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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第115話☆
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最初はそうでもなかったが、この頃になるとなのはの中に芽生えた違和感は徐々に大きくなっていた。
剥がれた左人差し指の爪は未だに生える兆しがない。
痛みもまた同じく、どれだけ経過しても生じる事がなかった。
その癖、爪を失った指が使い難いかというとそんな事もない、それが余計に不気味さを煽るのだ。
管理局の医務課へ診療希望を提出するのも当然と言えた。
「どうですか、シャマル先生」
と、なのはは問う。
担当した医務官はシャマル、闇の書事件以来、かれこれ十年来の付き合いのある相手である。
信頼する彼女の言葉を、なのはは縋るように待った。
明らかな傷を負って痛みの生じないという怪奇の答えを求めて。
だがあにはからんや、返ってきたのはなのはの求めたようなものではなかった。
「それなんだけどね……なんて言ったら良いか分からないんだけど。なのはちゃんの体、異常はないわ」
「え? で、でも、私の指こんな風になってるのに、ぜんぜん痛くないんですよ」
「確かに、そうなんだけど」
シャマルは困り果てたように眉根を寄せた。
目の前に起こした空間投影ディスプレイに表示された、諸々のデータ。
なのはの体、痛みを生じるはずの指先、痛覚を伝える筈の神経。
それらを精査したスキャン結果だが、異常を示すものは何一つない。
そう、何一つ。
だからこそ異常なのだ。
まるでなのはの体自身が、傷を傷と認識していないような。
シャマルには、今の時点で打てる手立てはなにもなかった。
「今はまだ何も言えないわ。もしかしたら装置の故障かもしれないし……もう一度他所の機械でデータのチェックをしてみるから、もうちょっとだけ待ってもらえるかしら」
「……はい」
告げられた言葉に、なのはは頷くしかない。
医療という分野ははあまりにも専門外であり、シャマルにも分からない事がなのはに分かる筈もないのだから。
だが自分の中で何かが起こっているという事実の曖昧な輪郭が、心に不気味な影を落とした。
しかしなのはにはまだ知る由もなかった。
これが、まだ自分に起こる変化のほんの始まりに過ぎないという事が。
□
「ほらヴィヴィオ起きて! 朝だよ!」
「んぅぅ……もうちょっと寝たいよぉ」
それはいつもの朝だった。
学校へ行く義娘を起こしに、なのはは白いシーツにくるまってきゅっと丸くなった可愛い姿へ、大きな声で呼びかける。
朝に弱いのか、ヴィヴィオは窓から注ぐ朝日から逃れるように余計シーツをかき集めてしまう。
「ほら、遅刻しちゃうよ?」
「やぁだぁ……もっと寝たいよぉ」
「もう!」
駄々を捏ねるヴィヴィオにしびれを切らしたなのはは、やや乱暴にシーツを引き剥がしに掛かった。
温もりを奪われそうになって、ヴィヴィオは当然の反応としてシーツをぎゅっと掴んで反抗する。
その時かかった力は、決して強いものではなかっただろう。
だからこそなのはは信じられなかった、一瞬理解する事ができなかった。
「……ぇ」
左手を見た。
自分の利き腕。
先ほどまでシーツを掴んでいたその指先、ヴィヴィオの抵抗に対して、力をこめた五指。
それが歪に歪んでいた。
ぐにゃりと、普通ならありえない方向に曲がって、おまけに残る四枚の爪もまた剥がれ落ちて。
痛みは――ない。
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