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【マハ=ディヤルニ】 ルザナイ教 【バーフルード】

165言理の妖精語りて曰く、:2017/10/26(木) 20:59:13
問題は我が子の服装であった。彼の子は男、として育ててきた。
しかし遺体が着ていたのは女性の服装であった。

それを見て、父は声にならないうめき声をあげた。彼は
息子が異端宗団に渡る前にも、偶然、女装している姿を見ていた。

息子をなじり、問い詰め、宗教家や学者のもとに連れていこうとし、
我が子は姿を消した。

「あの時もう少しうまくやっていれば、息子はここにいなかったのか?」

166言理の妖精語りて曰く、:2018/01/01(月) 07:56:36
妻と共に息子の服を替え、火葬の場に遺体を運んだ夜、ラゴヴヴァ・カハトゥがやって来た。
赤い斑のある白鳥ほどもある雀の上に立ち、夜天を流星のように速やかに、地上からの警備をすり抜けて。

「男として葬るな。彼女は女だから」大音声でこう呼ばわり、雀の大群を巨人の腕のようにまとめ、横に凪ぐと
参列者は恐れに駆られ、椅子から転げ落ちた。

大きな腕が伸びてくる。しかし父は息子の遺体を守るため、火の中に身を乗り出して、そして覆い被さり
雀の嘴で突かれても物ともしない。父は彼女のことを知っていた。
異端者を異端の儀式に服させるべく、そのためにあらゆる手を尽くす魔女。
最悪の異端者どもを率いる「偽りの鷹匠」エブグルブ・バフォウ、
その腹心なる七狡人が一、「男と結婚した男」ガフ・ダンリウのおそるべき高弟、それがラゴヴヴァ・カハトゥである。

167言理の妖精語りて曰く、:2018/01/14(日) 05:24:02
老父はすぐさま鳶天使バダルカ=ディエンの助力を請う聖語をとなえ、
虚空から響いた猛禽の叫び声は雀の群れを霧散させた。

168言理の妖精語りて曰く、:2018/01/15(月) 06:48:41
それに対しラゴヴヴァ・カハトゥは風笛仕込みの錘をつけた紐を高速で回転させる。

もとは登段派に伝わる道具であり、この道具にはもう一つの顔があった。

169言理の妖精語りて曰く、:2018/01/24(水) 10:47:25
鎖鎌の、もう一方!

170言理の妖精語りて曰く、:2018/01/27(土) 15:42:29
猛禽の速さは、強弓から放たれた矢のようであったが、ラゴヴヴァの放った錘も負けてはいなかった。
それは、鎌首を持ち上げた毒蛇のように宙を飛び、天より来たりし猛禽に襲いかかったのだ。

171言理の妖精語りて曰く、:2018/04/07(土) 14:55:00
「ルザナイ教」の表記および発音は「ルズ・アナイ・ィ・アナイ」が縮んだものであり、チャカ大陸北方で用いられる。
本大陸と地理的に近かったため、マハ=ディヤルニ信仰全体を指す語として認識されるようになった。

これがチャカ大陸中部に来ると、発音は「ラーズ・ア・ナイン・イー・ナイン」となる。
基本的な世界観と主要な天使の面子はかなり共通しているが、正典リストや法術の体系に大きな違いが見られる。
この違いは他の地域でも同様に存在する。

「ルザナイ教をどう数えるかによって『チャカ大陸三大宗教』が『チャカ大陸四大宗教』や『チャカ大陸五大宗教』になる」と言われる所以である。

172言理の妖精語りて曰く、:2019/05/30(木) 09:33:12
ルザナイ教法典派は「匠人への祝福論争」を経て、新しい技術を積極的に認めていく方針へと転換した

この改革は、伝統の教団勢力と新興の科学勢力、その両方にメリットがあった
教団勢力は、改革によって、新しい技術によって変化する世の中から置き去りにされることを防げたし
なにより、急速に勢いを増してきている科学者・技術者たちやそのパトロンたちを教団に取り込むことが出来た

そして、科学者たち新興の科学勢力は、死体を解剖したり蒸気自動車を暴走させるなど、科学の発展に不可欠な怪しげな行為を教団によって庇護してもらうことが出来たのである
これはいわば、双方にとって幸福な婚姻であったといえよう

それにそもそも、ルザナイ教の中でも法典派は、無数の論文や資料を用いての論争を得意とすることで有名であった
Xという問題は、法典のYという部分を論拠として正当化することが出来、その解釈は論文Aに基づく
そしてその論文Aの解釈は、より昔に書かれた権威ある論文Bによって正当化され、その論文Bはさらに古代の聖人Cの書物の引用によって正当化される・・・といった形で、法典派は、延々と引用を繰り返した論争によってある行為が宗教的に正しいかどうかを立証するのである

そうした論争による正当化は、厳密な立証を不可欠とする科学技術ときわめて相性が良かったのである
二つの勢力が結びついたのは、当然の結果であると言えよう

173言理の妖精語りて曰く、:2019/05/31(金) 23:36:03
「法典派の神はテクストである」と巷では称されているが、その通説は実態とは大きく異なる
 神はテクストそのものではない
 神は人間と隔絶した偉大なる存在
 テクストはあくまでモノに過ぎない
 そのため、法典派にとって、法典を燃やす行為は侮辱とはならない
 砂地に水を捨てるような愚かな行為とみなされるだけである
 むしろ、法典派をはじめとするルザナイ教における聖者の逸話には、法典で船の穴塞いだり、法典を燃やして貧しきものを暖をとる話などが多いくらいだ
 法典派においては、人や法よりも法典を重んじるように振る舞うのは偽りの信者であり、そんな者は、嘲笑の対象となるのみなのである

174言理の妖精語りて曰く、:2021/11/26(金) 22:34:15
というわけで、我々は自分達が、歴史上の”原典”その人かをあんまり気にしていないのですよ。

事実上魔術や妖術の産物であろうと構わぬという者すらおります。

ただ神と人々のために”用”を果たすのみです。

175言理の妖精語りて曰く、:2022/07/14(木) 22:22:26
聖典学者ヒッリ・ウィドゥン。
ひとはかれを、旅する校訂者と呼ぶ。


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