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一時投下スレ3

1ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2010/10/31(日) 06:35:32 ID:???
前スレが埋まりそうなので新規作成
皆さんどんどん投下していきましょう

2 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:34:23 ID:???
何度も延長し、結局1時間以上の遅刻をしてしまいましたが、何とか完成しました。
見直し等をする時間がほとんど無かったので、
誤字や脱字、矛盾点などがあるかもしれませんので、指摘をよろしくお願いします。

それでは、シーザー、億泰、露伴、早人、フーゴ、ディアボロ、投下します。

3 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:36:14 ID:???


「まちがいねえ…スピードワゴンさんだ…」

無数の銃創を受け朽ち果てた男の傍ら、シーザー・ツェペリは自分の知る老人の名を静かに告げた。
『老人』と呼ばれるには似つかわしくない若者の姿の遺体。
自分と出会う遥か昔の若い姿。
その姿に、シーザーはこの時代を超越した奇妙な世界を実感した。
否、時代を超越した現実を認めざるを得なくなった。
うな垂れるシーザーとは対照的に、車椅子に座らされたまま冷やかな目で沈黙するのは岸辺露伴。
目線の先には別にもう一体、ヴィヴィアーノ・ウエストウッドの遺体が転がっている。
岸辺露伴の『命令』を忠実に守り、岸辺露伴に『見捨てられてしまった』哀れな男である。

先刻の情報交換と第三回放送の内容を照らし合わせても、この二人がすでに殺害されてしまったことは明確だった。
しかし、自分の目で見て確認するまで納得できないと、コロッセオを後にした3人が、相談して決めた目的地が、コロッセオの真北、戦いがあったと予測されたここ「D-3」エリアであった。
結果は……この有様だ。

そして、下手人の正体も、すでに推測されている。
露伴が襲われたときに見た若い男の人相。
ジョルノと共にいたというスピードワゴンが加勢に走ったという事実。
ブチャラティから得た情報。
そして、『得物がサブマシンガンである』という点……。

加勢に入ったスピードワゴンがウエストウッドに殺され、激昂した彼がウエストウッドを殺害した、という展開の説も考えられた。
だが、この状況では明らかに違う。

この二人を殺害したのは、紛れもなくジョナサン・ジョースターその人だった。

「ジョジョの祖父さんがこれを……そんな……まさか……」

猛禽類に心臓を鷲掴みにされた気分だった。
シーザーにとって最も堪えたのはその事実である。
ジョナサン・ジョースターの狂気をブチャラティに聞かされたとき、無関係のジョルノや事情を既に知っていたジョージはすんなり受け入れていたかもしれないが、彼だけは簡単に信じきれずにいた。
孫であるジョジョの誇り高き生き様をこの目で見てきていたし、己の尊敬している自分の祖父が命を掛けて守るに値した人物だと聞いていたからだ。
しかし、これではまるで違う。
ジョナサン・ジョースターはディオや柱の男たちと同じ…、まるで吐き気を催すほどの『悪』じゃあないか…!

4 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:36:50 ID:???

「露伴ッッッ!! てめえ一体何考えてやがるんだ!!!」

不意に叫ばれた大声に、シーザーは顔を上げ振り返る。
彼のもう一人の同行者、虹村億泰が車椅子に座っていた岸辺露伴の首元を強引に掴み上げていた。

「何をって……見てわからないのか? スケッチを取っているんだよ…
君も知っているだろ? 僕は『リアリティを追及する漫画家』なんだぜ?
サブマシンガンで蜂の巣にされた死体なんてスナッフムービー(殺人ビデオ)でしか見たことが無いからね…」
「……! て、てめえ……!」

露伴の手には、初期基本支給品の紙と鉛筆が握られていた。
そこには、朽ち果てたウエストウッドの生々しいスケッチが描かれている。
体に全く力が入っていない状態で、億泰に強引に立たされている露伴は開き直る。
言葉には全く覇気が無い。

「銃創の大きさから見るに45口径…イングラムM10あたりかな? こんな猟奇的死体は日本ではまず見られないだろうな…
ピンクダーク第5部ではギャングアクションでも描こうと思っているし、こういう『画』も役に立つかもしれんな… これはいい物が見られた…
そうだ、もう50人以上死んでいることだし、これからもっとすごい死体が見られるかも……」
「露伴てめえ……!!!!」

言葉を遮り、億泰は露伴を思いきり殴り飛ばした。
スタンド抜きのガチ喧嘩なら仗助ともタメを張れる億泰に吹っ飛ばされ、露伴は血反吐を吐きながら答える。

「…フン、さっきから『てめえ』しか言ってないぞ? 語彙が少ないな、『アホの億泰』?」
「オラァ!!」

挑発する露伴に、さらにもう一発。
吹っ飛ばされた露伴に、さらに掴みかかりお互いの顔を近づけてさらに大声で怒鳴る。

「露伴ッ! てめえ正気で言ってんのかこのクソ野郎!!
そこの男は…、そこの男はてめえを助けるために死んじまったんじゃあねえのかよ!!
仗助も…康一も…、承太郎さんまで死んじまったってのに…それなのにてめえは……」
「…」

億泰だって本当はわかっている。
露伴が本気でこんな事を思っているわけが無い。
漫画のためにならどんなわけのわからないことだってするし、普段は何を考えているのか分からない気難しい男であるが、杉本鈴美と杜王町の為に殺人鬼・吉良吉影と戦った正義の心は本物であった。

「フン、そんなこと…貴様に言われずともわかっているさ…!」

露伴はこの殺し合いを舐めていた。
放っておいても、どうせ仗助や承太郎が解決してくれるのだろうと……
自分は自分の好きなように行動して、好きなように『取材』でもしていれば、勝手に戦いは終わっていると……
だが、自分が何もしていない間に、頭に来るクソッタレ仗助も、無敵だと思っていた空条承太郎も、自分の一番の友人であったかもしれない康一までもが死んでしまった。
その上、プッツン由花子は殺し合いに乗ってしまっているらしいし、吉良吉影も未だ健在だという。
挙句の果てに自分がヘブンズ・ドアーの能力で安易に書き込んだ『命令』によって、一人の男を死に至らしめてしまったのだ。

5 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:37:47 ID:???
億泰なんぞに諭されずとも、そんなことはわかっている……

露伴は描きかけのウエストウッドのスケッチをその手で握りつした。
言葉には出さないが、目が語っている。
どうやら吹っ切れたようだ。

確かに、好き勝手やるのはここまでだ。

しかし、基本的なスタンスは変えない。
岸辺露伴は漫画家、取材は生き様、やめられない。
しかし、これからは……

荒木を倒す。
そのために取材をする。
それがこの岸辺露伴のこれからの行動方針だ。


「気が済んだか? 露伴、億泰」

頃合いを見計らって、シーザーは2人に声をかけた。
こんなところでいつまでも仲間割れしている場合ではない。
口内に溜まった血を吐き捨て、体に付いた土埃を払いながら露伴は立ち上がった。

「……全く、本気で殴りやがって…、冗談に決まっているだろうが…!」
「ケッ、俺は謝んねえからな!? 今のはゼッテェてめえが悪い!!」

悪態を吐きながらも、先ほどとは明らかに空気が違っていた。
無言の和解が成立したことに安堵したシーザーは、改めて今後の行動方針を提案した。


「DIOの館か…」

シーザーの指差した地図上の一点を見て億泰は声を漏らした。
以前から気になっていた地名ではある。
俺の父親をあんな姿にした仇であり、俺と兄貴の仇の名前だ。
ジョルノによれば、昼前頃はディオや吉良、由花子などを含め、かなりの人数がDIOの館を拠点に動いていたようだ。
そして、DIOの館に向かうと言っていたサンドマンと別れたのも、昼前頃の話である。
未だ健在のようだが、現在どのような状態にいるのか全く分からない。

「話に上がった連中が未だ『館』にいるかどうかは分からんが、行ってみる価値はある。
それに、ただの俺の予想ではあるが、おそらく…ジョナサン・ジョースターもそこへ向かったはずだ!」

スピードワゴンたちの遺体をチラリと見る。
ここでの一悶着が終わった後、ジョナサンならどこへ向かうだろうか、考えてみる。
DIOの館ならそう遠い距離ではない。
狂気に落ちたとはいえ、ディオはジョナサンにとって宿敵…。
優勝以外の目的が無いとしたら、向かわない理由は無い。
誰だってそーする、俺もそーする。


「DIOねえ…、僕はDIOなんか別に興味ないが、この館の『場所』には非常に興味がある。
今まで面倒で地図なんか見ちゃあいなかったから気づかなかったが畜生……
この『DIOの館』とやら、あろうことか元の世界の『僕の家』と同じところに建ってやがるじゃあないか!
コレクションの『るろうに剣心』や『セーラームーンのフィギュア』が無くなっていたらどうしてくれようか、まったく…」


目的地は決まった。
億泰たちの目的の一つでもある川尻早人の行方もきになったが、なにも情報の無い今はとりあえずDIOの館を目的地とするのが最良だと判断した。
地図をデイパックにしまい、シーザーたちは立ち上がった。

「さてと、悪いが僕はもうしばらく車椅子で失礼させて貰うからね。
ケガも治っていないというのに、億泰にタコ殴りにされて体がいう事を聞かないんだよ」
「てめえまだ言うか?」

当然のように車椅子に座る露伴に文句を言いながらも、億泰はしぶしぶ従う。
露伴の目が「押せ」と言っていた。
ため息を吐きながら立ち上がった億泰が車椅子の後に回ろうとして、ふと露伴の後方の茂みがわずかに揺れるのを見た。

茂みの影では億泰よりもやや小柄な少年が、自分と露伴に黒光りのする金属をこちらに向け、狙っていた。

「露伴ッ!! 危ねえッ!!!」

町外れの夕暮れの草むらに、甲高い音が響いた。

6 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:38:19 ID:???






畜生、なぜ僕ばかりこんな目に合わなくちゃいけないんだ。
あのデスマスクの男はいったい何者なんだ…?
自分自身の意志を貫き通すと決めたばかりなのに、どうして僕の邪魔ばかりするんだ?


吉廣を失いディアボロから死に物狂いで逃げてきたフーゴは、コロッセオ北の住宅街を走りぬけていた。
相手が追いかけてきていないことは既に分かっていたが、それでも足は休められなかった。
走りながら、頭の中を巡るのはつい先ほどの出来事。


あのデスマスクの男…。
少し前にノリアキを背負って歩いている姿を見た。
そして今度はポルナレフを庇って僕の目の前に現れた。
ノリアキとポルナレフは仲間同士だ。
デスマスクの男も彼らの仲間なのか?
だとしたら、あの男はノリアキや鋼田一吉廣の言っていた『空条承太郎』という男ではないか?

承太郎もポルナレフと同じくノリアキの仲間だといっていた。
吉廣は承太郎のスタンド能力は『時を止める』ものだと言っていた。
さっきの戦いで吉廣の写真を奪われたとき、僕は何をされたのか分からなかった。
頭がどうにかなりそうだった。
超スピードだとか催眠術だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてない、もっと恐ろしいものの片鱗を味わった気分だった。
今思えば、あれは『時を止める能力』だったのではないか?
そう考えれば、瞬間移動のように、いつの間にか距離がつめられていたことにも説明がつく。

いや、しかし、それはありえない、はずだ…。
空条承太郎は死亡したと、確かに放送で告げられていたはずだ。
それに、ポルナレフ自身もあのデスマスクの男を知らない感じだったような気もする。
くそう、吉廣さえ殺されなければ……
彼が何かを知っていたかもしれないのに…

わからない…
第一、あいつが僕のスタンド能力を知っていたのは何故だ?
僕は自分のスタンドがいかに危険なものか自覚している。
普段僕はめったにスタンドを使わないし、能力を知っているのはチームの仲間くらいのはずだ。
チームの誰かが僕の能力を喋ったのか?
ブチャラティか、ミスタか、それともアバッキオか、新入りのジョルノの奴か…?
なぜ喋った?
スタンド使いにとって、スタンド能力がばれることは死活問題だとわからないはずがない……
ブチャラティたちと決別した僕は、もう仲間じゃないからか…?
勝手に裏切っていったのは、あいつらの方なのに……?

わからない、わからない……
何が真実かわからないまま、疑心暗鬼は深まるばかりだ。

7 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:39:17 ID:???
そんなフーゴが突然全力疾走の足を止め、思考を休め、歩幅を縮める。
住宅街に転がる、一人の男の遺体を見つけたからだ。

「…ミ……ミスタ……!」

殺し合いが始まって早19時間。
彼が『この世界』に来てから初めて再会した仲間は、すでに遺体となったグイード・ミスタだった。
いや、正確には『元』仲間か。
いずれにしても、この遭遇は彼をさらに精神的に追い詰めることにしかならなかった


こいつは…なんて安らかな顔で逝ってやがるんだ……
全身に無数を傷を負いボロボロになっているにもかかわらず、その表情はまるで満足し、安心しきって逝ったみたいじゃないか……
これじゃあ、ミスタがこれまでの時間をどう生き、ここでどう死んでいったのか、わからないじゃないか。


脇には、ミスタの物と思われる支給品も転がっていた。
元仲間の死を目前にした直後であるという負い目を感じつつも、生き残るため、フーゴはデイパックやミスタの身につけている装備をあさり始めた。
見つけたのは2つの手榴弾……そして―――

「これは……ナランチャのナイフ……」

なぜこんなものがここにあるのか、そんなことを考える余裕はフーゴには無かった。
ナランチャとケンカをしては彼にフォークをブッ刺し、仕返しにこのナイフを喉元に突き付けられたりした。
今となっては全てが懐かしい日々だ。
ミスタの遺体、ナランチャのナイフ。
この二つを発見したことが、何故かフーゴに楽しかったその日々が二度と戻らないものであると確信させたのだった。


なあミスタ…… お前は… お前たちは僕を売ったりしない……
そうだよな? 僕たちは仲間だったよな……?


ミスタは答えない。
孤独は死に至る病とはよく言ったものだ。
もはやフーゴの心は極限状態まで追い詰められてしまった。

8 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:40:09 ID:???
「――――――露伴! てめえ――――――!!!」

その時、誰かのどなり声のようなものが聞こえ、フーゴはノロノロと起き上がる。
音源の場所はそう遠くは無いようだ。
あえて作業的にナイフと2発の手榴弾を懐に忍び込み、フーゴはミスタに無言の別れを告げ、走り去る。
あえて無関心を装うとこで、自分の中で整理をつけようとしていた。

住宅街を北に抜け、草原のような広場に出ると、さらに声のした方へ茂みの中を移動する。
しばらく進んだところで、言い争いをしている2人の日本人と、二人の仲間と思われる長身(アバッキオと同じくらいか)のラテン系の男を発見した。
向こうはこちらの存在には気づいていない。
しばらく様子を伺っていたら、じきに口論は収まり、3人で集まって何やら話し合いを始めた。

さて、これからどうするか…?
いや、どうするもなにも、選択肢はたった一つじゃないか。
殺すんだ、三人とも。
ブチャラティたちも、デスマスクの男も関係ない。
結局のところ、ポルナレフを殺したのだって僕ではなく吉廣だ。
僕は見ず知らずのあの三人を『殺す』ことで、けじめをつける。
そして、誰にも囚われない、僕自身の生き方を見つける。

懐から拳銃を取り出す。
このリボルバー式拳銃の装弾数は6発だが、今装填されているのは4発だ。
予備弾薬を持っていないわけじゃあない。
今はこれが『ベスト』なんだ。
先ほど別れを告げてきたこの銃の『元』所有者は、何故か知らないが病的に『4』という数字を嫌う男だった。
あえて残り『4』発にしておくことは、これが既に僕自身の銃であるという証明だ。
僕と、かつて仲間だった男との、決別の証しだ。


3人に動きがあった。
出発するようだ。
まずい、今を逃しては、チャンスは無い。

車椅子に座ったバンダナの男の後頭部に照準を合わせた。
そして、引き金を引こうとしたその時、もう1人の男と目があった。
気付かれたッ――!!

「露伴ッ!! 危ねえッ!!!」

僕は咄嗟に、引き金を引いた。

9 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:41:34 ID:???




「ぐわァァ!!」
「なッ―! お…億泰ッ!!」

轟音とともに撃ち出された鉛弾は、車椅子ごと露伴を突き飛ばした億泰の左肩を貫通した。
億泰の肩から血が溢れ出す。

「お…億泰ッ!! おいッ!! 億泰ッ!!」

車椅子から投げ出された露伴が億泰に駆け寄り声をかける。
肩を押さえて苦しむ億泰……急所は外れているようだが、この様子ではもう戦えそうもない。
その様子を見て、フーゴは舌打ちしながら茂みから姿を現した。
拳銃の扱いに慣れていないフーゴは、相手に気づかれてしまった以上、この距離では外すかもしれない。
走って距離を詰めながら、更に拳銃を構える。
露伴は咄嗟に億泰の体を背中に回し、フーゴからの盾になる。
フーゴにとってそれはむしろ好都合、狙いは今度こそ岸辺露伴。

「やばいッ!! 露伴ッ――――――!!!」

このままでは露伴が撃たれてしまう。
少し離れたところにいたシーザーだったが、2度目の銃撃を察知するや否や、無意識に走り出していた。

(――――岸辺露伴を守る――――)

そう、自分の意志とは関係なく、無意識に……。

(――――岸辺露伴を守る――――岸辺露伴を守る―――――)

ヘブンズ・ドアーの『命令』からは、何者であろうと逃れることはできない。
看守ウエストウッドがそうであったように……

(―――――守る――――守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る守る――――――――岸辺露伴を守る――――)


「…おおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!!!」

先ほどと同じ轟音が、今度は続けざまに3発。
間一髪、露伴たちの前に躍り出たシーザーの背中に3つの風穴が創られた。

「がふッ……」

身を呈して露伴たちの盾となったシーザーが、力なくその場に倒れる。
3発のうち1発は、確実に心臓直撃コースを描いていた。

思わず、フーゴは口元が邪悪に歪む。
初弾を撃ち込む前に気づかれてしまったのは誤算だったが、大したことじゃあない。
一瞬にして3人中2人をいとも簡単に戦闘不能に追い込んだのだ。


時間にしてみれば、ほんの数秒。
たったそれだけの間に、億泰は撃たれ、シーザーまでも撃たれてしまった。
二人とも、露伴の身代わりになったためだ。
それも、シーザーに至っては、ウエストウッドとまったく同じ。
自らが書き込んだ安易な命令の所為で、命を落としてしまったのである。

愕然とする露伴を前にして、フーゴは冷静に弾倉を開くとポケットから4発だけ取り出した予備弾薬を装填し直し、あくまで冷酷な姿勢を崩さず、再び露伴の額に銃口を向ける。

「あっけなかったな、日本人。ま、君たちは運が無かったと思ってあきらめてくれ。
俺は君たちを命を乗り越えて、成長しなくちゃあならないんだ。悪く思うなよ…」
「ぐッ……!!」

ここで終わりなのか?
そんな考えが露伴の頭をよぎった。
フーゴは冷酷な態度を保ったまま、人差し指に力を込める。

10 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:42:20 ID:???
「バカ野郎!! 露伴ッ!! どいてろオッ!!」
「何ッ!?」

露伴の体が大きく横方向に吹っ飛ぶ。
その影から、左肩を銃撃され重傷を負っているはずの億泰が露伴の体を払いのけ、スタンドを発現させた。

「『ザ・ハンド』ォォ!!!」
「な…、貴様ッ!! スタンド使いかッ!!!」

ギャオン!という金属が抉れるような甲高い音と共に、億泰の繰り出したスタンド、『ザ・ハンド』の右手が、相対する二人の目の前の空間を掴み取った。
空間と、同時にフーゴの持っていた拳銃の銃身部分をごっそり削り落とし、そして―――

「な…何だこいつは…? 体が…吸い寄せられて……」
「くだばれやァァッ!!!」

億泰の目の前まで吸い寄せられたフーゴに、空間を削り取った『ザ・ハンド』右手の返しの裏拳が炸裂した。

「おい…お、億泰… 貴様、あの傷でどうやって……!?」

苦しそうに顔を歪ませながらも立ち上がった億泰の姿を見て、露伴は絶句した。
銃で撃ち抜かれたはずの億泰の左肩は溶接された金属のように奇妙な形に抉れ固まっていた。
「『ハンド』でよォ……撃たれた部分を…削り取ったッ!! 俺の『ハンド』で削り取られた部分は……『接合』するッ!
あの状況で肩の出血を止める方法はこれしか思いつかなかった…! 俺…、頭悪ィからよォ…」
「億泰……貴様、本当に馬鹿じゃあないのか…?」

ニカッと笑う億泰に、露伴はやれやれとため息をついた。

「……そうだ! シーザーの奴は大丈夫なのか!? ジョルノの野郎なんかに頼るのは癪だが、この際しようがねえ!
急いで連れてって手当てしないとやばいんじゃねえのか?」
「……いや、恐らく…… 手遅れだ…… シーザーは……」

声のトーンを落として、露伴が答えに詰まる。
露伴はシーザーの撃たれるのを目の前で見ていた。
3発の弾丸…そのうちの1つが心臓のちょうど裏側に銃創を作っていた。
あの銃撃の位置は急所だ……

11 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:43:06 ID:???
「……『空間を削り取る』スタンド使い、か…… なるほど、油断していた……」


突然、むくりと影が起き上がり、声を発した。
億泰たちが驚いて振り返ると、そこには『ザ・ハンド』の一撃によって吹っ飛ばされたはずのフーゴが立ち上がり、再びこちらに殺気を放っている。

「馬鹿な……『ハンド』の一撃を肉体で受け…立っていられるわけが…… ハッ!」

そして、フーゴの後方に佇むもう一つの影。
フーゴのスタンド、『パープル・ヘイズ』。
『ザ・ハンド』の一撃が決まる瞬間、フーゴは間一髪でスタンドを繰り出し、防御に成功していたのだ。

「この短期間で拳銃を二挺とも失ってしまうとは流石に計算外だったが、まあ仕方がない。
そして、オクヤスにロハンと言ったな? 貴様らを僕が成長するための『試練』であり、『敵』であると改めて認識しよう…」
『うばぁしゃぁぁぁぁぁあああ!!!』

フーゴの『パープル・ヘイズ』の拳から3発のカプセルが2人を目がけて打ち出される。
対する億泰も、応戦すべく『ザ・ハンド』を繰り出した。が――


「まて億泰ッ!! 不用意に応戦するなッ!! こいつはやばい!! 何だかわからんが、とにかく『普通じゃあない』ッ!!!」

露伴の言葉に、億泰たちは身を翻してカプセル群を回避した。
目標を外した3発のカプセルは偶然にも直線状にあったウエストウッドの遺体に着弾、途端に大量発生したウイルスに浸食され、ウエストウッドの体は腐った果物のようにドロドロに溶かされてしまった。
ウイルスは室内灯程の光にあたると死滅するほど光に弱いものだが、既に日は落ちている。
暗闇とはまではいかなくとも、ウイルスの感染力は昼間の数十倍であった。

「なッ…!? なんてえげつねえスタンド能力ッ!! 露伴、こいつひょっとして…」
「ああ、間違いない。猛毒カプセルのスタンド使い……ジョルノやブチャラティが言ってた『パンナコッタ・フーゴ』だ……!!」
「なッ!!!」



こいつらッ!?僕の名前を知っている!? いや、名前だけじゃあない!
スタンド能力を知っていた!? しかも…ジョルノやブチャラティに聞いただとッ!?
そういえば…さっきも奴ら『ジョルノの野郎』がどーのとか言っていた気がする。
こいつらはジョルノたちから僕のスタンドの秘密を聞いていた!?
……あのデスマスクの男と同じように―――

12 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:43:49 ID:???
先刻のコロッセオでの情報交換にて、ジョルノたちはフーゴのスタンド能力についての情報を彼らに与えていた。
しかし、それは『パープル・ヘイズ』が味方にも被害が及びかねない危険なスタンドであること、そして、一刻も早くフーゴとの合流を行うためには能力を知るものがいた方がよいとブチャラティが判断しただけのことであり、他意は無かった。
そもそも、ボスへの裏切りやフーゴとの決別のことはジョルノ・ブチャラティの両名にとっては未知の出来事であり、信頼を置いているフーゴを警戒する道理はなかった。


―――そうか……やはりあのデスマスクの男が僕のスタンド能力を知っていたことも、こいつら同様、ブチャラティたちがあちこちで言いふらしていたということか……
もうチームでも仲間でもない僕が、この殺し合いの中でどんどん不利になるように……
そうか……そういうことなのか……


しかし、ミスタの死、ナランチャのナイフを見せつけられ心身ともにボロボロになり、さらに彼らに対し一度疑いを持ってしまった。
人間とは一度間違った結論に達してしまうと、それ以降に別の思考を続けることは難しい。
そのフーゴにとって、露伴の一言は勘違いを起こさせるには十分だった。
精神的に追い詰められていたフーゴにとっての最後の心の拠り所は、木っ端微塵に砕かれてしまった。


「クク……フッハッハッハッハッハッ!!!!!! フハハハハハハハハ!!!!」

突然の高笑いに、億泰たちは背筋が凍る。
人間が壊れていく様を見せつけられたようだった。

ブチャラティ…ジョルノ……
君たちが僕のことを仲間じゃないというのなら、もうそれでいい。
この殺し合いは『乗る』ことが正解だったんだ。
ブチャラティもコロス。
ジョルノもコロス。
ノリアキもコロス。
デスマスクの男もコロス。
こいつらも、どいつもこいつもみんなコロス。
コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス。


「どいつもこいつも皆殺しだァァァァァァッ!!!」


完全に吹っ切れたフーゴは、今以上の大量のカプセルを生み出し、億泰たちに攻撃を開始した。

「こいつはマジでやべえ! 露伴ッ! お前は引っ込んでろッ!! こいつの相手は俺がやるッ!!!」
「な、何だとッ!? 貴様、この岸辺露伴に尻尾を巻いて逃げろと言うのかッ!?」
「そう言ってんだよボケッ!? お前のスタンドで何ができるッ!?
足手纏いになる前にとっとと行きやがれッ!!」

『ザ・ハンド』を出現させると、億泰はそのまま露伴の元を離れ、フーゴに向かって駆け出した。

「畜生ッ!! この岸辺露伴が…ブザマだッ!!」

結局、無力な露伴は引き下がるほか無かった。

13 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:45:27 ID:???




向かい来るウイルスのカプセルを、ある時は回避し、ある時は『ザ・ハンド』で削り取る。
とくに着弾コースのカプセルだけは確実に消滅させなければならない。
一発でも喰らってしまえば、敗北は確定、死に直結する。

「しぶとい野郎だッ!! バターのようにドロドロに溶かしてやるよッ!! この腐れ脳味噌がァァ!!!」
「ほざけッ!! てめえこそ、今度こそそのハラワタ抉り取ってやるぜ!! 虹村億泰をなめるなよッ!!!」

一方のフーゴも、先ほど『ザ・ハンド』になめてかかり、痛い目を見ている。
『ザ・ハンド』の射程距離(=『ザ・ハンド』の手が掴み取れる範囲)にまで近づけば、今度はフーゴのわき腹が先の拳銃と同じようにえぐり取られてしまうかもしれない。
向かい来る億泰と『ザ・ハンド』に対し、カプセルを射出しながらも一定以上の間合いを保ち、逃げ回りながらの攻防を続けていた。


僕のウイルスをここまで無効化してくるスタンド使いは初めてだ…
スタンド同士の接近戦に持ち込めれば手っ取り早いのだが、そんな単純な攻め方だとさっきのように吸い寄せられて反撃を喰らってしまう。
スタンドのパワー自体は(防御が成功したことから考えて)負けてはいないハズだが、空間を削り吸い寄せる力を考えると、相対的なスピードでは奴のスタンドの方が上だろう。
さて、どうしてやろうかな……


一進一退の攻防を続ける中で、僅かに有利な立場にいたのは億泰である。
フーゴのスタンド『パープル・ヘイズ』のウイルスの殺傷能力はかなりのものだが、拳からカプセルを射出する速度は対して速くない。
カプセルが割れてしまう前に『ザ・ハンド』で消してしまえば、決定打とはなりえなかった。
加えて戦況的に『追いかけながら戦う』かたちの彼は、『追われながら戦う』かたちであるフーゴと比べ、いつでもこの戦いを放棄することができる。
あの『ジョースター家の伝統』のように、突然攻撃をやめ逆方向に逃走すれば、恐らく逃げ切ることだって可能だろう。
だが―――

14 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:46:00 ID:???
んなことできっかよォ!
この野郎は有無を言わさず俺たちを殺す気で奇襲してきやがった。
ジョルノやブチャラティは『仲間』だと言っていたが、こいつはもう『こっち側』じゃあねえようだ!
こいつをここで逃がしちまったら、こいつはまた別の参加者を殺して回る。
……早人も、殺されちまうかもしれねえ………
そんなことは絶対ェさせねえ!!
こいつはッ! 今ここでッ! 俺が必ず叩きのめすッ!!

逃げるフーゴのスタンドからカプセルが飛来する。


1発目ッ!!
『ハンド』ッ! 消すッ!!!

つづけて2発目ッ!!
こいつも消すッ!!!

足元に3発目ッ!!
スタンドで地面を蹴って避けるッ!!!

さらに距離を詰めて4発目ッ!!
消すッ!!

5発目のカプセルもさらに距離を詰めながら消し―――
ついにフーゴが億泰のスタンドの射程距離に入った。


勝ったッ!!
次の6発目のカプセルを消すと同時に、削り取った空間でフーゴの野郎を引きよせる。
さらに次の一撃で、今度こそフーゴのどてっ腹をそぎ落とす。
それで、すべて終わりだッ――――

撃ち出された6発目のカプセルに向かって、『ザ・ハンド』の掌を振りかざす。
億泰が勝利を確信した瞬間、宙を舞う手のひらサイズの球状の黒い物体が目に映った。




手榴弾ッ!! まずいッ――――――ッ!!



6発目のカプセルと同時に放たれた、カプセルとは異なる放物線軌道。
『ザ・ハンド』で消すことはできないッ!
防御することも間に合わないッ!!

「スマンなオクヤスッ!! 俺の勝ちだッ!!!」


手榴弾の爆音が辺りに響き渡った。

15 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:46:58 ID:???



迎え撃って出た億泰に対し、フーゴは逃げながら戦うという戦法を取った。
二人は戦いながら徐々に距離が離れていき、やがて姿が見えなくなる。
億泰たちが走り去ってから、露伴は途方に暮れていた。

一発目の奇襲の時…
接近してきたフーゴに拳銃を向けられた時…
そして今…

3回…… 3回だぞ……
この露伴が…… あの億泰に…… あの…『億泰なんぞ』にッ―――!!!
この短時間にッ―――

3回も助けられた―――だと―――――

なんてザマだ……岸辺露伴………
こんな惨めな気分は初めてだ………

僕のスタンド、『ヘブンズ・ドアー』はスタンドで敵本体に触れられるほど接近しないと攻撃することはできない。
億泰の『ザ・ハンド』とは違い、『パープル・ヘイズ』は僕にとって最も相性の悪いスタンド使いと言えるだろう。
康一君の『エコーズACT3』なら、ウイルスのカプセルを奴の足元に落としてやることもできるだろう。
もしくは、あのウイルスは感染前なら光で殺菌できると(ジョルノたちから)聞いているが、『ACT2』で「ピカー」とでも発現させれば殺菌も可能ではないだろうか?
仗助の『クレイジー・D』で飛来するカプセルを殴れば、カプセルは『ヘイズ』の拳に戻るだろうし、承太郎の『スター・プラチナ』で時を止めればカプセルを炸裂させる前に倒しきれるだろう。

ならば、僕には何ができる?
『ヘブンズ・ドアー』では、一体何ができる?


ウエストウッドの遺体に目をやる。
先ほどのウイルスにやられ、遺体は既に元の形を失っていた。
これ以上近づくとウイルスに感染してしまうかもしれない。
次にシーザーに目をやる。
僕を庇って、銃弾の盾となってしまった。
二人とも、僕の身勝手な『命令』の所為で死んだようなものだ。
貴様らを犠牲にして生き残った僕に……一体何ができる?


「…………っ……!」
「―――――――ッ!!?」


露伴の無言の問いかけに、ごく僅かなうめき声が答えた。


まさかッ!? そんなッ!?
目の前で心臓を撃ち抜かれていたんだ!!
生きているはずがないッ!!

そう思いながらも、うつ伏せに倒れるシーザーに駆け寄る。
左背中から心臓を撃ち抜かれたはずのシーザーが、僅かながらまだ呼吸をしていた。

シーザーはまだ生きていた。

16 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:48:15 ID:???





「ヤ…ヤバかった! 今のはマジでヤバかったッ!」


上方から迫る手榴弾を察知した億泰は、既に6発目のカプセルに掴みかかっている『ザ・ハンド』の肩を踏み台にして、本体自らが手榴弾を空中キャッチ、爆発前にそのまま中空に投げ捨てることで間一髪回避していた。
億泰を仕留めそこなったことで、あからさまな舌打ちをするフーゴ。
バックステップで再び『ザ・ハンド』の射程距離外まで間合いを広げると、懐からもう一発の手榴弾を取り出し、右手に握りしめる。


「まったく本当にしぶとい男だな、君は……。
まあいい、手榴弾は『まだ』ある…… 次こそは間違いなく仕留めてやるよ……
行けッ! 『ヘイズ』ッ!!!」
『うごあォァ――――――――ッ!!』

フーゴは手榴弾のピンに指をかけたまま、『パープル・ヘイズ』の拳から再びカプセルを射出させた。



――――わかった―――――6発だ―――――

一方、億泰は今の攻防を観察して、『パープル・ヘイズ』の弱点を一つ発見していた。


奴のスタンドはウイルスのカプセルを一発ずつしか撃ってきていない。
もし大量に何発も撃ってこられるのだとしたら、『ハンド』で捌ききれないほどの連射をすればいいからだ。
それができないということは、カプセルを一つ生み出すにはそれなりの時間がかかる。
『スター・プラチナ』が連続して時を止められないのと同じように、奴の『パープル・ヘイズ』もカプセルを一つ使えば、新しいカプセルを作るのに僅かな時間がかかる。
1発ずつ撃つことで、作り出すカプセルに時間差が生まれ、弾切れを防いでいるということだ。
問題は、カプセルの数……
さっきは右拳からのカプセルを3発さばき、左拳からの6発目のカプセルと同時に手榴弾を放ってきやがった。
俺が手榴弾を回避した直後に7発目のカプセルを撃たれていたら、今度こそ回避しきれずにウイルスを浴びていただろう。
奴は7発目を撃たなかったんじゃあなく、撃てなかったんだ。
『パープル・ヘイズ』は右拳に3発、左拳にも3発、計6発のカプセルしか同時に作り出すことはできない、そういうことか!

17 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:49:46 ID:???
それさえわかればこっちのものだ、と、いつになく聡明な億泰は再びフーゴとの距離を詰めにかかる。
『パープル・ヘイズ』が右腕をかざす。

1発目ッ!!
2発目ッ!!
3発目ッ!!

さきほどと同じように、向かい来るカプセルを『ザ・ハンド』で華麗に処理していく。
右のカプセルを3発とも撃ち終えた『パープル・ヘイズ』が次に左腕の拳を億泰に向ける。
そして、左拳から4発目のカプセルが射出されようとする直前―――


「今だァァッ!! 『ザ・ハンド』ッ!!!」

突き出された『ヘイズ』の左拳の目の前の空間を『ザ・ハンド』の右腕が空振る。
そして、削り取られた空間に吸い寄せられるように、『ヘイズ』の左拳に備えられた3つのカプセルをすべて吸い寄せる。
そして、『ハンド』の掌をひるがえし、3つのカプセルすべてを消し去った。

「なァ―――」


よしッ!! フーゴの攻撃のリズムが狂ったッ!!
左拳を掲げた瞬間にカプセルを引き寄せ、すべて消滅させる。
一発ずつ撃ちこんでくる予定だったフーゴは5発目、6発目のカプセルで俺を足止めすることができなくなった。
右手の一発目のカプセルが復活するまでにはまだ数秒かかる。
カプセル2発分の時間の猶予が、フーゴを丸裸にした。

『パープル・ヘイズ』のウイルスを使いきってしまったフーゴは、焦ったような手つきでその手に握る手榴弾を投げつける。
今度は山なりの放物線ではなく、億泰に向かって直球だ。
だが――


「どらァァ!!!」

カプセルを失ったフーゴが苦し紛れに手榴弾を放ってくることなど予想の範囲内。
さっきみたいに『カプセルと同時』でない限り、爆発前に俺の『ザ・ハンド』でカンタンにかき消すことができる。
そしてこの距離なら手榴弾を消すと同時にフーゴ本体を『ハンド』の射程内に引きずりこめる。

18 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:50:49 ID:???
かつて億泰の頭がここまで冴えていたことがあっただろうか?
『ザ・ハンド』の掌が投げつけられた手榴弾を消滅させる。
そして、引き寄せられたフーゴ本体に向かって、再び『ザ・ハンド』の掌を振りかざす。

「今度こそ終わりだッ!! くたばれッ!! フー――」






問題があったとすれば――――


「ゴッ―― ふッ………」


億泰の胸に、小さな鉛の弾が貫通した。
膝を付き、そのまま地面に倒れる億泰。
スタンドを発現させることもままならず、そのまま気を失ってしまった…。


「―――――ァァんてなァッ!!!」

戦いに勝利したフーゴが、邪悪な笑みを浮かべる。
億泰の胸元を貫いたのは、フーゴのポケットにまだ残っていたリボルバー式拳銃の予備弾薬。
撃ち出したのは、いまだ新しいカプセルを精製しきれていない『パープル・ヘイズ』の右腕。
かつて承太郎と仗助の二人が『虫食い』と呼ばれるスタンド使いの鼠を『狩り(ハンティング)』したときに用いたものと同じ攻撃方法である。
『ザ・ハンド』の掌が手榴弾を消し去った直後、手榴弾と同じ軌道に弾丸が弾き飛ばされる。
スタンドの破壊力Aを誇る『パープル・ヘイズ』から撃ち出された弾丸。
それが『ザ・ハンド』によって削り取られた空間によりさらに加速度的にスピードを増し、億泰の胸を貫いた。
『スター・プラチナ』でもない限り、この超スピードを受け止めることは不可能である。



一つ目の手榴弾で仕留めきれなかったときから、次の攻撃方法は『これ』と決めていた。
どんなド低能だろうと、僕のウイルスカプセルの数に限界があることはそのうち気づく。
最後の手榴弾をあらかじめ見せつけておいたのも、一つ目がばれた以上、隠し持って変に警戒されるより相手の動きが読みやすくなるから。
また、カプセルを使いきらされてしまったことと手榴弾を投げつけたことで、億泰の注意は『パープル・ヘイズ』のヴィジョンから『僕本体』へと移る。
そして丸裸になったように見せることで、精密動作の苦手な『ヘイズ』でも弾を外さない距離まで接近してくれる。

ウイルスカプセルは囮……
手榴弾も囮……


すべてフーゴの計算通り。

億泰に問題があったとすれば、フーゴがそれ以上に頭の切れるIQ152の天才であったことだ。


「さて……即死は免れたようだな…… 心臓を撃ち抜けば一撃だったんだが、まあ『ヘイズ』にしちゃあ上出来か」

気絶した億泰に忍び寄り、『パープル・ヘイズ』の拳を振り上げる。
当然、ウイルスカプセルはすべて復活済みだ。


「とどめだッ! オクヤスッ!!!」


「波紋疾走(オーバードライヴ)ッ!!!!」


『パープル・ヘイズ』の拳が振り下ろさせるより早く、突然現れた大男の金色に光る右腕がフーゴに炸裂した。
波紋による呼吸と鍛え抜かれた身体によって驚異的な速さでの全力疾走。
フーゴを殴りとばしたその男は気絶している億泰に声をかけた。


「待たせたなッ!!」


シーザー・アントニオ・ツェペリが助けに来た!!

19 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:52:01 ID:???



露伴が目撃していた通り、銃創は確かにシーザーの背中、心臓の位置に作られていた。
だがよく観察してみると、心臓を撃ち抜かれたにしてはシーザーの出血量は比較的少なかった。
銃弾は心臓に達していなかった。
皮膚を貫いた数ミリの地点…心臓の手前で銃弾は止まっていた。
『くっつく波紋』と『はじく波紋』……
シーザーの記憶を思い出す……
撃たれる瞬間、シーザーは咄嗟に波紋で防御をしていた。
『はじく波紋』の力は間一髪のところでシーザーの致命傷を防いだのであった。

とはいえ、シーザーが重傷であることには変わりない。
すぐに治療をしなければならないが、露伴に傷を治す能力は無い。
だが――――


「『ヘブンズ・ドアー』ッ――――ッ!!」

―――――『波紋の呼吸で傷を治療する』―――――


露伴は以前、シーザーから波紋での治療を受けていた。
露伴に波紋は使えない。
ならば、シーザー自身に自分の治療をさせればいい。

僅かながら呼吸ができているということは、波紋の呼吸に必要な『肺』は無事であるということ。
シーザーは気を失ってはいたが、『ヘブンズ・ドアー』に『命令』されたのなら『無意識的に』でも波紋の呼吸を行うことは可能だ。


じきに目を覚ましたシーザーは露伴に事情を聞かされ、すぐさま億泰の加勢へと走った。
治療の『命令』を書き込んだ時、同時に露伴は以前の命令を取り消していた。
これでシーザーは露伴の命を第一に考える必要が無くなり、億泰の助けに向かう事が出来た。

この時すでに億泰とはかなりの距離があり、正確な位置は分からなかったが、手榴弾の爆発音がシーザーを導いた。
そして、すんでのところで何とか億泰を助けることができたのだ。

20 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:54:09 ID:???
「弾は貫通しているが、重要な臓器は外れている。命に別状はないな……」

シーザーは億泰の傷口に手を添え波紋を送り込む。
傷口は光を帯び、やがて塞がっていった。
しばらくすれば意識も取り戻すだろう。


「チッ……死に損ないめ…… 確かに心臓を撃ち抜いたはずなのに!!」


殺したはずの男が目の前に現れた。
それに、さっきののこいつの能力……強力な治癒能力でも持っていたのか?
……まあいい、どのみちオクヤスはしばらく目を覚まさないだろう。
あの『空間を削り取る能力』さえなければ、『パープル・ヘイズ』の敵ではない。

「勝つのはこのパンナコッタ・フーゴだッ!! 依然変わりなくッ!!」
『ぐああるルォァァアアア!!!!』

体勢を立て直したフーゴが『パープル・ヘイズ』でシーザーを攻撃する。
迎え撃とうとするシーザーに迫るその拳を―――――


「波紋疾走(オーバードライヴ)ッ!!!」


―――素手で払い除けるッ!!!
カプセルが炸裂し飛び出したウイルスは、シーザーの体に触れた瞬間―――
蒸発するように消えてしまった。


「なッ!!! 何だと――――――ッ!!!!」
「ずああぁぁぁッ!!!」

シーザーの拳がフーゴの顔面に炸裂する。
吹き飛ばされかなりのダメージを受けたフーゴだったが、それでも何とか立ち上がる。

「バ…馬鹿なッ!! 『ヘイズ』ッ!! こいつを殺せェッ!!!」

スタンドパワーを振りしきり、『パープル・ヘイズ』はカプセルを射出する。
そのカプセルをシーザーは素手で受け止め、握りつぶす。
ウイルスは、再びきれいさっぱり無くなってしまった。

「何故だッ!! 何故効かないッ!! 何故感染しないんだァ――――ッ!!」

「残念ながらフーゴ…… シーザーにきみの能力は通用しないよ」

激昂するフーゴの問いの答えたのは、いつの間に現れたのか、シーザーに遅れて現場にかけつけた岸辺露伴だった。

「きみの『パープル・ヘイズ』のウイルスは光に弱いそうだね。ジョルノによれば、室内ライトの光ですら数十秒で殺菌されてしまうと……
その話を思い出し、思いついたんだよ…… 室内ライトですらそれなら、仮に『太陽に匹敵する光エネルギー』を与えてやれば、ウイルスを完全に無効化できるんじゃあないかってね……
『太陽と同等のエネルギー』をもつ、『波紋』の力ならね!」

露伴の仮説は当たっていた。
全身に『波紋エネルギー』を帯びたシーザーの体は『パープル・ヘイズ』のウイルスのパワーをはるかに凌駕していた。
『波紋』の前に、『パープル・ヘイズ』のウイルスは全くの無力!
無論、波紋でウイルスを無効化できることは、ここに来る前にウエストウッドの遺体に残ったウイルスで検証を終えている。

21 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:55:05 ID:???

「クソッ……そんな馬鹿な…… チクショオォォ――――!!!」

もはやただの我武者羅。
ウイルスが効かないならスタンドでの格闘だ、と、フーゴは『パープル・ヘイズ』で攻撃を仕掛ける。
しかし、そんなもの所詮は悪足掻きでしかない。

「遅えよッ! 『シャボンランチャ―――』ッ!!!」

中性洗剤を利用したシーザーの必殺技に込められた『波紋』のスパークが炸裂する。
直撃受けたフーゴは火傷するような熱と強い電流を同時に浴びせられたような痛みを全身に受け、倒れる。
もはや敗北は確定的だった。



なんて奴だッ――― 『パープル・ヘイズ』のウイルスを無効化できる奴がいるなんて……
『波紋』だとッ? 『空間を削り取る能力』なんか比ではない。
この『波紋』は『ヘイズ』にとって天敵中の天敵ッ!!
100%勝ち目がないじゃあないかッ―――ッ


「シーザー! 気をつけろよッ!! まだ手榴弾を隠し持っているかもしれんッ」

僕にとどめを刺そうとするシーザーに、ロハンが注意を促す。
やはり、さっきの一つ目の手榴弾の爆発音を聞いていたか……
残念だな、二つで打ち止めだ、生憎もう持ってないよ……
苦しみながらも何とか立ち上がった僕とにらみ合ったまま、シーザーはジリジリと距離を詰めてくる。
どうにかして逃げるしかない。
僕は懐に手を突っ込むと、シーザーの表情に警戒心が生まれる。
手榴弾はもう無いが、こいつでなんとか隙を作ることができれば……
そんなことを考えながらシーザーとのにらみ合いが続き、しばらくしたところ……


「露伴さん……? それに…… 億泰さん………?」


僕の背後から、少年の物と思われる声と、その気配が感じられた。

「来るな早人ッ!! 逃げろ――ッ!!!」

露伴が叫ぶと同時に、僕は目を閉じて、懐で握りしめていた『それ』を地面に叩きつけた。
一瞬でもシーザーに、『それ』が手榴弾であると思わせればよかった。
『それ』は地面に達した瞬間、小さな炸裂音と激しい光を発生させた。

22 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:56:42 ID:???



川尻早人はエシディシに逃げられた後、吉良吉影を探し出し利用するため、住宅街を中心に当てもなく彷徨っていた。
そしてコロッセオの北部の住宅地のはずれに辿り着き、そこで何かの爆発音が聞こえた。
フーゴが投げた一発目の手榴弾の音だ。
それを、吉良吉影の『キラー・クイーン』の爆発音だと勘違いした早人は、その音が聞こえた方角へ走った。
辿り着いた先にいたのは、向かい合う二人の外国人。
そして、自分の知り合いである岸辺露伴、倒れているのは虹村億康だ。
とっさに露伴たちに声をかけたら、露伴から帰ってきたのは「逃げろ」という叫び声……
次の瞬間、激しい光が目を襲い、そして……




「来るなァ!! 誰も来るなァァァァ――――!!!!」

視力が回復したシーザーたちが目にしたのは、川尻早人を羽交い絞めするように抱きかかえ、首元にナイフを押し付けているフーゴの姿だった。
フーゴが炸裂させたのは、手榴弾ではなく閃光弾。
半日ほど前に二挺の拳銃と同時に荒木から特別支給されたものの最後の一発だ。
フーゴが手榴弾を隠し持っているかもしれないという先入観があったシーザーは、炸裂する閃光弾にやや身をたじろがせた。
その僅かな隙をついて、フーゴはナランチャのナイフを取り出し、早人を人質に取ったのだ。

23 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 03:58:13 ID:???

「動くなッ!! 全員動くなよッ!! 一歩でも近づきやがったら、この子供を殺すッ!!!」

まさに追い詰められた極悪人の姿。
フーゴに残された選択肢は、見ず知らずの小さな少年を盾にして逃げることだけだった。

「早人ォ――――ッ!!」
「貴様!その子を離せッ!! このクソったれの外道がァッ!!!」

ロハンとシーザーが叫んでいる。
『クソったれの外道』か…… まさに今の俺にお似合いの言葉だな。
見ず知らずの3人を奇襲し、皆殺しにすることで『けじめ』をつけるつもりだった。
そして、他の参加者たちをもすべて殺し、優勝するつもりだった。
それが、結局一人も殺せないまま返り討ちにあった。
ブチャラティたちにも見捨てられちまったみたいだし、挙句の果てには親友のナイフを武器にして、無力な子供を人質にして逃げようとしている。
こんな惨めな姿は無い。

「お兄さんッ!! 僕にかまわないでッ!! こいつを倒すんだッ!!」

拘束された早人が、依然フーゴとの睨み合いを続けるシーザーに向かって叫んだ。
焦ったフーゴは早人の首に回した左腕にさらに力を込め、声が出ないように締めつけた。
早人の勇気ある言葉は、逆にシーザーの動きを封じさせるきっかけとなった。
この少年をこんなところで死なせてはいけない。
シーザーの動きは完全に止められたしまった。
逃げ切れる、フーゴはそう確信した。




「早人から手を離せ……」

その時、フーゴの背後からさらに別の人物の声が聞こえた。
悪魔のような、しかしどこか優しさを帯びた低音の声。
その声を聞いたと同時に、フーゴはナイフを持っていた右手首が、いつの間にか関節の逆方向に折り曲げられている事に気がついた。

24 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 04:00:04 ID:???

「無事か、早人…… そして… ずいぶん早い再会になったな、フーゴ……」
「きッ―貴様はッ―――!!!」

そして次の瞬間、早人を拘束していた左腕も、肘のところから逆方向に折り曲げられていた。

「ぐわァァァァァァッッッ――――――」
「ディアボロさんッッ!!」

痛みに絶叫するフーゴ。
そして、フーゴの腕から解放された早人が、その男の名を呼んだ。
手榴弾の爆音、加えて閃光弾の激しい光……
導かれたのは早人だけではなかった。
ポルナレフを埋葬し、DIOの館を目指していたこの男……
ディアボロもまた、この戦いの場に駆けつけたのだった。


こいつはッ――デスマスクの男ッ―――
ディアボロだと……!?
聞いたことのない名だ――!
やはり時を止める『空条承太郎』では無かったのか?
いや、さっき見せたこいつの能力は……
吉廣を奪われた時と同じだが… あの時は気が付かなかったが……
『時を止める』というより、『時を飛ばす』能力と言った方がしっくりくる。

「フーゴ…… 俺は貴様を逃がしはしない…… 貴様の引導は、必ず俺が渡してやると決めていた………」





『時を飛ばす』……そうだ、その表現が一番しっくりくる。
そして、この感覚…… 覚えがある……

『ジョルノ… すまないが水を取ってくれないか?』

そう、あの時だ。
この世界に連れてこられる直前。

『礼言ったっけ? ジョルノ… 言ってないよな。水取ってもらって……』

護衛の任務を終えて、ヴェネチアのマジョーレ島でブチャラティの帰りを待っていた時。

『何か…! 奇妙だ!! 何かわからないが…! 奇妙な雰囲気だッ!』

そして、このデスマスクの男は、僕のスタンド能力を知っていた。
ブチャラティ達、チームの仲間以外で僕の能力を知っている可能性がある者が、もう一人いたじゃあないか……!!

『たった今! 俺が『ボス』を『裏切った』からだッ!』





「ポルナレフの報いを受けろ―――」
「貴様ッ!! 組織のッ――――――」

『バルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバル……』

言い切ることなく、フーゴの意識はそこで途切れた。
すでに『パープル・ヘイズ』を発現させる力も残っていなたったフーゴは、ディアボロの『キング・クリムゾン』による怒涛のラッシュを防ぐ手立ては無かった。

「ヴァオールインフェルノ!!!(地獄に行け!!)」

突然の奇襲から始まった億泰・露伴・シーザーたちとフーゴの戦いは、激戦の末、早人・ディアボロの介入をもって、ここに終結した。

25 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 04:01:38 ID:???




「億泰、ジョルノ、そして早人が出会ったという『エシディシ』という男……、やはり俺がサウンドマンから聞いた『民族衣装を纏った2メートル程の怪人』と同一人物だと思うか?」
「ああ、間違いない。エシディシは俺の時代…、西暦1939年に俺やジョジョの敵だった男の一人だ。『柱の男』と呼ばれている… 人間や吸血鬼を超えた、最強の生物だ」
「人間の可能性…… 人間と動物の違いを探しているとも言っていた……
目的はわからないけど、自分に向かってくる人間を迎え撃つことを楽しんでいるみたいだったよ」
「残る波紋使いが貴様とジョナサンの二人しかいないとなると、貴様がエシディシ討伐の切り札ということになりそうだな。
それにそのサウンドマンとかいうインディアン… 億泰の奴も一度会ったと言っていた。
どうにか見つけて取材……いや、話を聞いてみたいものだ」


フーゴを倒した彼ら4人は、気絶した億泰をディアボロが抱え、一番近くの民家へ移動した。
自分のもといた時代や元々の仲間のことから、この世界に来てからであった人物や自分の行動など、事細かな情報交換と今後の作戦会議が行われた。
その中でも主な内容が、柱の男『エシディシ』について、殺人鬼『吉良吉影』について、やたら悪評ばかりを聞くジョースター家の宿敵『ディオ・ブランドー』について、
そして―――

「ジョセフの祖父が狂気に走っている… というのが未だに信じられない。
まさか、あのジョセフの……」
「ああ、俺もそれだけが一番の不安なんだ… だが、現場の状況を見るに、ほぼ間違いない……
だから俺たちはこれから『DIOの館』に行くところだったんだ」
「僕はもう遠慮しておくよ。自宅がどうなっちまったかは気になるが、さっきの戦いで少し疲れた。
早人をそんな危険な所へ連れていくわけにもいかないだろう? 行くなら君たち二人で行ってくれよ」

もとより、シーザーはそのつもりだった。
言っちゃあ悪いが露伴のスタンドは戦闘向きとは言い難く、今回のように足手纏いになってしまうと不利になる。
億泰もまだ気を失っているし、治療したとはいえ銃弾で胸を貫かれているのだ。
さらに『ハンド』で強引に左肩の傷の接合を行ったことや、連続したスタンド能力の酷使で体力を消耗している。
ディアボロの戦闘能力の高さは先ほどの戦闘で証明済みだし、早人を露伴たちに任せて二人で行くのが妥当であると考えていた。

「それと最後に、早人がであったという露伴の『ニセモノ』というのも気になる。
もしかしたら姿を自由に変えられるスタンド使いかもしれん…… 全員油断はするなよ……」

そうディアボロが締めくくり、会議が終わった。
いつまでもこんなところにいても仕方がない。
ディアボロとシーザーが立ち上がり、出発の準備をした。

26 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 04:02:53 ID:???

「よし、では俺たちはそろそろ出発する。お前たちは億泰が起きるまでここに隠れていろ。
そして、億泰が目を覚ましたら、頃合いを見計らって『ナチス研究所』に向かうんだ。
露伴、もしジョルノたちに会えたらそのときは、頼んだぞ……」
「ああ、『ボスからの伝言』だろ? 覚えているぜ。
『お前たちの組織のボスの名は『ディアボロ』…… この伝言の主のことだ。
お前たちが元の世界から『トリッシュの護衛任務中』に連れて来られたのだとしたら、恐らく俺は『お前たちよりも僅かに未来』から連れて来られたようだ。
そして、お前たちはわけあって俺と対立し、その結果俺は負けた。
だが、俺は今、お前たちを恨んでいるわけではない。
打倒・荒木を目指すというのなら、お前たちも私と共に戦って欲しい』
………どうだ?」
「完璧だ。かいつまんで要点を伝えてくれればいいと思っていたが、すごい記憶力だな」


ディアボロは、できる限りジョルノたちとの戦いを望んではいなかった。
ジョルノたちが『裏切る以前の時間』から連れて来られたことは露伴の話から推測がついたが、直接接触してしまえばあらぬ誤解から説得前に戦闘になってしまう可能性があった。
ジョルノたちを説得するのは、ジョルノを知るこの岸辺露伴に『伝言役(メッセンジャー)』をさせるのがベストだと考えた。
そして、伝言を紙に残してしまうと、露伴にもしもがあったとき、ディアボロの情報が第三者に漏れてしまう危険もある。
記憶力の高い露伴に、『伝言役』はまさに適任だった。


「じゃあ、行ってくる。伝言と…『あいつ』の事もな。よろしく頼む…… 行くぞ、シーザー」
「ああッ」

二人は建物を出て行った。
そして、ディアボロに『こいつ』と指さされたのは、部屋の隅で車椅子に縛りつけられ気絶しているパンナコッタ・フーゴだ。
そう、ディアボロはフーゴを殺してはいなかった。
ディアボロは伝言とは別に、もうひとつ露伴に頼みごとをしていた。
それは、拘束したフーゴをリーダーであるブチャラティに引き渡すというもの。
最後の猛ラッシュのとき、ディアボロは僅かに力を抜いていたのだ。

本当に俺が、フーゴを裁いてしまっていいのか?
フーゴは確かに狂っていた。
殺し合いに乗り、無力な少年を人質にとり、そしてポルナレフを殺していた。
だが、俺も元いた世界でアバッキオやナランチャ…そしてフーゴ以上に多くの人間を殺してきた男だ。
いまさら改心し、打倒・荒木を目指す。そんな虫のいい事を言っている男に、フーゴを裁く権利などありはしない。
フーゴを裁けるとしたら、それはフーゴの直属の上司であるブチャラティだけだ、そう考えたのだ。


「正直、ディアボロの都合なんざどうでもいいし、こいつを生かしておくっていうのは癇に障るが仕方ない。すでに『ヘブンズ・ドアー』で『殺人不可』と『ブチャラティに会うまで気絶する』を書き込んでいるし、危険は無いだろう。
億泰が目を覚ますまで、フーゴの記憶を眺めて時間をつぶすとするか」

文句を言いながらも『ヘブンズ・ドアー』で楽しそうに記憶を読み始めた露伴の姿を見て、「相変わらずだな」とため息をつく早人あった。

27 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 04:07:28 ID:???
【D-3 住宅街 民家/1日目 夜中】

【第4部生き残りトリオ+1】
【岸辺露伴】
[スタンド]:ヘブンズ・ドアー
[時間軸]:四部終了後
[状態]:右肩と左腿に怪我(車椅子な程度には回復)、多少の疲労感
[装備]:ナランチャのナイフ、ミスタがパくった銃【オートマチック式】(11/15)
[道具]:基本支給品×2、ダービーズチケット、ディアボロのデスマスク、予備弾薬7発(リボルバー弾7発、オートマチック30発)
[思考・状況] :
基本行動方針:荒木を倒すために『取材』をして回る。
0.フーゴの記憶が楽しみ。何が書かれているのだろう。
1.億泰の目が覚めたらナチス研究所へ向かう。
2.ジョルノたちに再会し、『ボスの伝言』と伝え、『フーゴ』を引き渡す。
3.荒木に取材を申し込むため、テレンスを探す(ナチス研究所優先)。
4.ウエストウッド…すまなかった。
5.隕石を回収……ああ、そんなのあったね

[備考]
※これからは荒木を討伐するために自分勝手な行動を控えることにしました。
※気は進まないようですが、時の情報についての考察にも助力をするようです。
※名簿と地図をやっと確認しました。
※傷はかなり回復しました。車椅子は現在フーゴの拘束に利用しています。
※第一放送、第二放送の内容を把握しました。
※ダービーズアイランドに荒木がいることを知りました。
※シーザーに書き込んだ『露伴の身を守る』という命令はキャンセルされました。今後そういった内容の『命令』は二度と書かないつもりです。
※本人は認めたくないようですが、億泰に対し、かなりの信頼を持ちました。
※ナランチャのナイフ、ミスタがパくった銃【オートマチック式】は護身用にディアボロから渡されました。


【虹村億泰】
[スタンド]:『ザ・ハンド』
[時間軸]:4部終了後
[状態]:気絶中。左肩に『ザ・ハンド』で抉られた跡。胸の中央に銃痕(波紋で治療済み)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式。(不明支給品残り0〜1)
[思考・状況]
基本行動方針:味方と合流し、荒木、ゲームに乗った人間をブチのめす(特に音石は自分の"手"で仕留めたい)
0.気絶中
1.露伴たちと行動を共にする。
3.エシディシも仲間を失ったのか……。こっちに危害は加えないらしいが。
4.仗助や康一、承太郎の意思を継ぐ。絶対に犠牲者は増やさん!
5.もう一度会ったならサンドマンと行動を共にする。
6.吉良と協力なんて出来るか
【備考】
※名簿は4部キャラの分の名前のみ確認しました。
※サンドマンと情報交換をしました。 内容は「康一と億泰の関係」「康一たちとサンドマンの関係」
 「ツェペリの(≒康一の、と億泰は解釈した)遺言」「お互いのスタンド能力」「第一回放送の内容」です。
※デイパックを間違えて持っていったことに気が付きました。誰のと間違ったかはわかっていません。
 (急いで離れたので、多分承太郎さんか?位には思っています。)
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。
※本人は認めたくないようですが、露伴に対し、かなりの信頼を持ちました。

28 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 04:08:26 ID:???
【川尻早人】
[時間軸]:吉良吉影撃破後
[状態]:精神疲労(小)、身体疲労(小)、上半身全体にダメージ(波紋で治療済み)、右手人差し指欠損、
    漆黒の意思、殺意の炎
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、鳩のレターセット、メサイアのDISC、ヴァニラの不明支給品×1(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を倒したい。吉良吉影を殺す。殺し合いにはのらないけど、乗ってる参加者は仕方ない。
0.ディアボロや露伴たちと再会することができた。
1.とりあえず露伴たちと行動をともにする。
2.吉良吉影を脅し、ウェザーの仇をとるのを手伝わせる。とりあえず思考1を優先
3.吉良吉影を殺す。邪魔をするような奴がいたらそいつも…
4.荒木の能力を解明したい。

[備考]
※吉良吉影を最大限警戒、またエンポリオの情報によりディオ、プッチ神父も警戒しています。
※ゾンビ馬によって右足はくっついていますが、他人の足なので一日たてば取れてしまう可能性があります。
 歩いたり、走ったりすることはできるようです。
※ある程度ジョセフたちと情報交換しましたが、三人を完全に信用していないので吉良吉影について話していません。
 ジョセフも本人かどうか半信半疑なので仗助について話していません。
※第二回放送の内容を把握しました。


【パンナコッタ・フーゴ】
[時間軸]:ブチャラティチームとの離別後(56巻)
[状態]:気絶中、全身に打撲と大ダメージ。ヘブンズ・ドアーによる洗脳。
[装備]:ポルナレフの車椅子(ディアボロに縛りつけられ、身動きが取れない)
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない
0.気絶中
1.僕はクソったれゲス野郎だ…
2.僕はブチャラティ達に裏切られてしまった…
3.デスマスクの男の正体がわかった――
[備考]
※荒木の能力は「空間を操る(作る)」、もしくは「物体コピー」ではないかと考えました(決定打がないので、あくまで憶測)
※空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、山岸由花子、岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、ジョセフ・ジョースターの能力と容姿に関する大まかな説明を聞きました。
※吉良吉影の能力(爆弾化のみ)を把握しました。しかし、一つしか爆弾化できないことや接触弾、点火弾に関しては聞いていません。
 また、容姿についても髑髏のネクタイ以外には聞いていません
※吉良吉廣のことを鋼田一吉廣だと思い込んでいます。
※花京院とその仲間(ジョセフ・ジョースター、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎)の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました(納得済み)。

※装備していたミスタの拳銃は壊されました。
※荒木がをフーゴに与えた支給品は拳銃2挺と閃光弾3つだけでした。
 拳銃は2つとも紛失、閃光弾も使い切りました。
※D-3地点で手榴弾2個を入手しましたが、使い切りました。
※ナランチャのナイフも奪われました。
※デスマスクの男の正体がボス=ディアボロであること、その能力などに気づきました。
※ヘブンズ・ドアーの命令は以下の二点です。
 1.『人を殺せない』
 2.『ブチャラティに出会うまで気絶する』

29 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 04:09:20 ID:???


「シーザー…なんだ? その帽子は?」

民家を出たシーザーは、デイパックにしまってあったシルクハットを取り出し、頭に身に付けた。
お世辞にもシーザーに似合っているとは思えないそのデザインに、ディアボロが疑問を投げかける。
歩を進めながら、シーザーは呟くように話し始めた。

「さあな… 俺の爺さんの友人…スピードワゴンさんの遺体のそばで拾ったんだ。
何故かはわからないが…、これは俺が持っていなければいけないもののような気がして」

シーザーは知らなかった。
それが自分の祖父、ウィル・A・ツェペリの遺品であることを……
そして、巡り巡ってそれは偶然にも誇り高き彼の孫の元に届けられた。
奇矯な運命の物語が、その帽子にあった。

そうか…、と、落ち着いた声でディアボロは深く詮索することなく、返事をする。
そんなディアボロに対し、今度はシーザーが質問を投げかけた。

「ディアボロさん…、ジョジョは… ジョセフ・ジョースターは、何といって死んでいった?」

ディアボロは自分の親友の死を看取ったと言った。
ジョジョは俺の知らぬ70代のじじいだったというが、それでもまだ誇り高く戦い、そして死んでいったのだと……

「『『恐怖を自分のものとする』事と、『恐怖を力に変える』事は違う。それを忘れるな、そして、俺に間違うな』……と……」

ジョセフに出会ってから、ディアボロは救われてばかりであった。
無限に続く死の恐怖を乗り越え、自分に『活きる』目標を与えてくれた。
ジョセフ・ジョースターの人生が、ディアボロを突き動かしたのだ。

「シーザー・ツェペリ。 ジョセフ・ジョースターの生き様は見事なものだった。
ジョセフの友人であるお前に巡り合えたことを、神に感謝する……」
「スタンド使いでじじいのジョジョとはなッ!! 一度会ってみたかったぜ」

シーザーは笑った。
その目には涙が浮かんでいた。
俺はジョジョの跡を継ぐ。
ディオを、エシディシを……荒木を倒す。
そしてジョナサンを……止める。

そんなシーザーに、ディアボロはある物を差し出した。
それはジョセフの形見。ジャイロ・ツェペリの鉄球である。

「ジョセフが波紋を込めて武器にしていた物だ。これはお前が持っておけ。
その方が、きっと奴も喜ぶだろう」

シーザーは頷き、躊躇わず受け取った。
その鉄球はジャイロ・ツェペリの技術の結晶。
奇跡に近い運命の巡りあわせが、3つのツェペリ魂を終結させた。


「よし… 行こう…… 『DIOの館』はすぐそこだ……」

ディアボロの呼びかけに答え、二人は走った。
闇夜の中、ふたつの強い意志が、殺し合いの終結に向け進みだした。

30 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 04:10:54 ID:???
【D-3 住宅街/1日目 夜中】

【ジョジョロワ1stでは宿命の敵同士だった2人の夢のタッグ】
【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:全身の各所に僅かなダメージ(全て波紋で治療済み)。強い決意。強い恐怖。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水は全消費)、ポルナレフのディバック(中身は確認済み):空条承太郎の記憶DISC、携帯電話
[思考・状況]
基本行動方針:ジョセフの遺志を継ぎ、恐怖を乗り越え荒木を倒す。
1.シーザーとともに、DIOの館へ。
2.別行動を取った露伴たちが心配。
無事ジョルノに伝言が伝わればいいが……
3.恐怖を自分のものとしたい。
4・ 『J・ガイルを殺す、花京院に謝る』。2つのポルナレフの遺志を継ぐ。
5.自分の顔と過去の二つを知っている人物は立ち向かってくるだろうから始末する。
6.駅にあるデイパックを回収したい。
[備考]
※音石明の本名とスタンドを知りました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。
※『恐怖を自分のものとして乗り越える』ために生きるのが自分の生きる意味だと確信しました。
※アレッシーとの戦闘により、『エピタフ』への信頼感が下がっています。
※キング・クリムゾンになんらかの制限がかかってます。内容は次の書き手さんにお任せします。
※サンドマンのメッセージを聞きました。
※ポルナレフのデイバックは、ディアボロが持って行きました。
※露伴たちと情報交換をしました。内容は本文のとおりです。
※ミスタがパくった銃【オートマチック式】は護身用に露伴へ渡しました。
※ジャイロの鉄球は、ジョセフの遺志を継ぐべきであるシーザーに託しました。


【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
[時間軸]:ワムウから解毒剤入りピアスを奪った直後。
[状態]:全身に疲労感(小)
[装備]:ウィル・A・ツェペリのシルクハット、ジャイロの鉄球。
[道具]:支給品一式、エリナの人形、中性洗剤、スピードワゴンの帽子。
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームには乗らない。エシディシと、ジョセフたちを殺した者を殺害する。
基本行動方針:ジョセフの意志を継ぎ、荒木、ディオ、エシディシらを倒す。ジョナサンを止める。
1.シーザーとともに、DIOの館へ。
2.別行動を取った露伴たちが心配。
3.テレンスをブチのめしたい。
4.荒木の能力について知っている人物を探す。
5.女の子はできれば助けたい。
[備考]
※第一、第二放送内容を把握しました。
※『岸辺露伴の身を守る』というヘブンズドアーの命令は解除されました。
現在は『波紋の呼吸で傷を治療する』という命令の身書き込まれています。
※テレンスと会話をしました(情報の交換ではありません)
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
※ウィル・A・ツェペリのシルクハットを被りました。スピードワゴンの帽子はデイパックにしまわれたようです。

31 ◆vvatO30wn.:2010/11/01(月) 04:19:59 ID:???
以上です。
長かった……デビュー2作目でこんな長編を書くものではないですね……
バトル描写難しい…… 正直しばらく書きたくないです(笑)
多分、というか絶対パート分けすることになるでしょうが、一体何パートに分ければいいんだ?
そして無駄に長いくせに、タイトルは思いつきませんでした。
イカすタイトルを募集しています。

また、誤字脱字や矛盾点、表現がわかりにくい処や違和感のある処がありましたら、何でもいいのでお願いします。
内容以外でも、ここをこうしたらよりわかり易い、といったアドバイス等ございましたら、
SS作品批評スレッドなどでお申し付けください。

それでは、失礼します。
予約スレ、なんでもありスレで延長を認めてくださった方、ありがとうございました。
そして、長期にわたる延長と遅刻、重ね重ね申し訳ありませんでした。

32ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2010/11/01(月) 11:19:08 ID:???
大作投下、お疲れ様です。感想は本投下のときまでとっておきます

冒頭で露伴が億泰に殴られてもシーザーが守らなかったのは、億泰に信頼を置いてるからでしょうし問題ないと思います
ちょっと気になったのは>>15はともかく、>>25の露伴の二人称が『貴様』になってたのが個人的に違和感があるかな、と
矛盾点は特に見受けられませんでした。

ウィキに掲載する際のパート分けですが、二分割で収録できると思われます。
1ページに入る容量がメモ帳で換算して37.5キロバイトまでで、今回のSSは調べたところ56キロバイトほどでしたので。
ただ、もしも構成上3分割の方が分かりやすいとお考えなら、いっそのこと3分割にしてしまってもいいかもしれません。
タイトルは……思いつかないんで他の人に任せますw

最後になりますが、批評スレは注意書きにもあるように、基本的に書き手が自分の作品を批評するよう依頼する場です。
批評する方が現れるまで待つ必要がありますが、氏が望むなら直接依頼した方がよいかと思われます。

33ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2010/11/01(月) 12:47:38 ID:???
質の高い長編投下お疲れ様です
私もタイトルは思いつきませんでした
矛盾点も特に見当たりません
あえて違和感を挙げるとしたら、億康がかっこよすぎるところでしょうかw

パート分けは思い切って
>>3〜8 戦闘前
>>9〜15 フーゴ戦(前編)
>>16〜21 フーゴ戦(中編)
>>22〜24 フーゴ戦(後編)
>>25〜30 戦闘終了後
の五部構成くらいにしてしまった方が、綺麗に纏まって良いと思います

34ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2010/11/01(月) 17:36:29 ID:???
今更なんだけどフーゴが石像をデスマスクと呼ぶのに違和感がある

35ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2010/11/01(月) 19:19:14 ID:???
長編投下おつかれさまです。
この内容なら待った甲斐もあるというもの。

指摘としては
>>22 倒れているのは虹村億康だ
ここ一箇所だけ億泰の漢字が違います。おしい。

>>26
伝言と…『あいつ』の事もな
そして、ディアボロに『こいつ』と指さされたのは
どちらかに統一したほうがいいかと思います

36 ◆vvatO30wn.:2010/11/02(火) 11:15:11 ID:???
皆様、さまざまな指摘ありがとうございました。

>>32
たしかに違和感ありますね。訂正いたします。
批評スレに関しては、どうしても満足いっていないというわけではないので、特に依頼はしないことにします。

>>33
億泰はやればできる子だと思ってますw
場面転換が多いので、パート分けについては参考にさせて頂こうかと思います。

>>34
デスマスクの意味を調べてみたところ、死の直後の死者の顔の型を取ったもののようです。
アバッキオの事情を知らないフーゴがデスマスクと呼ぶのは、確かに違和感がありますね。
しかし、確かに今更どうしようもない気が……

>>35 「億泰」「岸辺」「早人」はずっと気をつけていたのに悔しいです。
『こいつ』は完全にミスです。
というか、終盤は締め切りに遅刻して焦って書いていたせいか、他にもミスも多く、書きたかったことを一部書き忘れていたりしていました。
やはり焦って書いたものに、いい物はありませんね。
本投下時には、大きく内容は変えませんが、もう少し内容を増やして投下しようと思います。
仮投下を雑誌掲載、本投下をコミックス修正だと思って、もう一度お楽しみください。

あと、タイトルはフーゴをイメージして『迷える奴隷』とします。
ネッシー氏の投下と被らぬ様、木曜の深夜に本投下を予定します。

37 ◆vvatO30wn.:2010/11/02(火) 11:40:23 ID:???
なんでもありスレの方に、今回のSSの補足を書き込みました。
一応ご一読ください。

38 ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:17:18 ID:???
さるったorz
申し訳ありませんが、どなたか代理で続きお願いします



かつて億泰の頭がここまで冴えていたことがあっただろうか?
『ザ・ハンド』の掌が投げつけられた手榴弾を消滅させる。
そして、引き寄せられたフーゴ本体に向かって、再び『ザ・ハンド』の掌を振りかざす。

「今度こそ終わりだッ!! くたばれッ!! フー――」






問題があったとすれば――――


「ゴッ―― ふッ………」


億泰の胸に、小さな鉛の弾が貫通した。
何をされたかもわからぬまま、膝を付きそのまま地面に倒れる億泰。
スタンドを発現させることもままならず、そのまま気を失ってしまった…。


「―――――ァァんてなァッ!!!」

戦いに勝利したフーゴが、邪悪な笑みを浮かべる。
億泰の胸元を貫いたのは、フーゴのポケットにまだ残っていたリボルバー式拳銃の予備弾薬。
撃ち出したのは、いまだ新しいカプセルを精製しきれていない『パープル・ヘイズ』の右腕。
かつて承太郎と仗助の二人が『虫食い』と呼ばれるスタンド使いの鼠を『狩り(ハンティング)』したときに用いたものと同じ攻撃方法である。
『ザ・ハンド』の掌が手榴弾を消し去った直後、手榴弾と同じ軌道に弾丸がはじき飛ばされる。
スタンドの破壊力Aを誇る『パープル・ヘイズ』から撃ち出された弾丸。
それが『ザ・ハンド』によって削り取られた空間によりさらに加速度的にスピードを増し、億泰の胸を貫いた。
『スター・プラチナ』でもない限り、この超スピードを受け止めることは不可能である。



一つ目の手榴弾で仕留めきれなかったときから、次の攻撃方法は『これ』と決めていた。
どんなド低能だろうと、僕のウイルスカプセルの数に限界があることはそのうち気づく。
最後の手榴弾をあらかじめ見せつけておいたのも、一つ目がばれた以上、隠し持って変に警戒されるより相手の動きが読みやすくなるから。
また、カプセルを使いきらされてしまったことと手榴弾を投げつけることで、オクヤスの注意は『パープル・ヘイズ』のヴィジョンから『僕本体』へと移る。
そして丸裸になったように見せることで、精密動作の苦手な『ヘイズ』でも弾を外さない距離まで接近してきてくれる。

ウイルスカプセルは囮……
手榴弾も囮……


すべてフーゴの計算通り。

億泰に問題があったとすれば、フーゴがそれ以上に頭の切れるIQ152の天才であったことだ。


「さて……即死は免れたようだな…… 心臓を撃ち抜けば一撃だったんだが、まあ『ヘイズ』にしちゃあ上出来か」

気絶した億泰に歩み寄り、『パープル・ヘイズ』の拳を振り上げる。
当然、ウイルスカプセルはすべて復活済みだ。


「とどめだッ! オクヤスッ!!!」


「波紋疾走(オーバードライヴ)ッ!!!!」


『パープル・ヘイズ』の拳が振り下ろさせるより早く、突然現れた大男の金色に光る右腕がフーゴに炸裂した。
波紋による呼吸と鍛え抜かれた身体によって驚異的な速さでの全力疾走。
フーゴを殴りとばしたその男は気絶している億泰に声をかけた。


「待たせたなッ!!」

シーザー・アントニオ・ツェペリが助けに来た!!

39 ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:18:18 ID:???



露伴が目撃していた通り、銃創は確かにシーザーの背中、心臓の位置に作られていた。
だがよく観察してみると、心臓を撃ち抜かれたにしてはシーザーの出血量は比較的少なかった。
銃弾は心臓に達していなかった。
皮膚を貫いた数ミリの地点…心臓の手前で銃弾は止まっていた。
『くっつく波紋』と『はじく波紋』……
以前に見たシーザーの記憶を思い出す……
撃たれる瞬間、シーザーは咄嗟に波紋で防御をしていた。
『はじく波紋』の力は間一髪のところでシーザーの致命傷を防いでいたのである。

とはいえ、シーザーが重傷であることには変わりない。
すぐに治療をしなければならないが、露伴に傷を治す能力は無い。
だが――――


「『ヘブンズ・ドアー』ッ――――ッ!!」

―――――『波紋の呼吸で傷を治療する』―――――


露伴は以前、シーザーから波紋での治療を受けていた。
露伴に波紋は使えない。
ならば、シーザー自身に自分の治療をさせればいい。

僅かながら呼吸ができているということは、波紋の呼吸に必要な『肺』は無事であるということ。
シーザーは気を失ってはいたが、『ヘブンズ・ドアー』に『命令』されたのなら『無意識的に』でも波紋の呼吸を行うことは可能だ。


じきに目を覚ましたシーザーは露伴に事情を聞かされ、すぐさま億泰の加勢へと走った。
治療の『命令』を書き込んだ時、同時に露伴は以前の命令を取り消していた。
これでシーザーは露伴の命を第一に考える必要が無くなり、億泰の助けに向かう事が出来た。

この時すでに億泰とはかなりの距離があり、正確な位置は分からなかったが、手榴弾の爆発音がシーザーを導いた。
そして、すんでのところで何とか億泰を助けることができたのだ。

40 ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:19:09 ID:???



「弾は貫通しているが、重要な臓器は外れている。命に別状はないな……」

シーザーは億泰の傷口に手を添え波紋を送り込む。
傷口は光を帯び、やがて塞がっていった。
しばらくすれば意識も取り戻すだろう。


「チッ……死に損ないめ…… 確かに心臓を撃ち抜いたはずなのに!!」


殺したはずの男が目の前に現れた。
それに、今見せたこいつの光る能力……強力な治癒能力でも持っていたのか?
……まあいい、どのみちオクヤスはしばらく目を覚まさないだろう。
あの『空間を削り取る能力』さえなければ、『パープル・ヘイズ』の敵ではない。

「勝つのはこのパンナコッタ・フーゴだッ!! 依然変わりなくッ!!」
『ぐああるルォァァアアア!!!!』

体勢を立て直したフーゴが『パープル・ヘイズ』でシーザーを攻撃する。
迎え撃とうとするシーザーに迫るその拳を―――――


「波紋疾走(オーバードライヴ)ッ!!!」


―――素手で払い除けるッ!!!
カプセルが炸裂し飛び出したウイルスは、シーザーの体に触れた瞬間―――
蒸発するように消えてしまった。


「なッ!!! 何だと――――――ッ!!!!」
「ずああぁぁぁッ!!!」

シーザーの拳がフーゴの顔面に炸裂する。
吹き飛ばされかなりのダメージを受けたフーゴだったが、それでも何とか立ち上がる。

「バ…馬鹿なッ!! 『ヘイズ』ッ!! こいつを殺せェッ!!!」

スタンドパワーを振りしきり、『パープル・ヘイズ』はカプセルを射出する。
そのカプセルをシーザーは素手で受け止め、握りつぶす。
ウイルスは、再びきれいさっぱり無くなってしまった。

「何故だッ!! 何故効かないッ!! 何故感染しないんだァ――ッ!!」

「残念ながらフーゴ…… シーザーにきみの能力は通用しないよ」

激昂するフーゴの問いの答えたのは、いつの間に現れたのか、シーザーに遅れて現場にかけつけた岸辺露伴だった。

「きみの『パープル・ヘイズ』のウイルスは光に弱いそうだね。ジョルノによれば、室内ライトの光ですら数十秒で殺菌されてしまうと……
その話を思い出し、そして思いついたんだよ…… 室内ライトですらそれなら、仮に『太陽に匹敵する光エネルギー』を与えてやれば、ウイルスを完全に無効化できるんじゃあないかってね……
『太陽と同等のエネルギー』をもつ、『波紋』の力ならね!」

露伴の仮説は当たっていた。
全身に『波紋エネルギー』を帯びたシーザーの体は『パープル・ヘイズ』のウイルスのパワーをはるかに凌駕していた。
『波紋』の前に、『パープル・ヘイズ』のウイルスは全くの無力!
無論、波紋でウイルスを無効化できることは、ここに来る前にウエストウッドの遺体に残ったウイルスで検証を終えている。

41 ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:19:43 ID:???
「クソッ……そんな馬鹿な…… チクショオォォ――――!!!」

もはやただの我武者羅。
ウイルスが効かないならスタンドでの格闘だ、と、フーゴは『パープル・ヘイズ』で攻撃を仕掛ける。
しかし、そんなもの所詮は悪足掻きでしかない。

「遅えよッ! 『シャボンランチャ―――』ッ!!!」

中性洗剤を利用した、シーザーの必殺技に込められた『波紋』のスパークが炸裂する。
直撃受けたフーゴは火傷するような熱と強い電流を同時に浴びせられたような痛みを全身に受け、倒れる。
もはや敗北は確定的だった。



なんて奴だッ――― 『パープル・ヘイズ』のウイルスを無効化できる奴がいるなんて……
『波紋』だとッ? 『空間を削り取る能力』なんか比ではない。
この『波紋』は『ヘイズ』にとって天敵中の天敵ッ!!
100%勝ち目がないじゃあないかッ―――ッ


「シーザー! 気をつけろよッ!! まだ手榴弾を隠し持っているかもしれんッ」

僕にとどめを刺そうとするシーザーに、ロハンが注意を促す。
やはり、さっきの一つ目の手榴弾の爆発音を聞いていたか……
残念だな、二つで打ち止めだ、生憎もう持ってないよ……
苦しみながらも何とか立ち上がった僕とにらみ合ったまま、シーザーはジリジリと距離を詰めてくる。
どうにかして逃げるしかない。
僕が懐に手を突っ込むと、シーザーの表情に警戒の色が強まる。
手榴弾はもう無いが、『こいつ』でなんとか隙を作ることができれば……
そんなことを考えながらシーザーとのにらみ合いが続き、しばらくしたところ……


「露伴さん……? それに…… 億泰さん………?」


僕の背後から、少年の物と思われる声と、その気配が感じられた。

「来るな早人ッ!! 逃げろ――ッ!!!」

ロハンが叫ぶと同時に、僕は目を閉じて、懐で握りしめていた『それ』を地面に叩きつけた。
一瞬でもシーザーに、『それ』が手榴弾であると思わせればよかった。
『それ』は地面に達した瞬間、小さな炸裂音と激しい光を発生させた。

42 ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:20:37 ID:???



川尻早人はエシディシに逃げられた後、吉良吉影を探し出し利用するため、住宅地を中心に当てもなく彷徨っていた。
そしてコロッセオの北部の住宅地のはずれに行き着き、そこで何かの爆発音が聞こえた。
フーゴが投げた一発目の手榴弾の音だ。
それを、吉良吉影の『キラー・クイーン』の爆発音だと勘違いした早人は、その音が聞こえた方角へ走った。
辿り着いた先にいたのは、向かい合う二人の外国人。
そして、自分の知り合いである岸辺露伴、倒れているのは虹村億泰だ。
とっさに露伴たちに声をかけたら、露伴から帰ってきたのは「逃げろ」という叫び声……
次の瞬間、激しい光が目を襲い、そして……




「来るなァ!! 誰も来るなァァァァ――――!!!!」

視力が回復したシーザーたちが目にしたのは、川尻早人を羽交い絞めするように抱きかかえ、喉元にナイフを押し付けているフーゴの姿だった。
フーゴが炸裂させたのは、手榴弾ではなく閃光弾。
半日ほど前に二挺の拳銃と同時に荒木から特別支給されたものの最後の一発だ。
フーゴがまだ手榴弾を隠し持っているかもしれないという先入観があったシーザーは、炸裂する閃光弾にやや身をたじろがせた。
その僅かな隙をついて、フーゴはナランチャのナイフを取り出し、早人を人質に取ったのだ。


「動くなッ!! 全員動くなよッ!! 一歩でも近づきやがったら、この子供を殺すッ!!!」

まさに追い詰められた極悪人の姿。
フーゴに残された選択肢は、見ず知らずの小さな少年を盾にして逃げることだけだった。

「早人ォ――――ッ!!」
「貴様! その子を離せッ!! このクソったれの外道がァッ!!!」

ロハンとシーザーが叫んでいる。
『クソったれの外道』か…… まさに今の俺にお似合いの言葉だな。
見ず知らずの三人を奇襲し、皆殺しにすることで『けじめ』をつけるつもりだった。
そして、他の参加者たちをもすべて殺し、優勝するつもりだった。
それが、結局一人も殺せないまま返り討ちにあった。
ブチャラティたちにも見捨てられちまったみたいだし、挙句の果てには親友のナイフを武器にして、無力な子供を人質にして逃げようとしている。
こんな惨めな姿は無い。

「お兄さんッ!! 僕にかまわないでッ!! こいつを倒すんだッ!!」

拘束された早人が、依然フーゴとの睨み合いを続けるシーザーに向かって叫んだ。
焦ったフーゴは早人の首に回した左腕にさらに力を込め、声が出ないように締めつけた。
しかし、早人の勇気ある言葉は、逆にシーザーの動きを封じさせる結果となる。
この少年をこんなところで死なせてはいけない。
シーザーの心にそんな思いがよぎり、動きを完全に止められてしまった。
逃げ切れる、フーゴはそう確信した。





「早人から手を離せ……」

その時、フーゴの背後からさらに別の人物の声が聞こえた。
悪魔のような、しかしどこか優しさを帯びた低音。
その声が聞こえたと同時に、フーゴはナイフを持っていた右手首が、いつの間にか関節の逆方向に折り曲げられている事に気がついた。

43 ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:21:11 ID:???
「無事か、早人…… そして… ずいぶん早い再会になったな、フーゴ……」
「きッ―貴様はッ―――!!!」

そして次の瞬間、早人を拘束していた左腕も、肘のところから逆方向に折り曲げられていた。

「ぐわァァァァァァッッッ――――――」
「ディアボロさんッッ!!」

痛みに絶叫するフーゴ。
そして、フーゴの腕から解放された早人が、その男の名を呼んだ。
手榴弾の爆音、加えて閃光弾の激しい光……
それらに導かれたのは早人だけではなかった。
ポルナレフの埋葬を終え、DIOの館を目指して北上していたこの男……
ディアボロもまた、この戦いの場に駆けつけたのだった。


こいつはッ――デスマスクの男ッ―――
ディアボロだと……!?
聞いたことのない名だ――!
やはり時を止める『空条承太郎』では無かったのか?
いや、さっき見せたこいつの能力は……
吉廣を奪われた時と同じだが… あの時は気が付かなかったが……
『時を止める』というより、『時を飛ばす』能力と言った方がしっくりくる。

「フーゴ…… 俺は貴様を逃がしはしない…… 貴様の引導は、必ず俺が渡してやると決めていた………」





『時を飛ばす』……そうだ、その表現が一番しっくりくる。
そして、この感覚…… 覚えがある……

『ジョルノ… すまないが水を取ってくれないか?』

そう、あの時だ。
この世界に連れてこられる直前。

『礼言ったっけ? ジョルノ… 言ってないよな。水取ってもらって……』

護衛の任務を終えて、ヴェネチアのマジョーレ島でブチャラティの帰りを待っていた時。

『何か…! 奇妙だ!! 何かわからないが…! 奇妙な雰囲気だッ!』

そして、このデスマスクの男は、僕のスタンド能力を知っていた。
ブチャラティたち、チームの仲間以外で僕の能力を知っている可能性がある者が、もう一人いたじゃあないか……!!

『たった今! 俺が『ボス』を『裏切った』からだッ!』





「ポルナレフの報いを受けろ―――」
「貴様ッ!! 組織のッ――――――」

『バルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバル……』

言い切ることなく、フーゴの意識はそこで途切れた。
すでに『パープル・ヘイズ』を発現させる力も残っていなかったフーゴに、ディアボロの『キング・クリムゾン』による怒涛のラッシュを防ぐ手立ては無かった。

「ヴァオールインフェルノ!!!(地獄に行け!!)」

突然の奇襲から始まった億泰・露伴・シーザーたちとフーゴの戦いは、激戦の末、早人・ディアボロの介入をもって、ここに終結した。

44 ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:22:37 ID:???
「無事か、早人…… そして… ずいぶん早い再会になったな、フーゴ……」
「きッ―貴様はッ―――!!!」

そして次の瞬間、早人を拘束していた左腕も、肘のところから逆方向に折り曲げられていた。

「ぐわァァァァァァッッッ――――――」
「ディアボロさんッッ!!」

痛みに絶叫するフーゴ。
そして、フーゴの腕から解放された早人が、その男の名を呼んだ。
手榴弾の爆音、加えて閃光弾の激しい光……
それらに導かれたのは早人だけではなかった。
ポルナレフの埋葬を終え、DIOの館を目指して北上していたこの男……
ディアボロもまた、この戦いの場に駆けつけたのだった。


こいつはッ――デスマスクの男ッ―――
ディアボロだと……!?
聞いたことのない名だ――!
やはり時を止める『空条承太郎』では無かったのか?
いや、さっき見せたこいつの能力は……
吉廣を奪われた時と同じだが… あの時は気が付かなかったが……
『時を止める』というより、『時を飛ばす』能力と言った方がしっくりくる。

「フーゴ…… 俺は貴様を逃がしはしない…… 貴様の引導は、必ず俺が渡してやると決めていた………」





『時を飛ばす』……そうだ、その表現が一番しっくりくる。
そして、この感覚…… 覚えがある……

『ジョルノ… すまないが水を取ってくれないか?』

そう、あの時だ。
この世界に連れてこられる直前。

『礼言ったっけ? ジョルノ… 言ってないよな。水取ってもらって……』

護衛の任務を終えて、ヴェネチアのマジョーレ島でブチャラティの帰りを待っていた時。

『何か…! 奇妙だ!! 何かわからないが…! 奇妙な雰囲気だッ!』

そして、このデスマスクの男は、僕のスタンド能力を知っていた。
ブチャラティたち、チームの仲間以外で僕の能力を知っている可能性がある者が、もう一人いたじゃあないか……!!

『たった今! 俺が『ボス』を『裏切った』からだッ!』





「ポルナレフの報いを受けろ―――」
「貴様ッ!! 組織のッ――――――」

『バルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバル……』

言い切ることなく、フーゴの意識はそこで途切れた。
すでに『パープル・ヘイズ』を発現させる力も残っていなかったフーゴに、ディアボロの『キング・クリムゾン』による怒涛のラッシュを防ぐ手立ては無かった。

「ヴァオールインフェルノ!!!(地獄に行け!!)」

突然の奇襲から始まった億泰・露伴・シーザーたちとフーゴの戦いは、激戦の末、早人・ディアボロの介入をもって、ここに終結した。

45重複レススマソ ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:23:24 ID:???




「億泰、ジョルノ、そして早人が出会ったという『エシディシ』という男……、やはり俺がサウンドマンから聞いた『民族衣装を纏った2メートル程の怪人』と同一人物だと思うか?」
「ああ、間違いない。エシディシは俺の時代…、西暦1939年に俺やジョジョの敵だった男の一人だ。『柱の男』と呼ばれている… 人間や吸血鬼を超えた、最強の生物だ」
「人間の可能性…… 人間と他の動物の違いを探しているとも言っていた……
目的はわからないけど、自分に向かってくる人間を迎え撃つことを楽しんでいるみたいだったよ」
「残る波紋使いがお前とジョナサンの二人しかいないとなると、お前がエシディシ討伐の切り札ということになりそうだな。
それにそのサウンドマンとかいうインディアン… 億泰の奴も一度会ったと言っていた。
どうにか見つけて取材……いや、話を聞いてみたいものだ」


フーゴを倒した彼ら四人は、気絶した億泰をディアボロが抱え、一番近くの民家へ移動した。
自分のもといた時代や元々の仲間のことから、この世界に来てからであった人物や自分の行動など、事細かな情報交換と今後の作戦会議が行われた。
その中でも主な内容が、柱の男『エシディシ』について、殺人鬼『吉良吉影』について、やたら悪評ばかりを聞くジョースター家の宿敵『ディオ・ブランドー』について、
そして―――

「ジョセフの祖父が狂気に走っている… というのが未だに信じられない。まさか、あのジョセフの……」
「ああ、俺もそれだけが一番の不安なんだ… だが、現場の状況を見るに、ほぼ間違いない……
ブチャラティの部下のミスタという男、ウエストウッド、そしてスピードワゴンさん……
少なくともこの三人を殺したのはジョナサン・ジョースターだと思われる」

ジョセフの祖父・ジョナサンは自分の親友であるはずのスピードワゴンまでをも殺している。
自分はジョルノに「DIOの息子など信用できない」と言ったが、今となっては、血縁など信用とは無関係な物のようにも思えてきた。
ジョルノに対する考えを改める必要があるかもしれない。
そして、やはりジョナサンとは直接会って確かめてみる必要がある。

「だから俺たちはこれから『DIOの館』に行くところだったんだ。ジョナサンがそこへ向かった可能性は高いと思われる。
それに、DIOの友人だとかいう『プッチ神父』とやらが何故死んでしまったのかも気になるしな」
「僕はもう遠慮しておくよ。自宅がどうなっちまったかは気になるが、さっきの戦いで少し疲れた。
それに早人をそんな危険な所へ連れていくわけにもいかないだろう? 行くなら君たち二人で行ってくれよ」

もとより、シーザーはそのつもりだった。
言っちゃあ悪いが露伴のスタンドは戦闘向きとは言い難く、今回のように足手纏いになってしまうと不利になる。
億泰もまだ気を失っているし、治療したとはいえ銃弾で胸を貫かれているのだ。
さらに『ハンド』で強引に左肩の傷の接合を行ったことや、連続したスタンド能力の酷使で体力を消耗している。
対するディアボロの戦闘能力の高さは先ほどの戦闘で証明済みだし、早人を露伴たちに任せて二人で行くのが妥当であると考えていた。

46 ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:24:09 ID:???

「それと最後に、早人が出会ったという露伴の『ニセモノ』というのも気になる。
もしかしたら姿を自由に変えられるスタンド使いかもしれん…… 見知った顔に出会っても、全員油断はするなよ……」

そうディアボロが締めくくり、会議が終わった。
いつまでもこんなところに留まっていても仕方がない。
ディアボロとシーザーが立ち上がり、出発の準備をした。


「よし、では俺たちはそろそろDIOの館へ向かうことにする。お前たちは億泰が起きるまでここに隠れていろ。
そして、億泰が目を覚ましたら、頃合いを見計らって『ナチス研究所』に向かうんだ。サウンドマンによればそこで脱出を目指す人間が仲間を募っているようだし、ジョルノたちもそこへ向かうと言っていたのだろう?
露伴、もしジョルノたちに会えたらそのときは、頼んだぞ……」
「ああ、『ボスからの伝言』だろ? 覚えているぜ。
『お前たちの組織のボスの名は『ディアボロ』…… この伝言の主のことだ。
お前たちが元の世界から『トリッシュの護衛任務中』に連れて来られたのだとしたら、恐らく俺は『お前たちよりも僅かに未来』から連れて来られたようだ。
そして、お前たちはわけあって俺と対立し、その結果俺は負けた。
だが、俺は今、お前たちを恨んでいるわけではない。
打倒・荒木を目指すというのなら、お前たちも私と共に戦って欲しい』
………どうだ?」
「完璧だ。かいつまんで要点を伝えてくれればいいと思っていたが、すごい記憶力だな」


ディアボロは、できる限りジョルノたちとの戦いを望んではいなかった。
ジョルノたちが『裏切る以前の時間』から連れて来られたことは露伴の話から推測がついたが、直接接触してしまえばあらぬ誤解から説得前に戦闘になってしまう可能性があった。
ジョルノたちを説得するのは、ジョルノを知るこの岸辺露伴に『伝言役(メッセンジャー)』をさせるのがベストだと考えた。
そして、伝言を文章と紙に残してしまうと、露伴の身にもしもがあったとき、ディアボロの情報が第三者に漏れてしまう危険もある。
記憶力の高い露伴に、『伝言役』はまさに適任だった。

47 ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:25:04 ID:???
「じゃあ、行ってくる。伝言と…『あいつ』の事もな。よろしく頼む……」
「頼み事はいいが、この露伴にそんな面倒を押し付けているんだ。例の『約束』は必ず守れよ」
「わかっている…… すべてが終わってからな…… 行くぞ、シーザー」
「ああッ」

二人は建物を出て行った。
ディアボロに『あいつ』と指を指されたのは、部屋の隅で車椅子に縛りつけられ気絶しているパンナコッタ・フーゴだ。
ディアボロはフーゴを殺してはいなかった。
『伝言』とは別に、ディアボロは露伴にもう一つ頼みごとをしていた。
それは、拘束したフーゴをリーダーであるブチャラティに引き渡すというもの。

本当に俺がフーゴを裁いてしまっていいのか?
そんな思いが頭をよぎり、最後の猛ラッシュのとき、ディアボロは僅かに力を抜いていたのだ。
フーゴは確かに狂っていた。
殺し合いに乗り、無力な少年を人質にとり、そしてポルナレフを殺していた。
だが、俺も元いた世界でアバッキオやナランチャ…そしてフーゴ以上に多くの人間を殺してきた男だ。
いまさら改心し、打倒・荒木を目指す、などと虫のいい事を言っている男に、フーゴを裁く権利などありはしない。
フーゴを裁けるとしたら、それは俺ではない。
それは、フーゴの直属の上司であるブチャラティだけだ、そう考えたのだ。

無論、そんな面倒事を易々と従う露伴ではなかった。
交換条件として、露伴はディアボロにある『取引』を持ちかけていた。
それは、すべてが終わった後、露伴に『ディアボロの記憶』を見せること。
ネアポリスを中心にイタリア全土を支配したギャングのボスの人生。
その壮大な人生の全てを見せることを、露伴はディアボロに約束させていた。

「正直、ディアボロの都合なんざどうでもいいし、こいつを生かしておくっていうのは癇に障るが、奴の『記憶』の為だ、仕方ない。すでに『ヘブンズ・ドアー』で『殺人不可』と『ブチャラティに会うまで気絶する』を書き込んでいるし、危険は無いだろう。
億泰が目を覚ますまで、フーゴの記憶を眺めて時間をつぶすとするか」

文句を言いながらも『ヘブンズ・ドアー』で楽しそうに記憶を読み始めた露伴の姿を見て、「相変わらずだな」とため息をつく早人あった。

48 ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:25:36 ID:???
【D-3 住宅街 民家/1日目 夜中】

【第4部生き残りトリオ+1】
【岸辺露伴】
[スタンド]:ヘブンズ・ドアー
[時間軸]:四部終了後
[状態]:右肩と左腿に怪我(車椅子が不要な程度には回復)、多少の疲労感
[装備]:ナランチャのナイフ、ミスタがパくった銃【オートマチック式】(11/15)
[道具]:基本支給品×2、ダービーズチケット、ディアボロのデスマスク、予備弾薬37発(リボルバー弾7発、オートマチック30発)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を倒すために『取材』をして回る。
0.フーゴの記憶が楽しみ。何が書かれているのだろう。
1.億泰の目が覚めたらナチス研究所へ向かう。
2.ジョルノたちに再会し、『ボスの伝言』と伝え、『フーゴ』を引き渡す。
3.荒木に取材を申し込むため、テレンスを探す(ナチス研究所優先)。
4.ウエストウッド…すまなかった。
5.隕石を回収……ああ、そんなのあったね

[備考]
※これからは荒木を討伐するために自分勝手な行動を控えることにしました。
※気は進まないようですが、時の情報についての考察にも助力をするようです。
※名簿と地図をやっと確認しました。
※傷はかなり回復しました。車椅子は現在フーゴの拘束に利用しています。
※第一放送、第二放送の内容を把握しました。
※ダービーズアイランドに荒木がいることを知りました。
※シーザーに書き込んだ『露伴の身を守る』という命令はキャンセルされました。今後そういった内容の『命令』は二度と書かないつもりです。
※本人は認めたくないようですが、億泰に対し、かなりの信頼を持ちました。
※ナランチャのナイフ、ミスタがパくった銃【オートマチック式】は護身用にディアボロから渡されました。
※ディアボロに依頼された、ジョルノ・ブチャラティへの『ボスからの伝言』は以下の通りです。
 『お前たちの組織のボスの名は『ディアボロ』…… この伝言の主のことだ。
お前たちが元の世界から『トリッシュの護衛任務中』に連れて来られたのだとしたら、恐らく俺は『お前たちよりも僅かに未来』から連れて来られたようだ。
そして、お前たちはわけあって俺と対立し、その結果俺は負けた。
だが、俺は今、お前たちを恨んでいるわけではない。
打倒・荒木を目指すというのなら、お前たちも私と共に戦って欲しい』
※荒木を倒し全てが終わった後、ディアボロに『記憶を読ませる』という約束をさせました。



【虹村億泰】
[スタンド]:『ザ・ハンド』
[時間軸]:4部終了後
[状態]:気絶中。左肩に『ザ・ハンド』で抉られた跡。胸の中央に銃痕(波紋で治療済み)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式。(不明支給品残り0〜1)
[思考・状況]
基本行動方針:味方と合流し、荒木、ゲームに乗った人間をブチのめす(特に音石は自分の"手"で仕留めたい)
0.気絶中
1.露伴たちと行動を共にする。
3.エシディシも仲間を失ったのか……。こっちに危害は加えないらしいが。
4.仗助や康一、承太郎の遺志を継ぐ。絶対に犠牲者は増やさん!
5.もう一度会ったならサンドマンと行動を共にする。
6.吉良と協力なんて出来るか
【備考】
※名簿は4部キャラの分の名前のみ確認しました。
※サンドマンと情報交換をしました。 内容は「康一と億泰の関係」「康一たちとサンドマンの関係」
 「ツェペリの(≒康一の、と億泰は解釈した)遺言」「お互いのスタンド能力」「第一回放送の内容」です。
※デイパックを間違えて持っていったことに気が付きました。誰のと間違ったかはわかっていません。
 (急いで離れたので、多分承太郎さんか?位には思っています。)
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。
※本人は認めたくないようですが、露伴に対し、かなりの信頼を持ちました。

49 ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:27:27 ID:???
【川尻早人】
[時間軸]:吉良吉影撃破後
[状態]:精神疲労(小)、身体疲労(小)、上半身全体にダメージ(波紋で治療済み)、右手人差し指欠損、
    漆黒の意思、殺意の炎
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、鳩のレターセット、メサイアのDISC、ヴァニラの不明支給品×1(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を倒したい。吉良吉影を殺す。殺し合いにはのらないけど、乗ってる参加者は仕方ない。
0.ディアボロや露伴たちと再会することができてよかった。
1.とりあえず露伴たちと行動をともにする。
2.吉良吉影を脅し、ウェザーの仇をとるのを手伝わせる。とりあえず思考1を優先
3.吉良吉影を殺す。邪魔をするような奴がいたらそいつも…
4.荒木の能力を解明したい。

[備考]
※吉良吉影を最大限警戒、またエンポリオの情報とディアボロたちとの情報交換を経てディオ、ジョナサン、エシディシ、由花子も警戒しています。
※ゾンビ馬によって右足はくっついていますが、他人の足なので一日たてば取れてしまう可能性があります。
 歩いたり、走ったりすることはできるようです。
※第二回放送の内容を把握しました。


【パンナコッタ・フーゴ】
[時間軸]:ブチャラティチームとの離別後(56巻)
[状態]:気絶中、右手首と左肘に骨折、その他全身に打撲と大ダメージ。ヘブンズ・ドアーによる洗脳。
[装備]:ポルナレフの車椅子(ディアボロに縛りつけられ、身動きが取れない)
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない
0.気絶中
1.僕はクソったれの外道野郎だ…
2.僕はブチャラティたちに裏切られてしまった…
3.デスマスクの男の正体がわかった――
[備考]
※荒木の能力は「空間を操る(作る)」、もしくは「物体コピー」ではないかと考えました(決定打がないので、あくまで憶測)
※空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、山岸由花子、岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、ジョセフ・ジョースターの能力と容姿に関する大まかな説明を聞きました。
※吉良吉影の能力(爆弾化のみ)を把握しました。しかし、一つしか爆弾化できないことや接触弾、点火弾に関しては聞いていません。
 また、容姿についても髑髏のネクタイ以外には聞いていません
※吉良吉廣のことを鋼田一吉廣だと思い込んでいます。
※花京院とその仲間(ジョセフ・ジョースター、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎)の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました(納得済み)。
※装備していたミスタの拳銃は壊されました。
※荒木がをフーゴに与えた支給品は拳銃2挺と閃光弾3つだけでした。
 拳銃は2つとも紛失(一方は大破、もう一方は現在露伴が所持)、閃光弾も使い切りました。
※D-3地点で手榴弾2個を入手しましたが、使い切りました。
同じく入手したナランチャのナイフも奪われました。
※デスマスクの男の正体がボス=ディアボロであること、その能力などに気づきました。
※ヘブンズ・ドアーの命令は以下の二点です。
 1.『人を殺せない』
 2.『ブチャラティに出会うまで気絶する』
※ミスタの拳銃の残骸は【D-3】に放置されています。
 銃身部分がごっそり削られており、使い物になりません。

50 ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:28:03 ID:???



「シーザー…なんだ? その帽子は?」

民家を出たシーザーは、デイパックにしまってあったシルクハットを取り出し、頭に身に付けた。
お世辞にもシーザーに似合っているとは思えないそのデザインに、ディアボロが疑問を投げかける。
歩を進めながら、シーザーは呟くように話し始めた。

「さあな… 俺の祖父さんの友人…スピードワゴンさんの遺体のそばで拾ったんだ。
何故かはわからないが…、これは俺が持っていなければいけないもののような気がして……」

シーザーは知らなかった。
それが自分の祖父、ウィル・A・ツェペリの遺品であることを……
そして、巡り巡ってそれは偶然にも誇り高き彼の孫の元に届けられた。
奇妙な運命の物語が、その帽子にあった。

そうか…、と、深く詮索することなく、落ち着いた声でディアボロは返事をする。
そんなディアボロに対し、今度はシーザーが質問を投げかけた。

「ディアボロさん…、教えてくれ。ジョジョは… ジョセフ・ジョースターは、何と言って死んでいった?」

ディアボロは自分の親友の最期を看取ったと言っていた。
ジョジョは俺の知らぬ七十前のジジイだったというが、それでもまだ誇り高く戦い、そして死んでいったのだと……

「『『恐怖を自分のものとする』事と、『恐怖を力に変える』事は違う。それを忘れるな……』そして、俺に『間違うな』……と……」

ジョセフに出会ってから、ディアボロは救われてばかりであった。
彼はずっと、ディアボロを励まし続けていた。
無限に続く死の恐怖を乗り越え、自分に『活きる』目標を与えてくれた。
彼の命を掛けた戦いにより、邪悪なるチョコラータに打ち勝つことができた。
ジョセフ・ジョースターの人生が、ディアボロを突き動かしたのだ。

「シーザー・ツェペリ…… ジョセフ・ジョースターの生き様は見事なものだった……
ジョセフの友人であるお前に巡り合えたことを、神に感謝する……」
「スタンド使いでジジイのジョジョとはなッ!! 一度会ってみたかったぜ」

シーザーは笑った。
その目には涙が浮かんでいた。
俺はジョジョの遺志を継ぐ。
ディオを、エシディシを……荒木を倒す。
そして、ジョナサンを……止める。

そんなシーザーに、ディアボロはデイパックから出した『ある物』を差し出した。
それはジョセフの形見。ジャイロ・ツェペリの鉄球である。

「ジョセフが波紋を込めて武器にしていた物だ。これはお前が持っておけ……
その方が、きっと奴も喜ぶだろう……」

シーザーは頷き、躊躇わず受け取った。
その鉄球はシルクハットの持ち主、ウィルとはまた違うツェペリ家の魂。
別の世界に生きた、ジャイロ・ツェペリの技術の結晶。
奇跡に近い運命の巡りあわせが、3つのツェペリ魂をここに集結させた。


「よし… 行こう…… DIOの館はすぐそこだ……」

ディアボロの呼びかけに答え、二人は走った。
闇夜の中、ふたつの強い意志が、殺し合いの終結に向け進みだした。

51 ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:28:38 ID:???
【D-3 住宅街/1日目 夜中】

【ジョジョロワ1stでは宿命の敵同士だった2人の夢のタッグ】
【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:全身の各所に僅かなダメージ(全て波紋で治療済み)。強い決意。強い恐怖。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水は全消費)、ポルナレフのデイパック(中身は確認済み):空条承太郎の記憶DISC、携帯電話
[思考・状況]
基本行動方針:ジョセフの遺志を継ぎ、恐怖を乗り越え荒木を倒す。
1.シーザーとともに、DIOの館へ。
2.別行動を取った露伴たちが心配。
無事ジョルノに『伝言』が伝わればいいが……
3.恐怖を自分のものとしたい。
4.『J・ガイルを殺す、花京院に謝る』。2つのポルナレフの遺志を継ぐ。
5.自分の顔と過去の二つを知っている人物は立ち向かってくるだろうから始末する。
6.駅にあるデイパックを回収したい。
[備考]
※音石明の本名とスタンドを知りました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。
※『恐怖を自分のものとして乗り越える』ために生きるのが自分の生きる意味だと確信しました。
※アレッシーとの戦闘により、『エピタフ』への信頼感が下がっています。
※キング・クリムゾンになんらかの制限がかかっています。内容は次の書き手さんにお任せします。
※サンドマンのメッセージを聞きました。
※ポルナレフのデイバックは、ディアボロが持って行きました。
※露伴たちと情報交換をしました。内容は本文のとおりです。
※ミスタがパくった銃【オートマチック式】は護身用に露伴へ渡しました。
※ジャイロの鉄球は、ジョセフの遺志を継ぐべきであるシーザーに託しました。
※荒木を倒し全てが終わった後、露伴に『記憶を読ませる』という約束をさせられました。
※ポルナレフのデイパックも確認しました。DISCに描かれている絵が空条承太郎であることは把握しましたが、DISCの用途はわかっていません。

【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
[時間軸]:ワムウから解毒剤入りピアスを奪った直後。
[状態]:全身に疲労感(小)
[装備]:ウィル・A・ツェペリのシルクハット、ジャイロの鉄球。
[道具]:支給品一式、エリナの人形、中性洗剤、スピードワゴンの帽子。
[思考・状況]
基本行動方針:ジョセフの遺志を継ぎ、荒木、ディオ、エシディシらを倒す。ジョナサンを止める。
1.ディアボロとともに、DIOの館へ。
2.別行動を取った露伴たちが心配。
3.テレンスをブチのめしたい。
4.荒木の能力について知っている人物を探す。
5.女の子はできれば助けたい。
[備考]
※第一、第二放送内容を把握しました。
※『岸辺露伴の身を守る』というヘブンズ・ドアーの命令は解除されました。
現在は『波紋の呼吸で傷を治療する』という命令のみが書き込まれています。
※テレンスと会話をしました(情報の交換ではありません)
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
※ウィル・ツェペリのシルクハットを被りました。スピードワゴンの帽子はデイパックにしまわれたようです。

52 ◆vvatO30wn.:2010/11/05(金) 00:41:25 ID:???
以上です。
代理投下してくださっている方、ありがとうございます。
タイトルは「迷える奴隷」です。

仮投下時に書き忘れていた内容を追加しました。
大きくは、作戦会議の場面での
・シーザーのジョナサンに対する考察、ジョルノに対する心境の変化
・露伴とディアボロの『取引』(=約束)
の二つです。
シーザーとディアボロのラストシーンも多少加筆しています。

その他は、
誤字、ミス等を修正し、また見栄えを良くするよう、
漢字→平仮名や、平仮名→漢字の修正、接続詞、助詞、助動詞、
その他単語を選んでの表現の見直しなどを行いましたが、大幅な変更はありません。

それでは、感想などお待ちしています。

53 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/20(土) 22:27:19 ID:2HZnB4.g
予約ラッシュ来なかったなぁ……(遠い目)

エシディシ、山岸由花子、サンドマン、リンゴォ・ロードアゲイン、テレンス・T・ダービー投下します

54 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/20(土) 22:27:51 ID:???
切り取られ、不自然に固められた歪な世界。
虫も住まわぬ地面を踏みしめ、張り付けられたような月に照らし出される不揃いな蠢くモノ達。

その影は二つ。

一人は男。
どんな彫刻師も彼を目にしては自らの作品を砕くだろう、完璧な肉体美を持った恐るべき怪物。

一人は女。
どんな絵師も彼女の黒曜の瞳を描くに能わず自ら筆を折るだろう、美しい漆黒の瞳に漆黒の意志を宿した少女。

歪な熱意と歪な愛情。
狂ったものはなぜこれほどまでに美しいのか。

この世界に、彼らほど似付かわしいモノはなかった。



少女の数メートル先を凄まじい歩幅で歩くのは、スタンドを得た怪物エシディシ。

彼は同族をすべて失い、彼らの希望をその双肩に託された。
その割に彼が心底愉しそうに笑みさえ浮かべているのは、太陽を克服する術をその身に宿したからだけではない。
彼の後ろをチマチマと時間を稼ぐように歩く少女、なんともいえない高揚感の原因が彼女にある。
この見るからにひ弱な、軽くひねりつぶせそうな少女が『DIO』を追い詰めることができたという。
「デマカセ」か「事実」か、真実は隠されている時が最も面白い。

――どちらにせよ、このエシディシにとって愉快な展開にしかなり得まい。

隠そうともしない笑い声が口元から零れ、空気を揺らす。


――さて、この厄介な同行者、どうにかならないものかしらね。

黙っていれば男を引きつけずにおれない美貌を曇らせ、山岸由花子は考える。

クツクツと笑う背中は無防備そうに見えるけれど、手を出そうとすれば自分は一瞬で肉塊に変わる。
エシディシの『能力』は不明でも、そう確信できるほど圧倒的プレッシャー……!!
だけどこのまま連れ立って歩き続けるのも危険。
DIOの館へ赴き偽早人を殺すとしても『DIO』を慕う人間が側にいれば、無傷ではいられない。
前回のようなディオを人質にする作戦もエシディシの前では無意味。
DIOの館へ到着する前になんとかしないと……。

隙を見て逃げ出す?
いえ、この男が隙を作ったとして、すぐにばれる。
一瞬で追いつかれ、きっと………

「足が疲れたようなら背負ってやってもいいんだぞ ユカコォ?」

「ありがたい申し出だけど、結構よ」

時間を稼いでいることは見抜かれている。
次は本気で催促してくるかもしれない。

――参ったわね、いま殺されないだけマシかしら。

下手に希望が見えた分、絶望が訪れる瞬間が恐ろしかった。
自分のおかげで音石明は無傷で永らえたのかと思うと、彼に対する憎悪は深い。

――でも、康一君のためよ、すべては、すべては、愛する彼のため………。

愛する人のため、山岸由花子は思考を止めない。


  *  *  *  *  *

55 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/20(土) 22:28:54 ID:???


荒木は『君だって18時間命をかけて戦ってきた』と言った。
それは本人も自負するところであり、絶対的な庇護者の盾がいつ自分を貫く矛へと替わるか恐怖しながら、彼はこの18時間戦い抜いてきた。
しかし、彼は『不運』であった。


「私には気付かずに行ったようだな……」

長身の男と年端もいかぬ少女という、珍妙だが危険な香りを纏った二人を物陰から見送り、テレンス・T・ダービーは溜息をついた。
支給品を確認した時には、その情報量の多さに思わず頬が緩んだが、
見通しの悪い宵闇の中、15分も歩いた頃には緊張感に足がすくんでしまっていた。

夜目に利く殺人鬼がそばにいたとしたら?
地面に爆発物でもしかけてあったら?
最初に説得を考えたオインゴが、私に恨みを抱きこの舞台に降りることを望んでいたとしたら?

 『すでに私以外のすべての人間が問答無用の殺し合いを肯定していたら?』

心理戦に強い能力など、絶対的な『暴力』の前ではなんの役に立つだろう。
私に劣っていたとはいえ、優秀なギャンブラーとして名を馳せた兄はあのように無様な最期を迎えたのだ。
質問することなしに心を読めぬ『アトゥム神』をこれほど恨めしく思ったことはなかった。
ギャンブルや会話など意に介さない奴と対峙した時点で私の生は終わる。

動かないで、使えそうな奴が通りかかるのを待つのが得策か?
拠点となりうる施設に出向いて、大勢の人物を利用したほうが賢明か?

結局、彼は自らの方針を定めることなく、現状の対処に追われる破目になった。

「おまえに、尋ねたいことがある」

彼の『不運』は、ただ一人『感覚』を尖らせる経験を積めずこの場に降り立ったこと。
彼が得意とするテレビゲームで例えるとするなら、
敵も味方もレベル30に育ったゲームの中盤、レベル1で放り込まれたようなもの。

「スーツを着た、爆弾のスタンド使いを……見なかったか」

見えぬ敵に警戒を怠らず、18時間生き残ってきたプレイヤーと、
その間、荒木と対戦者のみに警戒をするしかなかったプレイヤー。
両者の差は画然としていた。


 *  *  *  *  *

56 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/20(土) 22:30:15 ID:???


――身の丈2メートルを越すモンスター、奴のことだろうな。

彼はコロッセオの頂上部から北東へ向かう男女を見下ろしていた。
電気など通っていない広い荒野に生きてきた身、人よりは目が利く自信があった。
昼間は人が集まりすぎる危険性を考えて近付かなかったが、日が沈んでしまえば自分には有利。
彼の背には羽など生えておらず、特別な道具を保持していたわけでもないが、
常人にはない『脚力』が、コロッセオの頂上部という高所に彼を鎮座させていた。

彼の名は“サウンドマン” 音をかなでる者。

彼は鳩のメッセージを受けとるや、即座にDIOの館へと向かった。
放送直前に到着した彼を待っていたものは、生臭い血の匂いと、殺人鬼達の暗い嗤い声。
1.2.3…声を数えてみれば5人もの殺人鬼がその館に集結していた。

密約を交わした相手の本名も、声も、顔も知らない。知っていたのは『早人』という偽名のみ。
本性を現した奴が5人の内の誰かで、俺を始末しようと鳩をよこした可能性は大いにある。
それとも血の匂いは『早人だったモノ』が漂わせているのかもしれない。

――わざわざ殺人鬼の間に割って入ってお前を助けてやる義理はない。

所詮信頼するに足る人物ではなかった。『早人』を救えなかったとして、心に負うものはない。
殺人鬼達の同盟が結ばれる様子を音に聞き、彼らが動き出そうとしたところで、サウンドマンはひっそりとDIOの館を離れた。
この殺人鬼集団の情報も、伝えてまわらねばなるまい。
念のため北のタイガーバームガーデン、豪華客船、倒壊したジョースター邸を早足で駆け抜け、
コロッセオに辿り着いたのは今から数十分ほど前。
地図の上で最も人を寄せ集めそうなその場所が、もぬけの殻だったことを意外に思い少し思案する。

未踏の東側施設へ向かうか、ナチス研究所へ向かうか、ここに留まり通りかかる人を待ち受けるか……。
東側へ向かう案は第一に破棄した。
そこに至るまでに禁止エリアが多く、誰かが留まっているという確信もないため。
情報は、早く、確実に届けられなければならない。

この舞台からの脱出を志す者たちが集まっているだろうF-2ナチス研究所。
殺人鬼共が揃い踏みしていたC-4DIOの館。
この2施設を結ぶ線上にコロッセオは存在している。

――禁止エリアの増えた今、人は必ずこのコロッセオ周辺を通る。

周囲への配慮は怠らず、彼はただ待った。
そして、見つけた。
警戒を促されたモンスターと、その後ろを黒光りする美しい髪を揺らして歩く少女の姿。

彼はそのモンスターに既視感を覚える。
殺し合いが始まってまもなく出遭った、風を操るモンスター『ワムウ』。
盲目の友人を、自分と同じ能力を持つ少年を、誇り高き男を殺害したあの男。
奴の敏速かつ蛮勇な動作、スタンドとは異なる妙技。
マウンテン・ティムをあのような状態にせしめたのも、奴と同種のモンスターというなら納得がいく。
後ろの少女は昼間DIOの館に居た少女だと思うが、奴の仲間だろうか。

先ほど見た5人の同盟に加え、2人がDIOの館へ向かおうとしている。
殺人鬼共の中にも自分と同じようなメッセンジャーがいて、DIOの館へと殺人鬼を導いているのかもしれない。
だとすれば事態は想定したよりも悪い方向へ傾き始めている。
奴らをやり過ごしたらナチス研究所へ向かったほうがいい。

メッセンジャーには、メッセンジャーなりの戦い方がある。


  *  *  *  *  *

57 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/20(土) 22:31:23 ID:???


「ひっ……」

悲鳴をあげずにいられたのは、我ながらよくできたほうだと思う。
二人組みに集中するあまり、背後しかもほんの1メートルほどの距離に人が寄ることを許してしまった。

がっしりした長身に、荒く刈り込まれた頭髪、口元にはドクロを象ったような奇妙な鬚、
そしてなにより目を引くのが、月を映しテラテラと輝く抜身のナイフ。
『スーツ』がどうのといっていたが、私を油断させようという魂胆だろう。
そんな大層な武器を見せつけて、情報交換だと? 馬鹿げているにもほどがある。

こういう場合、私が取るべき行動は一つ! 逃げる!!
やりすごした大男とは逆の方向へ、敵の急襲も考えられ、全速力というわけにはいかないが、ともかく逃げる。

……100メートルは走っただろうか。
息があがってきたところで、追っ手がいるか確認するため、振り向いた。

「………!!!!?!!????」

ドクロ鬚の男は、私からほんの10メートルの距離に立っていた。
ハァハァと肩で息をつく私に対し、男は1ミリも動いていないかのように悠然としている。
いや、事実、動いていない。
男は私に話しかけた位置から全く動いていない。
そして私も10メートルほどしか走っていないことになっている。
私には確かに100メートルほど走ったという実感がある、しかし実際には10メートルほどしか進んでいない……。
まさかッ!! DIO様と同じ能力……!!??

「驚かせたようですまないが、おまえはオレから逃げることはできない
 オレのスタンド『マンダム』はきっかり6秒時を戻す
 走ったという結果は消え去り、おまえには走ったという記憶だけが残る
 繰り返すだけ無駄だ」

「――――ッ!!!!」

顎から汗をたらす私に対して、男は淡々と語る。
その一連の口上はすでに何百回と発してきたのではないかというほど流暢だ。

「居場所を知っているなら教えて欲しい
 この殺し合いの場においてすかしたスーツを纏った男だ、『キラヨシカゲ』という」

「す、スーツを纏った男、だとぉ……」

ひとまず男に自分を襲う気がないことを認め、ようやく私は冷静になる。

この男、情報交換が目的のようだな。
たとえ嘘でもそれを餌にすれば、この『6秒時間を巻き戻す』とかいう強力なスタンド使いを、
とりあえずの味方として引き入れることができるのではないか。

「ォホン、知っているとして、どうするつもりだ」

テレンスに渡された「参加者詳細データ集」に掲載されているのはあくまでゲームが始まった時点での情報。
吉良吉影の現在地など知っているはずがない。
“キラヨシカゲ”が名簿にある“吉良吉影”と同一人物であるかも実は自信がない。
だが、自分の引きが良いように見せかけるのは、ギャンブルの基本的手法。
そしてギャンブルなら、私が負ける道理はない。

「どうすればその情報を教えてもらえる?」
「そうですね、賭け事はどうでしょう?」

そうはずだったが……

「オレに交渉の術はない
 あるのは、『公正』なる果し合いのみ」

テレンスがもしもそのまま「知らない」と答えていれば、リンゴォは去っていただろう。
交渉の余地があるのならばと欲目を出したのは仕方ないが、今回は相手が悪かった。

「オレの武器はこのボウィーナイフのみ……」

リンゴォが説明を始め、その手の内にあるナイフがギロリとテレンスの方を向いたとき、
彼は己が論理の敗北を悟った。


(誰でもいい、助けてくれ……)


「割り込んで申し訳ないが」


どこからか声が降ってくる。

「俺はその男の居場所を知っているかもしれない」

あらわれたのはインディアンのような格好をした精悍な顔つきの男。
メッセンジャー、サウンドマン。


  *  *  *  *  *

58 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/20(土) 22:32:43 ID:???


「そうか、あの男、再びDIOの館に……」
「ああ、能力まではわからないが、『吉良』と呼ばれているのを聞いた
 加えて下手に出ているようで上から見下しているような話し方、あいつで間違いないだろう」

ドクロ髭の男とインディアン風の男は先ほどからテレンスなどいないかのように情報交換に勤しんでいた。
自分への関心が全く向けられないことに対して、テレンスは安堵しながらも苛立ちを隠せない。

(なんなんだ、この男共。私を完全に無視して仲良く内緒話だなんて)

しかしタダで情報が得られるチャンスを自ら放棄することはできず、二人から数歩離れた位置でじっと聞き耳を立てている。
知った名も混じるマーダー共の居場所、脱出を志す者たちが集うナチス研究所、そしてやはり危険人物だった先ほどの大男。
現況がなんとなく理解できてしまう、素晴らしい情報量だった。

「俺はこれからナチス研究所へ向かう
 おまえに協力してやることはできない」
「神聖な決闘を汚した、あの男との決着はオレ自身がつけねばならないもの」

助けを借りるつもりはない、そういってリンゴォが立ち上がった。
その長身を見上げ、サウンドマンは彼にしては珍しくひとつの疑問をぶつける。

「DIOの館へ向かうのならば、どこかで例のモンスターと遭遇するだろう
 『男の世界』とやらがなんなのか、俺にはどうでもいい話だ
 だが、あからさまな強敵には目を瞑り、決闘の邪魔をされたからという理由で下衆な男を追い続ける行為
 オレには『男の世界』とは真逆の受身の対応、おまえの嫌悪した吉良となんら変わりない行動のように思える
 たきつけるつもりはないが、このまま避け続けるのか? 真に強い敵を」
「…………………」

リンゴォは怒りも驚きもなく、無表情のままサウンドマンの言を聞いていたが、
ふいに視線を外し、北へと歩を進め始める。

「情報感謝しよう…… サウンドマン……」

そしてそのまま夜の闇へと吸い込まれていった。
あとに残されたのはサウンドマンと、とうとうリンゴォと会話することのなかったテレンス。

「おまえ、「わ、私はお前に助けを求めた覚えはない」

テレンスにとってサウンドマンは危うい場面を救ってくれたヒーローといえた。
しかしそれを契機にホイホイ信用するような単純な精神をテレンスは持ち合わせていない。
弱みを握られるようなことがあれば、スタンドにも影響が出る可能性がある。
恩を売られるなんてまっぴらだ。

「違いないな」

サウンドマンにとって会話に割り込んだ目的は、危険人物吉良に敵対心を持つと思われたリンゴォとの接触。
もとよりテレンスに期待をしていたわけでもなく、その言い分に憤慨することもない。

「それより、メッセンジャーとして情報を伝えて回っているといっていたな
 お前は『荒木』に勝てると、本気で思っているのか?」

荒木の下でゲームをしていたときも、打倒荒木を志す者は見てきた。
しかしこの殺し合いの場に立ってみて、改めて理解した。
こんな状況に我々全員を落とせしめた荒木、彼を打ち倒そうなどと妄言も甚だしいことを。
理知的に『脱出を目指す』と語ったサウンドマンが不思議で仕方がない。

「……?
 俺は、俺自身の目的のために、できる限りのことをする
 それだけだ」

サウンドマンは言い切った。
『勝てる』『勝てない』ではない。
それは『どう生きるか』という命題に対する彼の答えのようにも感じられた。

「もう、いいだろうか? 時間が惜しいんでな」

――突然『荒木』の名を口にするから、今まで出会った奴とは違うのかと思ったが、時間を無駄にしたな。

この男から得られるものはないと判断し、サウンドマンはすぐにもその場を去ろうとする。


そのとき

59 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/20(土) 22:33:28 ID:???


きゃあああああ―――――っ



闇夜を切り裂いたのは少女の叫び声。
両名即座に身構えるも、次にとった行動は全く正反対のものだった。
声の発生源へ駆け出そうとするはサウンドマン、対するテレンスは逃げ出そうと反対側を向いていた。
自然距離のあいた背中合わせになり、微妙な空気が場に流れる。

フン、と息をつきサウンドマンはやや侮蔑的な表情をテレンスに向けた。
だがそれも一瞬のこと、サウンドマンは北へと視線を移す。

「お前が危険を促したモンスターだぞッ!!!?? なぜ向かおうとするッ」
「先ほどは少女も奴の仲間だと判断した
 しかし、敵の敵は『味方』の可能性が高い」
「本気か……」

『YES』『YES』『YES』

テレンスが躊躇した瞬間に、サウンドマンはもう走り出していた。

――あの少女を助け出すことも、『荒木』を倒し故郷へ帰ることも、奴は本気で成し遂げようとしているのか……

なんともいえない諦念のような、感動のようなものが胸の底から湧き出し、その奔流はプライドや目論見を易々となぎ倒す。
凄まじい勢いで遠ざかる後姿に向かって声を張り上げた。声がちゃんと届くようにと。

「サウンドマン、私が渡せるものは情報しかない!!
 それでもかまわないというなら、半刻後コロッセオの外部西側で待っている
 5分は待たない、それで貸し借りなしだ!!」

サウンドマンが片手を挙げる。了解のサインだろう。

荒木に勝てるとはこれっぽっちも思っていない。
しかしそれと荒木に関する情報を漏らすのは別問題だ。
もしも、ありえない話だが、もし荒木に勝てる人間がいるのだとしたら、ここで恩を売っておくのは悪くない。
それに『荒木に勝てる』という幻想をちらつかせておけば、『対主催』がこぞって『優勝狙い』に転ぶ危険性も低くなるだろう。
非力な私のスタンドでは、うまく他人を利用していく他ない。

「悪くない話だ…、対主催の信頼を得て、安全を確保すること…」

あくまでも、優勝するためのプロセス。
そう自分を納得させたわりに、胸にこもった熱は引いていくことをしらない。
大声を張り上げた、目立つ施設を合流場所に指定した、そもそも自分はあの男のことをよく知らない。
自らを窘めるミス・リスクは後からいくつも浮かんだが、不思議と後悔は感じなかった。


  *  *  *  *  *

60 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/20(土) 22:34:27 ID:???


山岸由花子は、思い込みが激しくはあったが、情報を理知的に判断できる狡猾な少女だった。
自分が他人の目にどう映るか、相手とどれほどの実力差があるのか、
正しく判断を下せる知性が『身体能力』『攻撃範囲』というハンデを埋め、彼女をここまで生かしてきた。

もし彼女が『柱の男』に関する情報を人づてに聞いていたならば
彼らの戦闘をどこかで目にしていたならば
せめて彼らに敗れた死体でも見るチャンスがあったのならば………


「コロッセオ、誰もいないようだなァ……」

怪物の残念そうな呟きに、山岸由花子は胸をなでおろした。

“ディオが現在も同じ場所留まっているかわからない”
時間稼ぎが見え見えでも、正論をぶつけコロッセオに立ち寄ることを許可させたのはつい先ほど。
しかもコロッセオを過ぎてしばらくしてからの提案。
さすがに怒るかしら、と内心ヒヤヒヤしたがエシディシは自分のその態度をも楽しんでいるようだった。
コロッセオに本当にディオがいたら、という別の不安もあったが、
『偽早人』にしろ本物のディオにしろこんな目立つ建物は拠点にしない、と思いたかった。
結果的にはそれで合っていたのだから大丈夫、問題ない。

――でも、もう時間を引き延ばす術がない……。

死ぬよりマシと考えて、エシディシの後ろに従ってきたが、正義のヒーローにも頭の悪いマーダーにも遭遇することはなかった。
再び歩き出し、一路DIOの館へ。
チンピラ風情の男やホル・ホースを利用してすんなり通ったのが、夢だったかのように思える。
日差しの中、これが康一君とのピクニックなら最高だった、なんて思ってたわね。

そう、死ぬわけにはいかない。
DIOの館に着く前に、やれるだけの時間稼ぎはすべてやってみせる。

「ねぇ、その腕、そのままで大丈夫なのかしら?」

出血はないようだが、本人が口に出していたくらいだからそこそこの怪我なのだろう。
怪我を負っていたほうが隙に繋がるかと思い放っておいたが、これから隙が訪れるチャンスは恐らくない。

数秒遅れて振り返ったエシディシ。
仮面を被っているかのように考えが読み取れない。
無表情。黙り込む。
由花子の次の言葉を待っているかのように。

「手当てが必要なんじゃない?」

「そう……だな……… そう、『手』当てがな……!!」

目にも留まらぬ速さで由花子に接近するエシディシ。
何が起きているのか理解できぬまま、本能で後退する由花子。



音もなく――、一閃



遅れて吹いた風に、髪がゆれる。
身体が理解するより先に、頭が理解した。


腕が、私の腕が……!!!!



「き、きゃあああああああああああああああああああ」



山岸由花子は、思い込みが激しくはあったが、情報を理知的に判断できる狡猾な少女だった。

もし彼女が『柱の男』に関する情報を人づてに聞いていたならば
彼らの戦闘をどこかで目にしていたならば
せめて彼らに敗れた死体でも見るチャンスがあったのならば


彼女は右腕を失わずに済んでいただろう。


  *  *  *  *  *

61 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/20(土) 22:35:24 ID:???


走る、走る、走る。
家々をすり抜け、リンゴォを追い越し、馬よりも早く、風よりも早く。

少女と怪物、目標の二人を確認するや、勢いを殺さず飛び上がる。

スピードと重力を存分に活かした飛び蹴り。
それだけでも並みの大人なら頭蓋骨を陥没させそうな威力だが、そこにさらに「ドヒュン」の音を重ねる。

サウンドマンとエシディシが触れ合ったのは一瞬。

エシディシの動体視力にも勝る高速の蹴りと、それ以上の何か。
肉体を摂り込もうと考える間もなく、彼の巨躯は50メートルほど吹っ飛んでいた。

ワムウのように異常な身体能力で戻ってくる可能性を考え、サウンドマンが足元に音を宿した小石をばら撒く。
山岸由花子は立ち尽くしたままその様子を見ていた。

「こう、いち……くん………?」

呆然と少女が呟く。サウンドマンはその名に聞き覚えがある。
自分と同じ能力を持った少年、億康の友人、広瀬康一。
この少女も彼の知り合いだったとは……。

「走れるか? とりあえず逃げるぞ」

腕を失ったショックか、永遠に失われたはずの能力に再びまみえた驚きのためか、
依然、目をむいたままの彼女を強引に引きよせ走り出す。
幸い彼女に腕以外の怪我はないようだ。

――うまく奴を撒ければいいが……。



「ぐっ、ユカコォォォオ、まさか朋輩を控えさせていたとは……」

圧倒的有利に胡坐をかき、山岸由花子の人間性を愉しんでいたエシディシは、
ダメージこそないが“吹っ飛ばされた”という事実に対して驚き苛立っていた。
腕を千切ったのも、結合させるためというよりは、彼女の『必死』を見るための行為。
それを誰かに邪魔され、山岸由花子は恐らく逃げた。

「あの女、どのような能力を持っていようとかまわん 捻り潰すッ」

自分が吹っ飛ばされた方向を憎々しげに睨み付けるエシディシ。
猛り狂う獣の姿態。

その視界に入り込む影ひとつ。

「オレの名はリンゴォ・ロードアゲイン」

足音が近付く。

「オレの武器は、このボウィーナイフのみ」

長い手足が露になる。

「オレの能力名は『マンダム』
 ほんの『6秒』
 それ以上長くもなく短くもなく
 キッカリ『6秒』だけ『時』を戻す事が出来る
 それが『能力』」

月が彼の面貌を照らし出す。
その瞳に宿るは、紛れもない『漆黒の殺意』。
彼には「光」が見えていた。
あの時と同じ、進むべき「光り輝く道」が………


「よろしくお願い申し上げます」

62 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/20(土) 22:36:21 ID:???
【E-4 中央より北西/1日目 夜】

【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:人間の強さを認めた。右腕の肘から先を欠損
[装備]:『イエローテンパランス』のスタンドDISC
[道具]:支給品一式×2、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部〜6部コミックスの最初に載ってるあれ)
    不明支給品0〜2(確認済み)、岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ(ピンクダークの少年、巻頭カラー)、ブラックモアの傘
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに優勝し、全生物の頂点にッ!
0.誰だ?ユカコの仲間か?
1.ユカコとその仲間、殺してやる
2.億泰には感謝せねばなるまい。
3.常識は捨てる必要があると認識
4.ドナテロ・ヴェルサスを殺す際にメッセージを伝えるつもりだったが、奴は既に死んだようなものだ。
[備考]
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました 。彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※『イエローテンパランス』の変装能力で他者の顔を模することができます
※頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。
※イエローテンパランスはまだ完全にコントロールできてません。また具体的な疲労度などは後続の書き手さまにお任せします。

※千切った由花子の腕は吹っ飛ばされた時に落下し、現在も周辺に落ちています。


【リンゴォ・ロードアゲイン】
[スタンド]:マンダム
[時間軸]:果樹園の家から出てガウチョに挨拶する直前
[状態]:身体疲労(中)
[装備]:ジョニィのボウィーナイフ
[道具]: 基本支給品 不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者達と『公正』なる戦いをし、『男の世界』を乗り越える
0.エシディシから逃げていた自分に決着をつけ、『公正』なる果し合いを。
1.エシディシに勝てたのならDIOの館へ。吉良を許すことはできない。
2.遭遇する参加者と『男の世界』を乗り越える。
[備考]
※怪我はゴールド・エクスペリエンスで治療されました。
※ブチャラティのメモの内容を把握しました。
※参加者が時を越えて集められているという話を聞きましたが、自分の目的には関係ないと思っています。

※サウンドマンと情報交換をしました。
 内容は『お互いの名前・目的』『吉良(とその仲間)の居場所』『お互いの知る危険人物』『ナチス研究所について』です。

63 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/20(土) 22:37:02 ID:???
【E-4 中央より西/1日目 夜】

【サンドマン】
【スタンド】:『イン・ア・サイレント・ウェイ』
【時間軸】:ジョニィの鉄球が直撃した瞬間
【状態】:健康、暗殺チーム仮入隊(メッセンジャー)
【装備】:サヴェジ・ガーデン
【道具】:基本支給品×2、不明支給品1〜3(本人確認済み)、紫外線照射装置、音を張り付けた小石や葉っぱ、スーパーエイジャ、荒木に関するメモの複写
【思考・状況】 基本行動方針:元の世界に帰る
0.少女を連れてエシディシから逃げる
1.少女にツェペリ(≒康一)の遺言を伝える
2.出来ればテレンスとの約束の場所へ向かいたい
3.ナチス研究所へ向かい、同盟を組んだ殺人鬼達の情報を伝える
4.初めて遭遇した人物には「ナチス研究所にて、脱出の為の情報を待っている」「モンスターが暴れている」というメッセージも伝える。
5.荒木の言葉の信憑性に疑問。
6.名簿にあるツェペリ、ジョースター、ブランドーの名前に僅かながら興味
7.もう一度会ったなら億泰と行動を共にする。
[備考]
※7部のレース参加者の顔は把握しています。
※億泰と情報交換をしました。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※早人がニセモノだと気づきましたがラバーソールの顔・本名は知っていません。
※リゾットと情報交換しました。が、ラバーソールとの約束については、2人だけの密約と決めたので話していません。
※F・F、ブチャラティチーム、ホル・ホース、ミューミューの容姿と能力を知りました(F・Fの能力は、リゾットが勘違いしている能力)。ホルマジオの容姿を知りました。
※盗聴の可能性に気付きました。
※ティムからはエシディシについては体格しか教わっていません

※DIOの館にて、5人の殺人鬼が同盟を組んだことを知りました。
 それぞれの名前は把握していますが、能力・容姿は知りません。
※北のエリアをまわってきた際、アイテムや情報は得ていません。
※リンゴォ・ロードアゲインと情報交換をしました。
 内容は『お互いの名前・目的』『吉良(とその仲間)の居場所』『お互いの知る危険人物』『ナチス研究所について』です。


【山岸由花子】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:右腕の二の腕から先を欠損、精神的に不安定
[装備]:サイレンサー付き『スタームルガーMkI』(残り7/10)
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1、承太郎の首輪
[思考・状況]基本行動方針:優勝して広瀬康一を復活させる。
0.あの能力は、康一君……?
1.エシディシ、どうやって私の腕を?怖い、何が起きたか理解できない。
2.本物の『DIO』は強敵の可能性があるので近寄りたくない。
3.吉良吉影を利用できるだけ利用する。
4.他にも利用できそうな人がいるなら利用する。
5.正直知り合いにはなるべくあいたくない。
[備考]
※荒木の能力を『死者の復活、ただし死亡直前の記憶はない状態で』と推測しました。
 そのため、自分を含めた全ての参加者は一度荒木に殺された後の参加だと思い込んでます
※吉良の6時間の行動を把握しました。
※空条承太郎が動揺していたことに、少し違和感。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※ラバーソールのスタンド能力を『顔と姿、声も変える変身スタンド』と思ってます。依然顔・本名は知っていません。
※スピードワゴンの名前と顔を知りました。
※リゾットのメモを見ました。

※エシディシが近いため走っていますが、腕の怪我は止血が必要な重傷です。

64 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/20(土) 22:38:07 ID:???
【E-4 南/1日目 夜】

【テレンス・T・ダービー】
[スタンド]:『アトゥム神』
[時間軸]:承太郎に敗北した後
[状態]:健康、覚悟を決めた
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、参加者詳細データ集、『ザ・ワールド』のスタンドDISC
[思考・状況]
0.荒木に対する恐れ…この男には勝てない…
1.優勝して生き残る、そのために利用できそうな奴を探す
2.サウンドマンはたぶん信用できる。再会できたなら『荒木』の情報を教えてもいい。
3.エシディシとか殺人鬼集団とか怖いから、対主催に恩を売っておくべき?
4.DISCについての考察はあとまわし
5.F・Fは兄の敵…? 実際会ったときにどうするかは自分でもわからない。

[備考]
※荒木に科せられていた行動制限はすべて解除されました。
※積極的に参加者を殺して回るつもりはありませんが、最終的には優勝するつもりです。
 なぜなら、荒木を倒すことは何人(なんぴと)にも不可能であると考えているからです。
※利用相手の候補は オインゴ>ジョージ>露伴たち>その他 です
※支給品が元々テレンスに勝ったときの景品である、という仮説は概ね当たっているようです。
※参加者詳細データ集には以下のことが書かれています。
 ・名前
 ・顔写真
 ・種族(人間、犬、吸血鬼、屍生人、柱の男など)
  また、波紋使いやスタンド使いであること。
  スタンド使いならスタンド名まで載っていますが、スタンドの能力までは載っていません。
 ・参戦時期(wikiの参戦時期まとめをより一般化したものです。参戦年月日が載っているようです)
 ・初期支給品(wikiの支給品情報>初期支給品一覧と同一の情報です。未だ不明の支給品も全て載っているようです)
 また、情報はすべてゲーム開始前のものです。
 ディオやエシディシがスタンド使いになったことなどは載っていません。
※テレンスはスタンドDISCの使い方を知りません。
 『ザ・ワールド』のスタンドヴィジョンも見たことが無いようで、関連には気づいていません。
 何か秘密があるとは思っているようですが、少なくとも『頭に刺し込む』という発想は今のところありません。
 テレンスに『ザ・ワールド』のスタンドが使いこなせるかどうかは不明です。
※アトゥム神の右足首から先は回収しました。
※ジョージ・シーザーと会話をしました(情報の交換ではありません)
※ダービー兄、ティッツァーノの死体を発見しました。
 生首がティッツァーノの物であることは確認していません。
 また、F・Fがティッツァーノに寄生していることにも気づいていません。
※DIOへの忠誠心は無くなりました。

※サウンドマンとリンゴォ・ロードアゲインの会話を聞いていました。
 両名の名前・目的を把握し、DIOの館に危険人物が集っていること、ナチス研究所に脱出を志す人々が集っていることを気に留めています。


[備考]
※E-4中央部にさまざまな音の張り付いた小石がばらまかれています。(リンゴォは引っかかっていません)
※E-4に放置されていたエルメェスのパンティは誰も発見していません。

65 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/20(土) 22:43:24 ID:???
タイトルは「不帰ノ道」です。

サウンドマンは各SSの合間を縫うように移動させましたが、矛盾がないかちょっと不安です。
誤字脱字・矛盾等の指摘をお願いします。

66ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2010/11/21(日) 00:16:49 ID:???
投下お疲れ様です

言いたい……感想を言いたい!
声を大にして言いたい!今の気持ちをぶちまけたい!
だが、我慢する!ということで本投下待ってます!

67ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2010/11/21(日) 01:57:49 ID:???
あ、すみません、ひとつだけ気になったことがあります。
時間帯なんですが夜中でもいいんじゃないでしょうか?
特にエシディシはすでに二回も夜で出てますし……
そこは書き手さんの判断かもしれないんですけど、一応気になったので言ってみました。
参考程度にしてください

68ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2010/11/21(日) 01:59:03 ID:???
乙です
サンドマンの移動範囲については問題ないと思います
ただ、ジョージを迎えにコロッセオまでを一往復したホルマジオだけが少し気になります
ニアミススレスレの様な気もします
本物の早人とディアボロの動向とも被ってないか気になるな…

69 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/21(日) 03:03:48 ID:???
自分で気付いたので先に訂正
山岸由花子の状態表
[思考・状況] 2.本物の『DIO』は強敵の可能性があるので近寄りたくない。
は削除し忘れです。勘違いしていたときに書いたのが残っていましたorz

>>67
確かに。今SS内でも移動が多かったのでもう「夜中」ですね。訂正します。

>>68
こんなに近くに集まってちゃ仕方ない……
と泣き言をいうわけにもいかないので考察

ディアボロ
放送直後にポルナレフ・フーゴと遭遇→埋葬を挟んでD-3へ移動
早人
研究所襲撃前のエシディシと遭遇し、その後エシディシは戦闘を挟んでの移動
ジョージ
エシディシ襲撃時E-3・F-3→ナチス研究所戦闘中F-4→C-4
以上から、ディアボロ、早人、ジョージは問題ないかと思っています。

ホルマジオは、ジョージと別れたE-3・F-3境目周辺を探したから
ギリギリ遭遇していない・お互い発見してないというのは苦しいですかね…

こうしたらどう?みたいなアドバイスをいただけるとありがたいです。

70ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2010/11/21(日) 14:55:58 ID:???
マジオは夜なので、夜中に変更するなら問題ないと思います

71ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2010/11/22(月) 09:50:10 ID:???
億泰の字が間違ってました
コロッセオに誰もいなかったので、コロッセオに向かったはずの億泰をサンドマンが心配する描写があってもいいんじゃないかと・・・・・・

72ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2010/11/22(月) 11:55:26 ID:???
>>71
億泰と別れたのはだいぶ前だし
サンドマンの性格的にも心配っていうのは不自然じゃないか

73 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/22(月) 19:25:52 ID:???
みなさまご指摘ありがとうございました。
漢字間違いはミミズのようにはい出てくる凡ミスです。以後さらに気をつけます。

億泰の不在については、会話を記憶には留めている、という風の文章を追加します。

以上を加筆修正の上今晩、本投下します。
本投下後もお気づきの点があればコメントしてください。

74 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/22(月) 22:32:03 ID:Z5UGSeMg
さるったあああ
ご支援くださっていたのに、さるさんくらいました。
代理投下をお願いします

75 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/22(月) 22:32:52 ID:???
「お前が注意を促したモンスターだぞッ!!!?? なぜ向かおうとするッ」
「先ほどは少女も奴の仲間だと判断した
 しかし、敵の敵は『味方』の可能性が高い」
「本気か……」

『YES』『YES』『YES』

テレンスが躊躇した瞬間に、サウンドマンはもう走り出していた。

――あの少女を助け出すことも、『荒木』を倒し故郷へ帰ることも、奴は本気で成し遂げようとしているのか……。

なんともいえない諦念のような、感動のようなものが胸の底から湧き出し、その奔流はプライドや目論見を易々となぎ倒す。
凄まじい勢いで遠ざかる後姿に向かって声を張り上げた。しっかりと届くように。

「サウンドマン、私が渡せるものは情報しかない!!
 それでもかまわないというなら、半刻後コロッセオの外部西側で待っている
 5分は待たない。それで貸し借りなしだ!!」

サウンドマンが片手を挙げる。了解のサインだろう。

荒木に勝てるとはこれっぽっちも思っていない。
しかしそれと荒木に関する情報を漏らすのは別問題だ。
もしも、ありえない話だが、もし荒木に勝てる人間がいるのだとしたら、ここで恩を売っておくのは悪くない。
それに『荒木に勝てる』という幻想をちらつかせておけば、『対主催』がこぞって『優勝狙い』に転ぶ危険性も低くなるだろう。
非力な私のスタンドでは、うまく他人を利用していく他ない。

「悪くない話だ…、対主催の信頼を得て、安全を確保すること…」

あくまでも、優勝するためのプロセス。
そう自分を納得させたわりに、胸にこもった熱は引いていくことをしらない。
大声を張り上げた、目立つ施設を合流場所に指定した、そもそも自分はあの男のことをよく知らない。
自らを窘めるミスやリスクは後からいくつも浮かんだが、不思議と後悔は感じなかった。


  *  *  *  *  *

76 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/22(月) 22:33:57 ID:???


山岸由花子は、思い込みが激しくはあったが、情報を理知的に判断できる狡猾な少女だった。
自分が他人の目にどう映るか、相手とどれほどの実力差があるのか、
正しく判断を下せる知性が『身体能力』『攻撃範囲』というハンデを埋め、彼女をここまで生かしてきた。

もし彼女が『柱の男』に関する情報を人づてに聞いていたならば
彼らの戦闘をどこかで目にしていたならば
せめて彼らに敗れた死体でも見るチャンスがあったのならば………


「コロッセオ、誰もいないようだなァ……」

怪物の残念そうな呟きに、山岸由花子は胸をなでおろした。

“ディオが現在も同じ場所留まっているかわからない”
時間稼ぎが見え見えでも、正論をぶつけコロッセオに立ち寄ることを許可させたのはつい先ほど。
しかもコロッセオを過ぎてしばらくしてからの提案。
さすがに怒るかしら、と内心ヒヤヒヤしたがエシディシは自分のその態度をも楽しんでいるようだった。
コロッセオに本当にディオがいたら、という別の不安もあったが、
偽早人にしろ本物のディオにしろこんな目立つ建物は拠点にしない、と思いたかった。
結果的にはそれで合っていたのだから大丈夫、問題ない。

――でも、もう時間を引き延ばす方法がない……。

死ぬよりマシと考えて、エシディシの後ろに従ってきたが、正義のヒーローにも頭の悪いマーダーにも遭遇することはなかった。
再び歩き出し、一路DIOの館へ。
チンピラ風情の男やホル・ホースを利用してすんなり通ったのが、夢だったかのように思える。
日差しの中、これが康一君とのピクニックなら最高だった、なんて思ってたわね。

そう、死ぬわけにはいかない。
DIOの館に着く前に、やれるだけの時間稼ぎはすべてやってみせる。

「ねぇ、その腕、そのままで大丈夫なのかしら?」

出血はないようだが、本人が口に出していたくらいだからそこそこの怪我なのだろう。
怪我を負っていたほうが隙に繋がるかと思い放っておいたが、これから隙が訪れるチャンスは多分ない。

数秒遅れて振り返ったエシディシ。
由花子を正視するその顔に感情はない。
無表情。黙り込む。
彼女の次の言葉を待っているかのように。

77 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/22(月) 22:35:05 ID:???
「手当てが必要なんじゃない?」

「そう……だな……… そう、『手』当てがな……!!」

目にも留まらぬ速さで由花子に接近するエシディシ。
何が起きているのか理解できぬまま、本能で後退する由花子。



音もなく――、一閃



遅れて吹いた風に、髪がゆれる。
身体が理解するより先に、頭が理解した。


腕が、私の腕が……!!!!



「き、きゃあああああああああああああああああああ」



山岸由花子は、思い込みが激しくはあったが、情報を理知的に判断できる狡猾な少女だった。

もし彼女が『柱の男』に関する情報を人づてに聞いていたならば
彼らの戦闘をどこかで目にしていたならば
せめて彼らに敗れた死体でも見るチャンスがあったのならば


彼女は右腕を失わずに済んでいただろう。


  *  *  *  *  *


走る、走る、走る。
家々をすり抜け、リンゴォを追い越し、馬よりも早く、風よりも早く。

少女と怪物、目標の二人を確認するや、勢いを殺さず飛び上がる。

スピードと重力を存分に活かした飛び蹴り。
それだけでも並みの大人なら頭蓋骨を陥没させそうな威力だが、そこにさらに「ドヒュウ」の音を重ねる。

サウンドマンとエシディシが触れ合ったのは一瞬。

エシディシの動体視力にも勝る高速の蹴りと、それ以上のなにか。
肉体を摂り込もうと考える間もなく、彼の巨躯は50メートルほど吹っ飛んでいた。

78 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/22(月) 22:36:21 ID:???
ワムウのように異常な身体能力で戻ってくる可能性を考え、サウンドマンが足元に音を宿した小石をばら撒く。
山岸由花子は立ち尽くしたままその様子を見ていた。

「こう、いち……くん………?」

呆然と少女が呟く。サウンドマンはその名に聞き覚えがある。
自分と同じ能力を持った少年、億泰の友人、広瀬康一。
この少女も彼の知り合いだったとは……。

「走れるか? とりあえず逃げるぞ」

腕を失ったショックか、永遠に失われたはずの能力に再びまみえた驚きのためか、
依然、目をむいたままの少女を強引に引きよせ走り出す。
幸い彼女に腕以外の怪我はないようだ。

――うまく奴を撒ければいいが……。



「ぐっ、ユカコォォォオ、まさか朋輩を控えさせていたとは……」

圧倒的有利に胡坐をかき、山岸由花子の人間性を愉しんでいたエシディシは、
ダメージこそないが“吹っ飛ばされた”という事実に対して驚き苛立っていた。
腕を千切ったのも、結合させるためというよりは、彼女の『必死』を見るための行為。
それを誰かに邪魔され、山岸由花子は恐らく逃げた。

「あの女、どのような能力を持っていようとかまわん 捻り潰すッ」

自分が吹っ飛ばされた方向を憎々しげに睨み付けるエシディシ。
猛り狂う獣の姿態。

その視界に入り込む影ひとつ。

「オレの名はリンゴォ・ロードアゲイン」

足音が近付く。

「オレの武器は、このボウィーナイフのみ」

長い手足が露わになる。

「オレの能力名は『マンダム』
 ほんの『6秒』
 それ以上長くもなく短くもなく
 キッカリ『6秒』だけ『時』を戻す事が出来る
 それが『能力』」

月が彼の面貌を照らし出す。
その瞳に宿るは、紛れもない『漆黒の殺意』。
彼には「光」が見えていた。
あの時と同じ、進むべき「光り輝く道」が………


「よろしくお願い申し上げます」

79 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/22(月) 22:37:17 ID:???
【E-4 中央より北西/1日目 夜中】

【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:人間の強さを認めた。右腕の肘から先を欠損
[装備]:『イエローテンパランス』のスタンドDISC
[道具]:支給品一式×2、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部〜6部コミックスの最初に載ってるあれ)
    不明支給品0〜2(確認済み)、岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ(ピンクダークの少年、巻頭カラー)、ブラックモアの傘
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに優勝し、全生物の頂点にッ!
0.誰だ?ユカコの仲間か?
1.ユカコとその仲間、殺してやる
2.億泰には感謝せねばなるまい。
3.常識は捨てる必要があると認識
4.ドナテロ・ヴェルサスを殺す際にメッセージを伝えるつもりだったが、奴は既に死んだようなものだ。
[備考]
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました 。彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※『イエローテンパランス』の変装能力で他者の顔を模することができます
※頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。
※イエローテンパランスはまだ完全にコントロールできてません。また具体的な疲労度などは後続の書き手さまにお任せします。

※千切った由花子の腕は吹っ飛ばされた時に落下し、現在も周辺に落ちています。


【リンゴォ・ロードアゲイン】
[スタンド]:マンダム
[時間軸]:果樹園の家から出てガウチョに挨拶する直前
[状態]:身体疲労(中)
[装備]:ジョニィのボウィーナイフ
[道具]: 基本支給品 不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者達と『公正』なる戦いをし、『男の世界』を乗り越える
0.エシディシから逃げていた自分に決着をつけ、『公正』なる果し合いを。
1.エシディシに勝てたのならDIOの館へ。吉良を許すことはできない。
2.遭遇する参加者と『男の世界』を乗り越える。
[備考]
※怪我はゴールド・エクスペリエンスで治療されました。
※ブチャラティのメモの内容を把握しました。
※参加者が時を越えて集められているという話を聞きましたが、自分の目的には関係ないと思っています。

※サウンドマンと情報交換をしました。
 内容は『お互いの名前・目的』『吉良(とその仲間)の居場所』『お互いの知る危険人物』『ナチス研究所について』です。

80 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/22(月) 22:38:03 ID:???
【E-4 中央より西/1日目 夜中】

【サンドマン】
【スタンド】:『イン・ア・サイレント・ウェイ』
【時間軸】:ジョニィの鉄球が直撃した瞬間
【状態】:健康、暗殺チーム仮入隊(メッセンジャー)
【装備】:サヴェジ・ガーデン
【道具】:基本支給品×2、不明支給品1〜3(本人確認済み)、紫外線照射装置、音を張り付けた小石や葉っぱ、スーパーエイジャ、荒木に関するメモの複写
【思考・状況】 基本行動方針:元の世界に帰る
0.少女を連れてエシディシから逃げる
1.少女にツェペリ(≒康一)の遺言を伝える
2.出来ればテレンスとの約束の場所へ向かいたい
3.ナチス研究所へ向かい、同盟を組んだ殺人鬼達の情報を伝える
4.初めて遭遇した人物には「ナチス研究所にて、脱出の為の情報を待っている」「モンスターが暴れている」というメッセージも伝える。
5.荒木の言葉の信憑性に疑問。
6.名簿にあるツェペリ、ジョースター、ブランドーの名前に僅かながら興味
7.もう一度会ったなら億泰と行動を共にする。
[備考]
※7部のレース参加者の顔は把握しています。
※億泰と情報交換をしました。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※早人がニセモノだと気づきましたがラバーソールの顔・本名は知っていません。
※リゾットと情報交換しました。が、ラバーソールとの約束については、2人だけの密約と決めたので話していません。
※F・F、ブチャラティチーム、ホル・ホース、ミューミューの容姿と能力を知りました(F・Fの能力は、リゾットが勘違いしている能力)。ホルマジオの容姿を知りました。
※盗聴の可能性に気付きました。
※ティムからはエシディシについては体格しか教わっていません

※DIOの館にて、5人の殺人鬼が同盟を組んだことを知りました。それぞれの名前は把握していますが、能力・容姿は知りません。
※北のエリアをまわってきた際、アイテムや情報は得ていません。
※リンゴォ・ロードアゲインと情報交換をしました。
 内容は『お互いの名前・目的』『吉良(とその仲間)の居場所』『お互いの知る危険人物』『ナチス研究所について』です。


【山岸由花子】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:右腕の二の腕から先を欠損、精神的に不安定
[装備]:サイレンサー付き『スタームルガーMkI』(残り7/10)
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1、承太郎の首輪
[思考・状況]基本行動方針:優勝して広瀬康一を復活させる。
0.あの能力は、康一君……?
1.エシディシ、どうやって私の腕を? 怖い。何が起きたか理解できない。
2.吉良吉影を利用できるだけ利用する。
3.他にも利用できそうな人がいるなら利用する。
4.正直知り合いにはなるべくあいたくない。
[備考]
※荒木の能力を『死者の復活、ただし死亡直前の記憶はない状態で』と推測しました。
 そのため、自分を含めた全ての参加者は一度荒木に殺された後の参加だと思い込んでます
※吉良の6時間の行動を把握しました。
※空条承太郎が動揺していたことに、少し違和感。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※ラバーソールのスタンド能力を『顔と姿、声も変える変身スタンド』と思ってます。依然顔・本名は知っていません。
※スピードワゴンの名前と顔を知りました。
※リゾットのメモを見ました。

※エシディシが近くにいるため走っていますが、腕の怪我は止血が必要な重傷です。

81 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/22(月) 22:39:33 ID:???
【E-4 南/1日目 夜中】

【テレンス・T・ダービー】
[スタンド]:『アトゥム神』
[時間軸]:承太郎に敗北した後
[状態]:健康、覚悟を決めた
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、参加者詳細データ集、『ザ・ワールド』のスタンドDISC
[思考・状況]
0.荒木に対する恐れ…この男には勝てない…
1.優勝して生き残る、そのために利用できそうな奴を探す
2.サウンドマンはたぶん信用できる。再会できたなら『荒木』の情報を教えてもいい。
3.エシディシとか殺人鬼集団とか怖いから、対主催に恩を売っておくべき?
4.DISCについての考察はあとまわし
5.F・Fは兄の敵…? 実際会ったときにどうするかは自分でもわからない。

[備考]
※荒木に科せられていた行動制限はすべて解除されました。
※積極的に参加者を殺して回るつもりはありませんが、最終的には優勝するつもりです。
 なぜなら、荒木を倒すことは何人(なんぴと)にも不可能であると考えているからです。
※利用相手の候補は オインゴ>ジョージ>露伴たち>その他 です
※支給品が元々テレンスに勝ったときの景品である、という仮説は概ね当たっているようです。
※参加者詳細データ集には以下のことが書かれています。
 ・名前
 ・顔写真
 ・種族(人間、犬、吸血鬼、屍生人、柱の男など)
  また、波紋使いやスタンド使いであること。
  スタンド使いならスタンド名まで載っていますが、スタンドの能力までは載っていません。
 ・参戦時期(wikiの参戦時期まとめをより一般化したものです。参戦年月日が載っているようです)
 ・初期支給品(wikiの支給品情報>初期支給品一覧と同一の情報です。未だ不明の支給品も全て載っているようです)
 また、情報はすべてゲーム開始前のものです。
 ディオやエシディシがスタンド使いになったことなどは載っていません。
※テレンスはスタンドDISCの使い方を知りません。
 『ザ・ワールド』のスタンドヴィジョンも見たことが無いようで、関連には気づいていません。
 何か秘密があるとは思っているようですが、少なくとも『頭に刺し込む』という発想は今のところありません。
 テレンスに『ザ・ワールド』のスタンドが使いこなせるかどうかは不明です。
※アトゥム神の右足首から先は回収しました。
※ジョージ・シーザーと会話をしました(情報の交換ではありません)
※ダービー兄、ティッツァーノの死体を発見しました。
 生首がティッツァーノの物であることは確認していません。
 また、F・Fがティッツァーノに寄生していることにも気づいていません。
※DIOへの忠誠心は無くなりました。

※サウンドマンとリンゴォ・ロードアゲインの会話を聞いていました。
 両名の名前・目的を把握し、DIOの館に危険人物が集っていること、ナチス研究所に脱出を志す人々が集っていることを気に留めています。


[備考]
※E-4中央部にさまざまな音の張り付いた小石がばらまかれています。(リンゴォは引っかかっていません)
※E-4に放置されていたエルメェスのパンティは誰も発見していません。

82 ◆4eLeLFC2bQ:2010/11/22(月) 23:26:56 ID:???
スイませェん。解除されたようなので自分で投下しました。

83ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2010/11/23(火) 00:10:38 ID:???
投下乙です!!
恋する乙女は盲目だが、その見間違えはないぞ由花子w
そしてリンゴォ来たあぁぁぁぁぁ!!! 二人ともかっけえええ!

84 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:40:33 ID:0webApiI
規制されてるのでこちらに。

投下お疲れ様です。各キャラのらしさが前面に出ててマジカッコいい!
ヘタレなテレンスがいかにも彼らしいw
そしてそんな彼を突き動かしてしまう、サンドマンとリンゴォの決意……。

というか今回この二人の会話、思考、行動が全部かっけえーーーー!
まるで打ち合わせしたかのように
サンドマン→ヒーロー参上! 女の子助ける
リンゴォ→ここは俺に任せろ! よろしくお願いいたします……

改めて乙です! 次回作も楽しみに待ってます!

では、自分の予約の分を投下します。

85 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:44:10 ID:0webApiI
<D-4南部の民家:保安官―マウンテン・ティム>


話は至ってシンプルだ。
いたはずの徐倫がいない。席をはずしていた花京院君の姿が見えない。
子供だって簡単に思いつく一つの可能性、まして俺は保安官だ。

「離せッ、ティムッ!」
「落ち着け、アナスイッ!」

そして、それはアナスイも同じこと。
愛する彼女のことになるとこの男は目の色が変わる。
冷静さを失っている、今のように。

ダイバー・ダウン。
アナスイのスタンドを使えば羽交い絞めにしてる俺の腕など簡単に『分解』できる。
それをしないのはどうしてか?
彼がそれだけ冷静さを失っているのだろうか? それとも俺に気を使ってるのか?

「いいか、徐倫を連れ去っていったのは間違いなく、花京院君だッ!
 だがそうだとしてもお前はどうする気だッ?! 当てもなくさまようのか?
 今はここで彼を待つのが一番だ! 彼だって何も考えずには徐倫を開放したりするまいッ!」
「徐倫……徐倫ィィーーーーン!」

そのまま取っ組み合うこと、どれぐらいだろうか。
大の男が、それもスタンド使いが取っ組み合いの喧嘩なんて滑稽だ。
アナスイが暴れるのをやめたのを合図に俺は腕の力を緩める。
お互い肩で息をしながら、呼吸を整える。俺はチラリと視線をアナスイに向けた。

膝に手を置き俯いていた彼は体を起こすと、手近な椅子に身を投げる。
表情はわからない。なんとも言えない、本当の無表情だ。
俺は外の様子を窺うため窓際に立った。

時間にして、10分ぐらいだろうか。
庭に人影が浮かび上がり、コンクリートを踏みしめると音が聞こえてきた。
部屋の中の緊張感が増す。俺は何も言わない。アナスイも黙ったままだ。
来訪者はそのまま立ち止まることなく、玄関の扉を開いた。

「……………徐倫はどうした」
「アナスイさん、貴方と彼女は一体どんな関係なんですか……?」

質問に対して質問で返す。アナスイの表情が僅かに変化する。
ゆっくりと立ち上がると彼はそのまま玄関へと向かう。
殺気はない。スタンドも出現させていない。

86 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:44:51 ID:???


脇を通り抜けようとしたアナスイの前に花京院君が立ちふさがる。
二人はにらみ合ったまま、会話を再開する。

「……徐倫はどこにいる」
「……気持ちが通じ合わせるってことは難しいことです。それが短時間なら尚更です」
「徐倫は無事なのか」
「友情と愛情を比べるなんてことは愚かしいかもしれない。まして、僕にはどちらもわからないことですから。
 でもそれが一時の感情かもしれないと疑うのは愚かでしょうか?」
「徐倫をどうした」
「僕は、貴方が理解できない」

瞬間、二人が同時に動く。
ダイバー・ダウンが花京院君の心臓を抉りだそうと右腕を振るった。
民家の窓をたたき割りながら、四方八方より緑の宝石がアナスイに迫る。

そしてまるで自動車に跳ね飛ばされたように、二人は吹き飛ぶ。
アナスイが俺の脇を通り抜け、玄関の反対に壁に叩きつけられた。
花京院君が宙を舞い、玄関前のアスファルトに体を激しく打ち付ける。

お互いの攻撃は五分と五分。
致命傷を負うことなく、だが二人とも軽症とは言えないダメージを負った。

戦いは始まったばかりだ。不屈の闘志を持って二人は立ち上がる。
そして扉が吹き飛んだ玄関を挟んで、再びにらみ合う。

「貴方は徐倫さんが大切なんじゃない……。貴方は感情を押しつけて自分に酔っているだけだ。
 自分を必要として欲しい、自分を肯定してほしい。一種の洗脳を徐倫さんに施そうとしているッ!」

花京院君の叫びが向かいの民家に反響する。
一人の叫び声なのに、まるで何人もが同時にアナスイを批判しているようだった。
ゆっくりと身を起こしたアナスイは玄関を通り、道路に出る。
俺はそのあとについていく。

見上げると、星がよく見えるきれいな夜だった。
1890年、俺が知っている夜空と、今俺が見ている夜空は同じだった。
月が明るく、辺りを照らしだすほどだった。

花京院君の叫びは続いた。
アナスイの行為はただの感情の押しつけだ。本当に大切なのは徐倫じゃない。
自己満足だ、欺瞞だ、偽善だ、うそつきのくそったれ野郎だ。
だいたいそんなところだった。アナスイは黙ったまま、静かに耳を傾けていた。

87 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:45:40 ID:???


そして花京院君が黙ったのを見て、口を開く。

「一目見た時、その時から俺は徐倫しかいない、そう思えたんだ。
 今だってそうだ……俺の中には徐倫しかいない。でも俺は変わったさ。彼女の中に俺がいなくてもいい、そう思えたんだ」

アナスイの声が叫び声へと変わる。

「俺は、徐倫が俺のことをどう思うともッ! たとえ徐倫の『目』に俺が映らなくともッ!
 彼女だけはッ! 彼女だけは守って見せるッ!
 ああ、そうさッ! これは俺の自己満足だッ! 感情の押しつけだ、俺個人の自分勝手さッ!
 それでもッ! 俺は彼女を守りたいッ!」

そして再び辺りが静寂に包まれる。住宅街と闇と無音。
俺はやはり黙ったままだ。二人も何も言わなかった。

だが三人ともわかっていた。
「正しい」と思ったから二人は「そう」した。
こんな殺し合いなんて腐りきった世界だからこそッ! 彼らは自分の『信じる道』を歩くのだッ!
善でも、悪でも、最後まで貫き通した信念に偽りなどは何一つないッ!
ならば、その信念がぶつかり合った時……もはや言葉は必要ないッ!

カウボーイハットを右手に持つと俺はそいつを空高く放り投げる。
……今の俺に出来ること、それはこの『決闘』を見届けることだ。
この決闘が卑怯者の行為になること、そして二人をゲス以下の『殺人者』になることを防ぐのが俺の役目だ。
風に舞った帽子がゆらりゆらりと流されていく。二人のちょうど真ん中、帽子は気ままに舞っている。

だが、はたして俺にそれが可能なのか? はたしてそれをするのは俺にとって「信じた道」を歩くことになるのか?

二人の視線が帽子へ移る。帽子はもう一度だけ、ふわりと舞うと、地面ゆっくりと着地する。
お互い納得ずくの『決闘』。意志と意志とのぶつかり合い。漆黒の『殺意』をもった男たちの神聖なる儀式。
何者にも邪魔されない世界、法や道徳や倫理、それを超えた世界。
人はこんな世界をこう呼ぶのだ。

『男の世界』、と…………。

88 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:47:10 ID:???
【D-4 南部 /1日目 夜中】
【ナルシソ・アナスイ】
[時間軸]:「水族館」脱獄後
[状態]:身体ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料、水2人分)、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、ラング・ラングラーの首輪、トランシーバー(スイッチOFF)
[思考・状況]
基本行動方針:徐倫を守り抜き、ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
0.花京院をぶちのめし、徐倫の居場所を吐かせる、
1.徐倫の敵は俺の敵。徐倫の障害となるものはすべて排除する
2.徐倫の目的、荒木のもとに彼女(と自分)が辿り着くためなら何でもする
3.殺し合いに乗った奴ら、襲ってくる奴らには容赦しない
[備考]
※マウンテン・ティム、ティッツァーノと情報交換しました。
 ブチャラティ、フーゴ、ジョルノの姿とスタンド能力を把握しました。
※ラバーソールとヴェルサスのスタンド能力と容姿を知りました。
※首輪は『装着者が死亡すれば機能が停止する』ことを知りました。
 ダイバー・ダウンを首輪に潜行させた際確認したのは『機能の停止』のみで、盗聴機能、GPS機能が搭載されていることは知りません。
※ヴェルサスの首筋に星型の痣があることに気が付いていません。
※F・Fが殺し合いに乗っていることを把握しました。
※ポルナレフが得た情報について知りました。
※マウンテン・ティムと改めて情報を交換し、花京院の持っていた情報、ティムが新たに得た情報を聞きました。

【マウンテン・ティム】
[時間軸]:SBR9巻、ブラックモアに銃を突き付けられた瞬間
[状態]:服に血の染み。右足が裸足
    肋骨骨折(戦闘になれば辛いが動けなくはない)、右肩切断(スタンドにより縫合)
    貧血(目眩はしない程度まで回復したが血液そのものが不足しているため行動に支障が出る可能性あり)
[装備]:物干しロープ、トランシーバー(スイッチOFF)
[道具]:支給品一式×2、オレっちのコート、ラング・ラングラーの不明支給品(0〜3。把握済)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
0.二人の決闘を見届ける
1.もしアナスイが再び殺人鬼になるようなら止める。生死を問わず
2.アナスイが正直に話してくれて少し嬉しい
[備考]
※第二回放送の内容はティッツァーノから聞きました。
※アナスイ、ティッツァーノと情報交換しました。アナスイの仲間の能力、容姿を把握しました。
 (空条徐倫、エルメェス・コステロ、F.F、ウェザー・リポート、エンポリオ・アルニーニョ
  ブチャラティ、ミスタ、アバッキオ、フーゴ、ジョルノ、チョコラータ)
※自分達が、バラバラの時代から連れてこられた事を知りました。
※花京院と情報を交換しました。お互いの支給品およびラング・ラングラーの支給品を把握しました。
※アナスイと徐倫の事の顛末を聞きました。

89 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:48:11 ID:???
【花京院典明】
[時間軸]:ゲブ神に目を切られる直前
[状態]:精神消耗(小)、身体ダメージ(中)、右肩・脇腹に銃創(応急処置済)、全身に切り傷
[装備]:なし
[道具]:ジョナサンのハンカチ、ジョジョロワトランプ、支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:打倒荒木!
0.アナスイの無力化
1.自分の得た情報を信頼できる人物に話すため仲間と合流したい
2.仲間と合流したらナチス研究所へ向かう?
3.巻き込まれた参加者の保護
4.荒木の能力を推測する
[備考]
※荒木から直接情報を得ました。
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
※フーゴとフェルディナンドと情報交換しました。フーゴと彼のかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※マウンテン・ティムと情報を交換しました。お互いの支給品を把握しました。
※アナスイの語った内容については半信半疑です。その後アナスイがティムに語った真実は聞いていません。

90 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:48:57 ID:???










<E-4中央:復讐者―空条徐倫>


『なにが正しいのか……僕にはわかりません。
 ただ……僕は貴方をそんな風にしたアナスイさんを許すことはできません』
『そう……』
『彼を止めに行ってきます。勿論説得できればそれに越したことはありませんが……。
 どうもそう簡単にはいきそうにないですし。徐倫さんはどうしますか?』
『貴方がアナスイを止めたいと思うように私にもやりたいと思うことがある。
 残念だけどここでお別れだわ。助けてくれたことは本当に感謝してる、ありがとう』

リハビリがてら、夜の街を私は一人歩く。
体は思ったより軽い。怪我も大したことないし、多少の傷はストーン・フリーで縫うことでカバーした。

シーツと一体化していた体は強引に元に戻した。
もとはと言えば、シーツと一体化できたのは私のスタンドが糸のスタンドだから。
花京院に手伝ってもらいながら、重要な器官や関節は守りつつ、余分な糸を引きちぎる。
そうすることで傷は負いながらも、無事こうして自由になれた。

久しぶりの開放感に体を伸ばし、私はゆっくりと歩く。
調子は上々、結果的に良い休憩となったのかもしれない。

けどあまりのんびりもしてられない。
こうしてる間にもアイツは、『荒木』のやつはのうのうと生きてるのだから。

やつを思い出すだけで私の頭は憎しみで一杯になる。
憎しみ、という言葉じゃ表現しきれない。
これほど人を憎めるのかと思うぐらい、私はあいつが憎い。
私から大切な人を奪っていったアイツを、私は許せない……。

いなくなってしまった大切な人たちが頭の中に思い浮かんでくる。
母さんも、エルメェスも、エンポリオも、ウェザーも、そして父さんも。
もう誰も私の中に残っていない。

91 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:50:23 ID:???
……今は忘れよう。
悲しいとかもう会えないとか、苦しむのは全部終わってからでいい。
迷いを消すように頭を振る。靄がかかったような気分が少しだけすっきりする。

それでも、どうしても消えない人がいた。
ナルシソ・アナスイ。
私を『分解』してまで、私を止めようとした人。

「アナスイ……」

どうして、なんて理由は聞かない。
彼は私を守ろうとしてくれた。私を傷つけまいと私を庇ってくれた。

『いつまでも絶えることなく、友達でいよう』

貴方が何のつもりで言ったのかはわからない。
ただ言えることは貴方だって私の中の大切な人のうちの一人。
貴方が私のことをどう思っていようと、私は貴方を失いたくない。

ただ見守っていてほしい。
アナスイが私を見てくれてる、そう思うだけで勇気がわいてくる。
アナスイが私を守りたい、そう思っているなら私だってそうだ。
私も貴方を守りたい。もう誰もいなくならないでほしい。


「私は私の道を行くわ、アナスイ」

ビュウとひときわ強い風が頬をなでる。
握りこぶしを作り、向かい風の中を私は歩いていく。
心は決まってる。打倒荒木、それが私のやるべきことだ。
そこに迷いはない。

92 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:51:14 ID:???
歩き始めてどれぐらいだろうか、そろそろ調子も戻ってきた。
足であるバイクを失くしたのは痛いけどいまさら言っても仕方ない。
とりあえず目差すべき場所は……そうね、やっぱりDIOの館かしら。
そう考えて私が地図を取り出そうとした時だった。

「!」
「…………!」

少女を腕に抱えたインディアンの男がこちらに猛スピードで迫っていた。
屈強な肉体、人間を超えたスピード、そして腕の中にはぐったりとした少女。
それは即ち―――



「ストーン・フリー!」

このくそったれな殺し合いにのった参加者!

「オラッ!」


すれ違いざまに拳をぶつけようとした瞬間、男の姿が消える。
同時に私が影に覆われる。今日は満月、つまりやつは……

「オラオラオラッ!」

跳躍し、私を飛び越え逃げようとするインディアンに拳の雨をお見舞いする。
当然のようにスタンドを繰り出し、私の拳をガードするインディアン。
空中で身動きが取れない今が叩くとき。私はさらに拳を振るう。が―――

「?!」

ふわりと舞い降りてきた木の葉に小石。
拳で触れた瞬間、電撃が走ったかのような衝撃を受け、たまらず私の手が止まる。
その隙にインディアンは私を飛び越え、すこし距離をとり止まった。
そして言う。

93 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:52:58 ID:???
「……俺に戦いの意志はない。とりあえず話を聞け。
 俺が今お前にしたことは『正当防衛』であって『攻撃』ではない。
 とにかく話がしたい。それに怪我人の治療もしたい……」

そう言って脇に抱えた少女へ目を向ける。
右腕を失った彼女はぐったりとしていて、動かない。
出血を止めなければならない、極めて危険な状態だと言える。

「……わかったわ。今回は私が早合点してしまった。
 幸い私のスタンドは治療にも使える。ついでに情報交換、ってのはどうかしら?」
「……いいだろう」

まだ、わからない。果たしてこのインディアンは本当に『善』なのだろうか。
けれども構わないわ。今の私に必要なのは、『足』と『情報』。
そしてこの男はその両方を持ってる。
利用できるなら利用させてもらう。駄目だったらその時は……。



近くの民家に入ると、まずは少女(と言っても私と同じぐらいの年に見えたけど)の治療に取り掛かる。
怖いぐらいきれいな切り口だった。一体何を使えばこんな綺麗に切れるのかしら。
傷口をストーン・フリーの糸で縫い、心臓より高い位置で固定する。
お粗末かもしれないけど、とりあえずの治療は終わった。

ソファーに彼女を寝かしつけると、私はあらためて男と向かい合う。
男は黙ったままわたしの動きを見ていた。まるで見張るかのように。
腕の断面図を見ても眉一つ動かさず、私のスタンドを見ても動じない。
つかめない男、私は彼のことをそう思った。

「意識は戻りそうにないか?」
「今のところは、ね。こればっかりはわたしもわからないわ」
「そうか」
「それじゃ、情報交換といきましょうか?」

私が口を開くと彼はそれを予期していたようにこう返してきた。

「……構わないがその前に一つだけ条件がある」
「……?」

条件という言葉に身構える。
彼は相変わらず何を考えているかわからない目で私をじっと見つめる。

94 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:53:35 ID:???





「俺は情報を提供する。だが今は緊急事態、とてもじゃないがゆっくり話している暇はない」
「どういうことよ?」
「俺は今敵から逃げていた途中だった。
 その敵は俺の足をもってしても、振りきれるかどうかは微妙なところだった。
 だが実際、俺は追い付かれていない。つまり誰かがやつを足止めしてるのだろう……」
「それで?」

嫌な予感がする。立ち上がったインディアンを追うように私も立ち上がる。

「俺は今からそいつの元へ向かう……。
 勝てるようだったら加勢すればいいし、駄目だったら逃げる。
 お荷物もいない俺なら逃げ切れる可能性は高いだろう……」
「でも、あんた情報交換は!?」
「……俺が帰ってきたらその時にしてやる。それに、まずはその女から情報交換すればいい」
「ちょっと!」

引き留めようと出した手をスルリとかわし、インディアンは足早に玄関へと向かう。
あわてた私が外に出るころには、彼は隣の民家の屋根に上っていた。

「しばらく経っても俺が返ってこないようならナチス研究所へ迎え。
 そこに行けば充分な情報も手に入るだろう……」
「ちょっ……!」
「それと、彼女が目を覚ましたら伝えてくれ
 『広瀬康一は打倒荒木のもとに死んだ、その意志はまだ消えていない』と」

そして返事を待つこともなく、彼は去っていった。
その場に取り残された私はさぞかし間抜けな顔をしていただろう。
少しすると、悔しさと怒りがわいてきた。
悔し紛れに近くのゴミ箱を蹴りあげてみたけど気分は晴れない。

まったく、やれやれだわ……! 利用しようとした相手に逆に利用されるなんて!
仕方なくリビングに戻ってみたはいいけど、正直一刻も早くここを出ていきたい。

当初の目的地、DIOの館に向かいたい。
さっきの男を追って『敵』とやらをぶちのめすのもいい。
あるいはナチス研究所に向かうのもいいかもしれない。

「……やれやれだわ」

95 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:54:17 ID:???


けど、この少女を放っておくってのも心苦しい。
放っておいたらあのインディアンから情報も貰えなくなってしまうし……。
頭が痛い問題だわ……。たまらずため息を吐いた。

「こうなった以上、この子から情報をもらうのがベター」

危険人物の可能性もあるし、まあ故障明けというのもある。
ソファーにどさりと座り、私は無理矢理自分に言い聞かせる。
焦る気持ちもある。荒木に対する憎しみがじわじわと込み上げてくる。

けど、今は仕方ない。
とりあえずはこの子が目を覚ますまでは―――

「……………ん」

言ったそばから、だ。
机を挟んだ向こう側のソファーで彼女が意識を取り戻したみたい。

私は立ち上がると彼女の脇にしゃがみ込む。
焦点の定まらない目でぼんやりと彼女は私を見る。
どうやらまだまだ全快とはいかないようだ。

「気分はどう?」
「康一……君は?」
「え?」
「エコーズ……音の能力……さっき康一君がいたの。
 死んだはずの康一君……。
 でも、やっぱり、彼は生きてるのよ…………」

康一君。それはさっきのインディアンが私に伝えた名前だ。
うわ言のように彼女は康一君、と繰り返す。
私は何も言えない。机の上にあったデイバッグから名簿を出すとその名前を探してみた。
広瀬康一、その名前には棒線が引いてあった。

「康一君……私の、私の大切な人。もう会えないと思ってた……。
 死んでしまったと信じ込んでた。でもやっぱり康一君なのよ。
 会いたい、会いたいわ。どこに行ったの……? どうして、いないの?」

彼女は呟き続ける。意識はまだはっきりとしていないのかもしれない。
けど、それだから、彼女は涙を流し、呟いている。

96 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:54:55 ID:???
もう会えないと思ってた人に会える嬉しさ。
やはり会えないとわかった悲しさ。
その二つがせめぎ合い、現実と妄想の中で彼女はさまよっている。
私はそんな彼女を見て、何も言えなかった。

この子は、私と一緒だ。
この子は……大切な人をこのくそったれなゲームで失った。
私が父さんを失ったみたいに……母さんを見殺しにしてしまったように……。

失った、失った……。
母親も、父親も……友達も、親友も共に戦ってくれる仲間も、失った。
同じだわ……。
この子と私は、『似てる』……。

次第に意識がはっきりし始めたのか、彼女の眼に光が宿り始める。
同時に彼女の中で悲しみが押し寄せる。
一瞬でも希望を持ってしまった彼女。けど、やっぱり違った。
現実が彼女へと襲いかかってくる。やっぱり彼女の大切な人は、いないんだと。

呟きはすすり泣きへと変わっていく。
涙が頬を伝い、雫となって床へ落ちる。
顔を覆おうにも彼女は今、片腕しかない。
すり抜けた水滴が次から次へと零れ落ち、あふれ出る。

私は何も言えなかった。私はただそんな彼女を見ていることしかできなかった。
ただ私の中で何かが込み上げてきた。
母さんが死んで、イギ―と出会って、アバッキオが隣にいて……。
第一回放送でエルメェスとエンポリオの死を知って、二人が励ましてくれて……。
そして、第二回放送で、友が、父さんが……。

97 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:55:44 ID:???



もう話すことができない人たちが現れては消え、浮かんでは沈んでいく。
取りとめのない思い出、大切な記憶。
思いっきり笑ったこと、大声で泣いたこと。
私の頭の中が、たくさんの人たちで埋め尽くされていく。

そして――

『君に殺されるのなら本望だ』
『いつまでも絶えることなく、友達でいよう』
『今日の日は――――さようなら』

例え私と闘うことになろうとも、私を止めようとしてくれたアナスイ。
なにがあろうとも、守ると誓ってくれたアナスイ。

『いつだって……想っていた』
『いつだって……愛していた』

危険に巻き込まないよう遠くで私を見守ってくれていた父さん。
いつだって私のことを大切に思っていてくれた父さん。



開け放たれた窓からやわらかい風が吹き込んでくる。
温かく、優しく私を包み込んでくれる風。



私は何も言わなかった。
ただ彼女が泣きやむまで待とう、そう強く心に誓った。

98 ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:56:29 ID:???
【E-4とE-5の境目 /1日目 夜中】

【サンドマン】
【スタンド】:『イン・ア・サイレント・ウェイ』
【時間軸】:ジョニィの鉄球が直撃した瞬間
【状態】:健康、暗殺チーム仮入隊(メッセンジャー)
【装備】:サヴェジ・ガーデン
【道具】:基本支給品×2、不明支給品1〜3(本人確認済み)、紫外線照射装置、音を張り付けた小石や葉っぱ、スーパーエイジャ、荒木に関するメモの複写
【思考・状況】
基本行動方針:元の世界に帰る
0.とりあえずエシディシとリンゴォの元へ向かう。そこでどうするかはついてから考える。
1.出来ればテレンスとの約束の場所へ向かいたい
2.ナチス研究所へ向かい、同盟を組んだ殺人鬼達の情報を伝える
3.初めて遭遇した人物には「ナチス研究所にて、脱出の為の情報を待っている」「モンスターが暴れている」というメッセージも伝える。
4.もう一度会ったなら億泰と行動を共にする。
[備考]
※億泰と情報交換をしました。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※リゾットと情報交換しました。が、ラバーソールとの約束については、2人だけの密約と決めたので話していません。
※F・F、ブチャラティチーム、ホル・ホース、ミューミューの容姿と能力を知りました(F・Fの能力は、リゾットが勘違いしている能力)。
※ホルマジオの容姿を知りました。
※盗聴の可能性に気付きました。
※DIOの館にて、5人の殺人鬼が同盟を組んだことを知りました。それぞれの名前は把握していますが、能力・容姿は知りません。 。
※リンゴォ・ロードアゲインと情報交換をしました。
 内容は『お互いの名前・目的』『吉良(とその仲間)の居場所』『お互いの知る危険人物』『ナチス研究所について』です。

99男の世界/女の世界   ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:57:03 ID:???





【山岸由花子】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:右腕の二の腕から先を欠損(重症:止血済み)、精神不安定(大)、貧血(重症)
[装備]:サイレンサー付き『スタームルガーMkI』(残り7/10)
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1、承太郎の首輪
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して広瀬康一を復活させる。
0.康一君……
1.吉良吉影を利用できるだけ利用する。
2.他にも利用できそうな人がいるなら利用する。
3.正直知り合いにはなるべくあいたくない。
[備考]
※荒木の能力を『死者の復活、ただし死亡直前の記憶はない状態で』と推測しました。
 そのため、自分を含めた全ての参加者は一度荒木に殺された後の参加だと思い込んでます
※空条承太郎が動揺していたことに、少し違和感。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※ラバーソールのスタンド能力を『顔と姿、声も変える変身スタンド』と思ってます。依然顔・本名は知っていません。 。
※リゾットのメモを見ました。

【空条徐倫】
【時間軸】:「水族館」脱獄後
【状態】:身体ダメージ(小)、体中縫い傷有り
【装備】:なし
【道具】:基本支給品一式
【思考・状況】
基本行動方針:荒木と決着ゥ!をつける
0. この子と私は、『似てる』……。
1.危険人物排除、そして荒木打倒へ。
2.アナスイの愛情をなんとなく理解、けれど自分は自分の道を進む
3.DIOの館に向かい、DIOと決着ゥ!つける
[備考]
※ホルマジオは顔しかわかっていません。名前も知りません。
※最終的な目標はあくまでも荒木の打倒なので、積極的に殺すという考えではありません。
 加害者は問答無用で殺害、足手まといは見殺し、といった感じです。
※アナスイから『アナスイが持っていた情報』と『ポルナレフが持っていた情報』を聞きました。
※花京院から支給品一式を返してもらいました。
※居間で行われていた会話はすべて聞いていません。

100男の世界/女の世界   ◆Y0KPA0n3C.:2010/11/23(火) 00:58:12 ID:???
以上で投下終了です。
誤字脱字、矛盾点修正点等、ほか気になる点、ありましたら指摘よろしくお願いします。


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