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アルテミス アナザーストーリー(改)2 byBiBi

1BiBi ◆8cBPUextJk:2012/10/27(土) 12:51:46
■■■ はじめに
 アルテミスアナザーストーリー by BiBi の2スレめです。この2スレ
めを読む前に1スレめをお読み下さい。その1スレめを読む前にオリジナ
ルストーリーをお読み下さい。

■ 『生体実験』のオリジナルストーリー
 大半の方は、 http://eirian.h.fc2.com/index.html へアクセスし、トップ
ページの『本館入口』に進むのが一番便利だと思います。トップページで
は、画面上のほうに少しエッチな広告が表示されます。周囲に人がいる場
合はご注意下さい。最新の更新をチェックするには、2ちゃんねるにアク
セスして『生体実験』でスレッド検索をするのが良いかも知れません。

■ アナザーbyBiBiの前スレ
 アナザーストーリー掲示板内にあります。URLはこちらです。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11681/1243254237/

■ 必ずお読み下さい
 本アナザーストーリーには性的なシーン、残酷なシーンがあります。そ
れらに嫌悪感を覚える方は読まない方が良いと思います。あと未成年の方
は読んではいけません。

文中に登場する名称や設定等は全て架空のものです。同名または類似した
表現があっても、実在のものとは全く関係ありません。また物語を読んで
何かを連想したとしても、それは読者の想像の産物です。

■ その他
1.本アナザーストーリーの世界観は、オリジナルストーリーにある2つ
のパラレルワールドから製作に都合の良い部分を集めて合成しています。
したがってオリジナルストーリーと歴史や世界観が矛盾する部分があるか
も知れません。そこらへんは柔軟に解釈して下さい。

2.リクエスト等は参考にさせていただきますが、応えられないかも知れ
ません。ご容赦下さい。

3.現時点で本アナザーのみに登場するキャラクター等は、必要に応じて、
オリジナルストーリーおよび他のアナザーで自由に使って下さい。設定な
どの変更も可です。

4.本アナザーは1行33文字で書かれています。閲覧の環境によっては見
づらい事があるかも知れませんが、ご容赦下さい。

これ以外の設定などは、前スレの書き込み1と2を参照して下さい。
登場人物に関しては >>2->>5 を参照して下さい。

2BiBi ◆8cBPUextJk:2012/10/27(土) 12:52:36
■■■ 登場人物の紹介
◆アルテミス
元ネオガイア宇宙軍の白兵戦コマンド部隊隊長。現在はさざなみ刑務所の
囚人999号。決して外れる事のない超合金の仮面を被っていることから、
『鉄仮面』という通称で呼ばれている。公式にはアルテミスは殉職した事
になっており、現在のアルテミスは『自分をネオガイア星人だと思い込ん
でいる地球人』という事になっている。巨大ロボット兵器キュクロプスの
パイロットでもある。

生来の真性マゾでかなりの淫乱。また、どんな傷も超短時間で完治してし
まう不死身体質の持ち主。その再生能力は、身体を引き裂かれた傷でも30
分とかからずに完治する。不死身だが、不老ではない。

身体的特徴は年齢29歳。金髪碧眼の美女で、その美しさはかつての同僚に
『女神のような美貌』と言わしめるほど。バストサイズはGカップ。

*現時点でオリジナルストーリーとの相違点らしきもの
オリジナルストーリーでは筋肉質とされているが、本アナザーストーリー
中では、PLAY BOY誌のモデルのようなグラマーな体型になっている。そう
した理由は、ただ単に筆者BiBiの好みから。
身体能力は、オリジナルストーリー中でもかなり高い設定だが、アナザー
中ではもはや超人レベルに達している。またあらゆる武器や乗り物の扱い
に精通している。特に射撃の技術は神技の域にある。
欲情すると、少女漫画に登場する良家の令嬢のような口調になる。これも
筆者の好みによる設定。ちなみに不死身の体質は、処女膜も再生させる。

3BiBi ◆8cBPUextJk:2012/10/27(土) 12:54:19
◆現在オリジナルストーリーには登場していないキャラクターの紹介
1.プリアナ
地球人の女。元ポルノ女優。現在はさざなみ刑務所の囚人。メビウス博士
にサイボーグ手術を受ける。全身の能力が4倍にアップし、全身が武器庫
と化している。その能力については >>5 を参照。鉄仮面の事を、自分と
同じ地球人だと思っている。不完全な洗脳処置しか受けていないので、ネ
オガイア星人に対して少し反抗的な言動をとる事ができる。しかしネオガ
イア星人、それとアルテミスに対して強い敵意を抱く事はできない。サイ
ボーグとしてのコードネームはキューティー・バニー(C.バニー)

2.股三娘
地球人の女。元中国武術家。現在はさざなみ刑務所の囚人。メビウス博士
にサイボーグ手術を受ける。全身がゴムのような体質になっていて、肉弾
戦が得意。「アイツは俺の仲間なんだあ!」と叫ぶと肉体がゴム化する。
他には何の能力もなく、サイボーグボディの開発名は『ワンピターンボ
ディ』 洗脳処置は受けていない。サイボーグとしてのコードネームはル
ビィ股三娘。

3.BKA48号
メビウス博士に作られたアンドロイド。プリアナと股三娘を監督している。

4BiBi ◆8cBPUextJk:2012/10/27(土) 12:55:14
4.さざ吉
さざなみ刑務所で生まれた子犬。アルテミスが大切にしていた。現在は地
球人の里親に引き取られている。

5.エウドラ
ネオガイア星人の女性科学者。妙齢の美女だが、サディストで面倒臭い事
が大嫌いなワガママな性格の持ち主。アテナとビーナスとも親交が深い。

6.ラミアー
ネオガイア星人の女性科学者。自分の肉体をヘビ型星人の男と融合させ
た。上半身はネオガイア星人の姿のままで、下半身は全長約5メートルの
ヘビの胴体になっている。アテナとビーナスとも親交が深い。現在は、ラ
リカとユリアーと一緒に宇宙船で暮らしている。

7.ラリカとユリアー
ラミアーが自分の精子を梅本由梨香の卵子と受精させ、産まれた双子の子
供。ラリカは男児で弟、ユリアーは女児で姉。現在はラミアーの養子と
なっている。

8.プチレア
タイタンの女戦士レアの分身。身長は10メートル。マゾ。オナニーで快感
を得ると身体が透明になる他、傷の再生能力が飛躍的に高くなる。

9.ヒロ
プチレアの行動を共にする地球人の男。ヒーローになる事を夢見ている。

10.モクバ
四足歩行の乗り物。キュクロプスと同じく、2本の操縦桿を膣と直腸に
挿入して操縦する。

オリジナルストーリーに登場するキャラクターに関しては、そちらを読
んで下さい。

5BiBi ◆8cBPUextJk:2012/10/27(土) 12:55:53
■■■ プリアナの能力
1.鼻輪
遠隔操作で電撃または快楽を与える機能、および強力な牽引機能を備えて
いる。

2.右乳房
多数の乳首に覆われている。乳首は全て手榴弾となる。

3.左乳房
バッテリー。揉むと発電する機能も備えている。

4.オマンコミサイル
クリトリスに激しい苦痛を感じるとミサイルが発射される。装弾数3発。

5.大陰唇
無数の鋭い棘に覆われ、肉程度なら噛み千切る事ができる。

6.肛門
鞭のような武器シルバーブルーレが収納されている。

7.身体能力
全ての身体能力が4倍にパワーアップされている。ただし痛覚も4倍に高
められている。

8.防弾機能
皮膚が防弾処置され、22口径程度の銃弾なら撥ね返す。

6BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/09(金) 17:00:05
Artemis0526
『襲来』
 ここでいったん物語は、百足星人が地球に襲来してきた日にさかのぼ
る。百足星人とは他の銀河からやって来た、宇宙海賊として恐れられる凶
暴な星間種族だ。そのテクノロジーは極めて高度で、一部の分野ではグレ
イを凌駕するとさえ言われている。

 その日、地上に次々と攻め込んできたムカデ型アンドロイドを、アルテ
ミスの操る巨大ロボット『キュクロプス』が果敢に迎え撃った。両者の戦
いは熾烈を極めた。ムカデ型アンドロイドの1体が、キュクロプスのコク
ピットに突進してきた。
「コクピットを攻撃されるわけにはいかないわ」
アルテミスは股間に挿入された操縦桿をたくみに操り、ムカデ型アンドロ
イドを紙一重でかわした。そして振り向きざま、レーザーサーベルで一刀
両断にする。

コクピットを攻撃されたら、アルテミスは身体に大ダメージを受ける可能
性がある。いかに不死身体質といえ、例えば腕や脚を根こそぎ失うような
傷を負ったら再生に10分以上かかる。戦闘中の10分間のロスというのは、
致命的だ。

 一進一退の攻防は、ピタゴラス博士の作戦によって大きく傾いた。はる
か上空に位置する百足星人の母艦の破壊に成功したのだ。しかし地上に再
現された地獄図は終わってくれなかった。ムカデ型アンドロイドの何体か
が、母艦からのコントロールを失い、一斉に暴走し始めたのだ。暴走する
ムカデ型アンドロイドは、コントロール下にあった時よりも凶暴だった。
あたりはパニック状態に陥った。爆音があちこちで鳴り響き、同時に断末
魔の悲鳴が聞こえた。そして紅蓮の炎と硝煙がたちのぼる中、一向に収ま
らない爆音とは対照的に、一つ二つと途切れいく悲鳴が命の終焉を告げて
いた。

 それは偶発的な事故だった。母艦のコントロールを失ったムカデ型アン
ドロイドの1機が突然、急加速しその場を離脱したのだ。しかし他のムカ
デ型アンドロイドと激しい戦闘を繰り広げるアルテミスに、それに気づく
余裕はなかった。その1体は内蔵する動力の性能を誇示するかのようにぐ
んぐんと加速し、またたく間に目視距離の限界を超えた。

そのまま海にでも墜落してくれたら問題はなかったのだが、ムカデ型アン
ドロイドが着地地点に選んだのは、日本から遠くはなれたアメリカ合衆国
の一角だった。轟音とともに地面に激突した暴走アンドロイドは、地球を
半周してようやく満足したのか、静かになった。

 それから月日が流れ、時は現在に至る。人々のなかに刻まれた百足星人
との戦いの記憶は、いつの間にか遠い思い出に変わっていた。


*********************************
百足星人の襲来については、オリジナルストーリー第76話〜83話をお読み
下さい。
*********************************

『襲来』 おしまい

7BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/09(金) 17:00:56
Artemis0527
『アルテミスの被虐生活1』
 今日もアルテミスは、女看守シンディの拷問を受けていた。アルテミス
はさざなみ刑務所の一角に連れて来られた。見ると、足元には、直径2
メートルほどの穴が掘られている。
「以前、オマエに穴掘りをさせた事があったね? あとそのスケベな巨乳
でタイヤを引かせた事もあったね? 覚えてる?」
「はい。シンディ様の拷問は、全て私の素敵な思い出ですわ」
「あははは。拷問が思い出? オマエ、ホントどうしようもないマゾね」
嘲りの言葉を浴びて、真性マゾは嬉しそうに身体をくねらせた。
「今日は、その2つをミックスさせた責めをしてやるよ。その穴の底を見
てみな?」

アルテミスが身を乗り出して穴の中を覗き込んだ。暗くてはっきり分から
ないが、深さは10メートル以上ありそうだ。その背中を、シンディが後ろ
から蹴飛ばした。
「あ?!」
悲鳴をあげる間もなく、アルテミスは穴の底に叩きつけられた。グキッと
神経を逆なでするような音がした。見ると、首がありえない角度で曲がり、
仮面の隙間から少量の液体が漏れ出している。暗がりのせいで液体の色は
判別できないが、間違いなく血の色をしているだろう。

 30秒ほどして、首の折れた女体がムクリと起き上がった。ちょっとした
ホラー映画のような光景だ。首を左右に数回ひねると、コキコキと音がし
て首の向きが正常に戻った。
「アハハハ。首の骨が折れたのに、もう復活したの? ホント化け物ね」
降り注ぐシンディの哄笑は、穴の壁に反響してエコーがかかっていた。
「地面の上を見てみな? 何がある?」

アルテミスが周囲を見回すと、冷たくじめじめした地面の上に林檎ほどの
大きさの鉄球が3つ転がっていた。見ると、鉄球からは長さ30センチほど
の鎖が伸びていて、鎖の先端には小さなクリップが付いている。
「その鉄球を地上まで持ってくるんだよ。ただし手で持ったらダメだよ」
アルテミスは鎖に付いたクリップを見て、シンディの言葉の意味を理解し
た。細い喉がコクリと上下した。

「そのクリップはネオガイア製で、一度挟んだら絶対に外れないらしいよ。
たしか股三娘とかいう女のTVパフォーマンスでも使われたらしいよ」
股三娘はメビウス博士に改造された女サイボーグだ。
「そのクリップで鉄球を身体につないで、上まで運ぶんだよ。身体のどこ
にクリップを付けるかは、お前の自由にしていいよ」
アルテミスのオマンコからドロリと熱い粘液が流れ出した。

8BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/09(金) 17:01:38
Artemis0528
 アルテミスは震える手でクリップをつまみ上げ、ワニ口を開いた。いか
にも挟まれると痛そうなギザギザの歯が並んでいる。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
すでに吐息が熱い。クリップを右の乳首に近づけた。クリップを持つ手が
ブルブルと震えている。
「あぁ……、イヤ、イヤァ……」
切なそうな声がもれた。クリップが乳首を挟み潰した。
「あぁあああああああああ!」
女体がビクンと震えた。見ると、ギザギザの歯の間で、乳首が扁平に潰れ
ている。

 次に、鉄球を跨ぐような形でその場にしゃがみ、相撲の四股(しこ)の
ような体勢になった。片手でオマンコ上端の包皮をめくった。もとから大
振りだったクリトリスは、さらに大きく勃起している。爪先が肉の突起に
触れた。女体がビクンと震えた。クリトリスは女体でもっとも敏感な部分
で、軽い愛撫でも痛みを感じる女性すらいる。もとから敏感だったアルテ
ミスのクリトリスは、長いマゾ生活の間にさらに感度を鍛えられ、今では
そよ風に吹かれただけでも感じてしまう。この急所を責められた時のアル
テミスの狂乱ぶりは、実際に見た者でなければ絶対に分からないだろう。

 アルテミスは2つめのクリップを拾い、クリトリスに近づけた。クリト
リスがピクピクと震えているのが感じられる。その敏感な肉突起をギザギ
ザの歯が挟み、潰した。
「くぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
押し殺したような悲鳴がもれた。この真性マゾだからこそ小さな悲鳴です
んだのだ。普通の女なら、絶叫をふりしぼっているだろう。

3つめのクリップを拾い左乳首に近づけて、途中でその手を止めた。指で
オマンコを割り開いた。陰唇の間に溜まっていた淫液がドロリと流れ出し
た。さらに大きく開くと、赤く充血した肉襞(にくひだ)が現れた。小陰
唇だ。クリップを持つ手を股間に運んだ。軟らかい肉襞をクリップで挟ん
だ。
「アハハハ。やっぱりオマエは最高だよ。両乳首とクリトリス用に3つ用
意してやったんだけど、まさかオマンコに2つ付けるとはねぇ……」
シンディの哄笑がエコーのように響いた。

9BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/09(金) 17:02:19
Artemis0529
 一度挟んだら絶対に外れないというクリップが右の乳首に1つ、クリト
リスに1つ、小陰唇に1つ。各々は林檎ほどの大きさの鉄球とつながって
いる。鉄球だけでもかなりの重さがありそうなのに、クリップと鉄球をつ
ないでいるのは太い金属の鎖だ。重量は合計で何キロあるだろうか……。

乳首や性器をクリップで潰されるだけでも相当な苦痛だというのに、今か
らその敏感な部分で3つの鉄球をぶら下げて、10メートルはありそうな絶
壁をよじ登らなくてはならないのだ。その苦痛を想像して、アルテミスは
舌で唇の上を舐め回した。金属の仮面の下でブルーの瞳は妖しく濡れ、張
りのある頬はピンク色に染まっている。白兵戦コマンド時代のアルテミス
を知る者がこの顔を見ても、別人だと言い張るに違いない。

 アルテミスは乳首とオマンコに鉄球をつなげたまま、ウサギ跳びかスク
ワットでもするように一気に腰を上げた。撓んだ(たわんだ)鎖が引き伸
ばされ、鉄球が持ち上がった。同時に、鉄球と鎖の総重量が女体の急所を
襲う。
「アォオオオオオオオオオ! クリトリスがあああ!」
迸る悲鳴。やはりクリトリスが一番痛いのだろうか……。見ると、太股の
筋肉がブルブルと震え、それに合わせて、股間からぶら下がった鉄球が振
り子のように揺れている。
「アハハハ。普通ならゆっくり腰を上げるはずなのに。鉄仮面、オマエ本
当にどうしようもないマゾね!」
はるか頭上からシンディの哄笑が降り注いだ。

 アルテミスは鉄球を3つぶらさげたまま、壁の方へと歩を進めた。一歩
ごとに激痛が走る。ただでさえクリップで潰されている上、さらに重い鉄
球に引き伸ばされているのだ。普通の女ならば、1歩だって進む事はでき
ないだろう。
(あぁ。クリトリスが千切れそうだわ)
しかし、この真性マゾが感じているのが苦痛だけでない事は、鎖の表面を
伝う大量の淫液を見れば明らかだ。

 壁際にたどり着くと、アルテミスは垂直に近い絶壁をよじ登り始めた。
元白兵戦コマンドのアルテミスにとって、高さ10メートルの絶壁など児童
公園の滑り台のようなものだ。ただし今回は、敏感な肉突起に重い鉄球が
ぶら下がっている。しかも一歩よじ登るたびに鉄球が壁面をこすり、その
振動がさらに苦痛を高めるのだ。

5メートル程よじ登ったところで、クリトリスにつながっていた鉄球が落
ちた。穴の底からドスンという音がして、それにジャラジャラという鎖の
音が続いた。
「ぎゃあああああああああ! クリトリスがぁあああ……」
女の絶叫が、狭い穴の中にこだました。クリップは一度挟んだら絶対に外
れないというネオガイア製だ。穴底に落ちた鉄球からのびる鎖の先端を見
ると、クリップにグリーンピース大の肉片が挟まっている。クリトリスを
引き千切られたアルテミスは、垂直な絶壁にしがみついたまま身体を嗚咽
を漏らしていた。

「アハハハ。アメリカ軍にいた頃、どれくらいの強さで引っ張ったらクリ
トリスが千切れるか、捕虜の身体を使ってたっぷりと実験したのさ」
シンディの声は、実に誇らしげだ。
「あぅあああ。す、素敵ですわ、シンディ様」
アルテミスは壁にしがみついたまま、頭上のサディストを顔を見上げて喘
いだ。内腿を血の筋が1本伝わり落ちた。

10BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/09(金) 17:03:18
Artemis0530
「フフン。何ボサッとしてるの? やり直しだよ、鉄仮面!」
「あぁ……。はい」
アルテミスが、そのまま穴の底へ飛び降りた。5メートルの落下の衝撃を、
足首と膝が吸収する。足首に痛みが走ったが、立ち上がった時には痛みは
完全に消えていた。捻挫程度なら完治するのに10秒とかからない。

 再び鉄球の上に跨って、クリップを手に取った。ギザギザの歯の間に小
さな肉片が挟まっている。千切れたクリトリスだ。クリップを開いて指で
つまんだ。コリコリとした弾力は以前のままだが、すでに冷たくなってい
る。この小さな肉の塊が、アルテミスを狂乱の極みに突き上げるのだ。

「ん? 何を弄ってるのさ? あぁ、オマエの千切れたクリトリス?」
「はい、シンディ様」
「フフン。そういえばオマエ、食事が囚人どもの精液ばかりじゃあ、満足
できないんじゃない?」
「え、そんな、とんでもありませんわ。囚人の皆様の濃厚な精液をいただ
けて、私(わたくし)とても嬉しいです」
アルテミスの主食は、囚人たちの精液なのだ。

「そう? たまには新鮮な肉を食べさせてやろうと思ったんだけどねぇ」
そう言われて、アルテミスは指でつまんだ自分の肉片に視線を移した。シ
ンディが言わんとする事に気づいたようだ。
「あぁ……。は、はい。私、お肉が食べたいですわ」
「フフン。いいよ。たっぷり味わって喰いな」
「ありがとうございます」
自分のクリトリスだった肉片をアルテミスは口に放り込み、クチャクチャ
と咀嚼し始めた。血と、わずかに淫液の味がした。ドロドロになるまで肉
片を噛み砕き、たっぷりと自分の血肉の味を堪能してから、胃に流し込ん
だ。

「さぁ、続きだよ。さっさとその鉄球をここまで運んできな!」
「はい、シンディ様」
股間に指を伸ばして、包皮をめくった。指先にコリコリとした突起が触れ
る。クリトリスが再生したのだ。その突起にクリップの歯が噛み付いた。
女だけが知る痛みがマゾの脳髄を蕩けさせる。
(今度は腰を振りながら登ってみようかしら)
そんな事を考えながら、再び歩き始めた。

その後も3つの鉄球は、肉片をクリップに挟んだまま何度も落ちた。その
たびにアルテミスは穴の底に飛び降り、クリップを付け直した。絶壁をよ
じ登っては飛び降り、よじ登っては飛び降りるのをひたすら繰り返した。
それはまるで巨大な岩を押し続けるシーシュポスのようだった。

『アルテミスの被虐生活1』 おしまい

11BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/09(金) 17:04:27
■■■ 最新の投稿 2012年11月9日
>>6 『襲来』
>>7-10 『アルテミスの被虐生活1』の投稿

■■■ 前スレ
アナザーストーリー掲示板内にあります。URLはこちらです。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11681/1243254237/
タイトルは『アルテミス アナザーストーリー(改) byBiBi 』です。

■■■ 目次
>>2-5 登場人物の紹介など

■ アルテミスのアナザー
文頭の通し番号は、Artemis****
>>6 『襲来』
>>7-10 『アルテミスの被虐生活1』

12BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/25(日) 22:33:46
Artemis.UY1.Sanae0105
『梅本由梨香に関する資料 〜 八谷早苗の回想 013』
 SMクラブココ早苗のM嬢となった梅本由梨香は、SMショーの生贄と
して激しい陵辱を受けていた。ステージ上で四つんばいになり、オマンコ
を擬似ペニス――いわゆるバイブ――で抉られているのだ。犯しているの
は、クラブオーナーの八谷早苗という毒婦だ。早苗の着るラバースーツは、
ペニスバンドのように腰の部分にバイブを装着する事ができるのだ。早苗
の腰使いはどんな男よりも乱暴で、ひと突きごとに由梨香の華奢な身体が
跳ね上がった。

由梨香を責めているのは擬似ペニスだけではなかった。肛門に巨大なアナ
ル栓が挿入されていた。随分前から由梨香は下痢を催していて、今もドロ
ドロに溶けた大便が、アナル栓で出口を塞がれた腸の中を暴れまわってい
るのだ。さらに電動マッサージ器がアナル栓に押し当てられ、激しい振動
が生贄の苦痛を高めていた。

「あぁ、あぁん。もっと、もっと突いてください。由梨香のオマンコ、ズ
ボズボしてください」
普通の女ならとても耐えられそうにない責めを受けているにもかかわらず、
この真性マゾは快感の喘ぎを放ち続けていた。
「ふん。望み通りオマンコをメッタ突きにしてやるよ」
早苗はオマンコからいったん擬似ペニスを引き抜くと、ワゴンから別の擬
似ペニスを取り、それと付け換えた。

新しく装着された擬似ペニスを見て、観客たちにどよめきが走った。それ
は、とても女性の膣に挿入するために作られたとは思えない代物だった。
長さ太さともに成人男性の腕ほどあり、表面は無数の突起に覆われている。
この突起が凶暴だった。サイズは成人の小指第一関節ほどで、形状は先端
が尖ったピラミッド型、材質は金属製と、まるで鋲のようだ。こんな凶器
を性器に突っ込まれた女はどうなるか、想像するだけでもおぞましい。

 由梨香は以前ショーイベントのコンパニオンを務めていただけあって、
スリムな体型をしている。当然、尻も小さい。
「なんて肉付きの悪い貧相な尻してるんだ?」
「あぁ……ごめんなさい。由梨香、元イベントコンパニオンだから痩せて
るのぉ」

「自慢してんじゃないよ!」
早苗が忌々しげに吐きすてた。由梨香自身に自慢しようという気は全くな
いのだが、年齢とともに身体のラインが崩れてきた早苗にとっては、『痩
せている』という言葉は自慢に聞こえるのかも知れない。早苗の心に芽生
えた嫉妬は、1秒とかからずに憎しみに変化した。情け容赦のない勢いで、
巨大な擬似ペニスの生えた腰を由梨香の尻に叩きつけた。
「ギャアアアアアアアアア、い、いやぁあああ!」
柔肉が引き伸ばされるメリメリという音は、迸った悲鳴でかき消された。
由梨香のオマンコは度重なる淫虐によってすでにガバガバだが、それでも
巨大な異物をいきなり突っ込まれたら痛いのだ。もっとも、この真性マゾ
がその苦痛をどう感じているかは別の話だが……。

13BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/25(日) 22:34:27
Artemis.UY1.Sanae0106
 早苗が腰を前後に動かし始めると、由梨香の悲鳴が嬌声に変化していっ
た。サイズが腕ほどある擬似ペニスがピアスまみれの陰唇を割り開き、金
属の突起が膣の粘膜を掻き毟る。ズブズブという音は、嬌声に混じって観
客席にまで届いた。
「す、すごい。気持ちいいですぅ。もっと、もっと由梨香の……痩せたお
尻をいじめてください」
「自慢してんじゃないって言ってるだろ! このメス豚が」
「あ、あぁ……。はい、由梨香、痩せてるけど豚なのぉ」
「キィィィ!」
早苗はヒステリックな叫び声をあげると、電動マッサージ器を由梨香のア
ナル栓に押し当てた。
「きゃあああ。痩せたお尻の穴が感じますぅ」
「キィィィ!」
由梨香の下腹部がギュルルルと音をたてた。

 やがて由梨香の尻に、ポタリポタリと早苗の汗が落ち始めた。腰を激し
く振り続けて、さすがに疲れてきたのだ。見ると、肩で息をしている。
「ハァ、ハァ、ハァ……。ど、どう? 止めてほしかったら、そう言って
みな!」
早苗としては、由梨香が陵辱の中止を懇願すれば、それを理由に休む事が
できる――という狙いがあったのだろう。しかし……、
「あ、あぁ、あぁ……。い、いやん。や、止めないでぇ!」
返ってきたのは正反対の内容だった。おかげで早苗は陵辱を中止するタイ
ミングを失い、その後も腰を振り続けるはめになった。

凶暴な荒腰はその後10分近く続き、早苗の体力が限界に達してようやく動
きを止めた。オマンコを犯す腰の動きが止まると、由梨香が残念そうに鼻
を鳴らした。擬似ペニスがズルズルと引き抜かれると、背中越しに背後の
早苗を振り向いて「イヤイヤ。やめないで」と首を振った。

 擬似ペニスが抜き取られた。残酷な陵辱から解放された秘裂は赤く爛れ
て、おびただしい量の淫液は血の色に染まっている。早苗は肩で息をしな
がら、自分の腰を見下ろした。擬似ペニスの表面は由梨香の血と淫液でベ
トベトだ。その下で、マゾ女の尻が、「もっと、もっと」とおねだりする
ように左右に揺れている。早苗の顔に下卑た笑みが浮かんだ。
(今までこの特製のバイブで犯された女は、全員オマンコ腫らして泣き叫
んでたけど。コイツは本物のマゾね。これは思わぬ拾い物をしたわ)
ココ早苗のようなハードプレイが売りのSMクラブにとって、由梨香のよ
うな真性マゾは喉から手が出るほど欲しいM嬢だ。それを、この毒婦は、
知り合いのSMクラブから無料で譲り受けたのだ。

14BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/25(日) 22:34:58
Artemis.UY1.Sanae0107
 早苗は淫液まみれの擬似ペニスを握って、まるで男のオナニーのように
しごき始めた。手の中で、淫液がネチャネチャと卑猥な音をたてる。もう
片方の手で由梨香の髪を鷲掴みにして上を向かせると、手についた淫液を
その顔に塗りたくった。
「あぁ、オマンコのいやらしい汁、美味しいですぅ」
由梨香が淫液まみれの顔で早苗を見上げた。その頬が、パァーンという鋭
い音をたてた。

平手打ちを受けて、由梨香の身体が大きくよろめいた。長い髪が顔にかか
る。髪の隙間から覗く唇が、嬉しそうな笑みの形を作った。由梨香はすぐ
さま身体を起こし、うっとりしたような顔で早苗を仰ぎ見た。
「あぁ……、もっと、もっとぶってくだ……」
懇願の口上が終わるのを待たず、再び頬が鳴った。よろめく女体。もれる
声は、蕩けるように甘い。間髪いれず由梨香が起き上がり、また頬が鳴っ
た。何度も何度も、平手打ちが由梨香の身体を左右に揺さぶった。
「あぁ……あぁ……もっと、もっと、もっとぉおおお」
欲情に血走った瞳で早苗を見上げながら、被虐に狂ったマゾ女が喘いだ。

 見ると、早苗の目も血走っている。自分よりも若く美しい女の顔を打つ
行為に、邪悪な満足感を得ているのだ。
「顔を叩かれて悦んでるの? 口を開けな、変態女!」
大きく開かれた由梨香の口に擬似ペニスをねじ込んだ。太さが成人男性の
腕ほどある異物を突っ込まれて、由梨香の顎は今にも外れそうだ。早苗は
擬似ペニスを由梨香の口に突っ込んだまま、その頬を続けざまに叩いた。
1発、2発、5発、10発、20発……。手加減なしの平手打ちが炸裂するた
びに、由梨香の首がガクガクと揺れた。卑猥な刺青を施された頬が、赤く
染まっていく。
「あぁ……あぁ……いい、いい、いいわぁ! もっと、もっと打ってぇ」
頬をぶたれながら、歓喜の声をあげるマゾ女。ただし擬似ペニスを咥えた
ままなので、実際はモゴモゴという呻き声にしか聞こえない。唇の隙間か
ら顎にかけて、ヨダレがすじを描いた。頬をぶたれた時に口の中を切った
のか、見ると、ヨダレは薄いピンク色をしている。

ひとしきり由梨香の頬を打ち終えると、早苗は腰を引いた。表面の突起が
歯に当たり、ガリガリと音がした。引き抜かれた擬似ペニスと由梨香の口
の間に、ヨダレが糸を引いた。
「あ、あ、あ。お願いです。もっと叩いて下さい」
「変態女!」
早苗が由梨香の顔に唾を吐きかけた。頬にかかった粘液を、由梨香の舌が
舐め取った。細い喉がゴクリと上下した。

15BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/25(日) 22:35:28
Artemis.UY1.Sanae0108
 由梨香の腹が鳴った。美貌が苦痛に歪む。擬似ペニスで犯されている間
も、頬をぶたれている間も、この真性マゾは極太のアナル栓を挿入された
まま強烈な便意に耐えていたのだ。
「どうしたんだい? 苦しそうじゃないか?」
「は、はい。ずっとウンチを我慢してるんです。お腹がすごく痛いで
すぅ」
「いいと言うまで出すんじゃないよ? もし勝手に出したら、お仕置きだ
よ!」
「お、お仕置き……」
苦痛に歪んだ顔が一瞬、うっとりと蕩けた。
(あぁ、どうしたらいいの? わざとウンチ出してお仕置きされるのと、
このまま我慢するのとどっちが苦しいかしら……)
真性マゾならではの葛藤の末、我慢する方が苦しいだろうと判断した。
「は、はいぃ。死んでも我慢しますぅ」

「四つん這いになるんだよ! お客さまのほうへ尻を向けな!」
由梨香は言われた通りの姿勢になって、観客達に尻の割れ目をさらした。
さらに命じられてもいないのに両手を後ろに回し、自ら尻肉を左右に割り
開いた。突き出された尻の真ん中から、T字型のアナル栓の柄が突き出て
いる。観客達はそれを目の当たりにて、挿入されたアナル栓の大きさをあ
らためて実感した。

由梨香に使用されたアナル栓は、円錐形の本体にT字型の柄をくっ付けた
ような形状をしている。イメージとしては、柄がT字型をした傘を開いた
ような感じだ。直腸内に挿入されているのは本体部分で、柄の部分は肛門
の外に飛び出している。円錐形の本体は一番太い部分で直径が15センチ近
くあり、柄の部分を強く引っぱらない限り取り外すのは不可能だろう。

 早苗が挑発的な目で観客席を見回した。
「お客様。このマゾ豚の肛門に突き刺さったアナル栓は大きすぎて、この
ままでは抜く事ができません。アナル栓を抜く事ができるように、協力し
てくださる方はいらっしゃいますかしら?」
そう問うと、唇の上に舌を這わせながら、ラバースーツに包まれた身体を
卑猥にくねらせた。決して美人ではないが、アイマスクで覆われた早苗の
顔はとても扇情的だった。サングラスをつけると美男美女に見えてしまう
のと同じだ。

観客の1名が手をあげた。あがった手の先には、指が1本立てられている。
ココ早苗のSMショーは観客が参加する事ができた。参加する権利は競売
にかけられ、より高い値をつけた客がステージ上で生贄を拷問する事がで
きる。立てられた指の本数が買い値を表している。
「他にございませんか?」
早苗が煽ると、別の客が手をあげた。立てられた指の数は2本だ。すると
別の客が指を3本立てた。
「他にはございませんか?」
指を4本立てる客は現われなかった。早苗は客達に気付かれないように小
さく舌打ちをして、忌々しげに由梨香を見下ろした。

16BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/25(日) 22:36:03
Artemis.UY1.Sanae0109
 由梨香を嬲る権利を競り勝った客が、ステージ上にあがった。
「さぁ、お客様。この哀れなマゾ豚からアナル栓が抜けるように、肛門を
ほぐしてあげて下さい」
由梨香の肛門から突き出したT字型の柄を、客が握った。女体がビクンと
震えた。

客が握った柄をブルブルと振動させた。
「あ!? あぅうううぅぅぅん。お、お尻が、くひぃぃぃ!」
由梨香が嬌声をあげる。便意を耐え続けたせいで、肛門が敏感になってい
る。そこを刺激されるのだからたまらない。

今度は、柄をドリルのようにグリグリと回転させ始めた。調教され尽くし
た肛門がかき回される。ジンジンと響くような恥痛に、由梨香が身体を硬
直させる。
「アヒィィィ! お、お尻がめくれるぅ!」
嬌声が1オクターブ高くなった。アナル栓と肛門壁のわずかな隙間から、
黄土色の汚液が滲み出てきた。まともな神経の持ち主なら嫌悪感をおぼえ
る所だが、ココ早苗の客はいずれも超が付くほどの変態である。男は、滲
み出てきた汚液の放つ悪臭を肺一杯に吸い込むと、サディスティックな笑
みを浮かべながらさらに激しくアナル栓を捻った。

「あ、あ、あぁ! もっと、もっとして下さい。ゆ、由梨香のアナル、グ
チャグチャにしてぇ!」
由梨香は四つん這いで尻の割れ目を両手で割り開いていたが、その尻肉に
食い込む10本の指がブルブルと震えた。オマンコは淫液でベトベトで、勃
起したクリトリスは今にも破裂しそうだ。

「あ、あぁ、あぁ……。す、すごいですぅ。由梨香のアナル壊れ……、ア
ヒッ?! アォオオオオオオオオオ……」
由梨香の身体が大きく仰け反った。アナル栓の回転速度がアップしたのだ。
見ると、アナル栓をねじる男の額に汗が浮かんでいる。由梨香の片手が尻
肉から離れ、なかば無意識の内にオマンコに移動し始めた。
「勝手に触るんじゃないよ!」
早苗の怒声が、その手を停止させた。
(あぁ、触りたい。いやらしく勃起したクリトリスを、無茶苦茶に弄り回
したい)
オナニーを禁じられた5本の指が、オマンコまであと数センチという所で、
むなしく開閉をくり返した。男がアナル栓に回転と振動の両方を加えると、
由梨香は悲鳴のような嬌声をあげながら片手で床をバンバン叩いた。

やがてアナル栓と肛門の隙間から漏れ出る黄土色の液体に、血の色が混じ
り始めた。血の色がどんどん濃くなり、漏れ出る液体が鮮血の色に変わっ
て、ようやく早苗は男に肛門責めを中止させた。見ると、由梨香は息も絶
えだえといった感じだ。観客席に戻った男も、体力を使い果たしたかのよ
うに肩で息をしている。

17BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/25(日) 22:36:40
Artemis.UY1.Sanae0110
 残酷なSMショーはまだ始まったばかりだ。早苗は再び観客席を見渡し
た。女の悲鳴や涙に欲情する、紳士の皮をかぶったサディストどもが並ん
でいる。
「さて、マゾ豚の肛門もほぐれたと思います。では次に、哀れなマゾ豚の
肛門から、この極太アナル栓を抜いてくださる方はいらっしゃいます
か?」

数名の客が手をあげた。アナル栓を抜いたとたん自分に大便が降り注ぐか
も知れないが、変態の客達はそんな事は気にもしていないようだった。指
を4本立てた、小太りの男が選ばれた。
「出すんじゃないよ!」
早苗が恫喝するように由梨香に命じた。いくら変態の客でも、衣服を大便
で汚したらクリーニング代は店が支払わなくてはならないのだ。

男はステージに上がると、由梨香の肛門から突き出たアナル栓の柄を
握った。そのまま引っぱった。由梨香が低く呻いた。直腸の出口をせき止
めているアナル栓が大きすぎて、なかなか抜けないのだ。直径は15センチ
近くある。やがてアナル栓の押し出されるように、肛門周囲がモッコリと
盛り上がった。
「あぁあああ……、めくれちゃう、めくれちゃうぅぅぅ! このまま由梨
香の腸を引きずり出してぇ」
ボコッという音とともに、アナル栓が肛門から抜けた。一瞬覗いたのは肛
門などではなく、まぎれもなく腸の一部だ。大便が噴き出しそうになり、
由梨香があわてて肛門を締めた。

アナル栓を引き抜いた男は、その巨大さに言葉を失った。アナル栓の表面
は黄土色の汚液で濡れて、異臭を放っていた。所々に茶色い大便と、赤い
ゼリーのような血がこびりついている。
「舐めな!」
早苗に命じられると、由梨香は膝立ちの姿勢になって、アナル栓を持つ男
の腕を愛しそうに抱きしめた。自分の直腸に侵入していた異物に舌を這わ
せる。形の良い乳房を、毛深い男の腕に押し付ける。アナル栓に舌を這わ
せるそのしぐさは、まるでフェラチオをしているようだ。細い喉がゴクリ
ゴクリと音を立てた。男は下卑た笑みを浮かべながら、腕に伝わる乳房の
心地よい弾力を楽しんでいた。

男が観客席に戻ると、由梨香は正座の姿勢になり身をかたくした。額にし
わが刻まれる。切迫する便意は治まらない。アナル栓を引き抜かれた今は、
排便を塞き止めるのは由梨香の肛門括約筋だけだ。
「どうしたんだい? ずいぶんと苦しそうじゃないの」
「はいぃ。ウ、ウンチが漏れちゃいそうですぅ」
「出すんじゃないよ!」
「はいぃぃぃ……」
由梨香の腹がグルルルと鳴った。

18BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/25(日) 22:37:13
Artemis.UY1.Sanae0111
「フン。締まりのないアナルだね。そんなアナルには栓が必要ねぇ」
早苗が意地の悪そうな笑みを浮かべた。
「お客様。このマゾ豚のアナルをペニスで塞いでくださる方はいらっしゃ
いますか?」
早苗が観客席を見回すと、数本の手があがった。

哀れな生贄の尻を犯す権利を競り落としたのは、中年のサディストだった。
離婚暦4回。結婚するたびに、SM嗜好の全くない妻に変態行為を強要し、
離婚届を叩きつけられているという男だ。ちなみに現在5人目の再婚相手
を募集中だ。

「まずオマエの肛門に栓をしてくださるペニスにご奉仕しな!」
そう早苗が命じると、由梨香の顔が嬉しそうに輝いた。この真性マゾは
フェラチオが大好きなのだ。自虐的ともいえる奉仕が始まった。ペニス全
体を口に含み、一気に喉の奥まで飲み込む。サディストのネオガイア星人
に徹底的に調教されているので、硬い歯でペニスを擦るような事はない。
「お?! おぉおおお……。す、すごい」
中年男がおもわず喘ぎ声を漏らした。ペニスは10秒とかからず勃起した。
「も、もういい。それ以上されたら射精してしまう」
中年男は由梨香の顔を引き剥がした。突き出された舌が、引き抜かれたペ
ニスを名残惜しそうに追いかけた。

 男は、四つん這いになろうとした由梨香を制して、仰向けにさせた。す
ると命じられてもいないのに、由梨香は自分の両膝を抱えあげて、マング
リ返しの体勢になった。
「由梨香のアナルはオナニーとアナルセックスのやりすぎで、もうガバガ
バなんですぅ。ご主人様のペニスで栓をして下さい」
赤く爛れた肛門がヒクヒクと動いた。

マングリ返しという体勢は意外と苦しい。胸部と腹部を圧迫されて息苦し
いし、男に乗られると股関節も痛い。さらに由梨香がいるステージのよう
なかたい床の上では、床に擦れる背骨も痛む。
「あふぅぅぅ」
由梨香が苦しげに呻いた。マングリ返しの体勢が下腹部を圧迫して、強烈
な便意がさらに強まるのだ。卑猥な刺青を施された顔が紅潮する。
「あら、苦しそうねぇ。今にもひり出してしまいそうなのかしら?」
必死に便意に耐えるマゾ女に、早苗の嘲笑が降り注ぐ。

 肛門は少し漏れた下痢便で汚れていたが、中年男は気にする様子はない。
由梨香も変態だが、男も十分に変態だった。ペニスの先端が肛門に触れた。
アナルセックスの経験のない者だと反射的に肛門が締まるが、由梨香の肛
門はプックリと膨らんだ。直腸内の大便を漏らす事なく肛門の力を抜く器
用さは、さすが真性マゾと言うべきだろうか……。
「あぁ、早く。早く挿れて下さい。由梨香、もう漏れ……アヒィ!」
中年男が腰を突き出した。容赦のないひと突きだ。ペニスがズルズルと直
腸内に侵入した。

19BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/25(日) 22:37:45
Artemis.UY1.Sanae0112
肛門をペニスで栓をすると言っても、実際はアナルセックスだ。中年男が
腰を前後させ始めた。ドロドロに溶けた大便のたまった直腸内を、コン
ドームも付けずに犯す。下手をすれば尿道炎くらいになりそうなものだが、
中年男の腰の動きに一切の躊躇はない。
「あ、あぁ……い、いい。気持ち良いですぅ。ウンチの溜まったアナル、
すごく感じますぅ」
由梨香の下腹部がギュルギュルと鳴った。

 早苗が乗馬鞭を手に取り、由梨香の乳房に振り下ろした。小ぶりだが形
のよい膨らみに、蚯蚓腫れが刻まれる。
「ヒッ?! ヒィ! アヒィィィ」
由梨香の悲鳴は快感の響きを含んでいる。
「お?! おおお……、すごい締め付けだ」
由梨香の悲鳴に、中年男の歓声が重なった。
「あ、あぁん……。し、締め付けすぎてごめんなさい。由梨香、オッパイ
叩かれたらおかしくなっちゃうのぉ」
ペニスが直腸を抉るたびに、粘液をこすり合わせるような音がした。

中年男も乳房を打ち始めた。右の乳房を早苗の乗馬鞭がなめし、左の乳房
を男の平手が打つ。右の膨らみには蚯蚓腫れが、左の膨らみには手形が刻
まれていく。
「ヒィ、アヒィ、アヒィ……あ、あぁ……もっと、もっとぉ……」
由梨香は乳房を襲う痛みと便意、そして肛門から突き上がってくる快感の
同時攻撃を受けて、気が変になりそうだった。

中年男は乳房を打つのをやめ、両手で由梨香の太股を抱えた。ペニスの輸
送のペースが速まった。見ると、中年男の顔は紅潮し、鼻の穴が倍にふく
らんでいる。
「お、おぉ、で、出る。出るぞ。ケツの中に出すぞ」
一瞬身体を仰け反らせ、野太い声で呻いた。呻き声は数秒続き、そのまま
由梨香の上に覆いかぶさった。脂ぎった顔には汗が浮かび、鼻毛が覗いて
いる。女子高生が見たら、顔をしかめそうな醜悪さだ。

 中年男が由梨香の肛門からペニスを引き抜いた。ナスビのような肉棒が
異臭を放っている。所々に付着する黄土色の塊は、由梨香の大便だ。
「ごめんなさい。由梨香のウンチでオチンチンを汚しちゃいました。綺麗
に掃除しますね」
由梨香が一切の躊躇いもなく、自分の排泄物で汚れたペニスを口に含んだ。
頬が激しく膨縮を始める。同時に喉がコクリコクリと上下を繰り返した。
早苗は由梨香の好きにさせた。由梨香の下腹部がギュルルルと音をたてた。

20BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/25(日) 22:38:31
Artemis.UY1.Sanae0113
 次に早苗が取り出したのは、太さが直径3センチほど、長さが1メート
ル弱の透明なゴムのチューブだった。早苗はチューブの一端を由梨香の口
にねじ込み、もう一方の端を由梨香の肛門に突っ込んだ。由梨香の口と肛
門がチューブで繋がった。黄土色の液体がチューブの中に少し流れ込んだ。

「クソがしたくて堪らないんだろう? 遠慮なく出しな!」
その一言で早苗が何をさせようとしているのかを悟った由梨香は、チュー
ブを肛門から抜けないように両手で握りしめた。恍惚の表情で早苗を見上
げ、そのまま観客達を見回した。口にチューブを咥えながら、ニコリと微
笑んだ。その顔は少し馬鹿っぽく、そして哀れに見えた。

腹筋に力をこめた。たちまち肛門からチューブの中に、大量の汚液が流れ
込んだ。ゴボゴボと音をたてながら、黄土色の濁流が由梨香の口に向かっ
て流れた。由梨香は口の中に流れ込んできた自分の排泄物を、目を白黒さ
せながら飲み込み始めた。長いマゾ生活の間に数え切れないほど浣腸責め
を受けてきた由梨香は、排便のペースをある程度コントロールできるよう
になっていた。そのおかげで、直腸内に溜まっていた排泄物を1滴もこぼ
さず飲み込む事ができた。

 まさか由梨香が大便を全て飲み込むとは考えていなかった早苗は、これ
には驚かされた。それは観客達も同様で、由梨香の喉がゴクリゴクリと上
下するたびに、観客席にどよめきが広がった。超がつくほどの変態サディ
ストぞろいの彼らでも、大量の大便を食べられるマゾに巡り会う機会は滅
多になかったのだ。

由梨香が「オエ、オエ」とえずき始めた。
「吐くんじゃないよ!」
早苗の手が、由梨香の鼻と口を押さえた。隙間なく覆われたので、たちま
ち由梨香が窒息状態に陥った。早苗の顔を静かに見つめた。そのまま時間
が過ぎていく。30秒、40秒、50秒……。顔を覆う手を引き剥がそうともし
ない。60秒、70秒、80秒、90秒……。観客達がざわめき始めて、ようやく
早苗は由梨香の顔から手を離した。

手を離したとたん、由梨香は喘ぐように空気を貪り始めた。見ると、唇が
紫に変色している。両手が自由だったにもかかわらず、最後まで抵抗しな
かった。喘ぐように酸素を貪る真性マゾを、早苗は薄ら寒い思いで見下ろ
した。

『梅本由梨香に関する資料 〜 八谷早苗の回想 013』 おしまい

21BiBi ◆8cBPUextJk:2012/11/25(日) 22:40:24
■■■ 最新の投稿 2012年11月25日
>>12-20 『八谷早苗の回想 013 〜 勤務初日05』

■■■ 前スレ
アナザーストーリー掲示板内にあります。URLはこちらです。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11681/1243254237/
タイトルは『アルテミス アナザーストーリー(改) byBiBi 』です。

■■■ 目次
>>2-5 登場人物の紹介など

■ アルテミスのアナザー
文頭の通し番号は、Artemis****
>>6 『襲来』
>>7-10 『アルテミスの被虐生活1』

■ 由梨香のアナザー
『八谷早苗の回想編』
文頭の通し番号は、Artemis.UY1.Sanae****
>>12-20 『八谷早苗の回想 013 〜 勤務初日05』

22BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/01(土) 10:02:28
Artemis0531
『ラリカとユリアー 2』
 ネオガイア星人の遺伝学者ラミアーと2人の子供ラリカとユリアーを乗
せた宇宙船イリオンは、太陽系2番目の惑星金星の公転軌道上を周遊して
いた。金星の公転軌道は地球よりもかなり太陽に近いが、ネオガイア星の
テクノロジーで建造された宇宙船の中は快適だった。

ラミアーは宇宙船を制御している人工知能Ilionに、ネオガイア星へ針路
をとるように命じた。2人の子供たちに、自分の生まれた星を見せてあげ
たかったのだ。
「ネオガイア星ってママの星?」
ユリアーがラミアーの腰に抱きついてきた。この少女はかなり甘えん坊だ。
それを見たラリカもユリアーに続く。ラミアーが2人の頭を優しく撫でて
やった。指先に絡む髪はまるでシルクのようだ。
「そうよ。アナタ達にママの故郷を見てほしいの。それにユリアーちゃん
とラリカちゃんの買い物もしなくちゃ。通販でもいいけど、お店で実物を
見て買う方が楽しいわよ?」
以前のラミアーなら、実際に店に足を運んで買うのは非効率的だと思って
いただろう。それが今では、子供たちと一緒にショッピングするのが楽し
みで仕方ない。

「何か欲しい物はある?」
「ユリちゃんの着てた服がいい」
「僕、玩具がいい。キュクロプスのプラモデルが欲しい」
ユリアーは女の子らしくオシャレが好きで、地球のファッション雑誌を愛
読していた。ちなみに『ユリちゃん』というのは蛇原優里という名のモデ
ルで、ユリアーのお気に入りだ。ラリカは宇宙船とかロボットの玩具が好
きだった。宇宙船イリオンの船内にはいたる所に大小さまざまな玩具が並
んでいて、さながら宇宙船が玩具博物館になったようだ。

「30秒後にワープします。安全のためシートに座って下さい」
人工知能Ilionの指示に従って、3人はシートに座った。ラミアーを真ん
中に3人並ぶ。イリオンがワープ航法に入った。太陽系とネオガイア星は
約5000光年離れている。グレイの宇宙船なら一瞬の距離だが、イリオンが
ネオガイア星に着いたのは10日後だった。

23BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/01(土) 10:03:38
Artemis0532
 ネオガイア星に到着した3人は、宇宙船の発着場から、眼下に広がる惑
星ネオガイアの大地を見渡した。ラリカとユリアーは生まれた時から宇宙
船の中で暮らしていて、星に降りるのは今回が初めてだ。
「ラリカちゃん、ユリアーちゃん。ママの生まれたネオガイア星よ」
「うわぁ、すごく広い」
2人とも好奇心に瞳を輝かしている。その楽しそうな姿を見ただけで、ラ
ミアーの心に不思議な充実感が広がっていった。

ラミアーは2人をショッピングセンターに連れて行った。半人半蛇のラミ
アーはかなり目立ったが、ネオガイア星人はすでに多種多様な姿の星間種
族と交流があったので、ラミアーの姿を見て大騒ぎをする者はいなかった。
「まずは何を買いましょうか」
「私の服」
「えぇえええ。ユリアーの買い物すごく時間かかるんだよ」
「ラリカの買い物も時間かかるよお」
すったもんだの親子会議の結果、ラリカの玩具を2つ買うかわりに、ユリ
アーの買い物を先にする事に決定した。

広いショッピングセンターをユリアーはキャアキャア歓声を上げながら、
何度も往復した。センター内は重力が制御されているので疲れる事はほと
んどなかったが、ラリカの言葉通りユリアーの買い物はかなり時間がか
かった。残念ながら蛇原優里が雑誌で着ていた服はなかったが、他にお気
に入りの服が見つかってユリアーはご機嫌だった。その後ラリカも、玩具
を3つも買ってもらってご満悦だった。

 ショッピングセンターのレストランで軽い食事を済ませたあと、3人は
首都にある動物園に向かった。そこにはネオガイア星の様々な動物たちの
他、他の星に棲息する生物も飼育展示されている。ラリカは展示されてい
る生物に興味津々だった。一方ユリアーは狭い檻に閉じこめられている生
物たちを見て、少し悲しそうだった。ラミアーはそんな2人を愛しげに見
つめていた。ラリカの好奇心は、高い知能を持つヘビ型星人の特性を受け
継いでいるのだろう。ユリアーの優しさは、もしかしたら卵子提供者の地
球人の特性を受け継いでいるのかも知れない。ラミアーは今でも地球人の
事を下等生物だと見下しているが、その遺伝子を一部受け継ぐ2人に対し
ては偏見は一切なかった。

動物園では地球人も飼育されていた。二十歳前後の女で、なかなかの美人
だ。もちろん自ら望んで檻に入ったのではなく、拉致されてきたのだ。そ
の地球人は見物客から直接餌をもらわなくてはいけないらしく、毎日客の
気を引こうと必死だった。幸い地球人という珍しさも手伝って、餓死だけ
は免れているようだが、痩せた手足が動物園での生活状況を物語っていた。
「ママ、あの人はネオガイア星人なの?」
「違うわ。地球人よ」
「どうしてあんな目に遭ってるの? 何か悪い事をしたお仕置きなの?」
「さぁ、どうなのかしら……」

ラミアーは子供たちには、ネオガイア星人と地球人の関係について詳しく
説明していなかった。説明したら、自分が地球人を蔑視している事を子供
たちに知られてしまいそうで、それが何となく嫌だったのだ。
「可哀想……。ママ、お願いがあるの」
ユリアーは地球人用の餌をラミアーに買ってもらい、それを檻の前にそっ
と置いた。Abe Risaという名のその地球人はユリアーに礼を言うと、与え
られた餌をおいしそうに食べ始めた。

24BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/01(土) 10:04:11
Artemis0533
 人気のある動物がいる一方で、そうでない動物もいる。ネオガイア星原
産の熊がそれだった。熊といっても身体のサイズは小型犬くらいしかなく、
一般では宇宙小熊と呼ばれている。動物園にやって来た当初はそこそこ人
気があったが、次第に客から厭きられて、それとともに檻が園内の僻地に
移設され、そのせいでさらに人気が低くなった。今ではこの熊を見に動物
園を訪れる客はほとんどいない。そして人気の低下とともに飼育管理がず
さんになり、檻を制御しているコンピューターのメンテナンスもいい加減
になっていった。そんなある日、動物園の管理ミスで檻が勝手に開いてし
まった。宇宙小熊が逃げ出しても、気づく者は1人もいなかった。

 ラミアーはしばらくネオガイア星に滞在する事にした。ずっと宇宙船の
中で暮らしてきたラリカとユリアーに、大地の上での生活を体験させてあ
げたかったのだ。子供たちは毎日のように、いろいろな所に出かけた。時
には2人だけで、時はラミアーと一緒に。ラミアーにとって、子供たちと
のお出かけは至福の時間だった。今まで全く気にとめていなかった樹木の
葉が奏でるざわめきや、空を流れる雲の形さえも新鮮なものに感じられた。

 宇宙小熊が逃げ出して1ヶ月が過ぎようとしていたある日、ラリカとユ
リアーは2人だけで郊外の公園にやって来た。ギリシャ神話に登場するよ
うな神殿を模した公園だ。白い石材で作られた噴水が中央にあり、それを
木のベンチと花壇が囲んでいる。花壇にはピンクと白色の可憐な花が植え
られ、甘い香りを放っている。花の名前は分からない。
「あ、熊がいるわ。ねぇラリカ、こっち来て」
ユリアーは花壇の中から突然現れた毛むくじゃらの動物を見て、ニコリ
と微笑んだ。動物園から逃げ出した宇宙小熊だ。なんと動物園は、宇宙小
熊が逃げて1ヶ月近くになるのに、いまだにその事に気づいていなかった。
宇宙小熊は耳まで裂けた口を開いて、鼻の頭を舌でベロリと舐めた。鋭く
とがった歯が覗いた。

公園は動物園から徒歩10分ほどの距離にあった。公園の内装は神殿を模し
た素晴らしいものだったが、他には目玉となるものはこれといってなく、
したがって訪れる者はほとんどない。その時も公園にいるのは、ラリカと
ユリアーの2人だけだった。宇宙小熊に気づく者は、ユリアー以外に誰も
いなかった。

ユリアーに呼ばれてやって来たラリカが目にしたのは、毛むくじゃらの動
物とじゃれあって遊ぶ姉の姿だった。好奇心旺盛なラリカは宇宙船イリオ
ンのデータバンクに保存されている百科事典のようなものを見るのが好き
で、このネオガイア星原産の熊の事も知っていた。
「わぁあああ、宇宙小熊だ! かっこいい」
「違うわ。可愛いのよ」
「かっこいいんだよ」
ラリカも宇宙小熊に抱きついた。実は宇宙小熊の気性はおとなしく、危害
を加えられない限り人を襲う事はない。その毛むくじゃらの身体は、とて
も温かかった。

25BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/01(土) 10:05:01
Artemis0534
 ラリカとユリアーは、宇宙小熊をイリオンに連れて帰ろうとした。しか
し宇宙小熊は、なぜかその公園の花壇を離れようとはしなかった。花壇の
住み心地がよっぽど気に入っているのだろうか……? 2人は宇宙小熊を
無理やりイリオンに連れて帰ろうとはしなかった。以前にアンドロイドに
無理やり採血されていた時の悲しい記憶が、そうさせていた。そのかわり
に、毎日公園まで餌を運ぶ事にした。宇宙小熊の主食は木の実だが、他の
穀物類も食べる。幸いイリオンの格納庫には十分な量の食料が保管されて
いて、中には宇宙小熊の餌になるものもあった。

宇宙小熊の事はラミアーに内緒にした。特に内緒にしなくてはならない理
由はなかったのだが、まだ子供の2人は、自分たちだけの秘密をつくるの
が楽しかったのだ。同時に公園の花壇は、2人と1匹の秘密基地になった。

宇宙小熊の餌を抱えてイリオンと公園を往復する日が、数週間続いた。宇
宙小熊はすっかりラリカとユリアーに懐いて、一緒に散歩をするように
なった。宇宙小熊は散歩が大好きで、嬉しそうに尻尾をピョコピョコ動か
しながら、短い足で一生懸命2人のあとをついて歩いた。ある日、散歩中
の2人と1匹の前に宇宙溝鼠(どぶねずみ)が現れた。
「ラリカ、ネズミよ。可愛い」
「ダメだよ、ユリアー。それは宇宙溝鼠だ。危険な動物だよ」
宇宙溝鼠は本来は臆病な動物だが、恐怖を感じると凶暴な性格に豹変する。
鋭い歯は石をも噛み砕き、時には人を襲うこともある。キィーキィーと金
属を擦り合わせたような声を発して剥き出した歯は、成人男性の人差し指
第一関節ほどある。

「助けて、ラリカ」
ユリアーが怯えて数歩後ずさる。
「む、無理だよ……」
ラリカもユリアーと並びながら後ずさる。無理もない。男児とはいっても、
身体のサイズは地球人の幼児程度しかないのだ。その時、怯える2人の前
に宇宙小熊が立ちふさがった。宇宙小熊と宇宙溝鼠と対峙した。体格は宇
宙小熊の方が大きいが、凶暴さでは宇宙溝鼠が上だ。睨み合いは1分間ほ
ど続き、宇宙溝鼠が退散した。野生動物は無益な争いはしないのだ。

「ありがとう、クマちゃん。強いのね。大好きよ」
ユリアーが宇宙小熊を抱き上げて、毛むくじゃらの背中に頬ずりした。
「ラリカ、肝心な時に頼りにならないのね」
ユリアーの心の中で、ラリカと宇宙小熊の評価の順位が逆転した瞬間だっ
た。

 ラリカとユリアーが宇宙小熊に出会った日からさらに1ヶ月ほど経過し
て、ようやく動物園は宇宙小熊が逃げた事に気づいた。動物園は動物が脱
走したら普通は捕獲を試みるのだが、動物園の園長は真っ先に会計士を呼
びつけてた。
「人気のない宇宙小熊を捕獲して檻に戻しても、集客力にはならない。む
しろ毎日の餌代で赤字になる」
「はい」
「動物には保険をかけていたな? 脱走して射殺されても、保険金が支払
われるのか?」
「はい。少し減額されますが、支払われます」
その日の午後、狩猟を趣味にするネオガイア星人の一団が園長室に招集さ
れた。

26BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/01(土) 10:05:54
Artemis0535
 ある晴れた日の午後、ラリカとユリアーは、公園の噴水で宇宙小熊を
洗ってやった。ネオガイア星の都市衛生機能は優秀で、噴水の水はそのま
ま飲料水にできるほど澄んでいるのだ。2人はキャアキャア歓声をあげな
がら、噴水の水をお互いかけあった。宇宙小熊を洗うという目的が、いつ
の間にか水遊びに変わっている。宇宙小熊はすっかり2人に懐いていて、
ふさふさの体毛がずぶ濡れになってもおとなしくしていた。

2人と1匹は水浴びをするたびに地面をゴロゴロと転がって遊んだので、
結局最後は洗う前よりも泥まみれになってしまった。
「あらあらまぁまぁ、2人とも泥まみれよ?」
宇宙小熊を公園に残してイリオンに帰った子供たちを見て、ラミアーは目
を丸くした。さっそく風呂を沸かし、3人で入った。ラミアーが2人の髪
を洗ってやると、泥まみれだった髪がシルクのような輝きを取り戻した。
洗うのは、子供たちよりもずっと上手だった。

 子供たちと宇宙小熊がささやかな幸せを過ごしている時、別の場所では
醜い大人の思惑が蠢いていた。
「あらあらまぁまぁ。ラリカちゃん、ユリアーちゃん。前に行った動物園
から宇宙小熊が逃げたらしいわ。あの動物園、随分とずさんな管理をして
いるのねぇ」
ネット上のニュースを見て、ラミアーが呆れたように呟いた。
「ハンターが集められたらしいわ」
ハンターという単語を聞いたラリカが、ハッと顔をあげた。
「ハンター? 何をするの、ママ?」
「たぶん宇宙小熊を麻酔銃で眠らして、動物園に戻すんだと思うわ。宇宙
小熊はおとなしい動物だから、まさか殺される事はないと思うけど……」
2つの幼い顔に、不安の表情が浮かんだ。その夜、ラリカとユリアーは宇
宙船イリオンを抜け出し、あの公園に向かった。

 2人が公園に着いた時、すでに園内には数名のハンターがいた。全員が
ライフルに似た銃を手にしている。ユリアーがおもわず悲鳴をあげそうに
なり、両手で口をおおった。夜の公園は静まりかえっていて、ハンターた
ちの話し声がよく聞こえた。
「この公園か? 宇宙小熊を見かけたって情報があったのは」
「あぁ、そうだ」
「しかし宇宙小熊を撃ち殺すのは久しぶりだぜ」
「俺は撃った事ないんだが、どんな感じなんだ?」
「へへへ、最高さ。あいつら熊なんてたいそうな名前ついてるが、実際は
弱くてよ。撃ったら、すげぇ声で鳴きやがるんだ。おもわず勃起しちまう
ぜ」

ユリアーの瞳が大きく見開かれた。
「ラリカ、クマちゃんが殺されちゃうよ」
「そんな事させるもんか。大丈夫だ。そうだ、ママに助けてもらおう。で
もママが来るまでは、僕たちでクマちゃんを護るんだ」
2人は持っていた携帯式の通信機でラミアーに助けを求めると、ハンター
たちに気づかれないように息を殺して、宇宙小熊が寝床にしている花壇
に向かった。

27BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/01(土) 10:06:54
Artemis0536
 ラリカたちが花壇に着くと、宇宙小熊が飛び出してきた。嬉しそうに尻
尾をピョコピョコ動かしながら、2人の足に毛むくじゃらの身体を擦り付
ける。ユリアーが宇宙小熊を抱き上げた。
「今日は遊びに来たんじゃないの。だからお願い、静かにして」
子供たちは宇宙小熊を抱えて、公園に備え付けのベンチの影に隠れた。イ
リオンから公園まで少し距離がある。幼い2人にできるのは、ママが来て
くれるまで隠れる事だけだ。

ハンターたちの足音と話し声が近づいてきた。幸い公園内は薄暗くて、ラ
リカたちが見つかる可能性は低い。
「しかしハンティングは最高だぜ。まさに紳士のたしなみってやつだ」
「この防護服のおかげで、どんな猛獣の牙や爪でも怪我をさせられる心配
はないしな」
「動物を撃ち殺す瞬間は、まるで神になったような気分だぜ」
「あぁ、それ解るわ。指1本動かすだけで命を奪えるなんて、最高だぜ」
そのハンターは下卑た笑顔を浮かべながら指をクイクイと曲げて、銃の引
き金をひくマネをした。

ラリカは下唇を噛みしめた。
(あの大人たちは生き物を殺す事を、なんであんなに楽しそうに話すんだ
ろう)
ラリカにはハンターたちが、理解を超えた異様な生物のように思えた。   
「ラリカ……」
ユリアーが小さな声で弟の名前を呼んだ。ハンターたちは物陰に隠れるラ
リカたちに気づいていない。
「大丈夫だ。このままじっとしていたら、すぐには見つからないよ」
「うん……。ママ、早く来て、ママ」
ユリアーが宇宙小熊をギュッと抱きしめた。その手を、宇宙小熊が無邪気
に舐めた。

 ハンターたちが近づいてきた。
「いねぇな。情報はガセだったのか?」
「おい、この花壇が怪しくねぇか?」
それは宇宙小熊がいつも寝床にしていた花壇だ。間一髪、今は宇宙小熊は
花壇から外に出て、ユリアーの腕の中に抱かれている。しかし……。

ハンターが花壇に手を突っ込もうとした瞬間、宇宙小熊がユリアーの腕を
振りほどいて飛び出した。
「クマちゃん?!」
悲鳴のようなユリアーの叫び声を背中に受けながら、宇宙小熊がハンター
の腕に噛み付いた。ハンターが情けない悲鳴をあげながら、その場で尻餅
をついた。しかし木の実が主食の宇宙小熊の歯は、ハンターの防護服に小
さな穴を開ける事さえできない。

パニック状態に陥っていたハンターは、防護服のおかげで怪我がない事に
気づいて冷静さを取り戻した。口汚く宇宙小熊を罵りながら、その小さな
身体を何度も銃座で殴った。宇宙小熊の頭が血に染まる。公園内にユリ
アーの悲鳴が響き渡った。
「負けるな!」
ラリカが叫んだ。宇宙小熊は何度も殴られながら、それでも持てる力をふ
りしぼってハンターの腕に噛み付いていた。

28BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/01(土) 10:08:04
Artemis0537
しかし、ついに宇宙小熊は力尽きてハンターの腕から落ちた。
「いやあああああああああ」
ユリアーが悲鳴をあげた。ラリカがハンターにとびかかった。地球人の幼
児ほどの体格しかないラリカが、ハンターの足にしがみつく。
「クソ、このガキ!」
ハンターがラリカを蹴り飛ばした。幼い身体が地面をゴロゴロと転がる。
ハンターがラリカに2発目の蹴りを入れようと足に後ろに引いた、その足
に宇宙小熊が噛み付いた。
「くそ、このヤロウ」
ハンターが足を左右に振った。宇宙小熊の額から流れた血が、地面に飛び
散る。その小さな身体には、もう木の実を噛み砕く力も残っていなかった。

ハンターが足に噛み付く宇宙小熊に銃口を向けて、引き金をしぼった。宇
宙小熊の悲鳴が、2人の子供たちの心を抉る。毛むくじゃらの小さな身体
が、血の尾を引きながら地面に転がった。ラリカの悲鳴が響きわたった。
蹴り飛ばされて地面に横たわったまま、顔だけをあげて宇宙小熊を見てい
る。ユリアーは手で顔を覆いながら、その場にしゃがみこんで震えている。
宇宙小熊の姿を見る事さえできない。

 ハンターが宇宙小熊に銃口を向けた。次の瞬間、その身体が吹っ飛んだ。
「オマエたち、何してるの?!」
鋭い怒声とともに現れたのは、衝撃銃をかまえた半人半蛇の女だった。衝
撃銃は護身用の武器で、殺傷力はないが標的に強い衝撃を与える事ができ
る。女は、蹴り飛ばされて地面に横たわるラリカの姿を見ると、衝撃銃の
銃口をハンターに向けて引き金をしぼった。2発、3発、4発。立て続け
に襲う衝撃波に、ハンターが悲鳴をあげながら逃げ回った。
「何だ、テメェは?! 邪魔しやがったらぶっ殺……ぎゃおおお!」
別のハンターが衝撃波で吹っ飛んだ。

「お、俺たちは動物園から脱走した危険な猛獣を退治してるハンターだ。
園長の許可も取って……ぐぎゃあああ!」
3人目のハンターが吹っ飛んだ。
「ハンターですって? 安全な所から無抵抗な動物を撃ち殺して悦に浸る
下衆じゃない。それに宇宙小熊はおとなしい動物よ。危険な猛獣じゃない
わ」
「なにぃ?! 偉そうに。オマエ何様だ?」
「遺伝学者のラミアーよ。動物学の学位も持っているわ。オマエたちみた
いな素人とは違うのよ」
「し、素人だとぉ!」
素人呼ばわりされたハンターたちが気色ばんだ。動物を殺すしか能がない
くせに、自尊心だけは一人前だ。

「ママッ。クマちゃんが死んじゃう。助けてママ」
ユリアーの声は涙と恐怖に震えている。ラミアーはラリカの怪我がたいし
た事ないのを確認し、次いでユリアーに怪我がない事を確認してから、力
なく横たわる宇宙小熊の内股に手を当てた。脈が弱い。
「ママ、クマちゃん助けてあげて」
指先に触れる脈がさらに弱くなった。
「ママ」
「ユリアーちゃん……」
優秀な科学者のラミアーが、そこから先に続ける言葉を見つける事ができ
なかった。すがるように自分を見つめるラリカと、目をあわせる事ができ
ない。

29BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/01(土) 10:09:14
Artemis0538
ラリカが宇宙小熊を抱き上げた。ユリアーは悲しみと恐怖のため、身体が
硬直している。震える手を宇宙小熊にのばすの精一杯だ。その小さな手を
宇宙小熊は数回舐めて、そのまま動かなくなった。ユリアーのつぶらな瞳
が大きく見開かれた。溢れる涙は滝のようだ。それを見るラミアーの目が
すっと細くなった。衝撃銃の威力を調節するダイヤルをMAXに合わせる。

次々とハンターが吹っ飛んだ。ラミアーがハンターに向けた衝撃銃の引き
金をしぼる指に、一切の躊躇はない。ハンターも銃を持っているが、その
銃は事故防止のためにネオガイア星人に銃口を向けると引き金がロックさ
れる仕組みになっているので、反撃する事ができない。

 そこへ、騒動を聞いた動物園の園長が駆けつけて来た。園長はハンター
の前に立ちふさがる半人半蛇の女を見て一瞬ギョッとしたが、それが遺伝
学者のラミアーだと気づいてさらに驚いた。実はラミアーは遺伝学の分野
ではかなりの権威で、その専門知識に動物園が協力を仰ぐ事もしばしば
あった。当然、地位もかなり高い。学友のビーナスと親しくしているが、
その地位と権限は、ビーナスどころかその上司のアテナよりも上だ。サイ
エンスや学問とは全く無縁のハンターたちと違って、さすがに園長はラミ
アーの事を知っていた。
「こ、これはラミアー博士。そのお姿は一体……」
ラミアーの一瞥で、園長は黙った。

ラミアーの名声を知らないハンターたちは、園長の姿を見るととたんに威
勢がよくなった。
「おい、園長。何なんだ、この女は? それにそこのガキ2人、俺たちの
ハンティングの邪魔をしやがるんだ」
「その子達は……?」
「私の子供よ。文句ある?」
「ラ、ラミアー博士のお子さん?! 文句だなんて、滅相もありません。た
だ……、私どもは脱走した猛獣を放置しておくわけにはいかず……」
「猛獣? 宇宙小熊はおとなしい動物よ。まさか動物園の園長が知らない
わけじゃないでしょうね?」
「いえ……、は、はい、もちろんです。『猛獣』というのは言葉のあやで
してぇ……」

園長としては、遺伝学者のラミアーと揉めるわけにはいかない。高名な遺
伝学者とハンターとでは、その存在価値は天と地ほどの差がある。ハン
ターたちは頼みの綱の園長がラミアーの味方についた以上、どうする事も
できず、すごすごとその場を立ち去った。
「あ、あのぉ、ラミアー博士……」
「アナタも邪魔よ。消えなさい!」
園長がハンターたちのあとを追った。あとには3人の親子と、宇宙小熊の
亡骸が残った。

30BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/01(土) 10:10:07
Artemis0539
「ラリカちゃん、ユリアーちゃん……」
「クマちゃんの事、ママに内緒にしていなかったら……、クマちゃん死な
ずに済んだの? 僕たちのせいでクマちゃん死んだの?」
「そんな事ないわ。絶対にそんな事ない」
消え入るようなラリカの声に、ラミアーは静かに、しかし力強く答えた。

その時、先ほどハンターが手を突っ込もうとした花壇がカサカサと音をた
てた。
「あら?」
花壇の中を覗き込むと、中から、茶色い小さな毛玉のようなものが現れた。
「宇宙小熊の赤ちゃんだわ……」
その生まれて間もない宇宙小熊は、身を挺してハンターの手から自分を
護ってくれた母熊を見つめながら、ミィーミィーと鳴いた。しかし母熊は
もうそれに応えてあげる事はできない。

 その宇宙小熊の赤ちゃんはカリストという名前をつけられて、イリオン
で飼われる事になった。

後日談であるが、カリストはイリオンの船内で所かまわず排泄をするよう
になった。その後片付けはラミアーがしている。
「ラリカちゃん、ユリアーちゃん。カリストの世話はきちんとするって約
束したでしょ?」
「うん、ママ。さっきもおやつあげたよ」
「私もあやつあげたよ」
「そうじゃなくて……」
床の上に転がる糞を掃除しながら、ラミアーは溜息をこぼした。

 宇宙船イリオンの船内にはいたる所に大小さまざまな玩具が並んでいて、
さながら宇宙船が玩具博物館になったようだ。もしもイリオンを訪ねる事
があったら、幼い子供たちの部屋の前を探してみるといい。宇宙小熊のぬ
いぐるみに囲まれた、小さな墓を見つける事ができるだろう。墓には毎日
欠かさず、ピンクと白色の可憐な花がそえられているという。

『ラリカとユリアー 2』 おしまい

31BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/01(土) 12:39:46
Artemis0540
補足
作品中では悪役になってしまった動物園ですが、実際はそんな事はありません。
動物の管理は万全の状態でされていています。また現代の動物園は動物の展
示だけでなく、種の保存にも貢献しています。

32BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/01(土) 12:41:06
■■■ 最新の投稿 2012年12月1日
>>22-31 『ラリカとユリアー2』

■■■ 前スレ
アナザーストーリー掲示板内にあります。URLはこちらです。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11681/1243254237/
タイトルは『アルテミス アナザーストーリー(改) byBiBi 』です。

■■■ 目次
>>2-5 登場人物の紹介など

■ アルテミスのアナザー
文頭の通し番号は、Artemis****
>>6 『襲来』
>>7-10 『アルテミスの被虐生活1』
>>22-31 『ラリカとユリアー2』

■ 由梨香のアナザー
『八谷早苗の回想編』
文頭の通し番号は、Artemis.UY1.Sanae****
>>12-20 『八谷早苗の回想 013 〜 勤務初日05』

33BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/18(火) 18:13:22
Artemis0541
『プチレアとヒロ〜その1』
 タイタンの巨人戦士レアが時空の狭間に消えたのと同時に、ここアメリ
カ合衆国ニューヨークの一角、ブロンクス地区にプチレアは生まれた。プ
チレアはレアに瓜二つだった。しかし身長は半分の10メートルほどで、サ
イボーグ化もされていない。レアとの違いは他にもあった。オナニーで快
感を得ると身体が透明になり、さらに治癒能力が飛躍的に上昇するという
体質を持っていたのだ。

プチレアはブロンクス地区にある廃倉庫で、地球人の男と奇妙な同棲生活
を始めた。男の名はヒロ。日本から観光客だ。夢はヒーローになる事らし
い。ヒーローになるには少し気の弱いところがあるが、自分の数倍もある
巨人と平気で同棲できるあたりは案外大物なのかも知れない。

 ヒロは廃倉庫の地面に腰を下ろして、真剣な顔でデジカメと向かい合っ
ていた。メモリーに保存したプチレアのオマンコ画像を整理しているのだ。
プチレアはというと、地球人の数倍はある背中を壁に預け、無言でヒロの
様子を見ていた。自分のオマンコ画像をいじられているにもかかわらず、
嫌がっている様子はない。実はこの巨人女は露出願望のあるマゾで、オマ
ンコの撮影は自ら望んだ事なのだ。ヒロが視線に気づいて顔を上げ、プチ
レアと目が合うと慌てて俯いた。見ると、顔と耳を真っ赤にさせている。

「あれ?」
ヒロがデジカメを弄るのをやめて、ポケットから携帯を取り出した。携帯
がブルブルと震えている。バイブ機能だ。
「プチレアさん、いま友達からメールが届いたんですけど、この近くの銀
行に強盗が入ったらしいです。えぇと……、犯人は拳銃を所持した2人組
で、人質を取って銀行に立てこもっているらしいです」
「強盗? この前のストリートギャングといい、このアメリカという国は
犯罪者の巣窟みたいだな……」
そこまで言って、プチレアは自分の腹を片手で押さえた。引き締まった腹
筋が浮き上がっている。
「ちょうどいい。少し腹が減っていたところだ。ヒロ、私は食事に行って
くる。オマエはここに居ろ」
「食事ですか? まさかまた人間を……」
プチレアはそれには何も答えず、オマンコに指を這わせた。

ヒロがゴクリと唾を飲み込んだ。
「何をするんですか?」
「ン? 見て分からないか? オナニーだ」
「またエッチな気分になったんですか?」
「違う。何を言ってるのだ? 巨人の私がこのまま外に出たら、大騒ぎに
なるだろう。だから透明になるのだ」
太さが成人の手首ほどある指が、巨大なオマンコを弄り始めた。

「おぉぉ……。ヒロ、私の恥ずかしい姿を見てくれ……」
露出マゾのプチレアはヒロの視線を感じて、嬉しそうに喘いだ。しばらく
すると、プチレアの身体が輪郭と色彩を失い始めた。オナニーで快感を得
ると、身体が透明になるのだ。身長10メートルの女体は、30秒ほどで完全
に透明になった。くぐもったような喘ぎ声だけが、何も見えない空間から
聞こえてくる。
「あ、あぁ……。気持ちいい……。ヒロ、い、行くぞ」
「イク? もうですか?」
「ば、馬鹿者。そうでは……ない。しょ……食事に行くと言ってるのだ」
喘ぎ声が倉庫の出口に移動し始めた。透明になるのはオナニーで快感を得
ている間だけなので、移動する間もオマンコを弄るのを止める事はできな
いのだ。

34BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/18(火) 18:14:08
Artemis0542
 銀行強盗の現場は騒然となっていた。銀行を大勢の警官隊が取り囲んで
いる。少し離れたビルには、警察の狙撃隊員が配置されている。しかし犯
人が窓の前に姿をさらさないので、狙撃する事ができない。警官隊の後ろ
には、警官の倍の数の一般人が群がっていた。その中で、悲痛な表情をし
ているのが人質の近親者、好奇の目で周囲を見回しているのが野次馬、そ
して大惨事になるのを期待しているのがマスコミ関係者だ。

 銀行の中では、目無し帽で覆面をした2人が拳銃を人質に向けていた。
目無し帽から覗く両目が異様な光を放っている。麻薬中毒者、いわゆる
ジャンキーの目だ。
「クソ。ポリスに囲まれた」
派手な柄のトレーナーを着た強盗の1人が、カウンターの椅子を蹴飛ばし
た。イラついているのだ。金を奪って逃走する前に警察が到着したため、
強盗計画の成功率が一気に低くなった事は、麻薬で毒された脳みそでも理
解できるらしい。
「ポリスなんか怖かねぇ! 1人ぶっ殺して、俺達が本気だって事をポリ
スに教えてやる」
革ジャンを着たもう1人の強盗が、拳銃の引き金にかけた指に力をこめた。
人質を1人でも殺したら狙撃される可能性が一気に高くなる事を、分かっ
ていない。どうやらこちらの脳みそは、救いようがないほど機能が低下し
ているようだ。

その時、革ジャン強盗から一番近い窓が割れた。狙撃によるものではない。
何か大きな物に叩き割られたようだ。突然の出来事に呆然とする革ジャン
強盗の身体が、まるで見えない手に掴み取られたよう空中に持ち上がった。
拳銃が暴発し壁が破片を撒き散らした。幸い人質には当たっていない。2
発目は発射されなかった。革ジャン強盗の身体が、何かに握り潰されるよ
うに拉げたのだ。顔面を覆っていた目無し帽が血の色に染まった。即死
だった。室内に女性の悲鳴が響き渡った。そのまま革ジャン強盗の身体は、
まるで宙を滑るように、窓の外に消えた。

「な、なんだ……、今のは何……」
トレーナー強盗が周囲をキョロキョロ見回すが、割れた窓があるだけだっ
た。パニック状態に陥り、室内を無軌道に走り回った。窓の1つの前に身
体をさらした瞬間、窓ガラスに放射線状にヒビが入り、トレーナー強盗の
額が血を噴いた。

 トレーナー強盗を狙撃した狙撃隊員は、狙撃ライフルのスコープで奇妙
な光景を目にしていた。革ジャンを着た男が割れた窓から現れ、地上5
メートルほどの高さを浮遊しているのだ。手には拳銃が握られているので、
強盗の片割れだということは分かる。
「どういう事だ?」
狙撃隊員がスコープを覗きながらそう呟くのが早いか、突然、軽い地響き
とともに男の身体が空中高く跳ね上がった。この突然の怪現象に、さすが
の警官隊も即座に対応できなかった。革ジャン強盗の身体は、隣の建物の
向うに消えた。

 人質に死者や怪我人は出なかった。人質救出後、警官隊が革ジャン強盗
の消えた場所を探すと、地面に人間よりもはるかに大きな足跡を発見した。
人質の何人かが、革ジャン強盗が死ぬ少し前に女性のくぐもったような喘
ぎ声を聞いたと証言したが、人質の誰かがもらした嗚咽だろうという事で
片付いた。こうして銀行強盗事件は犯人の1人が狙撃され死亡、もう1人
は行方不明という形でとりあえず一段落した。

35BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/18(火) 18:15:21
Artemis0543
 廃倉庫のシャッターが開き、すぐに閉じた。その直後、プチレアの姿が
実像を結んだ。見ると、口の周囲が血まみれだ。
「あ、プチレアさん。おかえりなさい」
ヒロがデジカメから手を離して、巨人女を迎えた。血まみれの口元を見て
一瞬ギョッとしたが、すぐに普段の表情に戻った。

「はぁ、はぁ、はぁ……。と、透明になれるのは便利な能力だが……、オ、
オナニーを続けないといけないのは……不便だな」
息も絶えだえで、プチレアが喘いだ。内腿は淫液でベトベトだ。
「い、一番面倒なのが……、絶頂に達しないように耐えることだ」
「どうして耐える必要があるんです?」
「私が透明になるのは、オナニーで快感を得ている間だけだ。もし絶頂を
迎えて、そこで快感が冷めてしまったら透明でなくなる」
「なるほど。それで……、プチレアさん、絶頂はまだなんですか?」
「そ、そうだ……。ずっと我慢してきた。ヒロ、いつものように頼む」
ヒロの顔が嬉しそうに輝いた。まるでおやつを与えられた犬のようだ。

 ヒロは地面に仰向けになった。その上に跨るようにプチレアが腰を下ろ
した。ヒロを踏み潰してしまわないように、両膝を地面につける。
「み、見てくれ、ヒロ。私の……は、恥ずかしい部分を……」
プチレアが喘ぎながらオマンコを弄り始めた。ヒロの顔の上に淫液がボタ
ボタと滴り落ちた。ヒロが口を開けて、それを受け止める。身長10メート
ルの巨人の淫液は量が多く、あっという間にヒロの口が一杯になった。ヒ
ロは喉を鳴らしながら、それを飲み干した。オナニーを始めて1分弱で、
プチレアの身体は色彩を失い始めていた。

「オォオオオ……。ヒロ。もっと、もっと見てくれ。私のいやらしいオマ
ンコを観察してくれ」
「凄いです。巨大なオマンコがヒクヒクしてます。クリトリスも大きくて、
バケモノみたいです」
すでにプチレアの身体は完全に透明になっていた。ヒロは何もない空間に
向かって、プチレアの恥態を辱める言葉を放ち続けた。
「アォオオオ……、いや、いやぁあああ。お願い、見ないでぇ。は、恥ず
かしい事言わないでぇ」
ヒロの顔に降り注ぐ淫液の量が増した。プチレア自身もすでに自分の姿が
見えなくなっている事は分かっているのだが、この奇妙なカップルにそん
な指摘は野暮というものだ。

「アァアアア……、み、見てるか? ヒロ……、私のオマンコ見てくれ」
「見てます。丸見えです。クリトリスもオマンコの奥も。子宮の入り口ま
で丸見えですよ、プチレアさん」
「あ、あああ……。もっと、もっとぉ。ア、い、いく……もうイク……」
何か大きな見えない物が小刻みに震える気配がした。その直後、何もない
空間から大量の液体が噴き出し、ヒロの顔の上に降り注いだ。
「す、凄いです。プチレアさんの潮噴き、凄いです。うわあ……、温かく
て気持ち良いです」
ヒロは口をいっぱいに開いて、降り注ぐ液体を受け止めた。

ヒロの身体をベトベトにして、ようやく潮の放出がやんだ。数秒後、ヒロ
の隣に横たわる巨人女の姿が像を結んだ。
(やはり絶頂を迎えてオナニーをやめたら、透明ではなくなるのか……)
プチレアがそんな事を考えていると、男の激しい息づかいが聞こえてきた。
声のする方に視線を移すと、ズボンの前から小さなペニスを出してオナ
ニーに耽るヒロの姿が見えた。プチレアは口元に笑みを浮かべ、静かに目
を閉じた。すぐに心地よい睡魔が襲ってきた。

36BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/18(火) 18:16:27
Artemis0544
 10分ほどでプチレアは目を覚ました。
「あ、目が覚めたんですね」
ヒロが弄っていた携帯から顔を上げた。
「プチレアさん、銀行強盗の事件が解決したって、携帯にニュースが流れ
てます。犯人の1人は射殺されて、もう1人は行方不明だとか……」
「行方不明の1人は発見されないだろうな……」
プチレアが気だるげに答えると、ヒロが嬉しそうに顔を輝かせた。

「やっぱり犯人をやっつけたのはプチレアさんだったんですね?」
「私がやったのは1人だけだ。もう1人は、この国の警察に殺されたのだ
ろう」
「凄い。凄いです、プチレアさん。悪者をやっつけるなんて本物のヒー
ローですよ。いや、女の人だからヒロインなのかな……」
ヒロがプチレアを見つめる目は、アトラクションのヒーローショーを見る
子供のようだ。プチレアがかぶりを振った。
「ヒロ、私は食欲を満たすために強盗の1人を殺しただけだ。正義の味方
じゃない」
「でも、そのおかげで善良な市民が助かったんですよ?」

プチレアが眉をひそめた。
(危ない目をしている)
この時のヒロの目を見てプチレアが感じた印象だった。
「ヒロ、分かっていると思うが、私は地球人ではない。地球人を殺す事に
抵抗はない。犯罪者を殺したのは、その方があとで面倒な事になりにくい
からだ」
たしかに犯罪者なら、死亡や失踪しても大事にはならない。通報されても、
せいぜい『ギャング同士の抗争』という事で片付けられる。
「殺す相手は、行方不明になっても騒ぎにならない奴なら誰でも良かった。
もしも強盗事件が起きなかったら、不法移民やホームレス、あるいは家出
した子供や身寄りのない老人を殺していたかも知れない」
慎重に言葉を選んだ。

「で、でもプチレアさんが強盗をやっつけたのは事実です。その力で悪者
を退治しましょう。そうしたら僕たちはヒーローですよ!」
「ヒロ、地球にも治安を維持する組織があるのだろう? それに任せてお
けば良いんじゃないのか?」
「駄目です。警察は本当の悪には手を出せないんです。そいつらは権力に
守られて、法の力も届か……」
鋭い打撃音が鳴り響き、ヒロの熱弁を中断させた。

見ると、壁にプチレアの拳がめり込んでいる。硬いコンクリートの壁も、
身長10メートルの巨人にかかったら紙細工と変わらない。
「ヒロ、よく見ろ。これが、オマエの言う正義の力だ。たしかにこの力が
あれば、銀行強盗なら退治できるかも知れない」
プチレアが壁から拳を引き抜くと、コンクリートの破片がバラバラと地面
に落ちた。
「しかしオマエの言うとした『本当の悪』には、この力は通用しない。ヒ
ロ、正義の味方が銃や拳法で悪者を退治をするというのは、ドラマの中だ
けの話なんだよ」

「でも……」
「この話は終わりだ。私は少し寝る」
何か言いたそうなヒロを残して、プチレアは再び横になって目を閉じた。

『プチレアとヒロ〜その1』   おしまい

37BiBi ◆8cBPUextJk:2012/12/18(火) 18:18:24
■■ 最新の投稿 2012年12月18日
>>33-36 『プチレアとヒロ〜その1』

■■■ 前スレ
アナザーストーリー掲示板内にあります。URLはこちらです。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11681/1243254237/
タイトルは『アルテミス アナザーストーリー(改) byBiBi 』です。

■■■ 目次
>>2-5 登場人物の紹介など

■ アルテミスのアナザー
文頭の通し番号は、Artemis****
>>6 『襲来』
>>7-10 『アルテミスの被虐生活1』
>>22-30 『ラリカとユリアー2』
>>33-36 『プチレアとヒロ〜その1』

■ 由梨香のアナザー
『八谷早苗の回想編』
文頭の通し番号は、Artemis.UY1.Sanae****
>>12-20 『八谷早苗の回想 013 〜 勤務初日05』

38BiBi ◆8cBPUextJk:2013/04/25(木) 14:37:19
■■■ 出版
オリジナルストーリーの作者さんが、amazonのKindle本に『小説 生体
実験』を上梓されました。詳細はamazonにアクセスして『コスミックエロ
ス』と『エイリアン』の2ワードで検索するか、もしくは下記にアクセス
して下さい。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=ntt_athr_dp_sr_1?_encoding=UTF8&field-author=%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3&search-alias=digital-text&sort=relevancerank

39BiBi ◆8cBPUextJk:2013/04/25(木) 15:01:40
追記
わたしBiBiのアナザーは、作者さんのオリジナルストーリーに依存して書かれているような物です。
なので、私のアナザーなど作者さんのオリジナルストーリーの完成度にはとても及びませんが、
良かったら作者さんの作品として出版なさってもかまいません。

ただもしかしたらアナザーの作中には、特定の人物や団体に誤解を与えるような記述があるかも知れません。
ていうか……、あります。
そういった部分は、作者さんのご自由に修正なさってもかまいません。

40作者:2013/04/29(月) 08:00:35
著作権の問題で、他人の文章を、自分の物として出版するのはNGのようです。
BIBIさん自身が、アマゾンのアカウントを取得して出版するのは、問題ないと思います。
事前審査がありますので、駄目な場合は事前に、はねられます。私の場合は、ガンダム編は以外は、そのまま通りました。

41BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:40:17
>>40
丁寧なレスありがとうございます。
そうですか。よく理解できました。
ただ多分、私は出版する事はないです。

42BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:41:56
Artemis0545
『レンタルサイボーグ 1 〜 マクナルホド編 その1』
 さざなみテレビで『拷問総選挙』が放送されてからというもの、プリア
ナと股三娘は当初の計画通り、まるでレンタルビデオ店のDVDのように一
般人に貸し出されるようになった。BKA48号によってレンタル申し込み用の
ホームページが開設され、そこにアクセスすれば、誰でも女サイボーグを
レンタルする事ができたのだ。

 マクナルホドは世界最大の外食産業である。総店舗数は約3万。原価と
人件費をギリギリまで抑えて、ジャンクフードを低価格で販売し、年間売
り上げは240億ドルをたたきだす。店のシステムはセルフサービスになっ
ていて、客はカウンターで購入した商品を自分でテーブルに運んで食事を
する。食べ終わったら、食器類は客自身の手で片付ける。

 東京郊外にあるマクナルホド吉川橋店で店長を務める佐々木は、最近不
眠症に悩まされていた。原因は客層の悪さだ。店舗のある場所はいわゆる
スラム街で、非常に民度が低かった。セルフサービスなのに、食器を片付
けない。商品を購入せず、店外から飲食物を持ち込む。店のコンセントか
ら無断で携帯電話に充電する。――等々、例をあげていけば枚挙にいとま
がない。佐々木は、
(悪質な客にガツンと言ってくれる、強いアルバイトがいればなぁ)
などと考えている内に、ため息をつくのが癖になっていた。

そんなある日、佐々木は友人からレンタルサイボーグの事を聞かされた。
(ネオガイア星人のサイボーグか。きっと強いに違いない)
さっそく佐々木は、件のホームページにアクセスしてみた。Topページに
は、『ただ今レンタル女サイボーグに素敵なオマケ付き!』というコメン
トが表示されていて、その下に女サイボーグの紹介が掲載されていた。1
人はキューティーバニー(C.バニー)というブロンドの美女で、もう1人
はルビィ股三娘という東洋人の女だった。
「なんてセクシーな女だ……」
佐々木はC.バニーの美貌におもわず見とれてしまった。
「こんな美女が1日でも働いてくれたら、店の宣伝にもなるぞ」
サイボーグのレンタル料は馬鹿にならない額だが、1日だけのレンタルな
ら経費で何とかなりそうだ。思い切って、申し込みボタンをクリックした。
すると、『女サイボーグは現在レンタル中で、届くのは3日後になる』と
のコメントが表示された。仕方ないので、3日待つことにした。

 3日たっても、女サイボーグはやって来なかった。さらに待つ事6日後、
ホームページで見た2人の女サイボーグが、四角い木箱を引きずりながら
マクナルホド吉川橋店にやって来た。
「あ、えと……、はじめまして。店長の佐々木です。予定日を過ぎていた
ので、もう来てもらえないんじゃないかと心配してました」
「アタシに文句言っても駄目ネ。それにアタシの国なら、配達が遅れるの
は珍しくないネ」
黒髪の女サイボーグ――股三娘――が面倒臭そうに答えた。
「えと、股三娘さんですね。それとC.バニーさん」
「バニーでいいわ。どうせ本名じゃないし……」
ブロンドの女サイボーグ――プリアナ――が肩をすくめた。

「それにしても、その格好は……」
佐々木は目のやり場に困った。プリアナは第二次大戦中のドイツ軍将校を
思わせる軍服を、そして股三娘はセーラー服を着ていた。それだけならた
だのコスプレと変わらないが、問題はスカートの丈だった。2人とも、ス
カートが異常に短い。股上――股下ではなく――3センチといったところ
だろうか、陰毛がむき出しだ。この衣装を決めたのは、女サイボーグのマ
ネージャーを務めるアンドロイドだった。

43BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:42:37
Artemis0546
 佐々木が目のやり場に困ってそらした視線の先に、女サイボーグたちが
運んできた木箱があった。
「あの……、その木箱は何ですか?」
「これ? ホームページに書かれていたオマケよ。中身を見てみれば?」
プリアナがそっなく答えた。佐々木は木箱の中をおそるおそる覗きこんで、
ハッと息を呑んだ。狭い木箱の中で、豚のマスクをかぶった全裸の女がM
字開脚姿勢で股間をさらしているのだ。
「な、何ですか、これ?!」
「私は豚仮面です」
豚マスクの女が、アルテミスの声で名乗った。

「と、とりあえず箱から出てください。店の制服があるので、それをお貸
しします」
木箱から這い出た女の素晴らしいスタイルに、佐々木に驚かされた。身長
は佐々木よりも頭ひとつ分高く、それが全て脚の長さの差だ。乳房のボ
リュームは圧倒的だった。しかも巨乳にもかかわらず、地球の重力に負け
ることなく乳首がツンと上を向いている。
「私には衣服は必要ありません。この姿のままご奉仕するように、命じら
れています」
「は、はぁ……、そうですか」
佐々木は女の肉体に見とれながら、呆然と頷いた。まぁいずれにせよ日本
人用に作られた制服では、サイズが合わないだろう。

 さっそく2人の女サイボーグ、それと豚仮面ことアルテミスはマクナル
ホド吉川橋店のカウンターに立った。幸い下半身はカウンターの台に遮ら
れて客から見えないが、アルテミスの乳房を隠す物はなかった。店に入っ
てきた客は皆、豚のマスクをかぶったトップレスの女を見て驚いた。しか
し騒ぎ出す者はいなかった。ネオガイア星人の襲来以降、異形の異星人や
改造された地球人が地上を跋扈(ばっこ)しているのだ。ファーストフー
ド店のカウンターに裸の女が立っているくらいで大騒ぎする者は、今の地
球にはほとんどいない。

 3人、特にアルテミスとプリアナがカウンターに立って1時間もしない
内に、店は男性客で溢れかえった。マクナルホド吉川橋店の正面の壁はガ
ラス張りになっていて、表の通りから店内が見える構造になっている。表
を歩く男たちがカウンターに立つ2人を見たとたん、まるで花に引き寄せ
られるミツバチのように店に吸い込まれていくのだ。なんと言っても、ネ
オガイア宇宙軍随一の美女とポルノ業界随一の美女だ。ハリウッド女優や
スーパーモデルにも負けていない。

 30代前半らしき男性客がアルテミスの前に立った。
「いらっしゃいませ、お客様。何になさいますか? なんなりとお申しつ
け下さい。どのようなご命令にも絶対服従しますわ」
アルテミスの接客マナーは少し変だったが、男性客は嬉しそうだ。
「SとMはどれくらい違うんですか?」
男性客はアルテミスの乳房をチラチラ見ている。Gカップの巨乳は、マク
ナルホドで一番大きなハンバーガーの倍はあった。
「はい、ご説明しますね。Sはサディスト、Mはマゾヒストの略ですわ。
あるいはSはスレイブで、Mはマスターの略とも……」
「ハイ、ストップストップ」
プリアナがアルテミスの台詞を遮って、大小2つのカップを客に見せた。
「Sはこのサイズ、Mはこのサイズよ。どっちにする?」
「あ、あ……。じゃあSで……」
「セコイわね。Mにしなさいよ」
「はい、じゃあMください」
美女2人を前にして、男性客は耳まで真っ赤にしていた。

44BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:43:23
Artemis0547
 しばらくして女子高生が2人入ってきた。やたら短いスカートから覗く
脚が若々しい。2人はカウンターの前を素通りしてテーブルにつくと、
バッグからジュースのペットボトルと菓子を取り出した。さらに携帯電話
の充電器を壁のコンセントに差し込んだ。

 佐々木がプリアナに目配せした。
「近所の高校の生徒です。いつも何も注文しないで、何時間も居座るんで
す。とりあえず私が注意してきます。それで駄目な時はよろしくお願いし
ます」
佐々木は深呼吸をすると、女子高生たちのテーブルに向かって歩き出した。

佐々木がそばに来ても、女子高生たちは気にする様子はない。テーブルの
上に広げた菓子の袋に手を突っ込みながら、クラスの男子生徒の噂話をし
ている。
「すみません、お客様。飲食物の持ち込みはお断りしています」
「はぁ? 何コイツ? キモ、キモすぎぃ」
2人がゲラゲラ笑い始めた。何がそんなに面白いのか、佐々木には全く理
解できない。
「お客様……」
「コイツ、社会のオスギに似てない?」
「似てる似てる」
オスギというのは、社会科の教員の事なのだろう。こんな連中の通う学校
の教員に、佐々木は心から同情した。

「ちょっと、何か買いなよ」
女の一声が、女子高生たちの笑いを止めた。佐々木が声の方向を振り向く
と、軍服に身を包んだブロンドの美女が腰に手を当てて立っていた。女子
高生たちが、プリアナの姿を見て騒ぎ出した。
「えええ?! 外人? コスプレ? ていうか陰毛が見えてるしぃ」
「すげぇ脚長いし。チョー羨ましい。もしかして芸能人?」
自慢の美脚を褒められて、プリアナがブロンドの髪をかき上げた。
「そうよ。元女優なの」
「あ、やっぱり? 見た事あるよ。ほら、あのサスペンス映画……」
プリアナはポルノ女優なので、サスペンス映画には出演していない。誰か
と勘違いしているようだ。

「マクナルホドで何してるんですか?」
「仕事よ」
「えぇ、仕事? もしかして映画の撮影? マジ、マジ? あ、カメ
ラ!」
女子高生たちは、天井に取り付けられている防犯カメラに向かってVサイ
ンを作った。
「とりあえず何か買ってよ。あと携帯の充電はダメよ」
「はぁーい」
親にも教師にも反抗期真っ盛りの女子高生も、芸能人には弱いらしい。2
人は素直に壁のコンセントから携帯を引き抜き、何か商品を買うためにカ
ウンターに向かった。そこで全裸のアルテミスを見て、再び歓声を上げた。

45BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:44:02
Artemis0548
 今度は親子連れが入ってきた。30前後の母親と小学生くらいの女児だ。
親子そろって、細いタレ目とエラのはった顎が特徴的だ。母親が自分の
コーヒーを買って、テーブルについた。1杯100円、マクナルホドで一番
安いメニューだ。しばらくすると、子供が大声を張り上げながら店内を走
り回り始めた。他の客のバッグが蹴飛ばされて、壁際まで転がった。しか
し母親は平然と携帯をいじっている。 

 佐々木がうんざりしたようにため息をついた。何度目のため息か、もう
本人にも分からない。股三娘が細い目で佐々木を見た。
「あれはタチの悪い常連客です。井東さんっていうんですがね。いつも親
子でやって来ては、他のお客様とトラブルを起こすんですよ」
「そんな客なら、なんで追い出さないカ?」
「一応はコーヒーを1杯注文するので、お客様には違いないんですよ。そ
れと……」
佐々木が声のトーンを落とした。
「あの井東さんの実家が、町内でも有名なクレーマー一家なんですよ」

佐々木いわく――。
井東家の子供は、近所の銀行の駐車場で遊んでいた。車に傷がつくおそれ
があるし、第一そこは銀行の私有地だ。そこで銀行は、子供を遊ばせない
ように書いたポスターを駐車場のフェンスに貼った。数日後、そのポス
ターが剥がされ、さらにポスターを貼っていた金属製のフェンスがペンチ
か何かでズタズタに切り刻まれていた。それを見た銀行の女子行員が無気
味がって、それ以降、井東家の子供が駐車場で遊んでも黙認されるように
なった。

佐々木いわく――。
町では毎年、祭りが開かれていて、住民の子供が順番で神輿(みこし)を
担いだり太鼓を叩く慣わしになっていた。ある年の祭りで、井東家の子供
が太鼓を叩いた。すると次の年は他の家の子供の番なのだが、それが気に
くわない井東家は一家総勢で、その子供と町内会会長の家に怒鳴り込んだ。
それからは毎年、祭りでは井東家の子供が太鼓を叩くようになった。

「その程度のクレーマー、アタシの国には大勢いるヨ。フン、タシが追い
出してやるネ。オイ、あの女が払った金よこセ」
「お、お金ですか?」
佐々木はレジから100円硬貨を1枚出した。股三娘はそれを受け取ると、
井東のテーブルに近づいていった。

「オイ、オマエのガキ。うるさいゾ」
井東の母親が携帯から顔を上げ、声の主を睨んだ。
「アタシら客なんですけど。客にそんな態度いいんですか? アタシの
言ってる事、間違ってますか? とりあえず店長呼んで下さい」
金切り声が店内に響いた。有名なクレーマーのお怒りだ。カウンターの奥
で佐々木が天井を仰ぎ見た。

テーブルの上で100円硬貨がチャリンと音を立てた。
「これでオマエ、金払ってないから客じゃないネ。金払わずに飲んでるか
ら、タダ食いネ。ドロボウネ。」
股三娘が井東親子の襟首を掴んで、出口に向かってズルズルと引きずって
いった。そして店のドアを開けて、2人を生ゴミのように表の通りに放り
出した。

 井東親子はアスファルトの路上にしゃがみこんだまま、しばらく呆然と
していたが、すぐに我に返り、閉じられたマクナルホドのドアに向かって
何やら大声で喚き始めた。しかしそれは日本語になっておらず、何を言っ
ているのか解らない。クレーマー親子の罵声は30分以上続いた。

46BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:44:37
Artemis0549
 胡散臭そうな客が2人、店に入ってきた。1人は30代前半の男で、おち
つきのない目つきが印象的だ。服装はストライプ柄のグレーのスーツ、下
は黒のワイシャツでノーネクタイ。手には電話帳サイズのジュラルミン製
のアタッシュケースを持っている。何が入っているのだろうか……。もう
1人は30代後半の男で、太った身体をカジュアルなシャツとジーンズで包
んでいる。スーツ男がホットコーヒーを2杯購入して席についた。

「今度はマトモな客みたいね。買ったのはコーヒーだけだけど……」
プリアナが佐々木にそっと耳打ちした。
「あぁ、あのスーツの男性は常連さんです。毎回、連れの方は変わるんで
すが……。何かビジネスの話をされているみたいです」
「ふぅん。日本のビジネスマンか……」
プリアナが興味深そうに、スーツの男を見つめた。プリアナはアメリカで
街娼をしていた事があって、金払いの良い日本のビジネスマンは上客だっ
た。ちょうど日本がバブル景気に沸いて、大勢の日本人男性が、東南アジ
アなどの途上国に幼い少女を目当てに買春ツアーに行っていた頃の話だ。

 見ると、スーツ男が何やら熱く語っている、プリアナの4倍に高められ
た聴覚が、その話し声を捉えた。
「村谷さん、夢を叶えたくないですか? 人生を変えたくないですか?」
どうやら連れのジーンズ男の名は村谷というらしい。
「僕たちの扱うサプリメントを飲めば、若返る事ができるんですよ」
スーツ男が早口でまくしたてながら、ジュラルミンのケースを開けた。中
から、パンフレットとノートを取り出した。パンフレットの表紙には『エ
レボス研究所』と印刷されている。
「ほら、見て下さい。効果は、アメリカの研究所が認めてるんですよ! 
凄いですよねぇ。アメリカの研究所ですよぉ」
スーツ男は、村谷に質問や反論の隙を一切与えないペースで一方的に喋り
続けながら、ノートを開いて何やら描き始めた。見ると、丸印がピラミッ
ドのように並んでいる。
「これは画期的なビジネスなんですよぉ。凄いですよねぇ、うん!」
ここでサプリメントの話は中断され、画期的なビジネスとやらの説明が始
まった。

 スーツ男の話によると、ノートに描かれたピラミッドはサプリメントの
販売網を意味していて、並んだ丸の1つ1つが販売員を表すらしい。1人
の販売員の下には、まさにピラミッドのごとく、販売員がネズミ算式に増
えていく。そしてそれら全員の売り上げの一部が自分の懐に入る――、と
いうシステムらしい。

「へぇ……。なんかよく分からないけど、おいしいビジネスよね」
プリアナが隣に立つアルテミスに、スーツ男の言う画期的なビジネスとや
らの説明をした。アルテミスは数秒考え込んで、首をかしげた。
「どうかしら……。利益が上がりそうな錯覚を受けるけど、多分このビジ
ネスは破綻するわ」
実はアルテミスの知能は高い。知能指数はプリアナや股三娘、そしてシン
ディよりもずっと高い。アルテミスは、そのビジネスが破綻する理由をプ
リアナに数学的に説明しようと一瞬考えたが、思いとどまった。プリアナ
には理解できないと判断したのだろうか……。

 アルテミスの想像通り、実はスーツ男は、ノルマとして仕入れたサプリ
メントの半分も売れず自己破産寸前の状態だった。男の今の関心は、自宅
に山積みになった売れ残りの在庫を押し付けるカモを探す事で、そのカモ
の候補が村谷だった。
「エレボス研究所には、ノーベル賞クラスの学者が大勢いるんですよ」
スーツ男の企みも知らず村谷は、愚鈍そうな顔に真剣な表情を浮かべて、
画期的ビジネスの話を聞いていた。

47BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:45:28
Artemis0550
 ランチタイムになると店はさらに混雑して、カウンターの前には長い行
列ができた。アルテミスは佐々木の指示で、並んでいる客にメニューを配
り始めた。どの客も全裸のアルテミスを見て目を丸くしたが、やはり騒ぐ
者はいなかった。

「すみません。まだ時間かかりますか? 会社に遅れちゃうよ」
列の最後尾に並んでいるビジネスマン風のその男は、かなり待たされてい
るのか、ひどく機嫌が悪そうだった。
「あぁ、申し訳ございません。私が愚鈍で無能で変態のせいで、お客さま
をお待たせしてしまったのですね?」
「え? 変態?」
アルテミスはビジネスマンの手を両手で握りしめた。男の手が、Gカップ
の巨乳に押し付けられる。それだけでビジネスマンの不満は消え去った。
見ると、鼻の下が3センチのびている。

大学生風の男が、テーブルの上にジュースをこぼした。
「テーブルをお拭きしますわ」
アルテミスは男とテーブルの間に、男に背中を向けるように身を潜り込ま
せた。そのまま前かがみになり、テーブルを拭き始めた。両足は肩幅以上
に開かれ、尻が後ろに突き出されている。オマンコもアナルも丸見えで、
男の顔とは10センチと離れていない。舌をのばせば届きそうだ。
(あぁ、このままこの地球人の顔にオマンコをこすり付けたいわ)
敏感な部分に当たる男の吐息を感じながら、アルテミスはウットリと目を
つぶった。

 女性客はともかく、男性客はアルテミスのサービスに満足していた。
Playboy誌のモデルが裸足で逃げ出しそうな美女が、たかだか数百円のフー
ドを購入するだけで過剰なサービスをしてくれるのだから、無理もない。

中には悪ノリする客もいたが、アルテミスはどんな要求にも嬉々として応
じた。男の1人が手を挙げた。
「店員さぁん。このアイスコーヒー冷たすぎるよ。温めてよ」
「はい、お客さま」
アルテミスはカップを受け取ると、コーヒーを口に含んだ。そして男と唇
をあわせる。口移しで男の口腔内に注がれたコーヒーは、シロップを入れ
ていないのに甘く感じられた。

「店員さん。ホットコーヒーで口に中を火傷しちゃったよ。冷やしてよ」
別の男が手を挙げた。今度は氷を口に含んで、口移しで男の口腔内に入れ
てやった。さらに舌を挿入して、火傷の治療といわんばかりに歯茎を舐め
てやる。男が嬉しそうに喘いだ。

「店員さん。コーヒーにミルクを入れたんだけど、入れてくれる?」
「はい、お待ち下さい」
アルテミスがGカップの巨乳を突き出した。
「母乳は出るかしら? ためしに搾ってみて下さい」
男が乳房を揉み始めた。
「もっと強く搾って下さい。乳首も捻り潰してみて下さい。あ、あ、あ。
指じゃなくて爪で、爪でお願いします」
敏感な肉の突起を潰されて、アルテミスはブルブルと身体を震わせた。残
念ながら母乳は出なかったが、男は満足げな顔をしていた。

「店員さん、ズボンの前にジュースこぼしちゃった。拭いてくれる?」
「店員さん、手にケチャップがついちゃった。舐めて綺麗にしてよ」
「店員さん……」
「あぁん、何なりとご命令下さい。お客さまはご主人様ですわ」
次々と押し寄せる注文に、アルテミスは大忙しだった。

48BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:46:06
Artemis0551
 ランチタイムも終わり、夕方5時を回った頃、60歳前後と思しき男が1
人やって来た。男は何も購入せずに席につくと、ポケットから競馬新聞を
取り出した。
「ちょっと店長さん。あの男、何も買ってないわよ?」
プリアナが、形の良い顎で男の方をしゃくった。
「あ……、はい。でも、あの人はいいんです」
佐々木の声のトーンが低い。
「いいって、どういう事よ?」
「あの人は荻尾(おぎお)さんといって、ヤクザの幹部なんです」

「ヤクザ? あぁ、アメリカにいた頃、日本人の観光客に聞いた事がある
わ。たしか、日本のマフィアね?」
「はい。だから、あの人はいいんです……」
ファーストフード店の雇われ店長としては、数百円の商品の購入をめぐっ
てヤクザと揉めるのは、避けたいところだ。
「まぁ店長のアンタがそれでいいのなら、アタシは何も言わないけど……。
それより、あの男の名前とか素性をよく知ってるわね?」
「えぇ。ご自分で仰ってましたから。つい先日も、携帯電話で誰かと話さ
れていて、店中に響き渡るような大声で『幹部の荻尾や』と……」

(チンピラならともかく、幹部が自から素性を明かすなんて、やっぱり日
本のマフィアは変わってるわね)
プリアナは、以前に観光客から聞かされた話を思い出した。その当時、折
りしもアメリカでは、ネオガイア星人侵攻の混乱に紛れてマフィア同士が
縄張り戦争を始めていた頃で、毎日のように市街のあちこちで血なまぐさ
い事件が頻発していた。
『アメリカのマフィアの抗争は怖いですね。僕の国では、相手の事務所の
シャッターをピストルで数発撃って、一目散に逃げるんですよ』
そう言って、その観光客はおかしそうに笑っていた。
(そういえばあの日本人、たしかヒーローになるのが夢だと話していたけ
ど、夢はかなったのかしら?)
昔を思い出して、プリアナは自然とため息をついていた。それは、佐々木
のため息よりも重く沈んでいるように聞こえた。

 プリアナが見ていると、荻尾がポケットからタバコを取り出した。ちな
みにマクナルホド吉川橋店は全席禁煙である。
「ちょっと、ここ禁煙なんじゃないの? あれも注意しないの?」
「はぁ。実は……」
佐々木が口ごもる。
「実は以前、スタッフの女の子が喫煙を注意した事があったんですが……。
それに逆上して、その女の子に卑猥な事を……」
隣で客の対応をしていたアルテミスの手がピクリと動いた。

「あ、でも普段は紳士的な人ですから……」
「マフィアが紳士的?! それ、本気で言ってるの? アンタ馬鹿?」
面と向かって『馬鹿』と言われて、佐々木が目を丸くした。しかしプリア
ナほどの美女に言われると、不思議と腹が立たない。

 本物のヤクザは礼儀正しい紳士。
法を守り真面目に働き、税金を納めて国にも貢献している善良な市民をさ
しおいて、ヤクザが紳士だという意味不明の勘違いをしている人がたまに
いるが、それはヤクザ映画の中だけの幻想だ。もしも紳士のように見える
ヤクザがいたとしたら、うわべは紳士を気取りながら陰でコソコソ汚い事
をしているか、あるいは紳士的ではない事を他のヤクザにやらせているか
だ。極道だの任侠だのとかっこいい名前をつけてもらっても、ヤクザはヤ
クザだ。ヤクザを100人集めたら、そこにいるのは穀潰し(ごくつぶ
し)100人で、紳士は1人もいない。

49BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:46:57
Artemis0552
「とりあえずアタシがタバコをやめさせてく……」
「わ、私が!」
プリアナの足を、やや慌て気味な女の声が止めた。
「私がタバコをやめていただくようにお願いしてきます」
そう言ってカウンターを出たのは、豚のマスクをかぶったアルテミスだ。

 アルテミスは全く臆する事なく、紫煙をまき散らしている荻尾の後ろに
立った。しかし荻尾は競馬新聞に夢中で、全く気付いていない。
「お客さま?」
一瞬、店内がシンと静まりかえった。女子店員がヤクザらしき男に話しか
けるのを見て、驚いたのだ。荻尾が背後を振り向いて、
「な、な、なんや、ネエちゃん?!」
素っ頓狂な声をあげた。突然の全裸の女の出現によほど驚いたのだろう。
「な、何やねん?! なんで裸やねん?! 露出狂の変態か?!」
声が裏返っている。見ると、顔も引きつっている。

「私は豚仮面。今日1日、このお店で皆様にご奉仕するために参りました。
お客さま、ここは禁煙でございます。おタバコはご遠慮下さい。それと」
変態と罵られたせいか、アルテミスの声は少し嬉しそうだ。
「露出も好きですけど、どちらかというと苦痛系の方が好きですわ」
「え? な、何や? 靴毛?」
「苦痛系ですわ。アルゴラグニア。肉体に苦痛を与えられるのが大好きな
マゾですわ」

サルなみの荻尾の脳でも、マゾという単語だけは理解できたようだ。引き
つっていた顔に、下卑た笑みが広がっていく。相手がか弱い女1人で、し
かも従順なマゾ。――そう分かったとたん天下無敵の猛者に早変わりする
のが、ヤクザの特徴だ。もっとも、アルテミスの場合は、か弱いとは言え
ないが……。

「マゾの店員が、客に偉そうな事言うたらアカンでぇ?」
「申し訳ございません。でも今の私は、このお店にご奉仕する身です。だ
から、おタバコはご遠慮下さい。その為なら、どんな事でもしますわ」
そう言ってアルテミスは、お祈りをするように両手を胸の前で組んだ。荻
尾の目が、Gカップの巨乳に吸いつけられる。
「じゃあネエちゃんがその巨乳を灰皿代わりに使わしてくれたら、もうタ
バコは吸わねぇよ」
荻尾がアルテミスの乳房に紫煙を吹きかけて、ヤニで黄ばんだ歯を剥き出
した。
「私の乳房でよかったら、灰皿の代わりにお使い下さい」
アルテミスは掌で、たわわに実る左右の乳房を下から持ち上げた。

50BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:47:33
Artemis0553
 タバコの火の温度は約800度。衣類のシワをのばすアイロンの温度が約
90〜200度という事を考えると、それがかなり高温である事が分かる。人
間の皮膚程度なら簡単に炭化してしまう。

荻尾はしばし眼前に迫る巨乳に見入っていたが、ふと周囲の視線を感じ
て、やや慌て気味に店内を見回した。
「こ、この女がやってくれって言うたんやからな。お、お、お前ら、全員、
証人やぞ。この女が火傷しても、俺の責任やないからな」
そう一方的に喚いて、視線を眼前の巨乳に戻した。ゴクリと唾を飲み込ん
で、火のついたタバコをアルテミスの乳房に近づけた。

アルテミスはそれを、舌なめずりをするような目で見つめていた。見ると、
普段は雪のように白い乳房は、薄いピンクに上気している。先端では、乳
首が成人男性の人差し指第一関節ほどに勃起していて、それを薄紅色の乳
輪が囲んでいる。

 タバコの先端が乳房を包む柔肌に触れた。アルテミスの身体がビクンと
震えた。そのまま1秒、2秒、3秒……。女体はタバコの火を押し当てら
れたまま、微動だにしない。唯一、唇だけが動いて、
「あぁあああ……、あぁんあぁん……」
甘い吐息をもらした。火を押し当てられた部分が、黒く炭化し始めた。

(気持ちいいわ。でももっと敏感な部分も責められたいわ)
アルテミスは、両手――左右の乳房を下から持ち上げている――の親指と
人差し指を、乳房の付け根に食い込ませた。砲弾型の巨乳が付け根の部分
でくびられて、乳輪と乳首が前方にしぼり出される。
「ここも灰皿にお使い下さい」
アルテミスの言う『ここ』がどこを指しているか、荻野の頭で理解するの
に10秒かかった。

タバコの先端が乳首に触れた。アルテミスの口がOの字に開き、引きつっ
たような声がもれた。しばらくするとブスブスと煙が立ち昇り、焼肉のよ
うなニオイが広がっていく。焼かれている物の正体を知らなければ、きっ
と食欲をそそられるだろう。

「あぁ?! あぁあああ、いいわ。熱いけど、感じる。いい、いいわぁ」
敏感な部分を焼かれる恥痛に、アルテミスが嬌声をあげた。常人ならば泣
き叫びそうな苦痛も、この真性マゾには快感でしかない。
「あぁ、お願い。もっと私の乳首を虐めて! もっと、もっとよぉ!」
我慢できなくなったのか、片手で、タバコを持つ荻尾の手首を握りしめた。
そして自分の乳房に押し付ける。タバコの先端が乳首に擦りつけられて、
パラパラと火の粉が落ちた。

 数秒後、アルテミスは、乳首を襲う灼熱感が弱まってきている事に気付
いた。見ると、灰皿に擦りつけられたタバコのように、乳首に押し当てら
れた赤々とした光点が輝きを失いかけている。
「あぁダメ。消えてしまう。お客さま、火が消えてしまいますわ? お願
い、火を消さないで!」
「お? お、おぉ!」
荻尾が慌ててタバコを咥えて、ふかし始めた。フィルターの中を空気が往
復し、消えかかっていた火が再び輝き始めた。
「アァアア……、す、素敵ですわ。お客さま、素敵ですぅ」
アルテミスが歓喜の声をあげた。美女に素敵と褒められた荻尾は、張り
切ってタバコをふかし続けた。そしてなんと過呼吸の状態になり、その場
に卒倒した。
「え?」
豚マスクの下で、ブルーの瞳が『点?!』になった。

51BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:48:06
Artemis0554
「ちょっと鉄仮面、何やってるのよ?」
そう言いいながらカウンターから出てきたのは、プリアナだ。カウンター
の奥から事の経過をを見ていたが、アルテミスが一向にタバコをやめさせ
ようとしないので、痺れを切らしたのだ。

「お客さまが気絶してしまったの。今まで私が気を失う事は何度もあった
けど、相手が気絶したのは初めてだわ」
さすがの真性マゾのアルテミスも、呆れたように肩をすくめた。
「私も、こんなマヌケな男を見たの初めてよ」
そう言って、プリアナは足元を見下ろした。その視線の先で、ヤクザの幹
部が阿呆のように口をあんぐりと開けながら転がっている。

 過呼吸ではめったに失神しないし、仮に失神しても比較的早く覚醒する。
荻尾も1分弱で目を覚ました。すぐには起き上がらず、薄目を開けて周囲
をうかがう。ヒソヒソ話す声と押し殺したような冷笑が聞えた。ヤクザは
メンツにこだわる。ヤクザである事は恥と思わないのに、どうでも良い事
で恥をかくのを極端に嫌がるのだ。ゆっくりと上半身を起こして、自分に
恥をかかせた原因を睨みつけた。その隣に、巨大な鼻輪をつけたブロンド
の美女が並んでいる。

「ネエちゃん、素人がプロをなめてたら、痛い目に遭うでぇ?」
いわゆるドスのきいた声というやつで、大半の『素人』はこれだけで怖
がってくれるから、ヤクザは辞められない。しかし今回の相手は……。
「まぁ、痛い目ですか? ぜひお願いします」
返ってきた声に、恐怖は1パーセントも含まれていない。

片や、本物の戦場に身を置いてきた元白兵戦コマンド。片や、粗悪な中国
製の拳銃で、対立する組事務所のシャッターをパンパン撃つだけのヤクザ。
そもそも生きてきた世界が違うのだ。アルテミスが荻尾を恐れる理由は、
1ミリグラムもなかった。それどころか……、
『荻尾様がそれに逆上して、その女の子に変態的で卑猥な事を……』
今もアルテミスの頭の中では先ほどの佐々木の言葉が反芻していて、はや
く痛い目に遭いたくてたまらないといった様子だ。

「ねぇ、やめといた方がいいわよ? 日本のマフィアじゃあ、10人束に
なっても、この女には勝てないわよ」
と、プリアナ。
「100人でも勝てないネ」
そうボソリと呟いたのは、カウンターの奥から様子を傍観している股三娘
だ。この元中国武術の達人は、アルテミスの戦闘力の高さを身をもって
知っている。

 荻尾は得意のドス声が通用しない事を知り、今度は内ポケットから携帯
電話を取り出した。
「こんな事してタダで済むと思うなよ。こんな店、簡単に潰せるんやで」
「フン、好きにすれば? どうせアタシの店じゃないし」
プリアナが鼻でせせら笑った。アルテミスは無反応だ。実際、地球人の店
がどうなろうと、関心ないのだろう。

荻尾はなぜか一瞬とまどってから、携帯電話を耳に当てた。
「俺や。関東駄奇組幹部の荻尾や。国会議員の毒河原に代わってくれ」
どうやら電話の相手は国会議員らしい。『幹部』と『国会議員』の部分が、
なぜか声のボリュームが大きい。
「お、毒河原さんでっか? 荻尾ですわ。おう、おう。そうですわぁ。実
は今マクナルホドっちゅう店に居ますのや。え? そう、そうですわ。そ
れでこの店の店員が……」

52BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:50:03
Artemis0555
 店中に響き渡るような大声で国会議員と話す荻尾を、プリアナは冷やや
かな目で見下ろしていた。実は4倍に高められた聴力が、携帯電話からも
れるわずかな音声を捉えていたのだ。
『午後1時27分30秒をお知らせします。ピ、ピ、ピ……』
形の良い口元に冷笑が浮かぶ。
「ねぇ、日本の国会議員って時報サービスもやってるの?」
荻尾の脳細胞でこの嫌味を理解するのに、1分以上かかった。しかもその
間も、時報サービス相手に喋り続けていた。プリアナの嫌味をようやく理
解して、
「な、なんじゃあ? ば、ば、番号間違えたやないか!」
などと必死にとりつくろうが、もはや見苦しいだけだ。

 荻尾は根っからのヤクザだった。だからつまらないメンツにこだわる。
もしも恥をかかされたら、それ以上の恥を相手にかかせればいい。恥をか
かせるには、どうすればいいか? 相手に暴行を加えればいい。そして泣
きながら暴力の中止を懇願させて、その姿を衆目にさらせばいい。相手が
女子供でもかまわない。いや、むしろ腕力の弱い女子供の方が都合がいい。
「ぶ、ぶ、ぶっ殺すぞぉ!」
荻尾が床から起き上がると、自分を見下ろす女にとびかかった。荻野の不
運は、プリアナではなくアルテミスにとびかかった事だった。ヤクザが白
兵戦コマンドの天才に……だ。次の瞬間、荻尾の身体は宙で1回転し、そ
のまま床の上に逆戻りしていた。憐れなヤクザは、自分が女に投げ飛ばさ
れた事にすら気付いていなかった。

しかし本当の不運は、この直後に起こった。落下しながら、咄嗟に何かを
掴もうと手をのばしたのだが、その先にはプリアナの股間があった。
「キャアアア! どこ触ってるのよ?!」
プリアナの甲高い声が店内に響き渡った。そして数秒後……。
「なんじゃこりゃあああ?!」
荻尾が床の上に仰向けに転がったまま、血まみれの自分の手を見て叫んだ。

 プリアナことC.バニーの陰唇は、本人の意思で自由に開閉する事ができ、
た。さらに表面には鋭いトゲがサメの歯のように生えていて、人間の皮膚
など簡単に引き裂いてしまう。プリアナのオマンコをいきなり鷲掴みにしてし
まった荻尾の手は、その洗礼を受けたのだった。
「指が、指がなくなってしもた。い、痛い、痛いってぇ。死んでまう。救
急車呼んでくれぇ!」
荻尾の泣き叫ぶ声が、店内に何度も響き渡った。

その後、荻尾は、店長の佐々木が呼んだ救急車に乗せられて病院に連れて
行かれた。指の傷は運よく軽傷で、人差し指の先が数ミリ切れた程度だっ
た。プリアナの4倍の聴覚が、駆けつけた救急隊員の「こんなすり傷で救
急車呼ぶんじゃねぇよ」という呟きを捉えた。

「いきなり襲いかかって来たから、つい反射的に投げ飛ばしてしまったわ。
あぁ……、痛い目に遭いたかったわ」
遠ざかっていく救急車のサイレン音を聞きながら、アルテミスは残念そう
にため息をついた。
「はぁ……、なんか急に疲れたわ」
プリアナは気だるげに呟くと、床に落ちたタバコの吸殻を拾ってゴミ箱に
放り込んだ。

 後日談だが、この数日後、店に関東駄奇組の組員が群れをなして怒鳴り
込んできた。しかし佐々木から、プリアナたちがネオガイア星人から派遣
されてきた事を聞かされたとたん、組員たちは逃げるように帰って行った。

53BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:51:23
Artemis0556
 夜もふけた頃、男の客が1人やって来た。年齢は二十代前半といったと
ころだろうか。体格は小柄でやせ気味だが、貧弱には見えない。顔つきは、
100人が見たら100人全員が『真面目で優しそう』と答えるだろう。

男がカウンターの前に立った。対応をするのは、豚のマスクをかぶったア
ルテミスだ。
「いらっしゃいませ。なんなりとお申しつけ下さい」
「ホットコーヒーのM。チーズバーガー。あとポテトのL」
「申し訳ございません。私が馬鹿で淫乱なせいで、ポテトはただ今調理中
なんです。出来上がり次第、お席までお持ちしますわ」
男は無言でコーヒーとチーズバーガーを受け取った。空いてる席について、
バッグからノートPCを取り出した。しばらくして、OSの起動を知らせるメ
ロディが流れた。

 ポテトは数分で揚げあがった。アルテミスはそれを袋につめて、男の
テーブルに運んだ。男はアルテミスの接近に気付くと、やや慌て気味に
ノートPCのカバーを閉じた。
「お待たせしました。ポテトをお持ちしました。どうぞ」
アルテミスはトレーの上にポテトを置くと、男の顔をチラリと見てから
テーブルを離れた。

 カウンターに戻ってからも、アルテミスは男をチラチラと見ていた。宇
宙戦闘機のA級ライセンスも持つアルテミスの瞬間視力は、ノートPCのカ
バーが閉じられる一瞬の間に、モニターの映像を完璧に捉えていた。

世の中には『怪物』と呼ぶにふさわしい人間がいる。セックスキラー――、
ヒトを拷問する事に快感を得る怪物。有名なところでは、切り裂きジャッ
ク(ジャックザリッパー)などがいる。奴らは一般のサディストと異なる
存在だ。サディストにとって拷問は性的興奮を得るための方法だが、サッ
クスキラーにとっては拷問そのものが目的なのだ。そして男のノートPCに
映っていたのは、そんな怪物の犠牲となった女の死体画像だった。

(あの地球人、拷問されて殺された女の死体画像を見ながら、食事をして
いるのね。素敵だわ)
アルテミスは粘りつくような視線を男に向けながら、舌で唇を濡らした。
先ほどの何とかという名前のヤクザ幹部の事など、完全に忘れている。無
意識のうちに太股が擦り合わされて、垂れた淫液が卑猥な音をたてた。
ドクン、ドクン、ドクン……。
自分の心臓の音が聞こえる。

隣を見ると、プリアナがどういった経緯があったのか、先ほど画期的なビ
ジネスとやらを熱く語っていたスーツ男から名刺を受け取っている。連れ
の村谷の姿はない。自宅に抱えているサプリメントの在庫は、うまく処分
できたのだろうか……。股三娘を見ると、なんと商品のポテトをつまみ食
いしている。男に視線を戻した。男は再びノートPCに見入っている。見る
と、ズボンのポケットに片手が差し込まれモゾモゾ動いている。アルテミ
スの細い喉がコクリと上下した。

54BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:52:00
Artemis0557
「て、テーブルを拭いてきますわ」
アルテミスは少し上ずった声でそう告げると、棚からナプキンを1枚取り
カウンターを離れた。そして空いてるテーブルを拭きながら、少しずつ男
に近づいていく。それに気付いた男が、ノートPCの画像ウインドウ右上に
ある『×』をクリックした。もしも男に十分な注意力があったら、豚のマ
スクをかぶった女の肌がほんのりと薄桃に色づいているのを見つけていた
だろう。

 アルテミスは男の横を通り過ぎざま、ナプキンから手を離した。ナプキ
ンがヒラヒラと男の靴の上に落ちた。
「まぁ、大変。お客さまの靴がずぶ濡れだわ」
アルテミスが、カウンターにいる佐々木たちに聞かせるように、大声で叫
んだ。男が自分の足元を見て、怪訝そうな顔になった。
「え? いや、どこも濡れていな……」
「ダメです。すぐに綺麗にしないとシミになってしまいますわ」
アルテミスは男の手首を掴んで、引っぱった。その握力の強さに、男は驚
いた。

客の男をトイレに引きずっていくアルテミスを見て、プリアナが慌てた。
「ちょ、ちょっと、鉄仮面?! 何してるのよ?」
「この方の靴を水で濡らしてしまったの。だから乾かすの」
「乾かすって……。それでなんでトイレに行く必要あるのよ?!」
アルテミスはプリアナの質問には答えず、男の手首を握りしめたままトイ
レの中に消えた。

 アルテミスは男をトイレに連れ込むと、素早くドアを閉じて背中で鍵を
しめた。訳が分からず呆然としている男を洋式の便座に座らせて、自分は
その正面の床に和式便器にまたがるようにしゃがんだ。ただし両膝はぴっ
たりと閉じられていて、便座に腰掛ける男の目線からオマンコは見えない。

 広さ1畳ほどのトイレは、大人2人が入るとちょっとしたラッシュ時の
電車なみの密度だった。
「あのぉ……、靴はほとんど濡れていないので……」
男が消え入りそうな声を発した。容貌といい声といい、とてもファースト
フード店で死体画像を見ながらペニスを弄るようなタイプには見えない。
「靴はもういいんです。それよりも、お名前を教えて下さいますか?」
「え? もういいって……。あ、名前? 僕はツトムっていいます」
「ツトム様? 素敵なお名前ですわ。私の事はアルテ……、豚仮面とお呼
び下さい」
ネオガイア宇宙軍白兵戦コマンド隊長のアルテミスは公式には戦死した事
になっているので、本名を明かす事はできない。
「豚仮面? たしかさっきは鉄仮面と呼ばれていたような気が……」
怪訝そうな表情を浮かべるツトムを無視して、アルテミスは男の膝の上に
乗せられたノートPCに視線を落とした。
「ツトム様、素敵なノートPCですわね?」
先ほどまで、そのモニターには惨たらしい女の死体画像が映し出されてい
た。

55BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:52:37
Artemis0558
パソコンの話題になったとたん、ツトムは急に饒舌になった。顔も誇らし
げに輝いている。
「このノートPC? CPUは最新型の12コアだからね。あとHDDをSSDに交
換して、メモリも増設しるんだよ」
「まぁ、凄いですわ。私って機械とかに弱いから、そういう事に詳しい男
性って尊敬しちゃいます。もしご迷惑でなかったら、少しだけ触ってもい
いかしら?」
「あ、はい、いいですよ」
ツトムがノートPCを、膝の上に乗せたままアルテミスに向けた。死体画像
は閉じられていて、モニターにはWindowsのロゴが表示されている。

 実は、アルテミスはこの手のハイテクマシンの豊富な知識を持っていた。
ネオガイア宇宙軍の白兵戦コマンド部隊は、戦場で宇宙船などを自力で修
理したり、敵基地に侵入してシステムにハッキングする任務を課せられる
事がある。当然、元白兵戦コマンド隊長のアルテミスは、さまざまなマシ
ンを扱う訓練を受けていた。
(かなり原始的なマシンね。とりあえず、さっきの死体画像を表示させる
のが先ね)
10本の指が目にもとまらない速度でキーボードを叩き始めた。ツトムの顔
が驚きの表情に変わった時には、15インチの液晶画面には惨たらしい女の
死体画像が表示されていた。

「まぁ! こんな画像が出てきたわ。どうしたのかしら?」
アルテミスが素っ頓狂な声をあげたが、少ししらじらしい。ネオガイア宇
宙軍では、演技の訓練は受けなかったようだ。
「え? あ、えと……」
ツトムは死体画像を発見されてバツが悪そうだ。そんな男にかまわず、ア
ルテミスは再びキーボードを叩き始めた。
(画像は1つだけではないはずだわ)
予想通り、かなりの数の画像が保存されていた。しなやかな指がEnterキー
を叩くと、惨たらしい女の死体画像がスライドショーのように次々と表示
され始めた。ツトムが自慢するだけあって、SSDは反応が早かった。

 アルテミスが適当なところで画像の切り替えを止めた。
「ツトム様、ご覧になって。この女性、右の乳房が抉られていますわ。左
は……、まぁなんて事なの! 乳首が乳輪ごと切り取られてるわ!」
再び画像を切り替えた。
「この女性なんて下腹部を切り裂かれて、はらわたをズルズルと引きずり
出されてますわ。この顔……、白目を剥いてるわぁ! きっとこの世のも
のとは思えないほどの地獄の苦しみを味わったのね」
わざと『内臓』ではなく『はらわた』と表現したり、『ズルズル』といっ
た擬音を混ぜた。その方がある種のサディストを興奮させる事は、長いマ
ゾ生活の間に経験済みだ。

「ねぇ、ツトム様、この女の股間をご覧になって。こんなにボロボロ。女
体で一番敏感な部分を、たっぷりと時間をかけて攻撃されたんだわ」
いつの間にか、素っ頓狂だった声が粘りつくような淫猥なものに変わって
いる。
「ほら、陰唇もクリトリスも血まみれよ? 絶対に膣も子宮も卵巣も、破
壊されつくされているわ。それこそ徹底的に……。きっと『お願い、やめ
て!』って必死に懇願したんだわ」
淫猥な声に混じって、『お願い、やめて』の部分は本当の悲鳴のような声
音に変えた。

56BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:53:17
Artemis0559
 広さ1畳ほどの個室トイレの中は、淫靡な沈黙に支配されていた。
「ツトム様は、こういった画像がお好きなのですか?」
沈黙を破ったのは、アルテミスの方だった。妖しく光る瞳でツトムの顔を
見つめながら、しなやかな指で、ツトムの太股をジーンズ越しに擦った。
「拷問されて殺された女性の死体画像がお好きなの?」
「えっと……」
ツトムは満足に返事ができない。自分を見つめるブルーの瞳に魂を吸い込
まれていくような錯覚を覚えていた。
「敏感な急所を徹底的に攻撃された挙句、苦しみ抜いて死んだ女の死体を
見ると、ツトム様は興奮してしまうのね?」
アルテミスの声が次第に上ずってきた。卑猥で猟奇的な台詞を口にするだ
けで、興奮しているのだろう。
「女の急所、どこか分かるでしょ?」
その問いに答えるように、ツトムの視線がアルテミスの下腹部に落ちた。
しかし両膝が閉じられているので、オマンコは見えない。

アルテミスは妖しく微笑むと、両膝を少しだけ開いた。ツトムの喉がゴク
リと音をたてる。
「フフフ。私のオマンコ、ご覧になりたいですか?」
アルテミスは挑発的な瞳で男の顔を見つめながら、リンボーダンスのよう
にゆっくりと上半身を後ろに倒し始めた。

やがて上半身がほぼ水平に倒れた。しかし両膝はわずかに開かれただけで、
ツトムの目線からオマンコは見えない。
「オマンコご覧になりたいですか?」
先ほどと同じ質問をすると、ツトムの返事を待たず、左右の膝をガバッと
勢いよく開いた。

 太股がほぼ横一文字に開かれ、オマンコがむき出しになった。すでにお
びただしい量の淫液が溢れ出ている。
「ここを拷問された女がどんな悲鳴をあげるか、ご存知かしら?」
「こ、ここって……?」
ツトムの声が震えている。
「ここですわ」
アルテミスがツトムに向かってオマンコを突き出した。一杯に開いた両脚
は、股関節の軋み音が聞こえてきそうだ。
「オマンコよ。女体拷問では、必ずここを責められるのよ? 小陰唇、膣、
オシッコの出る穴……、オマンコは敏感な部分だらけなの」
アルテミスは上半身を後ろに仰け反らせた体勢のまま、片手の指で大陰唇
を割り開いた。陰唇の間に溜まっていた淫液がドロリと流れ出した。

次いで陰唇上端の包皮を剥いた。ピンク色の突起が飛び出した。
「でも一番の弱点はここですわ。クリトリス。ここを拷問されて耐えられ
る女はいないわ。クリトリスを責められたら、女は必死に許しを懇願する
しかないのよ?」
見ると、勃起したクリトリスがピクピクと震えている。この肉突起を拷問
された時のアルテミスの狂乱ぶりは、実際に見た者でなければ絶対に分か
らない。
「クリトリスを拷問された女がどんな反応をするか、私の肉体を使って実
験してみませんか?」

57BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:54:26
Artemis0560
「じ……、実験って……。もしかして、拷問されたいの?」
ツトムの声は期待と興奮で震えている。アルテミスは深呼吸を1回してか
ら、
「えぇ、そうよ。拷問されたいの。責め殺されたってかまわないわ」
蕩けるような声で答えた。
「え……、でも本当に死んじゃったらイヤでしょ?」
「いいの。かまわないわ。でも多分……大丈夫。死なないわ」
死なないわ――この言葉の本当の意味を、ツトムは知らない。

「お願い、ツトム様。私を拷問して。何をされても絶対に抵抗しないわ」
「じゃ……、じゃあ、ご、拷問させて下さい。でも……」
ここで、ツトムは周囲を見回した。広さ1畳ほどのトイレの中では、拷問
どころか身動きすら満足にとれない。
「じゃあ場所を変えませんか?」
そう言って、便座から立ちあがった。

「やっと出てきた。何してたのよ?」
トイレから出てきたアルテミスを、プリアナが見咎めた。そして男と連れ
添って店の出口に歩いていくのを見て、呼び止めた。
「鉄仮面、どこ行くのよ?!」
「えっと……、お客さまの靴にシミができたから、クリーニングに行くの。
もしも閉店までに戻ってこない時は、さざなみ刑務所から迎えが来るわ」
「あ、待ちなさいよ! ちょっと鉄仮面?!」
アルテミスはプリアナの声を背中に受けながら、マクナルホド吉川橋店を
出て行った。

 ツトムはマクナルホドの専用駐車場に車を停めていた。リッター30キロ
の燃費が自慢の軽自動車だ。ツトムがアルテミスに、後部座席に横になる
ように命じた。ネオガイア星人に占領された今は助手席に全裸の女が乗っ
ていてもパトカーに停められる心配はほとんどないが、万が一という事が
ある。低燃費の代償に後部座席は狭かったが、アルテミスは器用に身体を
折り曲げてシートに横たわった。

アルテミスに続いて、ツトムが運転席におさまった。
「少し前に……」
ハンドルを握りながら、おもむろに口を開いた。
「少し前に、宇宙人に誘拐されたとか話す頭のおかしな女を、拷問した事
があるだよ。その人は重症の真性マゾでさ。ためしに陰唇をハサミで切っ
たら、必死の形相で『クリトリスも切って!』と懇願するんだ」
アルテミスは静かにツトムの話を聞いていた。
「だから望み通りクリトリスを切り取ろうとしたんだけどさ。その前に、
僕、悲鳴を聞いて駆けつけてきた警察に捕まってしまったんだ。その人と
はそれっきり会ってないんだけど、名前なんていったかなぁ……。たしか
ユリなんとかだったな」
そこまで一気に話して、ツトムは無言になった。午後6時半頃、2人を乗
せた車はマクナルホド吉川橋店をあとにした。

『レンタルサイボーグ 1 〜 マクナルホド編 その1』 おしまい

58BiBi ◆8cBPUextJk:2013/05/31(金) 00:57:52
■■■ 最新の投稿 2013年5月31日
>>42-57 『レンタルサイボーグ 1 〜 マクナルホド編 その1』

■■■ 前スレ
アナザーストーリー掲示板内にあります。URLはこちらです。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11681/1243254237/
タイトルは『アルテミス アナザーストーリー(改) byBiBi 』です。

■■■ 目次
>>2-5 登場人物の紹介など

■ アルテミスのアナザー
文頭の通し番号は、Artemis****
>>6 『襲来』
>>7-10 『アルテミスの被虐生活1』
>>22-30 『ラリカとユリアー2』
>>33-36 『プチレアとヒロ〜その1』
>>42-57 『レンタルサイボーグ 1 〜 マクナルホド編 その1』

■ 由梨香のアナザー
『八谷早苗の回想編』
文頭の通し番号は、Artemis.UY1.Sanae****
>>12-20 『八谷早苗の回想 013 〜 勤務初日05』

■■■ 出版
オリジナルストーリーの作者さんが、amazonのKindle本に『小説 生体
実験』を上梓されました。詳細はamazonにアクセスして『コスミックエロ
ス』と『エイリアン』の2ワードで検索するか、もしくは下記にアクセス
して下さい。
http://t.co/4tqJQolP6v

59BiBi ◆8cBPUextJk:2013/06/11(火) 22:34:27
Artemis0561
『プチレアとヒロ〜その2』
 プチレアとヒロの奇妙な同棲生活が、ここブロンクス地区の廃倉庫で続
いていた。そこは電気も水道も通っていなかったが、それほど不自由はな
かった。

 その夜は、いつもはスモッグに覆われているニューヨークの空には珍し
く、星がよく見えた。プチレアは廃倉庫の窓から星の瞬きを眺めながら、
惑星タイタンに思いをはせていた。窓枠が切り取った四角い夜空の中に、
惑星タイタンが――正確には惑星タイタンの主星の光だが――あるのか、
プチレアには分からなかった。
(故郷があるというのは、どういう事なのだろうか?)
惑星タイタンは巨人レアの故郷だが、レアの分身であるプチレアの故郷と
言えるのだろうか……。

(そういえば、ヒロの国は日本だったな。あそこは今、ネオガイア星人に
占領されている。故郷に残した家族や友人の事が、さぞ心配だろう)
ヒロに視線を移すと、男は黙々とデジカメの画像を編集していた。大半は
プチレアの卑猥な画像だ。プチレアは声なくため息をつくと、ふと空腹を
感じた。

 プチレアも地球人同様、生きるためには食事を摂らなくてはならない。
好物は肉で、すでに地球人を何人か食べている。ただし食べる物は、必ず
しも人肉でなければならないというわけではなく、他の動物や穀物などで
もよかった。実際、銀行強盗を食べたのを最後に、地球人を食べてはいな
い。その代わり、近所の食料品スーパーの倉庫のシャッターが何か強力な
力でこじ開けられ、大量の食品が紛失するという事件が頻発するように
なったが……。

「ヒロ……」
プチレアが少し恥らうような声で呼ぶと、ヒロが嬉しそうに顔を輝かせて、
デジカメを撮影モードにセットした。
(また写真を撮るのか)
プチレアは自分に向けられたレンズを見つめながら、ゆっくりと両膝を開
いてM字開脚姿勢になった。

「プチレアさん、見えなくなっちゃうから、まだ触ったら駄目ですよ」
「分かってる」
プチレアが腰を浮かせた。これでヒロにはオマンコも肛門も丸見えだ。
「プチレアさん、奥まで見ていいですか?」
「あぁ、いいぞ。手で開いて見てくれ」
地球人の数倍のサイズのオマンコは、ヒロの親指以外の計8本の指をあっ
さりと飲み込んだ。

陰唇がバクッと左右に開かれた。まださほど濡れていなかったにもかかわ
らず、淫液がドロリと流れ出てきた。巨人は淫液の量も多いのだ。
「凄いです、プチレアさん。オマンコの中が肉の襞(ひだ)で覆われてい
て……、あ、オシッコの穴がヒクヒクしてます」
ヒロが観察するように、陰唇の内側を覗き込んだ。プチレアの口がわずか
に開き、悩ましい声がもれた。プチレアは露出が好きなマゾだった。
「アァアアア……、そんな恥ずかしい事を言わないでくれ」
そう訴える声は、嬉しそうだ。

60BiBi ◆8cBPUextJk:2013/06/11(火) 22:35:05
Artemis0562
「中に指を入れてもいいですか?」
「ああ、かまわない。挿れてく……アヒィ?!」
プチレアが小さな悲鳴をあげた。
「そ、そこは違う。ち、膣に挿れ……、ひぐぅぅぅ!」
ヒロが中指を挿入したのは、尿道の穴だった。身長10メートルの巨人の尿
道口だからこそできる荒業だ。

「くっ、そこは違うと言って……アヒィ?! いや、やめてぇ……」
拒絶の声が、尿道内の指が回転運動を始めたとたん、甘い悲鳴に変わった。
「プチレアさんのオシッコの穴、すごく熱いですよ?」
ヒロの声も興奮で上ずっている。自分の数倍もある巨人の尿道を恐れ気も
なく指でかき回す事のできる、この男は、もしかしたら本当にヒーローに
なりうる器の持ち主なのかも知れない。
「気持ち良いですか?」
「ば、馬鹿。そんな所をかき回されて気持ち良いはずがないだろう」
そう言いながらも、プチレアはM字になった両脚を更に大きく開いて、ヒ
ロに向けて股間を突き出している。

「今度はここですよ?」
ヒロがプチレアの秘裂上端の包皮を剥いた。身長10メートルの巨人女のク
リトリスは、成人男性の親指ほどある。そして感度は……。
「アヒィッ?! や、やめ……、そこは今はやめ……て……キャアアア!」
ヒロがクリトリスを口に含んだ瞬間、プチレアが悲鳴をあげた。
(やっぱり感度が異常だ。こんなに感じるはずがない)
プチレアは拳を握りしめた。噛み締めた上下の歯がギリギリと音をたてる。
見ると、かたく閉じられた瞼の間から、涙が溢れ出している。

 ヒロがデジカメを、プチレアの満開のオマンコに当てた。
「あぁ……、イヤァ……」
性器の内側を撮影される行為は、露出と羞恥好きなマゾのプチレアを狂喜
させる。フラッシュの閃光のたびに、切なそうな喘ぎ声をもれた。
「ヒィィィ! た、頼む。もう許して……」
肉突起を覆う薄い粘膜を歯で擦られると、切迫したような悲鳴を迸らせた。
今のプチレアの姿をもしも誇り高いタイタンの女戦士レアが見たら、きっ
と憤慨するだろう。

「ヒロ、もういい……。やめて」
プチレアの声は、息も絶えだえといった様子だ。ヒロがクリトリスがか口
を離すと、プチレアはなかばホッとしたような、なかば不満そうな目でヒ
ロを睨んだ。
「プチレアさんのクリトリス、すごく美味しかったです」
「う、うるさい、馬鹿」

 プチレアがオマンコに指を這わせた。地球人の数倍の長さの指が、クリ
トリスの上を往復し始める。
「ア、アァ……、き、気持ちいい」
今までヒロに舐められていたそこは、おそろしく敏感になっていた。
「あうぅううう……、ヒロの馬鹿者。オ、オマエのせいで……」
その喘ぎ声は、何もない空間から聞こえた。正確には、何も見えない空間
から聞こえた。

61BiBi ◆8cBPUextJk:2013/06/11(火) 22:35:42
Artemis0563
 プチレアはオナニーをすると身体が透明になるのだ。オナニーで快感を
得ている間だけ――という制約付きだが、この能力は、身長10メートルの
巨人が地球で生活するのに非常に便利だった。最近はオマンコを弄る強さ
を加減して、透明な状態を長時間維持する事が可能になっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ……。アタシは出かけてくる」
何も見えない空間から蕩けるような声がした。押し殺したような喘ぎ声が
倉庫の出口に向かって移動し、シャッターが自動ドアのように開閉した。
「行ってらっしゃい」
独り残されたヒロは、携帯電話を取り出してネットに繋いだ。

 30分ほどして、シャッターが再び開閉した。そして獣じみた喘ぎ声が聞
こえるや否や、何もない空間から半透明の液体が噴き出した。やがて液体
の噴出が止まると、地面に息も絶えだえでしゃがむプチレアの姿が現われ
た。
「はぁ、はぁ、はぁ……。危なかった。近所の食料品店の倉庫を往復する
までなんとかイクのを我慢できたが……、もしも途中で絶頂に達していた
ら、騒ぎになっていたところだ」
「大変でしたね」
などと、飄々と(ひょうひょうと)答えるヒロを、
「オマエがクリトリスを咥えたりするからだろう」
プチレアがキッと睨んだ。

「ところでヒロ、何をしているんだ?」
見ると、ヒロは真剣な表情で携帯電話を弄っている。
「また卑猥なサイトでも見ているのか? 出会い系というやつか?」
「違いますよ。出会い系サイトなんてサクラばっかりですよ」
「さくら? たしかオマエの国の代表的な樹木だったな?」
「いえ、それは桜です。て、そうじゃなくて、いま見てるサイトは……」

ヒロが真剣な表情で見ているのは、地元情報の掲示板だった。この男は観
光案内に載っていないような廃ビルなどを巡るのが趣味で、主な情報源は
このての掲示板だった。そして、そのような掲示板には、内容の真偽は別
として様々な情報が溢れていた。

「プチレアさん。この近くの駐車場が、犯罪者の溜まり場になっているら
しいです」
「犯罪者?」
「はい。地元のティーンエイジャーに麻薬を売っている連中です」

 比較的最近のホワイトハウスの試算によると、全米で年間に売買される
麻薬は640億ドル。そして国立薬物乱用研究所(NIDA)とミシガン大学の
調査では、アメリカの高校生の約半数が、卒業までに大麻を含む何らかの
薬物を使用した経験を持つらしい。アメリカにおけるティーンエイジャー
への麻薬の蔓延は深刻で、それには街頭で麻薬を売る売人の存在が大きく
関与している。

「そうか……」
プチレアの返事はうわの空といった風だ。
「麻薬の売人をやっつけに行かないんですか?」
一方ヒロの顔は妙に真剣で、何かを期待するように輝いている。
「なぜアタシが、地球の麻薬の売人をやっつけなくてはならないんだ? 
それは地球の警察の仕事だろう?」

62BiBi ◆8cBPUextJk:2013/06/11(火) 22:36:18
Artemis0564
「警察だけじゃ駄目なんです。世界には、警察が手を出せない悪が存在す
るんです。僕の国にも、電力会社から献金を受け取って原発の危険性を見
逃している政治家がいて、たしか名前は石……」
プチレアが首を横に振って、ヒロの言葉を遮った。
「ヒロ。何度も言うが、警察が手を出せないような悪には、個人の力など
絶対に届かないんだよ? たとえそれが身長10メートルの巨人でもだ」

「それにアタシは正義の味方じゃない。オマエを襲っていたギャングを殺
したのも、この前銀行強盗を殺したのも、食うためだ」
「でも……」
「ヒロ、長生きしたかったら、悪人をやっつけようなんて考えは捨てろ」
そこまで言って、プチレアは地面に横になって目を閉じた。別に眠かった
わけではなく、ヒロの夢物語に付き合いたくなかったのだ。

 その夜遅く、ヒロはプチレアが眠っているのを確認してから、1人で廃
倉庫を抜け出した。そして携帯のナビを頼りに、駐車場の1つに行き着い
た。あたりは薄闇に包まれていた。地面を照らす1つしかない照明灯がチ
カチカと点滅し、その周囲を光に引き寄せられた蛾が飛んでいる。駐車場
の敷地は600平方メートルほどで、周囲はコンクリートの壁で囲まれてい
る。壁には、個性の感じられない模様のような落書きがされている。この
ての落書きは、ホームレスやストリートチルドレン達の暗号なのだという
噂もあるが、その真偽は定かでない。駐車場の片隅には、ゴミや不法投棄
された電化製品が転がっている。見ると、電化製品はどれも中身を抜き取
られている。

 ヒロは投棄された冷蔵庫の後ろに隠れて、駐車場の中を窺った。
「プチレアさんがやっつけないんだったら、僕がやっつけてやる」
しばらくすると数名の男が現われた。人数は6人。どうやら3人組のグ
ループが2つの内訳らしい。いずれも年齢は十代後半といったところだろ
う。どの顔からも人間性を欠いた凶悪さが滲み出ていて、親のスネをかじ
りながら反抗期を謳歌している日本の不良少年たちとは、根本的に異なる。
ヒロの喉がゴクリと音をたてた。

男達は周囲を用心深く見回してから、ズボンの股間の部分に片手を突っ込
んだ。冷蔵庫の後ろに隠れているヒロには気付いていない。手がズボンの
中でゴソゴソと動き、抜き取った時には小さなビニル袋を握っていた。ビ
ニル袋の中身は、言わずもがな――だ。麻薬の売人は、よく下着の中に麻
薬を隠す。モッコリと股間が膨らんでいても大半の人はペニスのせいだと
勘違いするし、警察もセクハラで訴えられるのを恐れて下着の中まで調べ
ようとしないからだ。

 ヒロがポケットからデジカメを取り出し、男達に向けてかまえた。
シャッターボタンに触れる指が、緊張で震えている。
「犯行現場の写真を警察に送るんだ。あとネットにも公開して……」
薄暗い駐車場に、フラッシュの閃光が走った。あろう事か、フラッシュを
オンにしたままだったのだ。

「誰だ?! あそこだ。逃がすな!」
男達が口々に喚いた。ヒロは逃げようとしたが、恐怖とパニックのせいで
満足に走れない。ヒロが男達に捕まるのに30秒とかからなかった。小柄な
ヒロはたちまち押さえつけられえ、先ほどまで隠れていた冷蔵庫の中に押
し込まれた。冷蔵庫も他の電化製品のように中身を抜き取られていたので、
身長168センチの身体はすっぽりおさまった。ちなみに男達がヒロを冷蔵
庫に押し込めた理由は、逃げられないようにするためと、冷蔵庫ならば蓋
を閉めれば死体を隠すのに便利だからだ。

63BiBi ◆8cBPUextJk:2013/06/11(火) 22:36:49
Artemis0565
 冷蔵庫を6人の男達が取り囲んだ。
「テメェ、何者だ?」
「あ、ぼ、僕は……」
四角い冷蔵庫の中からヒロが恐るおそる見上げると、人間味を欠いた顔が
自分を見下ろしている。どの顔も、以前に出くわしたストリートギャング
よりも更に凶悪そうだ。

男の1人が銃を取り出して、冷蔵庫の中で仰向けに横たわるヒロの股間に
銃口を押し当てた。
「テメェ、何者だ?」
同じ質問が繰り返された。ヒロの口から、恐怖に引きつった声がもれる。
「ポリスじゃなさそうだな」
「こいつデジカメを持ってるぞ? トップ屋か?」
トップ屋というのは、事故現場やゴシップ写真を出版社に売ってる生計を
立てている者たちの総称だ。当然その中には、麻薬の密売現場の写真も含
まれる。
「パパラッチの仲間か?」
「パパラッチには昔からむかついてるんだ。コイツ、殺しちまうか?」

「いや待て。それより良い考えがある。俺の知り合いに、SM好きのホモが 
いるんだ。そいつに売っちまうか?」
男達の話す英語はひどいスラングで、幸か不幸か、ヒロにはそのおぞまし
い会話の内容が解らなかった。
「へへへ。そいつは良い。オイ、たっぷりココを虐めてもらえよ?」
男が笑いながら、ヒロの股間に押し当てた銃をグリグリと動かした。四角
い冷蔵庫の中から、引きつった男の悲鳴が迸った。

「ぼ、僕は日本人だぞ。こんな事したら問題になるぞ」
「聞いたか? こいつ、ジャップだぜ。こいつはラッキーだ。ジャップは、
チンク・クーリーやグックよりも高く売れるからな」
ジャップ、チンク・クーリー、グックは各々、日本人、中国人、韓国人に
対する蔑称だ。
「オイ、ジャップは外国で殺されても『自己責任』なんだろ?」
男が蔑むような目でヒロを見下ろした。昔、イラクでボランティア活動を
していた日本人が武装勢力に拉致された時、日本政府が『本人の自己責任
だ』とコメントし、世界中から顰蹙(ひんしゅく)と冷笑を買った事があ
るが、男もそのコメントを聞いた1人なのだろう。

男の1人がポケットからナイフを取り出した。
「とりあえず逃げられないように、両足の指を1本ずつ切り落とそうぜ」
たしかに足の指を切断されたら満足に走る事ができないが、逃亡防止の方
法として、足を縛るのではなく指の切断を思いつくあたり、男達の異常性
と残忍さがうかがえる。
「押さえつけろ」
「コイツ、じっとしろ。騒いだら、睾丸を切り取るぞ」
「そいつはマズイ。口とアナルとペニスを傷つけたら、高く売れない。あ
と顔も殴るなよ?」

 ただでさえ冷蔵庫の中に窮屈な体勢で押し込まれているヒロは、たいし
た抵抗もできず靴を脱がされ、続いて靴下も剥ぎ取られた。ナイフがつま
先に当てがわれた。刃渡り15センチほどの刃は、不気味な光沢を放ってい
る。今までもたっぷりと血を吸ってきたのだろう。次の瞬間、冷蔵庫の中
に血しぶきが飛び散り、ヒロの絶叫が響き渡った。

64BiBi ◆8cBPUextJk:2013/06/11(火) 22:37:27
Artemis0566
 男達は……、何が起こったのか理解できなかった。ヒロの足にナイフを
突き立てようとしていた男の腰から上が、まるで爆発したかのように消し
飛んだのだ。
「わ、わわわ……うわあああ!」
人間の上半身が吹き飛ぶ光景を下から目撃してしまったヒロは、まだ悲鳴
をあげ続けている。男が吹き飛んだおかげで、間一髪、足の指を失わずに
済んだ事にも気付いていない。

「な、何だ?! 何が起きたんだ?!」
男達はなかばパニック状態に陥りながら、周囲を見回した。そして駐車場
の出入り口を指差した。
「な、何だよアレは……。きょ……巨人? バケモノ?!」
男が発した『巨人』という単語を聞いて、ヒロが冷蔵庫から顔を出した。
「プチレアさん!」
見ると、プチレアは全身がほんのりと上気し、内腿が粘液にまみれている。

 ヒロが廃倉庫を抜け出して10分ほどして、プチレアは目を覚ました。そ
してヒロがいない事に気付いた。悪い予感がしたプチレアは、廃倉庫周辺
の駐車場を片っ端から見て回った。もちろんその間は、ずっとオナニーを
して透明になる必要があった。そしてヒロが襲われているところを発見し
たプチレアは、地面に転がっていたソフトボール大の石を拾って、男に向
けて投げたのだった。身長10メートルの巨人が投げた石は、男の上半身を
跡形もなく粉砕した。

 男は残り5人。
「うぉおおおおおおおおお!」
プチレアは男達までの距離――およそ30メートル――を1秒で駆け抜けた。
男達にしてみれば、瞬間移動したように見えただろう。右ローキックの一
閃で、男4人の身体が宙に舞った。即死なのは確認するまでもない。

「こ、このバケモノめ!」
残る1人がプチレアに銃口を向けて、引き金をしぼった。プチレアの太股
が血を噴いた。――が、身長10メートルの巨人にとっては、少し太いめの
針で注射をされた程度だ。
「おのれ! 地球人め」
プチレアの前蹴りが男の身体を肉片に変えた。
「プチレアさん、あのぉ……」
30秒ほどして、冷蔵庫の中から情けない声が聞こえた。

 誰かが呼んだパトカーのサイレンを背中で聞きながら、プチレアとヒロ
は廃倉庫に戻った。プチレアは倉庫の地面に腰を下ろし、無言で、太股の
傷から銃弾をほじくり出した。銃弾の摘出を終えると、オマンコに指を這
わせた。

プチレアがオナニーをすると身体が透明になるが、肉体に現われる変化は
それだけではなかった。傷の回復力が、飛躍的に高くなるのだ。5分ほど
で出血が止まり、傷の痛みがマシになった。10分後には、瘡蓋(かさぶ
た)ができていた。おそらく30分ほどで薄皮が形成されるだろう。プチレ
アは無言でオナニーを続けた。

「プチレアさん……」
消え入りそうなヒロの声が聞こえたが、無視した。
「すみません。僕のせいで……」
プチレアの身体は透明になっていて、ヒロにはその表情を見る事はできな
かった。

『プチレアとヒロ〜その2』 〜 おしまい

65BiBi ◆8cBPUextJk:2013/06/11(火) 22:39:56
■■■ 最新の投稿 2013年6月11日
>>59-64 『プチレアとヒロ〜その2』

■■■ 前スレ
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タイトルは『アルテミス アナザーストーリー(改) byBiBi 』です。

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>>6 『襲来』
>>7-10 『アルテミスの被虐生活1』
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>>42-57 『レンタルサイボーグ 1 〜 マクナルホド編 その1』
>>59-64 『プチレアとヒロ〜その2』

■ 由梨香のアナザー
『八谷早苗の回想編』
文頭の通し番号は、Artemis.UY1.Sanae****
>>12-20 『八谷早苗の回想 013 〜 勤務初日05』

■■■ 出版
オリジナルストーリーの作者さんが、amazonのKindle本に『小説 生体
実験』を上梓されました。詳細はamazonにアクセスして『コスミックエロ
ス』と『エイリアン』の2ワードで検索するか、もしくは下記にアクセス
して下さい。
http://t.co/4tqJQolP6v

66BiBi ◆8cBPUextJk:2013/08/09(金) 19:23:11
■■■ 出版
オリジナルストーリーの作者さんが、amazonのKindle本に『小説 生体
実験』を上梓されました。詳細はamazonにアクセスして『コスミックエロ
ス』と『エイリアン』の2ワードで検索するか、もしくは下記にアクセス
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■■■ まとめサイト
オリジナルストーリーのまとめサイトのURLが変更されました。
新しいURLはこちらです。
http://eirian.x.fc2.com/honkan.html

2ちゃんねるの『生体実験』は、今まで通り閲覧できます。2ちゃんねる
にアクセスして、『生体実験』でスレ検索して下さい。

67BiBi ◆8cBPUextJk:2013/08/17(土) 21:40:10
Artemis0567
『レンタルサイボーグ 1 〜 マクナルホド編 その2』
 アルテミスとツトムを乗せた車は、広い道路――おそらく国道だろ
う――を南に進んだ。車内に会話はなかった。見ると、助手席の上に、大
きなレジ袋が置かれている。途中、大型雑貨店――ホームセンター――に
寄って買い物をしたのだ。買い物はツトムが1人でしたので、アルテミス
は袋の中身を知らない。

ツトムはハンドルを握りながら、バックミラーで後部座席をチラチラと見
ていた。そのたびにおとなしそうな顔に不気味な笑みが浮かんでいる事に、
本人は気付いているのだろうか……。後部座席には、金属の仮面の上に豚
のマスクを被ったアルテミスが、素晴らしい肉体を横たえている。美しい
マゾ女は、バックミラー越しのツトムの視線に気付いていないのか、無言
で、窓の外を流れる街灯をぼんやりと数えていた。

 さらに10分ほど走っただろうか、車は少し寂れた感じのオフィス街の一
角に停まった。ツトムがエンジンを切って、後部座席を振り向いた。
「着きましたよ」
窓越しにビルの1つを指差した。
「ナントカって名前の都知事が設立してあっという間に経営破綻させた、
銀行の成れの果てです。ずっと無人のまま放置されている廃ビルです。こ
こなら、拷問に使えますよ」
見ると、仰々しい雰囲気を漂わせるビルが、正面の通りを睥睨している。
なるほど廃ビルならば、どんなに悲鳴をあげても大丈夫だろう。

 ツトムがホームセンターのレジ袋を片手に車を降り、アルテミスがそれ
に続いた。2人は壊れた窓の隙間からビルの中に侵入した。アルテミスが
周囲をうかがったが、ヒトの気配はない。廃ビルなので建物内は照明がな
く薄暗かったが、窓から差し込む月明かりもあり、しばらくすると闇に目
が慣れてきた。さらにツトムがホームセンターで小さなペンライトを購入
していたので、建物内を移動するのに支障はなかった。

長い廊下を抜けると、そこはロビーだった。内装は贅沢で、建築に相当な
金がつぎ込まれたのがひと目でわかった。ロビーの奥にドアがいくつか並
んでいる。その内の1つを適当に選んで、ノブを回した。鍵はかかってい
ない。そこは応接室らしかった。もしも件(くだん)の都知事が無能でな
かったら、今頃この部屋で融資の相談などが行われていたのだろう。見る
と、20畳ほどのスペースの中央に、黒檀のテーブルと革のソファが置かれ
ている。他には、壁に往年の映画俳優の肖像画が飾られている。経営が破
綻したにもかかわらず、調度品が処分されずに放置されている事自体、経
営のずさんさと危機管理の甘さがうかがわれた。

 部屋に1つだけある窓から射し込む月明かりが、アルテミスの身体を照
らしていた。非のうちどころのないボディーラインは、神々しいばかりの
美しだ。ツトムが思わず唾を飲み込んだ。
「ほ、本当に拷問していいの?」
「はい、拷問して下さい。私は拷問の専門家に責められ続けて、もうこの
身体は残酷に拷問されないと満足できないんです」
拷問の専門家というのは、もちろんシンディの事である。現在はネオガイ
ア宇宙軍傘下のさざなみ刑務所で、以前はアメリカ軍の捕虜収容所で拷問
の任務についていた真性サディストだ。

68BiBi ◆8cBPUextJk:2013/08/17(土) 21:41:37
Artemis0568
ツトムが首を傾げた。どんなに目を凝らしても、眼前の女体には拷問の痕
がないのだ。それどころか……。
(なんだ、この身体。擦り傷、いやシミひとつないぞ?!)
怪訝そうに女を観察するツトムの顔に、同時に狡猾な表情がちらついた。
(きっと拷問される妄想を抱いてる、頭のおかしな女に違いない。そんな
女なら、あとで警察に訴えられても、女の妄想って事で誤魔化せるぞ)
そんな事を考えながら女体をジロジロと視姦していると、アルテミスと目
が合った。

豚マスクから覗く瞳の色は、澄んだ空を思わせるブルーだ。ツトムは、自
分の邪(よこしま)な心を見透かされるような錯覚を覚えて、おもわず目
を逸らした。
「め、目隠しをしてあげるよ」
と消え入りそうな声で言ってから、アイマスクなどの目隠しの道具をホー
ムセンターで買い忘れた事に気づいた。仕方なく、代わりに使えそうな物
がないか、レジ袋の中を物色し始めた。

ガサガサと音をたてながらビニルの袋をかき回すツトムの手を、アルテミ
スは粘りつくような目で見つめていた。アルテミスは買い物に同伴しな
かったので、袋の中身は具体的には知らないが、ホームセンターでツトム
が拷問のための道具を購入した事は分かっている。ツトムの手が、動きを
止めた。
「これで目隠ししてあげるよ」
レジ袋から引き抜かれた手に握られていた物は、事務用品のホチキスだっ
た。

 ネオガイア星人アルテミスは、地球のホチキスを見るのは初めてで、ど
のように使うかも知らない。だがサディストの手に握られた瞬間、何の変
哲もない日用品が恐ろしい拷問器具に変わる事は知っている。命じられて
もいないのに自らその場で両膝をつくと、ツトムに嫣然と微笑んでから、
静かに両目を閉じた。見ると、豚マスクから覗く長いまつ毛が、フルフル
と震えている。

 ツトムがレジ袋からピンセットを取り出した。もちろん拷問に使おうと
思って購入したのだ。それで、アルテミスの左の瞼(まぶた)を摘んだ。
興奮のせいか、ピンセットを持つ手が震えている。瞼を引っぱり、ホチキ
スを当てがった。
「や、やるよ?」
声も震えている。ガチャンと音がして、コの字をした針金がアルテミスの
瞼を貫いた。

「アッ?!」
アルテミスが小さな悲鳴をもらした。しかし顔はツトムに向けられたまま、
微動だにしない。瞼をクリクリと動かして、何かに繋ぎ止められて開かな
い事が分かると、
「アァ……、いいわぁ。もっとやって」
甘えるような声でおねだりをした。それに応えるように、2つめの針金が
瞼を貫いた。

69BiBi ◆8cBPUextJk:2013/08/17(土) 21:42:38
Artemis0569
 ツトムは次々とホチキスを打ち込みながら、豚仮面と名乗る女のマゾぶ
りに驚かされた。初対面のサディスト――しかも死体画像を見て興奮して
いるような――に廃ビルに監禁されて、視覚まで奪われるというのは、い
くらマゾでも相当な恐怖のはずだ。それを、眼前の女は一切の抵抗をしな
いで、当たり前の事のように受け入れている。

(あの頭の少し変なマゾ女みたいだ)
ツトムの脳裏を、以前会った1人の女の顔がかすめた。全身をピアスと刺
青まみれにしたマゾ女。
『私は宇宙人に誘拐されて、マゾになる薬を注射してもらったの』
遠くを見るような目をしながら、独り言のように呟いていた。
(あの女の時は最後まで拷問できなかったけど、この女は徹底的に責め抜
いてやる)
そんな事を考えながら、今度はアルテミスの右の瞼をピンセットで摘んだ。

 こうして左瞼に6つ、右瞼に6つ。アルテミスの両目は、計12のホチキ
スの芯によって完全に塞がれてしまった。
「あぁ……、私にピッタリな目隠しだわ。素敵ですわ、ツトム様」
アルテミスの言葉通り、ホチキスで瞼を物理的に塞いでしまう方法は、不
死身体質の彼女の目隠しにうってつけだった。たとえ眼球を抉られても
あっという間に完治させしまう不死身の肉体も、ホチキスで物理的に瞼を
塞がれた場合は、針金を取り去らない限り視力を失ったままなのだ。

「これで、もう私は、自分が何をされるかさえ分からないんですわね」
アルテミスは跪いたまま、両腕を頭上に突きあげた。
「ツトム様、どうか両手を縛って下さい」
ツトムがレジ袋から梱包用のビニル紐を取り出して、その両手首にグルグ
ルと巻きつけた。
「これで何をされても抵抗できないよ?」
そう言うツトムに、アルテミスは嫣然と微笑んだ。
「ウフフ、ツトム様。手を縛られなくても、私(わたくし)、決して抵抗
なんてしませんわ? 縛っていただいたのは、淫乱な私がツトム様に無断
でオナニーできないようにする為ですわ」

 変質者は普段は紳士を装い、ちょっとした何かのきっかけで本性をあら
わす。ツトムの場合は、女の両目を塞ぎ両手を縛ったのがきっかけだった。
自分の姿を見られる事がなくなって、大胆になったのだろうか。いきなり
アルテミスを仰向けに押し倒して、その上に覆いかぶさった。

そして、なだらかなラインを描く首すじに顔を押し付けて、ニオイを嗅ぎ
始めた。聞こえてくる荒い鼻息は、まるでトリュフを探すブタのようだ。
男の顔が首すじから腋へと移動し始めると、アルテミスが自ら腕を持ち上
げて腋下を露出した。見ると、意図的に剃っていないのか、髪と同じ色の
腋毛がうっすらと生えている。ツトムがそこに鼻を埋めた。
「はぁ、はぁ、はぁ……、いいニオイだ」
「あぁ、くさいと言ってぇ」
「はぁ、はぁ……そ、そうだ。くさい。臭すぎて吐きそうだ」
「そうよ。私の腋は蒸れ蒸れで、吐きそうに臭いのよぉ!」
汗でじっとりと濡れた腋毛に、ツトムがむしゃぶりついた。

ツトムは腋毛をしゃぶりながら、アルテミスの太股に下半身がこすり付け
た。ジーンズ越しに伝わってくる怒張したペニスの感触が、真性マゾを狂
わせる。
「お、お願い、拷問して! 私を徹底的に拷問してちょうだい。責め殺さ
れたっていいわ」
切迫したような叫び声は、耳にしただけで、どんな堅物の聖職者でも好色
漢に変えてしまいそうだ。

70BiBi ◆8cBPUextJk:2013/08/17(土) 21:43:18
rtemis0570
 仰向けに横たわる女体。その上に覆いかぶさる男。そのままの状態から、
ツトムが上半身を起こして、アルテミスの上に馬乗りになった。騎乗位ま
たは格闘技でいうマウントポジションという体勢に近い。
「拷問してやる。拷問してやる。拷問してやる……」
不気味に呟きながら、ペンライトで女体を照らした。

 アルテミスはまるで見えているかのように、閉じられた瞳をツトムに向
けていた。巨乳と呼ぶにふさわしい2つの膨らみは、その重みで鏡餅のよ
うな形に拉げてはいるが、みっちりと詰まった乳腺と脂肪のおかげで、横
に垂れるような事はない。乳房全体は薄くピンクに色づき、青い血管が
うっすらと透けている。頂点の乳首は大きく膨らみ、まるで熟したサクラ
ンボのようだ。口径の大きな乳輪も赤く色づき、プックリと膨らんでいる。
見ると、乳輪表面に、米粒サイズのボツボツ――モントゴメリー腺――が
散在している。

乳房から腰へと続くラインは理想的なくびれを描いていて、ぬめぬめとし
た腹は無駄な贅肉は全くついていないが、決して無骨な腹筋の板というわ
けではなく、とても柔らかそうだ。形の良い縦型の臍が、妙に愛らしい。
ファッションモデルのスレンダーな肉体と、ポルノ女優のグラマーな肉体。
この相反する2つを、天才的な芸術センスをもってブレンドしたら、きっ
とこんな身体ができるのだろう。

 ツトムがペンライトを左手に持ち替えて、右手を振り上げた。5本の指
はかたく握りしめられている。顔には、いかにも変質者といった感じの笑
みが浮かんでいる。しかし瞼を塞がれたアルテミスは、自分に馬乗りに
なった男が狂気の笑みを浮かべながら拳を振り上げている事に、気付いて
さえいない。拳がアルテミスに、それも女体の急所の1つといえる乳房め
がけて、ハンマーのように振り下ろされた。嫌な音がして、拳が乳房にめ
り込んだ。
「アオォ?! オ……ォオオオ……」
何も見えないアルテミスは、文字通り何の前触れもなく乳房を襲った衝撃
に、身体を硬直させた。
「あ……お……ゲホッ、ゲホッ、ゲボォオオオオオオオオオ?!」
喘ぐような咳は、再び乳房にめり込んだ拳によって中断させられた。

1発、2発、3発……、手加減なしの打撃が、敏感な乳房を叩き潰す。G
カップの膨らみがクッションとなって、肺や心臓への衝撃は比較的少な
かったが、そのかわり乳房は内出血を起こし、見るみる赤く変色していっ
た。
「あ、あぁ……、い、いいわ。ゲホッゲホッ……。血の母乳が出るまで、
ゲホッ……、乳房をた……叩き潰してぇ」
しぼり出される声も絶えだえだ。一方、ツトムは顔を紅潮させながら、拳
を振り続けた。顎から滴り落ちる汗が、激しく上下するアルテミスの腹の
上に小さな水溜りを作っている。

アルテミスの乳房の色が赤から毒々しい赤紫に変わった頃、ようやくツト
ムは拳を止めた。アルテミスの身を案じてではなく、息切れしたのだ。見
ると、顔中汗まみれで、肩で息をしている。
「あぁ、やめないでぇ。も、もっとお願いよぉ」
一方、底なしの変態性欲をまだ満足させていないアルテミスは、自ら身体
を反らせて、乳房をツトムに向けて突き出した。

71BiBi ◆8cBPUextJk:2013/08/17(土) 21:44:17
Artemis0571
その乳房にツトムがむしゃぶりついた。
「メスブタァ、メスブタァ……」
不気味に呟きながら、乳房に舌を這わせる。舌先が乳首を擦った。アルテ
ミスが切なそうに悶えた。
「あ、あ、あ……、舐めるだけじゃイヤ。噛んで、噛んでぇ!」
それに応えるように、ツトムが乳首に歯を立てた。
「ぐひぃぃぃ! い、いいわ。そのまま噛み千切ってぇ!」
ガクガクと震える女体。しかしツトムは、乳首を噛み千切る事はせず、乳
房から顔を離した。乳首を噛み千切る事に良心が咎めたのではなく、2つ
しかない貴重な乳首をあっさり噛み千切ってしまうのが勿体なかったのだ。
実際は、噛み千切ってもあっという間に再生するのだが、ツトムはまだア
ルテミスの不死身体質の事を知らない。

 ツトムがアルテミスの首に両手をかけた。そのまま首を絞めた。男なら
ちょうど喉仏がある辺りに、親指を食い込ませる。血管を圧迫して脳への
血流を遮断するのではなく、気管を力任せに押さえつけて窒息させている
のだ。
「あ、お……ぉ……ウゲ、ガハッ……」
アルテミスが苦しそうに咳き込んだ。Oの字に開いた口から、やや肉厚の
舌が突き出される。
「あ……う……おぉ、ぉぉ……」
流れ出たヨダレと鼻水が混じり合いながら、豚マスクの頬を伝った。瞼を
塞がれていなかったら、きっと血走った両目を見開いているだろう。

普通は首を絞められたら、首に巻きついている指を払いのけようともがく
のだが、アルテミスの両手はバンザイをするように頭の上にのばされたま
まだ。両手首を縛られているとはいえ、肩と肘の関節は自由に動かせるの
だから、ツトムの手を払いのけようと思えば可能なはずなのに……。見る
と、計10本の指が、まるでイソギンチャクの触手のように動いている。そ
してツトムを上に乗せたまま、両脚を一杯に開いた腰を卑猥に上下させて
いる。

 数分後、アルテミスの動きが徐々に弱くなっていき、ついに停止した。
同時に身体がぐったりと弛緩した。ツトムは自分が首を絞めている女が何
の反応もしなくなった事に気付くと、慌てて首に回している指を離した。
「え?! ちょ……、ちょっと?!」
なかばパニック状態に陥りながら、弛緩した女体を揺さぶる。廃ビルに女
を連れ込んで拷問しようという変質者でも、人を殺したかもしれないとな
ると焦るのだろう。

すぐにアルテミスの身体が小さく仰け反り、わずかに開かれた口から、笛
を鳴らしたような音がもれた。胸が規則正しく上下運動を始めた。どのよ
うな傷も完治させる不死身体質だ。首を絞められた程度で死ぬ事はない。
ツトムがパニックを起こした事を、その息遣いから察したアルテミスは、
「大丈夫ですわ。首を絞められても、私は死んだりしません」
と、嫣然と微笑んで、自分の乳房を両手で挟んだ。
「ほら、ご覧になって?」

「え? あれ? えぇぇ?!」
ツトムが素っ頓狂な声をあげたのは、アルテミスの乳房のボリュームに驚
いたからではない。
「傷が消えてる……。なんで?!」
内出血で毒々しく変色していたはずの乳房が、もとの白磁の肌を取り戻し
ていた。

72BiBi ◆8cBPUextJk:2013/08/17(土) 21:45:07
Artemis0572
「私は不死身の体質なんです。どんな傷もあっという間に完治します」
「不死身?」
「はい。実は……、生まれつき。生まれつきの特異体質なんです。病院で
検査も受けましたが、原因は分かりません」
「特異体質……」
アルテミスは適当に嘘を混ぜながら、話のつじつまを合わせた。

元ネオガイア宇宙軍の女士官アルテミスは、公式には戦死した事になって
いる。囚人999号の正体を知るのは、ピタゴラス博士やメビウス博士と
いった一部の科学者、あるいは宇宙軍の高官だけだ。他には、特例として、
アルテミスの背任行為で死亡したネオガイア兵士の遺族の中にも知る者が
いるが、彼らには厳重な守秘義務が課せられている。そのような機密事項
を、たかが一介の地球人ごときに明かす訳にはいかないのだ。

「不死身体質なんて……、信じられない」
ツトムはアルテミスの乳房を見つめながら、呆然と呟いた。たとえ内出血
の痕があっという間に消えたのを目の当たりにしても、不死身体質と言わ
れて「はいそうですか」と納得するのは難しい。

そんな男の反応にアルテミスはクスリと微笑むと、頭の上にのばしていた
両手を自分の口元に持ってきた。そして薬指の爪を歯ではさむと、無造作
に剥ぎ取った。
「ご覧になって?」
そう言って、血の滴る指を差し出した。ツトムの目の前で見るみる爪が再
生し始め、30秒ほどで完全に元通りになった。ツトムの両目が大きく見開
かれた。
「まだ信じていただけませんか? なんでしたら、今度は指を噛み千切っ
てご覧にいれますが? ただ指だと、再生に2〜3分かかってしまいます
けど……」
「い、いや……。いいよ」
爪が再生していく光景を目撃して、ツトムは納得したようだ。

「本当に不死身なんだ……」
「はい、ツトム様。なんでも60億人に1人という、すごく珍しい体質らし
いですわ?」
「へぇ……」
ツトムは感心したように頷いた。
「ウフフ、それで……。ねぇツトム様? この通り私は不死身です」
瞼を塞がれて見えない両目でツトムを見つめながら、
「だから、普通の人間なら死んでしまうような惨たらしい拷問も、やりた
い放題ですわよ?」
アルテミスアはハスキーな声で囁き、挑発的な笑みを浮かべた。

 サディストの変質者にとって、アルテミスほど都合の良い生贄はいない。
決して逆らう事のない真性マゾで、見た事もないような素晴らしい肉体の
持ち主。そしてどんな拷問もやりたい放題な不死身体質――というサプラ
イズ付きだ。こんな女と、誰にも見咎められる心配のない廃ビルで2人き
りになったら……。サディストは仮そめの人間性を捨てて、心の奥底に秘
めたどす黒い欲望を全て吐き出すしかない。
(どんな拷問もやりたい放題)
ツトムが下卑た笑みを浮かべた。

73BiBi ◆8cBPUextJk:2013/08/17(土) 21:45:59
Artemis0573
 ツトムが再びアルテミスに覆いかぶさり、その素晴らしい女体に頬ずり
をし始めた。鼻息荒く、
「あぁ、凄い。凄いよぉ。好きだ、好きだよぉ。愛してるぅ」
などと気色悪く呟きながら、乳房にむしゃぶりつく。Gカップの膨らみを
包む白い肌を吸い始めた。いたる所に赤い斑点、いわゆるキスマークが作
られては、すぐに元の白さを取り戻す。どんな傷も完治させる不死身体質
だ。この程度の斑点、消えるのに数秒とかからない。

ツトムが乳首に歯をたてた。さらに反対の乳房の1つを鷲掴みにして、爪
を食い込ませた。見ると、手の甲に血管が浮き上がり、肘から先がブルブ
ルと震えている。
「あ、あぁ、もっと、もっと強く噛んで」
ツトムの歯の間でブツンと小さな音がした。
「アッ、アァアアア。乳首がぁあああ……」
迸った女の悲鳴には、明らかに快感の響きが含まれていた。ツトムが噛み
千切った乳首を咀嚼し始めた。クチャクチャと嫌な音がする。男にしては
やや小さめの喉仏が、ゴクリと上下した。

 今度は、血を流す乳房の先端に、まるで乳牛用の搾乳機のように吸い付
いた。再び喉仏が上下をくり返す。まるで母乳を飲んでいるようだが、胃
に流し込んでいる液体は赤い色をしている。
「いいわ、もっと吸って。私の血を飲ん……、ふぎゃあああ!」
アルテミスの嬌声が、途中で悲鳴に変わった。乳房とツトムの口の隙間か
ら、ドロリと血が流れ出た。ツトムが顔を離すと、乳房の先端が直径5セ
ンチほどクレーターのように抉れていた。

小さな乳首と違って、乳輪を人間の歯で噛み砕くのは時間がかかった。ツ
トムは優に1分近く、噛み千切った女の乳首をたっぷり味わうように、血
まみれの口をクチャクチャと動かした。ドロドロになるまで噛み砕くと、
半分ほどを自分の胃に流し込んで、残りを口移しでアルテミスの口腔内に
流し込んだ。もう完全に変質者だった。
「の……、飲め、豚仮面。自分の乳輪を食べろ」
興奮のせいで震える声でツトムが命じると、アルテミスはツトムに見える
ようにわざと口を開いて、口腔内に溜まったかつて自分の乳輪だったものを飲み込んだ。こちらも完全に変態だ。

ツトムがアルテミスの乳房に視線を戻すと、今しがた噛み千切った乳首と
乳輪が完全に再生している。血まみれの口でニィッと笑うと、また乳房の
先端を口に頬張った。数秒後、肉のちぎれる音がして、アルテミスが悲鳴
をあげた。

『レンタルサイボーグ 1 〜 マクナルホド編 その2』 おしまい

74BiBi ◆8cBPUextJk:2013/08/17(土) 21:48:59
■■■ 最新の投稿 2013年8月17日
>>67-73 『レンタルサイボーグ 1 〜 マクナルホド編 その2』

■■■ 前スレ
アナザーストーリー掲示板内にあります。URLはこちらです。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11681/1243254237/
タイトルは『アルテミス アナザーストーリー(改) byBiBi 』です。

■■■ 目次
>>2-5 登場人物の紹介など

■ アルテミスのアナザー
文頭の通し番号は、Artemis****
>>6 『襲来』
>>7-10 『アルテミスの被虐生活1』
>>22-30 『ラリカとユリアー2』
>>33-36 『プチレアとヒロ〜その1』
>>42-57 『レンタルサイボーグ 1 〜 マクナルホド編 その1』
>>59-64 『プチレアとヒロ〜その2』
>>67-73 『レンタルサイボーグ 1 〜 マクナルホド編 その2』

■ 由梨香のアナザー
『八谷早苗の回想編』
文頭の通し番号は、Artemis.UY1.Sanae****
>>12-20 『八谷早苗の回想 013 〜 勤務初日05』

■■■ 出版
オリジナルストーリーの作者さんが、amazonのKindle本に『小説 生体
実験』を上梓されました。詳細はamazonにアクセスして『コスミックエロ
ス』と『エイリアン』の2ワードで検索するか、もしくは下記にアクセス
して下さい。
http://t.co/4tqJQolP6v

■■■ まとめサイト
オリジナルストーリーのまとめサイトのURLが変更されました。
http://eirian.x.fc2.com/honkan.html
または
http://eirian.h.fc2.com/index.html

2ちゃんねるの『生体実験』は、今まで通り閲覧できます。2ちゃんねる
にアクセスして、『生体実験』でスレ検索して下さい。最新の更新を読む
には、2ちゃんねるにアクセスする方が良いかも知れません。

75BiBi ◆8cBPUextJk:2013/09/18(水) 15:35:05
一時的に見られなくなっていたオリジナルストーリーのまとめサイトが
ほぼ復活したようです。
↓ ↓ ↓
http://eirian.x.fc2.com/honkan.html

amazonでは現在も、Kindle本として『小説 生体実験』が出版中です。
個人的には、人気の高い梅本由梨香や高梨沙貴の外伝などを、
Kindle本でしか読む事が出来ないようにするとかなされば良いので
は……と思ったりもするのですが。作者様も多忙らしく、本編を執筆し
ながら、Kindle本用に外伝を書くのは大変なのでしょうね。

当アナザーの『アルテミスとツトムの絡み』は、停滞中です。停滞して
いる理由というわけではありませんが、話の参考にしようとネットで実
在のセックスキラーを検索し、被害者のいわゆる死体画像をカラーで
見てしまい、食欲が失せました。

76名無しさん:2013/09/20(金) 12:21:23
BIBIさんの高原沙貴にも期待ですっ

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78<削除>:<削除>
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79<削除>:<削除>
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86BiBi ◆8cBPUextJk:2014/08/28(木) 21:34:10
Artemis.UY3.Wanderin.Tutomu 0000
『梅本由梨香に関する資料 〜放浪の真性マゾ03――ツトム編 その0』

■ はじめに
 特に理由はなかったのですが、1年も投稿をサボっていました。すみま
せん。あまりにもサボりすぎるのも良くないので、少しだけ投稿させてい
ただきます。

今回は由梨香のお話です。時系列的には、ネオガイア星人に誘拐された梅
本由梨香が再び地上に帰ってきた日から数日後、つまりオリジナルストー
リーの第32話『マゾ化薬被験者のその後』あたりです。これを踏まえて、
由梨香の物語を簡単にまとめると、次のような流れになります。

オリジナルストーリー:ネオガイア星人にマゾ化薬を投与される。

当アナザー『囚われのコンパニオン編』

オリジナルストーリー:地上に帰ってくる。

当アナザー『ツトム編」

当アナザー『八谷早苗編』

オリジナルストーリー:SMクラブ『美女拷問の館』で働く。

オリジナルストーリー:漁船に乗せられ、その後、ケチャ島へ漂着する。

当アナザー『放浪の真性マゾ編〜ケチャ族の島』

オリジナルストーリー:ケチャ島から救出されて、ルミナス王国の物語に
続く。

ここで、問題が1つ発生します。オリジナルストーリーを読み返してみ
て、由梨香が地上に帰ってきてから『美女拷問の館』に就職するまで約1
週間しかない事に、気づきました。このわずかの間に、『ツトム編』から
『八谷早苗編』へと物語が進行するというのは、ちょっと矛盾と無理があ
ります。そう、あります。たしかにありますが……、そのあたりは柔軟に
というか、大目に見てください。

87BiBi ◆8cBPUextJk:2014/08/28(木) 21:35:04
Artemis.UY3.Wanderin.Tutomu 0001

 ネオガイア星人によって真性マゾに変えられてしまった元コンパニオン
梅本由梨香は、4ヶ月ぶりに自分のマンションへと帰ってきた。マンショ
ンの家賃は銀行口座から引き落とされていたので、幸い、『梅本』の表札
は外されていなかった。とりあえず、住む場所だけはありそうだ。

「何か仕事を探さなくちゃ」
登録していた派遣会社から送られてきた契約解除の通知を見ながら、由梨
香はポツリと呟いた。いかに真性マゾとはいえ、生きていくためには、お
金を稼がなくてはいけない。早速いくつかの会社に当たってみた。しかし
結果は、全て、面接で不採用となった。
「4ヶ月の間に、世の中不況になってしまったのかしら……」
不採用の理由が顔に彫られた卑猥な刺青だという事に気づかないほど、由
梨香の脳はマゾ化薬に蝕まれているのだった。

「そうだわ。趣味と実益を兼ねて、SMクラブに就職すればいいのよ!」
そう思いついて、今度はSMクラブの求人に応募をした。しかし、現実は、
由梨香が思っているほど甘くはなかった。元コンパニオンだけあって容貌
とスタイルは申し分ないのだが、全身に施された凄まじい肉体改造のせい
で、どのSMクラブも採用をしぶったのだ。ネオガイア星人から受けた拷問
は、SMクラブですら採用を躊躇するほど酷い傷跡を、由梨香の身体に残し
ていた。

88BiBi ◆8cBPUextJk:2014/08/28(木) 21:35:44
Artemis.UY3.Wanderin.Tutomu 0002

 由梨香が地上に帰ってきてから3日ほど後、どことも行く宛もなくブラ
ブラしていると、街頭でポケットティッシュを受け取った。見ると、
ティッシュ袋の裏面に『変態専門テレクラ。女性生殖器を破壊されたい真
性マゾは、ここへ電話しろ』と印字されている。
「女性生殖器を……破壊……。なんて素敵な響きかしら」
由梨香の瞳が妖しく光った。マゾ化薬を投与されて、由梨香は、1日でも
虐めてもらえないと我慢できない身体になっていた。にもかかわらず、地
上に帰ってきてからは、ご主人様が見つからず、自虐オナニーで火照った
身体を慰める日が続いている。しかし、それももう限界だ。

 ティッシュ袋には、女性専用の電話番号が印字されていた。携帯電話は
ネオガイア星人に取り上げられてしまったが、マンションには固定電話が
ある。電話料金もマンションの家賃と同じく銀行口座から引き落とされて
いたので、今も使えるはずだ。由梨香はティッシュ袋を握りしめて、大急
ぎでマンションに帰った。マンションのオートロックを解除し、エントラ
ンスに入って、エレベーターの呼びボタンを押した。上を見上げると、エ
レベーターの位置を知らせるランプがゆっくりと点滅している。
(早く来て、お願い、早く来て!)
待ちきれなくて、呼びボタンを何度も押した。

 ようやく自分の部屋にたどり着くと、パンプス――婦人靴の一種――を
乱雑に脱ぎ捨てて室内に直行した。部屋のすみに置かれた電話の子機を手
に取り、握りしめていたティッシュ袋を広げた。見ると、ビニルの袋はし
わくちゃに変形し、汗でじっとりと濡れている。
「へ……、変態専門テレクラ。女性生殖器を破壊されたい真性マゾは、こ
こへ電話……。女性生殖器破壊……、女性生殖器破壊……破壊……破
壊……」
ティッシュ袋に書かかれた広告文を呪文のように呟きながら、興奮に震え
る指で、袋に書かれた電話番号をプッシュした。興奮のあまり2度番号を
間違えて、3度目にようやく変態テレクラにかかった。

『ここは変態の紳士淑女が集う憩いの場です……』と変なアナウンスの後、
なんとも重々しい音楽が流れ始めた。ショスタコーヴィチ交響曲第5番第
4楽章。相手と回線がつながるまでの待ち時間用のBGMなのだろう。にし
ても、変態テレクラのBGMにこの曲を選んだ人物は、一体どんなセンスの
持ち主なのだろうか……。

89BiBi ◆8cBPUextJk:2014/08/28(木) 21:36:22
Artemis.UY3.Wanderin.Tutomu 0003

回線はすぐにつながった。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
耳を澄ますと、受話器の向うから男の喘ぎ声が聞こえる。
(アァ! ち、ちんぽを弄ってるんだわ!)
由梨香の脳裏にネオガイア星人達のペニスが思い出された。もうペニスの
事しか考えられない!
「い、いじめて下さい」
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「どんな拷問をされてもかまいません。アナタの好きにして下さい」
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「オマンコをボロボロになるまで徹底的に責めて下さい」
「はぁ、はぁ、はぁ……、アゥ!」
男は、『アゥ』のひと言を残して、電話を切ってしまった。再び、重々し
いBGMが流れ始めた。

2人目の男ともすぐにつながった。
「こんにちわ、はじめまして。M女の方ですか?」
「はい」
「僕はソフトSMに興味があるんです。よかったら、お互いの信頼関係を大
事にしながら、少しずつSMを楽しんでいきませんか?」
「はい」
随分と紳士的な物言いだった。ソフトSMというのが少し不満だが、虐めて
もらえるのならそれでもいい――、と、由梨香は思った。
「プロフィールを聞いてもいいですか? OLさんですか? 声が可愛いか
ら、もしかして女子大生さんなのかな?」
「元イベントコンパニオンです」
「はぁ!? イベントコンパニオン? 嘘言ってんじゃねぇよ! てめぇサ
クラだろ、ボケ、死ね、クソやろう!」
男は突然キレると、一方的にまくし立てて、そのまま電話を切ってしまっ
た。

(あまり素敵なサディスト様いないわね)
ショスタコヴィチの名曲を聴きながら、由梨香は小さく溜息をこぼした。
まぁ往々にして、テレクラに電話をしてくる男に、『素敵な男性』なんて
いないだろう。もっとも、この真性マゾのいう『素敵な』は、『残酷な』
という意味なのだが……。

90BiBi ◆8cBPUextJk:2014/08/28(木) 21:36:57
Artemis.UY3.Wanderin.Tutomu 0004

 3人目とは、なかなかつながらなかった。諦めて電話を切ろうとした時、
BGMが止まった。そして、相手が見つかった事を知らせるアナウンスが聞
こえた。
「も……もしもし?」
今度は由梨香の方から話しかけてみた。それに対して、
「はぁ、はぁ、はぁ……。ご……やる、ごう……してやる」
受話器の向うから、地の底から響いてくるような男の息遣いが返ってき
た。残念ながら、声が低くて、何を話しているのかよく聞き取れない。仕
方ないので、もう一度、話しかけてみる事にした。
「もしもし?」
「ご、拷問してやる……」
「ひぃ!?」
由梨香が引きつったように息を吸った。もちろん『拷問』という単語に反
応したのだ。
「ご、拷問してください。お願いです、拷問してください!」
気がつくと、電話回線の向うにいる見知らぬ男に、そう懇願していた。

「ほ、本当に拷問されたいの? 名前はなんていうの?」
男が少し面食らったような声で聞いて来た。意外と高い声をしている。
「由梨香。梅本由梨香です」
「それ本名? 名だけじゃなく、苗字まで名乗っていいの? えと、僕は
ツトムっていいます。苗字は……、秘密です」
「はい、よろしくお願いします。ご主人様」
由梨香の声が嬉しそうだ。

「えと、僕の携帯に電話してきてくれる? これテレクラなんだけどさ。
男はけっこうお金がかかるんだ」
「え? お金がかかるんですか? 女はフリーダイヤルなのに……」
由梨香はテレクラに電話をするのは今日が初めてで、テレクラが男に課金
される事を知らなかった。ちなみに2人目の男が言った『サクラ』という
のも、女の誰かの名前だと思っているくらいだ。
「そうだよ。男はお金がかかるんだ。じゃあ番号を言うよ。090
の……」
「あ、ま、待って!」
電話の男――ツトムが自分の携帯電話の番号を言おうとするのを、由梨香
が止めた。
「わ、私の電話番号を教えるから、ツトム様の方からかけてきて下さい」
「え!?」
ツトムが驚きの声を発した。無理はない。女が、変態テレクラでつながっ
た素性も知れない男に、自分の電話番号を教えようというのだ。そんなツ
トムの驚きをよそに、由梨香は一切の躊躇なく自分の電話番号をツトムに
教えた。そして最後に、「コレクトコールでかけてきて下さい」と付け加
えて、再度ツトムを驚かせた。

91BiBi ◆8cBPUextJk:2014/08/28(木) 21:37:31
Artemis.UY3.Wanderin.Tutomu 0005

 由梨香は、電話機の『切』をプッシュして、男からの電話を待つ事にし
た。何気なく玄関の方を見ると、先ほど脱ぎ捨てたパンプスが裏返しに
なって転がっている。傷がついたかも知れない。税込み81000円もしたブ
ランド物のパンプスだ。しかし、そんな事どうでも良かった。
「あぁ、早くかけてきて。お願い、ご主人様」
男がどんな風に自分の女性生殖器を破壊してくれるのか、それを想像した
だけで、軽く絶頂を迎えてしまいそうだ。

 待つこと、約1分。電話が鳴った。その固定電話には番号通知機能が備
わっていないので、ツトムの電話番号は分からない。1秒で電話に出た。
受話器を耳に当てる。受話器からは、押し殺したような男の息遣いだけが
聞こえてくる。
「も、もしもし?」
呼びかけてみたが、相手は無言のままだ。そこで、
「由梨香です」
と、名前を告げた。数秒後に、
「ツトムです」
と、返事があった。

「お電話かけてきてくれて、ありがとうございます。由梨香、すごく感激
ですぅ」
「あ、うん。それより、まさか本当に電話番号を教えてくれるとは思わな
かったよ。会った事もないサディストに電話番号なんか教えて、怖くない
の?」
「はい。むしろドキドキしますぅ」
そう答えてから、何か思いついたのか、由梨香の瞳が妖しく光った。

(マゾのくせに、電話番号だけじゃダメよね)
由梨香の細い喉がコクリと上下する。
「わ、私の住所も告白しちゃいますぅ。○○区、○○……」
ツトムの返事も待たず、由梨香は自分の現住所をしゃべり始めた。その声
は興奮でうわずっている。変態テレクラでつながった見ず知らずのサディ
ストの男に、か弱い女の身で、本名と電話番号ばかりか住所まで教えよう
としているのだ。それがどれだけ危険な事かは、マゾ化薬に蝕まれた脳で
も理解できる。理解できるからこそ、興奮した。

92BiBi ◆8cBPUextJk:2014/08/28(木) 21:38:13
Artemis.UY3.Wanderin.Tutomu 0006

由梨香は番地に続いて、マンションの名前を口にした。
(あとはマンションの部屋の番号だけだわ。それを言ったら、私の人生終
わってしまうかも知れない。私はこの人のことは、ツトム様っていう下の
お名前しか知らないのよ。やめるなら今よ)
ドクンドクン――、心臓が破裂しそうだ。
(もしもこの人が恐ろしい連続殺人鬼だったら? 住所を教えたら、私は
誘拐されて殺されてしまうかもしれないわ)
変質者に性的拷問を受け嬲り殺しにされる光景を想像して、由梨香の喉が
また上下した。そして、
「○○号室」
なかば無意識の内に、部屋の番号を口にしていた。

(あぁ、言ってしまったわ。私の本名も電話番号も、そして住所も)
由梨香は興奮のあまり、感極まって泣き出してしまった。すぐにでも衣服
を脱ぎ、股間に手を這わせたかった。オマンコが淫液でドロドロになりな
がら、弄られるのを待っている。しかし……、まだやり残した事がある。

「はぁ、はぁ、はぁ……。ご、ご主人様。もう1つ、お伝えしないといけ
ない事がありますぅ」
蕩けるような甘い声でそう言うと、由梨香は、床の上に放り投げられた
キーケースを見つめた。
「私のマンションはオートロックになっていて、鍵がないと中に入れない
んですぅ。だ……、だから、ご主人様が自由に私の部屋に入って由梨香を
誘拐できるように、鍵を、表の植木の下に置いておきますぅ。小さなポプ
ラの樹ですぅ」
ツトムは無言で、由梨香の声を聞いていた。由梨香の常軌を逸した行為に、
言葉を失っているのかも知れない。

その後、2人は少しだけ話をして、電話を切った。電話を切ると、由梨
香は大急ぎでエレベーターで1階に下り、表の植え込みに向かった。そし
てポプラの樹の下に自分の部屋のキーを置いて、落ち葉で隠した。次の日
の朝、樹の下を見ると、鍵はもうなかった。


『梅本由梨香に関する資料 〜放浪の真性マゾ03――ツトム編 その0』
〜おしまい

93BiBi ◆8cBPUextJk:2014/08/28(木) 21:45:50
■■■ 最新の投稿 2014年8月28日
>>86-92 『梅本由梨香に関する資料 〜放浪の真性マゾ03――ツトム編 0』

■■■ 前スレ
アナザーストーリー掲示板内にあります。URLはこちらです。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11681/1243254237/
タイトルは『アルテミス アナザーストーリー(改) byBiBi 』です。

■■■ 目次
>>2-5 登場人物の紹介など

■ アルテミスのアナザー
文頭の通し番号は、Artemis****
>>6 『襲来』
>>7-10 『アルテミスの被虐生活1』
>>22-30 『ラリカとユリアー2』
>>33-36 『プチレアとヒロ〜その1』
>>42-57 『レンタルサイボーグ 1 〜 マクナルホド編 その1』
>>59-64 『プチレアとヒロ〜その2』
>>67-73 『レンタルサイボーグ 1 〜 マクナルホド編 その2』

■ 由梨香のアナザー
『八谷早苗の回想編』
文頭の通し番号は、Artemis.UY1.Sanae****
>>12-20 『八谷早苗の回想 013 〜 勤務初日05』

『ツトム編』
文頭の通し番号は、Artemis.UY3.Wanderin.Tutomu****
>>86-92 『梅本由梨香に関する資料 〜放浪の真性マゾ03――ツトム編 0』

■■■ 出版
オリジナルストーリーの作者さんが、amazonのKindle本に『小説 生体
実験』を上梓されました。詳細はamazonにアクセスして『コスミックエロ
ス』と『エイリアン』の2ワードで検索するか、もしくは下記にアクセス
して下さい。
http://t.co/4tqJQolP6v

■■■ まとめサイト
オリジナルストーリーのまとめサイトのURLが変更されました。
http://eirian.x.fc2.com/honkan.html
または
http://eirian.h.fc2.com/index.html

2ちゃんねるの『生体実験』は、今まで通り閲覧できます。2ちゃんねる
にアクセスして、『生体実験』でスレ検索して下さい。最新の更新を読む
には、2ちゃんねるにアクセスする方が良いかも知れません。

■■■ 視点について
文才がないので、三人称の視点にブレが多くあります。読みづらいかと思いますが、ご容赦ください。

94louis-vuittonnbsp×nbsp折りたたみ財布:2014/09/02(火) 08:44:31
メンズ 財布 安い
louis-vuittonnbsp×nbsp折りたたみ財布 http://ameblo.jp/koshimono85/entry-11916937744.html

95chanelnbsp×nbspスカーフストール:2014/09/03(水) 21:08:20
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96モンクレール:2014/09/03(水) 23:13:37
http://www.alarmasatelital.com.ar/js/8SS/omega-index.html モンクレール
モンクレール http://mymstc.in/data/RWB/omega-index.html

97モンクレール:2014/09/04(木) 17:34:03
http://waco.nu/index/2014-9/0WX/omega-index.html モンクレール
モンクレール http://warriorsgroup.net/js/32F/omega-index.html

98モンクレール:2014/09/16(火) 14:01:09
http://franciscoferreira.com.br/css/8I5/omega-index.html モンクレール
モンクレール http://www.isconsultores.com.ar/css/4Q5/omega-index.html

99モンクレール:2014/09/16(火) 14:42:52
http://actiniaweb.com.ar/files/RM6/omega-index.html モンクレール
モンクレール http://afpw.com.br/index/2014-9/IGC/omega-index.html


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