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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第115話☆

1 名無しさん@魔法少女 :2012/12/13(木) 00:09:44 ID:6hLPLV4A
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所です。


『ローカル ルール』
1.他所のサイトの話題は控えましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。

前スレ ☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第114話☆
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1341065580/

2 名無しさん@魔法少女 :2012/12/13(木) 00:10:30 ID:6hLPLV4A

【本スレ@エロパロ板】
 ☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第97話☆
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1237292660/l50

【エロパロ板全体の避難所】
 エロパロ避難所
 http://jbbs.livedoor.jp/movie/2964/

【クロスものはこちらに】
 リリカルなのはクロスSS倉庫
 ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/
 (ここからクロススレの現行スレッドに飛べます)

【書き手さん向け:マナー】
 読みやすいSSを書くために
 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/

【参考資料】
 ・Nanoha Wiki
  ttp://nanoha.julynet.jp/
  (用語集・人物・魔法・時系列考察などさまざまな情報有)
 ・R&R
  ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/data_strikers.html
  ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/date_SSX.html
  (キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます)

☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫
 ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html  (旧)
 ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/   (wiki)

3 名無しさん@魔法少女 :2012/12/13(木) 00:12:01 ID:6hLPLV4A
僭越ですが新スレ立てさせていただきました

4 名無しさん@魔法少女 :2012/12/13(木) 19:16:27 ID:fB9tBkO.
>>1乙バスター

5 名無しさん@魔法少女 :2012/12/14(金) 00:01:51 ID:om.kJrcY
>>1 乙です

6 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2012/12/16(日) 00:56:16 ID:Z/zho9h.
よし、新スレ記念に一本投下するわ!

クロノとかユーノで男の娘でエロでエロでエロ。
あと短編。
『クロノとユーノのウサギ狩り』

7 クロノとユーノのウサギ狩り :2012/12/16(日) 00:56:52 ID:Z/zho9h.
クロノとユーノのウサギ狩り


 薄暗いそこは猥雑な空間だった。
 広いホール、中央には小さいながらも良く出来たステージがある。
 周囲に並べられたテーブルには、幾人もの男たちが腰掛けていた。
 高級なスーツに身を固める者、上等な酒を飲む者、皆金持ちばかりだった。
 その客たちに侍るのは、限りなくコケティッシュな衣装を着た姿だった。
 頭にはウサギを模した耳、体にはボディラインの出るレオタードを纏い、脚には網タイツ、尻には尻尾までついている。
 見紛うまでもない、それはバニースーツだ。
 しかし普通はグラマラスな体付きをした女性が着るところを、このクラブでは……少年たちが着ていた。
 十代前半以下の年齢をした、中性的な美少年たちが、その細い肢体にバニースーツを纏って客の上流階級の好事家たちに奉仕している。
 酌をするならまだよし、中には抱きつき、抱きつかれ、倒錯的な肌の触れ合いに溺れる者たちも少なくない。
 つまりは、ここは“そういう”クラブだった。
 人に言えぬ趣味を隠し持つ金持ちたちが夜な夜な集まっては可愛いウサギたちと戯れる遊び場だった。
 いつの世も人は業深い遊戯を求めるものだ。

「まったく……どうして僕までこんな事を」

「文句を言うな、任務なんだから仕方ないだろ」

「う、うん……」

 こそこそと、誰かに聞き耳を立てられぬようそう会話していたのは、二人の少年だった。
 黒髪の少年、クロノ・ハラオウン。
 そしてブロンドヘアの少年、ユーノ・スクライア。
 執務官と無弦書庫の司書という肩書きを持つ二人の美少年はしかし、今は同じくバニースーツを着ていた。
 成長しきっていない、細い少年の体をレオタードと網タイツ、ウサギを模した耳と尻尾が装飾する様は、とてつもなく背徳的なエロスを感じさせる。
 恥ずかしそうに頬を染めているのがまたそれに拍車をかけていた。
 
「うう……こんな格好、恥ずかしいよ」

「ぼ、僕だって同じだ! でもここで張っているのが一番だというんだからしょうがないじゃないか」

 二人は、今ここに潜入捜査に来ていたのだ。
 クロノが追っている、とある犯人の情報を得るために、このクラブが最適だと捜査班が判断したらしい。
 ユーノを伴っているのは、彼がサポートを行う魔導師として優秀だから頼んだのだが。
 しかしまさかこんな形で捜査するとは、二人とも想像さえしていなかっただろう。
 だが一度引き受けた任務を反故にするわけにもいかず、不承不承ながらこうして破廉恥な格好をし、バニークラブにもぐりこんだわけだ。


「ああ、君たちちょっと良いかな?」

「は、はい。なんでしょう」

 突然声を掛けられ、クロノとユーノは慌てて振り返る。
 そこに立っていたのは小太りのクラブ支配人だった。
 男は手にしていたトレーを二人に差し出す。

「すまんがこれを向こうの個室に持っていってくれないかね」

 と。
 元より潜入捜査員という立場上、断れるわけもない。
 二人はそろって頷いた。

「え、ええ、わかりました」

「すぐに持って行きます」

「ああ、よろしく頼むよ」

 幾つかグラスを乗せたトレーを持ち、二匹の可愛いウサギが尻尾を揺らしながら歩いていく。
 支配人の男は、その後姿に限りなく淫猥で汚らしい視線を送り、舌なめずりをする。
 男の目は、今正に罠に掛かった獲物を見る捕食者のそれだった。



「ん? なんだここ」

「真っ暗じゃないか」

 支配人に言われるまま二人が来た個室、広さにして十平方メートルほどのそこは、暗闇に包まれていた。

8 クロノとユーノのウサギ狩り :2012/12/16(日) 00:57:29 ID:Z/zho9h.
 灯りの落ちた室内に、困惑するバニースーツの少年二人。
 訝って周囲を見渡して照明のスイッチを探し……だがその手は触れるより前に“掴まれた”。

「な!?」

「うわあ!」

 気付いた時には既に、ユーノとクロノは幾つもの太い腕に押さえ込まれ、床の上に押し倒された。
 その瞬間、ぱっと天井のライトが光を生み、室内を照らした。
 一転して明るさを取り戻した室内に浮き上がる、十数人もの男の姿。
 嗜虐的眼差しを注ぐ彼らの姿に、クロノは状況を理解する。

「くッ……まさか、もうばれていたのか」

「察しが早いな執務官殿。その通りだよ、残念ながらね」

 応えたのは、先ほど二人にここへ来るよう言った支配人その人であった。
 男の指が手元の端末の液晶画面に触れると、空中投影ディスプレイに映像が浮かび上がる。
 クロノとユーノが控え室で端末を使って管理局に連絡を入れている動画だった。
 おそらくは映像だけでなく、音声も拾われているのだろう。
 二人が捜査の為に潜入した局員だという事は、既に承知済みらしい。
 少年たちは歯を噛み締めて、自分たちを組み伏せる者たちを睨む。
 魔法を使おうと術式を走らせた――が、無意味だった。
 AMFか何か、魔力の流れを阻害するフィールドが張られているのだろう。
 今や二人は、正に罠に掛かったウサギも同然だった。

「僕たちをどうするつもりだ。言っておくが、連絡が絶えればいずれ局の部隊が来るぞ」

「ああ、それはもちろん分かっているさ。惜しい事だが、君らに目を付けられてはこの店も畳まなければならない。まったく惜しいね」

 言いながら、男の言葉は浮き浮きと楽しげであった。
 目には淫らな欲望が隠れもしない。
 舐め回すように、バニースーツ姿のクロノをじっとりと眺める。

「でだ、私もお客様も皆もすぐに引き上げるわけだが、その前に一つ楽しい催しをしようと思ったわけだよ」

「も、催し? 一体何を……」

 嫌な予感がした。
 予感というより確信に近かったかもしれない。
 この店に集まる連中の趣味嗜好を鑑みて、それは自ずと導き出される。
 だが認めたくないものであるが故に、クロノは直視する事が出来なかった。

「分からないかね? いや、分かっている筈だ」

「な……や、やめろ」

「え、いや……ちょ」

 恐怖に上ずった声を上げ、自由のままならぬ体を震わせる二人の美少年。
 その姿に舌なめずりしながら、男は、言った。

「さあ皆様、ではこれより可愛いウサギ狩りといきましょうか!」

 と。
 そうして宴は始まった。



 太い男たちの腕が、指が、細くしなやかな少年の体に群がった。
 さながら地獄の亡者が生者にすがりつくようなおぞましさがある光景である。

9 クロノとユーノのウサギ狩り :2012/12/16(日) 00:58:23 ID:Z/zho9h.
 力では絶対に敵わない相手に囚われ、普段の理知的な姿が嘘のように、少年執務官は震えた声を絞り出した。

「ひぃ! や、やだ……止めろ! この……ッ」

 だがそんな言葉で相手が止まるわけがない。
 腕を押さえつけられて、彼の体にねっとりと指が纏わりつく。

「おぉ、これはまぁ、執務官といえど中身はただの少年ですなぁ」

「細っこい体が堪らん、ふひ、ほら、ここを触るとどうだね?」

「ひぁ!」

 涎を垂らした中年男が、クロノの股間を撫で上げた。
 薄いバニースーツの生地の下は、パンツを履いていない。
 おぞましいのは分かっているが、それとは別次元の、少年との性交に慣れた中年男の愛撫は、確かにクロノに快感を与えた。
 上下にコスコスと、男はバニースーツの上から少年のペニスを弄り回す。
 不気味な快感に悲鳴を上げて抵抗するクロノだが、抵抗すればするほどに男たちはその細い四肢を楽しそうに押さえつけた。
 それはもちろん、ユーノへも同じように。

「やだ……離して! やぁ……ひゃん!」

「この子も可愛い声を出すな、嬲り甲斐がある」

「顔も可愛いし、ほら見てみろ、肌もすべすべで、まるで女の子みたいじゃないか」

「んむ、べろ……ああ、肌も美味しいよ」

 涙交じりで抗うユーノを、男たちは撫で回し、それどころか肌に舌を這わせる。
 首筋や、タイツ越しの太股を美味しそうにしゃぶる。
 嫌がりながらも、ユーノは肌に走る形容し難い快感に震えた。
 もちろんセックスの経験などない少年にとって、熟練の男たちが与える愛撫は未知のものだった。
 二匹のウサギを捕まえた狩猟者たちは、まず丹念に獲物の細い体やなめらかな肌を味わう。
 本格的に味わう前の下準備だ。
 次第、次第に、巧みな愛撫によって少年たちの官能は高まって、股間で小さなペニスが硬くなっていく。
 ぴんと股間の生地が張って自己主張するその様を、陵辱者は薄笑いを浮かべて見下ろした。
 そして、誰が最初だったかわからないが、そこへ手が触れる。
 まずはスーツ越しに一撫でしてから、脇のタイツとレオタードの境目を薄く裂く。
 すると自然に、ぽろん、と少年の陰茎が露になった。
 まだ先に皮を被った、可愛らしい子供のペニス。
 男たちは下種な笑いを浮かべながら唾を飲んだ。
 美少年を辱め、秘部を晒す、倒錯的性嗜好の持ち主には堪らないシチュエーションだったろう。
 
「ふふ、可愛いねぇ、執務官のちんちんは」

「このブロンドの子のも良いよ。皮被りのショタチンポ」

「ほら、こうしてやるとどうだい?」

「や、やだ……ひぃ!」

「だめ! さわっちゃだめ……ふぁぁ!」

 涙ながらに懇願するも虚しく、四肢を押さえつけられた二人の秘部はされるがままに辱められた。
 無骨な指が竿を上下に優しく扱き上げたかと思えば、ある者は舌を伸ばして皮を被った亀頭の先を舐める。

「やだ、僕の先っぽ舐めちゃ……いづッ!!」

 無理やり皮を広げられて舌で尿道を抉られる、痛みと錯覚するほどの快感が、ユーノの頭の芯まで駆け抜けた。

10 クロノとユーノのウサギ狩り :2012/12/16(日) 01:00:01 ID:Z/zho9h.
 それでも男が愛撫の手を休めるわけがない。
 むしろ嗜虐の欲望は高まって、ユーノのペニスの皮を指で広げて、恥垢たっぷりの亀頭を引きずり出そうとする。
 皮の間に舌をねじ込んでべろべろとしゃぶる。
 あまり熱心に舐めるものだから、とうとうユーノの陰茎の先がぺろんと剥けてしまった。

「ああ、凄いな、ちゃんと洗わないとダメだよ君? こんなに臭いチンチンのチーズが溜まっちゃってるじゃないか。美味しいなぁ」

「ひぁぁぁあ! だめ……やだ、だめぇ……チンチン舐めないで……やぁ」

 その姿を横で見ていた男が、にやりと笑ってクロノの肉棒を握り締める。

「おやおや、友達は先におちんちん大人になっちゃったみたいですよ執務官。君も負けてられないね」

「ひいい!!」

 この男はサドの気が強かったのか、じっくり舌で慣らすような事はしなかった。
 むしろ逆に、力を込めて強引に皮を引きずり下ろす。
 ぎちぎちと亀頭に食い込む皮が、強烈な痛みを生んだ。
 痛みのあまりに歯を食いしばるクロノ。その悲痛な姿こそが、男の性欲を刺激する。
 そして男は一気に、皮を下ろした。
 
「〜ッ!!」

 言葉にならない悲鳴を上げて痙攣するクロノ。
 露になったピンク色の亀頭が、可愛らしくヒクヒクと震える。
 じっとりと先端から溢れる透明な粘液。
 男はその先走りを指で掬い、ぺろりと舐めた。

「おやおや、無理やり皮を剥かれてカウパーを垂れ流すなんて、執務官殿はマゾの気でもあるのかな? 可愛い可愛い」

「ち、ちがう……そんなの……いやぁぁああ!!」

 クロノが涙交じりに否定しようとするが、それは出来なかった。
 力を込めて陰部を扱かれ、言葉は悲鳴に変わる。

「ほら、嘘をおっしゃい、そんな事言っておいてちんちんはカチカチじゃないか。安心おし、今からもっと犯してあげるからね」

 男は実に楽しそうに笑い声を上げながら、クロノの可愛らしいペニスを扱き、先から溢れるカウパーを舐めた。
 見ず知らずの中年にこんな事をされるのは限りなくおぞましい筈が、その巧みなテクニックに、少年の官能は果てしなく高まっていく。
 皮を剥かれた愛くるしい少年の小さな性器は、先から涙を流して喜んでいる。
 丹念にその若い少年汁を味わいながら中年男はさらに指をぷりぷりとしたクロノの尻、レオタードとタイツで扇情的に盛り上がるそこへ伸ばす。
 タイツとの合わせ目を軽く破き、滑り込んできゅっと締まった穴へゆっくり指先が押し込まれた。
 
「ひぃ! おしり……くああ」

「ほら力を抜きたまえ、じっくり慣らしてあげるからね」

「はぁぁ!」

 言葉通り、男はじっくりとクロノのアナルをほぐし始めた。
 穴のふちをなぞり挿入しては指を抜き、また入れて抜く、というのを繰り返す。

11 クロノとユーノのウサギ狩り :2012/12/16(日) 01:00:51 ID:Z/zho9h.
 何度も何度も。
 その攻めは、ユーノもまた同じだったらしい。

「やぁ……おしり、だめぇ! ん! 変な気分に、なっちゃうよぉ……」

 高いソプラノの声を甘くして、ブロンドの少年は喘ぐ。
 細い手足を押さえられたまま四つんばいにさせられて、ぷりぷりとした小さな尻を突き出す格好でアナルを指で弄られていた。
 二人の少年の秘部は、徐々に男たちの手で熟練の愛撫を刻み込まれて、きゅっと締まった穴は少しずつ緩んでいく。
 一体どれくらいそんな攻めをされたか。
 いつしか不浄の穴は僅かに口を広げ、物欲し層にひくひくとし始めていた。
 穴と一緒に抵抗する意識までほぐされてしまったのか、既に顔は与えられる快楽に飲み込まれて蕩けていた。
 とろんと潤んだ瞳、垂れた目尻、だらしなく開いた口元は唾液がてらてらと光っていた。
 頃合、と見たのか、腰を上げた男は自分のモノに何かをまぶした。
 ぬるぬるとした液体、ローションである。
 たっぷりとぬめり気を帯びた肉棒の先が、二人の少年の入り口にぴたりと触れる。
 しばらく小刻みに亀頭を押し付けてローションをこすり付けると、男たちは子ウサギの細い腰を太い手で押さえた。

「さて、と」

「では可愛いウサギさんの初ものを頂ますか、な!!」

「「ひゃああああ!!!」」

 少年二人の高く甘い声が、その瞬間、同時に迸った。
 ずっぷりと、太い竿が少年たちのアナル処女を奪い、深々と挿入されていく。
 本来ありえない領域の太さの陰茎をねじ込まれ、屈辱と痛みに苛まれる……筈だった。
 しかし、クロノとユーノの顔は堪らないと言った風に、快楽に溶け切っている。
 ろくに性の悦びを知らない少年たちには、熟練の男色者のする行為は、あまりにも甘美なのだろう。
 既に茫洋と霞む瞳に、理性の色は薄かった。

「ひゃぅ!?」

「ほら、どうだい、こうやって深く入れられると」

「だ、だめ……やめ、ろぉ……やだ……うぁあああ」

「くく、執務官も形無しだね、こうなると。そんな可愛い顔をしてしまって」

「そんな……みるな……みるなぁ」

 向かい合った正常位で腰を突き上げられる度、勃起してしまったペニスをぷるぷると揺らしながら、甘い声を上げてしまうクロノ。
 犯されながら可愛いなどと言われて、羞恥心で顔を逸らす。
 だが、そんなうぶな反応こそが陵辱する者を楽しませるのだ。
 対して、ユーノを犯している男は下手に言葉を弄する事を忘れていた。
 バックで、手足をつかせて四つんばいにした少年を、ひたすらなまでに腰を振り、獣のように犯している。
 既に行為に慣れ始めていたユーノのアナルは柔軟に男を受け入れ、その癖きゅうきゅうと締め付けてくる、なかなかの名器だった。
 ごつごつとした男の体が前後する度、可愛らしい小ぶりな尻とぶつかって、パンッパンッ、と小気味良い音を立てる。
 
「あんッ! あぁ……ひぁ! ああぁぁああ」

 とろんと目を潤ませたユーノは、太い竿で抉られる度、甘みを増していく声を艶かしく零して喘いだ。
 さらさらと短いブロンドの髪を揺らしながら犯されるその姿は、例え倒錯的な性嗜好を持たない人間であっても興奮してしまうようなエロスに満ちていた。

12 クロノとユーノのウサギ狩り :2012/12/16(日) 01:01:27 ID:Z/zho9h.
 そんな姿を見せ付けられては、周囲の男たちもいよいよ我慢の限界を迎える。

「ああ、だめだ、もう辛抱堪らん!」

「私たちも参加させてもらいますよ」

 口々に言いながら、幾人もの男が股の下でそそり立つイチモツを犯される美少年へと差し出していく。
 それを察した、ユーノを犯している男が、少年の腰に当てた手に力を入れて、ぐっと体を起こさせる。
 
「はぅ!」

 体勢が入れ替わり、ユーノが男の上に座るような形、座位後背位へと変わった。
 ずん、と自身の体重が結合部に掛かり、ユーノの頭の芯に桃色の電気がはじける。
 そして、周りの男は一斉にその細い肢体へ己の欲望を突き出した。
 幾つものペニスが、バニースーツの上から少年の乳首やウエストをなぞり、白い頬に押し付けられる。
 乳首を生地の上からこりこりと刺激されると、声のトーンが上がって一段を甘い嬌声を零す。
 それでも足りないとばかりに、手袋を付けた手を引き寄せて自分のものを握らせるものもいた。

「ほら、扱いて」

「あぅ! ん……はぃ」

 快楽で朦朧とした意識の中、ユーノはこくんと頷いた。
 手にした太い幹をシュッシュと緩やかに扱き上げ、顔に突きつけられた亀頭にはちろちろと舌を這わせる。
 つんと頭の奥まで染み渡るような蒸れた青臭い匂いに酔ってしまいそうだった。
 
「お友達は積極的になってくれたね、君も真似したらどうだい」

 そう言いながら、男たちは床の上で犯されるクロノの顔に各々、自身の竿を突きつけた。
 鼻が曲がりそうなくらい臭い恥垢たっぷりの、血管を浮かせたごつい肉棒の数々。
 まだ理性を保っているクロノは目の前の醜悪なペニスを前に顔を逸らした。
 しかしそれで収まる連中なわけがなく、顔を背けようが白い頬に亀頭をこすり付け。
 それどころか、押さえつけた少年の体にそれぞれペニスが群がった。
 腕を上げさせたかと思えば、汗で濡れた腋がくちゅくちゅと音を立てる。
 さらにはバニースーツの上から乳首をこりこりと亀頭で刺激する。
 おまけに、アナルを貫いて犯している男はクロノの勃起したペニスを掴んだ。

「ひゃぁ!」

 甘い声を上げて戦慄く少年。
 もちろん、男は容赦などしてやらない。
 手中に収めた愛くるしい幼い陰茎を、熟練の技巧で上下に扱き始めた。
 カリを指で刺激しながらゆっくりと焦らすように慣らすように、何度も何度も手淫してやる。
 腋や乳首と同時にアナルを犯され、ペニスを弄られ、理知的な少年執務官の性感はいやおうなく高められていく。
 荒く息を付くことで、口元も緩んでしまう。
 その隙を男たちは見逃さなかった。

「そら!」

「んぅ!!」

 口の中へねじ込まれる肉棒。
 塩辛い味と生臭い臭気が口内を満たす、噛み千切ってやりたかったが、もう力が入らなかった。
 出来た事といえば、漫然と舌を絡めてカウパー液を啜るだけ。
 つまりは、上出来のフェラチオに違いない。
 手に、腋に、胸に、腹に、アナルに、少年二人を無数に欲望が包み込む。
 さらには、自分のペニスの先を二人のペニスにこすり付ける者さえ現れる。
 汗とカウパーまみれになった痴態は、いよいよもって熱を最高潮まで高めていく。
 パンッパンッ、と規則的にぶつかっていた腰の動きが、徐々に早く強くなっていた、射精がちかい証拠だ。
 
「そろそろ出そうだ……よぉし、皆でこの子たちを飾ってあげようか」

「ああ、そうだ……な!」

「ひぅ!!!」

 その言葉に従い、男たちはそれぞれ一層力を込めて自分のものを乳首に押し付けたり、クロノたちのペニスにこすりつける。
 ぴりぴりと頭の芯まで響く快感に、甘い喘ぎを零すクロノとユーノ。

13 クロノとユーノのウサギ狩り :2012/12/16(日) 01:02:47 ID:Z/zho9h.
 そしてクライマックスは、実にあっけなく、唐突に訪れた。

「ぐ、ぬおお!!」

 低い男の呻き、ぶるぶると体を震わせ、達する。
 陰茎とアナルの結合部から、ぼこぼこと泡を立てて精液が溢れた。
 まずはクロノの中に、次の、ユーノを犯していた男も同じように恍惚の声を上げてぶち撒けた。
 
「ひい……で、でてる……おしりの、なかに……あついのぉ」

 喘ぐユーノ。
 だがこれはほんの始まりだったと、すぐに分かった。
 何かが迸った。
 白い液体の飛まつ。精液だった。
 顔や手、腋や乳首、ペニスに押し付けられていたそれらが次々と堰を切ったかのように射精した。
 幾重にも空中を舞った液体の飛沫は、黒を貴重としたバニースーツにぶち撒けられ、なんともいえぬ青臭い匂いをまぶす。
 熱い。
 肌が焼けてしまいそうな温度が全身を覆う。
 
「あぁぁ……こんな……ぁぁ」

 嗅覚も視覚も触覚も、おぞましい快感に蝕まれながら、クロノは自覚して絶望の吐息を漏らす。
 いつの間にか、いつしてしまったのか、自分自身の性器も絶頂して青臭い精液を射精していたのだ。
 それはユーノも同じだった。
 ピュッピュと痙攣しながら精液を飛ばし、恍惚の表情で声にならない声を漏らしている。
 
「あう!」

 唐突にアナルに走った快感に、クロノが喘ぐ。
 ちゅぽん、と男が、射精して萎えた自分の性器を引き抜いたのだ。
 それを惜しむように見てしまった自分自身に、クロノはもう目の前が真っ暗になりそうだった。
 だが、そんな事に気を向ける暇はなかった。
 一人の男が退いたかと思えば、また新しい男が、ぎんぎんに勃起したペニスを見せ付けるように前に立っていた。

「さあ、君たちの仲間が来るまで時間はあるんだ、ぎりぎりまで楽しもうね」

 そう言いながら、男は弱弱しく震える子ウサギの足をつかみ、その間に自分の体と、いきり立つ肉棒を割り込ませる。
 少年にもはや抵抗するそぶりはなく、くちゅ、と入り口に熱いそれが触れた瞬間、目を蕩かせ、喘いだ。

「あぁッ♪」

 語尾を甘く上ずらせて、もはや恥も外聞もなく、クロノとユーノは乱れた。
 それは執務官や司書が見せるものではない、淫蕩な快楽に堕ちる奴隷のそれだった。


終幕

14 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2012/12/16(日) 01:05:55 ID:Z/zho9h.
投下終了。

美少年にバニー服を着せたっていいじゃない!
つまりはそういう事だ。

はい。
その、そんだけっす。

15 名無しさん@魔法少女 :2012/12/16(日) 01:09:22 ID:eC9IrpU2
乙っしたー 
いやあ素晴らしいな

16 名無しさん@魔法少女 :2012/12/16(日) 01:40:10 ID:Bsvpm2HY
新スレ初っ端からなんてものを……(ゴクリ)
GJでしたー!

17 名無しさん@魔法少女 :2012/12/16(日) 14:53:07 ID:BPKgbpZE
>>14
お疲れ様です。
次は「ユーノくんは俺の嫁」を期待して待ってます!!

18 名無しさん@魔法少女 :2012/12/17(月) 04:15:13 ID:OQsZnvrg
乙です
…なんだけどR-18Gだと最初に書いて欲しかった

19 名無しさん@魔法少女 :2012/12/17(月) 10:03:25 ID:emiuybhg
w

20 名無しさん@魔法少女 :2012/12/17(月) 18:32:34 ID:g3cSSZLk
いやちょっとまって R-18Gってのは成年向けグロ系って意味だろ
グロ要素とかないと思うんだけど、それとも俺の認識が間違ってるのか?

21 名無しさん@魔法少女 :2012/12/17(月) 18:49:52 ID:fhCGM0PI
R-18Gayの略じゃないの?

22 名無しさん@魔法少女 :2012/12/17(月) 21:29:04 ID:g3cSSZLk
ゲイ・・・あー、なるほどそっちか・・・

でもまあ、その辺は男の娘で察してくれって事で

23 名無しさん@魔法少女 :2012/12/18(火) 03:43:19 ID:7eEhXIO6
前スレ1000でドコに落ちたいとあるが・・・
落ちるならギン姉のおっぱいに落ちたいです!

24 名無しさん@魔法少女 :2012/12/18(火) 17:14:02 ID:SCKej5GA
はやてちゃんのお尻はいただく!

25 名無しさん@魔法少女 :2012/12/18(火) 17:17:07 ID:dW6ncQaU
リンディさんの豊熟とした女体に堕ちたい

26 名無しさん@魔法少女 :2012/12/19(水) 00:03:14 ID:u4uD4W2U
俺はなのはさんに締め技で落とされたい

27 名無しさん@魔法少女 :2012/12/19(水) 00:28:01 ID:W2hCDyx.
なのは「締め技って、締めたら気道ごと頚椎をひねり潰す技だよね?」
フェイト「違うよなのは。縄で縛り上げることだよ。ほら、たまたまここに消毒済み荒縄があるから、私に試してみて」

28 名無しさん@魔法少女 :2012/12/19(水) 00:29:48 ID:5NJuQOd.
クロノ「ほらユーノ、もっと締めるんだ」
ユーノ「くっ、くう……」

29 名無しさん@魔法少女 :2012/12/19(水) 02:28:08 ID:0DHZfISc
なんかもうクロノとユーノとか普通にアリだと思えてくるからココ怖い

30 名無しさん@魔法少女 :2012/12/19(水) 02:45:13 ID:OmVw2Bs6
少年時のキャラデザ、顔のつくりも体型もほぼ同年代女子と変わらないもんな
声も女性声優だし…
君付けで呼ばれてて一人称僕だから勘違いしなくて済んだが

31 名無しさん@魔法少女 :2012/12/19(水) 06:36:32 ID:dDWkbhtE
>>29
おっと、エリオきゅんを忘れてもらっては困るぜ

32 名無しさん@魔法少女 :2012/12/19(水) 11:58:23 ID:7iAURfLY
リリなの世界でプリ●ュア…声被る人多いし、戦闘能力下手したら向こうが上だし…

33 名無しさん@魔法少女 :2012/12/19(水) 19:12:14 ID:kG786Suc
ヴィヴィオがアニメ化したら
生き恥アングル祭りになりそうで怖い

34 名無しさん@魔法少女 :2012/12/19(水) 20:16:03 ID:X4txdZak
ヴィヴィオ達三人娘はまあ無邪気属性でなんとかなるかもだが、アインハルトなんかは余裕で羞恥死しそうだな

35 名無しさん@魔法少女 :2012/12/20(木) 15:40:47 ID:p8E.3Vdo
おぱんちゅ見られて照れの一つもないのは、無邪気とは違うナニカではないだろうか?





露出性癖のヴィヴィオか……

36 名無しさん@魔法少女 :2012/12/20(木) 17:43:09 ID:dX0eYIvQ
そういえばユーノは変身時全裸なんだよな…
ユーノとお揃いじゃないだけマシか

37 名無しさん@魔法少女 :2012/12/20(木) 18:05:50 ID:2H4deAzI
こっそり人気のない時間に通学路でスカートたくし上げてノーパン下半身の縦筋ロリマンを晒して「ああ・・・だ、だれかに見られちゃったらどうしよぉ(ゾクゾク」ってなってるヴィヴィオまで連想した

38 名無しさん@魔法少女 :2012/12/21(金) 02:12:08 ID:ZqgfwcnU
それアインハルトさんが、やってもなかなかだな
「クラウス……こんな変態で、覇王流を穢してしまって、ごめんない……(デモヤメラレインデス)」みたいな

時にリリィ→ヴィータの呼び方ってもう本編で出たっけ?ヴィータ師匠と副隊長とヴィータ教官で迷ってるんだが…

39 名無しさん@魔法少女 :2012/12/21(金) 04:17:03 ID:UohFfiSA
それぞれ
トーマ→師匠
リリィ→副隊長
アイシス→教官
って感じ

40 名無しさん@魔法少女 :2012/12/21(金) 09:37:35 ID:1IE0LadU
インターミドルでもグランドの際にケツに指を突っ込んで体を弛緩させてから技を極める裏技があったりして
シャッハ「教会の看板を背負って戦う以上負けは認められません・・・今からあなたに勝つための技を伝授します」
シャンテ「あへぇぇぇ! しょこはらめええ!」
シャンテ「・・・あれ?」

41 名無しさん@魔法少女 :2012/12/21(金) 11:05:41 ID:.NafvOBo
何気にリリィもスバルの事スゥちゃんって呼んでるんだよな
まぁ本人に直には言ってないんだけど

42 名無しさん@魔法少女 :2012/12/22(土) 11:27:48 ID:aRiDEeLU
大会組のSSは読みたいなぁ

43 名無しさん@魔法少女 :2012/12/23(日) 02:19:08 ID:ODG1MMZs
大会を牛耳ってるスポンサー連中に裏で食い散らされる、夜のインターミドル

44 名無しさん@魔法少女 :2012/12/23(日) 03:04:45 ID:sErQ36iQ
シャンテちゃんのあのBJってパイズリするにはもってこいだよね

45 名無しさん@魔法少女 :2012/12/24(月) 03:14:57 ID:7HsAkeqc
そろそろ本編でファビア出て来ないかな

鳴かせ甲斐がありそうなんだよなあの子

46 名無しさん@魔法少女 :2012/12/24(月) 09:42:52 ID:hgw/1H32
フォビアって見えた    某死にゲー思い出した
リョナSSってダメカナー?

47 名無しさん@魔法少女 :2012/12/24(月) 12:46:57 ID:z/5lo7jE
>>39 遅ればせながら、お礼を
4期は両方良い受けキャラが揃ってる

48 名無しさん@魔法少女 :2012/12/24(月) 22:25:15 ID:fAyGjl9A
朝おきたらサンタのおじさんが9歳の全裸のなのはちゃんを俺にプレゼントしてくれておりますように…
9歳のユーノくんでも一向に構いません

49 名無しさん@魔法少女 :2012/12/24(月) 23:17:35 ID:oRb8vLCM
子供をプレゼントってことなら、一番欲しいのはフェイトかなぁ
最初はビクビクオドオドしてた子が、ゆっくりと甘えて来てくれるってシチュエーションは神

50 SandyBridge ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:29:19 ID:5X4rDpzg
こんばんわ

世間はどうやらくりすまけですが
ミッドチルダではきっと静かな冬の夜です

アインスさんと聖王さまの・・・キャッ

51 In die Zukunft ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:31:25 ID:5X4rDpzg
 冬のクラナガン、しっとりとしめやかな雪の季節。ミッドチルダでも、今年一年の平和に感謝し、新たな年への息災の願いを込めて人々は休暇をとる時期である。
 聖ヒルデ魔法学院でも、聖王教会から司祭を迎えてのパーティが催されている。
 大講堂で開かれている生徒たちの合唱会、参観に来た父兄たちの列の中に、高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやての姿もあった。
 かつてのJS事件で、ヴィヴィオを救うために戦った管理局の魔導師たちである。
 そして同じようにもうひとつ、ヴィヴィオを見守るまなざしがあった。

「感慨深いものですね……」

「懐かしい、か?」

 はやてに従うように並ぶ、4人の女性と1人の男性。管理局きっての大魔導師、八神はやての持つ夜天の魔導書の機能のひとつである、守護騎士ヴォルケンリッターである。
 彼らもまた、はやてとともにJS事件で戦った。

 はやての傍ら、最上席に立つ銀髪の女性と、彼女のつぶやきに応じた、次席に立つポニーテールの女性。
 二人とも、見目麗しい長身の美女である。

 祝福の風リインフォース。烈火の将シグナム。

 二人の名前である。

 守護騎士たちを統率するシグナムと、夜天の魔導書のシステム管制を担うリインフォース。
 彼女たちは、八神はやてが闇の書の主となって以降10数年、ずっとはやてに仕え、彼女を助け補佐してきた。
 管理局士官の礼装に身を包み、その姿は、凛とした慎ましさと威厳を保ち、見惚れてしまうほどに美しい。

 JS事件当時、幼い少女の姿でなのはたちの前に現れたヴィヴィオも、やがて事件の過程で、かつての古代ベルカの諸王のひとり、聖王のクローン個体と判明した。
 そしてミッドチルダに残されていたベルカ時代の戦艦、聖王のゆりかごの起動に伴い、本来の聖王としての姿を取り戻した。

 事件解決後、ヴィヴィオは高町なのはに養子として引き取られると同時に、聖王教会で学ぶ道を選んだ。
 その過程がどうあれ、自分の生まれ、自分がいかなる存在として生まれたのかということは理解している。
 そして自分が持って生まれた力を、正しく役立てたいと願った。幸いにして、ミッドチルダという文化社会はそれを歓迎するものであった。

 ヴィヴィオも人並みの少女の年頃、母親に甘えることを卒業し、背伸びしたい年頃である。
 なのはと目を合わせることがやや気恥ずかしくなり、そして、彼女へ流し目を送った。
 彼女も、それは理解していた。なのはに秘密にしていることを、知っている。

「陛下」

 想いは、秘めて。

 華やかな教会の音楽、クラスメイト達との最後の談笑、思い出、新たな世界への希望を胸に、ヴィヴィオは今夜の逢瀬に恋い焦がれる。

52 In die Zukunft ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:32:02 ID:5X4rDpzg
 




 友人たち、コロナ、リオと、それからアインハルトの4人で、クラナガン市内のカフェでささやかな会食をした。
 今夜までも、オットーとディードの二人が付き添いに来ているが、お開きにする段で、大丈夫だから先に戻っていて、とヴィヴィオはどうにか二人を先に帰らせることに成功した。
 はずむ胸をおさえながら、ヴィヴィオはカフェを出たところの陸橋のたもとに駆けつけた。
 待ち合わせの場所に、彼女はすでに来て待っていた。
 周辺には、おそらく同じように待ち合わせているのだろう、カップルの片方を待っているらしい男女がちらほら見受けられる。

「ごめん、遅くなっちゃった。寒かったでしょ、早く行こう」

 はやるヴィヴィオに優しく微笑み、彼女はマフラーに包まれたヴィヴィオの頬をそっと撫でた。

「大丈夫です。陛下、私はいつでも貴女を待ちます」

「リインフォース……」

 銀の長いストレートヘアと、金のサイドテール。
 深紅の瞳と、赤と翠のオッドアイ。
 二人は、舞う粉雪に彩られたネオンサインの蛍光の中で、それぞれの色を混ぜ合わせる。

 リインフォースは、濃い藍色の厚手のジーンズにカーキ色のロングコートという外套で、髪をフードの中に隠していたので、その長身も相まって中性的な美男子のようにも見える。
 冬の乾いた空気にあてられていたヴィヴィオの髪を、そっと撫で、あたためるように軽く握る。
 腕にじゃれつくように、ヴィヴィオはリインフォースの腕の中に収まった。
 ヴィヴィオを右脇に抱え、腕を背中に回して、コートの合わせ目をそれぞれつかむようにして身体を寄せ合いながら歩き出す。
 サイドテールのリボンは、昔からお気に入りのネイビーブルーのものだ。
 この深い青色は聖王家のシンボルカラーでもあり、特別誂えの騎士甲冑にも使われているものだ。

 リインフォースには、他のヴォルケンリッターたちと違う少し特有の事情もある。
 夜天の魔導書──闇の書、という二つ名もある──の管制人格として、複雑かつ大規模なデバイスの機能制御を行うためほぼ永年にわたって起動状態にあり、必要に応じて停止される守護騎士よりも稼働時間はずっと長い。
 また、長期間の活動によってその機能に故障を起こしていた夜天の書は、守護騎士たちの記憶を断片化させ、過去の記憶はおぼろげになっていた。
 シグナムがヴィヴィオの思い出についてリインフォースに尋ねたのはそのためである。
 夜天の魔導書はかつて、聖王家に所有されていたこともあったが、ヴォルケンリッターたちはその当時の記憶を失ってしまっていた。

 ヴィヴィオもまた、クローンとはいえ記憶までも復元できているわけではないので、感覚としては前世、生まれ変わりに近いものである。
 眠っている間の夢に見るように、ベルカ時代の断片的な情景を思い出す。
 その中で確かに、夜天の魔導書──当時はリインフォースという名前はまだなかったが──を携えていた。

 数百年の時を経て、二人は再び出逢った。

 それは因果というべきか、運命というべきか。
 どちらでもないかもしれない。
 リインフォースは、夜天の魔導書は常に待ち続けていた。幾人もの主を奉じ、人類の文明が進歩し、ひとびとの世代が入れ替わっていっても、ずっと生き続けてきた。

 腕を組むヴィヴィオとリインフォースの間、二人の羽織るコートごしに、やわらかな体温が伝わる。
 リインフォースがどれくらい待っていたか、というのはヴィヴィオにはすぐにわかった。
 きっと寒かっただろう。
 早く、あたたかいベッドへ行こう。深い羽毛に包まれて、からだを温めよう。
 あたたかさに包まれて、身体も心も溶け合おう。

53 In die Zukunft ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:32:43 ID:5X4rDpzg
 通りを歩きながら、ヴィヴィオはやおらつま先を伸ばし、リインフォースの頬に軽く口づけた。
 驚き、気恥ずかしそうな表情を見せて、それでも嬉しさにゆるむリインフォースの顔、澄んだ瞳。
 くっきりと力強い睫が、目の鋭さを覆い、表情をゆるめたときの優しさを醸し出している。

「うれしいよ」

「……ありがとうございます。陛下」

 リインフォースにとっては、連続した記憶の中で、ヴィヴィオはまさに自分が当時の主とともに仕えていた君主である。
 ヴィヴィオはまだ、それを実感しきれてはいないが、理屈はわかる。
 オットーやディードも、リインフォースに影響されて、ヴィヴィオを尊称で呼ぶときは陛下、を使っている。
 ただ現時点では、ヴィヴィオ自身はミッドチルダや旧ベルカ領内での皇族の地位についているわけではないので、通称のようになってしまっているが、いずれにしてもその未来へ向け進む道を選んだ。
 聖王教会を含む旧ベルカ領は、ミッドチルダの領土内に存在するまた別の小さな都市国家である。
 その形式上の君主は、この現代であっても聖王であり、聖王教会としては、王位継承は行われておらず、空席ではあるが旧ベルカの国家元首は現在でも聖王であるという公式見解を発表している。
 ヴィヴィオが成長し、聖王教会の神職に就けば、名実ともにヴィヴィオが旧ベルカ領の元首となる。
 その未来を求めている、はずだ。
 そのためにカリムやシャッハたちは働いている。学校の友人たち、教会の友人たちも、そんなヴィヴィオを祝福してくれている。
 ひとえに、現在の聖王教会をとりまとめる騎士カリムの人徳であるといえるだろう。
 王を補佐する者として、ヴィヴィオを助けてくれた。
 なのはやフェイトは、小さな子供に必要な親として助けてくれた。
 なのはやフェイトとまた違った形での、人間社会で生きていくための道しるべを探すための手掛かりをカリムは示してくれた、とヴィヴィオは思っていた。
 そして、リインフォース。
 彼女のおかげで、自分が生まれたこと、自分の夢の中に見る前世の記憶、この現代のミッドチルダに自分が転生した理由、それがわかった。
 リインフォースのおかげで、決心がついた。

 彼女を、愛したい。
 はやてから、夜天の魔導書の苦難の歴史を聞いた。
 やっと、平穏を手に入れた彼女を、せめて自分が、精一杯愛したい。
 ベルカ時代のことはまだ完全には思い出せなくても、当時、きっと叶わなかった想いを遂げさせてやりたい。

 惹かれあうようになった。

 手を握り、コートの裾を引っ張って手首を深く包むようにして、寒くないようにして、冷たい空気に当たらないように、ヴィヴィオはリインフォースの手を握りしめた。
 ぬくもりが伝わり、ぬくもりを分かち合いたい。
 ヴィヴィオにとってもまた、初めて自分の意思で見つけた相手だ。
 初めて自分で、この人を愛そう、と思った人間だった。

54 In die Zukunft ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:33:38 ID:5X4rDpzg
 




 促すように肩を押し、リインフォースの身体をベッドに横たえる。
 コートを脱がせ、浮き上がった上半身が胸を反り返らせて、乳房の隆起を強調する。伸縮性に富み、弾力もある毛糸編みのセーターが、リインフォースの大きな胸のかたちをよく表現している。
 澄んだ高級なシーツの上に、リインフォースの銀髪がふわりと広がる。その上に砂金を散らすように、上から覆いかぶさるヴィヴィオのサイドテールが垂れる。
 二人とも体格はいい。ぎしり、と繊維のきしむ音がしてベッドが沈み込み、リインフォースのわきの下についたヴィヴィオの手が、腕を上げて広げられたリインフォースの胸にかすかに触れる。

「いいよ、触って」

 ヴィヴィオは言葉に出し、リインフォースを誘う。
 自分へ触れることを許す。自分を攻めることを許す。
 かすかに肩をこわばらせ、リインフォースはそっとヴィヴィオへ腕を伸ばした。

 肩に手のひらを置き、そこから背中へ撫で下ろしていき、背すじを撫で、背中のくぼみをなぞる。
 恋する想いは、くすぐったさを性感へと変える。息を漏らしながら、ヴィヴィオは身体をゆする。そのしぐさで、自分の胸を揺らすことを意識する。
 リインフォースの目の前で、ヴィヴィオは乳房を放った。
 片手でコートの首もとをつかんでひといきに脱ぎ捨て、学校で着ていた礼装のブラウスの胸元をボタンをはずし、再び覆いかぶさる。
 はだけられたブラウスの胸元の肌に、リインフォースは視線を吸い寄せられる。
 わずかの曇りも染みもないヴィヴィオの白い肌。ほんのりと薄紅に染まり、健康的な血色のよさを示している。限りない弾力で、はずむ乳房の様子が目に浮かぶようだ。
 ヴィヴィオはゆっくりと上半身を近づけていき、二人の乳房はやがて触れ合う。互いに、押し合い、乳房の形が平たく押されていく。
 身体の重みを感じる。

 はっ、とリインフォースが息を吐くのをヴィヴィオは頬に感じた。
 熱い吐息。
 彼女の昂ぶりを、わずかも逃さず見つけ感じ取る。恥ずかしがるリインフォースを、責める。自然と、ヴィヴィオは口元がつりあがり、笑みが浮かんでくる。
 その表情を見て、リインフォースも期待に目を潤ませる。

「どうしたの?」

 いじらしく問う。
 あえて何をして欲しい、とはこの段階では言わない。具体的にして欲しい行為を言葉にしようと考えることで、リインフォースはさらに熱を上げ、その白い肌が紅く染まり、耳たぶが赤くなるのが見えた。

「してほしいんだ……えっちな、こと」

 激しくなる鼓動を抑えきれないようにリインフォースが胸を揺らす。その勢いで、乳房がわずかに持ち上がり、セーターとブラウス越しに触れ合った。

 それだけでも、リインフォースの乳首がもう言い訳できないほどに硬く大きく勃起していることをヴィヴィオは確かめた。
 母、高町なのはよりずっと大きい。昔、ふざけて揉み合いっこをしたときに確かめたはやてよりも大きい。聖王教会に泊まりの合宿をしたときに一緒に風呂に入った、カリムやシャッハよりも大きい。
 ヴィヴィオはたまらず自分の胸を使って追いかけ、乳首を当てた。
 服の上から、自分の乳首をリインフォースの乳首に押し当て、絡ませる。
 乳首をピンポイントで押され、リインフォースはついに切なげな声を漏らした。

55 In die Zukunft ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:34:45 ID:5X4rDpzg
「はっ……あぁ、ん……」

「ふふっ、可愛い……わたしも、気持ち良いよ……こんなに、ほら見て、私もこんなにおっきく勃っちゃってるよ」

 左胸を押し当てたまま、右胸を持ち上げてブラウスを引っ張り、胸を張って見せる。
 ブラウスの硬めの生地に締め付けられたヴィヴィオの乳房は、ずらされたブラジャーの輪郭と、そこから浮き上がった乳首をはっきりとリインフォースの眼前に突き出した。

「リインフォース、私、あなたのことがとってもかわいいの。こんなに、たくましくて凛々しくて強いのに、もじもじしてて乙女でさ……
こんなこというのもなんだけど、私と組み合って釣り合うくらいに素敵な肉体をしてて、それでこんなにかわいいなんて、もう私のために生まれてきたんじゃないかって思えるくらい」

 熱く息を吐き、ヴィヴィオから浴びせられる浮いた言葉をリインフォースは受け止める。
 普段は、守護騎士たちを後方から指揮し、闇の書の主であるはやてをもっともそばで支えるために気持ちを張っていて、八神道場の子供たちや管理局の同僚たちからは頼もしい姉のような人物像で通っている。
 そんな自分が、これほどにまで蕩かされてしまう、ヴィヴィオが聖王であるということ以上に、リインフォースの心がヴィヴィオに恋をしているということだ。

「ん……っ、はぁっ」

「あはっ、キス、したいんだ?好きだよ、私も……キスすること」

「ふぅっ、うっ、へ、陛下……」

「うふふ……リインフォースの唇、とってもきれい……おいしそう。キスしたいなあ……」

 わざとじらすように、ヴィヴィオはリインフォースの胸の上にベッドに肘をついて寝そべり、小動物のようにふるえる顔を見下ろしている。
 子供のころは小さかったが、成長し14歳になった今は、ヴィヴィオは同年代の子供たちの中ではかなり体格がよくなり、クラスメイトの女子生徒たちの中ではいちばん背が高くなっていた。
 なのはやフェイトよりも高くなり、シグナムも追い越して、リインフォースと同じくらいの身長になっていた。
 聖ヒルデの初等部のときからやっているストライクアーツで鍛えた肉体は、全身のバランスをよく、しなやかに伸びた長い肢体で、美しい女体をつくりあげていた。

 たくましさと美しさをあわせもつヴィヴィオの肉体が、リインフォースを力強く抱く。

「んー……?」

「はっ……はい、陛下……キス、してほしいです……、私、キス、したいです……!」

「ふふっ。よくできました」

 微笑み、ヴィヴィオはリインフォースに顔を近づけた。
 互いの息遣いが肌に触れる。ヴィヴィオやリインフォースは、ベルカ人の血を引くために鼻筋や眉間なども造形が鋭く、怜悧な美しさを持つ。
 ほどよく熟れたヴィヴィオの唇が、ややすぼまった花びらをつくってリインフォースのはじけそうな果実に触れる。

 唇を触れ合わせ、離すと、リインフォースは追いすがるように唇を突きだしてきた。
 その様子を、ヴィヴィオは間近で見た。キスを求めて唇をすぼませるリインフォースの顔はたまらなく扇情的である。普段、凛々しく聡明にふるまっている彼女が、性愛を求める姿、そのギャップ。
 淡い銀色の髪、雪のような白い肌。どこまでも澄んで清楚な、桃色の頬。その中に浮き上がりつつある、熱のような紅い高揚。
 リインフォースの、心の中に、じわじわと滲み出してくる性欲を弄ぶのをヴィヴィオは楽しんでいた。
 こうやって誘い、いじると、楽しくて、そしてリインフォースは意外と、こうやっていじめられると特に感じる。
 何度かの交わりでそうわかっていた。
 もっと責めてくださいと頼まれたこともあった。

 今は何となく、年齢を重ねたことを意識して、自分の気持ちも大きくなっているとヴィヴィオは思った。
 リインフォースを、今だけは自分のものにしてやる、と思った。

「八神司令のこと……」

 びくっ、とリインフォースは肩を震わせた。
 14歳になって、ヴィヴィオはぐっと大人びてきたような気がする。まだまだ、学生気分で友達とはしゃいでいると思えば、まるで手練の遊女のように、艶をたっぷりと含んだしぐさを見せることがある。
 これが聖王の資質なのだろうか、とリインフォースは思った。
 リインフォースの中で、女の本能に、女体に刻み込まれた聖王との交わりが、衝動的な記憶の発露としてよみがえってくる。

56 In die Zukunft ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:35:25 ID:5X4rDpzg
「素敵だったよ。八神司令といっしょに、リオやアインハルトさんと合宿してさ……一緒に寝て、ママのおっぱいよりもぐっとやわらかくて甘くておいしかった」

「はぁっ……あ、わが主の……」

「うふふ、リインフォースは八神司令とはそういうコト、してるんだよね?八神司令のおっぱい、おいしいよね?
まぁるくて、てのひらにすっぽりおさまるくらいのちょうどいいおおきさで、ふわふわにやわらかくて、あったかくて……
ヴィータさんやミウラさんも、毎晩かわりばんこにおっぱい吸ってさ」

「いっ、いえわが主は、まだそのようなっ」

 思わず声に出して、リインフォースはヴィヴィオの肩を下から押さえた。
 はやては経産婦ではないので、もちろん母乳は出ない。それでも、授乳プレイを、あるいは乳児プレイをする。そのような破廉恥な姿を、敬い慕う主が見せている。
 背徳感と罪悪感がたまらない衝動を生み出し、ジュン、と、パンツの下で陰部が濡れるのをリインフォースは感じた。

「はむっ」

 再び、ヴィヴィオの唇がリインフォースに重ねられる。
 唇の粘膜部分と顔の通常の皮膚との境目がはっきりしていて、硬めで弾力のある唇になっている。この力強い唇で、リインフォースのやわらかな花びらを、包み込むようにあるいはねじこむように揉んでくる。
 さらに唇を広げてリインフォースの口腔全体を包み込み、すぼめられたリインフォースの唇をこじ開けるようにヴィヴィオの舌が侵入してくる。
 唇を揉まれ、半ば無理やりに形を作られ、舌を絡ませられる。
 ヴィヴィオの舌はまるでうさぎのようになめらかで、ざらつきが少なく、ぷるぷるしている。
 そして口から外へ出せる長さもかなり長く、唇の裏や歯茎、舌の裏側、上あごの裏側などリインフォースの口内のあらゆるところがヴィヴィオの舌で攻められる。

「ふぐっ……んぅ、う、ふぅぅん……っぷはっ、へ、陛下ぁっあぁ!あ、ふあっ、すご、あぁ、もっとぉ……んむぅっ」

 喘ぎながら求めるリインフォースを、ヴィヴィオはさらに攻めたてる。
 身体をくねらせ、上体を悩ましく反らせながらリインフォースはヴィヴィオの接吻を求める。
 背中を浮かせたところに、ヴィヴィオはすかさず腕を差し入れ、リインフォースの背中を腕いっぱいを使って抱く。しなやかに動く背骨と肩甲骨と背中の筋肉が、ヴィヴィオの腕によって支えられ、指で愛撫される。
 うなじから背筋のくぼみまでを撫でられ、リインフォースはさらに腕を後ろ側へ反らせて胸を突きだすようにする。
 ヴィヴィオの胸へ、自分の胸を押し付ける格好になる。互いに押しつけあう乳房が豊かな張りと柔らかさを併せ持って絡み合い、乳房がそれぞれの谷間へ入り込む。

 左腕でリインフォースを抱き支えながら、ヴィヴィオは右腕をリインフォースの脇の下を通して胸へ持ってきて、ブラウスのボタンをひとつずつ外していった。
 よそゆきの儀礼用の、高級なシルクのブラウスが、ヴィヴィオの慣れた手つきで脱がされていく。
 相変わらずヴィヴィオの唇をむさぼりながら、学校でもクラスメイトの女子たちを侍らせているというのは本当だったんだなとリインフォースはそらんじていた。
 以前からの親友であるリオやコロナはともかくとして、ヴィヴィオは特に中等部に上がってからはぐんと発育し顔立ちも大人びて、特に後輩女子などからの人気が高まっていた。
 思春期の少女たち、同性どうしの恋心を抱くことがある。
 そんな少女たちを、ヴィヴィオは皆それぞれに愛した。
 ひとつ年上であるアインハルトも、また過去の転生前の記憶もあって、常にヴィヴィオがリードしての交際だった。

 経験を積んだ。
 ヴィヴィオの清らかで力強い手指が、リインフォースの乳房や乳首、乳輪、わきの下、あばらの隙間などを的確に愛撫していく。
 胸をくまなく撫でられ、リインフォースは自分の上半身が膨張したように感じていた。
 乳首は大きく勃起してブラウスの布地を突き上げており、突起が見え、純白の織目の向こう側に紅色が見える。
 きれいなピンク色の乳首だ。
 舌なめずりをして、ヴィヴィオはブラウスの上からリインフォースの乳首に吸い付く。唇で力強く挟み、しごきあげ、さらに舌でつついて押し込み、はずみで戻ってきたところをすかさず前歯で捕まえ、甘噛みする。

57 In die Zukunft ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:36:07 ID:5X4rDpzg
 短く絞るような悲鳴でリインフォースは喘いだ。
 刺激を、ごく狭い範囲に集中して浴びた。乳首がきゅう、と縮むように感じられ、そして吸われ、引き伸ばされる感触を味わう。そのたびに、股の間が緊張と弛緩を繰り返し、ひくひくと痙攣するように蜜があふれる。

「へ、陛下、あ、あっ……ま、待ってくださ……っ、あんっ、ぬ、脱がせて……くださいっ……」

 ヴィヴィオはいったん唇を離し、リインフォースの腰の上で太ももを滑らせる。ヴィヴィオのよく筋肉の発達したしなやかな太ももで、リインフォースの茂みがこすられ、愛液が泡立つ。

「も、もう濡れて……だめです、あっ、あ、いっぱいでてます、あぁ」

「ん〜?なにがでてるの?濡れるってどこが?」

 わざと問いかけるヴィヴィオの言葉攻めに、リインフォースはとうとう顔を真っ赤にして、まぶたをきつくつむって目尻に涙の粒を浮かべた。

「あぁぁ、うぁあん……陛下、だめです、私もう、濡れちゃって、ひぃ……っ、お、お……おまんこががまんできません……!」

「リインフォースのえっち」

「ひぃぁぁ……あぁぁん……」

 泣きそうになるリインフォースにヴィヴィオは優しくキスした。
 唇を揉みながら、これまた手際よく、リインフォースのパンツを脱がせていく。スーツのベルトを外してスラックスを引き抜き、一緒にパンツにも手をかける。
 ここまでくればもうじらさない。リインフォースは右脚を上げてそちらを先にパンツから抜き、左の太ももにパンツが引っ掛かった状態になった。
 引っ張り上げたパンツの股の部分から、粘つく透明な糸が伸び、リインフォースの太ももとヴィヴィオの腰から脇腹にかけてに貼り付いた。
 ヴィヴィオはそれを指で撫で取り、口に運ぶ。じっくりと味わうように舐め、妖艶に微笑む。
 荒く息をついて薄目を開け、リインフォースは、高貴なる女性──聖王が、卑猥な体液を口に含んでいる様子を見た。それは自分が出したもので、攻められてこぼしてしまった、漏らしてしまったものだ。
 とてもはしたない、恥ずかしい。
 セックスを誘われ、こうして組み伏せられ、辱められることが、気持ちいい。

 もっといじめてほしい。聖王に、罰を受けたい。
 ヴィヴィオに折檻されて、身体をなぶられ、みだらな言葉をかけられ、自分が淫乱であるということを思い知らされ、そうして理性をとろけさせて、おぼれてしまいたい。

「陛下、あ、あ……」

 うわ言のように口をついて言葉が出る。
 なんとかリインフォースはこらえきった。卑猥な言葉で求めてしまいたいという欲望に駆られ、それでもなお抑えこんだ。

「可愛い」

 再び、ヴィヴィオはリインフォースの胸に寝そべる。二人の大きな乳房が互いの体重で変形し、弾力のある楕円を描いて、汗で蒸れた肌にフェロモンをまといながら、二人の肉体を瑞々しく、いやらしく包んでいく。

「リインフォース……リインフォースちゃん。可愛いリインフォースちゃん」

「はっ……へい、かあ」

「私のおまんこもぐちょぐちょだよ……リインフォースのおつゆが私にまで飛び散ってる、わかる?おまんこからぴゅっぴゅって噴いてるよ」

 あああ、と頭をそらして目を伏せ、リインフォースは身体を強張らせた。
 すかさずヴィヴィオはリインフォースを抱きしめ、正常位で、太ももを絡めて互いの股間をこする体勢にもっていく。

「リインフォースのえっちなおつゆが、私を濡らしてるよ……リインフォース、私の下のお口でリインフォースのえっちな汁を飲むんだよ、吸うんだよ、舐めるんだよ」

 畳み掛けるようにヴィヴィオは言葉を浴びせる。背中へ回した腕を滑らせて撫で、乳房を押し付け、さらに唇で頬や鼻筋をなぞる。
 舌を出してリインフォースの顔を舐め、あごの裏や首筋に舌を這わせ、そして耳たぶを甘噛みする。

「ふふっ、リインフォース、もしかして耳が好き?耳たぶが性感帯かな?」

「そ、そんなっ」

 羞恥に頬を染めるリインフォースを、ヴィヴィオは再び唇を重ねて塞いだ。
 抱きしめあいながら、少しずつ布を引っ張り、互いの服を脱がせあう。肌を擦る心地よい衣擦れの感触とともにブラウスが脱げ、互いの肌がじかに触れ合う。
 ほのかに浮いた汗と皮脂で、しっとりと密度が高く触れ合う。

58 In die Zukunft ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:36:38 ID:5X4rDpzg
 ヴィヴィオのすらりと長い太ももが、リインフォースの股に入り込む。
 鍛えられた均整のとれた筋肉の力が、リインフォースを開脚させ、股を広げさせていく。ヴィヴィオの太ももの肌にリインフォースの愛液が塗り広げられ、こすられて、リインフォースの陰唇がぬるりと横にこぼれ出る。

 触れ合いたい。もっと、触れ合いたい。もっと、敏感なところで触れ合いたい。敏感なところを触れ合わせたい。
 果てしないほどに豊満な腰と尻を揺すり、リインフォースはヴィヴィオを求める。
 互いに慈しみと癒しを最大限に湛えた豊かな肉体を揺らし、絡ませ、湿らせている。
 ヴィヴィオの腕が、リインフォースの脇の下から差し入れられ背中を抱きかかえる。リインフォースの腕が、ヴィヴィオの背中を切なく抱える。
 長く、深く、互いをより多く交わらせるキス。
 舌を、その表も裏も側面も余すところなく触れ合わせ、互いの粘膜を絡めあう。唾液が混じりあい、切なく濡れ、唇からこぼれ、頬を濡らしていく。
 唇を濡らし、頬を舐め、鼻の頭へをも唇をつけ、あご、目尻、瞼、顔のいたるところへキスをする。
 ヴィヴィオのキスで瞼を吸われ、目の前が真っ白にはじけそうになるほど切なくからだの芯がとろける。
 ひとしきりキスを貪った後、頭を互いに交差させてきつく抱き合い、うなじや耳たぶを吸う。ヴィヴィオもリインフォースも、耳たぶはあごのラインからややふくらみを持って立ち上がっており、ここがとても適度にやわらかい。
 唇でくわえるように挟み、舌先ではじいて、そして顔を伸ばして甘噛みする。
 リインフォースのふわりとした銀髪がヴィヴィオの顔にかかり、大人の女性の芳香をふりまく。
 抱きしめあい、二人の乳房がもうこらえきれないほどに盛り上がり、熱く、ふくらんでいた。

「ぷはっ……あぁ、リインフォース……私、来年の4月からは……教会に行くんだ」

 リインフォースを抱きかかえたまま、身体を横へ転がしてヴィヴィオは下になり、リインフォースを胸の上に載せた。
 体格だけならリインフォースの方がまだ身長もわずかだが高く、スリーサイズも大きく、体重もヴィヴィオより重いが、ヴィヴィオは軽々と彼女を抱き上げた。
 ヴィヴィオに抱かれるお姫様、といった趣きに。

「は……」

「カリムさんやシャッハさんだけじゃない、いろんな人たちに期待されてることがあるんだ。そして私はそれにこたえることができる、それは幸せだよ」

「陛下……教会は、聖王を……」

「リインフォースも……私といっしょに行こう」

 紅い瞳は情熱を、翠の瞳は知性を。
 聖王の資質は確かにヴィヴィオを高めていた。

「はい……陛下」

 再び、深く抱きしめあう。
 睦みあう二人の息遣いが、ゆっくりとしかし確実に速まり、高揚し、熱を含んでいく。
 胸を揉まれるリインフォースが、背筋をぐっと反らせて乳房をヴィヴィオの前に差し出す。
 リインフォースの大きな乳房を、重力に逆らって両横から手のひらで押し戻し、ヴィヴィオは谷間に差し込んだ自分の顔をリインフォースの乳房で挟むようにする。
 体格のいい、肩幅の広い上半身にヴィヴィオの頭がすっぽりと収まり、顔全体を乳房でこすりつけられる。
 頬ずりをいっぱいに胸の谷間へ送り、唇、鼻筋、頬、顔面のあらゆる突起を使ってリインフォースの乳房を撫でつくす。

 ぷっくりと乳房が膨張し、乳腺が充血してきたのがわかる。もう本当にミルクが出てしまいそうに思えるほどに高々と勃起した乳首を眺めながら、ヴィヴィオはうっとりと瞳を潤ませる。

「は、恥ずかしいです……」

「もう、いまさら何言ってるの。でもそんなリインフォースが可愛いんだよ」

 そっと触れるだけのキス、さらに舌先で乳首をつついて揺らす。乳首からなだらかに乳房へ降りていく乳輪の裾野も、きれいなピンク色で膨れていた。

59 In die Zukunft ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:37:25 ID:5X4rDpzg
 舌で触れ、次第に絡ませ、とうとう吸い付いて、母乳を飲むように強く吸う。さらに歯を軽く立てて、甘噛みながらさらに吸い上げる。
 吸いながら、下乳や横乳を指の腹で押すように揉み、乳房全体を愛撫する。
 集中的な攻めに、リインフォースはぐっと上半身をそらせて、からだを支えるようにぎゅっとシーツをつかんだ。
 ヴィヴィオもそれに応じ、左手で乳房を揉みながら、右手でリインフォースの手のひらを握った。手のひらを自分の方へ向かせ、互いの手のひらをギュッと合わせて握りあう。

 さらに片膝を立て、リインフォースの股の間に太ももを差し込んで、膝で尻を持ち上げる。
 右手を引っ張り、ヴィヴィオから向かって右手側にリインフォースの身体を置いて、ちょうど股間を交差させるように体位を持っていく。
 これが求めているものは何か、リインフォースは、あともう1インチ腰を押し下げればヴィヴィオの股間に触れられる。
 互いの秘花を、触れ合わせることができる。

 もうヴィヴィオもリインフォースも蜜を溢れんばかりに噴きあげていて、シーツには大きな染みができていた。
 膝の上にリインフォースの太ももを載せ、足を踏ん張るヴィヴィオの体勢が逞しさと雄々しさを強調して、リインフォースはさらに紅潮し、陰部がきゅっと締まるのを感じた。
 本当に締まっていただろう、膣口が動いたのがヴィヴィオにも見えただろう。
 舌なめずりをするように唇を乳首から離し、唾液の糸を垂らしながら、ヴィヴィオはリインフォースの身体をゆっくりと引き寄せていく。

 持ち上げられた右脚を高く掲げ、左脚をベッドに開脚し、リインフォースはヴィヴィオに攻められた。
 ヴィヴィオの若く少し堅い恥丘が、リインフォースの柔らかな媚肉を押し広げ、めり込んでいく。激しく勃起したクリトリスが触れ合い、互いに押し合って、ぬめる。
 硬いものが入ってくる感触があった。大陰唇と小陰唇の隙間の襞にヴィヴィオのクリトリスがめり込んで、中をいっきに撫で上げた。
 その刺激でリインフォースはあっという間に高まり、思わず両手を掲げてヴィヴィオにしがみついた。

「んはっ!あ、ぁぁっ……!へっ、す、すごいですっ陛下……!っく、う、うぅ……!」

 ヴィヴィオの頬も赤くなっている。凛々しい目が、その知的な鋭さを保ったまま蕩けていく。
 あくまでも支配者の威厳をなくさず、女を攻めたてられる。その素質がヴィヴィオにはある。

 ぞくり、と種類の違う快感が背筋を駆け上がっていくのをリインフォースは感じた。

「私、も……っ、だめ、です……陛下に、あぁ……いっぱい、私を、抱いてください……お願いします、私をどうか……
胸が、はっ、せ、切なくっ……て、あ……んっ、んんっくう、あんっ、陛下、へいかっ、私をどうかあなたのものにっ……!」

 支配されたい。自分の意識を手放して、意思をも放り出して、この目くるめく快楽に身も心もゆだねたい。

 こわかった。自分が、自分の意識を制御できなくなることが怖かった。
 はやてに救われるまで、自分はそうやって何度も、望まない破壊を繰り返してきた。
 聖王の力ならば、それを覆せるのではないか。ヴィヴィオには、もしかすると、単なる聖王家の末裔というだけではない新たな力が芽生えているのではないか、という気さえしてくる。

 ベッドに踏ん張るように足を広げ、リインフォースを抱くヴィヴィオは腰を張り、突き出して、その若い花びらを激しくこすりつけていく。
 互いの女陰を突き合わせ、張り付くように吸いつくように愛液をまき散らし、互いの肉を打ちつけあう。
 ぱんっ、ぱんっ、という湿った、淫らな音がラブホテルの部屋に響き、メロウなルームミュージックと温暖色の灯りがそれを彩る。
 リインフォースの深くゆったりとした腰に、ヴィヴィオの逞しい腰が食い込み、激しく揺さぶられる互いの胸が、二つずつの乳房を切なく震わせている。

60 In die Zukunft ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:38:08 ID:5X4rDpzg
 愛液の湿度と、温度を感じ取る。まるで熱い血液をそのまま混じりあわせているように、互いの性器が身体の外に露出して、絡み合っているように感じられる。
 脚を開いて股間を触れ合わせる、女性同士のセックスのやり方。
 はやてとも、何度か身体を重ねたことはあった。
 それは夢のようなものだと思っていた。そして今、それは現実になっている。
 はやて以外の女に抱かれること。それはリインフォースにとって途方もない背徳である。
 主を裏切ることになるだろうか?はやてなら、と考える。はやてなら、リインフォースに恋人ができることは喜んでくれるかもしれない。幼いころの、愛情に飢えた結果だと、自分との関係は流してくれるかもしれない。

 そんなリインフォースの葛藤を見透かすようにヴィヴィオは微笑みかける。

「んふっ、はふぅっ……あははぁ、リインフォース、すっごい、おまんこがとろけて深い……私のに絡みついてくるよっ、すごい……
八神司令のよりもすごいっ、あ、あぁぁんっ……きれいだよリインフォース、おっぱいも、おへそも、おしりもおまんこもきれい」

「はっ……わ、わが主を……陛下、は、わが主と……」

「うふふ、はやてさんは私たちとよくあそんでくれたよ……?みんなで、えっちなあそびを……ん、あ、あぁんっ!
リインフォース、急に締まってきたぁ……ちゅうちゅう、吸われるっ……あ、あぁっそこ、そこいいっ!クリ、クリに合わせて、そこ吸ってぇ、そこをぺちゃぺちゃしてぇ!」

 手をつないだまま、腰を浮かせて縦横に動かし、互いの肉襞を擦り合わせる。激しくめくられ、こすられ、ぬめって滑る陰唇が、さらに内側からせり出すように膣をひくつかせて求める。
 愛液を吹き出しながら、リインフォースはもはや性感にとりつかれ、ヴィヴィオを激しく突き上げていた。
 乱れ、跳ねるリインフォースの肢体を、ヴィヴィオは抱き留め、握りしめた手のひらを離さず、指を絡ませてしっかりとつなぎとめる。
 この体勢で触れ合えない乳首が切なく、空いている手で自分の胸を揉みしだく。

「あぁっ、あ、へ、へいかぁっ、い、いいですっおっぱいが、ああっ、お、おっぱいおっぱい!おっぱいいいですきもちいいですっ!
もんで、あぁ、おっぱい、きもちいいですっちくびがいいです、ちくび、おねがいしますつまんでくださいっつねってくださいひっぱって、あぁ、んあああっ!!」

 リインフォースの乳房へも、ヴィヴィオのしっかりと力強く長い手指がつかみかかり、乳房を揉む。さらに指で乳首を挟み、人差し指と中指を交互に曲げたり伸ばしたりして乳首の側面をしごく。
 ちょうどきりもみのような状態になった乳首が回転しながら、リインフォースはさらに声を上ずらせた。

「はっ、はっ、ははっ、り、リインフォースっ、そういいよっ、もっと乱れて、えっちなこといっぱいしゃべって聞かせて、可愛く鳴いてぇ!」

「あぁんっ、あぁ、ひきゃっ、ひっ、きゃあっあぁぁああ!いいですっへいか、あぁっへいかに、わたし、せめられていじめられていっちゃいます!
あぁへいか、あんっ、あぁっ、あ、ひっ、あひっ、ひぃぃ!ひっ、んきぃ、ちくびもおまんこもとけますとけちゃいます、いっちゃいます……あぁぁぁ!!」

 肩をベッドに突っ張って沈め、腰をヴィヴィオに向かって突き上げたままぴんと伸ばし、リインフォースはひときわ愛液を強く噴き出した。
 イッた、とヴィヴィオは目を見開いた。
 きっと今の自分は野獣のような顔になっているだろうと思った。
 くしゃくしゃにとろけ、生娘のような初々しい顔で絶頂したリインフォースの表情を見て、胸の中がとてもむらむらする。

 痙攣を繰り返すリインフォースの手指は引きつり、足の指はぴんと開いて、太ももの裏側が震えているのがわかる。
 尻肉は重力に負けることなくなめらかなカーブを描いてヴィヴィオの目の前に、すぼまった膣口と弛緩した肛門が、潮臭い粘液をありったけに浴びてきらめいている。

「リインフォース、今夜は寝かさないよ、私はまだまだ……っ!」

「ひっ、あ、あんっひぃい、ひぁぁぁっ!!」

 攻め手をゆるめず、ヴィヴィオは繋いでいた手を放してリインフォースの膣へ、いっきに指を二本差し込んだ。人差し指で恥丘を押しこみながら、中指と薬指で膣襞をかき回す。
 指を挿入された感触に、リインフォースはさらに悲鳴を上げて腰を跳ねさせ、尻肉が弾み、乳房が躍った。

61 In die Zukunft ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:39:00 ID:5X4rDpzg
 サイズだけなら自分はまだ負けている、とヴィヴィオが思うリインフォースの巨大な乳房が、やわらかな乳白の肌に包まれて完璧なカーブを保ったまま弾み舞う。
 よく肉のついた腹からウエストへ、アンダーバストを経由して下乳から乳首まで登りつめていく肌が、乳首の紅色と目のくらむようなグラデーションを彩り、珠のような汗のしずくが飛ぶ。
 リインフォースを攻め、快楽に堕としてしまいたいという欲望。
 支配下に置きたい、女を支配したい。これほどの強く美しい女を従属させたいという欲望。
 そしてプレイが終わったら、そんなリインフォースと優しく乳繰り合いたい。

 二種の異なる欲望を、ヴィヴィオは最大限の愛撫でリインフォースに注ぎ込む。

 薬指を抜いて、愛液で指の輪郭がわからなくなるほど汁まみれになった指をリインフォースのアナルへ伸ばす。
 肛門という、排泄器を触れられる感触にリインフォースはとうとう泣き叫んだ。

「ひっ、いいい、へ、へいかぁっそんなとっ、こぉ、んっ、んぅぅっ!」

「リインフォースっ!だめならだめって言ってよ!こんなにもの欲しそうに、がばがばに広げてさぁ!八神司令とこっちでもやりまくってるんでしょ!」

 語気を強め、リインフォースの尻をさらに高々と持ち上げ、まんぐり返しの体勢に持っていく。ヴィヴィオの肩幅よりも広いと感じるほどのリインフォースの尻が、聖なる樹の幹のように太ももをそびえさせ、間欠泉のように蜜を吹いている。

「んひっ、ひぅっ、ち、ちがいますへいかっ……!う、うしろはぁ!ん、んんんっ!!」

 脚をふるわせ、膝の裏の筋が肌を張って盛り上がる。筋肉がバランスよく編み込まれた脚と膝のシェイプは美しく、そして悩ましい。
 太ももの裏を一気に舐め、ヴィヴィオは舌に濃厚な塩と脂の味覚を味わう。
 粘度がやや薄まり、さらさらと流れ始めたリインフォースの愛液は前にも後ろにもあふれて、前へは恥丘の二つの盛り上がりを越えて銀色の陰毛をねっとりと濡らしながら下腹の肉を垂れ落ち、臍へしずくを落とす。
 後ろへは、すぼまったアナルのしわを埋めながら垂れていき、背中に長い粘りの糸を這わせていく。
 そして大きな尻たぶは、興奮による発汗でもはやじっとりと濡れ、蒸れた雌肉の性臭をこれでもかとまき散らしていた。

 リインフォースの、大人の女の匂い。
 年を取らない管制人格、であるはずだが、この現代のミッドチルダで長年暮らし、リインフォースもはやてとの暮らしの中で、少しずつ染まりつつあった。
 はやての、愛の想いがリインフォースにも伝播し、それが彼女の肉体を瑞々しくつくりかえていく。
 セックスは気持ちを満たし、身体を磨き、心を潤す。
 はやてに教え込まれたことだ。
 そしてリインフォースは、秘められていたその魔力を、性愛のためにいかんなく発揮させている。

 尻にあごを載せる格好でヴィヴィオはリインフォースの両脚を掲げさせたまま抑え込み、たっぷりと熟れて潤ったその肉の泉へ口を付けた。
 まず唇で蜜を吸い、襞にキスをして、それから舌を伸ばして内側をえぐっていく。
 伸ばした舌を使って片側ずつ開かせた肉襞を、勢いにかかって舐めまわす。
 あふれる愛液が唇だけでなく頬にも吹きかかり、鼻の穴にまで入り込んでくる。思わず噎せそうになるくらい激しい汁気の噴射で、文字通り溺れてしまう、とヴィヴィオは思った。

 これほどまでにリインフォースを乱させているという征服感と、こんなにエロティックな女体を自分のものにしているという満足感がヴィヴィオの胸を満たす。
 ひっくり返されたリインフォースの乳房はその重みで彼女の顔に覆いかぶさるように垂れ下がっており、それでも、重力に負けない張りが、リインフォースの顔の上で乳房の丸みを保っている。
 一度、シャマルにしてやったときのように平たくつぶれて垂れてしまうようなことはない。
 股の間から見下ろすと、胴体を円柱と見立てた場合の円柱の表面から、およそ半フィートほども乳房の盛り上がりが見えて、その先に乳首がまっすぐ尖っているのが見える。
 つまり姿勢を逆さにされたまんぐり返しの状態でも乳房が垂れず、乳首が上を向いているということである。

62 In die Zukunft ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:39:53 ID:5X4rDpzg
 なだからな胴体のカーブに、きれいな釣鐘型のシルエットが浮き上がっている。
 リインフォースの乳房。美しく、そして扇情的だ。ヴィヴィオは身体を起こし、リインフォースの股間に顔を埋めるようにしてむしゃぶりつく。
 もはや獣のように、性器を口で吸う。愛液を飲み、唾液を流し込み、大陰唇とクリトリスを甘噛みして、下で膣内のめいっぱい深くまでをかき回す。

 立ち上がり、深く沈み込むベッドの敷き布団の上でバランスを崩さないよう踏ん張ってヴィヴィオは立ち、リインフォースを押さえる。
 足元を確かめてから、がばっ、と片脚を上げて、リインフォースの上に、逆さにしたリインフォースの股間に、自分の股間を交差させる形で跨る。
 リインフォースの背中側についた足で身体を支えながら、顔側についた足を、リインフォースの首元に寄せる。
 しなやかで、細すぎず太すぎず、よく整った筋肉のついた脚。
 思わず、唾液があふれるほどの雌肉の匂い。

「うふふ、リインフォースぅ、このままいこう……!わたしに、こんなに、されてぇ!すごい、へんたいだぁ!わたしもっ、私も変態だよ、リインフォースを、こんなにぐちょぐちょにぃっ!」

「へっ、あっ、あぁっんんっ、だ、だめですぅ、んああっ、あっ、く、くぅっ!だめ、でっ、だ、だめっだめっあぁぁっ、へんに、へんになってしまいますっ!」

「ふああっリインフォースぅぅっ!くぱあって、ぐぱあって、ひらいってるっ!くぅぁあ、んぐうっ、ぐ、うぅぅ、うあぁあ!
わたしとぉ、いってぇ、わたし、リインフォースをっやりたい!おかしたい、こんなへんたいなかっこうで、犯して、うあああ、堕ちるのみたいぃ、イッてぇリインフォースぅっっ!」

 中腰で股間を押し付け、ヴィヴィオは自分の割れ目を使ってリインフォースの肉襞を激しく抉る。性的興奮の高まりによってリインフォースの膣は大きく露出しており、小陰唇も開いて、敏感な粘膜をさらけ出していた。
 そこにヴィヴィオが股間を合わせ、互いの陰唇が絡み合い、またクリトリスが膣内にまで入り込んで、適度に圧を加えながら性器どうしが愛撫しあう。

「あーっ、あーっくぅぅ!っか、ぁ、っぇいぃうぅ!ふぅ、いく、いく、いぃいっ!!」

 ヴィヴィオは可愛らしい声を張り上げ、対照的に激しくリインフォースを攻める。
 サイドテールが振り乱され、高く掲げられたリインフォースの太ももを撫でくすぐっていく。

「んくっ、ぅ、うぅっ、あぅ……っ、ふ、んんっ……!」

 組み伏せられた体勢のままで、手足がほとんど動かず、快感がすべて、全身を取り囲みなだれ込んでくる。
 掲げた太ももからつま先までをぴんとのばして震え、両腕を広げて、ベッドに張り付くようにシーツをきつく掴み、押さえられた両脚の間で、大きく広がった腰をヴィヴィオに向かって突き上げる。
 リインフォースに突き上げられて、ヴィヴィオも腰を揺すり、互いの骨盤をぶつけあう。
 本来体内に潜っているはずの女性器を、限界まで搾り出して絡めあう。
 そこに切ない欲求がある。

63 In die Zukunft ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:40:38 ID:5X4rDpzg
「うふふぅうっ、ほらっ、そんなにこらえないでっ……イッちゃって、いいんだよっ、……!?もっと、もっと声だして、さあ……!
あえいで、さけんで、っく、あんあんいって、っ、あぁぁっ、いいのぉ……!リインフォース、いく、あぁっもう、わたしもがまんっ、できないんだからさぁ……!
きゅうきゅうって、リインフォースのおまんこ、もう、こんなにっ、いまにもっ、しお、ふき……そうっ!」

「っふ、うぅっ、っくぷ、うひぅぅっ!ん、ひぃ、あぁっ、いかっ、ぁ、んんっ、あぁっ、あぁぁっ、あぁぁぁんあぁんんっ!!
ひぐっ、ひぃ、だめ、らめ、あぇああぁぁんっ!!へいか、へいかだめわたしもうだめですっ、あぁぁぁっ、いくいくいっちゃいます、いぃ!
でちゃう、へいか、かけちゃいます、あぁっあぁ、ひぃ、あめ、ら、ゆぅ、あぁんぅっひゅるしてぇぇもうだめぇ、あぁぁん、あぁんっ、ん!ん!あぁぁんん……!!」

「くあっあ、あぁぁ、あつ……んあああっっ!!……ぃぃいぃっ……!」

 もはや泣き叫び、涙を振りまいてリインフォースは絶頂を迎える。激しく愛液が噴射され、尿も混じって、すぼまった膣口がヴィヴィオの淫肉を激しく締めあげる。

 オーガズムに突入し、痙攣する膣を触れさせあう。互いに身体の底から、求めあい、触れ合う。
 ほとばしる潮臭い粘液が、二人の間に満ちて、海のように、母胎のように、二人を包む。

 淫らで悩ましい姿を、目に焼き付けよう。
 大股開きで脚を広げたリインフォースを見下ろしてヴィヴィオは、そして中腰のがに股開きで性器を突きだしたヴィヴィオを見上げてリインフォースは、それぞれの破廉恥な姿を心に刻む。
 外ではけして見せられない二人だけの秘密。
 優しい母には見せられない、敬い慕う主には見せられない。

 やがてゆっくりと結合を解き、泣きすするリインフォースに、ヴィヴィオは再び覆いかぶさった。





 ベッドにぐったりと身体を放り、リインフォースは呼吸とともに胸を上下させている。
 ゆっくりと息を吸い、深く吐く。その動きで乳房が上下し、胸にかかる荷重が変化するのがわかる。
 すっかり敏感になってしまった。感覚が興奮し、刺激をより強く受けるようになっている。
 攻められすぎて麻痺してしまうかと思ったが逆に少し安心できた。
 うっすらと瞼を上げると、ヴィヴィオはリインフォースの腰の上にまたがって、頭をうつむかせてこちらも息を整えている。

 もうどれだけ交わっていただろう。互いに性器をこすりつけあい、全身が粘液まみれになるまで抱き合い、睦みあい、愛のうわごとを交わし続けた。
 とめどなく溢れたであろう、目尻からこめかみ、耳穴のあたりにかけて涙が乾いた感触がある。

 支配されること、心をささげること、闇の書の主とそのデバイスとしての関係だけではなく、恋する者どうしとしての被支配関係。
 リインフォースはそれを快楽と受け止めていた。

 彼女を信じている。互いに信頼しあえているからこそ。
 そっと腕を掲げ、ヴィヴィオの腕をとる。優しく、軽く触れるように腕を握り、そっと撫でおろす。

 そのまま、身体を伏せてくるヴィヴィオをリインフォースの胸が受け止める。
 互いに乳房を押し付け合い、乳首が互いの乳肉にめり込む。
 張りのある乳房が、浮かせた汗によって肌の瑞々しさを極限まで高めている。濃厚なフェロモンが含まれているかのように、香ばしい匂いが部屋に満ちて、二人を包んでいる。

 幸せ、安らぎ。

 まさしく夢の中のように演出されたラブホテルの部屋。
 しっとりと蒸れたリインフォースの銀髪が、シルクのようにシーツを彩っている。
 シグナムと比べると、リインフォースの髪質は少し堅めで太く、毛束が広がりがちだが、今は適度に水分を含み、ベッドにしなりと横たえられている。
 ヴィヴィオは軽いウェーブがかかった細めの髪で、きれいなブロンドだ。
 抱き合い、肌に張り付くようにかぶさってくる髪の毛が、肌を心地よくくすぐる。

64 In die Zukunft ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:41:11 ID:5X4rDpzg
 こうして触れ合うことが幸せだ。
 隔てるものが何もなく、愛する者と触れ合っている。
 二人でいられるなら、寂しい夜など来ないだろう。

「リインフォース……」

「はい、陛下……」

「私があなたを守るよ。なのはママだけじゃない、八神司令も、私が守ってみせる。私はそれくらい、強くなりたいんだ」

 まだ興奮を残しているヴィヴィオの瞳が、強く引き絞られる。
 それは人を率いるものとしての、聖王としての抗いがたい魅力、カリスマ。

「みんな、みんな……私のたいせつなひとたち。リインフォースも、私の……だいすきな、ひと」

 優しいキス。二人の間に挟まれたそれぞれの乳房が、肉がとろけるように絡み合いそして睦みあっている。
 聖王と、闇の書と。
 強い者は互いに惹かれあう、それは生命の営みとしても。

 かつて海鳴市で戦った頃の高町なのは、フェイト・テスタロッサの顔を思い出す。
 健気で、それゆえに歯がゆかった。
 自分を、駄々っ子、と詰ったフェイトの声を思い出す。
 自分とて長生きはしているがそれでも完璧ではありえない、それをも丸ごとひっくるめて、受け止める器の大きさを、この聖王ヴィヴィオは持っている。

 計り知れない人間だ、とリインフォースは思った。

 少女たちはいずれ大人になり、心は移ろってゆく。
 今、こうやって愛し合えることが幸せ。
 過去の悲しい記憶は、そのまま未来への可能性へとつながる。
 たとえこれから先つらいことがあっても、それはもっと先の未来で取り返せる。
 その可能性をヴィヴィオは示してくれたと思う。

 深い幸福感に包まれながら、リインフォースは静かに胸に誓った。




Stille Nacht, Heilige Nacht...

65 SandyBridge ◆UKXyqFnokA :2012/12/24(月) 23:42:55 ID:5X4rDpzg
投下終了です

リリカルシリーズのボスキャラはみんな当代最強のバスト(プレシア・アインス・ヴィヴィオ)を誇っていると信じる私です
おっぱいは生命力と癒しの証だと思うです

らぶらぶえっちはすてきですよね!

では〜

66 Foolish Form ◆P4dgS4kDos :2012/12/26(水) 00:09:02 ID:MIBd3nQA
メリークリ○○ス!! ……遅かったか。しかし細かいこと。
聖夜も性夜も巻き込んで、誰もがハッピーになればいい!!

>SandyBridge氏
エロいよエロいよ、しかも良い感じにマイナーなとこ突いてるね!
女の子同士でいちゃいちゃするのは世界の真理だね!


さぁさそんな訳で投下だよ!
遅れてごめんだよ!

・全年齢
・ヴィヴィオ&イクスメイン
・なんとあの人が……!?(注:とらハ設定含)

67 Winter Bells♪ 1/12 :2012/12/26(水) 00:12:40 ID:MIBd3nQA
──私は幸せですよ、いつもいつでも……──

聖王協会に緊急連絡が入ってきたのは、クリスマスイヴの更に前夜だった。
けたたましく鳴るサイレンに、教会騎士を始め職員が全員起き出した。
何事かとセインが執務室へ向かおうとすると、ばたばたとカリムがロングスカートの裾をはためかせて駆け寄ってきた。
「な、何事ですかよ騎士カリム?」
余りの気迫に一瞬呂律が回らなくなる。そうかと思えば、カリムはセインの両肩に手を置いた。
まるでこれから戦争でも起きるような……
「いい、これからあなたに重要な任務を与えます。しくじった場合は……」
「え、何その緊張感? この夜中から何すればいいの?」
セインは戦闘要因ではなく、従って現場直行の仕事はないはずだった。
……が、そんな見習いシスターの発想を遥か上回る命令が下ったのだった。
「イクスの護衛よ、あの娘を安全な場所へ連れていって。具体的にはミッド郊外、なのはさんの家。いいわね?
 車を出すから、あなたとイクスは3から始まる車に乗るのよ。いい?」
「は、はい……」

そうこうしている間にも、周囲の緊張感は増していく一方だった。
「誰でもいい、早く部隊を結成しろ!」
「ダメです、先程の通信以来連絡が途絶しました!」
「このままでは……古代ベルカ並みの戦争が発生します!」
「俺、このクリスマスが終ったら結婚するんだ」

事情を聞いている暇はない。セインは一瞬の判断で身体の向きを変えた。
イクスヴェリアの寝室――サイレンがようやく届く程遠い、高い尖塔の上だ――に行くと、分厚いドアをノックした。
すぐに、中から外套を羽織ったもこもこの冥王が出てきた。
セインと同じ、何も分からなそうな顔をしているが、同時に決意を込めたような、まさに王の風格を漂わせていた。
「緊急避難の連絡は来ています。セインが案内をして頂けるんですね?」
「そうみたい。ディードは多分前線に行くと思う……さ、行きますよイクス。あたし達も早く行かないと」
そこまで言い切って、セインの心にふと疑問が浮かんだ。
行き先は確か高町家……却ってクラナガンの中心に近づくのに、なぜそんな場所に?
しかし、考えている暇はない。簡単に荷物をまとめると、セインは立ち上がった。
「行きますよ、陛下」
「はい」
こうして、夜のベルカ自治区を数台の車両が疾駆することになった……が、
その目的を知る者は、カリムとなのは以外にいない。


同刻、スクライア家。
ヴィヴィオとユーノは既に夢の世界だが、一人だけ起きている人影があった。
リビングで会話をしている二人には、小さな緊張感が漂っている。
「――という訳なのよ」
「にゃはは、仕方ないとはいえ、随分大がかりですね」
なのはとカリムが通話をしているが、寝ている二人のために小さな声で話しており、その内容は他人には漏れることはない。
今回のメイン議題、イクスヴェリアがなのはの家に来ることに関しては、二つ返事で承諾した。

68 Winter Bells♪ 2/12 :2012/12/26(水) 00:13:19 ID:MIBd3nQA
「あと、ビザはこちらで朝までに出しておくから、――まで連れていってもらえるかしら」
「何かホントに大がかりですね……まぁ問題はないですよ、一人増えても大した手間じゃないですし」

静かな夜。誰も話す者はいない。耳が痛くなるような静寂の中、二人の声だけが暗いリビングに響く。
両者間で合意が得られた後は、やはり静かに通話を切った。
明日の朝には、超特急のビザと一緒に、冥王陛下――ヴィヴィオにとって一番の友達――が辿り着くことだろう。
「明日はよろしくお願いしますね、なのはさん」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします」
ぷつんと回線が切れて、静寂が部屋の中に訪れる。
なのはは時計を見て、独り言を呟く。
「明日は目覚ましの準備をしないといけないな……」
なのはは寝室に戻ると、残っていた小さな豆電球を消した。
「明日からのクリスマスが、子供達に素敵な日々になりますように……」

***

翌日。
「おはようございます、ヴィヴィオ。朝ですよ」
「うーん……あと五分……って、イクス!? どうしてここに!?」

ヴィヴィオはいつもと違う人に起こされて、布団ごとのけぞって跳ね起きた。
厚手のトレンチを着ていると、まるでベルカのエージェント……じゃなくて!
「昨日の夜、防災特例で避難命令が私に下りまして……で、どういう訳かヴィヴィオのお宅にお邪魔しています」
なるほど、分からない。意味不明過ぎる……どうなってるの?
そもそもありえない、何かの間違いではないのか?
「で、結局私の家にいて……後はどうするの?
 私達、ちょうど今日からクリスマスのお休みで実家──海鳴に帰るんだけど」
「多分、そこに行けってことだと思います。クラナガンが危ないから……」
まるで理解できない。取り敢えずテレビでも見てみよう。
リビングに行ってテレビをつけて、ニュースチャンネルに合わせてみる。
クラナガン中心部からずっと南に行ったコンビナートで、大規模火災が発生したというニュースをやっていた。
しかし、これだけで『イクスヴェリアが避難する』ことはないような……
とすると、つまり。
「あぁ……そういうこと……」
何となく読めてきた。リビングに現れてきた母親に目配せをしてみると、にっこりサムズアップされた。

──これ絶対ハメられてるよ! でもこんなことイクスには言えない!!

「どうしたんですか?」
「ううん……何でもない。ところでイクス、ここには一人で来たの?」
セインに送って貰った、と少女は言った。ではそのセインはというと……もう教会に戻ったらしい。
凄まじい弾丸ツアーだ。管理局からはおろか、この郊外地区からだって随分かかるのに。
「ヴィヴィオ、準備なさい。イクスも、セインがそこにリュック置いていってくれたから、忘れないでね」
「あ、はい」

69 Winter Bells♪ 3/12 :2012/12/26(水) 00:16:04 ID:MIBd3nQA
遅れて起きてきたユーノも一瞬固まったが、「まぁそんなもんか」という何食わぬ顔で椅子に座り、
なのはにコーヒーを頼んでいた。
「なんていうか……パパは慣れてるんだろうな……こういうの」
海鳴には、高町家を始め、母親の旧友である月村家、バニングス家がある。
毎回、行けば行くほど人数が増えている気がする……そういえばいつだったか、
アインハルトと一緒にクリスマス休暇で海鳴に行ったこともあった。
ちなみに今回本人はといえば、中等部のクリスマス旅行ということで向こうに行っている。
「ヴィヴィオ、イクス、朝ご飯食べたら行くからね。今のうちに着替えておきなさい」
味噌汁の匂いを嗅ぐと、くぅぅとお腹が鳴った。
イクスヴェリアは初めての匂いなのか、そわそわと落ち着きなさげに椅子に座っていた。
ヴィヴィオは自室に戻って服を着替え、顔を洗った。
そしてダイニングまで行くと、すっかり朝食が出来上がっていて、三人はもうテーブルに着いていた。
「あ、あの、ご飯を食べている時間はあるのでしょうか……?」
「大丈夫だよ、ただあんまりゆっくりもできないから、食べ終って歯を磨いたらすぐに出るからね」

今日の朝食は、ご飯に味噌汁、卵焼きに鮭の塩焼き、それからおひたし。
卵焼きは砂糖が入っていて甘く、味噌汁はダシが良く出ていて美味しい。
「これは……海鳴でしたっけ、向こうの食事なのですか?」
「あれ、イクスは和食初めて? お口に合うと嬉しいな」
イクスヴェリアはまじまじと膳を見つめた後、きょろきょろと周囲を見回した。
ヴィヴィオはぱたぱたと食器棚に歩いて行って、ナイフとフォークを渡した。
「はい、イクス。もう、ママったら」
「にゃはは……ごめんね、気付かなくて」
なのはの場合、天然と自発的なボケの区別がつきにくいから困る。
改めて食事を摂り始めると、おひたしを口に運んだイクスヴェリアが、ぽつんと呟いた。
「これ、美味しいです……」
ぱぁっと明るい顔になるなのはが、少女をいっぱいなでなでしている。
双子の姉妹というか──この家には最初からイクスヴェリアがいたかのようだ。
「とっても美味しいよ、なのは」
「ああんもう、あなたってばぁ♪」
……こっちのバカップルっぷりはいつもと変わらなかった。

朝食後、いよいよ海鳴に向かう。
事前に申請しておけば、自宅に転送用ゲートを開いてくれる……
魔法が許可されていない世界に行くには凄く便利だ。
「どこに到着するのですか?」
「海鳴のどこか……だよ。誰も見ていない場所を自動探索してくれるの」
なのはの端末から、管理局の担当者に繋いでいるようだ。
画面越しに電子バーコードを提示するように求められ、それぞれ短期ビザを提示した。
「ユーノ・スクライアさん、なのは・T・スクライアさん、
 ヴィヴィオ・スクライアさん、イクスヴェリア・グラシアさんですね。はい、大丈夫ですよ。
 これから転送ゲートを開きますので、少々お待ち下さい」

70 Winter Bells♪ 4/12 :2012/12/26(水) 00:16:54 ID:MIBd3nQA
そんなに時間が経たない内に、虹色のゲートが玄関に出現した。
海鳴のどこに着くのか……それは誰にも分からない。
けれど、久しぶりの『実家』も、楽しいものになるはずだ。
「行くよ、イクス!」
「……はい、ヴィヴィオ!」

***

その頃、ベルカ自治区。
「あーもうカリムに騙された! ドクターにも騙されたことないのに!!」
「まぁまぁ落ち着いて下さい、シスターセイン。これは不可避の事態なのです」
教会の中で、セインはぐでんと机に突っ伏していた。
深夜に叩き起こされた挙句、ミッドのド真ん中で往復したのだ。
しかも緊急事態と聞いて、緊張感で精神的にもひたすら疲れていた。
「仕方がないではないですか。あれだけクリスマスを楽しみにしていた陛下が、
 『スバルが急な仕事でキャンセルになった』となれば……考えただけでもどうなるか」
「あー、イクスって火事場で一人ぼっちだったのをスバルが助けたんでしょ?
 逆というか……今度はイクスが一人で火事場に突っ込んでいっても不思議じゃないよね」
コンビナート火災の規模は相当大きく、スバル達第一線の防災士達でも手こずっているという話だ。
現地にベタ付きで交互に仮眠を取るのが精一杯で、クリスマスなんて夢のまた夢──というのが、現場の声だった。
「しかし、ヴォルツさんも律儀でしたね、課員全員の予定を把握しているなんて」
「まぁ……特にスバル・イクス関係は最悪外交問題にすらなるから……仕方ないんじゃないかな……」
ぐったりと腕を伸ばしたまま、ぴくりとも動かないセイン。
そんな姿を見ていたシャッハが、そっと立ち上がった。
「シスターセイン、あなたもう今日は引いていいわよ。夜のパーティーだけ出席なさいな。準備は私達で行います」
「え、ホントに……うーん悪いなぁ……でもありがと、代りに片付け頑張るわ」

事の真相は、割とあっさり判明した。
イクスヴェリアをなのは経由で海鳴に行けば、それはそれでパーティーを開ける。
カリムがその辺を把握していたことについては最早突っ込むつもりはないが……
あの教会騎士が持つ根回し力は最高評議会議員並かそれ以上だから、今更気にする必要もない。
セインは大あくびをすると、シャッハに一例をして、居室の方に下がった。
これ以上眠気の残る頭で働くことは無理だと考え、大人しくシャッハに甘えることにした。
「ふふ……今年のパーティーも、上手くいくといいな」

シャッハやカリムには適当な態度だが、信徒には真摯に接する。
それが一つの正義として数えているセインだった。

***

イクスヴェリアがゲートを抜けて辿り着いた場所は、当然ながら知らない場所だった。
ミッドチルダのように高架線が走っているが、そこにはけたたましい音を立てる箱が行き来している。
『誰もいない場所の自動探索』そのままに、本当に誰もいなそうな、小さな路地だった。
そこから表の路地に出て、駅のロータリーに出る。
「ちょっと上、昇ってみようか」

71 Winter Bells♪ 5/12 :2012/12/26(水) 00:17:39 ID:MIBd3nQA
デッキに登って、そして、ミッドと同じ景色を見た──海だ。
青くキラキラと輝く一面のパノラマは、太陽の光を受けて、光の粒が踊っているように見えた。
「とっても素敵です! なのはさん達は毎日こんな景色を見ていたんですか!?」
「にゃはは……そんなに褒められると照れるな。毎日じゃないけど、ずっと見ていたのはホントだよ」
少し顔を赤らめるなのは。いくらヴィヴィオが養子とはいえ、こんなに若い母親というのは珍しい。
ヴィヴィオと仲良く手を繋いで、駅前の駐車場まで連れて行ってもらう。
そこで……また凄いことが起きた。
「やっと来たわね、なのは、ユーノ! ヴィヴィオ、お久しぶり! で、えっと……」
「あぁ、急な話でまだ紹介してなかったよね。イクス、こちらアリサちゃん──アリサ・バニングスさんだよ」
「は、初めまして。イクスヴェリア・グラシアといいます。ヴィヴィオのお友達です。イクスって呼んで下さい」
たどたどしい日本語で自己紹介をする。
気を使ってくれたのか、聖王教会関係の話は振らなかった。
どの道、こんな遠くでは聖王の威信など届かないだろう。
「で、こちらが月村すずかさん。二人共、わたしの一番の友達だよ」
「初めまして、イクスちゃん」
更に、すずかの姉忍、月村家メイドのノエル、ファリン、バニングス家の執事鮫島……と大勢紹介された。
こんな大所帯で一体どこへ行くというのだろうか。
「ヴィヴィオ、お話してなかったっけ?」
「あ、うん、まだ……あのねイクス、ママの家は喫茶店をやってるの。毎年そこでクリスマスパーティーを開くんだよ!
 今日はまず、私達の家に行ってご飯を作って、そのあとその喫茶店でパーティーだよ♪」
「クリスマス……パーティー……」
確かにこの時期、聖王教会ではパーティーをやるが、どちらかというと厳かな宗教的儀式だ。
ヴィヴィオ達が参加しているパーティーとは、多分種類が違う。
結婚式の後に開かれるような、賑やかで楽しいパーティー……
「なのですか?」
「もちろん! あ、もちろんイクスはお客様だから、準備は私達でやるからね?」
元気いっぱいなヴィヴィオの笑顔。それを見ているだけで、心が癒される。
なのはとユーノは鮫島の車に、そしてイクスヴェリアとヴィヴィオはノエルの車にそれぞれ乗って、
ヴィヴィオの実家である高町家に出発した。
「ありがとうございます、わざわざ車出して頂いて」
「気にしなくていいわよ。困った時はお互い様なんだから。それに、なのはとかヴィヴィオの顔も見たかったしね」

高町宅は、周囲の家よりも明らかに広い、ちょっとした邸宅だった。
そうこうしているうちに、家の中からぱたぱたと人影が出てきた。
「はいはいー……って、なのは! 早かったわね、お久しぶり!」
金髪の綺麗な人だった。なのはより年上に見えるのだが、具体的な年齢がさっぱり見えてこない。
何かの衣装なのか、赤い帽子に赤い服、それに白のポンポンが裾についている。
二十代前半から……一番上に見積もっても二十代後半? いやいや十七歳ということも……
「あ、この子がなのはの言ってた『ヴィヴィオのお友達』ね? ん〜、可愛くてLOVE!」
突然、イクスヴェリアはふわっとその女性に抱きしめられた。
むぎゅむぎゅと大きな胸に挟まれて、ちょっぴり息が苦しくなる。
「もうー、フィアッセさん、まずは自己紹介から始めて下さいっ!」
「ん、あぁごめんね。わたしはフィアッセ高町。なのはのお兄ちゃん……恭也のお嫁さんです♪」
きゃーきゃーとはしゃぐ、フィアッセと名乗る女性。ヴィヴィオから見ると、義理の伯母に当たるのか。
だとするとそれなりに若いのだろう。

72 Winter Bells♪ 6/12 :2012/12/26(水) 00:18:26 ID:MIBd3nQA
「フィアッセ……頼むからそんないつまでも新婚みたいな……わぷっ」
「んー、恭也が一番大好きだよ! だからヤキモチ焼かないのっ♪」
なんというか……なのはとユーノのバカップルっぷりはヴィヴィオから散々聞かされていた通りだが、
源流はつまりここにあったのか……いやもっとどこか別なところにもあるのかもしれない。
そこへ、後ろからもう一人女性がやってきて、兄夫婦をぺちんぺちんと叩いっていった。
「もう、二人とも! いい年して人前でいちゃいちゃしないの! ごめんねなのは、ヴィヴィオ。いつも通りで」
「ううん、美由希おばさん。私は何とも思わないよ?
 むしろとっても仲良しのフィアッセさんと恭也さんが羨ましいです!」
ん、『おばさん』!? どうみてもなのはの姉と思われるが、それにしても若い。
なのはが若いのを差し引いても、上には上がいたというか……生命の奇跡というか……
どこからどう見ても十七歳に見えない。カリムと同い年くらいではないのか?
というか……
「すみません……そろそろ離して頂けますか……?」
「あっ、ごめんね! そういえばあなたのお名前聞いてなかったわね」
ようやく胸囲の破壊力から逃れることができた。
でも、フィアッセの胸に包まれていると、安心できる不思議な力があるように感じられた。
「イクス──イクスヴェリア・グラシアです。よろしくお願いします、フィアッセ」
どこに行っても名前を呼ばれるベルカと違って、ここでは毎回自己紹介をしなければならない。
それが、イクスヴェリアにとって、とても新鮮な経験になった。
「さぁさ、立ち話も何だから、家の中に入りなさい。詳しい話はそっちでね」
ヴィヴィオの祖母──桃子というらしい──に連れられて、一同家の中に入っていった。
そしてそこで、『地球のクリスマス』について色々勉強した。
元々は世界に広く伝搬した宗教に関わる記念日で、『サンタクロース』という存在が、
子供達のために毎年プレゼントを配ってくれるのだそうだ。
「でね、アインハルトにこの話したら『富の再分配……サンタクロースは共産主義者ですか?』とか
 真顔で聞かれちゃったんだよー。『赤い服も着ていますし』って……あはは」
「ふふっ……真面目なアインハルトらしいですね。でも、幻想的で素晴らしいですね。
 私は空を飛べませんが、トナカイのソリを引きながら、世界中の子供達にプレゼントを配る……
 私もサンタクロースになりたいですね」
他にも、この季節独特の文化……サンタクロースにならって、みんなでプレゼントを交換したりすると聞いた。
でも、たった今聞いたばかりだから、プレゼントは持っていない。
「大丈夫じゃない? イクスのリュック、さっきコインがちゃりんちゃりん言ってたよ。
 カリムさんがおこづかいくれたんじゃない?」
そう言われて、バッグの中を探してみる。ちっちゃな財布の中で、確かな重さのコインが音を立てていた。
でも、もちろんベルカでしか通用しない通貨だ。
なのはに頼んで換金してもらい、ヴィヴィオと一緒にプレゼントを買いに行く事にした。
「夕方までには帰って来なさいよー。それから、直接翠屋に行く時は電話ちょうだいね。お昼はどうする?」
「はぁい! お昼はどこか、イクスが気に入った場所で♪」
こうして、二人でプレゼント購入がてらの海鳴観光が始まったのだった。


商店街の入口まで歩いてくると、ふわふわした飾りやポンポン、電飾が飾られたモミの木があった。
そして、あちこちを見てみると、どこの店も同じような装飾があった。
街全体がそわそわしたような、嬉しさに満ちた雰囲気が漂っていた。
さっき教えてもらった通りだ。

73 Winter Bells♪ 7/12 :2012/12/26(水) 00:19:12 ID:MIBd3nQA
「素敵な街ですね……ヴィヴィオは一年で何回くらいこちらに来るのですか?」
「うーん……連休の時と、夏休みとか冬休みみたいな時かな。アインハルトも一緒にね」
そう言ってはにかむヴィヴィオ。
それにしても、立場上イクスヴェリアもヴィヴィオも、ベルカの歴史上大変な重要人物ということになっており、
特権階級とまでは行かなくとも──むしろ自分達で「それは止めてくれ」と否定しているが──、
いわゆる『普通の人』とは違う。何かがあったら、避難でも疎開でもしなければならない。
でも、この世界では、ただ二人の女の子が商店街でショッピングをしているだけだ。
拝む者も、命を狙う者もいない。
その開放感と、クリスマスの雰囲気が合わさって、とてつもない高揚感を覚えずにはいられない。
「何を買ったらいいのでしょうか?」
「アクセサリとかいいんじゃない? ネックレスとかイヤリングとか」
ヴィヴィオの一声で、あっさりと何を買うかが決まった。
そのままウィンドウショッピングをしながら、あちこちを回ることにする。
「わぁっ、ネコさんです!」
「お? 美由希のとこの……そう、ヴィヴィオじゃん! そっちの子は友達?」
「はい! イクスっていうんですよ、美緒さん。今年は一緒にクリスマスパーティーなんです」
動物達がケージに入って、道行く人々をクリクリとした目で見つめている。
こういった類の店はもちろんベルカにもあったが、どちらかというと使い魔ショップと言った方が正しい。
ネコを始め、可愛いネズミ──「これ『ハムスター』っていうんですよ」──やわんこを撫でて、
次の場所へ向かう。
「ふぇぇ……いい匂いがしますー」
「この辺はレストラン街だよ。イクスが見たことない料理もいっぱいあるんじゃないかな?」
パスタとかステーキとか、見慣れた料理もあるが、液体をご飯にかけて食べる料理だとか、
パスタとはまた違う、スープに麺を入れた料理、それから肉や野菜を皮に包んで蒸した料理などなど、
料理の種類も様々で、見ているだけでも飽きなかった。
時刻はもうお昼時で、あちこちのレストランが賑わいを見せている。
子供同士で入れそうな店が中々ない。
「ふにゃー、疲れちゃった……イクス、どこかいい場所決まった?」
「あ、いえ……どれも良さそうなところばかりで……」
ふと、目の前にあったドアを見る。やはり異国の文字でさっぱり読めなかったが、奥にいた女性と目があった。
彼女がヴィヴィオに目を移すと、ぱたぱたとやってきてドアを開ける。
「やっぱりヴィヴィちゃん! なんやもっと遅なるって聞いてたのに」
「レンさん! 新しくお店開いたって聞いてたんですけど、ここだったんですね」
「あ、あの……お二人はつまりどういう……」
ヴィヴィオの交友範囲がとてつもなく広いということを、イクスヴェリアは改めて知った。
流れのままに、店の中へと入っていく。
「あ、ごめんねイクス。この人はレンさんって言って、中華──えーっと、今朝食べたご飯の大元みたいなものかな。
 そういう料理を作る人なんだよ。今夜のパーティーでも美味しい料理を作ってくれるんだって♪」
「ふぇぇ……で、その中華料理というのは食べたことがないです。どういうのがあるんですか?」
イクスヴェリアの言語は、残念ながらヴィヴィオにしか分からない。
それを翻訳してレンに伝えてもらうと、彼女は難しい顔で首を振った。
「中華はホンマに色々あるからなぁ、どれとは一口には言えへんのやけど……
 メニュー見ても分からへんやろし、ちょっと周りの人が食べてるもの、見てみ?」
周囲を見てみる。様々な客が、色々な料理を口にしていた。
大きな丼に入った、ちぢれのある麺を啜る者。
細切りにした青い野菜と黄色い根菜、それから肉を炒めた物を食べる者。
しかも皆一様に、二本の棒を使って、器用に食事を口に運んでいる。

74 Winter Bells♪ 8/12 :2012/12/26(水) 00:20:15 ID:MIBd3nQA
「朝、ヴィヴィオもアレを使っていましたよね」
「お箸、っていうんだよ。イクスも使ってみる?」
知らない食文化に思わず興味を惹かれ、こくこくと頷く。
こういう形で食事をする場所が決まるのも、新鮮味があっでいい。
早速テーブルに座らせてもらい、「料理」を待つ。
二人共子供なのを考えて、「おまかせ」で出してくれるそうだ。
「楽しみですね。ふふっ、こうやって遊ぶなんて、聖王教会だと殆どないですから……」
「私も! いつもママのご飯だから、たまにお外で食べるとワクワクするんだよねぇ」
そうして期待を膨らませて出てきたのは、ラーメンに麻婆豆腐、小籠包、
それからデザートに杏仁豆腐──全部ヴィヴィオから聞いた料理名だ──だった。
全部ミニサイズで、それぞれちょっとずつ食べるのも、教会の食事と全然違うところだった。
ラーメンには練った魚肉や、根菜の漬物など、麺以外の材料もふんだんに使われていた。
味は濃いめだが、それが却って食欲をそそる。
初めて箸というものの使い方を教えてもらい、実際に使ってみる。
結構難しかったが、異国の料理を異国の食器で食べることは、本当に初めての経験だった。
「はふ……はふ……このまーぼーどーふ、凄く辛いですぅ……でも美味しいです!」
「レンさん、この小籠包、中のお汁がたっぷりでもちもちしてて……私もイクスと同意見です、とっても美味しい♪」
「せやろ? イクスちゃんも楽しんでってな」
初めての『中華』は大満足だった。是非ともベルカ自治区にも導入したいくらいだ。
おまけしてくれたのか、びっくりするほど安くて、それがまた驚いた。
「ええよええよ、その代りヴィヴィちゃん、うちの店いっぱい宣伝してな?」
「ははっ、分かりました、レンさん!」

食事を終えた後は、いよいよメインイベント、プレゼントだ。
ヴィヴィオに連れてこられたアクセサリショップでは、大小様々な宝石──パワーストーンというらしい──や、
チョーカーにペンダントなど、キラキラしたジュエルがあしらわれたアクセサリが一面に散りばめられているのを見るのは、
クリスマスに限らず女の子なら誰でも虜になってしまう。
「ヴィヴィオ! どれもこれもとっても綺麗です!」
「迷っちゃうね、ふふ……」
店内にいるのは、同い年かもう少し年上の少女達。つまり、値段としてもそこそこのものばかりだ。
迷いに迷っていると、あっという間に時間が過ぎていく。
シルバー、ピンクゴールド、ブラック……アクセサリにも色々種類があって、見ているだけでも飽きない。
外が暗くなりかけた頃になって、ようやくイクスは何を買うかを決めた。
パーティー用のフェザーペンダントを一つと、スバルとお揃いのイヤリングだ。
大好きな人のイメージによく似合う、サファイアブルーの宝石が埋め込まれたシルバーのイヤリング。
「うふふ、スバルにプレゼント……喜んでくれると嬉しいです♪」
「うー、私もアインハルトとお揃いのペンダント買うんだもん!」
狭い店内を縦横無尽に歩き回り、ようやくヴィヴィオがペンダントを買った頃に、
ヴィヴィオの端末が鳴った。
「はぁい、ヴィヴィオですー」
「ヴィヴィオ? ママだよ、夜は直接行く? それとも家に戻ってくるの?」
通話手段を持って歩くということ自体、古代ベルカではあり得ない光景だったのだが、
今となってはそれが当然に映るのも、ようやく自身が現代に慣れつつある証拠なのかもしれない。
「あ、今商店街にいるから、直接翠屋に行くね。何か手伝うことはある?」
「イクスと一緒にお話しててもらえるかな。それが一番だよ」

75 Winter Bells♪ 9/12 :2012/12/26(水) 00:21:07 ID:MIBd3nQA
はぁい、とヴィヴィオが元気な返事をして、端末を閉じる。
くるりと振り向いた少女は、やっぱり元気いっぱいだった。
「そろそろパーティーだから……会場に行こう、イクス。すぐそこだから。
 今度こっちに来た時は、臨海公園を見せてあげるね。あそこ、すっごく広くて、綺麗なんだよ〜」
「はい! 今日はとっても楽しかったですけど……これからもっと楽しいんですよね♪」
お揃いの紙袋をそれぞれ持って、アクセサリショップから出る。
店員の「ありがとうございました♪」という声で、また一つ楽しい思い出を刻んだイクスヴェリアだった。


今回の目的地、ヴィヴィオの実家で経営している喫茶店に着いたのは、それからすぐのこと。
同じ商店街にあるとは薄々気付いていたが、まさかこんなに近かったなんて。
ただ、看板の読み方が分からない。
例によって聞いてみると、「みどりや」と返ってきた。
「とってもいいお名前です。こういうカフェはベルカにもありますね」
「ここのシュークリーム、世界一美味しいんだよ♪」
ヴィヴィオが先導でドアを開ける。唯一読めたのが、ドアにかけられた『CLOSED』の文字だった。
そこにいたのは、さっきサンタコスで抱きしめてくれた人──フィアッセだった。
「あ、ヴィヴィオおかえりー。いらっしゃい、イクス!」
「ただいま、フィアッセさん!」
ちょっぴり寒そうなサンタクロースの格好で、フィアッセはテーブルを拭いていた。
店内は暖房がかかり、シャンシャンと鈴の音がスピーカーから流れ続けている。
そのまま椅子に座らされ、紅茶を淹れてもらう。
「今日はなのはもレンも桃子もわたしも……ノエルまで厨房にいるから、人手は足りてるのよ。
 だから、ちびっこさん達はお茶でも飲んでゆっくりしててね」
「そういえば、ティオちゃん達はどうしたんですか?」
イクスヴェリアにとって衝撃の事実だが、フィアッセには双子の子供がいるらしい。
見た目が若すぎてさっぱり分からなかった。
その子達は別な家のパーティーにお呼ばれしているとのことで、今日はいないらしい。
「お泊りでクリスマスパーティーだって。我が子ながら大きくなったわ」
「うーん、残念です。こっちの新年の時に、また来ますね?」
なんでも、ヴィヴィオやイクスヴェリアとほぼ同い年なんだそうだ。
もし機会があれば、一緒に遊んでみたい。
「ところでフィアッセさん、恭也おじさんとか美由希おばさんは?」
「もうすぐ来るって言ってたわよ? それにしても……んー、イクスって可愛い♪」

そして唐突にまた抱きしめられた。どうやらフィアッセにはハグ癖があるらしい。
むぎゅむぎゅ抱っこされるのは嫌いではないが……本当にヴィヴィオの実家は不思議な人だらけだ。
ふんわり甘い匂いが漂う中、ようやくフィアッセの腕から開放された頃には、
イクスヴェリアの心はぽわぽわと浮いたままになっていた。
「今度……スバルにもぎゅーってしてもらいたいです……」
「あら、この娘ベルカ語なの? ヴィヴィオも話せるのよね」

76 Winter Bells♪ 10/12 :2012/12/26(水) 00:21:50 ID:MIBd3nQA
そこから先は、フィアッセのミッド語談義に花を咲かせる展開になった。
ベルカの人間とはいえ、イクスヴェリアだってミッド語の覚えは多少ある。
その中で、スバルの倍近い歳だと知ってなお驚いたイクスヴェリアだった。
「わたしより桃子──ヴィヴィオのおばあちゃんの方が凄いわよ。桃子ー」
今度はそれ以上の衝撃が襲ってきた。
『おばあちゃん』というから、白髪とか曲がった腰とかそんなことを考えていたが、
厨房からひょっこり顔を出したのは、どうみても今のなのはとそう違わない歳の女性だった。
「なぁに、フィアッセ?」
「おばあちゃん!? ちょっとフィアッセ、冗談は止めて下さい!」
「イクス……残念? だけどフィアッセさんはウソついてないよ……」

驚きの余りイクスヴェリアは放心し、その後パーティーが始まるまでの記憶が途絶していたのだった。

「さーて、宴会部長の忍ちゃんが今年も取り仕切っちゃうけど、みんなー準備はいいですかー!?」
「はーい!!」
ゆらゆら肩を揺すられて、イクスヴェリアは正気に帰った。
ジュースの入ったコップを渡されて、起立する。
いっぱいのテーブルに、ローストチキンやらケーキ、クッキーにジュースなど、素敵な料理が輝いていた。
照明は暗めに落とされ、綺麗な電飾がそこかしこでぴかぴか光っていた。
「じゃあ、面倒なのは抜き! クリスマスを祝って……かんぱーい!」
「かんぱーい!!」
あちこちでチン、とグラスの弾ける音。
イクスヴェリアもヴィヴィオとジュースのコップをぶつけあい、くぴくぴと飲んだ。
さぁ、パーティーの始まりだ!

「んー、美味しい! 流石桃子さんの料理はどれもこれも逸品ね!」
「ははっ、アリサちゃん一度に取り過ぎだよぉ。ところで……なのはちゃん達とフィアッセさん達と……
 桃子さん達はいつも通りだね」
「はい、あなた♪ あーん♪」
「はむっ……とっても美味しいよ、なのは! なのはの料理は世界一だよ!」
「はい、恭也♪ あーん♪」
「やめろ……恥ずかしいだろ……もぐもぐ……」
「ほら、若い子に負けちゃだめよ。あーん♪」
「桃子……勘弁してくれないか……んぐっ」
トリプルバカップル!? 宇宙の法則が乱れている!?
ヴィヴィオと一緒にイクスヴェリアは輪の中に入っていったが、驚く程弾けているパーティーだった。
聖王教会では、結婚式の二次会でもここまで盛り上がることはない。
「レンさん、今日も素敵な料理をありがとうございます」
「なははー、アリサちゃん達がちっちゃい頃からえらいお世話になってるから、これくらいはお安いご用なんよ」
「あ、あの! 皆の話──海鳴の話、もっと聞かせて下さい!」
ノリに任せて、イクスヴェリアは場の一同に頼んだ。
スバルがいない分、プレゼントの他におみやげ話をいっぱい持ち帰りたいのだ。
話はアリサとすずかが中心となり、ヴィヴィオが新しく家族に加わってからの話が続いた。

77 Winter Bells♪ 11/12 :2012/12/26(水) 00:22:24 ID:MIBd3nQA
「二、三年前のクリスマスかな……ヴィヴィオがイクスの話を持ってきてくれたの」
「ちょうどそれくらいだね。『大切な友達がいる』って──」
イクスヴェリアの存在をあっさり受け入れてくれたのは、まだ自身が眠っていた時期に、
ヴィヴィオが海鳴で話をしていてくれたからなのだそうだ。
名前を聞いて、『あぁあの時の』と納得したらしい。
「うぅっ……ヴィヴィオ、今日は本当にありがとうございます……こんな素敵なパーティーにご招待頂いて……」
「わわっ、イクス泣かないで! ほら、楽しい時は笑うんだよ?」
ヴィヴィオがケーキを取り分けてくれて、イクスヴェリアの前に置く。
その微笑みに、大切な友達の笑顔に、少女もまた笑顔で返したのだった。
「……はい、ありがとうございます!」

***

宴が終るというのは、あまりにも早い。
パーティーが締められた後は、ヴィヴィオ・フィアッセ・ユーノの三人で、アリサの車で高町家に戻った。
桃子──未だに年齢と外観のギャップが信じられないが──曰く、「バカップルは分断しないとダメ」だそうだ。
他の人達は後片付けや、めいめいに帰宅したようだった。
フィアッセは家に帰り着いてもまだサンタクロースの衣装を脱ぐのが惜しいらしく、
風呂に入るまでは脱がないと宣言して、リビングに存在感を放っていた。
ヴィヴィオと二人でお風呂に入った後は、それぞれパジャマを着て、歯を磨いて、同じ部屋の同じベッドに入った。
浴場は、教会でみんなが入るのを前提に作ったのとは対照的に狭かったが、
これはこれで友達と密着してお風呂に入れるという新鮮な体験ができた。
ヴィヴィオの部屋も、元々はレンがこの家に居候していた時期に使っていた部屋らしい。
本当に、ヴィヴィオの実家は複雑な経緯を持っているのだと改めて感じた。

二人でちょっとだけ星空を観た後、おもむろにヴィヴィオが口を開いた。
「あのね、イクス。お話してなかったんだけど……ママからもはっきりとは聞いてないんだけど、
 多分イクスが私達と一緒に海鳴に来たのって、避難とか亡命とかじゃなくて……」
「知っていましたよ、最初から。ヴィヴィオの家に行くと聞いた時点で、今年はスバルに会えないんだなぁって」
こちらに来てから遊んでばかりだったので、昼食の最中くらいには完全に悟っていた。
カリムやなのはも黙っていたが、冥王イクスヴェリアすらもやはり黙ってなりゆきに身を任せていたのだ。
それがいいことか悪いことか……ではない。
ただ、その方が誰も悲しまずに済むと知っていた、それだけなのだ。
「だって、無粋じゃないですか。みんながあそこまで大掛かりにお芝居してくれて──セインは担がれたみたいですけど、
 私はクリスマスの夜にスバルと過ごせないくらいで癇癪起こして世界を滅亡させたりはしませんよ?」
くすくすと笑ってみせたイクスヴェリア。そこに、怒りや悲しみの感情はない。
むしろ何かに愛情を注ぐような、穏やかな目でヴィヴィオを見つめた。
「みんなが私に悲しい思いをさせたくないと考えてやってくれたことなら、乗ってあげなければ失礼というものですよ。
 何より、高町家の皆さんは素敵な人達でしたからね」

78 Winter Bells♪ 12/12 :2012/12/26(水) 00:23:35 ID:MIBd3nQA
ベッドの中で、少女は微笑む。
今日一日、色んなことがあった。
まずはヴィヴィオの家で朝ご飯。そして海鳴へ。
いきなりフィアッセに抱きしめられたり、クリスマスについて勉強したり。
それが終ったらショッピングに行って、美味しいお昼ごはんを食べて、プレゼントを買って……
プレゼント交換の結果、貰ったのはすずかからの贈り物で、髪留めのリボンだ。
赤くてふわっとしていて、後ろ髪をまとめるのにちょうどいい。
今度スバルに会う時は、このリボンをつけて会うことになるだろう。
いきなりのイメージチェンジで、少し驚くかもしれない。そしてそれを見るのが、楽しみで仕方がない。
「ヴィヴィオ……今日は本当にありがとうございました。とても……とっても楽しかったです」
「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいな。後でスバルさんにおみやげ、よろしくね」
今も、スバルは現場で戦っているのだろうか。それとも、もう戦いを終らせて自宅で休んでいるのだろうか。
できれば、後者であって欲しい。素敵な聖夜だけを、満点の星空を、スバルにも味わって欲しいのだ。
心からの願い。それは、きっと届くはず。
「ヴィヴィオ……これからもずっと、友達でいて下さいね?」
「ん? どうしたの改まって……でも、答えは『はい』だよ。私達は、最高の親友♪」
すぅ、と息を深く吸って、ヴィヴィオの手を掴む。
まどろみが甘く頭にまとわりつき、夢の世界へと誘ってくれる。
「おやすみなさい、ヴィヴィオ……私の一番の友達」
「おやすみ、イクス……明日はスバルさんに会えるといいね」

イクスヴェリアが眠りについた時、大好きな恋人が夢の中で手を振っていた。
彼女は笑いながら、サファイアブルーのイヤリングを身に着けていた。
「大好きです、スバル……」

79 Foolish Form ◆P4dgS4kDos :2012/12/26(水) 00:25:43 ID:MIBd3nQA
いちゃいちゃちゅっちゅもいいけど静かな聖夜もね!
楽しんでくれたら恐悦至極にござい。

ではまたー

80 名無しさん@魔法少女 :2012/12/26(水) 10:56:43 ID:jXDeLB7Q
うーむエロい・・・巨乳同士がぶるんぶるん!

81 名無しさん@魔法少女 :2012/12/27(木) 16:20:27 ID:TlsVmbd6
貧乳同士がつるんつるんも良いのではないかね?

82 名無しさん@魔法少女 :2012/12/27(木) 20:10:32 ID:04zeEDSg
いいです、でもおっぱいはもっといいです!

83 名無しさん@魔法少女 :2012/12/28(金) 12:24:29 ID:9rgfkJso
静かな夜を、聖なる夜を
すっかり過ぎてからようやく読み終えたけど、どちらもGJ!

84 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2012/12/28(金) 23:53:32 ID:XrUYd5Fc
投下します。
シグナム×アインスのSSシリーズの三話目、二人の初めての話、エロ、百合。

85 しぐ×あい! :2012/12/28(金) 23:54:16 ID:XrUYd5Fc
しぐ×あい! はじめて


「なあ、リインフォース顔なんか赤くない?」

 と、八神はやては問うた。
 海鳴、八神家、ちょうど皆が夕食を済ませて一段落した頃合である。
 使い終わった食器を流しに片付けていたリインフォースは、自分の仕える主の質問に、少しだけ困ったような顔をして、ふっと笑顔を浮かべた。

「そう、でしょうか。少し部屋の暖房が効きすぎているせいかもしれませんね」

 確かに、真冬の今時分はエアコンなど暖房機器で室内をよく暖める。
 居間の気温もやや高めにセットされていた。
 ミルクを溶かしたように真っ白な肌をしているリインは、血の巡りも良く分かるので、なるほど、それは理屈の通った答えだった。
 はやてはそれに納得したのか、こくんと小さく頷いた。

「うん、それならええんやけど。もしかして具合悪くなったんやないかって心配したから」

「お気遣いありがとうございます、主。でもそのような事はありませんから」

 にっこりと、花が咲き誇るように微笑み、はやてを安心させるリインフォース。
 果たして、その時の彼女が笑顔の奥で早まる鼓動を隠していると、知る者が居ただろうか。
 はやても、二人の様子を横目で見ていた守護騎士たちも気付きはしなかった。
 


「しょ、将……ちょっと良いか?」

 ちょうど自室に入る直前、消え入りそうな声がシグナムの耳朶に響いた。
 振り向けば、夜半の廊下に立つ、銀髪の美女の姿。
 リインフォースが、どこか恥ずかしそうに頬を染めて、そこに居た。
 何事か言いたげな様子から察するに、シグナムに相談事でもあるのだろうか、というのは想像するに易い。
 
「どうかしたのか?」

「ああ、その……少し話したい事があるんだ……良いだろうか」

「うむ。まあ構わんが。では私の部屋でするか?」

「い、いや……わ、私の部屋で頼む」

「ああ、別に良いが」

 特に理由を聞く事もなく、シグナムはリインの提案に頷き、彼女の部屋へと向かった。
 八神家で最後にこの家にやってきたリインフォースの部屋は、二階の一番奥、昔は物置代わりに使っていたのを改装した部屋だ。
 ドアを開け、部屋に入ると、暖房を掛けたばかりで暖まりきっていない冷たい空気が出迎えた。
 室内の調度は簡素で、必要なもの以外はあまりない。
 シグナムはとりあえず、手近なところにあった椅子に腰掛ける。
 リインフォースはそんなシグナムの正面、ベッドの端に座った。
 
「で、用とはなんだ?」

 烈火の将は、すかさずそう切り出した。
 が、肝心のリインフォースは頬を染めて俯いてしまう。
 言葉が聞こえていない、などというわけはない。
 眉根を寄せて困ったような表情を浮かべて、頬は先ほど以上に赤く染まっていた。
 恥じらい……いや、それもあるが、冬場にうっすらと汗を浮かべている様子は別のことを連想させた。

「顔が赤いな、本当に風邪でも引いているのではないか?」

「そんな事はない、んだが……その……えと……ぁ、あの……」

 怪訝な顔で問いかけるシグナムを前に、リインフォースはぎゅっと縮こまって、消え入りそうな声でぼそぼそと何か呟いた。
 だが、エアコンの音に掻き消されるほどの声が届くわけもない。

86 しぐ×あい! :2012/12/28(金) 23:55:00 ID:XrUYd5Fc
 しばらく返事を待っていたシグナムだが、いつまでもそんな調子が続くのを見て、ため息をついた。

「おいリインフォース、お前から話があると言ったんだろう、もっとはっきり言ってくれ」

「……」

 そう促されて、リインは余計顔を赤くし、一瞬硬直する。
 そして小刻みに震えながら、ようやく決心したのか、すっと顔を上げた。

「……そ、その……だな……最近……か、体が熱いんだ」

「なんだ、やはり調子が悪いのか?」

「い、いや……違うんだ……そういう意味じゃなくて……か、体が……ほ、火照るんだ」

「火照る? 微熱があるという意味だろ?」

「違う、その……だから」

「ん?」

 首を傾げるシグナムに、リインフォースは目尻に涙を溜めて、すぅっと息を吸い込み、そして――言った。

「だから……せ、性的な興奮で体が熱いという意味だ!」

 と。
 
「…………え?」

 ぽかんと、シグナムは呆けたように口を開けて硬直した。
 そしてたっぷり数秒かけて、ようやくリインフォースの言った言葉の意味を把握する。
 
「せ、性的にって……つまりその……そういう意味か?」

「……」

 恥ずかしい事を言わされて、若干涙目のリインは無言のままこくりと頷いた。
 そして正しく意図を把握したシグナムもまた、顔に熱く血がめぐるのを感じた。

「ええと……何か理由は在るのか?」 

「おそらく、プログラムのバグか何かだと思う。こんな事は……正直初めてだが」

 そう、リインフォースは語った。
 彼女の身を蝕むプログラムの異常はいわば不治の病のようなもの、それを完全に除去する事は不可能である。
 色々と体の不調はあると聞いてたが、しかしまさかそのような形の症状が出るとはシグナムも想像していなかった。
 
「リインフォース、それで私にどうしろと言うんだ。私には身体プログラムを操作する技術はないぞ……」

「もちろんそれは分かっている、将……それに、この種のプログラムの異常はもう誰の手を借りても直らないと思う」

「ではなおの事、私に出来る事はないんじゃないか?」

「い、いや……それが、その……」

 顔を俯け、今まで以上に顔を真っ赤に染めて恥らうリインフォース。
 二の句を待つシグナム。

87 しぐ×あい! :2012/12/28(金) 23:55:48 ID:XrUYd5Fc
 そんな将の顔をちらちら見上げながら、リインはぎゅっとその豊かな体を屈めて、ぽつりと言った。

「しょ、将に……解消してほしい」

「え」

「だから、将に……その……性的に」

「ええッ!?」

 驚きのあまりシグナムは飛び上がった。
 いついかなる時、どのような死線を前にしても冷静沈着であった守護騎士の将が、もしかすると、その時生まれて初めて真に驚いたのかもしれない。
 額からだらだらと汗を流しながら、シグナムは顔を真っ赤にしてあたふたとする。

「ちょ、ちょっとまて! どど、どうして私が、そんな、おお、お、お前を性的に満たせと!?」

 普段の理知的な様相が嘘のようにパニックを起こして、若干おかしな日本語を喋るシグナム。
 だがそんな将に、リインフォースは何事かを秘めた目でじっと見つめ返す。

「すまない将……でも、やっぱり守護騎士で一番信頼できるのは将だし」

「そう言ってくれるのはありがたいが……わ、私は女だぞ? そういうのは男に頼むのが筋ではないのか? ザフィーラとか」

 と、シグナムは反論した。
 しかしリインはうなじまで真っ赤になって、顔を伏せる。

「だ、男性にそんな事言う方が恥ずかしい……」

「ああ、そうか……」

 確かに言われてみれば、異性にそういう事を頼むのは幾ら信頼関係のある守護騎士といえど抵抗感があるだろうか。
 だからといって自分に振られるのは、それはそれで困るのだが。
 シグナムはほとほと困り果てたといった風にため息をつき、リインを見つめた。

「しかし、だからといって私というのは……一体何をしろと言うんだ。せ、性的な欲求を解消と言われても」

 そう言うと、リインフォースは「……ぁぅ」と弱弱しい声音をもらし、潤んだ瞳で助けを求めるように見上げてきた。
 背も高く、凛とした美しさを持つ彼女の、なんとも可憐で、庇護欲を掻き立てる仕草、愛くるしさ。
 思わずシグナムは胸の奥が締め付けられるような気になった。
 そしてしばらく無言で考えた末、答えを見つけ出す。

「……わ、分かった……じゃあ、その……なんとかしてみよう」



「んッ」

 かすかな息を零し、リインフォースはベッドの上に横たわった。
 ふわりと広がる長い銀髪から、なんとも言えない甘い香りが漂う。
 上に覆いかぶさり、シグナムはその芳香に思考が麻痺し始めたような錯覚さえ覚えた。

「ぬ、脱がすぞ……」

 将の言葉に、リインはこくりと小さく頷く。
 柄になく緊張しきった震える指が、セーターを上にめくり上げた。
 伸縮性のリブ生地から解放されてぶるんとたわわな果実が揺れた。
 服の内側で濃縮された汗と皮脂の混ざり合った匂いがなんともミルクめいていて、それがまた官能を誘う。
 鼻腔をくすぐるフェロモンにくらくらしながら、シグナムはそっと顔を寄せた。

88 しぐ×あい! :2012/12/28(金) 23:56:43 ID:XrUYd5Fc
 唇が静かにウエストをなぞる。

「……んぅ」

 ミルクのように白い肌を愛撫された瞬間、鼻にかかった吐息を漏らし、リインフォースは快感に打ち震えた。
 下腹から上に舌先を向けて、たっぷりと肉の詰まった乳房を、ブラを外しながら舐め上げた。
 肌を波打たせながら晒される真っ白な肌、ぷっくりと膨らんだ桃色の乳首。
 軽くその先を舐め口に含んで甘噛みすると、反応は今まで以上に劇的だった。

「はぁ!!」

 艶やかな声を張り上げて、ぶるりと震えるリインフォース。
 計らずも、シグナムの心臓もいつの間にか興奮で早鐘のように鳴っていた。
 リインの艶かしい痴態に息を呑みながら、シグナムは今度はスカートに手を掛ける。
 同性のスカートを脱がせるなど初めてのことだったが、自分もいつも穿いているものなので、脱がすのに苦労はなかった。
 ホックを外し、ファスナーを下ろして、するすると脱がせる。
 露になったのは、ニーストッキングと黒い下着が作り出す、白い肌とのエロティックな光景だった。
 むっちりと肉を乗せた扇情的なリインフォースの太股の内は、既にじっとりと濡れていた。
 汗、だけではない。
 言葉では語り尽くせない甘酸っぱい、フェロモンめいた蒸れた香りは、明らかに汗以外の淫らな水分を孕んでいた。
 ただ嗅いでいるだけでも性欲を、それも同じ女であるシグナムの欲望を刺激してしまうような、極上の芳香。
 将はまるで吸い込まれるように舌先を這わせた。
 濡れた内腿をちろちろと舐めると、汗と蜜の混ざり合った汁気が舌の上に溶ける。
 とても言葉にできる味ではなかった。
 ただリインフォースの香りに圧倒されて、頭の芯がぴりぴりと痺れていく。
 肉付きの良い太股を愛撫しながら、次に下着を脱がしにかかった。
 ベッドのシーツに引っかかるのも無視して、半ば強引に力ずくで脱がすと、黒いショーツの生地が肌との間に糸を引いた。
 うっすらと銀色の茂みを蓄えたリインの秘所との間に、何か粘着質な液体が橋を繋げていた。
 びしょびしょのシーツを手に、思わずシグナムはその生々しい熱と湿り気に唾を飲んだ。

「濡れているな」

「……」

 当然といえば当然の、分かりきった事を指摘されて、リインフォースは真っ赤な顔をそっと横に伏せて恥らった。
 改めて彼女の体が本当に性的に火照っていると知り、思わず言ってしまった。
 なんとはなしに、シグナムもまた気恥ずかしい気持ちになる。
 疼く体を慰めてやろうと、こうして相手をしているわけだが、シグナムだってその手の経験が豊富なわけではない。
 ましてや相手は異性ではなく同性ともなれば、緊張もなおの事だ。
 だが女同士であるほど、分かる事もある。
 そう――体のどこをどう触れれば感じるか。
 
「――開くぞ」

 一言そう告げて、シグナムは目の前の二本のすらりとした脚を掴むや、力を入れて左右に開いた。
 その瞬間、むわぁ、と熱気が将の頬を撫でた。
 湯気が立つのではないかと思うほど熱を帯びた、リインフォースの濡れた入り口は、たっぷりと愛液を滴らせて熟れ切っていた。
 まるで爛熟と実った桃を縦に割ったかのように、粘性の高い蜜を垂らした秘所はこれ以上ないくらい濡れていた。
 普段ならば絶対他人に見せない場所をまじまじと見られ、リインフォースは羞恥心の極みを感じ、それが無意味と知りながらつい顔を手で隠す。
 
「しょ、将……あまり、みないでくれ……」

 消え入りそうな切ない声が懇願する。
 部屋の中はあまり痴態をはっきり見せ過ぎぬよう薄明かりに落されてはいるが、既に二人は薄い闇に慣れきっていた。
 おまけに肉薄するほど互いの距離は近く、シグナムの目にはまざまざと管制人格の全てが曝け出されていた。

89 しぐ×あい! :2012/12/28(金) 23:57:42 ID:XrUYd5Fc
 もしシグナムが男だったなら、いきり立った肉竿を力のままにぶちこんだところである。
 その代わりとばかりに、シグナムは細くしなやかな指先を向けた。
 入り口を軽く一撫でして滴る蜜を馴染ませると、ゆっくり、粘膜を傷つけないように挿入していく。

「ぁあああ……」

 か細くも甘い、リインフォースの声が切なげに零れた。
 狭い穴の中、きゅう、と指を締める肉ヒダの感触が絡みつく。
 指をかすかに動かすだけでも、リインの吐く吐息は甘く震えた。
 もう少し奥へ、奥へと、シグナムがじっくり指先を沈めていくと、何か抵抗感がまとわり付いた。
 膣そのものよりも狭い穴、ぴんと張った膜、そこに指を挿入する。

(これは……処女膜か)

 当たり前の話だが、異性との性交渉を行う前の女性には膣内に膜が存在する。
 しかしまさか、古代の魔法技術で作られたリインフォースにもそれがあるとは思わなかった。
 彼女に在るという事は、自分にもあるのだろうか。
 漫然とそんな詮無き事を考えてしまう。
 膜の穴のふちをなぞるように指を動かしつつ、シグナムはそっと顔を上げて、リインフォースの反応も見てみた。
 
「んぅ……ふ、ぅ……はぁぁ……」

 うっすらと目に涙を溜め、快感に漏れる甘い声を、指を軽く甘噛みして耐える。
 もう一方の手でシーツを握り締め、たわわな乳房をたぷたぷを揺らす様は、例えようもなくエロティックだった。
 背筋にぞくぞくと、痺れるような、電気みたいなものが走るのをシグナムは感じた。
 心臓の鼓動が高鳴る。
 快感に打ち震えるリインフォースの姿に、生まれて初めて感じるものが体の芯に生まれるようだった。
 もっと、この姿を見たい。
 白い肌を汗で濡らし、快感の一つ一つに純粋に反応する、その愛らしい姿を。
 まるで熱病に浮かされたように、シグナムは思慮を忘れ、求めるままにリインフォースの肌に触れていた。
 丁寧に膜を傷つけないよう指を深く挿入し、ストッキング越しに太股をちろりと舐める。
 
「……リイン、フォース」

 ぽつりと名前を呼んだ。
 意味などない、ただ呼びたかったから。
 茫洋と、涙でとろんと潤んだ瞳で見下ろすリインもまた、そっと唇に相手の名前を乗せる。

「……しょぅ」

 蕩けきった甘い声、それはただの響きだけで、官能を揺さぶるような音色だった。
 耳朶に伝わる声に促されるまま、シグナムは軽く指を捻る。

「ひぅ!」

 唐突な刺激にぶるりと体を戦慄かせるリインフォース。
 だがそれだけでは終わらせない。
 シグナムは指で膣口を弄りながら、薄い茂みに口を近づけた。
 舌を伸ばし、求める先は割れ目の頂点で自己主張をしていた、ぷっくりと膨らんだ肉豆だった。
 女の体の中で最も敏感な性感帯に数えられるクリトリスを、舌先で包皮の上から潰すように舐める。
 二重の刺激を前に、いよいよリインフォースの快感は昂ぶっていく。
 プログラムのバグで性的興奮を起こしやすくなった体は、平素の何倍にも快感を跳ね上げて脳髄に送り込むのだ。
 
「あぁぁあ! 将、だめ……はぅ! もう……だめ……ああぁ……い、イく!!」

 クリトリスを舌先でぴんと弾いた瞬間、ついにそれは訪れた。
 銀の髪を振り乱し、一際大きくリインフォースの豊かな肢体がベッドの上で跳ねた。
 びくっ、びくっ、と大きく、何度も痙攣する白い肌。

90 しぐ×あい! :2012/12/28(金) 23:58:14 ID:XrUYd5Fc
 あまりに唐突に呆気なく絶頂したそのさまに、驚いてシグナムも体を硬直させてしまう。

「わッ、と!」

 それがいけなかった。
 つい、その拍子に将の指は力加減を間違えてしまった。
 鋼鉄の塊である重い長剣を、羽毛より軽やかに振るうシグナムの指。
 その指が何かを引っ掛けて、何かを破いた感触を覚えた。
 気付いた時にはもう遅かった。

「いッ!!」

 明らかに快楽とは違う色に染まったリインフォースの声音。
 シグナムは背中に氷水を掛けられたような心地になった。
 恐る恐る、引き抜いた指を見る。
 粘液でべっとりと濡れた白い指先には、薄く紅色が付着していた。
 
「大丈夫かリインフォース!? わ、私は……そんな……すまない」

 取り乱し、慌てて顔を上げるシグナム。
 破瓜、処女膜の喪失。
 女として生きる者なら、決して安く扱ってはいけないものを、意図せぬ行為で傷つけてしまった。
 痛みを与えられたリインフォースより、むしろ与えたシグナムの方が半ば泣きそうな顔をする。
 だが当のリインフォースは、痛みも破瓜もそれほど気にした風ではなかった。

「ああ……将、何を、そんな……少し痛かったが、凄く気持ちよかった……一度思い切り達して、体の火照りも引いてきたぞ」

 うっすら涙を浮かべて、はぁはぁ、と切なく息を切らしながら、リインはそう嬉しそうに言う。
 脱力した体をベッドのシーツに投げ出して、気だるげな顔はしかし満ち足りていた。
 シグナムは呆然としながら、すまなそうに問いかける。

「い、良いのか……?」

「ああ」

 濡れた髪を掻き上げて整えながら、それに、とリインフォースは続けた。
 囁いた声音は、小さく、自然で、そして甘美だった。

「将になら上げても良い、むしろ嬉しい」

 と。
 リインフォースからすれば、特に何の気もなしの、ただ素直にシグナムへの好意を言っただけだったのかもしれない。
 どこまでも無垢な愛情。
 だがその微笑みは眩しく、あまりにまっすぐで、将の無防備だった心に深く突き立った。

「なぁ!? ちょ……お、おま……へ、変な事を言うな!」

「え? へ、変か……?」

「知らん!!」

 シグナムの顔は真っ赤に染まり、リインフォースはそんな彼女をきょとんと見つめた。
 
「それより将、体もシーツも汚れてしまった。洗うのを手伝ってくれないか」

「……ああ、そうだな」

 脱がされた衣服を体に引っ掛けながら、立ち上がろうとするリインフォース。
 しかし極度に力の抜けてしまった脚はうまく力が入らず、そんな彼女をシグナムは横から支えた。

91 しぐ×あい! :2012/12/28(金) 23:59:00 ID:XrUYd5Fc
 体を再び寄せ合うことで、鼻腔に再び満ちるリインフォースの背徳的な香りと体温。
 将の顔がより赤く染まる。
 どくんどくんと胸の奥で踊る心臓の脈動、体の芯に生まれる熱。
 自分の中に芽生えつつある気持ちに、シグナム自身が受け入れる事ができなかった。

(ま、まさか……この気持ちは……いや、いやいやいや! そんな筈は……そんな……お、女同士で、しかも……相手はリインフォースで、だぞ……)

 肩を貸して、ぎゅっと触れ合うリインフォースの体。
 先ほど魅せた痴態や、表情、声、そして無垢な愛を思い返し、一層シグナムの中で生まれた脈動は熱を帯びる。
 だがそんな彼女の内心など露知らず、リインは無遠慮に体を押し付け、顔を寄せるのだった。

「将、顔がなんだか紅いぞ?」

「なんでもない!」

 ぷいと顔を逸らし、シグナムは頭の中から邪念を追い払う事に専念した。
 そう、別にやましい気持ちなどない。
 リインフォースへの想いは、ただ単に家族へ向ける愛情に過ぎない。
 自分に言い聞かせる。
 
(そうだ、そんな筈がない……)

 何度も心の内でそう呟きながら、シグナムはリインフォースの体を抱きながら歩いた。
 その時の彼女には、これから二人の関係が深まって行く事など、まだ想像さえしなかった。


終幕

92 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2012/12/29(土) 00:00:09 ID:ni8wYiq2
投下終了。

本当はクリスマスに投下するつもりだったんだけど風邪ひいて体調崩して無理になってしまったという。

なんとか今年中に終わってよかった・・・

93 名無しさん@魔法少女 :2012/12/29(土) 00:33:18 ID:vsep5Yto
アインスがかわいすぎてモエシヌ(´ω`*)
GJ!!

95 SandyBridge ◆UKXyqFnokA :2012/12/30(日) 00:13:02 ID:ZZJjIJQU
ども今年も冬の湾岸基地外騒ぎ開幕ですね

闇と時と本の旅人 15話を投下します

今回はすこしシリアスでえろはちょっとおやすみ・・・

96 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2012/12/30(日) 00:14:18 ID:ZZJjIJQU
■ 15





 リビングの方から突然大きな物音がして、八神はやては目を覚ましてベッドから跳ね起きた。
 何回かまばたきして残っていた眠気を抜き、部屋の中を見回すと、いつもベッドのサイドテーブルに置いていたはずの闇の書がなくなっていることに気が付いた。
 さらに階下から魔力の気配がおぼろげながら感じられ、はやては闇の書がまた勝手に散歩に出かけて、何かを拾ってきたのだと察した。

 今年の6月4日、はやてが9歳の誕生日を迎えて以降、新しい家族の増えた八神家は遅ればせながら、にぎやかで楽しい家庭の情景を手に入れたかに見えていた。
 2階にある自分の居室から、ホームエレベータで1階のリビングへ降りる。
 外はまだ暗く、日は昇っていない。この季節、1日のうちで明るい時間は日に日に遅くなってきている。

 魔力光を放っている物体が見える。

 この光が魔法の力のあかしだということは、ヴォルケンリッターたちから教わった。そして、はやてが小さいころから家にあったこの古ぼけた本が、闇の書という、魔法の力を持ったアイテムであることも聞いた。
 ヴォルケンリッターたちは、闇の書の中から出てきた。闇の書が持つ、人工人格プログラムだ。
 そして闇の書も、人間の姿こそしていないが、動力を持ち、自分で動き回れる。
 闇の書の魔力光に照らされて、二人の人影が見えた。大人が一人と子供──はやてよりは年上のようだが──が一人。よくよく背格好を見ると、どうやら彼らは、日本人ではなく、地球の人間でもないようだ。
 ヴォルケンリッターたちと同じく、魔法の世界の住人たち。
 どういうつもりか、闇の書が連れてきた。

「あ……っ」

 目が合い、声を出しかけて、クロノは息をのんで言葉を止めてから思考を日本語に切り替えた。なのはやフェイトはともかく、今目の前にいる少女──闇の書の主には、ミッドチルダ語は通じないはずである。
 歳は幼い。クロノは、それでも警戒を解いていなかった。何しろ相手は闇の書の主である。たとえ見かけがどんなに幼くても、いや幼いからこそ、強大な魔力をふるうおそれがある。

 リビングのなめらかな床の上を、車椅子をゆっくりと前へ進めつつ、はやてはテーブルの横を抜けるように移動した。
 とにかく、声をかけられる距離まで近づかなければならない。しかし、はやてにとってもクロノたちは未知の相手である。今までは特に気に留めていなかったが、ヴォルケンリッターたちが初めて現れた時、闇の書の力を狙う者もいると聞いていたのを思い出した。
 もしや、闇の書を狙ってやってきた輩なのか。その場合、攻撃魔法を使ってくるのか。

 闇の書は空中で向きを変え、はやての方に表紙を向けた。裏側には特徴的な金十字の紋章はなく、小さなベルカ式魔法陣の意匠がカバーの四隅にあしらわれている。

「あの──っ、だ、大丈夫ですか?」

 はやては車椅子から身を乗り出すようにして声をかけた。声に反応し、男の少年の方──クロノがかすかに身構えるのを見て取る。
 大人の女の方は、この夜の闇にもきらめく、見目麗しい長い銀髪をしている。シグナムに似た怜悧で凛々しい、そしてシグナムよりもずっと逞しく力強さを感じさせる、背の高い女だ。
 二人の纏っている、騎士甲冑──というのか、服は、少なくとも現代日本のそれとは明らかに異なる。
 魔法を用いる兵士、魔導師が装備する戦闘服だ。太い糸で編まれた厚手の布、もしくはよくなめした革を縫い合わせ、要所要所には金属プレートを使い防御力を高める。もちろんこれらは魔法によって形作られる。

 車椅子を窓辺まで進め、ガラス戸を引き開ける。闇の書ははやてに寄り添うように浮遊しつつ室内に入ってきて、少年と女性はその行方を油断なく見つめている。
 やはり、この本は恐ろしいものなんだ。ヴォルケンリッターたちが目覚めた翌日の朝、話を聞いたときは、正直なところあまりぴんときていなかった。魔法なんておとぎ話だと思っていて、そこまでおおごとになるとは思っていなかった。
 しかし、今の闇の書は、はやてにもはっきり感じ取れるほどの強い魔力を放っている。それが音か、光か、熱や電波によるものかはわからないが、とにかく何かを放射し自分がそれを浴びているという感覚がある。
 闇の書はやがてリビングのテーブルの上に着地し、魔力光を弱めて待機状態へと移行した。
 それとともに、はやての感じていた強い魔力もおさまった。少年と女性は、それを認めて少し警戒を解いたように見えた。

97 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2012/12/30(日) 00:15:13 ID:ZZJjIJQU
 ごく短時間の、コンマ数秒の暗号化された念話でアインスはクロノに、魔法の使用を控えろと伝えた。
 念話は、無線通信の宿命でもあるが傍受の危険が常につきまとう。闇の書の主の前で、不用意な行動はできないということだ。暗号化なしでは、はやてに聞かれてしまうおそれがある。

 クロノは意を決し、リビングから庭へ出るテラスのコンクリート床に足を踏み出した。
 この少女の自宅に、すなわち闇の書の主の城に、足を踏み入れる。一見幼い、無垢な少女、足の不自由な少女。それさえもが、非常な威圧感と恐怖感をもたらす。
 そしてそれは、一歩、一歩を踏み出すにつれ、抗いがたい魅力となってクロノの意識をとらえる。

 車椅子をわずかに斜めに後退させ、はやてはクロノとアインスを迎え入れた。
 どうぞ、と小さく言い、二人を床へ上がらせる。クロノもアインスも、バリアジャケットを装備した状態で履いている靴は底面に薄いゴムソールを張った金属ブーツなので、フローリングの床を踏むのには気を使う。
 はやても、二人が日本人でないことは見るからにわかっていたので、あえて言わず、とにかく二人を室内へ入れることを優先した。

「すみません、失礼します」

 軽く頭を下げ、クロノはアインスの前に立って進み出た。
 はやてに近づく前に、バリアジャケットの装着を解除する。ひとまず、ここでの戦闘は起きないと思われた。はやてが命令しなければ、闇の書はこれ以上動き出さないはずである。

 心臓が激しく脈打ち、呼吸が速まりつつある。
 アインスが右手をそっとクロノの背にあて、さする。クロノは明らかに緊張状態にあり、意識が混乱しかけている。はやてを前にして、思考がゆらいでいる。
 自分の中の衝動と、理性が衝突して、激しい感情が生まれている。
 はやてに近づけず、目の前にして足がすくんでしまっているクロノを、アインスはそっと抱きかかえた。

「あのっ、なんやこの本が、ご迷惑をおかけして……」

「大丈夫、です……われわれは、理解しています……」

 それだけをなんとか言葉に出し、クロノはその場にへたり込んだ。
 はやてを直視できない。この少女を前にして、自分はまるで無力だ。どうしてこうなった?いったい何が自分のこの状態をもたらしている?
 わずかに面を上げ、心配そうに見上げるはやての表情が見えた。
 視界がぼやけた。涙が、こぼれていた。

「あ……っ、ど、どうしたんですか!?だいじょうぶですか!?」

 くずおれたクロノに、はやてがあわてて車椅子を寄せる。
 そこでようやく、守護騎士たちが駆けつけてきた。
 はやてはまだ知る由もなかったことだが、蒐集活動のためにシグナムとザフィーラは外出しており、待機していたシャマルからの連絡を受けて戻ってくるのに時間がかかっていた。

「主、なにごとですか」

「わからんっ、闇の書が勝手に動いて、人をつれてきたみたいで……、シグナム、毛布もってきて!この人らひどくつかれとる、休ませなあかん」

「──はっ……──はい。承知しました」

 はやてに命じられ、シグナムと呼ばれた騎士──長い髪をポニーテールにして束ねた長身の女は、クロノたちを一瞥していったん2階へ引っ込んでいった。
 アインスには分かる。彼女は守護騎士ヴォルケンリッターの頭領、烈火の将だ。この世界では、シグナムという名を貰い受けたようだ。
 おそらくほかの3人も、同様にそれぞれの名を賜っているだろう。

 自分は、どうだ。
 もはや今の自分は、闇の書とは名乗れない。ただの、ヒトにもデバイスにもなりきれない半端者だ。

 切ない。
 自己の認識が狂うことは、精神に強大な負荷をもたらす。
 それに耐えられる者などそう多くはない。クライドも、自分でさえも。年若いクロノならなおさらだろう。

 クロノはひたすら問う。今の自分は何者なのか。管理局執務官、クロノ・ハラオウン。その名は本当に自分のものなのか。
 この少女を前にして、自己の認識が揺さぶられている。それは心ではない別のどこかから生まれてくる衝動だ。
 はやてはそっと腕を立てて身体を支え、車椅子から降りる。
 床に座り、動かせる腰から上だけでクロノにすり寄り、屈みこんで、下から見上げた。
 アインスはクロノの肩を抱き、さすっている。

98 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2012/12/30(日) 00:15:51 ID:ZZJjIJQU
「お騒がせして申し訳ありません──われわれはすぐに、元の世界へ帰る手立てを探します」

 テーブルの上で横になっている闇の書を横目に、アインスは言葉に出した。
 このまますんなり闇の書がアインスたちを見逃すはずはないだろうことはわかる。
 ここへ連れてきた以上、はやてに、何かしらのかかわりを持たせるということだ。

「今、寝るとこを準備します、きっと疲れてるでしょうから、ゆっくりやすんでください」

 クロノに語りかけるように、はやてはそっとてのひらを差し伸べた。
 なぜかは分からないが、この少年はとても混乱しているように見える。自分よりも少し年上に見えるが、だとしてもまだ10代、それでこのような目にあえば、平静を保ってなどいられないと思う。

「はやてっ!はやて、大丈夫か!?」

 シグナムと入れ代わりに、赤毛を三つ編みにした少女がリビングに駆け込んできた。
 家人以外の人間がいることを見て取り、走ってきた勢いのまま、はやてとクロノの間に割り込もうとする。
 少女には、はやてが車椅子を降りているのが、無理やり引きずりおろされたように見えていた。

 座り込んでいたクロノの胸を突き上げるようにしてはやての前に立ち、両手を広げてはやてをかばうしぐさをする。
 虚を突かれたクロノは思わずのけぞり、アインスの膝に背中をもたれた。てのひらを肩に当てて受け止め、アインスはクロノを抱きすくめる。

「おまえっ、はやてになにをした!どっから来た!?」

 大声を張り上げ、クロノに詰め寄るヴィータ。
 これにはさすがのはやても驚く。
 確かに見知らぬ人間ではあるが、はやてはこの少年と女性が闇の書に連れられてきたということがわかっており、少なくとも彼らに不法侵入の意思がないことは理解していた。
 それに少年は見るからに疲弊して異常な状態であり、安静にさせる必要があると思っていた。

 はやては一瞬のけぞるが、すぐに体勢を戻し、胸でヴィータの背中を押しながら、気勢を張っているヴィータの頭をぺし、とはたいた。

「こらヴィータ、なにしとるん!おきゃくさんにしつれいやろ!」

「ふえぇ!?」

 血気盛んでも年若い少女、いや、幼女といった年齢か。ヴィータは気の抜けた声を出して、両手で頭のてっぺんを押さえた。
 はやてにとって、ヴィータやシグナムを含めたこのベルカ人たちは──その自覚があるかどうかはともかく──従者である。闇の守護騎士たちは、闇の書の主となった人間を守り、彼に従い尽くす。
 闇の書が起動した際に、書の役目、守護騎士の役目とその機能について説明するようプログラムされており、そのタスクは少なくとも実行され完了フラグが立てられたことを、アインスの持っているログには記録されている。
 その後、はやてがどのように守護騎士を扱っていたかまでは見えなかったが、少なくとも、普通の家族のように接していたようだ。

「き、客だって!?こいつら──」

「ほーら、そんな乱暴な言葉つかわんの!闇の書が、また出かけとったみたいで、それで連れてこられたみたいなんや。
男の子の方がびっくりして大変みたいやから、少し上がって休んでいってもらうんや。今シグナムが用意しとるよ」

 ヴィータの言葉に、アインスはふとクロノの服装を見やった。
 ここ数日本局での勤務だったので、おそらく今日もそうだっただろう、管理局の制服を着ている。それ自体はミッドチルダで一般的なビジネススーツのように仕立てられているが、管理局員であることを示すワッペンが、胸と肩に縫い付けられている。
 これを見れば、自分やクロノが管理局の人間であることは、見るものが見ればわかるだろう。

 アインスは意を決し、はやてに言葉をかけた。
 意識の中で、無垢の思考がベルカ語、ミッドチルダ語、日本語の三種類に同時に変換される。

「はやてさん──われわれは、ミッドチルダという次元世界から来ました。取り急ぎ、ミッドチルダへの連絡を取る手段をわれわれは持っています。
われわれがミッドチルダへ帰るために、はやてさんのお手を煩わせることはありません」

「ほんまに、もうしわけないです……こんな、闇の書が、勝手に出歩いても人連れてくるなんて今までなかったんですけど」

 闇の書は八神家のダイニングのテーブルの上で、まるで昼寝でもするかのように表紙を上にして横たわっている。
 クロノはどうにか呼吸が落ち着いてきて、おそるおそる、はやてを見上げた。

99 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2012/12/30(日) 00:17:04 ID:ZZJjIJQU
 闇の書の主。
 そういえば、前回の闇の書事件での主がどのような人物だったのか──ということは、クライドは出撃前には語っていなかった。
 現地次元世界で主を確保した武装隊からの通報を受け、グレアム率いる艦隊が出撃したが、そのときには、当代の主の人相やプロファイルなどは、クライドには知らされていなかった。
 知ることがあったとしたら、彼を確保し、闇の書を艦に積み込んだ後だっただろう。
 聴取をして、しかし、その主もまた、警護の局員の目を盗んで自害し、結果、闇の書が暴走した──アインスの話によれば──という惨事を招いている。

 過去の事件の経緯を検証していくと、闇の書の行動原理とは主に選ばれた人間を守る──ただし社会的な善悪を問わず──という点で一貫していることが分かった。

 善悪を問わず。
 守護騎士ヴォルケンリッター、そして闇の書は、たとえ姿かたちが人間と同じであろうとも、その価値観を人間とは異にしている。
 いや、人間同士でさえそうだ。この現代でも、紛争当事者である次元世界は、互いにそれぞれの価値観がありその相違が、争いをもたらす主な理由の一つである。

 守護騎士は、闇の書が作り出すプログラム生命体であり、必ずしも魔導師としての能力を持っているとは限らない闇の書の主を守り補佐する戦闘端末である。
 これに対して、普通の人間と同じように刑法を適用できるか──部屋の用意ができたと告げられ、シグナムとザフィーラに付き添われて2階の空き部屋へ上がるまで、朦朧とした意識でクロノは考えていた。
 いかなることがあろうとも自分は管理局執務官である。闇の書がクラナガンに現れ、戦闘が起きた。
 その結果、第97管理外世界へ飛ばされてきた。
 危急の事態であり、現場にいる執務官として事件の捜査を行う必要がある。
 そして今、この家にいる者たちはまさにその事件の当事者である。

 闇の書の主──八神はやての言葉が真実ならば、ヴォルケンリッターたちとは別に、闇の書自身もまた、自らの意思で行動することができるということになる。
 必ずしも主の命令を──はやての話しぶりを信じるならば──忠実に聞くとは限らず、自己の判断で行動することがある。

「すみません……もう、大丈夫です」

 ベッドにどうにか腰を下ろし、深呼吸をして心臓の鼓動の具合がおさまってきたことを確かめながら、クロノは言葉に出した。
 彼らは、何者だ。闇の書の手駒、といえばそれまでだ。
 しかし、それ以上ではない。彼らの言動、立ち居振る舞い、そのわずかなしぐさのひとつひとつに、抗いがたい感傷がある。
 なぜ今の自分にそのような感情が生まれているのか──クロノは、その心が大きく埋められつつあった。

「われわれはリビングにいます。主はやては、隣の部屋に。何かあればわれわれを呼んでください」

「──ありがとうございます」

 シグナムが用意したベッドにクロノを運んできて、毛布をかける。
 退出しようとするザフィーラの後ろに、ヴィータがついてきて、恨めしそうにクロノをにらんでいた。
 おそらくヴィータは、クロノの服装を見て管理局員だと気付いているだろう。闇の書は、これまでに何度も管理局と交戦している。ヴォルケンリッターとも何度も戦闘を行っている。
 その当時の記憶を持っていると考えられる。

 そして、前回の事件の時にエスティアに乗り組んでいたアインスも、彼らの姿を見たことがあるはずだ──と、クロノは考えていた。

 管理局員が闇の書に接触する目的──それは闇の書の破壊に他ならない。ヴィータはクロノとはやての様子を見て、管理局がはやてを逮捕しに来たのだと思い込んだ。
 はやては管理局の存在を知らないので、単に闇の書の活動に巻き込まれた異国の人間、としか認識していないだろう。

 今更のように、自分がこれからどうすべきかということが、頭からすっぽり抜け落ちてしまっている。
 クロノはベッドに寝かされて毛布をかけられ、アインスはとりあえず座椅子に腰かけている。
 クロノを寝かせるのにはザフィーラが手伝ってくれた。彼の手は、少なくとも普通の人間と同じように感じられた。プログラム生命体だからといって、体温がないとか、動きがぎこちないとかいうような不自然さは感じられなかった。
 魔法技術のない世界の人間からすれば、人工物とは思えず、まったく同じ人間のように見えるだろう。

100 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2012/12/30(日) 00:18:12 ID:ZZJjIJQU
 部屋の照明は落として、窓はカーテンも引いているので、再び、暗闇に戻っている。
 八神家があるあたりは広い庭付きの一戸建てが多い閑静な高級住宅街なので、この時間帯では道路端の街灯以外には照明はない。
 明かりをつけるかどうかアインスは尋ねたが、クロノは暗いままの方がいい、と答えた。

 目が慣れてくると、カーテン越しに差し込む月明かりで部屋の中が青くぼんやりと浮かび上がってくる。

 本当に平和な、平穏な市民の家。
 同じ家の中に、同じ屋根の下に、世界を震え上がらせるロストロギアがいる。そのことがにわかに信じられないようだ。
 今、自分が寝ているベッドは、闇の書の主が用意したものだ。
 しかし、自分は処刑台に乗せられているわけでも、霊安室に入れられているわけでもない。
 生きている。クロノは、ひたいに腕を載せて自分の存在を確かめようとする。

 アインスが、そっと手のひらをかざしてクロノの頬を撫でる。それは深い慈しみを持っていた。

「──僕は、何をすればいいんでしょうか」

 口をついて出てしまった。あるいはクロノの中で、アインスが管理局員としての同僚から、より近しい関係になったという認識の変化かもしれない。
 執務官として、部下にあるいは同輩に、迷いは絶対に見せてはならないと誓っていた。
 アインスになら、頼れる。頼ってもいい。すがっても、いい。

 自分の出した言葉に、クロノは喉がつまるような感覚を味わう。

「闇の書がすぐそばにあるのに、いざ面と向かってみると何をしていいのか……今更のように、僕でさえ……いや、僕だからこそ、闇の書を偏った見方でとらえていたと気付いたんです。
絶対の悪だと思い込んでいた……管理局員として、中立的な立場を守るようにしていたのに、どこかで、思い込みがあった」

「どういうものだと思っていた?」

 アインスは静かに問う。クロノは、静かに言葉を積み重ねる。

「転移させられて、ここの庭に落ちた時、──正直、戦闘を覚悟していました。市街地で、二次被害を避けるためにどう戦えばいいかを考えていました──
闇の書がまだ蒐集を始めていないのは、闇の書の主が機会をうかがっているからだと思い込んでいました──本当に何も知らない、ということに考えが及ばなかった──
巧妙な作戦を立てられる人間、あるいは大っぴらに動きにくい社会的立場のある人間、という可能性が高いと考えていて──、まさか小さな女の子だなんて」

「八神はやてというそうだ──彼女の年齢では、ロストロギアの概念を理解しきることは難しいだろう」

「しかも、闇の書が必ずしも彼女に忠実に従うわけではない──命令を無視して動き出す可能性もある──それが一番ショックです」

「クロノ」

「僕でさえ……っ!理解しようとしていた、理解できていたつもりだったんです……!」

 歯を食いしばり、腕をかぶせて目を伏せる。
 この悔し顔を、アインスに見られたくない。

「感情に負けて……僕は、まちがっていた……!」

「落ち着け、クロノ」

 頬を撫でていた手を、わずかに握りを強めてあごを押さえる。ひきつけを起こさないよう、そっと落ち着かせるように顔をさする。

 クロノの言葉が止まったことを確かめ、アインスは座椅子を降り、ベッド横の床にひざまずいた。
 ベッドに寝かされているクロノに、顔の高さを合わせ、そっと語りかける。

「そう自分を責めるな……。自分の感情は、否定するな。お前は間違ってなどいない──」

「アインスさん──」

 部屋が暗いので、表情は見えないだろう。
 わずかに腕を上げ、アインスの方を見る。
 ベッドに肘をつき、クロノのそばに、子供を寝かしつける母親のように。クラナガンの自宅で、幼いころ、リンディがこうやって枕元でみていてくれたことがあるような気がする。
 赤ん坊のころのことだ、と思って、忘れそうになっていたが、それは大切な思い出だ。
 健全な成長には、母親に愛されることが必要だ。
 クロノはそれを、自分から遠慮してしまっていた節があった。はやく一人前の管理局員になって、母のために働きたい、母に心配はかけられない、そういう思いがあった。
 それはかえってリンディを寂しがらせることになってしまっていた。
 後悔は、してはいけないということはないが、しっ放しでもいけない。
 大切なことは今、そして未来。
 これから先どうしていくかということだ。

101 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2012/12/30(日) 00:19:11 ID:ZZJjIJQU
 アインスと共に。

 具体的なビジョンはまだおぼろげだが、クロノは確かに意識し始めていた。
 このまま管理局でキャリアを積んでいくにしても、どこかのタイミングで民間に転職するにしても、いずれにしてもこの自分の未来を、アインスと共に歩んでいきたい。
 彼女はそれを求めているし、自分もその希望にこたえられる、と思う。

「われわれがやらなければならないことは、闇の書の実態をつかむことだ。闇の書とはいかなるもので、どのように主に扱われ、どのような仕組みで動作し、どのような魔法術式を用いて行動しているか──
それらを知ることはグレアム提督の計画する封印作戦に必要で、その目的に合致したものだ。あの少女を監視すれば、闇の書の活動の様子を観察できる」

「このまま──この第97管理外世界での捜査を?」

「成り行きだが、それは好都合でもある」

「あの子を監視──八神はやて、彼女が闇の書の主──彼女は、フェイトやなのはともそんなに歳が変わらないくらいに見えましたが──」

「なのは、とは?」

「PT事件で、協力してくれたこの世界出身の魔導師です。偶然かもしれませんが彼女もこの町に住んでいて、おそらくこの近くに──いるはず、です」

「そうか……」

 遅ればせながら、クロノも危惧していたことに気付いた。身体を起こそうとして、力が入らずに頭を枕に落とし、アインスに宥められる。
 もし闇の書が自分を狙っていて、そして闇の書自身に連続した記録が残されているならば、闇の書はクロノが管理局員だと気付いているはずである。
 少なくとも外見は通常の魔導書型で、ミッドチルダで一般的に普及している大容量ストレージデバイスと大きく変わらない。
 あの闇の書が、今の主──八神はやてに何らかの情報を伝達する手段を持っているかどうかは分からない。
 しかし、現在この八神家の、壁一枚を隔てた隣の部屋で眠っているはず闇の書が、クロノたち管理局の正体と目的を知っていることは確実である。

 いわく、次元世界の治安維持を任務とする強力な魔法を持つ組織であり、闇の書は広域災害に指定され対策が取られる対象である。
 闇の書は現代ではすでに、管理局の存在を認知し自己の行動指針にとりいれているとみられていた。
 すなわち、魔法を蒐集するにも管理局による取り締まりをなるべく回避するように作戦を立てるということである。

 だがあの少女、八神はやてがそのような作戦を理解するとは考えにくい。
 かといって、いきなり闇の書のことを切り出すわけにもいかない。守護騎士たちは──特にヴィータの例を見るに──最初から管理局に不信感を持っているだろう。
 こちらもあくまでも気取られないようにしなければならない。

「これまでの管理局の見解としては──、闇の書はあくまでも魔導書型デバイスであり、闇の書による被害の責任はデバイスの使用者である闇の書の主にある、というものでした。
しかし、今回、闇の書が独自に動いていることがわかって──主でさえもそれを制御しきれない事態が起こりうるということが分かった──
現在の、少なくともミッドチルダの法律では、あの少女に刑事責任を問うことはできません」

 クロノはだいぶ落ち着いて、はやてと闇の書に対する現時点での分析を述べる。アインスも、黙ってそれを聞いている。

「アインスさん──前回の事件では、このような闇の書の行動は観測されていたんですか?エスティアに積まれる前のことは、報告などは」

「……少なくとも私が知る限りでは無い。前回の事件で逮捕された主は、地元ではそれなりの実力者だったが素行は悪く、積極的に闇の書の完成を望んでいた。
周辺住民からも、常に書を持ち歩いていて、書に命じてさまざまな魔法を撃っていたという証言が得られている」

「もっと前の事件の記録も当たってみないといけませんね……11年前のだけではなく、それ以前の出現の記録を」

「あの少女以外にも、厄介ごとを好まない主がいたとしてもおかしくない」

「ええ」

 頃合いを見て、本局へ現在の状況を報告する。
 しかしそのためにはデバイスを起動し、次元間念話通信術式を発動する必要があり、これはかなり強力な魔法なので相応の魔力反応が出る。
 少なくともこの家の屋内で使用すれば、守護騎士たちには間違いなく探知されてしまう。
 管理局へ連絡を取っていたことが知られれば、言い訳はできない。その時点で敵とみなされ攻撃を受けるだろう。

 現状、あくまでもイレギュラーな次元漂流者として八神家に身を寄せた民間人、という体裁を取るほかない。

102 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2012/12/30(日) 00:20:01 ID:ZZJjIJQU
「グレアム提督は──父さんの、クライド提督の死に、責任を感じていたと思います。僕が修行をしていた頃も、そうでした。僕のために──という感情が、あると思います」

「お前は、どうだ。リンディ提督は」

 妻と、息子。アインスはどれだけ親しかったとしても他人で、部下の一人だった。グレアムにしても、クライドは部下の一人で、クライドにとってグレアムは上司で、それは他人だ。
 家族ならどうか、という。

 どう思っているか、と聞かれて、クロノはふと、自分の気持ちにぽっかりと穴が開いているような感覚を味わった。
 闇の書を追うことは管理局の任務だ。それは治安維持という職務として全うしなければならないことであるが、それゆえに自分の感情が抜け落ちてしまっていた。
 確かに、クライドの命は闇の書によって奪われたのかもしれない。
 しかし、それに対して自分が何を思っているか、ということが、とてもあやふやでおぼろげになってしまっていた。

 仇、なのか。果たすべき復讐なのか。
 感情が、薄れている。
 闇の書を封印すれば平穏が訪れる。それだけなのか。他に、心配すべきことは本当にないのか。自分は、クロノ・ハラオウンという人間はそれでいいのか?

 自分はグレアムではないし、クライドでもない。父がどういう思いでエスティアと運命を共にしたのか、グレアムがどういう思いでアルカンシェルの引き金を引いたのか、クロノには分からない。
 願うことはなんなのか。数十秒の沈黙の後、クロノは、静かに言葉を出した。

「僕は……真実を、知りたい、です……。父さんの、本当の、気持ちを……」

 ゆっくりと、ひとことずつ、平易な文をしゃべった。もしはやてがそばで聞いていれば、単語くらいはヒアリングできたかもしれない、という程度の。

「正直言って、……僕は何もわかっていなかったんです。ただ悲しい出来事があって、母さんが悲しんでいて、僕が何をすれば母さんは喜んでくれるのかと思っていたんです。
管理局員という仕事が世間でどれくらいに位置するものなのかもはっきりわかっていなくて、ただ、そうすることが当たり前のように執務官を目指していて……
今こうして振り返ると、僕は、父さんと同じところに行きたかったんだと思うんです。執務官になって、そして海(次元航行艦隊)に行って自分の艦を持てば、父さんのことがわかるかもしれない。
もしタイムマシンでもあれば、父さんの生きていた頃に行って、話を聞くことができたのかもしれませんが、それは僕の本当にやりたいことじゃなくて……、ただ、言葉が聞きたかった。
いくつか覚えている断片的な思い出が、父さんが本当に願っていたことは、実は母さんやレティ提督や他の人たちが考えていることと違うんじゃないかって、執務官になればそれがわかるんじゃないかって思っていました……
確か3歳くらいだったはずです、あのころの僕はそう思っていた、と、今ならそうだったんだという気がします。僕は、父さんが本当に願っていたことを知りたいんです。
闇の書を自分の目で見て、その真実を知りたい……そのために、執務官になった」

 アインスはそっと、クロノの頬を撫でる。

「クライド提督は……、先代の主に対する聴取で、闇の書の実態がこれまで管理局に認知されているものとは異なる可能性を見出していた。
エスティアから乗組員を脱出させたとき、われわれにそれを託し、管理局首脳部に伝えるよう、最後の命令を下された」

「異なる可能性……ですか?」

「闇の書は転生を行い復活する。書を破壊した後の転生先を、事前に探知できた例はこれまでに無い。すなわち、主となる人間がみずからの意思で闇の書を呼び寄せているわけではないということだ」

「ということは……どんな破壊活動を行った主も、闇の書が現れて、その力を知ってから、その後に行動を起こしている……?」

 さすがに疑問が生じる。世の中には様々な人間がいる。もし闇の書が転生先を、魔力資質の有無のみで選んでいるとするなら、転生先として闇の書の主を選ぶ際に、その人格までは考慮していないということになる。
 八神はやてのように、戦いとは無縁で、蒐集といわれてもそんな、という反応を返す人間が主に選ばれる可能性だって決して低くはないはずだ。
 普段の生活を続けていくことが大事で、いきなり世界をわがものにできる力がありますと言われてもぴんとこないし興味もない、という人間の方がむしろ多いだろう。

103 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2012/12/30(日) 00:20:48 ID:ZZJjIJQU
 それでも、次元世界のこよみが新暦に替わってからの60年余りの間で、闇の書は少なくとも5回の活動とその破壊を観測されている。
 少なくとも、とは、管理局の目を逃れて活動し、辺境の管理外世界などで現地魔導師に人知れず破壊されたケースもありうるからだ。

「問題は、これまで管理局が確認できたすべての事件では、捜査官が主に接触した時点ですでに自発的な蒐集行為を行っていたということだ」

「故意に蒐集を止めた場合に何らかのペナルティが存在する可能性──を以前、話しましたよね」

 なぜ、闇の書の主となった人間は蒐集をしなければならないのか。いわゆる闇の書事件と呼ばれる管理局と闇の書との一連の戦いは、蒐集行為に端を発する傷害致死事件や脅迫事件がその構成要素となっている。
 蒐集を行えば、当然抵抗される。争えば、戦闘に発展する。戦闘であれば当然、現地世界の法律に抵触し刑罰の対象となる。刑を受ければ、社会的に不利な立場になり、日々を暮らしてゆくことが困難になる。
 そうまでしてなぜ、リンカーコア蒐集を行わなければならないのか。
 あの八神はやてという幼い少女も、いずれ自らそういった命令を守護騎士たちに下さなければならなくなる状況に追い込まれるというのだろうか。

「闇の書の動きを監視する必要がある」

「この家に身を寄せつつ……ですか」

 念話を使わず、小声で話し合う。念話では、傍受される危険がある。また魔導師であるとなれば警戒されるおそれがある。

「現状それが最も妥当だ……。クロノ、お前の年齢なら、この世界で行動しても警戒されにくいだろう」

 高町なのはと同年代であれば、9歳だ。ユーノやフェイトとも同い年ということになる。年齢が近ければ、それだけ親近感を抱きやすいだろう。
 クロノとしては、実年齢より年下に見られるのは複雑な気分ではあるが、仕方がない。

 ようやく、顔を覆っていた腕をおろして、枕の上で、アインスに顔を向けた。
 暗がりに目が慣れて、カーテン越しに差し込むわずかな月明かりに、アインスの銀髪がほのかに見える。
 ベッドのそばにひざまずいて、見守ってくれている。
 安心感と、愛おしさが湧き上がる。

 目頭が熱くなる感覚が生まれて、それがアインスにも分かったのだろう、表情を切なげに緩め、クロノに顔を近づける。

「アインスさん……」

「大丈夫だ、私がついている。これまでに調べた闇の書の情報も持っている、私がいれば大丈夫だ」

「すみません……僕が頑張らなければいけないのに、アインスさんに頼るばかりで」

 起き上がろうとするが力が入らず、再びベッドに沈む。
 アインスはベッドの敷き布団に手のひらをついて上半身を乗り出し、片膝立ちの姿勢になってクロノに覆いかぶさるようにした。
 クロノを抱き寄せ、胸にかかえこむようにして抱きすくめる。
 ゆっくりと、優しく、髪を手指ですくようにして撫でる。
 局員制服のジャケットの内側から、アインスの匂いをたっぷりと含んだ空気が、抱きしめられた腕によって吹き出され、クロノを包む。
 やわらかなアインスの乳房が、クロノの口元を艶めかしく挟みこむ。

 感情がわきおこり、それゆえに肉体の反応が悔しい。こんな状況で、勃起してしまっている自分がはがゆい。
 今は、冷静に状況に対処しなければならないのに。

「離してください……」

「クロノ……!私は、お前が好きなんだ……お前を愛したいんだ。だから、お前が苦しんでいる姿を見るのはつらい、だからお前を慰めてやりたいんだ……
お前のことは私が守る、だから私に心をゆだねて安心してくれ、あの少女もかならずわかってくれる、私を……」

 絞り出すように言葉をかける。クロノに、何と言葉をかければいいか迷ってしまう。
 自分は闇の書の管制人格である、などと名乗れるわけがない。ましてや闇の書の主と守護騎士が周囲にいる中では不可能だ。
 烈火の将はアインスを見て何か引っかかるものを感じているようだが、しかし疑っている。守護騎士ならば闇の書の意思の姿を知っている。その記憶と、実際に目にしたアインスの姿を見て、それが同一かどうかを疑っている。
 そのような状態で名乗ってしまうわけにはいかない。さらに状況が混乱してしまう。

104 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2012/12/30(日) 00:21:23 ID:ZZJjIJQU
 今のアインスにできることは、ひたすらクロノに語りかけ、クロノを助けることだ。そのためには、闇の書と戦わなくてはならないかもしれない。
 そうなったとき、八神はやてをもがアインスを恐れてくるかもしれない。
 闇の書の主に不信を抱かれることは、アインスにとっては耐え難い苦痛と恐怖だ。
 自分の存在意義さえもがおびやかされてしまう。

 クロノと、アインスと、はやてと、守護騎士たちと。
 自分たちが生きていくためにどうすればいいのかとアインスは願う。

 はやてが、クロノを受け入れてくれるならば。
 少なくとも、安全な寝床を用意してくれた。
 ミッドチルダに戻れるようになるまで、という条件はあるが、身寄りを求めることができる。
 闇の書の主たるはやてを、クロノが信頼してくれるならば、闇の書の真実を、解き明かすことができるかもしれない。
 クロノに、はやてを愛してほしい。

 だから、クロノを説得し、どうか、心を交わしたい。
 アインスは今更のように、クロノを遠い存在に感じていた。
 何度も身体を重ね、交わったというのに、ここにきて急激に心を遠く感じた。所詮肉体だけの関係だったのか、などとは思いたくない。
 心から、彼を愛しているはずだ。
 だからはやてに伝えたい、クロノを恐れる必要はないと。
 そしてクロノも、はやてを恐れる必要はない、闇の書を恐れる必要はない。

 アインスの頬をこぼれ落ちた涙が、クロノの瞼に落ちた。
 アインスの涙が、クロノの睫をくぐり、クロノの涙と混じって瞳を濡らす。

「泣いてるん……ですか……?アインスさん……」

 意外にも、涙を流すことが多い、とクロノは思っていた。
 戦いに関しては技術もすぐれ、冷徹な戦術をとるが、しかし、クロノと二人きりでは感情的になることもある。
 自分よりもずっと大人であろう彼女が、まるで子供のように、無垢なふれあいを求めてくる。

「すまない……でも、今の私には……お前にしてやれることが、思いつかない……」

「大丈夫です……。僕は、大丈夫です。アインスさんのこと、大切に思ってます……。だから……、心配しなくて大丈夫です。必ずこの事件を解決します。
そして、平和な世界を……。この世界の人々、ミッドチルダの人々を、みんな、守っていきましょう……。僕と、一緒に」

「クロノと……一緒に……」

「……ええ。アインスさんは、僕の大切な人です」

 本心、だろう。確かにPT事件の裁判、そして聖王教会でのミッションで、協力してきた。
 それは管理局員としての職務ではあったが、それ以上の信頼を結んだ。

「だから、アインスさんには、笑顔でいてほしいです。アインスさんが笑顔だと、僕もうれしいです」

 暗くても、体温の熱でわかる。すぐそばに、アインスの素肌がある。
 ブラウスの胸元からのぞく肌に、クロノはそっと口づけた。アインスに抱かれたまま、顔を動かさずに唇を触れた。
 かすかにアインスがふるえたのがわかる。ぎゅっと、クロノを優しく抱いてくれる腕が、あたたかい。
 ぬくもりを、心地よく思う。数か月前まで、リンディに抱かれたときに感じていた気恥ずかしさはない。
 アインスとなら、いつまででも、触れ合える。

「ありがとう──クロノ……」

 涙を腕で拭い、鼻をすすって、アインスは再びクロノを抱きしめた。
 もはや悲しんでばかりではいられない。腹を括ろう。
 今の自分は、闇の書を新たな段階へ持ち上げるために、前に進まなければならない。
 闇の書の主、八神はやて、そして、守護騎士たち。ただプログラムされた任務を遂行することしかできない彼らでは、闇の書そのものの修復を行うことはできない。
 壊れかけた闇の書のシステムを修復し、彼らを救うことができるのは自分だけだ。

 そして、クロノを、救う。
 父親への不安定な感情に心を囚われている彼を救い、そして、心から、向き合えるようになろう。

 闇の書は完成する。そして、今度こそよみがえる。
 そのとき、はやてとクロノは、自分と共に生き続けることになるだろう。
 クロノをしっかりと胸に抱きしめ、アインスはそう決意した。





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105 SandyBridge ◆UKXyqFnokA :2012/12/30(日) 00:23:44 ID:ZZJjIJQU
投下終了です

アインスさんとヴォルケンズの微妙な間合い・・・ドキドキ

そしてザフィーラさんによるクロノ君お姫様抱っこ疑惑

アインスさんは涙もろくてそれがかわいいのですよ
泣いて泣いて悲壮感に酔うのです・・・はふぅん
このまま告白して好きすき大好き愛してるーといえないくるしさ

はやてちゃんにこれからクロノ君がどう接していくかですね

ではー

106 名無しさん@魔法少女 :2012/12/30(日) 16:55:46 ID:G5WD3mXo
今までの流れからしてやはりヴォルケンもクロノハーレムに・・・・い、いやらしい!

いいぞもっとやれ

107 名無しさん@魔法少女 :2012/12/30(日) 19:40:04 ID:A3gx7bPY
はやてちゃんまでクロノくんに手込めにしかもリインフォース公認!?
け、結婚式はいつでつか仲人やりたいでつ
初夜はいや婚前交渉うひゃああはやてちゃんかわいいかわいい頭おさえるヴィータちゃんかーいーよー!!!

108 名無しさん@魔法少女 :2012/12/31(月) 18:04:18 ID:77EdtoTk
いっきにシリアスになりそうだ
ヴォルケン対アインスとなると原作よりも悲しい戦いだな…

109 名無しさん@魔法少女 :2013/01/01(火) 00:07:50 ID:FwwVEU4c





110 名無しさん@魔法少女 :2013/01/01(火) 01:07:40 ID:yF2VJoJQ
ありさと
けっこんして

めこ

111 名無しさん@魔法少女 :2013/01/01(火) 01:39:51 ID:lWYkwnSE
あさおきて
けっきさかんな
おちんぽの
めんどうみるのは
こ、これでさいだからな塵芥!
とツンレデて
よろしくやってる
ロード・ディアーチェ

112 名無しさん@魔法少女 :2013/01/01(火) 11:28:44 ID:qhas5.Dk
アインス姫初め

113 名無しさん@魔法少女 :2013/01/01(火) 17:16:15 ID:80xaX0AE
>>111
ウマイwwww そして実にすべ王っぽくて良いwww

114 TPOK :2013/01/03(木) 16:03:27 ID:ObgehIbs
トリップ忘れたけど、まあ、もう別にいっかって気分でお邪魔します。
クリスマスだの、正月だののイベントとか関係なくひとつ。
クロノとシュテルであーだこーだです。

115 なのはがシュテルでクロノどきどき☆ :2013/01/03(木) 16:05:56 ID:ObgehIbs

「闇の欠片事件」から約3ヶ月。
冬から春へと変わり始めた季節の中、平和な時を過ごしていたエース達に降り注いだひとつの騒動。
それは砕け得ぬ闇を巡り、現在に留まらず過去と未来の人物すら交錯した事件。
「砕け得ぬ闇」事件。

これは、そんな事件を越え、紫天の一党が未来へ飛ぶまでの、しばしの時の話。



かけられたシーツに目を醒ます。

「…ああ、なのはか。ありがとう」

いささか寝ぼけた視界には、二つくくりを揺らしてびっくりした表情で固まる少女がひとり。

つい居眠りをしてしまったらしい。
アースラのブリッジでのこと。
座ったまま舟をこいでいる途中、優しい重みを感じて起きたらシーツをかけてもらっていたという顛末。
頂戴したシーツを纏いながら、再びコンソールへ指をかける。

「クロノくん、ちょっとは休憩した方が…」
「その休憩を、今しがたまで取っていたところだ」

あくびをかみ殺しながら、今回の事件における事後処理を再開する。
執務官として、現場作業だけでは終わらないのがつらいところだ。
短い時間ながら濃密な戦闘を経ての事務作業は、若い体力を以ってしてもいかんともしがたい。

「…言っておくがなのは。君が僕の休憩の邪魔をしたというわけでは、ないからな」

居眠りを見られて、見栄を張ろうとした部分もあるだろう。
ふと己の言動を振り返り、少し取り繕う物言いがつい口から出てしまう。
くすくすと失笑を返されて、さらにクロノは居心地が悪くなった。

「優しいね、クロノくん」
「僕は優しくなんてない。僕に比べれば、君たちの方がよっぽどだ…よっぽどすぎて、お人好しもいいところだろう」
「そ、そうかな」
「PT事件からこっち、特に君の踏み込み方は感心するよ」

優しさも、お人好しも。
そこまで強固であればもう武器なのだろう。
高町なのはの、鋼鉄の優しさ。
巌のような、お人好し。

そしてそれでもなお、こうやってシーツをかけてくれる細やかな心遣いもできるんだから感心もする、とクロノは内心で独白した。

「だが、それで僕たちも大いに助けてもらっている。今回の「砕け得ぬ闇」事件にしたってそうだ。改めて礼を言わせてもらう」
「そんな、私は私にできる事をしただけだよ…」

はにかんで照れる様子に、戦場でまっすぐに自分を貫く気高さはどうにも窺い知れない。
それでもそんな謙虚さを、幼いエースは持っている。
得難い事だとクロノは思う。

「できる事をすべき時にやってのける。それが難しいんだ」
「私には…みんながいたから、できたんだと思うな」
「それは誰もが同じだ」
「クロノくんも?」
「当たり前だ」
「ふふ、嬉しいな。クロノくんは何でもひとりでできちゃう人だから」
「そんな事はないよ。ひとりの力なんて、小さいものだ。だからチームを組む。君たちに支えられる」

感慨深い思いを込めてクロノが言う。
会話と平行して動かしていた指が止まる。
ひとりで何でもしようと思っていた。
幼い頃の目標である。
誰かの手助けなく戦えるようになりたくて、涙ひとつ流さずリーゼ姉妹の修行に耐えた。

116 なのはがシュテルでクロノどきどき☆ :2013/01/03(木) 16:07:15 ID:ObgehIbs
結局。
ひとりでいる事の馬鹿らしさは教導センター時代に悟った。
救われたのだろう、エイミィに。
そう思うとつい穏やかな微笑が零れるのをクロノは自覚する。

「僕の報告書なんて、見てて面白いものじゃないだろう?」
「そんな事ないよ。邪魔かな?」
「いや、面白くない書類作りをしている最中、話をしてくれる誰かの存在は有り難い」
「クロノくんのマルチタスク、すごいよね…」
「ストレージデバイス持ちならできて当然だ。何か飲むか?」
「あ、いいよ、私が淹れてくるよ」
「シーツの礼だ。たっぷりの砂糖を茶に入れてやろう」




最初から最後まで、結局クロノ憎悪を殺し切れなかった。
はやてに罪はない。
ヴォルケンリッターは傀儡だ。
リインフォースの名の下に、闇の書のプログラムは救われた。
マテリアルたちもまた、改変され続けた闇の書の被害者である。

万の言葉を以ってただの一念から目をそらす。
そう、ずっと目をそらし続けただけだ。
目を瞑っただけ。
それでもふと執務から目を離して私的な時間に、我に返るような心地で憤怒がそこにあると再認する。
鎌首をもたげる怨念の深みに複雑はない。

「なぜ父さんが死んで、彼女たちは助かったのだろう」

絶対に誰かの耳に届く事のないように呟きを漏らした夜は、もう数え切れない。
それでも己を理詰めで殺す。
感情を殺す。

はやての善性を是とする。
ヴォルケンリッターの忠誠を是とする。
リインフォースの運命を是とする。
マテリアルの絆を是とする。

時空管理局執務官クロノ・ハラオウンが下すべき決は公平の一文字だ。
闇の書に殺された者と同じく、八神はやてにも命はある。
すべての命は平等だからこそ、殺された者よりも、今命つなぐはやては私怨に殺戮されるべきではない。

法は強く堅く人の命を救い、護る。
それが時に残酷な冷たさを持つのは知っている。
クロノ自身、死ぬるが正しいと思う者が法に命をつながれている事件の結末に何度も立ち会っている。

そして、立ち会うでなく、直面したのはこれが初めてだった。

「なぜ父さんが死んで、彼女たちは助かったのだろう」

ハラオウン家長子クロノ・ハラオウン。
時空管理局執務官クロノ・ハラオウン。
このふたつの己は切り離せないのだろうか?
クロノは何度も何度も自問する。
その都度、母に話し聞かされ、そして幼すぎた頃に見た父の顔が、最後の最後ではやてたちを許してやれと微笑むのだ。

理想と夢と、何よりも父を追うようにクロノは時空管理局へ飛び込んだ。
そして今、身を挺して被害を最小限に食い止めた父の死に様が己を縛り、苦しめる。
暴走した闇の書に対し、エスティアの艦長として、時空管理局局員として、人間として、クライドは完璧すぎた。
クロノが夢見た父は、きっとはやてを許した。
ヴォルケンリッターを許した。
リインフォースを許した。
マテリアルたちを許した。

きっと。
きっと。
きっと。

だから、クロノもまた許さねばならぬ。

117 なのはがシュテルでクロノどきどき☆ :2013/01/03(木) 16:08:07 ID:ObgehIbs
それでも、

「なぜ父さんが死んで、彼女たちは助かったのだろう」

それでも彼は今日もつぶやく。
明日もまた、時空管理局執務官であろうとするのだろう。



「とてもためになりました」

ゆっくりと瞼を閉じ、万感を込めてシュテル・デストラクターは吐息をついた。
そこには彼女が常に纏う、潔い熱風の気勢はない。
まるで解き方を知らない難題へ、どう手を出せばいいのか分からぬよう。
きっと凡百の障害など焼き尽くして罷り通るシュテルが、燃えぬ何かと直面したような。

「あの…シュテル…」

慰めるように、シュテルの肩へなのはがおずおずと手を伸ばし、結局中空をさまように留まる。
ふたりきりの部屋。
重い沈黙がしばし流れた。

ある日シュテルがなのはへ語ったのは、己の恋心についてであった。
冷静でありながら、裡に激情を内包するシュテルの事。
ふと気づけば芽生えていたその感情に、ただただ切なく悶え苦しんだ。

そしてその想いの丈を解き放つのに、そして想い人であるクロノ・ハラオウンを深く知るため、自身のオリジナルであるなのはを訪ねたのは自然な成り行きであった。

「気遣いは無用です」

開眼したシュテルが、穏やかになのはへ微笑んだ。
吹っ切れたかのようなシュテルの様子に、むしろなのはが困った面持ちになってしまう。

「ごめんね、あんまり力になれなくて…その…私も、恋愛相談は…」
「いいえ、いいのです。彼の事を、詳しく話してくれただけで十分な私への助力です」
「でも、具体的にどうすればいいかは…やっぱりもっと大人の人に…」
「私がきちんとした恋愛を望むのは、おかしな事なのでしょう」
「そんなこと、ないよ!」

シュテルの両肩を掴んで、まっすぐに向き合ってなのはが断ずる。
力強く、ひとかけらの躊躇なく。
しかし貫くようなその視線に、シュテルは頭をふるばかりだ。

「ありがとうございます。ですが、……私は彼に踏み込めずに終わのでしょう。あなた光の槍のような直情も、今回ばかりはどうしようもないのです」
「そんなのって……」
「そんな顔をしないでください。私は、あなたに姿を映させてもらう許可を頂き、これまでにない嬉しみを感じているのですから」
「そんな喜びは、きっと間違ってる…」
「違っていても、臆病でも、卑怯でも、偽りでも、束の間であれ……私は、彼のぬくもりに触れたい」

いっそシュテルよりも苦悩に眉根を寄せるなのはに、もう言葉はない。
他言無用もすでに約してしまった。
いや、あるいは光明ある事情であるならば、きっとなのははその約束を破るさえしただろう。
しかし恋愛事情だけは、繊細が過ぎる。
シュテルの相談をなのはがしてしまうべきではない。

「そんなのって……ないよ…」

今にも泣き出してしまいそうななのはの肩を、シュテルは抱いた。



どこまでも上へ上へと伸びる本棚は、いつ来ても壮観だった。
高く高くへ昇りながら、クロノは見知った後姿を捉える。

「なのは」
「あ、クロノくん」

開いた本を閉じがてら、身を捻った少女が笑顔をこぼす。

118 なのはがシュテルでクロノどきどき☆ :2013/01/03(木) 16:10:04 ID:ObgehIbs
「なんだ、君も調べものか?」
「うん、これ」

嬉しげに表紙をクロノへ差し向ければ、炎熱魔導に関する魔術書である。

「火炎の魔術?」
「そう、シュテルと模擬戦の約束をしたから、その対策になるかなって」
「ああ、彼女か…」

得心しながら、クロノはその表情に少しばかり渋みを差す。

「切磋琢磨するのはいい事だが、ちょっとは控えてくれ。君たちレベルの模擬戦に合わせた結界は、毎回構築に手間がかかる」
「にゃはは…善処します」
「そうしてくれ。ところで、ユーノを知らないか?」
「ユーノくんなら、さっき出て行ったよ」
「入れ違いか。やれやれ、あいつがいれば欲しい書類がすぐに出てきて便利なんだがな」

きっと軽い棘でも交えてクロノが検索を依頼して、ぶつくさと文句まじりにユーノが書類を抽出するのだろう。
そんなビジョンを己で描いて、ふとクロノに笑みがこぼれた。

「ね、クロノくん、今時間あるかな?」
「時間くらい作れるが…それについてか?」

指すのは炎熱の魔術書。

「そうなの。読んでみたんだけど…分からない所が多くって…」
「君はフェイトのように、学問として魔法を習得したわけではないから仕方ないだろう。分かった、僕でよければ少し教えよう」
「ありがとうクロノくん! クロノくんに教えてもらえるときっとはかどるよ」
「ただ戦闘を想定してまでは、僕も口が出せない。そこらへんは、シグナムにでも聞いてくれ」
「うーん、でもシュテルも収束砲撃型だから、やっぱりミッド式のクロノくんとお話したいな」
「…ま、デュランダルでの変換は冷気だが、それでもどこかでアドバイスできる事はあるだろう」

曖昧にうなずくクロノの手が、ふわりと引かれる。

「それじゃあ、クロノくん優しく教えてね」

爛漫な笑顔に連れられながら、クロノは少し格好つけすぎたと思う。
流石に冷気と炎熱では勝手が違いすぎるだろう。
魔術体系としては説明できても、戦闘レベルではやはり難しいはず。
それでもやはり、頼られればそれに応られるだけ応えようとするから、クロノはクロノなのだ。



「エイミィ・リミエッタとは、どういった人物なのでしょう?」

順繰りの流れであった。
決して出し抜けにシュテルが切り出したわけではない。
リンディ・ハラオウンとは、どういった人物なのでしょう?
クロノ・ハラオウンとは、どういった人物なのでしょう?
そんな、予想すべき流れでありながら、即答や一言での表現に窮してフェイトは首をひねってしまった。

「うーん…そうだね」

決して悪感情を排する言動をこしらえようとしているわけではなく、むしろ逆だ。
多くの褒め言葉が湧き出て、その取捨選択に手間がかかる。

「縁の下の力持ち、かな」

きっと、もっと上手な表現があっただろうとフェイト自身思いながらの、最初の返答。

「縁の下の力持ち、ですか」
「エイミィがオペレータなのは、見て分かるよね?」
「ええ」
「それだけでなくて、執務官補佐っていってねクロノの仕事面でのサポーターでもあるんだ」

そこまでは、なのはから聞いている。
故に、今回フェイトを訪ねたのはその先を知りたいからだ。
アースラスタッフに、クロノに踏み込みたいからこそ、クロノについて深い言及をせず。
エイミィに焦点を当てて今回フェイトへ尋ねたのだった。

想い人の母であり、やはり闇の書の被害者であるリンディではなく。
想い人本人でもなく。
そんなハラオウン親子にひどく近しいエイミィ本人でもなく。

そこまで選択しを排してしまうと、もうアースラスタッフへ紹介を請うのは共同戦線を張ったフェイトにするしか自然ではなくなってしまう。
聞けば、フェイトもまたアースラスタッフと出会った時期はなのはと大差ないらしい。
それでもPT事件での裁判や、私的な事情を経てなのは以上に、フェイトは知る事は多いはずだ。
そう言ってなのはに勧められたのである。

そして何よりも、己の恋心が漏れたとして、きっとフェイトもまたなのはと同じく口を噤んでくれると信じられた。

「クロノ執務官と、エイミィ執務官補佐は長いのでしょうか?」
「そうだね、士官教導センターの同期で、ずっとだって聞いてる」
「呼吸の分かる相手と同じ配属にし、上首尾を期待するのは分からぬことではありません」
「そうだね。それにクロノって真面目だから人当たりが強いところがあるんだ。エイミィがいると、それを緩和してくれる」

胸に灯る嫉妬を、シュテルはなお何一つ表面に出すことはなくフェイトの話に耳を傾ける。
エイミィの話に耳を傾ける。
クロノにつながる話に耳を傾ける。

119 なのはがシュテルでクロノどきどき☆ :2013/01/03(木) 16:10:59 ID:ObgehIbs
「そもそもそういう性格なんだ。柔軟で、機転が利く人だよ」
「故に、縁の下の力持ちなのですね」
「それにいろんなところを見てるんだ。ちょっとした変化にも気づいちゃう」
「そこは、オペレータの適正ですね」
「本人は、闇の書事件でシグナムたちを、今回の事件でシュテルたちを追い切れなかって落ち込んでたけどね」
「…我々とて必死でしたから」
「ふふ、そうだね。柔軟で、いろんなところを見て、それに気さくだから。みんなの精神的なところも、上手に支えてくれる。私も、よく励まされたんだ」

裁判の時に。
なんて言葉を飲み込んで、安らかにフェイトは微笑む。
姉を自慢するかのように。

「艦内で信頼されているのは、見て取れていました」
「でしょ?」
「女性が強いのですね、アースラは」

ぱちくりとフェイトが目をしばたかせ、それから吹き出した。

「ふ、ふふ、ふふふ! そうだね、リンディ艦長や、エイミィはクロノよりも強い」
「あなたもです」
「私は違うよ。クロノよりずっと弱い」
「そうですか…クロノ執務官とあなたを見る限り、例えばあなたが我侭を言えば、クロノ執務官が折れる。そんな空気を感じました」

そうかな、なんてフェイトが返事に困って苦笑するのを、シュテルはやはり燃える想いで眺めていた。
クロノのそれは、まるで妹と接するかのような。
そんな空気であったから。
己がそうであったとすればと、妄想をせずにはいられないから。
狂おしいほど甘い赤熱が胸中を焼く。

それでもなお、いつものごとく、平静で冷静の仮面をかぶってシュテルは質疑を続ける。
エイミィに関する話が終われば、アレックスとランディについても尋ねるだろう。
クロノと、エイミィについて渦巻く感情を押し付けながら。

きっとシュテル自身では気づかぬうちに、エイミィに対する話は長引いた。



「あ、クロノくん」
「なのはか」

ふと行き会ったのは本局でのことだ。
はやてが足の状態の経過を診てもらう時、できる限りなのはもフェイトも付き添っている。
もう、なのはとこうして本局で見るのも珍しくなくなってしまった。

「この間の模擬戦、残念だったな」
「ごめんね、せっかく教えてもらったのに」

結局、模擬戦でなのははシュテルに白星を譲ってしまった。
シグナムも感心の熱戦だったが、上手く火炎を操りきったシュテルに軍配が上り、幕を閉じた。

「生兵法を下手に僕が教えたのがまずかったかな」
「ううん、そんな事ないよ! …教えてもらったからこそ、つい気になって対応が遅れた砲撃なんかもあるけど、それで見えるようになったものもあると思うんだ」
「そうか。ならそれは、次にきっと活かせる」
「うん! レイジングハートに練習のプログラムを早速組んでもらったんだ」
「…君とフェイトは本当に熱心だな」
「それに、シュテルも。負けられないよ」

ぐぐっと握り拳に瞳に炎。
とても年頃の女の子らしからぬ仕草だが、これもなのはなのだろうとクロノは思う。

120 なのはがシュテルでクロノどきどき☆ :2013/01/03(木) 16:11:43 ID:ObgehIbs
「もう少しで、お別れだから…」

拳を解いて寂しげに遠くを眺める眼差しに、ついクロノもうつむいた。
アミタとキリエと共に、紫天の一党もまたエストリアへと旅立つと決定したのは、事件後すぐの事だ。
それからしばらく、未来へ移動するまでの束の間の時間。
そんな、隙間のような時間なのだ。
そんな、隙間のような時間だから。

今を、今だけを、凌げばとシュテルは思った。
クロノと己を阻む時間の壁に、きっと諦観で微笑める。
もう届く事がない時間にいるのだからと、恋心を灰にできたはずだからと、シュテルは考えはしたのだ。

――そして、駄目だった。
シュテルは焦熱の激情を堪え切る事ができなかった。
なのはに語った。
語り尽くした。
灼熱の感情を、吐き出した。

「…君とシュテル。ずいぶんと仲がいいな」
「まっすぐに私とぶつかってくれるから」
「似てるよ、君たち」
「フェイトちゃんとレヴィちゃん、はやてちゃんと王様と比べると、私たちは似てるよね」
「ああ、戦闘マニアな所がそっくりだ」
「あ〜、その言い方ひどい!」
「将来、シグナムと血みどろの真剣勝負を演じても不思議ではないな」
「そ、そこまではしないよ〜。私とシグナムさんじゃ、まるで畑違いっていうか…」
「フェイトの戦闘スタイルだからかみ合ってるところはあるな」
「ますます鋭くなってるよね、フェイトちゃんの魔法」
「ああ、怖いくらいだ」

うかうかしてられないよ。
そんな心情をありありとクロノは滲ませる。

「…クロノくんは、シュテルたちあの四人は苦手?」

そして、ふと問われたその言葉につい殺意と憎悪と怨念が胸に去来する。
それを一笑に付すような仕草でかみ殺し、

「ああ、やかましくて適わないんだ」

完全に冗談めかして返せたこの一言を、クロノは脳の冷めた部分で自賛した。

「レヴィが特にな。その点を言えば、シュテルはまだマシだな」
「! …レヴィちゃん、一緒にいて楽しいんだけどな」
「あと少しの間だけだから、我慢はするさ。君からも、もっと行儀よくしてくれと言っておいてくれ」
「ね、じゃあ王様とユーリちゃんは?」
「嗚呼、そのふたりは…」

――全員等しく、虫唾が走る。

「…やはりディアーチェも騒がしいな。ユーリを見習って、もっと静かに過ごしてもらいたいものだ」
「あ、閃いた! ユーリちゃんに王様を諌めてってお願いするの」
「名案だな。ディアーチェの過保護は、よく分かる」
「砕け得ぬ闇事件の最終局面の王様、少年漫画の主人公みたいだったもんね」
「ああ、そうだな。もう結婚すればいい」

あるいは、どれだけ幸せそうにしていても、見えないところであればこの負の感情は薄まるだろうか。
少なくとも今は、八神家に本当の意味で負の感情を断ち切れる目を見出せない。

それでも彼女たちを、降りかかる不当と認識すべき悪念から守ってやらねばならぬ。
彼女たちを保護する形式で見届けねばならぬ。

クライドを失って涙を流した己を殺して。
クライドを目指して執務官となった己を以って。

121 なのはがシュテルでクロノどきどき☆ :2013/01/03(木) 16:12:32 ID:ObgehIbs


ひとつ確信している事がある。
クロノ・ハラオウンがシュテル・デストラクターに微笑みかける事は、ないのだろう。

「あれ、シュテル?」

指導してもらった文書や魔術式をなぞるのを止めて、本を閉じる。
振り返ればユーノがいた。

「ああ、師匠。借りていた本を返しに参りました」
「うん、預かるよ」

少しだけその本を手渡す事が名残惜しかった。
その想いもすぐに焼却する。

「師匠はナノハと出会いました」

――クロノはエイミィと出会いました

「な、なんだい急に? うん、もうすぐなのはと出会って、一年になるかなあ…」

――私はクロノに出会い、数日の間でした

「一年前に出会い、一年が経ち、さらに一年を重ねるのでしょう。師匠とナノハは、ずっと……一緒なのでしょうか?」

――クロノとエイミィは、ずっと一緒なのでしょうか?

…嗚呼、言葉にするならば、もっと何か聞くに相応しい話しようがあったろうに。
効率と理論は、解答があってこそだと思い知らされる。
彼我の愛憎に、いったいどんな効率を重視すればいいというのか。
正解の無い問答に、どんな理論を用いればいいというのか。

シュテル自身が困惑する問いかけだ。
クロノ・ハラオウンに対する激情が溢れただけ。
当のユーノが難しい顔をするのは、至極当然なのだろう。

「分からないよ、そんなの。でも僕は、ずっとなのはと一緒にいたいと思うよ」
「師匠は、ナノハを魅力的だと思いますか?」

――クロノは、私を魅力的だと思ってくれるでしょうか?

さっとユーノの頬に朱が差した。
聞いたシュテルが一切の心情の揺らぎ無く、一直線に切り出したのもまた羞恥を煽る。
しどろもどろに、ユーノが眉をひそめてしまう。

「ど、どうしたの、シュテル? なんでそんな事聞くのさ?」
「…私たちは紫天の名の下にずっと一緒です。ヴォルケンリッターもまた、ずっと一緒にいる。フェイト・テスタロッサとアルフもずっと一緒。フローリアン姉妹も、ずっと一緒です。ただこれらと比べて、師匠とナノハのつながりは違います。ならば、」

――ならばクロノとエイミィが一緒であるのは、愛であるのだろうか

「ならば、これを愛と呼ぶのだろうか、と」
「あー…」

シュテルの真剣さを察したのだろう。
ユーノもまた真剣さを含んで応じようと考え込む。

「僕は…なのはに恋してるんだと、思う」

122 なのはがシュテルでクロノどきどき☆ :2013/01/03(木) 16:13:16 ID:ObgehIbs
それから、周囲に誰もいない事を確認して。
思い切りながら、どこか照れを捨てきれずにそう言った。

「恋ですか」
「うん。なのはに助けてもらって、なのはを助けて…気づいたら惹かれてた」

――私もまた、気づけば

「大切な友達だとも思うんだ。ただ、それだけじゃない気持ちも、…僕にあると思う」
「それをナノハには?」
「言えないよ、こんなあやふやな気持ち…正直な話、恋であるかどうかも自分で分かってないんだ。だから、それを確かめるためにも、僕はもっとなのはと一緒にいたいと思うよ」

真摯な言動だった。
疑いようなく、正直な話をしてくれていると分かる。
本心を隠してこそこそとしている己と真逆だ。

「…私は、ナノハを好ましく思います」
「僕もだよ。あんな風に、誰かの思いに対してまっすぐ向き合えるのは、すごい事だと思う」
「思いに、向き合う…」

ぎゅっと胸元を掴んでシュテルが反芻する。
フローリアンン姉妹に対しても、己に対しても、現れる闇の残滓に対しても、ユーリに対しても、いつも彼女は己をさらして一抹の翳り無く真っ向から相対した。

ただひたむきに。
ただひたすらに。

そう存在する事が最強なのだろう。
最高でも、最善でもなく。
最強。

まるで太陽のように心に闇なく、彼女は人の思いに向き合っているのだろう。
己の光で、どうか誰かの悲しみを照らし枯らせるようにと。
そしてそんな自覚もないからこそ、最強のなのはが在る。

高町なのは自身は、きっと大きな恒星。
星の光のように、数多流れんとする涙が零れぬように。
己を燃やして掬い続けるのだろう。

明星よりも、熱く。

「…私にもナノハのように思いと向き合う事ができるでしょうか」
「…僕がなのはに恋か、友情かという感情を持ってる事を打ち明けたじゃないか」

赤子のような無垢さで、シュテルはユーノの顔を覗き込んだ。
バツ悪そうな、なんとも言えない表情を認めて、慈母じみて、そして少しばかり茶目っ気を含んで微笑むんだ。

「…内密に、しておきましょう」

乙女のように悩み、苦しんだ。
しかし結局のところ、己にできる事などただのひとつだったのではないだろうか。
清廉な湧水のごとく裡より溢れる、達観じみた想いがシュテルを満たす。
なのはが思いを受け止めるように。
己もまた。

123 なのはがシュテルでクロノどきどき☆ :2013/01/03(木) 16:13:57 ID:ObgehIbs


「茶番は終わりか?」

底冷えする声で、クロノが問うた。

クロノの自室である。
密室にはふたり。
クロノと、シュテル。
なのはの格好をした、シュテルである。

いつもどおり。
なのはを演じてクロノへ声をかけたある時の事。
話があると、自室へと誘われた。

その時点で薄々シュテルには看破されている事に気づいたし、諦めもついていた。

「はい、終わりです」
「…いつからなのはと入れ替わって僕と接していた」
「事件が終わって、すぐにです」

テーブルを挟んで相対するシュテルは、なのはと同じ顔の能面じみた表情で受け答えをする。
しかしそれでもクロノには何故か分かってしまった。
シュテルは真剣だと。

「…理由は?」
「あなたを愛しています」
「…ふざけるな」

ふざけているわけではないと、十全に肌で感じながら言わずにはいれなかった。

「本心です」
「好かれる理由が無い」
「一目惚れというやつです」
「信じろと?」
「…伝わりませんか? 私の想い」

陰気も陽気も一切が焼失した、純心のみが凝る視線がクロノを射抜く。
なのはと同じ容姿で、まるで違うシュテル。
だというのに、こうして一直線に思いをぶつけてくる様はなのはを彷彿して止まない。

「もっと深くお話をしましょう」

静かにシュテルは口火を切った。
もう必要ないとばかりに、髪止めをはずし、二つくくりを解く。

「私はマテリアル。理を司ります。しかしただのプログラムではないと自負しています」
「……君にも心はある」
「そうです。故に高みを目指し、戦いに昂ぶる。勝利して満たされる。敗北して雪辱を晴らしたいと願いもする」
「恋もする、か」
「はい。誰かに惹かれもしましょう」
「……なぜ僕だ?」

鏡のようなシュテルの瞳にクロノが問いかける。

「あなたは闇の書を憎んでいる」
「……」
「あなたは八神はやてが生きている事を理不尽だと思いませんか?」
「……」
「ヴォルケンリッターが家族を持った事が不条理だと思いませんか?」
「……」
「未だ闇の書を引きずって現れた我々を破壊し尽したいと思いませんか?」
「……」

シュテルの問いかけのすべては、闇の書の災害を被った誰かであれば抱いて当然の思い。
当然すぎて、もはや自分の一部である問い。
ずっと自問している事だ。
それでもクロノは理を説いた。

「闇の書の暴威は、もう終わった。闇の書の闇を破壊して、リインフォースも短い命を終える。ヴォルケンリッターは罪を償う。そして……はやても被害者だ」
「そうやって、」

ふと儚げに悲しげにシュテルは微笑みをクロノへ傾けた。

「あなたは理に生きている。情に流される事なく。完璧です。…私は、そんなあなただから惹かれたのです」
「よせ」
「肉親を殺された憎悪は、理路整然と割り切れるものですか?」
「やめろ…」
「あなたが完璧であればあるほど、その怨念は計り知れない」
「口を閉じろ」
「理想の人間じみて振舞っているあなたほど、理を意の元においた人間を、私は知らない…」
「僕は、そんな人間じゃない」

言葉ひとつひとつに苦痛を伴う。
そんなクロノを見守るシュテルの眼差しはどこまでも憂い、そして優しい。

「八神はやてが生きている事を理不尽だと思う気持ちだってある。その思いが理不尽だと思いもする。グレアム提督の策もひとつの手だったと思う。もっと別の手段を模索すべきだったとも考える。父を殺された怒りもある。それをヴォルケンリッターたちに向けたいとも思う。誰にも向ける相手がいないとも知っている…! どうしようもないって、分かりきってしまっているから! 僕は指針を理にしたんだ!」
「指針を理にして、そう在る。できる事をすべき時にやってのける事が難しいと、あなたに教わりました」
「戯れるな!」

124 なのはがシュテルでクロノどきどき☆ :2013/01/03(木) 16:17:58 ID:ObgehIbs
テーブルを叩いてつい立ち上がる。
クロノの感情が激してゆく。
冷静さ旨とするクロノが、際限がないように加熱していく

「戯れてなどいません。あなたはそうやって心に鬱屈を抱えてなお、たゆまず理知を振舞う。それは正しすぎて歪んでいる。そんな強さと優しさに惹かれたと、私は言っているだけです」
「黙れ!」

きっと、ただ闇の書に対する恨みを尋ねられたら、いつもの冷静なクロノで受け答えをしただろう。
――ああ恨みはある、だがはやてたちに向けるのはお門違いだ
なんて、むっつりとした仏頂面で返事して終わりだったろう。

好きだと告白された。
一切の虚飾もなく、真っ向から。
そして、その好意の因子こそが己の心の闇だと言う。
なのはの形をして。

クロノの心が千々に乱れてゆく。
闇の書を憎む。
この否定すべき感情は、普通は肯定されるべきだとは理解している。
しかしそのさらに向こう。それに惹かれる誰かなんて、思いもよらなかった。

「…どうしてなのはの格好をして僕に話かけた?」

幾許かの間を置いて、少しだけ激昂を抑えたクロノが着席しなおしながら聞いた。

「あなたは闇の書を憎んでいる。そんなあなたが私に優しさを向けてくれるとは思いませんでした」
「だからなのはのふりをして僕と話したと言うのか?」
「そうです」

真剣に、偽りであろうとも己の優しさに触れたかったのだろうとクロノには信じられる。
だってこんなにもシュテルに対して忌んでいる。
こうして対峙して、語り合うのも嫌悪すべき事。
それを理性を以って続けているのに。
続けているのに、その理知の裏さえもシュテルは踏み込んでくる。
踏み込んで、愛しいと言う。
なんなのだ。
この、なのはの姿かたちをしたものは、なんなのだ。

「嘘でもいいと思いました。理に従って完璧なクロノ・ハラオウンと語るよりも、少しでもナノハたちへ向ける素顔の優しさを分けて欲しいと思いました」
「そんなコミュニケーションに何の意味がある」
「自己満足です。私はあなたに踏み込めずに終わのでしょうと、分かっていましたから」

諦めずに接していれば己がシュテルへ、本当の慈しみを覚えたかと自問する。
答えは否だとすぐに出た。
それが自然だとクロノは思う。
それが不平等だともクロノは思う。
だが、己の心の中だけは、己の心に従わねば、いったい人間である意味があるだろうか。

「そして今日、あなたに偽りをさらす必要がなくなりました」
「どういう意味だ?」
「考えていたんです。あなたへの愛で、何をすべきか。私はあなたを愛したから、あなたからの優しさを欲しました」
「嘘でもか」
「嘘でもです」

125 なのはがシュテルでクロノどきどき☆ :2013/01/03(木) 16:18:56 ID:ObgehIbs
喜びと、嬉しみをたたえて、溢れる想いを込めてシュテルが緩やかに頷き。
席を立つ。

「君を救いたいと願っている人がいる」
「…それは」
「君を助けたいと願っている人がいる」

それは、システムU-D戦の最終局面。
クロノがユーリへと、放った言葉。

「ではあなた自身は何を願うのですか?」

誰かが願ったでなく、クロノ自身が願った想いは?

クロノの傍らにシュテルが立つ。
その手を取って、シュテルは己の胸へと押し付けた。

「私を焼いて」

優しく微笑んだ。

「あなたからの優しさは、要りません。あなたの憎しみをください。あなたが理不尽で、不条理で、どうしてだと自問し続けてきた負の感情をどうか私にぶつけてください。あなたが闇の書に叩きつけたかった黒い想いをどうか私で散らして。刺して、貫いて、砕いて、潰して、千切って、破いて、私をめちゃくちゃにして。理にずっと隠れていた、目を瞑っていた、心底に溜まった膿を私に吐き出して」

甘やかに語りかける言葉と共に、封鎖領域を展開する。
それと同時にクロノがシュテルを押し倒す。
泣き出しそうな顔は、どうすればいいのか分からない子供の顔。

「あなたにしてもらう事を、ずっと考えていました。そして、あなたにしてあげられる事も、ずっと」

クロノの頬を撫ぜるシュテルの手は柔らかく、暖かい。

「私を殺して」

どっと押さえつけていた汚泥のような想いが堰を切って、クロノの咆哮へ変わる。

「なんで父さんが死んで!」
「闇の書が殺した!」
「なんでお前たちが生きている!」
「あなたたちが生かした!」
「死ねばよかった!」
「殺せ! クロノ・ハラオウン! 私を殺せ! 私を焼け! 焼けえええええ!」

きっと。
封鎖領域を察してくれるのはエイミィだとシュテルは不確実な確信があった。

エイミィにできなくて、己にできる事。
クロノにしてあげられる事。
これしかないと思った。
想いを、ぶつける、受け止める。
地獄の業火じみてクロノが与えてくれる暴威の中、シュテルは幸福な心で思う。

どうか来世では、彼が愛を向けてくれるように生まれますように。

126 TPOK :2013/01/03(木) 16:20:48 ID:ObgehIbs
終わりです。
遅すぎるけど非エロとここでお知らせ。
読んでくれた方がハートフルな気持ちになってくれると嬉しいです。

127 名無しさん@魔法少女 :2013/01/03(木) 16:56:52 ID:mC3vq/pg
素晴らしい!

ナイフで抉られるしか手段のない愛情が素敵すぎる



128 名無しさん@魔法少女 :2013/01/03(木) 17:49:19 ID:l8g2Ebz6
おつです
このあとエイミィが踏み込んで来るんだろうけど、
抉り出した闇をエイミィ委ねて旅立つのだろうか、シュテルは

129 名無しさん@魔法少女 :2013/01/03(木) 18:18:06 ID:zhXZcPW2
泣くしかできない、俺がいる。GJ

ところでそのタイトルは巷で評判のタイトル詐欺ってヤツですか?

130 名無しさん@魔法少女 :2013/01/03(木) 18:38:07 ID:mO50dVsE
GJです。見事なハートフル(ボッコ)でしたね。心が(業火で)温かくなりました
シュテルんが健気可愛い……

131 名無しさん@魔法少女 :2013/01/03(木) 18:50:44 ID:tB0S0bbQ
なんかクロノが劣化してる気がする
アンチものは受けないよ

132 名無しさん@魔法少女 :2013/01/03(木) 19:00:07 ID:qVvioXHc
そもそもクロノ物がイマイチ

133 名無しさん@魔法少女 :2013/01/03(木) 19:31:37 ID:hEb.WTJc
話はよかった、GJ
闇にこそ惹かれたというその発想が素晴らしい

しかしクロノがモテてるのを立て続けに読むとなんか軽くむかつくなw
ユーノでもヴァイスでもそうだけどw

134 名無しさん@魔法少女 :2013/01/03(木) 19:41:58 ID:l8g2Ebz6
ふと思ったのですが、
なのはがシュテルが入れ替わっていたというのなら、
ユーノと話していたのはどっちなのだろうか

135 名無しさん@魔法少女 :2013/01/03(木) 23:25:58 ID:Xs/EJamA
>>126
実にGJ

136 名無しさん@魔法少女 :2013/01/04(金) 00:03:46 ID:0RuI3jfw
これはいい・・・ああ、うん、いい・・・すごく

上手く言葉に出来ないんだが理知的なクロノくんの闇を引きずり出すのが素晴らしい

137 SandyBridge ◆UKXyqFnokA :2013/01/04(金) 05:40:42 ID:4Jxy1px6
どうもおはようございます

はやくえろシーンがでてくるまですすみたいーとばかりに16話をかきあげました
今回も引き続きはやてちゃんのおうちで、えろはちょっとおやすみです

クロアイの精神を広めてゆきたい(・∀・)

闇と時と本の旅人 16話です

138 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/04(金) 05:41:36 ID:4Jxy1px6
■ 16





 自室に戻った八神はやては、車椅子からベッドに乗り移り、座ったままため息をついてから、枕もとの時計を手にとって改めて現在時刻を確かめた。
 闇の書の起動と、突然の異世界人の訪問は、はやての意識をすっかり覚醒させていた。

 紙と革でできているはずの本が、自力で浮遊し移動し光を放つという現象。
 あらためて目にすると、現実離れした異常な光景である。
 ヴォルケンリッターたちも、出現した瞬間そのものははやては目撃していない。気づいたら目の前にいて、しかもすぐに気を失ったので、はっきりとは覚えていない。
 しかしよく考えてみれば、彼らは人工生命体である以上、通常の人間のように母親の胎内から生まれるのではなく、魔法の力で空間に最初から現在の姿を持って生成されるのである。
 どのような原理と技術でそれが可能なのだろうか。人体は、骨と肉でできている。カルシウムや、タンパク質、炭素や水素、窒素などが主成分のはずである。それらの元素はどこから調達するのか。
 それとも、見た目は人間でも違う材料からできているのか。
 魔法で、とはいうが、あらためて考えると、はやての頭ではとても想像しきれず気が遠くなってしまう。
 図書館で今度、生物学や物理学の本を探してみようか、とも連想した。

「次元世界……って、ゆうとったよね」

 うろ覚えだがヴォルケンリッターたちもそのようなことを言っていた気がする。
 確か、ベルカ、という名前だった。
 思えばいかにも外国人のような──少なくとも日本人には見えない──風体なのに、最初から言葉が通じた。それはともかくとして、あの銀髪の女性が言っていたミッドチルダという世界では、魔法があるということなのだろう。
 おそらくその世界に闇の書が出かけて行って、あの二人を連れてきたのだ。

 外はまだ暗い。時計の針は、午前3時45分を少し過ぎたあたりを指している。
 これから、もう一度床に就いたら、もしかしたら明日の朝は寝過ごしてしまうかもしれない。
 それ以前に、先ほどの出来事の驚きが大きすぎて、眠れそうにない。やけに目がさえてしまっている。

「なんやろ……あのひとのこと、初めて見たんやない気がする……?」

 そういえば名前を聞くのを忘れた。言葉が通じるかどうかも分からなかったし、おそらく向こうが配慮して日本語を使ってくれたが、こちらからいろいろ尋ねることはできなかった。
 あの少年は大丈夫だろうか、とはやては思案を巡らせる。
 ザフィーラとシグナムに、隣の空き部屋にベッドの用意をするように言って、はやてはヴィータを宥めながら2階に戻った。

 ドアをノックする音がして、はやては入ってええよ、と返事をした。

「はやてちゃん……」

139 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/04(金) 05:42:10 ID:4Jxy1px6
 現れたのは、湖の騎士シャマル。先ほどのクロノたちとの応対では出てこなかったが、念のため、家の外を警戒していた。
 深夜なので、物音をたてないよう静かにドアを閉める。

「シャマル、どないしたん?」

「さっき来た二人のことだけど」

 シャマルは神妙な表情を見せている。はやての前では、穏やかな大人のお姉さんといった印象の表情をするようにしているが、彼女とて古代ベルカ時代から戦い続けてきた守護騎士だ。
 昨日の夕食の時までは、普段どおりだった。でも今は、今のはやてには、シャマルのわずかな顔立ちの違いがわかるような気がする。
 血の匂いを感じさせる、いくさびとの表情になっている。

「ミッドチルダから来た……と、言っていたのよね」

「う、うん……あの銀色の長い髪の女の人、歳はたぶんシャマルよりちょい上くらいやとおもうけど……」

「はやてちゃん、前に少し言ったと思うんだけど、わたしたちが生まれたベルカと、ミッドチルダは、それぞれ──“次元世界”というところの、国の名前なの。
大昔の戦争で、ベルカが滅んで、その後、ミッドチルダが次元世界を統一したのが……およそ、70年前」

「敵の国なん?」

 おそるおそる問うはやてに、シャマルはあわてて首を横に振る。

「ううん、今は、ミッドチルダが次元世界の中心という感じで、人々は平和に暮らしているはずだわ。今は、管理局という組織が、次元世界ごとの仲立ちをして、戦争が起きないように守っているし──」

「管理局──国連、みたいなもんやろか?」

 ヴォルケンリッターたちは地球における国家の仕組みには知識が乏しい。はやても特に説明しなかったしする必要もないと思っていた。
 はやての理解はおおむね早かった。次元世界は、地球でいう惑星ひとつがひとつの世界をあらわし、いくつもの世界が国家連合を作っている。その中で最も大きな国がミッドチルダという。
 シャマルたちの生まれた世界であるベルカは、数百年前に滅亡し、生き残った人々は少数民族としてミッドチルダの辺境地域に暮らしている。

「冒険SFみたいやね」

 とはいえ、闇の書が強力な魔法を実際に持っていることは現実であり事実だ。それは認める必要がある。
 たとえば、宇宙人のUFOは光線で人間を空中に持ち上げてさらったり、という体験談が語られることがあるがこれは飛行魔法やバインド魔法の応用かもしれない。

 そして実際に闇の書は、何万光年離れているのか知らないがそのミッドチルダから地球まで、二人の人間をさらってきてしまった。

140 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/04(金) 05:42:48 ID:4Jxy1px6
「ほんに困った子やなあ……」

「ごめんなさいね」

「ううん、シャマルがあやまることやないよ。闇の書は、きっとなんかやりたいことが、あったんやとおもうから」

「……そう、ね……」

 はやての言葉に、シャマルはわずかに返事が遅れた。
 闇の書がやりたいこと。それは唯一つしかない。

 リンカーコアを蒐集し、ページを埋め、覚醒することである。闇の書は、人間の魔導師のリンカーコアから魔力と魔法術式を読み取ることによってデータを蓄積し、それが規定の容量を達成することで戦闘モードでの起動が可能になる。
 現在、闇の書はすでに480ページを埋めており、闇の書が自身でミッドチルダに移動できたのもこれによると思われた。
 次元間航行魔法を入手し、蒐集行使によって使用することができる。

 そして、闇の書が連れてきたという少年と女性──女性の方は、シャマルたちにとってはよく、とてもよく──見覚えのある姿だった。

 彼らを休ませている部屋のベッドメイクを終えたシグナムと、はやての部屋に来る前に話した。
 少年の方は、時空管理局の局員、そしておそらくかなり高い階級の執務官である。
 女性の方は、シグナムたちの記憶が確かならば──、闇の書の、管制人格、本の旅人である。
 闇の書の守護騎士たちは固有の名前を持っている。シグナムは烈火の将、シャマルは風の癒し手、ヴィータは鉄槌の騎士、ザフィーラは盾の守護獣。
 これはベルカ時代の古風な雅名とでもいうような表現方法で、シグナムやシャマルというのははやてがつけた名前だ。
 同様に、闇の書の管制人格は、本の旅人という名前を持っている。ただし、あの少年とのやりとりでは、「アインス」と呼ばれていた。少年の名前は、クロノ。ファミリーネームは不明だ。
 アインス、という名前。ベルカ語の人名として、全く使われないわけではないが珍しい。大抵は、アインシュタイン(Einstein)、アインハルト(Einhard)など、他の単語と組み合わせられる。アインス(Eins)だけだと、数字の1、という意味になる。
 偽名だろうか。彼女と、少年は、その身なりはほぼ間違いなく管理局員である。
 はやてに、闇の書の主に危険が迫っていることをシャマルは危惧する。

「……ねえはやてちゃん、今夜は、私も一緒に寝るわ。はやてちゃんも突然のことでびっくりしたでしょうし」

 もし。シャマルが危惧する最悪のケースとは、守護騎士である自分たちの気づかないうちに、闇の書がハッキングを受け制御が乗っ取られていることである。
 はやてを守らなくてはならない。シグナムは、あの銀髪の女は確かに本の旅人だと言っていた。しかし、もし本当に彼女が闇の書の管制人格であるならば、主であるはやてを前にしてなんの行動もしないというのはおかしい。
 彼女が既に、管理局の手に堕ちている可能性──シャマルはその可能性を考えた。

 シグナムは今夜の蒐集を中止し、リビングで警戒を続けている。

「うん。ありがと、シャマル」

 はやては微笑み、毛布をあけてシャマルを招き入れた。
 すでにパジャマに着替えていたシャマルは静かにベッドに入り、身体を横たえる。はやてはいつものように、シャマルの胸に顔を寄せてきた。
 健気で、気丈なようでいて、それでいて儚い、闇の書の主。
 これまでにも年若い主はいた、しかし、はやては本当に優しく強い。
 はやての幸せを願う、その気持ちをどうか、本の旅人が失っていないことを祈る。

141 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/04(金) 05:43:20 ID:4Jxy1px6
 




 クロノたちに割り当てられた部屋は、ベッドはダブルサイズだったので、クロノが落ち着いてからアインスも上着を脱ぎ、一緒にベッドに入った。
 一緒に寝たことは何度もあるが、今回は他人の家に上がらせてもらっている状態なので、やや緊張する。
 管理局の制服のままで寝巻きを持ってきていないので、クロノはとりあえず上着を脱いでシャツだけになり、下はズボンを履いたままに、アインスは上着とスカートを脱いでブラウスだけになった。
 月明かりに、アインスのよく肉の張った太ももが青く浮かび上がる。

 季節は冬、空調と保温を考慮された住宅の屋内とはいえ、アインスが寒くないように、クロノは毛布を深くかけなおし、アインスの身体を抱き寄せた。
 心なしか、アインスの表情が潤んでいるように見える。

「大丈夫です、アインスさん」

 男として、彼女を愛したい。自分には話せないつらいことがあるかもしれなくて、それを自分が追及するのは彼女にとって苦痛かもしれないけれど、それでもできる限りのことをしてあげたい。

「クロノ、私は……」

「今は眠りましょう。明日、朝になってから、あの子──八神はやてにあらためて挨拶をして、それから──本局に連絡を取りましょう」

 今だけは。今だけは、つらいこと、苦しいことを忘れたい。
 眉根を寄せ、何かを堪えているような表情のアインスに、クロノはそっと口付ける。
 顔の位置を合わせると、クロノのつま先はアインスの脛あたりにくる。アインスは身体をやや丸めているので、太ももの間あたりにクロノの膝を挟む格好になる。
 小さなクロノの身体、しかし、それは彼が弱いということではない、男として、確かに強さを持っている。

「闇の書が本当に動き出して、また闇の書事件が起きるのなら、あの子も、救わなくてはなりません」

 しっかりと向き合い、仄かな月明かりの蒼い空気の中、アインスの目尻に大粒の涙が浮かんだ。

「アインスさん」

「すまない……お前の力になれなくて」

「……アインスさん、僕は……あなたと初めて出会った時とは──少し、考えが変わりました。
確かに僕は管理局員として、法律を運用する立場にありますが……それにまったく縛られていてもいけない、ということです。
──もし、アインスさんを苦しめるものがいたら、僕はアインスさんを助けることを第一にします。他にどんな障害があってもそれをはねのけます」

「クロノ……しかしそれでは、お前や、お前の家族はどうするんだ──?私だけが消えるのならいい、しかしお前が消えたら、悲しむ人がたくさんいる」

 アインスを抱きしめる手のひらに、震える身体の拍動を感じる。声が、怖れを含んでわずかに途切れるのが、背中に伝わる肺の震えとして感じる。
 クロノは何度も繰り返し、アインスの背中を撫で、安心させるように愛撫する。

「私は……独りなんだ。私には、家族はいない、私は、誰にもかかわりを持っていない……グレアム提督も、クライド艦長も、所詮は管理局という職場の中での同僚というだけだった……
私が死んでも私を弔ってくれる者などいない、私がいなくなっても誰も悲しむ者はいない……
──だから、私は……お前に最初に出会った時、言った通りに……お前に逮捕されて、処刑されてしまうかもしれない、そうなっても私は悔いはない……お前と結ばれることは許されないんだ」

142 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/04(金) 05:44:02 ID:4Jxy1px6
「違いますよ」

 静かにアインスの言葉を遮る。浮ついて、焦点が定まらなくなっていた瞳がきゅっと絞られ、アインスの肩が震えあがったのがわかる。
 シーツにぽたぽたとしずくが落ちて、染みをつくりつつある涙を、クロノは顔を近づけ、そっと腕を毛布から抜いて、指先で拭う。

「確かに僕は管理局員です、執務官です。でも法律は絶対じゃない、法律を作るのは人間なんです。そして人間は、自分で自分を作り替えることができるんです。
未来のために、これから生きていくために、僕は、アインスさんを助けたいんです」

「う……あ、クロノ……でも、私は……」

「僕が願うのは、自分の気持ちに整理をつけることです。けして、闇の書を叩き壊してそれでせいせいした、というような解決の仕方をするつもりは全くありません。
そんなことをしても、天国の父さんが喜ぶはずは……すみません、陳腐な言い方ですね。とにかく、僕は僕の意志で、アインスさんを助けたいと思っているんです。
これは僕の本当の気持ちです。もし闇の書のせいでアインスさんが苦しんでいるのなら、それを救うことも、闇の書事件の解決方法のひとつです」

 抱き合っている距離をいったん離し、腕を動かすスペースを空けてから、アインスは右腕を毛布から抜いて、腕で顔を拭った。
 涙でくしゃくしゃに濡れ、崩れているだろう表情を、クロノに見られることがまた悲しい。
 クロノに、自分の弱い姿が見られてしまうことが情けない。自分は、何もできない。ただ図体が無駄に大きいだけで、頭の中は、心の年齢は駄々をこねている子供と同じだ。
 そう思うとますます涙があふれて止まらない。

 あまり声を上げてしまうと、はやてたちに聞こえてしまう。夜遅い時間だし、大きな物音はたてられない。
 クロノはベッドの上で身体の姿勢を仰向けから横向きになおし、アインスと抱き合えるようにする。

「来てください……」

「クロノ……」

 腕を掲げ、アインスを抱き寄せる。クロノの胸に、アインスが抱かれる。アインスを抱きしめる。自分よりもずっと大きな大人の女性を抱く。
 精いっぱいの慈しみを持って。
 たとえ彼女にどんな身の上があろうとも、クロノはアインスを愛する。
 その意志を貫き通そうとしたとき、管理局員という身分が足枷になるならば──、そのときは、自分の命をアインスに委ねよう。
 一蓮托生、アインスがきっと願っているであろう、クロノと共に生きることを、自分も願う。

「今の管理局の部隊で使われている“先代の主”という呼び名は正確ではない……彼の後、もう一人、闇の書の主に選ばれた人間がいた……それが、クライド提督だった……」

 クロノの胸の中で、アインスは言葉を絞り出す。
 最初に会った日、あの霧雨の舞っていた橋の上で、一緒に傘をさして川の水面を見ながら聞いた言葉。
 闇の書が破壊されるよりも先に主が死んだ場合、闇の書はその場で即座に新たな主を探す。

 11年前、闇の書の主に選ばれたのは、クライド・ハラオウン管理局提督その人であった。

「私は、クライド提督を救えなかった……」

「父さんは闇の書を……どう、しようとしていたんですか?主に一時的にでもなっていたのなら、さまざまなことがわかったはずです」

143 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/04(金) 05:44:38 ID:4Jxy1px6
 クロノの推理。たとえ自分の父親であっても、危急のときであっても、それは理性を失っていい理由にはならない。
 父がどんな気持ちでいたか、それを知りたいのだ。もし父が闇の書の主に選ばれたのなら、息子である自分も、闇の書の主に選ばれるとはどのようなことなのかを理解できるかもしれない。
 そうすれば、あの少女を、八神はやてを救える方法が見つかるかもしれない。

「……アインスさん……」

 唇がふるえているのがわかる。言葉に出すことが恐ろしくて、悲しい。
 きっと父に恋していた。アインスは、クライドを愛していた。たとえ既婚者で、家庭を持っていたとしても、その頃の彼女にとってはエスティアの艦内だけが彼との世界のすべてだった。

 再びクロノの胸に顔を埋め、嗚咽を漏らすアインスを、クロノは腕いっぱいに優しく抱いた。

 アインスがなぜ、話すことをためらっているのか、クロノは考える。自分に話すことができない理由、教えることができない理由。それを口に出せば、自分に嫌われてしまうかもしれないという恐怖。
 それを口に出すことは、自分への裏切りであるかもしれないという恐怖。これを話したら、クロノを裏切ってしまう。
 アインスはそう考えているのかもしれないとクロノは思った。

「アインスさん、僕は……どんなことがあっても、アインスさんを受け入れます」

 そう口に出すこと自体にも、クロノにも不安はある。いくら覚悟していても、自分の予想外のことを打ち明けられるかもしれなくて、そうしたら自分はショックを受けるかもしれない。
 だけど、それでアインスのことを知らないままでいる、知ろうとしないままでいることは、これもまたアインスに対する裏切りであるとクロノは考えていた。
 クロノが考えうる最悪の事態、エスティア乗組員に総員退艦が下命されたとき、クライドを見捨ててしまったのだという事実──それが事実としてあったかはともかくアインスはそう認識しているのかもしれない。
 父親を見捨てておいて、その息子にのうのうと近づく、それは糾弾されることだ。
 自分が、アインスを嫌いになってしまうことが怖いのだ──そうクロノは思った。
 だから、どんなことがあってもアインスを嫌わないと約束する。そう言葉に出して、アインスを安心させる。

 アインスが打ち明けなければならないこと、それはほかでもない自分が闇の書であるということだ。
 管制人格、という部品ではあるが、それはあくまでも闇の書内部でのプログラムの分類なので、外から見たときにはその区別はあまり意味をなさない。
 自分がクライドを殺したようなものだ。闇の書の暴走は、管制プログラムである自分に責任がある。
 クライドを、守りたかった。
 守らなければならなかった。クライドを、死なせてしまったのは自分の責任だ。

 クロノにとって、もはや感情の大部分を占めているのはアインスを愛したいという想いだった。家族、両親、幼馴染、それらは心の中で薄れていく。
 本局で仕事をして、自宅に帰った夜と、無限書庫に泊まった夜と、どちらが多いだろう。
 自宅に帰っても、夕食の時間は過ぎていたし、リンディやエイミィとも言葉を交わさなかった夜のほうが多かった。
 もしアインスが、かつての闇の書事件の時にクライドとの間に何を経験していたとしても、自分は受け止めなければならないとクロノは思っていた。泣いている彼女を見るとその思いは強まっていく。

 闇の書が直接にクライドを殺したのではない。クライドは、闇の書の真実を知り、そしてその真実と、人類の平和とを秤にかけて、そのまま生きていくこともできたはずだが、それでもなお自らの消滅を願った。
 自分が生きていたら、それは人類の破滅をもたらす。

144 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/04(金) 05:45:46 ID:4Jxy1px6
 アインスが言う、クライドを救えなかった、というのは、すなわち闇の書の真実に耐えられなかったということである。

「父さんのことを、本当に……大切に思っていたんですね」

「……うん……」

 小さく、子供のようにか弱い声。アインスを、助けたい。それは、心の重荷を取り除くことである。アインスを苦しめている罪の意識を取り除いてやることだ。
 そしてそれができるのは自分しかいないと、クロノは思っていた。

 クロノの腕の中で、アインスは涙を流して言葉を振り絞る。喉が詰まるような呻きと、ぎゅっと縮こまった肩。クロノの胸にすがりついている。

「止めたんだ、止めようとしたんだ……でも止められなかった、クライドは、自らも道連れに闇の書を」

 アインスの声が一段と悲痛さを増し、クロノが抱く力をわずかに強めたとき、アインスの身体の向こう、部屋の壁の向こう側に、巨大な魔力が発生したのが感じ取れた。
 クロノはとっさに身体を起こし、アインスも言葉を途切れさせる。
 強大な魔力反応だ。待機状態にしていたS2Uと、アインスの持ってきていたブレスレット型デバイスがそれぞれに警告アラームを発している。

 この付近にあるもので、魔力を発することのできる装置はひとつしかない。

「闇の書──!」

 魔力反応の源が移動しているのをクロノは感じ取った。魔力光は可視光線領域以外にも全波長領域にわたる電磁波を放出するため、たとえ遮蔽物の向こうでも感覚の鋭い人間なら感知できる。
 さらに空振が起き、窓ガラスがチリチリと震える音が聞こえた。

「はやてさんが──!」

 クロノはベッドから飛び降り、S2Uを手に取った。もし闇の書が戦闘モードで起動したのなら、なんらかの脅威が迫っていることが予想される。
 自分たち以外の管理局部隊が独自に──あるいはグレアムやリンディの命令を受けて──やってきたか、それとも、別に闇の書と戦っている勢力や、野生の魔法生物が引き寄せられてきたか。
 どちらにしても市街地である。民間人への被害を避けなければならない。

「クロノ、こっちに来る──!」

 アインスが声を上げ、部屋のドアが開いた。ドアの向こうから漏れ出す魔力光が上下に移動している。
 闇の書が浮遊して、自らドアノブを押してドアを開けた。
 闇の書はゆっくりと、表紙の金十字をこちらへ向けて、クロノとアインスに向かって空中を進んでくる。

「ちょっ、ま、待つんや!止まるんや、闇の書!」

「はやてちゃん!」

 車椅子に乗り移る暇もなかったのか、床を這いずってはやてが、それからシャマルが走って後を追ってきた。明らかに強い魔力を放っている闇の書に、二人も手出しできない。
 闇の書はさらにクロノに向かって移動し、距離およそ1.5ヤードまで接近した。

145 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/04(金) 05:46:27 ID:4Jxy1px6
 S2Uはまだ待機状態にしている。この場でデバイスを戦闘モードに切り替えれば室内の破損は免れない。

「どうしてや!あかんって、こんなとこで、ん、わっ!!」

 手のひらでフローリングの床をつかみ、這ってきたはやてはすがるように空中の闇の書に腕を伸ばす。
 はやての手が触れた途端、闇の書はシールド魔法を展開させ、本の表紙をつかもうとする動きをしていたはやての手がぶつかった。
 シールド魔法が展開する防壁は、壁面そのものは透明で実際に目に見えているのは魔法陣が放つ魔力光のため、魔法の感覚を持っていなかったはやては何もない空中のつもりで勢いよく手を突き出し、シールドにもろにぶつかってしまった。

「はやてちゃん、いけない!」

「あたっ……!」

 シールドにぶつかって虚を突かれたはやてがしりもちをつき、シャマルがあわてて背中を押さえる。ザフィーラとシグナムも駆け付けたが、この間合いでは攻撃できない。

「くっ──うあっ、あああっ、うわあああああっっ!!」

 クロノの斜め後ろで、アインスは床に取り落としていた自分のデバイスを掴み、起動させた。
 間髪を入れず闇の書がそれに反応する。ばっと音を立ててページを開き、拘束魔法の術式を起動させる。
 闇の書自身の詠唱動作は本を開いてから使う魔法が記録されているページを検索し、さらに行と桁にカーソルを合わせる動作が入るため、詠唱開始から発射までのタイムラグが比較的大きいが、アインスの持っているデバイスも携行型としては起動速度が遅かった。
 右腕に装着したブレスレットが紫色の触手を空間に形成すると同時に、闇の書のページ上に展開された魔法陣から黒色のリングバインドが放たれた。

「うがッ……くっ……!!」

 リングバインドはアインスの右手首のあたりに命中し、腕を空中に固定して押さえ込んだ。

 みしり、と骨がきしむ嫌な音をクロノは聞いた。バインド魔法は、通常は警察や法執行機関において被疑者捕縛用として使われるが、出力を上げていけば文字通り人間を絞め殺すことも原理としては可能である。

「アインスさん!くそっ、闇の書が自分で!?──っ、は、はやてさん!今、魔法の制御は……」

 クロノはとっさに叫んだ言葉がミッドチルダ語になってしまった。かぶりを振り、思考を切り替え、日本語ではやての名前を呼ぶ。

「どっ、どうしようシャマル、これ、どうにか止まらんの!?このままじゃ……」

 シャマルも困惑している。闇の書が、アインスを攻撃している。リングバインドはさらに張力を高め、魔力光の向こう側でアインスの手首を締め付けている。

「くっ……クロノ、離れろ……!は、やて、さん……離れて、ください……!!」

「主、下がってください!ここはわれわれが!」

「シグナム気を付けて!」

 駆けつけてきたシグナムがレヴァンティンを起動させ、シュベルトフォルムで構える。
 闇の書の突然の行動に、守護騎士たちは動揺を隠せない。仲間であるはずの闇の書が、自分たちのいうことをきかない状態。闇の書の主であるはやての命令をすら、闇の書は無視しているように見える。
 ザフィーラとシグナムは念話回線による闇の書の制御回路への介入を試みていたが、アクセスは受け入れられず、権限が不足しているという意味のエラーが返された。

146 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/04(金) 05:47:07 ID:4Jxy1px6
 レヴァンティンはもともと、刀剣型アームドデバイスの中でも地球でいうファルシオンに近い特性を持ち、刃よりもその重量による打撃が攻撃力の多くを占め、手元での細かい制御がしにくい。
 どちらにしても室内では、他のモードは使えない。このまま振りかぶって闇の書を叩き落とすしかない。

「がッ……く、この……Wachter der Rache, wahr freiheit……!!」

 リングバインドで拘束されたまま、アインスはデバイスへ術式詠唱トリガーを打ち込む。
 ブレスレットから生えた触手が4本に増え、バインドの圧力を振り切って押し返し始める。闇の書は魔法陣を拡大するが、バインドの出力が一定以上に上がらないらしく魔法陣の直径が1メートルほどになったところで止まった。

 広がる触手は半透明で、部屋の壁や天井に濃い紫色の影を投げている。
 アインスの右腕から放たれる触手がうなりをあげて闇の書に殺到し、展開されたシールドを貫いて、本を四方から串刺しにした。
 後ろ上方からの触手が背表紙を砕き、下前方からの触手が中紙を払いのけ、革の表紙を貫通して固定する。
 砕けたシールドが魔力残滓を散らし、急速に魔力反応が弱まるのをS2Uのセンサーが観測した。

 はやてとシャマルが目を見開いて息をのみ、シグナムは慎重にレヴァンティンを構える。直後、リングバインドが砕け、アインスの右腕が解放された。
 触手は闇の書をがっちりと捕まえたまま、床へ押さえつける。
 闇の書はしばらくの間、触手に逆らって浮上を試みていたが、やがて数秒して、あきらめたように魔力光を停止した。

 部屋は、再び静寂に包まれた。

 闇の書が完全に停止したことを確かめ、アインスはゆっくりと触手を引き抜く。クラナガン上空の時のように、捕まえられたまま抜けなくなることはなかった。
 4本の触手は再びアインスの右腕のブレスレットに戻り、手甲部分に埋め込まれたクリスタルに格納された。

 背中から倒れかかったアインスをクロノが支え、抱き起こす。

 はやてはおそるおそる、床に落ちた闇の書に近づいた。シグナムはレヴァンティンの切っ先を闇の書に向けて警戒する。

「止まっ……たん……?」

 闇の書は表紙を上にして、真ん中あたりのページを開いた状態で床に伏している。
 背表紙の上端は破けて糊が露出しており、表と裏それぞれの表紙はほぼ中央に穴が開いて、革がちぎれたように延びている。表紙の材質は薄い銅板をボール紙と革で覆っており強度を持たせているようにみられた。

「アインスさん、大丈夫ですか!?」

 駆け寄ったクロノは、アインスの右手をとった。バインドで締め付けられた手首は内出血を起こしていたが、骨へのダメージはなんとか避けられたようだった。腱や靭帯が傷んでいないかどうかを、指を当てて確かめる。

 手を伸ばそうとするはやてを制し、シグナムがまず闇の書に触れて安全を確かめる。
 少なくとも自分たち守護騎士が生きているということは、書が完全に破壊されたわけではないということだ。

147 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/04(金) 05:47:40 ID:4Jxy1px6
「闇の書は……コアを叩いた、か……」

「シグナム、どういうことなの?」

「内部の──魔術回路のみを切断された状態だ。意識はあるが、魔法の行使だけができない状態だ──」

「──わたし、たちは」

「守護騎士システムそのものはダメージはない。闇の書自身が魔法を使う機能だけが停止された」

 シグナムの言葉に、シャマルは慎重に、はやてとアインスとクロノとを交互に見やっている。
 これほど的確な攻撃をできるとは、何者だ。やはりこの銀髪の女は、闇の書の管制人格、本の旅人。でなければ、闇の書のほかの部分にダメージを与えずに魔法だけを止めるなどできるはずがない。

「Starten Besserung」

 続けて打ち込まれたアインスの詠唱トリガーに、闇の書の破損部分に再び黒色の魔力光が灯る。

 通常のデバイスコールドブート手続きが開始され、あらかじめ設定されたBIOSコンフィギュレーションに基づいてシステムチェックが行われる。
 魔法陣に浮かび上がったベルカ語のメッセージから、魔術回路の破損を認識して標準出力回路へ切り替えたことがシャマルには読み取れた。
 闇の書の、デバイスとしての構造をも理解して攻撃ポイントを絞ったということである。
 あの触手型デバイスによって破壊したのはあくまでも筐体たる紙のページであり、内部に格納されていた、蒐集済みのリンカーコアや術式のデータは無傷である。破損個所のスキャンが始まり、エラー未検出、ベリファイ完了という結果が出力された。

 すべての起動処理が終わり、闇の書は通常稼動状態になって魔力光をアイドリングさせている。

 はやてはそっと、闇の書を持ち上げる。
 ページには、何かわからない文字──ベルカ語、というらしい──が印刷されており、ほのかに蛍光を放っている。
 もう、シールド魔法は展開されていないようで触っても大丈夫だ。さっき手を伸ばしてシールドにぶつかったときに手首をすこしくじいたらしく、曲げようとすると若干痛みがあるが、湿布を貼っていればすぐ回復しそうだ。

「──貴女は、何者だ」

「シグナム──?」

 レヴァンティンを鞘に収めず、そのままアインスに向ける。クロノはとっさにアインスの前に腕をかざし、かばう姿勢を取る。

「少年よ──きさま、この女が何者かわかっているのか」

「ちょ、し、シグナム!?なにするん!?」

「主は黙っていてください!この男は、危険です」

「い、いきなりなにをいいだすんや!?このひとらは闇の書に連れてこられて……」

 レヴァンティンの刀身が、月明かりを浴びて青白く輝いている。
 デバイスを待機状態から起動状態に切り替えただけであり、魔力付与はしていないが、それでもアームドデバイスはその筐体自体が武器になる。刀剣としての打撃能力、切断能力を持っている。

 クロノも待機状態のS2Uを持ったまま、これを起動させるか思考を巡らせる。ここでデバイスを起動すれば、それは交戦の意思があると取られるだろう。
 しかし、このシグナムという女が、明らかにアインスに敵意を向けていることが見て取れる。
 管理局員だと気付かれたのか。だとして、こちらから名乗るか、それとも。

148 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/04(金) 05:48:37 ID:4Jxy1px6
「クロノ──」

 意を決し、クロノはS2Uを床に置いた。デバイスを手放すということは、魔法を撃てなくなるということだ。それは武器を捨て、丸腰であることを示すということだ。

「おまえ──っ、やっぱり、あたしの思ってた通りだ!はやてには近づけさせねえ!はやてはあたしたちが守るんだ!」

 シグナムの後ろで、遅れてやってきたヴィータもウォーハンマー型のデバイスを構えている。
 クロノは膝をついて身体を起こし、アインスをかばう位置で、シグナムの前に立って、両手を挙げた。
 これは次元世界でも、降伏の意思を示す。シグナムは油断なくクロノの眼前にレヴァンティンを突きつける。

「管理局──の人間だな」

 シグナムの言葉の方が早かった。クロノは何とかこらえたが、背後で、アインスが狼狽える表情を見せたのがわかった。
 これでもう言い逃れはできない。
 事情がどうあれ、管理局が闇の書に対峙する──その目的を、彼らヴォルケンリッターは自分たちの推測を疑いはしないだろう。

「く、クロノ……わたし、は……」

「やめえや!!」

 アインスの震える言葉と、はやての怒りと悲しみが混じった言葉がほぼ同時に響いた。クロノは心臓がすくむ感覚を味わい、シャマルが困惑の表情を、ヴィータが驚愕の表情を浮かべている。

「シグナム、剣をしまえ!」

「しかし、主」

「しまえゆうとるんや!!わたしのいうことがきけんのか!!なんで、なんでいきなり剣だして、こんな乱暴して、なんでなんや!!
あやまれ!!シグナム、クロノさんにあやまれ!!」

「主──っ」

 はやては泣いていた。何も事情を知らない、愚かな人間の子供であっても、守護騎士は闇の書の主に逆らえない。
 車椅子を部屋に置いてきてしまったので、はやては腕を使って身体を動かし、足を横に折って、クロノの前に手をついた。

149 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/04(金) 05:49:26 ID:4Jxy1px6
「ほんまに、もうしわけありませんでした……みんな、私が悪いことです……」

 ヴィータももはや詰問できなかった。およそ半年弱の間、この八神家で共に暮らしてきて、はやてがここまで激昂したことなど初めてだった。
 いつも、9歳とは思えないほど落ち着いた、優しい振る舞いをしていたはやてが、怒声を張り上げてシグナムを叱った。

 シグナムは、レヴァンティンを待機状態に戻し、そのまま放り投げるように床に落とした。
 部屋の外の廊下でヴィータも、ザフィーラに促されてグラーフアイゼンを待機状態に戻した。

 頭を下げ──ミッドチルダではその作法がないが、日本でいうところの土下座である──じっと恭順の意思を示しているはやてに、クロノは膝をついて身体をかがめ、両手を挙げた状態のまま、そっと語りかけた。

「こちらこそ、事情を説明せずにすみませんでした──彼女の、シグナムさんの言うとおり、僕らは、管理局という組織の人間です。
ミッドチルダという世界に、闇の書が現れ、戦闘になりました。その最中に、闇の書によって、ここへ飛ばされてきたのです」

 今夜、この部屋のベッドで眠りについた時よりも、クロノの感情はずっと落ち着いている。
 恐怖と待望。待ち望んでいたはずの、それはしかし不安。
 アインスの求めていた想いが──それは心を塗り替えていくものかもしれない──自分の胸の中に確かに生まれているのをクロノは感じていた。

「クロノ──だめだ、私たちは──」

「アインスさん──僕も、今ならわかります。アインスさんは、僕のために、闇の書を止めてくれたんですよね。
僕も今、同じ理由で、はやてさんの気持ちがわかります──」

「あ……クロノ」

「僕は、父さんとは違います。父さんの背中を追いかけるだけじゃあ、いずれ足を踏み外して三途の川に落ちてしまいます。
僕は、僕だけの意思を、自分の意思を持って生きていくんです。それは、アインスさんも、同じですよね──
はやてさんに会いたかった。ある意味で、父さんの跡を継いでいる人なんですから。アインスさんのおかげで、僕は自分の本当の気持ちを整理できました。
だからここに来たこともきっと、いいことだったと思っています。はやてさんに会えて、僕はうれしいです」

「は……わ、わたしに、ですか」

 クロノの語った言葉の意味。はやては顔を上げ、きょとんとしている。闇の書を大事に抱え、クロノに向き合っている。
 アインスは、理解した。
 クロノが自分自身を、自分自身に起きていることを自覚した。そしてもう、クロノが引き返せない一歩を踏み出してしまったことに、喜びと安堵に混じった、かすかな悲しみを覚えていた。





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150 SandyBridge ◆UKXyqFnokA :2013/01/04(金) 05:53:58 ID:4Jxy1px6
投下終了です

ドイツ語(ベルカ語)のせりふについてはウムラウトが入力できないので省略しています

クライドかんちょぉぉぉ
アインスさんはパパと息子を親子丼ですかウヒッ
そしてはやてちゃんの激怒は萌えるはやてさんもっとなじってハァハァ

ところでアインスさんのデバイスは防衛プログラムとはいちおう別もののつもりですが
まだ名無しなのでどうしようかな

もしかしたら名前をぼしゅうするかも・・・

じ、次回こそはエロスを!

ではー

151 名無しさん@魔法少女 :2013/01/04(金) 07:24:54 ID:4/yMEOzM
GJ!
クロノくんの心情が丁寧に書かれていて良い
男の子はいつしか家族から気持ちが離れていくものなんだ
クロノはこれで5番目のヴォルケンリッター時の騎士になるのかな

152 名無しさん@魔法少女 :2013/01/05(土) 10:15:36 ID:.imdadXg
泣いちゃうアインスがせつない・・・

153 名無しさん@魔法少女 :2013/01/05(土) 11:07:03 ID:epdtoNzc
ヴォルケンズとの対決…!
管理局の執務官だとばれたクロノにシグナムたちはどう対応するのか
調教ルートか純愛ルートかここが分岐フラグのある場所だ

154 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/01/05(土) 23:05:00 ID:S2XDhQ0c
1/30にユーノ祭を開催します

例によってユーノがメインならエロでもグロでもラブでもなんでも投下していいよ、って感じで。
書き手のみなさまはふるってご参加ください。

155 名無しさん@魔法少女 :2013/01/06(日) 00:52:55 ID:XdQgfXR6
>>154
参加させてもらい「たい」!!間に合うかはわかんないが

156 タピオカ ◆5wQRuTnv6E :2013/01/06(日) 01:11:29 ID:R6zCFAMQ
昔の掲示板見たらここではそもそもトリップ使ってなかった・・・だと・・・
名前変える意味がなかった。まあ、私が私を私だと証明する必要とかないけど。

上でシュテル書く参考にGODやり直した副産物をひとつ
レヴィのオナニー
完全にオリジナルの主人公語り注意
漫画のマテリアル娘的な

157 お隣さん! :2013/01/06(日) 01:16:33 ID:R6zCFAMQ


ぼくには父親がいない。
いや、他界したとかそういうのではなく、単身赴任である。
高校生二年になる時期のことだった。
ぼくには母親がいない。
こっちは他界していた。
そのおかげでぼくが家事を一手に担っていた手前父親も安心して赴任している。
そのせいで、ひとりではどうにも広すぎる一軒家にぽつねんと残されるわけだが寂しさはそう長い時期続かなかった。
おとなりさんができたのだ。
それも両隣。

向かって右隣にはテスタロッサさんが引っ越ししてきた。
えらく気難しそうなプレシアさんという妙齢の女性と、
リニスさんという家事手伝いさんらしい女性が住んでいる。
挨拶に行くとプレシアさんには凍えそうなまなざしで見下ろされたが、リニスさんがその場を取り持ってくれたおかげでその場は凌げた。
それからも、なにかとプレシアさんに朗らかに話しかけて、もあまり反応は芳しくない。

たまにテスタロッサ家から「アリシア…アリシア…」と切々としたか細い声が聞こえて怖い。
あとふたりでしょっちゅう口喧嘩をしているらしいが、リニスさんはそんな様子をおくびにも出さずに溌剌と明るいものだった。


向かって左隣には、小さな女の子が四人住んでいる。
挨拶に行くと威風堂々とした、ディアーチェちゃんなる女の子がずいと前に出てきた。

「うむ、拝謁の栄を許す。我ら紫天の一党を存分にかしずくがよい」
「王の御言葉です。『どうもご丁寧にご挨拶ありがとうございます。近所付き合いよろしくお願いしますね』とのこと」
「言うておらんわ!」

中二病らしいディアーチェちゃんの言葉を、シュテルちゃんが翻訳してくれるのが常である。

さて、この紫天一家であるが、テスタロッサ一家と出会うことでえらいケミカルスパークが起こった。
というのも、紫天一家のレヴィちゃんがプレシアさんの死んでしまった一人娘にそっくりらしい。
そしてその一人娘がアリシアちゃんという名前だった。
夜な夜なプレシアさんは、死んだ一人娘を偲んでいるのだ。
それを聞いてプレシアさんにきゅんときた。

最初にプレシアさんがレヴィちゃんを見た時、幽霊を目の当たりにした悲喜こもごもの悲鳴を上げた。
半狂乱になってしまったプレシアさんをなだめるリニスさんもまた、落ち着いていたわけではなかったのを覚えている。

「世の中には似た人が三人いますし」」

と、後になってぼくはリニスさんに慰めだかなんだか分からない声をかけた。

「それでは三人コンプリートですね」

と、リニスさんは返した。
どうも、プレシアさんの一人娘に妹がいるらしい。
名前はフェイトちゃん。
一人娘なのに妹がいるんですか、と聞くとリニスさんは曖昧に苦笑するだけだった。
そして、実はレヴィちゃんはアリシアちゃんと遠縁にあたるだとかなんとか。
えらい複雑だ。

しかしきっと世の中に似た人間が三人というのは、多分姉妹はカウントされまい。
ならば、アリシアちゃん、フェイトちゃん、レヴィちゃんそれぞれに三人似ている人がいるのだろうか。
つまりレヴィちゃんみたいなかわいい子が合計9人いるというわけである。
ひとりくれと思ったが、アリシアちゃんはすでに他界しているので8人だったので、そんな事を考えるのも不謹慎だと思ってちょっと自己嫌悪に陥った。

158 お隣さん! :2013/01/06(日) 01:17:36 ID:R6zCFAMQ
さて、当のレヴィちゃんであるが、とても奔放だ。
好奇心旺盛の塊のような女の子である。
故に、探検と称してぼくの家に、竜巻のように遊びに来て(勝手に上がりこんで)嵐のように去っていく。
ディアーチェちゃんとシュテルちゃんにたしなめられてもへこたれずに遊びに来るのだ。
たまにテスタロッサ家へも突入しているらしい。

「アリシアー! アリシアー! いやあああああ! フェイト! フェイトーーー!」
「ボクはレヴィ! レヴィ・ザ・スラッシャー!」

と、絶叫と自己紹介が聞こえてくる事がある。
その都度リニスさんに叱られて紫天家に帰されてる。
それをリニスさんは、完全に悪い事ではないと思っている節がある。と、思う。
プレシアさんは、鬱々と引きこもり気質であるので、レヴィちゃんをきっかけに何かしら変化を起こして欲しいらしい。


両隣にご近所さんができてしばらくしてからのことだ。
その日もレヴィちゃんが遊びに来たので、一緒に対戦格闘ゲームをした。
レヴィちゃんはキャラクターを飛んだり跳ねたりさせて戦うのが好きなので、ぼくのガイルをずっと崩せないでいる。
癇癪を起こして床にコントローラを投げ出した。

「分かったよ、もうガイルは使わないから」

と、ザンギエフでレヴィちゃんの甘い間合いを打ち漏らしなく吸い込み続けた。
レヴィちゃんはコントローラをぼくに投げてきた。

後日、シュテルちゃんにもやってみるが、あっという間にぼくは彼女のダルシムに手も足も出なくなってしまった。
パーフェクトゲームを決められたとき、流し目のような勝ち誇ったまなざしと口元に浮かぶ薄い笑みはここ最近のぼく一番の屈辱だった。
上で「私を焼いてえええええ!」とか言ったくせに。平行世界だけど。

ところでレヴィちゃんがぼくの家に遊びに来るのにはわけがある。
エロ本目当てだ。
探検が好きなレヴィちゃんは、もちろんの事ぼくの家を物色しまくっていた。
そこでぼくが隠していたエロ本を発見するという流れは、運命の必然であっただろう。
レヴィちゃんが帰った後、荒らされた部屋の中で唯一きれいなままだったエロ本ゾーンに、ぼくはなんとも言えない気持ちになったものだった。

外で遊ぶのも好き。ゲームで遊ぶのも好き。
そんな少年然としたレヴィちゃんが、エロ本に興味を示さずにはいられるか?
否である。

それからである。
レヴィちゃんが遊びに来てゲームをしている最中なんかに、

「ちょっとコンビニ行ってくる」

なんて適当な理由をつけて出て行った振りをして、エロ本を読みふけるレヴィちゃんを眺めるのが楽しみになってしまっていたのは。

「わ、わ、すごい…こ、こんな…!」

ぼくの部屋で、レヴィちゃんの声。
ベッドの上にちょこんと座って、紙面に食い入っているのを、ぼくはドアの隙間から視姦する。
いや、見守っているだけだ。

ぼくの視界には、レヴィちゃんの背中しか見えないが、その顔が真っ赤で、その胸が早鐘を打っているのはありありと分かる。

「…ここにこんなのが入るのかぁ」

レヴィちゃんがスカートをまくり、ショーツを半脱ぎにしたのが見えた。
本は片手で持っている…今、おそらくもう片方の手で、その幼い女性器を広げているのではないだろうか。
ぼくのベッドの上で。

……、……、……うむ!

159 お隣さん! :2013/01/06(日) 01:18:39 ID:R6zCFAMQ
「おっぱいも、いつかこんなにおっきくなるといいな……」

真剣な様子でエロ本中の大人の女性の胸部に羨望の眼差しを送っているレヴィちゃんの声に、幾分しっとりとしたものが混じる。

そして、下半身だけでなく上半身もレヴィちゃんははだけだした。
あらわになった雪のように白い背に、さらりと長い青髪が零れている様子はどこか非現実的な美麗さがある。
そしてぼくからでは見えない向こう側では、まだまだふくらんでいない胸をきっとレヴィちゃんはいじっているのだろう。

「ぅん…」

自身をまさぐる腕と連動して、耐えるような声が漏れる。
何かを指で弾くたび、背が震えているのが分かる。
無論、胸部で敏感な部分であろう事はもはや言うまでもない。

ちろりと、指をなめる仕草をレヴィちゃんがはさむ。
唾液により円滑に性感帯をなぞる目的だろう。
案の定、レヴィちゃんから漏れる声のトーンが高くなった。

「吸って欲しい…」

ぼくでよければ!

と、心の中だけで返事をする。
胸をいじるだけでは、物足りないのだろうか。
甘くか細くレヴィちゃんがつぶやいて、ぽふりとうつぶせになった。
それでありながら、おしりを浮かせた格好。
ショーツが足にひっかかったまま、丸々として健康的なおしりを突き出すレヴィちゃんの媚態は絶景だった。

それは、ぼくに対して秘所を突き出している格好でもあった。
そしてレヴィちゃんはそろり指を股間に持ってゆく。
ふっくらぷにぷにしているおいしそうな恥丘をマッサジージする動きは、まずはおそるおそる。
それが淫靡ななめらかさを得るには時間をかけなかった。

枕に顔を埋め、うめきながらレヴィちゃんが震えている。
見えないが、きっと胸の突起もいじっているのだろう。
すでにしとどな秘所の愛液が指に絡まり、いよいよいやらしく蠢く指が陰核に触れた。

「ひぅ!」

びくりとおしりがひときわ持ち上がる。
それはまるで指から反射的に逃げるよう。
だが指もおしりもどちらもレヴィちゃんのものだ。
淫らに激しく、中指が陰核を包皮越しに押しなでる。
扇情的なレヴィちゃんの鳴き声が、ぼくの枕にうずめた口から漏れているのが聞こえる。

ひときわ乱暴に中指が動いた。
途端、レヴィちゃんのその身が硬直した。
達したのは明らかだ。
二度、三度レヴィちゃんの身が痙攣してから脱力する。
秘所から滴るしずくは、上手い具合にショーツが受け止めてぼくのベッドはきれいなままである。

それからしばし、ぴくりともしなかったレヴィちゃんがぼくの枕から顔を上げる。
ほうけた顔をしているのか、とろけた顔をしているか、それともぼくたち男性のように賢者の境地にいるのか。

「わ、しまった!」

それからレヴィちゃんが、あわてて枕をひっくり返す。
後で確認したが、よだれがたっぷりしみこんでいたのだ。
噛み跡もあった。
ぼくの枕が宝の価値を付与された。

それから、ほほえましい気持ちで音もなく玄関まで足を運び、ちょっとだけ間を作ってドアを開閉するのがもうパターンとなっている。

…ふと、抜き足差し足で後にするぼくの部屋から、レヴィちゃんの声が聞こえた。

「ゲームだけじゃなくて、この本みたいなことをボクとしてくれないかな…」

ごめんねレヴィちゃん。
ぼくは熟女派で、プレシアさん狙いなんだ。

160 タピオカ ◆5wQRuTnv6E :2013/01/06(日) 01:21:49 ID:R6zCFAMQ
終わりです。
紫BBAと紫天家が隣とか想像しただけで垂涎。
そんな私的な趣向100%

161 名無しさん@魔法少女 :2013/01/06(日) 01:26:28 ID:0hkCZGbg
貴方だったのか……

レヴィ可愛いよ、レヴィ

162 名無しさん@魔法少女 :2013/01/06(日) 11:45:17 ID:T2hROwf6
紫ババアやめれwプレシアかあさんから少女臭がしてしまうw

163 名無しさん@魔法少女 :2013/01/06(日) 13:29:13 ID:SNZlqJMU
処女厨と売れ残り、これいいわ
かなり抜ける

164 名無しさん@魔法少女 :2013/01/06(日) 19:02:23 ID:5PQ2BIb6
熟女派だと自分に言い聞かせて理性を保っているんだな、きっと

165 名無しさん@魔法少女 :2013/01/06(日) 21:05:29 ID:XdQgfXR6
プレシアさんが若返って復活、というネタどっかで見たような…ユーノスレだったかな?

166 名無しさん@魔法少女 :2013/01/06(日) 22:08:36 ID:5PQ2BIb6
風呂入って冷静に考えたが、
レヴィなら覗き見てる気配くらいすでに察知しているに違いない
つまりわざと見せているのでは

167 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/01/11(金) 21:10:38 ID:ZoUTawH2
タピオカさんの筆致は毎度毎度本当に冴えておられる。
読むたびに嫉妬の情を禁じえない。

このような面白い作品の後では気が引けますが、1/30のユーノ祭の前哨戦代わりに投下します。
短編、壊れギャグ、キャラ崩壊、ユーなの、タイトル『如何にして高町なのははユーノ・スクライアと結婚したかについて』

168 如何にして高町なのははユーノ・スクライアと結婚したかについて :2013/01/11(金) 21:11:54 ID:ZoUTawH2
如何にして高町なのははユーノ・スクライアと結婚したかについて


「ねえユーノくん、これはどういう事かな」

「……」

 般若の如き憤怒の顔をした高町なのはは仁王立ち、肉食獣を前にしたフェレットの如く萎縮したユーノ・スクライアは正座していた。
 果たして何事があったのだろうか。
 両者の立ち振る舞いからして、怒る側怒られる側はきっちり分かれていた。
 巨乳を強調するかのように腕を組み、般若のオーラを滲み出すなのはは、視線をユーノの足元に送る。
 そこには数枚の写真が鎮座していた。
 映っているのはヴィヴィオだ。
 学校での画らしく、校舎らしき場所で制服姿であった。
 しかし問題はそこではない。
 ふわりと風に舞うスカートの裾の下にもぐりこみ、あられもない下着を覗いていると思われる不埒者の姿も映っていた。
 それは人の姿ではなかった。
 フェレットだった。

「ねえ、これってユーノくんだよね? そうなんだよね?」

「……」

 沈黙は肯定の表れと言えた。
 つまり彼はフェレット姿となってヴィヴィオのぱんちゅを見ていたというのである。
 いや、そこにある写真は一枚ではない。
 他の写真にはサンクトヒルデ魔法学院における、女子と、その周囲に『たまたま』居るフェレットの姿があった。
 これらの事を別個に完結したものと考える事は理論的に不可能である。
 極めて冷静に、そして客観的に憶測するならば、結論は一つ。

「ねえ、ユーノくん……」

 なのはがユーノを見下ろす視線は、実に冷ややかだった。
 氷のように冷たく、かみそりのように鋭い。
 これから屠殺場に連れて行かれる豚を見るような目だった。
 いや、ユーノくんはフェレットなのだが。
 それはともかく、場をしばし沈黙が支配した。
 重く、全身にのしかかるような空気。
 それを破ったのはユーノだった。

「なのは」

「なに?」

「もう、この際だからはっきり言うよ」

「うん」

「僕はね、僕は……僕は」

 すぅ、と空気を肺へ送り込み、一拍、ユーノは声を大にして叫んだ。

「ロリコンなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 ぉぉぉぉ、と、伸ばされた語尾が部屋に木霊した。
 それは魂の暴露であった。
 ロリコン、ペドフィリア、幼児性愛者。
 呼び方は数多あれど、その意図するところは一つである。
 その種の性癖の持ち主とはつまり、子供に欲情する類の変質者だ。
 そしてユーノもまぎれもなくその一党に属する真性のロリペド野郎だったのだ
 
「つまり、ユーノくんはヴィヴィオに」

「そうだよ。あのかわいい……純真無垢な幼女を見ていたらとても我慢できなくなって……ぱんちゅとかお着替えとかを見につい、昔の変身魔法を使って、ね」

 どこか遠いところを見つめ、ユーノは切々とそう語った。
 まるで掴めぬと知りながら太陽に手を伸ばすイカロスのように悲しく、女子高生の尻をまさぐる痴漢オヤジのように情けなかった。
 
「こんな僕を、軽蔑するかい?」

「ううん、別に」

「……え?」

 意外な答えに、ユーノが声を裏返す。

169 如何にして高町なのははユーノ・スクライアと結婚したかについて :2013/01/11(金) 21:13:08 ID:ZoUTawH2
 当然なのはは自分を罰する為に来ていると考えていたから当たり前だ。
 しかしなのはの二の句はさらに驚くべきものだった。

「ユーノくんがロリコンだっていうのは大体あたりをつけてたから、それほど驚いてはいないんだ」

「ええ!? い、いったいどうして僕がペド趣味だって知ってるんだい!?」

「だってユーノくんの書庫のデータって小さい女の子の写真ばっかじゃない」

「ななな、なんでそのトップシークレットを!」

「教導官の権限を使って」

「ひ、ひどいよ……いったい、どうしてなのはが僕のプライベートをそんな詮索するのさ」

「分からない?」

 ふふ、と蠱惑的に微笑み、なのははユーノに顔を近づけ……そっと頬にキスをした。
 
「うわ!」

 ユーノは驚きのあまり飛びのく。
 そんな彼を見ながら、なのはは微笑んで告げた。

「私、ずっとユーノくんの事が好きだったんだよ? だから、ユーノくんの事色々調べたの。ずっと傍にいるのに、ぜんぜん私に興味ないみたいだから、そしたら案の定そんな趣味で」

「それを知っているなら話が早い。僕は無理だよなのは。僕は……僕はもう成人してBBAになったなのはを愛する事はできないんだ! せめて十二歳までなら!!」

 血涙を流さんばかりの勢いでBBAは嫌だと叫ぶユーノ。
 もはや彼は完全な社会不適合者と呼べるだろう。
 愛するべきは幼女のみなのだ。
 斯様なHENTAIさんを、普通の人間ならば即ポリスへぶちこむところだが、しかしなのははユーノを愛していた。
 愛は盲目、とは言うものの実際なのはも少し彼の性癖には引き気味だったが、愛する者を救いたいという想いはあった。

「もう、ユーノくんったら本当にどうしようもないドロリコンで治療の余地はない不治の病だね」

「病とは失敬な! 若く瑞々しい子に引かれるのは自然の本能と言って欲しいね」

「そういうところが余計に頭おかしいよね。でも安心してユーノくん、私すごく良い解決策を見つけたから」

「か、解決策……?」

 果たしてこの世にロリコンとまっとうな人間社会に折り合いをつけさせる方法などあるのだろうか。
 もしあったとしたらそれは世紀の大発見な気もする。
 なのはは自信満々といった顔ををして、すっと手を上げた。
 指先に仄光る淡いピンクの輝き、魔力の閃光が陣を生み、術式を構築する。
 体を包み込む魔法が、一瞬にしてなのはの姿を変えた。
 ぱぁ、と光り輝きながら現れたのは、先ほどまでよりずっと小さくなったシルエットだった。

「な、ななな、なのはぁ!?」

「ふふ、どうかなユーノくん。似合う?」

 ぱちりと挑発的なウインクをして微笑むなのはの、その姿は幼かった。
 ユーノと初めて出会った時と同じくらいの、九歳ごろの容姿。
 ツインテールに髪を結い、未発達な肢体を白いバリアジャケットに包んだ魔法少女。
 あまりの可愛さにユーノは勃起せざるをえなかった。
 股間の前をぱんぱんにしながらユーノはしりもちをつく。

「か、がわいいいい」

「えへへ、ありがと。おちんちんをびんびんにして感動のあまり涎を垂らしながら言われてもちょっとキモいけどいちおうお礼は言っておくね」

 その顔のあどけない笑顔とは裏腹にずびずば鋭い本音を言うなのは。
 きっとマゾッ気の強い御仁ならばこれだけでご飯三杯はいけるだろう。
 かくいうユーノももろにマゾマゾなのでさらにチンコが大きくなった。
 しかし彼の脳裏に恐るべき想像が過ぎる。

「ねえなのは、ちょっと聞いていいかな」

「なに?」

「もしかして君はその宇宙一素敵な幼女姿で僕を篭絡しようという魂胆じゃぁないだろうね」

「うん、正にその通りだけど」

「NOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!」

 ユーノは叫んだ、それは魂の慟哭であった。

「なんでそんなに拒絶したそうな声を上げるの?」

「当たり前だよ! いいかい? 僕たちロリコンってのはね、真にロリな……正真正銘の幼女が好きなんだ。君みたいに外見だけ魔法で子供になったBBAになびくなんて邪道だよ!!」

「ふぅん、それは難儀な事だね。でもユーノくん」

「な、なんだい?」

「私とエッチしたいよね?」

「〜ッッ!!」

 次の瞬間目にした光景にユーノは思わず我慢汁を溢れさせた。
 あろう事かなのはは純白のバリアジャケットをするりと肌蹴て、その瑞々しい肌を晒したのだ。
 眩い肩口が見せ付けられ、さらには下に着ていた衣装まで。

170 如何にして高町なのははユーノ・スクライアと結婚したかについて :2013/01/11(金) 21:14:00 ID:ZoUTawH2
 それは紺色の水着、いわゆるスク水というやつだった。
   
「きゅきゅきゅ、旧スク水うううううううう!!!」

 血涙を流さんばかりに歓喜の咆哮を上げるユーノ。
 ロリコンにとって幼女とスク水という組み合わせは、前田慶次と松風くらい最強の組み合わせに等しいのだ。
 もちろんなのははそれを知っていてそんな格好をしている。
 
「はは、ユーノくんのちんちんさらにおっきくなってるよ。ほんとヘンタイさんだなぁ。でもいいよ、そのヘンタイなところもまとめて愛してあげるから」

「ぐ、ぐぬぬぬ……」

「我慢しないで、ね? 私のこと好きにしていいよユーノくん」

「い、いやしかし……中身がBBAだし……いくら幼女でも」

「もう、ヘンタイのくせに頑固だなぁ。じゃあ、最終兵器使っちゃうよ」

「さ、最終兵器?」

 ふっと微笑み、なのはは一歩ユーノににじり寄って、そっと唇を開いた。

「私とエッチな事しよ? ユーノ・お・に・い・ちゃん♪」

「〜〜〜〜ッッッ!!!!」

 一語一語を区切るように告げられた、お兄ちゃんという言葉。
 そう、お兄ちゃん。
 お兄ちゃん。
 全宇宙のロリコンにとってロリから言って欲しい言葉ナンバーワンに輝くアルティメットワード。
 しかもCV田村ゆかり。
 純白の魔法少女で。
 これに抗えるロリコンなどこの世に存在しなかった。

「うっひょおおおおおおおおおおおおお!!!!! ウィイリイイイイイイイイイイ!!!!!!!!! もう中身BBAでも関係ねエエエエええええええええ!!!!!!」

 血走った目でとうとう理性をかなぐり捨てたユーノはついでに服もかなぐり捨てて細っこいロリボディへとダイブした。

「きゃぁ〜! いけないお兄ちゃん♪」

 そんな彼に組み伏せられ、なのはの楽しげな悲鳴が響く。
 こうしてユーノはなのはを手に入れた、というか既成事実によりなのはの所有物となるのであった。

 それが事の経緯であった。

171 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/01/11(金) 21:19:25 ID:ZoUTawH2
投下終了。


まともなユーなの好きのかたがたごめんなさい!!!!!

ユーノ祭にはまともなのを投下します。
たぶん。

172 名無しさん@魔法少女 :2013/01/11(金) 22:30:37 ID:ECZVOwO.
これは「まともなユーなの」好きには噴飯もののヒドイ作品ですね。
え、ユーノがなのはに掘られる話を書いたお前が言うな?
「まともじゃない」ユーなの好きなのでモーマンタイです。
そんなわけでシガー氏にはGJを送らせていただきます。

さて、祭に間に合うよう私もヒドイ話を書くとしよう。

173 名無しさん@魔法少女 :2013/01/11(金) 22:31:58 ID:JBPMnqK6
GJ!!

ロリ淫獣

174 名無しさん@魔法少女 :2013/01/11(金) 23:17:49 ID:hShlOPhA
GJ!

むしろ俺はショタユーノくんをがっつんがっつん堀たいです
権力者になってユーノくんを性的な意味でも政治的な意味でもバックアップしたいです
けつまんこで俺の子を孕めユーノ!

175 名無しさん@魔法少女 :2013/01/12(土) 00:01:32 ID:OcYRKw1o
こりゃひどい(褒め言葉
めっちゃGJ

176 名無しさん@魔法少女 :2013/01/12(土) 00:19:19 ID:OzLB15RI
こりゃなのはさんが実は極度のショタコンで変身魔法をユーノきゅんに使わせる未来もあるでぇ…

177 名無しさん@魔法少女 :2013/01/12(土) 12:10:40 ID:zdKeZfAk
なのはさんフェレコン説だって!?

178 名無しさん@魔法少女 :2013/01/12(土) 13:19:31 ID:aGjpC112
フェイト・レズビアン・コンプレックス!?

179 名無しさん@魔法少女 :2013/01/12(土) 13:28:10 ID:XZa6ZOXE
ユーノに男子更衣室の盗撮写真を要求するなのはさんか…

180 名無しさん@魔法少女 :2013/01/12(土) 17:32:38 ID:Mmgvl9Nc
なのはさんとヴィータが空戦魔導師なのにスカートのままなのは、見られて興奮する性癖だから

181 名無しさん@魔法少女 :2013/01/12(土) 18:16:05 ID:l0h1NQ.k
>>180
なのは「違うの! あれはアンダースコートなんだよ!」
ヴィータ「鉄槌の騎士はスカートの中も鉄壁なんだよ!」

フェイト「みられてる……ちょっとくいこんでるのみんなにみられてるよぉ……ふぁっ!」

なのヴィ「「おまえのせいだーーーーッ!!!」」

182 名無しさん@魔法少女 :2013/01/12(土) 20:18:36 ID:yNJR/lOk
シグナム「ヴィータのスカートの中? 鉄槌の騎士の下は貞操帯に決まっているだろう」
はやて「動かすとええ声聞かせてくれるんやで?」

183 名無しさん@魔法少女 :2013/01/12(土) 22:03:14 ID:ViI2gQwg
>>171
畳み掛けるようにスク水→お兄ちゃん呼びは卑怯すぎる。ロリコンには致命傷。
ひどすぎて面白い話、GJでした!

184 名無しさん@魔法少女 :2013/01/13(日) 03:53:48 ID:fr6X7uOo
>>177 つまり
なのは「体中をフェレットさんになめられて……気持ちいヨォ」
なのは「あっ、ユーノ君?私としたいなら変身して出直してきてね♪」
ってことですね

185 名無しさん@魔法少女 :2013/01/13(日) 11:31:56 ID:qDepnrC2
それって結局「私はユーノ君専用だよ」っていってるようなもんじゃないですかやだー

186 名無しさん@魔法少女 :2013/01/13(日) 11:51:28 ID:E.GvLwQc
フェレットに変身する魔法を習得して鏡にうつりながら毛づくろいをすれば安上がりですよ教導官さん

187 名無しさん@魔法少女 :2013/01/14(月) 21:14:37 ID:ehoKVTEo
なのはをフェレットに変身させます
ケツ穴にぶちこみます
ピストンします
フィニッシュ!

188 名無しさん@魔法少女 :2013/01/15(火) 00:20:49 ID:7OnO/zgQ
>>181
騎士さんたまにまる見えになってませんでしたか

189 名無しさん@魔法少女 :2013/01/15(火) 01:24:04 ID:NNDfbWpg
ヴィータ「見せパン」

190 名無しさん@魔法少女 :2013/01/18(金) 01:21:57 ID:m6heYkFU
ぱんつ見せると凄くドキドキしちゃう、いけないヴィータちゃんがいると聞いて

191 名無しさん@魔法少女 :2013/01/18(金) 13:32:44 ID:tS2qg3P6
ヴィータ「触手パンツだから恥ずかしくねーです」

192 名無しさん@魔法少女 :2013/01/19(土) 08:34:24 ID:RajG9Qz2
闇の書の闇ってどんなパンツはくの?

193 名無しさん@魔法少女 :2013/01/19(土) 09:10:57 ID:FJtLOx1Y
ナハトヴァールなら拘束されてるんでバイブ付き貞操帯だろjk

194 名無しさん@魔法少女 :2013/01/19(土) 10:04:44 ID:gMBkm7n.
防衛システムなのだし南京錠付きで尻をまるごと覆う金属製貞操帯が似合いそうだな

195 SandyBridge ◆UKXyqFnokA :2013/01/21(月) 19:41:33 ID:SZUvMGR6
どうもー

闇と時と本の旅人 17話を投下します
やっと!やっとえっちシーンにたどり着けました!
アインスさんの正体も明かされます

196 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/21(月) 19:42:31 ID:SZUvMGR6
■ 17





 デバイスを待機状態に戻し、アインスは放心したように座椅子にへたり込んだ。
 クロノはゆっくりとひざまずき、はやてに面を上げさせる。
 はやてはおそるおそる、身体を起こし、クロノの顔を見た。
 ミッドチルダという魔法の世界の人間。地球人ではない。それでも、表情は、同じ人間に見える。言葉を交わし、気持ちを伝えあうことができる。

 そして、あのアインスという銀髪の女性は、突然動き出してはやてのいうことを聞かなくなった闇の書を、止めてくれた。
 闇の書は、表紙が少し破けてしまったが、しだいに治っていくようだ。

「クロノ、さん……」

 自分より少し年上に見える、異世界の少年。それでも、先ほどのシグナムたちの話しぶりから、それなりの力と身分を持っていると思われる。
 そんな彼が、あたかも自分に傅くようなしぐさを見せている。
 これはいったい何を意味しているのか、とはやては自分の感情に尋ねた。

 クロノという名のこの少年は、はやてを、知っていた。おそらくは、闇の書とは次元世界においては広くその名が知られている存在である。強力な魔法を持ち、畏れられ、あるいは憧れられる対象である。
 彼はきっと、自分よりも闇の書のことを知っている。はやては確かに闇の書の主ではあるが、はやてが自分自身で知っている闇の書のことは限りなく少ない。
 ただ、シグナムたち守護騎士が、家族として共に八神家で暮らしているということだけだ。
 彼らの本当の力、具えた能力、そして、デバイスというからにはその目的があるはずである。
 それを知らないままでいることは、問題の先送りだ。

 自分の命令さえ、この小さな古ぼけた本は無視した。それは、闇の書には何かどうしてもやり遂げなければならない目的があるということだ。
 それはきっと、その目的はきっと、闇の書自身にしかわからないことだ。
 本の姿では、言葉はしゃべれないし、身振り手振りもできない。
 このクロノという少年と、アインスという女性は、自分にはない闇の書の真実を知る手段を持っているのだとはやては気づいた。

「──……闇の、書が……、……蒐集を──して、いたんですね」

「!!」

「……あ──っ」

 おそるおそる、発したはやての言葉に、シグナムは思わず肩を震わせて声を上げかけ、シャマルは手で口元を押さえて絶句した。ザフィーラはじっと俯き、ヴィータは唇を噛んで涙を浮かべている。

 当然だ。
 守護騎士たちは、闇の書が起動した直後、はやてに自分たちを名乗り闇の書の目的を教えたとき、『リンカーコア蒐集をしない』という誓いを立てていたのだ。
 蒐集は、それ自体は非破壊の作業だが、あらかじめ対象を制圧する必要があることから、魔導師に戦闘を仕掛け、倒す必要がある。この時に、結果として殺してしまうこともある。
 そのために──といってもはやては、その時点ではそこまでリアルに状況を想像できていなかったが──はやては、自分の家族となりうる守護騎士たちが、他人との争いを生まないよう、蒐集をしないと約束させた。

 しかし、蒐集をしなければ闇の書は魔力を自身で調達できないので動けず、システムを維持するために消費する魔力を、主であるはやてから吸い取っていくことになる。
 通常の携行型デバイスと違い、闇の書はシステムの規模が非常に巨大であり、その魔力消費量は想像を絶する。
 闇の書が消費する魔力は、主となった人間のリンカーコアに強い負担を強いる。はやては、魔力資質そのものは高レベルであったが、自身のリンカーコアの存在を知らず、その扱いを制御できなかった。
 そのために、際限なくリンカーコアが稼働し続け、肉体が常に負荷に曝される状態であった。

「はやてちゃんっ……あの」

「黙れ、シャマル……」

 シャマルを制し、シグナムははやての隣に膝をついた。
 主の意向に、これ以上逆らえない。はやての思うようにする。

「話は、シグナム……いえ、守護騎士──から、聞きました……闇の書は、リンカーコアゆうのを集めて、とっても強い力をだす……って」

 クロノははやての前に膝を折って座り、ゆっくりと腕を下ろした。
 彼女が、闇の書の主、八神はやて。

197 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/21(月) 19:43:04 ID:SZUvMGR6
 今夜初めて会ったはずなのに、なぜか、懐かしいような顔。
 そういえば、アインスにも同じような印象を抱いていた。

 彼女に会うためにここに来た。闇の書の目的は、クロノとはやてを引き合わせること。

「でも、わたしは、そんなのはいらないって……そんなことしなくても、生きていける思たんです、でも……」

「大丈夫です……はやてさん。──僕は、いえ、僕も、彼女たちと同じく──あなたに笑顔でいてほしい。そう心から思っています」

「クロノさん……」

 アインスと過ごすうち、何度かの夜に見ていた夢。ずっと過去のことで、その当時自分はそこにはいなかったはずなのに、まるで思い出を振り返るように懐かしく思い出せる。
 父親と、彼女の、ささやかなそして大切な思い出。
 妻であるリンディも、息子である自分も知らなかった、秘めたひととき。
 そして今、その思い出を受け継ぎ守り続けているのは、彼女、アインスだけ。

 アインスと、クライドのわずかなしかし確かなひとときを、大切に守りたい。

 その思い出は、自分やアインスだけでなく、はやてをも、これから生きていくために必要になるとクロノは思っていた。
 自分の心の中に生まれる意思の原動力は、今や、アインスと共にある。

「ありがとう……会いたかった」

 はやての手を取り、抱き起こす。足の動かないはやてを、しっかり、ていねいに、抱き留める。

 きっと父も、こんなふうに、彼女を愛した。
 愛したからこそ、消えてしまった。
 今は、今の自分は、もう父の後を追いかけたりはしない。

 アインスがいるから。彼女が、父の遺志を受け継ぎ、自分を待っていてくれたから。

 夢に見た思い出は、クライドの、そしてアインスの果たせなかった絆。
 今は、自分とはやてが、それを成し遂げられる。





 警報が鳴り響き、艦橋スタッフにも勤務終了と総員退艦が下令された。
 通信士、航法士、それぞれの部署の士官たちが、乗組員を誘導して脱出艇へ乗せる。

 エスティアは既に艦の制御を失っており、盲目航行の状態にあった。レーダー類は機能せず、魔力炉も出力最大に張り付いたまま止められない。
 格納庫内では、太い蔓植物のような躯体を顕現させた闇の書が、巨大な魔力光を放ち荒れ狂っていた。

 艦を放棄する。

 このままいけば、エスティアの持つ次元航行能力と次元空間海図を入手した闇の書がミッドチルダへ侵攻を始めるだろう。
 その前に何としても止めなければならない。
 エスティア艦長クライド・ハラオウンは、次元破壊波動砲アルカンシェルの使用を、艦隊司令ギル・グレアムに要請した。

 その最後の通信を打電したとき、クライドは、最後にまだ残っていた彼女の足音を聞いた。

「わが主」

 よく聞き覚えのある声。
 自分を慕い、心を通わせ癒してくれた、可愛い部下の少女の声。しかし今は、そのトーンがぐっと下がり、同じ声のはずなのに、低く押し殺した、闇のような声になって、クライドを打ち据えている。

「まだ間に合います。私の中ならば、宇宙空間でも」

「だめだ」

 彼女の声を聴くと、身体が狂ってしまう。心までも、犯されてしまいそうだ。
 激しく熱を持って拍動する心臓を、胸を押さえてクライドは声を振り絞る。
 腰が抜けてしまったように、しがみついた艦橋の艦長席の背もたれから、動けない。自分が自分でなくなっていくような感覚と、変化した自分をなお自分だと認識しようとする感覚がせめぎ合う。
 自我を失うのではなく、変化した自分を自分だと認めたくないという感情が働くのだとクライドは理解した。

 銀の魔力光を放つ彼女は、その左腕に携えた蛇のような触手をうごめかせ、クライドを見つめている。
 目を見てはだめだ。彼女の目を見つめてしまったら、逃げられない。取り込まれてしまう。

 もう、彼女は自分の知っている彼女ではない──

「わが主、クライド艦長」

「違う!!」

「私はいつでもあなたのためになりたいんです!わかってください……」

「こんな……こと、なんて……だめだ……」

 立っていられず、へたり込んでしまったクライドに、彼女は──闇の書の意志はそっと歩み寄る。
 もはやこのエスティア艦内には、蒐集できるリンカーコアは残っていない。あとは自分たちだけだ。

198 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/21(月) 19:43:41 ID:SZUvMGR6
 闇の書の意志は装備していた触手型デバイスを停止させ、騎士甲冑を解除する。原始的な無地の黒い一枚布からなる騎士服の姿に戻り、クライドをそっと抱きすくめる。
 もはやクライドには抵抗する力は残っていない。

「艦長──」

「僕は君を……止めなければ、ならない……使命、なんだ」

「どうしてですか!?それは、いったい誰があなたに強制しているんですか!あなたが、どうして、あなたの命を懸けなければならないほど」

「もう戻れないんだよ……!僕は、もう、戻れない」

「なぜ、ですか……私は、やっと……艦長、あなたが私の主になってくれると願っていて──クライド艦長、私はあなたのために尽くしたいと思っていて、今までも、これからもその思いは変わりません!
リンディさんや、クロノくんにも、会いたいです!私と、共に生きていきましょう!」

 艦内の配管やダクトなどを伝って伸びる闇の書の防衛プログラムが、エスティアの艦のフロア全体を細かく震動させている。
 防衛プログラムとエスティアをリンクさせ、もともと特定の姿を持っていない防衛プログラムに、次元航行艦の肉体を与える。
 この鋼鉄の巨体をもってすれば、内部に管制人格や守護騎士、闇の書の主を乗せたまま、次元の海を旅することができる。

「だめ、だよ……アインス、僕は、人間のころの記憶を持っている……このまま、じゃ、たくさんの、ひとを、悲しませる……」

「艦長……わが、あるじ……」

 クライドを、抱きしめる。抱いても、抱いても、どれだけ抱かれても、彼を自分のものにできない。
 どれだけ愛しても、愛されても、彼の心は手に入らない。
 騎士服を脱ぎ、裸になって、翼をいっしょに使って、クライドを抱く。
 結ばれたい。限りなく結ばれたい、ひとつになりたい。クライドは、自分の理性で、希望を抑え込んでいる。
 アインスとひとつになる、闇の書の主として闇の書とひとつになることを、ぎりぎりで抑え込んでいる。

 力に飲み込まれる、強い力があるからといって何をしてもいいわけではない、必ず周囲の人間たちとの折り合いがある。
 それを無視して自分たちだけいいというのではいけない、とクライドは考えていた。

 しかし、もはやそれをアインスに説得するには時間も、体力も気力も足りない。
 もうまもなく、アルカンシェルによって自分たちは跡形もなく、原子も残さず消滅する。

 だから、せめて。
 クライドは、倒れた自分の上で、大粒の涙を流しながら腰を振るアインスの──闇の書の意志の──姿を見た。
 叶わない想いを、命を捨てても何をしても成就することのない恋を、愛を、狂ったように求める闇の書。
 理性では、これを受け容れてはならないと考えている。受け容れることは許されないと考えている。
 しかしクライドの感情は、心は、アインスを今でも愛している。愛の表現の仕方はそれぞれ、クライドは、アインスを、愛していた。彼女と共に添い遂げたいと思った。
 だから、彼女に、自分の気持ちを託す。

 吹き荒れる魔力素の奔流と、増大していく重力の中で、肉体が潰れていく感覚が伝わる。
 もはや今のクライドの肉体は常人をはるかに超える生命力と耐久力をそなえ、それこそ守護騎士たちのように、手足がちぎれても、胴体に風穴があいても機能を損なわず、痛みによって動けなくなることもなく、意識を覚醒させ続ける。

 自分の肉体が、男として、オスとして、闇の書の意志と結合しているのがわかる。
もはや五体満足ではなく手足がちぎれてしまったのに、ペニスはますます硬さを増して闇の所の意志の膣に食い込み、舞い落ちる黒い羽根が、自分の意志で動かせ、闇の書の意志の、腕や肩や乳房をさすり愛撫している。白い肌に、紅潮した乳首が舞っている。
 彼女の姿は、美しい。怜悧に強く、しかしどこか儚く、冷たい、そして熱い、闇の書の意志の裸身。
 ふわふわと熱に浮かされたように、天国にいるかのように心地よく、痛みもなく、心がすうっと澄んでいくかのようだ。

 しかし今、すでにエスティアはアルカンシェルの照準に捕捉され、攻撃準備をされている。
 生きていくことは叶わない。

199 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/21(月) 19:44:55 ID:SZUvMGR6
 退避する乗組員たちを乗せた脱出艇が艦を離れ、離脱時のスラスター噴射がエスティアの艦体をかすかに揺らした。

「アインス、気持ちいいよ──愛してる」

「クライド艦長……私にとって、あなたはやっと見つけた主なんです……ずっと、ずっと、気の遠くなるような年月を、たくさんの人々が絶望とともに消えていったのを見ているんです……
あなたまで、彼らと同じ運命をたどってしまうのは、私はとても悲しいんです、私の悲しみはあなたの悲しみです……」

「ありがとう──だけどアインス、わかってくれ。僕は何よりも君のために、この魔導書を、救いたい──今この艦を覆っている彼女が、泣いているのが僕にもわかる──
彼女は君の家族──同じ闇の書の管制人格というだけじゃない、仲間というだけじゃない、仲間よりもずっとずっと深い絆、家族なんだ。
家族を傷つけられることはこの世でいちばん悲しくてつらいことなんだ──だから、僕は僕と君だけじゃない、互いの家族も守らなくちゃいけないんだ」

 闇の書の意志は、わが主という呼びかけを堪えた。名前で、今まで通りの名前で呼び合うことを、それが二人の絆の証と考えた。
 闇の書の意志にとっては、単にベルカ語で、自分が闇の書の持つプログラム番号1番を割り振られていたから1と、アインスと名乗っただけで、それ自体に深い意味は、最初はなかった。
 しかし今は、そのアインスという名前こそは、クライドが自分を呼ぶときの名前であり、クライドにとって彼女に結び付けられた名前とはアインスであり、闇の書の意志という形容名詞ではない。
 同様に、アインスにとっても、わが主という呼びかけはクライドにとって慣れないものであり、彼をあらわす呼びかけとはクライドという、彼の自身の、固有の名前である。

 名前で呼び合うことで、人は絆を確かめる。

 クライド。グレアム。リンディ。クロノ。彼らは皆それぞれの名前を持つ。闇の書の意志は、アインスという名前をもはや手に入れた。
 それは確かに単なる便宜上の符号だったかもしれないが、今や闇の書の主たるクライドの心の中では、アインスという名前が、闇の書の意志そのものである。

「僕は消える、でも、僕の思い出は消えない。ずっと君の中で生き続ける。わかるはずだよ、これまでに、君と共に消えていったみんなの、心が見える──今の僕なら見える。
アインス、君にも見えているはずだ、彼らの想いが──確かに酷い人間もいたかもしれない、君たちを手荒に扱ったり、誤解から敵意を向けていた人間もいたかもしれない。
でも、君たちを本当に大切にしてくれた人間も確かにいたんだ、それはアインス、君の思い出の中に残ってる──そして僕は、君の中で生き続けられる──
今の君になら、僕の気持ちがわかるはずだ。いや、わかってほしい──君が本当に、闇の書の主の幸せを願うならわかるはずだ──僕の気持ち、平和を願うってことは家族の幸せを願うってことなんだ。
そのためには家族だけじゃない、家族が暮らす世界のひとびとみんなが幸せじゃなきゃいけない。僕はそう願ってこの艦に乗っている──アインス、君にも、わかるはずだよ」

 もはや腕が動かない、しかしその代わりに、艦内に張り巡らされた防衛プログラムの触手を、自分の意志で動かせることをクライドは理解していた。
 手近にあった触手を手繰り寄せ、平たい先端で、闇の書の意志の頬をそっと撫でる。
 とめどなく流れる涙を、優しく拭ってやる。頬に浮かんだ2本の赤い魔導紋章が、かすかに穏やかな魔力光を放っているのが、電源の落ちた艦橋内でわかる。

「家族の……幸せ……」

「そうだよ、僕たちは家族だ──僕も、リンディも、クロノも大切な家族だ。そして君も、君の騎士たちも、君の大切な、愛すべき家族だ──」

 自分が今やどのような存在になったのかわかる。もはや、人間として生きていくことは叶わない。
 覚醒のために、多くの命を犠牲にしてしまった。
 エスティアから生きて脱出できた乗組員は、当初、本局を出港した時よりもずっと減ってしまった。

 そんな自分が、このまま闇の書を携えていくことはできない。
 闇の書の危険を少しでも減らすために、今、できることをする。

 クライドは、自分ごと、闇の書の機能を、できる限り制御を自分に移したうえで、アルカンシェルによって破壊させる心づもりだった。

 闇の書の制御を困難にしている、独立した防衛プログラム。
 これはユーザー認証の機能を内包し、しかしその認証機構に不整合を抱え、正しく操作ができない状態になっていた。
 このまま次の主のもとへ向かったとき、再びプログラムの暴走を引き起こさないように──

200 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/21(月) 19:46:08 ID:SZUvMGR6
 エスティアの搭載機器のうち、艦隊内データリンク用の機能を破壊し、システム全体を外部に接続できない、クローズドの状態にする。
限られたシステムのみを有効にできる状態で、防衛プログラムの持つ認証機能を、自分と関連付ける。
 デバイスのメンテナンスを行うシステム管理者として、クライド・ハラオウンの名前を覚えさせたままの状態にしてロックする。
 たとえこの場で自分が宇宙の塵と消えても、自分の生きた証は、闇の書の中に生き続ける。そして、いつの日か闇の書が本当に、目覚めるために。
 枷を振り切り、真の自由を手に入れるために。

「wahr Freiheit──覚えていてくれ。僕は君と共にいる──」

「クライド艦長……わたしの……わが、主……」

 顔を伏せ、手を床について、闇の書の意志の身体が、クライドに触れる。
 優しい、男だった。本当に恋していた。彼ならきっとわかってくれると思っていた。しかし、それは自分の思い込みにすぎなかった。どんな思いも、伝えなければ届かない。
 クライドだけではない、闇の書の主となる人間に対しても、守護騎士たちに対してさえも。
 彼らに伝えなければならないことは、自分たちのありのままの姿と、それを認識する方法。

「君が生きていれば、僕は救われる──」

 クライドは、そうアインスに言い遺した。
 エスティア艦内から、脱出艇の中へ、転送魔法を発動する。同時に、闇の書の機能はいったんシャットダウンされる。アルカンシェルによって破壊され、一時的にでも止まる。
 再び動き出すまでには、わずかの猶予がある──

 そして確かに、闇の書は、第97管理外世界への転生を果たし、それはクライドの遺言どおりであったことを、この2年後、ギル・グレアムは自ら調べて確かめた。





 すでに時刻は午前4時を回り、夜明けが近づいていた。外はまだ暗いが、冬でもいつも通り、じきに人々が動き始める。
 はやてはクロノたちを、自分の部屋へ入れさせた。シグナムとシャマル、ザフィーラも、今夜はずっとはやてのそばにいる。
 ベッドの上にははやてのほかに、クロノとアインスが座り、ヴィータとシグナムは枕元に、シャマルとザフィーラはそれぞれはやての勉強机とドアのそばの床に腰を下ろす。
 年頃の、幼い少女のベッドに入ることで、クロノは今更のように少し緊張気味だ。
 はやては優しく微笑み、クロノとアインスを迎える。

「アインスさんは最後まで、父さんの想いを守り助けていた──だから、僕は、今こうしてここにいられる」

 鼻をすするアインスは、はやてにハンカチをもらって、涙を拭いている。

「もしかしたら、闇の書の主に、私やなくてクロノさんが選ばれていたかもしれへんとゆうことです……か」

「ええ。同時に、その場合、はやての足も麻痺せずに……代わりに、僕に何かの影響が出ていたかも──」

「私の足が動かないのは闇の書が……魔力、を、吸い取っているからゆうわけですね……」

 パジャマの裾を握りしめ、はやては確かめるように言葉に出した。
 闇の書とは、現実にこの世に存在し、現実に強大な力を持ち、存在するだけで多くの人々に影響を及ぼす。それははやてひとりが言葉で命令したからといってどうこうできるものではない。
 闇の書を、その有様を正しく見つめ知ることが必要になってくる。

 はやてはアインスにも、手を差し伸べた。

「闇の書のことをいちばんよく知ってはるんですよね」

「……はい。私は、前回の事件の──とき、そばにいました。闇の書を、持つ者として」

「闇の書の、管制融合騎──管制人格、マスタープログラム」

 おそるおそる、目線を伺うようにしてシグナムが言葉に出す。
 予想と、その確認。
 アインスが、真に何者であるかを問いただす。

「アインスさんは、はやてだけでなく、皆を救うための手段をずっと探していた」

「クロノ──」

 シグナムと、アインスと、クロノと、そしてはやて。4人の視線が瞬間、交錯する。

「──ああ。そうだ──私は、闇の書の真の覚醒を促す手立てを探し続けていた──管理局にある、無限書庫の中で」

「管理局……」

 ヴィータが、呻くように押し殺した声でつぶやく。
 守護騎士の中でも稼働時間の短い彼女はその外見通りにもっとも若輩で、やや気性の荒いところがある。戦闘力は高いが、精神的にはムラっ気が強い、といったところだ。

201 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/21(月) 19:47:06 ID:SZUvMGR6
「クロノさん──あなたは、いったい」

 シャマルが尋ねる。この場で、クロノは唯一、闇の書のシステムに組み込まれていない人間である。
 しかし、それが徐々に変化しつつあることは、認識されている。

「僕は──」

 クロノの言葉に、はやてとアインスは固唾をのんで意識を傾注させる。
 闇の書という存在、それが人間たちにもたらす影響、そしてこれまで積み重ねてきた歴史。
 彼の言葉の背後には、多くの人間たちの想いが連なってくる。
 そしてクロノは、その人間たちと、自分との決定的に異なる事実を、認識した。

「──僕は、──アインスさんと共に──はやて、君を助ける」

「クロノ」

「僕はアインスさんと共に生きていきたい。その想いは、確かに僕の中に息づいているよ」

 クロノはあえて所有格を省略した。ここで、想いというフレーズを出すとき、それが何を指すかはアインスはよくわかっている。
 八神はやての、ひとつ前の代の闇の書の主。クライド・ハラオウンが今際の際に残した想いは、アインスを通じてクロノに受け継がれた。
 それはグレアムもリンディも知らないことだ。
 アインスはただ、闇の書を倒す方法があるとだけグレアムに持ちかけた。もちろんグレアムもそれを頭から信用はしない。互いを騙し利用しあう搦め手だった。しかしクロノには、そして他ならぬはやてには、真実を伝える。

「クロノさん……わたしは、これからどう……していけば……闇の書は、これから、どうなるん……ですか……?」

「闇の書は、正しく起動すれば、多くの智慧を貯めこんだ宇宙の目になる。それは賢者のように、はやての知識を高めてくれるだろう──
それを使って何をするかは、いろいろなことが考えられる。だけどいちばん大切なのははやて自身の意志で、そしてまずはやてがそのありのままの姿で生きていけることだ。
闇の書が本当に願っているのは、偏見や、誤った認識からくる不当な扱いを、やめてほしいということだから──」

 父の想いとは。
 クロノは、アインスに見せられた夢の中で思い出した。父クライドが本当に願っていたことは、闇の書を破壊することではない。
 次元世界の平和を希求することは、闇の書を救うことと等価である。
 闇の書を破壊しさえすれば平和が訪れる、闇の書さえなくなれば人類は未来永劫平和であるなどといった単純な、甘い話ではない。
 闇の書そのものが絶対の悪ではなく、悪意を持って闇の書を用いる人間の心の闇を、除くべきであるということ。
 そしてこの少女は、八神はやては、愛すべき、慈しむべき優しい心の持ち主である。
 自分が心から、主と慕える人間である。

 はやて。

 その名をゆっくりと、心の中で反芻する。
 今の自分をリンディやエイミィが目にしたら、同じクロノ・ハラオウンであるとわかってくれるだろうか。でも、不思議と寂しさや不安は感じない。
 アインスがいるから。はやてがいるから。仲間が、家族がいるから。

 シャマルは目を潤ませてクロノを見つめ、シグナムとザフィーラは瞼を伏せて神妙に、ヴィータは唇を噛みしめて涙をこらえている。
 はやての後姿を見ると、切ない。
 今すぐにでも、はやてを抱きしめてやりたい。愛したい。
 いつになく、強い愛しさの感情が生まれていることを、ヴォルケンリッターの皆が胸に感じていた。
 そしてそれは、自分たちよりも管制融合騎たる彼女と、この少年が、もっと強く感じているだろう。

 アインスはそっと、クロノの肩に手を置く。これから先へ進むことは、もう二度と引き返せない一歩を踏み出すことである。
 もしここから引き返そうとするなら、クロノは、11年前のクライドよりも辛い決断をしなければならないだろう。

 そしてそれは、少なからず誘導されたことである。アインスは最初からそのためにクロノに接近した。11年前も、クライドに対しても、同じだった。
 彼らへの愛情が偽りだったかと言われると、はっきり否定できるとアインスは想っていた。クロノへの想いがまず先にあり、その帰結としてクロノの変性が生じるのである。

 卑怯なことだろうか。強制したことだろうか。
 たとえば媚薬を盛ったりして、本人の意思とは無関係に発情させているのと同じことだろうか。

202 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/21(月) 19:47:46 ID:SZUvMGR6
 違う。少なくとも、クロノからアインスに返された言葉は、彼自身のものだ。それは何度も確かめた。
 いくつもの夜を共に過ごし、何度も身体を重ね、交わり、確かめたことだ。
 クロノは確かに、アインスを愛している。それはもはや疑いようのないことだ。クロノとアインスは、共に同じ目的を認識し、共に同じ主を敬愛し、主を助けたいと思っている。

「闇の書の、……真の覚醒」

「現在、闇の書は過去に行われた改造が原因で、魔導書を制御するプログラムが正しく動作しない状態になっている。
このために魔法の暴走を引き起こし、多くの人命が失われた──このままの状態では闇の書はまた、暴走するだろう。
そしてそのために、闇の書は危険とみなされ、次元世界人類からの攻撃を受けている。
僕たちがやらなくてはならないことは、闇の書を修復し、この世界で生きていけるようにすることだ」

 はやてはにわかに不安が浮かび上がるのを感じていた。それは闇の書が次元世界において、ひとびとから敵視されているという事実である。
 守護騎士は、そういった危険から主を守るためにいる。しかし逆に、守護騎士の存在そのものが、闇の書の主がひとびとから恐れられる原因にもなっている。
 それは堪えがたいパラドックス、自己の存在意義に対する矛盾である。
 自分の身を守るために持っている力が、逆に他人に恐怖を与える。今の扱いをやめてほしければ、その前にまず彼らを捨てろということになる。

 そのような謂れを受けたらさすがに承服はできない、とはやては思った。
 ヴィータ、シグナム、シャマル、ザフィーラ、彼ら守護騎士が自分の前から消えてしまうことなど考えたくない。

 いつか、シャマルがベルカ時代の思い出話として語ってくれた中に、和平の使者は槍を持たない、ということわざがあったのをはやては思い出していた。
 常識的に考えて、武器を向けられれば警戒するのは当然である。実際、クロノはシグナムたちを前にデバイスを捨てて手を挙げ、この所作が示す意味をはやてもすぐに理解した。
 丸腰であることを表現する作法は、地球でもベルカでもミッドチルダでも変わらないようである。
 しかし問題は、闇の書の場合、武器そのものがヒト型をして人格を持っているということである。
 武器を捨てろと言われた場合、人間を捨てろということになってしまう。

 守護騎士は、消えることがあるのだろうか。死んだら消えてしまうのだろうか。闇の書は、死んだ守護騎士をよみがえらせる機能を持っているのだろうか。
 だとしたらもしかすると、過去には、闇の書の主が例えば敵を油断させて騙すために、わざと守護騎士を殺したこともあったのだろうか。そしてその後、何事も無く守護騎士はよみがえらせられたのだろうか。

 彼らは道具なのか。人形なのか。人の形をした、ただのデバイスなのか。人の形をした慰みモノなのか。

 違う、と思う。
 自分は絶対、彼らを守る。闇の書が守護騎士を持つということは、人間が息をするのと同じくらいにあたりまえの存在だ。それを認められないのは、人間の側の不徳だ。
 闇の書が最低限守りたいと願っている主張はそれだろう。
 どんな人間も、自己の存在を否定されることほどつらいものはない。そしてときに、強い絆を持つ仲間を否定されることは、自分を否定されるよりもずっとずっとつらく、そして深く傷つくことだ。

 価値観を異にする。人間どうしですらそれは起きうる。ましてや人間ではない、魔導書型デバイスたる闇の書、そして守護騎士、管制人格ならばなおさらだ。
 そうなったとき、自分は闇の書の主として何をすべきか?
 彼らを矯正する、というのは驕りだと、はやては思った。守護騎士たちが現れたとき、これからは家族として過ごそう、と言った。その方が幸せだと思っていた。戦いを繰り返すよりも、平和な日々を過ごす方がいいと思った。
 今にしてみれば、それは価値観の押しつけだったかもしれない。彼らの、生まれた意義を否定する行為だったかもしれない。

 だからこそ、これから先、どんなことがあってもみんなを守っていく。
 その一点において、はやてと、ヴォルケンリッターたち、そしてクロノ、アインスの想いは一致する。

203 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/21(月) 19:48:48 ID:SZUvMGR6
 




 ゆっくりと唇を揉みあい、はやては自分の気持ちを確かめた。からだを触れ合わせるこの距離で、安心できるということは危険がないということである。
 そして同じ人間であり、安心してからだを触れ合わせることできる。クロノも、シグナムも、ヴィータも、みな同じ人間で、はやては抵抗なく、キスをすることができた。
 アインスとクロノと、はやては抱き合う。
 互いの体温を感じあう。アインスの胸が、はやてとクロノの胸にはさまれて、激しくその弾力を主張する。
 愛し合える、と思った。

 アインスはそっとブラウスのボタンをはずし、ベッドに横になった。クロノがアインスの片脚を上げ、はやてに向かい合わせて、アインスのパンツをゆっくりと脱がせていく。

 部屋の灯りを落としているので、性器そのものはうすぼんやりとしか見えない。でも、パンツを脱がせるために近づけられたクロノの顔が、アインスの股間に舌を触れさせたのをはやては確かに見た。
 わずかな光を、クロノの唾液とアインスの愛液がきらめかせた。
 性の、触れ合いのやり方。初めて間近で見た、クンニリングスの実演。はやては、股間がむずがゆくなる感覚を味わった。粘つく音が、かすかにしかしはっきりと部屋に響き、アインスの切なげな吐息が漏れる。
 白いブラウスがふわりと浮き上がり、それがはかりしれないほどの大きさの乳房によって盛り上げられているのだと分かる。
 激しく勃起する乳首に、ブラウスの布の端が引っかかり、じわりと染みが広がっている。

「クロノ……さん……」

 ごくりと唾をのみ、はやては今夜初めて見る彼女の秘め姿に目を注ぐ。
 いや、初めてではない。夢の中で、おぼろげながら見ていた。愛し合う彼女と彼を、恋に胸を焦がしながら見つめていた。

 彼女が幸せになれるならどんなにうれしいことだろう。
 はやてはクロノの背中をそっと撫で、ズボンを脱ぐのを手伝ってやる。部屋の床にへたりこんで、ベッドにしがみついているヴィータに微笑みかけながら、クロノの身体を惜しむように撫でる。
 自分をずっと待ち、求め続けていた二人が、今、自分と出会えた喜びをかみしめている。
 背後で、シグナムが切なさをこらえ、シャマルがぎゅっと抱きしめているのがわかる。

 下半身を裸にしたアインスとクロノが、ゆっくりと、はやてのベッドの上で身体を重ねていく。
 自分がいつも寝ているベッドの上で、妙齢の男女が交わる。
 闇の書の、自分の従者たち。愛おしく、可愛らしく、そして頼もしい。彼らの生命の営みを間近で見たい。それは何も恥ずかしがることではない。

「はぁっ……クロノ、あぁ……ん、んっ……!いい、いい……」

「アインスさん……きれいです。僕は、うれしいです……アインスさんと一緒になれるのが」

 思えば何日ぶりだろうか。もうずっと、久しく触れ合っていなかったようにさえ感じられる。クロノの若いペニスを、アインスはもはや待ち焦がれて切なく濡れる膣で迎えた。
 そばに寝そべったはやてが、アインスの隣に横になって、その結合部を見ている。結合しようとするところを見ている。
 主に見られる。自分のセックスを、主に見られている。これまでにない刺激にアインスは興奮し高まっていく。
 膣口の収縮によって陰唇が大きく動き、クロノの亀頭を激しく舐めていく。敏感な先端を舐められる刺激に、クロノも目を細めて性感を味わう。

「あの……、っ、……アインス、さん……」

 はやての呼びかけに、アインスは背をぐっと反らせて胸を浮かし、頭を枕について身体を支える姿勢をとる。

「ぅんっ!は、はぁ……ある、じ……わが、あるじ……」

「はやて……アインスさんはずっと待っていたんだ、はやてに会うことを」

「そう……です……ぅ、会い、たかった、ずっと、クロノを、つれて、会いに、きたかったんです……うぅ……!」

 手を握る。右手をはやてと、左手をクロノとつなぎ、ベッドの上で性感に包まれ、悶える。
 まっすぐに突き上げられた乳房のふくらみから、ブラウスが滑り落ち、白い肌が常夜灯の灯りだけがある室内に浮かび上がる。
 闇の書。そう呼ばれていた彼女に、名前はなかった。しいていえば、本の旅人、というのがそうなのだろうが、これとてあくまでも形容名詞で、シグナムやヴィータといった固有人名ではない。

204 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/21(月) 19:49:36 ID:SZUvMGR6
「リイン……フォース……」

 思えばはやてはまだ9歳である。去年の春に、聖祥指定の書店に2年生の教科書を買いに行った時、同じ本棚に置かれていた5年生の保健体育の教科書をこっそり見たことはあった。
 風芽丘の図書館で、解剖学の本や、医学書を借りて読んだこともあった。
 それでも、実際の、大人の女性器と男性器を間近で見るのは初めてだ。自分のは、まだ幼くて出来上がっていないだろうし、きつくてあまりこじ開けて見たこともなかった。
 一緒に入浴した時、シャマルやシグナムに、頼めば見せてくれただろうか──今度、風呂に入るときに見てみよう、とはやては思った。
 今、ここで、大人の女性器が、大人の恋愛でどのように使われるかを、アインスのものを見て知る。

「わたしたち、みんなの出会いを祝福しましょう……アインスさん、わたしが名前を……あげます……」

 いつもの本棚に置かれた闇の書は静かに眠っている。
 誰にも理解され得ない、哀しい愛。それでも、あきらめていい理由にはならない。はやての想いがクロノにも伝わる。伝わってくるはやての想いを、クロノも受け止め理解する。
 父は、喜んでいるだろうか。そういえばこの家に、はやてと守護騎士以外の人間はいない。はやての両親も、すでにこの世にはいないのか。
 なぜ、自分がこうして、宇宙の果ての管理外世界で、触れ合っているのか──
 どんなに遠い世界に行っても、世界の果てに行き果てても、求め続ける限りそばにいる。求め続けようとする。その気持ちが、意志が、闇の書をここまで生きながらえさせてきた。
 絶対にこの想いを、潰えさせたりなどしない。父が叶えられなかった愛を、自分が受け継ぎ、きっと彼女を幸せにする。

「わたしたちの、闇の書、夜天の魔導書の管制人格──わたしたちのことを、ずっと見守ってくれていた──。
強く、支えるもの──リインフォース……わたし、なら、そう、呼びたいです」

「ああ……ありがとうございます……。いい、名前です……」

「リインフォース・アインス……アインス、さん。僕は、アインスさんが喜ぶなら、はやてたちを守るためには──」

 くぷっ、と粘液の膜が表面張力を突破してクロノの身体に絡みつく。熱せられてやわらかく熟した肉襞が押し広げられ、クロノのペニスがアインスの膣へと入り込んでいく。

 ハーヴェイ、そういえば、クライドの旧姓だった。彼を偲ぶ意味で、その名前を受け継いでいた。それぞれの持つ名前をそれぞれの意味で心に留め、抱き合う。
 いつか彼女に、ハラオウンの名前を分け与えよう。共に生きていこう。もしくは、自分の名前をハーヴェイに変えよう。

 リインフォース・アインス・ハーヴェイ、そしてリインフォース・クロノ・ハラオウン・ハーヴェイ、共にミッドチルダ語の姓名として問題なく保有可能だ。

「クロノ、あい、してる……愛してる、クロノ……愛してる……本当に……大好き……」

 ゆっくりとしたストロークの長いピストンで、クロノはアインスの膣を余さず愛撫していく。挿入するときに亀頭に押し広げられる感覚と、抜いていくときにカリ首に掻きこすられる感覚が交互に、アインスを優しく蕩かしていく。
 クロノの股間の筋と腰が、アインスの股間に触れ、土手を触れ合わせ、やわらかな女性器の肉を揉む。膣とペニスだけでなく、腰全体で触れ合う。
 温度と粘度の高い液が揉みこすられるいやらしい音に、アインスは口を半開きに、舌を出して興奮し、はやても次第に息が荒くなっていく。9歳の少女にとって、目の前でセックスを見せつけられることは果てしなく重い衝撃だ。

 リインフォース・アインスの豊かな、慈愛に満ちた女体の上で、小柄でしかし機能美を備えたクロノの男が躍っている。
 セックス。男と女の、性器の交わり。人間の肉体の中で唯一、他の人間の肉体に入り込みあるいはほかの人間の肉体を受け入れることを前提とした臓器。それが、まさに自らの役目を果たしている。
 両脚を大きく開かせ、いわゆるM字開脚の姿勢で、アインスはクロノを迎えている。ベッドに手をついて身を乗り出し、釘付けになっているはやての視線は、アインスの膣口とクロノの陰茎の結合部に注がれている。
 男のペニス。男性器を見るのははやてにとっては初めてだ。ザフィーラもそのあたりは配慮していた。知識としてはなんとなく知ってはいたが、実際に勃起状態のペニスを見るのは初めてだ。

205 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/21(月) 19:50:28 ID:SZUvMGR6
 はやての手のひらよりも長いペニスが、アインスの腰に深々と沈んでいく。女性の股間には、それだけの長い肉腔があり、男性器を収められるようになっている。そして出産時にはもっと大きな赤ん坊を通すために広がる。

「はぁ……すごぉい、リインフォースの、あ、あ、おまん、まん……広がって……ひくひくしとるよぉ……」

 わずかにためらいながらも、はやては女性器の隠語を口に出す。普段なら、言葉遣いをシグナムに注意されたりするところだが、そのシグナムももはや堪えきれず、同じように後ろから抱きついてきているシャマルに身体を預けて震えている。
 床に張り付くようにして同じように堪えているヴィータに、ザフィーラがそっと背中をさすっている。そのスウェットの股間もぱんぱんにテントを張っているのがわかる。

「アインスさん、寂しかったでしょう、辛かったでしょう……でももう大丈夫です、僕もはやてもいます、みんな一緒にいます……
もうアインスさんを悲しませたりはしません、約束します……アインスさん、アインスさん、はぁっアインスさんの、おまんこを、慰めてあげたいです……
とっても、よく締まります……僕を包んでくれます、僕のちんちんを包んでくれます……いい、ですよね……アインスさん」

「はぁっ、あぁ、うぅあ、あぁぁん、くろ、の、ぉ……クロノ、ぉ……っ、ん、くぅっ……いい、うん、いいよぉ、おまえのちんぽ、あぁ……ほしかったぁ、ちんぽいれられたかったんだぁ……
うっはっ、ひぃ、あぁ、あるじ、わがあるじ……んっ、く、くぅ……いい、ですっ……あぁ、クロノに、私、クロノのちんぽをハメられて、感じてるんです、心が癒されるんです……!」

「うん、わかる、わかるよリインフォース……たいせつなひと、みつけたんよね……わたしも、胸が切なくて、恋しくて、クロノさんのこと、とっても好きになる……
リインフォースの気持ち、わたしがぜったい守るよ、リインフォース、好きやよ、わたしもリインフォースのこと大好きやよ……!」

 果てしない切なさと、狂おしいまでの愛おしさ。性器のこすりあいを激しくするのではなく、互いの言葉のやり取りで、性感を高めていく。単にモノを入れて刺激するのではなく、入れられているシチュエーションをよりリアルに想起させる。
 淫らな、倒錯的な交合の夜。幼い主人の少女の前で、だらしない痴態を晒す従者。そして、組み伏せられることへの被虐的な快感。クロノとの結合を待ち望んでいた、自らの性欲の認識。
 それらが相まって、アインスの肉体をこれまでになく瑞々しく、艶めかしく輝かせていた。
 幼い、思春期を迎えていないはやてさえもが発情してしまうほどの、妖気の発散。闇の書が渇望する、子孫を残そうとする生命としての本能。

 実現すれば、闇の書はついに単なる無機物、デバイス、道具から、一個の独立した生命体へと進化できるだろう。

「精子……精液、でるんですね?……射精、するんですね、クロノさん……おちんちんから、精液が、出るんですね……」

 はやての発した言葉に、アインスとシグナムがほぼ同時に反応し、身体をびくりと震わせた。シグナムも、主が乱れているのを止めることもできず、ただ脱力し性感の奔流に身を委ねている。
 アインスの膣がいよいよ締め付けを増してクロノのペニスを捕まえ、小刻みに扱きはじめる。太ももと尻の肉がベッドのシーツの上で揺れ、乳房と乳首が艶めかしく胸の上を揺らめく。
 太ももを抱えているクロノが両腕がふさがっているので、はやてはついに手を伸ばし、アインスの乳房を揉んだ。
 ひときわ激しく身体を揺すり、アインスは膝を内側に曲げて、クロノの背中を抱え込もうとした。それもすぐにほどけ、つま先をぴんと伸ばし、足の指を開いて、高々と掲げた脚を震わせて絶頂に向かう。

「すごいおっぱい……リインフォースのおっぱい、すごいぃ……こんなん、もう、たまらんよぉ……」

206 闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA :2013/01/21(月) 19:51:20 ID:SZUvMGR6
「はぁっくっアインスさん、アインスさん、僕も……もう……!はやて、ああっ、はやて、見て、くれ……僕を……!僕と、アインスさんの、気持ちを、あぁぁ、見て──!
アインスさん、アインスさんのまんこ、いいです、アインスさんのおまんこいいです、世界でいちばんいいですアインスさんのおまんこっ!
ちんちんが、とろけて、あぅぅっ僕のちんちん、アインスさんのおまんこの中でとろけて、イク……いく、いって、出したい、はやてに見せる、はやてに僕の射精を見せるんだ……!」

 クロノの腰も動きを速め、抑え目ながら激しく結合し、熱い空気、蒸散する濃厚な汗を放ちつつある。
 パジャマの下で、自分の股間を垂れ落ちたのが汗なのか、それとも性器が分泌するいやらしい汁なのかはやてはわからなくなっていた。こんなに気持ちいい行為を人間はすることができる。もっと、気持ちよくなりたい。
 そして、自分の最も大切な絆を持つリインフォースが、愛する男とセックスをして悦んでいるのを見ると、自分もうれしい。はやての心はアインスとひとつになる。

「んっ、あ、あ、あぁぁ!わが主っ、そこ、あぁ、乳首の周り、あぁそこ敏感なんですっ、いいっ、まんこ、まんこもちくびもだめぇいっちゃう、いっちゃうぁああ……
ふぅっくぁ、うぅ、クロノ、おねがい、出してぇ中で出して、せいし、せいっ、ほし、ほしいっせいしぃ、あぁぴゅっぴゅってだして子宮にあててぇ!しきゅうがいっちゃう!
はぁぁ、うぁぁ、ああっあるじに揉まれて、わたしっあぁぁいい、クロノ、わたし、いぃ、あるじに見られながらクロノに中だしされる、膣がっ、膣がもぉだめぇひぐぅう……!!」

「くうぅ、はぁっはぁっ膣、ちついいですアインスさん、アインスさんに膣内射精します……膣、ちつ、ちつないしゃせいッ……!はやて、見るんだ、僕の、おおおっアインスさ……ンっ……
僕の、ちんちんから、精子っ、アインスさんっ……!なかに、注ぐ……アインスさんのっ、膣に、注ぐ、膣に、子宮にっアインスさんの膣の中に精子出すんだ……見ろっはやて……!
はやてにっ……くぅっ見られてっ、僕もいく……アインスさん、アインスさんアインスさん、おまんこのなかにでる、でる……アインスさん、射精、うけとめて、アインスさんアインスさん射精、しゃせいする……!!」

「あぁぁぁーっ!!クロノっ……──!!!」

 もはや言葉も出せず、歯を食いしばって、はやてを右腕に抱き、左手でクロノを掻き抱くように掴みながら、アインスは長い長い絶頂を迎えた。
 身体が溶けてはじけて飛び散りそうになるほどの、性の悦び。股間をさらけ出して、悶えて、発散する。
 左手の爪がクロノの身体のどこかを引っ掻いた。触れるものすべてが性感に変わり、膣の奥深くまで挿しこまれたペニスから、精液のひと射ちごとに爆発的な熱が全身を燃やすように広がっていく。
 上昇した血圧で鼓膜が浮き上がるのがわかり、それでもかろうじて、膣が粘度の高い愛液を噴出している音が聞こえた。
 はやての息遣いが乳房に当たり、もはや何も見えない目くるめく極彩色の視界の中、夢中で乳首をはやての顔にこすりつけようとする。

 破廉恥な融合騎を、どうか許してほしい。涙があふれ、それでも拭ったりとかそんなことを考えられないくらいに、アインスはありったけの愛情を込めた汗と淫汁を、はやてのベッドに染み込ませていった。





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207 SandyBridge ◆UKXyqFnokA :2013/01/21(月) 19:53:24 ID:SZUvMGR6
投下終了です

はやてちゃあああん!耳としま!えっちなおほんをこっそりよんでるのです!
そしてアインスさんもひさしぶりにクロノくんとえっちできました
みんなが見ている前でえっちするんですよぉ

さてアインスが狙う闇の書の真の覚醒、ここに来てグレアム提督に反旗を翻すことになります
はやてちゃんを守る戦いの始まりです・・・!決戦前夜にはもちろん仕込みます(ぇ

ではー

208 名無しさん@魔法少女 :2013/01/23(水) 11:19:38 ID:kD45dTyo
いきなりみんなの前でセックスとは相当やばいなwww

209 名無しさん@魔法少女 :2013/01/23(水) 15:44:38 ID:80zoLITI
GJ!闇のエロ本だー!w

210 名無しさん@魔法少女 :2013/01/23(水) 23:34:34 ID:IBhejePw
闇の書を修復・・・できればアインスもはやても救える・・・
クロノのおちんぽで世界を救えるか(ぇ

211 名無しさん@魔法少女 :2013/01/24(木) 02:52:31 ID:.7PLgcHI
アインスかわいいよう

212 名無しさん@魔法少女 :2013/01/25(金) 14:51:46 ID:IqNkTl4k
いよいよ佳境っぽいですな。
アインス、エロい。
やっぱり彼女の相手はクロノ、ザフィーラが主流なのか。

それでも私はユーノ祭りに向けてユーノ×アインス物を書いてます。
ショタユーノの事が気になってモジモジするアインス書いてる俺は病気。
深きものの大軍vs恭也、クロノ、ザッフィーとかやりてーですお。

213 名無しさん@魔法少女 :2013/01/26(土) 14:24:46 ID:I0.RTrIo
>>212
ぜひやってくれ。

214 名無しさん@魔法少女 :2013/01/27(日) 11:01:47 ID:Uf8qTtUE
>>212
声ネタ的にスパロボっぽい空気が
だって3月に出る新作は(ry

215 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/01/29(火) 20:09:57 ID:Tzi0mG6M
 【 告 知 】

大変申し上げ難いんですが、凄まじく心苦しいんですが、とてつもなく言い辛いんですが。

ユーノ祭の開催を一日延期して31日からにします。

あと少しで期日だというのに自分をはじめとした参加陣の多くが未完成という有様でして……面目ない。
一日、もう一日かけて完成させますのでどうかご容赦を……

216 名無しさん@魔法少女 :2013/01/30(水) 12:48:17 ID:PiHf9oDY
無理しないできりのいい2/1とかからでもええのんちゃうん?
別に印刷会社が待ってるわけでもないんだろうし

ああ、祭り自体は非常に楽しみにしてます
それだけにノルマに追われるような投げっぱなしクオリティで来るよりは・・・・

217 名無しさん@魔法少女 :2013/01/30(水) 13:05:47 ID:0FqvYqOA
半年までなら待てるから、ゆっくりやってくれても良いんだぜ?

218 名無しさん@魔法少女 :2013/01/30(水) 17:22:09 ID:p/SisFmw
むしろ始まった日が1月30日だぐらいのつもりでもいいんだぜ

219 名無しさん@魔法少女 :2013/01/30(水) 18:00:45 ID:4WgSZ6Ng
というか2月一杯「ユーノ祭り」でも一向に構わんですぜ。
私も書いてるけど、メイン主人公ユーノで書いてるけど、中々上手くかけんです。

220 名無しさん@魔法少女 :2013/01/30(水) 19:17:02 ID:oESE9xFk
←やべぇ、もう1月30日だった、という顔

221 名無しさん@魔法少女 :2013/01/31(木) 07:27:30 ID:zG92Pqc2
祭りって言うからには、一定期間やり続けてもいいんじゃないだろうか
インドのお祭りみたく、それこそ数ヶ月
なのはから陰鬱にユーノ寝取るフェイトとリンディ義母娘の電波が降りてきたのに仕事忙しくて書けない
そんな自分みたいな同死の為に!

222 名無しさん@魔法少女 :2013/01/31(木) 10:52:51 ID:R7f0HmHU
『闇の書』の情報を探すのを妨害する為、ユーノに色仕掛けで迫ってフェラ&パイズリで歓楽させようとするリーゼアリア。
だが、逆にユーノを男として覚醒させてしまい、自分が夢中になってしまって・・・更にセックスしてた無限書庫の近くの区画で
『闇の書』の修正プログラムが見つかって、それを切欠にアインスもユーノを意識するようになって。
そんなリーゼアリア×ユーノ×アインスの三角関係なんて電波を飛ばしたのは誰だす!?

223 名無しさん@魔法少女 :2013/01/31(木) 11:02:42 ID:YgCKmKig
それも私だ

224 超硬合金 :2013/01/31(木) 22:07:05 ID:OlMDeHCA
ザ・シガー氏を始め色々と祭の準備を進めている皆様には申し訳ありませんが
飛び入りが先陣を切っても構わないというのであれば、
小話を一つ23時頃から投下したいと思います。

225 名無しさん@魔法少女 :2013/01/31(木) 22:15:28 ID:AQIrOcpU
ヤッチマイナ!

226 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/01/31(木) 22:23:56 ID:MBdoI3ns
|3゜) コソッ

俺も投下するブツできたんだけどここは譲るですよ。

自分は明日でよいので、お先にどぞ。

|))) スス

227 超硬合金 :2013/01/31(木) 22:55:17 ID:OlMDeHCA
寛大な対応、有難うございます。
それでは、ユーノ祭の一本目を投下させていただきます。

・如何にユーノがもてるのか、ヴィヴィオ達が語るだけ。
・ユーノスキーにとっては多分手垢の付いたネタ。
・エロスは無し。
・タイトル「ユーノ司書長はMMK」

228 ユーノ司書長はMMK 1 :2013/01/31(木) 22:56:44 ID:OlMDeHCA
アインハルトが高町家を訪れる事は少なくない。
その日も、ヴィヴィオに誘われてリオやコロナと共に高町家に遊びに来ていた。
只、いつもとは違って、その日高町家を訪れた客人が自分たちだけではなかった。
とは言え、その客人はヴィヴィオが招いたのではなく、彼女の母親達に会いに来ていた。
だから普段と違って年長組はダイニングに、年少組はリビングに分かれてお茶会が繰り広げられる。
客人は見知った顔が二つ、見知らぬ顔が一つ。
見知った顔の一つはリィンフォースなのでこちら側、もう一つははやてなのであちら側。見知らぬ顔もなのは達の幼馴染みという事で、ダイニングで談笑中だ。
勿論年少組もケーキを食べながら女子トークの真っ最中。話題は専らアインハルトが初めてあった見知らぬ客人、ユーノについてだ。
理由は、アインハルトがなのは達の幼馴染みに男がいるという事実に驚いたからだ。
些か失礼な話ではあるが実際問題、
ザフィーラはヴィヴィオの師匠ではやての守護獣、ゲンヤはなのはの元部下の義父、エリオはフェイトの弟的保護児童と、
今まで会ったなのは達の知り合いに、友人と呼べる立ち位置の男がいなかったのだから仕方ない事ではある。

「……ハァ……それはとても凄いですね……」

ヴィヴィオ達にとってユーノは大好きな無限書庫の尊敬する司書長である。夕方までだって彼の素晴らしさを語る事が出来る。
だが、全てを喋らせる必要もなく、アインハルトは彼の素晴らしさを理解する。
何しろ、ヴィヴィオ達がこれ程までにべた褒めするのだから素晴らしくないはずがない。
頷きながら、ちらりとダイニングに目をやる。



「ねぇ、そのシフォンケーキ、どんな感じかな」

フェイトがユーノに問い掛ける。

「う〜ん、お菓子について美味しいとか甘いとかの他に語彙力がないからなぁ……」

ユーノは困ったように天井を見上げて悩んだ後に、表現する事を放棄する。

「味見してみる?」

「うん! ア〜ン」
 目を閉じて大きく口を開けて待つフェイトにユーノは苦笑する。

「ひな鳥か君は……て、なのはも!?」



「そんなに凄い方なら、ヴィヴィオさんのお母様達に慕われているのも解ります」
ヴィヴィオ達が語った内容はGOD並に主人公補正の掛かったものであったが、
ハーレムルート突入後のラブコメチックな展開を繰り広げるダイニングの様相を説明するだけの説得力がある。

「そうなんです、ユーノさんはMMKなのです」

リィンがしたり顔で頷く。

「エムエム……?」

「次元航行隊の隠語で、もててもてて困る、という事だそうです」

初めて聞く用語に首をかしげるアインハルトにリオがすかさずフォローを入れる。
因みに某お姉ちゃんの必殺技と同じノリであるが、こっちの方が格段に歴史が長い。てか、何で日本語ベースの隠語なんだよ。
さて、MMKの言葉の意味を理解したアインハルトだが、それ故眉根を顰めて悩む。

229 ユーノ司書長はMMK 2 :2013/01/31(木) 22:57:33 ID:OlMDeHCA
「どうして、人に慕われて困るのでしょうか?」

「それは変な人につきまとわれるからなのです」

リィンが人差し指をピンと立てて的外れな解説をする。

「例えばリィンが生まれる前の事なのですが、『ユーノく〜ん、子作り手伝ってや〜』と無限書庫や宿舎に押しかける変態さんが居たそうです」

保健体育の授業を受けているアインハルトは、リィンの言葉の意味を飲み込んで、理解して、それから顔を真っ赤に染める。
子供はキャベツ畑だったりコウノトリだったり生体ポッドだったりから連れてくる物と考えている初等部三人娘は
アインハルトが顔を染めた理由を理解できなかったが、要はストーカーであると理解する。

「それで、ユーノさんは無事だったんですか?」

リオの問いにリィンは首を上下に振る。

「ユーノさんがまだ独身なのが、その変態さんの魔の手から逃れた何よりの証拠です。
噂ではフェイトさんがその変態さんを撃退したそうですが、
当時はやてちゃんがリィンのフレーム設計をユーノさんに手伝ってもらいに訪ねていましたから、きっとはやてちゃんも活躍したはずです」

ユノはやをごり押しするリィン。
因みに当のはやては、シフォンケーキのお返しにと、ユーノにショートケーキの苺を口移しで食べさせようとした結果、
フェイトに頭を鷲掴みされて裏庭まで引きずられて行ったところだ。
結婚しなくとも子供が生まれると知っているアインハルトは、リィンの説明が説明になっていないと感じたのだが、
まぁ、事が大きくなっていないようだから、実際どうにか収束できたのだろうと納得する事にする。

「……成程、理解いたしました」

奥歯に何か挟まったようなアインハルトの表情ではあったが、リィンはドヤ顔で頷く。
そのドヤ顔が、無限書庫大好きを自認するリオの対抗意識に火を付けた。

「私も、ユーノ司書長がもてすぎて困る話聞いた事があります」

彼女は右手を大きく挙げて、友人達の意識を自分に向けさせる。

「他にもストーカー事件があったのですか?」

二人も三人もストーカーに付きまとわれるというのは一般人には想像も出来ない事態だが、無限書庫の司書長だってそれなりに有名人だから有り得ない話ではない。
だが、リオは首を左右に振ってアインハルトの言葉を否定する。

「ストーカーとはまた違う話なんです。
ユーノ司書長はさっきも話した通り、ミッドチルダ考古学士会の会員で、その上スクライア一族の出身なんですよ」

リオの言葉に頷くアインハルト。

230 ユーノ司書長はMMK 2 :2013/01/31(木) 22:59:09 ID:OlMDeHCA
「ですから遺跡鉱山でロストロギアの発掘を指導する事も多くて、ロストロギアを略奪しようとする次元犯罪者の襲撃を受ける事もあるそうなんです。
勿論そんな事が起きたら直ぐに、管理局から犯人の捜索やユーノ司書長達の警護の為に部隊が派遣されるんですが」

そこでリオは言葉を句切る。

「かなりの高ランク魔導士とのお話でしたが?」

「だからと言って文官が襲われているのに、応援を派遣しないわけには行かないものなのです」

アインハルトの疑問に定型文的な答えを返すリィンだが、
ユーノの場合、旅行先での水問題よりも更にセンシティブに魔力適合不良を起こしやすいフェレット(人気者)体質で、
必ずしも発掘現場で最良のパフォーマンスを発揮できるわけではないという事情もある。

「そ れ で」

話の腰を折られたリオが、少し不満げに語気を強めて口を開く。

「実行犯の担当執務官が犯行現場の調査を部下に押しつけて、護衛と称してユーノ司書長と二人っきりになろうとする事がよくあるそうなんです」

うわぁ、とアインハルトは管理局のダメッぷりに引く。
一方コロナはパッと顔を明るくしてリオの言葉を引き継ぐ。

「あ、それ私もティアナさんから聞いた事がある。普段はとても優秀で尊敬できる人だそうですよ、その人」

「それは、その、最早魔性の魅力ですね……」

周囲にまで迷惑が及ぶというのはなかなかに無い、それ故にアインハルトはユーノをそう表現する。
念のために断っておくと、ユーノになのはとの談笑を中断させ、彼をダイニングから廊下へと移動させた電話の主、
即ちクロノはユーノと二人きりになりたがる趣味はない。

「そう言う話なら私もとっておきのを知っていますよ」

「まだあるんですか?」

驚くアインハルトにヴィヴィオは自信ありげに頷いた。

「はい、昔ユーノ司書長が管理外世界でロストロギアの回収をしていた事があるそうなんです。
で、その管理外世界で寝ているところを現地の女の人に攫われて檻に監禁されてペットにされた事があるそうなんですよ」

コロナとアインハルトの脳裏に陵辱系BL本の表紙的なイメージ、
即ち両手を皮手錠で拘束されてワイシャツがはだけた姿で石畳の牢獄に閉じこめられた金髪碧眼の青年の姿がありありと浮かび上がる。
生唾をごくりと飲み込んで、アインハルトは問い掛ける。

「魔法は、使えなかったのですか?」

「ロストロギア回収で無理をして衰弱していたのと魔力適合不良を起こしていたそうなんです」

「……よく脱出できましたね」

「ハイ、偶然ロストロギアの捜索に訪れていたフェイトママの活躍で管理局に保護された
のが
フェイトママとユーノ司書長の出会いだって、フェイトママが教えてくれました」

「フェイトちゃ〜ん、ちょっとOHANASHIがあるの〜」

    おわり

231 超硬合金 :2013/01/31(木) 23:02:21 ID:OlMDeHCA
この世界ではどうやらフェイトさんが半馬身、他の二人よりリードしているようです。
お目汚し失礼いたしました、ではまたいずれ。

232 名無しさん@魔法少女 :2013/01/31(木) 23:54:45 ID:YgCKmKig
GJ
三人娘ひどいwww

233 名無しさん@魔法少女 :2013/02/01(金) 00:46:12 ID:p3NXhTQI
>「あ、それ私もティアナさんから聞いた事がある。普段はとても優秀で尊敬できる人だそうですよ、その人」
普段「は」優秀で尊敬できる、と発言する辺り、ティアナ達は隊長陣の正体理解しちゃってるのか

アインハルト、君に他人をストーカーだの襲撃犯だのの話題で顔をしかめる資格は無いと思うんだ
ヴィヴィオが育ての親の正体知ったら「私ユーノさんの子供になる」とか言いそう…
・・・で、はやては何処まで逝ったんだろうか?ww

234 名無しさん@魔法少女 :2013/02/01(金) 01:04:16 ID:FUKMOVzs
三人娘がいろいろ問題行動してるなww
あとリィンII、キミは当事者だwww

235 名無しさん@魔法少女 :2013/02/01(金) 01:09:25 ID:1rj3VmdY
ティアナの立ち位置いい、GJ!
しかしMMKと同じノリなのは妹の決め台詞じゃ?

236 名無しさん@魔法少女 :2013/02/01(金) 07:58:46 ID:AdHbVzzQ
年少組が大人組の正体を知ることが無いことを切に願う
ところで、なんでみんなリインのことをリィンって言うん?

237 名無しさん@魔法少女 :2013/02/01(金) 17:22:27 ID:RU3VyA5.
リインといえば今月の娘タイプのピンナップのリインが出るとこ出て凹むとこ凹んだメリハリのある身体つきに成長していて驚いたよ
あと5年もしたらアインスに追いつけるかもしれんな

238 名無しさん@魔法少女 :2013/02/01(金) 22:14:50 ID:CnO3qdpY
フェイトの情報操作が巧みだw
はやても仕官なんだから頑張って工作しなきゃ
なのはさんは安定のごり押しでお願いします

239 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/02/01(金) 23:17:57 ID:UmgXroS2
遅れてしまい申し訳ない。

というかその・・・寝てましたwww

今から投下します。


ユーノ祭投下用第一弾、短編、非エロ、ビグロ、タイトル『不変愛〈カワラズノアイ〉』

240 不変愛〈カワラズノアイ〉 :2013/02/01(金) 23:20:32 ID:UmgXroS2
不変愛〈カワラズノアイ〉


 それは一体いつからそこにいたのか、それ自身にすら分からなかった。
 ぬばたまの闇の中に潜み、静かにただ時を過ごす。
 意識は鮮明で、生み出された時から一寸の切れ目さえなく自身と周囲を認識し続けていた。
 もし人のような情緒があったのならば、長すぎる孤独と闇、広大な空間を前に狂してしまっただろう。
 幸か不幸か、それには人並みの感情的な起伏は存在しなかった。
 代わりにある程度の知能、自身の存在目的だけは把握していた。
 しかし目的を達しようにも『対象』がいないのではどうしようもなかった。
 ゆえに、それは待つ。
 いつか自身の生み出された目的を達する為に。
 暗黒の中で粘液を纏う体をくねらせながら。
 そんな風に過ごして幾星霜。
 静寂の待機が破られたのは唐突だった。



 魔力で作られた微かな光源の照らすそこは、埃と黴の混じった臭いに満ちていた。
 地下深くに埋まった深遠な遺跡の園。
 四方を囲む石には細緻なレリーフが施されており、先史時代の高度な文明のほどを思わせる。
 そこを行くのは二人の男女だった。
 手元で魔法陣を展開し、探査魔法を行うブロンドの青年が、連れの女性に視線を向ける。

「これは、本当に凄い遺跡だよなのは」

「そうなの?」

「うん。ここまでこの年代の遺跡が完璧に残ってるなんて初めて見たよ」

「へぇ」

 ユーノの言葉に、なのはもちらりと周囲の壁面に視線を移す。
 考古学に疎い彼女には皆目検討もつかない不可思議な模様や絵、文字の羅列が凄まじい密度で左右の壁に床、天井までひしめいていた。
 なのはからすればある種不気味な様であるが、古代に栄えた今は亡き人の英知に想いを馳せるユーノからすればまったく反対に見えるのだろう。
 遺跡の中に入ってからというもの、彼の声がいつもより活力に満ちているのを感じる。
 
「ユーノくん、なんだか嬉しそうだね」

「まあ、ね」

 改めて指摘され、ユーノは少しだけ照れくさそうに笑った。
 彼のこんな顔を見れるだけでも、貴重な休日を潰してまで付き合った甲斐もあると、なのはは思う。
 こんな風に、管理局の仕事を離れた時にも遺跡を巡り過ごすのも、悪くはない。
 一応、形式的な理由といては無限書庫司書長の護衛という名目ではあるが。
 漫然とせんなき事を考えながら、なのはは照明用の魔力球をまた一つ生み出した。
 事前に探査した時トラップの類は何一つ見つからなかったから、特に警戒する事もない。
 だからだろう、なのはは天井から音もなく落ちてきたそれに気付かなかった。
 
「いつッ!」

 首筋に感じた痛みに、思わずなのはは声を上げた。
 そっとうなじに手を当てる。
 血は出ていない、指先で痛みの生じた肌に触れるが、特に跡らしい跡も感じなかった。
 筋でも違えたのだろうか、なのはは疑問に首をかしげた。

「どうかした?」

 前方を行く青年が振り返り、心配そうな視線を向ける。
 心配させぬようなのはは首を振って、ぱっと笑顔を見せた。

「ううん、大丈夫。なんともないよユーノ君」

「そう。なら良いんだけど」

 それきり、二人の間でその話題は終わった。
 もし体に起こった異変をすぐさま察して適切な治療をしていれば、その後起こる全ての悲劇は回避されただろう。
 だがそれは仮定の話で、なのはの脊髄の中を這い進むそれを知る術は、どこにもなかった。



 最初の変化は一週間後の話だった。

241 不変愛〈カワラズノアイ〉 :2013/02/01(金) 23:22:29 ID:UmgXroS2
 バリアジャケット姿のなのはは、教導の最中にレイジングハートを持つ手の先に違和感を覚えた。
 左手の人差し指の先端から、じくじくとむず痒いような痛みが走る。

「ん?」

 利き手の左手には自然と強く力がかかり、杖となった愛機を握る手には、時に行き過ぎて痛みを感じる場合もある。
 だがその時の感じ方はいつもと違った気がした。
 空を舞い、魔法を使いながら、なのははそれを漫然と意識した。
 教え子に誘導弾を用いる最中に、レイジングハートを右手に持ち替えて、軽く左手を目の前にかざして見た。
 人差し指の先からは鮮やかな朱色が滴っていた。
 傷はない、それは指の肉と爪の間から漏れていた。
 
「あ。血、出ちゃってる」

 右手一つでレイジングハートを構え、マルチタスクの多重思考で魔法を使いながら、血の流れる指を白いバリアジャケットで拭う。
 真っ白な生地にじわりと広がる赤色。
 その時かかった力はほんの僅かだった。

「……え?」

 だというのに、綺麗な彼女の爪は、あっけなくぽろりと落ちた。
 教導を行う思考とは別のところぞわりとした怖気が疼いた。
 それは痛みから来るものではない、爪が剥がれたというのに、痛みがまったくないからだった。
 


「あれ? なのは、怪我したの?」

「あ、ユーノくん」

 意外なところで意外な声を聞き、思わずなのはの声は上ずった。
 無限書庫は本局内にあるが、本局施設そのものが広大すぎる為に出会った事はほとんどなかった。
 入局十年以上になるが、片手の指の数より少ない。
 自然と豊かな胸の奥で鼓動が高鳴るのを感じる。
 
「うん、ちょっとね。教導中に。大した怪我じゃないけど」

「そうか、なら良かったんだけど」

「そういうユーノ君は、今日はどうしたの? 書庫とは方向違うよね」

「ああ、ちょっと生物化学研究所のほうにね」

「え? そんな所に何か用なの?」

 ユーノの専門は考古学であり、生物化学などまったくの畑違いもいい所だ。
 この疑問は実に自然なものだろう。

「この前の遺跡で発掘した資料をちょっと調査に出してきたところなんだ」

「生物に関わるものだったの? あの遺跡で見つかったものって」

「まあね」

 そう言って、ユーノは手に持っていたカバンから一枚の書類を取り出した。
 遺跡の壁画に刻まれた象形文字を模写し、さらにその下列に翻訳が記されている。
 断片的に記述されたその文面を見て、なのはは思わず顔をしかめた。
 それは女性が見て気分の良い類の代物ではなかった。

「えっと……つまりあの場所を作った文明の人たちは、怪物を作る研究をしていたの?」

 その種の知識の薄いなのははそう結論付ける。
 彼女の答えにユーノは顎先に指を当ててしばし考えた。

「怪物、という言葉は適切かどうかな。そう呼べなくもないかもしれないけど。彼らが目指していたのは人間の適応性をより高めるためのものだから」

「適応性?」

「どんな環境にも耐えられるように。人間という種の肉体的な制約をなくそうっていうね。確かにその結果は、きっと怪物みたいな様かもしれないけど」

「へぇ」

 ユーノの言葉に、なのはは曖昧な微笑を浮かべた。
 人を怪物のようにする事に腐心した太古の研究者、大昔のマッドサイエンティストとでも言うべきものだろうか。
 何にせよロマンスのある話ではなかろう。
 それを察したのか、ユーノは早々にこの話題を切り上げた。

「じゃあ、僕はそろそろ行くね」

「あ、うん。じゃあね」

「ああ。そうだなのは、また今度暇があったら……だけどさ」

「なに?」

「遺跡の発掘とか、付き合ってくれないかな」

 そう頼むユーノの顔は、わずかに朱色に染まっていた。
 告げられたなのはの顔も、一瞬でぱっと赤くなった。
 付き合ってくれないか、その語に何か別の意図を連想してしまうのは、年頃の乙女らしい思考か。
 照れ隠しに僅かだけ視線を逸らし、そっと栗色の髪を掻き上げながら、彼女は答えた。

「う、うん……別に良いけど」

「そう、ありがとう。じゃあね」

「うん」

 踵を返し去っていくユーノの背中を見送りながら、なのはは胸の奥で疼く形容しがたい甘い心地にため息さえ漏らした。
 空を駆け砲撃を用いる、そんな戦いならばいとも容易くこなすと言うのに、事それが男女の関係となると……
 もはや爪の剥がれた指先の事も意中から忘却し、なのははユーノへの想いを募らせたのだった。



 果たして、それから二週間ばかり経った。

242 不変愛〈カワラズノアイ〉 :2013/02/01(金) 23:23:07 ID:UmgXroS2
 最初はそうでもなかったが、この頃になるとなのはの中に芽生えた違和感は徐々に大きくなっていた。
 剥がれた左人差し指の爪は未だに生える兆しがない。
 痛みもまた同じく、どれだけ経過しても生じる事がなかった。
 その癖、爪を失った指が使い難いかというとそんな事もない、それが余計に不気味さを煽るのだ。
 管理局の医務課へ診療希望を提出するのも当然と言えた。

「どうですか、シャマル先生」

 と、なのはは問う。
 担当した医務官はシャマル、闇の書事件以来、かれこれ十年来の付き合いのある相手である。
 信頼する彼女の言葉を、なのはは縋るように待った。
 明らかな傷を負って痛みの生じないという怪奇の答えを求めて。
 だがあにはからんや、返ってきたのはなのはの求めたようなものではなかった。

「それなんだけどね……なんて言ったら良いか分からないんだけど。なのはちゃんの体、異常はないわ」

「え? で、でも、私の指こんな風になってるのに、ぜんぜん痛くないんですよ」

「確かに、そうなんだけど」

 シャマルは困り果てたように眉根を寄せた。
 目の前に起こした空間投影ディスプレイに表示された、諸々のデータ。
 なのはの体、痛みを生じるはずの指先、痛覚を伝える筈の神経。
 それらを精査したスキャン結果だが、異常を示すものは何一つない。
 そう、何一つ。
 だからこそ異常なのだ。
 まるでなのはの体自身が、傷を傷と認識していないような。
 シャマルには、今の時点で打てる手立てはなにもなかった。

「今はまだ何も言えないわ。もしかしたら装置の故障かもしれないし……もう一度他所の機械でデータのチェックをしてみるから、もうちょっとだけ待ってもらえるかしら」

「……はい」

 告げられた言葉に、なのはは頷くしかない。
 医療という分野ははあまりにも専門外であり、シャマルにも分からない事がなのはに分かる筈もないのだから。
 だが自分の中で何かが起こっているという事実の曖昧な輪郭が、心に不気味な影を落とした。
 しかしなのはにはまだ知る由もなかった。
 これが、まだ自分に起こる変化のほんの始まりに過ぎないという事が。
 


「ほらヴィヴィオ起きて! 朝だよ!」

「んぅぅ……もうちょっと寝たいよぉ」

 それはいつもの朝だった。
 学校へ行く義娘を起こしに、なのはは白いシーツにくるまってきゅっと丸くなった可愛い姿へ、大きな声で呼びかける。
 朝に弱いのか、ヴィヴィオは窓から注ぐ朝日から逃れるように余計シーツをかき集めてしまう。
 
「ほら、遅刻しちゃうよ?」

「やぁだぁ……もっと寝たいよぉ」

「もう!」

 駄々を捏ねるヴィヴィオにしびれを切らしたなのはは、やや乱暴にシーツを引き剥がしに掛かった。
 温もりを奪われそうになって、ヴィヴィオは当然の反応としてシーツをぎゅっと掴んで反抗する。
 その時かかった力は、決して強いものではなかっただろう。
 だからこそなのはは信じられなかった、一瞬理解する事ができなかった。

「……ぇ」

 左手を見た。
 自分の利き腕。
 先ほどまでシーツを掴んでいたその指先、ヴィヴィオの抵抗に対して、力をこめた五指。
 それが歪に歪んでいた。
 ぐにゃりと、普通ならありえない方向に曲がって、おまけに残る四枚の爪もまた剥がれ落ちて。
 痛みは――ない。

243 不変愛〈カワラズノアイ〉 :2013/02/01(金) 23:24:02 ID:UmgXroS2
 この前と同じように、まったく苦痛はない。
 それがいっそう不気味だった。


 そっと力を指にこめる。
 呆気ないほど簡単に、折れ曲がった筈の左五指が元の形へと戻った。
 まるで軟体生物、タコやイカの触手かと思えるほどだった。
 



「どうかしたのママ?」

「え!? べ、別に……なんでもないよ。さあ起きてヴィヴィオ」

「うん」

 母の普段と変わった様子を布団越しに察したのか、むくりと自分から起きたヴィヴィオに、そう促すなのは。
 異常な左手はそっとシーツで隠した。
 今はいつもどおりの様となった指を。
 自分の中で一体何が起こってるのか、不安はさながら泉に湧く水のように尽きなかった。



「なのは、それどうかしたの?」

「え? ううん、別になんでも。ちょっとね」

 フェイトにそう聞かれ、なのはは左手を右手で隠した。
 包帯に包まれた左手。
 これ以上おかしい事がおきないように、早く治るようにと、添え木を当てて包帯を巻いた。
 医者に診せるという事も考えはしたが……出来なかった。
 人に今の自分の体を見せる事に、過剰なほどの恐怖心があったからだ。
 自分自身でも、腕を見たくないという心理も働いていた。
 そうしていれば治るのではないか、という不確かな期待、いや、願望もあった。
 どんなに儚く脆いと分かっていても。
 自室のベッドの上の腰掛けて、なのはは漫然と腕を見下ろす。
 利き腕の左、二十年近く使い続けたそれを、今や自分は何か形容し難いおぞましいものを見る目で見つめていた。
 ぼんやりとした意識を覚醒させたのは、携帯端末のコール音だった。
 慌てて右手で取り出し、着信先を確認するや通話ボタンをオンにする。

「ゆ、ユーノくん?」

『こんばんはなのは。今大丈夫?』

「うん、大丈夫だけど」

『明後日って、たしか休みだよね? なら、また一緒にどうかなって』

「良いけど。遺跡の発掘とか?」

『そんな感じ。良い?』

「えと……うん、良いよ」

「分かった。じゃあ詳しい時間とか場所はメールしとくね」

「うん」

 通話をオフにし、なのはは端末をベッドシーツの上に下ろした。
 不安だらけの心に差し込んだ一条の光。
 胸に微かな安らぎを得て、ふっと笑みが浮かんだ。
 


 照りつける陽光も暖かな森の中には、木々の梢から挿し零れる木漏れ日が、新緑の鮮やかさと相まって美しく映えていた。
 薄く茂った草を踏み分けながら、近くの清流で冷気を帯びた心地よいそよ風を受けるのが心地よい。
 なのはは深く呼吸をしてさわやかな大気を味わい、気持ちよさそうに天を仰いだ。

「良いところだね」

「そうだね。僕もここを歩くのは好きなんだ」

 申し訳程度に鎮座する苔だらけの宮殿跡を観察しながら、ユーノがそう告げた。
 二人は今、ある管理世界に存在する古代遺跡へと訪れていた。
 遺跡発掘という名目でこそあるものの、太古の遺跡群はそのほとんどが苔と木の根、雨と風に侵食され尽くされており、やる事と言えば風雅な文明の憂愁を見ながらの散策程度である。
 それはほとんどピクニックと変わらぬものだった。
 自然と湧き上がる疑問に、なのはは思わず聞かずにはいられなかった。

「ねえユーノくん。今日はこんなところで良かったの? いつもなら、もっとちゃんとした遺跡とかに行くんじゃないのかな」

 当然といえば当然の問いかけだったろう。
 ユーノはしばし、その言葉を吟味するように目を瞑り、やや恥ずかしそうに頬を染めて、答えた。

「いやね、フェイトからなのはが最近少し元気ないって聞いて……それでここにつれてこようって思ったんだ」

「……え? それって」

「だからさ、ここなら気分も落ち着くし。ちょっとは元気になってくれるかなって」

「……ユーノくん」

 はにかみながらそう告げる彼の姿に、なのはは胸が詰まった。
 自分が案じられていたという事が素直に嬉しい。
 ユーノの朴訥さに温かい気持ちが湧き上がる。

244 不変愛〈カワラズノアイ〉 :2013/02/01(金) 23:25:59 ID:UmgXroS2
 目じりに浮かぶ涙の雫をそっと指で拭い、花のような笑顔を彼へと贈る。

「ありがとう、ユーノくん。凄く……嬉しい」

「……なのは」

 目と目を見つめ合い、心のどこかで感じる、今二人はお互いの心を共有しているという認識を。
 今なら、素直にこの気持ちを伝えられるのではないだろうか。
 そんな気さえした。
 ただ一言、好きだ、と伝えるだけで。
 しかしそのたった一言を伝える時間を、残酷な運命は引き裂いた。
 森に響き渡る、鈍く軋む金属の駆動音。
 脆い遺跡の石壁が爆ぜるように吹き飛んだ。
 のっそりと姿を見せる、おぞましい程に肥大化した鋭い節足。
 間違えた進化の果てに生まれたようなその威容は、古代の文明が作り出した蟲にような防衛兵器の一つだった。
 赤い硝子製の複眼が周囲をサーチし、眼下に佇む二人分の人影を認識する。
 不気味で虚ろな機械仕掛けの目に捉えられ、なのはは意思などない筈の機械から、敵意を感じた。
 侵入者を殺戮する為に再び起動した機械蟲が、腹部装甲をパージしてスマートグレネードの砲身を取り出した、その一刹那の瞬間に、なのはは即応した。
 教導官として、武装局員として培った戦いの経験のたまものだ。
 包帯に包まれた左手が胸元のレイジングハートを掴み、デバイスモードになったその杖先を向けるまでに掛かった時間は正に瞬く間であった。
 蟲型兵器が攻撃を行うより遥かに速く、なのはとその愛器が生み出した魔力砲撃の衝撃と閃光が天空まで一直線に全てを貫く。
 轟々と鳴り渡る砲撃の残響、物理破壊を選択された魔力の余韻がびりびりと大気を震わせ、次いで破壊されてただの残骸になった古代兵器のパーツが地面へと舞い落ちた。
 全てはほんの一呼吸の間に発生し、一呼吸の間に完結した。
 まだ防衛兵器の類が生きていた事も驚きだったが、水際立ったなのはの対応はなお驚くべきものだったろう。
 頼もしい彼女の様に、ユーノは嘆息する。

「凄いねなのは、一瞬であんな兵器を破壊するなんて。君が一緒で良かったよ。……なのは?」

 そこで、ようやくユーノは気付いた。
 なのはのおかしな様子に。
 小刻みに体を震わせ、その顔は正に蒼白の呈であった。
 一体何があったのか。
 まさか傷を負ったのか……ユーノは慌てて彼女に近寄った。
 案じるユーノの不安を、凄まじい悲鳴が引き裂いた。

「いやあああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

 声の限りに、なのはの悲痛な叫びが迸る。
 だがその声よりなお、ユーノはある一点に目を釘付けにされた。

「な、なのは……どうしたの、それ……その『手』は」

 それは、なんという事だろうか。
 なのはの手、左手、かねてより異常を見せていた手。
 果たして何と呼ばわるべきか。
 かつて白くなめらかだった五指は、既にその限りではなかった。
 ずるずると音を立てて、レイジングハートの杖を握るのは……赤黒く、異様な粘液か粘膜かに覆われた、指の名残を見せる触手。
 ときおり血管の脈動をしては蠢く触手の指、手首も前腕もまた同じだ。
 肉の鞭を幾条も束ねたような異形の姿。
 太くおぞましい肉塊のうねり。
 それが手首の先から肩まで、なのはの腕を覆っていた。
 いや、腕を覆うというのは御幣があろう――もはやなのはの腕が触手なのだ。
 強い魔力を駆使し、緊張が代謝と共に変化を促進させたとは、ユーノにもなのはにも分からない事だった。
 ただ分かるのは、人のあり方を失った腕。
 そして残酷な変化は、より加速する。

「やだ……やだやだやだぁ! 見ないで、ユーノくん……いやあああ!!!」

 ごりゅ、ばき、めちぃ。
 肉を撓らせ骨が軋む音色が響いた。
 腕全体まで進んだ変容の加速は、もはやとどまる事をしなかった。
 肩までだった肉塊と触手のうねりが、次に胸と首筋まで至る。
 服を千切り肥大化するおぞましく醜い肉の塊を前に、ユーノに出来たのはただ呆然とする事だけだった。

「なの、は……」

 虚ろな声音が、彼女の名を呼ぶ。
 それを聞いた刹那、なのはは悲鳴を噛み殺しながら、触手となった指でレイジングハートを強く握った。
 展開される桃色の魔方陣。
 転移魔法の術式だと分かったのは、彼女の姿が目の前から完全に消失してからだった。
 そして、場には静寂だけが残った。
 立ち尽くすユーノ一人と、破壊された鉄の蟲と、森と、風。
 ただそれだけが残った。



 なのはが失踪してから、二週間ほどの時間が過ぎた。

245 不変愛〈カワラズノアイ〉 :2013/02/01(金) 23:26:49 ID:UmgXroS2
 あまりにも信じ難い話ではあったが、ユーノはその全てを余さず管理局に報告した。
 当初は彼がなのはを殺害したのではないかとも疑われたが、一切の証拠がなく、また嘘発見器や取調べに対する反応でも容疑は確定されなかった。
 なのはの多くの友人、知人は、失踪した彼女を懸命に探した。
 とりわけフェイトは長期の休暇を申請し、執務官の仕事をなげうってまで探し続ける程だった。
 だが、一向になのはの行方は知れない。
 もしかしたら、もう永遠に分からないのかもしれないという諦観が誰の胸にもあった。
 そんな日の晩だった。

「……」

 ユーノはその日もまた、空中投影ディスプレイに映し出される失踪者情報を流し読みながら、収穫の乏しさに眉根を寄せていた。
 何杯目かも忘れた薄い不味いコーヒーを啜り、デスクチェアの背もたれに体を預ける。
 天井を見上げる双眸は虚無めいていた。
 反芻される、あの日の出来事、最後に見たなのはの姿。
 彼女は今――
 迷走する思考を中断させたのは、来訪者の存在を知らせる玄関のベルだった。
 億劫に感じながらも、今開いているディスプレイと玄関先のカメラを繋げる。
 だが画面に表示されたのは、ぬばたまの闇だけだった。
 玄関に訪れた来客は、カメラを破壊したか、何かを被せているのだろうか。
 悪戯、そんな事を思いながら、ユーノはいちおう声をかけた。

「どなたですか?」

 ユーノの言葉に、相手は答えなかった。
 静寂が、一秒、二秒と続く。
 いい加減に彼が画面を切ろうかと思った、その刹那。

『ユゥ、の゛ くん』

 声が、聞こえた。
 粘ついた、声帯を丸ごと異様な別生物の器官に挿げ替えたかのような、声音。
 だがその気色の悪い筈の響きの中に、ユーノは懐かしい声の、微かな、本当に微かな名残を感じた。
 
「…………なのは?」

 そう、かつて彼の心を癒した、あの鈴振るような甘い声。
 確かに今しがた聞こえた残響に、その名残があった。
 ユーノは駆け出した。
 椅子をひっくり返すのも構わず、一目散にドアへと目掛けて。
 なのはが居る、今ここに、探し続けた彼女が。
 靴を履く時間さえ惜しみ、ユーノはドアノブに手を掛けた。
 その瞬間だった。

「ヤ、め゛テ!!!」

 異音に暗く粘ついた彼女の声が、ユーノを制した。
 冷たいドアノブを捻り、あと少しで戸を開けるというところで。
 これを開ければ、なのはに会えるというのに。

「どうして……なのは」

 詰問するユーノの言葉に、ドア一枚隔てた先に居る彼女は、再びしばらくの逡巡を経て、答えた。
 
「わ、タし……今、スゴク変なノ゛ もう、ムかし゛のわ゛たシじゃ……ない、の……」

 震える響きは、嘆きと悲しみに満ちていた。
 ユーノは言葉に詰まった。
 なんと言えば良いのか、なんと応えれば良いのか分からない。
 硬直する彼に先んじて、なのはは言葉を連ねた。

「ダカラ、もう゛イクね……サよう゛なラ゛」

 その瞬間、分かった。
 これは今生の別れだと。
 なのははこれを期に、今まで自分と繋がっていた世界の全てと決別するつもりなのだと。
 そう理解した時、ユーノの脳裏に二つの選択肢がよぎった。
 ドアを開けるか否か。
 しかし逡巡はほとんどなく、彼は答えを選んだ。

「なのは!!!!」

 彼はドアを、開けた。
 そして見た。
 なのはを。
 もはや往時とはかけ離れた、その姿を。

「や、ヤダ……み゛ナいデ……」

 悲しみ、恥らうなのは。
 乙女の繊細な心には、変わり果てた今の姿を人に見られるのは、ましてや彼に見られるのは、到底耐えられない事だった。
 かつて医学的な検査を前にまったく異常を見出せなかった体はもう絶対に普通の人間のそれには戻れないだろう。
 そう理解したからこそ、なのはは今まで自分の過ごした世界から離れる決意をした。
 それでもなおユーノの元に訪れたのは、彼にだけは最後の別れを直接告げたかったからだ。
 しかし、姿だけは見られたくはなかった。
 見られてしまえば、ユーノの中にあった自分の昔の、きれいだった頃の記憶まで醜くなってしまうような気がしたから。
 
「なのは……」

 ユーノはまじまじと、なのはの姿を見た、見続けた。

246 不変愛〈カワラズノアイ〉 :2013/02/01(金) 23:28:54 ID:UmgXroS2
 赤黒い肉、浮き上がる血管、粘膜と粘液、吐き気を催す悪臭。
 嫌悪された。
 そう、なのはは感じた。
 彼にそんな風に思われるのは、どんな苦痛よりなお辛かった。
 だがそれが単なる杞憂であると、すぐに分かる。

「……ッ!」

 粘ついたなのはの声帯から、驚きの吐息が漏れた。
 もはやかつての名残さえないその体が、優しく抱きしめられる。
 ユーノの手が、肩をそっと抱き寄せた。

「ばかだよ、なのは……君はばかだ……こんな事、僕が気にするわけないのに」

 頬に彼女のおぞましい粘液がつくのも構わず、ユーノはなのはを抱きしめた。
 彼は怒りさえ感じた。
 自分は――その程度の事で君を毛嫌いするような男だと思われていたのだろうか。
 そんな事でこの秘め続けた気持ちは薄れるというのか。
 姿形など、なんの事があるのか。と。
 もう今のなのはの容姿は、人の原型を留めていない。
 だがそんな事など関係はなかった。
 ユーノが彼女を愛したのは、見た目などではない。
 その心に惹かれたからこそ、彼女を愛したのだから。

「ユ゛ぅノくん……いい゛ノ? わタシ……こンな゛」

「いいよ」

 言葉に、一切の迷いはなかった。
 彼はなのはを抱きしめて、髪を撫でてやった。
 かつてなめらかに流れた艶やかな栗毛、今や異常な進化をした蚯蚓かと思えるような触手の繊毛を、悪臭漂う粘膜を、構わずに。
 
「なのは、君にずっと言いたかった事があるんだ」

「……」

 震える彼女の肩を抱きながら、そっと耳元に、かつて耳があったと思わしき場所へ、囁く。

「ずっと君が好きだった。愛してるんだ、なのは。君とずっと……一緒にいたい」

 偽ざる恋情の言葉、永遠の愛の誓い。
 なのはは戦きと喜びに震えた。
 彼は、迷わない。
 自分を選ぶ事に、こんな様の身を愛する事に。
 なのはもまた応えた。
 言葉ではなく、彼を抱きしめ、キスをする事で。
 ユーノもまたなのはを強く抱きしめながら、宣誓するように言った。

「なのは。ずっと、一緒に居よう。ずっと、二人だけで」

 もはや、それ以外の言葉など何もいらなかった。
 そうして、二人の世界は完結した。




 以降、ユーノ・スクライアの行方は一向に知れない。
 管理局に無限書庫の司書長を辞任する旨だけがメールで送られたのが、公式に残る最後の彼の記録となった。
 彼がどこへ行ったのか、どこへ消えたのか、知る者は一人としていない。



終幕

247 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/02/01(金) 23:31:43 ID:UmgXroS2
投下終了。

今気付いたけど >>239 ビグロってなんだよどこのジオン公国のMAだよ、微グロだよ。


あとユーノ祭用SSなのにユーノというかなのはの描写が多かったのもなんだ、その・・・すまぬ。
でもいちおうユーなのSSなので構わないかな、という感じに思っておりますのでご容赦を。

248 名無しさん@魔法少女 :2013/02/01(金) 23:35:24 ID:owCGbmuQ
ビグロって書いてたからネタSSだと思って読み進めたらこれだよ

249 名無しさん@魔法少女 :2013/02/01(金) 23:38:02 ID:owCGbmuQ
乙いうのわすれてた
なんだっけ、あれっぽい
クトゥルフ系エロゲのナントカの唄

250 名無しさん@魔法少女 :2013/02/01(金) 23:38:37 ID:eivSctQs
GJ!悲劇だがGJと言わざるを得ない(つД`)
しかし手がタコみたいになるところとか微グロというよりちょっとホラー

251 名無しさん@魔法少女 :2013/02/01(金) 23:40:26 ID:lt9Q.rQ2
諸星大二郎の暗黒神話思い出した。古代人もどうせ残すならかわいいモンスター娘になるロストロギアを残せばいいのに・・・

252 aaa9on ◆0BE0O9eFKI :2013/02/02(土) 01:53:56 ID:GIl3zpRc
お久しぶりですaaa9onです。トリップキー初めて使ったけどうまくいったかなぁ、はどうでもいいとして
お久しぶりな理由は筆が遅いんです本当に……
ユーノ祭に参加したいぞ〜と書いていたのに、いつの間にやら、2月2日に
まぁ内容が終盤ユーノから外れちゃったし逆に良かったかも(このお祭りいつ終了なんでしょう?話の流れから一日限りかなぁと思ってこう言ってるんですが、違ったらすみません)
と言うか、あれこれチガクね?ってなったら、お祭り関係ない作品ってことで一つ
ユーノ、トーマ、エリオでギャグ
ワード的には一部エロかもしれんが、内容はエロくないよ
相変わらずの駄文ですがどうぞよろしくお願いします

253 秘密の会合 ◆0BE0O9eFKI :2013/02/02(土) 01:54:30 ID:GIl3zpRc
町のはずれのたいして流行ってもいなさそうなバーに一人の男が入ると、既に中にいた男が無言で、手招きをする
入ってきた男もまた、無言のまま、それにしたがう
今日、この店で行われるのは、とある物の交換
それは絶対に知られてはいけない取引だった
二人が言葉少なく、注文を終えると、相手に念話を送る
『きてくれたね。例のものはちゃんと持ってきたかい?トーマ』
『はい。バッチリです。そちらも持ってきてくれましたよね?ユーノ司書長』
『もちろんだよ』
互いに確認を終えると、ホッと息を吐く
二人の名はトーマ・アヴェニールとユーノ・スクライア。片や見習い魔道師、片や無限書庫司書長と言う、一見無関係な二人を繋ぐのは、とある趣味だった
マスターから、酒を受けとると、ユーノは一度周囲をうかがってから、認識阻害の結界を張る
周囲から見えるが意識されなくなる高等な魔法だが、結界魔道師でもある彼にとっては容易いことだった

結界が張れたことを確認すると、ユーノは一枚のメモリーチップをトーマに手渡す
「おぉ!これは……」
トーマがそれをスティードにセットし内容を見ると、感嘆の声をあげる。空間ディスプレイに表示されたのは、何枚もの写真だった
それらは全て、幼き日の高町なのはを撮ったものだ
ただし、そのアングルは丸で地を這う小動物が撮ったかのように低く、彼女のスカートの中をはっきりと写している
そして、何枚もの写真の中でも、彼が特に注視したものは、温泉を背景に、彼女の張りのある肌を余すところなく全て写しだしていた
「気に入ってもらえたかな?」
ユーノがそう問うと、トーマは大きく首をたてに振る

「そうだろう。僕の自慢のコレクションだよ」
ユーノが満足そうにうなずくと、ユーノの前に、一枚のメモリーチップが差し出される
ユーノはデバイスを持ってはいないが、彼ほどの魔道師になれば、チップ内のデータを自らの魔法で表示することなど造作もない
「これは……なかなか大したものだ」
表示されたのは、豊満な体つきの女性の裸体
シュトロゼック4thーリリィ・シュトロゼック、彼女はリアクターであり、人間ではないのだが、今のユーノにとって、それは取るに足らないことだった
むしろ、人でないがゆえに人ではなしえない完璧なプロポーション
そして、美しく、それでいて優しげな顔、それらを考えれば、彼女が人間でなかったことと、彼女を作った人の造形センスに感謝したいくらいだった
そんな彼女の裸体が、はっきりと、しかもあらゆる状況、あらゆる角度から自在に撮られているのだ
「すごいな……これは。しかし、どうやったんだ?」
ユーノは、放尿中のリリィを正面から写した写真を指して聞く
「いやぁ、おれは相棒に恵まれてますから」
トーマはそう言ってスティードを優しく撫でる
それを見たユーノは、納得した顔で、写真に目を戻す
しかし、複数の写真に目を通しているうちに、その表情からは、笑みが消え、疑問が浮かび、段々と不快感を浮かばせる
「……彼女の写真が見あたらないんだが?」
言われてトーマは、バツの悪そうな顔になると、すぐさま、もう一枚のチップを手渡す

254 秘密の会合 ◆0BE0O9eFKI :2013/02/02(土) 01:55:02 ID:GIl3zpRc
「君も人が悪いな。トーマ。僕が何も言わなかったら渡さないつもりだったろ?」
ユーノはそう言ってトーマを軽くにらむが、直ぐに、まぁいいさと言って、メモリーの中身を表示する
トーマとて本当に、渡さないで済むとは思っていなかったが、それでも、そんなことを期待したくなるほどに、このデータは危険だった
表示された写真に写っているのは、まだ幼いオッドアイの少女
名を高町ヴィヴィオと言う
先ほどまでの写真と比べると、裸体はなく、枚数も少ない
しかし、ほんの数枚ではあるが、スカートから覗く少女の下着や、全身が汗に濡れ肌に張り付いたことで、透けて見えた、乳首が写しだされたものを見つけると、ユーノは、トーマの手を取り、涙ながらに、ありがとうと繰り返した

彼女自身はともかく、その両親と、師匠のせいでガードが異常に硬く、こういった写真は、スティードを駆使するトーマでさえ滅多にとれないのだ
それを知っているユーノにとって、これら写真は、人生最高の宝と言っても過言ではない
ユーノは一通り感謝をすると、食い入るように写真を凝視した

トーマもまた、幼き日の、なのはの写真に視線を戻そうと思ったが、視界の端に見知った顔を見つけ、そちらを向く
目につたのはエリオ・モンディアル
長い付き合いでもあったので、いつものように、。つい声をかけてしまった
しかし今は結界の中
エリオは確実に呼ばれたのに呼んだ本人が見つからない、ことに戸惑いを見せる
彼の感覚は鋭い、このままでは、この結界に気づいてしまう
町中での魔法の無断使用は違法で、彼は局の魔道師だ
トーマはとっさに自分とユーノの空間ディスプレイを閉じ、結界を分断する
今まで探していたエリオがトーマを素早く見つけるとよってくる
なんとかなった、トーマはそう思った

しかし、不運は重なるものトーマが、ついエリオを呼んでしまったこともそうなら、エリオが来た瞬間に、ディスプレイを閉じられたユーノが、僕の秘蔵写真がっ!と言ってしまったことも、また不運としか言いようがないだろう
「秘蔵写真ってなんですか?ユーノ司書長?コレですか?」
そして、エリオは疑問のままにユーノの前に置いてあった、チップの中身を見てしまう
そこに置かれていたのはユーノに最初に渡されたチップ。すなわち、リリィの肢体を余すことなく写した写真集だ。
それの中身を見てしまったエリオは、慌ててディスプレイを閉じると顔を真っ赤に染め上げ、うつむき黙ってしまう

そして、慌てたのはエリオだけではない。いや、むしろユーノとトーマの方が慌てていた
しかし、そこはさすがに年長者、ユーノが落ち着いて、対策を打った
うつむくエリオの肩に手を置き、君も好きだろ?と諭すと言う前代未聞の方法によってで、であるが
エリオは、それにさらに慌てて否定の言葉を繰り返し、挙げ句ストラーダに同意を求めてしまった
しかし、それはあまりにひどい墓穴だった
デバイスには性格があり、ストラーダはエリオに合わせた、つまり真っ直ぐな性格のデバイスなのだ
そして、人もデバイスも真っ直ぐでは嘘がつけないのだから
『はい。マスターはキャロとフェイトさんにしか興味がありません』
とストラーダが答えてしまったとしても仕方のないことだ

255 秘密の会合 ◆0BE0O9eFKI :2013/02/02(土) 01:55:54 ID:GIl3zpRc
一瞬の沈黙が降りる
エリオがキャロに気があることは、ある程度予想できた
しかし、母親代わりであるフェイトにまで劣情を抱いていたとは
その驚きに、ユーノとトーマが浸っている中
エリオは自分が助かる方法をマルチタスク全開で考えていた
そして導き出した答えはただひとつ
「それはいいとして、さっきの写真はなんですか?その、明らかに無修正で違法もののような……と言うか盗撮しました感満載の画像でしたけど」
話題を変える、それも相手が最も反応するであろうものに

エリオの企み通り、ユーノとトーマは先程の話など忘れたかのように、慌てふためき言い訳を重ねる
後は、お互いこのことは忘れましょう、そう言うだけでエリオの完璧な作戦は決まるはずだった
「でも、これぐらい君だってやったことあるだろう!」
ユーノのこの一言がなければ
『いいえ。マスターはきちんと相手の許可を得て撮っています』
そして、ストラーダが無駄に正直な一言を言わなければ

またもや沈黙が降りる
ユーノは破れかぶれの一言がまさか的を得ているとは、思ってもいなかった
しかし、このデバイスは言ったのだ、相手の許可を得て撮っていると
しかし、いくら人工知能を備えているとは言っても、所詮はデバイス
言葉は額面道理にしか使えないはず、つまり、ストラーダはこう言いたかったのではないか
相手の許可を得て撮れる写真しか、取っていない
つまりやましいことはないのだと

しかしそうなれば、困るのはやりユーノとトーマ
すぐさまストラーダに確認をとる
「それ、普通の……エッチくない写真だよね?」
『いいえ。一般に配布するにはモザイクと18禁指定が必要な物かと』
エリオはこの時、本気でこの駄デバイスをへし折ろうかと力を込めようとしたが、ストラーダが腕から抜き取られていることに気づく
取られたと気づいた時には、すでに遅し、ユーノに操作されたストラーダから空中に表示されていくのは、エリオとキャロのあられもない姿
つまる所は、ハメ撮りの写真である
裸や、セックス時は当たり前、中には、緊縛、放尿、浣腸、フリードを使ってのサンドイッチ等危険なプレイの時のものまで有る
エリオは人生の終わりだと、膝を折り両腕をつく
こんな時、フェイトさんは助けてくれるだろうか?なのはさんなら?部隊長……は駄目だ面白がって広めるに決まってる
そんな、意味もないことを考えながら、乾いた笑いを浮かべる

しかし、何時の世にも救いというものはある
今のエリオを救ったのは、他でもないユーノだった
「君のいけない趣味は分かった。まぁ了承するキャロもキャロだけど、人の趣味はそれぞれだ。気にすることはない」
そう言ってエリオの肩に手をおいたのだ
エリオは感激のあまり涙すら流しそうになった
「だからこの写真、もらっていい?ぼくらのもあげるからさ」
この一言さえなければ
すがるようにトーマを見ると、トーマもまたユーノに同調するように、大きく首を縦に振り、挙句コピーするためにスティードとストラーダを両手に持っている

エリオにとってこの質問は一択なのだ
断れば、バラされるかもしれないのだ、今度は悲しみの涙を流しながら、エリオは首を縦に振った
ついでに、くれるというデータにもちょっと興味もあった

256 秘密の会合 ◆0BE0O9eFKI :2013/02/02(土) 01:57:04 ID:GIl3zpRc

そして、データのコピーがすべて終わり、帰ろうかという時に、トーマがまた知り合いを見つける
高町なのは、キャロ・ル・ルシエ、リリィ・シュトロゼック、珍しい取り合わせな上に、こんな寂れたバーで合うなんて、偶然にしては出来過ぎている
咄嗟に、逃げようと思ったその時には、ユーノたち3人の体はバインドで宙に浮いていた

「時空管理局です。公衆の面前で、卑猥な違法画像を公開している3人組がいるとの通報できました。ちょっとお話、聞かせてもらえますか?」
なのはが代表して、定型文を述べる
しかしその瞳は、ユーの一人しか見てない
他の二人も同じく、キャロはエリオ、リリィはトーマだけを見ている
「ユーノ君、いつの間に撮ったのかしら無いけど、いい度胸してるよね?ちょっと私と個人的にお話しようか?」
なのはは、バインドされたユーノの襟首を掴むと、路地裏に消えていった
おそらく、ユーノは生きて帰れないだろう

「エリオ君、写真そのものはいいとして、交換っていうのは、どうかと思うなぁ……ちょっと無効行こう?ヴォルテールも会いたがってたし……ね?」
こうしてエリオはフリードに咥えられて、空の彼方キャロと消えていった
一度は地面に降りられるかもしれないが最終的にはお星様になっていることだろう

「トーマ……」
リリィが近寄ってくる
トーマの心が恐怖に染まる
「……えいっ」
最後は自分かと全身を恐怖に震えさせていたのトーマを待っていたのは、リリィの可愛らしいデコピンだった
しかも、全くといっていいほど、力を込められていない
こうなると逆に怖いものだ

「えっと、リリィ……怒ってないの?」
トーマは恐る恐る聞いた
たとえリリィに、何をされたとしても、文句は言えないが、この理由の分からない状況はかんべんして欲しかったのだ
「怒ってるよ?トーマが通報されて、危うく犯罪者になるところだったんだから……これからは心配、させないでね」
リリィは、的はずれな返事しか返さない
とぼけているのではなく、コレで素なのだ
そこでトーマはようやく思い至った
リリィは実験施設にいたとき裸だった
そしてそこでは、いろいろなことがあったはずだろうし、写真や動画とて大量に取られたはずだ
とすれば、こういったことに羞恥を抱かなくなったとしても当然だろう
「ごめん、リリィ……これからは気をつけるよ」
トーマは胸を撫で下ろす
完全に詰んだかに見えたが、自分は助かったのだ
外では爆音が響いたり、周辺住民が巨大な龍だと叫んだりしているが関係ない
2人の尊い犠牲の上に、自分は助かったのだと生の喜びを噛み締め、あわや泣き出そうかというところで、肩にリリィとは別人の手がかかっていることに気付く
そして、その手に握りこまれた、原型の分からないほどにぼろぼろな小動物と、何よりそれを持ち、この短時間で戻ってきた女性に心の底から恐怖した
しかし、自分は被害者から許されたのだと自分自身に言い聞かせ、向き直る

「なんでしょうか、なのはさん。こっちはもう、話が終わりましたが……?」
努めて冷静に言えたとトーマは自分を心のなかで褒め称えた
しかし、トーマは喜びのあまり忘れていた、いや、忘れようとしていたのだ
最も危険なもう一人の被害者を
「そう……いつ、ヴィヴィオにあったの?」
高町ヴィヴィオの存在を

トーマの表情は完全に凍りついた
これはヤバイ、娘を対象にしたのは本人を撮るよりやばい
母は強し、それが管理局のエースオブエースならなおのことだろう
そして、トーマとなのはの付き合いは、さして長くない
幼馴染も同然のユーノでさえ、あれなのだ、助かるわけがない
全身をバインドされて、連れて行かれる中、ボロボロの小動物がピクリと動いたのが見え、安堵を覚えた所でトーマの意識は途切れた

257 aaa9on ◆0BE0O9eFKI :2013/02/02(土) 02:05:40 ID:GIl3zpRc
あとがき的な何か〜別名言い訳〜
最初はユーノとトーマでギャグって感じで思いついてたんですが、何故かこうなった
一応、ユーノ君生きてるのは、なのはの愛情ですよ?死後硬直じゃないのよ?
中盤まで書いて、落ちに困った結果がコレだよ
ザ・シガーさん、素敵な企画に感謝すると共に、祭りの趣旨に外れかねない作品なことの謝罪を

皆様、お目汚し失礼いたしました
意見、感想、批判に文句全部募集中です♪あ、罵声は勘弁ねw
では、またいつか〜

258 名無しさん@魔法少女 :2013/02/02(土) 04:15:07 ID:IH/5doAo
シガー氏GJ
ニトロな純愛ですねw
ただ、ビグロのせいで、この話のなのはさんがビグザムと化しユーノから離れていくIFを妄想しちゃいました。
声はもちろんドズル。

259 黒天 :2013/02/02(土) 10:07:00 ID:WrfcSAt6
皆さん、良作投下で何よりです。
黒天です。私も投下するです。

260 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 10:08:30 ID:WrfcSAt6
メインカップリングは「ユーノ×リインフォース」ですが、「恭也×忍」「ザフィーラ×アルフ」の要素もあり。
ちなみにこの『夜刀浦奇譚』から『『黒翼の天使の恋の歌』(リインフォースが無限書庫に勤めてラブコメルート)or『黒翼の天使の堕ち行く先』(リインフォースが無限書庫に勤めず機動六課成立直前、高官達に陵辱されるルート)に分岐します。

時空管理局本局のラウンジは、お昼時でそれなりに賑わっていた。
「なのはをデートに誘ってOKを貰ったって? よかったじゃないか」
「う、うん・・・アリサも一緒だけど」
いつもの如く黒尽くめの格好である、執務官クロノ・ハラウオンは、テーブルに腰掛け、向かいの席に座る金色の長髪の少女フェイト・テスタロッサに対し、普段どおりの無愛想な顔で答えた。フェイトも黒のシャツに黒いスカートと黒尽くめだった。
「で、でも・・・いいのかな。ユーノだって、なのはの事・・・」
「あのフェレットもどきの事は気にするな。恋愛は戦争というだろう。敵に情けをかけてどうするんだ」
件のフェレットもどきーー無限書庫司書長ユーノ・スクライアに関する懸念を、クロノは実にあっさりと切り捨て、ブラックコーヒーを啜り、更に言葉を続けた。
「・・・大体、なのはに対して積極的にアプローチしないアイツが悪い。というか請求していた資料はどうしたんだ」
「ここにあるぞ」
横合いから第三者の声が聞こえてくる。
その声の主――長い銀髪と紅い瞳、雪の様に白い肌を持ち、豊満な肢体を白のブラウスと、黒いスカートに包んだ美女――『夜天の書』の管制人格リインフォースは手に持っていた分厚い資料を机の上に置いた。

261 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 10:09:20 ID:WrfcSAt6

古代ベルカの負の遺産『闇の書』――正式名称を『夜天の書』
管制人格リインフォースの本体である『夜天の書』のバグを修復する方法が見つかったのだが、しかし、『闇の書』の防衛プログラムを撃滅する際、本体である『夜天の書』の中枢も致命的な損傷を受け、彼女は緩やかな自己崩壊の危機にあった。
そこでバグを治した上で、崩壊していく『夜天の書』から別の本に意識や人格を移し変え、新生したのが今の彼女だった。

「無限書庫に寄ったついでに私が預かって来たぞ」
「あ、ああ・・・ありがとう。身体の調子はどうだ?」
「全く問題は無い。ユーノのおかげだ、彼が居なければ・・・私はここに居なかった」
クロノからの問いに対し、微かに頬を染め、嬉しそうにリインフォースは言った。
バグを修正する方法を無限書庫から見つけ、意識や人格の転移術式を編み出すのにユーノは多大な貢献をした。

「ユーノ君が居なければ、リインフォースはこの世に存在していない」とは、守護騎士の参謀であるシャマルの言である。


「そのユーノは何処に?」
「ここに居る」
クロノからの問いに、リインフォースは大胆にもブラウスの前を肌蹴けた。
白い肌と黒いブラジャーのコントラストの破壊力は抜群で、クロノは言葉を失う。
リインフォースの深い胸の谷間に、フェレットが挟まり、安らかな寝息を立てている。
「・・・な、なんて所に入れてるんだっ!?」
「我が主が仰るには、こうするのがユーノの疲れを癒すのに一番いい方法だそうだ」
どうやら夜天の主こと八神はやてが仕掛け人らしい。

「とりあえず主だからといって、はやての言う事を鵜呑みにするのはやめた方がいい」
「だが、ユーノは心地よさそうに寝ている。それに・・・こうしていると私もユーノの温もりを感じて心が満たされる」
「そ、そうか・・・」
背後に立つフェイトの視線が痛い。
余り長い間見ていると、エイミィに『クロノが鼻の下を伸ばしてた』と伝えられかねないので、慌てて眼を逸らしクロノは話題転換を図る。
「し、しかし・・・ユーノは抵抗したりしなかったのか?」
「抵抗などする筈が無い。徹夜明けで朦朧としていた所を眠らせ、ここに入れたのだからな。徹夜する原因を作ったのは、誰か・・・言うまでも無い事だな、執務官殿?」
切れ長の眼を細め、リインフォースは微かに皮肉を込めてクロノを見遣る。
彼女の言う通り、ユーノが徹夜する原因はクロノが行う資料請求にある。
その量は半端な物ではなく、この間まで物置同然だった無限書庫から、それを見つけ出すのは至難の業だった。ましてユーノは他の司書達の分まで、仕事を引き受けるので疲労は雪達磨式に蓄積していく。

262 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 10:09:54 ID:WrfcSAt6

「う・・・そ、それについては、すまないと思っている」
「・・・本当にそうか? ユーノだから大丈夫だと決め付けたり、体よくユーノを便利屋扱いしていないか?」
気まずそうなクロノに、リインフォースは非難めいた眼差しを向ける。
物凄い美人のリインフォースだが、威圧感も半端ではない。
歴戦の執務官であるクロノの背に、冷たい物が奔った。
「そ、そういう事が無いと言えば、嘘になるかもしれないが・・・これからは気をつける。
稼動したての無限書庫に頻繁に資料請求するのは、流石に酷だったな」
氷の刃の様な視線を受け、クロノは顔を引き攣らせながら答えた。
とはいってもクロノが無限書庫を活用して、相応の実績を上げている為、徐々にだが無限書庫に資料請求する者が増えている。このまま行けば、司書の負担は更に増大して、過労死する者が出てきてもおかしくない状況にある。
無論、真っ先に過労死しそうなのは、他ならぬユーノだ。
「悪いと思うならば、私を無限書庫に配属する様に手配して欲しい」

リインフォース自身の処遇はまだ決まっていない。
一番新しい『闇の書』事件で死亡したのはクロノの父クライドのみであり、命に関わる程の負傷者も出なかった。そして次元世界には凶悪な犯罪者が蠢き、管理局は万年人手不足。以前ほどの圧倒的な戦闘能力は失ったのだが、魔導書の管制人格としての卓越した情報処理能力は健在で、人事部を管轄するレティが欲しがっている。


最早、存在しない呪われた魔導書より、目先の犯罪に対処を。
これが次元世界に住まう、大多数の人々の本音であり、『闇の書』の悪名は現在進行形で活動を続ける数多の犯罪結社や凶悪な違法魔導師の存在によって、歴史の中に埋もれつつあった。


「僕の一存ではどうにも出来ない。だが何とか上に掛け合ってみよう」
「そうか・・・私としては、恩人であるユーノの役に立ちたいのだが」
「リインフォースが無限書庫に配属されれば、ユーノの負担は減りそうだね」
何かとリインフォースはユーノの事を気にかけているが、このまま彼女が無限書庫に配属されて、ユーノとの距離が近付けばーーー

―――ライバルが減るかもしれない。
なのはをめぐる恋敵は少ない方がいい。
そんな打算がフェイトの心の片隅に沸き起こる。


「それでは、『深海旅団』の資料は確かに受け取った」
「確かに渡した。私とユーノはこれから海鳴に行く。月村家から招待を受けたのでな」
クロノとリインフォースの会話を聞いていたフェイトは、月村家というキーワードに反応した。確か月村家次女にして、親友であるすずかもユーノの事を気にかけていた筈。

「えーと、ユーノって・・・もしかして、結構もてる?」
いつもの通り仕事人間振りを発揮して、資料を片手に執務官の職務に向かう義兄を見送りながら、フェイトは呟く。


確かに顔立ちは整っているし、性格はいいし、包容力はある。
男らしいーークロノ、ザフィーラ、恭也が持っているーー精悍さには欠けるが、優良な物件なのは確かだった。
リインフォースの方に視線を転じると、胸元に収めたユーノの頬を突付いている。
一見、無表情だが、その紅瞳は穏やかに細められ、口元は微かに緩んでいた。

「ところでリインフォース、旅行って・・・何処に行くの?」
好奇心に突き動かされ、フェイトは問いかけてみる。
問いかけられたリインフォースは流麗な銀髪を靡かせ、フェイトの方を振り向いた。
ユーノの頬を突付く楽しみに水を差されたせいか、リインフォースは若干、不機嫌そうに切れ長の瞳を細めながらも、律儀に答えてくれた。

「確かーー夜刀浦という所だったな」

263 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 10:10:33 ID:WrfcSAt6

――――――夜刀浦。
千葉県の東海岸、海底郡に位置する地方都市。
人口は20万人、海に面した土地で名門飯綱大学を抱える。
特産品は佃煮、ピーナッツ、等々。

歴史的には、古来より強大な土地神である人頭蛇身の「夜刀神」を祀る土地として、この名前がついていた。 室町時代には激しい所領争いがあり、馬加頼姫と尾崎重昭が夫婦となり、この土地に住まう神の力を借りてこの土地を平定したと言われる。
海辺にはこの地を治めた一族の家老であった倶璽家の末裔が建てた缶詰工場があり、街を潤していた。

「街全体が特殊な形をしており、呪術都市であるという噂が絶えない・・・か」
手の中の本――夜刀浦の簡潔な歴史を記したもの――を閉じ、ユーノは辺りを見渡した。彼が今、居る場所は夜の海辺の砂浜であり、特殊な海流の影響を受けて、世界中の水死体がこの街の海辺に集まると言われている。
幸いな事に、ユーノの視界には、水死体は見あたらないが、確かにこの都市には何処と無く、陰惨な空気に満ちていた。

「ユーノ、ここに居たか」
その陰惨な空気を裂く様に、涼やかな声が背後から聞こえてきた。
「リインフォース、どうしたの?」
「もう夕食の時間だ、速く皆の所に戻るぞ」
リインフォースは、穏やかに、淑やかさと妖艶さが同居した笑みを浮かべた。




そして今、『紫天の書』の一団をエルトリアに見送り、時期は春休み。
海鳴市の名家、月村家の誘いを受け、ユーノはこの夜刀浦を訪れていた。
本来ならば、無限書庫の仕事があったのだが、リインフォースに無理矢理に拉致される形で、ユーノは強引に同行させられていた。
何故かリインフォースはユーノに対してだけ、この様にやたらと押しが強い。
何となく、ユーノはリインフォースの方に視線を向け、慌てて眼を逸らした。

リインフォースは女性としては長身の部類に属する為に、お互いの身長差からユーノとしては必然的に見上げる形になり、視界に飛び込んでくる。

彼女の圧倒的なボリュームを誇る、胸が。
白いブラウス越しでも解る、はちきれんばかりに実った果実。

「どうした? 成程、胸をまじまじと見て・・・この、ムッツリフェレット」
「ご、ごめん」
「まあ、気にするな」
咎める様な口調とは裏腹にリインフォースとしては、特に怒っていなかった。
ユーノの赤くなる様が初々しくて、可愛く思えてくる。
年齢の割りに老成していると思える部分があるユーノだけに、そのギャップは新鮮に感じられ、何というか、母性本能を擽られてしまうのだ。

「とりあえず、速く旅館に戻るぞ」
「う、うん・・・」
ユーノの手を取り、リインフォースは少し離れた場所にある旅行中の滞在場所である旅館に向かって歩き始めた。

264 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 10:11:03 ID:WrfcSAt6


「ふぅ、お茶が美味しいな」
旅館の一室のソファーの上に座った緋襦袢姿のリインフォースはお茶を啜った。
エルトリアに旅立った『紫天の書』の一団達を見送り、彼女自身、こうして消滅する事無く、現世に存在できる事が夢の様だった。だが、これは夢ではない。



お茶は程よい熱さだし、旅館の料理人達が腕を振るった料理も実に美味だった。
この旅館『鷹樹庵』は不況の煽りを受け、経営が傾いて、潰れる一歩手前だった所を、月村家が資本を投入し、立て直したという経緯があった。
それ故に、本格的な営業は一週間後という事情もあって、今回の旅行で殆ど貸しきり状態で使えるのだ。今、彼女が着ている緋襦袢もこの旅館で売られている品である。

ちなみにメンバーは八神家からはやて、リインフォース、シャマル、ザフィーラ。
月村家からは月村姉妹。高町家からは恭也。
そしてザフィーラに同行する形でアルフ、リインフォースに引っ張られる形でユーノ。

ノエル、ファリンの自動人形姉妹は、メンテナンスも兼ねて、月村邸の地下室で休眠しながら、機械によるチェックを受けている。

その他の者達―――なのは、フェイトはアリサの招待を受け、英国のバニングス家が所有する保養地で羽を伸ばしている。

シグナムは聖王教会・管理局が擁する猛者達の挑戦を片っ端から受け、決闘三昧。ヴィータはそれにつき合わされている。
クロノはいつもの如く執務官の職務に没頭。

高町夫妻、美由紀は喫茶翠屋で大勢の客相手にてんてこ舞だろう。



「それにしても・・・リインフォース、胸が以前よりも大きくなってない?」
「ああ、それは私が移植の儀式の際、夜天の主の権限を行使して身体データを弄くって、サイズを変更させたんよ」
白襦袢姿のシャマルの問いに、リインフォースの横に座っていた、同じく白襦袢姿のはやてがまるでチェシャ猫の様な笑みを浮かべながら答えた。

「ああ、成程、という事はシグナムとリインフォースの胸のサイズが逆転してるっていう事なのね、はやてちゃん?」
「うん、そうやでシャマル。ちなみにリインフォースの胸は、91のEカップや。これは、
これは・・・まさに至宝やでーーーーーー!!!」
そう叫びながら、はやては、リインフォースの膝の上に乗ると、その‘至宝’をむんずと掴んだ。掌には収まりきらないボリュームの膨らみがこね回される。
「・・・あ、主、はふぅ・・・ん、はぁ、だ、駄目です・・・あ、んあぁっ・・・」
「ここか、ここがええんやろ? 何や、この大きさは? ふひひっ・・・これはたまらんで」
襦袢の布越しでも解る、暖かさと柔らかさ、そして絶妙な弾力。
完全にセクハラオヤジモードのスイッチが入った夜天の主は尚も、絶世の美貌を誇る魔導書の化身の乳房を弄ぶ。それによってリインフォースが、悩ましい声を上げる。

265 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 10:11:42 ID:WrfcSAt6


「・・・えーい、もう辛抱たまらへんっ!!」
「え、あ、主、きゃあぁぁっ!!」
リインフォースのあまりの妖艶さに理性が飛んだはやては、リインフォースが強く抵抗できないのをいい事に、彼女をソファーの上に押し倒し、圧し掛かった。
「・・・あ、主、こ、こんな場所では・・・あ、ひあぁ、あふぅ、んあぁん・・・」
「こんな場所じゃなかったらええんか?・・・感じやすいんやなぁ、リインフォース」
爛々と眼を輝かせ、はやては笑う。今、この場に居るのは、八神家の面々だけなのでやりたい放題だ。ましてリインフォースの肌は朱色に染まり、形容しがたい程の淫靡さを醸し出している。襦袢の裾が捲れ上がり、白くスラリとした脚が露になった。

益々、鼻息を荒げたはやては、魔力を用いて身体能力をブーストしてリインフォースの‘魅惑の三角形’を黒のショーツ越しに爪先で軽く押し、ズリズリと前後に動かした。
「・・・は、はあぁ、んん・・・は、あぁ、んぅぅ・・・あ、主、も、もう許して下さい・・・」
「そんなに頬を上気させて・・・この色っぽさは反則やでぇ・・・ぐふふっ」
完全に悪役の笑みを浮かべ、はやてはリインフォースの襦袢の前を肌蹴けた。
黒のブラジャーに包まれた豊かな胸が露になり、はやての手が極上の果実を執拗に揉み解す。側で見ていたシャマルも徐に、不穏な笑みを浮かべ、リインフォースの太腿に手を這わせていき、ショーツの中に突っ込んだ。
「あらあら、もう・・・こんなに濡れて・・・はしたないわね、リインフォース」
「シャ、シャマル・・・や、止めてくれ、は、恥ずかしい・・・ん、あぁん・・・」
恥ずかしそうにビクビクと身悶えるリインフォース。
そんな彼女のスカートをシャマルは捲り上げ、グッショリと濡れた黒のショーツを横にずらし、淫蜜を滴らせる淫穴に指を突っ込んだ。
「こんなにお汁を垂らして・・・本当にエッチなんだから・・・」
「あ、んあぁ、ひぅん・・・ふあぁ・・・あ、主、シャマル、も、もう許して・・・下さい・・・」
「まだまだ、これからやで・・・それ、ご開帳や」
リインフォースは弱々しく抵抗するが、はやての蛮行を止めるには至らなかった。
ギラギラと血走った眼ではやては、リインフォースのブラジャーをズリあげた。
純白の透き通る様な美肌に、薄く青い血管が浮かんで、思わず、はやての目が釘付けとなった。そして、何よりも、その大きな膨らみが、柔らかそうに、揺れた時、はやての性的昂奮は最高潮となった。本能の赴くままに、その魅惑的な膨らみを、掌で優しく包み込む。と、その弾力のあまりに甘美な感触に、もう病み付きとなってしまう。
白い乳房の頂点に可愛く乗った、小さなピンク色の突起が自己主張し始める。

266 黒天 :2013/02/02(土) 10:19:19 ID:WrfcSAt6
何かNGワードに引っかかった様です。
一旦ここできります。

267 名無しさん@魔法少女 :2013/02/02(土) 12:06:23 ID:M4vKqkNs
黒天氏は確か前もNGワードに引っ掛かってなかったっけw
今度は何が引っ掛かってるんだろ

268 黒天 :2013/02/02(土) 12:12:24 ID:WrfcSAt6
それが解らないんですよ。
何が原因で引っかかってるか解ればいいんですけど。

269 空の狐 :2013/02/02(土) 12:28:25 ID:WePCPrRA
初めましてこちらに来るのは初めてなのですが、投稿してもよろしいでしょうか?

270 名無しさん@魔法少女 :2013/02/02(土) 12:50:27 ID:EO4E5kz.
投下自体は気にすることじゃないが、今は中断してるみたいだし半日〜一日待ってみるとか?

271 名無しさん@魔法少女 :2013/02/02(土) 12:50:54 ID:yyS1JCq6
>>266
黒天氏、>>269へのアンサーよろしく

272 黒天 :2013/02/02(土) 12:56:12 ID:WrfcSAt6
私の方は時間かかりそうなので投下してもOKですよ。

273 空の狐 :2013/02/02(土) 12:56:41 ID:WePCPrRA
きるってそういうことなんですか。すいませんよくわかってなくて……

274 空の狐 :2013/02/02(土) 13:06:59 ID:WePCPrRA
では、初投稿ですが、内容はユーノ×シュテルです。非エロです。

275 タイトル『星光さんがやってきて』 :2013/02/02(土) 13:09:47 ID:WePCPrRA
 その日、ユーノは久しぶりに我が家へと帰ってきていた。
 エクリプス関係の問題はあれど、ユーノの努力の結果、無限書庫は相当整理が行き届くようになっており、よほどのことがなければ司書長であるユーノが出張る必要もなくなってきた。
 それに、重要参考人が何人も連行され現在六課も一段落したため、余裕も出てきたのもあるだろう。
「ん〜、今日はゆっくりとお風呂に入って、たっぷり寝よう」
 ふっふっふ、とユーノは笑う。久しぶりの休みの間に存分に羽を伸ばそうとしていたら、ピンポーンとインターホンが鳴った。
「はーい?」
 折角の休みなのに、誰だろうと思ってユーノは応対のために玄関へ向かう。そして、ドアを開ければ……
「お久しぶりですね師匠」
 落ち着いた声。茶色いショートカットに蒼い瞳以外は自分のよく知る幼馴染と殆ど変らない姿。
「シュ、シュテル?」
 そこに遥か遠き地に旅立った星光の殲滅者、シュテル・ザ・デストラクター(大人.ver)が立っていた。

 とりあえず、シュテルの登場にユーノは混乱しながらも彼女を部屋に招き入れた。
「へえ、エルトリアからこっちに来ることができるようになったんだ」
「ええ、まだ長い時間は無理なのですが」
 そう、エルトリアの環境もだいぶ環境改善が進んできた。おかげで彼女たちも少しの間ならエルトリアから離れることができるようになった。といっても長くて数日程度ではあるが。
「他のみんなは?」
「今は特務六課にいますよ」
 みんな元気ですとシュテルは笑った。

 一方特務六課。
「へイト、僕と勝負だー!」
「だから、私はフェイト!」
 相も変わらずアホの子なレヴィに突っ込むフェイト。
「あ、もしかして、フェイトさんの生き別れの妹さん?!」
「違うよ?!」
 半泣きになってフェイトはエリオの勘違いを否定する。まあ、そっくりではあるからそんな勘違いをされても仕方ないこともないが。
「久しぶりですねトーマ、リリィ」
 そして、ユーリは数少ないこっちの知人の一人であるトーマとリリィに挨拶していた。
「えっと、ごめん、だれだっけ?」
 だが、あの出来事を夢として処理されてしまっていたトーマにとってユーリは見覚えはあるものの、名前も知らない女の子としか捉えられなかった。
 誰だったかなと必死に思い出そうとするものの、霞がかっていていてしまい思い出せない。
「そんな、私のこと忘れちゃったんですか?」
「そ、そんなこと言われても……」
 うるうるとトーマを見つめるユーリにトーマは罪悪感で右往左往してしまう。
「おのれ、あの塵芥、いつの間にユーリを籠絡したのだ?!」
「雛鳥はいつか巣出つもんやで」
 誤解し歯軋りするディアーチェにはやてはにやにやと勘違いを助長させるような発言をする。
 もしかしたらおもろいことになるかなあとはやてはほくそ笑む。
「あれ? シュテルどこいったのかな?」
 そして、一人相手がどっかに行ってしまったなのはは少し寂しそうだった。
 六課は賑やかだった。いろんな意味で。

276 タイトル『星光さんがやってきて』 :2013/02/02(土) 13:10:39 ID:WePCPrRA

 ふーんと相槌を打ちつつユーノはコーヒーを飲む。
「ところで、その姿は?」
「これは、私たちも成長するようでして、それでいつの間にかここまで大きくなっていました」
 えへんと自慢げに、いつの間にか大きくなったなのはと同じくらい豊かな胸を張る。
 へえっとユーノは驚いてから、そういえばヴィータも闇の書の呪縛から解き放たれてからちょっとだけ背が伸びたと喜んでいたことを思い出した。
「エルトリアの状況はどうかな?」
「少しずつですが、人の住める環境は整ってきています。死蝕に関してもだいぶ対策が進んできていますね」
「そっか、ちょっと安心した」
「みんなの努力の成果です。ところで師匠、約束を覚えていますか?」
 と、唐突にシュテルはそんなことを言いだした。
「約束?」
 果てなんだったろうかとユーノは記憶の糸を辿る。だが、あの時の記憶はなぜだかはっきりとは思い出せない。ユーノは覚えてないが、
 それも記憶操作の弊害だった。時間操作という超技術を隠蔽するために、大まかな記憶は残っているものの、細部は曖昧にされている。
 いつかの再会ではなく、なんかあっただろうか?
「手合わせの約束です」
「あー!」
 シュテルの言葉にユーノはやっと思い出した。かつてシュテルはユーノに負けたときにいつか師匠越えを果たすと宣言していたのを。
「できればすぐにでもお願いしたいのですが」
 今度は負けませんとシュテルは自身満々に宣言する。
「僕、実戦を離れてだいぶ経つんだけど……ま、いっか」
 せっかくエルトリアくんだりからやってきたのだ。無碍にするわけにもいかない。
 それに、シュテルにとってどうやら自分は越えるべき山のようであるし、それなら果たさせてあげようとユーノは電話を取る。
「もしもし、僕なんだけど、ちょっと訓練室貸してくれないかな? うん、ありがとう。この埋め合わせはいつか精神的に」
 と、昔馴染みに頼んで、訓練室をユーノは借りたのだった。

 翌日、久しぶりのバリアジャケットの感触を懐かしみながらユーノは準備運動をする。普段から遺跡探索などで体は動かしているものの、こういうのは久しぶりだから念入りに。
 そして、準備を終えた二人は向かい合って構える。
「師匠、戦う前に一つ提案があります」
「提案?」
 はい、とシュテルは頷いてその提案を述べた。
「負けたら勝った方の言うことを聞くなんてどうでしょうか?」
「はは、それはいいね。楽しみだよ」
 答えながらもユーノは自分が勝つ姿を想定していない。故にシュテルがどんなことを言うのかを想像した。
 真面目な彼女はいったいどんなことを言うのだろうか? なんとなくイメージ的に本を読んでそうだからなにか本を貸してほしいと頼むのか。それともエルトリア関係か。
「では、いざ!」
 そして、ユーノがいろいろと想像を膨らませていたら、シュテルが飛び出す。
「ブラストファイアー!」
「プロテクトスマッシュ!!」
 シュテルvsユーノ、次元を超えて師弟対決の火蓋が切って落とされた。

277 タイトル『星光さんがやってきて』 :2013/02/02(土) 13:11:37 ID:WePCPrRA

「真・ルシフェリオン・ブレイカー!!」
「うわあ!!」
 ブレイカーの炎にユーノは飲み込まれる。
 結局、ユーノの想像通りにこの戦いはシュテルの勝利であった。
 ユーノの十年以上のブランクもあるだろうが、それ以上にシュテルの成長が大きかった。
「はは、負けちゃったね」
「ですが、流石は師匠です。容易には勝たせてくれませんでした。本当に十年間前線から退いていたなんて思えませんよ」
 楽しそうにシュテルは答える。その顔には爽やかな笑顔が浮かんでいる。
 やっぱり、シュテルの表情は大きく変わらないものの割りとコロコロ変わる。そこらへんも常に笑顔のなのはとの違いかななんてユーノは観察する。
 そう言う意味では外見は似ているけど、なのはとはまた違った魅力を持った女の子なんだよなあとユーノは思っていた。
「じゃあ、約束だね。どんなお願いかな。僕にできることならなんでもするよ」
 ユーノの言葉にシュテルは考えて、それからちょっとだけ頬を赤らめる。
「で、では師匠の自宅に戻ってからでお願いします」
 なんで家に? それに、なんで頬が赤くなったのかな? とユーノは不思議に思った。
 この時、もう少しその理由を踏み込んで考えていれば……いや、すでにシュテルの提案に頷いた時点でユーノは手遅れだったのだ。

「では、師匠、お願いがあります」
「うん、なにかなシュテル?」
 自宅に戻ったユーノはシュテルからのお願いを聞こうとしていた。
 そして、ちょっとだけシュテルは躊躇してから、
「そ、その、私と結婚を前提にお付き合いしていただけませんか?」
「うん、わかった」
 シュテルのお願いにユーノは普通に承ってから……固まった、
 今、シュテルはなんていったかな? 結婚を前提にお付き合い? あまりに唐突な言葉にユーノは混乱する。
 いや、まてその前に今自分はそれを受け入れる発言をしてしまっていたよね?
「あ、あの、シュテル、それはちょ、ちょっと……」
 慌ててユーノはシュテルの発言に待ったをかけようとしたが、
「なんでも聞くといいましたよね?」
「うっ」
「それに頷きましたよね?」
「ううっ!」
 シュテルが一個一個ユーノの逃げ道を塞ぐ。さらには、
「ルシフェリオン」
『All right. 〈負けたら勝った方の言うことを聞くなんてどうでしょうか?〉〈はは、それはいいね。楽しみだよ〉 〈そ、その、私と結婚を前提にお付き合いしていただけませんか?〉〈うん、わかった〉』
 しっかりとデバイスのルシフェリオンに録音されていた。
「はい、謹んで承ります」
 逃げ道を塞がれたユーノは粛々とシュテルに頭を下げた。

278 タイトル『星光さんがやってきて』 :2013/02/02(土) 13:12:24 ID:WePCPrRA
 そして、シュテルとユーノのお付き合いが始まった。残念ながらまだ二人とも責任のある仕事を預かっている身であるために一ヶ月に一度会える程度ではあったが、ゆっくりとお互いのことを知っていった。
 ごくたまに魔王様が二人の襲撃を行ったものの、それもユーノとシュテルによってなんとか撃退されている。
「実は、初めて会った時からお慕いしていたのです」
「そうなの?」
 はいとシュテルは頷く。
「恐らく、ナノハが最初から持っていた好意に引きずられてしまったのもあるのでしょうが、あなたが私を撃ち落とした時からはっきりとあなたのことを意識しました。『この人しかいない』と」
 シュテルのまっすぐな告白にユーノは恥ずかしそうに頬をかく。あの時点でシュテルが自分のことを思っていてくれたなんて想像すらできなかったのだ。
「僕はシュテルほどはっきりとした思いはなかったと思うな。最初は君にとって失礼なことだろうけど、『なのはによく似た女の子』程度の認識だったと思う」
 そのユーノの告白にそうですかとシュテルは頷く。
 人間の第一印象は良くも悪くも容姿に左右されてしまうのだから、自分の姿がナノハを基にしている以上仕方のないことだとシュテルは納得する。
「だけど、また会って、君と付き合うようになってから変わっていったかな。なのはとは違う魅力あふれる女の子だってわかったんだ。君がそばにいてくれて今の僕は幸せだよ」
 そっとユーノはシュテルの手を掴む。
「ありがとうシュテル」
「私こそありがとうございます。師匠……いえ、あなた」
 きゅっとシュテルがユーノの手を握る。
 そしてユーノは空を仰ぎ見る。ああ、いい青空だなあと。エルトリアの空を。
 ユーノ・スクライア二十八歳、三年間のお付き合いの末にシュテルと結婚。無限書庫司書長を辞任した後にエルトリアに移住する。そして、エルトリア復興に尽力する。

Fin.
 


「Fin.じゃないのー!!」
「だ、誰かなのは抑えるの手伝ってーーーー!!」

279 空の狐 :2013/02/02(土) 13:13:35 ID:WePCPrRA
以上です。駄文失礼しました。
よろしかったら感想とかコメントを頂きたいなと思います。

280 黒天 :2013/02/02(土) 13:16:15 ID:WrfcSAt6
シュテルん、大勝利。GJですた。
なのはさんと何処で差がついたんだろう。

281 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:23:57 ID:WrfcSAt6
字数減らして投下してみます。


「・・・こんなに大きいのに、かわいいサクランボやなぁ、凄く感じてるんやね・・・硬く尖ってるで、リインフォース」
「わ、わざわざ・・・仰らなくても、あ、主・・・ひあぁぁっ!!」
「・・・意地を張らずに素直になっちゃえばいいと思うんだけど、ねぇ・・・」

282 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:25:20 ID:WrfcSAt6
シャマルは笑いながら、リインフォースの淫口に入れる指を二本に増やすと、クチュクチュと掻き回す。
それに反応して腰を浮かせる様な動きで、リインフォースは肢体を敏感に反らせた。
更にシャマルは、指で淫核を擦りあげてやるとーー

283 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:26:00 ID:WrfcSAt6
あぁん、や、やめ、シャ、シャマル、そ、そこは・・・ぁあ、んあぁっ・・・」
太腿の付け根の柔肉を痙攣させ、リインフォースは甘い声で喘ぎ、鳴いた。
秘所から溢れ出す蜜の量が増した。
その儚げな美貌には、狂おしい程に発情の色が浮かび上がっている。
体内を灼熱の様に炙ってくる火照りに抗う術はリインフォースには無い。

284 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:26:52 ID:WrfcSAt6

「・・・あ、主、そ、そこを舐めては・・・シャ、シャマル、ゆ、指を入れるな・・・ひぅ、あふぁん・・・あ、んあぁ、だ、駄目ぇ・・・ひ、はあぁん・・・」
はやてには乳房を揉まれ、その頂点の突起を吸われ、チュパチュパと舐められる。
シャマルには淫核を擦られ、淫穴に指を突っ込まれ、ズボズボかき回される。
一方的に身体をもてあそばれ、リインフォースは成す術無く、快楽の頂点に押し上げられていく。豊満な肢体の表面に汗が浮かび、甘い匂いが振りまかれる。
「も、もう・・・イ、イク、あ、んああぁぁーーーーーーー!!」
やがて限界に達したリインフォースが甲高い嬌声をあげて、絶頂に達した。
ビクビクと身体を震わせ、リインフォースは荒い息を吐き、意識を手放した。

285 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:27:26 ID:WrfcSAt6
湯上りの、薄っすらと朱に染まった美女の裸身がバスタオル一枚を巻きつけただけで布団の上に横たわっている。
海鳴市の旧家として名高い月村家長女、月村忍。
豊満な肢体と、艶やかな紫黒の髪が実に魅力的だ。
「・・・恭也ってば、落ち着いちゃって。もう、慣れちゃったのかしら?」
「あくまで見かけだけだ。本当は早くお前を味わいたくて昂ぶっているんだ」
「じゃあ、遠慮せずに・・・味わって」
忍に巻きついたバスタオルを、彼女の恋人たる高町恭也は、優しくそっと剥ぎ取る。
「あっ・・・」
眼を逸らした忍の顔が羞恥の色に染まる。
2つの豊かな膨らみが、恭也の眼前に晒される。
薄く青白い血管が浮き出ている魅惑の果実。
その頂点に浮いている、桜色の突起。あまりの妖艶さに見ているだけで喉が渇き、頭の奥が燃える様に熱くなってくる。

286 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:29:07 ID:WrfcSAt6
「んっ・・・ふあぁ、きょ、恭也ぁ・・・ん、んあぁ・・・」
自然と手が伸びて、豊かな膨らみに触れると、忍の口から甘い声が漏れた。
そのまま、ゆっくりと掌で捏ねる様に、忍の胸を揉みしだく。
感じているというよりも、マッサージされて心地良さそうな吐息。
「・・・何だか余裕が出てきたわね」
「これでも、かなり抑えているんだが」
揉みしだく内に、忍と恭也の呼吸が徐々に荒くなってくる。
それを自覚しながらも、恭也は恋人の大きな胸に指を埋める度に、自らの自制心が溶けていくのを感じた。
「ねえ、恭也、キスして・・・」
求めに応じ、忍に覆い被さり、唇を重ね合わせる。
まずは軽く唇同士を触れ合わせて、唇を割る様に舌を差し込む。
咥内の温かさと,甘い唾液の味に興奮しながら、暫しの間、恭也は忍の唇を貪る。
「んちゅ・・・ぴちゅ、れろ、ちゅぱっ、れろっ・・・んむぅ・・・」
長い口付けを終えて、唇を離す。
恭也と忍の舌が、光る銀色の糸で結ばれていた。
何処か陶然とした表情の忍は、とてつもなく妖艶だった。
その妖艶さに惹きつけられ、恭也は片方の膨らみに顔を寄せて、桜色の先端に舌を這わせる。忍の声が上擦り、より激しく悶え始める。
「んんっ・・・そ、そこは・・・」
忍がより敏感に反応する場所を探して、ゆっくりと責めあげる。
同時にもう片方の手では、豊かな胸を捏ねながら中指で頂点の桜色を軽く擦りつつ、円を描く様に弄くる。忍の息が徐々に荒く、甘くなる。
恭也の動きに合わせて、豊満な肢体が震える。
胸に伸ばしていた手を、恭也は下へと這わせる。
肋骨、括れた腰、肉付きのいい太腿。そして太腿の付け根。
「んあ、そ、そこは・・・あふぁっ・・・」
恭也の指が湿った感触を感じ取る。
口を半開きにして、忍が切なそうに身体を揺する。
「胸を揉まれて、感じていたのか・・・」
「い、嫌ぁ・・・態々、い、言わないでぇ・・・」
そう言われても、指は止められない。
そのまま股間の縦筋に沿って、淫蜜の絡んだ指を上下にゆっくりと動かした。
「ん・・・はぁっ、ちょ、ちょっと、きょ、恭也・・・ふあぁ、ひぅん・・・」
指を往復させる度に、白い太腿の付け根から漏れ出す淫蜜の量が増し、指の動きがスムーズになっていく。そのまま勢いに任せて、割れ目の上にある小さな淫核を指で強く押してみる。忍の体が弓の様にしなった。
「・・・やり過ぎたか?」
「んん・・・はぁ、んん・・・ふあぁっ・・・」
身体中を駆け巡っていた快感と痛みの大波は去ったらしく、忍は焦点の合っていない視線を天上に彷徨わせつつ、熱い息を漏らした。
「・・・ちょっと痛かったけど、気持ちよかった・・・ねえ、もっとして・・」
忍の微笑みに頷きつつ、恭也は再び胸と下半身に手を伸ばす。
慎重に指を動かしながら、淫核を撫で上げる。
「んん・・・あぁん、んはぁん・・・そ、そこ・・・」
強い刺激を感じるらしく、焦らす様に軽く触れていく。
拒む様に、太腿がギュッときつく閉じられる。

287 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:29:49 ID:WrfcSAt6
「・・・さ、触り方がいやらしいんだから・・・ど、何処で覚えたのよ、んあぁ・・・」
「それは企業秘密だな」
恭也とて健全な日本男子である。
本だとか、DVD(一部、父の秘蔵品含む)だとかから得た知識だと言えるものか。
返事の代わりに、胸の先端を口に含み、舌の上で転がしてみると、一段と激しく忍の身体が震えた。もう顔だけではなく、忍の肌全体が熱を帯びた様に熱く染まっていく。
徐々に高まって行く忍の反応を見て取り、恭也もペースを上げていく。
身体を弄り回される度に、忍は小刻みに痙攣した。
「はぁ、も、もう身体がおかしくなり・・・そう、ふあぁ、んふぁッ・・・」
荒い息をつきながら、忍が切羽詰った声を上げーーー
「きょ、恭也ばっかり、ずるい・・・」
「おい?」
呼吸を整えながら、忍が恭也の股間に顔を埋めてくる。
殆ど抵抗する間もなく、恭也はズボンを下ろされ、一物を引っ張り出された。
「今度は私の番なんだから・・・」
艶かしい仕草で唇を舐め、忍は両手を使って、恭也の肉棒を扱き始める。
痛いほどに屹立した肉棒越しに、火照った笑みが見えて恭也の背筋にゾクリと快感が走り抜けた。既に先走りの汁で濡れていた肉棒は、卑猥に濡れ光っていた。
「本当に大きくなってる・・・素敵」
爛々と瞳を輝かせる忍の指が輪を作って、上下に軽く肉棒を扱き上げる。
たったそれだけで、凄まじい快感が走り抜けて恭也の声が上擦った。
その反応に気をよくしたのか、妖しいな笑みを浮かべつつ、忍は指を動かす。
「どんどん溢れてくるわよ・・・恭也のお汁・・・」
媚薬でも飲んだ様な陶酔した表情で、忍は肉棒を只管に扱き続ける。
彼女の手に、先端から溢れる先走りが付着して、卑猥な音が奏でられる。
「それじゃ・・・そろそろ、こうしてあげる・・・ん、ちゅ・・・」
忍の更なる攻撃。舌がゆっくりと肉の幹をなぞり上げてきた。
先端から根元までを丹念に、大胆に、舐めあげてくる。
「どう、気持ちいいかしら?・・・んむ、ちゅぱ、れろぉ・・・ん、れろ、はむ・・・」
口が動いているその下で、指が唾液と先走りを掻き混ぜて、節くれだった肉幹を執拗に刺激してくる。何度も肉棒の先端に、口付け、レロレロと舐めまわす。
「んん・・・もっと、刺激してあげる・・・んちゅ、れろぉ・・・はむぅ、んちゅる・・・」
先の方に息を吹きかけ、指と舌で緩急をつけて刺激を加えてくる。
恭也は思わず、声をあげそうになるが、男の意地で何とか堪える。
忍の方も、恭也の感じるポイントを的確に捉え、集中的に責めてきた。

288 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:31:03 ID:WrfcSAt6

「はぁ・・・んむ、ぺろ、ちゅぱっ・・・れろ、れろ・・・はむ・・・」
「くっ・・・忍、もう・・・」
下腹部の辺りに甘い痺れが走り、恭也は自らの限界が近い事を悟った。
彼の様子を見て取り、忍はさっきよりも激しく顔と手を動かしてくる。
「んちゅっ・・・いいわよ、好きなだけ出して・・・」
「くぅっ・・・出るぞ・・・」
張り詰めていた理性の糸が限界を迎え、断ち切られる音が恭也の脳内に木霊した。
肉棒の先端が爆発する様な感覚に襲われたのと同時。
「・・・んんぅっ!?」
忍の顔と手に、恭也は自らの欲望の全てを吐き出していた。
迸る白濁の樹液を避けようともせず、忍は正面から受け止めた。
脈動が完全に収まるまでは、数十秒を要した。
「ふふっ・・・一杯出たわね」
熱に浮かされた様な表情で微笑み、忍は身体に付いた汚れを拭き取り、寝台の上に薄っすらと紅潮した身体を横たえる。
「ねえ、まだ頑張れる?」
投げ出された手足と、嫣然とした微笑み。
誘う様に揺らめく忍の瞳に、心臓が高鳴る。
恭也は心を射抜かれた様な錯覚を覚えた。
「ああ、まだまだいけるぞ」
相当の量を吐き出したばかりだと言うのに、恭也の一物は硬度を失っていなかった。
忍の流麗な髪を指で梳き、その身体を抱き寄せた。
「んっ・・・」
「上からの眺めはどうだ?」
忍は恭也に言われるがまま、寝台の上に寝転がった恋人の肉棒をまたぐ。
すらりと肌触りのいい太腿を恭也の無骨な手が撫でると、甘い声が漏れた。
微かに恥ずかしそうな笑みを浮かべながら、忍の腰が落ちてくる。
忍の淫筒が、恭也の肉棒を加え込んだ。
潤っていて、挿入は思った以上にスムーズだ。
「んふぁぁん、お、奥まで来てるぅ・・・んあぁ、はふぁん・・・」
切ない喘ぎ声を漏らしながら、忍の女穴は肉棒を奥へ奥へ引きずり込み、ズリズリと擦り、ネットリと締め付けてくる。
包み込む様に柔らかく、締め付けられる度に、恭也の全身に甘い疼きが広がる。
「くっ・・・忍っ!!」
上に圧し掛かる忍は、ゆっくりと腰を前後させ始める。
あまりの心地よさに、下に居る恭也の腰までもが無意識に動き出してしまう。
忍の充実した尻肉を引き寄せる様にして、恭也はよりお互いの身体を密着させる。
そして押し付けつつ、時折、捻りも加えつつ、肉棒の先端で最奥部を抉り、弄くる。
「んっ、は、はぁん・・・お、奥の方、そんなに・・・突かれたら・・・」
「ここが感じるのか、本当に淫らだな」
言葉で辱め、同時に肉棒で深い部分を穿る度に、忍はより激しく敏感に跳ねる。
愛しい女性を感じさせている嬉しさと、もたらされる快感で腰が溶けそうになる。
徐に恭也は、忍の白魚の様な手を取り、ぺろりと舐めてみた。
それだけの刺激でも感じるのか、忍は小さく震え、悩ましく喘いだ。

289 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:31:36 ID:WrfcSAt6

「ん、や、やめ・・・そ、それ、お、おかしくなるぅ・・・はぁん・・・」
夢中になって、愛しい彼女の指を愛撫しながらも、恭也は腰を突き上げる。
「も、もう駄目、そ、そろそろ・・・」
腰を打ち付ける時の水音が大きくなり、切羽詰った喘ぎが聞こえてくる。
人を乗せたまま、下から上に突き上げるという重労働な体位で結合しているが、御神の剣士として鍛えられた恭也にとっては、別に問題は無い。快感で昂ぶっているのならば、尚更だ。結合部から音が鳴り、淫蜜が弾け跳ぶ度に、恭也は自らの下腹部から熱い絶頂の衝動が滾々と沸きあがってくるのを感じた。
「・・・く、忍、俺もそろそろ・・・限界だな」
余裕の無い声が漏れる。
自らの荒い吐息が目障りに感じ、恭也は何故か可笑しくなった。
「・・・いいわよ、来て、私の中に全部・・・!!」
忍も絶頂に向けてのカウントダウンが始まっているのだろう。
恭也の上で身体を支えている脹脛が、引き攣った様に固まる。
「くぅ、もう・・・!」
射精の衝動を我慢できない。
飲み込んだ肉棒が抜けそうになるギリギリまで忍は腰を上げ、その次の瞬間、何の合図も無く、忍が勢い良く腰を下ろすのに合わせて、恭也は勢い良く忍の一番奥まで突き入れた。これがお互いにとって、最後の一押し。
「はん・・・んふあぁーーーーーーーー!!」
甲高い絶頂の喘ぎを漏らした瞬間、忍の締め付けが一段ときつくなり、恭也の脳髄をくすぐった。恭也の眼前にある豊麗な肢体が、背骨が折れ曲がるのではと錯覚する程の勢いで仰け反り、激しく痙攣する。
「・・・う、おぉぉ・・・!!」
恭也の頭の奥も真っ白になり、弾ける様な射精が始める。
噴水の様に吹き出た精は、忍の淫壷を隙間無く埋めていく。
「ん、んあぁ・・・ま、まだ出てる・・・はぁん・・・ひあぁん・・・」
快感の大波に身体を幾度も震わせながらも、恭也は忍の尻を強く掴み、絶頂の余韻に堪える。やがて絶頂の余韻が去り、両腕から力を抜く。
「んっ・・・ふぁぁん・・・」
夢現の様な表情で、忍が吐息を漏らす。
唇の端から垂れた唾液が、恭也の引き締まった胸板の上に滴り落ちる。
「凄く気持ちよかったわよ、恭也」
顔を寄せ、穏やかに微笑む忍。
上気して、しっとりと濡れた忍の身体。
抱きしめると、何とも言えない、いい匂いがする。
「でも、この程度では終わらないでしょう?」
舌なめずりをしながら、恭也の股間に身体を寄せた忍は未だに固いままの肉棒を、豊満な胸の間に挟み込み、涎を垂らして潤滑油にして、両手で乳房を揺らし始めた。
深い胸の谷間でニチュニチュと卑猥な音が鳴った。

290 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:32:10 ID:WrfcSAt6
「ビクビクと脈打って・・・暴れん坊さんね」
「・・・そういえばユーノを引っ張って来る様に、リインフォースを唆したのはお前か」
「唆したとは人聞きが悪いわね。彼女は、元々、ワーカーホリック君だったユーノ君の事を心配してたの。だから私の提案は『渡りに船』だったわけよ」
乳房で痛いほどに屹立した肉棒を扱き上げながら、忍は悪戯っぽく笑う。
どうやらユーノは、忍の眼から見て、愛妹すずかの花婿候補のトップらしい。

「すずかとユーノ君の距離を縮める試みに協力してくれるわよね、恭也?」
「ああ、別に構わん。ユーノはなのはに執心らしいが、こちらの方は望み薄だからな」
『なのはが欲しくば、私を倒して』云々と気炎を上げる父の姿を脳裏に思い浮かべながら、恭也は神妙な面持ちで頷いた。もっとも、士郎とて半分は冗談だろう。
言い換えれば、もう半分は本気という事だが。
それを抜きにしても、なのはがユーノの気持ちに全く気付いていない上に、フェイトが同性ながら、なのはにアタックしている現状から鑑みるに、ユーノの恋が実る確率は限りなく低い。それ以前に、ユーノのなのはに対するアプローチは積極性に欠ける。
もっとハッキリ言うならば、フェイトや士郎と遣り合ってまで『なのはと結ばれたい』という意欲が感じられなかった。より正確には『なのはと結ばれなくても仕方ない』と言った方が適切かもしれなかった。

「・・・というより、ユーノの年頃で色恋沙汰は時期尚早と思うんだが」
「そうだけど、いい花婿候補は早くから確保しておいた方がいいでしょ?」
両手で乳房を左右から圧迫して、肉棒に刺激を与えながら忍が笑う。
乳房の谷間から突き出た先端に舌を這わせ、快感を送り込む。
「それに、すずかがユーノ君をゲットできるかはあの娘次第・・・ユーノ君って、多分、天然のジゴロの匂いがするのよね」
「・・・うくっ、そうか?」
「そうよ、現にリインフォースが引っ掛かっているじゃない。今は弟みたいに想っていても、これからどうなるか解らないわよ?」
熱い吐息を肉棒に拭きかけ、忍はチュパチュパと意識的に音を立てて先走りを吸う。
その間も、左右の乳房を忙しなく動かし、肉幹に擦りたて、扱くのも忘れない。
「・・・ふふっ、こんなに熱くて・・・逞しい、胸の間でビクビクしてるわ・・・んちゅぅ・・・」
陶然とした表情を浮かべ、忍は奉仕に集中し始めた。
絶妙な弾力と柔らかさ。とてつもなく心地よい感触が、限界まで膨張している肉棒を余す所無く包み込む。白く滑らかな肌が張り付き、肉幹の表面が引っ張られる。

291 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:32:46 ID:WrfcSAt6
「ん・・・はぁ、こんな感じでいいかしら?」
「あぁ・・・凄くいいぞ」
こうして双乳の温もりを感じているだけでも、恭也の中で射精の欲求が高まってくる。
我ながら敏感すぎると思ってしまうくらいだ。
「ん、恭也、もっと、気持ちよくなって・・・んむ、ちゅぅ、れろ、ん、はぁむ・・・」
麗しい唇から伸びた舌先が、張り詰めた肉棒の先端を嘗め回す。
その一方で忍は焼けそうな程に熱い吐息を漏らし、身体を前後に揺らす。
「んあぁ・・・な、何だか私も身体が熱くなって・・・あ、ん、んちゅっ・・・」
「はぁっ・・・もう、俺ももう出そうだぞ・・・くっ!!」
火照りの増してきた柔肌が、唾液塗れになった肉棒を素早く何度も擦る。
射精が近い事を悟った、忍が乳房を潰さんばかりの勢いで寄せ、肉棒を圧迫する。
腰まで痺れる様な快感が広がり、包み込む柔肌を押し返す程の勢いで、肉棒が熱く痙攣した、その刹那。
「んん・・・はぁ・・・恭也の熱いのが、んあ、あふぁぅっ!!」
左右から圧迫してくる乳房に促される様に、熱い迸りを解き放っていく。
火照りった忍の顔が白濁に染まっていく。
「・・・はぁ、こんなに一杯、出して・・・素敵」
顔に張り付いた精液を舐め取り、忍はうっとりと呟いた。
その余りの妖艶さに、恭也は衝動的に忍を布団の上に組み伏せていた。
「あんっ・・・もう恭也ってば、いいわよ。思う存分、私を貪って」
妖しく揺らめく瞳。それに誘われる様に、恭也は淫蜜を溢れさせる恋人の淫穴に肉棒を押し込んでいた。緩急をつけて、突き始める。
「・・・ん、あふっ、い、いい・・・気持ちいい、あん・・・ひぁうん・・・」
部屋の中に女の蕩けきった声が木霊した。




「ここが『深海旅団』の本拠地か」
「正確には、本拠地“だった”だね」
クロノは周りを見渡し、その横を歩く猫耳に茶色の短髪の女性リーゼロッテはクロノの言葉を訂正した。
「それにしても本当にここが『深海旅団』の本拠地だったのか?」
「無限書庫の情報では、そうなってるけどねえ」
今、彼らが居るのは、とある無人世界。
世界の殆どを海が占め、クロノ達が立っているのは浜辺に近い陸地の部分だ。
以前から捜査していた、周辺の世界から女子供を浚っていた邪教集団『深海旅団』の本拠について無限書庫から確実な情報を得て向かってみれば、生贄を捧げていたであろう石造りの祭壇は、周りに立てられていた鋼鉄の柱数本諸共に溶け崩れ、無惨な姿を晒している。


「恐らくここで物凄い天変地異が起こって『深海旅団』は壊滅したのかね」
「そういえば、『深海旅団』の物と断定できる事件が最後に起きたのはいつだったか。エイミィ、記録を調べて貰えるか?」
『OK,ちょっと待ってね』
リーゼロッテの意見に頷きながら、クロノは上空に待機している艦船アースラに向けて、通信を送った。程なくして答えが返ってくる。

292 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:33:20 ID:WrfcSAt6
『クロノ君、解ったよ。時期はえーと、丁度、ジュエルシード事件が起きる少し前だね』
「もしかしたら、その時、既に『深海旅団』は実質的に壊滅していた可能性もあるな」
エイミィからの報告を受け、眉間に皺を寄せてクロノは考え込む。
この邪教集団に関しては、彼とて全ての情報を把握している訳ではない。
現時点で、この『深海旅団』に関して解っている情報を纏めると、次の様になる。
・複数の次元世界に跨る、大規模な組織であった事。
・生贄として、女子供を浚い、海の祟り神デイゴンに捧げていた事。
・組織の構成員には、魚や蛙の様な容姿をした者が多かった事。

「組織そのものは潰れても、幹部が生き残っている可能性も検討しないとね」
リーゼロッテの言う通り、生き残りの幹部が新たに組織を復活させる可能性も視野に入れる必要がある。組織復活の為、今まで鳴りを潜めていたというのもあり得る線だ。

そもそも今回、クロノ達が動いたのは『深海旅団』の首領だと目されていた男の腐乱死体が、一週間程前に、奇妙な像と共にミッドチルダの首都クラナガンの海辺の砂浜に打ち上げられたのが切欠だ。


これからどう動くべきか、クロノが眼を瞑って思考を巡らせていると、懐にしまっていた次元間通信機が振動している。通信機のスイッチを入れると、空中にディスプレイが展開され、リーゼロッテと良く似た、但し、髪は長い女性の姿が映し出された。
リーゼロッテの姉、リーゼアリアだ。
『クロノ、ロッテ・・・首尾はどう?』
「『深海教団』の本拠地は壊滅。恐らくはコレでこの案件は、ケリがつきそうだ。一抹の不安は消せないが」
『とりあえず、一旦、本局に戻ってきて』
「そうだね、これ以上、ここに居ても仕方無さそうだし」
アースラの方に連絡を入れ、クロノとリーゼロッテは歩き出す。
その途中、クロノは実に奇妙なーー‘ガラスの大地’とでも形容すべき場所がある事が幾つかある事に気がついた。特に大きな ‘ガラスの大地’の中心に、巨大な黒い影が焼きついている。姿は人間の物に近いが、数十メートルにも及ぶ大きさは怪獣と言った方が相応しい。恐らく、この影の持ち主こそが『深海旅団』が崇める海の祟り神デイゴンとやらか。

祭壇に捧げられた生贄を求め、海から上がってきた所を、超高熱を受け、この世に影だけを残して蒸発したといった所か。
「・・・それにしても、これ程の熱を生み出す物とは何だ」
クロノの頭に浮かぶ疑問符。
影の大きさを見ても、デイゴンは相当の巨体。
それを跡形も無く、消滅させられる程の熱量を生み出す物とは。

293 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:36:12 ID:WrfcSAt6



第一に連想するのは核爆弾。幾つかの次元世界は保有しているが、それが流出したという話は聞かない。もし流出したならば、噂くらいは聞いてもいい筈だ。
第一、核爆弾ならば、放射能は検出されないのは奇妙だ。
アースラの機器でも放射能反応はゼロだ。

第二の可能性は火山の爆発。
だが、この無人世界の火山活動は活発とはいえず、近くに火山も無く、溶岩が噴出した形跡も無い。


「まさか小型の太陽が出現し、デイゴンを葬ったとでも」
自分ながら、何とも馬鹿馬鹿しい意見だ。
とにかく答えの出しようが無い。まだ知られていない自然現象と結論付けて、クロノは空中に待機しているアースラに向けて飛翔した。



「んん・・・私は気を失っていたのか」
意識を失っていたリインフォースは眼を瞬かせ、薄暗い部屋に視線を巡らせた。
寝息が2つ聞こえてくる。はやてとシャマルの物だ。
彼女達を起こさない様に、リインフォースは身体を起こした。
「寝付けないな・・・少し辺りをぶらついて来るか」
布団の上で安らかな寝息を立てている、はやてとシャマルを起こさない様に、とリインフォースは立ち上がると、部屋を出た。

淡い灯りが照らす廊下を歩いていると、向こうから小柄な影が近付いてくる。
紫黒の長く、軽いウェーブがかかった髪の少女、月村家次女。
月村すずかだ、リインフォースと同じ緋色の襦袢を纏っている。
「あ、リインフォースさん、どうしたんですか?」
「寝付けなくてな。お前こそどうした?」
「ユーノ君とお話がしたくて、部屋に行ったんですけど、居なかったんです。もう夜も遅いから、寝ようかと思って」
確かに廊下の壁に備え付けられた、年代物の時計の針は夜の10時。
こんな時間帯にユーノは何処に行ったのか、気になるが、ユーノならば、心配ないだろう。後でユーノの部屋に様子を見に行ってみよう。
「それじゃ、リインフォースさん、おやすみなさい」
「ああ、お休み。我が主とシャマルはもう寝ているから、起こさない様に頼む」
「はい」
すずかと別れて、リインフォースは『鷹樹庵』の部屋割りを頭に思い浮かべた。

一階「大部屋:はやて、すずか、リインフォース、シャマル」

二階
「二人部屋:恭也、忍、」
「二人部屋:ザフィーラ、アルフ」

三階
「二人部屋:ユーノ」
この旅館は三階建てで、彼らが使っている部屋以外はまだ改装中だった筈だ。
二階に上がってみると、恭也と忍の部屋からは、艶かしい嬌声、男の雄叫びが微かに漏れ聞こえてくる。邪魔しては悪いので、気配を殺して通り過ぎる。

294 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:36:51 ID:WrfcSAt6
その1つ部屋を挟んだ、ザフィーラとアルフの部屋は静かな物だ。
というよりも気配を感じない。
窓に視線を向けてみると、並んで歩いている、黒の甚平を着込んだ褐色の肌の男とGパンにタンクトップを身につけた赤毛の女が見えた。
夜風にあたりながら、夜の街の散策を楽しんでいるらしい。
以前は自分もザフィーラと一緒に、夜の海鳴市を散策したものだが、この頃はその回数も激減した。その分、無限書庫に行く回数が増えたのだが。
「・・・三階に行ってみるか」
もしユーノが寝ていたら、引き返して布団に入って寝てしまおう。
起きていたら、少し雑談に付き合って貰おう。
そんな事を考えながら、三階に上がると、ユーノの部屋の明かりがついている。
「ユーノ、入ってもいいか?」
「リインフォース? うん、いいよ」
了承を受け、リインフォースは障子を開け、部屋に足を踏み入れた。
一方、ユーノは寝巻き姿で、布団の上に胡坐をかき『夜刀浦の歴史』という本を開いていた。その他にも彼の周りには、本が数冊散らばり、雑然とした雰囲気を形成している。厚さも様々、文庫本だったり、ハードカバーだったりするが、それらの本には、ある共通点があった。
「・・・この都市の歴史に関する書物か?」
「古本屋さんで買って来たんだ。結構、遅くまで開いてるんだね」
成程、すずかがこの部屋を訪ねた時、ユーノは古本屋に行っていたのか。
何となく興味を引かれ、リインフォースは一冊を手に取った。
「私も読んでみていいか?」
「うん、いいよ」
『夜刀浦に潜む、海の祟り神』というタイトルの本を手に取り、開く。
内容は古来より、夜刀浦には豊漁や金塊と引き換えに、生贄を要求する海神の伝承が伝えられており、その海神の呪われた血を受け継ぐ人外の怪物が闇の中を跋扈しているという物だった。
「・・・悪魔崇拝に近い物を感じるな」
流し読みしただけだったが、リインフォースはそんな印象を抱いた。
地球に限らず、次元世界を見渡せば、似た様な事例は割と多い。
次元世界最大規模の宗教である聖王教会の異端派が、主流派の弾圧を受け、生贄を悪魔に捧げて、主流派の滅亡を祈願したという記録が無限書庫に残されている。

「人間の考える事は、何処か共通する物があるという事かもね」
「ふむ、成程」
ユーノに相槌を打ちながら、リインフォースは身を乗り出し、別の本を手に取った。
その際に、緋襦袢の前が肌蹴けてしまい、豊満な胸の谷間がこぼれ出た。
「・・・ちょ、ちょっと、だ、駄目だよ、それ・・・」
「ん、ああ、すまない」
正直、白い肌と黒いブラジャーのコントラストは凶悪だと思う。
眼前の魅惑の‘果実’から眼を逸らすユーノが可愛く思えて、リインフォースは更に追い討ちとも言える言葉を口にしていた。

295 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:37:29 ID:WrfcSAt6
「お前のそこ、随分と大きくなっているな」
「あ、あぁ・・・お、お願い、見ないで」
ユーノの股間は寝巻きの上からでも解るほどに、雄雄しく“テント”を張っていた。
恥ずかしくて隠そうとするユーノだったが、リインフォースは気にした様子も無く、微かに唇の端を釣り上げながら、耳元に唇を寄せてくる。
耳朶に熱い吐息がかかって、ユーノの鼓動が速くなる。
「私がお前のここ・・・扱いてやろうか?」
「え、そ、そんな・・・」
「遠慮するな。お前のおかげで、私はこの世に残れた、そのお礼がしたいんだ。男は女にコレを扱かれると気持ちがいいのだろう? それとも・・・私では不服か?」
不服な訳が無い。リインフォースの様な美女にそんな事をされれば、大抵の男は舞い上がるだろう。それはユーノとて例外ではなく、理性で誘惑を振り払おうと試みるが、上手くいかない。そうしている内に、リインフォースの手が寝巻きのズボンを勢いよくパンツ諸共にズリ降ろし、勃起した一物を引っ張り出していた。
「駄目、駄目だって・・・」
「気にするなと言っている・・・それにこんな状態では収まりがつかんだろう?」
リインフォースの方も幾らか興奮しているのか、息が荒く、その息が肉棒の先端に降りかかる。細く白い指が、血管が走る肉幹を優しく扱いてくる。
「う、はぁっ・・・太いな、それに凄く固いし、熱い・・・皮も向けていて、可愛い顔に似合わず、逞しいな・・・お前のここは、とても立派だ、ふぅ・・・・」
「可愛いって・・・う、嬉しくない」
「気にしているんだったな、すまない・・・何なら、ショーツで扱いてやろうか?」
湖の騎士が購読している、怪しげな雑誌――好奇心に駆られて読んだ――に載っていた試みを提案してみる。その魅力的な提案に、ユーノの理性は太刀打ちできない。
「お、お願いします・・・」
微かに頬を染め、リインフォースは頷き、一旦ユーノから離れる。
緋襦袢の中に手を突っ込み、前屈みする様に黒いショーツを脱いだ。
シュルリと聞こえた布が肌を滑る音が、とてつもなく淫靡に聞こえた。
リインフォースが左・右の順番で脚からショーツを抜き取る時に見せた、銀色の薄い茂みが一瞬だけ見えて、ユーノの心臓の鼓動が速まった。
「さあ、足を開いてくれ」
「う、うん・・・」
黒いショーツが肉棒を覆い、その上から指で優しく包まれる。
女性の下着の柔らかな質感と、リインフォースの指先に、肉棒はビクビクと震える。
リインフォースの温もりが残るショーツに肉棒を包まれ、ユーノはとてつもなく興奮していた。スリスリと指を滑らせ、リインフォースがショーツ越しに肉棒を優しく扱く。

296 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:38:07 ID:WrfcSAt6
「はっ・・・ん、んん・・・」
ビリビリと意識を痺れさせる様な快感が続き、ユーノの口からは快感に翻弄される息が漏れる。リインフォースの指に少し力がこもり、その刺激を受けて先走り汁が滲み、ショーツに卑猥な染みを作る。
「あふっ・・・この匂い、いやらしいな。頭がくらくらしてくる・・・」
「う、そ、その・・・」
「気にするな、寧ろ雄の匂いで嫌な匂いでは・・・ん、はぁん・・・」
紅い瞳を興奮に潤ませ、リインフォースは手の動きを加速させた。
それにより、肉棒がますます太さと硬度を増す。
「お前の汁で私のショーツ、ヌルヌルになってしまったぞ。気持ちいいんだな」
「す、凄く・・・気持ちいいです」
ユーノの顔を観察しながら、リインフォースは先走り汁で滑りの良くなったショーツで先端を擦ってくる。更にカリを指の腹で扱かれ、肉棒が断続的にビクビクと脈打った。
「こんなにビクビクと脈打って・・・もう出そうなのか、遠慮なく出していいんだぞ」
「あっ・・・ひぅ、あぁ、リ、リインフォース・・・・・」
せり上がる快感に思わず身体が震え、ユーノは歯を食いしばる。
尿道を熱の塊が込み上がってくる。それを察知したリインフォースの手の動きに溜め込んだ物が突き抜ける様に飛び出した。
濃厚な白濁の樹液が黒いショーツと、細い指をベトベトに汚して行く。
「・・・凄い匂いだな、ん、はぁ・・・・」
そう言いながら、リインフォースは手を動かし、残っていた精液を搾り出そうとする。
ニチュニチュと卑猥な音が響き、肉棒から白濁が溢れ出る。
「ふふっ・・・私の下着がお前の精液で、こんなに汚れてしまったぞ」
「ご、ごめん・・・」
「気にしなくていいとい言っただろう? 私が自らの意思でしたことだ」
白濁液で汚れたショーツを手の中で弄びながら、リインフォースは切れ長の紅い瞳を微かに潤ませ、ユーノに気付かれない様に太腿をもどかしそうに擦り合わせた。
「それにしても・・・随分と溜まっていたらしいな。無限書庫の仕事で処理している暇が無かったのか?」
「う、うん・・・」
精への目覚めも早いユーノは、精通もかなり早かった。とはいっても、いつもは自分で“処理”をしていたのだが、女性に、ましてリインフォースの様な素晴らしい美人に、手で肉棒を扱かれるのは、初めてだった。
「溜め込みすぎるのはよくないぞ・・・言ってくれれば、私が・・・いや、何でもない。仕事の疲れを取る為にも速く寝てしまえ。邪魔して悪かったな」
「あ、うん・・・お休みなさい」
途中まで言いかけた言葉を引っ込め、リインフォースは立ち上がり、部屋を出て行く。
立ち上がる際に、緋襦袢の裾が捲れ上がり、白い太腿がチラリと見え、ユーノの心臓を高鳴らせた。流麗な長い銀髪の後姿を見送り、ユーノは布団の上に寝転んだ。

297 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:38:37 ID:WrfcSAt6
「・・・眠れそうにないや」
あの白い太腿や胸の谷間が、なのはとの想い出に上書きされ、脳裏に焼きついてしまった。それくらいの強烈さがあった。
部屋の明かりを消しても、一向に眠気は訪れない。
それどころか、暗闇の中で、眼を閉じるとリインフォースの白磁の様に透き通った肌が鮮明に浮かび上がって来る。股間のフェレットがまた鎌首をもたげてくる。
「・・・なんて節操なしなんだ、僕は」
結局、もう一回、ユーノは股間の滾りを自分で鎮める事になった。





「ふぅ・・・水が冷たいな」
部屋に戻る途中、リインフォースは女性用大浴場に行き、冷たいシャワーの水を全身に浴びた。冷たい水が珠となり、皇かな肌の上を滑り落ちていく。
「・・・あ、んふぁ、火照りが消えない・・・」
切なげに熱い吐息を漏らし、リインフォースは脚の付け根に右手を触れさせた。
指先に伝わるのは、熱く湿った感触。
「濡れてしまってるのか、私は・・・」
ユーノの肉棒を手で扱いている時、その熱さと硬さ、そしてむせ返る様な濃厚な雄の匂いによって、火照った身体の奥がジンジンと疼く。リインフォースは恐る恐る指を、蜜を漏らし始めている淫穴に突っ込み、かき回してみた。
「はぅんっ!?・・・あ、んあ、ひぅん・・・・」
指先を軽く突っ込んだだけなのに、全身を稲妻の様な刺激が駆け抜け、思わず左手に持っていたショーツを握り締めてしまう。
その刺激によって、リインフォースは大浴場の床に崩れ落ちた。
「はぁ、んぅぅ・・・だ、駄目・・・ゆ、指が止まらない・・・・」
這いつくばる様な姿勢のまま、下肢の付け根で指が妖しく蠢く。
指先は花弁を弄り、幾重にも重なった肉襞をなぞっていく。
彼女自身意識していないのに、指先が勝手に心地いい場所を探り当ててしまう。
淫穴に再び指を差し入れると、思わず嬌声が漏れ出て、大浴場全体に反響した。
「あ、んあ、あぁん・・・こ、こんな恥ずかしい声を上げるなんてぇ・・・身体が火照って、
疼きが収まらない・・・・あん、んん・・・」
この世の男達の股間をいきり立たせる嬌声を漏らしつつ、リインフォースは一層激しく股間を弄り回す。手首のスナップを利かせ、律動的に淫穴を穿る。
中で指を折り曲げ、ある部分を強く擦ると、鋭い快感が奔り、身体が引き攣る。
更なる快感を求めて、右手は敏感な淫核を探り当て、激しく擦り上げる。
声を抑えようとしても、鼻にかかった甘い声が漏れ出てしまう。
豊満な極上の女体が、薄っすらと朱に染まり、甘い香りを振りまく。
身体の奥から熱い物がこみ上げてくる。
リインフォースの右手は、別の生物の様に自らの秘所を弄り回す速度を上げていく。

298 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:39:10 ID:WrfcSAt6
「・・・熱い、身体が熱いぃ・・・あむ、ちゅぱ、この匂い、興奮するぅ・・・・れろ、んむ・・・」
いつの間にか、リインフォースは左手に持っていたショーツに舌を這わせていた。
猫がミルクを舐める様に、ユーノの精液の匂いを嗅ぎ、舐め取る。
「はぁ・・・はぁ、んちゅ・・・ぴちゃ、こんな浅ましい・・・でも、んむ・・・・」
節制の美貌を誇る魔導書の化身は、肉付きのいい尻を左右に軽く振りながら、無我夢中で股間を刺激する。激しい淫穴穿りに淫蜜が飛沫となって飛び散る。
「・・・は、んん・・・な、なんて浅ましい、でも美味しい・・・・はぁん・・・・」
数百年の流浪の時、リインフォースは散々男達の獣欲の餌食になった。
意識や人格を移し変えても、男の肉棒がもたらす快楽の凄まじさは彼女の根幹たる部分にしっかりと刻み込まれている。
そして、一際大きな快楽の大波がリインフォースを襲い、彼女を絶頂に押し上げた。
「・・・んあ、あ、あぁーーーーーーー!!!」
自らの秘所を弄りながら、リインフォースはうっとりとした表情で舌を伸ばすと、精液を美味しそうに舐め取った。
股間を弄くり回す指は更に激しく、更に卑猥な音を立てて、淫口をひしゃげさせ、同時にむっちりとした尻が跳ね上がりーーーー

「ひあっ!! んあぁーーーーーーー!!」
エクスタシーにのたうちながら、股間から透明な潮が噴きだした。
力なく崩れ落ちるリインフォースは頬を上気させ、満足げな息を吐いた。
弛緩した身体を気だるげに起こそうとした、その時――――



「随分、色っぽく乱れてたわね」
「・・・――――・・・!?ッ」
後ろから聞こえた声に、リインフォースは背中に氷柱を突っ込まれた気分になった。
慌てて振り向くと、そこには一糸纏わぬ姿の忍が人の悪い笑みを浮かべていた。
硬直しているリインフォースを見遣りながら、忍が近付いてくる。
「ど、どうして・・・」
「恭也と楽しんでたんだけど、汗をかいちゃったからシャワーでも浴びようかと思って来たんだけど・・・貴女のそんな姿を見せられたら、もう我慢できなくなっちゃったわ」
不穏な気配を纏い、忍は怯える極上の“獲物”を前に舌なめずりすると、一気に襲い掛かった。水音が大浴場に響いた。




「ん、あ、あぁっ・・・・や、止めてくれ、ん、んん・・・」
「そんな事を言っても、貴女のここはもう大洪水じゃない。それに乳首だって、こんなに・・・ん、私のと擦れあって、私もたまらない気分になってくるわ」
一糸纏わぬ豊満な女体が2つ、艶かしく絡み合う。

299 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:39:52 ID:WrfcSAt6
リインフォースと忍の、豊かな乳房が重なり合って、動く度に形を変えていた。
更に忍は、時折、自らの股間をリインフォースの股間に押し付け、擦り合わせる様に腰を動かしていた。
「そ、そんな・・・擦られたら、あ、んん・・・・」
「私も、あん・・・凄くたまらない気分になってくるわ」
忍が上で動く度、リインフォースの口からは甘い吐息が漏れる。
「いい声で鳴くわね。もっと聞かせて欲しいわ、その声・・・」
「も、もう止め・・・は、恥ずかしい・・・」
「でも、中途半端でやめたら、火照った身体を持て余しちゃうでしょう、貴女って一度火がついたら止まらないタイプみたいだし」
妖しく笑いながら、忍はリインフォースの首筋を舐め、身体をうねらせる。
重なり合っている乳房が淫靡に変形し、リインフォースの口から甘い喘ぎが漏れた。
いつしかリインフォースは自分から腰を動かし始めていた。
「ん・・・あぁん、いい、いいわ・・・」
「あふっ、んん・・・あ、あぁ・・・擦れて、あふっ・・・・」
唐突に忍はリインフォースの唇を奪い、逃げようとする舌を絡めとる。
ぺチャぺチャと舌が絡みつく音と、二人の熱い吐息が浴場内に響き渡る。
「も、もう私・・・熱くて、そろそろ・・・・」
「わ、私も、駄目ぇ・・・はぁん・・・・」
気持ちが高まってきたのか、リインフォースと忍の動きが加速していく。
その動きに連動して、二人の乳房はぶつかる様に揺れ、絡めた足にお互いの股間を押し当てて腰を振り続けた。
「んん、も、もう・・・い、イク、あ、んあ、ふあぁっ・・・・い、イクーーーー!!」
「わ、私も、も、もう・・・んん、あ、あぁーーーー!!」
一際大きな声を上げて、リインフォースの身体が仰け反った。
リインフォースの後を追う様に、忍の身体も弓なりに反った。
「・・・あ、ふぁ、はぁ・・・・」
「ん、はふっ・・・ん、ふぅ・・・」
二人は荒い息を吐きながら、どちらともなく唇を軽く重ね合わせた。
絶頂の余韻を楽しむかの様に、舌を絡ませあう。
十分に堪能した後、忍はリインフォースを抱き起こすと、ゆっくりと離れていく。
そして不意打ち気味に、後ろから抱きつき、その乳房を揉みしだいた。
「あっ、な、何を・・・」
「私よりも少し大きいかしら? それよりも、この透ける様な肌、それでいて人としての温もりも備えてるって・・・反則じゃない」
豊かな膨らみをこね回しつつ、紅くなった首筋に口付ける。
唐突な刺激に声を裏返し、リインフォースは切なそうに身体を捩らせた。
尚も忍は、手に余る双丘を執拗に揉み、その先端を指先で弾く。
忽ち、リインフォースは甘い鼻声を響かせた。

300 夜刀浦奇譚 :2013/02/02(土) 13:40:28 ID:WrfcSAt6
「ふふっ・・・固くなってる、それに」
忍の視線は、リインフォースの左手に注がれた。
左手から奪い取られるショーツ。
「たっぷりと濃厚な精液がこびり付いたショーツ、ユーノ君のオチンチン、これで扱いてあげたのかしら? そして、これの匂いを嗅いで興奮してたなんて・・・」
「そ、それは・・・・」
「あら、隠さなくてもいいわよ。この旅館に居る男性は三人だけ、恭也とザフィーラさん、ユーノくん。恭也は除外、ザフィーラさんはアルフと散歩に出たわ。消去法で残るのはユーノくんだけ。私も、恭也に同じ事してあげた事あるし」
言いながら、忍はリインフォースの耳朶を軽く噛んだ。
同時に、右手をリインフォースの秘所に伸ばし、淫核を抓り上げた。
「!?・・・あ、あぁ、や、やあぁ・・・ん、はう・・・」
「もしかしてユーノ君に惚れちゃったかしら?」
「ち、違う、ユ、ユーノは弟みたいな物で、む、無理をするから放っておけないだけで・・・あ、だ、駄目ぇ、弄り回さないでえ・・・」
「弟みたいな相手のオチンチン弄り回して、興奮するなんて・・・それとも自分好みに染め上げて、食べ頃になったら“頂きます”をするつもり?」
「ち、違う・・・わ、私は・・・・あ、ん、んん・・・ひあぁっ!!?」
言葉を濁すリインフォースの乳房の先端と、淫核を忍は同時に抓り上げた。
とてつもない刺激がリインフォースの脳髄を貫き、豊満な肢体が悩ましく身悶える。
その後も忍はリインフォースの性感帯を執拗に弄り回し、苛烈に責め立てる。
「ほらほら・・・いっちゃいなさい」
「あ、んあぁ・・・ひ、ひあぁ・・・んあぁーーーー!!」
程なくリインフォースは二度目の絶頂に達していた。
切れ長の眼に大粒の涙を溜め、力の入らない身体を動かし、必死に逃れようとする、リインフォースの姿は実に嗜虐心をそそる。
荒い息を吐きながら、忍はリインフォースを床に押し倒す。
「・・・も、もう許してぇ、お願い・・・・」
「ああ、こんなにたまらない気持ちになるなんて・・・」
眼をぎらつかせ、忍はリインフォースの肢体に舌を這わせていく。
舌が這いまわる感触に、リインフォースは敏感に反応し、か細い喘ぎを漏らす。
「・・・く、くすぐったい、あ、んあ、ふうぅ・・・」
眼をぎらつかせ、忍はリインフォースの乳房の先端に吸い付き、淫蜜を滴らせる脚の付け根に手を伸ばし、指を淫穴に差し入れ、緩急をつけて掻き回す。
その刺激にリインフォースの脳内は女の快楽に塗りつぶされ、その唇からは悩ましく蕩けきった嬌声が漏れ出し、浴場内に木霊していった。

301 黒天 :2013/02/02(土) 13:42:02 ID:WrfcSAt6
字数少し減らしてみたら投下できました。
何故だろう。とりあえず今日の投下は終わりです。
アインスさんは弄れる方だよね。

302 SandyBridge ◆UKXyqFnokA :2013/02/02(土) 22:32:19 ID:VZuGbxak
なんか突貫で書けたのでもうちょっとしたら投下するかもです


(・ω・)

303 空の狐 :2013/02/02(土) 23:04:58 ID:WePCPrRA
黒天さんのアインスはエロくていいです!!

304 SandyBridge ◆UKXyqFnokA :2013/02/02(土) 23:17:51 ID:JMMS8toY
ぁーぃ

では投下します

タイトルは 「肉食系女子」

305 肉食系女子 ◆UKXyqFnokA :2013/02/02(土) 23:18:39 ID:JMMS8toY
 時空管理局における情報部門の重要性は、闇の書事件、JS事件そしてマリアージュ事件を経てより強く認識されるようになっていった。
 無限書庫を単なる資料室としてでなく、本格的な諜報部門として活用するということである。
 その任務に最適である人材は、おそらく管理局のどの提督に尋ねても同じ答えが返ってくるだろう。

 最初に彼の名前を聞いたのは、妹からだった。
 ギンガ・ナカジマは、妹が一時所属していた特務部隊の隊長がかつて師事した魔法の師匠、として彼を知った。当時の妹はまだ見ぬその師匠に、とても憧れたのだという。
 その時は、彼女の話をそのまま聞くならば学者肌の勉学青年、という、清潔さはあるが少し気難しそうな男、というイメージだった。
 のちに、考古学会ではそれなりに名の知られるスクライア一族の出身で、現在は無限書庫での資料捜索を主に行っているということを、ニュース番組の報道やドキュメンタリー番組でのインタビュー映像といった形で知った。
 まさか自分がそこに配属されることになるとは、当時は思ってもみなかった。

 しかし奇遇というべきか、ギンガが所属する地上本部捜査局では、魔法を用いた事件の特殊性から、特に古代文献などの資料が重要な位置を占めるという一部の捜査魔導師たちからの声によって立ち上げられた秘密部署がすでに存在していた。
 そしてギンガはその秘密部署に、縁あって配属されることになった。

 ギンガの記憶の中では、彼、ユーノ・スクライアは、かつて自分も関わったJS事件で、いくつかの助言をしたというものである。
 ミッドチルダに伝わる伝承、聖王の秘密の一端を無限書庫から探し当てた。

 雑然とした執務室、というかただの空き部屋に机を置いただけのユーノの部屋で、ギンガは彼に面通しをした。

「ギンガ・ナカジマ陸曹です」

「軍曹(サージェント)さんが何の用かな」

「地上本部捜査局からの辞令をお持ちしました」

 いきなりの言葉に、ギンガはやや憮然として答えた。
 机の上に乱雑に広げた書類を指でつまむようにして眺めながら、傍らに出した検索魔法のウインドウを左手でブラインドタッチしている。
 高速でスクロールしているウインドウの文字は、ギンガにはまるで内容が読み取れないほどの速さだ。

 何を調べているのだろうか。

 数刻後、ギンガは驚愕の事実を知ることになる。

306 肉食系女子 ◆UKXyqFnokA :2013/02/02(土) 23:19:40 ID:JMMS8toY
 





 そういえば彼女の顔を見るのは何日ぶりだっただろうか、とユーノは思った。
 ついでに、普段の成人女性の姿をとっている彼女も久しぶりだ。
 ここ数年はこいぬフォームや少女形態でいることが多かったが、さすがにハラオウン家の子供たちも大きくなって、力仕事がふえて、大人の姿でないと手がかかるようになってきたのだろう。

 アルフは、念話ウインドウ越しでもわかるほどの青ざめた顔で、おそるおそるユーノに問うた。

「たたり、って……信じるかい?」

 数日前、たまたま夜中にトイレに起きたアルフは、誰かがダイニングで冷蔵庫をあさっているのを見つけた。
 またカレルかリエラがこっそりアイスを食べようとしているのかと思い、注意するつもりでダイニングに入った。

 冷蔵庫の庫内を照らす黄色い照明に、果たして浮かび上がった彼らの貌。

 それは明らかに人間のものではなかった。





 最初は見間違いだと思った。夜中だったし、自分も寝ぼけていて、そのように見えただけかもしれないと思った。
 しかし、あわてて二人をベッドに押し込んですぐ寝るように言いつけ、自分もすぐさま自室のベッドに入って、それから片づけと掃除をしようと朝起きてダイニングに入ったとき、それは確かに昨夜の状態のままで残されていた。

 床に散らばった白い炭酸カルシウムの破片。凝固してフローリングの床にこびりついたタンパク質。
 無造作に引きちぎられたPET樹脂パックの中に、殻に穴の開いた状態で残っていたものもあった。
 カレルとリエラが、殻ごと生卵を食べていた──。

 いたずらか、とも思った。
 卵は割れやすくて、扱いに注意がいるので、それを割って遊ぼうとしていたのかもしれない、と思った。
 しかし床に散らばった生卵は、明らかに食べかけの状態と、手づかみで食べたときにこぼれたもの、という様相を呈していた。
 朝になって起きてきた二人の顔には、白身の粘りが乾いた状態でこびりついていた。
 二人は昨夜の出来事を覚えていないようだった。

 アルフはエイミィとも相談し、無限書庫にいるユーノに何か手がかりになる情報がないかと訪ねることにした。

 ユーノも含みを持たせた口調で、それを承諾した。

307 肉食系女子 ◆UKXyqFnokA :2013/02/02(土) 23:20:26 ID:JMMS8toY
 




 案件のあらましを聞かされたギンガは、これまで所属していた捜査局から送られてきた荷物をほどく間もなく、すぐさまユーノと共に調査を開始することになった。
 無限書庫に収められている資料から、過去に同種の事件がなかったかどうかを精査していく。

 とはいえ、ユーノが渡してくるたたき台を見ると、ギンガにはその意図がすぐに読めた。

「もう目星はついているんですよね?」

 目線を端末に落としたまま、ユーノは短くうなずいた。

「心当たりが?」

「あいつの子供たちにってとこでピンときた」

「あいつ?」

「クロノだよ」

 この司書長は、現在の管理局上層部にも知り合いが多い。それだけに、無限書庫を活用するための人脈として有用だと判断された。

「クロノ──クロノ・ハラオウン提督ですか」

 管理局次元航行艦隊提督、クロノ・ハラオウン。
 ギンガの身柄が直接関わったJS事件以外にも、執務官時代にPT事件、闇の書事件を指揮し解決に導いている。
 そのクロノの家族に何が起こったのか──

 ユーノは端末をいったん閉じ、書庫の本棚を動かして隠し扉を開いた。

「見せてやるよ」

 訝しみとわずかな恐れを含みながら、ギンガは従う。
 ユーノの眼鏡のレンズに、拡散する魔力光のスペクトルがプリズムのように映し出されている。





 冷たい鋼鉄の檻に、彼女は閉じ込められていた。
 四本の足には鉄球が鎖で結びつけられている。
 口には枷がはめられ、目は、荷役馬が着けるような布のマスクで覆い隠されている。
 けもの、だ。
 猛獣を、人間に危害が加わらないように閉じ込めている。

 耳が塞がれていても、気配は感じられる。

 誰かが、入ってくる。

「これは……っ」

 ある程度覚悟はしていたが、間近に現実に見せつけられたその光景に、ギンガは息をのんだ。
 無限書庫にはこのような場所もある。
 もともと、闇の書に対抗するために建造されたシステムである。収集される書物は普通の紙でできた本とは限らず、中には本の姿をした魔法生命体が紛れ込むこともある。
 そういった生き物を入れておく部屋も無限書庫にはあらかじめ用意されている。

「今別のチームに分析をさせているが、これも闇の書の残滓だ」

「ひと……人間……なんですか……?それとも……」

308 肉食系女子 ◆UKXyqFnokA :2013/02/02(土) 23:21:20 ID:JMMS8toY
 ギンガが見下ろす先には、段差の付けられた牢獄の鉄格子の向こう、赤い体毛に覆われた何者かの姿があった。

「残滓……闇の書が、蒐集していた……?」

「収集して、ただため込むだけじゃなく、実際にそれを用いた戦闘端末を生み出す。防衛プログラム自身もそうだった」

 ユーノは口元をゆがめ、嘲笑するように口に出す。
 それは自分に向けられた言葉でもあるのかもしれない。

「あの夜、防衛プログラムを転送するために触れた……“彼女”“も”そのひとりだった」

 アルフ。彼女がユーノのもとを訪れたとき、“それ”は既に手の施しようがないレベルまで彼女を侵食していた。
 どうにか話を伝え終えたとき、力尽きたように彼女の意識は乗っ取られた。
 ユーノはかろうじて彼女を無限書庫に封印し、そしてそのまま書庫の業務を続けていた。

 もはやヒトでは、いや、もともとの姿であった魔狼ですらなくなってしまっている。

 彼女の姿を、ギンガは管理局の映像資料でしか見たことがないが──海鳴市沖に現れた、闇の書の闇──自動防衛プログラムと、似た姿をしている。
 取り込んだ生物や魔法を抽象化した肉体を持ち、複雑に絡み合い、際限なく成長していく腫瘍細胞のような生命装置。
 ひたすらに増殖していくこと。それが生きる目的は、ある意味では純粋とさえいえる。

 感覚神経の機能はまだ残っているのだろう、自分のそばに現れた存在に対して反応しているような動きを見せている。
 鉄球のついた枷の内側にはスパイクが打ちつけてあり、肉に食い込むようになっている。さらに鉄球には別の鎖が取り付けられ、壁に打ち込まれたアンカーボルトにつながれている。

「どうしてこんなことを……」

「ほかにこれほどのものを置いておける場所がないからね」

 こともなげにユーノは答える。

 しかしそれは事実でもある。
 強力な魔法生命体を封印する機能を持つ施設、軌道拘置所は少なく、無限書庫であればその機能がある。
 監視のための人員も最低限ですみ、物理的な距離も近い。
 また取りあつかいのノウハウもある程度は備わっている。

 無限書庫は、闇の書と表裏一体のシステムであった。

「君がもらってきた辞令に同封されてたと思うけど──もし、僕にもしものことがあったらギンガ、君が僕を封印するんだ。
そのための術式は添付されているから後で確かめておいてくれ。カード型だからトリガーを打ち込むだけでいい」

 そのもしものこととは遠からず、必ず訪れ、もしも、とはただ正確な時期が不明であるという意味だ。

 アルフを封印した後、ユーノはすぐに自分自身を調べた。
 結果は予想通りだった。
 闇の書の残滓は、ユーノをも蝕んでいた。そしておそらくはシャマルも同様に、他の騎士たちよりも早くシステムの劣化が進行し、いくらもしないうちに行動に支障をきたすだろう。
 そしてシャマルだけではない、シグナムもヴィータもザフィーラも、共通のリンクを闇の書に持っている以上、同様に影響を受ける。
 シャマルへは別ルートで連絡を取り、守護騎士システムのシャットダウン、プロセスキルが可能かどうかを打診している。

「八神司令や、フェイト執務官は、このことを……」

「事後報告になってしまったけれど」

 ギンガはさらなる問いかけをすることができなかった。
 アルフとフェイトは、幼いころからずっといっしょに過ごしてきた家族だった。プロジェクトFによって人造魔導師として生み出された彼女のたった一人の家族だった。
 それが、今……。

309 肉食系女子 ◆UKXyqFnokA :2013/02/02(土) 23:22:20 ID:JMMS8toY
 闇の書の消滅が、完全ではなかった。
 もしかしたら、闇の書自体を破壊しても、それだけでは不完全で、闇の書に触れた人間が残っているだけでもいけなかったのかもしれない。
 アルフやシャマルだけではない、はやても、なのはも、フェイトもクロノも──彼らのうち、誰の中に闇の書の残滓が残っていないとも限らない。

 そこでふと、ギンガは思い出す。

「あの、ユーノさん……エイミィ、さんは……?もう、海鳴に戻られて……」

 ユーノは振り向き、ギンガはユーノの顔を見たが、眼鏡の向こうの目が見えなかった。あるいは、見たくなかった。
 翠の瞳が、もうすでに濁りはじめている。

「いや。一緒に来たんだけどね、一緒に来させた。そこにいるよ」

「そこ……って」

 親指で示した先は、アルフしかいないはず。毛むくじゃらになってしまってはいるが、かろうじて四つ足の動物のような姿が見える。他に誰かがいるようには見えない。

「腹の中にね」

「──!……し、失礼しますっ」

 さすがに状況に耐えられなかった。
 顔を伏せ、踵を返し、口元を押さえたギンガは書庫の中央回廊への扉を開け、唾液と胃液をこぼしながら逃げるように出て行った。

 開け放たれた扉がばね仕掛けで自動的に閉まり、その様子をしばらく眺めてから、ユーノはため息をついた。

 振り返り、見下ろす。顔がどこについているのかもわからないが、ユーノには、アルフが会話を求めていることがわかる。

「さて……。僕としても正直困っているよ。いや、後始末が面倒だという意味でね」

 枷でわずかしか動かせない前足を差し出すようにして、アルフはユーノの声にこたえる。
 このような姿では、言葉が通じるようには見えないだろう。しかし、意識は保たれているようである。
 粘ついた膿が呼吸につれて震える、湿った音が繰り返される。

「なのはには何て言うのかって?勘違いしないでもらいたいんだけど今の僕と彼女は特別な関係ではないんだよ、ただ旧知の友人ってだけでね。
僕はさしあたって無限書庫の業務を後任の司書長に引き継がなきゃいけない、それくらいの猶予は何とか稼いだ。
おそらく本局のほうでもプランは練っているはずだ、この無限書庫をみすみす失うような選択肢はとらないはずだ。
はやてもフェイトもそれは理解している。なのはは、まあ二人が何とか説得するだろう」

 これまでに調べられた情報で、闇の書の残滓はまずはやての手元に遺されていたシュベルトクロイツに、テキストになおしてわずか数行にすぎない程度の小さなプログラムコードが含まれていたことが判明していた。
 それ単体では何の機能も持たない小さなプログラムだったが、それがブートストラップローダのような役割を果たし、次元空間に散らばっていた闇の書のデータを集め、結合させた。

 闇の書は、もはや抹殺することが不可能な存在となっていた。

310 肉食系女子 ◆UKXyqFnokA :2013/02/02(土) 23:23:41 ID:JMMS8toY
 




 目を閉じると、初めて海鳴市で出会った頃のアルフの姿が見えた。
 まだ互いをよく知らず、どこか微妙な距離感があって、完全に心を許していなくて、並んでいても心のどこかで警戒しあっていた。アルバムを見せると、それをはやてたちにからかわれたこともあった。
 それからいくつかの出来事を経て、付き合いが長くなり、自然と近づいていった。
 最初はフェイトの姉のように見えて、すぐに使い魔だと気付き、それでも主人と従者というよりは、幼い王を補佐する侍女のように、自分を追い詰めがちなフェイトを助けている、姉妹の契りを交わした女学生のような不思議な魅力があった。

 胸が痛んでいる自分を、どこかで認めたくない感情がある。
 感傷に負けてしまうのはよくないことだという考えがある。

 とはいえ、本当に何も感じなかったとしたらそれはそれで人として冷酷すぎる、ともいえる。

 スクライアの一族に生まれ、遺跡を掘り、出土品の調査をして、そして管理局で働く、改めて考えてみると、自分のこれまでの人生の中で、誰か特定の人間に入れ込む、ということがなかった。
 相手にするのは土や岩、それから化石、といった無機物。人、といえば、学会や教育機関、研究機関などの人間ばかりで、自分とは住む世界が違う、と思った。
 今は本当に、違う世界へ引っ越そうとしている。

「フェイトのことなら心配しなくていい。今は、仲間がいる、友達がいる。ひとりじゃないんだよ。
同じように僕たちもひとりじゃない」

 本能に従う。姿は、見えないが、それでも手触りから、粘液に覆われた肉が触れているのがわかる。
 硬いじょうぶな皮膚の構造ではなく、敏感な粘膜がむき出しの部位。

「ユーノ……あたしのことが見えるのかい?」

「僕はそばにいるよ」

「怖いんだ、あたしは、忘れそうになってたけどあたしは所詮使い魔なんだよ……子供だって産めないはずなのに、闇の書の、機能がくっついて、後付けの子宮がぶら下がって、みっつ、いや、よっつもある……
どんなにフェイトが家族として扱ってくれていても、魔法が切れたらあたしは消えてしまう、フェイトは、使い魔の契約を解いてあたしを消すっていう解決方法を、気づいてないのか、それとも知ってるけど選びたくないのか」

 手を差し伸べる。指先に、ぬくもりが伝わる。

「指だけだとくすぐったいな。もっと思い切って」

「あたしの中に来てほしい、そうしないと不安でどうにかなっちゃいそうだよ」

 アルフの口に、鋭い犬歯がのぞき、もぎ取られたユーノの指先から手の甲、二の腕までへ肉を切り裂いていく。獣形態では不便なので、人間形態で、両手でユーノの肩を押さえ、前歯で肉を掴み、骨に引っかけて腕をとる。
 舌に乗るあたたかい肉と、喉に流れ落ちていく血液が、どこまでもいとおしい。
 弾力のある皮膚を奥歯ですりつぶし、体温でとろけた脂肪とよく咀嚼した筋肉を舌でこね、飲み込む。
 この年齢の男性としては無駄毛の少ないユーノの肉はとても美味しい、とアルフは思っていた。

「僕がこの姿でよかったね。フェレットだったら、食べる部分が少なくなってしまう」

 腕にしゃぶりつくアルフを、残った左手で頭を撫でながらユーノは抱きすくめる。筋肉が切れた状態でどうして関節が動くのかはわからない。
 血も、流れ出てはいるが尽きる様子はない。意識は残っている。

311 肉食系女子 ◆UKXyqFnokA :2013/02/02(土) 23:24:33 ID:JMMS8toY
「しっぽ、あぁ、撫でて……あたし、夢だった、うれしくて、気持ちよくて、イッちゃう……」

 ひじから先の、二本の骨が交差しているところの隙間を舐めている。犬歯で骨端の固くなっている部分に小さな穴を穿ち、漏れ出てくる髄液を口をつけて吸う。ひと舐めで、絶頂してしまうほどに気持ちいい。
 尻尾を振って、尻を振って、タンクトップの肩ひもがずり落ちて胸がこぼれ出る。
 乳房は、人体の他の部位と違って中にたくさんの乳腺が詰まっている。アルフのは特に多いだろう。
 独特の歯ごたえと舌触りがする。身体を折り、口をつける。アルフの味が、ユーノの口の中に広がる。

「ひぁぁ!おぉっ、そこ、そこぁぁっ、かんじるぅ……!」

「可愛いよ、アルフ。気持ちよくなってくれ……」

 最初に横乳をひと噛みし、それから、乳首を口に含んで噛み潰す。前歯に引っかけて乳腺を引きずり出し、舌と唇で挟んで内部の漿液を絞り出す。
 かすかにほろ苦さを含む血液の味。あたたかく、濃厚で、喉が鳴るほどのたまらない味。
 陰核をつまんで引っ張りながら、乳房に喰らいついている。
 乳腺がひっこ抜けた跡の孔をまっすぐまさぐり、脂肪を舐めとって、筋肉を噛みちぎり、肋骨にたどり着く。
 胸だけを攻めるのもいじらしいので、いったん顔を起こして、首元にも歯型をつけてやる。

「ひとつになれるよね」

「ああ。いっしょだ、いつまでも」

「フェイトや、なのはは……」

「すぐにこっちに来るよ」

 浮遊感と多幸感に包まれて、アルフとユーノは安らかに眠る。
 ハラオウン家の育児がひと段落したら、司書の資格を取って働くつもりだった。

 でも、これからなら、また違った形で書庫で仕事ができるだろう。

 ユーノはそのように作業指示書をつくり、無限書庫に構築するデータベースシステムの仕様要件を策定している。
 書き遺された後任の司書たちへの本を読めば、彼らはユーノがいなくても、自分たちで無限書庫の業務をやりくりし、システムを作り、運用を始めるだろう。
 それはユーノがそのように仕組んだのだ。こうなることを見越して。

 自分たちが姿を変えて生きていく、この未来のために。

312 肉食系女子 ◆UKXyqFnokA :2013/02/02(土) 23:25:43 ID:JMMS8toY
 




 定期整備のためにドック入りしたヴォルフラムの艦長室で、はやてはギンガからの報告書を受け取った。
 無限書庫で新しい蔵書検索システムがカットオーバー(稼働開始)したという。
 今後、全局員がそれぞれのアカウントと権限で必要に応じて捜査資料にアクセスできるようになり、管理の一本化と、より迅速かつ円滑な業務の遂行が可能になるだろう、ということだ。
 そして管理局人事部は昨日付で、無限書庫前司書長ユーノ・スクライアの退官届を受理した。
 フェイトは今、ある事件の捜査で他の次元世界に出張している。
 なのはは、相変わらず教導隊で、各地の部隊を飛び回る生活だ。

 解決したと思われていた闇の書事件が再燃しかけた今回の事件は、はた目には未然に防がれた、という認識だろう。
 その影で何人かの人間が姿を消していても、ミッドチルダの一般市民のほとんどは、それを知る機会がない。

 艦長室のドアをノックする音が聞こえて、はやては艦隊士官の用語で、入れ、と返事をした。

「失礼します」

「うん、急に呼び出してすまんかったなリイン」

 リインフォース・ツヴァイも、すっかり参謀としての働きぶりが板についてきたところだ。
 まあ、それはここで云々することではない、とはやては思いなおす。

「さっそくでごめんやけど……リインにはこれからしばらく、新しい職場に行ってもらうことになる」

「新しい職場、ですか?」

「そうや……」

 跳ねる前髪ときらめく髪飾りが、無邪気に揺れる。ツヴァイは、この数秒後に発せられたはやての言葉に、それがトリガーとなって、人格プログラムを停止させられる。
 これ以降は、文字通りの管制人格として、ハードウェアたるデバイスを制御するだけの存在になる。

「先にユーノくんとアルフが行っとるから……くわしい話は向こうで聞いてな」

 蒼天の書と夜天の書を、無限書庫に転送し、所定の棚に装着しておく。この作業の手順は既に書庫の司書たちに伝えてある。
 ヴォルケンリッターがいなくなった今、はやてひとりが戦うためには、シュベルトクロイツ一本だけがあればいい。

 あとは、自分だけだ──。





Sackgasse.

313 SandyBridge ◆UKXyqFnokA :2013/02/02(土) 23:26:29 ID:JMMS8toY
おわりです

ギン姉ってゲロ役が定着してる感ありですが気のせいでしょうか

闇本18話も進めておりますですよー

ではー

314 名無しさん@魔法少女 :2013/02/03(日) 00:01:48 ID:4T8nMSMI
あばばばば・・・ま、まさかの関係者全員あぽーん?
GJでした

315 名無しさん@魔法少女 :2013/02/03(日) 00:06:16 ID:3IQZnfLw
ナイス欝

316 名無しさん@魔法少女 :2013/02/03(日) 00:57:37 ID:PVEBl5Bo
なんという鬱。こうなっては性的な意味での肉食系女子を妄想せざるを得ない。

317 名無しさん@魔法少女 :2013/02/03(日) 00:57:42 ID:iCPWEehM
鬱な終わりでしたがGJです。さすがは呪われし闇の書、易々と消されはしませんか。
ってかユーノもアルフ喰っちまってる!ウロボロスよろしく食べて食べられての無限連環ですか?

318 名無しさん@魔法少女 :2013/02/03(日) 01:11:31 ID:Pq45WruE
時代はぐちょぬちょと一つになる肉の悦びなのか…

319 名無しさん@魔法少女 :2013/02/03(日) 10:21:35 ID:T0RR3ErM
このまま、何かのきっかけで『無関係』なヒトが来ても同じ事・・・かな
意識残るままというのは幸福か、不幸か  なのは達がこうなった時、管理局内の人達がどう対応するのか
そのカタストロフィを見てみたいと思う鬱スキーな自分
初音ミクの「かこめかこめ」を聞いた時と近くて遠い印象のSSでしたナイス鬱

320 名無しさん@魔法少女 :2013/02/03(日) 10:32:19 ID:QGBvug/s
>>301
エロ可愛いよアインスさん!
もっとゆーのにいじられてくれ(ぉ

>>313
のぉーなんつーSAN値直葬SSだ!
GJ!

321 黒天 :2013/02/03(日) 10:34:49 ID:vyxPW4vM
それは世界を侵す愛ですね。
私の夜刀浦奇譚もクトゥルフテイストだけど。ここまでグロではないし。
ともあれ欝だけど、読まずにはいられなかったです。

322 名無しさん@魔法少女 :2013/02/03(日) 18:50:14 ID:40lQvbmk
乙ですが、注意書きが必要な内容だったと思います。
シリーズが進むごとに出番が少なくなっているとはいえ、好きなキャラが
クリーチャー化な上にカニバるのを心構えなく見せられるのは辛いっす

323 名無しさん@魔法少女 :2013/02/03(日) 22:21:20 ID:yLTmaaLY
世界はいつだってこんなはずじゃなかったことばかりだよ!

324 ヤギ使い ◆p2QA1mcDKM :2013/02/03(日) 22:42:14 ID:PKoMd5jA
凄まじい破壊力だ・・・・・・

そんな流れをぶった切るギャグSSを投下

タイトルは「おとり捜査」

325 ヤギ使い ◆p2QA1mcDKM :2013/02/03(日) 22:46:45 ID:PKoMd5jA
 珍しいことが起きていた。
「やあ、ユーノ」
 クロノが無限書庫にやってきていた。
「珍しいね」
「今日は君自身にお願いがあってね。実は隊舎周辺に最近、痴漢が出るようなんだ。そこで、君が女装して囮になってもらう事になった」
「なんで!!」
「被害者はみな金髪で身長は君と同じぐらいでね。関係各位との調整で、君が最適だと白羽の矢がね」
「すでに決定済み!!というか、フェイトは!!」
「うちの超絶可愛い妹におとり捜査をさせれるか!!諦めろ。すでに予算も下りて衣装もあるから。さぁ、みなさん。ユーノを連れて行って」
「「「はーい」」」
クロノの声に、女性局員がユーノに襲い掛かり、奥の更衣室に引き吊り込まれる。
時折、ユーノの悲鳴が聞こえるが、クロノは無視することにした。



管理局隊舎近くの路地。
日傘をさし、ピンクのワンピースを着た少女の目の前に、トレンチコートを着た男が現れる。
驚いたように傘がピクンと動くのを見て、男はトレンチコートの前に手を掛ける。
「大人しくしていたら命まではとらない」
そういうとガバッと前を開けようとする。
しかし、男は前を開けることは出来なかった。
「ストラクルバインド」

ガキンッ

「なに?」
「残念だけど、僕は男だ」
「嘘だ、こんな可愛い娘が男のはずが……」
「おまえみたいなヤツのせいで女装する羽目になった僕の怒りを受けろ」

キュッ

「グハッ」
捕縛された男が空中に吊り上げられる。
「ユーノ、そこらへんにしておけ」
ユーノからの連絡で駆け付けたクロノが止める。
「どこからどうみても美少女がパンツ丸見えで荒ぶってるようにしか見えないぞ」
その言葉に、ユーノの目がキュッと細まる。
「治安課の人に聞いたんだけど、中高生を狙った引ったくりが増えてるらしいじゃないか。しかも被害者はみな黒髪でクロノぐらいの身長だってね……」
ユーノの言葉が終わる前に、クロノにバインドが掛かる。
「すでに話はつけてあるから」
「ちょ、ちょっと待っ」
「待たない。転送っ!!」

数時間後、連続ひったくり犯が捕まったが、現場にはセーラー服を着た管理局の執務官がいたという。


その後、両者の間にて話し合いがもたれたという。

おわり

326 空の狐 :2013/02/03(日) 23:14:19 ID:LZ/mMNn2
>>313
うわあお。
なんていう鬱展開。だけどそこがいい!!

>>325
哀れなりユーノ、クロノ……

327 名無しさん@魔法少女 :2013/02/03(日) 23:25:20 ID:kPsCG3dU
>>325
>残念だけど、僕は男だ」
>「嘘だ、こんな可愛い娘が男のはずが……」
ユーノの場合はStsの時代でもこれがまかり通るから怖いな。
人を呪わば穴2つって言葉が似合うクロノのオチでした。

話し変わって、0:00ごろから小説を投下したいのですがよろしいでしょうか?

328 名無しさん@魔法少女 :2013/02/03(日) 23:30:00 ID:fHmosFAw
良いと思いますよ

329 名無しさん@魔法少女 :2013/02/04(月) 00:03:47 ID:N.Cd9kWE
327の書き込みをした者です。これから投下させていただきます。
初めての投下なので不手際もあるかもしれませんがご容赦ください。

タイトルは「ゆのゆり」。
CPはユーノとGODのユーリ。設定の変更あり。
エロあり。

ではよろしくお願いします。

330 ゆのゆり 1 :2013/02/04(月) 00:04:54 ID:N.Cd9kWE
 時間の流れと周囲の空間。それらから切り離され封鎖された薄暗い空間。そこに少女のあえぎ声がこだまする。
「はうぅ、は、アアッ!アンっ!」
 ウェーブのかかった長い金髪があえぎに併せて大きく揺れる。白を基調とした上着は汗にぬれ、腰から下は、普段身に着けているズボンのようなスカートのような、不思議な形状の衣装は無く、裸身を晒している。
 少女の名はユーリ・エーベルヴァイン。つい先日までアースラが事態解決に奔走していた『砕け得ぬ闇事件』の、ある意味で中心にいた人物だ。
 その身体はまだ少女と呼ぶにも幼い。男に馬乗りになり、下からヴァギナをペニスで貫かれるその様は本来なら冒涜的であるのだが、
「ひゃぅぅっ!い、イイッ!あっはぁ!」
 表情には痛みと共に快楽が混ざる。声にも艶があり、幼女の姿とはひどくギャップがあった。また、彼女の胎内を蹂躙している相手もこの情景とはそぐわなかった。
 蜂蜜色の髪の、ユーリより少しだけ年上のような、こちらもセックスとはまだ縁遠い年頃の少年だ。女の子と見間違えられることもある顔つきは、ここでも男らしい獣欲の色は薄かったが、代わりにユーリの内側ではペニスが膨れ上がり、少女の内側を満たしていた。
「うあ、ユーリ。僕、もう――っ」
「は、はい!ユーノさん、わたし、また、またぁぁぁ!」
 すでに幾度目かの絶頂へと達したユーリの締め付けに自身もまた快感の頂点に突き上げられて。
 熱い射精感と共に、ユーノはこうなった経緯を思い返していた。

331 ゆのゆり 2 :2013/02/04(月) 00:07:38 ID:N.Cd9kWE
 第97管理外世界、青い星を眼下に捉えながら宇宙に浮かぶ次元航行艦アースラの内部のとある一角。
 元は犯人拘置用のスペースを――主に入れられた者たちが――改装したその部屋は、随分と明るい色調となり、最低限とはいえ家具もおかれたせいか元の姿を感じさせないくらいには変貌していた。
 その一角で、ユーノはユーリに自身がまとめた資料を手渡していた。
「――で、これが荒地の開墾方法についての資料。こっちは環境変動に対して改善というアプローチで対処した各世界についてのレポート集。あとは、一般的に過酷な環境に強いとされる植物の一覧表。今用意できるのはこれくらいかな」
「あ、ありがとうございますッ」
 つい先日までアースラが事態解決に奔走していた『砕け得ぬ闇事件』。事件自体は解決し、ユーリと、『紫天の魔導書』から生まれたマテリアルたちは、エルトリアという未確認世界で現地の環境復活を行うこととなっている。魔道生命体とはいえ強大な能力を持つ彼女らを管理局にスカウトする動きも無いではなかったが、様々な思惑と諸般の事情でエルトリアへの転移はOKとなった。
 ユーノも事件の際には「理のマテリアル」シュテルと一戦交えたり決戦時の結界構築に参加したりはしていたが、彼の仕事は解決後が本番だった。
 上層部ではユーリやマテリアル達が環境復活に“失敗”した時、また今回のような時間軸を遡ったり未確認世界へ転移したりという方法で事態解決を図るのではないかという恐れがあった。今回のように管理外世界や、強力な魔導師と知識豊富なバックヤードが1つどころに揃っていれば対処は可能だが、そうでなければ現地で大混乱を起こしかねない。
 そこで、「調べれば何でも見つかる」とも言われる『無限書庫』に司書として勤めるユーノに、事件解決にあたったついでに、環境復活に関する資料を取りまとめるように指示が出たのだ。もっともユーノは言われるまでも無く作業には着手していて、今日はそれを手渡しに来たのである。
「……これで、もっとエルトリアを助けることが出来ると思います。なんとお礼を言えばいいか」
「気にしないでよ。こういった手助けが僕の仕事だからね」

 資料を抱えてそう言うユーリに、ユーノは微笑みながら――内心ではかなり舞い上がっていた。
(か、かわいいっ……これが俗に言う『年下萌え』?)
 スクライアの集落でも最年少の世代だったユーノである。魔法学院でも無限書庫でも当然の如く自分が一番年下な状況に慣れていたユーノにとって、自分よりも幼い少女に素直に感謝されるというのはかなり珍しい経験となる。
 まして、宿した力「無限結晶エグザミア」こそ強大でも、その力に振り回された経験からどこか儚い印象を持ち、しかし確固とした意思で未来へ進もうとするその健気さは、ユーノのハートにどストライクだった。
 以前、クロノから「フェイトにお兄ちゃんと呼ばれてむずがゆい」と相談された時にはよく分からなかったが、確かにこのシチュエーションはツボに嵌ると抜け出せない。

 とはいえ、そういった素直な心情を表に出せば色々と問題があるのも理解している。煩悩めいた思考をマルチタスクの隅に追いやり、「頼れるお兄ちゃん」っぽい態度を心がける。
「それじゃあ、僕はこの辺で。追加で何か資料とかが必要なら遠慮なく声をかけてね」
 そう言うと、ユーリはふと思い出したように。
「そ、それなら。もう1つよろしいでしょうか?」
「なんだい?」
「私、ユーノさんの魔法を覚えたいんです!」
 そう言われて、ユーノは首をかしげた。こと魔法の力で言えば自分はユーリの足元にも及ばないはずだが。
「その、これから行くエルトリアでは、戦う為の魔法を使うことは無いはずです。ディアーチェやシュテル、レヴィに、アミタさんやキリエさんもいますから」
 ユーリに同道するマテリアル3人と、エルトリアから時間を超えてやってきた姉妹を思い出せば、なるほど納得だ。
「戦い以外の魔法を身につければ、みんなをもっと助けられると思うんです」
「それは、確かに」
「そしてユーノさんは、戦闘用以外の魔法をたくさん知っている。そうですよね?」
「うん。まあ他の人たちよりはその手の魔法は知っているつもりだけど――」
 言うまでも無く、今回の事件で解決にあたった魔導師はユーノを除けば全員が戦闘を前提とした魔導師だ。元から局員のクロノや『夜天の守護騎士』ヴォルケンリッター、戦闘魔導師として英才教育を受けたフェイトは言うに及ばず。なのはやはやてといったイレギュラーな形で魔導師となった2人も、むしろ戦闘に巻き込まれて魔導師となったせいか戦闘前提の魔法がほとんどだ。

332 ゆのゆり 3 :2013/02/04(月) 00:09:01 ID:N.Cd9kWE
「でも、エルトリアに転移するのはもうすぐなんでしょ?教えるにしても、まあ基礎の基礎だったら何とか、ってところだね」
 ましてデバイスを使わないユーノの魔法は、彼自身の調整もかなり加えられている。魔法形式の違いもあるし、なかなか時間が掛かりそうなことではある。
「はい。一から教わる時間はありません。だから、魔法を覚える最終手段を使うんです」
「最終手段?」
 なんとなく嫌な予感を覚える。それは、『闇の書事件』でリインフォース――あの頃は『闇の書の意志』だったが――がなのはのスターライトブレイカーを使った事とその理由が頭に浮かんだからだった。
「・・・・・・ユーノさんのリンカーコアから直接教わろうと」
 想像通りの解答に頭を抱える。『闇の書事件』でなのはやフェイトもリンカーコアを抜かれているが、その時は回復にそれなりの時間が掛かった。ユーノの回復力も2人ほどずば抜けていないし、何より無限書庫の整理開拓はまだまだ始まったばかりだ。
「う〜ん、さすがにリンカーコアを抜かれるのは……」
 ユーノの言葉に、今度はユーリが首をかしげた。
「いえ?リンカーコアを抜いたりはしませんよ?」
「?それじゃあ、どうやって」
「その、性交です」
 あまりにあっさりとしたユーリの答えに、ユーノはしばし活動を停止した。確かに古い文献などで、高難度の魔法を教授するにあたり身体を交えて行うという記述は散見されるが。
「えと、ユーリ?自分が何言ってるか、分かるよね?」
「勿論です!」
「じゃあ、そういうことをしたら、きっとシュテルたちが大騒ぎするって言う事も、分かるよね?」
 マテリアルの3人にとってユーリは同胞であり家族だ。そんなユーリを傷物にしようものなら、それこそ確実に命がない。だが、ユーリはといえば。
「あ。そういえばみんなからユーノさん宛に手紙を預かっています」
「――もしかして、もう彼女らに話ししてる?」
「はい。――これです」
 手渡された手紙を見ると。
『師匠、信じています。――よもやあなたが、我らの盟主、ユーリの願いを無碍にしない事を。シュテル・ザ・デストラクター』
『見てみたいな。ユーリが君みたいな魔法を使うところ。レヴィ・ザ・スラッシャー』
『我らが助けたユーリが今度は我らを助けたいと願っているのだ。我のユーリを一時預ける。不敬な真似はするな。P.S。思うところはあるが我もユーリに説得された身。気にするな。花畑で走馬灯を見るのはもうこりごり――や、やめよユーリ!ああ!弾幕が、弾幕が! ロード・ディアーチェ』
 ディアーチェの文の最後からおぞましいオーラを感じるが、それはともかく。
(断る方が命に関わるって――)
 何故だか青い空が見たくなった。見上げても無機質な天井が見えるだけだったが、瞼を閉じて青空を幻視する。
 覚悟を決めてユーリに向き直ると、すでにユーリの顔はすぐ間近だった。
「ちょ、待って。最後の覚悟を――ユ、ユーリ!」
 呼びかけに、ユーリは顔をユーノに寄せ、
「っ?!」
 有無を言わせず、唇を奪った。

333 ゆのゆり 4 :2013/02/04(月) 00:12:37 ID:N.Cd9kWE
 ユーノの唇を割り入って侵入したユーリの舌が、ユーノのソレを絡め取る。半ば本能的にユーノは舌を解こうとするが、それは却ってお互いの舌を絡ませることになった。そうしてしばらく。ユーリがようやく唇を離すと、お互いの唾液が銀の糸を引いて垂れた。
「あ、もしかして初めてでしたか?」
「……ゆーりははじめてではないのかな?」
「私も、初めてですよ」
 その割には上手だった、と思うユーノだったが、ユーリが呼吸を整える様子を見て、今度はユーノからユーリにキスをする。
「んんっ……ふぅ」
 そのまま背中からうなじ、腰と指を這わせる。ユーリも応じるようにユーノの背中に腕を回してより密着する。ユーノの指が蠢くごとに、少女からは甘い吐息が漏れた。
「――ユーリ、そろそろ」
「――はい」
 一度離れて、ユーリは下半身の衣装を脱ぎ捨てる。ユーノは、このままの空間ではマズイと思い封時結界を展開。外から異常を感知できないようにすると、自分も服を脱ぎ捨てた。
 鍛えていないので筋肉がガッチリしているわけではないユーノの身体だが、その股間のペニスにユーリが「え、」と声を漏らす。ユーノという少年の外見印象には似つかわしくない大きさの男根がそこにあった。
「す、すごいです……」
「正直な話、ココだけ立派でも恥ずかしいだけなんだけどね」
 そういいながら半裸のユーリを観察する。肌は白く透き通るようで、見た目の印象と同様に幼く可憐だった。が、その秘裂から、トロリと愛液が漏れているのが見える。
「で、では早速。教わらせていただきます!」
(これは教えるに入るのかなぁ)
 最後の最後に浮かんだ疑問は、馬乗りになったユーリにペニスが挿入された時、その快感で消えうせた。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 ユーリは、最初から自身の快感を深めるような魔法を使っていたようだった。最初の挿入でユーノの男根に子宮口をノックされた時にはあっさりと絶頂してしまった。後はユーリ自身が快感に従ってピストンし、再び絶頂へと達する。
 そしてユーリの中に最初の射精をした時、ユーノは自分の魔力もまたユーリの中に抜けていく感覚を覚えた。
「ユーリ、今のが?」
 力尽きたのか胸元に倒れこんできたユーリに尋ねると、彼女はコクリと頷いた。
「は、はひぃ。これをくりかぇすと、ユーノさんの魔法をぉ身につけられるんです」
 息も絶え絶えの様子のユーリに、ユーノはふと劣情を覚えた。今しがた射精したペニスに、再び血流が集まっていくのが感じられる。
「じゃあ、ユーリ。今度は僕が攻めるよ」
「え?ああ?!」
 力の入らないユーリの体を起こして今度はユーノが上になる。上着に手を掛けて剥ぎ取ると、平らな胸で2つの突起が自己主張していた。
「かわいい」
 乳首をつまみ、弾き、薄い胸肉を寄せ集めるようにしてこねる。その度にユーリは甲高くあえぎ、ユーノを更に高ぶらせた。
 三度キスを交わしながらペニスを更に激しくピストンすると、ユーリは身体全体で跳ねるように反応した。
「むぐぅ、む、ウウンッ!ハァッ、アウゥゥッヒイ!は、はげしいっ!」
「ユーリ、すごくきれいだ!全身濡れて、いやらしいよ!」
 ユーノの限界もすぐに訪れる。ユーリが激しく膣を締め付けると、ユーノもそれに合わせて再びユーリの胎内を精液で満たす。
「ア、ア、アアッ。ま、またきたっぁ」
「ハ、ハァ、ハァ、ハァ。ご、ごめんねユーリ。まだ、収まらないや」
 ユーノも息絶え絶えなのだが、ペニスはその硬さを失いきっていない。まだユーノのペニスはユーリの柔肉を貪れる。

334 ゆのゆり 5 :2013/02/04(月) 00:14:10 ID:N.Cd9kWE
「はひぃっ!ふか、さっきよりも深いぃぃぃ!」
「これ、が。ユーリの一番奥ッ!あう、凄い感触……!」
 今ユーリは跪いた姿勢でユーノに犯されていた。その体勢ではユーリは更に奥深くまでユーノを迎え入れ、ユーノも招きに応じるように、子宮口の更に奥、最奥の秘所を味わっていた。
 両手は背後からユーノに掴まれ、背中に浮かび上がった魔力の翼、魄翼もチェーンバインドとストラグルバインドの混成拘束で縛り上げられ。
 それは少女と少年のまぐわいという域を超え、淫靡で背徳的な儀式とさえ映る。
 そしてその儀式も終わりが近づいてきていた。
 ユーリの背中から覆いかぶさるようにユーノが身体を密着させる。うなじに唇を這わせ、両手で胸元をいじくり、そしてヴァギナをこれまでにない勢いで抉りぬく。
「あ、ア、ア、ア、ア、ア、ア、アッ、アアッ!」
「い、イク、イク。全部、だすよぉ!」
 射精と合わせて魔力も注ぎこむような感覚。ユーリを奥底から蹂躙するという欲望と、この少女をこれ以上痛みにも性感にも犯したくないという気持ち。
 それらをない交ぜにして。
「ユーリ、受け取って!全部、ぜんぶぅ!」
「はい、ください!わたしにいっぱいぃぃぃぃ!」
 ドクン、という音が耳に聞こえた。そんな気がする程に。
 ユーリの中に注がれた精液は、少女の腹部を軽く膨らませるほどだった。ユーノがペニスを引き抜けば、ゴボリと白濁液が少女の秘裂からあふれ出した。
「はう、はぁ、はぁ……。おなか、あつい、です」
「……ごめん、途中から抑えが効かなくなった」
 四肢から力の抜けたユーリを優しく抱えて謝ると、ユーリはゆるゆると首を振った。
「お誘いしたのはわたしです。それに――」
「それに?」
「ユーノさんにも、エッチになる魔法をかけましたから」
 疲れきって、しかし悪戯に成功した子供の顔で笑うユーリに、ユーノはやれやれと苦笑し、ユーリを抱きかかえた。
 とりあえずは、人目につく前に2人とも身体を清めなければならなかった。


 闇に包まれたとある1室。照明の無いその部屋でも、モニターは明るく映像とそれを見ている人物を照らしている。
 『紫天の盟主』から一時アースラの人払いをお願いをされたその女性は、お願いを快諾する代わりに彼女に内緒でちょっとした仕掛けを施していた。モニターに映っているのはその「仕掛け」によって映された空間の映像だ。
 先ほどまで映像の中で少年少女が繰り広げていた痴態を一部始終眺めて、その人物はこう呟いた。
「若いっていいわねぇ」
 

 後日、某甘党提督の菓子のグレードが上がるのと同じ頃合で、管理世界の一部裏社会に、少年少女のハードSEX映像が流通することになるのだが。
 因果関係の真相を知るのは、きっとこの世で1人だけだろう。

(終わり)

335 名無しさん@魔法少女 :2013/02/04(月) 00:19:28 ID:N.Cd9kWE
以上です。
当初はユーノ祭りに出そうと思っていたのですが、なかなかまとまらずに時期を外れてしまいました。
せっかくゲームに参加できたけどラスボスと関われなかったユーノですが、ドンパチの後でもしかしたら活躍できたかも、と妄想しながら書きました。

作中でユーノがユーリを「かわいい」と言ってますが、なのはは「漢前」、フェイトは「凛々しい」、はやては「お母」という印象が強いので特にユーリに対してそう意識した、というつもりです。

ありがとうございました。

336 名無しさん@魔法少女 :2013/02/04(月) 00:21:01 ID:YFUPPTwk
>>334
珍しい組み合わせだけどなるほど納得、GJ!
……ってリンディさん何やってんだw

337 名無しさん@魔法少女 :2013/02/04(月) 00:22:42 ID:3oyHxeuo
これは実にいいロリショタエロGJ!

338 名無しさん@魔法少女 :2013/02/04(月) 00:36:29 ID:Vd9VU1a2
>>335
ごちそうさまでした。でもオチがひどいw

ちなみに時期は外れてないぜよ、今がまさにユーノ祭り期間中
祭りは開始宣言して、その後投下が途切れて終了宣言が出るまで。でも終了宣言出た後の飛び入りもおk
これまでの祭りは大体数日〜1週間前後くらいの期間だったんで、そんぐらいを目安としていただければ

339 名無しさん@魔法少女 :2013/02/04(月) 00:47:16 ID:0Vp1KgXo
何やってんすか、リンディさんwww

乙でした

340 名無しさん@魔法少女 :2013/02/04(月) 00:59:17 ID:BvRvasag
良いなぁ、ユーリとユーノのカップル
というか、マテリアルとユーリ達はエルトリアにユーノ連れてけば良い様な…
シュテルには夫(?)、レヴィには兄、ディアーチェには頼りになる配下(ディアーチェ視点)
ユーリに…何になるんだろう?エルトリア組に男性いないけど全員人外だよね?殖えないかな…
そしたら3期でヴィヴィオ消えちゃうかもだけど…まあ、何とかなるでしょ、きっと

341 名無しさん@魔法少女 :2013/02/04(月) 22:07:34 ID:G1eULQ9k
>>335
実にエロいぞ!!GJ!!

342 名無しさん@魔法少女 :2013/02/04(月) 22:09:42 ID:3oyHxeuo
>>335
読み直して思ったんだが、やたら長い行があるのでもうちょっと改行した方が良いと思う
余計なお世話かも知れないが

343 ◆NOC.S1z/i2 :2013/02/05(火) 22:26:58 ID:3OgJsu9s


どうも、ユーノ祭りにやってきました。

注意事項
 ・ユノフェです
 ・欝じゃありません

タイトル「女の子と男の子」

344 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2013/02/05(火) 22:27:56 ID:3OgJsu9s
 
 侵入者に向かって、部屋の主は酒の入ったグラス片手に笑いかける。

「おや、これはこれは珍しい」

「……お酒臭いよ?」

「そりゃあ、飲んでいるからね」

「珍しいね」

「ん? 僕が飲んでいるところ? それとも、僕が酔っぱらっているところ? それとも、僕が振られたと認めたところ?」

「どれでもないよ」

「じゃあ、なんなのさ」

「ユーノが自棄になっているところだよ」

 フェイトの言葉に、ユーノはグラスを傾ける手を止める。
 そして、ああ、と苦笑気味に呟くと、グラスを置いた。
 空になったグラスの中で氷がかちゃりと音を立てて砕けたところで、ユーノはグラスから手を離し、自分の額をぴしゃりと叩いた。

「そうか。僕は自棄になってるのか」

「そうだね」

「うん、自棄になってる。そうだね」

345 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2013/02/05(火) 22:28:27 ID:3OgJsu9s
 
 フェイト相手に繕ったところで仕方ない。
 これがヴィヴィオやヴィータ、スバルなら、何が何でも隠し通すところだ。
 はやてやクロノ、ザフィーラなら、もっと空気を読んで最初からここへは来ない。
 だけど、フェイトは特別だ。
 自分にとっても、彼女にとっても。

「昨日だったね」

 フェイトは、椅子を引きずるとユーノとテーブルを挟んで座り込む。

「うん。昨日だ」

 ユーノは新しいグラスを魔法で引き寄せると、フェイトの前に置き、グラスに酒を注いだ。

「なのはの結婚に乾杯」

「乾杯」

 二つのグラスが音を立てる。
 飲み干されるグラスの中身、新たに注がれる酒、空になるビン。
 瞬く間に空になる数本のビン。
 途中、呆れ顔でツマミを持ってきた使い魔がいたような気がしたけれど、よく覚えていない。

「それで、ユーノ?」

 ガラスのテーブルの頬をつけるとひんやりして気持ちいいことをフェイトは発見していた。

「どうして、なのはと結婚しなかったの?」

346 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2013/02/05(火) 22:29:03 ID:3OgJsu9s
 
「付き合ってなかったから」

 きっぱり、とユーノは答える。

「だけど、ヴィヴィオのお父さんやってたよね」

「だったら、僕はフェイトとも結婚することになるわけだけど?」

「う」

 気まずい返事のフェイトは、テーブルに頭を寝かせたまま器用に余所を向く。

「付き合ってると、みんな思ってたよ」

「フェイトも?」

「なのはに聞くまでは、そう思ってた」

「異性であることさえ無視すれば、一番の友達だったよ。口幅ったいけど、なのはの魔法の師匠は一時期僕でもあったわけだし」

「だから、みんなそう思ってたんだよ。なのはが一番仲のいい男の人は、ユーノたったんだし」

 ユーノは椅子の背もたれに預けた身体ごと後ろに倒れた。
 低重力の室内では背中を強打することもなく、ユーノの身体はふわりと浮いたように漂う。
 空中であぐらをかいたような姿勢になると、ユーノは身体ごとくるりと回る。

347 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2013/02/05(火) 22:29:40 ID:3OgJsu9s
 
「僕だって、なのはのことは好きだったよ」

「だったら……」

「好きだからと言って結婚には結びつかないさ」

 身体を起こしたユーノは再びグラスを掴む。

「僕には、なのはを縛り付けることしかできないから」

 空往く者を地に縛り付ける権利など自分にあるのか。とユーノは問うていた。
 それも、もっともっと昔に。
 もしかしたらなのはは、喜んで縛り付けられるのかも知れない。
 だとすれば……

 最悪だ。

 そんなユーノ・スクライアを、ユーノ・スクライアは許せない。
 高町なのはを地上に引き留める自分を、自分は許せない。
 愛し合うことで縛り付けてしまうのなら、いっそ愛さなければいい。

 それなら、とフェイトは言う。
 飛ばし続けてあげることは出来なかったのか。
 なのはを見守ることは出来なかったのか。
 飛び続ける彼女を待つことは出来なかったのか。

348 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2013/02/05(火) 22:30:19 ID:3OgJsu9s
 
「無理だね」

 簡潔に、ひどくあっさりとユーノは答える。
 自分の性格は自分が一番よくわかっている。
 そんなことが出来る性格なら……
 黙って見守ることが出来るような性格なら、自分はそもそもなのはと知り合っていないだろう。
 そんな自分なら、ジュエルシードを追って地球に降りたりはしていないだろうから。

「なのはと適度に付き合うなんて、僕には無理だ」

 いっそ離れるか、それとも束縛するか、二つに一つ。
 自分が出来るのはそのどちらかだけだ。
 だから、離れることを選ぶ。
 束縛したとしても、なのはは受け入れてくれるだろう。だけど、それはもう、なのはじゃない。

「だから、これでいいんだよ」

「本当に、いいの?」

「うん」

 自棄でも放棄でもない。これは自分で考えた結論だ。
 何処にも文句は言えない、誰にも繰り言は言えない。自分が、自分のために出した結論なのだから。

「君なら、できるんだろうね」

349 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2013/02/05(火) 22:30:58 ID:3OgJsu9s
 
「そうだね」

 素直にフェイトは答えた。
 放置でも束縛でもない、自分なら適度になのはを愛することが出来ると。
 放置も束縛も適度な距離も、愛情の深さとはなんの関係もない、ただの性格や立ち位置の問題だ。
 それは、共に戦ってきて、背中を預けたことすらある魔道師としての距離感であり、安心。そして信頼。

「だけど、私は女だよ?」

 ミッドチルダにもさすがに同性婚はない。ある意味では、地球の一部国家の方が進んでいるのだ。

「それに、私だけだしね」

 悲しげに、それでも何処か吹っ切れた調子で笑うフェイトを見つめるユーノの視線は優しい。
 別の意味で、フェイトの想いが決して成就しないことをユーノも知っている。
 フェイトはなのはが好きだ。どちらの意味でも。
 なのははフェイトが好きだ。一つだけの意味で。
 その差は永久に埋まらないことを、フェイトは知っている。そして、その差が存在することをなのはに知られてはならないことも。

「本当ならユーノにも、知られたくなかったんだけど」

「わかるさ」

「そうだね」

 同じ場所を、同じ場所から、同じ視線で見ていた二人だからこその言葉。
 だからこそ、二人にしかわからないもの、二人にしか通じ合わないものがある。

350 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2013/02/05(火) 22:31:34 ID:3OgJsu9s
 
「僕たちにもう一度」

 二人はグラスを持ち上げる。

「乾杯」

 即座に干されるグラスの中身。

「時々思うんだ」

 お代わりを注ぎながら、フェイトは言葉を続けた。

「私がユーノだったら良かったのかなって」

「え? よく、わからないよ、フェイト」

「私が男だったら、なのはとの関係はどうなってたのかなって」

 地球にいた頃であれば、二人の関係はさほど変わらなかったかも知れない。
 だけど、六課に入ってからはどうだろう?
 少なくとも、ルームシェアはあり得なかっただろうことは、容易に想像できる。

「うん。フェイトなら、僕も安心だよ」

「あれ? いまのなのはの旦那様じゃ駄目なの?」

 肩を竦めてノーコメントのユーノ。駄目も何も、なのはの結婚相手が何処の誰なのか、それすらユーノは知ろうとしなかったのに。
 だからなのか、ユーノはフェイトの問いを無視していた。

351 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2013/02/05(火) 22:32:26 ID:3OgJsu9s
 
「残念ながら、フェイトは女の人だから」

 あはっ、とフェイトは笑った。

「認めてくれるんだ、ユーノは」

「何を?」

「私が女の子だって」

「認めるも何も、現に女の子じゃないか」

「ユーノにとって、〝女の子〟はなのはだけなのかと思ってたよ」

 なにやら、おかしな方向に舵がきられているような気がする。

「そうかもしれないよ」

 だから、護りを固めたつもりだった。

「僕にとっては、なのはが唯一無比なのかも知れないよ」

「それならそれでいいよ」

 気のせいか、とユーノは思う。

352 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2013/02/05(火) 22:32:57 ID:3OgJsu9s
 
 気のせいか、とユーノは思う。

「私にとっても、なのはは唯一無比だもの」

 良かった、とユーノが気を抜いた瞬間、

「気が合うね」

 フェイトがニヤリと笑ったように見えた。

「……ねえ、フェイト」

「なにかな?」

「お互いに、みっともない真似を晒すのだけは止めようよ」

 フェイトの目が細められる。
 
「わかってるよ」

 それなら、と言いかけたユーノを制するように、

「だけど、これがみっともない真似だってわかるのは、はやてとエイミィぐらいじゃないかなぁ?」

 おいちょっと待て、と立ち上がりかけたユーノの肩を素早く掴み、座り直させるフェイト。

「あの二人なら、黙っててくれるんじゃないかな?」

「……クロノとロッサも気付くんじゃないかな?」

「クロノは無理だよ」

353 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2013/02/05(火) 22:33:32 ID:3OgJsu9s
 
 あっさりと義兄は切り捨てられた。
 じゃあヴェロッサはどうなのさ、と言いかけたユーノの口は塞がれる。フェイトの唇で。
 すぐに離れた唇が、ユーノの耳元で怪しく囁いた。

「なのはが一番だけど……ユーノは二番じゃ嫌?」

 その瞬間の動きを、ユーノは後に語った。
 自分は馬鹿で、どうしようもなく男だったと。

 








 翌朝、ユーノは改めてフェイトに尋ねる。

「なのはが一番だけど、フェイトは二番じゃ嫌かな?」

 しばし間を空けて、たっぷりの溜息と共にフェイトは答えた。

「……サイテーだね、男の子のユーノは」

 だけど、いいよ、と付け加えるのを忘れずに。

354 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2013/02/05(火) 22:35:06 ID:3OgJsu9s

 以上お粗末様でした





 








 構想段階では、なのはの結婚でなく、クロノとエイミィの結婚だった……

 つまり、ホモとブラコンの話だったことは内緒にしておこうと思います

355 名無しさん@魔法少女 :2013/02/06(水) 02:04:30 ID:qvq3L65o
>>354
GJ、ニヤリとできるいいユノフェだった
だが後書きで再び突っ込まずにはいられない。ホモとブラコンの話って何やねんw
しかも口に出した時点で内緒じゃないww

356 名無しさん@魔法少女 :2013/02/06(水) 03:20:49 ID:UEKKpovA
でもホモとブラコンの話だった方がエロい気がする

357 黒天 :2013/02/06(水) 16:08:22 ID:x2.F.qT6
ホモとブラコンの話って何よ。おいどんも気になるでごわす。
あと、なのはさんって他人の心の機微を読み取る能力低そうな気がするのは気のせい?
何というか、表面的な部分しか読み取れて居ないというか。
それはさて置き、少ししたら夜刀浦奇譚投下するです。

358 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:10:04 ID:x2.F.qT6
「・・・心地よい風だな」
「そうだね」
自らの身体を優しく撫でていく夜風の心地よさにザフィーラは眼を細め、アルフも相槌を打った。禍々しい空気が立ち込める街だと思っていたが、この夜風は悪くない。
夜風のおかげで、街に漂う漠然とした生臭さも幾らか和らいでいる。
暫くの間、街を見て回っていたが、不意にアルフの腹から音が鳴った。
「腹が減ったか」
「悪かったね、焼肉を十枚食ったのにアタシの腹はもう食い物を要求してるよ」
「気にするな、折角だから、近所の店で何か腹に詰めてから帰ろう」
適当な店が無いか、ザフィーラは辺りを見渡す。
彼らが居る場所は、個人経営の喫茶店が立ち並ぶ一画。
程なく、手頃そうな店を見つけた。
「あそこなんかどうだ?」
「時間的にあんまりお客さんが居ないみたいだし、あそこにするかね」


その喫茶店煉瓦造りで中々にモダンな外観をしており、扉を開けると、軽快なベルの音が出迎えてくれた。
「とりあえず、アタシは焼きソバとオレンジジュース」
「私はミネラルウォーターに、サイコロステーキを頼む」
二人用の席に着き、ザフィーラとアルフは店員にそれぞれメニューを頼んだ。
厨房に引き返していく店員の後姿を見送ると、ザフィーラは店内を見渡した。
ザフィーラとアルフ以外に客の姿は数人――恐らくは地元の若者達だろう。
距離的にそれ程、離れていないので、彼らの会話の内容が耳に入ってくる。


「という訳で、お姫様が居た場所には、後には魚が腐った様な匂いと、人間の物とは思えない様な足跡が残ってたんだと」
「うーん、何か眉唾物の話だな」
「でも、この頃、魚みたいな顔の連中を見かけたって話、よく聞くよな」
「ああ、特にあの“海神の森”の近くでだろ?」
「・・・あの森の地下には祭壇があって、この街の周辺から浚われてきた連中が生贄として海の神様に捧げられてるとか」
「イメージダウンだよなあ、只でさえ産業が無い街なのに」



その後、若者達は店を後にし、店内に居る客はザフィーラとアルフだけになった。
焼きソバを頬張りながら、アルフは向かいの席に座ったザフィーラに話しかけた。
「どう思う?」
「今の若者達の話か? あながち出鱈目でも無さそうだな。この街全体を取り巻いている陰惨な空気を見る限りではな」
サイコロステーキを食するのを中断したザフィーラは、重々しい口調で言った。
人外が跋扈しているという意味では、海鳴市もそうだが、この夜刀浦は更にその上をいっている。何というか、何百年にも渡って積もりに積もった怨念めいた物が渦巻き、得体の知れぬ圧迫感、閉塞感を感じる。まるで暗い海の底に居る様だった。
「というか海鳴市は、ここまで生臭い匂い漂ってないからね」
「この生臭さは原型が狼である我々には、少々きついな」
食事を続けながら、ザフィーラとアルフは顔をしかめた。
夜風が止んだのか、生臭い匂いが店の窓から入ってきて気持ちが悪い。
人間の嗅覚でも不快さを感じるのに、彼らにとってはこの生臭さはたまらない。
窓を閉めても、匂いは店内に残り、加速度的に食欲が失せてくる。
それでも根性で食え終え、店を出る。

359 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:10:52 ID:x2.F.qT6
「・・・この街に月村家が出資するらしいけど、それで少しはマシになるのかねえ」
「それは我々が関知する所ではないな。もう夜も遅い。旅館に戻ろう」
店を後にし、ザフィーラとアルフは『鷹樹庵』に続く道を歩き始めた。





そこは生臭い魚の臭いと潮の臭いで満ちていた。
薄暗く湿気を帯びた空間の中心には、満々と水を蓄えた巨大な地底湖があり、そこに夜刀浦の地下全体に広がる水脈から水が流れ込んできている。
その地底湖の手前には、不気味な装飾を施された祭壇があった。

空間の彼方此方から、嬲られる女達の嬌声が聞こえてくる。
女達を嬲っているのは、人間とはかけ離れた異形――半魚人だった。
瞬きしない眼を動かし、呪文の様な言葉を呟き、彼らは女達を穢している。
長時間に渡る陵辱の果て、限界に達した女の1人の精神が遂に崩壊した。
それを悟った半魚人達が、女を祭壇の上にあげ、その喉笛を刃で切り裂いた。
噴き出した鮮血は、祭壇を滴り落ち、地底湖に流れ込み、それに呼応する様に水面が不気味に泡立った。まるで地底湖その物が生贄を欲している様だった。
「ワレラが神の目覚めの時ハチカイ・・・」
半魚人の中でもリーダー格と思われる者が呟くと、残りの半魚人達が雄叫びをあげ、ドンドンと足を踏み鳴らす。



「神様か、連中が崇めとる神様やから、真っ当な神様やないんやろなあ」
「確かな恵みをもたらす神であるのは確かだ」
半魚人達から少し離れた所で、二人の男が言葉を交わしている。
1人は上等なスーツに身を包んだ、小太りな中年の男。
もう1人は中国風の衣を纏い、顔に奇怪な仮面をつけた男。
「確かな恵みか、確かにワシに、生贄と引き換えに黄金をくれるんやから悪い神様やないな。世の中は所詮、金や」
中年の男の背後には、黄金の装飾品―ー配下の連中を使って浚った女達を生贄に差し出して手に入れたーーーが山積みにされている。
「薄気味悪い装飾が施されとるが、溶かして鋳潰してしまえば問題は無いで」
「それは結構・・・私も神を復活させ、‘組織’の再興を図れるという物だ」
仮面の男がくぐもった声で哂い、視線を祭壇の方に向けた。
祭壇の上には、二人目の女――無論、陵辱の末、精神崩壊しているーーが乗せられ、喉笛を引き裂かれ、噴き出した鮮血が地底湖に流れ込み、それに呼応する様に湖の底からは得体の知れない唸り声が響き、空間内に反響した。


「‘神’の復活も間もなくだが、やはり完全なる覚醒には極上の生贄が必要だな」
「それなら、アテはあるで。丁度、ワシと同じ一族で、ワシよりも血の濃い奴がこの街に来ているんや。アイツなら申し分無いやろ。それで神様が復活した暁にはーー」
「勿論、貴方に特大の黄金を差し上げるとも」
祭壇の所で行われている惨劇を眺めながら、彼らは‘契約事項’を確認する。

360 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:12:19 ID:x2.F.qT6

「とはいっても‘神’の復活までに、油断は出来んがね」
「御神の小僧や退魔機関の連中なぞ恐れるに足らんやろ。こっちには本物の化物がついとるんやで。まして神様が復活してしまえば、人間風情に何が出来るんや」
下卑た笑みを浮かべる中年の男を、内心で侮蔑しながらも、仮面の男は適当に相槌を打った。とりあえず神の復活までは、協力体制をとっていた方が得策だった。

仮面の男が恐れているのは、この身体の‘持ち主’が所属していた組織を壊滅に追い込んだ青年剣士の事でも、下級の妖魔を討伐する退魔機関の事でも無い。


本来の‘自分’が率いていた‘組織’を滅ぼした者。
忌々しいーー偽りの‘神’である<光の巨人>を信仰する一族の少年。
その少年の気配を近くに感じる。向こうはこちらに気付いていない様だが。
「・・・念には念を入れておくか」
黄金の装飾品を愛でている中年の男を横目で見ながら、仮面の男は手で印を組み、忌まわしい術を行使し始めた。







忍は清楚な白のワンピースに身を包み、朝から夜刀浦の海辺の砂浜――昨夜、ユーノが居た場所の近くーーを恭也を引きつれて、散策していた。

「朝からテンションが高いな」
忍と反対の、黒一色の服装の恭也は眼を擦りながら苦笑した。
このテンションの高さは、いつもなら朝は動きが鈍い忍にしては珍しい事だ。
「だって、リインフォースが可愛くて・・・それで興奮して眠れなかったの」
「そうか」
「そうなのよ!! お風呂場でちょっと苛めすぎちゃったけど、あの可愛さは反則よね。おまけに朝食の時、ユーノ君の方をチラチラ見て、あれはユーノ君を強く意識してるわね。すずかに超強力なライバル出現ね」
訳知り顔で頷く忍を横目で見ながら、恭也は辺りの気配を探る。
魚が腐った様な生臭い臭いが漂い、何処と無く余所者を拒む空気がある。
何となく恭也は、視線を海とは反対側に向けた。

「・・・ザフィーラ達が昨日言っていた“海神の森”とやらか・・・」
鬱蒼と茂った木々不気味な存在感を放つ、黒い森。
朝陽を拒むかのような陰鬱な気配を放っている。
「海の神様を祀っていたから“海神の森”・・・土着宗教の一種といった所かしらね」
そんな恋人に何となく相槌を打っていた恭也だったが、背後に視線――それも明確な敵意が籠ったーーを感じ、その場に立ち止まり、振り向く。

視線の主は、夜刀浦の地元住人だが、その姿はかなり異様だった。
丸く大きな眼に、張り出した鰓。
肌はツギハギしたかの様に斑模様で、鮫肌。
不思議な事に彼らは子供の頃は普通の顔をしているが、年を経るにつれて徐々に顔が人間と魚を掛け合わせた物に変わっていくという。
夜刀浦の住民の半分近くにこの様な特徴が見られ、彼らは月村家の進出を快く思っていないらしい。

361 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:13:01 ID:x2.F.qT6
「インスマス面だったか」
事前にこの土地について、調べる過程で知った米国の港町インスマスでも似たような特徴の見られる者が居る事を恭也は思い出した。
インスマスの住人も排他的で、余所者に対しては敵意をむき出しにするという。
「恭也、何してるの、置いていくわよ」
「ああ、今行く」
敵意の籠った視線を背後に感じながら、恭也は駆け出した。
程なくして追いつくと、さり気なく忍を庇う様な位置を確保する。
「どうしたの、そんなに気を張り詰めなくてもいいじゃない。きっと余所者が自分達の土地に入り込んできたから不愉快に思っているだけよ。この街が活性化して、交流が深まれば、溝も無くなっていくわよ」
呑気な忍と並んで歩きながら、恭也は気を全身に張り巡らせる。
鍛え上げられた、御神の剣士としての直感が告げている。

―――‘この土地は危険だ。一刻も速く離れるべきだ’



未だに背後から粘ついた敵意の籠った視線を感じ、
「速く、ここから離れるぞ」
「え、ちょ、ちょっとっ!?」
恭也は自らの直感に従い、忍の手を掴み、足早に立ち去った。











飯綱製薬はそれなりの規模を持つ企業であり、その敷地内にある飯綱大学は医学部と薬学部が有名である。大学内には新旧2つの図書館があり、特に旧図書館は貴重な本の宝庫として有名であり、時には人外の侵入者もいるという。

「・・・余り大した情報はのってないな」
新図書館の閲覧コーナーの長机の上に本を積み上げ、その中の一冊を開き、ざっと眼を通してみるが、内容の大半はある意味で、ユーノが求める物ではなかった。
本当に必要な情報は、旧図書館にある。
だが旧図書館の蔵書を閲覧するには、特別の許可が要るらしく一般の利用者は入室すら出来ない。この辺りの仕組みは無限書庫の禁書区画と同じだ。
「現地の“専門家”に任せておいてもいいかな・・・」
本来、自分はこの世界では部外者だ。
異界より迫る怪異に対抗する機関は、この世界にも存在する筈。
彼らがこの地に蔓延る怪異を取り除いてくれるなら、それに越した事は無い。
だが、もし怪異が自分に近しい人々に忍び寄って来ていたらーー

何となく、ユーノはズボンのポケットに手をやり、軽く叩いた。
確かなーー怪異に対抗する為の‘力’――を秘めた物の手応えが伝わってくる。
「とりあえず、本を返してこよう」
借りていた本を返しに、ユーノは受付の方に向かい、司書の女性に手渡した。
司書の女性は長い黒髪に、ブルーグリーンの瞳が実に魅惑的で、動作の一つ一つが淑やかだ。地味な黒いスーツを着ていても、彼女が持つ気品が伝わってくる。
ユーノの周りの女性は美人揃いだが、彼女達とは質の違う美しさだ。
「・・・どうしましたか?」
「いえ、何でもありません」
平静を装い、ユーノは本の返却手続きを済ませる。
ふと背後に視線を感じると、黒いワンピース姿のすずかが頬を膨らませ、不機嫌そうな表情で立っていた。
「すずか、どうしたの?」
「・・・ユーノ君、葉弓さんに見とれちゃって・・・」
不穏な気配を醸し出す、すずかだったが不意にユーノの手を掴み、そのまま有無を言わせずにズンズンと引っ張っていく。
その様子を司書の女性は穏やかな笑みを浮かべ、軽く手を振りながら見送っていた。

362 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:13:45 ID:x2.F.qT6
「・・・葉弓さんに見とれて、ユーノ君たら鼻の下を伸ばしてだらしないよ」
「えーと、すずか、あの葉弓さんって、あの司書さんの事? 知り合いなの?」
「私というよりも、お姉ちゃんの知り合いかな。神咲葉弓さんって言うの。この大学の図書館で司書さんをやってるとは知らなかったけど」
不機嫌そうな表情は変わらずだが、すずかは律儀に答えてくれる。
すずかに引っ張られながら、ユーノは思考の海に沈む。
ユーノとしては、ただ単に葉弓に見とれていただけではない、彼女の立ち振る舞いは何らかの武術を修めているのか、全くの自然体でありながら、隙が無かった。
それに魔力とは違う力を感じさせた。妖魔と闘う機関の人間かもしれない。


いつの間にか、二人は図書館の入口近くまで来ていた。
「ユーノ君・・・葉弓さんの事考えて鼻の下伸ばしてる」
「え、すずか・・・何で怒ってるの?」
「・・・鈍感、ほら、私、お気に入りのワンピース着てるんだよ。ねえ、似合う?」
黒いワンピースの裾を翻し、すずかはその場で軽くステップを踏んだ。
軽やかに踊る姿は可憐で、将来が楽しみだと思わせてくれる。
「うん、似合ってるよ」
「それだけ?」
だがユーノの反応は実に淡白だった。
がっくりと肩を落とし、すずかはジト目でユーノを見遣る。
「やっぱり・・・リインフォースさんがいいの?」
「何でリインフォースが出てくるの?」
疑問符を浮かべるユーノに対し、すずかは溜息をついた。
内面外面共にリインフォースに匹敵する女性はそうは居ない。
だからこそ、すずかは危機感を感じているのだ。
もし、彼女がユーノを一人の男として意識してしまったら。
―――――最強の、なのはさえ凌駕する‘敵’になる。
すずかの女としての勘は告げていた。
――――今の段階でも、リインフォースは相当、ユーノを意識し、好意を持っている。

「だってリインフォースさん、凄い美人じゃない。あれ程の美人に気にかけて貰って、嬉しくなったりしないのかなって」
「嬉しいけど気にかけて貰わなくても僕は生きていけるし、リインフォースは八神家の皆との時間を大事にして欲しいんだ。消滅を免れたんだから僕なんか気にせずに」
何の感慨も抱かず、ユーノは言った。気にかけて貰えるのは嬉しい。
だが、それでリインフォースにとっての八神家の団欒の時間を奪ってはならない。
ずっと1人で生きてきたのだから、孤独は慣れている。
所詮、自分は高町家、八神家、ハラウオン家の団欒の輪に入っていけないのだから。

「無限書庫で仕事に没頭していれば、寂しさも気にならないしね」
「・・・でも寂しい事は確かなんでしょ。そうやって自分を押し殺していてもいい事無いんだよ。ほら、もうすぐお昼だからご飯食べよ」
ユーノの手を掴み、すずかは再び有無を言わせずに引っ張っていく。
その勢いの前に、ユーノは成す術なく引き摺られていった。

363 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:14:28 ID:x2.F.qT6
一方、リインフォースは窮地に立たされていた。
場所は夜刀浦にオープンしたブティック店。
その一角、女性用の下着が陳列されたーー要するに男性お断りのコーナーにて。
「さあ、リインフォース、この下着なんてどうかしら?」
「シルクでピンクでレースか・・・どうせなら、こっちの真紅の方が似合うんやないか?」
試着するリインフォース本人の意見そっちのけで、下着について議論する夜天の主と湖の騎士。暫し呆然としていたリインフォースだったが、おずおずと声をかける。
「あ、リインフォース、色はどんなんがええ?」
「え、色ですか? 出来れば、黒系の色がーー」
「黒か・・・それなら、この黒と紫を組み合わせた奴なんてどうや?」
「透かしが多くて、色っぽくて、かつ、お洒落なデザイン。はやてちゃん、もうどうせなら黒いストッキングもつけましょう」
「成る程、スラリと長い脚が際立つで、これでユーノ君もイチコロや。この組み合わせで陥落せん男はおらん!!」
妙に熱っぽく力説する夜天の主。
リインフォースの方は、呆気に取られた様子で眼を瞬かせている。
そんな彼女の手を、シャマルが掴み、試着室に引き摺っていく。

「あ、シャ、シャマルっ!!」
「さあ、この下着を着けて、この服に着替えなさい」
下着と服を手渡され、実にいい笑顔のシャマルによって試着室に有無を言わさない勢いで放り込まれる。
「・・・全く、我が主とシャマルは・・・」
渋々といった感じでリインフォースは下着を身につけ、服に袖を通していった。










「あれ、ユーノ君とすずかちゃんやないか」
近くのパン屋で買ったパンを頬張り、適当に二人でぶらついていると、白いワンピース姿のはやてと出くわした。
「・・・すずかのワンピースと似てるね。白と黒で色は違うけど」
「向こうの方にあるお店でしょ? 私もあそこでこのワンピース買ったんだ」
「そういえば、忍さんも白のワンピースやったね」
「えーと、はやてちゃんだけ?」
「いいや、シャマルとリインフォースも居るけど・・・」
はやてが視線を向けた方向には、二人の女性が何やら揉めているのが見える。
青いワンピース姿で親しみやすい近所のお姉さんといった雰囲気のシャマル、そして、リインフォースがシャマルに連れられてユーノの前にたった。
「あ・・・リ、リインフォース」
「そ、その、ユーノ、どうだ、私の格好はおかしくないか?」

頬を薄っすらと染め、リインフォースはおずおずといった感じで尋ねてきた。
黒のハイネックのシャツに、黒と緑のスカート、黒いストッキング、茶色のブーツ。
全体的に黒系統で纏めてあるが、それが彼女のクールさを際立たせ、大人の魅力を存分に引き出している。不安そうに指をつき合わせる仕草が実に可愛らしい。
「う、うん・・・凄く似合ってるよ」
「そ、そうか」
リインフォースに見惚れながら、ユーノはどうにか感想を口にし、リインフォースの方も嬉しそうに顔を綻ばせ、流麗な銀髪がサラサラと揺れる。

364 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:15:01 ID:x2.F.qT6
「何やらいい雰囲気ですな、シャマルさん」
「ええ、そうですね、はやてさん」
ユーノとリインフォースの様子を眺めながら、はやてとシャマルはゴシップ好きの近所のおばちゃんの如く話し込みーー


「ユーノ君・・・リインフォースさんといい雰囲気になってる」
フォースの暗黒面に堕ちた騎士の様な眼で、リインフォースを見るすずか。
近くの自販機で買っていたトマトジュースの缶が凄まじい怪力で握り潰され、中身が地面にポタポタと滴り落ちている。

「リインフォースさんのあの服・・・選んだの、はやてちゃん?」
底知れぬ重圧を秘めたすずかの声に、はやては背筋に冷たい物を感じ、息を飲む。
気のせいか、すずかの瞳が紅くーー血の色の様にーーなっている様な気がする。
「凄く・・・似合ってるよねぇ・・・大人の魅力満載で、胸も大きいし・・・」
「いや、すずかちゃんも将来はきっと、グラマーになると思うで、忍さんを見る限り」
「そうかなあ・・・」
「そうやって。んで将来、グラマーになったら、胸揉ませて」
「嫌、私の胸はユーノ君専用なの」
はやてのお願いを微塵の容赦も無くバッサリと斬り捨て、闇のオーラを纏ったすずかはトマトジュースの缶をゴミ箱に放り込んだ。










その後、ユーノ達は夜刀浦市内の博物館を訪れていた。
「この博物館も月村家の資本が入ってるんだよ」
誇らしげに語りながら、すずかはユーノの手を掴み、博物館の内部を案内する。
余り広くないが、掃除は行き届いて不潔という印象は無いのだが、陳列されているのは得体の知れない物が多く、博物館の内部の空気を澱ませている。
陳列されている品の中でーー1m前後の高さの石像がユーノの目に留まった。
「この像は?」
「この辺で信仰されている、豊漁を約束する海の神様の像だって」
すずかの答えに頷きながら、ユーノはガラスケース越しに、その像を見詰めた。
その像は実に奇妙で薄気味悪かった。分厚く弛んだ唇、ドンヨリと濁った眼、水かきのついた手足。それなのに、全体的な印象は忌々しいほど、人間に似ている。
石像の横には、像についての簡単な説明が書かれた札が置いてあった。
「・・・何々、この神像の名前はダゴン。古代ぺリシテ人に崇拝された海の神様と同じ名前だね。確か旧約聖書『士師記』第16章だったかな」
「凄い、すずか、よく知ってるね」
「えへへ、ありがとう、ユーノ君」
ほんのりと頬を染め、すずかが嬉しそうに笑う。
思わず、その笑みに見惚れるユーノだったが、背後に重圧を感じて振り返った。
「な、何、リインフォース」
「いや古代ベルカでも、似た様な神の話を聞いた事があったんでな」
「海の祟り神デイゴンの事かい? やっぱり世界を隔てても人間の意識には、共通するイメージがあるという事かな」
「昨日も似た様な事を言っていたな」
「そ、そうだったっけ・・・」
リインフォースの言葉に、昨夜、彼女のショーツと手で肉棒を扱かれた一件を不意に思い出したユーノの顔が赤くなり、その理由を察したリインフォースも頬を染めて眼をそらした。

365 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:15:46 ID:x2.F.qT6
むー、二人とも、昨日、何かあったの?」
「べ、別に何も無かったよ」
「そ、そうだぞ・・・別に何も無かった」
ジト眼を向けてくるすずかに対し、ユーノとリインフォースはきっぱりと否定するが、すずかは尚も疑惑の視線を向けてくる。

すずかの追及の視線から逃れ、数m移動したユーノの視界にガラスケースの中に納まった冠が飛び込んできた。この冠も実に奇妙で不気味だった。
金の様な材質で出来ており、その表面には幾何学模様や海を顕す模様が見事な技術で浮き彫りにされ、冠の天辺には蛸の様な怪物の飾りが不気味な躍動感を伴って据えられている。
「――ダゴンの冠か」
「知っているのか?」
「いや、説明が書いてあるから」
いつの間にか、横に並んで立っていたリインフォースに対し、ユーノは視線を解説が記された札に向けた。
「この冠は古来より、夜刀浦の宗教団体『堕魂教団』の司祭が祭事に用いてきた物であり、通称『堕魂の冠』と呼ばれる。要するに土着宗教の一種か」
「こっちの方に祭事の様子が描かれた掛け軸が掛かってるよ。かなり血生臭い宗教だったみたいだけど」
すずかが指差した壁に掛かった掛け軸には、確かに凄惨な光景が描かれている。

海に面した砂浜に設けられた祭壇の上に生贄として乗せられた女子供。
暗い海の底から現れ、生贄を丸呑みにしようとする巨大な怪物。
ひれ伏して怪物を拝む半魚人や人間の漁師達。

「・・・黒魔術の儀式みたい」
「本質は同じ事だよ。生贄を捧げて相応の対価を得る。これは何処の世界でも見られる。この掛け軸に描かれている通り、崇拝者達はダゴンに生贄を捧げ、その見返りとして、豊漁や黄金を得る。要するに『堕魂教団』は邪教の集団であり、夜刀浦は邪神崇拝者の拠点だったんだ」
掛け軸を眺めながら、ユーノは淡々と、だが確信を込めた口調で言った。
まるで全く同じ‘事例’を知っているかの様な口ぶりだ。
「随分とハッキリ言い切るのだな」
「・・・次元世界を見渡せば、似た事例は割とあるからね」
ユーノの言った事は正しい。古代ベルカでも大きな城や橋を造る時や、戦争で勝利を祈願する時、生贄を捧げる事があり、リインフォース自身、記憶は曖昧ではあるが、そういった場面を目撃した記憶は残っている。
だが、ユーノにそういう血生臭い場面に出くわす機会があったのだろうか。
陳列物を見て回るユーノを何となく見詰めながら、そんな事を考える。


「リインフォース、ユーノ君の事じっと見詰めて・・・そんなに気になるの?」
「ち、違うぞ。ただ、私達はユーノの事を何も知らないと思ってな」
「確かにそうね。ユーノ君の事を知らなくても、日常生活に支障は無いものね。知りたいと思うのは、彼に対して一定以上の好意を寄せてる場合よね」
意味深なシャマルの視線を受け、リインフォースの頬が朱に染まる。
雪の様に白い肌が、仄かに色付き、並の男なら、これで撃沈できそうだ。
「貴女が本気になれば、ユーノ君も落せると思うけど、もっと自信持ちなさい」
「―――そ、そんな事を言われても・・・」
「こういう時はユーノ君にお土産の1つでもねだって、自分の事を意識させるのが重要なんやで」
「わ、我が主、あ、あの・・・」
動揺するリインフォースの手を掴み、はやてはそのまま強引にユーノの所まで引っ張っていった。

366 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:17:04 ID:x2.F.qT6
「リインフォース、よかったやないか。ユーノ君にお土産買ってもらえて」
「わ、我が主、カ、からかわないで下さい・・・」
頬はおろか、耳まで真っ赤にしたリインフォースの豊かな胸元を飾っているのは、黒い長方形のペンダントだ。
ペンダント自体は夜刀浦の外れの土産物屋で売っていた物だが、造りそのものは悪くない。
長方形のそれぞれの面には、炎の柱を囲む五芒星が刻まれている。
ちなみにユーノは、すずかにも同じ物を買っている。

「邪悪な者の干渉を跳ね除けられる御守りらしいけど・・・中々お洒落よね」
「そういえば、五芒星が刻まれた御守りを身につけてる人、この辺り結構多い気がするんやけど」
シャマルの言葉に頷き、はやてが辺りを見渡すと、確かに五芒星をあしらったアクセサリーを身につけている人々が多い。
それだけでなく、彼方此方に五芒星が刻まれている。
家の軒先に木の棒で作られた五芒星がぶら下がっていたり、古い神社の鳥居に五芒星が刻まれていたりする。魔除けの様な物かもしれない。
「この辺りに住んどる人達の顔は普通やね。あの魚が腐った様な臭いもあまりきつくないし」
辺りを見渡すはやての言う通り、行き交う人々はあの魚や蛙の様な容姿をしておらず、生臭い臭いもそれ程強くは無い。
「やっぱり、五芒星が関係してるのかしら?」
丁度、シャマルの視線が向けた先――巨大な石碑が幾つも立っており、それら全てに五芒星が刻まれ、この石碑群は夜刀浦北部を囲む様に配置されている。

具体的には比較的、発展した北部に『鷹樹庵』や飯綱大学、夜刀浦博物館があり、廃墟だらけの寂れた南部に海神の森がある。
ちなみに魚や蛙の様な容姿をした者達が居住しているのも南部である。
「薄気味が悪い光景だな」
石碑群の向こうに広がる廃墟――人間の気配はしないのに、物音が響く――は魔導書の化身であるリインフォースの感覚からしても、実に薄気味が悪かった。


何処からか、潮風と共に異形が蠢く音が聞こえてきた。






「何で君がここに居るの?」
「初っ端からご挨拶だな」
夜刀浦の彼方此方を見て回り、夕刻に差し掛かる頃になって『鷹樹庵』に戻ると、一階ロビーで黒尽くめの執務官が仁王立ちしていた。
眉を顰めるユーノに対し、クロノも、ついこの前、模擬戦で敗北を喫した屈辱を表面上は隠して仏頂面で応じる。
「何らかの天変地異によって『深海教団』は壊滅していた」
「これで、この案件は一応、終了という事で、クロスケは休暇を取ってアタシ達はそれに便乗した訳、迷惑だった?」
「別に僕は迷惑じゃありませんよ。他の皆はどうか知りませんけど・・・」
クロノとユーノの会話に割り込んできたのは、リーゼロッテだった。
猫耳と尻尾は隠しているが、彼女自身が纏う気紛れな猫といった感じの快活な雰囲気は隠しきれていない。

367 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:17:37 ID:x2.F.qT6
「ユーノ、夕食の用意が出来たそう、あっ・・・!!」
「・・・そう、アンタもここに居たんだっけ」
夕食の準備が出来た事を告げに来たリインフォースの姿を視界に収めた途端、リーゼロッテの気配が剣呑な物に切り替わった。
「リーゼロッテ、止めろ」
「・・・・くっ!!」
クロノの静かだが、強い意志を秘めた声に、リーゼロッテは忌々しそうに顔を伏せた。それでもリインフォースに向けられる、明確な敵意。
『闇の書』の暴走によって愛弟子であるクライドを喪った事は、リーゼロッテにとって忘れられない傷なのだ。
「リインフォース、ちょっと、僕に付き合って」
「え、ユ、ユーノ・・・お、おいっ!?」
自らの過去に苛まれるリインフォースを見かねて、ユーノは彼女の手をとり、一気に走り出す。自然、リインフォースも引っ張られる形で走る羽目になる。


「て、手が・・・」
繋がれている手から伝わってくる温もりを感じ、リインフォースの胸が高鳴る。
走っている途中、シャマルとすれ違った気がしたが、よく覚えていなかった。







「はい、緑茶でよかったかな?」
「ああ、すまない」
『鷹樹庵』三階のユーノの部屋。
ユーノと向かい合う形で、卓袱台の前に行儀よく正座したリインフォースは、湯飲みに入った熱いお茶を啜り、深い息をついた。
「落ち着いた?」
「・・・その、気を使わせてしまったな」
リインフォースにとってはリーゼロッテ、リーゼアリアと夕食の席で顔を合わせる事は正直言って拷問に等しい。
「彼女達にとって『闇の書』そのものであった私の存在は忌まわしい物でしか無いのだな・・・」
絶世の美貌に暗い影を落とし、リインフォースは手の中の湯飲みを見詰める。
やはり『闇の書』の罪を背負って、自分は消えるべきだったのではないか。
『闇の書』の悪名は歴史に埋もれつつあるとはいっても、『闇の書』の暴走によって、人生を狂わされ、消えない憎しみを宿す者は確かに存在する。
リーゼロッテの憎悪に満ちた眼は、それを思い知らせるのに充分だった。
「君が消えた所で、罪は消える訳じゃないよ。仮に君が消えれば、『闇の書』の罪は、夜天の王であるはやてが背負うのだから」
「――――・・・!!」
ユーノの淡々とした言葉は深々とリインフォースの心を抉った。
「『闇の書』の罪を1人で背負い込んで行ける程、はやては強くない。きっと何処かで歪みが生じて壊れてしまう」
「つまり我が主が歪まない様に支えるのが、私の役目であり贖罪だと・・・?」
「別に難しく考える必要は無いよ。生きていれば、誰だって罪を背負うんだ。僕だって、なのはを魔法の世界に引き込んだ罪を背負ってるから」
自嘲する様にユーノは言う。
魔力の不適合で死に掛けていた時、未練がましく自分が助けを求めなければ、なのはは魔法を知らずにすんだ。自分などと関わらずにすんだ。

368 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:18:08 ID:x2.F.qT6
「僕が居なくても・・・フェイトはクロノが何とかしてくれたと思う。はやては難しかったかもしれない。でも、なのはは戦いを知らずに平和な生活を送る事が出来た筈だよ」
「魔法で戦う術を持たない高町は、ほぼ間違いなく、ヴィータの蒐集の餌食になっていたぞ。あれ程の魔力を秘めていれば、狙われない方がおかしい」
「それでもヴィータは、はやての未来を穢さない為に死人を出さない様にしていたし、フェイトやクロノもなのはを助けに来ただろう」

そこで言葉を切ったユーノは自分の湯飲みにお茶を注いで一気に飲み干す。

「仮にこの先、なのはが魔法を使って戦い続け、生命に関わる大怪我をしない保障が何処にある? そして大怪我を負った場合、僕との出会いを後悔して・・・僕の事を憎んだりしないのかな? アリサやすずか、それに高町家の人達は僕に『死んで償え』と言うのかな?」


「・・・お前の問いは、正直、答え様が無いな。高町が生命に関わる大怪我を負うかどうか現時点では解らないし、周りの者達がお前に憎しみを向けるかも定かではない。敢えて答えるならば『可能性としてはあり得る』という所か」
卓袱台の上に空になった湯飲みを置き、鞄の中からDVDと携帯型PCを取り出すユーノに対して、リインフォースは慎重に言葉を選んで答えた。

「そうだよね。ところで暇つぶし用に何枚かDVD持ってきたけど、見る?」
苦笑しながらユーノはDVDをリインフォースの前に並べた。
話題を切り替える意図は明らかだったが、敢えてリインフォースはそれに乗る事にした。夕食は後でいいとユーノがシャマルに伝えてあるので、問題は無い。
今、階下に降りていくとリーゼ姉妹と鉢合わせるだろう。
それは避けたい。彼女達と向き合うには、それなりに心の準備が必要だった。
眼前に並べられたDVDにリインフォースは視線を走らせる。

『戦場の戦乙女 超劇場版:壊』
『円盤王女ヴァルキリー 十二月の狂想曲』
『魔導機神マドカ・マギカ ホムホム復活編』
『装甲戦神ネクサス 金神群獣襲来』 




「私としては『戦場の戦乙女 超劇場版:壊』を希望する」
「うん、じゃあ、それから観よう」
リインフォースのリクエストに答えユーノはケースを開け、DVDをドライブにセットし、携帯型PCに接続した。



『世界の事なんて知るか、だが大佐だけは絶対に助けるんだ――!!』
『邪龍の群れが一撃で・・・機工天使にこんな力がっ!?』
『アザゼルは人の域を超えている・・・!!』
『あぁ、翼が、アザゼルの翼が広がって・・・!!』
『世界が終わるのね』

369 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:19:23 ID:x2.F.qT6
「面白かったな、続きが楽しみだ」
「う、うん・・・」
食い入る様に鑑賞していたリインフォースは、画面から眼を離すと満足そうに頷いた。気のせいか、ヒロインに対して異常に感情移入していた様な気もする。
ヒロインの外見は銀髪に紅眼で長身、巨乳とリインフォースと共通する要素が多かったので、それが原因かもしれない。
というよりもユーノとしては、いつもは物静かなリインフォースが握り拳まで作ってまで興奮する様子に唖然としていた。
「お前はどうだ、面白かったか?」
「う、うん、そういえばヒロインの軍服姿凛々しくてかっこよかったね。君が着たら似合いそうだよね」
「な、何を言っている・・・そ、そんな世迷言を」
唐突に話を振られたユーノは率直に思った事を口にするが、一方で話を振ったリインフォースはというと、ユーノの“世迷言”に思い切り動揺していた。
耳まで真っ赤にして、口をパクパクさせている。
「君って凄い美人でシグナムさんと一緒で軍服とか似あいそうだし」
「しょ、将の事を話題にするな、ば、馬鹿・・・」
不機嫌そうに呟くと、リインフォースは座布団を抱きしめ、密かに深い溜息を付いた。
年の離れた弟の様な少年の事で一喜一憂している自分が情けない。
とはいってもユーノの事が気になって放っておけない。
自分の気持ちを持て余しながら、リインフォースはユーノの方に視線を向けた。
彼は幾つかの部品――デバイスの部品だろう――を手に持っている。
「・・・デバイスの組み立てか?」
「無限書庫の司書達が使う、検索用のデバイスを作ってる」
実に簡潔な答えだ。確かに、ユーノの横にデバイスの部品が無造作に放り込まれた箱が置いてある。
部品の数は50個程だろうか。
質のいい物もあれば、悪い物もある。
「玉石混合だな」
「そうだね、デバイスショップでもジャンク品扱いの奴が半分くらいだから」

無限書庫は稼動したばかりの部署である。
当然、金も人も回ってこない。
それに関して、ユーノは文句を言わず、人事権を欲した。
『予算はいらない。その代わり局内外から自分がスカウトする人物を司書として採用する許可を頂きたい』
リンディやレティといった身近な高官達――所謂、ハラウオン閥――の力をユーノは当てにせず、独自のルートから司書となりうる人材を発掘した。
例えば、局内部からは実力はあるが、素行に問題がある者や見栄えのいい攻撃魔法は使えず、地味な補助魔法しか出来ない者。
局外部からはスクライア一族の若手、本が大好きな本の虫など。

現在の無限書庫の司書の大半は、ユーノが引っ張ってきた者達である。
局側が定めた採用基準――犯罪歴の有無などーーによる審査はあったが。
彼らの為に、ユーノはポケットマネーをはたいて、設計図と睨みあいながら、参考書を片手に持ち、デバイスを造っているのだ。

370 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:19:56 ID:x2.F.qT6
「ラミエル司書は、デバイスの基本形態は正四面体型にして、検索魔法の展開規模に応じて、変化する機能をつけよう。それから彼女は砲撃魔法の素養もあるから、自衛用の術式も組み込んでと・・・」
「確か、その司書は武装隊にも誘われていなかったか?」
「うん、それなのに『私は無限書庫で働きたいんです!!』と言われちゃった。彼女は僕がスカウトした訳でもないのに、無限書庫に来たんだ。凄い変わり者だね」
「きっと、彼女は無限書庫で検索魔法を駆使するお前に“英雄”の姿を見たのだろう」
いつの間にか、顔が触れ合う距離まで来ていたリインフォースに詰め寄られ、ユーノは思わずたじろぐ。少し目線を下げれば、彼女の圧倒的なボリュームを誇る胸が視界に飛び込んでくる上、微かに甘い香りが漂ってきて心臓に悪い。

「・・・それにしても、お前は司書の適性に合わせてデバイス作りをしているのか?」
「うん、待機形態も各人の好みに合わせてるんだ」
「1人では手間がかかって、大変だろう。私も手伝ってやる」
遠慮するユーノを強引に説き伏せ、床に広げられた設計図の一枚に目を通しながら、リインフォースは部品を組み合わせていく。
出来上がったのは、表紙に十字架を刻んだデザインの手帳型デバイス。
試しに起動させてみようと、魔力を送り込むが、起動しない。
「あ、それ、魔力をコアに送り込む回路が切れてるみたい。取り替えないと無理」
「成程、そうか」
ユーノの助言どおり、確かに回路を取り替えてみると、起動した。
このデバイスはとりあえず問題無さそうだと判断して、リインフォースは次のデバイスの組み立てに取り掛かった。
その後、二人でデバイスを組み立てていくのだが、現時点で無限書庫には数十人の司書が勤務しているのだ。彼ら全員の分となると、流石に時間がかかる。
「お前は数十人分のデバイスを一人で組み立てる気だったのか?」
「以前からコツコツとやってたし、司書の皆も手伝ってくれてたから、何個かは出来てるんだ。あと残ってるのは二十個程だよ。まぁ・・・徹夜すれば、大丈夫かなと」
あっけらかんと言い放つユーノに、リインフォースは改めて確信する。
ユーノは基本的に自分自身を大事にしないのだ。
強迫観念にも似た使命感や義務感で動き、常に他人を優先し、自分を省みない。
そんなユーノの在り方がリインフォースは無性に気に入らなかった。







英国の地方都市ブリチェスター。
グロウスターシャー州セヴァン川流域に広がる、見渡す限りの田園地帯に囲まれたのどかな都市であるが、バニングス家の資本投入によって、古きよき景観を残しつつ急速な発展を遂げつつあった。

371 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:20:28 ID:x2.F.qT6
「ふえー、色々なお店があるねえ」
「うん、お土産買って行かないとね」
なのはとフェイトは、古風な煉瓦造りの店が立ち並ぶ街中を散策していた。
その中でフェイトが特に個性的な店を見つけた。
店の前に黒い山羊の絵が描かれた看板が立っていて、店の中には年代物の食器や絵画が並べられている。どうやら骨董品を扱う店らしい。
「・・・『BLACK Goat Shop(黒山羊の店)』 だって。なのは、素敵な絵柄の食器があるよ。翠屋で使えないかな」
「ほんとだ、とりあえずお店の中に入ってみよう。通訳はレイジング・ハートお願いね」

相棒からの了解の返事を貰い、なのはは店の扉を開けた。



「いらっしゃい」
店の中に入ると、日本語での出迎えがあった事になのはとフェイトは驚き、その声があった方角に視線を向けた。
「そう驚く事はないだろう。そっちのお嬢さんはともかく、少なくとも君は日本人、母国の言葉がそんなに耳慣れないかい?」
豪華な装飾が施された机の上に悠然と腰掛けているのは、妙齢の女性だった。
長い黒髪を靡かせ、黒いスーツの上から白衣を無造作に羽織り、いかにも高級そうな葉巻を燻らせている。
「あ、いえ・・・外国で日本語を聞くとは思わなかったので」
「ふむ、この辺りは日本人観光客も割と来るのでね。私も言葉を覚えてしまったよ」
葉巻を咥えたまま、女性は立ち上がり、悠然とした足取りで、なのはとフェイトの方に近付いてくる。どうやら彼女がこの店の主らしい。
「見た所、土産物を買いに来たのかな?」
「は、はい・・・実はあそこに並べられている食器が気に入っちゃったんですけど、その具体的な値段が書いてないのが気になっちゃって」
言葉が通じる事に安堵したなのはが、店の一角の棚に置かれた食器に目を向けた。

「ほう、あの食器に目が向くとは大した物だ。あれはヴィクトリア王朝時代、貴族が使っていた物だよ。それなりの値段だが・・・持ち合わせはあるかね?」
「えーと、フェイトちゃん、お金貸してくれる?」
「うん、いいよ。これで足りるかな?」」
「少し足りないかも・・・」
なのはとフェイトの持ち合わせを全部足しても、女主人から提示された金額には少し足りなかった。あの食器がどうしても欲しいのに、届かない。
「ご、ごめんね・・・なのは」
「ううん、気にしないで、フェイトちゃん」
「・・・中睦まじいお二人さん、恋人同士かね」
二人の間に漂う百合百合しい空気を鋭く感じ取ったのか、女主人は紫煙を吐き出し、唐突に問いを投げてきた。
「え、そ、それはその・・・」
「わ、私とフェイトちゃんは・・・た、確かにそういう関係になりたいとは思っていますが」
「恋愛の形は人それぞれ。遠慮する事は無い。周りに受け入れられるかはさて置き」
最後に不穏な言葉をつけたし、女主人は短くなった葉巻を携帯用の灰皿に入れると、二本目の葉巻に火を灯した。
「・・・よし、ここはお二人の前途を祝福して、特別に半額にしてあげよう」
「え、本当ですか?」
「うむ、あの食器の価値を見抜いたお客さんは久しぶりだからね」
なのはから紙幣と硬貨を受け取り、女主人は手際よく食器を棚から移し、頑丈そうな木箱に入れ、食器の周りに綿を詰めていった。

372 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:21:00 ID:x2.F.qT6
「そういえばお昼近くなんだ」
「何処かのお店で食べていこうか」
『BLACK Goat Shop(黒山羊の店)』を後にしたなのはとフェイトは、キョロキョロと辺りを見渡してみると、黒い龍の看板がかかった中華料理店の前で手を振っている、大親友である金髪碧眼の少女の姿が目に入った。
「アリサちゃんだ」
「あそこのお店にしようか」
なのはとフェイトは頷きあい、親友が待っている中華料理店に向けて駆け出した。





「はい、ユーノ君、こっちの方の回路修復は終わったよ」
「ありがとう、すずか」
和気藹々といった感じで、デバイスの組み立てをしているユーノとすずか。
そんな彼らを、リインフォースは部品の錆を紙やすりで落としながら見詰めていた。
夜食を持ってきたシャマルとすずかが、デバイスの組み立てを手伝ってくれる事自体はいいのだが、何故、ユーノの隣をすずかが占拠しているのだろう。

「リインフォース、そんなにユーノ君とすずかちゃんが気になる?」
「・・・別にそこまで気になっているわけじゃない」
横で部品を雑巾で磨き上げているシャマルに対し、リインフォースは微かに頬を赤らめながら、顔を伏せた。紙やすりを動かす手は休めず、横目でユーノ達を観察する。
そう、別に気にしている訳ではないのだ。
ただ、すずかとユーノの距離は近すぎではないかとか、必要以上にすずかはユーノの手を握りすぎではないかとか、ユーノはデレデレしすぎではないかとか・・・そういった事について、少し物申したいだけだ。
「リインフォース、その部品、もう錆び全部落ちてるわよ」
「む、そうだな・・・次の部品を磨こう」
錆が落ちて新品同然に光輝く部品をシャマルに手渡し、リインフォースは次の部品を手に取った。当然の様に視線はユーノとすずかに向いたままで。



無言の眼差しによる圧力にユーノは顔を引き攣らせるしかない。
元々感情が顔に表れにくいリインフォースだが、今は明らかに不機嫌そうだ。
とはいっても、ユーノの方に思い当たる事は無く、何か起こらせる事でもしたのだろうかと不安になってくる。

一方、すずかはリインフォースの視線の意味を理解していた。
理解した上で、すずかはリインフォースの方に勝ち誇った様な笑みを向けた。
「・・・―――!! おや、こんな所に亀裂が・・・どうやら不良品が混じっていた様だな」
“真新しい亀裂”が入った部品を床に置き、リインフォースは目を瞑って深呼吸した。
落ち着け、自分は古代ベルカが誇る魔導書、この程度の挑発に乗ってはいけない。
そんな彼女に対し、すずかは更に第二撃を放つ。

373 夜刀浦奇譚 :2013/02/06(水) 16:21:32 ID:x2.F.qT6
「あ、ユーノ君、口の周りにスパゲッティのソースがついてるよ」
リインフォースに見せ付ける様に、すずかが手に持ったハンカチでユーノの口の周りを拭い、夜食で食べたスパゲッティのソースを拭き取った。
「もう・・・ユーノ君てば、だらしないんだから。やっぱりユーノ君には身の周りの世話をする人が必要だよね、うんうん」
わざとらしく頷きながら、すずかが意味ありげな視線をリインフォースに向ける。
その視線を受け、リインフォースの切れ長の紅瞳から光が消える。
彼女から禍々しい瘴気が吹き出し、その手の中の歯車が真っ二つになった。
リインフォースの横に座っているシャマルとしては、もう生きた心地がしない。
魔界の入口に踏み込みかけている同胞を何とかして貰おうと、シャマルは縋る様な瞳でユーノを見た。医務室でお世話になっている湖の騎士の視線に晒されるユーノだが、リインフォースの機嫌が悪い理由について考える。

―――きっとデバイスの組み立てを手伝っているのに、僕がデレデレとしていたから怒ってるんだ。謝らないと駄目だよね。


「ごめん、リインフォース」
「え、ナ、何を言っている、ユーノ?」
「デバイスの組み立てを手伝ってくれてたのに、だらしない態度取っちゃってごめん。きちんとするから許してください」
「あ、そ、その・・・そういう訳ではなくて・・・」
何処かピントのずれた解釈をしてデバイスの製作に没頭するユーノに対し、先程までの不機嫌そうな様子とは一転して、リインフォースはオロオロと視線を彷徨わせた。
そして、そんな彼らを眺めていた、シャマルとすずかは顔を見合わせ、重苦しい溜息をつき、蛍光灯が備え付けてある天井を見上げた。






「だから地球は狙われているのよ、蟹頭の異星人に!!」
「アリサ、お願いだから正気に戻って」
中華料理店『黒龍飯店』の席で、昼食の蟹炒飯を頬張りながら意味不明の事を言う、親友の金髪令嬢の奇行に、フェイトは麻婆豆腐を食す手を休め、頭を抱えた。

街の外れにある「悪魔の階」と呼ばれる岩山を見に行っていたらしく、アリサはきっとそこで幻覚を見たんだろう。この街は不穏な噂は確かに多いが、フェイトの印象ではのどかな田舎町。怪異が蠢いているなんて都市伝説に決まっている。
「アリサちゃん、異星人なんている訳無いよ。きっと疲れてるんだよ。この杏仁豆腐が凄く美味しいよ、アリサちゃんもどう?」
「もう、いいわ・・・」
魔法を使えるくせに、異星人の存在を信じないなのはに対し、アリサは溜息をつくと様々な国籍、人種の人々で混雑する店の喧騒をBGMに残りの蟹炒飯を掻きこんだ。
そんなアリサの横では、なのはとフェイトが百合百合しい空気を漂わせ、いちゃついている。アリサとしては、正直、果てしなくウザイのだが、友達のよしみで黙っていた。

それは彼女達にとって、なんてことは無い、日常。


―――例え、その薄皮一枚隔てた裏側で怪異が蠢いていたとしても。

374 黒天 :2013/02/06(水) 16:23:24 ID:x2.F.qT6
今日の投下、ここで終了です。
敵側にとらは組から出張してもらいました。
あと、アリサさんが見た物は一体何でしょうか。

375 空の狐 :2013/02/06(水) 20:16:50 ID:x5HcZJcY
黒天さんお疲れ様です。
変わらずのクトゥルフ節、ますます心配になります。
果たしてアリサはどうなってしまうんでしょうか……安心できねえ。

続いて僕も投稿させていただきます。
タイトル『ユーノくんのパンツ』
微エロ、変態ばかりです。

376 『ユーノくんのパンツ』 :2013/02/06(水) 20:17:50 ID:x5HcZJcY
 ユーノは悩んでいた。
「……ない」
 目の前に広がった自宅に存在するすべての衣服を睨む。
 現在、自分の服の中から、パンツ二枚、シャツが二枚なくなっていた。
 最初は些細なことだった。休みの日にユーノは纏めて洗濯をするのだが、洗濯をする時にふと気づいたのだ。パンツの数が一枚足りない。
 気づいた捜したものの、見つからなかったからユーノは失くしてしまったのだろうと思った。
 だが、次の洗濯の時に、その失くしたパンツが洗濯機の隙間から出てきた。ああ、なんだこんなところにあったから気づかなかったのかとユーノは見つかったことに安心して洗濯しようとしたら、今度はシャツが足らなかった。そして、後日たまたま他の洗濯ものに紛れていたので見つかった。
 これだけなら、単に普段不精しているからかなとユーノは考えたのだが……
「でも、それが定期的に起こるんだよなあ」
 ユーノの疑念はそれが定期的に起こることだった。
 短くて一週間、長くて一ヶ月の頻度でパンツかシャツが一枚か二枚なくなっていた。時に両方ともなくなることも。一度や二度なら偶然で済ますが、流石にこんなに何度も起きれば偶然じゃすまされない。
 いったいなぜ? それに気づいてからユーノは定期的に服のチェックをするようになっていた。
 なんだか気持ち悪い。なくなったり出てきたり、なんかの事件にでも巻き込まれたのか、それとも未知のロストロギアかとも思ったが、服がなくなる事件なんてあるわけないし。ロストロギアだとして、手元にそんなものはないし、今までに研究のため預かったものにもそんな妙な効果があるものなんてなかった。
「いったいなんなんだよ……」
 このおかしな事態にユーノはそう呟くしかなかった。

377 『ユーノくんのパンツ』 :2013/02/06(水) 20:18:36 ID:x5HcZJcY
「ていうことがあったんだよね」
「ふ、ふーん、そうなんだ」
「お、おかしなこともあるもんだね」
「大変だねユーノくん」
「気にしすぎじゃないのユーノ?」
 久しぶりに会う幼馴染たち――――なのは、フェイト、アリサ、すずかに話すと、そんな反応を返された。
 それもそうだろう。定期的に服がなくなったり現れたりなんて話にどう反応するべきなのか。振る話題を間違えたかなあとちょっとだけユーノは後悔する。
 なお、はやては残念ながら地上部隊に用事があっていない。顔がにやけていたからゲンヤと会うつもりなのだろう。
 それからお茶を一口飲んでから、なのはとフェイトはなんでか額にびっしりと汗が張り付いているのに気づいた。
「あれ? なのはちゃんとフェイトちゃん、なんでそんなに汗をかいてるの? もしかして心当たりがあるのかな?」
 すずかの問いかけにびくんと二人が反応する。
「ぜ、全然知らないよ。大人になってそんな犯罪行為をするなんて。ねえフェイトちゃん?」
「う、うん、仕事が忙しくてそんなことをする暇なんてあるわけないもんねなのは」
「……まあ、もしかしたら変質者の仕業かもしれないし、なにか対策考えなさいよ」
 と、アリサはユーノに警告する。
「うん、確かになんか対策考えないと」
 どこか挙動不審になったなのはたちを見ながら、ユーノとアリサとすずかは頷いた。

378 『ユーノくんのパンツ』 :2013/02/06(水) 20:19:06 ID:x5HcZJcY
 お茶会が終わってから、家に帰ってきたなのははそそくさと自室に駆け込んだ。フェイトも同じように自室に飛び込んだ。
 そして、鍵をかけてからベッドに突っ伏する。
「うー、ユーノくんが気づいちゃった。これからは気を付けないと」
 そういいながらなのははベッドの下へ手を突っ込む。
 そして、出てきたのは男物の下着、ぶっちゃけユーノのパンツだった。それになのはは顔を埋める。
「はあはあ、ユーノくんの臭いいいよお、これがない生活なんて考えられないの!」
 深呼吸して、たっぷりとユーノの残滓を肺一杯に満たす。
 一番親しい男の子。子供の頃はただ、横にいてくれて、その匂いを吸うだけで満足していた。
 だけど、大人になって、お互い仕事で隣にいられないようになってから、なのはは段々、あの匂いが恋しくなってしまった。
 できるなら、またユーノが隣にいてもらいたい。でも、そんなことできるわけがない。自分は教導隊のエースオブエース、ユーノは無限書庫司書長、共に戦場に立つことはないのだ。
 だから、なのははユーノのパンツの匂いを嗅ぐことで、ユーノが隣にいない寂しさを紛らわすようになってしまったのだった。
「うう、でももうだいぶ臭いがなくなっちゃったの。そろそろ新しいのに変えなくちゃ」
≪ですが、ユーノもすでに警戒してます。危険です≫
 レイジングハートが警告する。
 確かに、ユーノは気づいてしまったし、おそらく今日の自分の反応に疑いをかけているだろう。あと、気になるのはフェイト。あの反応は不可解だったから、もしかしたらなんか隠しているのかもしれない。
 だけど、
「そのくらいの障害で私は止められないの。ほら、レイジングハート。ユーノくんのパンツだよ」
≪Sweet smell……≫
 レイジングハートをパンツに押し付ける。残念ながらレイジングハートも変態だった。
「ああ、ここにユーノくんのフェレットさんがいたんだよね」
 べろべろとなのははパンツを舐める。仄かにしょっぱい味がした、気がした。
 そうしながらくちゅくちゅと自分を慰め始める。すでにユーノの匂いに興奮していたから、たっぷりと蜜を滴らせているそこをちょっと擦るだけで快感が走る。
「ああん、いいのユーノくんのパンツ、ユーノくんのパンツ!」
 ついには自分のショーツを破くような勢いで脱いでユーノのパンツに足を通し、上へ引き上げ、履いた。
「うふふ、私のあそこ、ユーノくんのフェレットさんと間接キスしているの」
 恍惚となのはは笑うとパンツの上から自慰し始めた。
 荒々しくスリットを擦って、溢れる蜜をパンツに吸わせる。
「あん、ユーノくんのパンツに私の恥ずかしいのが染み込んじゃってるの。これじゃあ洗っても私の臭いが着いちゃってユーノくんが気づいちゃうの」
 そうなれば終わりなのに、むしろそれがなのはを昂らせる。
「はあはあ、ユーノくん、ユーノくん、ユーノくん!!」
 そして、一番敏感な豆を潰し、潮を吹きながら絶頂した。
 荒く息を吐きながら、なのはは恍惚と余韻を味わった。

379 『ユーノくんのパンツ』 :2013/02/06(水) 20:19:43 ID:x5HcZJcY

「ま、またやっちゃったの……」
 目の前のどろどろのパンツになのはは乾いた笑みを浮かべるしかなかった。いつもいつも興奮のあまりこんな変態行為をしてしまう。
 そして、終わるたびに自己嫌悪するのだけれども、それでも止められなかった。
「と、とりあえず、洗ってからこっそりユーノくん家に片付けなくちゃ!」
 すぐになのはは行動する。
 こっそり部屋を出て、隣のヴィヴィオが出てこないか警戒する。が、部屋からは『明日はトーマと映画館♪』と上機嫌な声と衣擦れがするから、明日のデートのための準備をしてると判断して静かに廊下を横断した。
「抜き足、差し足、千鳥足」
 そして、洗面所に着いて、
『あっ』
 先客のフェイトと鉢合わせした。
 その手にはなんかの体液でどろどろになったシャツが握られている。くんくんと鼻を鳴らせば、仄かな甘い匂いの中に、嗅ぎ慣れたユーノの匂い。
『ま、まさか……』
 どうやら同時に気づいたらしい。目の前にあるのがユーノのものだと。
「犯罪なのフェイトちゃん!」
「犯罪だよなのは!」
 ほぼ同時に二人は互いを批難し、
『人のこと言えないでしょ?!』
 同時に突っ込む。
 そして、少しの間睨み合ってから、二人ははあっと息を吐く。
「とりあえず、さっさと洗っちゃうの」
「そうだね。明日二人で返しに行こうね」
 二人はどろどろになったパンツとシャツを洗濯機に放り込んだ。

 翌日、なのはとフェイトはユーノ宅に侵入し、シャツとパンツを返そうとしたのだが、バニングス社製の新型侵入者探知システムに引っ掛かり、あっさりとユーノに捕まってしまったのだった。
 そして、二人の魔の手からパンツとシャツは回収されたのだが、まだ一枚ずつ足りなかった。
「違うのー! 今回はパンツ一枚しか持ってってないのー!!」
「私だってシャツ一枚だけだよー!!」
 そう二人は主張するものの、一度こんなことした以上、信じてもらえるわけがなかったのだった。
 そして、その肝心の行方不明のパンツとシャツは……

380 『ユーノくんのパンツ』 :2013/02/06(水) 20:20:19 ID:x5HcZJcY
 エルトリア、シュテルの自室。
「ふーふー師匠のパンツすごくいい匂いがします」
 愛おしそうにユーノのパンツの匂いを嗅ぐ星光の殲滅者。先日、ミッドに行く機会があったのだが、その時にこっそりとユーノの自宅から持ち出したのだ。
「ああ、もっともっと師匠の匂いを間近で堪能したいです。うう、そのためにもエルトリアの復興を急がなければ!」
 微妙に歪んだ形でシュテルはエルトリア再生の意思をさらに強めたのだった。

 そして、もう一つ。地球、月村邸。
「ふふふ、なのはちゃんもフェイトちゃんも甘いね。確かに、新鮮なユーノくんの香りを嗅ぎたい気持ちはわかるけど、そんな頻度でとっかえひっかえしてたら気づいちゃうに決まってるじゃない」
 すーっとすずかは一年間吸い続けたせいか、匂いが弱くなってしまったシャツに顔を埋めて深呼吸したのだった。



おまけ
『明日はトーマとデート、何着ていこうかな?』
 スピーカーから、ヴィヴィオの上機嫌そうな声が廊下に向けて流れている。
 そして、ヴィヴィオ本人は、
「うう、ママたちのせいだよ。私まで変態さんになっちゃったのは」
 すーっとヴィヴィオは愛しい人の匂いが染みついたシャツの匂いを嗅ぐ。
 スピーカーは母たちに自分の変態的行為を気づかれないようにするためのフェイクだった。
「はあ、トーマの匂い、すごくいいよお。汗の匂いですっごく興奮しちゃうのぉ。いいなあリリィはリアクトすれば嗅ぎ放題だもんなあ」
 ちょっとだけ友達であるリリィにヴィヴィオは嫉妬したのだった。

「はあ、ダメなのに私お姉ちゃんなのにトーマの匂いにくらくらする……」
 ナカジマ家でスバルはトーマの洗い立てのシャツに鼻を押し付けながら匂いを嗅いでいた。

「くんくん、はあ、毛づくろいしてもらった場所からザフィーラの匂いがする、あたしザフィーラの匂いに包まれてるんだ」
 狼形態でアルフは自分から立ち上るザフィーラの匂いを嗅いだ。

「うへへー、ゲンヤさんの髪やー!」
 どうやって入手したのか、はやてはゲンヤの白髪を舌でレロレロしていたのだった。

381 空の狐 :2013/02/06(水) 20:21:15 ID:x5HcZJcY
以上です。
気づけばユーノの周りにアリサ以外まともな女の子がいないことに……

382 黒天 :2013/02/06(水) 20:24:08 ID:x2.F.qT6
変態しか居ない。
>空の狐さん
どうもっす。アリサは今回、酷い目にはあいません。
メインは夜刀浦のメンバーですので、一人か二人、ラスボス復活のため、陵辱される女性伽羅が居ますが。
(一人は確定、もう一人は誰にしよう)

383 名無しさん@魔法少女 :2013/02/06(水) 21:45:49 ID:xgFFXA1U
>>374
『戦場の戦乙女 超劇場版:壊』
『円盤王女ヴァルキリー 十二月の狂想曲』
『魔導機神マドカ・マギカ ホムホム復活編』
『装甲戦神ネクサス 金神群獣襲来』 

相変わらずのクトゥルフ臭と本編より気になる小ネタですなw
次回も期待しております。

384 黒天 :2013/02/07(木) 10:33:51 ID:G1jripyg
>相変わらずのクトゥルフ臭と本編より気になる小ネタですなw
小ネタは息抜きで入れてます。

>CPはユーノとGODのユーリ
アダルトバージョンのムチムチボディになったユーリがユーノにほれて無邪気に甘えてくる展開とか考えちゃったじゃないか。

385 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/02/07(木) 17:35:52 ID:Y/DjA8Vo
投下します
>>167-171の続き
死にネタ 閲覧注意






高ケツ圧

386 何故ユーノ・スクライアは死んだのか :2013/02/07(木) 17:36:31 ID:Y/DjA8Vo
何故ユーノ・スクライアは死んだのか


 ユーノ・スクライアは高町なのはと結婚し、高町ユーノとなった。
 彼は美人の妻と可愛くてパツキンロリで可愛いパツキンロリのヴィヴィオを義娘として幸せに暮らしていた。
 ただ一つ言える事、それは彼が重度の果てしなくもう治療の余地はないほどに完璧なロリコンであり、夜の営みの時は必ずなのはを九歳時に変身させて行うという事だった。

「あぁ〜! すごい! ユーノくんのフェレットさん凄いよぉ〜! もっと突き上げてぇ〜!!」

「うおおお!!! なのは! ロリマンなのはああああ!!」

 今日もまたベッドの上でユーノのフェレット(暗喩表現)はなのはのロリマン(直喩表現)の中で激しく暴れまわっていた。
 そんな時であった、突如としてドアが爆砕し何者かが室内に侵入してきたのだ。

「きゃぁ! だ、誰……って、フェイトちゃん!?」

 ユーノに馬乗りになりながら器用に振り返ったなのはは驚いた。
 そこに居たのはフェイト・T・ハラオウン、十年来の親友であった。
 バリアジャケット姿のフェイトは怒りの顔でずっぷしと結合して精液と愛液をぐちょどろにしているなのはとユーノを睨んだ。

「なのは! 私を捨ててそんな粗チンフェレットと結婚するなんて! この裏切り者!!」

 と彼女は叫んだ。
 フェイトはとんでもないガチレズでなのはに十年間片思いしていた。
 しかしなのははチンポのない女に興味はなく、世間体が良くて女顔で美形で苛めたり調教したり騎乗位しがいのあるユーノを選んだ。
 
「前にも言ったでしょフェイトちゃん、私は粗チンでもチンチンのある男の人がいいの!」

「ふぅん、それはこれを見ても言えるのかな」

「えぇえ!? そ、それは……!」

 なのはは驚いた。
 誇らしげに突き出したフェイトの腰から先にはなんとチンポがあった。
 それもただのチンポではない、全長30センチはくだらない代物だ。
 バナナのように反り返り、カリも高い名刀である。
 早くもなのはは涎をたらしてそのイチモツに目を輝かせた。

「どう? なのは! なのはのために手術してこさえたチンポだよ!!!」

「なんて女だ……わざわざチンポをつけるなんて……でも駄目だよフェイト! なのははもう僕のロリ嫁なんだ!」

「うるさいよ粗チンフェレット! なのははこう見えて巨根好きで……ひゃぉおおおおおおお!!!」

 フェイトが一瞬にしてだらしない雌顔で喘いだ。
 一体いつ移動したのか、ユーノの上からのいたなのはがその小さな口でフェイトのチンチンを咥えていた。
 ねっとりと舌を絡ませてしゃぶりながら我慢汁を啜り、むちむちの肉尻を掴んでホールド。
 そのまま脚を絡めて押し倒すや跨った。

「んほおおおおおおおおお!!!!!! しゅごいよフェイトちゃんのメガチンポぉおおおお!! 子宮のお口えぐってりゅのっほおおおおおおおおおおお!!!」

 速攻で白目を剥いたアヘ顔でチンポアクメを決めるなのは。
 なりこそロリだが彼女はどこへ出しても恥ずかしくない見事な淫乱痴女であった。
 ユーノの粗チンなどよりでかいふたチンポを選んだのである。
 これではユーノの立つ瀬がない。
 目の前でぬぅぅっちょりと腰をグラインドさせるレズセックスを前に彼は奮い立つ。
 しかし彼のチンコは貧弱が過ぎた。
 なにせ勃起しても小指くらいしかないのだ。
 あまりにも戦力的に乏しい。
 そこで彼は考えた。

「よし! これでいくぞなのは!!!!!」

「ひぎゅあああああああああああ!!!!!!! ふさふさのぶっといのがはいったのにょのほおおおおおお!!!!!!」

 なのはの尻から尻尾が生えた。
 いや、違う、それはユーノの尻尾だ。
 彼はなんとフェレットに変身してその全身をなのはの尻にぶちこんだのだ。
 強引なフェレットファックになのははマン汁を噴出して悦んだ。
 
「んにょのほおおおお!!! フェレットしゃんぶっといのっほおおおおおおお!!!!!! アナルマンコいっぱいりゃりょほおおおおおおおおおおお!!!!!」

 なのはは悦びアヘりながら腰を振り、フェイトのチンポはロリマンコをぶちぬき、ユーノのフェレットボディはケツマンコをぶちぬく。
 その時起こった悲劇は事故としか言いようがなかった。
 デカブツ二本を咥え込んだ穴はただでさえ狭かった上に、なのはは凄まじく深くイってしまったのだ。
 フェイトのデカチンとなのはのロリ穴は凄まじくきつかった。
 そしてなのははイっちゃった。
 きゅっと穴が締まった。
 それが悲劇の原因であったのだ。

 高町ユーノ、享年十九歳、死因:高ケツ圧。



終幕

387 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/02/07(木) 17:38:34 ID:Y/DjA8Vo
きっと自分以外の人はまじめにユーなのとか書くよね、だからイカレチンポな話書いても良いよね。

って按配でバカ話を書く男、それがシガー。

はい、その・・・サーセンwww

388 黒天 :2013/02/08(金) 09:54:06 ID:nRUsxkEI
これはひどい。俺のコーヒー牛乳返してよ。
あと死に方としては凄い恥ずかしいですね。
では、おいどんも投稿するでごわす。

389 夜刀浦奇譚 :2013/02/08(金) 09:55:59 ID:nRUsxkEI
『鷹樹庵』は、一階にある大浴場があるが、その他に広大な露天風呂がある。
温かい湯に浸かって満天の星空を眺めるのは、最高の贅沢だろう。
「宝石箱を散りばめた様だな・・・」
頭にタオルをのせ、湯船の中に鎮座する巨大な岩に背を預け、ザフィーラは心地良さそうな溜息をついた。
古代ベルカの戦乱時代、血みどろの戦場を駆け抜けていた頃、ここまで余裕を持って星空を眺めた事があっただろうか。時代が移り変わろうと、世界が変わろうと、きっと星々の輝きは変わらないのだろう。

ふと女性用の脱衣場から、誰かが歩いて来る気配を感じる。

「・・・ここの温泉の効能は疲労回復に効果があるそうだ」
「あら、それはいい事を聞いたわ」
タオル一枚のみを纏った姿で、リーゼアリアは微笑んだ。
長い茶色の髪をアップにし、薄闇に浮かび上がる姿は実に妖艶だった。
「失礼するわね」
軽く身体を洗い、リーゼアリアは湯船に身体を沈めた。
位置的には、ザフィーラと大きな岩を挟んで反対側にあたる。
「湯加減はどうだ?」
「悪くないわね」
ザフィーラと同じく、頭にタオルをのせ、リーゼアリアは簡潔な感想を述べた。
心地よさを示すかの様に、彼女の猫耳が小刻みに揺れた。
それに対して特に答えず、ザフィーラは目を瞑り、息をついた。
「そういえば・・・ロッテがリインフォースに食って掛かったみたいね。それに夕食の席でも、あの娘、貴方達を睨んで・・・御免なさい」
「気にする事は無い。お前達の方からすれば、当然の反応だ」
「そう言ってくれると、幾らかは救われるわ。私も貴方達に対する蟠りを捨てきれる訳でも無いけど・・・恨んでも憎んでもクライド君は帰ってこないわ」

だから、もうこの話題は終わりにする。
そんな意味を言外に込め、リーゼアリアは言葉を切った。
―――訪れる沈黙。



「それからリインフォース・・・随分変わったわね」
「ああ、アイツは変わった」
その沈黙を破ってリーゼアリアは口を開き、ザフィーラもその内容に同意する。
『闇の書の意思』は八神はやてに出会い、新たな名を貰い、呪いから解放された。

「・・・・“闇の書の意思”を呪われた宿命から解放し、“祝福の風”に生まれかわらせたのが、はやてならーーー」
「“祝福の風”に新たな生命と未来への希望を与えたのがスクライアか・・・」

今のリインフォースは実に感情豊かになった。
湖の騎士が作る産業廃棄物に呆れ返ったりーー
様々な本を読み漁り、長々と感想を述べて烈火の将をうんざりとさせたりーー
鉄鎚の騎士の秘蔵のアイスを勝手に食べてしまってオロオロしたりーーー
夜天の主の胸揉みの餌食になって身悶えたりーー


そして無限書庫に通っては、そこの長の少年のオーバーワーク振りを心配したりーー

「ところで・・・スクライアの情報処理能力は異常だな。我々の中で情報処理に長けているリインフォースとシャマルとて、ついていけないくらいだぞ」
以前、はやての足の治療についての情報探しも兼ねて無限書庫の業務を手伝った時、一度に検索できる本の数はザフィーラの場合、5冊が限界だった。
ちなみにシグナムとヴィータが3冊、シャマルが10冊、リインフォースが24冊。
それに対し、ユーノは50冊。リインフォースのほほ2倍。
おまけにそれだけの量の本を検索していても、情報の精度は落ちず、周りのサポートまでやってのける。

390 夜刀浦奇譚 :2013/02/08(金) 09:56:37 ID:nRUsxkEI
「私達だって似たような物よ。私が7冊、ロッテが4冊で限界だったんだから。そもそも検索魔法自体、スクライア一族発祥なのよ」
リーゼアリアの言葉にザフィーラは低く唸った。
確かにユーノの次に検索できる本の数が多かったのは、スクライア一族出身の司書で彼が確か40冊前後だった筈。
「身のこなしもかなりの物だったな。カートリッジを未使用だったとはいえ、ヴィータの一撃を防ぎ、その動きについていき、『闇の雷』にすら耐えて見せた」
「はっきり言ってユーノに決定的に足りないのは、攻撃力だけよ。支援の的確さと護りの堅さは今更言うまでもないし、あれで攻撃力も加われば、クロノでも返り討ちに出来るわよ」
「随分と高評価だな。確かにジュエルシードの一件でも、魔力不適合を起こしていなければ、事件の過程は変わっていただろう」
「攻撃力不足も応用でどうとでもなりそうだしね」

バインドで相手の首を絞めて窒息させる。
バリアを纏ったまま、相手に突進する。
結界の中に相手を閉じ込め、内部の気圧を変化させ、高山病に追い込む。
リーゼアリアが思いつく限りでも、これだけあるのだ。
他にも色々とやり方はだろう。ちなみに彼女の思考実験の中で、ユーノの“仮想敵”が某執務官だったのはご愛嬌だ。
というよりユーノは、ザフィーラとリーゼアリアが審判を務めた模擬戦で最後の方法を模擬戦で躊躇い無く実行に移し、某執務官を呼吸困難に追い込み、その後、バインドで縛り上げ、地面に叩きつけている。

「ふむ、あの戦いは心肺機能の差が勝負の決め手だったな。歴戦の執務官とて標高数千mの高所で戦った経験は無かっただろう」
「ユーノの場合、色々な場所にある遺跡に赴くから、空気が薄い場所でも平然としていられるんでしょう。それにしても、あの時のクロノの顔は見物だったわよね。顔面がもう蒼白を通り越して、土気色だったもの」
「私はそれ以上にあの後、容赦なく追い討ちをかけるスクライアが恐ろしかったが」
歴戦の猛者たるザフィーラとしても、あの時のユーノは恐ろしかった。
具体的には、呼吸困難で苦しむ某執務官ことクロノの鳩尾と脇腹に貫手。
何れも人体急所の1つであり、ここを攻撃されると息が止まる。
呼吸困難に拍車がかかったクロノの手から氷結の杖デュランダルを叩き落し、無手になった彼の右腕を集中攻撃して使用不能にさせる。
更に死角となった右脇腹に執拗に拳――ご丁寧に強固な障壁を纏わせーーを連続で叩き込み、体力をジワジワと奪う。
「・・・あれを卑怯とは言うまい。スクライアのとった戦術は実に理に適っていた。あれは寧ろ私としては賞賛したいくらいだな」

391 夜刀浦奇譚 :2013/02/08(金) 09:57:10 ID:nRUsxkEI
敵の動きを鈍らせ、武器を奪い取り、利き腕を使えなくさせ、体力を奪い取り、確実に追い込み、完全に‘敵’の息の根を止める。
戦場に生きたザフィーラとしては、それは当然の事であり、何も間違っていない。
ザフィーラが恐れたのは、ユーノが顔見知りに対して、それを実行したという事だ。
何の躊躇いも無く、無表情のままで。


「うーん、ユーノにとって、クロノは親しみを持つ相手だったかと言われると、私としては少し疑問だけどね。クロノ、ユーノの事を‘フェレットもどき’と馬鹿にしてたし」
「・・・場を和ませるジョークにしても、確かに出会って間もない相手に対して、使う言葉ではないな」
「ま、クロノも自分はエリートの執務官という事で驕りがあったという事かしら」
「それ以前に、スクライアにとってハラオウン執務官は敵という認識かもしれん」

主に無限書庫の業務中、大量の資料請求をしてくる敵として。
あの模擬戦の勃発した理由は資料請求の期限絡みだった筈。
結局、模擬戦自体はクロノの敗北で終わった。

疲弊の極致にあり、特攻してきたクロノの左鉤打ちをユーノは飛び上がってかわし、背後に回りこみ、首にバインドを何重にも絡め、そのまま締め落としたのだ。
クロノも砲撃魔法で応戦し、ユーノにそれなりの手傷を負わせてはいたが、実質的にユーノの圧勝といってよかった。




「何れにせよ、資料探しが得意なだけの少年ではないのよね。ま、それはさて置いて・・・リインフォースがあそこまで親身にユーノを心配するなんて意外だわ。魔導書という性質上、てっきり“八神はやて至上主義”を貫くとばかり」
「ふむ、アイツに限らず、我々は基本的に主はやてを優先する。だが、そればかりではない。我々だって気になる相手は出来るし、恋もする」
「・・・ふん、私以外にユーノの良さに気付く女が居るなんて」
不機嫌そうに口を尖らせ、リーゼアリアは指でお湯を弾き、身体をそらせた。
こんな事ならば、無限書庫で『闇の書』の情報を探している時、妨害の意味も込めて色仕掛けで迫って摘み食いしておけばよかった。
「何なら、今からスクライアに迫ってきてはどうだ?」
「遠慮しておくわ。正直、女としてリインフォースに勝てる気しないもの」
何処か寂しげに呟き、リーゼアリアは湯船から上がった。
瑞々しい肌の上を、水滴が滑り落ち、思わず息を飲む程の色香が立ち昇る。
「・・・それから、リインフォースに伝えておいて。ユーノを手に入れたいのなら、さっさと押し倒してベッドに引きずり込むのが手っ取り早いと、ね」
「伝えておこう、アイツが実行できるかはさて置き」
「あの娘、へタレなのね。あれだけのルックスとスタイルなのに」
リーゼアリアの裸身を見ない様に、目を瞑っているザフィーラに対し、リーゼアリアは心から愉快そうに笑い、女性用の脱衣場の方に歩いていった。

392 夜刀浦奇譚 :2013/02/08(金) 09:57:40 ID:nRUsxkEI
「随分とお楽しみだったみたいだね」
「いきなり何を言う」
リーゼアリアが露天風呂から上がった後、暫くして部屋に戻ってみると、同室に宿泊中の狼娘さんが拗ねていた。人間の娘の形態で犬耳をピンと立て、白い襦袢を纏い不機嫌そうにソファーにふんぞり返っている。
「あの猫姉妹の姉の方から聞いたよ。あんたと“露天風呂で楽しんだ”って」
「・・・紛らわしい言い回しを使ったな、楽しんだのは、会話だ」
「本当かい? アイツ、やたらと色っぽかったし・・・惚れてる相手が居るみたいな事を言ってたから、てっきりアンタと・・・」
そこでアルフは不安そうな面持ちで俯いてしまう。
耳も尻尾も彼女の気持ちを表すかのように、力無く垂れ下がっている。
「彼女、リーゼアリアに意中の相手が居るのは確かだが、それは私ではない」
「そ、そうかい・・・」
「私が選んだのはお前だ」
尚も不安そうなアルフを抱き寄せ、ザフィーラは彼女の頭を撫でた。
アルフは心地よさそうに目を細め、甘える様な声を漏らした。
「じゃ、じゃあ・・・証明してよ。この頃、ご無沙汰だったからさ」
ザフィーラの手の中から抜け出し、アルフは切なそうに頬を染め、襦袢を脱ぎ捨てた。露になる薄っすらと色づいた、下着のみを身につけた豊満な肢体。
薄暗い明かりの下で、とてつもなく妖艶に見える。

「解った、早速期待にこたえよう」
「ああ、それでいいよ。たっぷり可愛がっておくれ」
哀願する様な瞳で見上げてくるアルフは勢いよく、ザフィーラに抱きつくと、そのまま部屋に敷いてあった布団の上に押し倒した。

「もう、こんなになってるのかい」
ザフィーラに跨ったアルフは、薄紫色のショーツに包まれた尻を向け、既に鉄棒の様に固くなった肉棒を手に掴んでいた。所謂、69の体位だ。
「ビクビクと脈打ってるよ・・・」
アルフの熱い吐息を肉棒先端に感じ、肉付きのいい尻が揺れるのを目にして興奮が更に高まり、ザフィーラはそっとアルフの脚の付け根に手を這わせてみた。
「この下着、かなり豪勢な造りだな」
「気付いてくれたのかい・・・これ、アタシの勝負下着だよ」
素人目にも解る、繊細な装飾が施されたショーツ。
ザフィーラの視線を受け、アルフは恥ずかしそうに身体を揺すりながらもザフィーラの股間に躊躇無く顔を埋めていく。
「こうして・・・んふっ、んん・・・んちゅ・・・」
手の中の肉棒を懸命に扱きながら、アルフは舌先を鈴口に這わせてきた。
白魚の様な指が肉竿の表面を滑り、鈴口を湿った感触が襲う。
ザフィーラもお返しとばかりに、アルフの秘所を覆っていたショーツを横にずらすと、直接、割れ目を舌で刺激していく。

393 夜刀浦奇譚 :2013/02/08(金) 09:58:29 ID:nRUsxkEI
「ん、はぁ・・・あ、んあぁ・・・はむ、んむぅ・・・」
「もうこんなに濡れているぞ・・・れろ、ちゅぷっ・・・」
「な、中で動いて・・・ビクビクって、はっ・・んあぁんっ!」
ザフィーラの攻めに背中を逸らし、アルフは腰を奮わせる。
手に持った肉棒を刺激するのも忘れるくらい、舌攻めに身をくねらせている。
「・・・アタシばかり、気持ちよくなるなんて・・・はむっ、ん、んん・・・」
そうして意識を肉棒に集中させようとするアルフだが、ザフィーラは更に顔を埋めて、淫核に吸い付き、同時に尻肉をこね回した。
それによってアルフの意識は、再び肉棒から離れてしまう。
「・・・や、駄目ぇ・・・そこ、吸っちゃ駄目・・・や、やめなって、あ、んあぁ・・・」
手を動かす余裕も無く、ザフィーラにされるがまま、身悶えていく。
「ア、アンタがそうくるなら、こうしてやるんだから・・・」
「うおっ!?」
顎を引き、アルフは肉棒を口の中に咥えこんできた。
肉棒を咥えたまま、アルフは舌を咥内で這いまわす。
唾液の温かい感触と共に、舌のザラザラした感触まで伝わってくる。
「・・・あむ、凄く硬い・・・んむ、れろ、れろ・・・」
肉棒の熱さ、硬さを確かめる様に、舌で肉竿を舐めまわして来る。
唾液をたっぷりと塗し、竿全体を味わう様に咥内で動かし続ける。
「アタシが・・・アンタを気持ちよく・・・んむ、じゅる・・・」
ジュルジュルと音を立てアルフは肉棒に吸い付いている。
ザフィーラも負けじとアルフの秘所に吸い付く。
淫穴に舌を突っ込み、更に淫核にも断続的な刺激を加える。
「そ、そこは・・・んあぁ、んひぅ・・・ふぅ、はふっ・・・・んあ、あぁん・・・・」
「じゅる、淫らな汁が溢れて・・・ん、ちゅぱ・・・・はむ、んむっ・・・・・」
一心不乱にザフィーラとアルフは互いの性感帯を攻め立てていく。
余りの快感の為、ザフィーラの肉棒の先からは、既に先走りの汁が流れ出ていた。
同様にアルフの淫穴からも淫蜜がしとどに溢れ出し、ザフィーラの顔を濡らしていた。
「んぐっ・・・そこをそんなに吸っちゃ、んじゅる、あむ・・・口の中で大きくなってぇ・・・ア、アタシ、も、もういっちゃうよぉ・・・」
「むぅ・・そんなに強く扱かれては・・・・私も持たない・・・!!」
それから間もなくザフィーラとアルフは同時に絶頂に達していた。
アルフの咥内へと白濁の塊が吐き出される。
それでもアルフは口を離す事無く吐き出される精液を飲み込んでいった。
やがて、全て飲み干すと、口を離した。

394 夜刀浦奇譚 :2013/02/08(金) 09:59:00 ID:nRUsxkEI
「ふぅ・・・いっぱい出たねえ」
「ああ・・・」
口の端から白い物を零しながら、アルフが笑う。

「まだまだ・・・元気一杯だね。それじゃ、今度は・・・」
目を細めたアルフは身体を起こして、ザフィーラの前に跪き、そそり立った肉棒をその乳房の間に挟みこんだ。
「くっ・・・こ、これは・・・・!!」
「ん、はぁ・・・熱い・・・・・」
動きはぎこちないが、心地よく甘い弾力が肉棒の凸凹に合わせて形を変え、左右から挟みこんでくる。肉棒越しに伝わるアルフの鼓動。
肌の温もりと汗と、僅かに緊張するアルフを感じ取り、心の奥が仄かに暖かくなる。
揺れる乳房を押し上げる様に肉棒が屹立し、先走りが肌を汚していく。
「こうすれば・・・この肉の棒をこうやって・・・下から擦る様に・・・・・グリグリってぇ・・・」
肉棒の悦びを悟ったアルフは、更に乳房を差し出した。
左右の膨らみをこすり付けて、ザフィーラの弱点を探り当てる。
竿の凸凹の上には、柔かい乳房の感触だけでなく、コリコリした薄桃色の先端の感触も混じっている。固くしこった突起が幾度もカリを弾き、ザフィーラはその度に腰を前に突き出していた。
「・・・ん、あぁ・・・はふっ、んっ・・・もっと・・・・」
鈴口に口付けできそうな距離で、アルフが喘ぐ。
熱い吐息が絶えず吹きかかるのが堪らず、もっと淫らで強烈な愛撫が欲しくなる。
「・・・はぁ、何かして欲しい事あるかい?」
「そのまま・・・舐めてくれるか?」

395 夜刀浦奇譚 :2013/02/08(金) 09:59:38 ID:nRUsxkEI
一瞬の戸惑いの後、アルフは自分の胸元に顔を埋め、紅い舌先を伸ばしてきた。
谷間から肉棒の先端を、舌先がチロチロと舐めていく。
最初は掠るだけ。だが、二度、三度と繰り返される。
まるでミルクを舐める子犬みたいに、何度もーーー

「・・・ん、れろ、ちゅっ・・・そうかい、こうされると気持ちいいんだね」
最初は遠慮がちだったが、すぐに艶っぽい笑みを浮かべ、先端を攻める。
舌先を器用に鈴口に沿って往復させ、徐々に肉棒全体にも唾液を塗し、そのたわわな胸で肉竿を締め付けてきた。頭が痺れる程の刺激に、肉棒は震え、貪欲に猛る。
「んんっ・・・ココ、弱いんだね。ぴちゅ、んちゅ・・・れろ、れろ・・・」
弱点が集中していると知るや、執拗に先端を攻め立てていく。
咥内に唾液を含み、チュパチュパと肉棒の先端へ絡みつかせてくる。
時にはちゃんと根元まで舐め、先端まで往復して、自ら塗った潤滑油で乳房の圧迫も滑らかにしていた。潤滑油のおかげで、急激に乳房の密着が増していた。
「アタシの胸の中の・・・肉の棒、凄く熱い・・・ん、あぁ・・・・・」
竿全体を肌で包んだまま、フニフニと形を変えながら乳房が擦りあがってくる。
柔らかな感触が滑りながら、刺激を送り込んでくる。
往復の度に射精欲求がこみ上げてくるが、もっとこの快感に浸っていたくて堪える。
「速くしたら・・・いやらしい音鳴っちゃう・・・アタシの胸ぇ、いやらしい・・・でも、こうして舌で先っぽを・・・んちゅ、じゅる・・・」
「それはくぅ・・・」
速度と圧力を増した快感に腰奥から震え上がった。
だが、逃げられる体勢ではなく、絶頂が見え始めた肉棒に、アルフの献身的な奉仕が容赦なく襲いかかってくる。
「ん、はむぅ・・・いつでもイっていいんだよ・・・んちゅ、ちゅぱ・・・・」
はにかみながら乳房を差し出す。そんなアルフの表情にこそ危うく達してしまいそうになる。鈴口は素直に先走りを溢れさせ、アルフに舐め取ってほしいとテラテラと光る。
すると、すかさず柔かい舌が雫を掬い取っていく。
「ほら、もう意地を張らずに・・・出しちゃいなよ、れろ、んちゅ・・・」
大胆に乳房を擦らせ、淫らに揺らし、ビクビクと震えるカリを唇で弾き続ける。
アルフの、恥じらいと興奮に染まる顔。
淫らな表情に魅入る内、どんどん頭の芯が痺れていく。
「んちゅ・・・苦いのが溢れてきて、はむ・・・・アンタがイクとこ、見せてぇ・・・」
涎とも汗とも先走りとも知れぬ粘液で乳房をべったりと濡らしながら、アルフがそんな事を囁いた。それから先は無言で乳房と舌の動きに集中して、射精を促す様に激しく攻め立てーーー

396 夜刀浦奇譚 :2013/02/08(金) 10:00:16 ID:nRUsxkEI
「んむっ・・・ん、はあぁん、震えて・・・ごくっ・・・んちゅ、はむぅ・・・・」
「もう無理だ、持ちこたえられんっ!!」
限界を超えたザフィーラは本能の赴くままに白濁を吐き出していた。
乳房によって圧迫されていたせいか、凄まじい勢いでアルフの顔を打っている。
熱い白濁の樹液がアルフの顔をパックする。
アルフの生命力に満ちた美しい顔を、白濁の精液が汚しつくしていた。
だが、それで火照るアルフの肌も、喘ぐ声も、全てが淫らに思えてしまい、ザフィーラの雄の本能が昂ぶってしまう。
「ん、ちゅ・・・白くて濃いの、一杯出てきたねえ」
「すまん。こんなに出るとは・・・」
「別に気にしなくてもいいよ。ん、あむっ・・・」
徐に両の乳房を寄せたかと思うと、白濁をそこに溜めて舌を伸ばしていく。
音を立てて舐める、その光景に肉棒が敏感に反応を見せる。
まだまだ、コレで終わりではない。
「・・・どうし、あ、ふあぁん、ちょ、ちょっと・・・何するんだいっ!?」
「今度は私の番だ」
アルフの火照った身体を布団の上に横たえ、敢えてうつ伏せに寝てもらう事にした。
肉付きのいい尻がこちらに向く様に、手早く体勢を整える。
「・・・この格好、恥ずかしいじゃないか。まあ、アタシ達の場合、原型が狼だから、ある意味では、正しい形とはいえ・・・」
訳が解らぬまま、一瞬で四つん這いにされ、戸惑った様に振り返り、アルフは視線をザフィーラに向けている。尻を突き出して、秘所まで丸見えの格好。
「私としては、狼の本能からか、この体位が好みなのだが・・・駄目か?」
「ふっ、まぁ、しょうがないね。ほら、するんなら、さっさとしな」
『しょうがない奴だね』とでも言いたげな苦笑を浮かべ、アルフは尻と尻尾を振って、続きを促してくる。続きをしたい、その気持ちは双方同じだった。
「・・・ん、はぁ、んんっ・・・や、あぁん・・・・」
さらけ出された淫穴に指を少し突っ込んでみる。
ただ、それだけで、アルフは敏感に身体をしならせ、悩ましく喘ぐ。
思った以上の反応に指が止まるが、アルフの潤んだ声が先を催促する。
「は、速く・・・指じゃなくて・・・アンタの太いのを入れて・・・」
薄っすらと色づいた身体を切なそうに揺すり、アルフは懇願する。
それに答え、ザフィーラは優しくアルフの細い腰を掴み、ゆっくりと自らの一物を淫穴に宛がい、一気に貫いた。不躾な侵入者を追い出そうとするかの様に、アルフの淫筒がきつく締め付けてくる。擦れるだけで精を一気に奪い取られそうな狭い道を、確実に押し進め、肉竿を沈めていく。
「・・・あ、あぁ・・・ふあぁぁ・・・・ふ、太い・・・」
か細い声を漏らし、ビクビクとアルフは身悶える。彼女の状態に配慮してザフィーラは緩やかに肉棒を行き来させる。その度に淫蜜が結合部から零れ出した。
「ふあぁ・・・す、凄い・・・ゴリゴリって・・・ン、はうぅ・・・・き、気持ちいい・・・」
アルフの顔は快感で蕩け、熱い息を漏らしている。
ザフィーラは背中からアルフの2つの膨らみを鷲掴みにしていくと、アルフは切なそうに身体をビクビクと波打たせた。アルフの胸は実に素晴らしい弾力で、手にずっしりと来る重さがあり、揉み応えがある。
「・・・あ、んあぁ・・・そ、そんなに強く・・・はふぅん・・・・」
その形、大きさを確かめる様に、少し乱暴に揉みしだいてやると、アルフは甘い喘ぎを漏らし、小刻みに痙攣した。

397 夜刀浦奇譚 :2013/02/08(金) 10:01:00 ID:nRUsxkEI
「どうだ?」
「いい、いいよ・・・凄く気持ちいい・・・もっと、もっと激しく動いておくれ・・・」
要請に応じ、ザフィーラはアルフの腰を掴み、猛然と腰を突き出した。
最奥部まで肉棒を突きいれ、強烈に掘削する。
「あ、あぁ・・・・ぉ、奥に、奥に来てるぅ・・・硬いのが、奥にぃ・・・・」
肉襞が貪欲に吸い付き、肉棒の表面をザラザラと刺激する。
締め付けの具合も凄まじく、食い千切らんばかりの勢いだった。
瞬く間に射精欲求が高まっていく。
「あん・・・んあ、ふぅ、な、中に・・・出して、アタシの中を注ぎ込んでぇっ!!」
「・・・いいだろう、中に出すぞっ!!」
苛烈な掘削作業の果て、肉棒は引き抜かれる事なく、そのままアルフの中で果てていった。アルフの温もりを感じながら、それよりも遥かに熱い衝動を注ぎ込む。
「熱いのが来てるぅ・・・いい、いい・・・もっと欲しい、もっと突いてぇ・・・!!」
「了解した」
射精が終わっても、尚逞しい肉棒を一心不乱に動かし、白濁液で満たされた子宮を叩き上げる。収まりきれなかった白濁が結合部から流れ落ちる。
しかし、そんな事はお構い無しにザフィーラは文字通り猛る獣と化して、アルフを容赦なく突き続ける。アルフの方も自分から腰を振り、肉棒を締め上げる。
「ほら、アタシも動くからぁ・・・・もっと一杯、気持ちよくして、アタシがおかしくなっちゃうくらいに・・・ん、はぁうん・・・・!!」
尻肉をしっかり掴み、ザフィーラは狂った様に何度も肉棒をぶち込んだ。
もっと乱れたアルフが見たい、そんな想いからザフィーラは精液で淫蜜で満たされた子宮を肉棒でかき回す。アルフの内部は奥に行く程、狭かった。
更に肉棒を逃すまいと、そこから射精を促す様に肉襞が擦りあげてくる。
それが堪らないほど、気持ちよくザフィーラの射精欲求をもたらす。
「も、もう・・・駄目ぇ、アタシの中、ビクビクと震えてるぅ・・・」
またしても痙攣する様に、子宮の最奥が震え、それがザフィーラにとっては凄まじい快感であった。絶頂はもう直ぐそこだった。
再び肉棒の奥底から熱い物が競りあがってくる。
「ぐっ・・・ぐおぉぉっ!!」
圧倒的な快感の電流がザフィーラの全身を駆け巡り、勢い余って肉棒を引き抜いていた。飛び出した肉棒が淫核を擦りあげていった。
不意打ちを喰らったアルフは、その瞬間、絶頂に達していた。
「ぁ、アタシ・・・いっちゃったよぉ・・・・」
「私ももう限界だぞ」
今度の射精はアルフの肢体にぶちまけられた。
アルフは肩で息をしながら、降りかかる白濁のシャワーを受け止めていた。
射精が終わる頃には、アルフは全身真っ白になっていた。
「・・・凄い格好だな」
「誰のせいだと思ってるんだい、全く・・・」
全身白濁塗れのアルフは、未だに絶頂の余韻が消えないらしく、発情した雌狼の様な淫らな雰囲気を纏っている。ザフィーラはそんな彼女を抱きしめ、優しく口付けた。

398 黒天 :2013/02/08(金) 10:03:22 ID:nRUsxkEI
ここで一旦切ります。投下される方はご自由にどうぞ。
そういえばザフィアルのエロ書いたの初めてだった。
次回から戦闘パートになります。

399 名無しさん@魔法少女 :2013/02/08(金) 21:19:47 ID:Q2XJ5iVU
>>398

夜刀浦奇譚、楽しく拝読させて頂いています。
投稿間隔も早くて、読者としては物語の続きがすぐに読めるのは嬉しい限りなのですが、
読み返していて、これは物語のどの辺りだったか分からなくなることが多いので、
話数と投下番号を振って頂けると嬉しいです。

400 黒天 :2013/02/10(日) 10:02:27 ID:OVaBpspE
了解しました。タイトルの後に数字を入れて投稿してみます。

401 アルカディア ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 15:37:57 ID:ODgWVm/I
人の居ない時間帯なので、投下をさせて頂きます。
かなり長い投下になりそうですので、ご注意をお願いします。

402 アルカディア ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 15:39:57 ID:ODgWVm/I

 注意:この作品は非常に濃い鬱展開や暴力的描写、性描写などが含まれます。
    そのような倒錯的な描写を好まれない方は絶対に目を通さないようにして下さい。

    これらは、倒錯的嗜好の持ち主の読者様のために書かれたSSです。

    鬱展開や暴力描写などを許容できる方、ではなく好んで読まれる方のみ目を通されることをお勧めします。
    
    ユーノ祭り投稿作ですが、熱心なユーノファンの方には、この作品はお勧めできません。
    ユーなのやクロエイカップリングの作品を好まれる方にも、この作品は良くない影響を与える可能性があります。
    閲覧中に気分を悪くした方がいましたら、すぐに閲覧を中断して、原作、もしくはお好みの良SSなどを見て気分転換して下さい。

    作者自身、この作品には非道徳的な面が多く、二度とこのような作品は書くまいと反省しておりますが、
    一度書いてしまったものをお倉入りにするのも忍びず、恥知らずにも恐る恐る公開に踏み切らせて頂きました。
    この程度の温い描写で何を大袈裟に書いているのだと、読者の方に一笑に付して頂ければ、これ以上の幸いは御座いません。

403 アルカディア ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 15:41:29 ID:ODgWVm/I
 春は、すぐそこまできていた。

 頬を撫でる風の掌は日に日に柔らかさを増し、ここ数日は心なしかアブラナの薫りをはらんでいた。
 長く茶色い稲株を晒していた休耕期の田園には、薄紅色のげんげの花が咲き乱れ、冬眠から目覚めた蜜蜂がその周りを取り囲んでせわしなく翅を羽ばたかせていた。
 海鳴の各所に絨毯のように広がるシロツメクサの花畑では、細い花茎の先に白く小さな冠がいくつも頭をもたげている。
 幼き頃に友人たちと花輪を作った記憶を思い出して白い花畑を覗き込むと、小さな四つ葉が背伸びをしていた。
 
 少女はそっと目を細めると、指先ほどの四つ葉を優しく摘み取り、胸ポケットに挿した。

 町の各所に溢れる春の息吹。 
 その欠片を拾い集めるように、少女は海鳴の町を軽やかな足取りで廻る。
 希望に満ちた微笑に、ほんの小さな憂いを落として。

 慣れ親しんだ筈の海鳴の町。あちらこちらで桜の木々が梢の先に小さな薄桃色の綻びを覗かせていた。
 あと二週間も経てば、そこら中で競うが如く満開の桜が咲き乱れる筈だ。
 何度繰り返しても変わらなかった、年月と自然の巡り。人の巡り。
 春は変化の季節だ。
 私立聖祥大学付属小学校に入学した幼き日のこと。かけがえなき友人達との出会い。
 春が巡るごとに繰り返された、進級とクラス替え。
 少女は軽く瞼を閉じるだけで、輝きに満ち満ちているこれまでの人生の思い出へと飛翔することができる。
 
 この世界に生を受けてから十五年。
 己はまだ幼過ぎると言っていいぐらいの若輩ものであることを少女は自覚しているけれど。
 彼女がこれまでに辿ってきた運命は決して平凡なものではなく、常人には決して計り知れない数奇な出会いと別れに満ちていた。


 その始まりの地は。

 少女は静かに足を止めた。
 そこは、とある臨海公園の一角だった。『海鳴』の名を表したかのように、潮騒の音を落ち付いて楽しめる市民の憩いと安らぎの場である。
 中央の大広場をぐるりと取り囲むように樹勢の良いソメイヨシノが立ち並び、毎年の春には花見の名所としても親しまれていた。
 しかし、少女が足を運んだそこは、誰もが足を止める大広場ではない。
 常緑樹による街路樹が鬱蒼とした緑の葉をこんもりと茂らせる、どこか裏路地めいた公園の脇道である。
 何の変哲もない小路。少女はそこを懐かしげに見渡した。  


 もう、あれから六年にもなるのか。あの鮮烈な出会いの日から。
 
 ――六年前の春の日。彼女が小学三年生に進級したばかりの四月。
 少女は、一匹のフェレットと出会った。ほんの小さな出会いのはずだった。けれども、それは彼女のみならず多くの人々の運命を変えた出会いで。

 彼女は胸に手を当て、若々しい春の息吹に満ちた公園の空気をその鼻腔に満たした。
 今まで暮らしてきた世界とは違う、もう一つの世界。その存在を知った時には、その輝きに目を奪われて、自分の生まれ育ったこの世界が色褪せたように思えたこともあったけれど。
 いざ旅立ちの日が近づくとなると、なんと名残惜しいのだろう。
 今日一日、この町のあちこちを巡って歩いたけれど。どこもかしこも、大切な思い出で溢れていた。
 これまで自分を育んでくれた、家族と、友人と、この町に。

 ありがとうございました、と心の中でそっと頭を下げた。 



「やっぱりここにいたんだね、なのは」

 ぽん、と肩に置かれた柔らかな掌。
 振り返ると、馴染みの少年の穏やかな笑顔があった。

「ユーノ君」

 少女――高町なのはは、振り向きざまに、最高の親愛と信頼を籠めた笑顔でそのかんばせを輝かせた。
 そして、ユーノの視線を誘うように、地の一点に瞳を落とした。
 なのはの肩に掌を乗せたまま、少年もじっとその場所を見つめた。
 全ての始まりの地。二人の運命の歯車が動き出した場所。
 二人の間に言葉は必要無かった。
 ただ、出会えたこの数奇な運命に感謝を捧げ、これからの未来の思った。
 なのはは、肩にユーノの掌の熱を感じていた。優しくて、心落ち着かせる彼らしい温かさを。

「行こう、みんなが待ってるよ」
「うんっ」

 なのはは頷くと、自分の肩の上にあったユーノの掌を壊れ物でも扱うかのようにそっと両手で包み、その指に己の指を絡めた。
 
「行こう、ユーノ君」
「う、うん」

 なのはに手を引かれ、頬を紅潮させながらユーノが歩き出す。
 最後に――なのははもう一度だけ公園を振り返り、己の運命が始まった場所に別れを告げるように、小さく手を振った。

404 畜生道2 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 15:42:27 ID:ODgWVm/I
 新暦72年の春のことである。
 中学卒業を間近に控えたなのは達の、ミッドチルダ移住はすぐそこまで迫っていた。
 これまでも私立聖祥大学付属中学校に通う傍ら、魔導師としての活動も続けてきた三人だったが、中学校卒業を機にミッドチルダで魔導師業に専念することになったのだ。
 二足の草鞋を履いていたとは云え、今までの活動も決して生易しいものではなかった。
 新暦65年になのはとフェイトの二人が管理局の武装隊に入隊して以来、多くの過酷な試練が彼女たちを待ちうけていた。
 なのはの撃墜事件。度重なるフェイトの執務官試験への挑戦。
 ミッドに移住して専業の魔導師として活動することによって、彼女たちの戦いはより激しさを増していくだろう。
 それなのに、なのはの表情には不安や翳りは微塵もなく、ただただこれからの未来に対する希望の光に満ちていた。
 ユーノは、そんななのはの横顔を、直視しきれない眩しいものでも見るように、そっと目を細めて見つめていた。

「あ、帰ってきたきた」

 待ちくたびれたとばかりに手を振るのは、友人のアリサだ。

「もう、どこで何やってたのよ! さあ、とっととパーティを始めるわよ! わたしたち皆の中学卒業と、あんた達のミッドチルダ行きの記念パーティ!」
「えへへ、ごめんごめん」

 アリサ、すずかとその家族達、フェイト、クロノ、八神家の面々と、高町家の面々。
 中の良いいつもの面子が、パーティの会場として供されたバニングス家の庭に集っていた。
 ユーノがちらりとフェイトに視線を送ると、委細承知していると告げるような、穏やかな頷きが返ってきた。

「ユーノ、なのはのお目付け役、御苦労だったな。思ったより早く連れて帰ったじゃないか」
「当てが有ったからね」

 素っ気なくそう返事をすると、クロノはからかうような調子で続けた。

「二人の思い出の場所、というやつか?」

 びくり、と背筋が震えた。内心の動揺を悟られないように、

「いや、何となくなのはの行きそうな場所を廻っただけだよ。この町での彼女との付き合いは結構長いからね」

 と嘯くと、クロノは「ふーん」とだけ短く返し、それ以上の追及はして来なかった。
 心中で胸を撫で下ろしながら、ユーノはフェイトと言葉を交わすクロノの後ろ姿を見つめた。
 

『あの日、ユーノ君に会えて本当に良かったって、今でも思うんだ』

 何時のことだろう。あの場所を前にして、なのははそう語った。

『あの日、ユーノ君に会えたお陰で、フェイトちゃんや、はやてちゃんや、クロノ君や――ミッドチルダの、色んな人たちと出会えた、友達になれた』

 語りながら、屈託なく微笑むなのはの顔を、ユーノは忘れない。

『ユーノ君に出会えたから、今のわたしになれた。だから、ユーノ君には感謝してもしきれないんだ』  

 その掛け値なしの親愛の言葉に胸を刺されたような痛みを覚え、ユーノは胸中で頭を振ったものだ。
 
 ――違うよ、なのは。
 ――君に出会えたことこそ、僕の奇跡だった。あの日、君に会えて本当に良かった。
 ――君がレイジングハートを手にとったあの日。桜色の魔力光が溢れたあの瞬間。
 ――疲れてくすんでいた世界が色彩を帯びた。この世に、本当に輝けるものがあることを知ったんだ。
 

「それでは、これから聖祥大付属中学校卒業おめでとう&なのは、フェイト、はやての行ってらっしゃいパーティを始めます!」

 ユーノの回想は、高らかに宣言するアリサの声と、万雷の拍手の音に掻き消されていった。




             ○

405 畜生道3 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 15:43:26 ID:ODgWVm/I
 ローレル・アップルヤードは無限書庫の新人司書である。
 ユーノ・スクライアの司書長就任に伴って、無限書庫は大きな内部改革が行われた。
 膨大なデータを死蔵するばかりだった巨大データベースが、必要に応じて臨機応変に資料を閲覧できる実働可能状態まで変革されたのである。
 ローレルはその改革の際に、外部からユーノに勧誘を受けた司書の一人であり、無限司書では一番の新参者である。
 しかし、彼女は持ち前の愛嬌と誠実な働きぶりで、司書達からの信頼は頗る篤く、ユーノの助手として働くこともしばしばだった。

「それにしても、ユーノ司書長は本当に凄い方ですよ」

 ユーノの指図に従って、本の山を抱えて右に左に歩きまわりながら、ローレルは幾度目か分からないユーノへの賛辞を口の端に上らせた。

「だって、この本棚、ユーノ司書長が改革を始めなかったら、ここからあっちまで、ぜ〜〜〜んぶ、迷宮の底に沈んでたんですよ!
 その上ミッドチルダ考古学界では一流の学士で名前が通ってますし、結界魔導師としても優秀で魔導師ランクも総合Aランク持ちなんですよね!?
 わたし、ユーノ司書長にこの無限書庫に採用して頂けて本当に良かったです。わたし、将来はユーノ司書長みたいな立派な司書になるのが目標なんです」

 屈託の無い笑顔で語るローレルに、ユーノはどこか寂しげな苦笑を返した。

「僕なんて、そんなに褒められたようなものじゃあ無いよ。無限書庫の探索だって、全体を見れば終わったのは1%にも満たない隅っこの浅い領域だけだからね。
 ……それに、魔導師としての僕なんて、二流がせいぜいだ。本当に凄い才能の持ち主に比べれば、僕なんて――」

 ユーノの口調が自嘲的な翳りを帯びた。ローレルは慌てて取り繕うよう手を振った。

「そ、そのユーノ司書長の言う、『本当に凄い才能の持ち主』って、あの高町なのはさんや、フェイト・テスタロッサさんのことですよね?」

 ユーノは、口の端に微かな苦笑を浮かべて肯定の意を示した。

「でもでも、お二人とも最初からAAAランクの魔力を持ってて、今ではSランク魔導師なんですよね!? そんなの、例外中の例外ですよ!
 そんな魔力量、持ってる方がおかしい、っていうか。わたしなんて、何年も試験にチャレンジしてるのに、未だにCランクなんですよ!」
 
 熱弁を揮うローレルの頭にポン、と掌を乗せると、

「今日はこのくらいにして、そろそろ上がろうか。ローレルもお疲れ様」

 と告げた。
 不承不承といった面持ちで口を噤んだローレルだったが、上目遣いにユーノを見上げて、

「確かに、ユーノ司書長は、そんな雲の上のエースの方たちに比べれば凡人だと思います。
 でも、わたしはそんなユーノ司書長の普通の人っぽさが好きですよ。なんていうか、親しみが持てて――ユーノ司書長?」

 どこか遠い瞳で無限書庫の深淵を覗きこんでいたユーノは、ローレルの呼びかけに我に返ったように振り向き、穏やかな微笑を浮かべた。
 眼鏡の下の優しげな眼はいつもと変わらぬユーノのそれで。
 ユーノの顔が、一瞬冷たく恐ろしげなものに見えたことは、単なる自分の錯覚だろうとローレルは自分に言い聞かせた。

「思ったより、まだ日が高いですね」

 無限書庫から出ると、ミッドチルダの春の陽光がユーノ達を照らし出した。
 爽快感がある半面、穴から追い出されたモグラになったような気もする。
 大きく伸びをしていていると、細い指先が柔らかくユーノの服の裾を摘まんだ。

「あのあの、ユーノ司書長、良ければ今日一緒にお食事とかは――」
 
 はにかみながらそう声をかける彼女の視界に、満面の笑顔で大きく手を振る、栗毛の女性の姿が映った。
 伸びた背筋、意志の強そうな瞳、自信に満ちた貌と、迷いの無い立ち姿。一目で分かった。彼女こそ、若きエース・オブ・エース、高町なのはだ。
 手を振りながら駆けてくる彼女に気圧されるように、ローレルは一歩後ろに退がった。
 
「ごめん、ローレル。今日はなのはと先約があるから、またね……」

 社交辞令程度の断わりの言葉を告げて、ユーノはなのはと歩き出す。
 その右手に、なのはが素早く己の左手を絡めたのをローレルは見逃さなかった。

「……何よ、司書長の言う通りじゃない。あんなの、勝てるわけないじゃない」

 残されたローレルはポツリと呟き、親指の爪を噛んだ。

406 畜生道4 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 15:44:26 ID:ODgWVm/I
    ○




 中央区画の馴染みのレストランで食事をしながら、ユーノはどこか上の空だった。 

『でも、わたしはそんなユーノ司書長の普通の人っぽさが好きですよ。なんていうか、親しみが持てて』

 ローレルの声が、耳の奥で反響する。
 ――普通の人っぽさ、か。
 眼前のなのはの横顔をそっと見つめる。
 不屈の、エース・オブ・エース。その称号は、単に生れつきの魔力量によるものではない。
 その純粋で強固な意志。まるで、ピンクダイヤモンドの如き魂の輝き。
 それこそが、彼女をエース・オブ・エースたらしめている由縁だ。
 フェイトだってそれは同じこと。イエローサファイヤのような澄み切った怜悧さと、その奥に秘められた温かな優しさ。
 彼女達は、自分がどうやっても手の届かない、宝石の如き本物の輝きを持っている。 

 なのはは、胸元の大きく開いた紫色のワンピースに身を包んでいた。
 普段以上に女性らしさを感じさせる幼馴染の装いに、朴念仁とクロノにからかわれるユーノも、己の胸が高まるのを自覚していた。
 しかし、彼女の豊かな胸のふくらみの間に挟まれるようにして輝く、ネックレス代わりに吊られたレイジングハートを光沢を目にした瞬間、胸を騒がせる鼓動がすっと引いていくのがユーノには分かった。
 レイジングハート。高町なのはを象徴するように輝く、彼女の魔杖。
 自分では、ついぞ輝かせることができなかった、高級デバイス。
 あの日、海鳴でなのはが初めてレイジングハートを輝かせた瞬間、己の中で溢れた数々の感情。
 驚嘆。歓喜。賞賛。羨望。嫉妬。
 ――あの瞬間、疲れてくすんでいた世界が色彩を帯びた。この世に、本当に輝けるものがあると知ったんだ。
 ――空に輝く宝珠を見つけたあの瞬間、僕は自分の内に黒い井戸を掘った。
 ――どうして、僕はあんな風に輝くことが出来なかったんだろう。そんな、己の内から湧きだす真っ黒いコンプレックスを埋めて隠すための井戸を。
 
 そうして、僕は恥知らずなことに、今もこうして何食わぬ顔でなのはと話をしている。
 
「どうしたの、ユーノ君? わたしの顔に何かついてる?」

 なのはの一声で、ユーノは思考の隘路から引き戻された。 
 ――最近、もの思いに耽る時間が増えている。
 それがあまり良い兆候ではないことをユーノは自覚していたけれど、考えずにはいられなかった。
 自分は、なのはの隣に立つのに、相応しい人間ではないのではないか。自分如という人間は、エース・オブ・エースの翼の重荷にしかならないのではないだろうかと。

「もう、変なユーノ君」

 そう言いながら、なのはは見つめられていたことは満更でも無いと言うかのように、無邪気な笑顔を見せた。
 なのはやフェイトの隣に立つのに、相応しい人物がいるとすれば、それは一体どんなだろう?
 強くて、誠実で、質実剛健な男性。……それは、あっけないほど直ぐに思い当たった。
 
 クロノ・ハラオウン。

 時空管理局の提督であり、L級艦船「アースラ」艦長でもある。
 それでいて、魔導師としても一級のAAAランク。非の打ちどころの無い好漢である。
 クロノの強さは、なのはやフェイトのような、才能の輝きに恵まれた強さではない。
 そう、例えるならば、幾度も幾度も繰り返し鍛え上げた、玉鋼のような強さを持ったような男なのだ。

 ユーノがクロノと出会ったのは、六年前の、なのはとフェイトに出会ってから間もない日のことである。
 その時、クロノに対して言葉に出来ない反感のようなものを覚えたことを記憶している。
 あれは、フェレット野郎とからかわれたことに対する反感だけではない。
 そう。――己は、クロノ・ハラオウンという男が羨ましかったのだ。

「また黙っちゃって。ユーノ君、今日はどうしたの?」

 何でもないよ、と笑顔で返しながら、得体の知れない不安にユーノは怯えた。
 これまで、漠然と抱いていた、『自分ではなのはの隣に居られない』という不安と、才気に恵まれた友人達に囲まれていることのコンプレックス。
 それが自分の中で解体されることで、全く異なる感情へと変化している――そんな、得体の知れない不安だった。
 

       ○

407 畜生道5 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 15:48:06 ID:ODgWVm/I

「珍しいね、君から僕に話があるなんて」

 馴染みの店で手振りだけで注文を済ませ、クロノは半ば自分の指定席となっている椅子に腰を預けた。
 店内には、クロノ達以外の客は居らず、無愛想な店主が独りグラスを磨いていた。
 対面に座ったユーノは、幾分強張った面持ちで、机の木目を見つめている。
 『どうも最近とユーノの様子がおかしい、何か悩み事があるようだ』となのはから聞いてはいたが、彼女の言に間違いは無かったらしい。
 程なくして運ばれてきたジンのグラスに唇を這わせながら、それとなく友人に視線を運ぶこと数分。
 クロノは無遠慮な言葉を投げかけるような真似はせずに、友人が口を開くのを優しく待った。
 店主は二人の間に流れる空気を静かに察して、店のBGMの選曲を落ち着いたクラシックへと換えた。
 クロノは無言で親友の表情を観察していたが、その瞳に強い決意を色があるのを見て、若干の安堵と、これから語られる言葉への期待に口の端を吊りあげた。

「はやての作ろうとしている部隊についてのことなんだ」

 ユーノの、第一声はそれだった。
 クロノは片眉を上げて、静かに続きを促した。

「はやての作ろうとしている部隊に、僕も参加できないかな?」
 
 言葉の意味と、ユーノがそれを口にした決意を余す所無く受け取って、クロノはその黒い瞳でユーノの翠眼を覗きこんだ。
 八神はやてが設立しようと現在奔走している部隊――古代遺物管理部機動六課(仮称)は、現在各方面から優秀な人材を集めている。
 まだ、後見人――カリム・グラシアや、レティ・ロウラン、そして当のクロノ・ハラオウンらが正式に決定したばかりで、部隊の組織に関しては白紙に近い状態だ。
 確実なのは、司令部を総隊長である八神はやてが、2つのフォワード部隊をそれぞれ、航空戦技教導隊と本局から出向扱いになっているなのはとフェイトが隊長として指揮するということだけだ。
 
 構成人数は約50人程度を予定しているが、カリムやクロノらのみが知る、「ある事情」によって、小規模ながら優秀な人員が求められているのだ。
 実戦に携わるフォワード部隊については、Sランク相当の手練を5人という、不自然なほど充実した保有戦力によって、当面は新人の育成を行う余裕があるだろうと予想されている。

 フェイトが保護したプロジェクトFの被害者の少年。
 同じくフェイトが保護した、ル・ルシエ出身の竜召喚士の少女。

 なのはも、陸士訓練学校や陸上警備隊で何人か見所のある新人を見繕っているらしい。

 出生や経歴に事情にある人材は、敬遠されることも多い。
 だが、はやては、出生経歴関係無しに――寧ろ、事情のある子供達の社会復帰の助けにもなるとして――優秀な人材を集めて、部隊を組織しようとしている。
 
 そこに、ユーノ・スクライアという魔導師が活躍する余地があるかと問われたなら――

「ふむ、それは、部隊の後見人を務める身としては、願っても無い話だけどね」

 努めて、クロノは私情を表に出さずに、ゆっくりと言葉を選びながら事務的な口調で続けた。

「知っての通り、フォワード部隊の隊長を務めるなのは達には、大幅な魔力制限が加えられることになる予定だ。
 彼女達の実力なら魔力制限下でも可能な限りの最高のパフォーマンスを発揮することができる筈だ。
 それでも――君が部隊に入ってくれれば、有事の際には、報告を受けて制限解除の決定を下すことしかできない僕達より、もっと小回りを利かせて彼女達の力になれるだろう」

 何より――。そこで言葉を区切り、ジンのグラスを傾けて、クロノ頬を緩めた。

「結界や捕縛に長けた君なら、すぐにでも部隊の即戦力として戦うことができる。
 フォワード部隊のフルバックなんて似合いじゃないかな。君のその豊かな学識を生かして、新人たちの座学の講師を務めてくれてもいい。
 なのはやフェイト達も、きっと喜ぶだろう。彼女達も、君がいればきっと心強いはずだ」

408 畜生道6 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 15:50:29 ID:ODgWVm/I
 予想していなかった過大な賛辞に、かあ、と頬が紅潮するのをユーノは感じていた。
 このフェレット野郎――
 そんな風にからかわれていたのは、幼少時代の過日の話。
 この好漢は、クロノは、自分を見てくれている。評価してくれている。
 そう考えるだけで、どれだけ冷静に努めようとしても頬は上気し、心臓の鼓動は高まる一方だった。

「それで――本業の方はどうするんだい、無限書庫の司書長さん?」

 どう考えているんだ?
 見透かしたように、クロノは目を細める。
 考えていない筈など無かった。
 理想を語るよりも先に、まずこの眼前に横たわる如何ともせん自分の現実を打開しなければ、ここから一歩も進めないことぐらい、ユーノはとうに承知していた。
 
 ユーノは手つかずだったオレンジジュースを一気に飲み干すと、コースターに叩きつけるようにして机を揺らした。

「部隊が本格的に活動を開始するのは、おそらく三年後の新暦75年。
 その三年間で、十年分の成果を出して見せる。
 その三年間で、優秀な人材を集め、未だ混沌から抜け出せない無限書庫を体系立てて整理し、僕抜きでも資料の発掘と整理が進められるように、無限書庫を改革して見せる!
 はやての部隊は実験的な部隊だから、実働期間は恐らく一年間だ。
 その一年間のみの、無限書庫からの出向という扱いにしてもらっても構わない。

 それでも――駄目かい?」

 クロノの瞳が、俄かに見開かれた。
 グラスの底の僅かな残りを飲み干して、酒精混じりの溜息を吐く。

「少し、君が分からなくなってきたよ、ユーノ。
 君がはやての部隊に来てくれる――それは、こちらとしてもいい話なんだ。
 一年間の実験部隊だ、お偉方相手に横車を押さなくても、三年後までにそれなりの成果を出して貰えれば、きっとすんなり出向は通るよ。
 君ならそれぐらい計算できているはずだ。
 それなのに――どうしてそんな苦行のような条件を、自分に課さないといけないんだ?」

 ユーノは、普段の彼からは想像もつかないような熱の籠った視線で、クロノの黒い瞳を覗きこんだ。

「僕の、覚悟を知って欲しかったからだよ」
「覚悟?」

 心当たりがない、とばかりに、クロノは首を傾けた。

「僕は、君達に追い付きたい。君達に並べるような、何者かになりたい」

 その言葉は、やはり、クロノにとって理解出来ないものだったからだ。
 
「ずっと、こんな負け犬のような気分でいるのは厭なんだ。
 自分にとって誇れることが、なのは達と一緒に戦えたことだけ、なんてのは厭なんだよ。
 これ以上、なのはや君に離されていくのは厭なんだ!」
「魔導師としての適性は、人それぞれだ。
 たとえ、空戦で君がなのはに勝てなかったとしても、君には君の良さが――」
「そんな話じゃないんだよっ」

 激情を露にしたユーノを宥めるように、クロノはその肩に両手を置いて、額がぶつかりそうな距離で視線を交えた。

「分かった。全部、最後まで僕が聞くから、最後まで話してくれ」

 すう、と息を小さく吹くと、溜め込んだ悔恨を吐き出すかのように、ユーノはぽつぽつと語り出した。

「駄目だったんだ。無限書庫で何年働いても、多少人に褒められるような成果を出したとしても。
 この仕事が嫌いってわけじゃないんだよ。いや、僕の性格にも能力にもピッタリの、最高の職場だ。
 価値のある尊い仕事だってことも解ってる。きっと、これ以上の職場はどこを探してもなだろう。
 それでも――駄目だったんだ。働いてる途中に、なのはや君と一緒に戦っていた頃の思い出ばかり浮かんできてしまう。
 なのはや君が働いてるところを想像をすると、僕はこんな所で何をしてるんだろう、ってそんなことばかり考えてしまう。
 昔も、君達と一緒に戦った時も、何時の間にか僕は置いてけぼりで――」
「そんなことは無かった筈だ。なのはに魔法の手ほどきをしたのは君だし、闇の書事件の時も、君が無限書庫で探索してくれたお陰で、解決の手がかりが掴めた」

 遠い目で。うっとりとしたような表情で、ユーノは呟いた。

409 畜生道7 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 15:52:55 ID:ODgWVm/I

「ジュエルシード事件に、闇の書事件。悲しい事も辛い事も沢山あったけど、……今思い出すと、懐かしいし、楽しかったよね」
「……ああ、楽しかったな」

 数瞬の逡巡の後に、クロノは静かにそう首肯した。

「僕はあの頃から――君にフェレット野郎と呼ばれていたあの頃から、一歩も進めなかったんだ。
 自分が、君やなのはに劣る人間としか思えなくなった。君達を基準にしないと、物事が量れなくなってしまったんだ」
「――どうして、そんなことに」

 呆然と呟くようクロノに、ユーノは眼鏡を押し上げ、滴り落ちる涙を子供っぽい仕草で手の甲で擦りながら首を振った。

「どうしてなのかは、僕自身も解らない。
 ただ――僕は、君達が羨ましかった。ずっと、君達のようになりたかったんだ……
 でも、もうそんなのは厭だ。なれもしない君達の背中ばかりを見つめる続けるのは厭なんだよ。
 僕は――僕になりたい。君やなのはやフェイトに胸を張れる、自分を君達と比べなくても独りで立てる、自分自身になりたいんだ」

 親友のあまりに重い告白をクロノは唇を震わせながら聞いていた。
 ――こいつは、こんな悩みを独り抱えていたというのか? それも、出会ってから、ずっと。
 ――なのはは、ユーノが何か悩みが有るんじゃないかと言っていた。
 ――こいつは、ずっと悩んでいた、その徴がありながら、自分は気付くことも出来なかった……

「どうして、今まで――」
 
 問いかかって、口を噤んだ。
 これ程の告白を――劣等感の対象である自分に対して行うことは、一体どれだけの覚悟が要っただろう、と。

「いや、すまない。よく話してくれた」
「悪かったね、クロノ。詰らない悩みを聞かせてちゃって。女々しいよな、僕」

 ユーノは目を真っ赤にして、弱々しく微笑んだ。
 クロノは迷い無く、男にしては華奢すぎる肩を抱きしめた。

「すまない、気付いてやれなくて。
 君が自分の事をどう評価しているかは知らない。それは、君が自分で決めることだ。
 それでも。
 僕は、君が僕やなのはやフェイト達に劣った人間だなんて、一度たりとも思ったことはない。
 ユーノ・スクライア。君は、僕が親友に呼ぶに値する、立派な男だと心の底から信じてる。
 だから――そんなに、自分を卑下しないで。自分を大事にして欲しい。
 そして、早く君自身の力で、君の自信と誇りを、取り戻して欲しい。
 僕に出来ることがあれば、何だって言ってくれ。君のためなら、何だって協力するから。

 ――それから。
 ずっと謝ろうと思ってたんだ。
 昔、君のことを『フェレット野郎』だなんて悪口を言って、本当にすまなかった」

 ユーノは暫し呆然としていたが、

「謝るなよ、そんな昔のことで……」

 そう言って、もう少しだけ、涙を流した。




     ○

410 畜生道8 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 15:54:41 ID:ODgWVm/I



 ユーノは、自宅にアパートに戻ると椅子に腰を落とし、愛用のコーヒーサーバーに湯を注いだ。
 膝を抱えて座りこみながら、クロノの言葉を思い出して、また少しだけ泣いた。

 ユーノの自室は、無限書庫の司書長らしく、機能的に整理されていながらも、雑多な本に溢れていた。
 中でも、机に高々と積まれている一連の本は明らかに書店で市販されているものではなく、長い年月を蓄えた稀覯書としての趣を備えていた。
 いや。それらは稀覯書の域にすら留まらない。
 見るものが見れば、一目で解っただろう。
 魔導書。それも、かなり古く解読困難な部類の品々である。
 無限書庫からの発掘品だった。
 元来、無限書庫は図書館としての機能も兼ね備えた施設である。
 正当な手続きを踏めば、禁書の類でもなければ大抵の本は持ちかえることができる。
 これらは別段、司書長としての職権を乱用したものではなく、他の一般の書籍と同様に、ユーノが借りて帰った品々だ。
 尤も、専門家でさえ解読困難なこれらの魔導書を、話題のビジネス書の如き気安さで借り帰るなど、ユーノ・スクライア以外には不可能だろうが。
 
 ユーノはそれをひょいと片手にとると、新聞の三面記事でも流し見るかのような手つきでパラパラと捲りながら、卓上のノートに書き写し始めた。
 原始的な手段だが、魔方陣などに存在する魔力の流れを身体で理解するためには、この方法が最も手っとり早い。
 なのはらも学校で習った基礎中の基礎だ。
 しかし、いくら読書魔法を使用した速読を得意としているとは言え、専門家でも一ページ読み進めるのに数週間かかるレベルの難解な魔導書を、この速度で理解を伴って読み進めるなど、
 
 全く、常軌を逸脱した才としか言いようが無い。
 
 だが当人にそんな意識はまるで無く、ただ己の学習のみに専心している。
 この数年、デスクワークにかかりきりで、実戦の場から離れてしまった己。
 それを自分なりに補うために必要なのは、戦闘訓練ではなく、得意分野をユニークスキルへと成長させることだ。
 ユーノは、そう判断した。
 学んでいる内容は、現在はもう失われてしまった、過去の魔導術式。
 魔力を緻密に編み込むことによって、変わらぬ魔力量でより強力な束縛を可能とするバインド。
 魔力糸にAMF近似のエネルギーを纏っており、攻撃にも防御にも利用できる糸の檻。もしかしたら、なのはやフェイトクラスの魔導師も拘束できるかもしれない。
 なのはのディバインバスタークラスの攻撃魔法の直撃にも耐えられる、バリアタイプの防御魔法。
 秘匿性の高い封時結界。魔力の残り香さえ残さず、「そこに結界があった」ということさえ周囲に知らせない、最高位の結界。

 自分がどれだけ強力な――危険なものを学んでいるのか、知ってか知らずか。ユーノは只管に書に没頭する。



 数時間が過ぎた。
 ユーノは年寄りじみた仕草で肩を回し、嘆息を一つ漏らすと、ベッドに顔を埋めるようにして身体を預けた。
 眠気覚ましに濃く煮出したコーヒーは、既に冷めきっている。
 疲労に身体を預けるようにぐったりしていたユーノだったが、もぞり、と腕を伸ばすと、右手でベッドの下をまさぐった。
 
 取りだしたのは、一冊の雑誌だ。
 どこにでもある、駅前にでも売っていそうなありふれたポルノ雑誌だった。

 ユーノはうつ伏せたまま、無言でベルトのバックルを外してジッパーを下げた。
 女顔と友人から揶揄されることも多いユーノだが、多感な年頃の少年である。
 時折、こうして自慰に耽ることもあった。

 適当な頁を開き、無言で性器を擦り上げる。
 回数は、週に1、2回。
 ユーノにとって、自慰とは熱の籠らない、ただ自分の性欲を鎮静化させるためだけの事務的な行為だった。
 用いるポルノにも、頓着はない。特に偏った性的嗜好は無く、雑誌の中のありふれたセックスアピールをその場限りの対象とした。

 無論、身近に性的魅力に溢れた女性が居なかったわけではない。
 ユーノは出会った時から、なのはを異性として意識していたし、フェイトもはやても、周囲の異性の中では抜きんでて魅力的な女性だった。
 二次性徴の真っただ中のこの数年、ユーノがなのは達を女として意識しなかった筈がない。
 健全な少年なら、自慰の妄想の相手に供するのが普通の――ごく当然の、一般的な心理だっただろう。

411 畜生道9 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 15:55:57 ID:ODgWVm/I

 だが、ユーノはそれを退けた。禁忌とした。

 ユーノにとって、なのはやフェイト達は、己の理想なのだ。尊敬すべき相手なのだ。
 崇高な――もしかしたら、宗教的崇拝にも近いかもしれない感情を、ユーノはなのは達に抱いている。
 そんな相手を、自分の自慰の妄想に供することなど、できよう筈も無かった。
 己が、なのは達に性的魅力を感じることすら、自分の汚点と信じ、己を下衆な人間だと蔑み続けてきた。
 そうして、ユーノは時折鬱屈した性欲を、顔の無いポルノ雑誌の女優相手に、機械的に吐き出すのが常だった。

 ところが、この日、ユーノの感情は己でも制御できないほどに昂り、熱を帯びていた。

『ユーノ・スクライア。君は、僕が親友に呼ぶに値する、立派な男だと心の底から信じてる』

 脳裏に、落ち着いたやや低い声と、自分を抱きしめる逞しい腕の感触が甦った。

「くろのっ……」

 意識しないうちに、その名が口から零れ落ちた。
 逞しい腕が、広い肩が、自分より一回りは高い背丈が。
 両肩に掌を置かれた時の熱が、額がくっつきそうなぐらい顔を近づけられた瞬間の、唇の光沢が、意志の強い黒い瞳が。
 次々と、洪水のように脳裏に溢れ出した。

「クロノ、クロノっ!」

 その名を繰り返し呼んだ。その度に、ユーノの秘所は固く反り返り熱を増した。
 
『昔、君のことを「フェレット野郎」だなんて悪口を言って、本当にすまなかった』

 クロノに耳元で囁かれているような錯覚がして、頭がくらくらとした。

「クロノ、クロノ、クロノ、クロノ、クロノ――――――っっっっっ!!」

 吼えるようにその名を叫びながら、ユーノは己の下腹に精をぶちまけた。
 それは、未だかつてユーノが味わったことの無い、強烈な快感だった。
 恍惚のあまり、口角から垂落ちるよだれを拭いもせずに、ユーノは口を半開きにして虚空に荒い息を吐き出した。

 射精が終わり、冷静さを取り戻した時に脳裏に去来したのは、まずは罪悪感だった。
 あの好漢を――クロノ・ハラオウンを、自分はあろうことか、自慰の妄想に供してしまった。
 その事実は、ユーノにとって、頬に迄鳥肌が立つ程の恐怖と後悔をもたらした。
 涙と鼻水を流しながら、次に抱いたのは、「どうして、」という困惑だった。
 自分はゲイではない。過去の自慰でも、男性を使用したことなど無い。それが、どうして今日に限って。

 だが時間が経つにつれ、困惑はさもありなんという納得へと変化していった。
 しっかりと意識を始めたのは最近のこと。
 だが、ずっと無意識に感じていた。意識に上らせるのを避けていた。

 自分は、なのは達の隣に立つには相応しく無い人間だという劣等感。
 なら、どんな人間ならいいのか? という問いと、クロノ・ハラオウンという答え。
 ユーノは、ずっとクロノのことを意識していた。
 クロノのようになりたいという羨望。
 クロノが羨ましいという嫉妬。
 最初に意識していた筈の相手は、なのはだった。
 それが、劣等感と嫉妬、羨望、あらゆる感情が歪みに歪んで縺れるうちに、その対象をクロノへと変えていったのだ。
 最後の引き金となったのは、今日のあれである。

「ごめんよ、クロノ」

 自分の醜さに怯えて震え、涙しながら、胸中で親友に詫びた。
 もう、こんな愚かな真似はしまいと、二度と、二度としまいと、固く胸に誓った。
 しかし。

「クロノっ」

 その名を呼ぶ度に、クロノのことを意識する度に、ユーノの性器は固さを取り戻し、再び熱く脈打ち始めるのだった。
 先ほど脊髄を駆け上った、麻薬よりも遥かに甘い快楽が脳裏に甦る。
 
「もう一度だけ、もう一度だけだ……」

 血走った目で性器を扱きながら、ユーノはうわごとのようにそう呟き続けた。

「ごめん、クロノ、どうして僕はこんなっ、こんなっ!」

 噛み締めた唇から、血が滴り落ちた。
 ――その行為がユーノの日課に堕ちるのは、ごく当然の結末だった。

412 畜生道10 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 15:57:34 ID:ODgWVm/I
 
     ○ 


 その日は、晴天の霹靂のようにやってきた。
 いや、それは正しくはないだろう。
 ユーノはその日が来ることを、ずっと前から予期していたのだから。

 いつもと変わらない日常業務。本局と通信をしながら、無限書庫の浅い層で解析と検索を続けていた時のことだ。

『ユーノ、そっちのデータはどうだ?』

 通信越しのクロノの声に、

「もう解析を進めてる。なのはたちが戻るころには出そろうよ」

 朝飯前、とばかりに解析作業を続けながらユーノは軽やかに応じた。
 ……クロノを相手に、外面を取り繕うことにも慣れてしまった。
 数日は、罪悪感と羞恥心から、クロノの前で面を上げることが出来なかったというのに。
 クロノはユーノの異変に対して、好意的な解釈をして優しく接した。
 その変調の、真の原因を知らずに。

「はいよ、ユーノ」

 子供程の体躯のアルフが、古書籍の束を抱えて持ってきた。
 手が空いているというので、今日は助手を頼んでいるのだ。

「ありがとうアルフ。
 それにしても、アルフも、もうそっちの姿が定着しちゃったね」
「あー、まーね」

 狼の姿でフェイトと共に戦っていた使い魔は、微笑を口元に浮かべた。

「フェイトの魔力を食わない状態を追及してたらこーなっちゃってな。
 あたしはフェイトを守るフェイトの使い魔だけど、フェイトはもう十分強いしひとりじゃないし。
 ずっと傍にいて守るだけが守り方じゃないし。
 ――家の中のことやるのも結構楽しいし」

 新しい自らの生き方を見つけ、自分の道を誇りを持って歩んでいる使い魔に、ユーノは微かな嫉妬を覚えた。

「来年にはクロノとエイミィも結婚する予定だし、子供とか生まれたらもっと忙しくなるしね」

 その言葉に、ユーノの時間は停止した。
 ――今、何て言った?
 結婚? クロノと、エイミィが?
 エイミィ・リミエッタ。アースラでオペレーターを務めるクロノの幼馴染だ。
 確かに、昔から仲は良かったようだが。
 だけど、
 だけど、
 だけど、
 
 凡人じゃないか!?
 ユーノは胸中で悲鳴を上げる。
 どこにでもいる、ごく普通の女だ。別段突出した才もない、幾らでも代わりがいる、量産品の如きオペレーターだ。
 なのはやフェイト達の持つ宝石のような輝きも、クロノの持つ磨き上げた鋼の美しさもない。
 クロノ・ハラオウンという男に、到底釣り合わない凡婦! それがどうしてクロノの妻に――
 
 果てしなく混乱するユーノに頓着することなく、当のエイミィは秘密をばらしたアルフに口を尖らせる。

『ア〜ル〜フ〜、その話はまだ秘密だってー……』
「あー、まあ、いいじゃん」

413 畜生道11 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 15:58:37 ID:ODgWVm/I
 焼けた鉄の塊を飲み込むような覚悟で、努めて、平静を保った。

「ええと……、おめでとうございます」

 苦笑交じりに、そんな如才ない言葉が出てくる自分が悔しかった。

『うう……、ありがとう……』

 モニターの向こうで、ばつが悪そうに顔を背けていたクロノに、ユーノは声をかけた。

「クロノも、やっと決心したんだね」
『まあ、色々とな』

 クロノは気恥ずかしそうに、けれど幸せそうに、微笑を浮かべて顔を伏せた。
 ――何より悔しいのが。
 ユーノ自身が、そのことを知っていたことだ。
 クロノもユーノも色恋話を好まない性格だったので、本人達から付き合っているという話を直接聞いたことは一度も無かった。
 けれど。
 休日に二人で歩いているクロノとエイミィを幾度と見かけたことがある。
 朴念仁のクロノが、エイミィに渡すクリスマスプレゼントを熱心に選んでいたことも知っている。
 きっと、知っていたのはアルフだけではないだろう。
 なのはも、フェイトも、そして自分自身でさえ、クロノとエイミィが恋人同士であることは、解っていた筈なのだ。
 ただ――誰も、それを言葉にして明言したことは一度も無かったから。
 だから、ユーノはずっと、その事実から目を逸らし続け、無かったことにしていたのだ。
 だが今、全ての真実は白日の下に晒された。言葉として明確な形を持った。
 もう、ユーノの心に逃げ場など無かった。

『というか』

 話を逸らそうとするかのように、エイミィはユーノに問うた。

『そーゆーユーノくんは、なのはちゃんと、ホントに何もないの?」

 ユーノは、にっこりと温和な微笑を浮かべた。
 それは、親友であるクロノが見ても、普段と何ら変わらない、いつもの柔らかな微笑だった。

「なのはは、僕の恩人で、大事な幼馴染みです。友達ですけど、それだけですよ、本当に」

 エイミィは嘆息を漏らす。

『まあ、2人とも仕事好きだしねぇ。まだ当分先かな、そういう話は』

 残念そうに眉尻を下げるその顔は、陽気でお節介焼きの、いつものエイミィだった。


   ○

414 畜生道12 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 15:59:31 ID:ODgWVm/I

 なのはの魔力光にも似た、薄い桜色のコットンのワンピースと、バリアジャケットを思わせる、白いウールのカーディガン。
 大きく開いた胸元には、血の雫のような赤いレイジングハート。
 サイドポニーの髪を結えるリボンには、細かい意匠がこらしてある。
 なのはは普段からメイクを好まず、必要な時にも最小限に留めているが、この日は明るいピンクのルージュをその小ぶりな唇に引いていた。
 ――ユーノは最近、自分に会いに来る時のなのはの服装が以前に比べて派手になっていたことには気付いていたけれど、その日はいつにも増して艶やかな装いだった。

「なのは……似合ってるよ、その服」

 食事を共にする男のエチケットとして、軽くそのいでたちを誉めると、なのはの顔は瞬時に朱に染まった。

「本当! ありがとう、ユーノ君」

 屈託のない――まるで、出会ったあの頃と変わらない、少女のような微笑だった。
 
「う、うん。……何にしようか……」

 気恥ずかしさを隠すように、レストランのメニューにぞんざいに目を通しながら、ちらちらとなのはに視線を送る。
 ――今日のなのはは、どこか変だった。浮ついたような雰囲気で、サイドポニーの髪を指先に巻きつけ、ちらちらとこちらに視線を返してくる。

「ね、ねえ、ユーノ君、最近さ、わたし、色んな服を試してみてるんだけど……ユーノ君の好みの服って、どんなかな?」

 間を潰そうと口にしたお冷を、思わず吹き出してしまうところだった。
 本当に、今日のなのはは変だと、ユーノは訝しげになのはを見つめた。

「うーん。この前の紫色のワンピースも似合ってたけど、今日の組み合わせも凄く素敵だと思うよ。
 上手く言えないけど、……すごく、なのはらしさが出てていいと思う」

 咄嗟に口にした当たり障りも無い褒め言葉だったが、なのはは嬉しくて堪らない、とばかりに顔をほころばせた。

「あのね、クロノ君から聞いたの」
「クロノから?」

 一瞬、クロノの前で晒してしまった醜態を思い出す。
 しかし、クロノは友人の秘密や恥を誰かに吹聴する男ではないと、ユーノは即座に思いなおした。
 言いたいことははっきりと口に出すのが普段のなのはの性格だったが、この日は妙に歯切れが悪く、両の人差し指を絡ませるようにして、吶々と言葉を続けた。

「あのね……はやてちゃんの部隊のこと」
「ああ、そのことか」

 それで、ユーノはなのはの変調に対して合点がいった。

「わたし、凄く嬉しかったの。ユーノ君が来てくれる、って聞いて。
 ――ユーノ君が、わたし達と一緒に戦いたいって、言ってくれて。
 わたしも、フェイトちゃんも、はやてちゃんも、みんな不安を抱えてたんだと思う。部隊なんて、初めてのことだから。
 でも、ユーノ君が一緒に戦ってくれるなら、わたし、もう怖いものなんてないよ!」

 そう言って、なのはは両手でぎゅっとユーノの手を握り締めた。

「クロノ君から聞いたよ。ユーノ君、わたし達と一緒に戦うために、凄い覚悟をしてくれてるって。
 ミッドチルダに来て、わたし、時々不安になることもあったんだ。ここは、今までのわたしが歩いてきた道と、繋がってる場所なのかな、って。
 でも、ユーノ君が一緒にいてくれるなら、わたしはいつだって大丈夫。
 ここが、あの日ユーノ君と出会ってから歩いてきた道と地続きの場所だって、心の底から信じられる、安心できるんだ」

 なのはは、恥ずかしそうに頭を掻いた。
 どうやら、クロノはユーノの告白の中の、都合のいい部分だけを抜き出してなのはに聞かせたらしい。
 ユーノは苦笑する。

「まったく、クロノはしょうがない奴だな。全部話しちゃうなんて」
「そうそう、クロノ君のことだよ」
 
 なのはは、身を乗り出すようにしてユーノに語りかけた。

「ユーノ君も聞いた? クロノ君とエイミィさんのこと」

 ゴシップ好きは女の性らしい。内心うんざりしながら、ユーノはなのはの話題に付き合うことにした。

「ああ、まったく、めでたいことだよね」
「うんうん、良かったよね、クロノ君とエイミィさん。あの二人なら、きっと幸せになれるよね!」

 感極まったように声を上げるなのはに、ユーノは段々と自分が苛立っていくのを自覚していた。

「素敵だなあ、結婚かあ……。ねえねえ、結婚式はいつするのかな?
 エイミィさんの花嫁姿、早く見てみたいなあ……」

 胆の奥でぐるりと渦巻くものを押さえながら、ユーノはぞんざいな相打ちを続ける。
 
「クロノ君とエイミィさん、どんな風にして恋人同士になったのかなあ」

 まったく、付き合ってられない。何か適当に理由をつけて席を立とうした瞬間。
 なのはは特大の爆弾を落とした。

415 畜生道13 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 16:00:34 ID:ODgWVm/I

「ねえ、ユーノ君――わたし達の関係も、そろそろ、少し変えてもいいんじゃないかな?」

 その言葉の真意を理解するのに、数巡の思考を必要とした。
 ユーノの沈黙を、どう受け取ったのだろうか。
 なのはは、自分を鼓舞するかのように、そっと作り笑いの微笑を浮かべた。
 いつも気丈な少女だった。その両手が、テーブルの上で不安に震えていた。

「わたし、ユーノ君のことが好きだったの。会った時から、ずっと好きだった――」

 その告白は、ユーノにとって、クロノとエイミィの婚約よりも予想外の出来事だった。
 ユーノにとって、なのはとは崇敬する対象であり、どこまで行っても、恋愛対象とはほど遠い――
 否、自分が恋愛対象とすることを許せない相手だったからだ。
 
「エイミィさんに、アドバイスして貰ったんだ。
 ユーノ君、にぶちんさんだから、わたしから告白しないと、ずっとお友達のままかもしれないぞ、って。
 ――えへへ」

 照れくさそうに額を掻くなのはは、確かに魅力的な少女だ。男なら、こんな少女に告白されて、頷かない朴念仁はいないだろう。
 けれども。
 ユーノの宿痾とも言うべき感情が、胸の中でぐるりと蠢いた。
 自分が、こんな魅力的な、輝かしい少女の隣に居られる筈がない。
 自分なんて、なのはにもフェイトにも及ばない、下賤な凡夫だ。
 己のことを気にかけてくれている親友を、自慰の妄想に使うような、畜生にも劣る最低の男だ。
 それを、どうして、己が最も美しいと尊敬する少女の隣に並べて飾れよう。
 なのはの隣に立つのに相応しい男、それは、あのクロノ・ハラオウンの如き男しか有り得ない。
 ――それが、ユーノの信奉する、最も美しい未来像。
 だが、もうそれが実現されることは無い。全て失われた。崩れ去ってしまったのだ。
 エイミィ・リミエッタという、無能にして厚顔無恥な女によって。

「迷惑だね」

 ユーノの口から発せられた言葉は、自分でも驚くほど冷え切っていた。

「なのは、君は僕の大事な友達だ。でも――それ以上の感情を、君に抱いたことはないよ」

 ぽかん、となのはは凍りついたような表情でユーノの顔を見つめていた。

「ユーノ、君」

 ぎゅっと、下唇を噛むと、なのははふにゃあ、と顔を緩ませて、無理矢理な笑顔を形作った。

「そっかあ、そうだよねえ、いきなりそんなこと言われても、困るよねえ、あはは。
 迷惑かけちゃったかあ、あはは、ごめんねえ、ユーノ君……あはは……、あれ、あれ」

 気丈な作り笑いを浮かべながら、幾筋も、幾筋も、大粒の涙が、なのはの頬を伝い落ちていった。
 なのははそれを拭い、何でも無かったかのように両手を振って取り繕い、気丈に微笑む。
 それでも涙は止まらず、次から次へと、なのはの両目から零れ落ちていった。

「ねえ、ユーノ君」

 零れる涙を拭いながら、鼻声でなのはは問うた。

「わたし達、これからも友達だよね?」

 ユーノはなのはの肩を優しく叩き、力強く頷いた。

「当たり前だろ――君は、僕の大事な友達だ」

 なのはは、安心したかのように、真っ赤になった目を弓にした。

「そっか……えへへ、良かった。ありがとう、ユーノ君」

 感謝の言葉と微笑みを残して、なのはは独り席を立った。
 入れ替わるように、注文していた料理がテーブルへと運ばれてきた。
 なのはが泣きながら席を立つ姿を目にしたのだろう。ウェイターは訝しげな視線をちらとユーノに送り、伝票を差し込んでいった。
 ユーノは湯気立てる料理が冷めきるまで、独りテーブルで呆然と虚空を見つめていた。

「僕は、死ぬべきだ」

 膝の上の拳は、青褪める程に握り締められ、ぶるぶると小刻みに震え続けていた。



     ○

416 畜生道14 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 16:01:58 ID:ODgWVm/I

「あの女のせいだ。
 あの女のせいだ。
 あの女のせいだ。あの女のせいだ。あの女のせいだ。
 凡人の分際で、クロノに取り入ろうとしたせいだ。
 何一つ取り得もない、街を歩けばゴキブリのようにそこらで見かける、平凡な女の癖にっ」

 ユーノは、独り事を呟きながら、いつもの自慰を開始した。
 端正に片づけられていた部屋は無残に散らかり、花畑のように自慰で使用した黄ばんだチリ紙で溢れていた。
 卓上に重ねられていた貴重な魔導書の山は崩れ落ち、代わりに卓上を占めるのは、クロノの写真やクロノの写り込んだ雑誌の切り抜きだ。
 偏執的なまでに集められた数々のクロノたち。
 それに囲まれて、ユーノは己の性器を激しく扱き上げた。

『ユーノ』

 妄想の中で、クロノはユーノを抱きしめ、そのおとがいをそっと持ち上げ、口づけを交わす。
 決して太くはないが、しっかりと筋肉のついた腕で抱きしめ、クロノはユーノを愛撫していく。
  
 ……これが、誤った妄執であることなど、最初から承知していた。

 だけど。
 ふと、疑問に思う。
 己は、クロノを抱きたいのか、クロノに抱かれたいのか。

「どちらでもいいか、クロノなら」

 自嘲じみた笑みを浮かべて、ユーノは再び自慰に没頭した。
 ユーノの妄想は具体性を失い、ただどろどろと己に絡みつく「クロノ」のイメージへと変化していった。
 このまま、性感の高まりと共に、妄想とクロノと同時に精を放つのが、ユーノの自慰の常だった。
 
 ところが、この日は妄想にいつもは入らないノイズが混じった。
 エイミィ・リミエッタ。
 クロノに抱き伏せられ、嬌声をあげるエイミィの姿が、脳裏に広がったのだ。
 ゆっくりとエイミィの性器を愛撫するクロノ。クロノの逞しい性器を口に含むエイミィ。
 クロノはエイミィの豊満な乳房をゆっくりと揉みしだき、片足を優しく持ち上げて己自身を――、
 妄想が無限に広がっていく。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、とうしてあの女が!!」

 ユーノは眼鏡を外して壁に叩きつけ、ガリガリと美しい金髪を掻きむしった。
 息を落ち着かせ、もう一度クロノと自分で妄想を始めようとする。
 しかし――何度思い浮かべてと、クロノに組み伏されるのは自分ではなく、あのエイミィなのだ。
 だって。
 
 自分とクロノの妄想は、本当にどうしようもない、己の下卑た欲望から生まれた下らない妄想だが。
 クロノとエイミィの性交は、恐らく本当に行われただろうことなのだ。

 壁の時計を目にする。
 もう、夜の10時をまわっていた。
 もしかしたら、クロノは今この瞬間もエイミィと抱き合っているかもしれない。セックスしているかもしれない。
 想像するだけで気が狂いそうになって、ユーノは再び叫び声をあげた。

 ドンドン。

 唐突に玄関を叩いた音が、ユーノを正気の世界へと引き戻した。
 誰だろう? 自分の部屋を訪れる相手がいるとすれば、なのはか、――それともクロノか。
 期待に胸を高まらせて、玄関の扉を開けると、アパートの隣人が怯えたような顔をして立っていた。

「すみません、もう夜も遅いので、少し静かにして頂けませんか……」

 おそるおそる、それだけを伝え、隣人はそそくさと去っていった。
 ユーノを見る視線は、以前までの優しい隣人に向ける親しげなものではなく、紛れもない、狂人を見る目だった。
 思わぬ中断に驚かされたが、ユーノはそれでも自慰を再開しようとした。
 払っても払ってもエイミィの顔は浮かび上がった。
 不思議なことに、自分の意中の相手でないにも関わらず、性器は今までと同様に、いや、今までにも増して固く屹立していた。
 不意に、ユーノの脳裏に閃きが浮かんだ。

 ――そうだ。この女の顔が消えないのなら。
 ――僕が、クロノの代わりに犯してやればいいんだ。
 ――僕が、クロノの代わりに、このエイミィ・リミエッタを!!

 数時間後、己の精液に塗れ、ユーノは息を荒げていた。
 素晴らしい時間だった。己がクロノと交わるのではなく、己がクロノの代わりとなることを想像しただけで――
 ユーノの欲望は途絶えることなく、幾度も幾度も繰り返し精を放ち続けた。

 それでも、まだ足りない。
 ユーノは不満げな色を瞳に浮かべ、卓上に転がっていた、一冊の魔導書を手に取った。

417 畜生道15 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 16:02:53 ID:ODgWVm/I

         ○
 


 ――ユーノの取った行動を端的に述べよう。
 第97管理外世界に転移したユーノ・スクライアは、海鳴市から離れた土地に移動し、インターネットで目星をつけておいたペットショップに入店。
 己のフェレット形態に良く似た姿のフェレットを買い求めた。
 一般的に流通している品種とは多少異なる部位も多かったが、流通していた個体数が多かったため、瓜二つと言ってよい程似た個体を買い求めることができた。
 
 ユーノは購入したフェレットのサイズや特徴などを確認すると、迷いの無い手つきで予め用意していた薬物を首筋に注射し、毒殺した。
 その後、死体をアタッシュケースに詰め、遺跡発掘の名目で末端の管理外世界に移動。
 
 作業を、開始した。

 術式自体は、取り立てて変わった所の無い、使い魔の作成術式である。
 人造魂魄の憑依、依り代となるフェレットの肉体の蘇生、魔力リンクの作成。
 直接戦闘には不向きなユーノだが、補助的な魔法の技能の一部は高町なのはをも凌駕する。
 事前に入念な下調べと準備を行ってきたユーノにとって、使い魔の作成は特にこれといった困難を感じない簡単な作業だった。
 使い魔はただ存在するだけで主の魔力を消費する。 
 そのために、作成の際には契約として使い魔が成すべき目的を定め、それに合わせた適度な能力を設定することが重要となる。
 フェイトの従えているアルフなどは、己の分身として働く非常に高度な使い魔であるが、ユーノが求めていたのは、アルフのような汎用性の高い上級使い魔ではない。
 自分の乏しい魔力量でも使役できる、単一能。
 擬似的な知能を与え、自分が常日頃から使用している探索魔法や、情報整理魔法を使用できるように転写する。
 最後に、仕込んだ変身魔法を実行させ、その姿が自分と寸分違わぬことを隈なく確かめた。
 その後、単純な思考ロジックを組み立て、話し掛けられた際に己と良く似た返答を行うように、指示を行った。
 そう。

 ごく短時間、自分の影武者となることにのみ特化した使い魔を作成し、秘匿したのである。

 なのはやクロノといった親しい友人たちを長時間に亘って欺き続けることは、出来ないかもしれない。
 けれども、付き合いの短い無限書庫の同僚たちなら、忙しく仕事に没頭しているような演技をさせれば、十分に騙しきれるだろう。
 
 本物のこの自分には及ばないが、無限書庫の司書として、そこそこの実務もこなせるように仕込んである。
 新人のローレルなどよりは余程有能な司書として働くことが出来る筈だ。
 足りない分は、今晩少々残業をして明日のために備えよう。
 思いを巡らせるユーノの瞳は、これまで近しい友人達も誰一人目にしたことの無い、冷たい翠色に輝いていた。



        ○

418 畜生道16 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 16:05:00 ID:ODgWVm/I


 買い物帰りに、近所の公園のベンチで一休みをするのがエイミィ・リミエッタの日課だった。
 ベンチに座り、時に携帯プレイヤーで好みの音楽に耳を傾け、時に手持ちの文庫本を読み進めたりもする。
 公園で鬼遊びやかくれんぼに興じる子供たちの姿を見るのが、エイミィが好きだった。
 柔らかな頬を赤く上気させて、全身で感情を表現しながら、走り回る子供達。
 エイミィは、そっと自分の下腹を撫でた。
 ……自分とクロノの間に子供が授かったら、あんな風に元気に逞しく育ってくれるだろうか? 
 うん。きっと元気に育ってくれるだろう。
 ――だって、クロノくんとあたしの子供なんだから。
 そう自分の中で納得して、エイミィは頬を染めた。
 ――あたしったら、何て気が早いことを考えてるんだろう。はしたない。
 胸に手を当て気を落ち着かせ、自分を宥めようしているのにも拘わらず、ついつい頬が緩んでしまう。
 仕方のないことだろう。
 エイミィは今まさに、人生の春を迎えていた。長らく付き合ってきた恋人のクロノからのプロポーズ。
 もっと先のことだと思っていたのに。幼馴染の自分でさえ予想もしなかった熱い求婚を受けて、喜ばない筈がない。
 式の日取りはどうしよう、会場はどうしよう、ドレスはどうしよう。
 ユーノやなのはのような親しい人間にはなし崩しのように知られてしまったけれど、親族友人達にはどうやって報せよう!
 頬が緩み、ついつい鼻歌まで歌ってしまいたいような気分になる。
 仕方のないことだろう。
 エイミィは、ぐるりと馴染みの公園を見まわした。
 春の香は消えかけ、若葉が木々の梢に萌え出でている。
 結婚して家庭に入れば、こうして買い物帰りにここで一休みする機会も、自然と減っていくのだろう。
 それを考えれば、少し寂しくもある。

 ――随分、もの思いに耽っていたらしい。
 夕日は西の嶺に消えかけ、街灯の火があちこちで燈り始めている。
 随分、遅くなってしまった。
 空を見上げれば、夕焼け空は灰色に濁り、通り雨を予告するような水気を含んだ風が吹きつけてきた。
 エイミィはベンチから腰を上げた。
 公園のあちこちで見かけていた遊ぶ子供達の姿は、もう影一つ見当たらない。
 ――さっきまであんなに沢山いたのに。きっと、暗くなったからお家に帰ったんでしょう。

 
 あたしも、はやく、かえらなきゃ。


 家路に向けて歩きだしたエイミィの口元を、後ろから男の掌がそっと塞いだ。

「?」

 よく状況の掴めていないエイミィの耳元に、男が囁いた。
 
「動くな」

 瞬時に事態を了解したエイミィの全身を、氷のような悪寒が貫いた。
 どうする? どうする? 管理局の非常時の緊急マニュアルにも、このような状況を想定したものがあった。
 エイミィにとって可能な選択肢は――絶対服従のみ。
 魔導師でも戦闘員でもないエイミィには、一切の反撃の手段は無い。
 素人が下手に反撃などして犯人を刺激すれば、命に係る事態になりかねない。
 だから、どんなことがあっても、犯人に逆らうような真似をしてはいけないと、きつく戒められていた。

 エイミィは粛々と犯人の指示に従った。
 両手を後ろ手にまわされ、手錠をかけられた。猿轡を噛まされた。
 恐怖に満ち満ちた時間を、エイミィは心の中で最愛の婚約者の名前を繰り返し唱えながら耐え忍んだ。
 幸いだったのは、犯人が魔導師ではなかったことだ。
 犯人が魔導師ならば、封時結界を張り、外部からの行き来を遮断した上、手錠などではなく、バインドで全身を束縛された筈だ。
 だから。
 だから、きっと誰かが通りかかる。誰かが自分を見つけて、助けを読んでくれる。
 ――エイミィは、愚かにもそう考えていた。

 犯人は、全身を黒い服に包んだ、不気味な男だった。
 背丈は丁度、クロノと同じぐらい。そんな些細なことに、エイミィは苛立ちを感じた。
 目出し帽をすっぽりと頭からかぶり、その顔と表情は伺い知ることができない。
 ただ、血走った瞳が爛々と狂気を湛えてエイミィを見据えていた。
 犯人――ユーノ・スクライアは、見せつけるようけるようにポケットナイフを取り出して、その刃をちらつかせた。
 今回の犯行に当たって、偽装には細心の注意を払ってある。変身魔法による体格の変形、声色の偽装。
 そして、使用した結界は、ユーノの発掘した秘中の秘。
 それが結界であるということを、魔導師にすら悟らせない、最高に秘匿性の高い結界である。
 エイミィがそれに気付かなかったのは当然といえば当然だ。しかし、エイミィは一般人の犯行であることを確信して、通行人が通りかかる瞬間を待ち続けた。

419 畜生道17 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 16:06:43 ID:ODgWVm/I

 ユーノはナイフをちらつかせながら、エイミィを彼女の愛用のベンチの傍の石畳に押し倒した。
 恐怖に震える彼女を満足げに見下ろすと、その刃で緩慢にエイミィの服を首筋から股下にかけて切り裂いていった。
 ここに至って、犯人の目的が単なる物取りや傷害ではないことを、エイミィがはっきりと理解した――理解できてしまった。

「んんっ……」

 今まで、震えながらも気丈に犯人を睨みつけていたエイミィが、顔を歪めて涙を零した。
 彼女の脳裏に去来したのは、犯人への恐怖か。それとも、これまでの輝かしいクロノとの思い出か。
 歯を食いしばるエイミィの顔面を、ユーノは唇から瞼まで獣のように舐め上げた。
 粘り気のある唾液が、エイミィの唇を汚した。幾度も、クロノから優しい口づけを受けた唇を。
 
「ひぃ」

 猿轡を噛み締め、頤を上げて白い喉元を晒しながら、エイミィは呻いた。
 彼女は恐怖と不快感と、それ以上の屈辱に、必死で耐えていた。
 ユーノの舌は、ねっとりとエイミィの乳房を這いまわり、徐々に股間へ向かって降りていく。
 エイミィは、ナメクジと百足の群れにでも這いまわられているように、不快げに顔を歪めた。
 小雨が、ぽつり、ぽつり地面に黒い染みを作りはじめた。
 夜気に晒されたエイミィの裸体にも、容赦なく雨粒が降り注ぐ。

 ユーノは思う存分にエイミィを辱め、その顔が屈辱に歪み、恐怖に震えるのを愉しんだいた。
 しかし、その瞳の奥に希望の灯火を残していることに気づき、不快げに目だし帽の舌の顔を歪めた。
 きっと、信じているのだ、この女は――クロノがきっと、助けてくれる。
 かっと、激情の炎がユーノの奥で燃え上がった。
 玩弄して屈辱に泣き噎ぶ顔を愉しむのはもうやめだ。助けなど来ないと――クロノはお前如きを助けないと教えてやる。
 ユーノは感情を昂らせれば昂らせるほど、頭の奥が冷えていくのを感じていた。
 
 この女から、何もかもを奪ってやる。

 ぐい、とユーノは落ちつた動きでエイミィの両足を押し開いた。
 エイミィの秘所が、冷たい外気に晒された。


 瞬間、エイミィは緊急時のマニュアルの内容も忘れて、全身全霊の力を籠めて、犯人の鳩尾を蹴り飛ばした。
 これから犯人に犯されるのだと思った瞬間に、脳裏に浮かんだクロノの顔が、エイミィに火事場の馬鹿力を与えていた。
 不意をつかれたのか、ユーノは毬のように跳ね飛び、公園の芝生へと転がった。
 両手を縛られたままエイミィは立ちあがり、必死に駆けだした。
 鳩尾を蹴り飛ばされたユーノは、芝生の上で嘔吐にえずいていた。
 今なら逃げられるかもしれない、そんな希望が、エイミィの足を動かしていた。

 公園の構造は熟知していた。最短経路で出口に向かえば、二分と経たないうちに、外に出られる筈だった。
 エイミィは走って、走って、走って――この公園はこんなに広かったっけ? と疑問を抱き、
 その瞬間、後ろから突き飛ばされるようにしてユーノに取り押さえられた。
 後ろ手に縛られていたエイミィは受け身も取れず、石畳みに顔面から倒れ伏した。
 
「舐めた真似をしやがって」

 目だし帽の中の瞳は、憤怒と狂気に血走っていた。
 ユーノはゆっくりとポケットナイフを取り出し、悪戯をした子供をお仕置きするように、エイミィの顔面を切りつけた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」

 猿轡を噛まされ、エイミィが声無き悲鳴を上げる。
 力任せに顔面に叩きつけられた刃は、運よく猿轡の一端を切り落としていた。
 エイミィの口許から、はらりと猿轡にしていた布片が舞い落ちる。
 その機を逃さず、エイミィは金切り声を上げて叫んだ。

「嫌、嫌ああああっ、誰か、助けてぇ、クロノ、クロノ、クロノっ!」
「その名前をお前が呼ぶなよっ」

 ユーノは理不尽な怒りを露に、組み伏せているエイミィの顔面を切りつける。
 犯人は子供の落書きのように、縦に横に、エイミィの端正な顔を切り裂いていった。
 エイミィは苦痛を恐怖に叫びながら、周囲へ助けを求め、クロノの名を呼び続けた。

420 畜生道18 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 16:08:43 ID:ODgWVm/I
 
 ユーノは鬱陶しげに耳を押さえ、嗜虐的な笑みを浮かべると、顔を隠していた目だし帽を脱いだ。

「そんなに叫ぶなよ、僕ならここにいるよ」
「……嘘、クロ、ノ」

 エイミィが喉を詰まらせた。
 顔中を無残に切り裂かれ、視界の殆どは血で滲んでいても、見紛う筈はない。
 憎むべき犯人の顔は、エイミィの最愛の人、クロノ・ハラオウンと瓜二つだった。
 だが、その瞳は、愛すべき婚約者の優しげな目とはまるで似つかず、

「違う、あなたはクロノなんかじゃない!」

 愛する人の姿を汚した唾棄すべき犯人に、心底からの軽蔑と憎悪を籠めて、エイミィは叫んだ。
 ユーノは、獣じみた唸り声を上げ、怒りを剥き出しにして、エイミィの口中にポケットナイフを差し込んで、乱暴に掻き混ぜた。
 もはや言葉にもならない悲鳴と泣き声が漏れる。

「黙れ、僕はクロノだ、今だけは僕がクロノ・ハラオウンなんだ!
 お前のような凡人がっ、クロノの隣にいる資格なんてないんだ!
 イイザマだ! ははっ、二度と見られない顔にしてやった。
 でも、クロノがそんな程度で君を捨てるような男じゃない。例えどんなに傷物になったとしても――
 いや、傷物になればなるほど、君を深く愛するだろう!
 結局、損をするのは僕じゃないか!
 被害者面するなよ! クロノに愛されてるくせに! それ以上何か欲しいんだ!」

 口から泡を吹きながら叫ぶ言葉は、まるで人間の喋り方の体を為しておらず、獣の唸りのようだった。
 内容も支離滅裂で、まるで意味が通っていない。
 エイミィには、ユーノが何を言っているのか、寸分すらも聞きとれなかった。
 顔中の切創から流れだした血糊でエイミィの顔面は埋め尽くされ、その視界は完全に闇に閉ざされた。

 ユーノは、目の前の女がもはや何の脅威にもならないことを確認して、冷たく見下ろした。

 ――何故、クロノがこの女を選んだのかわからない。何の価値もない凡婦だ。
 ――ただ。
 ――どんな辛い時も、絶望的な時も、この女だけは、笑っていた気がする。

 血まみれのポケットナイフを投げ捨てる。
 両の掌を広げると、どちらも毒々しい程の朱に染っていた。

 ――自分が、狂いかけていることは、解っている。
 ――自分が、間違っていることも、解っている。

 己の顔を撫でると、生臭い鉄の香りがした。
 クロノ・ハラオウンそのものの己の顔を、ペタリ、ペタリとユーノは撫で続ける。

 ――なのは、クロノ。僕は、本当に君達が好きだったんだ、憧れていたんだ。
 ――本当に、君達のようになりたかったんだ。
 ――でもこれで、色々無くしてしまうだろう。
 ――僕の未来、僕の思い出、僕の矜持、僕の友達。

 顔が血で汚れるのも構わず、ユーノは己の顔を押さえる。

 ――クロノ、僕は君になった。君になれた。
 ――今日一日の、偽物の君に過ぎないけれどね。
 ――代わりに、僕が本当の意味で君のようになれる可能性は、完全に失われてしまったけれど。
 ――いいんだ、どうせ僕なんかが、君の隣に並べる可能性なんて、最初から無かったに違いないんだから。

 無残な姿で横たわるエイミィに視線を落とす。

 ――クロノ、君には本当に悪いと思ってるんだ。
 ――けれども。

 ユーノのズボンの下で、性器が熱を持って頭を擡げる。
 これだけの凄惨な場にありながら、ユーノはかついてない興奮に胸を高まらせていた。
 もはや阻む力もないエイミィの両足を掴み、ぐいと押し広げた。
 宝石でも愛でるように、その性器に顔を近づけ、うっとりと頬を緩める。

「ここに、クロノが……」

 その事を考える度に、背筋に電流が駆け抜けるような衝撃が走り、すぐにでも果ててしまいそうになる。
 ユーノは獣のように息を荒げながら、限界まで怒張した己の性器を取り出した。

 ――けれども。
 ――この女を通じてでも、クロノ、君と繋がりたいという欲望を、僕は押さえきれそうにない。

 
 ユーノははち切れそうな己自身をエイミィの入り口にそっとあてがった。
 弱々しくエイミィが地面を掻き、小さな悲鳴を上げる。
 ユーノは、そのまま己の欲望に身を任せた。

421 畜生道19 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 16:09:50 ID:ODgWVm/I


  ○


 
 全てが終わっても、エイミィは身体を縮めて、無残な姿で凍えそうな子猫のように震えていた。
 簒奪者である筈のユーノの顔には、達成感の欠片もなく、空虚な瞳で小雨の降りしきる公園の暗がりを見つめていた。
 ユーノはぼんやりとした視線を、凌辱され尽くされた彼女の秘所に落とす。
 そこに流れる、見まごうことなき純潔の証の血を見つめて、静かに嘆息をする。

「婚約者相手に、結婚するまで貞節を守るだなんて、生真面目な君らしいや」

 小雨は徐々に雨脚を強め、情事の熱の冷め行くユーノの肌を、容赦なく打ちつけた。
 ……全てを幣として差し出して、遂にユーノは何一つとして手に入れられなかった事を悟った。



      ○



「はじめまして、モコ・グレンヴィルです。今日からこの無限書庫でお世話になります」

 少女は勢い良く頭を下げた。

「じゃあ、分からないことがあれば、当面はわたしに聞いてね」
「はい、よろしくお願いしますっ、ローレル先輩」

 ところで、とモコは目を輝かせてローレルに訊ねた。
 
「こちらの無限書庫には、名物になってる凄い司書長さんがいるって聞いたんですが……?」

 その言葉を聞いた職員一同の表情に、苦々しい翳りが生まれたのにモコは気付かなかった。

「ああ、彼ね……」

 そう呟くローレルの言葉の端には、諦めの響きがあった。
 ローレルは手早く手元の端末に、ユーノ・スクライアの顔写真と公開されている個人情報を表示して、モコに突きつけた。

「はい、これがうちの名物司書長、ユーノ・スクライアさんね。もし廊下ですれ違うことでもあったら挨拶しといて。
 ……と言いたいところだけど、そんな機会はまず無いでしょうね」

 モコは、ユーノの顔写真を食い入るように見つめて、瞳を輝かせた。

「うわあ、司書長さん、凄いイケメンじゃないですかぁ!
 齢もあたしと幾つも変わらないし、こんな大きな施設の司書長さんなら年収も凄そうだし、あたし、アタックしちゃおうかなあ!」

 その言葉を聞いて、ローレルは気まずそうに目を逸らして頬を掻いた。

「う、うん、まあ、わたしもちょっと前まではそう思ってたんだけどね」
「? ユーノ司書長、なにか酷い欠点でもあるんですか? 女癖が悪いとか……」
「そういう訳じゃないんだけど、ちょっとね……」

 ローレルに耳打ちされた内容を聞いて、可笑しくて堪らないとばかりにモコは吹き出した。

「何それ、変〜なの! やっぱり、天才肌の人って変人ばっかりなんでしょうかね?」

 やってられない、とばかりにローレルは宙を仰ぐ。

「そうそう、天才サマの考えてることはわたしら凡人には分からんわ。
 せっかく猫被って媚売ってたわたしが馬鹿みたいじゃん。
 あ〜あ、どこかに金持ちでいい男、いないかな〜」


     ○

422 畜生道20 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 16:13:40 ID:ODgWVm/I

 ……その後、ユーノは唯ひたすらに無限書庫での仕事に没頭するようになっていた。
 エイミィ・リミエッタを襲った不幸な事件について、彼女の友人たちは共に悲しみ、義憤した。
 彼女の婚約者であるクロノ・ハラオウンは長期の休暇を申請し、心身に深い傷を負ったエイミィに優しく寄り添い、共に悲しみに身を浸した。
 管理局の担当機関による必死の捜索が行われたが、犯人の足取りは未だ掴めていない。
 目撃者はなく、魔力の残存反応も見られなかったため、非魔導師の一般人による通り魔的な突発的凶行と見られている。
 被害者の証言から、犯人が変身魔法を使った可能性も示唆されたが、数々の状況証拠は一般人による犯行であることを示していた。
 エイミィ・リミエッタが犯人の素顔を目にしたのはごく短時間であり、その最中に顔面に対する複数の切創を加えられていることから、エイミィの見たクロノの顔は、恐慌状態に陥った彼女が見た錯覚だろうと結論づけられた。
 ユーノ・スクライアが捜査の容疑者の線上に浮かぶことは一度として無かった。
 当然と言えば当然だろう。あまりに動機が存在しない上に、犯行の時間帯には盤石なアリバイが存在していたからだ。

 
 影武者を務めた使い魔は、誰一人その存在を知られることなく、ユーノに契約を解除されて塵として消えた。
 ユーノの社会的信用は極めて高く、わざわざ使い魔を作成してアリバイを作らなくとも、彼に嫌疑の瞳が向けられることは無かっただろう。
 なら、何故ユーノは自分の似姿の使い魔などを作ったのか。
 それは、狂い、歪みきっていたが、彼なりの美意識だったのだろう。
 ユーノは、クロノ・ハラオウンになりたかった。クロノ・ハラオウンになった。
 ならば、その時、ユーノ・スクライアという人間が、自分の他に存在していなければならなかったのだ。
 その行為の真意を知るものは無く、知られる必要も無かっただろう。
 だって、それはどこまで行っても、ユーノのマスターベーションに過ぎないのだから。


 ユーノへの取り調べは、エイミィ、もしくはクロノに怨みを抱くものがいないかを尋ねるごく短いものに留まった。
 取り調べの最中、ユーノは内心の恐怖と罪悪感を隠し通した。
 全てを吐露してしまうことで楽になれたのかもしれないが、その時にクロノやなのはが自分にどんな視線を向けるのか。
 考えただけで、ユーノの心は萎縮し、ただただ口を噤むことしか出来なかった。
 結論から言えば、エイミィ・リミエッタを暴行した犯人は捕まらなかった。
 非常に高い検挙率を誇る現在のミッドチルダの官憲を欺ききったユーノの特製の結界は、矢張り凡夫の及ぶものでは無かったということが、最も皮肉な形で証明されたことになる。

 しかし、二度目は無いだろう。
 ユーノがどこかでもう一度同じ術式を使用すれば、それがエイミィ暴行事件の犯行で使用されたものと同一であることを管理局は見抜くだろう。
 再びなのはの隣で戦うために編み上げた秘蔵の結界術式は、ただ婦女暴行の為だけに使用されて、永久に祓うことの出来ない穢れに染まることになった。
 
 ――もう二度と、好きとは言えない。好きと言っていた自分が許せない。 
 ――もう二度と、自分の中のどんな過去も思い出も、愛でることなど許せない。
 ――もう二度と、こんな自分が何かを誇ることなどあってはならない。

423 畜生道21 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 16:14:30 ID:ODgWVm/I

 誇りも、夢も、思い出も、希望も、自分の全てを捨て去っても、償いきれない罪。
 なのは達の出身地、第97管理外世界には、「お天道様に顔向けできない」という言葉がある。
 人倫の道を踏み外した人間を謗る慣用句である。それは、正に自分の事だとユーノは臍を噛みしめる。
 幾度、自殺を考えたことだろう。
 薄汚い自分の命一つでは何の贖いになるとも思えないが、少なくとも楽になることだけはできる。
 自分を苛み続けている、今この苦悩から逃れる。その為だけに命を絶とうという甘やかな誘惑が、幾度脳裏を過ったことか。
 しかし、ユーノの中の冷静で打算的な部分が、この誘惑を退けた。
 今ここで命を絶てば、間違いなく一種の変死として扱われる。
 ただでさえエイミィの事件の直後で管理局が神経質になっている頃合いなのだ。
 ユーノの死後、動機の解明や殺人の可能性の調査、そして今までユーノが無限書庫の司書長として残した成果の業務整理など、様々な形での司直の介入が予想される。
 
 その結果として、自分の犯した罪が明るみに晒されるだろうことが、ユーノには容易に予想できた。
 
 クロノやなのはに己の罪行を知られて見下げ果てられるのは、「死んでもいや」なのだ。
 何という醜悪な自己愛なのだろう。何て見下げ果てた卑屈な自尊心なのだろう。
 
 無限書庫の底の暗闇の中で、ユーノは幾晩も罪悪感と自己嫌悪で噎び泣いた。

 天才達の間でコンプレックスに悩まされてきたユーノ・スクライアという人間は、今ここに、己の価値の全てを喪失した。 
 もう、百の成果も、千の賞賛も、ユーノの心に仄かな焔すら燈すことは無い。
 ユーノ・スクライアという器は、完全に罅割れてしまったのだ。
 もう、何を注いでも満たされることはない。


 残された道は、無限に逃避を続けるのみ。
 司書業に専念し、自分が適切に管理を続ける限り、件の結界術式が外部に漏れる心配はない。
 ――自分の罪行が、明るみに出ることはないと。

  
 償いきれぬ、己の罪の重さから逃げるかのように。
 全てから、なにより自分自身から逃げるかのように、ユーノ・スクライアは人の姿を捨て、フェレットとして無限書庫の底に潜り続ける。
 数週間が過ぎても、数ヶ月が過ぎても、――ユーノはただフェレットとして無限書庫に潜り続けた。
 その働きぶりには無限書庫の司書の誰もが舌を巻き、ユーノの成果をは過去100年の捜索結果を凌駕するものとして、数多くの賞賛を浴び、業績に伴う褒章が決定された。
 しかし、ユーノは受賞式を欠席し、代理としてローレル・アップルヤードが出席した。
 再三に亘る司書達の説得にも耳を貸さず、ユーノは授賞式の当日もフェレットとして無限書庫の捜索に没頭していたという。
 希有な才能を持った無限司書の司書長は、稀代の変人であるとの噂がミッドチルダの各地で囁かれ、その奇癖の原因を憶測する下世話な噂が各地で流れたが、真相に至るものは存在しなかった。
 部隊への参入の話など、最初から無かったかのように立ち消えた。
 外の世界では、目まぐるしく時代は流れ続ける。機動六課の結成、ジェイル・スカリエッティ事件――幾つも大きな事件が、なのはやクロノ達を翻弄したが、ユーノは全てに無関心だった。
 請われることがあればすぐさま必要な資料を検索して提出したが、己から外界に関わることは一切なく、過去の友人達はそんなユーノを案じて声をかけていたが、ユーノがそれに応じることは二度と無く、やがては交流も失われていった。
 事件で心身に深い傷を負ったエイミィだったが、ミッドチルダの最先端の医療と、献身的なクロノの介護の甲斐あって、その後、時折笑顔を浮かべる程度には恢復していることを追記しておく。
 三年遅れのささやかな結婚式が営まれたが、当然のようにそこにはユーノの姿は無かった。
 今日も、ユーノはただひたすら、子鼠が車輪を回すかのように、フェレットの姿で書庫の探索に没頭し続けている。

424 畜生道22 ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 16:15:55 ID:ODgWVm/I


  ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  ちくしょう‐どう〔チクシヤウダウ〕【畜生道】

1 仏教で、六道の一。悪業の報いによって死後に生まれ変わる畜生の世界。
2 非道徳的な情事、性交。近親相姦。


  ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 エピローグ


 ミッドチルダの無限書庫の底には、一匹のフェレットがいる。
 かつては人であった筈のフェレットだ。
 そう遠くない昔、一つの出会いがあった。フェレットと一人の少女の出会いだ。
 その小さな出会いは、多くの次元世界を救ったのかもしれない。――しかし、当のそのフェレットは救わなかった。
 非凡なる才能を持っていた筈のフェレットは、だがしかし、余りに輝かしい才の持ち主を直視し過ぎたせいで、己の才を信ずることができなかった。
 フェレットは、今日もその四つ足で地を這い、黒く濡れた鼻をひくつかせ、黴の香の漂う古書の匂いを小さな胸に吸い込んだ。
 狭く苦しい筈の書架の隙間も、マフラー程度の大きさの身体のフェレットから見れば広過ぎる。
 フェレットは虚ろに、何処までも茫漠と続く書庫の隙間に視線を彷徨わせた。
 ――小動物そのものの貌からは、何の表情も読み取ることもできない。
 円く小さな黒い瞳をしばたたかせ、フェレットは手近な書に視線を落とした。



 ミッドチルダの無限書庫の底には、一匹のフェレットがいる。
 かつては人であった筈のフェレットだ。
 ……だがそれも、今となっては昔の話。


 ――己は人に非ず。心根賤しき、けだものなり。


 フェレットは自らをそう戒めて、今日も深く暗い窖の底で小さな体を丸め、ただ一匹、本の頁を捲っている。


 END.

425 アルカディア ◆vyCuygcBYc :2013/02/10(日) 16:21:13 ID:ODgWVm/I
お目汚し、大変失礼いたしました。
お気分を害された方などいらっしゃりましたら、お気に入りのSSなどで気分転換をされて下さい。

ユーノ祭りの中、このようなユーノを貶めるようなSSを書いてしまい、申し訳ありません。
作者なりの歪んだユーノへの愛が籠められています。

さて、大変盛況なユーノ祭りですが、このような後味悪いSSで〆るのは申し訳ないので、
これからも、後味のよい素敵なSSを皆さまどんどん投下されて下さい!

426 名無しさん@魔法少女 :2013/02/10(日) 17:18:04 ID:QUC/9T7U

 惜しみなくGJ

 単なる欝のための欝なら中指立てて読み飛ばすのだけど、きっちり読ませる欝ほど恐ろしいモノはない

427 名無しさん@魔法少女 :2013/02/10(日) 19:15:14 ID:2tbTF836
狂気というか病的というか……GJでした
最初ユーノにとってのレイハさんは「輝き」だったのに後半では「血の雫」か
初めは穏やかなはじまりだったのにどうしてこうなった

428 名無しさん@魔法少女 :2013/02/10(日) 19:35:48 ID:cA8e50ps
万感の想いを込めて、最高だった、と言いたい。

正に至高の欝。

後味が悪くて心地よいとはなんちゅうアンビバレンツやろうなぁ・・・アルカディア氏の筆致の冴えはいつも本当に痺れる。

429 名無しさん@魔法少女 :2013/02/10(日) 22:11:17 ID:TLm37nGM
いやぁ、すごい…。
読み物で久しぶりに震えとドキドキがきました。
今夜眠れるかな?

430 名無しさん@魔法少女 :2013/02/10(日) 22:26:39 ID:bgpa3rv2
うんまあ感覚の違いだと思うけどあまりぴんとこなかった
そんじゃね

431 名無しさん@魔法少女 :2013/02/11(月) 01:16:53 ID:FWqv26sU
おおうなんちゅうものを読ませてくれるんや……
破滅的な展開が待っていると分かっているのにスクロールする手が抑えられなかったぜ……

432 KAN :2013/02/11(月) 11:05:21 ID:dQ8saOv6
ご無沙汰してます。遅ればせながらユーノ祭りに参加させていただきます。
・ユーなの
・エロなし
・甘い系
この手の要素が駄目な方はスルーしてください。

433 キス 1 :2013/02/11(月) 11:08:45 ID:dQ8saOv6

 紙巻き器から取り出した完成品を手に取り、状態を確認する。巻き具合も葉の密度も問題なし。
既に手慣れた作業なので失敗することは稀だが、念のためだ。
 それをシガレットケースに収めて、以前作ってあった一番古い1本を取り出して咥えると、
作業をしていた机の上に置いてあったライターを手に取る。古めかしい装飾が施された、
普通のオイルライターより一回り大きめのそれは、過去の文明で使われていたものを
形だけ模したものだ。
 昔のままならドラムを回転させた摩擦でオイルに点火するところだが、これにオイルは
組み込まれていない。外見は古くても中身は現代のものだ。魔力を燃料に自分の魔力光と
同じ色の炎を点す仕組みになっている、魔導師専用の道具だった。
 それでも雰囲気は必要ということだろうか。機能的には意味がない回転ドラムは備わっていた。
回さなくても発火するが、ドラムを回すタイミングで魔力を込める者が大半だという。
 だからというわけではないが、ユーノもそれを実行した。独特の摩擦音に合わせるように
魔力を込めると翠玉色の炎が起きる。それを紙巻きの先端に近づけると数秒で紙巻きに火が点った。
煙に乗って甘い匂いが鼻腔をくすぐる。もともと『これ』は匂いを楽しむ物でもあったが、
それでは紙巻きにした意味がない。
 ゆっくりと、吸う。口に広がっていくのは甘味と爽快感。疲れた身体に活を入れるような、
意識をはっきりさせてくれるような、そんな感覚。

434 キス 2 :2013/02/11(月) 11:10:43 ID:dQ8saOv6
 それを十分に堪能し、紙巻きを口から離して、息を吸った時と同じくらいゆっくりと吐き出す。
細い紫煙が揺らめきながらのぼり、霞んで消えていった。
 発掘作業や無限書庫での検索業務、論文執筆で根を詰める時。精神安定と気分転換を求めて吸う、
スクライアが独自配合した紙巻きだ。
 それ程頻繁に使う物ではないのだが、市販されているわけではないので作成にどうしても手間を要する。
空いた時間にこうやって補充するしかないのが欠点だ。それに、作って長い間放置していると
香りも味も落ちてしまうので、大量に作り置きしておくわけにもいかない。
 とりあえず、シガレットケース1箱分。吸うペースを考えると、これが美味いままで吸える適量だ。
 さて、もう一口と紙巻きを咥えようとしたところで物音が聞こえた。それはドアのスライドする音。
来訪者を告げる音だ。当然ロックは掛かっているので、来訪者はそれを解除して入ってきたことになる。
 それができる来訪者はただ1人のみ。足音が徐々に近づいてきて、
「ユーノ君、こんにち――」
 声を掛けながらドアを開けて姿を見せたなのはが、ユーノを見て固まる。その視線はユーノの
手にある物に注がれていて、次にユーノが作業をしていた机に向けられて、
「だっ、駄目だよユーノ君! 管理局員が葉っぱに手を出すなんてっ! 管理局員じゃなくても駄目だけどっ!」
 盛大な勘違いを放ってくれた。タバコは駄目だよ、くらいの誤解を受けることはユーノも覚悟していたが、
まさかそこまで飛躍するとは。

435 キス 3 :2013/02/11(月) 11:12:15 ID:dQ8saOv6
 とは言え、そうなってしまう部分があるのも仕方ない。普通なら煙草をわざわざ紙巻きで
作る者は少数であるし、なのはは捜査官としての経歴も持っているのだ。その頃にそういった物を
目にしていて、そこから連想した可能性も否定はできない。 
「いや、なのは、これはそんな物騒な違法薬物とかじゃないから」
 ユーノは手招きしながら紙巻きを咥え、吸う。警戒というか不安を隠せないまま近づいてくる
なのはが間合いに入ったところで、煙をなのはに向けて吹いた。
 驚き離れようとしたなのはの足が止まる。ひくひくと鼻を動かして煙を吸い込み、甘い、と呟き、
「これ、ユーノ君のお部屋の匂いだ」
 と聞こえる声で口にした。
「そうだよ。以前、これを焚いた事があるのは覚えてる?」
 ユーノの問いになのはが頷き指した先には一基の香炉があった。なのはの記憶の中では、
それはユーノが香を焚く時に使っていた物であり、先の煙の匂いはその時の香の匂いと同じものだった。
「それと同じ物だよ。香として使う方が一般的なんだけどね。そういうわけだから、これは違法でも危ない物でもない。納得した?」
 意地悪くユーノが笑うと、なのははばつが悪そうに頬を膨らませた。なにせ自分の一番大切な人が
違法薬物に手を染めているなどという勘違いだったのだ。
「で、もしよかったら、吸ってみる?」
 口から離した紙巻きの向きを変え、ユーノはなのはにそれを差し出す。

436 キス 4 :2013/02/11(月) 11:13:30 ID:dQ8saOv6
「さっきも言ったけど違法薬物じゃないし、煙草でもないから身体に害があるわけじゃないし、
中毒性もない。吸い過ぎると気分悪くなるけど、人体に酷い影響を与えるものじゃないしね」
「え、と……」
「香で嗅ぐのと大差はないよ。場所を選ばない分、こっちがお手軽ではあるけどね」
 躊躇いつつも、なのははそれを受け取った。恐る恐る口にして、吸い、煙を吐き出す。
「甘い……それに、スッとする。うん、お香で嗅いだ時よりも強いというか、濃いね。
ユーノ君、これいつも吸ってるの?」
「いいや、疲れた時とか頭がボーッとする時とかにしか吸ってないよ。今のそれは、在庫処分的な
意味で吸ってたんだ。新しく作り直したからね」
「そうなんだ」
 言いながらもうひと吸いしようとしたなのはであったが。
(今のそれ……?)
 先のユーノの言葉を反芻する。そうだった。この紙巻きは、さっきまでユーノが吸っていた物だ。
つまり、ユーノの口が咥えていた物であるわけで、ということは、
(ゆ、ゆーのくんと、か、かかかか間接キ――!?)
 その事実を認識し、なのはが咽せた。
「ちょ、なのは、大丈夫?」
「だっ、大丈夫だよっ!? 何でもないよっ!? ホントだよっ!?」
 背中をさすってくれながら心配そうに見るユーノに対し、なのはは顔を真っ赤にして
そう誤魔化すことしかできなかった。顔を逸らし、紙巻きを吸う。
 そんな態度を不思議に思いながらもユーノはシガレットケースを手に取った。中から
1本を取り出して咥え、火を点けようとライターに手を伸ばしかけて、なのはを見る。
 先程渡した紙巻きを吸っているなのはの姿がそこにあった。煙草を吸う女性というとあまり
良いイメージがないのだが、赤い顔で必死に落ち着こうとしているその様は何とも可愛らしい。

437 キス 5 :2013/02/11(月) 11:16:03 ID:dQ8saOv6
 そこで、ふと思い出したものがあった。今とはまったくシチュが違うけれど、映画や小説等で
たまに見かける、煙草を吸う男女による行為。
 もちろん今までにやったことはないし、上手くいくかも分からないが、やってみたくなった。
だから、ライターを手に取るのは中止して、
「なのは、ちょっとこっち向いて」
「え?」
 声を掛け、振り向いたなのはに顔を寄せる。紙巻きを持ち、なのはの咥えた紙巻きに
その先端を近づけた。なのはの火にこちらの紙巻きの先端を触れさせ、火が移ったところで、吸う。
いつもどおりの味と香りが広がった。よし、うまくできた。
 なのははそのまま固まってしまった。顔は赤いままで、しかし紙巻きを吸うことは止めていないようで。
灰が落ちる前に香炉を灰皿代わりに差し出すと、ちゃんと灰をそこに落とした。
 やがて、ユーノもなのはも紙巻きを吸い終える。なのはは未だに固まっている。というか、
どこか惚けているようにも見えた。
「なのは、どうかした? ひょっとして合わなかった?」
 紙巻きが駄目だったのかと尋ねると、なのはは顔を少しだけ逸らして首を振った。
「ううん、そうじゃなくて……えと、さっきの……」
 こちらをちらりと見て、視線を逸らして、またこちらを見て。そんな事を繰り返しながら、
「え、っとね……すごく、ドキリとしたの」
「何が? 何に?」
「ほら、ユーノ君が自分の紙巻きに火を点けるために、顔を近づけたでしょ? あの時。
すごく顔が近くて、でもそれだけじゃなくて……普段は見られない雰囲気というか、大人っぽいというか、
色気があるというか……とにかく、すごくドキリとしたの。それに、紙巻きの匂いというか……
さっき、ユーノ君のお部屋の匂いだって言ったけど、これってユーノ君の匂いでもあるんだよ」
 そう言われると、そうなのかもしれない、とユーノは思う。紙巻きとして吸うのもそうだし、
香として焚くこともする。匂いが染みついていてもおかしくはない。
「だから、ね……この匂いに包まれていると、まるでユーノ君に包まれてるみたいで……」
 潤んだ瞳と紅潮した顔がこちらに向けられた。ゆっくりと、その顔が近づいてくる。
それにどういう意図があるのかは分かった。
 だから、ユーノも顔を近づける。程なく、2人の唇が重なった。
「……ユーノ君の味がする」
 すぐにも触れ合える距離でなのはが呟いた。
「えー、と……僕の方も同じ味がするわけなんだけど……じゃあ、これからは、僕にとってこの味は、
なのはの味ってことでいいのかな……」
 少し困ったような顔をして、それでもユーノはそう言って。
 再度、唇が重なった。今度はより深く、より情熱的に。

438 KAN :2013/02/11(月) 11:17:58 ID:dQ8saOv6
以上です。
何だか久々に甘々系のユーなの短編を書けた気がしますが、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
それでは機会がありましたら、また。

439 名無しさん@魔法少女 :2013/02/11(月) 11:41:58 ID:YWKWEHcM
リアルタイム投下に遭遇…
甘めええぇぇえええ

440 名無しさん@魔法少女 :2013/02/11(月) 11:50:32 ID:ZcgTvy36
>>438
グッジョォォォブ!
エロはないけど自然に甘甘なよいSSでした。

あれ?ユーノ祭りでなのはが相手なのってこれで2作目だ。

441 名無しさん@魔法少女 :2013/02/11(月) 12:07:36 ID:cUmUctuQ
GJ! なんか、ユーノ祭りが始まると聞いて、「こんなのが来るんじゃないかな」
と俺が予想していたようなSSが初めて来た気がする。
尋常じゃない変化球ばかりで、ストレートが逆に新鮮。

442 名無しさん@魔法少女 :2013/02/11(月) 18:40:23 ID:2d..PlAc
>>441
あれ?
俺いつの間に書き込んだんだ?

443 名無しさん@魔法少女 :2013/02/12(火) 03:20:14 ID:OwqWVcZY
ああ、ユーなのはこの甘さがたまらねえ。
結構癖になるよなこの甘さは。

444 名無しさん@魔法少女 :2013/02/12(火) 07:34:44 ID:6gsQ1JK.
吐き気を催す欝ばかりが氾濫する中、とてもよい中和剤になりました。

445 くしき :2013/02/12(火) 22:43:30 ID:aRkxnGuM
甘々も鬱々もよいではありませんか
好きなものを選んで読めるバイキングですよ

では投下いかせて頂きます
・非エロ
・時系列的にはPSPゲームの二作目「GOD」の解決直後の話となります
・ユーノさんとシュテルさんがお話しするお話
・タイトル「太陽と明星」

では次からゆきます

446 くしき :2013/02/12(火) 22:44:34 ID:aRkxnGuM
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

夜の闇を払うように、ちりちりと無数の火の粉が舞い踊る。

近くに停泊中の次元航行艦アースラの照明も喧噪も、木々や岩山を隔てたこちら側には届いてない。
荒涼とした無人の管理外世界を、立ち昇る火の粉だけが、淡く照らしている。

その灯かりの中、ただ1人佇む人影があった。

いや―――そもそも火の粉は、何かを燃やして生まれたものではない。
人影の周囲から微細な泡のように次々と小さな火が湧き出し、夜天へと舞い上がっているのだ。

闇の中、己の発する火で映し出される、陰影の強いシルエット。
暗闇に溶け込む紫紺の衣を纏い紅い杖を持った、小柄な少女。

『星光の殲滅者』(シュテル・ザ・デストラクター)。

高町なのはの姿を以って顕現した、理知と冷徹の『理』のマテリアル。
そして内に静かな熱情を秘める、炎熱の魔導師。

シュテルは瞑想するように目を閉じ―――自然体でただ、そこに佇んでいた。

447 太陽と明星 :2013/02/12(火) 22:45:27 ID:aRkxnGuM
▼▼▼

「あれ、シュテル……? どうしたの、こんな所で」

どのくらいの時間、そうしていたのか。
そんなシュテルの背後から、遠慮がちに柔らかな声がかけられた。

「……」

それまで微動だにしなかったシュテルが、ゆっくりと目を見開いてそちらへと向き直る。

シュテルが侍らせる炎に照らし出されていたのは、少女と身の丈とさほど変わらない、やはり小柄な人影。
炎の織り成す陰影の下でも映える金色の髪をした、少年。
ユーノ・スクライアだった。

「盾の守護獣との再戦の誓いを、先ほど果たして参りました。
 今は、胸の内に燻る戦火の余熱を鎮めているところです。
 ―――心躍る、良き戦でしたから」

不意に声をかけられたはずのシュテルは、驚く素振りもせず、あっさりと少年からの問いに答えた。
その際に身に纏う火の粉の勢いが少し強まったのは、戦いの余韻を反芻しての、感情の昂りだろうか。
少女の怜悧な容貌に一瞬だけ、獣性を充足させた猫の表情が浮かぶ。

「ああ、そうなんだ。
 そういえば、なのはも君と戦う約束をしたって言ってたね。
 ……やっぱりエルトリアに行くまでには、なのはとも決着をつけるの?」

「はい、戦わぬ選択肢はありえません。
 我が師とも思えぬ、愚問ですね。
 それとも私の心の内をすべて見透かした上での、弟子に宛てたあえての問いでしょうか」

「いや勝手に深読みされても。別に何も考えは無いよ。
 なのはも乗り気だったし、当事者同士納得してるならいいと思うけどね」

「ナノハと伍するか、越えられるのか―――後塵を拝するのか。
 いかな結果になろうとまずは決着をつけねば、この胸の炎の昂ぶりは本当の意味では鎮まりません。
 ナノハと私、同門弟子同士の戦いと相成りますが、師匠は手を出さずに見守りください」

鎮まりかけていた火の粉が、闘志という燃料を得て、再度荒ぶる。
何にせよ、シュテルが戦いに気負い、そしてそれ以上に愉しみにしている事だけは確かだった。

「……あと何回も言うけど、僕のことはユーノでいいから。
 君のせいで、未来から来た子たちからの『すごい人たち』の師匠だっていう誤解が解けないんだよ」

「本質は違えど、今の私の駆体も戦技も、ナノハのデータをベースとしています。
 貴方が、ナノハの体に仕込み開発した技術も知識も経験も、同じように私の血肉に刷り込まれているのです。
 ゆえにこの身も、心も、貴方あってのもの―――師匠が、私の師匠である事実は変わらないのですよ」

「いや確かに嘘は言ってなけど、それは相当に語弊がある言い回しだからっ!」
 
「何か問題でも?
 それともナノハに対して誤解を否定せねばならないような、爛れた関係をすでに築いているのですか?
 さすが師匠、隅に置けませんね。あやかりたいものです」

困りきった表情でユーノは申し出るが、シュテルのどこまでが本気は分からない慇懃無礼な振る舞いは、止まらない。
ついにユーノは諦めて、話題を切り替えた。

「うん……まあ、いいや。君に敵わないことだけは分かったよ。
 じゃあ、本題だけど。
 ……僕を、ここに呼び出した理由は?」

「そうですね。理由は、簡単なものです」

そう。
人気の無い夜の森の中、ユーノがここに来た理由は、ただひとつ。
シュテルからの―――より正確には、匿名でのこの場への呼び出しに応じたためだ。
指定された場所で目印とばかりに炎を纏う姿から、呼び手がシュテルであるのは明らかだった。
そしてシュテルも、決め付けたユーノの言葉を特に否定せずに続ける。

「ナノハとの戦いへの勝利に、万全を期すため。
 それまでに師の屍を乗り越え、その死を糧として―――さらなる高みに至りたいと思います」
 
少し不穏な単語が会話に入り混じるが、口調も声のトーンも、全く変わらない。
シュテルにとっては日常の延長上にあるごく自然な思考であり、会話。
そして、ごく当たり前の行動。

「私に殺されてください、師匠」

448 太陽と明星 :2013/02/12(火) 22:46:06 ID:aRkxnGuM
▼▼▼

「え……!?」

ふっ、と。
それまでシュテルの周囲で揺らいでいた火の粉が、一斉に消えた。
ユーノがここに来る際に使用していた光源は、シュテルの纏う灯りがあれば不要と判断したため、すでに消している。

無人の荒野に不意に降ろされた、夜の帳と。
そして新たに灯し直される、一条の『火』。
いや―――

「!」

ユーノは咄嗟にバリアジャケットを纏い、飛行魔法で真上へと躊躇なく跳んだ。
一閃―――現れた『火』は剣の軌跡を描き、直前までユーノの居た空間を薙ぎ払う。
迸る熱気はその先の岩棚に炸裂し、斬撃の形そのままに岩を溶かし崩した。

シュテルが手にしていたルシフェリオンの先端に炎の魔力を通し、槍のように『斬りつけた』のだ。

「―――シュート」

上空に跳び不意の斬撃をかわしたユーノを、シュテルは逃がさない。
ルシフェリオンの空振りと同時にシュテルの足元に魔法陣が展開、すぐさま6個の紅い誘導弾が宙のユーノを追う。

「チェーンバインドっ!」

ここでユーノは初めて魔法を使う余裕が生まれた。
対象は、ルシフェリオンを振り切って体勢が崩れたシュテル―――ではない。

緑の魔力鎖が展開するのは、ユーノの前面。
複数の魔力鎖が網目状に交差し、放たれた魔力弾そのものを投網のように絡め取った。

「ファイアッ!」

「くっ……」

さらにルシフェリオンを構え直したシュテルの追撃―――魔力弾を捕縛したユーノを、紅蓮の砲撃が狙い撃つ。
抜き撃ちとはいえ、炎に変換された大魔力の砲撃は、絶大な殺傷能力を秘めている。

しかしユーノはその砲撃を見越したように、斬撃や魔力弾には使わなかったシールドを厚く、大きく展開。
バリア越しに溢れる熱気に顔をしかめながらも、シールドは自体は堅牢で、揺るがず。
必殺であるはずの砲撃を、むしろ一連の連続攻撃の中で最も危なげなく受け止めきった。

「よく、すべて止めきれましたね。
 不意打ちから早々に焼滅していただくつもりだったのですけれど」

「……戦うのは2回目だからね。
 最初のをかわせたのは奇跡に近いマグレだけど、そこからの追撃パターンは前と一緒だったから助かったんだ。
 むしろ今のは、君の得意な砲撃で不意を打たれてたら、杖より隙は大きくても逃げられなかったと思う」

「なるほど、師の助言に感謝です。
 隙の少ない近接攻撃を初手に選択しましたが、不慣れゆえにかえって予備動作を気取られましたか。
 戦術構築レベルでの手落ちとは、理のマテリアルにあるまじき失態でした」

シュテルの忌憚の無い賛辞に、ユーノは驚愕と緊張で乱れた息を整えながら答える。

ユーノは今の攻防だけですでに息が上がり、冷や汗が吹き出ている。
一方のシュテルは息ひとつ乱さず、静かに、そして熱い闘志を絶やさずにユーノを見据えている。

少女の殺意は、まぎれもない本物。
そして語られる賛辞も謝意もやはり、一片の皮肉すら含まぬ、心からのものだ。

シュテルは、なのはと戦うためのいわば前哨戦として、ユーノを殺そうとしている。
迷いの無い行動から、シュテルの中でこの理屈は明白なものであることは間違いない。

けれど、とユーノはシュテルの言動に疑問を抱く。
それははたして、シュテルの本意なのだろうかと。

449 太陽と明星 :2013/02/12(火) 22:47:03 ID:aRkxnGuM
▼▼▼

「……シュテル、少し訊きたいことがあるんだ」

「なんなりと、どうぞ」

シュテルはルシフェリオンをユーノへと照準しながらも、さして戦い自体の続きを促すわけでなく、淡々と答えた。
それを受け、ユーノは息を整えながらゆっくりとシュテルへ問いかける。

「僕と君が戦う理由なんだけれど。
 ……別に僕を倒さなくても、なのはとは何の憂いも無く戦えるはずだよ。
 君自身も最初に言っていた通り、感情の区切りとしてなのはと戦うのであって、勝敗は関係ないはずだから」

「……?」

「だから改めて訊いてみようと思う。その上でで答えが変わらないなら、それでかまわないよ。
 ―――君は、何のために僕と戦うの?」

そう、ユーノはシュテルの言動に齟齬を感じた。
シュテルの言葉通りなら、ユーノを殺すのは、なのはとの戦いに勝利するため。
けれど戦いに勝敗は無関係であると、直前にシュテル自身が口にしているのだ。

「……」

ユーノの問いかけに、シュテルはルシフェリオンをユーノへと向けたまま沈黙した。

なぜこの局面で訊くのかという、疑問からではない。
その言葉を、時間稼ぎや命乞いと受け取ったわけでもない。
自らの言葉と行動の乖離を指摘され、それを否定する言葉が出なかったのだ。

何ら疑念を抱かなかった想いが、ユーノの一言でゆらぐ。

糧を得ねば、なのはに勝てないのか。
そこまでなりふりかまわずに勝たねばならぬ戦いなのか。
そもそも、その相手がユーノでなければならないのか。

改めて理論的に考えれば、導かれる答えはすべて『否』だ。

なのはとの戦いに、勝敗は無関係。
勝つに越したことは無いが、負けてもそれは己の未熟であり、それは受け入れられる。
なのはとの前哨戦であれば、盾の守護獣とすでに戦っており、それでも足らぬのならば、強者はまた別に居るだろう。
いかに技巧者でなのはの師といえ、戦う手段を持たない結界魔導師を戦闘の相手に選ぶ必然性は皆無だ。

ならばなぜユーノと、だまし討ち同然の行為を行ってまで戦いたかったのか。

「……」

「理由は、見つかったかい?」

シュテルが、仮にも戦いの中で無防備に内面を見返す経験は、後にも先にもこの時だけだったかもしれない。
そしてユーノはそんな少女をただ、見守っていた。
友人を気遣う少年の表情であると同時に、弟子の自覚を促す師のような面差しでもあった。

ユーノには、シュテルの行動に対して、ある程度の確信めいた推測がある。

例えば、彼女のオリジナルである高町なのはが戦うには、いつも確固たる理由があった。
なのはにとっての戦いとは、話し合えない相手との対話手段。
伝えたい想いを伝え、伝えきれない想いを読み取るための、声にならない言葉なのだ。

ならば、シュテルがこの戦いを仕掛けた理由は―――

「そう、ですね……見つかりました」

考えに沈んでいたシュテルの瞳に、意思の光が戻る。
けれどその表情は直前までのクールさとは違い、いささか朱が差しているようにも見えた。

「私ですら気付かなかった真意に気付かせていただいた、師の慧眼には感服いたします。
 しかしながら―――同時に、いささか業腹でもあります」

「……え? えぇ?
 なにか僕が、気に障るようなことでも……!?」

それは、ひょっとしたらユーノが初めて間近で見る、シュテル個人の静かな『怒り』だったかもしれない。
そしてその激情は、目の前のユーノへと向けられていた。

「ナノハを越えるため。
 最初に出会ったときにつかなかった、貴方との決着をつける為。
 理由はいくらでも後付けができますけれど、本当のところは……」

足を前後に広げて腰を落とし、ルシフェリオンを水平に構えた、全力砲撃を行う際の、なのはと同じ構え。
その切っ先に、全開の炎熱の魔力が問答無用ともいえる勢いでチャージされていく。

「ちょっと、話を聞いてくれるんじゃ……!?」

「聞きました。答えです。
 とりあえず1度、その記憶も体も余さず焼滅されて下さい。すべてはそれからです」

それまでのクールな言動を翻し、突然感情的になったシュテルによる極大砲火が、ユーノへと放たれた。

450 太陽と明星 :2013/02/12(火) 22:48:01 ID:aRkxnGuM
▼▼▼

「失礼―――少々、取り乱しました」

「うん。
 冷静に連続攻撃されたときよりも、今のほうが正直もうダメだと覚悟したのは秘密だけどね」

シュテルはいつも通りの涼しげな慇懃さで、スカートの端をわずかに摘み上げながら優雅に一礼してみせた。

地面をマグマ化させる熱量の砲撃をサーチライトのように振り回してユーノを追い駆けた直後とは思えない、平静な姿。
一瞬の激昂を、砲撃の熱として発散させてしまったような変わり身の早さだ。

一方のユーノは全身を燻らせながらも、何とかシュテルと向かい合っている。
砲撃の余波で周囲は焼け焦げ、暗闇の中に点在するマグマ溜まりが淡く照らす、別の意味での異世界の光景だ。

「それで……」

「本心を言えば。
 ただ貴方と、解り合いたかっただけなのかもしれません」

話を続けようとするユーノを遮り、シュテルは先ほどの続きを―――改めて気付かされた本意を、端的に語った。

ほぼ、ユーノの予想していた通りの答え。
相互理解のための最も効率良いコミュニケーション手段として、この少女は理性に基づき『戦い』を選択したのだ。
自分自身ですら気付かずに。

気持ちや考えを、言葉で他人に伝えるのが不器用で。
それどころか周囲の機微に聡くても、自分の事には、まるで鈍感。

やはり高町なのはとシュテルは、外見とはまた違う意味で、どこか似ている。
訥々と内面を語るシュテルを見ながら、ユーノは改めて2人の不思議な縁を感じていた。

「うん……そうだったんだ」

「ただし。
 だからといって、『貴方のことを知りたかった』などと本人も気付かぬことを、気付くように仕向けるとは……
 世界の終わる刻まで後悔に塗れながら煉獄で焼かれ続けられるべき、情緒に欠けること甚だしい行為です」

砲撃後の一礼以降、戦いの気配を収めていたシュテルの瞳が、再び静かに熱を帯びる。
斬撃にも砲撃にも移行できる炎の魔力を宿しつつ、ルシフェリオンの切っ先がユーノに向けられた。

「え……あ、うん、その……ごめん。
 軽々しく、生意気なこと言っちゃって……」

「何故謝らなければならぬのかを理解していない謝辞など、意味がありません。
 ……朴念仁なのは、他人を笑えたものではないでしょうに」

攻撃の脅威よりも、シュテルの静かな激情に晒されたことに戸惑い、とっさに頭を下げるユーノ。
しかしシュテルは、ユーノがその理由もわからぬまま謝罪していることを看破し、ぴしゃりと切り捨てた。

シュテルの矛盾を指摘して動機を見抜く洞察力がありながら、それによる感情の機微はまるで読み取っていないのだ。
そんなユーノのちぐはぐな朴訥ぶりが、シュテルから再燃しかけた炎を冷ました。

451 太陽と明星 :2013/02/12(火) 22:49:49 ID:aRkxnGuM
▼▼▼

「まあ、よいでしょう。
 貴方の後にはナノハと戦い、そしてその後は―――再会叶わぬ、刻を隔てた世界へと往くのです。
 無粋な我が師も、そして不屈の好敵手のことも。
 戦いの内で余すことなく識り、記憶に留めておきましょう」

依然、炎気を纏うルシフェリオンを構えたままではあったが、雰囲気を緩めてシュテルは語りかける。

「それと、腫れ物に触るように言葉を選ばずとも、もっと明け透けに話していただいて結構ですよ。
 こうして知る機会を設けているように、師としての敬意のほかに、貴方自身にも近しい想いはあるのですから」

「うん……ありがとう」

融解した地面からわずかに照らされるだけの少女の表情は、なのはの話に及ぶと愉しげになり、口数も増える。
だからユーノは、自然となのはの話題を口にした。

「じゃあ、聞かせてもらうけど……君にとって、やっぱりなのはの存在は大きいの?」

「はい。
 心の在り方を好ましく思います。
 ゆえに、もっと知り合いたい―――だから、戦います。師と同じように」

最初の頃のフェイトと話しているようだと、ユーノは1年前の出来事を思い出した。
なのはという共通の知人の話題を経ることで、滑らかに溝が埋まっていくのを感じる。
まるでその場に居ない高町なのはが、2人を繋げているように。

「なのはのことが、好きなんだね……ああ、変な意味じゃなくて」

「すこし、違いますね。
 親愛や友情と言うよりは―――憧憬と郷愁、でしょうか」

「……あこがれている、ってこと?
 それに生まれた世界も時代も違うのに、懐かしむような共通点があるの?」

シュテルの不思議な物言いに、ユーノは会話の流れを掴めずに困惑する。

ユーノの見る限り2人の関係は気の合う好敵手といった雰囲気で、互いの憧れというイメージからは遠い。
なのはの存在に、故郷への想いを感じるというシュテルの言葉の意図は、なおさらだ。

「……」

そしてその言葉を口にした後で、シュテルの表情が少し改まる。
また何も考えずに話しすぎたかと慌てるユーノを尻目に、少女は構えを解いて、唐突にくるりとユーノへと背を向けた。
永い時を歩んできた達観と、幼い子供のような繊細さを背負う、小さな背中だ。

「あ、そのっ……」

「……今からは、独り言です。
 私の言葉は誰にも語らず、夜明け前までに胸の内で焼却してください」

火の消えたルシフェリオンを片手に持ち替えたシュテルが、そのまま夜天を見上げる。
少女の後姿を見ていたユーノも、つられて夜空を見た。

夜といってもまだ夜半にも及ばず、シュテルが仰ぐ夜明け前の紫色の天には、まだ遠い。
けれど少女はそこに想いを馳せるかのように、ユーノに背を向けて、『独り言』を語りだした

452 太陽と明星 :2013/02/12(火) 22:51:11 ID:aRkxnGuM
▼▼▼

「柄にもなく、取りとめも無く、想うことはあります。
 ……我らマテリアルの出自や、そのパーソナリティの在り方について。
 理のマテリアルとしての理論ではなく、正反対の―――感傷と情動な物言いですけれど」

「……」

マテリアルの出自。
古代ベルカの時代に、紫天の書の構成体として創られたプログラム。
後に夜天の書に組み込まれ、闇の書の中に沈み、けれど意識は保ちながら、外界を観察し続けた日々。
その頃から『星光の殲滅者』の名もパーソナリティも確立し、胸に灯る『火』も確かにあった。

けれど、とシュテルは続ける。

「闇の書の枷から放たれてこの駆体を得たのは、3ヶ月前―――あの街の、冬空の下。
 ナノハのデータを得た『今の私』は、それ以前の私とは明確に異なる存在として顕現しました。
 だから今の私の故郷は案外、あの街と言えるのかもしれません。
 ……ナノハと同じ街の生まれという事になりますね」

永きを過ごしたはずの本来の駆体の感覚を思い出すことさえ出来ないほどに、新たな体は心地良くシュテルに馴染む。
あるいは元来のデータと、高町なのはのデータとの整合性が良かっただけの、単なる偶然の結果なのかもしれない。

ただ唯一、自分のものではないという違和感を感じるとすれば、それは―――胸の内で燃える、炎の熱さだ。
魔力と熱情の双方の源である胸の内の火は、時にシュテル自身が持て余すほどに熱く、強い。

確かに、覚えているのだ。
過去の自分はもう少し冷徹で―――御しきれぬほどに、熱くはならなかった。

原因を求めるとすれば、それは外からの要因。
つまりシュテルは、炎熱変換ではない心の熱を、高町なのはから受け継いだとも結論付けられる。

ゆえに、これはただの憶測であり、叙情であり、あるいは願望であるやもしれませんが、とシュテルは前置きした。

「レヴィは、闇の書に蒐集されたフェイト・テスタロッサが抱えていた心の『痕』から。
 ディアーチェは、闇の書が記録していた八神はやての拭い得ぬ心の『罪』から。
 そして私は―――
 闇の書の管制人格や騎士たちがナノハとの戦いの中で感じ取った、心の『火』から生まれたのではないのか、と」

だから、私の胸の内に在る、想いの源である『火』は、ナノハ自身の輝きなのかもしれません。

少女は、夜天を見上げながら呟いた。

453 太陽と明星 :2013/02/12(火) 22:52:18 ID:aRkxnGuM
▼▼▼

過去と形を変えた、今の自分が自分であるが故のデータの、オリジナル。
『同郷』の先達。
それゆえの憧れと、故郷を同じくするものへの親近感。

そこに込められるシュテルの、高町なのはへの本当の想いは―――

「……別れたくないと、思っているんだ?」

「―――!」

思わず、ユーノの口から考えが漏れる。
同時にぴくりと、高町なのはと同じ後姿が震えた。

「……」

「その、ごめん……」

『独り言』という名の内心の吐露に、口を挟んでしまったこと。
そしてその言葉がまたしても、確信を突いてしまったこと。

先ほど、こっぴどくシュテルに非難されたばかりだというのに。
ユーノは自分の無神経ぶりを、本気で自虐する。

「―――このまま、貴方達がいる世界に留まるのも、とても魅力的だと思えるのは確かですね」

けれどシュテルは今度は咎めることなく、淡々とユーノの呟きに答えた。

「シュテル……」

「今更ですよ。
 見識のわりに気の利かない無粋な師匠のことも、記憶に留めておくと申し上げたでしょう。
 ……それに」

と、背を向けたときと同じく唐突に、シュテルはユーノへと向き直る。

いつものクールな立ち居振る舞いとは雰囲気が異なる、外見相応の少女の仕草で。
あるいは、猫の瞳のように気まぐれに燃え移る気性こそが、普段は表に出せないこの少女の本質なのかもしれない。

「私とて、矜持も羞恥もあります。
 出自を同じくする同胞にも話せぬ内心はありますし、それを抱えて葛藤するのも皆と変わりません。
 ……今、この場で話さなければ、おそらくはこの身が朽ちるまで誰にも言えぬ想い。
 ナノハでもなく、もう会うことのない誰かならよいというわけでもなく―――貴方なれば、話せたことです」

「そう……なんだ」

不意に向けられた素直な少女の一面に妙にどぎまぎとしながらも、ユーノはシュテルの胸の内を想う。

シュテルは行き場の無い葛藤を抱え、どこかで発散させる機会を望んでいたのかもしれない。
そんな少女が、自制心を払い内面を晒す事が許される機会と相手を得たのだ。
それが始めは死線をくぐる戦闘への欲求という形で現れ、そして今は取り留めない言葉となっている。

できれば穏便な形が良いのだが、そういった相手として選ばれたこと自体を、ユーノは嬉しく思う。
ならば、気の済むまでは話し相手であとうと、戦いの相手であろうと、付き合うべきだろう。
夜明け前までに忘れろ、ということは、少なくともそれまでは多少踏み込んで話してもいいのだろうから。

454 太陽と明星 :2013/02/12(火) 22:53:34 ID:aRkxnGuM
▼▼▼

「もし君たちがこの時代に残ったとしたら……そんな『もしも』の未来が、あったなら。
 君は管理局の嘱託魔導師にでもなって、なのはと一緒に空を飛ぶの?」

「それも、好いですね。
 ……けれど私の『故郷』では―――明星は、権威にはまつろわぬものなのですよ。
 ゆえに王のお守でもしながら、晴耕雨読の生活でもいたしましょうか」

唐突に振られた無意味な話題にも、シュテルは満更でもなさそうに考える。

『王』と『盟主』を抱く身でありながら、権威に従わぬという、矛盾に満ちた物言い。
シュテルを従わせているのは、義務や権威ではなく、ひとえに上に立つ者の人柄なのだろう。
ゆえに彼女は未練を断ち切り、未だ見ぬ世界へと旅立つのだ。

「……なのはは、残念がるだろうね。
 きっと君はフェイトやはやてとは違う意味で、いい友達になれただろうから」

「決着がついた後は、共に空を飛ばないかと誘われました。
 それで満足していただきましょう」

「うん……なのはにとっては、最高の親愛の言葉なんだと思うよ。
 なのはが魔法に出会って一番うれしかったのは『空を飛べること』だって言っていたからね」

高町なのはと同じ空を飛ぶことに想いを馳せるシュテルの顔は、まぎれもなく愉しげだった。
けれど、と少女は言葉を続ける。

「それに……ナノハと共に駆ける青空は、私には眩し過ぎるのですよ」

「眩し過ぎる?」

何度目になるかと言う意外な言い回しに、ユーノはただ相槌を打つ。
シュテルは、まだ何か言葉を続けようとしてる。
遮らずに最後まで、その胸の内を知りたかった。

「私が飛ぶのは、闇から暁へと変わりゆく、夜明け前の紫色の天。
 ゆえに私の座は、ナノハの隣ではなくディアーチェの懐にあるのです。
 明星は―――掴み得ぬ太陽に挑むために、紫天の空で一番強く輝く星なのですから」

明星。
太陽が昇る前の空で最も明るく輝くが―――太陽が現れればその輝きにかき消されてしまう星。

シュテルは、自分が明星であり、高町なのはが太陽だと例えている。

世界で、もっとも強い『火』―――並び立たず、それゆえに焦がれ、それでも掴みえぬ『太陽』。
それがシュテルのにとっての、高町なのはという存在なのだ。

「さて―――」

そこまで言い切ると、シュテルは下げていたルシフェリオンを両手で構え直した。

感情に振り回された外見年齢相応の少女は、もうそこに居ない。
目の前に居るのは、戦いによって師を知ろうとする、クールな理のマテリアルだ。

「―――胸のうちに篭る熱を、曝したところで。
 先ほどの続きを、お願いしたいのですが」

455 太陽と明星 :2013/02/12(火) 22:54:34 ID:aRkxnGuM
▼▼▼

ユーノの返答を得るまでもなく、息苦しいほどに熱く、2人の周りの魔力が高まってゆく。
どこからともなく、誘蛾のようにゆるゆると焔気が渦を巻き、シュテルの掲げるルシフェリオンに集い始めているのだ。

「そうだね。なるべく期待に沿えるように、がんばってみるよ」

ユーノも特に文句も言わず、そして最初の奇襲のときのような焦燥と緊張に支配されることもなく。
『対話』に逸り、再び殺気すら纏い始めた少女へと向き合った。

「私の全力にして全開の炎―――抗う術は、ありますか?」

ユーノを知るために、全力で。
思いの丈を、全開に。
半身であるルシフェリオンに、すべてを込める。

「期待に添えられるよう、努力はしてみるよ。
 僕も結界魔導師として、なのはの集束砲撃をどう防ぐのかを考えなかったわけじゃないからね」

「はい―――では、魅せてください」

その言葉を合図に、ルシフェリオンの先端へと集まる魔力が、緩やかな流れから火の渦のように一気に高まった。

「疾れ、明星(あかぼし)。すべてを焼き消す焔と変われ」

高町なのはのそれを星屑が集まる様に例えるならば、シュテルのそれはさながら、火の粉の群舞。
あるいは、ユーノを待つ間に吹き上げていた炎の魔力も、この為の布石だったのかもしれない。

「我が魔導の、全てを賭けて」

炎熱の魔力を乗せた、集束砲撃。
魔力変換の資質は大魔力の運用と両立し得ないという常識をも組み伏せる、理の外にある切り札。
集まる魔力が同じと仮定すれば、炎熱変換を加味して、破壊力では高町なのはをも上回る一撃。

熱く、強く、理詰めで組み上げられた理不尽という、この少女自身を象徴するかのような魔法。

「轟熱滅砕―――真・ルシフェリオン・ブレイカー!」

456 太陽と明星 :2013/02/12(火) 22:55:38 ID:aRkxnGuM
▼▼▼

底無しに高まる炎熱の魔力に対し、ユーノは臆せず魔法を唱える。
それに応じてユーノとシュテルを隔てるように現れたのは、広大な翠色の魔力シールド。

ただし、大出力の砲撃を受け止める『壁』のような堅牢なイメージはない。
面積自体は集束砲撃の直径を丸ごと飲み込むほどに広いが、相応の厚みがないのだ。
むしろ印象は、通常のシールドをそのまま大きく広げたような『膜』。
そんなシールドが、砲撃発射の瞬間に十数枚、ユーノとシュテルの間に重ねられるように配置された。

シールドを複数重ねて砲撃の威力を削ぎ、止める魂胆か。
いや。
その手段では高町なのはの集束砲撃すら止められないと、他ならぬユーノ自身がデータを検証して結論付けている。

事実、シールドはルシフェリオンブレイカーに触れた瞬間に、全く威力を削ぐこともなく割れ砕けた。

「―――ッ!」

そう、シールドであるにもかかわらず、砲撃の威力は削がれなかったのだ。
ならば『膜』の役割は、単純な防御ではない。

足を止めて砲撃を射出するシュテルが、ユーノの展開した『膜』の特性に気付いた。
最初のシールドを砕き通過した砲撃が、わずかな角度ながら外側へと『逸れた』のだ。
そして2枚目、3枚目と続けて通過するうちに同じ角度ずつ砲撃は外側へと流され―――

屈折角度を計算して、砲撃の射出角度の修正―――不可能。
シュテルは、もてるリソースの全てを砲撃出力と集束制御に割り当てている。
文字通りの全力の一撃であり、この砲撃射出中にリソースの再割り振りを行う余裕が無い。
何かを為すのは、すべて砲撃を撃ちきった後だ。

そして、最後のシールドが砕けた瞬間にシュテルの砲撃は止まる。
ユーノのすぐ脇から後方にかけての大地は大きく抉られ、溶岩流さながらに融解しているが、肝心のユーノは無傷。
全開の一撃は、余波でユーノの肌を火照らせる程度に留まり、全てが受け流されていた。

まるでシュテルの射出時間と総エネルギー量までを計算に入れて配置したような、幕引きだった。

457 太陽と明星 :2013/02/12(火) 22:58:35 ID:aRkxnGuM
▼▼▼

「……こうまで読み切られると、さすがに自分の不甲斐なさに立腹致します」

開口一番、シュテルは怜悧な表情の下に自分への苛立ちを滲ませる。
怒るというよりは、拗ねるような口調だ。

ユーノのことはこの上なく認めているが、それと悔しさはやはり別物である。
通じないとすれば、仕える王の沽券に係わのだ。

「そこまで褒められるものじゃないよ。
 ……さっきも言ったけど、僕は君の手の内をU-D戦まで含めて全部見ているわけだから、対策も立てられる。
 次はもう効かないし、新しい対抗手段なんて思い付かないから、一度だけしか効かないだまし討ちだよ」

「そこは誇ればいいのです。
 勝者が己を卑下する行為は、破られた側への侮辱になりますから。
 それに、お見せしましょうか―――いかな防御であろうとも、穿ち貫く技を」

水平に構えたルシフェリオンの切っ先に火が灯り、槍の穂先そのものの硬質のストライクフレームが形成される。
同時にその刃を包むように、爆発的な推進力を生み出す炎の6枚の羽が現われた。

「猛れ、甕星(みかぼし)。全てを穿つ、焔槍と変われ」

A.C.S――― 高速突撃砲。
高町なのはがリインフォースとの戦いで見せた、シールドをその穂先で貫いての、零距離砲撃。

意地になって負けを認めない子供のようだ、とユーノはシュテルを見て思う。
もしかしたら、高町なのはの攻撃をすべて受けきれたなら、彼女もこんな表情を浮かべるのだろうか。

「まあ、ここまできたら最後までつき合わせてもらうけどね。
 ……でも極論、僕には君を倒せない。それだけは確かなんだけど」

「簡単です。私に、『参りました』と言わせてください。
 それで最初にして最後の逢瀬は、お開きにしましょう」

「難しいよ……もう手持ちの引き出しも少ないんだし」

「大丈夫。できますよ、私の師匠であるならば。
 では、往きます―――ユーノ・スクライア。
 貴方のすべてを、識るために」

かくしてこの対話は、夜明けまで―――この世界が紫天の空を迎えるまで続けられた。

▼▼▼

翌朝。
戦場の傍らで気絶していた盾の守護獣が、煤まみれのまま1人でアースラに歩いて帰って来たのは、また別の話。

458 くしき :2013/02/12(火) 22:59:11 ID:aRkxnGuM
以上でした。

では、失礼いたします。

459 名無しさん@魔法少女 :2013/02/13(水) 00:15:54 ID:tyeMiXUA
乙乙
砲撃言語って言葉が読んでる間ちらちら頭をよぎったw

460 名無しさん@魔法少女 :2013/02/13(水) 01:07:18 ID:BXmnE.qk
>>458
投下乙です。
伝えなければならない…分かり合うとはこんなにも物騒だということを(ぉ

461 名無しさん@魔法少女 :2013/02/13(水) 01:39:24 ID:qQtccN6A
乙乙

何故か前書き部分のユーノとシュテルがお話しのところで
OHANASHIと読んでしまったが砲撃言語という意味では間違ってなかったw

462 名無しさん@魔法少女 :2013/02/13(水) 13:38:02 ID:OuujjZkY
2人の間なら~確~かに、感じぃぃぃぃらぁれるぅ~♪
先生、続きが読みたいです

463 acht ◆bcRa4HtgDU :2013/02/13(水) 21:00:25 ID:qQtccN6A
|д`) どうもおばんです 寒さがきつくて筆が進まず遅刻失礼しました
例によって一晩仕様のゆーなの短編です

・甘さを感じる暇なんてなかった
・Vivid直前
・フェイトそんはまともだけど不憫
・独自設定

以上の要素が含まれておりますのでご注意下さい
タイトルはネタバレなので最後につけます悪しからず

464 acht ◆bcRa4HtgDU :2013/02/13(水) 21:01:38 ID:qQtccN6A


世間を騒がせたJS事件から半年。機動六課も無事役目を終えて解散し、高町なのはは原隊である教導隊に復帰した。
しかしながら半年の間、無理をせずに療養していたにも関わらず、未だ後遺症は癒えておらず、デスクワークが彼女の主な仕事になっていた。
もっとも、それだけが彼女が仕事の方向を変えた理由ではない。
ヴィヴィオを引き取り、母としての役割を持つことになったことは無関係ではないはずである。


「ただいまー」

「お帰りなのは」


大抵の場合、まだ仕事をしている同僚たちにちょこっとだけ罪悪感を覚えつつ、なのはは定時で帰ることが多くなった。
寝る時間すら削って指導に全力全開で向かう姿勢から、もしかするとこの若さでワーカーホリックなのではと心配していた周囲は一様に胸をなでおろしたという。
むしろ最近では、今日は珍しく早く帰宅しているフェイトの方が働きすぎなのでは、と言われるほどである。
尚、このことについて人間変わるものだな、と年寄りくさいことを言ったクロノは三十前の人間の台詞じゃないねという妻の“口撃”で轟沈している。


「やあなのは、お邪魔してるよ」

「お帰りなのはママー」


こちらも仕事人間疑惑のある無限書庫司書長がヴィヴィオと戯れていた。フェレット姿で軽く手を挙げる様がどこかキマっているのは気のせいだろうか。
ただしユーノの場合、歴史の資料の宝庫とも言える無限書庫という仕事場は、息抜きのためにこもってもいいとさえ思う空間なので仕事中毒とは少し違うのだが。
ヴィヴィオは休日に結構な頻度で無限書庫の一般開放区画へ行って本を読んでいる。自分なりにJS事件で思うことがあったのだろう。
古代ベルカ関係の文献を解説書片手に四苦八苦しながら読んでいるのを休憩中だったユーノが手ほどきして以来、すっかり仲良しになってしまったようである。


「ただいま。うちの方に来るのは珍しいねユーノくん」


確かにそうだね、とあごに手を当てて神妙な顔をするフェレット。付き合いが長いせいかなのはには表情が分かるのだが、周囲は黙って首を横に振る。
書庫で会った縁とでも言うのだろうか、ヴィヴィオとユーノが出会うのは専ら無限書庫や図書館、本屋など、書物繋がりが多いという。
約束もせずにどうしてそうよく遭遇するのかとなのははいぶかしんだが、行きつけの場所を両者に伝えていたのが本人であることは忘れているようである。
ヴィヴィオがユーノを解放すると彼はぴょんとソファーに飛び乗って変身魔法を解除した。
あごに手をあてたポーズはそのままなのだが、どうして皆にはフェレット姿だと表情が想像できないのだろうか。


「実は最近知ったのだけれど、なのはの故郷では夫婦は結婚指輪というものをするらしいね」

「そうだよユーノくん」


ヴィヴィオの頭を撫でていたフェイトが怪訝そうな表情で顔を上げる。
ユーノは博学ではあるが、管理世界ならともかく、管理外世界の風習を知らなくても無理はない。
だが、この話の流れで何故唐突に結婚指輪とか夫婦という言葉が出てくるのだろう。
フェイトは一瞬、自分がフェイトママ(父)というポジションならば、
なのはママ(母)とおそろいの結婚指輪をするべきなのかと思ったが、いや、それはおかしいだろうと打ち消した。
立ち位置はともかく、それはおそらく法的な夫婦のするものだ。友達感覚のアクセサリーとしてのおそろいならともかく。


「そうなると、僕はなのはとおそろいの結婚指輪か、それに代わるようなものを贈るべきなんだろうか」

「んーでも指輪は教導のときに危ないから外すことになっちゃうからねぇ」


なんだかんだでやっぱりこういうリラックスした時でも仕事思考が入ってしまうんだな、とフェイトは心の中で苦笑しながらヴィヴィオを抱き上げようとして――

465 acht ◆bcRa4HtgDU :2013/02/13(水) 21:02:25 ID:qQtccN6A





「え」






停止した。









「えっと、なのは、ユーノ。それってどういう」

「あれ、言ってなかったっけ」

「そういえば六課結成のどたばたで伝え損ねたような気もするね」

「忙しかったから仕方ないね。わたしの里親をどうしようかーとかもあったんだろーし」


あはは、と笑う二人とフェイトママ知らなかったの、と不思議そうな顔で見上げるヴィヴィオ。


完全に凍結状態だったフェイトが解凍され、真相を聞き出して愕然とするまで、もうしばし、時間がかかるのであった。

466 acht ◆bcRa4HtgDU :2013/02/13(水) 21:04:20 ID:qQtccN6A

タイトル『結婚したって本当ですか?』
実はなのはさんとユーノは既に結婚していた説。

ワーカホリックさんたちだから式を挙げている余裕がありません。

どうも作中の既婚者さんがデスクワーカーであっても指輪をしている様子がないので結婚指輪の文化はミッドにはないっぽい。
なのはさんは言うまでも無く教導官なので普段はしてない。
→じゃぁなくてもいいか(現実主義者二人が集まるとこうなる

両親
→ユーノ側はそもそも許可をとる相手がいるかすら怪しいし、高町家はなのはが決めたことならなんだかんだで通してしまいそう(中卒→警官を認める家族だし

仕事中毒じゃなかったと見せかけてやっぱり思考が仕事中毒だったでござるという話でした。
ユーノとなのはは一緒にいるのが自然すぎて周りが変化に気付かない甘さというのが似合うんじゃないでしょうか

467 acht ◆bcRa4HtgDU :2013/02/13(水) 21:05:40 ID:qQtccN6A
追記

知らないのはフェイトさんだけじゃなくてはやてとか他の面々も全く気付いてません
フェイトそんだけ除け者ってわけじゃないんだよ あたふたさうるふぇいとそんかわいい

468 空の狐 :2013/02/13(水) 23:36:47 ID:atpqfn56
ありそうで怖い。そして、フェイトそんの慌てる顔が目に浮かびます。

ところで、14日はバレンタインですが、
0時からバレンタインネタのを投稿してもよろしいでしょうか?

469 名無しさん@魔法少女 :2013/02/13(水) 23:56:27 ID:a4fTjFI6
YOU ヤッチマイナYO !

470 空の狐 :2013/02/14(木) 00:02:00 ID:z4n2vN.U
ありがとうございます。
それでは、『みんなのバレンタイン』始めます。
ユーノ編、トーマ編、エリオ編の三段構成です。

471 みんなのバレンタイン :2013/02/14(木) 00:02:45 ID:z4n2vN.U
 バレンタインデー、それは親しい異性に対してプレゼントを贈る日なのだが、日本ではいつの間にか女性がチョコレートを贈る日となってしまった。まあそこはチョコレート会社の陰謀であろう。
 本来は地球の宗教の祭日が変化したものではあるものの、地球、特に日本からやってきた者たちの手によっていつの間にか管理局でも広まっていたのだった。

「司書長、受け取ってください!」
「ありがとう」
 休み時間に新人の女性司書からチョコを受け取る。本日二十個目のバレンタインチョコだった。
 司書の子を見送ってから袋の中に入れる。
「毎年のことだけど、多いねえ」
「だいぶ慣れたけどこの量はちょっと……ねえアルフ」
「手伝わないよ。ていうかそれは失礼だと思うよ」
 まったくもってその通り。女の子が作ってくれたチョコを他の誰かに食べさせるなんて……
 しばらくは間食は全てチョコかなとユーノは諦めて、
「ユーノくーん!」
 聞きなれた女の子の声に振り向く。

472 みんなのバレンタイン :2013/02/14(木) 00:03:30 ID:z4n2vN.U
「なのは」
 そこにいるのは管理局の制服に身を包んだ幼馴染の女性。
 その手には可愛らしくラッピングされたチョコ。
「はい、バレンタインのチョコ」
「ありがとうなのは」
 チョコを受け取ってそれを袋に入れようとしたけど、
「えっと、ユーノくん、できたらすぐに食べてほしいかな」
 そんな風になのはがお願いしてきた。
「え? うーん、そうだね折角もらったんだから」
 ささっとユーノはラッピングを解く。
 出てきたなのはのチョコはハート型の直球なデザインだった。特に変わったところはないなあと思いながらチョコを食べる。
 最初に感じたのはビターな味。砂糖は控えめで、チョコの持つ本来の香りと苦みが口の中に広がる。少しなのはっぽくないなとユーノが思った瞬間に甘みが広がる。
 クリーミーな甘みがビターな甘みと一体となって段々と味が変わっていく。見ればチョコの中にチョコとは違う白いクリームのようなものが入っていた。
「これ、面白いね。二段階に味が変わるんだ」
「うん、毎年普通のチョコだと飽きちゃうかなって思って。どうだった?」
「すごくおいしかったありがとう」
 ユーノの言葉になのはは華やかな笑顔を浮かべる。
 その後ろでアルフはあちーっとワザとらしく汗を拭っていた。

473 みんなのバレンタイン :2013/02/14(木) 00:04:07 ID:z4n2vN.U
 そして、なのはを見送って、ユーノは仕事に戻ったのだが、なんか書庫の入り口の方が騒がしくなっていた。
「私が先だよ!」
「違うわね私が先よすずか!」
 またもよく知る声、それも二人。
「何してるのすずか、アリサ?」
 ちょっと呆れ気味にユーノは二人に声をかける。
 ユーノに気づいた二人はお互いから距離を取って居住まいを正す。
「こんにちはユーノくん」
「久しぶりねユーノ」
「うん、久しぶり二人とも、とりあえず、司書長室に来ない? お茶くらい出すよ」

474 みんなのバレンタイン :2013/02/14(木) 00:05:28 ID:z4n2vN.U
 ユーノから出されたお茶で、これまで全速でここまで来た二人は喉を潤してからそれを出す。
「はい、ユーノくん」
「感謝しなさいよ。暇でもないのにわざわざ異世界までチョコレート届けに来たんだから」
 すずかはそっと差し出して、アリサは若干突き出すと言ったほうがいいかもしれない。
 前にバレンタインの時に仕事で地球に行けなかったことがあったから、二人とも当日に届けに来てくれたのかもしれない。それが嬉しいような、ちょっと情けないような、ユーノは複雑な気持ちだった。
「ありがとう二人とも」
 二人からチョコレートを受け取る。
 それから、じっと期待するようにこっちを見る二人の視線にやっぱり食べないといけないのかなと考えてラッピングを剥がす。
 アリサは大きめのトリュフチョコレート、すずかはハートのチョコレートだった。
「いただきます」
 で、まずはアリサのチョコレートを食べる。
 柔らかなチョコレートが口の中に溶け広がる。ラム酒の香りと生クリームが混ぜられた柔らかなチョコの味が広がる。
「うん、おいしいね」
「私が作ったのだから当然よ」
 ふふんとアリサは笑う。だが、なんでか不敵な笑みをすずかは浮かべている。

475 みんなのバレンタイン :2013/02/14(木) 00:06:54 ID:z4n2vN.U
 続いてお茶を飲んで口を改めてからすずかのチョコを食べる。
 すずかのチョコは普通においしいチョコだった。変わったところはないシンプルなチョコレート。だが……
 口の中に違和感を感じてユーノはペッとそれを吐き出した。出てきたそれは、一枚の紙だ。
「なにこれ?」
 作っているときに混じったのかなと思ったが、畳まれた紙の隙間になんか文字が見えた。
 なんだろうと思って開くと、そこには、
『私はあなたが大好きです。すずか』
 それにユーノは固まる。
「すずか?」
 アリサがすずかに迫った。
「えっと、アリサちゃん怖いよ?」
「あんた、協定忘れてないかしら?」
 協定? なんの話だろうとユーノは疑問に抱くけど、それを今のアリサに問いずらかった。
「えー、破ってないよアリサちゃん。チョコの中にメッセージペーパー入れるなんてよくあることでしょ?」
 白々しいすずかの言葉にアリサはごきごきと拳をならす。
 えーっととすずかは視線を中空に漂わせてから、
「じゃあねユーノくん!」
 一目散にアリサから逃げ出した。
「待ちなさい!!」
 それをアリサは追いかける。
「と、とりあえず仕事に戻ろうかな」
 一人残されたユーノはそう決めて書庫に仕事に戻った。
 きっと友達的な意味さとユーノは自分に言い聞かせるが、そんなものバレンタインである以上言い訳にもならないのである。

476 みんなのバレンタイン :2013/02/14(木) 00:07:44 ID:z4n2vN.U
 そして、仕事が終わって、
「やっほー、ユーノばれんたいんちょこ持ってきたぞー!!」
 と元気よくレヴィがユーノの背後から抱きついてきた。
「うわレヴィ!?」
 背中に押し付けられた二つの膨らみにユーノは真赤になる。
 ユーノは実はレヴィが苦手だった。フェイトと同じように豊かに育った女の身体。それなのに、子供のようにユーノにべたべたと甘えてくる。
 男として嬉しいことは嬉しいのだが、その過剰すぎるスキンシップにほとほとユーノは困っていた。
「まったく、貴様はもう少し落ち着かんか」
 と、遅れてディアーチェがユーノの元へと飛んでくる。
 ふと、ユーノはディアーチェの身体を観察する。はやてと同じようなスレンダーな肢体。レヴィと比べるまでもない膨らみ。
「どこを見ている塵芥?」
「いや、別にみてませんよ王?」
 ぎろりとディアーチェに睨まれて、とりあえず誤魔化す。余談だが、紫天一家では一番小さい。ユーリもレヴィよりも若干負けているが、なかなかなサイズに育っている。
 ディアーチェははあっと息を吐く。
「貴様の分のチョコだ。王からの贈り物、喜んで受け取るがいい」
「ありがとうございます王」
 自分の無意識な行動でディアーチェを不快にしてしまったため、ユーノは恭しく臣下の礼をしつつチョコを受け取る。
「はい、僕からもだぞ!」
「ありがとうレヴィ」
 二人からチョコを受け取る。二人もすぐに食べてあげた方がいいかなとユーノはすぐにチョコを取り出す。

477 みんなのバレンタイン :2013/02/14(木) 00:09:31 ID:z4n2vN.U
 レヴィのチョコは雷の形をしている。ディアーチェは羽根のようなデザインのチョコパイだった。
 まずはレヴィのをユーノは食べる。口に入れた瞬間、ユーノは口の中に広がった甘みに驚く。
 甘い、とにかく甘い。甘いモノ嫌いなクロノなら二口目を躊躇しそうなほどの甘さ。はっきり言ってチョコの風味は僅かにしかしない。そして、この甘みは……
「リンゴとハチミツ?」
「お! 隠し味がわかった? すごいぞユーノ!!」
 うん、隠し味っていうけどまったく隠れてない。完全に全面に押し出されている。むしろチョコを支配するような分量が入っているはずなのに、見た目はチョコのままというとんでもないマジックにユーノはどう作ったのかをレヴィに聞きたくなった。
 それでもそれをユーノは押し隠してレヴィに笑顔を向ける。
「うん、すごくおいしいよレヴィ」
「ふふーん、そうだろー。すごいぞ、甘いぞ、おいしいぞー!!」
 えっへんとレヴィは胸を張る。嘘は言っていない。不味くはないのだ。ただ、味はチョコが隠し味になってしまっているが。
 続いてディアーチェのチョコレート。
 さくっとクリスピーな食感と、ぱきっと硬いチョコ。さくさくのパイと硬いチョコの触感が交互に口の中を広がるのが楽しい。
「ディアーチェのもすごくおいしいよ」
「ふっはっは、もっと褒めるがいい!」
 上機嫌にディアーチェは笑い声をあげたのだった。

478 みんなのバレンタイン :2013/02/14(木) 00:10:19 ID:z4n2vN.U
 レヴィとディアーチェを見送ってやっと自宅に帰宅できた。
「おかえりなさい師匠」
「あ、ただいまシュテル」
 普通に自宅で待っていたシュテルにもうユーノは慣れてしまっていた。別にスペアキーを渡してるわけでもないのにそこにいるが、ツッコんだら負けである。
「師匠、その、えっと……」
 シュテルは口ごもりながらもそれを出す。
「ば、バレンタインチョコです」
 それはフェレットの形をしたチョコレートだった。
 そして、その下に『I LOVE MASTER』と刻まれている。
「ありがとうシュテル」
「いえ、それよりも」
「うん、さっそくいただくね」
 フェレットの頭から口の中に入れる。
 表面はぱきっと固く、中からとろりと中から別のチョコが流れ出す。
 表面をコーティングしているチョコはカカオのもつ本来の香りとビターな味わい。中身はミルクチョコの優しい味わい。本来のチョコの味を表面で楽しんでから、中身のミルクチョコの柔らかな口当たりが舌を包んでくれる。
 形といい中身といいかなり手が込んでいる。さすがは凝り性のシュテルだった。
「うん、すごくおいしい。シュテルは料理うまいよね」
「そ、そんなことありません」
 恥ずかしそうに頬を赤らめるシュテルに微笑んだ。

「て、感じかな僕のバレンタインは」
 バレンタインの翌日、居酒屋でユーノはトーマと飲みながら昨日のバレンタインをそんな風に語った。
「なんていうか……あまーい」
 トーマは素直にそう思った。周りの女性陣かなりユーノに惚れ込んでいる。その上、一部はかなり積極的だ。特にこちらになかなかこれないエルトリアメンバーと管理外世界の幼馴染二人。
「で、ユーノさんとしては、誰が本命なんですか?」
 ちょっとわくわくしながらトーマは問うてみるが、
「うーん、まだ決められないかなあ」
 この朴念仁フェレットはまだ決められないとおっしゃられるのだ。
 それにヴィヴィオが「ユーノ司書長は穏やかな心が激しい鈍感さで目覚めたスーパー草食系」と称していたことを思い出した。
 彼に誰かを選ばせるのは難しい。酷ではあるが、女性陣には頑張っていただけなければならない。
 トーマはそのうち起こりえるかもしれない司書長争奪戦で彼が犠牲者にならないことだけを祈った。主にナイスなボートにはならないでほしい。
「そういうトーマくんはどうなのかな?」
「俺ですか? ええっと……」
 トーマは思い出す。昨日のバレンタインを。

479 みんなのバレンタイン :2013/02/14(木) 00:10:49 ID:z4n2vN.U
「トーマ、はいチョコレート」
 アイシスがチョコレートをトーマに渡す。
「ありがとうアイシス」
「いいよお礼なんて。じゃあエリオやヴァイスさんにも渡してくるから!」
 そう言ってアイシスは二人を捜しに行ってしまう。
 現在、特務六課でもバレンタインを迎え、チョコレートのプレゼントが始まっていた。
 なのはは訓練後に全員に義理チョコを渡した後に、どこかに行ってしまった。まあ、たぶん無限書庫かなあとトーマはあたりをつけていた。
 フェイトは義理チョコ配ってから出かけている。誰かにチョコを渡しに言ったのか、それとも渡す相手がいないのを誤魔化すためか。
 はやては、むしろ現在進行形でチョコを作っている。仕事が忙しくてなかなか作る暇がなかったようである。
 シグナムはヴァイスにチョコを渡しにいっている。しばらくはヘリポートに近づかないのが身のためだろう。
 ヴィータ、チョコアイスを振る舞っている。本命を尋ねたら殴られた。
 シャマルは……大量のチョコを抱えながら隊舎の中を歩き回っている。男性陣は絶対に彼女に巡り合わないよう、交代で細かく動向をチェックしている。
 こんな感じで六課は賑わっていたが、トーマにとって気がかりなことが一つあった。リリィである。
 なぜか、十日以上前からリリィははやてに頼み込んで空き部屋を二つも借りて、なにもない時間にそこに詰めている。
 一体何をしているのか気になるものの、絶対入っちゃダメと言われたために、誰も近づかない。
 何をしているのかはトーマにも秘密だった。バレンタインチョコを作っているのかとも思ったものの、十日間はいくらなんでも長すぎる。ならば、いったい何を?

480 みんなのバレンタイン :2013/02/14(木) 00:11:26 ID:z4n2vN.U
 そんなことを考えていて、
「トーマ! 見つけました!!」
 ユーリがトーマの元へと駆け寄ってきた。
 その手にな手のひらに載るほどの包み。ユーリも自分に作ってくれたんだとちょっとだけトーマは嬉しくなった。
「はい、チョコレートです!」
 頬を赤く染めながらユーリはチョコレートを差し出す。
「ありがとうユーリ」
 受け取ると、じっとユーリはトーマのことを期待するように見つめる。
 これは、もしかしてすぐに食べて感想を言ってほしいってことなのかな? とトーマは考えてラッピングを剥がしてチョコレートを取り出す。
 出てきたのは可愛らしいハートのチョコレート。『I LOVE YOU』とデコレーションされている。
 なんだかユーリらしい可愛らしさにあふれているなあとトーマは思った。
「ディアーチェに教えてもらいました!」
「そうなんだ。じゃあ、さっそく」
 トーマはユーリのチョコを味わう。
 優しい味わいが口の中に広がる。ビター過ぎず、甘すぎず、絶妙な味わい。だが、そこの中になんかチョコとは違う味が微かにした。なんなのかはわからない。ただ、ちょっと鉄っぽい。
「うん、おいしいよ」
「そうですか、よかった。実は少しだけ失敗しちゃったんで不安だったんです」
 失敗という言葉にトーマは首を傾げる。特に味がおかしかったとは思わなかったんだけど……
 が、すぐにわかった。ユーリの指にはあちこちに絆創膏が張られている。
「もしかして、指を切ったの?」
「は、はい。包丁はじめて使ったので……実はチョコの中に私の血が混じっているかもしれないんです」
 溶かす前段階でチョコを刻む時に、慣れてないユーリは指を切ってしまったのだ。
 それにトーマは納得する。チョコから微かに感じた鉄臭さはユーリの血の味だったのだ。
「うん、全然そんなことないよ。すごくおいしかった」
 トーマの一言にユーリはほっと息を吐く。

481 みんなのバレンタイン :2013/02/14(木) 00:12:02 ID:z4n2vN.U
「あ、トーマここにいたんだ。ユーリも一緒?」
 と、今度はヴィヴィオがトーマに声をかけてきた。
「ヴィヴィオ、もしかして」
「そうだよトーマ、これが私からのチョコレート!!」
 と、ヴィヴィオがトーマにチョコレートを渡してくる。こっちは、マーブル模様で、若干形が歪ではあるものの、むしろ頑張って作った手作りという印象を受けるものだった。
「桃子おばあちゃんに教わりながら作ったんだ」
「ありがとうヴィヴィオ。じゃあさっそく」
 口に入れて歯を立てると、いろいろな味が口の中に広がる。チョコ以外にも甘酸っぱくて、フルーティーな味がする。
「これ、中にドライフルーツが入ってるのかな?」
 見ればチョコの茶色、ホワイトチョコの白に紫、赤、オレンジとカラフルな断面が広がっている。ちょっとクセはあるものの、なかなかうまいし、普通のチョコとは違う新鮮味があった。
「そうだよ。みんな普通のチョコを作ると思ったから、おばあちゃんにちょっと変わったチョコの作り方を教えてもらったんだ」
 と、どうやらみんなが正統派チョコを作ることを見越して、ヴィヴィオは変化球気味のチョコでトーマを飽きさせないようにしようと考えてくれたみたいであった。
 ヴィヴィオの考えになるほどとユーリも感心する。
「御馳走様おいしかったよ二人とも」
 トーマの答えに二人は幸せそうに笑った。

 そして、ユーリとヴィヴィオと別れてから、トーマは微妙に暇になってしまった。
 ならば部屋に帰ればいいのだが、うろついていればチョコレートをもらえるのではないかという男の性によって、無意識のうちに戻ろうという考えが浮かんでこなかった。
 ただチョコが欲しいからと言ってシャマルにあうのは断固辞退するが。
 そして、
「あ、いたいたトーマ!」
「スゥちゃん?」
 続いてきたのはスバルだった。遅れてティアナも。
「はい、トーマにチョコレート」
「私からもよ」
「ありがとうスゥちゃん、ティア姉」
 トーマはスバルとティアナからチョコレートを受け取る。
「ねえねえ、さっそく食べてくれる? ティアも感想聞きたいだろうし」
「なに適当なこと言ってるのよバカスバル!」
 スバルの発言にティアナが締めようとして、きゃあきゃあと逃げ回る。
 それに苦笑しながらも、トーマは受け取ったチョコレートを見る。スバルはいくつもの一口大の星型。ティアナはただ丸いチョコ。これは義理かなと思いながらもトーマはまずはスバルのを食べる。
 スバルのチョコは程よい甘みに優しい口当たり。その味わいはなんだか胸が暖かくなって、まるで故郷に帰ってきたような感じがする。
 そう、例えてみればおふくろの味と言うべきか。トーマにとってのスバルの存在をまさにあらわしたような味だった。
 続いてティアナのチョコを食べる。
 こっちは砂糖控えめ、カカオの風味と苦みが口中に広がり溶けていく。こっちは大人の味とでもいうべきチョコらしいチョコという印象だった。
 なんだかティアナにぴったりの味だ。
「スゥちゃん、ティア姉、ごちそうさま、どっちも美味しかったな」
 その一言にぴくっとティアナは反応する。
「どっちもおいしかった、ね? じゃあ、どっちが一番おいしかった?」
 ゆっくりとティアナがトーマの方に振り返る。
 その眼にトーマはびくっと震える。なぜかわからないが、ティアナが怖い。スバルもいつの間にか逃げ出していた。
 えっととトーマはちょっとだけ視線を逸らしてから、脱兎のごとくその場から離脱した。

482 みんなのバレンタイン :2013/02/14(木) 00:17:32 ID:z4n2vN.U
「ふう、ここまで来れば安心か」
 トーマは額の汗を拭う。全力で逃げたのだから追いつけないだろう。
 とりあえず、チョコをもらえるからとか言っていられない。ティアナと会わないように部屋に戻ろうとトーマは決めて、
『あっ』
 部屋の前で待っていたユーリと鉢合わせた。
 リリィの手には可愛らしくリボンでラッピングされたチョコ。
「御帰りトーマ、その、チョコレート持ってきたんだ」
 ホッとするような笑みを浮かべてリリィはトーマにチョコを差し出す。
「あ、ありがとうリリィ……」
 初々しい雰囲気を漂わせながらトーマはリリィからチョコを受け取る。
 やっぱりすぐに食べた方がいいのかなとトーマは考えて、期待するように自分を見つめるリリィによしと決める。
 するっとラッピングを解いて中身を取り出す。ハート型のチョコがいくつも入っている。それをトーマは頬張る。
 チョコの味は……おいしい、そんな感想しか浮かばない。陳腐な表現であるが、それがすべての味だった。他にこの味は表現のしようがない。
「おいしいよ。リリィ」
「よかったあ。上手くできて」
 ほっとリリィは笑う。
「えっとね、なのはさんにコツを教わったんだけど、それの隠し味何かわかるかな?」
「えっと…………ごめんわかんない」
 リリィの問いかけにトーマは考えるけど、わからなかった。ただ美味いとしか思えないそれにいったいどんな隠し味が?
「えっとね、隠し味は、愛情だよ」
 可愛らしく答えを告げるリリィにトーマは衝撃を受ける。なんだろうこの可愛い生き物は。
 そして、同時にリリィの答えにトーマは納得する。愛情こそ至高の調味料、古くから料理人に伝わる格言である。
「そっか、すごいねリリィは」
 えへへとリリィは笑ってから、そばに置いてあった袋をどっこいしょと持ち上げる。
 それにトーマの目は点になる。なにせ、その袋はどう見てもリリィよりも大きい。
「リリィ、それは?」
「みんなに配るチョコレートだよ。ずっとこれ用意していたの」
 と、事も無げにリリィは答える。それにまさかとトーマはそれに思い至る。
 この数日間ずっと部屋に籠っていたのは……
「ずっとそれを作ってたの?」
「うん、今日は好きな人にチョコレート配るんだよね? 何度か失敗しちゃったけど、がんばってみんなの分を作ったの。アイシスにユーリ、スゥちゃんにティアさん、エリオくんとキャロちゃんにリイン師匠、ヴィータ隊長になのはさんにフェイトさん、はやてさんにシグナムさん、ヴィヴィオにアインハルトにザフィーラにシャマルさんにそれから、ギンガさん、チンクさん、ディエチさん、ウェンディさん、ノーヴェさん、ゲンヤさん、それにヴェイロンにカレンに……」
 と、どんどんとリリィは配る相手の名前を上げる。何気なくフッケバインのメンバーも紛れていた。
 それにトーマは引きつった笑みを浮かべるしかない。袋の中身が今自分の持っているのと同じなら袋のサイズも納得する。
 まさか、フッケバインにまで準備するとは……天然だよなあと別の意味でトーマは感心する。
「じゃあ、みんなに配ってくるねトーマ」
「あ、俺も手伝うよリリィ」
「え? ありがとうトーマ」
 と、トーマは申し出にリリィはほんのりと頬を赤くして微笑む。
 そして、トーマはリリィの袋を受け取る。
「でもね……トーマだけは特別なチョコだったんだよ」
 トーマのだけはみんな用のチョコとは別に作ったのだから。
「え? なに?」
「ううん、なんでもない。行こうトーマ」
 ちょっとだけ引っ掛かりながらもトーマは歩き出した。

483 みんなのバレンタイン :2013/02/14(木) 00:19:14 ID:z4n2vN.U
「……ですかね」
「それは、すごいね」
 リリィの変な方向への活動力にユーノは苦笑する。
「はい。配るの大変でした。リリィは今までに知り合ったほとんどの相手に渡すつもりだったみたいで、隊舎以外の場所にも行かなくちゃいけませんでしたし、
 フッケバインに渡すのは苦労しました」
 最後のはユーノは聞かなかったことにした。犯罪者集団である彼らへの贈り物なんてはやてたちにばれたらどうなるのかわからない。
 まあ、どうやって彼らにコンタクトを取って渡したのかとも気にはなるが。
「そういえばエリオくんは?」
「あ、まだキャロちゃんとルーテシアちゃんに捕まっているかもしれませんね」
 あーっとユーノは納得した。

「ヴォルテール!」
「白天王!!」
 フリードとガリューがダブルノックアウトした瞬間に二人は互いの切り札であるヴォルテールと白天王を召喚していた。
 二体はこんなことに召喚されてしまったことにはあっとため息を吐くように項垂れる。
 認めた少女に力を貸すのは吝かではないものの、流石に痴話喧嘩にまで力を貸すつもりは欠片もない。お互いに目でお前も大変だなとやり取りを交わす。
 そして、お互いに拳を振りかぶって、数発拳を交わして、最後にクロスカウンターでお互いの顔面に拳を埋め、示し合わせたように倒れ込んだ。
 二人とも不本意な形の再戦にヤル気の欠片もなく、適当に少女二人に合わせて倒れたのだった。
「くう、こうなったら!」
「肉弾戦しかないわね!」
 同時に二人は飛び出し、拳を交わす。
 それをエリオは見守る。なんでか、チョコを交換する順番を争って、朝からずっと続くその戦いを。
「大変ねエリオくんも」
 と、ルーテシアの母であるメガーヌがぽんっと肩を叩く。
「い、いえ」
「まあこれ食べて元気出してね」
 そう言ってエリオに一つの箱を渡す。
「ありがとうございます」
 メガーヌの心遣いを嬉しく思いながら蓋を開けるとそこに一つのチョコレート。『I love you』と書かれている。
 えっ? とエリオが振り向けばおほほほほーと笑いながらどこかに飛んで行ってしまうメガーヌ。
「エリオ?」
「エリオくん?」
 そして、かけられた声にびくんと肩を震わせる。
 恐る恐る振り向けば、笑顔のキャロとルーテシア。
「えっと、キャロ、ルー……」
 だが、エリオはわかっている。それは笑みではない。なぜなら目が欠片も笑っていないのだから。
「エリオ君ひどいねルーちゃん」
「そうだねキャロ、私たちが命がけで順番決めているのに、何もしてないお母さんから受け取るなんて」
 どうやら、二人にとってお仕置きの対象はエリオにチョコを贈ったメガーヌではなく、なんとなく受け取ってしまったエリオらしい。
「お母さんには後で文句言うとして」
「まずはエリオくんだね」
 瞬間、エリオは逃げ出した。

「エリオの冥福を祈ろう」
「ですね」
 今頃どうなっているのか知らない一人の友を思って二人は乾杯したのだった。

484 みんなのバレンタイン :2013/02/14(木) 00:23:36 ID:z4n2vN.U
以上です。
駄文失礼しました。
そして、ここにもう一つ新たなカップリングを提示させていただきました。
トーマ×ユーリもいいんじゃないでしょうか? ちょっとトーマも彼女の状況にシンパシーらしきものを感じてましたし。

あと、リリィは天然で額面通り言葉を受けちゃう子になってます。
機械のラプターたちにもああいう風にできる子だし。Force版タチ〇マになるのかな?

485 名無しさん@魔法少女 :2013/02/14(木) 10:51:03 ID:RHFny6X2
GJです!
さて、今年は何人(何頭?)のザフィーラが天に召されるのか(死なすな)

あとティアナさんはトーマ狙いでマジになっているのか、他に本命(≒ヴァイスorスバル)がいてトーマを味見役にしているのか
そう言えばトマティアってあんまり見た覚えないなぁと思いながらぐるぐる考えてしまったり

486 名無しさん@魔法少女 :2013/02/14(木) 11:22:25 ID:ESm/8nH6
GJ!
いやぁ純粋無垢なリリィは可愛いなぁw
トーマもリリィの愛にちゃんと応えてやるんだぞう

487 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/02/14(木) 19:14:36 ID:1aE4Iz0o
自分も投下するわ。

バレンタインもの、エロ、ヴァイシグ、タイトル『2/14/ヴァイ/シグ』

488 2/14/ヴァイ/シグ :2013/02/14(木) 19:15:11 ID:1aE4Iz0o
2/14/ヴァイ/シグ


「うへへへへへ」

 それは果てしなくだらしない笑いだった。
 薄暗い部屋の中、艶の失せたぼさぼさの髪の女は、名をカザミと言う。
 彼女は一人、明かりの消された自室の中で怪しげな作業に没頭していた。
 カザミは時空管理局所属の局員であり、同時に管理局SFクラブの一員であった。
 SFクラブというのはサイエンスフィクションの略ではない。
 シグナム・ファン・クラブの略称であった。
 八神はやてに仕える騎士、機動六課ライトニング分隊副体長、凛々しく美しい烈火の将。
 男性はもちろんの事、その強さと美貌に魅せられた乙女もまた多い。
 正にカザミはそんな一人であった。

「シグナムさんもこれを食べれば……むふふ」

 そう呟き、カザミは怪しげな鍋の中に怪しげなものを投入しながら怪しげな笑みを浮かべる。
 明日は二月の十四日、果たしてその日付が意味するものは何なのか、言うまでもなく。
 湯銭で暖められた鍋の中に満ちる暗茶褐色の液体は甘い香りを放つ。



 機動六課のデスク、自身の机の上に積み上げられたその凄まじい景観に、シグナムは諦観とも取れるため息を吐いた。

「やれやれ、どうしたものかな」

 そこにあったのは、大量の紙包みの類が数え切れぬほど重ねられて形成された山だった。
 漂う独特の甘い香り。
 そして二月十四日という日付。
 紙包みの中身は言わずもがな、チョコレートである。
 もともとは地球の日本の風習というか文化といえるものが、一体どのような経緯と理由を以ってか、ミッドチルダでも恒例と化していた。
 シグナムはその被害者とも言えた。
 類まれなる美貌と女性らしからぬ凛々しさを持つ彼女は、本人の意思とはまったく預かり知らぬところで大量の女性ファンを作っていた。
 結果として、このような催しものとなると、贈り物の量は実に壮観の極みを呈する。
 無下に捨てるわけにも行かず、毎回辟易しながら家に持ち帰るのが通例であった。
 
「しかし、これはとても一度に持って帰れんな」

 とりあえず入れられるだけ鞄に詰めてみたが、それでも半分も入らなかった。
 シグナムは呆れながら、残りの物はロッカーにでも入れておくか、などと思案する。
 時間がもう少し早ければ八神家の皆に手伝ってもらえただろうが、生憎と今は定時を遥かに過ぎた夜半だった。
 一人残って訓練室で日課の自主鍛錬をしていた自分を呪いたくなる。
 と、そんな時だった。

「あれ、シグナム姐さんじゃないっすか。どうしたんすかそんなところで」

「ああ、ヴァイスか」

 振り返れば、そこには見知った顔が居た。
 ヴァイス・グランセニック。
 かれこれ七年以上は付き合いのある馴染みの部下だ。
 長身に見合ったがっしりとした体を改めて観察し、シグナムは満足そうに頷く。

「ふむ。お前なら全部持って行けそうだな」

「え? 何がっすか?」

「ああ、ちょっと荷物を持って帰るのを手伝え」

 そう言って、シグナムは自分の机の上に山を作る紙包みの山を指す。
 彼女の欲するところを把握して、ヴァイスの顔に苦笑いが浮かんだ。

「ちょ、俺にこんな量のものを持たせようってんすか?」

「私一人じゃ持ちきれん。良いから手伝え、ただとは言わん」

 ひょいと手ごろな位置にあった紙包みを手に取ると、シグナムはそれをヴァイスに放って渡した。
 器用に片手で受け取ると、ヴァイスはその包みを軽く解く。
 中からチョコの表面が、蛍光灯の光を鈍く照り返す。

「良いんすか? これバレンタインのチョコっしょ?」

「なんだ、お前も知っていたか」

「まあ、聞きかじったくらいっすけどね」

「気持ちは嬉しいが。こんなにあっては一人で食べきれんからな。どうせ家に帰ってもヴィータあたりに手伝ってもらうし構わんだろう」

「姐さんがそう言うなら、別に良いっすけど」

 不承不承と言った風に呟き、ヴァイスは手にしたチョコを口に放り込んだ。
 例え別人が作った物とはいえ、内心ではシグナムからチョコをもらって少し嬉しいのだが。
 チョコはさして大きくはなかった。
 ぼりぼりと数回噛み砕けばもう胃に落ちる。

489 2/14/ヴァイ/シグ :2013/02/14(木) 19:15:42 ID:1aE4Iz0o
 何の変哲とてないチョコレートの風味と甘味。
 しかし、ヴァイスは知る由もなかった。
 そのチョコの中にカザミなる女性がシグナムを篭絡しようと混ぜた媚薬や惚れ薬といったヤバイ系統のスパイスの事など。
 
「うぉ……」

 呻きに似た呟きと共に、ヴァイスがぐらりと傾ぐ。
 体の芯に形容し難い熱が生まれた。
 目に映る像が霞む。
 血が熱い。
 いつの間にか手と膝を床に突いていた。

「ど、どうした?! 気分でも悪いのか?」

 慌ててシグナムが駆け寄る。
 戦慄くヴァイスの肩を掴み、彼の体を起こした。
 震える体は、服越しにさえ熱い。
 顔を上げ、荒くなり始めた息遣いと共に、炯々と輝く眼差しがシグナムを見た。

「お、おい……ヴァイス? ……ひぁ!?」

 常に毅然として凛々しいシグナムの声が、一瞬で愛らしささえ感じるものになった。
 ヴァイスの逞しい手が彼女の豊満な乳房を服の上から掴み、力を込めて揉みしだいたのだ。
 突然の荒々しい愛撫、体を走る痛みと快感にシグナムの顔が歪む。
 
「ヴァイス、お前……何をする! この……離せ、こら……おい……ん!!」

 太い腕を振り払おうとしたシグナムだが、しかしその彼女を、更なる衝撃が襲った。
 唇が塞がれた。
 ぬるりと口の中に入り込む舌の感触を覚えた時、ようやく自分がキスされたと自覚した。
 驚きと快感。
 本能に従って成されるヴァイスの愛撫は極めて乱暴だが、同時にその荒さが強い快楽を生む。
 口内を舌で、豊かな胸を五指で蹂躙され、その悦に神経を甘く刺激されるシグナムに、上手く抵抗の為の力を出す事はできなかった。
 気付けば、いつの間にか彼女の体は床の上に押し倒されていた。
 
「ん……んんぅ〜! ん!!」

 必死に身をよじるが、上に覆いかぶさるヴァイスの体を押しのける事はできない。
 胸だけでなく、いつの間にか彼の手はくびれた腰や、安産型の尻まで丹念に撫で回してた。
 さらには舌と舌を絡められる心地よさが、脳髄を恍惚で満たす。
 如何にシグナムが烈火の将の名を持つ歴戦の騎士とて、その身はどこまでも女だった。
 苦痛や疲労ならば屈しはしないが、性感ばかりはそうもいかない。
 上着とブラウス、さらに下着まで脱がされ、うっすらと汗ばむ柔肌まで触れられてはなおさらだ。
 完全に服を脱がす間も惜しいのか、半分着たままの制服の間から手を突っ込んだヴァイスは、豊満に肉付いたシグナムの体をこれでもかとまさぐる。
 柔らかいくせに張りに満ちた乳房を捏ね回し、そのてっぺんの薄紅色の肉豆をきゅっと摘む。

「ふひゃぁ!」

 よほど乳首が敏感だったのか、それだけでシグナムの抵抗する力はさらに半分以下まで落ちた。
 今やもう、震えるように喘ぐだけになった肢体。
 ヴァイスは迷うこともなくスカートのホックとファスナーを、すらりと伸びる脚の付け根にある下着を脱がしていく。
 ニーストッキングの太股を慈しむように撫でながら、床に接地する尻の重みを何とか持ち上げてショーツを下ろす。
 ヴァイスの指先が、女性の秘すべき場所へと這い進んだ。

「ふぁ……ッ!」

 甘い喘ぎ。
 くちゅ、と、湿った音が響いた。

490 2/14/ヴァイ/シグ :2013/02/14(木) 19:16:17 ID:1aE4Iz0o
 既にそこは分泌された蜜でしっとりと濡れている。
 男を受け入れる為の準備だ。
 ヴァイスは半身を起こすと、ボタンが引き千切れるほどの力で自分の纏っていた服を脱ぐ。
 見上げるシグナムの瞳は、茫洋と快楽に蕩けて霞んでいる。
 それでもなんとか事を収めようと、隠しきれないボリュームの乳房を手で隠し、端から唾液を垂らす口で理性を叫ぶ。

「ま、待て……や……だ、だめだ……こんな、こと……お願いだから……ヴァイス、やめ……んぅぅ〜ッ!!」

 その言葉の、なんと虚しい事か。
 発した理性の言葉は、膣口の一撫でで霧散した。
 軽く指先で入り口を慣らす程度の、児戯に等しい行為。
 たったそれだけで言葉を重ねられなくなるほど、シグナムの体は出来上がっていた。
 ならば、もう止まる手立てなどない。
 ヴァイスはしなやかに伸びる艶美な二本の脚の間に、自身の体を割り込ませると、シグナムの細い腰を掴んだ。
 彼自身が、美女の入り口へと近づき――触れる。
 お互いに火傷してしまいそうなほどに熱い。
 ほんの少し触れ合っただけでそれを感じる。

「ぁぁ……」

 シグナムの口から思わず漏れる、恍惚と期待の吐息。
 知らずのうちに自分の中に湧き上がる淫らな心に、シグナム自身たじろいだ。
 違う、こんなものは、拒まなければ……
 必死に理性を呼び起こし、自分を保とうとする。
 しかしそれも無意味だった。
 ズンッ、と、衝撃が体の芯を穿った。
 熱く硬い逞しいものが、奥の奥まで挿入された。
 
「あぁ……ああぁぁぁああああ!!!」

 滾るほど熱いヴァイスの肉棒で犯され、媚肉を掻き分けられ、子宮口を小突かれる。
 眩暈さえ覚えるほどのその快感に、シグナムの脳髄は神経の一本一本に至るまで焼き尽くされる。
 
「ヴァ、イスぅ……はぁぁ」

 甘く蕩けきった声で彼の名を囁き、しなやかな繊手がその体を抱き寄せた。
 もはやシグナムの意中に、抵抗、の二文字など欠片もない。
 肉棒の力強い一突きが、決定的な破綻のスイッチを押してしまった。
 あとはもう、堕ちるだけ。

「く! ふう……ううう!」

 獣染みた声と共にヴァイスが体を動かす。
 前後に、左右に、シグナムの内側を抉るように肉竿で責め立てた。

「ん!! ヴァイス……はげしぃ……ふぁぁあ!」

 蜜をたっぷり分泌した粘膜を擦りあげられ、シグナムは甘い悲鳴を幾度も上げた。
 身も心も染め上げる快楽の暴虐、犯される雌の悦び。
 艶かしい脚線美が、逃すまいとヴァイスの腰を絡める。
 それに応じるかのように、彼の腰はより激しく沈んでシグナムと結合する。
 上げられる喘ぎ声に倍するほどの、濡れた肉と肉の打ち付け合う音、愛液のあわ立つ音。
 幾度となく成熟した体をぶつけ合う二人の動きは、徐々に早く、規則的になっていく。
 限界は近かった。

「あぁぁ……ヴァイス……だめだ、もう……私、イきそうで……たのむ、一緒に……一緒にイきたい!」

 涙を零す潤んだ瞳で彼を見上げながら、切ない吐息でそう訴えかける。
 ゴリゴリと子宮口を小突き上げられる度に、精神を破壊してしまいそうな快楽が頭の芯まで貫かれる。
 必死に、イってしまうのを耐えるシグナム。
 一人だけで達してしまうのはどこか寂しく、怖かった。
 だが限界を迎えようとしていたのは彼女だけではない。
 一度腰が引いたかと思えば、次の瞬間……彼は力の限りに体を沈めた。
 ズンッ! と、子宮口を亀頭が抉る。
 そして、凄まじい勢いで熱いナニかが注がれた。

「はぁぁ……きてる、熱いの……すごい……あぁぁ……ああああ」

 ぶるぶると体を戦慄かせ、骨の髄まで溶け尽くした甘い声でシグナムが喘ぐ。
 絶頂の恍惚が神経の端々まで駆け抜けていく。

491 2/14/ヴァイ/シグ :2013/02/14(木) 19:16:54 ID:1aE4Iz0o
 ヴァイスもまた、極上の雌を犯し、その中に欲望をぶち撒ける恍惚に震えて、幾度も幾度も注ぎ込む。
 あまりに快感が強かったのか、彼は体を支える力さえ失って、ぐらりと倒れこんだ。



 何度か明滅した精神が、ようやくまともに活動を再開した。
 まずヴァイスが感じたのは下半身からゾクゾクと走り抜ける心地よい余韻と、顔の触れる柔らかい何かだった。

「ん……これは……んんん!?!?」

 半身を跳ね起こす。
 そして知った。
 今まで顔に触れていたのは、シグナムの胸だった。
 しかもむき出しになった、白い艶かしい柔肌の。
 汗に濡れた乳房、露になった桃色の乳頭が目に焼きつく。
 いや、それだけではない。
 胸どころか、自分は半裸になってシグナムを押し倒し――結合していた。

「う、うわ……俺、一体何を……」

 一瞬、自分自身でも何をしたのか分からなかった。
 だが次第次第に、覚醒した意識が記憶を取り戻していく。
 自分は、確かチョコを食べた。
 そして次の瞬間、体が熱くなり、シグナムの体が欲しくなり、そして……
 その後の記憶は鮮烈だった。
 素晴らしい肉付きの、女性として完璧に近いほど完成されたシグナムの体を力のままに、欲するままに貪る。
 まるで極楽のような時間。
 しかしそれは同時に途轍もない悪しき行為だった。
 このまま怒り狂ったシグナムに殺されたとて文句は言えまい。

「す、すんませんシグナム姐さん! お、俺……」

 慌てふためき、ヴァイスは体をどかそうとする。
 だが、その時だ。
 腰に絡められた脚に力がこもり、ヴァイスをぐっと引き寄せた。
 ぐじゅ、と泡だった結合部から快楽が走り、呻きが漏れる。
 
「ね、姐さん……?」

 見つめたシグナムの瞳。
 彼女の双眸は、しっとりと潤み、こちらに熱いまなざしを送っていた。

「バカ者。少しは、雰囲気を読め」

「え、ちょ……姐さん。ん!」

 ぐっと彼女の体が近づいたかと思えば、抱きついてキスされた。
 豊満な胸が体に押し付けられ、心地よい口付けの感触が唇を刺激する。
 顔を離すと、互いの間の唾液がつぅと橋を架けた。
 
「姐さん、怒ってんじゃ」

「嫌な相手に私が体を許すと思うか?」

「……」

 シグナムの言葉に、思わず言葉に詰まる。
 彼女の体も心も、既に完全に女としてのスイッチが入ってしまっているらしい。
 熱く甘い恍惚の吐息を零しながら、艶かしい体はヴァイスにその脚や腕を絡みつかせる。

「お前のせいで体がすっかり火照ってしまった」

「そ、そうすか……いや、でもさすがにここじゃ」

「うるさい。押し倒したお前が言うな」

「すんません……」

「もう少しで、良い。もう少しで良いから――ここで抱いてくれ」

「……はい」

 言われるまま、請われるまま、ヴァイスは頷き、再び体を寄せた。
 そして、二人は一緒に堕ちて行った。
 深く熱い、快楽という釜の底へ。


終幕

492 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/02/14(木) 19:18:44 ID:1aE4Iz0o
投下終了。

一日で書き上げたのでなんかおかしいかもしれんけど気にしてはいけない。

ヴァイシグ おっぱい エロ ちゅっちゅ 超正義

493 匿名A :2013/02/14(木) 21:40:26 ID:84RxMqgs
>>470,シガー氏お疲れ様です。チョコ食べたくなるんよ。
ユーノ祭の残滓いきます。

494 THEEgg. :2013/02/14(木) 21:44:10 ID:84RxMqgs
 無限書庫での仕事が終わると1日の疲労感を引きずりながら帰宅する。本局の転送室からミッドに降りて一般的な住宅街を歩く。
夜空は雲ひとつ無い夜空を見上げれば、星空が瞬いている。煩いのないオフの時間は心地よかった。口許からは白い靄が逃げる。
少し寒いが、それも心地よい。気持ちは弾んでいた。あと少し、あと少しと歩けば我が家が見えてきた。

 玄関先の外灯に癒される。砂利を踏み、ポストの中を確認してから玄関の鍵を開ける。

「ただいまー」

 お帰りなさいの言葉が聞こえるよりも先に、騒々しい子供の足音が聞こえた。

「ユーノくんお帰りなさい!」

 賑やかな足音を引き連れて、パジャマ姿のヴィヴィオが姿を見せる。

「ただいまヴィヴィオ。まだ起きてたんだ」

「もう寝るよ。でも、ユーノくん待ってたの」

「うん?」

「これ!」

 隠していた何かを、ユーノの前にヴィヴィオは突き出した。絵や工作の類ではない。作文用紙で文字が沢山並んでいる。
題名は「私の家族」と書かれている。作文のようだ。

「道徳の授業で書いたんだ」

「それは力作だね。是非読まないと」

 読んで欲しいと目を輝かせるが。

「玄関は冷えるしユーノくんも疲れてるから駄目だよヴィヴィオ」

 なのはが姿を見せた。手は大きくしたお腹に当てられている。
そんな妻の姿を見るとユーノは顔を綻ばせた。疲れなど何処吹く風か。

「ただいまなのは」

「おかえりなさい」

 夫婦で通じ合うものがあるのか、ヴィヴィオが不満気な顔をしている。
苦笑したユーノが、頭をなでてやりながら靴を脱いであがる。

「食事は?」

「勿論食べるよ。――ヴィヴィオはまだ寝ないの?」

「もう少し起きてるよ」

「なら、食事をしながら読ませてもらおうかな」

 なのはの笑顔が少し硬くなった。これは、『行儀が悪いから食事をしながら読んだりするな』という笑顔だ。
でも愛娘にも勝てないユーノだった。あわてて修正する。

「しょ、食事の前に読んじゃおうかな」

「うん」

 風呂に入るのも後回しにして、リビングに赴くと上着を脱いで椅子に座ると改めて作文と向き合う。
子供が書いたものだ。斜め読みでペースをあげて文章を追っていく。なのはの仕度が終わる前に読み終えたかった。
おおよそ5分で読み終わるとヴィヴィオに作文用紙を返して感想をあげていく。

 家族について。
優しい父として描かいてくれた事。母を誇りに思っている事。今度生まれてくる妹を楽しみにしている事。
とても幸せな事。

「誤字脱字もないしよくできてる。うん。100点」

 褒め倒しながら頭を撫でてやると目を細めて喜んでくれた。

「さあヴィヴィオ。ユーノくんに作文読んでもらったら寝るって約束だったよね?」

「はーい」

「じゃあおやすみ」

「おやすみなさーい」

 満足したのか。ヴィヴィオは自分の部屋へと戻っていく。スリッパの特有の足音を残しながら、ユーノもなのはも一息ついた。

「ご苦労様。ごめんね、帰ってきたのに」

「いや、嬉しかったよ」

 家族としての構成。妻とも、娘とも血は繋がっていない。大丈夫と解っていても小さな不安は胸の奥から剥がれてくれなかった。
「血のつながりだけが家族の証明じゃないよユーノくん」

「そうだね」

495 THEEgg. :2013/02/14(木) 21:45:15 ID:84RxMqgs
 新しい命にも怒られてしまう。
気持ちを切り替えながら席を立つと夕飯の支度を進めてくれているなのはを後ろから抱いた。

「もう、仕度できないよ」

「後はやるからいいよ。なのはは休んで」

「もう安定期だし平気」

「解っててもね」

 うなじと首筋に口付けてから膨らんでいるお腹に手を添える。
少しずつ少しずつ大きくなって、もう直ぐ生まれてくる。

「早く生まれてきて欲しいな」

「うん。みんな待ってる」

 なのは手が止まり、ユーノの手に重ねると指と絡める。
相手の体温に呼応するように互いに体を寄せて、窮屈な姿勢で口付けを交わす。
速さはない。舌が這い絡み合う。互いの唾液が混ざり合いそれぞれの喉に落ちる。

 喉仏が緩やかに動いた。
唇を這った残滓を舌先で絡め取る。

「する?」

 返事にしなければわからないものがある。少し強めに手を握ってから小さく肯定した。

「うん」

 交尾はコミュニケーションだった。事が終わって終わりでなくて、何処が良かった。悪かったをあげて次に繋げる。
マンネリを嫌い3人目の相談も始まっていた。射精後の虚脱感とまどろみと傍らで眠るなのはの香りに満たされ瞼を落とす。

「ちょい」

「ちょいと兄さん」

「起きてーな」

「眠ったらあかんて」

 誰かに話しかけられて瞼をあげる。ユーノはなのはに顔を向けると熟睡している。
枕元の眼鏡に手を伸ばしてかける。周囲を見ても誰もいなかった。ヴィヴィオでもない。

「ここやがな。ここ」

 声の主は直ぐ傍だった。

「僕ここやねん」

 なのはから聞こえる。
正確にはなのはのお腹からだった。流石のユーノも混乱と寝起きの頭では判断し切れずに言葉もなかった。
黙ったままでいると、なのはのお腹は笑った。

「なんや兄さん。娘が話しかけてるのにダンマリかいな。酷いパパさんやな」

 はやてのように。何故か関西弁だった。頭はついていかないが気持ちを切り替えた。
魔法の世界にありえはないはありえない。

「君はなのはのお腹の中の赤ちゃん?」

「せやでー今、なのちゃんから養分貰いながらすくすく育ってる最中よ。
っていうか兄さんチンコでズコズコ突きすぎや! 生まれてまうかと思ったわ!」

「ご、ごめんね……」

「兄さん腹ボテセックス好きなん? いい趣味してる変態まっしぐらやで」

「いや別に好きってわけじゃ」

「あらーなのちゃんにちくるで。兄さんは仕方なくセックスしてるって」

「それも違うんだけどいいや。それで、君はどうしたの?」

「僕がいるのに中だししなかったのは褒めたったるわ。んん、本題はなーお父さんとしての自覚ってあるん?って
聞こうと思ったんよ。あ、関西弁なのははやてっての人の物まねな! ほら、のりよくてええやろー」

「(まさか生まれてからも関西弁って訳ないよね……)」

「自覚あるん?」

 お腹の中の赤子に尋ねられ、ユーノの顔は引き締まった。

「あるよ」

「そか。そか。なら、ちょっと聞いて欲しいんよお兄さん」

「何を?」

「まず始めに、僕君の子供と違うんよ」

 胸の中で何かが疼いた。
意味が解らない。ような、わからない。
ゆっくりと顔を顰める。

「何?」

「答えは僕にも解らんのよ。でも、お兄さんの種じゃないって事だけは確かに解るんよ」

「どうして?」

496 THEEgg. :2013/02/14(木) 21:46:10 ID:84RxMqgs

「なのちゃんはお母さんって解る。でも君から感じるのは"他人"の感覚や」

 気持ち的には唾液を飲み込みたかったが多量の唾液が出てくる気配もなく気持ちは気持ちのまま終わる。
だから強がった。

「感覚で解るんだ」

「せやで。凄いやろ。だから、パパ候補も何人かは解る」

「……1人じゃないんだ?」

「うん」

 胸の苦しみが増した。
逃げたい気持ちに圧されながらも、喋るなのはのお腹から逃げられなかった。
体は石のように重く動かない。

「ちなみに今は起動六課の終了から大体1年ってとこやなー。教えはったるよ。
君の奥さんなぁ、睡眠薬使われて男性隊員達にがっつり犯されてたんよ」

 嘘だ、という言葉は喉許までせり上がってきた。
震える手を握り締めて押えつける。

「続けて」

「だから、誰がパパか解らない。六課にいた誰かがパパって可能性もある」

「含みのある言い方だね」

「せやな。流石兄さん頭ええで。もしかしたらフェイトちゃんかもしれんなぁ、私の半身は」

 またも奇怪な答え。

「どういう意味で?」

「今は男なんて生き物がなくても女性同士でも子供ってできるんよ。知らない?
あの97管理外世界ですら雌x雌マウスで作り出してるんよ生き物を。技術がダンチな管理内世界ならなぁ。
言うまでもないやろ」

「言ってる意味が解らない」

「兄さん女は怖いでぇ。般若の面がよう似合うんや。なんであの2人同室だったん?
少しは頭働かしといて」

「それは勘ぐりすぎだ。それに、君の言ってる事は不透明すぎる」

「それも正解。でも、なのちゃんが処女だったから僕が始めてだったなんて思わん方がええよぅ。
あんなんいつでも再生できるし。女は怖いなぁ。外様から見たらエースオブエースの相方はフェイトちゃんやで。
君やない。ヴィヴィオのママも2人でOK。パパになる奴はフェイトママのホームランや」

「人を馬鹿にするのが上手いね」

「なら君は、今の話をなのちゃんに聞けるか? んん? 聞く勇気はあるんか?」

 目線がお腹からなのはへと向けられる。
よく寝ている。

「ないやろ。まー聞いてもユーノくんの頭おかしなったーって思うだけやろなガハハハ。
僕が生まれたら是非本当の娘かチェックしたらええ。それが一番や。まぁ、魔法にそんなん関係ないけどな」

「君は僕をどうしたい?」

「ん?」

「怒らせたいのか、悲しませたいのか」

「どっちやろなぁ」

「…………」

「それじゃあ、眠くなってきたし寝るでほんまに。お休みやユーノくん」

 お腹が盛り上がる。寝返りを打つように。

「また話そうやないかい」

 そこで言葉は途切れた。ユーノもしばらくそのままだったが急激な眠気に襲われ意識を保てなくなった。
体を倒すと直ぐに眠りに入る。翌朝、ユーノは目覚めた。

「ユーノくん、平気?」

「?」

 先に起きていたなのはに話しかけられるが、意味が解らなかった。

「泣いてるよ?」

 頬に手を当てると濡れていた。今も絶えず涙が落ちている。
忘れていたように鼻をならした。ティッシュをとって鼻をかむ。

「どうしたの? 悲しいこと夢でも見ちゃった?」

 言われて思い出した。全く楽しい夢ではなかった。
目を逸らしめもとをぬぐう。

「大丈夫」

「全然平気そうな顔してないって」

 なのははユーノの頭を胸に抱くと頭を優しくなでつけた。
長い髪を指がすく。居心地の良さに満たされながら瞼を落とす。
まだ涙は流れていた。

「平気だよ」

 たとえ、どんな真実だったとしても見通していれば絶望も何もない。
大丈夫と自分に言い聞かせる。悪い夢を見た。でも、今は幸福だった。

" 君ぃ。人の事を夢の中だけと思ったら大間違いやでぇ "

497 匿名A :2013/02/14(木) 21:46:58 ID:84RxMqgs
終了でーす

498 名無しさん@魔法少女 :2013/02/14(木) 22:45:37 ID:aYw0xO5s
>>497
乙だが、投下前には注意書きを書けとあれほど…

499 名無しさん@魔法少女 :2013/02/15(金) 02:28:01 ID:aE2A3kN2
注意書きが必要な作品なほど、書かれていないことが多いよねえ。
特に鬱系は気をつけないと。書いた本人にとってはジョークでも、読み手にとっては
立派な鬱になるし、余計なトラブルの元になりかねないから。
ちゃんと約束事は守ろうねということです。
鬱話としては面白かったんで、その点では投下乙ということで。

500 黒天 :2013/02/15(金) 10:09:42 ID:/x6EBKpc
もし仮にフェイトが相手だったら・・・どっちにしろ欝ですね。
では私も夜刀浦奇譚を投下します。4レス程です。
捏造設定ありです。

501 夜刀浦奇譚01 :2013/02/15(金) 10:12:20 ID:/x6EBKpc
タイトルの後に番号割り振っていきます。
これで幾らかは読みやすく・・・あと捏造設定ありです。
それから冒頭で犯されてる少女達に他意はありません。


「グホォォ・・・・!!」
「い、いや、いやぁぁ・・・・・」
静寂に満ちた夜の闇を、おぞましい獣の唸りと女性の悲鳴が引き裂く。
夜刀浦の南部、元は公民館だった廃墟の中で、黒服の男が、獣の様な雄叫びをあげ、衝動の赴くまま、女達を犯し、獣欲を満たしていた。
只管に力任せに、女の穴に自らの一物を突きいれ、穢れた白濁液を吐き出すだけの行為。しかし、何度犯そうと、男は満足を得られない。
「痛い、どうして、こんな・・・」
「グル、グルル・・・・!!」
激しく肉棒を突きこみ、キリスト系の学校の制服に身を包んだ少女の淫筒を微塵の容赦もなく容赦なく掘削する。自らの快楽しか考えていない突き上げ。
男を知らなかった秘所を抉られ、少女は悲鳴ともつかぬ苦悶の声を漏らす。
「きょ、今日は・・・巴と映画を見に行く筈だったのに・・・」
少女が苦悶の声をあげて見た先には、既に犯され、身体の内外を白濁液で徹底的に汚されつくした、妹分の後輩の無惨な姿が転がっている。
彼女は目の前で後輩が犯される様子を一部始終見ていた。
腰が抜け、逃げる事も出来ずに見ていた。
そして自分が犯されているのは、妹分を助けられない自分への罰だと思っていた。
「・・・神様、お願い、助けて」
力なく手の中のロザリオを握り締め、神に救いを請う少女。
だが、救いの手は差し伸べられない。
粘膜の擦れる感触と、少女の悲鳴こそが最高の悦楽と言わんばかりに、男は夢中で
少女の身体を弄び、何の前触れもなく、男は少女の体内に白濁を注ぎ込んだ。
「あぁ、い、いやあぁ・・・・・」
白濁液を注ぎ込まれ、少女は底知れぬ嫌悪感に悲鳴を上げる。
妹分と同じ様に、身体を震わせ、抵抗も出来ずに注がれる。
「ごめんね、巴・・・・・・」
親友を虚ろな瞳で見つめ、意識を失う少女。
男はそんな少女に興味を失ったのか、無造作に肉棒を引き抜き、周囲を見渡す。
彼の視界に入るのは、縄や鎖で手足の自由を奪われた少女達。
全員、恐怖で顔が引き攣っている。
その中の1人を次の獲物に定め、男は鼻息も荒く歩み寄った。
「いや、こ、来ないで・・・こうちゃん、助けてぇーーー!!」

少女の悲鳴が虚しく響いた。



「グキ・・・クケケっ!!」
「あぐっ・・・痛い、もう、もう許して・・・」
夜刀浦の南部の別の場所、廃工場の中では、同様に、少女達が犯されていた。
上品な生地で仕立てられた制服は無惨に引き裂かれ、秘所に固く反り返った肉棒を突き込まれている。破瓜の痛みに泣き叫ぶ少女の事など気にせず、男は自分の快楽だけを求めて少女を犯している。
「う、はあぁ・・ひぅ・・」
犯され続けた少女は、意識が定まっていないのか、突かれる度に声を漏らすだけで反応が薄い。そして男は反応の薄い少女の胎内に思う存分、精を吐き出した。

502 夜刀浦奇譚02 :2013/02/15(金) 10:13:14 ID:/x6EBKpc
「あ、わ、私の中に注ぎ込まれてる・・・」
自らの内部を満たす精の感触に、少女は我に返り、視線を彷徨わせる。
その視線の先には、意識すら朦朧とした状態の無愛想な恋敵の姿があった。
「く、紅瀬さん・・・私よりも先に犯されてたんだ・・・あ、あはは・・・・」
想いを寄せる少年の誕生日プレゼントを買いに恋敵と一緒に出かけたら、こんな得体の知れない連中に拉致されて、この有様だ。
もう笑うしかない。
虚ろに笑う少女の内部に再び突きこまれる肉棒。
「はぐっ・・・ま、また中にぃ・・・」
自らの内部を蹂躙する異物のおぞましさに少女は身悶えた。



生臭い夜風が吹きすさぶ夜刀浦の南部の空の上に中国風の衣装に身を包み、仮面を顔につけた男が悠然と‘立って’いた。
「ふむ・・・贄共の熟成は順調の様だな」
夜刀浦の南部に広がる廃墟の彼方此方で繰り広げられる惨劇を、意識と精神を呪縛した部下の男達の感覚を通して‘観察’し、その順調な推移に満足する。

「・・・我が“神”の完全なる復活の為、最後の生贄はやはり、極上の女でなくてはな」
確実に最後の生贄を捉える為、仇敵たる一族の少年に宣戦布告する意味も兼ねて、男は念には念を入れるつもりだった。
今見た二箇所の他にも、四箇所でも同様の陵辱劇が起きており、それらの場所を線で結んでいくと、出来上がるのは、流血と怨嗟、絶望、恐怖で満たされ、夜刀浦南部全体を範囲とする六芒星のーー『深淵より、海の魔物を召喚する』ーー魔法陣。


「・・・では始めようか」
静かに呟き、男は懐から一冊の分厚い本を取り出した。
人の皮で覆われた、それは魔導書であり、名を『瑠璃城経典』という。
「くくく・・・‘この身体の持ち主’が率いていた組織の力も侮れんな・・・壊滅状態だったにも関わらず、これ程に質のいい‘書’を見つけてくるとは・・・」
仮面の下で顔を歪ませ、男は『瑠璃城経典』を開き、異界の言葉を紡ぐ。
その詠唱に呼応して、魔導書が震え、瘴気を吐き出し、猛り狂う魔力の波動が周囲の空間を歪ませ、部下達の身体に植え付けた“種”の活動を活発化させた。

「さあ、偉大なる≪海魔の王≫の僕よ。深淵より来り給え。脆弱なる人類の世を終焉に導く為に!! 凶暴なる海魔よ、我が呼びかけに答え給え!!」
この世界の海底の都に眠る、大いなる“神”への賛歌を謳う。
やがて、高らかに狂笑する男の眼下――夜刀浦南部を、邪悪な気配に満ちた六芒星の魔法陣から放たれる、黒い霧――瘴気が覆い尽くした。


「グ、ゴゴ・・・ゴブ、ゴハァ・・・・ぺ、ぺド・・・レオ、ン・・・」
魔法陣から吹き出す異界の瘴気の影響を受け、六芒星の頂点にあたる場所で、陵辱行為に勤しんでいた男の一人の様子が明らかに変わった。
鼓動が増し、視界が滲む。小刻みに身体が痙攣し、その下腹から夥しい数の触手が突き出し、無気味にビクビクと波打った。

503 夜刀浦奇譚03 :2013/02/15(金) 10:14:09 ID:/x6EBKpc
「ォ、オレのカラダがぁ・・・のっとられるぅ・・・うぼぁ・・・ク、クトゥ・・・ル、ルルイエ・・・」
異変はそれだけでは収まらなかった。まるで蝉が脱皮する様に、男の背中からも触手が何本も溢れ出てくる。それなのに血は一滴も出ていない。男の身体の中身が別の‘何か’に取って代わられたかの様だった。
「・・・グボボ、フシュル・・・・サ、ヤ、フミ・・・・ノリ、ノリ・・・・」
“肉のスーツ”――人間の肉体を脱ぎ捨て、汚らわしい体液に塗れた海魔が、ゆっくりと身の丈三mにも及ぶ巨体を蠕動させる。顔も最早、人の物ではなく、鮫の様に鋭利な牙を備えた、環状の口腔があり、物欲しそうに開閉している。


――そう、空腹で仕方が無い。海の底から“食事”に招待されたのだ。
欲求を満たすべく、海魔は触手を伸ばし、眼前の‘ご馳走’を絡め取る。
何やら、喚いているが、別に気にならない。
‘ご馳走’を食べやすくしようと、触手に力を込める。
ベキベキという音と共に、団子状になった‘ご馳走’から赤い汁が零れる。
‘ご馳走’を口に運び、ボリボリと咀嚼する。
瞬く間に‘ご馳走’を平らげると、数mに成長した海魔はまだまだ物足りないとばかりに、次の‘ご馳走’に触手を伸ばした。


――――‘ご馳走’を平らげる毎に、海魔の身体は巨大化していった。






「フハハ、いいぞ、いいぞ、実に頼もしい異形の軍勢だ!!」
上空に佇み、仮面の男は心から愉快そうに笑った。
夜闇を背景に浮かび上がる、身の丈、20mに迫ろうかという異形。その数、四体。
生贄として捧げられた少女達だけでなく、本来は‘同胞’ともいえる夜刀浦南部の住人すらも、手当たり次第に捕食し、急成長したのだ。
「む、四体だと・・・本来では六体召喚される筈・・・」
部下の身体を苗床に、生贄の少女達を餌にして六芒星の頂点毎に、一体ずつ海魔は召喚される筈だが、二体足りないのだ。
怪訝に思って、視線を巡らせると、その理由に思い当たった。
「ち、退魔機関の連中か・・・」
元公民館、廃工場――この二箇所の海魔は退魔機関の者達の猛攻に晒されている。如何に強大な海魔といえど、召喚直後、かつ、凄腕の退魔師ならば、撃退する事も可能だろう。更によく見てみれば、その二箇所では、救出された少女達を守護する様に、一般人らしき少年達がそれぞれ霊剣や霊槍を手に奮戦している。
あの二箇所に赴いた、退魔師はかなりの凄腕らしく、海魔は調伏される寸前だ。
残りの四箇所には、手が回らなかった様だが。


「まあ・・・四体でも充分だがな。この辺り一帯を滅ぼすのには」
仮面の男は手の中の『瑠璃城経典』に刻まれた術式を起動させ、4体の海魔を支配下に置く。元公民館及び廃工場の海魔――この2体は退魔機関の連中を足止めする囮と考える事も出来る。2体の戦力減は痛いが、致命的という程でも無い。

というより海魔ですら仮面の男にとっては、ある意味では‘捨て駒’に過ぎない。


「さあ、進め、海魔達よ・・・くだらん日常を貪る有象無象共に思い知らせてやれ」
号令に従い、4体の海魔達は、巨躯をうねらせ、従順に進撃を開始した。
夜刀浦北部に異形の群れが迫る。
傲慢なる人間の領土を侵し、脆弱なる人類を海の深淵に引きずりこむ為に。



夜刀浦北部を取り囲む様に配置されていた、五芒星を刻んだ石碑群――超古代から海よりの異形の侵略を阻止してきた結界――が迫り来る海魔四体の圧力によって、粉々に砕け、無意味な破片となって散らばった。

504 黒天 :2013/02/15(金) 10:16:47 ID:/x6EBKpc
ここで一旦切ります。以降の投下も夜刀浦奇譚○○といった具合に番号をつけて投稿します。
汁元帥の海魔の親戚×4、これって鬼械神が必要なレベルかもしれない。

505 名無しさん@魔法少女 :2013/02/15(金) 18:29:51 ID:zTH1BJ/s
黒天氏、大作お疲れ様です。クトゥルフパねぇ…
少し場をお借りして拙作を投下させていただきます。
本来はバレンタインssだったのに、一日遅れに…
ほんのりミウラ×ザフィーラです

506 名無しさん@魔法少女 :2013/02/15(金) 18:33:09 ID:zTH1BJ/s
 簡単に言えば、ミウラ・リナルディは困っていた。

 理由は他でもない、バレンタインデーについてである。

 ミウラがその存在を知ったのは、つい先日のことだった。
 いつものように道場から家路につこうとしたミウラは、八神家道場のトップとも言える八神はやてに、個人的に話があると呼び出しを受けたのである。
 その時に教えてもらったことが「バレンタインデー」というはやての故郷の風習であった。
 ミウラの記憶する限り、はやてはこのように言ったのだ

「バレンタインデーゆってな、その日はお世話になってる人にチョコあげるんよ」

 お世話になっている人ということで、ミウラがまず頭に思い描いた人物は、自分の師であるザフィーラだった。
 もちろん、八神家の全員にお世話になっていると言えるが、今までお菓子作りなど経験のない自分は、一人に対象を絞ってしまったほうが良い。ミウラはそのように考え、バレンタインデーにチョコレートをあげる人物はザフィーラだけにし、それを分け合ってもらえばもらう方向で進めることにした。
 もっとも、市販の物を買えばそれで済む話ではあるのだが、生真面目なミウラの頭に市販製品という考えは浮かばなかった。
 何はともあれ、ミウラは生涯初のバレンタインデーに決意を固めたのであった。

 しかし、しかしである。
 先ほど元となるチョコレートを買いに行った時にヴィヴィオと出会ったことが、現在ミウラの悩みの種となっているのだ。
 チョコレートを手に持ったミウラに、ヴィヴィオはこのように言ったのである。

「ミウラさん、好きな人がいるんですか?」

 詳しく話を聞いてみると、バレンタインデーという日は、女性が好きな人にチョコレートをあげる日であると言うのだ。
 その話を教えたのは、はやてと同郷の高町なのはである。そこでミウラは、はたと悩まなければならない事態に直面してしまったのだ。
 一体どちらの言っていることが本当であるのか、という点が問題となる。
 ヴィヴィオの話はあくまでまた聞きである。より情報として確実性が高いとすれば、直接自分の耳で聞いたはやての話だ。しかし、それほど付き合いの長くないミウラでも、はやてが、いたずら好きということには気づいている。胸を揉まれているシグナムやシャマルを見たことも、一度や二度ではない。ならば、これははやてによるセクハラであるという考え方もできるのだ。
 そう、もしそれと知らずにザフィーラにチョコレートを渡したのなら……

(……って何を考えてるんですか、ボクは!)

 一瞬、満面の笑みでチョコレートを渡す自分と、わずかに困った顔をしながらそれを受け取るザフィーラを想像し、真っ赤になってしまう。
 バレンタインデーの意味がどちらのものにせよ、自分の師匠は知っているに違いない。
 ミウラは究極の選択を迫られていることに気がついた。要するに、チョコレートを渡さずに、師匠に礼を欠いてしまう可能性を良しとするか、それとも、渡して勘違いを誘発させてしまう可能性を良しとするか、である。

(そもそも、ボクは師匠をどう思ってるんでしょう……)

 ミウラもそろそろ思春期になろうかという女の子であり、恋愛に興味がないわけではない。むしろ、他人の恋バナには興味深々な12才である。しかし、こと自分のことになってみると、そんな自分が想像できないほど混乱してしまっていた。
 ザフィーラのことは決して憎からず思ってはいない。むしろ、慕っているという自覚もある。しかし、それは果たして恋情なのか否か、今のミウラには判断することができなかった。その上、相手は自分の通う道場の師匠である。万が一変な空気とかになってしまったら、二度と八神家の面々と顔を合わせられる気がしない。

 作るべきか
 作らざるべきか
 ミウラは今、人生の岐路に立たされていた。

507 名無しさん@魔法少女 :2013/02/15(金) 18:35:02 ID:zTH1BJ/s



(……まあ師匠ならどうにかしてくれるでしょう)

 最終的に判断の決め手となったものは、ザフィーラの性格だった。ザフィーラであれば、向けられている気持ちが憧憬であれ、恋情であれうまく流してくれるだろうと、そう判断した結果である。
 そこまで考えたミウラはようやく、チョコレート作りに取り掛かったのであった。



 バレンタインデー当日、わずかに高鳴る胸とともに道場へ向かったミウラであったが、その手前ではやてから呼び出しをくらっていると、リインフォースから伝えられた。若干の嫌な予感とともにはやての元にやってきたミウラだったが、案の定目の前で正座させられたのだった。

「ミ〜ウ〜ラ、これはどういうことやの」

「あの……何のことでしょうか?」

 どうやら怒っているというよりも、呆れているといった感であるが、一体どうしてこんなことになっているのか、ミウラには皆目見当がつかない。頭から大量の疑問符を出したまま、不安そうな顔で質問してくるミウラを見て、はやては大きくため息をついた。

「ラッピングや、ラッピング、もっと女の子らしいのにせな」

 言われてみればその通りである。さすがに包装をしていないわけはないが、プレゼントと呼べるような様相はしていない。

「やっぱり足りませんか?」

「そりゃ、乙女のプレゼントやで〜」

 あくまで軽い口調で言い放つはやてに向かって、ミウラはジト目になって疑問をぶつける。

「……感謝の印じゃなかったんですか」

 ミウラのツッコミに、一瞬イタズラがバレてしまった子供のような顔をするが、すぐに気を取り直して、やけに目を輝かせて顔を寄せてきた。

「まあ両方あるんよ、義理と本命ゆーてな。ミウラちゃん的にはどっちなん?」

 言葉からするに、義理がお世話になったお礼、本命が好きな人に贈るプレゼントということだろう。それ自体はわかるが、ミウラは未だに自分の思いを決めかねていた。

「その、どうなのか、自分でもよくわからないんです…。師匠をかっこいいとは思いますし、尊敬する人でもありますが…」

 はやてに相談するべきか、それとも黙っておくべきか、それすらも判断することができないまま、自分の正直な思いを口にしてしまう。その言葉を聞くと、はやては少し遠い目をして、ミウラにとある話を聞かせてくれた。

 ザフィーラがかつて情を交わした女性がいたこと、その人が自ら命を絶ってしまったこと、未だにその人を想い続けていること…

「ザフィーラはあんな性格やろ?生涯で愛する人は一人って決めてるんと思うんよ。でも周りで見てるとやっぱりきつくてな…」

 その女性ははやてとも親しい人であったのだろう。その目ににじませる淡い悲しみは、はやて自身もその傷が癒えていないであろうことを示していた。

「ミウラならなんとかできるんやないかなって思ったんや、なんとなくやけどな」

「……何でボクなんですか?」

 もっとふさわしい人はいるだろうと、ミウラは思う。あくまで自分は門下生の一人に過ぎない。それよりも、ザフィーラともっと長い時間を過ごしてきた人の方が、その役には適しているはずだ。
 しかし、はやてはなんてことないように問題発言をぶちかました。

「だって、ミウラはザフィーラのこと好きなんやないかって思ってな」

「え!?」

「道場来た時に、ザフィーラのことずっと目で追ってたのに気がついて、もしかしたらと思ってたんやけど…ちゃう?」

 毎日来ているわけでもない人が気づいてしまうほど、わかりやすく追っていたのだろうか。そもそも、門下生が師匠の姿を求めるのは当たり前な気もするが、それとは違う意図を読み取ったということなのだろうか。
 はやてに言われているうちに、本当にザフィーラに恋心を抱いているのではないかと思い始める。もとより不満があるわけでもない、むしろ貰ってくれるのならそれは光栄なことではないだろうか。体幹の訓練などでついつい過剰反応してしまうのは、やはりそういう気持ちがあるからではないか。
 次第にミウラの頭が、恋愛色に染められてゆく。それに比例して顔も赤く染まってゆく。

 そんな思春期真っ盛りの反応を見ると、はやては自分の用意した包装紙とリボンを取り出す。

「これなんて、ミウラに似合うかと思って用意しておいたんやけど…」

 なぜ前もって用意してあったのか、今のミウラにはそんな疑問が浮かぶ余地など存在せず、はやての言われるままにラッピングを行っていた。

508 名無しさん@魔法少女 :2013/02/15(金) 18:36:20 ID:zTH1BJ/s



 その後、どのように道場までたどり着いたのか、一体どんな練習をしたのか、記憶には一切残っていない。ようやくものを考えられるようになったのは、人のいなくなった道場でザフィーラの前に立っていることに気がついた時だった。

「どうした、ミウラ?今日は少々様子がおかしかったが、そのことで相談でもあるのか?」

 この期に及んで告白ということに考えがいかない朴念仁に、多少恨めしい思いを抱えながら、今朝自分の包んだチョコレートを差し出した。告白の言葉は出てこない。頭が真っ白になって、再び自分がいる場所すらあやふやになってしまう。

「これは…チョコレートか」

 対するザフィーラはあくまで冷静であった。そう言えば今日はバレンタインデーなる日であったなどと考えながら、律儀な弟子にお礼を返す。

「感謝する、菓子作りなど大変だっただろう。このチョコレートは皆でありがたくいただくとしよう」

 ザフィーラの中では、当然のように義理チョコであって、自分個人ではなく、八神家全体へ向けられたものであるのだと了解していた。だからこそ、皆で食べるという発送にたどり着いたわけだが、ミウラにとってその言葉は、死刑宣告に近いものであった。
 届かない想いであると分かってはいても、涙は止まらなかった。せめて自分の気持ちに気がついて欲しいと、目の前でいきなり泣き出した弟子に困惑するザフィーラにむかって、必死で声を張り上げる。

「……!?一体どうし…」

「ちがっ、違う、んです…それは、師匠に、師匠のためだけに、作った、もので…」

 ここに至っては、ザフィーラもミウラの気持ちに気がつかざるを得なかった。ひとまず弟子が落ち着くのを待ってから、勘違いをした謝罪を口にする。

「先程は、申し訳ないことを言ってしまった。許してくれ」

「あ、そんな」

 気持ちが落ち着いてみると、自分がどれほど恥ずかしい真似をしたのかに気づき、ミウラは真っ赤になってしまった。師匠の謝罪にも言葉を返すことなどできず、ただ答えを待つことしかできない。

 そして、ザフィーラの答えは、予想取りのものであった。

「しかし、すまない、お前の気持ちに答えてやることはできない」

 実直なザフィーラらしい真っ直ぐな答えに、やはりと思いながらも、つい質問が口をついて出る。

「……やっぱり、前の人のことが忘れられないですか?」

 はやてに聞いた話を思い出しながら、そしてはやてに言われた言葉を信じながら、今度は自分を師匠の隣に居させて欲しいと言外ににじませたつもりだった。もし、忘れられないのだと言ったのなら、自分もまた、この思いに殉じようと、そのミウラの尊い決意は――



 ザフィーラの次の一言でもろくも崩れ去った。

「前の、とは一体どういう意味だ?」

509 名無しさん@魔法少女 :2013/02/15(金) 18:39:51 ID:zTH1BJ/s



「へ?」



 ザフィーラが言うには、確かに事情があり自ら姿を消した仲間はいたが、別に恋人であったわけでもなく、ましてや情を交わした覚えは一度たりともないとのことだった。

「あれ?」

 また、女性と付き合うことがない理由は、単純にその気がないからであり、相手からも真剣な想いをぶつけられたことはないからであるらしい。

「え?」

 要するに、はやての話は、大筋では間違っていないものの、そこかしこに嘘が散りばめられていたものであったのだ。
 なぜ、はやてはこのような嘘をついたのか、その理由すら考えられず、ほとんど思考停止に陥っていたミウラの耳をくすぐるものがあった。思考停止し、頭が空っぽであったからこそ聞こえたのであろう。現に、目の前のザフィーラは気がついていないようである。

「……受け取った……やから、……とる……」

「……ないですわ……でも、あれ……ではあり……」

 片方の声に聞き覚えがあったミウラは、ストライクアーツで培った歩法により、話し声の本まで一気に距離を詰める。

「「!!?」」

 まさか気がつかれているとは思わなかったのだろう。二人の女性が自分の目の前で引きつった笑いを浮かべていることが分かった。
 自分もまた、同じような笑みを浮かべていることを自覚しながら、自分の知っている方の女性――八神はやてに、純粋な疑問をぶつける。

「何をしているんですか?」

 ただ質問しただけである。にも関わらず、はやての口元が2割増しで引きつったことを見て取ることができた。
 もう片方の女性――こちらは見知らぬブロンドの女性であった――は、形勢不利と見て、いきなり後ろに逃げ出そうと試みた。
 はやてに気を取られていたミウラは、突然の逃亡にとっさの反応ができず、取り逃がしてしまう……かに思われた。

「きゃっ!」

 いつの間にか、逃げようとした女性の足に何かが絡みつき、宙に釣り上げていた。何者かと伸びてきた方に目を向けてみると、暗がりの中から4人の人が出てきた。

「ヴィータさん、シグナムさん、シャマル先生、リインさん!?」

 4人とは何を隠そう、ヴォルケンリッターの面々であった。皆、呆れたような顔で釣り上げられた女性と、はやての方を見ている。

「こ、こら、女性の足を釣り上げるなんて、礼儀がなっていませんよ」

「礼儀がどうこうを、今のあなたにだけは言われたくありません、騎士カリム…」

 どうやら、宙ぶらりんになっている女性はカリムというらしい。それも騎士というのだから、かなり偉い人であるようだ。

「何をやっているんですか、はやてちゃん?」

 シャマルがいつもと変わらぬ、しかし何かが決定的に違う笑顔で、自分の主人に質問する。

「いや…ちゃうねん、これには…深い訳が…」

 はやては冷や汗を1ガロンほどは流しながら、必死で言い訳を探した。

「賭けをしてたんだよな、騎士カリムと」

 ヴィータがため息をつきながら、あっさりと言ってのける。
 二人の反応は遠目ですらはっきりと見て取ることができるほどであった。

「だ、誰がそんなデタラメを…」

 カリムはそれでもなんとかごまかそうと、悪あがきをする。

「シャッハさんに聞きました、乙女の祭日に何をしてるんですか!」

 普段は明るく笑っているリインもこの日ばかりはお冠である。

 何がなにやらわからないミウラにヴィータが説明してくれたところによると、八神はやてとカリム・グラシアはザフィーラが本命チョコレートを受け取るか否かで賭けをしていたらしい。はやてが、やたらとミウラにモーションをかけていたのは、賭けに勝利する策であったのだ。

510 名無しさん@魔法少女 :2013/02/15(金) 18:41:26 ID:zTH1BJ/s

「へ〜、そうなんですか〜」

 声が底冷えたものになったことは自分でもよく分かった。ひきつるどころか、満面の笑みをはやてとカリムに向ける。二人の冷や汗は、すでに一つの魔法ではないかと錯覚するほどの量であった。

「いや…ミウラがザフィーラの方を追ってるゆうんは本当だったんやで?だから、ちょっと肩を押してあげようかなって…あわよくば賭けの方も…」

 とにかく被害を少なくしようと、舌を動かし続けるはやてを、シャマル・ヴィータ・リインの三人が、無理やり道場の中に押し込む。

「これはちょっと先生怒っちゃいますよ?」

「まあストライクアーツ式でやるから傷はつかないって」

「乙女の怒りは海より深いんです!」

 抜剣体勢で構えるミウラの前に立たされて、はやてはついに堪忍したのか、ミウラに薄く微笑んで言った。

「赤くなるミウラ、可愛かったで」

「抜剣・星煌刃」

 笑顔のまま吹き飛んでいくはやてを見送りながら、ヴィータが二人目のサンドバックを用意する。

「良かったな、ミウラ。今日は抜剣の練習が存分にできるぞ」

「はい!ありがとうございます、ヴィータさん!」

 師弟関係の見本のような光景を横目に、カリムは最後の抵抗を行っていた。

「せめて!せめて、お礼は吹き飛ばされる方に言ってくれませんー!」



 やはりはやてと同じように吹き飛ばされていくカリムを見て、ようやく愛剣をしまったシグナムは、傍らのザフィーラに問いかけた。

「気持ちには答えてやらないのか」

「ミウラはまだ子供だ。憧れと恋慕を取り違えているだけだろう。時間が経てば、人の心は変わる、良くも悪くもな」

 あくまで堅い盾であり続けようとする同僚の生き方に、シグナムは微笑みながら言葉を重ねる。

「どうかな、少なくとも私の知る限り、全く変わらないやつもいるようだが」

 今度の言葉に答えは返ってこなかった。
 これからは、ザフィーラとミウラの二人の問題であると割り切り、今度は別の話題を振ってみる。

「リインフォースが見ていればと願わずにはいられないな」

 ヴォルケンズの自分たちが教えた、真面目で明るいストライクアーツの選手。殺し合いを続けてきた自分たちであるが、こうして平和な時代に繋げることができたことが、シグナムにはたまらなく嬉しかった。それはザフィーラも同じであろうと確信している。だからこそ、この場にいない、もう一人の存在に心を向けずにはいられなかった。

「見ているだろう、きっと、な」

 二人の古代ベルカの騎士と守護獣は、微笑みながら、自分たちの育てた「未来」をいつまでもいつまでも見守っていた。

511 名無しさん@魔法少女 :2013/02/15(金) 18:44:40 ID:zTH1BJ/s
以上になります。
投下は実に半年ぶりになりますが、やっぱりバレンタインssは作りやすいですね(カレンダーから目を逸らしつつ)
ようやく一つ完成できて嬉しい限りです。

………タイトルつけ忘れてた…

512 名無しさん@魔法少女 :2013/02/16(土) 00:39:57 ID:xF/cP1S6
ミウラメインとは珍しい
おっさんとロリって定番だよね、乙

513 名無しさん@魔法少女 :2013/02/16(土) 20:30:53 ID:AYMzZP.M
そういえば、ユーノ祭で「ユーノ君は俺の嫁」が投下されてませんでしたね。
ちょっと残念です。
また投下される日を待ってます!!

514 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/02/17(日) 01:40:27 ID:vPo5y.5g
いつユーノ祭が終わったと思っていた?


とりあえず今日中には投下するからまっちれ
今はもう眠いから勘弁な・・・

515 名無しさん@魔法少女 :2013/02/17(日) 14:23:48 ID:4f6p5hxM
キャーシガーサーン
期待して全裸待機!

516 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/02/17(日) 17:51:56 ID:vPo5y.5g
おはようございました
投下する
ユーノくんは俺の嫁その6、エロ、ショタ、男の娘

517 ユーノくんは俺の嫁 :2013/02/17(日) 17:52:45 ID:vPo5y.5g
ユーノくんは俺の嫁 ぱーとしっくす!


「ふむ」

 彼は呻いた。
 目の前には洗濯機があった。
 手には洗濯物があった。
 湿っていた。
 青臭い。
 汗と諸々の体液の残滓である。
 速やかに洗うべきものであろう。
 洗濯機に入れ、スイッチをオンにした。
 一秒、二秒、三秒……
 
「やっぱだめか」

 何度試しても不動を保つ洗濯機を前に、彼は諦観に満ちた声を絞り出した。
 完全に故障している。
 しかし何より絶望的なのはそれだけではない。
 彼は洗濯機の横に鎮座する洗濯籠を見た。
 籠には二種類あり、赤は洗濯前の衣類を入れるもの、白は洗濯後のためのもの。
 前者は満杯、後者は空であった。
 つまり、である。
 これらの情報を極めて簡潔に述べるのであればそれは――『着るものがない』であった。

「あの、お兄さん……」

 か細い声が彼を呼んだ。
 寝室からぺたぺたとフローリングの上を裸足で歩いてくるのは、声よりなお繊細な矮躯であった。
 白いシーツを体に掛けた、ブロンドヘアの愛くるしい顔立ち、体の線の細さから美少女と見紛うばかりだが、れっきとした少年である。
 問いたげな最愛の恋人の姿に、男は肩を竦める。

「ごめんユーノくん。なんか駄目っぽい」

「そ、そうですか……どうしましょう」

「どうしようね」

 と、二人はそろって首をかしげた。
 果たして問題は、二人とも丸裸という事だったろうか。



 彼とユーノは性別の垣根を越えた恋人同士で非公式ながら将来を約束し合った伴侶である事は、この物語をご存知のお歴々には今更の話であろう。
 であるからして、昨夜も二人は熱烈に愛を交し合ったわけだが。
 問題は一夜明けた今である。
 不精の彼はあろう事か洗濯物を溜めに溜めてしまっていた。
 そこに洗濯機と乾燥機の故障が重なる。
 結果、朝起きた彼らは着るものを失ってしまったわけだ。

「さて、どうしようかな」

 エアコンのスイッチを弄り、室温を上げながら彼は言う。
 夏ならともかく、まだ冬の名残の強いこの季節に全裸ですごすというのはなかなか辛いものがあった。
 この際魔法を用いるかとも思うが。
 とにかくは着る物を手当たり次第に探すべきだろうか。
 頭の中で、押入れへ雑多に仕舞い込んだ私物の内容を、記憶の奥底からサルベージする。
 だがしかし、彼のそのような思考回路は程なく壊滅する事になる。

「お兄さん、これどうですか」

「ん? なんだいユーノく、んんんんううう〜ッ!?」

 あまりの事に語尾が伸びた。
 脳髄を直撃する刺激、その原因は彼の眼前に佇む美少年の姿に他ならない。
 青年と同じくユーノもまた換えの衣服がない状態なのだが、どうやら代替品を見つけたらしい。
 それはエプロンだった。
 白い、どこにでもありふれた、ただのエプロン。
 だがしかしである、それを一糸纏わぬ裸体の上から掛ければどうなるか。
 そうだ、つまりは成立する……『裸エプロン』というシチュエーションが!!

「これなら少しは寒さもしのげるかもしれないですよ、お兄さん。……お兄さん?」

 さらりと短いブロンドを揺らし、なにやら様子のおかしい彼に首をかしげるユーノ。
 そんな仕草一つをとっても可愛らしい上に、裸エプロンという背徳的な装束のかもし出すエロスは計り知れなかった。
 自然と彼の中で熱いものがこみ上げてくる。

「ふぅ……ふぅ……」

「あ、あの、お兄さん? どうしてそんなに息が荒いんですか」

「それはね――あんまりユーノくんが可愛いからさぁ!」

「ひゃぁ!?」

 突如として彼に押し倒され、ユーノの唇から愛らしい悲鳴が零れた。
 成人男性の逞しい腕に組み敷かれ、エプロン一枚を纏った白く細い体が床の上に倒れる。

「い、いきなり何を……ん!」

 唇が塞がれた。
 腕を押さえつけられたまま、何度も何度も口の中を舌が蹂躙する。
 静かな朝の部屋の中で、ぴちゃぴちゃという淫らな水音だけが響く。
 一体どれだけそうして互いの唇を貪っていたか。
 ようやくキスから解放された時、ユーノの顔は快楽一色に染まって蕩けきっていた。
 
「おにぃ、さん……」

「ユーノくんがいけないんだよ。そんなにいやらしくて可愛いから、我慢できないじゃないか」

「ふぁああ!」

 とびきり甘い声が零れた。
 彼は白いエプロンの生地の上から、その細くしなやかな体を撫で回し、きゅっと乳首を抓った。
 
「んぅ!」

 再び聴覚を潤す濡れた声音。
 堪らない。

518 ユーノくんは俺の嫁 :2013/02/17(日) 17:53:42 ID:vPo5y.5g
 もはや火の点いた欲望を鎮める方法は、この燃え盛る熱に飲まれるしかない。
 
「可愛いよユーノくん。ユーノくんの裸エプロン、凄く良い。エロいよ」

「ぁ、ぅ……」

 ねっとりと囁かれる言葉に、ユーノは耳まで赤くなった。
 乳首をエプロンの上から捏ねられながら、細いウエストや小ぶりな尻までも丹念に撫でられる。
 既に彼の手によって従順な少年妻として愛し尽くされ、性感帯という性感帯を開発されてきたユーノはたちどころに出来上がってしまった。
 ピン、とエプロンの下半身を盛り上げ、自己主張する少年のペニス。
 先に滲むカウパー液の多さが、快楽の深さを示していた。
 男は迷うことなく、少年の愛らしい肉棒をエプロンの薄い生地の上から撫でさする。

「ひゃぅん! あぁぁ……だめ、そこ……ん!」

 布越しのもどかしい刺激に、ユーノは切なげな吐息を細く漏らして喘いだ。
 もちろんキスも忘れない。
 うなじや耳などに軽くキスをしながら、乳首から下腹、陰茎、太股までを男は繊細なタッチで愛撫しまくった。
 その度に上がるユーノの甘い声を天使の歌声とばかりに聞き惚れ、彼自身もまた硬く熱くいきり立っていく。
 頃合、と見計ったのか、彼は突如として愛撫の手を止め、ユーノの肩を掴んで抱き起こした。
 
「さ、ユーノくん手をついて」

「あ……は、はい……」

 促されるまま、ユーノは壁に手をついて尻を突き出した。
 エプロンの生地で隠された前面と違い、くるりと後ろを向けばそこには邪魔な布など何もない、眩いばかりの白い肌が在る。
 首筋から背中、そこから尻、華奢な脚にかけて描かれる美しいライン。
 加えて、こちらに期待と不安をないまぜにした視線を投げかける振り向き顔が、形容し難いほどのエロスを生み出していた。
 ただ丸裸なだけではない、たった一枚エプロンを掛けただけでこうも背徳の旨みが増すとは。
 男の下半身で、彼自身もまたいつにない程雄雄しく怒張する。
 可愛いユーノの尻を軽く撫で回しながら、その尻たぶを手で左右に開く。
 すぼまった穴、何度も何度も数え切れぬほど彼に愛でられたそこへ、彼は己をあてがった。

「じゃあ、入れるよユーノくん」

「あぁ……おにぃさん……きて」

 犯され慣れたユーノの菊座は既にとろりと腸液を垂らし、押し込まれる肉棒を柔軟に広がって受け入れる。
 まるでゴムリングが引き伸ばされるようになった入り口は、太い竿をずっぷりと飲み込むくせに、しっかりと締め付けてくる。
 下半身から駆け上る快感に、彼もまた脳髄の奥まで痺れるような陶酔を味わった。

「はぁ、ユーノくんのお尻、やっぱり気持ち良いな。ユーノくんも――気持ち良いだろ!」

「ひゃぁあああ!」

 言葉と共に、強烈な突き上げがユーノの尻に叩き付けられた。
 パンッ! と汗で濡れた尻を張る小気味良い音色。
 奥の奥まで抉られ、ユーノの背筋を快感という名の暴力が駆け抜ける。
 縋るものを探すように壁に爪を立てる少年に、彼は自身の欲望をこれでもかとぶち撒けた。
 細い腰を掴んでいた手が、まるで吸い寄せられるかのように柔肌の上を這う。
 右手はなだらかな胸へと行き、また乳首をきゅっと摘む。
 左手は可愛らしい竿を握った。
 共にエプロンの生地越しに。
 汗とカウパーで湿った布で、敏感な性感帯をたっぷりと刺激する。
 深く深く挿入して、腰の捻りと共にキュッと締まる菊穴を貫くのも忘れない。

519 ユーノくんは俺の嫁 :2013/02/17(日) 17:54:15 ID:vPo5y.5g
 荒い息遣いと肉と肉がぶつかり触れ合う音、そしてユーノの漏らす甘く蕩けた喘ぎが、しばしの時その場に満ちる。
 しだいに、二人の動きは早く規則的になっていく。
 今まで以上に大きく膨張する肉棒に菊座を広げられ、ユーノはその意味を察する。
 
「おにい、さぁん……」

「ああ、もうそろそろ」

「ああ! ぼ、ぼくも……イ、イきそぅ……ふぁああ!! きて! いっしょに……いっしょにイくうううう!!!」

 ブロンドの髪を振り乱し、ユーノが甘く蕩け尽くした声で喘いだ。
 その瞬間、二人の体はぶるりと震え上がる。
 小刻みに痙攣を繰り返し、息も絶え絶えに肺の中から空気を搾り出す彼とユーノ。
 ユーノの前半身を覆うエプロンに、じわりと青臭い香りを放つ液体が染み、結合部からは泡を立てて同じものが零れ落ちる。
 汗と精液が交じり合う濃密な饐えた性臭の中、二人の脳髄の奥深くは、射精の快感で完全に溶解していた。

「はぁぁ……お、にいさん……んちゅ……」

 繋がったまま後ろから抱きしめられ、キスをされる。
 絡み合う舌と舌。
 射精の余韻と共にされる愛撫に、ユーノの心はより深い恍惚の底へと堕ちていった。


終幕

520 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/02/17(日) 17:59:51 ID:vPo5y.5g
投下終了。

pixivに設置したアンケートで一番人気だった裸エプロンを使わざるをえなかったのでした。

以上。

521 名無しさん@魔法少女 :2013/02/17(日) 21:19:00 ID:L6SnWshU
シガーさん、ユーノくんは俺の嫁最新作。ありがとうございます(^O^)
これからも、このシリーズを楽しみにしています(^w^)

522 名無しさん@魔法少女 :2013/02/18(月) 05:07:01 ID:eqMdPAZQ
シガーさんお疲れ様です。また新作をお待ちしてます。
あと、今回投下したのは七話ではないでしょうか?
六話は前スレに投下されていたはずです。

523 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/02/18(月) 19:22:23 ID:v7s5/WqQ
うわ、本当だ・・・間違えとる

今回は ぱーとせぶん でした

524 名無しさん@魔法少女 :2013/02/20(水) 07:09:09 ID:D/mLjZqM
うーん…自分も書いてみようかな…シリーズは問わないんですよね?

525 名無しさん@魔法少女 :2013/02/20(水) 07:29:11 ID:HeaItn3Q
なんでもOk
だけど投下前に注意書きだけは君と僕のお約束だぞ

526 名無しさん@魔法少女 :2013/02/20(水) 07:31:12 ID:mFFlEGN.
>>525
わかりました!答えて頂きありがとう御座います。

527 名無しさん@魔法少女 :2013/02/20(水) 23:17:10 ID:6fNO2aaI
必要な注意事項は>>1に書いてあるからそこ読んどけばおk

528 名無しさん@魔法少女 :2013/02/24(日) 04:11:39 ID:sUcf6M1g
vivid最新刊購入した
ジークちゃんに関節技を逆にかけながら、エロいことしたい

529 名無しさん@魔法少女 :2013/02/24(日) 07:44:55 ID:vQzS0wzw
とりあえずエロ技解禁の裏インターミドルssを早よ

531 名無しさん@魔法少女 :2013/02/26(火) 01:09:49 ID:tvQhQJtI
いきなりどうした

532 名無しさん@魔法少女 :2013/02/26(火) 01:31:41 ID:5lpSLDnc
バッチいのに触っちゃダメって親から教わらなかったのか

533 名無しさん@魔法少女 :2013/02/26(火) 01:42:51 ID:tvQhQJtI
でもなのはさんのうんこなら食べたい

534 名無しさん@魔法少女 :2013/02/26(火) 02:17:24 ID:gud4MXEM
流石にそれは引くから頭の中だけでやめておけ

535 名無しさん@魔法少女 :2013/02/26(火) 16:45:21 ID:tUg/JGpE
流石、ここの民度の高さに驚きですよ。というか当たり前かw

536 名無しさん@魔法少女 :2013/02/26(火) 17:59:49 ID:wbNT59u6
ばっちい話も、とりあえずアナルなら許容する
だからリンディさんが幼フェイトそんのアナルを攻めるssを下さいな

537 名無しさん@魔法少女 :2013/02/26(火) 18:51:38 ID:aoJarv9c
ここでアナルと言えばクロノだという風潮

538 名無しさん@魔法少女 :2013/02/26(火) 20:57:09 ID:nFA50o9g
クロノといえばアナルだよな


と自然に出てしまうこの文化はもうwww

539 名無しさん@魔法少女 :2013/02/26(火) 23:29:31 ID:oOFI.QmQ
もはやクロノがアナル好きなのかフェイトがアナル好きなのかわからないレベル
個人的にはクロフェイがアナルプレイ好きだと思っているけど

540 名無しさん@魔法少女 :2013/02/26(火) 23:40:51 ID:EAME65zQ
クロノ→アナル→フェイトという構図

541 名無しさん@魔法少女 :2013/02/27(水) 00:49:58 ID:ZGYioxoI
フェイトがフィストに見えた
クロノのケツに拳突っ込むのかと

542 名無しさん@魔法少女 :2013/02/27(水) 01:14:03 ID:uV13IJJc
どーせユーノ祭りなら、ユーノとトーマとかの話も見たかったな。
腐女子が好きそうな掛け算関係なしに

543 名無しさん@魔法少女 :2013/02/27(水) 01:14:10 ID:n7KSNG9Y
JKなフローリアン姉妹が痴漢される話はよ

544 名無しさん@魔法少女 :2013/02/27(水) 03:36:17 ID:kzTpAWOE
>>542
何個か投下されてたじゃんか
でもユーノとトーマが色々と絡む話はもっと見たいかな

545 名無しさん@魔法少女 :2013/02/28(木) 08:01:08 ID:nrhu7hWM
>>544
トーマをユーノにNTRれるスバルか…胸が厚くなるな

546 名無しさん@魔法少女 :2013/02/28(木) 23:08:54 ID:L4ieXVQQ
エクリプスの患者はモノから噴出剣が撃てるのだろうか

547 名無しさん@魔法少女 :2013/02/28(木) 23:35:57 ID:n5iZHkrU
>>545
スバル「ソコは私が襲われるところじゃないんですか!?」
ユーノ「エロパロ的に僕が襲うのはこの際置いておくけど、嘆く所そこなの?」
トーマ「なのはさんには憧れてるけど、なのはさんじゅうはっさいの巻き添えにはなりたくないらしいんです……」

548 名無しさん@魔法少女 :2013/03/01(金) 00:17:26 ID:n3fzMbhE
つまり両刀ユーノが両方とも攻略してしまう流れか

549 名無しさん@魔法少女 :2013/03/01(金) 11:31:38 ID:8zl4vRQw
キャロ「このストラーダをエリオ君の尿道にですね…」

550 名無しさん@魔法少女 :2013/03/01(金) 13:27:13 ID:CJbVyR1c
サイクロン氏がSSにも手を出すとな?

551 名無しさん@魔法少女 :2013/03/01(金) 17:29:40 ID:YhfYxkFw
どうでもいいからミカヤさんのアナル攻めようZE

552 名無しさん@魔法少女 :2013/03/02(土) 06:05:15 ID:Ks.zdQ0U
ミウラちゃんを裸にしてお散歩にいきたい

553 名無しさん@魔法少女 :2013/03/02(土) 09:06:06 ID:Jm3x4KX2
シャンテはぜってーシャッハさんに性的な意味でも礼節を仕込まれてるってばよ

554 黒天 :2013/03/02(土) 10:25:53 ID:i89oBCvU
イノセントでのユーノ君の扱いに涙。
でも、高町家に居るフェレットは精巧に造られた偽者で本物は鬼械神級の超兵器を駆って
邪神の眷属とドンパチしたり、邪神の犠牲(エロ的な意味で)になった女性キャラを助けたり・・・といったネタを
受信。書いてもいいのかな。

555 名無しさん@魔法少女 :2013/03/02(土) 10:52:26 ID:IXHRxQBg
カモーン

556 名無しさん@魔法少女 :2013/03/02(土) 11:45:57 ID:.KnT6xok
>>554
よろしく頼む

557 名無しさん@魔法少女 :2013/03/02(土) 14:52:25 ID:m90opcpk
ウチの弟の弁による邪神さん達の立場の認識

全体(旧神に負けて逃げた勢力):学校でテストの書類やら何やら盗みだそうとしてヒャッハーしてたら教師にボコられて退学休学処分中のバカ共
アザさん:
力と舎弟はあるけど何にもしないニート番長。処分喰らってからヒッキーに進化したロクデナシ。やれば出来る子のはず。
ニャルさん:
チキンな上にどっちつかずのコウモリな小物。処分から逃げたけど結局学校側には処理された。自ら人間に関わってる辺り救い様の無い小物。見栄っ張り。
ヨーグルト:
処分喰らってショック受けたらなんか悟っちゃった。押しに弱くていつの間にか子供作られて責任取らされてる。現在引き篭もり中。ささみさん。
クトルーさん:
自分の舎弟を持ってるガキ大将。自分達をボコった教師の甥っ子。リア充な舎弟のダゴン君にギギギする日々。最近メタボ。
クトガー:
教師にボコられた際に頭打って電波系になっちゃった可愛そうな子。でも記憶はハッキリしてて1人トンズラこいたニャルさんを〆ようとする勢力の1人。
ハスター:
(物理的に)クール系ツッパリ。淡々と我が道を行く系なので舎弟は少ないがカリスマ。この人もニャルさんブッ殺し勢力。

ダゴン:
ヘッドを差し置いて有名且つリア充なツッパリ。舎弟は雑魚ばっかだけどヘッドというか彼のファンクラブと化してる。実は頭悪くない。
ヒュドラ:
ダゴンの彼女。クトルーさんの引き篭もり先の星だとヘッドさん達差し置いて最も有名。彼氏がそれにコンプレックス持ってるとか何とか。

こんな感じ?

558 名無しさん@魔法少女 :2013/03/02(土) 14:55:11 ID:jBVZmJSE
流石にスレチだ

559 名無しさん@魔法少女 :2013/03/02(土) 15:43:03 ID:xHwvwHpQ
クトゥルフの邪神を壊れキャラにしたいんだったら、ニャル子さんでも読んで該当スレに行け

560 名無しさん@魔法少女 :2013/03/02(土) 17:41:23 ID:Jm3x4KX2
で、リリカルなのはのエロパロでどんな答えを望んでいるの?

561 名無しさん@魔法少女 :2013/03/02(土) 17:43:43 ID:8UKb5zXs
ネタにしても間違ってるし面白くない

562 名無しさん@魔法少女 :2013/03/02(土) 17:54:41 ID:c5WOZRWk
なのはさんとユーノきゅんのいちゃいちゃらぶらぶえっちが読みたいです!

563 名無しさん@魔法少女 :2013/03/02(土) 21:02:55 ID:YFv0MZ1g
あれ、ここってクロスSSってありだったん?

564 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/03/02(土) 21:40:57 ID:zPhKhMoU
>>563
原則としてはクロススレがあるんだからそっちで書くべき、かな




まあそれはそうと、ぽつぽつ書いてたSSが完成したので投下します。
ヴァイスとシグナムその他のお話し、いちおう短編(予定)、非エロ、タイトル『ミステリアス・ブロンド』。

565 ミステリアス・ブロンド :2013/03/02(土) 21:41:45 ID:zPhKhMoU
ミステリアス・ブロンド


「テスタロッサ、ちょっと良いか」

「あ、シグナム。どうかしたんですか?」

「お前、この間の日曜はどうしていた?」

「日曜? 別に……これといってないですけど。近所に買い物に行ったくらいで」

「近所か。クラナガンには行っていないんだな?」

「はい」

「ふむ、それは本当か?」

「えと……うそをつく理由が見当たらないんですけど」

「そうか」

 なにやら食い下がるシグナムの、平素らしからぬ緊迫感にフェイトはやや気圧された。
 一体何があったのだろうか。
 当然湧き上がるそんな疑問を、しかし口に出す暇もなかった。
 
「邪魔したな」

 とだけ言って、烈火の将はそそくさと場を後にした。
 くるりと踵を返した時、ふわりと舞った桜色の髪の軌跡を漫然と見つめるフェイトに出来たのは、ただその姿を見送るだけだった。
 フェイトには知る由もない事だが、その後シグナムは医務室のシャマルにも同様の質問をする事になり、さらには聖王教会のカリム・グラシアにも連絡をする事になる。



 機動六課隊舎の食堂、午後四時、昼食を取るには遅く夕食を取るには早い頃合だ。
 利用者の数はほとんどないと言っていい。
 ほとんど空席のテーブルの中、ぽつんと腰掛けるシグナムの姿は実に目立つ。
 ましてや食事を取るでもコーヒーを啜るでもなく、文字を書きなぐったルーズリーフを広げていればなおの事だった。
 さながら試験前の学生か、はたまた受験生のようであるが、立ち込める鬼気の程はむしろ凶悪犯を追う刑事のそれに近い。
 ルーズリーフに書かれている文字には、まず名前があった。
 フェイト、シャマル、カリム。
 地位も役職もばらばらの女性三人、彼女らの名前のと共に『日曜日』『アリバイ』と言った語が書き記され、その裏を取る証言のメモが記されていた。
 本人から聞いた言葉に、それを裏付けする関係者のリストまで。
 まるで本当に事件を調べる捜査官さながらの呈である。
 果たして一体この三人が如何なる事件に関わっているというのだろうか。
 眉間にシワを作って集めた証言を睨みつけるシグナムであるが、しかし、険しい表情の意味するところはつまりシロの一文字に尽きる。
 フェイトもシャマルもカリムも、日曜にはそれぞれアリバイが完璧に成立しているという事だった。
 行き詰った捜査に、シグナムは艶やかな髪を掻き上げて薄くため息をつく。
 そんな時だった。

「こんな所でどうしたんすかシグナム姐さん」

「ッ! ……な、なんだ、ヴァイスか」

 唐突に声を掛けられ、びくりと体を強張らせるシグナム。
 そこに居た偉丈夫は、数年来の付き合いのある部下、ヴァイス・グランセニックだった。
 平素のシグナムの研ぎ上げられた感覚ならば、近づかれた時点で相手の気配に気付こうものを、間近まで寄られてまったく分からぬというあたり、彼女の集中の程が知れる。
 ましてやルーズリーフに綴った幾つもの文字と格闘する姿といい、ヴァイスが気になって声を掛けたのも当然だろう。

「何か調べもんでもしてるんですか?」

 そう問いながら、書きなぐられた言葉の束を覗き見ようとするヴァイス。
 すると、シグナムは慌ててルーズリーフをさっと手で隠した。
 
「別に何でもない」

 何でもないわけがない、筈なのだが。
 シグナムの憮然とした声音は有無を言わせぬだけの気迫に満ちていた。

「そ、そうすか」

 ヴァイスに言えたのはそれだけである。
 どうやら今はあまり気軽に声を掛けていい所ではないらしい、そう彼は判断し、そのまま踵を返して去ろうとする。
 だがそんなヴァイスを、シグナムは呼び止めた。

「おいヴァイス」

「へ? 何すか?」

 振り返ると、シグナムの澄んだ蒼い瞳がじっとヴァイスの顔を見つめていた。

566 ミステリアス・ブロンド :2013/03/02(土) 21:42:41 ID:zPhKhMoU
 しかし上目遣いのジト目で見上げるその表情には、憎らしげとでも言うべきか、何とも形容し難い険の色が濃い。
 もしや自分は、彼女の機嫌を損ねるような真似をしたのではないかという不安感が湧き上がる。
 だが、そんな記憶はヴァイスにはかけらもなかった。
 出来ることは相手の言葉をただ待つ事だけである。
 しばしヴァイスの顔を睨むように見つめるシグナム、数拍の間をおいて、彼女は問うた。

「お前、この間の日曜にクラナガンの繁華街に居たそうだな」

「え、ええまあ、そうっすけど」

「そこでテスタロッサに会ったか?」

「いえ」

「じゃあシャマルや騎士カリムには」

「いえ、別に会ってないっすけど」

「……」

 じぃっとヴァイスの顔を見つめるシグナム。
 歴戦の女騎士の慧眼は、数年来の部下の言葉の虚実を吟味する。
 彼女の観察眼からして――ヴァイスの言葉に嘘はない。
 それを察し、残念とも安心とも取れるため息をシグナムは漏らした。

「そうか。いや、すまん。何でもない」

「はぁ」

 シグナムが何を知りたかったのか分からぬヴァイスは、そう曖昧な言葉を返す。
 つい、と視線を逸らす彼女の様子から、もう言葉はないという事を察し、ヴァイスは今度こそその場を後にした。
 立ち去る彼の背中に、シグナムは横目でまた何ともいえぬ視線を送っていた。



 さて、話を少しばかり遡ろう。
 数日ほど前、それはいつもと変わらぬ日曜の事だった。
 ヴァイス・グランセニックは繁華街の人ごみの中に居た。
 特にこれと言った目的はない、ただ漫然と人の流れに身を任せ、目に付いた店を気紛れに冷やかしたりする。
 ぶらりとした有意義なる無為。
 友人や家族と共に過ごすのではなく、こうして雲のように気ままな時間の過ごし方は、彼の趣味の一つでもあった。
 今日もまたそうやって、無聊の慰めに往来を行く。
 そんな時だった。
 正面から歩いてくる細身のシルエットに、ヴァイスの視線は自然と引き寄せられた。
 細い、折れてしまいそうなほど華奢な――首筋、肩、腕、腰、脚。
 繊細な体を包むワンピース、やや冷たい季節の風から肌を守るように掛けたカーディガン。
 だが何より目を惹くのはその美貌だ。
 どこか幼さを残しているが、その美しさは麗しいと言っても良い、輝くブロンドが一層にその顔立ちを引き立てる。
 絶世の美女、いや、二十代より若く十代後半にも見えるところを見ると、美少女かもしれない。
 
(美人だな)

 内心、ヴァイスはそう無言で呟いた。

567 ミステリアス・ブロンド :2013/03/02(土) 21:43:31 ID:zPhKhMoU
 機動六課も美女揃いの部署ではあるが、これほど繊細そうで庇護欲を掻き立てられる女性はいないのではないか。
 男の性というもので、ヴァイスはついつい見知らぬ美女に見入ってしまった。
 その為に、すぐ目の前を通り過ぎようとした自転車の存在に、直前まで気付く事ができなかった。

「うわ! っとと」

 あわやぶつかる、というところでようやき気付き、慌てて飛びのいて自転車を避ける。
 余所見していたヴァイスに怒声とベルを鳴らして過ぎ行く自転車。
 しかしその時ヴァイスが注意するべきは、横を掠めた自転車ではなく、前方から歩いてくる人影の方だった。

「きゃ!」

 愛くるしい程に高く甘い声が悲鳴を零した。
 ヴァイスの肩へ伝わる、慎ましい衝撃、そして地面に何かが落ちるような音。
 振り返るまでもなく何が起こったのか理解できた。

「あ、す、すいません!」

 慌てて謝る彼の前で倒れていたのは、あの美女だった。
 歩くには不向きだか、脚線美をより美しく見せるヒールの足で立ち上がろうとするが、足首をくじいたのか上手くいかないようだった。
 ヴァイスはすかさず手を差し伸べ、相手の手のひらに指を絡めた。
 見た目以上にずっと細く華奢な指、ひんやりと心地よい柔肌に思わずぞくりとなる。

「本当にすいません、俺のせいで」

「い、いえ、ぼ……わ、私も注意していませんでしたから。あッ!」

 髪を掻き上げながら、はにかんだ微笑を浮かべて立ち上がる女性。
 しかし立ち上がった時、彼女はヴァイスの顔を見てなにやら驚きの声を上げた。
 後ろに誰かいたのか、何かあったのか……いや、その様相は明らかにヴァイスの顔を見てのものだった。
 そういえば、自分はこの女性をどこかで見たことがないだろうか。
 ヴァイスの脳裏に過ぎる疑問と回想、だが、しかし思い出せない。
 ちゃんと面と向かって会った相手ではないのだろうか。

「あの、どうかしましたか? もしかして前に会ったとか」

「いえ! そ、そんな事は……気のせい、そう、気のせいです。ちょっと、その……知り合いに似ていたもので」

 なにやら慌てた様子で否定する美女。
 ひどく狼狽しているようにも見えたが、それも気のせいだろうか。

「じゃあ、ぼ……わ、私はこれで……あう!」

 まるでヴァイスから逃げるように立ち去ろうとした美女だったが、その細い体がよろけた。
 やはり先ほどの転倒で足首を痛めたようだった。
 すかさず彼は手を貸して、女性が倒れぬように図った。
 肩を貸そうかとも一瞬考えたが、そこまで体を密着させてはさすがに不躾だろう。
 それでも、重ねた手と指の感触の危ういほどの細さは、男心をなんとも言えずくすぐるものではあったが。

「手貸しますよ。ベンチか何かで少し休んだ方が良いっすよ」

「あ、その……すいません……お願いします」

 恥ずかしいのか、伏し目がちに顔を俯け、女性は頬を僅かに赤くして、そう言った。
 そんな些細な仕草の一つ一つが乙女らしさとでも言うか、奥ゆかしい女性らしさを感じさせて愛くるしい。
 ヴァイスの勤める機動六課に居る女性たちも美女揃いではあるが、彼女たちは魔導師としても人としても逞しく強く、守ってあげたいどころかむしろこちらからお願いして守ってもらいたくなるような女性たちである。
 そこを言うとこの女性はその真逆を行く雰囲気を持っていた。
 壊れ物を扱うように気をつけてその手を握り、ヴァイスは一緒に歩いて彼女が休める場所を探した。
 手ごろなベンチはなかなか歩道の上にない。
 仕方なく、少し歩いた先にある公園へと入った。
 休日という事もあり人で溢れていたが、幸運にも空いているベンチがすぐに見つかった。
 
「ちょっと待っててください」

 そう言って、ヴァイスは足早に近くにあった自販機に走った。
 すぐに戻ると、手には表面を薄く水滴で濡らした缶ジュースが握られていた。
 
「どっちの足です?」

「えと……こっちです」

 ヴァイスの言葉に彼がしようとしている事を察し、女性はほのかに赤みを帯びた右足首を差し出す。
 瀟洒なデザインのミュールを穿いた、驚くほど細くしなやかな足の患部へ、ヴァイスは手にした冷たい缶をそっと押し当てた。

「……んぅッ」

 よく冷えた缶を肌に当てられて、女性は微かに身じろぎし、悩ましい吐息を零した。
 しかし痛めた箇所を冷やされる事で、痛みは引いていき、それは次第に表情にも現れた。

568 ミステリアス・ブロンド :2013/03/02(土) 21:44:29 ID:zPhKhMoU
 
「どうです?」

「はい、痛みも少し引いてきました。ありがとうございます、お手間を取らせてしまって」

「いえ、悪いのは俺ですし」

 改めてそう言うヴァイスに、女性は苦笑する。
 
「そんなに気にしなくても、大した怪我じゃないですから」

 と。
 しかしそう言われたとしても、この白く澄んだ柔肌に少しでも傷をつけてしまった事には、罪悪感を覚えずにはいられない。
 彼は甲斐甲斐しく細い足を支え、僅かに腫れた足首へ缶を押し当て続けた。
 繊細なラインを描く肢体に触れていると、どこか陶然とした悦びさえ感じそうになる。
 ヴァイスは照れ隠しとばかりに、暇つぶしの話題を振った。

「ああ、言い遅れました。俺はヴァイス、ヴァイス・グランセニックって言います」

「私は、その……ユ、ユーナです」

 何故か言葉を選ぶようにしどろもどろに、女性はユーナと名乗った。
 初対面の男を相手に恥ずかしがっているのだろうか。
 しかしそんな疑問もさして気にはならない。

「ユーナさんですか、良い名前ですね」

「そ、そんな事は……」

 素直に感想を言うヴァイスの褒め言葉に、ユーナと名乗った女性の頬がぱっと朱色に染まった。
 恥ずかしさでそっと顔を背ける仕草は可憐と言うしかない。
 しかしその横顔を見ていると、やはりどこかで見た覚えがあるような気がする。
 本当に気のせいだろうか。
 ヴァイスは少しだけ顔を近づけて、ユーナの繊細な顔立ちに見入った。

「あの、俺ってもしかしてユーナさんにどこかで会った事ないっすかね」

「え!? い、いえ、そんな事ないです! き、気のせいですよ、気のせい」

「そうっすかね」

「そうですよ、ははは……」

 まだ少し訝るヴァイスに、ユーナは緊張に乾いた笑い声を零す。
 どこかで見た覚えがあるような気がするが、確かに記憶にあまり残っていない。
 もしかしたら本当に気のせいなのだろうか。
 それが、書類上の知識だけで直接の面識がない為であるとは、当のヴァイス本人にも分からなかった。
 


 ヴァイスが手にした缶ジュースがすっかりぬるくなった頃、ユーナの足の腫れは随分と引いていた。
 
「どうです?」

「はい、おかげさまで。これなら歩いて帰れそうです」

「でも荷物持って行くのは辛くないっすか」

 ヴァイスがそう言って視線を向けたのは、ユーナが手にしていた紙バッグだった。
 瀟洒なデザインに崩されたアルファベットの文字が記すブランド名から察するに、中身は女性向けの服だろうか。
 一抱えはあるところからすると、何着も買ったと見える。
 足を痛めた細身の女性では、持って買えるには難儀するだろう。
 そう思うが早いか、ヴァイスはその紙バッグを持ち上げた。
 
「自分が持ちますよ」

「え……あ、あの、でも……悪いですよ、そんな」

「いえ、良いんすよ、気にしなくて。この後も買い物するんなら、その荷物も持ちますよ」

 快活に人好きのするような朗らかな笑みを浮かべて、ヴァイスはそう言った。
 彼の厚意を嬉しく思いながらも、ユーナは内心でどうしたものかと悩む。
 確かに今そうして荷物を持ってもらうのはありがたいのだが、家まで招いてしまえば自分はある意味で『破滅』しかねない。
 今でさえ十分に綱渡りする心地だというのに。
 あまり強く拒絶するのもヴァイスに悪いと感じ、ユーナはこくりと頷いた。

「分かりました、じゃあ、これから少しお買い物に付き合っていただいて良いですか? ちょっと、靴屋さんに寄りたいんです」

「ええ、喜んで」

 そうしてヴァイスは手を差し伸べて、ユーナがベンチから立ち上がるのを助ける。

569 ミステリアス・ブロンド :2013/03/02(土) 21:45:07 ID:zPhKhMoU
 燦々と照りつける太陽と抜けるような青空の下、日曜の活気立つ往来へ、二人は歩き出した。
 しかし果たして、道行く美男美女の姿は、人々にどう映ったのだろうか。
 


 晴天だった空が、仄かに赤みを帯び始めていた。
 夕刻、そのほんの少し前という頃合だろうか。
 繁華街のアーケードの入り口で、ヴァイスとユーナは赤茶の石畳の上に、長い影法師を作っていた。

「これで大体買い物も済みました?」

「はい、ありがとうございます。荷物持っていただいて」

 ヴァイスの手には、あの後ユーナと共にめぐった店々で買った服や女性向けアクセサリーを詰めた紙袋が抱えられていた。
 行きたい店にはもう全て行っただろうと言う事を察し、ヴァイスは尋ねる。

「じゃあ、家まで送りましょうか?」

 ここまで付き合ったのだから、この荷物の数々を家まで送り届けるのもヴァイスはやぶさかではなかった。
 しかしユーナの言葉は速やかで逡巡さえなかった。

「そ、それは駄目です!」

 奥ゆかしい乙女の風情を持つ彼女にしては、想像し難いほど強い拒絶だった。
 下心がまったくなかったとは言い切れないかもしれないが、そこで善意を押し付けるほどヴァイスも厚かましくはなかった。

「分かりました、じゃあ俺はここで失礼しますね」

 屈託ない笑みを浮かべるヴァイスに、ユーナはどこか恥ずかしそうな、気後れしたような顔をする。

「あの、今日はどうもありがとうございました」

「いえいえ、まあ自分が悪かったっすから。じゃ」

 そう言って荷物を手渡し、ヴァイスはくるりと踵を返して去っていく。
 だが、途中でぴたりと足を止めて、顔だけ振り返った。

「ユーナさん」

「はい?」

「俺、休みの時はしょっちゅうこの辺ぶらついてんすよ。だからもし良ければ、また会ったらメシでもどうっすか? 今日のお詫びに奢りますよ」

 と、朗らかに笑うヴァイス。
 彼からすれば大して期待など込めていない、冗談程度の提案でもあった。
 しかしユーナは真に受けたのか、ぱっと頬を赤く染めてしまう。

「あ、あの……その……さようなら!」

 まるで逃げるように、美女は長い金髪を振り乱して足早に去っていった。
 あの様子だと、足の怪我はもう問題なさそうだ。
 ふっと苦笑を浮かべながら、ヴァイスはその日の夕飯の事でも考えつつ、ぶらりと家路に着いた。
 もちろん、彼は知る由もない。
 ユーナに与えた混乱も、その後に起こるシグナムの事も。



「なん……だと」

 はやてからその話しを聞いた時、シグナムは手にしたコーヒーカップを取り落としそうになった。
 そうならなかったのはショックに耐えうる彼女の精神力と、長年に渡って研鑽を重ねた剣士としての技前のお陰だったのだろうか。
 
「本当ですか主」

「ええ、もちろん、ちゃんと見たって子から聞いたんよ。ヴァイス君、日曜に凄い美人とデートしてたって」

 カップの紅茶を軽く啜りながら、はやては頷いて嬉しそうに言った。
 管理局本局のカフェテラス、ちょっとした報告や諸々の用事からの帰りの昼食だった。
 同じく機動六課に所属していても、部署が違えばあまり顔を突き合わせて話し合う時間もなかなか出来ないので、シグナムとはやてがこうしてじっくり話すのも何日かぶりだ。
 だからこそシグナムは心底驚いた。
 はやての知り合いの女子局員の間でちょっとした噂になっているという、ヴァイスが謎のブロンド美女とデートしていたという話に。
 なんとか表面上は平静を努めながら、シグナムはコーヒーカップをそっとテーブルに置き、言葉の抑揚を抑えて問うた。

「見間違いではないんですか。あいつに恋人が居るなんて聞いたことがない」

「そうやよねぇ、私も聞いたことないし。でも、もしかしたら最近知り合ったのかもしれへんよ。ヴァイス君も隅に置けへんねぇ♪」

 人の恋路を勝手に想像したり話したり、そういうのに目が無いのが女子の本分だと言わんばかりに、はやては浮き浮きと頬に手を当て嬉しそうに言った。
 きっと彼女の脳裏では、一体ヴァイスがどんな女性と付き合っているのか、空想の翼を羽ばたかせているのだろう。
 それはシグナムも同じだったが、はやてのそれとはそもそもの質が違った。

570 ミステリアス・ブロンド :2013/03/02(土) 21:45:47 ID:zPhKhMoU
 はやてが単なる出歯亀で邪推しているのに対して、シグナムは心底からの焦りを伴っていた。
 それがどういう意味を成すかと言えばつまり――要するに――分かりやすく言えば――――惚れているからだ。
 何年も付き合いのある年下の部下に片思いしているのだ。
 まだ若輩で右も左も分からない新人だった頃から逞しく精悍になった偉丈夫の青年への気持ちが、親愛から恋愛に変わったのが何時ごろなのか、もう当のシグナム自身にも分からない。
 この気持ちはまだ誰にも打ち明けていない、彼女の秘めた気持ちだった。
 もちろん、ヴァイスにも。
 気恥ずかしさと、何より今まで続いていた上司と部下としての良い関係が壊れてしまうのが怖かったし、シグナムは自分で思っている以上に乙女だったからだ。
 それに、焦る必要などないとも考えていた。
 最近はティアナが危険人物として候補にこそ上がっているが、それでもまだ十分にヴァイスの周囲に女の影などなかったからだ。
 しかし、それがまさか唐突に邪魔者が現れるとは……
 なんとか落ち着くべくコーヒーを口にしながら、シグナムは脳裏で思考を巡らせた。
 まず何をするべきか。
 とりあえず該当しそうな人物に聞き込みをするべきだろう。
 条件は、金髪の美女、か。



 ふと、ユーノは視界の隅に、普段なら見かけぬ姿を見て立ち止まった。
 重力から解放された無限書庫、かろうじて上下の概念の残るその広大な空間の中で、見習い司書を始めたばかりのヴィヴィオと何やら会話する長身の女性が居た。
 特別個人的な親交があるわけでもないが、出会ってから十年近く付き合いがある古馴染み、見間違うわけもなかった。

「シグナム、こんな所でどうかしたの?」

「ああ、スクライアか」

 そう言って振り返る烈火の将。
 手にはメモ帳があり、どうやらヴィヴィオから聞いた言葉を書き殴っているらしかった。
  
「少しヴィヴィオに話を聞いていたんだがな」

「ヴィヴィオに?」

「ああ、お前にも少し聞きたいんだが。まさかとは思うが、ヴィヴィオが変身魔法で大人になったりした事は最近なかったか」

「え?」

 まったく予想だにしなかった質問だった。
 JS事件の渦中、ヴィヴィオは聖王モードといって、成熟した女性の姿に変身した事がある。
 またそれとは別に、大人の女性の容姿に変身する魔法も使えうるらしい。
 だが一体、それとシグナムに何の関わりがあるというのだろうか。

「少なくとも記憶にはないけど」

 と、言う。
 ヴィヴィオ本人もシグナムの後ろから、うん、と頷いていた。
 
「そうか」

「何かあったのかい?」

 何故そんな事を聞きに、普段は訪れないこんな所へやって来たのか、当然の疑問をユーノは尋ねる。
 司書の仕事に戻ってその場を離れたヴィヴィオの後姿を横目で見ながら、シグナムはしばし思案した末、口を開いた。

「実はな、その……ヴァイスについてだ」

「ヴァ、ヴァイスさん?」

 その名を聞いてユーノは声を上ずらせた。
 挙動不審の司書長の様に気付かず、恥ずかしさを隠すためか、伏し目がちにシグナムは続けた。

「あいつが日曜にブロンドの女と出歩いていたそうなんだが。わけあってその相手を調査している」

「え、ええ!? し、調べてるの!? どうしてそんな……」

「理由はその……言えん! 極秘事項だ」

 驚愕し慌てながら問いただすユーノ、耳まで赤くして断言するシグナム。

571 ミステリアス・ブロンド :2013/03/02(土) 21:46:44 ID:zPhKhMoU
 お互いにお互いがどうかしていると解するには、お互いが共にまともな状態ではなかったので判らなかった。

「ともかく、ヴィヴィオは関係ないようなので私はそろそろ失礼する。じゃあな」

 普段ならば絶対に見せないような羞恥の赤ら顔を隠すように、シグナムはくるりとポニーテールの髪を舞わせながら振り返り、立ち去った。
 その後姿を見ながらしかし、視界が暗転しそうなほどの狼狽を覚え、ユーノは頭を抱えたい気分になっていた。
 もちろん、そんな事を知るのは、当のユーノ本人だけしかいないわけだったが。



「あーもう!!」

 自宅の寝室のドアを開けるや、ユーノは白いベッドシーツに飛び込んでスプリングを軋ませながら、身悶えして叫んだ。
 外気温の暑さにも寒さにも耐えうる壁は防音もしっかりとしており、彼の嘆きの叫びは誰知る事もない。
 それを最低限の理性で弁えているからこそ、ユーノは思う存分に嘆き喚いた。

「どうしてこんな……ああもう! ああもう!!!」

 枕に顔を押し付けたままごろごろと転がり、ベッドからぼすんと落ちてもまだ転がり、転がり、ついにはクローゼットの戸にぶつかって止まる。
 とてもじゃないが、そのアホらしい狼狽ぶりは、考古学や諸学に通じた無限書庫の司書長というインテリ的地位に就いている若き才人という肩書きからは程遠い有様だった。
 顔を枕に埋めながら壁にばんばんぶつかり悶え、悶え、悶え……ようやくユーノの脳細胞はまともな思考に戻りかけた。
 
「うう……」

 半泣きの呈で立ち上がり、ユーノは枕を床に投げ捨てて、クローゼットの戸を開けた。
 ハンガーに並ぶ衣装。
 いつも纏っているスーツの換えや、冬用のコート、その奥に隠すように仕舞われているもの。
 それは誰見紛う事もない――女性用の服。
 一着や二着どころではない、何着もの女性向け衣類、その中には白いワンピースとカーディガンの姿もあった。
 ヴァイスが出会ったあの美女と、同じ服。

「まさか……まさかヴァイスさんに会うなんて……」

 あの時の衣装を見ながら、ユーノは記憶を反芻し、より一層に嘆きを呟く。
 髪を解き、眼鏡を外し、化粧を施し、この服を着れば出来上がる。
 ヴァイスの出会った謎のブロンドの美女、ユーナ。
 そう、正にあの日あの時、ヴァイスの出会った美女の正体とは……女装したユーノ・スクライアに他ならなかった。
 かれこれ数年来の事である。
 ユーノの密かな趣味、ストレス解消法。
 最初は隠れて自室で服を着替える程度であった。
 徐々に化粧をし、女性下着を付け、より完璧なものに仕上げるうち、次第に外を出歩くスリルを楽しむようになった。
 元から顔立ちが女性的な美男子である彼が女装すると、外見から男性である事を見抜くのは不可能に近い。
 何より知り合いに出会う可能性など確率的に言ってそうありえないのだから、彼も今では大胆に女装して外出するようになる。
 女装したユーノは美しく、男にナンパされる事も少なくなかった。
 人を完璧に欺ける事は、なかなかの快感だった。
 しかしそれも絶対に知人などに出会わないのを前提にしての事だ。
 それがまさか……こんな形で脅かされるとは。

572 ミステリアス・ブロンド :2013/03/02(土) 21:47:51 ID:zPhKhMoU
 ユーノはあの時の衣装をそっとハンガーから手に取り、深くため息をついた。

「どうしよう……やっぱり、もう止めた方が良いのかなぁ」

 今はなんとか一命を取り留めている。
 ヴァイスとは直接の面識はないし、化粧をした自分の顔から普段のユーノ・スクライアを結びつける事はできなかったようだ。
 しかしどういう事情からかあの時の自分をシグナムが探っている。
 賢明に考えるならば、今が止め時だった。

「でも……でも……うわぁぁぁぁん!!!!」

 既に生活の一部として染み付いてしまった女装癖と、露見しかかっているという危機感との間にせめぎ合い、ユーノは再び叫び声を上げた。
 そんな彼を見ているのは、物言わぬ数多の女物衣装だけだった。


終幕

573 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/03/02(土) 21:48:39 ID:zPhKhMoU
投下終了。

一体このSSの趣旨が女装ユーノきゅんなのか乙女シグナムさんなのかは書いた俺にも判然としないのであった。

574 名無しさん@魔法少女 :2013/03/02(土) 22:11:17 ID:hJLS1wyI
>>573
乙乙ですぞ。もしもシグナム姉さんが真相に気づいたら、ユーノ君はどうなっちゃうんですかねぇ…。

575 名無しさん@魔法少女 :2013/03/02(土) 23:40:10 ID:UrtN1NgI
>>573
乙です
がんばれシグナム、今なら(たぶん)まだ間に合うぞ!
しっかし女装ユーノきゅんはホント魔性の女やでえ…

576 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 00:01:08 ID:/LpB83Hw
乙です。

こういうシチュをはやゲンでも見てみたいな(チラチラ

577 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 10:17:56 ID:Pyy05frM
はやゲンは癒し

578 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 11:06:32 ID:7akZ2GAo
はだゲンに見えた

579 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 11:55:03 ID:Rsndukyg
>>573
女装ユーノきゅん危うしw
しかしそのうち露見しかかってることすら快感の一部に……w

580 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 12:18:09 ID:rh8pCKHE
>>576
それはつまりゲンヤさんが女装…ハガレンの某中将みたいな感じになるんだろうか?

581 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 12:47:32 ID:i/bbJr4A
おそらくはイノセントの舞台裏でこんな会話があったはず。
「ユーノくん、編集部とOHANASHIして、ユーノくんの参加を認めてもらったよ」
「ありがとう!なのは」
「それでね、この白いワンピースと緑のミニスカート、どっちが良い?」
「なのは……さん?」
「男の娘と女の子とフェレットさんのどれかを選ぶのが条件なんだって」
「…え……と」

つまり>>573 GJということです。

582 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 16:13:05 ID:BDevWpiI
ああまたユーノスレ住人を刺激するようなことを

583 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 19:31:07 ID:3iQV56MM
今あそこ、Iの件で半分お通夜状態だもんな

584 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 19:33:39 ID:mu46T3Oo
すごくどうでもいいです

585 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 19:34:14 ID:/LpB83Hw
?
なんかあったのか?

586 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 19:45:15 ID:Hvw9aUbw
アルフも同じ目に遭ってるんでしょ?

587 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 19:46:01 ID:j3PA9x0M
ザッフィーもな

588 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 22:13:31 ID:fEXcFy/6
アルフやザッフィーは元々狼だけれど、ユーノは本来クロノやリンディさんと同種族なのに……
という流れ>半分お通夜

で、そこから「いやもっと酷い状態もありえた」「どういう形であれ出せただけいいと思おう」と
頑張って立ち直ろうとしているところなんだよ!

589 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 22:39:55 ID:/7EWkNfY

 別に本編での扱いに変動がある訳じゃなかろ?
 公式続編で性格を別人に変えられた娘に比べればそれくらいマシじゃないか……(轟涙)

590 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 22:56:19 ID:LqmdRZNY
他所の話はどうでもいい
というか、ここで他所の話は控えろって>>1に書いてあるだろうに

591 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 23:17:36 ID:rh8pCKHE
公式だろうが、作者だろうが キャラを貶めてるのはなぁ…
キャラを百合方向に持ってかれるのだって「売れるから」だし…いい加減もう要らないのに
キャラ増やそうがキャラ切ろうが、作品全体が面白くなきゃどの道売れなくなるのに

AKBと同じ道辿って人気無くしていってスポンサーやら何やらが慌てふためいてorzする様子を見たくはあるが

592 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 23:18:02 ID:dwasssbE
ゆえに我らが語るのは、アナルを攻められるのがふさわしいのが
フェイトそん(9歳)
レヴィたん(幼女)
フェイトさん(19歳)
レヴィ姉さま(ナイスバディ)
のいずれかがふさわしいかである

593 名無しさん@魔法少女 :2013/03/03(日) 23:28:08 ID:NaoIU1Ss
フィクションに云々言うのは野暮だっていうのは分かってるんだが、アナルにゴム無し&事前準備無しで突っ込んでる描写を見るとうーんってなる

何を言いたいかというと、準備万端なアナルを恥ずかしそうに広げてるフェイトちゃん(9)は最高!

594 名無しさん@魔法少女 :2013/03/04(月) 00:16:21 ID:teS4n0KU
>>593
だが唯の変態だ。

そりゃそうと今日は雛祭りだったのか。全くネタがなかったな。
もう女の子がヴィヴィオくらいしかいなかったせいか

595 名無しさん@魔法少女 :2013/03/04(月) 01:39:52 ID:j5UuuzQ.
そもそもひな祭りネタ自体が、今までほとんど無かったような気がするが
別にヴィヴィオだけがどうとか、そういうのは関係ないんじゃ無いかな

596 名無しさん@魔法少女 :2013/03/04(月) 02:06:23 ID:wH./iNQ.
3月はホワイトデーネタの方が多そうだな

597 名無しさん@魔法少女 :2013/03/04(月) 09:06:47 ID:pVrBOotU
3月15日はなのはさまの誕生日です

598 名無しさん@魔法少女 :2013/03/04(月) 16:38:50 ID:/uWBPiMQ
フェイト「なのは……誕生日プレゼント。前準備してあるから、私のアナルをもらって……」
なのは「ぜんぜんわかってないのフェイトちゃん。前準備から開発まで全部まかせてくれないと興ざめなの」

599 名無しさん@魔法少女 :2013/03/04(月) 18:23:34 ID:a8qf23jg
>>593
なるほど、アナルを安易に生でやりすぎるってのは確かにあるよね。
しかしアナルを準備万端にするという事はつまり、浣腸たっぷりぶちこむって事だよね。
あまり綿密にその辺の脱糞描写を入れるとさすがに萎えたりする人も多かろうし。
按配が難しいところではないだろうか。
既にたっぷり開発して洗浄した後、にすれば大丈夫かな。
アナルプレイをネタにしたエロは結構な数になると思うし、自分も書くのでこの辺はこれからもう少し考慮すべきかもしれない。

アナルとは奥深いものである。

600 名無しさん@魔法少女 :2013/03/04(月) 18:37:20 ID:nt1WgVCc
腸は長いからそりゃ奥も深かろう
リアル派もファンタジー派も共存したいものです

自分は処女膜描写が変なほうが萎える
本気で膜が張ってると思ってるんじゃなかろうか的な…
こっちはファンタジーと割り切れないw

601 名無しさん@魔法少女 :2013/03/04(月) 19:34:29 ID:b5bBvQa6
>>599
つまり便秘に悩むはやてちゃんを助けるためにいちじくやらあれこれ試すシャマルせんせいと
もしくはフェレットモードでうっかり草を食べてフン詰まりしたユーノ君を治療する

602 名無しさん@魔法少女 :2013/03/04(月) 20:15:52 ID:foDyJ1as
イノセントのアインスって、はやてをネタに自慰とかしてそう。

603 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 00:32:18 ID:JifnZcDE
>>602
最高じゃねえか!

出来ればはやてとどっぷりエロい事してほしいね。
未成熟なロリと豊満な美女が絡むとか素晴らしいのですよ。

604 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 00:57:14 ID:/csM3NHA
>>602
読んでないけどぶっちゃけイノセントって面白いのか?
ユーノは好きだけど、敢えてその有無は問わず、
FもVマンガとしての評価はどうなってんだ。
なければカワカミン補給文庫に充てるけどねw

605 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 01:04:46 ID:itkdY/76
まだロクに進んでないんだから評価のしようがないと思うんだが…

606 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 01:52:28 ID:us6fAyDg
Fは好き
Vは嫌いじゃないけどもう少しこうなのはさんとヴィヴィオの絡みが欲しいというか
なのはさんの娘らしく対戦相手のこと何も知らずにぶつかるんじゃなくてなのはさんみたいに知恵と戦術、最後の切札ぐらいは用意して戦っていただきたいというか
Iは悪くないけどフェイトがやたらガチ百合っぽい感じはする

607 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 05:50:42 ID:mifB61cc
仮眠してたら、アインスの執拗なクンニに耐え切れずお漏らしするはやてという電波を受信した!!

608 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 10:44:01 ID:c5pUvGjQ
ほう、全国ランキング一位と戦うハンデとして、バイブ装着で戦わせられるシュテルんとな?

609 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 12:06:26 ID:RNewMPfc
少なくともここでの評価はSSの量見ればわかるよね、FとV

610 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 12:59:15 ID:SaB1uVPc
VもFも好きだけどどっちも本来の主人公そっちのけで目立つキャラが多すぎて
今まで以上に主人公が空気扱いなのはあんまし良い気はしないな
トーマ達3人が主役っていう部分をちゃんとやってるFDは良い作品だと思うが

611 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 14:51:55 ID:YS2OEyFs
正直、なのは達3人が邪魔になってきたんだよなぁ・・・ 名前は出てきて良いから他所で仕事してて欲しい
俺TUEEEE!!を見せられるだけの展開もキャラも欲しくないってのに

612 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 15:11:07 ID:Gqci3q/2
三期は本来その予定だったんだっけ?

613 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 15:20:51 ID:DPcqWIwY
お偉方になる時に対ハニートラップ講習とかあるのかな…
なのは教導官がスクライア新司書長担当とか胸熱

614 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 16:10:00 ID:2uj89i3.
ウブな女の子に「ハニートラップ試験の試験官をやれ」と言っておいて
実はハニートラップ要員の講習でしたというのも

615 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 16:19:54 ID:twLfzS9g
>>613
ユーノスレ住人は巣に帰れよ

616 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 16:56:37 ID:g74nBXW2
>>615
うわあ

617 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 16:59:47 ID:YS2OEyFs
ハニートラップって、意味知る前は「身体に蜂蜜ぶっかけて熊や蜂そのものに襲わせる罠」だと思ってた。
スズメバチくらいじゃないと人間死なないから、嫌がらせ用とか、某ゲームみたくトラップコンボ用的なアレだよなー、と…

618 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 17:56:23 ID:mYqQaRVI
軍隊アリなら殺れる!(キリッ)
ヴィータ×はやてのハニートラップ講習とか誰かが絶対書いてる
と思ってなのユーにしたんだがな…

619 名無しさん@魔法少女 :2013/03/05(火) 19:22:02 ID:/csM3NHA
>>618
アレはただ何処でも毒吐くしか能がないだけだから気にしないが正解だ。

>>606>>知恵と戦術、最後の切札ぐらいは用意して戦っていただきたいというか
……解っているけど敢えて言う。
いつの話だったっけ?

620 名無しさん@魔法少女 :2013/03/06(水) 02:38:02 ID:.7fMlwh.
>>611
もうはやてなんかは結婚して管理局を退職して主婦しながら
Vみたいにヴォルケン達と八神道場をやりくりしながら平和に暮らしても良い気はするね

621 名無しさん@魔法少女 :2013/03/06(水) 02:54:34 ID:UE4Ll5dI
>>617
そういえばユーノの髪の色はハニーブロンドなんだったっけ
〝ハニー"ブロンドの男の娘がベッドの上でシーツ一枚に包まれて上目遣いで誘ってくる〝トラップ"か……

622 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/03/06(水) 10:54:21 ID:s0UQTexU
>>621
え、そのトラップかかりたい、超かかりたい。
むしろだまして! その代わりめちゃくちゃにさせて!!
はふううううううう!!!



ふう・・・
それはそうと投下します。
某所某人にリクされたので書いたSS、ザフィーラ×リインフォース(アインス)、エロ、短編。

623 ざふぃりいん :2013/03/06(水) 10:55:29 ID:s0UQTexU
ざふぃりいん


 黎明の夜気は染み入るような冷たさだった。
 屋内に居たとしても、吹き荒ぶ北風が壁からじわじわと熱を奪っていく。
 服を着ておけば良かった、とザフィーラは思う。

「ん……ふぅ」

 傍らで眠っていた女の悩ましい吐息が、大気を白く染めながら零れた。
 一糸纏わぬお互いの裸体、触れ合った肌から、ぶるりと震える感触が伝わる。
 肩に手を回し、強く抱き寄せた。
 ひんやりとした白い肌が、ザフィーラの浅黒い逞しい体に押し付けられた。
 その拍子に、だろうか、彼女の長い睫毛が微かに揺れたかと思えば……そっと開かれて、深紅の双眸が見上げた。
 
「すまん、起こしたかリインフォース」

 優しく、その長い銀髪を撫でてやる。
 彼女は、リインフォースはその愛撫に、すっと目を細めて心地よさそうな顔をした。
 ザフィーラは髪を撫でる勢いのまま、背中や肩にも触れる。
 羽毛が肌を走る程度しか力を入れない、本当に大事なものを慈しむような繊細で微妙な力加減で。
 しばらくそうしてやると、桜色の瑞々しい唇が震え、微かな息遣いと共に言葉を紡ぎ出す。
 
「……もっと」

 目を覚ましてからの第一声がそれだった。
 普段の彼女からは想像も出来ない、理知的な女性然としたリインフォースの印象を真っ向から裏切るような、甘えた声だった。
 きっとザフィーラしか知らない彼女の一面。
 リインフォースの要求に、寡黙な守護獣は言葉でなく行動で示す。
 より強く抱きしめながらしかし、手のタッチはどこまでも優しく、髪やうなじ、肩から背中、腰までを存分に撫でる。
 そして近づいた顔の、彼女の額に唇を寄せてキスをした。
 
「……ぁ……んッ」

 か細い声を出し、心地良さそうにリインの体が身震いしたかと思えば、彼女もまたザフィーラに身を押し付けた。
 豊満過ぎるほどのバストをザフィーラの筋骨逞しい胸板で押しつぶしながら、顔を近づけ、彼の首筋にキスをする。
 触れ合った肌から伝わる温度が、驚くほど熱を帯びていくのをザフィーラは感じた。

624 ざふぃりいん :2013/03/06(水) 10:57:08 ID:s0UQTexU
 先ほどまでの冷たさが嘘のように、今やリインフォースの白磁の柔肌は、火をくべた暖炉のようだった。
 つんと鼻に付くような、麝香を思わせる甘い香りが髪から香る。
 肌の上で溶けるかと思えるほど柔らかいリインの女体、官能的な体臭、それらを強く意識してしまうと、ザフィーラの中の男も反応する。
 下半身で、昨晩彼女をめちゃくちゃに蹂躙し尽くしたザフィーラ自身が血の巡りを再び取り戻し、硬く大きく変化していく。
 屹立した凶器さながらのそれが、リインフォースの柔らかい下腹にぐっと押し付けられた。

「ひゃッ……す、凄いな……もうこんなになっているのか」

 突如体に触れた熱い感触に、どこか子供めいてすらいる驚きの声を零し、リインフォースはシーツの隙間からザフィーラの得物をまじまじと見下ろした。
 しかしその美貌には、ぞっとするほど妖艶で悩ましい女の期待と悦びが溶けていた。
 仄かに赤みを帯びた頬、深紅の瞳はとろんと潤み、あらゆる男を欲情させる夢魔さながらの色気を孕んでいた。
 ザフィーラの筋肉質な脚に絡みつくリインフォースのむちむちとした肉感的な太股から、しっとりと湿り気に濡れているのを感じる。
 汗もあるだろうが、その量からして、それが秘芯から溢れた蜜である事は明白だった。
 お互いに、求めているものは同じ、これ以上言葉を重ねるのは不毛でしかない。
 そう断じるや否や、ザフィーラは理性のブレーキを一段階外す。
 今までの優しい触れ合いが嘘のようにリインフォースの細い手首を掴み、荒々しく捻じ伏せて、彼女の上に覆いかぶさる。
 そして素体の狼の名残を残した犬歯の隙間から舌を伸ばすや、真っ白な首筋を貪るように吸い付いた。

「ふぁ! ああ……ん! はぁ……もっと……ひぃ! もっと、はげしく……もっと」

 一瞬驚きに声を裏返しながら、リインフォースはしかし、甘く蕩けた嬌声を上げて、ザフィーラの愛撫の全てを受け入れた。
 もちろん、守護獣が彼女の求めに応じないわけがない。
 大きな手、大きな指は首から肩にしゃぶりつく舌以上に貪欲に、肉付きの良い肢体を這いずり回った。
 凄まじいボリュームを持つ乳房を持ち上げ、揉みしだきながら、先端の乳首を痛いくらいに抓って転がす。
 もう片方の手は、太い指を濡れた膣口に第二関節まで一気に挿入した。
 荒々しい愛撫であるが、リインフォースの反応は喜悦の一色だった。

「んぅ! はぁぁ……ふぁあん!」

 目じりに涙を、唇の端には唾液すら垂らして、リインフォースの怜悧な美貌は跡形もなく蕩けきっていた。
 正に発情期の雌としか形容のしようがない程に。
 普段の落ち着いた姿とは裏腹に、リインフォースという女の性は、その内に強いマゾヒズムの炎を隠していた。
 それを十分に把握したザフィーラは、彼女を悦ばせようという一心でその身を責め立てる。

「乳首……はふぅ……そう、もっとつよく……んぅぅ!! そう、噛んで……歯、立ててぇ……!」

 カリッ、と軽く歯を立てて乳首を甘噛みしてやると、リインフォースの声はとてつもない甘みを帯びる。
 立て続けに口の中でこりこりと転がしてやれば、指がふやけるかと思うほど膣から蜜があふれ出した。
 きゅうきゅうと締め付ける媚肉、何度も痙攣する肢体。
 ザフィーラの見立てでは、既に三回は達していると見えた。
 全身汗でびしょ濡れだが、肌寒いどころが火傷しそうなくらい体は熱い。
 もう頃合だろうか。
 ザフィーラは遭えて強く愛撫を続けた後、リインフォースの快感がぐっと高まるのを待ってから、手を止めた。

「あ……」

 逞しい彼の指が肌から離れて、リインフォースは泣きそうなくらい寂しげな顔をした。
 どうして離れてしまうのか、そう責めるような視線はしかし、すぐに最上の期待と悦びに満ちる。
 リインに覆いかぶさるようにして体を浮かしたザフィーラの下半身で、硬く大きく屹立した彼自身が、薄闇の中でもはっきりと彼女の視界に映った。
 それが意味するところがなんなのか、理性の蕩けきった思考でもよく分かる。
 いや、むしろ理性の皮を剥がし、剥き出しの本能のままになった今だからこそすぐに理解できたのだろうか。

625 ざふぃりいん :2013/03/06(水) 10:58:42 ID:s0UQTexU
 リインフォースはその肉感的な太股を大きく開き、愛液でびしょ濡れになった入り口を指でぱっくりと開いて、受け入れる準備をした。

「きて……きてくれ……はやく」

 囁く誘い、甘く、官能。
 何人とて振り払えない誘惑、抗う理由とてなく、ザフィーラは求められるまま、求めるままに彼女に向かった。
 ぐちゅ、と粘着質な音を立てて亀頭が膣口に触れる。
 まだ焦らす気なのか、守護獣はじっくりと腰を下ろしていく。
 エラの張ったカリ首が肉ヒダの一枚一枚を掻き分けて広げていく感覚、気の遠くなりそうな快感にリインフォースは全身を震わせた。
 そうして時間を掛けて、ついに、ようやく、巨大な肉棒の先が、最奥を小突いた。

「ふあああああああ!!!!」

 一際大きく張りのある甘い声が迸る。
 焦らされた分だけ、子宮口と亀頭がキスした快感は深かった。
 まだ挿入しきった段階だが、それでもうリインフォースは耐え切れず絶頂してしまう。
 頭の芯まで浸透する快楽の波。
 びくびくと震える体は支えを求めて悶え、長く美しい手と脚はザフィーラの屈強な腰や背中に絡みつく。
 その拍子にたぷたぷと揺れていた乳房がまた押し付けられ、相乗効果で肉の悦びに花を添えた。
 
「はぁ……はぁ……ふぅ、あぁぁ」

 息も絶え絶えに呼吸をするリインフォースだが、体は力を失うどころかより力を込めて、ザフィーラを掻き抱いた。
 甘いキスが唇を塞ぐ。
 ただ触れ合うだけではなく、舌と舌を絡め合い、求め合い、肉欲を貪る。
 そうしながら、ザフィーラは不意打ちさながらに腰を突き上げた。
 
「ひゃあぁぁ!!」

 甲高い悦びの悲鳴を上げて、リインフォースの豊かな女体が跳ね上がる。
 子宮口を抉る肉棒の硬さが、骨の髄まで響き渡る快楽を生み出した。
 ぎゅうぎゅうと引き締まる膣壁の感触にザフィーラ自身も、達してしまいそうなくらいの快感を得る。
 爪を立てんばかりに彼の背中を抱くリインフォースの指。
 ザフィーラはまだ思考に気遣いをするだけの余裕があり、筋肉と脂肪を重ねながらくびれを形成している彼女の腰を、両手でがっしりと押さえつけた。

「……動くぞ」

 低く小さく告げる。
 相手の腰を手で押さえ、守護獣は固定した相手の体に、自分自身を叩き付けた。
 筋骨逞しい彼の体で力を振り絞り、結合する、その破壊力たるや凄まじいものがあった。
 きゅっと締まった膣壁をカリが押し広げ、子宮こうまで一息に突き抜ける。
 それも一度や二度ではない、発達した筋肉の力の限りに、ザフィーラは何度も何度もリインフォースを貫き続けた。

「ひぁああ! ひゃぁあ! すごぉ、いい……あああ! すごい、あああ! もっと……もっとしてぇ!」

 長く美しい銀髪を振り乱し、紅色の瞳を涙でいっぱいにして、リインフォースは蕩けきった美貌を喜悦に染め上げて叫んだ。
 暴虐とも言うべき快楽の大渦に身を任せる恍惚。
 この狭い部屋の、小さなベッドの上の、たった二つの肉の体の交わりが、世界の全てであるかのように。
 舌を絡めてキスをして、肌を舐め、ひたすらに雄と雌の交わりに燃え上がる。
 最も敏感な膣の最奥、子宮口付近を責められるポルチオ性感に、リインフォースは快楽の高ぶりが最大に上り詰めていくのを感じた。

「だ、め……んぅぅ!! もう、イきそう……一緒に……はぁん! い、一緒にイきたい」

 寂しそうな、捨てられた子猫みたいな顔でそう訴えかけてくるリインフォース。

626 ざふぃりいん :2013/03/06(水) 11:00:04 ID:s0UQTexU
 だが幸か不幸か、ザフィーラはまだ射精するまでにまだ若干余裕があった。

「もう少し、待て。我慢しろ」

「そんな……ふぅ! むり……むりだぁ……」

 いやいやをするように首を振って嘆くリインフォースだが、こればかりは勝手が利かない。
 単調で力強いピストンの律動を早めながら、ザフィーラは絶頂を目指して動き続ける。
 リインフォースはきゅっと下唇をかみ締めて、必死になって耐えた。
 ごつん、ごつん、と子宮口を肉棒で突かれるたびに、意識が真っ白になりそうなくらい強い快感が駆け巡る。
 それを耐えるのは、ある意味拷問に近かっただろう。
 だが、終わりはほどなく訪れた。

「そろそろ……出すぞ」

「ふぅああ! きて……はやく、はやくぅ……ん! はああ!! だして! あついの、いっぱいぃ!!!!!」

 強く抱きつき、柔らかく張りのある乳房を押し付けながら、甘く叫ぶリインフォース。
 彼女の欲するものは、すぐにぶち撒けられた。
 体の一番奥で、どくどく、と振動が弾ける。
 熱く粘ついた何かが溢れ出て、膣をいっぱいに満たしていった。
 結合部からぶくぶくと泡を立てて零れていく青臭い液体。
 恍惚と満足、充実感が、身も心も染め上げる。

「あぁぁ……でて、る……せいし、いっぱい……」

 今まで何度も力のままにザフィーラを掻き抱いていた体から、ついにふっと力が抜けた。
 最上級の絶頂の快楽が、あまりにも強く、意識は半ば白く虚ろになっていた。
 深く甘い余韻の中で、ぐったりとベッドのシーツに落ちる彼女の肢体。
 その上に、褐色の肌が労わるように触れ合った。

「大丈夫か」

 目覚めた時と同じように、優しい指遣いでザフィーラが汗で濡れた銀髪を撫で梳く。
 その心地良さに陶酔しながら、リインフォースは充溢の微笑を浮かべた。

「ああ……」

 頬に触れる、ごつごつとした、太い指。
 彼の手に自分から顔を摺り寄せながら、目を瞑る。

「……お前は、いつも優しいな」
 
 そっと呟く。
 意識はまどろみに溶けかけて、再び眠りの世界が近づいていく。
 心地良い余韻の中、ふと思いを巡らせた。
 そういえば、二人の関係がこんな風になったのは、一体いつごろだったのだろうか。
 と。
 あの聖夜から生き長らえたリインフォースの命が消える日も近い。
 だから、だろうか。
 湧き上がる恐怖や不安をはやてたちにひた隠し、一人静かに泣いている自分を癒してくれた、涙を受け止めた男の胸板の逞しさ。
 そこに甘えるように何もかも差し出して、肉の交わりを持つようになって。
 男女の愛か、寂しさを紛らわせるだけの逃避なのか、卑しい肉の体の欲求か。
 そのどれであっても、ザフィーラは変わらず受け止め、癒してくれただろう。
 
「抱いてくれ……もっと、もっと強く」

 彼の分厚い胸板に顔を寄せながら、リインフォースは震える声でそう囁いた。
 ザフィーラは答えなかった。
 ただ、その手で応えた。

「……」

 無言のまま、ただ強く、太い腕に力を込めてリインフォースを抱き寄せる。
 強く、ただ強く。
 誰もが寝静まった八神家の一室で。
 誰知る事とてない二人の時間は。
 静かに、ただ静かに、夜の静寂の中で続いた。


終幕

627 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/03/06(水) 11:04:09 ID:s0UQTexU
投下終了。

ひたすらセックスするだけのSSでもええやん。って。

しかしザフィーラとリインフォースって素晴らしい組み合わせじゃあないだろうか。
片や褐色、男、屈強きわまる男の究極像のような体。
片や白磁、女、柔らかで豊満の極みの女の理想像みたいな体。
そんな二人がぐちょぐちょになって絡み合ってたらもう・・・・はふうううううううう

628 名無しさん@魔法少女 :2013/03/07(木) 09:24:19 ID:ecQfznT2
>>597
遅レスだが、違うぞ
時系列上、なのはさんとなのちゃんは誕生日違うはず

629 名無しさん@魔法少女 :2013/03/07(木) 10:31:08 ID:gZzRT/2c
GJ!
いやぁ、アインスさんエロ過ぎる
今度劇場版のBD出るんだしアインス絡みのSSはもっと増えて欲しいなぁ

631 名無しさん@魔法少女 :2013/03/10(日) 04:29:54 ID:.lGkJxyA
イノセントのアインスは襲ってくれって言わんばかりのエロい格好してるから困る

632 名無しさん@魔法少女 :2013/03/10(日) 08:59:35 ID:PN31mlxM
イノセントのプレシアさんの前で、アリシアとフェイトにほっぺちゅーされたい
般若のプレシアさんの顔を見ながら両手に花でドヤ顔したい

633 名無しさん@魔法少女 :2013/03/10(日) 14:21:11 ID:ofn7i/d6
なら俺はそのプレシアさんを身体で慰めよう

634 名無しさん@魔法少女 :2013/03/10(日) 14:24:57 ID:cU6/Dvc6
イノセントはクロノ辺りとかプレシアに「うちの娘達は可愛いでしょう」とか問われて
同意したら「狙ってるのねこの狼野郎!」、否定したら「うちの娘が可愛くないって言うの!」と言われて
凄い心労溜まりそうw

635 名無しさん@魔法少女 :2013/03/10(日) 20:30:22 ID:nWdwf6VQ
プレシアママンが娘二人を溺愛しすぎて、そっくりさんなレヴィまで誘拐して監禁して調教するルートだな

636 名無しさん@魔法少女 :2013/03/10(日) 23:37:16 ID:77NNQZeo
Iはクロノとフェイトが幼馴染設定で話作れそうでクロフェイ派歓喜っていうか下手するとエイミィの勝ち目が見えないレベル

637 名無しさん@魔法少女 :2013/03/11(月) 06:03:06 ID:ZCX9MH.k
>>636
フェイトがなのはラブすぎて幼なじみでもクロノが勝ち目ないレベルだから話しにならない

638 名無しさん@魔法少女 :2013/03/11(月) 15:02:50 ID:wBHF9sQk
>>636
現代日本の五歳差は無理だろ

639 名無しさん@魔法少女 :2013/03/12(火) 02:05:20 ID:92lfEo6k
>>638
小林宏之「せやろか」

640 名無しさん@魔法少女 :2013/03/12(火) 12:03:23 ID:xSQnPdAg
>>631
つまりStSの真ソニックでアジトに突っ込んだフェイトさんは、
ドクターやガジェットに襲ってほしかったのかエロパロ的な意味で

641 名無しさん@魔法少女 :2013/03/12(火) 15:46:54 ID:Sx8NrY0A
フェイト「ソニックフォーム!」
シグナム「薄い装甲をさらに薄くしたか(性的な意味で誘われてるな、私も罪作りだ)」

642 名無しさん@魔法少女 :2013/03/12(火) 18:02:54 ID:jl5CfWW.
真ソニといえばVでキューティーハニーのごとく剥かれたフェイトそんしか
もはや思い出せない

643 名無しさん@魔法少女 :2013/03/13(水) 02:00:13 ID:JmMz09es
>>642
あのままみんなから離れたとこで性的に撃墜されてしまうフェイトさんを想像したのは俺だけでは無いはず

644 名無しさん@魔法少女 :2013/03/14(木) 20:28:50 ID:plC0LJVM
>>643
「エリオ……こんなに立派になって」ですね

645 名無しさん@魔法少女 :2013/03/15(金) 09:50:02 ID:hkKqr3E2
エリオ「フェイトさんこそバイブいれっぱなしのままの模擬戦でよくあそこまで動けましたね」
フェイト「だって、エリオがこんなもの入れるから……」
キャロ「そんな状態でみんなの前でバリアジャケットを剥かれて感じちゃったんですか?」
フェ「エリオもキャロもいぢわるだよ……」

こうだろJK

646 名無しさん@魔法少女 :2013/03/15(金) 11:00:14 ID:VY8QagcQ
そんなこと言ってるキャロもローターとバイブ標準装備ですねわかります。
多分ルーテシアも装備してると見た。

647 名無しさん@魔法少女 :2013/03/15(金) 11:33:13 ID:gVQJiToo
ここは当然エリオもだな

648 名無しさん@魔法少女 :2013/03/15(金) 17:48:50 ID:EQDhQBYU
なのはさんがティアナに打ち負けたのは、ハンデでバイブ仕込まれてたからか
スイッチはアルピーヌママンがにやにやしながら操作してたんだな

649 名無しさん@魔法少女 :2013/03/15(金) 23:39:58 ID:Cwd6NNLM
当然スパティアも互いをやってるさ

650 名無しさん@魔法少女 :2013/03/16(土) 11:56:25 ID:hm5hCgU2
インターミドル選手となのはたちでは純粋な実力差はどれくらいあるんだろう

651 名無しさん@魔法少女 :2013/03/16(土) 13:05:13 ID:KKmwoGu.
単純な実力差ならそれこそ「大人と子供」だろうねー、黒のエレミアや雷帝はまだわからんが。

初登場のスバル(15歳・ランクB)やエリオ(10歳・ランクB)がインターミドルの年齢だろうけど、
sts終わりのフォワード>>アインハルト>開始時のフォワード くらいの印象

652 名無しさん@魔法少女 :2013/03/16(土) 15:02:29 ID:kkQ3tAnk
たびたびここで話題になったりする エロインターミドル にちと興味が出てきたんだが

もし書くとしてルールとか試合形式はどのようなものが適しているのだろうか

バイブとかつけて試合させる? 被ダメージが全て快楽変換? それとも負けたらバツゲームか

653 名無しさん@魔法少女 :2013/03/16(土) 15:10:27 ID:EUjF5mdU
>>652
個人的には尻穴調教された処女がアナルパールと各種ローターを装備した状態で試合を行い、
強い衝撃をうけるたびにダメージを無効化する代わりにローターなどが振動するっていう設定がいいな

そして負けたら受けたダメージ分だけの精液を飲まされるとかそんな感じ

654 名無しさん@魔法少女 :2013/03/16(土) 18:21:54 ID:lJHltaYU
具体的に議論したい話である

655 名無しさん@魔法少女 :2013/03/16(土) 19:20:36 ID:g2FycAKY
ゲーム的に考えるならクラッシュエミュレートで快楽が蓄積してイッたら負けではあるだろうが
しかしながら視覚的には、ローターやアナルバイブを取り付けて悶えながら戦う姿を見たい所存である

656 名無しさん@魔法少女 :2013/03/16(土) 19:48:52 ID:rswzyzyc
もうやだこのスレ

657 名無しさん@魔法少女 :2013/03/16(土) 20:39:09 ID:K/UNkxxQ
クラッシュエミュレートで衣服がクラッシュしたところだけお触り可で観客席に放り込まれるとか

658 名無しさん@魔法少女 :2013/03/17(日) 11:19:35 ID:uMxm4lJo
普通にダウンして(絶頂ではない)10カウントで負けの方が
戦術的にエロいと思います!

659 名無しさん@魔法少女 :2013/03/17(日) 12:57:15 ID:li3jfLm2
攻撃時、クラッシュエミュレートで快楽を与える部位を選べるんだよ
弱点(性感帯)見抜かれたら集中攻撃されるんだよ
フェイトさんはアナル性感攻撃されまくってビクンビクンしてたんだよ

660 名無しさん@魔法少女 :2013/03/17(日) 13:12:08 ID:V9l/6LpM
集中攻撃にも心惹かれるが同じ刺激を受けていると快楽に慣れてしまうと聞いたことがある
それを考えると快楽を与える部位はランダムでも良い
どこに攻撃がいくか分からないドキドキ感も乙なものだ

661 名無しさん@魔法少女 :2013/03/17(日) 13:15:16 ID:CSPr4UxU
>>658
ダウンさせてもらえないんですねわかります

662 名無しさん@魔法少女 :2013/03/17(日) 15:31:49 ID:uMxm4lJo
>>661
バインドしてもダウンしなければ
カウントされません!(ゲス顔)

663 名無しさん@魔法少女 :2013/03/17(日) 15:51:14 ID:1V8baK/E
「ダウンさせないで快感を蓄積させる」が戦術としてなり立つのか。
ガークラゲージが柔らかくなるな。

664 名無しさん@魔法少女 :2013/03/17(日) 17:51:37 ID:9/8SWvWc
できればローションをぶちまけた中で戦ってほしい

665 名無しさん@魔法少女 :2013/03/17(日) 22:20:32 ID:KScWOM46
シガーさんの鉄拳を俺は一生待つぞぉ!!
んで続編そろそろッスか?

666 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/03/18(月) 01:00:26 ID:xnIS4wlA
ひいい!! すいませんすいません、書いてるけど出来上がりませんんんん!

ちゃんと書く気ではあるよ、ほんと・・・

667 名無しさん@魔法少女 :2013/03/18(月) 11:12:39 ID:ufnQhepY
裏インターミドルだけど、バイブ挿れて闘うのは当然として、「相手の」ダメージに応じて振動が強くなるってのはどうだろうか?
いやまぁ書く技量は無いんだけどさ。

668 名無しさん@魔法少女 :2013/03/18(月) 13:06:55 ID:vRG.62Vo
バイブとローター動いてて、相手に与えたダメージが一定ポイント溜まると
「相手のを強くする」か「自分のを弱くする」か選べる
それよりポイントは安いが「相手のも自分のも強くする」のも選べる
もちろんどの部位のローターやバイブを強くするかは選べるので、
乳首が弱い相手なら、自分のも相手のも乳首ローターの震動を強くして先に相手をイクかせる戦術も成り立つ

669 名無しさん@魔法少女 :2013/03/20(水) 19:36:23 ID:J46Bl/Ug
イったら負け 快楽ダメージ箇所うんぬん 負けたら犯される

この辺にティンときた

670 名無しさん@魔法少女 :2013/03/20(水) 20:05:13 ID:6YDJqgrQ
みんなが裏クラッシュエミュレートのルールでそれでも格闘技してる中、
格闘を捨てて始めからガチエロプレイを仕掛けて相手をイカせようとするキャラもいるのかもなw

671 ザ・シガー ◆PyXaJaL4hQ :2013/03/20(水) 22:09:19 ID:J46Bl/Ug
エロインターミドル会議を楽しみつつもちょろっと投下しますよと。

シグナム×アインスのしぐ×あい!最新話、今回ははやてちゅわんもぶちこむレズ3P的ななにか。
エロでエロなエロ。

672 しぐ×あい! :2013/03/20(水) 22:10:03 ID:J46Bl/Ug
しぐ×あい! あるじと


 シャワーヘッドから迸る無数の水滴が、閉じられた浴室の中で小気味良い雨音を立てる。
 薄く霧のヴェールを生み出す中に立つのは、美しい長身だった。
 爆発的なボリュームを誇る乳房と、腰から尻たぶへかけての膨らみ。
 腰まで伸ばされた銀髪は、水に濡れて艶やかに輝いている。
 言葉にできないほどの艶美さを誇る体が、まさか神ならぬ人によって生み出された被造物であるとは、初見の者には分かる筈もないだろう。
 彼女の名はリインフォース、遥か昔、古代ベルカの地で生み出された夜天の書の管制人格にしてユニゾンデバイス。
 そして現在は、この八神家の一員だった。
 
「ふぅ……」

 悩ましいほどの吐息を零し、リインフォースはその白磁の肌の上に、ボディソープで泡立てたスポンジを滑らせた。
 人ならぬプログラムとして生まれた彼女だが、あくまで現実世界に顕現した体は人体をこれ以上なく模倣した生体端末だ。
 垢も出れば汗も流れ、疲労も溜まる。
 一日の疲れを温かいシャワーと一緒に洗い流すのは、何とも言えぬ心地良さがあった。
 単なる意識として書の中に封じられていた時は、感じる事さえできなかった生の肉体の感覚。
 それを享受する喜びを、こんな些細な事の中にもかみ締める。
 腕から肩、腋から腰や下腹まで流し、指先を胸下に滑らせた。
 自分でも大きすぎると自覚している乳房を下からスポンジで拭う。
 その瞬間、意図せずして、ぴりりと背筋を甘い電気が走った。

「んっ……」

 指の先が少しだけ、ぷっくりとした桃色の乳輪の端に触れたようだった。
 たったそれだけの事でも過剰に感じてしまう自分の体。
 自覚して、湯の熱だけではない、羞恥の感情で肌に赤みがました。
 以前はこんな事を想像だにしなかった。
 自分の体は確かに――性感を覚えている。
 それも元からあったものではない、徐々に肉の体へ刻み込まれ、刷り込まれていったものだ。
 何がその原因であるか、分からないわけがなかった。
 脳裏を過ぎる毎夜の思い出に、さらに羞恥心が募ってしまう。
 こんな事を守護騎士の皆や、主に知られてしまったら……
 そんな許されない想像は突如として無遠慮に破られた。

「誰か入っとるー? リインフォース?」

「え!? あ、はい、主。今入っております」

 浴室のガラス戸の先に現れた小さな輪郭と、聞きなれた声。
 驚いたリインフォースは体をびくりと硬直させるが、そんな事を少女が知るわけもなく。
 するすると絹擦れの音を立て、ドアの硝子部分越しに見えるシルエット。
 それから予期できた事にリインフォースが思慮を巡らすより早く、少女は浴室に足を踏み入れた。

「ほんなら、私も一緒させてもらうな?」

 ぺたりと小さな足でタイルを踏み、どこかおぼつかない歩みで現れた、幼い裸身。
 見紛う筈もない、夜天の主、八神はやての姿だった。
 
「あ、主はやて……お一人で大丈夫なのですか?」

 ゆっくり一歩ずつ進むはやての姿をリインフォースは案じる。
 はやてはかつて闇の書の呪いに蝕まれ、車椅子の生活を余儀なくされていた。
 今でこそ回復に向かっているが、まだ一人で歩くには華奢な足腰には荷が重かった。
 しかしはやては優しげに微笑んで、細い太股を軽く手で叩いた。

「こんくらいならちょっとした魔法でなんとかなるから。リハビリの一環みたいなもんやって。それにほら、リインフォースとも一緒にお風呂入ってみたかったし」

「ひゃ!」

 えへへ、と笑いながら、はやては倒れこむ要領でリインフォースに抱きついた。
 くびれた美しいラインを描いているが、土台になっている骨格と筋肉、その上にしっとりと纏わり付いた柔肉の層で母性的な肉感に満ちた腰。
 そこへ子供らしい細い手を回して、お腹に顔を寄せるようにはやてはくっつく。

673 しぐ×あい! :2013/03/20(水) 22:10:58 ID:J46Bl/Ug
 だが狙いは腰や下腹ではなく、その上にたっぷりと実っている豊熟とした果実……

「ちょ、主……おやめください……」

「ええやんええやん。うわ、やっぱおっきいなぁ。シグナムより大きいかもしれんのやない?」

 恥らって真っ赤になるリインフォースにそう言いながら、はやては小さな手で大きすぎるほどの爆乳を優しく触って揉む。
 烈火の将シグナムの胸も相当大きいが、下手をするとリインフォースは彼女より大きいかもしれない。
 まるで何かの果実を詰め込んだようなサイズだが、触れれば堪らない柔らかさと張りのある極上の感触だった。
 主を足蹴にするわけにもいかず、リインフォースは恥ずかしがりながらもされるがままに胸を揉まれ、零れそうになる甘い声を噛み締める。
 だがそれもそこそこに、はやてはさっと手を引っ込めた。

「さ、おふざけはこれくらいにして体洗おか。このままやと風邪引いてまうし」

 と言いながら、少女はバスルームに鎮座していた風呂椅子を引き寄せて、その上にぺたんと小さなお尻を乗せた。
 そしてもう一つの椅子を自分の前に置くと、リインフォースへ促す。

「どうせやから洗いっこしよか?」

「え、でも、その……」

「まあまあ、ええからええから」

「はい……」

 恥ずかしがるリインフォースだが、はやての言葉を断りきれず、大人しく背中を向けて座る。
 背中に流れる長い銀髪を前へと移し、眩いほど白い背中を曝け出す。
 はやては先ほどまでリインフォースが使っていたスポンジをもう一度泡立てて、そのなめらかな背中の上に滑らした。

「綺麗な肌やね、優しく洗わんと」

「ありがとうございます、主はやて」

 はやてはその労いの言葉通りに、優しくリインフォースの珠の肌を満遍なく洗う。
 長らく一人で寂しく生きてきた少女にとって、八神家の誰もが大切な家族だった。
 特にリインフォースは他の守護騎士以上に孤独の中にいた為、想う感情もまたひとしおなのだろう。
 丹念に、子供の自分とは比較にならないほど広いリインフォースの背中を洗うはやて。
 腰から肩甲骨へ上り、首筋のラインにスポンジを這わせ。
 そこで、ふと気付いた。

「なあリインフォース、これどないしたん?」

「え?」

 疑問の声を零すはやてに、リインフォースは指摘された場所に指を向けた。
 白い首の半ば、自分の目では見れない箇所。
 バスルームの壁にはめ込まれた大鏡に視線を向けると、分かった。
 そこに微かに残る、赤い痣のようなものに。
 真っ白な肌だから余計に目立つそれは、傷というほどのものではないが、確かに残る何かの証だった。
 何故そんなものができたのか、リインフォースにはすぐに分かる。
 昨晩……付けられたものだ。
 いつもはタートルネックのセーターの襟で隠されていて、自分でもあまり気に留めなかったのだろう。
 思い返し、リインフォースの心は羞恥に満ちた。

674 しぐ×あい! :2013/03/20(水) 22:11:55 ID:J46Bl/Ug
 肌にさらに赤みを増しながら、ともかくこの場をしのぐ言葉を捜す。

「あ、あの……なんでもありません、別に、これは……その……は、肌荒れか何かかと」

「そうなん? ならええんやけど、綺麗な肌やから気ぃつけんとな」

「はい……」

 もはや消え入りそうな声でうなずき、リインフォースは顔を伏せる。
 もしばれてしまったらどうなるのか、考えただけでどうにかなりそうだった。
 しかし彼女の危惧をよそに、はやてはさして気にかける事もなく言葉を信じて、背中流しを再開する。
 結局、風呂場から出るまではやてが何かに気付く事はなかった。
 


 基本的に、八神はやての寝入る時間は早い。
 元から規則正しい生活を送るたちだったし、最近では体調の回復もあって、ようやく念願の学校にも通い始めたから、当然と言えば当然だ。
 入浴後、ベッドに入ってから少し趣味の読書をして、電気を消す。
 ただあまり早く寝ると、変な時間に眼を覚ましてしまうことが稀にある。
 今夜が正にそんな晩だった。
 
「うう、なんか寝れへんな」

 のっそりと体を起こし、目を擦りながら壁掛け時計を見る。
 時間は深夜一時、規則正しい生活を送るはやてからすれば随分な時間だった。
 このまま寝入るにしては、やや目が冴え始めてしまった気がする。

「ちょっと水でも飲も」

 そう呟き、はやてはゆっくり布団から体を出し、小さな足をカーペットの上に下ろす。
 ぱぁ、と淡い光が闇に溶けたかと思えば、少女は危うげな足取りで立ち上がった。
 外出する時はまだ車椅子を多用するが、二本の足で歩く事に慣れる為に、時折こうして練習をするのだ。
 慎重に一歩一歩進みながら、はやてはとりあえず台所を目指して歩み出した。
 ドアを開け、窓から差し込む月光だけが頼りの薄暗い廊下を微かに軋ませて。
 聞こえる音と言えば、まばらな間隔で外の道路を行く車のエンジン音や、ファンを回すエアコンの室外機くらいのもの……の筈だった。

「ん?」

 その時はやては、小さな、本当に小さな音が響くのを耳にした。
 息遣いのようで、柔らかいものを打ち付け合うような。
 誰か起きて何かをしているのだろうか。

「まさか、泥棒とか」

 なんとなく不安を掻き立てられながら、しかし捨て置くわけにもいかず、仕方なしにはやては音のする方へ進んだ。
 場所は、廊下の奥の奥、物置として使っている納戸を挟んでその先にある部屋は、リインフォースの私室だ。
 足音を立てぬように抜き足差し足で進み、ついにドアの前までたどり着く。
 顔を寄せると、やはり音の源はここだった。
 薄い戸の向こうから、艶やかな張りに満ちた声音と、空気を濡らすような水音が、微かに大気を揺らしている。
 第六感、とでも言うべきか、この先を覗いてはいけないという勘がした。
 だがそれ以上に、湧き上がる好奇心をはやては抑え切れなかった。
 気付かれないように、伸張に、少女はドアノブを回して、隙間から中を見て……息を呑んだ。



「はぁ……あぁ! 将、そこ……いい……もっと……つよ、くぅ」

 甘く蕩けきり、聞いている方が切なくなるような声を零して、リインフォースは強くシーツを掴む。
 目にいっぱい涙を溜めてとろんとした表情もまた、目尻と眉を下げて悩ましく色気に満ちて。
 さらに言えば、とてつもないボリュームの乳房と、むっちりと肉感に満ちた肢体は、あらゆる男を欲情させずにはいないほどの艶美さを発露させていた。
 一糸纏わぬ裸体は、ベッドのシーツの上に千々と銀髪を振り乱し、汗だくになって震える。
 体に走る快感の波。
 覆いかぶさったもう一人の女が、その指で、唇で、舌で、思うままに愛撫しているからだ。
 その体もまた、リインフォースに負けぬほどに、雌としての肉付きを完成させていた。
 引き締まった下腹と腰に、つんと張りのあるたわわな乳房と安産型の尻肉。

675 しぐ×あい! :2013/03/20(水) 22:12:33 ID:J46Bl/Ug
 ポニーテールに結った桜色の髪を、愛撫のたびに揺らしている。
 
「リインフォース。んッ」

 そっと慈しむように名を囁きながら、彼女は――烈火の将シグナムは口を寄せた。
 耳たぶから始まり、首筋と鎖骨の周辺にかけて幾度となく吸い付きキスをして、真っ白な肌に淡い朱色の跡を付けていく。
 そう、はやてが浴室で見たのと同じものを。
 シグナムは白く細い首に跡を残すだけでは物足りないと言わんばかりに、次は豊満な乳房に標的を移す。
 自分と同じかそれ以上に大きな爆乳を下から持ち上げるように揉みながら、柔肌を吸い、さらにはその頂点にある綺麗なピンク色の蕾を目指して。
 まず焦らすように乳輪のふちをちろちろと舌先で弄り回す。
 それだけでもリインフォースの唇からは掠れた喘ぎが零れ、顔は快楽に歪むが、たっぷりと間を置いてから乳首に吸い付かれた瞬間、倍するほどの法悦が彼女の神経という神経を甘く引き裂いた。
 
「あはぁああッ!!」

 悩ましく蕩けるような悲鳴。
 長身のしっかりとした骨格と、その上に重ねられた筋肉と量感たっぷりの柔肉が織り成す美しい女体が、汗の雫を散らして跳ねた。
 性感帯をよく開発されていると見えて、乳首は感じ易いらしい。
 目尻にたっぷり涙を溜めた顔は、もはや決壊寸前の快楽の程を示している。
 それを知っているからこそ、シグナムの攻めは容赦なかった。
 口に含んだ乳首を、軽く歯を立てて甘噛みしながら、同時に舌も使ってころころと転がす。
 
「ぃぃ……ああ……ちくび、そんなぁ……ふぁあ!」

 唇の端からだらしなく唾液を垂らし、普段の落ち着いた淑女然とした様相が嘘のように乱れ、リインフォースは悶える。
 右の胸に吸い付きながら、もう片方の乳房も片手で愛撫し、さらにシグナムは空いた手を下半身にも滑らせていた。
 ぐっしょりと濡れそぼる茂みのさらに奥、泉のように淫蜜を溢れさせる入り口に指先が沈み込む。
 加えて包皮越しにクリトリスまでまさぐられては、もはや猶予はなかった。
 登りに登り詰めた肉悦の昂ぶりは、限界まで溜まり尽したダムのように、呆気なく崩壊する。
 
「だめぇ……もう……イくぅぅ!!!」

 もう一度、先ほどよりさらに大きく撓りながら、ベッドの上でリインフォースの豊かな体が跳ねる。
 汗だくになった体を幾度も痙攣させながら、その肢体から力が抜けて、ぐったりと横たわる。
 絶頂の余韻に骨の髄まで浸かり、リインフォースは天上の至福の中で幾度も荒く胸を上下させた。
 そんな彼女の上に、何かが影を落とす。
 覆いかぶさるようになったシグナムの顔が、自分にぐっと近づいて、それが何を意味するのか、考えるより先に理解したリインフォースはそっと目を閉じた。

「しょぉ……あ……んッ」

 肩を抱き、豊満な乳房と乳房をぎゅっと押し付け合いながら、体ごと寄せたシグナムにキスされて、再びリインフォースの頭の中を法悦が満たす。
 二人の汗と体温の散った空気は、より熱く熱く、湿っていく。



(な、なんやこれ……)

 網膜に焼き付けられる光景の、あまりの淫猥さと非日常に、はやては心中にて呻いた。
 それが何なのか頭では理解できる筈なのだが、未だに蕾にすら至っていない未成熟な少女に、目の前のそれは刺激的過ぎて心が追いつかない。
 淫らに熱く、絡み合い求め合う二つの女体。
 豊満極まる女と女がベッドの上で繰り広げる痴態の程は、まさしく艶美と言うしかない。
 セックス。
 言葉だけなら知っていたが、まさか初めて目にするそれが同性間の行為になるとは、はやて自身にも予想だにしなかった。
 しかも、それが家族である守護騎士たちのものとは。

(うわぁ……二人とも、あんな……)

 初めて目にする愛の契り。
 幼少時に家人のセックスを目撃するというのは、一般的に言えば性への嫌悪感さえ生み出しそうなものだが。
 しかしはやてはその時、紛れもなく魅入られて、思わず食い入るように見つめていた。
 究極的に完成された二つの女体が汗だくになりながら、なめくじの交尾のように執拗に絡み合う様は、ある種幻想的であったからだろうか。
 白いシーツの上に銀色と桜色の長髪が千々と乱れ、その上で淡く高潮した肌と肌がこれでもかと触れ合って……
 はやては、その光景をじっと見つめるうちに、自分の中にじくじくと広がるような微熱が生まれるのを感じた。
 下半身、股の上の体の芯の辺りから、じわりじわりと体中に駆け巡るように、何ともいえぬむず痒さが走る。
 肌もしっとりと汗ばんでいた。

676 しぐ×あい! :2013/03/20(水) 22:13:16 ID:J46Bl/Ug
 はやてはシグナムとリインフォースの痴態を見る片手間に、そっと手をパジャマの中に入れる。

「あ……」

 ――グチュッ。
 指先が下着に触れた瞬間、鈍く湿った音がした。
 手を引き抜くと、濡れていた。
 汗でも尿でもないナニかに。
 息が荒い。
 二人の淫らな絡み合う様を見ながら、はやての体は年不相応に悦びを求め始めていた。
 思考もまた、平常なものをかけ離れて、熱に浮かされたまま少女の体を突き動かし……そして、



 バンッ、と。
 大きすぎるほどの音を立て、廊下の冷気を容赦なく招き入れながら、唐突にドアが開け放たれた。
 突然の事に愕然と状態を起こすシグナム、散々攻められ続けたリインフォースは一拍遅れて顔を上げる。
 いきなりの闖入者にしかし、二人は言葉を失った。
 そこには、ボブカットの髪を揺らす少女、敬愛する主たるはやてが、虚ろに細めた目で立っていた。

「あ、主はやて!? 何故ここに……」

 汗に濡れた裸身を隠す事も忘れ、シグナムが驚愕に声を零す。
 リインフォースも遅れて驚きに身を打ち震わせ、慌ててその豊満な体をシーツで隠した。
 そんな二人の様子をよそに、はやてはふらふらと部屋の中に足を踏み入れた。
 まるで夢遊病者の足取りのようにおぼつかない歩みで、背後でスプリングの張力のままに締まるドアの音にも無反応のまま、細めた目に何ともいえぬ熱を湛えて。
 ベッドに近づきながら、すとんとパジャマのズボンが床に落ちた。
 露になった、はやての細い下肢と、腰へのライン。
 少女らしい飾り気のない白い下着にはありありと……いやらしい蜜が湿り気の跡を残していた。
 さらにするり、するりと脱ぎ捨てられる服。
 あっという間に丸裸になる、未成長の体。
 それが何を意味するのかを頭で理解するより先に、はやての矮躯がベッドを軋ませた。
 
「なぁ、シグナム」

 とてもまだ幼い娘と思えぬほどに、甘く滴る声で囁きながら、はやては四つんばいでベッドの上に乗る。
 まるで発情期の雌のように荒く息を零し、尻を上げて四足立ちで進み、リインフォースのなっていたシグナムの隣へ。
 情交への知識などない彼女を突き動かすのは、きっと淫らな本能だ。
 女として雌として、生まれ持った本能。
 
「シグナムだけ、ずるいやん……わたしかてリインフォースのあるじなんやから、な?」

 そう言いながら、少女はそっと顔を近づけて、ピンク色の乳首に吸い付いた。

「ひゃあん!!」

 あまりに唐突で予想だにしなかった快楽に、リインフォースの顔は甘く蕩けた。
 はやては稚拙で乱暴な愛撫で、口に含んだ乳首をちゅうちゅうと吸い上げ、同時に歯を立てる。
 噛み跡が残ってしまうほど強い攻めだったが、被虐のけが強いリインフォースの中でそれはとびきりの快楽に変わった。
 豊満な体をぶるぶると震わせ、目を潤ませるその痴態の、なんと美しく淫らな事か。
 口を離し、唇と桃色の乳首の間に唾液の橋を掛けながら、はやてはにっこりと笑う。

「わたしもまぜて、わたしもシグナムと一緒に、リインフォースとエッチなことしたい。な? ええやろ?」

「いえ、しかし……そんな事」

 正気を失った、完全に快楽に身を委ねた少女の、堕落のいざない。
 これを受け入れる事はいけない事だと分かりながら、しかしシグナムもまた同じく、その快楽の熱に飲まれていた。

677 しぐ×あい! :2013/03/20(水) 22:14:28 ID:J46Bl/Ug
 普段の彼女ならきっと、はやてを諌めていたのだろうが、今の彼女はいつもの思考を維持できなかった。
 だから、静かに頷いた。

「な……しょ、将? 何を……だ、だめだ、そんな……」

 本能的なところで、自分を見る二人の視線の輝きの尋常でない色を認識し、リインフォースが震えた声で戦慄いた。
 いつの間にか手首をシグナムに掴まれ、はやてがシーツを剥ぎ取る。
 露になる、汗にしっとりと濡れた純白の肌。
 何度もシグナムに快楽を叩き込まれて朱色に高潮した、その悩ましい裸身。
 今や飢えた獣の哀れな生贄。
 
「観念しろ、リインフォース」

 嗜虐めいた微笑のままに笑いながら、シグナムがさらりと桜色の髪を揺らして覆いかぶさる。
 肌の上に微かに触れた、将の長髪のこそばゆさ。
 だがそれ以上に、胸の上から迸った甘い雷撃に、リインフォースは打ちのめされた。

「ひゃぃ!!」

 一体幾度目か分からぬ、シグナムの愛撫。
 胸の頂上の、たっぷりと性感帯を開発した乳首に吸い付いて、乳輪から先端までを舌と歯で攻め尽くす。
 口の中でぐにぐにと乳首を噛む絶妙な力加減に、リインフォースは顔をくしゃくしゃに乱して体を波打たせた。
 
「リイン、フォースすごいきれいで……エッチやなぁ……私にみられとるって、ちゃんとわかっとる?」

「あぁ……やだ、主……見ないで、やぁ」

 くすくすと笑いながら、はやての言葉攻めがリインフォースの羞恥心を抉った。
 目尻に涙を溜めて身をよじるリインフォースだが、逃げることはもちろん、肌を隠す事さえ許されない。
 手首を掴み、脚と脚を絡めたシグナムの拘束は硬かった。
 上背でこそ負けるものの、凄まじい重さの長剣を苦もなく振るう剣士の膂力は凄まじい。
 しばし乳首を口の中で転がすと、シグナムはそっと口を離し、傍らのはやてに視線を向けて、邪まで淫らな微笑を見せ付けた。

「そちらが空いていますよ」

 その促しが何を示すのか、気付かぬはやてではなかった。
 シグナムの吸い付いたのとは逆の、リインフォースの左の胸。
 汗の雫を散らした柔肌に、引き寄せられるように少女が体を多い被せる。

「おいしそうやな」

「ひゃぁん!」

 ぽつりとそう呟いて、すっと伸ばされた舌先が、今度は乳首を舐め上げた。
 艶やかに張りあがるリインフォースの嬌声がなんとも耳に心地良い。
 ちろちろと粟立った乳輪のふちを舐めるはやての舌遣いを、シグナムが自分の愛撫の片手間に見咎めた。

「主、もっとこう、乳首の横に引っ掛けるようにして」

「こう?」

「あぁ! ちょ、それ……はああ!!」

 シグナムの指摘の通り、舌先を丸めて引っ掛けるように、乳首を横から舐めて口の中に含むはやて。
 性感帯を開発したシグナムの指導は実にツボを心得ており、リインフォースはあられもなく喘ぐしかなかった。
 攻めはそれだけでは終わらない。
 はやての小さな手が、貪るようにリインフォースの白い肌、たわわな肉の層を求める。
 くびれながらも母性的な厚みを有する腰、張りの在る尻たぶ。
 少女の手では掴みきれないほどの、凄まじいボリュームの乳房。
 ただの肉の塊であるくせに、堪らないほどの柔らかさと張りと、しっとりと吸い付くような潤いに満ちたそれに、思わずはやては没頭した。

「リインフォースのオッパイ、ほんとすごいなぁ……揉んでるだけできもちええわ……」

「だ、だめです、主……おやめください、こんな……や、ああ!! 将、そこ……だめぇ!」

 必死に涙目で訴えかけるリインフォースを、再びシグナムの指が呵責なく抉りぬいた。
 いつの間にか下半身へ伸びた一方の手が、びしょ濡れの銀の茂みの奥へ奥へと滑り込んで、秘密の扉を抉じ開ける。
 器用に二本の指で秘列を開かせ、シグナムの細く長い指が膣内を掻き乱す。
 ぐちゃぐちゃと音を立てて秘所を弄られる快感、もちろんそこに二人がかりで胸を揉みくちゃにされる刺激も合わさっている。
 主に痴態を見られるという羞恥心も合わされば……その程はいつもの情交からは計り知れないほど深かった。
 涙と唾液と汗でめちゃくちゃになり、蕩けに蕩けきったその美貌の、なんという淫靡さか。
 その美しさに飲まれるように、シグナムとはやての攻めもまた激しくなっていく。
 まだ硬く閉じたままだというのに、はやての秘所もたっぷりと蜜を滴らせていた。