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あ艦これ文藝部

207由良さんと⑥:2016/02/25(木) 23:35:28 ID:U3dUjhU.
<由良さんと文化祭②>
いやでも悪いのはこちらなんだしやっぱり謝らないと、と意を決して由良さんの方を窺うと、由良さんの首筋が赤く染まっているのに気がつきたい
その時、前方から同級生の男子たちが歩いてくるのが視界に入り…半ば反射的に由良さんの手を取って、近くの空き教室に二人で入りたい
男子たちが通り過ぎたのを確認してから由良さんの方を振り返ると、今まで見た事のない顔をした由良さんと目を合わせたい
いつものおっとりとして余裕の感じられる表情はそこになく、耳まで赤くして潤んだ目でこちらを見る由良さんに見蕩れてしまいたい
目が合った瞬間、「ごめんなさい」と揃って頭を下げ、なぜ目の前の相手が謝っているのか分からず二人して怪訝な顔をしたい
結果として盗み聞きする形になった事を謝ると「それは気にしてないから」と苦笑しながら言われ、、由良さんからは、こちらの気持ちを知っていながらずっと何も言わず年上ぶっていた事を謝られたい
「俺も、それは気にしてないですから」と由良さんの言葉を借りたような返事をすると、由良さんに「なんで?」となんだか子供みたいな返しをされたい

「由良さんが俺の気持ちを知ってても、先に好きになったのがどちらでも、俺は由良さんのこと好きだって言ったと思うから」と、自分の中にある言葉で出来る限りの想いを伝えたい

俺の言葉を聞いた由良さんがバッと俯くのを見ながら、「あと、急に手を引っ張ってきたのも、ごめんなさい」と謝りたい
由良さんが俯いたまま、「それも、なんで?」と聞くので、前から歩いてきていた同級生の男子に、真っ赤になった由良さんを見せたくないなと思ったから、と白状したい
何やら小さく唸り始めた由良さんが顔を上げて「…その格好、似合う、ね」と、何やら据わった目で言ってきて、軽くへこんでいると「…お手」と手を出されたい
由良さんちょっと壊れ気味?と思いつつ着ぐるみの手をぽふと由良さんの手に乗せると、少し満足したような顔で今度は「…お座り」と命令されたい
戸惑いつつもお座りの姿勢をとると――不意にかがんだ由良さんが、そっと触れるように唇を重ねてきて、自分の唇に残る感触に呆然としたい
かがんだままの由良さんに、耳元に唇を寄せて「…次は、あなたから、ね?」と囁かれ、触れる頬の熱さと、耳元をくすぐる吐息と、今までに無い距離から感じる由良さんの匂いに、感覚の全てを支配されたい
「じゃあ、行くね?」と教室を出て行く由良さんが、最後に振り向いて見せた笑顔は、今まで見た中で一番可愛くて、綺麗で、言葉を失いたい


その後、軽く10分以上同じ体勢で放心していたが、ふと自分の姿を見返し、この着ぐるみをこれから姉のクラスに返しに行かなければいけない事に思い至り、頭を抱えたい
店の入り口で、客引きをしている人に姉を呼んでもらって返そうと姉のクラスに向かうと、ちょうど教室を出てきた由良さんとバッタリ出くわし、全速力で逃げられたい
廊下の端に消えていく由良さんを見送った姉とその友人たちに「こいつ何やらかしたんだ…?」とケダモノでも見るような目で見られ、今こそ着ぐるみに身を包んで犬の真似でやり過ごしたいと冷や汗を掻きたいだけの人生だった


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