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穴埋め即興的ダブクロ
4
:
大吉
:2018/06/02(土) 21:35:35
「拙者の人生、こんなはずではなかったのでござる……!」
呻くように日課の独り言を紡ぐ陳ノ宮剛はもやしである。正確に言えば野菜のもやしに極めて酷似した肉体的外見を持った人間である。
いつからこれが日課になったのだろう。スポーツエリートの一家に生まれて強くたくましく育つように両親から剛の名をつけられたがもやしに育ったころからか。
子供の頃、怪物に襲われた時に謎のヒーローに助けられ、そのたくましさに憧れて鍛えたが一向に筋肉がつかずもやしのままだった時からか。
めげずに自分でも強くなれる方法をひたすら模索し、大学1年時点で高名なスポーツ医学の専門家のゼミへの参加が許されてももやし生活だったからか。
とにかく剛はたくましくなりたかったのだ。強くなりたかったのだ。色々理由はあるが、ただ男として生まれたからにはパワフルに生きたかったのだ。
しかしどれだけ努力しても伸びるのは成績の方だけで、身長はそこそこ高くなったが鶏ガラのようなボディがいっそう惨めに貧弱に見えるだけの始末だ。
それでも剛は諦めなかった。諦められなかった。頑張ればいつか自分も強くなれると信じ、様々な格闘技を実践で学びながら理論を積み重ねた。
神がいるとすれば根性が腐っていると剛は思う。剛の理論は正しく進歩し、研ぎすまされ究められていった。が、それが剛自身に生かされなかったのだ。
間違っているのは理論ではなく剛の肉体と言うか才能と言うかとにかく神が剛に与えたもうた全てだ。現に、剛が助言した選手はみな、スポーツだけにとどまらない分野で成功した。
誰もがその才能を絶賛し、ボクシングのヘビー級チャンピオンが是非に自分のスタッフに加わってくれと頭を下げにきた事もあったが、剛には知ったこっちゃなかった。
剛はただ自分が強くなりたいだけで、他人に助言したのは挫折した人間が見捨てられなかっただけで、要するにサポーターとして大成するつもりなんてなかった。
常軌を逸するほどに行われた理論の研鑽は、やがて1つの奇跡に至った。学問を修める。ただその1点で、彼はレネゲイドに目覚めたのだ。
剛にとっては「最近ちょっと調子がいいな」程度の事であった。事実、彼はただのリザレクトとワーディングに目覚めただけの能力者に過ぎない。
かつてレネゲイドがウィルスによるものだと理解されなかった時代、過酷な修行や膨大な鍛錬によってオーヴァードに至る者はいて、剛はその過程が学問だっただけだ。
知ったこっちゃない。知ったこっちゃない。自分が何に目覚めようとも(どうせならキュマイラシンドロームとか言うのに目覚めればよかったのに!)
どこから聞きつけたのか、ただの大学生だった自分のオーヴァードとしての、そして育成者としての資質を見抜いたUGN日本支部長が勧誘にきたとしても。
ただ予算が潤沢に使えるようになるというので、研究機関に間借りしつつ新米支部長になっただけで日常を守るだのいうお題目も組織のパワーバランスも知ったこっちゃない。
強くなりたいのに。強くなりたいだけなのに。剛の夢はかなわない。日々の面倒ごとが増えるだけ。自分を置いて成長する連中の背中を歯噛みしながら見続けるだけ。
チルドレンとか言う連中は嫌いだ。みんなちょっと自分が助言をしただけであっと言う間に強くなる。大嫌いだ。顔も見たくないからお礼の手紙なんていつも読まない。
エージェントだって評議員だってなんだかんだ言って強い奴らばかりだ。そのくせ、自分に会うといつも政治の話だ。興味が無いから勝手にやってくれ。ちょっかい出すなら相手になるが。
敵と戦う現場は少し好きだ。強くなれるかもしれない。少しでも可能性があるのなら、命をかけたって惜しくないぐらい、強くなりたいのだ。
強くなりたいから。剛は今日も泣きそうになりながらトレーニングに励むのだ。任務の振り分け、出向チルドレンの育成、研究班へのデータ供出などの支部長としてのノルマをこなした後で。
「また支部長あれやってんの? ナマケモノの盆踊り。そろそろ諦めて研究に専念すればいいのに。できれば現場に出るのもやめて欲しいぐらいなんだけど」
「あの人の事は良くわかんないよ。やたら面倒見がいい人だから慕われてるけど、いつもしかめっ面だし。天才は何考えてるかわかんないって本当だよ」
――ある日の、支部員達の会話
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