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草間彌生 掲示板

5草間彌生 掲示板:2012/09/21(金) 13:36:11
ARTiT アーティストだけではなく、より多くの人に伝えたいとのお話でしたが、長年制作を続けてきた日本で一番キャリアのあるアーティストから、特に現在の若いアーティストに伝えたいことはありますか。

草間彌生 ; みんな画家になりたいとか彫刻家になりたい、とか若い方おっしゃっていますけれども、一番大事なのはその気持ちをそのまま絶え間なく持ち続けることです。たいてい、晴れやかにデビューした方達は2、3年で続かなくて終わりになってしまいます。もしくは違う職業につくなどして、制作そのものをやめてしまう。そういう方々を見ると、もしあのまま一生懸命、絵なり彫刻なりを作りつづけたならば、それも死ぬまで作り続けたならば、もっといい仕事ができただろうに、と思うのです。
私は、アンリ・ルソー、エドヴァルド・ムンクの作品が好きですが、それは彼らが歴史という時間の流れの中でも耐え得るアーティストだと思うからです。若いときから死ぬ思いで絵を描いてきた人たちです。だからこそ死後も彼らをフォローする人たちがいるのです。
彼らの画集や作品集を見ていると、彼らは一生懸命最後まで描きつづけたことがわかります。反対に作品集を見て、この人は途中でやめちゃったのだ、ということがわかるアーティストもいます。ひとつのことを最後まで、生涯死ぬまでやっていたら、戦わなくてはいけないと思います。いくら才能がなくても、本当に命がけで制作していく姿勢を保ちつづけたら、その作品がだめだったとしても、求道の姿勢というのは多くの人の気持ちを動かすものなのです。
私自身はこれまで一度たりとも制作をやめたいと思ったことはありません。美術から離れた生活というものは全く想像ができません。
これから世の中はもっともっと激しく変わっていくと思いますが、私自身も、そういう中で作家としていい作品を作って、みんなの心の琴線に触れるような、命があらわれるような人間像を見せつつ年を取って行きたいと思っています。だからこうして絵をかいて、朝から晩まで絵をかいて、自分自身が一番いい作家になったかどうか、ということを客観的に考えながら、制作を続けているのです。

ART iT  ; 著書『無限の網』(2002年、作品社刊)の中で、「死が近づいてきて、着陸態勢に入ってきている。だから、みんないま、熱狂的に作品を作っている。追い込みにはいっているから…」とおっしゃっていましたが、今でもどんどん描きたいものが次から次に湧き出て、描き続ける状態が続いているのでしょうか。

草間彌生 ; そうですね。生きているうちに沢山の作品を制作して、皆さんに置いていこうと思っています。
私も若くはないですから、今のうちに出来る限り描き続け、私の死後に多くの方達に私のメッセージや、自分の生き方、その他様々な事象に対して考えていることを、作品を通して伝えていけたらと思っています。そのためには、残された少ない時間の中から、ごはんを食べる時間も寝る時間も削って、 一生懸命絵を描き続けています。私は、美術に興味がある人たちだけではなく、すべての人に作品を通して語りかけたい、メッセージを伝えたい、と強く思っているのです。歴史の流れを考えると、これから先もいろんなアーティストが出てくるとは思いますが、私自身ができることとしては、よりよい仕事をして、戦争だとか、テロだとかそういうものを超えてみなさんが平和な生活をすることを、芸術家として望んでいます。だからこそ、一生懸命絵を描いているのです。そして私の死後に、「この人はこういう仕事をしたのだ」と思っていただけたら、私が今生きている甲斐があると思っています。
私にとっても、これからが本当の出発だと思っています。もっともっと立派な芸術家になりたいと思って毎日制作をして過ごしています。私が死んでからも私の作品を見て喜んでくれる人たちがいる。そして作品を見て憧れてくれる人がいる、作品を残せるというのは芸術家にとってこれは非常に幸せなことなのです。
こういう戦争やテロがある世の中で、いろんな危機があるときこそ、芸術家というのは頑張っていい仕事をしていかなければならない。みんなの愛情深い人生に対して、応援することができれば、社会に対する芸術の役割というのは明らかになり、美術界はもっと盛んになるのではないかと考えています。


 (以上)


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