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暫定保管スレ【第105話61レス以降 作品・保全ネタ】

26名無しリゾナント:2015/12/22(火) 21:15:11
やるなら今だ。
そう、全身が告げていた。後藤の登場であさ美の意識は分散している。脳の時間軸も今はいじられていない。
後藤はダークネスだが攻撃は確実に行わない、何故かそう本能で感じていた。絶好機はまさに今だった。

しかし愛の身体は動かなかった。あさ美を倒す、それ以上に、愛の思考は二人の会話に引きつけられていた。
アイデンティティ、追い求め追い求め、追い続けていたもの。
里沙はダークネスに育てられた。ダークネスの組織の中での触れ合いで成長した。
私は。
私はダークネスから生まれ落ちた。怪物と闘わされ、そして捨てられた。
私に母はいない。父もいない。あるのは持って生まれた能力だけ。意味を持つ名前すら無い。
何故つくられたのか、その理由も知らず、そして無言で捨てられた。
高橋愛のアイデンティティは喫茶リゾナント、そしてそこに集う仲間達と一緒にいること。
そして避けられない、i914であること。
ではi914のアイデンティティとは。忌み嫌い心の奥底でずっと押し殺して、だけどずっと欲しかった『i914の存在理由』。

「平方根は知ってる?」
「え?」
「ルート4は2、で有名な数学の基礎よ」

あさ美は舞い落ちる黒羽を見つめながら突如、口を開いた。

「ルート9は3、ルート25は5、ルート169は13」
「二乗したら元の数字に戻るってやつか」
「そう」

後藤は空中に腰掛けながら、変わらずに笑みを浮かべている。


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