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360言理の妖精語りて曰く、:2007/12/22(土) 10:38:22
イルドの園にまたパンゲオンが近寄る。パンゲオンは園を荒らす。
この獣は万の口で、世界樹を貪り、生命の草木を潰す。
庭師たちは獣を追い払うため、刃物を持って駆けつけた。
こうして現れた庭師たちは以下の10名。
アメル・ア・フィリス、フィルモ・ア・フィリス、
エ・ア・フィリス、イドゥリ・ア・フィリス
ベルグ・ア・フィリス、セデル=エル・ア・フィリス、
ルツィー・ア・フィリス、コロフラーバ・ア・フィリス、
ラヒバル・ア・フィリス、クレツノンム・ア・フィリス、
ケリティルエブーリエメリティルブルヌ・ア・フィリス。
イルドの園に近づこうとする多頭獣であったが、
庭師たちが切っ先で肌を抉ると呻き声をあげて後じさる。

一撃二撃と十一人が刃を叩きつけていると、パンゲオンは弱り動きが鈍っていった。
「ここで腰を落ち着けられては困るな。休むなら消えてからにしてほしいものだが。」とエ。
それを受けてベルグは「遊びすぎてしまいましたかね。さて、どうしましょう。」
と言い、一同に意見を求めた。
「いっそここで殺しておこうよ。一応イルドの園から距離はとれてるし、
捨て置いて腐らせても問題ないだろ。臭気が漂っても園には清浄な囲いがあるしね。」
庭師の中で最も筋骨隆々なるルツィーのこの発言に、コロフラーバが同意する。
「そうね。ここで、この、肉塊が、永遠に、動かなくなれば、仕事に、集中できるってもんだわ」
だが彼女は将来の仕事よりも着衣にこびり付いた返り血がとれないのに苛立っている様子だった。
返り血があまりに酷いので思い切って発想を転換し、血なんて構わず刃を振り上げ
パンゲオンの肉に打ち込んでは引き抜き振り上げ……を繰り返し始めた彼女。
「まだ決まってないけど、俺達がやるのもあれでいいの?」
「いいんじゃないの」「もういいよ。やろ」「これくさい」
コロフラーバの突発的な行動に引きずられるようにして他の庭師も
血なんて構わず刃を振り上げパンゲオンの肉に打ち込んでは引き抜き振り上げ……

危機を感じたパンゲオンは暴れ始めた。傷ついた肌をめくり上げて裏返し、
その下から危険な爪や牙や角を引っ張り出して応戦した。
「気持ち悪い動きをするやつだな。さっさと片付けちまうぞ」
刃の巧手クレツノンムは得物を振るう速度をさらに高めた。
パンゲオンの反抗はむしろ庭師たちを刺激し、かの獣の死を早めるだけに見えた。

最初にそれを見出したのはラヒバルであった。それは爪や牙や角までをも刈り尽くそうという寸前のこと。
「うわあ、またこいつ自分をめくり始めちゃってるよ。」
ちなみにこの「うわあ」とは驚きではなく、もういい加減にしてくれという溜息のようなものである。
疲れたり気だるくなってくると目の前の変化も正直どうでもよくなってくる実例であった。
だが多頭獣による自分めくり第二弾の実相を目の当たりにして、
彼らは思わず色めきたった。めくった下から出てきたのは
この獣がイルドの園で食い荒らしてきたものであったからだ。

呆然としていたアメルに飛び掛ったパンゲオンはめくる方向を逆転させ
アメルを内へ内へと飲み込んでいく。ラヒバルはすぐさま刃で
肉をえぐって中を引き出そうとしたが無駄だった。
無口なケリティルエブーリエメリティルブルヌは花に脛をかじられても、しばらく呆然としていた。
気持ちを取り戻すと悲しさとも苦々しさともつかぬ表情で花を持ち上げ、握りつぶして殺した。
そして静かにめくれた肉と花々に刃を叩き込み始めた。他の庭師も彼に続く。
だがアメルは解放されることなく、やがてパンゲオンの内側からは芯のある柔らかいものが
押しつぶされ軋む音が漏れ始めた。




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