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本スレに投下するか迷ったような作品を投下するスレ

1名無しさん:2009/04/25(土) 07:55:51
このスレッドでは本スレで投下すると荒れると思ったような作品など
本スレで掲載しずらい作品を掲載するためのスレッドです

・掲載可能ジャンルは本スレッドに準じ「人外と人間」のカップリングとします。
・エロ、非エロは問いません
・作品には属性、プレイなどの説明を本文の前に1レス書いてください
・できれば名前欄に識別できる言葉(作品名,カプなど)を書いてNG指定可能な状態にしてください。
・このスレでは作品の投下、およびその作品への感想レス以外の書き込みは控えてください
・本スレにURL形式でリンクを張ることも可能です
・スレ違いには絶対スルー推奨。

2859 ◆93FwBoL6s.:2009/04/30(木) 18:32:35
本スレに投下している人外アパート話絡みではありますが、大分趣旨が違うのでこちらに。
アパートに引っ越す前、ヤンマと茜が初体験する話。いつも通りのイチャラブです。
昆虫人間×女子中学生の和姦です。

3卒業 1 859 ◆93FwBoL6s.:2009/04/30(木) 18:33:56
 鬼塚池は、空と同じ鉛色だった。
 ちらほらと落ちてくる雪が冷え切った水面に触れると、音もなく溶け、重たく濁った水がまた一滴量を増した。
こんな空では、飛ぶに飛べない。体温維持用に羽織った分厚いコートのポケットに上両足を入れ、顎を閉じた。
下両足に履いているブーツからも寒さが染み入り、外骨格が鈍く軋み、体液の循環が鈍っているのが解った。
 やはり、寒さだけは苦手だ。ヤンマは複眼を下げ、凍りかけた水面に映る黒のコートを着た異形を見下ろした。
外に出ているのは頭部だけで、上両足は袖に通され、羽と中両足はコートの中で縮まり、人間に似た格好だった。
保温性は非常に高いが生地が分厚いため、動きづらくて敵わない。だが、これを脱いでしまうと冬眠してしまう。
 鬼塚池の背後に広がる森では、雪を被った針葉樹が並んでいる。時折、たわんだ枝から雪が崩れ落ちている。
色らしい色はなく、白と黒だけの世界だ。今日は一段と雲が厚いらしく、昼間とは思えぬほど光量が少なかった。

「…さむ」

 独り言を漏らしたヤンマは、頭を振って触角に付いた雪片を払った。

「これで、いいんだよな?」

 鬼塚池に映る異形を見つめながら、ヤンマは呟いた。この池はヤンマが孵化した場所であり、もう一つの実家だ。
現在親兄弟と暮らしている実家は、鬼塚池に程近い古びた日本家屋で、鬼塚と名乗るためには不可欠な場所だ。
 エメラルドグリーンの複眼、黄色と黒の外骨格、四枚の羽、六本の足。見ての通り、ヤンマは人間ではなく昆虫だ。
ヤンマの一族は古くからこの地に住み着いているが、人間として認識されるようになったのは近代に入ってからだ。
それまでは、人外には良くある話で鬼扱いだった。だが、差別とは少し違っていて、恐れられながらも敬われていた。
空を飛べる上に山を荒らす獣を捕食していたので、結果として人家や作物を守ることになり、農民達からは慕われた。
 けれど、近頃はそうでもない。昆虫人間はそれほど珍しいものでもなくなったし、人間も知恵を付けるようになった。
昆虫人間に頼らずとも身を守れるし、獣も追い払える。厄介者として扱われることはないが、敬われることはない。
少し変わった隣人、程度の認識だ。昆虫人間同士の抗争を除けば、至って平穏に暮らせているのだから文句はない。
 しかし、それで終わるのは頂けなかった。日々同年代の昆虫人間とのケンカに明け暮れ、縄張りを守り続けてきた。
それでいいと思っていたし、それぐらいしか能がないと思っていたし、それ以外にやるべきことはないのだと思っていた。
だが、戦い続けても戦い続けても何も拓けない。縄張りも実力も拮抗し続けていて、最早体裁を保つための戦いだった。
 このまま、この街で戦い続けても先はない。そんなことに気付いたのは、高校を卒業するための試験を終えた頃だ。
ぎりぎりの成績で入学した高校を、やはりぎりぎりの成績で試験に受かったヤンマは、与えられた暇を持て余していた。
遊ぶのにも飽きて、戦うのにも飽きたから、珍しく考え事をした。そして、現状維持ではいずれ腐ってしまう、と悟った。
 そう思ったら、居ても立ってもいられなくなった。同じ土地で同じ顔触れと同じ戦いを繰り返しながら、朽ちたくはない。
だから、家を出ようと思い、両親にも兄弟にも話した。長男ではないので反対はされなかったが、賛成もされなかった。
金だけは与えられたが、住む場所や働き口は自力で探せと言われた。だが、いざ街を離れると決めると無性に寂しくなる。
 胸と言わず全身の体液が抜けたかのような空虚さに襲われたヤンマは、鬼塚一族が幼少期を過ごす鬼塚池を訪れた。
だが、埋まると思ったものは埋まらなかった。原因は解りきっているのに、目を逸らそうとしている自分が情けなかった。
 柔らかな雪を踏み締める足音と、荒い呼吸が聞こえた。ヤンマが振り返ると、息を荒げている少女が立ち尽くしていた。
赤いマフラーを巻き、ハーフ丈のダッフルコートの下では紺色のプリーツスカートが揺れ、ボブカットの髪が乱れている。
子供っぽさが色濃く残る顔立ちの中で特に目立つ大きな目は、最大限に見開かれ、外気の寒さで頬に紅が差していた。

「茜」

 ヤンマが少女に向き直ると、少女、茜はヤンマに歩み寄り、呼吸を整えた。

「しーちゃんから、聞いた」
「何をだよ」
「何って、決まってるじゃないの!」

 茜は中学校帰りらしく、背中には重たい通学カバンを背負ったままだった。

「上京するってこと、どうして私には言ってくれなかったの!」
「言うほどのことでもねぇだろ」

 ヤンマが顔を背けると、茜は顔を歪めた。

4卒業 2 859 ◆93FwBoL6s.:2009/04/30(木) 18:34:52
「友達じゃないの、教えてくれたっていいじゃない!」
「教えたって、どうなるものでもねぇだろうが」

 ヤンマは背を向け、顎を軋ませた。茜はヤンマに近付き、走ったために掠れた声を張る。

「なんで勝手に決めちゃうの! どうして何も言ってくれなかったの!」
「中坊に話しても意味ねぇだろ」
「そりゃ、そうかもしれないけど…」

 茜は俯き、鼻を啜った。ヤンマは複眼の端に茜を捉え、言った。

「高校の卒業式が終わり次第、引っ越すからよ」
「でも…どうして?」
「お前に言ったって解らねぇよ」
「解るもん!」

 茜はヤンマに歩み寄り、その左袖を掴んだ。

「だって、私はずっとヤンマと一緒だったんだから! ヤンマのこと、一番良く解るもん!」
「馬鹿抜かしてんじゃねぇよ」

 茜の手を振り払おうとしたが、出来ず、ヤンマは声色を落とした。

「お前に俺の何が解る」

 お決まりの言葉を吐いてしまった自分に呆れ、ヤンマはぎちぎちと顎を鳴らした。なぜ、こんなことしか言えない。
ヤンマの上左足を掴んで項垂れている茜が痛々しかったが、上手い言葉が思い付かず、結局は黙り込んでしまった。
 茜との付き合いは長い。ヤンマがヤゴだった頃、近所に住む茜は親に連れられて鬼塚池によく遊びに来ていた。
そのうち、茜は一人でも来るようになった。水の中でしか生きられないヤンマと、愚にも付かない話をするためだった。
どちらも幼かったから、会話などあってないようなものだったが、閉じた世界で暮らすヤンマには良い刺激になった。
 ヤンマが成虫と化し、茜が成長しても、その関係は変わらなかった。近所に住む幼馴染み。それだけに過ぎない。
だから、そのまま終わった方が良い。人型であろうと、所詮虫は虫だ。前途のある茜を、ヤンマが束縛してはならない。

「じゃあ、ヤンマは私の何が解るの?」

 茜はヤンマのコートに顔を埋め、肩を縮めた。ヤンマは彼女を見下ろし、語気を弱めた。

「解るから、言わなかったんじゃねぇかよ」
「意地悪」
「男の意地と言え。その方が、まだ様になる」
「じゃあ、これから言うこと、解る?」
「大体はな」

 ヤンマが腰を曲げて目線を合わせると、茜は潤んだ目を瞬かせ、ヤンマの胸元に額を当てた。

「…大好き」

 恥じらいと寂しさが混じった告白は、枝から落ちた雪の音で掻き消され、雪の粒と共に淀んだ池に吸い込まれた。
ヤンマは茜の肩を支えながら、分厚いコート越しに染み入る体温を感じた。触れた部分から、隙間が埋まっていく。
 思った通り、空虚さの原因は彼女だった。街を出ると決めてから、茜とは出来る限り顔を合わせないようにしていた。
街を出る決心が揺らがないように、と考えてのことだったが、言葉も交わせない日々が続くと体液が抜け落ちていった。
他のもので埋めようとしても全く埋まらず、余計に空しくなった。けれど、そこで茜と会うと決心が砕けると思っていた。
 擦れ違っていた日々の寂しさを埋めるため、茜はヤンマにしがみ付いた。小さな手で、コートをきつく握り締めている。
もう、引き離せるわけがない。ヤンマは己の心の弱さを実感しながら、茜から染み渡ってくる体温と感情を味わった。
 茜が好きだ。

5卒業 3 859 ◆93FwBoL6s.:2009/04/30(木) 18:37:01

 ストーブに火を入れても、なかなか部屋が暖まらなかった。
 畳の上に胡座を掻いたヤンマはコートを脱げないままで、茜もまた通学カバンは下ろしたがコートは着たままだった。
あのまま外にいてはどちらも凍えてしまうので、ヤンマは自宅に茜を連れて帰ってきたが、どちらも喋り出さなかった。
茜は目を腫らしていて、切なげに眉を下げている。思いを伝えても、ヤンマが答えてくれなかったから不安なのだろう。
だが、ヤンマは茜の告白に答えなかったのではない。答えようと思ったのだが、茜が愛おしすぎて感極まってしまった。
おかげで、何も言えなくなった挙げ句に自宅に引っ張り込んでしまった。茜を自宅に突き返すよりは良いと思ったからだ。

「ヤンマ」

 沈黙を破ったのは、茜だった。

「やっぱり、私はただの友達ってこと?」

 不安げに身を乗り出してきた茜に、ヤンマはぎちりと顎を噛み合わせた。

「いや…そういうんじゃねぇよ」
「じゃあ、何?」

 期待と不安の入り混じる瞳に見つめられ、ヤンマは若干腰を引いた。

「お前は、ダチじゃねぇよ」
「だから、何なの?」
「だから、だな…」

 ヤンマが考えあぐねていると、茜はコートを脱いで通学カバンの上に投げ、ヤンマの前にやってきた。

「教えて?」
「う…」

 言葉に詰まったヤンマは、茜を見下ろした。寒さとは違った意味で頬が染まり、薄い唇がかすかに開いている。
いつもの快活な表情とは正反対の弱り切った顔が、罪悪感を生んだ。同時に、物凄く情けなくなってしまった。
好きだと言われたし、茜が好きだと解っているのに、困らせてどうする。答えたいが、上手く言葉が出てこなかった。

「悪ぃ」

 どうしても言えなかった。だから、ヤンマは茜を抱き寄せて顎を開き、舌を伸ばして唇の間に滑り込ませた。
上両足に抱かれた茜は、いきなり口中に入ってきた異物に戸惑い、己の舌や歯で異物を押し戻そうとしてきた。

「ぶはっ」

 ヤンマの舌を吐き出した後、茜は一気に赤くなった。

「にゃ、な、うぁ…」
「これで、言ったことにはならねぇか?」

 舌を戻して顎を閉ざしたヤンマが気弱に呟くと、茜は火照った頬を押さえた。

「なら、ない、よぉ」

 だが、意図は確実に伝わったらしく、茜はちらちらとヤンマを窺ってくる。ヤンマはその視線を感じ、恥じ入った。
もう少しまともな手段はなかったのか、と後悔するがもう遅い。それ以前に、あれはキスと言うには強引すぎた。
顎をぶつけるよりは優しいが、中学生相手に行うにはかなり卑猥だ。それ以前に、同意を得ていないではないか。

「でも、うん、嬉しい」

 茜は赤面したままだったが、頬を緩めた。

「だから、茜。俺は」
「食べてもいいよ」

 ヤンマの言葉を遮るように、茜は言い切った。真摯な眼差しが、複眼に注がれる。

「私のこと」
「…食べる、って、そりゃ」

 もちろんあっちの意味だろう。ヤンマが狼狽すると、茜はもっと狼狽した。

「だって、このまま離れちゃうの嫌だし、ヤンマじゃなきゃ嫌だし、だから…」
「でっ、でもな、いきなりそれは早すぎねぇか? お前はまだ中坊だろうが!」
「だあっ、だけどぉ、我慢出来ないんだもん!」

 自分の言葉でますます赤面しながら、茜はスカートを握り締めた。

「放っておかれるのかなぁ、とか、一人になっちゃうなぁ、とか、考えるとなんかもうすっごくダメなんだもん!」
「にしたって、なぁ」
「嫌?」

 茜が泣きそうになったので、ヤンマはすぐさま否定した。

6卒業 4 859 ◆93FwBoL6s.:2009/04/30(木) 18:39:02
「いやいやいやいや、そういうんじゃねぇ! ああ、だから、嫌っつーわけじゃなくてよ!」
「恥ずかしいし、怖いし、痛いのは嫌だけど、でも、ヤンマだったら」
「言っておくが、俺は虫だぞ」

 ヤンマが自制を込めて言うと、茜はむくれた。

「だから好きなんじゃないの!」
「俺が言うのも何だが、男の趣味悪ぃな」
「そんなことないもん! ヤンマは格好良くて強いんだから! イケメンの中のイケメンだもん!」

 拳を固めて力説した茜に、ヤンマは噴き出してしまった。

「なんだそりゃ、てか言い過ぎだぜ」
「笑わないでよ! 本気でそう思っているんだから!」

 茜はむきになり、ヤンマににじり寄ってきた。ヤンマは背を曲げ、笑いを堪えた。

「けど、俺のことを買い被りすぎてねぇか? 虫の中でも俺は大したことねぇんだぞ、ツラもナリもな」
「でも、私の一番はヤンマだもん」

 茜はヤンマの前に正座すると、ヤンマの顎を両手で挟み、引き寄せた。

「さっきのお返し」

 固く閉ざした顎に、小さく薄い唇が当てられた。目の前にある茜の瞼は閉ざされ、目元を縁取る睫毛の長さが解った。
当てているだけで精一杯なのか、茜の体は強張っていた。ヤンマはコートを脱ぐと、上両足と中両足で茜を抱き寄せた。
胸部の外骨格に、紺色のセーラー服に覆われた茜の胸元が接した。鼓動が恐ろしく速まり、体全体が熱を持っていた。

「本当にいいのか?」

 ヤンマが問うと、茜はぎこちなく頷いた。

「うん。ヤンマじゃなきゃ、嫌」
「後で後悔しても知らねぇからな」
「するわけないよ」

 茜は笑顔を見せたが、緊張が滲んでいた。ヤンマは雑然とした自室を見渡したが、生憎、昆虫人間は布団を使わない。
その上、ヤンマはトンボなのだ。羽を痛めてしまわないために、眠る時は寝転がらずに床に直接俯せになって休むのだ。
だから、布団はない。そして、親兄弟の部屋も同様だ。客間に行けばあるが、今から運んでくるのは億劫だし、後で困る。
客間に戻す時に、親兄弟に見つかっては言及される。考えあぐねた末、ヤンマは自身が着ていた長いコートを広げた。

「ここに寝っ転がれ」
「でも、汚しちゃうかも」

 茜が目を伏せると、ヤンマは畳を小突いた。

「そんなもん、構わねぇよ。畳よりは冷たくねぇし、痛くねぇはずだ」
「うん…」

 茜はセーラー服のスカーフをしゅるりと引き抜き、畳に落とした。

「えっと、脱がしてみる?」
「無論だ」

 即答したヤンマは、正座している茜に向き直った。茜は脱がしやすいように両腕を広げたが、掴み所が解らなかった。
ヤンマの高校の女子の制服はセーラー服ではないし、中学校時代に女子の制服を脱がすような機会も経験もない。
しばらく茜を眺め回していると、茜は少し落胆した顔でセーラー服の脇にあるファスナーを上げ、袖口のスナップを外した。

「これで引っこ抜けば脱げるよ」
「すまん」

 ヤンマは苦笑いしてから、茜のセーラー服を掴んで引き上げた。頭と袖が綺麗に抜けて、下の服が露わになった。
冬場なので、ブラウスの上にニットベストを着ていた。ヤンマはそれを剥いでから、ブラウスを脱がそうとして爪を止めた。
まず、スカートを脱がさなければ脱がせられないではないか。プリーツスカートのホックを外そうとしたが、また爪を止めた。
この状況なら、スカート捲りも許されるかもしれない。そう思ったヤンマは茜のスカートを思い切り捲り上げ、中身を見た。

「んだよ、生パンじゃねぇのか」
「当たり前だよお! ていうか、いきなり何やってんのー!」

 茜はスカートを押さえ、防寒性の高い毛糸のオーバーパンツに覆われた下半身を隠す努力をした。

「まあ、ジャージ履きじゃないだけまだマシか」

 あれは色気なさ過ぎだ、とヤンマが付け加えると、茜は唇を曲げた。

「もうちょっとムードってのを大事にしてよ! 台無しじゃない! この変態!」
「男は総じて変態だ」
「開き直らないでよー!」
「んじゃ、仕切り直すとするか」

7卒業 5 859 ◆93FwBoL6s.:2009/04/30(木) 18:41:41
 ヤンマは茜のスカートを下ろすと、ホックを外してファスナーを下げて脱がせ、黒く長いコートの上に横たわらせた。
ブラウスの下から覗く色気のないオーバーパンツも剥がしてしまうと、茜は小柄な体を力一杯縮めて頬を赤らめた。

「急に恥ずかしくなってきた…」
「そう、だな」

 ヤンマは茜の姿を見下ろし、言葉を濁した。幼い頃からの付き合いなので、何度か茜の裸身は見たことがある。
もちろん、それは茜が幼児だった頃の話だ。池のほとりで無邪気に水遊びをしていた時は、膨らみなど皆無だった。
だが、今は違う。肉付きはまだまだ頼りないが、手足はすらりと伸びて全体的に丸みを帯び、可愛らしい乳房がある。
そう思った途端、抗いがたい衝動が込み上がってきた。ヤンマは上両足で茜の両手を掴んで押さえ、覆い被さった。

「全部脱がす!」
「うん」

 茜は心底恥ずかしげだったが、頷いた。ヤンマは中両足の爪でブラウスのボタンを全て外し、肌着を捲り上げた。
幾重もの服に覆われていた素肌が、ようやく曝された。ブラジャーに収まるのは、茜の手で隠せるほど小さな乳房だった。
茜は気恥ずかしげに顔を歪めたが、ヤンマはそれを無視してブラジャーを押し上げ、乳房とは言い難い膨らみを出した。

「なあ、茜」
「なぁに?」
「茜はオナったことがあるのか?」
「え?」

 茜が目を丸めると、ヤンマは首を傾げた。

「何がどうなるのか解らねぇと、そっちも困るだろ? まさか、中三にもなって何もしてねぇってことはねぇよな?」
「馬鹿! なんで今そんなこと聞くの! 超変態!」
「先に聞けるか、こんなこと。んで、どうなんだよ、茜」
「…うー」

 茜は顔を背け、消え入りそうなほどの小声で答えた。

「…ある、けど」
「そうか、なら安心だ」
「何が!」
「ちゃんと感じるんなら、ちゃんと濡れるってことだろ」

 ヤンマはぎちぎちと顎を鳴らしながら、茜の胸元にまで顔を下げた。小さな乳房を爪で握るのが怖かったからだ。
ヤンマの爪は、いずれも鋭い。茜の肌など容易く切り裂けてしまうし、力が強すぎると肉や骨までも切ってしまうだろう。
だが、顎ならまだ加減が出来るはずだ。ヤンマは大きく顎を開いて舌を伸ばし、茜の平べったい乳房に絡み付けた。

「ふひゃっ」

 外気とは違う冷たさに茜が仰け反ると、ヤンマはその両手首を軽く握った。

「我慢しろよ。すぐにお前の体温で温くなる」
「うん…」

 茜は深く息を吸い、唇を締めた。自分の手で胸をまさぐるのとは全く異なる感触に、慣れるまでは気色悪かった。
相手がヤンマだと解っていても、冷たく細長いものが這い回ってるのだから、背筋がぞわりと逆立ってしまった。
だが、茜自身の体温でヤンマの舌が温まると変わった。成長途中で硬い乳房を痛めないように、緩く締めてくる。
外気温と刺激によって尖った乳首にも絡められ、絞られる。中左足の爪の腹では、もう一方の乳首を潰してくる。
 自分で触った時とは、比べ物にならない。どこをどう触られるのか解らないし、羞恥心も手伝って感覚が鋭敏だ。
いつのまにか息が荒くなり、今まで出したことのない声が漏れてしまい、茜は口を閉じて懸命にその声を堪えた。

「下、脱がすぞ」

 ヤンマは茜の右手首を押さえていた上右足を外し、茜の下着に手を掛け、引き摺り下ろした。

「ふあ…」

 陰部を外気に曝された感覚で瞼を上げた茜は、クロッチに薄く付いた染みを見、戸惑った。

「やだ、こんなに…」
「大していじってねぇんだけどなぁ、早漏か?」

 茜の下着を見下ろしながらヤンマが言うと、茜はむくれた。

「そんなわけないじゃない! 何なのもう、さっきから!」
「すまん。俺もしたことないから、何言っていいんだかよく解らねぇんだ」

 茜の下着を制服の傍に置いたヤンマは、茜に顔を寄せ、舌先で唇をぬるりと舐めた。

8卒業 6 859 ◆93FwBoL6s.:2009/04/30(木) 18:43:45
「んう」
「下も舐めた方が、楽に入るよな?」
「たぶん、でも…」

 茜は太股を閉ざそうとしたので、ヤンマは太股の間に長い腹部を差し込んで阻んだ。

「いきなり突っ込んでも、入るわけねぇしな」
「解った」

 茜は躊躇いつつも小さく頷き、おずおずと膝を上げた。ヤンマは茜の両手から上両足を外し、上体を下げた。
部屋の明かりは敢えて付けていなかったので、光源は外から差し込む日差しだけであり、当然薄暗かった。
少ない光を受けた陰部は、滲み出た体液で光沢を帯びていた。体格に相応の狭さであろう、茜の中心だった。
浅い茂みの下では、触れてもいないのに充血した肉芽が濡れている。汗とは異なる、甘酸っぱい匂いがした。

「んで、茜はいつもどうやってんだ?」

 舌を伸ばしながらヤンマが問うと、茜は目線を彷徨わせた。

「穴の方に指を入れるのは怖いから、その、上にあるのを…」
「じゃ、そっちを責めればいいんだな」
「そうじゃなくて!」
「じゃあ、どうなんだ?」
「うー…」

 茜は顔を両手で覆い、背を丸めた。表情が見えなくなるのは惜しかったが、今のうちに慣らしてやらなければ。
ヤンマは茜の腰に爪を立てないように気を付けつつ、押さえ、初々しいピンク色の割れ目に舌を這わせてやった。
茜はびくっとしたが、足は閉じなかった。ヤンマは茜の言葉通り、茂みの中で存在を主張しつつある肉芽を舐めた。

「あ、あ、あ、あぁああ…」

 切なげに喉を震わせ、茜は身を捩った。

「うぁ、あ、ん、ヤンマぁ…」
「その声で呼ぶんじゃねぇよ」

 強張っているが熱く濡れた胎内を舌で探りながら、ヤンマは堪えた。彼女が慣れるまで、耐えきれなくなってしまう。
実際、長い腹部の先からは生殖器官が出ている。なんとか自制しているが、本音を言えば今すぐにでも入れたい。

「ひゃうっ!」

 茜はヤンマの頭を掴み、首を左右に振った。

「あ、もお、いやあっ、そこ、ダメェ、もう、ああああっ!」

 ぎち、とヤンマの外骨格に爪が立てられ、茜は薄い胸を反らした。

「おい、茜」

 舌を抜いてヤンマが顔を上げると、茜は涙の滲んだ目元を拭った。

「ごめん、なんか、凄くって」
「感じすぎだろ、馬鹿」
「だって、どうにも出来ないんだもん。ヤンマがしてくれたから」

 茜は眉を下げ、唇を押さえた。その仕草にヤンマはぎくりとし、中途半端に出ていた生殖器官が全部出てしまった。
最早、引っ込められなかった。ヤンマは茜の太股を押し上げて足を広げさせると、腹部を曲げ、熱い陰部にあてがった。

「入れるぞ」
「え、待って、そんな急に」
「力、抜いとけ。でないと、辛いぞ」

 ヤンマは出来る限り慎重に腹部を押し出し、つぷ、と浅く挿入した。茜は目を見開き、涙を滲ませた。

「う、あっ」
「痛いか? だったら一旦抜くが」
「が、頑張るぅ」

 茜はヤンマの首に腕を回し、抱き付いた。

「だから、全部、入れてぇ。ヤンマにあげるの、全部あげるのぉ」
「…どうしようもねぇな」

9卒業 7 859 ◆93FwBoL6s.:2009/04/30(木) 18:47:21
 茜の背を支えながら、ヤンマは顎を噛み締めた。処女で発達途中の体では、挿入されるだけで痛いだろうに。
茜の内側は筋肉が硬く、ヤンマの生殖器官が押し戻されそうになる。なぜ、それでも入れてくれと懇願出来るのか。
目元に溢れた涙を舐めてやると、茜は脂汗が滲んだ頬を緩めた。抜いてしまえば、茜の気持ちを無駄にしてしまう。
 時間を掛けて、奥へ、奥へと進めていく。熱くぬめった筋肉に弾かれそうになりながら、茜の中心に迫っていった。
途中で何かに引っ掛かり、途切れた。茜はヤンマに抱き付く腕の力を強め、声を堪えるかのように歯を食い縛った。
恐らく、処女膜だったのだろう。ヤンマは茜を貫いている生殖器官を見下ろし、じわりと滲み出した赤い筋を認めた。

「このまま動いたら、本気で裂けちまいそうだぞ。だから、もう抜いちまった方が」
「いやあっ!」

 茜は力の入らない足をヤンマの腰に絡め、首を横に振った。

「動かなくても良いから、抜かないでぇ!」
「だが、茜」
「だって、だってぇ」

 茜はヤンマを見つめ、ぼろぼろと涙を落とした。

「抜いたら、ヤンマが離れちゃう。ヤンマがどこかに行っちゃう。だから、抜いちゃ嫌ぁ…」
「お前には参るぜ」

 ヤンマは爪の背で茜の頬をなぞり、笑みを見せるように顎を開いた。茜は、懇願するような眼差しを注いでいる。
これでは、抜くわけにはいかない。ヤンマは生殖器官を突き立てたまま、声を殺して泣き出した茜を抱き締めた。
 体の下から、何度となく好きだと言われた。子供の頃からどんなに好きだったか、嗚咽に乱れた声で話してくれた。
その言葉を一つも聞き逃したくなくて、ヤンマは動かなかった。茜が全身で示す好意を、知らなかったわけがない。
物心付いた頃から、ヤンマの世界には茜がいた。そして、茜の世界にもヤンマがいた。ただ、それだけのことだ。
 ただ、幼い頃のように友達でいられなくなっただけだ。ただ、向け合う感情が変わっただけだ。それ以外は同じだ。
ヤンマはヤンマであり、茜は茜だ。虫であり、人だ。幼馴染みであり、幼馴染みだ。そして、掛け替えのない人だ。
 だから、恋に落ちるのは当たり前のことだ。

10卒業 8 859 ◆93FwBoL6s.:2009/04/30(木) 18:47:58
 どさり、と屋根から雪が落ちた。
 部屋の前に一瞬影が過ぎり、軽い震動が起きた。ストーブを使っているから、その熱で屋根の雪が緩んだのだ。
ストーブの前に陣取っている茜は、すっぽりと毛布にくるまっていて、湯気を噴きながら熱いミルクココアを啜っていた。
ココアを作ったのは、ヤンマである。茜が泣き止んでから生殖器官を抜き、服を着せて、落ち着けるために与えたのだ。
大して動いていないはずなのだが、茜は足腰が立たないらしく、ストーブの前に座り込んで一歩も動こうとしなかった。

「なんか、腰が変」

 茜はココアを一口飲んでから、顔をしかめて腰をさすった。

「今の今まで、ここの筋肉を使ったことがなかったからかなぁ」
「そうなんじゃねぇのか? 俺はなんともないが」

 茜の血が絡んだ愛液を拭ったティッシュをゴミ箱の奥深くに沈めてから、ヤンマは返した。

「甘くない…」

 ココアを啜りながら茜が眉根を顰めたので、ヤンマは少しむっとした。

「文句言うな。俺はそういうの飲まねぇから、味の加減が解らなかったんだよ」
「よし、決めた」

 大きく頷き、茜は宣言した。

「私も一緒に上京する! でもって、ヤンマに責任取ってもらう!」
「…あ?」

 何を唐突に。ヤンマが顎をあんぐりと開いていると、茜はにんまりした。

「だって、ファーストキスも処女もあげちゃったんだもん。結婚しなきゃ嘘ってもんでしょ!」
「あ、あの、茜さん?」
「高校はあっちの学校に入学すれば問題ないよ! 二次試験があるしね! そうと決まれば願書書かなきゃ!」
「いや、だから、なんでそうなるんだ?」
「さっき言ったじゃんか。私、ヤンマと離れたくないんだもん。連れて行ってくれなきゃ、追い掛けていっちゃうよ?」
「それは…」

 追い掛けられたら、嬉しいけど困る。ヤンマが答えられずにいると、茜は笑った。

「ヤンマも高校を卒業したし、私ももうすぐ卒業だもん。だから、ただの幼馴染みも卒業するんだ!」

 その言葉に、ヤンマは笑うしかなかった。もちろん、茜の言葉が嬉しくて嬉しくてたまらなかったからである。
茜は毛布を引き摺りながらずりずりと這い寄ってヤンマに寄り添ってきたので、ヤンマは勢い良く茜を抱き締めた。
ココアの入ったマグカップを取り落としかけたが、なんとか零さずにテーブルに置き、茜はヤンマに腕を回してきた。

「大好き」
「俺もだ。好きで好きでどうしようもねぇや!」

 ヤンマは首を倒して茜の唇を塞ぎ、言葉にすることすらもどかしい感情を表した。茜も身を乗り出し、深めてくる。
茜の両親に反対されるかもしれないが、行けるところまで行ってしまおう。茜は半身だ、欠いてしまうわけにいかない。
無論、上京するのはどちらも初めてだ。同じ国とはいえ、土地が違うのだから、二人にとっては別世界のようなものだ。
一人きりだったら耐えられないことも、二人ならば乗り越えられる。今までがそうだったのだから、これからも、きっと。
 年の差も、種族の違いも、気持ちだけは阻めない。

11859 ◆93FwBoL6s.:2009/04/30(木) 18:51:38
以上。処女と童貞の会話ほど恥ずかしいものはない。
その後は本スレで御存知の通り。

12名無しさん:2009/05/01(金) 01:17:52
こちらで感想書いたほうがいいかな
なんというGJ! お互い初めての甘酸っぱさに色々と悶えたが
茜はヤンマ好き過ぎだろうJK
いいものをありがとうございました!!

13名無しさん:2009/05/01(金) 13:26:33
茜もヤンマも初々しくて可愛すぎる!!
超GJでした。

14オカンな悪魔:2009/05/15(金) 02:04:50
非エロなのでこちらに投下します。

悪魔×少女
NG指定はタイトル「オカンな悪魔」でお願いします。

15オカンな悪魔:2009/05/15(金) 02:15:11
ネットオタク界では召喚された悪魔というモノは大概「契約」と称して召喚主の女の子を犯すものだと相場が決まっている。
たまによれた安スーツと黒縁眼鏡で「どーもどーも、このたびはお呼び頂きありがとうございました。」と出てくる中年サラリーマン風の悪魔もいるようだが、好色、不真面目、高慢が一般的な悪魔のイメージだ。
だから、友人とノリで呼び出した悪魔が学校から帰ってきた彼女を白い割烹着姿で出迎え、玄関で正座して「お帰りなさいませ、お譲様。」と言ったのを見たとき、優香が思わずマンションの作り付けの下駄箱に頭を打ちつけたのは致し方のないことだった。


「今日の学校はどうだった?」

今日も玄関で彼女を出迎えた、白い割烹着を着た身長二メートルはある男の身体に黒い牛の頭が乗った悪魔モウンが彼女の学生カバンとサブバックを持って部屋に入ってくる。
彼の論理からすると「お嬢様」は箸より重い物を持ってはいけないらしい。

「うん、まあまあだね。」
「いつも、まあまあなのだな。」

サブバックから汚れた体操服とタオル、水筒を取り出し、中に消臭剤を吹き付けると、今度は学生カバンから教科書とノートを机の上に出し、クロスでカバンを磨き始める。

「だって、いつものように授業とお昼ご飯と部活の三連続だよ。別に変わったこともないし。」
「そこに「友人との会話」ではなく、「お昼ご飯」が入るのが優香らしい。」

モウンはボソリと呟くと磨き上げてピカピカにしたカバンを勉強机に掛ける。
部活動帰り、初夏の陽気に汗で黒いショートヘアが優香のこめかみに貼り付いている。
それを一瞥すると大きな黒い鼻を鳴らした。

「シャワーで汗を落として来い。着替えは脱衣所に既に用意してある。」
「いつも、ありがと。」
「汗臭いのは「お嬢様」では無いからな。」
「悪かったわね。」

むっと睨みつける優香をモウンはどこ吹く風と流し、眉一つ動かず告げる。

「着替えが終わったら、リビングに来い。紅茶とマドレーヌを用意しておく。」

言い方は高圧的だが内容はメイドの台詞以外何物でもない。

「夕食は七時からだ。今夜の献立は鰤の照り焼きと味噌汁、かぼちゃの煮転がしに青菜の胡麻和え、ぎせい豆腐。時間厳守。八時以降の飲食は太る素。太った「お嬢様」は美しくない。」
「はいはい。」
「「はい」は一つだ。正しい日本語の使い方もきちんと学べ。」
「はい。」

口うるさいが料理の腕は天下逸品。夕食はカロリー控え目が一番と和食しか作らないのが、育ち盛りの女子中学生には今一つ物足りないが、文句を言うつもりは無い。
大人しく返事を返す優香に頷き返すとモウンは部屋を出ていった。

16オカンな悪魔 2:2009/05/15(金) 02:22:18
シャワーの音が風呂場に満ちる。モウンがここに来た次の日、近所のドラックストアで買ってきた無香料、保湿成分入り、アレルギー肌にも優しいボディソープを泡立て、全身を擦りながら優香は小さく笑みを漏らした。
悪魔を呼び出したのは友人との悪ふざけの延長だった。マンションで一人暮らしの優香のところへ泊り掛けで遊びに来たオカルト好きの友人が愛読書のオカルト本を試したのがきっかけである。自宅では家族に見つかるからと友人に頼み込まれ、悪魔召喚の魔方陣をキッチンの床に描いたのだ。
召喚の呪文を二人で読み上げ、床から魔方陣の縁に沿って白い煙が立ち上がったときには、さすがにヤバイと思ったが、結局その夜はそのまま何も起こらなかった。
しかし、泊まった友人と翌日学校の放課後別れてから帰宅すると、割烹着姿の悪魔が玄関で正座して待っていたのである。
モウンが言うには、今時契約主を犯し、堕落した魂を連れて魔界に戻るのは時代遅れなのだという。
魔界では今や絶滅危惧種とまで呼ばれる「お嬢様」の魂にこそ高いプレミアが付いているのだ。
品行方正、見目麗しく、おしとやかで何よりも穢れが無い。そんな魂がコレクションアイテムとして持て囃されているのだという。

「…しかし、だからってあたしを「お嬢様」に仕立て上げなくてもいいのに…。」

脱衣所に用意されていたワンピースを着て、全身を鏡に映しながら優香はぼやいた。
モウンが「お嬢様」御用達のブティックで買ってきたというワンピースは、今流行りの肌を露骨に見せるものではなく、清楚な、いかにも高原の別荘で夏のバカンスを楽しむ女性が着ているような上品な仕立てのものである。
だが、目鼻立ちははっきりしていて可愛いが、サッカー部の連日の練習で小麦色に日焼けし、髪も焼けてパサついている優香にはどうにも似合わない。

『そんなに「お嬢様」が良いなら他のもっと良い家の綺麗な女の子を契約主にすればいいじゃない。』

そう言ってモウンに都心でも有名なお嬢様学校の名前をいくつも教えてあげたのだが、彼の話では呼び出した契約主を変えるのは魔界において最も恥ずべき行為であるらしい。

まあ…あたしも生まれは「お嬢様」なんだけどね…。

小さく肩を竦めて脱衣所を出て、リビングに入るとテーブルにマドレーヌが可愛い花模様の皿に乗せて置いてある。
ソファーに座るとモウンがポットを傾けて、紅茶をカップに注いだ。

「ありがとう。」

礼を言って紅茶を一口すする優香を見て、モウンが割烹着のポケットからメモ帳を取り出すと鉛筆を走らせる。

「日焼け止めにトリートメント…と。日焼けケア用のローションも居るな。」

自分を眺めながら買い物のメモを取る悪魔の姿に思わず頭痛を覚えて、優香は頭を抱え込んだ。

17オカンな悪魔 3:2009/05/15(金) 02:38:07
就寝は十時、それ以降は肌に悪いと追いやられたベッドで布団にくるまりながら、優香は天井を見上げた。
部屋の隅ではカーテンの隙間から差し込む月明かりの中で、モウンが腕組みをして壁にもたれて座っている。
いくら防犯設備完備のマンションとはいえ、少女の一人暮らし。もしものことがあって優香が純潔を散らしては、折角手を掛けた労力が水の泡と、モウンは夜は彼女の部屋で見張りをしている。
優香は布団に顔を埋めると小さな溜息をついた。
彼女がこのマンションに一人で住んでいるのは理由がある。本当は父方の祖母と二人で住む予定だったのだ。
その祖母は、初めてのセーラー服姿の優香といっしょに中学校の入学式に出席した晩、突然倒れあっさりと帰らぬ人となった。
優香は見た目は普通のどこにでもいる元気そうな女の子だが、生まれは「お嬢様」だ。
父はいくつものグループ企業を持つ大企業の社長、母は政財界に大きな影響力を持つ有力議員の一族の娘、その間に生まれた一人娘である。
最も、父も母も周りの思惑と自分達の利益の為に結婚しただけで、彼女を生んだのも二人が社会人としての体面を整える為だったが。
仕事に遊びに忙しく、帰ってきたと思えばそれそれの愛人を家に引き込む父母に代わって、彼女を育ててくれたのは優しい祖母だった。
祖母は、このまま父母の元に居たら孫がダメになると感じ、家を出てこのマンションを買い、彼女を普通の中学校に入学させた。
だが…二人っきりの楽しい生活が始まると思った矢先に、祖母はいなくなった。
残された優香は父が二日に一度寄越す家政婦に家事をして貰いながらずっと一人で暮らしていたのだ。「お嬢様」を欲しがる奇妙な悪魔を呼び出すまでは。

18オカンな悪魔 4:2009/05/15(金) 02:43:43
モウンは優香が「お嬢様」になったら、コレクションとして魔界に連れて帰ると言っている。

コレクションになったら、あたしはどうなるのだろう…。

父の薄暗いコレクションルームが脳裏を過ぎり、優香は身震いをすると部屋の隅のモウンに目を向ける。
モウンは項垂れて動かない。眠っているようにも見える。そっとベッドから降りて、部屋の隅に近づくと、彼は顔を上げた。

「なんだ、睡眠不足はお肌の大敵だといつも言っているだろう。」

眠れないというのなら子守唄でも歌ってやろうか?至極真面目な顔で言う悪魔の前に優香は座った。

「コレクションになったら、あたしをどうするの?」

モウンが訝しげな目で彼女を見下ろす。

「魔界の俺の城に来て貰う。」

彼はあっさりとそう答えた。

「お城!?」

優香が目を丸くする。

「お城持ってるの!?」
「小さいがな、一応俺は爵位を持っている。」
「ええっ、じゃあ公爵様なの!?」

貴族、爵位というとそれしか浮かばない優香が大声を上げる。

「いや、男爵だ…。」

モウンがボソリときまり悪そうに下位の爵位を呟いた。

「でも貴族なんでしょ、なのに、どうしてこんなに家のことがいろいろ出来るの!?」
「規則正しい生活と食事での肉体管理が俺の趣味だ。」

モウンが大きな鼻を鳴らし、ぐっと太い腕を曲げて力瘤を作る。

「そうなんだ…。」

優香が戸惑いつつも納得する。道理でやたら健康管理にうるさいわけだ。

「でも、そうなるとあたし、魔界のお城に行ったら変な液体に沈められて陳列されたり、モウンにアレやコレやされた後、飽きたら魔物にアンナコトされたりするの?」

恐々と上目使いに訊ねる優香にモウンが呆れた溜息をつく。

「…お前、最近ネットで妙なサイトばかり覗いてないか?」

健全な「お嬢様」の精神の為にもフィルタリングを導入しなければならんな。妙に人間界馴れした悪魔が優香の机の上のパソコンをちらりと見る。

「お前は俺の格を上げる為の大事なコレクションだ。そんなことをするか。」

モウンが首を振って、嘆きの息をつく。

「そうなんだ…大事にしてくれるんだ…。」

優香は膝立ちになると彼に詰め寄った。

「じゃあ、ずっと側にいてくれる?」

優香の瞳に揺らめく強い光に戸惑いつつモウンが頷く。

「まあ、俺の城に共に住むのだからな。」
「そっかぁ!!」

優香は思わずモウンの太い黒い首に細い腕を回して抱き付いた。モウンが目を丸くして自分を凝視している。
その顔が何故か可愛くて、思わず笑い出すとそのまま彼の顔に自分の顔を近づける。
ピンクの柔らかな唇が悪魔の大きないかつい唇に重なった。

「お休み!夜更かしはお肌の大敵だもんね!」

優香がモウンから離れるとベッドに飛び跳ねるように戻る。
布団に潜り込む彼女を見つつ硬直している彼に

「頑張って早くモウン好みの「お嬢様」になるね。」

と微笑みかけると目を閉じた。
しばらくして少女の小さな寝息がベッドの中から部屋に流れ出す。

「参ったな…。」

唇を指で撫でボソリと呟く悪魔の声が少女の寝息に混じり、消えていった。


(了)

19オカンな悪魔:2009/05/15(金) 02:47:47
以上です。

失礼しました。

20名無しさん:2009/05/15(金) 18:41:01
>>14
GJ
ほんのり萌え。
モウンがツンデレに思えるのは気のせいかw

21名無しさん:2009/05/16(土) 23:18:04
>>14
半獣型悪魔ktkr
モウンさんは明らかにめいどg(ry じゃなかった 家政ガイ。
お持ち帰りした後のラブエロもみたいです師匠!

22名無しさん:2009/05/18(月) 01:18:05
>>14
優香がどんなサイトででそんな知識を付けたか気になるぜw
GJでした。

23名無しさん:2009/05/29(金) 01:08:34
こういうのも大好物です。GJ!

24オカンな悪魔2:2009/05/31(日) 04:09:41
微エロとストーリー上、話の殆どで人外が人に化けているのでこちらに投下します。

悪魔×少女
NG指定はタイトル「オカンな悪魔2」でお願いします。

25オカンな悪魔2 /1:2009/05/31(日) 04:15:12
『これで冷やせ。』

何故か自分を見て玄関の作り付けの下駄箱に頭を思いっきりぶつけた少女に冷凍庫のアイスノンを手渡す。

『…ありがとう。』

第一印象のショックが大き過ぎたせいか、少女はそれ以上騒ぐことはなくあっさりと礼を言って受け取り、
頭に乗せて『本当に出て来ちゃった…。』と顔を顰めた。

やはりな…。

モウンは赤い瞳を歪めた。
キッチンの床に残っていた稚拙な魔方陣の跡、あんなモノで本当に悪魔が呼び出せるはずがない。
召還の呼び掛けもごく軽いモノだった。本当に、ちょっとした遊びだったのだろう。

だが、利用させて貰う。

少女に見えないように口端に小さい曲線を描く。
モウンの男爵家は元は古代妖魔との戦いで数々の武勲を揚げた侯爵だった。だが時代が流れ、古代
妖魔を地下に封印し、魔界に温い時が流れるようになった今、未だに忠誠心を失わない多くの魔獣軍を
持つ侯爵家はその力を恐れる中央の貴族達の姦計に乗せられて没落、辺境の田舎貴族と成り果てている。

魔王達に媚を売ることしか能が無い連中にここでちょっと一泡噴かせてやるのも面白い。

モウンはゆっくりと口を開いた。

『契約を言え。どんな望みも叶えてやる。だが、望みを果たしたらお前は俺の「お嬢様」コレクションに
なって魔界に来て貰うことになる。』

『望み?どんなことでも良いの?』

少女はアイスノンを頭から外して置くと周囲を見回した。片付き過ぎた部屋に小さく息を吐くと考え込む。

顔立ちは悪くない。スタイルはこれから発育させれば良い。肌が浅黒いのは日焼けだ。襟元の肌の白さと
きめ細やかさに思わず笑みが零れる。それにこの魂の輝きときたら…。

『あたしの望みはね…。』

少女が口を開いた。黒い牛の顔の割烹着をきた大男を見上げ、くすりと笑う。

『あたしをいっしょにこの家で暮らしてくれること。』

こうして悪魔と少女の奇妙な共同生活が始まった。

26オカンな悪魔2 /2:2009/05/31(日) 04:22:28
薄く立ち上る線香の煙の中、黒いワンピース姿の優香が灰色の墓石に白房の数珠を掛けた両の手を合わせている。
蝉時雨が鳴り渡る墓地の、大小様々な墓の間の狭い通路をぶらぶらと歩きながら、モウンは石の弾く
強い夏の日差しに顔を顰めた。
八月半ば、旧盆の昼前。気温は今日も殺人的にグングンと上がり、花活けに飾られた供花がぐったりと
項垂れている。

…まあ、磨けば光る原石だとは思っていたがな。

墓石の間から、ここ五ヶ月間の自分の仕事の成果を眺め、彼は満足げに鼻を鳴らした。
外出の為、モウンは人間の男に変化している。浅黒い四角い顔に大きな鼻、角刈りの身長二メートルは
ありそうな黒いスーツの大男が『「お嬢様」は箸より重いものを持ってはいけない。』という彼の信念から、
優香の可愛らしい女性向けのバックを手に歩いているのを見て、すれ違う参拝客が顔を強張らせ、
こそこそと道を譲っていく。
今日は二人は優香の祖母の墓参りに来ていた。
マンションを出てから、途中の花屋で白い小菊の花束を買い、墓についてから周囲の草むしりと掃除をし、
花を活け、ロウソクと線香を手向けた。その間中、周りの注目を集めまくる連れに、

『モウン、悪いけど少し離れていて。』

と優香が困った顔で頼み、彼は彼女に日傘を離さないよう、しつこいくらい言い聞かせると側を離れたのだ。

しかし…五ヶ月でここまでになるとはな。

少女の横顔を眺め、目を細める。
パサついていた黒髪は光沢を帯び、浅黒く焼けていた肌はうっすらと白さを取り戻している。
発育不良気味だったスタイルも少しは育ち、へこむところはそのままに、出っ張らなければならない
ところは若干サイズアップしている。面立ちも最初に会った頃に比べ、更に明るくなり、
時折浮かんでいた不安げな表情が消えて、落ち着きが漂うようになった。

このまま育てれば…。

自分を小馬鹿にしている連中のコレクションの「お嬢様」を思い浮かべ、ほくそ笑む。

ただ見栄えばかりが良い白痴美人等、比べ物にもなるまい。金と権力の乳母日傘の下ぬくぬくと育ち、
悪魔の保護下で蝶よ花よとふわふわと生きている「お嬢様」等、俺の優香に比べれば…。

モウンが自分を呼び出した二人の少女のうち、彼女を選んだのは魂の輝きの違いからだった。
父母にこれだけ存在を無視され、ただ金だけを与えられている娘なのに、優香は明るさを失わない。
金銭は豊富にあるのだから父母への反抗に堕ちようと思えばいくらでも堕ちられるのに、むやみに乱れることもない。

よほど祖母とやらの育てが良かったのだな。

自分が育てた「お嬢様」に他の悪魔達が目を剥く様を描き、モウンは彼女の前の墓に感謝の意を投げ掛けた。

後はあれに女の色香が漂えば…。

白い肢体を腕に抱く様を思い浮かべる。あの小さなピンクの唇と柔らかな口内を厚い青黒い舌で、
思う存分蹂躙し、知識と拙い自分の手ぐらいでしか知らないだろう悦びを一つ一つ、身体に
教えて込んでいく。そして、いずれは黒い瞳を潤ませ、甘い息を吐きながら擦り寄るように…。
そこまで想像してモウンは奥歯を噛み締めた。ギリッと鈍い音が頭の中に響く。

どうかしている…「お嬢様」は無垢でなければならないというのに…。

欲望と快楽は悪魔の専売特許。だからこそ、「お嬢様」を手元に置くことにはコレクションとしての意義がある。
清らかなモノを汚し堕落させたいという悪魔の本能を押さえ、どこまで「清い」まま手元に置き続けられるか、
これもコレクターの評価の大きな一つなのだ。

なのに…。

あの晩以来、自分の中に澱のように溜まっているもどかしい思いにモウンは顔を顰めると深い息を吐き出した。

27オカンな悪魔2 /3:2009/05/31(日) 04:28:22
「ん…?」

今は周囲に合わせて黒色に変えているモウンの瞳が微かに歪む。

「呼ばれてきたか…。」

夏の日差しに照り光る墓の周りがいくつか陽炎のように揺らめいている。燃えるような暑さの中、
陰気な気配がうっすらと辺りに漂った。
死者の念だ。幽霊と呼ぶにも至らない、残留思念のようなモノである。たぶん、盆参りの人々の故人への
呼び掛けに釣られて出てきてしまったのだろう。蝉時雨と眩しいまでの陽光の中をいくつもふわふわと浮いている。
モウンは鼻を鳴らして、足早に歩き出した。悪魔にしてみれば羽虫ほどにもならない、
空気の揺らぎ程度のものだが、精神的に弱っている人間には悪い影響を与えることもある。
念の為、自分の契約主の少女の元に戻る彼の前を念が過ぎった。
手で払うまでもない、通り過ぎるだけで悪魔に触れたそれはあっけなく消えてしまう…が、周囲を
いくつも漂うそれが一箇所に集まりつつあるのを感じ、モウンは顔色を変えた。

「…優香…。」

その先には優香がいた。祖母の墓の前にうつむいている。胸の前で数珠を握り締めた手が小さく小刻みに
震えているのが見えた。漂う陰気な念は次々と集まり、そんな彼女に纏わり付こうとしている。

「優香!!」

鋭い声で少女の名を呼ぶが聞こえてないのか、顔をあげない。暗い気を背負った少女に引き寄せられるように
念は集まり、その気配を濃くしていく。濃くなった念は徐々に死霊へと変化する。
死霊は弱った人間に憑くと、憑かれた者を更に弱らせ、自分達と同じ世界…死の世界へと誘う。

「優香!!」

死霊に囲まれつつある少女を抱き寄せ、近づくものを目だけ元に戻した悪魔の赤い瞳で追い払う。
しかし数が多い。墓地のあちらこちらから旧盆の迎え火に便乗してやってきた念が次々と集まり彼等を包む。

「おばあちゃん…。」

優香の口からポツリと呟きがこぼれた。彼女の立っていた足元がこの暑さの中濡れている。
小さな顎に手を掛けると指がぬるりと濡れた。顔を上げさせるとうつろな黒い瞳が彼を見上げる。
頬全体が濡れ、わななく口から祖母を呼ぶ声が漏れる。
モウンは奥歯を噛み締めた。どうやら糸が切れたらしい。たった一人、彼女を愛してくれた祖母を亡くして一年半。
ずっと一人で頑張ってきた張りがプツリと切れたようだ。無理もない、まだ14歳、普通でも不安定な年頃だ。

「…おばあちゃん…おばあちゃん…。」

祖母を呼ぶ声が、嘆きと悲しみの念が、祖母ではなく周りの陰気な念を呼び、死霊へと変えている。
モウンは小さく舌打ちをすると口の中で力ある言葉を呟いた。


『優香!!』

遠くで呼ばれる声が少女の頭を通り抜けた。
墓参りに来た彼女の目に映ったのは灰色一色の祖母の墓だった。
旧盆も終わりの一日、周りの墓は花が飾られ、ロウソクと線香が上げられた跡が残っているというのに、
祖母の墓には何一つ置かれていない。

おばあちゃんもひとりぼっちなんだ…。

そう思った途端、何かが自分の中で壊れた。

おばあちゃんもひとりぼっち…あたしもひとりぼっち…。

祖母の墓に祈っているうちにいつしか涙が溢れてきた。
何も無い墓に、たったひとりで暮らしていたころの自分が重なる。

きっとあたしがあのまま一人で死んじゃってもお父さんもお母さんも、おばあちゃんのように
放って置くんだろうな…。

両親には家族など何の意味も持たない。その事実が彼女を只一人愛してくれた祖母の墓にはっきりと印されていた。

『優香!!』

また声がした。と、同時に何か大きくて暖かいものが自分を抱き締める。
太い腕が背中をしっかりと抱える。顎を軽く摘まれ持ち上げられた。

もう、いやだ。こんなところいやだ。おばあちゃんのところへ行きたい…。

「…おばあちゃん…おばあちゃん…。」

祖母を呼ぶと小さな舌打ちの音が聞こえた。少し間を置いて、すっと蝉時雨の音が遠のく。

『…優香…。』

小さな、だが優しい声が耳に響くと唇に大きな暖かなモノが重なった。

28オカンな悪魔2 /4:2009/05/31(日) 04:36:43
暖かい…。

自分を包み込むモノが重なるモノが暖かくて、手を大きな何かに回してギュッとしがみ付く。
何かが自分の背中を優しく撫でている。

…手…?

大きな手が自分の背中の感触を味わうように上下している。上から下へ、下から上へ、ゆっくりと背骨に
そって太い指が動く。

「…あ…。」

気持ちが良い。ぞくぞくするような感覚が背中を駆け上り、息が軽く乱れる。小さく漏れた声を
重なる大きな唇が吸い取る。

「…あ…ん…。」

手は一つはしっかりと優香の腰を抑え、もう一つは彼女の反応に答えるように更に下に下がる。
黒いワンピースのスカートの上から、大きな手が今度は彼女の小ぶりな尻を撫で回す。

「う…ん、…あ…。」

気持ち良さと恥ずかしさに小さく身じろぎをするが腰の手ががっちりと彼女を抑えていて動けない。
手は撫でるだけでなく、指で弾力を楽しむように柔肉を押してくる。

「…やっ…だめ…。」

押される度に甘い感覚が沸き起こる。喘ぎつつ抗議するが声は全て吸い取られてしまう。
しかし、それはしっかり相手には伝わっているらしく、手の動きは段々大胆になっていく。

「…やだ…あん…は…ふ…。」

尻全体を揉みしだかれる。太い指が割れ目に入り柔肉を押し広げなから上下する。
撫でられる度に感覚がますます鋭くなり、ビクリ、ビクリと背中が震える。
いやらしいことをされていると解かっているのに抵抗が出来ない。包み込むような逞しい胸が暖かくて、
重なっている唇が心地良くて、腰に回された手が優しくて、気持ち良くてたまらない。
しがみ付く手に力が篭る。息がますます荒くなってくる。下腹部と足の付け根がだんだんと熱を帯びて、
そこも触れて欲しくなる。
熱い息を吐きながら優香は目を開けた。いつもの黒い牛顔の自分の悪魔の顔がそこにある。
顔を見下ろす赤い瞳は何故か怖いくらい真剣だ。優香は再び目を閉じると自分から伸びをして
唇を押し付けると囁いた。

「…モウン…もっと…。」

その声に手がスカートの中に入り込む。ゆっくりと太ももを外から内側に指が這い上がる。

「…あ…あん…!」

さやさやと鳴る衣擦れの音がひどく恥ずかしい。なのに身体はもっと強い刺激を欲しがる。
そっと閉じた足の力を抜く。それを合図のように指がショーツの縁に掛った。

『お母さん!早く!!』

パタパタと軽い足音が聞こえてくる。小さな男の子の声が側を駆け抜け、次の瞬間二人は慌てて離れ、
互いに飛び退いた。

29オカンな悪魔2 /5:2009/05/31(日) 04:42:07
大きく深呼吸をすると優香はスカートの乱れを直した。ちらりと横目でモウンを見上げると彼は顔を背けて
眉を顰め、何かブツブツと呟いている。

「「お嬢様」は「清らか」でないといけないんじゃなかったの!?」

気持ち良さに負けてつい自分から誘ってしまった恥ずかしさから、つい責める口調で文句を言うと
悪魔はやむえない手段だっただの、不可抗力だの、もそもそと言い訳を始める。

パシン!!

突然、空気の鳴る音がした。さっき自分達を邪魔して…もとい、止めてくれた親子連れが薄い膜のような
揺らぎの向こうで驚いた顔でこちらを見ている。

「調子ついてきたな。」

モウンが周囲を睨み、舌打ちする。

「あっ〜!!」

突然、優香が悲鳴を上げた。

「モウン、元の姿に戻ってる!!それに、もしかしてさっきの皆に見られてた!?」
「…今頃、そこに気が付くか?」

呆れた声に優香は周囲をきょろきょろと見回した。親子連れの他にも墓地にはちらほらと花や桶、
ヒシャクを持った参拝客の姿が見える。少女の顔が真っ赤に染まった。

「やだあ!!もうお嫁に行けない!!」
「行かんでいい!!お前は俺のコレクションだろうが!!」

何故か大声を出した後、モウンが眉間を揉む。

「大丈夫だ、ここは元の世界から薄紙一枚程隔てた異空間だ。こちらからは外が見えるが、向こうからは見えない。」

その答えに優香は赤い頬を両手で押さえつつ、ほっと息をついた。

パシン!!バチン!!

また音が鳴る。バンバンと壁を手の平や拳で叩くような音が重なる。
気味の悪さに慌ててモウンに飛び付くと、彼はしっかりと彼女の肩を抱き寄せた。

「ラップ音だ。死霊が調子ついて鳴らしている。こちらの空間に気付いて、入り込もうとしているモノもいる。」
「死霊?」
「なんなら見るか?今、目の前に沢山並んでいるぞ。ちょっと霊感を高めれば見れるが。」
「…夜、眠れなくなるから辞退致します。」

ぶるりと身震いして優香が丁重に断る。

「そうか。なに、お前が正気に戻ったなら心配は無い。追い払うから待っていろ。」

優香の肩を抱いたまま、モウンは軽く手を振った。ゴウッと音がして参拝客の悲鳴が上がる。
熱い風が墓地を吹き抜ける。墓の前の供花達が大きく揺れた。
風に音が次々と消える。恨みがましい悲鳴のようなものが聞こえ、優香は彼にしっかりとしがみ付いた。
モウンが指を鳴らす。目の前の揺らぎが消え、つんざくような蝉時雨が降ってくる。

「もう、大丈夫だな。」

ギュッと肩を抱く手の強さに隣の悪魔を見上げると、いつの間にか人の姿に変化し直した彼は大きな手で
ワシワシと優香の頭を撫でた。

30オカンな悪魔2 /6:2009/05/31(日) 04:44:14
風に流された日傘を探しに行った悪魔が戻ってくる。

「ちゃんと差していろ。紫外線は肌の大敵だ。」
「うん。」

大きな手からそれを受け取ると優香はモウンの顔を見上げた。
小さく日傘を回して微笑む。

「おばあちゃん…。」

優香は祖母の墓に向き直った。

「あたし、もうひとりぼっちじゃないから。」

甘えるように隣の悪魔の腕に腕を絡める。

「ねえ、モウン。」
「…まあな。」

むすっと答えるモウンに明るい笑顔を向けると腕を離し、もう一度日傘を回して歩き出す。

「お昼食べに行こう!この近くのカレー屋さん、インド風のチキンカレーとナンがおいしい店を教えて貰ったんだ!」
「ああ。」

優香の細い足が弾むように石畳を蹴る。さっきの暗い気から立ち直り、笑顔ではしゃぐ少女を、
悪魔が眩しそうに見詰める。
優香の日傘が細い道を曲がり、木造りの寺の門へと消えた。

「…まさか…この俺がな…。」

モウンの口から真剣な声が漏れた。頭に浮かんだ認めたくない答えに首を振ると、ふと背中に揺らぎを感じる。
優香の祖母の墓、日差しにキラキラと煌く小菊の間に陰気を帯びない念が揺らめきながら現れる。
悪魔は黙ってそれを眺めた。大きく息を吐く。

「早く〜!!何してるのぉ〜!!」

優香の声が自分を呼んでいる。クルリと踵を返し、そちらに足を向ける。

「心配するな。もう決して一人にはしない。」

低い呟きともとれる声が蝉時雨の中、しっかりと響いた。


(了)

31オカンな悪魔2:2009/05/31(日) 04:46:12
以上です。

失礼しました。

32名無しさん:2009/05/31(日) 12:54:18
いいよいいよ!GJ!
お嬢様を育てる悪魔ってのがとてもいいシチュだ!

33オカンな悪魔終:2009/06/14(日) 03:20:41
「オカンな悪魔」の最終話です。

悪魔×少女
和姦 挿入無し。
NG指定はタイトル「オカンな悪魔終」でお願いします。

34オカンな悪魔終:2009/06/14(日) 03:22:57
繊細なバイオリンの旋律のクラシックが会話を邪魔しない程度の音量で静かに流れている。
ピンと張られたシミ一つ無いクロスが敷かれたテーブルには香りを押さえた花が飾られ、
壁には美術展で見るような重厚な質感の油絵が掛けられている。
東京ミシュランにも掲載された創作フランス料理の高級レストラン。
価格破壊の激しい最中、ワインだけで十万円以上取られるレストランの個室で、
優香は目の前の白い皿の濃厚なソースの掛ったステーキを苦労して腹に収めていた。
去年の春から同居している、口うるさいが料理の腕は天下逸品の悪魔の作る薄味の和食のせいで、
夕食に重いモノは胃が受け付けてくれない。
お腹に溜まる食事に小さく息をつくと最後の肉片を飲み込み、背の高いグラスから水を飲んだ。
食が中々進まないのはテーブルに同席している一組の男女のせいもある。
ブランドのスーツを普段着のように自然に着こなした薄い顔の男と、一回ン十万円のエステのお陰で
未だに一つの皺も弛みも無い整った顔の女。

「うむ…例のミシュラン掲載以来、少々味が濃くなったな。」
「押し掛ける大衆客向けに味を変えたのかしら。」

お互い作ったような笑顔で自分に笑い掛ける二人…自分の両親に優香は聞こえないよう深く息を吐いた。

35オカンな悪魔終 /2:2009/06/14(日) 03:26:22
最後に運ばれてきたデザートにほっと息をつくとスプーンを取り上げる。
これまた濃厚な味ののムースに胸焼けしながらも、これで最後と無理をして食べていると、
隣で食後酒を飲んでいる父がチラリと優香を見た。

「お前も今年で中学三年生か…。」
「えっ?そうなの?」

母が驚いた声を上げる。そんな母に小さく苦笑を口端に刻むと父は、彼がいつも取引相手に
そうするように優香を上から下まで値踏みするような目付きで眺めた。

「進学先は決めておくから、今度のテストの結果を送れ。成績次第では受験まで学習プランを立てねばならん。」
「…学校はどこにするの?」

優香の消え入りそうな声の問いにグラスを傾けつつ唸る。

「如月グループの娘に相応しいところだ。全く母さんにも困ったものだ。
あんな平凡な学校に決められたお陰で三年間が無駄になってしまった。」

無駄ときっぱりと言われ、優香の持つスプーンが小さく震え、皿に固い音を立てる。

「だから私が言ったでしょ。海外の学校が良いって。お母様ったらそれでは優香が一人で
可哀想なんていうんだもの。今度こそ海外のお嬢様学校にしましょうよ。良い自慢になるわ。」
「…それじゃあ、今のお友達と離れちゃうよ…。」

小さく抗議する娘に母がコンマ一ミリ単位で整えた細い眉をピクリと動かす。

「あんな一般の学校の子なんてどうでもいいでしょう。新しい学校でもっと格式のある家の子と
付き合えば良いじゃない。」

優香は小さく唇を噛んだ。
いつもこうだ。父と母は自分言うことなど少しも聞きはしないし、自分の気持ちを考えることなど
最初からしようとすらしない。
虚しさの漂う会話に、もうこんな不快な時間は早く終わらせようと無理矢理、皿のムースを口に押し込む。

「それと最近お前のマンションに一緒に住んでいるという男のことだが…。」

父の言葉に優香の口の動きが止まった。

「やだ、この子ったらこの歳で男を部屋に引っ張り込んでいるの?」

母が嘲るような笑みを父に向ける。「誰に似たのかしら?」

「お前だろう。」

あっさりと眉一つ動かさず父は母に言ってのけると優香に向き直り言葉を続ける。

「母さんの知り合いの親戚の男という触れ込みらしいが調べはついている。
どこの馬の骨かはしらんが早々に追い出すからな。代わりに家庭教師兼任の家政婦を入れる。
今度は住み込みで勉強も生活面も厳しくしつけてくれる者をな。」

…モウンと別れさせられちゃう…。

スプーンを握る指が震えながら白くなる。微かにぼやけ始めた視界の向こうで父と母がお互いに
皮肉りながら自分の進路を話し合っている。
完全に自分を置いてけぼりにした会話を聞きながら、優香は必死に二人の前で泣き出してしまわないように
唇を噛み締めていた。

36オカンな悪魔終 /3:2009/06/14(日) 03:29:27
「遅い。」

マンションの入り口でオートロックを開けて、自分の部屋の玄関のドアを潜った途端、
玄関で正座で待ち受けていた割烹着姿の黒い牛頭の悪魔が文句を言う。

「ごめんなさい。」

小さく謝ると大きな手を伸ばし優香の手のバッグを受け取る。

「お前に言っているんじゃない。全く中学生をこんな夜中まで引き回してお前の両親は何を考えているのだ?」

既に日付が変わった時計の針を睨むモウンに、「自分達のことしか考えて無いよ。」と答えそうになって
優香は口をつぐんだ。

「風呂が沸いている。入って来い。着替えももう用意してある。」
「うん。」

いつものように手際の良い悪魔に素直に頷く。
次々と先回りして世話を焼いてくれるモウンの隣がいつも以上に心地良い。バッグの手入れをする為、
自分の部屋に向かう大きな背中に急にすがりつきたくなって手を伸ばしかける。

…別れたくない…!!

先程見た父の薄い笑みが脳裏を横切る。少女は一つ息をつくと腕を下ろし風呂場へと向かった。


風呂場は柔らかなラベンダーの香りが満ちていた。
この一年の付き合いでモウンは、彼女が両親と会ったときは心身共に疲れて果てて帰って来るのを知っている。
薄紫色のお湯に満たされたバスタブで細い手足を伸ばして、優香は湯気の向こうの白い壁を眺めた。

『優香ちゃん、お風呂が沸いているから入ってらっしゃい。』

優しい祖母の声が聞こえる。祖母も彼女が両親と出掛けて帰って来た時は、
この香りのするお風呂を用意してくれていた。

「おばあちゃん、あたしね、モウンに出会ったとき、おばあちゃんの代わりをしてくれる人に会えたと思ったの…。」

小さな声が風呂場に響く。

「でも…今は違うんだ…。」

あの、いっしょに居てくれると言ってくれた晩のキス以来、モウンの態度はわずかながら優しくなってきている。
初めは自分のコレクションの「お嬢様」を育てる為の、手は込んでいるが事務的な世話だったのが、
少しずつ優香の気持ちに合わせてくれるようになっていた。
いつもどんなに遅くなっても玄関で待っていてくれる。落ち込んでいると黙っていても
優香の好きな食事を作ってくれ、なるべく側にいてくれる。
いつも態度はそっけないが、そこには自分への気持ちが込められている気がした。

「…別れたくない、離れたくないよ…。」

声が涙を帯びていく。
ずっと側にいて欲しい。世話を焼いてくれなくていいから、「お嬢様」コレクションのひとつでいいから、
ずっとずっといっしょにいて欲しい。

「…モウン…。」

喉の鳴る音が重なる。湯気以上にぼやけた視界に優香は両手を顔に当てた。ずっと堪えていた涙が零れ落ちる。
しかし、父はやるといったらやる男だ。いずれは自分がそうしたように自分の都合良く嫁がせる
一人娘に悪い噂が立たないよう、モウンをどんな手段を使っても優香から引き離すに違いない。

「やだよ…だって…あたし、モウンのこと…。」

父や母からすれば今の自分の想い等、爪の欠片程にも気にならないモノだろう。
手で顔を覆ったまま優香はどうにも出来ないむなしさにポロポロと泣き続けた。

37オカンな悪魔終 /4:2009/06/14(日) 03:31:54
風呂から上がってパジャマに着替えリビングに入ると、テーブルの上に可愛い花柄のカップが置いてある。

「ジャスミンティーだ。口の中がさっぱりする。」

隣に座った世話焼きな悪魔の声に暖かな金色のお茶を啜る。涼やかな花の香りと共に
口の中に粘ついたまま残っていたムースの味が溶けて流れていく。

「後、これも飲んでおけ。胃薬だ。お前は夜中に重い食事を取ると必ず胃がもたれるからな。」

トレイに乗せて差し出された水と粉薬を受け取り飲み込む。薬の苦味に顔を顰めてジャスミンティーの残りで
口をゆすいでいると大きな黒い手が頭の上に乗った。

「いやに長風呂だと思っていたら、泣いていたのか?気にするな。お前の両親等、俺にかかればどうにでも出来る。」

内容は物騒だが優しい響きの声に顔を上げる。赤い瞳はあの墓参りの出来事以来、どこかいつも自分に暖かい。

…モウン…。

優香は思わず彼に飛びついた。

「おい!?」

いきなり首に抱きついてきた少女にモウンが驚きの声を上げる。
それに構わず優香は彼の背中に手を回すと思いっきり叫んだ。

「あたしを今すぐ魔界に連れて行って!!」
「はぁ!?」
「お願い!あたしを今すぐにモウンのお城に連れていって!!」

抱きつく手に力を込め、呆然としている悪魔に訴える。

「お願い、向こうでモウン好みの「お嬢様」になるから、もしなれなかったらメイドさんでもなんでもやるから、
あたしをモウンの側に置いて!!」
「…おい、優香…。」
「お父さんがモウンをここから追い出すって…。」

また涙が零れ出す。

「お父さんはするっていたら、何でもやってしまう人なの。あたし、モウンと別れさせられちゃう…。」
「おい、お前は俺をいったい何だと…。」
「別れたくないの!!離れたくなんてないの!!」

ギュッとしがみ付き、暖かな大きな肩に顔を埋める。

「…あたし、モウンが好きだよ。大好きだよ。だから、お願い、ずっと側に居させて。」

赤い瞳を丸くしている悪魔に顔を上げ、涙に濡れた目を向ける。
優香はそっと柔らかなビロードのような短い毛に覆われた首から頬へと手を撫でるように回した。
そのままモウンの頬を両手で挟む。ゆっくりと顔を近づけ自分の唇を彼のいかつい唇に重ねると、
目を閉じて強く押し付けた。

38オカンな悪魔終 /5:2009/06/14(日) 03:34:34
…全く、この娘は…。

目を閉じ、すがりつくように自分に口付ける少女の背に腕を回して抱き寄せる。

…どこまで、俺を惑わせれば気が済むんだ…。

いつもなら、連れて行けと訴えた段階で嬉々として魔界に連れて行くところだ。…普通の人間なら。
ゆっくりと唇を動かし、優香の小さな下唇を挟む。そのまま上唇を上げて少女の口を開けると舌を
暖かな口内へと滑り込ませた。

「…んっ…。」

モウンの厚い舌に優香が小さく呻く。チロチロと舌を動かし中をまさぐるとおずおずと彼女は自分の舌を絡めてくる。
一度唇を離し、今度は彼女の口を覆うように口を重ねる。モウンは再度舌を彼女の口の中に潜り込ませた。
拙い動きの優香の舌に強引に舌を絡める。舌を離すと歯列を頬の内側を舌先でなぞる。
クチャリと湿った音がお互いの頭に響いた。

「…ふ…っ…。」

塞がれた口から篭った呻き声が漏れる。
小さな少女の口には余る大きな牛の舌を受け入れているというのに優香は引こうとはしない。
手を首に回しすがりつく少女の身体をモウンはしっかりと抱き締めた。
自分と契約した様々な人間の顔が浮かぶ。永遠の美貌と若さを求め、自ら淫魔となることを望んだ少女、
悪魔の与える快楽を求め身体を投げ出した女、自分から見れば、つかの間の現世での富と名誉を求め
悪魔を喚んだ男、すべて望みを敵えた時点で自分の格を上げる魂のコレクションとして魔界に連れて帰った。

だが…。

暖かな少女の口内を思う存分味わいながらモウンは満たされるような心地良さに酔った。

この娘は、優香は違う。

大きな手で少女の身体をまさぐる。背中から前へ、未発達な小ぶりな胸を軽く揉むと腕の中の細い身体が
ビクリと跳ねる。だが、優香は唇を離そうとしない。小さな舌が口の内を嘗め回すモウンの大きな舌を撫でている。

この娘が求めているのは俺自身だ。

手を少女の股下に伸ばす。パジャマのズボンの上から股間を後ろから前へ何度も撫でる。

「…ふあっ…!」

甘い刺激に反射的に離れようとした頭の後ろに手を回し、強引にキスを続ける。

こいつは俺を…俺そのものを欲しがっている。

太い指で秘裂をなぞる。探り当てた肉芽を指で押し潰すと細い身体が仰け反った。

「…ああっ!!」

強い刺激に優香が思わず口を離す。唾液の糸が二人を繋ぎ、プツリと切れた。
息を乱した少女が濡れた目で自分を見上げている。
モウンは小さく笑むとその細い身体を思いっきり抱き締めた。

39オカンな悪魔終 /6:2009/06/14(日) 03:37:09
「魔界に連れて行けというのなら、連れて行ってやる。」

少女の柔らかな背中を撫でながら、モウンは言い聞かせるように黒い髪の耳元で話し掛けた。

「しかし、本当に良いのか?後悔はないか?人としてやりたいことは残っていないのか?」

畳み掛けるような質問に優香は顔を上げた。

「どうして…そんなことを聞くの?」
「俺は泣いたままのお前を魔界に連れていくつもりはない。」

モウンは顔を顰めると真っ直ぐな優香の視線から目を反らせた。

「どうせなら笑顔の方が良い。その…いつもの笑顔のお前を連れて行きたい。」
「でも…。」
「父親のことなら気にするな。さっきも言ったが俺は悪魔だ。人間の心を変える等造作もない。」
「優しいんだ、モウン。」

優香は思わず笑い出した。両親に今日の夕方、学校から強引に食事に連れていかれて以来、初めて笑ったなと思う。
悪魔は腕の中の少女の笑顔をチラリと横目で眩しそうに見ると大きく息を吐いた。

「…自分でも最近知ったが、どうやら俺は惚れた女にはとことん甘いらしい。」
「え?」

優香は目を丸くした。目の前の悪魔の牛の耳がピクピクと震えている。ゆっくりと言葉の意味を考え、
気がついた瞬間、少女の顔が赤くなった。

「それって、もしかして告白?」
「…うるさい。」

モウンが更に顔を顰める。

「…モウンって照れるとしかめっ面になるのよね。」
「…やかましい。」

むっとした声に笑い出す。明るい弾けるような声でひとしきり笑うと悪魔の胸に寄り添い身体を預けた。
学校の友人達の笑顔を思い浮かべる。つい先日彼岸の墓参りに行った祖母の墓も。

「…皆と同じ高校に行きたいな…後、おばちゃんのお墓もひとりぼっちにしたくない…。」
「契約変更だな。」

モウンがニヤリと笑い、優香に真っ直ぐ顔を向けた。

「俺はお前の側にいてお前を両親から守る。その代わり、お前にはその高校とやらを終え、
祖母の墓をどうするかを決めた後、俺の「花嫁」として魔界に来てもらう。」

モウンの口から出た「花嫁」という単語に優香の頬が再度赤く染まる。

「…もう「お嬢様」にはならなくていいの?」
「これを知ってしまったからな。」

モウンの太い人差し指が優香の股の間に入り込み、まだ痺れが残る肉芽を弾く。

「やぁん!!」

再度与えられた刺激に優香が大きな胸にしがみ付く。

「うずいているだろう。イカせてやろうか?」
「…うん。」

恥ずかしさから胸に顔を伏せ頷く腕の中の少女に悪魔の喉が更に楽しげに鳴り響いた。

40オカンな悪魔終 /7:2009/06/14(日) 03:43:58
優香をソファーに寝かせ、剥き出しにした細い足の太ももに手を掛けて大きく割り開く。
まだ女に成り切らない少女の秘所を眺めてモウンが小さく鼻を鳴らした。
浅い茂み、男を知らないピンク色に割れ目には小さな肉芽が触れて欲しそうに顔を覗かせている。

「…は、恥ずかしいよぉ…。」

消え入りそうな優香の抗議を無視して秘裂を指で開く。

「…ん…。」

小さく呻く声を聞きながら、そっと奥の窪みを指でつついた。

「…つっ!!」

優香が痛みに息を飲む。

「まだまだ、ここはお子様だな。」

ボソリと呟いた悪魔に「その、お子様にいやらしいことしているのは誰よ!」と声が上がる。

「どれ、どのくらいのモノになるか確かめてみるか…。」

モウンは青黒い大きな牛の舌をヌラリと出すとざらついたそれで優香の秘所を下から上へと舐め上げた。

「ひやぁ!!」

覚悟していたとはいえ、予想していたより遥かに大きく甘い刺激に優香が声を上げる。
ゆっくりと表面を軽く覆うように舐めながら、手をパジャマの中に入れる。
下着の中に手を入れるとまだ未発達な胸を撫で回した。

「…うっ…ああ、あっ、ううん…。」

秘所と胸に与えられる刺激に優香が小さく身じろぐ。薄い胸を寄せるように撫で回し、頂に指を触れさせると
更に甘い声が響く。
太い指で両方の頂きをこね、ヌラヌラと舌を動かし秘裂を開くと壁に丁寧に舌を這わす。
ゆっくりと形を確かめるように花弁を嘗め回し、ぷっくりと膨れた肉芽をつついた。

「…あっ!!ああん…はぁ…。」

優香の顔が歪む。小さな手がすがるものを欲しがり彷徨い、
パジャマ越しに下腹に当たるモウンの牛の角を掴むとしっかりと握り締めた。
膝裏に手を掛け、足を高く持ち上げる。大きな舌が少女の太ももを這い上がる。
所々強く吸い付き、赤い跡を散らすと優香が甘さを伴う微かな痛みに小さく呻く。
左右の足の付け根に吸い付き、そこにも跡を残す。舌を秘所に戻し
ほぐすように丁寧に窪みの上をなぞり、つつくと乱れた息と同時に細い身体が震えた。
小さく指を鳴らし、脳裏に自分が愛撫する優香の姿を映し出す。
舌先で肉芽をつつき、くすぐりこねる。最も敏感な部分を弄られて優香が甘い声を上げつつ
反射的に足を閉じようとする。
太ももに掛けた手に力を込めて、それを押し返すと彼女は大きく身をよじり、
角を掴む手に更に力が篭り指が白く染まった。

41オカンな悪魔終 /8:2009/06/14(日) 03:44:54
「ほお…色っぽいな…。」

感心の声を上げると与えられる刺激に敏感になった肉芽に掛った息だけで感じてしまうのか、
優香がぎゅっと唇を噛んで首を振る。ショートヘアの髪がソファーの布に当たりパサパサと音を立てた。

「なかなかのものだ。」

再度股間に顔を埋めると、牛頭の男の角を握り締め、快楽に細い眉を顰め、
閉じた紅色に染まった瞼を震わせて鳴く少女の姿が脳裏に映される。
小さな口は初めて他人から与えられる甘い刺激に大きく開き、喘ぎ声と共に透明な唾液が口端から零れた。

「ああ…ああっ…やだ…あん…やだぁ!!」

細い身体が弓なりに仰け反る。ザラザラとした獣の舌に執拗に秘所を嘗め尽くされ、足の指がビクビクと跳ねる。
固く閉じた瞼から涙が零れ落ちた。

「やだぁ…やだよぉ…。」

想像以上の強い快楽に耐え切れず少女が泣き出す。だが、身体自体は反対に素直に刺激に反応し蜜を零す。
それを見て、まだ何も入ったことの無い胎内に悪魔の舌が滑り込んだ。ヌラリとした感触にヒクッっと喉が鳴る。

「して欲しいと言ったのはお前だろう?」
「でも…でもぉ…っ!!」

もう一度、舌が胎内に入り込む。大きな牛の舌は微かな痛みを伴いながら彼女の身体を開き、中で蠢く。
不可解な、だが確かな今までもよりも身体の奥底に響くような未知の快楽に優香は大きく首を振った。

「やだ!!…やだ、やだぁ!!」

太い指が秘裂を割り、壁を走り、肉芽を撫でる。胎内では大きな舌がうねうねと動く。
直接与えられる鋭い刺激と奥を掘り起こすような刺激、重なる二つの快楽に幼い腰が動き始める。

これは、なかなかのモノになりそうだ…。

上物を手に入れた予感にモウンの口端が綻ぶ。しかも心も自分に夢中の娘だ。

「もう、やだ…やめて、やだ!!…あっ…ああっ!!」

否定の言葉が悪魔をより喜ばせているとは解からず少女が叫ぶ。
自分の身体がより深い快楽を求めて動き出しているとも知らず、腰を振りながら喘ぐ。
奥から蜜が湧き出し、悪魔の舌を刺激する。

ここまでにしておいてやるか…。

ヒクヒクと震える喉と零れる涙に愛おしさを感じながら、モウンは大きく舌を動かし優香の胎内を嘗め上げた。
同時に指で肉芽を摘み押し潰す。

「あっ…あああっ!!」

少女の身体が大きく跳ね、悪魔の舌を締め付ける。甲高い甘い悲鳴の後、細い身体はぐったりとソファーに落ち込んだ。

42オカンな悪魔終 /9:2009/06/14(日) 03:53:33
口の周りについた優香の蜜を青黒い舌で舐め取るとモウンはまだ身体を震わせている少女を抱き締めた。
荒い息をしている口元の唾液を舐め、そのまま軽く口付ける。

「…あの…モウン、その…もう終わり?」

戸惑いつつも聞いてくる声に「最後までして欲しかったのか?」と問うと優香は困った顔で眉を顰めた。

「俺をその辺の年中発情中のがっついた餓鬼と同じにするな。お子様の身体に無理を強いるつもりはない。」
「…お子様じゃないもん…。」

優香がむっとしたように頬を膨らます。「それが、お子様だ。」からかうような悪魔の声に
今度は口を尖らせる。

「どうせ、お前は俺のモノだ。これからゆっくりと教え込んでやる。」

モウンは楽しげに喉を鳴らした。

「このまま処女のまま開発して、挿れて欲しさに自分で股を開いてよがりながら、
俺の上に跨るように仕立て上げても良いな。」
「モウンの変態…。」

頬を染めて抗議する少女に赤い瞳がいたずらめいた笑みを含んだ。

「悪魔を惚れさせたんだ。それくらい覚悟しろ。」
「…う〜。」
「悪魔に惚れたんだ、それくらい我慢しろ。」
「…う〜。」

不満げに唸りつつも自分から離れようとしない少女の頭をモウンは優しく撫でた。

「風呂場に連れていってやるから、身体を洗って、もう寝ろ。お子様はとっくにねんねの時間だ。」

脱がしたズボンと下着を拾って、腕の中の少女に言い聞かせる。

「…お子様じゃないもん。」
「明日は特別好きな時間まで寝ていていいぞ。起きたら軽い食事を用意しておく。」
「うん。」

口では子供では無いと言いつつも優香は幼女のような甘えた笑みを浮かべる。

「高校とやらは自分で決めろ。お前には俺がついている。父親に化けて手続きを取るのも、
後で両親に自分が納得して了解したんだと暗示を掛けるのも簡単に出来るからな。」
「うん!」

心底安心した顔で嬉しそうに笑う優香を黒い牛顔が覗き込む。悪魔はニヤリと笑うと大きく鼻を鳴らした。

「その代わり、これからは「お嬢様」ではなく、俺の「花嫁」に相応しい「淑女」になって貰う。
…もちろん、夜の方もだ。」

黒い手が剥き出しの下腹を撫でる。

「…ん…!」

小さく身を捻り、優香が自分の悪魔を睨み付ける。

「…変態。」
「諦めろ。」

モウンが喉を鳴らして笑った。

「絶対に離さんからな。」
「うん。」

腕を伸ばし、太い首に抱きつく。モウンが優香を抱き上げ、廊下を歩き出す。
二年ぶりに出来た暖かな居場所に少女の顔に花のような笑みが零れる。
優香は自分の悪魔の腕の中に全身を預け、頭を寄せると抱きつく手にしっかりと力を込めた。


(了)

43オカンな悪魔終:2009/06/14(日) 03:55:50
以上これで完了です。

失礼しました。

44名無しさん:2009/06/14(日) 05:10:33
リアルタイム乙
モウンのおかんで紳士なとこが大好きだわ
二人とももっと幸せになっちゃえばいいのに

45変態紳士:2009/06/14(日) 22:17:12 ID:6LRruSgE
GJ!
悪魔なのに優しいモウンに萌えました。

46変態紳士:2009/06/14(日) 22:18:41 ID:6LRruSgE
へ、変態紳士が名前欄w

47変態紳士:2009/06/14(日) 22:47:42 ID:G.DTpj32
GJでした!
顔しかめ&耳ピクピクさせて照れるモウン萌えw
二人でお幸せに〜

48変態紳士:2009/06/14(日) 22:51:13 ID:G.DTpj32
名前欄が 名無しさん→変態紳士 に変わったんだな
びっくりしたw

49859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/16(火) 16:36:54 ID:s8VVcypg
絵板67氏のイラストを元に書いてみました。
非エロなのでこちらに投下。ヒーロー×少女で、NGは Hero of Hero!で。

50Hero of Hero! 1 859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/16(火) 16:38:14 ID:s8VVcypg
 サニー・サインドはヒーローである。
 誰から決められたわけでもないが、物心ついた頃には、その自覚を持ち合わせて生きてきた。
銀色の体は鋼よりも頑丈で、拳は一撃で岩を粉々に砕き、両足で大地を蹴れば空まで跳躍する。
 人並み外れた力を持ち得て生まれた彼は、当然ながら、良からぬ連中から目を付けられている。
有り体に言えば悪の組織だが、世界征服を目論む彼らにとってヒーローであるサインドは厄介だ。
悪の組織が放つ怪人達は頻繁にサインドへと差し向けられているが、どれもサインドの敵ではない。
理由は簡単、サインドが強いからだ。強くなければヒーローとなど名乗れず、正義など行使出来ない。
 しかし、そんな彼にも唯一の弱点がある。それは、目の前で仁王立ちしている仏頂面の少女だった。
小柄で華奢で、裾がふんわりと広がった少女らしいワンピースの上に青いカーディガンを羽織っている。
少しだけクセの付いた髪は二つに分けて結ばれ、ワンピースに合わせた色のシュシュを付けている。
見るからに非力で、守ってやりたくなるような愛らしさがあるが、今ばかりはそう思えそうになかった。

「たったの三日間、顔を見せなかっただけなのに」

 少女、戸末りくは眉間のシワを深く刻み、小さな唇を曲げ、控えめな胸を張った。

「どうしてこんなに散らかってるんですかっ、サインドさん!」

 二人の現在位置は、サインドの自宅でありリビングであるが、その全てはモノに埋め尽くされていた。
リビングテーブル、ソファー、床、戸棚、テレビ台、引いては電話台に至るまでがゴミに襲われている。
その大半は酒類の空き缶と食料品のパッケージで、リビングと隣接したキッチンまでがゴミ溜めだった。
 りくにじっと睨み付けられたサインドは、やりづらくなって顔を逸らそうとしたが、咳払いが聞こえた。
渋々、オレンジのバイザーを彼女に向けると、りくはゴミを蹴散らしながらサインドに歩み寄ってきた。

「あなたはヒーローなんですから、もうちょっと自覚を持って下さい!」
「持ってる持ってる、持ってるからこうなるんだろうが!」
「いい加減、自分の身の回りぐらいはきちんとしたらどうですか! いい歳してみっともない!」
「だから、俺が何かやろうとすると、決まって怪人が現れてだなぁ!」
「現れたらどうだって言うんですか、怪人が現れない時間の方が明らかに長いじゃないですか!」
「一戦交えたら疲れるんだよ、面倒になっちまうんだよ!」
「それは言い訳です! せめてゴミはゴミ袋に入れて下さい! きちんと分別して下さいね、ヒーローなんですから!」
「だから、しようと思ったらあいつらが出てきて…」
「だから言い訳は聞きません、自堕落なのはあなたの責任です!」

 りくは、サインドの目の前に人差し指を突き出した。

「世界の平和を守る前に、あなたの部屋の平和を守って下さい、サインドさん!」
「…世界に比べりゃ、俺の部屋が汚ぇことなんて」
「何か言いましたか」
「いや、別に」

 サインドはりくの前から一歩身を引き、肩を落とした。りくの言うことは至極もっともで、反論出来ない。
だが、部屋を片付けようとすると、本当に都合悪く怪人が出現して街中で暴れ出してしまうのである。
警察や消防や市長から通報があるので、ヒーローである以上はそちらを優先しなければならない。
そして、怪人と激闘を繰り広げて帰宅すると、当然ながら疲れているので適当に酒を喰らって寝てしまう。
 りくが部屋に訪れなかった三日間はその繰り返しで、自分でもダメだと思ったがどうにも出来なかった。
ヒーローであろうと、所詮は自堕落な独身男である。仕事のために生活が二の次になるのは仕方ない。
その辺のことをりくに理解してほしいと思ったが、口にしたらもっと怒られるので、言えるわけがなかった。
 戸末りくはサニー・サインドの助手である。彼女が怪人に襲われたところを助けたことを切っ掛けに知り合った。
命を助けてもらった恩を返すために、と、りくはサインドの日常や戦闘をサポートする役目を買って出てくれた。
それは非常にありがたいし、おかげでまともな生活を送れるようになったのだが、口うるさいのが難点だ。
だが、それらは全てサインドを思ってのことだと解っているので、鬱陶しいどころかちょっと嬉しかったりする。
 りくはぶつぶつ言いながらキッチンに入り、ガスレンジやシンクの惨状を見て大いに嘆き、冷蔵庫を開けた。
案の定、空っぽだった。何枚もの写真の貼られたドアを閉め、戸棚を開けたが、目当てのゴミ袋はなかった。
これでは、片付けようにも片付けられない。りくは腰を上げてスカートを払うと、部屋の主に言い付けた。

51Hero of Hero! 2 859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/16(火) 16:39:46 ID:s8VVcypg
「買い物に行きますよ、サインドさん」
「だったら、プロミネンサーでも出すか?」
「近所のスーパーに行くだけなんですから、最大時速五百キロで空も飛べて賢くて良い子なスーパーなバイク
は必要ありません。近所なんですから、歩いていった方が早いです」
「言ってみただけだ、本気にするなよ」

 サインドは呟きながら、ソファーの背に引っ掛けてあったジャケットを取った。だが、当人は割と本気だった。
りくと買い出しに出ると、荷物が相当な量になるからだ。大半は食材で、その次に多いのが日用品である。
それもこれも、サインド自身がろくに買い出しに行かないからだ。理由は至って簡単で、面倒臭いからである。

「ほら、行きますよ!」

 りくはサインドの袖を掴むと、玄関へと引っ張っていった。 

「へいへい」
「返事は一回です!」
「はいよ」

 サインドはやる気なく答えると、玄関に転がしてあったブーツを履き、りくに続いて部屋を後にした。
早々に階段まで行ってしまったりくは、サインドを急かしてきたので、サインドは自室のドアに鍵を掛けた。
 ビル街の奥に立ち並ぶレンガ造りのアパートを出て並んで歩きながら、りくは延々と説教してきた。
少女の小さな背を追うように歩きながら、サインドはその言葉を半分は聞いて半分は聞き流していた。
 せっかくなんだから並んで歩けばいいのに、とサインドは思うが、りくはサインドと並んで歩こうとしない。
助手としての立場を頑なに守っているので、サインドが馴れ馴れしくしようともあしらわれてしまうばかりだ。

「可愛い顔してんだから、そんなに怒ったら台無しだぜ」

 サインドはりくの背後に寄り、肩に手を回そうとしたが弾かれた。

「そんなことを言っても無駄です、部屋の掃除はサインドさんにしてもらいます」
「そんなんじゃねぇんだけどなぁ」
「じゃあどういうつもりですか、夕ご飯に注文を付ける気ですか」
「何、カレーでも作ってくれんのか?」
「サインドさんの働き次第では考えてあげてもいいですよ?」
「あ、でも、ニンジンは入れるなよ。絶対にだ」
「もちろん入れます、たっぷり入れます。ヒーローなんですから、世のお子様のお手本になるべきです」
「…きっつう」

 サインドは首を竦めてから、りくの横顔を窺うと、不機嫌そうに唇を尖らせていて態度は緩みそうにない。
眼差しは険しく、歩調も早かったが、サインドの歩調に比べれば遅いので彼女に合わせて歩いていた。
いくつかの角を曲がり、車が行き交っている大通りを渡ると、目当てのスーパーマーケットが見えてきた。
店に入ったら、りくは早々に買い出しを終えてしまうだろう。要領も手際も良く、無駄なことはしないからだ。
サインドには、それが残念だった。今日は休日で敵も現れていないのだから、ゆっくりしてもいいではないか。
 ヒーローだって、平穏を味わいたい。

52Hero of Hero! 3 859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/16(火) 16:41:02 ID:s8VVcypg
 小一時間後、買い出しが終わった。
 はち切れんばかりに食料品が詰まったエコバッグと、それに入り切らなかった日用品はレジ袋に入れた。
その二つを抱えたサインドは、割と軽いものを持っているりくの背を見下ろしながら、帰路を辿っていた。
買い出しの最中も、サインドは事ある事に叱られた。それというのも、酒とその肴を買おうとするからだ。
 機械の体といえど、人間以上に人間臭いサインドは経口摂取が可能で、分解して動力機関で燃焼させる。
本人にも今一つ構造が解り切っていない内部機関は、消化器官もないのに栄養成分をきっちり摂取する。
そのため、機械の体のくせに酒精は素通りせずに吸収出来、それはもう気持ち良く酔うことが出来てしまう。
もちろん、四六時中飲んでいるわけではないが、ヒーロー稼業は結構ストレスが溜まるので不可欠なのだ。
だが、りくはそれを許してくれない。酒など飲んでいてはヒーローらしくない、というのが彼女の主張である。
確かにその言い分は解らないでもないのだが、ヒーローも生き物なのだから気晴らしがあっても良いだろう。
だが、この数日で酒の買い溜めが尽きてしまった。だから、りくが帰った後にでも買いに出る必要がある。

「サインドさん」

 不意に足を止めたりくは、目を据えて振り返った。

「私が帰った後に、お酒を買いに出ちゃダメですからね。ヒーローなんですから」
「うぐっ」

 あっさり見抜かれ、サインドは呻いた。

「ストレス解消だったら、もっと建設的なことで解消して下さいよ。トレーニングとか必殺技の練習とか」
「俺は実戦こそ最大の訓練だと思うんだがね。戦えば戦うほど強くなるんだよ、俺は」
「だったら、どうして先々週は苦戦したんですか?」
「ありゃ、怪人との相性が悪かったんだよ。水っぽくてぐにゃぐにゃした野郎だったから」
「おまけに光線技も効きませんでしたもんね、あのクラゲの怪人は」
「そうそう、そうだろ? プロミネンサーで体当たりしても跳ね返されるし、ソードで切っても再生しちまうし、
突きも蹴りも大してダメージを与えられないし、あれは傑作の怪人だったぜ」
「だから、私が作戦を立てたんじゃないんですか」

 りくは、少し自慢げに唇の端を持ち上げた。

「ああ、感謝してるぜ。あれは俺じゃなきゃ出来ない戦いだった」

 サインドは先々週の戦闘を思い出し、マスクフェイスの下でにやけた。りくの立てた作戦はこうである。
サインドは、物理攻撃はおろか光線技も効かないクラゲ怪人、ジェロゲに海へ誘い出されるふりをしたのだ。
そして、海中に引きずり込まれたサインドは、動きの鈍る水中で交戦したがやはり劣勢は続いていた。
当然、ジェロゲの攻撃は激しさを増し、度重なるダメージで動きの鈍ったサインドは海底へと投げられた。
だが、それこそが作戦だった。サインドはりくから教えられた海底ケーブルを利用し、ジェロゲに電撃を与えた。
同じ海中にいたサインドも多少なりとも電撃のダメージは受けたが、そこはヒーローなので無事に生還した。

「でも、本来ならサインドさんがそういうことを考えなきゃならないんですからね?」

 りくの強い言葉に、サインドは辟易した。

「助手に志願したのはりくの方だろ? お前の方こそ、そういうことを考えるのが仕事だろうが」
「ええ、そうですね。私としては、もっともっと戦いのことを考えていたいのですが、サインドさんがどうにも
こうにもダメな人なので、私はやるべきことも出来ずに家政婦代わりを努めているというわけです」
「いちいち怒るなよ」
「怒らせているのはどこの誰ですか」
「別に俺は、家のことまでやれっつってるわけじゃねぇんだけどなぁ」
「ああも汚されたんじゃ、嫌でもやりたくなりますよ。それが常識ある人間なら尚のことです」

 りくは路地の角を曲がったが、急にその足が止まった。サインドが駆け寄ると、角の先には異形がいた。
サインドは荷物を置いてりくの前に立ち塞がり、身構えた。オレンジのバイザーに映った者は、怪人だった。
 うねうねと蠢く金属の糸が絡み合った人型の物体は単眼のスコープアイを動かし、ぎゅっとピントを合わせた。
引き摺るほど長い両手足からは、イトミミズのように跳ねる鈍色の金属糸が零れ出し、不規則に揺れていた。
機械と称するには奇妙な外見の怪人は、ぎしぎしと糸同士を軋ませながらサインドを見据え、丸く口を開いた。

53Hero of Hero! 4 859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/16(火) 16:42:20 ID:s8VVcypg
「ききききききき。待ち兼ねたぞ、サニー・サインド」
「デートの約束なんてした覚えはねぇぞ」

 サインドが毒突くと、奇妙な怪人はぎゅるりと左腕を回転させて絡み合わせ、いびつなドリルを成した。

「我が名はメタリング、貴様を葬るために生み出された刺客!」
「もう聞き飽きたんだよ、その枕詞は!」

 サインドは駆け出し、メタリングに殴り掛かろうとしたが、拳が頭部を抉る寸前で頭部が弾け飛んだ。
否、糸が解けた。ぶわりと大きく広がった金属糸は、サインドの拳が中空を殴り付けた瞬間に収縮した。
途端にサインドの右腕が糸の中に捉えられ、固定された。解こうとしても、ぎりぎりと硬く締め付けてきた。

「なっ…」
「きききききき、死ねぇっ!」

 左腕のドリルを振り上げたメタリングは、サインドの頭部を狙ったが、サインドはメタリングの胸を蹴った。
メタリングの姿勢を崩させて上体を反らし、その攻撃は回避したものの、右腕はがっちりと固定されたままだ。
それどころか一際締め付ける力が増してきて、このままでは腕自体が圧砕されてしまう、との予感が走った。

「サインドさん、これを!」

 りくはエコバッグからオリーブオイルの瓶を取り出すと、サインド目掛けて放り投げてきた。

「気が利くぜ!」

 サインドは左手でオリーブオイルを受け取り、メタリングの頭部に思い切り叩き付けて瓶を粉々に割った。
器を失ったオリーブオイルが糸の一本一本を伝い、広がると、サインドの右腕を戒める金属糸が少し緩んだ。
僅かな遊びが出来たことを見逃さなかったサインドは、左手でメタリングの頭部の糸を強引に押し広げた。
そして、右腕を引き抜き、油による光沢を帯びたメタリングの頭部を強かに殴り付けてアスファルトに埋めた。
 アスファルトに倒れたメタリングは、ぐしゃりと潰れて頭部の糸が崩れ、赤いスコープアイにヒビが走った。
これなら、倒せないこともない。サインドはジャケットの襟元を直してから、油にまみれた右手を握り締めた。

「さあて、部屋の掃除の前哨戦だ。十秒で片付けてやる」
「ききききききき…」

 金属同士が擦れるような耳障りな笑いを上げたメタリングは、頭部を元に戻し、サインドを仰いだ。

「片付けられるのは貴様が先だ」
「いやあっ!?」

 背後で悲鳴が上がり、サインドが振り向くと、りくが何本もの金属糸に絡み付かれていた。

「いた…ぁ…」

 細い両手足に容赦なく鋼鉄の糸が食い込み、身を捩るとその度に食い込みが増していくようだった。
先程のサインドと同じ状態だが、りくでは訳が違う。彼女の肌や肉など、あっさり切り裂かれてしまう。
露出した手首や脹ら脛には痛々しく赤い跡が付き、もう一息擦られれば、血が噴き出してしまいそうだ。
恐らく、サインドが本体に集中している隙に、メタリングは己を構成する金属糸を放ってりくに絡めたのだ。

「りく!」

 サインドが彼女に駆け寄ろうとすると、ぎゅるりとメタリングは広がり、サインド自身を拘束してきた。

「ききききききき、貴様は確かに強いがアレは別だ。我らの敵にもならぬ、脆弱な人間だ」

 ぎりぎりと締め付けられるサインドの顔の脇に、暗い光を宿した赤いスコープアイが迫る。

「貴様は我らの同胞を倒しすぎた。貴様がしてきたように、アレを切り刻んでくれる。ききききききき、一瞬だぞ。
ききききききき。綺麗だぞ。ききききききき。骨も肉も千切れるんだぞ。ききききききき」
「お前ら怪人は、倒されても仕方ねぇことをしてっからだよ!」

54Hero of Hero! 5 859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/16(火) 16:45:22 ID:s8VVcypg

 サインドは関節を軋ませながら抗うが、メタリングは笑い続ける。

「ききききききき。貴様も同じことだ。ヒーローと呼ばれていても、所詮は我らと同じ。我らと変わらぬ。だから、
俺とも変わらない。ききききききき」
「黙りなさい!」

 メタリングの卑屈な笑い声を、りくの叫びが断ち切った。

「サインドさんとあなた達を一緒にしないで!」
「ききききききき。耳障りだ。ききききききき。ならば、その喉から切るぞ。ききききききき。一瞬だぞ」

 メタリングの視線がりくに向くと、りくの体を戒める糸が一本解け、白い首を締め上げた。

「うぐぅっ!」
「調子扱いてんじゃねぇぞ変態がっ!」

 サインドは渾身の力を込めて右腕を上げ、拳にエネルギーを込めてメタリングの頭部を殴り付けた。
りくに気を向けていたためか、まともに拳を受けたメタリングは、サインドに絡めていた解き、戻した。
だが、まだりくの拘束は緩んでいない。それどころか、サインドが攻撃したために強くしたようだった。
バイザーに映るりくの様子は芳しくなく、一刻も早く倒さなければ。だが、未だ勝機が見つからない。
 メタリングは糸で体を成している、切っても再生するだろう。金属なのだから、電撃は通用しないだろう。
ならば、手段は一つだ。サインドはりくに駆け寄り、横抱きに抱えると、地面を蹴って高々と跳躍した。

「ちょっと我慢しろよ、りく!」

 サインドの腕の中でりくは小さく頷き、目を閉じた。背後を見やると、メタリングは追ってきていた。
全身の金属糸を伸ばしてサインドを掴もうとするが、金属糸自体の長さが足りないので届かなかった。
雑居ビルの屋根や給水塔を蹴り、飛び跳ねたサインドは、アパートに隣接したガレージを見据えた。
ガレージの正面目掛けて着地すると、サインドに続いてメタリングも現れ、ぐにょりと潰れて着地した。
 サインドはりくを抱えたまま指を弾くと、ガレージのシャッターが騒音を撒き散らしながら独りでに開いた。
外界からの光が差し込み、闇が晴れると、サインドの外装と近しい色合いの大型バイクが控えていた。
どるん、とエンジンを噴かしてマフラーを鳴らしたバイク、プロミネンサーは忠犬のように主に添った。

「行くぜ、プロミネンサー!」

 りくを抱えたサインドはプロミネンサーに飛び乗ると、片手でスロットルを回してエンジンを噴かした。

「シャイニングバーストォオオオオッ!」

 サインドを中心に赤い閃光が迸ると、プロミネンサーはその名に相応しい炎の鎧を全身に纏った。
焦げるほど高速回転したタイヤがアスファルトを噛み、凄まじい熱量を持った戦士とマシンが飛び出した。
メタリングとの距離は十メートルもない。一瞬と呼ぶには速すぎる速度で両者は接し、一方が蒸発した。
 悲鳴にも似たブレーキ音を立てながら停止したプロミネンサーは、炎を解き、エンジンを咆哮させた。
サインドが振り返ると、メタリングの影はなく、どろどろに溶解して真っ赤に熱した金属の海が出来ていた。
その中に赤い単眼が沈み、弾けた。サインドが彼女を見下ろすと、りくを戒めていた金属糸が外れていた。
喉を解放されたりくは、げほげほと咳き込んでから、前髪をいじって恨みがましくサインドを見上げた。

「サインドさん。前髪が焦げたんですけど」
「文句言うなよ、これしか手段がなかったんだ」

 なあ、とサインドが声を掛けると、主に答えるようにプロミネンサーはヘッドライトを点滅させた。

「プロミネンサーが偉いのは認めます。でも、サインドさんの扱いは荒すぎます」

 サインドの胸を押して下ろさせたりくは、プロミネンサーのカウルを撫でた。

「ねえ、プロミネンサー?」

 りくが微笑みかけるとプロミネンサーは鋭く警笛を上げたので、サインドは唸った。

「…お前らなぁ」
「早く戻らないとせっかく買ったものが盗られちゃいますよ、サインドさん」

 りくが曲がり角の先を示したので、サインドはプロミネンサーから下りた。

55Hero of Hero! 6 859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/16(火) 16:47:10 ID:s8VVcypg
「解ってるさ、それぐらい」
「私も用事がありますから行きますけどね。さっき、オリーブオイルをダメにしちゃいましたから」

 りくがサインドに続くと、プロミネンサーが存在を主張するように前輪を上げた。

「プロミネンサーは良い子でお留守番しているんですよ。ね?」

 りくが窘めるとプロミネンサーは素直に従い、バックしてガレージの中に消え、シャッターが閉まった。
その様を、サインドは若干複雑な気持ちで見ていた。相棒が助手に懐いたのは良いが、懐きすぎた。
プロミネンサーはサインドよりもりくの言うことを利くようになってしまい、今ではサインドは二番目だ。

「なあ」

 サインドはりくの少し前を歩いていたが、一旦立ち止まって彼女に向いた。

「なんですか、サインドさん」
「たまには俺を労ってくれよ、今だって頑張って戦ったんだぜ?」
「もちろん、それは認めていますよ。サインドさんは、世界を守るために不可欠な男です」
「そう思うんだったら、もうちょっと、こう、あるだろ?」
「何がですか」

 訝しんだりくに、サインドは腰を曲げてマスクフェイスを寄せた。

「ない、とは言わせないぜ?」

 オレンジのバイザーに映るりくの顔は、不愉快げにしかめられたが、頬の血色が良くなっていった。

「もう…。今回だけですからね」

 りくは苛立ちを押し殺したような、だが心なしか上擦った声で呟き、かかとを上げてサインドに近付いた。
冷ややかな銀色のマスクに花びらのような唇が触れたが、それは数秒にも満たず、りくはすぐに離れた。

「おう、充分充分」

 サインドが笑うと、りくは足早にサインドの横を通り過ぎた。

「私は買い直しに行きますからね! サインドさんは荷物を持って帰って、掃除をしていて下さいね!」
「りくのカレーのためだ、頑張るっきゃねぇだろ」

 サインドがその背を見送りながら呟いたが、りくの背は角を曲がっていったので、聞こえなかっただろう。
金属の肌で感じられるのは、彼女の暖かな体温と吐息ぐらいなものだったが、それだけでも満足だ。
サインドはりくに何かしらのことを言わせる気だったが、まさかキスをしてくれるとは、思い掛けない幸運だ。
意地っ張りで気の強いりくのことだから、言うよりも楽だからそうしたのだろうが、それはそれで嬉しい。
 サインドは姿が見えなくなったりくに目掛けてキスを投げてから、荷物を放置してきた場所を目指した。
りくを落とすのは怪人を倒すよりも厄介だが、だからこそやりがいがあるというものだ、と内心でにやけた。
 世間から注目されているヒーローである以上、言い寄られた女性の数も少なくないが、りくだけは特別だ。
鋼鉄の板の如く靡かないし、滅多に弱みを見せないが、その一方でサインドへの好意を隠し切れていない。
それがまた可愛らしいから困らせてみたくなるが、あまり困らせすぎると本気で怒られるから自重している。
早く部屋に戻り、部屋中を片付けて、りくのお手製カレーを頂こう。それが、今のサインドには最重要事項だ。
 世界は大事だ。だが、愛すべき助手はもっと大事だ。

56859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/16(火) 16:52:00 ID:s8VVcypg
以上。特撮と言うより、朝八時台の子供向けアニメみたいな雰囲気を目指しました。
絵板67氏のイラストでニヤニヤと妄想が止まらなくなったので。
サインドさんを崩しすぎた気がしないでもないですが、後悔はしていない。

57変態紳士:2009/06/16(火) 19:42:14 ID:hFzHG5lM
67です、本当にありがとうございます!
イメージぴったりです。
妄想至らないグレーゾーンを描写して頂いたので相乗してこちらも妄想膨らみました!
貴重な小説ありがとうございました!

58変態紳士:2009/06/17(水) 21:33:44 ID:x9l94LN6
これはニヤニヤせざるを得ない、GJ!!

59変態紳士:2009/06/18(木) 07:30:47 ID:uA0A7yNM
GJ!元ネタイラストに萌えてただけに小説もめっちゃ楽しめました!

60859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/23(火) 17:39:46 ID:QbIv7UDA
規制中につきこちらに投下。
河童×少女の和姦で、NGは河童と村娘で。

61河童と村娘 番外編1 859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/23(火) 17:40:43 ID:QbIv7UDA
 夏の日差しよりも眩しい、白無垢を纏った花嫁が歩いていた。
 付き人の手で赤い番傘を差し掛けられ、母親に手を引かれ、新郎を伴って神社の前を過ぎていく。
新婦の後ろに付いている父親と思しき年配の男性は、紋付き袴に身を包み、厳かな表情だった。
その後ろには親族や参列者が二列に並んでずらりと連なっていて、花嫁の門出を祝っていた。
角隠しを被った花嫁の背後では、穂を膨らませた稲が風に揺らされ、さわさわと波打っていた。
空はどこまでも高く、清々しい青だ。これで雨が降れば狐の嫁入りだよな、と清美は思っていた。
 現世と常世の境目である神社の境内で、最も大きな木である御神木の枝に清美は座っていた。
白い半袖ブラウスと紺色のプリーツスカート姿で、ローファーを揺らしながら花嫁行列を眺めていた。
夫である清滝之水神はその名の通りの水神なので、ぱらりと雨を降らせることなど造作もないだろう。
だが、その妻であろうと清美はあくまでも人間だ。神になる修行もしていないので、神通力などない。
花嫁行列に連なる参列者の一人が御神木を一瞥したが、目線を彷徨わせ、訝しみながら前に向いた。
常世の者である清美は現世の者には見つからないと解っていても、こういう瞬間は少し緊張する。
 花嫁行列は、祝言を挙げるために神社に戻ってくるはずだ。見てみたいが、山に戻らなければ。
うっかり勘の鋭い人間に見つかりでもしたら、清美も困るが、清美を守っているタキを困らせてしまう。
清美が御神木の枝から立ち上がり、スカートを払っていると、ぎしりと背後の枝が軋んで葉が落ちた。

「タキ!」

 清美が振り返ると、揺れの残る枝の上に、緑色の肌と皿と甲羅を持った異形が立っていた。

「清美。祝言か」
「うん。昨日から神社が騒がしかったから、何かなぁって思って」

 清美はぽんと跳ね、河童のいる枝に飛び移った。

「そしたら、花嫁行列だったの。お嫁さん、見たことない人だったから、村の外から入ってきたんだね」
「祝言の終いまで見るつもりか」
「いいよ、そこまで気になるわけじゃないし。神社に長くいたら、私もタキも誰かに見つかっちゃうよ」

 清美は風に乱された長い髪を掻き上げ、耳元に掛けた。

「でも、いいなぁ。お嫁さんかぁ」
「おぬしは儂の嫁だ」
「そりゃそうだけど、やっぱり一度は着てみたかったかも。白無垢とかドレスとか」
「何故に」
「だって、綺麗じゃない」
「そうか」

 タキは少し長めに瞬きしてから、クチバシを開いた。

「清美」
「ん、なあに?」
「しばらく外へと赴く。案ずるな、儂がおらぬとも山は乱れぬ」

 それだけ言い残し、タキは両足を曲げて枝を踏み切ると、大柄な体格に見合わぬ身軽さで跳んだ。
直後、水気を含んだ風が一瞬吹き付け、清美が閉じかけた瞼を開くと既にタキの姿は消え失せていた。

「…いってらっしゃーい」

 清美はいずこへと消えた夫の背に向け、手を振っていたが、御神木から降りて別の木に飛び移った。
せめてどこに出掛けるかぐらい言い残してくれればいいのに、と思ったが、意味が解らないのも事実だった。
 神々は未だに古い地名を使っているので、地理や日本史に明るくない清美にはちんぷんかんぷんなのだ。
だから、以前タキが神々の集まりで遠出する時にも行き先を教えられたが、聞いた傍から混乱してしまった。
清美が現代の地名に言い直させようとしても、タキは現代の地名が解らないらしく、今度は彼が混乱した。
なので、タキは地名に関しては清美に理解させることを諦めたのか、最近ではどこに行くか告げなくなった。
夫としてそれでいいのか、と思わないでもないのだが、必ず帰ってくるので問題ないだろう、とも思っていた。

「タキがいないと、暇だなぁ」

 青い葉が生い茂った木々の枝を飛び跳ねて山の斜面を昇りながら、清美は少し機嫌を損ねていた。
心底惚れ合ってしまったタキは別としても、他の神々とは話が合わず、顔を合わせても話が弾まない。
時には女の子らしい雑談をしたいと思っても、丁度良い相手がおらず、喋り足りなくて悶々とすることもある。
その点、タキは清美がぐだぐだと垂れ流す話を辛抱強く聞いてくれるので、清美には何よりもありがたい。
だが、タキがいなければ暇潰しの下らない話を聞いてくれる相手がおらず、退屈が凌げなくなってしまう。
 現世とは違い、常世には漫画もなければゲームもテレビもない。以前拾った携帯ラジオも電池が切れた。
退屈過ぎて、時折荒ぶる神々の気持ちが解ってきた。滞った時間が長すぎるため、刺激が欲しくなるのだ。
けれど、清美は荒ぶることも出来なければ現世にも出られないので、悶々とすること以外にやることはない。
 夫が帰るまでの辛抱だ。

62河童と村娘 番外編1 859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/23(火) 17:42:44 ID:QbIv7UDA
 一週間後。清滝之水神が帰ってきた。
 その日は雲もないのに朝から弱い雨が降っていたので、清美もなんとなく夫の気配を感じ取っていた。
タキの依り代でもあり二人の住処でもある、石碑の中の洞窟から出た清美は、湿った空気を肺に入れた。
石碑から程近い川の上流に向かい、顔を洗って髪を整え、襟を直していると、あの水気のある風が吹いた。
風が吹き抜けてから振り返ると、タキが現れた。清美はタキに駆け寄ろうとしたが、彼の手元に気付いた。
 タキは、見慣れぬ箱を抱えていた。清美には読み取れないほど達筆な字が書かれた、桐の木箱だった。
お帰りなさい、と言ってから、清美は両腕で抱えるほど大きな桐の木箱と表情の解らない夫を見比べた。

「タキ、これってなあに?」
「開ければ解る」

 タキはぺたぺたと水掻きのある足を鳴らし、朝露の付いた雑草を踏みながら、古びた石碑に向かった。
清美もそれに続いて石碑から中に入り、ある種の異空間の中に成されている薄暗い洞窟に入った。
洞窟の中程に至ったタキは、定位置の石に腰を下ろし、桐の木箱を傍らに置いて清美を見上げた。

「清美。おぬしのものだ」
「ってことは、プレゼント?」
「うむ」
「わーい、ありがとう!」

 清美はタキの傍に座ると、箱を受け取り、骨董品か上等な反物が収まっていそうな桐箱の蓋を開けた。
だが、箱に入っていたのは予想に反した真っ白い布で、取り出してみると裾の広がったドレスだった。
ドレスの下からはヴェールまで出てきたが、箱の底にあったというのにどちらも型崩れしていなかった。
同じく純白のハイヒールとガーターベルトにストッキングまで入れられていて、花嫁衣装一式が揃っていた。
柔らかな絹のウェディングドレスは丈が短く、清美は体に当ててみたが、制服のスカートよりも短かった。
バレリーナのチュチュのように裾が大きく広がったタイプのドレスだが、膝上十五センチかそれ以上はある。
清美が戸惑っていると、タキはどことなく自慢げな眼差しで清美を見上げていたので、その意図を察した。

「これ、タキが作ってきてくれたの?」
「少し離れた山に、機織りの神がおる。儂の膏薬と引き換えに成してもらった」
「でも、なんでドレスなの? 神様だったら、白無垢の着物とか打ち掛けとかを作りそうなもんだけど」
「儂が申し出たのだ」

 タキがいつもの調子で述べた言葉に、清美はきょとんとした。

「へ?」
「機織りの神は、儂に比べれば現世のことに明るいのだ」
「だから、ドレスも作れるってわけ?」
「うむ」
「でも、なんで、タキがドレスを頼んだの? だって、なんかそういうキャラじゃ…」
「儂はおぬしの伴侶よ。嫁を飾り立てようと思うのは当然だ」
「ふえ」

 今まで、そんなことを言われたことはなかった。清美が赤くなると、タキは促してきた。

「さあ、着て見せよ。儂の嫁よ」
「うん!」

 清美はドレス一式が入った桐箱を抱えると、洞窟の奥に向かい、込み上がってくる笑みを押し殺した。
村の中を行く花嫁行列を見た時に零しただけなのにドレスを作ってきてくれるなんて、タキは本当に優しい。
着物であっても嬉しかったが、ドレスはもっと嬉しい。見せる相手はタキだけだが、彼一人いれば充分だ。
 タキに嫁いで水神の妻となったが、その際に祝言を挙げることもなく、二人でひっそりと契りを交わした。
神々の世界ではそれが当たり前なので、清美も文句は言えなかったが、本音を言えば祝いたかった。
けれど、あまり我が侭が過ぎてタキに愛想を尽かされたくはないので、言うに言えずに黙っていたのだ。
 その願いが、こんなことで叶ってしまうとは。一週間大人しくしていた甲斐があった、と清美は歓喜した。
滑らかな手触りのドレスを古びた姿見に掛けてから、ブラウスを脱ぎ、スカートを落とし、下着も全て外した。
ガーターベルトは下着の上から付けるものだと知っていたので、裸で付け、その上に再度ショーツを履いた。
両足に白いストッキングを履き、ガーターベルトのストラップで留めてから、ドレスを下から引っ張り上げた。
ドレスはノースリーブで襟ぐりが大きく開いていて、ミニスカートの割には大人っぽい雰囲気があった。
サイズが合うかどうか心配だったが、寸法合わせもしていないのに胸回りも腰回りもぴったりと填った。
ファスナーを上げても、きつくなるどころか丁度良い。清美は腰を捻って、布地に遊びがあることも確かめた。

「おおー!」

 清美は感嘆し、ヴェールを被ってハイヒールを履き、タキの元へと戻った。

63河童と村娘 番外編3 859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/23(火) 17:44:16 ID:QbIv7UDA
「タキー、凄いすごーい! 全部ぴったりだよ、靴も丁度良いー!」

 慣れない靴に転びかけたが、姿勢を直し、清美はタキの前に立ってくるりと回った。

「これでちゃんとメイクが出来たら良かったんだけどなぁ、あー、写真撮りたぁい!」

 ドレスの裾を持って頬を緩める清美に、タキは返した。

「無粋なことを申すな」
「えー、なんでなんで?」
「着飾ったおぬしを目にするのは、儂一人で良い」
「…うぅ」

 そこまで言うか。清美は先程以上に赤面し、唸った。

「どれ、儂に見せよ」

 タキが手招いたので、清美はタキに近寄って裾を持ち上げた。

「どう? 似合う?」
「無論だ。儂の見立てだからな」
「えへへへへ」
「儂のおらぬ間、何もなかったか」
「うん。山も川も普通だし、他の神様達も何もしなかったよ」
「そうではない、おぬし自身のことだ」

 タキの分厚い瞼が狭まり、目が細められたが、どことなく意地の悪い表情だった。

「…え?」

 清美が答えに迷っていると、タキは太い指を白い太股に這わせた。

「どれ、確かめてくれる」
「ひあぁっ」

 太股をなぞる冷たい指先の感触に、清美はぞくぞくした。彼は、一体何を確かめると言うのだろう。
いや、解っている。解っているから、逆らう気は起きず、清美は下着に滑り込んできた指先を感じた。
水よりも温いが人間よりは冷ややかな指の腹が、柔らかく陰部をなぞり、清美は唇を噛み締めた。
程なくして、じわりと体の奥から溢れ出してきたものが下着と指に絡み、粘ついた異音を立て始めた。

「相も変わらず、良く滴るものよ」
「だ、だってぇ…」

 清美はタキの肩に縋って立っていたが、膝が折れるのは時間の問題だった。

「ふむ」

 清美の下着の中から指を引き抜いたタキは、自身の水気とは異なる水分を眺め回した。

「手慰みはしておらぬようだな」
「なんで解るの、そんなこと?」
「儂は水神だ。おぬしから溢れるものとはいえ、これも水の内よ。解らぬことなどない」
「解っても言わないでよぉ…」
「何故に」
「だって、恥ずかしいから」
「先日は、おぬしの方から儂に跨ってきたではないか」
「あ、あの時は、なんかこう我慢出来なかったからで、それとこれとは違うっていうか…」

 清美がタキの甲羅に額を当てて呟いていると、タキの指が再び下着に押し入ってきた。

「ん、あ、ぁっ」

 充分に潤った陰部に太い指がぬるりと吸い込まれ、ぐじゅぐじゅと掻き回された。

「あ、あぁ、くぁああっ」

 タキの指は陰部をほぐすように緩く動かされ、その度に膝から力が抜け、頭に血が上ってくるようだ。
たったの一週間離れていただけなのに、寂しくて切なくてたまらなかったが、何もしないで我慢していた。
退屈すぎて息苦しくなる夜もあったが、それでも堪えて、こうして彼に慰められる時を待っていたのだ。
当然、自分でするよりも余程良いからだ。陰部に詰め込まれた指が二本に増えると、とうとう膝が折れた。
だが、どれほど陰部を乱そうとも、肉芽には触れてこない。意地悪なのか、焦らしているだけなのか。
けれど、事を始めるにはドレスを脱がなければ。だから、堪えられるだけ堪えよう、と清美は強く思った。

64河童と村娘 番外編4 859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/23(火) 17:46:38 ID:QbIv7UDA
「どれ」

 タキは清美の胸元を覆う布地を下げると、触れられもしないのに尖った乳首をさすってきた。

「あぁあっ!」

 だが、少しも持たなかった。清美が崩れ落ちそうになると、すかさず腰を支えられた。

「して、何を求めるか」

 タキの低い声に囁かれ、清美は薄く汗を浮かべながら喘いだ。

「お願い、触ってぇ…」
「具体的に申せ」
「そんなの、とっくに解ってるくせにぃ…」
「さて、どうだかな」

 タキはにやりと目を細め、じゅぐ、と陰部から白濁した愛液にまみれた指を抜きかけた。

「あ、やだやだぁっ!」

 清美はタキの腕を掴むが、タキは指を引き抜いてしまった。

「おぬしが申さぬから、儂には解らぬのだ」
「うぅ…」

 清美は火照った体を持て余し、喘ぐうちに垂れた涎を拭った。

「いつもはそんなこと言わないのに、なんで急に…」
「整いすぎておると、乱してやりたくなるものでな」
「それが本音?」

 清美がむくれると、タキは汚れていない左手で清美の頬を包んできた。

「気に障ったか」
「ちょっとは。せっかく綺麗なドレスなのに、汚すこと前提で来られちゃ私だって困るよ」
「汚れたとしても、儂の力を与えた水で清めれば元通りになる」
「型崩れしちゃったりしない?」
「その服自体にも神通力が込められておるからな。滅多なことでは破れもせん」
「そう、かもしれないけど…」

 清美は少々困りながら、ドレスの裾を抓んだ。汚れても水洗いで元通りになるのなら、もっとやるべきか。
だが、やはりドレスはドレスなのだ。清美が迷っていると、タキは清美を持ち上げて膝の上に座らせた。

「これは下げぬ方が良かろう」

 タキは大きく広がって膨らんだスカートの下から手を差し込み、潤いが染みた下着を横にずらした。

「そのまま入れちゃうの?」

 清美が期待と躊躇いを交えて漏らすと、タキは充血した肉芽を抉ってきた。

「その前にこちらではないのか?」
「ふぐぅ、あぁっ!」

 高ぶっていた箇所に訪れた強烈な快感に、清美は掠れた声を発した。

「どれ、もっと鳴いてみせよ」
「んぐぁ、あ、あああっ!」

 肉芽を潰されたまま陰部にも指が押し込まれ、清美はタキの腰に絡めた足に力を込めた。

「も、もおダメぇ、それ以上はぁ」
「ならば、儂を求めるか」
「入れて、お願いだからタキの入れて、でないと収まらないぃ…」
「その前に、成さねばならぬことがあるのではないのか?」

65河童と村娘 番外編5 859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/23(火) 17:49:43 ID:QbIv7UDA
 タキは清美の胎内から指を抜き、膝の上からも下ろした。

「おぬしを貫こうにも、儂のものが現れなければ出来ぬというものよ」
「あー…」

 タキの股間を見、清美は心底落胆した。彼の胎内に没している男根が、先端すらも出ていなかった。
いつもならとっくに出ているのに、これは妙だ。タキを見上げると、目元は意地の悪い表情のままだった。
となると、先程のことも意地悪なのか。少し腹が立ったが、このままでは収まりが付かないのは本当だ。
 清美はヴェールと一緒に髪を掻き上げ、タキの股間に顔を埋め、男根が没している箇所に口付けた。
端から見れば、実に卑猥な光景だ。神とはいえ、爬虫類の親戚のような異形に花嫁が奉仕しているのだ。
しかも、その中身は女子中学生と来ている。我ながら恥ずかしくなってきたが、清美は愛撫を続けた。
 薄い唇で厚い皮を挟み、体内に潜むものを吸い出すつもりで吸うと、赤黒い逸物が現れてそそり立った。
体液でてらてらと光る亀頭を含み、男根全体を飲み込もうとするが、清美の口では全て受け止められない。
中程まで銜えるのが精一杯で、根元ははみ出してしまうので、残った部分は両手で丁寧に撫でさすった。
しばらく続けていると、男根全体が硬さを増した。もう少しで出そうだ、と察した清美は、根元をきつく握った。

「…ぐ」

 すると、喘ぎなど一度も漏らしたことのないタキが小さく呻いた。

「出しちゃダメ。出すんだったら、私の中で出してよぉ」

 清美は甘ったれた声を出し、タキの男根の根元を握ったまま跨ると、腰を落として陰部に飲み込んだ。

「ふぁ、あああ…」

 だが、手は緩めない。清美が腰を揺すり始めると、タキは目を上げた。

「清美」
「ん、なぁに」

 清美がにんまりすると、タキはクチバシを開いた。

「その手を外してくれぬか」
「だぁめ。だって、タキだって私に意地悪してきたじゃない。おあいこだよ」
「だが…」

 タキが言葉を濁すと、清美は手を緩めぬまま、タキに迫った。

「ね、なんで着物じゃなくてドレスにしたの? 教えてよ」
「大した理由はない」
「嘘だぁ。こんなに短いスカートのドレスなんて、普通は頼まないよ。着物じゃないってことからして引っ掛かるもん。
私にドレスを着せてしたかったんでしょ? ねえ、そうでしょ?」
「儂はそのつもりではなかったのだが」
「じゃあ、どんなつもりでミニスカのドレスなんて頼んだの? ねえ、タキ?」

 清美がくすくす笑うと、タキは苦々しげに答えた。

「ただ、おぬしを喜ばせるようと思うてその服を作らせたのだが、おぬしを見ているうちに妙な気がもたげてな」
「つまり、綺麗な格好をした私にムラムラ来ちゃったってこと?」
「…うむ」
「ふふふふふ、なんか可愛いー」

 清美が肩を震わせると、タキは目元を歪めた。

「何故に」
「だって、タキがそんなこと思うなんて思わなかったんだもん」

 清美は男根の根元を握っていた手を外すと、タキの首に腕を回した。

「もういいよ、一杯出していいからね」
「申されずとも」

 タキは清美の腰を抱き締めると、一息に奥まで貫いた。

「あぁんっ!」

 清美が甲高い声を上げると、タキは清美を組み伏せ、足を大きく広げさせた。

「どれ、乱れてみせよ。儂の嫁よ」
「もう、充分そうなってるってばぁ!」

 荒々しく突かれながら清美が喚くと、タキは言った。

「まだ足りぬ」

 その言葉に、清美は身震いしそうになった。短い一言だが、あらゆる感情が込められていたからだ。
一週間山を空けていたことに対する詫びや、清美に対する並々ならぬ思いといった生々しい感情だ。
普段は表情だけでなく、言葉でも感情を表そうとしない彼だからこそ、やたらと嬉しくなってしまった。
だが、清美にはその気持ちを言葉に出来るような余裕はなく、ドレスに生温い染みが付くほど乱れた。
 夫が愛おしいからだ。

66河童と村娘 番外編6 859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/23(火) 17:52:44 ID:QbIv7UDA
 水で清められたドレスが、風を受けてはためいていた。
 青く茂った木々の中に混じる純白のドレスは、山の光景には不釣り合いどころか物凄く異様だった。
だが、洞窟の中は湿気が多くて乾きが悪いので、風通しの良いに干さなければ元通りにならないだろう。
スカートの内側がひどく汚れて型崩れしかけていたが、タキの言葉通り、普通に洗ったら綺麗に落ちた。
それはタキ自身の力なのか、機織りの神の力なのかは解らないが、どちらにせよ神通力とは万能だ。
いつもの制服姿の清美は、手近な木の枝に腰掛けてドレスを眺めながら、意味もなく足を揺らしていた。

「ねーぇ、タキー」
「何用か」

 清美が声を掛けると、眼下に流れる川で泳いでいたタキが立ち上がった。

「今度、私も外に連れていってよ。山の中で留守番しているだけじゃつまんないんだもん」
「おぬしは外に出ずとも良い。必要とあらば、望むものを手に入れてやるが」
「あー、だからドレスなんてプレゼントしてくれたんだぁ。私のご機嫌取りするために?」
「それだけではないのだが…」

 タキは少々ばつが悪そうに語尾を弱めたので、清美は畳み掛けた。

「そりゃ、ドレスは嬉しかったし、ぶっちゃけ毎日退屈だけど、タキがいてくれないと意味がないよ」
「ふむ」

 タキは清美を見上げていたが、クチバシを開いた。

「だが、おぬしを連れられる場所は限られておる。それでも良いか」
「うん。言い付けはちゃーんと守るから」
「ならば、手始めに山神の元を訪れねばならんな」
「え…」

 清美が若干身を引くと、タキは平坦に述べた。

「山神は近隣の山地を統べ、儂らも統べておる神だ。訪ねるのが道理というものよ」
「でも、山神様ってあれでしょ、ヒス持ちで女嫌いなんでしょ? 大丈夫かなぁ…」
「それはおぬしが現世の者であったからだ。常世の者となったのだから、以前ほど嫌われてはおるまい」
「だと、いいんだけど」

 清美が不安げに眉を下げたので、タキは目を細めた。

「何、恐るることはない。おぬしは儂の嫁なのだからな」
「うん、そうだよね。そうだもんね」

 清美は笑みを取り戻すと、ぽんと枝を蹴って飛び降り、タキの泳ぎの波紋が残る水面に身を投じた。
高く水柱が上がったが、清美の体には水面と衝突した際の衝撃は訪れず、水は柔らかく迎えてくれた。
水中に没した清美はプリーツスカートと長い髪を漂わせながら、タキにしがみつき、クチバシに口付けた。
タキは清美の唇を塞ぎ返す代わりに抱き寄せると、水に弄ばれている髪を太い指で優しく梳いてくれた。
 清美は幼すぎて妻の役割を果たせているとは思えないし、水神の妻の身の振り方など知るわけもない。
ドレスの件も、結果として清美の我が侭でタキを振り回してしまったし、これからもそんなことがあるだろう。
そのままタキに甘えて生き続けるのは楽かもしれないが、そんなことではタキの妻になった意味がない。
常世のことや神々については何一つ解らないが、時間は余るほどあるのだから、ゆっくり知っていけばいい。
 そして、愛し合えばいい。

67859 ◆93FwBoL6s.:2009/06/23(火) 17:58:34 ID:QbIv7UDA
以上。通し番号ミスってしまった。
迷惑を被ったのは、タキに無茶振りをされた機織りの神。

68変態紳士:2009/06/23(火) 19:10:37 ID:BqAN82OM
GJ!番外編キタ━━(゚∀゚)━━!!

69変態紳士:2009/06/24(水) 04:21:29 ID:zmruqjJ.
GJ!!! タキの良夫ぶりがいい!!

70植物SHOCK 0:2009/07/05(日) 16:30:40 ID:LNbr9U4c
投下。
姪と叔母さんが植物に巻きつかれる話で、残念ながらあまりエロくないです。
人外アパートを出しましたが、世界観壊したかもしれません。
このレス除いて5レス。NGは「植物SHOCK」でよろしく。

71植物SHOCK 1:2009/07/05(日) 16:31:16 ID:LNbr9U4c
若いのに気難しく、親戚一同と疎遠になっている叔母さんが、派遣切りに遭って引っ越したそうだ。
人づてにそれを聞いた父さんは、叔母さんに連絡をとってうちへ来ることを薦めたらしいが、
断られたのだという。
「まったく素直じゃない妹なんだから……。香織さんとは大違いだね」
「まあっ、典彦さんったら……」
父さんの言葉に母さんが頬を赤らめてぽかぽか叩く。えっと、いつまでこの調子なんだこの二人は。
長年このやりとりを見せられてきた私ですら時々居づらくなる。
「叔母さんが来たがらないのも分かるなぁ……」
「「何か言った? 典香ちゃん」」
二人が微笑んでこっちを見た。
「いや、別に……」

そんなわけで、私は叔母さんの様子を確認しにアパートへやってきた。
「ちょっとボロいなー……」
まぁネカフェ難民とかになるよりはマシなのかもしれないけど。
今は昼間だからただボロいだけだけど、夜になるとお化けでも出そうな……。

ヒュードロドロドロ……

「へっ?」
幽霊が出てきそうな効果音が響いた。慌てて辺りを見渡すと……、
UFOがすぐ近くまで降りてきていた。
「なんと!」
私はあんぐりと口を開けて立ち尽くした。と、後ろから声をかけられた。
「通行の邪魔です、立ち止まらないでください」
「すみません!って叔母さん!?私です典香でーす、お久しぶりで……、じゃなくてそれより
叔母さんUFO!あれUFO!」
「典香……ああ、兄さんの娘ですか」
叔母さんはあくまで無表情に言った。いやそんなことよりUFOが!
「あれ見て叔母さん、UFO!」
「騒がしいですよ、典香」
叔母さんが制すので私は黙り込む。うーむ、この辺りではUFOとか珍しくもなんともないのかも知れない。
しかし、叔母さんは呆れたように私を諭す。
「UFOだなんてサイエンス・フィクションの存在ですよ」
「じゃ、じゃああれは何?」
私は再び空に舞い上がろうとしている銀色の半球を指差した。
「なんですか、もう……」
気だるげに叔母さんも半球の飛んでいく方向に視線を移す。
「あれは飛行機です」
至って真面目に叔母さんは言った。えー……。

72植物SHOCK 2:2009/07/05(日) 16:31:53 ID:LNbr9U4c
叔母さんのアパートには、他にも不思議な現象がたくさんあるようだ。叔母さんの部屋に行く途中も
妙な住民と何度もすれ違った。
「ロボットがなんか喋ってるよ!」
「最近のおもちゃはよく出来ていますね」
おもちゃが、あんな気さくに挨拶してくるかなぁ?

「犬が服着て歩いてる!」
「飼い主の悪趣味だと思います」
すっごく自然に二足歩行してるんだけど……。

「あの人羽生えてる!」
「仮装でしょう。確かコスチューム・プレイというのでしたっけ?」
こんなとこでコスプレする意味は!?

「でっかい虫がいるー!」
「え?」
ここで叔母さんは眉をひそめた。
「バルサンを炊かなくてはいけませんね」
「いやいやいや!」
バルサンが敵いそうなでかさではない。
……なんだこのアパート。
しかし叔母さんは、どんな変なことが起きても現実的な捉え方をするなぁ。その頭の固さに尊敬だ。

部屋に着き、小さなちゃぶ台の前に腰を下ろす。普通に部屋に入れてもらえたことを考えると、
私はそこまで邪険にされてはいないらしい。叔母さんはノートパソコンを立ち上げた。
「叔母さん、今仕事は?」
「アルバイトをしながら新しい仕事を探しています。兄さんにもそう言ったはずなのですが」
「そ、そう……」
淡々と叔母さんは答えた。画面を覗くと、早速職探しをしているらしい。
この熱心さがあればすぐに就職出来そうなもんなのにな……。
父さんによると生真面目過ぎて要領が悪い人なのだという。
「な、何か家事とか手伝うことはない?」
「ありません」
「……」
キーボードの音だけが聞こえてくる。私は窓の外のベランダを見た。ツタみたいな植物が目に入った。
「あ、叔母さん、なんか育ててるの?」
「いいえ。何も」
「じゃあ外のあの草は雑草か何か?」
「隣のお宅のが、こちらまで伸びてきたのでしょう」
視線を画面から外さずに叔母さんは言う。
「お隣ってどんな人?」
「あまり面識はありませんが植物学の博士と、外国人の奥さんが住んでいます」
「ふーん……」
私は立ち上がって、何気なく窓を開けた。

73植物SHOCK 3:2009/07/05(日) 16:32:27 ID:LNbr9U4c

ひゅるるるるる!

「ギャー!」
ツタ動いた! 巻きついた!
ビビった私は植物の絡まった足をバタバタさせた。
「ちょっと叔母さんッ!なんかこれ変!動く!」
「食虫植物だったら、触れたら閉じるのではありませんか」
「そういえばそうだね!」
そっかこれ食虫植物かぁ! って、人間襲う食虫植物ってかなり危険じゃない?
食虫っていうかこいつ触手みたいだし……。
とか考えているうちに、両足両腕に茎が巻きついていて、なんかヤバい状態になっていた。
体が浮かび上がり、ベランダに出された。
「うわああああああ!」
「騒がしいですよ。……え?」
叔母さんがようやく顔を上げた。目をぱちくりとさせている。ようやく驚いた。
そのうちに新しい茎が窓から侵入し、叔母さんも巻き上げられてしまった。
「大丈夫っ?」
「だだだいろうぶでふ!」
相当動揺してるな。あの動じない叔母さんがぶるぶると震えている。これは助けを呼ばなくては。
「誰かー! 助けぐふっ」
大声をあげようとした私の口に、茎の先が突っ込まれた。
「むー! むー!」
むー……諦めるか。
叔母さんに巻きついている方の茎は、叔母さんの胸にふわりと絡みついた。
しっかりアイロンが掛かっているシャツに深い皺が寄る。
「ぁ……」
叔母さんが小さく声を漏らす。そして、その自分自身の声にはっとしたように、
必死で手足を動かして抵抗を始めた。
「い、いけませんお嫁に行けなくなってしまいます……あん……っ」
お嫁に行くこと考えてたんだ、意外。茎は叔母さんの大きな胸を揉みしだくように、いやらしくうごめいている。
「あふぅ……んああッ……!」
私はというと、そんな色っぽい声を出す叔母さんに見とれてしまっていた。
叔母さんはいつもきっちりした服を着ていて、人並み以上にある胸は威圧的で固そうに見えた。
でも、植物の茎が食い込み、されるがままになっている叔母さんの巨乳は、とても柔らかそうなのだ……。
ぼんやりと叔母さんの様子を見ていると、私の口内からずるりと茎の先が抜かれた。
そして、茎の先はそろそろと私の胸に向かってくる。
あ、私も叔母さんと同じ目に?! 私はごくりと唾を飲み込んだ。しかし、

すかっ

茎は私の胸をかすった。
一瞬の停止の後、再び胸に茎が当たるが、軽く服の上を撫でただけに終わった。
ちょっと萎れたみたいだった。
私は悲しくなってきた。いくら私が掴み所のない胸をしてるからって!Aカップブラが余るぐらいだからって!
切なさのあまり私は暴れた。
茎はびくっと震えたが、今度はふっと縛りを緩めた。
「に、逃がひてくれる、の……?」
その考えは甘かった。
うねうね。茎が一斉に波立つ。

「ぶっひゃっひゃっひゃっひゃー!」
私は爆笑した。いや、させられた。体中をやわらかい茎が這い回るのだ。
特に、足の裏と脇の下は繊細な動きでくすぐられている。
「うひーひーひーひー……」
我ながらキモい笑い声だ。鼻水噴いたかもしんない。叔母さんとは別の意味で嫁に行けない。

74植物SHOCK 4:2009/07/05(日) 16:33:01 ID:LNbr9U4c
再び叔母さんの方に目を向けると、叔母さんはぐったりとして目を閉じていた。気絶したのかな、心配だ。
その時、ガラガラと窓の開く音が聞こえ、
「ショクロー! ヤメナサイ!」
片言の女の人の声がした。その声に植物はひるむようにしゅるりと先を丸めた。
犬が尻尾を丸めるみたいだと思ったけど、そう呑気に思ってる場合ではなかったっけ。
「助けてくださーい! あ、HELP! HELP!!」
隣のベランダに出てきた、ほっそりとした人影に向かって助けを求めた。
おそらく外国人の奥さんだろう。
「申シ訳アリマセン、ウチノショクローガゴ迷惑ヲ……」
ひたすら謝るその人は、なんと薄緑の肌に、花びらのような髪をしていた。
と、言っても"外国人"だと聞かされていた人が実は植物人だったなんて、もはや大した驚きじゃないよね。
植物は逃げるように高く高く茎を伸ばし……って、私の体も高々と持ち上げられて怖い!
「降リテキナサイ!」
奥さんは植物を掴んで引っ張り出した。……茎がブチッといっちゃいそうでそれはそれで怖いなー。
はらはらしながら見守っていると、
「ただいまー」
間延びした男の人の声が聞こえた。
「アナタ! ショクローガ!」
「んー、どうしたどうしたー」
呼ばれて出てきたその人は、中年くらいの男の人だった。眼鏡、白衣、ボサボサ髪なところを見ると
博士に間違いない!
「おおー、ついにお外出て遊ぶようになったか、わが息子よ」
博士は絡まれている私達をシカトして目を細めた。つーか、息子って言った?
「ア、アナタ、ソンナ事ヨリオ隣サン達ガ!」
「あ、どうもこんばんはー」
博士は私と叔母さんに向かって会釈したが、それより早く助けてよ。私は足をじたばたさせた。
「おーいショクロー、ミネラルウォーター買って来たぞー」
博士がそう言った途端、私の体が急速に下がっていった。植物が隣のベランダへ戻っていくようだ。
ベランダに着くと私はすぐに解放され、気絶している叔母さんは奥さんがベンチに寝かした。
「ごめんねー、うちの子まだ生まれたばっかだからさー」
博士はそう言いながら、植物の生えた大きな鉢にたっぷりミネラルウォーターをかけた。
「うちの子って……」
「うん、ボクと妻の子。ショクロー」
「……そう見えないんですけど」
人間の形してないじゃん。
「まー今はそうだろうね。ショクローはまだ、普通の植物でいうと子葉の状態だから」
「しよう?」
「朝顔とか昔育てなかった? 芽が出て一番最初は、本来の葉っぱとは違う形の双葉が出てくるでしょ。
それと似た感じだね」
ショクローは二本の茎を揺らした。
「へー……ってことは成長したら……」
「しばらくたったら、多分うちの妻似の美形になるだろうね」
そう言って、博士は奥さんの肩を叩いた。奥さんは緑の頬をピンクに染めて博士の背中を叩き返した。
「モー、アナタッタラ……」
あ、この二人うちの両親と同じ匂いがする。
「あのー、元の部屋に戻りたいんですけどー……」
私がおずおずと申し出ると、博士は、
「あー、そうだった。ショクロー、今晩の肥料調合しとくから、そのうちにお隣さん達を部屋に送っといてくれー」
とショクローに声をかけた。
正直あんまり送られたくなかったけど、今度は丁重に扱ってくれたので良かった。

75植物SHOCK 5(最後):2009/07/05(日) 16:33:38 ID:LNbr9U4c
「んん〜、んー……っ!」
「大丈夫かなぁ……」
私はうなされている叔母さんを見下ろした。
植物人(と人間のハーフ)の子に胸揉まれるとか尋常の経験じゃないからな……。
相当怖がってたし、トラウマになってるかもしれない。
「はっ」
一声あげて叔母さんが起き上がった。
「あ、気付いた?」
「……やはり、夢でしたか」
「えっ?」
「あのような獰猛で野蛮な植物がこの世に、しかも隣のお宅なんかに存在するはずがありません!
悪い夢を見ていました」
いやいや夢オチじゃないよ。
「夢じゃなくてさ、さっきまで私達……」
言いかけて私は口をつぐんだ。夢だって信じたいなら信じさせておけばいいだろう。
っていうかこの叔母さんに説明して納得させるのが難しい。

私はさっき、お隣の夫婦からお詫びとして貰った謎のフルーツを切り分けて持ってきた。
水色にオレンジの斑点というありえない色をしていたので、食べるのにはちょっと勇気が必要だった。
「おいしいですね、典香」
「……うん、意外と普通だ」
スイカっぽい食感のオレンジ味だな……。
私は狭い部屋をぐるりと見回した。すっかり暗くなった窓の外を、流れ星かUFOが横切っていく。
叔母さんの引っ越し先は、なんだか色々と変なアパートだった。
でも、時々様子を覗きに来るくらいなら、楽しい所なのかもしれないな、と私は思った。  (終)

76変態紳士:2009/07/06(月) 02:51:35 ID:kXYAswkQ
GJ!!
巨乳好きの赤ちゃんか、叔母さんのキャラもよい。

77変態紳士:2009/07/06(月) 17:46:30 ID:rjsvy7l2
GJ。
堅い叔母さんの、ある意味徹底ポジティブさに噴いた。
子葉レベルでおっぱいを見分けるとはw 萎えるとはw 将来大物になるな。

78桜嫌い:2009/07/11(土) 01:56:38 ID:vdHuvjRQ
前半が長いうえに非エロなのでこちらに投下します。

・触手型宇宙人×OL
・二人とも二十代前半
・前編は非エロ、エロは後編から
・純愛モノ

NGは「桜嫌い」でお願いします。

79桜嫌い (前編) 1:2009/07/11(土) 02:01:15 ID:vdHuvjRQ
「…そう、こっちに来たの。遊ぼうって、今はね〜桜が咲いているでしょ。
私、桜が嫌いだから、この時期、外に出るのはちょっと嫌なのよね。
そんなこと言って彼とデートじゃないかって?
違うよ、篤とはこの前別れたの。うん、まあ一年の付き合いで遠距離恋愛になっちゃったってのが
無理だったんじゃない?やっぱり会えないってのは大きいよ。
ん?無理してないかって、ううん、私もなんとなく離れたときからこうなる予感はあったし。
なら、余計にどこか出掛けようって?でもなぁ〜。
昔は桜が好きじゃなかったかって?アイツを連れて蕾のころから散る頃まであちらこちらで
花見してたじゃないかって…まあね、でも今は桜餅すら見るの嫌いなんだよね。
アイツ?ああ、アイツなら二年前に自分の星に帰ったよ。うん、それから音沙汰無し。
薄情モンだよね。小学校に中学、高校、大学までいっしょに過ごして世話焼いてやったのに。
うん、ああ、そうなんだ。あさってまでいるんだ。
それなら明日、超大作立体映画の録画キューブ持って来てやるって?
じゃあ、こっちはお菓子とおつまみとビールを山ほど用意しておく。
うん、まあ失恋の愚痴でも聞いてよ。待ってるから、駅に着いたら連絡して迎えに行く。
うん、じゃあね、ありがとう。明日は宜しく。」

ピッと一人きりの静かな部屋に通信カードの通話を切る短い電子音が響く。
私は窓に歩み寄ると薄いレースのカーテンを少し開けた。指先で窓に触れ、偏光ガラスのスイッチを切る。
防犯という意味もあるがこの時期はいつもカーテンを閉め、偏光ガラスを曇の状態にしている。
それはこんなよく晴れた休みの土曜日でもそうだ。
ふわりと春風が舞い、部屋に入り込む。キラキラと明るい日差しに細波を煌かせる大きな川の向こうには、
淡い紅色の花を零れんばかりにつけた桜の木が並んでいる。
私は下唇と小さく噛むとカーテンを引いた。
さっきの大学時代の友人との電話どおり昔は…そう大学四年生の春までは私は桜が大好きだった。
アイツと蕾の頃から満開、散り零れる頃まで桜の名所と呼ばれるところを次々とハシゴし、
花見を始まりから終わりまで思いっきり楽しんだものだ。
そう…あの春までは…。

『美幸、こいつがさ、美幸のこと好きみたいなんだ。付き合ってみたらどうかな?』

そう言って、アイツが別れた彼を引き合わせ、『後はお二人でどうぞ。』と背を向けて
夕日に光る桜並木の下を去って行くまでは…。
その後、空っぽの心のままで夜桜見物をしたあの日までは。
ピンポーン。玄関のチャイムが鳴って私はこの時期はどうしても思い出してしまう
あの夕日の桜の下の背中を頭から慌てて消し去るとドアに向かった。

「誰だろう…。」

来客の予定は無い。宅配だろうか、ここしばらくはネットで通販はしていない。
両親が何か送ってきたのか、それともこの前に出したサイトの懸賞が当たったのか、首を捻りながら
玄関のドアに近づくとチェーンを掛けたまま、慎重にドアカメラのパネルを操作し
モニターに外の様子を映し出した。

『…美幸、居る?』

ドア越しに人の近づいた気配を悟ったのか、私の脳にダイレクトに男の…懐かしい男の声が響く。
ドアホーンを使わず、いや使えず、直接頭に話し掛けてくる男などアイツしかいない。
モニターの向こうにはひらひらと灰色の細い紐のようなものが揺れていた。

「まさか…。」

そうだとしたら二年ぶり、いや三年ぶりだ。あの夕日の桜から私はアイツを意識的に避けていたから。
大学を出ての春、故郷の星に帰るときも出発の宙港のロビーから通信カードに

『長い間、本当にありがとう。美幸と会えて良かったよ。僕は今から星に帰ります、さようなら。』

とメールが届いただけだった。
見送りも出来なかった、させて貰えなかったアイツがなぜ、今…。
息を飲むと震える手でドアを開ける。

『美幸、久しぶりだね。』

春の風が吹き込んでくる。頭に優しく響く穏やかな声と共にそこにいたのは
私を桜嫌いにさせたエイリアンの幼馴染だった。

80桜嫌い (前編) 2:2009/07/11(土) 02:05:05 ID:vdHuvjRQ
『ごめん。連絡も無く急に来ちゃって。』
「ううん、どうせ暇だったから。本当に久しぶりだね、ドラム。」

三年ぶりの幼馴染をリビングに上げた後、私は逃げるようにコーヒーを淹れにキッチンに入った。
思ってもみなかった、しかもまだ心のしこりを抱えたままの対面にどう接すればいいのか
頭が混乱している。
ワザと時間の掛かる旧式のコーヒーメーカーを出し、震える手で粉をフィルターに入れる。
コンロでお湯を沸かし、それを注いでフィルターの粉を蒸らしながら、私は大きく息をついた。

どうして…。

生まれ故郷の星に帰ったドラムが今更、なぜ目の前に現れたのだろう。
しかもあの時付き合うように引き合わされた篤と一週間前に別れた、絶妙のタイミングで。
そっとリビングを覗き込むとドラムは小さなテーブルの前で身体の正面についたモノアイを
キョロキョロさせて部屋を見回していた。

『…美幸ってこんなに綺麗好きだっけ?いつも部屋を散らかしっ放しにしてたから、
てっきり一人暮らしでもバタバタにしてると思ったよ。』

頭に響く陽気な声に「馬鹿…。」と小さく呟きつつ、返事を返す。

「一人暮らしして二年だからね。それなりにしっかりするようにもなるよ。」

確かにこの二年の実家を離れての一人暮らしで家事もきちんとするようになった。
実家の母も「しっかりしてきたものね。」と驚いている。
だが、ここ一週間は酷かった。篤の最後の電話を受けた晩から、罪悪感とそして少しの安堵感、
それに対する更なる罪悪感でまるで家のことなどする気も起きなかった。
ただ、職場と家のベッドを往復するだけの日々。家では食事すら取って無い。
今朝、さすがにこれでは駄目だと思い直し、新規一心を計るつもりもあって
リビングからキッチン、風呂場にトイレ、ベランダまで全部掃除したのだ。
その大掃除で見つけた棚の隅に二年間どうしても捨てられずの置いてあったマグカップを取り出す。
軽い強化プラスチックのカップに黄色い蓋、長い透明なキューブ状のストローがついているそれは、
よく実家に遊びに来て入り浸っていたドラムが使っていたものだ。
二年前、このアパートに引っ越すとき持っていく食器の荷造りをしていたときに、
星に帰ったドラムのカップを母が「これ、どうしようかしら?」と困ったように出してきたのを見て、
思わず貰ってきてしまった。
出来たコーヒーを自分のカップとドラムのカップに注ぐ。冷蔵庫からミルクポーションを一つ出して、
彼のカップにだけ入れてスプーンでかき混ぜる。無意識に冷凍庫から氷を三つ出して
それをカップに入れ溶かしながら、コーヒーをドラムの飲める好みの温度にしている
自分に気がついて苦笑を浮かべた。
そう、小学生の頃から遊びに来る度に、こうしてホットミルクを作ったり、
コーヒーを淹れたりしてきたので身体が彼の好みを覚えてしまっている。
かき混ぜるスプーンを上げ、先から落ちる雫に小さく息をつくとストローを差した蓋を被せて、
私は二つのカップをトレイに乗せて重い足取りでリビングに戻った。

81桜嫌い (前編) 3:2009/07/11(土) 02:14:26 ID:vdHuvjRQ
『そのカップ、持っていてくれたんだ。』

懐かしそうな声を私の頭に響かせて、ドラムは灰色の触指を伸ばすとカップの取っ手を握った。
ライトグリーンのモノアイの瞳が嬉しそうに輝く。
どうしてこんな三流SF映画のヤラレ役に出てきそうなエイリアンが未だに忘れられないのだろう。
私は自分のカップを持って、それを啜りながら懐かしい幼馴染を眺めた。
ドラムは異星人。正確にはM77銀河アリアス星系の第三惑星エアロ星人。
その形状から触手型宇宙人と他の異星人と一纏めで呼ばれることもある。
見た目はまるで歩く小型のドラム缶。灰色の太い胴体に脇から支えるように四本の短い足がついている。
ドラムの名前もそこからきている。本当の名前は地球人では発音出来ないので、
私がつけたあだ名を彼の父がそのまま彼の地球名にしてしまったのだ。
上から四分の一の位置にライトグリーンの瞳の光る単眼がついていて、その少し下、
三分の一の位置から今は二本の触腕が生えている。
自分が地球人の一部に生理的に嫌悪感を覚えさせる容姿をしていることを良く知っている為、
普段は地球人に合わせて調度腕に当たる位置の触腕しか出さないのだ。
しかし、本当はその他に前面、横後方、後面と八本の触腕を持っていることを知っている。
前面四本は先が五本の触指に別れ、それが地球人の手や指の働きをすることも、
後ろの四本は筋肉の束で一本一本が地球人の大人の男一人を容易に吊り上げられることも、
左腕当たる触腕の一番端の触指がどうにも動きが鈍くて困っていることも、
それでいて困ったときや照れたときにモノアイの下を掻くのがその触指だということも。
透明なチューブを頭頂にある口腔に入れて、ミルク入りのコーヒーをドラムが啜る。

『ちゃんと温くしてくれたんだ。』

頭に響く嬉しそうな声に頷き返す。ドラムは声帯を持たないので会話はテレパシーだ。
最も頭に声が響くからといっても人の思念を読み取ったりは出来ない。
口はイソギンチャクと同じように体の天辺にあり、中は歯舌がぐるりと周囲に生えていて、
それで食べ物を噛み潰す。筒のような口だから熱いものは食べられない。
実家によく泊まりに来ていっしょに食事をしたときはドラムに合わせて、
母が彼の分の御飯を冷ましていたものだ。

「どうして地球に?星に帰ってあっちで就職したんじゃないの?」

途切れがちになる会話の沈黙が重くて訊ねると、ドラムはライトグリーンの瞳を
何故かきょときょとと回した。

『今度、うちの会社がこっちに地球支社を出すことになって、
それで地球でずっと暮らしてきた僕が支社の社員に派遣されたんだ。』
「そう…じゃあ、これからはまた地球暮らしなんだ。」
『うん、もう美幸の実家の隣の家は売っちゃったから、今は一駅先の町のおんぼろアパートに住んでいる。
ぼろいけど僕みたいな異星人や亜人が多くて、家賃も安いから住み易いんだ。』
「そう…。」

私はコーヒーを一口飲んだ。いつも以上に苦い味がする。
ドラムの会ったのは小学三年生の頃、異星人街の近くにあった実家の隣に父親の転勤で
家族で越してきたのがきっかけだ。
お隣同士ということもあり、向こうの両親に地球に慣れない息子と仲良くしてやってくれと
頼まれたこともあり、異星人の友達という物珍しさもあって、いっしょに遊んでいるうちに
気が合っていたのか、いつの間にか一番の友達になっていた。
学校の放課後は毎日、日が暮れるまで二人で遊んだし、夏休みもお互いの家でずっといっしょに過した。
花火見物に夏祭り、夏休みの最後、山のように残った宿題を手伝ってくれたのも彼だ。
そのまま同じ校区の中学に上がり、いっしょに受験勉強しながら同じ高校に入った。
学校での友人付き合いの悩みも、勉強の悩みも一番に話せて、一番良く聞いてくれたのも彼、
そして大学は星間貿易の仕事に就きたいと希望していたドラムを追って同じ大学の星間経済学部に入った。

『美幸、こいつがさ、美幸のこと好きみたいなんだ。付き合ってみたらどうかな?』

あの日、毎年の恒例の二人の花見の約束にドラムが同じゼミの篤を連れてきて言った言葉が蘇る。
ぎゅっと手を握り、私は頭の中をこだまする忘れたくても忘れられない言葉を打ち消した。

82桜嫌い (前編) 4:2009/07/11(土) 02:18:41 ID:vdHuvjRQ
「ドラムは向こうに帰ってどうしたの?彼女でも出来た?」

そんな過去にしがみ付いたままの自分が嫌でわざと明るい口調で聞く。
肯定の答えなら…やっと諦められる。別れた篤には悪いけどやっと区切りがつける。

『ううん、仕事が忙しくてさ、出来なかった。相変わらずの寂しい一人身だよ。』

ドラムの困ったような声に思わず安堵が胸を満たす。
それと同時に自分が三年前とちっとも変わってない思いをまだドラムに抱いていることに驚いた。

馬鹿みたい…どこまで私、馬鹿なんだろう…。

苦い、苦いコーヒーを飲み干す。

『美幸は?篤とうまくいってる?』

ドラムのどこか探るような声に私は素直に答えた。

「ううん、一週間前に別れたの。篤、就職して直ぐに支店に転勤になっちゃって。
ダメよね、一年そこそこの付き合いで遠距離恋愛なんてね。
結局、連絡が途絶えちゃって、向こうで新しい彼女が出来たんだって。」

一週間前の後悔と罪悪感が蘇る中、務めて明るく答える。

『そうなんだ…。』

何故かドラムの声が篭ったように響く。コーヒーのカップを置くと彼は小さく左端の触指を震わせた。


『悪い、美幸。こっちで彼女が出来たんだ。別れてくれ。』

篤が電話を掛けて来たのはちょうど一週間前の土曜日、彼が私の家に泊まりに来る日の夜だった。
その日は離れてから尚更感じるようになった彼と会う前の重い気持ちを振り払うように、
朝から掃除をして、買い物に行き、二人分の夕食を作って篤を待っていた。
中々到着の連絡をしてこない篤にこっちから電話を掛けようか迷っていたときに
通話カードの篤用の着信音のメロディーが流れたのだ。
別れの言葉はそれだけだった。多分、それが篤の優しさだったのだろう。
そして彼がわざと私が彼に会う用意を終えたころに電話を掛けたのは
彼の精一杯の私への仕返しに違いない。
心の中でいつまでも他の男のことを考えている私へ、いつも彼をその男と比べている女への。

『そう、そうなんだ。解った。新しい彼女を大事にね。』

『ごめんなさい。』と謝り出してしまわないうちに、私はそう答えて直ぐに通話を切った。
それは篤に余りに失礼だし、彼の男としてのプライドをとことんまで傷つけてしまう。
忘れられない相手が、比べていた相手がエイリアンだなんて。
通話を切って一番最初に胸を満たしたのは安堵だった。
もう無理をして恋人のふりをしなくて済む。本当は好きでもないのに篤の求めるままに抱かれなくて済む。
その後、襲ったのはそう感じる自分へのひどい罪悪感だった。
でも、全く失望は感じなかった。夕日の桜並木の向こうの彼の背中を見送った時のような
胸が空っぽになる思いは微塵も感じなかった。
…そう、無理して付き合っていたのだ。彼が『付き合ってみたらどうかな?』って言ったから、
彼が進めてくれた相手だったから。彼を…友人にしかなれないと知った彼を諦める為に。
でも、篤は彼の代わりにはならなかった。
花火見物のとき浴衣を着て不慣れなゲタで歩く私の横で篤はさっさとスニーカーで歩いていった。
彼はゆっくりと歩調を合わせて、『きばっておしゃれしなくても良いのに。』と笑いながらも
時々立ち止まって休ませてくれたのに。
人込みの中でも、ただグイグイと手を引くだけの篤と違って、彼は私が人に押されて転んだり
倒れたりしないように側にぴたりとついて伸ばした触腕を腰に回してしっかりと守ってくれていた。
具合が悪いときも、落ち込んでいるときも彼は、黙っていれもすぐに察して優しく声を掛けてくれた。
篤との付き合いで知ったのは皮肉にも彼以上に私を見ていて、気に掛けてくれている男が他にいないことと、
そんな彼へいつの間にか抱いていた自分のどうしょうもない思いだけだった。
触手型宇宙人にとって私は恋愛どころか異性としての対象にすらならない。
彼にとっては私を好きな男を紹介出来る幼馴染の友人でしかないというのに。

83桜嫌い (前編) 5:2009/07/11(土) 02:22:42 ID:vdHuvjRQ
「今日はどうしてここに来たの?」

私の問いにドラムは焦ったように触指をそわつかせた。

『久しぶりに地球に来たら、美幸の顔が見たくなってさ。
おばさんに聞いたら意外と近くに住んでいたものだから、
それなら久しぶりに良い天気だし、いっしょに花見にでも行こうかと思ったんだ。』
「ごめん、私、桜が嫌いなんだ。」

精一杯の彼への抵抗で言ってみる。ドラムはライトグリーンの瞳をまん丸にして私を見た。

『嘘…小さい頃からずっと桜が大好きだったじゃないか。二人で毎年いろんなところへ
花見に出掛けたのに…。』
「でも、今は桜餅すら嫌いなの。」

私はぴしゃりと言い切った。

『そんな…。』

ドラムがおどおどと瞳を動かす。左の触腕の一番端の触指がモノアイの下を掻く。
私はそんな彼から視線を逸らした。
だって、だって、ドラムが桜の下であんなことを言うから、恋人でなくても良い、
異性に見られなくても良い、ただいっしょに居るだけで良かった私にあんなことを言うから、
どうあがいても伝わらない思いだということをあの時はっきりと示したから…!!
息苦しさともどかしさに立ち上がる。

「ごめん、用事思い出したの。帰ってくれる?」

私の突然の言葉にドラムがオロオロと触腕を振る。

『暇だって言っていたのに?』
「明日、友達が来るの。その仕度に買い物に行かなくちゃいけないの。」
『だったら、そこまでいっしょに行こう。駅まで見送りくらいしてくれないかな?』
「ごめん、まだ掃除も残っているし。」
『手伝うよ。僕、暇だし。』
「いいから帰って!!」

私はドラムに背を向けてリビングを出て廊下を玄関のドアに向けて歩き出した。
後をドラムが短い四本の足を器用にちょこまかと動かしてついてくる。

『美幸、何を怒っているんだい?』
「怒ってなんかない。」

私は玄関のノブに手を掛けた。
諦めよう、どうあがいても無駄なのはあの時知った。
今日、ドラムに会ったのはきっとこれで諦めなさいということ。
明日は友達と立体映画見て、愚痴って、ビール飲んで、そしてこれからはきれいさっぱり彼を忘れて、
ちゃんと私を異性と見てくれる男と付き合おう。
ノブを回そうとした瞬間、私の体にドラムの触腕が絡みついた。
後方の触腕、重いものでも軽々と持ち上げられる筋肉の束の腕だ。
そのまま、あっという間に廊下へと戻される。とんと背中にドラムの厚い皮膚に覆われた
胸が当たった。シュルシュルと今度は前方の四本の触腕が私の身体に纏わりつく。
細い触指が私の手に重なった。

「ドラム!?」

驚いた私の声に答えるように触腕がギュッと私の身体を抱き締める。

『美幸…。』

聞いたことの無いドラムの熱っぽい声が私の頭に響いた。


(続)

84桜嫌い (前編):2009/07/11(土) 02:24:45 ID:vdHuvjRQ
以上です。

後編は近いうちに投下します。

失礼しました。

85変態紳士:2009/07/11(土) 21:54:37 ID:y/qdLELQ
gj
萌えた。やっぱ過程もいいやなぁ。

86桜嫌い (後編):2009/07/18(土) 15:33:02 ID:n7uOkRAg
後編を投下します。

・触手型宇宙人×OL
・二人とも二十代前半
・エロは4レスあたりから
・純愛モノ

NGは「桜嫌い」でお願いします。

87桜嫌い (後編) 1:2009/07/18(土) 15:35:33 ID:n7uOkRAg
『美幸…。』

頭に響くドラムの声はあるはずもない吐息が感じられるほど熱い。

「ドラム…どうしたの?」

息が詰まりそうな沈黙に問い返すとドラムはギュッと更に触腕に力を込めた。
ドクドクと背中越しに彼の心臓の音が聞こえてきそうだ。

「ドラム、苦しい…。」

いくら手代わりの触腕と言えども、四本の巻きつかれて締められるとさすがに辛い。
小さく身じろぎをしてそう告げるとドラムは『ごめん!!』と触腕を引いた。
慌てて目の下の二本を体の中にしまう。何を焦っているのかグルグルと四本の触腕から別れた触指が絡む。
…自分の腕を絡ます触手型宇宙人って初めて見た気がする。
振り返って廊下に座ったまま唖然としている私の前でなんとか触腕を仕舞うと
ドラムは『あ〜、え〜とぉ〜。』と困ったように、いつもの左側の端の触指で目の下を掻く。
…もしかして…。彼の熱い声と触腕の強さに微かに感じた希望に私は賭けた。

「もしかして、本当は私の顔を見る以外にも何か用があって来たの?」

ビクリとライトグリーンのモノアイが震える。
彼の目の下で動いている不器用な触指をそっと掴んで引き寄せるとドラムは観念したように
瞬きして、私の首から頬に右の触指を這わせた。

『美幸にどうしても会いたくて来たんだ。』

柔らかな触指の感触が懐かしい。

『美幸にどうしてももう一度会いたくて、上司に頼んで地球支社の社員にして貰ったんだ。』
「ドラム…。」

ピクリと手の中で触指が震える。

『篤とうまくいっているんなら、もう黙っていようと思った。でも…さっき別れたって聞いて、
そうしたら我慢出来なくなって、もう一度あの三年前の花見をやり直したくなって…。』

ドラムの触腕が背中に伸びる。そのまま私の身体を彼は自分の身体に引き寄せた。
ドラムの灰色の胸が暖かい。今度は力を込め過ぎないように優しく触腕を絡ませると
ドラムの真剣な声が頭に響いた。

『こんなこと言っても美幸には迷惑なだけかもしれない。でも…。』

希望が少しずつ確信に変わる。私は小さく息を飲んだ。

『美幸、僕、美幸のことが好きだ。』

88桜嫌い (後編) 2:2009/07/18(土) 15:39:41 ID:n7uOkRAg
『ごめん。こんなこと言って。』

頭の中に苦しげなドラムの声が響く。彼は私の身体から触腕を引くと、
ただ目を見張ることしか出来ない私を見詰めた。

「…それって、昔のように幼馴染の友達として…?」

震える声で恐る恐る確認する私にドラムがモノアイの下の瞼を引くつかせる。
これは彼の緊張したときの癖だ。私の声同様震える声が頭の中に響いた。

『違う。異性として、女性としてだ。』

思っても見なかった、でも欲しくてたまらなかった言葉に息が詰まってしまう。
そんな私の強張った顔を嫌悪と取ったのだろう。ドラムは目を逸らして『ごめん。』ともう一度謝った。

『気持ち悪いだけだろ。触手型宇宙人にこんなこと言われても。
ずっと、すっと好きだったんだ。でも僕は地球人にとっては気味が悪いだけの存在だから。』

ライトグリーンの瞳が震える。幼馴染だからこそ、いつもいっしょにいたからこそ知っている
彼に浴びせられた地球人の偏見を思い出して胸が痛む。

『友達で良いって、そばに居られれば良いって思ってたんだ。
美幸は可愛いから他の地球人の男にモテたしね。』
「嘘…。」

そんな記憶は微塵も無い。ふるふると首を振って見せるとクスリと小さな笑い声が頭に響く。

『美幸は余り男性に興味無かったからね。でも本当にモテたんだよ。
その度に美幸を遠慮なく好きになれる男達が羨ましくて仕方が無かった。』

そうか…たぶんそれは私がドラムしか見てなかったからだ。
他の男なんて地球人だろうと宇宙人だろうと見えてなかったからだ。…ずっと彼が好きだったから。

『特に篤は美幸に夢中だった。アイツなら美幸を幸せに出来るって思ったんだ。
だから、美幸を諦めるためにもアイツを美幸に紹介した。』
「だから、あの時、私に篤の恋人になれって言ったの?」

…『美幸、こいつがさ、美幸のこと好きみたいなんだ。付き合ってみたらどうかな?』…

夕方の桜の下のドラムの背中がよみがえる。
小さくドラムが頷く代わりに瞳を上下させる。

『でも、諦めきれなくて、どうしても諦めきれなくて、星に帰って同じ種族の女の人を好きになろうと
頑張ったけど、それも出来なくて…美幸にもう一度だけ会いたくてとうとう戻って来てしまったんだ。』

ドラムがまた私の身体に優しく触腕を這わす。私の唇を触指がそっと撫でる。

『ごめん、美幸。本当にこんな気持ち悪い話をしてごめん。
…でも嫌がらずにちゃんと聞いてくれてありがとう。』

言いたいことを言って気持ちが落ち着いたのか、ドラムは穏やかに瞳で微笑む。

『さようなら。』

ポツリと一言頭の中に呟いて、ゆっくりと短い足を動かして私の横を通り過ぎる。
私は手にまだ残ったドラムの一番不器用な、でも一番彼の感情を素直に表す触指を引っ張った。

『美幸?』

ドラムが振り返る。

「私の返事を聞かなくて良いの?」

私の声に手の中の触指が震える。

『良いよ。解かっているから。大丈夫、もう美幸の前には現れないからさ。』

彼はおどけた声で、しかし微かに語尾を震わせながら告げると背中を向けた。
あの夕日の桜の背中が重なる。私はすがりつくように、それに腕を回した。
あの時、本当はしたかった、でも出来なかったことが今なら出来る。

『美幸!?』

驚いた声が頭に響く。私はそっと触指を離すとそのまま膝を廊下について立ち上がり
彼の頭頂の唇に自分のそれを重ねた。

89桜嫌い (後編) 3:2009/07/18(土) 15:44:19 ID:n7uOkRAg
『美幸…。』
「私もドラムのことが好きだよ。男として。」

私の返事にドラムの身体がビクリと震える。触腕が伸びて、包み込むように私の身体に絡まってくる。

『本当に?』
「馬鹿ドラム。」

優しい触腕に抱かれて、私はわざとおどけたようにドラムのモノアイの下に唇を付けた。

「私がこんなこと冗談でも言わないのはドラムが一番良く知っているでしょ。」
『…うん。』
「ずっと好きだったんだよ。あの時、ちゃんと告白してくれれば篤と無理して付き合わずに済んだのに。」
『…楽しそうに見えたけど…無理してたんだ。』
「だから、桜が嫌いになったんだもの。」
『そうか…本当にごめん。』

謝るドラムの身体にもう一度唇を押し付ける。ドラムがそっと触指で私の手を持ち上げた。

『僕達は愛情表現に地球人のキスの代わりにこうするんだ。』

そっと左の触指が左手に絡まる。最後の一番端の触指が手の端でピクピク動くのを見て
私は小さく笑うと右指で摘んで小指に絡めた。

『美幸、愛してる。』
「私もドラムのこと愛してる。」

暖かな触指が手を包む。代わりに私はドラムの身体に唇を何度も押し付けた。

ドラムの触指がゆっくりと私の身体をなぞるように這っている。
時々ためらう様に胸や足に触っては引いていく様子に私は思わず笑い出した。

「したい?」
『え…?』

目を瞬かせてドラムが聞き返す。

「セックス。」

そう言うとドラムは慌てたように触指を振った。

『でも…!!』
「したいんでしょ。」

重ねて訊くと困ったように左端の触指が目の下を掻く。

『…うん。』
「私もしたい。」

私は灰色の筒のような身体に抱きついた。地球人の男とは全く違う形の身体、でも温かい肌に指を這わす。

「ちゃんと男と女として愛し合えるか確かめたい。」
『僕も。』

私は立ち上がった。そのままドラムの触腕を引いて寝室のドアを開ける。
中に入って窓に歩み寄り、曇の状態の偏光ガラスにカーテンを引く。
薄暗くなった部屋で私はキョトキョトと挙動不審に瞳を動かすドラムを見下ろした。
触腕が部屋の床をソワソワと這っている。
小さく笑うと思い切ってスカートのホックを外した。ストンと床に輪を描いて布が落ちる。
ベッドに腰掛けて靴下を脱ぐとブラウスのボタンに手を掛ける。
さすがに見られながらは恥ずかしいのでドラムに背を向けて全部外して脱ぎ、
軽く畳んでスカートの上に置く。
ちょっとためらった後、ブラの後ろのホックも外した。
私の露になった胸にドラムが目を見張るのが解かる。

「この身体で出来る?」

立ち上がって彼の側に座り、不安に思って訊くとドラムはモノアイの縁を赤くして答える。

『美幸を意識し始めてから、地球人の女の人の身体の方に興奮するようになっちゃったから、
エアロ星人としては変人だけどね。』
「良かった。」

ブラをブラウスの上に置くとドラムに向き直る。

『綺麗だよ。美幸。』

ドラムが瞳を微笑ます。

「ごめん、初めては篤にあげてしまったけど…。」
『良いんだ。意気地の無かった僕が悪かったんだから。』

だからこそ、思いが通じた今、彼に抱かれたい。ずっと内心嫌々ながら篤に抱かれていたから、
大好きなドラムに思いっきり抱いて欲しい。
ドラムが八本の全て触腕を身体から出す。優しく私の身体にそれを這わすとそのまま抱き上げて、
私を自分の元に引き寄せた。

90桜嫌い (後編) 4:2009/07/18(土) 15:49:51 ID:n7uOkRAg
ドラムが私の身体を宙に持ち上げる。力のある後方の四本の触腕が両足のふくらはぎと
お尻を持ち上げて、私は空中でちょうど膝立ちの状態にされた。

「ドラム、愛してるわ。」
『僕もだよ。美幸。』

もう一度言い交わすと彼の頭頂の口へ口付ける。初めは触れる程度に、次に何度も吸い付く。
チュパ、チュパと小さな音が寝室に響く。
私は唇を開いた。舌を出して口の周りを舐めるとドラムがいつもはしっかりと閉じている口腔を開く。
その中に舌を伸ばして入れる。ザラザラと歯舌の生えた中を舌で嘗め回すと
お返しのようにドラムが口腔を広げたり縮めたりしてくる。
と同時に私の裸の上半身を彼の前四本から別れた二十本の触指が撫で始めた。

「…ふっ…ん…。」

深い口付けを続けながら、思わず鼻から甘い息が漏れる。
柔らかな触指が裸の上半身をくまなく撫で回す。胸を触指が這い、こねるように揉まれる。
頂に触れられると思わず彼の口から唇を離して甘い声を上げてしまう。

『ここが良く感じるんだね。』

ドラムが私の胸の頂に触指を絡めて揉み始める。
キュッキュッとリズミカルにこねる様に揉まれると甘い刺激に身体が震える。
篤と遠距離恋愛になって二年。ここ半年は誰にも肌を触れられていない。
自分で慰めたことはあるが、それに物足りない身体がいつも以上に敏感に貪欲になっているようだ。

『ここも弱いみたいだ。』

触指が背中を這う。背骨をなぞるように撫でられると思わず身体が仰け反る。
触指で脇腹を覆われ、私は高い声を上げた。

「…あふっ…ド…ドラム…。」
『気持ち良い?』
「…うん…あっ、ああんっ…。」

恥ずかしいくらい甘い声が出てくる。篤のときは半分演技だったのに、
ドラムだと自然に身体が反応して抑えることが出来ない。
大好きな人にようやく触れられて抱かれている。そのことにひどく興奮している。
上半身をくまなく撫でられて、下半身が、あそこが熱くなってくる。
もどかしさに太ももをすり合わせるとドラムのからかうような声が頭に響いた。

『そこも触って欲しい?』
「…うん。」

小さく頷くとドラムの触指が布越しにそこを襲う。何本もの触指に一度に這われ、腰が跳ねる。

「…あああっ!!」

容赦無い刺激に思わず腰が引ける。だが、がっちりと足に絡みついた触腕がそれを許さない。
お尻を支えていた触腕が腰に絡みつき、逃げる身体を押さえつける。

「やぁ!…あっ、ああっ!!…ダメ…スゴすぎるっ!!」

布越しなのに頭がクラクラするほどの快感が襲う。私は目の前のドラムの身体にしがみ付いた。
身体がこの刺激に喜んで蜜をたっぷりと溢れ出させてくる。

『スゴイ、美幸。こんなに濡れてきてる。』

湿ったショーツにドラムの嬉しそうな声が頭に響くが答えられない。
喘ぐしかない私に小さく感情を抑えたような声が聞こえた。

『篤のときもこんなだった?』
「…違うっ!!」

思わず大声で答える。

「ドラムだからすごく気持ち良いの!」
『そうなんだ。』

嬉しそうな満足したような声が頭に響き、ショーツの布と肌の間からドラムの触指が入ってくる。
ヌルヌルと濡れた私のあそこを何本もの触指が蜜をまとって這い回る。

「…あああああっ!!!」

肉芽も花弁もいっしょくたに撫で回される。甲高い声で鳴く私の胸を更にドラムの触指が揉む。

「やあっ!!だめっ!!」

頂きを触指が絡み付く。あそこでは隅々までくまなく触指が這い回る。
肉芽が一番感じると知ったドラムがそこを重点的に責め始めた。

「…やあっ!!あっああああ!!!やめ、ドラムやめて!!!」

91桜嫌い (後編) 5:2009/07/18(土) 15:53:42 ID:n7uOkRAg
敏感な三点を同時に責められて頭が真っ白になる。
無意識に激しい愛撫から逃れようとする腕を突っぱねるとドラムの触腕が押さえ込む。

『ここがこうかな?』

探るようにドラムの触指が肉芽を何度も何度も擦り上げる。
『それとも…。』声が響くと根元を触指が這いキュッと締め上げられる。

「あっ!あああっ!!おかしくなる!!もうおかしくなっちゃう!!」

必死に叫ぶがそれが返ってドラムを興奮させてしまうようだ。
鳴く私を思う存分楽しむようにドラムはグチュグチュと水音を鳴らし、胸を揉む。

「ドラム!!ドラムぅ!!」

強過ぎる刺激が全身を駆け巡る。ガクガクと震える足に更に動きは激しくなる。
息も出来なくなるくらいの快楽の中私は必死にドラムにしがみ付いた。

「も、もうダメっ!!イクっ!!イッちゃう!!」

私の声に胸の頂、肉芽に触指が何本も絡みつき同時にギュッと締め上げ押し潰された。
ぐっと大きく身体が仰け反る。喉から自分でも聞いたことのないような声が上がる。
今までに無い高い絶頂の瞬間、自分の身体が大量の蜜を吐き出したのを私は感じた。


『スゴイな、美幸。もうベトベトだ。』

荒い息を繰り返すしか出来ない私の足からぐっしょりと蜜が染み込んだショーツを外しながら
ドラムが嬉しそうな声を響かせる。

『そんなに気持ち良かった?』

ぼぉっとした頭で小さく頷く。ドサ…と恥ずかしい音を立てて服の上に脱がされたショーツが落ちた。

『よく見せて。』

ぐっと腰が持ち上がる。腰とお尻を支えたまま大きく足を開かされる。所謂M字開脚というヤツだろう。
空中で私は足を開かされ、あそこをドラムの前に晒された。

「ひっ!!」

ドラムの触指がイったばかりの敏感な所を探る。割れ目を大きく開かされ、
蜜まみれのそこをじっくりと隅々まで見られる。

『綺麗な色をしている。篤とはそんなに寝てなかったんだ。』

コクリと頷く。ようやく息を整えた私は全てを晒された恥ずかしい格好のままドラムに尋ねた。

「ドラムのは?どうなってるの?」
『それは…。』

ドラムの短い足の間、前二本の間から棒のようなモノが付いた触肢が出てくる。
地球人の男性器によく似たモノに太い紐がついたようなものだ。

「これがドラムの?」

そう訊くとドラムは目の縁を赤くした。

『そう僕の生殖肢。』

私はそれに手を伸ばした。『美幸!?』と驚く声を聞き流して口に含む。

『みゆ…!?』

舌をチロチロと頭に這わす。思いっきり奥までほうばって口内を締める。
ほうばり切れなかった部分を指でなでながら私はドラムのさっきのお返しとばかりに
ドラムのモノに愛撫を始めた。

『み…美幸…ん…。』

苦しげな声が頭に響く。形状同様感じるところも地球人の男と変わらないようだ。
頭の割れ目に舌を出し入れしながら、全体を指でなぞる。

『う…うん…っ…。』

私を支えるドラムの触腕がブルブルと震え始める。

「気持ち良い?」

口からドラムのそれを外して、指で愛撫しながら訊くとドラムは瞳を上下させた。

『…でも、どこでそんなにうまくなったんだい?』

少し怒ったような声に「ごめん。」とただ謝るとドラムは小さく笑った。

92桜嫌い (後編) 6:2009/07/18(土) 15:59:45 ID:n7uOkRAg
『これからは僕だけだよ。』
「もちろん、…最初はあげられなかったけど、ドラムで最後にするから。」
『じゃあ、ここももう僕だけのものだ。』

ヌルリと胎内に触指が入る。「ああっ…。」久しぶりに身体の中に何かが入ってくる感触に
ビクリと全身が震えた。
ヌルヌルと触指が胎内で蠢く。『気持ち悪くないかい?』ドラムの声に私は頷いた。

「すごく、良い…。」

蠢く触手が胎内をくまなく探る。普通の地球人の女性なら嫌悪感を伴う感覚だろうと思う。
でも、身も心もドラムにゆだねきった私の身体は普通では味わえない快楽を素直に受け入れる。
力が抜けた上半身を腰を抑えていた触腕がそっと斜めに支えてくれる。

『美幸は良い子だね。ご褒美あげなきゃ。』

ズルリと更に二本、触指が入ってくる。

「…ああ、あああ…。」

増えた触指に素直に甘い息を吐き出すとグチュリ、グチュリと音を響かせて
それは私の胎内を確かめるように動き回った。
奥に響く愛撫に身体が答えドラムの触指をぎゅっと締め付けるのが解かる。

「…はあ…あっ…あああ…。」

空中に身体を横たえ、M字に足を開かれ、そこに三本も触指入れられて喘いでいる私は
きっとAV女優にも劣らない淫らな姿を晒しているに違いない。

「…気持ち良い、ドラム…気持ち良いの…お願い…もっと…。」

なのに口から出るのはおねだりの言葉だ。ドラムがクスリとからかうような笑い声を響かせる。

『僕への御奉仕は?』

言われるままに手を休めて胸の上の乗せていたそれを口に含む。しゃぶるように舐め回すと、
ドラムの呻き声が響いた。
グチャリ、グチャ…私の上と下で湿った音が鳴る。それに混じって篭った呻き声が響く。
ドラムのモノから塩辛い液が溢れてくる。それを私は喜んで啜り、嘗め回した。

『ちょっ…美幸…待って…。』

制止の声が頭に響くがそれを無視して私はドラムのソレに吸い付く。

『うわぁ!!ちょ、ちょっと出る、出るって!!』

ドラムが慌てた声を上げて、私の中をグイッと抉る。

「ああっ!!!」

それがちょうど中の感じる場所で私は口を大きく開けて声を上げた。
慌ててドラムが私の口から自分のモノを引く。

『危なかった…。』

安堵の声に私はジンジンとうずく胎内に喘ぎながら答えた。

「飲んでも良かったのに…。」
『ダメ。これから嫌というほど飲ませてあげるから、今日はこっちで飲んで。』

ドラムのソレが私の割れ目当てられ上下する。ヌチャリと響く音に私は甘い息を吐くと頷いた。

93桜嫌い (後編) 7:2009/07/18(土) 16:01:36 ID:n7uOkRAg
ドラムの触腕が動き、私の身体を支え直して、もう一度空中で膝立ちの状態にされる。
今度は思いっきり足を開かされた状態だ。
濡れたあそこを固くなったドラムの生殖肢の先が水音を立てて撫で回している。
快楽とこれからの行為への期待に喘ぎながらドラムの円筒形の身体にしがみ付いた私に彼の声が響く。

『美幸、もう一度キスしてくれないかな?』
「…うん。」

もう一度、ドラムの頭頂の口に唇を重ねる。細く開いた口腔に舌を差し入れる。
夢中でドラムの口の中を嘗め回す私の頭にドラムのうっとりとした声が響いた。

『挿れるよ、美幸。』

ぐっと固いものが私の中に侵入する。「あああっ!!!」半年振りの男に仰け反る私の頭を
ぐっとドラムの触指が押さえ付ける。
そのまま、押さえられたまま彼の口の中への愛撫を続けさせられる。
グイグイと入ってくるドラムに腰が揺れる。

「…はっ、んんんっ!!」
『…すごい、美幸の中、僕をどんどん飲み込んでいくみたいだ…。』
「んんっ、ふ…んんん!」

まるで飢えているように私の胎内がドラムを締め付ける。

『…美幸、すごいよ、美幸。やっと美幸を僕のモノに出来る…。』

嬉しそうな声が聞こえる。その声に私はドラムの口腔を貪り、腰を揺らしながら答えた。

「ん!!んんんっ!!!」

ドラムに深い口付けしたまま、私は叫び声を上げた。
彼のモノが奥に、奥の奥に突き進んでいる。
触指のときとは全く違う、太くて固いモノで奥を押し広げられる感覚に足が震える。

『…!!…どこまで…入ればいいのかな…!?』

グイっと奥を抉られ、腰が跳ねると押さえ付けるドラムの触指から逃れようと必死に頭を振る。
だが、彼も今は私を気遣う余裕は無いようだ。『……さっきの感じ…だと…。』
喘ぐ声が聞こえ、更に奥に突き進む。

「んん!!んんんっ!!!」

くぐもった声で叫ぶ私の奥を彼は開いていく。何かが最奥に当たる。

「んんんっ!!!」
『…ここが…美幸の…一番深いところだね…。』

ギュッと触腕が私を抱き締めた。

94桜嫌い (後編) 8:2009/07/18(土) 16:05:39 ID:n7uOkRAg
『…僕はどう?美幸。』

ドラムの少し不安げな声が頭に響く。

「…良い…すごく良いよ…奥までしっかり入っている…。」

ようやくディープキスから開放されて、そう答えるとドラムの安堵した息が頭に響く。
自信の無い子供のような彼に私は思わず笑ってしまった。

『動くよ。』

少し拗ねたような声と共に動き出したドラムに水音が鳴り響き、甘い声が部屋にこだまする。
私の頭の中にはドラムの荒い声が響いてくる。

『ここ…ここ、だよね…美幸の弱いところ…。』
「うっ、うん…ああっ!!」

さっき触指で探り当てられた一番感じるところをドラムのソレが擦り上げる。

「ああ…熱い…あっ、もっと…もっと、ドラムぅ…。」

私は大きく腰を振った。先程からの篤では知らなかった深い快感に貪欲に身体が動き始める。

「…気持ち良い…気持ち良いの…ドラムのが…ドラムが…良いの…。」

うっとりと彼にしがみ付き、腰を動かす私にドラムの笑い声が響いた。

『もう…僕じゃないと…美幸はダメだね。』
「だって…だって…ドラム…良過ぎるもの…。」

この一回でもう私の身体は地球人の男では到底満足出来なくなってしまっただろうと思う。

『美幸…もっと…もっと気持ち良くしてあげる…。』
「…えっ!?あっああああああ!!!」

触指がまた全身を這い始める。胸をあそこを這う。肉芽に絡まれて頭の中に火花が散った。

「無理!!無理、ドラム!!ああっあああ!!」

必死に彼にしがみ付く。重なる刺激に達してしまい胎内がドラムを締め上げる。
なのに止まらない。私の頭が再び真っ白になる。

『美幸、もう僕も限界…イクよ…。』

こっちはとっくに限界を越えている。ドラムの動きがそれまでの愛撫から自分が射精するものに変わる。
ぐんぐんと奥を突かれて、私は仰け反った。
もう、何も解からない。身体は更に高みを登り始める。
口から自分とは思えない声と唾液が零れ、頭が空っぽになり、夢中で腰を振る。

「ああっ!!またイクぅ!!ああっドラム!!ドラムぅ!!!」

辿り着いたことのない遥かに高いところに持ち上げられ、叫び声を上げ、私は宙を仰いだ。

『僕も…美幸っ。』

絶頂の波に飲まれ意識が飛ぶ。その時ドラムの熱いものが私の胎内にほとばしったのを感じた。

95桜嫌い (後編) 9:2009/07/18(土) 16:08:48 ID:n7uOkRAg
気がつくと私は裸のままベッドに寝かされていた。すぐ目の前にドラムが灰色の瞼を閉じて眠っている。
彼から伸びた触腕が身体に何本も絡み付いている。
疲れて寝てしまったんだ…。気だるい全身に思わず苦笑する。
あの後、意識が飛んだ私をドラムが風呂場に連れて行ってくれた。
勝手が解からない彼が私を洗おうとして冷水のシャワーを捻ってしまい、それで意識が戻った後、
二人で子供の頃のように洗い合ったのだが…まあ…その…つい、また身体を交えてしまった。
二度目で完全に私がダウンしてしまい、その後、ドラムがベッドまで運んでくれて
ついでに自分も寝てしまったらしい。

『ずっと、よく眠れなかったんだよ。』

身体を洗っているときにドラムが恥ずかしそうに白状した。
地球に来てから私に会おうか、会うまいか、散々悩んで夜中に部屋を歩き回るので、
アパートの人達にうるさいと怒られていたらしい。
そんな彼を起こさないようにそっと身体から触腕を外す。
閉じたままピクピクとひくついている瞼に軽く口付けて私はベッドから出た。
タンスから音を立てないように服を取り出すとそれを身につけ私は部屋を出た。
リビングに行き、カーテンを開けて偏光ガラスを透明に変える。
ガラリと窓を開けると春風と共に夕方の日差しに映える桜並木が目の前に広がった。

「綺麗…。」

思わず感嘆の声が出る。窓の側に座って私は今まで見ることを避けていた夕陽の桜を眺めた。
金色の光に川の水面が光る。薄紅色の桜が川面に腕を差し伸べんばかりに枝を伸ばし、
ぼんぼりのような花を咲かせている。
ちらちらと散る桜の花びらさえ見えそうな光景にうっとりと私は見入った。

『美幸。』

優しい声が頭に響く。ペタペタとフローリングを歩く足音が背後から近づくと
隣に灰色の円筒形のエイリアンが座る。柔らかな触腕が肩を抱いた。

「ごめん。起こしちゃった?」
『…目が覚めたら美幸が居ないからさ。不安になっちゃって…。』

グイと引き寄せられる。『また夢かと思った。』ドラムの情け無い声に笑い出す。

「あんなに気持ち良いことをたくさんしたのに?」

笑いながらライトグリーンの瞳を覗くと目の縁が真っ赤に染まった。
左の一番端の触指がモノアイの下を掻く。

『夢じゃないよね。』
「夢じゃないよ。」

夢のような幸せな時間だったけど夢じゃない。これからもずっと続くのだから。
私はドラムの身体に寄り掛かった。

『綺麗だね。…桜嫌い治った?』

いっしょに桜を眺めるドラムの声が頭に響く。

「うん。」

頷いて腰に回った触腕を握る。

「ドラム、今夜は泊まっていってよ。私、もう少ししたら夕飯作るから、
それを食べたらいっしょに夜桜を見にいかない?」
『良いね。三年ぶりに二人で花見に行こう。』

そう、あの日の花見をやり直そう。今度は本物の恋人になった二人で。
ドラムの触指が左手に絡む。やっぱり端の触指がうまく絡めず手の甲を撫でる。
それを摘んで小指に絡めてあげる。小さく微笑むとドラムも瞳で笑みを返してくる。
彼の身体に腕を回すと優しく触腕が私の身体を抱える。
長い思いが叶った恋人の側で幸せに胸が満たされるのを感じながら、
三年ぶりに大好きに戻った夕陽の桜を私は存分に眺め続けた。


(了)

96桜嫌い (後編):2009/07/18(土) 16:09:27 ID:n7uOkRAg
以上です。

失礼しました。

97変態紳士:2009/07/19(日) 23:06:09 ID:w0f0lZJg
GJ!すれ違いのちラブラブは王道
焦って自分の腕を絡ます触手型宇宙人萌えw

98変態紳士:2009/07/26(日) 20:20:55 ID:GewvX79.
本スレで書いて欲しい作品だなあ、GJ!
エロシーンもそれ以外のシーンも丁寧で色々萌えた。
純愛イイネイイネ!

99903 ◆AN26.8FkH6:2009/10/21(水) 05:49:38 ID:4zUkeVhg
再開

100アンダーグラウンド4  903 ◆AN26.8FkH6:2009/10/21(水) 05:53:22 ID:4zUkeVhg
 極秘開発プロジェクト『イシオス』。近接特化戦闘用バイオノイド、イシオスシリーズ100体は全て廃棄された。それは念入りに処理された。だから、現存しているはずがないし、勿論市井で平和に暮らしているはずがない。戦闘用バイオノイドの開発プロジェクトの中でも、イシオスプロジェクトだけは別格だ。コストがかかりすぎる。元々がプレ開発なのだ。後続機を作るための試作機で一応の完成を見たら、全てを廃棄、後続プロジェクト『バークル』に引き継がれる。徹底的に彼ら『イシオス』は廃棄された。最初から廃棄される為に生れ落ちたと言ってもいい。
 だから、何故ここで一体だけ残っているのか。『私』はそれが知りたい。おそらく、彼女もだろう。どこにも記載されていない、正真正銘最後の生き残り、そして、生き証人。彼の存在は、致命的な物証だ。非人道的極まるプロジェクトである事を開発者達は勿論承知していた。


 それでは、再開しよう。
 
パーシヴァルwrite


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