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三国志Ⅸ 公孫度伝

133野に咲く一輪の花:2014/04/02(水) 16:36:09
☆☆☆☆衆心1☆☆☆☆

「主上、いよいよ我等の計画も現実味を帯びてきましたぞ」
「まだ楽観視出来ない。どう今後転ぶかわからないのだぞ」
2人の会話が闇の中に響く。
声の主達の周りは、薄暗く遠くに蝋燭の明かりがあるのみである。
「主上、この情勢下公孫度を支援する方向でよろしいか?」
闇の中、新たなる声の主が問いかける。
「よかろう、本来であればその役目は劉備に任せるべきだったのだが、如何せん西の駐留軍が強大すぎた。
劉備は猛将は多いが、名将、智将がいなくなった。今しばらくは牽制させておけばいい」
闇の中顔がはっきりしないので、声質から判断すると、主上と呼ばれた人物は落ち着いた声で威厳さえ感じる。
「公孫度にも名将はいませんが、その辺りは如何でしょうか、主上」
「確かに公孫度には、抜きん出た将がいない。だが、彼奴はよく家臣団を纏め、何より勢いがある。
今や幽州、冀州(キシュウ)、幷州(ヘイシュウ)の3州の大半を治めている。
だがな、それだけでは、不足なのも事実。また繰り返しが続くだけだ。そこのところはお前がよくわかっていよう」
「お任せ下さい。主上がおっしゃることはよくわかります。必ずやご期待に沿えることでしょう」
「頼んだぞ、くれぐれも慎重にな」

ところ変わって、ここは曹操の幕下。
「魏公、すべての首尾は整いました。後は公孫度ですが、この件も処理済みです。
魏公から打ち明けられた時には、いやいや我が叔父ながら驚きました。そこまでの計謀があろうかと」
男は手で額の汗を拭う仕草をする。
「荀攸、謙遜するでない。お前の働きなくしては、いかに強大な軍が入ったとはいえ、中原を支配することは叶わなかっただろう」
曹操の言葉に恐縮する荀攸。
荀攸は、曹操の軍略を支える主要人物の一人で、曹操の言う通り郭嘉(カクカ)と並んで曹操を軍事面で支えた人物である。
荀攸は話題を変えるように、
「魏公、曹仁将軍より報告が入っております。襄陽を取り囲んで数ヶ月、ついに陥落の兆しが見えてきたそうで」
「そうか、ついに曹仁がやりおったか。奴がそう言うのであれば間違いなかろうが、油断は禁物だな」
そう言いつつ曹操はその報を素直に喜んだ。
曹仁は、今や曹一族の中心的人物で、曹操軍の名将の一人でもある。
カイ越、カイ良が堅固にした襄陽は、予想以上に固かった。
曹仁は、その城を粘り強く包囲した。
曹仁の忍耐強さと胆力、そして兵站の維持は、特筆すべきものがある。
曹仁は、8ヶ月の歳月をもって、ついに襄陽を攻略したのである。
時に200年3月のことである。


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