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科学 技術 開発

257NAME:2016/05/29(日) 01:47:30
 では、国連のデータと日本のインバウンドを比較してみると、どのような事実が浮かび上がるのでしょうか。 結論から先に申し上げると、「欧州からの観光客開拓に極めて大きなチャンスがある」ということが顕著になっています。 2015年の訪日観光客はアジアが86.5%を占めており、来日潜在市場の構成比である55.3%と比較しても際立って高くなっています。それは、中国などのアジアからの観光客が多すぎるということなのか、他地域が少なすぎるということですので、潜在能力と比較してみる必要があります。

 アジアからの来日潜在市場は2億1432万人なのに対し、実際にはその8.0%の1707万人しか来日していません。これは、まだまだ伸ばしていく余地がある数字です。 ということは、アジアは多すぎではないということなので、他の地域が少なすぎるという結論が導き出されます。つまり、アジア以外の地域の実績を伸ばしていかなければいけないということです。

 アジアの次に多くの人が訪れているのは、南北アメリカからで138万人(7.0%)となっています。これは来日潜在市場の構成比である9.8%と比較しても、そこそこの実績といえましょう。これはやはり、北米と日本の長年の関係で、観光客誘致にも力を入れてきた成果だと思われます。

 そして、問題が欧州からの観光客です。世界の国際観光客の50.8%、来日潜在市場の比率でみても29.7%という潜在能力があるにもかかわらず、現実に日本を訪れているのは124万5000人足らずで、全体の約6.3%に過ぎません。これは「欧州は日本から遠く離れている」という距離の問題では片付けられないほどの少なさです。 つまり、今の日本のインバウンドは、アジア、アメリカからの観光客と比較して、欧州からの観光客が際立って少ないという現実があるのです。

 ただ、これを悲観的に受け取って欲しくないのです。拙著『新・観光立国論』でも繰り返し述べさせていただきましたが、「観光客が来ていない」ということは、裏を返せばそれだけ大きな「伸びしろ」があるということです。2020年にむけて4000万人の訪日外国人観光客を獲得しようとしていくなかで、欧州市場には大きなチャンスがあると考えるべきなのです。

 では、このチャンスについてもっと細かく見ていきましょう。 国別に見ていくと、各国の人口と訪日観光客数の比率には大きなばらつきがあります。英国、スウェーデン、スイスなどは人口の0.4%以上が訪日していますが、欧州先進国最大の人口を誇るドイツからはわずか0.2%です。ドイツ人だけが日本の観光資源に魅力を感じないという事実はないと思います。実際、アジアにはよく訪れており、2014年にタイを訪れたドイツ人観光客は年間約72万人もいるのです(日本へは16万2580人)。 これは、日本が対ドイツ戦略を強化すべき時期を迎えているということを意味します。ドイツ語対応を積極的に行い、ドイツからの観光客を迎え入れる意味は大きいと思います。

 欧州全体の人口に占める訪日観光客の比率は0.21%。1人当たりGDPが低く、人口が非常に多いロシアとポーランドを除けば0.31%とやや上がりますが、欧州全体の人口に占める欧州からの訪日潜在市場である1億1500万人の比率は約2%。つまり、本来は欧州の人口の2%程度が日本を訪れるポテンシャルがあるのです。そのような意味では、日本が観光立国を目指していくうえで、欧州にはまだまだ多くの「宝の山」が眠っていると考えるべきではないでしょうか。

 現在の訪日外国人観光客数は、全世界の国際観光客数の1.7%に過ぎません。これは、訪日潜在市場の5.1%にあたります。2020年の目標である訪日外国人観光客4000万人を達成するためには、今の世界の国際観光客の3.5%、訪日潜在市場の10.3%に来てもらう必要があります。つまり、日本が目標を達成するには、市場規模が成長しないなら、今の2倍にシェアを拡大していかなければいけないのです。

 そのためには従来のやり方だけでは不十分だということは、容易に想像できるでしょう。桜、すし、富士山、芸者、という古くからの「ジャパン」のイメージだけではなく、スキージャパン、ビーチジャパン、ウォークジャパン、食べるジャパンなど、これまでにはない多様性に富んだ観光資源を広くPRしていく必要があります。

 そしてドイツのように、本来であればもっと日本に来ていてもおかしくない国をあぶりだし、自治体と民間がうまく連携しながら、観光PRやマーケティングを行う。 そのためには、これまでのように「桜、富士山、芸者」という紋切り型の情報発信ではなく、各国の文化や観光客の嗜好に合わせ、カスタマイズした施策が必要です。 そのような賢く、きめ細かいマーケティングを実施していけば、日本のポテンシャルを考えると、4000万人は2020年以前に軽々と実現できるはずです。


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