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仮投下スレ
1
:
管理人★
:2008/07/02(水) 15:30:41 ID:???
何らかの諸事情の際に仮投下するスレです
340
:
◆YCsZPcr8k2
:2012/07/26(木) 00:29:14 ID:ioesAd0o0
◆ ◆ ◆
「二朱 公人」
九条や黒野の名前が呼ばれるのを聞いて、彼らには悪いことをしたなと思った。恐らくここから出て凡田と顔を合わせれば間違いなく文句を言われるだろう。しかし、これまた彼らには悪いが「二朱」という名前を聞いた途端そんなことはどうでも良くなってしまった。紀香さんがダーリンと称する男性を失った。このことを考えるだけで私の中に快感としかいえないような感覚が湧き上がってくるのを感じた。情けない。紀香さんへの嫉妬がここまでだなんて思わなかった。
しかしこのことで私は理性を取り戻せた。
私は三橋君を生かすと決めたのだ。そのことについて検討しないと。
まず死亡人数だ。三橋君を生かすことを考えればこの人数は明らかにまずいだろう。
ペースの落ちが予想以上だ。
恐らく私たちのように徒党を組んで活動しているのが大半なのだろう。
そして禁止エリアの把握。幸い、ホテルPAWAを含むG−7は禁止エリアになっていなかった。近くで禁止エリアになったところもない。この点に関しては問題なさそうだ。
私は改めて状況の整理をしダイナマイトがない今、どう動くべきかを考えようとした。少なくとも、大量殺害は不可能だろう。
と、そのとき。支給品の中に見慣れないものがあるのに気づいた。
「何よ、これ……」
直っていた。もう使えないと思っていた探知機はいつの間にかそのものが持つ本来の形を取り戻し、その画面にはいくつかの点が示されていた。
341
:
◆YCsZPcr8k2
:2012/07/26(木) 00:29:57 ID:ioesAd0o0
――まずい。
これらはどう考えてもあのイタチの所為だ。気持ち悪いし、こんな道具は使いたくない。
しかしこれは便利だし、画面のある一点を見たとたん、
そこには「灰原」という文字が躍っていた。私との距離で推測すると、入り口に入ったところだろう。あの八神が危険だといっていた男だ。
徒党を組めるような相手なのだろうか……。
【F-6/病院の女子トイレ/一日目/正午】
【四路智美@パワプロクンポケット3】
[状態]:嫌な汗が背中に伝わっている。
[装備]:拳銃(ジュニア・コルト)、バット
[道具]:支給品一式、探知機(エネルギー100%)、充電器
[思考・状況]基本:二度と三橋くんを死なさない。
1:灰原をどうするべきか。
2:三橋くんのために殺し合いにのり人数を減らす。
3:十波典明の言葉を丸っきり信用するわけではないが、一応警戒。
4:亀田の変貌に疑問?
[備考]
※メカ亀田を危険人物だと判断しました。
※ピンクのパーカーを着た少女を危険人物と判断、作業着を着た少女を警戒。
※ダイナマイト5本は呪いの人形に壊されました。また、探知機が正しく作動しているかは次の書き手さんにお任せします。
342
:
◆YCsZPcr8k2
:2012/07/26(木) 00:31:51 ID:ioesAd0o0
一応投下終了です
タイトルは「彼女の決意とイタチの気まぐれ」
でお願いします
あと本投下、どうします?
343
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2012/08/06(月) 18:25:47 ID:zh0dx3O.0
応援しかできない自分が情けないです・・・
344
:
◆14dLV14i9g
:2012/11/06(火) 19:19:48 ID:4PI5RsZ.0
tes
345
:
管理人★
:2012/11/06(火) 19:21:33 ID:???0
tes
346
:
管理人★
:2012/11/06(火) 19:22:11 ID:???0
遅れてしまい大変申し訳ありません
wikiに収録させていただきました
347
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2012/11/20(火) 00:35:55 ID:jK7hSv0w0
◆YCsZPcr8k2氏の作品『彼女の決意とイタチの気まぐれ』
の「(またなの……)から立ち上がった。」の部分が二回書かれていて
更に「トイレの個室の中の中に」と中が一つ多いです
こちらからだとwikiの編集ができないので修正お願いします
348
:
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/28(水) 00:09:12 ID:aLrR5IgM0
すみません、なんか第二回放送前っぽいSSになっちゃいました……
349
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 16:57:06 ID:LB8Y67kE0
ぎりぎりパソコンが復旧しました
今から、投下します
350
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 17:04:36 ID:LB8Y67kE0
ことの発端はわん子がトイレに行きたい、
と言い出したことだった。
「タツヤさん、トイレに行ってくるワン」
「それじゃあ私もついていきますね」
「ああ、分かった」
トイレは消防署の二階にある。つまり上川の手元からわん子が離れるということだ。が、催眠術をかけたうえ信頼を勝ち取っている上川はそのことにすら気づいていなかった。椿についても同様だ。
「それで兄ちゃん、あの我威亜党とかいう連中をどう思うよ」
そんな議論を耳にして二人はトイレに向かった。
「まずいですね…」
実をいえば天本は椿の身から離れる気はさらさらなかった。彼からはまだまだ十分搾り取れる。少し距離を置いてこれからの行動方針を考えたいな、程度のことしか考えていなかったのだから。
「天本さんは椿さんのことをどう思っているわん?」
「彼は私を怪しいおじさんから救ってくれたんですよ。だからそれなりに信頼してます」
そんな会話をしつつトイレの中に入った。
「それじゃあ、少し待ってて欲しいワン」
そしてわん子はそのまま個室の中に入った。そして、彼女の欲しかった一人で考える時間ができる。
その時。何気なく半開きになっている窓から様子を見、彼女は取り戻した笑い顔を再び取り崩した。
――白瀬が茂みの中にいた。
351
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 17:14:00 ID:LB8Y67kE0
あの女がまだこの場にいる。見たのがわん子だったら危なかった。静かに危機を知らせるどころかアプローチをして私たちを危険にしかねない。死ぬかもしれなかった?もっとも、白瀬がさっきした話は本当かもしれない。しかし、常に最悪を想定しないといけないのは分かっている。
なぜなら天本の最終目的はあくまで優勝。最終的には椿も白瀬も敵なのだ。後ろ盾を失って
だから彼女は念のため持ってきていた二人分の支給品が入ったデイパックからあるものを取り出した。
「わん子さん、ここから温泉に行きません?」
「なんでだワン?タツヤさんがいるワン」
「たくさん動き回って疲れたでしょう?上川さんに迷惑をかけないためにも少し疲れを取りましょう」
「分かったワン」
「それじゃあ、屋上に来てください」
屋上で天本がデイパックから取り出したのはとぶやつ。しかし、青野に支給されたそれとは大きさが違う。説明書には「あのバトルディッカーも運べます」と書いてある。
バトルディッカーなる単語に思い当たりは無かったがそれでもこの場を切り抜けるには十分だ。
「このロケットに乗るんですよ」
「すごく、大きいワン!」
「そうですね、手を離さないでくださいね?」
二人はつわものの巣靴、消防署から抜け出す事に成功する。
そして5分ほどで目的地である温泉のある山頂にたどり着いた。
しかし自分でも強引だったな、とは思う。
何故一人で良かったのにわざわざ芽森わん子も連れ出したのか。言いくるめるのが面倒だったのもあるが、1番は芳槻さらなる女子高生が危険人物だという話を聞いたからだ。自分と同じ女子高生が殺し合いに乗っている。この事実を知った参加者は自分のことを簡単に信じないだろう。だから小学生であるわん子を連れた。
そのわん子は山頂の温泉につくや否や温泉に飛び込んだ。
「気持ちいいワン!」
その言葉を聞きながら天本は考える。
わん子はあまり頭が良くないのは見て分かる。だが、流石にこのままこの場にとどまらせるのは至難の技だ。どうするべきだろう?
だが、やらなきゃいけない。
日の出島に帰るために。
ピンポンパンポン〜♪
352
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 17:14:47 ID:LB8Y67kE0
【E-4/温泉/一日目/昼すぎ】
【天本玲泉@パワプロクンポケット4】
[状態]:健康、暖かい
[装備]:なし
[道具] 支給品一式、
[思考・状況]
基本:日の出島に帰る。
1:一応は芽森を利用して協力者を探してみる。
2:人を結果的に殺すが、今は様子見。
3:第3放送前後にホテルに行く?
【とぶやつ@パワプロクンポケット10】
基本的には青野に支給されたものと同じ。
しかしディッカー用であるため人が3人乗った状態で、エリア2個分移動し
かつ往復が可能なエネルギーを有している。
その分サイズも4倍。
エネルギーを注入できれば再利用できるだろう。
説明書には「バト(ry」
【芽森 わん子@パワポケダッシュ】
[状態]:疲労小、暖かい。
[装備]:ヒーローのスカーフ@パワポケ7、モップ@現実
[参戦時期]:わん子ルート、卒業直後
[道具]:支給品一式(食料はキムチと何か)、ヒーローの衣装セット@パワポケ7、ヒーローのスカーフ四個@パワポケ7
[思考・状況]
基本:殺し合いから脱出する。
1:天本さんに付いていって温泉に入る。
2:帰ってきたらタツヤさんと行動。
3:走太君を探したい。
4:いつかタツヤさんに自分の正体を伝えたい。
一方。消防署の中で襲撃のときを待ちかえている愛。彼女にもまた選択の時、そう放送が近づいていた。彼女には選択肢が3つあった。白瀬を殺すか消防署の中の5人を殺しに行くか、それか
…逃げるかだ。なぜ今頃逃げるという選択肢が出てくるのか?愛に予想外が二つあったからだ。一つめは白瀬が予想外に大人数を連れて来たこと。二つめは白瀬が消防署の中に帰ってこなかったところ。どちらも「自分が死ぬ」というリスクが大分高まるものだった。愛の最終目的はあくまで生存だ。その過程である優勝のために無理をして死んでしまっては意味がない。
(白瀬、悪かったわね。裏切らせてもらうわ)
信頼が薄ければ裏切るのも容易い。愛は慎重に消防署の後ろに回り一気に駆け出した。
愛は日頃から風賀の国を走り回っている忍者だ。そのため身を隠すのも移動するのも一人ならお手の物、彼女は一気に神社まで移動した。
ちなみに神社に移動したのは愛が森を得意とする忍者だからである
そして鳥居に飛びのったその時、2回目の放送が鳴り響いた。
次々と死者の名前が告げられていく。
それを一応メモはするが彼女の頭にあったのはこの前、城をせめられたとき逃げ出したことだった。あの時は彼女の父、野々村の活躍で事なきをえたが愛はずっと後悔していた。
「お父さん……」
鳥居から見えたのは月ではなく太陽だった。
353
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 17:15:28 ID:LB8Y67kE0
【C-2/神社/一日目/昼】
【愛@パワプロクンポケット5裏】
[状態]右脇腹に傷(応急処置済み)
[装備]ウージー
[道具]支給品一式×3(不明支給品0〜2)、ベレッタM92(6/15)、ベレッタの予備弾倉×5、煙幕×2
[思考] 基本:自分が生き残ることが第一。
1:とりあえず休む。
2:生き残るためなら、他の人間を殺すのもやむをえない。
3:白瀬は死んでくれているとありがたい。
[備考]
※参加者はそれぞれ違う時間から誘拐されたと何となく理解しました。
◆ ◆ ◆
「兄ちゃん、あの二人はどこに行った?」
ちょうどとぶやつを使って天本とわん子が消防署から抜け出して20分。椿は2人がいなくなったことに気づいた。
「トイレ……にしては遅すぎるな。さっきの白瀬って女が潜んでいてやられたのか?」
「いや、ピンク髪の女って奴の方が怪しいな。白瀬も怪しいことには変わらないが、あいつは。どちらにせよ見に行く必要があるだろう。どちらがいく?」
「俺が行こう」
手を挙げたのは椿だった。すぐに猟銃を手にし、上川が何かいう前に消防署の2階に登っていった。
残された上川はデイパックから紙とペンを取り出し放送の準備をした。
正直なところわん子から絶大な信頼を受けてはいたが上川自身、もう椿に乗り換えたほうがいいのではという気もしていた。椿の連れもいないようだしこのまま2人でチームを組んだほうが便利だろう。仲間がいるらしいしそいつらと合流できればもうわん子に用はない。裏切りの可能性もあるがそれはお互い様だ。
……そろそろカネオに催眠術をかけるころかな。
そう思いカネオのほうを見やると食べものを食べて眠くなったのか奥の方で眠っていた。
ピンポンパンポン〜♪
354
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 17:16:18 ID:LB8Y67kE0
【D-2/消防署/一日目/昼】
【上川 辰也@パワプロクンポケット8】
[状態]:疲労中、走力+5
[装備]: 走力5@パワポケ3、ヒーローのスカーフ@パワポケ7、拳銃(麻酔弾)予備カートリッジ×3@パワポケ8
[参戦時期]美空生存ルート、ルナストーン引き渡し後
[道具]:支給品一式、レッドローズの衣装@パワポケ8、ヒーローのスカーフ三個@パワポケ7、本@パワポケ8裏、『人間の潜在能力の開発』に関する資料@パワプロクンポケット4、黒い板@パワポケロワオリジナル
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出
1:とりあえず放送を聴く。椿とチームを組みたい。
2:首輪を詳しく調べたい。
3:放送の後に港へ向かい、脱出方法が無いかを調べる?
4:そろそろカネオに催眠術をかける?
【カネオ@パワプロクンポケット9裏】
[状態]:疲労(小)、睡眠中
[装備]:なし
[道具]リュックサック、ヒーローのスカーフ@パワポケ7
[思考]
1:まだまだ食べ足りないんだな〜
2:弟たちを探す。
3:春香に会ったら、『おしおき』をする。
[備考]
※参戦時期は9裏主人公の戦艦に最初に乗り込んできた後です。
※春香の名前は知りません。また春香の見た目に関する情報も、暗かったために曖昧です。
※テレポートをすると疲れが溜まる事を認識しました。
テレポートの移動距離に関する制限は認識していません、またテレポートの制限の度合いは以降の書き手にお任せします。
※名簿は見ていません。
◆ ◆ ◆
椿が二階に上がるのと同じタイミングで白瀬もまた行動を開始していた。
彼女は天本に見られたことに気づいていた、当たり前だ。そしてすぐに椿に自分の位置を知らせるだろうと思って、逃げ出す準備をしたとき。流石の彼女でも予想できなかったことが起きる。屋上から天本ともう一人の女が巨大なロケットを使い南のほうに飛んでいったのだ。銃を持っていれば打ち落とすこともできたが無いものねだりはできない。そもそも問題はそこではない。問題は天本が椿たちに自分の存在を伝えたかどうかだ。
もし伝えたなら猟銃を担いでいた椿に殺される可能性が高い。消防署から立ち退かずこの場所に身を潜めていること自体もうおかしいことなのだから。
伝えて無かったならチャンスだ。まさか二回から人間が現れるとは思ってないだろから隙ができる。愛はそれなりにやってくれるだろし、勝てる!
(チャンス到来ね……)
天本の行動は4人の狡猾な人間の運命を大きく狂わせた。
調和の糸はもう存在しない。
運命の放送が――来る。
355
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 17:20:49 ID:LB8Y67kE0
【D-2/消防署/一日目/昼】
【椿@パワプロクンポケット9】
[状態]:健康
[装備]:鉈、ムラタ銃
[道具] 支給品一式×2、不明支給品1〜4
[思考・状況]
基本:生き残るのに手段は選ばない。
1:とりあえず二階のトイレを確認。
2:天本とともに行動。
3:一応は協力者or黒野鉄斎を探してみる。
4:天本を利用してゲームを有利に進める。
5:第3放送前後にホテルに行く。
【白瀬芙喜子@パワプロクンポケット8】
[状態]左肩に刺し傷
[装備]ソード@パワプロクンポケット9裏
[道具]支給品一式、さおりちゃん人形@パワポケ6裏、ケチャップ(残り1/4程度)
[思考]基本:優勝する
1:戦力増強のため弱者から倒す、強者は後回し。
2:放送と同時に椿を殺す。
3:八神を最優先で殺す。
4:愛と行動するが、灰原と合流できそうならば愛から灰原に乗り換える。
5:過去の人間が居るってことは……未来の人間も居るってことかしらね?
[備考]
※未来や過去から集められてるのではないかと思っています。
※灰原に関しては作り直したのか、過去から浚ったかのどちらかだと思っています。
356
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 17:25:18 ID:LB8Y67kE0
投下完了です
時事列は放送直前でお願いします
死者は出てないんで大丈夫ですかね?
あと、駄文にひどい展開すみません
今回は特にひどくて泣けてくる……
357
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2012/12/09(日) 18:20:29 ID:33p4yFo.0
激しく乙
358
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2013/02/02(土) 21:01:18 ID:mW.vyBXY0
復活したと聞いて。投下乙です!
359
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:18:43 ID:0N6lyOoY0
お久しぶりです、即投下に近い形になりますが予約していた
カネオ、上川辰也、白瀬芙喜子、椿
を投下します
360
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:20:09 ID:0N6lyOoY0
殺すと決めてからの行動は速かった、白瀬は放送でチバヤシの言葉が聞こえた瞬間に駆け出す。
音が多少出るのは承知のうえで白瀬は走りつつ、五感の全てをフルに集中させる。
先ほど飛び立った二人を除けば、この場に居るのは三人。
忍び込んでいるはずの愛とともにならば全員を問題なく殺せる。
(とにかく、いかに死なずに殺せるか……そこがポイントよね)
電撃的に襲いかかり一人でも多く殺し、残りはウージーを持った愛が背後から殺す。
猟銃を持った男が気がかりだが、同時にその男を殺せば銃器がまた一つ増えるということだ。
それに、狭い室内ならば銃器もそれほど大きなアドバンテージを持たない。
『B-4
F-4
G-1』
(B-4、F-4、G-1……B-4、F-4、G-1……)
疾走する白瀬を無視するように響き渡る放送。
白瀬は脳内で禁止エリアを呟きながら、消防署の中を駆け巡った。
(二階……それともひょっとしてこの場にいな……いやッ?!)
一階ではなく二階に居るのではないかその中から一つ、物音を含めた人の気配を感じた。
迷わずに扉を蹴破り、ソードを起動させる。
光の剣が筒から生まれ、白瀬はソードの刀身から決して低くはない熱を感じ取った。
白瀬が乗り込んだ瞬間もまだ放送は続いている。
「なんだッ……なっ、そんな、お前は……!?」
瞬時に室内の様子を観察すると、男が二人ほど居て、片方は眠っている。
白瀬はソードを翻して最も近くに居た、眠っていた男、カネオへと襲いかかる。
「むー……? むーん!?」
騒がしさから睡眠から目を覚ましたカネオは、無表情で迫る白瀬に驚いてテレポーテーションが発動する。
突然の出来事のあまりに遠くへのテレポートではなく、白瀬の背後へと短くテレポートを行なっていた。
「よし、そのまま拘束しろ!」
上川はカネオが背後に回ったことを確認すると声を張り上げる。
上川は白瀬の正体を気づいていた。
忘れるわけがない、目の前の女、白瀬は上川を殺そうとした張本人なのだから。
対してカネオは、寝起きの頭脳はまともに働かないために上川の言葉を素直に従おうと白瀬へと被りかかる。
361
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:21:15 ID:0N6lyOoY0
「ありがと、逃げないでくれて」
だが、そのカネオの行動は悪手だった。
テレポーテーションは白瀬にとっても未知の技術であるが、白瀬に焦りはなかった。
上川の言葉と背後から感じた吐息でカネオの位置を把握し、ソードを背後へと突き刺す。
「ム〜ン!?」
カネオは腹部に激しい痛みを覚え、わめき声を上げる。
そして、上空へと向かって思い切り振り上げると、カネオの身体は真っ二つに両断された。
そもそもとして、襲われたその瞬間にまともな武器を持たないカネオは逃げるべきだったのだ。
逃げるという選択肢を取らなかっただけで、カネオは死んだ。
ちょうど白瀬が突入してから一分半が経った時点での出来事であった。
【カネオ@パワプロクンポケット9裏 死亡】
ソードを翻し、次の行動に移ろうと素早く振り返る。
目の前の男を観察しながら、マルチタスクのように白瀬の頭にある考えがよぎる。
(……まさか、あの女)
未だに襲いかからない愛に僅かに動揺し、同時に愛がこの場から離れたことにすぐさま感づく。
(裏切ったのね、ったく想定はしていたけどムカつく……!)
心中で悪態をつき、舌打ちを鳴らすがそれ以上のアクションは取らない。
どうせいつかは殺し合う相手だ、別れるのが早くなっただけだ。
ウージーを手に入れた時点で裏切るタイミングとしては上々だ、次に会えば殺し合いだろう。
(殺すときは脳みそを焼ききってやる!)
白瀬は脳内で愛を惨殺するイメージを描き、つま先にかかったカネオの死体を蹴り飛ばす。
「うおっ!?」
上川は驚愕の声を上げる。
女性のそれとは思えない強烈な蹴りによって、六十キロは超える巨大な肉の塊が宙に舞う。
普通の人間ならば出来ないことだが、特殊な訓練と特殊な肉体を持った白瀬ならば出来るのだ。
そして、瞬時に上川との距離を詰めてソードを一閃させる。
362
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:22:08 ID:0N6lyOoY0
「!」
「へぇ、これを避けるの……面倒ね、アンタッ!」
上川は横一閃に薙ぎ払われたソードを素早く屈み込んで回避する。
白瀬は褒め称えたが、上川にとっては精一杯の回避行動だった、二度同じことが出来るかと問われればノーだ。
そんな上川の事情も知らず、白瀬は続けざまに攻撃を行おうとする。
だが、白瀬は視界の隅に銃を構えている椿の姿を捉えた。
「ホールドアップだ、姐ちゃんよぉ!」
椿は白瀬へと銃口を向けたまま、睨みつける。
消防署に響く物音に感づき、すぐさま踵を返してきたのだ。
白瀬が椿へと注意を向けたその瞬間、上川は懐から拳銃を取り出す。
「ああ、もう! 私も銃が欲しいっていうのに!」
白瀬の言葉を無視して上川は銃を発砲するが、その銃は麻酔弾であり殺傷性は低い。
しかし、その事実を知らない白瀬は致命傷を防ぐために机を横倒しにして盾とする。
(これはもう撤退ね……!)
白瀬はすぐさまに背中を向けて消防署から逃れようとする。
銃を二つ持った二人組となると、明らかに分が悪い。
どちらかが相手を気遣わずに乱射してくれば、死の可能性はぐっと高まるからだ。
(かかった!)
だが、その逃げようとする白瀬を見て上川はほくそ笑む。
こちらを殺しにかかるつもりがないのならば、上川は催眠に集中できる。
体内に備えた催眠装置を白瀬へと向かってフル稼働させた。
ミュンミュンミュン――――!
「ナッ………アアアアアア!?」
催眠装置は即効性自体は薄い。
わんこのようにこちらを信じたいと思っているのならば催眠は容易だ。
元々の『信じたい』という気持ちに付け込み、後は口で気持ちを誘導していけば良い。
363
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:23:54 ID:0N6lyOoY0
(だが、今回は別だ……!)
だが、白瀬はこちらを問答無用で殺そうと襲い掛かってくるため、そうした言葉での誘導が出来ない。
また、催眠術では動きを急停止させられるほどの強力な催眠を一発でかけることは出来ない。
なにかしら、急ブレーキを連想させる取っ掛かり、いわゆる『フック』が必要となるのだ。
そこで上川は銃声を『フック』にして、白瀬に銃弾が頭に命中したと勘違いさせたのだ。
白瀬がCCRのエージェントであることを上川はよく知っている、なにせ上川を一度は追い詰めた相手なのだから。
当然、エージェントである白瀬は死線をくぐり抜けてきた実績がある。
つまり、痛みについて熟知しているということであり、それは催眠装置を仕込んだ上川にとってはこれ以上無い幸運であった。
痛みを連想させる『フック』として、銃の発砲音を使ったのだ。
「なんだ……おい、何が起こってんだ?」
上川は白瀬が今までに体験した痛みを一瞬だけでもフラッシュバックさせ、動きを止めさせたのだ。
だが、その事実を知らない椿は不可解に顔を歪め、猟銃の引き金に指をかけようとしない。
「何でもいい、さっさと撃て! アイツはヤバイんだよ!」
「あん?」
白瀬の動きが止まるのも一瞬だけ、すぐに脳が誤解に気づいて白瀬は動き始める。
CCRのエージェントとは戦闘用サイボーグですら刈り取る最高の猟犬である。
その猟犬を逃がすことはあまりにも悪手、次は顔を見ることすらなく暗殺される可能性もある。
そのために上川の心には焦りしかなく、猟銃を持っている椿をはやし立てる。
364
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:24:38 ID:0N6lyOoY0
「……まあ、いいさ」
椿は僅かに考えこんだが、すぐに猟銃を構え直した。
銃口は頭へと向いており、そこから銃弾が飛び出せば死は免れない。
たとえ吸血鬼であるあやかであろうとも、戦闘用サイボーグである灰原であろうとも。
頭蓋を打ち砕けるほどの威力ならば猟銃は持っていた。
「しかしよ、幾らなんでも油断し過ぎじゃねえか?」
「なに?」
椿の言葉に応えたのは上川だった。
白瀬へと銃口を向けたまま、椿は上川の側へと歩み寄る。
「俺にばかり喋らせてよ、そっちはニヤニヤ笑って……おまけに女が消えちまった。
ああ、糞、最後はてめえが原因じゃないが、イラつきはするんだよ。
それになんだ、そいつはよ……お前、こいつに何したんだ?」
椿の顔は、苛立ちに染まっていた。
銃口が、その向きを変える。
「なんというか、手札はホイホイと切るもんじゃねえぜ」
「……………おい?」
椿はライターをつけるような気軽さでトリガーを絞った。
猟銃からは銃弾が発砲され、至近距離からの銃撃は『アンドロイドである上川』の頭を撃ちぬいた。
「ドゥヨアビジネス、損得勘定だけは得意でな」
白瀬が突入して、三分が経とうとしていた。
椿は、上川を裏切った。
【上川辰也@パワプロクンポケット8 死亡】
365
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:25:32 ID:0N6lyOoY0
椿は銃口から上がる煙に、ふぅ、と息を吹きかける。
なぜ椿が上川を裏切ったのか?
それは一言で言ってしまえば、上川の手に持っていたカードがあまりにも『不気味』だったからだ。
突然、白瀬を苦しめたのは上川以外にあり得ない。
あまりにも不可思議な、椿の常識からすれば魔法とも言ってしまえるほどの御業。
その正体が掴めない。
ならば、椿は切り捨てることが出来るうちに上川を切り捨てておいた方が得策だと考えたのだ。
同時に上川を殺すことによって、様々な要因を配慮した上で、椿は完全に『殺し合いに乗る』ことを決めた。
その決意は天本玲泉の突然の疾走と、あからさまに殺し合いに乗っている白瀬の存在も大きい。
「おい、そこの姐ちゃん!」
催眠術によって引き起こされた頭を撃たれたという偽りの痛みが抜けきった白瀬へと言葉を投げつける。
椿の表情を苛立ちに支配されており、だがそれでも会話を行うという理性的な行動を取る余裕は残っていた。
「……あんた」
「そっちも言いたいことは色々あるんだろうがな、こっちも聞きたいことが山ほどあんだよ。
まずはその物騒な筒を手放してくれるか?」
椿はポリポリと不潔な頭をかきながら、白瀬へと銃口を向ける。
白瀬は無表情のまま、しかし椿の言葉に従ってソード、椿の言う物騒な筒を地面へと投げ飛ばした。
「まずはクエスチョンワンだ。お前、いったい何者だ?」
「……政府のエージェントよ、戦闘用サイボーグって知ってる?」
「まあな、外国じゃそいつら使ってドンパチやるのが流行ってるそうじゃねえか」
「そいつらは日本じゃ違法だから、そういう奴を捕まえる仕事よ」
「ははぁん、なるほどね」
椿は戦闘用サイボーグについて深い知識はない。
だが、目の前の女が訓練された面倒な相手であることはしっかり理解していた。
そして、椿の表情から苛立ちが僅かに消えた。
知識とはすなわち安心であるため、目の前の白瀬の情報を仕入れることで椿は安心したのだ。
「んじゃあ、クエスチョンツーだ。
こいつと知り合いなのか? あ、いや、知り合いかどうかなんて別にどうでもいいか。
俺が聞きたいのは、こいつはお前になにをしたいのか、ってことだからな」
「……恐らく、催眠装置ね。
人の意識を誘導する装置を内部に仕込んだサイボーグが居るって情報は手に入れていたもの」
「催眠! ケッ、こいつはまた面倒な切り札持ってやがったのかよ」
椿は自身が頭を射抜いて殺した上川の死体を思い切り蹴りつける。
もちろん、椿の力では白瀬がカネオの死体でしたように宙に浮くほどの衝撃はない。
椿は、ふぅ、と息を吐いて肩を撫で下ろし、その鋭い瞳で白瀬を射抜いた。
「なーんか、面倒なことになっちまってな……一度、リセットしようと思ってよ。
幸い、こいつは今まで誰も会ってなかったみたいだからな」
コツン、と椿はそのつま先で上川の死体を蹴りつける。
苛立ちなどの感情は収まっており、椿は冷えきったその脳で生存への道を描いていた。
そして、導き出した答えは一つ。
「俺と組もうじゃねえか、姐ちゃんよ」
「…………へぇ」
白瀬は取ってつけたような、それほど感情のこもらない声を漏らす。
元々、椿が上川を殺したその時から予想はしていた持ちかけだったからだ。
366
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:26:08 ID:0N6lyOoY0
「なら、その銃を下ろしてくれない?」
「まあ、待てよ。順序ってもんがあんだろ?」
椿は慎重な男だ。
白瀬という人間を掴めていない以上、警戒を解くわけがない。
椿は銃口を白瀬に向けたまま、椿も軽口を叩き続ける。
「なんつうか、な。そろそろ半分が死んでいてもおかしくねえ状態だろ?
もういっそ乗っちまおうか……そう思ってよ」
「そう……そういうこと」
「まあ、少なくともアンタと一緒にやったほうが次のアクションは楽みたいだしな」
「次のアクション?」
白瀬はその言葉で椿の言いたいことを理解し始める。
椿はその『次のアクション』を取る相棒を必要としている。
その『次のアクション』までの間だけの期間限定のコンビを組まないか、そう持ちかけているのだ。
「ここで知り合った奴らが居るんだよ、第三回放送辺りでホテルに待ち合わせしている」
「それで?」
「……あんまりそういうのは言わせんなよ」
椿はボロボロの帽子を持ち上げる。
「一緒にぶっ殺そうぜって話だ、わかんだろ?」
その中にある鋭い瞳は、悪意に染まっていた。
「……やらなきゃ殺せちゃうわね」
「よく言うぜ」
肩をすくめながらおどけるように言う白瀬に対して、椿は苦笑する。
椿はそこでようやく銃口を下げ、更に言葉を続けた。
「実はよ、利用するつもりだった女には逃げられたみたいで意外と手詰まりなんだよ。
……ったく、予想外だぜ。あの女、なにか企んでとはな。
逃げ出したそいつの処理も頼みたいんだよ」
「あの屋上から逃げていた二人かしら?」
「あん?」
白瀬の言葉に反応し、椿は疑念の視線を向ける。
白瀬は特に隠す必要もないと考え、放送直前に見た屋上から飛び立つ二人について語る。
「逃げた……そうか、逃げたか」
「あの子も殺し合いに乗ってるんじゃない?」
「……うん、そう来るか」
椿は猟銃を肩にかけ、静かに考えこむ。
そして、一分ほど考え込んだ後に白瀬へと言い放った。
「放っておくか」
「へぇ?」
「減らしてくれるんなら万々歳だろ、弾だって無限にあるわけじゃねえんだ。
こっちが殺したところも見られてないのなら好都合。追いかける必要もなくなったしな」
椿はそれだけを言うと上川とカネオの死体に近づく。
そして、支給品を拾い直すと机の上に広げた。
「まっ、今はお話をしようじゃねえか。ビジネスの時間だ」
367
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:26:54 ID:0N6lyOoY0
【D-2/消防署/一日目/昼】
【椿@パワプロクンポケット9】
[状態]:健康
[装備]:鉈、ムラタ銃
[道具] 支給品一式×3、不明支給品1〜4、レッドローズの衣装@パワポケ8、ヒーローのスカーフ三個@パワポケ7、本@パワポケ8裏、『人間の潜在能力の開発』に関する資料@パワプロクンポケット4、黒い板@パワポケロワオリジナル
[思考・状況]
基本:生き残るのに手段は選ばず、殺し合いに乗る。
1:白瀬とともに殺し合いに乗る。
2:天本はひとまず放っておく。
3:第3放送前後にホテルに行き、白瀬とともに全員を殺す。
4:一応は協力者or黒野鉄斎を探してみる。
【白瀬芙喜子@パワプロクンポケット8】
[状態]左肩に刺し傷
[装備]ソード@パワプロクンポケット9裏、拳銃(麻酔弾)予備カートリッジ×3@パワプロクンポケット8
[道具]支給品一式、さおりちゃん人形@パワプロクンポケット6裏、ケチャップ(残り1/4程度)、ヒーローのスカーフ@パワプロクンポケット7
[思考]基本:優勝する
1:戦力増強のため弱者から倒す、強者は後回し。
2:八神を最優先で殺す。
3:椿と協力するが、灰原と合流できそうならば椿から灰原に乗り換える。
4:あとで愛を殺す。
5:過去の人間が居るってことは……未来の人間も居るってことかしらね?
[備考]
※未来や過去から集められてるのではないかと思っています。
※灰原に関しては作り直したのか、過去から浚ったかのどちらかだと思っています。
※走力5@パワポケ3は上川の死体に装備されたままです。
368
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:28:29 ID:0N6lyOoY0
投下終了です。
369
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/05(火) 23:37:33 ID:QXVhZmyA0
タケミ、メカ亀田を投下します。
370
:
Only My Life
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/05(火) 23:38:20 ID:QXVhZmyA0
「……そんな」
ちょうど放送が始まった瞬間、タケミはまるで人形のように覇気を失っていた。
こんな殺し合いの場に連れて来られた状況で明るくなど振る舞えるわけがない。
だが、その事情を考慮しても今のタケミは今までのタケミと比べても明らかに気落ちしている。
呆然と立ち尽くすタケミに向かい、メカ亀田は疑問を投げかける。
「……どうしたでやんすか? 知り合いはもう居ないんじゃなかったでやんすか?」
だが、メカ亀田に対して言葉を返す気力も沸かず、タケミは無言で立ち尽くすだけだった。
それでも、どうにか唇を震わせて声を出す。
動揺を隠すことすら出来ない。
「さっきの、放送……」
「ああ、そう言えばお前は前の時には気絶してたでやんすね。
あれは亀田の手下でやんす、チバヤシ公爵とか言ってたでやんす」
タケミは第一回放送の際に気を失っており、先ほどの第二回放送が初めて耳にする放送であった。
つまり、タケミはチバヤシ公爵の行う放送を始めて聞いたことになるのだ。
「チバヤシ……そう、チバヤシ……」
肉声ではない上に、その姿を見たわけではない。
だが、タケミの記憶にあるものと同一だった。
名前も、声も。
かつて、タケミの側に居た男と同一のものだった。
かつて、タケミと笑ってくれた男と同一のものだった。
――――世界を救える力を持っているのに救わないのは罪ですぞ!
「ッ……」
チバヤシの声が脳内に響く。
この場では機械としか行動を共にしていないが、タケミは人を癒す力を持っている。
触手を操るだけでなく、天使という名のバケモノのタケミにはそのような力もあるのだ。
「ねぇ」
「ん?」
かつて、タケミはチバヤシとともにその力で身近な人を助けていた。
慈善事業のように、無償で人々を救っていた。
気のおけない仲間とともに、身近の人を助けて、ただ笑う。
タケミはそれでいいと思っていたし、穏やかなその生活を気に入っていた。
「力があったら、その力の分だけ頑張らなきゃいけないのかな?」
ただ、側に居たチバヤシはそうじゃなかった。
タケミは今のままで良かったのに、チバヤシはそうじゃなかった。
もっと多くの人を、もっと広い世界を。
タケミの、エンジェル様の力ならば世界を救えると信じていた。
「力の持ち腐れは好きじゃないでやんすね、無意味に遊ばせるのは勿体無いでやんす」
「……そか」
メカ亀田はタケミの問いかけに対して義務的な口調で応える。
ただ、それは一つの組織のリーダーとしての答えだ。
メカ亀田という一個の存在の答えではない。
「ただ、まあ……それはあくまで他人だったらって場合なだけでやんすね」
メカ亀田の声の調子が少しだけ変わったようにタケミは聞こえた。
相変わらず空虚な瞳を宙に向けながら、しかし、どこか感情を匂わせる声でメカ亀田は言葉を続ける。
「所詮は自分だけの人生なら、自分のやりたいことをやるのが一番でやんす。
世の中、そんなことも出来ない奴のほうがずっと多いんでやんすから」
それは嫉みと妬みに汚された言葉だったが、プログラムの0と1の思考の間に生まれたメカ亀田の本音だった。
ここに居ない相手を傷つける刃物のような、作られた偽物だからこそ生まれるむき出しの言葉だった。
「……そっか」
だからこそ、タケミは少しだけ気持ちが軽くなったように気がした。
タケミも、メカ亀田と同じ造りものなのだから。
371
:
Only My Life
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/05(火) 23:39:15 ID:QXVhZmyA0
【D−7/一日目/日中】
【タケミ@パワプロクンポケット10裏】
[状態]:疲労(小)、メカ亀田に対する複雑な感情
[装備]:作業着、コンパス、時計、シールド@パワプロクンポケット3
[道具]:支給品一式、爆弾セット(残り5個)、ラブスコープ@パワプロクンポケットシリーズ、工具箱
[思考]基本:殺し合いには乗らない、首輪を外すために行動する。
1:出来るだけ戦いたくないが、どうしようも無ければ戦う。
2:メカ亀田は気に入らない。
[備考]
※モンスターとしての力は短時間、疲労大の条件の下、発動可。
※十波典明、高坂茜の名前を知りません。
【メカ亀田@パワプロクンポケット6裏】
[状態]:損傷なし、上機嫌
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、PX-001(たかゆき)、ドリル
[思考]
基本:『殺し合い』を失敗させた後に亀田を殺す。
1:ジャミング用の機械と実験用の首輪を見つける。
2:サングラスの男を探すために、東へと向かう。
3:脱出のために役立ちそうな人間を優先して仲間にする。
[備考]
※参加時期は不明。
※メカ亀田は灰原の名前は知りません。
※自動追尾ミサイルとバリアーは没収されています。
※青野の情報は全部嘘だと思っています。
※十波典明、高坂茜の名前を知りません。
372
:
Only My Life
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/05(火) 23:39:50 ID:QXVhZmyA0
投下終了です
373
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 07:29:53 ID:5YcxkcWQ0
予約していた愛を投下します
374
:
月光潜伏
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 07:30:33 ID:5YcxkcWQ0
忍者。
忍者とは戦国の世を影から支えた隠密存在である。
しかし、彼らは一つにまとまることがなく、同じ忍者同士の戦争により疲弊する時を過ごしていた。
そして、その隙に一人の将軍が乱世を収め、やがて歴史から姿を消した。
忍者の存在は忘れされる。
やがて、世界が電子ネットワークが覆い尽くしサイバネ技術が普遍化した未来。
その人々が巻き込まれた質の悪いジョークのような、殺し合いという悪夢。
数百年の時を超えて現れた殺し合いの闇へと招きこまれたのだ。
375
:
月光潜伏
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 07:31:24 ID:5YcxkcWQ0
◆ ◆ ◆
(……少し、休憩)
愛は放送を聞き終えると、安堵の息を吐きながら目を閉じる。
先ほどの放送ではここは禁止エリアにはならなかった。
六時間は休憩を取れる。
(幸い、食料も水も残っている……その上で武器も十分と恵まれた状況だわ。
ひとまず、傷が癒えるまでは籠城ね)
愛は神社に引きこもり、籠城を決め込んだ。
十分な武器を手に入れた今、愛が焦る理由はなくなった。
下手に動いて裏切った白瀬と遭遇し、殺し合いになるデメリットのほうが大きい。
それに、白瀬が生き延びていれば他の参加者を減らしてくれる可能性も高い。
ならば今は走り回る時ではない、そう愛は判断した。
長期戦を覚悟して、英気を養う時なのだ。
(お父さん……)
愛の心にあるのは故郷と、家名と、誇りと、名高い父の存在。
人は死んでしまえば、もはや次はない。
生命を奪い合う世界で生きてきたからこそ、愛はそれを悔しいほどに知っている。
それでも愛は人を殺すことを決意した。
全ては家のため、『月光』のため、そして、自らの誇りのため。
力を手に入れるために、すべてを犠牲にする覚悟を持っている。
「ふぅー………!」
腹部に溜まった邪念と力を、長い息とともに吐き出す。
精神統一の準備である。
(…………)
愛は思考を消していき、五感を研ぎ澄ませる。
誰かが『神社』という愛の領域に足を踏み入れた時、素早く反応できるように。
その時、他者を閃光のように殺せるように。
月は、まだ太陽が隠している。
【C-2/神社/一日目/日中】
【愛@パワプロクンポケット5裏】
[状態]右脇腹に傷(応急処置済み)
[装備]ウージー
[道具]支給品一式×3(不明支給品0〜2)、ベレッタM92(6/15)、ベレッタの予備弾倉×5、煙幕×2
[思考] 基本:自分が生き残ることが第一。
1:とりあえず休む。
2:生き残るためなら、他の人間を殺すのもやむをえない。
3:白瀬は死んでくれているとありがたい。
[備考]
※参加者はそれぞれ違う時間から誘拐されたと何となく理解しました。
376
:
月光潜伏
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 07:31:38 ID:5YcxkcWQ0
投下終了です
377
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 22:34:50 ID:5YcxkcWQ0
天本玲泉、芽森わん子、投下します
378
:
あるいは裏切りという名の犬
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 22:36:23 ID:5YcxkcWQ0
温泉に浸かるわん子を置いて、脱衣所で天本はメモを取っていた。
メモの内容は放送で発表された禁止エリアの内訳と死者の名前である。
天本はそのメモを眺めながら考え込んでいた。
付近に禁止エリアは存在しないため、温泉に居られる時間は長い。
死者の発表では知り合いが一人だけ呼ばれた。
同郷の黒野鉄斎という怪しげな研究をしている怪しげな老人だ。
「十六人から八人……」
天本は黒野の死を、どこか遠い出来事のように感じながら呟いた。
決意を鈍らせないためにも、意識的に感傷を覚えないように務めているのだ。
十六人から八人、ペースは明らかに落ちている。
合計で二十四人が死んだということは、残り三十四名。
「……」
天本に提示された選択肢は二つだ。
既定路線通りわん子とともに行動するか、逆にここでわん子を殺してしまうか。
いつ誰が来るかわからない状態での殺人は危険とも言える。
「まだ、早いですね……」
言葉になったかも定かではないほどの小さな声でつぶやく。
先ほどの放送で七原や布具里、七味に春香、そして椿と言った殺し合いの場で知り合った人間の死が述べられ、
さらに、総数が残り十五人を切っているという段階ならば一歩踏み出せたかもしれない。
だが、現実にはまだ残り人数も多く、知り合い、つまり利用できる人間の誰も死んでいない状況。
わん子とともに行動をして、人数が減るのを待つしかない。
となると、一つだけ問題が生まれる。
椿のことだ。
「どう説明しましょうか……」
潜伏していた白瀬を発見し、背筋に嫌な予感が走った。
率直に死の予感と言っても良い。
そこからは本能的に逃げる形でわん子を連れてここまで来たのだ。
そこで問題となることは後々に椿と再開した時だ。
どうして椿たちへ何も言わずに逃げたのか、そこを説明しなければいけない。
「椿さんが乱暴を……駄目ですね、上川さんたちも残っていますし。
単純に怖くなった、そう押し通すしか……」
頭が痛い。
と言っても、あの場から衝動的に逃げたこと自体は後悔していない。
あのままでは死が近かった。
こちらは確かに猟銃を持った椿が居るが、逆に言えば椿しか満足な武器を持っていない状態だった。
下手をしたら天本の命はなくなっていた可能性はある。
大体、あの場に居ても邪魔になるだけなのだ。
そのため、単純な戦力の低下とはならない。
あるとすれば、二人の少女という肉の盾が減ったということだけ。
379
:
あるいは裏切りという名の犬
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 22:37:02 ID:5YcxkcWQ0
「……あら?」
「さっぱりしたワン!」
そんな物騒なことを考えていると、わん子が脱兎の如く浴場から飛び出してくる。
わん子の姿を見て、天本は反射的に笑顔を作る。
笑顔の仮面を作ることは得意だ。
そのため、わん子には天本の張り詰めた表情をしていた事実を見ることが出来なかった。
「もういいって……まだ十分も経っていませんよ?」
「お風呂はもういいワン!」
そもそもとして、犬の転身体であるわん子にとって風呂とは水浴びの延長でしかない。
さっぱりと暖かなお湯に浸かればそれだけで満足なのだ。
「湯船に浸かっただけじゃないですか……駄目ですよ」
「わわっ……!?」
「ちゃんと身体は綺麗にしないと、女の子なんだから」
天本は本心半分、打算半分でわん子を浴場へと押し戻す。
ここで親身になることでわん子の信頼を勝ち取ろうという腹積もりである。
メモを脱衣所に残したまま、浴場へと足を踏み入れる。
そして、桶でお湯を掬ってわん子の背中にゆっくりと流す。
薄い、子供の背中だった。
思えば誰かとともに風呂に入るなど、天本の人生で初めての経験だった。
そう思うと、目の前の少女に妙な愛情を覚え始めた。
もっとも、それはペットへと向ける愛玩の感情に近いが。
「うぅ……!」
「ほら、暴れないで」
わん子は石鹸の泡から逃げるようにじたばたと暴れ始める。
特別鍛えてもいない天本でも簡単に押さえつけられる程度の、どこか遠慮をした弱々しい暴れ方だった。
軽く押さえつけて、優しく髪を撫でる。
僅かに身じろぎした後、やがておとなしくなり天本の手に身を任せる。
天本は意識してわん子の柔らかい体にタオルを滑らせていく。
(震えている……)
石鹸を嫌う無意志的な動きとは別に、わん子の身体が震えていることに気づいた。
それが恐怖によるものだと天本はすぐに感づいた。
自分もまた殺し合いに対して恐怖を覚えているからだ。
380
:
あるいは裏切りという名の犬
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 22:38:16 ID:5YcxkcWQ0
「帰りたいですか?」
自分自身に問いかけるように、わん子へと問いかけた。
「……ワン」
天本は情が移りそうになる自身の心をはっきりと自覚する。
わん子の身体を撫でながら、何度も何度も非情になるべきだと言い聞かせる。
出来るはずだ、そう自分を励ましながら天本はわん子と接する。
いざとなったら殺す相手に、親身になって言葉を投げかける。
「本当は消えるはずだったから、そういう心の準備はできてたワン……」
「消える?」
「でも、それでも、帰りたい……」
天本が不思議そうに聞き返す。
だが、わん子は聞こえていないのか、それ以上はなにも口にしない。
天本の心中に単純な好奇心が生まれるが、下手に警戒心を与えてしまうことを嫌って追求はしなかった。
ただ、頭を撫でるようにわん子の髪を梳かしていく。
「くぅん……♪」
嬉しそうに喉を鳴らすわん子はその名の通り犬のようだった。
少女と犬の可愛らしさを併せ持ったわん子の挙動に、天本の胸がズキリと痛む。
髪を梳かし終えると、天本は静かにわん子の首に手をかける。
細い首だった。
華奢な天本の腕力でも殺せそうな、あまりにも弱々しい細い首。
このまま両手に力を込めれば殺せそうな、そんな首筋だった。
瞬間、人を殺すという道徳的な嫌悪感により胃の中で胃液が暴れ始める。
天本はその嫌悪感を呑み込み、わん子に悟らさせないように心がける。
殺そうと考えだけでこんな有様だ、これで本当に人を殺せるのだろうか。
そんな不安が天本へと襲いかかる。
「……帰りたいですね」
それでも同時に胸に過ることは、愛しい人との生活だった。
雲に遮られ続けていた人生の中で唯一光に思えたあの時間を、もう一度体験したい。
「……帰りたいですね」
「ワン……私も、帰りたい……」
「私は、絶対帰ります」
―――貴女を、殺して。
.
381
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 22:38:35 ID:5YcxkcWQ0
投下終了です
382
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 22:38:58 ID:5YcxkcWQ0
失礼しました、状態表が抜けていました
【E-4/温泉/一日目/日中】
【天本玲泉@パワプロクンポケット4】
[状態]:健康、暖かい
[装備]:なし
[道具] 支給品一式、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:日の出島に帰る。
1:一応は芽森を利用して協力者を探してみる。
2:人を結果的に殺すが、今は様子見。
3:第3放送前後にホテルに行く?
【芽森 わん子@パワポケダッシュ】
[状態]:疲労小、暖かい。
[装備]:ヒーローのスカーフ@パワポケ7、モップ@現実
[参戦時期]:わん子ルート、卒業直後
[道具]:支給品一式(食料はキムチと何か)、ヒーローの衣装セット@パワポケ7、ヒーローのスカーフ四個@パワポケ7
[思考・状況]
基本:殺し合いから脱出する。
1:天本さんに付いていって温泉に入る。
2:帰ってきたらタツヤさんと行動。
3:走太君を探したい。
4:いつかタツヤさんに自分の正体を伝えたい。
383
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2013/02/15(金) 20:45:23 ID:wBZukylQ0
投下おつです!!面白いです!!
384
:
管理人★
:2013/02/20(水) 01:48:55 ID:???0
tes
385
:
管理人★
:2013/02/20(水) 01:50:57 ID:???0
大変申し訳ありません
◆jnvLTxNrNA氏が破棄されていたSS、 願い事1つだけ を誤って収録していました
ただちに修正しました
386
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/20(水) 01:58:51 ID:8Mg.tuKY0
パロロワ総合板に新スレ立てました。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/14759/1361292986/
387
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2013/03/07(木) 19:43:16 ID:zeDbUin60
ロリ画像掲示板
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:2013/12/21(土) 12:21:05 ID:m0aRO8Mg0
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名無しのバットが火を噴くぜ!
:2021/09/12(日) 23:55:12 ID:PSAOvF.g0
『実況パワフルプロ野球2021
大阪桐蔭/藤浪栄冠ナイン3年縛り
ファイナル/ネ申義塾
史実甲子園春夏連覇放送(後編)
〜最後の夏編〜』
(19:40〜放送開始)
ttps://youtu.be/m9fOST4_5Bo
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