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あ艦これ文藝部
126
:
「9,」
◆xbIVZZ4e4A
:2015/10/21(水) 03:29:36 ID:de5WOFS2
「(仮称)最上・三隈の百合百合しいの」
戸車の転がる軽快な音が、湯気のたゆたう淡い乳色の空間に響く。
浴室に入ったその人影は、後ろ手に引き戸を閉めると、
ピタピタと足音を立ててタイル張りの床を進んだ。
湯気の帳を掻き分け、湯船の傍に佇んだ人影は、
既に影ではなく、瞭然とした色と形を姿形を顕なものとしていた。
「もーがみん」
と、弾むような声色で、小首を傾げて微笑みかけたのは、
この船渠に付属する浴場の先客である、最上の妹艦娘、三隈であった。
特徴的な二つ結びの黒髪は解かれ、タオルで纏めて頭の上に巻きつけられている。
緩やか曲線を描く胸元を、押さえ隠すように横たえた左腕からは、
白い手拭いが裸身の前面に垂れ、その肌を覆い隠してはいる。
しかし、まだ乾いたままのそれは、僅かの挙動に揺れて、その下の白い肌と、
艶めかしい、秘せられるべき妖しさを内包した雌芯を曝け出しかねないあやうさがあった。
「三隈、君も入渠なのかい?」
胸元まで湯に浸かったままに、最上が尋ねる。
白く女性的な柔らかな印象を与える三隈に対し、
その四肢と顔貌は小麦色に焼け、
精悍で溌溂とした生気を、内に宿したものであった。
「ええ。小破だったのだけど、提督が近く、航空巡洋艦を基幹に据えた、
打撃機動艦隊を編成したいから、航空巡洋艦は万全の態勢で臨んで欲しいって」
「うひゃあ! それじゃあ、また敵泊地に殴りこみかけるのかぁ……」
最上はのけぞり、大息を吐いた。
湯面が大きく波立ち、最上の上半身が露わになる。
少年的な容貌にそぐわない、量感と張りのある二つの膨らみが、
小島のように一時、波間に姿を見せた。
だが、最上が一息つくと、また湯の波間へと没して行った。
三隈は苦笑しながら、躊躇無く体の前面を覆っていた腕と手拭いを取り去った。
自らの姉妹艦、それも四姉妹の内、同じ設計で建造されたうちの二隻である、
最も濃密な関係の姉妹艦に、隠すべきことなど、
否、隠せることなど無いと割り切ったのであろう。
三隈は湯船の脇に積まれていた手桶を取ると、湯船の湯を掬って、
左右の首から肩に、それぞれ二度ずつ掛け流した。
少し熱めの湯は、三隈の宵風に冷えて凝んだ筋の強張りを解かし、
その身に纏わり付いていた塵埃を流し去った。
三隈は存外に深みのある浴槽に、胸下まで浸かると、
曳き波をまといつつ、おもむろに最上の隣、
浴槽の壁面沿いにしつらえられた、腰掛けばかりの幅の段差に、
並んで腰を下ろした。
「久しぶりですわねぇ、こうやって一緒にゆっくり体を休めるのも」
筋肉の筋という筋の間にこびりついていたような疲労感が、
氷のように溶け出し、解れていくような感覚が三隈の体を覆う。
その肌は既に上気し、淡紅梅にも似た、
みずみずしく、華やいだ色合いに染まりつつあった。
「そうだねぇ。前に一緒に入渠したのは、鉄底海峡打通作戦の頃だっけ?
ちょうど二年前かぁ。早いものだなぁ」
最上は重ねた月日を見上げるように、ゆっくりとおとがいを反らし、
また深く息をついた。
湯面に透けるその肢体は、四肢と頭と首周りこそ日に焼けているものの、
湯に衣服に覆われる胴は三隈に劣らぬほどのまばゆさを残し、
やはり三隈に同じく、仄紅く色づいていた。
「あの時は、まだ着任した人数が少なくって、
自転車操業みたいな状態で、出たり入ったり大忙しだったねぇ」
「本当、駆逐艦の娘達がイッパイで、芋を洗うような大混雑でしたわねぇ」
「こんなにゆっくりお風呂に入れる日が、こんなに早く来るなんて、
あの頃は思ってもなかったや」
「誰も欠けず、誰もはぐれず、今度はみんな揃って勝てそうですわね」
「いやいやいや、そこで慢心は禁物だよ。三隈。
ほんの一時の油断が戦況をひっくり返す大敗北に繋がるんだから、
最後の一瞬まで気を抜いたら駄目」
言っている事こそ正論ではあったが、それを語る最上の顔は弛緩しきり、
手脚を湯の中にゆらゆらと遊ばせていた。
「そんな顔で言われても、説得力がありませんわ」と、
三隈はむくれた。
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