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仮投下スレ
1
:
名無しさん
:2008/08/25(月) 03:37:05 ID:iY74nRCo0
SSの投下スレです。
SSの修正、SSの試験投下、避難所用投下にどうぞ
2
:
オープニング案
◆6XQgLQ9rNg
:2008/08/26(火) 23:05:54 ID:6T0fgeTM0
そこには、深く濃密な闇が広がっていた。
果てなど感じられないその闇は、月や星が完全に消失した夜空のような混じり気のない漆黒そのもの。
あるいは、あらゆる『黒』を蒐集し尽して凝り固めたような純然たる暗黒だった。
その中にある玉座に、青年が一人腰掛けている。
鎧を纏い剣を携えた彼の髪は金色で、瞳は黒い。
その整った相貌は、過去に、勇気と慈愛によって輝いていた。
故に彼――オルステッドは、こう呼ばれていた。
勇者、と。
その呼称は憧憬と尊敬の結晶であり、人々の希望だった。
そのはず、だった。
今この場に居るのは、勇者などではない。
鮮やかだった金髪は褪せ、澄んでいた瞳は昏く淀んでいる。
かつて溢れていた希望などは、微塵も存在しない。
在るのは、人間に対する暗い感情だけだ。
その美しい容貌は、絶望と憎悪で塗り固められている。
もはや彼は、勇者オルステッドなどではない。
遥か遠い太古から、彼方の未来に渡って存在する、『憎しみ』という感情の化身。
憧憬と尊敬ではなく、恐怖と畏怖の結晶であり、人間に絶望を与える存在。
魔王――オディオ。
それこそが、今の彼だった。
辺りの闇を見回し、オディオは思う。
底知れぬ漆黒の闇は、人の心のようだ、と。
そう。ヒトは皆、汚れ腐り切った心を持っているのだ。
自らの欲望を満たすために、他者を傷つけ奪い殺すような、醜悪な心を持っている。
たとえ、世界を救った勇者であろうとも。
たとえ、戦を終結に導いた英雄であろうとも。
例外など、存在しない。
そうだ。
今現在、闇の中で目を覚まし始めた様々な世界からの客人とて、例外ではない。
覚醒していく人々を、オディオは黙って見下ろしている。
絶望の宴の、始まりだった。
3
:
オープニング案
◆6XQgLQ9rNg
:2008/08/26(火) 23:06:44 ID:6T0fgeTM0
◆◆
水中から泡が浮上するように、人々の意識が戻ってくる。
ぼんやりと瞼を持ち上げた彼らの目に映るのは、闇だけだった。
まるで体に纏わり付いて心を蝕むような、底冷えのする暗黒が、魔物のように横たわっている。
闇の中から、様々な物音や声がする。その多くは戸惑いや混乱、不安に満ちたものだった。
――ここが何処なのか、何故こんなところにいるのか。
それらの疑念に応じるように、闇が薄まった。等間隔で並んでいた松明が、同時に灯っていく。
炎は小さく、闇を払うには余りに弱々しい。しかし、なんとか周囲の様子が見渡せる程度には明るくなる。
そこは、無機質さを感じさせる石造りの広間だった。謁見の間を髣髴とさせるが、不気味な印象は拭えない。
一際大きな炎が二つ、音を立てて灯った。
反射的にそちらへと視線が集中する。巨大な松明に挟まれた玉座と、そこに鎮座する男の姿があった。
あらゆる動きが、止まった。
男が猛烈な感情に満ちた瞳で、こちらを睥睨していたからだ。
その感情は、背筋が震え上がるほどに強力な、憎悪だ。
まるで、その感情が闇を生み出しているようだった。
喧騒は自然と収束する。オディオが感じさせる深い憎悪が、あらゆる挙動を許さない。
「ようこそ、諸君。我は魔王、オディオ」
静かな声音が、鼓膜を震わせる。その静けさとは裏腹に、圧倒的な威圧感を持った声だった。
その声が、言い放つ。有無を言わさぬ意志を、剥き出しにして。
「これから君達には、殺し合いをしてもらう。最後の一人になるまでな」
息を呑む気配が、各所に生まれた。
戦慄が広間に伝播する。正気とは思えない男の言葉は、再びざわめきを呼び起こす。
普段ならば一笑に付すような馬鹿げた宣言だ。
だが男の、鋭く研ぎ澄まされた黒曜石のような瞳は、嘘や冗談の雰囲気など微塵も感じられない。
それどころか、そういった揶揄の余地も存在していなかった。
狂気の沙汰としか思えない発言に真実味を持たせているのは、たった一つの感情に他ならない。
その感情は、純粋さやひたむきさすら感じさせる、真っ直ぐで濃密な憎悪だ。
静謐ながら苛烈な憎悪は、オディオ以外の全員を縫い止めていた。
「……ふざ、けるな」
その空気の中で、オディオに牙を剥いた者がいた。中華風の衣装に身を包んだその男に、視線が集中する。
「義破門団にも負けずとも劣らぬ外道め! ワン・タンナベ拳後継者の名において、成敗してくれるッ!!」
赤茶色の髪を振り乱し、男――ワンが構える。右手を引き、左手の肘を玉座に向けた。
それは一見、勇敢な行動に思える。
だがその場に集ったほとんどの人物が悟っていた。
彼の行動は勇敢なものではなく、激情に衝き動かされて冷静さを失した蛮勇でしかない、と。
4
:
オープニング案
◆6XQgLQ9rNg
:2008/08/26(火) 23:07:43 ID:6T0fgeTM0
――よせ。やめろ! 落ち着け!!
静止の声が飛ぶ。しかし、ワンは止まらない。
「ワン・タンナベ拳奥技! 怒髪天突拳!!」
ワンの気迫と絶叫が大気を揺らし地を揺り動かす。
赤茶色の髪が逆立ち、ワンの周りに闘気が具現化されていく。
闇に浮かぶ、闘志と怒りの塊。
気の弱い者なら、それを目の当たりにしただけで戦意を失してしまいそうな激怒の奔流。
それを真正面から受け止めても、オディオは玉座から立ち上がらず、眉一つ動かさない。
「愚かな……」
ただ呟いて、ゆったりと手を挙げる。
たった、それだけの挙動で。
闘気は霧消し、大気の揺らぎが消失し、圧力を抱いた怒りが嘘のように感じられなくなる。
小さな炸裂音が鳴り、ワンの首が、吹き飛んでいた。
時間が止まったように、間が生まれる。
しかし、噴き出し続けている血液が、時の進行を証明していた。
誰かが、悲鳴を上げた。
それを皮切りにして津波のような狂乱が生じ、人々を押しつぶしていく。
パニックに陥る彼らに、オディオは威圧感に満ちた声を叩きつけた。
「彼と同じ末路を辿りたくなければ、勝手な真似は慎んで貰おう」
その言葉の意味が伝わるにつれ、静寂が戻りゆく。
すぐそばに迫った明確な死の気配が、人々をオディオに従わせる。
しかし、ワンのすぐ側にいた青年は、オディオを無視してワンの骸へと目を向けていた。
緑色の僧服を着たその青年は、ワンの命を呼び戻そうと、呪文を紡いでいる。
頭が千切れ落ちるほどの大きな損壊を受けた遺体を蘇生させるのは、優秀な神官であっても不可能に等しい。
そんなことなど、青年は百も承知だ。それでも彼は、ワンから離れない。
「クリフト! その人は、もう……ッ!」
青年――クリフトの耳に、主である少女の声が届く。それは、搾り出すかのような悲痛な声色だった。
普段ならば弱音めいた発言をしない彼女が、このように告げたのは、濃厚な憎悪に中てられたせいだろうか。
「……分かっています、姫様。しかし私は、神に仕える身。何もせず黙っているわけには参りません」
そんな彼女を勇気付けるようにクリフトが応じた、その直後。
再び、炸裂音が響いた。
それに続く音は、酷く湿っぽい。
びちゃり、と。
ワンの遺体が作り出した血溜まりに、クリフトの首が、落下する。
そして、ワンの身に折り重なるように、クリフトの体が、倒れ伏した。
二人分の血液が床を汚し、鉄臭さが広がる。
吐き気を催すほどの死の気配が、生者に触手を伸ばし心を侵していく。
5
:
オープニング案
◆6XQgLQ9rNg
:2008/08/26(火) 23:08:24 ID:6T0fgeTM0
「クリ、フト……。クリフトォ――ッ!!」
クリフトの主である少女を始めとして、絶叫が再発した。
巻き起こった無数の悲鳴が、甲高い不協和音を奏でる。無数の感情が混ざり合い、広間を荒らしていく。
「私の手で君達を殺めるのは本意ではない。故に、もう一度言う」
全ての声音を鎮圧するような色濃い殺気が、オディオから沸き立つ。
「――勝手な真似をするな。従わぬ者の首は、直ちに吹き飛ぶと思え」
既に二人の首が無慈悲に飛ばされている現状で、オディオに逆らう者は存在しなかった。
波が引くように、喧騒は鳴りを潜めていく。それでも、彼らが平静を取り戻したわけでは、決してない。
揺らめく炎だけが照らす薄闇の中で、鮮血が噴出する音だけが微かに響いていた。
「君達のには首輪が装着されている。私の意思次第で自在に爆発する首輪だ。今のように、な」
暗に反逆の意志を刈り取りながら、オディオは淡々と言葉を継ぐ。
その内容は、殺人ゲームとも呼べるバトルロイヤルの説明だった。
「説明が終わり次第、君達を無作為に、孤島の各所に転移させる。
そこで、生存者が一人になるまで互いに殺し合って貰う。
転移と同時に食料、水、地図や武器などは支給する。思うままに使い、命を奪い合え。
死者は零時、六時、十二時、十八時に発表する。そして発表ごとに、進入禁止エリアを設ける。
尚、孤島の外は最初から進入禁止エリアであることを覚えておけ。
次に、禁止事項を挙げる。
首輪を無理に外すこと。あるいは、首輪を破壊を試みること。進入禁止エリアに進入すること。
これだけだ。これらに反した者の首輪は、爆発する。
また、死者が出ない状況が二十四時間続いた場合、全ての首輪は爆発する」
一挙に告げると、オディオは参加者となる人々を眺め眇める。
静まり返った彼らに向ける威圧感はそのままで、オディオは口角を持ち上げた。
6
:
オープニング案
◆6XQgLQ9rNg
:2008/08/26(火) 23:09:03 ID:6T0fgeTM0
「最後まで生き延びた者は褒美として、本来在るべき世界に帰してやろう。そして――」
無表情だった相貌に、歪で昏い変化が現れる。
戦慄を感じずにはいられない、凄惨な笑みだった。
「どのような薄汚い欲望でもよい。何でも望みを叶えてやる。
自らの欲を満たすのは、勝者に与えられた絶対的な権利なのだからなッ……!」
歪んだ笑みから伺える感情は、やはり憎悪でしかない。
あらゆる感情を憎悪に置き換えたような凄絶さで、オディオは言い放つ。
「さあ、存分に殺し合え。欲望のままに、醜く傷つけ合い惨めに奪い合い無様に壊し尽くせ!
見知らぬ人間を信用するな。奴らは皆、自身の為ならば他者を蹴落とすことを由とするッ!
仲間である人間を信用するな。奴らは皆、欲望に身を任せ裏切ることを厭わないッ!
そして、思い知るがいい。人間の浅薄さを、愚劣さを、醜悪さをなッ!!」
人間に対する、あらん限りの憎悪を叩きつけるようにして。
苛烈で強烈で痛烈な感情を剥き出しにし、オディオが右手を振りかざす。
それが、開幕の合図だった。多数の人影が、闇に包まれ消えていく。
まるで、憎悪に呑み込まれるように、消えていく。
その光景を、オディオは――オルステッドは、最後まで見つめていた。
【バトル・ロワイアル 開幕】
【ワン・タンナベ@LIVE A LIVE 死亡】
【クリフト@ドラゴンクエストIV 導かれし者たち 死亡】
【残り 54名】
7
:
テンプレ
:2008/08/31(日) 02:00:37 ID:e7WJUyP60
このスレはRPGゲーム(SRPGゲーム)の登場キャラクターでバトルロワイヤルをやろうという企画スレです。
作品の投下と感想、雑談はこちらのスレで行ってください。
RPGロワしたらば
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/11746/
テンプレは
>>2
以降に
8
:
テンプレ
:2008/08/31(日) 02:01:18 ID:e7WJUyP60
参加者リスト
7/7【LIVE A LIVE】
○高原日勝/○アキラ(田所晃)/○無法松/○サンダウン/○レイ・クウゴ/○ストレイボウ/○オディ・オブライト
7/7【ファイナルファンタジーVI】
○ティナ・ブランフォード/○エドガー・ロニ・フィガロ/○マッシュ・レネ・フィガロ/○シャドウ/○セッツァー・ギャッビアーニ/○ゴゴ/○ケフカ・パラッツォ
7/7【ドラゴンクエストIV 導かれし者たち】
○主人公(勇者)/○アリーナ/○ミネア/○トルネコ/○ピサロ/○ロザリー/○シンシア
7/7【WILD ARMS 2nd IGNITION】
○アシュレー・ウィンチェスター/○リルカ・エレニアック/○ブラッド・エヴァンス/○カノン/○マリアベル・アーミティッジ/○アナスタシア・ルン・ヴァレリア/○トカ
6/6【幻想水滸伝II】
○2主人公/○ジョウイ・アトレイド/○ビクトール/○ビッキー/○ナナミ/○ルカ・ブライト
5/5【ファイアーエムブレム 烈火の剣】
○リン(リンディス)/○ヘクトル/○フロリーナ/○ジャファル/○ニノ
5/5【アークザラッドⅡ】
○エルク/○リーザ/○シュウ/○トッシュ/○ちょこ
5/5【クロノ・トリガー】
○クロノ/○ルッカ/○カエル/○エイラ/○魔王
5/5【サモンナイト3】
○アティ(女主人公)/○アリーゼ/○アズリア・レヴィノス/○ビジュ/○イスラ・レヴィノス
【残り54名】
9
:
テンプレ
:2008/08/31(日) 02:02:46 ID:e7WJUyP60
【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
勝者のみ元の世界に帰ることができる。
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
【スタート時の持ち物】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。
「地図」 → MAPのあの図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。写真はなし。
「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。
【禁止エリアについて】
放送から1時間後、3時間後、5時間に2エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。
【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。
【舞台】
ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/free_uploader/src/up0087.png
【作中での時間表記】(0時スタート)
深夜:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
日中:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24
10
:
テンプレ
:2008/08/31(日) 02:03:24 ID:e7WJUyP60
【予約に関してのルール】
・したらばの予約スレにてトリップ付で予約を行います。
・予約は必須です。予約せずに投下できるとしても、必ず予約スレで予約をしてから投下してください。
・修正期間は審議結果の修正要求から最大三日(ただし、議論による反論も可とする)。
・予約時にはトリップ必須です。また、トリップは本人確認の唯一の手段となります。トリップが漏れた場合は本人の責任です。
・予約破棄は、必ず予約スレでも行ってください。
【議論の時の心得】
・議論はしたらばの議論スレでして下さい。
・作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
・ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
・議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。
・『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』
・これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。
【禁止事項】
・一度死亡が確定したキャラの復活
・大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
程度によっては雑談スレで審議の対象。
・時間軸を遡った話の投下
例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
・話の丸投げ
後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。
【NGについて】
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・NG協議・議論は全て議論スレで行う。本スレでは絶対に議論しないでください。
・協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
・どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。
『投稿した話を取り消す場合は、派生する話が発生する前に』
NG協議の対象となる基準
1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
4.イベントルールに違反してしまっている場合。
5.荒し目的の投稿。
6.時間の進み方が異常。
7.雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)
8.その他、イベントのバランスを崩してしまう可能性のある内容。
上記の基準を満たしていない訴えは門前払いとします。
例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×
・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は、修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・書き手が批判意見を元に、自主的に修正する事は自由です。
・誤字などは本スレで指摘してかまいませんが、内容議論については「問題議論用スレ」で行いましょう。
・「議論スレ」は毒吐きではありません。議論に際しては、冷静に言葉を選んで客観的な意見を述べましょう。
・内容について本スレで議論する人がいたら、「議論スレ」へ誘導しましょう。
・修正議論自体が行われなかった場合において自主的に修正するかどうかは、書き手の判断に委ねられます。
ただし、このような修正を行う際には議論スレに一報することを強く推奨します
11
:
名無しさん
:2008/08/31(日) 02:04:04 ID:e7WJUyP60
【書き手の注意点】
・トリップ必須。 騙り等により起こる混乱等を防ぐため、捨て鳥で良いので必ず付けてください。
・無理して体を壊さない。
・残酷表現及び性的描写に関しては原則的に作者の裁量に委ねる。
但し後者については行為中の詳細な描写は禁止とする。
・完結に向けて決してあきらめない
書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであればしたらばの一時投下スレにうpしてください。
・自信がなかったら先に一時投下スレにうpしてもかまいません。 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない一時投下スレや没スレの作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
ただしちょっとした誤字などはwikiに収録されてからの修正が認められています。
その際はかならずしたらばの修正報告スレに修正点を書き込みましょう。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
作品を撤回するときは自分でトリップをつけて本スレに書き込み、作品をNGにしましょう。
書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
・経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
・キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
・戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
本スレだけでなく雑談スレにも目を通してね。
・『展開のための展開』はNG
キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効
携帯からPCに変えるだけでも違います
12
:
名無しさん
:2008/08/31(日) 02:04:34 ID:e7WJUyP60
【読み手の心得】
・好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
・好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
・荒らしは透明あぼーん推奨。
・批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
・擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
・「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
・「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
・感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
・ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。
13
:
ダブル・ナイトメア
◆jtfCe9.SeY
:2008/09/04(木) 22:08:44 ID:HUuOLlZk0
闇が全てを支配しているこの深い深い森の中。
その闇に溶け込むような全身が黒づくめの男がそこに居た。
木に寄りかかったまま微動だもしない。
まるで生きていないような錯覚に陥るような印象がある。
その男の名はシャドウ。
最もそれは本名ではない。
「影」を意味するその偽名。
それこそ今の彼を象徴するものだった。
そしてシャドウはただ考えていた。
オディオと名乗るもの。
そして死んでいった二人の人間。
極めつけは殺し合いの強制。
そんな傍から見たら非日常な風景。
その中でシャドウが選ぼうとする選択は……?
その時一つの風が吹いた。
風を受けざわめく木々。
木の葉が擦れ合う音が響く。
が。
その刹那。
「………………」
木々の間から飛び出す新たな影。
その動きはかまいたちの如き速さでシャドウの背後に迫る。
そしてその襲撃者は死神の鎌を振るうが如くシャドウの首筋に己の獲物である短刀を振るった。
神速の一撃。
それは迷うことなくシャドウの首を狩ろうとする。
「………………!」
「………………!?」
だが死神の鎌は首を刈ることができなかった。
シャドウはそれはたやすく自らの短刀で受けとめてていた。
振り返らず空気をだけを読み背中に短刀をやり死神の鎌を受け止めていたのだ。
ほんの刹那の事である。
「………………」
襲撃者は奇襲に失敗した事に驚きつつもすぐに撤退を開始する。
一撃で仕留められ無かったのだ、ここで無駄に戦闘して体力を失う事は下策と判断。
そして襲撃者にとってシャドウは同業者である判断した。
そう、その職業は一撃必殺を誓う「暗殺者」
それ故に撤退を選択した。
襲撃者の行動は迅速で一撃を振るって数十秒も立たないうちにまた闇へと姿を消した。
それをシャドウは追おうとしない。
シャドウも襲撃者が同業である事に気付き追いつくことは無理だと判断した為だ。
そしてほんの数分前と変わらない静寂がまた森を支配した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
14
:
ダブル・ナイトメア
◆jtfCe9.SeY
:2008/09/04(木) 22:09:37 ID:HUuOLlZk0
襲撃者はシャドウから距離を置いて事を確認すると殺し合いが始まった時の事を思い出す。
名簿に最も大切な人の名前が書かれていた。
名前はニノ。
襲撃者――ジャファルにとって殺人以外に生きる意味をくれた大切な少女。
その大切なニノが殺し合いに巻き込まれていた。
ジャファルにとって自らが殺し合いに巻き込まれる事などいとわない。
何れ訪れる事だと。
暗殺を繰り返し続けて何れ自分も殺される。
それがこの殺し合いの舞台になるかもしれないだけの事。
だがニノはそうじゃない。
ニノは生きないと駄目だと。
ジャファルは唯そう思った。
だからジャファルは唯思う。
ニノを生かすと。
他の参加者を殺しニノを優勝させる。
それが不器用なジャファルがニノにできる事だと。
それしか考えられなかった。
「…………………………ニノ」
だからジャファルは行く。
「死神」の異名持つ自分の力でニノを生き残らせる為に。
唯。
唯。
その心にはそれしか宿らなかった。
【E-2 森林 一日目 深夜】
【ジャファル@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:健康
[装備]:アサシンダガー@ファイナルファンタジーVI
[道具]:不明支給品0〜2、基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いに乗り、ニノを優勝させる。
1:参加者を見つけ次第殺す。ただし深追いはしない。
2:知り合いに対して躊躇しない。
[備考]:
※名簿確認済み。
※ニノ支援A時点から参戦
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
15
:
ダブル・ナイトメア
◆jtfCe9.SeY
:2008/09/04(木) 22:10:28 ID:HUuOLlZk0
(…………………………)
シャドウはジャファルの襲撃を退けた後森を用心に進んでいた。
この殺し合い。
シャドウにとっては唯の日常だった。
仕事と同意だと。
パートナーであるインターセプターがいない事は気がかりだったが。
でもシャドウはそれでも変わらなかった。
影に生きる者として。
選ぶ事は一つ。
殺し合いに乗り優勝する事。
もとい殺人に躊躇いなどない。
迷う事などなかった。
ここが死場になるかは自分の腕次第。
先ほどのジャファルの様な腕のたつ者が他にいるのら気を引き締めないといけないと。
「……………………」
そしてシャドウは行く。
己が悪夢に終止符を打てる事を期待して。
唯。
唯。
進んでいた。
【D-2 森林 一日目 深夜】
【シャドウ@ファイナルファンタジーVI】
[状態]:健康
[装備]:アッサシンズ@サモンナイト3
[道具]:不明支給品0〜2、基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いに乗り優勝する。
1:参加者を見つけ次第殺す。ただし深追いはしない。
2:知り合いに対して……?
[備考]:
※名簿確認済み。
16
:
癒しの乙女達と魅惑の支給品
◆b1F.xBfpx2
:2008/09/04(木) 22:30:07 ID:sbD4l98I0
褐色の肌に流れるような紫紺の髪の黒き百合―ミネアは神殿の中にいた。その手に持つのは、
参加者達に渡された支給品の一つである地図。光源無しで確認するのが困難であった為、彼女は危険を承知で
支給されたランタンの灯を灯したのだった。
(私の現在いる場所は、おそらくC-8という場所でしょうか…)
壁の少ない神殿から見える外の景色と地図の内容を照らし合わせて、現在位置を把握する。
次に参加者の名簿を開いて内容を把握する。一見淡々と行動しているように見えるが、それは同時に何か辛い現実から
目を背けようとしているようにも見えた。
(クリフトさん……)
思うのは先ほどの広間で死んでいった仲間の事。無残に殺された人を蘇生させようと懸命に呪文を唱えようとしたのは、
神官である彼らしい行動だった。なのに、あの魔王を名乗った青年は、遊び飽きた玩具を捨てるかように彼の首を刎ねたのだ。
(アリーナさん…きっと今泣いているかもしれないわ)
首を刎ねられた彼が密かに愛していた姫…アリーナは彼が死ぬところを目の前で見てしまったのだ。それが彼女にとってどれだけショックの大きいことなのかは計り知れない。
彼女もこの島のどこかに飛ばされているのなら、誰かが支えてやらなければ…
そのためにも、今は出来る限りの情報を集め、早く彼女や仲間と合流しなければならない。
ミネアは再び名簿に目を向ける。その時、誰かがすすり泣く声が聞こえはっと周囲を見渡した。
「うっうっ…先生…」
アリーゼは神殿の中央に設置されたテーブルの下で泣き続けていた。どうしてこんなことになってしまったのか、何故殺し合いなんてしなければいけないのか。
彼女自身、今までいくつもの困難を乗り越えてきていたが、さすがにこの理不尽な状況には耐えられなかった。
気が付いたらあの大広間にいて、オディオという男に殺し合いをしろと言われた。最初何がどうなっているのかわからなかったので、彼の言葉も
理解出来なかったが、直後に彼に逆らった男が殺され、男を生き返らせようとした(それも信じられなかったが)聖職者風の男の人も殺されて、
初めて今置かれている状況に気が付いたのだった。そしてすぐまた闇にのまれて、気が付いたら此処にいたのだ。
そこは自分のよく知った場所――集いの泉だった。
そこで、自分のいる場所を理解し傍に置かれたデイバックを見た途端、急に感情が溢れだした。不安、恐怖、疑問…いくつもの感情がこみ上げてきて、
涙となって頬から伝う。僅かな理性で人に見えるところにいるのは危険と判断してテーブルの下にもぐり、現在に至るわけである。
「私……殺し合いなんてっ……どうしたら…」
最近は改善されてきたものの、元々人見知りが激しく慣れない環境に弱い彼女には、この殺し合いというゲームは酷だった。
不安に押しつぶされながらただただ泣く事しかできなかった…。
「先生……」
「……どうしたの?」
ふいに声をかけられて、思わず「ひっ!」と声を上げてしまう。今の自分は武器も持っていない。もしこの人が殺し合いに乗ってたら…
そんな恐怖に駆られたアリーゼは、腰を抜かしながらもずるずると後ずさりした。
「こっ殺さないで……」
僅かな勇気を振り絞ってか細い声で拒絶する。しかし、それに対して女性と思われる声の主は、優しい言葉で返した。
「大丈夫よ、私はあなたを殺したりしないわ。だから落ち着いて…ね?」
暗い神殿の中で彼女の持ったランタンが、二人の姿を照らし出した。
17
:
癒しの乙女達と魅惑の支給品
◆b1F.xBfpx2
:2008/09/04(木) 22:30:50 ID:sbD4l98I0
「…落ち着いた?」
「は…はい…怖がったりして、すみませんでした…」
「気にしなくていいわ。こんな状況じゃ怖くなっても仕方がないもの」
ミネアの優しさに安心したアリーゼは、彼女に寄り添うように備え付けられた椅子に座っている。
彼女を落ち着かせながら、お互いの情報を交換することにしたのだ。
話をしていくうちに、お互いが全く別の世界の住人であることが判明した。異世界の存在が身近にあるアリーゼはそれほど驚かなかったが、
ミネアの方はかなり驚かされた。自身も魔界と呼ばれるような地底世界に行ったことはあるが、完全な異世界となると話は別だった。
この殺し合いに参加している者達は、皆異世界から召喚されているのだろうか…だとしたら、あの魔王オディオという人物は、一体どれほどの
力を持っているのだろうか…。
「……ミネアさん?」
彼女の深刻な顔に、アリーゼが心配そうに顔を覗き込む。
「あ…ううん、大丈夫よ。少し考え事をしていただけだから…」
ミネアもそれに気付き、心配かけまいと明るく答えた。
それから二人は自分達の現在位置や殺し合いに参加している自分達の知り合いの事、これからの行動方針などについて話し合った。
「それじゃあお互いの知り合いは、私はユーリルさん、アリーナ、トルネコさん、ピサロさん、ロザリーさん。
アリーゼちゃんはアティ先生、アズリアさん、イスラさん、ビジュさんね?それで、その中で注意した方がいいのは
ビジュさんとイスラさんにピサロさん。ここまではいいわね?」
「はい、ビジュは多分こういうことには喜んで参加してしまいそうな感じがします。イスラは…何を考えているのかよくわからなくて…
でも、二人共とっくに死んでいるはずなんです。なのにどうして…?」
「私の世界には、死者を蘇らせる呪文や道具があるの。あのオディオという人が私達を集められたのなら、私達の世界の道具を手に入れることもできるんじゃないかしら?
とりあえず、その二人に会った時は気をつけるようにしましょう。ピサロさんもロザリーさんが無事なら大丈夫だとは思うけど、
もしロザリーさんに何かあった時は、十分注意した方がいいと思うわ。」
ピサロは元々人間を憎んでいる。もし参加者の誰かにロザリーを殺されでもしたら、彼は暴走して皆殺しをするだろう。それだけは避けたいところである。
しかし、ロザリーを保護するにも、非力な自分達が大きく行動するのは危険だ。それにアリーゼの保護者であるアティと合流して、彼女を安心させてあげたい。
「……あの、ミネアさん」
ミネアが悩んでいると、アリーゼが声をかけてきた。その顔には何か決心したような雰囲気もある。
「あの…私は大丈夫ですから、先にロザリーさんを探しましょう。」
「え?」
思いがけない言葉に、一瞬戸惑うミネア。しかし、アリーゼを彼女の回答を待たずに続ける。
「このまま放っておいて、ロザリーさんが殺されたら、ピサロさんが乗ってしまうかもしれないんでしょう?だったら先にロザリーさんを見つけて、
ピサロさんを安心させてあげた方が良いです。先生もアズリアもとても強いし、きっとまたすぐに会えますから…だから早くロザリーさんを…」
「わかった、わかったわ。あなたがそれでも大丈夫だと言うのなら、そうしましょう。でも、まず自分の身を守れるようにしないといけないわ。
探す前に私達が死んでしまったら、元も子もないでしょう?」
なおも喋り続けようとするアリーゼを落ち着かせ、お互いの支給品を調べるように促した。焦る気持ちもわかるが、焦っていても良い事はない。
18
:
癒しの乙女達と魅惑の支給品
◆b1F.xBfpx2
:2008/09/04(木) 22:32:42 ID:sbD4l98I0
まずは自分達の身を守れるようにしなければならない。場も静かになったところで、二人は支給品の確認をすることにした。
先にミネアが支給品を取り出す。出てきたのは、なんだかよくわからない鉄の道具と紫色の綺麗な宝石、それに首飾りだった。
「それって…もしかしてサモナイト石ですか?」
横で見ていたアリーゼが、宝石を指差しながら言った。
「サモナイト石?」
「はい。召喚術を使う時に使う魔法の石なんです。…ちょっと貸してもらえませんか?」
そう言ってアリーゼが手を差し出したので渡すと、彼女は宝石を両手で包み、瞑想を始めた。
「……やっぱりサモナイト石です。これは…天使ロティエルですね。」
「天使?その宝石で天使が呼べるの?」
はいと答えて、目を開けたアリーゼがサモナイト石を返す。そして、サモナイト石について説明した。
サモナイト石とは、アリーゼの世界であるリィンバウムに隣接した4つの世界のゲートを開き、そこに住む住人を召喚するのだという。
リィンバウムではサモナイト石は貴重ではあるが一般に認知されているものらしい。改めて、異世界の力の凄さを思い知らされた。
次にアリーゼが支給品を確認する。彼女の支給された品は、工具セットに毒蛾を模した装飾のされたナイフ、そして……
「………」
「…あの、これって一体…」
二人ともなんともいえない顔で、最後の支給品を見つめている。アリーゼの持つその品とは……
ブラジャーだった
どうみても女性用の下着にしか見えないそれを手にしたまま、二人は暫く何も言えないでいた。
すると、ブラジャーに引っかかっていた紙切れのようなものがすり抜け、カサリと地面に落ちた。
それに気付いた二人が紙切れを広げる。そこには短い文章でこう書かれていた。
『みわくのブラ…装備することでいろじかけの成功率UP』
19
:
癒しの乙女達と魅惑の支給品
◆b1F.xBfpx2
:2008/09/04(木) 22:33:33 ID:sbD4l98I0
【C-8 神殿(集いの泉) 一日目 黎明】
【ミネア@ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち】
[状態]:健康、唖然
[装備]:無し
[道具]:ブラストボイス@ファイナルファンタジーⅥ、天使ロティエル@サモンナイト3、サラのお守り@クロノトリガー、基本支給品一式
[思考]
基本:自分とアリーゼの仲間を探して合流する(ロザリー最優先)
1:いろじかけって……
[備考]
参戦時期は6章ED後です。
【アリーゼ@サモンナイト3】
[状態]:健康、泣いた事による疲労(小)、唖然
[装備]:なし
[道具]:工具セット@現実、毒蛾のナイフ@ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち、みわくのブラ@クロノトリガー、基本支給品一式
[思考]
基本:自分とミネアの仲間を探して合流する(ロザリー最優先)
1:あっあのぅ……
[備考]
参戦時期はED後です。どのEDかはお任せします。(ただし、イスラEDではありません)
20
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 08:20:44 ID:7eewbtkA0
アク禁ためここに投下します
21
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 08:26:11 ID:7eewbtkA0
「どうして、こんな酷い事を……」
山の中を歩く少女はポツリと悲壮に満ちたため息を漏らす。
少女の中で思い浮かぶのは先ほどの光景。
オディオと名乗る主催者相手に勇敢に立ち向かった少年の死、そして無残な姿へと変貌した少年に駆け寄る神官の死。
二人の死にリーザの心境は複雑に交差する。
もしかしていたら、自分も彼らのようになっていたかもしれないのだ。
少年が死んだとき、リーザは彼らの死を呆然と眺めていた。
リーザは突然の事に呆気に捕らわれていたけど、思考が戻るとすぐに神官と同じように少年に駆け寄ろうとした。
シュウの「行くな」という言葉が耳朶を打つが、無我夢中に駆け寄ろうとしていた。
無理だと分かっていながらも、今ならまだ間に合うかもしれない。
そんな矛盾めいた願いの下、リーザは足を速めた。
でも、それは叶う事はなかった。
後、十数歩という目の前で、神官姿の男性の首が弾け飛んだのだ。
目に焼き付かれる陰惨な光景にリーザはわなわなと唇を震わせ、その場に崩れ落ちる。
「クリ、フト……。クリフトォ――ッ!!」と、彼の知人なのか、女性の叫び声が聞こえる。
とても親しい間柄だったのだろう、その声は悔しさと悲しさが入り混じった、とても聞くに堪えない悲しいものだった。
「そんな、どうして……」
リーザは放心状態のまま、ポツリと涙を混じらせ、言葉を漏らす。
そして、気づいたときには漆黒の広がる林の中にいた。
22
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 08:30:03 ID:7eewbtkA0
その光景を思い出すたび、リーザは思う。
クリフトと呼ばれる青年はただ少年の安否を気遣っただけなのだ。
私と同じように無理だと分かっていながらも、
少年のために傷を施しに行っただけなのに…無残にも殺されたのだ。
彼はたった一人だった。少年の一方的な惨殺の前に皆が恐れおののく状況の最中、
たった一人の救済者だったのだ。
勇敢で心優しい行為の目の前で、どうしてオディオはこんな酷い仕打ちを与えるだろうか。
多くの者は彼を命知らずの愚か者と感じるだろう。
でも、リーザは違った。彼の行いは勇敢で心優しいものだった。
この行為によって少年の魂は救われたに違いない。
だからこそリーザは決意する。
絶対に魔王オディオを許さないと。
そして、少年を慈しんだ彼のように―――皆を救いたい。
クリフトのように勇敢に立ち向かえるようになる。
一番最初に怪我人に駆け寄る強さを受け取りたい。
そう、リーザは心に誓ったのだった。
23
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 08:32:13 ID:7eewbtkA0
リーザはそんな決意を胸に詰め込み、また足を進める。
今、彼女が向かっているのはこの地点から最も近い砂漠の塔であった。
エルクやシュウ、トッシュ、ちょこを含む、
この殺し合いに乗らない人たちに会い、オディオに対抗する方法を考えなければなかった。
リーザは人が集まりそうなところへと茂みを掻き分け押し進んだ。
前方に広がるのは漆黒の闇。
不吉な予感を想像させる黒い空間にランプの明かりを照らし、道を切り開き、ただひたすら西に向かった。
その途中、不意に全身にへばりつく邪悪な気配がリーザを襲う。
誰に見られている。圧倒的な殺意を巡らし、今にも私に襲い掛からんとしている。
「誰!! 近くにいるのは!!」
リーザはまだ見ぬ監視者に対して声を大きくは張り上げる。
叫び声が森閑とした周囲に響き渡る。
そのとき、リーザの目の前に突然大男が姿を現す。
その男の姿は背丈二メートル以上ありそうなほど巨躯であり、
上半身は裸に髪型はスキンヘッド、そして、恐持ての顔つき。
外見上どう見ても友好的には見えない上に、常に付き纏う異質のオーラにリーザは一歩距離を引いた。
24
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 08:34:23 ID:7eewbtkA0
「よく気づいたな。女とはいえなかなか勘が鋭いな」
「あなたは何者ですか?」
異質なオーラを放つ男にリーザは問いかける。
それは名前を問う質問ではない。
この男自身の存在を問う質問。
「あなたから放たれる異質な力……人とは思えないその力……何者です?」
「ほう、そこまで分かるのか? 私が“人”ではないことが」
リーザの目の前にいるのは最強を目指すがうえに人を捨て、
己を魔人へと変貌させたオディ・オブライトであった。
オブライトは自分の正体を見破った少女に感心しながら、
リーザの全身を嘗め回すような目つきで見据え、呟く。
「勘がいいようだが、俺を満たすには少々物足りないな」
蛇を想わせる狡猾な視線に身震いを覚えながらも、リーザは言葉の意図を尋ねる。
「どう言う意味ですか?」
ニタニタと笑みを浮かべ、オブライトはか弱い少女を見下ろす。
25
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 08:36:55 ID:7eewbtkA0
「ふ、教えてやろうかぁ? お前の身体に興味があるのだ」
オブライトのおぞましい答えに吐き気と供にリーザはヒッと一瞬声を漏らした。
貞操の危機にナイフを構え、警戒心を高める。
「はっはっはっは、何を怯えているのだ? 勘違いするなよ…俺はただお前の戦闘能力に興味があるだけだ。
ひょろひょろのガキ相手では俺の心は満たせない。
『最強』を目指すためにも……己の『最強』を誇示すためにもなッ!!」
オブライトはリーザに見下したような高笑いをあげる。
「つまり、あなたは殺し合いに乗っていると?」
リーザは自分の不運を嘆きながらも問いかける。
「無論だ……だが、雑魚には興味がない。
ただ俺が求めるのは『強者』のみだ。
まあ、俺に歯向かうなら相手をしてやってもいいぞ…女」
そう、言葉を終わらせるとオブライトはこの殺し合いの最中、無防備に背を向け歩き出す。
完全に彼女から興味を失ったのだ。無防備にも背を向けたのはリーザに対する戦力外通告であった。
幸な事かリーザは魔人オディ・オブライトの魔の手から逃れたのであった。
リーザは漆黒の林の中へと消えていくオブライトの後ろ姿を黙って見つめていた。
現状況で戦闘すれば、敗北は必死であった。
リーザ自身戦闘能力はあるが、回復や魔法といった後方支援に適しているのだ。
ここで戦闘をするのは愚の骨頂ともいえる。
26
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 08:38:59 ID:7eewbtkA0
「止まりなさい」
だが、リーザは高らかに声を上げオブライトを引き止める。
オブライトは声に反応し、後ろを振り向く。
「殺し合いに乗るというなら私はあなたを止めます。
仲間を傷つけさせないためにも私は全力で立ち向かいます」
そこにはナイフを前に構えるリーザがいた。
リーザは決意したのだ。
もうあんな悲しみを生まないためにも。
後悔しないためにも。
勇敢に立ち向かった人々の意思を無碍にしないためにも。
死の覚悟を決め立ち向かった。
27
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 08:40:55 ID:7eewbtkA0
リーザは宣戦布告と同時に魔法を詠唱の構えをとる。
唯一の攻撃呪文『アースクエイク』を唱える。
相手の距離は離した、この距離なら先手はこちらにある、そうリーザは考えていた。
「がががぁあああ!!」
と、言葉と同時にリーザの身体が宙を舞った。
一瞬の出来事であった。
気づいたら一気に間合いを詰められていた。
気づいたら胸部に男の豪腕が突きつけられていた。
「…うがぁ」
胸に重い衝撃が伝わる。
リーザはあまりの激痛にその場に蹲る。
その衝撃は呼吸器官を弾圧し、リーザの呼吸を見る見るうちに奪っていく。
リーザは見誤ったのだ。圧倒的な戦力差に開きあるという事に。
その巨躯に似合わぬ俊敏さで詰め寄ってくる速さを持っている事に。
そして、最大の敗因――――
「ふ、愚か者め、お前如きにこの俺が倒せると思ったのかッ?」
地面にひれ伏すリーザの腹を蹴り上げる。口元から吐血がにじみ出る。
「この状況下わざわざ宣戦布告する馬鹿がどこいるのだッ!!」
28
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 08:46:19 ID:7eewbtkA0
漆黒の森を駆け抜ける一つの足音。
静寂広がるこの森で騒ぎの声を聞きつけ、疾風のごとく駆けつける。
叫び声を聞きつけるといなや、足を奮い立たせ、全速力で声の方向へと進んだ。
暗闇慣れた目は次第に騒ぎの現状を目に焼き付けられる。
そこに見えるのは刺青の背中に大柄の男。
片手で何か持ち上げている?
その姿は空に蒼く光る月に照らされ、神に祈りを捧げているように見えた。
駆ける男は祈り手の先を見る。それは神に祈りを捧げているようなものではなかった。
それは、邪教の儀式のようだった。その手には……。
ヘクトルはそれを認識すると剣を引き抜き、一気に踏み込み、背を向ける男に縦に振りかぶる。
「このクソ野郎が!!」
ヘクトルの完全に男の脳天を捕らえる。アーマーナイトの鎧さえ貫ける剛の一撃が放たれる。
だが、その一撃は防がれる。
「何!!」
29
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 08:49:44 ID:7eewbtkA0
ヘクトルはあまりの突飛な出来事に驚愕する。
得意の武器である斧でないにしろ、ヘクトルの攻撃は豪腕の一撃。
その威力は相手を一刀両断できる凄まじいものだ。
だが、それを両腕に着けられた小手だけで防がれたのだ。
普段ならこの腕ごと叩き割る自信があるのだが。
目の前の出来事は驚愕としか言えない。
それもそのはず、男は装備する小手は名工――源氏の小手。
柔な武器では傷一つ付ける事が出来ない代物であった。
「ほう、気配の消し方といい、その踏み込みといい。
この俺を楽しませてくれそうではないかッ!!」
すかさず、魔人オブライトは反撃の一撃を加える。
ヘクトルはそれを体の捌きで避け、間合いを離すため後ろに大きくステップする。
「つるっぱげ…てめぇ、女を殺したのか!?」
ヘクトルはオブライトを睨め付け、剣を構えながらじりじりと横に移動し、お互いに間合いを維持する。
「いい目をしている。多くの死線を潜った鋭い目つきだ」
「質問に答えろ、なぜ殺したんだ?」
「ああ、殺したどうかは分からんが、瀕死に違いないだろう。だが、勘違いしては困るな。
これは正統防衛だ。あちらから俺に立ち向かってきたのだよ」
「信じられると思うか」
激昂の限り睨み付けるヘクトルの気迫を無視し、言葉を続ける。
「信じるかどうかはお前しだいだ。それにしてもあまりで脆弱で反吐が出そうだった。
つまらん女だった。……だが、お前は大いに楽しませてくれそうだ」
30
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 08:54:11 ID:7eewbtkA0
オブライトは地面を蹴って、ヘクトルへと踏み込み、鳩尾に掌打を打つ。
その踏み込みの速さは砲弾を連想させる。
突然の攻撃にヘクトルは咄嗟に剣を側面にして、その攻撃を防ぎ切るが、
その勢いを殺しきれず、ガードを崩す。
その瞬間、オブライトの掌打が連続して放たれる。
その威力は鎧に守られているにもかかわらず、大地がゆっくりと砕けるような衝撃が胸に伝わる。
オブライトにとって鎧など紙切れに過ぎないのだ。
長年修行した気の力によって、波紋の如く衝撃を浸透させる。
鎧通しと呼ばれる日本古来から伝わる技法。
ヘクトルの巨躯が軽々しく吹き飛ばされてしまう。
オブライトは追撃に入るべく、大きく跳ねとび、顔面目掛け拳を振り上げる。
地面を転がるヘクトルは体勢を立て直すと、同時に足と体を捌かせ、オブライトの打突ポイントをずらす。
オブライトの拳は目測の地点とは大きくずれ、地面に叩きつけられる。
拳の重圧によって、地面の枯葉が高く舞い上がる。
その一瞬の隙を狙い、ヘクトルの刃が首元を狙う。
普通ならここで決着が付くのだが、オブライトは両手を交差させ、小手で受けきる。
それはあまりに暴力じみた反射神経。人間の所蔵と思えない、人間の範疇を超えたものであった。
31
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 08:56:12 ID:7eewbtkA0
「クソが、人間とは思えねえぜ」
オブライトはすかさず無防備になった身体に前蹴りを食らわせる。
前蹴りのよって、宙に吹き飛ばされる最中、ヘクトルは焦っていた。
こんなところで、油を売っている場合ではないのだ。
すぐにでも、少女の安否を確認したいのだが、目の前の敵はあまりに規格外。
怪我人に構っていられるほど余裕はない。自分の死を覚悟せざるえないほど男は強い。
ヘクトルは苦戦を強いられていたのだ。
本来の得意の武器でない上に、付き纏う焦燥感。
その二つがじわじわとヘクトルを縛り付ける。
「どうしたあ? 動きが鈍くなってきたぞ?」
一方的な攻撃の前にヘクトルは防御のみに絞られる。
ヘクトルはこの不利な状況を打破する答えを搾り出す。
だが、その答えは―――
「はああああああああああッ!!」
拳と剣がぶつかり合う。
その瞬間、ヘクトルの唯一の武器鋼の剣が砕け散った。
―――金切り音と同時に闇の中へと消え去った。
32
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 09:01:10 ID:7eewbtkA0
ここからは一片の隙も与えない攻防であった。
いや、それは紛れも無く一方的な虐殺であった。
ヘクトルはなされるがまま、オブライトの攻撃を一身に受ける。
いくら抵抗しようが、ガードは崩され、全身のいたるところに拳を浴びせられる。
ヘクトルとはいえ、武器を失った時のために格闘術は一通り習っていた。だが、それを上回るオブライトの格闘術。
急所だけは何とか避わし、意識だけは失われないようにしていたが、そろそろ体力は限界に近づいて来ていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、まだ俺は倒れて…いやしねえぞ、つるっぱげが!!」
ヘクトルは立つのもやっとであった。
むしろ、生きているのすら不思議なほど満身創痍であった。
オブライトはにやりと頬を持ち上げ、止めの一撃を顔面に食らわせる。
顔面が陥没必至の一撃。
ヘクトルの死は確定的であった。
33
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 09:07:51 ID:7eewbtkA0
だが、それは確定することなく防がれる。
「なにぃッ!?」
足元から隆起した鋭い岩片がオブライトを襲う。
オブライト突然ことに足元の自由を奪われ、傷を負うが、
すぐに状況を理解するため周囲を見渡す。
そして、目に映るのは立つのもやっとの女がオブライトを見据える光景。
「女、よくも俺の邪魔を……」
オブライトはすぐにでも地を踏みしめ、リーザの元へと間合い詰めようとする。
だが、その一瞬の隙が。
「やらせはしないぜ!」
オブライトは振り向く。身体に何かが貼り付けられている。
それは、ハゲワシの羽に似た見た事もない代物。
『キメラの翼』が突きつけられていた。
その瞬間、翼が砕け散り、効果を及ぼす。
オブライトの巨躯が宙を舞う。
刹那、高速でどこか彼方に飛ばされたのだった。
34
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 09:12:33 ID:7eewbtkA0
ヘクトルは空高く舞い上がるオブライトを眺める。
奴の突然の驚きようは死に逝く自分にとって、手土産になるだろう。
エリウッド、リン、そして―――フロリーナ…すまねえ…俺はここで退場だ。
そう、思いながら、ヘクトルはそのまま大の字に倒れる。
肉体が軋みを上げ、自分だけが分かるレクイエムを奏でる。
そこに、ふらふらと身体を引きずって、ヘクトルの元に少女が駆け寄ってくる。
その全身の怪我は見るに痛々しい。
まあ、俺ほどじゃないけどな……。
「大丈夫か、すまねえな。もうちょっと早く駆けつければ無傷であんただけでも逃がせられたのによう」
「ごめんなさい、私のせいで……私のせいで…」
「へっ…俺が勝手にしでかしただけだ…それに女に泣かれるのは…。
フロリーナだけで…じゅうぶんだ……かんべんしてくれ。
まあ…また……泣かしてしまうけどよ」
そう、言葉を紡ぐと、心の中でもう一度最愛の者に謝った。
涙を浮かべるリーザは息も絶え絶えのヘクトルを見渡す。
立派に飾られた鎧に拳の跡が至るところに刻み込まれ、酷いものとなると捻り潰されているものもある。
それは明らかに相手の膂力の凄まじさを物語っていた。
35
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 09:15:54 ID:7eewbtkA0
「今すぐ、あなたを癒します。だから、心配しないで待っていてください」
「ああ……ありがてえ。いつでも待ってやらあ」
ヘクトルは悲しい嘘だと思っていた。ライブの杖もなしにすぐに傷を癒すことは不可能なのだ。
最後の最後まで俺を心配させまいとする心遣いだと。
だが、その認識は覆される。
リーザはその瀕死にヘクトルの姿を見ると詠唱の構えを取る。
優しい光がヘクトルの身体を包み込む。すると見る見るうちに傷が癒されていくのだ。
ヘクトルはライブの杖なしに魔法を使える事に驚愕し、リーザの顔を覗き込む。
その顔は汗だくで体調は優れていない。見る見るうちに生気が失っているようにすら見える。
「おい、お前!! 止めろ!! もしかしてお前……」
「ごめんなさい、いつもより…治癒力が…弱いの。
でも…ホルンの魔女リーザ・フローラ・メルノが……。
絶対に……あなたの傷を……治すわ…」
「止めろ!! 俺のことはいい!! あんたはあんたのこと心配するんだ!!」
36
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 09:17:42 ID:7eewbtkA0
ヘクトルは何度も声を張り上げ、治癒呪文を唱えるリーザを制する。
が、リーザは一心不乱に詠唱を続ける。
ヘクトルを『救う』ために。
あのときのように後悔はしないために。
クリフトのように勇敢になりたいために。
オブライトに打破された偽りの覚悟ではなく。
―――本物の覚悟を。
傷ついた身体を鞭打って唱え続けた。
これ以上魔力を使う事は死を意味していた。
だが、命を賭して、唱え続けた。
リーザの身体が大きく光ると、治癒力も大幅に増大し、
ヘクトルの満身創痍の身体は綺麗に治されていた。
「わ…たし…やり…ま……し………」
37
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 09:19:18 ID:7eewbtkA0
ヘクトルの元気な姿を確認すると、リーザは弱弱しい笑顔を見せ、その場に崩れ落ちた。
ヘクトルは崩れ落ちるリーザを咄嗟に抱える。金色の髪がさらさらと腕に流れ落ちる。
その身体はあまりに冷たく、軽かった。
紛れも無く死が訪れを意味していた。戦乱で何度も体験した人の死。
それが、今ここで訪れていた。
「おい!? どうしてなんだよ!! なぜあんたが死ぬ必要があるんだ。
本当は俺が死ぬはずだった。それなのにどうして俺じゃなくてあんたが死ぬ事になるんだ。
なぜだ……なぜなんだ!!」
ヘクトルは憤りと悲しみの入り混じった言葉を投げかける。
だが、腕の中の少女の耳には届かない。
少女は自分が救った者の腕の中で眠っている。
そのか細い死に顔は安らかのものだったのかは、彼女自身しか知らない。
【リーザ@アークザラッドⅡ 死亡】
【残り53名】
38
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 09:24:40 ID:7eewbtkA0
【F-5 森林 一日目 深夜】
【ヘクトル@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:全身打撲(小程度)
[装備]:なし
[道具]:リーザの不明支給品1、聖なるナイフ@DQ、基本支給品一式×2(リーザ、ヘクトル)
[思考]
基本:オディオをぶっ倒す。
1:仲間を集める。
2:オディ・オブライトを倒す。
[備考]:
※フロリーナとは恋仲です。
※キメラの翼@DQは砕け散りました。
※鋼の剣@DQは刃が砕け散りました。
【??? 一日目 深夜】
【オディ・オブライト@LIVE A LIVE】
[状態]:両足に損傷(小程度)
[装備]:源氏の小手 @FF
[道具]:不明支給品1〜2個(確認済み)、基本支給品一式
[思考]
基本:『最強』を目指すため最後まで生き残る。
1:強者と戦う、弱者には興味は無い
2:リーザを殺す
3:ヘクトルと再戦(生きていると思っていないが)
[備考]:
※魔法の存在を意識しました
※キメラの翼によって何処か遠くに飛ばされました(場所は次の書き手に任せます)
39
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 09:42:29 ID:7eewbtkA0
投下完了しました
タイトルは『遺志を継ぐもの』です
40
:
◆O4VWua9pzs
:2008/09/05(金) 19:22:19 ID:tLSDFSCE0
なんてこったいOTZ
代理投下された後なのに、致命的なミスをしてしまった
27と28の間にこれが抜けていた
オブライトは言う。
『最強』とはどんな状況下の中でも常に戦闘状態に構えるようにしなければならない。
食事の最中であろうが、酒を飲もうが、睡眠中であろうが、常にアンテナを張り巡らせ、戦いに備える。
日常的に闘気を張り巡らせるのだ。いかに強かろうが、隙を付かれ、殺されれば意味が無い。
死=敗北なのだ。
オブライトにとって油断は一切無い。
「覚悟が足りん……この雑魚がッ!!」
喉元を片手で掴み上げ、空中で首を締め上げる。
「あの世で後悔するがいいッ!! このオディ・オブライトに歯向かったことをッ!!」
首を締め上げられ、酸欠になりながらリーザは思った。
覚悟が足りない事を後悔していた。
オディオに殺された少年とクリフトを見て、決意していたはずなのに。
だが、魔人はその決意を暴力的に打破する。
私の決心はそんなものだったの?
意識を遠のくにつれ、後悔の念が更に湧き上がる。
私はまだ何も始まっていなかった。殺し合いをまだ意識していなかった。
次はそうならないようにする。だが、もう遅かった。
リーザは最後に思う。
ごめんなさい。皆私はもう…。
その言葉を心の中で言うとリーザは意識を失った。
+++
もし、wikiに収録された時、責任を持って直します
41
:
神のみぞ知る
◆b1F.xBfpx2
:2008/09/05(金) 23:04:41 ID:zUso7EiA0
暗い礼拝堂の中で、月の光に照らされて七色に輝くステンドグラスが眩しい…
僕は備え付けられた椅子にもたれかかりながら、ステンドグラスに描かれた女神を眺めていた。
女神は生きとし生けるもの全てに安らぎを与えるような微笑を浮かべている。でも、僕はその微笑を見ても別に安らぎはしなかった。
それは僕が一度死んで再び蘇った存在だからでも、元いた世界に神が存在せず、何かを崇めるような習慣がなかったからでもない。
微笑みを見ても何も感じない…ただそれだけだった。
「殺し合い、ねぇ……」
何気なく横に置いたデイバックから地図を取り出し、だらだらと端から端まで流し見た。
地図の端に教会という文字を見つけ、現在位置がF-1である事を知る。
口から出てくるのは溜め息ばかり。当然だ、僕にはそんなことに付き合う気も起きなかったのだから…。
僕はあの島でアティや姉さん達と対立し、最後まで共に歩む事を拒絶した。それは、僕の存在が皆を苦しめる事になると思っていたから。
小さい頃に無色の派閥によって一生病魔に苛まれる呪いを受け、家族から必要のない…邪魔な存在となった。
表面上は皆僕に優しく接してくれていたが、裏で厄介者扱いしていることはよくわかっていた。でも僕はそれを憎んだりはしなかった。
…むしろ悲しかった。悔しかった。周囲を苦しめてしまう自分が嫌だった。姉さんを軍人にしてしまう自分が憎くて仕方なかった…。
そこで僕は、自分の命を絶つ方法を探した。呪いの効果で自殺もできないこの命を絶つ方法を探し、そして見つけた。
二本の封印の魔剣の適格者となり、その魔剣の適格者同士ならば、お互いを殺す事ができるのだと。資格を持っていた自分は封印の魔剣を手に入れ、適格者となった。
魔剣の力で呪詛を抑えこむ事もできたので、更に行動範囲は増えた。後はもう一人の適格者を見つけて、自分を殺させるだけだった。
でも、僕を殺す事ができるもう一人の適格者のアティは、とんでもないお人よしだった。僕は彼女に僕を殺させようと何度も挑発して襲った。
だが、どれだけやっても彼女は僕を殺さなかった。僕が死んだ時に悲しまないようにと、姉さんの前でも卑劣な弟を演じて嫌われようとしたがだめだった。
結局、無色の派閥によって抑え込んでいた呪詛を解かれ、その反動によって死ぬという自分の計画を何一つ達成できない結末を迎えた。
42
:
神のみぞ知る
◆b1F.xBfpx2
:2008/09/05(金) 23:06:45 ID:zUso7EiA0
しかし、僕は確かに生きている…と言えるのだろうか?正確には、死んだのを無理矢理蘇らせられただけだ。あのオディオと名乗る魔王の手によって。
それにしても何故僕のような人間をわざわざ蘇らせて、こんな馬鹿げたことをさせるのやら。はっきり言って迷惑だった。
生きているだけで邪魔な存在だった自分が嫌で死んだというのに、今更呪いの解かれた状態で蘇ったところでどうなる?
姉さんやアティ達に会わせる顔があるわけがないじゃないか。第一何処とも知れない場所で、殺し合いに参加している時点で会えるわけがない。
じゃあどうすればいいのか……そんな事どうだっていい。僕が蘇っていることなんて姉さんが知るわけないんだし、死んでもいいかもしれない…
でも未だ誰も自分を殺しにやってこない。それじゃあ自殺でもしようかと思っても、不思議とやる気になれない。
「…名簿でも見てみるか」
それでもふと、他に誰が参加しているのか少し気になった。こんな馬鹿げたことに知り合いがいるとは思わなかったけど、
とりあえず名前だけでも知っておこうかと思った。
しかしそんな気持ちは、取り出した参加者名簿に目を通した時に変化することになる。
「……なんで姉さんの名前が?」
最初は見間違いかと思った。でも自分と同じ性も記載されていて、自分の名前のすぐ近くに書かれていたのだ。
更に近くにアティやビジュ(自分のように蘇ったのだろうか)など知っている名前もあった。これで別人だと思う方がおかしい。
何故だか知らないが、姉さん達もこの殺し合いの参加者であることは事実なのだ。
「とにかく姉さんを……」
と言いかけたところで、僕は動きを止めた。
…僕は今何を言いかけた?
(姉さんを助けに行かなきゃ…と)
誰を誰が助けに行くって?
(姉さんを……僕が…)
さっき自分で言ったじゃないか。僕に姉さん達に会う資格なんてないってさ…。
(それじゃあ姉さんを見殺しにするのか?)
それは……
(なら助けに行けばいいじゃないか…)
だから会うことなんて…
(だったら僕はどうするんだ?)
そのまま僕は暫く動かなかったが、ふとあることが思いついた。
僕が思いつた事は、誰とも共に行動せず、誰にも見られずにこの殺し合いを破壊する事。
首輪を解除し、ここから脱出してあの魔王を倒して姉さん達を解放する事。
その途中、危険分子…例えば殺し合いに乗った奴を見つけたら、排除する事。
これなら姉さん達に会わずに助けることができる。勿論絶対とは言えないが。
何にせよ、僕が姉さん達の前に現れない方がいいのは確かなんだ。
行動方針が決まったので、僕は早速準備に取り掛かった。まずは支給品の確認だ。
魔王を倒すのだから、武器がなくては話にならない。そう思い、自分に支給された品を確認する。
支給された武器は剣だった。禍々しくもどこか美しい輝きを放つ片刃の剣…少し前まで持っていた紅の暴君キルスレスを思い出させる剣だった。
僕はそれを手に持ち、荷物を纏めて教会を後にした。
僕の計画を知っているのは、微笑みを浮かべた女神だけだった……
43
:
神のみぞ知る
◆b1F.xBfpx2
:2008/09/05(金) 23:08:24 ID:zUso7EiA0
【F-1 教会 一日目 深夜】
【イスラ・レヴィノス@サモンナイト3 】
[状態]:健康。
[装備]:魔界の剣@ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち
[道具]:不明支給品1〜2個(本人確認済み)、基本支給品一式
[思考]
基本:誰にも見られずに首輪解除と脱出を行い、魔王オディオを倒してアズリア達を解放する。
1:首輪を解除する為に必要な道具または施設を探す。
2:途中危険分子(マーダー等)を見かけたら排除する。
3:極力誰とも会いたくない(特にアズリア達)
[備考]:
※参戦時期は16話死亡直後。そのため、病魔の呪いから解かれています。
44
:
HUNTER×HUNTER
◆iDqvc5TpTI
:2008/09/06(土) 04:26:33 ID:8o6Z/Ke20
本スレで規制されたため、不足分込みの全文を、こちらで投下し直しておきます
45
:
名無しさん
:2008/09/06(土) 04:29:12 ID:8o6Z/Ke20
ただ、暗闇だけが広がっていた。
歩けども、歩けども、闇は晴れず、どこにも辿りつくことは無い。
それでも、何かから逃げるように光を求め、止まることなく進み続けた。
――エルク……
声が、聞こえた。
いつか、どこかで聞こえた声だった。
それまで自分以外には闇しか存在しなかった世界で、初めて他者を感じられたからか。
俺の足は自然とその声が聞こえる方へと進んでいた。
誰も、居ない。
前を、左右を、後ろを見渡せど、誰も、
「可哀相に、疲れてしまったんだねぇ」
「!?」
居た。
「生きるのなんて、つらい事なかりだ。こっちへおいで」
「父さん? ……母さんなの?」
死んだはずの母さんが。
殺されたはずの父さんが。
いつの間にか、俺の後ろに立っていた。
いや、父さんたちだけじゃない。
「ようっ、エルク」
「ジーン! 俺は……」
「わかっているさ。お前は俺達を殺した痛みを背負っていける程タフじゃない。生きるのなんかやめちまえ。楽になるぜ」
俺がこの手で殺した親友が。
「エルク、待っていたわ。此処で、一緒に暮らしましょ。此処はいいわよ、静かで」
好きだったのに助けられなかった少女が。
失った、全てが、そこには、あった。
きっとここは幸せな世界なのだろう。
それでも俺は、この幸せな夢に沈むわけにはいかなかった。
「ミリル、そうはいかないんだ」
ガルアーノは、俺達から全てを奪った奴はまだ生きているのだ。
故郷の村を焼き払ったアーク一味もだ。
俺は、あいつらを殺してみんなの仇を討つまでは死ねない!
「貴方は私の言いなりにならなきゃいけない筈よ。だって、私を殺したのは貴方だもの。ずーっと信じて待っていた貴方に殺された私の気持ちが解る?」
何も言い返すことはできない。
ミリルは、ずっとあの白い家で俺が助けに来るのを待っていてくれたのに。
逃げ出して、見捨てて。
俺は、そのことすら忘れていたのだ。
助けに行くと。必ず助けに行くと約束していたのに!
「私は、貴方を元の世界に戻しはしない」
――来たれよ…… 炎を操り闇を照らす者よ…… 人間に未だ幻想をいだく者よ…… いざなおう…… 真実を知らしめんために……
ああ、これは俺への罰なのか、ミリル……。
46
:
名無しさん
:2008/09/06(土) 04:29:52 ID:8o6Z/Ke20
◇
眼を覚ました時、エルクは遂に自分が死んで地獄に落ちたのだと思った。
さしずめ玉座に座しているあの男は、俺を裁く閻魔なのだと。
そんな彼の認識は半分ハズレで、半分当たりであった。
彼は死んではおらず、されど、ここは地獄だ。
命を握られ、殺し合いを強要される世界。
これが地獄で無いというのなら、是非とも他の呼び方を教えてもらいたい。
「何でも望みを叶えてやる、か」
オディオと名乗った魔王の言葉を思い出す。
奴の言う通りなら、優勝さえすればどんな願いでも叶えてくれるらしい。
ジーンやミリルを生き返らせることも可能かもしれない。
それはとても甘い誘惑で、けれど、エルクは否定する。
無理だ。
玉座の間に集められていた人間にはシュウとリーザ、彼の仲間の姿もあった。
幼い少年、少女の姿もあった。
いくら願いを死んでしまった大切な人達を蘇らす為とはいえ、エルクには彼らを殺すことなんてできそうにもなかった。
もうその手は血で汚れてしまっているというのに。
なんて、偽善。
夢の中の彼らの言葉はいつまで経っても消えてはくれない。
蘇生の可能性を不意にした今、彼をより強く攻め立てていく。
「ちくしょう、俺は死んじまった方がいいってのか」
首筋に手を伸ばす。
そこには彼の命を脅かす無骨な枷が確かに巻きついていた。
これを引っ張れば、死ねる。
魔王に立ち向かった男のように。
命を繋ごうとした僧侶のように。
あるいはあの時のミリルのように。
爆発して、彼は死ぬ。
逝くのにあまりにも適した状況に、自然と渇いた笑みが零れそうになり、次の瞬間、凍りついた。
「死ぬのは貴様の勝手だが、その前にあたしの質問に答えてもらおうか」
「誰だ!?」
振り返った先には女がいた。
「――カノン」
薄汚れたマントと緑の髪を風になびかせて。
「……通り名だが、抱いて逝くにはそれで十分だろう?」
眼帯の女は自らの名を告げた。
47
:
名無しさん
:2008/09/06(土) 04:30:28 ID:8o6Z/Ke20
◇
目の前に広がる光景にカノンは絶句していた。
その驚き様は魔王オディオによる宣告を受けた時や、名簿で『ある名前』を見つけた時と勝るとも劣らないものだった。
草木が覆い茂っているのだ。
これだけでは何のことかわからないかも知れないが、彼女の世界の住人からすれば驚くなと言う方が無理である。
カノンが本来住んでいた世界――ファルガイアの大地は枯れ果てていたからだ。
ところがどうだろう。
今、彼女が進んでいる森の木々は、行けども行けども途切れない。
ファルガイアにも全く緑が無かったわけでは無いが、これほどの範囲に渡って広がっている場所をカノンは知らない。
「馬鹿なッ、異世界だとでも言うのか!?」
思い返せばあの魔王もそれを匂わせることを言ってはいなかったか?
カノンは考える。
『最後まで生き延びた者には褒美として、本来在るべき世界に帰してやろう』
わざわざ『本来在るべき』とつけているのだ。
ここが異世界だという考えは、あながち的外れなものではないだろう。
そもそも、このような場所がファルガイアにあるのなら、
渡り鳥として世界各地を周って魔を祓っていた自分が噂にすら聞いたことが無いというのは、いくらなんでもあり得ない。
一応最後の確認とばかりに彼女は花園へと向かうことにした。
草木以上にファルガイアに縁の無い施設だ。
実在すればここがファルガイアではない何よりの証明になる。
位置も現在地から近く、地図に記載されているくらいなら人も集まっているかもしれないと判断してのことでもあった。
彼女が彼を見つけたのはその道中のことであった。
濃い茶色の髪の毛を逆立て赤いバンダナを巻いた青年が、何か思いつめているのは直ぐにわかった。
こちらのことにも気づかない程真剣な位にだ。
時折耳に届く独白からも覇気は感じられず、故に危険人物ではないと見なし声をかけてみたのである。
無論、一時たりとも気を抜かず、いつでも全身に施したギミックを解放できるようにした上でだが。
「アシュレー・ウィンチェスター、または魔王という男に出会わなかったか?」
「魔王? 何言ってんだ、それならてめえだってさっき会っただろが!」
それを聞きたいのはカノンも同じだ。
名簿に堂々と記載されている魔王という文字。
まさかオディオ本人が参加しているとは思えないが。
判断を保留しつつ、未だに眼を通していなかったらしい男に名簿を突き付ける。
知り合いの名前でも見つけたのか、男の顔に動揺が浮かぶも、カノンにとっては興味のないことだった。
――そう、例え殺し合いに放り込まれてもカノンがすることに変わりは無い。
「いや、俺が会ったのはあんたが初めてだ」
「そうか」
名簿を見終わった男の答えに、カノンは特に落胆はしなかった。
殺し合いに駆り出されてまだ間もないのだ。
初めから大して期待はしていない。
むしろ、次の問こそが本命だ。
「もう一つ。貴様の知り合いに『魔』はいるか?」
「……『魔』?」
「私は凶祓い(まがばらい)だ。モンスターや魔物、魔王といった『魔』を滅ぼす義務がある」
彼女は凶祓いだ。
そして、魔神を封じ、世界を救った英雄<剣の聖女>の末裔だ。
殺し合いに乗る気はない。
だが。
48
:
名無しさん
:2008/09/06(土) 04:30:59 ID:8o6Z/Ke20
(『魔』はあたしの手で滅ぼすッ!!)
「そのアシュレーという奴も『魔』なのか?」
質問に質問で返されたことに苛立ちはしたが、アシュレーの場合は特殊なパターンだ。
男から情報を得るためにも、カノンは説明することにした。
「正式には奴自身では無い。奴に降ろされた魔神がだ」
「降ろされた? そいつが自分でモンスターになったんじゃないのか!?」
「……そうだ。負の念に満ちかねないこの世界では、いつあの悪しき魔神が目を覚ますのかわからない」
「だから殺すっていうのか!」
降魔儀式に巻き込まれただけの被害者。
アシュレーのことをそう捉える人間がいるのもわかる。
(それでも、あたしは『魔』を許さぬッ! この身に流れる『血』に誓ってッ!!)
『魔王』とやらがオディオと別人であるのなら、そちらも斬るまでだ。
『魔王』だけでは無い。
この殺し合いに潜んでいる全ての魔を殺す。
自らに流れる『英雄』の血を証明する為に。
彼女自身が英雄になる為に。
――この地には、本物の『英雄』が、<剣の聖女>がいるのに?
カノンの脳裏で、栗色の髪の少女が囁く。
捨て去ったはずの過去が、彼女を揺さぶる。
――ねえ、ここにも、あたしの居場所は
(黙れッ!!)
「<剣の聖女>の末裔であるこのあたしには魔神を駆逐する宿命があるんだよッ!」
「そうかよ。なら――」
心に浮かんだ迷いから眼を逸らし血に縋るカノンに、男はようやく引き延ばしていた答えを告げる。
「俺はあんたを放っておくわけにはいかねぇ!!」
「なッ!?」
紅蓮の炎による拒絶という答えを。
◇
49
:
名無しさん
:2008/09/06(土) 04:32:40 ID:8o6Z/Ke20
◇
らしくない。
全く以てらしくなかった。
母さんも死んだ。父さんも殺された。ジーンも、ミリルも、殺した。
助けたかった人達はもういない。
けど、守りたい人達も、殺したい仇も、それを為そうとする自分もまだ生きているのだ。
(リーザ、シュウ、待ってろ、すぐ行く! アークの仲間、お前は俺が殺す!)
カノンの話に怒りを覚えるまでそんなことにも気づかなかった自分を叱咤する。
自殺してどうなる?
失われた命は帰っては来ないのだ。
そしてそれは、アシュレーという男の命も同じだ。
「そいつはまだ間に合うかもしれねえだろ! 自分の意識を保ってんだろ! 大切な人だっているんじゃないのか!」
「言ったはずだ、それがあたしの宿命なのだとッ! ジャマする者であれば何であろうと斬り捨てるッ!」
魔神を降ろされたという男と、モンスターに改造された子ども達の姿が重なる。
ジーン、ミリル、アルヘレッド、名も知らない大勢の少年たち。
みんな、みんな、エルクが殺した。
今さらだとは思う。
これから先幾つの命を救っても、彼は罪から逃れられない。
その運命をずっと背負って生きていく。
それでも。
それが、誰かを助けたいと。
アシュレーを好きな人達を悲しませたくないと。
カノンに罪を背負わせたくないと。
もう二度と自分達のような悲劇を繰り返したくないと。
願ってはならない理由にはなりはしない!!
「血とか宿命とか、そんなてめえ自身がどこにもいねえ理由で殺すっていうのかよ!」
「黙れッ! 宿命を背負うことであたしは『あたし』を信じてこれたッ!
貴様にはわかるまい、あやふやな自分を抱え込むという不安を!!」
「分らないでもないからこそ、あんたを止めてえんだよ!!」
50
:
名無しさん
:2008/09/06(土) 04:33:26 ID:8o6Z/Ke20
過去を無くしていた炎使いの頭上を、過去に縛られた女の刃が過ぎる。
カノンは速い。
エルクが知る中でも最速のシュウにも匹敵する。
炎を牽制に放ちつつ、エキスパンドレンジで夜道を照らし間合い開けようにも、一向に離れてはくれない。
支給品を確認し、何か武器になるものを手に取る暇を与えることなく、両の腕に展開した刃が振るわれエルクを襲う。
(あれが奴の支給品か! っち、あの物騒なものを受けるものが無くちゃ埒が明かねえ!)
まるで長年親しんだ獲物であるかのように、カノン本人の動きも熟練したものだった。
殺す気はないからと、加減が効く相手では無い。
僅かな躊躇の後、エルクは現状を打破するために勝負に出る。
「怒りの炎よ! 敵を焼き払えっ!!」
エクスプロージョン。
爆発の名を冠した炎は、先ほどまでのように渦とはならず、一瞬で炸裂し己が猛威を解放。
夜の闇に、紅蓮の華が咲き誇る。
「くッ!!」
火の粉と石が宙を舞う中、エルクの視界に爆発に呑まれるカノンの姿が映る。
無論、直撃しないよう、ややずらした位置に着弾させはした。
本命は爆炎ではなく爆風だ。
熱か衝撃で気絶してくれるのなら大成功。
そこまで上手くいかなくとも、吹き飛すことで距離は稼げたはずだ。
そう判断し、デイパックの中にエルクは手を伸ばす。
――カノンが、爆風に煽られるどころか、自ら爆発の中心に飛び込んだとも知らずに。
◇
51
:
名無しさん
:2008/09/06(土) 04:34:01 ID:8o6Z/Ke20
◇
『人間』に絶望し、『人間』であることを辞めた『魔王』は嘲笑う。
『英雄』に何の意味があるのだと?
かって『勇者』と称えた人物を、不要になればすぐに切り捨てるのが『人間』だ。
『英雄』など所詮人柱に過ぎないことを、彼は痛いほど知っていた。
だからだろうか?
『英雄』になる為に、『人間』を棄てた女に彼は与えた。
人ならざる者のにしか扱えないその二つの支給品を。
◇
パワーユニットファイアバグ。
ARMの一種と踏んだ支給品がカノンの義体(シルエット)に力を与える。
展開された魔力の障壁は見事爆炎から彼女を守り切った。
狩るべき男は目を見開き、慌てて回避行動に移ろうとするが、もう遅い。
マジックシールドの対魔力は強力だが、種が割れれば簡単に手を打たれてしまう。
代償として彼女を襲う疲労も無視するにはやや重い。
故に、カノンは一気に勝負に出る。
義体と義体に仕込んだ武器のリミッターを限定解除。
人の身では耐えられない圧倒的な速度でカノンは駆ける。
軋む機械の身体。
悲鳴を上げる人の心。
その全ての痛みを棄て去って、一瞬で距離を詰め、神速の連撃を叩き込む。
愛用の短剣は取り上げられてはいるが、構わない。
今の彼女の右腕には変わりとばかりに唸りを上げる獲物がある。
『勇者』の名を冠する回転衝角が!
右方より大きく振りかぶられたドリルの一撃が、男の胴を打つ。
大振り故に、晒されるはずの隙を、機械の身体は強引にキャンセル。
地に崩れ落ち逝く身体に、左の拳を打ち込み、打ち上げる。
その神速の世界の中、男の腕が動き、デイパックから何かを取り出したのが見えた。
(かまわない。反撃される前に滅っするまでッ!!)
続けざまに左、右と鋼の鞭と化した回し蹴りで完膚なきまでに打ち据える。
距離をとるなどという愚は冒さない。
零距離で左のワイヤーナックルを叩き込む。
52
:
名無しさん
:2008/09/06(土) 04:34:37 ID:8o6Z/Ke20
「っぐ、ちく、しょおおっ……」
それで、全てが終わった。
炎使いの身体が拳ごとワイヤーで飛ばされ、川に落ちたのは誤算だったが、
幸い彼が直前まで手していたデイパックはカノンの足もとに転がっている。
反撃に用いようといていたらしい何かは共に流されてはいったが。
「赦せとは言わぬ」
慣れない武器、慣れない補助動力源を用いての戦闘行為だった為か、確信は持てない。
元より機械の身体では手応えは曖昧にしか感じられない。
しかし、あれだけの攻撃を立て続けに見舞ったのだ。
生きてはいまい。
「これも、『英雄』の血を証明する為だ」
当初の予定通り、カノンは花園に向かうことにする。
戦いの最中放たれた炎は、夜の闇の中ではかなり目立ったはずだ。
このままここに残り、やってきた者達と接触することも考えたが、疲労した状態で、危険人物に会うことは避けたかった。
――本当に? 会いたくないのは、本当に危険人物なのか?
「一人この手で殺したんだ。今更戻れはしないッ! あたしも、あたしの身体もッ!」
再び浮上する迷いを振り切り、デイパックを拾い、カノンは背を向ける。
平野に、過去に、自らの本当の願いにさえ。
【B-9 平野 一日目 深夜】
【カノン@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:精神的疲労(中)、ダメージ(微小)
[装備]:勇者ドリル@サモンナイト3(右腕)、Pファイアバグ@アークザラッドⅡ
[道具]:エルクの不明支給品1〜2個(未確認)、基本支給品一式×2
[思考]
基本:『魔』を滅ぼす。邪魔されない限りそれ以外と戦う気はない。ただし、邪魔者は排除する。
1:アシュレーを見つけて討つ。
2:アシュレー以外の『魔』も討つ。(現時点:オディオ、魔王)
3:まずは花園へ向かい1、2の為に情報を集める。
[備考]:
※参戦時期はエミュレーターゾーンでアシュレーと戦った直後です。
※彼女の言う『魔』とは、モンスター、魔物、悪魔、魔神の類の人外のことです。
※勇者ドリル、Pファイアバグは機械系の参加者及び支給品には誰(どれ)でも装備できるよう改造されています。
Pファイアバグは今のところ、マジックシールドの使用可能が確認されています。
他の術はお任せ。
※エルクの名前を知りません。死んだと思っています。
※エルクの発した炎がどのあたりまで見えたかはお任せ。夜なので目立ったかもしれませんが、エリアの端なので。
53
:
名無しさん
:2008/09/06(土) 04:35:08 ID:8o6Z/Ke20
◇
(待ちやがれ……)
遠ざかるカノンに手を伸ばす。
変な話だった。
本当に腕を伸ばしているのは、カノンの方だというのに。
(傷が、癒えている……)
全快には程遠いが、貫かれたはずの傷が塞がっていた。
自然と一人の少女の顔が思い浮かぶ。
(リーザ……)
『モンスター』とも心を通わすホルンの『魔女』が微笑む。
いつかの日のヤゴス島での夜のように、伸ばした手を彼女が握ってくれた。
(頼む、無事でいてくれ……)
意識が闇に呑まれる。
手の中で、何かが砕け散る音が聞こえた。
【B-9 川 一日目 深夜】
【カノン@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:シュウとリーザを守り、オディオを倒す。
1:???
2:カノンを止める。
[備考]:
※参戦時期は『白い家』戦後、スメリアで悪夢にうなされていた時
※カノンからアシュレーの情報を得ました。
※どこに流されるかはお任せです。
アイオライト。
何の縁か彼の世界より持ち出された宝石がドリルに貫かれた彼の命を繋ぎとめた。
とはいえ、身体が回復した時に咄嗟にインビシブルを唱えていなければ、ガトリング・ワイヤーナックルで死んでいただろう。
アイオライトが救えるのは、あくまでも死に瀕したものであって、死んでしまったものは救えない。
その宝石の眠るバルバラードの地を訪れていない時間軸より呼び出されたエルクには知る由もないことだったが。
パリン。
制限により、回復能力を有する宝石はたった一度の使用で塵と化した。
54
:
HUNTER×HUNTER
◆iDqvc5TpTI
:2008/09/06(土) 04:37:22 ID:8o6Z/Ke20
投下完了。
>>49
,
>>50
が本スレ時の262と264の間に挟まる部分です。
55
:
◆iDqvc5TpTI
:2008/09/06(土) 05:02:54 ID:8o6Z/Ke20
たびたび申し訳ない。
49における
『アルヘレッド』を『アルフレッド』に修正
53における状態表を以下に修正。
【B-9 川 一日目 深夜】
【エルク@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:シュウとリーザを守り、オディオを倒す。
1:???
2:カノンを止める。
[備考]:
※参戦時期は『白い家』戦後、スメリアで悪夢にうなされていた時
※カノンからアシュレーの情報を得ました。
※どこに流されるかはお任せです。
56
:
◆iDqvc5TpTI
:2008/09/06(土) 05:06:32 ID:8o6Z/Ke20
……寝て出直すべきだ、俺。ほんと、ごめんなさい。
エルクの状態表、最終修正案
【B-9 川 一日目 深夜】
【エルク @アークザラッドⅡ】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:シュウとリーザを守り、オディオを倒す。
1:???
2:カノンを止める
3:トッシュを殺す
[備考]:
※参戦時期は『白い家』戦後、スメリアで悪夢にうなされていた時
※カノンからアシュレーの情報を得ました。
※どこに流されるかはお任せです。
57
:
『アティの場合』
◆x7pdsyoKoA
:2008/09/07(日) 21:38:20 ID:/nAXJuSk0
「…もしかして、海賊達もこの島にいるのでしょうか?」
海賊達のことを思い出し、彼らもこの島にいるのではないかと思い始める。
自分がこの島に流れ着いた以上は、その可能性は多いにありうる。
ならばこれ以上は悠長なことはしていられない。海賊達に対抗するための武器やコンパス等の雑貨をデイバッグに乱雑に収める。
そしてアティは僅かばかりの逡巡みせて、おもむろに服を脱ぎ始めた。その行動は濡れた服はアリーゼ探索には不向きであるとの判断からである。
水を吸い冷たくなった服は体温を奪い、重量を増す。一刻も早くアリーゼを見つけたいアティにとっては、これ以上のタイムロスは避けたかった。
海賊やこの島特有の野生動物やはぐれ召還獣がいるかもしれないと思ってしまう以上はなおのことである。
だから彼女は服を脱ぐ。白く美しい肌を外にさらし、男達には見せられない下着一枚靴一足の格好となる。
そんな姿から、すぐさま自分が持っているものよりも大きい白いコートを羽織る。服を脱がなければならない理由があっても、羞恥心がないわけではなかった。
もし、予備のコートがなければ濡れたコートを使わなければいけなかった。乾いたコートが何故か荷物の中に入っていたのは幸いだ。
遭難した以上は未知の樹液や直射日光から身を守るためのコートは必要なのだ。服のポケットに丸い石を入れ、その場に散らかった服を適当な木に引っ掛ける。
「今行きますからまっててね」
アティはそう呟きながら当ても無く歩き始める。
アリーゼとの約束を果たすために、親友を探すために、この地から脱出するために、彼女は進む。
【E-6 山 一日目 深夜】
【アティ@サモンナイト3 】
[状態]:疲労困憊。コートと眼鏡とパンツと靴以外の衣服は着用していない。
[装備]:白いコート、水の封印球@幻想水滸伝2
[道具]:基本支給品一式、はかいのてっきゅう@ドラクエⅣ
[思考]
基本:アリーゼを探す。
1:アズリアを探してアリーゼ探索に協力してもらう。
2:他の遭難者やビジュという軍人も探す。
3:舟を襲ってきた海賊や島にいるかもしれない召還獣等に警戒する。
4:アリーゼと共に帝都に行く。
5:アリーゼを見つけてから服を取りに戻る。
[備考]:
※参戦時期は一話で海に飛び込んだところから。
※E-6にあるどこかの木にアティのコートや上着や帽子などが掛っています。
※首輪の存在にはまったく気付いておりません。
※地図は見ておりません。
58
:
◆x7pdsyoKoA
:2008/09/07(日) 21:39:42 ID:/nAXJuSk0
猿さん喰らった。
だからこっち投下。
誰か後よろしくお願いします。
あと、なんかいろいろごめんなさい。
59
:
◆jU59Fli6bM
:2008/09/09(火) 20:41:49 ID:WvBUy6Rk0
眼下には物言わぬ肉塊となった少女の死体。それを照らすのは背後で赤く躍り狂う炎。
その辺りに撒き散らかされたのは、また例外もなく赤い、血。
鼻につくねっとりとした生臭さを味わうように、ルカはしばしの間それらを眺めていた。
「不思議なものだな。俺だけでなくあいつも、あの魔王とやらにもう一度生を与えられたということか……」
そう、彼もまた、死んだはずの人間だった。
自身の望んだ通りに悪を貫いた男は、この会場で目覚めた後も、いつもの感覚でいつも通り殺したのだった。
「だが、くだらんな……。再び得た命を他人の為に捨ててもいいとは。
弱い奴は死ぬ。逃げるだけの奴らに、生かす価値などありはしないわ!」
ルカは吐き捨てるように呟いた後、もう死体に用は無いとばかりに踵を返す。そして、河原の上を歩き始めた。
彼の目は横でごうごうと燃えさかる森さえも映さない。
ただ、名簿で見た名前が、ルカ・ブライトを打ち破った人物の名前が、彼の思考を支配していた。
「優勝したら元の世界に帰れる、か……。あいつらを始末して再びあの地を踏めるというのなら、それも面白いな」
ふと、ルカの口から笑い声が漏れる。
単調に音を刻む足の動きとは裏腹に、その声は段々と大きく、どす黒くなっていった。
「ふはは……ふはははははは!!! 覚悟して待っていろ、討ちとったはずの俺に殺される運命を!
そして貴様らも思い知れ、俺の味わった絶望をなッ!」
【ティナ・ブランフォード@ファイナルファンタジー6 死亡】
【残り50人】
【D-7 川 一日目 深夜】
【無法松@LIVE A LIVE】
[状態]健康、どんぶらこ
[装備]潜水ヘルメット@ファイナルファンタジー6
[道具]基本支給品一式、不明支給品0〜2(本人確認済)
[思考]基本:打倒オディオ1:ティナ……?2:アキラとティナの仲間を探す
[備考]死んだ後からの参戦です
※自分とティナの仲間について把握。ケフカを要注意人物と見なしています。
【D-7 河原 一日目 深夜】
【ルカ・ブライト@幻想水滸伝2】
[状態]健康
[装備]フレイムトライデント@アークザラッド2、魔封じの杖(4/5)@ドラゴンクエスト4
[道具]基本支給品一式*2、不明支給品0〜3(武器、回復道具は無し)
[思考]基本:ゲームに乗る。殺しを楽しむ。
1:会った奴は無差別に殺す。ただし、同じ世界から来た5人を優先
[備考]死んだ後からの参戦です
※魔封じの杖
使うと相手にマホトーンの効果、回数制限有り。普通に杖としても使えます。
※D-7北東の森林で山火事が起きています。周りのエリアにも広がる可能性があります。
60
:
Let's go XXXX (修正版)
◆FRuIDX92ew
:2008/09/13(土) 23:06:45 ID:6FcGjRqE0
本スレ投下分
>>492
以降を以下の投下と差し替えます。
ルッカは幸運だったかもしれない。
あまり知られていない事実だがオートボウガンはなぜだかとても丈夫である。
精密な機械ということもあるのだが、素材が頑丈なのか、その理由は不明だがとても頑丈に出来ている。
頭や体、とにかく防具の代わりにすれば打撃に関しては無敵になれる、そこまで言い張れるほどだった。
実際、そんな酔狂なマネをするのは国王はおろかフィガロ兵の中にも一人もいなかったわけだが。
そんなことも知らずにルッカは反射的にオートボウガンで剣をはじこうとした。
結果、剣が生み出した破壊の余波を少し抑えるほど攻撃の無力化に成功したのだ。
そのままルッカはバックステップで間合いを離そうとするが、相手は尋常じゃない速度でその間合いを詰めてくる。
「ったく、面倒なもん付けてるわね!」
慣れない打撃をすれば、腕に付けているあの腕輪の効果で反撃を食らってしまう。
下手に打撃に回るよりかは、魔法を使ったほうがまだいいかもしれない。
あまり気乗りはしないが、彼女はオートボウガンを上手く使いギリギリで斬撃を避けながら魔法を唱える。
「……ファイガ!」
薄暗い森林に、大きめの火球が落ちる。その火球は火柱を立て、あたりの木々を飲み込んでいく。
このとき、何故かルッカはわざと襲撃者を外していた。その理由は後に判ることになる。
火柱に飲み込まれた木が音を立てて倒れこんでくる、道を塞がれた襲撃者も流石に怯んだ様だ。
このチャンスを物にするためにルッカは全速力で走る。後ろを振り向かずにただひたすらに。
「くっ……魔法か、面倒ね」
リンは驚いていた、目の前の少女が魔道書もなしに魔法を放ったことに。
爆発に多少怯んだものの、少女が逃げていく祭に立てた大きな足音を頼りに足を進める。
彼女の頭は、はじめは無かった思考で今は埋め尽くされている。
その思考は「殺戮」。
彼女が嫌っていた山賊にも似た下卑た笑いを浮かべながら、足音の方向へ駆ける。
剣はただ、怪しく禍々しく輝くだけ。
61
:
Let's go XXXX (修正版)
◆FRuIDX92ew
:2008/09/13(土) 23:07:43 ID:6FcGjRqE0
「ふぅ、ここまで逃げれば大丈夫……かな?」
必死で逃げてきた末に見つけた橋にとりあえず逃げ込むことにしたルッカ。
万が一の最悪のケースを考えて、彼女はあえてこの場所を逃げ場所に選んだのだ。
それでも、その最悪のケースが数分で訪れようとは考えて無かったかもしれなかったが。
目線の先には襲撃者、橋の上から見るとどうやら緑の長髪の女性のようだ。
その女性は今から橋に入らんとするところであり、自分は橋の半分ぐらいの距離の場所にいる。
魔法を使うのもいいが、今考えていることをやろうとするとフレアを唱えざるを得ない。
しかし、この距離でフレアを唱えきる自身は正直ない、フレア自体には飲み込まれないが次に起こる事に巻き込まれえる。
なにしろ、自分は殺人鬼ではないのだから万が一フレアが直撃して襲撃者が死んでしまったら個人的に後味が悪い。
無力化、もしくは襲撃者側の逃亡。それがルッカの望む道。それをかなえるには……これしかない。
ルッカは一つ大きな深呼吸をし、そして左手を差し出し手首を自分の方へと反らせて手招きをした。
右手は……静かにポケットの中に。
「さあ、さっさとかかって来なさいよ! 私を斬るつもりなんでしょう?!」
その言葉と同時に、女性は一気に駆ける。
「そんなに死にたいなら、殺してあげるわ!」
剣を構えながら馬の如き速さでルッカへの距離を詰める。
しかし、当のルッカは笑っていた。まるで勝利を確信した策士のように。
「はい……ビンゴ!」
多少の惜しみとともに、ルッカは不思議な物体を投げつける。
その物体は橋と衝突し、一瞬のうちに強力な爆発を生み出す。しかし、その爆風が二人を襲うことは無かった。
しかし、そこにあったはずの橋は物の見事に消え失せていた。
「ふふん……今回はサイエンスの勝ちってところね。
理系特化をナメないでくれる?」
遠く離れた女性にルッカは完全に勝ち誇ったポーズで躍り出る。
さすがに遠くに見える女性も、この距離を飛び越すことは出来なかったのだろう。
そそくさと道筋を変更して森の中へと消えていった。
しかし、その際に悔しがるそぶりを見せずに消えていったのがルッカにとって気がかりだった。
……多少無理してでも足止めしておくべきだったのだろうか?
「……ま、そんなこと考えてもしょうがないし」
回れ右で後ろへと振り向くと、そこには大きな神殿が聳え立っていた。
神殿にはあまりいい思い出はないが、そこにいくしか道は無いのだから仕方が無い。
ルッカは目の前の神殿へと足を一歩ずつ動かす。
「魔王オディオだかなんだか知らないけど、見てなさいよ。
こんな首輪、前進し続けるサイエンスの力で絶対解除してやるわよ!」
【C-8 橋の上 一日目 深夜】
【ルッカ@クロノ・トリガー】
[状態]:わずかながらの裂傷、疲労(中)
[装備]:オートボウガン@ファイナルファンタジーVI、17ダイオード@LIVE A LIVE
[道具]:なし
[思考]
基本:首輪を解除する、打倒オディオはそれから
1:とりあえず神殿に逃げ込んでみる。
2:改造、首輪解除するための工具を探す。オートボウガン改造したい。
3:どこかで首輪を探す。
4:オートボウガンに書かれていた「フィガロ」の二人を探す(マッシュ、エドガー)
5:クロノ達と合流、魔王は警戒。
6:17ダイオードの更なる研究
[備考]:
※バイツァ・ダスト@WILD ARMS 2nd IGNITIONを使用したことにより、C-8東側の橋の一部が崩れ去りました。
※参戦時期はクリア後。 ララを救出済み。
62
:
Let's go XXXX (修正版)
◆FRuIDX92ew
:2008/09/13(土) 23:08:18 ID:6FcGjRqE0
魔法の件といい、リンはやはり驚きを隠せなかった。
まさか橋が倒壊するとは予想だにしていなかった。
「……どれぐらい斬れるのかな、これ」
そんなことをふと呟く。
しかし、次の瞬間には口が裂けそうなほどの笑みへと変わる。
人で試してみればいい、まだまだここには人がいっぱいいるんだから。
皆殺しの剣の殺意は止まらない。自身が滅ぶか、この場にいる人間を殲滅するまで。
次なる獲物を求めて彼女。否、剣は駆ける。
【C-9 橋の前 一日目 深夜】
【リン(リンディス)@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:狂戦士、呪い、少し火傷
[装備]:皆殺しの剣@ドラゴンクエストIV、激怒の腕輪@クロノ・トリガー
[道具]:不明支給品(0〜1)、基本支給品一式
[思考]
基本:打倒オディオ
皆殺しの剣による行動方針:見敵必殺
1:殺人を止める、静止できない場合は斬る事も辞さない。
[備考]:
※参戦時期、支援状態は不明
※皆殺しの剣の殺意に影響されています、解呪魔法をかけるか剣を何らかの手段でリンの手から離せば正気には戻ります。
※C-8で爆発音がしました。神殿内部までには届かない程度です。
※C-9の中心部にルッカの基本支給品一式入りデイバッグが放置されています。
63
:
太陽が呼んでいる(修正)
◆E8Sf5PBLn6
:2008/09/28(日) 21:24:27 ID:XLcd0kZQ0
本スレ
>>47
から
>>56
までを以下の投下と差し替えます。
◆ ◆ ◆
さっきはあんなに明るかったの今は闇が広がっている。いや、それはいい。それよりも問題なのはこの島の空気だ。いやな感じがする。この憎しみに満ちた場は地獄の島と言うべきか。
「殺し合え…か」
とりあえず現状把握だ。地図とコンパスで場所を確認するとここはA-9らしい。続いて名簿の確認をして――私は愕然とした。
「イスラ…」
名簿には死んだはずのビジュの名前もあったが、それはまだ些細なことだ。島の住人のアリーゼに『あいつ』、そして――大切な弟の名前が載っていた。
「待っていろイスラ…。私が…」
守る。そう言おうとした所で思い出す。今までイスラがどんな気持ちで魔剣を振るってきたか。
それでは駄目だ。あの時と同じ。だったら――イスラに会ったら共に戦おう。あいつはわたしの自慢の弟だ、記憶なんてなくても戦える。
「後は支給品の確認か」
最初に引いたのは子供以上の大きさがありそうな――巨大な剣だった。
「ふっ!…くっ」
重いなんてレベルじゃない。なんなんだこの剣は、もしかしてあの魔剣の類だろうか。私には持つだけの資格がないのか…。強引に剣をデイパックに戻す。
次に出てきたのは槍だ。それもかなりの業物。少し扱ってみたところ少々癖はあるが、私にも使える物みたいだ。
(ん?まだ何かあるな…)
デイパックを探ろうとした時、遠くに炎が見えた。
(なんだ!)
しばらく、炎のあがった方を見ていた。次に起こったことは――爆発。
私は全力で走った。イスラが心配だし、危険人物を放っておけない。
途中、川に流されている一人の少年を見つけた。
(放っておけないな)
少年の手を掴んで引き上げる。気絶していて何も荷物を持っていないようだ。更に少年の胸には何かに貫かれた痕があった。何かあったのだろう。命に別状はなさそうだし、起きたら話を聞いてみよう。
64
:
太陽が呼んでいる(修正)
◆E8Sf5PBLn6
:2008/09/28(日) 21:25:51 ID:XLcd0kZQ0
◆ ◆ ◆
暗闇が広がっていた。いや闇黒の空間というべきだろう。その中に一人の少年が――エルクが佇んでいた。
「また……来ちまったのか」
なら、また来る。父さんに母さん、ジーンにミリルが。
「エルク……」
「ミリルか……」
「一方的にやられてたわね。これで理解した?あなたは誰も助けられない。さっきの人程度止めれなくてアーク達を殺す?そんなの無理よ」
「でも!」
「このまま私たちと暮らしましょ。拒むなら――」
闇の中から父さん、母さん、ジーンが現れる。
「貴方を殺してでもここにいてもらうわ!」
一方的だった。全身を貫かれ、切り刻まれ、心が死んでしまいそうだった。
いつの間にか俺は――氷漬けにされていた。
「貴方は、もう戻れない」
(俺はここで終わるのか?)
そう思った。
(駄目だ!駄目だ!)
必死にその考えを振り払う。
(違う……こいつらは違う。ミリル達じゃねぇ。俺の心の闇。俺の――弱い心!)
炎が駆ける!勝負は一瞬!闇は炎に呑まれ――消えた。
「エルク」
「!」
「やっと……闇を祓えたのね」
「お前の力で……大切な人を守れよ」
「お前はまだこっちに来るにははえーよ」
「エルク……これを」
渡されたのは一振りの剣と――炎だ。小さく、しかし確かな力を感じる『熱い』炎だった。
「あなたは、今までの貴方じゃない、貴方が進むのは闇の道じゃない。貴方は――闇を照らす炎!」
「「「「行きなさい!炎のエルク!!」」」」
「父さん、母さん、ジーン、ミリル……すまねえ。」
俺は駆ける、元いた場所へと。
「俺はもう迷わねえ!ありがとう!行ってくる!」
意識が覚醒する。
65
:
太陽が呼んでいる(修正)
◆E8Sf5PBLn6
:2008/09/28(日) 21:26:23 ID:XLcd0kZQ0
◆ ◆ ◆
「気がついたみたいだな。大丈夫か?うなされていたようだが」
エルクが意識を取り戻してはじめて聞いた言葉がそれだった。その声の主はエルクの知らない女性のものだった。
(俺、どうしたんだ)
考える、たしかミリル達と――違う!その前はたしか……。
(あれ?)
やたら体が重い、体を見ると全身ずぶ濡れで服が水を吸っていた。それを見て。
(そうだ!カノンと戦って川に落とされたんだ!)
だとしたら、俺はこの人に助けられたのか。そう結論付けたエルクは助けてくれた女性――アズリアに対し礼を述べる。
「ありがとう、あんたが助けてくれたんだな、俺はエルク、ハンターだ」
「初対面で年上の女性に『あんた』か、まあいい。私はアズリア……ただの女だ」
(敵意は無いようだな)
そう判断したアズリアは何があったか尋ねようとした時――脅威の魔人が姿を見せた。
キメラの翼によって飛ばされた魔人オディ・オブライトが。
「なっ!」
警戒する。当然だ、相手の規格外の闘気――この男の実力はどうみてもギャレオ位では手も足も出ないレベルだ。
更に男の体から発せられる血の臭い。私は槍を構え、ひとまず出方を伺った。
「ほう…、俺は槍など使わぬが……なかなかできるようだな。今の俺は少々機嫌が悪い。貴様が何と言おうと俺と戦ってもらうぞ。楽しませてくれよ……女ぁぁぁあああッ!!!」
「くっ!」
回避できない戦いだ。勝てるか?いや―――勝ってみせるッ!エルクのほうを見て叫ぶ。
「エルクッ!お前はまだ無理をするな!こいつは私が倒すッ!」
――戦闘開始。
66
:
太陽が呼んでいる(修正)
◆E8Sf5PBLn6
:2008/09/28(日) 21:27:06 ID:XLcd0kZQ0
◆ ◆ ◆
(速いッ!)
男の神速の一撃を槍で受け、捌く。――ギリギリだ。男の足が負傷していなかったらどうなっていたことか。パワー、スピード、体力、明らかに私より上。技量だけなら私がわずかに勝っているようだが――穿き慣れないスカートのせいで足が動かしづらい。
私が繰り出す突きも全てかわされ、捌かれる。そんな攻防がしばらく続き――男の一撃が私を吹っ飛ばした。
「ちッ!」
なんとか受けきれたか、それに多少距離も取れた。だが安堵している場合ではない。
分が悪い……。相手には回避するという選択肢がある。さらにあれだけの攻撃を受けながら槍に傷一つないが――私の体力が持ちそうに無かった。
長期戦はだめだ。勝つとしたら必殺の技による短期決戦!やるしかない―――槍による『紫電絶華』を!
「ああああああああッ!!!」
両者、駆ける。決着をつける為に。
アズリア・レヴィノスは武芸に秀でた天才である。リィンバウムに存在する武器はドリルを除けば一通り扱える。だがその中でも彼女と最も相性の良い武器は剣なのだ。
秘剣・紫電絶華――超高速の突きの乱舞。剣の天才である彼女ですらそれを会得するのに途方も無い時間をかけた。このレベルの突きは槍で放てるものでは無いのだ。
それでも彼女――アズリアはアズリア・レヴィノスすら成せなかったことに挑む。
この技は未完成の技だ。しかし彼女の強き想いを乗せた必殺の技!
「秘槍・紫電絶華!!!」
どががががががががががが!!!
「なにィッ!」
超高速の突きに男が驚く。……だが、それでも、男は私の突きを全て受けている。これで決まらなければ……負ける。
ひたすらに突く!突く!突く!
そして勝負は決する。
「がはっ!」
アズリアが吹き飛ばされて。
67
:
太陽が呼んでいる(修正)
◆E8Sf5PBLn6
:2008/09/28(日) 21:28:08 ID:XLcd0kZQ0
◆ ◆ ◆
アズリアが突然現れた男と戦っている時。俺はまともに動けなかった。まだ気分が悪い、体が重い、全身が痛む。体を動かそうと悪戦苦闘していると――男の拳がアズリアの胴に一撃を叩き込んでいた。
吹き飛ばされるアズリア。呼吸困難に陥っている。
「今の技、なかなかだったぞ女、おまえは『強者』だ。敬意を表して殺してやろう」
男がアズリアに近寄る。止めを刺すために。
俺はなにをやっている?こんなところでじっとしてるな、俺は、俺は……。
「炎のエルクだああああああああッ!!!!!!」
巨大というのもはばかられるほどの劫火がA-9エリアに火柱を突き立てた。
◆ ◆ ◆
「あれは……」
カノンは遠くに炎をみた。
あの炎、間違いないさっきの男のものだ。あの炎はロードブレイザーのような禍々しさが感じられない。ここまで強大では無かったが、さっきの男の炎も確かな『想い』が込められたものだった。
安堵した。あの男が生きていることに。あの男はけして死んだほうが良い人物ではなかったから。
「あまり、会いたくないな……」
だけどこちらにも、譲れないものがある。また会ったら戦うことになるだろう。
炎から逃げるように踵を反し花園に向かう。
程なくして―――狂気に満ちた殺人鬼に出会った。
皆殺しの剣の殺意に支配された少女リンディスに。
「……獲物」
「……魔か、どうやらその剣が本体のようだな」
「アハはハハはハはは、ころす、コロス、殺ス、殺す!」
リンディスがカノンを殺そうと剣を振りかざし、破壊の嵐を巻き起こす!
カノンは軽々とそれを回避し、自分と相手の戦力差を分析する。
『パワー』 かなりあるようだ。負けている気はしないが、警戒するだけの力はある。
『スピード』 これも常人とは思えないな。だが、私には遠く及ばない。
『技量』 論外だな。おそらくはあの剣のせいだろうが…。
結論―――少女自身が魔では無く、無力化の余裕があるならば少女を救おう。私は『英雄』の末裔だから。
一瞬で接近し、少女の鳩尾に一撃を叩き込む。
ここで激怒の腕輪の効果が発揮されなかったのは、カノンにとって幸運だった。
すぐさま下顎に追撃を加え――少女は完全に気絶した。
「さて、どうするか」
考える、この魔はあの魔神に比べたら小さなものだ。なんとかして助けられるだろう。だが正体がわからない以上、うかつに剣に手出しは出来ん。それに、手首を切るのも出来ればしたくない。
「ここからなら花園より神殿のほうが近いな」
カノンはリンディスの荷物と身に着けていた腕輪を回収し、神殿に向かった。リンディスを連れて。
神殿は人が集まりそうな場所だし、この剣のことを知っている者がいるかもしれない。そう思って。
68
:
太陽が呼んでいる(修正)
◆E8Sf5PBLn6
:2008/09/28(日) 21:29:49 ID:XLcd0kZQ0
「……壊れているな」
神殿に通じる橋の惨状を見てカノンはそう呟いた。
私一人ならともかく、この少女と共に跳ぶのは難しそうだ。カノンはそう判断し。
「ワイヤーナックル」
カノンの伸びた手は向かいの橋の欄干を掴んで、リンディスと共に壊れた橋を攻略した。
「着いたか」
まだ少女が目覚める気配は無い、気をつけておかないと。
(最悪、この子の手首を切ることになるかもしれないな)
【C-8 神殿入口 一日目 黎明】
【カノン@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:精神的疲労(小)、ダメージ(微小)
[装備]:勇者ドリル@サモンナイト3(右腕)、Pファイアバグ@アークザラッドⅡ、激怒の腕輪@クロノ・トリガー
[道具]:エルクの不明支給品1〜2個(未確認)、リンディスの不明支給品0〜1個(未確認)、基本支給品一式×3
[思考]
基本:『魔』を滅ぼす。邪魔されない限りそれ以外と戦う気はない。ただし、邪魔者は排除する。
1:少女(リンディス)を救う。そのための情報を得るため、神殿で人探し。(最悪、手首を切る)
2:アシュレーを見つけて討つ。
3:アシュレー以外の『魔』も討つ。(現時点:オディオ、魔王、皆殺しの剣)
4:少女(リンディス)の問題が解決したら花園へ向かい2、3の為に情報を集める。
5:あの男(エルク)には会いたくない。
[備考]:
※参戦時期はエミュレーターゾーンでアシュレーと戦った直後です。
※彼女の言う『魔』とは、モンスター、魔物、悪魔、魔神の類の人外のことです。
※勇者ドリル、Pファイアバグは機械系の参加者及び支給品には誰(どれ)でも装備できるよう改造されています。
※カノンは現在デイパックを三つ持っています。まとめていません。
【リン(リンディス)@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:狂戦士、呪い、少し火傷 、気絶、ダメージ(中)
[装備]:皆殺しの剣@ドラゴンクエストIV、
[道具]:なし
[思考]
基本:打倒オディオ
皆殺しの剣による行動方針:見敵必殺
1:殺人を止める、静止できない場合は斬る事も辞さない。
[備考]:
※参戦時期、支援状態は不明
※皆殺しの剣の殺意に影響されています、解呪魔法をかけるか剣を何らかの手段でリンの手から離せば正気には戻ります。
69
:
太陽が呼んでいる(修正)
◆E8Sf5PBLn6
:2008/09/28(日) 21:30:20 ID:XLcd0kZQ0
◆ ◆ ◆
アズリアに止めを刺そうとしたオブライトを止めたのは、強大な『炎』だった。
圧倒的な力が魔人の興味を引いた。
「小僧……貴様、何者だ」
「俺は、炎の一族エルク・コワラピュール!炎のエルクだ!」
「おもしろい!楽しませてくれよ小僧おおおお!」
体が熱い、既にチャージ状態だ。
そういえばシュウに聞いたことがあるな。すげー威力の体術があると。
たしかやりかたは……、思い出した。ならやることは。
「リタリエイション」
小僧がなにかやろうとしてるみたいだが関係ない、骨法鉄砲をぶちこんでアクロDDOで止めを刺してやる。
――両者が交差する。
「父さんの力強さが!母さんの心が!ジーンの意思の力が!ミリルの想いが!シュウが教えてくれた技が!……そして、この俺の怒りがッ!てめえをぶっ飛ばす!!!」
リタリエイションにより反射神経が高められたエルクはオブライトの攻撃に対し反撃ポイントを瞬間的に分析。攻撃を見切って――チャージがかかっている炎の拳によるクロスカウンターを一方的にオブライトに叩き込んだ!!
「があああああああああ!!!!」
クロスカウンターの際に源氏の小手がオブライトの腕から外れ。
巨大な体が遥か彼方に吹き飛んでいく。そして―――魔人は海に落ちた。
「はあっ、はあっ、やったか…」
「すさまじい力を持っているなお前は」
「アズリア!大丈夫なのか!」
「ああ、槍のリーチのおかげで相手の拳を深く入れられずにすんだ、骨も全く問題ない」
エルクを見てみれば、ずぶ濡れだった服は完全に乾いていた。
(本当に炎のような奴だ…触ると火傷しそうだな)
アズリアはエルクを昔の仲間である海賊の頭――カイルと重ねた。
向こうは私を全く疑っていないようだ。信じていいか…。そう考えお互い情報交換しようとした時、エルクの手に剣が握られているのが見えた。
「エルク、そんな剣持っていたか?」
「ん?あれ?いつのまに!」
エルクの手には――『炎の剣』が握られていた。
70
:
太陽が呼んでいる(修正)
◆E8Sf5PBLn6
:2008/09/28(日) 21:31:40 ID:XLcd0kZQ0
◆ ◆ ◆
さて、エルクから情報の内容をまとめると、カノンなる者が魔を狩るために行動している。そしてアシュレーの中に魔神が存在していて、魔神を狩るためにアシュレーを狙っていること。
カノンの様子からするとアシュレー自身はおそらく信用なる者ということ。
リーザ、シュウの二人は絶対に信頼できること。
トッシュという者は世界中で指名手配されている極悪人でまず間違い無く殺し合いに乗っていること。
ここで考える、世界中で指名手配されているといわれているが。私は聞いたことが無い。彼が嘘を言っているようにも見えない。わたしがあの楽園にいる間に指名手配された?
いや、それよりもここがリィンバウムでなく彼もリィンバウムの者で無い。そう考えるほうが自然に思えた。
さきほどの炎…あの魔剣を超えかねない力、リィンバウムの力とは思えなかった。
それに、リィンバウムの人間の私が召喚されたんだ。おそらくあの魔王にとってリィンバウムは、リィンバウムにとってのロレイラル、シルターン、サプレス、メイトルパの様なものなのだろう。
エルクにサモナイト石などについて聞いてみると知らないと言う。ほぼ確定か…。
私の情報も伝える。島の仲間のことや異世界の可能性、一応ビジュのことも。
さっきの男が落とした荷物を回収して今後のことを考える。男の荷物と残った支給品の確認をすませ、男の荷物はエルクに渡す。
なるべく、人が集まりそうな場所に行きたいが…、何かあるかもしれないし、一番近い海辺の洞窟から行こう。
後は、槍での『紫電絶華』を完成させないといけないな。
こんな殺し合い乗ってたまるか。『あいつ』なら絶対に乗らない、『あいつ』ならどんな困難も乗り越える。
ふいに、太陽のように微笑みかけてくれる『あいつ』―――――アティの笑顔がよぎった。
(こういうときでも、笑顔だな…)
「エルク…これから、よろしくたのむ」
アズリアは笑った、太陽のように。
71
:
太陽が呼んでいる(修正)
◆E8Sf5PBLn6
:2008/09/28(日) 21:32:50 ID:XLcd0kZQ0
【A-9 東部、平野 一日目 黎明】
【炎と紫電】
【エルク@アークザラッドⅡ】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(中)
[装備]:炎の剣@アークザラッドⅡ
[道具]:オディ・オブライトの不明支給品1〜2個(確認済み)、基本支給品一式
[思考]
基本:みんなで力を合わせて、オディオを倒す。
1:とりあえずアズリアと、海辺の洞窟に向かう。
2:リーザ、シュウ、イスラ、アティ、アリーゼ と合流。
3:カノンを止める。
4:アシュレーは信頼できそう。
5:トッシュを殺す。
6:一応ビジュを警戒。
[備考]:
※参戦時期は『白い家』戦後、スメリアで悪夢にうなされていた時
※カノンからアシュレーの情報を得ました。
※アズリアとお互いの支給品を確認しました。
※A-9にでっかい火柱が立ちました。死角だらけの森林からは見えませんが、神殿からは見えたかもしれません。
※炎の剣@アークザラッドⅡを具現化しました。ただし一度限りの具現化です。
【アズリア@サモンナイト3 】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(大)
[装備]:ロンギヌス@ファイナルファンタジーVI 、源氏の小手@ファイナルファンタジーVI(やや損傷)
[道具]:アガートラーム@WILD ARMS 2nd IGNITION、不明支給品1個(確認済み)、ピンクの貝殻、基本支給品一式
[思考]
基本:力を合わせてオディオを倒し、楽園に帰る。
1:とりあえずエルクと、海辺の洞窟に向かう。
2:リーザ、シュウ、イスラ 、アティ、アリーゼと合流。
3:アシュレーは信頼できそう。
4:トッシュを警戒。一応ビジュも。
5:『秘槍・紫電絶華』の会得。
[備考]:
※参戦時期はイスラED後。
※軍服は着ていません。穿き慣れないスカートを穿いています。
※エルクとお互いの支給品を確認しました。
72
:
剣と炎と召喚師
◆iDqvc5TpTI
:2008/10/04(土) 00:39:01 ID:bi9vIk920
現在投下中の最後の一レスです。
規制されましたので。
73
:
名無しさん
:2008/10/04(土) 00:39:36 ID:bi9vIk920
【ルッカ@クロノ・トリガー】
[状態]:わずかながらの裂傷、疲労(中)、調査による精神的疲労(中)
[装備]:オートボウガン@ファイナルファンタジーVI、17ダイオード@LIVE A LIVE
[道具]:なし
[思考]
基本:首輪を解除する、打倒オディオはそれから
1:接触する? 様子見? それとも逃げる?
2:改造、首輪解除するための工具を探す。オートボウガン改造したい。
3:どこかで首輪を探す。
4:オートボウガンに書かれていた「フィガロ」の二人を探す(マッシュ、エドガー)
5:クロノ達と合流、魔王は警戒。
6:17ダイオードの更なる研究
[備考]:
※バイツァ・ダスト@WILD ARMS 2nd IGNITIONを使用したことにより、C-8東側の橋の一部が崩れ去りました。
※参戦時期はクリア後。 ララを救出済み。
※C-9の中心部にルッカの基本支給品一式入りデイバッグが放置されています。
※機界ロレイラの技術の一部を解明し、物にしました。
※ミネア、アリーゼ、カノンの情報交換は聞いていません。
†
力が、欲しかった。
部族の仲間を、父を、母を奪ったあいつら――タラビラ山賊団に復讐するだけの力が。
そのためには、なんだってすると、私は誓った!
だから、こんなところで、倒れているわけにはいかない!
すうっと、リンディスの意識が覚醒へと向かっていく。
拡声器を通したアキラの声は、睡眠呪文により夢の世界へと落ちていた彼女の意識を呼び覚ますのに一躍買ったのだ。
幸か不幸か、完全に目を覚ますにはいささか遠く、半覚醒の為、殺意に呑まれきっていないこともあり、
目も開けず、身体も大きく動かしていない為、彼女が目覚めつつあることを、誰もまだ知らない……。
【リン(リンディス)@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:狂戦士、呪い、少し火傷 、目覚めつつある、朦朧とした意識、ダメージ(中)
[装備]:皆殺しの剣@ドラゴンクエストIV、みわくのブラ@クロノトリガー
[道具]:なし
[思考]
基本:打倒オディオ
皆殺しの剣による行動方針:見敵必殺
1:殺人を止める、静止できない場合は斬る事も辞さない。
[備考]:
※参戦時期、支援状態は不明
※皆殺しの剣の殺意に影響されています、解呪魔法をかけるか剣を何らかの手段でリンの手から離せば正気には戻ります。
※みわくのブラで両手首を縛られた上、柱にくくりつけられています。
※意識が朦朧としている為、かえって剣の殺意と本来の意思が混濁しています。
74
:
◆iDqvc5TpTI
:2008/10/04(土) 00:56:04 ID:Y5ukw5qg0
代理投下感謝。ありがとうございます。投下、終了です。
75
:
◆iDqvc5TpTI
:2008/10/19(日) 17:55:28 ID:hbPvdnyQ0
拙作、白黒パッチワークにおいて、状態表に後に教会で合流することについて記入が漏れていました。
Wiki編集に伴い以下のように追加修正します。
クロノ
1:北に向かい、赤い光の真相を確かめる。
↓
1:北に向かい、赤い光の真相を確かめる。その後教会に向かう。
1:灯台へと向かう
↓
1:灯台へと向かい、その後教会へ。
また、クロノの思考欄の番号の重複も修正しました。
76
:
◆iDqvc5TpTI
:2008/11/03(月) 03:25:40 ID:iQhEnKV60
BIG−TOKAの誤字脱字、及び状態表でFF,DQの数字が逆になっているといったニアミスをWIKI収録につき修正しました。
77
:
◆iDqvc5TpTI
:2008/11/26(水) 21:20:48 ID:EgDo1PbQ0
「夜空」の誤字脱字、及び、句点の打ち方、カオスフレアをオメガフレアに、
ジョウイが何故だか持っているワルキューレの削除といった修正しました
78
:
◆E8Sf5PBLn6
:2008/12/28(日) 01:38:03 ID:yXq0Niik0
規制されました。ここからこっちに投下します。
あとタイトル忘れてました。ここから入れます。
79
:
本気の嘘
◆E8Sf5PBLn6
:2008/12/28(日) 01:39:08 ID:yXq0Niik0
訳が分からない。私の腕の中には動かないアリーゼさんがいる。
なんで動かない?
――死んでいるから。
なんで死んでいる?
――この男に殺されたから。
なぜアリーゼさんが殺された?
――私を庇ったから。
また私のせいで命が失われた。私のせいで、私のせいで、私のせいで。
「ああAaあAAAああAAAあAAあAaa」
私は無力だ。
『力』が欲しい。
神でも悪魔でも魔王でもいい。
「こいつをぶちのめすためのチカラを与えてくれええええエエエぇぇェッ!!」
アティのの中の力――『碧の賢帝』の力が発現する。
アティの姿が変貌する。耳のような髪、白髪。
しかしなによりも違うのは―恐ろしいまでの殺気だった。
その時――アティの持っていた水の封印球が輝き出した。
リィンバウムの召喚は異世界とゲートで繋いで成り立つものー。そしてそのためには契約の石『サモナイト石』が必要だ。
紋章の封印球はサモナイト石とは違うものだ。
だが今のアティは強引に紋章と自分を繋ぐゲートを作る。
それも圧倒的な力――即ち『暴走召喚』。
本来、水の紋章は癒しの力だ。しかし『暴走召喚』により絶大な攻撃の力へと変貌するッ!!
起こったことは――大津波。
「AAああAaaaAaaAAあAAAaaあAaaAAああAaaッーーー!!!!」
「これはー。くっ『マヒャド』ッ!!」
迫り来る大津波に対抗するため、ピサロは周りに局地的に冷気を発生させ――津波を防いだ。
「たしかこっちにって、ええええええええーーーーーーー!!!」
アリーゼを追ってきてルッカとミネアが現れたが津波に巻き込まれ流されてしまった。
そして、始まる――アティとピサロの戦いが。
【C-7 森 一日目 早朝】
【アティ@サモンナイト3 】
[状態]:抜剣覚醒。コートと眼鏡とパンツと靴以外の衣服は着用していない。
強い悲しみと激しい自己嫌悪と狂おしいほどの後悔。コートとブーツは泥と血で汚れている。
水の紋章が宿っている。
[装備]:碧の賢帝@サモンナイト3、白いコート、
[道具]:基本支給品一式、はかいのてっきゅう@ドラクエⅣ
モグタン将軍のプロマイド@ファイナルファンタジーⅥ
[思考]
基本:????
1:AaaAAああAaaッーーー!!!
[備考]:
※参戦時期は一話で海に飛び込んだところから。
※首輪の存在にはまったく気付いておりません。
※地図は見ておりません。
※水の封印球@幻想水滸伝Ⅱは砕け散りました
※アリーゼを抱きかかえています。
※暴走召喚は媒体がないと使えません。
※アリーゼは天使ロティエル@サモンナイト3を装備しています。
80
:
本気の嘘
◆E8Sf5PBLn6
:2008/12/28(日) 01:39:58 ID:yXq0Niik0
【ピサロ@ドラゴンクエストIV 】
[状態]:全身に打傷。鳩尾に重いダメージ。
疲労(やや大)人間に対する強烈な憎悪
[装備]:ヨシユキ@LIVE A LIVE、ヴァイオレイター@WILD ARMS 2nd IGNITION
[道具]:不明支給品0〜1個(確認済)、基本支給品一式
[思考]
基本:優勝し、魔王オディオと接触する。
1:皆殺し(特に人間を優先的に)
[備考]:
※名簿は確認していません。またロザリーは死んでいると認識しています
※参戦時期は5章最終決戦直後
◆ ◆ ◆
リンは探していたあの3人を――否、自分の獲物を、だ。
そして見つけた――鎧を着た大男を。
(見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺)
猛スピードで迫るも、皆殺しの剣によって足運びの技術まで殺されていたため男はあっさり防いできた。
「はははははははははははは!!!貴様!!おもしろそうなものを持ってるじゃないか!!」
男が炎を放つ――私はその炎を回避するも追撃してきた男に槍で貫かれてしまった。
(もう、お前は駄目だな)
「えっ」
男が私から剣を奪おうとした時、頭の中から声が響いてきた。そして剣を奪われた瞬間『リンディス』の意識が覚醒した。
「感謝するぞ小娘!では死ねえッ」
その瞬間だ津波が来たのは。
私はそこで意識を失った。
◆ ◆ ◆
「どっちに行けばいいんだよ。ったく」
「うーん、多分こっち……かな?」
トッシュ、ナナミ、ビクトールは出口を目指し移動しながら自己紹介、これまでの経緯や仲間のことなど軽い情報交換を終わらせていた。
森の状態はかなり酷くなってきていて、まっすぐ進めない状態になっていた。こんな状態でコンパスは役に立たなかった。そのため長い間ふらふらすることになったのだ。
歩いていると川に辿り着いた。
「川か」
「さっきの時よりずいぶん流れが緩やかだな」
「えーと神殿はどっちかな」
川を目印に神殿に向かおうとしたがー。
そこに津波がやってきた。
◆ ◆ ◆
81
:
本気の嘘
◆E8Sf5PBLn6
:2008/12/28(日) 01:41:14 ID:yXq0Niik0
どっぱーん!!
「ぷはっ」
神殿の湖畔の上空に人影が2つ現れて、そのまま湖畔にダイブすることになった。
その2つの人影はテレポートによってルカから逃れてきた。カノンとアキラだ。
意識のあったアキラはカノンの安否を確認する。
「息は…あるみたいだな、間に合ってよかった」
とりあえずアキラはカノンを起こそうと思って、呼びかけたり揺すったりするものの起きる気配が無い。
「仕方ねえ、とりあえずここから出てそこの神殿に運ぶか」
アキラは出来たら動き回りたかったが、こんな状態の人を放っては置けない。だからとりあえず休めそうな場所として神殿に向かった。
アキラはひたすら待ったカノンが目覚めるのを、まだカノンは目覚めない。放送まで――後僅か。
【C-8 神殿(集いの泉@サモンナイト3) 一日目 早朝】
【アキラ@LIVE A LIVE】
[状態]:疲労(中)、精神的疲労(大)、服が濡れている。
[装備]:なし
[道具]:拡声器(現実)、ランダムアイテム1〜2個(確認済み)、基本支給品一式
[思考]
基本:オディオを倒して殺し合いを止める
1:気絶している女性(カノン)が起きるまで神殿に待機。
2:他の参加者と接触する。
3:どうにかして首輪を解除する。
4:森であった邪悪(ルカ)を倒す。
[備考]
※参戦時期は最終編(心のダンジョン攻略済み、魔王山に挑む前、オディオとの面識は無し)からです
※急いで支給品は確認しましたが、名簿の方は未だ出来ていません
※日勝、レイ、サンダウン、無法松が参戦している事に気付いてません
※テレポートの使用も最後の手段として考えています
※超能力の制限に気付いていません
※ストレイボウの顔を見知っています
※拡声器はなんてことのない普通の拡声器です
【カノン@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:精神的疲労(中)、ダメージ(中)、気絶、『義体』に異常 、服が濡れている
[装備]:勇者ドリル@サモンナイト3(左腕)、Pファイアバグ@アークザラッドⅡ、
激怒の腕輪@クロノ・トリガー、毒蛾のナイフ@ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち
[道具]:不明支給品1〜2個(確認済み)、基本支給品一式×2
[思考]
基本:『魔』を滅ぼす。邪魔されない限りそれ以外と戦う気はない。ただし、邪魔者は排除する。
1:アシュレーを見つけて討つ。
2:アシュレー以外の『魔』も討つ。(現時点:オディオ、魔王、皆殺しの剣、ピサロ)
3:後に少女(リンディス)の問題解決の為にも花園へ向かい1、2の為に情報を集める。
4:森に火を放った男(ルカ)を倒す。
5:あの男(エルク)には会いたくない。
[備考]:
※参戦時期はエミュレーターゾーンでアシュレーと戦った直後です。
※彼女の言う『魔』とは、モンスター、魔物、悪魔、魔神の類の人外のことです。
※勇者ドリル、Pファイアバグは機械系の参加者及び支給品には誰(どれ)でも装備できるよう改造されています。
※エルクのデイパックを湖に捨てました。基本支給品はちゃっかりぱくっています。
※ミネア、アリーゼの知り合いや、世界についての情報を得ました。
ただし、アティや剣に関することは当たり障りのないものにされています。
82
:
本気の嘘
◆E8Sf5PBLn6
:2008/12/28(日) 01:41:58 ID:yXq0Niik0
◆ ◆ ◆
「ううん……いったいなにが……ってあなた!!」
ミネアが目を覚ましたらそこには腹から血を流している少女リンディスが倒れていた。なぜか剣は持ってない呪いが解けたのだろうか。とにかくこのままにしておくと死んでしまう。すぐに回復呪文をかける。
「ベホマ!」
だが、一瞬で傷を完治させる呪文は気休めにしかならなかった。さらに言えばものすごく疲れる。
「力が弱まってる!」
でもこのままじゃこの子は――。
「だったら……ベホマ!ベホマ!ベホマ!ベホマ!ベホマ!ベホマ!」
ミネアはひたすら呪文を紡ぐ。傷が塞がるまで。その甲斐あって、なんとか命は助けられたようだ。もう少し処置が遅れていたら助からなかっただろう。
「これは……こたえたわ」
頭が痛い、ここでの回復呪文は大幅に弱まるみたいね。ここはどこかしら?ルッカさんともはぐれちゃったみたいだし。アリーゼちゃんも探さないといけないし、でもこの子をここに置いていくわけにも行かないしどうすればいいのかしら?
「前途多難ね……」
ミネアは溜息をついた。
傍らで眠る少女――遙かなる草原はまだ目覚めない。放送まで――後僅か。
【C-6 山 一日目 早朝】
【ミネア@ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち】
[状態]:精神的疲労(大)、ずぶ濡れ
[装備]:デスイリュージョン@アークザラッドⅡ
[道具]:ブラストボイス@ファイナルファンタジーⅥ、基本支給品一式
[思考]
基本:自分とアリーゼ、ルッカの仲間を探して合流する(ロザリー最優先)
1:少女(リンディス)が起きるまで待つ。起きたら話を聞く。
2:アリーゼ、ルッカを探したい。
3:飛びだしたカノンが気になる
[備考]
※参戦時期は6章ED後です。
※アリーゼ、カノン、ルッカの知り合いや、世界についての情報を得ました。
ただし、アティや剣に関することは当たり障りのないものにされています。
また時間跳躍の話も聞いていません。
※回復呪文の制限に気付きました。
【リン(リンディス)@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:少し火傷 、ダメージ(小)、腹に傷跡
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:打倒オディオ
1:殺人を止める、静止できない場合は斬る事も辞さない。
[備考]:
※参戦時期、支援状態は不明
※みわくのブラは引きちぎられました。
◆ ◆ ◆
「ここには…地面が焼け焦げた跡しかないか」
トッシュの言う仲間はすでにここを離れた後のようだった。ここは平原――日が昇ってきた今はかなり遠くまで見渡せるようになった。だが周りを見ても人は見あたらない」
「うーん。俺が座礁船の方から来たから…こっちの洞窟にでも行っちまったのか?とりあえず、向かってみるか」
(ティナ、ビクトール、ナナミ、トッシュ、…アキラ無事でいろよ)
松は走る。悲劇を生まないために。
ひたすらに今自分に出来ることを――。
【A-9 平野 一日目 早朝】
【無法松@LIVE A LIVE】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、潜水ヘルメット@ファイナルファンタジー6、不明支給品0〜2(本人確認済)
[思考]
基本:打倒オディオ
1:エルクを探すため海辺の洞窟に向かってみる。
2:アキラ・ティナの仲間・ビクトールの仲間・トッシュの仲間をはじめとして、オディオを倒すための仲間を探す。
3:第三回放送の頃に、ビクトールと合流するためA-07座礁船まで戻る。
[備考]死んだ後からの参戦です
※ティナの仲間とビクトールの仲間とトッシュの仲間について把握。ケフカ、ルカ・ブライトを要注意人物と見なしています。
ジョウイを警戒すべきと考えています。
83
:
本気の嘘
◆E8Sf5PBLn6
:2008/12/28(日) 01:43:10 ID:yXq0Niik0
◆ ◆ ◆
「てててててて…ここはどこだ?」
周りは木だらけでいまどこにいるかわかんねえ。おまけにあいつらとはぐれてしまった。
さてどうするか、集合場所を決めているのだから無理に探さず新しい仲間を捜すべきか?
あいつ――トッシュの強さを目の当たりにした時、希望と絶望が見えた。
ルカを倒しうる力を持ったトッシュに希望が見えた、だがそんな男を簡単に連れてこれるオディオに対する絶望が見えた。
いよいよルカよりやばい参加者がいると言うのが現実味を帯びてきたかもしれない。早いうちに仲間を集めなければならない。
トッシュの話によれば奴の仲間は全員安全でその中にはシュウって奴がいるらしい。おそらく名簿は知り合いごとにまとめられているだろうから。俺が知っているシュウとは別人だろう。
奴の様子からすればとにかく『できる』男。そんな印象を受けた。
あそこまで奴が信頼している男だ。早いうちにあっておきたいな。
「後は、松…あいつにティナの事謝らねえとな」
松が起きた頃には――もしかしたら松を見つけた頃には手遅れだったのかもしれない。
だが、それでも自分はティナを助けられなかったのだ。その事実は変わらない。そのためにも―。
「生きなきゃ、な」
【D-8 森林 一日目 早朝】
【ビクトール@幻想水滸伝Ⅱ】
[状態]健康 、ずぶ濡れ
[装備]魔鍵ランドルフ@WILD ARMS 2nd IGNITION
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品0〜1(確認済)
[思考]
基本:打倒オディオ
1:アキラ・ティナの仲間・ビクトール・トッシュの仲間をはじめとして、ルカおよびオディオを倒すための仲間を探す。
2:第三回放送の頃に、無法松と合流するためA-07座礁船まで戻る。その時、松に謝る。
[備考]参戦時期はルカ死亡後のどこかです。詳細は後の書き手さんにお任せします。
※ティナの仲間とトッシュの仲間、アキラについて把握。ケフカを要注意人物と見なしています
◆ ◆ ◆
「どわあああああッ!!!、ちくしょう!!いつまでながされんだよ!!」
トッシュはよりによって津波によって山の下にあった水路まで流されてしまったのだ。未だ流された状態が続いている。いいかげんうんざりしてきた頃ようやく光が見えてきた。
「ひかりだ!」
そして、思いっきり水から放り出された。
「ぐおおおおッ!!」
数回バウンドして数十秒後――ようやく起きあがる。
「ここはどこだ?っな!しろぉ?なんでこんなすいろのさきにしろがあるんだよ!」
それにしてもこの男さっきからセリフがひらがなばっかりである。
「ってとりあえずナナミ達を探すか。でも出口ってどっちだ?」
突っ込みが届いたのか、修正に入ったようだ。喋れるじゃないか漢字。
「剣もどっかに落としちまったみてえだ、とりあえず散策するか」
散策を始めようとした時、何かが光った。
「ん、なんだ?………石?」
それは、ティナ・ブランフォードが残した『意志』――残された者達への『力』だった――。
拾わないといけない――そんな気がした。
【D-6 地下にある城(古代城@ファイナルファンタジーⅥ) 一日目 早朝】
【トッシュ@アークザラッドⅡ】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(小)、ずぶ濡れ、ナナミの弟
[装備]:ひのきの棒@ドラゴンクエストⅣ
[道具]:不明支給品0〜1個(確認済)、基本支給品一式 、ティナの魔石
[思考]
基本:殺し合いを止め、オディオを倒す。
1:あたりを散策し出口を探す。
2:必ずしも一緒に行動する必要はないが仲間とは一度会いたい(特にシュウ)
3:ナナミ達を探す。
4:ルカを倒す。
5:第三回放送の頃に、A-07座礁船まで戻る。
6:基本的に女子供とは戦わない。
7:あのトカゲ、覚えてろ……。
8:事が片づいたらナナミのケーキを食べる。
[備考]:
※参戦時期はパレンシアタワー最上階でのモンジとの一騎打ちの最中。
※紋次斬りは未修得です。
※C−6エリアのどこかにマーニ・カティ@ファイアーエムブレム 烈火の剣が落ちています。
※ナナミとシュウが知り合いだと思ってます。
※ティナは魔石になりました。
84
:
本気の嘘
◆E8Sf5PBLn6
:2008/12/28(日) 01:43:45 ID:yXq0Niik0
◆ ◆ ◆
「はあ、なんだってのよ一体。誰かがウォータガでも放ったのかしら?」
ルッカはミネアとアリーゼの捜索を続けていた。仲間がいないのはやっぱり寂しいものだし、首飾りを受け取った以上、借りを返さないといけない。
ふいにルッカの前に人影が現れる。狂皇子ルカ・ブライトだ。
「……何か用かしら?」
「分からんか?」
分かる、すっごい分かる。こいつの目、正気じゃないわ。おまけにさっきの子が持っていた剣までもってるし。
まずいことになったわね。さっきの子より遙かに強そうだわ。逃げようかな……。
逃げる――妥当な判断だ。だがルカ・ブライトは津波によって流されたアリーゼのデイパックを回収していた。その中身は――「工具セット」。ルッカが探しているものだった。
――ルッカはそれを知らない。
「ホーッホッホッホ、さいならッ!」
「逃がさんぞおおおおおおおおッ!!」
不意打ちで逃げたが、男は猛スピードで迫って来てぐんぐん距離を詰めてくる。
なんなのあいつ!鎧の重さを感じないわけ!速すぎるじゃない!
しかもリンの時と違って木々が燃えてしまったため撒くことが出来ない。――最悪だ。
(ここは、いちかばちかフレアで……)
フレアを放とうとした瞬間!
「花鳥風月百花繚乱竜虎万歳拳!!!」
「「!!」」
声のしたほうには一人の少女が立っていた。
「ほら!早く逃げて!!」
あの子、注意をそらすために!って目の前の男は迷わずあんたのほうに突撃してるじゃない!!
あ、逃げた。
……。
…………。
………………。
「って、恩の売り逃げは、気に入らないわ!!待ちなさい!!」
◆ ◆ ◆
(あーあ、わたしの方が無茶しちゃった)
でも、ここで死んでやる気はさらさら無い。ここにはリオウやジョウイがいる。
彼らを助けなければいけない。
それに…………新しくできた弟にケーキを作るという約束もある。
今、両手にある武器『天命牙双』に誓いを立てる。
決して負けないことを。
(私は、『お姉ちゃん』なんだからー!!!)
◆ ◆ ◆
(見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺見敵必殺)
「黙れ、耳障りだ。叩き壊すぞ」
(…………)
「貴様に操られて殺すのではない。俺は俺の想うまま、俺の望むまま『邪悪』に生きているから殺すのだ。豚は引っ込んでいろ」
ルカ・ブライトは皆殺しの剣の殺意をはね除けていた。彼の突き動かす『感情』――『オディオ』はそんなちっぽけなものでどうこうできるものではなかったのだ。
悲しき過去を持つ狂皇子はどこまでも続ける――『本気の嘘』を。
85
:
本気の嘘
◆E8Sf5PBLn6
:2008/12/28(日) 01:44:32 ID:yXq0Niik0
【C-7 森 一日目 早朝】
【ルッカ@クロノ・トリガー】
[状態]:わずかながらの裂傷、疲労(中)、調査による精神的疲労(中)、ずぶ濡れ
[装備]:オートボウガン@ファイナルファンタジーVI、17ダイオード@LIVE A LIVE 、サラのお守り@クロノトリガー
[道具]:なし
[思考]
基本:首輪を解除する、打倒オディオはそれから。
1:少女(ナナミ)を追いかけ男(ルカ)から助ける。
2:ミネアとアリーゼを探したい。
3:改造、首輪解除するための工具を探す。オートボウガン改造したい。
4:どこかで首輪を探す。
5:オートボウガンに書かれていた「フィガロ」の二人を探す(マッシュ、エドガー)
6:クロノ達と合流、魔王は警戒。
7:17ダイオードの更なる研究
8:魔王に『お守り』を返す。
[備考]:
※バイツァ・ダスト@WILD ARMS 2nd IGNITIONを使用したことにより、C-8東側の橋の一部が崩れ去りました。
※参戦時期はクリア後。 ララを救出済み。
※C-9の中心部にルッカの基本支給品一式入りデイバッグが放置されています。
※機界ロレイラルの技術の一部を解明し、物にしました。
【ナナミ@幻想水滸伝Ⅱ】
[状態]:健康 、ずぶ濡れ、みんなのお姉ちゃん
[装備]:天命牙双@幻想水滸伝Ⅱ
[道具]:スケベぼんデラックス@WILD ARMS 2nd IGNITION、基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。
1:ルカから逃げる。
2:近くにいるであろう、トッシュ、ビクトールと合流。
3:リオウ、ジョウイと会いたい。
4:第三回放送の頃に、A-07座礁船まで戻る。
5:事が片づいたらトッシュにケーキを食べさせる。
[備考]:
※紋章の一つはフェロの紋章です。他の紋章に攻撃系のものはありません。
※トッシュとシュウ(幻想水滸伝Ⅱ)が知り合いだと思ってます。
【ルカ・ブライト@幻想水滸伝Ⅱ】
[状態]疲労(中)、思念による精神的疲労(中)
[装備]皆殺しの剣@ドラゴンクエストIV、魔封じの杖(4/5)@ドラゴンクエストIV
[道具]フレイムトライデント@アークザラッドⅡ、工具セット@現実、基本支給品一式×3、不明支給品1〜3(武器、回復道具は無し)
[思考]基本:ゲームに乗る。殺しを楽しむ。
1:ナナミを殺す。
2:会った奴は無差別に殺す。ただし、同じ世界から来た5人を優先
3:あの狼(トッシュ)は自分の手で殺したい。
[備考]死んだ後からの参戦です
※皆殺しの剣の殺意をはね除けています。
※津波で濡れた体は炎で乾かしました。
86
:
本気の嘘
◆E8Sf5PBLn6
:2008/12/28(日) 01:45:11 ID:yXq0Niik0
◆ ◆ ◆
「先生、私…怒ってるんですよ。いつもいつも一人で何もかも背負い込んで、自分の事なんて省みずに周りに心配ばっかりかけて、わたしそんなに頼りないですか、話相手にもなりませんか。たしかに私は人見知りだし、召喚もうまくできないし、先生に迷惑を何度もかけました。わたしじゃ駄目なのかもしれません。でもあの島には頼りになるいい人がたくさんいたじゃないですか!誰も頼らない先生を見てるとイライラムカムカするんですよッ!でも、それでも私は先生のことが大好きです。大丈夫です――。先生ならきっと手を取り合えます。先生――最後に一つだけお願いがあります。もう一度笑ってください。また先生の笑顔を見せてください。私はいつでも先生のことを見守ってますから――」
【アリーゼ@サモンナイト3 死亡】
【残り45人】
※C−7エリアで大規模な津波が発生しました。そのため、山火事は完全に収まりました。
87
:
◆E8Sf5PBLn6
:2008/12/28(日) 01:48:10 ID:yXq0Niik0
投下終了です。また自分は問題作を……。
ティナについては某所と同じネタだからまずければ削ります。
88
:
◆E8Sf5PBLn6
:2008/12/28(日) 01:58:14 ID:yXq0Niik0
あ、すいません。リンの状態にもずぶ濡れがあります。
89
:
『名無し』募集中!
:2008/12/28(日) 01:59:31 ID:uDUYBY7c0
ごめんなさい。代理投下も規制されました。
誰か見てたらお願いします。
90
:
『名無し』募集中!
:2008/12/28(日) 02:06:12 ID:uDUYBY7c0
やっぱり代理いけました。すいません。
>>86
アリーゼの台詞に改行がないので「長すぎる行があります」って怒られて書き込みが出来ないのですが、どうしましょう?
91
:
◆E8Sf5PBLn6
:2008/12/28(日) 02:12:59 ID:yXq0Niik0
すいません!!これでお願いします!
「先生、私…怒ってるんですよ。いつもいつも一人で何もかも背負い込んで
自分の事なんて省みずに周りに心配ばっかりばっかりかけて、わたしそん
なに頼りないですか、話相手にもなりませんか。たしかに私は人見知りだ
し、召喚もうまくできないし、先生に迷惑を何度もかけました。わたしじ
ゃ駄目なのかもしれません。でもあの島には頼りになるいい人がたくさん
いたじゃないですか誰も頼らない先生を見てるとイライラムカムカするん
ですよッ!でも、それでも私は先生のことが大好きです。大丈夫です――。
先生ならきっと手を取り合えます。先生――最後に一つだけお願いがあり
ます。もう一度笑ってください。また先生の笑顔を見せてください。私は
いつでも先生のことを見守ってますから――」
【アリーゼ@サモンナイト3 死亡】
【残り45人】
※C−7エリアで大規模な津波が発生しました。そのため、山火事は完全に収まりました。
92
:
◆E8Sf5PBLn6
:2008/12/28(日) 02:16:00 ID:yXq0Niik0
代理投下ありがとうございます。
93
:
◆E8Sf5PBLn6
:2009/01/10(土) 09:38:55 ID:umUTgANs0
「本気の嘘」のアティの備考欄の追加などの修正をwikiにて行いました。
94
:
傍らにいぬ君よ
◆iDqvc5TpTI
:2009/01/31(土) 22:26:14 ID:qfMafwh20
最後の最後に規制されてしまったので、以下、状態表の残り。
代理お願いします。或いは解除後に
【ロザリー@ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち】
[状態]:健康
[装備]:いかりのリング@ファイナルファンタジーⅣ、導きの指輪@ファイアーエムブレム 烈火の剣、 クレストグラフ(ニノと合わせて5枚)@WILD ARMS 2nd IGNITION
[道具]:エリクサー@ファイナルファンタジーⅥ、アリシアのナイフ@LIVE A LIVE、双眼鏡@現実、基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:ピサロ様を捜す
2:ひとまず南下してシュウの報告を待つ
3:ユーリル、アリーナ、トルネコ、ミネアたちとの合流
4:サンダウンさん、ニノ、シュウ、マリアベルの仲間を捜す
[備考]
※参戦時期は6章終了時(エンディング後)です。
※クレストグラフの魔法は不明です。
【ニノ@ファイアーエムブレム 烈火の剣】
[状態]:健康
[装備]:クレストグラフ(ロザリーと合わせて5枚)@WILD ARMS 2nd IGNITION
[道具]:フォルブレイズ@FE烈火、基本支給品一式
[思考]
基本:全員で生き残る
1:ジャファル、フロリーナを優先して仲間との合流
2:ひとまず南下してシュウの報告を待つ
3:サンダウン、ロザリー、シュウ、マリアベルの仲間を捜す
4:フォルブレイズの理を読み進めたい
[備考]:
※支援レベル フロリーナC、ジャファルA 、エルクC
※終章後より参戦
※クレストグラフの魔法は不明です。
95
:
傍らにいぬ君よ
◆iDqvc5TpTI
:2009/01/31(土) 22:27:03 ID:qfMafwh20
以上、投下終了です。
96
:
◆iDqvc5TpTI
:2009/02/01(日) 00:44:53 ID:LeAzp8S60
代理投下感謝
97
:
エドガー、『夜明け』を待つ
◆Rd1trDrhhU
:2009/02/18(水) 02:58:15 ID:hlBLg/D20
「くっ……!」
しかしフロリーナは見習いと名乗っているとは言え、今や一流の天馬騎士である。
槍の扱いには長けていた。
それに、ペガサスナイトは矢に弱いのだ。
それこそ一撃でも掠ったらそれが致命傷となるほどに。
だから、戦場での咄嗟の判断力、動体視力は鍛えられていた。
最初にシャドウがエドガーに切りかかった瞬間こそ、精神的疲労と気の緩みで追うことは出来なかった。
だが、真正面から対峙して、敵が切りかかってくるのが分かっている今は違う。
集中さえしていれば、攻撃を絶対に凌げないというわけではないのだ。
今から刃を振り下ろしていたのでは間に合わない事を悟るなり、槍の刃が付いているのとは逆の柄の部分でシャドウの攻撃に対処する。
シャドウの手首に槍の持ち手の部分を当てると、そのまま反時計回りに回転させた。
「……ッ!」
シャドウの目に初めて焦りの色が浮かんだ。
別にシャドウがフロリーナのことを侮っていたのではない。
彼女が今まで見せていた以上の力を、ここにきて発揮したに過ぎない。
右下から振り上げる形で繰り出されたシャドウの右腕は、槍の回転に逆らえずに真上に引っ張られてしまう。
腕が伸びきると、今度はその勢いに上半身が上方向に釣られて背中を反らせる。
(ここだ!)
相手に隙ができた事を確認したフロリーナは、お留守になった下半身に狙いを定めた。
小さく屈んで体勢を低くし、同時に槍を相手のくるぶし目がけて放つ。
足払いを目的とした一撃なので『突く』ための直線攻撃ではなく、あくまでその軌道は『払う』ための弧を描いた回転運動。
そのため、相手に到達するまでに若干時間がかかるという欠点が生じてしまう。
加えて相手は熟練の忍者。俊敏性ならば、フロリーナが今までに相対した人物のなかでも5本の指に入るレベルだろう。
だから、フロリーナの槍の軌道によるその僅かながらの時間のラグも、シャドウにとって見れば大きな猶予となるだろう。
当たるかどうか……厳しい一撃。
だが、重ねて述べる事になるが、フロリーナもはやは一流といっていいレベルの天馬騎士である。
彼女の振るう槍は、そのあどけない姿からは想像もつかないほど速く、鋭い。
加えて技術面でもかなりの力量を持っており、今回の一撃も槍の端を持つのではなく中央部辺りを持って振るっていた。
これにより槍の速度を上げると共に、槍が描くこの大きさを小さくしてその軌道を短くしていた。
これらの工夫と、相手に引く事のなかった彼女の強い心が、『この一撃の命中』という結果を引き寄せた。
フロリーナの槍が、アサシンの足首を正確に叩く。
バランスを失ったシャドウの体が宙に浮く。
それも地面と並行に、空を見上げた格好という絶対の隙を晒した形で。
地面に触れてない以上、踏ん張る事もままならない。
それはつまり一切の攻撃も出来なければ、走って逃げる事すらできないという事!
(貰った……!)
シャドウの腹部へと全力で槍を突き立てる。
まるで、棺おけに眠る吸血鬼に木製の杭を打ち込むが如く。
突き立てるのを刃の方ではなく柄のほうにしたのは、彼女の優しさだろうか。
それとも未だ殺人に踏み出す勇気がないだけなのだろうか。
完璧なタイミング。
相手は避ける手立ても、反撃の手立ても有していないはず……!
絶対に命中するはず……。
そのはずだ………………。
…………。
……。
98
:
エドガー、『夜明け』を待つ
◆Rd1trDrhhU
:2009/02/18(水) 02:59:39 ID:hlBLg/D20
……そのはずだった。
問題は『固定観念』。
先述したように、フロリーナはシャドウの事を『ジャファルのようなアサシン』と認識していた。
機動力で相手をかく乱し、奇襲や暗殺などで確実に仕留めるタイプのアサシンだと。
その認識には一切の誤認はないだろう。
事実、シャドウはそのような戦術を得意としていた。
だが、それだけではないのだ。
先ほどのジャンプ攻撃もそうだ。
彼女の『アサシン』の認識を超えたような攻撃をシャドウは繰り出してきた。
そしてジャファルには出来ないが、シャドウには出来る攻撃がまだ幾つか存在していた。
その1つが投合。
野性の女戦死を仕留めた、シャドウの真骨頂だ。
彼にとっては暗殺以上の……言わば切り札。
その精度はウィルの弓矢以上に正確だ。
「……え?」
自分の顔面目がけてクルクルと回転しながら飛んできた短剣。
誰が? どこから?
そんな疑問がフロリーナの意識を支配する。
暗殺者の右腕に、あの短剣がないことを確認するまでは。
「く……! そんな……!」
咄嗟にシャドウへの攻撃を中断。
無理にでも体をくねらせて跳んできた刃の軌道から顔を反らす。
無理な体勢に腰が少しだけ痛んだが、そんな事を嘆いている場合じゃない。
出来るだけ体を捩ったつもりであったが、ナイフの先端がフロリーナの頬に赤い筋を刻んだ。
傷そのものは浅くダメージと呼べる程ですらないが、フロリーナの精神に与えたショックは大きい。
ツゥ……っと血が頬を垂れるのを感じながら、フロリーナは考えを巡らせる。
目の前の男は、宙に浮かされた不安定な状態から、あのような正確な投合を繰り出してきたというのか。
大した予備動作もなしに。
フロリーナに感づかれないほど素早く。
単なるアサシンの技能の1つと呼ぶにはあまりにも高いレベルの攻撃。
恐らく、これはシャドウが人生をかけて磨き続けた切り札……!
今のような窮地から脱却する為の隠し玉だ。
現にシャドウはこの投合でフロリーナの攻撃をやり過ごす事に成功している。
そして、これはフロリーナの『アサシンは近接攻撃しか持たない』という固定観念が生んだ失策でもある。
「……ま、まだッ!」
意外な攻撃に一瞬だけ臆したものの、直ぐに体勢を立て直して追撃の準備に入る。
相手は未だ宙に浮いた状態。
しかもその武器は先ほどの投合で失ってしまっている。
相変わらずアドバンテージは自分にある。
シャドウの脇腹めがけて槍を振るった。
さて、問題は『固定観念』だ。
シャドウにあって、ジャファルにない攻撃がもう1つある。
それが……。
「……サンダラ」
……魔法だ。
シャドウもナイフを避けられるのは予想していた。
だが、相手は確実に怯む。
その時間を使って呪文を詠唱してみせたのだ。
99
:
エドガー、『夜明け』を待つ
◆Rd1trDrhhU
:2009/02/18(水) 03:00:17 ID:hlBLg/D20
「……?」
フロリーナは自分の周りに黄色い蛇のようなものが旋回している事に気付く。
そして一歩遅れて悟る。
これは電気だと。
パチパチと音を鳴らし走る蛇は、次第に太く大きくなっていき……。
遂には天から雷を召還した。
「ぐ……きゃあああああああああああ!!!」
バチンと破裂音と共に、フロリーナの体を電流が暴れまわる。
攻撃動作に入っていたはずの体は「気をつけ」の姿勢で伸びきり、力の入らなくなった指からデーモンスピアが零れ落ちた。
彼女の世界では魔法とは魔術師が魔道書を読んで初めて使用できるものである。
しかし、シャドウの世界では違う。
魔石を持っていれば、誰でも魔法を習得する事が可能なのだ。
『アサシンは魔法が使えない』。
これもフロリーナが持っていた固定観念である。
「そん……な……」
シャドウはティナやセリスほど魔法を得意としてはいなかった。
よっていくらクリーンヒットしたとはいえ、彼のサンダラに一撃で致命傷を与えるほどの威力はない。
だが、シャドウにしてみればそれで充分だった。
元より魔法で止めをさす気など、彼には更々なかったのだから。
サンダラの雷が止む。
それを確認し、体制を立て直したシャドウは、足元がふらついたフロリーナに瞬時に接近する。
そして彼女の腹部に重い拳をめり込ませた。
「がはっ!」
魔法で体力が削られたところに更なる一撃。
たまらずフロリーナは膝をつき、手をついてゲホゲホと咳き込むしかない。
しかし、冷徹な暗殺者は苦しむ少女の口元を覆うように右手で彼女の顔を掴むと、そのまま体を持ち上げた。
「むぅ……!」
苦しげに歪む顔とは対照的に、だらりと伸びきる手足。
先ほど食らった魔法のせいで、その皮膚はところどころ焦げている。
(苦しい……! これは……私への罰なの?)
エドガーを見捨てて自分だけ逃げようとした。
この仕打ちは、そんなフロリーナへの罰なのか。
切られた頬から流れる血液に混じって、涙が彼女の頬を濡らした。
(助けて……ヘクトル様……!)
そんな願いも空しく、シャドウは彼女が落としたデーモンスピアを拾い上げる。
フロリーナも何とか逃げ出そうと試みるが、口元を塞がれ呼吸が出来ない苦しさと、戦闘のダメージで手足が思うように動かない。
そして暗殺者は一言も発することなく、彼女の心臓に狙いを定めて槍を振りかぶり……。
(誰か……助けて!)
そのまま……。
……。
ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ
「……ッ!」
(……え?)
受け入れる事ができない現実に絶望する少女を目覚めさせたのは、なんともファンシーな泣き声。
そう。横から飛んで来たのは、彼女のトラウマと言うべき……。
……大量のヒヨコ。
100
:
エドガー、『夜明け』を待つ
◆Rd1trDrhhU
:2009/02/18(水) 03:01:30 ID:hlBLg/D20
ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ
銃口から産み出されたヒヨコたちは、ペシペシと暗殺者の腕に特攻を繰り返ては地面に落ちていく。
1匹1匹は大したダメージではなくとも、こうも連続でぶつかられるとその合計ダメージは馬鹿にはできない。
ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ
「……!?」
驚いたシャドウはヒヨコが跳んでくる方向である右を向いて、それを放っている犯人の顔を確認しようとする。
しかし、迫り来る黄色い雛鳥が邪魔で相手の顔も、その正確な位置すらも確かめる事ができない。
仕方なく、フロリーナを放してヒヨコの軌道から逃げ、犯人の顔を確認しようとした。
ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピ……
だが、次の瞬間にその必要はなくなった。
ヒヨコ部隊の怒涛の攻撃が止んだ次の瞬間……。
「ブリザラ!!!!」
シャドウにとって聞き馴染んだ声が響き渡る。
それと同時に青白い冷気がシャドウの黒衣を包み込み……。
「……しまッ!」
シャドウが始めて驚きの声を上げた。
だが、遅い。魔法は既に発動している。
カキィン! と心地よい音。
シャドウの全身を氷塊が閉じ込め、パキィン……と割れる。
魔法の直撃を受け、よろけたシャドウに乱入者の追撃が襲い掛かる。
彼の手から槍をもぎ取ると、その柄で彼の腹部を思い切り殴りつける。
「ぐが……!」
鎧のない体にクリーンヒットを受け、後方に勢いよく吹き飛ばされてしまう。
2バウンドした後、地面に転がって敵を仰ぎ見る。
追撃をしてくるのではないかと心配したが、どうやら少女の方へ駆け寄っていったようだ。
(甘いな……お前は。…………だが……)
吹き飛ばされた先には、幸運にも先ほど投げた短剣が転がっていた。
それを一目散に拾い上げると、体を起こし、膝をついて、息を整える事に集中した。
まだ……戦いは終わってはいない。
「大丈夫か? フロリーナ。よく頑張ったな」
シャドウを吹き飛ばした乱入者が倒れた少女に駆け寄る。
抱え起こすと少女の手首を取り、脈があるかを確認する。
トクトクと一定のリズムを確認すると、ふぅ……と安堵の溜め息を吐き出した。
「ヘクトル……さ、ま……?」
朝日の逆行で乱入者の顔が見えない。
朦朧とした意識の中、その姿を必死で確認しようとする。
「残念だが、俺は君の愛する王子様じゃない」
男の声がフロリーナの期待を打ち砕く。
残念な気持ちがフロリーナの心を満たしたが、不思議と不快感はない。
「もっとカッコいい王様さ」
前言撤回。
ニヤリとわらうキザ男に、多少の不快感を覚えた。
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