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:
ほしを護るは名無しの使命
:2022/08/16(火) 08:25:51 ID:???0
小林祐美(女子13番)は出発してからも、校門に出る前に、立ち止まっていた。
足が竦んでいたのかもしれない。
次に出てくるであろう、少し、ほんの少し、好意をよせていた北斗宗平(男子14番)を、心のどこかで待っているのかもしれない。
しかし、その宗平が、自分を殺さないとも限らない。
考えたくはない。
頭を振り払った。
とりあえず生きよう。
前向きに考えた。
それが私の長所だ。
暗く考え込むなんて信じられない。
いこう。
少し前の所で、高岡基樹(男子12番)が倒れていた。
基樹を起こそうとしたが、さっきの宗平のことと同じ気持ちになって止めた。(たぶん死んではいなかったと思う)
祐美は原因不明の焦燥感に駆り立てられ、校門を出ようとしたその時だった。
出口賢介(男子13番)が手にボウガンを持って、右手にある木々の間から出てきたのだ。(私が入学する前からあった。 春になると奇麗な桜の花をつける。 でも、たぶん、おそらく、もう見れないだろう)
目を見開いて、しかも血走っているように見えた。
天然パーマのかかった髪の毛を揺らしながら、こっちへ近づいてくる。
恐ろしかった。
もうすでに、このゲームに乗っている人がいた。
そいつが今、狂気に満ちた顔をして私へ向かってくる。
私はすぐにそこから逃げた。
校門を出ると、右から左にかけて道路が通っている。
前方には、私の家に続く、細い脇道がある。
右前方には土のままの、駐車場がある……のだが、生徒達に悪用されるのを防ぐためか、今は一台も車がない。
そんなものを呑気に見ている場合じゃなかった。
そうこうしている間に、賢介は桜の木の前にあったフェンスをよじ登っていた。
そして、私の逃げ道の選択肢の一つであった、道路の片方を防いでしまった。
こいつなかなか頭いい。
いや、ただ、馬鹿でフェンスの方が早いと思っただけなんだろうか。
後者だとうれしい。
それだとよっぽど狂っているのだから。
私は自分の家の方の前の道へ、走ろうとしたが、頭にふとした考えが浮かんだ。
相手に対して、平行に逃げるより、垂直に逃げた方が、距離がとれるのではないか?
ボウガンがどれくらい飛ぶのかわからなかったが、
銃なんかと同じで、扱い慣れてない人には狙うのが難しいハズだろう。
その考えに殉じて、右の大通りに逃げた。
走る。
相手の矢が当たらないのを願って、走る。
自分では、全速力なのだが、思うように前に進まない。
けど、いくらなんでも、あの出口賢介だ。
クラスの中では、運動ができない方の部類に入る、あの。
しかしその考えが甘いと理解したのは、
突き当たりのT字路にさしかかって、後ろを向いてからだった。
さっきとほとんど距離が広がっていない。
それどころか、縮まっているような感覚を受けた。
ウソ?
火事場の馬鹿力ってヤツ?
私に対して出さなくてもいいんじゃないの?
そう思った時には、正面の首筋、ちょうど首輪の上辺りに、鋭い衝撃が走った後だった。
祐美の思考は止まっていたはずだったが、奇妙な事に、
「そんな……」
という声を、絞り出すように発していた。
目を見開いて(さっきの賢介に似ていた)、口を半開きにして、祐美の心臓は、止まった。
実に、ゲームが始まってから七分という短い時間で、祐美は初めての死者となったのであった。
【小林祐美、死亡 残り39人】
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