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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第115話☆

358夜刀浦奇譚:2013/02/06(水) 16:10:04 ID:x2.F.qT6
「・・・心地よい風だな」
「そうだね」
自らの身体を優しく撫でていく夜風の心地よさにザフィーラは眼を細め、アルフも相槌を打った。禍々しい空気が立ち込める街だと思っていたが、この夜風は悪くない。
夜風のおかげで、街に漂う漠然とした生臭さも幾らか和らいでいる。
暫くの間、街を見て回っていたが、不意にアルフの腹から音が鳴った。
「腹が減ったか」
「悪かったね、焼肉を十枚食ったのにアタシの腹はもう食い物を要求してるよ」
「気にするな、折角だから、近所の店で何か腹に詰めてから帰ろう」
適当な店が無いか、ザフィーラは辺りを見渡す。
彼らが居る場所は、個人経営の喫茶店が立ち並ぶ一画。
程なく、手頃そうな店を見つけた。
「あそこなんかどうだ?」
「時間的にあんまりお客さんが居ないみたいだし、あそこにするかね」


その喫茶店煉瓦造りで中々にモダンな外観をしており、扉を開けると、軽快なベルの音が出迎えてくれた。
「とりあえず、アタシは焼きソバとオレンジジュース」
「私はミネラルウォーターに、サイコロステーキを頼む」
二人用の席に着き、ザフィーラとアルフは店員にそれぞれメニューを頼んだ。
厨房に引き返していく店員の後姿を見送ると、ザフィーラは店内を見渡した。
ザフィーラとアルフ以外に客の姿は数人――恐らくは地元の若者達だろう。
距離的にそれ程、離れていないので、彼らの会話の内容が耳に入ってくる。


「という訳で、お姫様が居た場所には、後には魚が腐った様な匂いと、人間の物とは思えない様な足跡が残ってたんだと」
「うーん、何か眉唾物の話だな」
「でも、この頃、魚みたいな顔の連中を見かけたって話、よく聞くよな」
「ああ、特にあの“海神の森”の近くでだろ?」
「・・・あの森の地下には祭壇があって、この街の周辺から浚われてきた連中が生贄として海の神様に捧げられてるとか」
「イメージダウンだよなあ、只でさえ産業が無い街なのに」



その後、若者達は店を後にし、店内に居る客はザフィーラとアルフだけになった。
焼きソバを頬張りながら、アルフは向かいの席に座ったザフィーラに話しかけた。
「どう思う?」
「今の若者達の話か? あながち出鱈目でも無さそうだな。この街全体を取り巻いている陰惨な空気を見る限りではな」
サイコロステーキを食するのを中断したザフィーラは、重々しい口調で言った。
人外が跋扈しているという意味では、海鳴市もそうだが、この夜刀浦は更にその上をいっている。何というか、何百年にも渡って積もりに積もった怨念めいた物が渦巻き、得体の知れぬ圧迫感、閉塞感を感じる。まるで暗い海の底に居る様だった。
「というか海鳴市は、ここまで生臭い匂い漂ってないからね」
「この生臭さは原型が狼である我々には、少々きついな」
食事を続けながら、ザフィーラとアルフは顔をしかめた。
夜風が止んだのか、生臭い匂いが店の窓から入ってきて気持ちが悪い。
人間の嗅覚でも不快さを感じるのに、彼らにとってはこの生臭さはたまらない。
窓を閉めても、匂いは店内に残り、加速度的に食欲が失せてくる。
それでも根性で食え終え、店を出る。




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