したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

第五汎用スレ

1「鍵を持つ者」:2012/12/31(月) 21:27:46 ID:???
フライングあけおめ

1746とある世界の冒険者:2017/01/25(水) 23:27:34 ID:mTSDzGNQ
「孤月――軌迅」
既に廃墟と化した王都の街並みの中、二つの影が踊っていた。
一つは黒髪に紅い瞳、夜闇を張り付けたかのような黒衣の装いの青年。一つは3mほどの大柄な体躯を持つリザードマンらしき異形。……そう、“らしき”だ。
大柄なのは良い、中にはそういった個体もいるだろう。だが、その異形は明らかに、ただのリザードマンなどではなかった。

「チッ……またか」
手にした刀を白鞘に納めながら舌打ちする。突撃居合で斬り落とした筈の右腕は、何事も無かったかのようにみるみるうちに再生した。
逃げ遅れはいないかと探索しているところに急襲され、戦闘に入ってからこれの繰り返しだ。
首、腕、胴、尾、心臓。あらゆる場所を斬り裂き、穿ったが、すぐさま再生して一向に死ぬ様子はない。
リザードマンらしき異形は、どうやら不死身であるらしかった。

≪SYAAAAAAA.....≫
見た目通りの威嚇音を喉で鳴らし、長い舌をちらつかせながら青年を睨み付ける異形。その音には怒りの色が滲んで見える。

「面倒な相手に目を付けられたもんだな、まったく……クソトカゲめ」
青年はうんざりした表情で愚痴を溢す。
実際のところ、ただ戦闘を続けるだけならば問題は無かった。二日でも三日でも戦い続けることはできるように鍛えられたし、何より目の前の異形は戦闘力では青年より劣る。
しかし、それだけだ。仕留めることはできない。青年のスタミナも無限ではないし疲労も溜まる以上、いつまでもは戦えない。
翻って異形の方も、今のところ疲れた様子は見せていない。少なくとも青年と同程度の時間は戦闘可能と見るべきだろう。

「さて……どうするか。次は氷漬けにでもしてみるか」
全身を中身まで凍てつかせれば、流石に死ぬかもしれない。或いは、活動停止に追い込む程度は可能かもしれない。
甘い想定だな、と本能が囁くのを無視して、青年は氷魔術の準備に入った。

1747とある世界の冒険者:2017/01/30(月) 22:13:12 ID:khaO83lY
「おいおい……冗談だろう」
顔を引き攣らせて目の前の異形を見詰める青年。
上級の氷魔術で氷漬けにしたのも束の間、氷結の拘束はあっさりと蒸気に姿を変えられた。
外因が無い以上、どう考えても内側から発熱して溶かしたとしか思えない。そして、熱を伴うような行動は先程まで一切見られなかった。
そんな能力を使えるのなら最初から使っていた筈だ。なのに使わなかった。否、“使えなかった”か。
つまり、これを推測するなら……

「(状況に応じて能力を獲得しているってのか……?)」
ということになる。そして、青年の推測を実証するかのように、異形に変化が起こる。

《FUSYUUUUU.....》
体内に残っていた蒸気を細く吐き出しながら、両腕が湾曲した片刃の剣状に……刀のように変わる。更に右腕に炎を、左腕に冷気を宿した。

「ハハッ……物真似までしてくるか」
刀状の腕と冷気は青年の攻撃から学習した。炎は氷を溶かすために獲得した。
常軌を逸した再生能力、高い学習能力、状況に応じた進化能力。戦えば戦うほどに経験を積み、能力を増やし、強くなる。

「はンッ、上等だ。やってやるよクソトカゲ」
こんな化物を放置するわけにはいかない。例え仕留められずとも、ここで釘付けに――いや、そうじゃない。

「……かかってこいよ。お前は、俺が、ここで、殺す」
弱気な心を捩じ伏せ、青年は不敵に嗤う。かつてない生命の危機、死が這い寄る逆境、それにも関わらず。
『危機の時ほど嗤え。逆境に置かれた時こそ嗤え。嗤って自分の弱い心を昂らせろ』。それは、誰よりも尊敬する師の教えだ。
彼の師自身、どんな強敵との、どれほどの絶望的な戦いであっても、常に大胆不敵だった。
そんな彼の薫陶を受けた自分が、この程度で折れることはできないのだ。

《SYAAAAAAA!!!》
青年の挑発を理解したのか否か、異形は青年へと突撃する。その動きもまた、先程まで以上の速さだ。
青年――エスト・シン・トライクVS不死身のリザードマン。その戦いは今、本当の意味で始まった。

1748レオナ:2017/02/11(土) 10:23:58 ID:HxQ0wOKQ
【王都中心街】
1人の幼い少女が泣いている、その対面するものは何なのか、形容し難い容姿をした異形

それは、人の姿をしているが、頭の頭髪の部分には無数の蛇を生やし、身体の至る所に大量の目を宿した文字通りの化物

化物が幼い少女に、腕を振り下ろす

『ママ!パパーー!!助けて!!!』

無情にも、化物の腕は少女に真っ直ぐと、向かう
その叫びは誰にも届かないのか?ここでまだ異形により1人の幼い命を散らせようとしていた
かに見えた

「プリズムソード」

天より舞い落ちる、虹色に輝く剣が異形の腕を切り裂き、吹き飛ばす

呆気に取られる異形と少女の間を遮るように、1人の魔法使いが天から降り立つ

「大丈夫?ここは危ないから、早く逃げなさい」

魔法使いの女は少女にそう言うと、異形と対面する
異形もまた標的をその女へと変えたのか、先程斬られた腕を再生させ、咆哮し威嚇する
少女はこくりと頷き、無言のまま走る

「げ、しぶといな〜・・・つーかきもい・・・」

女は呆れたように頭をくしゃっとさせると箒を振り回し、下級魔法を唱えようとするが、異形はそれを察知し、高速で近づき、左腕で薙ぎ払うように魔法使いを攻撃する
その一撃を箒で受け、吹き飛ばされた魔法使いは他に持った箒で滞空し、衝撃を避ける

「そうくるか・・・下級魔法唱える隙すら与えてくれないのはちょっと辛い・・・ね」

そう言う女は、首にかけたネックレスに左手を添える

1749レオナ 登場ロールみたいなもん:2017/02/11(土) 10:39:03 ID:HxQ0wOKQ
「フラム・・・ちょーっとだけあいつ、止めといて」
女は1人おもむろにそう呟くと、異形の足元から火が上がる

異形はその熱に苦しみ、動きが止まる

女はその隙を見逃さず、すかさず魔法の詠唱へと入る

「我呼び起こすは夜空に輝く天の使者」

すると周囲は真っ暗になり、天には5つの十字星のような物が現れる

「我が呼び掛けにより其は崩れ、汝を打つべく厄災とならん」

その真ん中に光る星、その光が動き出し、大地へと向かう

「アストリズムメテオ!」

放たれた大魔法、星、隕石を模したその、星属性の巨大な光は異形へと落ちると激しい衝撃を巻き起こし、異形の居たその場所を小さなクレーターへと作り変えた

そして魔法使いの女はほっと一息つき、壁にもたれかかる

「全く、なーんでこんな事になったのよ・・・はぁ・・・」

あれから約三年、成長した?魔法使い、レオナ・アーデルハイトはこの街で、異形と戦っていた
この、惨劇の街、彼女を待ち受ける運命は果たして

1750とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 21:36:19 ID:na8Ahlwk
>>1747
「もし、何方かいらっしゃいますか」

急に発せられた女の声。
鉄火場の中にて妙に静かで自棄に通るその声。
場違い甚だしい声色は続ける。

「道を、お尋ねしたいのですが」

目の前で死闘が繰り広げられているというのに全くもってそぐわぬ台詞。
目が見えないのだろうか、是、その女は目が見えなかった。
右手に杖、両目を包帯で覆う艶やかな黒長髪の娘は、
紅いマフラーを首に巻き二股に割れた長い尻尾の先だけが白い黒猫を伴いこの場に現れた。

1751とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 21:52:01 ID:OY3pCqvY
>>1750
「……ッ!? しまっ――」
加速度的に身体能力を上昇させた異形と激しく切り結んでいるところに不意に掛けられた、酷く落ち着いた声。
思わず女性の方に振り向いてしまった瞬間、重鎚のように変形した異形の尾が青年を打ち据え、大きく吹き飛ばした。

「つっ……このクソトカゲめ」
強かに壁に叩き付けられた青年だったがどうやらダメージは軽微なようである。悪態を吐きつつも素早く体勢を整え、女性に駆け寄った。


「アンタ、生存者か……って、盲唖か……」
近付いて初めて、女性が盲人であることに気付いたらしい。

「すまないが道案内はしてやれそうにない。ちょっと化物トカゲとダンス中でね。
 悪いことは言わないから、早く逃げた方がいい。壁づたいに右手に行けば大通りに出られる」
女性を背に庇うようにして異形に構え直し、そう告げる。
この現状にただの一般人が出歩いている筈はないのだが……青年は今はそこまで考えが及んでいないようだ。

1752とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 22:01:00 ID:na8Ahlwk
>>1751
娘「なるほど、ではそのお相手が居なくなれば宜しいですか?」

事もなげに娘は言った。
目の前の状況が理解できていないのか、音や臭いだけでも尋常ならざる状態なのは分かりそうなものだが。

娘「シノさん、少し寄り道をいたします」
猫「…御意」

娘の足元にいた猫がイケメンボイスで喋った。
それに気をとられていると娘が一振りの剣を空間から取り出したのが見えないだろう。

1753とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 22:19:10 ID:OY3pCqvY
>>1752
「は?」
驚いた様子で振り返った青年から間の抜けた声が漏れた。女性の台詞に対してなのか、猫が喋ったことに対してなのか、空間から剣を出したことに対してなのか、それら全てか。

「いや、アンタ…………あぁ、そうだな。“ここ”はそういう土地だった」
戦うつもり満々な女性を諌めようとした青年だったが、すぐに思い直して嘆息した。ここはジグザール王国王都。運命の都だ。
突拍子もない人も事態もゴロゴロしている。今更この程度のことでウダウダ言っていられないのだ。

「あぁ、わかった。あのクソトカゲを片付けたら道案内でも何でもしてやるよ」

≪FSYUUU.....FSYUUU.....≫
呼気を整え直し、異形を見据える。
異形は威嚇音を鳴らし、舌をチラつかせながらこちらを睨んでいる。
ここまでの戦闘で異形は両腕は刀状に、尾の先端は鎚状に、全身の鱗金属めいた硬質のものに変化していた。

「ただ……気を付けろ。あのクソトカゲ、戦うほどに進化して強くなる上、今のところ殺す手段は見付かってない」
吐き捨てるように絶望的な情報を告げ、青年は瞬間的に加速して異形へと駆け出した。

1754とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 22:37:18 ID:na8Ahlwk
>>1753
娘「では例えば上下に切り分けてみたらどうなるのでしょう?二つに増えるのですか?」

杖を手放し取り出した剣の鞘と柄に手を添えて娘が問う。

娘「なんにせよ先ずは…準備です」

何事かをぶつぶつと呟きながら娘が前述の姿勢のままその場に立ち尽くす。
ゆらり、とその髪が服が揺れ動く。
周囲に魔力が集いつつあった。

1755とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 22:58:20 ID:OY3pCqvY
>>1754
「さぁな……試してみればいい」
娘の疑問に答えつつ、駆けながら居合様に魔力を込めた刀を抜き打つ。

「繊月廻刃ッ!」
刀身から月魔力の弧状の刃が放たれ、ブーメランのように異形に襲いかかった。

≪SYEAAA!!≫

「上弦下弦――弦月双顎」
異形は炎を宿した刀状の右腕で迎え撃ち、魔力刃を散らす。が、その隙に懐に入り込んだ青年の斬り上げと斬り下ろしの二連撃。
一撃目は左腕の防御を弾き、二撃目が胴を袈裟斬りにするが、鱗を傷付けるばかりで肉には達していない。

≪SYIIIII!!≫

「ガッ……!!?」
技を終えた直後の一瞬の硬直。そこを突かれ、異形の回し蹴りが青年に突き刺さる。
来た道を戻る形で娘方へと吹き飛ばされた。

1756とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 23:15:37 ID:na8Ahlwk
>>1755
娘「では…試しましょう」

鞘から剣を引き抜き地面へと突き立てる娘。
そのか細い腕によって突き立てられた剣が重々しい音を立て深々と大地を抉り食い込む。
刀身に纏わりつく魔炎を口から立ち上らせる黄金の蛇が鍔に二匹附随している幅広の片手剣、
それが篝火のようにその場で蒼く燃え盛る。

吹っ飛んだ青年を受け止めたのは、
その蒼い篝火から当然のようにゆらりと現れる大きな羊の角と太い腕が特徴的な古色蒼然とした白い全身鎧。
その輪郭は煌びやかに青白く発光していた。

娘「…参ります」
鎧「……」

娘の声に応じてか、鎧が微かに頷いた。

1757とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 23:31:15 ID:OY3pCqvY
>>1756
「ヅッ……! 助かった、悪いな」
全身鎧に受け止められ、痛みに呻きながらもどうにか立ち上がる。幸いにして骨折などはしていないようだ。

≪SYAAAAAAAAA!!!≫
突如として現れた全身鎧を警戒したのか、異形が青年と娘へ向けて弾かれたように駆け出す。
その速さに青年と戦闘を始めた頃の面影は最早無く、凄まじい速度でみるみる距離を詰める。

「来るぞ!」
青年は刀を白鞘に納め、三度構え迎撃に備える。

1758とある世界の冒険者:2017/02/11(土) 23:51:05 ID:na8Ahlwk
>>1757
娘「速さに自信がおありのようで」

盲目でありながら周囲の動きに敏感に反応している娘。

鎧「!」

その重厚な姿からは想像もつかない速度で鎧が異形の前に立つ。
あくまで前に立っただけだ。
だが鎧の行動は異形の注意を自身に向けその視界を狭めること。
異形の強さは未知数であるが単体であるなら此方は明らかに勝っているものを使うしかない。
即ち頭数。

猫?「止まれ」

宙から降ってきたのは紅いマフラーを首に巻き鼻筋に真一文字の刀傷がある目つきの悪い長身の男。
猫耳っぽい髪型をしているソイツが先ほどまで娘が持っていた杖を異形へ自身の身体ごと突き立てる。
うまくすれば異形の体を杖が抜き、地面に繋ぎ止める事となるが…

1759とある世界の冒険者:2017/02/12(日) 00:05:03 ID:Q/Qm7HdA
>>1758
ミシリ、と音がした。なんの比喩でもなくだ。
長身の男が突き込んだ杖は貫きこそしなかったものの、金属めいた鱗を持つ異形の体表を陥没させることに成功していた。

≪KYIEEEEAAAAAA!!≫
痛みによってか怒りによってか、奇声を上げる異形。だが、それだけだった。ダメージは確かに与えたが、止まらない。
そのまま刀状の両腕を振り上げ、全身鎧に襲いかかる。

「(陥没した……? “杖で”?)」
長身の男の目的は果たされなかった一方で、その行動には大いに意味があった。
青年の刀でも浅い傷がつく程度で済む鱗を陥没させたのだ。恐らく、少なくとも“今の鱗は”斬撃には強いが刺突には弱い。
鱗ではあるが、その性質はスケイルメイルよりチェインメイルに近いらしい。

「――刺突だ!」
青年はそう結論づけ、他三人へ周知するように短く叫ぶと、自身も再び攻勢に出るべく全身鎧に気が向いている異形の側面へ回り込んだ。

1760とある世界の冒険者:2017/02/12(日) 00:25:03 ID:DgpN.AqA
>>1759
鎧「!」

対して鎧はその太い両腕でブロッキングの構えをとる。
敢えて攻撃を受け注意を引き付けるのが役目だと言わんばかりに。
鎧姿なのに盾や刀剣の類を一切持ち合わせていないので攻勢に出られないという事情もあるが。

猫改めシノ「やれやれ、であるならもう少し物騒なもので縫い付けるか」

手にした杖を片手に印を結び始める。
忍術っぽいが魔術なんだろうなコレ、といった印象を受ける動きだ。

娘「使いましょうか?」
シノ「それには及ばん、目は大事にとっておけ」

1761とある世界の冒険者:2017/02/12(日) 00:48:56 ID:Q/Qm7HdA
>>1760
≪SYUIIIII!!≫
異形は叫びながら、大きく振り上げた刀状の両腕を全身鎧に打ち付ける。
異形の腕は実際の刀ほど鋭いわけではない。むしろ山鉈(ハチェット)などに近い、“打ち切る”のに向いた構造だ。
とはいえ流石に金属は断ち切れないが、その衝撃は全身鎧にとっても凄まじいものであるだろう。

「月光――咆牙ッ!」
全身鎧が異形の攻撃を受け止めている隙に、青年が魔力を込めた形を異形に突き込む。
右の脇腹から斜め上にゾブリと刺さると、更に魔力を解放。刀身から魔力が光槍のように伸び、左の肩口から飛び出した。
急所――心臓は通っている。貫いたはずだ。だが、これで死なないことはよく解っている。
だから更に……

「カーネイジ・ファング!!」
突き入れた刀を起点として、魔術を行使。魔力使用中の属性変換という地味に高度な技術で、近接用闇属性魔術を異形の体内で炸裂させる。

ボンッ、という音と共に、異形の上半身が吹き飛んだ。残った下半身がぐらりと倒れる。
周囲が一瞬、沈黙に包まれた。

「…………」
今度こそ殺せたかもしれない。淡い期待を抱きつつも警戒して距離をとる青年。

そして、それが当然であるかのように期待は裏切られる。残った下半身が急に飛び上がり、ボゴボゴと濁った音をたてながら急速に再生を始めた。

1762とある世界の冒険者:2017/02/12(日) 01:19:13 ID:DgpN.AqA
>>1761
シノ「やれやれ、行くぞ?」

印を結び終わった男が杖を突きだし構える。

シノ「偽術『唐戸墓流愚』!!」

ギャリリ、と凄まじい金きり音を立てて杖から回転しながら魔力の刃が飛ぶ。
魔力の刃が異形へと至る過程で結晶化し、ドリルの様な螺旋の柱となって到達、
今度こそは壁なり地面なりに異形を縫い付ける事が出来る筈だ。
そしてその着弾とほぼ同時に、

鎧「っ!」

衝撃によって上手くチカラの入らない両腕を下げたまま鎧が再生中の異形へと跳躍。
その角を羊の如く異形へと叩き付ける。ヘディングである。
ただ叩き付けただけではない。再生部分に接した角から蒼い炎が噴き出し、異形へと燃え移る。

結果として上手くいけば燃え続ける異形の下半身姿の篝火が完成するのだが…

1763とある世界の冒険者:2017/02/12(日) 01:43:21 ID:ZFHPj/hk
>>1762
急速に再生していく最中、シノの魔術によって貫かれ、地面に縫い付けられる異形の下半身。
そこへ更に全身鎧のヘッドバットと蒼炎を受け、ゴウゴウと炎が揺らぐ音と共に炎上し始めた。

再生する。燃える。再生する。焼ける。再生する。焦げる。再生する。溶ける。再生する。
思惑通り、再生した端から燃えていく。このままなら封殺できるだろう。

「……終わった、のか?」
疑わしげにポツリと呟く。数時間に及ぶ異形との戦いから、どうしても疑念が湧き上がる。

再生燃焼再生焼失再生焦散再生溶解再生再生燃焼再生焼失再生再生焦散再生再生再生溶解再生再生再生再生再生――

1764とある世界の冒険者:2017/02/12(日) 20:50:32 ID:DgpN.AqA
>>1763
娘「あ…」

僅かに再生の頻度が上がってきた事に小さく声を上げる娘。

シノ「フラグを立てては駄目だぞ青年…しかし次の策は用意したほうがいいかもしれんな」
鎧「…」

男と鎧が一歩前に出て構える。
何方も徒手空拳だ。
杖は娘へと手渡されている。

1765とある世界の冒険者:2017/02/12(日) 22:10:00 ID:1RvMcTLU
>>1764
娘が気付いたその時だった。俄に再生力が急上昇し、燃え散る速度を再生が完全に上回る。
濁った水を泡立てたかのような醜い音が鳴り響き、突き立った螺旋の柱も溶けて――いや、吸収されていく。
緩慢とした動きではあるが、異形の下半身が立ち上がろうとしている。

「冗談……だろ。フラグのせいじゃないよな……」
うんざりするのもこれで何度目になるか。ともあれ、ゆっくりと愚痴を溢している場合ではない。
まだ完全には再生しきっていない今のうちに、次の手段を講じる必要がある。

「斬っても無駄、突いても無駄、急所も無駄、氷漬けも無駄、半分吹き飛ばしても無駄、燃やしても無駄。となると残りは……」
再生する暇も与えず、塵一つ残さず消し去るのみ。
それを思い付くのは簡単だ。青年以外の三人も同様に考え付いたことだろう。
しかし、実行可能かどうかはまた別の話であった。

「……そっち三人で、瞬間最大火力が一番高いのは誰だ?」
少しでも再生を遅らせるために月魔力のビームを異形に照射しながら、娘に訊ねる。
手札がないわけではない。ただ、手札で“役”を作れるかが問題だ。

1766とある世界の冒険者:2017/02/13(月) 21:45:06 ID:mLpWHlHY
>>1765
娘「…」
シノ「セリュー、駄目だぞ」
娘改めセリュー「ですが…」

セリューと呼ばれた盲目の娘が如何やらそうであるらしいが、男に止められる。

シノ「悪いが先ほどの一撃が我らが持ち得る最大火力だ。大々的に術を振るう環境にはなかったものでな」
鎧「…」
シノ「こちらのエスペランサも徒手空拳である現状では我と然程変わらんな」

忍びと騎士が意外と火力面で頼りなかった。

1767とある世界の冒険者:2017/02/16(木) 19:30:49 ID:7ked.le6
>>1766
「…………そうか」
セリューとシノのやり取りを見て暫し沈黙した後、嘆息したように呟く。
ここで手の内があるなら晒せと言うのは簡単だが、易々とは使えない事情があるのだろうと納得する。

「なら、俺の手札だけでいこう。……悪いがしばらく時間を稼いでくれ」
この切り札で仕留めきれるかというと、はっきり言って自信はない。そもそもがまだ未完成であり、あの異形の再生力に通じるかは未知数だ。
それでも自身の最大火力である以上、試してみるしかない。

≪Gu.....Ge.....GE..........≫
青年が準備に入るためにビームの照射を止めた瞬間、再び急速に再生を始める異形。
もはや上半身も7割ほどは復元しつつあり、喉から声が漏れている。

≪.....GU.....GE.....グ……ゲ≫
……気のせいだろうか。漏れ出ている声が、徐々に明瞭になってきているのは。

1768とある世界の冒険者:2017/02/17(金) 19:40:37 ID:SSbc3BDw
>>1767
シノ「…おいおいおい、まさか此処にきて人語まで解すではなかろうな!?」

チカラある言葉、で紡がれる魔法は総じて強力なものが多い。
相手が相手なだけに最終的には其処に至る可能性が十分にあると踏んだシノビモドキは駆ける。
そして鋭く伸ばした右の爪を異形の喉へと走らせる。
兎に角しゃむにに爪を振るって異形を刻み再生を遅らせる気だ。

シノ「エスペランサ貴様も手伝…ってセリュウウウウウウウウウ!?」

ちら、とシノビモドキが視線を後ろにやると、
娘が地に突き立てた剣を引っこ抜いていた。
途端に蒼鎧のエスペランサが掻き消える。

セリュー「出し惜しみしている場合でもありませんので」

保護者よりも余程状況を鑑みてる娘は何やらやる気だ!

1769とある世界の冒険者:2017/02/17(金) 22:32:02 ID:9VMZApd6
>>1768
「…………!!」
大魔術を放つために集中していた青年がシノの言葉に驚愕と共に目を見張る。
今でさえギリギリなのだ。この上、魔術まで学んで使い始めたら手の施しようがなくなる。
とにかく今は一秒でも早く術式を完成させるべく、より深く集中する。

≪ゴエッ……≫
喉を掻き切られ、妙な声をあげながらも立ち上がる異形。その瞳には殺意と憎悪が渦巻いている。
シノが切り刻み続けながらも再生していく肉体。徐々に通りにくくなっていく攻撃。どう考えても肉体の強度も再生力も上がってきている。
この状況でエスペランサまで消えてしまった今、じり貧になるのは明白だった。

≪ゴロ……ッ……ゴ……ゴロズ……≫
再生が追い付いてきた喉が、遂に意味のある言葉を発した。

≪……殺ス≫
その憎悪を具現化したかのように、刀状だった両腕の刃が鋸刃に変わる。次いで鱗はより頑強に、かつ刺々しくなる。尾も鎚状だったものにスパイクが生える。
あまりにも殺意が高い変貌であった。


そんな修羅場の中、誰かが接近してくる気配がする。傍目から見ても絶望的なこの状況に、わざわざ近づいてくるのは何者だろうか?

1770とある世界の冒険者:2017/02/17(金) 23:06:58 ID:SSbc3BDw
>>1769
シノ「ちっ、思ったよりも成長が早い!」
セリュー「シノさん下がって!」
シノ「ああもう、知らんからな!アッテナ殿に叱られるのは私なんだぞ!!」

シノビモドキがムーンサルトを決めながら異形から離れる。
ヒトからネコへとその身を変えながら。
その横を娘が駆け抜ける。
本当に盲目か?と突っ込みどころ満載の駆けっぷりだ。

セリュー「わっしょいっ!」

そして間髪入れず娘が手にした蒼炎纏う剣を異形の頭に振り下ろす。
その一撃は異形の身体を真っ二つにする、事もなく。
ただただ物凄く重い一撃となる。
具体的に言うと、攻撃を受けたら身体が地面にめり込むぐらいの重さである。

1771とある世界の冒険者:2017/02/18(土) 23:07:35 ID:tKbOS8rg
>>1770
≪ヌ゛……ウ……ッ!≫
異形はその一撃を受け止めるが、ゴガン!!という凄まじい轟音と共に膝までが地面に埋まる。
直ぐにその怪力でもって抜け出そうとする異形だったが、その時であった。

『エアロコンプレッサー』
青年のものでも、シノやセリューのものでもない声聞こえると同時、地面から抜け出しかけた異形が押し潰されたように這いつくばる。
異形が埋まっている地面とその上空には、緑の魔法陣が浮かんでいた。

「……!? ……幽玄の鍵を以て開け 冥府の門。
 冥黒の衣纏いし其は煉獄の魔獣。
 深淵より来たれよ 暗黒の爪牙。
 我に仇成す愚かなる贄を喰らい尽くせ」
何が起こったのか把握できていない青年だが、チャンスとばかりに詠唱を開始。黒紫の魔法陣が一つ、青年の前に展開される。

『やーやー。大変な状況のようだね? 及ばずながら、少し手助けして差し上げよう』
そう言いつつ姿を表したのは一人の女性であった。
プラチナブロンドの長い髪をシニヨンにまとめ上げ、眼鏡を掛けた翠眼白皙で、金糸の刺繍が入った白いロングローブを纏っている。
落ち着いた色合いのはずなのにどこか妙に派手で、どうにも胡散臭い印象であった。

1772とある世界の冒険者:2017/02/18(土) 23:22:48 ID:0R8Nefec
>>1771
セリュー「どっせい!」

めげずにもう一度剣を振り下ろす娘。
剣の使い方としてはド素人もいいところである。

シノ「…にゃーん」

妙な状況になったな、と猫は端っこのほうで成り行きを傍観している。
主人から離れ、仮契約も満足に結んでいない使い魔のスタミナは決して多くない。

1773とある世界の冒険者:2017/02/18(土) 23:44:51 ID:GYeuTJW6
>>1772
≪ヴォ……オオオオオオオォォォォォォォ!!!≫
這いつくばりながらも一層に憤怒の色合いを濃くし、吼え猛る異形。
セリューの大剣を鋸刃刀状の腕で受け止め、大口を開ける。その喉奥には火が灯っており……

『ファイアプルーフ』
ゴウッ、と火炎が吐き出される。あわやセリューが飲み込まれるかと思われたが、女性が展開した障壁によって防がれた。
それと同時に魔術による拘束が緩み、異形が地面から解放される。

≪殺ス……切リ刻ンデ殺ス≫
フシュルフシュルと鼻息を荒げ、一同を睨みつけながら、まずはセリューに襲いかからんと突撃してくる。


「白銀の氷河にて死の凍嵐を纏いし女神よ。
 今、新たな契りに依りて 汝が静かなる怒りを此処に示さん。
 普く命を刈り断ちし無慈悲なる抱擁。
 それは凄烈にして絶対たる氷雪の帳。
 愚かなる者にせめて 刹那の白き終焉を」
青年はなおも詠唱を続ける。セリューが上手く異形のヘイトを集めてくれたことが功を奏した。
更に一枚、蒼白い魔法陣が展開される。

1774とある世界の冒険者:2017/02/18(土) 23:59:14 ID:0R8Nefec
>>1773
セリュー「私、刻まれると分裂しますから殺せませんよ?」

淡々と呟きながら剣、ではなくそれを納めていたと思われる鞘を眼前に突き出す。
娘と異形、双方の間に割って入るようにして魔法陣が展開される。
障壁であり同時に触れたものを弾き飛ばす効果も持ったソコソコ強力な陣である。

セリュー「あと、お饅頭が怖いです」
シノ「…(多分言葉が通じるから混乱させようって腹なんだろうが……)」

そして相手の知能指数の低さにかける無駄な博打も打ち始める娘。

1775とある世界の冒険者:2017/02/19(日) 00:21:04 ID:gQp/v966
>>1774
≪シャアアアアアアッ!!≫
言葉は通じても会話するつもりはないらしい。声なのか警戒音なのか判然としない奇音を発して突撃する異形の前に展開される障壁。
勢いが強く止まれない。否、止まる必要がない。勢いそのままに尾を地面に打ち付け、跳躍する異形。
障壁を飛び越え、宙で一回転し両腕を叩き付けんとする。

『おっとぉ、イケナイねぇ』
だが、女性が地面から蔦を生やしてセリューを絡めとって引き寄せ、異形の攻撃から回避させる。

≪ヴヴヴヴゥゥゥ……≫
先程までも怒り狂っていたが、それも頂点に達したのか。全身から発火し、炎に包まれた。
当然、それで自滅するようなこともないだろう。時間を追う毎に殺意の塊のようになっていく。

『いやはや……おっそろしいトカゲだねぇ。知り合いのカナヘビは関西弁を話すプリティーな奴なんだけど』
次の魔術を準備しつつ愚痴を溢す女性。それ本当にカナヘビか。


「遥か天空にて煌々と輝ける孤月。
 其処に住まうは麗しき月魄の女神。
 汝は狂気の母にして凶荒なる断罪者。
 汝は夜闇の王にして月光纏う破壊者。
 その無慈悲なる粛清の意思を我が代行す。
 天に満つる月の光よ、奔流と化して迸れ。
 立ち塞がる者の一切を滅却せよ」
一方、着々と詠唱していた青年もそろそろ術式が完成しようとしていた。
最後に一枚、白銀の魔法陣が展開される。

1776とある世界の冒険者:2017/02/19(日) 00:28:35 ID:T.Qvu2hY
>>1775
セリュー「っと、ありがとうございます…」

お礼を言いつつ異形へと向き直る娘。
キンッと音を立て剣が鞘に納まる。

セリュー「…シノさん、杖を」
シノ「白兵戦はエスペランサにやらせるべきだと思うんだが?」
セリュー「ベルさんは先陣切って剣振り回してましたし」
シノ「あの魔女は例外だ、だいたい大雑把な位置にしか剣を振るえんだろうに」

言い合いをしながら猫が娘に杖を蹴り渡す、器用。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板