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1人で小説w

1海音:2003/09/18(木) 17:07
風が通り過ぎていった。僕の心を中を。冷たい風が。

もう、涙は枯れ果ててしまった。でも、悲しみは枯れることはなかった。むしろ、泣いていたときよりも、強い悲しみが込み上げてきた。

頭の中に、彼女の笑顔が思い浮かんだ。誰よりも好きだった笑顔を。

「もう、2度と見ることが出来ないんだな」

2海音:2003/09/21(日) 17:09
僕に残されたものは、3冊のスケッチブックと2つの指輪だけだった。いわゆる、形見というものは、それだけしか無かった。

一枚の写真も残っていなかった。彼女は写真を撮られるのが嫌いだったから。絵のモデルになってくれって頼んだ時も、なかなか首を縦に振ってくれなかった。

3海音:2003/09/28(日) 22:23
僕はスケッチブックをゆっくりと開いた。スケッチブックは彼女がいなくなってからは一度も開いていなかった。

1ページ1ページに、遙の笑顔があふれていた。悲しいくらいに、スケッチブックの中で、遙は笑っていた。

枯れ果ててしまったはずの涙が、また、あふれてきた。その涙で濡らさないように、僕は慌ててスケッチブックを閉じた。

スケッチブックに書いた絵が次第に色褪せてしまうように、思い出も色褪せて行ってしまうのだろうか。

4海音:2003/10/01(水) 01:51
「ピンポーン」
ドアのチャイムが鳴った。でも、今日は誰にも会いたくない気分だったので、居留守を使うことにした。
「ピンポーン」
またチャイムが鳴った。さっさと帰ってくれ、今日は誰にも会いたくないんだ。
「ピンポーン、ピンポーン」
しつこく何度もチャイムは鳴り続けている。

5名も無き人:2003/10/13(月) 17:43
仕方ないな。このままチャイムを鳴らし続けられても困るし。
僕は、ゆっくりと立ち上がり玄関に向かって歩いていった。

6海音:2004/01/01(木) 02:34
ドアを開けなくても、誰が来てるかは分かっていた。
こんなにチャイムを鳴らし続けるのは綾音しかいない。


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