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不定期連載保管スレ
1
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 21:54:15
80 名前: 不定期連載・TMR雑記1 [sage] 投稿日: 03/10/21 19:15 ID:fryXqSIn
【レベル4】
突然だが、レベル4である。
恥ずかしながら、一番最初に楽曲を認識したのがこの曲だった。
ブレイク中で当然とは言え、この頃は安置にもちゃんとCMやる気が
あったらしくTVで遭遇した。
まったいらな所見を述べると
ま た 内 容 の な い 口 だ け 男 か
運命というのは恐ろしいものだ。
ていうかどうなのあのキャッチコピーは?
是 が 非 で も お 願 い し た い
いや、されても。
正直楽曲もルックスもどうでもよく、コレだけが残った。
そんなこんなで好印象とは言いがたかったが
結局なんやかやとハマっていくわけである。
45
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:10:56
736 名前: 不定期連載・TMR雑記9/2 [sage] 投稿日: 04/09/02 05:13 ID:XHTwDS5/
実は最初の構想ではここの場所では「T.M.Revolution」の楽曲のみを扱うつもりだったのである。
アイドルとしてのT.M.Revolutionを語るにふさわしい場所だと思ったからで、TMR-eを混ぜると
コンセプトがぼやける気がしたからだ。
……というわけでHEAT CAPACITYに思いを馳せてみた。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
……何も思いつかない。
何度か試みたのだが、こういう場合抵抗しても無駄なのである。
やっぱり順に辿っていかないと、生理的にしっくり来ないらしい。
しかし。
しかしである。
この長ったらしい名前のアーティストの何と難物な事か。
環境だの人気だのプライベートだのアーティスト性だの歌詞だのリリース形態だの、考えるだに情報が膨大だ。
筆者の衰えつつある脳がパンクしてしまいそうである。
思い余って
「あ、アレですか?まあちょっとした引きこもり期ですよ」
で片付けてしまいたい衝動にかられるが、一年弱のこの期間がファンにもたらした物は少なくないし
何よりHEAT CAPACITYが思いつかない(切実)。
でとりあえず基本に返って(何のだ)ラジオレポをしてみる。
初めて西川が「封印」を口にした日のコトを思い起こしてみよう。
46
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:11:14
737 名前: 不定期連載・TMR雑記9/3 [sage] 投稿日: 04/09/02 05:14 ID:XHTwDS5/
----------------------------------------------------
1999.3.19 西川貴教のオールナイトニッポンレポ
(ちなみにドーム公演は3.17・18日)
---------------------1時----------------------------
●昨日一昨日ギグズがあったけど今日は通常営業。
●やたらめったら広いので、ちょっと端の人に会いに行くと、戻るのがめちゃめちゃ大変で脚パンパンになる。
ピンポンダッシュを何本やったか分からない。トレーナーのおかげでやれた。
●ドーム舞台セッティングの現場にプリンを差し入れに行ったが、全く出来上がっていない罵声の飛び交う現場に凹む。
しかも、柱がめりめりと音を立てて折れさらに修羅場に。そうっとプリンを残して帰った。
●TMRより大切なお知らせあり。
---------------------オープニング-------------------
●ドームの後アジアのマスコミから取材があり記者会見をする。
●ドームのシャワーを浴びてすぐにまた化粧しながら「ああ俺はこうやって一生を過ごすんだな」と感慨にふける。
●近況。連日リハが早かったので朝型になっている。西部警察を見る。
●生まれて初めてトレーナーに身体のケアをしてもらい、ミュージシャンはスポーツマンであると実感した。
アクセルローズやエアロスミスが節制し身体を鍛えるようになり「ロックじゃない」という意見があったが彼らの気持ちが分かる。
→でもタバコはやめない。
♪WILD RUSH
●舞台からゆずと石川を発見した。ジュディマリの五十嵐氏や石井館長も。結構見える。
●ピンクのシャネルの一子発見。「よお頑張ったなあ」と楽屋で頭を撫でられる。お土産はあゆの炊いたヤツとグミと筆箱(!!)。
♪Burnin' X'mas
●30メートルの塔の上にギターを弾きながらエレベーターで昇ったが、サイリウムが小さくなるのが見えてめちゃ怖かった。
→ちなみに持っていたビームサーベルはパンフレットの黒コスチュームの方。
♪HOT LIMIT
●ゆずが楽しんでくれてたみたいで良かった。
●宇多田ヒカルが来ていて、楽屋にも挨拶に来てくれた。とても気さくないい子。
オヤジさんのほうが派手。前からライブ参加の機会を伺っていたとの事。
ドームも日本人アーティストライブも初だとかで2大バージンを奪ってしまったので責任を取りたい。
●シャムのヒデキを見つける。一子の隣でボンタン穿いて笑っていた。変なヤツ。
♪宇多田2th
●ドームは大きいけど自分的には「この大きさなら届く」という感じがした。
------------------------2時-------------------------
●さ来週から移動、オールナイトニッポンSUPERになります。
●みんなで応援して、聞ける地域を増やして欲しい。
$駄目人間日記
●ある日いきなり退学届を渡されて「これにハンコ押して来い」と言われたらしい。
●村がダムに沈んだらしい。
●ライブ後にはキツかったらしい。
$丸得ネットサーフィン
●エビスマンは渡辺美里ネタが大好きだ。
●手淫ネタ全盛期。
●鈴木亜美全盛期。
●元嫁FAXネタあり「うっさい」ともにょる。
♪とっておきのおはなし〜新説恋愛進化論〜
●お知らせ。白須氏のバンド「マーズ」の宣伝あり。TMR関係リリース済みのビデオFORCEのみ。
♪レベル4
●「重大なお知らせ」
♪Twinkle Million Rendezvous
●ハガキ職人レース結果発表
--------------------エンディング-----------------------
さて、皆さんはどういう気持ちでこの放送を聴いたか、あるいは知っただろうか。
というところで次回に続く。
47
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:11:33
915 名前: 不定期連載・TMR雑記9/4 [sage] 投稿日: 04/10/30 03:15:27 ID:8+diSATW
【the end of genesis T.M.R.evolution turbo type D】
いーやーもう時間かかりマクリスティ。(古っ)
デス種始まりましたねー。
一連のタイアップ、考察する身としては美味しすぎる展開なんですが(Zips歌詞の「ゲーム」タイアップは最初から決定してたのだろうか、とか)、とりあえず課題をこなそう自分。
という訳でTMR-eでございます。
一応初見の方のために、前回の封印宣言の要旨を整理しておくと以下のようになる。
・「T.M.Revolution」は封印。
・封印を解く鍵はTMRメンバーに委ねる。
・いつ解かれるかは全く未定。
・今の状態より音楽的にもっと成長したいと思うのでこういう選択をした。
・歌うことを辞める訳ではないので、新しい動きに注目していて欲しい。
いきなりでアレだが。
…… お 前 は ど こ の 教 祖 だ 。
こういうことって事前に発表するもんなのか。
普通リリースが先なんじゃないか?
ていうかあまりに漠然とし過ぎなんですけど。
寡聞にして他を知らないので比較できないが、とにかくかなり大仰にぶち上げた感がある。
知らない人が聞いたら何事かと思うノリである。
ここまで来ると宗教、あるいは思想団体に近い(というか思想団体であるのは間違いないか)。
冷静に考えると、サポだろうとバンドだろうとユニットだろうと結局西川が中心にいて歌ってるに違いない訳で。
trfばりに踊るというならともかく(いやそれでさえ)、どこで誰とどんな歌をどう歌おうが構図として大した違いはない。
がしかし、まだこの頃のファンはそこまでの開き直り(としか言いようがない)ができていなかったので、ほとんどの人間が多かれ少なかれ心動かしたと思われる。
つまり
「西川くん大ちゃんと離れちゃうの?そんなの嫌ー」
「あたしたちが彼のことを理解してあげてなかったせいかも」
「音楽やめちゃうの?役者にでもなるつもり?」
「HEY出るならいいや」
「やった、浅倉から離れてルイマみたいのやってくれー」
「また凝りもせずに戯言を……」
「へー西川がまたネタやってるよ」
「鍵って何の事?」
「鍵を一緒に探してくれる人募集!」
「とりあえずリクエスト……」
「とりあえずライブでお花を」
「とりあえずTMRメンバーを信じましょう」
「とりあえず同人誌はコレで打ち止めだな」
「ああ……西川……刻がみえる……」
などなど阿鼻叫喚の宴が繰り広げられたのである。
それだけ「TMRはかかわった全ての人間がメンバー」という西川の言葉を拠り所にしていた人が多かったという事なのかもしれない。
所属団体がいきなり休止されればどうなるのか不安になるのが人情である。
しかも無期限ってアンタ。
年若いお嬢さんたちは悲嘆の涙に暮れ夜明けを迎えたのであった。
48
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:11:55
916 名前: 不定期連載・TMR雑記9/5 [sage] 投稿日: 04/10/30 03:17:01 ID:8+diSATW
余談だが、ピンの西川でコレなのだから人気絶頂期のアクセスが突然休止宣言をした時の、ファンの衝撃は心中察してあまりある。
しかも向こうは正真正銘7年間もやめちゃったのだから。
浅倉氏もつくづくこういう芝居じみたコトがお好きな方だ。
個人的には、ラジオの時の西川の切羽詰った感じの口調が気になった。
浅倉氏と離れるなどとは微塵も思ってなかったのだが、当時の西川の苦悩については多くのファンが薄々感じてはいた事で「とうとう壊れたか?」という獏とした不安があったのは確かである。
そして現在の述懐を鑑みるにやはり当時の西川はTMRを続けていくモチベーションが保てず、やめる頃合を見計らっていたというのが「当たらずとも」というヤツだったのだろう。
ドームもアルバムミリオンもシングル1位も果たし、目標のようなものは全てクリアしてしまった。
ありがちな話だが「才能」と「続けていく才能」は別物なのである。
漫画家やアーティストにしてもクリエイターにしても、溢れるほどの才能がありながら挫折していった人は何人も居る。
ただでさえTMRは消費電力の激しい、熱効率の悪い稼業である。
「TMRは僕の一番大切なもの」という言葉に嘘偽りはないだろうし「世間の期待するTMRから降りたい」と辛く感じるのもまた真実なのではないだろうか。
そんな混沌とした状態の中、新しいユニット名が発表される。
「the end of genesis T.M.R.evolution turbo type D」
…………………… な げ え よ 。
「創生期は終り、TMRはD型の進化を遂げる」
なんと大仰なアーティスト名だろう。
こう言う所は良くも悪くも所詮TMRだなと思って、安心した筆者などは大笑いしてしまった口である。
もっと無難な選択もあったろうに、結局西川は馬鹿正直な歌舞伎者なのだ。
浅倉氏にしても、面白そうなことなら何でもやっちゃうヤツなのである。
とにかく彼らは何かを変えようと動き出した。
何事も形から入るというか、思い入れの違いでしかないものに名前から変えてしまう西川はとても生真面目で正直だと思うが
それに対しての世間の反応はというと「ハァ???????????????????????????」の一言に尽きると思う。
彼らにしてみれば歌っているのは西川だし、作詞作曲も変わらないみたいだし、名前を変える必然性が見えない。
ヲタでさえぼんやりとしか見えない物を、当たり前である。
ようするに
「読めない……」
「え、何これザ・エンド……?」
「やれやれ売上が落ちてきたからって名前変えて話題づくりかよ」
「なげーよ。読めないよ、ルビふっていい?」
「あーもう入らねえよ、これ以下の写植あるか?ないか。しょうがねえ縮小コピーしろ」
「げ、校正まにあわねえ。いいやもうスペル違ってるかもしれないから差し替えとけ。新人いたろ、あれでいいや」
「どうしても噛んでしまうんですけど、全部紹介しなきゃ駄目ですか?あだめ、はい」
「どうする、T.M.Revolutionと同じ棚に入れる?ジから始まるからサ行?あジ抜かしてエだからア行か」
「制作間に合わないからって夏休みに改めて完結編公開って何だよ、ぼったくりじゃねえか!」
などと生暖かく見守られていたと思われる。
そんなこんなもありつつ、とにかく彼らは動き出した。
初夏に限定15万枚のシングルをリリース。
特殊パッケージで「失礼ですけど、これを持って返ってずっと手元に置き続ける覚悟はおあり?」とでも言いたげな仕様で。
TMRらしからぬ、複雑な転調を繰り返すバラードで。
15万枚限定に関して西川は「本当に必要としてくれる人、求めて手に入れてくれる人に届けたかった」というコメントを残している。
これは言うまでもなく、音楽を流行モノとして消費している人間が自分のファンの中にたくさんいることを憂いての事と思われる。
49
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:12:20
917名前: 不定期連載・TMR雑記9/6投稿日: 04/10/30 03:17:48 ID:8+diSATW
彼の思惑通りになったのかならなかったのか、本当のところは定かでないがこれを境にTMRはとりあえず「最も売れているアーティスト」のグループからは脱落していく。
ファンの方も「本当に自分にとって必要なアーティストなのか」を大いに峻別する機会にはなったと思う。
たらればはない世界だが、あのままT.M.Revolutionを続けていたらどうなったのか、興味深いものではある。
そして2枚目、3枚目のシングルを出し、ミュージカルをやり、ドラマに出て、アルバムを出し、痩せぎすになりながら一年余り西川は歩き通した。
そして、ほぼ一年後にライブにて封印は解除された。
ここから先は個人的な事柄になるのだが。
筆者は少し前に、プータロー状態でいたことがある。
それまでの仕事をやめて、貯金を食いつぶしてなーんにもせずに暮らした。
大して家事もやらず、起きてTVを見て、食べて寝て、たまにライブに行ったりふらふら出かけて綺麗な物を買ったりして猫と生きていた。
どこにも頼れる人はいなかったからもちろん生活の不安はあったが、ただやってみたかったのである。
その生活をやめて働き出したのがちょうど一年後。
人の気持は何某か季節に関係あるのかもしれない。
筆者がその生活で得た大切な教訓は「どんな生活をしていようと、自分は何も変わらない」ということであった。
時間があればやりたいことが出来るかと言うと決してそうでもなく、楽な生活が続いて楽しいかというとそういうもんでもなく。
汗水たらして働いても、無意味に遊び暮らしても、同じ1日、所詮大した違いはなく振り返ってみれば単なる思い出だ。
だったら、せめてお金を残して、がむしゃらにもう一度働いてみようと思った。
泥の底を這いずり回るような生き方も、悪くはないと思えたのである。
一見無駄としか思えないこの体験は、しかし筆者の中ですばらしい価値基準になった。
どんなことをしていても、振り返ったときに笑えればそれでいいと思ったときから目的が明確になった。
これが己を知るという事なのだと思う。
実際にやってみなければわからないことなのである。
西川がT.M.Revolutionを封印して今までと違う環境に身をおいたことは、セールス的には無意味だったかもしれない。
単なる話題づくりで、子供の儀式ごっこのようなものに過ぎなかったのかもしれない。
しかし真摯にそういう方法を選んだ西川が、筆者は本当に可愛いヤツだと思える。
悩んでもがいて、自己表現と世間からの見られ方に違和感を感じ続けた西川がとりあえず突破口を開いて自分たちで何とか変えていこうとしていたのだから。
世間からどういわれようと、ファンの数が減ろうと、きっと彼らにも何か素晴らしい発見があったと信じている。
さて、いいかげん眠くなったので今日はここら辺で。
次回は楽曲の話行きます。
50
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:12:36
164 名前: 不定期連載・TMR雑記9/7 [sage] 投稿日: 04/12/17 05:26:53 ID:I7hHEieJ
【the end of genesis T.M.R.evolution turbo type D】
祝!T.M.Revolution6年4ヶ月ぶりのオリコン1位!!
である。
思い起こせば2年前、INVOKEにおいて惜しいところで首位を逃したリベンジを見事果たしたわけで、モー娘同時発売と役者も揃っていたし言う事なしである。
それにしても、1位と2位の間には天と地ほどのの違いがあるものだと今回改めて再認識した。
例えどんな事情、理由があろうとも勝負事は「1位にならねば意味がない、残りは全てカス」という価値観はやはり厳として存在し、格闘技と何ら変わる所がないのである。
正直筆者はこの事態を予想していたし、西川のインタビュー内容など興味深い部分もあるのだが、例によって一向に先が進まないので別の機会に。
というわけで楽曲についてである。
実はTMR-eの楽曲に関しては2ちゃんのいくつかのスレで書いたことがあり引用しようと思っていたのだが、当のスレが見つからず不貞腐れていたのをここに白状する。
なんか見たことのある文章が出てきても、そこは大人で居てくださると嬉しい。
頑張ってもう一度書け、書くんだ自分!
シングルとして発売されたのは3枚であるが、アルバム収録に際しての「9曲でひとつの曲。本当はチャプターもつけたくなかった」という西川の言葉を尊重して1曲として取り扱うこととする。
「Suite Season」というこの組曲のパーツをひとつひとつ見ていこう。
・Prologue 〜KAGEROH〜 Chapter#01
物語の冒頭を飾る、陽炎をモチーフとしたインスト曲。
硬質のガラスのような音色がこのアルバムを象徴している。
・陽炎 ‐KAGEROH‐
99.6.23リリース、初登場3位。
限定15万枚な筈だがなぜかオリコンでは15.9万枚という数字が出ている。
TV露出は全くなく、コアファンしか耳にしなかったと言っていいだろう。
複雑な転調を繰り返す楽曲で、バラードと呼べるかというとかなり疑問が残る。
TMRの楽曲に比べて確かに難易度が高く、おそらく制作側には色々なチャレンジがあったと思われるのだが、悲しいかなあまりリスナーには伝わっていないようだ。
送り手も受け手も手探り状態なのが今聞いてもはっきりわかる。
歌詞は抽象的で輪郭がはっきりしないが印象的なフレーズが随所にあり、それは後々の楽曲とリンクしているのでここでは触れない。
どぎつい性春賛歌を歌い続けてきたTMRとしては確かに異色である。
「陽炎」とは簡略に言うと「儚いものの例え」だとの事。
51
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:12:50
165 名前: 不定期連載・TMR雑記9/8 [sage] 投稿日: 04/12/17 05:28:05 ID:I7hHEieJ
・はじまる波
アルバム化の際に挟まれた出会いの楽曲で、コレが入ることで物語としてかなり消化しやすくなっている。
特筆すべき点としては「イヤフォン」が入ってきたことで時代が現代に限定されたことだ。
意図的なものだと思うが、シングル3曲は時代性を感じさせる単語は一切使用していない。
極端な話、季節がある国なら中国だろうが中世ローマだろうが宇宙世紀ブラジルだろうが当てはまる内容なのである。
「空の近くの元ベンチで」というフレーズが難解とよく言われていたが、個人的には「小高い丘の上にある、閉鎖された庭園か遊園地」あたりが最も妥当な線だと思っている。
月虹にも「街を見下ろす丘」という事葉が出てきているし、ベンチは人が入れ代り立ち代り座るからベンチなのであって、人が寄り付かなくなったそれはもう錆びて埃に汚れた物体に過ぎない。
「僕」は人気のない寂しい場所に好んで出かける人物であり、思いがけなく「君」と出会い心を通わせる。
それは「恋や愛とは違うもの」で、このフレーズは繰り返し出てくる。
そもそも「恋や愛とは違うもの」とは何であるか?
例えばエロスを恋、アガペーを愛とするとそれ以外のものと言う事になり、恋愛も友愛も家族愛も全て違うと言う事になる。
情には「人や物にとらわれ、執着すること。むさぼり求めること」という側面、つまり自己愛というのもあり、案外エゴであったのかもしれない。
これは多分に聞くものの感性に委ねられる部分であり、定義をどうするかでこの物語は全く違うものになるのだろう。
波を「聴ける」のは音の波形であり水の波形に通ずるものであるからと思われる。
・Nocturne 〜GEKKOH〜 Chapter#02
月虹をモチーフにしたノクターン。
夜想曲とも言われ、主としてロマン派時代のピアノのための性格小曲。
静かな夜の気分をあらわす抒情的なもの。
だそうである。
52
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:13:10
166 名前: 不定期連載・TMR雑記9/9 [sage] 投稿日: 04/12/17 05:29:05 ID:I7hHEieJ
・月虹 ‐GEKKOH‐
99.9.22リリースで初登場2位。
オリコン17.6万枚で、このシングルはそれなりにきちんとTV露出していた。
髪を後ろで縛ったスタイルは賛否両論だったが個人的には衣装も含め気に入っている。
浅倉氏と一緒に出てきた時はさすがにたまげたが。
ファンですら曖昧なまま過ぎている気がするが、もしかしてユニットだったのだろうか。
タイトルの「月虹」は造語であり存在しないが、ムーンボゥと呼ばれる虹は存在する。
月の光が雲に映り見える虹で、これもめったに見ることが出来ないもの「見えても手にする事は出来ない儚いもの」と言えるだろう。
出会いが過ぎ、本格的に交流が始まる。
この曲はつまるところ2人が肉体関係を結んだシーンだと言っていいだろう。
特筆すべき点は「月が二人を赦してく」というフレーズである。
ゆるすという動詞には許す/赦す/聴すの3つの漢字が使われる。
許すと聴すは許可を出す、可能性を認めるなどの意味合いもあり特に許すの方は応用範囲が広いが「赦す」の意味はただ一つしかない。
罪人を咎めず放免すること。
よく「天皇陛下即位による恩赦」などと言うあれが主な例である。
全くの余談だが、この手の恩赦は実は結構多い。
戦争が終ったり友好条約を結んだり何だかんだと慶事に行われ、ひどい時にはシリアルキラーが刑務所から出されてまた犯罪を犯し逆戻り、なんてひどい例もある。
被害者にしてみればとんでもない話だが、いつの時代もどこの国も台所事情が苦しいのは同じなのだろう。
話を戻して。
この場合の「赦す」は「許す」と違い決して罪そのものが消えるわけではない。
あくまで見てみないふりをしてあげる、というニュアンスであり日本語は奥が深いのである。
つまり主人公たちは罪を犯しているのだ。
「月だけが赦した(風のゆくえ)」ということはこの世界で月しか赦してくれなかった訳で、それはどのような関係なのか。
SEXそのものが罪であるという解釈も、恋や愛をもたずに結ばれるのが罪という解釈もあるだろうし、それとも彼らにはもって切羽詰った事情があるのかもしれない。
あるいは同性同士なのかもしれないし、教師と生徒なのかもしれないし、不倫なのかもしれない。
とにかく彼らは一線を越えて結ばれてしまった。
具体的な描写がなくとも肉体の持つ陶酔の波が確かに感じられる表現力(歌詞曲歌唱全てを含む)は見事だと思う。
もうひとつ「振れた君の焔を見てる」というフレーズがある。
筆者が最初に聞いた時「触れた」だと思ったのだが歌詞カードを見ると違うので驚いた記憶がある。
振れるとは揺れ動くの意で「振れた君」では正直よくわからなかったのだが、調べてみると「ふれる」は「狂れる」とも書くのであった。
そして気が「狂れる」のは「振れる」が変化した言葉なのである。
「君」が強く破滅の予感をはらんでいるのがよく分かったような気がした。
・Serenade 〜winter dust〜 Chapter#03
雪幻をモチーフにしたセレナーデ。
セレナーデとは夜、恋人の部屋の窓の下で歌ったり、弾いたりする甘く美しい曲だそうである。
また管楽・弦楽・小管弦楽のための、娯楽的・祝典的性格の多楽章から成る組曲。小夜曲。夜曲。
という解説どおり、しっかり管楽器(ホルンなど)、弦楽器(バイオリンなど)が使われている。
音楽をやる人には常識なのだろうなーと思いつつ、ライブで使われた生バイオリンに感動したのを思い出したり。
えー疲れてきたのでもっかい続きます。
53
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:13:25
218 名前: 不定期連載・TMR雑記9/10 [sage] 投稿日: 04/12/21 18:17:12 ID:uuVPSBu6
こんばんわ、元祖美形悪役ことキャンベル星のガルーダです。
……なんてことを言っている場合ではない。
クリスマスまであと3日なので取り急ぎ続きである。
・雪幻 ‐winter dust‐
99.11.17リリース、初登場3位、売上16.9万枚。
年末年始露出もありビデオフル稼働だった記憶がある。
ふわふわの衣装と編みこみの髪形が可愛かったのでこれも結構お気に入りである。
友人などはTVで見て「誰だこの美人」と思ったら西川だったのでびっくりしたとか。
つくづく性別を超越した人だ。
このタイトルは完全に造語らしく検索にひっかかって来なかった。
大気中に雪の結晶がキラキラと光って見えるというダイアモンドダストとかけたものかもしれない。
これも珍しい現象で北海道ぐらいでしか見られないらしく、儚いものと言える。
物語の結末としての別れを嘆いている歌で、個人的にはそれ以上でもそれ以下でもないと思う。
ただその感情のテンションが異様に高いので思わず貰い泣きしてしまったりするのである。
曲調も一歩間違えれば演歌と言える程けれんみがあるし、ライブで聞いて1番酔える曲かもしれない。
キーも高く西川の歌唱力、表現力が映える曲でもある。
歌詞の細かな表情としては、予感がありながらどうしようもなく惹かれ、そしてまたどうしようもなく別れに突き進んでいってしまった事に対する哀惜の念が感じられる。
また「風のゆくえ」を聞くとそうではないと分かるのだがこの曲単体で聴くと死別のようにも聞こえる。
良く言えば想像の余地がたくさんある、悪く言えばどうとでも取れる歌詞だ。
特サビの「たどる指 躯の上を いつも何か探してたよう」という部分は多分「僕」の本音中の本音なのだろう、時間にすらやつあたりをしている訳で愚痴というか恨みがましい。
しかしそれがどうしようもない悲しみに襲われた人間の本質であるのだと思うし、個人的に好きな詞である。
その指は誰のものなのか、何を探していたのか気になるところでもある。
「躯」という漢字はからだとも読むが、通常はそういう使い方はあまりせず「体躯」「躯体」などと使うことが多い。
「体」と「身体」が健全な肉体、性的な肉体、動物的な物体としての肉体を指すのに対し「躯」は「むくろ」とも読み命を含まない、例えば死体や無機質の物体を指す事が多い(ちなみに車のシャシーの事を躯体と呼称する)。
つまり彼らは肉体関係を結びながらもそれは無機質で、魂というか心のない交わりであったというニュアンスが感じられるのである。
もちろん井上氏がどこまで意識しているか定かでないが。
とりあえず「君がほどいた絆」とあるからには別れざるを得なかった要因は「君」の方にありそうである。
54
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:13:40
219 名前: 不定期連載・TMR雑記9/11 [sage] 投稿日: 04/12/21 18:17:48 ID:uuVPSBu6
・風のゆくえ
アルバム収録の後日譚にあたる楽曲。
浅倉氏にもこんな普通の楽曲が作れたのか、というと失礼だがTMRらしからぬ爽やかさでちょっと斬新ですらある。
スキャットが入ったのも初めてではなかろうか。
はじまる波とほぼ同じ位置に携帯という言葉が配置されて、リスナーは現代に引き戻される。
今まで大げさに劇的に、幻想的な言葉で歌われていた世界が、拍子抜けするほど普通のところに着地するのだ。
まるでありふれた単なる失恋のように。
もしかしたら「僕」がある程度客観的に振り返る事が出来るようになる程立ち直ったという事なのかもしれない。
気になったのは「密やかな情熱で 自分さえ灼き尽くして」という部分で、何か「君」に不幸があったのではないかという想像をさせる。
再三再四、まるで国語の授業のようで申し訳ないが解説させてもらうと「灼き尽くす」という言葉は普通に打っても変換できない。
「灼」は「あらたか」と読み、神仏の霊験や薬効が光り輝き著しいさまを意味する。
なぜ慣用的に「やく」と読むのかと言うと昔亀の甲羅や鹿の肩甲骨などを焼いて、その様子で将来を占った時代の名残ではないかと思われる。
まあ、要するに宗教的ひいては精神世界的な意味合いがあり「灼き尽くした」という事はぶっちゃけ「君」はある意味壊れてしまったと解釈することも出来る。
くどいようだが井上氏の真意は定かでない。
言葉の選び方全てに言える事だがこういうのは表意文字を多く持つ日本人的感性とでも言うべきもので、普段意識していなくてもある程度の読書量があれば字面から察することが出来る類のものである。
「やきつくした」でも「焼き尽くした」でも雰囲気が合わないからこうなったのはなんとなく納得いくような気がしないだろうか。
話を本道に戻そう。
「はじまる波」で日常的な雰囲気で始まった二人の関係は壮大な、月までも届く旅を経て街角に戻ってくる。
この落差。
人によっては滑稽に感じるかもしれない。
けれど、これが私たちの世界のありようの側面なのかもしれない。
誰かと出会い、影響を受けて人は変わる。
恋をしたり憎んだり不幸になったり生きなおすきっかけになったり、結果として新しい命を得ることや死を得ることさえある。
関係が燃え上がっている時の自分はまるで違う世界に居るような気になったりした経験はないだろうか。
世界中から孤立し、月の裏側に一人佇んでいるような気持ちになる事はないだろうか。
人は常に日常と非日常を繰り返し揺れながら、燃え尽きるまで咲いて散り続けているのだ。
まるで季節のように。
それを主観的、観念的に表現するとこうなるのかもしれない、などと埒もないことを考えたりした。
55
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:14:09
656 名前: 不定期連載・TMR雑記10/1 [sage] 投稿日: 05/02/04 02:43:25 ID:ZxoU872y
【HEART OF SWORD〜夜明け前〜】
ついに新アルバムリリース!
個人的には大変気に入って評価も高いアルバムとなった。
今回はなぜか洋楽を聞くように「歌詞カードを全く見ない」という聞き方をずっとしてしまって、今までそういうことはあまりなかったので自分にとって不思議なアルバムとなった。
いつの間にか新しいところに来たなあ……という感慨と、昔のどっぷり声と歌詞に浸っていたときの甘やかさを思い出して懐かしくなったり。
そのうち機会があったら考察したいものである。
それにしても、西川があまりにすごい勢いで活動するものだから、ただ文章を書いてるだけなのに置いて行かれそうである。
ついにバンドプロジェクトまで始まってしまった。
嬉しいのを通り越して笑いたくなってくる。
なんでしょうあのバンド名は。
あくまでピーターパンを言い張るつもりらしい。
本当に飽きさせない人ですなあ。
で本題である。
実は難しいことを考えすぎたせいか前回書き終わった途端知恵熱が出てしまったらしく、新年そうそう寝正月で過ごしたあげく復帰に時間がかかってしまった。
慣れないことはするものではない。
というわけで、申しわけないがクリスマスの件は今年のイブに延期である。
代りと言っては何だが、この連載は今まで筆者が出会ったシングルから順番に考察して来たわけだが、ここでちょっと趣向を変えて歴史を遡ってみようと思う。
という訳で「HEART OF SWORD〜夜明け前〜」である。
ただし筆者がリアルタイムで見聞きした事は少ないので、勘違い等発生する恐れがあるのはご容赦いただきたい。
56
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:14:23
657 名前: 不定期連載・TMR雑記10/2 [sage] 投稿日: 05/02/04 02:44:03 ID:ZxoU872y
・HEART OF SWORD〜夜明け前〜
最高位16位 チャートランクイン46周 累計36.6万枚 96.11.11発売
データ的に特筆すべきは、TMR出世作ゆえにとにかくロングセラーだった事である。
一年以上も演歌のごとくチャート内をうろうろし、その年のロングセラーランキングでは、天童よしみに次いで2位だった。
筆者も見覚えがあるが、この曲はホワイトブレス発売以降も売れ続けていたのである。
(100位内にシングル5枚ぐらい入ってる時もあった)
アーティストの知名度が上がる時と言うのはえてしてそんなものだが、それにしてもちょっと異例の長さである。
おそらく97年に始まったオールナイトでの地道なプロモーションも要因としてあったろう。
今でこそTMRはかなり初動型の売れ方で「ファンしかいない」と言われるが、そういう時期もあったのだ。
この事は誇りを持って語り継いでいきたいものである。
さて、ブレイクしたのは勿論曲の良さもあるだろうが、何といっても初めて大型タイアップが付いたのがきっかけだと思われる。
今更過ぎて書くのもおこがましいが、水曜七時のゴールデンタイムのアニメ「るろうに剣心」のエンディングである。
御存じない方もあまりいないだろうが、そういう方にはこちらを見ていただくとして。→ttp://www.sonymusic.co.jp/Movie/TV/Kenshin/
少年ジャンプ連載、和月伸宏の人気マンガを原作とすアニメである。
ドラゴンボール終了後のジャンプを一人で支えていた感のある人気作だけに、TV的な成功は約束されていたものの、思いがけない副産物がついてきた。
主題歌の連続ヒットである。
57
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:14:38
658 名前: 不定期連載・TMR雑記10/3 [sage] 投稿日: 05/02/04 02:44:39 ID:ZxoU872y
オープニングテーマ
『そばかす』 (JUDY AND MARY)
『1/2』(川本真琴)
『君に触れるだけで』(CURIO)
エンディングテーマ
『Tactics』 (THE YELLOW MONKEY)
『涙は知っている』 (涼風真世)
『HEART OF SWORD〜夜明け前〜』 (T.M.Revolution)
『the Fourth Avenue Cafe』 (L'Arc-en-Ciel)
『It's gonna rain!』 (BONNIE PINK)
『1/3の純情な感情』 (SIAM SHADE)
『ダメ!』 (和泉容)
上記のように、起用したソニーグループのアーティストが次々とブレイクを果たし、当時最強タイアップとしてアニメファンのみならず世間一般の注目を集めたのである。
日経エンタによると、起用はソニー内各グループから広く公募し、アニメ制作スタッフが決定したとの事。
連続ヒットはこの選曲スタッフのセンスが良かったからではないかと思われる。
それにしても、今は無きアンティノスのような端っこも端っこのグループからよくぞ選んでくれたものだ。
あらゆる意味で感謝に堪えない。
西川が担当したのは放映開始から2年目、OPは大ヒットのJUDY AND MARYで、イエモン、涼風真世(主人公の中の人)に続く3つめのEDだった。
ミリオンが出てはいたが、まだ一部の人間にしか認知されていなかった時期の話である。
蓋を開けてみればご存じの通り、おそらく起用アーティスト中最も知名度が低かったであろうTMRが40万枚のヒット、フロックではないこの枠のタイアップ効果を証明する形になった。
余談だが次期EDはまさに当時昇り調子だったラルクアンシエル。
万を持しての起用だったが、ドラマーが麻薬所持で検挙、音楽活動一切の自粛を余儀なくされるという事件があった。
結果としてEDは2、3回の放映で急遽楽曲だけ差し替えられTMRに戻ったのである。
この不祥事によりラルクの本格ブレイクは一年近く遅れ、97年の復活シングル「虹」まで待つこととなった。
制作サイドの気持ちなのか単なる大人の事情か、奇しくもるろうに剣心劇場版テーマソングである。
58
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:14:51
659 名前: 不定期連載・TMR雑記10/4 [sage] 投稿日: 05/02/04 02:45:10 ID:ZxoU872y
ドラマーの交代劇を経てバンド名を冠した楽曲で再スタートを切ったメンバーとファンの気持ちはどんなものであったか、当人たち以外知る由もない。
ただ当時音楽業界に詳しくもなく剣心も見ていなかった筆者のような人間にも事情は伝わってきたし、皮肉な事にそれで知名度が上がったのも事実だろう。
そして、彼らにそのダメージを跳ね除けるだけの力があったのも。
それにしても、西川とテツ氏の十数年前のやり取りから既に始まっていたのか、現在の所属といいアメリカライブといい何かと因縁の深いバンドである。
オンエアの延長でTMRにも影響はあったと思われるし、同時代ブレイクとあって比べられる事も多かった。
今でこそ売上や知名度などには差があるが、封印前までは殆ど同軸で語られていたのである。
たらればはないが、あの事件がなかったらこの二組の立ち位置は何か変化があったのだろうか。
るろうに起用アーティストの多くが様々な形でリタイアし、チャート上位で生き残っているのがこの二組というのも感慨深い。
商業音楽を変わらずにやり続けることの難しさを見る思いである。
特にバンドで挫折を経験した西川がどんな思いでテツ氏を眺めていたかを想像するとかなり切ない。
ぶ っ ち ゃ け 萌 え 萌 え で あ る 。
……おっと羽根が。
筆者がこの曲に出会ったのはLEVEL4で出会いHIGH PRESSUREでハマってリリース済のCDを漁っていた時期にあたり「たまに聞くあの曲はTMRだったのか」というのが正直な感想だったりする。
この頃は楽曲よりも西川個人に対する興味が大きかったように思うし、浅倉氏の事も知識として知っちゃあいたが「へー大ちゃんも大物になったんだね」くらいのもんであった。
「TMネットワークのサポメンだった人」の音によもやここまでのめりこむ事になろうとは、十数年前の自分に小一時間説教したい気持ちでいっぱいである。
それはともかく、西川の事を調べるにつれこの「バンドの挫折」という要素は筆者の中で大きくなっていった。
極めて個人的な思い込みだが「この人は傷だらけで生きてる人なんだな」というのが感じられたからである。
本人の持つコンプレックスや矛盾、商業的なしがらみへの妥協や成功に対する餓え、そして何より愛情に対する貪欲なまでの執着。
TVに出ている西川は笑っていたし、みんなを一生懸命笑わせていたけれど、いつもそこにひやりとするような傷が見えた。
多分あの姿を見て「西川君って明るくて面白くていいよね」という感想しかもたない人はTMRの価値観は微妙すぎて分からないのではないかと思う。
とまあ文章にしてみると尤もらしく聞こえるが
「挫折を知ってる男って感じ?
可愛いのにキャリアあるんだーどうりで歌うまいしーなんか実力派っぽくてカッコイイしー!」
…羽根を仕舞って話を戻そう。
59
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:15:04
660 名前: 不定期連載・TMR雑記10/5 [sage] 投稿日: 05/02/04 02:46:27 ID:ZxoU872y
そんなある種の追い風に乗り、TMRはカウントダウン番組、音楽番組への出場券を手に入れる。
当時は丁度音楽番組冬の時代があけた春真っ盛り。
90年代前半ビーイング系や露出の極端に少ない本格派アーティストが売れた反動か、手段を選ばないというか露出に積極的なアーティストが増えた頃である。
アイドルの盛衰と似てアーティストのテレビ露出は時代の価値観に左右されるものらしく、当時の発言として紅白出場に対しGLAYが出した「両親に親孝行がしたいから」というのが印象的だ。
上の世代と同じ事をしていては目立つことは出来ないのだ。
今現在また反動が来ている気もするが、とりあえずお茶の間と音楽が話題を共有できた幸せな時代であったと言える。
さて西川はと言うと、ファンもよく知っている通りあのキャラクターで良くも悪くも世間に強烈な印象を与えたのであった。
貴重なチャンスをしっかりとモノにした勝負強さは今思い返しても驚嘆に値する。
いや、やり方がどうかとか、結果がどうなったとかいうのは置いておいて。
本当に、これで歌が下手だったらどうなっていたことかと思わないでもないが置いておいて。
それでもオリコントップ10入りするにはまだまだハイプレまで待たなければならなかったので人気を得るというのがいかに難しいか分かろうと言うものである。
浅倉氏が自著の中で「彼はもっと早く有名になると思っていたが、物事が浸透するのには、時間がかかるという事が分かった」とコメントしているが、やはり日本は広いのである。
しかし、筆者はそれで良かったと思っている。
急激に熱したものは冷めるのも早い。
3枚目で話題となり、4枚目で売れ始め5枚目でトップ10、6枚目で1位!……というのは男性ソロが極端に売れにくい当時の(今もだが)状況を考えても、なかなか理想的なペースだったと思う。
さて、次回は楽曲とタイアップに関する考察の予定である。
60
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:15:19
695 名前: 不定期連載・TMR雑記10/6 [sage] 投稿日: 05/02/09 04:26:45 ID:4egXVGEQ
【HEART OF SWORD〜夜明け前〜】
祝!めざまし歌君1位(笑)
この件に関して他アーティストのスレをヲチしに行ってしまった。
様々な意味で興味深かったですな。
苦笑いもしたけど、結局「金持ち喧嘩せず」という印象に落ち着いた感じ。
思うに今回のアンケートは「歌君」という言葉の持つ印象にだいぶ左右されたような気がする。
・バンドではなくソロアーティストっぽい。
・「専業歌手」っぽい
・ルックスが伴ってないと駄目な感じがする
ここらへんの要素とリリース時期の露出が合わさってこういう結果になったのかと。
でなけりゃいくら西ヲタが熱心でも2位以下に大差という訳にはいかなかったと思われる。
まあ組織票と言われても仕方ないかもしれないが、そんなに動員できるもんなのかと、筆者などは別の意味でびっくりしたものである。
この調子でどんどん世間をぽかーんとさせていただきたい。
とりあえず今月のCDTVバレンタイン特集が楽しみだ。
さて本題。
今回は楽曲とタイアップの話である。
いきなりだが掴みとして筆者の恥ずかしい(?)告白を聞いていただきたい。
かねてより色んな場所で公言して来たが改めて、筆者は西川貴教が21世紀で最も成功する日本人アーティストの一人だと信じ疑わない。
……あ、今ひかれたような気がする。
凄くする。
まあまあちょっと聞いてくださいよ奥さん。
一応根拠らしきものはあるのである。
61
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:15:34
696 名前: 不定期連載・TMR雑記10/7 [sage] 投稿日: 05/02/09 04:27:18 ID:4egXVGEQ
今さら言われずともばればれだろうが、筆者は重度のヲタ体質である。
この場合のヲタとはアニヲタやゲーヲタ、果ては鉄道ヲタやダムヲタなどの特定ジャンルを指すものではない。
興味のある分野に対し、調べたりその意味あいを考えずにはいられない気質のようなもので、西川にハマった時点から音楽ヲタになったと言えば分かりやすいかもしれないが、もう少し突っ込んでみる。
【問1】
以下の人名は少年サンデー連載の田中モトユキ作「最強!都立あおい坂高校野球部」の登場人物であるが、その特徴を答えよ。
・北王路輝太郎
・菅原鈴緒
・松方雅治
・小林虎鉄
・梅宮右京
・柴田伸之助
【問2】
以下の人名は有名ギャルゲーム「卒業」の登場人物であるが、その特徴を答えよ。
・新井聖美
・加藤美夏
・中本静
・志村まみ
・高城麗子
ピンと来た方は回答をメル欄にでも。
全く理解できないし調べる気にもならないという人はいわゆるヲタ体質ではないと思われる。
このように、ヲタというのは物事の関連性に気がつける人、意味合いに敏感な人ともいえる訳で、知識があるとよりエンタメ作品を楽しめる人種なのである。
そして筆者が「HEART OF SWORD〜夜明け前〜」を見た時の印象。
「 …… あ 、 こ い つ ヲ タ ク だ 」
…いや褒めてるんですけどね。
今現在もオールナイトで披露している数々のエピソードをひっぱって来るまでもなく、西川という男は全く見事なまでにアニヲタの文脈を押さえている。
細かいロジックに気がつける側の人間なのである。
62
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:15:50
697 名前: 不定期連載・TMR雑記10/8 [sage] 投稿日: 05/02/09 04:28:08 ID:4egXVGEQ
さらに説明をする為には寄り道だが「るろうに剣心」という作品を少しばかり掘り下げなくてはならない。
よくご存じの向きには申しわけないが、しばらくおつき合い頂きたい。
この作品の舞台は明治維新直後の日本。
幕末の戊辰戦争をくぐり抜け、多大な犠牲の果てに手にした平和の時代である。
しかし主人公緋村剣心は「人斬り抜刀齋」として人斬りに手を染めた過去に傷つき、るろうに(作者の造語で流浪人の意)としてさすらっている。
時代は明けても心はまだ「夜明け前」なのだ。
争いに膿んだ彼は自らに不殺の掟を課し、過去の因果から逃げず、人を傷つけぬままに運命に立ち向かっていく。
生き方(戦い方)を常に試され、人殺しに引き戻されそうになる彼の人間性の回復がこの物語の大きなテーマである。
「剣心」というのは本名ではなく師匠から願いを込めて授かった剣名だが、刃を持つ者の心根を指し示している訳でこの物語の本質をよく顕している。
名作と呼ばれる作品のタイトルはいつもシンプルかつシンボリックであるものだ。
ここまで来れば何を言わんとしているかお分かりだろう。
「HEART OF SWORD」という楽曲名は、TMRがこの作品の肝をしっかり読みとっていますよ、と言うメッセージのような物だ。
歌詞も西川と剣心のどっちとも取れるようになっているし、サウンド的には刀を斬り結ぶ金属音が入り、全体に和風のアレンジがされている。
おまけに収録してあるアルバムのタイトルは「維新レベル→3」である。
ここまで要素を詰め込んでいて、TMRがこの作品にどれだけ敬意を払っているか分からない方が鈍いというものだ。
そのせいかどうか、ネット関連各所をざっと眺めているとこの曲が剣心ファンやスタッフにとても可愛がられていた事が伝わってくる。
商業主義優先で作品を考慮しないタイアップを嫌うアニヲタは多いが、アニソン板などでも不思議とそういう叩かれ方は少ないし、後のガンダムSEEDがすんなり受け入れられたのもその土壌があったからこそという気がする。
またスタッフも悪のりしすぎというか、さかんに西川と接触を持っている。
声優出演はもちろんの事(本人の証言によれば、俳優としての出演依頼はごく一部の例外を除いて片端から断って来たらしいのに、声優だと1も2もなく引き受ける、そんな世間の偏見をものともしないところが大変正直で清々しい。
そしてその姿勢は今も全く変わっちゃいないのであった)、少年ジャンプ誌上で緋村剣心氏と対談(!)したり、なぜかビデオリリースの際に剣心の映像と夜明け前のPVを掛け合わせた特典映像を付けたりしている。
もちろん当時ブレイク中の西川の商業的有用性は言うまでもないが、本人にやらされてる感が全くないので、ひとまず理想的な関係と言えよう。
63
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:16:04
698 名前: 不定期連載・TMR雑記10/9 [sage] 投稿日: 05/02/09 04:29:33 ID:4egXVGEQ
尤もアニメに限らずTMRはタイアップという物に関していついかなる時も誠実だ。
プロ意識の高さと、コラボレーションに対する高い次元での理想が見て取れる。
西川のTMRでの作品作りの考え方、ひいては彼の他人との関わり方の問題と思われるが、良く言えば相手を最大限尊重するやり方であり、悪く言えばこだわりがなさすぎるのかもしれない。
アーティストとしてはあまりにも協力的で、しばしば苦労の割に報われない状況に陥るのが不憫で、今後の課題と思われる。。
分 か り や す く 言 う と 舐 め ら れ 過 ぎ な の ね 。
話が長くなったので冒頭のお題に立ち返ってみる。
なぜ筆者が西川の事を日本で最も成功すると感じたかと言うと、ジャパニメーション的センスを最も分かりやすく楽曲の中に落とし込んで伝えることが出来るから、に尽きる。
日本アニメが海外に対する有効な輸出品目であるのは今更説明するまでもないので割愛するが、アニメーションとJ-POPと海外のちょうど真ん中に立って道案内をしている図が浮かんでくるのである。
実際に筆者はブレイク当時に「この人はアニメの主題歌をやって、それが海外で有名になって世界的に売れるだろう」と思っていたし、公言していた。
(正直一発目の剣心から当ててくるのは予想外だったが)
ま あ そ の 時 は 鼻 で 笑 わ れ て い た 訳 で す が 。
アニメとJ-POPのディープな関係については、またの機会にするとして、個人的には西川の知名度はまだ上がると思う。
物事が浸透するには時間がかかるらしいのでもう少し先と思われるが、もし筆者の予測が正しければ今度は西川のルックスだったりキャラだったりが注目されると思うのだが、果たして当たるだろうか。
とりあえずハリウッド映画に出してみませんか、サムライミさん?
64
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:16:16
106 名前: 不定期連載・TMR雑記12/1 [sage] 投稿日: 2005/04/18(月) 10:20:53 ID:2wtrljCD
【独裁 -monopolize-】
まごまごしているうちにツアーが始まってしまったが残念ながら筆者はまだ未参加である。
それはともかく風の噂では名古屋はかなり賛否両論だったようで、遠征すればよかったと悔やまれる。
筆者はヘビーリピーターではないので基本的に遠征はしないし月に1本程度なのだが、そういったイレギュラーなライブは大好物なのだ。
何でも亡くなったファンの事で精神的に歌うのが困難になったとの事。
人の生き死にに関わるし、実際に見たわけではないので事の是非についてはココでは触れない。
ただ見たかったなーと思う。
どういう顔をして、どういう声のトーンで、どんな風に立っていたのか。
サポメンはどんな反応をしていたのか、スタッフはどこまで把握していたのか。
前日座り込んでしまったというが、どんな調子だったのか。
言うかどうか10分近く悩んでいたというが、どんな仕草をしていたのか。
筆者は西川貴教に関しては全肯定である。
例えばライブを途中で放棄しても、酔っ払って歌っても、客を罵倒しまくっても、歌詞間違えまくりでも怒らないだろう。
それどころか罪を犯しても、もしかしたらレイプしたり人を殺したりしても責める気にはならないかもしれない(多分)。
このスタンスはいわゆる信者というのとはちょっと違う。
西川貴教という生き物に対する好奇心がそうさせるのだ。
筆者は彼のあらゆるシチュエーションに興味があるのである。
考えようによっては人権無視のきらいがあるので、西川に対して怒ったり批判したりしている人を見かけると申し訳ない気持ちになったりする。
そっちの方がよほど人間扱いしているだろう。
いや、ちゃんと体調の心配したりはしてるのだが。
この話題に関して思い出すことがもうひとつある。
「GONIN」という映画がある。
石井隆監督作品で筆者のとても好きな映画の一本だ。
佐藤浩市演じる主人公はもとアイドル歌手で現在は実業家であるが、事業に失敗した彼はヤクザに借金し追い込みをかけられ、犯罪に手を染めるしかない程追い詰められている。
劇中登場はしないが彼の元ファンクラブ会長の中年女性が彼の保証人となり多額の負債を抱え首を吊ったという事情が明かされ、それがとても印象に残った。
おそらく彼女は全財産を貢いだ挙句破滅したのだろう。
映画を見た当初はなんて気の毒な話だろう、と感じたのだが最近は少し考え方が変わってきた。
彼女は喜んで死んだのではないだろうか。
若いころに感じたときめきのまま、主人公に何かしてあげられることが本当に嬉しかったのではないか。
人に何かをしてあげる、役に立つ、ということは元来それほど厳しく、犠牲を払わなければならないことなのではないか。
筆者はそんな風に、折につけ設定でしかない彼女を思い出しては考え込む人間なのであった。
とにかく今日も西川は歌っている。
ありがたく萌えさせていただくのが色んな意味で供養というものだろう。
65
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(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:16:42
107 名前: 無名アイドルくん [sage] 投稿日: 2005/04/18(月) 10:21:27 ID:2wtrljCD
さてアサヤンもびっくりの急展開で申し訳ない。
いきなりだが前前回の問題の答えあわせをしていなかったので、解説させていただこう。
【問1】
以下の人名は少年サンデー連載の田中モトユキ作「最強!都立あおい坂高校野球部」の登場人物であるが、その特徴を答えよ。
・北王路輝太郎
・菅原鈴緒
・松方雅治
・小林虎鉄
・梅宮右京
・柴田伸之助
回答1
「仁義なき戦いシリーズ出演俳優の名字」
北王路欣也/菅原文太/松方弘樹/小林旭/梅宮辰夫/(柴田は確認が取れなかったのでもしかしたら違うかも)
故深作欣二監督の出世作でありその圧倒的な暴力描写は日本映画界に大きな影響を与え、内外にファンが多い。
例えばタランティーノの「キル・ビル」などにも露骨なリスペクトが見て取れる。
ちなみに安野モヨコの「働きマン」という漫画はもっとダイレクトにヒロインの名前が松方弘子である。
さらに余談で松方雅治のビジュアルは明らかに福山雅治がモデルである。
【問2】
以下の人名は有名ギャルゲーム「卒業」の登場人物であるが、その特徴を答えよ。
・新井聖美
・加藤美夏
・中本静
・志村まみ
・高城麗子
回答2
「ザ・ドリフターズメンバーの名字」
国民的グループのリーダー、いかりや長介が永眠したのも記憶に新しい。
このゲームではあえていかりやを外し、初期メンバーの荒井注を入れ漢字も変え、よりニヤリ感を醸し出している。
ちなみに同ゲームの続編はクレイジーキャッツの5人であり、制作者の思春期が窺われる。
66
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:16:56
108 名前: 無名アイドルくん [sage] 投稿日: 2005/04/18(月) 10:22:20 ID:2wtrljCD
……さてやることもやったところで、デビュー曲の登場である。
この曲が世に出るまでのあれやこれやを考えると涙でキーが見えなくなるのだが、とりあえず挑戦してみよう。
独裁−monopolize− 最高位28位 登場週 5週 3.6万枚 96.5.13リリース
初登場の順位はまずまずといったところだろうか。
やはりプロデューサーの知名度が物を言った売れ具合である。
この時期西川は浅倉氏と共にライブ活動を活発に行っており、ステージで構築した音をリリースするというやり方をとっていた。
古株の皆さんはご存じの通り、浅倉氏はリリースまでの西川を自ら精力的に紹介してまわったのであった。
ここらへんのすったもんだ、どうしたこうしたも当時の状況を偲ばせて興味深いのであるが、別の機会に譲るとして。
ひとつ言えるのはこの時期の西川が非常に受け身だったことだ。
もちろんボーカリストとしての評価は得ていただろうし、彼とて全くの素人ではなかったと思うが、当時を振り返ったインタビューなどを読むと浅倉氏は音楽的知識を「親鳥が雛にするように」与えていたようだ。
西川の方も「全てに於いて今までとはレベルが桁違いだった」と述懐している。
意外と知られていないが、浅倉氏はヤマハの楽器製品開発に携わり文字どおり音を一から作ってきた人なので、技術的には相当ハイレベルだと思われる。
生バンドで育った西川に無限の可能性を与えたと言ってもいいだろう。
しかし西川がボーカリストをする以上やはりロック色は強くなっている。
独裁はギターが全面に押し出された曲で、今までアクセスに馴染んできた人にとってはかなり異色だったと思う。
そこらへんは浅倉氏の著書でかなり掘り下げて書かれているのでこれ以上は触れないが、デジタル理系委員長とアナログ体育会系小僧がいい感じでデジロックしている。
……というところで後半へ続く。
つーか、殆ど進んでないじゃん。
67
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(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:17:11
229 名前: 不定期連載・TMR雑記12ぐらい [sage] 投稿日: 2005/05/11(水) 05:20:21 ID:MDPiL47D
【独裁 -monopolize-】
うららかな陽春、ライブツアーもたけなわですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
筆者も遅ればせながら無事参加することが出来、とりあえず話題のパンフレットを購入してみた(サングラスは売り切れだった…orz)。
えーここから先軽くネタバレ入るのでご了承頂きたいのだが、簡単に解説すると今回はアルバムジャケットの通称「西ロボ」、正式名称エンターティメントロボット「infinity」の商品パンフという体で作られている。
ライブは新作発表会という位置づけのようだ。
開演前には池田秀一氏によるアナウンスが入るという念の入れようである。
「お姫様ダッコって何だ?」とか
「護身用として太腿にベレッタを格納してるのはいいんだが、パンツを穿いていたらいざという時使い物になるのか?」とか(自分で引き千切るのだろうか。それは結構萌え)
「西川のAIを使っているのに関西モードがオプション扱いなのは納得がいかない」とか
「サポはメカなのか生身なのか、メカならオプションとして付けてくれないのか、つーかバックの音どこから出るの?え西の口から?」とか
「エデンシステムは流石に恥ずかしい」とか
「ぶっちゃけあれでしょ、攻殻SACセカンドのパク(ry」とか
「擬体製作シーン作ってくれないかなGI」とか
「グラビアが薔薇族っぽすぎるのでは」とか
「いやむしろロリ系欠損マニアにはたまらないのでは」とか
「てゆーかエログラビアと紙一重」とか
「今ってコズミックイラ(CE)だったのか!」とか
「やはりコレを作ったのはコーディネイターなのか?」とか
「アスランの子孫あたりが作ったんだったりして(笑)」とか
「ヨシユキ・トミ(ry)」とか
まあまあ突っ込み所は満載だが筆者はこういう趣向は大好物である。
歌うアンドロイド、というイメージは古くはオルゴール人形に求められるのかもしれないが、意外にエンタータィメントのモチーフとして手垢がついていないのがいい感じだ。
ナイチンゲールを手に入れようとした中国の皇帝の例をひくまでもなく、どこかフェティッシュな匂いがするからかもしれない(ゆえにちょっと引き気味の方も多いと思われるが)。
本当にフィクションを音楽に落とし込むのが好きなんだなあと。
しかし、古今東西歌う人形と言えばうら若い女と相場が決まっているものだが、34歳バツイチが臆面もなく出してくるあたりが立派というか流石というか、いい度胸である。
68
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(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:17:24
230 名前: 不定期連載・TMR雑記12ぐらい [sage] 投稿日: 2005/05/11(水) 05:21:59 ID:MDPiL47D
そもそも歌舞音曲の類は元を正せば娼婦の嗜みであり、枕元で客を慰める為のものであった。
芸事の神が弁財天であるのを見ても分かるとおり、歌や舞は本来女性の物なのである。
例えば芸者が褥で三味線をつまびくのを見たことがあると思うが、彼女たちは年を取り容色が衰えると師匠として若い芸者に歌や楽器を教える事で生計を立てたのである。
(ちなみに源義経の愛人静御前は白拍子であるが、白拍子とは男装して歌い踊る遊女、つまり高級コールガールタカラヅカ風である。どうです奥さん、そんな昔から既に世の中は発酵しきってた訳ですよ)
だからヨーロッパを起源とするクラッシックを除けば男性歌手などと言うものは少なかったし、男性が歌うのはあくまで生活における教養の一環であり、一生の仕事として選ぶものではなかった。
昔の日本人は「男芸者」などと呼んで馬鹿にしていたのである。
男性歌手が市民権を得たのは、マスコミが発達して、歌がなにがしかのメッセージとして機能し始めてからだ。
女がごく身近かな人のために歌っていたのに対し、軍歌に代表される武器としての歌が生み出されたわけだが、それは形を変えロックになったりヒップホップになったりして現在も発展し続けている。
ロックアーティストが生き様を問われるのはその名残であろう。
男は何か理由がなければ歌っても様にならないのである。
……何か話が果てしなくそれまくっているが、要するに歌姫というのはそれだけでエロな存在なのである。
ましてやそれを個人で所有するというのは、昔で言えば王侯貴族などしか実現出来ないかなり上級なエロティシズムだ。
歌良し器量良しで教養もある、花魁のような存在は娼婦でありながら尊敬され、諸大名から高額で求められたという。
科学技術の恩恵でそれが一般市民にも実現出来るというのは素晴らしい時代ではなかろうか。
(個人的には「アイドルサイボーグ」の異名をもつあややバージョンなんか見てみたい)
69
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:17:42
232 名前: 不定期連載・TMR雑記12ぐらい [sage] 投稿日: 2005/05/11(水) 05:28:17 ID:MDPiL47D
ここまでを踏まえた上で改めて。
歌というエモーショナルな芸術と近未来サイバー的な機械の肢体の融合、というのはなかなかにTMRの核心をついているような気がする。
西川の持つ記号の触れ幅というか、矛盾をすべて表現してるような感じ。
思いつくまま列記してみる。
男性的でもあり、女性的でもある身体。
禁欲と淫蕩、支配と被支配、抑圧と開放の絶え間ない循環。
素材としての自分を冷徹に客体化できる強度の高い自我を持ちながら、ステージで全てを放り投げてしまう危うさ。
エンターティメントであろうとする自我と、ドキュメントであろうとする自我。
西川とTMさん。
etc。
あのパンフレットの、バラバラに解体された自分の身体を直視するのは色々な意味で勇気のいることだと思うのだが、
SEVENTH HEVENの黒西と白西が融合したら強さを獲得した、というところだろうか。
エデンシステムや西川本人の死生観等考えると、なんだか深読みしてみたくなる秀逸なネタである。
もうちょっと上手く宣伝してコンセプトに共感を得られたら、今後のための素晴らしい武器になると思うのだが。
しかし思い返してみれば、ドームinFORCEや封印解除やコーディツアーなどTMRはその時々のコンセプトで我々を楽しませてくれて、いつもご苦労様というかようやるわというか、本当にサービス精神旺盛なアーティストだとつくづく思う。
だからこそ客に受け身な態度を取られるのを嫌うのだろう。
こっちゃ命削ってやっとんねん!と。
ヲタは往々にして「セットも何もいらない。歌ってくれさえすれば良い」とは言うのだが、そしてそれは全く真実なのだが、やはりそれだけではTMRの魅力は語れない。
きちんと受け止める意味でも、機会があったら振またり返り考察してみたいと思う。
ライブの内容ですか?
夢幻のアーク最強!てことでそろそろLOVESAVERに引導を渡してもらっても良かったかも。
「森のふくろうさん」もなかなかいい味出してますし、バラードゾーンはこれだけでチケット代お釣りが来る感じ。
冒頭の白い衣装と本編ラストの黒い衣装もエロくて好みです。
……独裁?あれ?
また来週〜〜!
70
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:18:12
830 名前: 不定期連載・TMR雑記11/1 投稿日: 05/03/04 15:00:43 ID:LuRtXPUP
【臍淑女 -ヴィーナス-】
今更アリゾナの魔法を見たのだが。
海 外 で 活 躍 の 暗 示 で す っ て ?
聞き捨てならない話である。
そういや以前ニッポン放送でも弦エニシ氏に占ってもらった時そういう暗示が出ていた。
あの時は海外リリースのカの字も出てない時で結局実現したのは翌年だったが、当時西川はその事を知っていたのか気になる所。
あまり占いを信じない筆者だったが、あの時ばかりは「自分の常識を見つめ直すべきか?」と思ったもんである。
まあそれはさておき、西川のような波乱万丈な人生を送る芸能人は出来不出来がはっきりして占いやすいのかもしれない。
我々凡人のメリハリのない人生では運も厄も素通りである。
しかし民よ、凡人の人生も捨てたものでない(中村うさぎ風)。
みんながみんなドラマみたいな生活だったら世の中大変なことになってしまうではないか。
話を戻して、海外成功は有り難いがそっちが当たると必然的に体調不良の心配も出てくる訳で痛し痒しである。
しかし今までだって毎年大概倒れていたが、あれは体調不良のうちに入らないというのだろうか。
これだけ色んな人に言われまくってるのだから、まあこっちもある程度の覚悟はしておいた方がいいのかもしれない。
なんて煽ってみたり。
本題である。
・臍淑女−ヴィーナス− ARE 最高位35 登場5回 2.6万枚 96.7.15リリース
※とりあえずこれしかないので一応貼っておくが、この数字はかなり古いので実際にはブレイク時にもう少し上乗せがあったと考えられる。
TMR2枚目のシングルだが、露出が少なかったと見えて個人的には全くビデオの類は見ていない。
データ的にも新人にしては高く、さりとてブレイクと言うわけでもなく、浅倉氏の固定層に売れただろう事が窺われる中途半端なものである。
TMRとしては最低売上で、衣装やタイアップ等特筆すべき事項もない。
PVも金かかってないこと甚だしい(笑)。
なので遅れてきたファンにとっても、純粋に楽曲で評価できる作品かもしれない。
71
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:18:50
831 名前: 不定期連載・TMR雑記11/2 [sage] 投稿日: 05/03/04 15:01:25 ID:LuRtXPUP
何げに初の夏ソングだったりもする。
サウンドはパーカッションを全面に押し出したバカンス風?で爽やかさといかがわしさがよく出ている。
夕暮れ時のブリッジの暑気をはらんだ風が感じられるようだ。
この時代はライブで発表して歌いこんだ物を録音しているので、かなりこなれた印象である。
歌唱力には定評のある西川だが、ここらへんの曲の作り方もイメージとして影響しているのかもしれない。
さて今回は歌詞に注目してみたい。
基本的には他愛の無い内容である。
真面目な「僕」は悪友に流行りのスポットにナンパに誘われるが「美学に合わないから」とりあえず付き合いででかける。
しかし現場に来てみれば「どうしてこの娘がと思うような可愛い娘たち」が「移り気なまなざしで値踏み」している。
この場合「まなざし」の主語は誘ってくる男の経済力とセンス(車)を冷徹に値踏みする女の子たちである。
まあ筆者はお知り合いになった事はないのだが、世の中には一夜のアバンチュール(ふるっ)にためらい無く身を任せる女の子たちが少なからずいるのだろう。
頑張ってゴムだけはつけて頂きたいものである。
それはともかくつきあいだった筈の「僕」は眼前に広がる欲望丸出しの光景に刺激され、チェックを入れ始めるはおろかゲット態勢に突入してしまう。
2番では実戦に挑むも経験の浅さから絶好の機会を逃し、あまりの現実感の無さに揺れているのだ。
そして繰り返し強調されるサビ。
「恋なんじゃない」
そう、この曲は恋の歌ではない。
あくまで欲望の歌なのである。
一言でまとめると
や れ そ う な 可 愛 い 子 が た く さ ん い る ん で エ ッ チ し た く な っ ち ゃ い ま し た 。
で終ってしまう。
しかしかつてこれほどまでに性欲を爽やかに描ききった作品があっただろうか。
なんだか白い歯と汗が光ってそうなイメージさえある。
アイドルの詞ではないのにアイドルぽい。
「欲望」と書くと正教徒的発想が邪魔をして抑圧すべき事柄、戒めるべきものと捕らえがちだが、井上氏は常にこれを肯定する。
若い男が性欲にうつつを抜かすのも、子猫が母親の乳首を求めてふにゃふにゃしているのも本質的には大差がなく、この曲にはそれを可愛げととらえる母親的視点が存在しているのだ。
ある意味大人の女性にしか書けない詞だと思う。
72
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:19:06
832 名前: 不定期連載・TMR雑記11/3 [sage] 投稿日: 05/03/04 15:01:47 ID:LuRtXPUP
井上氏の実像というものを筆者は寡聞にして知らないが、詞を見る限り独自の価値基準が感じられる。
その中で恋愛に関する項目をあげてみよう。
●愛や恋は多くの場合幻想である事が多い。
●そして大抵の場合それは様々な欲望の帰結である。
●しかし愛と欲望は等価であり、それ自体に貴賎はない。
●愛と呼べるものもあり、それは様々な形や色をしている。
あえて言葉にするとこんな風になるだろうか。
具体的にあげると独裁は愛していると言いながら主題は独占欲、支配欲の類だし、イミクラは彼女の愛の言葉を「嘘」とハナから断定している。
IDや魔弾に至っては主人公は愛を全く信用していず、承認欲求でしかない。
いずれも肉体関係の持つリアリティが圧倒的な比重を占めている。
逆に別れの歌の方がはるかに思いの深さを感じさせる曲が多く、いずれも現在主流の恋愛歌からは大きくかけ離れている。
この達観してるんだか前向きなんだかよく分からない、えらくシニカルな快楽主義がTMRの基本理念と言えるだろう。
ある程度人生をこなし痛い目にもあった大人の純粋さであり、筆者はまさにそこを愛する。
この曲はそんな井上氏の価値観が顕著に出ている作品のひとつだと思うのである。
そして肝はいかにその気にさせるかという「ライブ感」だと思う。
ステージの方ではなく、実況のアレである。
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!! って感じ?
夏の風の感触、車のエンジンの焼ける匂い、女の子の素足にサンダルのプラスティック感。キスの唾液の冷たさ。
ひらひと舞う短いスカート。夕焼けのオレンジと小麦色の肌。アスファルトの灰色。
曲が流れている間は自分自身のしがらみを全て忘れ、主人公と同調してドキドキを感じさせてくれる。
説教も道徳も愛のうんちくも、音楽的深みも人生哲学も明日への希望も無用だ。
今だけあればいい。
一瞬のためだけに流れる、まさにそういう曲だと思うのだ。
その潔さが、筆者がこの曲を高く評価する所以である。
73
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:19:24
149 名前: 不定期連載 [sage] 投稿日: 2005/10/22(土) 04:18:49 ID:???
おひさしぶりである。
ちょっとサボっている間に西川環境は激変しスレタイも変わったりしているようだが、変わらずに駄文を載せる場所を用意してくれた皆さんにひとまずお礼を言いたいと思う。
まあそんな事はともかく、こんなに長い間が過ぎてしまった心情はここの皆さんならお分かりいただけると思う。
オールナイトの終了である。
これには筆者も参った。
途中まで書いていたエログロ満載のネタを能天気に披露する気分にはさすがになれなったのである。
冗談抜きで喪に服していた数ヶ月だった。
あれからしばらくたち、ようやく色んな事を思い返してみる気になったのでとりあえずのけじめとして西川貴教とオールナイトニッポンに関する文章を書いてみようと思う。
個人的雑感に類する駄文ではあるが、何がしかの足しになれば幸いである。
【ラジオとオールナイトと中島みゆき】
筆者が生まれて初めてラジオを意識したのは小学校低学年の頃であった。
好きになったアニメが窓口になり、声優という存在を知り、そのラジオ番組を聴き始めるというアングラ感極まる始まりであった。
古くて丈夫な不思議な機械から流れてくる世界のどこかの話に、まだ何もわかっていなかった子供はひたすら息を殺してじっと耳を傾けていた。
電波は頼りなくていつ逃げてしまうか知れたものではなかったし、何だか悪い事をしているような気分だったからだ。
気まぐれな子供はすぐにそんなことを忘れてしまうが、少し大きくなってオールナイトニッポンという存在を認識する。
パーソナリティ中島みゆきにひかれての事である。
当時は「録音する」という発想さえなかったのでその殆どを忘れてしまったが、彼女の番組は確かに面白く大声で笑っていたことは鮮明に覚えている。
ネタハガキが充実していて、当時の両雄ユーミンとの比較対象ネタや松山千春、世良正則などのニューミュージック系アーティストをいじった物が多かった。
本人がライブで歌詞を間違えたり忘れたりするのを自虐ネタで茶化した替え歌コーナーや、家族ネタやシモネタなどもあったのだ。
ネタハガキのないラジオ番組を筆者が全く認められないのはこの頃からであった。
74
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:19:40
150 名前: 不定期連載 [sage] 投稿日: 2005/10/22(土) 04:20:37 ID:???
もちろん彼女が当代随一のシンガーソングライター、それも暗い女の代名詞とされるアーティストであったことは知っていたがラジオで触れる彼女は明るく楽しい人であった。
回転が速く、発想が面白く、テンションが高く、親しみがあり構えたところがなかった。
そんな彼女の素顔を知らない世間は依然として「中島みゆき」を暗い社会派で失恋した女の情念ばかり歌う怖い女と思い込んでおり、そこもなんとなくリスナーが優越感に浸れる部分だったに違いない。
みなが「みゆきさん、みゆきさん、」と呼んで日常の些細なことを彼女に報告していたのを思い出して誰かさんそっくりだなと笑ってみたりした。
筆者が歌と素のギャップがあるアーティスト好きなのは昔からであったらしい。
約8年間続いた彼女のオールナイトはずっと人気番組であり続けた。
「ごめんなさい…今晩だけはどうしても元気になれない」
多分とても辛いことがあったんだろうなーという夜、彼女はそう言った。
「あたしは…音楽に走ります」
最終回の夜、彼女はそう言った。
おそらく音楽だけに専念したくなったのだろうシンガーソングライターの率直な言葉だった。
こうして筆者のオールナイトとの縁は切れた。
それから十数年たち…1人の男とまた出会うまで。
【深夜のア・バオア・クーと漫画家とドス黒い三連星】
きっかけは知人の漫画家からであった。
TVはしばしば作業の妨げになるのでこの分野のクリエイターはラジオをよく聞いている。
音楽ばかりだとマンネリだし、重たいのやつまらないのは眠くなるし、何時間も聞き続けられる適度に面白いラジオ番組は彼らにとってはとても助かるものであるらしい。
「最近、面白い奴がいるんだよ。全然無名の奴なんだけど」
深夜にガンダムの話をやるとその手の人種の食いつきがよいのは昔からで、ご多分に漏れず第一印象は「ガンダム好きの関西弁の兄ちゃん」であった。
歌手か俳優かお笑いかさえ分からない。
初めて歌を聴いたときの記憶は既にない。
名前を覚えたのも歌の後だったような気がする。
かなり後になって顔を認識したときは「…はあ?」であった。
75
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:19:56
151 名前: 名無しさん? [sage] 投稿日: 2005/10/22(土) 04:22:28 ID:???
海のものとも山のものともつかない存在の人は、ただとてもテンションが高く元気よく、エネルギーをたくさんもらった。
この頃から西川の頑張りは嫌味がなくて、そこが成功の秘訣だと思う。
今聞けばあどけないとさえ感じるこの声に、よくも出会うきっかけをくれたものだ。
とどのつまり、初聞きの筆者は「ドス黒い三連星」というネーミングがやけにツボにはまったのであった。
続きます。
76
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:20:15
【Meteor-ミーティア-】
不眠症気味で夜あまり眠れない割に昼爆睡しがちな筆者である。
仕事中に眠いのは辛い。
辛さのあまり日付を書く欄に「ありました(何がだ)」とか内容蘭に「雷で停電がきれました(意味不明)」とか書いてしまうのだ。
この間聞き終わったばかりの内容を忘れてしまい「人間って話しながら意識を失い、しかもそれを全く気取られる事なくいられるものなのだ」と人生の新たなる発見をしてしまった。
目下の最大の悩み事なのですが誰かいいアドバイスはありませんでしょうか。
さて。
そんなこととは全く関係なく武道館はやってくる。
スキップしながら。
↑注:主観
今回も相変わらず突っ込みどころ満載なのでいずれまた。
なまじ予告をするとほぼ果たせないという自分の自縄自縛っぷりを噛み締めつつ、おひさしぶりです。
こうなったら書きたいときに書きたいものを書くことにしようと思う。
自分の気持ちが動いた時に。
ぶっちゃけ自分の文章を読み返したらすっかり忘れていてめちゃくちゃ興味深く読めてしまったので。
これは書くしかないやねー。
77
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:20:36
196 名前: 不定期連載 [sage] 投稿日: 2006/08/16(水) 04:18:27 ID:Wao/gAYI
というわけでミーティアである。
2003年発売のアルバム・coordinate収録のアルバム曲
TVアニメガンダムSEEDの挿入歌として世間に披露された。
タイトルはの意は流星・隕石。
日本人にはメテオと言った方がわかりやすいが、どこかエレガントでセンチメンタルな読み方を選んだのはTMRらしい。
インヴォークの時もイグナイテッド、さらにヴェスティージの時もそうだが、こいつらはとにかく手垢の着いていない、聞いた事のない単語をみつけるのに命を懸けてる感じである。
火をつけるならファイアでも、望むならホープでもビリーブでもいい、痕跡ならスタンプでもトレースでも通じる。
しかしそういうことはしない。
つまり一貫して人が使い古した言葉を名づけるのを嫌がっているということだ。
人は聞き慣れない言葉に新しいものを感じる。
西川がTMRに望んでいるのはそういう先駆的な存在感なのだろう。
ネーミングは世界観を作る。
曲の名付け方に、アルバムの名付け方に、ツアーの名付け方に、その時々の考え方や知的レベルや意思が注ぎ込まれ、少しずつこつこつと積み重なってアーティストの世界観が形作られていく。
いいかげんにしたければいいかげんに、凝りたければそれなりに、どう転んでも世界との取組み方を問われるからだ。
(今更TMRに「さくら」とか「一番大切なもの」とか「唇にジェラシー」とか歌われても困るだろう)
特に今回タイアップが未来のガンダム・SFロボットものである。
こういう価値観はとてもマッチしていると思う。
物語の世界観・ひいては現実の人間世界を秩序立てて構成するのも名前だからである。
例えばの話。
丁度今ゲド戦記が公開中だが、あそこらへんのケルト文明には「真実の名前」という概念がある。
その世界では人は生まれた時に大切な人からつけられた「真実の名」をもっている。
名前には呪術的な拘束力があると信じられており、知られると呪い殺されたり思い通りに操られたりされるので本人と親兄弟しか知らない。
普段は通り名というか愛称で生活を続け、夫や妻になるような親密な相手にしか決して明かさないのである。
当然敵に知られたら大変なことになる。
ゲド戦記はそういう時代背景をふまえた活劇ファンタジーで、原作は実際に戦うシーンより真実の名を探り合う情報戦の様相を呈していた。
…まあまだ見てないのでジブリアニメがどう変わってるかわからないわけですが。
七つの海を股に駆けたバイキングの血を引くケルト民族の家族愛、結束の強さ、自我の強靭さなどが伺われる話である。
78
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:20:51
197 :不定期連載 :2006/08/16(水) 04:20:21 ID:Wao/gAYI
またわが日本の名前に対する考え方もちょい特殊だ。
BASARAゆかりの伊達政宗公を例にとって見ると幼名(梵天丸)と元服後の正式名称(藤原正宗)と通り名(伊達政宗)と死んだ後(武振彦命)で全部名前が違う。
現代に生きる我々にしてからが死んだら戒名をいただくわけで。
西洋文明からしたら異質なものの考え方である。
これは結局形から入るというか気構えを改めるというか、本人の考え方より役割を重視してそうなった文化といえるだろう。
元服したらもう子供ではないので幼名は捨ててしまう。
正式な場と心安い場では呼び方が違う。
子のない妻と跡取りの母では立場が違うので名前が変わる。
死ねば仏なので、郷に入れば郷に従い仏の名をつける。
個人の連続性は失われるが合理的とも言える考え方で、日本人特有の「水に流す」という感覚はここらに影響を受けているように感じられる。
他にも韓国では結婚しても女性の苗字が変わらないとか(そのせいか韓国女性はとにかく強い)、キリスト教の洗礼名とか名前に関する小ネタだけで本の10冊はかけそうだ。
話それてますが、名前というのはそれぐらい大事な部分なわけだ。
つまり無意識の部分にダイレクトに訴えかけて来るから。
ネーミングなどの設定が心地よくカッコいいものならば、その作品は成功したも同然と言っていい。
西川がそこらへんもよく心得ているのでSEEDのスタッフも気に入ってくれているらしい。
劇中後半に出てくる主人公サポート機に「METEOR-01」「METEOR-02」と名づけている。
本当は「INVOKE」と「METEOR」にするつもりだったというから気に入られたものだ。
それだけ世界観が合っているという事だろう。
まあ西川がアニヲタなのが生きている訳ですね、
一応続く。
79
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:21:22
223 :不定期連載・番外編 :2006/09/07(木) 02:27:23 ID:GyJchnfe
結論からいうと。
長かった。
ほんっとーーに長かった。
最初にバンドをやりたいという話を聞いてから何年たったろう。
西川の中で「バンド」というトラウマがずっと疼き続けていたのはある程度興味をもって見ていた人間なら読み取る事が出来たと思う。
人が引きこもるとき、そこには必ず理由がある。
居場所がないから、目的地が見えないから立ちすくむのだ。
2年も人前に出ないという状態に陥るのはやはり異常だ。
それを脱してなお西川が長い…実に10年もの間…幼い痛みに堪えていたのは、ライブを見ていればなんとなくわかる。
可哀想に思う必要はない。
痛みは正しくて、感じれば自分に近づけるものだから。
そうしてあの声が出来上がったのだ。
しかし。
その男が今失ったものを取り戻そうとしている。
意気揚々と。
何一つ手放すことなく。
ハリウッド映画のヒーローのように全てを奪い返すのだろう。
祝うべきかな。
まるでキリストの再臨のように。
長く長く…飢えと戦うように息を潜めて、時には愚痴を言いながら、時には疑い罵倒しながら。
待ち続けていた従順で手に負えない連れ人たちの上に祝福を。
新しい福音の時。
その誇らしい日を思うと、筆者はときめきを押さえきれない。
眠れぬ日々につい。
この10年ためこんだビデオのDVD化作業に費やしてしまうのだ。
80
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:22:32
697 :不定期連載 :2006/11/01(水) 23:26:39
監督から主演まで全てをこなすジョン・キャメロン・ミッチェルの俳優として、またシンガーとしての豊かな才能が炸裂した作品である。
日本版は三上博氏が去年に初の完全舞台化、熱狂的なラブコールを受け今年再演が決定した。
彼は以前バンドをやっていたこともあるそうで(余談だが俳優さんはなぜかミュージシャンに挫折して、というこのパターンが多い。歌で食べていくのは大変なことなのだろう)ルックス演技力歌唱力の三拍子が必要なこのミュージカルにはこれ以上ない程の適任だったと思われる。
舞台版を初めて鑑賞してみて強く思ったのは「…あれでも随分遠慮してたんだなー…」であった。
映画でさえなかなかエグい描写満載だったが、舞台はさらに過激な放送禁止用語のオンパレードである。
放送しないので問題ないらしい。
さて以下、ネタバレを含むので注意されたし。
-----------------------------------------------------------------------------------
主人公ヘドウィグは冷戦下の東ドイツに生まれた。
映画では匂わせる程度だったが、舞台でははっきりと幼児期における父親の性的虐待に言及している。
「犯されたときあたしはまだ喋ることが出来なかった」という台詞を聞いた時は、あまりの衝撃に可哀想とか悲惨とか言うよりまず
人間ってそんな小さくてもやれば出来るのか…ていうか生きてられるものなんだ
という、何か人体の神秘を垣間見た思いだった。
つい伊豆の人体科学館を思い出してしまったぐらいである。
それはさておき、父親がいなくなった後、愛情の薄い母親と東ドイツでの貧しい暮らしを送る彼に10代後半、転機が訪れる。
アメリカ軍の将校と知り合い、愛人関係となった彼は西側に脱出するため母親と彼に薦められ性転換手術を受け、母親のパスポートを偽造して結婚。
…結果手術は失敗し、とここらへんは有名なくだりなので割愛するが、正直性転換手術で一インチペニスが残るというのがどうにもイメージできず、未だにピンと来ない筆者である。
再手術すればいいんじゃないのか。
だめなのか。
え、セックスってどうやるわけ?
ぶっちゃけ局部ってどうなっているんだろう。
などど下種な想像を喚起するあたりがこの作品の素晴らしいところである。
81
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:22:49
698 :不定期連載 :2006/11/01(水) 23:28:31
それよりもっと辛いのは、亡命して一年にもならないのに夫に捨てられ、生きる糧もなくベルリンの壁崩壊をTVで見ていた彼の心情だろう。
もう少し我慢していれば、こんなに何もかも失うことはなかったのに…!という、人間のやりきれない愚かしさに胸が痛む。
この後も彼は愛を求めてさすらう。
ボーカリストとしての才能に目覚め、音楽を心のよりどころとしながら社会の底辺をはいずって生きていく。
美しい少年と恋に落ちるが、二人で作った曲をまるまる奪われて去られる。
あまつさえ彼はそれらの作品でトップアーティストの地位を手にするのだ。
それでもヘドウィグは愛を求め一途にステージで歌う。
身の上話を肴に酒を飲み、身体を触らせ、トマトを投げつけられながら。
歌うことでしか癒されない、奪われ続けた痛ましい魂の心の底からの怒りと純粋な渇愛。
この強烈で原始的なメッセージがこの作品の根幹である。
ドラマ部分はお飾りに過ぎないと言ってもいい。
したたかで下品で、でも傷つきやすく純粋な彼を三上氏は熱演していたと思う。
フェラチオの真似事や、裸やドラアグ衣装にオカマ言葉、高いヒールとテンション、可愛らしい仕草に大股開き。
根性と思い切りがなけりゃ勤まらない役である。
……はい、わかってます、皆さんの言いたいことは。
西川と何の関係が?
おっしゃる通り。
自慢ではないが、何を見ても西川を関連付けて発想せずにいられない病気を患っている筆者である。
この話題で考えないわけがないのでした。
さて。
三上氏とは面差しが似ていると言われた事もあるらしいわけで。
この役を西川がやったと仮定してみる。
82
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:23:06
699 :不定期連載 :2006/11/01(水) 23:35:18
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す い ま せ ん 正 気 を 保 て る 自 信 が あ り ま せ ん 。
いろんな意味で心臓に悪い想像である。
ちょっとひと踊りしたい衝動に駆られるのだがぐっと堪えてコメント。
多分、すごく綺麗になるんだろうと思う。
三上氏もかなりスリムで美しかったが、サイズ的に普通の女性より細い西川の事だし女顔だし化粧ばっちりだし。
映像を見てもらえれば分かるのだが、本来のヘドウィグは細いながらもやっぱり女性には見えない。
その無理無理感がちょうどいい痛ましさにつながるのだが。
---------------------------------------------------------------------------------------------
…と、ここまで書いていたが、ANN終了で心を病んだ筆者がほったらかしていた原稿をあえて今提出してみる。
この時は夢にも思っていなかったのだが、その間に女装はされるわ絶対領域は出されるわ、もうネバーランドで歌い踊るしかない状況である。
一歩一歩確実にヘドウィグに近づいているような気がしないでもない。
いや演技力の話題は置いておいて。
ガーターベルトも時間の問題だったりするのかもしれないが、まあそれはともかく。
時間を置いて、少しだけ筆者の感じ方も変わってきた。
なんか前よりはアリかなーという気がしてきたのである。
以前の西川は見ようによっては本当にカマっぽくて、そんな役をやったが最後絶対にある種のレッテルを貼られるような気がしていた。
三上氏と違って、世間に対して「男」の部分も「俳優」の部分もまだしっかりと確立していなかったからである。
ダウンタウンに「お前が女と絡んでるのが想像つかない。男にやられてるほうがすんなり出てくる」と言われたぐらい、それはあやふやなものであった。
男が男として振舞おうとするだけで痛々しさがあった。
しかし今はどうだろう。
自力で事務所を運営し、結婚離婚を経て浮いた噂のひとつや二つも出てきたし、仕事の幅も広がった。
ささやかながら10年の実績と、そして前々から公言していたバンドデビューをついにやり遂げた。
なかなかどうして、意外に甲斐性があるのもわかってもらえたのではないだろうか。
TMRがほんとうの意味で何でもありになるのもそう遠い日でもないかもしれない。
83
:
(*´∀`) さん
:2006/11/13(月) 22:23:52
700 :不定期連載 :2006/11/01(水) 23:37:13
そんなわけで。
今は無理だが西川が40過ぎたぐらいになったら、一度ヘドウィグをやってもらいたいと思う。
あれだけ大変な役は誰にでも出来るものではないし、体力的にもきついし人前でフェラチオの真似ができるかというとかなり疑問だがそれでもなお。
なぜかというとあのミュージカルの曲達は本当に素晴らしいからである。
1度でいいから西川に歌って欲しいと思ってしまう程に。
そして誤解を恐れずに言わせてもらえば、男性特性を理不尽に奪われたフリークスとしての西川の魂とヘドウィグの魂はどこか似ている気がするからだ。
とまあ、本当に妄想全開で申し訳ないが今の筆者の願望である。
ただ一つだけ問題があって……ものすごく可愛らしいヘドウィグになってしまうだろーなー。
妖精だもんなー…。
…妖精は筆者だったりするかもなー。
お後がよろしい用で。
84
:
(*´∀`) さん
:2006/11/21(火) 19:11:50
719 名前:不定期連載[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 12:45:59
【Meteor-ミーティア-】
不眠症気味で夜あまり眠れない割に昼爆睡しがちな筆者である。
仕事中に眠いのは辛い。
辛さのあまり日付を書く欄に「ありました(何がだ)」とか内容蘭に「雷で停電がきれました(意味不明)」とか書いてしまうのだ。
この間聞き終わったばかりの内容を忘れてしまい「人間って話しながら意識を失い、しかもそれを全く気取られる事なくいられるものなのだ」と人生の新たなる発見をしてしまった。
目下の最大の悩み事なのですが誰かいいアドバイスはありませんでしょうか。
さて。
そんなこととは全く関係なく武道館はやってくる。
スキップしながら。
↑注:主観
今回も相変わらず突っ込みどころ満載なのでいずれまた。
なまじ予告をするとほぼ果たせないという自分の自縄自縛っぷりを噛み締めつつ、おひさしぶりです。
こうなったら書きたいときに書きたいものを書くことにしようと思う。
自分の気持ちが動いた時に。
ぶっちゃけ自分の文章を読み返したらすっかり忘れていてめちゃくちゃ興味深く読めてしまったので。
これは書くしかないやねー。
というわけでミーティアである。
2003年発売のアルバム・coordinate収録のアルバム曲
TVアニメガンダムSEEDの挿入歌として世間に披露された。
85
:
(*´∀`) さん
:2006/11/21(火) 19:12:00
720 名前:不定期連載[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 12:46:50
タイトルはの意は流星・隕石。
日本人にはメテオと言った方がわかりやすいが、どこかエレガントでセンチメンタルな読み方を選んだのはTMRらしい。
インヴォークの時もイグナイテッド、さらにヴェスティージの時もそうだが、こいつらはとにかく手垢の着いていない、聞いた事のない単語をみつけるのに命を懸けてる感じである。
火をつけるならファイアでも、望むならホープでもビリーブでもいい、痕跡ならスタンプでもトレースでも通じる。
しかしそういうことはしない。
つまり一貫して人が使い古した言葉を名づけるのを嫌がっているということだ。
人は聞き慣れない言葉に新しいものを感じる。
西川がTMRに望んでいるのはそういう先駆的な存在感なのだろう。
ネーミングは世界観を作る。
曲の名付け方に、アルバムの名付け方に、ツアーの名付け方に、その時々の考え方や知的レベルや意思が注ぎ込まれ、少しずつこつこつと積み重なってアーティストの世界観が形作られていく。
いいかげんにしたければいいかげんに、凝りたければそれなりに、どう転んでも世界との取組み方を問われるからだ。
(今更TMRに「さくら」とか「一番大切なもの」とか「唇にジェラシー」とか歌われても困るだろう)
86
:
(*´∀`) さん
:2006/11/21(火) 19:13:16
721 名前:不定期連載[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 12:47:32
特に今回タイアップが未来のガンダム・SFロボットものである。
こういう価値観はとてもマッチしていると思う。
物語の世界観・ひいては現実の人間世界を秩序立てて構成するのも名前だからである。
例えばの話。
丁度今ゲド戦記が公開中だが、あそこらへんのケルト文明には「真実の名前」という概念がある。
その世界では人は生まれた時に大切な人からつけられた「真実の名」をもっている。
名前には呪術的な拘束力があると信じられており、知られると呪い殺されたり思い通りに操られたりされるので本人と親兄弟しか知らない。
普段は通り名というか愛称で生活を続け、夫や妻になるような親密な相手にしか決して明かさないのである。
当然敵に知られたら大変なことになる。
ゲド戦記はそういう時代背景をふまえた活劇ファンタジーで、原作は実際に戦うシーンより真実の名を探り合う情報戦の様相を呈していた。
…まあまだ見てないのでジブリアニメがどう変わってるかわからないわけですが。
七つの海を股に駆けたバイキングの血を引くケルト民族の家族愛、結束の強さ、自我の強靭さなどが伺われる話である。
87
:
(*´∀`) さん
:2006/11/21(火) 19:13:35
722 名前:不定期連載[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 12:48:10
またわが日本の名前に対する考え方もちょい特殊だ。
BASARAゆかりの伊達政宗公を例にとって見ると幼名(梵天丸)と元服後の正式名称(藤原正宗)と通り名(伊達政宗)と死んだ後(武振彦命)で全部名前が違う。
現代に生きる我々にしてからが死んだら戒名をいただくわけで。
西洋文明からしたら異質なものの考え方である。
これは結局形から入るというか気構えを改めるというか、本人の考え方より役割を重視してそうなった文化といえるだろう。
元服したらもう子供ではないので幼名は捨ててしまう。
正式な場と心安い場では呼び方が違う。
子のない妻と跡取りの母では立場が違うので名前が変わる。
死ねば仏なので、郷に入れば郷に従い仏の名をつける。
個人の連続性は失われるが合理的とも言える考え方で、日本人特有の「水に流す」という感覚はここらに影響を受けているように感じられる。
他にも韓国では結婚しても女性の苗字が変わらないとか(そのせいか韓国女性はとにかく強い)、キリスト教の洗礼名とか名前に関する小ネタだけで本の10冊はかけそうだ。
話それてますが、名前というのはそれぐらい大事な部分なわけだ。
つまり無意識の部分にダイレクトに訴えかけて来るから。
ネーミングなどの設定が心地よくカッコいいものならば、その作品は成功したも同然と言っていい。
西川がそこらへんもよく心得ているのでSEEDのスタッフも気に入ってくれているらしい。
劇中後半に出てくる主人公サポート機に「METER-01」「METER-02」と名づけている。
本当は「INVOKE」と「METER」にするつもりだったというから気に入られたものだ。
それだけ世界観が合っているという事だろう。
まあ西川がアニヲタなので生きている訳ですね、
一応続く。
88
:
(*´∀`) さん
:2006/11/21(火) 19:14:01
723 名前:不定期連載[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 12:48:55
【Meteor-ミーティア-】
さて今回は歌詞の話。
一連のガンダムシリーズの中でもっともガンダム「ぽい」詞である。
抽象的で分かりにくいという話をよく聞くが、それはひとえにガンダムという作品が原因である。
この作品を理解しているかどうかで、曲の表情が全く変わってくるからだ。
今回はそれを、僭越ながら解説させていただこうと思う。
※あらかじめ謝罪しておきますが、長いです。
これでも原文を2分の1に圧縮しておるのですが。
ミーティアをエンドレスリピートで聞きながら読むのがオススメ。
その1・ファーストガンダム
「機動戦士ガンダム」という作品について今更筆者がどうこう解説するのはおこがましいので詳しく知りたい方はこちらを見ていただくとして。
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%9F%E5%8B%95%E6%88%A6%E5%A3%AB%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%A0
まあアニメに興味のない方のためにポイントだけを押さえておこう。
この作品の最大の功労は子供向けと思われていたTVアニメーションに初めて映画的リアリズムを導入した事だ。
メカが兵器・単なる消耗品として扱われ、子供らしい村社会の中に突然「社会・経済・国家・軍隊」の概念が導入される。
主人公にとっての敵兵の事情も描かれ、善悪の価値観も立場によって変わってくる事を表現したのである。
当時の子供達はここから大人の社会というものをおぼろげながら知っていき、その中に西川少年もいたわけだ。
もちろんそれまでもロボットアニメというジャンルはあったが、それをクオリティ的にも商業的にも世間に認めさせた功績は大きい。
アニメという娯楽が突然「作品」に昇格した瞬間であり金字塔であったろう。
音楽的に表現するならば、ビジュアル系におけるエックス(ジャパン)のような存在なのである。
…何か間違えている気もしなくもないが。
89
:
(*´∀`) さん
:2006/11/21(火) 19:14:23
725 名前:不定期連載[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 12:49:41
特筆すべきはその凄まじいまでの商業的成功であった。
ガンダムといえばバンダイ、バンダイと言えば、最近は同規模のゲーム会社ナムコと合併し、
正式名称「株式会社バンダイナムコホールディングス」という名前になった多角経営企業である。
海外にも拠点を置き活躍しているが、以下はグループ会社の主だった有名どころ。
・バンブレスト(ゲームソフト)
・サンライズ(アニメ製作)
・バンダイビジュアル(映像ソフト)
・創通エージェンシー(TV関連)
・東ハト(製菓・近年グループ傘下に吸収された)
・バンダイチャンネル(ネット配信)
・セイカ(文具)
・メガハウス(出版・カード)
1980年当時、中堅の玩具会社だったバンダイは「機動戦士ガンダム」のライセンスを取得、いわゆるガンプラを発売し全国的ムーブメントを巻き起こす。
800億とも1千億とも言われる売上げが記録され、本格的な多角経営化が始まったのはそこからかもしれない。
玩具・ゲーム・キャラクター商品・出版とガンダムはあらゆる利益をもたらした。
昭和25年(1950年)・資本金100万でセルロイド製玩具の販売から始まったおもちゃ屋「萬台」は昭和58年(1983年)には資本金7億1139万円。
現在(2006年)「グループ総売上高4750億円」というもはやそこらへんの小国並の経営規模をもつに至り、ガンプラの累計販売数は3億7千万個に達するという。
以下は新シャア板で拾ったデータである。
7 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2006/03/17(金) 02:31:53 ID:???
バンダイガンダム関連売上げ
96年 125億>X4月始動
97年 91億
98年 133億
99年 178億>∀4月始動
00年 160億
01年 200億
02年 272億>種10月始動
03年 320億
04年 251億>種デス10月始動
05年 >Z劇場版公開
バンダイグループガンダム関連売上げ(バンプレ、バンビジュ、サンライズ、海外含む)
99年 212億>∀4月始動
00年 280億
01年 393億
02年 452億>種10月始動
03年 542億
04年 428億>種デス10月始動
このデータがどこまで正確なのかはともかく、エヴァンゲリオンが最盛期に経済効果300億円で騒がれていたことを思えばアベレージ的に毎年それに近い利益を上げているこのシリーズはやはりモンスターコンテンツといえるだろう。
90
:
(*´∀`) さん
:2006/11/21(火) 19:16:18
727 名前:不定期連載[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 12:55:01
その2・ガンダムSEED
通称「種」でおなじみの、2002年開始されたガンダム最新シリーズである。
かなり今更感漂っているので、例によって詳しく知りたい方はこちらで
→ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%A0SEED
注)当方小心者なのでアンチの方はお手を触れず生温かく見守ってくださるようお願いいたします。
シリーズ物というのは次作品ごとの差別化をはかり新規層を獲得しつつ、伝統も守り旧来ファンを納得させるのが最も大変な部分であるが、ガンダムも例外ではない。
内容の是非はともかく、近年は作を重ねるごとに初見層にはわかりにくくかつ王道から外れた物になりつつあったのである。
コンテンツの未来を案じた製作側は新作を「21世紀のファーストガンダム」として土台から作り直す作品として位置づけた。
ガノタアニヲタ含めほとんどの関係者から冷笑をもって迎えられた作品であるが、蓋を開けてみればDVDは売れるわCDは売れるわ続編はできるわOVAはでるは映画化はされるはで、大変な騒ぎである。
以下やっぱりコピペ。
おそらくこれは中間報告なので実際には累計はもっと増えていると思われる。
>今年のガンダム関連の市場規模(見込み)は672億円。
>SEED単独だと、今年の見込みが365億円(内、ビデオ80億、音楽45億、出版25億、玩具215億)。
>SEEDの平均DVD販売実績が各巻9.4万枚(Vol1〜8)。
>SEED関連、出版総販売実績:225.6万部。
>音楽CDが219.3万枚(シングル含む)。
商業的にはファーストに次ぐ成功作品となったわけで、おそらくテロリズム・遺伝子操作・差別などの最も今日的な要素を導入したのが吉と出たのだろう。
日本人にはイスラム社会における差別はリアルでないが、遺伝子操作された優れた人間に対する恐怖は理解できる。
デザイナーズベビーの誕生は既に始まっており、もはや人事ではないからだ。
それでいて話の運びなどはファーストを踏襲した非常にオーソドックスなものであるのもヒットした要因であろう。
91
:
(*´∀`) さん
:2006/11/21(火) 19:16:40
730 名前:不定期連載[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 12:57:05
ところで「ガンダム的オーソドックス」とは何であるか?
人によって注目するポイントは違うだろうが、ざっと列挙してみる。
1.男のロマン・新型兵器の強奪
2.男のロマン・女性キャラのシャワーシーン
3.男のロマン・民間人少年の成長物語+ヰタ・セクスアリス
4.男のロマン・大気圏突入(しかもモビルスーツのまま)
5.男のロマン・○○落とし(隕石かコロニーが望ましい・ほとんどの場合逆ギレが原因である)
6.女のロマン・美形敵役
いやーあげてくといっぱいありすぎるのでこれに対する回答は人それぞれの胸にしまっていただいて。
とりあえず筆者が一番強く感じるのは、作品のテーマの部分、すなわち
「人間の業」である。
…こうゆう風に言うとちょっち難しげだが、要するに
「人は何故悲しみをなくすことが出来ないか」という事である。
誰だって隣人とは仲良くしたいし、人を傷つけたくはない。
子供が虐待されるのも
女性が切り刻まれるのも
若い人が自殺に追い込むほどいじめられるのも見たくはない。
遠い国で起こる戦争も、テロもなくなればいいと皆思っている。
しかしそれは起こる。
数限りなく、毎日のように、もういちいち悲しんでいる暇もない程に。
なぜなくならないのか。
どうして誰もそれをとめようとしないのか?
92
:
(*´∀`) さん
:2006/11/21(火) 19:17:09
732 名前:不定期連載[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 12:59:05
SEEDの場合で解説してみる。
舞台はCE(コズミック・イラ)71年、「ナチュラル」と呼ばれる従来の人間と「コーディネイター」と呼ばれる遺伝子操作で高スペックな身体をもつ人間が人類の主権をかけて戦争をしている世界である。
作中で「最初のコーディネイター」ジョージ・グレンはコーディネイト技術の全てを完全なるフリーソフトとして全世界に同時発信する。
当然ながら社会は困惑し、一握りの富裕層のみが実現可能であることから貧富の差が拡大し疑心暗鬼と不満が巻き起こる。
(ジョージ・グレンはテロリストに殺害されている)
さらに宗教上・倫理上・生理的な反発が加わり人類史上最も激しい差別問題へと発展、おびただしい数の人命が奪われついには戦争に突入している世界なのである。
ここで描かれているのは悪ではない。
自分の子供に高い知能と美しい容姿、病気をしない身体を与えられる方法があるとしたら、それを選ぶのは罪だろうか。
選んだ人間を罵るのは醜いことだろうか。
愛する人の幸せを願う切実な気持ちが、見方を変えればエゴとなり多くの人間に災禍をもたらす。
そのやりきれなさ、愚かしさ。
災いの種になると分かっていてなお断ち切ることの出来ない自我への愛執。
それを人は業と呼ぶのである。
ガンダムという作品は戦争というシチュエーションの中で繰り返しそれを突き詰め、問いかけてきたのだった。
93
:
(*´∀`) さん
:2006/11/21(火) 19:17:29
734 名前:不定期連載[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 13:00:47
その3・SEEDとTMR
以上を踏まえて、さてやっと本題に入れるわけであるが。
ざっくり結論から言ってしまうと、人類が悲しみから解放される日は永遠に来ない。
それはもう殆どの人にはわかっている事だ。
ファーストの頃はまだ、戦後の活況の中何がしかの希望が見えた。
国連安保理事会に期待も出来たし、日本も犯罪が少なく平穏だった。
今から思えば。
だから「ニュータイプ(進化した人たち)」という概念が受け入れられたのだ。
今は無理でも、人はいつか争いごとを解決していくだろうと。
その後のガンダムがファーストを1ミリも越えられないのはそのためである。
あの輝かしい希望・開放感・安堵感・救われた気持ちは例えようもなく甘美だ。
青春時代をファーストと過ごせた人は幸せである。
しかし世紀末を超え、世界はまた戦時下に近づきつつある。
9.11(アメリカ同時多発テロ事件→ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%8C%E6%99%82%E5%A4%9A%E7%99%BA%E3%83%86%E3%83%AD%E4%BA%8B%E4%BB%B6)のを境にそれは急激に表面化しイラク戦争は考えうる限り最悪の近代戦へと堕した。
日本人もそれに加担している以上、既に他人事ではない。
すぐ隣の国では核がどうこうと問題視され、アジア外交も再燃し難しい局面を迎えている。
後は冷戦であるか熱戦であるかの問題に過ぎない。
9.11の時にちょうど構想中であったというSEEDの監督・福田氏にファーストの時のような希望をもたせる物語が作れるはずもない。
話をリアルにしようとすればそうならざるを得ないからだ。
(原作者の富野氏ですらその後の作品でニュータイプであるアムロを救えなかった)
SEEDは世界が救いのないものである事を前提にした物語なのである。
つまりネガティブがデフォなのだ。
…あ、今誰かを思い出しましたね。
もうちょっと筆を進めてみる。
94
:
(*´∀`) さん
:2006/11/21(火) 19:17:47
735 名前:不定期連載[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 13:02:12
しかし辛い苦しいと重い事ばかり愚痴っていても仕方ない、救いのない世界にはそれなりの破滅の美学が必要だ。
どうせなら派手にやろう、ガンダムたくさん出しますよ。
見場は良いに越したことない、一番人気のある絵でいきましょう。
少しはいい事だってあるでしょう、可愛い女の子やどぎつい部分も出しましょう。
少しぐらいの嘘も毒もありでしょう、生きている間は頑張ってみよう。
どうせやるなら、1人でもたくさんの人に見てもらいましょう。
売れなきゃ終わるだけなのだから。
さて、何かを思い出さないだろうか?
真面目にネガティブをやりしかもヒットさせるというのは相当な荒業である意味クールだ。
ゼロどころかマイナスから始めなければならない男のやけくそなポジティブさ。
度が過ぎて表現がひっくり返ってしまったイキっぷりがSEEDとTMRの最も共鳴する部分だと筆者は思うのだ。
(なにせガンダムの新作をやるというだけでもう叩かれることが決定しているのだから、作者がひねくれないわけがない。おかげで作中ではいい子ちゃんじゃないキャラクターがとびきり魅力的であった)
えーなんだか凄いところに着地してしまった訳ですが。
というわけで、SEEDにおけるTMRはその凄まじいマッチングぶりで高評価を得ヒットになった。
うるさ方の古参アンチさんも主題歌だけは評価してくださる場合があって、それはちょっぴり嬉しい事である。
とりあえず、細かい詞の考察はまた他の場所にて。
スレ汚し失礼しました。
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