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キュトス71姉妹2

449言理の妖精語りて曰く、:2017/05/20(土) 07:04:26
【T・リールエルバ】には、三つの顔がある。
すなわち、革命前の混沌とした時代に現れた謎の麗人であり、当時大流行した催しであり、そして、猛威を振るった詐欺商法である。

順を追って説明しよう。
まず、『第一の【T・リールエルバ】』
彼女は、革命前のパリースに、突如として現れた謎の麗人である。
彼女の本当の素顔は、誰も知らない。
彼女は、いつの間にかパリースの社交界に現れたのだ。

確かに、登場した当初は、彼女にも確かな身分と、それを保証する身元保証人が居たはずであった。
だが、それはいつの間にか、あやふやなものになっていたのだ。
当時のパリースでは、地位の売買が日常茶飯事であった。
土地や家屋の権利書がハトのようにあたりを飛び交い、勲章は、子供のおもちゃのようにあちこちを巡ったあげく、姿を消した。
そんな時代においては、彼女の身元保証人が賭け事で身を持ち崩したり、彼女の素性を問い合わせる手紙が、宛先人不明で送り返されてきたりしても、誰も気にかけることはなかったのだ。
当時は、社交の場で人気があることが全てであった。
人々は、平和と繁栄に飽いていた。
彼らは、著名人や身近な人々のスキャンダルを楽しみ、金や地位や、自分の心身を代価として危険な賭けごとの興奮を味わい、遠くの戦乱や飢饉を大げさに悲しんでチャリティーを催した。
そんな場においては、面白いことこそが善であり、退屈や真面目さこそが悪であった。
どうして、美女の正体をいちいち勘繰る必要があるのだろうか?
留まったり、反省したり、計画したりすることが苦手なパリース社交界の人々は、【T・リールエルバ】を歓迎した。
それはまるで、羊の皮を被った家畜泥棒を歓迎する、太った羊の群れのような有様であった。

そして、隠されていた彼女の本性は、家畜泥棒のような小物では無かったのだ。
パリースの人々は、まもなく時代を制する「大いなる怪物」の姿を目にすることになる。

そう、【T・リールエルバ】という名の怪物を。


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