着は一瞬だった。
突如現れた獣人が、体に無数の穴を残して息絶え。
ほぼ同時に現れた鋼鉄の棺桶が、高速で自身へと詰め寄る。
剣を抜く間もなく、体全身に重々しい衝撃が走る。
ふわりと浮遊感を味わった頃には既に遅く、激痛が前進に走る。
自身の体が地面に着地する前に、棺桶はまるでドラゴンのような急速の方向転換を行う。
そのまま流れるように獣人の命を刈り取った、無数の鋼鉄の矢のようなものを放つ。
激痛に加わる激痛、的確に四肢が貫かれていく。
そして、無抵抗のままドサリと重い音と共に体が地面へ着地する。
初撃に比べればなんて事は無い攻撃なのだが、ボロボロの体には効果覿面の追い打ちだった。

腕の一本を動かそうとするだけで全身に走る激痛が身を蝕む。
足りない。
生き残る力が。
痛みを超える力が。
全てに対抗する力が。
彼女を守るだけの力が。
このちっぽけな体には、力という力が足りない。
「く……そ……」
また、あの時のように指を咥えて見る事しか出来ないのか。
そんな事は無い、そんな事はさせないと思って体を動かそうとする。
動かない。
痛みに耐えられない、肉体が動くことを拒否する、本能がさせてくれない。
行動しなければ力は手に入らないのに、体は動かない。
こんなところで寝ている場合じゃないのに、もっと力を手に入れて彼女を守らなきゃいけないのに。
動け、動け、動け動け動け動け動け。
「おい」
声がする。
唯一まともに動く顔を動かし、声のするほうを向く。
「力、欲しいか?」
そこに立っていたのは、悪魔だった。

676Himmlisch Seele ◆Cxilshz3Mg:2012/12/28(金) 22:38:59 ID:liSyQ5Dw0



殺す事は容易かった。
車体による一撃に加え、ノラバルカンを撃てばそれだけで終わりだ。
だというのに、レナはそれをせずにわざと狙いを外して男を生かした。
何故か?
レナの心に、ある一つの興味があったからだ。
ノラバルカンで獣人を打ち抜く前、獣人はある一言を残した。

「ベヘリット…………」

騒音に掻き消えてしまいそうな小さな声を、彼女は逃さず聞いていた。
そして、獣人がその一言を呟いたのはあの男を見たときだ。
考え込むまでも無く、男が首から提げていた赤いアクセサリがそれだと分かる。
一歩間違えればすぐに死ぬという状況で、何故あの獣人はそれを欲したのか?
力だ、生き残る力を手にしようとしたのだろう。
だが、獣人はそれを手にすることが出来なかった。
力を手にする代償と覚悟を、持っていなかったからだ。
空気と起こった出来事と情報から、そこまでを察していく。

ならば。

あのベヘリットというアクセサリは、己に力を与えるのではないか?

何らかの、代償と引き換えに。

そこまで辿り着いたレナを支配するのは、力への単純な興味だった。

「もち、ろん」
地に這い蹲りながらも、自分を睨みつける男が問いかけへと即座に反応する。
「そう」
返事を受け、にやりと笑う。
「力を求めるのは、何故?」
次の質問を、淡々と投げかけていく。
「愛、する人を、救う、ため」
答える男の目は、力に対する"欲"で満ちていた。
何時かの自分と重なる光景に、吐き気を覚えながらもレナは次の質問を投げかける。
「それを失っても力を欲し続ける覚悟がある?」
男が目を見開き、瞬時に黙る。
「力の為に、守りたい何かを手放す覚悟はある?」
力は欲しい、だがそれは愛しの彼女を救うための力。
力と彼女を天秤にかけたとき、天秤が傾くのは彼女の方だ。
彼女を手放してまで、手にする力など無意味に等しい。
「最後に立っているのが自分だと笑っていられる覚悟がある?」
だって、自分が欲しいのは彼女を守る力なのだ。
彼女の刃となり、彼女の盾となり、彼女と共に道を歩む力が欲しいのだ。
自分が生きているのは、彼女を愛し守り続けるためなのだから。

677Himmlisch Seele ◆Cxilshz3Mg:2012/12/28(金) 22:39:33 ID:liSyQ5Dw0

俺は、俺は、俺は、僕は、彼女と共に生きる力が欲しい。

だから、力より彼女が欲しい。

彼女が欲しい、愛したい、愛されたい、傍に居たい。

そのためには力が欲しい、でも彼女は失いたくない。

力は、彼女を守るためのもの。

この身で享受すべきなのは、彼女の愛なのだ。

そのために力を欲しているというのに、彼女が居なければ意味が無い。

彼女を失ってまで手に入れる人生と力に価値は無い。

無意味、無価値。

彼女という存在が無ければ、何もかも色と意味を失う。

自分には、彼女という存在があれば良い。

守るための力、守るための刃、守るための盾。

守るものが無ければ、何の意味もない。

自分の力も、肉体も、人生も。

ああ、フリアエフリアエフリアエフリアエフリアエフリア――――

「甘い」

ぱん

一発の軽い銃声が響いた。

678Himmlisch Seele ◆Cxilshz3Mg:2012/12/28(金) 22:39:53 ID:liSyQ5Dw0



力を欲する姿勢、それにレナは一つの興味を持った。
この男も、何時かの自分と同じなのではないかと。
ここで命を奪わず、生かしておくことでより強大な力を手にするのではないかと。
自分を上回る力、それに対しての単純な興味で男をまずは生かした。
あの日、わざと自分を生かすためにトドメを刺さなかったテッド・ブロイラーのように。
だが、返ってきた答えはそうではなかった。
力を欲していたのは、他人のためだった。
男は、自分が生きるためではなく他人の為に力を欲していたのだ。
自分が生き残るつもりが無い人間が、強大な力を手に出来るはずも無い。
今の自分を作り上げてきたのが、自分が生き残るという確固たる意思ただそれだけだったからだ。
自分の命を顧みない奴に、力は宿らない。
何を捨ててでも前を向く人間にのみ、生き残る力という物は宿る。
何かを守るなんて考えは、甘えだ。

淡々と、淡々と彼女は"作業"をする。
獣人と男の道具を剥ぎ取り、刀を用いて手馴れた手つきで心臓を抉り出す。
返り血も、肉が裂ける嫌な音も、彼女の人生を止めるには弱すぎる。
そんなことで立ち止まっているのならば、彼女は既に死んでいるのだから。
立ち止まらない、失うものも、後悔するものも、何も無い。
生き延びるための力を手にするためなら、なんだってする。
だって、自分が生きなければ意味が無いから。
他人に構っている暇など、一秒だってあるはずも無い。
だから、彼女は前を向き、一つの物を取り出す。
それは、獣人が最後に縋った存在。
弱者たる男が付けていた、アクセサリを手に取る。
本当に、こんなちっぽけなアクセサリが力を与えるというのだろうか?

「力を、寄越せ」

力の為に、彼女は呟いた。



誰もいなかったはずの場所、そこに現れる存在。
人と呼ぶべきか、霊と呼ぶべきか、なんと呼ぶべきか。
自分にはわからないが、そんなことはどうでもいい。
"それ"は、現れた。

声が聞こえているような、聞こえていないような。
そもそもそこにそれがいるのかどうか、分からない。
そんなあやふやな意識の中で、彼女は考える。
獣人は、力を得れなかった。
何故か? 代償が無かったからだ。
男は、力を得れなかった。
何故か? 代償たる者がそこにいなかったからだ。
では、自分はどうか。
捧げるものなど、何もない。
金も、友も、時間も、何もかも。
生きるために、生きるための力を手にするために差し出し、失っててきた。
この手には、全てを失いながら手にした力しかない。
力を捧げて力を手にしても、何も代わりはしない。
もう、力を得るために捧げるモノなんて、自分には何もない――――

679Himmlisch Seele ◆Cxilshz3Mg:2012/12/28(金) 22:40:19 ID:liSyQ5Dw0



いや、ある。



一つだけ、ある。



生きる為に死ぬ。

死ぬ為に生きる。

自分が生きる為、生き延びる力を手に入れる為なら。

彼女は、何も躊躇わない。

生き延びる力さえあれば、自分が生きるための力が手にはいるならば。

自分を縛り付ける命も、肉体も、いらない。

それを手放すことで生き延びることが出来るのならば。

より強力な力を持って、生きることが出来るのならば。

喜んで、差しだそう。



そして、彼女は。

笑顔と、共に。

銃を素早く、こめかみに当て。

躊躇い無く、引き金を引いた。



【イウヴァルト@ドラッグオンドラグーン 死亡】
【レナ@メタルマックス2:リローデッド 死亡】

680Himmlisch Seele ◆Cxilshz3Mg:2012/12/28(金) 22:41:24 ID:liSyQ5Dw0



【レナ@メタルマックス2:リローデッド 死】



【レナ@メタルマックス2 死】



【レナ 死】



【レナ】



終わらない。

むくりと、一人の人間が起きあがる。

いや、人間ではない。

力を手にし、生きる者が起きあがる。

「ふふ、ふふはは」

生きるにふさわしい力。

それを手にするために、彼女は"自分"を失った。

別にかまわない、人間であることを失っても。

別にかまわない、生きられるのだから。

別にかまわない、力が手にはいるのだから。

大事なのは、力を手に生きることだから。

生きて力を手に出来るのならば、自分だって捧げてみせる。

「あははははははははは!!!!」

レナという一人の少女は死んだ。

ここにいるのは、力を手にただ生き続ける。

"存在"

【B-6/森林地帯/早朝】
【レナ@メタルマックス2:リローデッド】
【状態】使徒化
【装備】三菱GTO(後述状態表に詳細)@現実+改造、黄金銃@真・女神転生
     銀の銃弾@真・女神転生、ムラマサ@LIVE A LIVE、星降る腕輪@DQ5、アームターミナル(中身:空)
【道具】基本支給品×4、やくそう*5@ドラゴンクエスト5、ドクンドクン細胞@MM2R、覇王の剣@真・女神転生Ⅰ
     ワイアルドの心臓、イウヴァルトの心臓
【思考】基本:力で生き残る。
     1:デスクルスへ
【備考】女ハンター、サブジョブとしてレスラーをマスターしています。他のサブジョブは不明。
    一番大切なもの"自分"を捧げて使徒になりました。その他詳細は不明です。

【三菱GTO@現実+改造】
【状態】装甲初期状態
【装備】穴1:ノラバルカン
     穴2〜5:未改造
     エンジン:ルドルフ
     Cユニット:ATストライク
【道具】なし
【備考】特殊弾は搭載できません。装備は全てMM2Rのものです。シャシー重量はスーパーカーと同等だと思っていただいて結構です。

681 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/28(金) 22:41:57 ID:liSyQ5Dw0
投下終了です。
もう、いいかなって。

682 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/28(金) 22:55:20 ID:liSyQ5Dw0
ということでフリアエ、予約します。

683 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/29(土) 16:19:09 ID:DlSP1VjE0
投下します。

684背徳螺旋 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/29(土) 16:19:37 ID:DlSP1VjE0
右足を出す。
力を込める。
左足を出す。
力を込める。
一歩歩ける。
当たり前だ。
体がうごく。
当たり前だ。
だがそれは。
関係ない事。

気がつけば、塔の頂上にいた。
その中で見たもの、その色、その形、全てがどうでもよかった。
何色が映ろうと、何者が映ろうが、どうでも良い。

一面に広がる無限の景色。
視界に入った途端に色が落ち、形が崩れる。
ぼろぼろと、ぼろぼろと。

朝日が昇り始める空も。
遠くに広がる一面の海も。
その手前に広がる限られた大地も。

何も映らない。
そこに何があろうと同じだから。
あの人以外は、何もかもが同じだから。

この高き塔から全てを見下ろしても。
あの人はこの目に映りはしない。
映るのは、他のどうでも良い存在ばかり。

ああ、全てを見抜く目さえあれば。
この罪を断つ塔から、あの人を見つけることが出来たのか。
全てを見抜く目さえあれば――――

いや、それがあったならば。
既に自分は絶望していなければいけない。
あの人の何もかもを見抜いてしまえば、絶望するのは自分だ。

だから、分からない方が良い。
分からない方が、希望が持てる。
全てを見抜くのではなく、事実をこの目に焼き付ければ良い。



真実は、牙を剥く。


.

685背徳螺旋 ◆Cxilshz3Mg:2012/12/29(土) 16:20:01 ID:DlSP1VjE0
ここは、断罪の塔。
罪を断つという単語を冠した塔で、彼女は想う。
自分の今までの罪を、全て断ち切ればあの人は自分を見てくれるのかと。

倫理、論理、理屈、ありとあらゆる理がそれを罪だという。
世界という全てが、自分を否定しに来る。
自分自身という存在が罪であると、烙印を押しに来る。



ならば。



この罪を断てば、あの人は目を見てくれるのだろうか。
死ぬことを辞め、生きて罪を断つことが出来れば。
見てくれるだろうか。

ただ、あの人に見て欲しいだけ。
罪を断つことが正解なのか、許されたいと想う心を捨てるべきなのか。
何が必要なのか。

生きることは正解ではない。
死ぬことは正解ではない。
何が正解なのか、わからない。



わからない。



ただ、今の自分にはあの人に会うと言うことしか出来ない。
ただ、今の自分があの人と出会うことが正解なのかどうなのかはわからない。
ただ、今の自分に足りないものがあるのではないかと考えてしまう。

もう一度、目を逸らされるのではないか。
もう一度、あの人に拒絶されるのではないか。
もう一度、自分は無価値に成り下がるのではないか。



わからない。



でも、会うしかない。
今の自分にはそれしか出来ないから。
あの人が、自分を見てくれることを祈りながら。



――――を背負い、塔を下る。



【D-5/断罪の塔入り口/早朝】
【フリアエ@ドラッグオンドラグーン】
[状態]:健康
[装備]:光のドレス、シルクのヴェール、真紅のベヘリット
[道具]:基本支給品*1
[思考・状況]
基本行動方針:カイムを探す
[参戦時期]:自殺後



投下終了です。

686 ◆fRBHCfnGJI:2012/12/31(月) 20:44:32 ID:.JNOxF6s0
申し訳ございませんが、
延長締め切りに間に合いそうにありませんので、
現在の予約を破棄させて頂きます。
長期間のキャラ拘束申し訳ございません

687 ◆fRBHCfnGJI:2013/01/01(火) 13:54:15 ID:F5.FMloM0
今年も俺ODIOロワをよろしくお願いいたします



                         、,ノl,、{ , _
                       }Vノ;:;:;:;:;:`'´{,
                      、{;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:レ       \人_从人__从_从人__从人_人从ノ/
                      ミ,;:;:;:;:。...。:;:;:;ヒヾ       >   餅をつくぞぉ!!    . <
                    )、-┌┐;:;:.゙,..,゙:;:;:nゝ  ,     /Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒WY\
                 ノ、/;:;:;:;:l・ ,,l;:;:;:´;:;`:;:;l ̄l`';:'-ノ_,
               }ヽソ;:;:;:;:;:;ノt-n';:;:;:;:;:;:;:;ノ,::,_l;:;:;:;:;:;;:;7
              /;:;:;:;;:;:,、;:;,:l LLLlヽ;、;:;:ノEEEl;:;:;:;:;:;:;:}_
             「;:::: ;:;::::´、 `''-fココ ll::l;:;:ll .nnn l;:;:;:;;:;:;:;:;:{
             ヽ;:; : : ゙  `''''´ミ´r'ヽ;l;:;:ll ';';ニ' l,;:;:;:;:;:;:;:(
              ´`'''─-..._::::.:.:ヾヽ_ `ヽ'、l__l ll }:;:;:;:;:;:)
                    `゙-'゙,-,_ツ、゙ヾf´ヽ,っll_{゙:;゙: ゙ソ
                   ,、ノ'´;:;:;:;:;:;:;:`ヽl, ,、`ヾ\:ミ、゙
                   };:;::;:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'lmn_'ヾ\
                ノ!ノl´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::;;:;:;:;;`^!''´ヽ 'ヾ\
                f´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;;ヽ、fヽ\
               、ノ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;--;;::;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;y ¨ヽヽ\、
              r';:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;-''´   ' ' '' `-、;:;:;:;:;:;::;:;;{  `´`'''
                                        _〆
                                        (∴)
                                      ( ̄ ̄ ̄)
                                    <( ̄ ̄ ̄ ̄)>
                                    [二◆二二◆二]
                                 ,ィヘ/∧/)「^¨´ ̄ ̄ ̄ ̄`¨¨ミ:.:.:.:.:`、
                              /レヘメ:.:.:.:.:.:i| __           ミ:.:.:.:.:.:.:.、
                              ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:i「 ̄ ̄`ヽ   /⌒ヽ〉:.:.:.:.ト、:!
                           :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|i|i ===ミ_   _ィ==ミy:.:i|i:.:.| i}
                               :.:.:_」⊥」:.:.:.:.|i|i 匸二二「⌒<匸二}:.:ii||i.:i! i}
                           '.:.:.Yy=ミl::i:、:.:.| ii         `、  〈川|り
          ヽ                   i.:.:.:.|  〈トト、:| lj       'ー /   / レ’
            ` ー-  __            乂ヘ  (_> )i  < 、‐-  _____ ,′
                   ̄ ̄ミ 、      ⌒\         \ `¨¨¨ア ,′
          ⌒ーヘ             \       `丁i        `¨ニニ  ,′
              }r‐ミ__         ヽ          | 、             ,
              へvル’         丶       | //> 、        .:'
            ∠__ y'⌒ヽ、          \      |'//////> 、   j′
          ィ⌒ヽjレ゙     /⌒ヽ ¨´    ハ    rヘ '///////,`ー‐t´
          ミtv/  /⌒Y     〉      } /  V\          ト、_
           レ゙ ⌒7   /    /      ,'"    V/\      〉ヘ\__
          ⌒ヽ  /   ,'    /         /「k     V//`ヽ、   _/  V,\`丶、
            / /    「l   ,〈       / 「k、      V////≧=∧\  V,' \  `丶

688 ◆Cxilshz3Mg:2013/01/01(火) 13:56:33 ID:mBPwZljYO
>>1さんを禿がせるくらい面白い話書けるように頑張ります。

689名無しさん:2013/01/01(火) 14:41:51 ID:WsXJ.XGY0
餅をwwwwつくぞぉwww

690名無しさん:2013/01/01(火) 14:48:28 ID:mBPwZljYO
レナ=サンのモチツキ!!
「イヤーッ!!」
ベヘリットはたまらず爆発四散!

691名無しさん:2013/01/01(火) 19:34:08 ID:9yjORtQc0
新年早々吹いたwww
シリアスな話もカオスな話もいつも楽しみにしてます

692 ◆EDO/UWV/RY:2013/01/02(水) 11:14:32 ID:a7BV48oM0
あけましておめでとうございます。
ゲリラになりますが、お正月外伝話投下します。

693餅つき ◆EDO/UWV/RY:2013/01/02(水) 11:14:58 ID:a7BV48oM0
    /   /  /  / /  / /:::::::_____::::::::::::::::::::::::/.:.|///  /////// |::::::::::::::::::::::;---- 、::::::::::::::::\
    /   /  /  / /  / /'" ______ ``ヽ、:::::::::::/:.:.:.|/// ///////  '、::::__,、-─‐-、、,_;;;`ヽ、:::::::::::::\
   /   /  /  / /  / /'":::::::::::::::::`ヽ、 \:::/::::::::|// //////   r'r==、|L.r'ノノ 人ミヽ;;;;;;\:::::::::::::ヽ
   /   /  /  / /___/ /::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ:/:::::::::::|/ /////    r'rッ;、;、}L;i:」j;.ノ==、ヽヽ;;;;;;ヽ:::::::::::::::
  /   /  /-‐'"   / /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::∩::::|/ ////    |ミィ◎」)i``'´|く!;◎>ミ、ハ!;;;;;;;;|::::::::::::::
  /   /     ,、-‐'''7/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::| ク:::|/`ヽ、./    r|// ,.ィr===r、j、_``ヾ}|`i;;;;;;ハ:::::::::::::
 /    /_,、-‐'"´    /-──‐-- 、::::::::::::::::::/:::::::j {:::/ ////\iニヽ.{_!;i;Yrrr┬┬┬-、ミ!|::iY{;:;:;:{ }::::::::::::
./              /v‐'""`'''─-、``ヽ、:::::/::::::{ r':::/..:///  \ヾ, ヽ! i::レ' ┴┴┴┼i| |V!V ;:;:} }::::::::::::
/           _/ /::::::::::::::::::::::::::`ヽ、 `/:::::::トイ::::/.:::///     ヽ ヾ;ヾ!;レ'⌒`''"⌒)j」 | | l|   ,ノ:::::::::::::
     ___,,,,、-‐''"´ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::/ /::::/::;ヽ/.:.:|     ヾ、ヾ;ヽTTTTTT川ノi | ||-<  ̄ ̄
    /     /  /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/;:;:;::::レ':::::/;i ::`i|..:..:ト、::    iヾ;、 ヾ;ヽ二こ彡イ /;j |\_:::`ヽ
    /     /  /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/;:;:;:;:;::::::;--、;|::::::}  ト、ヽ    :::\\ ヾト-、ニ,ィ'r'   )`V:|
   /      / ,/,、----- 、::::::::::::::::::::/;:;:;:;:;:;:;:/ n i∨/ ∧:ヾヽi      ``/ ̄/  __∠....  //;/|
   /       / l_,、-─-- 、 `ヽ、:::::::::/;:;:;:;:;:;:;:;:{ U l/|/!| |::::',;:|     _. ,ィヽ/  /  /─‐ァ'/;イ  |`ヽ、
  /       ト /:::::::::::::::::::::::``‐、 `ヽ!;:;:;:;:;:;:;:;:;:__フ´| |  ヽ!_|_,,、-|‐‐''"´ // | \ /  /::::::::::::::::/|ニ彡'rj
___/  ヽ\-、|ヽ ト、 ヾ-、|!::::::::::::::::::``7;:;:;:;:;:;:;:;:;〈_/  |_,、-‐'"| | \   //_/   \/\_/ | --く
  ___,、-ヽ ` \\ヾ リ ヽ', ノ!::::://:/;:;:;:;:;:;:;:;:;、-‐''"´:::/;:;| ヾ,!| |!  ヽ`ー─'′        __
 'フ'"´,ィ ̄,、==== 、 ヾ`´ヾ/レ'´/ ,,.. /;:;:;:;:;:;:;:;/;:;:;|   | ||    }.       あ       '´
;:;:\//r'´ ∠彡'´ 二 / | ! {  ‐'",ィ /;:;:;:;:;:;/;:;:;:;:;/_,、-‐|'7  / ..┼┐ヾ        ー─‐
;:;:( ::::/、>、二彡'´ ̄__// ,ィヾ==く 彡 /;:;:;:;:∠、-‐''"/   i / /   .ノ |
;:;:;:;`‐'::::\彡//∠三==彳/イ || } 巛く`ヾ`''"´二,,_:::::::/   / /| \         け    , --、
ヽ;:;:;:;::::::: ヽ=ァ---ァ'==彳//川 ||ヾ`iヾ⌒`彡::::::/  ___ノ ./ |  \ _|_         (_ノ  )
ヽ::::゙i;\ r‐‐'"∠ /ノ,ィ'|/_ノ`i i|!|ヽ| \二ニ>ァ'" |  / |  /   ⊥ 、
:::::ヽ::',;;;ヽ `ーヘ///ィ'´//!| ,.ィ´||/リ! リミ、` <二/    |  /  .! \  (__|/ _j  お
:ト、::::|::゙i;;;;ヽ...:::::',彡彡/l/} ,ノ |/i|  ハ!、ト、|`ヾ、‐/ {>   | /  |  /       
:::::::::::|:::ト、;;ヽ;:;:;:;|.;/ / '´  //゙r'Ti|ヽト、!、\ミ| | ___,、-|/   | /  !!!
'`::::::::|:::}‐゙!;;;',;:rへ、/      ::::: L・! l/ __,,、-‐‐|'"´ヽ   |   /___       め
__;:::::::|::ハ;:`i;;;;|;:`┬─`   ..;-‐‐' /  /       |   ヽ   |   ̄// |  \     
:::::::::/::ハ;;;;;;:|;;;|;:;:;|::;|   ,ィヘ ,ィ、 | /        |    ゙! |__,,、-‐‐ヘ|    |   /\
:;彡'/⌒`‐|;;;|;:へ::;|::  Lト'┘`''" /   ___,,、-┼‐''"´ ヽ,|     \   |/    `Y⌒ヽ/

694 ◆EDO/UWV/RY:2013/01/02(水) 11:15:40 ID:a7BV48oM0
投下終了です。
今年もよろしくお願いします。

695名無しさん:2013/01/02(水) 11:50:52 ID:5ydyRcG60
くっそwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

696名無しさん:2013/01/02(水) 12:08:35 ID:qC.fHDPg0
くっそwwwwww

697名無しさん:2013/01/02(水) 15:10:49 ID:mcP.9leo0
ちょ、おまw

698名無しさん:2013/01/06(日) 20:43:10 ID:tZ8vEIZc0
大変遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
相変わらずAAの破壊力がすごいwww
俺ODIOの餅つき:杵=教典、餅=オザワ こうですかわかりません><

そして投下お疲れ様です。
ものすごく今更ですが、書き込みそびれていた感想を。

>heat beat
やっぱカオスヒーローかっけえ。
昔の自分と似ていたからこそ、うまく弱点をつけて力量差もひっくり返したという構図がなんとも素敵です。
殺し合いの中で、殺さずに立っていられる強さ。
ミシカが起きたらまた一悶着ありそうだけど、なんかもう、すごく頼もしい。

>やってしまいましたなあ
速攻で嘘に気付くとは。戦闘中にいきなりスコープ使うとか怪しすぎだったもんなあw
ただ血髑朗の声に無反応なのは、聞き逃した感じでしょうか。
となるとますますライ、やってしまいましたなあ。

>Himmlisch Seele
レナさんがさらにやばくなったぞ……w
ああ、確かにイウヴァルトにとっては力は手段でしかなく、そっちに傾くよなぁ。
そんな考えを甘いと斬り捨て、捨てることを躊躇せずただ純粋に力を求める姿勢はすごくレナらしい。
ベヘリットを使えたレナは、前向きではあるけれどある意味どこかでからっと絶望しているような、そんな感じもしました。

>背徳螺旋
読んでいるこちらまで不安定になりそうな、そんな雰囲気。
罪を断つ。断罪。それは罪に応じた裁きをうけるということでもあるけれど、フリアエははたしてどうなるか……

改めて投下乙でした!

699 ◆Cxilshz3Mg:2013/01/15(火) 12:23:40 ID:RWuvA0r.0
月報の方、集計お疲れ様です。
俺ODIO 51話(+ 17) 27/42 (- 0)  64.3(- 16.7)

700 ◆TIENe3Twtg:2013/01/26(土) 10:58:40 ID:ZI//mqJQ0
オルステッド、ゆりこ 予約します。

701名無しさん:2013/01/30(水) 14:11:51 ID:XRmhajOo0
YOYAKU着てるぅー

702 ◆TIENe3Twtg:2013/02/01(金) 21:52:37 ID:roOh6SP20
延長します。
この土日のうちには投下できそう。

703名無しさん:2013/02/01(金) 22:09:50 ID:uydBai3Q0
やったぜ。

704 ◆TIENe3Twtg:2013/02/06(水) 15:06:56 ID:MYld2ZQc0
投下します。

705わがまま:2013/02/06(水) 15:07:30 ID:MYld2ZQc0


泣いている男の人がいました。
男の人はとても強かったので涙は流しませんでしたが、とても優しかったので悲しくて仕方ありませんでした。

女の人がやってきました。
女の人は男の人を見ても「どうしたの?」とか「大丈夫?」だとかそういう声をかけませんでした。
男の人にはそれがとてもありがたく感じられました。
男の人は強いので、そう言われても「大丈夫」とか「なんでもない」と答えるしかなかったのです。

女の人は何も言わないで、ただただいっしょにいてくれました。

706名無しさん:2013/02/06(水) 15:07:57 ID:MYld2ZQc0


遺体から服を剥ぎとる。
迷いない手つきで、淡々とした作業じみた光景がそこにある。
胸で十字を切り、丁寧な手つきで行われるそれは敬虔な信者のもので。
けれどもそこに現れる表情には悲しみも恐れも見いだせず、ただただ淡々とした作業的な色合いばかりが強く滲み出る。

剥ぎ取られた下から現れた肉に刻まれている傷跡は、彼にとって未知の傷。
剣ではない、槍でもない、弓矢でもなく、魔法でもない。獣による爪でも牙でもこのような跡にはならないだろう。
イビツな穴がいくつも点々と刻まれている。

先ほど名を聞いた。
これが『銃』という武器の仕業か。
一定の操作の元、『鉛を吐き出す』彼の知るものに当て嵌めればクロスボウに近いお手軽武器。
魔物と戦うための武器としてはあまりにも不適当、そう断ずる。
この程度では頑強な魔物には痛手にならない、これでは野山を駆けるウサギを狩るのがせいぜいか、あるいは。

『人を殺すこと』しかできないではないか。

ドロリと、まだ真新しい穴からこぼれ落ちる赤にわずかに顔を顰めながら作業は続く。

707名無しさん:2013/02/06(水) 15:08:43 ID:MYld2ZQc0


少しして、無表情のまま女の人が言いました。
「死んでしまった人の事ばかり考えていてはいられないわ」
男の人はうなずきました。
生きている人のために頑張らないといけない、だから男の人はここじゃないどこかに。
助けを求める誰かを探しにいかないといけない、そういうことを言いたいのだと思いました。

女の人の表情は変わりません。
「だから、遺体を葬るような無駄な時間はない」
諭すような、言い聞かせるような声音でそんな事を言います。
男の人も再度うなずきました。
心苦しいですがそれでも後回しにしないといけないのだと理解していました。
死者を生者に優先させる理屈などないのですから。

変わらないままに、女の人は言いました。
「けれど、使えるものは持っていきましょう」
男の人は耳を疑い、女の人をよりいっそう強く見つめました。

女の人は亡くなってしまった人たちの死体から必要なものを奪っていこうと言いだしたのです。

708名無しさん:2013/02/06(水) 15:09:20 ID:MYld2ZQc0


未知の武器、ゆりこに『銃』と言う名前だけを教わったそれの悪辣さに沸き立つ心を沈め、荷物へと手を伸ばす。
急がなければならない。

オルステッドは強者だ。そして彼の仲間たち。
賢者ウラヌス、勇者ハッシュ、そして魔法使いストレイボウ。
共に歩むのが彼らだけだったのであればこのような事をする必要はない。
存分に時間をかけ、心のまま慈悲を持って埋葬を行えただろう。
ましてや、死体剥ぎなどという穢れとは無縁のままでいられただろう。
彼らは強い。優れた武器がなくとも、優れたアイテムがなくとも、ただその身一つ、信念一つで守る側に回れる誇り高き者たちだ。

だが、ここに集められた大部分はそうではない。
主を思い危険を承知で魂の叫びを挙げた誇りに触れた。
間に合わず眼前で魔に変じ、面影すら掴めない程に変貌した人がいた。
速く、力強く、驚異的な圧力を持った悪しき魔があった。

『銃』に関する知識を持つゆりこが二つの死体を検分している間、それが僅かな空白の時間。
生者よりも死者を優先できる、貴重な時間。
今しかないのだ。これがわがままを通せる唯一の機会。

709名無しさん:2013/02/06(水) 15:10:17 ID:MYld2ZQc0


男の人は女の人を疑ったことを酷く後悔しました。
強く気付こうとしなければ気付けないほどに小さくではありましたが、女の人の手は無表情なままに震えていました。
ようやく男の人は、女の人は自分と違っていつ死んでも不思議ではない、そんな弱さを持っていることに気付きました。

「私は向こうの悪魔になった二人の荷物をみてくるから、あなたはそこの遺体をお願い」
悪魔のことも『銃』という武器のことも男の人は知りません、だから女の人が調べるのが確実だと言うのです。
女の人は顔を背けて歩き出しました。

「ひょっとしたら手間取って時間がかかりすぎちゃうかもしれないから、その間は好きにしていてね」

合理性の中に小さく生まれた遊びの時間。
それが遠まわしに”まだ人のまま死ねた彼の”埋葬をするように、ということなのだと気付き。
男の人は、女の人が強くて、優しい人なのだとわかりました。

710名無しさん:2013/02/06(水) 15:10:54 ID:MYld2ZQc0


手が止まる。
これまでのわがままとはまた違った毛色を持ったわがまま。
遺体の手に握られた紙片。
やけに上質な紙質と不釣合な程に乱雑に紐を通して綴じられた数枚の白い紙。
その一枚目には大きく、彼が 殺し/救った ばかりの者の姿絵と、名前が記されていた。

なるほど、と得心がゆくのが半分と、同じだけの驚愕が半分と。
あの勇敢な男がベンという名を知っていたのはこのためか、ということと、
芸術性とはまた別の、まるでそのままを写し取ったかのような写実の技術に対する驚き。

紙をめくる。
なるほど、これは名簿のようなものか。
頭の中の冷静な部分が分析する。
先ほどのベンを写した一枚は特別であったのか、一枚まるまるを使って一人を記す、という形式ではなく、
一枚の紙を六分割し、ア行から順々に記された名前と先ほど同様の見事な写生が添えられている。
自身の名前もここに記されていることからも、これはここに呼ばれた者たちを記す名簿なのだと考えられる。

ああ、けれども。
わかっているのだ、この冷静さが現実逃避の一側面でしかないのだと言うことを。
逃避を求める感情と、それでも決して目を逸らせない矛盾とを自覚しながら。
オルステッドの目は名簿の二番目、アリシアの名と似姿に強く引き寄せられた。

711名無しさん:2013/02/06(水) 15:11:42 ID:MYld2ZQc0


肩口から袈裟懸けに付けられた刀傷はVの字を描き反転し、反対側の肩口から抜けている。
ただ殺すだけであればもっと楽な殺し方もあっただろうに。
哀れみではなく単純な事実確認としてそんなことを思う。

例え半身をもぎ取られても平然と生き続けるような怪物を相手にしていたとしても、
ここまで見事に四肢と頭部をイビツに切り離されては何一つ為すことはできなくなるだろう。
そんな徹底した破壊の跡だ。

握り締められた手から無理矢理に猟銃を奪い取る。
見る限り銃身に歪みは見受けられない。状態は悪くないと判断する。
力ない者を演じ、他者を盾として矛として利用して生き残る。
その上で誰が使っても一定の効力を挙げる『銃』という武器はとても都合がいいものだと言っていい。

もう一体の死体、頭部を失った亡骸に向かう。
いかなる業によるものか、ただ切り離されただけではない。
かつて存在したハズの頭部は文字通りどこにも無くなってしまっている。

近づき観察する。そして確信。
やはりこちらを受け持ったのが私でよかった。
頭部があったハズの場所、その傷口から内部を伺う。
毛皮に覆われた内部には歯車じかけのカラクリ機構。

”マシン”では悪魔合体の嘘と矛盾する。
知識がないとは言え、偽りから生まれたほころびはどこへ広がるか、わかったものではない。
不用意にに情報を与える必要はないのだ。
防弾チョッキを剥ぎ取り、血にまみれた先ほどの死体へと投げつける。
他者の血肉にまみれたマシンは一見して生物と見分けがつかない。

ゆりこの愛は、それを捧げる相手以外の全てを替えの利く利用対象としか捉えさせない。
オルステッドはいくらでも換えの利く消耗品でしかない。
それでも利用価値のあるうちは存分に使い潰す、その努力を放棄する必要はない。

あれほどに都合のいい駒を新たに探しだす、というのは現状においてあまりにも勿体無いのだから。
目端が利く頭の良さがあり、戦うための力があり、疑うためではなく信じようとするために他者を観察する彼は格好の隠れ蓑だ。

目端に写していたオルステッドの状態に異変が起こる。
よどみなく動き続けた作業は止まり、凍らせていた感情が溢れ出す。
埋葬という彼に対して与えた「飴」の機会を棒に振るその変化を見て、ゆりこは彼の方に向かう。
使える道具を長く使うコツはこまめなメンテナンスなのだと彼女はよく知っていた。

712名無しさん:2013/02/06(水) 15:13:03 ID:MYld2ZQc0


「アリシアとストレイボウ、ね……」
今すぐにも飛び出さんと言わんばかりの勢いでオルステッドは言う。
それぞれ違った形でかつて一度は失いかけた、宝物のように大事な二つの名前に感情的にならずにはいられない。
それが私情に過ぎずとも、二人と一刻も早く合流したいのだと。

「構わないわ、だけど忘れないで。望む形で対面できるとは限らないことを。高望みはそれだけ大きなしっぺ返しに繋がることを」

ゆりこにはそれを拒む必要も意味もない。
広い会場の中、人探しの手段は当てずっぽうに歩き回る以外にない。
フツオを探し歩き回る前提がある以上、けっきょくやることに変わりはないのだ。
そして仮にこの提案を否定したとしても、いざ対面という時に情が生まれるのは確定事項。
ならば下手に否定し反感を買うよりも暴走せぬように楔を打ち込み、舵を取りやすく誘導するのが得策だろう。

名簿に記された名前たちに思いを巡らす。

知っている名に関しては想像の範疇であったと言っていい。
私とフツオがいるのだ。ワルオとヨシオがいるのはむしろ当然、いない方が不自然とすら思えるほどであったし、
これだけのメンツを揃えることができるのならばアスラ王やミカエルほどのビッグネームであろうとも遅れを取っても不思議ではない。

ただ知らぬ名に対して、一抹の警戒を抱く要因は存在した。
リュケイロム・エル・ケル・グランバニア/デュムパボス・エル・ケル・グランバニア。

神の信徒を名乗るものによって開かれた宴、そこにヘブライ語における神の代名詞。
”エル”の名を冠するグランバニアなる一族が存在する。これは果たして偶然の一致なのだろうか?

ゆりこは考える。
ゆりこの武器は異能の魔法ではない。異形ゆえの身体能力ですらなく、女であること、それこそが最大の武器だ。
女だからこそ、男をどうすれば動かせるか知っている。
女だからこそ、男が自分の何を見ているかが理解できる。
女だからこそ、男が望むように自身を演じれる。
身振り一つ、口振り一つでどれほどに人の心が揺れるのかを理解している

彼女の戦いは戦場のものではない、戦場にたどり着くころには結果が既に見えている、そんな場を整えるための行動だ。
その有り様はまるで人のよう。
存在そのものがファンタジーでありながら、その戦いはどこまでも人の演じるそれの延長でしかなくて。
だからこそ、オルステッドは気付けない。

思考も思想も感情も、目前の”悪魔”に誘導されていることに微塵も気付けず。

「あなたが私を信じてくれると言ったように、私もあなたを信じます」

そんな言葉を彼は口にし、対して彼女も笑みを返す。
使えるハサミへの愛着のような、そんな換えの利く好意と愛情を込めて。
悪魔は優しい笑みを浮かべた。

713名無しさん:2013/02/06(水) 15:14:25 ID:MYld2ZQc0
【エリアB-3/市街地/1日目/早朝】

【オルステッド@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:はがねのつるぎ@ドラゴンクエストⅤ
[道具]:基本支給品*2、不明支給品0〜2 写真付き名簿
[思考・状況]
基本行動方針:一刻も早く魔王を倒し、アリシアを救出する
1:アリシア・ストレイボウとの合流
2:魔王が関与しているのかを見極める。いるのならば打倒、いないのならば速やかな帰還を目指す
3:悪魔となった参加者に引導を渡す

【ゆりこ@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3 猟銃@現実*2 、防弾ベスト@現実*1
[思考・状況]
基本行動方針:ザ・ヒーローを殺そうとするものの排除
1:利用できるものは利用し、参加者を減らす
2:ザ・ヒーローはこの手で……?
3:エルの名を持つものたちに警戒
[備考]
参戦時期はカオスヒーローのパートナーとなったよりも後

写真付き名簿@現実
一枚目は大きくベン専用。
他の7枚は一枚につき6人分ずつの写真と名前が記されている。
またグランバニア王家の人間の名前は略称ではなくフルネームで載っている模様。
男性名にはエル・ケル・グランバニア、女性名にはエル・シ・グランバニアが付く形になります。

714名無しさん:2013/02/06(水) 15:17:53 ID:MYld2ZQc0
投下は以上です。宣言通りの時期に投下を行えず申し訳ありませんでした。
リュケイロム・エル・ケル・グランバニアとデュムパボス・エル・ケル・グランバニアの名前は小説版DQから引用させていただきました。
問題やご指摘などありましたらどうかお願いします。
ありがとうございました。

715 ◆fRBHCfnGJI:2013/02/06(水) 15:21:59 ID:zHTKxIDs0
>一枚目は大きくベン専用。

主催の異常なまでのベンへの評価の高さに大草原なんだよなぁ。

以下感想。

すごい。
本当にすごい。
今まで(読者目線では)悪魔的だったゆりこが、
演技としてでも、オルステッドに対して最大限優しい行動を取ってやることで
逆にゆりこの魔性が強調されてて、いや本当にすごい。
このSSやべーわ、マジで。



ザ・ヒーロー、パパス、ストレイボウ。
再度予約します。

716 ◆Cxilshz3Mg:2013/02/06(水) 19:25:34 ID:3QsGuv3U0
投下乙です。
まさかの小説ネームをそう引っ張ってくるとは……
ゆりこの恐ろしさもそうですが、オルステッドが壊れそうで……
さて、自分もアリオーシュ、カイム、リュカ、ベン2、テッドブロイラー予約します

717名無しさん:2013/02/07(木) 00:54:57 ID:XLeMhHeM0
投下乙です
いや、素晴らしいな……
内面の描写とは、かくも深みを増させるとは凄いぜ……。

718 ◆Cxilshz3Mg:2013/02/07(木) 12:11:28 ID:C3WOIxaA0
投下します。
あと、Himmlisch Atemにてどう見てもルートしてる時間がないのにカイムの支給品が増加していたのを修正しておきました。

719 ◆Cxilshz3Mg:2013/02/07(木) 12:15:30 ID:C3WOIxaA0

食事。
というにはあまりにも豪快で、あまりにも残酷で、あまりにも凄惨な光景だった。
二人分の少年の肉体をいとも簡単に部位ごとに分解し、肉にむしゃぶりつき、滴る血を啜る。
薄く赤の残った骨が次々に投げ捨てられながら、それの食事は進んでいた。
最後の最後、手に取ったのは少年たちの頭。
まるで魔法のように表面の皮と肉をそぎ落とした後、人間から遠く離れた腕力で頭蓋骨の中身を啜る。
文字にするには少し下品すぎる音を立てながら、液という液を啜り尽くす。
その後は、満足したのか白い四つの球体を口に放り込んで転がしている。
残るのはペンキをぶちまけたかのように広がる血と、赤と肉をわずかに残した骨たち。
獣とは違い、骨だけがきれいに残っているというのが、彼女が"人間"であったという証明になるだろう。
しばらくして、四つの白を口で転がすのに飽きたのか、彼女は二人分の肉が入り込んでいったはずの平たい腹をさすりながらあたりを見渡す。
そこには、驚愕の表情のまま固まっている二人の青年が居た。
反射的にこぼれた涎を拭い、だらりと両腕を前に垂らして両者の様子を伺う。
三者が三者ともに睨み合い、互いの様子をさぐり合う。
風が吹き、汗が流れ、唾を飲み込む音が静寂に響く。
誰かが動けば、それが標的になるのは明白。
互いに動けない時間が長く続いた後。
張りつめた空気を引き裂くように一つの影が三者の目の前を横切る。
そこからの動作はそれぞれ一瞬だった。
リュカは空飛ぶ靴に足を通して瞬時に舞い上がり。
カイムは手にしていた風の帽子を空にかざして舞い上がり。
アリオーシュは現れた影へと喰いかかった。

720 ◆Cxilshz3Mg:2013/02/07(木) 12:18:25 ID:C3WOIxaA0



「は――――」

靴に導かれた場所で、リュカは小さな笑いを零す。
始めは、ある一定の場所にしか移動できないこんな靴に頼るつもりは無かった。
ルーラが思い通りに使えない、つまり自分の移動に自由性は無いと知るまでは。

本当の事を言えば、本能的に拒否していたのかもしれない。
この靴は、思い出したくも無い"あの塔"への道筋なのだから。
だから初めの場所で襲われたときは、あの星を使って逃走した。

次に出会ったのは一触即発の状況。
一手間違えれば、あの骨たちの仲間入りしかねなかった。
怪しい影が飛び込んできたと同時に、あの場所から「逃げ出す」ことを選んだ。
きっと、あの状況から「足」で逃げても、食い殺されて終わりだっただろう。
死ぬかもしれない場面に直面すれば、初めは使うことを拒んでいた物を使うことなど、簡単なことだった。

「まさか、同じ事を考えてるとはね」

寄寓にも同じ手段を取っていた、もう一人の男の方へと振向いて話しかける。
その瞬間、眼前に迫るのは巨大な鉄塊。
あと少し前に出れば死んでしまう状況で、リュカは笑う。

「大丈夫、僕は君と同じ立場の人間だ」

へらへらと笑ったまま、リュカは言葉を続ける。
鉄塊は今にも顔面を突き抜けそうだというのに、リュカは笑顔を崩さない。

「僕はこの殺し合いを終わらせる、だからこの場にある全ての命を狩りつくす」

リュカは、この殺し合いを終わらせようとしている。
それは、絶望を手に入れないため。
喪失という感情を手に入れる前に、自分から切り離すため。
全てを殺そうと、彼は思っているのだ。

「細かい理由は違えど君も同じだろう? だったら、僕達が殺しあうのは最後の最後で良い」

転移の前、リュカはこの男の周りをしっかりと観察していた。
潰れた人肉、飛び散っている血。
彼が殺し合いに乗っていることなど、別に自分でなくても分かることだ。
だから、それに相応しい提案をしていく。
このくだらない殺し合いを素早く終わらせるために。



男は考えた。
別にここで相手を殺しても構いはしなかったのだ。
だが、なんとなく彼を見逃してみようと思った。
自分が先ほど"復讐"を忘れないための"殺戮"を成し遂げたからかもしれない。
それよりも彼の身体から、どこか"復讐"を嫌がる空気を感じたからだ。
勿論、到底理解のできるものではないし、理解するつもりも無かった。
この男が何を考えているのか、何に絶望しているのかは自分の知ったことではない。
ただ、ここで彼を見逃せば、彼は人を殺しに行くだろう。
どれだけ"復讐"を拒んでいても、人を殺すうちに"復讐"に目覚めることもある。
何より、殺人の快楽に溺れることが出来る。
だから、それを知らない可哀想な青年を見送ることにした。
願わくば、殺人の快楽に目覚めることを祈りながら。



そうして、鉄塊が下ろされた。

「じゃ、また今度会おうか」

その言葉と共に、二人は逆方向へと歩いていく。
途中、決して振り返る事は無く。
新たな"獲物"を探しに、この地を再び彷徨い始めた。

721 ◆Cxilshz3Mg:2013/02/07(木) 12:18:40 ID:C3WOIxaA0



「……おいしくない」

毛がズル剥けになったサルのような人間の心の臓に手を突っ込みながら、アリオーシュは食いちぎった喉笛を吐き捨てる。
気がつけば視界に捉えていた二人の男は消えているし、手にした獲物はマズいしで踏んだり蹴ったりである。
腕に突き刺さっているサルの遺体を適当に放り投げ、近くの潰れた女の肉体へと駆け寄る。
潰れきったそれは、さっきの少年程の味わいはない物の、人肉特有の味と食感を誇っている。
混じった骨を吐き出すのが少し難儀だったが、アリオーシュはまるでマジックのように女だった肉体を食べきってしまう。

「はぁ」

口にこびり付いた血を手で拭い、とぼとぼとどこかに向けて歩き出し始めたときである。

「Fallen!!」

華麗な蹴り上げから声と共に、そのままアリオーシュに突っ込んでくるもう一つの影。
ゲドーピングタブとコーラたんで増幅された能力を生かし、奇襲を難なく往なして行く。

「Scheisse!!」

予想以上のカウンターを食らう形となり、呪詛を吐きながら乱入者――ハヌマーンは地面を転がる。
即座に耐性を建て直し、飛びかかってくるアリオーシュを低姿勢の蹴りで追い払っていく。
そのまま低空のソバットへと繋げ、怯んだところにラッシュを仕掛けていく。

「Sterben!!」

腕を振るうと同時に飛び出していく衝撃波を操りつつ、ハヌマーンは一気に畳みかけていく。
このままハヌマーン優勢のまま、コトが進むと思われていた。

「うるさい」

凍てつくような一言。
続けてエンジェルを引き裂くほどの恐ろしい腕力に、半永続的に続くゲドーピングタブの力が上乗せされる。
放たれた衝撃波に怯むことなく、飛びかかってきたハヌマーンの頭を掴む。

「うるさいよぉ」

ハヌマーンが防御行動に出る前に、その頭を握りつぶす。

「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!」

びくりと跳ね上がった四肢を、息をつく間もなくバラバラに引き裂く。

「はぁ……」

飛び散っていく肉に興味すら示さず、その場に座り込んでしまう。
ハヌマーンが合体事故で生まれた悪魔だと言うことを感づいたか、それとも元がゾンビアーミーであると察したのか。
アリオーシュはハヌマーンに喰いかかろうとはしなかった。

「ごはん、さがしにいこ」

全身を赤に染めたまま暗い表情と空腹を抱え、彼女は新しい食料を求めて歩きだす。
そうしてゆっくりと立ち上がった時、彼女の視界にまた違う"赤"が写り込んだ。

722 ◆Cxilshz3Mg:2013/02/07(木) 12:19:22 ID:C3WOIxaA0



「ががっ、期待はずれだががーっ!!」

誰もいなくなった場所で、不機嫌そうに真っ二つの黒こげ遺体を足蹴にする男。
テッド・ブロイラーは一人、炎の海で残された道具を回収していた。
邪教の館にて生成した手駒の力を試そうと、見あたった女に向けて放ってみた。
しかし結果は喜ばしいものではなく、それどころか無様に死に絶えてしまった。
襲いかかった女が強かったのかもしれない、何か道具の力があったのかもしれない。
なにがどういう状況であったとしても、手にした駒が"弱すぎた"という事実は変えられない。
実際、自分が戦闘してみればものの数秒もかかることはなかった。
所詮、この程度の人間に敗北してしまう程度の手駒にしかすぎなかったのだ。
力がないから負ける、ただそれだけのこと。
初めに出会したときにはそこらの魔物とは違う気配を感じたというのに、実際の結果はこれだ。
手駒が弱く、女が強い。そして自分がそれよりも強い。
それだけのことだ。

「ふんっ」

テッドは、失望の表情のままアームターミナルを破壊していく。
自分の配下に雑魚を群れさせるつもりはない、使えないと分かれば処分するだけだ。
弱者に生きる価値はない。
弱者は常に強者の糧となるべき存在なのだ。
弱者が吸える空気など、どの世界にも微塵も存在していないのだから。
圧倒的強者たる自分が全てを焼き払い、この殺し合いを生き残り、神をも越える力を手に入れる。
だからその約束された未来の中で、より使える"力"を手にしていく。

「ががががーっ!!」

炎の中、悪魔が笑う。
全てを手中に収めんと、勝ち誇った笑みで。
一人、強者の立場に居座りながら笑う。



びくり。

何かが動き出したのは、その時である。

723 ◆Cxilshz3Mg:2013/02/07(木) 12:19:45 ID:C3WOIxaA0





「ここは――――」
葉隠覚悟は、重い瞼を開け、ゆっくりと目覚めた。
一面に広がる白、体を包み込む安堵感、語りかける声。
冷静になった頭に情報を詰め込み、覚悟は今の状況を理解していく。
その瞬間――――覚悟の双眸から零れ出す大粒の涙!
そう、この暖かい感覚! 全裸の己! 響きわたる優しい声!
ここは天国、いや死後の世界であると覚悟が理解するのにコンマ以下もかかりはしなかった!
覚悟はあられもない姿で、ただ、ひたすらに声を上げて泣き続けた!
彼の望みは「牙なき人の牙となる」事! それを成し遂げられぬ事、何より悪鬼散を討つ前に死に絶えてしまった事が無念で、不甲斐なく、己の感情を駆り立てているのだ!
「覚悟ォーーーー!!」
「零!?」
「いや、厳密に言うならば私は零の一部だ」
そんな覚悟の元に、聞き覚えのある声が届く。
覚悟の戦友たる存在、強化外骨格「零」に宿っていた戦士たちだ!!
だが、それに出会ったところで覚悟の表情は晴れない。
「何を泣いておる、覚悟!」
零は、そんなふがいない姿をさらす覚悟に語りかけていく。
覚悟は、止まらない大粒の涙を抱えながらも零へと訴えかけていく。
「泣かずにはおれん! 討つべき悪があり、守るべき人々がいる!
 だがこの俺は肉体を失い、牙になることができずにいる!
 零よ、俺は悔しいのだ! 牙なき人の牙となれぬ、俺という存在が、惨めで悔しいのだ!」
嗚咽をこらえながら、覚悟は己の無念を零へと語る。
つもりにつもる悔しさ、やらねばならぬ事の多さ、それを成し遂げられぬ事実。
覚悟は、この事実に屈さざるを得なかった。
それを聞き、零は――――
「惑わされるな――――覚悟!!」
覚悟を、大振りの腕で殴り飛ばした。
「貴様の誇りというのは、その程度か! 牙なき人の牙となるというのは、その程度の誇りで務まるものなのか!」
「ち、違う! だ、だが……」
「ではなぜ止まる! 我ら三千の英霊を従えしものが、肉体が死に絶えた程度で何を戸惑う!」
「く……」
死に絶えた先の天界だというのに、ヒリヒリと痛む頬を押さえながら、覚悟は零の言葉に耳を傾ける。
「安息を手にすることなく! 未来永劫苦しむことになろうと人の牙になろうというのなら!
 己の居場所はここではないというのなら!
 覚悟よ! 突きつけられた運命を拒め! 差し出された居場所を拒め!!
 我ら三千の英霊は、覚悟! お前と一心同体! 我らはお前が望むのならば、永遠の時をもさまよおうぞ!!」
そう、零たちは死してなお現世をさまよう戦士たちの魂だ。
肉体が死んだ今となっても、その誇り高き魂と共に現世で戦っている!
この世の悪を討つため、この世の正義を貫くため、彼らは現世にとどまっていたのだ!!
覚悟はハッとした表情の後、ククク、ハハハ、と繋がるように大きく笑う。
しばらく笑い転げた後に、ニヤリと口を曲げて笑う。
その笑みをみて、零も同じようにニヤリと笑う。
「零……! そうだ、そうだな! 俺の肉体が死したところで、俺自信は死んだわけではない!
 感謝するぞ、零! 俺はどうかしていたようだな!」
「それでこそ葉隠覚悟! さあ行こう、我らと共に!!」

724 ◆Cxilshz3Mg:2013/02/07(木) 12:20:20 ID:C3WOIxaA0

固い握手を交わし、両者はそのままその場に座り込み――――

一息。



                                 カッ!!



強化外骨格「零」に宿っていた一部の英霊、並びに葉隠覚悟!!
神の息吹により包まれし、安息の死後の世界にて!
断首! 割腹! 蔵滅!
正義の拒否三段活用により、零とともに天界を脱出!!

その瞳、その動き、その覚悟、寸分の惑いなし!!

人々の牙となるべく、不滅の魂へと変化を遂げる!!



葉隠覚悟! 天界から三千の英霊の一部の手助けを受け!
ベン2の体内に打ち込まれし三千の英霊と同化!
その後内部にて、本来の男の精神と拳で語り合い!
共にベン2及び血髑郎の残滓を殲滅!!
堅い握手を交わし! 彼らは立ちあがる!!
まるで彼らの意志のように熱く燃え上がる炎を背に、目の前の悪へと名乗りを上げる!!

「正義の"弁"者、ハガクレン・カクーゴ……」

拳を構え、討つべき悪へと告げる!
その存在を一瞥し、炎を背にあざ笑う悪へと告げる!!

「当方に、迎撃の覚悟あり!!」



【アリオーシュ@ドラッグオンドラグーン 死亡】

725 ◆Cxilshz3Mg:2013/02/07(木) 12:21:56 ID:C3WOIxaA0

【C-2/中央部/1日目/早朝】
【テッド・ブロイラー@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:炎の爪@DQ5、モヒカッター@MMR2
[道具]:基本支給品*5、零式鉄球装着砲@覚悟のススメ、斬車刀@MM2R、ギガスマッシャー@真・女神転生、メデューサの弾@真・女神転生
     コーラたん@MM2R、不明支給品(1〜5)
[思考・状況]
基本方針:皆殺し
   1:火炎放射器を取り戻したい。
[参戦時期]:撃破前

【ベン2@俺ODIOロワ】
改め
【正義の"弁"者 ハガクレン・カクーゴ@俺ODIOロワ】
[状態]:牙無き人の牙となる
[装備]:防弾ベスト@現実、猟銃@現実
[道具]:基本支給品(記憶喪失の赤髪の男のもの)
[思考・状況]
基本行動方針:牙無き人の牙となる
[備考]:記憶喪失の赤髪の男が持つメタモーフ細胞がベンの体毛より細胞を模倣し、血髑郎の戦術鬼の細胞の力で生まれた新生物です。
     記憶喪失の赤髪の男の意志があるかどうか、ブレードトゥースとの競合性等については不明です。
     爆発の影響によって全身の毛が焼失しました。ただ、しばらくすると生えて元通りになると思います。
     体内に打ち込まれた三千の英霊の一部と、天界の三千の英霊の一部が同化する際に葉隠覚悟の意思も相乗りする形で漂着しました。
     暴れまわっていたベンの意思とかは覚悟とドラムカンの手によって殲滅されています。

【E-7/古代遺跡前/1日目/早朝】
【リュカ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:ダメージ小、魔力消費大
[装備]:アームターミナルC(空)、空飛ぶ靴@DQ5
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:情が湧く前に全員を殺し、元の世界に帰還する
[参戦時期]:石化直後

【カイム@ドラッグオンドラグーン】
[状態]:健康
[装備]:ドラゴンころし@ベルセルク、風の帽子@DQ5
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:生き残り復讐する
1:レッドドラゴンを探す
[備考]
会場内のどこかに、カイムと契約したレッドドラゴンが身動きの取れない状態でいます。
契約相手同士以外の“声”の伝達に制限がかかっています。

※それぞれ別方向に向かったようです



以上で投下終了です。
タイトルは「螺!! 螺螺螺螺螺螺螺螺螺螺旋因果 大復活ッッッ!!」
でお願いします。

726 ◆Cxilshz3Mg:2013/02/07(木) 12:31:14 ID:C3WOIxaA0
一件修正。

[状態]:牙無き人の牙となる

[状態]:牙無き人の牙となる@俺ODIOロワ

でお願いします。

727名無しさん:2013/02/07(木) 18:21:48 ID:XX8nAYK20
復活するすると言われていたがマジで復活しやがったwww
さすが覚悟www

728名無しさん:2013/02/07(木) 20:21:09 ID:3WjxxQ/.0
くっそ、くっそwwww
頭悪い表現しかできないけど、だって○○だもん の一言で全部済ませられるのって卑怯だわwwww

729愛を取り戻せ ◆fRBHCfnGJI:2013/02/07(木) 23:12:31 ID:X0myBNxw0



ゴーレムの突撃が大地を揺るがし、パパスの雷鳴<ウルミン>が空を切り裂き、
そして、ストレイボウの魔法が目の前の全てを呑み込み――

「それでも――」
それでも、ザ・ヒーローには届かない。
バランスを欠いた、それでも魔導生命体故に正確性を失っていない巨体の突撃、
それを牛を躱す闘牛士の様にザ・ヒーローは軽くいなしてみせる。
だが敵対者にとって、その巨大質量そのものが囮。
ゴーレムの影から現れたパパスが、突進から流れるようにウルミンの連撃を放つ。
だが、雷鳴を用いてなおザ・ヒーローに傷を付けるには及ばない。
天の雷――それを従える勇者の剣、
それに阻まれてしまえば、雷鳴もただ金属音を奏でるのみ。
目に見えて明らかであった、天空の剣がザ・ヒーローに馴染んでいっているのは。

疾く──

より疾く────

彼の剣速が上がる度に時間が濃縮されていく。
瞬きする間すら存在しない、瞬きするその1秒にも満たぬ時間があるのならば、
彼は2人と1体の敵対者を仕留め得るのだ。

しかし、それは彼とて同じ事。
1分にも満たぬ短い時間、互いに何千もの死線を交差させていた。

そして再び、剣速が上がった。

何度目かもわからない、ゴーレムの拳。
それが砂塵と化したのは、夢でも幻でも無い。

単純なこと、ザ・ヒーローの高速の──光速の斬撃が、
打ち付けてきたゴーレムの拳を斬り、裂いた。
裂いたのである、岩の腕が砂に変わるまで。

沈黙が生じた。
ザ・ヒーローへの攻撃の手が止まったのだ。
それは、たったの一秒にも満たない。
しかし、この濃縮された時間の中では永遠にも似て感じられた。

「…………完全に馴染んだよ」

圧倒的な力によって生じさせた、沈黙。
それを切り裂いて言葉を発するは、ザ・ヒーロー。

本来ならば主に成り得ない天空より遣われし、勇者の剣。
しかし、彼がその剣を扱いしは必然なのかもしれない。




彼は天使を斬り裂いて、此処へ来たのだ。

730愛を取り戻せ ◆fRBHCfnGJI:2013/02/07(木) 23:12:46 ID:X0myBNxw0


己の剣速よりも疾く、この戦闘中に強くなっていくザ・ヒーロー。
そんな彼に対し、ストレイボウが募らせていく感情は絶望でも焦燥でもなく、怒りだった。
「何でだよ……」
ザ・ヒーローの斬撃の、ゴーレムの拳の、パパスの雷鳴の、己の魔法の、
戦闘の中に掻き消される微かな呟きが、ストレイボウの口から漏れた。
誰にも聞かれるはずのない、聞く余裕の無い言葉──
ならば、その言葉に込められた思いを魔力を込めて、ストレイボウは詠唱する<叫ぶ>。

「お前に神の力なんてものが必要なのかよッ!」
ブラックアビス、ザ・ヒーローの斬撃に対して反射的に唱えられた反撃魔法。
夜空よりも、宇宙よりも、己の抱く憎悪よりも深い黒色をしたそれはザ・ヒーローを塗り潰すには至らない。

「言ったはずだよ、守りたいものがあるって」
如何にザ・ヒーローでも魔法を斬り裂くことは出来ない、廃墟と化した東京を踏破したその脚で、跳躍。避けるのだ。
その後に訪れるは彼の敵の即席のコンビネーション。
雷鳴が彼を斬り裂かんとし、そしてそれと同時に拳が迫る。

完全なるザ・ヒーローが攻めきれぬ理由、それは相手の手数の多さ。
今、やろうと思えば誰か一人は確実に仕留めることはできる。
だがしかし、そうしたならば残り2つの攻撃によって死に至らぬまでも致命傷は受けるかもしれない。

そして、それはストレイボウ達も同じ事。
互い互いに攻めあぐねていた。

だからこそ、この戦闘中の奇妙な会話が生じたのであろう。

「まだ必要なのか!?まだお前には力が必要なのか!?」
ストレイボウが詠唱した<叫んだ>。

蓄積した怒りの正体。

ストレイボウは薄々ながらも気づいていた。

目の前の敵は力を求め続けているという事実が。
己を圧倒しながらも、遥か遠くを見据えた目の前の敵が。

オルステッドに抱いたそれとよく似ていて──

「お前は…………お前は……ッ!!!」
ならばこそ、心から満ちるその感情に身を委ねてしまいたい。
機械仕掛けの不在の魔王<オディオ>の力に────

「そんなものに頼らなくたって、人間はどこまでも強くなれるさ」
だからこそ、微笑と共にもたらされたザ・ヒーローの言葉に……一瞬の、十分すぎる程の隙を与えてしまった。



l> ATTACK

731愛を取り戻せ ◆fRBHCfnGJI:2013/02/07(木) 23:12:56 ID:X0myBNxw0


(死というものは、こうも何も無いものなのだろうか。
痛みも何もありはせず、ただ意識だけが鮮明なまま…………暗闇に包まれて)

ストレイボウは瞬時に己の誤認を悟った。

(生きている、俺は生きている。
手足共にあり、目も耳も異常はなく……だったら)

目の前の闇……ストレイボウを庇ったゴーレムが彼の視界を塞いでいた。
しかし、ゴーレムが原型を留めていたのは僅かな間。
ザ・ヒーローの斬撃によって、最微塵<クオーク>と化す。

「やあ」

その粒子の隙間より徐々に姿を現すのは、やはりザ・ヒーローであった。

「もう…………君達では僕に勝てない」
パパスが背後から放ちし雷鳴、ザ・ヒーローは軽く振り返り…………

その紙のように薄い刃を、斬り落とした。

「無駄」
ストレイボウへと、ザ・ヒーローが一歩を踏み出す。

「無駄」
ストレイボウから放たれた魔法を、軽々と避ける。

「無駄だ」
ストレイボウの前に、ザ・ヒーローが立った。






「力を抜いてほしい……すぐに終わるから」





「いや!殺させてなるものか!」
武器は無い。
だが、それでも。
パパスはザ・ヒーローへと突撃した。

732愛を取り戻せ ◆fRBHCfnGJI:2013/02/07(木) 23:13:10 ID:X0myBNxw0

パパスによって羽交い締めにされるザ・ヒーロー。
何故に彼に隙が生じたのであろうか、それはストレイボウの放ちしアンバーストームの効力。
己をも巻き込むため、気軽に使うことは出来ないが、その魔法はため時間無く電磁結界を生じさせることが出来た。
ほんの僅か……ザ・ヒーローにとっては、ほんの僅かのダメージであろう。
だが、それでも背後から突撃するパパスへの反応を一瞬、鈍らせる。その程度の効果はあった。

ザ・ヒーローの手より、天空の剣がこぼれ落ちた。

「僕が……憎いか?」

平然──否、平穏とした声でザ・ヒーローが言った。

「憎むことなど出来るものか」
返答するはパパス、声色にはただ哀しみのそれだけが存在していた。

「…………ここで命を助けても、やはりお前は殺人を続けねばならんのだろうな」
「もう、それ以外に僕の道は残されていないんだ」

「天空の剣……」
「え?」

「お前が操っていたそれは、天空の剣と言う」
「天空……いい名前だね」

「私は……その剣を扱える勇者を探していた、魔界に囚われた己の妻を救うために」
「悪いけど……僕は」

「ああ、違うのだろう。いや……仮にお前が勇者だとしても…………」
「ふふ……勇者失格?」

「いや、己の願いを……祈りを、誰かに託してはいけなかった、お前が……全てを背負ったお前がそうなったように」
「…………」

「私には……何も出来はしない、お主の苦悩を理解することも、分け合うことも、癒してやることも…………ただ、こうすることしか出来ない」

パパスはザ・ヒーローを抱きしめた。

「…………辛かっただろう、もうお主は眠ってもいい」

アンバーストームより復帰した、ストレイボウがザ・ヒーローにトドメを刺さんと、魔法を放った。

733愛を取り戻せ ◆fRBHCfnGJI:2013/02/07(木) 23:13:20 ID:X0myBNxw0











「零式超吸着掌打」












.

734愛を取り戻せ ◆fRBHCfnGJI:2013/02/07(木) 23:13:34 ID:X0myBNxw0

ストレイボウの臓物が溢れ出した。
何も、何一つとして事態が認識できないが、
拘束より逃れ、今まさに新たなる死体を増やさんとするザ・ヒーローにパパスは再度飛びかかる。
だが、

「…………ありがとう、そしてごめんなさい」
再度、天空の剣を手にしたザ・ヒーローがパパスの心臓を貫いた。

ぐらりとパパスが倒れる。

ストレイボウの臓物も狭き体内より、押し出される。

そして、全ては終わる。











「…………待てよ」

735愛を取り戻せ ◆fRBHCfnGJI:2013/02/07(木) 23:13:45 ID:X0myBNxw0




否、まだ終わってはいなかった。
ストレイボウは、未だ生きていた。
臓物のほぼ全てを体外へと解き放ちながら、それでも生きていた。
おかしいことではない、心臓が停止することと死は同意義ではないように、
臓物が解き放たれることと死もまた、同意義ではないのだ。

「強くなれると……そう言ったな」
「言ったよ」
「人間はどこまでも強くなれると……そう言ったなッ!」
「ああ、言ったさ」

「そのお前が何で人間を捨てようとするッ!お前が……お前までがッ!」

最早、ストレイボウを埋め尽くす感情は、己自身でも■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

「でも……ね、人間は強くなれは出来る……なれは出来る、
天使だって悪魔だって……神様だってきっと殺せるようになるさ…………」







「でも、それが人間の限界なんだよ」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」

もう何もわからない。

736愛を取り戻せ ◆fRBHCfnGJI:2013/02/07(木) 23:13:57 ID:X0myBNxw0

目の前の敵は俺よりも強い。

憎い。

目の前の敵は子どもを殺した。

憎い。

目の前の敵は名も知らぬ仲間を殺した。

憎い。

目の前の敵はそれでもなお、力を求めるという。

憎い。

俺を置き去りにして。

憎い。

オルステッド…………

憎い。

目の前の敵はオルステッドではない。

憎い。

オルステッドではあり得ない。

憎い。

だからこそ。

憎い。

737愛を取り戻せ ◆fRBHCfnGJI:2013/02/07(木) 23:14:11 ID:X0myBNxw0





生きながらえているとはいえ、長く持つことは無いだろう。
故に、ストレイボウは躊躇せずに魔力も生命力も全てを込めて、
それでも足りないというのならば、己の感情の何もかもをも込めて、
そして…………

「ブラックアビス」


















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黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒


                     斬


黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒
黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒


その魔法を踏み越え、ザ・ヒーローは進む。



【ストレイボウ@LIVE A LIVE 死亡】

【エリアC-5/森林地帯/1日目/黎明】

【ザ・ヒーロー@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:疲労(大)
[装備]:天空の剣@DQ5
[道具]:基本支給品4式(松明1つ消費)、キメラの翼4枚@DQ5、不明支給品1〜5
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに勝ち残り、神と契約する
1:
[参戦時期]:ニュートラルルートエンディング後
[備考]
大きな力について、意識すればいくらか感知することが可能です。
零式超吸着掌打を習得しました。

738愛を取り戻せ ◆fRBHCfnGJI:2013/02/07(木) 23:14:21 ID:X0myBNxw0



彼の優しさが、ザ・ヒーローの剣先をずらしたのだろう。
彼の優しさが、ザ・ヒーローに躊躇を与えたのだろう。

それ故に、彼は生きている。


絶望へと向かうために。


【パパス@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:重症、男らしさ減少、気絶中
[装備]:ハイレグアーマー@MM2R、アームターミナルE(無し)
[道具]:ワタナベのパンツ@LIVE A LIVE、元々着ていた服
[思考・状況]
基本行動方針:道を踏み外した子を正しい方へ導く
1:???
[参戦時期]:死亡後、エビルマウンテンで吹っ切れたリュカに会うよりも前

[備考]:ウルミン、ゴーレムは破壊されました。

739愛を取り戻せ ◆fRBHCfnGJI:2013/02/07(木) 23:14:46 ID:X0myBNxw0
投下終了します。
とりあえず第一放送に突入可能となりました

740 ◆fRBHCfnGJI:2013/02/07(木) 23:24:26 ID:X0myBNxw0
約30箇所ぐらい禁止エリアに指定してもいいですか?

741 ◆Cxilshz3Mg:2013/02/07(木) 23:31:29 ID:5KNI6Ogk0
投下乙です!
なんつーか、振り返らないザ・ヒーローがね……もうね……
ってしれっとヤバいもん習得してるゥウゥゥゥ?!
ストレイボウをも切り捨て、パパスの愛をも切り捨て、彼は何処に行くのか。

あ、禁止エリアの件ですが
「やったれや転生ぇえええええ!! 完全者だろうとアイドルだろうと俺達(のイカレっぷり)に勝てる奴なんざ居やしないんやああああああ!!」
ということで、ガンガン盛って良いと思います

742 ◆fRBHCfnGJI:2013/02/07(木) 23:40:04 ID:X0myBNxw0
では、第一放送予約させていただきます!

743第一放送 ◆fRBHCfnGJI:2013/02/08(金) 00:42:19 ID:AILyGpe.0
第一放送投下します

744第一放送 ◆fRBHCfnGJI:2013/02/08(金) 00:42:29 ID:AILyGpe.0




このような殺戮の場にも太陽は昇る。
そう、遥か天空より……次元を切り裂いて…………否!あれは太陽ではないッ!
神々しき輝きを放ちながらも、球体ではなく人型……菩薩であった。

悪魔召喚プログラムの応用として、天空に召喚された菩薩……G・ガラン。
だが、なんという事だろうか、慈悲溢れる微笑みを浮かべたG・ガランは、
内部操縦者により、参加者全員に定時放送を伝えるげに恐ろしき、放送魔人<マジーン>と化していたのだ。

嗚呼!おぞましかろうとも耳を塞いではいけない!

聴き逃してしまえば、待ち受けるは禁止エリアによる死!!

そして狂気の第一放送が始まった。

「……死者の名を読み上げる。
オザワ
アリシア
記憶喪失の赤髪の男
ミカエル
アスラ王
ガルシア
恵魅
モズグス
血髑郎
ワイアルド
葉隠覚悟
キャスカ
ロウヒーロー
セエレ
ベン
イウヴァルト
アリオーシュ
ストレイボウ、以上18名」

「禁止エリアは、
A-1,A-2,A-3,A-4,A-5,A-6,A-7,A-8,A-9
B-1,E-1,F-1,F-2,F-3,F-4,F-5,F-6,F-7,F-8,F-9
B-2,E-2,B-8,C-8,D-8,E-8,B-9,C-9,D-9,E-9 以上」

嗚呼!必要事項だけを述べると、G・ガランは速攻で沈黙、なんと業務的かつ無機質なのだろうか!

745第一放送 ◆fRBHCfnGJI:2013/02/08(金) 00:42:45 ID:AILyGpe.0





殺し合いの開催が告げられた人面空間、G・ガランの内部はその地獄めいた様相によく似ていた。
足取り軽く、何者かが歩けば、踏まれた顔が嘆き怒り、そして呪詛を吐く。
だが、今歩いた彼は気にしない。
負け犬など、彼にとってはどうでもいいことなのだ。

「天空城……エクスダイダロス……母艦ザウルス……ブリキ大王……隠呼大仏…………」
軽い足取りと共に彼が呟くは呪詛めいた5つの単語。
独り言になるかと思われたその呟きに、
「全て、用意しております」
突如彼の後ろへと現れた神の使い──会場に存在した者と同じ形のそれが答えた。

「……ハンターオフィスに手配書を貼っておけ……そうだな、二人以上殺した奴を賞金首にするんだ。
情報を与えるかどうか、賞金首を殺した奴への報酬はお前に任せる」
「御意」
「……後は、何か面白いことを思いついたら、また頼む」
「御意」

提案とそれに対する機械的な返答、会話とも言い難いそれを終えた神の使いは再びどこかへと消え、
そして、この場には再び彼だけが残される。

「……"神"の思惑なんて知ったこっちゃねぇが、まぁ、やれる範囲で愉しませてもらうことにするか」

彼の名はロキ、神話のトリックスター。
この殺し合いの観客。

そして、未だ尚、神の正体は闇のまま。





【備考】
会場上空にG・ガランが浮いています。
放送はG・ガランによって行われます。
二人以上殺した参加者は、賞金首としてハンターオフィスに手配書が貼られます。
主催者側のキャラクターとして、ロキ@真・女神転生Ⅰが存在します。

746第一放送 ◆fRBHCfnGJI:2013/02/08(金) 00:42:58 ID:AILyGpe.0
以上です、

747第一放送 ◆fRBHCfnGJI:2013/02/08(金) 00:43:35 ID:AILyGpe.0
放送投下後の予約は今から可能です

748 ◆Cxilshz3Mg:2013/02/08(金) 01:12:43 ID:Ol8HOyoY0
レナ予約します

749名無しさん:2013/02/08(金) 05:53:15 ID:z3HjhrMA0
「禁止エリアは、
A-1,A-2,A-3,A-4,A-5,A-6,A-7,A-8,A-9
B-1,E-1,F-1,F-2,F-3,F-4,F-5,F-6,F-7,F-8,F-9
B-2,E-2,B-8,C-8,D-8,E-8,B-9,C-9,D-9,E-9 以上」
?!
えっ、禁止になるまでの猶予時間、何時から禁止エリアですよ、とかないの、とかエリア多すぎてけっきょくどこが禁止エリアなのかわかんねえよwとか、
これ口頭で聞いてメモしろとかきっついだろうなぁ、とか4日目の0時に突入した時点で〜の辺りのルールとか活用する気0だろ主催とか。
なんか言いたいことはいっぱいあるけど、ああ、やっぱここって違うなぁ、って思いました(小並感)

750名無しさん:2013/02/08(金) 05:55:30 ID:z3HjhrMA0
ってかアリスとカリョストロが禁止エリアに包囲されてるwww

751名無しさん:2013/02/08(金) 06:00:41 ID:z3HjhrMA0
見間違えた、なんだ、生存者よけて禁止エリア設定してると思いこんでたけど、普通に巻き込んで設定されてるのか。

752名無しさん:2013/02/08(金) 13:15:24 ID:pKYyKphw0
いつの間にかいっぱい投下来てた!乙です
ゆりこすげえ!!とかなんという覚悟節wとかああ、ザ・ヒーローは…とかほんといろいろあったのに、なんか放送に持ってかれた気分www
しかも現在地ツール見たら全部8時からとかw鬼畜過ぎるwww

753 ◆Cxilshz3Mg:2013/02/08(金) 15:18:09 ID:Ol8HOyoY0
すんません、ちょっと気になるところが出てきたのでとりあえず予約破棄します。

754第一放送 ◆fRBHCfnGJI:2013/02/17(日) 02:01:27 ID:4osmVbgI0
【書き手物語】


【狂おしき渇望】 ◆Cxilshz3Mg 投下数18


MM2R、荒廃したその世界を表現するにはどうすれば良いのだろうか?
彼はそれを砂漠も廃墟も用いずに描いてみせた。
彼が描いたのは荒廃した世界の人間、すなわち心の荒廃を用いて、MM2R世界を表現してみせた。
そして砂漠が拡大するように、その荒廃は俺ODIOのテーマとして侵食しつつある。

『Project Metal』、『jabberwock』、これらは共にMM2Rに登場する主人公側のキャラクターの登場話である。
その作品に於いて、彼等はただ……力を求めた。
レナは殺人による恩恵を、ミシカは魔人化による異形の力を。
何故、彼等はその様な行動を取ったのか、ここで敢えて語ることはしないが、唯一つ言おう。
それが大破壊後の世界である。

そして書き手である彼自身もまた、破壊力を求める。
施設追加、参加者同士の悪魔合体、追加枠での隠しボス、死んだふり、武田観柳、使徒化、蘇生…………
投下の度に増していくSSの破壊力にはただただ、恐怖を覚えるのみ。
だが、俺ODIOロワ以外だったら間違いなく破棄くらっているSS群に私はこう言おう。
いいぞ、もっとやれと。

4節書くつもりが1節余ったので、
新安価ロワの最終話が格ゲー愛溢れた素晴らしいものだったことをついでに書いておきます。




【ココロミルイノリ】 ◆TIENe3Twtg 投下数6

二次創作に登場する人物、
一次創作では絶対に有り得ないのに、なのに、まるで一時創作<オリジナル>そのものであるかのように感じる感覚。
それを味わったことはあるだろうか。
もしもないのであれば、危ない薬に手を出すか……あるいは◆TIENe3Twtg氏の投下を読めば良い。

氏の投下は生きている。
言っている意味がわからないというのならば、読んでみれば良い。
『東の山に……』、『子供達のためのおとぎ話』、『デッドマンズインワンダーランド』それらの登場話にて描かれた子どもたちは、
語彙不足ではあるが、そう……生きているのだ、SSの中で。

私は恐怖した。彼はこの俺ODIOロワが初のSSであると述べた。
私は恐怖した。彼はSSを投下する度に驚異的な速度で成長を続けていった。
そして彼は……『わがまま』にて、彼の成長を甘く見ていたことに気づいた。

『わがまま』に登場する人物は悪魔と勇者の二人だけた。
『わがまま』は勇者に悪魔が擦り寄る話だ。
貴方は、悪魔を描く時にどうするだろうか?
彼は……優しい悪魔を描いた、そう人間心理を知り尽くした全てを打算で構成した優しさを。
勇者視点では決してわかりえない、全ての優しさが悪魔的田さんで構築されている恐怖を。
私は恐怖する。まるで作中に登場する心見る悪魔であるかのような彼に。

【誘惑の薔薇】 ◆w3jhWtfiTI 投下数5

美しくなければ王と言えぬのならば、彼はまさしく王であるといえるだろう。
彼のSSはまるで薔薇のようだ、鮮やかな色と芳しい匂いで私達を寄せ付け、
そして手を伸ばし、気づけば、その鋭い棘に心を突き刺されている。

まず、彼は『Hurry Up To Exit』にて、私を惹きつけた。
その作品にて彼は、リリスを書いた。
イヴを唆した蛇の様に、彼の書くリリスはどこまでも官能的で蠱惑的であった。
そして、その甘い香りを漂わせたまま、『森林に変態の影が/Perverts in the Dungeon』を投下し、
『心閉ザセシ鉄棺』にて私の心の臓を貫いた。

『心閉ザセシ鉄棺』というSSは完璧の二文字で全てを表すことが出来る。
だから、私は敢えて語ることはしない……いや、出来ない。
是非、読んでほしい。
そして、度肝を射抜かれてほしい。

さて、彼の誘惑に惹かれているのは、私達だけではなく、
彼の作品に登場する人物たちもまた、そうなのである。
彼は作品に登場する人物の望みを、最大限に利用し、そしてその望みへと彼等を走らせる。
まるで薔薇のように、その美しさに惹かれ野望へと手を伸ばせば、その鋭い棘に命を奪われるのだろう。

755名無しさん:2013/02/26(火) 19:01:49 ID:tnaPwJ0s0
把握資料のLIVE A LIVE セリフ集 のホームページが落ちてるみたいです。
キャッシュなども残っていない模様。
把握の際は気をつけて。

756 ◆Cxilshz3Mg:2013/02/27(水) 17:18:48 ID:p6WkUYXY0
ガッツ、カイム、ソラ、ゲマ予約します

757 ◆fRBHCfnGJI:2013/02/27(水) 17:25:29 ID:/htgJ/so0
ミシカ、カオスヒーローを予約します

758名無しさん:2013/02/27(水) 18:55:56 ID:GYfUTnlg0
わーい、予約だー。

759 ◆TIENe3Twtg:2013/03/03(日) 20:06:42 ID:G6TmIzf60
ザ・ヒーロー、魔神竜之介 予約します。

760 ◆Cxilshz3Mg:2013/03/06(水) 00:10:54 ID:CspyFpSY0
すっげー予約来た(震え声)

あ、延長します。

761 ◆fRBHCfnGJI:2013/03/06(水) 16:47:51 ID:iPJsJopg0
すいません延長します

762 ◆Cxilshz3Mg:2013/03/06(水) 22:23:50 ID:CspyFpSY0
すいません、またなんかヤバイことに気がついてしまってハゲた奴なので一時的に破棄します。

763 ◆Cxilshz3Mg:2013/03/06(水) 22:26:21 ID:CspyFpSY0
連レス申し訳ない。
予約破棄はカイムのみでお願いします。
ガッツ、ソラ、ゲマは継続で。

764 ◆Cxilshz3Mg:2013/03/07(木) 15:37:35 ID:HKTgXx0.0
投下します

765なんとも醜い復讐劇の序章 ◆Cxilshz3Mg:2013/03/07(木) 15:39:00 ID:HKTgXx0.0
裂く、吐く、暴れる。
理性の欠片すらも感じられないほどに、巨竜は一人の男に向けて怒り狂う。
両の爪は男の杖に止められ、木々をも燃やす炎は男の呪文に止められ、剥き出しの牙と大振りの尾は当たることはない。
だが、男とて余裕でそれをいなしているわけではない。
攻撃に続く攻撃の猛攻を、ギリギリのラインで避けているだけだ。
大きな隙が生まれる、たった一瞬を心待ちにするために。
ゲマは彼女を"殺してはいけない"。
生け捕りにし、リュカへ見せ付ける必要があるから。
リュカを超えなければ二度目の生など、何の意味もないのだから。
「ほいっ!」
わずかな隙を突き、ゲマがドラゴンの杖を巨竜へと突き出して行く。
洗練された一撃は、確実に巨竜の喉を捕らえる、が。
「ぐっ……!」
巨竜は、そんなことでは怯まない。
お構い無しに鋭い爪をゲマへと振りかざして行く。
身体を捻ることで辛うじて回避には成功するものの、脇腹に深々と突き刺さった爪がゲマの体液を溢れ出させて行く。
「く、ふふ、そうですか、リュカ! やはり貴方は素晴らしい!!」
だが、ゲマも退く事は無い。
その顔に笑みすらをも浮かべながら、右手を巨竜へと翳して行く。
ぼうっ、と軽い音を立てながら、巨大な火球が巨竜の顔を包む。
魔術師の本懐、練り上げられた魔力が巨竜を焦がして行く。
痛みを押しながら、その隙にゲマは大きく飛び退いていく。
「どうやら、生半可な手段では退いてくれないようですね」
やはり付け焼刃では対抗するのは難しいか。
自分の中で洗練されきった型が出来たところで、今までの"戦闘経験"を埋める事は出来ない。
最も、こんな年端も行かない少女がそんな戦闘経験を持っていることすらおかしいのだが。
脳裏に描かれる、彼らの凄惨な日々を思い浮かべ、ゲマは笑う。
届かない、届かないのだ。
付け焼刃を増やそうが、どれだけ魔術を洗練しようが。
復讐のという凶刃には、勝つことなど出来ない。
だから。
「ならば私も、同じ土俵に立つとしましょう!」
無理やりにでも、同じ場所へと移る。
リュカの持っていたこの杖の力を使い、自分の身も異形へと変化させていく。
異形になることを問うている場合ではない。
躊躇いや戸惑いを見せれば、また自分はこの少女に敗北する。
リュカを超えるためには、何もかもを置き去りにし、捨て去らなければいけない。
いや、捨て去ると言うのは違うか。
リュカを超える、そのために必要なものを集め、いらないものを投げる。
それだけの、こと。
そして、巨竜の前にもう一匹の巨竜が現れた。
互いに吐き出す炎が森を包み、取っ組み合うように爪は互いの身体を傷つけて行く。
なりふりなど、かまっているわけがない。
爪が肉を咲き、炎が肉を焦がし、目は相手だけを見据えて。
異常と正常という概念では語れない戦いを、繰り広げて行く。
裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。
裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。
裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。
戦いであり、戦いと形容するには相応しくないそれが、続いて行く。
裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。
裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。
裂く、焼く、殴る、潰す、吼える。
何時までも、いつまでも、続きそうだったそれは。
肉が潰れる音で、終わりを告げた。

766なんとも醜い復讐劇の序章 ◆Cxilshz3Mg:2013/03/07(木) 15:39:16 ID:HKTgXx0.0



そこに居たのは二匹の巨竜だった。
大地を焼き、互いを裂き、空気を振るわせる。
二匹の竜が、戦い合っていた。
男は、悩まなかった。
ちくりと首筋に何かが走った瞬間、自分の身体の痛みすらをも忘れて飛びかかっていた。
「……死者の名を読み上げる」
どこからともなく声が聞こえるが、聞こえない。
「――オザワ」
そんな事はどうでも良い。
「――アリシア」
そんな名前はどうでも良い。
「――記憶喪失の赤髪の男」
どうでもいい事ばかりが響いている。
「――ミカエル」
だから、聞こえない。
「――アスラ王」
軋む身体に鞭を打ち、竜へと飛びかかって行く。
「――ガルシア」
丸太のような太い腕が、魔神を冠する金槌を振るって行く。
「――恵魅」
風に煽られる木々のように、竜の身体がしなる。
「――モズグス」
勢いを殺さず、そのまま金槌を振るう。
「――血髑郎」
ぐしゃりと潰れていく、竜たちの身体。
「――ワイアルド」
轟く絶叫すらも、男の耳には入らない。
「――葉隠覚悟」
ただ、金槌を振るうだけ、振るうだけ。
「――キャス――――」
その一言を聞いた後の事は、覚えていない。

767なんとも醜い復讐劇の序章 ◆Cxilshz3Mg:2013/03/07(木) 15:40:01 ID:HKTgXx0.0



もはや、言葉を発する気力すら無い。
もはや、考える余地など残されているわけもない。
もはや、状況を判断することなどできるわけもない。

死者? 禁止エリア? 何も男には届いていない。

届いたところで、それは無意味だからだ。

放送が途切れると同時に振り下ろした一撃の後、それぞれの持っていた荷物を物色する。

手ごろなサイズのマスク、グローブ、ブーツだけを身につけ、杖は一瞥だけして。

肉塊には興味すら持たずに男は北へと歩き出して行った。



死体が、一人の少女と一人の男に変わっていたことなど、気にすることも無く。



【ソラ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁 死亡】
【ゲマ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁 死亡】
※放送中に死亡したため、放送では呼ばれませんでした。

【F-7/東側海岸/1日目/朝】
【ガッツ@ベルセルク】
【状態】:気になるか? 気にしていられると言うのか?
【装備】:魔神の金槌@DQ5 漆黒の鎧@真・女神転生Ⅰ、ホークマスク@メタルマックス2:リローデッド
     タイガーグローブ@メタルマックス2:リローデッド、ホッパーブーツ@メタルマックス2:リローデッド
【道具】:基本支給品×2、回復カプセル(残り2個)@メタルマックス2:リローデッド、不明支給品0〜2(武装の類ではない?)
【思考】
基本:復讐
1:北
【備考】
※放送など、聞いているわけがない



投下終了です。

769 ◆Cxilshz3Mg:2013/03/07(木) 18:40:10 ID:HKTgXx0.0
すいません、時間軸に(ほぼ放送直後)をつけるのを忘れていたのでWikiで修正します。

771 ◆TIENe3Twtg:2013/03/10(日) 09:09:42 ID:LTAJOEuw0
ザ・ヒーロー、魔神竜之介 投下します

772汝は人間なりや?:2013/03/10(日) 09:10:28 ID:LTAJOEuw0


――想いには力を与える能がある



773名無しさん:2013/03/10(日) 09:10:57 ID:LTAJOEuw0

ザ・ヒーローは走っていた。
その内心の大きな割合を占めるのは、ヒーローに相応しくない逃避の念。
何かに追い立てられるような必死さで、すぐさまここを離れねば。
そんな人間臭い、自己保存の本能に忠実な逃走。

それほどまでにパパスの抱擁は、彼にとって致命的だった。
その温かさは、その感触は、その優しさは。
彼の理想。
彼自身の主観の中にしか存在しない、悪魔のいない世界。かつての世界で完結した、父を思わせるそれ。

叶うまで、理想はそこにあってはならぬ。
叶うまで、満ち足りることは許されない。

貪欲に、ただひたすらに貪欲に。
夢追い人は止まれない。
たとえ一度だけであったとしても。
立ち止まってしまっては二度と同じ夢を見ることはできないのだから。

その温かさが、その恐怖が、パパスの命を救ったことに気付かないまま、彼は走り続けた。

そして、見つけた。
一目でわかる。あれは敵だ。
だから斬りかかった。

774名無しさん:2013/03/10(日) 09:11:30 ID:LTAJOEuw0


魔神竜之介は改造亡霊である。
悪しき主催に肉の身体を与えられた彼は。
輝かしきニンジャソウルをその身に宿し、人類の未来のため闘うのだ!



775名無しさん:2013/03/10(日) 09:12:22 ID:LTAJOEuw0

死者が死者に祈るとはなんと面妖なことか。

流れる放送、連なる名前。
多くの失われた生命を想い、竜之介は嘯く。

彼の主観に合わせれば、彼は一度足りとも死してはいない。

彼に信仰はない。
ただただ剣に応えるための生を歩んできた。
肉体の死は一度経験した。
だがそれでも失われぬ強固な自我は、減衰することなく継続し続けている。

剣理とはすなわち人生そのものである。
あらゆる道を極めた先が同じ一点に集中するように、一見関係ない物事であっても全ての経験は剣理に繋がる。
故に彼は失わない。
善行も悪行も区別なく、全ての経験が自己を育みし剣理に繋がる故に。

死とは喪失である。
死とは停滞である。
死とは到達点である。

なれば彼は未だに死せぬもの。
生き永らえ、道を歩みし探求者。

強者を求めるは剣士の本能に近い。
ムラマサを守る目的が強者と死合う手段を求めてこそであったように。
おぼろの意に触れ枝葉は変われど、最強を求める芯に変わりは無く、

だから後背より迫る斬撃は、踏み出した一歩に空を斬る。
ここは不自然なほどに命の息吹絶えた冥界。
故に接近を示す信号を遮る”生”の気配は無く、奇襲の成り立つ理もない。

「問う……なぜ、お前は戦う?」

振り向きながらに放たれた音無しの剣は金属音と共に弾かれた。
重い、と斬りかかったこちらが感じるほどに揺るぎない剣圧。
返答はない。そのことをどこか、喜ばしく感じる自分を意識する。
イカレタ宗教屋でも、取るに足らぬ童子でもない。
死合いとは、こういう者とこそできるものだ。

戦意を向ける敵こそをおぼろへの言い訳に、今度の戦に意を傾ける。

776名無しさん:2013/03/10(日) 09:13:22 ID:LTAJOEuw0


命題
Q.亡者は人間なりや?



777名無しさん:2013/03/10(日) 09:14:30 ID:LTAJOEuw0

枝葉で眩ませればそれごと刈られ、幹を盾にすればそれごと断たれる。
森そのものを斬り伏せながらザ・ヒーローは往く。
それも一つの豪の暴剣。

対する竜之介は柔の理剣。
盤面を見降ろしチェスの駒を進めるように、理尽くめに完成された境地の一つ。
木々を盾に、枝葉を陰に、世界を味方に彼は往く。

その手にムラマサはない。カネサダもまた良き刀ではあるが、かの名刀と比するにはいささか格が落ちる。
故に打ち合う事は論外で、三又に別たれた剣身は流し受けることを不可とする、防御手は限定される。

無数に広がる選択肢、その中で敵がつかみ取るであろうそれを、
体捌き、目線、気迫、地形条件、あらゆる要素と合わせて予測し、最善手を模索する。

異常と言えるほどに鋭く重い剣閃は、体勢を崩そうが足場が崩れようが、何時でも変わらぬ威の込められた渾身の必殺。
伺い知れぬ程の鍛錬と経験によってのみ生まれるであろう太刀筋と不釣り合いに、その組み合わせは乱雑で直線的だった。
一流の太刀筋と、不釣り合いに未熟な戦の組み立て。

竜之介には奇妙としか映らず、推測不可能な領域の事ではあったが、それは両者の出所となる”世界”があまりにも異なるがために生まれた事態であった。

ザ・ヒーローの世界には古来より”人ならざるモノ”たちが存在した。
一般に知られていたかは別の問題として、それ故にその”武”は一撃の重さを前提とし追求する道となる。
”悪魔”に対抗する手段としての性質が”武”の歴史に組み込まれていた。

対する竜之介の世界。そこでの”武”は人と人が争うための手段である。
”人ならざるモノ”はイレギュラーでしかなく、”武”を歪める程の存在感を持たない。
人は死ぬ。ほんの数センチの切れ込みが入るだけであっさりと。
故に彼の世界では”見切り””当てる”。対人に特化した剣術が生まれた。

そうして生まれた剣質の違いが、僅かばかりではあるがこの死合いを竜之介優位に進めることへと繋がった。

轟と、空気を裂く剣の音。
剣の横腹を叩き逸らし、余裕を持ってそれを避け懐に入る。
拳の間合いで反撃の一撃を叩きこみ擦れ違う。
竜之介の攻撃は当たり、ザ・ヒーローの動きを少しずつ鈍くしていく。
ザ・ヒーローの攻撃は当たらず、豪剣はただ空を斬る。

決定打となるほどの深い当たりこそ無けれども、確実に場は動く。

778名無しさん:2013/03/10(日) 09:15:47 ID:LTAJOEuw0


A.
村正の妖刀伝説の由来は曖昧であり、その真贋は怪しいという声も大きい。
彼の世界のそれがそうであったか、どうであったかはわからないが、人の口に戸は建てられず、情報は広まるごとに歪んでいく。
実際がどうであったかなどは関係なく、真実を必要とせずに伝承は歪み、新たに力を育んでいく。
偶然ではない、面白味も無い。どこにでもある、ただの必然の話。

死者は動かない。死者は語らない。
死者に意思はない。死者に意志はない。遺志は都合よく捻じ曲げられる。
死者はただ思い出の中にのみ宿り、記録の中に残り、他者の心の中でのみ育ち変容する。
死者に自我は存在せず、ただただ生者の望むようにしか存在できない。
死者に力を与えるは生前の行いではなく、他者の認識だ。
それはモノとどう違う?
故に、亡者は人間足りえない。

そういうものを人は”悪魔”と呼ぶのだから。



779名無しさん:2013/03/10(日) 09:16:43 ID:LTAJOEuw0

竜之介優位、と先に触れていたが、その優位は決して容易に訪れたものではない。
何時崩れても不思議ではない、薄氷の上に成り立つ優位。

轟と、空気を裂く剣の音が聞こえる。
苦もなく避けるも、反撃に回るほどの余裕はない。

踏み込みは浅く、疲労に速さを鈍らせた剣は、その分立ち直り早く次手へと向かう。

再度、剣閃。避ける。

竜之介とザ・ヒーロー。
その身体能力には大きな開きがある。
その開き故に、竜之介は攻めきれず、ザ・ヒーローは無為に剣を振る、そんな構図が生まれた。
だからこそ竜之介は短期決着の一撃必殺ではなく、積み重ね身体能力に鈍りを与える、そういう長期戦に挑んだ。

状況を見るにその判断は正しい。その判断は正しかった

この場に至るまでの疲労もあったのだろう。
目に見えてその動きは鈍ってきている。

ただ一つ、誤算であったのは、鈍りを補い余りあるほどの勢いで、ザ・ヒーローは成長し続けていたことだ。

初見で見受けられた未熟さは、一太刀毎に払拭される。
未来予想図は常に変化し、更新を重ねられ、現実に追いつけない。
それが何よりも嬉しい。

剣閃。避ける。

一太刀毎に余計な認識が剥がされていく。
剣閃。音が消えた。
剣閃。色が消えた。
剣閃。鼓動が消えた。
剣閃。景色が消えた。

余分は全て消える。戦闘のみを求める処理思考は、それ以外の余分を全て捨て去る。
温かみのない、白黒でコマ送りな景色。

間合いが開き、動き続けた景色が止まる。
身体能力にはまだ開きがある。戦闘技術にもまだまだ開きがある。
それでも天秤は釣り合い、戦闘力は拮抗した。

この素晴らしき時の終わりを最高の形で終わらさんと願う。
次の
一太刀こそが頂点であると言葉なく、互いに理解し構えを変える。

生涯最大最高の一撃こそを望み、場は硬直する。
凍てついた空気が場に広がって行った。

780名無しさん:2013/03/10(日) 09:17:37 ID:LTAJOEuw0


目視叶わぬ虚空を睨む。虚空を測る。虚空は全てに繋がっている。虚空に手を伸ばす。

自己も他者も曖昧な世界に溶け広がって行く。

阿迦奢を認識し、世界と繋がる認識を持ち、先に見ゆるは万物一体の仁。その高みからあえて目を逸らす。

力はただ力であってはならぬ。意思はただ漫然とした意思のままではいかぬ。

ただ広まるに任せてはいられない。それは神の所業。何かを為す望み持つ人には無用の境地。

御せよ。広がるに任せるではなく、己の身の丈に合わせた小ささに、目的に合わせた形に加工して、全てを収めよ。

アカシャ・アーツ。

そこに真の武はない。ただただ破壊に向かい矮小化され、凝縮された一つの境地。



781名無しさん:2013/03/10(日) 09:18:09 ID:LTAJOEuw0


接触時とは対照的に、先手を打ったのは竜之介であった。
「半月流、外式――――」
本来、掛け声は不要であり、徒に呼吸を見出す害悪と言っても過言ではない。
しかし、この技だけは。
刃を合わせた彼の者を想い、言葉を紡ぐ。
速さでは無い、独特の緩急織り交ぜた歩法により旋回し、気当てを混じらせ距離を狂わせ、クルクルと肉薄していく。
「矢車草ッ!!」
交差して、終わる。





背後では倒れ付す音。
遅れてキンと鍔鳴りの音が一つ。
飛んだ首は思い出したように、ぽとりと音をたて落ち、存在を主張して。
そして、静寂。

782名無しさん:2013/03/10(日) 09:18:54 ID:LTAJOEuw0


老君に導かれ訪れたカテドラル頂上。
そこで僕は見、知った。
全てが集約する世界の中心、そこに立つことで初めて、全てが繋がっている事を。

そこはほんの少しだけ特別な場所。
知っている人ならどこであろうと変わりなく見ることが出来るものが、ほんの少し知らない者にも見えやすくなっている場所。
物質界と精神界の境界がもっとも曖昧な場所。

フツオは人間だ。
ワルオやヨシオのような異能はなく、周囲の誰よりも人間の範疇にいたと言える。
そんな彼だったから、誰かに寄りかかる事はしなかった。

特別じゃない彼は恐ろしくて仕方ない。
特別じゃない彼は兎のように臆病に周囲を見渡していた。
法も混沌も、どちらの理も利も理解出来たから、集団に寄り掛かることなく個として生き続けた。

特別じゃない彼は特別な周囲に負けぬよう、彼らに勝てる部分で勝負していった。
力比べで彼に勝る者は多い。
知恵比べで彼に勝るものは多い。
速さ比べで彼に勝るものは多い。
魔力の持ち合わせは彼に無かったし、
体力も無限と持ち合わせた訳ではない。
運であっても彼に勝てる者は数多くいただろう。

それでも彼は負けなかった。
彼は一度足りとも死なずに生き残り続けた。
彼は無敵では無い。幾度となく傷を負い、幾度となく立ち上がった。
彼は不敗では無い。勝てぬと見ればすぐさま逃げ出し、機会を測った。

故に彼は生き続け、最強となる。



783名無しさん:2013/03/10(日) 09:20:05 ID:LTAJOEuw0
結局のところ、勝敗を分けたのは簡単なことだ。
竜之介は剣士であり、ザ・ヒーローは剣を持った戦士であった。
ただそれだけの話。

竜之介が駆け出したその時、ザ・ヒーローは天空の剣を”使った”。
その場に流れた”いてつくはどう”は彼の身体から鈍りを拭い去り、天秤を傾ける。
来たる必殺の一撃。それは最も速く、重く、鋭い一撃。
防ぐことも避けることも敵わぬ絶殺の一撃。

それは逆に言えば、最も刀身に負荷を掛ける、遊びの無い一撃でもある。
ほんの一瞬のドーピング、まるで世界そのものと一体となったような広い感覚の中、針のように細い刹那を引き寄せる。
矢車草、その剣の威力が最も乗った、最上位の瞬間に合わせて。
ザ・ヒーローはカネサダを半ばから断ち折った。
”いてつくはどう”に取り戻された圧倒的な膂力を持って、勢い殺さず軌道が変わる。
折られた刀に驚愕する間もなく、竜之介の首が飛んだ。

斬られ飛ぶ頭部は空にて驚愕の表情を浮かべ、主を失った身体は最後の命令に忠実に動き続ける。
駆け抜け鍔鳴り、ようやく身体は死を認識し、地に落ちた頭部はようやく敗北を理解した。
驚愕に固まった表情が緩む。
声に成らずも「見事」と口を動かして、動きは止まった。

生きて、斬って。生きて、斬られて。
死して、斬って。死して、斬られて。
竜之介という魔が成す刃は、ザ・ヒーローという魔を断つ剣に砕かれた。
ただそれだけの話。

【魔神竜之介@LIVE A LIVE 死亡】

784名無しさん:2013/03/10(日) 09:21:04 ID:LTAJOEuw0


難題
Q.ザ・ヒーローは人間なりや?



785名無しさん:2013/03/10(日) 09:21:38 ID:LTAJOEuw0
最も手慣れたアナライズ。
自己を見直し一息をつき、その場に倒れ伏す。
まだ英雄ではない。まだ魔人でもない。確かな人間としての自己を確認出来た。
視界の端に映る悪魔の死体は、マグネタイトに霧散せずそのままの姿を維持している。
ここは人間界よりも、魔界に近い環境なのかもしれない。
ぼんやりと、そんなことを考えた。

自身が削れている実感がたしかにある。
世界と自己を隔てる境界は、実のところ曖昧なものだ。
人が魔に転じる例は数多く、人のままで居続けることは難しい。

彼は、派手にやりすぎた。
ロウを滅ぼし、カオスを滅ぼし、歩みゆく姿はあまりにも多くの者に眩しく映り過ぎた。
畏怖とともに向けられたのは、かくあれという信仰にも似た想いたち。
それらが、フツオに向けられた”ザ・ヒーロー”という偶像。

復讐に猛り鎧に狂う狂戦士を救おうとした魔女の術のように、境界は曖昧で。
想い人の黄泉帰りを願った男が縋る卵の逸話のように、それを踏み越える手段は容易で。
親友を斬り想い人を失い、空洞になった心に憎しみを宿した男のように、想いは何よりも強い。
魔と人を隔てる境界は脆く、想いは容易くそれを砕き、侵す。

放送は聞いている。
ヨシオやミカエル、アスラ王を倒す程の実力者が殺し合いに乗っていて、なおかつあの死者の数。
既に亡い、放送以前に遠間より聞こえた、ベンとやらの仕事も混じっているのかもしれないが、好都合な程にハイペースだ。

ならば必要以上に焦り過ぎることはないだろう。
人で在れるうちに戦いを終わらせる。
カテドラルで世界を覗き込み、世界に覗かれたその時から抱き続けた焦り。
その焦りからここまで忙しなく動き続けたが、一度休む必要がある。
支給品に手だけを突っ込み、感触だけで荷物を漁る。

寝転がりながらに取り出したのは、にくまん。
懐かしく温かな文明の味は、かつての東京への郷愁の念を掬い出す。
もう、父の顔は思い出せなかった。

【D-5/森林地帯/1日目/朝】
【ザ・ヒーロー@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:疲労(極大) 怪我(小)
[装備]:天空の剣@DQ5
[道具]:基本支給品4式(松明1つ消費)、キメラの翼4枚@DQ5、不明支給品1〜5
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに勝ち残り、神と契約する
1: 少し、休む
[参戦時期]:ニュートラルルートエンディング後
[備考]
大きな力について、意識すればいくらか感知することが可能です。
”ザ・ヒーロー”と関わり薄い記憶から少しづつ失われています。
零式超吸着掌打を習得しました。
対人戦術を覚えました。
※竜之介の支給品は死体の傍に放置されています。

786名無しさん:2013/03/10(日) 09:24:56 ID:LTAJOEuw0
次回、ザ・ヒーローの孤独のグルメに続く(嘘)
投下は以上です。
問題やご指摘などありましたらどうかお願いします。
ありがとうございました。

787名無しさん:2013/03/10(日) 11:24:57 ID:L4DoIkLo0
投下お疲れ様です
濃厚な戦闘描写、そこに挟まれる命題と難題。鳥肌もののカッコよさでした・・・!
どちらも人間とはかけ離れた存在で、どちらも抱えている意志は非常に重い物
意志など関係なく、悪魔と呼ばれる存在と、悪魔を断つ存在、これだけの事実が勝者を決めた・・・
この冷酷な現実を思わせる殺し合いが、俺ODIOロワって感じですよね

788 ◆5ddd1Yaifw:2013/03/10(日) 17:05:22 ID:cIpGQedE0
投下乙です。

なんとも醜い復讐劇の序章

ガッツ、おお、ガッツ……。
キャスカが死んで復讐の鬼になってしまうとは……。
わかっていたことだけれど、これは辛い。
鬼となった彼の行く末は……。

汝は人間なりや?

かっこいい。ただただかっこいい。
戦闘描写がかっこいいと言う他ない。
これ程の緊迫した戦闘を魅せてくれるキャラ、書き手に脱帽。
互いの力をぶつけ、弱いものは死んでいく。
そんな当たり前のことを改めて思い知らせてくれる。

ここで書くのは始めてで凄く緊張していますが、
ガッツ、リュカを予約します。

789名無しさん:2013/03/10(日) 17:27:06 ID:VpJdnD3.0
投下乙です!
人の心、それは誰にでもあり、誰にも宿らない。
難題の答えは難しそうですなあ。

790 ◆w3jhWtfiTI:2013/03/11(月) 00:16:31 ID:OzMaFZfE0
投下乙です!それに予約まで!
>なんとも醜い復讐劇の序章
なんと無情な……
元の世界での行ないがあるゲマはともかくとして、ソラまでこうなってしまったのは憎んでしまったからなのか……

>汝は人間なりや?
緊張感あふれる戦闘描写、どちらも共に強者であるけれど
二人の強さの質、ルーツや在り方を綺麗に対比させた掘り下げに、ただただ脱帽しました。
死合いには負けた竜之介も、最期には満足気に逝けたようで。
ああもう、やっぱりすごいなぁ。

ロシーヌ、デボラ、葉隠散 予約します。

791名無しさん:2013/03/11(月) 08:44:16 ID:uPiA55Eg0
ウィキ久しぶりに見てきたけど前のバージョンのが好みだったなぁ。
横に更新履歴が出てて、トップページにきた瞬間にすぐに更新状態が見える状態って好きで。
生き残りのスタンス纏めてみた。多分抜けはないと思う。
【真・女神転生Ⅰ】1/4
○ザ・ヒーロー/マーダー○カオスヒーロー/対主催 ○ゆりこ/危険人物○アリス/危険人物
【ベルセルク】0/3
○ガッツ/危険人物○グリフィス/マーダー○ロシーヌ/危険人物
【ドラゴンクエストV 天空の花嫁】3/4
○主人公/マーダー○パパス/対主催○主人公の息子/対主催○デボラ/対主催
【メタルマックス2:リローデッド】1/5
○レナ/マーダー○テッド・ブロイラー/マーダー○ミシカ/マーダー○カリョストロ/マーダー/○タケダ・カンリュウ/対主催
【覚悟のススメ】1/3
○正義の"弁"者 ハガクレン・カクーゴ/対主催○葉隠散/危険人物○ライ/マーダー
【ドラッグオンドラグーン】0/2
○カイム/危険人物○フリアエ/危険人物
【LIVE A LIVE】1/1
○オルステッド/対主催
生き残り数、22人 マーダー8人 危険人物7人 対主催7人

792 ◆m8iVFhkTec:2013/03/11(月) 12:08:10 ID:jHt2/exM0
私も書きに参りました。
今、ガクガクに緊張しています……!
それでは、パパスを予約致します。

793再始動 ◆fRBHCfnGJI:2013/03/14(木) 04:19:52 ID:fw/QUb2I0
すいません、遅れてしまいましたが投下します

794再始動 ◆fRBHCfnGJI:2013/03/14(木) 04:20:10 ID:fw/QUb2I0

◆ ◆ ◆



死体が見つかりゃラッキー。

この世界では……特にハンター稼業じゃそんなもんさ。

だからアンタの兄貴はラッキーだった、そうだろ?

795再始動 ◆fRBHCfnGJI:2013/03/14(木) 04:20:25 ID:fw/QUb2I0



「オザワにミカエルにロウヒーロー…………アスラ王はまぁ、お察しってところだな」
放送で呼ばれた四人の死者、そう死者達。

彼らもまた己と同じように此処に呼ばれ、そして──再び死んだのだろうか。

「…………呆気ねぇ」
かつての敵、そしてかつての友の名を聞いてカオスヒーローが送る言葉はただそれだけ。
ただ、ほんの少しだけ煙草の煙が目に染みて、かつての友が、神の人形になる前の事を思い出し、

「本当に…………呆気ねぇもんだ」

本音を煙に巻いて、もう一度呟いた。

「まぁ、オザワに関してはもう一度俺がぶっ殺してやりたかったがな」
カオスヒーローは煙草の火を壁に押し付けながら、
同じように蘇りつつも再度相見えるの事の無かったかつての敵に皮肉を感じ、笑う。

「ああ、お嬢様と話すときには煙草を吸わないことにしてるんだ、俺は紳士だからな」
背後から感じる殺気に、鷹揚に構えるは勝者の余裕か。
むくりと立ち上がるミシカに、カオスヒーローは振り向くことすらしなかった。

「飯の時間にしようぜ、腹ァ減っちまった」
「ふざける…………」
鼻孔をくすぐる焼けた肉の匂いに、ミシカの言葉も途中で途切れた。
東京タワーの片隅、ボウと燃えるは魔法の炎。
焼かれるは支給品、原始の活力漲るホネ肉。


理性とは無関係に胃袋がそれを求めて、ミシカの腹を鳴らした。


「………………」
「毒なんざ入れてねぇから食えよ。俺の方が強いから、俺が先に食うけど」

ホネ肉を頬張りはじめたカオスヒーローを前に、ミシカは思考する。

目の前の男は私を殺せる時に殺せなかったアマちゃん。
ならば、わざわざ毒を使う必要はない、そもそも──

ミシカは現状を確認する。
元々着ていた服と魔人の力、それ以外は全て目の前の男に奪われている。
体を縛られているということはないが、それはつまりお前など簡単に殺せるという自信の現れなのだろう。

事実、反射魔法がある目の前の男には己の魔法は封じられており、
近接戦闘を行うにも武器を持った向こうの方に分がある。

更に言えば、消耗した体力を補う必要がある。
そして気絶している間に放送があったのならば、その分の情報も聞いておきたい。
それに目の前の匂いには抗えない…………

「頂くわ」
「ああ」

奇妙な朝食、開始。

796再始動 ◆fRBHCfnGJI:2013/03/14(木) 04:20:36 ID:fw/QUb2I0

基本支給品のパンにホネから削ぎ落とした肉を挟む、安易なサンドイッチ。
豪快な肉の味を質素なパンの味が中和したそれには、ただ味の調和が存在していた。
口いっぱいにそれを頬張り、咀嚼し、そして飲み込む。
若干、乾いた喉を基本支給品の水で潤し、そして──

「禁止エリア30個…………?は?」
「どうにもクソッタレの神様は禁止法と短期決戦が大好きらしいな」
「ココはどうなの?」
「ありがたいことに禁止エリア入りだ。二時間後もココにいたら……何なら試してみるか?神様のご慈悲があるかもな」
「慈悲ある神は殺し合いなんて……ましてや、大破壊後の時代に人間を送り出すことはしないでしょうね」
「正論だな、俺もそう思うよ」

ミシカは聞き逃した放送内容をカオスヒーローから得ていた。
猛威を振るう禁止エリアの情報──もしも、それを聞いていなければ即死だっただろう。
禁止エリアの情報を得られたことに感謝し、そして油断したカオスヒーローを──
そう、幾つかのハンデはあるとはいえ不意を打てば殺せる目の前の男を──

不意打ちで殺すのは躊躇われた。

己が力を求める者ならば真正面から打ち砕けと──心に溶け込んだアスラ王がさざめく。

そしてミシカもまた──正面から倒されたカオスヒーローを不意を打って殺す気にはなれなかった。
それでは借りを返せない、きっと殺したとしても一生の敗北感に付き纏われるのだろう。
そう確信していた。




「…………あんたは」
「ん?」

「さっきまで殺し合ってた人間とよくもまぁ、平然と話すことが出来るわね」

「強いからな、俺は」


────クズは嫌い


己を強者と語り、先程まで命を狙っていたミシカと平然と語り合うカオスヒーロー
そんな彼の姿が、名も知らぬ彼女と重なった。

弱ければ、敵とみなされることすらない。
今、敵とみなされること無く会話する己が──
己を敵とみなすことをしない目の前の男が──酷く腹立たしくなった。

「なぁ、力が欲しいか?」

だから、だからこそ、目の前のカオスヒーローの言葉に、
餓えた心を満たさんとするその言葉に、彼女は喰らいついた。



「当たり前だッ!」

797再始動 ◆fRBHCfnGJI:2013/03/14(木) 04:20:47 ID:fw/QUb2I0

だからこそ、カオスヒーローの次の言葉に、


「じゃあお前を強くしてやるよ」
「は?」

止まった。


「力が欲しいって言うなら、俺が鍛えてやるって言うんだよ」
「はぁ?」

「なんで強くなりたいか、何て事に興味はないが…………今、お前が要る」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「アスラ王……テメー、どんだけ腑抜ける気だ?こんな殺し合いでお山の大将作って満足する気か?こんな殺し合い、ぶっ壊せよ」
ミシカの中のアスラ王が刻印染みて疼いた。
力への渇望と同時にあるは──神をも殺さんとする意志。
だが、ミシカにあるは────

「あたしは力が欲しい、此処に私をより強くする闘争があるというのならば、
神との契約があたしに力を与えるというのならば、あたしは………………」

純粋なる力への渇望。
そう、アスラ王が己を託す程のそれ。

「悪いが、あんたに従って日和ってやる気はない」
勝機は一切無い、だが──ミシカは戦闘態勢へと移行した。
己の意志を、力への渇望を、勝機を度外視してでも見せつけなければならなかった。
もしも此処が壊されてしまったのならば、力への祈りは永遠に失われてしまうだろう。
だからこそ、彼女は守らなければならなかった──この、バトルロワイアルを。

「従うな、俺にも、神にも」
死ぬ前の過去──
己の記憶、友の記憶を思い出し、ミシカを見据えた。
カオスヒーローが再び煙草に火を付けたのは、
この言葉のために積み重ねた過去を、哀しみを、煙草の煙に隠すためだったのだろう。

「神なんざ、従えてやればいいんだよ」
蘇るはもう一人の友の記憶。

「もしも何かに従っちまったら、きっとテメェは従ってる奴以上には強くなれない。
俺は……ゴメンだな、必死こいて神以下の強さだなんて」

何にも従わなかったからこそ、全てを倒した英雄。

「お前はその程度の力で満足なのか?」
「その……程度?」

798再始動 ◆fRBHCfnGJI:2013/03/14(木) 04:20:57 ID:fw/QUb2I0



復讐がしたかった。
たった一人の兄さんの……復讐を。
最初に求めたものはそのための力だった。

あたしは彼女に出会った。

出会ってしまった。



彼女は私の全てを破壊した。

大破壊後の世界では祈りも誓いも、役に立ちはしない。
墓前でのそれらは、彼女の強さという圧倒的な現実に粉砕され、
彼女の手によってプライドを奪われ、
彼女の手によって復讐を奪われ、


あたしが力を求める理由は

あたしのためだった戦いは

何時しか、彼女のためになっていた。


彼女こそがあたしの復讐対象であり
あたしの目標であり
あたしの死であり

あたしの人生そのものだった。

何時だって彼女は私を越えていった。

ならば

だとするならば

きっと

あたしが満足したのならば

「残念でした」とあざ笑うように

きっと神をも超越するのだろう



もしかしたら

もうしているのかもしれない

だとすれば

だとするのならば

799再始動 ◆fRBHCfnGJI:2013/03/14(木) 04:21:07 ID:fw/QUb2I0



「力が要る…………あたしには力が要るッ!!」
叫んだ。祈った。誓った。願った。嘆いた。

ミシカは声を上げた。

「あいつは いつもあたしのしたい事をブチ壊すッ!!あたしがどんなに努力しても!あいつはいつもその一つ上を行ってしまうッ!!
あいつよりも上を行く力が…………神が天空に要るというのならばッ!それよりもッ!もっとッ!もっとッ!高い力が必要なんだッ!!!」

「お前、名前は?」
「ミシカ、ミシカよ」

「ミシカ……俺がお前に魔人の戦い方を教えてやる。お前の油断を打ち砕き、お前という刃を研いでやる。
だから、お前はカオスヒロインになれ。何者にも支配されない……何処までも自由な奴になれ。そうすりゃあお前は、神も悪魔も殺せるだろう」

何時だって記憶に過るのは、友にして英雄たる彼。

「お前は俺に似ている……だが、お前は俺になるなッ!」

そして愚かであった己の姿。

「俺達にかけられた契約という呪いを解き、神を撃破する」

きっと、目の前の少女を俺にしないために……俺は目の前の少女を生かしたのだ。

「お前が戦いを求めるというのならば、神との戦いがそれだ。
そもそも強制されて殺しあうなんていう思考が弱者のそれなんだよッ!」

「征くぞッ!」
「応ッ!」



【B-8/東京タワー・ターミナル/1日目/朝】

【カオスヒーロー@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:魔力消費・中、全身に火傷
[装備]:ムラサメ@LIVE A LIVE
[道具]:基本支給品*4、青酸カリ@現実、強化外骨格『零』不明支給品(2〜9、アスラ王、モズグスの物を含む)、ストラディバリ@真・女神転生Ⅰ
[思考・状況]
基本行動方針:もう何かに従う気はない、当然この殺し合いにも。
[参戦時期]:本編死亡後
[備考]:最後の支給品はホネ肉@LIVEALIVEでした
[備考]:『零』に宿る三千の英霊が現在成仏しているため、『零』を装着することは出来ません。

【ミシカ@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:全身火傷(左腕の炭化はディアラマによってそこそこに治療されました)
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考・状況]
基本行動方針:強くなる

800再始動 ◆fRBHCfnGJI:2013/03/14(木) 04:22:01 ID:fw/QUb2I0
投下終了します。

ザ・ヒーロー、カオスヒーロー、ミシカを予約します。

801名無しさん:2013/03/14(木) 10:05:46 ID:ifyP5P7g0
投下乙です。
過去の自分、そして友二人。
まるで三人が合わさっているかのような姿の彼女に願うは違う結末。

802名無しさん:2013/03/15(金) 16:06:00 ID:25OqGlqk0
月報集計お疲れ様です。
俺ODIO 58話(+ 7) 22/42 (- 5)  52.4(- 11.9)

803名無しさん:2013/03/15(金) 16:07:03 ID:25OqGlqk0
※覚悟の蘇生は記憶喪失の男の体としてカウント(なので死亡扱い)
※レナは存在が消滅しましたが、使途化と転生を行ったため生存しています

804名無しさん:2013/03/15(金) 22:38:16 ID:gwVY28UY0
投下乙です。
神さえも従えてやる、これはなんとも熱い展開!
良いコンビになりそうだなぁ……と思ったところにその予約とは、すごい先が気になります。

805 ◆Cxilshz3Mg:2013/03/15(金) 22:42:01 ID:0bFJYqYw0
アリス、カリョストロ予約します。

806 ◆5ddd1Yaifw:2013/03/16(土) 22:48:51 ID:G5GXyER60
一応、延長しておきます。

807 ◆m8iVFhkTec:2013/03/17(日) 15:43:21 ID:oa7WfLps0
申し訳ありませんが、延長をお願いします

808 ◆w3jhWtfiTI:2013/03/17(日) 15:57:17 ID:Yr9D4UE.0
予約の延長をお願いします

809 ◆TIENe3Twtg:2013/03/19(火) 19:09:02 ID:93OMceto0
主人公の息子、グリフィス予約します

810 ◆m8iVFhkTec:2013/03/19(火) 19:15:17 ID:tzDF6wWM0
遅れてしまって申し訳ありません
パパス投下致します
タイトルは「はだかの王様」です

811 ◆m8iVFhkTec:2013/03/19(火) 19:15:47 ID:tzDF6wWM0
ドグンッ……

          ドグンッ……
    ドグンッ……

脳にはっきりと響き渡る心臓の鼓動
それはとても耳障りで、心が乱れる
もうこれ以上聞きたくない、止めてくれ
疲れきった私に、長き戦いからの解放を、どうか


……どうせ私は一度死んだ身なのだ。
骨の髄まで焼かれ、溶かされ、本来ならばそこで終わったはずの命。
それを幸運なことに、この世界で先延ばしにして貰った、ただそれだけ。
もはや未練は無い。これ以上の生を望むなど、あまりにも贅沢な話だ。

……リュカよ、あとは頼んだ……。





【パパス@ドラゴンクエスト5 タヒ亡】










・・・・・・・・・・。










―――果たして、本当に未練は無いのでしょうか?




ドグンッ……

          ドグンッ……
    ドグンッ……

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
走馬灯現象……人は瀕死状態に陥ると、脳の中にあるあらゆる記憶が呼び起こされる。
パパスの命は今、風前の灯。……死を目の前にして、彼の過去の思い出は鮮明に蘇る。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




パパスはそわそわと落ち着かない様子だった。
玉座に座り、立ち上がり、周囲をうろうろと歩き回り、時折天井を見つめてはため息をついていた。
自分が男であるゆえに、この時ばかりは無力でしかない。
その苦しみを自分が代わりに引き受けられればどんなにいい事だろうか。……無論、それは叶わない。

今彼に出来ることは、ただ、妻を信じて待ち続けることだけだった。

812 ◆m8iVFhkTec:2013/03/19(火) 19:16:09 ID:tzDF6wWM0
……どれほど長い時間が経っただろうか?
やがて、上の階からざわざわと声が聞こえてきた。
その騒がしい泣き声は、彼が待ち望んでいたものである。
その瞬間に、思わず心が跳ね上がるのを感じた。

やがてドカドカと階段を駆け下りる音がする。
召使いであるサンチョが、嬉々とした口調で繰り返し主の名前を呼んだ。

「パパス様! パパス様! お産まれになりました!!」
「そっ、そうか!!」

ついにこの時が来た。
私とマーサの血を引く子が、今この世に生を受けたのだ。

サンチョはパパスの姿を見て、「ドヒッー!」などと叫びを上げて飛び上がった。
なんということでしょう、その格好はピチピチのハイレグアーマーに、ブリーフを頭から被った超セクシーな装備だった。
そんな危ない水着顔負けの危ない服装の主を見たら誰だって驚く、それはごく自然なことである。


……パパスにはこんな記憶があるのか? いや、無い。
知能が低下してる故に、記憶の一部曖昧になっているだけである。
何もかもパンツが悪い。パンツを被ったパパスも悪い。
それでは、話を戻そう。


パパスはすぐさま階段を駆け上がる。
早く我が子の顔を見たい一心で、全力疾走とも言える速度で走った。
部屋が近づくにつれて、パパスの緊張は徐々に高まる。
いよいよ対面の時が近づいてきたのだ。
どんな顔をしているだろうか、私とマーサ。どちらに似ているだろうか。
不安と期待が入り混じった複雑な感情……それをパパスは首を振って追い払う。
どちらに似ていても構わない! 我々の子なら、きっと凛々しい顔立ちに違いないだろう。

「パパス様、おめでとうございます! 本当にかわいい、珠のような男の子ですよ!」
「うむっ!」

男の子、と聞いて期待が高まる。
私以上に立派な男子へと育ってくれるだろうか。
ゆくゆくは私の座を継いで王になるのだろうな。
……まだ産まれたばかりだというのに、私も気が早いものだ、そんなことを考えながら寝室の扉を開けた。

ベッドの上には、疲労の色を浮かべながらも愛おしそうに赤ん坊を見つめるマーサの姿があった。
マーサは面白装備の夫を見て、一瞬だけ唖然とした表情を浮かべる。
だが、やがて彼女はクスクスと笑った。

「まぁ、あなたったら……」

夫はきっと、自分以上に気苦労をしたのだろう。
そして考えた挙句、私をリラックスさせようとあんな服装で飛び込んできたに違いない。
マーサはそう推測した。なんてポジティブな解釈だろうか。

パパスはマーサのそばに駆け寄り、いたわりの言葉をかける。

「よくやったな! おうおう、このように元気に泣いて……。
 さっそくだが、この子に名前をつけないといけないな」

パパスは泣き声を上げる赤ん坊の顔をまじまじと覗き込み、腕を組んでうーむと唸った。
どんな名前がいいのだろう? どんな願いを込めてあげよう?
必死で頭をひねりながら、なんの気なしに部屋の中を見回した。

そこで目に入ったのは鏡に映った自分の姿。
パンツに書かれていた名前、反転こそしているものの、それははっきりと読み取れた。

「よし、浮かんだぞ! ワタナベというのはどうだろうかっ!?」
「…………。でもね、私も考えていたのです。リュカというのはどうかしら?」

パパスの妄言を一切意に返さずに、マーサは微笑を携えながらそう言った。
妻と子供の姿を交互に見ながら、『リュカ』と言う言葉を吟味する。

813 ◆m8iVFhkTec:2013/03/19(火) 19:16:28 ID:tzDF6wWM0
「リュカか……。どうもパッとしない名だな。
 しかし、お前が気に入っているならその名前にしよう!」

自分の提案した名前も捨てがたいが、ここまで一番頑張っていたのはマーサなのだ。
彼女がそれがいいと言うのならば、私もそれでいい。
妻の幸せは、私の幸せでもあるのだから。

パパスは赤ん坊を抱き上げると、両手を上げて天へと掲げた。

「神に授かった我らの息子よ! 今日からお前はリュカだ!」
「まあ、あなたったら……」

二人はお互いに笑いあった。
リュカは相変わらず泣いていた。

これから、一緒にリュカを立派に育てられるのか、と言う心配はある。
でもこの瞬間は、二人ならきっと大丈夫さと心から信じることが出来た。
辛いことも、喜びも分かち合って、三人で幸せな家庭を築いていくのだ、と。
……三人で一緒に笑える日が来るだろう、と……。

「っ……! ごほんごほん……」
「おい! 大丈夫かっ!?」

むせる様に咳をする妻を見て、少しだけ不安を感じた。
赤ん坊も不安を感じたのか、先ほどよりも一層泣き声を強くした。



  ドクンッ……

       ドクンッ……
ドグンッ……       ドクンッ……

少しづつ体が軽くなり、少しづつ体が重くなっていく。
その感覚は決して心地よいものではない。
例えるならば、風邪で倒れているそれと似ている。
緩やかな苦痛が不快感を、吐き気を、感じさせた。

           ドグンッ……
  ドクンッ……




血液の鼓動が徐々に早まっていく。

砂がこぼれ落ちるように、赤ん坊と妻の姿が消えていく。

やがてその暗闇に陽が差し込むかの如く、景色が切り替わった。



眼前に広がっているのは一面の大海原。
照りつける太陽の光が波間に反射して眩しい。
カモメたちが騒ぎ立てる声と波の音だけが響く、船の上にいた。
マーサを探し始めてから数年が経った頃の記憶だろう。
ここはビスタの港、海の青と大地の緑、その境目とも言える場所。
傍らには6歳になった息子、リュカの姿があった。

「お父さん、今度はどこに向かうんだっけ?」
「サンタローズ村、わたしたちの故郷だよ」
「故郷……故郷かぁ……うーん……」
「はっはっは。まぁ、リュカは小さかったから村のことを覚えていまい」

リュカには旅の目的は話していない。
だが、この子は小さいながらもずっと私について来てくれた。
きっと友達も出来ず、私もあまり遊んであげられずに、淋しい思いをしてきたに違いない。
だから、そろそろ故郷で腰を落ち着けようと思った。

814 ◆m8iVFhkTec:2013/03/19(火) 19:16:46 ID:tzDF6wWM0
「まーったく、船長も人がいいよなぁ。
 あんたら親子のためだけに、あんな小さな港によってくれるんだもんなぁ」

船員の一人が声をかけて来た。

「あぁ、本当に感謝している。今までかなりの長旅をお主たちと共にしてきたが、とても楽しかったぞ」
「そっかぁ、お前さんともいよいよお別れなんだな……。
 最初はその気色悪い格好に反吐が出るかと思ったが、慣れると愉快なもんだったぜ」
「ははは。私も、お主の覆面マスクと、乳丸出しの格好には吹き出すところだったからな」
「おいおい、言ってくれるぜ! がっはっはっはっは!」

初めは、誰もがパパスの紳士の服装を哀愁漂う目で見てきた。
そんな最悪な第一印象を持ちながら誰とでも打ち解けることができるのは、持ち前の豪快さと風格によるものだろう。
サンタローズ村を作る際も誰よりも働き、多くの人々に慕われるに至ったのだ。

やがて、港に降りる。
その際に「あっ、パパスさん! 帰ってきたんだね!」と、正直よく覚えていない商人に話しかけられた。
そう、もはや顔を覚えきれないほどの、人望を彼は持っているのだ。
……ただ、知り合いが多すぎるのも困ったものだと思いつつ、彼は適当に話を合わせることにした。

そそくさと話を切り上げて港を出ると、息子が野生のモンスターと戦っていた。
6歳でスライム共とまともにやりあう姿を見て、私に似てたくましく育ったものだと感慨深く思った。
……いや、のんびり見ている場合ではなかったな。
パパスはすぐさま先頭に加担し、モンスターを切り伏せる。

「すごーい! お父さん!」

リュカは目を輝かせて父親の華麗な剣さばきを見ていた。
普段なら軽蔑の眼差しであろうハイレグアーマーも、この瞬間には踊りの衣装を連想させる。
具体的に例えるならば、"白鳥のダンス"、バレエのような軽やかさ、美しさがそこにはあった。
ここまで来ると気持ち悪くない。むしろ清々しい。

瞬く間に魔物を処理したパパスは、勝手な行いをした子をたしなめた。

「まだまだおもての一人歩きは危険だ。これからは気をつけるんだぞ」
「ごめんなさい……」
「だが、なかなかいい戦いっぷりだったぞ、リュカ。お前はきっと強い戦士になるだろう」
「本当!? よぉし、ガンガン強くなって、お父さんみたいになるんだ!」

息子の微笑ましい言葉に思わず笑みがこぼれる。
パパスはそんな健気な息子の頭を撫でながら言った。

「あぁ、きっとお前はお父さんより強くなれるさ。だから、頑張るんだぞ」
「うん!」

息子は大きく、力強く頷いた。
その姿は我が子ながら頼もしく感じたものだ。
私がリュカを鍛えてやらねば、立派に成長するのを見届けてやらねば。
この時、私はそう決意したのだった。

            ドグンッ……

  ドクンッ……
     ドクンッ……
ドクンッ……


幸福な家庭を築くことも、息子の成長を見守ることも、私には結局出来なかった。
骨を砕かれ、肉をちぎられ、黒ずみとなって、あっけなく終わってしまった。
どうも、私にも未練があったようだな。

……だが、私はここで立ち上がるべきではない。
私が犠牲になることでリュカが助かったのなら、それで悔いは無い。
マーサの事も伝えることが出来た。ならば、あとは息子を信じればいい。
父親として、息子を信じて待てばいい。
今までも、これからも、『リュカの未来』を信じてきたのだから。

815 ◆m8iVFhkTec:2013/03/19(火) 19:17:01 ID:tzDF6wWM0
ドクンッ……
   ドクンッ……


―――あなた……あなたは一度でもリュカを信じなかった時が無いというのですか?

―――もちろんだ。父親として最後までリュカを信じ続けて来た。

―――……いいえ、あなたは気づいていないだけ……あなたは一度だけ、リュカを信じなかった事がありました。



ドクンッ……
         ド……


「あなたは……パパス、さん……ですよね?」
「誰だか知らんが、私に何か用かな?」

気がつけば、自分はサンタローズ村にいた。
目の前には見知らぬ一人の男。
見知らぬ……? いや、私はこの男にどこかで会ったような気がする……。

紫色の布をまとい、杖を持つ立派な体格の男。
ただ、その肉体には痛々しいほど大量の傷跡が刻まれていた。
その腕に、その顔に、皮膚が裂かれた跡が、くっきりと。

「信用してもらえるかわかりませんが……僕は、貴方の息子なんです」
「なんだって? お主が私の息子!?
 わっはっはっはっ! 私の子供はあとにも先にもリュカ一人だけだ!」

パパスは男の言葉を笑い飛ばす。
この男は、悪い冗談を言っているのだと思った。
自分の息子はまだ6歳の少年なのだから。
だから彼は否定をした。「お前は私の息子ではない」と。

男は、少しだけ悲しそうな顔を浮かべた。
彼はため息をつき、そして話を続ける。

「信じてもらえないならそれで構いません。ただ、これだけは聞いてください。
 ラインハットの王からの呼び出しがあるならば、どうかそれを断ってください。
 息子さんとの幸せな日々を続けたければ、悲惨な運命を与えたくなければ、ですけれど」

彼の瞳は妻のものにとてもよく似ていた。
顔立ちも、雰囲気も、リュカにそっくりなことにも気が付いた。
ほんの一瞬だけ、本当に青年となった息子が私に忠告をしに来たのだと錯覚した。

……だが、私はその考えを認めなかった。
もとい、それを認めたくなかったのだ。
自分の息子に『悲惨な運命』が待ち受けているだなんて、考えられるわけがない。
あれだけきらきらと輝いていたリュカの瞳が、こんな光を失った瞳に変わるだなんて信られるものか。

だからこそ自分は、彼の忠告に耳を貸さなかった。
このような結果になるとは、夢にも思うこと無く。



         ……
……
    ……


「……つまり私は、『リュカの未来』を信じてやれなかった。そういうことなのか」
「そう……それでもなお、あなたは一切の後悔も無く死ねるのだと言い切れるのですか?」
「言えるものか……リュカが運命を変えようと伸ばした手を、私は無下に突き放してしまったのだ。
 自分の子供を信じてやれないなど……父親失格じゃないか……」

816 ◆m8iVFhkTec:2013/03/19(火) 19:17:20 ID:tzDF6wWM0
パパスは頭を抱え、大きくため息をついた。
どうして気付こうとしなかったのか。どうして信じてやれなかったのか。
自分の抱いた理想と違うものを受け入れられないなど、王として、父親として、なんと愚かな思考……。

「あなたはまだやり直せます。何故ならあなたは、まだ命が残っているのですから」
「……マーサ……」

目の前に現れたのは、先ほどから私に語りかけてきた声の主。
6年もの間、ずっと探し続けてきた最愛の女性。
彼女は6年前と全く変わらない微笑みを浮かべて、私をその腕で包み込んだ。

「私としたことが、弱気になりすぎていたようだ……
 マーサ、待っているが良い。必ずこの世界から脱出し、お前を救い出してみせる。
 そして、リュカと3人で幸せな日々を取り戻そう」
「ええ、あなたならきっと大丈夫ですわ」

マーサはそっと手を伸ばし、私が頭に被っているブリーフを外した。

「いってらっしゃい、あなた」
「あぁ、行ってくる」






ドクンッ……

   ドクンッ……







 ドクッ!





「ガハアッ!!」

パパスは血を吐き出しながら咳き込んだ。
大地に流れ出る生ぬるい血の感覚、そして胸部に感じる強烈な痛みがしだいにはっきりとしてくる。
やがて、朦朧とした意識が現実の世界へと覚醒した。

体を起こし、痛みと苦痛の元凶である傷口に目を向ける。
ザ・ヒーローの剣によって深々と左胸に穴を開けられている。……かろうじて心臓をかすめたのだろう。
だがそれでも、おそらく動脈に損傷があったのだろうか。とめどない勢いで血液が溢れ出している。

「……ホ、ホイミ!」

パパスは血がとめどなく溢れ出る風穴に、治癒の魔法を使う。
……一度だけでは足りない。何度も、何度も、何度も唱える。

「ホイミ! ホイミ! ホイミ!」

徐々に傷がふさがっていく。
失った血液は戻らないものの、なんとか傷口を塞ぎ、肉体的損傷を回復することが出来た。

額に流れる脂汗を振り払い、パパスは立ち上がった。
失血によってふらりと倒れそうになるが、なんとか持ちこたえる。

817 ◆m8iVFhkTec:2013/03/19(火) 19:17:34 ID:tzDF6wWM0
「……リュカ」

我が子の名をつぶやく。
彼の瞳から、輝きが失われてはいけない。
そうだ、その輝きを守るために、私はここに蘇ってきたのだ。
息子に待ち受ける悲惨な運命、それを変えてやらねばいけない。
リュカの幸せを願うのが、親としての義務なのだから。
この戦いにおいて彼が背負っているのは憎しみではなく、愛だった。

彼はまず、血で真っ赤に彩られたハイレグアーマーを脱ぎ捨てた。
それは、これまでどこか慢心のあった自分を脱ぎ捨てる決意の現れでもあった。

一糸まとわぬ裸体になった彼は、そばに落ちていた下着を履く。
それは、いつの間にか頭から外れたワタナベのパンツ。

彼の知力は下がった。おかえり、バカパパスさん。台無しだよ。



彼は、あらゆる臓物が体外に飛び出しているストレイボウの亡骸を見つけた。
天へと旅立った彼のために、両手を合わせて祈りを捧げる。

「すまない、私に力が無かったためだ……、共に戦ったお主の事、忘れはせん」

彼はストレイボウのマントを取り、それをまとった。
自らと共に戦い、ここに散っていった彼の、生きた証を自らの力とするために。



ブリーフ一丁にマントを付けたその格好はさながら変態である。
だが、はたしてこの姿を笑う者は、この場においては誰一人としていなかった。

何故ならば彼は今、目に見えぬ高貴なる魂を纏っているのだから。それを誰が笑えるというのだろうか。
そして何よりも、この場には他人の目が無かったからだ。それで誰が笑えるというのだろうか!



【パパス@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:疲労(大)、男らしさ全開、失血気味
[装備]:ワタナベのパンツ@LIVE A LIVE、ストレイボウのマント、アームターミナルE(無し)
[道具]:元々着ていた服
[思考・状況]
基本行動方針:息子に待ち受ける"悲惨な運命"を打開する
1:???
[参戦時期]:死亡後、エビルマウンテンで吹っ切れたリュカに会うよりも前

[備考]:ウルミン、ゴーレムは破壊されました。
    ワタナベのパンツはサイズが小さすぎるため、少し動くと破れる恐れがあります。

818 ◆m8iVFhkTec:2013/03/19(火) 19:18:04 ID:tzDF6wWM0
以上で投下終了です
修正点、問題点などがあればご指摘いただければ幸いです

819 ◆m8iVFhkTec:2013/03/20(水) 00:02:42 ID:62upbz6gO
すみません、時間帯や場所の表記を忘れていました

【エリアC-5/森林地帯/1日目/朝】

でお願いします

820名無しさん:2013/03/20(水) 18:58:57 ID:qN0VxiZw0
投下乙です
>再始動
カオスヒーローまじヒーロー。
ぶっちゃけ脳筋思考のゴリ押しでしかないんだけど、実力が伴うそれがなんとも心強い。
この話の続きの予約がヒーローとの合流、ってだけに無性に先に対する期待度が膨らむ話だなぁ。
>はだかの王様
執拗なまでのパンツ押しの中垣間見えるシリアスが余計にカッコイイ。
大人リュカとの出会いをここに繋げる発想は上手いとしか言えないくらいしっくり来てた。
そんでもってオチがパパスというかマスクのないオルテガ状態とかwww

821 ◆5ddd1Yaifw:2013/03/20(水) 23:00:32 ID:vR0mo7So0
>再始動
ほんと、こいつはかっこいいなあカオスヒーロー。
力に対して真っ直ぐで、どこまでも貫けそうで。
それを追うように力を求めるミシカも負けじとかっこよくて。
いい話、すっげぇいい話。

>はだかの王様
シリアスとギャグが混ざった感がwwwwwww
やってることはかっこいいのに格好がひどいwwwww
だけど、運命の打開とかホントおっさんまじお父さん。
うーん、リュカと会わせたい。

できたので投下します。

822 ◆5ddd1Yaifw:2013/03/20(水) 23:03:07 ID:vR0mo7So0
思いの外、体力を消耗していたリュカは遺跡から少し離れた場所で休憩することにした。
その間、放送が流れたが自分の知っている名前は呼ばれなかった。フクザツな気分だ。
そして、体力もある程度回復したし動こうかと考えた矢先。
前方からゆっくりと歩いてくる血塗れの男――ガッツが目に止まったのである。

「やぁ」

リュカは声をかける。始まりは軽い挨拶だった。
挨拶は大事だ、人間様のコミュニュケーションとして重要なものである。

「どうしたんだい? そんなに身体を汚して?」

それは、親しい親友に語りかけるかのような日常の一ページ。
リュカからするとヘンリーに、ガッツからするとパックに。

「……」

ガッツからの返答はない。
何も語らず、何も聞かず、何も見ず。
ただ、歩いているだけ。
ただ、生きているだけ。
そこに意志はない、ただの虚ろな抜け殻しか存在しないのだ。

(…………放送で、壊れちゃったのかな?)

リュカは思考する。この大男をどうするべきか。
別に放っておいても構わないのだが、間引ける時に間引いておかないと後が辛い。
殺して、壊して、忘れて、嘆いて。
そんな絶望の果てに掴むものは――なんだというのか。
考えるな、と自己暗示しても塞げない自分の頭にイライラしてしまう。

823 ◆5ddd1Yaifw:2013/03/20(水) 23:03:36 ID:vR0mo7So0

(ま、いいか。今は――殺す)

そんなイライラを押し殺し、リュカは掌に魔力を装填する。
余計なことは考えるな。
ただ、目の前の外敵を肉塊にすることだけを頭に入れろ。

「……せぇ」
「バギ――クロ……!?」

だから、直前まで気づかない。相手が無防備の壊れた参加者と勘違いしてしまったが故に。
ガッツの目に宿る、暗い意志。
純然たる殺意を。

「 う る せ ぇ 」

それはあまりにも適当で、一直線で、強い閃光だった
魔神の一撃が迸り、リュカの身体を食い潰し――。

「あ、ぁぁアアアアアアアアァァああああああああああああああああっっっ!!!」

咆哮。それはこの壊し合いに巻き込まれて一度も発したこともない、リュカの叫び声。
迫る死の臭い。一瞬先には、自分の体がぐしゃぐしゃになっているヴィジョンが浮かぶ。

どうする? ここから挽回の一撃でも叩きこむか?
無理だ。明らかにこちらの方が出が遅い。
ならば、躱すしかこの窮地を切り抜ける術はない。
最も、それが出来ていれば苦労はしない。
躱すにしても、リュカは遅すぎたのだ。
仰け反っても、足を動かしても。
金槌の一撃はリュカを真っ二つに分断するだろう。

824 ◆5ddd1Yaifw:2013/03/20(水) 23:03:54 ID:vR0mo7So0

(そんなこと、認められるか)

何の意味もなく、無意味と無価値の中で死ぬことなど、リュカは認めない。
例え、避けられない死が目前にあっても、その意志は変わらなかった。
明晰な頭脳が死を退けようと必死に動いている、足掻いている。

「バギッ!」

その頭脳が導き出した最良の答えは普段のリュカなら決してやらないことだった。
自分にバギを唱え、無理矢理に回避するといった無茶苦茶な方法だ。
改めて考えても、馬鹿としか言いようがないが、死ぬよりはマシである。

「死んだら、終わりだからな」

加えて、ガッツの持つ武器に救われた。
魔神の金槌、それは命中率を下げる代わりに会心の一撃を増やすもの。
大振りの一撃は単純な回避動作で空振らせることに成功した。
さぁ、どうする?
今の一撃で目の前の男が、楽に事を進められないとリュカは気づいてしまった。
逃げるか、向かうか。
自分の命を賭けた選択肢が迫る中、幽鬼のように立っているガッツは――。



#########



うるさい。うるさい。うるさい。
何もかもが煩わしかった。
目の前で我が物顔で闘っている竜二匹が目障りだった。
だから、潰した。バケモンは壊す。殺す。
それが――――を護る手っ取り早い方法だ。

825 ◆5ddd1Yaifw:2013/03/20(水) 23:04:17 ID:vR0mo7So0

なら、――――が死んだ今は?
殺しても、意味が無いんじゃないか?
誰かを護る必要なんてない、もうここで止まってもいいんじゃないか?
くたばっても、いいんじゃないか?

「……うるせぇ」

そんな腑抜けに誰がなるものか。

――――が死んでも、やらなくてはいけないことが。

「うるせぇ」

この一振りで叩き潰さなければならない奴が。

「う る せ ぇ」

復讐が! グリフィスが! この消えない刻印が!

殺せと! 目に映るバケモン全部をぶっ殺せってよォ!

運命なんか知るか! 失ったものなんか知るか!

あァ、もうめんどくせェ。
全部、ぶっ潰して、壊して。
その果てにテメェがいるんだろ?

なァ、グリフィスッ!

「俺が、何度でも……! ぶっ壊してやるよ!」

結局、俺は――壊すことしかできないんだからよォ。

なら、壊すだけだ。全部、何もかもを壊して、グリフィスを――――。



【E-7/1日目/朝】

【リュカ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:ダメージ小、魔力消費中
[装備]:アームターミナルC(空)、空飛ぶ靴@DQ5
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:情が湧く前に全員を殺し、元の世界に帰還する
[参戦時期]:石化直後



【ガッツ@ベルセルク】
【状態】:気になるか? 気にしていられると言うのか?
【装備】:魔神の金槌@DQ5 漆黒の鎧@真・女神転生Ⅰ、ホークマスク@メタルマックス2:リローデッド
     タイガーグローブ@メタルマックス2:リローデッド、ホッパーブーツ@メタルマックス2:リローデッド
【道具】:基本支給品×2、回復カプセル(残り2個)@メタルマックス2:リローデッド、不明支給品0〜2(武装の類ではない?)
【思考】
基本:復讐
1:壊す。
【備考】
※放送など、聞いているわけがない

826 ◆5ddd1Yaifw:2013/03/20(水) 23:06:32 ID:vR0mo7So0
投下終了です。
タイトルは「壊せば、いいんだろ?」です。

827名無しさん:2013/03/21(木) 00:28:10 ID:Pvqj0r26O
投下お疲れ様です
強力なマーダー同士の対面……
バギを使って回避するという駆け引き、これは面白くなってきましたね……!
果たしてリュカは撤退を選ぶのか、それとも戦いを挑むのか

828 ◆fRBHCfnGJI:2013/03/21(木) 21:22:12 ID:UYuUKJnA0
すいません、延長します。

829名無しさん:2013/03/22(金) 21:26:31 ID:hSrRb2nw0
投下乙です!
>はだかの王様
回想にまで浸食している変態装備に戦犯としては土下座ものですが草生えるw
いやでも決めるべきところはビシッと決めていて、流石です。
このロワの性格のリュカがどんな想いで忠告したか考えると、またいろいろと感慨深いものが。

>壊せば、いいんだろ?
完全に復讐に傾いたガッツの叫びが切ないなぁ。
リュカも逃走手段はあるけれど、現在位置的にはたしてどうするのか……

執筆お疲れ様でした。

830 ◆Cxilshz3Mg:2013/03/23(土) 00:22:50 ID:WmQyIV460
あっ、忘れてた。
延長します

831 ◆w3jhWtfiTI:2013/03/23(土) 18:56:26 ID:mvpmHo3U0
すみません、思うように書けないところが多く、まとめられなくなってしまったため
>>790の予約を破棄します。
長期に渡るキャラ拘束、誠に申し訳ありませんでした。

832 ◆Cxilshz3Mg:2013/03/24(日) 11:58:25 ID:OChlhW9.0
すみません、展開に納得が行かなくなったので予約破棄します。申し訳ない。

833 ◆TIENe3Twtg:2013/03/25(月) 20:31:02 ID:Zfqt8WB.0
予約の延長をお願いします

834 ◆fRBHCfnGJI:2013/03/29(金) 16:33:24 ID:62gGjAZg0
すいません、期限に間に合わなかったため、一旦予約を破棄します

835 ◆fRBHCfnGJI:2013/04/01(月) 00:00:26 ID:rYtTflRg0
俺ODIOロワ最終回を予約します

836 ◆fRBHCfnGJI:2013/04/01(月) 00:00:40 ID:rYtTflRg0
主催本拠地、放送魔神<マジーン>G・ガランで迎えた主催戦
なんかやばいものが大量虐殺、反撃も勢いを見せず惨敗だった
スレ内に響く読者のため息、どこからか聞こえる「今年は敗北エンドだな」の声
無言で死に続ける対主催の中、対主催の本命武田観柳は独り港で泣いていた
商売で手にした栄誉、財産、港、そして何より信頼できるチームメイト……
それを今の会場で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「ホーッホォ……たまったもんじゃねぇなぁ……」観柳は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、観柳ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たい船の感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰って参加者を日本中に送りださないとな」観柳は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、観柳はふと気付いた

「あれ……?対主催がいる……?」
船から飛び出した観柳が目にしたのは、禁止エリアまで埋めつくさんばかりの対主催だった。
千切れそうなほどに対主催フラグが振られ、地鳴りのように平沢進のsignが響いていた。
どういうことか分からずに呆然とする観柳の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「皆逃げろ、死人が出るぞ」声の方に振り返った観柳は目を疑った
「……血髑郎さん?」  「なんだアゴ、成仏でもしてたのか?」
「故モ……モズグス?」  「なんだ観柳、かってにモズグスさんを一行で死亡させやがって」
「ワイアルドさん……」  
「正義超人はお前だけじゃないんだぜ」
「コーホー」
「こ……これが友情パワーか」
観柳は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた

ベンで打線組んだwwwwwwwwwwwwwwwww
1番:ベン(バズズ) 2番:ベン2 3番:ベン3 4番:ベン(ハヌマーン) 5番:正義の"弁"者 ハガクレン・カクーゴ 6番:ベン人神 7番:アドラー 8番:ベン(原作) 9番:ゴゴ


暫時、唖然としていた観柳だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる……勝てるんだ!」
民家から猟銃と防弾ベストを持って行き、広い海へ全力航海する観柳、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった……

翌日、ベンチで冷たくなっている観柳が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った。

【俺ODIOロロイワル 完】

837 ◆fRBHCfnGJI:2013/04/01(月) 00:04:25 ID:rYtTflRg0
くぅ〜疲れましたw これにて完結です!
実は、4月馬鹿用に俺ODIOの名簿を書いたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので俺ロワで挑んでみた所存ですw
以下、ロワ参加者達のみんなへのメッセジをどぞ

ベン「……」

ベン2「……」

ベン3「……」

ベン4「……」

モズグス「……ありがと」ファサ

では、

ベン、ベン2、ベン3、ベン4、モズグス、俺「皆さんありがとうございました!」



ベン、ベン2、ベン3、ベン4、モズグス「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」

本当の本当に終わり

838名無しさん:2013/04/01(月) 00:17:44 ID:5cjfUSk20
これもうただのベンロワじゃねえかwwww
乙ー

839 ◆DcpHZ8xnZA:2013/04/01(月) 18:09:27 ID:93ZGHxv60
俺ODIOロワ完結おめでとうございます!
一話しか書いてない木っ端書き手ですが、僕が登場話を書いたキャラが最終回に名前を出すほど出世するなんて思ってもいませんでした
リレーをしてくださった皆さんには本当に感謝です。

読み手としても書き手としても本当に楽しむことができました
改めて完結に関わってきた全ての書き手様、そして企画主である◆fRBHCfnGJI氏に最大の賛辞と感謝を。

840 ◆Cxilshz3Mg:2013/04/01(月) 23:25:26 ID:YSD/j4.w0
>>837



























































けれど。
けれど。
もしも、
  ━┓“   ━┓“  ━┓“   ━┓“  ━┓“  ━┓“   ━┓“
  ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛   ━┛
                    ./:レ ´:! __
                  ./ }/  /   /  }_
                 _/ / ./   / ./ 丿
               / {  | /   / ./ /¬
               i :≠= ミ < /  /
 _    _        ヽ/      ヽ ヽ-‐     _    _
」   ̄ ̄ └,       ∨   o≠n__  Τ     」   ̄ ̄ └,
}  出 死  {       L_{;:;:;:;:。...。レ .卞      }  逃 み  {
}  る 人  {     r--――ノ;:;:.゙,..,゙:;:;斗七 ,    }  げ ん  {
」  ぞ が  {   /   /  ´Λ`  il`'-'-n_,. 」  ろ な  {
}  ぉ     { }/    ノ  ̄\/ \//    .| }_  ! !  `  {
}_  ! !    {/    /|   o     o l    } /__   _「
/__   _「    「_  |   o     .o l    {      ̄  
     ̄` ヽ     ./`フ'´ミ´r'ヽ_____.l    |
        ´`'''─-/. /::.:.:ヾヽ_ `ヽ'、l__l ll }__|
              ̄ `゙-'゙,-,_ツ、゙ヾf´ヽ,っll_{  /
             ,、/´    `ヽl, ,、`ヾ\: /
             /         ノlmn_'ヾ\
          ノ!/         / i`^''´ヽ 'ヾ\
          f´/        ./;:;:;:;:i    .ヽ、fヽ\
         、 /       ./;;::;;;;;:;:;:!     i¨ヽヽ\、
          /       / .' ' '' `-1     i  `´`'''´
              _人人人人人人人_
              >ベンペルリッター <
               ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

841 ◆TIENe3Twtg:2013/04/02(火) 18:31:08 ID:Y32Lqhq60
上手いこと繋がらない……
予約を破棄します、長期間の拘束申し訳ありませんでした。

842名無しさん:2013/04/16(火) 08:59:26 ID:f0rqKuyk0
俺ODIO一周年おめでとうございます!

843 ◆Cxilshz3Mg:2013/04/16(火) 21:48:48 ID:ETSnZVcM0
うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!(風雲拳並みの感想)

844名無しさん:2013/04/16(火) 22:21:43 ID:OgcWcyQM0
もうそんなに経ってたのか……
来年の今頃はどんな風になってるかなぁ?

845名無しさん:2013/04/18(木) 23:09:24 ID:jgAx8rbg0
かえってこーい

846名無しさん:2013/05/15(水) 20:56:00 ID:JZO0ZpwQ0
月報集計お疲れ様です。
俺ODIO 60話(+ 7) 22/42 (- 0)  52.4(- 0.0)

847 ◆Cxilshz3Mg:2013/05/15(水) 23:49:51 ID:UxAyi1MA0
あ、>>846は+7じゃなくって+2です、申し訳ない。

849 ◆TIENe3Twtg:2013/09/10(火) 17:07:57 ID:PPWkdAYk0
お久しぶりです、タケダ・カンリュウを予約します。

850名無しさん:2013/09/13(金) 17:07:47 ID:rEgkLAOQ0
予約ウオオオオオオオオオオオオ

851 ◆TIENe3Twtg:2013/09/17(火) 00:00:58 ID:cL2Frhdo0
短いですが投下します。

852名無しさん:2013/09/17(火) 00:01:39 ID:cL2Frhdo0


声が響き渡る。
意識を背けようにも背けることの叶わない、場そのものを満たす大音声。
もとより意識を背けるつもりなどはなく好都合でしかないのだが、それでも少しばかり気が削がれる。

極限までに切り詰められた、必要事項だけを述べる業務的かつ無機質な放送。
それは資本主義の権化たる彼に取って、極めて好意的に受け入れられる形式のものであったが、
そのような瑣事は状況の劣悪さに比べてはあまりにも小さな肯定要素。
雅などとは程遠いそれに、ため息ながらに周囲を見渡す。

視界を遮る障害物はなく、やはりその”声”の発生源になりうる何かはどこにも見当たらない。

朝焼けの中、ポタリと水滴滴らせる良い男、タケダ・カンリュウは空を見上げる。
雲一つなく、排煙やアドバルーン・飛行船の一つも見当たらない、一見して混じり気のないまっさらな空。

曙光に包まれながら日の本の男タケダ・カンリュウは、ただ空を睨む。

そうして放送は終わる。



853名無しさん:2013/09/17(火) 00:02:16 ID:cL2Frhdo0

その理不尽な内容に対して、大きく息を吸い込み彼は叫んだ。

「バァッカ、じゃ、ねえのーーー!!」

18名。この短時間で失われていったあまりにも多くの命数と、
30エリア。あまりにも多く指定された禁止エリアに、大いに彼は憤慨した。
必ずや、かの邪知暴虐の主催の手を逃れようと、決意を新たにする。
息を整えながらに情報を整理する。

この放送からわかったことはいくつかある。

一つは、開示された参加者および死亡者のデータからの推測だ。
レナ/テッド・ブロイラー/カリョストロ。
どの名もカンリュウ・ネットワークに掛かるほどの有名人だ。
単独で私兵隊50人にも匹敵・凌駕しうる戦闘力を秘めた超人にして、金になびかぬ独自の価値観を持つ狂人たち。

その危険性はカンリュウをして、これまでに少なくない金銭を彼らと遭遇しないためだけに、散財する必要があったほどだ。

つまりそんな奴らすら呼び込んだ、主催者という存在からは
(カネだ、カネの臭いがプンプンするぞぉ……)
まだ手にしていない、確実にモノとしたい金脈の気配に舌舐めずりする。

閑話休題。

とはいえ、確実に乗っているだろうこの3人だけでは18人もの犠牲は生まれなかっただろう。
単純にそれだけの人数と短時間で接触できたとは思えないというだけの根拠であるが、これはほぼ確実と考えてもいい。
つまり、名のしれた存在=わかりやすく警戒可能な人物以外にも殺し合いに乗っている”バカ”はいるのだ。
失われた命数もさることながら、その事実が現状の危機をより強く認識させる。

一つは、禁止エリアに指定された地域からの推測。
バーリトゥード(なんでもあり)同然のルールを敷いた管理者にとって、参加者の自由性を削ぎ落す禁止エリアの制定は本来消極的な要素であった筈だ。
禁止エリアが持つ役割は殺し合いに消極的な状況を刺激するための要素であり、望む方向に人を動かす積極的な介入である。
相反する要素は適切な運営によって初めて違和感なく結合する。

全体の人数が42人に対し、第一放送における脱落者が18人。
このペースは企画者にとってこの上なく順調な推移であるはず。
そうであるのならあまり多くの禁止エリアを無理に設ける必要はない。

にも関わらず、これほどに痛烈な締め付けを行う決断をするのには違和感が生じる。
考えられる要素とすれば、

(このイベント自体を根底から否定する”何か”の要素に主催者が気付き、それに参加者が気付く前に終わらせようとしている、なんて都合良く捉えすぎですかねぇ……?)

そうした”何か”があるとすれば、それはおそらく人ではない。
例えば私の「島の西側一帯を潰し、船で参加者を送り出す」という指針。
これが心底目障りだ、というのであれば禁止エリアを増やす、という対策ではなく単純に私の首を飛ばす、それだけで事が足りる。
それは特定の場所ではない。
そうと判断するにはあまりにも指定されたエリアが多すぎる。

おそらく気付きさえすれば”誰もが突ける致命的な穴であり”故に誰もそれに気付かぬうちに、このイベント自体を終わらせてしまいたいのだろう。

思考を止める。納得が行く推論ではあるが囚われるには危険な考えだ。
何よりも間違っていようが正しかろうが、真偽を確かめるだけの情報が足りない以上、時間の浪費にしかならない。

得ることができる”かもしれない”情報と、”確実に”失われていく時間とを天秤に掛ける。
メリットとデメリットを比べ価値のある行動を見出すのは、商人として呼吸をするよりも自然な思考である。



854名無しさん:2013/09/17(火) 00:03:08 ID:cL2Frhdo0

地図を取りだし、禁止エリアを睨み、タケダ・カンリュウは決断する。

「北、ですね……」
市街地が禁止エリアに設定されたことにより移動してくる誰かを期待する事が出来る。
今はなによりも誰かと接触することを優先することが必要だと決め打つ。

「本当なら、港の建築のためにも立地だけでも確認したかったのですが……」

この放送でそうも言っていられなくなった。
準備万端整えているのを待っていては、いざ実行に移そうとしたその時に労働力が足りない、なんてことになりかねない。
この柔軟さこそがタケダ・カンリュウを商人として大成させる要素の一つである。

ふと、気付く。
体を覆う氷がひび割れ、融け、砕け始めている。
(ソラと言ったか、放送に頭を冷やして妖術を解いてくれたのか……)

現金無しでの無様な交渉の結果である。
戒めとして受け取り彼女を責めたてる気はなかったが、どうやら許して貰えたようだ。
それはつまり、私の方針に対して理解を示してくれたということでもあるのだろう。

「早いうちに合流できればいいのですが……」

弾の切れた両手のマシンガンを外し、今まで氷に埋もれていたガトリングガンを担ぎ直す。
とある時代、西部にて≪最強≫を謳ったそれを持ってしてもこの場はあまりにも心細い。
何よりも、カンリュウにとっての≪最強≫はそのようなところにはないのだから。

空を見上げ、その先にあるモノを睨む。

タケダ・カンリュウは最も恵まれた境遇にいた、それゆえに気付けたことがある。
周りには視界遮る建物も樹木も存在しなかったこと。
そして彼がニッポン男児であった事も大きな要因だ。

つまりは遠く空の彼方で大きな存在感を放ち続ける重要情報、放送の発信源。
あの偽りの陽光こそがそれであると気づけたのだ。
今はまだ何もできない。
だがこの情報がなんらかの意味を持つ時がくるのかもしれない。

そんな何時かに対してわずかに意識を向けて、今を生きるために歩き出す。
未来は見えずとも、目指す夢はこんな場所でも変わりない。
口元は小さく歪んでいた。

855名無しさん:2013/09/17(火) 00:03:48 ID:cL2Frhdo0
【エリアD-2/1日目/朝】

【タケダ・カンリュウ(トレーダー)@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:びしょぬれ、下半身はパンツのみ
[装備]:O・ディオのガトリング@LIVE A LIVE
[道具]:基本支給品 、アームドガン@メタルマックス2:リローデッド、ガルシアガン@メタルマックス2:リローデッド
[思考・状況]
第一行動方針:島の西側一帯を潰し、船で参加者を送り出す
第二行動方針:そのためにも、物々交換や拾った物の売買で財を築く
基本行動方針:主催者を倒し金を奪い返す
[備考]
タケダ・カンリュウの故郷はニッポンというところだそうです。
ベン2を倒したと思っています。
レナ/テッド・ブロイラー/カリョストロに関する幾らかの情報を持っています。
会場上空のG・ガランに気付きました。
このイベントを覆すような”何か”がある可能性を考えています。

856名無しさん:2013/09/17(火) 00:05:28 ID:cL2Frhdo0
投下は以上です。
タイトルは取らぬ狸の皮算用 でお願いします。
問題やご指摘などありましたらどうかお願いします。
ありがとうございました。

857名無しさん:2013/09/17(火) 16:51:28 ID:kqZUJ7220
投下乙です。
金のにおいに敏感なカンリュウ=サン
ガランに気がついて港をやめたけど……?

858名無しさん:2013/09/17(火) 18:09:47 ID:a.oq5R9c0
久々の投下お疲れ様です
すっごい真面目に考察してるのに、なんかちょっと決定的な所が……
この面白いおっさんは果たしてどこまで突き進めるのか!?

859 ◆TIENe3Twtg:2013/09/19(木) 18:27:06 ID:IiTMVfPM0
久しぶりの投下にも関わらずの乙ありがとうございます。
見てくれている人がいるって嬉しいしありがたい。

wikiにて「壊せば、いいんだろ?」「取らぬ狸の皮算用」を追加しました。
どこそこがおかしいぞ、という点などありましたら教えて頂けると幸いです。

860 ◆BvndXBbyto:2013/09/25(水) 20:18:51 ID:OI/awTO.0
最終回予約します

861名無しさん:2013/09/25(水) 20:54:47 ID:W62bwaS20
ファッ!?

862名無しさん:2013/09/25(水) 21:46:59 ID:qor5HbaY0


863名無しさん:2013/09/25(水) 22:47:11 ID:j.idNkZI0
ぬおっ?!

864 ◆Cxilshz3Mg:2013/10/09(水) 00:56:54 ID:rJYFfe1I0
カリョストロ、アリス予約します。

865名無しさん:2013/10/09(水) 11:23:47 ID:ypZH9m9M0
おお、まともな予約が!

866名無しさん:2013/10/09(水) 17:49:56 ID:dfY8/o3s0
わーい、予約だー!

867なんということだ…… ◆Cxilshz3Mg:2013/10/12(土) 01:29:10 ID:NNCLlUUw0
「なんという……ことだ……!」
淡々と必要事項のみを語る放送。
それを聞き、男は焦りの表情を浮かべていた。
急いで地図を広げ、状況を確認していく。
筆記具で印を入れ終えてから、改めて事の重大さに気づかされる。
今、この瞬間に自分は、死の淵に立たされているという事に。
ここは地図の端、カテドラル。
その施設の屋上近くまで登ってきたわけだが、それに至るまでにほぼ半日かかっていた。
道中のトラップ、入り組んだ構造、記憶し切れていない部分はまだまだ沢山ある。
それらを考慮しても、今から二時間以内に脱出するというのはほぼ不可能だろう。
カテドラルを抜ければ禁止エリアの外、ならまだしも、カテドラルを出た先も禁止エリア。
全速力で駆け抜けても、間に合わないことぐらいは分かる。
なれば、もう死ぬことしか道はないのか、というとそれは違う。
唯一助かる方法、それは先ほど下調べをしておいた転移の間を通じて、他所に転移する方法だ。
転移先は一つではなかった、今から急いで移動し、転移すればなんとか間に合うかもしれない。
というより、助かるにはそれを選ぶ他無い。
自分の足での脱出は、ほぼ不可能なのだから。
そうと決まれば話は早い、今すぐにでも心臓を持ち、先ほどの転移所まで駆け抜け――――
「……ん?」
そこで、違和感に気づく。
思考に耽りすぎたせいか、まったく気がついていなかった。
隣に置いていたはずの鞄がなくなっていること。
そして、先ほど眠りについたはずのアリスが、そこにこと。
カリョストロは、気づいていなかった。
天才が故に禁止エリアの危険性に素早く気づいてしまい、それを確かめることに思考を割いていたから。
眠りに就こうとしていたアリスが放送のせいで目覚めていたことなど。



「もう、せっかくお昼寝しようと思ったのに……」
ぷう、と頬を膨らませ、見えない誰かに怒りを示す。
会場全土に響きわたるほどの音量の放送は、カテドラル内部にもしっかりと届いていた。
アリスは放送の中身には興味はなく、ただ"起こされた"という不快な事実がそこにあるだけ。
ちょっといたずらをしてやろう、とカリョストロの袋を盗み、一人で探検の続きへと洒落込んでいたのだ。
「お花も、お魚も、なんにもいなくって、つまんないや」
ある種の宗教施設と呼べるカテドラルは、少女にとっては退屈極まりないものだ。
ずらりとならぶ剣や銃も。
戦いに身を置く者のための防具も。
おいしいお菓子でもなんでもない道具も。
彼女の興味を惹くには至らない。
楽しいことなんて、何もない。
「あ〜あ、つまんないなあ」
一室にぽつんと置かれた端末を適当に叩きながら、アリスは小さく溜息をつく。
けれど、お楽しみはこれからなのだ。
そろそろ、ちょっかいをかけたおじさんが、アリスと遊んでくれるはずだから。
それまでは、何か適当に暇でもつぶしていよう。
カタカタ、カタカタ。
画面に映る文字も、押したキーがどう作用するのかも、全く分からない。
誰かにとっては意味を為すことでも、今の彼女には暇つぶし以下でしかない。
やがて、それにも飽きだして、その部屋を出ようとしたとき。
「見つけたぞっ!」
怒号に近い声とともに現れる男。
「あはっ、見つかっちゃった!」
その顔を見て、アリスは笑顔で返事をする。
「ねえ、次は何す――――」
「私の鞄を返して貰おう」
上機嫌で放った遊びの誘いは、途中で男の声に遮られる。
ああ、そういえばと、アリスは持ってきていた鞄を見つめる。
「これ?」
「そうだ」
何かを計っているのか、カリョストロは一定の間合いを保ったまま、アリスに鞄だけを要求する。
「ふぅ〜ん」
それをみて、不審そうにカリョストロを見つめ、少しだけにらめっこを興じた後。
握り拳をもう片方の手のひらに打ち付け、少し胸を張ってカリョストロに言う。
たった今閃いた、名案を。
「アリスと、遊んでくれたらいいよ! キャッチボールね!」
この距離ならば、キャッチボールするにはちょうどいい距離だ。
その絶妙な間合いを保ってくれていたのだと、アリスは好意的に解釈する。
そして、アリスはカリョストロの鞄から、"ボール"を取り出す。
その瞬間、カリョストロの目が見開かれる。

868なんということだ…… ◆Cxilshz3Mg:2013/10/12(土) 01:29:22 ID:NNCLlUUw0

こともあろうか、アリスがボールとして取り出したのは。

オザワの、心臓だったのだから。

そして、驚愕は続く。

「あれ?」

ふわりと浮いたアリスが、青白い光を纏い始めた。
それが何か、天才的な頭脳を持つ彼はやはり即座に理解した。
同時に、ことが全て遅すぎたことも理解した。

カリョストロがここに来る前、適当に端末を操作していたアリスは、偶然にも転移の手順を踏んでいた。
あとは鍵となる心臓を掲げるだけ、それだけでよかった。
そして、キャッチボールが始まった。

瞬時に消えていくアリスの体を止めることすら出来ず、カリョストロは一人その場に残される。
もし、初手から華麗な舞いで殴り飛ばしていれば、難なく奪えたかもしれない。
いや、この美声で動きを封じていてもよかったかもしれない。
そもそも、放送に気を取られすぎなければ、こうはならなかったのだ。
後悔だけが、積もる。



その後? 言うまでもない。
ただ、走り。
ただ、狂い。
ただ、叫ぶ。
一人の男が、突如として血を吐き。
眠るように、誰にも知られず。
崩れ落ちるように、倒れただけ。

「きゃはははは!! すご〜い! 面白〜い!!」

少女は、そんなことなど、知らずに。

電子の海を、泳いでいた。

【カリョストロ@メタルマックス2:リローデッド 死亡】

【????/1日目/朝】
【アリス@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:転移中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品(1〜3)
基本:友達100人できるかな〜♪
第一行動方針:わ〜い
[備考]:カリョストロの事を既に死んでいる人だと思っています。

※どこに転移するかはお任せします

869なんということだ…… ◆Cxilshz3Mg:2013/10/12(土) 01:29:32 ID:NNCLlUUw0
投下終了です。

870名無しさん:2013/10/12(土) 21:30:06 ID:tSSVJp.A0
投下乙〜
カリョストロが災難すぎるwww

871名無しさん:2013/10/12(土) 23:02:50 ID:fp5hUNlo0
投下乙です
あーん!カリョ様が死んだ!
カリョさまよいしょSSつくろー!って思ってたのに…
くすん…美形薄命だ… 以下略

872 ◆Cxilshz3Mg:2013/10/28(月) 09:28:46 ID:ueR/Z3ZM0
ハガクレン・カクーゴ、テッドブロイラー、武田観柳予約。

873 ◆w3jhWtfiTI:2013/11/02(土) 21:12:30 ID:RV.eQ18Y0
お久しぶりです。
ガッツ、リュカ 予約します。

874名無しさん:2013/11/06(水) 22:22:27 ID:GqqVq7dI0
Cxi氏延長連絡まだないけど大丈夫かな……

875 ◆Cxilshz3Mg:2013/11/06(水) 22:53:27 ID:e/O90z.w0
すんません、延長制度のことすっかり忘れてました。
モーチョイしたら投下するんで、お待ち下さい。

876 ◆Cxilshz3Mg:2013/11/06(水) 23:54:39 ID:e/O90z.w0
炎、炎、炎、一面に広がる赤い炎。
その中に佇む一人の男と一人の男。
片や白い肌に青いスーツ、片手に炎の爪を携えた男。
片や赤い髪少し黒い肌、まっすぐと前を見つめている瞳の男。
両者が両者ともに互いを推し量り、試している。
目の前の敵は一筋縄では行かないと、直感がそう告げている。
ごくり、と大きな音を響かせ、唾を飲み込む。
互いに自分が得意とする武器は持っていない。
だが、ある程度戦うことが出来る武器を互いに持っている。
それだけでどこまで行けるかは、未知数。
故に両者は二の足を踏んだままでいる。
下手に攻めて、返り討ちに合うことだけは避けたいからだ。
ヒュウウ、と風が吹く。
カッ、と両者が目を見開くと同時に、男は爪を構え、相対する男は瞬時に掻き消えた。
白い肌の男が引き裂いた空間から、炎が溢れ出る。
それを拳の風圧だけでもみ消していくが、攻めの一手にはなり得ない。
慣れない体で放つ体術には、やはりキレがない。
しかし赤髪の男は、いや、その中の"葉隠覚悟"は、しっかりと感じ取っていた。
今の自分の肉体にある、秘められた可能性に。
それを扱いこなせるかどうかは自分自身だが、恐らくは零に匹敵するほどの力がある。
もう一人の自分と会話をしながら、その力を扱おうと試みていく。
「がーががががーっ!! 燃え尽きろォーッ!!」
休む間もなく、炎は降り注ぐ。
空間の切れ目という切れ目から、あふれ出す。
それをなんとかかわしながらも、覚悟は力の融合を試みる。
炎を避けて、避けて、避け続けて。
繰り返し続く逃走劇、未だに力の融合は起こらない。
幾度となく男から距離を離し続けていた、その時だった。
「ちょこまかとうっとうしぃわァーっ!!」
男のモヒカンが、弧を描くように飛んでいったのだ。
鋭い刃が、超高速で覚悟の肉体へと迫る。
炎に気を取られすぎた所為で、それを避けるだけの十分な時間はない。
ならば、真っ正面から受け止めるのみ!
「因果!」
零式防衛術の構えを高速で繰り出し、飛来する刃へとぶつけていく。
だが、やはり不慣れな肉体では本来の力を発揮するには至らない。
勢いを殺しきれず、それどころかカウンターを貰う形になってしまった。
首筋の近くに、深々とモヒカンが刺さる。
そこで勢いを殺し切れれば良かったのだが、それも叶わない。
肉体の一部分を大きくえぐり取って、モヒカンはそのまま白い肌の男の元へと戻っていった。
「ががががーっ!! ムシケラがこの俺様に勝てると思ったか!!」
止めをささんと覚悟の元に男がやってくる。
傷が深いせいか、今も止めどなく血が流れている所為か、思ったように力が入らない。
天国で割腹しようと、無力であるならば罪だというのか。
強大な悪に立ち向かう力がなければ、正義はただの弱者でしかないのか。
認めたくない現実が、目の前に突きつけられる。
「ががががーっ!!」
そんなこともつゆ知らず、男の爪が覚悟に襲いかかる。
炎に包まれ、熱に溶かされながら、第二の人生を終える。
なにもかも、意味など無かったと、言わんばかりに。



葉隠覚悟は、二度死ぬ。


.

877 ◆Cxilshz3Mg:2013/11/06(水) 23:57:01 ID:e/O90z.w0




――――とでも、思っていたのか?

「グゥゥゥゥルォオオオオアアアアアァウウウウ!!」
天を切り裂く咆哮が、大地を揺らす。
それと同時に、テッドブロイラーは何か違和感を感じていた。
無い、無いのだ。
先ほどまで振るっていたはずの、炎の爪をつけた片腕が。
肩口から綺麗さっぱりと、なくなっているのだ。
前を向くと、先ほどまで男が居たはずの場所に、男の死体はなかった。
かわりに居たのは、赤く燃えるような長い髪の。
一匹の、獣。
「グルゥァッ!!」
あわてて残った片手でモヒカンを投げ飛ばすが、獣のの鋭利な爪に弾かれる。
そこでようやく、"追いつめられている"ことを認識したテッドブロイラーは、思考を働かせる。
それとほぼ同時に、獣が膝をつく。
「グ……ソウカ、コレが、チカラ、か!」
そう、獣の中に眠る葉隠覚悟の意志が、この強大な意志を操ろうとしているのだ。
瀕死になったからこそ引き出された、隠されしチカラ。
それが表に出たのならば、あとは押さえ込むだけだ。
「ゼロシキ、ボウエイジュツ……」
まだ体には馴染んでいない、しかし溢れ出るパワーは零に匹敵すると言ってもいい。
多少の不慣れを補うほどの、破壊力がこの体にはある。
だから、覚悟は構える。
袋の中から何かを取り出し、ふたを開けて急いで飲み込んでいる敵に向かって。
「まーんたーんドリ――――「因果!!」――――ンク!!」
それごと全てを吹き飛ばすように、力を放った。
後には、何も残らないほど。

葉隠覚悟は、こうして燃えさかる炎の力を手にし。

878 ◆Cxilshz3Mg:2013/11/06(水) 23:57:29 ID:e/O90z.w0



「ホーッホォ! たまんねぇなぁ!!」

そして、二度死ぬ。



トレーダー、タケダ・カンリュウ。
だが、同時に彼は賞金稼ぎでもある。
腕っ節に自信がある彼だからこそできた芸当、速射に次ぐ速射で、男の体をボロボロのミンチにしていく。
それも当然だ、超多額の賞金がかかっている賞金首「ブレードトゥース」が目の前にいたのだから。
ブレードトゥースは討伐されていない、という噂はどうやら本当だった。
そして、幸運にも自分の目の前に現れたのだから、躊躇っている暇はない。
戦闘の後なのかなんなのかは分からないが、弱っているのもチャンスだった。
巨大なガトリングを使って蜂の巣にする。
ズガガガガガガッ、と雨のように降り注ぐ銃弾の一発一発が、弱り切った男の体を抉り取っていく。
後には、当然何も残らない。
賞金首を討伐した、たったそれだけである。

【テッド・ブロイラー@メタルマックス2:リローデッド 死亡】
【正義の"弁"者 ハガクレン・カクーゴ@俺ODIOロワ 死亡】

【C-2/中央部/1日目/朝】
【タケダ・カンリュウ(トレーダー)@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:びしょぬれ、下半身はパンツのみ
[装備]:O・ディオのガトリング@LIVE A LIVE
[道具]:基本支給品*6 、アームドガン@メタルマックス2:リローデッド、ガルシアガン@メタルマックス2:リローデッド
     零式鉄球装着砲@覚悟のススメ、斬車刀@MM2R、ギガスマッシャー@真・女神転生、メデューサの弾@真・女神転生
     コーラたん@MM2R、炎の爪@DQ5、モヒカッター@MMR2、不明支給品(1〜5)
[思考・状況]
第一行動方針:島の西側一帯を潰し、船で参加者を送り出す
第二行動方針:そのためにも、物々交換や拾った物の売買で財を築く
基本行動方針:主催者を倒し金を奪い返す
[備考]
タケダ・カンリュウの故郷はニッポンというところだそうです。
ベン2を倒したと思っています。
レナ/テッド・ブロイラー/カリョストロに関する幾らかの情報を持っています。
会場上空のG・ガランに気付きました。
このイベントを覆すような”何か”がある可能性を考えています。

879 ◆Cxilshz3Mg:2013/11/06(水) 23:58:07 ID:e/O90z.w0
投下終了です。
タイトルは「金の掛かった首は重い」で。

期限すっかり忘れてて、申し訳ありませんでした。

880名無しさん:2013/11/08(金) 23:47:32 ID:2yBcV6WQ0
投下乙です

>取らぬ狸の皮算用
おお、頼もしい考察パート。さすがの筆頭対主催。
しかしやっぱり金に目が行くあたり、武力的な「最強」ばかりの中で異彩放ってますね。

>なんということだ……
ざんねん!カリョストロのぼうけんはここでおわってしまった!
和やかなんだか不穏なんだかなアリスとの関係が結構好きでした。

>金の掛かった首は重い
覚悟ドラムカンの熱い共闘かと思いきやカンリュウさんーッ!
あれ、これ本格的に対主催大丈夫だろうか

881名無しさん:2013/11/09(土) 10:51:46 ID:pMI3PXWk0
投下乙です。
覚悟すげえ、って思ってたらカンリュウウウウウウwww
出典がMMなのすっかり忘れてたwww

882 ◆w3jhWtfiTI:2013/11/09(土) 10:58:18 ID:jNz3gA2o0
予約延長させていただきます

883 ◆Cxilshz3Mg:2013/11/15(金) 00:48:24 ID:t9RvbOrk0
月報集計いつもお疲れ様です
俺ODIO 63話(+ 3) 19/42 (- 3)  45.2(- 7.2)

884 ◆w3jhWtfiTI:2013/11/16(土) 19:40:26 ID:cO7fXO820
すみません、どうにもあと一歩まとめきれず、時間内に完成できそうにありませんので、>>873の予約を破棄いたします。
度重なる予約破棄、誠に申し訳ございません……

885 ◆w3jhWtfiTI:2013/11/19(火) 23:18:04 ID:yKSyv8sY0
遅くなりましたが、前に予約していたガッツ、リュカ 完成いたしました。
他の方の予約もまだないようですので、投下させていただきます。

886戦火を交えて ◆w3jhWtfiTI:2013/11/19(火) 23:19:08 ID:yKSyv8sY0

始めその男はなにも持たなかった。

生まれ落ちた時母は既に躯(むくろ)であり、狂女に拾われとある傭兵団に身を寄せることになる。
養父は剣の手解きだけはしたが、与えたのは愛情と呼ぶには酷薄すぎるものでしかなく、
死体より産まれし不吉の子として、団員達からも決して歓迎されているとは言えない中で、
義父を父と呼び掛けることもできぬ、孤独な少年時代を送った。

やがてそこを離れねばならぬこととなり、各地の戦場を転々として、流れ着いたのが≪鷹の団≫。
国を持つとの夢を掲げたグリフィスにひかれて、小さくもそれぞれの夢や思いを持ち寄った者達の集まりである。
戦いに身を置きながらも、泣いたり笑ったり怒ったりもできるようなその場所で得たものは、
冷たい剣を掻き抱いて夜を過ごしていたような男にとって、かがり火の如き輝きと暖かみを感じさせる記憶。
のちに男自ら手放すことにもしたが、確かに居場所や仲間とも呼べるものであった。

そして因果の流れのもとに、時の接合点たる“蝕”を迎えて。

かつて日々を共にした者達が皆、魔に喰われ、嬲られ、犯される。
悪夢の顕現たる世界を贄となりしも生き残った男は、狭間に人の身で立たされることとなり、
また、守るか、挑むか
終わらぬ悪夢を斬り伏せながら、その選択を己が魂に問いつづける宿命を負った。

しかしてそのうちの一方が、唐突に奪われたとあらば。
守るべきものが何も、無くなってしまったのだとすれば。
残りし方――『復讐』へと一挙に天秤が傾くのも、無理からぬことであるのかもしれない。

887戦火を交えて ◆w3jhWtfiTI:2013/11/19(火) 23:19:34 ID:yKSyv8sY0


◆◆◆


――逃げるか、向かうか。

殺意をむき出しに凶器を構える男に対して、リュカが採った選択は 逃走/闘争 であった。

放送前に昇り始めた太陽が高度を上げ、森の中にも大分陽光が差し込むようになった時刻。
土や下草を巻き上げる勢いで、二人の男が木々の隙間を駆け抜け続ける。
逃げるはリュカ、追うはガッツ。両者の距離は危うい均衡のもとに一定を保っている。

リュカがこうするに至った理由――

ガッツとリュカの装備には、大きな開きがあった。
ガッツの装備は魔神の愛用品たる戦鎚と、漆黒の鎧にマスクや小手、具足なども備えた完全武装。
対してリュカには満足な武器も防具もなく、あるのは共通支給品とempty(空っぽ)なCOMPに空飛ぶ靴、
最後のランダム支給品は悪の福袋というアイテムの詰め合わせであったが、
中身は車の塗装スプレーやブロマイドなど、およそ戦闘には適さないものがほとんどであった。

リュカ自身、武器はなくとも攻撃魔法を扱うことができるとはいえ、
このような状況でまともに正面から打ち合うとなれば問題が多い。
出会い頭の推測通りに男が無気力な脱け殻のままであったのならばともかく、
目をギラギラと血走らせたような者、それも装備の万全な者が相手とあっては、
たとえ勝てたとしても激しい消耗を伴うだろう。
回復呪文の効力が落ちていることなどからも、今後のために魔力はなるべく温存しておきたい。

ならば空飛ぶ靴をここで使って、逃走を図るか?
今空飛ぶ靴は、ベルトで服との間に挟み込んだところに、
福袋の中にあった鉢巻きで落下しないよう固定しているような状態であり、
緊急時でもすぐに取り出し使用できるようにしておいてあった。
とはいえこの靴はあらかじめ決められた場所――この地においては古代の遺跡へとしか移動できない。
リュカがガッツと遭遇したのは、遺跡からさして離れていない場所で休憩をとっていた直後であり、
すぐさま移動したところで大きく距離をとることはできず、
再び鉢合わせすることになってしまう可能性も低くはなかった。

逃走するのであれば、転移先から男を引き離してからにしておきたく、
そうであるのならば――

リュカの脳裡をよぎったのは、先程休憩の終わりに確認した時刻と地図。
朝8時――放送で提示された禁止エリアが設定される時間まで、そう遠くなかった。
その時刻までは、ペナルティなく禁止エリアに立ち入ることができる。
現在地はE-7西部。隣接するF列一帯は、まもなく禁止エリア。
そして自分の手にあるのは、超高速での移動を可能とするアイテム。

――禁止エリアの深くに男を誘い込み、自分は8時直前に空飛ぶ靴で離脱する。

それがリュカの考えた作戦であった。

888戦火を交えて ◆w3jhWtfiTI:2013/11/19(火) 23:20:11 ID:yKSyv8sY0

移動可能な場所が1箇所に決められているという空飛ぶ靴の性質も、この場合はかえって良かった。
島全体のエリアの区分数は54個であり、
そのうち禁止エリアとして指定されたのは、島の周囲を取り囲むエリア一帯、数にして30個。
仮に転移がランダムであったのならば、移動先も禁止エリアである確率は2分の1以上。
とてもではないが、賭けに出られるような確率ではない。

リュカは魔法を何度か挑発として男へと放ち、逃走/闘争 の開始とした。
男が後を追ってくるのを確認して、福袋の中にあった内でも有用な方であるアイテム――スピード・タブという
生体加速剤を取り出し、3錠あったうちの1つを飲み込む。

薬によって高められた神経の反射速度を駆使しながら、リュカは森を疾走していく。
軽装の自分に比して、相手は金槌や甲冑などの重装備。
速度が増強されている現在、追いつかれる心配をする必要はさほどなく、持久戦に持ち込めばなおのこと余裕だろうと
――――そう思っていた。

(くっ――!)

張り出した根や転がる石などを避けるように、何度目かのルート変更。
あまり早くに森を下って目的を悟られてしまったりしないよう、
もともと迂回や蛇行を繰り返しながら奥へと至るつもりではあったが、
それにしても獣道さえ満足にできていない悪路は、なかなか思う方へと進路を取らせてくれない。
根も石も、通常ならば大した問題になるはずもないような、小さな障害である。
しかし“男がぴたりと食らいついてきて引き離すこともままならない”状況下では、
わずかにでも足をとられ減速しようものなら即座に距離を詰められることとなり、あの金槌の餌食となる。

リュカにとっての誤算は、ガッツが普段より武器の満載した甲冑を身に着けながらにして
身の丈を越える大剣を振り回すような、人並み外れたスタミナの持ち主であったことと、
ガッツが現在身に着けているホッパーブーツなどの装備品、
これらが速度を大きく補強することもできるアイテムであったこと。

巨体に見合わぬスピード、背を向ける獲物を追う姿、『ヒグマ』の如し! ならば苦戦するは道理!

889戦火を交えて ◆w3jhWtfiTI:2013/11/19(火) 23:20:54 ID:yKSyv8sY0

そしてさらに悪いことに、リュカの用いたスピード・タブ、その効果は永続的なものではなかった。
飲むと同時に即効性を示すが効果を失うのも早く、時間と共に上昇値は落ちていく。
今もまだ最大効果の半分ほどは残っているだろうが……8時まではあとわずか。
追い込みをかけるためにもと、予備として握ってあった錠剤をもうひとつ口に放った、ちょうどその時である。

後方から衝撃音。そして頭上に陰が差した。

(なっ――!?)

上げた視線の先で、斜めに延びる幹がリュカの方へと“倒れ込んでくる”のが目に入った。
男が大樹の一本を金槌で殴り倒したのだ。
叩き折ったあと更に打ち付けたのであろう樹は、加速をつけてリュカを押し潰さんとする。
10メートル弱はある樹高を前にして、今までに開けていた距離も無意味。
しかもちょうど山道に差しかかろうという地点であったために、広がる枝が他の樹に絡んで途中で止まるなんてこともない。

油断した。
逃走に入る前から今まで、男は金槌をそのまま振る以外の攻撃を繰り出そうとは一向にしてこなかったし、
また正直このような機転を利かせた行動を取れるほどの理性が残っているとは見えなかったため、
武器の間合いにさえ入らないよう気を付けていれば、問題ないと思っていたのだ。
あるいは正気というわけではなく、獲物を追い詰める獣の本能みたいなものに因るのであったのかも知れないが、
いずれにせよ、予想外の方向からの攻撃にリュカの判断がわずかに遅れた。

一瞬。しかしこの場においては致命的な隙。
たとえ倒木を避けられたとしても、次に迫るは魔神の金槌。
漆黒が死を携えてやって来ていた。


(けれども……こんなところで終わってたまるか)


ドーピング直後の最大速度を活かして、魔法を完成させる。

「ルーラ!」

瞬間移動呪文。リュカにとって空飛ぶ靴の他の、もうひとつの移動手段。
ただし制限のため連続での使用はできず、次に何かあったとしても魔法での回避は不可能となる。

890戦火を交えて ◆w3jhWtfiTI:2013/11/19(火) 23:22:06 ID:yKSyv8sY0

――本当に、ままならないことばかりだ。

こうなった原因は自分の見通しの甘さにあるが、そんな風にも思ってしまう。

……少しだけ、良いのではないかと思った。
何も愛さず愛されずにいようとしていたけれど、愛おしくもなってしまった日々に、未来(さき)があることを信じてみても。
そうして子どもも生まれて……その矢先に、僕も妻も、未来など歩めない石に変えられた。

得たものは失われる。積み上げたものは突き崩される。そんな世界。
いつか奪うというのなら、なぜ夢を見させる!
もうこれ以上なにも手にするつもりはない。何の感情も抱いてしまわないうちに、縁を断ち切る。

ここはおそらくE-5かF-5、F-6、その境界部といった辺り。
禁止エリアに入っていたとしても浅く、このままここから去れば、男はあっさりと抜け出してしまうだろう。
禁止エリアの奥まで辿り着けなかったのも、自ら手を下す必要のない契約を利用して
“人殺しに伴う感情”から逃げ出すことなどさせぬと、断じられているようであって。


(……ならばこの場で、決着を着けてやる!)


リュカがルーラで飛んだ先は、斜め前方、ほんのすぐ近く。
転移を認識した男が方向転換し迫る中、詠唱を開始する。

5メートル

同時にデイパックより、基本支給品である松明を掴む。

4メートル

着火具を用いて、点火。

3メートル

そして、接近する男が先ほど倒した樹、その葉の生い茂る部分にさしかかった瞬間に。

2メートル


「バギクロス!!」


左手より魔力を解放し、右手の松明を投げ込んだ。

891戦火を交えて ◆w3jhWtfiTI:2013/11/19(火) 23:23:07 ID:yKSyv8sY0

轟、という音を鳴らして、生じるは火炎の竜巻。
リュカの言によって吹き荒れた暴風が男の進撃を止め、
松明は風に乗りながら、旋風が巻き上げる木の葉や下草を次々と燃やしていく。
渦巻く風は、絶えずふいごで空気を送り込むようなものだ。瞬く間に火は成長し、男を炎の渦の中に閉じ込めた。

魔法だけでなく炎を併用したのは、一発の攻撃の威力を上げるためである。
魔力は既に半分以上使い果たし、これからも独りで戦っていくのなら、少ない消耗で大きな打撃を与える必要がある。
背に腹はかえられない。
だから、先程食い殺されかけた時に空飛ぶ靴を使うことにしたのと同じく。
“炎がどのような想いを呼び覚ますのだとしても”、本能の拒絶を無視して、こうすることを選んだのだ。

離れてなお皮膚をちりちりと苛む熱風と、鼻の奥を掻く焦げ付いた臭いが、
リュカが凍りつかせたいと願う『感情』を刺激していく。
津波の前に引く潮のように全身からさあっと血が引いていき、
そしてまもなく揺り戻しが来ようとしているような、そんな感覚。

旅の中では、メラの魔法や火の息などで炎を目にすることは日常的にあったし、
リュカ自身、仲間に対してそのような指示をすることだってあった。
けれども、この殺し合いに連れて来られる直前、リュカにとってはまだ8時間と経っていない前、
十余年の時を経て、父を殺した仇敵に再会し、わずかばかりに積み上げたものを奪われ、
どうしようもなく黒い感情を自覚し、“仇”と“炎”が強く結びついてしまった今、
その光景は、『喪失感』やら『復讐心』やらで、ぐちゃぐちゃと乱れた想いを惹起させるものとなっていて――

……歯を食いしばる。
生体加速剤によって亢進した神経活動のために、少しの時も引き伸ばされているような時間感覚の中、
リュカはありったけの精神力を注入し、その『感情』に抗う。
その甲斐あって、張りつめてはいるものの仮の安定を得て、思考を回す。

そうして、ふっと、思った。
『炎』はむしろ、自分の望みに合致したものなのではないかと。

そこにあるものの意味も価値もおかまいなしに、奪い去っていく『炎』。
それによって全てが無へと還されれば、何も残ることはなく、これ以上得てしまうことはない。
死んだらそこで終わりで、死者はもう何も成すことなどできないのだから、
この男の歩んできた道も、想いも、名前だって知る前に灰へと変えてしまえば、
きっと情が湧くことも縁ができることもありはしない。

とはいえこの『炎』は、仇敵が使ったものに比べればあまりに貧弱だった。
無にするどころか、殺せているのかどうかだって怪しい。
まだ男が生きているのならば、起き上がったりしないように、とどめを刺さなければならない。
結局慕ってくる仲間を拒みきれなかった今までのようにはいかないと、そう決意したのだから。

いつか失われてしまうような未来に繋がるものは、全部捨て去る。
こんな殺し合いなんて早く終わらせて、元の世界に戻って、
過去の清算――ゲマの炎とサンタローズの戦火を免れた父さんの遺志が
本当に無意味と無価値にされてしまわないように、それだけを遂げてしまえば、もう何も奪われずに済む。
あとは閉じた過去の思い出の中で、静かに朽ち果てればそれでいい。

リュカの瞳は『炎』を映しこんでいたが、そこに輝きなどなかった。
唾を飲み込み、殺意を手に握り締める。
そして、舞う灰や砂煙で中の様子が判別しづらい竜巻の中に目を凝らして――絶句した。

892戦火を交えて ◆w3jhWtfiTI:2013/11/19(火) 23:24:47 ID:yKSyv8sY0

確かにこの一撃だけでは終わらないかもしれないと、思ったばかりではある。
しかしそれなりの成果はあってしかるべきだった。
傍にいるだけのこちらまで汗が噴き出すほどの灼熱の炎風に嬲られているはずなのに、
渦の中の黒い影は、金属の鎚を取りこぼすことさえなく、しかと大地を踏みしめ立っていた。


――リュカにはあずかり知らぬことであるが、ガッツが身に纏いしは、漆黒の鎧。
  普通の鎧とは異なり耐火性能に優れたそれは、“炎によるダメージを大きく軽減させる”。


影が動く。
リュカの目に映ったのは、火を前に怯むことさえ忘れた、獰猛で凶暴な『狂犬』の姿。





……さて。
この地に魔女はおらず、男にとって道連れ(なかま)と呼べる者を新たに得る間もなしに
かけ替えの無いものを喪失(うしな)ってしまった今、男を止められるものはない。

しかし荒れ狂う彼の心が『獣』と称されるものであるのならば、
“モンスター”の邪心をも打ち払うとさえ言われる≪魔物使い≫にであれば、
その心を鎮めることも可能だったのであろうか。

ただいずれにせよ、リュカが投げ込んだのは敵意を持った『炎』。
そうであっては、男の内で猛る『ドス黒い情念の火』の火勢を増させこそすれ、
その『炎』に男が飲み込まれるのを防ぐ≪かがり火≫の替わりになど、なれるはずもなく。


故にこの二人の邂逅は、魔神の金槌の一振りに終わる。





ドォウゥゥ――――ン……


.

893戦火を交えて ◆w3jhWtfiTI:2013/11/19(火) 23:26:38 ID:yKSyv8sY0


◆◆◆


ぱちぱちと、木の爆ぜる音が鳴る。
術者が消えて風が凪いだことで、煌々と燃え盛っていた炎柱は霧散し、
周囲に延焼した部分に残った火がもたらす熱気が、祭りの名残のようにわずかにあるばかりであった。

そこに生きたまま立つは――――ガッツただ一人である。

「がはァッ……」

ガッツは魔神の金槌の柄を支えとして軽く凭れながら、
火に肺腑を焼かれぬようにと止めていた呼吸を再開し、空気を貪った。

漆黒の鎧が炎に強いとて、全てのダメージを防げたわけではない。
火に因らぬ鎌鼬は鎧の至る所を抉り傷つけ、露出していた部分の肌には無数の裂傷と熱傷が刻まれていた。
深夜の戦術鬼との戦いで負った、全身の打撲や胸腹部の骨折も完全には癒えきってはいない状態である、
常人ならとうに倒れていてもなんら可笑しくはなかった。

しかしガッツの中で地獄の業火の如く噴出する『想い』が、
楔となって彼を生へと繋ぎとめ、地に伏せることを良しとしない。
狂戦士の甲冑などの呪物や夢魔の手により増長されたものではなく、
されどそれに勝るとも劣らない、純粋に彼自身の内より燃え上がった『激情』。

壊れることなど厭いはしない。
だが鉄塊を―――――にくれてやる前に、潰れてしまうわけにはいかない。

残りの回復カプセルをすべて飲み下し、取った進路は、幸運にも北。
禁止エリア<契約による死>から逃れることを可能とする方位であり、
またその道の到る先にあるは、“魔王山”。そこにはかがり火を飲み込んで蘇っていった鷹がいた。

周囲に動くものが何もない今は、熾火のように燻ることとなった『想い』を抱えながら、
ガッツは再び幽鬼の如き足取りとなって、山道を登り始める。

帰る所≪鷹の団≫も愛する人≪キャスカ≫もこぼれ落としてしまった男の歩みは、止まることなく。



そしてこの地には、“二本”の倒木が残っていた。



【E-5/F-5との境界付近/1日目/午前】

【ガッツ@ベルセルク】
[状態]:気になるか? 気にしていられると言うのか?
[装備]:魔神の金槌@DQ5、漆黒の鎧@真・女神転生Ⅰ、ホークマスク@MM2R、タイガーグローブ@MM2R、ホッパーブーツ@MM2R
[道具]:基本支給品×2、不明支給品0〜2(武装の類ではない?)
[思考]
基本:復讐
1:壊す。
[備考]
※放送など、聞いているわけがない

894戦火を交えて ◆w3jhWtfiTI:2013/11/19(火) 23:28:04 ID:yKSyv8sY0


◆◆◆


――敵も味方もなく目に写るもの全てを破壊せんとする狂戦士より逃れる術は、その視界に収まらぬようにすること。


1時間と経たずに戻ってくることになった古代の遺跡の前で、リュカはドキドキと鳴り止まぬ心臓を押さえていた。
空飛ぶ靴。
ルーラは使えなくなっていたが、ある種当初の予定通りにそちらを使用して、難を逃れたのだ。

紙一重で間に合ったのは、スピード・タブの効果がまだほぼ完全に近い状態で残っている間であったことと、
結局『炎』の中のあの状況を“不快”であるとして逃避を求めていた心が、
敵わぬとみるやすぐさま靴へと手を伸ばしたがため。

とはいえなんの問題もなく回避できたかというとそんなことはなく、
炎の渦の中から放たれた一撃は火を引き摺っていて、
空へと舞い上がったリュカの足元を掠めて、執念深く靴に食らいついてきた。
もともと戦闘用の物品でなかったためだろうか、火の手の回るのも早く、
ここまでは無事飛んで来られたが、羽の部分などは既に焼け落ちてしまっていた。

焦げ付いた臭いを放つ靴を摘まみ、デイパックの奥にしまう。
結局アイテムを無駄に消費してしまっただけの、惨憺たる結果に終わってしまったが、
殺意を向けながらも“快”ではなく“不快”と感じられたことに、リュカは胸をなでおろしていた。

……恐ろしかったのだ。知らず『炎』を肯定なんてしていた自分が。堕ちていっているようで。

けれどもその安堵を打ち砕こうとでもいうように、未だ高鳴り続ける心臓は
モヒカン男と戦った時の記憶も掘り起こしてきて、刻みつけようともしていた。


――黒い鎧を纏い、鎚を振りかぶった男。
対峙してわかった。あの男は同類だ。
おそらく何かを失ったのだと、そう感じた。
そしてそれが、あの破壊衝動に繋がっている。

復讐も殺人もともすれば、大義を超えて対象さえ曖昧にして、ただ行き場を失った『感情』を放出するためだけのものとなり得る。
流せぬ涙の代わりに他者の血をぶちまけてあがなうかのような行為に、あの男は何を思っていたのだろうか。

怒りだろうか。悲しみだろうか。怖れだろうか。

それとも――――歓喜(よろこ)んででも、いたのだろうか。


「関係ない……僕には関係のないことだ」

目を閉じる。汗ばんだ体を通り抜ける風に、身を預ける。
体調を崩すわけにはいかないが、今はただ熱を持った体を早く冷やしてしまいたかった。



時刻はまもなく8時を迎えた。



【E-7/古代遺跡前/1日目/午前】

【リュカ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:ダメージ小、魔力消費大
[装備]:アームターミナルC(空)
[道具]:基本支給品(松明1つ消費済)、空飛ぶ靴@DQ5、悪の福袋(スピード・タブ×1、悪のブロマイド、プラチナスプレー、男くさいはちまき)@MM2R
[思考・状況]
基本行動方針:情が湧く前に全員を殺し、元の世界に帰還する
[参戦時期]:石化直後
[備考]:空飛ぶ靴は一部燃えました。おそらくそのままの使用は不可能かと思われます。

895 ◆w3jhWtfiTI:2013/11/19(火) 23:31:43 ID:yKSyv8sY0
以上で投下終了です。期限超過申し訳ありませんでした。
支給品がやや反則的かもですが、開けるまではアイテム欄1個扱いなのと
ほとんどそんなに大したアイテムじゃないということで、どうか許容して頂ければ。

あとガッツの段落で少し、グリフィスが魔王山にいるみたいに書いてしまいましたが、
もしこの時間までに移動するようなら、後ほどそれに沿う形に変更させて頂きたいと思います。
勝手ばかりで恐縮ですが、ご意見ご感想等ございましたらどうかお願いいたします。

896 ◆w3jhWtfiTI:2013/11/20(水) 18:38:13 ID:BVlU/VFw0
すみません、ルーラに関して少し追記を。
『奪う者/奪われる者』の話にて近距離移動して回避の描写があったので、今回もそうさせて頂きましたが、
『壊せば、いいんだろ?』で回避する際には使用されておりませんでしたので、
バギより発動に時間がかかるか、あるいはまだ使用制限時間内だった(深夜→朝なので6時間とすれば問題ない?)
などといった風な感じにして頂ければなあと。
とりあえず自分に思いついたのはこのくらいですが、詳しくは次話以降の方にお任せしたいと思います。

897名無しさん:2013/11/21(木) 10:20:54 ID:u1f2ZO/Y0
投下乙です。
やっぱりリュカと炎は切り離せないか……
復讐にただ燃えるガッツもまた炎だから、リュカの心には「敵」として写るのも無理無いよなあ……

898 ◆TIENe3Twtg:2014/01/24(金) 18:56:10 ID:hjaOxlgk0
ザ・ヒーロー、カオスヒーロー、ミシカを予約します。

899 ◆TIENe3Twtg:2014/01/30(木) 21:18:06 ID:nQ2278oA0
予約の延長をお願いします

900 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 13:56:25 ID:DSGw/6rg0
投下開始します。

901ザ・ヒーローの孤独なグルメ、改め強くてニューゲーム ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 13:57:24 ID:DSGw/6rg0

フツオよ
扉をくぐりし汝を
待ち受けるは
光のもとに選ばれし民の
法と秩序か
力を頼る者どもが相争う
混沌か
汝の天秤に二つをのせ
こぼれ落とさぬよう
歩むがよい

902 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 13:58:06 ID:DSGw/6rg0


夢を見ていた。

意識を失ったのはどれほどの時間だっただろうか。
一秒か、一分か、十分か、あるいは一時間だろうか。
疲れ果てたザ・ヒーローは確かに眠っていた。
連戦に次ぐ連戦は確実に、フツオの身を削っていた。

疲労の果ての眠りであってすら、それは無防備なものではない。
夢を見ていた、ということはその眠りの浅さを意味している。
浅き眠りはいつでも立ち上がり、駆け出すことを前提としている。

静かにただ眠りを貪るなどという贅沢を、もはや彼は味わうことができないのだから。

のろのろと起き上がり、カバンを拾う。
ドロップアイテムの確認すら出来なかった、それほどの疲労は大きく軽減されている。
睡眠欲に次いで身体を襲うのは食欲だ。

支給物資を確認し、浮かぶのは呆れの表情。
戦闘に役に立つものもあるが、最も手に取りやすい、最上段に位置するものは明らかにそうではない。
あの男は。ただ持っているだけで、有用なアイテムであっても使う気など全く存在しなかったのだろう。

戦闘者としての型の問題でもあったのだろう。
人によってはそれを誇り高さ故と肯定しただろう。
生よりも誇りを優先するその思考には、悪魔故の、生きていないが故の傲慢さが見て取れ、反吐が出る。

それでも、憎悪よりも先に呆れが浮かんだのは、その絵面があまりにもマヌケだったからだ。
物騒な品々の上に置かれたのは、まだ封を切られていない大量の駄菓子と、齧りかけのかすていら。
なによりも、既に死したモノを嘲笑うような、さらに追い打ちを掛けるのは趣味ではない。


グ〜っと、腹の虫が鳴る。
目の前にはとりどりの、安っぽい駄菓子たち。

「いただきます」

手を合わせ、信仰ではなくただ習慣として、そんな言葉を口にして。



903 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 13:58:42 ID:DSGw/6rg0

「オラッ、さっさとやれ」
「るっせ、やってるっての、黙って見てられないの」

ターミナルPCの前にあるのは小さな小競り合い。
彼の主張により、彼と彼女はハッキングを試みていた。
禁止エリアと指定されたこの場に長居する選択はなく、だからと言って二本の足でただ駆けるでは面白くない。

それではまるで踊らされているだけではないか。

だからこそ、ワルオは一度も試行したことも、思考したことすらないアイデアを試してみる。
悪魔とはなんなのだろう?異能とは一体なんなのか?
幾通りもの答えがある問いではあるが、その問いの一つにこんなものがある。

世界は数字でできている。

邪教の館と言われる施設、悪魔全書と呼ばれる書物に宿る方程式など実にわかりやすい。
DIGITAL DEVILの名が示すように。
アナライズデータという方程式に、マグネタイトというエネルギーを掛け合わせ、生まれ落ちるは仮初めの器持つ悪魔。
異能であっても似たようなものだ。
呪文という関数に、注ぎ込まれるマグネタイトの変動によって、その威力は決まる。

世界は数字でできている。
悪魔はデータで出来ている。

ならば、知識ではなく感覚として、機械を操ることも不可能ではけっしてない。
物質転送装置ターミナルは悪魔召喚プログラムの基盤となったシステムである。
そしてこのターミナルにはもとから、心臓というマグネタイトを受け取る受け皿が機能として存在している。
マグネタイトそのものを操る異能者・悪魔に対して、それは不用心とすら言える機構。
大きく開け放たれたドアのセキュリティは決して高いものではない。

スティーブンの知識は科学だ。
つまりその発明品も、重厚な科学的セキュリティに覆われている。
反面、霊的防御に関してはお粗末だ。

ターミナルに接触、サイバースペースという一種の"異界"に自身の"分霊"を送り込む。
ここには"アスラ王"を取り込んだものがいる。
かつてカオスサイドで"ヒーロー"とまで呼ばれたものがいる。
可能なのだ、精神世界に紛れ込んだ多くの悪魔たちのように。
肉持たぬ霊的存在だけであれば、ただ入りこむことは難しくない。

室内にバチリと紫電が奔る。
画面が1と0だけの言語に支配される。
仕様外の強引な操作に、エラーを幾つも吐き出しつつも、ターミナルは止まらない。

肉が裂け、血が滲む。
倒れ伏した分霊たちからのダメージフィードバック。
送り込んだ幾つかが倒れ消え、ダメージとわずかな経験を本体たる二人に遺して行く。
眼球を通してではなく、その意識に直接走り続ける意味不明の数式と言語を、意味を解せず咀嚼し続ける。
『不滅のヴラド4.0』『強化外骨格』『TOKYOミレニアム』『ミルドラース』『再生の卵』『契約』『信仰』『幽世』……
流れる情報のほとんどを、精査せずにただ流れるに任せる。

今必要なのはそれではない。
ミシカがここに飛ぶために感じた瞬間を、ワルオがかつてフツオと共に利用した瞬間を。
再現するための、基幹プログラムを探し当てる。

あらゆる鍵は開け放たれるためにある。
時間さえかける事が出来れば扉は必ず開くものだ。
鍵の役割は開かれるまでの時間を稼ぐことであり、セキュリティが発動するまでの時間を稼ぐことだ。
サイコダイバーのような専門家でなくとも、妨害がないこの場でなら、いずれ開くことが出来るもの。

ブルースクリーンと化していた画面が切り替わる。

......Transport Program Set up.

......Ready.

......Please Show Key.

ENTERの意思をターミナルに送り込み、二人の身体が消え去っていく。
ターミナルとの意識リンク、それが途切れる最後の瞬間に流れ込んできたのは。



『ODIO』


そんな一つの単語だった。

904 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 13:59:17 ID:DSGw/6rg0


齧りつく。
紙のような触感の、安っぽいソース味。
噛み千切り、徐々に唾液と混じり合わせ、ほんの少し食べ物らしくなっていく。

懐かしい。

齧りつく。
サクリと音をさせて、粉っぽい感触と共に筒状のスナックが欠けていく。
なんとなく、この穴に指を突っ込んだこともあったと幼い日を思い起こす。

懐かしい。

慎重に袋を破る。
勢い余って中身をバラけさせてしまったことが何度あっただろうか。
一枚一枚掴み取り、口に運ぶ。
触る場所を意識していないと、すぐに油でベタベタになってしまうので注意が必要だ、

懐かしい。
懐かしい。懐かしい。懐かしい。懐かしい。懐かしい。懐かしい。懐かしい。


大破壊前の大量消費品は、全て失われた遠い過去の品。
工業ラインがあってこその品々は、今となっては三ツ星シェフの高級料理以上に貴重な存在だ。
その粗末な味がなによりも懐かしい。

未来に希望などはない。
そういうものは全て過去に置き去りにし、切り捨ててきたものなのだから。


不意に予感が訪れる。前兆らしい前兆などなにもないただの予感。
>ここに とどまりますか?
そんな選択が頭をよぎり、考えるまでもなかったかと苦笑し、構える。

四方八方、視覚・聴覚・嗅覚・表在感覚・深部覚と、感覚を研ぎ澄まし警戒する中。



"過去"が空から降ってきた。

905 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 13:59:57 ID:DSGw/6rg0


「ねえ、フツオ君」

遠い昔の話。

「悪魔が憎くないのかい?」

日常が奪われ、非日常に放り込まれた、そんな頃の話。

「ボクやワルオ君はまだいいんだ、戦うために必要なのは、自分の力、自分の意志だけだから」

まだ、友達と共に歩めた頃の話。

「だけど、キミは悪魔使い」

道を違える前の話。

「どうしてキミは、憎いはずの悪魔と戦えるんだい?」

906 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 14:00:30 ID:DSGw/6rg0


どこかで"ビジョンクエスト"と呼ばれたモノにも似た過去の光景が終わり。
突然の浮遊感。
掴みどころのない宙の中、出来るのはわずかに身を固める事だけで。

ドサリと落ちる。
ツツツ、と痛みに声を挙げながら。

「*いしのなかにいる*!
 なんて事にならなくてよかった、とでも言うべきかね……」

起き上がり、片手で頭を押さえながら、そんなことを呟く。
首を振り、見える景色は打って変わった森の中。
最低限、禁止エリアからの脱出は出来たと見てもいいだろう。
なんせ、こんなギリギリの時間までそんなところに留まって、駄菓子をつまむのんきもの、なんているはずがない。

「よう、久しぶりだな、フツオ」
「ああ、本当に久しぶり、ワルオ」

907 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 14:01:00 ID:DSGw/6rg0


「スマン、そこのコンソメ味取ってくれ」
「ん」

二人の男が、地べたに並んで座っている。
目前に広がるのは安っぽい菓子袋たち。
どこか笑いを誘う光景ではあるのだろうが、当人たちが気にしない以上それには何の意味も無い。
なんせ力があろうがなんだろうが、彼らが大破壊前の基準において、"未成年"と区分される存在だったことに変わりは無い。
殊更遵法精神に溢れている、という訳ではないが、子どもっぽいと忌避するような年月の積み重ねは持ち合わせていない。

広げられた袋の中身たちを消化しながら、会話を続ける。
長く続くような会話でなくても、あたりまえの確認で、相槌だけで終わるようなそれでも、確かに必要なそれ。

「で、どうするよ」
「神なんて、認めない。殺すよ、今までどおりに」

久方ぶりに交わった道。
もう交わることがないと思っていた道。

「ああ、同感だ」

それだけの言葉を交わし、新しく口に入れる。
顔を顰める。
少し湿気たものも混じっているようだ。


「ヨシオの野郎が逝きやがったな」
「ああ……」

少しばかりの間隔を空けて、

「残念だよ」

それだけの言葉が帰ってくる。
少しだけ、驚く。
既にヨシオは敵でしかなかった筈で、利害で考えればプラス以外の何者でもなかった筈なのに。
"俺たち"が関わることができない場所で逝ってしまった、その事実は思っていた以上に堪えていたようで。

「ああ、そうだな……」

そんな言葉を返す。

908 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 14:01:57 ID:DSGw/6rg0


ポカリと、頭を叩く。
不満げに顔を向けてきたヨシオに対して俺は。

「バカが、聞くものじゃないだろ、そういうもんはよ」

あたりまえのことを口にする。
それがもしも、キツイ事だったとしても。耐えられないようなものだったとしても。
そうしなければ生き残れないのだから。

「だけど、無理をさせてるのなら、力になりたいだろ!」

友達なんだから。そんな風に続く言葉に重ねて返す。

「俺たちだって余裕が無いんだ、キツイから止めます、なんてされたら全員死ぬだけだ」

フツオの力は貴重だ。
悪魔使いとしての力量も然ることながら、何よりも大事なのは戦場を俯瞰する司令塔としての力。
アイツがいなければ俺もヨシオも何回死んでいたかわからない。
"三人"だったからこそ、俺たちは生き残れたんだ。
そんなこと、お前だってわかってるだろうにと。

それでもと続けようとするヨシオの言葉をフツオが遮って。

「ありがとう、ヨシオもワルオも」

感謝の言葉が降ってくる。

「正直、憎いかどうかって言えば憎いんだろうし、キツイんだとは思うよ」

ならばと口を挟みそうになるヨシオを遮る。
これは最後まで聞くべきだ。
プログラムが奔る。

「だけど、全ての悪魔が憎いか、と言えばそうでもないんだ」

モムノフがいる。ルサールカがいる。ドワーフがいる。
交渉によって仲魔にしたものがいる。悪魔合体により仲間にしたものがいる。力比べをして仲魔にしたものがいる。
一時は敵対した、今は横に立つモノたち。

「人殺しに身内を殺されたとして、それで人類を全て憎まないといけないわけじゃない。
 もちろんイイ奴もいるけれど、イヤな奴だっている。結局は人間と同じなんだよ、きっと」

表情や声音から、その言葉の何処までが本当なのかはわからない。
きっと言っている本人だって、自分自身に言い聞かせている部分もある、本当かどうかなんてわからないだろう。
だけどその後に続いた言葉は。

「だから、大丈夫だよ、きっとね」

紛れも無く、本心から出てきたもので。


ああ、これだからコイツラは嫌いだ。
俺とは違う"強さ"を持っている。

ヨシオには他者を抱え込もうとする強さがある。
自身の芯を妄信して、要らぬ波風を立てるところもあるが、それすらコイツ自身の強さと正しさから来るもの。
正しさを信じる強さ、己を信じる確固たる強さを持っている。

フツオの強さはどこか曖昧だ。
何処に身を置けばいいのかわからず、迷って迷って迷って。
それでも投げ出さずに、最後まで答えを求め続ける強さがある。
信じるという一種の思考停止とは無縁の強さ。
歩みを止めず無限に広がり成長し続ける強さ。
コイツが足を止める時は、きっと他の何者にも変えられない、代えられない芯を得た時なんだろう。

俺とは違う。
ゴトウに、その配下に、つまるところ他人に左右され、そんな自分が嫌で仕方なく。
逃避のように"強さ"を求める俺とは違う、"己の内から来る強さ"。

眩しい、妬ましい、嫉ましい、憎らしい。そんな劣等感。

それは、ひょっとしたらオザワに対して抱き続けた"憎悪"すらも超えるほどの悪感情。

それでも、コイツラは間違いなく俺の"友だち"で、俺はコイツラのことを決して――――

909 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 14:02:25 ID:DSGw/6rg0





そして、"未来"が降ってきた。
希望など、何処にも無い。





910 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 14:02:52 ID:DSGw/6rg0

>とてつもなく恐ろしい
 悪魔の気配がする……
>ここに とどまりますか?

根拠など何も無い、ただの勘働き。
だが、一人ならともかく二人ともがそれに気付いたのならば、それは確実な予見だ。

互いに背中を預け構え、周囲を見渡す。

空間が揺らぎ、女が一人降ってきた。

ワルオが弛緩する。

「よお……」

随分のんびりしてたじゃねえか、そんな風に言葉を紡ぐよりも速く、二人が駆ける。
ミシカとフツオ、二人の間にあるのは明らかな"敵意"。
失敗を悟り、ワルオは叫ぶ。

「待てバカ!そいつは敵じゃ……!」

言葉では止められない、止まらない。
アスラ王の"記憶"は、ザ・ヒーローの進む"道"は、そんな陳腐じゃ越えられない。


先手を打ったのはミシカだ。
彼女の得手とする技が、駆けるという行為と同質の行為であったが為に。

何故彼女の名は他者に広まることがなかった?
その軌跡がレナの後追いでしかなかったことが最大の要因だろう。
それでも、彼女程の実力者の名が一切広まらないというのは不自然である。
答えは決まっている。
彼女の戦闘スタイルが、レナのそれに極めて近しかったが為に、より強大な彼女と同一視され、呑み込まれたのだ。


降って沸いた"アスラ王"の力には頼らない。
単純な最大火力を叩き込む戦術の甘さは"ワルオ"に叩き潰された。
だからその"記憶"と"知識"、"身体能力"のみを取り込んで、いつもの"ミシカ"として戦おう。


レスラーのスキル、ジェットハットがフツオを捉える。

911 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 14:03:46 ID:DSGw/6rg0


痛烈な痛みと共に尻餅を着く無様。
ダメージ以上に頭を占領するのは何故という疑問。
起きた事象の意味は理解している。
ジェットハットは"敵の防御がこちらの防御より高すぎると自爆ダメージを受ける"
今起きたことはつまりそういうことだ。

だが、アスラ王の記憶が言う、ミシカ自身の眼力が言う。
"こんなことはありえない"
ザ・ヒーローの脅威は集団戦にある。
策を弄し、手段を模索し、徹底的に弱みを突く戦略的強さ。
単独戦力としての"彼"はあくまで人間でしかなかったはずだ。

だが、この結果はなんだ。
アスラ王の力を上乗せされたミシカすら上回る基礎能力など、ヤツが持ち合わせるモノでは決してない筈なのに。

物質的な衝撃と混乱の中、そんな分析をするミシカの頭上に天空の剣が振り下ろされようとして……

「だから、待てッつってんだろうがぁぁぁぁぁぁあああああ!!」

怒声とマハラギオンの炎が割り込んだ。

912 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 14:04:43 ID:DSGw/6rg0


ダメージはない。
もとより牽制こそが目的の魔法であり、事実ミシカとフツオ、二人の距離を開くことに成功する。
すかさず間に割って入る。
言いたいことはいくらでもあるが、今最も大事なことは。

「てめえ、フツオ、一体どういうつもりだ!」

大きな違和感、予想外の行動に出た友に対する事だ。

「悪魔は殺す、それだけだよ」

臨戦態勢は崩れぬまま、何も変わらないと、そう言葉を繋げる。
違和感だけが膨らむ。こいつは誰だ、そんなことすら思ってしまうほどに、"フツオ"を感じない言葉。
他ならぬ、"デビルサマナー"であるフツオとしては考えられないほどの短絡思考。

「ふざけるな!」

まだフザケテくれている方がマシですらあったが、そこには本気の色しか見えなかった。
だからこそ、その言葉の矛盾を突く。

「ならば、なんで俺を殺そうとしなかった!」

ワルオという"カオスヒーロー"を殺そうとしなかった、その矛盾を。




「だって、キミはもうカオスヒーローじゃないだろ?」

不意打ちだった。
後ろの方でミシカの呆けてるんじゃねえという叱咤が耳に届くも、生まれた意識のスキマは既に十分過ぎて。
ザ・ヒーローの音無しの剣がワルオの頭部に到達した。

913 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 14:05:22 ID:DSGw/6rg0


人の想いはなによりも深い。
想いこそが神を象る。
想いこそが悪魔を象る。
想いこそが人を象る。
想いこそが全てを象る。

人は一人では生きていけない。
人は集団でこそ、生きる生き物だ。
だからこそ、個人意思なんてものは幻想だ。

ワルオがカオスヒーローになったように。
ヨシオがロウヒーローになったように。
女神たれと願われた少女のように。
魔王たれと願われた勇者のように。

人もまた、誰かに望まれたように形を変えていく。
かくあれかしと、願われるままに。
信仰は、他者の意思は、存在を捻じ曲げる。

914 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 14:06:11 ID:DSGw/6rg0



兜が割れ、素顔が現れる。
無傷ながらも衝撃に、神経質そうな顔は歪んでいる。
そんな"ありえない"事態がここにある。
比喩ではなく、悪魔合体以降その兜は彼の"一部"だ。
"彼"という悪魔の、悪魔としての姿の一部であったはずだ。
本来ならば、その程度のダメージで済むはずがない。

「カオスサイドは弱肉強食、一度でも負けた存在を"ヒーロー"なんて崇めはしない」

ザ・ヒーローは理由を語る。
本当かどうかなんて知りはしないけれど、彼が思う仮説を口にする。
ロウサイドであれば、敗北は殉教だ。
ひょっとしたら聖人と祭り上げられるかもしれない。
だが、カオスサイドでは話が別だ。
敗北はそのまま嘲笑の対象であり、忘却の対象である。
かくして"カオスヒーロー"は剥奪された。

「舐めやがって、余裕じゃねえかよ!」

そんなものは知らないとミシカが割り込む。
名前の通り、吹き荒ぶ暴風のごとき台風チョップに距離を取りながら、それでも言葉は止まない。

「キミの魂は、悪魔よりも強かった。
 キミと共にあった悪魔が滅びても、最期の最期までキミは生にしがみついていた」

かつてを想起しながらに、己が友に施した最期を思い出しながらに。

「だから、キミは最期にあんな事が言えたんだろう?」

いい夢だったなんて、悪魔に憑かれた人間の末路からは程遠いと。
だから、ここにあるのは"カオスヒーロー"でも"悪魔人"でもない。

"人間"ワルオの、強くてニューゲーム。

915 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 14:07:34 ID:DSGw/6rg0


思いだして欲しい。
"フツオ"は何時から武術の達人になった?

零式防衛術の見真似、魔法を斬り裂く斬撃、アカシャアーツ。

どれを取っても"彼"に出来る事の領域を越えている。
彼は確かに強い。彼は確かに悪魔使いだ。彼は確かに有能な指揮者だ。
しかし彼に武術の心得などない。

法にも混沌にも属さぬ彼に、特別な技など何もない。
銃に頼り、剣に頼り、それでも決して極めるなどと言う領域からは縁遠い。
彼は、ただの機械弄りが好きな一般人でしかなかったのだから。

つまりそうしたものは後付けの外付け要素でしかない。
誰がそんなものを用意した?

心の海を占める形なき"一般人"、あるいは悪魔たちの畏れこそがそれを象る。

秩序にも混沌にも属さず、その悉くを滅ぼした存在に対する畏れ。
それはより魔界に、精神世界に近いこの世界において大きく彼という"個"を揺さぶった。
ただの人間に為せる筈がない実績は大きな信仰を生んだ。

異能を持たない人間が、どうして天から来たりし御使いを、地の底から這い上がる悪魔の軍団を討ち果たせたというのか?

当然のように人は幻想する。
それはきっと、人として、考えられる限り、完成していて、壊れているのだろうと。

身体を動かすことしかできない?
それならば、そのできることはきっと、人として考えられる限り最高の水準なのだろう。
なぜ、法も混沌も、区別なく滅ぼすのだろうか?
それほどまでに憎いのだろう、それ以外に考えられぬほどに。

人々は夢想する、空想する。
その根源は未知への恐怖故に、畏れゆえに。
休むことなく組み挙げられる最新神話。

メシア教によって後に"コロシアムのチャンピオン"と貶められる以前の、"ザ・ヒーロー"という神話幻想。
それはあらゆる"魔"に属する存在に対する対抗神話。

それは憧れと共に語られる英雄ではない。
共感とともに語られる人の物語でもない。

それは人のまま人を超えたものへの畏れ、ヒーローの名を冠した―――

916 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 14:08:10 ID:DSGw/6rg0


・・・何故俺を起こした!
せっかく いい夢を見ていたのに・・・

「クソッ!」

全てを理解した訳ではない、それでも、これだけはわかる。
俺の見た夢の先が、こんなにもくだらない未来に続いていた、そんな悪い夢。

「ふざけるなよ!」

お前がそんなにくだらないモノで終わるわけがないだろうが!
悪魔が憎い、だから全て滅ぼそう、そんなツマラナイ奴じゃなかったはずだろう!
そんな安易に流される"弱さ"なんて、お前のものじゃなかっただろう!

自身と何処か被って見える、その弱さが憎らしい。
ならば、どうする?
決まっている。

「ブッ倒してでも正気に戻してやるから、覚悟しとけ!」

917 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 14:08:33 ID:DSGw/6rg0


>【魔人ザ・ヒ−ロ−】が1体出た!
>どうしますか?




918 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 14:08:58 ID:DSGw/6rg0

【D-5/森林地帯/1日目/午前】
【ザ・ヒーロー@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:魔人 疲労(中) 怪我(小)
[装備]:天空の剣@DQ5
[道具]:基本支給品4式(松明1つ消費)、キメラの翼4枚@DQ5、不明支給品1〜9
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに勝ち残り、神と契約する
[参戦時期]:ニュートラルルートエンディング後
[備考]
大きな力について、意識すればいくらか感知することが可能です。
”ザ・ヒーロー”と関わり薄い記憶から少しづつ失われています。
零式超吸着掌打を習得しました。
対人戦術を覚えました。

【ワルオ@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:人間 魔力消費・大、全身に火傷・軽度の裂傷
[装備]:ムラサメ@LIVE A LIVE
[道具]:基本支給品*4、青酸カリ@現実、強化外骨格『零』不明支給品(2〜9、アスラ王、モズグスの物を含む)、ストラディバリ@真・女神転生Ⅰ
[思考・状況]
基本行動方針:もう何かに従う気はない、当然この殺し合いにも。
[参戦時期]:本編死亡後
[備考]:最後の支給品はホネ肉@LIVEALIVEでした
[備考]:『零』に宿る三千の英霊が現在成仏しているため、『零』を装着することは出来ません。

【ミシカ@メタルマックス2:リローデッド】
[状態]:全身火傷(左腕の炭化はディアラマによってそこそこに治療されました)・軽度の裂傷・魔力消費小
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考・状況]
基本行動方針:強くなる
【備考】女ハンター、サブジョブとしてレスラーをマスターしています。他のサブジョブは不明。

919 ◆TIENe3Twtg:2014/02/07(金) 14:12:41 ID:DSGw/6rg0
投下は以上です。
かなり自己解釈が強い話になりました。
問題やご指摘などありましたら極力修正を掛けていきたいと思います、どうかよろしくお願いします。
ありがとうございました。

920名無しさん:2014/02/08(土) 12:26:25 ID:v7tpxWBs0
投下乙です。
悪魔を憎んだ彼が、ザ・ヒーローという魔的存在になっていくのが哀しい。
また、それに至る理由付けがお見事という他ありません。

彼が彼である故に、彼女が彼女である故の戦いをワルオは止められるのでしょうか。
面白い話をありがとうございました。

921名無しさん:2014/02/10(月) 19:22:19 ID:meoi8g320
投下乙です!
三人のひいてLNCの違いとか諸々の解釈とか原作メッセージの使い方とか他、どれも自分からはすごいとしか言いようがないです。
信仰や畏怖の感情、そこから生まれる物語なんかの影響を受けて、ヒーローはどんどん歪んでいってるのなぁ、
かつてはあった判断や迷いが削がれて問答無用になっていって、彼自身がある意味選択してない状態になっているというかなんというか……
なんだかまとまってなくていろいろおかしな文章になってて申し訳ないですが、ただとにかく、面白かったです。
執筆お疲れ様でした。

922 ◆Cxilshz3Mg:2015/06/02(火) 19:24:54 ID:It9gEI.Q0
大掃除が告知されましたがスレ主いない場合はどうなるんだろう……

923 ◆Cxilshz3Mg:2015/06/02(火) 21:06:03 ID:It9gEI.Q0
企画者じゃなくてもええらしいので。
ひとまず落ち着いたので手を回せるときに手を回したいと思います。

924 ◆TIENe3Twtg:2015/06/07(日) 21:38:53 ID:ymrgOgP.0
主人公の息子@ドラゴンクエストV予約します。
話としては先に進むような展開をしない短めのモノになりますがよろしくお願いします。

925 ◆TIENe3Twtg:2015/06/14(日) 13:14:28 ID:NDwo16zE0
すいません、延長お願いします。

926 ◆TIENe3Twtg:2015/06/21(日) 10:50:13 ID:tLQuv8n60
投下します。

927ゆめのはなし ◆TIENe3Twtg:2015/06/21(日) 10:50:40 ID:tLQuv8n60

夢を見ている。
おとうさんの背中を追う夢。
ボクではない僕が、ボクのおとうさんではないおとうさんと旅をする夢。

それは、どこかふしぎな感覚だ。

ボクにとっておとうさんは、一緒に歩く家族だ。
となりを歩いて、手をつないで、ひっぱられて、ひっぱって。
守るだけじゃない、守られるだけじゃない。
助けるだけじゃない、助けられるだけじゃない。
それが当たり前で、そのことがじまんでさえあったから。

ただ守られる側になる、それがくすぐったかった。

守られること、僕にとってのそれは当たり前のことで、それをもどかしく感じることもあって。
僕はせいいっぱいに背伸びをして歩いた。

もちろん、おとうさんにも仕事がある。
色々なところをまわる中で、はなれていることもあった。

そんなときは、おとうさんだったらどうしただろう。
そんなことを考えていた。
弱いものいじめなんてゆるさないはずだ、おとうさんの背中にそんな正しさを見ていたから、
僕も自信をもって、そういう風に動けた。
女の子とのつきあいかたはわからなかったけど、一人であぶないことはさせられない、
なんてことはわかりきっていたから、一緒にぼうけんもした。

そう、ぼうけんをした。

おばけ屋敷のぼうけんは、ボクがやってきたぼうけんよりも、ちいさなぼうけんではあったけど、それは確かにぼうけんで。
僕のどきどきもわくわくも、ボクに伝わってきて、はらはらしながらみつめていた。
僕は、ボクよりも弱くって、できることも少なくて、泣き出しそうになっていたけど。
おなかに力を込めて、ふるえそうな足をふみしめて、女の子をまもっていた。

小さなぼうけん、小さな勇気だったのに。

とてもかっこよかった。

ボクは"僕"に話しかけたかった。

ボクだって負けてないんだぞって。
ボクのことを、"僕"に伝えたかった。

だって、あんなにカッコいいんだ。
あんなにキラキラしてるんだ。
あんなにスゴいんだ。
友だちになりたいんだ。

"僕"のものがたりは進んで、食い入りながらボクはそれを見つめて。

僕の目の前がまっかになる。

前を歩く背中がまっかになる。
まっかな背中がだんだんと黒ずんで。

「おとうさん!!」

ボクと僕はいっしょになってさけんで、ボクは飛び起きた。

928ゆめのはなし ◆TIENe3Twtg:2015/06/21(日) 10:51:06 ID:tLQuv8n60


その因をなんに求めるか、科学を拠り所とする者達はこういうだろう。
それはワットナーベ親子の死という、突然の衝撃が呼び覚ましたものであるのだと。

神秘こそを拠り所とする者達はこういうだろう。
それは啓示であり、運命なのだと。


夢とはなんだろう。
科学的な手法を信奉するものは言う。
それは脳が持つ記憶の整理の手法であるのだと。

だが、科学とは別の思考基盤を持つ人は多く、夢に対する認識もまた多岐に分かれる。

ある人は言う。
それはあらゆる人が内包し、共有するもう一つの世界であるのだと。
あるいはこんな事も言われる。
それは死の疑似体験であり、よりよき夢を見る手法を掴むことは天国への道を拓く手段であるのだと。

また、こんなことを言うものもいる。
それは人が便宜上、”神”と呼ぶ高次の存在が、人間という低次の存在に対して発する信号なのだと。


ただ、一つ確かな事がある。
それは人の見る夢は儚く、朝日が昇ると共に消えゆく定めにあると言うこと。
記憶にも記録にも残らずに、霞のように消え去る体験。
それでも、忘れさられようともその中で体験した感情は確かに、人の子が抱いたものであり。

赤い景色のなか、彼が抱いた感情は確かな――――

【D-6 /魔王山最深部/1日目/早朝】
【主人公の息子@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品1式(松明をひとつ消費しました)、不明支給品1~3
[思考・状況]
基本行動方針:ワルモノを倒してみんなで帰る
1:ここに集められた人と合流して助け合う
2:少し石像が気になる。
[備考]
ライデインによって山に落ちた雷が幾つか離れたエリアでも観測できるかもしれません。

929ゆめのはなし ◆TIENe3Twtg:2015/06/21(日) 10:51:43 ID:tLQuv8n60


何処かで雷が落ちる。
魔王の像は静かに佇み、その眼を光らせる。

930ゆめのはなし ◆TIENe3Twtg:2015/06/21(日) 10:52:27 ID:tLQuv8n60
投下終了です、ありがとうございました。

931名無しさん:2015/06/26(金) 08:49:08 ID:AVcQzZV60
投下乙です、怪しげな予感がしますね……

932名無しさん:2015/06/26(金) 10:35:12 ID:fFzE5utI0
新作きてた!
これはちょっと不気味な話だ……

933 ◆TIENe3Twtg:2015/06/26(金) 12:03:21 ID:3/HlR7/s0
短いですが投下します。

934 ◆TIENe3Twtg:2015/06/26(金) 12:03:36 ID:3/HlR7/s0

「……死者の名を読み上げる。オザワ」

わずかなノイズの後、始まり響き渡る音声はあまりにも性急に情報を発信してゆく。
それはつまり、心に備えを持つゆとりすら、含みはしないことを意味していて。

「アリシア」

その言葉の意味するものに、大きく視界が揺れた。
それでも踏みとどまれたのは、そうなることに対する覚悟が整っていたからだ。
魔王に浚われた時より、美しく優しい彼の姫君に、ただそれだけの姫君に、抗う術など何もない。
まだ生きているという希望に縋っていたのは、最早手遅れかもしれないという絶望の裏返しでもあった。
だから、耐えられた。

「記憶喪失の赤髪の男
 ミカエル
 アスラ王
 ガルシア
 恵魅
 モズグス
 血髑郎」

流れる失われた命達の名に、祈りを捧げる心すらあり。

「ワイアルド
 葉隠覚悟
 キャスカ
 ロウヒーロー
 セエレ
 ベン
 イウヴァルト
 アリオーシュ」

自らが手を下した"ベン"の名に、この放送は真実だろうと確信を深める計算すらあった。

「ストレイボウ」

だが、その名前だけは理解できなかった。

え、だとか、あ、だとか。
放送とは違う、言葉になり損ねた呻きのようなものが聞こえ、思わず辺りを見回す。
ほんの一時前に確認した通りに、そこには自身と同行者の2人しか見あたらない。

それはこの場に置いてあまりにも致命的だ。
勇者という称号の栄光とは裏腹に、自身は無敵でも不死身でもない。
同行者足るゆりこは尚更で、奇襲を仕掛けうる誰かを見つけられない、自身の警戒心の薄さを叱咤する。

思考は戦闘状態へと移行し、揺れる心根も瞬時に冷やされる。
平時を取り戻した判断力は、それでも変わらずにこの場には誰もいない事を示していて。

その声を挙げていたのは自分自身であったことに気付いた。

「うううう……」

気付いてしまっては、止められない。
膝が折れ、頭を垂れる。
口から漏れ出す雑音が耳にうるさい。
それでも、抑えることはできなかった。

「ああああ……」

感情が湧き出してくる。
そこにあるのは何故だとか、どうしてだとか言う疑念であったり。
そんなはずはないという信頼であり。
それが盲信でしかないと気付くことのできる聡明さであり。

『忘れないで。望む形で対面できるとは限らないことを。』

ただただ、どうしようもないものに、彼は膝を折る。

935 ◆TIENe3Twtg:2015/06/26(金) 12:04:12 ID:3/HlR7/s0


そんな彼を、彼女は見つめていた。
表面上は、言葉をかけるのを躊躇うような、そんな表情を浮かべながら。
その瞳は冷え切った、品定めをする色をして。

そう、ただ眺めていた。
ゆりこが悪魔であるがゆえに、リリスであるがゆえに。
その行動はその逸話に縛られる。

彼女の本質は誘惑する者である。
彼女の本質は服従を嫌う、意思持つものである。

知恵の実をアダムに晒した時のように、ワルオに対してそうであったように、フツオに対してそうしたように。

私意を込めて言葉を繰ろう。嘘であってもいくらでも吐く。
現状の認識は既に歪められ、彼の認識にはバイアスをかけてある。
選択肢は狭められ、誘導されている。
それでも誘惑すれど強制することはしないし、出来はしない。

最後の決断は、人間の意思こそが決める。
主たる偉大なる存在と決別した時の彼女自身のように、決断は彼自身のもの。

ただただ揺れる天秤を、悪魔は見つめる。

【エリアB-3/市街地/1日目/朝】
【オルステッド@LIVE A LIVE】
[状態]:健康
[装備]:はがねのつるぎ@ドラゴンクエストⅤ
[道具]:基本支給品*2、不明支給品0~2 写真付き名簿
[思考・状況]
基本行動方針:???
1:???

【ゆりこ@真・女神転生Ⅰ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1~3 猟銃@現実*2 、防弾ベスト@現実*1
[思考・状況]
基本行動方針:ザ・ヒーローを殺そうとするものの排除
1:利用できるものは利用し、参加者を減らす
2:ザ・ヒーローはこの手で……?
3:エルの名を持つものたちに警戒
[備考]
参戦時期はカオスヒーローのパートナーとなったよりも後

936 ◆TIENe3Twtg:2015/06/26(金) 12:04:41 ID:3/HlR7/s0
投下終了ですです、ありがとうございました。

937名無しさん:2015/07/03(金) 00:22:37 ID:JGvbslFk0
投下おつー
そのタイミングで崩れ落ちるというのがこの参戦時期の、いや、オディオならぬオルステッドならではだよな

938管理人★:2016/07/03(日) 22:17:00 ID:???0
本スレッドは作品投下が長期間途絶えているため、一時削除対象とさせていただきます。
尚、この措置は企画再開に伴う新スレッドの設立を妨げるものではありません。

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