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生体実験 パート12

7名無しさん:2015/04/20(月) 18:47:08
ケーキランド王メロン14世は、宰相であるアップル王子に手を取られ
て本丸の一番高い塔の上まで避難していた。付き従うのは、第2王子
オレンジと僅かな近習の騎士達のみである。
「早く、父上!塔の上に脱出用のモアを待機させてあります」
螺旋階段の下には追いすがる蛮族兵の姿と雄叫びが聞こえる。捕ま
れば残虐な拷問か、一生続く奴隷生活が待っている。
「待ってくれ、もう足が動かん」
メロン14世は運動不足で、しかも肥満体だ。足がもつれて息も上がっ
ていた。
「もう少しです!頑張って!」
「王妃や王女は無事だろうか?」
「わかりません。でも、今は、我らが脱出する事が最優先です。王家の
血筋さえ絶やさねば、いつの日か再興の軍を旗揚げする事も出来ま
す」
アップル王子は、先の先まで考えていた。屋上に付いたが、そこには
モアが1羽しかいなかった。
「おい、どういう事だ?もっといただろう?」
アップル王子は、一羽だけのモアの背中に乗っているモア使いの御者
に尋ねた。
「はっ、申し訳ございません。私は止めたのですが、全員先に逃げてし
まいました」
「くっ・・・お前の忠誠には感謝する」
アップル王子は言ったが、困り果てた。一羽だけのモアには御者の他
に、もう一人しか乗れない。アップルは、メロン王の手を離した。
「父上、お別れです。ケーキランドは私が再興したします」
「え?」
キョトンとするメロン王を尻目に、アップルはモアの背中に飛び乗った。
「飛べ!早く!命令だ!」
「かしこまりました」
御者も、抑えていた逃げたい衝動が極限に達していたようで、すぐに手
綱を引き締めてモアの脇腹を蹴った。
「兄貴ずるいぞ!」
オレンジ王子が涙目で叫んだが、もう遅かった。モアは空中に舞い上
がり、塔の屋上から手の届かない高度へ上昇していった。


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