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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第114話☆

128遺書 ◆bcRa4HtgDU:2012/07/13(金) 21:02:42 ID:DDpQm4gY
「全部が全部、なのはちゃんみたいに全力全開でいけばいいってわけやないのはわかってるんやけどね」


溜息一つついて、訛りのあるミッドチルダ語で呟いた愚痴は彼女にとってその日何度目のものであっただろうか。
二等陸佐の階級章がつけられた制服の上着は無造作にデスクの端に引っ掛けられており、
一世代古い型の情報端末は立ち上げられているもののディスプレイにはミッドチルダウェブニュースが映っているだけ、
ぎしぎしと音を立てる安物の椅子に深く腰掛けた女性自身も頭に手を回して天井を仰ぎ見ている状態であり
一目見て仕事をしていないのは明白な光景であった。否、正確に言えば、彼女には今仕事らしい仕事がないのだ。


デスクの端、上着の下からはみ出ている書類の内容を要約すれば、以下の通りになる。
八神はやて二等陸佐の海上警備司令の任を解き、本局人事部賞罰監査課長とする。

人事部賞罰監査課。時空管理局において特別の功績、あるいは問題行動があった者に対し、賞罰を与える際に調査を行う部署である。
しかし、大抵の場合において特段の調査の必要もなく、人事部においてほとんどが処遇決定済みとして書類が回ってくるだけであり、
事実上この部署が何らかの判断を独自に下すということはない。まごうことなき島流し、肩叩きポストである。
実際、現在賞罰監査課には新たに配属となったはやてとその融合騎であるリインフォースツヴァイ准空尉の他には
元の課長であった一等陸尉(現在の課長補佐)とその部下の陸曹長のあわせてわずか二名しかいなかった。
どちらも齢五十を過ぎた元武装隊員であり、負傷が元で既に前線から退き、部隊指揮からも身を引いた局員である。
曰く、姪の学費のため、曰く、これでもまだできることはある。飲みニケーション(とは言ってもお茶だが)の中ではやてが得た情報である。

狭い賞罰監査課のオフィスではやてがだらけた姿を晒しているのはその二人が退勤済みだからである。
アフターファイブ。ついこの前まで一に仕事、二に仕事、三四も仕事、五も仕事という生活であった彼女には想像すらできない世界であった。
いや、知らないわけではなかったが、こうして自分がそういう立場におかれるということはまだまだ先のことだろうと思っていた。


そもそもリンディ・ハラオウン、レティ・ロウランという現役勢の強力な後ろ盾に加えて、経歴から聖王教会からも支援のあるはやてという人物が
何故このような場末の部署にいるかというと、他ならぬロウラン提督からの指示なのであった。
ありていに言えば、ほとぼりが冷めるまで静かにしていろ、ということになる。JS事件以後、管理世界は揺れに揺れた。
何しろ管理世界の中心的存在であるミッドチルダ政府のお膝元であろうことか二十名に満たない組織によって白昼堂々大規模なテロが敢行されたのである。
内情はどうあれ、傍から見れば遥かに脆弱な組織相手に時空管理局は完敗を喫したといっても過言ではない。
各地の犯罪組織が一気に活発的になったのは言うまでもないことである。

しかしながら、敗北を喫したのはミッド地上部隊に過ぎず、各地の管理局地上部隊が損害を受けたわけではない。
本局も最終段階において次元航行部隊を投入した程度で、組織としてJS事件に全力であたったとは到底言い難い。
ゆえにそれらの犯罪組織への対応に忙殺されはしたものの、管理世界全体としてはかえって検挙率が上昇するという皮肉な結果となっていた。

一方でミッド地上部隊においてはゲイズ中将以下関係した主要幹部だけでなく、一部では実戦部隊にまで類が及び
ただでさえ人材が払底していたところにとどめとなり、組織を維持できるかどうか怪しいレベルにまで事態は悪化していた。

そうなると、便利な存在として独立部隊がこき使われるのが世の常である。
はやて本人は六課解散後はしばらく指揮官として独り立ちするべく経験を積もうという心算であったが、JS事件最終段階において矢面に立ったがゆえに
引くに引けない状態となり、最終的に後ろ盾である上司たちに押し切られる形で
海上警備司令に就任、それぞれの原隊へと復帰したかつての六課員とも連携をとりつつ多忙な日々を送っていた。

「椅子を尻で磨くだけでなく、空も飛ばねばならないのが魔導師キャリア士官のつらいところ」とは
特別捜査官候補生時代の指導教官の言葉だったなぁとはやては思い出す。
六課時代以上の激務、無理がたたって撃墜された誰かさんのことを言えないようなハードワークの末に、
元々魔力制御がお世辞にも得意とは言えない彼女がリインの補佐すら効かないミスを犯すのは当然の結果だったのかもしれない。




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