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キュトス71姉妹2

418言理の妖精語りて曰く、:2017/01/24(火) 03:23:21
そう、遠方から来た姉妹を迎えるために、ヘリステラが台所を離れたわずかな間にその惨劇は起こった。
犯人は、設置されていた幾多の術式網と罠をくぐり抜け、見事に犯行を成し遂げてみせたのだ。
こうして『赤い地獄』は、産まれた。

しかし、その鮮やかな手並みにも関わらず、犯人は捜査の手をまぬがれることは出来なかった。
なにしろ、今の【星見の塔】には、現状判明している全ての【キュトスの姉妹】が集結しているのだ。
あえて使用されないものを含めた約六十九もの手法から、逃れられるものなど存在するわけがない。

見事、惨劇の犯人を見つけ出したヘリステラは、彼女、すなわち【凍結の魔女コルセスカ】を捕縛。
略式だが、魔女審判にかけ、犯行に及んだ事情を聞き出すことにしたのだ。
だが、捕縛されたコルセスカは、なぜか、とうとうと今朝見た夢の話を語り始め…………。
かくして、話は、現在の状況へと戻るのであった。



「確かに、痛い夢でしたわね。色々な意味で」
と、首を振りながら話を総括したのは、【歌姫】カタルマリーナ。
今回【守護の九姉】の一人である彼女は、略式魔女審判における【審判員】として参加していた。
審判におけるその役割は、人間の裁判における陪審員ほど重くは無いが、決して軽くはない。
彼女の発言は、コルセスカの事情への軽い共感と、それ以上の不寛容を示していた。

確かに、前世の事情は、重要である。
この【星見の塔】に集う【姉妹】の多くは前世の記憶を持ち、あるいはそれに悩み、あるいはそれに勇気づけられて日々を過ごしている。
何より【キュトスの姉妹】とは、ある意味、共通の前世【女神キュトス】を共有する存在でもあるのだ。
そんな彼女たちが、前世の記憶や、前世の夢を軽んじるわけがない。
だが、だからこそ、前世の事情に基づく暴走や、掟の侵犯を甘く見るわけにはいかなかったのだ。
全ての【姉妹】が、前世の事情を抱えるのだから、一つの事例を許せば、それは全ての【姉妹】の暴走を招きかねない。
いくら、コルセスカが幼い新入りであるとはいえ、いや、だからこそ、その処罰をなあなあにすることは出来なかったのだ。

しかし、略式の【魔女審判】は、ヘリステラ以外に最低2名の【守護の九姉】かその代権者の出席を必要とする。
これは【女神キュトス】が、身体の三つの部位で思考していたという故事に基づくものであり、すなわち、どれだけ重大な犯罪であっても【審判員】一人の反対を得れば、減刑を、さらには無罪を勝ち取ることさえ可能である、ということを示していた。
では、その残る最後の【審判員】とは、いかなる人物なのか?
コルセスカは、その幼い瞳に、輝かんばかりの期待をこめて、辺りを見回した。
…………しかし、その先に、更なる地獄が待っていることを、彼女は、予想してしかるべきだったのだ。
そう、そこには、目を覆わんばかりの惨状が広がっていた。


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