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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第114話☆

595不屈の花と白百合の騎士 ◆UKXyqFnokA:2012/09/30(日) 21:24:22 ID:XoUud4pg
■不屈の花と白百合の騎士





 最近いい傾向だ、とシャマルは積み上げられたカルテの束を整理しながら思っていた。
 時空管理局武装隊の少女隊員としてキャリアを重ねつつある魔導師、高町なのは。かつての第97管理外世界での事件の縁で、シャマルはなのはのほぼ専属の、担当医務官となっていた。
 これまでのなのはは、その戦闘能力のほとんどを自身の魔力のみに頼っていた。
 そのため、12歳という年齢も相まって、フィジカルな体力よりもどうしても魔力を高めることが先行し、魔法の出力に肉体が追い付かない状態が続いていた。

 その結果が、昨年の撃墜事件である──というのは、なのはとしてもよく理解してはいるだろう。
 魔力が大きいからといってそれだけで無敵にはならない。
 魔力もまた人間の生み出す力である以上、人体の、基礎体力がしっかり身についていなければ魔力を発揮できない。

 一日のトレーニングを終えた後、なのはは欠かさずシャマルの医務室に来てくれる。
 いつしかそれを、待ち遠しく思うようになっていた。

「お疲れ様、なのはちゃん」

 なのははいつもそうしているように、医務室の丸椅子に座り、上着を脱ぎ始める。
 訓練用バリアジャケットを着用しての機動訓練は、非常な体力を使う。
 子供ながらも、濃いめの汗の香ばしさがシャマルの鼻腔を刺激する。腕を持ち上げて、ポロシャツをまくるなのはの肌の動きが、育ち盛りの筋肉を見せつけている。

 思わず唾をのむ。
 古代ベルカ時代の騎士でも、この年齢でこれほど鍛えている者は少なかった。
 記憶に残っている時代ですでに、騎士という身分も儀礼的な側面が大きくなり、多くの若年者たちは騎士として登用されるよりも先に、雑兵として前線に駆り出されていた。
 高町なのはは、この現代人の子供としては珍しい、類稀な素質を持っていた。

「今日も頑張ったみたいね。大丈夫?無理はしてない?」

「はい。もうすっかり元気です」

「……うん。痛いところがあったら言ってね、自分でも気づかないうちに負荷がかかっていることはあるから」

 話しかけながら、上半身裸になったなのはの腕と肩を順番に指の腹で押し、不自然なしこりやむくみなどがないか確かめていく。
 なのはの肌。初めて出会ったころは、外見上はヴィータと同じくらいだった。
 ただし、シャマルたち守護騎士ヴォルケンリッターは、あらかじめ設定されている外見から成長していくことがない。今のなのはは、初めて出会ったときよりもぐっと成長し、女らしくなっている。

 もちろん、自分やシグナムに比べればまだ子供だし、背丈も胸の大きさもずっと小さい。
 しかしこの年代の少女には危うい魅力がある。子供から大人へと成長していく過程で、抗いがたい強烈な魅力というのか、何かの脳内麻薬物質のようなものが出ているかのようだ。

 第97管理外世界の人間──はやてやなのはは、ミッドチルダやベルカの人間に比べればわりあい小柄で、体格も華奢である。
 それでも国によってはベルカ人並みの成長をする民族もいるらしいが、少なくとも海鳴市のひとびとには、シャマルの体格ならば成人女性としてもかなりよく発育しているとみなされていた。
 逆にヴィータは、古代ベルカのひとびとから見ればほんの赤子のように見える。もちろん、その戦闘力は外見どおりではない。

「んっ……」

「あっ、ごめんなさいなのはちゃん、痛かった?」

「いえ、なんだか、こうしてシャマルさんにみてもらっていると安心できて」

 どきり、と胸が弾む。あどけない幼い少女なのに、その戦闘力は、魔法の技術は、シャマルよりもはるかに上を行く。得意分野の違いはあるにせよ、管理局の訓練を受ければもっともっと伸びしろはあるだろう。

「シャマルさんに手伝ってもらえてほんとに助かってます、きっと私ひとりじゃもっと無理しすぎてたかもしれません」

「うん……自分では、意外と気づきにくい自分の身体ってあるからね。一時的に、回復したように見えても実は、ただ痛みが麻痺しただけだったりとか」

「昔は、もっと大変な戦いとかあったんですよね?」

「ええ……」

 思い出すが、それをこの少女に語るのは気が引ける。
 古代ベルカ時代の戦争は、現代とはいろいろとやり方も違う。武器も違った。鈍器や刀剣による直接打撃があった。銃弾も、現代のメタルジャケット弾ではなく、いびつな鉛の塊をぶつけるものだった。
 戦場の、生臭い血と鉄の臭いはまだ、クラールヴィントの糸にも残っている。




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