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三国志Ⅸ 公孫度伝

123野に咲く一輪の花:2014/03/25(火) 14:12:46
☆☆☆☆飛翔5☆☆☆☆

男は自身の運命を顧みて思う。
男はかつて漢帝国に反逆したとされた人物である。
何も好き好んで反逆したわけではない。
男はその昔、一人の農民であった。
時代は、農民を取り巻く環境を日に日に苛烈さを増していった。
皇帝、宦官、外戚、高官、役人、上も下も不正に身を染めており収奪の矛先は農民に向かったからである。
生活は困窮を極め、当時太平道という張角が興した宗教的組織に身を委ねるしかなかった。
男はそこで農耕で鍛えた腕力をもって、将としての頭角を現した。
黄巾の乱という太平道が漢帝国に対する造反行為が挫折した後は、華北で残党として転戦する日々であった。
このまま行けば、何者かに討伐され敗死する運命であったろう。
男の運命を変えたのは、公孫度との出会いである。
公孫度が帰参者に寛容であったばかりではなく、農政を重んじていたことも男の足を運ばせた。
公孫度も男の猛将としての才を見抜いた。
男は公孫度軍の中でつねに先鋒を任された。
やがて、公孫度が諸侯の中でも華北を制し大軍閥となっている袁紹に打ち勝ち幽州、冀州(キシュウ)を制するようになってくると男の中にある感情が芽生える。
『公孫度様の国を見てみたい』
まだ表立って言えることではない。
ふと、目の前に要害の地、壺関が迫る。
男は回顧を止め、現実に戻る。
壺関からは先に陥落させた韓暹(カンセン)が公孫度軍の本隊を出迎えるべく出ていた。
「韓暹(カンセン)、久しぶりだな。」
韓暹(カンセン)もまた己と同じように時代に翻弄され漢帝国に反旗を翻した人物だ。
そして、己と同じように公孫度によって運命が変わった人物でもある。
「管亥、久しぶりだな」
韓暹(カンセン)と管亥は短く言葉を交わし、お互い拱手する。
二人の男の間に、余計な言葉など要らない。

その後、公孫度は管亥など猛将を引き連れ、上党を陥落させる。
要害の地、壺関を制した時点で勝敗は決していた。
時に、200年1月のことである。


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