したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第108話☆

1 名無しさん@魔法少女 :2010/09/27(月) 18:02:21 ID:EtHbi69A
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所です。


『ローカル ルール』
1.他所のサイトの話題は控えましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。

前スレ
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第107話☆
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1281434382/

951 名無しさん@魔法少女 :2010/12/17(金) 19:18:53 ID:XYNyU8uk
>>950
愚問ですよ
なのは登場人物なのだからOKに決まってるじゃないか
△♥色を気にされてるのかな?

952 名無しさん@魔法少女 :2010/12/17(金) 20:13:56 ID:GEFSRAEM
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第109話☆
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1292575474/

次スレ。ちょっとはやいかな?

953 名無しさん@魔法少女 :2010/12/17(金) 20:38:25 ID:Q7hni94o
早いな
>>980くらいで十分

954 名無しさん@魔法少女 :2010/12/17(金) 23:32:50 ID:iG.xDB0s
とても短い小ネタ投下です。
タイトル 「Hello, world」
ちなみにこのレスで終わりです。

「#include <stdio.h>

int main(void) {…っと」
とある少女がプログラムの課題を解いていた。
「うーん、この後どうしよう…そうだ、こうしよう!
printf("Hello, Yuuno-kun!\n");
return 0;
}」

どうやらプログラムが書き終わったようだ。
「あとは保存してgccでコンパイルして実行、っと」
「なのはー、入っていい?」
「うん、いいよ」
ユーノが入ってきた。うかつだった。コンピュータの画面を見られてしまった。少女は赤面した。

955 名無しさん@魔法少女 :2010/12/18(土) 08:54:15 ID:HkxqU3.k
誰か解説頼む

956 名無しさん@魔法少女 :2010/12/18(土) 08:59:52 ID:klZz0Br2
・なのはがC言語の練習中
・ソース書き終わったんでコンパイル&実行
・コマンドプロンプトに「Hello, Yuuno-kun!」と表示される
・ユーノ、部屋にくる(なのは、コマンドプロンプト閉じ忘れる)
・ユーノに「Hello, Yuuno-kun!」を見られる
・赤面

って流れでね

957 F-2改・代理 :2010/12/18(土) 20:42:51 ID:ecVkhWiU
どうも、皆さんコンバンワ。F-2改です。
会議室に書き込んだPixivに一度投下したSSを、今回投下させて頂きます。
CPは、いつものクロなの、じゃなくてユーなの。時間軸はStSです。

958 F-2改・代理 :2010/12/18(土) 20:44:47 ID:ecVkhWiU
大人になる前に




彼女との出会いは、もうかれこれ一〇年ほど前になる。
長いようで短いような、短いようで長いような。ともかくも一〇年、出会った日から流れた月日はそのくらいだ。
最初の頃は良きパートナーとして、魔法の先生として、友達としての関係だった。当時は彼女もまだ小学生であることを考えれば、いたって普通だろう。
だけども、だ。思春期を迎えた頃になってから、状況は次第に変化を見せる。
同じくらいだった身長は、少しずつではあるが彼が上回るようになってきた。今ではすっかり、彼女が精一杯背伸びして同じ目線にたどり着けると言ったところ。
女性的、優男とも呼ばれる顔つきだけは変わらなかったが、身体の方は男性らしく広い肩幅を持つようになった。細身ではあるが、頼りないとは決して思えない。
彼女の方も、変わり始めていた。かつての小学三年生の女の子は、年齢と共に子供から大人へと身体を成長させつつあった。
ほっそりした身体は、いつの間にやら起伏に富んだラインを描くようになっていた。
花の咲いたような、見ているだけでこっちも微笑みも浮かべてしまうような笑顔は、やがてあどけなさよりも大人らしい柔らかいものを感じるようになった。
別に、だからと言ってやらしい眼で彼女を見るようになった訳ではない。ただ、「あぁ、僕も彼女も大人になりつつあるんだな」と思った。
それだけのはず、だった。きっとこれからも、この先も僕は、彼女の友達であり続ける。そうでありたいと、思っていた――ある年、彼女に送る誕生日プレゼントを考え、どうにも考えがまとまら
ず、仕方なく友人に相談したあの時までは。

「何だ、相談って。業務量を減らせって言うなら断るぞ」
「あぁ、今回は仕事の話じゃないんだ。って言うかそれについてはまた後日じっくり"お話"させてもらいたい」

ほほう、と通信回線越しに友人、少なくとも憎まれ口を叩き合い、傍から見ると「仲悪いんじゃないかこいつら」と思われてもはっきり違うと言える、その程度には友人である相談相手は意味深な
笑みを浮かべていた。余裕の表れか、この野郎。次に模擬戦する時はバインドで縛って訓練室の壁という壁に叩きつけてやる。
とは言え、どういう訳か周囲は異性ばかりの彼にとっては数少ない同性の友人くらいしか、相談できる相手はいない訳で。
彼は、友人に送る相手の名前は出さず、誕生日プレゼントはどんなのがいいのか訊いてみた。相手の名前を言うと、そこから情報が漏れる可能性があった。今回はちょっと、相手をびっくりさせよ
うという魂胆があったのだ。
これで相談相手が異性だと、あれやこれやと詮索してくるんじゃないかと偏見というか、先入観のようなものがある。だから、その辺の事情を察してくれるであろう同性の友人を選んだのだ。

「フムン、誕生日プレゼントか――」
「ああ、どんなのがいいかな。ちなみに相手は女性なんだけど」
「女性なのか……参考に一つ、訊いていいか?」
「?」
「ユーノはその人のこと、好きなのか?」

ブッと、液晶でもブラウン管でもない文字通り魔法のモニターに向けて噴き出してしまった。

「いや違うぞ、すまない、訊き方が悪かった。好きと言うのはその、君が考えてるような奴じゃなくて。仕事上の付き合いで礼儀として送るだけなのかとか、そうではなくて仕事以外でも親しくし
てるとか、そういう意味で」
「どこをどうやったらそんな訊き方になるんだっ」

通信回線目掛けて、精一杯怒鳴る。今思えば、あれは動揺していたからだろう。
ともかくも、友人のその一言のせいで彼の、ユーノ・スクライアの思考は大きな変化を迎えようとしていた。
好きか嫌いかで言えば、それはもちろん好きだろう。
しかし、何しろ男女の仲である。単純に好きだと言っても、その言葉には二重の意味がある。
――いや、もしかしたら男同士でもそうかもしれないけど。あいにく彼にそっちの趣味はない。正真正銘のノンケである。アッーとか間違っても言わない。
ともかくも、結局相談相手はろくな回答を出してくれなかったので自分で考えようと通販のカタログを手に取り、彼は考える。
果たしてどうなんだろう。僕は、彼女のことが好きなんだろうか。
モヤモヤした感覚を抱えたまま、適当に見繕った品を誕生日の日に直接、彼女に手渡しした。
彼女は、凄く喜んでくれた。微笑みが眩しい。おかしい、こないだまで直視しても何も問題なかったはずなのに。

「ありがとう、ユーノくん!」

どうにか見ることが出来た彼女の幸せいっぱいの笑顔を見て、そこでユーノの思考は完膚なきにまで吹き飛んだ。

959 F-2改・代理 :2010/12/18(土) 20:45:31 ID:ecVkhWiU
なるほど、僕は彼女のことが好きなんだ。






「なのは、好きな子とかいないの?」

いつ頃だったか、ちょっと覚えていない。まだ学校に通っていたのは間違いないはず。
母親からの何気ない一言に、彼女はいるよ、と何の躊躇いもなく返した。

「フェイトちゃんは大好きだし、はやてちゃんもアリサちゃんも、すずかちゃんだって。もちろんお母さんも大好きだし、お姉ちゃんもお父さんもお兄ちゃんも――」
「あぁー、違うの違うの。お母さんが聞いたのは、そういう意味じゃなくって」

家族の名前が出てきた辺りから、母、桃子は娘の言葉を中断させた。
違うの? と彼女は怪訝な表情を見せ、逆に「じゃあ、どういう意味?」と問う。

「好きな男の子。いない? 学校とかで。そろそろなのはにも、そういう浮いた話の一つくらいあってもいいんじゃないかなーと」

お母さん期待してるんだけどなぁー、とか言って。桃子は娘、高町なのはに微笑みかける。
言われてみると、どうなのだろう――なのはは考える。
クラスメイトの男子は、もちろん色々なタイプがいる。乱暴でガキ大将みたいな子、大人しくて優しい子、クラスのムードメーカーな面白い子、オタクっぽい子、まだ学生なのにやたら大人びた子、
大日本帝國海軍軍人とでも言うべきな子、本当に色んなタイプな子がいる。意外とバラエティに富んでいたんだなぁ、うちのクラス。
母の言う、「好きな男の子」「浮いた話の一つ」が何を意味するのか。そのくらいはいかに色恋沙汰には疎いと周囲に言われる彼女であっても分かる。要するに、恋しい人、異性として意識してい
る人はいないのか。少なくとも、クラスメイトにそういう人はいない。

「まぁ、無理に見つけたり急いだりする必要は何にもないんだけど」

んーむ、と考え込むような表情をした娘に、クスッと小さな笑みを浮かべて――これはまだいないな、と言う結論に至ったのだろう――母は口を開く。

「大人になってからだと、忙しくてそういうのに気付かなくなっちゃうかもしれないから。今のうちよ、なのは?」
「でも、お母さんはお父さんと会ったのは――」
「そこはケースバイケース。あなたはなんとなく、ワーカーホリックになっちゃいそうだから。大人になる前に見つけてみなさい、素敵な人を」

今にして思えば、母の言葉は未来を予知していた。
管理局で働くことに不満はなかった。確かに大変だけども、助けた人が安心した表情を浮かべ、「ありがとう」と言ってくれる。そこに、なのはは大きなやりがいを見出していた。
ただ、ときどき凄く疲れて。そんな時、優しくしてくれる恋人がいたらいいなぁ、なんて思ったりしたこともある。
そして、ある時期。自分の誕生日が間近に迫っても気付かないくらいの激務が続き、それがようやく終わった頃。彼女の下に、一人の男の子が訪ねてきた。

「やぁ、なのは。久しぶり」
「あれ、ユーノくん?」

久しぶりに出会った幼馴染は、お仕事お疲れ様と言ってくれて。大したものじゃないけど、と綺麗にラッピングされたプレゼントを渡してくれた。
受け取った彼女は、しかしどうしていきなりプレゼントを渡されたのか訳が分からず混乱し、必死に表情に出さないよう考え悩み抜いた挙句、カレンダーの日付を見て気付く。その日は、自分の誕
生日だったのだと。
ユーノは、覚えてくれていた。自分自身でさえ忘れてしまった誕生日を。プレゼントまで用意してくれていた。
嬉しかった。
胸が、暖かくなった。

960 F-2改・代理 :2010/12/18(土) 20:48:00 ID:ecVkhWiU
自然と頬が緩み、表情が笑顔一色に染まった。
その時、母の言葉が、脳裏をよぎる。「あなたはなんとなく、ワーカーホリックになっちゃいそうだから。大人になる前に見つけてみなさい、素敵な人を」と。
素敵な人。なるほど、お母さんの言っていたことはこのことだったんだ。

「ありがとう、ユーノくん!」

幸せいっぱいの笑みの裏で、彼女は一つの確信を抱く。
私、ユーノくんのこと、好きなんだ。



さて、本来ならここで告白イベントが起きたことだろう。
だが、そうはいかなかった。理由は、極めて単純である。

「いや、でも、なのはが僕のこと好きとは限らないし――って言うか、告白した後が怖いし、うーん……」
「どうしよ、言うべきなんだろうけど……でもでも、もしユーノくん、他に好きな女の子がいたら、その後が怖いし……」

二人とも慎重になり過ぎていた。
そんなこんなで互いに想いを隠したまま、数年が経過して。
今度こそ出会ってから一〇年後の、ある日のこと――なのはが、二十歳の誕生日を迎える一週間前のこと。




「まだ言ってないのか!?」

うるさい、黙れ、そんな珍獣を見るような眼で見るな。
そう言い返したいところだが、事実は事実。ユーノは力なく、たまたま用事があって無限書庫に出向いてきていたクロノ・ハラオウン提督に頷いた。
呆れたような表情を浮かべ、クロノは続ける。じゃあ、いつ言うつもりなんだ? なのはに好きだって。

「それは――心の準備が、出来てから」
「その回答はもう三八回目だ」

数えてたのか、こいつ。眼鏡越しに睨むような瞳を持って、ユーノはぎろりとした視線をぶつける。それで相手が怯む様子などないのだが。
ハァーッと、深いため息を吐くクロノ。ため息を吐きたいのはこっちなのだが。

「僕がエイミィにプロポーズした時もそうだったんだが――」
「こういうのは男の方が言うべき、だろ。九九回目だよ、その台詞聞くのは」
「だったら何でやらない」

同性の友人の言うことは、もっともだと彼も思う。のんびりしていたら、いつの間にか彼女は他にいい人見つけて結婚しちゃいましたとか、ドラマや漫画でよくある展開だ。
これはドラマや漫画じゃない、とは言うけども、事実は小説より奇なりとも言う。クロノがまずそれを証明していた。お姉さんのような存在だった自身の補佐官に、あの堅物クロノが自分からプロ
ポーズした挙句、今や二児のパパである。文字通り姉さん女房の彼の妻に家族サービス真っ最中の夫の写真を見せてもらい、本気で大爆笑した。その場で殴られたが。
ピッと、その時突然、電子音が鳴り響く。開いた覚えはなかったのだが、どういう訳か目の前に通信回線用のモニターがあった。

961 F-2改・代理 :2010/12/18(土) 20:48:32 ID:ecVkhWiU
君の仕業か。ユーノは、コーヒー片手にポーカーフェイスを決めている友人を見た。彼は、何も言わない。チラッと、何かを促すような視線を送っただけ。

「悩んでないで行動しろって?」
「さぁ、僕は何も言ってないぞ」

いけしゃあしゃあと。問いかけにもクロノはまったく動揺せず、ただ一言、付け加えた。

「そういえば、機動六課の方で休暇申請が一件上がってたな。一日だけだったし、普段の彼女の働きを考えればそのくらいは――」
「だあ、もう! 分かったよ、連絡するよ!」

ガタッと乱暴な動作で立ち上がるユーノ。ようやくか、とわざとらしく言葉を発していた友人は気付かれないよう、静かに笑い、そして呟いた。

「まあ、頑張れ。グッドラック」




OK、第一関門は突破した。出だしは上々と見るべきだろう。
JS事件が終息を迎えて、機動六課の運用期間もいよいよ具体的な終了日時が定められつつあるこの時期。付け加えて言うなら、自身の二十歳の誕生日を来週に控えたこの日。
なのはは今日、休暇申請を行った。ひょっとしたら運用終了に向けて忙しい時期だから無理かも、と言う悲観的な考えは、部隊長が「構へん構へん」と二つ返事で許可してくれたことで打ち砕かれた。
なんか、申請書類の判子押した後に「なのはちゃんやったら行けるて! GO!GO!GO!」とか物凄い後押しされたのがちょっと気になるのだが。まぁいいか、とあんまり考えないでおく。

「問題は、この先なんだよねー……」

整った顔立ちに、困ったような笑みを浮かべながら。開いたはいいがそこから先に進めないでいる、通信回線のモニターを見つめる。
休暇申請を行ったのは、母に言われた言葉――「大人になる前に見つけてみなさい、素敵な人を」と言うのを実行するため。否、すでに見つけてはいるのだ。ただ、そこから次のステップに踏み出
せないだけで。
ミッドチルダと日本で大人、成人とする年齢は当然違うがそこはそれ。二十歳の誕生日は、もうすぐそこなのだ。まだ「子供」であるうちに、彼に想いを伝えてみたかった。

「ママ、どうしたの?」

不意に、声をかけられる。綺麗な栗毛色の髪を揺らし、視線を横に流してみれば、義娘のヴィヴィオが不思議そうな瞳でこちらを見つめていた。

「あぁ――ううん、何でもないの。ちょっと、踏ん切りがつかないだけだから」
「ふんぎり?」

まぁ、分かんないか。首を傾げる義娘に優しく微笑みかけながら、おいで、と手招きする。ヴィヴィオはママに抱っこしてもらえると見るや、嬉しそうに飛びついてきた。

962 F-2改・代理 :2010/12/18(土) 20:49:18 ID:ecVkhWiU
愛しい義娘を膝の上に載せて、綺麗な金髪を撫でてやりながら、なのはは視線を通信回線に移す。
連絡を入れるのは簡単だ。指一本動かせば、すぐに彼の下に繋がるのだから。ただ、指を動かそうとする度、誰かが、自分じゃない自分が、腕を掴んで問いかけてくるのだ。
彼がごめんって言ったら、どうするの? 彼にもう他に好きな女の子がいたら? 断られて、その後も彼と友達として付き合っていけるの? もし彼が――

「ママー、つうしん来てるよー」
「――ッ、え、あ、ごめん」

しまった、ヴィヴィオに指摘されるまで気付かないとは。着信を知らせる電子音がピーピーと鳴っていた。慌てて、なのははモニターに手を伸ばそうとした。
指が、止まる。あっ、と声が出てしまった。モニターに表示される通話相手の名前が全ての原因だった。
偶然か、それとも運命か。出来すぎたタイミングに戸惑いを覚えながらも、勇気を振り絞って彼女は回線を開いた。




後は行くのみ。
台詞だけなら、勇ましい戦国時代の武将のようにも思えた。もちろん、現実はそうではない。ミッドチルダは合戦の場でもないし、自分が乗っているのは騎馬でもなければタクシーである。鎧や刀
も装備しているはずがなく、緑色のジャケットの他はただのジーパン、トレーナーと言ったところか。靴だって草鞋など履いている訳なく、ありふれたスニーカーだった。
とりあえず、ユーノはなのはに「今から会えない?」と伝えた。答えは了承、「すぐ行くね」と返ってきた。ここまでは順調だ。
待ち合わせ場所は、首都クラナガンの中央公園噴水広場。転送魔法を使えば一瞬なのだが、胸の鼓動が高鳴りすぎて、どうかしそうだった。道中でゆっくり落ち着かせて行こうと考え、転送ポート
で地上に降り立ってからタクシーを捕まえたのである。
待ち合わせ時刻は、午後七時。現在時刻は六時半過ぎ、今のタクシーのスピードなら充分間に合う。
そう、充分間に合うはずだったのだ。窓の外に見えるクラナガン市街地の光景が、それまで速いペースで流れていっていたのにだんだんと遅くなっているのは、きっと気のせいだ。大丈夫大丈夫、
焦らない焦らない。短気は損気。慌てたってどうしようもないじゃないか。

「お客さん、すいません。見ての通り渋滞に捕まっちまったようで……」

気のせいじゃなかった。畜生、こんな時に。
ここからだと歩いて三〇分程度か。素早く決断を下し、ユーノは運転手にここでいいです、と伝え、財布から札を出して渡し、サッとタクシーから降りた。背後で「お客さん、お釣り!」とか聞こ
えていたから、振り返って一言。取っといてくれ。
さ、後は行くのみ――自分にそう言い聞かせて、彼は眼鏡を外し、走り出した。歩いてもギリギリ間に合わないことはないだろうが、身体が自然と前に出てしまったのだ。
この日、クラナガンは寒かった。季節はもう、秋を越えて冬になろうとしている。ジャケット越しであっても、冷たい空気が身体を包み、冷やそうとする。
いいさ、かえって好都合だ。駆け出してすぐ、ユーノは自分の身体が熱く火照り出していることに気付く。走り出したことで心拍数が上がったからか、それとも彼女に会うと言う緊張からか。ある
いは両方か。どっちだっていい。冷たい夜風が頬を撫でて、ホットになりがちな彼の思考を冷却してくれるはずだ。
ハッ、ハッと短く呼吸を繰り返し、夜のクラナガン市街地を走り抜ける。すれ違う人々は何事かと振り向きはするが、すぐに興味を失って視線を前に戻していく。
くそ、汗が噴出してきた。こんな寒いのに。まだ着かないのか、意外と遠い――いや、見えた。
無限書庫で働くようになってから落ちてしまった裸眼視力でも、視界に移った目的地。息を切らしながら駆け込み、ゆっくり落ち着かせるように足の動きを緩めていった。

963 F-2改・代理 :2010/12/18(土) 20:49:55 ID:ecVkhWiU
昼間は子供たちで賑わう中央公園も、夜となれば人影もない。ひょっとしたら、早く着きすぎただろうか。

「ユーノくん」

どうやら、そんなことはなかったらしい。



「じゃあヴィヴィオ、ちょっと行ってくるから。いい子で待っててね」
「うんっ――ママ」
「?」
「ぐっどらっく!」

どこでそんな言葉を覚えたのか。出発前に親子で交わした会話を思い出し、思わずなのはは頬を緩ませた。
しかし、グッと右手の親指を突き出すヴィヴィオの表情は、これから義母が何をしに行くのか見透かしたような感じだった。
まさか、バレている? まぁ、あれだけ分かりやすい反応を見せていれば、いくら幼いあの子でも気付いて当然か。今度から気をつけるとしよう。
そんなこんなで部屋を出たなのはだったが、一つ失敗したと思う。出た当初は夜風もさほど寒くないと思ったのだが、それは室温で身体がある程度温もっていたからに過ぎない。薄着だったため、
道中すっかり冷えてしまった。肌寒さにときどき震えながら、目的地の公園、噴水広場に到着。ベンチに座って待っていると、公園内に誰かが走ってくるのが見えた。

「ユーノくん」

もちろん、やって来た人が誰なのかは分かっていた。自分を見つけ切れていない様子の彼の背中に向けて、声をかける。

「――なのは。やぁ、待たせたね」
「ううん、私も今着いたとこだから」

振り返ったユーノに近付いて、挨拶を交わす。よほど急いだのだろう、冬のクラナガンで彼は汗をかいていた。

「――ええ、と」
「……うん?」
「…………」
「…………」

どうしようっか、これ。何から話せばいいんだろう。
お互いの思考は、完全に一致していた。すなわち、言葉が出てこない。勢い任せに出てみたはいいが、そこから先に動けない。

「……休暇、取ったんだって?」
「あ、うん――」

かろうじて、搾り出すように出た言葉はしかしそれだけ。次が出てこないのだ、次が。
ユーノは、彼女に想いを伝えるためにやって来た。
なのはは、彼に想いを伝えるためにやって来た。
だけども、この時点で二人の胸のうちに巣食うのは、一種の恐怖にも似た感情。
もし、断られたら。もし、拒まれたら。もし、駄目だと言われたら。
今更ながら、彼も彼女も実感する。僕らは、私たちは、「友達」の期間がちょっと長すぎたと。居心地の良さに、身を委ねていたのだ。
ブルリ、とその時、なのはが身を震わせた。我慢していた寒さが、身体の動きとなって現れてしまった。

「なのは――ひょっとして寒い?」
「う、ん……うん、ちょっとね。大丈夫かなと思ったんだけど、意外と寒くて」

にゃははは、と笑って誤魔化そうとしたが、ユーノはそんな彼女を見かねたのか、自分が着ていたジャケットを脱いだ。

「あ、ちょっと、ユーノくんっ」
「寒いんでしょ? 風邪ひくよ」

だって、そんなことしたらユーノくんが。それとなく抗議をするが、聞き入れてくれなかった。彼の腕が伸びてきて、肩にジャケットを羽織らせられる。
少しばかり強引に渡されたジャケットには、まだ体温によるほのかなぬくもりが残っていた。寒さは和らぎ、代わりに身体を包み込むような温かみが姿を見せた。
あっ、となのはは気付く。この感じ、どこかで。そうだ、何年か前の誕生日の時、彼からプレゼントをもらった時のあの感覚に似てる。

嬉しかった。

964 F-2改・代理 :2010/12/18(土) 20:50:27 ID:ecVkhWiU
胸が、暖かくなった。
自然と頬が緩み、表情が笑顔一色に染まった。

もう、と満更でもない表情を浮かべながら、「大人」になる直前の少女はジャケットを手繰り寄せる。

「いつだって優しいね、ユーノくんは」

出来ることなら、その優しさは自分にだけ振り向けて欲しい。胸のうちで呟いて、それは叶わぬ夢だと思う。
彼はいつだって、誰にだって優しい。この場にいたのが自分じゃなくても、きっと同じことをしただろうし――

「ん……まあね。なのはにだけは、そうしたいし」

思わず、彼女は自分の耳を疑った。



こういうのは男の方が言うべきだ。勇気を振り絞って、ユーノは口を開いていた。
正直な話、胸の鼓動はコントロールが聞かなくなっていた。手も足も、それどころか身体全体がガタガタと震え出しそうだった。
大丈夫なのか、本当に。ひょっとしたら、今口にした言葉だって、震えていたかもしれない。だとしたらなんて無様なことだろう。
とは言え、もう引き返せない。最初の一歩を踏み出したからには、もう引くに引けない。
意を決して、彼は言葉を続けた。視線の先、まっすぐ見据えるのは、出会ってから一〇年の女の子、高町なのは。

「僕、さ。なのはみたいに砲撃魔法撃ったりして、敵をやっつけたりするのは出来ないと思う」

歯がゆいな、ったく。自分自身に、苛立ちを覚える。話すべきは、そこじゃないだろう。
なのはは――何も言わず、真摯な瞳で聞いてくれていた。

「でも……でも。疲れたり、傷ついたりしたのを支えたり、治したりするのは、得意だ。自分で言うのも、なんだけど」

だから、あの、その――駄目だクソ、次が言えない。あとちょっとなのに。もう少しなのに。
その時だった。何も言わなかった彼女が、突然動き出した。綺麗な手が、彼の手を掴む。冷たい。先ほどまで寒さに震えていたのだから当然だろう。
しかし、まっすぐ眼を見て、投げかけられた言葉は、どこまでも暖かいもの。

「頑張って」



予感は、確信へと変わりつつあった。
ドラマだったか漫画だったか、それとも別の媒体だったか。とにかく、なのはは似たような光景がフィクションの世界で繰り広げられていることに気付いた。
たぶん、いや、これはもう確実に。ユーノは、何かを自分に伝えようとしている。何かって何を、とはこの場合無粋な質問だろう。
だから彼女は、彼の手を取り、励ますように言ったのだ。頑張って、と。
二十歳になる前に。大人になる前に。素敵な人が、見つかりますように。その願いが、幼馴染の、ユーノによって叶えられようとしている。後押しは、当然だろう。
こちらの意思を悟ってかそうでないのか、とにかく背中を押されたユーノは一度息を吸って、生唾を飲み込む。
意を決したように、口を開く。

「僕……なのはのことが、好きだ。一〇年前から、会った時から、ずっと。たぶん、愛してる。だから――ええい、もう面倒だ!」
「きゃっ」

ぐいっと、身体を引き寄せられた。肩と胴に腕を回され、動けなくされる。耳元に感じる彼の息遣い。抱きしめられたのは、言うまでもない。

「ずっとこうしたかった……」
「――うん。私もっ」

最初は驚いていたなのはも、ユーノの言葉を聞いてすぐ、頬を嬉しそうに緩めて、赤く染めて。そっと、腕を回して抱きしめ返す。

「ふふっ」
「……どうしたの、なのは?」

965 F-2改・代理 :2010/12/18(土) 20:51:01 ID:ecVkhWiU
「何でもないよ、何でも」

もちろんそんな訳ないが、あえて言わないことにした。今はそれよりも、言うべきこと、伝えたいことがある。
だってそうじゃない? ユーノくんも言ってくれたんだから、私もはっきり言わないと。
でも本当によかったな、大人になる前に言えて。大人になってからじゃ、恥ずかしくてとてもじゃないけど言えなかったかも。ありがとね、お母さん。
そうしてなのはは、彼の耳元に唇を寄せて、静かに、しかし確かに呟いた。

「ユーノくん、だーいすきっ」


それは、「子供」の特権だったのかもしれない。
真正面から堂々と、想いを伝える。「子供」だからこそ出来る、恥ずかしいくらいの告白。
もちろん「子供」でいられたのは、翌週の誕生日を迎えるまでほんの少しだったけど、そんなの気にならないくらい、なのはは、ユーノは幸せいっぱいだった。
そして、「大人」になっても、そんな日々は続くのである。まったく障害がないとは言わないが、二人の絆はどんな障害も逆境も、木っ端微塵に粉砕していくのだ。
いつまでもいつまでも、どこまでもどこまでも――。

966 F-2改・代理 :2010/12/18(土) 20:51:50 ID:ecVkhWiU
投下終了。色々お騒がせしてすいませんでした。
先述した通り、こちらのSSはPixivの方に一度投下したものですので、もし見かけても盗作ではないのでご注意ください。
もちろんPixivの方にも注意書きは加えておきます。長々と失礼しました。

967 名無しさん@魔法少女 :2010/12/18(土) 23:22:29 ID:D8f7ZKgs
>>966
「君の為に翼になる、君を守り続ける」か…
超乙

968 名無しさん@魔法少女 :2010/12/18(土) 23:42:06 ID:9w2jhSzo
>>966
乙です

969 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 00:46:34 ID:vbUmgdZU
>>966
乙ー
「いつものクロなの」待機してますぜ?

970 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 02:11:21 ID:DK4QugIM
乙。
pixivは見に行かないからなあ
埋もれなくて良かったよ。

971 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 10:21:53 ID:68XLkrRQ
もしも、フリードリッヒの外見が
デモンベインのクトゥルーみたいな外見だったら…(ただし、鳴き声、人付き合いは一緒)

972 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 14:04:58 ID:XdqzEGiM
SAN値マイナスなリリなの

・・・戦闘馬鹿ばっかな現状だし似たようなもんか

973 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 14:31:12 ID:3OJ7Y5Sg
>>972
モンハンのアレを見たような対応なる気がする

974 くしき :2010/12/19(日) 15:18:48 ID:1.U8NeL.
お久しぶりです
埋め立てとして投下させていただきます

本来はシガー氏のバリアジャケットシリーズに乗りたくて書き始めたのですが、
到底間に合いませんでした。 シガー氏の執筆は早すぎです

では注意書き
・非エロ。微エロ程度の描写あり
・PSP本編から5年後くらいの、星光さんと雷刃さんの会話。
・シガー氏の流れに乗った、バリアジャケットに関するお話です

975 BJ 雷刃編 :2010/12/19(日) 15:20:01 ID:1.U8NeL.
そこは、無限書庫の一室。

いや、正確には部屋ではない。
誰も足を踏み入れないほどに奥まった区画の、無限に建ち並ぶ、無数の本棚の一角。
平積みされた膨大な書物の群れが壁のように四方を囲い、結果として周囲から切り離された、本の砦の中である。

そしてその砦の中心にあるのは、周囲の書物をを濫読する、齢10歳程度の栗毛の少女の姿。

落ち着いた雰囲気を通り越して、静謐とも言える空間そのものを作り出している、外見不相応な貫禄。
乱雑に積み上げられた書物ですら、そここそが本来収まるべき場所である、と錯覚させるほどに調和した雰囲気。
並の人間が目にしたら、この空気をを乱すことを恐れて、近付くことすら躊躇するかもしれない。

しかし、その均衡を破ったのは、これまた同年代の少女の、能天気な一言だった。


「やあ、同胞! バリアジャケット新調してみたんだけどどうかな? カッコイイだろ?」

「・・・血と怨嗟の闇から共に現れて5年経ちますが、その呼ばれ方は初めてですね」


能天気に声をかけた少女は、マテリアル・L。またの名を、『雷刃の襲撃者』。
気だるげに顔を上げた本の砦の主は、マテリアル・S。またの名を、『星光の殲滅者』。

かつて、そう呼ばれた少女たちだった。

彼女たちがこの世界に現れて5年余。
現在は紆余曲折を経て管理局へ協力し、見返りとしてそれなりの生活基盤を手に入れるという、あたりまえの生活を選択していた。

976 BJ 雷刃編 :2010/12/19(日) 15:21:01 ID:1.U8NeL.

至福の時間を邪魔された星光は、明らかに迷惑げな視線を闖入者に対して向けたが、ことさら追い出しはしなかった。

本来ならば、「消し炭になるか肉塊になるかそのまま帰るか、自由に選んでください」と、礼を欠かさず丁寧に交渉するのだが。
今回に限り、闖入者への興味が、自分だけの時間を過ごすという欲求に勝ったのだ。


「ところでそれは、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンのバリアジャケットでは?」


そう。
雷刃は第一声で宣言したとおりに、いつもとは全く異なるバリアジャケットを装着していた。

全身を包む白いマントの下に、濃紺のスーツ。
無論、現在15歳のフェイトとは体格が全く異なるため、サイズは違う。
しかしその一点を除けば、雷刃が装着しているのは、第一線で活躍する執務官、フェイトのバリアジャケットそのものである。

単純に形を真似るだけならば、難しくはない。
バリアジャケット自体は形ある鎧ではなく、全身を包むフィールド状の魔力に過ぎないからだ。

星光があえて声をかけたのは、本来は機密のはずの「フェイト・テスタロッサ仕様」ともいうべきバリアジャケットの内部データまでもが、
まったく同一のものであると見抜いたからである。


「そうだよ。この前フェイトのバリアジャケットのデータに新作が来たんで、さっそくデータをダウンロードしてみたんだよ!」


と、星光の質問の意図を言ってか知らずか、雷刃は事も無げに言う。

フェイトが、それまでのワンピース水着じみた痴女のごときバリアジャケットを、新しい形に変更したのはつい最近のことである。
知られれば致命的となる戦闘用バリアジャケットのデータを、近しいとはいえ他人に公開することは、常識ではありえない。
なによりその言動から、明らかに法を逸脱した匂いがうかがえる。


「・・・貴女がその行為の意味を理解しているかはともかく。
 言わんとしている事とやってしまった事は理解できますが、そこに至るまでの過程を少し詳しく話していただけますか?」

「ん? 僕は感想が聞きたくて君の前に来たというのにノリが悪いな。
 むしろカッコイイね、と褒めろという言外の意図というか会話の行間を見切れないとは、朴念仁も甚だしい。
 そんなんだからいつまでたっても空気読めない娘って言われるんだよ」

「そうですね。では、特には強制はしませんので、御自由に話の続きをどうぞ?」

「・・・OKOK。
 別に、ルシフェリオンに収束され始めてる大魔法の脅迫に屈するわけじゃないけど、大人な対応で先に君の質問に答えてあげるよ。
 だから発動キャンセルが出来なくなる前にさっさとその収束砲のチャージを中止してくださりやがれお願いします。
 ほら、周りに燃えやすいものとかいっぱいあるし!」


穏やかに火花散る会話の末、なぜか土下座とともに額を床に擦り付け始めた雷刃を冷たく見下げて、星光は尋問するように声をかけた。

977 BJ 雷刃編 :2010/12/19(日) 15:22:29 ID:1.U8NeL.


「では、まず。そのバリアジャケットのデータ自体はどこに保存されていて、どうやって入手したのですか?」

「データの入手先のこと? 
 バリアジャケットのデータはバルディッシュに入ってるんだから、バルディッシュのメインメモリを覗けば全部分かるに決まってるだろ。
 そっから引っ張り出したんだよ」


正座した姿のまま、さも得意げに胸を張って即答する雷刃。
それを相変わらず冷めた眼で見下げながら、星光は穏やかに質問を続ける。


「誰も思いつかないような頭いい事言った、というしたり顔で言われても、それは別に賢いことではないのですから。
 むしろ執務官が所持するレベルのデバイスのクラッキングなど、並の技術者に出来ることではないですよね? 
 貴女にそんな技術があるわけでもないでしょうし。いったい誰をそそのかしたのですか?」

「心外だな。僕は何も違法なことはしていないし、別に誰をそそのかしたわけでもない。
 バルニフィカスを経由してバルディッシュのデータにアクセスすれば、普通に通れるんだよ。
 本当だから! だからルシフェリオン引っ込めて! ジャケットの負荷そろそろ限界だから! 中身はみ出ちゃうから!!」


それを聞いて、正座する雷刃の体ギリギリをじっくりと這わせていた、高出力の魔力がチャージされたルシフェリオンの手を止める星光。

あまりにも有り得ない回答ではある。
しかし、雷刃が嘘を言っているようにも感じられない。
雷刃は、とっさの切り返しで平然と嘘をつけるほど、性格は捻じ曲がっていない。
追い詰められた末の苦し紛れの嘘ならば、それこそ幼児のように目を逸らして冷や汗でもかきながらひねり出すため、すぐに分かる。


「でも、そんな馬鹿なことがあるはずが・・・」


可能性としては、無いとはいえない。

雷刃は、闇の書の残滓の構成素体に、フェイト・テスタロッサのデータが入り混じり生まれた存在である。
しかし、雷刃も、雷刃のデバイスであるバルニフィカスも、フェイトやバルディッシュは確固たる別の個体。
探索魔法や魔力スキャンなどでも、雷刃とフェイトが「同じ存在」と判断されることは無い。

ただ万が一、フェイトと雷刃、バルディッシュとバルニフィカスのデータに完全な共通部分が存在したとしたら。
そして、それが偶然にも個人やデバイスの個別認識コードにあたる部分だったとしたら。
両者の間には、デバイスが認識できる「壁」は存在しないことになる。

気になった星光は、自身のデバイスであるルシフェリオンを経由し、無許可でレイジングハートへとアクセスを試みた。
偽装手段は用いない、外部端末からメインメモリへの堂々とした直接アクセスである。
この場合、普段ならパーソナルデータの照合が行われ、それを通らない限りメモリにはアクセスできない。
機密事項が記録され、また、コントロールが失われることが生死に直結する戦闘用デバイスなら、なおさらである。


「・・・出来て、しまいましたね」


実にあっさりと、高町なのはのプライベートデータに触れることに成功してしまったのだ。

978 BJ 雷刃編 :2010/12/19(日) 15:23:03 ID:1.U8NeL.

無論、レイジングハートやバルディッシュが気付いて、フィルターの対象をこちらにも適用するだけで、すぐに解決する問題だ。
こちらからフィルターをかけても、同じように問題は解決するだろう。

面白い状況、ではある。
向こうが気付かない限りデバイス内部の情報は読み取り放題だし、戦闘中に相手のデバイス機能自体をロックすることすら可能だろう。

ただ、星光は別にこの状況を利用して、オリジナルではる高町なのはを殲滅しようとは思わない。
すでに心の中の整理は着け終わり、敵対や競合する存在ではないからだ。

同時に、向こう側からこちらのデータを見ようとすれば、同じように素通しであるわけだし。
対立を望まない以上、すぐにでもこの問題をオリジナルの彼女らに話し、解決することに越したことはないだろう。

そして、話し合うならば、雷刃が持ち出したデータの全容を把握してから出ないとまずい。
万が一管理局の機密事項を持ち出し、それを人目につく場所に保存などしていたら、間違いなく軌道留置所送りである。

いや、雷刃がどうなろうとかまわないのだが、星光本人も共犯と見られる可能性がある。
現に、その気はなかったとはいえ、レイジングハートの内部に侵入したという実績が出来てしまったのだ。
さすがに、うかつすぎる軽率な行動だった。


「なるほど。ところでデータにアクセスできることは、フェイト本人に伝えましたか?」

「ん、なんでそんなこと確認するんだ? ノーチェックで通れる以上、フェイトも了解してるはずだろ」

「・・・データの閲覧は、いつごろから行っているのですか?」

「気付いたのは最近だよ。まだ半月くらいだな。出来るってフェイトも教えてくれればいいのに」

「では、最後の確認です。閲覧した事項は後でチェックするとして。そのバリアジャケットのほかに、外に持ち出したデータはありますか?」

「うーん。あとは同じようなバリアジャケットのデータが2つかな。ほかには面白そうなものはなかったし」

「では、そのデータを開示・・・は、チェックが面倒ですね。
 持ち出したのがバリアジャケットのデータのみなら、そのバリアジャケットをここで装着してください。
 そうすれば、見ただけでデータの内容は把握できますから」

「・・・あー、うん。えーっと・・・ねぇ」


それまで星光の質問に平然と答えていた雷刃が、急に口ごもった。
それだけではなく、妙に顔を赤らめてうつむき、胸の前で指先を絡めてごにょごにょとこねだす。


「何か、ためらう理由があるのですか?」

「いや、その・・・ちょっと、あのカッコをするのは・・・」

「そうですね。・・・貴女には、限りない選択の自由があります。
 質問に答える。バリアジャケットを纏う。首だけになる。首から下だけになる。右腕・・・」

「分かったから! するから! マジでルシフェリオン引っ込めて! 放出魔力の焦点合ってるって! もぅおでこから煙があぁぁ!!」

「分かればよろしいのです。では、お願いします」

「うぅ・・・あんまり見ないで・・・」


そう言うと雷刃は、前かがみになって両腕で自分の体を隠すような仕草をとりながら、バリアジャケットを変形させた。

979 BJ 雷刃編 :2010/12/19(日) 15:23:42 ID:1.U8NeL.

体を包んでいた白色のマントが魔力の光の粒子となって消滅し、袖の無い薄い衣装が現れる。
内部に纏っていた黒色のスーツやミニスカートまでもが、溶けるように消えた。

「なんとまあ・・・」

推移を見ていただけの星光も、思わず絶句する。
現れたのは、袖なしの競泳水着のようにぴったりとした、スカートすらないインナー状態のバリアジャケットだ。


「・・・見たところ、防御力を捨てて高速戦闘に特化したスタイルのようですね」

「うん・・・でもここまで生地を薄くしたり、肌を露出させる必要は無いと思うんだ・・・」


立ったまま腰を引いて出来るだけ体を丸めた上、さらに両手で体を覆い、星光の静かな観察眼から少しでも隠そうとする雷刃。
顔どころか喉元まで、羞恥で肌を赤らめている。


「なるほど。
 最近フェイト・テスタロッサがバリアジャケットを新調したのは、年甲斐も無く肌を晒すのにやっと抵抗感を感じるようになったからだと思ったのですが。
 その認識は大きな誤りだったようですね。」

「・・・もぅいいよね。もぅ着替えて、いいよね? さすがにこの格好は恥ずかしすぎる・・・」

「見れば分かるといったでしょう。逆に言えば、細部まで視認できなければ分かりません。
 背筋を伸ばして。隠さないで手を下ろして、後ろで組んで。
 あと、陰になっている鼠蹊部のバリアジャケットの状態も余さず確認したいので、少し足を開いて股間を突き出してください」

「き・・・君は大丈夫なんだよね? タカマチやフェイトやクロノみたいなヘンな性癖を持ってないって信じていいんだよね?
 ヤガミみたいに問答無用で揉んだり、シャマルみたいに陵辱や調教が趣味だったりしないよね?
 僕はこの場で貞操の危険とか考えなくてもいいんだよね?」

「そのあたりの廉恥の無い連中と一緒にされるのは正直業腹ですが、状況が状況だけに聞き流しておきましょう。
 さ、内容をスキャンしますから、じっとしていて」


そう言うと星光は解析の魔法を込めたルシフェリオンの先端を、ゆっくりと雷刃のバリアジャケットの上に這わせていく。
雷刃は硬く目を瞑ったが、肌を這うルシフェリオンを介して星光に「視られている」気配は、ことさら羞恥心を煽る。
やがて精神の限界に達した雷刃は、涙すら浮かべて懇願を始めた。


「うぅ、もう・・・勘弁してよ。僕が着てるのを見なくても・・・データのほうを確認すれば、いいじゃ・・・ないか」

「先ほども言いましたが、その方法ではデータ確認の手間が馬鹿になりません。
 料理のレシピだけ見てもそこから正確な味を認識することは難しいのと同じですね。
 実物を目の前にして測定するのが、一番の近道なのですよ」

「ちょ、股のところ・・・当たる、当たりそう、気をつけてってば!」

「貴女が動くからですよ。ルシフェリオンとバリアジャケットの距離は変わらないのですから」

「いや、ちょ、それ明らかに押し当ててるから! ぐりぐりされてるから! 勘弁して、いやー!!」

「まあ私に高町なのはやフェイト・テスタロッサのようなその気はないですが、ちょっと楽しくなってきたのは秘密です」


と、ひとしきりの騒ぎの後。
精も根も尽き果てた雷刃はぐったりと床に倒れ付し、逆に知的探究心とわずかな嗜虐心を満たした星光は、つやつやとした様子で重ねた本を椅子代わりに座り込んだ。

980 BJ 雷刃編 :2010/12/19(日) 15:24:25 ID:1.U8NeL.


「はい、終わりましたよ」

「うぅ・・・もうお嫁にいけない・・・」

「そんな事を言っても、フェイト・テスタロッサはそれを実戦使用することを想定しているわけでしょう。人前でそれを着ることが前提のはずですよね」

「あんな露出狂と一緒にしないでほしいんだ・・・このカッコで人前に出るなら、全裸に仮面のほうがマシだよ・・・」

「では、全裸に仮面で外に行きましょうか。今の時間なら、繁華街は夜になりますかね」

「うん・・・僕はもうもう疲れたよ・・・眠らせて何もかも忘れさせてよ・・・」

「まあ、悪ふざけが過ぎたことは謝罪します。さっさと最後の確認を済ませて終わりにしましょう」

「最後?」

「はい。あなたが持ち出したバリアジャケットデータは、あとひとつあったはずでは?」

「あ、そうだったね。でもあれは確認する必要があるのかな?」

「というと?」

「うん、ダウンロードしてみたけど、作りかけだったのかな。戦闘じゃあ使えない、プログラムの骨組みみたいなものだったよ」

「しかしどのようなものであれ確認は必要ですね。着替えるのに抵抗がないなら、さっさと着替えてください。それで終わりましょう」

「だね。・・・僕はもう、帰ってお風呂入って寝ることにするよ。結局カッコイイって言って貰えなかったし・・・」


重い体を床から剥がすように立ち上がると、雷刃はだるそうな仕草で最後のバリアジャケットへと交換する。

体にぴったりとした薄手のバリアジャケットは姿を消し、変わって、ややゆったりとした黒地のスーツにミニスカートが形成される。
ちょうど、最初のバリアジャケットから体を包む白いマントを取っただけのような姿だ。
異なるのは、かっちりとした厚手の布地ではなく、ドレスのように薄手のふわりとした生地であることくらいだ。


「ふむ。先ほどの汎用バリアジャケットの試作型というか、魔力を抜いたフレームのようですね。確かに、実戦想定はさせていないかも・・・」


星光は思ったことをそのまま口にした。

不思議なことに、戦闘を想定したような魔力構成は感じられない。
むしろ、これから様々な魔力を上乗せしていくための基礎になる、調整用の素体データなのかもしれない。
プログラムの骨組み、と言った雷刃の言葉が案外的を得ているのかもしれなかった。


「だよねー。ぜんぜんデータ乗せてないし。ほら、防御力もなくてこんなに軽い」


雷刃はそういうと両腕を広げてくるりと体を回転させた。
バリアジャケットがその動きに従って、ひらりと舞う。


「・・・!!!」

「おや・・・?」


その動作の途中、急に何かに気づいたように雷刃は腕を抱えて縮こまり、しゃがみ込んだ。
まるで、先ほど露出度の高いバリアジャケットに着替えさせられた際の、羞恥で体を隠す仕草だ。

「み、み、み、み、見た? 見たよね!? でも見てないと言って!! お願い、僕の精神の安定のために!!」

「別に私も貴女の薄い胸やアナルを見る気はなかったのですが」

「よりにもよってアナル言うな! ちょ、これなんだ!? 全身に切れ込み入ってるし!!」

「正確には、『細長い布をわずかな魔力で張り合わせて衣服の形にしたもの』ですね。
 動作に合わせてあちこちの合わせ目が開いて、体のどこかが布の合わせ目から覗く仕組みのようです。
 しかも今の動きを見る限り、計算し尽くされた扇情的さ。
 方向性はともかくとして、とんでもない技量に裏打ちされた、職人芸の域ですよ」

「フェイトってこんな技術の積み重ねがあったの!? 無茶苦茶ヤな人間国宝だよ!!」

「・・・あくまで推測ですが、この手のデータを偏執的に蓄積するなら、義兄の方の気がしますけどね。
 おおかた、そっちが手作りしてフェイト・テスタロッサに着せるためにデータを渡したのでしょう」

「うー。あの緊迫趣味の提督といいその義妹といい、つくづく執務官というのは業の深い人間にしかなれないもんなのかな・・・」

「そのあたりは不問にしておきましょう。深く突付くと、必ず蛇が出る暗闇ですから」

981 BJ 雷刃編 :2010/12/19(日) 15:25:10 ID:1.U8NeL.


後日。これらのデータの件で管理局に赴いた星光と、それを出迎えた高町なのはが、建物を半壊させるほどの死闘を繰り広げたのは、また別の話。

唯一居合わせた第三者である、マリエル・アテンザ技術官の証言によれば、両者が席に着いた際、星光が高町なのはの前で

「貴女も、無限書庫の司書長を誘惑する際には、意外と破廉恥な衣装で出迎えるのですね」

という台詞とともに、とても説明できないほどふしだらなバリアジャケットを10歳の外見年齢の体に装着。
それを見た高町なのはが顔を真っ赤にして抜き打ちの砲撃を放ったのが、開始の合図だったという。

982 くしき :2010/12/19(日) 15:26:24 ID:1.U8NeL.
以上でした。
エロは難しいです。

では、失礼しました。

983 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 17:21:52 ID:mdjYofzU
GJ!!
でもフェイトで慣れちゃってて
「新しいバージョンのバリアジャケット?…なのははフェイトみたいな高速戦闘できないんだからやめなよ」(平然
って反応されて orz しちゃうなのはさんが見えた
今回の事を聞かされて凹んで「私変じゃないよね?」「…変じゃないと思ってたの?」って2度凹みするフェイトさん


まあ、要するに「歳と他人の目を考えなさい」って事なんだろうけど、周囲が周囲だったんだろうなぁ
Asまでのクロノのバリアジャケットも今考えると厨っぽいし…
バリアジャケットって不可視でも何でも良いんだからシックな感じに纏めりゃいいものを…

984 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 17:36:58 ID:5voI57Yk
GJ
雷刃すら恥じらうとは……フェイト……恐ろしい子!

985 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 18:00:31 ID:amhYJybs
リポーター「ハラオウン執務官のバリアジャケットが問題になっているとの事ですが、一言お願いします」
アルフ「あれでも随分大人しくなったんだよ」

986 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 19:14:20 ID:hidAZCo2
>>903
つまり、
クロノ「なーな! なーな! なーな! なーな!」
こういうことか?

987 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 21:17:55 ID:3azbBlys
>>982
これは良い雷刃GJ!
羞恥心って萌えに大事な要素って再認識した

けど自分がエロいって自覚してないフェイトそんも大好きです

988 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 22:09:08 ID:2OASdN0o
バリジャケとか仕事に使う装備は審査とかありそうに思うんだが、
審査通らんようなヤバゲなプラントとかもあったんだろうな、きっと。

989 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 22:22:30 ID:.gP5RPuY
多分、風紀委員みたいな審査担当の女性職員とかいるんだろうなw
「申請のバリアジャケットですが、スカート丈が2cm局の規定より短く却下されました」とか
「角度的にパンチラするので」「脇からのぞいたら乳首見えるでしょうJK」とかで却下されまくって、
日々風紀の部署と戦うフェイトさん

990 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 22:30:29 ID:2OASdN0o
そして蓄積される服飾系のノウハウか…

991 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 22:30:37 ID:C5UO/JLU


>>986

カズヒラてめぇwwww

992 名無しさん@魔法少女 :2010/12/19(日) 23:31:49 ID:KhIJPhcY
>>989
局の規定と戦い続けた結果があのBJか…
むしろアサルトFのが対規定用のフェイクでソニックFが規定スルーの本命か?

993 名無しさん@魔法少女 :2010/12/20(月) 01:30:34 ID:cXHCeomE
恋するヴィータはせつなくて

994 名無しさん@魔法少女 :2010/12/20(月) 09:08:17 ID:qygBt2Bk
フェイト著・八神はやて個人出版
「あなただけのバリアジャケット入門・管理局編」
みたいなのが管理局の購買部で売られてるわけか。
どのラインがギリギリアウトなのかを、筆者の長年の経験をもとに語られている。
文章中で「筆者の経験から言えば〜」とか、「〜こそが、管理局の規定との戦いの際、重要になるのである」
とかホーリーランドみたいに解説が入るw

995 101スレ522 :2010/12/20(月) 22:29:46 ID:CBMURGxc
久しぶりになりますが書いたので埋め立てのために投下します。
ヴァイス×シグナムで微エロで寸止めです。

996 お見舞い 01 :2010/12/20(月) 22:31:29 ID:CBMURGxc
「シグナム!」
「ヴィータとシャマルか、どうした?」
「どうしたもこうしたもあるかよ。 聞いたぞ、ヴァイスのこと」
「大変なんだってね」

何が大変かというと任務の途中で事故に巻き込まれてヴァイスは現在入院中。
ケガは医療魔法によって完治したのだが、そもそもの原因が仕事の疲れが溜まっていたせいなので半強制的に入院という形になってしまったのだ。

「まったく、自己管理がなっていない証拠だ」
「そう言うなって。 どうせおまえとの時間を作るためにガンバってたんだろ?」
「う゛……」
「はいはい、ご馳走様。 そんなわけで私たちからのお見舞いの品」

仕事の都合上、お見舞いに行けないシャマルたちから紙袋を受け取るシグナム。
普通なら気の利く同僚に感謝の言葉を述べるのだが目の前の二人はなぜかニヤニヤしているではないか。
一抹の不安を感じたシグナムが中身を確かめるとHな本が数冊入っていた。

「なんだこれはぁぁぁぁああああぁぁああ!」

スパーンと床に叩きつけるシグナム。
対する二人はというと完全に噂好きな主婦と化す。

「だって男の入院生活だぜぇ?」
「溜まる物も溜まるわよ、絶対に」
「そんな心配はしなくていい!」

ビキビキっとなってシグナムが激昂する。
そんな瞬間湯沸かし器なところがからかい甲斐があるのだが……

「あ―――っと、溜まったらシグナムが抜いてやればいいんだったな」
「そうそう。 恋人同士なんだからそのぐらい当然ね」
「となると見舞いの品を間違えたか」
「こうなったらシグナムにリボンをつけて渡そうか」
「そりゃいいや、どうぞご自由にお使いくださいってな」
「お、おまえたち……」

相当いじり甲斐があるらしくどんどんエスカレートしていく。
だがシグナムが禍々しい魔力を発しているのに気づいた二人はカミナリが落ちる前に逃げた。

「ヴァイスのヤツによろしくな!」
「優しくしてあげなさいよ」

997 お見舞い 02 :2010/12/20(月) 22:34:59 ID:CBMURGxc
進退は風の如く、シグナムと床に散らばったHな本だけが取り残された。
それをわざわざ片付けながら愚痴をこぼしていると今度ははやてとリインフォースⅡがやってきた。
目的は先の二人と同じ。

「ごめんなシグナム、ヴァイス君のこと」
「いえ、お気になさらないでください。 任務に危険は付き物ですし、怪我はすでに治っています」
「ありがとな。 そんなわけでこれ、お見舞い」
「リインが選びましたです」
「ケーキか。 わざわざすまないな、リイン」

ケーキの箱が入った紙袋を受け取るシグナム。
さっきの二人とは大違いだなと、思わず笑みがこぼれる。
用を済ませるとはやてとリインは忙しいらしく、仕事へと戻ることとなった。

「ヴァイス君によろしゅうな」
「ゆっくり休んでくださいです」

シグナムは二人を見送りながら紙袋の中にケーキの箱以外の物が入っているのに気づいた。
思わず手に取ったそれにはTE○GAという商品名が書かれていた。

「これは……?」

これこそが某世界の変態国家で好評発売中の一人遊び用のオモチャである。
そのことを知らないシグナムだが、なんとなくイヤな予感がしたのでHな本と一緒にゴミ箱に捨てた。

「入るぞ、ヴァイス」

ノックをしてから断りを入れ、その後にドアを開けるシグナム。
野郎の部屋に入るのだからわざわざ手順を踏まなくてもいいのだが、そこは性格が色濃く出る。
中に入ると真っ白なベッドと太陽の光が差し込む明るい部屋という、病室とはどこの世界も一緒であった。

「姐さん、今日もスイマセンね」
「謝ることはないだろう。 そもそも私たちはつつ、つ……っ付き合っているのだから当然ではないか」

普段は凛々しいシグナムだが、男女の仲にはいまだに不慣れなせいで初々しさがまだ残る。
ヴァイスもそんなところがお気に入りで突っ込みたいのだが、シグナムが持っている紙袋が気になるところ。

「それは?」
「ああ、これか。 主はやてとリインからお見舞いだ」
「うわ、八神部隊長とリイン曹長から……なんだか申し訳ないですね」
「だったら早く退院して元気な姿を見せてやることだな」
「もう十分元気なんですけど」

ケガも治って仕事の疲れも取れているのに大事を取って入院中で退屈な日々を送っているヴァイス。
楽しみといえばお見舞いに来てくれる人と会うのとシグナムと二人きりの時間が出来たぐらいだろう。
そのシグナムはテーブルの上におかれた紙袋を見つけた。

998 お見舞い 03 :2010/12/20(月) 22:37:10 ID:CBMURGxc
「これは?」
「ああッ、姐さん……そ、それはダメ……」

ヴァイスの慌てようと、持った感じがヴィータたちの紙袋の重さと同じことからえらく不機嫌な顔になって確かめるとやっぱりだった。
言い訳によると整備班の男衆たちからのありがた〜い土産だそうな。
しかもはやての見舞いと同じT○NGAと書かれたモノがゴロゴロ入っていて、使い方がわからないシグナムは思わず聞いてみた。

「ヴァイス、これは一体何だ?」
「え゛っ……それは、その……」

返答に困るヴァイス。
それもそのはずで、シグナムが握っている物体は恥ずかしい一人用の道具だ。
なるべく直接的な表現は避け、遠回しに遠回しに説明して、シグナムがついに正解へと辿り着くと瞬間湯沸かし器がピーっと鳴った。

「何を考えているんだ貴様は!!」
「いや、だからそれはオレが買ったんじゃなくて……」

退院が長引きそうなくらい引っ叩かれて涙目になるヴァイス。
まったくこの世は理不尽だらけであり、不幸はさらに彼に降り注ぐ。

「と、とにかくこれは没収だ!」
「ええッ、そんな……」
「何か文句でもあるのか」
「なんでもないです……」

ギロリと睨みを入れると身の危険を感じたヴァイスの心が折れた。
グラビアのモデルがシグナムに似ていたからなどとは本人を前にして言えるはずがない。
処分されるお宝を未練がましい目で見ていると流石にシグナムも気づき、ヴィータとシャマルの言葉を思い出させる。

『だって男の入院生活だぜぇ?』
『溜まる物も溜まるわよ、絶対に』

難しい顔で真剣に悩むシグナム。
たちの悪いジョークかと思っていたが、今になってなぜか真実味を帯びてきた。
しかもここには甲斐甲斐しくお世話をしてくれる美人のナースたちをボタン一つで呼び出せるというステキな環境である。
従って……

『すっかり元気になりましたね、ヴァイスさん』
『ええ、おかげさまで。 でも……元気になりすぎたところもあるんですよ』
『あらあら、しょうがないですね。 それじゃあすぐに済ませますので、楽にしてくださいね』
『お願いします(*゜∀゜)=3』
「そんなことさせるかぁぁぁあああぁぁああ!!!」
「うわわッ……姐さん、どうしたんですか?」

突然叫ぶシグナムにヴァイスが驚いた。
しかも見えない何かと戦ってきたかのように肩で息をするシグナムに怖くて声をかけられない。
そんなわけで鬼気迫る顔のシグナムに睨まれるとあそこがきゅっと縮こまった。

999 お見舞い 04 :2010/12/20(月) 22:40:36 ID:CBMURGxc
「……なあヴァイス」
「な、なんでしょうか姐さん」
「………………お、男というのはその…………た、たたた、溜まると我慢できないの…………………………か?」
「はいいい?」
「だ、だから、そういうのは、定期的に処理しておいた……方が……いいのかと……ききき、聞いている!」

真っ赤な顔で真剣に聞いてくるシグナムに呆然となるヴァイス。
だがここで「何をアホなことを言っているんですか」と諭すのは簡単だと頭が回り始める。
これはひょっとしたら―――と邪な考えが働くのも若い男なら当然だろうし、願ってもないチャンスである。
凛々しい姐さんにご奉仕してもらえるのなら我が生涯に一片の悔いなしと昇天してもいいだろう。
そんなわけでヴァイスは千載一遇のチャンスを物にすべく突っ走る。

「はい、そうです」
「やはりそうなのか……な、ならそれは私がするべきなんだろうな」
「はい、そうです!」
「つつつ、付き合ってるから当然だな!」
「はい、そうです!!」

こうまで簡単に騙せるとは……と、ヴァイスは逆に心配になってきた。
恥じらいながらも誇らしげに胸を張るシグナムを見ていると罪悪感が沸いてくる。
だがここでやめたら一生後悔し続けるだろうとヴァイスは自身を奮い立たせる。

「じゃ、じゃあ姐さん……お願いできますか?」
「ももも、もちろんだ!」

そんなこんなでベッドに座って下半身素っ裸のヴァイスとその前にしゃがみ込むシグナム。
こうしてまじまじと見るのは初めてで、シグナムはゴクリと喉を鳴らした。
しかしいざ事を始めようとしてもそのへんの知識も経験も無いから自然とヴァイスに聞くようになり……

「ヴァイス……すまないがこういうのは初めてなんだ……ど、どうすればいいのか教えてくれないか?」
「え……じゃ、じゃあ挟んでください!」
「は、挟む!?」
「はい、わからないところはオレが教えますんで姐さんは心配しなくていいです」
「そ、そうか、そうだな……では頼むぞヴァイス」
「任せてください!」

無理やりな感じは否めないが勢いだけで押し通すヴァイス。
生きててよかったと神様に感謝しつつ、さあお楽しみタイムの始まりだ―――というところで悲劇は起きた。

「やっほー、ヴァイスさん! お見舞いにきたよ」
「ちょっとスバル! ノックぐらいしなさいよ」
「こんにちは」
「あの、おケガは治りましたか?」

スバル、ティアナ、エリオ、キャロの四人が賑やかに登場。
だが一転して時が止まる。
予測不能な事態に全員の頭が追いつけない中、おっぱいを寄せているシグナムだけが頬を引き攣らせてなんとか声を絞り出した。

「お、お、お、おまえたち……」
「お、お、お、お邪魔しましたぁ!!」

全力で逃げ出した四人。
Hな本、怪しげな道具、ヴァイスとシグナムがいたしているいかがわしいこと見れば答えは一つ。
その後、病室では身を切り裂くほど哀しい女の叫び声が聞こえたという……

「ヴァイス、おまえを殺して私も死ぬ!」
「ちょ、ちょっと待って姐さん! 落ち着いて……」
「後生だ、私と一緒に死んでくれぇぇぇええええぇぇえぇえぇ!」

1000 お見舞い おまけ :2010/12/20(月) 22:41:31 ID:CBMURGxc
「あの、ティアさん」
「どうしたのエリオ?」
「ヴァイスさんの病室にこんなものが落ちていたんですけど、何に使うんでしょうか? TE○GAと書かれていますが」
「えっ、そ、それは……ごめんエリオ、私にも使い方はわからないわ、知らないの、本当に……」
「アタシ知ってるよ! それはねエリオ、男の子が使うオモチャでね……」
「やめなさいバカスバル! エリオもそんないやらしいモノは捨てなさい!」
「なぁんだ。 ティアも使い方、知ってるじゃん」
「う゛……」
「エリオくんエリオくん」
「なに、キャロ?」
「私、知ってるよ使い方。 教えてあげるね」
「え?」
「え?」

―――END




■ したらば のおすすめアイテム ■

ドアノブ少女【通常版】 - 吾嬬竜孝(企画・撮影)


この欄のアイテムは掲示板管理メニューから自由に変更可能です。


掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板