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『さる沢』感想

13名無しさん:2019/12/16(月) 00:08:20
ここはもう、本編観た人が、覗くとこなんだろーなと、勝手に思ってネタバレあり、ですよ、で、す、よ〜〜あ〜い、とぅいまっって〜〜〜ん!!!

会場は、音楽も演劇もいけるフリースペースだったけど、山道の場面で上方に姿が消せるし、場の転換で横にも捌けられるし、スペースの選び方がとっても上手で、この芝居にうってつけな場所だったなー

華美なセットも衣装も無かったけど、それが却って、観劇の醍醐味たるイマジネーションの喚起につながった。観劇中、目の前に、険しい山道、沢沿いに鬱蒼と天に伸びるりんごの木、藁葺きの古民家が浮かんでいた。観客が息を殺して観る中、閉鎖的な山村に静かに響く鳥の鳴き声が微かに聞こえていた。(何もキメてません)

嫁の繊細でしなやかな手の動き、姉の感情をコントロール出来ない、時に爆発するセルフィッシュな稚拙さ、父のだらしなく欲望が皮をかぶっているようなどうしようもなさ、猿の裏表ない、もはや姉の代替などではなく、本当に妹を愛している所作、第三者的立場で、何も知らないようでいて、実は全て見通している画家。どの演技表現も、さいっっこうだったよ、演者の皆さん。

さて、本作は、東北(山形)の民話がベースになってるのだけど、猿が出て来る昔話って、大抵、猿が狡賢で、でも最後は、猿が悲惨な酷い目に遭っておしまいっついうパターンが多いけど、この話の猿は、どこまでも無垢で、悲しく、切ない存在だった。

どこへ行っても嫌われていた猿は、ただ、人間の嫁をもらって、受け入れられる、という実感をしたかっただけだったんじゃないかな。青い花を取るため、沢崖の上へ上へと登って行けと、娘にけしかけられた意味も、途中で分かって、でも猿は、自ら花を取りに行ったんだよね。へへっって笑った時、足元が崩れる音がしたあの場面、涙出たわ。

そもそもの元凶は、父の優柔不断さが招いた
ことで、インモラルな実娘との関係の引き金だって、絶対自分が最初に引いたもので、それを悔やんでの自死とも言えるけど、やはり、人の道に外れたがために、神から受けた罰だったんじゃないかとも思う。これは肉汁サイドストーリーの得意技、直接的ではない聖書モチーフかなと思った。

暗いとか静かめとか自己揶揄してるけど、ずーと、このトーンで良いと思う。飛んだり跳ねたり、ハッピーラッキーばかりが演劇じゃない。

小道具の数々も、極めて印象的で、姉を死の淵から救った雪解け水は「雄の精」、猿と娘が山の掟で契るりんごは「雌の卵」、画家は「神」、臼と餅は「艱難」と「生命」のメタファーかと勝手にひとりごち(*個人の感想です)

終盤、本劇団の十八番、十重二十重に
畳み掛ける台詞の応酬来たー!耳をそば立て聞き分けた内容は、各自の持つ断罪の魂の咆哮のようだった…

自分を心から愛してくれた猿を殺め、里へ帰る娘には、残念ながら明るい未来は待っていない。姉も画家も、娘を選ぶことはない、だろう。

あと、ここの劇団が意外にすごいのは、デジタルに強いとこ。QRコードを駆使して物販展開するの、コストもかからないし。紙印刷も少なくてエコだし、グレタさんも落涙劇団だ。シナリオは、メモが面白くて、あえて紙にしたんだろうな。

………観終わった帰り道、本作の脚本の方から、みぞおちに一発くらったような倦怠感を覚えて、こんなん書き散らかしても、ちっとも昇華出来ん、イケないので、これからサウナで整えてくるわ。ほなさいなら。


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