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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第100話
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魔法少女、続いてます。
ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所の2スレ目です。
『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
・オリキャラ
・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)
『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。
【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
読み手側には読む自由・読まない自由があります。
読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。
『注意情報・臨時』(暫定)
書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。
前スレ
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第99話
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1243670352/
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冬コミ楽しみだ
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>>948の言う「限界」ってレス数が直に1000に達することを指してるのかと思ったw
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>>952
え? そうだろ?
それ以外の何が。
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>>953
>>949の反応からして違う解釈で話が進んでるものとばかり思ってたわ
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いやスマンw俺が間違えてたわw
しかし1スレ消費に4ヶ月近くかかったのは初めてだろうね(容量の制限がないとはいえ)
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>>955
去年まで学生だった人が、社会人になったんですかね?
書く時間が少ないのは辛いです。
投下いきます。
注意事項
・sts再構成
・非エロ
・オリ展開あり
・基本的に新人視点(例外あり)
・後半はずっとレジアスのターン
・レジアスによる六課(と本局)の酷評あり
・タイトルは「Lyrical StrikerS」
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第9話 「たいせつなこと」A-part
別に力を誇示したかった訳じゃない。
ただ純粋に、強くなってみんなの助けになりたいと、そう願っての秘密訓練だった。
強くなりたい、その思いに間違いなんてないはずだ。
もっと強くなれれば、色々なことができる。みんなの負担にならずに済む。
なのに、その思いは白衣の教導官によって完膚無きまでに踏み躙られた。
その行いは間違いだったと。
費やした時間は間違いだったと。
勝手に無理をして、何の相談もなしに教導にはない戦術を訓練へ持ち込んだ。
それは責められて当然の行為かもしれない。けれど、目の前の光景はあんまりだ。
射撃魔法の直撃を受けて意識が朦朧としているティアナに向けて、なのはは駄目押しの一撃を放とうとしている。
勝手な行動をしたから、危険な真似をしたから、なのはは制裁だと言わんばかりに、感情のこもらない冷たい声音で撃発音声を告げる。
優しかった憧れの人の変貌に、心がどす黒いもので塗り固められていくような錯覚を覚えた。
ティアナは必死で強くなろうとしていた。失敗を取り戻そうと、二度と誰も傷つけまいと、
少ない自由時間を切り詰めて訓練に明け暮れた。
その時間が無意味だったというのなら、それは彼女の思いを踏み躙る行為だ。
結果がどれほどの間違いであったとしても、その方向性がどれだけ歪んでいたのだとしても、始まりとなった思いに罪はないはずだ。
強くなりたいという願いに、間違いはないはずだ。
その無垢な思いまで否定されようとしている。そう思うと、堪らなく心が冷たくなった。
そして、気がつけば自分の内に封じていた力を解放していた。
その力は体を拘束していたバインドを容易く分解し、自由の身となった四肢は解き放たれた獣の如くウィングロードを疾走。
無我夢中で振りかぶった拳は憧れの人のバリアジャケットを苦もなく破壊し、その向こう側に位置する無防備な脇腹を殴りつけていた。
驚愕するなのはの表情。
冷え切った思考が熱を取り戻し、自分が仕出かしたことの重大さに言葉を失う。
意識はそこで途切れ、視界は深い闇へと堕ちていった。
だが、気を失う寸前、深い後悔が襲ってくる。
自分は、憧れの女性に拳を上げてしまったのだと。
人に向かって、忌み嫌っていた破壊の力を振るってしまったのだと。
□
気がつくと、そこは見知らぬ天井だった。
いや、見慣れぬ天井と表現すべきだろうか。
白い壁に白い証明。天井近くに備えられた渡り廊下。
所狭しとならぶ検査機器と繋げられた自分の体。
ここはクラナガンの最先端医療センターだ。こと医術という観点から見れば、恐らくは管理世界最高峰と誉れ高い病院である。
自分と姉は、幼い頃からここの病院に世話になっていて、今でも定期的に検診を受けている。
だが、何度も見てきたはずのこの光景は、いつまで経っても慣れることができなかった。
自分が周りとは違うのだと自覚する瞬間。愛してやまないこの世界から、取り残されてしまったかのような孤独感。
スバルはそれが、堪らなく嫌だった。
『目が覚めた?』
スピーカー越しに、柔和な女性の声が聞こえる。
陸士108部隊で働いている姉の声だ。仕事を抜け出してきたのか、それとも既に帰宅の時間なのか。
何れにしても、酷く心配をかけてしまったようだ。聞こえてくる声音は必死で、バツの悪い緊張が身を固くする。
『スバル? どうしたの、どこか痛いの?』
「ううん、何でもない。すぐ、そっちに行くよ」
体に取り付けられたコードを毟り取り、一糸纏わぬ半身をゆっくりと起こす。
足の裏に伝わるひんやりとした感覚に背筋が震え、思わずスバルは身を捩った。
(腕はちゃんと動く。感覚は……………問題なし)
適当に四肢の具合を確かめながら更衣室へと向かい、綺麗に折り畳まれていた陸士の制服に袖を通す。
あんなことがあったせいか、着慣れた制服もどこか着心地が悪い。
自分は本当に、この制服を着ていて良いのか。人を傷つけてしまった自分は、あの忌まわしいガジェットと同じ存在なのではないのか。
そんな出口の見えない問いに悩まされながら、スバルは姉の待つ渡り廊下へと向かった。
「スバル……………」
久し振りに再会した姉の不安げな表情を見て、スバルは反射的に目を逸らしてしまう。
だが、ギンガは何も言わずに抱きしめてきただけで、何があったのか問い詰めようとはしなかった。
押し付けられた胸の柔らかさと仄かなシャンプーの香りが、今は亡き母の面影を連想させ、
それが逆にスバルの胸中をどうしようもないくらいかき乱す。黙っていては涙を見せてしまうと思ったスバルは、
思わず姉に問いかけてしまった。
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「何も、聞かないの?」
「スバルが聞いて欲しいのならね。けど、話しにくいことなんでしょう? スバルのお姉ちゃんなんだもの、見ればわかるわ」
微笑みながら、ギンガはコツリと額を小突く。
嘘だ、とスバルは思った。
本当は誰よりも事の真相を問い詰めたがっているのに、彼女はそれが自分のためにならないと思って我慢している。
自分達はもう一端の管理局局員なのだから、自分の身に起きた問題は自分で解決するべきだと、ギンガは考えているのだ。
そんな姉の優しさが、今のスバルには堪らなく重荷だった。姉に心配をかけただけでなく、自分の力を他人に振るってしまったことで、
姉の信頼を裏切ってしまったと、スバルは考えているのだ。
「ギン姉、あたし……………いったい、どれくらい………………」
「半日くらいらしいわ。ここしばらく、寝ていなかったでしょう? いくら体が頑丈だからって、物事には限度があるのよ。
今回は、ケガらしいケガがなかったから良かったけど、睡眠不足は不注意のもとなんだから」
「ごめん、ギン姉…………」
「私より、六課のみんなに謝りなさい。迷惑をかけたと思うのならね」
姉にたしなめられ、スバルは無言で顔を俯かせる。
自分達が悪いということは頭で納得しているし、そのせいでみんなに迷惑をかけたことも理解している。
けれど、釈然としないシコリが胸の内にあった。
自分達がしたことは、どこまでが悪かったのか?
強くなりたいという思いすら間違いだったのか?
その問いの答えが見つからず、スバルはいつものように笑うことができなかった。
□
医療センターを出たスバルを待っていたのは、意外な人物であった
その女性は公用とは思えないごついジープの車体に寄りかかりながらこちらに手を振っており、
それに気づいたギンガが静かに一礼を返す。
1人だけで来たのか、いつも一緒にいる小さな妖精の姿は見えない。
「調子はどないや、スバル?」
「八神部隊長?」
「はやてさん。すみません、ご迷惑をおかけして」
「気にせんでええよ、スバルは大切な私の部下なんやし。それに、今は一仕事終わらせた帰りや、もののついでって言うんかな?」
人懐っこい笑みを浮かべながら、はやては後部座席の扉を開ける。
隊舎まで送っていくと、言っているようだ。そういえば、自分が気絶した時は訓練着を着用していたはずなのに、
医療センターの更衣室には陸士隊制服しか置いていなかった。まさか、はやてがわざわざ持ってきてくれたのだろうか?」
「ギンガはどないする? 何やったら、途中まで送っていくけど?」
「すみません、2ブロック先の駐車場で主任が待っているんです」
「そうか、引き留めてごめんな。ナカジマ三佐やカルタス主任にもよろしくと伝えておいてや」
「はい。スバル、後でお父さんにもメールするのよ。お仕事で来れなかったけど、凄く心配していたんだから」
スバルの頭を優しく撫でると、ギンガは小走りでその場を後にする。
去り際の姉の微笑みが意味もなく切なさを呼び起こし、目尻に熱いものが込み上げてくる。
自分達の起こした行動の結果。それがたくさんの人に迷惑をかけたことを改めて思い知った。
「ほな、行こうか。みんなも心配していたで」
「はい……………あの、部隊長」
「体のことやったら、安心しい。まだ誰も知らんと思うよ」
「ありがとう…………ございます」
静かに頭を垂れ、後部座席へと乗り込む。
少し遅れてはやても運転席に乗り込み、重いギアチェンジの音を響かせてエンジンが始動する。
ゆっくりと窓の外の景色が動きだし、夜の街が背後へと消える。
水の中に沈んでいくかのような独特の感覚。暗闇に輝く街灯を見ていると、まるで自分がこの世界から
切り離されたかのような寂しさを覚えてならない。
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「あの…………訓練はどうなったんですか?」
「スバルが気絶して、そのままお開きや。ティアナも医務室で休ませなあかんかったし、なのはちゃんも………………」
「なのはさんも?」
「…………何でもない。他にも色々とあったけど、スバルが気にすることはないよ」
「ティアは? ティアは大丈夫なんですか?」
「なのはちゃんの訓練用魔力弾は優秀やからね、元気にしているよ。けど、2人ともしばらくは謹慎………ああ、これはやり過ぎか。
始末書くらいは書いてもらわなあかんかもしらんね。まあ、無茶は若さの特権や、失敗したのならそれだけ学べたことも多いやろ。
それを糧に、強くなっていけばええ」
「強くなる? でも、ティアは…………ティアは必死でした! 失敗を取り返そうと、必死で練習して、
新しい魔法も覚えて……………なのに、なのはさんは…………………」
脳裏に今朝の映像が蘇る。
憔悴し切ったティアナに感情を失ったかのような冷たい声音のなのは。
自分の体を縛り上げるバインドと親友を撃ち抜こうとする射撃魔法。
大切なものが目の前で、憧れの人に壊されそうになるという現実。
あの時に感じたどす黒い感情は、今でも忘れることができない。
「命令違反はいけないことで、ティアの無茶を止められなかったあたしも良くなかったと思います。
だけど、自分なりに強くなろうとするのとか、きつい状況でも何とかしようと頑張るのって、いけないことなんでしょうか?
自分なりの努力とか、そういうこともやっちゃいけないんでしょうか!?」
問いかけは、自然と叫びに変わっていた。
今、理解した。
自分があの時に抱いた感情は絶望と怒りだ。
強くて優しい、女神のような存在だと思っていた恩人の冷たい態度への絶望。
親友の思いを踏み躙られ、理不尽に傷つけられようとしたことへの怒り。
けれど、それは彼女に向けられたものではない。
あの状況を止めることができなかった、自分に対するものだ。
ティアナの無茶を力ずくで止めることもできた。
なのはに相談を持ちかけることもできた。
なのに、自分はそれをしようとしなかった。
心の奥底で、なのはに認めてもらいたいと思っていたからだ。
親友と一緒に頑張りたいなんてただの建前だ。どんな形でも良い、彼女に一人前と認めてもらいたかった。
だから、ティアナの無茶を助長するような真似をしてしまったのだ。そして、その行いが親友を傷つけてしまったこと、
恩人を失望させてしまったことを認められず、忌み嫌う暴力で全てをなかったことにしようとしたのだ。
なのはが発した言葉が、ティアナではなく自分を否定していると思ってしまったから。
はやてへの問いかけも、自分を正当化しようとするただの言い訳だ。
「何もかも言う通りにしなくちゃいけないのなら……………あたし達は、何のために………………」
「自主練習は良いことやし、強くなることへの努力は良いことや。けど、世の中にはやって良い無茶と悪い無茶がある。
スバル、自分が何で医療センターに担ぎ込まれたのか、よう考えてみ」
「そ、それは、あたしが気絶したからで…………………」
「ただの気絶やったら、医務室で事足りる。スバルの体は特別や、ちょっとやそっとの消耗で目立つような真似はさせへん。
けれど、あの時のスバルはこっちの言葉にも反応を返されへんかったし、治癒魔法を施しても目覚めへんかった。
シャマルの話やと、極度の疲労で体調を崩したのが原因らしい。その間、スバルは何ができた? 何もできへんかった。
訓練も仕事もできへん、スクランブルがかかっても出動できへん。一緒に戦うはずやったエリオやキャロの負担を増やして、
余計な苦労を課す羽目になる。スバル1人の穴を埋めるために、ティアナ1人の穴を埋めるために、色んな人に迷惑がかかる。
一局員として、体調管理を怠ることは言語道断や」
「……………………」
「ただがむしゃらに突っ走るだけじゃ、得るものよりも失うものの方が多い。
ホテル・アグスタでの誤射。あの時も、ティアナが無茶をしたから弾が逸れたって聞いた。
もしもなのはちゃんが間に合わんかったら? 撃たれたのが自分やのうて民間人やったら?
魔力を制御できずにティアナが自滅したら? そのせいで魔導師を続けられへんような後遺症が残ったら?
そんな無茶をせなあかん状況やったか? 切羽詰って無理をしなければ潜り抜けられへんほど、ギリギリの状況やったか?」
「違います! けど、あたしは……………ティアは…………………」
認めてもらいたかった。
肩を並べて、一緒に戦えると証明したかった。
もう誰も傷つけさせず、守れる力を手に入れたかった。
ただ、それだけだったのに。
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「ティアは一生懸命で、あたしも一緒に…………強くなりたくて。1人で無茶するより、2人で頑張れば、
辛いことも何とかなるって…………………認めて欲しくて…………………」
「そやな、1人だけで無理していたら、守れるものも守られへん時だってある。
無茶も我慢も、度が過ぎれば周りに迷惑をかけるだけや。昔な、それで痛い目にあった娘を知っているんよ。
病気で死にそうな目にあっているのに、誰にも迷惑かけたくないってそれを隠して。けれど、みんなそれに気づいていてな、
治そうと必死になって動いてくれて、悪いことも一杯して…………………最後は、その娘のために家族の1人が犠牲になった」
「部隊長」
ルームミラーに映るはやての横顔が泣いているように見え、スバルは固く握り締めていた拳から力を抜く。
その時、スバルはこの謎の多い部隊長の内側を、ほんの少しだけ覗いたような気がした。
いつも陽気に笑い、楽しそうに友人や家族と語らう彼女の内には、とても言葉では言い表せないような深い悲しみがある。
今の彼女の横顔は、死んだ兄のことを語る時のティアナとよく似ていた。
ひょっとしたら、病気を隠したせいで家族を失った少女というのは、はやてのことなのではないのだろうか?
「レスキュー時代に、同じようなことがあったんです」
ふと、訓練校を卒業して前の部隊に配属されたばかりの頃のことを思い出し、自嘲気味に唇を吊り上げる。
「火の手が早くて、応援の到着が遅れて…………………だから、あたしは1人で飛び込んで、要救助者のところに行きました。
けれど、出口が焼け落ちちゃって、あたしも魔力切れを起こして……………………」
魔力は呼吸によって生成されるため、大気中の酸素量が減少する火事場では普段よりもリンカーコアの活動が低下する。
訓練校を卒業したとはいえ、まだレスキュー隊員としては新米だった自分はそれに対応することができず、
後から突入してきた上司が間に合わなければ要救助者と共に自分も焼け死んでいたかもしれない。
だが、その代償に上司は崩れ落ちた瓦礫で負傷し、全治3ヶ月の大ケガを負った。
人の命を預かる者が、決してやってはいけないミス。
浅い思慮、軽率な判断、確実性に欠ける行為。
それは誤射を起こしたティアナと何も変わらない。
あの出来事は、誰にでも起きえたことだったのだ。
「あの時、誤射をしていたのはあたしだったのかもしれないんですね」
或いは、エリオやキャロだったかもしれない。
なのはやフェイト、ヴォルケンリッターの誰かだったかもしれない。
自分に出来ることから逸脱した行為は、必ず誰かを傷つけてしまう。
痛みを堪えて無理をしても、何れは内側から壊れてしまう。
最後に待ちうける致命的な破滅を逃れるためにしなければならないこと、それはつまり…………………。
「泣けば良かった」
「頼るべきやった」
辛い、苦しい、嫌だ、見捨てないで、助けて下さい。
何でも良い、弱音だと罵られても良い、軟弱だと蔑まれても良い。
一言、助力を請えば良かったのだ。
何もかも自分達で抱え込み、誰にも相談せずに足掻こうとした。
だから、間違いにも気づかず猪突猛進に突き進んでしまったのだ。
チームであるということ、それを忘れてしまったから、自分達はみんなに迷惑をかけたのだ。
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「あたし、ちゃんとなのはさんと話します。謝って、あたし達はどうするべきだったのか、きちんと話し合います」
「そやな、それが一番や。私らもそう、もっとみんなと話し合わな。
同じ部隊で働く家族みたいなものなんやし、仲良くするのが一番やで」
どこか母性的な笑みを浮かべ、はやてはハンドルを切る。すると、遠くの埋め立て地に六課隊舎の黒い影が見えた。
たった半日しか戻っていなかっただけだというのに、酷く長い間、外に出ていたような気がする。
あの人に会ったら、まず何を話そう?
かける言葉は決めている。
告げる思いも決まっている。
だから、後はそれをぶつけるだけ。
言葉に乗せて、ただ真っすぐに。
だが、帰還したスバルを待ち受けていたのは、なのはとティアナによる無許可の私闘という、
淡い期待を無残にも打ち砕く理不尽な現実であった。
□
スバルが目を覚ました時間から遡ること数時間前、機動六課隊舎を1人の男が訪れていた。
濃いブラウンの髪に鋭い目つき。その目は獲物を狙う猛禽類のように周囲を警戒しており、
眉間にはまるで親の仇を前にしているかのように皺が寄っている。
今にも弾け飛びそうな恰幅の良い体は青い高官服に包まれ、歩く度に腹が揺れる様はある種滑稽であった。
だが、この場にいる誰一人として、彼を嘲笑う者はいない。
その男の名はレジアス・ゲイズ。
時空管理局地上本部防衛長官。正義に全てを捧げ、法の番人として地上の安全を守る防人だ。
今、彼は予てから予定していた、機動六課の査察へと赴いていた。
(ふむ、やはり若い局員が多いな)
畏まって道を開ける六課隊員達を横目に、レジアスは思う。
書類に記載されていた通り、機動六課はほとんどの部隊員が10代から20代で構成されている。
隊長陣を除けば武装隊としては異例ともいえる経歴の浅い局員が揃えられており、
部隊内の空気もどこか訓練校に似た緩いものに思えてならない。こちらが聞こえていないと思って、
背後でヒソヒソ話をしている女性局員達等、その良い例だ。若手にとっては居心地の良い部隊かもしれないが、
40年もの大ベテランであるレジアスからすれば、この風紀の緩みは些か気に障るものがあった。
さっきから頭痛が治まらないのも、きっとそのせいだ。
「如何されました、中将?」
傍らに付き添っていたオーリスが、無表情のままこちらを気遣ってくる。
我が子の鉄めん日に、少しは可愛げのある笑みの1つでも浮かべれば良いものをと不謹慎なことを考えてしまうが、
レジアスはすぐさま気持ちを切り替えて、周りに聞こえぬよう小声で返事をする。
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「何でもない。それよりも、何か本局を牽制するのに使える材料は見つかったか?」
「いいえ、色々と気になる部分はありますが、決め手には欠けるかと。
予算に関しては、大部分を部隊戦力の方に回しているようですね」
ここに来る途中で垣間見た輸送ヘリの着陸を思い出し、レジアスは唸るように眉をしかめる。
記憶が確かならば、あれは最新型のJF704式であった。まだ量産が始まったばかりで配備数の少ない最新鋭機であり、
本来ならば実歴のない新部隊が使用できるような代物ではない。他にも、限りなく現実に近い立体映像を用いた
陸戦用空間シュミレーター等、採算を度外視した実験部隊ならではの設備投資が多々見られる。
恐らく、これらは“少数精鋭”部隊のテストケースとして運用データを収集するために、1年という期間限定付きで許された特例なのだ。
だが、六課自慢の空間シュミレーターを初めて見た時のレジアスの感想は、決して好ましいものではなかった。
そもそも、本局と地上本部は書類の上では対等の関係にあるが、多くの者達は本局を地上本部の上位組織と見なす傾向がある。
各管理世界に支部を設け、単一の世界の治安維持を担う地上本部に対して、本局は次元航行艦を用いた次元世界規模での犯罪捜査や
各世界間で起きた揉め事の調整、ロストロギア事件への対処等、その活動範囲は余りに広く多岐に渡る。
また犯罪の規模や危険度も高く、1つの失敗が次元世界の崩壊に繋がりかねない事件も頻発する為、
本局は積極的な人材の発掘や育成に力を注ぎ、優秀な資質を持つ者は早い内からスカウトを行っている。
結果、実力のある者は地上本部よりも本局へ優先的に配属され、彼らの活躍に憧れた低ランク魔導師達も本局への所属を希望するようになる。
仮に機動六課のような少数精鋭部隊の有用性が証明されたとしても、地上本部にはそれと同じものを作り出せるだけの人的資源が存在しない。
本局からは『危険な戦力』、『過ぎた力』と批判されがちな地上本部ではあるが、レジアスからすればまだまだ戦力が足らず、予算も人員も少ないのだ。
もっと訓練に費やせる予算、兵器開発に費やせる予算、潤沢な人的資源があれば、機動六課のような本局所属の部隊の力を借りずに地上を守ることができる。
少なくともレジアスはそう考えており、使用状況が限定される対AMF訓練のノウハウよりもヘリや戦車を10台程融通してくれた方が、
遙かにありがたいというのが本音であった。
そもそも、彼女達はきちんと考えて予算を割り振ったのだろうか?
武装戦力は充実している癖に、施設内の生活設備は一世代前の払い下げ品ばかり。
どこか間に合わせ感のある歪さが気になり、レジアスは首を捻るばかりであった。
(いくら実験部隊とはいえ、ロストロギア対策のためだけにここまでの戦力を集めるものだろうか?
危険度が高いとはいえ、レリック以上に危険な代物は過去にいくつも発見されている。これほどまでに過剰な戦力、
小娘のわがままだけで集められるとは到底思えん)
眉間に皺を寄せながら、レジアスは自分達を先導する憎たらしい子狸の背中を注視する。
こちらの突然の訪問に身を固くしているが、八神はやては努めて冷静を装っていた。
手際よく施設内を案内して回り、世間話等を交えながら部隊の運営方法をわかりやすく説明してくる。
部下からも信頼されているのか、擦れ違う隊員達は皆、彼女に会釈しており、はやてもそれに答えるように手を振っている。
経験が浅いので色々と不手際はあるようだが、職務に対する真摯な態度と部下思いの姿勢には好感が持てた。
最も、彼女が語る青臭い理想論には納得できないし、嫌悪感を覚えることに変わりはなかったが。
そして、今は彼女と機動六課に対する興味も抱き始めていた。
「如何されました?」
「むぅ?」
不意にはやてが振り向き、レジアスは声を詰まらせる。
こちらが睨んでいたことを気づかれたかと思ったが、はやては特に何を言い出すでなく微笑を浮かべている。
どうやら、特に気にしてはいなようだ。
ホッと胸を撫で下ろすと、今度は無性に苛立ちが湧き上がって来た。
やはりというべきか、この娘とは相性が悪い。野菊にも似た可憐な微笑みも、強者の余裕ともいえる傲慢さに思えてならない。
些か逆恨みの度が過ぎるとは自分でも思っているが、この娘だけはどうしても好きになれそうになかった。
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「中将?」
「何でもない。それよりも、あの訓練用シュミレーターはなんだ? あれだけでいくつのヘリが買えると思っている?」
「六課が稼働期間を迎えた後、地上本部へご提供できるよう書類を作っています。
あれだけのものをたった1年で破棄するのは、やはりもったいないですし」
「大きなお世話だ、維持費がどれだけかかると…………………」
不意に立眩みを覚え、レジアスは手近な壁に手を突いて身を屈める。
頭痛がさっきよりも痛みを増している。頭を振って意識を保とうとするが、それが却って痛みを増す結果となり、
額から滲んだ汗で視界まで曇ってしまう。近くにいるはずのオーリスの声も酷く遠くに感じ、
自分が立っているのかどうかさえ実感することができない。
「中将、中将!」
「父さん!」
差し出された手を咄嗟に握り、レジアスは何とか呼びかけに答えようと唇を震わせる。
しかし、気持ちに反して喉は擦れた音を絞り出すだけで、過呼吸を繰り返す口内は瞬く間に水分を失っていく。
やがて、レジアスの意識は呆気なく暗闇へと堕ちていった。
そこで彼が垣間見たのは、今はもういない親友と理想を語り合った懐かしい日々であった。
首都で頻発するテロリズム、決して多くはないが見過ごすことのできない小さな犠牲、崩れ落ちたビル、
意見の食い違いからぶつかり合う男と男、和解、共に平和な地上を作ろういう誓い。
夢を見ているのだと、レジアスはすぐに気づいた。
あの男はもういない。
何故なら、自分が殺してしまったのだから。
□
倒れたレジアスは、すぐに医務室へと運びこまれてシャマルの診察を受けた。
その結果、倒れた原因が過労によるものだとわかり、はやてはホッと胸をなで下ろした。
「栄養剤を注射しておいたから、しばらく眠れば大丈夫だと思うわ。
本当なら、もっときちんと検査して体に悪いところがないか調べなくちゃいけないんだけど」
「そこまでは、ご本人の自由意思に任せるしかないな。まあ、大事にならんで良かった。
シャマル、私は補佐官とちょっと話があるから、後は任せたで」
この場をシャマルに任し、はやては医務室の外で待つオーリスのもとへと向かう。
彼女は先ほどから、この後のレジアスのスケジュールを調節するために関係各所と連絡を取っていたのだ。
その氷のような冷静さは鬼気迫るものがあるが、内心では父親の安否を気にしていたのだろう。
はやてがレジアスの無事を伝えると、冷たい無表情が僅かに崩れて安堵の息を漏らした。
「ご厚意、傷み入ります、八神二佐。このところ難しい案件が重なっていましたから、疲れが溜まっていたのでしょう」
「余り無理をし過ぎると、また今日のように倒れるかもしれません。中将の場合、年齢的なこともありますし、
ご自愛するように伝えてはもらえないでしょうか?」
「難しいですね。公開陳述会も控えていますし、中将はあの案件に心血を注いでいます」
「例のアインヘリアルですか? そこまでする価値が、アレにはあると?」
「独善でモノを言うのはお止め下さい。我が身可愛さに配下の騎士を使役していたあなたと違い、
中将は地上の正義に全てを捧げています。地上の為に朽ち果てるのなら、彼もまた本望です」
そこでオーリスは言葉を区切り、小さくひと息を吸い込む。
冷徹な補佐官としてではなく、1人の娘としての言葉。
恐らくその言葉は、彼女の偽りなき本心であった。
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「ですが、父の身を案じて下さったことには感謝しています。私とて、実の親が心身を削る姿など見たくはありません」
「なら………………」
「私が言っても聞かないでしょう。実の娘でしかない私には、父を止めることなど……………」
父親の身を案じながらも、その思いが無為であると語る娘の言葉を聞き、はやての胸中にやるせない気持ちが込み上げてくる。
何が彼をあそこまで頑なにさせたのか、他人でしかない自分にそれを知る術はない。
ひょっとしたら、彼もまた自分と同じく償う為に戦っているのかもしれない。
だとしたら、今はいがみ合っていてもいつかは分かり合えるかもしれない。
同じ思いを抱えて生きているのなら、必ず理解しあえるはず。
擦れ違ったヴァイスと入れ違いで医務室から出てきたシャマルが、レジアスのカルテをオーリスへと見せる。
そのやり取りを見守りながら、はやてはレジアスともっと話がしたいと思っている自分がいることに気がついた。
□
レジアスには親友がいた。
無愛想だが熱い正義の心を持っていた親友。
彼はかけがえのない友であり、共に地上の平和を築くために戦った大切な仲間だった。
あいつと一緒なら、どんな困難にでも立ち向かえると思っていた。
『やはり、ミッド地上の事件は多すぎる。なのに、優秀な魔導師や戦力は、みんな本局に持っていかれる』
『海の事情もわからんではない、向こうは事件の規模が違う』
『だから、小さな世界の小さな区画が滅ぶ程度は、無視しても良いと言うのか?』
『良くはない、無視などできるものか』
『ああ。俺はお前のように魔法の力を持たない、人を育てる力もない。
だが、せめて局の中で昇り詰め、力を蓄える。こんな現状も変えられるかもしれん』
『いけるさ、お前なら』
そんな約束を交わし、レジアスは出世の道を歩み始めた。
だが、局内での地位が上がり、権力と責任が増すにつれて親友と言葉を交わす時間は短くなっていき、
やがては互いの思いに疑問を持つまでに溝を深めていた。
そして、8年前のあの日、レジアスは彼が手がけていた事件の危険性を恐れ、自らの権限で彼を捜査から外そうと圧力をかけた。
だが、それによって焦りを増した親友は独断で強制捜査の実行を決め、彼を含む部隊の全滅という結果を招いてしまった。
もっとちゃんと向き合い、話をしていればそんなことにはならなかったかもしれない。
レジアスは今でもそのことを悔やんでおり、度々、亡くなった親友が自分を責める悪夢を見るのだ。
(違う、違うんだ………………あれは、あれは………………………)
救いを求めるように差し出した手が虚しく空を切り、軋むような音が耳に届く。
聞き覚えのあるその音は、ベッドのスプリングが軋む音だ。
唐突に感じた現実の感覚で脳の覚醒が促され、レジアスの意識は急速に光の向こうへと吸い上げられていく。
最初に視界へ映ったのは、眩しいくらい清潔に洗われた白いカーテンとシーツだった。
カーテンの隙間からは淡い白熱灯の光が漏れ、アルコール消毒液特有の刺激臭が鼻腔に突き刺さる。
耳を澄ませば、耳障りな換気扇の回る音が寝起きの鼓膜を震わせ、不快感を呼び起こす。
どうやら、ここは医務室の類のようだ。腕時計の文字盤は最後に確認した時刻から一時間と経過していない為、恐らくは六課隊舎の医務室だろう。
情けないことに、自分は毛嫌いしている相手の前で弱った姿を晒してしまったようだ。
自分の不甲斐なさに、レジアスはため息を一つ吐く。猛っていてもレジアスは既に壮年の域、寄る年波には勝てず、最近は体の至る所にガタが来ている。
何より、あの夢がレジアスから生きる力を少しずつ削ぎ落としているのだ。
-
(また、あの夢か)
親友を失って以来、何度となく見てきた悪夢。何度も墓前で詫び、過去の出来事として忘れようとしても忘れられない忌まわしい悪夢。
ここ最近は仕事に打ち込む事で悪夢から目を逸らそうとしていたが、やはり過去の呪縛からは逃れられないようだ。
久しく見ていなかった悪夢の再来に、迷信を嫌うレジアスですら何かの前兆かと疑ってしまう。
(情けない、あいつに知られたら笑われるな)
自嘲気味に唇を釣り上げ、レジアスは横たわっていたベッドから半身を起こす。
その時、すぐ隣からヒステリックな悲鳴が発せられ、弛緩していたレジアスの鼓膜を一気に震わせる。
どうやら、隣のベッドに先客がいたようだ。
「いいから出ていってください、陸曹!」
(ぬうんっ!?)
不意打ちにも似た一撃に、レジアスは思わず前のめりにつんのめる。
仕事柄、怒鳴り声の類には慣れてはいるが、女のヒステリーだけは別格だった。
あの独特な金切り声にどうしても慣れることができないのだ。
「待ってくれ、話を聞けって……………」
「放っておいてください! 同情なんて、惨めなだけです」
「俺はただ、お前のことが心配で………………」
「ヴァイス陸曹に何がわかるって言うんですか! ただのヘリパイロットの癖に!」
「ティアナ! ティアナ、話をっ……………また来るからな」
乱暴にカーテンが開く音が聞こえ、足音が遠ざかっていく。
話の流れからして、去っていったのは男の方だろう。
理由はわからないが、隣にいる女性は何かで悩んでいて周りが見えなくなっているようだ。
あんな風に他人へ当たり散らすのだから、相当に深刻な悩みなのだろう。
「ふむ……………」
「あっ、隣…………居たんですか? すみません、起こしてしまって」
さっきまでと打って変わって、萎れた花のように弱々しい声がカーテン越しに聞こえてくる。
声音からして、10代の少女といったところだろうか? 少なくとも、20代には至っていない。
きっと真面目で繊細な心を持った少女なのだろう。自分のみっともないやり取りを聞かれ、赤面している姿が容易に想像できる。
「気にしないでくれたまえ、少し前から目を覚ましていたよ」
「あれ、六課の人…………ですよね? ああ、交替部隊の人ですね。
あたし、あなた達とはそんなに話したことなくて、まだ顔と名前が一致していないんです」
「むぅ…………ううぅ…………………」
ティアナという少女の勝手な思い込みを、レジアスは即座に否定することができなかった。
久し振りに見た悪夢が、柄にもなく弱気にさせたのだろう。機動六課という若い部隊において、自分のような年配はそれだけで異質な存在だ。
ましてや、今日の自分は本局を批判する材料を探す為にここへ乗り込んできたのだ。いくら目の敵にしている本局の人間とはいえ、
若い隊員に不快な思いをさせてまで己を誇示するなど、どうしてできようか?
-
「どうしました? もしかして、あたしみたいに訓練で堕とされたクチですか?」
「むっ、むぅ………」
「凡人には居辛い環境ですよね、ここは。今まで、必死で頑張ってきた自分がバカみたい」
こちらが無言なのを肯定と受け取ったのか、ティアナはそのままポツポツと部隊に対する不満を漏らしていく。
面識もなく、カーテンで互いが隔てられているという状況が彼女の気を許したのだろう。
だが、彼女の告白はどちらかというと部隊への不満を建前とした自虐であった。
魔力値が低い事、自分に素質がない事、訓練で思うような結果が残せない事、任務中にミスを犯した事。
どのような不平不満も最終的には自己否定へと繋がり、自分自身の言葉で己を傷つけていく。
そんな捨て鉢な少女の言葉に、レジアスは何も言えず唸ることしかできない。
いつもなら、「この軟弱者が!」と怒鳴り散らしているところだが、正体を隠しているという後ろめたさによって
日頃の強気で抑圧的な調子がナリを潜めているのだ。それに、この少女の言葉に耳を傾けていると、どういう訳か親近感が沸いてくる。
本局の人間に同調するなど、普段の自分からすれば自分自身に対して激昂するような出来事だが、今はそのような感情が浮かばないのだ。
「どうして、あたしはこの部隊に呼ばれたんでしょう? あたしなんかよりもずっと強くて才能のある人材なんて、他に大勢いるのに」
「君…………………」
「ははっ、変ですね。ロクに知りもしない相手にこんな愚痴を零すなんて。それで何も解決する訳……………………」
「聞きなさい!」
怒気の孕んだレジアスの声音に、カーテンの向こうの少女が身を竦ませる。
さすがに延々と愚痴を聞かされ続ければ、後ろめたさよりも怒りが上回る。
特に彼女の告解は適当な理由を見つけて自分を卑下にすることで、自らを正当化しているように思えてならない。
不平不満があるのならば口にすれば良い。
納得がいかないのならば問いただせば良い。
何もかもを自分の力不足のせいにするのは簡単だが、それは逃げだ。
唾棄すべき軟弱者の行動だ。
少なくともレジアスはそう考えている。そう思ったから本局を相手に一切の妥協をしていない。
連中は自らの足下を蔑ろにし、建前ばかりを掲げている理想主義者だ。
あいつらが次元の秩序のためと吸い上げていった戦力で、いったい何人の命を救えるのか、彼らはまるで知ろうとしない。
それに納得ができないから、レジアスは本局を相手に強硬な態度を貫き、管理局の在り方を変えようとしている。
どうして自分が彼女に親近感を抱いたのか、今わかった。
立場は違えど、自分達は力を求めているのだ。
自分は地上の平和を守れる戦力を、彼女は才能溢れるエースに負けない実力を。
誇れるものもなく、無才な身で足掻く様は若い頃の自分にそっくりだ。
ただ、彼女が全ての不満を自分の内に溜めこんでいるという一点だけが、自分との違いであった。
「聞きなさい、そうやって愚痴を零し後悔するのは簡単だ。だが、君はそれを誰かに相談したのかね?
部隊の仲間に、友人や家族に、君の上司に、一言でも自分の悩みを打ち明けたのかね?
ただの一度で良い、真正面から向き合って話し合おうとは思わなかったのかね?」
「そ、それは………………」
「本当に自分を変えたいと思っているのなら、面識のない私なんかに愚痴を零している暇などないはずだ。
どうして自分がこの部隊に呼ばれたのか、自分の何がいけなかったのか、どうして叱られたのか、、
把握せねばならないことはたくさんあるはずだ。それを、どうして疑問のまま思考の隅に追いやろうとする?」
「あ、あたしはただ、自分の力で……………証明したくて」
「結構、それできちんと納得できるのなら、私は何も言わん。だが、君もわかっているだろう。
話さずにいた時ほど…………………辛いものはない」
その言葉は、彼女ではなく自分に向けたものだった。
滑稽だ。
意思疎通がうまくいかなかったせいで親友を死なせてしまった自分が、コミュニケーションの重要さを語るなど。
だが、過ちが償えぬ刻に置き去りにされてしまった自分違い、彼女はまだやり直せるはずだ。
-
(まったく、本局の人間を相手に、俺は何を言っているんだろうな)
心の中で自らを嘲笑い、レジアスはシーツを除けてベッドから降りる。
思えば、機動六課と関わる様になってから、自分らしくないことばかりしている気がする。
地上の平和を預かる身である自分にとって、機動六課の設立は土足で我が家を荒らされたにも等しい所業である。
本来ならば、その傲慢なやり方を非難し、活動を自粛するよう訴えていたであろう。
なのに、自分は何だかんだと理由をつけて六課を援助し、時に助言じみた戯言を八神はやてに授けている。
それこそ、乱心したのかと自分を疑いたくなる所業だ。
わかりきっていることではあるが、自分の中には八神はやてへの嫌悪しかないのだから。
『海の事情もわからんではない、向こうは事件の規模が違う』
(まさかな………………俺は、わかり合おうとしているのか?)
8年前、親友の言葉を取り合わずに一方的な捜査中止を申し渡したあの時から、レジアスはずっと自分を責め続けている。
あの時、ちゃんと向かい合って本音をぶつけ合えていれば、自分は唯一ともいえる理解者を失わずに済んだかもしれない。
その後悔の念が、一連の不可解な行動に繋がっているのではないのだろうか?
自分は、機動六課を通じて敵対している本局の実情を垣間見ようとしているのではないだろうか?
それこそ、戯言だ。
敵意と嫌悪しか持たぬ相手と分かり合うなど、出来るはずもない。
レジアスはそれ以上の思考を止め、ティアナに気づかれぬようそっと医務室を後にする。
結局、彼は自分が話していた相手が同じ地上本部の人間であるということに、最後まで気がつかなかった。
ましてや、自分の言葉がその夜に大きな波を起こすことなど、彼には知る由もなかった。
to be continued
-
以上です。
長くなり過ぎたので、まさかの前後編に分けることに。
もう、レジアスが主役で良いよと言わんばかりの出張り方ですね、これ。
次回は、ティアナVSなのはとなります。
前半部分でやりたかったことその1です。
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>>968乙。初めてなのはSS板来たけど凄すぎて鳥肌がたったわ
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GJGJ!
おっさん、もう歳なのに頑張りすぎだろw
続きまってます!
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GJ!
流石レジアス!としか言いようがない。
本編の主人公勢が基本的に超人思考だから、やっぱこのおっさん大好きだわ。
B・A氏に感謝。
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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第101話☆
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1259008244/
そろそろいるかと思って次スレ建てといた
-
>>972
乙
>>968
乙
ありゃ、ここのレジィはひょっとしてスカさんとつながっていない?
>>971
そうだったか?
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GJ!
中将かっけえええ!
まさかのティアナとレジアス会話に吹いたw
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>>973
あ、すまん。
俺が個人的にふと思ったってだけなので、真剣に考えた事ないわ。
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こんばんは、皆様。
本スレの中盤あたりで投下させていただいた者です。
このたび、またもやしょうもない話が完成し、投下させていただきたく参りました。
記念すべき100スレ目の、もしかすると最後がろくでもないSSになりそうで恐縮なのですが、
どうかご笑納くださいませ。
0時頃にはじめたく思っております。
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間違いとは、突発的に起こるものだ。
今回も例に漏れず、そのような始まり方をした。
あるとき、スバルが以下ような疑問を口にしたのである。
「フェイトさんとなのはさん、どっちが美人かな?」
断っておくが、強さではなく美人度である。
したがってティアナとスバル、それにルキノという、その場に居合わせた面子では答えを出すことができなかった。
なぜならば、女性が他の女性の外見を褒めることは、それが他人であるというかぎりにおいて、まったく逆の意味を持つ場合があるからだ。
「ねぇ、ティアはどう思……ああ、そうだった。ティアは勝ち組だから関係ないよね。ごめんごめん」
昔なら即刻、後頭部に叩き込むか、張り倒すかしたであろうし、そもそもスバルが直接こんな毒を吐くことなどなかったであろう。
だがティアナはそれを流した。なにしろ相手ときたら、笑ってるのか嗤ってるのかわからない表情が恐ろしいスバルである。
冷や汗を流しつつ、適当に自嘲して謙遜を示そうと試みた。
「ぇぅ……私胸ないもん」
「私もないよー?やっぱ顔?」
そこにルキノが追い討ちをかける。ティアナは悟った。失敗だ。これはまずい。
「スバル、ルキノ、ごめん、私わかんない……誰か、聞いてみる……」
「あ、いいね!ティア通話かけてよ、本人にさ!!」
「ち、ちがうわよ!八神三佐に!」
あーそっかーなどと言いつつも、舌打ちを忘れない二名。
ティアナは内心涙ぐみつつ、かつての上司にこんな話題を振ることを申し訳なく思うのだった。
・
休憩時間らしく、はやてとの通話はすぐに繋がった。
「そやなー。そやなぁー。どっちも美人やなー。好みの問題ちゃうか?」
しかし、仮想ディスプレイごしに部隊長に問いただすと、小狸はバツが悪そうに答えをはぐらかすばかり。
当然だ。三人は親友というべき仲であり、全員が未婚であって、かかるごときプライベートな名誉問題についての言及は避けるべきである。
すくなくとも、親友の絆にいらぬ傷をつけたくないのであれば。スキンシップで胸をもみしだくのとはワケが違う。
それくらいの分別ははやても持ち合わせていた。
スバルは続ける。
「そうですか。そういえば八神三佐も美人ですよね」
「え"?ぇ?そ……ぉ?若い子にそう言われると、ちょと嬉しなぁー。あんがとなスバル、幸せやわー」
その台詞にいたってはもはや棒読みに近かった。その理由は前述の通り、彼女はスバルのその言葉を素直に聞き入れることができなかったのである。
これがエリオとかキャロだったらもう少しまともに聞けたのかもしれない。だが、スバルの隣で突っ込みを入れてしかるべきティアナときたら、なんだか二人の会話に入らず気まずそうにしている。
そうだ、男持ちはティアナだけなのだ。やたらと口を挟んでも、持てるものによる、持たざる者へのあてつけにしかなるまい。
はやての脳内では、この場をどう切り抜けるかという思考、おずおずするティアナはちょっと可愛いなぁという思考が二重思考(ダブルシンク)……じゃなかった、マルチタスクで処理されている。
そのうち前者は、目の前で六課時代よりやけにスレた雰囲気のスバルに気圧されてか、いまいち処理が進まない。
あはははは。
作り笑いで場を繕うも、スバルの次の言葉が全てをぶち壊した。
「姉が焦燥感というか危機感を抱いてるようなんです、お見合いについて。できれば、美人三人で有名な旧六課の隊長陣からご教授いただければと思いまして」
もう、管理局災害救助隊の隊員というよりは、むしろナンバーズの型番が若いほうか、愛情省の取調官のような口ぶりであった。
はやては凍りついた表情をぎくしゃくさせ、ああ、出会い系サイトだけはやめとき、とか、できちゃった結婚とか早まらんようにな、とか、ありきたりの言葉を吐きながら、机に突っ伏して、再び顔を上げると、そこには涙顔があった。
「……ウチだって恋愛したいんよ。らぶらぶちゅっちゅしたいんよ。ゴールインして新婚生活をエンジョイしたいんよ」
「お察しします」
「……すいません」
ティアナの言葉は何に対して謝っていたのかは解らないが、二人のどちらにも聞き取れないほど小さなものだった。
-
・
どんより。
曇り空である。今にも降り出しそうだ。彼方からは、いんいんたる雷鳴すら聞こえてくる。湿り気が肌を通して不快を告げた。
「いい天気だね、ルキノ!」
「そうだねスバル!気持ちいいね、アイスとか食べたい」
そうであるにも関わらず、はやてをいじめてウサを晴らしたせいか、スバルとルキノはやけに晴れ晴れとした表情で天を仰ぎつつはしゃいでいる。
その異様なハイテンションは、周囲から奇異の眼差しをひきつけてやまなかった。
「いいねアイス!またあの公園にアイスクリームトラック来てるかな?」
「居なかったらお店でクレープだっていいよ、ねぇ、ティアナ?」
「は、はひ!」
反対に陰鬱な面持ちのティアナは、突然声をかけられてびっくりしたのか、変事が素っ頓狂な具合になった。
「もー。ティアナったら、ちゃんと話聞いてない。どーぉしたのかナー」
「ぁ、その、ごめ……」
物凄く意地の悪そうなルキノの顔はともかくとして、である。
「ねぇティア?もしかしてティア?またヴァイスさんのこと考えてたの?」
「ち、違う!断じて違うから!本当!」
眼のハイライトが消えているスバルはさすがにヤバいと考え、メインで考えていたことをマルチタスクの中へ追いやり、甘味の話題に切り替えた。
八神三佐があんな反応をしたのも当然だ。会話している相手が、自らの関係における反面教師とでもいうべき状況にあるのだから。
・
近頃、旧スターズ分隊のフォワード陣を中心とした友人関係がギクシャクしているのは、誰もが知るところであった。
アルトは、慕っていた先輩をティアナにより横恋慕されたと知るや、一時期など引きこもったらしい。
スバルはそれを心配して甲斐甲斐しく世話を焼き、そしてティアナにはけしてそのことを告げなかった。
二人ともスバルにとって大事な友人だったからである。姉であるギンガが失恋した時もあったので、そういった場合の対応に、ある程度慣れていたというのもあったかもしれない。
だが、スバルがいくら強い子でも限界はある。
恋人ができてうれしくてたまらないティアナ。必然的に彼女との会話にヴァイスの話が出てくる。幸せそうなティアナを見るのは嬉しい。
しかしその幸せの犠牲者であるアルトを慰める自分がいる。大事な友人のアルトが、ヴァイスのことで泣いている。悲しみに暮れるアルトを見るのは辛い。
その矛盾が、ティアナと会話するのが辛い、になるのに時間はかからなかった。
ふとしたきっかけで二人は大喧嘩、後は野となれ山となれ。
しかし、外に出ることもできなくなったアルトと、それを世話しているスバルのことを知ったとき、ティアナはひどい罪悪感に苛まれた。
そして号泣するスバルが吼えるように放った言葉がティアナの心に楔を打ち込む。
「私だってティアのことが好きだったのに!誰より一番好きだと思ってたのに!!」
ティアナは砕け散った。
ヴァイスがかろうじてティアナを支えたものの、彼女にとって問題は親友を取るか恋人を取るかの究極の選択である。
さらに言えば、旧六課の関係を継承する今の上司の存在、そしてナカジマ家に預けられたナンバーズ更正組たちの手前、おいそれ絶交などできようもないのだ。
最終的にティアナは、スバルに嫌味を言われたりいじめられたりしつつ、ヴァイスに慰めてもらう日々を選んだ。
自分を犠牲にする結果だが、それでも他に比べればまだマシだ。それに頼れる男の腕の中で泣くのは気持ちが良かった。
きっとこんな関係が、アルトが立ち直るか、ヴァイスが耐えられなくなって自分と別れるまで続くのだろう。
また、その後がきたとしても、昔の関係には戻れまい。覆水盆に還らず、である。
灰色だった。退廃的だった。知人友人がアテにならない問題なだけに厳しかった。
もてる男も女もつらい。
-
・
ところで、このSSが男女関係どろどろの鬱SSかというと、そうではない。
最初に出た発言の通り、問題はなのはとフェイトのどっちが美人であるのかを軸に話が進んでいくはずなのである。
三人は甘味を楽しんだあと、その問題にどう結論を出すかで話し合い、女性の魅力は男性に聞くべきであるという結論に至った。
「じゃあまずヴァイスさ……ああ、ヴァイスさんはティアしか眼中ないんだよね。ごめんごめん」
そんなふうにスバルが毒づくのでティアナの横腹あたりがキリキリ痛んだが、結局、知り合いの誰かに問うということで決定したのである。
「やっぱりクロノさんだよね」
「あんまり面識ないけど大丈夫?」
「うん。だから手紙を書いて、その文中でさりげなく」
既に便箋を広げているルキノはうきうきした感じで筆を走らせる。
「楽しそうだね、ルキノ」
「楽しいよー。だって、だってだよ?所帯持ちに、自分の幼馴染と、自分の義理の妹どっちが可愛いですかって訊くんだよ?」
なにやら背徳感やら倒錯感やらに酔いしれているらしく、ルキノの眼はきらきらと不気味に輝いていた。
そのうえ彼女ときたら、ふと顔を上げて眉間に皺を寄せながらこんなことを聞くのだ。
「えーと、クロノさんが初めて出てきたのって1期の6話?」
ナチュラルなメタ発言である。一体全体どんな文を刻んでいるのか怪しすぎる。
だが誰も気にしたふうではない。なにしろこれはナンセンスSSなのだから当然だ。
あまり考えすぎると皺が増えるばかりである。
「ちがうちがう、クロノさんは7話」
ところでその質問にはティアナが答えた。あのティアナが突っ込みすらしない。既にこの場はメタ空間に飲まれているのだろうか。
それは置いといて、スバルがそうそう、と同意し、続けた。
「そーそー。6話は『烈火逆流拳!わかりあえない気持ちなの』だよ」
「ああ、じゃあクロノさんが出てきたのは」
「7話は『三人目の魔法使い!死すべきやつらが多すぎる』だったはず」
「そっかー、ありがと」
・
なぜ彼女たちの話は、こんなにもこんがらがっているのだろうか。
このSSでは第97管理外世界は199X年を迎えたとでもいうのだろうか。
世紀末魔法少女伝説だったのだろうか。
そうではない。
シャーリーが新人教育の一環として上映した、地球産のDVDが原因である。
『魔法少女リリカルなのは』
『魔法少女リリカルなのはA's』
なにしろ、時系列的に繋がっていないはずの、フェイトが虐待される場面の録画すら保有していた管理局である。本作のDVDの確保くらいどうということはない。
とにもかくにも、これらによって彼女たちは迅速に予備知識を蓄えることに成功したのであった。
この二つを予備知識として吸収したフォワード陣が、なぜザフィーラが喋れることに気づかなかったのかは捨て置くとして。
問題があるとすればそれは、何の手違いやら、夜通しぶっ続けで北○の拳が上映されたことだ。
なぜだかミッドチルダ人どもはこれがえらく気に入ったらしく、ヒマさえあれば何度も何度も繰り返し上映したのであった。
例の『少し、頭冷やそうか』のシーンでティアナが頭上からなのはを狙ったのも、拳王長槍騎兵隊が行った『死の特攻』に影響されたものであろう。
まず先に岩を落とさなかったのが敗因だが、これはティアナの落ち度である。
-
・
そんなこんなで各所に手紙が送り込まれた。
しかしそれらは即座にゴミ箱なりシュレッダーに放り込まれることになる。
ルキノのやつは何がしたいやら、手紙の内容を以下のような手順で記述していた。
1)文章を書く
2)自動翻訳機にかける
3)最翻訳する
この方式を使うと、頭が痛くなるほどわけがわからない文章ができあがるので、怪文書を作りたいときはうってつけなのであった。
具体的にはこんなかんじだ。
■
愛情とそれを尊敬する海軍大将クロノメーター・ハラオウンにはそれがあります。
私たち古い可動の大隊1構成メンバーが義理の姉妹であったのが海軍大将のフェイトであり、今回の海軍大将の幼な馴染みがお互いであった場所の高い町の教育官僚とそれを比べる際にさらに感嘆しながらどれかについて議論した6人。
しかしながら、香りの良い結果は、得て、一斉に不満な皆ではありません。
次に、私たちは、2人の旧友の海軍大将が、私でこの問題を客観的に判断するために好きであり、手紙を送ったでしょう。
■
まったくもってわけがわからない。めちゃくちゃもいいところだ。
こんなことではシュレッダーで当然である。
「そんなことでよかったのかしら?」
「いいの。手紙自体にたいした意味はないから」
スバルはギンガの問いかけにそっけなく答えた。
近頃は姉を見るのも辛い。彼女は以前の彼女ではない。変わってしまったのだ。
・
具体的にはこう。朝起きるとチンクが女学校の制服で出てきて言う。
「ごきげんよう、ギンガさま」
それに対してギンガはこう返す。
「ごきげんよう、チンクちゃん。十二指腸が曲がっていてよ」
それを直すのかどうかは読者諸兄の判断に委ねるが、ともかく、そんなかんじである。
二人の変貌は明らかにおかしく、それは家庭内でも浮いており、あまりに浮いているので誰も突っ込むことができなかった。
ギンガは以前に行われた飲み会において、カリムとシャッハにお持ち帰りされて以来行方不明だったが、数日後にふらりと帰ってきたときは男のことなど頭になく(あれほど男漁りに血眼になっていた彼女がだ!)、見てのとおり淑女になってしまっていた。
チンクは飲み会の日、皆が家に帰ると風呂場に入っており、中からはシャワーの轟音と共に「匂いが落ちない匂いが落ちない」という呪詛にも似た言葉がえんえん聞こえてくる有様。
部屋(相部屋なのか一人部屋なのかはナカジマ家の間取りによるので不明である)には布団が敷かれていたが、そこではディエチと、なぜかヴァイスが、これまたなぜか雑巾がけに精を出しており、双方共にげんなりした顔であった。
さらに、部屋にはどこかで嗅いだ覚えのある、むかむかする匂いが充満していたのだ。
これに対する三人の説明は要領を得ず、一体何があったのか理解しているものはいなかった。
二人が心にどういった傷を負ったのかはわからないが、翌日からこんなふうになってしまったのである。
外見年齢が離れすぎであるし、そもそもギンガさんは年齢的に制服はアウトな気もするのだが、そこは突っ込まないのが当人たちのためというもの。
そういうわけでスバルもなるべく自分の姉とちっこい姉の二名は放っておいている。なんだか寂しいがしょうがない。
それより聖王教会だ。
二人がこんな具合であるとすれば、あちらに厄介になっている機人三名は一体どうなっているのだろう。
考えるだに心配だし、身の毛がよだつ。しかも最近は経過観察のためか、定期的にあの暴力シスターが家を訪れるようになっていた。
それもまたスバルとゲンヤのストレスの源になっているのである。人間関係ほど疲れるものはない。
-
・
姉のかわり妹たちに話をフるスバルさんである。
「ねえねえウェンディ?ねえねえノーヴェ?」
「「ひっ!?」」
呼ばれた赤毛二人は背筋に何か冷たいものが伝うのをはっきりと感じた。
身構えて振り返ると、そこではスバルがにこにこと笑顔を浮かべている。目を細めて笑っているからよくわからないが、きっとその眼にはハイライトが描写されていないであろう。
「な、なんスか?」
「えっとね。機動六課のそれぞれの分隊の隊長と、あと部隊長って覚えてるよね?」
ノーヴェが首をカクンカクンと頷かせ答える。その速度は、残像ができるくらい速い。
「おぼえてるナノハタカマチとフェイトハラオウンとハヤテヤガミおぼえてるよスバルわたしおぼえてる」
「そんなにおびえなくていいよ。こないだみたいに猫耳メイド服着せてお使いにいかせたりしないから」
「そ、それであの三人がどうしたんスか?」
「ええとね。三人って、美人だと思う?それと、美人なら誰が一番?」
予想だにしなかった問いかけである(が、その前にスバルは妹に何をやらせているというのだ)。
二人はほっとすると同時に、スバルの美的感覚が世間と乖離していないかどうか不安になった。
「三人とも美人スねぇ」
「ああ、悔しいけど美人だ」
「どれくらい?」
「スバル姉以下です「ッス」」
「お世辞はいいよ。私たちのほうが若いし」
黒い笑顔。両目で開き具合が違うが目尻はつりあがり、口元も左右非対称に歪むような笑い方だ。
これは本当にあのタイプゼロ・セカンド、スバルなのか。二人はだんだん確信が持てなくなってきていた。
二人に背を向けたスバルは、窓のブラインドの一部を少し開けて外を覗き、今日はあの聖王教会の暴力シスターは来ていないことを確認しながら言った
「めったなことを言うもんじゃないよ、二人とも。これが四コマ漫画だったら今頃魔砲が飛んできて三人仲良くやられてるところだ」
続けて、非殺傷設定とかあるからギャグでもお構いなしにぶっ放すんだよね、などということも口走る。
スバルの表情は二人の位置からでは推し量ることができない。
返答しない二人を振り向くことなく、彼女は更に続けた。
「そういえばあの暴力シスターは、非殺傷設定の解除イコール己の拳で戦うことらしいよ」
マジか。
二人は顔を見合わせ、そんなものと戦った自分たちの姉を思った。
だんだん話がそれてきている。最近のスバルはいつもこんなかんじだ。病んでいるのだ。
見かねたディエチが間に入った。
「スバル、それで、三人のうち一番美人なのが誰かわかると、どうにかなるの?」
振り返ったスバルはもとの顔に戻っている。平然とした表情で、とんでもないことを口走った。
「いい質問だよ、ディエチ。それがわかったとき、このSSがおわるんだ」
「なんだって!?」
ノーヴェが悲鳴に似た声を上げる。
「じゃああのバカ強い三人のうち二人を敵に回さないとこのSSは終わらないのか!?私たちは解放されないのか!」
「うん。残念だけどそうだね」
「そんな御無体な……鬱SSで病んだノーヴェに殺されるほうがなんぼかましッスよ」
「なんだよそれ」
これまた、どうしようもなくメタな発言である。なお、それがマシなのかどうかも諸兄の判断にゆだねることにしよう。
ところでスバルは何か策を持っているようで、まったく動じない。
彼女は続ける。
-
「だから、ここに三面ダイスを用意したんだ」
物理的に不可能なものを取り出しながらスバルは言った。
それは確かに三つの"平面"で構成されており、それで完結している。
面にはそれぞれ1.2.3と書かれている。面は色が塗られていて、桜色、黄色、白であり、おそらくは彼女たちの使う魔法をあしらったものだろう。
「用意するの苦労したよ」
「だろうな……」
ちなみに、われわれの世界では平面は最低4つないと立体は構成できない。
三面ダイスを実現する場合、絶対に曲面が必要だ。しかし、目の前にあるのは間違いなく平面図形なのだ。
「いわんとしているところが解ったッス、きめあぐねるならそれで決めてしまおうというわけスね」
「そゆこと、そゆこと。運ならあきらめもつくでしょ?」
にこにこしながらスバルは言う。
「でもそれって確率から言うと三者均等にならない?それにダイスなら丸みがあっても大丈夫なんじゃ……」
「なんのために、こんな異次元図形を使うと思う?ありえない結論を出すには、手段がありえるものじゃダメなの」
なるほど、機人三名は納得した。物理的にありえない存在を、確率論で推し量ろうとするのはナンセンスだ。
ならば異次元ダイスは、確率に逆らって突出した結論を出してくれるのだろう。
ところで、最初の時点では、なのはとフェイトだけだったのが、はやても追加されたことにお気づきだろうか。
コイントスで決定してしまうのでは面白くないからだという。本当にろくでもない。
・
どういうわけか、彼女たちの異次元サイコロ振りの結果、『三人とも賞味期限切れ』と出た。
さすが異次元ダイスである。斜め上もいいところである。常識や道理など、まったく通用しなかったのだ。
そして、これによってスバルたちは隊長陣三人を全員相手にすることになってしまったのである。
「まずい、ものすごくまずい」
幸いなことに三人とも高速移動は得意であり、ナカジマ邸から逃げ出すのに苦労はない。
晩御飯はカレーだからねと、ダイスを振らなかったディエチにみおくられながら遁走する三人は桜色の砲撃魔法を回避し、大量の金色の矢をかわして、どうにか追っ手を撒くことに成功した。
途中でズタボロのティアナとルキノ、それにシャーリーと合流した。ルキノのほうも他人を盛大に巻き込んでくれたらしい。
具体的にはあちらはヴォルケンリッターに襲われたそうだ。
いつのまにやら、とんでもない戦力差である。
廃棄都市区画のビルの一室に逃げおおせた一行は、厳重にカギをかけ――これも時間稼ぎにはならないだろう――生き残るために相談をはじめた。
「スバル、ルキノ、こうなったときの対処法は用意してないの?」
「ないよ、いきあたりばったりだから」
「畜生この快楽主義者どもめ」
血の涙を流しながら4人が抗議する。
スバルは、訓練をしていた頃に慣れていて、このスリルがよいのかもしれないが、他の連中にはいい迷惑であった。
ティアナなんかトラウマが再発したようで、なんだか顔が青い。
皆は逃げ込める場所がないか考える。今はうまく隠れているが、そのうち見つかってしまうだろう。
なにしろ相手は、職権濫用なんのそのの管理局である。
「ねえティア。ぜったいあんぜんカプセルとかどうかな」
「マザー2の?」
「うん」
「いいけどスバルから入ってよね」
「ちっ」
みんな錯乱しているらしく、まともな答えが出てこない。時間ばかりが消費されていった。
部屋に呼び鈴の音が鳴り響く。全員がびっくりして腰を浮かせた。
誰が来たのか、ドアのほうを見やる。ノックはなく、そのかわりにこんな声がきこえてきた。
「時空管理局の巡回査察員だ。ドアを開けろ」
-
「だから、ここに三面ダイスを用意したんだ」
物理的に不可能なものを取り出しながらスバルは言った。
それは確かに三つの"平面"で構成されており、それで完結している。
面にはそれぞれ1.2.3と書かれている。面は色が塗られていて、桜色、黄色、白であり、おそらくは彼女たちの使う魔法をあしらったものだろう。
「用意するの苦労したよ」
「だろうな……」
ちなみに、われわれの世界では平面は最低4つないと立体は構成できない。
三面ダイスを実現する場合、絶対に曲面が必要だ。しかし、目の前にあるのは間違いなく平面図形なのだ。
「いわんとしているところが解ったッス、きめあぐねるならそれで決めてしまおうというわけスね」
「そゆこと、そゆこと。運ならあきらめもつくでしょ?」
にこにこしながらスバルは言う。
「でもそれって確率から言うと三者均等にならない?それにダイスなら丸みがあっても大丈夫なんじゃ……」
「なんのために、こんな異次元図形を使うと思う?ありえない結論を出すには、手段がありえるものじゃダメなの」
なるほど、機人三名は納得した。物理的にありえない存在を、確率論で推し量ろうとするのはナンセンスだ。
ならば異次元ダイスは、確率に逆らって突出した結論を出してくれるのだろう。
ところで、最初の時点では、なのはとフェイトだけだったのが、はやても追加されたことにお気づきだろうか。
コイントスで決定してしまうのでは面白くないからだという。本当にろくでもない。
・
どういうわけか、彼女たちの異次元サイコロ振りの結果、『三人とも賞味期限切れ』と出た。
さすが異次元ダイスである。斜め上もいいところである。常識や道理など、まったく通用しなかったのだ。
そして、これによってスバルたちは隊長陣三人を全員相手にすることになってしまったのである。
「まずい、ものすごくまずい」
幸いなことに三人とも高速移動は得意であり、ナカジマ邸から逃げ出すのに苦労はない。
晩御飯はカレーだからねと、ダイスを振らなかったディエチにみおくられながら遁走する三人は桜色の砲撃魔法を回避し、大量の金色の矢をかわして、どうにか追っ手を撒くことに成功した。
途中でズタボロのティアナとルキノ、それにシャーリーと合流した。ルキノのほうも他人を盛大に巻き込んでくれたらしい。
具体的にはあちらはヴォルケンリッターに襲われたそうだ。
いつのまにやら、とんでもない戦力差である。
廃棄都市区画のビルの一室に逃げおおせた一行は、厳重にカギをかけ――これも時間稼ぎにはならないだろう――生き残るために相談をはじめた。
「スバル、ルキノ、こうなったときの対処法は用意してないの?」
「ないよ、いきあたりばったりだから」
「畜生この快楽主義者どもめ」
-
#あわわ・・・大変だ。容量が大き過ぎて投下順序を崩したらおかしくなってしまった・・・
#>>983はどうか見なかったことに・・・
少女のかたちをした鉄槌の騎士は呼び鈴を再度鳴らす。
ロックのかかっている扉を検索した結果、ヒットしたのはここだけだった。
中からはリンカーコアの反応もある。闇の書のページを蒐集していた時期の機能だが、どうやら今も重宝しているようだ。
ロングアーチが解散して、大規模な支援が受けられなくてもこれくらいの探索は自分たちだけでどうにかなる。
「破るぞ」
アイゼンの巨大化、カートリッジ排莢、粉砕の一連のシーケンスが目にも留まらぬ速度で行われる。
そして煙が晴れたとき、そこにはガンナックルとリボルバーナックルの双撃によってデァ・グロス・シュラック(巨大な一撃)を相殺した二人の機人がおり、残りは逃げた後だった。
「スバルに、ノーヴェか。面白いな。拳の使い手とやりあうのは久しぶりだ」
後退して距離を取りながらヴィータは言う。
その眼はひどく青い。彼女が激昂したときの特徴だ。
――まずいな。
スバルは今のヴィータが、おそらく容赦しないであろうことを理解していた。
この紅の少女は今、主人を賞味期限切れ扱いされたことで怒り狂っているのだ。
ひょっとすると、冒頭ではやてをいじめた点についても怒っているかもしれない。
「話を聞かせて貰う、は無いんですか、今回は」
「ああ、今回は『話は聞いた』だ。お前に聞くことはもう何もない。とにかく一発ブン殴らせろ」
いわんや、グラーフアイゼンを構えるヴィータである。
しかし、あのデバイスによる打撃攻撃には、非殺傷設定とかいうものを付与できるのだろうか。
ノーヴェは腰が引けているようだ。そもそも巻き込まれた側なのだから乗り気でないのは当然である。
ましてや、あんな鈍器を振り回すのが相手では嫌にもなる。しかしスバルの手前、逃げるわけにもいかなかった。
「本心を言わずにサイコロなんかに頼ったお前が悪いんだ。おとなしく――」
「ねえヴィータ三尉。八神一佐がウチのお父さんと再婚してくれたら素敵だと思いませんか?」
「へ?」
あまりにも場違いなスバルの発言に、素っ頓狂な声を上げるヴィータ。
スバルはそのまま続けた。
「八神家は5人、うちは7人。大家族にはどっちもなれてますよね。頭数が多いほうが楽しいと思いますよ」
「いきなり何を言い出すんだ、お前は。はやてを賞味期限切れとか結論出したくせに、どの口が――」
「"お姉さんになれますよ?"ヴィータ三尉?」
瞬間、ヴィータの視界がぐらついた。脳裏に浮かぶのはあのちっこい機人。
ヴィータ自身の構成が、はやてによる闇の書起動時であると見積もってすら、実動年数では自分より若いのが沢山いるのがナンバーズだ。
そしてあのチンクとかいう機人を見るに、彼女たちは外見年齢ではなく、稼働時間で姉妹の見分けをつけているらしい。
自分より大きなやつらからお姉さん呼ばわり。
もしかしたらチンクからも姉呼ばわり。
-
「……はっ!?だ、騙されないぞ!そんな非現実的な年の差カップルなんて!」
視界がもとに戻ったときには、既にヴィータの瞳孔は元に戻っていた。
それを見越してか、スバルはにやりと笑い、さらにこう言った。
「でも、ちょっといいと思ったでしょ」
「……そりゃあ、そうだが……」
「ここで殴り合いをすると、その話は可能性すら潰えますよね。主に私とノーヴェと、あとみんなも反対するから」
「ぅ……」
「それでも、一発、殴りますか?"それ"で?」
ヴィータはスバルから指差されたグラーフアイゼンを見やる。確かに、いかにも恐ろしい外見をしたしろものだ。
なのはとは殴りあった後で友人になったが、それでも対戦成績は一勝一敗一分といったところ。
一方的に殴りました、とあれば、どうなるかわかったものではない。
「……しゃらくさくなったな」
「お褒めの言葉として受け取っておきます」
両者の間を、何かが猛烈な勢いで過ぎ去る。それが何であるのかを確認する前に、三人は動いていた。
「シグナムか!?」
ヴィータは急上昇し、スバルとノーヴェは部屋の中へ後退する。
なんらかは、その直後に爆発を巻き起こした。そういうわけで、スバルとノーヴェは吹き込む炎を回避するために窓から飛び出したのであった。
ガラス窓を突き破ってダイブする二人、その後ろから追いすがるように、すんでのところで吹き上がってくる炎。爆発。
一連の動きはB級アクション映画のそれに近く、端的にいえばスローモーションであった。
問題はここが地上7階だということである。
「うわあ落ちる落ちる落ちる!スバル、ウイングロード出してはやくおねがい死っ!!」
空中でそのようにわめくノーヴェであったが、飛んできたシグナムによってあやういところでキャッチされた。
助かった、そう安堵する間もなく、彼女は気づく。
スバルがすでに壁伝いに走って脱出したこと、それと、自分がもっとも捕まってはいけない相手に捕まったことに。
・
「スバルー、はやく出てこないと仲間の安全は保障しないよー」
教導官の声が廃棄都市にこだまする。
いや、本当に教導官の声なのか?それにしては内容があまりに物騒だ。
「具体的にはアルミホイルを噛ませたり、歯磨き粉を混ぜたみかんを食べさせたりするよー」
拷問ではないか。なんという非人道的な……いや、彼女は機人を人間とみなしていないのかもしれない。
スバルは身を隠している合成樹脂の青いゴミバケツのふたを開けて周囲を探り、すぐまた閉めた。
考えてみよう。彼女たちは実際にそれを実行するだろうか?
そこまで追い詰めたつもりはない。すくなくとも、スバルにはなかった。
だがそれはスバルの主観である。大人の都合で、こと男性については25歳までずーっとおあずけを食らっている彼女たちの怨念のすさまじさは尋常でないのであった。
「まずはノーヴェからだよ。アルミホイルかみかみの音を流すからね!!」
「やめろぉぉおお教導官んんんぁぁああ!ぶっとばすぞぉおお!!」
-
一緒に聞こえてきたのは、ノーヴェの絶叫であった。
いかん、連中本気だ。
スバルは猛烈な勢いでポリバケツから飛び出し、瞬間的に光の速度を超えた。
光速を超えたことで質量が一時的に無限になって、重力場が周囲の廃墟ビルを押しつぶし、地上にクレーターを穿つ。
重力レンズによる偏光であたりは昼なのか夜なのかわからなくなり、ミッドチルダの惑星自体の軌道要素にも影響を与えて、1日が0.5秒伸びた。
「ノーヴェにひどいことをするなあああ!!」
光速を超えたスバルは時間すら超えている。したがって既にアルミホイルをかみかみしているはずのノーヴェではなく、その前のノーヴェを救出することに成功した。
相手がどこにいるかどうやって知ったのかって?あたりを時間を超えつつ超光速で移動したのだから、そのくらいは造作もないことだ。
あまり気にすることはない。
ところで、救出したノーヴェはスバルの腕の中で何が起こったかわからずおろおろしているが、彼女たちの目の前では未来のノーヴェがやっぱり既にアルミホイルをかみかみしているではないか。
時系列に矛盾が起こってしまったのだ。スバルが助けたのは、所詮は過去のノーヴェだったのである。
「くそ、半分失敗か!」
スバルは唾棄するがのごとく叫び、そして、自分が既にフェイト、はやてとヴォルケンリッターに包囲されていることを知った。
涙を浮かべながらいやいやアルミホイルの塊を噛む(現在の)ノーヴェの姿はとても痛ましかった。
・
幸いなことに、スバルたちが拷問を受けることはなかった。
廃棄都市で発生した大異変に本局が動き出し、隠蔽のため、その場の全員が協力して口裏あわせをする必要が生じたからである。
旧六課陣とナンバーズ更正組が一斉出動するほどの緊急事態だったということで、この話は早々に決着がついた。
ただ、何が相手だったのかについて管理局は版権問題を盾に公式なコメントを出していない。
「スバルたちのはやりすぎ、オマエらのは大人げなさすぎ、両成敗だ」
公民館の大部屋を借りて行われているシケた慰問会の席で、ゲンヤは隊長陣とスバル・ルキノにそのような説教をくれていた。
げんなりした様子の元凶5人を見かねたのか、隣席のギンガが口を開く。
「お父様、そんなに頭ごなしに叱っていては、彼女たちも滅入ってしまいますわ」
「……だ、だがな、ギンガ……」
ゲンヤの怒りは少し薄らいだかに見えるものの、半分は口調の大きく変わったギンガに対する動揺である。
周囲の皆も鳥肌が立つのを覚えた。いろんな意味で。
ギンガの首がこちらを向くにあたって、その感覚は更に強くなった。さながら、蛇に睨まれた蛙のようだ。
ギンガは言った。
「あなたたち、もう少し淑女になりなさい。それで、お父様もスバルも、私たちの相手をしてくださいな」
その後ろに並んでいるのは聖王教会の面々、ゲンヤとスバルは共にますますげんなりした表情になった。
他のものは彼らに気の毒な視線を向けている。
「これからどうなるんスかねえ」
聖王教会に弱みを握られた旧六課陣を鑑み、ウェンディは呟く。
物憂げな表情でディエチが答えた。
「そうねえ。私たちの今後にも影響するし……ノーヴェはどう思う?」
パスタをばくばく口の中に放り込んでいたノーヴェが、それに答える。
「そうだなぁ、私はなるようにしかならないと思うな。スバルが暴走してからこっち、ずっとこうだし」
「ええと、貴女はどっちのノーヴェ?」
再びパスタを食べはじめたノーヴェにかわって、クリームシチューを啜っていたノーヴェが口を開いた。
「ああ、だからもう。今日は青い服が現在の私、緑の服が過去の私だってば」
「そうだっけ……ごめんね。どうも慣れなくて……」
えらいことになったものである。
-
後日談
「なぁ、はやて、その……」
「あかん。オジさんとは嫌。これは譲れん」
「そっか……」
「ごめんなヴィータ、赤ちゃんできるまで待ってな」
それが望み薄だから絶望しているとは口が裂けても言えないヴィータであった。
#
おわりです。途中大ポカをやらかしてしまい、面目次第もございません。
次回があれば、そのときは計算違い・混乱などしないよう努めますので、どうかお許しを・・・
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しょうもない人氏、投下乙でした!
いやぁ、まさかあの話の続きを書いてくれるとは嬉しいですww
ティアナにひがみまくるスバルが病み気味でこわいやらかわいいやら。
そしてギン姉、いったい十二指腸をどうやって正すんですかww もしかしてドリルですかww
最後のスバルの光速移動とか、もうカオス過ぎて堪りません。
記念すべき100スレ目の最終投下(おそらく)GJでした!
またの投下をお待ちしております。 (^∀^)ノ
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寝る前にスレを除いたらこんな面白いものがw
おかげで寝る時間が遅くなってしまいました、謝罪と賠償(ry
とにかく夜中の変なテンションでのGJをくらえ!
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っ、最終投下狙ってたのに! ……まあいいか
GJ! アルミホイルかみかみはらめぇええ
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穴埋め
「やめるんや、なのはちゃん!! もう終わりや。終わったんや!」
「何も終わっちゃいない!! 何も! 言葉なんかじゃ終われないんだよ!
私だって好きで戦ってたわけじゃなかった! やれって言われたからやっただけ!
私は勝つために全力を尽くした! でも誰かが邪魔したんだよ!
管理局に戻ってみれば、局の前に市民がぞろぞろといて、 訳のわからない抗議してくるんだよ!
私のこと、人殺しだの、悪魔だの聞くに堪えない事を言いたい放題!
あんな人たちにに何が言えるわけ!? 戦いが何かわかって言ってるわけ!?
ええっ! 私と同じ経験をして同じ思いをして言ってるの!? 」
「みんな失望して苦しんでいたんや。もう過ぎたことや」
「はやてちゃんにはね! 私には青春なんか、人生なんか空っぽだよ!
戦場では命を預け合えるような信頼関係があった。助け合い支えあってたよ。
なのにここじゃ何もない! 」
「なのはちゃんは私にとって最後の一人なんや。野垂れ死にはあかん」
「あっちじゃヘリも飛ばした。戦艦にも乗れたよ。SLBも撃てた!
1発100万もするカートリッジを自由にリロードできた!
それが故郷に戻ってみればコンビニの店員にもなれないんだよ!!
実家の店は不況で潰れてて、仕事探そうにも中卒だの、職歴なしだのバカにされて!!
時空管理局で教導官をやってましたなんて、 そんなアニメみたいなことが言える訳ないじゃない!
ちくしょう……みんな、どこ行っちゃったの……
地上部隊にも友達がいた。みんないい人だったよ。あっちじゃ友達はごまんといたのに……
それなのにどう? ここには何もない……惨めすぎるよ……」
「……」
「リインフォース、覚えてる?」
「う、うん……」
「私いつか、マジックペン一本、拾い物ってミッドチルダに送ったんだ。
彼女よく車のこと喋ってた。帰ったらタイヤが擦り切れるまで走ろうって……」
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埋めついでに質問
ssを書いてみようと思って調べたのですがわからなくて
なのはさんの髪の色は赤毛?それとも黒?
あと、ティアナが執務官になった時期とか公式にあれば知りたいのですが、
調べたところでssxの舞台ですでに執務官だったことくらいしかわかりませんでした
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うめうめ
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>>992
髪の毛の色は流石にアニメ見るとか、公式のキャラページで補完できないか?
表現の問題なら意味が変わってくるが。
ティアナは、StSエピローグ?のシーンで六課解散後すぐに執務管補になってるから、執務管になったのは本編終了後、半〜1年程度先?
詳細は>>2のテンプレ内の「Nanohawiki」にそれなりに書いてある・・・はず。
あとは推測で頑張れ。
余計な世話かもしれないが、個人的には本編終了後1〜2年で執務管になったと思う(SSXが3年後なので)
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なのはさんの髪の色は亜麻色が最大多数とみた。亜麻色の髪の乙女
じゃなきゃ、赤みの強い〜とかかな
しかしそこら辺拘り始めるとリンディさんとか明らかに非現実的な髪色の人はどう表現したらいいか……ってなる罠
ところでなのはが貧乳って言われてるのは何で?
原作でクロノが慎ましいって表現したから?
見た目的には充分あるから疑問だ。周りと比べてもそんなには劣らないと思うんだけど
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個人的に、巨乳ではなく美乳という表現が合う気が。
大きくはないが形の良いお椀型みたいな。
変身の時はちゃんと揺れているし。
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埋め埋め
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つうか、なのはさん普通に巨乳だと思うけど。
フェイトそんやシグナムが爆乳なだけで。
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相対性貧乳ってやつか
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某部隊長「それをゆーたら私かて十分おっきいのになのはちゃんより貧相扱いされること多いやん・・・」
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