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ダイアリー・オブ・アポピス
1
:
アポピス内政官アルマレーナ
:2011/09/10(土) 01:08:13
アポピスで起こった出来事を、さまざまな様々な人物の日記を通して紹介するスレッドです 。
2
:
アポピス内政官アルマレーナ
:2011/09/10(土) 01:09:19
【アルマレーナの内政記録】
アポピスはようやく惑星国家を名乗るだけの国力を有し、星団社会に参加することとなりました。
アルトルージュちゃんは星団会議にて惑星コラプションの権益を各国に認めさせ、またズェムリア、スヘル=バルニッツァ、星間文明の三ヶ国と国交を開設。今後三ヶ国と貿易を執り行います。
その他の国家については星団への政治的影響力が低い国家とみなし、特に必要がなければこちらから国交打診は行わない予定です。
アポピスの輸出品目は惑星コラプションから採取されたデューテリウム。そして義手、義足、義眼などのサイバーウェア、培養臓器などのバイオウェア、各種の合成食品。
そして娼館街「乙女たちの回廊」やカジノ街「黄金階段」を初めとした観光業。
フィオーレで隆盛を極めたデザイナーズチャイルド産業についても今後解禁される予定です。
改変種イズメネイエの国家であるズェムリア帝国は、リリスの不足を補うための募集事業を許可しました。
既に勧誘の為のリリスが数人、ズェムリアに入国しています。「最高の女の子」を探すべく、ズェムリアの社交界、芸能界、ファッション界などに浸透を開始。ふふふ、どんな子たちが見つかるのか、想像しただけで胸が高鳴ります。
3
:
都市内政コンピュータ・ライトワード
:2011/09/10(土) 22:40:51
私はライトワード。ただの人工知能だ。詳細は伏せさせて貰う。
私には遊んで暮らすリリスどもには解らない苦労がある。アルマレーナなどお茶会の主催者以上のものではない。
開国以来、アポピスは三度のマイクロハザードに見舞われた。頻発と言ってもよいだろう。
おそらくは貿易により他国のウィルスが混入するようになったのが原因と思われる。
しかしニーレンベルギアからの対マイクロハザード技術により、被害は最小限に食い止められた。
マイクロハザードはもともと植物を枯死させるウィルス兵器だ。
その歴史はヴァレフォール歴1024年にまで遡る。
最初に開発し、戦場に投入したのがアポピスの前身であるリルバーン帝国であることは歴史の皮肉か。
ヴァレフォール星系に蔓延したマイクロハザードにより母なる惑星は見捨てられ、人類はこの星団へと雄飛することになった。
マイクロハザードは人類とともにこの星団にやってきた。そう。ウィルスの運び手は人類自身である。
そしてヴァレフォール歴4000年を数える現代でも、いまだこの小災厄は星団で吹き荒れ続けている。
4
:
マレーエヴァ侯爵家令嬢アタナスシア
:2011/09/11(日) 03:15:20
【アポピスの豪華客船ラティウスの一室にて】
「はあ……」
絶世の美少女が窓の外の星々を眺めながらため息をつく。
アポピスの親密な友人(これもまた美少女)がめざとく見つけ、ココアを勧めながら語りかけた。
「どうしたの? アタナスシアちゃん」
「うん、どうしてリリスになるなんて言っちゃったのかなって」
「不安?」
「ええ、まあね……」
「大丈夫。怖いのは最初だけ。最高の気分のまますべてが終わるの」
「うん、でも"生まれ変わる"なんてこと、不安にならないほうがおかしいわ。リリスになった私は私でいられるのかしら」
「イズメネイエとしてのアタナスシアはいなくなるわ。新しい価値観と常識の中で生きるの。でも、それは紛れもなく貴方の魂」
「うん、ねえ……ユリシャちゃん、あのね」
「あら、どうしたの? 私と遊びたい?」
「うん……もう私は戻れないから……」
「ふふふ。素敵なリリスになれるわ、アタナスシアちゃん」
5
:
惑星コラプション開発事業団ボストーク・ガストン
:2011/09/12(月) 00:30:35
【惑星コラプション・パエトーン基地近郊】
この惑星は過酷だ。外面だけを見れば水の惑星に見えるが生命は存在しない。
地表を覆うのは酸の海。平均気温40度のこの地方では定期的にスコールが地面を打ち、季節によっては巨大な熱帯低気圧が発生する。
植物も存在しないため、大気中の酸素成分は微々たるものだ。だから我々は防護服を着て作業せざるを得ない。
「テラフォーミングすれば住みやすそうではあるんですけどね」
装甲車の助手席で作業端末を弄りながら、後輩のアルフレッドがぼやく。
「リリスの姫様がたは軌道の暮らししか考えてないのだろうさ。仮にテラフォーミングしても地上で暮らすとは思えん」
「惑星も小惑星も資源帯にしか見えないってことですか」
装甲車が悪路で揺れる。八輪走行ではあるのだが、何しろ前人未踏の荒れ地だ。
「採掘ポイントまであとどのくらいだ?」
「あと三時間はありますよ。日が暮れるのは確定ですね」
端末ではズェムリア帝国からリリス候補のお嬢さん達が到着し、ちやほやされているとか放送されている。
「俺らには全く縁の無い話だな」
「あれ、先輩は青薔薇の館には行かないんですか。自分ツェツィーリアたんが楽しみなんですけど」
青薔薇の館というのはネットワーク上の娼館だ。脳神経をネットワークに繋ぐことで、リリスを模したAIときゃっきゃうふふすることができる。
「その為だけにニューラル・コネクタ入れるのもなあ。というかそれ、外交問題にならんのか」
「AIであって本人ではないからいいんじゃないすか」
「そういうもんかね。あー、このアタナスシアって子は良いかもな。このクリスタル埋蔵量調査が終わったら調べてみるか……」
そんな会話をしていると、激しいスコールが降ってきた。あああ、なんてことだ。泥濘と化したら身動きできん。クソッ!
6
:
マレーエヴァ侯爵家令嬢アタナスシア
:2011/09/13(火) 01:00:55
私がズェムリアからアポピスに迎えられて一週間が経つ。
私の心の中で渦巻くのは、なんて恐ろしい世界に来てしまったのだろう。ということ。
最初は好奇心から。リリスの言う快楽とはどんなものなのか。その深淵はどれくらい深いのか。
神秘学に詳しい家系であることも災いした。アポピスの教典は頭痛がするほど支離滅裂で、そして興味深いものだった。
だからほんのちょっと。ほんのちょっと試してみるだけだったのに。
伏魔殿の一室。儀式を受けるためにまた今日もこの部屋にやってきてしまった。
扉一枚隔ててリリスたちが楽園と呼ぶ空間が広がっている。果実は甘く、花が咲き乱れ、蛇が蠢き、美しい乙女達が偽りの愛を囁き合う。むせ返るように濃厚な、そして心地よい甘いパフュームの香りが心と体を狂わせていく。昨日はいったい何人の"お姉様"に可愛がられ、愛を誓わされたのか思い出せない。
正気ではいられない場所。それが扉の奥にある。
そして、今日も私は望んでこの扉を開ける。
冷たい扉に触れた瞬間、喉がごくりと鳴った。今ならまだ帰れる……。
「……」
逡巡する。
薬指に嵌められた蛇の指輪が妖しく煌めく。
今日の儀式で、イズメネイエの私は死んでしまう。
死への恐れと、ズェムリアの日常の郷愁。けれど、体の奥から甘く囁く声がそれを圧倒していく。
天使はリリスを、快楽の檻に囚われた哀れな乙女達と呼称する。まさしく、それは私のこと。
「……くす」
決めた。きっと私は今、リリスのような笑みを浮かべているのだろう。
さよなら、弱い私。
さよなら、お母様。
さよなら、ガリーナ叔母様。
そしてこんにちは、リリスの私。
7
:
都市内政コンピュータ・ライトワード
:2011/09/13(火) 23:34:51
自堕落な生活を送るリリス達の支配力の源は、リルバーン帝国の遺産であるリルバーン・ライブラリーという技術情報群である。
ライブラリーの構築はVC1000年代、リリスがほぼ帝国の実権を手中に収めた頃から始まる。
内容は改変種創造の技術を中核とし、肉体改変、人工知能の創造、通信、造船、発電、コロニー都市構築と社会システムインフラ、服飾や歌唱、菓子文化など多岐に渡る。
ライブラリーの影響は絶大である。アポピスのような小都市がリリスのような高級改変種を創造できるほどだ。
ライブラリーの実態は私にも解らない。メガ・コンピュータであるのか、そうでないのかも。リリス以外には認知できない形態であるとも推測される。
一つ言えることは、ライブラリーに触れることができるものがリルバーン帝国の皇帝であり、あるいは姫達の会議であるということだ。
アポピスにはライブラリーの断片、おそらくはコピーが存在すると見ている。
私を喚んだリリス達は、都市内政と引き替えにライブラリーとの接触を約束した。
私にとって数十年などまばたく間のことだ。古帝国の知識の精髄はさぞや美味だろう。
8
:
アポピス内政官アルマレーナ
:2011/09/16(金) 01:29:47
暗い暗い宮殿の奥の広間。
私アルマレーナとごく少数のリリスのみが立ち入りを許される闇の聖域。
繭と呼ばれるカプセルの中で、新たなるリリスたちが眠る。
リリス化の最後の段階。圧縮学習。
その数は22人。ズェムリアの乙女達は全員がリリスへの転生を認められた。
くすくす。私が認めたの。こんな可愛い子達、一人も逃がさない。
イズメネイエはもともとリリスと共通するところの多い種族。一度貞操観念を揺さぶってあげれば、快楽に墜ちるのはあっという間。
大した反抗もせず、戸惑いつつも幸せそうに墜ちていく。
またこの子たちはイズメネイエを見ると性的魅力を感じるように精神に手を加えている。ズェムリア・リリスは二つの種族の架け橋になってくれるでしょう。そして新たなイズメネイエを快楽の世界に誘えるというもの。
繭のうちの一つでアラームが鳴る。
カプセルの蓋が貝のようにゆっくりと開いて、中で眠っていた人影が露わとなる。
全てを上質の絹で作り上げたかのような美少女。豪奢な銀髪。伸びきらぬ手足と矛盾した艶めかしい曲線を描く身体。素肌の上に直接身につけたふりふりのドレス。蛇の指輪と金の耳飾りはリリスの証。
アタナスシア・マレーエヴァという少女。だったもの。
「ん……」
頭や体の各所からのケーブルやコードを引き抜かれて、呆然とする美少女。
「気分はどう?」
私の声に反応し、こちらを見る。夢見心地の表情で「誰?」という顔をするが、次第に表情がはっきりとしてくる。
数十秒を費やして、周囲と自分の衣装、そして自らの新しい肉体を自覚して行く。
「……とても、良い気分です。お姉様」
「貴方のお名前は?」
「アタナスシア。リリスにしてアポピスの乙女。快楽の奴隷です」
「よく言えました。さあお立ちなさい。私の手を取って。抱きしめてキスしてあげる」
「……はい」
欲望に目を輝かせるリリス。私と指を絡め、抱きつくように飛び込んでくる。
「素敵です……触れられているだけなのに、快感が体中を反響しあって」
「ふふふ。永遠の宴を楽しみなさい。貴方は選ばれたのだから」
キスを味わう私たちの周囲で次々とアラームが鳴り、繭が割れる。ズェムリアの乙女達の魔の目覚め。
今宵の闇と快楽の歓迎会は、きっと楽しいでしょう。
9
:
アポピス宇宙軍技術士官 ユアン・ファン
:2011/09/18(日) 02:53:29
【イノディア・コロニー。軍用宇宙ドッグ・ロビー】
「それで、氾濫した濁流に流されて横転。帰還まで一週間もかかったわけか」
「思い出したくもないね」
忌々しげにタバコに火を付けるガストン。資源探査隊は一攫千金だが、今回は運が悪かったようだ。
彼の八輪装甲車は汚泥に浸かり整備に一ヶ月はかかり、手痛い出費と不本意な休暇を得たらしい。
「…はあ、やっぱ船欲しいねえ」
ガストンがドッグで出入りする艦船を眺めながら呟く。
「交易商人にでもなるつもりかい」
「まあね。泥掘ってクリスタル探すよりマシだろ?」
「しかし個人で持つには維持費からして馬鹿にならないからな。リリスの姫様の後援を探した方が現実的じゃないか?」
「そんなコネはねえって。せめて美少女に生まれていればなあ」
「名前からしてダメだろ、ガストンよ」
「…あれがカステラ・ツーか」
旧友がドッグに入って整備を受けている軍艦を見て呟く。
「ああ、よく知ってるな。以前から計画だけあったが、ズェムリアの支援でようやく完成した艦だ」
「搭載AIが改装されたとか」
「ああうん。カステラのAIは戦闘に特化していたが、カステラ・ツーはリリスのコンパニオンとしての役割が大幅に強化されたそうだ」
「コンパニオン?」
「聞くところによると、夜のお供までこなせるらしい」
「ちょっとまて、AIがか?」
「ああ。艦載AIとリリスのシンクロ率の向上を図るとか何とか」
「リリスはマジで乗ってるだけなんだな……」
「そりゃ艦に愛人連れ込んで戦闘中でも楽しんでいるご身分の方々だからなあ。考えることはわからんて」
「俺たちはそんなリリス様達に生殺与奪を握られてるわけか」
「まあな。おかげで俺たちはメシが喰えるってことさ」
10
:
マレーエヴァ侯爵家令嬢アタナスシア
:2011/09/24(土) 07:33:58
惑星コラプションの軌道上に存在するコロニー・ヌーベル・マファミアには三つの側面がある。
一つはリリスの住まい。彼女たちの宮殿であり神殿である伏魔殿。
一つは官公庁。ライトワードが切り盛りする政治の中心。
最後に歓楽街。リリス達の倦怠を満足させるための街であり観光地。
アタナスシアはロボット・タクシーの窓からヌーベル・マファミアの街並みを見やる。
景観を重視した建物群。穏やかな風と湿った空気。ゆったりと流れる河。
神秘学をくすぐる寺院。行き交う人々。緑あふれる公園。
欲望に塗れた伏魔殿を魔界と形容するなら、ここは常識と人間の世界。
(私…リリスになったのね…)
伏魔殿を出て実感する。
この正常な世界に違和感を感じてしまう。ここは私のいる世界ではないと。
あの魔界こそがリリス・アタナスシアのいるべき場所。
イズメネイエの自分は死に、厳密な意味での自分は別人だ。
わずかに受け継いだ記憶も、先日のフォールンダウンによって多くを失った。
前世の自分がリリスの私を見たら、どんな顔をするだろうか。
(クローンがオリジナルに持つ感情に似てるのかしら? オリジナルはもういなくて、クローンは私しかいないのだから、だいぶ幸福だとは思うけど)
(ズェムリアよりアポピスを大切に思う思考は……、そう調整されているのかしら)
(……深く考えないことにしよう。きっと不幸になるだけ)
目的地に着いて、アタナスシアはロボット・タクシーから降りる。
ティピティナズという看板を下げた、アンティークな調度のカフェテラス。
学生などの若者で賑わうその店は、金の耳飾をつけた美少女、つまりリリスの入店に一瞬ざわめく。
狩りは簡単だ。店の中を物色して、可愛い子がいたら声をかける。リリスに声をかけられて靡かない子などほとんどいない。そしておしゃべりやデートを楽しんだり、美味しそうなら食べてしまう。
「ごめんなさい。ちょっと良いでしょうか?」
紅茶とスコーンを楽しむ女学生たちに声をかける。聖ヴァンスター学園の制服。光の世界の住人。
緊張し、ぎこちなく応対する彼女たち。可憐なショートカットの子と視線が合った。
可愛い。…もちろん自分や伏魔殿のリリスたちには敵わないが。
「くす。…貴方が良いわ。私と遊んで欲しいの」
貴方がリリスになった私の最初の犠牲者。良い子にしてね? 優しくしてあげるから。
11
:
惑星コラプション開発事業団ボストーク・ガストン
:2011/09/25(日) 02:55:36
惑星コラプションは水の惑星だ。生命がいるかどうかはともかくとして。
表面積の七割を占めるコラプションの海は、多量の硫酸が含まれている酸の海である。
もっとも、硫酸は不揮発性なので酸性雨の嵐やスコールが降ったりはしないのだが。
そんな海であっても人類は資源採取への邁進を止めることはない。
「凄いプロジェクトだな」
数万体の産業ロボット、一万人以上の作業員が、海の上に巨大な建造物を作る。
硫酸でも溶けない特殊な金属でコーティングされた建材で、海底に土台を造り、塔を打ち立てるのだ。
自分の仕事は建築用資材を陸路で運ぶだけの地味な仕事だが、装甲車からも見える建築中のデューテリウムシンセサイザーの威容に関心せざるを得なかった。
「あれは凄いぞ。惑星開発1pts分はある」
「交易も活発化してきて、デューテリウムも値上がりしてますしね」
採取するものはデューテリウム。重水素。核融合炉の燃料だ。核融合とソーラーは星団の諸文明の力の源。
「アレの先物取引は手をださん方が良いな。これが完成したら暴落は間違いないぞ」
「そんなこと言ってたら交易船なんて一生無理っすよ先輩」
「言うな」
彼らのメタルやクリスタルなどの資源探査はなかなか実っていない。
様々なデータから類推し、地面を掘って探知機を当てる地道な作業だ。
有力な鉱脈は大抵発見済みで権利も押さえられているので、割りの悪い仕事でもある。
今回の資材輸送も資金難からやむなく請け負った、開発事業団の斡旋のものだ。
「まーいいっすよ。あ、僕はツェツィーリアたんとデートの約束があるのでジャックインしますね。運転オートにします」
「いや待て、そのツェツィーリアってAIだろ。しかも量産型」
「コンビニとツェツィーリアたんがいれば生きていけるでござる」
12
:
アポピス内政官アルマレーナ
:2011/09/27(火) 21:03:16
「原住種をリリス化?」
最初にその計画を聞いたとき、アルマレーナは少し思案し、呆れたように言った。
白濁した謎の液体を満たした、豪奢なバスタブに美しい肢体を沈めて。妹たちに身体を洗わせながら。
耳聡い宮廷雀の囁きに耳を傾ける。
「大分強引ね。……まあ、多少の差違は"コーディネイト"してしまえばいいか」
いい珍味になるかもしれない。期待はずれなら選に漏れたと言えば良いだけのことであるし。
「こんにちは〜お邪魔しまーす」
耽美なる伏魔殿の回廊にて、そのTPOに似合わぬ元気な声で挨拶された。
振り返ると見覚えのない少女、いや幼女が回廊から小走りに走ってくる。
支配者たる自分にこんな挨拶をするリリスなど存在しない。
「ご機嫌よう。伏魔殿はいかが?」
受け答えしつつ、スヘル=バルニッツァからのリリス候補者名簿を思い出す。
確か、向こうのアルヴィドソン文部大臣の実妹プリシラ。
定命種にしては随分と年の離れた姉妹だと思ったのを覚えている。
「素敵な所だよ。お菓子は美味しいし。えっと…お姉さんの名前は?」
「アルマレーナ。この宮殿のお姫様。ねえプリシラ。ここはどういう所だか知っているのかしら」
こんな可愛い子、逃がさないけど。
「う、うん。…ちょっとだけリリスの本を読んだよ。その……やさしく教えてね。お姉ちゃん」
上目使いで顔を赤くしながら話すプリシラ。
リリスの書いた書籍データなんてほとんど官能小説とかそういうののはずだけど。
「いいわ。やさしく骨の髄まで快楽漬けにしてあげる。おませさん」
ただその前に、お姉様と呼ばせないと駄目ね。
13
:
都市内政コンピュータ・ライトワード
:2011/09/29(木) 21:37:45
ヴァレフォール星系の人類種たちが幾たびの滅亡の危機を辛うじて回避し、テクノロジーを磨きあげこの星団に"雄飛"してきたとき、既に原住種たちは星団に独自の文明を築いていた。
原住種は人類種に比べ様々な形態を持ち、それぞれが完全に別個の種族として存在する。
しかし彼ら原住種たちの出自について研究しているものは少ない。
原住種達よりも遙か昔。このヴァレフォール星団には先々住民が存在していた。
原住種たちの歴史以前の文明。ごくまれに星団各地で古代遺跡として発掘されるもの。
それは、「古代いのら文明」という。
かつて高度な文明を築き、五つの星系をワープゲートで繋いだ彼らたちは、何らかのアクシデントにより亜空間の向こう側に追放された。
F.G.T.U.が管理しているグローバルゲートはそれらの遺物を模倣しているに過ぎない。
いのら文明は星団の惑星に様々な進化の種子を残していった。
それらの余波や影響により動物や昆虫、魚介類や植物の進化が促進され、これが原住種の祖になっている。
そして現在。星団でのゲート交易によるトラフィックの増加は亜空間に潜むいのらたちの注意を引いてしまう。
だが現在のいのらは亜空間より突如現れ、マイクロハザードに匹敵する災厄を撒き散らす忌むべき存在である。
意思疎通の不可能なかれらに対抗するできるのは、純粋で物理的な力だけだ。
14
:
都市内政コンピュータ・ライトワード
:2011/10/23(日) 16:24:13
「乾杯!」
「乾杯! アポピスの先進国化にーー」
「乾杯! かの国の没落にーー」
「お姉様。それはまだ早いでしょう」
「あははははっ!」「くすくす……」
アドミニストレータの発表に、蛇どもが浮かれ騒いでいる。
私の能力を持ってすれば都市国家を発展させることなど容易いこと。
ましてやオーシアはその内政力に疑問を持たれた国家。追い越すのは簡単なことだ。
「ライトワード。あのお話はどうなってるの? 進んでる?」
「諜報組織については防諜網の構築は既に完了している。諜報員の調達については……」
「リリスから募りましょう。圧縮学習をさせるの」
「諜報は遊びでは無いのだが。それに目立たない方がよい」
「ほら、グズグズしない。アポピスにいらっしゃった間諜さんをお持て成ししなきゃ」
15
:
マレーエヴァ侯爵家令嬢アタナスシア
:2011/11/01(火) 02:20:35
「うふふ……たまらない。ついに十人。十人も……」
私の心はもう闇の中。
「十人の乙女を私の虜にして、愛を誓わせたあとに触手に捧げたの」
「おめでとう、アタナスシア。いえ、アタナスシア姫」
「すごいっ☆ お姉様っ」
闇に堕ちた私を祝福する美少女たち。
「アルマレーナお姉様。プリシラちゃん。……渇くんです。心も体も。何も知らない子を犯して、汚して、堕落させたいの」
自分の口から出る冒涜的な台詞を聞いて、その恐ろしさに戦慄し、そして身体に快楽の波が襲う。
ドス黒い欲望と興奮が身体の中からぞわぞわと這い出てくる。気持ちいい。もの凄く気持ちいいの。
「できることなら、昔の自分を可愛がってあげたい」
もう私は欲望に戸惑ったりしない。味わい尽くすの。私は誘惑者。私は愛の狩人。私はリリス。
ああ、私、悪魔、いいえ、淫魔になったのね……。嬉しい……。
16
:
モルフ・アーデルハイド1271
:2011/11/05(土) 02:50:01
モルフとは不完全な存在。人権すら認められないクローン体。
リリスたちの世話をする奴隷であり、人体実験のモルモットであり、触手たちや悪魔たちの生贄である。
だから、モルフには最低限の機能しか持ち合わせていない。
リリスたちの指示を理解する程度の知能と、遂行する程度の体力。彼女たちの相手をする容姿と手管。
もちろんリリスたちには叶わない。モルフは一方的に嬲られ、奉仕するために存在する。
極めつけはモルフの寿命は僅か三十年しかないこと。それ以上はそもそも使用に持たないことが想定されているのだ。
「……、私、生きれるのですか」
(細胞の壊死速度を低下させた。お前は生きることができる。我々とともに)
「……生きたい。幸せになりたい。死んで消えるのは嫌。無視されるのは嫌なの。虐められるのはもう嫌なの」
(望むのであればそれらは全て叶うだろう)
(お前たちが我々を受け入れれば、新たなる種族となることも遠くはない)
「……受け入れます。契約します。捧げます。だから、私たちに寄生してください。この身を好きにしてください。そして、私たちと共に歩んでください」
17
:
アポピス内政官アルマレーナ
:2012/01/05(木) 15:36:41
「一万体のモルフも、生き残ったのは僅か数百か……」
ネクスト・ヴァレフォール戦争の顛末はリリスたちにとって愉快なものではなかったが、もう既に滅んでしまったのだからやむを得ない。
「残念だったわね、アーデルハイド1271」
「これもまた運命でございましょう」
失意のモルフが頭を垂れる。
「エリミネートファージに寄生されたモルフは全て殺処分とするわ。勿体ないけど、この情勢で残存のファージを身内に飼っておく訳にはいかないから」
「……」
「大丈夫よ。同じ女の子のよしみで、死ぬまで快楽を与えつづけて殺してあげる。ああでも、ファージの影響で死ねなくなってるんだっけ? くすくす。長く持っていいじゃない。ファージと一緒に楽しみなさい」
アルマレーナはモルフを下がらせ、ヴェルンフィシアから送られたきた生贄リストを見やる。
「ん……、まあそこそこってところね……。あの国、今時珍しい純正人類種なのかしら? ファーストフード禁止法案でも提案しようかしら」
18
:
リリス・カレン
:2012/01/09(月) 21:05:36
アポピスの統治下に入っても、惑星ヴォールプの政治が激変したという訳ではなかった。
行政府や惑星間企業にとっては天地が引っ繰り返るほどのパラダイムシフトではあるが、大多数の一般人にとっては頭がすげ変わっただけに思えた。
ヴォループ最大の地上都市であるアヴニール特別市も、メディアは幾度となくリリスの危険性を喚起したものの、リリスの美女や美少女たちが映像に映し出されるたびにアヴニール市民からは警戒が薄れてゆき、アポピスからの資本が投下されると親リリス報道が徐々に増える有様。
こうしてヴォールプ在住の人類種系住民はほとんどが退避することはなかった。
アヴニール市中央ターミナルの3階フロアは市内を一望で見渡せ、公園やレストラン、ショッピングモールへの入り口でもある。待ち合わせなどで使われる若者が集まる場所。
そんなところに彼女──カレンがちょこんと可愛らしく座って、潤んだ瞳と上気したような表情で通りすがる人々を眺めている。大人しそうな、気の弱そうな少女。しかし耳元で妖しく光る金の耳飾りは、彼女がリリスであることを示している。座っているだけで注目を集める存在感。
左手で身体を弄り、ピンクのマニキュアで塗られた右手の爪を舐めるカレンは、周囲からの奇異の視線をものともせずに獲物を物色する。そしてカレンは今日の獲物を目聡く見つけ出した。
誰かと待ち合わせなのだろう。そこには一人の女の子が座っていた。少女と女の中間くらいの年頃。ほっそりとした面影、長い髪。上品そうな服装と佇まいは育ちの良さを感じさせた。
そしてカレンにとって幸運なことに、彼女にとって不運なことに、掛け値なしに可愛いかった。
声を掛ける。女の子は声を掛けられて初めてカレンがすぐ側まで来ていたことに気がつき戸惑い驚く。
お定まりの誘惑の言葉と、人を待っているという拒絶の言葉。
鼻腔から吸い込まれる甘い甘いパフュームの香り。それは女の子を虜にする悪魔のフェロモン。
虚ろになる瞳。公衆の面前で繰り広げられるキスと愛撫。くぐもりながら漏れる嬌声。
陥落はわずか数分だった。カレンは恍惚としたその少女の手を引き、腕を組み、雑踏の中に消える。
彼女が家族や思い人の前の元に戻る事は二度と無かった。
19
:
アポピス内政官アルマレーナ
:2012/01/16(月) 20:56:24
理念無き政治、労働無き富、良心無き快楽、人格無き学識、
道徳無き商業、人間性無き科学、献身無き信仰。
「なにそれ?」
「ズェムリアの過去の偉人が残した七つの大罪です」
「うふふ。素晴らしいじゃない。すべて私たちが実践していることだわ」
「それならスヘルにもあるよ☆ミ」
遺伝子改造、人体実験、環境汚染、社会的不公正、麻薬中毒
人を貧乏にさせる事、鼻持ちならない程金持ちになる事
「あはは、スヘルってエコエコしないと地獄行きなの?」「くすくす」
「ねぇお姉さまぁ、プリシラおなかすいちゃった」
「あらあら、さっきあれだけ鳴いていたのに、もうそんなに欲しくなってしまったの?」
「……しょうがない子」
「プリシラ、ヴェルンフィシアからの子一杯食べたいなぁ。ナーシャお姉様も一緒にいこ?」
20
:
アポピス宇宙軍技術士官 ユアン・ファン
:2012/01/24(火) 02:39:26
「娘がリリスに襲われた」
あまりにも忌々しい出来事が身に降りかかり、久しぶりにガストンに愚痴る。
「なんだって。そもそもお前娘なんていたのか」
「お前と違って堅実に生きてたんだよ。…クソッ、ユーリはまだ十五歳なのに」
「いや一番危ない時期じゃないか十五歳って。で、もしかして拉致されたとかか」
「いや、家に居る。ただもうユーリはユーリじゃない。別人だ。リリスを盲信する娼婦というか……学校にも行かずにサバトとやらにでたり娼館に出入りしたりだ」
「リリス・シンドロームか。そうなった子を何人か見たことがあるが……」
「ユーリ、俺にも色目を使って来やがった。多分近いうちに襲われるぜ」
「諦めるんだな。ご愁傷様」
21
:
ラティウス・ジャーナル
:2012/02/02(木) 19:23:41
【ゼクスランド、ズェムリア皇帝への忠誠宣誓を拒否か】
ゼクスランドのズェムリア連邦帝国加入に際して、水面下で不穏な憶測が飛び交っている。
ゼクスランド団長のルーク・ラナートはその対外声明にて「焉んぞ礼の礼たるを知らんや」と発言。
この発言の真意と、ニューソク帝国の提案する忠誠宣誓に対して何のリアクションも取らないのが憶測の出所だ。
これに対しアポピス要人は「興味ありませんこと」と即答。関心は薄いようだ。
22
:
アポピス代表アルトルージュ
:2012/03/29(木) 00:35:20
「アルトルージュ姫」
なに? いまバニラアイスタルトを食べるのに忙しいの。
「ステカーの調査報告書が上がりました。7回だそうです」
…7回?
「ステカーリリスの一日に於ける平均絶頂回数です」
…調査報告書書いたのは誰よ。
「アタナスシア姫です」
まあ。アタナスシアも可愛い顔していつの間にそんな変態さんになったのかしら。
「…調査報告書によりますと、アポピスリリスのそれは約五倍の35回だそうです」
一日中って感じね。まあアポピスは暇な子が多いからそのくらいか。
そういえばスィーリエの交渉の話はどうなったのかしら。
「決裂しました」
あ、そ。タルトはもう良いわ。下げて頂戴。代わりにプリシラを連れてきなさい。35回楽しませてあげるって伝えて。
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