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孤空の月〜崩れゆく廃坑〜

124腐れ飯〜memory〜:2011/05/07(土) 23:25:49


「ここは………」
また違う世界に足を踏み入れたようだ。
世界から世界へ渡るたびに、ラドリオと比べてしまう癖がついた。ここは少しラドリオより空気が悪い。
しかし空は綺麗だった。三つ前の世界は空が薄紫だった。その前はずっと雨だった。
そっと深呼吸をして、視線を上から前へ戻す。ユエは藪に囲まれていた。
仕方ないので掻き分けながら進むと、案外すぐに外に出ることが出来た。体についた草を払いながらあたり
を見渡すと、山の麓に家があった。
どうやら、家の後ろにある小さな裏山らしい。
「……平和だな」
普通の世界だ。倒すべき悪の臭いもまったくしない。混沌とした悪意や憎悪など存在しないようなのどかさ
だった。
ここではあこがれていた勇者にはなりえない。

また違う場所へ向かうかと体を翻したら、急に何かが飛んできた。
ユエは再び振返って手をかざす。するとパキィと薪の割れる音がした。どうやら小さな薪を誰かが投げた
ようだった。
少し痛みを感じたが、たいしたことはなかった。これも吸血鬼だからだろうかと、ふと考える。
    大きな声が聞こえる。

「おい!おまえなにものだ!!」
薪の飛んできた方向を見る。すると、茶髪の少年がこっちを指差していた。見た目からして14〜15歳ほどの
少年だった。
ユエが驚いたのはそのずけずけとした態度よりも、少年の瞳だった。
まっすぐな瞳をしている。

「……君は…?」
「あ?俺?俺か?

俺の名前は新之 大剣!

ゴッドマスターを目指す勇者だ!」

ごっどますたー?
勇者というには、随分小さいなとユエは目を点にしながら考えていた。


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