[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
【習作】1レスSS集積所【超短編】
320
:
319
:2017/03/22(水) 17:15:58 ID:p/cKF7/c0
新人リャナンシーちゃんが私の原稿を読んで、問題個所を指摘してくれた。かなり厳しいけど、作品の質を上げてくれる助言だと、私は問題を解決するのに頭をひねっていた。
カレーの辛口は苦手だけど、リャナンシーちゃんの辛口批評はクセになる。
ふと、批評で甘口、中辛、辛口というカレーのような段階があるのが気になった。
気になると筆が進まない。こういう時は、リャナンシーちゃんにお願いだ。
「もう直ったの? じゃあ、読ませて」
小さな体で大きな文庫本を広げて読んでいたリャナンシーちゃんが、私の呼びかけに顔を上げて、嬉しそうに笑顔になっていた。彼女は一番厳しい読者でもあり、一番のファンでもあってくれている。
なので、まだだと言うと、かわいらしい顔がお怒りになっております。ごめんなさい。
「何か相談したいことがあるの?」
私は先程浮かんだ疑問をリャナンシーちゃんにぶつけてみた。新人とはいえ、批評などは彼女の専門だから、答えを知っているかもしれない。
「ずいぶんと難しいことを……うーん……」
リャナンシーちゃんが困った顔をしていた。
「批評する側でも基準はまちまち。受け手でもまちまち。なんとなくの基準なの」
確かに、はっきりした線引きは難しいかもしれないけど、そこをなんとか。
「私の個人的な感覚だけど、甘口は知り合い、中辛は友人、辛口は親友に言う程度かな?」
その線引きは、ちょっとわかりやすい。でも、具体的には何が違うんだろう?
「辛口と中辛以下の差は、ずばり、内容に切り込むかどうかと考えてるの」
私は首を傾げた。批評はそもそも内容に切り込むものなのじゃないのか?
「うん。そうね……まずは、創作は正解がないの。だから、結局のところは、批評は批評家の好みの問題なのよね。
掲示板には、私を含めておそらく三人のリャナンシーちゃんがいるけど、それぞれ意見が違っているのは、好みが違うからなの」
確かに、三者三様で批評するところが違うね。
「甘口や中辛で指摘する部分は、好みによる差が少なくて、表層の問題個所を指摘するの……表現方法だったり、文法テクニックだったり、そういう部分ね。甘口と中辛の差は、その要求レベルね」
なるほど。それで、辛口で切り込む内容というのは、深層なんだ。
「構成や設定、人物だったり、物語の根幹に関わるところなの。作者の創作意図に関わる部分だし、好みが強く出てしまうところだから、とってもデリケートな部分なの」
下手すれば、作品全否定になっちゃうね。それは辛口じゃなくて、もはや毒だね。
「表層でも、好みの差が大きい部分に切り込んだり、要求レベルを高くすると、相手にとっては辛口になるの」
批評って難しいね。
「批評もまた文芸作品と思うもの。いい批評は読んでて面白いのよ。私も早く先輩たちに肩を並べなくちゃ」
でも、私へのリャナンシーちゃんの指摘って、内容部分に容赦なく切り込んでくるよね? 親友レベルの辛口批評だったんだね。
「え? 違うわよ」
そ、そんな……私の想いは一方通行だったのか?
「最愛の人レベル、檄辛よ。だから、一生、創作続けてね」
檄の字は誤字じゃないんだろうな。彼女が私の傍らにいる限り、私の筆と心は折れそうにない。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板