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生体実験、下書き(2)

1作者:2009/05/07(木) 07:52:17
下書き用スレ

2作者:2009/05/26(火) 09:45:09
2009年5月、女性科学者のデメテール(29歳)は、時間エンジンの設
計図を前に、苦渋の汗を流していた。いくら考えても父クロノス博士の4次
元理論を形のある動力機関に応用する事が出来ない。時空戦艦アルゴーの艦
体は既に完成し、通常エンジンで飛行するだけなら可能である。しかし、肝
心の時間航行が出来なくては話にならない。植民地総督であるピタゴラス博
士からは、何度も何度も催促され、デメテールは、ノイローゼ寸前に追い込
まれていた。
(時空砲は、すでに完成している。そのエネルギーをフィールド状に展開し、
艦体全部を包み込むようにすればいいのだけれど・・・)
父クロノス博士の作った時間航行機ですら、アルゴー程の大きさではなかっ
た。エネルギーを制御し、なおかつ操縦者の意図する時間ポイントに、正確
に移動させなくてはならない。しかも、常に発生を続けるパラレルワールド
を無視し、元いた世界へ戻る時空ナビゲーションシステムとも連動させなく
ては意味がない。デメテールは、試作品として卵型の時間転送機を作ってみ
た。
「試してみたいけど、危険だわ。地球人の実験体を使おうかしら」
デメテールは、資材調達部に、実験体の提供を依頼した。アンドロイドに連れ
て来られたのは、久保田道康(22歳)だった。道康は、専門学校卒業後、
派遣社員として自動車工場で働いていたのだが、3月にリストラされ、ぶらぶ
らしていた所を、ネオガイア人に拉致されたのだった。
「俺をどうしようってんだ!」
「簡単な実験よ。この装置を実際に使ってみて、正常に作動するかどうか、試
して欲しいだけ」
デメテールは、卵型の装置にネックストラップを付けた時間転送機を、アンド
ロイドに両脇を押さえ付けられ、動けない道康の首に掛けた。
「そんなもん、自分で試せばいいだろ!」
「試作品なのよ。失敗したら危ないでしょ」
「くそっ、離せ!」
道康は暴れた。得体のしれない実験で、自分の命を落とすかも知れない。
「一時間後の未来へ移動するように、セットしておいてあげる」
デメテールは、道康の首にかけられた装置のボタンを押し、液晶画面に表示さ
れているメモリを動かした。一時間後の同じ場所に、被験者が実体化するかど
うかという簡単な実験である。
「じゃあ、一時間後の未来で会いましょう」
デメテールは、スイッチを押し、離れた。

3作者:2009/05/26(火) 09:46:11
道康の周りで、時間が止まった。両脇を抑えているアンドロイドの動きが止
まり、デメテールも、道康の首から、ぶら下がっている、卵型の装置のスイ
ッチを押した瞬間の姿勢のまま、固まっている。
(どうなったんだ?)
道康は、戸惑った。未来へ移動するとか言っていたが、そんな気配はない。
停止しているアンドロイドのアームから腕を抜き、安々と自由になった。
(よく、わかんねえけど、今のうちに逃げよう)
道隆は、固まっているデメテールの背中に蹴りを喰らわせた。女性科学者の
体は、少し動き、倒れかけたまま、また空中で止まる。
(ざまあみろ)
道隆は悠々と歩き出し、自分以外は時間の止まった研究所内を歩き始めた。

4作者:2011/04/16(土) 23:38:19
2007年2月1日。クーデター勃発から1週間後。ヘンリー・スタンフォードの大統領就任式が行われた。彼が、国王ではなく大統領という肩書を選んだのは、民主主義革命という体裁を取るためだった。それにより、形式上マーガレットの女王と言う肩書は残ることになった。
「ヘンリー・スタンフォード、ルミナス共和国の第一代大統領に就任することを、ここに誓います!」
王宮前の大広場に集まった数万の群衆に向けて、バルコニーからスタンフォード大統領が手を振った。傍らには、全裸で犬の首輪に繋がれたマーガレット7世が土下座をしている。国民は、その光景を目の当たりにし、先週まで、彼らの頭上に君臨していた、大航海時代より続く王権が、完全に、地に落ちたことを思い知らされたのだった。
「スタンフォード大統領、万歳!ルミナス共和国、万歳!」
群衆の歓呼が、響き渡り、王宮を揺るがすかのようだった。元々、少なからずの政府への不満が下層階級にはあり、それを新政権側のプロパンガンダでこの一週間煽りたてていたのだった。民衆とは、愚かなもので、テレビや新聞、雑誌で、前政権の失態を大げさに取り上げられると、ほとんど疑う事無く、鵜呑みにしてしまうのだった。
「フフフ、あなたの国民が、私にシュプレヒコールを送っていますよ」
スタンフォード大統領が、マーガレットの裸の背中に、片足を乗せ、靴底で、グイグイと背骨の辺りを、踏みにじりながら囁いた。
「全ての国民が、賛同しているわけではありません」
マーガレットは、キッと睨みあげ、気丈に言い放った。
「どうですかね。今は、21世紀。もう、王室なんてものは、時代遅れなのです」
「王室は、神聖な権威です。王家のものには、神から与えられた使命がある。それを阻もうとする者には、いずれ天罰が下るでしょう」
いかに凌辱されようとも、マーガレットが、引き下がる事はなかった。
(7000年紀の終わり、星々の彼方より、災いよ来たれ。人々は過去に従い、世は、地獄と化す。その時、汝、時の流れに逆らいたまふべし・・・今がその時だわ。あたしは、負けてはいけない・・・)
凌辱されて、くじけそうになった時、何度もマーガレットは、王家に伝わる、その予言を心の中で反芻した。今や、その4行詩は、全てを奪われたマーガレットの心の支えになっていた。
「アトランティスの超科学に、宇宙人が飛来する時代です。今に、世界中で王室は、トランプのキングと、日本の天皇だけに、なるでしょうよ」
スタンフォードは、嘲笑った。

5toms台灣?裡買:2015/09/14(月) 03:20:36
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