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企画リレー小説スレッド
39
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第1回8番(III)ヘリステラ
:2008/03/07(金) 03:07:17
驚いたよ爺さま。まさかこの期に及んで快復するとはね。いやいや、もちろんあんたがぶっ倒れたときの方が万倍も驚いたさ。本当、殺しても死なないとはあんたのことだ。しぶといね、まったく。
まあよかったよ。学閥の出世を蹴ってようやくここまで漕ぎ着けた研究が、資金難なんて世俗的な理由でおじゃんになるなんて我慢できなかったからね。星見の塔存続万歳! 私も背に腹は帰られなくて次善策を採る準備もしてたんだけど、いやはや、早まらなくてよかった。爺さま、あんたがもう少し起きるのが遅かったら、あるいは私はあの子を無理矢理叩き起こしていたかもしれないよ。
そう目を剥きなさんなよ。なにせあんたから来る資金が途絶えれば、星見の塔の存続自体が不可能になるんだ。そうなりゃあの子の夢もそこで終わる。後はそれこそ、死ぬまで夢すら見ずに眠り続けるだけだったんだ。多少の後遺症が残っても、目を覚まさせてやりたいと思うのが人情というものだろう? もちろん彼女が遺産相続人だという事情もあったけどね。
そう、私はあの子の夢に無理矢理オチをつけようとしたんだよ。いや、オチない終わり、ヤマなしオチなしイミなしか。きりのいいところでアハツィヒ・アインを降臨させて、その場に居合わせたアルスタとクリスと四十四勇士と刑事と竜が大乱交、至る絶頂これ天にも昇る大スペクタクルという一大デウス・エクス・マキナで完結させる予定だったのさ。物語の核となる登場人物はもちろん、唯一の鑑賞者であるアハツィヒ・アインその人だ。
……だから怒りなさるなって。もちろんアハツィヒ・アインを核に持ってきたのは出鱈目さ。真の核がどこだったかは知らないけれど、ともかく"そういうこと"にして彼女の夢が終わるのを優先させたかったんだ。彼女に後遺症が残るのは、つまり最後に判明する核が純正のものではないせいだね。だからデフォンの奴は、この方法を『北風』と呼んだ。
うん、安心していいよ。あんたが起きたことで研究は無期限に延長された。これでゆっくりとあの子の夢を探って、あの子にとって本当にいいやり方で物語を完結させることができる。それこそ『太陽』のやり方でね。まあでも、そんなに時間を要しなくても、デフォンの奴は本当に三日でハッピーエンドを持ち帰るかもしれないよ。
ん? いやいや、なあに。あいつはああ見えてけっこう見込みがあるんだよ。生真面目さだけが取り柄だからね。三日と期限を設ければ、三日の内に死に物狂いでなんかやってくると思ってる。面倒くさい仕事は若いのに任せてさ、私らはせいぜいのんびりさせてもらおうや。あとは……ああ、そうそうそう。あんたさあ、本当に爺さまかい?
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