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第五汎用スレ

1832ハクタク ◆/yjHQy.odQ:2018/11/26(月) 04:23:08 ID:nU1WACdM
「ふふん」

その敵意すら浴びるように、見下ろす少女。
彼女にとっては、形骸的な友好的姿勢や媚び諂いなどよりよほど信用できるというところか。
ハクタクの調子が明らかに落ち、落ち着かない様子。
柳は多聞との繋がりがある分、外部の【違い】の影響は受けにくいのかもしれない。


「……ん、あ、柳か?」

「言うとおりにしろ、多聞」

「! は、申し訳ありません、御師様」


少し寝ぼけた様子の多聞に、明らかに冷え切った言葉が投げつけられる。

多聞は怯えや驚愕を見せず、その言葉を受けて反射的に

――【利き手】とは逆の手で、柳へ蜂の巣を手渡した。


その瞬間である。

明らかに世界の中で、何かが変わった。

それは厚みを増した、精神世界の実感。

それは今踏みしめる床や地の、薄氷が如き頼り無さ。


それは、記憶と脳裏に焼き付くような映像を以て、【形】を顕した。



『ッ……柳、何をした?』

『お前を経由して【形】を見た、だがこれは一体……?!』


「逆なのさ」

「ここは奴の腹の中。認識を邪魔してでも隠し通さねばならない、奴が奴である為の因果の証明」

「本来虚を写すものが、長い月日を経て自らを実に変えんと欲した結果」

「実を取り込み虚に据えて、自らを実と嘯き表へといでる」

「哀れな付喪。愚かな付喪。己では実を持てぬからこそ、このような真似をする」


「形、見えたり――」


【雲外鏡】


柳の口から、そして多聞の口から、同時にその名は紡がれた。

それは二人が繋がっているからこそ、理解が繋がり発せられた言葉。

雲外鏡、多聞を縛る妖魔の【形】だ。


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