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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第115話☆

144闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA:2013/01/04(金) 05:45:46 ID:4Jxy1px6
 アインスが言う、クライドを救えなかった、というのは、すなわち闇の書の真実に耐えられなかったということである。

「父さんのことを、本当に……大切に思っていたんですね」

「……うん……」

 小さく、子供のようにか弱い声。アインスを、助けたい。それは、心の重荷を取り除くことである。アインスを苦しめている罪の意識を取り除いてやることだ。
 そしてそれができるのは自分しかいないと、クロノは思っていた。

 クロノの腕の中で、アインスは涙を流して言葉を振り絞る。喉が詰まるような呻きと、ぎゅっと縮こまった肩。クロノの胸にすがりついている。

「止めたんだ、止めようとしたんだ……でも止められなかった、クライドは、自らも道連れに闇の書を」

 アインスの声が一段と悲痛さを増し、クロノが抱く力をわずかに強めたとき、アインスの身体の向こう、部屋の壁の向こう側に、巨大な魔力が発生したのが感じ取れた。
 クロノはとっさに身体を起こし、アインスも言葉を途切れさせる。
 強大な魔力反応だ。待機状態にしていたS2Uと、アインスの持ってきていたブレスレット型デバイスがそれぞれに警告アラームを発している。

 この付近にあるもので、魔力を発することのできる装置はひとつしかない。

「闇の書──!」

 魔力反応の源が移動しているのをクロノは感じ取った。魔力光は可視光線領域以外にも全波長領域にわたる電磁波を放出するため、たとえ遮蔽物の向こうでも感覚の鋭い人間なら感知できる。
 さらに空振が起き、窓ガラスがチリチリと震える音が聞こえた。

「はやてさんが──!」

 クロノはベッドから飛び降り、S2Uを手に取った。もし闇の書が戦闘モードで起動したのなら、なんらかの脅威が迫っていることが予想される。
 自分たち以外の管理局部隊が独自に──あるいはグレアムやリンディの命令を受けて──やってきたか、それとも、別に闇の書と戦っている勢力や、野生の魔法生物が引き寄せられてきたか。
 どちらにしても市街地である。民間人への被害を避けなければならない。

「クロノ、こっちに来る──!」

 アインスが声を上げ、部屋のドアが開いた。ドアの向こうから漏れ出す魔力光が上下に移動している。
 闇の書が浮遊して、自らドアノブを押してドアを開けた。
 闇の書はゆっくりと、表紙の金十字をこちらへ向けて、クロノとアインスに向かって空中を進んでくる。

「ちょっ、ま、待つんや!止まるんや、闇の書!」

「はやてちゃん!」

 車椅子に乗り移る暇もなかったのか、床を這いずってはやてが、それからシャマルが走って後を追ってきた。明らかに強い魔力を放っている闇の書に、二人も手出しできない。
 闇の書はさらにクロノに向かって移動し、距離およそ1.5ヤードまで接近した。




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