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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第113話☆

758Filius larvae (中編) 9/10:2012/06/03(日) 02:18:44 ID:tYgwmJY6
軽くノックする。他の修道士達は……誰もいない。
四人部屋にいたのは、士郎一人だけだった。
「他の皆は?」
「用事だって。見回りとか」
目が泳いでいる。つまり嘘なのだろうが、何でそんな嘘を吐いたのかが分からない。
ちょっと考えて、セインはすぐに思考を切り替えた。
『せっかく士郎と二人きりなんだから、どっちでもいいや』
ベッドの横にぽふりと座り、士郎の顔を見る。
ランプと月明かりだけの、ほとんど真っ暗な空間で、少年の表情はよく見えない。
印象だけ言えば、緊張しているような感じだった。
「あ、あのね……セイン。今日は、その、どうしても言わなきゃいけないこと、あって……」
「へぇ、そうなんだ。今日の朗読会のこと?」
うん、と士郎は軽く頭を振った。
午後はずっと外に出ていたから、士郎が何をしていたか知らない。
彼は興奮気味に話し始めた。カリム──教会で一番偉い人──にほめられたのが、
よっぽど嬉しかったらしい。

……そっか、カリムか。

セインは落ち込みを隠しつつ、士郎の言葉にずっと耳を傾けていた。
偽りの幸せを心に隠したまま、少女はずっと、目をキラキラさせる少年に相槌を打っていた。
「それでさ。セイン。オレのベルカ語、聞いて欲しいんだよね。いいかな?」
「うん。聖書の朗読、聞かせて?」
何だろう。子を見守るような母の気分になった。
悟りを開いたとも言うのだが、士郎の話をもっと聞きたくなった。
身の上話はほとんどせず、けれど何でもかんでも興味を持つ、まさに少年と呼ぶに相応しい振る舞い。
落ち着きがあるようで、目上の人がいないところではちょっとそそっかしい。
笑った顔には曇りはなく、怒った顔でも、本気で怒っていた記憶はセインにない。
「じゃあ、行くね」
少年はもったいぶった咳払いをすると、聖典の一説を朗読し始めた。
たどたどしい口調だけれど、心のこもった、素敵な吟詠だった。
「Die Leute der Chloe haben Paulus berichtet, das es zu Spaltungen in der Gemeinde gekommen ist.」
流れるような調子。子守唄のような、そう吟遊詩人の詩に似ている。
もちろん、技術はまだまだ子供のそれだけど、今後が楽しみな雰囲気を出していた。
「Das Eschatokoll besteht aus Grusen, einer Fluchformel, einem Gebetsruf und abschliesenden Segenswunschen.」
やがて、まとまった一説を暗誦し終る。




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