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ジグザール王国王都

1「鍵を持つ者」:2012/12/27(木) 22:40:41 ID:???
今日も賑やか……だと思ったか!?

1896「再誕と再来」:2016/12/31(土) 22:42:55 ID:gmXv0LlU

「--今の魔法医学で君を治すことは出来ない」

医者から告げられた

失意の重さに潰され
寝床で寝たきりの生活になってから、どれほどになっただろうか…

毎日、寝床で食事を取りいたずらに時を浪費するだけの生活になってから
すっかり生きるという事に執着をなくしてしまった…

最近では、食事を摂ることすら拒否して、昼夜の概念も忘れて寝続ける生活だ
1週間?1ヶ月?たっただろうか、ある時、ふと目が覚めた時…

--世界が淀んでいた--

窓から見えるジグザール王都の青空は、どす黒い正気に包まれ
空は極彩色の毒属性魔法の様な色合いである。

ここは何処だ、拉致でもされたのだろうか
しかし、部屋の調度品、服の皺や机の埃までそのままである

--ドンドンッ! ドンドンッ!

混乱の最中、部屋の入り口のドアがノックされる
誰かが貴方の名前を読んでいる気がする…と、同時に君が何の問題もなく、動ける事に気がつくだろう。
それどころか、全盛期の自分のように…。

1897とある世界の冒険者:2016/12/31(土) 22:57:50 ID:mlVJn3nA
「……しってたさ」
男は諦めきった表情を医者に見せた。
どんな戦場にも使い捨ての駒として動き、働いた。
帝国でも指折りの狙撃兵。それも、塹壕戦にて魔毒に犯された。

下半身が動かなくなってから時間を浪費しそしてあの時の戦いの事を思い出し懺悔する
それだけだった
短い人生と短い余生を王都で過ごすだけだった

空をみた。あの時と同じ色がしていた。あの地獄と同じ色
「悪い夢だ」
体が動くことと空の色に呟く

部屋の調度品から一本の羽ペンを手に持ち、ゆっくりと扉に向かう
「……だれだ」

1898「再誕と再来」:2016/12/31(土) 23:04:15 ID:gmXv0LlU


緊張とは裏腹に、勢い良く扉が開かれる。

「…無事だったか。」

――懐かしい声だ。
名前のない銃士、吸血病に犯され一時は性別も反転してしまった彼だが
君の目に写る彼は、病に冒される前の姿だ。
以前、酒の場で彼の真名を教えてもらった記憶があるが…レイヴン、そう名乗っていた記憶がある。
しかし馴染みのある名は、これだ

――ガンナー 

彼がそこにいた。

手元に長々とした槍の様な長銃と、もう片方は一般的な長銃
目元まで届くフェイスマスクに、頭には鴉羽(カラス)を模した三角帽子にロングコート
記憶にある服装とは違うが、彼そのものである

「久しぶりだな……"シャーク"」

安堵の表情を見せるガンナー
これも酒の場で付けられた、君の'あだ名"だ。

が、すぐに険しい表情に戻り、彼から得物が差し出される…
長銃である…魔導式の歯車がついたタイプだ…信頼性の薄い君の大嫌いなタイプである。

「悪いが、詳しい話は後だ…ここは危険だ移動する。」

1899とある世界の冒険者:2016/12/31(土) 23:21:07 ID:mlVJn3nA
「お前は」
意外な表情を見せるシャキン。久しく会っていない友人
それも、性別が反転する前の姿である。治ったのかと考えたが、自身に起きた現状と状況を考えるにそれは無いと判断した

「ハッ、まるで医者のような格好をしているな、レイヴン」
知ってた彼の姿とは違うことと、仮面を見て笑う
久しく笑っては居なかったが、何故か笑えた。
不思議だった

「何があった、ガンナー」
直様、警戒し仕事の顔になる
レイヴンから渡された武器を手にとり弾数を確認する。
この状況、良くな事が起きているのだけは判る。

1900「再誕と再来」:2016/12/31(土) 23:40:01 ID:gmXv0LlU


「――悪いが病原菌はよくわからんぞ、香草を詰めるスペースもない。」

軽口を返しながら、布状のフェイスマスクを下ろす
一件、治っていはいる様に見える、声も顔も男性のものである。
もともと彼は中性的であった、シャキンの思い出にある姿そのものである

「面倒なことが起きた…ことは確かだ、移動しながら話そう。」

残弾は5発、銃底内部に結晶状のマナシリンダーが仕込まれている形式で
撃ち切る事に歯車が回転して、再装填を行う。
とにかく歯車の回転音が耳障りで、純正品のシリンダーでない限り、装填数にムラッ気がでる、まぁ信頼の置けない奴だ。

「悪いが中身のシリンダーは、非正規品だ」

加えてこのざまだ。

――――王都住宅街

きらびやかだった、ジグザールの王都が荒れ果てている
石タイルはめくれ上がり、住宅は荒らされている、あれだけ活気のあった人の気配が無い
悲鳴が無いのである…この緊急事態なのにもかかわらず…だ

君が受けた毒ガス魔法のような空…本来なら太陽が照らすであろう場所には
まるで異型の瞳のような何かが、地平線にぼんやりと写っているのだ…

「…魔剣士ドクオ、魔人ネームレス、ジグザールの有力御曹司のジャック…この3人覚えているか?」

路地を歩きながら、聞き覚えのある名を呟くレイヴン
どれも聞いたことのある名だ、彼らがトップに立つ組織は
裏で王都を牛耳っているのではないかと、よくゴシップにかかれていた。

1901とある世界の冒険者:2017/01/01(日) 00:03:34 ID:8MGitT7U
「ゾンビさえつくらなきゃぁ大丈夫だ」
ハッ鼻でと笑う。ゾンビを作るペスト医師、よくある都市伝説の話だ
だがそれも、それもかなり古い

「面倒な事か」
空のの毒々しさを見つめ険しい表情を浮かべる
自分の体にレイヴンの状態。とても嫌な予感が、それも本能での嫌な予感だ

「詳しく頼むぞ、こんな嫌な気持ちはイルタ以来だ」
イルタ……ジグザールとソルビニアが散発的な戦闘を繰り返していると聞く場所
両国とも表面化では戦闘を否定しているものの、地獄絵図はごくまれに王都の新聞で載ることもある程度だ


「あぁ、素晴らしいね。鹵獲品よりかはマシな事を祈るよ」
クソっとやや悪態を付きながら皮肉を言う。自身の武器など等に医療費に消えてしまったのだ
あるだけでも有難い

「何だこりゃ……帝国が戦線布告でもしたのか……?クソ、それとも魔族か?」

人の気配に荒れ果て具合。太陽の代わりに異型の瞳
魔族との開戦としか思えない。少なくともシャキンの中ではそうだ

「ゴシップ程度には。ただ詳しくは知らんな。知った所でだからな」
闇を掘る事なく、闇を見て立ち位置を考え、賢く生き抜く。
戦場で生き抜いた人間のただ一つの正解だった

1902「再誕と再来」:2017/01/01(日) 00:34:40 ID:gk9gSF4c

「アンタの腕なら、妖精の爪先ですら狙えるよ」

冗談をつぶやきながら歩みをすすめる

「いや、御曹司のジャックは別人だったな…俺が言いたいのはそっちじゃない。
ウッドフィールド…木原教授の研究に参加していたゼオ・ウッドフィールドに従事していた少年の方だ。」

曖昧な記憶を訂正する、瓦礫を乗り越えると

――ぺしゃり

血だ

「まぁ、御曹司の方も"城"に出資をしていたらしいが…本題に入ろう、さっきの三人が"やらかした"」

城…それは先の三人が統括していた組織だ
郊外に広大な城を持ち、不当な扱いをうけた獣人達を保護する、一件は義賊的な立ち位置であった

「悪いが――

歩みを進め、ジグザールの大通り、ここは市場に続く道でいつも活気があった
そう、いつも物で溢れかえっていて…けど今は

――イルタのがマシだな」

...見渡すかぎりの死体で溢れかえり、市場の並ぶ緩やかな坂道は血の川
 
「そもそもジグザールの発展の幕開けは、ゼオの知人である木原教授…ウッドフィールド教授によるものだ」
「だが、なぜ彼がここを選んだのか、なぜ馬鹿でかい図書館をぶっ立て…そしてある時去ったのか…」
「木原が行っていたのは、八卦や冥王属性の研究なんかじゃない、それらを使って"何か"を封じ込めてた」
「そして、城の連中は"何か"の目を覚まさせた。起こしちゃいけない"何か"を…起こしちまったんだよ。」

…ヴヴ…ヴァァァァァ

血の川から、のそりと立ち上がる人…否、人の形をした物体
口は奇形の様に縦に裂け、手足は不自然に長く、風船の様に膨らんだ頭は
まるで子供が描いた落描きを、人体を使って再現したようなおぞましい姿だ
うっ血した肌からは、獣の様な体毛が生え、狂気じみた表情をしながら、よたよたとちらへ向かってくる。

「――それがこのザマだ…」

「異形化、俺はそう呼んでいる…あれはまだマシな方だ。」

左腕にもった長銃の安全装置を外す、そして右腕には特徴的なノコギリ刃を持ったサーベルを構える。

「"シャーク" …俺がやってもいいが、正直気乗りしない。」


「楽にしてやれ。」

1903とある世界の冒険者:2017/01/01(日) 00:57:01 ID:8MGitT7U
「……」
血の川。戦場で見慣れた光景だ。だが、市街地での、市民の血で汚されたこの川は酷い頭痛と吐き気を催した。
酷い目眩だ
あの戦場にいた時よりも酷い。あらゆる感情が混ざり悪意のみが体に残った気がした

「Wahnsinn!!(クソッタレ!!)」
誰に大声で、母国の言葉で毒づいた
最も汚い言葉。

銃を構えて異形の頭に打ち込んだ
普段は何も感じない引き金が重い。震える。新兵の様に照準が定まらない

銃口を一度上に上げて目を瞑り新呼吸
「スーハー」
そして異形の頭らしき部分に向けて再び構えて引き金を引く
弱点かどうかすら分からない、ただただ体が弱点を狙う癖だ

1904「再誕と再来」 終:2017/01/01(日) 01:05:45 ID:gk9gSF4c


――カリカリカリ…ガシュンッ!!!

質の悪い歯車が起こす、金切り音
この時点で鹵獲品のがマシだとわかる。

何千回も繰り返された癖の上に魔弾が乗り、マナの煙と共に飛び出す。
異型は、中身をぶちまけながら血の川に倒れ伏す。

…ヴゥゥゥ
…ヴォォォォ

発砲音と同時に、次々と立ち上がる異型達
ムカデのようにいくつもの胴体が繋がったもの…片手が以上に肥大化したもの…蜘蛛の様なシルエットをしたもの…

「…こまった時は酒場バッカスまで……後ろは任せる」

槍のような長銃を構え、サーベルを振るうと刃が分離し、鞭のような軌道を描く。
"異型"を狩る為の仕込み武器、人でも魔族でもない"怪物"を狩ること特化した。

「―――行くぞ」

滅びた王都と異型の瞳を背後に、二人の男が走り出す―――

1905とある世界の冒険者:2017/01/01(日) 01:19:13 ID:8MGitT7U
「チッ」
小さく舌打ちする。暴発だけはするなよ、もうそれだけはゴメンなのだからな
心にそう思いながら、次弾を装填する

「バッカスか了解した」
酒場には念の為に旧式の銃を預けていたはずだ。だが、それも医療費等の担保に取られていなければの話だが

「Los!!(あぁ!!)」
銃の残弾と道のりを計算して、倒す敵を考えながらレイヴンの後ろを守るのであった


Fo


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